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  • 金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化(金融庁)/犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和3年)(警察庁)/令和4年第2回経済財政諮問会議(内閣府)/第74回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)

危機管理トピックス

金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化(金融庁)/犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和3年)(警察庁)/令和4年第2回経済財政諮問会議(内閣府)/第74回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)

2022.03.08
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更新日:2022年3月7日 新着29記事

パソコンの前で話す男性2名
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化について
  • 「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント」の公表
  • 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」及び「中小企業活性化パッケージ」の公表について
警察庁
  • 令和4年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和3年)
内閣府
  • 令和4年第2回経済財政諮問会議
  • 令和3年度 企業行動に関するアンケート調査結果
  • 第1回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ
消費者庁
  • 連鎖販売業者【株式会社ARK】に対する行政処分について
  • 【若年者の皆様へ】消費生活相談窓口情報
国民生活センター
  • 18歳から“大人” 18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル 最新10選
  • ブリーダーからのペット購入 信頼できるか考えて
  • ふたを開けようとして指にけがをした調味料入れ(相談解決のためのテストからNo.163)
  • 組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車-正しく組み立てができないと事故の危険も-
  • ロマンス投資詐欺が増加しています!-その出会い、仕組まれていませんか?-
  • 【若者向け注意喚起シリーズ<No.10>】新しいお部屋で新生活!「賃貸借契約」を理解して、トラブルを防ごう!!
厚生労働省
  • 入国後の自宅等待機期間の変更等について
  • 第74回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年3月2日)
  • 第2回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ資料
経済産業省
  • 日野自動車(株)の排出ガス・燃費性能試験における不正行為に対して、事実関係の究明等の指示を行いました
  • 「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書(案)の意見公募手続(パブリックコメント)を開始しました
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第2作業部会報告書を公表します
国土交通省
  • 通学路における合同点検の結果について
  • 「エコレールマーク」の認定について
  • 多様な働き方・暮らし方を支えるファンドが本格始動!~テレワーク拠点等の整備を支援するファンドに対し、新たに複数の出資が決定~

~NEW~
警視庁 オウム真理教の危険性
  • オウム真理教とは
    • オウム真理教(以下「教団」といいます。)は、麻原彰晃こと松本智津夫が教祖・創始者として設立した宗教団体で、かつて、同人の指示のもと、宗教法人を隠れ蓑にしながら武装化を図り、松本サリン事件、地下鉄サリン事件等数々の凶悪事件を引き起こしました。
    • 平成30年7月、一連の凶悪事件の首謀者であった松本をはじめとする13人に死刑が執行されましたが、その後も教団の本質に変化はなく、松本への絶対的帰依を強調する「Aleph」をはじめとする主流派と松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名のる上祐派が現在も活動しています。
  • 教団による凶悪事件
    • 平成元年 信者リンチ殺人事件、弁護士一家殺害事件
    • 平成6年 元信者リンチ殺人事件、サリン使用弁護士殺人未遂事件、松本サリン事件、信者リンチ殺人事件、VX使用殺人未遂事件、VX使用殺人事件
    • 平成7年 VX使用殺人未遂事件、公証役場事務長逮捕・監禁致死事件、地下鉄サリン事件
  • 教団の勧誘活動
    • 教団は、毎年100人程度に上る多数の新規信徒を獲得しています。
  • 特に「Aleph」は、組織拡大に向け、教団に関する知識の少ない青年層(30歳代以下)を主な対象とする勧誘活動を積極的に行っており、あらゆる機会を設けて一般人と接点を持ち、教団名を秘匿したヨーガ教室などに誘って人間関係を深めた後に、教団に入会させています。
    • 事例 主流派「Aleph(アレフ)」による勧誘活動の例
      1. 導入 家族や知人への働きかけ、路上や書店における声掛け、SNSでの呼び掛け等により、教団による一連の事件を知らない青年層を中心に接近する。
      2. 人間関係の構築 連絡先を交換してカフェでのお茶会等に誘い、教団名を伏せた仏教の勉強会やヨーガ教室に参加させ人間関係の構築を図る。サクラの信者1、2人が勉強会やヨーガ教室に参加して悩みを聞くなどし、一般参加者であるように装って被勧誘者の抵抗感を取り除く。
      3. 入信 教団名を徹底して伏せた上、一連の事件は国家ぐるみの陰謀と説明するなどして、教団に対するイメージを変化させていき、抵抗感がなくなったことを確認した段階で初めて教団名を告知して入信させる。
  • オウム真理教対策の推進
    • 警察では、凶悪事件を再び起こさせないため、教団の実態解明に努めるとともに、厳正な取り締まりを推進しているほか、住民の平穏な生活を守るため、地域住民や関係する地方公共団体からの要望を踏まえながら、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒活動を行っています。
    • また、地下鉄サリン事件から時が経つに連れて、教団に対する国民の関心が薄れ、一連の凶悪事件に対する記憶が風化することなどにより、教団の本質が正しく理解されないことが懸念されることから、教団の現状等について、各種機会を通じて資料による広報啓発活動を行っています。

~NEW~
内閣官房 「こども家庭庁設置法案」「こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案」が閣議決定・国会提出されました。
▼こども家庭庁設置法案 概要
  • 趣旨
    • こども(心身の発達の過程にある者をいう。以下同じ。)が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、こども及びこどものある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援並びにこどもの権利利益の擁護に関する事務を行うとともに、当該任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とするこども家庭庁を、内閣府の外局として設置することとし、その所掌事務及び組織に関する事項を定める。
  • 概要
    1. 内閣府の外局として、こども家庭庁を設置
    2. こども家庭庁の長は、こども家庭庁長官とする
    3. こども家庭庁の所掌事務
      1. 担管理事務(自ら実施する事務)
        • 小学校就学前のこどもの健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前のこどものある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進
        • 子ども・子育て支援給付その他の子ども及び子どもを養育している者に必要な支援
        • こどもの保育及び養護
        • こどものある家庭における子育ての支援体制の整備
        • 地域におけるこどもの適切な遊び及び生活の場の確保
        • こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進
        • こどもの安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進
        • こどもの保健の向上
        • こどもの虐待の防止
        • いじめの防止等に関する相談の体制など地域における体制の整備
        • こどもの権利利益の擁護(他省の所掌に属するものを除く) 等
      2. 内閣補助事務(内閣の重要政策に関する事務)
        • こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現のための基本的な政策に関する事項等の企画及び立案並びに総合調整
        • 結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項の企画及び立案並びに総合調整
        • 子ども・若者育成支援に関する事項の企画及び立案並びに総合調整
    4. 資料の提出要求等
      • こども家庭庁長官は、こども家庭庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができることとする
    5. 審議会等及び特別の機関
      • こども家庭庁に、こども政策に関する重要事項等を審議する審議会等を設置することにより、内閣府及び厚生労働省から関係審議会等やその機能を移管
    6. 施行期日等
      • 令和5年4月1日
      • 政府は、この法律の施行後5年を目途として、小学校就学前のこどもに対する質の高い教育及び保育の提供その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援に関する施策の実施の状況を勘案し、これらの施策を総合的かつ効果的に実施するための組織及び体制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする
▼こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案 概要
  • 趣旨
    • こども家庭庁設置法の施行に伴い、児童福祉法その他の関係法律及び内閣府設置法その他の行政組織に関する法律について、所要の規定の整備を行う。
  • 概要
    1. 関係法律の整備
      1. 関係省庁からこども家庭庁に所掌事務が移管されることに伴い、当該事務に関係する法律の規定により関係大臣が行う権限及び関係省庁が発する命令を、それぞれ内閣総理大臣の権限及び内閣府令に改める等の規定の整理を行う
      2. 幼稚園、保育所及び認定こども園の教育・保育の内容に関する基準の整合性を制度的に担保するため、学校教育法及び児童福祉法を改正し、文部科学大臣が幼稚園教育要領を定めるに当たり又は内閣総理大臣が保育所保育指針を定めるに当たり、それぞれ内閣総理大臣又は文部科学大臣に協議することとする規定を設ける
      3. そのほか、内閣総理大臣と関係大臣との間で事務を調整するために必要な協議に関する規定を整備するなど、関係法律の規定の整備を行う(医療法、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律 等)
    2. 行政組織に関する法律の整理
      1. 内閣府本府、文部科学省及び厚生労働省について、こども家庭庁にその権限の一部が移管されることに伴い、所掌事務の規定並びに審議会及び特別の機関の規定の整理を行う
      2. こども家庭庁の所掌事務を掌理する内閣府特命担当大臣※を置き、当該大臣が掌理する事務に関する規定を整理する
        ※各省大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求める権限や勧告する権限等を有する
    3. 経過措置
      • 関係大臣の権限を内閣総理大臣の権限としたこと等に伴い、必要となる経過措置を置く
    4. 施行期日
      • こども家庭庁設置法の施行の日(令和5年4月1日)

~NEW~
外務省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、国際的な平和及び安全の維持を図るとともに、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、今般、主要国が講ずることとした措置の内容等を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者及びロシア連邦の特定銀行に対する資産凍結等の措置等について」(令和4年3月1日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
    1. 措置の内容
      1. 資産凍結等の措置
        • 外務省告示(3月1日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦関係者(6個人)及びロシア連邦の特定銀行(3団体)に対し、(イ)及び(ロ)の措置を実施する。
          • イ)支払規制
            • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
          • ロ)資本取引規制
            • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
            • (注)資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の特定銀行として新たに指定された団体(ロシア連邦中央銀行を除く。)に対する資産凍結等の措置は令和4年3月31日から実施する。
      2. ロシア連邦の特定団体への輸出等に係る禁止措置
        • 外務省告示(3月1日公布)により「ロシア連邦の特定団体」として指定された49団体への輸出等に係る禁止措置を導入する。
        • 先ずは、同団体への輸出に係る支払の受領等の禁止措置を令和4年3月8日から実施する。
      3. ロシア連邦の軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品の輸出等の禁止措置
        • ロシア連邦の軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品の輸出等の禁止措置を導入する。
    2. 上記資産凍結等の措置の対象者等
      • 別添参照
▼(別添1)「資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の個人及び団体」
▼(別添2)「輸出等に係る禁止措置の対象となるロシア連邦の特定団体」

~NEW~
総務省消防局 大阪市北区ビル火災を受けた緊急立入検査の結果
  1. 調査概要
    • 昨年12月17日に大阪市北区で発生したビル火災を受け、12月19日に全国の消防本部に対し、今回の火災建物と類似の、階段が一つしか設置されていない雑居ビルを対象に、火災時の避難経路等について緊急立入検査の実施を要請し、令和3年12月17日から令和4年1月31日までの間に実施した結果について、取りまとめたものです。
  2. 結果概要
    • 今回対象となった31,967件のうち、29,229件に対して緊急立入検査を実施しており、実施率は91.4%でした。なお、未実施の2,738件については、各消防本部における年次計画や歳末期の立入検査により調査期間の前に実施されたもの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け実施を延期したもの等です。
    • 避難施設については3,894件(13.3%)で不備がありましたが、令和4年1月31日時点において2,196件改善済みとなっています。
    • 防火戸については1,455件(5.0%)で不備がありましたが、令和4年1月31日時点において614件改善済みとなっています。
    • (参考)緊急立入検査時に併せて消防用設備等について確認したもの(13,979件)については、4,108件(29.4%)の不備がありました。不備があったのものについては、現在、消防本部において是正指導が行われています。
  3. その他
    • 今回の緊急立入検査の結果を踏まえ、「大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会」において、必要な対応を検討して参ります

~NEW~
金融庁 金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化について
▼サイバーセキュリティ対策の強化について(注意喚起)
  • 昨今の情勢を踏まえるとサイバー攻撃事案のリスクは高まっていると考えられます。本日、国内の自動車部品メーカーから被害にあった旨の発表がなされたところです。
  • 政府機関や重要インフラ事業者をはじめとする各企業・団体等においては、組織幹部のリーダーシップの下、サイバー攻撃の脅威に対する認識を深めるとともに、以下に掲げる対策を講じることにより、対策の強化に努めていただきますようお願いいたします。
  • また、中小企業、取引先等、サプライチェーン全体を俯瞰し、発生するリスクを自身でコントロールできるよう、適切なセキュリティ対策を実施するようお願いいたします。
  • さらに、国外拠点等についても、国内の重要システム等へのサイバー攻撃の足掛かりになることがありますので、国内のシステム等と同様に具体的な支援・指示等によりセキュリティ対策を実施するようお願いいたします。
  • 実際に情報流出等の被害が発生していなかったとしても、不審な動きを検知した場合は、早期対処のために速やかに所管省庁、セキュリティ関係機関に対して連絡していただくとともに、警察にもご相談ください。
  1. リスク低減のための措置
    • パスワードが単純でないかの確認、アクセス権限の確認・多要素認証の利用・不要なアカウントの削除等により、本人認証を強化する。
    • IoT機器を含む情報資産の保有状況を把握する。特にVPN装置やゲートウェイ等、インターネットとの接続を制御する装置の脆弱性は、攻撃に悪用されることが多いことから、セキュリティパッチ(最新のファームウェアや更新プログラム等)を迅速に適用する。
    • メールの添付ファイルを不用意に開かない、URLを不用意にクリックしない、連絡・相談を迅速に行うこと等について、組織内に周知する。
  2. インシデントの早期検知
    • サーバ等における各種ログを確認する。
    • 通信の監視・分析やアクセスコントロールを再点検する。
  3. インシデント発生時の適切な対処・回復
    • データ消失等に備えて、データのバックアップの実施及び復旧手順を確認する。
    • インシデント発生時に備えて、インシデントを認知した際の対処手順を確認し、対外応答や社内連絡体制等を準備する

~NEW~
金融庁 「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント」の公表
▼別紙1 監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント
  • 2020年3月期までの早期適用会社47社(監査法人7法人)を対象に、2期間における文字列類似度分析を実施。類似度は17%から97%と幅があり、類似度が75%以上の企業が9社(全体の18%)あった。監査法人別では、類似度25%未満の5社のうち3社が同一の監査法人である一方、類似度75%以上の9社のうち7社が2つの監査法人で占められるなど、一定の偏りが見られた。文字数と類似度の相関関係は見られなかった。
  • 特定の項目における監査法人毎の記載内容について、文字列類似度分析を実施。「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」について、監査法人毎に類似度にややばらつきが見られ、A法人及びB法人では平均値、最大値ともに、相対的にやや高い結果となった。
  • 「監査上の対応」について、監査法人毎の類似度の平均値及び最小値は概ね同水準であった一方、最大値ではA法人が相対的にやや高い結果となった。
  • 2021年3月期における連結財務諸表のKAMの1社当たりの平均個数は1.3個であった。業種別の内訳は以下の通りであり、業種による大きな差異は見られなかった。
  • 売上規模別では、規模が大きくなるにつれて、KAMの平均個数が多くなる傾向が見られた。会計基準別では、最も少ない日本基準で平均1.3個、最も多いUS-GAAPで平均2.1個とやや差異が見られた。この点、日本公認会計士協会の分析レポートでは、早期適用事例において、日本基準、IFRS、US-GAAPの平均個数がそれぞれ2.3個、2.1個、2.2個と差異がほぼ無かったことからすると、会計基準による差異ではなく、売上規模による影響が考えられるとしている。
  • 2013年からKAMが適用されている英国では、当初、ロンドン証券取引所のプレミアム市場に上場する会社が適用対象であったこともあり、導入2年目の1社当たりの平均個数は3.9個であった。アジアの一部の国々では、2016年から上場会社に対してKAMの適用が開始されており、導入初年度の1社当たりの平均個数は1.8個~2.3個であった。英国との差異について、各国のレポートでは、英国のプレミアム市場の上場企業に比べて規模が小さいこと等が理由として挙げられていた。米国では、2019年から段階的にCAM(Critical Audit Matters)の適用が開始されており、一定規模以上の早期提出会社が適用対象であった導入初年度の平均個数は1.7個であった。
  • 海外のKAMではリスクマップを図表で示している事例がある。また、海外のKAMではfindingsを記載している事例がある
  • 連結、単体の両方またはどちらかでKAMの記載がない事例が、純粋持株会社以外にも存在する。監基報701では「監査上の主要な検討事項がないと判断することはまれであり、少なくとも一つは存在していると考えられる」とされており、記載要否については、あらためて慎重な検討が必要と考えられる。

~NEW~
金融庁 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」及び「中小企業活性化パッケージ」の公表について
▼中小企業の事業再生等に関するガイドライン(全国銀行協会サイト)
  • 金融機関は、中小企業者が有事に至った場合、原則的には以下の対応を行うことが求められる。なお、信用保証協会、金融機関から債権を譲り受けたサービサー等、貸金業者、リース債権者においても、同様の対応を行うことが望ましい。
    1. 事業再生計画の策定支援
      • 有事に陥った中小企業者が事業再生計画を策定するにあたっては、中小企業者が本質的な経営課題を認識し、経営改善に向けて主体的に取り組んでいく必要がある。その際、金融機関は、政府の計画策定支援に係る事業に基づくものを含め、事業再生計画の合理性や実現可能性等について、中小企業者と協力しながら確認する。また、中小企業者が自力で事業再生計画を策定できないと判断される場合には、中小企業者の理解を得つつ、事業再生計画の策定を積極的・継続的に支援する。
    2. 専門家を活用した支援
      • 金融機関単独では事業再生計画の策定支援が困難であると見込まれる場合や、支援にあたり債権者間の複雑な利害調整を必要とする場合には、当該支援の確実性と実効性を高める観点から、実務専門家や外部機関の第三者的な視点、専門的な知見・機能の積極的な活用を促し、計画策定を積極的に支援する。また、中小企業者に直接貸金債権を有する金融機関は、必要に応じて、これを保証している信用保証協会に対し、計画内容や対応状況について共有し、連携した対応を行う。
    3. 有事における段階的対応
      • 中小企業者が、(1)の適切な情報開示、(2)の本源的な収益力の回復、(3)の事業再生計画の策定等に向けて誠実に取り組んでいる場合には、中小企業者の置かれた状況に応じて、以下のような対応を検討する。
        1. 中小企業者から条件緩和の申出を受けた場合
          • 条件緩和により事業再生の可能性があり、必要性・合理性が認められる場合には、条件緩和等の要請について誠実に検討する。
        2. 中小企業者から債務減免等の申出を受けた場合
          • 金融債務の減免等により事業再生の蓋然性があり、債務減免等の必要性と金融機関にとっての経済合理性があり、金融機関間の衡平が確保され、かつ、経営責任と株主責任が明確化されている場合には、経営規律の確保やモラルハザードの回避といった観点も総合的に勘案しつつ、債務減免等の要請について誠実に検討する。
        3. 上記1、2の対応策を講じてもなお、中小企業者の事業再生が困難で、中小企業者から、スポンサー支援を求める旨の申出を受けた場合
          • 中小企業者の意向を踏まえつつ、適切なスポンサー支援の探索に可能な範囲で協力することが期待される。
  • 中小企業者から廃業の申出を受けた場合
    • 中小企業者から廃業の申出があった場合は、スポンサーへの事業譲渡による事業継続可能性も検討しつつ、中小企業者の再起に向けた適切な助言や中小企業者が廃業を選択するにあたっての取引先対応を含めた円滑な処理等への協力を含め、中小企業者自身や経営者を含む関係者にとって望ましいソリューション(第三部「5.廃業型私的整理手続」の適用を含む。)を提供するよう努める。その際、中小企業者の納得性を高めるための十分な説明に努めることとする。
  • 私的整理検討時の留意点
    • 保証債務の整理
      • 中小企業者の債務について私的整理手続を実施する場合において、当該債務にかかる保証人が保証債務の整理を図るときは、保証人は経営者保証に関するガイドラインを積極的に活用する等して、主債務と一体整理を図るよう努めることとする。なお、中小企業者が法的整理手続(第三部1.(1)において定義する。)を実施する場合も、保証人は経営者保証に関するガイドラインを活用する等して、当該保証債務の整理を行うことが望ましい。
    • 各種手続の選択並びに手続間の移行
      • 中小企業者、金融機関が私的整理手続・法的整理手続を検討する場合、お互いに誠実に協議し、中小企業者の置かれた状況等に適合した手続の利用が期待される。
      • また、中小企業者の選択した私的整理手続の協議が不調に終わり、結果的に法的整理手続や、他の私的整理手続に移行する場合がある。こうした場合、中小企業者の円滑な事業再生等を図るためにも、中小企業者と金融機関は双方誠実に協力し、手続間の円滑な移行に努めることとする。加えて、中小企業者と金融機関は、移行後の民事再生手続若しくは会社更生手続又は他の私的整理手続において、移行前の私的整理手続における合意事項又は同意事項等を法の趣旨に反しないことに留意しつつ尊重するものとする
  • 事業再生計画成立後のフォローアップ
    1. 債務者である中小企業者の対応
      1. 事業再生計画の実行に向けた取組み
        • 中小企業者は、自らの経営資源を最大限活用し、債務の条件緩和・債務減免等の前提となった事業再生計画の実行及び達成に誠実に努める。
      2. 金融機関への適時適切な状況報告
        • 中小企業者は、事業再生計画の実行期間中は、その達成状況に関して、正確かつ丁寧に信頼性の高い経営情報等を開示・説明するとともに、開示・説明したのちに、事業再生計画・業績見通し等に重大な変動が生じた場合にも、自発的に報告するなど適時適切な開示・説明に努める。
    2. 債権者である金融機関の対応
      • 金融機関は、債務の条件緩和、債務減免等の実行後においても、必要に応じて連携先の実務専門家等と協力しながら、事業再生計画の達成状況を継続的にモニタリングするとともに、経営相談や経営指導を行うなど、達成状況を適切に管理する。また、進捗状況の管理を行っている間に、策定当初に予期しえなかった外部環境の大きな変化が生じた場合には、必要に応じて、事業再生計画の見直しの要否等について、中小企業者や連携先の実務専門家等とともに検討を行うとともに、そうした変化や見直しの必要性等を中小企業者が認識できるよう適切な助言を行った上で、計画の見直しを提案し、中小企業者や連携先と協働する。
    3. 計画と実績の乖離が大きい場合の対応
      • 有事において中小企業者・金融機関・実務専門家等が真摯に検討し、策定した事業再生計画であっても、その後、必ずしも計画通りに業績が推移するとは限らない。そのため、事業再生計画実行開始年度から起算して、概ね3事業年度を経過するまでに、中小企業者と金融機関等は、事業再生計画の達成状況を確認することが望ましい。
      • 達成状況を確認した結果、事業再生計画と過年度の実績の乖離が大きい場合、中小企業者と金融機関は、相互に協力して乖離の真因分析を行い、計画を達成するための対策について誠実に協議することとする。協議の上、当初計画の達成が困難と見込まれる場合は、経営規律の確保やモラルハザードの回避といった点を踏まえ、抜本的再生を含む計画の変更や、法的整理、廃業等への移行を行うことが望ましい。

~NEW~
警察庁 令和4年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和4年1月の特殊詐欺全体の認知件数は913件(前年同期830件、前年同期比+110.0%)、被害総額は20.0憶円(18.0憶円、+11.1%)、検挙件数は393件(468件、▲16.0%)、検挙人員は136人(143人、▲4.9%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は158件(141件、+12.1%)、被害総額は5.4憶円(4.0憶円、+35.0%)、検挙件数は56件(74件、▲24.3%)、検挙人員は56人(34人、+64.7%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は136件(225件、▲39.6%)、被害総額は1.3憶円(3.2憶円、▲57.7%)、検挙件数は118件(192件、▲38.5%)、検挙人員は42人(54人、▲22.2%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は191件(112件、+70.5%)、被害総額は7.1憶円(5.9憶円、+20.5%)、検挙件数は3件(23件、▲87.0%)、検挙人員は4人(13人、▲69.2%)
  • 還付金詐欺の認知件数は244件(175件、+39.4%)、被害総額は2.6憶円(2.0憶円、+33.7%)、検挙件数は22件(43件、▲48.8%)、検挙人員は6人(10人、▲40.0%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は4件(13件、▲69.2%)、被害総額は0.1憶円(0.1憶円、+78.6%)、検挙件数は0件(1件)、検挙人員は0人(0人)
  • 金融商品詐欺の認知件数は0件(2件)、被害総額は0円(0.3憶円)、検挙件数は0件(2件)、検挙人員は0人(0人)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は5件(10件、▲50.0%)、被害総額は1.3憶円(0.2憶円、+479.0%)、検挙件数は2件(0件)、検挙人員は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は170件(149件、+14.1%)、被害総額は2.1憶円(2.3憶円、▲10.9%)、検挙件数は142件(132件、+7.6%)、検挙人員は28人(32人、▲12.5%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は56件(30件、+86.7%)、検挙人員は30人(20人、+50.0%)、盗品等譲り受け等の検挙件数は0件(0件)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は223件(144件、+54.9%)、検挙人員は178人(113人、+57.5%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は11件(19件、▲42.1%)、検挙人員は9人(21人、▲57.1%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は0件(3件)、検挙人員は0人(2人)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は13件(12件、+8.3%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、60歳以上は89.8%、70歳以上は68.0%、男性25.8%:女性74.2%、オレオレ詐欺では、60歳以上は96.8%、70歳以上は93.0%、男性18.4%:女性81.6%、融資保証金詐欺では、60歳以上は25.0%、70歳以上は0%、男性75.0%:女性25.0%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、特殊詐欺全体では85.9%(男性22.8%、女性77.2%)、オレオレ詐欺は94.9%(18.0%、82.0%)、預貯金詐欺は99.3%(13.3%、86.7%)、架空料金請求詐欺は49.7%(66.3%、33.7%)、還付金詐欺は94.7%(21.6%、78.4%)、融資保証金詐欺は0.0%、ギャンブル詐欺は60.0%(100.0%、0.0%)、キャッシュカード詐欺盗は98.8%(9.5%、90.5%)

~NEW~
警察庁 犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和3年)
  • マネー・ローンダリング(Money Laundering:資金洗浄)とは、一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関等による収益の発見や検挙等を逃れようとする行為をいう。このような行為を放置すると、犯罪による収益が、将来の犯罪活動や犯罪組織の維持・強化に使用され、組織的な犯罪を助長するとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えることから、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与するため、マネー・ローンダリングを防止することが重要である。
  • 国際社会は、後述のとおりマネー・ローンダリング及びテロリズムに対する資金供与を防止・摘発するための制度を工夫し発展させ、連携してこれに対抗し、我が国も、国際社会と歩調を合わせてマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネー・ローンダリング対策等」という。)の強化を図ってきた。
  • 特定事業者は、当該規定を前提として、その業務における一般的な知識や経験を踏まえて、取引の形態や顧客等の属性、取引時の状況等を総合的に判断するものであるが、全ての特定事業者が犯罪による収益の移転が疑われる取引の形態を十分に理解しているとは限らず、疑わしさの判断に困難を来す場合も予想される。そのため、特定事業者を所管する行政庁は、当該特定事業者の業務の特徴を踏まえ、「疑わしい取引の参考事例」を公表しているが、これらの事例は、特定事業者が日常の取引の過程で疑わしい取引を発見又は抽出する際の参考とするものであり、これらの事例に形式的に合致するものが全て疑わしい取引に該当するものではない一方、これらの事例に該当しない取引であっても、特定事業者が疑わしい取引に該当すると判断したものは、届出の対象となることに注意を要する。
  • 疑わしい取引の届出制度は、平成4年の麻薬特例法の施行により創設されたが、当初は届出の対象が薬物犯罪に関するものに限られていたことなどから、届出受理件数は同年から平成10年までは毎年20件未満であった。その後、平成11年の組織的犯罪処罰法制定により届出の対象が薬物犯罪から重大犯罪に拡大され、同法が施行された平成12年以降、届出受理件数は増加傾向にあり、令和3年中の届出受理件数は530,150件で、初めて50万件を超えた。
  • 令和3年中に抹消された疑わしい取引に関する情報は125,084件で、令和3年12月末における同情報の保管件数は5,270,260件となっている。
  • 令和3年中の疑わしい取引の届出受理件数を届出事業者の業態別に見ると、銀行等が39,381件で届出件数全体の73.6%と最も多く、次いで貸金業者(35,442件、6.7%)、クレジットカード事業者(34,904件、6.6%)の順となっている。さらに、金融商品取引業者(19,728件、3.7%)、暗号資産交換業者(13,540件、2.6%)、資金移動業者(10,499件、2.0%)など。
  • 国家公安委員会・警察庁においては、疑わしい取引の集約、整理及び分析を行い、マネー・ローンダリング事犯若しくはその前提犯罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査に資すると判断されるものを捜査機関等に提供している。令和3年中における捜査機関等に対する疑わしい取引の届出に関する情報の提供件数は524,462件で、過去最多であった。
  • 国家公安委員会・警察庁においては、過去に届け出られた疑わしい取引に関する情報、警察が蓄積した情報、公刊情報等を活用し、近年多種多様な方法で資金獲得活動を繰り返す犯罪組織の実態の解明及び詐欺関連事犯、不法滞在関連事犯、薬物事犯等に関する情報の分析を行っているほか、社会情勢の変化に応じ、匿名性が高くマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に悪用される可能性が高い暗号資産の取引、多様化する資金移動サービスを利用した取引及び外国公務員贈賄等に着目した分析を強化している。そして、各種事犯等に係る疑わしい取引に関する情報を総合的に分析した結果を関係する捜査機関等へ提供している。上記分析結果を捜査機関等へ提供した件数は毎年増加しており、令和3年中は、過去最多の12,769件であった
  • 各都道府県警察においては、疑わしい取引に関する情報を犯罪による収益の発見、犯罪組織の実態解明及び犯罪収益関連犯罪の捜査に活用している。令和3年中に都道府県警察の捜査等において活用された疑わしい取引に関する情報数は353,832件であった
  • 令和3年中に疑わしい取引に関する情報を端緒として検挙した事件(端緒事件)の数は1,045件、既に着手している事件捜査の過程において、疑わしい取引に関する情報を活用して検挙した事件(活用事件)の数は1,501件となっている。罪種別の端緒事件数及び活用事件数を類型別にみると、以下のとおりである。
    1. 詐欺関連事犯(詐欺、犯罪収益移転防止法違反等)については、端緒事件数が計855件で端緒事件数全体の81.8%、活用事件数が計647件で活用事件数全体の43.1%を占めて、いずれも最も多く、預貯金通帳等の詐欺又は譲受・譲渡、新型コロナウイルス感染症に関する給付金等の不正受給、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを使用したチケット販売詐欺、還付金詐欺やキャッシュカード手交型詐欺等の特殊詐欺等の事件を検挙している。
    2. 不法滞在関連事犯(入管法違反)については、端緒事件数が計46件、活用事件数が計41件であり、在留期間が経過した来日外国人の不法残留、就労資格のない来日外国人を不法に就労させた不法就労助長、偽造在留カードの行使等の事件を検挙している。
    3. 組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿・収受)については、端緒事件数が計41件、活用事件数が計37件であり、詐欺、窃盗等により得た犯罪収益等の隠匿・収受の事件を検挙している。
    4. 薬物事犯(覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反等)については、端緒事件数が計39件、活用事件数が計240件であり、覚醒剤や大麻等の違法薬物の所持・譲受・譲渡、組織的に行われた違法薬物の売買等の事件を検挙している。
    5. 偽造関連事犯(偽造有印公文書行使、電磁的公正証書原本不実記録・同供用等)については、端緒事件数が計17件、活用事件数が計42件であり、偽造した自動車運転免許証等を使用した口座開設、偽装結婚等の事件を検挙している。
    6. ヤミ金融事犯(貸金業法違反、出資法違反)については、端緒事件数が計8件、活用事件数が計12件であり、貸金業の無登録営業、高金利貸付等の事件を検挙している。
    7. 風俗関連事犯(風営適正化法違反等)については、端緒事件数が計2件、活用事件数が計12件であり、社交飲食店の無許可営業、店舗型性風俗店の禁止場所営業等の事件を検挙している。
    8. 賭博事犯(常習賭博、賭博場開張図利等)については、端緒事件数が計2件、活用事件数が計10件であり、ゲーム機賭博店における常習賭博、暴力団幹部による野球賭博等の事件を検挙している。
    9. その他の刑法犯(窃盗犯、粗暴犯、凶悪犯等)については、端緒事件数が計18件、活用事件数が計366件であり、他人のキャッシュカードを使用してATMから現金を不正に出金した窃盗、暴力団幹部による恐喝等の事件を検挙している。
    10. その他の特別法犯(商標法違反、銀行法違反等)については、端緒事件数が計17件、活用事件数が計94件であり、商標を使用する者の許可を受けずに模造した商品を販売譲渡した商標法違反、免許を受けずに不正に海外に送金を行った銀行法違反等の事件を検挙している。
  • 令和3年中における組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、犯罪収益等隠匿事件461件、犯罪収益等収受事件162件の合計623件と、前年より26件(4.4%)増加した。組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、詐欺が243件と最も多く、窃盗が217件、電子計算機使用詐欺が42件、ヤミ金融事犯が25件等である。
  • 令和3年中に組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯で検挙されたもののうち、暴力団構成員等が関与したものは、犯罪収益等隠匿事件32件及び犯罪収益等収受事件28件の合計60件で、全体の9.6%を占めている。暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、詐欺が19件と最も多く、窃盗が10件、風営適正化法違反が8件、ヤミ金融事犯が6件等である。マネー・ローンダリング事犯の手口としては、犯罪収益を得る際に他人名義の口座を利用する手口、賭博事犯等の犯罪収益をみかじめ料等の名目で収受する手口がみられ、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を敢行している実態がうかがわれる。
    • 【事例】道仁会傘下組長による貸金業法違反事件に係る犯罪収益等隠匿:無許可で貸金業を営む道仁会傘下組長の男は、借受人からの返済金を他人名義の口座に振込入金させていたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。 (佐賀 6月)
    • 【事例】太州会傘下組織幹部による風営適正化法違反に係る犯罪収益等収受:太州会傘下組織幹部の男は、風俗店経営の男が、無許可営業により得た収益であることを知りながら、いわゆるみかじめ料の名目で現金を受け取っていたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で検挙した。 (福岡 6月)
  • 海外で行われた詐欺の犯罪収益を正当な資金のようにみせかけ、真の資金の出所や所有者、資金の実態を隠匿しようとするマネー・ローンダリング行為が行われている。
    • 【事例】国際的な詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿:会社役員の男は、アラブ首長国連邦に居住する被害者から日本の国内銀行に開設された男が管理する法人名義の口座に送金された詐欺の被害金について、正当な事業収益であるかのように装って払戻しを受けたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)及び詐欺で検挙した。 (警視庁 6月)
  • 犯罪による収益については、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するため、これを剥奪することが重要である。犯罪による収益の没収・追徴は、裁判所の判決により言い渡されるが、没収・追徴の判決が言い渡される前に、犯罪による収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、警察は、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用して没収の実効性を確保している。令和3年中の組織的犯罪処罰法に係る起訴前の没収保全命令の発出件数(警察官たる司法警察員請求分)は142件と、前年より8件(5.3%)減少した。前提犯罪別に見ると、賭博事犯が40件と最も多く、詐欺が22件、風営適正化法違反が19件、入管法違反が16件等である。起訴前の没収保全手続は、犯罪者から犯罪収益等を剥奪するための効果的な手法であり、警察は、今後も同手続を活用して、検察庁との連携を図りながら犯罪組織による犯罪収益等の利用を阻止していく。また、犯罪被害財産に対する没収の裁判の執行を確実なものとし、「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」に基づいて行われる検察官による犯罪被害財産の被害者への回復に貢献するためにも、引き続き犯罪被害財産に対する起訴前の没収保全命令の請求を積極的に行っていく。
  • 犯罪収益移転防止法には、特定事業者(弁護士を除く。)の所管行政庁による監督上の措置の実効性を担保するための罰則及び預貯金通帳等の不正譲渡等に対する罰則が規定されており、警察では、これらの行為の取締りを強化している。多くのマネー・ローンダリング事犯において、他人名義の預貯金通帳が悪用されているが、令和3年中における預貯金通帳等の不正譲渡等の検挙件数は2,535件と、前年より99件減少した。

~NEW~
内閣府 令和4年第2回経済財政諮問会議
▼資料2-1 経済対策のフォローアップについて~金融・物価等集中審議資料~(内閣府)
  • 家計支援:子育て世帯への給付については令和4年1月末までにほとんど全ての自治体で支給開始、住民税非課税世帯等に対する給付についても3月末までにほとんど全ての自治体が支給開始予定であるなど、執行が進捗。緊急小口資金等の特例貸付については、ピーク時は週7万件を越える支給決定件数があったが、直近では週7,000件程度まで縮小。
  • 雇用支援:雇用調整助成金については、ピーク時週1,600億円の支給額が、直近では190億円まで減少。休業支援金・給付金についても支給額は減少傾向。
  • 事業者支援:事業復活支援金は1/31に申請受付開始、2/7には支給を開始(6参照)。公庫へのコロナ関係融資の申込数は、ピーク時週72,000件が、現在は週4,000件程度と平時並に落ち着いている。
▼資料3-1 当面のマクロ経済運営について(有識者議員提出資料)
  • 経済のダイナミズムが失われている。欧米に比べ、コロナ後の落ち込みこそ緩やかなものに抑えたが、その後の回復ペースは鈍く、このままでは世界のビジネスの流れからも取り残されかねない。こうした危機感を共有し、経済を活性化させる抜本的な政策展開を進める必要がある。
  • そのためにも、コロナ前のGDP水準を回復した今こそ、守りから攻めに政策の中心をシフトし、公需から民需主導の持続的な成長経路への移行を図るときである。その際、(1)足元のエネルギー価格高騰等による景気下押しリスクに対し、脱炭素社会構築に向けた攻めの官民投資を大胆に加速し、ピンチをチャンスとすること、(2)ウィズコロナを前提に、政府はより的を絞ったコロナ対策、規制改革と投資喚起策を講じ、企業が新時代に向けた新陳代謝を進め、一日も早く経済のダイナミズムを回復していくこと、この二点が特に重要である。
  1. エネルギー価格高騰等へのリスク対応
    1. 生活支援、賃上げ、適切な価格転嫁
      • 生活必需品の価格が大きく上昇している。まずは、住民税非課税世帯への給付等が含まれる昨年末の補正予算を着実に執行し、必需品への支出割合が高い低所得層の生活を支えるべき。その上で、以下の取組を通じて、適切な価格転嫁とサプライチェーン全体での付加価値上昇、賃上げの同時実現、さらにはカーボンニュートラルに向けた大胆な投資計画を策定・実行し、経済好循環の契機とすべき。
      • 家計の実質購買力向上の鍵である賃上げモメンタムを官民協働で維持・拡大すべき。政府による環境整備とともに、経済界としても収益を従業員に還元するのは「企業の責務」との考え方を浸透させ、人材育成にも力を注ぎ、経済全体の付加価値と購買力をともに向上させる好循環をつくるべき。
      • そのためにも、サプライチェーン全体でのコスト負担、とりわけ中小企業の適切な価格転嫁をこれまで以上に促進すべき。特に、この3月は、「価格交渉促進月間」であり、あわせて、春季労使交渉の大詰めを迎える月でもある。大企業と中小企業のパートナーシップ構築、新たな転嫁円滑化スキームを含む「価格転嫁円滑化施策パッケージ」の実行を通じ、適切な価格転嫁と実効性のある取引適正化を促すべき。
      • ガソリン価格上昇ペースの抑制等による緊急避難的な消費者負担増軽減策を効果的に行うとともに、この契機を逃さず、化石燃料依存の低減、脱炭素社会に向け、官民連携の多年度投資計画を策定・実行し、消費者・企業行動のシフトを大胆に加速すべき。
    2. 総需要・総供給を同時に拡大する投資の促進
      • マクロ経済の視点からは、日本経済の総需要と総供給を同時拡大する投資の促進、とりわけグリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめとする国内投資の拡大、さらには「人への投資」による付加価値拡大が極めて重要である。
      • 人的投資やGXへの企業の取組の見える化・開示促進、環境関連市場の形成、DX促進に向けたマイナンバーの徹底利活用や規制改革の徹底を推進すべき。
      • 政府は、民間と協働して、こうした重点投資の先にある姿、ビジョンとロードマップを示し、日本全体で認識を共有できるようにすべき。重点投資の推進については、骨太方針等で政策運営の指針に位置づけ、民間が安心して積極投資を継続できるよう、規制や制度の改革、必要な中長期的な支援を行うべき。
  2. ウィズコロナの経済支援策:的を絞った対応で経済を回し、一日も早い正常化を
    1. 雇用維持から労働移動のダイナミズム回復へ
      • 雇用調整助成金等の雇用維持政策は、失業率を他国と比べて圧倒的に低く抑えるなど一定の役割を果たした。今後は、兼業・副業、労働移動をはじめ働き手の選択肢をより拡大し、より活躍できる場所を提供する政策への転換がダイナミズム回復の鍵となる。
      • 経済全体の水準がコロナ前に戻った今、雇用支援策についても、厳しい影響が続く業種や地域にターゲットを絞った対応にシフトし、労働市場のダイナミズム回復を目指すべき。特に、経済回復に伴い労働需要の高まりが見込まれるなか、休業手当の10割助成など人手不足業種への労働移動を阻害しかねない特例措置は見直していくべき。
      • 労働移動は賃金上昇の契機ともなる。転職とともに賃金が上昇した50歳未満の働き手は多く、成長産業ほどその傾向は顕著である。兼業・副業や労働移動の活発化、成長産業への労働移動を促進することで経済全体の賃金上昇を目指していくべき。
    2. 世界的なビジネス・人流再開への対応
      • 3月から「水際対策」の段階的緩和が開始された。国際的なビジネス往来の遅れや高度人材等の外国人労働力の不足、学生交流の停滞、将来の知日派外国人の減少等は、日本経済の将来にとって大きなダメージとなる恐れがある。引き続き、感染状況等を踏まえつつ、一日も早く、国際的な活動を国際水準に戻していくことは重要課題。
      • 早期の追加緩和・人数制限の撤廃が可能となる体制を整えるべき。特に、人数制限の要因となっている空港での検査やホテル待機のキャパシティについて、キャパシティの確保だけでなくデジタル等による手続きの簡素化・効率化、またワクチン3回接種済み者の検査・待機を免除するなど柔軟な対応を検討すべき。
    3. 流動性確保から成長支援へ
      • 事業者への支援についても、倒産件数を歴史的な低水準に抑えるなど事業継続に大きな効果を上げた。その一方で、中小企業の約2割はコロナ後に債務過剰感を持つようになったとの調査もあり、今後は成長に向けた対応に改めていくことが必要である。
      • 地域金融機関に対して、流動性の支援からキャシュフローを生み出す成長支援にシフトするよう促すべき。また、債務整理の円滑化に向けたガイドラインの整備等を進めるべき。
▼資料4-1 我が国の所得・就業構造について(内閣府)
  • 1994年から2019年の25年間で、「全世帯」の所得分布は、65歳以上の高齢者世帯(20%→36%)や単身世帯の増加(26%→38%)に伴い低所得階級の割合が上昇。
  • この25年間で、全ての年代で所得の中央値が減少。特に、「35~44歳」、「45~54歳」の世帯で大きく減少。
  • 再分配後についても同様に、「35~44歳」、「45~54歳」の世帯における所得の中央値の減少が顕著。
  • 「若年単身世帯(25~34歳)」において、世帯数の多い所得階級は25年前から300~400万円台で変わらず。ただし、300~400万円台の世帯割合が低下するとともに、200万円台と500万円台の割合が上昇しており、所得のばらつきが拡大する動きがみられる。200万円台の割合上昇の要因は、非正規雇用の「若年単身世帯」の割合が25年前から大きく上昇していることが影響。
  • おおむね就職氷河期世代を含む「35~44歳の単身世帯」の所得は、1994年には500万円台の所得階級の世帯が最も多かったが、2019年には300万円台が最も多くなっている。非正規雇用者の所得分布をみると、2019年において最も世帯数の多い階級は200万円台。
  • 配偶者の所得分布をみると、「夫婦のみ世帯」「夫婦と子世帯」ともに25年前から50~100万円の所得階級に属する世帯数が最も多い状況は変わらず(配偶者控除対象上限(103万円)、社会保険加入対象となる所得(106万円)等の影響の可能性)。他方、2019年は100~150万円の階級も多い(社会保険扶養対象外となる所得(130万円)等の影響の可能性)。いずれの世帯類型においても25年前から低い所得階級では非正規雇用の配偶者が多く、所得階級が高くなるほど正規雇用割合が大きくなる傾向だが、特に2019年の「夫婦のみ世帯」では正規雇用の配偶者の増加が顕著。
▼資料5 所得・人的資本の強化に向けて(有識者議員提出資料)
  • 我が国では、この四半世紀で、相対的に所得が低い若者単身世帯や高齢者世帯が増加し、高所得世帯の割合が低下した。また、働き盛りの40~50代世帯の多くでは、世帯主所得が大きく減少する中、配偶者の労働参加は進んだものの、その多くが非正規雇用であり、世帯所得は減少した。こうした現状を踏まえれば、(1)一人ひとりの付加価値生産性を高めるような「人への投資」の拡大、(2)ワークライフバランスを重視した、多様な働き方の推進、(3)成長の果実を享受できる制度上の工夫を、それぞれの世帯の置かれた状況に合わせてきめ細かく行っていく必要がある。
  • 人への投資の拡大
    • 「若者や女性の活躍の促進」、「壮年期の円滑な労働移動」、「高齢者の労働参加」等を促進する賃金引上げ、人材投資や働き方改革を進めることで、働く人の意欲を高め、QOLと国民所得も向上させる。
  • 多様な働き方の推進
    • 未婚化の一因となる単身非正規雇用の年収300万円の壁、子育て世帯における106万円・130万円の壁が依然として存在しており、人材育成、子育て支援、働き方改革を一体として進める必要がある。これにより、子育て・家事・介護のアウトソーシング、健康・予防、教育など多様な個人向けサービス市場が拡大し、サービス業の生産性向上にも資する。
  • 成長の果実を広げる工夫
    • 若年世代、子育て世代は将来不安から消費を抑制し、依然、預貯金中心に貯蓄している。同時に金融資産の多くを保有する高齢者世帯にとっても資産所得の拡大は重要である。成長の果実を、賃金や人材投資に加え、配当・利払い等という形でも国民に幅広く還元し、好循環を拡大すべきである
  1. 女性の活躍促進
    • 女性の労働参加が進んでいる。ただし、特に子育て世帯では、依然として106万円・130万円等の壁を背景に非正規雇用にとどまる傾向が顕著。
    • 同一労働同一賃金の推進、被用者保険の適用拡大、非正規雇用を含めた人材投資の強化など正規・非正規の処遇格差や男女の賃金格差を徹底して是正し、106万円・130万円等の壁の是正に取り組むべき。
    • 多様な働き方の導入、利活用しやすい保育環境整備(所得・働き方制約が依然大きい)など誰もが働きながら子育てできる環境を徹底して強化するとともに、出産後の女性の職場復帰支援を充実させる企業を財政面から支援するなど、いわゆるL字カーブ問題を徹底して是正すべき。
  2. 年齢階層別の特徴と取組
    • 年齢階層別に所得や就業構造の特徴を念頭に置きつつ、デジタルを徹底活用し、個々人の置かれた状況に応じたきめ細やかな支援が可能となる仕組みを構築すべき
      1. 若年期(25~34歳)、就職氷河期世代(35~44歳)
        • 若年期(25~34歳)では、全体として所得が伸び悩む中で単身化が進行。共働き世帯が増加し、世帯所得は増加したが、所得が低い層を中心に子どもを持たない世帯の割合が大きく上昇。いわゆる就職氷河期世代を含む35~44歳では単身世帯の多くが年収300万円の壁に直面。夫婦の所得も総じて伸び悩んでいる。
        • 表明された3年間4,000億円の人材投資資金の活用の具体化を進め、デジタルを活用した積極的労働市場政策を強化し、就業や能力向上を支援するとともに、人材投資の成果を見える化すべき。これを機に、コロナ禍で臨時的に強化された人的投資支援の効果検証と強化を含め、企業だけに依存せず、社会全体で人材投資を行う仕組みを再構築すべき。
        • 働き方改革の推進、多様な正社員の在り方や短時間労働の促進と育休段階での所得支援強化、男性育休の促進強化など、社会全体で子育てしやすい環境整備を徹底して進めるべき。
        • 成長の果実をより幅広い層に行き渡らせるという観点からも、NISA制度の普及に向けた更なる取組やストック・オプションの拡充等を行うべき。また、複雑な投信手数料について簡素化を促すべき。
      2. 壮年期の労働移動
        • 45~54歳の世帯では、25年前と比べた世帯主所得の大幅減が要因となって、世帯年収の中央値が大幅に減少し(▲約200万円)、1,000万円以上世帯も減少。一方、40~50代の兼業・副業からの収入は増加傾向にあり、40代では転職後に賃金が増加する割合が高い。
        • 兼業・副業等働き方の自由度を高めるとともに、こうした壮年期の適材適所の労働移動を促し、所得の向上を実現すべき。
        • 都市部人材の地方への移住・定着、地方での関係人口としての活躍に向けて、成果を見える化しつつ、徹底して推進すべき。
      3. 55歳以上の多様な活躍と労働参加の促進
        • 65歳以上の単身世帯が大きく増加し、そのうち約6割の世帯の可処分所得は200万円以下。就業率は約20%、そのうち非正規比率は8割。
        • 高齢時代において、年齢にかかわりなく意欲ある多様な活躍を促進するため、現役時代から、リカレント教育を強化すべき。
        • 年齢によって就労を阻害しない環境づくりや高齢者それぞれの能力に適した就労マッチング、更には予防・健康づくりの推進を通じた高齢者の労働参加を促すべき。
  3. 生活困難者
    • 単身世帯の拡大、地域の過疎化の進展の中で、孤独・孤立対策、生活困難者支援、子供の貧困対策に当たって、官民連携によるきめ細やかなアウトリーチが必要となっている。
    • マイナンバーによって、所得情報等を捕捉し、公的給付の適切かつ効果的な支給を行うための仕組みの構築を検討すべき。
    • 空き家を活用した「住まいの確保」や公共交通サービスの確保等に向けて、官民連携し、生活基盤の安心を提供すべき。地域活性化の視点や寄付文化の醸成を含め、ソーシャルセクターの育成や企業の社会貢献活動とソーシャルセクターとの連携強化に向けて包括的に政策をとりまとめるべき。

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内閣府 令和3年度 企業行動に関するアンケート調査結果
▼概要
  1. 景気・需要見通し
    • 「次年度(令和4年度)」の業界需要の実質成長率見通し(全産業・実数値平均)は1.7%(前年度調査1.2%)。製造業は1.8%(同1.4%)、非製造業は1.6%(同0.9%)。
    • 製造業では、「電気機器」、「精密機器」、非製造業では「サービス業」、「証券、商品先物取引業」において高い。
    • 「今後3年間(令和4~6年度平均)」と「今後5年間(令和4~8年度平均)」の業界需要の実質成長率見通し(全産業・実数値平均)は、それぞれ1.4%、1.3%。
    • 「次年度(令和4年度)」の我が国の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は1.5%(前年度調査1.4%)。
    • 「今後3年間(令和4~6年度平均)」と「今後5年間(令和4~8年度平均)」の我が国の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は、それぞれ1.1%、1.0%。
  2. 採算円レート
    • 輸出企業の採算円レートは101.5円/ドル(実数値平均)である(前年度調査99.8円/ドル)。調査直前月の円レート(113.9円/ドル)と比べると12.4円の円高。
    • 輸出企業の採算円レートが、製造業は100.2円/ドル、非製造業は108.0円/ドル。業種別にみると、「非鉄金属」や「精密機器」などで円高水準に、「鉄鋼」や「建設業」などで円安水準にある。
  3. 設備投資の動向
    • 「今後3年間(令和4~6年度平均)」に設備投資を増やす見通しの企業の割合(全産業)は74.7%(前年度調査61.6%)。製造業では75.9%(同61.1%)、非製造業では73.5%(同62.0%)。
    • 業種別では、「精密機器」、「電気機器」、「その他金融業」、「不動産業」などで高い割合
  4. 雇用者数の動向
    • 「今後3年間(令和4~6年度平均)」に雇用者を増やす見通しの企業の割合(全産業)は70.1%(前年度調査59.7%)。製造業では67.0%(同51.7%)、非製造業では72.9%(同66.4%)。
    • 業種別では、「機械」、「化学」、「保険業」、「建設業」などで高い割合。
  5. 海外現地生産比率
    1. 海外現地生産を行う企業の割合(製造業のみを対象)
      • 「令和2年度実績」は67.8%、「令和3年度実績見込み」は66.7%、「令和8年度見通し」は65.3%。
    2. 海外現地生産比率(製造業のみを対象)
      • 「令和2年度実績」(実数値平均)は22.4%、「令和3年度実績見込み」は22.3%、「令和8年度見通し」は23.4%。
      • 「輸送用機器」、「繊維製品」が30%を超えて相対的に高い一方、「医薬品」、「食料品」は相対的に低い
    3. 海外に生産拠点を置く理由(製造業のみを対象)
      • 海外に生産拠点を置く主な理由について、「現地・進出先近隣国の需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる」が最も多く、次いで、「現地の顧客ニーズに応じた対応が可能」、「労働力コストが低い」。

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内閣府 第1回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ
▼【資料1】 開催の趣旨及び今後の進め方について
  • WG設置の背景
    • デジタル化の進展により、インターネット社会特有の新たな消費者問題(SNSの投稿や広告を端緒とした、又は、SNSを利用した勧誘等によるもうけ話のトラブル)が発生しており、被害の防止及び救済の観点から検討が必要ではないか
    • 今年4月の成年年齢引下げの民法改正により、若年層へ消費者トラブルの拡大の懸念
  • 検討イメージ
    • 相談事例等から消費者トラブルの実態を把握し、課題を整理
    • 被害の防止及び救済の観点から、関連法令や業界等の自主的取組の在り方、消費者のデジタル・リテラシーの向上等を検討
  • 主な事例
    1. 安価な情報商材を購入し、さらに高額な契約を勧められたが、約束のサポートが無い(2018年8月2日「簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意!-インターネット等で取引される情報商材のトラブルが急増-」(国民生活センター))
      • SNSで友達登録した人から1日10万円稼げる副業というメールが送られてきた。ホームページを作りアクセスを増やすことで誰でも簡単に稼げると書いてあったので興味を持ち、インターネット上でデビットカードを使い1万円で情報商材を購入した。その後、事業者から電話相談の予約をするよう催促され、電話予約フォームで予約した日に業者から電話があり、アクセス数を増加させるツール等を90万円で契約するように勧められた。自分はお金が無いので数万円のコースがいいと言ったが、「みんな90万円のコースを選んでいる。途中でやめても返金できる」と言われたので、事業者を信じてクレジットカードで決済した。
      • さらに後日、事業者から電話があり、作業が進まないので新たな契約をするよう勧誘された。お金が無いと断ろうとしたが、前回契約した90万円の代金を一部免除するので、新たに約85万円の契約をするように威圧的に迫られ、断りきれずに契約し現金で支払った。しかし、命がけでサポートすると記載があったのに実際はサポートが無く、言われた通りにツールを使って作業をしたのに儲からないので、事業者に解約と返金を求めたが断られた。
    2. オンラインサロンを解約したいが、住所や電話番号等がわからない(2021年7月1日「新たな“もうけ話トラブル”に注意-オンラインサロンで稼ぐ!?-(国民生活センター))
      • SNSの広告を見て事業者に連絡を取ったところ、「不動産投資等でもうける方法を教える」と、約25万円の資産形成オンラインサロンを無料通話アプリで勧誘された。毎月2万円の分割払いで契約したが、説明と違い会員を増やせば紹介料が入るなどのような内容だとわかり、支払いを中止したところ、未納料約10万円を請求された。契約時、クーリング・オフ等が記載の書面等を受け取っておらず、事業者の住所や電話番号等はわからない。契約を解除して返金を求めたい。(20歳代男性)
  • 検討スケジュール(想定)
    • 「インターネットの広告を見て」「自らインターネットで検索をして」「SNSの投稿を見て興味を持ち」等、インターネット上の掲載をきっかけとする事例がみられる。
    • メッセージアプリ等のインターネット上のコミュニケーションツールにより、リアルなつながりなく契約する事例が多くみられる。→端緒及び勧誘時のツールとして、SNSが利用されている。
    • 比較的安価なマニュアル等を購入させ、そのあとに高額なサポート契約等を勧誘する事例がみられる。
    • 上記のような特徴を持つ事例を中心に、相談事例等から実態を把握し、検討を進めることを想定

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消費者庁 連鎖販売業者【株式会社ARK】に対する行政処分について
  • 中部経済産業局は、化粧品、健康食品等を販売している連鎖販売業者である株式会社ARK(本店所在地:東京都文京区)(以下「ARK」といいます。)に対し、令和4年3月1日、特定商取引法第39条第1項の規定に基づき連鎖販売取引の一部等(勧誘(勧誘者に行わせることも含みます。申込受付も同じ。)、申込受付及び契約締結)を、令和4年3月2日から令和4年6月1日までの3か月間、停止するよう命じました。
  • 併せて、中部経済産業局は、ARKに対し、特定商取引法第38条第1項の規定に基づき、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しました。
  • また、中部経済産業局は、ARKの前代表取締役葉室一政に対し、特定商取引法第39条の2第1項の規定に基づき、ARKに対して命じた取引等停止命令と同じ期間、取引等停止命令により停止を命ずる範囲の連鎖販売取引に係る業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。
  • なお、本件は、中部経済産業局と石川県が連携して調査を行い、石川県も令和4年3月1日付でARKに対する特定商取引法に基づく行政処分(取引等停止命令(3か月)及び指示)並びに同社の前代表取締役に対する業務禁止命令(3か月)を行いました。
▼連鎖販売業者【株式会社ARK】に対する行政処分について
  • 指示
    • 勧誘者は、特定商取引法第33条の2に規定する勧誘目的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的の不明示)及び同法第34条第4項の規定により禁止される勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りする場所以外の場所において特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする行為並びに同法第38条第1項第3号に掲げるARKの統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすることに該当する行為をしている。かかる行為は、特定商取引法の規定に違反し、又は指示対象行為に該当するものであることから、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)し、これらをARKの役員、従業員及び会員に、取引等停止命令に係る取引等を再開するまでに周知徹底すること
  • 処分の原因となる事実
    • 勧誘者は、以下のとおり、特定商取引法の規定に違反し、又は同法に規定する指示対象行為に該当する行為をしており、ARKには、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
      1. 勧誘目的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的の不明示)(特定商取引法第33条の2)
        • 勧誘者は、遅くとも令和元年6月以降、本件連鎖販売取引をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「副業って興味ない。」、「おれさ、口コミのバイトみたいなことしとるんやけど興味ないけ?」、「今俺さ、社会人のサークルやってんだけど、その日ボーリングやるんだよね 先輩が連れてきてもいいって言うしどうかなって」などと告げるのみで、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていない。
      2. 勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘(特定商取引法第34条第4項)
        • 勧誘者は、遅くとも令和元年12月以降、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに、電磁的方法により、特定の場所への来訪を要請する方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしている。
      3. ARKの統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をする行為(特定商取引法第38条第1項第3号)
        • 勧誘者は、遅くとも令和元年6月以降、本件連鎖販売取引についての契約(以下「本件連鎖販売契約」という。)を締結しない旨の意思を表示している者に対し、複数名で長時間にわたり執ように勧誘をするなど、当該連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしている。

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消費者庁 【若年者の皆様へ】消費生活相談窓口情報
  • 令和4年4月1日から成年年齢が引き下げられ、「18歳から大人」となります。18歳になれば自分の責任で様々な契約を結ぶことができるようになる一方で、18歳、19歳は未成年者取消権による保護の対象から外れることになります。契約や悪質商法におけるトラブル、製品・食品やサービスによる事故等で困った際に、相談できる窓口が関係機関において整備されていますので、一人で悩まず、ご利用ください。
  • 消費者ホットライン(188)
    • 消費者庁では、消費生活センター等の消費生活相談窓口の存在や連絡先をご存知でない消費者の方にお近くの消費生活相談窓口をご案内することにより、消費生活相談の第一歩をお手伝いすることを目的として、消費者ホットラインを設置しています。契約や悪質商法におけるトラブル、製品・食品やサービスによる事故等のご相談で、どこに相談してよいか分からない場合には、一人で悩まずに、消費者ホットライン188番をご利用ください。メールでも相談を受け付けている自治体もあります!
  1. メールでも相談を受け付けている各自治体の消費生活相談窓口について
  2. 関係機関の相談窓口
    • トラブルの内容等に応じ、関係機関において専用の相談窓口を開設しています。詳細は以下をご覧ください。
      • 金融サービスのトラブル
        • ▼金融サービス利用者相談室(金融庁)
          • 金融庁では、金融行政・金融サービスに関する一般的なご質問・ご相談・ご意見を金融サービス利用者相談室で受け付けています。頂いたご質問・ご相談については、相談員がお電話にてお答えします。
      • 電気通信サービスのトラブル
        • ▼電気通信消費者相談センター(総務省)
          • 携帯電話サービス(例:スマートフォン、ガラケー)、固定電話サービス(例:電話機、公衆電話)、インターネットサービス(例:パソコン、タブレット、Wi-Fiルーター)などの電気通信サービスに関する消費者トラブルが発生した際に、お問い合わせやご相談をお受けしています。また、お住まいの地域を管轄する総務省総合通信局でもお受けしています。ぜひご利用ください
      • 経済産業関係のトラブル
        • ▼消費者相談室(経済産業省本省・地方経済産業局)
          • 経済産業省の所管する法律や製品、役務(サービス)及び消費者取引に関して、消費者の方からのご相談や情報提供を受け付けています。消費者の方と事業者との間の個別トラブルの仲介・あっせんは行っておりませんが、お話を伺った上で、関係する法令や適切な他の機関・窓口のご紹介等のアドバイスをさせていただきます。
        • ▼商品先物トラブル110番(経済産業省本省)
          • 原油などの商品先物取引に関するご相談、商品先物取引業者等への苦情に係る情報等をお受けしています。
      • 個人情報関係のトラブル
        • ▼個人情報保護法相談ダイヤル(個人情報保護委員会)
          • 個人情報保護委員会では、個人情報保護法の解釈や個人情報保護制度についての一般的な質問にお答えしたり、個人情報の取扱いに関する苦情を相手方に申し出たが、相手方の対応や回答内容をめぐり、相手方事業者等と争いが生じた場合に必要なあっせん等を行うため、電話による相談窓口を設置しています。
      • 法律関係のトラブル
        • ▼法テラス(日本司法支援センター)
          • 法テラスは、国が設立した公的な法人です。トラブルを抱えて困っている方、どうやって解決したらいいかわからなくて悩んでいる方、お気軽にお問合せください。お悩みを整理し、適切な相談窓口や法制度に関する情報をご案内します。また、経済的に余裕のない方は、無料法律相談や弁護士・司法書士費用等の立替えの制度をご利用いただけます。
      • 海外事業者とのトラブル
      • 子ども・若者育成支援に関する相談
      • 性犯罪・性暴力に関する相談
        • ▼性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
          • 性犯罪・性暴力被害者支援のため、緊急避妊薬の処方やz感染症検査、証拠採取などの医療的支援、相談・カウンセリングなどの心理的支援、警察への同行支援、弁護士など専門家を紹介する法的支援などを行っています。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター全国共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」にかけると、最寄りのワンストップ支援センターにつながります。
        • ▼性暴力に関するSNS相談 Cure time(キュアタイム)
          • 「性暴力の被害のこと、電話だと話しにくいな。」そんなとき、チャットで話してみませんか?警察のこと、病院のこと、つらい気持ち。一人で悩まず、相談してください。専門の相談員が一緒に考えます。ひみつは守ります。
      • 警察相談専用電話(#9110)
        • 警察相談専用電話「#9110」
          • 電話での相談のための全国共通の短縮ダイヤルです。発信地を管轄する各都道府県警察本部等の総合窓口に直接つながります。担当:消費者政策課・消費者教育推進課・地方協力課

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国民生活センター 18歳から“大人” 18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル 最新10選
  • 2022年4月から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。全国の消費生活センター等に寄せられる相談をみると、20歳代の相談件数は未成年者と比べて多く、契約金額も高額になっています。今回、国民生活センターでは、全国の消費生活センター等に寄せられた相談やこれまでの若者関連の公表資料などから、新たに成年になる18歳・19歳の方に向けて特に気を付けてほしい消費者トラブルをまとめました。
  • 18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル 最新10選
    1. 副業・情報商材やマルチなどの”もうけ話”トラブル
    2. エステや美容医療などの”美容関連”トラブル
    3. 健康食品や化粧品などの”定期購入”トラブル
    4. 誇大な広告や知り合った相手からの勧誘など”SNSきっかけ”トラブル
    5. 出会い系サイトやマッチングアプリの”出会い系”トラブル
    6. デート商法などの”異性・恋愛関連”トラブル
    7. 就活商法やオーディション商法などの”仕事関連”トラブル
    8. 賃貸住宅や電力の契約など”新生活関連”トラブル
    9. 消費者金融からの借り入れやクレジットカードなどの”借金・クレカ”トラブル
    10. スマホやネット回線などの”通信契約”トラブル
  • こんなところに気を付けよう! トラブル別アドバイス
    1. 副業・情報商材やマルチなどの”もうけ話”トラブル
      • 確実にもうかる話はありえない!
      • 「簡単に稼げる」と強調する広告や勧誘をうのみにしない。
      • 「荷受代行」「荷物転送」は絶対にしない。
    2. エステや美容医療などの”美容関連”トラブル
      • その場で契約・施術をしない。
      • サービスの施術前にリスク等の説明を十分に受けて検討する。
      • 長期間の契約が心配なときは都度払いのコースを選ぶ。
    3. 健康食品や化粧品などの”定期購入”トラブル
      • 注文前に返品・解約の条件を確認する。
      • 低価格を強調する広告は特に詳細を確認する。
    4. 誇大な広告や知り合った相手からの勧誘など”SNSきっかけ”トラブル
      • SNS上で知り合った相手が本当に信用できるか慎重に判断する。
      • SNS上の広告から偽通販サイトに誘導されてトラブルになるケースも。
    5. 出会い系サイトやマッチングアプリの”出会い系”トラブル
      • 出会い系サイトやマッチングアプリ等の規約をよく確認する。
      • サイトやアプリで知り合った相手が本当に信用できるか慎重に判断する。
    6. デート商法などの”異性・恋愛関連”トラブル
      • 相手の好意は、商品を売るための手口であることも!
      • あやしいと思ったら、すぐに契約しない、お金を借りない。
    7. 就活商法やオーディション商法などの”仕事関連”トラブル
      • 必要がないと思う契約には、先輩や知人から勧誘されても、ハッキリと断る。
      • 「オーディションに合格した」など、期待を持たせる勧誘トークに注意する。
      • アンケートなどを求められても安易に個人情報を伝えず、利用目的を確認する。
    8. 賃貸住宅や電力の契約など”新生活関連”トラブル
      • 契約先の事業者名や連絡先、契約条件をよく確認する。
      • 賃貸住宅の退去時の条件などもしっかり確認する。
    9. 消費者金融からの借り入れやクレジットカードなどの”借金・クレカ”トラブル
      • 借金をしてまで契約すべきものかよく考える。
      • 手数料が発生するリボ払いに注意する。
      • クレカの利用明細は必ず確認する。
    10. スマホやネット回線などの”通信契約”トラブル
      • 勧誘を受けた事業者名やサービス名、連絡先、契約内容を確認する。
      • 解約時の条件についても事前によく確認する。

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国民生活センター ブリーダーからのペット購入 信頼できるか考えて
  • 内容
    • ネットで見つけたブリーダーから、約10万円の犬を購入した。実際に事務所を訪問すると、狭いケージに入った犬が数匹いて、足の踏み場がなく不衛生だったが、犬は可愛かったので購入を決めた。契約書はなく、説明書だけ受け取った。数日後、犬が体調を崩し、動物病院に連れていったが死亡した。ブリーダーに連絡したが「補償はしない」との返答だった。納得できない。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • ブリーダーからのペット購入を検討する際は、まずはブリーダーが第一種動物取扱業に登録しているか調べましょう。また、実際に飼育施設に出向き、施設の清潔さや動物の健康状態などを確認しましょう。複数のブリーダーを比較し、信頼できて購入後も気軽に相談できるブリーダーかどうかも考えてください。
    • 購入の際は必ず事業所で、動物愛護管理法に定める対面での説明を受け、動物の健康状態などを確認し、理解してから契約しましょう。保証内容や連絡先も確認し、書面を受け取っておくとよいでしょう。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
    • ペットは一度飼い始めたらその命を終えるまで適切に飼育しなければなりません。見た目の可愛さにひかれて安易に購入することなく、冷静に検討しましょう。

~NEW~
国民生活センター ふたを開けようとして指にけがをした調味料入れ(相談解決のためのテストからNo.163)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 「調味料入れのふたを回して開けようとしたところ、親指から手のひらにかけてけがをした。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 当該品は、ふたつきの食塩入れで、相談者によると、ふたを取り外そうとして、ふた全体を右手で包むようにつかんで力を入れたところ、右手親指の腹から手のひらにかけて切れて出血したとのことでした。
    • 当該品のふたを注意深く取り外して裏側を観察したところ、本体に固定するためのねじ山を備えた樹脂製の部品の外側を厚さ0.5mmのステンレス板で覆う構造となっており、このステンレス板の端部の縁は、鋭くギザギザとしていました。
    • 食器や食品容器等の縁部の鋭さについて定めた国内規格はありません。そこで、米国の材料・部品・装置・道具類などに関する安全規格(UL規格)のUL1439「機器の縁の鋭さに対する試験」、及び日本の玩具安全基準(ST基準)のST-2016「5.8鋭い縁部」を準用し、当該品のふたのステンレス板の縁の鋭さを調査しました。その結果、UL規格のテストでは「人体障害のおそれに繋がる鋭い縁部」、ST基準のテストでは「潜在的に危険な鋭い縁部」と判定されました。
    • 次に、ふたを手で回して開けようとする動作の再現テストを行いました。テストではソーセージを親指の代替物としてあてて行いました。ふたをしっかり締め付けた状態(締付トルク:約1N・m)で回すテストをした結果、当該品では、ふたの縁にこすりつけたソーセージの皮が破れました。
    • 以上、当該品のふたは縁が鋭利であり、ソーセージを使用した再現テストでも皮が破れたことから、危険性のある部品と考えられました。
    • 依頼センターがテスト結果を事業者に説明したところ、事業者から、ステンレス板をカットする刃のメンテナンス回数を増やすとともに、縁部の安全確認方法の変更を行うとの回答がありました。

~NEW~
国民生活センター 組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車-正しく組み立てができないと事故の危険も-
  • 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「密」を避ける移動手段として、また、人との接触を避ける外出自粛時の気軽なレクリエーションとして、自転車への関心が高まっています。2020年の自転車の1店舗当たり平均年間新車販売台数は前年比5.8%増となっており、コロナ禍による自転車需要の高まりがみられます。
  • 通常、店舗で販売されている自転車は、出荷元の工場等から、一部の部品が装着されていない組み立てが必要な状態で箱詰めされるなどして販売店に引き渡され、販売店で有資格者などにより組み立てられ、検査及び整備などが行われています。
  • しかし、通信販売で購入できる自転車の中には、工場から販売店に出荷されるときのように、組み立てが必要な状態のまま消費者に届けられ、消費者が別途、組み立て、検査及び整備の手配をしなければならないものもあります。組み立て等を依頼できるところを探す煩わしさや、見つからない等のため、専門知識を持たない消費者自らが組み立て、不完全な整備状態で使用され、事故につながるおそれもあります。
  • PIO-NETには、2016年度以降の約6年間に、通信販売で購入した自転車に関連する危害・危険事例が206件あり、そのうち組み立てが必要な状態で届いた自転車を消費者が組み立て、使用していると推定される事例が少なくとも31件あります。
  • そこで、組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車について調査を行い、消費者に情報提供することとしました。
  • 消費者へのアンケート調査
    • 価格や購入に係る手間が省けることが購入理由として優先される傾向がみられました
    • 7割近くの人が自分1人で組み立てを行い、誰かに協力してもらった人も2割程度いました
    • 自分1人または誰かに協力してもらって組み立てた人のうち2割が、組み立てができなかった、組み立てることができても不安があると回答しました
    • 組み立てができたと回答した人の中で、組み立ての際に困ったこととして「梱包材の処分」、「取扱説明書の内容が理解できなかった/記載されていなかった/説明が不十分であった」、「組み立てに必要な作業スペースの確保」という回答が多くありました
    • 組み立てることができたと回答した人に組み立て作業の難易度について聞いたところ、2割が「難しい」、「とても難しい」と回答しました
    • 今回のアンケート調査では、3割が防犯登録をしていないと回答しました
    • 購入店から防犯登録の案内がなかったと回答した人が4割以上いました
    • 使用していて困ったこととして、調整・保守、販売店のサポートに関する内容が多くありました
  • 商品を受け取ってから使用するまでの過程についてのテスト
    • 自転車が入った箱の重さは30kgを超えるものもあり、1人で持ち運ぶことや、箱を壊さずに自転車を取り出すことは困難と考えられました
    • 商品本体の他に、組立説明書、取扱説明書、組立工具などが同梱されていましたが、取扱説明書のないものもありました
    • 梱包材は、45Lのゴミ袋約1袋分ありました。また、商品が入っていた箱は1週間をめどに保管する旨の記載がみられました
    • ねじは、適切な強さで締め付ける必要がありますが、具体的な締付トルクの記載がみられないものがほとんどでした
    • 付属の工具では、適切に締め付けることが困難と考えられるものがありました
    • あらかじめ組み付けられている部分にも、調整や修正が必要な箇所がありました
    • すべての銘柄で防犯登録の際に使用できる販売証明書が付属していましたが、販売者による記入が望ましい欄も消費者が記入しなければならないものがありました
    • 定期的な点検整備や修理サービスを提供していない銘柄がありました
  • 消費者へのアドバイス
    • 組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車の組み立てには、自転車についての正確な知識が必要です。不適切に組み立てられた自転車に乗ると事故の危険もあります。購入する際には、どのような組み立てが必要かを確認しましょう。また、購入後、組み立て方法について不明な点があれば販売事業者に確認しましょう
    • 通信販売で自転車を購入する際には、購入後の点検整備や修理サービスの内容についても確認しましょう
    • 通信販売で購入した自転車であっても防犯登録の義務はありますので、必ず登録しましょう
  • 事業者への要望
    • 自転車を未完成状態で販売する際には、自転車技士等による組み立てが望ましいことを伝えるよう要望します。また、組み立て状態で販売することや、組み立てに係るサポート、点検、修理をするサービスの提供を要望します
    • 自転車の防犯登録のさらなる周知を要望します。また、自転車の防犯登録に必要な書類には、必要事項を記入して消費者に渡すことを要望します
    • インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
    • 未完成状態の自転車を通信販売する際には、出品者は自転車について正確な知識のない消費者が適切に組み立てることは困難であることをあらかじめ購入者に説明すること、また、販売証明書には必要事項を記入してから購入者に渡すよう、出品者への周知をお願いします

~NEW~
国民生活センター ロマンス投資詐欺が増加しています!-その出会い、仕組まれていませんか?-
  • 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)では、2021年2月に、出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺について注意喚起を行いましたが、その後も、「出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会い、恋愛感情を持った相手から、実態のわからない投資等の海外サイトを紹介され投資したが、出金できなくなった」等の相談が多数寄せられています
  • 年度別相談件数:2018年度は12件(うち投資等に関する相談は2件)、2019年度は25件(うち投資等に関する相談は5件)、2020年度は109件(うち投資等に関する相談は84件)、2021年度は12月31日までで187件(うち投資等に関する相談は170件)です。
  • 相談事例
    1. 2人の将来のためと勧誘され投資したが、出金しようとすると保証金を要求された
      • マッチングアプリで自称外国人経営者、ファッションブランドでVIP待遇を受けているという男性と出会った。男性がアプリを退会し、無料会話アプリでやり取りする中で、「Baby」「妻」と呼ばれるようになった。将来のため、紹介する投資サイトで投資するよう何日か説得され続け、断り切れず投資した。少額を投資したところ利益が出て出金できた。元金が多ければもうけも多いと説得され、銀行や消費者金融から借り入れて、合計約500万円投資した。出金しようとしたところ、利益を含めた総資産の15%(180万円)を保証金としてさらに支払う必要があると言われたため、50万円をさらに借り入れた。残りの130万円についてマッチング相手に相談していたところ、連絡が途絶えた。(2021年11月受付 30歳代 女性)
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • 投資金を個人の口座宛てに振り込み、利益を出金しようとすると、所得税を支払うように要求された
      • 投資金を出金するための手数料等を支払ったが出金できない
  • 相談事例から見えるトラブルの特徴、手口
    • ロマンス投資詐欺では、1~8の流れで財産的な被害が発生します。
      1. 出会い系サイトやマッチングアプリ等でマッチングが成立
      2. 実際に会う前に、出会い系サイトやマッチングアプリ等以外でのサービスでやり取りしないかと持ち掛けられる
      3. マッチングの相手から、投資サイトを案内され、投資を勧められる
      4. マッチングの相手から、投資用資金の送金を指示される
      5. 初めは少額からの投資を勧められ、投資サイト上では利益が出る
      6. マッチングの相手から、さらに高額の投資をするよう勧められ、送金する
      7. 出金しようとすると、さまざまな名目で送金を要求され、結局出金できない
      8. マッチングの相手、投資サイト運営事業者と連絡がとれなくなり、返金されない
  • 相談事例から見た問題点とアドバイス
    • 出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った相手の指示で投資するのはやめましょう
    • 出会い系サイトやマッチングアプリ等は、ルールに従って利用しましょう
  • 不安に思った場合やトラブルにあった場合は
    • すぐに居住地域の消費生活センター等に相談してください。海外事業者とのトラブルについては、国民生活センター越境消費者センター(CCJ)でも相談を受け付けています。
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
国民生活センター 【若者向け注意喚起シリーズ<No.10>】新しいお部屋で新生活!「賃貸借契約」を理解して、トラブルを防ごう!!
  • 住宅の賃貸借に関する消費者トラブルは、10~20歳代の若者にもみられます。特に、親元を離れ新たな生活を始める際に賃貸借の契約をすることが多く、トラブルにならないよう注意が必要です。全国の消費生活センター等には、賃貸借契約に関して次のような相談が寄せられています。
  • 相談事例
    • 【事例1】娘が賃貸マンションを借りることになったが、入居前に解約を申し出たところ、支払ったお金はほとんど返金できないと言われた
    • 【事例2】賃貸マンションを退去した後、ハウスクリーニング費用などを含む高額な原状回復費用を請求された
  • トラブル防止のポイント
    1. 契約時:契約書類の記載内容や賃貸物件の現状をよく確認しましょう
      • 契約前に書類の内容をよく確認しましょう。特に、禁止事項、修繕に関する事項、退去する際の費用負担に関する事項や、特約について必ず確認しておきましょう。
      • 入居前に、できる限り貸主側と一緒に賃貸物件の現状を確認しておきましょう。入居前からあったキズや汚れ等の写真を撮っておくと、退去時のトラブル防止につながります。
    2. 入居中:入居中のトラブルは貸主側にすぐ相談しましょう
      • 入居中に、雨漏りやトイレの水漏れ等のトラブルが発生したら、すぐに貸主側に連絡し、どうすればよいか相談しましょう。また、賃貸物件はあくまで借りているものであることを意識し、日頃からできるだけきれいに使うことを心がけましょう。
    3. 退去時:精算内容をよく確認し、納得できない点は貸主側に説明を求めましょう
      • 賃貸物件を退去するとき、納得できない費用を請求された場合には、国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、貸主側に説明を求め、費用負担について話し合いましょう。また、賃貸物件の退去時は、入居時と同様に、できる限り貸主側と一緒に賃貸物件の現状を確認しましょう。その際、確認した内容をメモに残したり、修繕が必要と思われる箇所の写真を撮ったりして、証拠となる記録を残しておくことが大切です。
    4. 2022年4月から『18歳で大人』に!
      • 2022年4月1日から、18歳になれば、一人で契約ができるようになります。しかし、原則として一方的に契約をやめることはできないので、契約するかどうか、慎重に検討しましょう。
      • 賃貸借契約の内容などについて不安になったとき、トラブルになったときなどには「188」(消費者ホットライン)に相談しましょう!

~NEW~
厚生労働省 入国後の自宅等待機期間の変更等について
  • 令和4年3月1日午前0時より、水際対策強化に係る新たな措置(27)に基づき、水際措置が変更になります。
  1. 入国後の自宅等待機期間の変更
    1. 検疫所の宿泊施設での待機対象となっている国・地域(以下「指定国・地域」という。)から帰国・入国する方で、新型コロナウイルス感染症のワクチンを3回接種していない方は、検疫所が確保する宿泊施設での3日間待機を求めます。宿泊施設で受けた検査の結果が陰性であれば、退所後の自宅等待機を求めないこととします。
    2. 指定国・地域から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方※は、原則7日間の自宅等待機を求めますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求めないこととします。
    3. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していない方は、原則7日間の自宅等待機を求めますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求めないこととします。
    4. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方※は、入国後の自宅等待機を求めないこととします。
      • ※有効なワクチン接種証明書を入国時の検疫で提示する必要があります。
      • ※検疫所又は保健所等から自宅等待機の継続等について別途指示があった場合には、その指示に従う必要があります。
      • ※3日目以降に受けた検査の結果が出るまでに、数日を要する検査機関もありますので、必ずご自身でご確認の上、受検してください。
      • ※上記(1)~(4)のいずれの場合も、陽性者、濃厚接触者となった場合は、自宅等での待機期間の短縮の対象となりません。
      • ※オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域が別途指定された場合には、当該国・地域から帰国・入国する方については、自宅等待機等の期間は14日間となります(現時点で該当する国・地域はありません。)。
      • ※空港検疫で陽性となった方が、ゲノム解析の結果、オミクロン株以外(デルタ株等)の陽性者と判明した場合、当該陽性者の機内濃厚接触者の方は、濃厚接触者としての待機期間が14日間になることがあります。
  2. 入国後の公共交通機関の使用について
    • 上記1(2)及び(3)に該当する方は、入国後の待機のため自宅等まで移動する際は、公共交通機関の使用が可能となります。ただし、入国時の検査(検体採取時)から24時間以内に移動が完了し、かつ自宅等までの最短経路での移動に限ります。

~NEW~
厚生労働省 第74回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年3月2日)
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.84となり、直近の1週間では10万人あたり約364人と減少が継続している。年代別の新規感染者数は全ての年代で減少傾向となっている。
    • まん延防止等重点措置が適用されている31都道府県のうち30都道府県で今週先週比が1以下となり、新規感染者数は減少が継続している。一方、重点措置区域の適用が解除された5県のうち、島根県、大分県及び沖縄県で今週先週比が1を上回っている。
    • 全国の新規感染者数減少の動きに伴い療養者数も減少しているが、重症者数及び死亡者数は高止まりしている。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(2/13)で0.97と1を下回る水準となっており、首都圏、関西圏ではいずれも0.96となっている。
  • 地域の動向 ※ 新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 北海道 新規感染者数は今週先週比が0.82と1を下回り、約286(札幌市約391)。30代以下が中心。病床使用率は約4割。
    2. 東北 青森の新規感染者数は今週先週比が0.94と1を下回り、約234。30代以下が中心であり、特に10歳未満で増加。病床使用率は約5割。福島でも今週先週比が0.92と1を下回り、新規感染者数は約113。病床使用率は5割弱。
    3. 北関東 群馬の新規感染者数は今週先週比が0.88と1を下回り、約227。30代以下が中心。病床使用率は5割強、重症病床使用率は2割強。茨城、栃木でも今週先週比がそれぞれ0.93、0.88と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約301、248。病床使用率について、茨城では4割強、栃木では4割弱。重症病床率について、茨城、栃木では約2割。
    4. 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は今週先週比が0.81と1を下回り、約564。30代以下が中心。病床使用率は5割強、重症病床使用率は4割強。埼玉、千葉、神奈川でも今週先週比がそれぞれ0.84、0.81、0.84と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約428、399、467。病床使用率について、埼玉では5割強、千葉では6割強、神奈川では約7割。重症病床使用率について、埼玉、千葉では約2割、神奈川では4割弱。
    5. 中部・北陸 石川の新規感染者数は今週先週比が1.09と増加が続き、約268。30代以下が中心であり、特に10歳未満で増加。病床使用率は3割強。新潟、長野では今週先週比がそれぞれ0.88、0.77と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約133、119。病床使用率について、新潟では2割強、長野では3割強。
    6. 中京・東海 愛知の新規感染者数は今週先週比が0.84と1を下回り、約424。30代以下が中心。病床使用率は6割強、重症病床使用率は約3割。岐阜、静岡、三重でも今週先週比がそれぞれ0.79、0.95、0.87と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約243、266、229。病床使用率について、岐阜では4割強、静岡では5割弱、三重では4割強。
    7. 関西圏 大阪の新規感染者数は今週先週比が0.76と1を下回っているが、約638と全国で最も高い。30代以下が中心。病床使用率は8割弱、重症病床使用率は5割強。京都、兵庫、和歌山では今週先週比がそれぞれ約0.79、0.79、0.78と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約426、445、217。病床使用率について、京都では7割強、兵庫では7割弱、和歌山では約5割。重症病床使用率について、京都では5割強、兵庫、和歌山では2割強。
    8. 中国・四国 広島の新規感染者数は今週先週比が0.91と1を下回り、約173。30代以下が中心であり、特に10歳未満が高水準で横ばいに推移。病床使用率は4割強。重症病床使用率は2割強。岡山、香川、高知でも今週先週比がそれぞれ0.86、0.94、0.89と1を下回り、新規感染者数は約217、283、178。病床使用率について、岡山では4割強、香川では4割弱、高知では約4割。重症病床使用率について、高知では3割弱。
    9. 九州 福岡の新規感染者数は今週先週比が0.85と1を下回り、約406。30代以下が中心。病床使用率は6割強。佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島でも今週先週比がそれぞれ0.88、0.98、0.87、0.97、0.93と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ289、189、227、140、193。病床使用率について、佐賀では約3割、長崎では3割弱、熊本では約5割、宮崎では3割強、鹿児島では約4割。
    10. 沖縄 新規感染者数は今週先週比が1.12と増加し、約324。新規感染者は30代以下が中心であり、特に10代以下で増加。病床使用率は約5割、重症病床使用率は約4割。
    11. 上記以外 岩手、秋田、富山、福井、鳥取、島根、徳島、愛媛、大分では、それぞれ約189、150、307、284、186、92、279、125、199。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。宮城、山形、山梨、滋賀、奈良、山口では今週先週比がそれぞれ0.86、0.91、0.76、0.95、0.83、0.95と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ191、122、195、451、485、135。病床使用率について、岩手、秋田では4割弱、宮城では4割強、富山、愛媛、大分では3割強、山形では約3割、福井、鳥取、島根では2割強、山梨では5割強、滋賀では7割強、奈良では6割強、山口、徳島では約4割。重症病床使用率について、奈良では約7割。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 全国の新規感染者数は、実効再生産数及び今週先週比が1以下と減少が続き、直近1週間の移動平均も1週間以上にわたり減少が継続しているが、先週の祭日の影響も考えられ、今後の推移を注視する必要がある。重点措置区域を含む多くの地域で減少が継続しているが、一部の地域で横ばいや増加が見られる。また、大都市部における感染レベルが依然として高く、地方の感染状況の改善傾向も弱い。新規感染者における10代以下の割合は依然として高く、また、介護福祉施設における高齢者の感染が継続している。
    • 現在の状況は、ワクチン接種の加速に伴い継続的な減少傾向が見られた昨夏の感染拡大状況とは異なり、新規感染者数の減少は緩慢であり、少なくともしばらくの間、新規感染者数が高いレベルで推移していくことが予想される。
    • 夜間滞留人口については、重点措置区域では一部の区域で増加していることに加え、沖縄を始め重点措置区域の適用が解除された地域では急増しており、新規感染者数の増加傾向も見られる。今のところその兆候は見られないが、今後2系統に置き換わることで再度増加に転じる可能性や、年度末を迎えることによる感染状況への影響に注意が必要である。
    • 報告の遅れにより、陽性者数の公表データが実態と乖離している可能性が指摘されており、流行状況の判断にあたっては、他の指標(例えば東京都のモニタリング項目としては、発熱等相談件数、検査人数、救急医療の東京ルールの適用件数、入院患者数、重症患者数など)も継続的にモニタリングしていくことが重要。なお、検査陽性率については分母となる検査数の報告の遅れが顕著であり、参考程度とすべきである。
    • 全国の感染者数の減少が続いても、当面は多くの地域で軽症・中等症の医療提供体制等のひっ迫と、高齢の重症者による重症病床使用率の高止まり傾向が続く可能性がある。今回の感染拡大における死亡者は、高齢者の占める割合が高くなっている。高齢者の中には、侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化などの影響で重症の定義を満たさずに死亡する方も含まれるとの指摘もある。また、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても、感染により基礎疾患が増悪することや高齢の感染者が誤嚥性も含む肺炎を発症することで、入院を要する感染者の増加にも注意が必要。
    • 救急搬送困難事案について、非コロナ疑い事案及びコロナ疑い事案ともに多くの地域でやや減少傾向が見られるが、未だに高水準で増加しており、通常医療、特に救急医療に対して大きな負荷がかかっている。
  • オミクロン株の特徴に関する知見
    1. 感染性・伝播性
      • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
    2. 感染の場・感染経路
      • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様に飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
    3. 重症度
      • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示されているが、オミクロン株感染による入院例が既に増加している。現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても限られたデータではあるが季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、今後もさまざまな分析による検討が必要。
    4. ウイルスの排出期間
      • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出については、ワクチン接種の有無にかかわらず時間の経過とともに減少し、有症状者では、発症日から10日目以降において、また、無症状者では、診断日から8日目以降において排出する可能性が低いことが示された。
    5. ワクチン効果
      • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下するが、入院予防効果は一定程度保たれている。また、ブースター接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、ブースター接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。国内でも新型コロナワクチンの2回及び3回接種によるオミクロン株への有効性に関する症例対照研究の暫定報告があり、オミクロン株に対するワクチンの有効性に関する知見も増えてきている。
    6. BA.2系統
      • 海外の一部地域では2系統による感染が拡大している。現状、国内におけるオミクロン株の主流はBA.1系統であるが、BA.2系統も検疫や国内で検出されており、その割合は増加する可能性がある。この場合、感染者数の増加(減少)速度に影響を与える可能性がある。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は、BA.1系統と比べ15%短く、実効再生産数は26%高いことが示された。BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。BA.1系統ウイルス感染後におけるBA.2系統ウイルスに再感染するリスクについてはまだ明らかではない。
  • オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
    1. 感染急拡大地域におけるサーベイランス等
      • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株監視体制について、オミクロン株への置き換わった地域においては、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
    2. 自治体における取組
      • 自治体では、地域の感染状況及び今後の感染者数や重症者数の予測に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や地域に必要な保健所機能の維持と体制強化のための応援確保、自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築について機動的に取り組むことが必要。その際、高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制を確保することが求められる。
      • この時期は、通常医療でも救急搬送が必要な急性疾患が多くなるため、コロナ医療と通常医療とのバランスに留意すべき。感染が急拡大した場合には、重症化リスクの高い方について、迅速かつ確実に受診・健康観察に繋げることが必要。また、コロナに罹患していても、基礎疾患の治療が継続できるような体制を整えることが必要。
      • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など先般発出された事務連絡に基づき、効率的な保健所業務の実施が求められる。あわせて、流行株の特性を踏まえた対策の最適化について検討することが必要。特に、濃厚接触者の特定や待機については、オミクロン株による感染は世代時間及び潜伏期間が短いという特性を踏まえると、感染レベルが高く保健所の濃厚接触者の特定に時間を要するような状況では感染拡大防止効果が限定的となっていることから、その対象者など戦略の検討が必要。
    3. ワクチン未接種者、追加接種者への情報提供の再強化
      • 65歳以上高齢者の3回目接種率が約50%に達したが、高齢者を中心とする重症者・死亡者を最小限にするため、また同時に、現在の感染状況を確実に減少傾向へと向かわせるためにも、高齢者への接種をさらに加速するとともに、65歳未満の対象者への追加接種をできるだけ前倒しすることが求められている。
      • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の追加接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復することから、追加接種を着実に実施していくことも必要。
      • また、ワクチン接種はコロナ後遺症に対しても効果があると報告されている。
      • さらに、5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種について、特例臨時接種として実施すること、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、今後接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。
    4. 水際対策
      • 3月からの入国者の待期期間の緩和などの措置の実施とともに、引き続き、海外及び国内のオミクロン株など変異株の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
  • オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
    • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
      • 学校・幼稚園・保育所等においては、新型コロナウイルス感染陽性者や濃厚接触者が多くの地域で増加している。自治体による教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進が必要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。あわせて、家庭内における感染対策を徹底することも求められる。
      • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策を徹底していくことが重要。このため、入所者及び従事者に対するワクチンの追加接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援が重要。
      • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの追加接種を積極的に進めるべきである。
  • 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
    • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。さらに、個人の重症化予防・発症予防だけではなく、周囲の人々への感染を防ぐ効果を期待して、ワクチンの追加接種を受けていただくことが重要。
    • 外出の際は、混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスクの着用を徹底することが必要。
    • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。
    • これからの年度末に向けて、卒業式・春休み・3連休等の多くの人が集まる機会が増える。これまでこのような機会をきっかけに感染が拡大したことから、感染防止策の徹底が必要。

~NEW~
厚生労働省 第2回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ資料
▼資料2 生活困窮者自立支援のあり方に関する論点整理(案)
  • 法施行後の状況
    • 生活困窮者自立支援法(以下「法」という。)は、リーマンショックを契機として、生活保護に至る前の段階で、早期に自立に向けた支援を行うことの重要性が認識されたことを背景に、複合的な課題を抱える生活困窮者に対して包括的な支援を行う新たな仕組みとして平成27年4月に施行された。
    • 法施行後の状況を踏まえ、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律(平成30年法律第44号。以下「平成30年改正法」という。)においては、法の理念や生活困窮者の定義の明確化、任意事業の機能強化、支援会議の設置等が盛り込まれた。
    • 法は、一貫して「生活困窮者の自立と尊厳の確保」及び「生活困窮者自立支援を通じた地域づくり」という2つの目標と、「包括的」「個別的」「早期的」「継続的」「分権的・創造的」な新しい支援のかたちを掲げた。それにより、世帯が抱える複合的な課題をときほぐし、就労を含めた社会とのつながりの回復により生活向上を図り、本人の自己肯定感を回復していくとともに、地域の活力、つながり、信頼を強めていくことを目指してきた。
    • こうした法の理念のもと、全国の自治体や支援現場においては様々な実践が重ねられてきた。新規相談者数や継続的に支援した人数は年々増加し、継続的に支援した人の多くに自立に向けた変化が見られるなど、着実に効果が現れている。また、都道府県等においても、各事業の実施率の向上や関係機関の連携強化等を通じて支援の基盤が拡充されてきた。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響
    • 令和2年春から続くコロナ禍は、社会の脆弱性を照らし出し、その影響は世代・属性を超えて非常に広範囲に及んだ。休業やシフト減・雇止め等による経済的困窮に加え、緊急事態宣言等に伴う外出自粛により人とのつながりが変化し、社会的に孤立を深める人、DV・虐待など家庭に問題を抱える人が顕在化した。こうした影響は、コロナ禍以前から生活困窮のおそれがあった人や脆弱な生活基盤のもと暮らしていた人がいかに多く存在していたかを浮き彫りにした。
    • このような厳しい状況をもたらしたコロナ禍は、法の真価を問うものでもあった。自立相談支援機関の相談窓口における新規相談受付件数や都道府県社会福祉協議会が実施する緊急小口資金等の特例貸付(以下「特例貸付」という。)、住居確保給付金の申請件数は急増し、とりわけ個人事業主やフリーランス、外国人、若年層などこれまで生活困窮の相談窓口につながっていなかった新たな相談者層からの相談が増加した。
    • こうした状況に対して、支援現場においては、感染防止対策を講じつつ急増する相談・申請等に連日対応し、コロナ禍でつながった新たな相談者層の支援ニーズに対応するため、試行錯誤を重ねてきた。こうした取組により、法に基づく支援について、多くの自治体が機能していると回答するなど、コロナ禍において法が生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たしたこと、すなわち法が必要不可欠なものであることが明らかとなった。
    • 一方で、コロナ禍において、特に支援現場は困難な状況に直面した。特例的に実施した各種経済支援策により、支援現場における給付・貸付事務が膨大となった。この結果、従来の本人に寄り添った支援の実践が難しくなり、法の理念が揺らいでいるのではないかとの声も聞かれる。
    • コロナ禍という前例なき状況に対応する中で、既存の法の枠組みが適切であったか、また十分機能していたか等について、丁寧な検証を行った上で、様々な状況下において、法の理念に基づく支援をどのように担保するか、検討する必要がある。
  • 地域共生社会や関連施策との関係について
    • 令和3年度から、地域共生社会の実現に向けた重層的支援体制整備事業(以下「重層事業」という。)が施行され、市町村における属性を問わない包括的な支援体制を構築する仕組みがスタートした。
    • 法は、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」及び「生活困窮者自立支援を通じた地域づくり」という目標の下、本人を中心とした相談支援を実践するとともに、一人ひとりの状況に合わせた就労や社会参加の場を開拓することにより、生活困窮者が地域で孤立した存在ではないこと、「支えられる」だけではなく「支える」側に立つことが可能であることを、地域づくりを通して明らかにしてきた。
    • 地域共生社会は、こうした法の考え方を他の福祉分野や政策領域にも広げ、共通理念化したものであり、重層事業は、この理念を実現するための1つの仕組みである。
    • 法において積み重ねられた実践は、地域共生社会の実現に向けた取組の中核となり、市町村の包括的な支援体制の整備における重要な基盤となり得るものである。法の役割が縮小することはなく、むしろ、法の関係者を含め、市町村全体として、包括的な支援体制の整備を進め、地域共生社会の実現を図っていくことが期待されている。
    • また、法施行以降も、「就職氷河期世代支援プログラム」(令和元年6月21日)や「孤独・孤立対策の重点計画」(令和3年12月28日孤独・孤立対策推進会議決定)をはじめとする様々な関連施策がとりまとめられている。生活困窮者を取り巻く施策の多様化という良い面がある一方、法の目指す包括的な支援を実現するためには、生活困窮者支援の分野として、そうした施策との連携体制の構築に向けて不断の努力を続けなければならない。
  • 議論の視点
    • 今回の論点整理においては、法の施行状況に加え、コロナ禍や地域共生社会の推進といった法を取り巻く状況を踏まえ、法制度
    • のあり方について、各事業の視点に加え、事業横断的な視点での議論が必要であると考えた。具体的な議論の視点は以下のとおりである。
  1. 各事業の在り方に関するもの
    1. 自立相談支援機関の在り方について
      • 新型コロナウイルス感染症の影響で新たに顕在化した相談者層への相談支援、急迫した現物ニーズへの対応、関係機関との連携等、自立相談窓口の機能の在り方の検討
    2. 生活困窮者自立支援制度における生活保護受給者に対する支援の在り方について
      • 生活保護受給者も含めた一体的な支援の在り方の検討
    3. 就労準備支援事業・家計改善支援事業の在り方について
      • 平成30年改正法での努力義務化以降の実施状況を踏まえた事業の在り方の検討
    4. ハローワーク等と連携した就労支援の在り方について
      • 高齢者や新型コロナウイルス感染症の影響で新たに顕在化した相談者層の就労ニーズへの対応の在り方の検討
    5. 就労に向けた準備の機会の確保について
      • 就労準備支援事業、認定就労訓練事業について、利用の動機付けや就労体験・訓練の場の更なる開拓に向けた検討
    6. 一時生活支援事業の在り方について
      • 平成30年改正法で新設された地域居住支援事業の実施状況等を踏まえた、生活困窮者の住まいのニーズへの対応の在り方の検討
    7. 住居確保給付金の在り方について
      • 新型コロナウイルス感染症への対応も踏まえた在り方の検討
    8. 貧困の連鎖防止(子どもの学習・生活支援事業等)の在り方について
      • 平成30年改正法以降の実施状況を踏まえた生活支援、小学生から高校生まで切れ目のない支援の更なる促進に向けた検討
  2. 横断的課題に関するもの
    1. 新型コロナウイルス感染症の影響や地域共生社会の推進を踏まえた生活困窮者自立支援制度見直しの方向性について
      • 新型コロナウイルス感染症の影響や、令和3年4月に施行された改正社会福祉法に基づく重層事業を始めとした、地域共生社会の推進を踏まえた生活困窮者自立支援制度の在り方の検討
    2. 地域づくり、居場所づくりの在り方について
      • 生活困窮者を含む様々な課題を抱える地域住民が、地域でともに生き生きと生活するための地域づくり・居場所づくりの在り方の検討
    3. 孤独・孤立への対応を含む関係機関・関係分野との連携について
      • 新型コロナウイルス感染症の影響も受け、深刻な社会的孤立状態にある方の把握・支援を含む関係機関・関係分野との連携の促進に向けた検討
    4. 支援者支援や人材育成の在り方について
      • 生活困窮者自立支援制度の実施主体に対する支援の在り方の検討
    5. 都道府県の役割と町村部の支援の在り方について
      • 平成30年改正法で新たに規定された、都道府県の管内自治体への支援について、施行後の実施状況を踏まえた在り方の検討
      • 福祉事務所未設置町村における相談支援の在り方の検討
  • こうした視点を中心に据えて法の在り方を見直しつつ、地域に目を向ければ、特にコロナ禍においては、フードバンクや社会福祉法人における「地域における公益的な取組」といった民間の発意による取組と法に基づく取組との連携が各地で進んだ。
  • また、多様な支援ニーズに対応するため、SNSを含むオンラインによる支援といった新たな関係性づくりの試みも見られた。
  • もとより、生活困窮者の自立支援は、法や他制度に基づき実施される公的な支援だけでは完結しない。コロナ禍においては、感染拡大防止の観点から、様々な活動が制約を受けた。一方で、顕在化した支援ニーズに対応するため、それぞれが創意工夫を凝らし、多くの支援者や地域住民がつながり、また、新たな社会資源を構築することにより、これまでにない支援の展開が生み出されてきた。こうしたコロナ禍で生まれた支援の萌芽はこれからも伸ばしていかなければならない。そのためにも、法が関連施策や地域に対して開かれたものであることが不可欠である。
  • また、コロナ禍がもたらした生活困窮者自立支援への影響は、コロナが収束した後も長期にわたり続くこととなる。コロナ禍で見えてきた課題に向き合うとともに、改めて相談支援という法の原点に立ち返り、理念に基づく包括的な支援を深化させていくことが、今後の社会的危機への備えとなるだけでなく、コロナ禍で影響を受けた人々を含め、生活に困難を抱える人々の本当の意味での生活再建につながるのではないか。

~NEW~
経済産業省 日野自動車(株)の排出ガス・燃費性能試験における不正行為に対して、事実関係の究明等の指示を行いました
  • 本日、日野自動車(株)より、トラック及びバス用のエンジンについて、排出ガス・燃費性能試験における不正行為があった旨の報告を受けました。燃費性能等に関する不正行為は、消費者の信頼を損なうものであり、大変遺憾です。これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、(1)事実関係の究明、(2)顧客・取引先への適切な対応、(3)十分な対外説明、(4)原因の徹底究明・再発防止策の実施を指示し、事実関係については速やかに報告するよう求めました。今後、報告内容を精査し、関係法令に照らして、厳正に対処してまいります。
    • 日野自動車からの報告概要
      • 中型エンジン(1機種)の排出ガス性能に関し、排出ガス処理装置の長距離耐久試験において、部品を途中で交換し試験を継続した。排出ガスを浄化する装置が経年劣化し、長距離走行後の排出ガス性能が基準に満たない可能性がある。
      • 大型エンジン(2機種)の燃費性能に関し、不適切な試験機器の設定で燃料流量の測定を行い、燃費性能が基準(諸元値)に満たない。
      • 小型エンジン(1機種・既に生産終了)の燃費性能に関し、燃費性能が基準(諸元値)に満たない。(原因は調査中)
      • 不正行為のあったエンジンの搭載車については、自主的に出荷を停止するとともに、既に税制優遇を受けている車両については、影響を精査し、追加納付が必要な場合は同社が負担する。
      • 事案の全容解明及び再発防止策を検討するため、外部有識者による特別調査委員会を設置する。
    • 経済産業省の対応
      • 日野自動車からの報告を踏まえ、同社に対し以下4点を指示するとともに、事実関係については速やかに報告するよう求めました。
        • 事実関係の究明
        • 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
        • 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
        • 原因の徹底究明、再発防止策の実施
      • 生産停止に伴う同社のサプライヤー等への影響を速やかに調査し、必要な対策について検討を行います。

~NEW~
経済産業省 「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書(案)の意見公募手続(パブリックコメント)を開始しました
▼「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書(案)本体
  • 高まる「ガバナンス」の重要性
    • イノベーションは、様々なステークホルダーのリスク状況や利害状況に影響を与える可能性があるため、これらのリスク状況や利害状況を適切に分配できるような制御メカニズム(技術・ルール・組織など)を伴うことが必要である。この意味での制御メカニズムが、ガバナンス・イノベーション報告書及び本報告書が掲げる「ガバナンス」である。2報告書では、「ガバナンス」を以下のように定義した。
    • 社会において生じるリスクをステークホルダーにとって受容可能な水準で管理しつつ、そこからもたらされる正のインパクトを最大化することを目的とする、ステークホルダーによる技術的、組織的、及び社会的システムの設計及び運用
    • この定義を端的に表現すれば、ガバナンスとは、「ステークホルダーに共有された一定のゴールを達成するための仕組み(技術・制度・組織等)の設計・運用」であるといえる。そして、サイバー・フィジカルシステムを通じて幸福や自由を実現するというSociety5.0を実現するためには、以下で述べるように「イノベーションのための、イノベーションに対する、イノベーションによるガバナンス」(Governance FOR/OF/BY Innovation)という視点からガバナンスを設計・運用していく必要がある。
  • イノベーションのためのガバナンス(Governance FOR Innovation)
    • イノベーションとは、価値形成モデルの転換であり、従来想定されていなかった方法で社会に影響を及ぼすものである。そのため、既存の法規制などの制度に抵触したり、法の適用関係が不明確なグレーゾーンに入ったりする可能性がある。しかし、このように「既存の社会制度が想定していない」という理由のみで、イノベーションの実装が妨げられるべきではない。既存の制度は、歴史上のある一時点における社会状況に基づいて設計されているのだから、その前提条件が変化した場合には、制度の本来の目的に立ち返り、これをアップデートしていくことが必要である。イノベーションを促進するためには、この前提条件の変化がこれまでにないスピードで生じることを想定し、機敏かつ柔軟に社会制度のアップデートを行うことが求められる。
    • 他方、あるイノベーションを妨げるような既存の制度がない場合であっても、これに対する社会一般からの信頼を獲得することが難しく、結果としてイノベーションの実装に至らない場合も少なくない。その場合、新たな価値形成モデルについて一定のルールやモニタリングのメカニズムが整備されることによって、サービスへの信頼が生まれ社会実装が進む場合も多いと考えられる。
    • Society5.0を実現するためには、このように、ガバナンスがイノベーションを阻害せず、また、イノベーションを促進するような「イノベーションのためのガバナンス」(Governance FOR Innovation)の視点が重要である。
  • イノベーションに対するガバナンス(Governance OF Innovation)
    • Society5.0の基盤となるサイバー・フィジカルシステムの特徴を考えると、イノベーションに対するガバナンスの必要性は、従来以上に増している。
    • サイバー空間が形成されたのはSociety4.0(情報社会)の時代であるが、ここでは、サイバー空間とフィジカル空間との結節点として人間が存在していた。例えば、預金残高や借入履歴が電磁データで記録されるようになっても、融資の判断を行うのは人間であったし、レントゲン写真が電子カルテの形式で保存されるようになっても、それを読影して診断を下すのは人間の医師であった。こうした社会では、意思決定に基づきシステムを操作するのはあくまでも人間であり、システムに求められるのは、その道具として人間に与えられたミッションを忠実にこなすという意味での信頼性や、想定可能なトラブルが起きても耐えられるという意味での安全性などであった。
    • これに対し、Society5.0を構成するAIなどの技術は、人間に代わって自律的な決定を行ったり、人間の意思決定や状態に直接介入したりすることが想定される。例えば、膨大なデータと多層構造のアルゴリズムによって、人間には理解できず、かつ人間よりも短時間かつ高精度で融資が貸倒れとなる確率を計算したり、医用画像から患部の疑いを指摘したりすることが可能になってきている。また、システムの自律的な判断結果に基づいて自動的に融資を拒否するという判断を金融機関が行ったり、手術ロボットの自律的な判断により人体の特定の範囲が切除されたりする場合のように、人の手が介在しないまま機械の判断結果を実現させることも、理論的・技術的にはすでに可能になっている場合も多い。
    • このように、システムの自律化が進むSociety5.0においては、人間の指示に従うシステムが備えるべきとされてきた信頼性や安全性といった要件だけでなく、これまで人間自身が担ってきたプライバシー、公平性、持続可能性等などの価値を、システムを運用する中で実現していく必要が生じる。その際、必ずしも定量化できない価値をどのように定義するのか、その価値をシステムの設計の中にどのように埋め込むのか(「バイ・デザイン」のアプローチ)、さらにそのシステムの管理者にどのような義務を課すのか、といった点が検討されなければならない。
    • 加えて、Society5.0においては、スマートシティにおける決済システムやモビリティ管制システムのように、独立して機能する複数のシステムを、動的に連携させて利用するシステム(システム・オブ・システムズ)の果たす役割が一層拡大していく。こうした複雑なシステムは、結果の予見可能性や統制可能性が著しく限定的になるため、その中でどのように上述のような価値の実現を確保していくかということや、システムの判断ミスによる損害に対して誰がどのように責任を負うのか、といった検討も必要となる。
    • 昨今では、ビジネスシーンにとどまらず、日常触れる情報の検索から、購入する商品やサービスの選択、人とのつながり、そして民主的決定に至るまで、我々の行動は自律的で複雑なデジタルシステムに一層依存するようになってきている。こうした時代においては、イノベーションに対するガバナンス(Governance OF Innovation)が従来以上に求められている。
  • イノベーションによるガバナンス(Governance BY Innovation)
    • 従来のように人間がガバナンスを行う場合、そのスピードや精度は、人間の能力という限界に規定される。しかし、近時の高度に発達したデータ収集やデータ分析技術を前提とすれば、より効率的で精度が高いガバナンスを実施することができると考えられる。
    • 例えば、インフラや工場等の点検業務において、目視点検のかわりにセンサーでデータを取得し、リアルタイムで検査すれば、点検者に生じる身体の危険を避けると共に、より正確な点検を常時行うこともできるであろう。また、動画サイトプラットフォームでは、日々寄せられる大量の著作権侵害通報に対して、AIが自動的に権利侵害の有無を判定しているが、こうしたAIによる大量の処理の適切性を判断するためには、やはりAIの力を借りる必要があると考えられる。
    • デジタルシステムによって精緻で大量の情報処理が可能となるSociety5.0においては、このように、「イノベーションによるガバナンス」(Governance BY Innovation)という視点も非常に重要である。
    • 技術と社会構造の変化
    • Society5.0では、大規模・広範囲・多種類のデータに対して、ディープラーニング技術等による複雑なデータ分析が行われ、その処理結果がフィジカル空間へ直接的に作用するようになる。さらに、独立して機能するシステム同士が、地理的制約や業界の壁を越えて動的に相互接続されていく(システム・オブ・システムズ)。
    • こうしたシステムの上に成り立つ社会は、変化が急速で、将来に対する予見可能性・統制可能性が著しく限定され、問題が生じた際の責任主体の決定も困難となる。さらに、業界を超越した支配力の集中や、ローカルとグローバルとの接続が進むといった特徴もある。いわゆるVUCA(変動し(Volatility)、不確実で(Uncertainty)、複雑(Complexity)かつ曖昧(Ambiguity))な社会であるといえる。
  • ガバナンスのゴールの多様化と相対化
    • 高度で複雑なシステムが人間社会や自然環境に与える影響が拡大するのに伴って、我々がガバナンスによって実現すべき「ゴール」の種類も多様化している。政府であれ、企業であれ、目指すべきゴールは単純な経済成長のみではなく、サステナビリティ、循環経済、環境といった公的価値への貢献や、人権、自己決定権、多様性、包摂性といった人間の本質的価値への配慮が求められるようになっている。
    • さらに、例えば「安全性」というゴールについては、古典的には「許容できないリスクが存在していないこと」と定義されており、構成が単純で、かつ変化を予測可能なシステムにおいては、設計の段階でリスクを分析し、安全対策によってリスクを管理することができた(セーフティ・バイ・デザイン)。一方、AIを搭載するシステムのように、リスクを事前に完全に予測することが困難なシステムや、学習によって動作が変化しうるシステムでは、設計段階だけでなく、システムを利活用する運用段階においても、繰り返しリスクを管理し、安全を担保する考え方が主流となっていくと考えられる。
    • このように、Society5.0におけるゴールは、定量化が難しく、かつ、技術の発展や価値観の変動と共に常にその内容や「許容できる/できない」の境界も変化していくという極めて複雑な構造を有している。

~NEW~
経済産業省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第2作業部会報告書を公表します
▼別添 IPCC/AR6/WG2報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要
  • 人為起源の気候変動は、極端現象の頻度と強度の増加を伴い、自然と人間に対して、広範囲にわたる悪影響と、それに関連した損失と損害を、自然の気候変動の範囲を超えて引き起こしている。
    • 開発と適応の努力の中には、脆弱性を低減させるものもある。複数の部門や地域にわたり、最も脆弱な人々とシステムが不均衡に影響を受けていると見受けられる。気象と気候の極端現象の増加により、自然と人間のシステムはそれらの適応能力を超える圧力を受け、それに伴い幾つかの不可逆的な影響をもたらしている。(確信度が高い)
  • 気候変動に対する生態系及び人間の脆弱性は、地域間及び地域内で大幅に異なる(確信度が非常に高い)。これは、互いに交わる社会経済的開発の形態、持続可能ではない海洋及び土地の利用、不衡平、周縁化、植民地化等の歴史的及び現在進行中の不衡平の形態、並びにガバナンスによって引き起こされる(確信度が高い)。約33~36億人が気候変動に対して非常に脆弱な状況下で生活している(確信度が高い)。種の大部分が気候変動に対して脆弱である(確信度が高い)。人間及び生態系の脆弱性は相互に依存する(確信度が高い)。現在の持続可能ではない開発の形態によって、生態系及び人々の気候ハザードに対する曝露が増大している(確信度が高い)。
  • 地球温暖化は、短期のうちに1.5℃に達しつつあり、複数の気候ハザードの不可避な増加を引き起こし、生態系及び人間に対して複数のリスクをもたらす(確信度が非常に高い)。リスクの水準は、脆弱性、曝露、社会経済的開発の水準及び適応に関する、同時に進行する短期的な傾向に左右される(確信度が高い)。地球温暖化を1.5℃付近に抑えるような短期的な対策は、より高い水準の温暖化に比べて、人間システム及び生態系において予測される、気候変動に関連する損失と損害を大幅に低減させるだろうが、それら全てを無くすることはできない(確信度が非常に高い)。
  • 2040年より先、地球温暖化の水準に依存して、気候変動は自然と人間のシステムに対して数多くのリスクをもたらす (確信度が高い)。127の主要なリスクが特定されており、それらについて評価された中期的及び長期的な影響は、現在観測されている影響の数倍までの大きさになる(確信度が高い)。気候変動の規模と速度、及び関連するリスクは、短期的な緩和や適応の行動に強く依存し、予測される悪影響と関連する損失と損害は、地球温暖化が進むたびに拡大していく(確信度が非常に高い)。
  • 気候変動の影響とリスクはますます複雑化しており、管理が更に困難になっている。複数の気候ハザードが同時に発生し、複数の気候リスク及び非気候リスクが相互に作用するようになり、その結果、全体のリスクを結び付け、異なる部門や地域にわたってリスクが連鎖的に生じる。気候変動に対する対応のなかには、新たな影響とリスクをもたらすものもある。(確信度が高い)
  • 地球温暖化が、次の数十年間又はそれ以降に、一時的に1.5℃を超える場合(オーバーシュート)、1.5℃以下 に留まる場合と比べて、多くの人間と自然のシステムが深刻なリスクに追加的に直面する(確信度が高い)。オーバーシュートの規模及び期間に応じて、一部の影響は更なる温室効果ガスの排出を引き起こし(確信度が中程度)、一部の影響は地球温暖化が低減されたとしても不可逆的となる(確信度が高い)
  • 適応の計画及び実施の進捗は、全ての部門及び地域にわたって観察され、複数の便益を生み出している(確信度が非常に高い)。しかし、適応の進捗は不均衡に分布しているとともに、適応ギャップが観察されている(確信度が高い)。多くのイニシアチブは、即時的かつ短期的な気候リスクの低減を優先しており、その結果、変革的な適応の機会を減らしている(確信度が高い)。
  • 人々及び自然に対するリスクを低減しうる、実現可能で効果的な適応の選択肢が存在する。適応の選択肢の実施の短期的な実現可能性は、部門及び地域にわたって差異がある(確信度が非常に高い)。適応策が気候リスクを低減する有効性は、特定の文脈、部門及び地域について文献に記載されており(確信度が高い)、温暖化が進むと効果が低下する(確信度が高い)。社会的不衡平に対処し、気候リスクに基づいて対応を差異化し、複数のシステムを横断するような、統合的な多部門型の解決策は、複数の部門において適応の実現可能性と有効性を向上させる(確信度が高い)。
  • 人間の適応にはソフトな(適応の)限界に達しているものもあるが、様々な制約、主として財政面、ガナバンス、制度面及び政策面の制約に対処することによって克服しうる(確信度が高い)。一部の生態系はハードな(適応の)限界に達している(確信度が高い)。地球温暖化の進行に伴い、損失と損害が増加し、更に多くの人間と自然のシステムが適応の限界に達するだろう(確信度が高い)。
  • 第5次評価報告書(AR5)以降、多くの部門及び地域にわたり、適応の失敗の証拠が増えている。気候変動に対する適応の失敗につながる対応は、変更が困難かつ高コストで、既存の不平等を増幅させるような、脆弱性、曝露及びリスクの固定化(ロックイン)を生じさせうる。適応の失敗は、多くの部門及びシステムに対して便益を伴う適応策を、柔軟に、部門横断的に、包摂的に、長期的に計画及び実施することによって回避できる。(確信度が高い)
  • 可能にする条件は、人間システム及び生態系における適応を実施し、加速し、継続するために重要である。これらには、政治的コミットメントとその遂行、制度的枠組み、明確な目標と優先事項を掲げた政策と手段、影響と解決策に関する強化された知識、十分な財政的資源の動員とそれへのアクセス、モニタリングと評価、包摂的なガバナンスのプロセスが含まれる。(確信度が高い)
  • 観測された影響、予測されるリスク、脆弱性のレベル及び動向並びに適応の限界の証拠から、世界中で気候にレジリエントな開発のための行動をとることについて、第5次評価報告書(AR5)における以前の評価に比べて更に緊急性が高まっていることを示す。包括的で、効果的かつ革新的な対応によって、持続可能な開発を進めるために、適応と緩和の相乗効果を活かし、トレードオフを低減することができる(確信度が非常に高い)。
  • 気候にレジリエントな開発は、政府、市民社会及び民間部門が、リスクの低減、衡平性及び正義を優先する包摂的な開発を選択するとき、そして意思決定プロセス、ファイナンス及び対策が複数のガバナンスのレベルにわたって統合されるときに可能となる(確信度が非常に高い)。気候にレジリエントな開発は、国際協力によって、そして全てのレベルの行政がコミュニティ、市民社会、教育機関、科学機関及びその他の研究機関、報道機関、投資家、並びに企業と協働することによって促進されるとともに、女性、若者、先住民、地域コミュニティ及び少数民族を含む伝統的に周縁化されている集団とパートナーシップを醸成することによって促進される(確信度が高い)。これらのパートナーシップは、それを可能にする政治的な指導力、制度、並びにファイナンスを含む資源、気候サービス、情報及び意思決定支援ツールによって支援されるときに最も効果的である(確信度が高い)。
  • 変化する都市形態と曝露及び脆弱性の相互作用によって、気候変動に起因するリスク及び損失が、都市及び居住地に生じうる。しかし、世界的な都市化の傾向は、短期的には、気候にレジリエントな開発を進める上で重要な機会も与える(確信度が高い)。社会的、生態学的及びグレー/物理的なインフラを含む、都市インフラに関する日常的な意思決定に対する統合的で包摂的な計画及び投資は、都市域及び農村域の居住地の適応能力を大幅に高めうる。衡平な結果は、先住民や周縁化された脆弱なコミュニティを含め、健康と幸福そして生態系サービスにとっての複数の便益に貢献する(確信度が高い)。都市域における気候にレジリエントな開発は、都市部周辺地域の製品及びサービスのサプライチェーンや資金の流れを維持することによって、都市化がそれほど進んでいない地域における適応能力をも支える(確信度が中程度)。沿岸域の都市及び居住地は、気候にレジリエントな開発を進める上で特に重要な役割を果たす(確信度が高い)。
  • 生物多様性及び生態系の保護は、気候変動がそれらにもたらす脅威や、適応と緩和におけるそれらの役割に鑑み、気候にレジリエントな開発に必須である(確信度が非常に高い)。幅広い証拠から導き出された最近の分析は、地球規模での生物多様性及び生態系サービスのレジリエンスの維持は、現在自然に近い状態にある生態系を含む、地球の陸域、淡水及び海洋の約30%~50%の効果的かつ衡平な保全に依存すると示唆している(確信度が高い)
  • 気候変動が既に人間と自然のシステムを破壊していることは疑う余地がない。過去及び現在の開発動向(過去の排出、開発及び気候変動)は、世界的な気候にレジリエントな開発を進めてこなかった(確信度が非常に高い)。次の10年間における社会の選択及び実施される行動によって、中期的及び長期的な経路によって実現される気候にレジリエントな開発が、どの程度強まるかあるいは弱まるかが決まる(確信度が高い)。重要なのは、現在の温室効果ガス排出量が急速に減少しなければ、特に短期のうちに地球温暖化が1.5℃を超えた場合には、気候にレジリエントな開発の見込みがますます限定的となることである(確信度が高い)。これらの見込みは、過去の開発、排出量及び気候変動によって制約され、包括的なガバナンス、十分かつ適切な人的及び技術的資源、情報、能力及び資金によって可能となる(確信度が高い)。

~NEW~
国土交通省 通学路における合同点検の結果について
  • 令和3年6月に千葉県八街市で、下校中の小学生の列にトラックが衝突し、5名が死傷する交通事故が発生したことを受け、文部科学省及び警察庁と連携し、全国の市町村立小学校の通学路について、教育委員会・学校、PTA、道路管理者、警察等による合同点検を実施しました。
  • 昨年12月開催の第3回交通安全対策に関する関係閣僚会議において、令和3年10月末時点の対策必要箇所数の概数について報告したところですが、今般、対策が必要な箇所について取りまとめましたので、お知らせします。
  • 合同点検の概要
    1. 学校による危険箇所のリストアップ
      • これまでの観点に加え、以下の新たな観点も踏まえて抽出
      • 見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所
      • 過去に事故に至らなくても、ヒヤリハットの事例があった箇所
      • 保護者、見守り活動者、地域住民等から市町村への改善要請があった箇所
    2. 合同点検の実施
      • 合同点検の実施及び対策必要箇所の抽出(令和3年9月末目途)
      • 対策案の検討・作成(令和3年10月末目途)
      • 地域の実情等により期間内の実施が困難な場合、遅くとも令和3年12月末までに、それぞれ実施
  • 対策必要箇所の抽出結果
    • 対策必要箇所(全体数) 76,404 箇所
    • 教育委員会・学校による対策箇所 37,862 箇所
    • 道路管理者による対策箇所 39,991 箇所
    • 警察による対策箇所 16,996 箇所

~NEW~
国土交通省 「エコレールマーク」の認定について
  • 令和4年3月2日、第42回「エコレールマーク運営・審査委員会」(委員長 苦瀬博仁 東京海洋大学名誉教授)において、エコレールマークの取組企業として3社、認定商品として14件、協賛企業として2社を新たに認定することが決定されました。
  • エコレールマーク制度は、地球環境に優しい鉄道貨物輸送を一定以上利用している商品又は企業に対して、「エコレールマーク」の認定を行い、マークの表示によって消費者に判断基準を提供する制度です。「エコレールマーク」の表示された商品等を通じて、流通過程において企業が地球環境問題に貢献していることを消費者に意識していただき、企業の鉄道貨物輸送へのモーダルシフトを促進することを目的としています。
  • 今般、下記のとおりエコレールマークの取組企業(※1)3社、認定商品(※2)14件、協賛企業(※3)2社がそれぞれ認定されました。
    • ※1 500km以上の陸上貨物輸送のうち15%以上鉄道を利用している企業/数量で年間1万5千トン以上または、数量×距離で年間1,500万トンキロ以上の輸送に鉄道を利用している企業
    • ※2 500km以上の陸上貨物輸送のうち30%以上鉄道を利用している商品
    • ※3 エコレールマーク認定商品または取組企業の輸送・流通に関わっている企業、その他、制度の趣旨に照らし、エコレールマーク運営・審査委員会が適当と判断するもの
  1. 新規エコレールマーク取組企業(3社)
    1. 信越化学工業株式会社直江津工場
    2. 株式会社ホンダアクセス
    3. 三菱ガス化学株式会社
  2. 新規エコレールマーク認定商品(14件)
    1. アミスター20 フロアブル 【シンジェンタジャパン株式会社】
    2. コラトップジャンボP 【シンジェンタジャパン株式会社】
    3. アグリメック 【シンジェンタジャパン株式会社】
    4. ボクサー【シンジェンタジャパン株式会社】
    5. アシュラスター液剤【シンジェンタジャパン株式会社】
    6. フェアトレード有機珈琲 豆【株式会社トーホー】
    7. フェアトレード有機珈琲 粉【株式会社トーホー】
    8. フェアトレード有機 恵みのアロマ やわらかな味わい【株式会社トーホー】
    9. フェアトレード有機 恵みのアロマ 深いコクの味わい【株式会社トーホー】
    10. フェアトレード有機 恵みのアロマ 華やかな味わい 【株式会社トーホー】
    11. 洋紙【北越コーポレーション株式会社】
    12. 白板紙【日本製紙株式会社】
    13. ダイヤモンドフロアー(新AA+Sシリーズ)【東洋テックス株式会社】
    14. ダイナクティブフロアー(匠rustic)【東洋テックス株式会社】
  3. 新規エコレールマーク協賛企業(2社)
    1. 直江津産業株式会社
    2. 株式会社京三製作所

~NEW~
国土交通省 多様な働き方・暮らし方を支えるファンドが本格始動!~テレワーク拠点等の整備を支援するファンドに対し、新たに複数の出資が決定~
  • 一般財団法人 民間都市開発推進機構は、築20年以上の不動産を利活用し、多様な働き方を支えるテレワーク拠点等の整備を行う民間まちづくり事業を支援する『アセットリノベーションファンド』を昨年12月16日に設立しています。
  • この度、以下企業による本ファンドへの有限責任組合員としての加入(LP出資)、これに伴う民都機構のLP出資額の増額及び本ファンドから第二号案件への出資が決定しましたのでお知らせします。
  • 有限責任組合員として加入する企業(順不同)
    • 株式会社京都銀行・株式会社南都銀行・NECキャピタルソリューション株式会社
  1. ファンド概要
    • ファンド名 アセットリノベーション投資事業有限責任組合(通称:アセットリノベーションファンド)
    • 運営事業者 株式会社OHANAPANA(NECキャピタルソリューション(株)100%出資)
    • 有限責任組合員 (株)常陽銀行、(株)京都銀行、(株)南都銀行、NECキャピタルソリューション(株)、(一財)民間都市開発推進機構
    • 投資形態 出資(優先株式・匿名組合出資)、社債(普通社債・劣後社債)、特定社債
    • 支援内容(上限額) 社債の場合 総事業費の2/3 出資の場合 資本の2/3または総事業費の2/3のいずれか少ない額
  2. 投資先・第一号案件概要
    • アセットリノベーションファンドでは、奈良県御所市において銭湯事業および古民家(複数棟)を活用した宿泊事業・飲食事業である「御所SENTO HOTEL プロジェクト」を運営する株式会社御所まちづくりに対し、出資を決定いたしました。なお、本件は本ファンドにおける奈良県初の投資案件となります。
    • 投資先 株式会社御所まちづくり
    • 所在地 奈良県奈良市西城戸町4番地
    • 代表者 大久保 泰佑
    • 事業内容
      • 銭湯事業(廃業した銭湯の再生)
      • 古民家を活用した宿泊施設・レストラン(テレワーク事業含む)
      • 古民家を活用した賃貸(住宅賃貸事業)
    • 投資対象の建物 御所市に所在する古民家(築20年以上のものが対象)

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