SPN BIZ Info.
激動の「対立と制裁」の時代へ
今求められる海外取引先・海外顧客チェックとは
「対立と制裁」をめぐる近時の国際情勢
近年、米中対立の激化や中東の不安定化、北朝鮮の核戦力増強・高度化などによって、主要国による経済制裁や輸出管理規制が強化されつつあります。また、今年3月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、G7 を中心とした西側諸国が大規模な対ロ制裁を打ち出したことは、ご記憶に新しいかもしれません。
今般の対ロ制裁は、その規模とスピードにおいて過去に類を見ないものでした。今後の規制動向にも反映されることが予想されますので、簡単に振りかえります。
全体としては、輸出規制・金融制裁・物流制裁などを総合して組み合わされたことが大きな特徴です。輸出管理においては、軍事にかかる利益供与を制限する枠組みが大幅に強化され、軍事・準軍事分野だけでなく、電子・航空分野などに拡大されました。また、金融制裁においては規制分野が多様化して対象数も拡大し、これまでの金融制裁の類型を覆すものでした。このほか一部では人権問題を起点にした措置が取られており、国際法違反だけにとらわれずに人権を起点とした新たな制裁措置が、今後も続くことを予見させます。
制裁史に残るターニングポイントとなった今般の対ロ制裁ですが、まだ予断は許しません。ロシアによる侵攻作戦の長期化とともに、眼下の制裁もまた長期化が懸念されているからです。現状からさらに対ロ制裁が拡大・多様化するおそれも含めて、推移を見守る必要があります。
そして本邦の隣国・中国は武力による台湾併合をオプションとして掲げており、米国はこの点に対しても強い警戒を示しています。仮に台湾進攻が行われた際には、有志連合によって今般の対ロ制裁に近しい対中制裁が行われる可能性が高く、本邦が「準当事者国」としてそこに加わるという地政学的リスクを排除できません。日本企業においては、「最大輸出国が制裁対象国になる」おそれすらあるのです。
日本企業が海外企業・外国人と取引する際に気を付けるべきこと
近時の経済制裁強化の情勢については、西側諸国に与して加工貿易を主とする日本においても、決して対岸の火事ではありません。国内事業者も、海外企業・外国人との取引に際しては、各種の制裁措置、マネー・ローンダリング対策、テロリスク、安全保障、贈収賄の防止といった観点が欠かせないのです。
たとえば、代表的な制裁機関である米国・財務省によるOFAC(外国資産管理室)規制においては、米国に拠点を置く日本法人やドル建て決済を行う金融機関などが幅広く、この規制に応じる必要があります(=非米国法人への域外適用)。また、OFACが定める制裁対象リストに掲載されていない法人であっても、制裁対象者・企業が50%以上を支配していると規制対象となってしまいます。つまり、単純に「リストに載っているかどうか」だけでは不十分で、その法人の実質的支配者まで調べる必要があるのです。
こういった海外の規制に知らず知らずのうちに抵触してしまうと、重大なコンプライアンス違反として罰金を科せられたり、不芳な風評を招いたりしてしまいます。国内の取引先に対して行う「反社チェック」と同様に、あらかじめ厳格なスクリーニング=KYC(know your customer)が望ましいと言えましょう。
弊社ご支援の事例
(1)不動産業X社の事例
新規取引先の外国人に対して、弊社サービスをご利用いただく社内フローを定めておられます。あるとき、R国籍者との大型取引に際して弊社サービスの結果をご報告したところ、制裁対象者ではなかったものの、東南アジアでの不芳なメディア記事がヒットしました。R国からは富裕層の資本逃避先として日本が選ばれることが多いため、X社さまは慎重な検討ののち取引を中止されました。
(2)BtoBサービスY社の事例
日本企業社との新規契約に際して、M&Aの経緯に不審点を感じたご担当者さまが、弊社サービスをご発注くださいました。この結果、「法人の実質的支配者(いわゆるUBO)」がC国企業であることが分かりました。C国は官民の境界があいまいなためさらに調査したところ、支配政党の軍事部門に近しい企業からの出資が明らかになりました。Y社さまも、取引を中止されました。
弊社がお手伝いできること/サービスラインナップ
どのようなスクリーニングが適当かは、業種業態や個別の状況によって異なります。弊社は、海外コンプライアンスの遵守に向けてお役立ていただけるよう2つのサービスをご提供しております。それぞれ調査の深度や納期が異なっており、多様なニーズにご対応可能となっております。
どのサービスも1件から承りますので、費用面のご負担も軽減しております。「どれを使えばいいか」といったご相談から、是非お気軽に、ご利用をご検討くださいませ。
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コンプライアンス関連の専門会社である「レクシスネクシス」社と連携し、多数のデータベースから多角的なコンプライアンスチェックを可能とするサービスです。
調査対象と調査項目をご依頼いただいたのち、弊社の専門スタッフが専用のシステムで検索した結果をとりまとめ、一括でご報告いたします。
検索可能なデータベースは、①世界のニュース媒体(ネガティブ情報)、②制裁リスト、③PEPs(各国の政治的な要人)、④法人の実質的支配者(UBO)情報、⑤企業情報、⑥裁判履歴…となります。
ご不明な点やご用命につきましては弊社の営業担当者か、企業情報部(03-6891-5567、直通)までお問い合わせください。