HRリスクマネジメント トピックス

「トラブル多発の忘年会」三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(14)

2019.12.23
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忘年会のイメージ画像

職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。

職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!初動対応や法的な責任、再発防止など、三匹それぞれの観点から熱く語ります。

【今月は特別に五匹!プロフィール】

黒豹さんのイラスト

黒豹さん(ヒョウ):
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい?しなやかな筋肉で機敏に動く…いや、単にせっかちなだけかも?SPNの森で16年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン®」を立ち上げたのは実は…。おビールで乾杯!

モモンガさんのイラスト

モモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、運転免許など、すべてペーパーですが、そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながら実務の間を飛び回ります。ジンジャーエールで乾杯!(注射のアルコール消毒が腫れるレベルの下戸)

かわうそさんのイラスト

かわうそさん(かわ):
京都出身のはんなり系。もう冬です(寒ブリと熱燗の季節)。さむうてたまりませんわ。東京に出稼ぎに来てもう1年。いっちょまえにHRリスクマネジメントについて考えていきます。エナジードリンクで乾杯や!

ワオキツネザルさんのイラスト

ワオキツネザルさん(ワオ):
半年前に九州から上京し、SPNの森の仲間になりました。「新入社員」という肩書きが次の4月にはなくなるのかと思うと震えが止まりません。長~いしましましっぽでバランスを…とることの難しさを痛感中です。アイスコーヒーで乾杯!

ネコさんのイラスト

ネコさん(ネコ):
猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー、実はキャリアコンサルタントでもある。急須で淹れた温かい日本茶で乾杯ニャー。

今月のご相談は、こちら。

中堅クラスの広告会社で総務部長をしています。元気なというか、やんちゃが過ぎる社員が多く、忘年会・新年会シーズンは頭が痛いです。

先日、営業系部署の30名ほどが、近くの居酒屋で忘年会を開いたらしいのですが、あまりにもトラブルが多発して、もう本当に情けなくなりました。トラブルの内容は、以下のようものです。

  • 派遣社員の女性2名から、部長に肩や腰に手を回され、セクハラを受けたとの訴え
  • 新入社員の男性が、先輩社員に飲まされ、急性アルコール中毒で救急搬送
  • 酔った係長と課長が、店内で殴り合いのケンカ
  • 酔った若手社員が、自分のカバンと間違えて別のお客様のカバンを持って帰宅し、翌々日、店から連絡を受けるまで返しに来ず、電話すらなかったと、店主が激怒

もう…本当にひどすぎです。派遣会社からは正式に調査と対処を求める通知を受け、今はその対応に追われています。搬送された新入社員は、大事には至りませんでしたが、激怒した両親から電話で1時間以上怒鳴られました。迷惑をかけた居酒屋には、菓子折りを持って、私も社員と一緒に謝りに行きました。

たかだか一度の飲み会で、こんなことになるとは。今年は業績がイマイチで賞与も少なく、皆ストレスが溜まっているのでしょうか。年末は多忙だからと、新年会を計画している部署もあり、憂鬱な時期が続きます。

もちろん、注意喚起はしているのですよ。例年通り全管理職宛に、メールで宴席における注意事項を送りました。でも、この程度で会社の文化が変わるわけがありませんよね。だいたい、管理職がセクハラやケンカをしているのですから、あまりにもレベルが低すぎて、「何をしてもムダ」と思ってしまいます。

「そういえば去年も同じようなトラブルがあったなぁ」といろいろ思い出してしまい、「来年もまた振り回されるのかな」と思うと、会社に行くのがつらくなってきます…。

年末を迎えたSPNの森。今月は特別バージョンとして、五匹の動物たちがコタツに集い、お悩み解決に向けて話し合いました。まずは各々お気に入りのドリンクで、カンパーイ!

〈まだまだあります、アルコールハラスメント(アルハラ)!〉

ネコ:総務部長さん、困っているニャー。

かわ:まだこんな会社や人がいてはるんか?と思って調べてみたら、やっぱり結構あるんですね。アルハラなんて、学生がやってはるイメージでしたが、会社の飲み会の事例がいっぱい出てきました。

モモ:アルコールにまつわる事例、「自分事」として、経験したことある?

かわ:学生のときは、一気飲みとかさせられていましたね。自分の意思ではやろうとしたことはありませんし、やりたくなかったです。

ワオ:私も学生時代に、飲まされている人を見たことはあります。盛り上がるうちに歯止めが利かなくなって、嘔吐したり、倒れて物を壊したり。でも、私が学生だった4年間ですら、だんだん大人しい学生ばかりになっていって、4年生のときはずいぶん平和になりました。

モモ:時代的に?

ワオ:だんだんおとなしい子ばっかりになっていく感じでした。学生の系統も変わってきているのかな、と。

かわ:いろいろなパターンが許されるようになったよね。乾杯からビール以外のものを頼む人も増えたし、それが許されるようになったし。

ワオ:ワオキツネザルとしては、「古き良き…」という感じもいいんじゃない?という印象を受けました。救急搬送されるまで飲まされた社員について「激怒した両親から電話で1時間以上怒鳴られました」とありますが、ここで親が出てくるの?という気もしてしまいます。いくら先輩に「飲まされた」と言っても、もうちょっと後輩の方も対処の仕方があるでしょう?会社のカルチャーに合わなかっただけでは?とも思えます(笑)でも笑い事じゃないんですよね。

ネコ:ワオちゃん、若いのに意外と古風なのねぇ。

かわ:アルハラに関連して調べてみたんですけど、たまに「逮捕」までされているケースもあるんですよ。1千万円くらい賠償請求されているのもあるし。無理に一気飲みさせたりして、今回のように急性アルコール中毒に陥らせてしまうと、傷害罪とか強要罪になる可能性があります。これ、会社でやってしまったら、社会的な評価としてイタいのでは?総務部長さん、「やんちゃが過ぎて」ではおさまりませんよ。自社から犯罪者がでてまうでぇ~!

ヒョウ:そうね。カバンの取り違えで、情報漏洩とかもあるし。

かわ:いやー、ほんまに、いまだにこんなのあらはるんですねぇ。

ヒョウ:あるよー。内部通報でも、毎年こういう季節になると、宴席でのことが多く通報されてきます。その職場のカラーも強く出るのかな。社員さんからの内部通報を受け付ける専用の電話番号に、何で知ったのか、居酒屋の店主から電話が入ったこともある。「お宅の〇〇、酒癖が悪すぎるから出禁にしてくれ」とか。それから、お酒の席でのセクハラの通報も多いね。転勤してきたばかりの男性の所長が、ベテラン層の女性社員をちらっと見ながら、「来年はオバサンはカットします!」と言ったとか、「酔っていました」では済まされないような発言も。

モモ:飲んでいることが免罪符になると思っている人、いますよね。

ヒョウ:そうそう。飲んでいたから覚えていないとか。

モモ:痴漢とかも、「覚えていない」と供述しているケースは多いですし。

ヒョウ:ね。でも、セクハラの被疑者に「じゃあ、やっていないんですか?」って問うと否定できずにモゴモゴしているから、「じゃあ、否定しないということで…」と、事実認定していく会社もあるなんていう話も聞きました。まぁ、ケースにもよりますが慎重に扱わないと、それはそれで問題になるかもです。

〈「忘年会がイヤ」になる背景〉

モモ:忘年会って、そこまでしてやりたいものなのでしょうか。

ヒョウ:「忘年会が憂鬱で仕方ない」とか、「忘年会でのダンスなどの余興の強制がつらい」といった声があがってきます。あとは、…どこまでを勤務時間とするかの問題も。休みの日に集まれと言われたり、停電で仕事ができないからってその日に飲み会を設定されたり。「任意」だと言われているのに、行かないと「なんで来ないの?」とブツブツ言われて、結局行かざるを得なかったり。上司は「強制ではないよ」というけれど、下の人には半強制だと思われているケースは結構あるみたい。

かわ:そういう時に起こった事故とかって、労災になるんですか?

モモ:業務遂行性と業務起因性があるかどうか。完全に任意で、自由参加なら、労災にはならないわね。

ネコ:仕事を中断して会社の歓送迎会に出席した人が、職場に戻る途中で交通事故に遭って、それが労災扱いになった判例(行橋労基署長(テイクロ)事件 最高裁二小 平28.7.8判決)はありましたね。でもあれは、歓送迎会が事業活動に密接に関連していたし、本人はお酒も飲まず、会社へ戻る道すがら、酩酊した実習生を車で送っているところだったし…かなり特殊なケースでしょうね。

ヒョウ:時間内か時間外か、業務なのか違うのか、判断が難しいね。しかし忘年会を「仕事」だ、「強制」だということは、忘年会を「嫌なもの」ととらえる人がそれだけいるということ。日頃溜め込んでいるものをちょっとくらい吐き出しても、「酒の席ならいいでしょう」という古い考えの人が多いからかな。

かわ:殴り合いしても許されるとか(笑)

モモ:「#忘年会スルー」が、テレビでも特集されていましたね。クリスマスイブの日に忘年会を設定されて、プライベートの予定と重なったから行かないと言ったら「業務命令」を振りかざされ、不利益な扱いを匂わされたり。でも結局「業務ではない」となったら、実はみんな行きたくないということで、女性社員は一人も来ず、管理職の男性だけになったなどという話も。個人的なことを言うと、私は全く飲めないけど、飲み会の参加自体はポジティブに捉えているんだけど、「飲めない」っていうと嫌な顔をされることがあって、それは悲しいなぁ、と思う。

ヒョウ:企画する幹事さんも、損な役回りになることが多いよね。時間を割いて企画しても、行きたくない人もいるし、「料理が…」とか「お酒の種類が…」とか、お店の文句を言われたりするし、お金の回収もたいへんだし。

かわ:あぁ、お店の文句は言われますねぇ。もっと魅力的なお店を探しなさいとか言われて、キツイですわぁ。

ネコ:私は誰かがずーっと店員さんのように料理を取り分けたりお酒を作ったりしていると、なんだか落ち着かなくて疲れてしまう。上司だけが楽しむ会みたいな感じに思えてきて。

〈「忘年会」を見直そう〉

ネコ:以前いた森では、全員が楽しめるようにと、一人ずつに料理を出してもらえる店を選んだり、ホテルのこじんまりした会議室でのリーズナブルな懇親会プランを利用したりしていました。

モモ:私も以前の森では、常に立食が基本でした。深酒しないし、気楽だし。業務の都合がある人は途中で出入りもできるしね。

ネコ:社内でやるのはいいね。普段はお酒を飲めない場所でちょこっと飲むことで、罪悪感というか、背徳感を共有して、一体感を感じるみたいな。

ヒョウ:そうね。社内にカフェやスタンドバーをつくっている会社もあるよ。

モモ:いろいろ工夫する職場も出てきましたよね。育児中の人が多い職場だからとランチ会にするとか、お金を払ってまで行きたくない人もいるからと、会社がお金を出して業務時間中に行う懇親会にするとか。深酒なんてしなくても、交流はできるものね。というか、職場内で懇親をはかって、より深い話をしよう、仕事に良い影響を与えようというならば、お酒ばかりではないと思います。お酒を飲めない人もいるし。

ネコ:ボスが、「日ごろのみんなの頑張りに感謝する会でしょ?」と、企画から何から全部やってくれる、なんていう外資系企業の話もネットの記事で読んだことがあります。そんな記事を読むと、「そういう職場の方がいいなー」と単純に憧れてしまう。そんなボスなら尊敬もできるし。

ワオ:うーん。私は、幹事をすることで、得るものもあると思います。こういう仕事も、まわりまわって自分のためになっているというか。以前、お客様のところで「社員に気を遣えない人は、お客さまにも気を遣えないよね」と言っていたのを聞いて、その考えもわかるなぁ、と。そういうのもあって、「古き良き」に賛成してしまうところもあります。

モモ:分けて考えなきゃいけないのかな。お酒が悪いわけじゃないし、忘年会が悪いわけじゃない。夜の飲み会の見直しを提案してみてはどうかしら。健全に懇親を深めるようにしたいなら、やり方はいろいろあるはず。交流を持つことは必要よね。業務時間中の私語は望ましくないし、特にプライベートなことは話しづらいけれど、ちょっとした「潤い」となるような話はしてみたい。そういうのは、仕事から離れた場がいいわ。

ネコ:チームビルディングのゲームみたいなのをみんなでやって、そのあと食事会、というのも聞きましたよ。それはとてもいいですよね。メンバーの思わぬ一面も見られたり。

ヒョウ:そういうの、流行っているみたいよ。そういうチームビルディングの研修をメインにしているところで、そのあとの食事会のセッティングまでしてくれるとか。

〈会社を変える!社風を変える!そのために…〉

ネコ:さて、じゃあこの総務部長さんにはどんなアドバイスをしましょうか?去年もメールで宴席における注意事項を送っていて、それで効果がなかったのでしょう?だったらまず、去年と同じことをしていてもダメよね。何か違う策を講じないと!

モモ:そうそう総務部長なのだから、何かしてもらわないと。管理職を集めたパワハラ防止研修で、管理職同士、お互いの言動を指摘し合うというのが参考になるかもしれないわ。指導とパワハラの境目をお互いに話し合って、「自分事」として考えていくようなワークショップがあるみたい。飲み会でも、「これはまずいよね」と、「自分事」として考えて、自覚してもらう必要があるんじゃないかしら。

ヒョウ:事前によくシミュレーションして、対策を立てておくのもいいかもね。アルコールで「荒れる人」って決まっているじゃない?酔ってきたら、横に座る人を決めておいて、さっと水を差し出したり、ブレーキをかけたり。

モモ:「やってしまいがちなこと」を、事前に自分の口で言ってもらうのもよいと思う。「何杯以上飲むと、こうなっちゃうんだよね」とかを互いに聞いておいて、酔ってきたらさっと連れて帰ってしまうとか。管理職同士で協力して、お互いに注意しあっておく。止めてね、とか。

かわ:でも、いらんことしてんの、全員管理職ですもんね。この部署の管理職全員あほですわ、あほやあほ、ほんまもんのあほですわ。しょうもないやつらですわ。

ネコ:かわうそさん、エナジードリンクで酔っ払わないでよね!シャーッ!

かわ:えらい、すんまへんな。ただ、考えてみますとハラスメントの場合、自身の行為がハラスメントに当たるという認識に欠くことが多いことや、加害者同士の話し合いでは、各人、罪を軽くしようという意識が働いてしまうことから、今回のケースで管理職同士話し合ったり、協力したりするというのは期待できない気がします。

モモ:うーん、でも何かできることはあると思うな。カバンの取り違え防止は、多少周りが気を付けるとか、最後に忘れ物をチェックするとかできるじゃない?とにかく、去年も悩まされていたのなら、何か変えないと!

ヒョウ:研修をやりなれていない会社では、受講者を招集するのにも「忙しいんじゃないか」とか気が引けたりするみたいだけれど、やれば「やって良かったね」となることが多いものよ。有意義な研修をしておくべき!とにかく、やってみることが大事!

モモ:そうね、定例会議で少し時間をとって、とか。

ヒョウ:会議が「報告会」になっている会社って多いよね。会議を活性化しようと思ったら、いかに「心に刺さること」を投げかけるかが大事かも。実情に役立つことや、新たな発見につながりそうなことなど、工夫しないと。こういった問題への対処も同じで、何か「刺さること」、有効な施策を考えないと。総務部長さん頑張って!

モモ:自分で考えてもらうのが大事ね。アウトプットしてもらうことって大事!

ヒョウ:この総務部長さん、「管理職のレベルが低い」と嘆いているけれど、それを改善するのもあなたの役割の一つですよ…とも伝えたい。

ワオ:私は…会社の文化なんて変わるわけないよねって、納得してしまいました。「社風を変える」ってどうしたらいいのでしょう?飲み会が変わることで、会社も変わるのかな。

ヒョウ:社風は変えられるよ。

モモ:純粋培養で、その職場の常識しか知らなくて、「知らない」で来ているなら、教育は必要。そればかりではないことを知るのは大事。

ワオ:こういうところでも変わり得るんですね。

モモ:そうよ、上から変わらないと、会社は衰退していってしまうんだから。悪いことは、ネットとかで何でも出てしまう時代だし、マスコミも許してくれなくて、広まってしまうからね。でも「外部に出やすい」のは、ある意味、自覚しやすいということでもあるわ。

かわ:常に監視されているみたいな。

モモ:そうそう、監視されていても、やましいことがなくて大丈夫なら、OK。

ヒョウ:自分でソリューションを考えない会社はなかなか変わらないね。誰かが変えてくれるではだめでしょ。会社は変えられる!

かわ:そう、時間はかかるけど、変わるんだよ。

ヒョウ:「添付ファイルにパスワードをかける」なんていう決まりも、コツコツ指導し続ければ、みんなきちんとかけるようになるし。みんなが「うるせーな」と思うことを地道にやる人には感謝しないとね。続けることの難しさも理解して。

モモ:気付かないうちに、いつの間にか染み付いている習慣ってありますよね。悪い状態が当たり前から、良い状態が当たり前になるように、指導し続けることで本当に変わるものです。

〈話し合うことの大切さ〉

ワオ:…事例を見たり、こうしてみんなで話したりすることって、大事なんですね。私は、学生の時にかなり年上の先輩とお話しする機会もありましたが、セクハラとかで、嫌な人に会ったことがないんです。だから、単に「親しさ」の問題なのかな、って思ったり。肩や腰に手を回したのが派遣さんだったから、「セクハラだ」とか言われたのかなって。社員さんとか、慣れ親しんだ人だったら訴えられたりしないんじゃないかな、って。

モモ:やっぱり触ったらダメよ。男女問わず、救護以外に触る必要って一切ないでしょ。

かわ:慣れ親しんだ間柄だからこそ触られても言えない(訴えることができない)っていうケースもあります。例えば、その後の関係性の悪化を恐れて被害者側が言わずに我慢するというケースを挙げることができます。
ちなみに、性的な被害にあった場合、声を上げることによって被害を防ごうとする直接的な行動をとる人は一部なんですよ。約9割が抵抗しないとか。そのため、加害者は被害者の抵抗がなかったからといって、同意があったとしてセクハラじゃないと主張することはできないんですよ。ただ、いまだに「抵抗しないほうが悪い」みたいな発想の方が一定数いたりするので残念です。

ワオ:パワハラとかセクハラとか、何がダメなのか、その基準がはっきりしないから解決できないのかと思っていました。でも、じゃあもっと基準を明確にしようとするのかと思ったら、世の中の流れとしてはそうでもなくて。でも、こうやっていろいろ事例を見ることで、「あぁ、こういうのもダメなんだな」「こういうのもあるんだな」って、未然に防ぐために気を付けることはできるんですね。基準がはっきりしないからどうにもならないと思っていたけれど、そうでもないんですね。

モモ:うん、知るって大事かも。「それをイヤな人もいるんだ」とかわかるし、相手の表情も読めるようになるものね。ただ、笑顔でも本当は嫌がってることもあるから、そこは注意が必要ね!

ヒョウ:そうそう、「ここまでならOK」の一線を越えてしまわないように、相手の「No!」のサインを読み取れないとね。

〈「はじめの一歩」を考えよう〉

かわ:「はじめの一歩」は何がいいですかね?

モモ:教育の場面をつくったら?飲み会の、こういう行為はいけませんよ、とか。素面の時に。

ヒョウ:お店で領収証を切ったら、どこの会社かわかるものね。レピュテーションリスクの対策として、研修をしましょうよ。

ネコ:社内への注意喚起の仕方にも工夫ができそうね。「管理職にメールで」で効果がないなら、全員に送るとか、朝礼で言うとか。あと、「一般的な注意」というよりは、具体的に「お店等へ迷惑をかけた事案が発生した」旨を含めて強いトーンで発信してみるとか。

ワオ:やってしまった張本人には、しかるべき指導や、就業規則に則った懲戒も考えないといけません。

ネコ:そうね。下手な温情は、モラル低下のもと!

かわ:それならいっそ、社章をつけて飲み会をしたら?何なら、名刺も首からぶら下げさせて。その状態なら、酷いことはできないでしょう(笑)

ワオ:社内でやるのもいいかも。

ヒョウ:仕事をしている場で、酔っぱらっている人がいるのを嫌がる人もいると思うので節度を持って…ですね。

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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