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危機管理トピックス

業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点(金融庁)/ディスクロージャーワーキング・グループ(金融審議会)/第84回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ(総務省)

2022.05.23
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更新日:2022年5月23日 新着21記事

資料を指さす2人の会社員の手元
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第9回) 議事次第
  • 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第18回) 議事次第
首相官邸
  • 全世代型社会保障構築会議(第5回)・全世代型社会保障構築本部(第2回)議事次第
  • 犯罪対策閣僚会議
内閣官房
  • 新しい資本主義実現会議(第7回)
  • 「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会 議事次第
内閣府
  • 令和4年第6回経済財政諮問会議
  • 宇宙開発戦略本部 第26回会合 議事次第
国民生活センター
  • タレント・モデルなどの契約トラブルに注意
  • マッチングアプリで知り合った人から勧められた暗号資産の投資サイトに手数料を支払ったが、出金できない
厚生労働省
  • 第110回ILO総会の開催
  • 第6回がんとの共生のあり方に関する検討会(資料)
  • これからの労働時間制度に関する検討会 第13回資料
  • 第84回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年5月19日)
経済産業省
  • 「工業用水道事業におけるBCP策定ガイドライン」を取りまとめました
  • 大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和4年1~4月分)
  • 2022年1~4月における刑法犯総数について、認知件数は169,948件(前年同期180,011件、前年同期比▲5.6%)、検挙件数は76,415件(85,081件、▲10.2%)、検挙率は45.0%(47.3%、▲2.3P)
  • 窃盗犯の認知件数は114,047件(121,146件、▲5.9%)、検挙件数は45,895件(52,642件、▲12.8%)、検挙率は40.2%(43.5%、▲3.3P)
  • 万引きの認知件数は27,647件(29,738件、▲7.0%)、検挙件数は19,167件(21,034件、▲8.9%)、検挙率は69.3%(70.7%、▲1.4P)
  • 知能犯の認知件数は11,721件(11,195件、+4.7%)、検挙件数は5,901件(5,811件、+1.5%)、検挙率は50.3%(51.9%、▲1.6P)
  • 詐欺の認知件数は10,613件(10,188件、+4.2%)、検挙件数は4,903件(4,959件、▲1.1%)、検挙率は46.2%(48.7%、▲2.5P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は20,336件(21,698件、▲6.3%)、検挙人員は16,750人(17,909人、▲6.5%)
  • 入管法違反の検挙件数は1,301件(1,737件、▲25.1%)、検挙人員は972人(1,262人、▲23.0%)、軽犯罪法違反の検挙件数は2,165件(2,468件、▲12.3%)、検挙人員は2,162人(2,467人、▲12.4%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2,799件(2,531件、+10.6%)、検挙人員は2,152人(1,987人、+8.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,100件(723件、+52.1%)、検挙人員は897人(574人、+56.3%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は140件(75件、+86.7%)、検挙人員は64人(32人、+100.0%)、不正競争防止法違反の検挙件数は18件(27件、▲33.3%)、検挙人員は23人(22人、+4.5%)、銃刀法違反の検挙件数は1,476件(1,546件、▲4.5%)、検挙人員は1,290人(1,345人、▲4.1%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は309件(255件、+21.2%)、検挙人員は178人(152人、+17.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,812件(1,917件、▲5.5%)、検挙人員は1,433人(1,529人、▲6.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,596件(3,347件、▲22.4%)、検挙人員は1,763人(2,232人、▲21.0%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数148人(193人、▲23.3%)、ベトナム49人(56人、▲12.5%)、中国22人(31人、▲29.0%)、スリランカ15人(2人、+650.0%)、ブラジル8人(12人、▲33.3%)、韓国・朝鮮8人(8人、±0%)、パキスタン6人(2人、+200.0%)、インド5人(4人、+25.0%)、フィリピン5人(11人、▲54.5%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における刑法犯総数について、検挙件数は2,756件(3,854件、▲28.5%%)、検挙人員は1,674人(2,083人、▲19.6%)、暴行の検挙件数は185件(237件、▲21.9%)、検挙人員は188人(220人、▲14.5%)、傷害の検挙件数は274件(366件、▲25.1%)、検挙人員は302人(447人、▲32.4%)、脅迫の検挙件数は109件(112件、▲2.7%)、検挙人員は118人(110人、+7.3%)、恐喝の検挙件数は90件(120件、▲25.0%)、検挙人員は124人(143人、▲13.3%)、窃盗の検挙件数は1,261件(1,944件、▲35.1%)、検挙人員は226人(330人、▲31.5%)、詐欺の検挙件数は435件(522件、▲16.7%)、検挙人員は374人(381人、▲1.8%)、賭博の検挙件数は8件(13件、▲38.5%)、検挙人員は43人(45人、▲4.4%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における特別法犯総数について、検挙件数は1,635件(2,141件、▲23.6%)、検挙人員は1,107人(1,471人、▲24.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は23件(30件、▲23.3%)、検挙人員は20人(25人、▲20.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は28件(29件、▲3.4%)、検挙人員は25人(28人、▲10.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は11件(10件、+10.0%)、検挙人員は23人(32人、▲28.1%)、銃刀法違反の検挙件数は26件(31件、▲16.1%)、検挙人員は17人(25人、▲32.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は53件(39件、+35.9%)、検挙人員は21人(11人、+90.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は282件(346件、▲18.5%)、検挙人員は175人(215人、▲18.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は938件(1,403件、▲33.1%)、検挙人員は601人(909人、▲33.9%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は65件(46件、+41.3%)、検挙人員は44人(31人、+41.9%)

~NEW~
消費者庁 令和3年度地方公共団体における食品ロス削減の取組状況について
▼令和3年度取組状況
  • 令和3年度は全ての都道府県及び指定都市で、食品ロス削減の取組を実施(実施率100%は5年連続)。 市区町村における実施割合は、63.0%であり、令和2年度と比較して、約3%増加
  • 令和3年度に、全国で最も多く取り組まれたのが「住民・消費者への啓発」で約900自治体。次いで「子どもへの啓発・教育」、「災害用備蓄食料の有効活用」、「フードバンク活動と連携」。都道府県、指定都市、市区町村別により多く取り組まれた内容に大きな差はなかった。
  • 令和3年度には、令和2年度に続き、全ての都道府県で「住民・消費者への啓発」を実施。このほか、「子どもへの啓発・教育」、「フードバンク活動と連携」を多くの都道府県で実施された。
  • 令和3年度には、令和2年度に続き、全ての指定都市で「住民・消費者への啓発」を実施。このほか、「子どもへの啓発・教育」、「フードバンク活動と連携」、「飲食店での啓発促進」を多くの指定都市で実施。
  • 令和3年度には、「住民・消費者への啓発」を実施した市区町村が最も多い。また、「災害用備蓄食料の有効活用」、「フードバンク活動と連携」を実施した市区町村は、令和2年度と比較し、大幅に増加。
  • 都道府県において、「策定・公表済み」と回答したのは、45自治体。「令和4年度に策定予定」は、1自治体。「令和5年度以降に策定予定」は、1自治体。
  • 指定都市において、「策定・公表済み」と回答したのは、9自治体。「令和4年度に策定予定」は、4自治体。「令和5年度以降に策定予定」は、7自治体。
  • 市区町村において、「策定・公表済み」と回答したのは、100自治体。「令和4年度に策定予定」は、53自治体。「令和5年度以降に策定予定」は、47自治体。半数以上の自治体が「現時点では策定予定はない」と回答。
  • 食品ロス削減計画の策定に係る具体的な実績・計画を有する都道府県においては、「新規の計画を策定」と、「既存の計画の一部として対応」との回答がほぼ同程度。指定都市においては、全ての自治体で「既存の計画の一部として対応」と回答。

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ(第14回)
▼参考資料2 第12回会合における構成員からの主なご意見
  1. 利用者情報に関する技術動向及び業界団体による自主ルール等の状況
    • 位置情報に関しては、GPS・ビーコン・基地局情報以外にも、例えばQRコード決済やBluetoothそのものを使うケース等様々な方法があるため、今後追加の調査を検討いただきたい。【佐藤構成員】
    • Third Party Cookieの問題点は、人知れず自分の履歴が管理されて広告に使われているようなことだと思っている。その意味でも、世の中で様々進んでいる中で、かなり複雑なやり方や仕組みというものが、少しでも明るみに出たことは大きな成果だと思う。【高橋構成員】
    • 利用者情報の保護という観点から、データ処理の適切性が問われる。技術内容やガバナンスを継続的に見ていく必要がある。総務省の定期的なモニタリングという姿勢は重要。【高橋構成員】
    • Cookieの話でいうと、もちろん利用者情報の適切さということが狭義であるが、広い意味でいうと、結局ウェブ等々でどのようなエクスペリエンスが提供されるか、本人にいうどういう広告・コンテンツが見せられるのか、本人がどう関与できるか、目的は何か(ターゲティング・効果測定等)、個人として扱われるのか集団として扱われるのか、複雑な仕組みの中で誰が関与しているのか(ブラウザの情報を留めるのは本当に良いことなのか、データクリーンルームはどういう形でクリーンなのか)等、さらに明らかにするべき。【高橋構成員】
    • 位置情報について、スマートフォンの中でとても複雑なことが行われていることが明らかになった。測位の手段が多岐にわたり、電池の持ちやデベロッパの使い勝手も踏まえてスマートフォンでよしなに処理している。検索サービスなどの基本的サービスにも使われている。AppleやGoogleに邪悪な点は見受けられないが、スマートフォンによる位置情報の管理がプラットフォーム事業者に委ねられているため技術内容とガバナンスの双方から見ていく必要があると思う。【高橋構成員】
    • Google Analyticsの通知を行っているところはわずかということだが、十分な通知・公表を行っているベストプラクティスはあるのか。Googleサイドでウェブサイト管理者から通知・公表状況について報告を受けて改善につなげるなどの仕組みはあるのか。【古谷構成員】
    • ヨーロッパは常識的な範囲を超えて厳しいところがあるので、恐らく欧州司法裁判所までやると思われるので、最後まで見てから我が国も対応を考えたほうが良い、決定のレベルであまり振り回されないほうが良いと思う。【板倉構成員】
  2. プライバシーポリシー等のベストプラクティス及び通知同意取得方法に関するユーザー調査結果
    • 資料1-2の内容については、本当にすばらしいもので、最近行動経済学を利用した分野では自己効力感を利用されているが、恐らくここまで丁寧に調べていただいた資料はなく、特に自己効力感をパラメーターにとった点と、説明することによって利用者の利用有無を判断するだけではなく、企業への信頼・信用についても調査をしていただいた点は高く評価をするところ。ぜひこの結果を、本ワーキンググループだけではなく、様々な方法で社会に伝えていただくことが世の中のためになると思う。【佐藤構成員】
    • すばらしい調査であるため、情報通信白書への掲載なり情報処理学会などで論文にするなりして詳細を残してはどうか。事業者が懸命にやってきた努力を肯定するもの。効力感の高い人への効果とともに、自己効力感が高く、抵抗感が弱い人に工夫の効果が低かったので、どう対応していくべきかの示唆も得られた【高橋構成員】
    • ユーザーのタイプを分けているところが画期的である。ベストプラクティスはいっぱいあるわけで、プライバシーポリシーとその周辺をどうするかについての工夫というのもいっぱいあるわけだが、その中からどういうものを積極的に採用して、どういうものを工夫していくかを考えるときに、自分のサービスやコンテンツがどのようなユーザーを獲得しているのかにより、どのような施策をとるべきか作戦を考えられる点で、資料1-2の調査は有意義である。【森構成員】
    • タグと情報収集モジュールの認知度についての結果をお示しいただき、よく知っていると何となく知っていると合わせて全体で約3割ということだった。改めて低い認識。しかし、これはこういった調査の公表や法改正を通じてより広く知っていただき、議論をアップデートすべき。【森構成員】
    • 認知度の3割を今後どの程度上げられるのかが問題である。【石井構成員】
    • 実際に起こっていることと利用者が認識していることのギャップが大きい分野。事業者がどんなに工夫して説明しても利用者に判りにくいのは、主語が事業者だからではないか。利用者を起点にして、「あなたがWebサイトにアクセスすると、自分でアクセスしたと思っているWebサイト以外にも情報が行っている場合がある。それはどうすれば確認でき、止める方法はこう」など、利用者の身に起こっていることを理解してもらう工夫が必要であると思う。消費者庁が作成している「共創社会の歩き方 シェアリングエコノミー」のように、行政と業界とで協力し、本調査結果も活用して、利用者目線で、消費者相談員や学校の先生など相談を受ける立場の方が理解して説明できるようなレベル感の資料を作成してはどうか。【沢田構成員】
    • 調査結果についてのコメントだが、見方によっては自己効力感が低く抵抗感が弱い人に関して注目をすると、開示請求できる画面があろうが、同意のダッシュボードが提供されようが、それに対する利用意向も低く、企業に対する信頼度も上がらないという結果に見えてしまい、例えばそこだけを見ると、「こういうものを提供したところで意味ない」みたいなことを言ってしまう人もいるのではないかと思う。それをそのまま受け取ってしまうのは良くないというのは御説明の中でもあったが、恐らく自己効力感も低く抵抗感が弱い人というのは、データ利用を自分ごとにできていないのではないか。例えば、内定辞退問題の当事者になるといきなり抵抗感が強い人になるなど、対象者になった際にどう感じるかを踏まえておく必要がある。ただ、自己効力感が強くて抵抗感が強い人は、開示やコントロール、信頼性向上に意味があるということを示すことができたことは重要な示唆かと思う。【太田構成員】
    • 資料1-2の81ページ目について、外部サービスの名称を示すところで、外部サービスの名称を示すだけでは理解度や信頼度が上がらないという結果は、一覧で表示するだけではなく、オプトアウトの導線を示してコントローラビリティを持たせれば違う結果だったのではないか。【太田構成員】
    • 自己効力感が低く抵抗感が弱い方が、企業が工夫をすると結果的にはかえってマイナスになっている場合もあるということは、しっかりと原因を究明する必要があるのだろうと思う。感覚的にはそういった方たちにとっては余計なもの、うざいもの、かえってだまされているのではないかと思うとか、そういったことも想定されるような気はする。しかし、本当にそうなのかというところもきちんと調べておく必要があるのではないか。その上で、ここでの議論は関心が高い方を対象とした検討が中心になっていた。自己効力感が低くて抵抗感の弱い方についても議論を続けいただきたい。【寺田構成員】
    • 資料1-2の63ページにあるとおり、皆さんが工夫してきたことというのは効果があるものと思われる。これらの工夫をすることは、信頼性に寄与し、やることはむだではないということはガイドラインに入れても良いと思う。【板倉構成員】
    • どんな形で通知公表させるのか、並べるだけでは意味がないのではないか。見てもほぼ分からない、知らない事業者ばかりにならないか。せっかく入れたわけだから、効果的なものとする必要がある。【板倉構成員】
  3. スマートフォン上のアプリケーションにおける利用者情報の取扱いに係る調査・分析
    • アプリケーションのプライバシバシ-ポリシーについて、まだ低いレベルのところがある。ベストプラクティスの紹介だけではなく、底辺を上げる仕組みを検討する必要がある。国として指針を示す部分と、プラットフォーム事業者がアプリ事業者に指導する部分がある。プラットフォーム事業者にどう協力を求めるかも議論する必要がある。【佐藤構成員】
    • GoogleとAppleで、例えばアプリの事業者に対して、規制ではないが方針を示すことによって改善されていった、またそのアプリの先を先行していたというお話があったが、国として指針を示す部分と、プラットフォーマーがアプリ事業者なり、ほかのそこに関わるエコシステム上に指導していくところもあり得るため、我々がプラットフォーマーに対してどう改善を求めていくのか、規制する対象というよりは、ある意味規制を行う手段としてプラットフォームを捉えることも当然できるわけで、そのプラットフォーマーに対する我々に対する要望というものも、今後議論していかなければいけないと非常に痛感したところ。【佐藤構成員】
    • 実際にアプリ事業者が見ていて拘束力があるのはGoogleやAppleのデベロッパーガイドラインである。実際に何が動いているのかということは、消費者と事業者との間でギャップがあるが、プラットフォーム事業者は通知公表などをアプリ提供者に任せている。国として、アプリ事業者とともに、プラットフォーム事業者にも働きかけていく必要がある。【小林構成員】
    • 小林構成員からもあったように、それぞれ独自にチェックがある。弁護士が見たプライバシーポリシーをGoogleやAppleに出すと、謎の直され方をしたりする。言うことを聞かないと絶対通らないので直すわけだが、そこがどうなっているのかというのはよく分からないため、次年度以降もし定性的に聞ける機会があったら、GoogleやAppleとどのようなやり取りがあったかであったり、どんなことをどんなふうに直したかが情報として集積されると良いのではないか。別にすごく理不尽なことを言われるわけではないが、「それ、直すの?」みたいなのも入ったりして、よく分からない。全体的に見ると厳しくはなっていて、調べていただいたとおり様々な項目を書けということになっているとともに、ポケモンGOのようなものも、御説明には出なかったが、資金決済法や特定商取引法もできたところ、恐らくそれはGoogleやAppleが出せと言ったのだと思う。そういう意味では、来年以降プラットフォーム事業者からどのような修正が入ったか調査できると良いのではないか。【板倉構成員】
    • 最初からチェックマークがついているのは問題であり、日本語以外の言語のプライバシーポリシーは掲載していないのと同じになると思う。プラットフォーム事業者はこれらを問題として認識しており対応しているのか。プラットフォーム側でできないのであれば何らかのルール化が必要ではないか。【古谷構成員】
    • 2012年のSPIから10年に渡ってやっている重要な定点調査。アプリプラポリの掲載率は上がってきているが、自己申告と実態の乖離もあるという話だったので、今後もSPOとして定点調査してほしい。2012年より、総務省として、アプリの外部送信についてウェブの外部送信に先行して取り組んできた。SPOは拘束力のないガイドラインであったため、プラットフォーム事業者に先んじられてしまったところがあるが、10年越しでようやく電気通信事業法改正で法制化される。【森構成員】
    • 今後もこの調査はずっと続けいただければと思う。今後次の段階としてはダークパターンの調査が必要になると思われるが、そのためにはダークパターンの定義を日本でも明確にする必要がある。ボタンの場所、あらかじめのチェックマークなどダークパターンは何かという議論が日本ではほとんどまだ行われていない。【寺田構成員】
    • 第一段階としてスマホアプリを意識した記載をすることをルール化する、何のために、どんな情報を取得し、どこに外部送信しているのか、止めたい人は止められるようにするといったことが必要ではないか。【太田構成員】
    • 新しく電気通信事業法の法改正案も出ていることもあり、それも含めて1度、両OS事業者と、「このようにSPOを進めてきたけれども、そこでこのような数字が出ているが、どう思うか」などについて、事務局とやり方を相談しながらコミュニケーションをさせていただくと有意義なことになるのかと思った。【宍戸主査】

~NEW~
国土交通省 「入契法適正化指針」の一部変更について(閣議決定)
  • 共同企業体の類型としての復旧・復興JV、建設発生土の適正処理の推進のための取組、資材価格の高騰を踏まえた適切な契約変更の実施などの内容を盛り込んだ「入契法適正化指針」の一部変更が、本日、閣議決定されました。
  1. 背景
    • 公共工事の発注にあたっては、激甚化・頻発化する災害への対応力の強化、建設発生土の適正処理の推進、資材等の価格高騰への対応のための公共工事の受発注者間の適切な価格転嫁、ダンピング対策等の取組の徹底などが急務となっています。
    • こうした背景を踏まえ、公共工事の発注者が講ずべき具体的な措置について定める「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(入契法適正化指針・平成13年3月9日閣議決定、令和元年10月18日最終変更)について所要の変更を行いました。
  2. 概要
    1. 復旧・復興JV、建設発生土の適正処理
      • 大規模災害の被災地域における施工体制の確保を図るため、共同企業体の類型として被災地域内外の建設企業で構成される復旧・復興JVを追記
      • 建設発生土の適正処理の推進のため、指定利用等の取組や適切な費用負担の徹底に向け
        • 設計図書に明示するなどして関係者間で共有すべき情報の例示に建設発生土の搬出先に関する情報を明記
        • 予定価格の設定に当たり適正な積算を行うべきものの例示に建設発生土等の運搬・処分等に要する費用を明記
    2. 適切な契約変更
      • 受発注者間で適切な価格転嫁が行われるよう、契約変更の必要性が生じうる事情の例示に資材等の価格の著しい変動、納期遅れ等を明記
    3. その他
      • ダンピング対策の理由として、公共工事を実施する者の適正な利潤の確保について追記
      • ダンピング対策の徹底を図るため、低入札価格調査基準等を適正な水準で設定することについて追記
      • 技能労働者の育成及び確保に資する労働環境の整備を図るため、国・発注者によるCCUS活用促進の取組について追記

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • 地銀等におけるシステム障害対応について
    • 3月26日に地方銀行など9つの銀行において、ATMが利用不能になる等のシステム障害が発生した。
    • 障害が発生し、顧客に影響がある可能性があることが判明した場合、迅速かつ適切な顧客対応が重要となる。今回の対応においては、初動の段階で速やかに支店やATMに人員が配置されるなど、利用者に寄り添った対応が図られたと認識している。
    • また、今回は、外部委託先において発生した障害であるが、そのような場合であっても、各金融機関は委託者としての管理責任を負っていることから、以下などについても、改めて検証を行っていただき、必要な改善をお願いする。
      • 障害発生時の外部委託先を含めた報告態勢、指揮・命令系統に問題はないか、
      • また、外部委託先との役割分担・責任、監査権限がどうなっているか
    • システム障害は、全ての銀行で起こり得る事象であることから、今回障害の対象となっていない各行においても、他行のことと認識せずに、先ほど申し上げた事項を、経営陣が先頭に立ち、改めて日頃の態勢を整備していただきたい。
    • 仮に障害が発生した場合は、速やかに第一報を金融庁に報告していただき、その後も連絡を密に取ってまいりたい。
  • ギャンブル等依存症対策推進基本計画の変更について
    • 3月25日、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」について閣議決定されており、全国銀行協会においては、基本計画を踏まえ、引き続き、貸付け自粛制度の周知や適切な運用をお願いしたい。
    • なお、基本計画のパブリックコメントにおいて、「インターネットバンキングにおける公営競技等に係る広告宣伝を抑止するべき」との声が複数寄せられた。
    • ついては、2021年度に、公営競技の関係団体において「公営競技広告・宣伝指針」が策定・公表されていることを踏まえ、銀行業界においても、公営競技のインターネット投票に関するサービスを提供するにあたり、同指針を踏まえ、ギャンブル等依存症の抑止のため、のめり込みを防止し節度を促す等、適切な対応をお願いしたい。
  • 「第二期成年後見制度利用促進基本計画」の公表について
    • 3月25日に、第二期目となる「成年後見制度利用促進基本計画」が閣議決定の上、公表された。
    • 同計画において、金融機関には、地域連携ネットワーク(地方公共団体や地域の福祉機関等)の関係者との連携を図り、本人の意思を尊重しながら、見守り等の権利擁護支援で役割を発揮することが期待される旨、記載された。
    • 厚生労働省が運用する「成年後見制度利用促進ポータルサイト」を活用する等、顧客対応を行う営業店職員への周知を通じて、引き続き、成年後見制度の理解を促進していただきたい。
    • また、同計画において、後見制度支援預貯金・後見制度支援信託の普及等については、「必要に応じ最高裁判所や関係省庁とも連携しつつ、これらのしくみの導入や改善を図ることが期待される。また、利用者の立場からの意見を聴く場を設けるなどして、本人等の具体的なニーズや利用者側から見た課題等、利用者側の意見を聴取することも期待される」旨、記載された。
    • 成年後見制度を利用者にとって安心かつ安全な制度とする観点から、支援預貯金等の導入に向けた前向きな検討を進めていただくとともに、導入済みの金融機関においても、高齢者等のニーズに適確に対応した金融サービスの提供に向けた取組みを継続していただきたい。
  • 国連安保理決議の着実な履行について(北朝鮮関連)
    • 4月1日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、2021年8月から2022年1月にかけての加盟国による北朝鮮制裁の履行状況等の調査結果と加盟国への勧告を取りまとめた最終報告書を公表した。
    • 同報告書では、以下などについて記載されている。
      • 北朝鮮が金融機関や暗号資産取引所等へのサイバー攻撃を継続し、暗号資産を窃取して資金洗浄を行っていること
      • 複雑なネットワークを用いた、巧妙な海上制裁回避が継続していること
    • サイバーセキュリティ対策を徹底していただくとともに、安保理決議の実効性を確保していく観点から、報告書に記載・言及のある企業や個人、船舶については、以下などに、しっかりと対応いただく必要がある。その上で、同報告書への掲載そのものは、当該企業や個人が制裁対象と認定されたものではない点に留意していただくとともに、上記の確認や調査結果を踏まえ、適切な顧客対応をお願いする。
    • 融資や付保などの取引が存在するかどうかに関する確認、
    • 取引がある場合には、同報告書で指摘されている事案に係る当該企業・個人等への調査・ヒアリング
  • 市場急変時の波及経路の認識、的確な与信先の実態把握について
    • 昨今のウクライナ情勢は、経済・金融市場に様々な影響を及ぼしている。例えば、コモディティ市場等でボラティリティの高まりが見られ、この際、欧州・中国等の企業が取引金融機関からデリバティブのマージン・コールを要求されるといった事態も報道された。
    • このように市場急変時に企業が保有するデリバティブのポジションの時価が急激に変動し、大きな損失や資金不足が生じた場合、例えば緊急の流動性供給が必要になるなど、当該企業に対する銀行の与信にも影響を与える可能性がある。
    • 銀行としては、こうした波及経路にも十分な着意を持つことが重要。また、そのためには平素からオフバランス・ポジションを含めた与信先企業の的確な実態・リスクの把握が不可欠。
    • 引き続き、各行と、ウクライナ情勢がマクロ経済や金融市場・コモディティ市場等に及ぼす様々な影響の認識や、リスク管理の高度化について議論してまいりたい。
  • 金融環境の変化に対するフォワードルッキングな認識・対応等について
    • このところ、インフレ持続懸念等を受けて金融環境が引締め方向にあり、欧米を中心に金利水準が押し上げられているほか、他の市場への波及もみられる。
    • こうした金融環境の変化が先進国・新興国経済、ひいては金融機関自身の資産・流動性に及ぼす様々な影響についてフォワードルッキングに認識し、必要な対応を行うなど、適切なリスク管理が重要であり、引き続き、これらについて緊密に意見交換してまいりたい。
    • なお、一般論として、長期にわたる金融緩和局面における市場運用・リスク管理等の考え方・戦略・実務が、金融引締め局面において必ずしも有効でない可能性も考えられることから、局面の転換を踏まえた考え方等についても、予断を持つことなく意見交換してまいりたい。
  • 経済制裁について
    • 経済制裁への対応は、今までどおり、リスクベースでのマネロン管理態勢を適切に実施することが重要。例えば、制裁対象者のスクリーニングや実質的支配者の確認、また、貿易関係の決済においては、商流と資金の流れをリスクに応じて確認する必要がある。マネロン管理態勢に関し、もし個別の判断に迷うものがあれば、前広に相談いただきたい。
  • 継続的な顧客管理に係るFAQ改訂について
    • マネロン等対策については、継続的顧客管理に係る負担軽減に繋げる観点から、「マネロンガイドラインに関するよくある質問(FAQ)」における、“簡素な顧客管理(SDD; Simplified Due Diligence)”の改訂版を、3月30日に公表した。また、各金融機関から寄せられた意見・質問については、同日に協会を通じて回答している。
    • 今回のFAQの改正により、簡素な顧客管理(SDD)の考え方が一層整理され、マネロン等対策に係る負担軽減に繋がれば幸い。不明な点等があれば、勉強会等を通じて回答するので、連絡いただきたい。
    • 金融庁でも、引き続き、広報や勉強会等を通じて、皆様の取組みを支援していく所存であり、マネロンガイドラインで対応を求める事項について、2024年3月までの期限を目標に、態勢整備を着実に進めていただきたい。
      • ※リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD; Simplified Due Diligence)
        SDDとは、リスク評価の結果、マネロンリスクが低いと判断できる一定の顧客については、(DMを送付して顧客情報を更新する等の)積極的な対応を留保する対応のことであり、SDDの対象先をしっかりと特定することで、継続的顧客管理の負担軽減に繋がる。
      • ※FAQ改訂案の概要
        FAQで提示しているSDDの6要件の一つである「本人確認済であること」について、現在は2003年1月の本人確認法の施行以降に取引開始した顧客を本人確認済みと整理可能としているが、改定案では1990年10月以降(大蔵省銀行局通達の効力発生後)に取引開始した顧客等についても、当時、通達に沿った手続が行われていると確認できれば、「本人確認済み」と整理可能とする。また、1990年10月以前に取引を開始した顧客についても、その後の各種手続の中で、公的書類又は他の信頼できる証明書類等に基づき、氏名、住所、及び生年月日を確認した証跡が存在する場合には「本人確認済み」と整理可能とする。その他、現行FAQでは疑わしい取引の届出審査対象となればSDD対象から除外すべきとしており、取引モニタリングの誤アラートが多いことなどを踏まえ、疑わしい取引の届出を実施した場合にはじめてSDD対象から除外すべき、とするなどの考え方を示している。
  • マネロンレポートの公表について
    • 金融庁では、マネロン等対策について、2022年3月末時点の金融庁所管事業者の対応状況や金融庁の取組み等をまとめた、「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(通称マネロンレポート)を4月8日に金融庁ウェブサイトに公表した。
    • 金融庁としては、金融庁がモニタリングで得られた情報や考え方を還元することにより、金融機関等の実効的な態勢整備の一助となればと考えている。
    • レポートに目を通していただき、金融庁の考えるリスクや確認された金融機関の事例等を考慮しつつ、引き続き、マネー・ローンダリングやテロ資金供与等に利用されない金融システムを確保するため、態勢の強化に努めていただきたい。
  • 現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について
    • サイバー攻撃のリスクの高まりを踏まえた注意喚起については、2月23日、3月1日にも行っているが、その後も、
      1. 国内では、企業に対して、ランサムウェアやエモテット(※)によるサイバー攻撃が発生しており、また、
      2. 米国では、3月21日に、バイデン大統領が米国内の重要インフラ事業者等に対してサイバー攻撃への警戒等を呼びかけていることを踏まえ、3月24日に、改めて、3回目の注意喚起を行った。
        • エモテットとは、非常に強い感染力を持つマルウェアで、不正メールの添付ファイルが主要な感染経路。情報窃盗や他のウイルスの媒介も行い、一度侵入されれば他のウイルスにも次々と感染するため、甚大な被害に発展する危険性が高い。
        • ▼2月23日
        • ▼3月1日
        • ▼3月24日
      3. 経営層のリーダーシップの下、セキュリティ対策の徹底を図るとともに、仮に、サイバー攻撃を受けた場合は、事案の詳細が判明していない段階においても、速やかに金融庁・財務局の担当部署まで報告をお願いしたい。
    • サイバーセキュリティ強化に向けた主な対策
      1. リスク低減のための措置(本人認証の強化、セキュリティパッチの迅速な適用、不用意に添付ファイル、URLを開かないこと等の組織内での周知など)
      2. インシデントの早期検知(ログの確認、通信の監視・分析やアクセスコントロールの再点検)
      3. インシデント発生時の対処・回復(データのバックアップの実施、復旧手順の確認、インシデント発生時の連絡体制等の準備)
  • 顧客本位の業務運営に関する取組みの「見える化」について
    • 4月1日、金融庁ウェブサイトにおいて、「『金融事業者リスト』に係る今後の取扱いについて」を公表した。これは、『金融事業者リスト』の掲載要件について、これまでの(1)「顧客本位の業務運営に関する原則」(FD原則)と金融事業者の取組方針との対応関係に加えて、今後は、(2)取組状況の公表と、(3)原則と取組状況の対応関係も確認対象とし、これらの点が確認できた金融事業者を掲載することとしたが、次の2点を補足したい。
    • 1点目は、金融事業者の取組方針については、FD原則とほぼ同じ文言を踏襲している事例や、抽象的な記載に止まっている事例など、自らの業務特性等を踏まえていない事例が見受けられた。
      • ※具体的には、『金融事業者リスト』に掲載されている金融事業者の中にも、取組方針の記載内容にオリジナリティがなく、記載上の工夫も認められないなどといった事例も見受けられている。これらについては、取組方針の記述内容等の一層の充実が求められることから、取組状況の検証を通じて、自らの規模や業務特性を踏まえた見直しを検討していただきたい。
    • 2点目は、顧客本位の業務運営に係る「見える化」については、単なるペーパーワークではなく、経営陣から営業職員までが顧客に向き合う姿勢を検証する契機としていただきたい。
      • ※具体的には、顧客本位の業務運営に係る「見える化」については、金融事業者における取組方針や具体策の策定→実践→振り返り→次年度に向けた取組みといったサイクルが重要であり、取組方針に基づく営業現場における実践結果について、取組状況の中に具体的に記述していただきたい。
    • 金融庁では、金融事業者におけるリスク性金融商品の販売動向のモニタリングや具体的な取組みに関する対話を実施し、必要に応じて把握した事項を公表する予定。
▼全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • 事業者支援について
    • 年度末の資金繰り対応について感謝申し上げる。3月21日に、まん延防止等重点措置が全面解除され、経済活動も徐々に再開されつつあるが、足元では感染者の減少が下げ止まりしているほか、原油価格・原材料価格の上昇やウクライナ情勢等もあり、各地域の事業者を取り巻く経営環境は引き続き厳しいところもあると懸念している。事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を改めてお願いしたい。
  • 新しい資本主義実現会議について
    • 4月12日に開催した新しい資本主義実現会議(第5回)において、鈴木大臣より、「コロナ後に向けた経済システムの再構築」に関連して、マーケット活性化に向けて今後金融庁が取り組むべき施策をまとめた資料を提出し、発言したので、紹介したい。
    • 新しい資本主義により、持続的成長を実現するとともに、その成果を家計に還元することが重要。また、国内外の資金を成長分野へと繋ぐ国際金融センターとして、魅力あるマーケットを構築していくことが必要。このための方策としては以下の3点。
      1. 家計に対する金融の分配機能を強化しつつ、スタートアップ等への円滑な資金供給を促進することなどにより、成長と分配の好循環を実現していく。具体的には、
        • 企業価値向上において重要な人的投資や多様性確保などの非財務情報開示を充実しつつ、コスト軽減の観点から、法令上の四半期報告を廃止し、取引所の四半期決算短信に「一本化」していく。
        • また、スタートアップ企業等が、不動産担保などによらず、事業全体を担保に成長資金を調達できる制度の導入を、金融庁においても検討していく。
      2. 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本企業の取組みや強みが適切に評価され、内外の投資資金が円滑に供給されるための環境を整備していく。具体的には、
        • ESG市場の透明性や信頼性の向上を図るため、ESG評価機関向けの行動規範の策定や、
        • 企業の気候変動対応を金融機関が支援するよう、金融機関と企業の対話を促進するためのガイダンスの策定を行う。
      3. 我が国の国際金融センターとしての地位を更に高めていくため、ポストコロナを見据えて、海外金融事業者の参入促進に向けた取組みを本格稼働していく。
        • こうした取組みを進め、持続可能な経済成長を牽引する魅力あるマーケットを構築していく。
  • 脱炭素に係る補助事業等の金融機関への説明会について
    • 気候変動対応に係る金融機関の対応については、金融庁において、気候変動ガイダンスの案を早々に公表する予定であるなど、様々な取組みを進めているが、地域金融機関や地域の事業者からは、実際に対応を進めていくにあたって、
    • 脱炭素に利用可能な政府の支援事業について、様々に存在することは理解しているが、必ずしも情報が整理されていない、
    • 特に重要な補助事業については、対象範囲や補助条件などについて、より詳細な説明がほしい
    • との声があると承知しており、今般、金融機関を対象に、脱炭素に係る政府支援事業に関する省庁横断の説明会を実施する予定。
    • 具体的には、関係省庁と連携して、4月下旬から5月にかけて、金融機関の諸団体に対し、政府事業の全体像と主要施策について随時説明する予定としており、顧客企業の支援等の取組みに活用していただきたい。
▼日本証券業協会
  • ウクライナ情勢に係る対応について
    • 現下のウクライナ情勢を踏まえ、ロシア・ベラルーシの一部銀行のSWIFTからの排除を含め、国際的に様々な制裁措置が実施されており、我が国においても、2月下旬以降、当該銀行を含む団体・関係者の資産凍結、輸出管理措置等の制裁措置が順次実施されている。
    • このように刻々と状況が変化していくなかで、引き続き、現下の情勢や制裁措置の動向を注視し、確実に実施していただくとともに、取引の適切なモニタリングなどに取り組んでいただきたい。
    • あわせて、顧客資産への影響については、ロシア関連の金融商品やルーブル建て債権を保有している顧客もいると認識しており、中でも、例えばロシアの国債や株式等を組み入れている公募投資信託については、投資家からの買付や売却の受付を停止している商品もあると承知。
    • 顧客保護の観点から、発行体や商品を組成する資産運用会社等と連携を図りながら、顧客への丁寧な説明や、適時・適切な情報提供に努めるなど、引き続き、顧客対応に万全を期していただきたい。
  • 銀証ファイアーウォール規制の見直しを踏まえた体制整備について
    • 銀証ファイアーウォール規制の見直しに関する内閣府令・監督指針の改正については、現在、公布に向けた準備を行っている。
    • 監督指針改正においては、情報授受規制の見直しを行う一方、弊害防止措置の実効性強化のため、顧客情報管理などについて監督上の着眼点を明確化している。例えば、以下など今回の改正を踏まえた体制の強化が必要。
      • 法人関係情報に当たらない非公開情報のようなものも含め、顧客等に関する情報一般について、Need to know 原則を十分に踏まえた情報管理を徹底することや、
      • 当該情報の管理状況をコンプライアンス部門の関与の下で適時・適切に検証すること、情報の漏えい等に際して経営上重要な事案には経営陣が適切に関与すること
    • 同時に、そもそも改正前から求められてきた体制整備についても、万全と言える状態になっているのか、改めて自らの顧客情報管理態勢を顧みていただきたい。
  • LIBORからの移行対応について
    • LIBORについては、ドルの一部テナーを除き、2021年12月末をもってパネル方式での公表が停止された。一方、円及びポンドLIBORの一部テナーについては、市場データを用いて算出する擬似的なLIBOR、いわゆるシンセティックLIBORが、1月以降、時限的に公表されている。
    • 金融庁は、パネルLIBORの公表停止を踏まえ、日本銀行と合同で、2021年12月末基準での「第3回LIBOR利用状況調査」を実施し、3月31日に調査結果を公表したが、2021年12月末に公表が停止されたLIBORを参照する既存契約については、移行対応が概ね完了したこと、及びシンセティックLIBORの利用は限定的となる見込みであることが確認された。また、2023年6月末に公表停止が予定されているドルLIBORについては、米当局の指針に沿って、1月以降新規取引での利用を原則停止するよう求めており、大半の金融機関においては、1月以降ドルLIBORを参照する新規取引の停止に向けた体制整備は完了し、新規取引を原則として停止していることが確認された。他方、ドルLIBORを参照する既存契約については、依然として多くの契約においてフォールバック条項が未導入であることが確認された。
    • シンセティックLIBOR参照契約を含め移行対応が完了していない一部の残存契約の適切な管理と移行対応、及び時間軸を意識したドルLIBORからの移行対応をしっかりと進めていただきたい。金融庁としては、本調査の結果も踏まえて、引き続き、日本銀行とも連携して各金融機関の移行対応をモニタリングするとともに、その状況に応じた対応の徹底を求めていく。
  • アルケゴス事案に係るレターの発出について
    • 2021年3月、米国投資会社アルケゴスが債務不履行となったことにより、日系金融機関を含む複数の大手金融機関において巨額の損失が発生した。
    • 金融庁は、関係する金融機関におけるリスク管理態勢やガバナンスの脆弱性について、海外当局と共同で分析を行ってきたところ、将来の類似事案発生を防ぐためにも、本事案からの教訓、及びそれを踏まえた金融庁の今後の対応についてまとめたものを、改めて金融機関宛のレターとして近日中に公表する予定。
    • 必ずしもすべての金融機関に当てはまるものではないが、特にグローバルにビジネスを展開する金融機関においては、ガバナンスやリスク管理態勢の整備を行う上で参考にしていただきたい。また、それ以外の金融機関においても参考になる部分もあると思うので、参照いただきたい。本レターが健全なリスク・カルチャーを醸成する一助となることを期待している。
  • IOSCOのサステナビリティに関する取組み
    • IOSCO(証券監督者国際機構)では、サステナブルファイナンスへの取組みを強化すべく、2020年6月にサステナブルファイナンスタスクフォースを設置している。2022年3月9日に開催されたIOSCO代表理事会において、同タスクフォースの2022年の新たなワークプランが承認された。今回のワークプランでは、IFRS財団によるサステナビリティ開示基準の評価を含む企業報告に関する作業は継続しつつ、IOSCOが2021年に公表したグリーンウォッシング及びESG格付けに関する提言の実施状況のモニターを含むグッドプラクティスの奨励や、排出権取引を含む炭素市場の透明性や公正性、脆弱性の特定などについても、新たに取り組むこととなっている。今後、開示を含めサステナビリティに関する国際的な議論が益々活発になることが予想されるため、引き続き、密接に意見交換・情報交換を行ってまいりたい。
  • IOSCO社債市場に関するディスカッション・ペーパー
    • 4月6日、IOSCOはCOVID-19発生下における社債市場の状況について広く意見と経験を求めるディスカッション・ペーパーを発表した。本ペーパーは、2020年3月の混乱期及びその後の数か月間における社債市場の流動性や、ディーラーその他の市場参加者の行動と背景を、取引データ、市場参加者向けサーベイやラウンドテーブル会合での議論などを踏まえて検討し、まとめた上で、これに対する市場の意見の提供を呼び掛けるもの。
    • 金融庁も本作業に関与しており、協会及び多くの会員に協力をいただいた。この場を借りて感謝申し上げる。本ペーパーについても引き続き意見などがあれば提供いただきたい。
  • IOSCO報告書「分散型金融(DeFi)」について
    • IOSCOは、3月24日に「分散型金融(DeFi)についての報告書」を公表した。
    • 本報告書は、IOSCOがDeFiについて公表した初めての報告書であり、DeFiの構造を包括的に分析し、DeFiによる斬新な金融商品やサービスと従来型の金融商品やサービスとの比較を行っている。また、DeFiによる金融商品やサービスが有しうるリスクを示している。
    • 本報告書の中で、IOSCOは、DeFiによる金融商品やサービスが、従来型の金融商品やサービスを複製したものといえるにもかかわらず従来型と同様の規制を受けていないために投資家のリスクが高まっている点や、DeFiが中央集権的な内部者のコントロールを受けないピア・ツー・ピア市場であると言われていても、ガバナンス・トークンの配布を通じてコントロールすることができる中心的な主体が存在しうる点等を指摘している。
    • IOSCOは、今後、市場参加者から幅広くフィードバックを得たいと考えている。一読いただき、意見などがあれば提供いただきたい。

~NEW~
金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第9回) 議事次第
▼資料2 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告の概要(案)
  • ディスクロージャーワーキング・グループでは、昨今の経済社会情勢の変化を踏まえ、非財務情報開示の充実と開示の効率化等についての審議を実施。これまでの審議に基づき、以下の内容を取りまとめ
  • 非財務情報開示の充実
    1. 全般 サステナビリティ情報の『記載欄』を新設
      • 「ガバナンス」と「リスク管理」は、全ての企業が開示
      • 「戦略」と「指標と目標」は、各企業が重要性を判断して開示
    2. 人的資本
      • 「人材育成方針」、「社内環境整備方針」を記載項目に追加
    3. 多様性
      • 「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」を記載項目に追加
    4. 取締役会の機能発揮
      • 「取締役会、指名委員会・報酬委員会の活動状況」の『記載欄』を追加
  • 開示の効率化
    1. 四半期開示の見直し
      • 金融商品取引法の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」
      • 「一本化」の具体化に向けた課題(義務付けのあり方、開示内容、虚偽記載に対するエンフォースメント、監査法人によるレビュー等)は、検討を継続

~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第18回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(本日討議いただきたい事項)
  • 1990年代以降、金融システム改革、証券市場の構造改革プログラム、金融商品取引法の施行、金融・資本市場競争力強化プラン等、継続的に、金融・資本市場の機能を強化し、成長資金を供給するとともに、家計が多様な金融商品・サービスを利用し、資産を形成していくための環境整備が進められてきた。この結果、例えば、ベンチャー企業の新規上場や上場企業の時価総額は増加してきており、金融商品販売の担い手や金融商品の多様化は進んできた。
  • 他方、金融・資本市場が持続的でより力強い経済成長を後押しし、家計が経済成長のもたらす大きな果実を、ニーズに沿った金融商品を選択することを通じて享受するための環境整備に向けた取組は道半ばと考えられる。
  • 例えば、今後の我が国の経済成長の原動力となる国内スタートアップへの資金供給は増加しているものの、欧米と比べてその規模は小さい。スタートアップに成長資金をしっかりと供給していくためには、機関投資家、特に非上場段階での成長を可能とする長期資金を提供できるアセットオーナーやエンジェル投資家による資金提供の拡大が必要であるとの指摘がある。
  • また、家計の金融資産を見ると、リスク資産の保有額はやや増加しているものの、資産構成の変化は小さく、現預金が引き続きほぼ半分を占めている。こうした資産構成を理由の一つとして、家計の金融資産の伸びは欧米諸国に比べ相対的に低いものとなっている。家計がそのライフプラン等に応じ、必要とする資金フローやリスク許容度に応じてニーズに沿った金融商品を選択し、経済成長の果実を享受するためには、金融機関による勧誘・助言や金融商品組成における顧客本位の業務運営の確保、家計自体のリテラシーの向上のための環境整備が必要であるとの指摘がある。
  • スタートアップ、非上場企業、上場企業等への円滑な成長資金の供給を通じて持続的で力強い経済成長を実現するとともに、家計による適切な金融商品の選択を通じて経済成長の成果を家計に還元し、安定的な資産形成を促進していく、すなわち、「成長と分配の好循環の実現」が必要であり、その観点から、金融・資本市場に関する諸施策を進めることが求められている。
  • 今後の我が国の持続的な経済成長を牽引する新たなビジネス・産業を創出するとともに、既存のビジネスの更なる成長や事業再生・承継を円滑に進めていくためには、非上場・上場を問わず、企業の成長を支えながら、必要な資金を円滑に供給できる資本市場を整備する必要がある。このうち、上場企業については、資本市場におけるより高度なガバナンス・透明性の確保等の重要性に鑑み、コーポレートガバナンス改革やディスクロージャーの充実等を通じた企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の取組が進められているが、スタートアップ・非上場企業についても、起業をより円滑に行えるようにするとともに、企業価値を高めていけるよう、成長資金供給の円滑化や投資家による経営支援の強化を進めていく必要がある。
  • このため、長年我が国の課題として指摘されている機関投資家による資金供給の拡大を促すとともに、レイターステージや上場前後を跨いだ資金供給の拡大や企業の成長に資するエグジットの多様化への取組を行っていくことが考えられる。
  • また、少子高齢化が進展し、新型コロナウイルス感染症の社会経済への影響が長期化する中、地域企業の事業再生や事業承継も課題となっている。こうした地域企業のニーズに応えるための金融サービス・支援の高度化も求められている。
  1. スタートアップ・非上場企業への成長・事業再生資金の円滑な供給
    1. 機関投資家による資金供給の拡大
      1. アセットオーナー等による資金供給の拡大
      2. 投資信託による非上場企業への資金供給
    2. 非上場株式のセカンダリー取引の円滑化(PTSによる「特定投資家向け有価証券」の取扱い)
    3. 金融サービス・支援の高度化
      1. デットファイナンスの拡充(事業全体に対する担保制度)
      2. 地域企業の事業再生・事業承継の円滑化に向けた非上場株式の取引
      3. 銀証ファイアーウォール規制
        • 第二次報告においては、銀証ファイアーウォール規制に関連し、外務員の二重登録禁止規制について見直しの検討を行う場合には、責任の所在が不明確になることの問題点や、そのような誤認防止措置が考えられるか等の論点について検討を行う必要があるとされ、その見直しの必要性を含め、今後更に議論を行う必要があるとされた。また、中堅・中小企業や個人顧客に関する規制の取扱いについては、仮に見直した場合における銀行の優越的地位の濫用等に係る懸念が指摘された一方、コロナ後の経済社会を見据え、重要な課題となることが見込まれる事業承継の円滑化の観点から取扱いを検討すべきとの指摘もあり、引き続き検討していく課題であると考えられるとされた。こうした課題等については、スタートアップを含む中堅・中小企業の資金調達の円滑化等に資するかといった観点も踏まえつつ、引き続き制度のあり方について検討を行っていくことが考えられるが、どうか。
  2. 企業の成長に資するエグジットの多様化
    1. 新規公開(IPO)プロセスのあり方
      • IPOの公開価格設定プロセス等については、日本証券業協会のワーキング・グループにおいて、公正な価格発見機能や新規上場企業及び投資家の納得感の向上に向けた改善策が取りまとめられた。今後、新規上場企業への説明や情報提供の充実、より実需を反映した柔軟な公開価格設定、上場日程の短縮等の改善策が、順次実施される予定である。この公開価格設定プロセス等の見直しを、必要な制度的対応を行いつつ、着実に進展させる必要がある。
      • 一方、上場に当たって取引所及び主幹事証券会社が行う審査については、新たなビジネスモデルにも対応した審査の考え方やポイントを例示するなどの取組等が行われてきたが、IPOを目指す企業のビジネスモデルには、これまでの取組を超えた更なる多様化が見られる。
      • これまでの目線では評価が困難なビジネスモデルや技術を活用する企業について、よりイノベーション促進的な観点から上場審査を行うことが求められているが、取引所において、どのような対応を行っていくことが考えられるか。
    2. エグジットの多様化
      • ダイレクトリスティング
      • 合併・買収(M&A)
      • SPAC(特別買収目的会社)
  • これまでの家計による資産形成を促進するための継続的な環境整備や関係者の努力にも関わらず、結果として、我が国の家計全体の資産構成の変化は小幅にとどまっており、結果として、米国の家計全体等と比較すると、この間の世界経済の成長の果実を享受できてこなかったのではないかと指摘されている。その要因の一つとして、母国の株式市場のパフォーマンスなどと並んで、例えば、いわゆる回転売買や、運用内容やコストが顧客ニーズに適合していないと指摘される投資信託等の販売、さらには運用実態やその内容の把握に問題があるような投資商品について指摘されているように、顧客と金融商品の販売者の目線が揃っていないことから、家計のニーズに合った金融商品の販売や、手数料やリスクに関する十分な情報提供が行われておらず、その結果、家計が投資による成功体験を得られなかったことがあげられるのではないかといった意見もある。
  • 経済成長の成果を家計に還元し、その安定的な資産形成につなげていくためには、Ⅰに掲げた金融面での取組を含め、政府全体としての経済成長に向けた取組を通じて、経済成長の果実をより大きなものとしていくとともに、金融商品の組成・販売・管理等の各段階における金融事業者が顧客の最善の利益のために行動するための顧客本位の業務運営の確保と、家計の金融リテラシーの向上に向けた取組を総合的に進めていくことが不可欠である。
  • 具体的には、顧客がそれぞれのライフプランやリスク許容度に応じ、適切に資産形成を行うためには、投資判断に資する重要な情報が分かりやすく提供されることをはじめ、販売にあたる金融事業者から、顧客ニーズに沿った適切な勧誘、助言を受けることが重要である。商品の組成に携わる金融事業者においては、既に提供されている商品の検証・見直しを含め、想定する顧客を明確にし、その利益に適う商品を組成するとともに、そうした商品が想定した顧客に必要な情報とともに提供されるよう、販売にあたる金融事業者に必要な情報提供等を行うなど、プロダクトガバナンスの確保に注力すべきである。
  1. 顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上
    • 「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定され、金融事業者において顧客本位の商品・サービスを提供する取組が広がりつつあり、顧客の資産形成に向けたコンサルティングやアドバイスを重視する動きも出てきている。他方、デリバティブ商品を組み合わせた複雑でコストの高い仕組債の販売等について、顧客の資産形成ニーズに適さない商品の組成や販売が行われているのではないかとの懸念が未だに指摘されている。
    • 家計の資産構成が変わってこなかった要因や、金融商品の販売者・組成者による「顧客本位の業務運営の確保」に向けた取組の現状についてどのように考えるか。家計によるライフプランに応じた適切な資産構成の実現を後押しし、貯蓄から資産形成への動きを確実なものとしていくため、どのように取り組んでいくべきか。
      1. 販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化
      2. 金融機関によるデジタルツールも活用した顧客への情報提供の充実
        1. 深度ある、より分かりやすい情報提供
        2. 情報提供のデジタル化
      3. プロダクトガバナンスと資産運用業の高度化
        1. 資産運用会社等におけるプロダクトガバナンスの確保
        2. 二種ファンドの募集・運用の適切性の確保のためのルールの見直し
        3. 投資運用業者等の受託者責任の明確化
  2. 家計の資産形成に向けた金融リテラシーの向上
    1. 学校における取組の支援
    2. 職域における取組の支援
    3. 関係機関・団体の連携
  • 1998年の金融システム改革においては、国内各市場間において、利用者の多様なニーズに応え、魅力あるサービスをいかに効率的に提供し得るか、という競争が行われることを企図して、上場株式の取引所集中義務が廃止された。その後も、市場間競争の重要性については繰り返し議論が行われ、制度が整備され、市場全体としての機能向上が図られてきた。本年5月にも、金融審議会「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」での議論を受けて、個人投資家の注文に係る最良執行方針等について、価格重視の方向に見直す関係政令等の整備が行われたところである。
  • また、この間、決済リスクを低減するため、紙媒体(券面)であった有価証券をデジタル化し、口座振替とするとともに決済を短期化するための証券決済制度の整備も進められてきた。さらに、近年では、我が国においても「証券トークン」の発行がはじまっている。
  • 利用者ニーズに応えるとともに、我が国市場の国際金融センターとしての機能を向上させていくため、取引所・PTS・証券会社(店頭)が、取扱商品の特性に応じて安定的・効率的で公正な取引手段を提供し、価格発見機能を適切に発揮するよう、必要な取組を行うことが重要である。
  1. 上場株式等
    1. PTSの売買高上限等のあり方
    2. その他
  2. 非上場有価証券等
    1. 認可審査の明確化・柔軟化・迅速化等
    2. 非上場有価証券等の取扱いに関する留意点
  • 社債市場が有効にその機能を更に発揮するためには、以下のような点から総合的(holistic)に進められることが重要である。
    • 「社債発行」から「信用モニタリング」、さらには「償還、あるいは破綻時の対応」に至る一連のプロセス全体における適切な社債権者保護
    • 社債の現物市場のみならず、社債レポ市場やデリバティブ市場(CDS)全体としての機能発揮
    • 社債市場のみならず、銀行融資やシンジケート・ローンを含む、クレジット市場全体としての機能発揮
    • 国債をはじめとする金利市場、さらには海外クレジット市場、為替市場などとの円滑な裁定機能の発揮
  • この点、我が国社債市場の発行額は増加しており、近年はSDGs債と呼ばれる債券の発行等も大きく増加が見られる。また、特に2009年以降は、市場関係者において、我が国社債市場の活性化に向けて様々な検討・取組が進められてきている。
  • こうしたなか、低格付債市場の拡大も含め更なる社債市場の活性化を図るためには、引き続き、他の債務との優先劣後関係を踏まえつつ、社債評価にあたって必要な情報の提供、十分な社債権者保護、発行流通市場インフラの整備を図っていくことが重要と考えられる。
  • このような観点から、今後も、他債務のコベナンツ等に関する情報開示や必要なコベナンツの付与、社債管理者や社債管理補助者による社債権者保護や利益相反管理の高度化、発行・流通市場におけるより透明性の高い仕組みの定着やレポ市場の育成等に向けて、関係者による適切な対応が期待されるが、これらの課題や関係者による取組のあり方についてどう考えるか。

~NEW~
首相官邸 全世代型社会保障構築会議(第5回)・全世代型社会保障構築本部(第2回)議事次第
▼資料2 全世代型社会保障構築会議 議論の中間整理(概要)
  1. 全世代型社会保障の構築に向けて
    • 「成長と分配の好循環」の実現のためには、全ての世代で安心できる「全世代型社会保障」の構築が必要。
    • 社会保障の担い手を確保するとともに、男女が希望どおり働ける社会をつくる「未来への投資」として、「子育て・若者世代」への支援や、「社会経済の変化に即応した社会保障制度」の構築が重要。
    • 包摂的で中立的な仕組みとし、制度による分断、格差、就労の歪みが生じないようにすべき。これにより、中間層を支え、厚みを増すことに寄与。
    • 短期的及び中長期的な課題について、「時間軸」を持って、計画的に取り組む。「地域軸」も意識。
    • 給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、能力に応じて皆が支え合い、人生のステージに応じて必要な保障を確保することが基本。
    • 世代間対立に陥ることなく、国民的な議論を進めながら対策を進めていくことが重要。
  2. 男女が希望どおり働ける社会づくり
    • 子育て支援・今なお子育て・若者世代は、「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られる状況が多い。「仕事と子育ての両立」の実現のため、早急に是正されるべき。
    • このため、(1)妊娠・出産・育児を通じた切れ目ない支援が包括的に提供される一元的な体制・制度の構築、(2)働き方や子どもの年齢に応じて、育児休業、短時間勤務、保育・幼児教育など多様な両立支援策を誰もが選択し、利用できる環境の整備が望まれる。
    • 改正育児・介護休業法による男性育休の推進、労働者への個別周知・意向確認のほか、保育サービス整備などの取組を着実に推進。
    • 子育て・若者世代が不安を抱くことなく、仕事と子育てを両立できる環境整備のため更なる対応策について、国民的な議論を進めていく。
    • こども家庭庁の創設を含め、子どもが健やかに成長できる社会に向け、子ども・子育て支援の強化を検討。
  3. 勤労者皆保険の実現・女性就労の制約となっている制度の見直し
    • 働き方の多様化が進む中、働き方に対して「中立」な社会保障制度の構築を進めることが必要。
    • 勤労者皆保険の実現に向けて取り組んでいくことが必要。
    • 令和2年年金制度改正法に基づき、被用者保険の適用拡大を着実に実施。さらに、企業規模要件の撤廃も含めた見直しや非適用業種の見直し等を検討。
    • フリーランスなどについて、被用者性等をどう捉えるかを検討。その上で、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的に検討。
    • 女性就労の制約となっていると指摘されている社会保障や税制、企業の諸手当などについて働き方に中立的なものにしていく。
  4. 家庭における介護の負担軽減
    • 今後、要介護高齢者が大幅に増加し、単身・夫婦のみ世帯の増加、家族の介護力の低下が予想される。
    • 介護についても、仕事との両立が重要。
    • 認知症の人の増加など。
    • 圏域ごとの介護ニーズを踏まえたサービスの基盤整備、在宅高齢者について地域全体での基盤整備。
    • 介護休業制度の一層の周知を行うことを含め、男女ともに介護離職を防ぐための対応。
    • 認知症に関する総合的な施策を更に推進。要介護者及び家族介護者等への伴走型支援などの議論を進める。ヤングケアラーの実態を把握し、効果的な支援策を講じる。
  5. 「地域共生社会」づくり
    • 孤独・孤立や生活困窮の人々が地域社会と繋がりながら、安心して生活を送れる「地域共生社会」づくりに取り組む必要。
    • 「住まい」をいかに確保するかは、老齢期を含む生活の維持にとっても大きな課題。制度的な対応も含めた検討が求められる。
  6. 医療・介護・福祉サービス
    • 今後の高齢化の進展とサービス提供人材の不足を踏まえると、医療・介護提供体制の改革や社会保障制度基盤の強化は必須。
    • コロナ禍により、地域医療の機能が十分作動せず総合病院に大きな負荷がかかる課題に直面。機能分化と連携を重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めるべき。
    • データの連携、総合的な活用は、社会保障の各分野におけるサービスの質の向上等に重要な役割を果たす。
    • サービスの質の向上、人材配置の効率化、働き方改革等の観点。
    • 「地域完結型」の提供体制の構築に向け、地域医療構想の推進、地域医療連携推進法人の活用、地域包括ケアシステムの整備などを、都道府県のガバナンス強化など関連する医療保険制度等の改革と併せて着実に推進。
    • かかりつけ医機能が発揮される制度整備を含め、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の改革を推進。
    • 地域医療構想について、第8次医療計画策定とあわせて議論を進める。さらに2040年に向けバージョンアップ。
    • データ活用の環境整備を進め、個人・患者の視点に立ったデータ管理を議論。社会保障全体のDXを進める。
    • ICTの活用、費用の見える化、タスクシェア・タスクシフティングや経営の大規模化・協働化を推進。

~NEW~
首相官邸 犯罪対策閣僚会議
▼子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画) 2022 (概要)
  • 現行プラン
    • 平成29年4月、犯罪対策閣僚会議において、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会までを視野に入れたプランを決定
  • 情勢・課題
    • 加害者との接触を媒介するツール等の普及、多様化等
    • SNSに起因する児童買春事犯・児童ポルノ事犯が高水準で推移
    • 国際社会との連携・情報発信強化の必要性 など
  • 新プランの策定
    • 現行プランの6つの柱を維持しつつ、各柱の施策について、今後継続すべき施策に現在の情勢・課題を踏まえた施策を新たに追加
    • 今後5年間を目途に現行法を前提として取り組むべき施策を取りまとめ
    • 進捗状況についてフォローアップを実施
  • 新規追加施策
    1. 児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上及び国民運動の展開並びに国際社会との連携の強化
      • 地域の関係機関への情報発信等を通じ、地域の関係機関・団体等の連携・協力による児童の性的搾取等の撲滅に向けた取組の促進
      • 児童買春等の法令違反のサービス提供が行われないよう、旅行業者等による自己点検や国・地方公共団体による立入検査を通じた指導の実施
      • 「若年層の性暴力被害予防月間」を実施し、関係府省、地方公共団体、関係団体等と連携・協力し、AV出演被害、「JKビジネス」等の若年層の様々な性暴力被害の予防啓発や被害に遭った場合の相談先の周知を推進
      • 虐待、性的搾取等・性暴力等の分野における取組を取りまとめた「子どもに対する暴力撲滅行動計画」に基づく、関係府省庁の連携した取組の実施
    2. 児童が性的搾取等の被害に遭うことなく健やかに成長するための児童及び家庭の支援
      • 性犯罪・性暴力の加害者にならない、被害者にならない、傍観者にならないための「生命(いのち)の安全教育」をはじめとする生命の尊さを学び生命を大切にする教育などの推進
    3. 児童の性的搾取等に使用されるツールや場所等に着目した被害の予防・拡大防止対策の推進
      • SNS事業者団体の青少年保護活動に参画し、被害実態に関する情報提供を行うとともに、個々の事業者における自主的な対策強化を促進
      • SNS上の不適切な書き込みをサイバーパトロールにより発見し、注意喚起のためのメッセージを投稿する取組を推進するとともに、AI技術の活用など効果的な手法の導入を検討
      • 官民が連携し、AV出演被害問題・「JKビジネス」・援助交際等の性的搾取等の根絶を目指し、被害防止に係る取組を推進
      • 被害場所の実態把握、被害場所に関する分析を実施し、関係府省庁の協力を得て関係団体等へ情報を提供
    4. 被害児童の迅速な保護及び適切な支援の推進
      • 児童相談所、教育機関、法務局等において面接等に加え、SNSの活用による相談しやすい環境整備を実施
    5. 被害情勢に即した取締りの強化と加害者の更生
      • 矯正施設に収容中の性犯罪者等について、矯正施設収容中から医療機関等の医師や社会福祉士等の専門家による面接を実施し、個々人の特性やニーズに応じた医療機関等による多様な方法、内容による退所後の治療等につなげ、再犯防止を推進
      • 刑事手続の終了後も、地域社会において性犯罪者に対するカウンセリング等再犯防止に向けた支援が提供されるようにするなど、国と地方公共団体とが連携した性犯罪者の再犯防止対策の推進
      • 仮釈放中の性犯罪者等へのGPS機器の装着義務付けなど、諸外国の法制度・運用や技術的な知見等を踏まえた所要の検討を実施
    6. 児童が性的搾取等の被害に遭わない社会の実現のための基盤の整備・強化
      • 過去40年間の懲戒免職処分歴等の情報検索が可能な「官報情報検索ツール」の更なる活用の促進や児童生徒に対して性暴力に及んだ教育職員の原則懲戒免職の徹底
      • 保育士資格について、特定免許状失効者等に対する教育職員免許法の特例と同様の仕組みを検討するとともに、性暴力等を行ったベビーシッターに対する業務停止命令等に関する情報を共有・公表する仕組みの構築を検討
      • 教育・保育施設等やこどもが活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討
      • 児童が対象となる場合を含め、競技者に対する性的意図を持った写真や動画の撮影・流布等によるハラスメントについて、関係団体・関係省庁とも連携しつつ、問題に関する啓発等、防止に向けた取組を推進
      • 子供に対する性被害に対処するための刑事法の整備について、性犯罪に対処するための法整備に関する法制審議会の審議結果を踏まえた所要の検討を実施

~NEW~
内閣官房 新しい資本主義実現会議(第7回)
▼資料1 基礎資料
  • 2018年の雇用の6割を、1940年には存在しなかった新しい職種が占めている。職種は新しいものに入れ替わるので、スキルアップのための不断の人的投資が不可欠。
  • 労働経済学の実証分析によると、人口動態の変化に伴って、1980年から2000年にかけては、ベビーブーム世代が働き盛り世代となったことで、保育士、不動産販売員などの需要が上昇。2000年以降は、ベビーブーム世代が高齢化・退職を迎え、准看護師などの需要が上昇。職業需要は社会状況の変化に伴い変化するため、不断のスキルアップの人的投資が不可欠。
  • 高スキルの労働者は革新的企業においても、非革新的企業においても賃金は概ね同じ水準。他方で、低スキル労働者の賃金については、非革新的企業の労働者よりも革新的企業の労働者の方が賃金が高く、高スキル労働者が付加価値を創造することによる低スキル労働者へのプラスの効果が見て取れる。
  • 英国の経済学者の分析によると、産業内で教育訓練を受けた従業員の割合が1%ポイント増加すると、同じ産業内で労働者一人当たりの労働生産性が0.6%、労働者一人当たりの平均賃金が0.35%上昇する効果がある。
  • キャリアコンサルティングを行った事業所に対して、その効果について問うたところ、労働者の仕事への意欲が高まった(53%)、自己啓発する労働者が増えた(37%)といった効果を感じている事業所が多い。
  • 企業を対象とした調査によると、IT企業でもそれ以外の企業でも、IT人材の「量」「質」ともに不足していると回答する企業が圧倒的に多い。
  • 経営学者の研究によると、副業は新たな取組の試行を可能にし、スキルの蓄積にも資する。雇用者から直接起業した者と、副業を通じて段階的に起業した者の比較では、直接起業する場合の退出する確率を100とすると、副業を通じて起業を行う場合には退出確率が67%に低下する。副業を通じた起業により、実現可能性について判断することができるとともに、起業家としてのスキルを実務を通じて学ぶことができるため。
  • 経済学者の研究によると、副業を実施した労働者は、後に起業家になる確率が1%から2%に上昇し、失業の確率が2.3%から1.9%と低下する。
  • 雇用者に対するアンケート調査によると、企業規模が大きいほど、副業が禁止されている割合が高い。企業が副業を禁止する理由は、「自社の業務に専念してもらいたいから」が50%で最多。条件付きで副業を容認している企業では、副業の業務内容(58%)、副業の活動日(53%)などについて条件を付けている企業が多いため、労働市場に対してその条件を開示する意味がある。
  • 兼業・副業を認める人事制度を導入している企業は、従業員のモチベーションの向上(53%)や定着率の向上・継続雇用につなげること(47%)などを目的に兼業・副業制度を導入している。兼業・副業人材を受け入れている企業は、社内にはない人材を確保することができた(49%)、人手不足を解消することができた(45%)、イノベーションの創発や新事業開発につながった(36%)等の効果を感じている。
  • 1990年から2019年までの5年ごとの世界各地域の女性の所得シェアの水準と推移をみると、中国を除く全ての地域で女性の労働所得シェアが上昇。
  • (正規・非正規雇用の)日本のフルタイム労働者の男女間賃金格差は、他の先進国と比較しても高い水準にある。
  • 日本の管理職に占める女性の割合は、13%。他の先進国と比較して低い水準となっている。日本の女性のパートタイム労働者の比率は、40%。欧米諸国と比較して高い水準となっている。
  • 勤務地限定正社員制度、短時間正社員制度、職種・職務限定正社員制度といった多様な正社員制度がある事業所割合は、2018年から2020年にかけて増加しているが、3割に満たない。
  • 最低賃金の決定については、ILO条約において、「関係のある使用者及び労働者」が同数で、かつ、平等の条件で参加しなければならないこととされている。これに基づき、日本では、最低賃金法が定められており、公労使三者構成の最低賃金審議会において審議し、決定することとなっている。その際、地域における(1)労働者の生計費、(2)賃金、(3)通常の事業の賃金支払能力を考慮し、定めることとなっている。
  • 中小企業の労働生産性は、実質労働生産性が上昇する中、価格転嫁力の低迷が原因で、伸び悩んでいる。
  • 中小企業に対するアンケート調査によると、大企業との取引における課題として、コロナ禍による業況悪化のしわ寄せ、コスト転嫁等を理由とする値上げが認められない、という点が多く指摘されている。
  • 中小企業等が賃上げの原資を確保できるよう、取引事業者全体のパートナーシップにより、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できる環境を整備するため、岸田総理の指示の下、2021年12月27日に、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を取りまとめ、取組を進めているところ。
  • 公正取引委員会は、取引慣行や規制により競争が働いていない分野を調査し、取引慣行の改善や規制の見直しを提言する(アドボカシー(唱導))機能の強化が重要
▼資料2 論点案
  1. 人への投資
    • 産業内で教育訓練を受けた従業員の割合が増えると、労働者一人当たりの労働生産性や一人当たり平均賃金が上昇する効果がある。人への投資の強化は、新しい資本主義及び成長戦略の鍵ではないか。
    • 時代や社会環境の変化に応じて、急速に職種は入れ替わっている。個々の企業内だけでなく、国全体の規模で官民が連携して働き手のスキルアップや人材育成策の拡充を図っていくべきではないか。
    • IT人材が「量」「質」ともに不足しているとの声が多い。スキルアップに当たっては、特にIT人材の強化にウェイトを置くべきではないか。
    • 人への投資について、総理から一般の方にアイディアを募ったところ、財政的な支援策以外に、一般の方が転職やキャリアアップをする時に相談する場所がないという意見が多くあった。転職やキャリアアップについて、一般の方がキャリアコンサルティングを受けることができる場所を政策的に整備していくべきではないか。
    • 従業員1千人以上の大企業では、特に兼業・副業の解禁が遅れている。他方で、副業を通じた起業は失敗する確率が低くなる、副業をすると失業の確率が低くなる、副業を受け入れた企業からは人材不足を解消できた、といった肯定的な声が大きい。成長分野・産業への円滑な労働移動を進めるため、さらに兼業・副業を推し進めるべきではないか。
    • 賃金引上げは、新しい資本主義の核となるものである。引き続き、産業界に対し、賃金引上げを求めるとともに、最低賃金についても、環境整備とともに、その引上げを検討すべきではないか。他方で、最低賃金については、ILO条約でも、使用者及び労働者が同数で、かつ、平等の条件で参加しなければならないとされていることに留意した決定プロセスを経るべきではないか。
    • 正規・非正規雇用の日本の労働者の男女間賃金格差は、他の先進国と比較して大きい。また、日本の女性のパートタイム労働者比率は高い。この問題の解決のため、同一労働同一賃金制度の徹底とともに、短時間正社員制度、勤務地限定正社員制度といった多様な正社員制度の導入拡大を、産業界に働きかけていくべきではないか。
    • 男女の賃金の差異の解消を図っていくため、少なくとも大企業については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合の開示を早急に義務化するべきではないか。
    • 広く高等教育を受ける機会を確保するため、時代の変化に応じた学部の再編とともに、出世払い型奨学金制度などの制度整備を図るべきではないか。
    • 少子高齢化をむかえて、全世代型社会保障構築会議の中間整理を踏まえ、社会保障改革を計画的に進めていくべきではないか。
  2. 取引適正化、競争当局の唱導機能
    • 中小企業の賃金引上げを図るに当たり、コスト転嫁が可能となることが重要である。総理指示による転嫁円滑化施策パッケージをさらに推進するとともに、公正取引委員会が取引慣行の改善や規制改革を提言するアドボカシー(唱導)機能の抜本的強化を図っていくべきではないか。

~NEW~
内閣官房 「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会 議事次第
▼資料2: 「クリーンエネルギー戦略 中間整理(概要)」(萩生田経済産業大臣提出資料)
  • 2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス排出量46%削減という二つの野心的な目標に向け、グリーン成長戦略、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を策定し、今後の進むべき方向性を示してきた。
  • クリーンエネルギー戦略においては、成長が期待される産業ごとの具体的な道筋、需要サイドのエネルギー転換、クリーンエネルギー中心の経済・社会、産業構造の転換、地域・くらしの脱炭素化に向けた政策対応などについて整理。
  • また、今回のロシアによるウクライナ侵略や電力需給ひっ迫も踏まえ、今後進めるエネルギー安全保障の確保と、それを前提とした脱炭素化に向けた対応も整理する。
  • ウクライナ危機・電力の需給ひっ迫を踏まえた対応
    • ロシアによるウクライナ侵略を受け、G7各国はロシアへの制裁強化に向け共同歩調。ロシアからの石炭・石油輸入のフェーズアウトや禁止を含む、ロシア産エネルギーへの依存状態から脱却することをコミット
    • 3月22日、東京電力・東北電力管内において、初めて需給ひっ迫警報を発令。事案の検証と供給力確保、電力ネットワーク整備等の課題への対応が急務
    • 短期的な脱ロシアのトランジション、中長期的な脱炭素のトランジションに向け、「再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱炭素効果の高い電源の最大限の活用」など、エネルギー安定供給確保に万全を期し、その上で脱炭素の取組を加速
  • エネルギー政策の今後の方向性
    1. 資源燃料
      • 化石燃料のロシア依存度低減・燃料供給体制の強化
      • レアメタルの安定供給体制強化・メタンハイドレートの商用化に向けた技術開発や、国内海洋における資源確保
    2. 電力の安定供給
      • リスクを踏まえた供給力の確保・電源確保のための市場整備等
      • 需給ひっ迫時の実効性ある需要対策
    3. 省エネ・燃料転換
      • 省エネ投資促進・ヒートポンプなど熱利用の高効率・脱炭素化
      • 住宅・建築物の省エネ規制の強化・電動車・インフラの導入促進
    4. 原子力
      • 再稼働の推進等・バックエンド対策・研究開発、産業基盤の強化
    5. 再エネ
      • 再エネの最大限導入に向けた取組・地域間連系線の増強
      • デジタル化による系統運用の高度化・蓄電池・DRの推進
    6. 水素・アンモニア
      • 大規模サプライチェーンの構築
      • 既存燃料とのコスト差・インフラ整備を踏まえた支援
    7. 港湾
      • カーボンニュートラルコンビナート・ポートの構築推進
    8. CCUS
      • 2030年までのCCS事業化に向けた事業環境整備(国内法整備、政府支援策等)カーボンリサイクルの技術開発や実用化の推進
  • 炭素中立型社会に向けた経済・社会、産業構造変革
    • 脱炭素の実現と同時に、日本経済の成長・発展を実現していく必要。現在のエネルギー需給構造を転換することに加え、産業構造も大幅に転換していくことが重要
    • 2050年カーボンニュートラルに向けては、国内外のビジネス環境(国内のインフラ制約、設備投資、国内外の規制等)、国内外各産業の市場規模を踏まえて、脱炭素手段の需給バランスや競争関係・補完関係の変化を見極めることが重要
    • クリーンエネルギー分野における国際的な大競争を勝ち抜けるよう、水素・アンモニアなどの成長が期待される分野において、投資の予見可能性を確保し、大規模な投資を引き出す
    • 徹底した省エネを追求し、CO2フリーなエネルギー消費へ転換していく方向性は業種横断で共通の考え方。その上で、利用可能な技術、サプライチェーン上の位置づけなどに応じて、カーボンニュートラルへの道筋は異なり、自社の置かれた環境を踏まえて、適切なトランジションを描き、設備投資を進める必要
    • 中小企業については、温室効果ガス排出量の「見える化」の促進、カーボンニュートラルに向けた設備投資の促進のため、地域の金融機関や中小企業団体等の支援人材育成等を図りつつ「プッシュ型」で支援施策を紹介して促進
    • 地域の脱炭素トランジションは、経済社会全体やエネルギーインフラのトランジションの時間軸を俯瞰して推進すべき。地方自治体をはじめとした関係者の主体的な取組を促進する
    • 再エネ含め、各地域の特色ある地域資源を最大限活用し、地域経済を循環させ、防災や暮らしの質の向上など地域課題解決に貢献するよう、Win-Winで進める
    • 消費者の意識・行動の変化も重要、脱炭素に資する製品・サービスの需要を拡大させ、さらなる経済社会変革につなげていく
    • 資源関連産業の発展、生物多様性への負荷低減、気候変動適応の取組を脱炭素と同時に進め、炭素中立型の経済社会への転換に貢献
    • 炭素中立型社会に向けた今回の転換は、産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させるものであり大規模な投資が必要。投資の予見可能性を高めるためのロードマップを含めた「成長志向型カーボンプライシングの最大限活用」と「規制・支援一体型の投資促進策の活用」の基本コンセプトのもと、政策の骨格は次の5本の柱を軸に構成し、年末に向けて更なる具体化を図る。

~NEW~
内閣府 令和4年第6回経済財政諮問会議
▼資料2 今後の経済財政運営について(有識者議員提出資料)
  • 今週、本年1-3月期のGDP速報が公表される。民間機関の見通しでは、コロナの影響の下、実質成長率は前期比マイナスの見込みとなっている。さらに、低成長・低金利・低い物価上昇が継続していた世界経済では、ロシアのウクライナ侵攻を一つの契機に、内外の財・サービス、資金の流れが大きく変化し、我が国の企業活動や国民生活のコストも高まってきている。以下、今後のポリシーミックスの在り方など、短期・中期の経済財政運営に向けて、提案する。
  1. 短期・中期の経済財政運営に向けて
    • 現状、海外への所得流出を伴う物価上昇に加え、民需に力強さを欠く状況にあるほか、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴い、今後、エネルギー確保や平和維持のコストが拡大していく可能性が高い。こうした中にあって、マクロ経済運営においては、機動的な財政政策、大胆な金融政策のもと、適切な実行を図るとともに、構造変化を牽引しつつ、成長と分配の好循環を拡大していく必要がある。
      1. 経済
        • 短期的には、企業の継続的な賃上げ努力を促すとともに、エネルギーや輸入物価の高騰に伴う国民生活へのダメージの緩和、コロナ禍で影響を受けた観光・サービス消費の下支えなど、必要な激変緩和策を講ずる。
        • その一方、中期的には、民間企業投資(成長)と継続的な所得上昇(分配)により成長力を高めつつ需要創出を促すとともに、今後の成長分野(予防・健康、GX・DX、食料、ソーシャルセクター等)への労働移動を円滑に促していくことが不可欠。これらについても、先延ばしをせず、今から積極的に対処すべき。併せて、比較優位のメリットをこれまで以上に引き出すとともに国内投資を喚起していくという観点から、省エネ・脱炭素を通じた国内所得の海外流出の抑制や同じ価値観を共有する国々との協力関係の強化、さらには、農水産品・インバウンド・中小企業の輸出振興といった取組を強化し、産業の構造変化を促すべき。
      2. 財政
        • 今後、世界的なインフレ基調が続くと見込まれる中、ポリシーミックスにおいても、需要創出・成長促進の観点では財政政策の重要性が増していくと考えられる。財政面においては、必要な者へのセーフティネットに万全を期す中で、経済や国民生活に係る重点を、上記に掲げた構造変化を促すインセンティブ・仕組みの構築、成長と分配の好循環に資する官民投資に移していくべき。
        • 同時に、今後、安全保障をはじめとする安全・安心に係る支出の重要性がより増していくとみられる中、経済・財政効果を効率的かつ最大限に引き出す観点から、予算をはじめとする制度改革を強化するとともに、歳出の効率化を図ることが不可欠。具体的には、事業の性質に応じた基金の活用等による単年度予算の弊害の除去、成果の徹底した見える化、PPP・PFIや共助など公的分野への民間活力の導入拡大、EBPMなくして財政支出なしの考え方の導入、を進めるべき。
        • こうした財政面での取組を踏まえ、財政健全化の道筋、給付と負担の在り方について、しっかりと検証し、進めていくべき。
      3. 今後の進め方
        • まずは、先般策定された「総合緊急対策」を早期に実行し、世界経済の減速懸念など、高まる経済の下振れリスクにしっかり対応し、民需中心の景気回復を着実に実現することで、最低賃金を含む賃上げや価格転嫁など成長と分配の好循環に向けた動きを確かなものとすべき。
        • 新しい資本主義の実行計画や骨太方針をとりまとめ、これらを前進させるための総合的な方策を打ち出すことにより、経済社会の構造変化を日本がリードすることが表明された。人への投資、デジタル、グリーンなど、社会課題の解決を経済成長のエンジンとする新しい資本主義を実現するために不可欠な官民投資を抜本拡大し、供給力強化と持続的な成長に向けた基盤を今こそ早急に構築すべき。
        • 来年のG7議長国として、新しい資本主義の考え方について、その理解を得て世界にアピールすべき。それに合わせて、世界に開かれた貿易・投資立国、世界の脱炭素のリーダーを目指すべく環境整備を強化するとともに、ルールメイキングや経済連携などの国際協調、日本の魅力についての国際発信の強化に取り組むべき。
  2. 来年度予算等に向けて~予見可能性の向上、中期の道筋に向けたPDCAの充実~
    • 機動的な財政政策を実現するとともに、官民連携を強化する観点からは、財政の単年度主義の弊害を是正し、民間投資を引き出すための財政の有効活用が不可欠。
    • 新しい資本主義の実現に不可欠な投資拡大に向け、岸田政権の投資重点分野については、2022年度以降の多年度にわたる計画的な官民投資と税制や規制・制度を含めた改革のロードマップを策定すべき。その際の予算対応として、できる限り当初予算で重点的に措置するなど、民間の予見可能性を高めるべき。また、適切かつ効果的な支出(ワイズスペンディング)を推進するため、EBPMの手法の導入を前提としたPDCAの枠組みをロードマップに盛り込むべき。
    • 年度末の「予算消化」の慣行など財政単年度主義に起因する弊害についても、年度を跨いだ柔軟な執行の中で無駄を排除すべき。また、コロナ禍での累次の補正予算について、その使い道、成果について、しっかりと見える化すべき。PPP・PFIや共助など公的分野への民間活力の導入拡大に向け、新規導入・導入拡大分野を明確にすべき。
    • 中長期試算に示された道筋を確固たるものとする観点から、ベースラインケースについて、日本経済の潜在力や財政の道筋について的確に現状を反映するほか、将来の選択肢を加味する等により、成長実現ケースへの移行に必要な政策対応の検討に資するべき。
    • 成長の源泉が、モノからコト(脱炭素や持続可能性といった社会課題の解決)、有形資産から無形資産(人材・研究開発等)、にシフトしている。GDP統計における無形資産の捕捉強化、各政策分野でのKPIにおけるwell-being指標の取込みを進めるべき。
▼資料3 「経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)」骨子(案)
  • 第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済
    1. 本基本方針の考え方
    2. 短期と中長期の経済財政運営
      • 当面の経済財政運営(当面のマクロ経済運営、経済社会活動の正常化に向けた感染症対策)
      • 中長期の経済財政運営
  • 第2章 新しい資本主義に向けた改革
    1. 新しい資本主義に向けた対応
      • <計画的な重点投資>
        1. 人への投資
        2. 科学技術・イノベーションへの投資
        3. スタートアップへの投資
        4. グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
        5. デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資
      • <社会課題の解決に向けた取組>
        1. 民間による社会的価値の創造
        2. 包摂社会の実現(少子化対策・こども政策、女性活躍、孤独・孤立対策、就職氷河期世代支援など)
        3. 多極化・地域活性化の推進(デジタル田園都市、分散型国づくり、関係人口、中堅・中小企業の活力、農林水産業・
        4. 食料安全保障、観光立国、文化芸術・スポーツ振興など)
    2. 国際環境の変化への対応
      1. 対外経済連携の促進
      2. 経済安全保障の強化
      3. 外交・安全保障の強化
    3. 防災・減災、国土強靱化の推進
    4. 国民生活の安全・安心
  • 第3章 中長期の経済財政運営
    1. 中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
    2. 持続可能な社会保障制度の構築
    3. 生産性を高める社会資本整備
    4. 国と地方の新たな役割分担
    5. 経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
  • 第4章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
    1. 当面の経済財政運営について
    2. 令和5年度予算編成に向けた考え方

~NEW~
内閣府 宇宙開発戦略本部 第26回会合 議事次第
▼資料1 宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項(案)のポイント
  • 我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化
    • 最近の情勢
      • 世界的にロケット打ち上げの需給がタイト化し、打ち上げ価格の上昇が見込まれる
      • 宇宙光通信ネットワーク等の技術は今後広く活用が見込まれ、経済安全保障上も重要
      • 技術基盤の強化には、プロジェクトを立ち上げてから研究開発する対応では不十分
    • 重点事項のポイント
      • 小型衛星コンステレーションの構築に向け増加する衛星打上げを国内で実施できるよう、H3ロケットのさらなる競争力強化(複数衛星同時打上げを可能にするなど)に向けた研究開発や、打上げ高頻度化に向けた射場等運用システムの整備・改善を進めるとともに、政府による活用等を通じて民間小型ロケットの事業化を促進する。また、将来宇宙輸送システムを研究開発する。
      • 小型衛星コンステレーションによる光通信ネットワーク等の技術について、できる限り早期に実証衛星を打ち上げることを念頭に、我が国が先行して獲得するための取組を行う。また、量子暗号技術など宇宙ネットワーク基盤技術の研究開発を進める。
      • 通信障害などをもたらすおそれのある太陽フレア(太陽表面の爆発現象)等を予測する宇宙天気予報の高度化に取り組む。
      • 日米豪印の4か国による宇宙分野の協力を推進する。
      • 小型衛星の開発等に参画する機会を提供する等を通じて、人材育成を推進する。
  1. 宇宙安全保障の確保
    • 最近の情勢
      • 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさと不確実性を増しているところ、宇宙空間を活用した情報収集、通信、測位等の能力を一層向上していくことが重要
    • 重点事項のポイント
      • 準天頂衛星システム7機体制を2023年度目処に実現するとともに、情報収集衛星等の宇宙システムを着実に整備する。
      • 極超音速滑空弾(HGV)探知・追尾の実証に係る調査研究など、ミサイル防衛等のための小型衛星コンステレーションについて検討を進める。
      • 宇宙状況把握システムの実運用を2023年度から開始するとともに、宇宙状況監視衛星を2026年度までに打上げるなど、宇宙状況把握の体制強化を進める。
  2. 災害対策・国土強靭化や地球規模課題の解決への貢献
    1. 最近の情勢
      • 災害対策・国土強靭化が喫緊の課題となる中、衛星による貢献の可能性
      • 2050年カーボンニュートラル達成に向けた宇宙からの貢献への期待
    2. 重点事項のポイント
      • 高頻度観測が可能な我が国独自の小型のレーダー(SAR)衛星コンステレーションを2025年度までに構築すべく、関係府省による利用実証を行い、国内事業者による衛星配備を加速する。
      • 線状降水帯等の予測精度向上に向け、大気の3次元観測機能など最新の観測技術を導入した次期静止気象衛星を、2023年度を目途に製造に着手し、2029年度の運用開始を目指す。
      • 温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)の2023年度打上げを目指すとともに、世界各国によるパリ協定に基づいた気候変動対策の削減効果の確認に活用されるよう、排出量推計方法等の国際標準化に向けた取組を進める。
      • 衛星から地上へのエネルギー伝送の実証を2025年度を目途に目指すなど、宇宙太陽光発電の実現に向けた取組を進める。
  3. 宇宙科学・探査による新たな知の創造
    1. 最近の情勢
      • 月面の有人探査等を目指すアルテミス計画について、米国を中心に取組が本格化
      • 欧米や中国等の火星探査計画が活発化
    2. 重点事項のポイント
      • アルテミス計画に参画し、ゲートウェイ(月周回有人拠点)の機器開発等を進めるとともに、有人与圧ローバ(宇宙服無しで長期間搭乗できる月面探査車)等の研究開発を民間と協働で推進し、米国人以外で初となることを目指して、2020年代後半に日本人の月面着陸の実現を図る。
      • 2029年度の人類初の火星圏からのサンプルリターン実現に向け、2024年度に火星衛星探査計画(MMX)の探査機を確実に打ち上げる。
  4. 宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現
    1. 最近の情勢
      • 宇宙産業の拡大には、宇宙利用の拡大とイノベーションの創出の好循環が重要
      • 米国では、ベンチャー企業が宇宙ビジネスの拡大をけん引
    2. 重点事項のポイント
      • 準天頂衛星システムや衛星データを利用した製品・サービスの開発・事業化を目指すベンチャー企業等への支援を強化し、地域の課題解決につながるデータ利用ソリューションなど、宇宙利用の拡大を図る。
      • 政府によるサービス調達等により、ベンチャー企業等の新たな取組を促進する。
      • 宇宙港の整備などによるアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指して、必要な制度環境を整備する。
      • 軌道利用ルールなど宇宙交通管理の国際的なルール整備に向けて取り組む。

~NEW~
国民生活センター タレント・モデルなどの契約トラブルに注意
  • 事例
    • ネット広告を見て声優のアルバイトに応募し、所属契約をした。後日ボイスドラマ用のボイスサンプルを収録したが、審査に落ちた。しかし「やる気があるなら新人枠で推薦する」と言われ、お願いしたところ「条件付きで新人枠に入れた」とプロデューサーを名乗る人から電話があり、スタジオに出向いた。ところが、約8万円でレッスンを受けることが出演の条件であり、親に反対されたので断ると罵倒された。所属契約を解除したい。(当事者:大学生 男性)
  • ひとことアドバイス
    • 芸能人にあこがれる気持ちに付け込まれ「あなたは向いている」「審査は不合格だが才能がある」などの甘い言葉で芸能事務所の所属契約を勧められることがあります。その場で契約せず、具体的な活動内容やサポート体制などの契約内容を確認しましょう。
    • クレジット契約や借金をしてでも有料のレッスンの受講等を契約するように勧める事業者もいますが、必ず仕事や報酬につながるわけではありません。家族や周囲の人に相談するなどして冷静に判断しましょう。
    • 不安なときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
  • 2022年4月から18歳で大人に! 一人で契約ができる反面、原則として一方的にやめることはできません。成年になったばかりの若者にどんな消費者トラブルがあるのか知っておくこともトラブル回避に役立ちます。

~NEW~
国民生活センター マッチングアプリで知り合った人から勧められた暗号資産の投資サイトに手数料を支払ったが、出金できない
  • 質問
    • マッチングアプリで知り合った自称外国人女性と、無料会話アプリでやり取りしていると、海外の暗号資産(仮想通貨)の取引所で投資をするように勧誘された。勧められたアプリで指示どおり投資したところ利益が出たので、アプリから資金を国内の暗号資産交換業者に送付しようとしたら、アプリの運営事業者から「保証金を支払う必要がある」と連絡があった。さらに「手数料」等の名目で次々に費用を請求されている。一部支払ったが、結局アプリ内の資金を出金できなかった。どうしたらよいか。
  • 回答
    • 「出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った人物から、海外の投資サイトやアプリを紹介され、投資したが、出金できなくなった」等の相談が多数寄せられています。投資したところ、出金するためには税金や手数料等の支払いが必要などとして振り込みを要求され、請求通り支払っても結局出金できなかったケースも見られます。このような恋愛感情や、投資資金をなんとか取り戻したいという消費者の心理につけ込む手口は「ロマンス投資詐欺」と考えられます。運営会社や投資の運用の実態が確認できないことが多く、その資金を取り戻すことは極めて困難です。支払う前に消費生活センターに相談しましょう。
  • 解説
    • 質問のような相談事例の他にも、以下のような流れの手口で財産的被害が発生しています。
      • 出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った人物から、無料会話アプリでのやりとりに誘われ、その中で投資サイトでの投資を勧められる。
      • 勧めに従い、投資のために送金する。
      • 出金しようとすると、さまざまな名目で追加の送金を要求され、結局出金できない。
      • マッチング相手や、投資サイト運営事業者と連絡が取れなくなり、返金されない。
    • このようなケースでは、運営会社や投資の運用の実態が確認できないことが多く、支払ってしまった後に資金を取り戻すことは極めて困難となります。
    • 投資サイト上で利益が出ている様子が見られたとしても、見せかけのデータにすぎない可能性があります。
    • 出金のために保証金や税金、手数料等さまざまな名目で請求を受けたとしても、安易に支払わないでください。
      1. マッチング相手に不審な点はないか確認
        • マッチングアプリ等の利用規約では、外部サイト・外部サービスへ誘導する行為を禁じている場合があります。事前に規約や注意事項をよく読み、違反する行為や疑わしい行為を持ち掛けてくる相手とはやり取りを行わないようにしましょう。また自身も違反行為をしないようにするだけでなく、そうした行為を受けたことをサイトやアプリ運営会社に報告しましょう。
        • この手口では、マッチングの相手が外国人を名乗っていることがあります。会う前から将来の話をする、投資を何度も勧めてくるなど、行動に不自然な点がないか確認しましょう。一度も直接会っていない相手を安易に信じて、投資を行うことはやめましょう。
      2. 投資サイトを確認
        • 紹介した手口に当てはまる場合、詐欺が疑われます。投資サイトの運営事業者が海外に所在する場合でも、日本の居住者のためにまたは日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合は、金融商品取引業の登録が必要です。契約の対象が暗号資産の取引に当たる場合、暗号資産交換業者は金融庁・財務局への登録が義務付けられています。手口に当てはまる場合や、登録がない事業者である場合には、送金しないようにしましょう。
      3. 国内の預金口座等へ振り込んだ場合
        • 紹介した手口に当てはまる場合、振り込め詐欺救済法に基づく届け出を行うことが考えられます。振込先の金融機関にも問い合わせを行いましょう。
        • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

~NEW~
厚生労働省 第110回ILO総会の開催
  • 今般、国際労働機関(ILO)の第110回総会が、下記のとおり、スイス国ジュネーブで開催されます。
  • ILO総会は、原則毎年1回行われ、ILO加盟187か国の政府、労働者、使用者からなる代表団が一堂に会する最高意思決定機関であり、ILO条約などの国際労働基準の策定を含め、労働問題に係る議論が行われます。
    1. 会期:
      令和4年5月27日(金)~6月11日(土)
    2. 主な議題:
      1. 理事会議長及び事務局長の報告
        • 理事会議長及び事務局長の報告に対して、各国政労使のハイレベル出席者が演説を行う。
      2. ILOの財政
        • 2021年12月末締め予算年度の財政報告について検討、採択等を行う。
      3. 条約・勧告の適用状況
        • 各国における条約・勧告の適用状況等に関する議論を行う。
      4. 徒弟制度(アプレンティスシップ)
        • 質の高い徒弟(見習い研修)制度のための枠組みに関して、新たな国際労働基準の策定について議論を行う。
      5. 雇用に関する周期的議論
        • 「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」の戦略目標の1つである「雇用」について、
        • ILO及び各国政労使による取組の進展と課題を検討し、今後のフォローアップについて議論を行う。
      6. 社会的連帯経済(SSE)とディーセント・ワーク
        • ディーセント・ワークと労働生活を通して人々が直面するその時々の課題に対する社会的連帯経済の貢献度や用語の普遍的な定義等に関して議論を行う。
      7. ILOの労働における基本的原則及び権利の枠組みの中に労働安全衛生を含める議論
        • 労働安全衛生に関する労働基準を「ILOの労働における基本的原則及び権利」の枠組みに含める提案に関して議論を行う。

~NEW~
厚生労働省 第6回がんとの共生のあり方に関する検討会(資料)
▼資料2 相談支援現場からみたがん患者・家族等の心配・悩み等の実態と対応策について
  • 社会保障制度上の課題(270)
    1. 実態としてあげられたこと
      • 高額で長期にわたる治療も増えているが、治療費負担への保障制度が乏しい。
      • 治療により減収、離職した場合に生活費を保障する制度が乏しい。
      • 40歳未満の患者の場合、介護保険制度も使えず、必要な介護支援が受けにくい。
      • ウィッグ等、療養上必要な資材・サービス等についての支援制度が自治体によりばらつきがある。
      • 治療と就労の両立、再就職支援等をするにあたっても、困難なケースは多く、社会経済の悪化でますます困難になっている。
      • ひとり親の患者、精神疾患のある患者、身寄りのない患者など、サポートを受けにくい人は支援できる制度がほとんどない、却ってサービスが利用できない場合さえある(独居で認知症がある場合に在宅サービスが受けられないなど)。
    2. 対応案
      • 支援制度の利用については、単身世帯、高齢者のみ世帯の急増など、現状の社会状況にあわせて、必要な支援サービスを利用しやすくするような運用が望まれる。
      • 地方自治体による支援制度が異なることは地方自治の観点からもやむを得ないが、がん患者が必須とするような支援については全国で利用可能となることが望ましい。
      • がん相談支援センターが対応する相談の中には、住居のない方のがん治療継続支援においては、法務的知識を必要とする場合もあるなど、さまざまな領域の専門職・専門機関との連携を促す枠組みが求められている。
  • 医療体制自体の課題、医療の変化・ひずみにより生じている課題(233)
    1. 実態としてあげられたこと
      • 医療資源が偏在しており、治療の選択肢が限られる地域がある(がん医療、緩和ケア、在宅医療、生殖医療など)。
      • 医療情報の変化が早く十分に情報が提供されていない、誤った情報も氾濫しており正しい情報が探せない人が増えている。
      • 医療者と患者、家族が充分に意思疎通がはかれていないことによる問題が現在も生じ続けている。
      • 選択肢を提示された後、それを選択することへのサポートが必要な患者が診療場面では十分にケアされていない。
      • 日本語でのコニュニケーションが難しい人が治療説明について十分に理解できるような情報提供ができていない。
      • 治療による副作用や後遺症についての対応が十分にはできていない、現在の医療で対応できない場合もある。
      • 病状や治療について受容できない場合の対応が困難である。
      • 治療・医療には限界があること、緩和ケアやACP(アドバンス・ケア・プランニング)の必要性について市民が理解する必要がある。
    2. 対応案
      • 患者中心の医療の実現には、患者の希望や状況を十分に確認し、意思疎通をはかるための人的資源の投入は不可避であることを医療機関の中で根付かせていく必要がある。
      • 在宅医療など、地域を問わず必要とされる医療資源については、既存の医療機関(診療所等)との連携により提供される仕組みづくりがこれまで以上に求められる。
      • また、生殖医療等、高度かつ一時的に必要とされる医療については、遠隔地への受診等も含めて選択肢として十分に提供でるよう、施設間の連携や情報共有が必要である。
      • 地域のどこにどのような資源があるか、また遠隔地の医療資源も含めた情報共有は重要であり、都道府県がん診療連携協議会、行政、地域の保健医療福祉従事者等が協働して情報集約と情報公開を進めていく必要がある。
      • 医療は進歩したとはいえ、限界があることについて、また、その状況を迎えたときにどうしたいのか、市民が本質的な理解を深めることも必要である。
  • がん相談支援センターのアクセス・周知に関わる課題(87)
    1. 実態としてあげられたこと
      • 相談室の場所がわかりにくい、立ち寄りにくい場所にある。
      • 利用のハードルが高い(平日日中のみしか利用できない、入りやすさの雰囲気)。
      • 本人が困っていると声を挙げなければ相談につながらない、医療者がニーズを十分に拾い上げられていない、がん相談支援センターとの連携が不十分な診療科・部署がある、がん相談支援センターの院内周知が不十分。
      • どんな相談ができる場所なのかについての周知が不十分、AYA・妊孕性などの相談ができることが知られていない。
      • 多重な困りごとのある人の継続的な支援ができない(主介護者が患者である場合、患者の家族が認知症や精神疾患あるが家族外のケアの必要性を受け入れられない場合等)。
      • 地域住民、市民へのがん相談支援センターの周知が不足している。
    2. 対応案
      • 院内医療者への周知:院内患者・家族への周知が進まない一因として、院内医療者ががん相談支援センターの役割・活動内容を十分認識していないこと(どのような時期や状況にある患者・家族の場合にがん相談支援センターにつなぐか、つなぐ際は誰がどのように紹介・案内するか等の取り決めが病院全体として行われていないこと)が挙げられる。中でも主治医が利用を促す効果は極めて高い。主治医ががん相談支援センターの利用を促すこと、その他、院内で構築すべき体制とその評価指標については、整備指針上でより具体的に記述していくことが必要である。
      • 患者や家族への周知:患者や家族には、患者や家族自身が必要な時に利用しようと実感できる情報(名前だけでなく、どのような相談ができるのか、相談によりどのような問題が解決できるのか)を含めた周知が必要である。
      • 市民への周知:院外患者・家族、市民、医療者向け周知については、行政との協働しながら工夫していくことが必要である。ただ、これまで一定程度取り組みが行われてきたものの認知度が十分でない現状があり、効果的な周知方法について、社会実験的な手法を含めた検討が必要ではないか。
  • がん相談支援センターの業務上の困難や院内での機能・立場に関わる課題(171)
    1. 実態としてあげられたこと
      1. 院内でがん相談支援センターの意義・役割が十分に認知されていない
        • 院内で十分な連携・協力体制が築けていない。
        • がん相談支援センターの原則(匿名相談や相談記録へのアクセスの管理、中立の立場で相談に応じること等)について指定要件等に明記してほしい。
      2. 提供できる情報資源に関する課題
        • セカンドオピニオンや院内で実施している治験、地域内の妊孕性温存療法等々、院内外の情報収集が十分にできない、できる体制がない
        • 制度情報、治療情報を含め、広範な情報を十分にアップデートできない。
        • 地域での取り組みなどの情報収集が体系的にできない。ネットワーク構築など自らが情報資源をつくっていく側面もあるが、手が回らない。
      3. 人材・人員不足、人材育成に関する課題
        • もともと業務内容が多岐にわたるうえ、整備指針の改定のたびに対応すべき業務が拡大され、高度な専門知識を必要とする相談も増えているが、対応できる人材(職種、経験、研修受講等)が十分に配置されていない、その必要性が上層部に理解してもらえない。
        • 異動や退職が防げず、計画的な育成も困難である。
        • 相談の質の担保が求められており、相談を録音・評価する取り組みが必要になっているが、設備や時間の制約からなかなか取り組めない。
      4. がん相談支援センターの対応範囲が広がる中、施設として取り組むべき課題の体制が足りない
        • AYA支援や仕事と治療の両立支援などが、組織的なしくみとなっていない。
        • 医師とのコミュニケーションに問題がある場合等、他部署が関係する支援例について、具体的な結果のフィードバックを受けられず、対応の評価が困難である。
        • がんに関する広範なニーズに対応するため、連携、対応すべき調整も多岐にわたる。相談員の頑張り・使命感に支えられて表面上は対応可能であるが、実際には多重兼務で、職場環境改善が必要である。
    2. 対応案
      1. がん相談支援センターの意義・役割の可視化について
        • 活動が正当に評価されるためにも、がん相談支援センターがもつ基本的な姿勢や役割(院内外問わず、無料で、誰もが、必要に応じて匿名でも相談できる窓口)を病院幹部をはじめ、他部門の医療者にも広く理解される必要がある。
      2. 情報の収集と継続的な学習機会の確保について
        • 院内情報が迅速かつ継続的に収集できる仕組みを施設ごとに、地域情報については都道府県単位で継続的な情報収集・更新ができる体制が必要である。
        • 「標準治療等一般的な医療情報の提供」に必要な情報(診療ガイドラインや解説書等)の整備を病院組織として行う必要がある。
        • 病院が施設の責務として、相談員に必要な継続学習を促す体制が必要である。
        • 利用者からのフィードバックによる質の担保に加えて、質保証の取り組み(実際の相談対応を録音し、自ら評価するなど)を促進させる必要がある。
      3. がん相談支援センターに配置する人材の強化について
        • 治療から生活、ゲノム医療等まで広範かつ専門的な対応をするためにも、相談現場に看護職、福祉職の両職種の配置、がん医療に携わる医師の配置(兼任可)、業務量に見合った人材配置基準が必要である。
      4. がんに関わるすべての相談に対応する広範な役割を支える院内体制の構築について
        • 各専門部門が協力して病院全体として情報提供・相談支援に取り組む体制の強化が必要である。
        • がん相談支援センターで把握された課題を病院全体で検討し、改善していく取り組みも必要である。
  • 面会制限等による患者・家族・医療者間の情報共有の困難さから生じる相談の増加、対応に苦慮している(177)
    • 患者と家族が会えないために双方の不安が募る、お互いの思いが伝わりにくい、高齢患者の認知機能が低下する。
    • 家族が医療者から話を聞く機会がなくなり、医療者への不信感が生じる、 等
  • 面会や県外移動の制限、病床削減等により、望ましい意思決定や治療療養環境が確保できない(229)
    • 面会が可能な療養先、在宅希望が増えたが、資源が不足している場合もある。
    • 終末期ですら面会や付き添いを制限せざるを得ない。
    • 県外の家族が帰省した際に、PCR検査の結果待ちが必要となり、在宅サービスの開始が遅れる。
    • 他県への通院・転院や他県でのセカンドオピニオンや治験治療が受けにくくなり、治療の選択肢が限られる。
    • 緩和ケア病棟がコロナ病床に転換され、療養の場の選択肢が減った。
    • コロナ病床への転換で手術や入院までの待ち時間が長くなることに対して不安を感じる患者がいる。
    • 帰省控え、在宅サービス・介護サービスの利用控えが生じ、支援が手薄な人が出ている。
  • コロナ感染症へのがん患者ならではの不安が大きく、それに伴い孤立や病状悪化が生じている(81)
    • 受診控えにより治療のタイミングを逃す人がいる、状態が悪化してから相談に来る人が増えた。
    • 治療中にワクチン接種をしてよいか、したほうがよいか等の問い合わせが多い。
    • 外出を控え、孤立している様子がある、相談したい人も相談できていない様子がある。
  • コロナにより、経済状況が悪化したこと、制約が多いことによる治療や健康への影響(33)
    • コロナ禍による失業、減収など、生活が困窮している、医療費が支払えない、治療を断念したい等の相談が増えた。
    • 治療と仕事の両立がより困難になっている。
    • 外出等ができないなどの生活上の制約、家族がずっと家にいることなどの生活変化で生じるストレスに対処ができず、メンタルヘルスに変調をきたしている人がいる。
  • 病院のコロナ対応により、がん相談支援センターが築いてきた望ましい支援方法がとれない(217)
    • カンファレンス等ができないため、十分な情報入手やアセスメントができない、院外機関との連携が不十分な状態で支援をするケースがある。
    • 対面相談が望ましいケースでも電話相談となり、十分な情報提供ができていないと感じる。
    • 本人、家族を交えて共通理解を図りたい場面でも実施が困難。
    • 患者会、患者サロン、ピアサポート活動が十分にできず、ニーズに応えられない。再開を望む患者、家族の声は多いが、オンライン対応をするにも院内リソースが整わない、参加者側の状況が整わないなど困難が多い。
    • ウィッグやアピアランスケアの提供、情報コーナーを閉鎖するなど通常提供するサービスを中断している。
    • 市民向けイベントが実施できず、がん相談支援センターの周知の手段が限られる。
    • 万一の感染時の対応のため、名前と連絡先を聞くことになり、匿名での相談が受けられない。
  • コロナ禍の影響で増加した相談や課題 対応案
    • 患者は家族や医療者、また家族も患者や医療者との情報共有が困難になっている。患者会等の開催も困難で、患者や家族の孤立を防ぐ手立てが一層必要である。
    • 患者の状態に応じた面会・来院制限の緩和や、積極的なオンライン手法の活用など、取り得る工夫や事例の共有が求められている。
    • コロナ診療によるがん診療、緩和ケア病床の縮小・転用等の影響で、治療病院やセカンドオピニオン先、療養の場の選択などにおいても課題を抱えており、病院や地域としての情報共有が必要である。

~NEW~
厚生労働省 これからの労働時間制度に関する検討会 第13回資料
▼資料3 勤務間インターバル制度について
  • 「勤務間インターバル制度」とは、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組み。
  • 働き方改革関連法において、労働時間等設定改善法(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)が改正され、勤務間インターバル制度を導入することが事業主の努力義務となった(施行日:平成31年4月1日)。
    • 注)「労働時間等設定改善法」は、事業主等に労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促すことで、労働者がその有する能力を有効に発揮することや、健康で充実した生活を実現することを目指した法律。
  • この仕組みの導入を事業主の努力義務とすることで、労働者の十分な生活時間や睡眠時間を確保しようとしているもの。
  • 限度時間を超えた労働者への健康・福祉確保措置
    1. 労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針
      • 時間外・休日労働の限度時間(月45時間、年360時間)を超えて労働させる労働者に対し、労使協定で定める健康・福祉確保措置を実施。→労使協定で定める措置について、望ましいものとして、下記を指針で規定。
        1. 医師による面接指導
        2. 深夜業の回数制限
        3. 一定時間以上の休息時間確保
        4. 代償休日又は特別な休暇の付与
        5. 健康診断の実施
        6. 連続した年次有給休暇の取得促進
        7. 心とからだの健康相談窓口の設置
        8. 適切な部署への配置転換
        9. 産業医等による助言指導又は保健指導
    2. 高度プロフェッショナル制度の対象労働者への選択的措置
      • 労働基準法
        • 高度プロフェッショナル制度の対象労働者に以下の措置を実施。((1)(2)を実施していない場合は、当該労働者への制度の適用が無効)
          1. 年間104日以上、かつ、4週当たり4日以上の休日取得
          2. 以下4つの選択肢から労使委員会の決議で選択した措置
            • 勤務間インターバルの確保(11時間以上)+深夜業の回数制限(1か月に4回以内)
            • 健康管理時間の上限措置(1週間当たり40時間を超えた時間について、1か月について100時間以内又は3か月について240時間以内とすること)
            • 1年に2週間連続の休暇取得(本人が請求した場合には1年に1週間連続を2回)
            • 臨時の健康診断(1週間当たり40時間を超えた時間が月80時間を超えた場合又は本人から申出があった場合)
          3. (2)で選択した措置に加え、以下の健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置のうち、労使委員会の決議で選択した措置
            • (2)のいずれかの措置(②において決議で定めたもの以外)
            • 医師による面接指導
            • 代償休日又は特別な休暇の付与
            • 心とからだの健康相談窓口の設置
            • 適切な部署への配置転換
            • 産業医等による助言指導又は保健指導
  • メリハリを持った勤務間インターバル制度の活用:日本型の勤務間インターバル制度を作り上げる必要性
    • 毎日、勤務間インターバルを確保することは理想だが、例えば、規定されたインターバル時間よりも短い日が月何回以上あった者は配慮する。
    • KDDI方式では、PDCAサイクルを回して、月5日以上、11時間未満のインターバルであった者は個別に健康指導や産業医面談を実施または平均で月のインターバルが11時間未満の従業員を産業医面談を実施する
    • 通常よりも労働負担の高い働き方をした場合、インターバルの時間を長く確保できるように配慮する。
    • 夜勤や長距離運転等の後を配慮する
    • 一律、何時間としてインターバルを規定するよりも、個々の職場の実情に合わせて例えば職場の安全衛生委員会等でインターバル時間や運用方法を議論し、就業規則等に明記させるやり方

~NEW~
厚生労働省 第84回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年5月19日)
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約203人で、今週先週比は1.07となっているが、この数日における直近1週間の移動平均は減少傾向にあり、減少傾向が継続していたGW前の水準よりも低くなっている。GWによる数値への影響もあるため、今後の動きに注視が必要。
    • 年代別の新規感染者数は、全ての年代で微増又は増加しており、特に20代で顕著な増加が見られる(5月第2週と第1週の比較)。
    • 全国の新規感染者数が増加に転じていることに伴い、療養者数は増加傾向。一方、重症者数は減少が続き、死亡者数は横ばい。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(5/1)で0.97と1を下回る水準となっており、首都圏では0.94、関西圏では0.97となっている。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 北海道 新規感染者数は今週先週比が1.07と1を上回り、約346(札幌市約402)。20代以下が中心。全ての年代で増加しており、特に20代の増加が顕著。病床使用率は約2割。
    2. 北関東 茨城の新規感染者数は今週先週比が1.08と1を上回り、約134。20代以下が中心。特に20代の増加が顕著。病床使用率は約1割。栃木、群馬では今週先週比がそれぞれ0.89、0.92と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約135、128。病床使用率について、栃木では1割強、群馬では約2割。
    3. 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は今週先週比が1.0となり、約184。20代以下が中心。全ての年代で微増又は増加しており、特に20代の増加が顕著。病床・重症病床使用率はいずれも1割強。千葉でも今週先週比が1.0となり、新規感染者数は約112。神奈川では今週先週比が1.08と1を上回り、新規感染者数は約144。埼玉では今週先週比が0.97と1を下回り、新規感染者数は約136。病床使用率について、埼玉では約2割、千葉では約1割、神奈川では2割弱。
    4. 中京・東海 愛知の新規感染者数は今週先週比が1.13と1を上回り、約206。20代以下が中心。全ての年代で増加しており、特に10-20代の増加が顕著。病床使用率は約2割。岐阜、静岡、三重でも今週先週比がそれぞれ1.09、1.32、1.08と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約200、190、161。病床使用率について、岐阜では約3割、静岡では1割強、三重では2割弱。
    5. 関西圏 大阪の新規感染者数は今週先週比が1.06と1を上回り、約236。20代以下が中心。全ての年代で増加しており、特に20代以下の増加が顕著。病床使用率は約2割。滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山でも今週先週比がそれぞれ1.19、1.13、1.13、1.22、1.06と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約181、233、194、159、188。病床使用率について、滋賀、京都、奈良では1割強、兵庫では約2割、和歌山では3割弱。
    6. 九州 福岡の新規感染者数は今週先週比が1.01と1を上回り、約269。20代以下が中心。全ての年代で微増又は増加しており、特に20代の増加が顕著。病床使用率は約2割。熊本、宮崎でも今週先週比がそれぞれ1.11、1.13と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約238、325。佐賀、長崎、大分、鹿児島では今週先週比がそれぞれ0.80、0.94、0.99、0.97と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約230、215、226、288。病床使用率について、佐賀、長崎、熊本、宮崎では2割強、大分では約2割、鹿児島では3割強。
    7. 沖縄 新規感染者数は今週先週比が1.13と1を上回り、約1014と全国で最も高い。30代以下が中心。全ての年代で増加しており、特に30代以下の増加が顕著。病床使用率は5割強。重症病床使用率は2割強。
    8. 上記以外 岩手、秋田、福島、石川、長野、岡山、広島、山口、香川、高知の新規感染者数はそれぞれ約151、140、182、300、146、252、301、164、252、267。病床使用率について、岩手、秋田、石川、長野、岡山、山口、香川、高知では2割強、福島では3割強、広島では約3割。
  • 今後の見通しと必要な対策
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、この数日における直近1週間の移動平均は、一部の地域を除き、減少傾向となっている。しかし、GWによる数値への影響もあるため、感染状況の正確な評価は難しい状況が続いている。地域別に見ると、直近1週間の移動平均について、首都圏では昨年夏のピーク時を下回る状況にある一方、沖縄県や宮崎県などでは直近1週間の移動平均が昨年末からのピークを上回っている。特に、沖縄県における新規感染者数は全国で最も高く、また過去最高の状況となっており、増加傾向は現在も続いている。それ以外の地域においても、今後の感染者数の推移に引き続き注意が必要。
      • 年代別の新規感染者数では、全ての年代で微増又は増加しており、特に20代では全国的に、また多くの地域で顕著な増加が見られる。また、沖縄県では、全ての年代で新規感染者数が増加が継続しており、特に30代以下の若い世代の増加が顕著であるとともに、60代以上の高齢者についても大きく増加している。他の地域でも高齢者の感染状況を注視していく必要。
      • 新規感染者の感染場所について、GW終了後、学校等における割合が増加している。また、疫学調査の重点化もあり、飲食の場での感染の増加傾向は必ずしも明らかではないが、若い世代の感染者が増加しているため注意が必要である。
      • 今後の感染状況については、GWで人の動きが活発であったことや、BA.2系統へ概ね置き換わった状況などの感染の増加要因と、ワクチンの3回目接種等による抑制要因に影響されるものと考えられる。また、若い世代の感染者数増加が継続していることも踏まえ、引き続き、今後の動向を注視する必要。
    2. 感染の増加要因と抑制要因について
      • 感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するが、今後しばらくは感染状況を注視する必要がある。
        1. 接触パターンについて
          • 夜間滞留人口について、大都市圏を中心にGW後に増加に転じる地域がある一方、GW期間中に昨年末のピーク時を超えて急増したがGW後には減少に転じる地域もあり、地域差がみられる。また、GWで人の動きの活発化と接触の増加による今後の感染状況への影響に注意が必要。
        2. 流行株について
          • BA.2系統へ概ね置き換わっており、BA.1系統が優位であった時期と比較すると、新規感染者の増加や減少スピードが遅れる一要因となりうる。
        3. ワクチン接種等について
          • 3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。3回目接種は高齢者で進むとともに、若年層でも接種が進んでいるが、これから若年層がさらに接種対象になることで一層接種率が向上することが期待される。しかし、3回目接種から一定の期間が経過することに伴い、感染予防効果は、より早く接種を受けた人から今後減弱していくことが予想され、留意が必要。また、これまでの感染による免疫保持については、地域の発生動向に影響する可能性もある。
        4. 気候要因について
          • 気温が上昇していく時期に入り、換気を行いやすい気候条件になる。しかし、気温の上昇や降雨によって屋内での活動が増える場合もある。
    3. 医療提供体制について
      • 沖縄県では、入院者数や病床使用率について増加が継続するとともに、重症病床使用率は2割台で横ばい。また、その他の地域でも、一部を除いて病床使用率や自宅療養者・療養等調整中の数が増加している。
      • 救急搬送困難事案については、全国合計では昨年夏のピークを下回ったが、下げ止まりの傾向が見られる。感染者数の増減に関わらず増加している地域もあり、地域差が見られる。
    4. オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
      1. サーベイランス等
        • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株について、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
      2. 自治体における取組
        • 自治体では、オミクロン株の特徴を踏まえた対応強化を図るべく、診療・検査体制や保健所体制の点検も必要である。
        • 地域の感染状況に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築に引き続き取り組むことが必要。高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制の確保も引き続き求められる。また、新型コロナウイルス感染症に罹患しても、基礎疾患の治療が継続できるような体制を整えることが必要。
        • 高齢者施設等における迅速な医療支援体制の強化・徹底が求められる。医療支援体制の構築にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ進めていくことが重要。
        • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保する。また、濃厚接触者の特定や待機については、地域の感染状況に応じて、適切な感染対策を行うことを原則としつつ、オミクロン株の特徴や感染拡大の状況を踏まえ、医療機関や高齢者施設などにおける感染事例に重点化することが必要。あわせて、少しでも体調が悪い場合には職場・学校を休める環境を確保することも重要。
        • 今年1月以降の自宅での死亡事例においては、同時期の死亡者全体の傾向と同様、70歳以上の者が約8割を占め、新型コロナ以外の要因により死亡する事例も多いことが示唆される。また、こうした死亡事例におけるワクチン接種率は、日本国内の接種の進展により、2回目接種が完了していた者も一定数確認された。自治体においては、重症化リスクの高い感染者への連絡の迅速化等の取組が進められており、引き続き、自宅療養者に必要な医療が提供されるよう努めることが重要。
      3. ワクチン未接種者、3回目接種者への情報提供の再強化等
        • 3回目接種率について、5月18日公表時点で65歳以上高齢者では約89%、全体では約57%となった。高齢者の接種が進展したことにより重症化や死亡のリスク低減が期待される。重症者・死亡者を最小限にするため、また同時に、できるだけ発症者を減らすためにも、対象者への3回目の接種を今後も着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。4回目接種については、重症化予防を目的として、60歳以上の者と、重症化リスクの高い基礎疾患を有する者、その他重症化リスクが高いと医師が認める方を対象として特例臨時接種として5月下旬から実施することとなったことを踏まえ、適切に接種の案内を実施することが必要。
        • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の3回目接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復するため、3回目接種を着実に実施していくことも必要。また、ワクチン接種者においては症状が遷延するリスクが低いとの報告がある。
        • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。
      4. 水際対策
        • 海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。特に、直近の東アジア地域における流行状況には注視が必要。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
      5. オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
        • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
          • 学校・幼稚園・保育所等においては、児童・生徒の感染リスクが高まる場面を職員や子ども・保護者等と共有しつつ、子どもの感染対策の徹底はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策の再確認と徹底を図った上で、できるだけ教育活動などの継続に取り組むことが必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。
          • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策の徹底が必要。このため、入所者及び従事者に対するワクチンの3回目接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
          • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
      6. 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
        • 現在の感染状況については、GWの影響もあり正確な評価が難しい時期ではあるが、全国的には未だに昨年夏のピークよりも高い状況が続いている。このため、基本的な感染対策と日頃の体調管理を徹底して呼びかけた上で、できるだけ新規感染者数の継続的な増加が起こらないよう、引き続き、市民や事業者の方々には感染リスクの低減に向けた取組にご協力いただくことが必要。
          1. ワクチン接種について
            • ワクチンの3回目接種は、その種類に関わらず、時期が来れば、早めに受けていただくことが重要。新型コロナウイルス感染症に罹患すると、若年者でも重症化することがあり、また、遷延症状が見られる場合もあることから、重症化リスクの高い高齢者はもとより、若年者も自らの健康を守るために接種していただくことが求められる。
          2. 感染対策の徹底
            • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。
            • 一方、マスクの着用について、屋外で周囲の人と距離が十分に確保できるような場面であったり、屋外で周囲との距離が十分に取れない場面でも、周囲で会話が少ない(又はほとんどない)ようであれば、これまでどおり、マスク着用は必ずしも必要ない。ただし、屋外でも人混みでは適宜着用することが必要。また、未就学児についてはマスク着用を一律には求めず、無理に着用させないこと等について、周知内容をより明確にした上で、幅広く周知・徹底を行っていくことが必要。
          3. 外出等に際して
            • 混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスク着用の徹底が必要。
          4. 体調管理について
            • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。特に、高齢者をはじめ、重症化リスクの高い方と会う機会がある場合には注意が必要。
      7. 参考:オミクロン株の特徴に関する知見
        1. 感染性・伝播性
          • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
        2. 感染の場・感染経路
          • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
        3. 重症度
          • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても限られたデータではあるが季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。感染前の状況として、医療機関に入院中の方や高齢者施設に入所中の方が多いことが示された。侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化等の影響で重症の定義を満たさずに死亡する方など、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されており、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が増悪することや、高齢の感染者が心不全や誤嚥性肺炎等を発症することにより、入院を要する感染者の増加に繋がることにも注意が必要。
        4. ウイルスの排出期間
          • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出は、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。
        5. ワクチン効果
          • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。
        6. BA.2系統
          • 海外ではBA.2系統への置き換わりがある中で、感染者数の増加が見られたが、現在は世界的に減少傾向となっている。国内におけるオミクロン株は、当初BA.1とBA.1.1の海外からの流入がともにあったものの、その後BA.1.1が多数を占めた。現在は、BA.2系統へ概ね置き換わった。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は、BA.1系統と比べ15%短く、実効再生産数は26%高いことが示された。BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。英国の報告では、BA.1系統ウイルス感染後におけるBA.2系統ウイルスに再感染した事例は少数あり、主にワクチン未接種者であると報告されている。
        7. XE、4、BA.5及びBA.2.12.1系統
          • オミクロン株のXE系統は、オミクロン株のBA.1系統とBA.2系統の組換え体であり、XE系統について、検疫で2件確認されている。WHOレポートによれば、BA.2系統に比べて市中での感染者の増加する速度が10%程度高いと報告されている。また、BA.4系統については検疫で1件、BA.5系統については検疫で2件それぞれ確認されている。一部の国や地域ではBA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統の検出割合が増加し、BA.2系統からの置き換わりが進んでおり、感染者の増加の優位性が示唆されている。国立感染症研究所によれば、感染力や重症度等に大きな差が見られるとの報告は現時点ではないものの、ウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要としている。

~NEW~
経済産業省 「工業用水道事業におけるBCP策定ガイドライン」を取りまとめました
▼工業用水道事業におけるBCP策定ガイドライン(概要)
  • ガイドラインの目的
    • 近年、地震、台風や豪雨等による自然災害の頻発化や激甚化、新型コロナウイルス感染拡大等により、工業用水道事業者の業務継続に支障が生じるおそれが認識されるなど、工業用水道事業を取り巻く環境に不確実性が増加してきています。
    • 工業用水道施設が甚大な被害を受け、工業用水の供給に支障を生じた場合、ユーザー企業の操業に影響を与えてしまうことはもちろん、我が国産業にも大きな影響を与えかねません。
    • そのため、工業用水道事業者では、ユーザー企業における事業継続も考慮しながら、施設の強靱化等の事前対策を含む事業継続計画(BCP)を策定するとともに、これに基づき、平常時から取り組むことが重要です。⇒ BCPの早急な策定や改善の一助となるよう、ガイドラインを策定
  • ガイドラインの位置づけ
    • 地方公共団体においても、災害時の応急・復旧業務や優先度の高い通常業務を執行するため、優先的に継続すべき業務や体制について定めた全庁BCPが策定されています。
    • しかしながら、発災時には応急対応に必要な職員や資機材に相当の制約が生じることも想定され、地域防災計画等をより実効的にした計画として、工業用水道事業単独又は工業用水道事業を管理する部局においてBCPが策定されることが重要です。
  • ガイドラインの構成
    • 内閣府ガイドライン(令和3年4月公表)では、『BCPの策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、取組を浸透させるための教育・訓練の実施、点検、継続的な改善等を行う平常時からのマネジメント活動』を、事業継続マネジメント(BCM)と定義し、責任者が主体的に関わり、BCMを実践する中で、BCPの実効性を維持、向上させることを求めています。
    • 工業用水道BCPにおいても、災害時の対応だけでなく、平常時から事前対策や教育・訓練を通じた継続的な見直し・改善によりBCPの実効性を高めていくよう、本ガイドラインではBCMの考え方を取り入れています。
    • 初めから完璧なものを目指して、BCP策定に躊躇するのではなく、できることから取組を開始し、その後、継続的に見直し・改善に取り組みながら、より実効性のあるBCPとしていくことが重要です。
  • ガイドラインで対象とする発生事象
    • 工業用水道BCPは、「どのような危機的な発生事象」に直面しても、工業用水道事業を継続又は早期に復旧し、工業用水の供給を継続する、という目的を持って策定していくことが必要です。
    • 近年の自然災害の頻発化や激甚化に加え、新たな懸念として新型コロナウイルス感染拡大なども含め、本ガイドラインでは、工業用水の供給停止をもたらす全ての可能性を考慮し、あらゆる事象を対象としています。
    • なお、あらゆる発生事象を想定したとしても想定を超える事象(不測の事象)は発生し得るものであり、発生事象(災害等)だけでなく、結果事象(被害)から対応策を整理しておくことで、想定外の事態を含む幅広い発生事象に対しても有効となり得ます。
  • 方針の策定
    • BCP策定に当たっては、公営企業管理者等(責任者)は、職員等の身体・生命の安全確保や二次災害の防止を最優先しつつ、我が国産業を支えるインフラとして工業用水道事業が果たすべき役割や重要性について改めてよく理解し、事業継続の目的や達成する目標、対象とする事業や事業所の範囲など、基本方針を明確にします。
    • また、関係部門全てが参画したBCP策定体制を構築するとともに、策定後には継続的な見直し・改善に取り組まれるよう、BCP策定体制は平常時における運用体制へと移行し、BCPの中で明確にすることが必要です。
  • 分析・検討
    • 工業用水道施設が被害を受けた場合、ユーザー企業の事業継続の必要性や被災施設による二次災害の発生防止等も考慮し、事業継続又は早期復旧に必要不可欠な施設から優先して対応が必要となります。
    • BCPでは、あらゆる発生事象による被害を想定し、非常時における対応や体制、それを実現するために事前に実施すべき対策について計画することが重要です。
    • そのため、地域において想定される発生事象による事業中断の可能性や影響について分析し、優先する施設を慎重に判断し、目標とする復旧時間や復旧レベルとその実現に必要な人員や資機材等を把握していきます。
    • 初めから完璧なものを目指して、BCP策定に躊躇するのではなく、できることから取組を開始することが重要であり、地域防災計画やハザードマップ等で想定する発生事象を対象に策定し、その後の見直し・改善を通じ、より実効性のあるBCPとしていきます。

~NEW~
経済産業省 大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました
  • 経済産業省では、「令和3年度大学発ベンチャー実態等調査」を取りまとめました。2021年10月時点での大学発ベンチャー数は3,306社と、2020年度で確認された2,905社から401社増加し、過去最高の伸びを記録しました。
  1. 目的・背景
    • 大学発ベンチャーは、大学等における革新的な研究成果をもとに、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されています。本調査は、大学発ベンチャーの設立状況を定点観測するとともに、事業環境やニーズ等を調査し、その成長に寄与する要因等を分析することで、今後の政策展開に活用するため実施しています。
  2. 調査の結果概要
    1. 大学発ベンチャー数の推移
      • 2021年度調査において存在が確認された大学発ベンチャーは3,306社でした。2020年度で確認された2,905社から401社増加し、企業数及び増加数ともに過去最高を記録しました。
    2. 大学別ベンチャー企業数
      • 大学別の大学発ベンチャー企業数では引き続き東京大学が最も多いものの、京都大学、筑波大学、慶應義塾大学等他大学の伸びも目立ち、多くの大学がベンチャー創出に力を入れていることがうかがえます。
      • 順位(前年度)大学名 2019年度 2020年度 2021年度
        1. (1) 東京大学 268 323 329
        2. (2) 京都大学 191 222 242
        3. (3) 大阪大学 141 168 180
        4. (4) 筑波大学 114 146 178
        5. (10) 慶應義塾大学 85 90 175
        6. (5) 東北大学 121 145 157
        7. (7) 東京理科大学 30 111 126
        8. (6) 九州大学 117 124 120
        9. (8) 名古屋大学 94 109 116
        10. (9) 東京工業大学 75 98 108
      • ※企業数は当該調査年度時点で把握した数であり、前年度との差分は必ずしも新規設立数ではないことに留意が必要。
    3. コロナ禍の影響に関する分析
      • 大学発ベンチャーにおける新型コロナウイルスの影響について昨年との比較について聞いたところ、「変化なし」との回答が最も多いものの、プラス面よりマイナス面の影響が大きいのは「施設利用・他社連携」、「事業計画」、「投資」との回答がありました。
    4. 大学発ベンチャーにおける博士人材の活躍状況に関する分析
      • 大学発ベンチャー企業の従業員に占める博士人材の比率は、特に研究成果ベンチャーや技術移転ベンチャーにおいて、一般企業の研究職に比べて高く、大学発ベンチャーでは博士人材が積極的に活用されていることがうかがえます。
  3. 大学発ベンチャーデータベース
    • 大学発ベンチャーの企業情報を公開している「大学発ベンチャーデータベース」についても、本年度の調査結果を踏まえて更新しておりますので御覧ください。

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