HRリスクマネジメント トピックス
職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。
職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!三匹(いいえ、いつもの7匹)が、チャットにて解決の道を探ります。
みみずくさん(みみ):
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?
黒豹さん(ヒョウ):
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい?しなやかな筋肉で機敏に動く…いや、単にせっかちなだけかも?SPNの森で19年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン®」を立ち上げたのは実は…。
パンダさん(パンダ):
平和をこよなく愛する子持ちパンダ。平和を乱す無法者には白黒つけたい。中小企業診断士で、MBAも隠し持つ。
モモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。SPNの森にも慣れて、そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながら実務の間を飛び回ります。
リスちゃん(リス):
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。気が付けばこの森に来て5年が経とうとしています…。最近は巣穴での勤務も慣れてきました。変わらずご相談にお答えしていきますよ。
ペルシャ猫さん(ペルシャ):
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。
ネコさん(ネコ):
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー&キャリアコンサルタント。「ハラスメント研修」じゃなくて、「ハラスメント防止研修」ニャ!
今月のご相談は、こちら。
中堅クラスのメーカーで、人事を担当しています。4月からはいよいよ中小企業でもパワハラ防止のための体制整備が必須となるということで、管理職向けに、社内でハラスメント研修を実施しました。
厚生労働省が出した指針やパンフレット、書籍などを参考にしながら、セクハラやパワハラの定義、「どういう行為がハラスメントになるのか」等を中心に、1時間くらい説明したのですが…なんとなく効果に不安があります。というのは、終了後に感想を記入してもらったのですが、その内容がちょっと心もとなくて…。
例えば、こんな感じです。
- パワハラやセクハラだけでなく、やってはいけないことがあり過ぎて、覚えられない。
- こんな研修は、女性社員や新人が、なんでもかんでも「セクハラだ!」「パワハラだ!」と言い出す風潮を助長するだけだ。
- 結局は相手の「受け止め方次第」であり、「受けた側」の言い分だけで、ハラスメントだと決めつけられる。
- ダメなことをダメだと言うことさえ、言葉を選ばなければならないのか。
- パワハラなしに業績目標を達成することなどできないだろう。
でも、きちんと理解してくれた人もたくさんいるんですよ。終了後に、「勉強になった」「今日から気を付けるよ」など、温かい声もかけてもらいました。でも、こういう旧態依然とした人の抵抗が大きくて…。
今後も継続的にハラスメント防止教育を続けていく予定なのですが、他社さんはどんな研修をされているのでしょうか?よい例があれば、教えてください!
さぁ、SPNの森の動物たち、何か良いアイディアはありませんか?
せっかくハラスメント防止研修の講師経験豊富なメンバーが複数いますので、何か効果的な伝え方や、抵抗勢力(?)への対処法など、考えてみましょう。
〈ハラスメント研修?いいえ、ハラスメント防止研修!〉
ネコ:まず「ハラスメント研修」じゃなくて、「ハラスメント防止研修」と言いたい!「ハラスメントのやり方」を教えるみたいじゃないか!シャーッ!
モモ:まぁまぁ、ネコさん…
ネコ:「ハラスメントのやり方研修」は冗談としても、「ハラスメントとは何でしょう?」だけで終わらせてはダメで、「防止」に力を入れたいの。そこ、こだわりのポイントなの!
みみ:ハラスメントかどうかだけに関心が向くと、何か違うような気がするな。
ヒョウ:確かに。ハラスメントの解説ばかりじゃダメだね。
ネコ:ハラスメントの定義とか類型の話を、厚生労働省の指針に基づいて話しているだけでは、たぶんみんな眠ってしまうし。
リス:法律や定義だけでなく自社に合わせて咀嚼して、イメージしやすい内容で伝えないと難しいですよね。研修の際は、「法律とかの文章にはアレルギーがあるから…」と言われることも多いです。
ネコ:そうそう。判例の話なんて、「そんな酷いことはしてないよー」と、他人事で終わるし。
モモ:セクハラなどは、「そこまでされて、その程度の損害賠償額なの?」みたいな案件も多いですよね…。かえって「その程度か」と思われたら逆効果!
ペルシャ:私もハラスメント防止研修では判例の話はほとんどしていないですね。唯一使ったのは、少しのミスが人の命にかかわるような医師であっても、上司からのパワハラが認定された裁判例があり、人命に関わるからといって何をしても許されるわけではないという趣旨で使ったくらいです。
ネコ:通り一遍の、ハラスメントの定義や類型とか裁判でどんな点が争われたかのような、「知識」を得る「ハラスメント研修」では、十分ではないと思う。「防止」にまでしっかり踏み込んで、「では、どう指導するべきなのか」とか「どんなコミュニケーションが望ましいか」までをしっかり伝えたいです。
みみ:前に、目の前でSPN社員同士が上司と部下のロールプレイングで「悪い例」を行って、そのあと、どうしたらよいかを受講者にロールプレイングしてもらう形でハラスメント防止研修を実施しました。「悪い例」を見て、私自身がかなり心を揺さぶられて、「絶対に許しちゃいけない」って思ったのですよ。ディスカッションも活性化しましたし、受講者同士のロールプレイングも盛り上がりましたし…。これは面白い方法だと思います。
ペルシャ:「悪い例」はどのようなケースを?
みみ:パワハラですね。能力不足をののしり、寝ないで明日までにやれ!のような。当社の社員には、こういうのが得意な人がいるから(笑)「理想的な指導」は、受講者にやってもらいました。
ヒョウ:あぁ、あの研修ですね。評判良かったですよ!
昨年から、通報等でパワハラの加害者とされた方々を集めた研修のご依頼が増えてきましたよね。
ネコ:あ、前にカウンセリングタイプの「再発防止研修」ならやりましたよ。好きでハラスメントをする人は、そうそういないんです。やっぱり何か理由があるので、ハラスメントに至るまでの経緯をじっくり聴いて、どのタイミングで何に気付いていたら、ハラスメントなどしなくて済んだのか、今後はどうすべきなのか…などをじっくり考えてもらう感じの。
みみ:ロールプレイングを入れた研修も、まさにその「矯正研修」でやった例です。
モモ:その研修、効果がありそうですし、そういう研修を望んでいる会社さんもあると思いますので、体系化して、ニーズに応じてご提案できるようにしたいですね。
ネコ:ロールプレイングとかディスカッションができると盛り上がりますよね。でも最近は一方通行型のオンライン研修が増えていて…私は事例を会話形式で作って、情感たっぷりに一人で読み上げています。ドン引きされることもあるけれど、これを「つかみ」にして引き込めれば、その後も話を聞いてもらえますから。恥ずかしさは捨てる!
みみ:ネコさんのセミナーの代名詞ですね。
〈これはいけない・・・「ハラスメント」の受け止め方〉
ペルシャ:セクハラは受け手が基準、パワハラは一般の労働者基準なのですが、受講者の感想を見ていると、セクハラとパワハラを混同されている方がいそうです。「一般の労働者基準って何?」と思われるでしょうね。いっそセクハラのように受け手基準にしてもらった方が分かりやすい気もします。
ネコ:うんうん、よくごちゃまぜにされる!
ヒョウ:「受け手基準」と誤った形で社内に広まると、自分本位のわがままな通報がますます増えそうな気がします。
ペルシャ:そういえば、最近のテレビドラマで、「真実は人の数だけある。人は主観でしか物事を見られない。警察が調べるのは真実ではなく事実。真実なんてあやふやなものを探そうとするから冤罪を生む」みたいな話がありました。
ネコ:でもね、真っ当な「指導」をしているならば、それを相手が受け入れてくれなければ意味がないので、「受取り方次第」という考えも、ある意味正しいと思うの。「受け手がそう感じたからパワハラ」ではないけれど、「受け手に響いていない指導なんて意味がない」のはその通りだと思う。だから、相手の受け取り方に配慮する必要はあるはず。
みみ:大事なことは、お互いに気持ちよい関係でいられるかであって、ハラスメントかどうかを考えながらコミュニケーションをするわけではないし、気持ちよい空間を共有したいと思えば、ハラスメントは減るはずですよね。受け手基準とか一般の労働者基準か、ではなく。
モモ:「グレーゾーンを教えてくれ」「どこまでが『白』でどこからが『黒』か?」みたいな発想になってしまう管理職の方、意外と多いですよね。「パワハラかどうか」ではなく、「適切な指導かどうか」を考えて頂きたいな、と思います。
ネコ:そうそう、裁判になってからのことを考えるなら、「パワハラか、そうでないか」の議論になるけれど、日常では、「指導が意味を成すかどうか」が大事。
みみ:ハラスメントの方から攻めるのではなく、どういうコミュニケーションや指導をしていくか、一緒に何を実現し、目指していくかを共有するためにどうすべきか、から考えるべきだと思う。
ヒョウ:当社では、今回の相談にある、旧態依然とした方々にも響くような研修にしようと心掛けていますよね。自分の指導が意味を成すかどうか、いい結果に繋がっているか、振り返ってもらうのも大事かもしれませんね。
〈受け継がれる「パワハラ気質」〉
ヒョウ:パワハラ気質の人って、「俺たちの時代は…」とか、「俺はこのやり方で成長させてもらった…」といった体験を正攻法として絶対に変えなかったりしますよね。必ず自分を正当化して反省しないから直らない。なので、その部分にメスを入れるのがポイントかと思っています。
ペルシャ:「俺たちの時代は…」の当時とは仕事の難しさも違うし、人員削減による人手不足もあるし、今の方が環境的には厳しいと思うんですが、それを棚に上げられているんでしょうね…。
リス:ご相談者さんから共有いただいた感想に、「パワハラなしに業績目標を達成することなどできない」というのがあります。「パワハラなしに」ということは、パワハラの自覚はあるんだ…と思ってしまいました。
モモ:この辺りは、そもそも学生時代に部活でしごかれたとか、厳しい上下関係などの経験からの発想もありそうな気がします…。
パンダ:新任管理職に対して、外からのあるべき姿をインプットする機会がなければ、これまでの上司から受けたマネジメントを無意識のうちにしてしまいます。これまでの上司がパワハラ上司だったら、再生産されます。
ネコ:上司からたとえ厳しい指導を受けていても、本当は別のところでものすごく恩恵も受けていたんじゃない?そっちを忘れていない?ってよく思います。パワハラだけして、何もしない上司なんて、尊敬したり真似したりする対象にならないもん。
ペルシャ:そういえば、前の森に…「部下潰しのクラッシャー上司の被害にあって辛い思いをした経験があって、ああはなるまいと思っている」と言いつつも、私からすると「一部しっかり受け継いでますよ」という人がいました。
ネコ:ありゃー。そうかー、やっぱり受け継いでしまうのかー。
パンダ:そういうやり方しか知らないし、それが当たり前の風土ですから。やっぱり、組織風土の圧力は強力ですね。
みみ:悪しき風習が「常識」化しちゃうから、麻痺しているってことですかね。
ペルシャ:日本は、学校教育で職業訓練を受けていないまっさらな学生を採用するメンバーシップ型なのに、中途半端に成果主義を導入したせいで、まっさらな学生だった人になぜか成果を求める無茶苦茶な社会になってしまいました…。先ほどのロールプレイングのケースように能力不足をののしるとか、上司が結果や数字ばかりにフォーカスするとかは、こういう背景も影響していると思います。
メンバーシップ型だと「使い物にならない奴をビシバシ鍛えてやろう」みたいな発想になりがちで、指導のつもりのパワハラが非常に多いようです…。逆にジョブ型だと、すでに職業訓練を受けた人を雇うので、上司が指導しようという発想にならないようです。
〈組織で働くための「共通の認識」〉
みみ:日本はマネジメントスキルに関する研修も、マネジメントされる側の研修もしっかりされていないので、「共通の認識(お作法)」がないですよね。だから属人的、根性論的になってしまう…。
ネコ:新入社員にはマナー研修だけじゃ足りない。管理職には、…そもそもどんな研修をしているんだろう?
みみ:組織でのふるまいって、双方に共通のルールがあって、それが身体に染み込んでいれれば、ハラスメントになりにくくないですか?例えば、高級フランス料理を食べる時のように…。
ネコ:常識が人によって違うのが問題ですね。共通の常識があれば、争いも少なくなるかな…。
みみ:他人を誹謗中傷したり、何かを強制したり、尊厳を傷つけたり、やっちゃいけないお作法を守るだけなんだけどなあ。組織の中に入るときに、その「常識」を揃える作業が必要なのだと思います。それが「研修」。
ペルシャ:前の森では、上司が飲みの席で自分の部下の悪口を平気で言っていたのですが、その悪口を聴いた外部からの出向者が、「それって自分が上司として管理能力がないことをひけらかしているのと同じでは?出向元では自分で自分の首を絞めるだけだから絶対言わないけど」と言ったのを思い出しました。外の人に指摘されて初めて、常識のズレに気付くのかもしれません。だから、外からの目、世間の目を伝える「研修」は大事ですね。
〈プレッシャー型指導からの脱却を!〉
モモ:「パワハラしている」ことを武勇伝のように語る人、時々いますよね。「常識」が違う…。
リス:そういう人の中には、「自分はそれでも許されている」と思い込んでいる人も多い気がします。
ヒョウ:「嫌われ役を買って出てるんだ!」という人も時々いるけど…。そういう人には、「嫌われなくても同じことは伝えられます。誰も嫌いな上司の下では働きたくありません。」と伝えるようにしています。
みみ:なるほどね。
パンダ:スポーツ、部活もそうですが、プレッシャーをかけることで、ある程度は強くなってしまうんですよね。でも、そこから先は伸びない。
ヒョウ:プレッシャー型以外の成功体験、例えば、褒めたら効率が各段に上がった、職場の雰囲気も良くなったといった経験を肌で感じてもらえるといいですよね。
ペルシャ:どこかの学校の、運動部の監督の話で聞いたことがあります。最初はサボってる部員に徹底的に厳しくして禁止事項とかを課していたのですが、心理学を勉強したところ、今までのやり方は逆効果だと気付いて、褒めて伸ばす方法に変えたらしいです。
ヒョウ:プレッシャーをかけることで、少なくともその場では手っ取り早く言うことを聞かせられるから、安易にそちらに流される人がいるのかな…。
みみ:組織風土にプレッシャー型の指導が染みついているなら、どこかで完全にリセットするしか方法はないですよね。組織の中に入ったときの常識、その中で育まれる常識なので、変わるとしても少しずつの変化にしかならない。しかし社会の変化は、比較にならないほど速いわけで…。
パンダ:リセットするには、トップの英断が必要だと思います。「正しく稼いだ成果以外は不要だ」とか。
リス:研修をしても、他人事と考えたり、否定的に捉えたりする人が多いようであれば、トップ自らの言葉で、会社の方針としてメッセージを伝えるのも有効と思います。
モモ:でも、トップが一番パワハラ体質だ、という話もよく聞きますね。
ペルシャ:そういう場合は、外部の人からビシッと、「それはおかしい」と理由込みで指摘してもらった方が良いかもしれません。
パンダ:トップが聴く耳をもっていれば良いですが…非公開会社で、その人が株の大半をもっているワンマン経営者だったら、誰が正せるのでしょうか。社会か?不買運動とか?でも、内部の情報がなければ、そもそもわからないですよね。
ネコ:いつかは潰れると信じたい。ある会社は、従業員が社長からパワハラを受けて自殺して、そのすぐ後で社長も自殺して、いろいろあった挙句に親会社に吸収合併されたよ。
モモ:カオス、ですね…。
ネコ:うん。Chaos!
〈でも…なぜ組織や人は、なかなか変われないのだろう?〉
みみ:常識を一気に変えるためには、仕組みを変えないといけませんが、日本の労働慣行って不利益方向の急激な変化を認めにくいですよね。良くも悪くもドラスティックに変化することを拒むDNAがしっかり刻み込まれている。
ペルシャ:労働基準法に従った働き方では真っ当な利益を得られないとか、業界の構造上正しく稼げないところもあるらしいですし。1社で頑張ってもどうにもならない業界は、業界全体で動かないと変えられませんし。
ヒョウ:職場風土の改善を肌で感じられるようになるまでには、時間がかかりますよね。
みみ:時間がかかるからこそ、マイナスの再生産もしっかり行われてしまう。だから組織風土はなかなか変わらない。
ペルシャ:古代ギリシャの哲学者プラトンが「良質な国を作るには良質な国民が必要(真の政治術とは国民の魂を善くすること)」みたいなことを言っていたことを思い出しました。いくら良い仕組みを作っても、その集団の構成メンバーが変わらないと意味がないのかもしれません。例えば、どこかの国が、民主主義をかかげ、選挙を行っているのですが、選挙をするたびに暴力が多発していて、それはもはや民主主義以前の国民自身の問題というか…。
パンダ:時間が掛かる前提ですが、組織の新陳代謝、たとえば、ホワイト人材に段々管理職を入れ替えていく。変われない管理職は、管理職から退場させるくらいの組織の覚悟が必要ではないでしょうか。
ネコ:「変われ!」と命令されたら、よけいに変われない気がします。法律とか制度とか、箱だけ作ったってどうもならないよね。
ペルシャ:そうなんですよね。それを今から2千4百年前にすでに古代ギリシャのプラトンが言っているという…。人間って、2千年くらいじゃ大して進歩しないのでは?と思うこともあります…。
みみ:少しずつ変わると時代に取り残されるから、結果、会社の終わりを早めてしまう。一気に変わろうとすることを、今の労働慣行では拒否される。
パンダ:変わらないと生き残れない、ダーウィンとか。
ヒョウ:「多くの社員を退職に追いやっている」とされる方に対する個別研修を何度か実施したことがあります。「かなり効果があった」との評価はいただきました…が、中には、暫くしたらぶり返しの兆しが見えてきたとの連絡をもらったこともありました。変われない人は変われないのかしら。
ネコ:…成仏できていない感じ。
パンダ:360度評価で、去らざるを得なくなった問題管理職の話を聞いたことがあります。評価の下の方を一定割合カットするので、問題のある管理職は生き残れない。けん制は効くなと。
ネコ:相対評価だから、誰かは犠牲になるということ?なんかそういうのも、新手の追い出し、ハラスメントっぽい。
ヒョウ:私も、360度評価は気を付けないと管理職を潰すことにもなりかねないと、導入した企業の担当者から聞いたことがあります。
ネコ:自分が切り捨てられる対象になるかも?と思ったら、よけいに冷静にいられなくなりそう。怒りは二次的感情だっていうでしょ?不安とか不満が背景にあるから、怒りがわき上がって、制御できなくなってしまう。それがハラスメントにつながる。
ペルシャ:「怒り」が二次的感情だと知らない人はきっと多いですよね。それを知ってもらうだけでも違うかもしれませんね。
ネコ:プレッシャー型の指導が常識だった時代を、何とか生き抜いてきた人たちが、今「上司」の立場にいるなら、今までのやり方をいきなり全否定するのもどうなんだろう?という気もします。好きでそうしてきたわけではないはず、いっぱい苦労してきたはず。その頃の苦労をねぎらわれることもなく、いきなり「それはおかしい!」「お前は管理職として不適格だ!」なんて言われたら…。つらかった気持ち、苦労が成仏できないよ。だから余計に、「従来のやり方」を繰り返すんじゃないかな。
「プレッシャーの下で、それでもなんとか成果を出せてきた人が、新しいやり方を編み出せないなんていうことはないでしょう?違うやり方を探してみませんか?」みたいな、優しいアプローチも考えたい。
リス:当時はそれでよかった部分もありますしね。「過去を否定されない」って大きい気がします。
ペルシャ:日本では、いじめやDVの被害者側が逃げたりカウンセリングを受けたりする傾向がありますが、本当は加害者側を治療すべきという考え方の国もあるそうですね。パワハラ上司も同じかもしれません。
ネコ:そう!いつも被害者側に何かを求められるのは、そもそもおかしい。
みみ:日本の再犯防止対策もその方向に舵をきりつつあります。
ネコ:極端な、「人としてどうなの?」みたいな人が管理職になっているなら、降りていただくのが筋だと思うけれど、大多数はそこまで極端な人ではないはず。ならば、ハラスメントの加害者に対して、カウンセリング的なアプローチは必要なのではないかと思う。つらかった過去や不安を成仏させないと、なかなか根本からは変われない気がします。
ペルシャ:最近つくづく思うのですが、論理では人の心を救えないと思うことがあって。論理的思考力の高い人は頭がいい感じがして、もてはやされる傾向がありますが、論理的思考は感情には寄り添えませんよね。自分ではどうしようもない感情を持て余してしまう人には、ただ寄り添うことも大事なのではと思います。
ネコ:ビジネスに感情は不要だという人がいますが、感情をうまく活用できるなら、私はしっかり活用すべきものだと思っています。「頑張ろう!」だって、感情から出てくるのだから。
みみ:個人に対するアプローチと組織に対するアプローチと、両面からかな。
組織としては、業務にハラスメントは不要なものなので、「それは当社のやり方じゃないよね」って言い合えれば、ハラスメントは減るはず。
あとは、個人の感情のコントロールのために、組織的な支援としてなにができるか。
<さぁ、そろそろまとめよう>
ネコ:さぁ、そろそろお時間です。取っ散らかりましたので、まとめましょう。
ヒョウ:今回のご相談者さんにお伝えしたいのは、例え、研修後に否定的なコメントをする人がいても、何かしらは響いていると思うんです。なので、めげずに継続してくださいということ。一方で、研修内容を工夫して充実させる努力はもちろん必要ですので応援しますよ!
ネコ:そうそう、うちに相談してくれたらいいのよ、うん。
みみ:ハラスメントからのアプローチに限界があるなら、同じ組織の中にいる者同士の共通のお作法をしっかり確認するといったところからのアプローチもアリだと思います。
モモ:コミュニケーションに立ち返ると、「パワハラ」については、お互いに説明が足りない、確認が足りない、ということが大きな原因になると思います。
「自分の目線・感覚」で、「相手に伝わっているだろう」と見込が甘くなると、後から、お互いに、それぞれの「理想」と「現実」が違って「怒り」が沸く→「パワハラ」という便利な言葉に置き換えられる。
相手に「伝わる」ように伝える、丁寧な対応が必要だと思います。
ネコ:コミュニケーション研修、おススメです。あと、感情へのアプローチとかも。
ペルシャ:当社のように外からの目線を入れてもらってもよいかもしれません。
モモ:普段、ハラスメント防止研修をやっているメンバーで集まっても、このように色々な意見が出る状態ですから、本当に、難しい課題なんだな、と改めて思いました。
ネコ:問題解決の手段は一つではないし、職場の状況によって、適した研修は変わるもの。成功事例を集めて、SPNではいろいろなパターンの研修に対応できるようにしていきましょう!
「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!
※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。