HRリスクマネジメント トピックス
職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。
職場のトラブルを減らしたい!もっと自然に力を発揮できる職場にしたい!と、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちは、今日もチャットで議論します。
みみずくさん:
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?
黒豹さん:
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい? SPNの大阪の森や福岡の森を棲み処としていたこともあり生息域は広い。約20年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン」を立ち上げたのは実は…。
モモンガさん:
小さな皮膜で滑空する夜行性。特定社会保険労務士、産業カウンセラー、ファイナンシャルプランナー。そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながらSPNと会員企業様の森を飛び回ります。
リスちゃん:
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。気が付けばこの森に来て7年が経ちました…。最近は森を飛び出し駆け回ることもしばしば。変わらずご相談にお答えしていきますよ。
ペルシャ猫さん:
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。SPNの森では日増しに内部通報制度との縁が深くなっています。
ネコさん:
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。保有資格は、社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等。新人さんの目がキラッと光る瞬間を見逃すニャー!
今月は、入社5年目の女性社員Aさんからのご相談です。
今年、やっとうちの部署にも新人さんが配属されました!入社5年目で、やっと「部内で一番若い人」からの脱却です。ずーっと部内の雑用をこなし、電話も一早く出て頑張ってきましたが、やっと後輩にバトンタッチできる!…と喜んでいたのですが。
昨日、上司に呼び出され、「新人さんへの、テルハラ(TELハラ)は止めるように」と注意を受けてしまいました。どうやら新人さんが、「Aさんから電話に出るよう強要される。これはテルハラだ!」と上司に訴えたようです。
「それって、私にこれからも電話に出なさいということですか?」と上司を問い詰めると、上司は「まぁいいじゃないか、Aさんの電話対応は完璧なんだから。いつも感謝しているよ。」と、まともに取りあってもらえません。
新人さんは、「自分は電話に出るために入社したんじゃない!」とも言っているらしいのですが、私だって電話に出るためにここにいるんじゃありません!!!
私も最初は電話が怖かったので、新人さんが嫌がる気持ちもわかるんです。でも、だからといって私が電話を取り続けるのもおかしいですよね?ね?三匹の皆さん、私の味方になってくださいよぉ…。
ニャァア、上司さんには、Aさんの気持ちも考えてほしいニャー。
新人さんの電話への苦手意識もわかるけれど、だからといってAさんに全部押し付けるのもおかしい…ということは、これは組織に問題がありそうニャ!
SPNの森の仲間たち、集合!!
〈みんな電話で苦労した…〉
私も前の森で、新卒で入社2日目か3日目に一日中電話が鳴りっぱなしの部署で、「一番若いから」と全部取るということになりましたけど、あれはテルハラ(TELハラ)だったんですかね?全国の拠点が150くらいあって、そこから一斉に電話がかかってきて、まだ拠点名もろくに覚えてませんでした。そもそも新入社員研修も一切なかったですし。 | |
研修なしで?それはTELハラだよ。研修は必要だよ、少なくとも。 | |
え!?当時は全然そんなこと思ってませんでした(笑)ナチュラルに受け入れてしまってましたね。 | |
そもそもAさんは、電話対応について新人の方にどんな教育や引き継ぎをしたのでしょうか。 | |
たぶん、「電話を取るくらい、教えなくてもいいでしょ」的な感じでは?(苦笑) | |
教えなくてもできるでしょ。私もできたし。みたいな? 今の新人さんの世代は、1人1台携帯を持っているのが当たり前で、友達の家に電話を掛けた経験もないって聞くから、Aさんの世代とも電話に対するハードルがちょっと違うかもしれないけれど…Aさんがペルシャさんのようなスパルタで育っていたら、研修の必要性にたどり着いていないかもしれないね。 |
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あれはスパルタだったんですか…。自覚ないです(苦笑) | |
誰もがペルシャさんのようなスーパーキャットではありませんよ。 | |
いやいや、ネコさんは、新卒の頃の破滅的に駄目な私をご存じないから…(苦笑)そんな私でも気付けば電話が鳴りやんでたみたいな感じです。 | |
私も最初は代表電話に出るのが本当に嫌だったなぁ。研修もなかったけど、慣れたらノーストレスになって、誰よりも早く取っていた時期もあった。 | |
私はもうストレスを感じる間もなく矢継ぎ早に電話がかかってきました(笑) | |
ひえ~っ。でも、逆に時々だといつまでも慣れないかもね。 |
〈電話に出るのも「仕事」だよね…?〉
ひとつ前の森は、代表電話は総務部で取ることになっていたので、ネコもずーっと電話を取っていました。でも、男性社員2人がいつの間にか電話に出ないようになり、それを見た事務職の女性の1人が電話に出なくなって。結果、ネコともう一人の事務職の女性と部長の3人で電話に出ていました。部長が席にいるときだけは、この電話に出なくなった女性も出てくれたんですけどね。 | |
部長の前では良い格好をするみたいな感じです? | |
そう。部長に彼女が電話に出ないことを訴えても、部長は「自分の前では出ているから注意できない」と。でも、注意しても、「じゃあ、なんで男性2人は電話に出ないんですか?そっちは注意しないんですか?」と言われるのがオチだってわかっているし、男性2人は何を言われても出ないだろうし。その森は、事務職で入社したらお給料はほぼ上がらず、ずーっと「女の子扱い」をするような風土があったんです。電話に出なくなった彼女も、最初はしっかり真面目に働いていたし、仕事も丁寧だったんですけどね。どんなに頑張っても「女の子」としてしか扱われない、そしてお給料も後から入った新卒の方が高いと思ったら…やっていられないと思ったんじゃないかな。 電話に出ることを、「新人の仕事」「女の子の仕事」みたいに思っている人は、いっぱいいる気がします。 |
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そういう意味では、Aさんも電話を取る仕事を格下に見ていて、本来はやるべき仕事ではないと思っている様子は伺えますね。 | |
Aさんもずっと「部内の雑用」をしていたと感じているようですし、押し付けられている感はあったんだろうなと思います。 | |
今まで頑張ってきたAさんにとっては、「新人の仕事」だったんでしょうね。でもこの上司は、Aさんが若い女性だから、これからも電話に出てくれるだろうと思っているような気配も感じます。Aさんだって5年目で、「電話に出るためにここにいるんじゃない」のでしょう?もっと本業に力を入れたいのに、「新人さんが入ってくるまでの辛抱だ」と思って、一人で奮闘していたのかもしれませんよ。電話受付担当として雇われているのではないならば、Aさんが怒るのもわかる。っていうか、何この上司!!「Aさんの気持ちも考えろっ!!!」って、上司に言いたい。 | |
Aさんの話も聞かずに「テルハラをやめるように」とAさんに注意が入るのもこわいですよね。 | |
これは上司の事なかれ主義が悪いな、と思います。 | |
それこそ言ったもん勝ちですよね。 | |
皆さんのお話を聞いていると、日本企業の悪いとこあるあるでもあるのかな、と思いました。暗黙の了解で雑用的に扱われてしまう業務は、「若手とか女性の仕事だ(俺たちのやることじゃない)」と。そして、「雑用は教えられなくても当たり前にできるものだ」的な企業風土になっていることが問題のような気がします。 誰(チーム)の業務かがわかっていて、その業務をするための必要な情報がまとめられていて、教育がされている。そして、チームの仕事なので、個人に集中させないとすれば、問題が生じることはないのではないでしょうか。以前の森は、そこがある程度明確だったので、特に問題を感じたことはありませんでした。新入社員が電話を取ると決まっていないなら、電話対応をどうするか、部門で一度検討するのも一つですね。 |
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こういう話は、「そもそも仕事の価値をどこに見出すのか」、ドラマ『踊る大捜査線』で言うところの「事件に大きいも小さいもない」みたいな話にも繋がりますよね。 英語のスラングの「マックジョブ(Mac job)」の話って皆さんにしましたっけ?マクドナルドの店員の仕事を例に、誰でもできる仕事を侮辱する意味の言葉ですが、大統領や総理大臣だって代わりがきくわけで、そもそも代わりのきかない仕事なんて存在しないわけですし、そういう仕事に社会が支えられていると思います。 |
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改めて、このケースの上司は酷いね。でもいそうだよね。 | |
いますよー。 | |
「これを機に、電話対応について見直してみよう」という発想になってほしかったケースですね。 | |
ホントね。 |
〈電話に出るのはハラスメント?仕事の「意義」って…?〉
そもそも「TELハラ」って本当にハラスメントなの?「電話に出る」という「業務」であることを新人には説明して、業務指示という形にすればいいんじゃないかな。やりたいからやる、やりたくないからやらない、それをハラスメントとして主張するのはちがうかな。 | |
電話に出てもらうことは「ハラスメント」ではなく業務だけれど、教えもせず、助けもせずに電話に出させて、失敗したら怒るんだったら、「過大な要求」ではないかと。もちろん、「嫌なら出なくていいよー」はおかしいと思いますが、いきなり「電話に出ろ!」も乱暴かな、と。 | |
ハラスメントといえばどうにかしてもらえるという発想をなくす必要がありますよね。これはハラスメントの問題ではなく業務上の指導の問題だよね。 | |
業務なんだから、指導は必要。上司は指導をしたらいいんですよ。指導もせず、新人さんに「やりたくない」と言われたら、自分が悪者にならないように「そうかそうか」で甘やかして、Aさんには「お願いねー」って、そんな虫のいい話があるかっ!!シャーッ! | |
まぁまぁ、ネコさん落ち着いて。電話に出ていると、会社のことがわかってくるというメリットはあるよね。ペルシャさんはどう?今振り返って、ためになった感じはある? | |
ためになりましたよ。主にその組織の各拠点からの電話だったのですが、必要に迫られないと拠点名なんて覚えないと思うので、必然的にどこにどんな拠点があって、どんな人がいるのか覚えられました。よく電話がかかってくるのはトラブルの多い拠点なので、どの拠点が大変なのかも。そもそも、入社2日目か3日目だけで電話への抵抗感がなくなったと思います。 | |
おお、いいね。私も代表電話に出ることで、他部署の業務がわかるようになったし、社内の人脈も広がったし…。何でも経験することは大事だともいえるね。 | |
たぶん、今回のケースも、電話対応の意義みたいなものをちゃんと伝えられたらこんなことにならなかった気がしますし、新人が電話対応で困っても、横の人がすぐに助けられるようにしたら全然違った結末だったと思います。 | |
パワハラに立ち戻ると、その仕事の「必要性」と「内容の相当性」を会社側がきちんと伝えることが大事だと思います。その説明を億劫がるから勘違いが加速してしまうのではないでしょうか。 | |
ある程度長い期間、腰を据えてがんばろうと思わないから、(まずはやってみろ的な)放り出されることの意味とか意義をわかろうとしない。そればかりかすぐハラスメントだという…。新人さんはそういう考え方になっているのだとしたら、会社としても態勢を整えないといけないってことでもあるよね。 | |
今年の4月に入社した社員たちが退職代行を使ってどんどん退職することが結構ニュースになってましたよね…。メンバーシップ型(日本固有の雇用慣行)の下で1つの会社に定年まで働き続ける風潮から、ジョブ型(欧米を中心に、日本以外での雇用慣行)の下での転職が当たり前という風潮に変わったのかもしれません。ただ、まだ学校教育や社会保障も含め、日本社会がメンバーシップ型を色濃く残しているので、若い人たちには「自分がジョブ型を前提とした学校教育を受けておらず、仕事に必要なスキルを身につけていない」可能性にも気付いてほしいです。 | |
メンバーシップ型からジョブ型へって、今もてはやされているけれど、(その本質をきちんと理解しないままという意味で)一番かぶれているのは就活生とか新人、若手なのでは?転職サイト系の巧妙な刷り込みの結果、表面的な理解のまま腰を据えるという発想にならず、結果、こういう衝突が起こる。 | |
安定志向の若者も多いような気がしますけどね。バリバリ働かず、目立たないようにそーっと居るだけでお給料が欲しい、みたいな。 | |
結局、腰を据える気がない人を相手にするには、ジョブを明確にするしかないんじゃないのかってこと。 | |
腰を据えることの重要性みたいなところから教えないとダメなのかしら。 | |
重要かどうかはわからないです。その気がない相手にどう対峙するかだなあ。 | |
「腰を据える」かぁ…。腰を据えたいと思うかどうかも環境次第な気もしますが。 | |
腰を据えるというのは、終身雇用と同義ではないです。しっかり取り組もうという姿勢のことです。 | |
辞める前にもう1年とか2年とか、一旦その場で自分が頑張ったらどう変わっているかを考えてほしいですね。 | |
新入社員の方々には、「目の前の業務、目の前の先輩や上司だけを見て会社全体を判断しない方がいいよ」、「すぐに『辞めます』とならない方がいいよ」とも言いたい。もちろん、精神を病んでしまうまで我慢する必要はないけど、ちょっとした我慢は必要なんじゃないかな。 |
〈会社を嫌いになんて…なりたくないよ〉
ただね、「上手くいっていない大人」「会社も仕事も大っ嫌いな大人」ばかり見ていたら、若者が不労所得に憧れるのもわかる気もします…。きちんと、働く意義とか、何か「快」な要素があることを、もっと大人が伝えたいんですけどね。 | |
「アーリーリタイア(早期リタイア)」ってやつですね。そういえば、多くの日本人は、世界的に見ても最も会社を憎んでいる(※)らしいですよ(笑) (※)橘 玲『もっと言ってはいけない』株式会社新潮社, 2019. pp.235-236 |
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ギャラップ社の調査では、日本の仕事への熱意や職場への愛着を示すエンゲージメントは、145カ国中最下位だったという記事を読みましたよ。(なぜ日本人は「仕事への熱意」が145カ国で最下位なのか…日本人の「生産性」を高めるために必要なこと なぜ「スピーチの内容」より「英語力の有無」が気になるのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)) このままでは、Aさんも会社を嫌いになってしまいそうで。問題社員化のきっかけにもなりそうで。 |
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そう言えば、明石家さんまの『ホンマでっか!TV』で「親が子供の前で仕事の愚痴を言うのは良くない」という話がありました。大泉洋をはじめとしたTEAM NACSのメンバーの中で「誰が一番良い父親か?」みたいなコーナーがあって、大泉洋や安田顕が子どもの前で結構愚痴を言ってしまうことに対して、専門家からのコメントがあったという流れだった気がします。 | |
会社を憎んで辞めていくってことですか?憎みながら働いている…?(震) | |
憎みながらも辞めないんですよ。多くの日本人は遺伝的に「環境を変えることを過度に恐れて、ムラ的な組織(タコツボ)の中に閉じこもって安心しようとする」(※)そうです。 (※)橘 玲『もっと言ってはいけない』株式会社新潮社, 2019. p.235-236 |
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憎らしい会社だから、骨の髄まで吸い取って、滅茶苦茶に壊したいのかな、と思うような、ハードタイプの問題社員さんもいる気がします。容赦なく、取れるものは取りたいし、内側からの方が壊しやすいから辞めないのかな、って。 | |
憎しみは連鎖するし、その拡散力はより強い。 | |
憎しみかぁ~。辛い感情ですよね。 | |
そう、辛いですよ。私も2つ目の森は本当に憎く思って辞めました。私だって好きで憎んでいたわけじゃない。後に、行政官庁から業務停止をくらっていたので、なんかちょっと「敵討ち」してもらったような気分になりました(笑) | |
業務停止?…たくさんの人に憎まれていそうですね。Aさんや新人さんの間でも憎しみが生まれてしまうのは避けたいですよね。Aさんには生まれつつある気もしますが…。 | |
Aさんには、健やかでいてほしい。 | |
憎しみを持つ前に、「では、この状況を変えるために、自分には何ができるだろうか?」、誰かが変えてくれることを待つ前に、「どうしたら、自分がやりやすくなるか、働きやすくなるかな?」という自問はしたかということは気になります。 まず、自分にできそうなことをやってみてから、結論を出した方が、たとえ結果が同じだったとしてもその後が変わる気がします。病気で言うと、予後の回復が良い。みたいなイメージで。 |
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Aさんにもできることがある、ということ?まぁそれはそうだけど、厳しいなぁ。業務をハラスメントだという新人さんと、まともに指導もできず、なぁなぁで済まそうとする上司にはさまれているAさんが、何か自分からアクションを起こすには、共感してエネルギーをもらえる味方が必要だと思う。 Aさん、私たちは味方だよー。だから、新人さんの教育方法について、一緒に考えてみようね。 |
〈研修は大事!〉
さて、じゃあこの新人さん、どうしたら電話に出てもらえますかね?Aさんがどんな風に教えているかが気になりますが…やっぱり教育・研修は大事だと思います。 | |
以前の森は派遣社員さんに電話の一次受けをしていただいていたのですが、マニュアルもあり、そのマニュアルに沿って、1、2回練習するということをしていました。派遣社員さんは、色々な会社での経験がある方も多いので、その会社のお作法を説明すればスムーズに電話受付をしていただけていました。 新入社員に電話を受けてもらうことをその会社が業務とするなら、まずはそういう導入研修をすれば良いのではないでしょうか。 |
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そういえば、某お客様からも、「社員が電話に出なくて困っている」と相談を受けたことがあったなぁ。年齢関係なく、苦手意識をもっている人はいると思います。 実は私も、この森の電話は苦手です。誰につないだらいいのかさっぱりわからない電話が来るので。会社のことがわからないと、電話に出るのは難しいですよ。特に代表電話は。 |
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代表電話はそうですよね。どの部署に取り次ぐかどうかを判断しないといけないですし。 | |
私が最初に嫌だったのもそれが理由です。でも、数を受けていると把握できてきましたけどね。 | |
でも、先に教えてほしい。その方がよほど効率的。 | |
私がこの森に来たときは、他チームの先輩が「自分が入った時に教えてもらえなくて大変だったから」と、細かい電話対応のお作法(どういうときに誰に繋ぐ、まれにかかってくるイレギュラーケースの対応等)をとりまとめた資料で説明してくれました。Aさんのところも部署としてきちんと教育・サポートできる体制を整えられるといいのですが…。 | |
その資料、ネコも欲しかったなぁ…。最初の森は、社内電話なら役職名を間違えると叱られるところだったのですが、かわりに全員の名前と役職がわかる表をしっかり配ってくれていました。外線も、どこの部署がどういう案件を扱っていて、困ったときは誰に回すといいかを教えてもらっていたので、それほど困ることもなかったんです。やっぱり、ある程度の教育は大事ですよ。「新人だけで全部取れ!」も無理でしょう。サポートは必要! | |
だね。一人ぼっちだったら参っちゃうかもね。 | |
教えなくてもできるわけがないですもんね。 | |
私が新卒のときに受けていたのは代表電話ではなかったのですが、すぐ左隣に直属の係長がいて、困ったらすぐ「かかりちょー!」って感じで助けてもらってました。右隣にはメインバンクからの出向者もいて、その人から電話のマナーを教わりました。部署の人はみんな優しかったので、私が多少聞き間違えても許してくれました。結論としては周りの人たちに恵まれたんだと思います。 | |
それ!それが教育だし、サポート体制だよ!マニュアルや座学研修だけが教育じゃないよね。そうか、だから乗り越えられたんだねー。それだったら「過大な要求」でもないと思うよ。 | |
ところで、電話がかかってくる頻度自体が20年前、10年前より各段に減っていますよね。今そっちの部屋では、いまだに結構かかってきてます?我々の部屋では、お客さんから外線電話がかかってくることは1日に1本もないこともあるぐらいです。 | |
担当者の携帯ダイレクトが多いイメージですね。 | |
ですよね。例えば、米では職場のデスクが個人ごとに仕切られていて、自分以外にかかってきた電話に対応したりする習慣がないですよね。 | |
先ほどお話した森は、ある時期に固定電話ではなくスマホへのダイレクトラインに切り替えられました。共通の電話は、総合受付が受けて個人につなぐというやり方だったので、他者の電話を取ることはないという状況でした。会社がそういう仕組みを取れれば、電話問題は解消しますけどね。 |
〈まとめましょう!〉
会社にも上司にもAさんにもそれぞれ問題はあれど、何でもかんでもハラスメントというのはやめようよ。どうしたらよいかの問題提起という形ならウエルカムだよね。 | |
そうですね、何でもかんでもハラスメントといったり、人のせいにしたり、そういう思考に陥ると、本人にとってもマイナスの方が大きくなるということを知ってほしいですね。 | |
なんかもう冗談みたいな感じでハラスメントが命名される中で、このケースの上司はしなかったですが「それはハラスメントじゃない」とはっきり言う場面も必要ですよね…。 | |
新人さんには、落ち着きを取り戻してほしい。大丈夫、電話くらい取れようになる! | |
実際、この新人さんのこれからの長い長い社会人生活を考えると、電話対応に限らず「やりたくないからやりません」という姿勢になると困ったことになりません?下手すると、できないままで社会人生活が終わってしまう可能性がありますし、誰からも仕事を任せてもらえない未来が待っているような気もします。新人なんだから、できないことが多くて当たり前です。会社としても「やりたくないからやりません」をそのまま聞き入れるのではなく、「できるようにするには、どうしたらいいのか」に舵を切らないと。 | |
そう!できないままでは新人さんのためにならないよ。だから、今は「できない!」「怖い!」「やりたくない!」で混乱している新人さんに、一回落ち着いて、過去の「できるようになったエピソード」を想い出してみてほしいな、と思うんです。「大丈夫。今回もきっとできるようになるから、やってみようよ」に誘導したいんです。 これも過保護なんでしょうかね。でもいきなり厳しくして、「自分一人でどうにかしろ!」を叩き込もうとするより、「あの時も自分はできたのだから、挑戦してみよう!」と自分で思えるように、(本当にできたことに対しての)自己効力感とか自尊心を育んでいった方が、お互いに気分よく、効率的だと思うの。試練を乗り越えるには、立ち向かうための勇気が必要。勇気を出せるところくらいまでは、周囲がちょっとお手伝いしてもいいんじゃないかな。 |
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新人には身近なところから、達成感や成長してる実感を得てもらう…そういう取り組みに力を入れる必要があるんでしょうね。 | |
このケースの場合、「仕事って何だろう(仕事は自分の楽しみだけを追求するものではない)」とか「ある程度のストレス要因にさらされることも必要」とかそういうレベルの教育すら必要な気がします。強く生きるには、ある程度のストレス要因にさらされないと駄目なんですよ…と、リスク管理の専門家や教育者たちが言っているとSPNの眼で(※)書きました。 (※)▼【第2回】企業不祥事の原因は企業風土!企業に求められる道徳とは!?~論理的に説明しきれないコンプライアンスの世界~ |
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たしかに私もそう思う。でもそれ自体古いのか?そんなことないよね。 | |
古いか新しいかで言われると古いのかもしれないですが、人間の免疫力だって多少の細菌やウイルスにさらされないと強くならないですよね?精神力もそれと全く同じで、PTSDの治療でも敢えて段階的にストレス要因に接することで耐性を付けるということをします。古いか新しいかではなくて、科学に依拠した話なので「科学的な根拠に基づいた教育方針だ」と堂々と胸をはって良いと思いますよ。(※) (※)▼【第2回】企業不祥事の原因は企業風土!企業に求められる道徳とは!?~論理的に説明しきれないコンプライアンスの世界~ |
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一方で、今の時代は、そんなに嫌なら、嫌なことを避け続けて、自分の「快」を追求し続けてみても良いのかな、とも思います。結局、自分の行動は自分に返ってくるので。「快」を追求し続けることで新たな道が見つかり、そちらが合うかもしれませんし。結局は、自分が納得できるかどうかかなと思います。ただ、今のことだけではなく、一度立ち止まって、5年後、10年後、20年後…と、自分が生きていくことを想像してから行動に移しても遅くないよと、新人さんには伝えたいですね。 |
「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
職場のトラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!
※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。