HRリスクマネジメント トピックス

「なかなか定着しない中途入社者」三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(35)

2023.05.30
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職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。

職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!三匹(今回はゲストも含め、なんと8匹!)が、チャットにて解決の道を探ります。

【今月の三匹・プロフィール】
みみずくさんのイラストみみずくさん(みみ):
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?


黒豹さんのイラスト黒豹さん(ヒョウ):
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい?しなやかな筋肉で機敏に動く…いや、単にせっかちなだけかも?SPNの森で19年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン」を立ち上げたのは実は…。


モモンガさんのイラストモモンガさん(モモ):
小さな皮膜で滑空する夜行性。社会保険労務士、産業カウンセラー、ファイナンシャルプランナー。そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながらSPNと会員企業様の森を飛び回ります。


リスちゃんのイラストリスちゃん(リス):
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。気が付けばこの森に来て6年が経ちました…。最近は花粉に負けじと森を飛び出し駆け回ることも多いですが、変わらずご相談にお答えしていきますよ。


ペルシャ猫さんのイラストペルシャ猫さん(ペルシャ):
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。SPNの森では日増しに内部通報制度との縁が深くなっています。


マルヌネコさんのイラストマヌルネコさん(マヌル):
ラブリーな外観(人当たりの良さ?)とは裏腹に、獰猛な一面もあるマヌルネコ。最近この森にきてマイペースに業務をしている。獰猛なのに情報セキュリティ関係が専門で、最新セキュリティ動向の調査が好き。


ケツァールさんのイラストケツァールさん(ケツァ):
広報の森をいくつか飛んでいる内、この春にSPNの森へやってきた防災士。森で見るものすべてに興味津々、一番のひよっことして色んなところに顔を出して、勉強しながら日々業務に取り組んでいます。


ネコさんのイラストネコさん(ネコ):
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。保有資格は、社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等。ネコも何度か転職しています。同じ職種でも、会社によって全然違うニャ…。

今月は、メーカーの工場内で人事を担当するAさんからのご相談です。

SPNの森の皆さんはじめまして、X工場で人事を担当しているAと申します。

人手不足から、中途採用を頻繁に行っているのですが、ハローワークや求人サイトではなかなか応募者が集まらなくて、一部の職種では人材紹介を利用しています。

人材紹介は成功報酬型なので、初期投資はかかりませんが、紹介手数料はなかなか高額です。高額な手数料を払うものの…わりと早期に退職する方が多くて困っています。

最近退職した中途入社者ですか?そうですね…、例えばこんな3人が浮かびます。

  1. 管理系職種の管理職候補として採用され、3ヵ月の試用期間が明けて役職に就き、さぁいよいよこれから!というときに退職願を出したBさん(40代後半)
  2. 2年前に作業系の職種(他社で同作業の実務経験あり)で採用され、真面目で手先も器用だということで、職人肌の上司がとても期待をかけていたCさん(20代半ば)
  3. 生産管理の事務業務で、高いPCのスキルに期待して採用されたものの、半年くらいで急にメンタル不調(うつ)を訴え、休職期間満了で退職してしまったDさん(30代前半)

同じ工場内ではありますが、部署や職種は様々です。実際の仕事内容や就業時の様子は現場でないとわからず、人事でフォローするにも限度があります。でも、採用にかけた時間や手間と、高額な紹介料がこれ以上無駄になるのは困りますので…。来月も1人中途入社しますし、どうしたものかと悩んでいるんです。

ニャー、せっかく手間と時間とお金を使って採用したのに、早々に退職されてしまっては、人事としては悔しい限り!これは早急に、どうにかしないといけませんね。

よーし、SPNの森の動物たちで、中途採用者のフォローと戦力化について考えてみましょう!そうそう、この森にも新しい仲間が加わりました。せっかくなので、彼らの意見も聴いてみたいニャー。

〈「転職」って、ストレス!!〉

ネコさんのイラスト はーい、では最近森の仲間に加わった、マヌルネコさんとケツァールさん、ようこそ!今日はよろしくお願いします!
マルヌネコさんのイラスト よろしくお願いします!
ケツァールさんのイラスト よろしくお願いします!
ペルシャ猫さんのイラスト よろしくお願いいたします!
リスちゃんのイラスト よろしくお願いいたします!
モモンガさんのイラスト よろしくお願いいたします!
みみずくさんのイラスト なかなかマニアックな動物だらけの森になったね。
ネコさんのイラスト 気が付けば珍獣ばっかりですね…。では改めて、ご相談内容を見ていきましょう。
みみずくさんのイラスト 年代も職種も、退職理由もバラバラですね。社会的な傾向と会社固有の問題と両面ありそうです。
ネコさんのイラスト そもそも「転職」って、大きなストレスですよね。勤労者のライフイベントのストレス強度としては、けっこう高いところに入っていた気が…。このサイトによると、11位に「転職」がありますね。あと、6位に「会社を変わる」っていうのもあるみたい。違いがちょっとよくわからないけれど、まぁ、新しい仕事や職場環境に入るのは大変なことなんだ、ということでしょうね。もともとストレスフルな「転職」、そこに会社固有の問題が掛け合わされると、さらにいろいろ問題が出るということかなと。
ペルシャ猫さんのイラスト 最近小学校と中学校を一体化した「義務教育学校」が増えているらしくて、理由は、

  • 小学校で英語教育をするようになったため、不慣れな小学校の先生が教えるより、中学校の先生が教えられるようにした方が良い
  • 小学校のカリキュラムを5年くらいで終わらせ、中学校のカリキュラムを手厚くするなど、柔軟にカリキュラムを組める
  • 中学校に入学した環境変化で不登校になってしまう子がいるので、環境変化が極力ないようにしたい

などだそうです。3つ目の理由のように、環境変化が非常にストレスになるのは大人も子供も変わらないのかもしれないですね。

モモンガさんのイラスト 社内用語がわからなくて、話についていけないというのも結構キツイと思います。
ケツァールさんのイラスト 最初に転職して、一番最初の森の常識が常識じゃなかったのは結構衝撃でしたね。
マルヌネコさんのイラスト 確かに、前の森の常識は通じないのは、ビックリでしたね…。
ペルシャ猫さんのイラスト 分かります…。私、公務員だったので、規程がない会社を見たときにカルチャーショックでした。「ルールを整備しないのに制度作っちゃったの!?」みたいな。
ネコさんのイラスト 民間企業でも、普通は規程あるよ…。まぁでも、知らない環境で不安にさらされると、なんでもかんでも悪い方に見えることもあるのではないかと。組織として、上手にケアができないと、不安が勝ってしまう気がする。
リスちゃんのイラスト 会社のこともよくわからないうちに、入社早々「即戦力だ!」と期待ばかりのしかかって来て、余計にストレスや不安を感じてしまうこともありそうです。
ケツァールさんのイラスト あー、そういう職場にいたことあります。ストレスになるかもしれませんね。
みみずくさんのイラスト 確かに。「経験豊富な人なんだ!」と、期待値がどんどん大きくなっていくし。
ネコさんのイラスト 日本の根回し文化においては、即戦力なんてあるわけないのにー。
ペルシャ猫さんのイラスト 組織の内情に精通して、おさえるべきキーパーソンをおさえる、政治力みたいなものが必要ですからね。
ケツァールさんのイラスト 基本、経験者ということで採用されると思うんですけど、新しい会社のやり方みたいなものには慣れてないので、いきなり「やってくれ」と言われても困った記憶があります。業務は経験していても、新しい会社のカルチャーは未経験なので…。
ペルシャ猫さんのイラスト 「根回し文化」のない国でジョブ型雇用だったら、あらかじめ仕事の内容が明確なはずです。それで決めていた仕事ができないとなったら、試用期間中の仕事振りを見て「あなた、できるって言ってたけどできなかったよね」と本採用しないことが通用しやすいのですが…。
みみずくさんのイラスト 早めの退職だと、「ミスマッチ」という入口の問題もありますね。
ペルシャ猫さんのイラスト 求人の際にどれだけお互いに正直に話せるかが大事になってくるんでしょうね…。見栄を張るとロクなことがない気が…。
ネコさんのイラスト 会社も求職者も、見栄を張ったらいかんよぉ…。
みみずくさんのイラスト 試用期間でどれだけお互いの「認識の違い」を解消できるかだと。来てすぐ力を発揮するというのも難しい。受け容れる方も業務多忙やリモートワーク主体だとなかなか…。
マルヌネコさんのイラスト 確かに、受け入れる側がそのような状況ですと、入社した人は何に注力したら良いかの判断も仰げないですね。
ペルシャ猫さんのイラスト 日本は判例法理で本採用しないハードルが高くなってしまっているので、「やっぱり辞めて」ができない難しさもあります。本採用の適格性が欠如していることを、企業側が具体的根拠を示して、その判断が客観的に妥当であると言えないといけないので。
マルヌネコさんのイラスト 私は、中途採用は自分の受け入れ体制を準備して頂けているかがすごく心配になります。あと、現場に必要とされているかも気になりました…。
ネコさんのイラスト 必要だから採用されているはずなんだけどね。それを言葉や態度でしっかり示さないと、伝わらないなぁ…。どんな経験を、どう活かしてほしいかは、ちゃんと聞きたいですよね。
黒豹さんのイラスト 結局人間って、自分が何かしら、誰かしらの役に立っているという感は必要で、それを全く感じられないままにして、だから辞めちゃった(辞めさせちゃった)と反省したことは正直ある…。
みみずくさんのイラスト これだけ人材の流動化が進んでいるのに、転職者も会社もお互いに早くマッチするために必要なスキルとか、いろんなものが揃っていないんだと感じます。
ネコさんのイラスト 新しい環境に適応する能力は、早目に身につけておくべき能力なのかもしれません。前の森では中途採用も担当していましたが、40代以上で「初めての転職」の人などは、とっても気を遣いました。①のBさんも、もしかしたら初めての転職だったのかも?
ペルシャ猫さんのイラスト 新しい環境に適応する能力って、やっぱり環境を何度か変える経験をしないと身につかないんですかね?①のBさんは手遅れって感じになってしまいますかね?
ネコさんのイラスト 同じ会社の中でも、異動したり、部門横断のプロジェクトに関わったりすることはあるよね。習い事や外部の活動などで新しい環境に飛び込んでもいいんじゃない?
ペルシャ猫さんのイラスト そういう意味だと、私は前の森では2年くらいのスパンで異動していたので、それで私は鍛えてもらっていたのかもしれないですね。前の森の組織に感謝しなければ。
ネコさんのイラスト 若い頃にそういう経験がなくても、周囲のサポートがあればちゃんと馴染めるはずなんだけど…。前の森で、同じ時期に入社して、すぐ辞めてしまった40代半ばくらいの人がいたのだけれど、「電話の使い方も教えてもらえなかった」と言っていました。イジワルで教えてくれないのではなく、みんな気が利かないのだと。新卒で入った人が多かったから、その人たちにとっては「会社の電話」といったら「この電話」しかないんだよね。外から来た人は「別の電話」を知っているから、「この電話」の使い方を聞いているのに、「電話の使い方もわからないの?」みたいな顔をされるので、なんとなく聞きづらくなってしまったそうです。すごーく期待されていたのに、もったいないことしたなぁ…って思った。それで人事からの入社時の説明を手厚くした!「わからなかったらいつでも、遠慮なく聞いてくださいね」と伝えたり、社内のマニュアル集みたいな、「困ったときはここを探してみて!」のフォルダを教えたり。
モモンガさんのイラスト 会社側も、新卒からの生え抜きみたいな方ばかりだと、転職者にとって必要な情報やどのようなケアが必要かなどの視点を持ちにくいかもしれないですね。「当り前」と思い込んでいると、会社特有のことであるにも関わらず、「そんなことも知らないの?」と口に出さずとも、無意識に態度に出ている可能性もあると思います。積み重なると、その態度を受ける側はキツイですよね。
ネコさんのイラスト そうそう。だから、電話とか、コピー機の使い方とか、些細なことほど、しっかり説明するようになりました。

〈受け入れ体制を整えよう!〉

モモンガさんのイラスト 以前の森では、異動者や転入者には、最初のオリエンテーションで事務事項のパートを1.5時間くらい取って、共有フォルダの構成や、会計システム、人事システム等の設定を一緒にセットしたり、会議体や各担当者の業務のザックリした説明と、どこに何があるか、誰が何に詳しいかをお話しし、「困った事があったら、誰につないだら良いかはお伝えできると思います」と言っておきました。
後から、色々な方に「ああいう時間を取ってくれる部署は他にあまりないけど、安心できたし、スムーズに仕事に集中できた」と言われたので、担当業務そのものより、そういうお作法の時間を最初に取るのは、重要なのかもしれないと思いました。
ネコさんのイラスト そう、これ大事!特に、「わからなくなったとき」の方法を明確に示すこと大事!「わからなかったら、一人で悩まないで、人事に相談してくださいね、それとなく上司にサポートを頼んだりできるから」、とか言ってたなぁ。
モモンガさんのイラスト 業務は徐々に慣れていけるけど、お作法がずっとわからないと、ちょっとしたことでつまずいたり、誰に聞いたらいいかわからず時間を無駄にしてしまったりしますよね。このオリエンテーションは、多くの方にご好評頂いていました。
ケツァールさんのイラスト 最初にお作法を知った上で森に入っていけると「森の一員」感も出ると思いますね。
ペルシャ猫さんのイラスト 私はこの森に来た時に最初から「何かあったらモモンガさんに」としていただいたので、些末なことも結構モモンガさんにお聞きできて助かりました。質問しやすいモモンガさんのお人柄もあったと思います。
ネコさんのイラスト モモンガさん、Good Job!!
みみずくさんのイラスト お作法も含め、そういう環境が必要だという意味で、明確に業務・役割としての「メンター制度」っていいのでは?
マルヌネコさんのイラスト 確かにその会社の一員として業務するためのメンターは良いですね。今欲しいくらいです…。
ネコさんのイラスト あれ?放置されてる?ケツァールさんにはミーアキャットさんがいるよね?
ケツァールさんのイラスト めちゃくちゃ助けていただいています。
マルヌネコさんのイラスト お作法とか知らず、とりあえずこなしてますが、合っているのか微妙です…。
ペルシャ猫さんのイラスト 「ちょっとしたことを聞ける人」だけでなく、「一緒に仕事をして、確認してくれる人」も必要ということですかね?
マルヌネコさんのイラスト まさにそんな感じです。昨日は少しお作法を間違えたみたいで、怒られました(´・ω・`)確認してくれる人は欲しいですね。
ケツァールさんのイラスト マヌルネコさんが放置気味だとしたら、お作法で叱られても「それ教えてもらってないです」ってなりますよね。雰囲気で察してほしいとか、そういうのでしょうか。
ネコさんのイラスト 怒った人は、実際に「怒られた人」よりも、「怒られた人に教えないといけない立場の人」、つまりその上司とかに対して、本当は怒っているんじゃないかと思う。とばっちりを受けちゃったねぇ。この森のこと、嫌いにならないでねぇ。
黒豹さんのイラスト 管理職がほぼプレイングマネージャーで、放置しちゃっているうちに人財がどんどん流れ出ていく…といったケースも多い。誰かが気にしていないとね。ほんと、モモンガさんに一票!
モモンガさんのイラスト ありがとうございます。ペルシャさんが入社したときは、コロナでいきなり在宅勤務だったので、あまりお役に立てず、申し訳なく思っていたので、そう言っていただけると少し気が楽になります。
ちなみに、先ほど話した前の森でのオリエンテーションは、個人的な善意ではなくて、業務として実施していたものです。受け入れの「仕組みづくりが大事」だと思うんです。部門のアドミニ全般を担当していた時に、部署のお作法(や契約や購買含む、様々なルール)や、システム設定や、どこに何があるかなどの細々したことは最初にまとめて案内してしまった方が、都度対応より効率的なので始めたことでした。あわせて、文房具や名刺なども予めすべて揃えておくことを仕組化したことで、担当が変わっても抜け漏れなく準備ができました。
結果として、転入者の指導係は細々したことを教えなくて済む(業務指導に集中できる)、転入者も必要な物や情報が揃った状態で仕事が始められる、事務担当も都度都度対応しなくて済むという三方良しになり、効率化されました。
「一気に説明しますが、すべて覚えてくださいということではなく、まずは知って頂くことが目的です。必要な時に、詳しい説明はしますので、その時は声をかけてください」として、「いつでも聞いて良いのだ」という土壌を作っておくことも大事だと思います。
結果的に、副効果として、数名から「色々準備されていたので、歓迎されていると思った」「何度か異動したけれど、ここまで準備してくれる部署はなかったので、嬉しかった」という声があり、最初にそういう印象を持ってもらえると、その後の業務もうまく行きやすいように見えました。他部署に異動されたマネージャーの方も、この仕組みを異動先部署で取り入れていたので、どこでも応用可能だと思います。
「仕組化」というと、イメージが悪い場合もありますが、自分達の業務も楽になり、新しく入る方も業務がスムーズに開始できて、安心感や歓迎ムードを感じてもらえるのなら、一石二鳥かと思います。
ネコさんのイラスト ①のBさんにも、こんな感じでフォローができていればよかったのでしょうね。

〈既存のメンバーと対立させないように…〉

ネコさんのイラスト 話変わりますが、②のCさんって、ちょっと違うタイプですよね。多分ですが、「めちゃくちゃ期待されて入って、上司にやたら気に入られて、周囲に煙たがられた」のではないかと…。
モモンガさんのイラスト 同調圧力みたいなものも働いたのかもしれませんね。「ペンギン国のクジャク」というお話を思い出します。
マルヌネコさんのイラスト 同調圧力はキツイですね…。
黒豹さんのイラスト 同調圧力キライ。
ネコさんのイラスト ペンギン国のクジャク…?あぁ、検索したら出てきました。堅苦しくて官僚的なペンギン国に、1羽のクジャクがスカウトされてやって来たと。ペンギンらしく振る舞うことを求められるこの国では、クジャクは異端。クジャクの才能は認めているけれど、ペンギンたちは落ち着かないし、クジャクも馴染めない。
モモンガさんのイラスト 確か、結末は、クジャクがペンギンの被り物をして、ペンギンに染まってしまった、というお話だった気がします。そうすると、結局、ペンギン国はクジャクをクジャクとしてスカウトしたはずなのに、クジャクをペンギンにしてしまって、結局、クジャクが足りない、クジャクが足りないとなってしまったと…。
ネコさんのイラスト 意味ないーーー!
ペルシャ猫さんのイラスト こういう話って、学校でもありますよね?私の大学時代の友人が、小学校はアメリカの学校で、親の仕事の都合で日本に帰ってきて、アメリカの学校のノリで積極的に発言したら、徹底的にいじめられたそうです…。
ネコさんのイラスト 日本は子どもたちの間でも同調圧力が強いからなぁ。いじめに遭わないためには、みんなと合わせることが大事なんでしょ?親の影響なんだろうかねぇ。
ペルシャ猫さんのイラスト 子どもは大人の背中を見て育つので、大人が会社で同調圧力をかけていたら、当然子供もそうなって、負の連鎖が止まらないですよね。
中途採用の意義って、井の中の蛙になっていた自社の社員へのカンフル剤もあるんだと思います。「企業30年説」のように、現状に甘んじた企業はいずれ滅ぶので、外の視点で見直さないと。前の森では、メインバンクからの出向者が出向元に戻る際に「出向先で感じた違和感」を発表してもらう会を設けていました。
ネコさんのイラスト この②のCさんの場合は、上司には気に入られていたみたいだけど。クジャクが、ペンギンのボスにだけは気に入られていたという感じかな。ペンギンのボスが、元々いた部下のペンギンたちを馬鹿にしたり、クジャクと比較して「だからペンギンはダメなんだ」なんて言った日には…部下のペンギンたちは一斉にクジャクを敵だと思うでしょうね。だってペンギンたちだって、ペンギン国のお作法に従って、ずっと頑張ってきたわけでしょ?ずっと頑張って上を目指していた人が、すいっと横から来た人に出世の道を譲ることになるんだよ?ペンギンたちの気持ちも考えてよ!って感じ。
みみずくさんのイラスト 本来、異端は組織を活性化させるはずなのに、組織の同調圧力を活性化させてしまった…ってことだね。
ネコさんのイラスト 敵が来たから、余計に一致団結しちゃったのかも。
リスちゃんのイラスト ②では、上司がCさんばかり褒め称えて、「お前らも見習え」というようなことばかり言う雰囲気だとしたら、周囲の反感をかってしまいますよね。Cさんとしては頑張れば頑張るほどそんな空気になるのなら、「もう辞めよう…」となってしまうのも、気持ちはわかります。
ネコさんのイラスト もう、上司!ちょっとは気を遣って!!
モモンガさんのイラスト せっかくのクジャクをクジャクらしく活かそうとするなら…多様性を受け入れる側の力も試されますね。
色々な方が、やり方は違えど、同じ方向を向いて行くには、「共有された目標」が必要だと思います。会社や部門の目標が明確な上で、個人の目標も明確になれば、外部から採用された人も迷うことは減るのではないでしょうか。目標が明確な上で、一人一人の発言の自由が確保されれば、嫉妬や同調圧力は徐々に減って行くのではないかと思ったりします。
みみずくさんのイラスト 本当にそのとおりですね。職場が変わらなきゃ、異端は受け入れられない。異端の方も、丸くなったら異端じゃなくなる。両方がよき解決点を見出す対話とか会話が必要ですね。

〈メンタル不調に至るまでに、ケアできなかったかなぁ〉

ネコさんのイラスト ③のDさんはどうでしょう?転職してすぐにメンタル不調も、あるあるです。もう少し採用段階で見極めが必要だった可能性もあります。会社の求めていたことと、ご本人のできること・やりたいことがすれ違っていたのであれば、まぁストレスも大きくなるでしょうし。
ペルシャ猫さんのイラスト ③のDさんの「高いPCのスキル」が、会社が求めていたのと方向性が違ったとかですか?それとも、実際はPCのスキル以外がかなり求められてしまったとか?
ネコさんのイラスト いろいろ考えられそうね。能力は高いけれど、ストレスには弱いということも考えられますし。だって、そもそもうつになりやすい人って、責任感が強くて、真面目で勤勉な人だったりするじゃないですか。「できないなんて言えない」「期待には応えなければならない」と、自分を追い詰めてしまうタイプの人は、元気な間は、努力で高いスキルを身につけて、重宝される人のはず。ただ、無理をし過ぎれば、いろいろなことがうまくいかなくなって、それがさらに自分を追い詰めて、どんどん負のスパイラルに陥っていくから…病気になってしまうんだよね。
黒豹さんのイラスト メンタル不調は誰かが早期に変化を見つけることが何より大事だなと、色々なケースを見ていて思う。③のDさんも、何か兆しはあったはず。
モモンガさんのイラスト 変化自体に弱い方だった可能性もありますね。
ネコさんのイラスト うーん、Dさんが弱いのか、転職のストレスが強かったのか。メンタル不調者を、ダメな人みたいに決め付けるのは絶対ダメだよ。転職って、本当にストレスが高い状況だということを、周囲がもうちょっと理解していたら…と思うんです。本人のせいにばかりしないで。たとえDさんがストレスには弱かったのだとしても、せっかく転職して仲間になったのなら、やっぱり上手に活かさないと。
ペルシャ猫さんのイラスト 「ダイバーシティ」という言葉は、経営学と結びついた言葉なので「経営を良くする人(受け入れたい人)だけを受け入れる」みたいな、結構都合よくつかわれているものらしいです。皮肉な話ですが、「ダイバーシティ」の登場で「反差別主義」のように、ストレートに差別を反対する言葉が嫌厭される世の中にもなっているみたいです。都合の良い受け入れだけでなく、時には自分たちには痛い受け入れも必要だと思いますね。
みみずくさんのイラスト 転職者と会社の関係性で言えば、受け容れる側が寄り添うところからってことかなぁ。
ネコさんのイラスト 無理がどんどん重なると、悪い方に落ちていきます。新しい環境のストレスは、①のBさんと同じで、お世話係さんがいるだけで違うんじゃないかな。
それから、採用の時点で、Dさん自身がもう少し「今の職場と新しい職場の違い」を明確にイメージできていたら…新しい環境によるショックは、もう少しやわらげられたかもしれない。だから、採用段階で何か工夫ができたんじゃないかな、と。
ケツァールさんのイラスト 前の職場の方がよかった!みたいに思ったら、戻れたら良いのかもしれないですけれど…現実問題厳しいですよね。
ペルシャ猫さんのイラスト 転職してはじめて前の職場の良さが分かるなんてこともありますよね。私は制度的に前職には戻ろうと思ったとしても絶対戻れないんですよ(苦笑)
ケツァールさんのイラスト サッカーのレンタル移籍みたいな制度があったら良いなとは思います。
みみずくさんのイラスト そこは徐々に変わってきているんだけどね。アルムナイとかもあるし。某銀行は、採用時に別の会社に入社しても、3年以内なら最初の面接を省略するって。受け容れる側の懐が深くなってきていると言えるかもしれません。
ネコさんのイラスト とにかく、メンタル不調は誰でもなり得るもの。ここまで1人で悩ませてしまったことが、私は問題じゃないかと思っています。
黒豹さんのイラスト 私もそう思う。声をあげやすい状況・環境にしておくことも大事よね。
リスちゃんのイラスト 自分なりのストレス解消方法を身に付ける…のが難しければ、良い方法を見つけられるように周囲がサポートするのもひとつかと思います。ちょっとしたことを話せる人がいるだけでも違いますし、それがガス抜きに繋がることもありますし。
みみずくさんのイラスト リモートワーク中心だと抜け落ちそうな部分ですね。
ネコさんのイラスト あぁ…様子が見えない。「おせっかい」、大事かも。
ペルシャ猫さんのイラスト 私、一人で気楽にできてしまうので、リモートで放置されたとしても全然OKな派です(笑)
ケツァールさんのイラスト まだまだ、会社に対して自己申告で、「ストレスを感じています」とか、「誰かと話したい」とかは言い出しにくいかなとは思います。「期待に応えなければ!」とか「早く成果を出さないと!」とか、真面目に考える方なら特に。
みみずくさんのイラスト だからこそ、「おせっかい」は必要なんですね。
マルヌネコさんのイラスト リモートで放置なら良いですが、オフィスで放置は厳しそう…。
ネコさんのイラスト オフィスで放置はいかんよぉ。でもリモート勤務でオフィスに人がいなかったりもするものね。必要な「おせっかい」の程度は、人によるんだなぁ。このあたりも採用のときによく見ておきたいところだな。
ペルシャ猫さんのイラスト 採用のときにどうやって見極めます?「放置して大丈夫です?」と聞くわけにはいかないでしょうし…。「ストレス発散方法は?」とかですか?
ネコさんのイラスト 「カラオケで熱唱」とか、ありきたりなストレス発散方法を聞いても仕方ないからなぁ(笑)強い自責で動いている人とか、「…ねばならない」が強い人とかは、そもそも一歩間違えばうつになりがちで、そういう傾向は言葉の端々に出てくるもの。なので、少し深掘りさせていただきます。そうねぇ、「〇〇さんは真面目に頑張るタイプのようですね。でも、頑張り過ぎて、『ちょっとしんどいな』って思うことはありませんか?」「そういうときは、自分をどうやってコントロールしますか?」のような感じで聴くかなぁ。自分で、自分の傾向にどれくらい気付いていて、気持ちの整理の仕方を具体的に工夫できているかを探るかな…。

〈やっぱり対話が大事!〉

モモンガさんのイラスト Bさん、Cさん、Dさん、全員に言えることかもしれませんが、「周りにどう思われているか」が気になり過ぎていたり、「周りがわかってくれない」と思い込んでしまっていたりということがあるかもしれませんね。思い込む前に、転職者側からも伝えることは大事だと思います。
パワハラなどのヒアリング業務をしていると、「(上司や○○さんは)こう思っているんです」「自分はこうしたいのに、やらせてもらえません」などという相談者が多くいます。で、「それは○○さん(上司等)が言われたことですか?」や「ご自身の『こうしたい』という考えをお伝えしましたか?」と聞くと、「(上司等は)言ってはいませんけど、わかります」「伝えられません」という回答がよくあります。その後、訴えられた側(上司等)の話を聞くと、その方は全然違うことを考えていて、「○○さん(相談者)にはこういう思いがあるようですよ」と伝えると、上司等はその思いを快く受け入れてくれるということもあります。双方のお話を聞くと、相手の考えは相手にしかわからないし、自分の考えは伝えなければ伝わらないのだな、と改めて実感します。だからこそ、まずは自分から伝えてみる、対話をしてみる。これが一番大事なのではないかと思います。
ペルシャ猫さんのイラスト 自分から発信することが大事ですね。他人のことなんて誰にもわからないという前提が大事かもしれません。
ネコさんのイラスト 他人が何を考えているか、わかる人にはわかるよ。敏感に察する人はいます。ただ、最初はほぼ正確に把握できていた「相手が考えていること」が、疑心暗鬼の悪循環に陥ることで、「自分の想像」と「現実に相手が考えていること」の境界線があいまいになってしまう。悪循環のスタート地点では、「普通にわかっている」んだよ。わかる人の気持ちは、もう少し理解してほしい。わからない人が主流かもしれないけれど、わかる人はいるから。存在まで否定しないで欲しいなぁ…。
モモンガさんのイラスト 「わかる人はわかる」というのもわかります。疑心暗鬼の悪循環に陥ってしまうことが問題かな、と思っています。一度悪い方に考えると、どんどん加速してしまい、どこかで誰かが止めないと、自分で自分の首を絞め続けてしまうことも起こり得ると思います。
私も以前の森で人間関係に悩んだ際に、それほど親しくない人を含め、同じグループの人たちにどう思うか話したら、思っていたより親身になってくれて、上司にも話せ、結果として良い結末を迎えたので、勇気を出して話すことは大事だと思いました。
モヤモヤしている段階ですり合わせができて、解消できれば一番よいかな、と思います。そこで決定的に決別してしまうこともありますが、それはそれで、早めにわかって、次の対応を考えられるのでいいのかな、と。Bさん、Cさん、Dさんの場合も、早めに声を上げられる環境を作ることができていれば、致命的な状況は避けられたかもしれないですね。

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。

職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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