HRリスクマネジメント トピックス

「私の評価に納得できない!」SPNの森 動物たちが語るHRリスクマネジメント相談室

2025.03.24
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職場におけるトラブルは、様々な要因が複雑に絡み合って起きるもの。複合的な視点でとらえないと、真の問題解決には至りません。

悪事に手を染めるのも人ならば、素晴らしい成果をあげるのも人!どうしたらトラブルを抑えられるだろう、どうしたらもっと力を合わせ、のびのびと力を発揮できるだろう?

SPNの森に生息する動物たちが、今日もチャットで語り合います。

【SPNの森に生息する動物たち<プロフィール>】
みみずくさんのイラストみみずくさん:
SPNの森のお目付け役。愛らしいフォルムと裏腹に、猛禽類らしい鋭い目線で最新のリスクをチェック!さらに森の仲間たちの文章もチェック!夜行性?うーん、夜中に起き出して活動を始めるから、夜行性なのか早起きなのか…?


黒豹さんのイラスト黒豹さん:
黒いのは、ゴルフや釣りなどアウトドアライフのせい? SPNの大阪の森や福岡の森を棲み処としていたこともあり生息域は広い。20数年前に内部通報窓口の受託運営サービス「リスクホットライン®」を立ち上げたのは実は…。


モモンガさんのイラストモモンガさん:
小さな皮膜で滑空する夜行性。特定社会保険労務士、産業カウンセラー、ファイナンシャルプランナー。そこそこ長い会社員経験をおなかの袋から取り出しながらSPNと会員企業様の森を飛び回ります。


リスちゃんのイラストリスちゃん:
森の中を駆け回り、皆さんのお困りごとに対応します。最近、森のパトロールエリアが変わり、内部通報に触れる機会が多くなりました。人の数だけトラブルやお悩みがありますね。ご相談には変わらずお答えしていきますよ。


ペルシャ猫さんのイラストペルシャ猫さん:
ゆったりと過ごすことが好きな猫。ゆったりと過ごしたいが、過ごせなかった過去を持つ。社会保険労務士のほか財務会計の資格もあり、人事労務と財務会計分野の実務経験が長い。SPNの森では日増しに内部通報制度との縁が深くなっています。


キリンさんのイラストキリンさん:
去年の夏から相談室のレギュラーメンバーになりました!長ーい首で会社のことを見渡せるよう、ペルシャ猫さんの勉強会に毎週リスさんと参加中。この森に来てそろそろ丸2年。セミナー講師デビューを控えて準備中!


ネコさんのイラストネコさん:
当相談室の留守番ネコ。猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。保有資格は、社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等。自分と合わない考えを、一切受け付けない人と話すのは疲れるニャ…。

今月は、専門職として働く中堅社員Aさんからの相談です。

絶対に認めない!!!なぜ私の評価が「C(期待を下回る)」なのか!(怒)

当社では、期初に目標を設定し、その達成度合いによって、賞与や昇給額が変動します。その評価は、組織図上の上司である部長と、その上の本部長によって決まるのですが、私は専門職であり、2人とも私の仕事を全く理解していません。

私の仕事は、成果として形になるまでに時間がかかり、しかもスタート時点での調査や準備が重要なんです。メインの担当は他のメンバーですが、私もプロジェクトの一員として、質問に答えたり、意見を求められたら返答したりと、下準備に協力していました。いよいよ成果が形になりそうな時期だったので、今期の最大の目標として掲げてあったのですが、他部署の都合で、このプロジェクトが3か月前に中止になってしまいました。

…そうしたら、評価の際にいきなり「このプロジェクト分は目標から外す」と部長に言われて!

最も大きな成果をアピールできるはずのプロジェクトですよ?それを今更「なかったこと」にするって、どういうことですか!!

しかも、3か月前の、中止になったときには何も言わず。目標の調整をしましょうとか、新たな目標に入れ替えましょうとか、そういう面談も一切ありませんでした。

制度上、チャレンジングな目標を入れておかないと最高点が下がるんです。今期は、あのプロジェクトを外したら、MAXでも100点にしかならず…それはつまり、他の目標で全て満点を取ってやっと「A(期待を十分に満たした)」で、8割を超えないと「B(おおよそ期待通り)」にもならないということです。

こういう目標制度って、戦略が大事じゃないですか。どのタイミングで、何をアピールするかによって、達成度が変わるでしょ?大きな目標に力を入れれば、その他の雑魚目標の達成度が低くても、帳消しにできるんだから。

部長に文句を言っても埒が明かないので、今日、本部長に「目標変更には納得がいかない」と言いに行ったんですよ。そうしたら本部長は、「もう評価会議で決まったことだから」と。いやいや、プロジェクトを中止したヤツか、または3か月前に目標変更を打診してこなかった部長の責任でしょう!

とにかく、私の責任ではありませんから、この評価は無効で、私の評価は満点の「A」とすべきです!そうですよね?SPNの森の皆さん!

ニャァァ、そんなことを言われても…。

ネコの手には負えないので、SPNの森の仲間たちを呼び集めるニャー。

〈相談者Aさんって…〉

ネコさんのイラスト …突っ込みどころだらけですね。相談者であるAさん本人も、上司も、制度も。
ペルシャ猫さんのイラスト まずAさん本人について話し合いますか?私がまず気になったのは、「大きな目標に力を入れれば、その他の雑魚目標の達成度が低くても、帳消しにできるんだから」と、「私の評価は満点の「A」とすべきです!」あたりですかね…。他の目標が低くてもいいと考えているのに、なぜ満点をもらえると思っているのか…と。他の目標で「C」になっていると、全体的な評価結果は「A」どころか「C」になると思います…(苦笑)
ネコさんのイラスト こういう、「見せ方」「評価者へのアピールの仕方」ばかり気にして、テキトーな仕事をする人、キライっ!
ペルシャ猫さんのイラスト 「キライっ!」って言っちゃいましたね(笑)うがった見方かもしれないですが、Aさんは「(上司)2人とも私の仕事を全く理解していない」のを、自分の都合の良いように利用しようとしているようにも見えました。つまり、「全く理解していない中で、評価者は心理的に低い評価をつけにくい」という前提の下で、Aさんが「自分がごねたり、自己評価で上手く表現すれば、評価がAになるんじゃないか」と考えているように思えました。
リスちゃんのイラスト 私も「雑魚目標…」のところが気になりました。評価に納得できない気持ちで興奮しているのかもしれませんが、プロジェクトへの思いが強い分、その他の仕事を見下したり、軽視したりしていないか、振り返ってみてほしいです。そのような思いって行動にも表れてしまいがちですし…。
ネコさんのイラスト 本当に、そんな重要な準備をしていたのかな?他の人がメインで担当している案件に、ちょっと意見を言ったくらいで、「やりました!」とアピールしようとしているんじゃないの?
ペルシャ猫さんのイラスト 仮にこのプロジェクトが生きていたとしても、Aさんの貢献度がどれくらいだったのか、相談内容だけだと判断しにくいですね…。
ネコさんのイラスト 他人のふんどしで相撲を取るタイプ、キライっ!あと、「こうやって点数をつけておけば、上司のところでこう調整されるから」とか「こう書いておけば、上司へのアピールになる」とか、「上司攻略テクニック」みたいなことばかり吹いている人、結構見かけます。これにあっさり騙される上司もいて、びっくりで。前の森で、評価制度を刷新したことがあったのですが、いろいろ悩んで、工夫して作っても、こうやって骨抜きにされるんだな…って。
みみずくさんのイラスト 「上司のところで調整」で思い出したけど、目標制度と年功序列がミックスされた評価に失望したこともあったなぁ。今回は先輩を上げなきゃいけないから我慢して、みたいなやつ。

〈「評価」に不服なときは…?〉

黒豹さんのイラスト 人事考課の時期になると評価に関連する通報がリスクホットライン®にも多く寄せられますよ~。
キリンさんのイラスト そうなんですね…!第三者窓口に人事評価について相談しても、「話し合ってください」としか返事できないように思いますが、どう対応するんですか?
黒豹さんのイラスト 背景を辿っていくと、評価者する側に、評価される側の気持ちへの配慮が足りなかったりするケースが多いかな。でも一方で、今回の相談者Aさんのように、評価される側の自己評価が異様に高かったり、評価制度を勘違いしていたりする人も少なからず…なので対応もケースバイケースですが、確かに「話し合ってください」に尽きるとも言える。ただ、誰がどう向き合うかによって解決(収束?)までにかかる時間が大きく変わってくるというのは言えるかな。
キリンさんのイラスト 話し合いの重要性も感じますが、意識のすり合わせが雑になると余計に関係性がこじれそうですね…。
黒豹さんのイラスト そうね。どうやっても折り合いがつかないケースもあるしね。
キリンさんのイラスト 納得させることがゴールではないとも思いつつ、毎年不満が解消されないままになってしまうと、更にモチベーションが下がったりで、お互いよくない関係性になってしまうように感じます。そうなると異動も効果的とは思いますけど、解決とは言えないような…。
ペルシャ猫さんのイラスト 前の森では、評価への不満に関しては「苦情申し立て制度」がありました。一次評価者⇒二次評価者⇒最終評価者⇒苦情処理委員会の順で苦情を申し立てることができます。苦情処理委員会の委員は労使同数で、労働組合のある拠点では、労働側に労働組合の組合員が入っていました。
黒豹さんのイラスト 「苦情申し立て制度」…。今、内部通報制度がそのような窓口になっている会社もあるような気がするなぁ…。
ペルシャ猫さんのイラスト 苦情申し立て制度がない会社なら、内部通報制度の方に行くでしょうね。
黒豹さんのイラスト 色々な苦情を見てきて、その要因や背景を考えてみた時に、評価される側一人ひとりの気持ちを想像しながらフィードバックするのが大事なんだと最近改めて思います。例えば、同期や同じ業務をしている誰かを昇格させた場合、昇格させなかった人たちに、より時間をかけて向き合う。そして、今回の評価の理由と、昇格するためには何をすればいいのかを丁寧に伝えれば、納得が得られずとも苦情は減ると思います。
ペルシャ猫さんのイラスト 「同期に先を越された」と退職してしまった人を知っております…(苦笑)端から見れば、「プレイヤーとして優れているのと、マネージャーとして優れているのは別の話で、あなたはプレイヤーとしては優れているかもしれないけど、あなたの同期はマネージャーの素養もちゃんとあったよ」と思ったのですが、他部署の人でしたし、私も正確な状況が分からない状態で相手を傷つけても良くないと思ったので、この点は何も言わずにお見送りしました…。

〈評価する人とされる人のコミュニケーション〉

リスちゃんのイラスト 今回のケースはそもそも上司・部下間でのコミュニケーションが破綻していそうな気配がありますね。普段は必要なコミュニケーションをとれているのでしょうか。
ペルシャ猫さんのイラスト 私がうがった見方をしてしまったのはまさにそこで、Aさんは評価者たちが自分の状況を知らないことを良いことに、「自己評価の段階で(嘘でもいいから)いろいろ書いておけば、評価してくれるだろう」と思っていて、今回中止したプロジェクトは特に評価者たちの目が届きにくかったのでは?と(苦笑)
みみずくさんのイラスト 「目標制度は戦略」と言い切るところがズレてるなと。戦略と思うなら、リカバリーも想定しとけって感じだな。
ペルシャ猫さんのイラスト 私も、「そもそも何で自分から部長たちに、『プロジェクトがなくなるなら、目標を見直したいです』と言わなかったのか?」と思いました。
キリンさんのイラスト 調査や準備が重要な業務なのに、中止になったことを理由に上司から目標から外すとだけ言われると、人事評価に納得できないのもうなずけますが、Aさんもその準備した内容をちゃんと共有してないのでは?と疑問に思いました。
ネコさんのイラスト 調査や準備が重要だというなら、調査や準備の段階で、目標として掲げておくはずでしょう?「準備が重要で、こういう準備をした」ということを、上司と共有していないのはおかしいよ。
キリンさんのイラスト Aさんも準備などを一人で進めて、それを共有せず評価の段階で不満が爆発している様子なので、つくづく情報共有って重要なんだなと思います…。それを把握しようとしない(できない?)上司と組織も問題ありとも思いますが。どっちもどっちですね。
ネコさんのイラスト 成果が出そうになった時期を見計らって目標に挙げるってそもそもおかしい。それを目標設定の段階で見抜けない上司もおかしい。仕事のことを全く把握していない上司が評価者になるような制度もおかしい。

〈職種による違い〉

ペルシャ猫さんのイラスト あと、気になったのは、Aさんの「専門職」って、どういう専門職なんでしょうか?例えば、前の森で「調理助手」という職種がありまして、給食のために、キャベツなどの野菜を大量に切ったりする仕事なんですが、ある調理助手の目標が「キャベツをちゃんと切る」で、「目標設定がなじまない仕事ってあるんだな…」と思ったことがありました。Aさんの仕事も、そもそも目標設定になじまないのであれば、Aさんが無理やりにでも大掛かりなプロジェクトに関与するこじつけをしようとする気持ちも、分からんでもないかな、と。
ネコさんのイラスト 「私の仕事は専門性が必要だから」って、仕事をブラックボックス化させる人の常套句なような気がするけど…。
ペルシャ猫さんのイラスト 「専門性=垣根」とも言えるわけで、他の人がお互いの仕事が見えないと「他人事意識」になってしまって、牽制機能も働かないですからね…。SMBC日興証券の不祥事の原因(※)にもなっていました。
(※)2022年06月24日 調査委員会「調査報告書(開示版)」
みみずくさんのイラスト だとしたら、目標には、優秀な人間のやる気やエンゲージメントを削ぐ効果しかないよね。
黒豹さんのイラスト 激しく同感!!
モモンガさんのイラスト 目標管理制度の場合、制度設計と考課者研修をしっかりやらないとこういうことは起こりますよね。年功序列の風土が残っていたり、目標が明確になりにくい職種だったり、成果が出るまでに長期間を要するような業務では、逆効果になることもあるようですしね。
ペルシャ猫さんのイラスト ハロー効果、寛大化、中央化…みたいに評価エラーはたくさんありますからね…。
ネコさんのイラスト 職種によって、求められることは違うから、売上とか利益率みたいな数字ばかりでは示せないし。少なくとも、対話は必要だと思うんですけどね。どんな人になってほしいか、どんな仕事を期待しているか、何をいつまでにやって欲しいか。やりたいこと・挑戦したいことと、やってほしいことをしっかりすり合わせるのって大事だと思う。
みみずくさんのイラスト 営業なら数字で見えやすいけどね。でも、営業は「数字達成」のために、個人の目標はいったん置かれることもある。
モモンガさんのイラスト 管理部門の目標は、営業とはまた違った難しさがありますね。担当業務によっては、毎回同じことを書かざるを得なくて悩ましいという話も聞きます…。
みみずくさんのイラスト それは成長につながるの?ジョブ型だと理屈に整合が取りやすいような気もする。
モモンガさんのイラスト 管理部門でも、部門の目標に応じて、個人の目標が変化することはもちろんあるでしょうし、個人の成長に伴って役割自体が変化したり、業務範囲が広がったりすれば、自ずと目標も変わっていきますが、そういう変化がなく、部門の一端を成す場合は、チャレンジングな目標設定や目覚ましい成果のようなものは出しにくいですよね。というか、無理にそんな目標を立てる必要もなくて、担当業務を着実に完遂すること自体が立派な目標だと思いますが、毎回同じことを書くと、成長していないように見られたり、自分の努力が足りないように感じてしまって、目標や成果を書くたびに、落ち込むという人もいるようです。
ネコさんのイラスト 同じことを確実にやるのが仕事なら、それも認めてほしいのだけれど。無理に高めなくても、淡々と日常業務をこなしてくれる人って、とーっても大事だと思うけどなぁ。成長も昇給も、望む人もいれば、望まない人もいる。定期的に新人さんが配属されるわけではないなら、無理に全員に「成長」を押し付ける制度には抵抗がある。
みみずくさんのイラスト 年功序列的な要素が残っていると、求める水準も変わっていくから、評価は下がる可能性があるよね。
ネコさんのイラスト そうそう下に人が入ってこない中小企業では、「何年経っても、私の仕事はこれ」と、「ゆるジョブ型」が浸透していることもあります。それなら、例えば定型業務をミスなくこなしているのに、評価やお給料が下がるのはおかしいよね。お給料が頭打ちになるのは仕方ないけれど。

〈制度そのものにも不備が…〉

みみずくさんのイラスト そもそも評価できない人が評価する仕組み自体も問題だな。
ネコさんのイラスト 評価制度って、とーーーっても大事だと思います。仕組みや運用に問題があると、簡単に悪用できてしまう。
みみずくさんのイラスト 目標自体が適切か、目標への到達度はどうか、なんか、間近でみてないとわからないはず。しかも、間近な人は「人間関係」という主観のフィルターがかかりやすい。つまり、評価制度は最初から正しく機能しないようにできているってこと。だからこそ、多くの企業で評価制度の評判が悪い。
黒豹さんのイラスト ほんとほんと!
ペルシャ猫さんのイラスト Googleなどのアメリカ企業ではもう人事評価制度を止めているらしいですね。人事評価制度にはパフォーマンスを上げる効果がないという研究結果もあるそうです。
リスちゃんのイラスト 都度こまめにフィードバックするんでしたっけ?
ペルシャ猫さんのイラスト そうですね。半期に1回、年に1回、賃金に反映するような重いフィードバックをするよりも、その都度フィードバックする方がパフォーマンスが上がるらしいです。
ネコさんのイラスト アメリカは解雇のハードルが低いけれど、日本は、「この人は、この業務はうまくいきませんでした」「こんな取り組みをしましたが、活用が難しいです」とか、評価制度を解雇や降格のエビデンスづくりに使ったりするから…必要なのかも。
ペルシャ猫さんのイラスト 目標管理制度って、手段であるはずの評価そのもの(点数付けやランク付け)が目的化してしまって、本来の目的である日頃の上司部下のコミュニケーションがほったらかしになるらしいです。
リスちゃんのイラスト 手段の目的化ですね。
ネコさんのイラスト 給与や賞与の計算に間に合わせるためにやるのが「面談」になっていると、そりゃおかしい方に行くよね。さらに、「Aが〇%、Bが〇%…」とか、評価の枠に合わせて無理に優劣を付けたりすれば、まともに説明もつかなさそうだし。
ペルシャ猫さんのイラスト 目標管理制度で言うなら、本来は、

  • 組織としての目標の共有(組織としての目標そのものの共有と、それを一人一人に落とし込んだ時の表現の変更)
  • 組織内の進捗管理
  • モチベーションアップ(賃金に反映させることで、やる気を引き出す)
  • 目標設定、進捗管理、フィードバックを通じた、コミュニケーションの円滑化

あたりが目的だと思いますが、ちょっとやり方を失敗すると全部破綻するような気が…(苦笑)

〈「対話」が大事!〉

みみずくさんのイラスト 目標設定の大事さも考課者のスキルアップも理論的にはそうだけど。結局、半期に1回とか年に1回じゃ、状況も変わるし、そりゃ形骸化するよね。
ネコさんのイラスト 対話!!!半期に1度の面談で何ができるって言うのー!
モモンガさんのイラスト そこですよね。半期に1回の目標設定とその期間で成果が出せる仕組みになじむ職種や業務自体が限られているんじゃないかな、と思います。
ネコさんのイラスト 面談が半期に1度なら、少なくとも期間が半分過ぎてから言われるわけですから、今更どうにかなるの?と。だから、「都度フィードバック」って大事なんですよね…。
リスちゃんのイラスト タイミングや内容によっては時すでに遅しのこともありますもんね。「その時」に確認できれば、防げるミスなどもありそうです。
黒豹さんのイラスト 一人ひとりをちゃんと見ている管理職がいる組織は安定しているかもしれないね。
キリンさんのイラスト 理想というかゴールだけを示されても、どうすれば達成できるかを示されていないと不安に思いそうです。部下が多いと一人ひとりを見るのも難しいでしょうし…。
みみずくさんのイラスト 都度フィードバックの方が望ましいとして、最終的に給与に直結する評価をどうするかって…。構造的に無理筋のような気がする。
ネコさんのイラスト 目標管理って、本来は日々の仕事をスムーズに成果につなげるための仕組みだと思うんですけど…コミュニケーションを適当にすることで、そこが機能しなくなるような。評価制度の評判が悪いからと、「新しい制度」を作ろうとする会社があるけれど、本来は、今ある制度をしっかり運用するのが先な気がする。特に、目標自体のすり合わせとか、途中段階での見直しとか。
黒豹さんのイラスト ネコさんがこれまでに色々見てきて、「これがいい」って思った評価制度の例ってあります?
ネコさんのイラスト 前にいた森で、部署や役割によって「評価軸」を選べるようにして、加点要素になる項目と、減点要素になる項目の両方を設定する制度を作ったことがあります。
ペルシャ猫さんのイラスト 目標設定をすると同時に、評価軸も合わせて設定しておくということですか?
ネコさんのイラスト 上司が個別に軸を決めるんです。で、それを期のスタート時に説明して、すり合わせておく感じ。
ペルシャ猫さんのイラスト 期首の段階で、自分の目標とそれに対する評価軸が明らかになっているということですかね?
ネコさんのイラスト そんな感じ。目標に挙げた項目だけ頑張る人がいたので、「やって当然」「できて当然」のことをしなかったら、減点できるように作ったんです。全社でも50人くらいの会社で、個々に期待されていることが違うからできたのでしょうけれど。例えば、作業系で育成途中の人なら、「一人でミスなく処理できるようになること」は加点要素になり得るけど、長くその作業に携わっている人なら「ミスしたら減点」の方が自然、みたいな。
みみずくさんのイラスト 部下は一桁じゃないと無理だよね。
ネコさんのイラスト 営業部長でも十数人…でしたね。営業は数字で見えますし。
黒豹さんのイラスト 反応はどうだった?
ネコさんのイラスト 納得度は高まったと思いますよ。でも会社自体が親会社に吸収されて消えてしまったので…。
黒豹さんのイラスト そうだったのね。興味深いです。

〈期中での目標の調整〉

ペルシャ猫さんのイラスト 少し視点を変えて。今回の相談では、期中の目標の見直しについて、そもそも制度上存在しなかったのか、それとも制度上はあったけど部長たちが運用しなかったのか(あるいは、Aさん本人が申し出なかったのか)が気になりました。
ネコさんのイラスト 相談者から問題社員的なニオイがぷんぷんするので、部長や本部長も逃げ腰で、よけいにコミュニケーションが少なくなっているような。
ペルシャ猫さんのイラスト 私もそのニオイは感じました(笑)いろいろ丁寧に説明したりするより「もう決まったことだから」とゴリ押しした方が、ハレーションがあるかもしれないけど、サンドバッグのように我慢すればいずれ時間が解決するみたいな(苦笑)労働組合対応でもよくやる手です(笑)
ネコさんのイラスト どっちが折れるかですね。ゴネ得を狙う人もいそう。
黒豹さんのイラスト 本件のAさんが、組織内で孤立してしまい、何度も何度も会社や上司への不満を通報してくるリピーターさんと同じ道を辿らないように祈ります。
モモンガさんのイラスト 目標管理制度では、通常、期首と状況が変わったら目標を見直すことがセットになっていると思いますが、現実にそれをやれている会社や上司はそう多くはないということかもしれませんね。
みみずくさんのイラスト 期中の見直しといっても、半期に1回の定期ミーティングで話題になるかどうかって感じで、そういう機会がないとなかなか難しいよね。本人からはマイナス評価とされる可能性を感じて言い出しにくいし。上司もそこまで意識してマネジメントしているかどうかも疑わしいし。つまり、これも形骸化していることが多いんだろうね。
ペルシャ猫さんのイラスト 前の森のことを思い浮かべると、期中の人事異動があったときに、目標設定をし直した記憶はありますが、それ以外の状況変化では見直しまではしていなくて、評価のところで「予定外のことが起こったことを反映する」みたいな調整の仕方をしたような気がします。私の場合、東日本大震災の発生で、予算執行の状況が大幅に変わってしまったのですが、それが起こったのが期末の3月だったので、課長が評価のところで調整してくれたと記憶しています。
ネコさんのイラスト うまく調整する仕組みがあった、ということね。
ペルシャ猫さんのイラスト 評価シートに評価の調整欄があったんですよ。3月下旬くらいになって課長が声をかけてくれて、「震災でひっくり返っちゃったよね…」と言われた記憶があります。
ネコさんのイラスト 調整の仕組みは大事かも。ギチギチ・ガチガチだと、かえって悪用もされがち。「これさえやっていればOK」的な感じで悪用されないためにも、「そうはいっても」の余地は大事だと思う。

〈そもそも目標って、どう設定すべきだっけ?〉

ペルシャ猫さんのイラスト 話をAさんの件に戻しましょう。そもそもこの部長たち、プロジェクトの中止と目標管理制度がリンクしているということに、Aさんから言われて初めて気づいた可能性もありますよね…。こういうオペレーションって繰り返さないとなかなか実践されない気がします。
ネコさんのイラスト 誰にどんな目標を設定したかも、覚えていないんじゃないかな…?
ペルシャ猫さんのイラスト あり得ますね…。
ネコさんのイラスト 部署全員の目標の総和が、部署全体の目標達成につながるはず…なんじゃないの?前の森では、目標設定の仕方ということで、口を酸っぱくして説明していたのだけれど。
みみずくさんのイラスト 理想的には。現実は別物なんだろうね。本当に目標設定にしろ、評価にしろ、理屈ではきれいに描けても、運用するとすぐに形骸化してしまうものだよね。構造的に無理があるんだと思う。
ネコさんのイラスト 部門長の目標って、部門の目標とほぼイコールだったりしますよね。だとしたら、自分の目標を達成するためには、部下の目標が達成できそうか?って、とても気になることだと思うのだけれど…。途中で「このままじゃ達成できないかも?」と思ったら、部下と面談するとか、割り振りを見直すとか、やることあるよね。
ペルシャ猫さんのイラスト たぶん、Aさん以外の部下がうまく回してくれれば達成できてしまう可能性もありますよ…(苦笑)
みみずくさんのイラスト 目標達成は意識しても、その過程では評価と結びついていないのでは?
ペルシャ猫さんのイラスト 目標達成そのものに意識が向いて、そのためのプロセスである部下の貢献度にまでは目が向かないってことですよね?
みみずくさんのイラスト そうだと思う。
ネコさんのイラスト うーん。難しい。
みみずくさんのイラスト 結局、成果を出すために、その時点で「使える」部下を投入するからね。誰のどういった目標があったなあってとこまで考えられるなら素晴らしい管理職。
ペルシャ猫さんのイラスト 部下一人一人の貢献度をはかったり、そのバランスをとったりしなくても、目標を達成できてしまうからですよね?極端な話、Aさん以外のBさんだけが頑張れば目標達成ができるなら、上司としてはBさんだけを投下すれば十分みたいな…。
ネコさんのイラスト 部下って、何のためにいるんだっけ?部下を使って成果を出すのが、管理職に求められていることじゃなかったっけ?
みみずくさんのイラスト 管理職の多くは、部下を使って成果を出すことと、個々の目標設定がその時点で結びつかないのでは?その時、上手くいった部下を高く評価するということになる。
リスちゃんのイラスト 部下側の主体性も重要ですよね。Aさんは、自分の評価に関することなのに他人事みたいに捉えていて、他責の雰囲気もありますし。

〈まとめましょうか…〉

ペルシャ猫さんのイラスト そろそろまとめると…こんな感じですか。

  • Aさん本人について:もともと目標管理制度を自分の都合のいいように悪用しようとしていなかった?プロジェクトの中止を知ってすぐに部長たちに目標の見直しを進言しなかったのは何故?
  • 制度そのものについて:Aさんの仕事に目標管理制度が馴染むのか?目標の見直しをする(あるいは評価で調整する)制度になっていたのか?賃金に反映させる制度そのものが無理筋では?
  • 評価者について:プロジェクトの中止と目標管理制度が紐づいてなかったのでは?そもそも目標管理制度を軽視していたのでは?Aさんのことを、面倒だと思っていなかった?
ネコさんのイラスト うん、そんな感じだね。まとめてくれてありがとう。
モモンガさんのイラスト 「この後どうする?」を考えるなら…。上司や人事が覚悟を決めて、Aさんと向き合って、説明することは必要でしょうね。たとえAさんが納得しなくても、目標管理制度を運用していく上では、大事な行程だと思います。上司もマネジメント不足があったなら、謝るべきことは潔く謝って、「とはいえ、こういう理由で、今回の成果の適正な評価はこうですよ。次回の目標設定の際は、こうしてください。途中で状況が変わったら、報告して、再設定してください」ということを改めて説明して、運用を適正化していくことが大事だと思います。こういうことをあいまいにしてしまうと、溝が深まり、より悪い方向へ行きがちなので、面倒だと思うことほど、芽の小さいうちに、しっかり向き合っておくことを上司にはお勧めしたいです。
ネコさんのイラスト そうね。少なくとも、「だから私の評価はA!」は絶対に阻止!

「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。

職場のトラブル解決と、もっと力を発揮できる職場づくりに向けて、SPNの森の動物たちは今日も行く!

※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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