HRリスクマネジメント トピックス
職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。
職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!三匹(いいえ、いつもの7匹)が、チャットにて解決の道を探ります。
みみずくさん(みみ):
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?
黒豹さん(ヒョウ):
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい?しなやかな筋肉で機敏に動く…いや、単にせっかちなだけかも?SPNの森で18年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン®」を立ち上げたのは実は…。
パンダさん(パンダ):
平和をこよなく愛する子持ちパンダ。平和を乱す無法者には白黒つけたい。中小企業診断士で、MBAも隠し持つ。
モモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。SPNの森にも慣れて、そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながら実務の間を飛び回ります。
リスちゃん(リス):
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。気が付けばこの森に来て4年が経っていました…。最近は巣穴での勤務も慣れてきました。変わらずご相談にお答えしていきますよ。
ペルシャ猫さん(ペルシャ):
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。
ネコさん(ネコ):
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー&キャリアコンサルタント。現場の悲鳴を放ってはおけないニャ…。
今月のご相談は、こちら。
サービス業のX社さん。重要なことが伝わらず、後回しにされる会社に、経営幹部も一般の従業員も、それぞれに危機感を持っている様子。しかし、両者の主張は…?
〈経営幹部Aさん〉
従来のマーケットの先細り感は強まるばかり。このままではいけません。新しい分野への進出や、新サービスの打出し、または現在のサービスの進化・深化が欠かせないと思っています。現場へは、「顧客が何に困っているか、アンテナを高く張って顧客の声を集めるように」「従来の枠にとらわれず、もっとお客様のためになることを考えよう」と、それぞれの部署へ指示を出していますが…会議は「いつもの報告会」から抜け出せず、新しいアイディアもなく、ただただ「今」の忙しさに振り回されているような状態です。
時代の流れは速く、売上減少に拍車がかかっている以上、会社として未来に向けたサービスの拡大や充実は最重要課題のはず。どうして従業員にはそれが伝わらないのか…?
〈一般従業員Bさん〉
日々の忙しさに追われ、毎日へとへとです。競合が増え、今のお客様が離れて行かないように、フォローも頻繁に必要ですし、無償でちょっとしたサービス提供も求められるようになりました。断れない雰囲気で、業務量は増えるばかりなんです。「新しいサービスを」とか「お客様の声を集めろ」とか、上から指示は飛んできますが、現場はそれどころではありません!
上の人たちは、現場の状況を全くわかっていないと思います。みんな遅くまで残業せざるを得なくて、体調が悪くても休めません。人を入れてほしいと言っても、利益が出ていないからと却下され、頑張っても評価されない。メンタル不調で休みがちな人もいるし、辞めてしまいそうな人もいます。社員への安全配慮とか、モチベーションの向上とか、この酷い状況を改善することの方が、優先事項ではありませんか?会社はどうして、こういう大事なことを後回しにするのでしょう…?
おやおや、AさんとBさんの言い分は、全くかみ合っていないようです。
さぁSPNの森の動物たち、X社さんはこれからどうしていったらよいでしょう?
〈上からの景色、下からの景色〉
みみ:これ、この森のこと…じゃないよね?
ネコ:いえいえ、X社さんのお話です。でも、前にいた森でもこんなことが起きていましたし、「あるある」なのではないでしょうか?
ペルシャ:私も、前の森でもこういう感じだったなぁとしみじみと思ってしまいました(苦笑)上から言われたことを聞かなかったことにしたり、上の人が忘れるまで待っていたり…。
ネコ:上から見える景色と、下から見える景色って、どうしてこんなに違うのでしょうね。
みみ:情報量の違い、というのはあると思います。
ペルシャ:トップが現場の実情を見えているかどうかや、逆に従業員がマクロ的な視点を持てているか、といったところでしょうか。
パンダ:情報の非対称性ってやつですね。
みみ:立場が変われば、社内外から入ってくる情報が格段に増えるし、その見方もより高いところから、遠いところを見ようとします。どうしても。
パンダ:数字は客観的に「危機感」を共有できますからね。
ネコ:どうして上の人には、こんなにあっちこっちで火が噴いたり、血が吹き出していたりするのが見えないのかと、近くを見ていると、そう見えるのですが。「なんて危機感がないんだろう」って、むしろ下の方は思っていますよ。
みみ:それもありますね。どうしても、大量の情報に埋もれて現場の細かいところまで行き届かない場面が増えると思います。現場は、目の前の忙しさに遠くを高い目線で見られなくなりますね。上司は足元が見えず、部下は顔を上げられない…みたいな。
ペルシャ:経営幹部Aさんの言い分も分かる一方で一般従業員Bさんの言い分も分かりますね。新しいことをやるなら改善のECRS(排除(Eliminate)、統合(Combine)、順序入れ替え(Rearrange)、簡素化(Simplify))は必要かと。
リス:メンタル不調で休みがちな人や辞めてしまいそうな人は、早めに対応しないと悪循環になると思います。そういうアラートは下から上に上がらないのでしょうか。
ペルシャ:前の森では、上の人は「メンタル不調になる人がおかしいやつ」みたいな認識の人が多かったですね…。
リス:なるほど…。そうなると、メンタル不調の人は辞めて当然くらいの感じですね。
ペルシャ:悪質なタイプだと「自分から辞めると言い出してくれてラッキー」みたいな…。
ネコ:アラートを上げても、気付いてもらえなかったり、受け流されたりするだけなんだよ。だから現場は、自分達は見捨てられている、と思ってしまう。高いところから遥か遠くを見てばかりで、足元が屍だらけになっているのに気付かない。それでいいのかな?と思うばかりでした。
〈中間管理職で目詰まり?報告しにくい風土の問題?〉
みみ:現場まで見ようとするタイプと、中間管理職をハブに物事を動かしていくタイプと、マネジメントのスタイルにもよりますね。後者で、中間管理職のところで目詰まりをしていれば、なかなか気付けないかも。
ネコ:ゴマすりばかりの中間管理職では、アラートに気付いても、報告しようと思わないでしょうね。
ペルシャ:現場の苦労を上にあげられない雰囲気がある気がします。自分の都合のいいことしか聞く耳を持たない幹部もいるでしょうし。
パンダ:中間管理職が報告しにくい風土があるなら、それは「上」の責任では?
ペルシャ:そうだと思います。前の森で、本当にお通夜みたいな雰囲気の会議を経験しまして…(苦笑)自分の思った方向に部下が動かないと、重箱の隅どころか外をカンカンつついて却下したりする部長がいて、課長がけっこうやられてしまっていたのですが、その会議に出席した他の役職者は誰一人課長をフォローしないという…。私はその部署に異動したばかりでお通夜のような会議に衝撃を受けまして、その場ではどうすれば良いものなのか悩んでしまって、後でこっそり周りの人に聞いたら、最初のうちは周りも課長をフォローしていたようですが、部長に1反論すると100反撃されるので、ほとほと疲れてしまったらしいです。
ネコ:報告しにくいことも報告するのが、中間管理職の役割では?
パンダ:報告しても「それはお前のマネジメントが悪い」で片付ける、威圧的な上司が前の森にはいましたね。組織的な対応をするという発想がない。
ペルシャ:「それはお前がなんとかしろよ」と言ってしまうタイプですね。
パンダ:ひどいパターンは、会議で、上司が中間管理職を後ろから撃つ!
ペルシャ:「あるある」な話ですね。その場でいきなり梯子を外したり…。
ネコ:都合の良いことしか見ない・聴かないタイプの人が出世して上層部に行くと…そうなるんですね。
みみ:報告すべきこと、共有すべきこと、思っていることを話せる「心理的安全性」を確保することは大事ですね。かといって、トップが現場に寄り添って何でもかんでも直接やりとりをし始めると、中間管理職は困るものでもあります。中間管理職の立ち位置は重要だけど脆くてバランスのとり方が難しいものですよね。ただ、上昇志向が強すぎたり、生き延びるためにバイアスがかかりまくった人間が上に立つのは避けたいですよね。
ネコ:トップが現場に降りて来すぎるのも、違うと思うんです。何のために管理職がいるの?となるので。
ヒョウ:「幹部がそんな小さいところ見ていてどうするんですか!もっと大きく構えて細かいところは部下に任せないと…」となったりもしますよね。
〈間違った忖度を封じるには、中間管理職がカギ?〉
モモ:話がズレてしまうかもしれませんが、徳川綱吉の「生類憐みの令」の1つの解釈を思い出します。綱吉は、「命の大切さを説くために、自身の干支である犬(畜生)をまずは大切にしよう」という政策だったのに、大名や役職者が下に行くほど意図を誤認して、人の命を軽んじ、動物を優先させる、みたいな…。蚊を殺して島流しにあうようなことになったと…。
みみ:The忖度!
モモ:トップに誠実な意思や従業員を大切にする気持ちがあるなら、それを中間層にどう伝えて、誤解のないようにするかが課題かもしれません。江戸時代ならともかく、現代は色々手段がありますから。
リス:そもそもその忖度のベクトルが間違っていることに気づいていないパターンって多いですよね。
みみ:トップは、中間管理職を通して会社の意思や方向性を浸透させるべきで、現場の状況は中間管理職を通じてトップに共有されるべきで…。ただ、絶対に伝言ゲームで情報が捻じ曲がるのは避けたいところ。
ネコ:そうなんです。でも、モモンガさんの言うとおり、「生類憐みの令」みたいになる。
モモ:間違った忖度が起こらないようにするには、どうしたら良いのでしょうね…。
パンダ:製造業や小売業は、トップクラスが現場を見て聞いてまわるということが重要だと感じます。ただ、話を聞かないと逆効果ですね。あるいは、トップにいいところだけを見せようと関係者が準備するとか、そのようになってしまうとトップは実態すら把握できない。
ペルシャ:結局は組織の風通しの良さや、コミュニケーションのしやすさがカギなのでしょうかね…。
ネコ:このX社さんの例では、経営層と現場の社員の2人の話を並べています。ここに登場しない、中間管理職がカギなのかもしれません。
みみ:中間管理職には、トップとも現場とも異なるスキルが求められるんだと思います。
トップも現場も、中間管理職をうまく活用することが大事じゃないかな。
ペルシャ:プレイヤーだった頃は細かいところに気が利いて良かったかもしれなくても、マネージャーになってもその視点を変えられない人っていますよね。
ネコ:例えばどんなスキルが中間管理職には必要でしょう?
みみ:正確に相手(上司・部下)の意図を汲んで、正確に相手に伝える。場合によっては、自分の意見やカラーも打ち出しつつ、組織を良い方向にもっていく、高い目線と現場目線を持ち合わせていること。うーん。
ネコ:現場を冷静に見る力も必要そうです。見ないフリはダメ。
みみ:あとは、突破力というか解決力というか、徹底力というか…。
ネコ:問題解決力がないと、結局上からも下からもブーイングになりそうですね。
みみ:そうだと思います。
ヒョウ:マネージャーになったら、気の利かせ方を変えなきゃいけないというより、気が利く方がいいに決まっているので、気づいた点を中間層に伝えて、スタッフの指導の仕方やケアの仕方を一緒に考えていくのがいいかもしれない…。
パンダ:前の森の話ばかりですみません。商品施策を含めた営業方針が、トップから示され、ゾーンマネージャーは、多くの方針の中からゾーンの特性にあわせて、優先順位をつけて、スーパーバイザーに動機付けし、スーパーバイザーの担当店舗それぞれにどう進めていくかまで、スーパーバイザーと話し合っていました。優先順位を付けるということは、徹底力を上げるためですが、その行動と結果に責任を負うということでもあります。
みみ:そういう忖度なら大歓迎ですよね。意思をもった、腹を括った忖度。
リス:中間管理職のハードルがどんどん上がっていますね…。
ペルシャ:中間管理職って大変ですね…。もはや小学生レベルの感想しか言えないですが…(苦笑)
みみ:ハードル上げすぎました(苦笑)
ネコ:中間管理職がしっかりすれば、それはいい会社になるでしょうに…。
…こんな力の身に付く管理職研修、やっていましたっけ?
モモ:当社のセミナーでも、「自己保身」に走ると間違った方向に行きがち、ということを指摘していますが、中間管理職層には特に言えるように思います。
あとは、失敗を許せる風土があるかでしょうか…。1つの失敗が命取りになる(出世等が阻まれる)と思うと、うそをついてでも、部下を悪者にしてでも、自分を守ろうとしてしまう…。失敗を許せる風土を作るには、色々(お金や時間や)と余裕がないと…ということでしょうか。
パンダ:失敗を許す風土がなければ、誰もチャレンジしなくなります。
みみ:失敗を許す風土を作るために、トップは失敗を許せる「余裕」(余白・余剰)を生み出さないといけないんですよね。
ペルシャ:トップに余裕がないと、結局上から下まで余裕がない雰囲気になりますよね…。多少ピンチになったとしても、ドンとかまえることも必要かもしれないです。
ヒョウ:自分がいっぱいいっぱいだと、人にやさしくなりにくくなるかもね。
リス:中間管理職が組織の血栓になってしまっては元も子もないですが、なかなか難しいのが多くの会社の現状だと思います。自分と同じ階層の人とのコミュニケーションでさえも苦労したりしますし。
ペルシャ:階層ごとに、その階層の役割と責任が何なのか、自覚しておく必要性を感じました。
ネコ:階層が変わった時に、そういう話ってするのでしょうか。
ペルシャ:しないことが多いかもしれないですね…。「言わなくても分かってるだろ」と。
ネコ:なんでしっかり話さないんでしょうね。
パンダ:中間管理職の仕事の進め方や気構えは、結構暗黙知だったりします。
ネコ:言わないからわからない人、けっこういそう。
みみ:マネジメントの方法って座学で教わった記憶はあってもそれが今に役立っているかというとちょっと…。でも、その時々で、これまで出会った先輩・上司の行動を思い出したりするんですよね。いい面も悪い面も。
ネコ:良い例、悪い例、様々な出会いから学べる人ばかりじゃないから、こんな現実が「あるある」なのかも。
ペルシャ:親から虐待された子が、自分が親になったときに自分の子に同じことをしてしまう話に近いですかね…。実際には、その虐待の負のスパイラルから抜け出して、自分の子を慈しむことができる人もいるので、そういう人は他に良い手本を見つけたのかな、と思ったりします。
みみ:結局は人と人を結びつける、エンゲージメントを上手に作り出すことが大事ではないかと。マネジメントって自分以外の人間の心に働きかけて、腹落ちさせて行動を変えることだから、「人間力」が重要。その意味では暗黙知の部分もあるかな。ただ、そのような関係性が経営層と社員、上司と部下の間で強固になれば、社員一人ひとりの自立的・自律的な行動が組織の方向性にマッチして、結果的に組織が発展していくことになると思う。
ペルシャ:管理職に必要なスキルが暗黙知になるのって、出世を競っている人に自分のノウハウを奪われたくないという心理から来るのでしょうか。それとも形式知化する必要性をそもそも感じていないのでしょうか。
ネコ:うーん…どっちもある気がするなぁ。そもそも誰かに「教えてもらった」ことがないことを、自分が「教える必要がある」とは思わないかも。
一方で、自分のノウハウを、びっくりするくらい出し惜しみする人もいるよね。競い合う同僚どころか、新人さんにさえ何も教えない人もいる気がします。それはもう、「己の地位を守るため」なんじゃないかと…。
パンダ:野武士的な反骨的精神を持った中間管理職を育てる「人間的大きさ」がないと、利益相反になりかねませんよね。表面的には「言うことを聞かない部下」を作るみたいな。そうではなくて、「自分で考えることができる人間」を作っていくことなのに。
ネコ:言うことをきかない部下を嫌がるというのは、「自分の思うとおり」がベストという考えから抜け出せないということなのかな。
パンダ:部下をライバル視したら、管理職はやめたほうがよい。
〈管理職こそ、メンタルケアが大事!〉
モモ:マネジメントを学ばないのは日本?アジア?特有なのでしょうか?アメリカなどは、マネジメントスキルって重視されて、教育があったり、自身で学びに行ったりするイメージがあります。コーチングなどを学んだり…。日本でも大企業などは会社で実施しているところもあるようですが、それほど一般的ではないですよね?個人で学ぶ方も少ないと感じます。
みみ:ただ、絶対的なマネジメントのスキルや理論って本当はないんじゃないかな。
ヒョウ:同感です。
ネコ:そうですね、「絶対的」はないと思います。現実をしっかり見て、臨機応変に「今」の状況に合わせた対応をしないと、問題解決なんてできませんよね。
モモ:米国は、階層が上がるほど、メンタルケアをしているイメージもあります。
ネコ:メンタルケア!自分の?
モモ:はい、自分のです。ストレスとどう付き合って、最大のパフォーマンスを出すかとか、ハラスメント的なことをしないためにどうバランスを取るかとか、そういったことを専門家に頼っている人が結構いるのかな、と。マインドフルネスが米国で流行ったのもその一環かと思います。
ペルシャ:反論されることでムカッとしてしまうようでは、管理職は務まらないってことですかね。
リス:セルフメンタルケアは、やりたくてもどうしたらよいかわからない人が多そうです。
パンダ:そうそう。だから自己流になる。
ネコ:日本には職業としてのカウンセラーが少ないって聞いたことがあります。代わりにスナックのママさんがいるって。
ペルシャ:ハードルの低さで言ったらスナックのママの方が低いんですかね…。頼ることが恥ずかしいことではない、という風土が必要では?
ネコ:カウンセラーが少ないのは、なかなかそれだけで食べていけないということもあるかも…。カウンセラーとか心理系の仕事って、すごいポテンシャルを秘めた職業だと思うけれど、現実は…ね。
モモ:日本だと、心理士などメンタル系の利用者は少ないですし、賃金も安いですが、米国などは専門家の中にはかなり高給の方もいるようでした。
ヒョウ:米国ではメンタル系以外でも専門家を頼る人が多いのは確か。人付き合いを含め、色々と表面的な対応はすごく上手くなりますよね。それが悪いとも言えませんが…。何となく寂しさを感じたりもします。
みみ:マネジメントってスキルだし、個人的な好悪の感情を抜きにして行うものであるけれど、本当に伝わるかどうか、相手の行動が変えられるかは「人間力」の大きさが左右するのも事実ですね。
カウンセラーは、触媒、ですよね?自分の中にある自己解決力を引き出すのが役割。スナックのママさんも同じ。カウンセラーやママさんに専門的な意見を聞きたいわけじゃない。
ネコ:人間力こそ、セルフケアとか、セルフマネジメントができているかどうかにかかっている気がします。
ペルシャ:専門家に頼る前に、もっと身近な人に頼ってみるのも良いのかもしれないですね。(もう鬼籍に入りましたが)私の祖母は、ふわふわした雰囲気を醸し出しつつ、本質を突いたこと言っていました(笑)
ヒョウ:そう、身近な人の存在は大切だと私も思う。祖父母から教わったことは多かった。でも、専門家を頼って、自分をさらけ出せると少し強くなれたりすると言いますよね。
モモ:専門家をうまく利用することで、自分で対応できるスキルが身につくなら、頼ってみるのも早道かな、と思います。
私自身、試しに、カウンセリングやコーチングを受けてみたことがあるのですが、お金があって、うまく利用できれば、確かにいいな、と思いました。そんなに重いことではなく、ちょっとした相談相手であり、プロとして適切に気づきを促してくれるアドバイザーのようなもの、心のメンテナンスをしに行く、くらいの捉え方で良いと思います。私は、友達から美容院感覚だね、と言われて、確かに!と思いました。ゴルフもコーチについた方が上達が早かったりするようですし、そんな感覚での利用もありかな、と思います。
ヒョウ:そう言えば、自分自身が受けたことないからな…。試してみようという気になってきた。うん!
モモ:はい。みみずくさんが仰るように、カウンセラーやコーチは、自身の中にある解決力を引き出すということなので、何かを教えられるわけではない。プロに誘導してもらえますが、あくまで、主体は自分です。
管理職や経営層の方こそ、気軽に利用したら良いだろうな、と思いました。
パンダ:ネコさんがやっている管理職向け研修で、「管理職こそメンタルケアが必要」というくだりが、あるお客様から「他の研修と違う!」と評価されていたことを思い出しました。そんなことをいう管理職研修は、他社ではなかったと。
ネコ:本当にそうでしょ?管理職こそ、メンタルケアは必要。
みみ:必要。
パンダ:必要!
〈現場の「リアル」を知って欲しい〉
ネコ:X社さん、管理職のテコ入れからスタートでしょうか。いや、その前にリアルマイニング®をしてみたいかも。
ペルシャ:そうですね。
みみ:まずは経営サイドが、現場のリアルを知ることからですね。
ペルシャ:その上で、リソースに限界があって新しいことができないなら、新しいことを始める前に今の業務の効率化に着手すべきかもしれません。
みみ:うん、業務の効率化もリアルを知ることからですし。
ネコ:経営サイドにリアルを突きつけ、現場と中間管理職をいたわる気持ちをもってほしいな。
ヒョウ:聞く耳を持ってもらえないと辛いけどね。
みみ:現場が疲弊していたら、現場に自ら変われ!自立・自律だ!って言っても無理ですよね。中間管理職がハブにならないのなら、まずはリアルを知って、方向性を定めて、中間管理職を育成・再生させること。
ネコ:そう、現実を見なければ真の課題も見えない!だから課題を解決できない。
モモ:真摯に現実を見て、解決に取り組める経営層と、その意思を正確に捉えて行動できる中間層が必要ですね。振り出しに戻ってしまいました。「目的」と「手段」が逆転してしまうこと、往々にしてありがちですね…。
ヒョウ:社是とか、その組織が存在している「目的」が明確になっていて、皆がそこに必ず立ち返れる会社は、なんだかんだいって強いかも。
ペルシャ:混乱したときに、一度冷静になって原点回帰できるといいですね。
ネコ:会社として一本芯が通っていることって、とても大事だと思います。
パンダ:たとえばなんですが、役員会議に社外取締役を入れるより、中間管理職が意見した方がよほど実情にあった意見が出るのではないでしょうか。詳しい人間がいることで、役員にも緊張感が出ると思いますし。
ネコ:生贄にならなければ良いですが…。
パンダ:…社外取締役と同じ、オブザーバーの立場でないとだめですね。
みみ:労働組合は?経営と健全にやりあえる関係性の、本来の労働組合ね。
ペルシャ:本来の労働組合なら、活用できると思います。ただ批判するだけでは意味がないですし、チェック機能がないならそれはそれで健全な組織にならないですよね。会社側に攻撃姿勢の労働組合があるところも、そもそも労働組合がないところも経験したので、余計にそう思います。
ネコ:きちんと機能している労働組合、あったら強いだろうなぁ…。そういう会社って、伸びそう。
ペルシャ:労働組合も組織ですから、トップのキャラクターや組織風土、歴史などで左右される部分は大きいですよね。労働組合の幹部からすると、末端の組合員からの突き上げがすごくて、できることが限られるケースもあるようです。
パンダ:機能する労働組合自体がハードル高いような…。
みみ:中間管理職は経営層の眼となり手となり。中間管理職は現場の眼となり口となり。会社と組合とは右手で握手して左手で殴り合う。
ペルシャ:労働組合に限らず、殴りあうこと(反論したり意見を交わしあったりすること)自体は悪いことじゃないという意識を浸透させたいですね。
ネコ:リアルマイニング®って、「今こそやるべき!」と自信を持ってお勧めしても、なかなか受注に結び付きません。そこそこお高い商品なので、費用的な問題もあるとは思いますが、本当に費用だけの問題でしょうか。逆に、少々費用がかかっても、これを「やってみよう」と上層部が決裁するのって、どんなきっかけなんでしょう?社員の自殺、監督官庁からの圧、他には?
パンダ:不祥事!
みみ:不祥事。あと、強い監査役の存在。
リス:ハラスメントや不正が起きていたり(または疑いが強め)、内部通報があったり…などもきっかけになりますね。
ネコ: やっぱり不正、不祥事まで行かなきゃダメなんでしょうか。中間にいる人が、「現場の姿を経営層に見せたい!」ということで、見積を出したこともありましたが、その決裁を通すのが難しかったようで…。
ヒョウ:単に「現場の生の声を知りたいからアンケートだ!」と依頼が来ることもありますよね。でも、その結果、辛辣な声に打ちのめされたり、腹を立てたりする経営陣って結構いる。そうなるのも困るよね。こちらからの報告の仕方にも、工夫が必要だけど。
ネコ:うう…経営層のメンタルケア、大事。そのポジションにまで昇りつめたのなら、もう少し強くなってもらわないと…。
みみ:不祥事って、ミドルクライシス®を放置するから発生するんですよね。ミドルクライシス®の段階でリアルマイニング®にもっていければベストなタイミングでしょうね。
ネコ:そうなんです。だから、不祥事が発生する前にリアルマイニング®をお勧めしたいのです。…現場の悲鳴って、ミドルクライシス®ですよね?経営者向けの研修で、リアルマイニング®をしっかりアピールしてください!
みみ:役員向け研修をさせていただく機会がすごく増えていて、そのたびに「現場のリアル知ろうぜ!」っていうのは、強めに発信しているつもりなんですが…。「上層部が、結構現場に行っています(だから問題ありません)」「アンケートをとっています(だから問題ありません)」という感じなので、自分で見た・聞いた・理解したことが「現場の実態」や「従業員の本音」だと勘違いしているのが実態ですよね。現場や従業員が取り繕った「アンリアル」な「リアル」でしかないのに・・・。「リアルが見えていないんじゃないか」っていう「危機感」や「想像力」がないということが一番の問題。
そして、ミドルクライシス®は「よくあることだし」っていう感じで自然に解消するものと思っているのかも。放置したら、絶対に大きくなって不祥事になるのに。
ネコ:時間では解決されませんからね。悪化しかしない。
みみ:「危機感」がないというのは、自分の目や耳を過信しているってこと。裏返せば「大きな問題はない」という根拠のない思い込み、バイアスなんでしょうね。
モモ:ミドルクライシス®をキャッチするには、何が必要でしょうか?
ネコ:ストレスチェックは使えると思います。
モモ:確かに、ストレスチェックはしているものの、どう使っていいか分からないという会社さんは多いようです。以前クライアントさんで、事務従事者になっている方が退職者のストレスチェック結果を後から見てみたら、軒並み、面談レベルだった、というお話がありました。ストレスチェックはミドルクライシス®をキャッチするきっかけになりそうですね。
ストレスチェック→ミドルクライシス®をキャッチ→リアルマイニング®で深堀。
リス:ひとりひとりのリスクセンスも重要なアンテナになると思います。
ネコ:普通に、「売上が下がっている」とかも、ミドルクライシス®の一部では?
「あれ?」と思ってもらえるような、端緒を集めたチェックリストとか作ったらおもしろうそう。
ペルシャ:自覚のない人が一番やっかいですからね。誰が見てもおかしいと思うような、あからさまなものではなく、自覚のない人に気付いてもらえるような設問にしてみると良いかもしれません。
みみ:反社リスクもそうですが、基本、「大きな問題は起きていない。小さな問題はそりゃあるだろうけど」っていう程度の「危機感」や「想像力」のなさ。そのバイアスをどうやってなくしていくか…。「やっぱ、問題あるじゃないですか!もっときちんと調べた方がいいですよ」って突き付けられる武器が欲しい。
ネコ:危機感を持つべき組織の兆候、ちょっとまとめてみてもいいかもしれませんね。
みみ:不祥事例やハラスメント事例とかを分析するとよいかも。
モモ:不祥事関連の第三者委員会報告書を見ると、大きな不祥事が起こった会社は漏れなく、パワハラもひどいですもんね。
みみ:そうですね。パワハラとか風通しの悪い職場は、不祥事が起きやすいですからね。
ヒョウ:リスクホットライン®のこれまでの通報を分析すると、結構見えてくるかも…。不祥事の背景には恐ろしく共通点が多いですものね。
ネコ:じゃあ各々、「危機感を持つべき組織の兆候」を、次の打合せまでに考えましょう!
全員:はーい!
〈関連ページ〉
「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!
※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。