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「それぞれのリモートワーク」三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(21)

2020.11.24
タイトルイメージ図

職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。

職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!今回も三匹(いえ、4匹!)がチャットにて、それぞれの観点から熱く語ります。

【今月の三匹・プロフィール】
みみずくさんのイラストみみずくさん(みみ):
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?いえいえ、暗いうちから活動を始める早起きさんです。

モモンガさんのイラストモモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、運転免許など…すべてペーパーですが、そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながら実務の間を飛び回ります。SPNの森の住人になって1年経ちました!(祝)

ワオキツネザルさんのイラストワオキツネザルさん(ワオ):
新卒2年目のワオキツネザルです。昨年はキョロキョロしてばかりいましたが最近は会社にも馴れ、森の仲間に向かってギャーギャーとわめくことも増えました。職場の問題にまっすぐ向き合い、HRリスクマネジメントについて一生懸命考えてみます。

ネコさんのイラストネコさん(ネコ):
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー、実はキャリアコンサルタントでもある。コタツとリモートワークの両立が課題ニャ!

今月のご相談は、こちら。

コロナ禍を機会にリモートワークを制度化したX社さん。
その目的を「業務効率および生産性の向上、柔軟な働き方によるワーク・ライフ・バランスの実現、育児・介護等との両立支援、災害や感染症拡大等の緊急事態時の事業継続等」と定め、積極的な活用を促進しました。
本格導入から3か月。社内でヒアリングをしてみると、うまくいっているような、問題も出ているような…。

【A部長】
リモートワーク制度は、率先垂範が必要かと思い、自分も時々利用しています。集中して資料を作りたいときは自宅の方が集中できて良いかな、と思ったのですが、思ったよりはかどらないんですよね…。
メールやチャットのメッセージはバンバン入ってくるし、すぐに返信すべき案件も多いから、気が付くと書きかけのメールが3通くらい開いていたりします。メールは、関係者全員に一度に送れるし、記録も残るから便利なのだけれど、文字にするのって、意外と時間がかかりますね。こっちの案件を返信したら、別の案件の返信が来て、それにまた返信したら、さっきの方に返信が来て…と、メールチェックがエンドレスに。結局1日メールに追われて、やろうと思っていた資料作りがちっとも進みません。
あと、私はやっぱりWebミーティングは苦手ですね。実は、誰かに招待してもらわないと参加できません。自分でミーティングを設定したいのですが、どうも聞きづらくて、CさんやDさんにお願いしてばかりです。

【B課長】
お客様とのミーティングもWebでできるようになったので、本当に快適です。通勤地獄からも、移動時間のロスからも解放され、早く仕事を終えられるようになりました。子どもと遊ぶ時間もできたし、スポーツクラブにも行けるようになりましたよ。
部下の指導ですか?部下からは、随時報告が上がってきていますから、さっと目を通して、大きな問題がなければ、各人に任せています。毎日始業時と終業時に、その日の業務を報告してもらうことになっているんです。業務の進捗状況は、まぁ、だいたいこの報告で把握できていると思いますよ。どうしても急ぎの用事とか、困ったことがあれば何か言ってくるでしょう。報告さえ普通に来ていれば、うまくいっているということで、それほど口を出さなくてもいいんじゃないですかね?
リモートワークは、これからの時代にマッチした良い制度なのですから、もっとみんなも活用しないと、時代に取り残されますよー。

【Cさん】
結局、ほとんどリモートワークはしていません。家にいると、義父母からいろいろ用事を押し付けられるので、仕事にならないんです。
それに、うちの部署には新卒1年目のDさんがいるので、やはり誰かがサポートしないと。正直、集中なんてしている暇はありませんよ。自分のお客様とやり取りしながら、Dさんの資料もチェックしますし、困っていそうならこちらから声を掛けないと、余計な時間もかかりますから。出社していれば、他部署からの問い合わせにも対応せざるを得ないので、日中はものすごく忙しく、自分の資料作りは定時を過ぎてからばかりです。
Dさんに任せるのは…正直怖いですね。だって、トラブルが起きたときに対処するのは私ですから。トラブルが発生した後の労力を思えば、先に口を出してトラブルを防ぎたいです。
本当は、こういう部下の指導は、B課長にやってもらいたいんですけどね。B課長はほとんど出社しないので、Dさんの状況もわかっていないと思います。朝と帰りの報告だけで何がわかるのかしら。私のこの苦労も、どうせ評価には反映されないんだろうなぁ。

【Dさん】
不安しかありません!私にはまだリモートワークなんて無理だと思っています。
最近、お客様と直接やり取りする機会も増えてきたのですが、想定外の質問を受けたり、お客様の話をよく理解できなかったりすることもあるので…。CさんがいるときはCさんに聞きますが、手を煩わせてしまって、申し訳ない感じです。早く一人立ちしたいですが…まだ無理です!
判断が必要な件は、Cさんにチェックしてもらいながら、A部長とB課長に決裁を仰ぎます。A部長はすぐに返信してくださるので、本当にありがたいです。B課長からは…ほとんど返信はありませんね。というか、A部長の返信が早いんだと思います。

さぁ、このX社さんの状況を、SPNの森の動物たちはどう捉える?今回は4匹がチャットでディスカッションします。

〈数値目標でリモートワークを推進できる…?〉

ネコ:みんなそろいましたね?では始めましょう。さぁ、このX社さんのリモートワーク、上手くいっているでしょうか?

ワオ:リモートワークはうまくいっていないのではないかな、と感じます。B課長しかポジティブな印象を抱いていないようです。

ネコ:そうね。B課長以外はみんな問題や課題を抱えていて、それを共有できていないのが気がかりです。

みみ:課題や問題を先送りしているだけのような気がするね。今後も業務のクオリティの向上や業務効率化、人材育成などの「深化」ができる気がしないなあ。

モモ:制度化する際に、各部にヒアリングしたのかも気になるところです。コロナ対策として、各部の準備なく一律に同じルールで導入したなら、見直しの時期ですね。

ネコ:積極的な活用を!と言いつつ、放ったらかしな気がします。何が足りないんでしょう。何をしたらよい?

ワオ:報告制度はいかがでしょうか。出社率を定期的に報告させることなどです。

みみ:出社率って?

ワオ:例えば、「出社率を50%にする」という目標を定めた会社であれば、定期的に自分の部署の出社率を報告し、達成できていない部署は上からお叱りを受ける…というものをイメージしていました。

みみ:その出社率の設定こそ問題なのかも。入口はコロナ禍で、強制的だったので仕方ないかもしれないけど、今こそ「そもそも論」に立ち返るべきだな。

ネコ:「本来、どうあるべきか?」から入りたいですね。

みみ:「リモートワークありき」の考え方はそろそろ限界かと。自宅で効率が下がる人を無理やり在宅勤務にするのは違うかな。会社で他人と対面でつながっていたい人を無理やり在宅勤務にするのも違うと思う。

モモ:色々な事情を抱えて働いている方が増えているので、「一律全員出社」というのも、ある種の限界を迎えつつあるのかな、と思います。だからリモートワークを推進するのは良いことだと思いますが…あくまでも目的は「リモートワークを実施すること」ではなく、より効率的な運用を進めて会社と従業員の双方にメリットが生じることですよね。リモートワークは「働き方」の一つに過ぎないので…。

ネコ:「働き方」だから、会社が期待するように「働いていない」なら、それはやっぱり問題ね。じゃあ、会社はどんな「働き」を求めているのでしょう?

みみ:業務のクオリティが維持・向上されること、業務効率化が進むこと。まずはこの2点だと思う。出社率の設定はコロナ禍対応には有効。でも、働き方改革の文脈には不要だと思うよ。

ワオ:みみずくさんのお言葉で理解することができました。通勤時間の減少という意味では、リモートワークは働き方改革に有効ですが、「出社率」で管理するのでは、いい方向には進みませんね。効率的で、利益が上がるような「働き」を目指すことが、本当の「働き方改革」なのかな、と思いました。

〈制度は見直すべし!〉

モモ:リモートワークの導入には、一定のトライアル期間が必要と言われています。そもそもの業務の棚卸をしないと、うまくいかないのが普通のようです。

ネコ:なし崩しはいけませんね。

モモ:これまでの3か月をトライアル期間と捉えて、改めて制度設計をすることが必要かな、と思います。その際には、まずは現状の問題点・課題と利点を挙げつくすことが必要かな、と…。ダイエットと同じですね。

みみ:ダイエットすか?(笑)

モモ:現状(太った原因)を直視することと、なりたい姿(「健康」や「理想の体型」)を明確にする。という比喩でした。分かりにくくてすみません…。

みみ:一度、課題や問題をテーブルの上に並べること。検証してみること。見直しの時期ということだな。
この職場では…課題や問題が共有されていないことが一番の問題。このままでは職場が劣化していくだけのような気がするな。

モモ:まずは、部署ごとにどんな仕事を誰がやっているか、Cさんのように見えない負担を抱えている人を見える化することがスタートで、そこから「リモートでできる仕事」「どうしても出社が必要な仕事」「この際なくす仕事」の仕分けをすることも必要かと…。

ネコ:Cさんの気持ち、わかるー。リモートワークにはジョブ型雇用がいいとか言われていますが、明示できない仕事がいっぱいあるのが、今の日本の会社の現実ではないかと。明示できない仕事は、急になくせないし、急になくしたら人が育たないと思うので。まずは「そういう仕事がある」ことをわかってほしい!

〈「隠れ業務」の見える化〉

みみ:業務のクオリティが維持・向上されること、業務効率化が進むことを目指すならば、Cさんのような「人を育てる仕事」はなくせないね。本来、部下や後輩の業務をチェックするのも業務の一つであって、メンバーの中で誰が何をするか、役割分担をきちんとすることが大事。あとは、個々人の個別の状況・事情を汲むこと(吸い上げること)も管理職としては大事。

モモ:隠れ業務を見える化するのも、業務の棚卸には必要だと思います。現にCさんはこう発言していますので、この発言を見える化して、役割として評価もされるべきかと思います。

みみ:管理する側から言えば、「隠れ業務」をきちんと把握していないこと自体が、管理できていないことになるからね。

ネコ:でも、隠れ業務を把握して、役割分担もして、さらに評価もするって…言うほど簡単じゃないと思う。言うは易し、行うは難しで、把握できないから隠れ業務になっているわけで…。
むかーし、ネコが新入社員だった頃は、女性にだけどんっと事務作業やお茶や掃除の当番を割り振られて、でも仕事の成果は男性と同じように求められるので、すごく悔しかったことを思い出しました。同期の男性よりも、女性は3倍働かないと認めてもらえないという現実に、どれだけの男性上司が気付いていたのかなぁ。通常の業務に加えて、事務などをこなして、さらに男性よりも高い成果を出して目立たないと、「お、やるな」とは思ってもらえない。そして結果を出しても、「女の子はいいよね」と評価が甘いかのように言われる…。愚痴です。

みみ:今となっては通用しない考え方だな。全ての男性を代表してお詫びします。

モモ:外国人と働いた経験から思うのは、やっていることを自分自身がアピールするのも、これからは必要なスキルなのかな、と思ったりします。
日本人は、「このくらいのことをアピールするのは気恥ずかしい」とか「気が付いたからやってしまおう」とか、謙虚に構えて、他の人に見えないまま自分が抱えてしまいがちですが、海外メンバーは、「これは業務としてアサインされるの?」「この責任はどう評価されるの?」というのをはっきり主張して、どんな小さなことでも「やるからには評価してください」「役割でないならやりません」ということも言います。
日本だと「角が立つ」と思って言えませんが、本来は気付いたら「見える化」するべきもの。仕事として管理職に認識させるということが必要なのかな、と思ったりしました。

ワオ:管理職にとっても、自分にとっても良い行動ですね。さらに、自分でやると言ったからにはやるという方向へ、自分が仕向けられる点も、大変良いなと思いました。

みみ:なるほどね。日本的な評価だとリモートワークに不向きにも思えるな。隠れ業務をリアルで見つけられない管理職は、リモートワークで管理できるわけがないよね。だから、業務の棚卸と役割分担の見直しは必要ということなんだろうね。

ネコ:リモートきっかけで、「本当のところ、この部署にはどれくらい仕事があるのか?」を洗い出してみたくなりますね。管理職の登用要件も、部下の業務を把握して、コントロールする能力を重視する方向に変わるべきだと思います。

ワオ:思い付きばかりで恐縮ですが、隠れ業務の洗い出しは業務の効率化に有効なだけでなく、場合によっては、隠れ業務を行っていた従業員を認めることにもつながり、従業員の心境としてはかなり救われる(「頑張っているのに気づかれない、認められない」状態の回避)のかなと思い、大変良いことだなと感じました。

みみ:たしかにね。

〈効率の良し悪し、評価の難しさ〉

ネコ:隠れ業務の見える化をして、役割として認めたら…次は「効率」ですね。

みみ:うん、管理職としては、効率の悪い働き方をしている部下をきちんと把握することが、これまで以上に重要になっているのでは?

ネコ:効率の良い、悪いはどうやって判断しましょうか?

ワオ:私はですが、自分で自分の1日の出来事を人に説明すると…つまり、自分の行動を言葉にすると、効率の悪いことがよくわかります。文字化、文書化、日報作成は、やり方によっては効果的ではないかと思います。

ネコ:「文字化、文書化、日報作成」って、全部同じに見える…?

ワオ:申し訳ございません。同じことをさも違うことのように記載してしまいました…。大変失礼いたしました。

ネコ:いいのよ。それだけテキスト化することが大事っていうことね。
A部長のように、リモートワークでテキストによるコミュニケーションが一気に増えて忙しくなったように思う人もいるけれど、それはつまり、テキスト化するために一度じっくり考えるという過程が増えたということで…これは自分の仕事や働き方を見直す機会にもなるね。ワオちゃん、ぜひ「文字化、文書化、日報作成」しよう!

ワオ:ありがとうございます。

みみ:効率を判断するには…つまずきの部分やアウトプットのクオリティを把握することかな。特につまずきの部分なんか、リアルならなんとなく感じられる部分をリモートでどう感じるか…。

ネコ:何をすべきかが明確で、それだけに集中できる仕事ならば、アウトプットのクオリティを見れば効率もわかりやすいと思うのですが…。家庭環境とか、隠れ業務とか、いろいろな要因が複合的に関連してくるし、リモートで見えないし、…効率の良し悪しを判断するのって難しそう。

みみ:リアルの職場で「見えている」前提での管理手法と大きく異なるのは、この「隠れた個別事情」の把握なのかも。

ネコ:リアルの現場でも、実は見えていないかも。

みみ:残念ながらそのとおり。見えていれば問題は起きにくい(笑)
笑えないな…。というか、リアルで見えていないものがリモートで見えるわけがない。

ワオ:このX社さんも、リモートワークに関係なくもともと問題が多くあっただけで、それがリモートワークの導入によってよりはっきりとした、という方がしっくりくるような感じがします。

みみ:リアルで起きている課題や問題をいったん置いておいて、リモートワークに突入すると、こういう問題が起きるんだろうね。

モモ:日本の良い面でもあった謙虚さと、見えない業務は気づいた人が抱えるという「あうんの呼吸」的、空気を読む働き方は、リモートでは不可能かと…。
現在の働き方の延長線上で考えるのではなく、「リモートで業務を行うには」という、0ベースの視点で考え直すことが必要だと思います。

みみ:ああ、そのとおりだな。リモートでは「空気が読めない」。それが言いたかった。

モモ:「働き方を変える」には、マインドから変化する必要があると思いました。

みみ:結局、プロセスに細かく関与したり、アウトプットだけで評価してプロセスは省いたり…。リモートワークにおける「働き方」、管理職のあり方は、「阿吽」ではなく、やはり異なる「何か」が必要ですね。

ネコ:管理職に求められること、かなり重大ですね。

ワオ:管理職が、部下の仕事の状態をきちんと把握することは当たり前、ということですか。…このような話題をきいていると、管理職の疲弊も心配にはなるのですが、このあたりは永遠のテーマという感じでしょうか。

ネコ:うーん。「当たり前」とまで言えるかなぁ。それはあまりにも難しいことだからね。でも、管理職としての能力を評価する上で、重要なポイントだとは思うな。

〈仕事をどう個人レベルにまで落とし込むか?〉

ネコ:まずは、何をどれだけやるか、きちんと見える化して、役割を明確にすべき。空気なんて、そもそも見えないんだから!

みみ:システマティックな見える化しか、方法はないんだろうか?

モモ:ちょっと話がそれますが…リモートワークって、向いている人と向いていない人がいるのも現実だと思います。向いていない人も、今回のコロナのような場合は利用が必要になりますし、どうしたら環境が変わってもスムーズに自分の仕事ができるのかを色々なアイディアを出しながら検討することも必要かと。
たとえば、部門横断のプロジェクトチームを作って、全体像を作り、各部門に落とし込んでいくなど、大きい目標から細分化して、適正値を見出す工程も必要ではないかと思います。

ネコ:全社目線で仕事を把握して、効率とか適性とかを考えながら、個人レベルの「期待」や「役割」にまで落とし込んでいくのって、とても難しい。誰がそんなに広い視野で見て、かつ、一人一人に落とし込めるんだろう。

ワオ:BCPを社内に落とし込む時には、まずは会議や勉強会で社内のキーマンに浸透させ、外部の取引先にまで紹介してしまうことで「やらねばならない」状況に追い込み、さらに会議で定期的に進捗状況を発表させ、適度なプレッシャーをかけていった、という話を聞きました。こういった方法は、「何か大きい物事を社内に落とし込むとき」に有効だなと感じました。

みみ:ポイントは社内のキーマン…管理職だね。でも、プレッシャーで追い込む手法でいいのかな。いや、管理手法を変えていかないと!少なくともアウトプットはこれまでの「全員出社」以上を求められているので。

モモ:ゴールイメージを明確にするのは、大事なことの一つではないかと思います。会社の目指すゴール、部署の目指すゴール、それを個人に落とし込んだ時のゴールイメージを明確にして、プロセスは各自のやりやすいやり方を採る。問題やトラブルがあれば修正する。このように、ゴールがぶれなければ業務は前進するのではないかと思っています。
それには、経営層や管理職の方が「目指すゴール」をよりはっきり見せることが必要になると思いますが…。

みみ:なるほど。私が来年のキーワードとして掲げている「ゴールベース・アプローチ」だね。

ネコ:私は会社に何を期待されているんだろう…?って、悩むことが多かったです。ゴールが見えれば、ちょっとすっきりしそう。
目標管理制度みたいなものがある会社は多いと思いますが、あまりきちんと活用できていないと思います。せっかくある制度なら、もっときちんと使えばいいのに。

モモ:ゴール=成果とは限らないのではないかと思いますが…。成果(実績)のみがゴールになると、失敗が許されないと認識されることにもなりかねないので、目指す全体像とか、成長の幅とか、他者貢献とか…。色々なゴール設定があることも同時に考えなければならないと思います。例えば、Cさんは他者貢献度が高いですよね。でもこれを数値化して、目標管理制度に落とし込むのは難しいと思いますが…。

ネコ:それ!目標管理制度が正しく活用されていないと思うの!全社で目指すべき目標とか理念が、各部門のミッションとして降りてきて、それに対して自分はどう貢献するかを考えるのが、本来の目標管理制度じゃないかな?
何でもかんでも無理に数値目標にして、自分の数字だけを追い求めるような運用が、間違っていると思うの。数値目標は、あくまでも「あるべき姿」に向かうための手段の一つなのに、手段が目的化しているみたい。そもそも間違った運用を放置しているだけで、目標管理制度自体がおかしいわけではないと思うな。
人事関連の制度にも流行があって、ただ新しい制度を導入することを「成果」のように考えがちな組織もあるよね。けっこう労力がかかるのに。今あるものの「運用」を見つめ直し、軌道修正をすることで、余計な労力は減らせると思う。こういうのも効率化じゃないかな。

〈ゴールベース・アプローチで、働き方を変える!〉

みみ:ゴールは、まさに「企業理念」とか「行動規範」に紐づくものでないといけないね。そういう意味では、やっぱり、スタバはすごいな。

モモ:社員を締め付けるのではなく、「会社が目指す姿」、まさに企業理念とか行動規範を明確にすることが第一歩だと思います。それを個人が自分の業務に落とし込む発想ができるようになれば、働き方にとらわれず、会社の成長につながる成果が出せるのではないかと思います。
理想論かもしれませんが…理想がないと、実態も近づけないので…。ダイエットと同じかと。再度…。

みみ:スタバは個人の成長につなげるミッションがあり、現場にはマニュアルすらない。それでも最高のサービスを提供できる。

ワオ:マニュアルなしにそのようなことができるとは、想像もつきませんでした。

みみ:スタバは、会社のミッションやバリューをはっきり示し、そこで働く「パートナー」さんたちに、このミッション・バリューに共感してもらえるように働きかけていくらしい。そして各店舗でも「地域でこんな存在になりたい」というビジョンを掲げて、それを実現するためにどんな行動をすべきか、パートナーさんごとの目標も設定するんだって。共通の価値観だけを徹底し、あとは自分で考えることで、最高のサービスと自らの成長につなげているのだという。

モモ:管理職も「締め付ける」、「命令する」、「従わせる」という発想ではなく、「部下の個性を把握し、課題を与え、成長を助ける」という発想のできる方が、部門成果を出せる今後の管理職像なのではないかと思っています。

みみ:こういう働き方や人材育成が徹底していれば、リモートワークもうまくいきそうだね。

ワオ:あまりに厳格に、細かく決めすぎてしまうと、かえって効率がわるくなるケースもあるのですね。役割まで見える化してしまい、それを振りかざしてしまうとよくないということがわかります。

ネコ:スタバの世界観はすごいと思います。でも、ついていけない人は、そもそも客にもならない。それでもいいのかもしれないけれど。会社が客層を選べるんだなぁ。ネコは入れないんです。スタバ恐怖症(笑)

みみ:まさにスタバは自らの世界観を提供して、客を選んでいる。しかも高単価(笑)

モモ:学校も優秀な学校ほど、規則が緩い、自主性を重んじる傾向にありますね。

みみ:「目的」が明確だからこその自由、自主自立。任せること。相互信頼。「ゴールベース・アプローチ」もリモートワークには有効なアプローチだね。信頼しないとできないもの。

〈企業理念の浸透に向けて…〉

ネコ:ネコが前にいた森は、一見スタバのように「理念」で結ばれた自由な会社で…ただそれは一部の部署には適用外で。だから理想郷みたいな世界を警戒して、どうもスタバが苦手なんだな。表向きにはキラキラした理想を掲げて裏側はドロドロでは、かえって信頼をなくすばかり。やるなら本気で徹底しないと、生半可な「スタバの真似」では逆効果になりそう。
何にしても企業理念の浸透はとても大事だから…きちんと「自社のやり方」を見つけるべきだと思うな。具体的に、どうしたら理念を浸透させられる?いきなりスタバと同じレベルは難しいから、まずできそうなことを。
上司との目標面談シートに、「企業理念に向けて自分が何をしているか」を整理する欄を作って、上司にきちんと把握してもらうとか?

みみ:企業理念について語り合う場を設けるとか。そこから自らのミッションを認識、表明してもらうと、相互理解も深まるかもね。

ネコ:語り合っても、結局もやもやで終わるのは違う気がする。表明したら、それに対してGoサインが欲しいです。

みみ:表明した内容を皆で「承認」すること。管理職がしっかりと把握して、それに基づいて個別に指導していくイメージですかね。

モモ:「目的」が明確であれば、間違った方向に行った人も修正軌道に導きやすいと思います。信頼関係は、とても重要ですよね。それがないと、常に疑って監視したり、命令したりしたくなってしまうかと…。

ネコ:軌道修正はきちんと、早めにしてほしいです。怖くて進めないので。

モモ:言葉の解釈って、人によってビックリするくらい違うことがあるので、「企業理念」はどういうことを示しているか、それをどう認識し、自分の業務とどう関連付けて考えているかをディスカッションする場は有効だと思います。

ワオ:「見える化」と「企業理念」…この関係性を考えていました。見える化をすると管理される側もする側も楽ですが、企業理念やゴールが共有されているのであれば、見える化は必須ではないということ…?見える化と企業理念の共有は全くの別物でしょうか?

みみ:全くの別物ではないかも。見える化が有効なのは、それぞれのやるべきタスクを明確にすることだから。そこと企業理念を結びつけることが大事ってことかも。

モモ:現状を知るためには「見える化」は大事な工程の一つのように思います。実態を知って、業務を整理し、「企業理念」に基づいて、実務に落とし込む過程で、「見える」ようにしておかないと、違う解釈のまま突き進む危険性もあるかと…。

ネコ:決めるべきことは決める、任せるところは任せる。当たり前みたいだけれど、そのツボを間違えないようにしたいですね。

モモ:同感です。「同じように理解する(=理念が共通化されている状態)」は、とても難しいですしね…。伝え方を工夫しながら、継続して、根気よく浸透させる。ということかと思います。

みみ:リモートワークを考えることでいろいろ気付かされたなあ。「空気読む」とか、曖昧さは向いていないってことだね。もう一度、何のために働き、何がミッションかを自覚することが、遠回りのようで近道かもね。

ワオ:あの…このチャットでのディスカッションは、とても勉強になります。テーマがどんどん深く掘り下げられていくように感じます。

ネコ:そう!文字だから余計に、流れ去ってしまわないのね。後で読み返せるし、文字にする過程でとても深く考えるし。ね、これも企業理念の浸透に役立ちそうじゃない?

みみ:なるほど。こうやっていろいろ考えて、ジタバタすることこそが、理念の浸透につながるのかもしれないね。思考停止や現状維持は企業を蝕む!

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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