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危機管理トピックス

ソーシャルボンド検討会議(金融庁)/資産運用業高度化プログレスレポート2022(金融庁)/ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会(金融庁)令和3年 特殊詐欺の認知・検挙状況等(確定値版)(警察庁)/令和3年度 食料・農業・農村白書(農水省)

2022.05.30
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更新日:2022年5月30日 新着21記事

グローバル 経済 ビジネス

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「ソーシャルボンド検討会議」(第5回)議事次第
  • 「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の公表について
  • 「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(第6回)議事次第
国民生活センター
  • 雑音で音声が聞き取りにくい耳かけ集音器(相談解決のためのテストからNo.164)
  • 組成表示が異なっていた婦人パジャマ(相談解決のためのテストからNo.165)
  • 一度に中身がすべて噴出したスプレー缶(相談解決のためのテストからNo.166)
  • 実在する組織をかたるフィッシングメールに注意!
厚生労働省
  • 第85回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年5月25日)
  • 第180回労働政策審議会職業安定分科会資料
  • 小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年5月27日)
  • サル痘について
経済産業省
  • 2021年(1月~12月)工場立地動向調査結果を取りまとめました
  • ロシアによるウクライナ侵略を非難する共同プレスリリースを発出しました
総務省
  • テレワークセキュリティに関する手引き(チェックリスト)第3版の公表
  • サイバーセキュリティタスクフォース(第38回)

~NEW~
警察庁 令和3年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
  1. 特殊詐欺の認知状況
    1. 情勢全般
      • 令和3年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は14,498件(+948件、+7.0%)、被害額は282.0億円(-3.2億円、-1.1%)と、前年に比べて総認知件数が増加したものの、被害額は減少。被害額は過去最高となった平成26年(565.5億円)から半減。しかしながら、依然として高齢者を中心に被害が高い水準で発生しており、深刻な情勢。
      • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は3,319件(+423件)、大阪1,538件(+431件)、神奈川1,461件(-312件)、千葉1,103件(-114件)、埼玉1,082件(+56件)、愛知874件(+305件)及び兵庫859件(-168件)で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は70.6%(-0.4ポイント)。
      • 1日当たりの被害額は約7,730万円(-約60万円)。
      • 既遂1件当たりの被害額は202万円(-18.2万円、-8.2%)。
    2. 主な手口別の認知状況
      • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は8,118件(-1,139件、-12.3%)、被害額は160.7億円(-8.1億円、-4.8%)で、総認知件数に占める割合は56.0%(-12.3ポイント)。
      • オレオレ詐欺は、認知件数3,085件(+813件、+35.8%)、被害額90.6億円(+22.7億円、+33.4%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は21.3%(+4.5ポイント)。
      • 預貯金詐欺は、認知件数2,431件(-1,704件、-41.2%)、被害額30.6億円(-27.6億円、-47.5%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は16.8%(-13.7ポイント)。
      • また、キャッシュカード詐欺盗は、認知件数2,602件(-248件、-8.7%)、被害額39.5億円(-3.2億円、-7.4%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は17.9%(-3.1ポイント)。
      • 架空料金請求詐欺は、認知件数2,117件(+107件、+5.3%)、被害額68.1億円(-11.7億円、-14.6%)と、認知件数が増加したものの、被害額は減少し、総認知件数に占める割合は14.6%(-0.2ポイント)。
      • 還付金詐欺は、認知件数4,004件(+2,200件、+122.0%)、被害額45.2億円(+20.3億円、+81.4%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は27.6%(+14.3ポイント)。他の手口と比べ7都府県以外に被害が拡散傾向。
      • オレオレ型特殊詐欺に、架空料金請求詐欺及び還付金詐欺を合わせた認知件数は14,239件、被害額は273.9億円で、総認知件数に占める割合は98.2%(+1.7ポイント)、被害額に占める割合は97.1%(+1.3ポイント)。
    3. 主な被害金交付形態別の認知状況
      • キャッシュカード手交型の認知件数は2,698件(-1,619件、-37.5%)、被害額は39.8億円(-23.9億円、-37.5%)、キャッシュカード窃取型の認知件数は2,602件(-248件、-8.7%)、被害額は39.5億円(-3.2億円、-7.4%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は36.6%。
      • 現金手交型の認知件数は2,793件(+724件、+35.0%)、被害額は94.4億円(+16.9億円、+21.8%)と、いずれも増加。キャッシュカード手交型、キャッシュカード窃取型及び現金手交型は、被害者と直接対面して犯行を敢行するものであり、これら3交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は55.8%(-12.3ポイント)。
      • 振込型の認知件数は5,095件(+2,297件、+82.1%)、被害額は79.1億円(+28.8億円、+57.2%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は35.1%(+14.5ポイント)。
      • 現金送付型の認知件数は189件(-164件、-46.5%)、被害額は20.5億円(-20.0億円、-49.5%)と、いずれも減少。
      • 電子マネー型の認知件数は1,096件(-37件、-3.3%)、被害額は8.5億円(-1.4億円、-14.1%)と、いずれも減少。
    4. 高齢者の被害状況
      • 高齢者(65歳以上)被害の認知件数は12,724件(+1,137件、+9.8%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合(高齢者率)は88.2%(+2.4ポイント)。65歳以上の高齢女性の被害認知件数は9,907件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は68.7%(+2.6ポイント)。
    5. 欺罔手段
      • 被害者への欺罔手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話が88.9%、電子メールが7.0%、はがき・封書等(はがき、封書、FAX、ウェブサイト等をいう)は4.1%と、電話による欺罔が大半を占めている。主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺は約99%、還付金詐欺は100%が電話。その一方で、架空料金請求詐欺は電子メールが約46%、電話が約33%。
    6. 予兆電話
      • 特殊詐欺の被疑者による、電話の相手方に対して住所・氏名等の個人情報及び現金の保有状況等の犯行に資する情報を探る電話(以下「予兆電話」という。)の件数は100,515件で、月平均は8,376件(+170件、+2.1%)と増加。東京が34,661件と最も多く、次いで大阪9,084件、埼玉8,960件、千葉7,377件、神奈川6,864件、愛知5,015件、兵庫2,985件の順となっており、全国の予兆電話件数に占めるこれら7都府県の割合は74.6%。
    7. トピックス1
      1. 新型コロナウイルス感染症に関連した特殊詐欺(警察庁集計)
        • 令和3年中の新型コロナウイルス感染症に関連した特殊詐欺の認知件数は44件、被害額は約1.1億円と、総認知件数に占める割合は約0.3%。また、検挙件数は4件、検挙人員は7人。
      2. 検挙事例
        • 令和3年1月、80代男性が、息子を名のる男から「会社を辞めた人が取引先から1,000万円を借りたが、コロナでうまくいかず行方不明になった。保証人の自分が返さないといけなくなった。」等の電話を受け、息子の代理を名のる男に現金300万円をだまし取られた特殊詐欺事件で、被疑者(受け子)を同年8月に逮捕した。(京都)
  2. 特殊詐欺の検挙状況
    1. 検挙全般
      • 令和3年の特殊詐欺の検挙件数は6,600件(-824件、-11.1%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,374人(-247人、-9.4%)と、いずれも減少。
      • 手口別では、大幅に被害が増加した還付金詐欺の検挙件数は747件(+297件、+66.0%)、検挙人員は111人(+53人、+91.4%)と、大幅に増加。
      • 中枢被疑者(犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等)をいう)を43人(-17人、-28.3%・被害者方付近に現れた受け子や出し子、それらの見張り役を職務質問等により1,872人検挙(-112人、-5.6%)。
      • 預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,393件(-163件)、2,530人(-180人)検挙。
    2. 犯行拠点の摘発
      • 東京都をはじめ、大都市圏に設けられた犯行拠点(欺罔電話発信地等)23箇所を摘発(-7箇所)。
    3. 暴力団構成員等の検挙人員
      • 暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者の総称。)の検挙人員は323人(-79人、-19.7%)で、総検挙人員に占める割合は13.6%。
      • 中枢被疑者の検挙人員(43人、-17人)に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は17人(39.5%)であり、出し子・受け子等の指示役の検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は21人(53.8%)、リクルーターの検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は62人(39.0%)であるなど、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。このほか、現金回収・運搬役の検挙人員に占める暴力団構成員等の人員・割合は33人(26.4%)、道具調達役の検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員・割合は8人(24.2%)。
    4. 少年の検挙人員
      • 少年の検挙人員は433人(-58人)で、総検挙人員に占める割合は18.2%。少年の検挙人員の77.1%が受け子で、検挙された受け子に占める割合は20.4%と、5人に1人が少年。
    5. 外国人の検挙人員
      • 外国人の検挙人員は117人(-19人)で、総検挙人員に占める割合は4.9%。外国人の検挙人員の63.2%が受け子で、出し子は18人(-3人)となっている。
      • 主な外国人被疑者の国籍別人員(割合)は、中国72人(61.5%)、韓国13人(11.1%)、ペルー9人(7.7%)、ベトナム8人(6.8%)、ブラジル4人(3.4%)。
    6. 主要事件の検挙
      • 令和3年6月までに、家電販売店店員等をかたる特殊詐欺事件に関し、主犯である指定暴力団神戸山口組系幹部組員ら十数人を詐欺罪等で逮捕した。また、同事件を契機として、同年8月までに同組織の別の幹部の男を含む合計4人を京都府暴力団排除条例違反(用心棒代受供与)等で逮捕した。(京都)
      • 令和3年7月までに、携帯電話会社の定額プランを悪用し、特定の電話番号に機械的多数発信を繰り返し、多額の通話料の支払いを不正に免れたとして、特殊詐欺グループに犯行電話が供給されていた電話転送事業者の経営者ら5人を組織的犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で逮捕した。(愛知、山口、千葉)
      • 令和3年8月までに、架空料金請求詐欺事件に関し、特殊詐欺の犯行に使用されると知りながら、IP電話回線利用サービスを提供した電話転送事業者3社の経営者ら6人を詐欺幇助で逮捕した。(広島)
      • 令和3年11月までに、電話転送事業者らが特殊詐欺グループらと結託して、特殊詐欺でだまし取った電子マネーを買い取り業者に買い取らせ、その代金数十万円について、別の電話転送事業者の個人口座に振込入金させていたことから、電話転送事業者2社の経営者ら6人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した。(福岡、秋田、岡山、青森)
      • 令和3年12月までに、ギャンブル詐欺事件に関し、特殊詐欺の犯行に使用されると知りながら、IP電話回線利用サービスを提供した電話転送事業者の経営者1人を詐欺幇助で逮捕した。(宮城)
  3. 特殊詐欺予防対策の取組
    1. 広報啓発活動の推進
      • 杉良太郎特別防犯対策監をはじめ、幅広い世代に対して高い発信力を有する著名な方々により結成された「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(略称:SOS47(エス・オー・エス・フォーティーセブン))による広報啓発活動を、公的機関、各種団体、民間事業者等の幅広い協力を得ながら展開。
      • 令和3年中は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、各種イベントの開催が制限される中、SOS47のメンバーによる動画・ポスター等の制作、テレビ・ラジオ等各種メディアへの出演など、あらゆる広報媒体・機会を通じて特殊詐欺被害防止に係るメッセージを発信。9月には落語家の吉原朝馬氏を新たなメンバーに加え、特殊詐欺被害防止に向けた取組を全国的な国民運動として定着させるべく、継続的に活動を展開。
    2. 関係事業者と連携した被害の未然防止対策を推進
      • 金融機関等と連携した声掛けにより、15,006件(+4,103件)、約57.4億円(+6.3億円)の被害を防止(阻止率(阻止件数を認知件数(既遂)と阻止件数の和で除した割合)51.8%)。高齢者の高額払戻しに際しての警察への通報につき、金融機関との連携を強化。
      • 還付金詐欺対策として、金融機関と連携し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績のない高齢者のATM振込限度額をゼロ円(又は極めて少額)とし、窓口に誘導して声掛け等を行う取組を推進(令和3年12月末現在、47都道府県、401金融機関)。全国規模の金融機関等においても取組を実施。
      • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替える手口の広報による被害防止活動を推進。また、被害拡大防止のため、金融機関と連携し、預貯金口座のモニタリングを強化する取組のほか、高齢者のATM引出限度額を少額とする取組を推進(令和3年12月末現在、40都道府県、204金融機関)。全国規模の金融機関においても取組を実施。
      • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストア、電子マネー発行会社等と連携し、電子マネー購入希望者への声掛け、チラシ等の啓発物品の配布、端末機の画面での注意喚起などの被害防止対策を推進。
      • 宅配事業者と連携し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを活用した不審な宅配便の発見や警察への通報等の取組のほか、荷受け時の声掛け・確認等による注意喚起を推進。
      • SNS上における受け子等募集の有害情報への対策として、Twitter利用者に対し特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿(ツイート)や、実際に受け子等を募集していると認められるツイートに対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和3年12月末現在、15都道府県)。
    3. トピックス2 「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」取組
      • 令和3年中、特殊詐欺の手口のうち被害が最も多かった還付金詐欺は、被害者がATM設置場所において携帯電話を使って犯人と会話することで被害が発生することから、「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」ことを社会の常識として定着させるため、街頭キャンペーンやATM周辺でのポスター貼付を行っている。
    4. 防犯指導の推進
      • 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、名簿登載者に対する注意喚起を実施。
      • 犯人からの電話に出ないために、高齢者宅の固定電話を常に留守番電話に設定することなどの働き掛けを実施。
      • 自治体等と連携して、自動通話録音機の普及活動を推進(令和3年12月末現在、全国で約26万台分を確保)。全国防犯協会連合会と連携し、迷惑電話防止機能を有する機器の推奨を行う事業を実施。
  4. 犯行ツール対策の推進
    • 主要な通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和3年中は4,119件の電話番号が利用停止され、新たな固定電話番号の提供拒否要請を3件実施。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する報告徴収を10件、総務省に対する意見陳述を10件実施。なお、国家公安委員会が行った意見陳述を受け、令和3年中、総務大臣が電話転送サービス事業者に対して是正命令4件を発出。
    • 犯行に利用された携帯電話(MVNO(Mobile Virtual Network Operatorの略。自ら無線局を開設・運用せずに移動通信サービスを提供する電気通信事業者)(仮想移動体通信事業者)が提供する携帯電話を含む)について、役務提供拒否に係る情報提供を推進(6,935件の情報提供を実施)。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し架電して警告メッセージを流し、電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を継続実施。
    • トピックス3 特殊詐欺に利用された050IP電話番号に係る利用停止等の対策について
      • 近年、特殊詐欺の犯行に050IP電話番号が利用されるケースが多く見られることから、特殊詐欺の犯行に利用された固定電話番号を警察の要請に基づいて電気通信事業者が利用停止等する枠組みの対象に、050IP電話番号を追加し、令和3年11月26日から運用を開始。令和3年12月末までに、3件の050IP電話番号が利用停止され、新たな050IP電話番号の提供拒否の要請を4件行った。
  5. 今後の取組
    • 引き続き、「オレオレ詐欺等対策プラン」に基づき、関係行政機関・事業者等と連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に向け、被害防止対策、犯行ツール対策、効果的な取締り等を強力に推進。
    • 暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、有力な資金源としている実態も認められることから、引き続き、暴力団、準暴力団等の犯罪者グループの壊滅に向けた多角的・戦略的な取締りを推進

~NEW~
首相官邸 北朝鮮によるミサイル発射事案に係る関連情報について
  1. 北朝鮮は、本日(25日)5時59分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。詳細については現在分析中であるが、最高高度約550km程度で、約300km程度飛翔し、落下したのは北朝鮮東岸の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
  2. また、北朝鮮は、本日6時42分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。詳細については現在分析中であるが、最高高度約50km程度で、約750km程度を変則軌道で飛翔し、落下したのは北朝鮮東側の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
  3. 以上の弾道ミサイル2発以外に、ミサイルを発射した可能性があり、関連する情報を収集し、分析しているところである。
  4. 付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点において被害報告等の情報は確認されていない。
  5. 総理には、本件について直ちに報告を行い、
    • 情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと
    • 航空機、船舶等の安全確認を徹底すること
    • 不測の事態に備え、万全の態勢をとること
      の3点について指示があった。
  6. また、政府においては、官邸危機管理センターに設置している「北朝鮮情勢に関する官邸対策室」において、関係省庁からの情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行った。
  7. これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものである。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、我が国としては、北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難した。
  8. 国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとしたい

~NEW~
財務省 令和3年末現在本邦対外資産負債残高の概要
  • 令和3年末現在の対外の貸借に関する報告書(本邦対外資産負債残高)の概要は以下のとおりです。
  1. 対外資産残高:1,249兆8,789億円(対前年末比+105兆2,504億円、+9.2%)
    • 為替相場変動に伴う外貨建て資産の円評価額の増加(+81.8兆円)や、居住者による対外資産の取得超(直接投資+16.4兆円、その他投資+8.1兆円)等により、対外資産残高は13年連続で増加した。
  2. 対外負債残高:838兆6,948億円(対前年末比+49兆975億円、+6.2%)
    • 為替相場変動に伴う外貨建て負債の円評価額の増加(+19.5兆円)や、非居住者による本邦資産の取得超(直接投資+3.0兆円、証券投資+21.4兆円)等により、対外負債残高は3年連続で増加した。
  3. 対外純資産残高:411兆1,841億円(対前年末比+56兆1,529億円、+15.8%)
    • 対外資産の増加額が対外負債の増加額を上回ったことから、対外純資産残高は2年振りに増加した。

~NEW~
農林水産省 令和3年度 食料・農業・農村白書(令和4年5月27日公表)
▼令和3年度 食料・農業・農村白書の概要
  • 新型コロナウイルス感染症による影響が継続
    • 新型コロナウイルス感染症は、2021年においても、我が国の経済・社会に大きな影響
    • 2021年の外食産業全体の売上高は、緊急事態宣言が解除された直後の10月以降にやや回復傾向を示すも、2022年1月にまん延防止等重点措置が適用され再び減少傾向。特にパブ・居酒屋で売上は大きく減少
    • 外食需要を始めとした業務用需要の減少の影響が様々な品目で継続。生乳については、生産が好調な一方、外食やお土産等の業務用需要が回復しておらず、需給緩和が継続。年末年始等に、乳製品工場をフル稼働させても処理不可能な生乳の発生のおそれがあったが、消費拡大に向けた業界を挙げた取組と消費者の協力により回避
    • 花きについては、全体として需要は回復傾向にあるが、イベント等の中止・縮小等により、業務用を中心に需要の減少が継続
    • 米については、中食・外食向け需要が減少している状況が継続
    • 砂糖については、国内消費量が減少傾向の中、外食、インバウンド需要の減少により影響
    • 外国からの渡航者への入国制限措置により、外国人技能実習生等の入国者数は大幅に減少する中、国内の技能実習生の在留延長等により、外国人材の総数は前年とほぼ同じ水準
  • みどりの食料システム戦略に基づく取組が本格始動
    • 我が国の食料・上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定
    • 14の数値目標(KPI)を掲げ、その実現に向けて、行動変容、革新的な技術・生産体系の開発等と社会実装を、時間軸を持って進めていくことが重要
    • 全国各地で意見交換を実施するとともに、2021年9月の国連食料システムサミットにおいて、持続可能な食料システムの構築を進めていく旨を発信
    • 戦略実現に向け、食の幅広い関係者が一堂に会する官民円卓会議を設置するとともに、「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案(みどりの食料システム法案)」を2022年2月に国会に提出
  • 農林水産物・食品の輸出額が1兆円を突破
    • 2021年の農林水産物・食品の輸出額は、前年に比べ25.6%増加の1兆2,382億円となり、初めて1兆円を突破。品目別では、外食需要が回復し、またEC販売が好調だった牛肉・日本酒や、贈答用・家庭食需要が増加したりんごの輸出が増加。国・地域別では、ホタテ貝や日本酒・ウイスキー等のアルコール飲料の輸出が増加した中国向け等が増加
    • 2021年度は、福島第一原発事故に伴う輸入規制措置がシンガポール、米国で撤廃、EU、台湾等で緩和。動植物検疫協議では、ベトナムが日本産うんしゅうみかんの輸入を解禁等
    • 日本の生産額に占める輸出額の割合は他国と比較しても低い分、輸出増のポテンシャルは高い。2025年に2兆円、2030年に5兆円の輸出額目標の達成に向けて、マーケットインの体制整備が不可欠であり、輸出にチャレンジする産地・事業者の支援、オールジャパンでの輸出の取組や海外での支援体制が不十分であること等が課題
    • 2021年12月に改訂した輸出戦略に基づき、米や青果物など品目ごとに、生産から販売までに至る関係者が連携し、輸出促進を図る法人を「品目団体」として認定する制度の創設、輸出事業に必要な設備投資への金融・税制の支援拡充等を含む「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」を2022年3月に国会に提出
  • スマート農業・農業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進
    • 農業・食関連産業のDXを進めるため、2021年3月に公表した「農業DX構想」に基づき、農業・食関連産業の「現場」、農林水産省の「行政実務」、現場と農林水産省をつなぐ「基盤」の整備について、39の多様なプロジェクトを推進
    • 2019年度から全国182地区で先端技術を活用したスマート農業実証プロジェクトを実施。労働時間の削減効果が確認される
    • 一方で、実証での課題を踏まえ、「スマート農業推進総合パッケージ」に基づき、農業支援サービスの育成、農地インフラの整備、学習機会の提供等を推進
    • 2021年度から農林水産省共通申請サービス(eMAFF)による行政手続のオンライン化の本格的な運用を開始。2022年度末までに3,000を超える行政手続の全てをオンライン申請できるよう目指す
  • 新たな国民運動「ニッポンフードシフト」を開始
    • 2021年度から、食と農のつながりの深化に着目した官民協働で行う新たな国民運動「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」を開始
    • 次代を担う1990年代後半から2000年代生まれの「Z世代」ターゲットとして、全国各地の農林漁業者の取組や、地域の食や農山漁村の魅力を発信。賛同する企業・団体等の推進パートナーとともに官民一体となって国民運動を推進
    • 高校生参加型のテレビ番組企画、47都道府県の新聞社と連携した広告企画、吉本興業株式会社と連携した動画の発信、食や農にまつわる雑誌の特集、ファッションやマンガ等を切り口にしたイベントの開催等、多様な角度から国民運動を展開
  • 加工食品の国産原料使用の動きが拡大
    • 食品製造事業者において、加工食品の原料に国産を使用する動きが拡大
    • 全ての加工食品を対象とした原料原産地表示制度の経過措置期間が終了し、2022年4月から義務化。輸入原料から国産原料への切替えを後押し・消費者を対象とした調査によると、割高でも国産品を選ぶと回答した割合は5割。食品製造事業者による国産原料使用の広がりが期待
  • 半農半Xなど多様な農業への関わり方が展開
    • 地方公共団体や農協等により、ここ数年、都市から農村に移住し農業と別の仕事を組み合わせた「半農半X」や、農業を組み合わせたワーケーション、労働力募集アプリを活用した1日単位での農業アルバイト等、多様な農業への関わり方が展開
    • 今後、このような新たな動きが更に広がり、農業現場での短期的な労働力不足の解消に寄与するとともに将来的な就農にもつながっていくことが期待
  • 変化する我が国の農業構造 今後に向けて
    • 我が国農業の持続的な発展のためには、若年層等の農業従事者の確保・定着と併せ、農業従事者1人1人がより大きな役割を担っていくことが必要
    • 経営耕地面積に占める主業経営体と法人経営体の割合が増加傾向で、大規模層では農業所得も大きくなっていることなどから、法人化・規模拡大の取組は今後とも重要。一方で、経営耕地面積に占める65歳以上の農業従事者の割合は依然として大きく、地域農業を維持する観点から、これら農業従事者の果たす役割は引き続き大きい
    • 品目構成においては米の割合が減少し、畜産や野菜の割合が増加傾向で、若年層の割合が畜産や野菜部門で高く、1経営体当たりの生産農業所得は米以外の産出額が大きい県の方が大きいことから、需要の変化に応じた生産の取組は今後とも重要
    • このようなこれまでの変化の傾向は、現場の取組が反映されたものであり、今後の持続可能な農業構造の実現に向けての大きな方向性を示す道標となると考えられる
  • 食料の安定供給の確保
    • 2020年度の食料自給率は、供給熱量ベースでは米の消費が減少したこと等から、前年度に比べ1ポイント低下し37%。生産額ベースでは鶏肉、豚肉、野菜、果実等の生産額が増加したこと等から、前年度に比べ1ポイント上昇し67%
    • 供給熱量ベースの食料国産率(飼料自給率を反映しない)は前年度同の46%。飼料自給率も前年度同の25%
    • 食料の潜在生産能力を表す食料自給力指標は、いも類中心の作付けでは推定エネルギー必要量を上回る一方、米・小麦中心の作付けでは下回る水準
    • 食料自給率の向上に向け、担い手の育成・確保や農地の集積・集約化等による国内生産基盤の強化とともに、国産飼料の増産・利用拡大による飼料自給率の向上、加工・業務用需要や海外需要への対応、食育や地産地消等の消費面の取組も推進
    • 食料自給力指標も長期的に低下傾向にあり、農地・労働力の確保、単収・生産性の向上に取り組み食料自給力を維持向上
    • 穀物等の国際価格は、主要輸入国における需要の増加等により上昇傾向で推移。特に小麦については、北米での不作等に加え、ロシアのウクライナ侵略により、2022年3月に過去最高値を記録
    • FAO(国際連合食糧農業機関)が公表している食料価格指数は、2022年2月に食料品全体で141.4を記録し、前年同月比で21%上昇
    • この他にも、海上運賃等の上昇等、様々な要因の影響を受け、食料の輸入価格は上昇傾向
    • 世界的な食料価格の上昇は、国内の食料価格にも影響。国内における食用油や小麦粉等の食料の消費者物価指数は上昇傾向で推移。
    • ロシアによるウクライナ侵略等も踏まえ、国内への影響を注視していく必要
    • 我が国の主要農産物の輸入構造は、少数の特定の国への依存度が高く、輸入相手国との良好な関係の維持・強化等を通じた輸入の安定化や多角化、国内の農業生産の増大に向けた取組が重要
    • 食料供給を脅かす新たなリスクに適切に対応するため、緊急事態食料安全保障指針を改正。「早期注意段階」を新設し、情報の収集・分析・発信を強化
  • 災害からの復旧・復興や防災・減災、国土強靱化等
    • 地震・津波災害からの復旧対象農地1万9,660haでは除塩や畦畔の修復等が進められ、2022年3月末時点で95%の農地で営農再開が可能
    • 地震・津波災害からの復旧に併せ、農地の大区画化を実施
    • 原子力被災12市町村では約6,577haの農地で営農を再開。営農再開の加速化に向けて、市町村に農林水産省職員を派遣するとともに、福島復興再生特別措置法による特例措置等を活用した農地の利用集積、生産・加工等が一体となった高付加価値生産を展開する産地の創出を支援
    • 放射性物質を理由に福島県産品の購入をためらう人の割合は7%。風評の払拭に向け「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」に基づいて情報を発信
    • 近年は毎年のように日本各地で大規模な自然災害が発生。我が国の農林水産業では農作物や農地・農業用施設等に甚大な被害が発生
    • 令和2年7月豪雨により被災した東北・東海・九州地方などの農地・農業用施設については順次復旧工事が進み、2022年2月時点で、災害復旧事業の対象の約6割が完了。被災した農業用機械や農業用ハウスについては、同年3月時点で約9割が復旧が完了
    • 2021年の農林水産関係の被害額は1,955億円。同年7月に発生した「令和3年7月1日からの大雨」や同年8月に発生した「令和3年8月の大雨」により、広範囲で河川の氾濫による被害が発生
    • 令和3年7月1日からの大雨等の災害に対しては、早期の激甚災害指定により、農地・農業用施設の災害復旧事業について、地方公共団体や被災農業者等の負担を軽減
    • 国土強靱化対策を推進するため、2020年12月に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、2021年度から2025年度までの5か年を対象に、農業水利施設等の耐震化、排水機場の整備・改修等のハード対策とともに、ハザードマップ作成等のソフト対策を適切に組み合わせ、防災・減災対策を推進
    • 農業者自身が自然災害等のリスクに備えるため、農業共済と収入保険への加入を促進
    • 園芸施設共済について、メニューの見直しを行い農業者の加入を推進した結果、2020年度の加入率は66%。更に農業者の加入を促進
    • 農業者自身による農業版BCP(事業継続計画書)の策定につながるよう、チェックリストと農業版BCPのフォーマットを作成し、普及を推進

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼閣僚会議資料 5月
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【表現変更】
      • 景気は、持ち直しの動きがみられる。
      • (先月の判断)景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる。
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組む。デフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。
      • 「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を具体化する令和3年度補正予算及び令和4年度予算を迅速かつ適切に執行する。4月26日に取りまとめた「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」を実行し、ウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰等による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとする。新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格・物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に対応するため、予備費の確保等を内容とする令和4年度補正予算の早期成立に努める。
      • その上で、新しい資本主義のグランドデザインや実行計画、そして骨太方針2022を6月までに取りまとめ、これらを前に進めるための総合的な方策を具体化する。
      • 日本銀行においては、中小企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を継続する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • 我が国の実質GDP成長率
    • 2022年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナス。個人消費は横ばい。設備投資はプラス寄与。一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナス寄与、GDP全体としてはマイナス。内需が感染拡大の中でもプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下、メリハリのきいた対策を講じ、経済社会活動を極力継続できるような取組の表れ。
    • 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラス。
    • 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長。
  • 個人消費
    • 個人消費は、持ち直しの動き。まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直し。特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動き。
    • 直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準。
    • 一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要
  • 物価
    • ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)。国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇。一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要。
    • 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇。4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合指数、消費税増税期間を除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度(前月比0.2%、4か月連続)。
    • 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込み。
  • 企業収益・設備投資・景況感
    • 1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益。
    • 設備投資は、持ち直しの動き。ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。
    • 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏み。
  • 雇用情勢
    • 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少。
    • 求人は持ち直し。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。
    • 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラス。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い職種において増加傾向で推移。
  • 輸出入・生産
    • 我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含み。
    • 生産は持ち直しの動き。供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。足下では、中国での活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視。
  • 世界経済
    • 世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直し。
    • 1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍前の水準を回復。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下。
    • 国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。
    • 中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約を通じた世界経済への影響に注視が必要。

~NEW~
消費者庁 投てき消火用具の販売事業者5社に対する景品表示法に基づく措置命令について
▼投てき消火用具の販売事業者5社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、令和4年5月24日及び同月25日、投てき消火用具の販売事業者5社(以下「5社」といいます。)に対し、5社が供給する投てき消火用具に係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令)を行いました。
  • 実際
    • (ア)栄徳、ファイテック、ボネックス及びメディプラン(以下「4社」という。)
      前記ア(イ)a、c、d及びeの表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
    • (イ)エビス総研
      • a. 前記ア(イ)b(a)の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、エビス総研に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、エビス総研から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
      • b. 前記ア(イ)b(b)の表示について、実際には、消防庁が、本件商品(2)及び本件商品(3)に前記ア(イ)b(b)のとおりの消火性能が備わっていることを認定した事実はない。
  • 命令の概要
    1. 栄徳
      • (ア)前記(2)ア(イ)aの表示は、本件商品①の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • (イ)再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • (ウ)今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)ア(イ)aの表示と同様の表示を行わないこと。
    2. エビス総研
      • (ア)a 前記(2)ア(イ)b(a)の表示は、それぞれ、本件商品(2)及び本件商品(3)の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
        b 前記(2)ア(イ)b(b)の表示は、前記(2)イ(イ)bのとおりであって、それぞれ、本件商品(2)及び本件商品(3)の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • (イ)再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • (ウ)a 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)ア(イ)b(a)の表示と同様の表示を行わないこと。
        b 今後、前記(2)ア(イ)b(b)の表示と同様の表示を行わないこと。
    3. ファイテック、ボネックス及びメディプラン
      • 本件商品④ないし本件商品⑪について、「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく行っている同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしている行為を速やかに取りやめること。
      • 前記(2)ア(イ)c、d及びeの表示は、それぞれ、本件商品(4)ないし本件商品(11)の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)ア(イ)c、d及びeの表示と同様の表示を行わないこと

~NEW~
金融庁 「ソーシャルボンド検討会議」(第5回)議事次第
▼資料3 ソーシャルプロジェクトの社会的な効果に係る指標等の例示文書(案)
  • ダイバーシティの推進・女性の活躍推進:男女の教育(特に高等教育)をめぐる状況
    • 内閣府「男女共同参画白書 令和3年版」によると、令和2(2020)年度の大学(学部)への進学率は、女子50.9%、男子57.7%と男子の方が6.8%ポイント高い。ただし、女子の短期大学(本科)への進学(7.6%)を合わせると、女子の大学等進学率は58.6%となる。また、大学(学部)卒業後、直ちに大学院へ進学する者の割合は、令和2(2020)年度では女子5.6%、男子14.2%となっている。
    • 同白書によると、令和2(2020)年度における大学(学部)、大学院(修士課程)及び大学院(博士課程)における女子学生の割合を専攻分野別に見ると、人文科学の全課程や薬学・看護学等及び教育の大学(学部)及び大学院(修士課程)では女子学生の割合が高い一方、理学及び工学分野等では全課程で女子学生の割合が低く、専攻分野によって男女の偏りが見られる。
    • 「第5次男女共同参画基本計画では、多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実に向けた具体的な取組として「女性が高等教育を受けることや理工系分野等女性の参画が進んでいない分野における仕事内容や働き方への理解を促進する」としている。
  • ダイバーシティの推進・女性の活躍推進:外国人児童生徒の教育をめぐる状況
    • 近年、日本の学校における外国人の子どもが多く在籍しており、今後も増加する可能性。
    • 外国人の子どもに就学義務はなく、文部科学省の調査によると就学していない可能性のある子どもは約1万人いるとされている。
    • また、日本語指導が必要な高校生等の進学・就職状況を見ると、就職者のうち非正規就業者が占める割合が39%で全高校生等の平均の3.3%を大きく上回っている。
  • 子育てと仕事を両立しやすい社会の実現、ダイバーシティの推進・女性の活躍推進
    • 第1子出産前後に女性が就業を継続する割合は上昇しているものの、依然5割弱の女性が退職している。
    • 男女共同参画白書によると、第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由としては、「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が最も高く、過半数の者が理由に挙げている。
    • このことの背景には、子どもがいる女性は同条件の男性より「家事時間」や「育児時間」が長く、仕事をしている場合には「仕事等時間」と「家事時間」「育児時間」の合計時間も長くなっていることがあると考えられる。
    • 子育てと仕事を両立しやすい社会の実現や、ダイバーシティの推進・女性の活躍推進のためには、「家事・育児・介護」の負担が女性に偏り、就業継続や仕事との両立の難しさにつながっている状況の改善が必要である。
    • さらに、子育てと仕事を両立しやすい社会の実現に向けて、職住育近接のまちづくりや職住育近接に資するサテライトオフィス、コワーキングスペース等の整備等の取組も進められている
  • 働き方改革とディーセントワークの実現、女性の活躍推進、高齢社会への対応
    • 少子高齢化が急速に進む中、単身高齢者も増加している。一方で、介護施設の需要に対する供給不足が続いている。
    • 厚生労働省によれば、要介護3以上で特別養護老人ホーム(地域密着型を含む)に入所を申し込んでいるが入所していない者の数は、2019年4月1日時点で29.2万人に上る。また、要介護1又は2で居宅での生活が困難な特例入所の対象者の数は3.4万人となっている。
    • 高齢者家族などが介護・看護を理由に離職等せざるを得ない状況も見られる。厚生労働省の雇用動向調査によれば、2019年に「介護・看護」を理由に離職した人の数は約10.0万人に上り、うち男性は約2万人、女性は約8万人と、女性の割合が高い。
  • バリアフリーの推進
    • 「令和元年度 年次経済財政報告」では、「労働市場を巡る環境が大きく変化する中、労働者側・企業側の双方からみて、性別・年齢・国籍等によらず、多様な価値観やバックグラウンドを持った人材が、個々の事情に応じて柔軟な働き方を選択でき、より多くの人が意欲や能力に応じてより長く活躍できる環境を整備することが重要となっている。」としている。
    • 「男女雇用機会均等法」に基づく「セクハラ指針」では、性や性自認に関するセクハラ防止対策が事業主に義務付けられている。
    • 民間企業に対して「障害者雇用促進法」により常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率、2.3%)以上の障がい者雇用を義務付けている。厚生労働省によれば、令和3年の雇用障がい者数、実雇用率ともに過去最高を更新した。
    • また、我が国では2020年東京オリパラ大会等を契機とする共生社会の実現に向け、「バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」を改正しハード対策に加え、移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」の観点からの
  • 施策の充実などソフト対策の強化が図られている。
    • 障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインするユニバーサル・デザインの考え方を踏まえた取組みを進めることが、あらゆる人がその個性と能力を発揮し、自由に参画し、自己実現を図っていけるような社会づくりにつながる、と考えられる。
  • 子どもの貧困対策推進・あらゆる人々の教育機会の確保
    • 日本において義務教育就学率は約100%の水準であるものの、子どもの貧困は社会全体で取り組むべき課題である。
    • 政府により策定された「子供の貧困対策に関する大綱」において、子どもの貧困対策に関する重点施策として「幼児教育・保育の無償化の推進及び質の向上」が挙げられている。このうち「幼児教育・保育の無償化」は令和元年10月から開始され、今後も着実に実施していくことが規定されている。また、「幼児教育・保育の質の向上」については、「公私の別や施設種を超えて幼児教育を推進する体制を構築」との規定がなされ、更なる質の向上に向けた取組が展開されつつある。
    • 同大綱においては「国民一人一人が輝きを持ってそれぞれの人生を送っていけるようにすることが、活力ある日本社会の創造に直結する」との記載が基本方針の中で掲げられており、貧困状況にある子どもへの支援を包括的かつ早期に講じる方針が示されている。
  • 責任ある企業行動の促進
    • 国際社会は、企業に対し、企業内部での「ビジネスと人権」に関する取組の実施だけでなく、国内外のサプライチェーンにおける人権尊重の取組を求めており、企業はこの点に留意する必要がある。
    • 例えば、紛争鉱物とは、重大な人権侵害を引き起こす内戦や紛争に関わる武装勢力の資金源となる恐れのある鉱物を指す。米国金融規制改革法(ドッド=フランク法)では、錫、タンタル、タングステン、金の4つを紛争鉱物に指定し、製品に使われている紛争鉱物がコンゴ民主共和国およびその周辺国の武装勢力の資金源になっていないことを確認するよう企業に義務付けている。
    • 2013年4月にバングラデシュで起きた縫製工場などが入居するビル「ラナプラザ」の崩落事故では、少なくとも1,132人の死者と2,500人以上の負傷者を出し、類を見ない労働災害として注目が集まるとともに、国際労働機関(ILO)やアパレルメーカーが途上国のサプライヤーにおける労働安全や保安管理の強化に乗り出すこととなった。
    • 我が国の「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(クリーンウッド法)では、全ての事業者に、合法伐採木材等を利用するよう努めることが求められ、特に木材関連事業者は、取り扱う木材等について「合法性の確認」等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなった。米国、オーストラリア、EU及び韓国等にも類似規制がある。
    • 企業が人権課題に関心を払わず、人権に関するリスクを放置すると、その結果として、企業にとって様々なリスクが生じることになる。具体的には、訴訟や行政罰などの法務リスク、ストライキや人材流出などのオペレーショナルリスク、不買運動やSNSでの炎上などのレピュテーション(評判)リスク、株価下落や投資の引揚げ(ダイベストメント)といった財務リスクなど、様々なリスクが考えられる。
    • OECDでは、1976年、多国籍企業に対して、企業に対して期待される責任ある行動を自主的にとるよう勧告するためのOECD多国籍企業行動指針を策定している。その後、同方針をもとに「責任ある企業行動に関するデューディリジェンス・ガイダンス」及びセクター別のガイダンス等も策定している。また、2011年に国連人権理事会では「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択され、日本政府においては、2020年、「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定している。
  • 健康・長寿の達成(高齢社会への対応含む)
    • 医師、医療施設は都市部に集中する傾向にあり、令和3年版厚生労働白書によれば、都道府県間及び都道府県内の医師の地域的な偏在が生じている。
    • 高齢化の進展に伴い、高齢者の慢性疾患の罹患率の増加による疾病構造の変化が指摘されており、高齢になっても病気になっても自分らしい生活を送ることができるように支援する在宅医療・介護の環境整備が望まれている。
    • こうした状況下、直接の対面診療が困難な場合や病状の安定している患者(長期に診療してきた慢性期患者など)に対して、医師と患者が情報通信技術(ICT)を通して診察・診療行為を行うオンライン診療などの「遠隔医療」の取り組みが図られている。
    • 患者にとっては、受診における経済的・身体的負担の軽減が期待されるほか、対面診療と適切に組み合わせて提供することで、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理が向上する可能性が指摘されている。
  • ダイバーシティの推進、バリアフリーの推進、健康・長寿の達成(高齢社会への対応含む)
    • 高齢者の孤立化(内閣府「令和3年版 高齢社会白書より)
    • 「近所の人とのつきあいの程度」を世帯タイプ別に見ると、65歳以上の男性単身世帯においては、「あいさつをする程度」が半数以上であり、「つきあいはほとんどない」と回答する割合も他の世帯タイプより高い。
    • 東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、令和元年に3,936人となっている。
    • 若年層の孤独・孤立(内閣府「令和3年版 子供・若者白書」より)
    • 新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中で、若年層の孤独・孤立の問題が深刻化している。
    • 2021年2月には、内閣官房に孤独・孤立対策担当室が設置され、孤独・孤立の問題に取り組む体制が整備された。
    • 孤独・孤立対策(「孤独・孤立対策の重点計画」より)
    • 孤独・孤立は、社会全体で対応しなければならない問題であり、心身の健康面への深刻な影響等も懸念される。
    • 孤独・孤立対策の基本方針として、見守り・交流の場や居場所づくりを確保し、人と人との「つながり」を実感できる地域づくりを行うことや、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動を支援し、官・民・NPO等の連携を強化することなどが挙げられている。
  • 企業による新型コロナウイルス感染症対策(経済的影響への対応含む)
    • 新型コロナウイルスの感染は、2020年1月15日に国内最初の感染者が確認されて以降急速に拡大した。
    • 2020年4月7日には、7都府県を対象に緊急事態宣言が発出され、16日には対象が全国に拡大、外出自粛要請と飲食店等に対する休業要請が行われた。経済活動の多くを止める措置により、経済や雇用、人々の生活に大きな影響が生じ、2020年の実質GDP成長率は前年比-4.7%となった。
    • また、2020年4月には休業者数が急増。その後、緊急事態宣言は一旦解除され、2021年1月に再び発出されたが、2020年4月のような急激な動きは見られなかった。経済活動は徐々に戻りつつあるが、2021年3月現在で、感染拡大前と比べて完全失業率は高い水準にあり、有効求人倍率も大きく低下する等、雇用情勢は厳しさが見られる。
    • 「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」では、新型コロナウイルス感染症対策のため、業者が自主的に事業継続の検討を行い、準備を行うことは、企業の存続のみならず、その社会的責任を果たす観点からも重要である、としている。
  • 地方創生・地域活性化
    • 地域における就労・雇用の機会の確保
    • 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、将来にわたる「活力ある地域社会」の実現と「東京圏への一極集中」の是正を目指している。日本全体として人口減少が進む中、働きがいのある魅力的な雇用機会を創出し、誰もが安心して働けるようにすることが重要である。
    • 中小企業基本法における21世紀の中小企業像
    • 中小企業は我が国経済を支える重要な存在として位置づけられており、1999年の中小企業基本法の改正では、就業機会の担い手や地域経済社会発展の担い手としての役割が期待されている。
    • 企業の資金投入意向と資金確保の状況
    • 『2021年版中小企業白書』によると、企業が今後3年間で資金を投じたい分野として「新規雇用の拡大」と「従業員の賃金の引き上げ」の合計は上位に位置する。
    • また、「国内の設備・施設等への投資の増加」も資金を投じたい分野として上位である。
    • 業種によって異なるが、そのための資金確保ができていない企業の割合は少なくない。
  • 地方創生・地域活性化
    • 総務省によれば、日本全体における固定系超高速ブロードバンドの整備状況(世帯カバー率)は、2020年3月末時点で99.1%(未整備世帯53万世帯)まで整備されている。しかし、県レベルでみると、東京都(100%)と比較し、離島や山間地等を多く有する地域等で一部整備が遅れている。
    • 地理的に条件不利な地域において5G・IoT等の高度な無線環境を着実に整備するため、無線局エントランスまでの光ファイバの設置を推進するなど支援策が講じられている。
    • ICT環境の整備により、地方における観光や教育、農業などのセクターでのIoT化が進むことで、地方創生に貢献すると考えられるほか、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが推進される中、地方でのサテライトオフィスの活用などにより地域分散型の活力ある地域社会が実現することも考えられる。
    • また、地上の通信技術に加えて、人工衛星・HAPS等を利用した通信技術の活用・開発により、大規模災害等の発生地域における通信を可能とし、人命救助や復旧活動に役立てようとする動きがある。
  • 持続可能で強靭な国土(防災・減災対策、インフラ老朽化対策)
    • 我が国では、東日本大震災を経験し、防災対策における要配慮者(要介護高齢者、障がい児者、医療的ケア児、妊産婦、乳幼児、アレルギー等の慢性疾患を有する者、外国人等)に対する措置の重要性が一層高まったところである。避難所環境整備においては、要配慮者への支援も視野に、バリアフリーに対応したトイレ、障がい者用スロープなどの設備の整備に加え、更衣室・授乳室の設置等によるプライバシーの確保や子どもの遊びや学習のためのスペースの確保、障がい者や外国人に配慮した情報提供環境の整備等、良好な生活環境の確保に向けた取組が必要である[1]。食物アレルギー対応食品や育児・介護・医療用品等、要配慮者の利用にも配慮した備蓄や医療・福祉サービスの提供に取り組むことも必要である[1]。さらに、昨今は、避難所の感染症対策も重要となっている。
    • 日本政府の「SDGsアクションプラン2021」においては、国土強靱化や防災・減災対策等を重点に置いた社会資本の整備や、医療・福祉・商業等の生活機能の確保、また、高齢者等をはじめとする住民が安心して暮らせるまちづくり等が盛り込まれている。
  • 住宅確保要配慮者向けの住居支援
    • 我が国では、高齢者、障がい者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方が今後も増加する見込みである。住宅確保要配慮者には、低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを養育している子育て家庭、外国人などが含まれるが、対象者が多く、日常的に接する機会が多い高齢者に対する住宅提供の推進は、不動産業界では、最優先の課題の一つと認識されている。
    • しかし、住宅確保要配慮者への住宅としての公営住宅の管理戸数は減少傾向にあり、今後、加速化する人口減少や厳しい行財政事情のもと、大幅な増加は見込めない状況である。一方、民間賃貸住宅は、空き家・空き室が増加しており、防災・防犯、衛生、景観、地域活性化等の観点から、その利活用等が求められている。
    • 我が国では、空き家・空き室を活用し、住宅セーフティネット機能を強化するため、新たな住宅セーフティネット制度が2017年より施行された。
  • 食品廃棄物・食品ロスの削減とリサイクル/国際協力(発展途上国の食料安全保障と栄養改善の達成)
    • 世界では10人に1人が飢えに苦しむ。一方で、世界の食料生産量の3分の1が毎年廃棄されている。我が国では、食品廃棄物等(食品由来の廃棄物等)のうち、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品(食品ロス)の量は約570万トンと、2020年に国連WFP(世界食糧計画)が飢餓に苦しむ人々に行った食料支援量(420万トン)の1.4倍である。食品ロスの半分以上(54%)の309万トンが食品関連事業者から発生する事業系食品ロスであり、食品製造業(41%)と外食産業(33%)からの排出が大部分を占めている。
    • SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」では、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させることがターゲットに掲げられている。我が国でも「食品リサイクル法」の令和元年7月基本方針で、事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させる目標が設定された。
    • 一方で、途上国では、食料が生産の段階や収穫の後に廃棄される「ポストハーベスト・ロス」が問題になっている。これは、農家の保存設備が不十分であったり、収穫物を市場に届けるための輸送手段がないことなどが主な原因で起きている。
    • 食品ロスは、生産・加工・流通・小売・消費のサプライチェーンの各段階で発生している。
    • 食品リサイクル法では、食品製造等で生じる加工残さや、食品の流通・消費過程等で生じる売れ残りや食べ残し等の「発生抑制」を行い、発生した食品廃棄物等については、飼料や肥料として「再生利用」に取り組むことで、廃棄処分を減らすとともに、環境負荷の少ない循環型社会の構築を目指している。
  • 持続可能な生産・消費の促進
    • 2020年、日本の農業経営体数は107万6千経営体となり、5年前と比べて21.9%減少している。また、基幹的農業従事者数は136万3千人と10年前に比べて33.6%減少し、高齢化も進んでいる。
    • 日本の農業総産出額は長期的に減少していたが、近年はおおむね横ばいで推移している。
    • 一方、1経営体当たりの農業経営収支を見ると、農業粗収益は2017年以降横ばいで推移し、2019年は前年に比べ0.9%増加の892万円となっていた一方で、農業所得は、農業経営費が増加したことにより、前年に比べ1.7%減少の194万1千円となっている。
    • 労働力不足が深刻化する日本の農業においては、農業生産基盤整備や先端技術の活用などにより生産性の向上を引き続き図る必要があり、労働力投入以外の要素での取組が重要になってきている。
    • こうした技術支援等により農業の生産性の向上等を進め、農業経営の底上げを図ることが必要である。
  • ダイバーシティの推進、バリアフリーの推進、健康・長寿の達成
    • 2021年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、我が国には有形無形のレガシーが存在している。スポーツ基本法において、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であるとされており、障がい者も例外ではない。
    • 第3期スポーツ基本計画(令和4年3月)では、「障害者がスポーツを通じて社会参画することができるよう、障害者スポーツの実施環境を整備するとともに、スポーツを実施していない非実施層に対する関心を高めることや障害者スポーツの体験等による一般社会に対する障害者スポーツの理解啓発に取り組むことにより、人々の意識が変わり、共生社会が実現されることを目指す。」とされており、障がい者スポーツを振興するためのプロジェクトは、我が国のダイバーシティの推進に大きく貢献することになる。
    • また、スポーツ活動を通じ、障がい者の健康面の向上のみならず、社会参画の促進、生きがいの創出等にもつながり、健康・長寿も含めたウェルビーイングに貢献することも期待される。
  • 再犯防止の推進を通じた安全・安心な社会の実現
    • 我が国では、刑法犯検挙人員の約半数が以前にも犯罪により検挙されたことがある再犯者となっており、犯罪のない安全・安心な社会の実現のためには、犯罪の繰り返しを防ぐ再犯防止を推進する必要がある。
    • 犯罪をした者や非行のある少年(以下「犯罪をした者等」という。)は、貧困、高齢・障害、生育環境の不良など複合的な課題を抱えていることが少なくなく、そのために円滑な社会復帰が困難な状況にある。
    • 犯罪をした者等が再び犯罪をすることを防ぐ(再犯防止)ためには、犯罪をした者等の生活の安定に向けて、生活環境の改善等に向けた指導や支援を実施することが必要であり、国や地方公共団体だけでなく、リソースを有する企業の積極的な関与が望まれる。
    • 再犯防止の推進により、犯罪をした者等が社会において孤立し、取り残されることなく、企業を含む国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることにより、新たな犯罪ひいては新たな被害者を生まない安全・安心な社会の実現が図られる。

~NEW~
金融庁 「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の公表について
▼(別添)「資産運用業高度化プログレスレポート2022(概要版)」
  • 経済社会の様々な変化に対応し、持続可能な経済成長を実現するために、インベストメント・チェーンの各参加者が、それぞれに期待される役割を十分に果たすことにより、資金の好循環を実現することが重要である。
  • 資産運用会社が中長期的に良好な運用成果を上げることを通じて、顧客の信頼・支持を獲得したうえで収益基盤を確立していくためには、顧客利益を最優先に考えた組織的な態勢整備と取組みを進めていくべきである。顧客利益最優先の業務運営と運用力の強化を確実に進めていくためには、適切にガバナンスを機能させ、「1.経営体制」、「2.商品組成・提供・管理(プロダクトガバナンス)」、「3.目指す姿・強みの明確化」の各課題について、改善や更なる高度化に向けて取り組んでいくことが重要。引き続き対話を行うことで、競争環境の醸成と各社の実効性のある取組みに繋げていく。
  1. 経営体制
    1. 独立性の確保と検証体制の整備
      • 資産運用会社の経営層は、投資家の利益を最大化するために、独立性と顧客利益最優先の立場での検証機能を確保することが重要。
      • 各会議体では取組実績の報告にとどまらず、議論を深化させ、顧客利益最優先の業務運営が行われているかについての継続的な検証が必要。
    2. 長期視点での運用を実現する専門性を重視した経営体制
      • 資産運用会社の経営層の人選を、専門性、経験や運用ビジネスへの意欲等を踏まえて行うなど、顧客利益最優先の業務運営と運用力強化の取組み推進に資する経営体制を構築することが必要。
    3. 独立社外取締役の機能発揮
      • 資産運用会社における独立社外取締役の属性については、各社が期待する目線にもよるが、運用ビジネスに関する知識・経験のある人材の選任が必要。
  2. 商品組成・提供・管理(プロダクトガバナンス)
    1. アクティブファンドの「シャープレシオ」
      • 公募アクティブファンドのシャープレシオは、ファンド数が少ない社では、旗艦ファンドに注力しリソースを集中させることで良好なパフォーマンスを実現している傾向が見られる。一方、100本以上のファンドを運用する社では良好なパフォーマンスを実現するファンドもあるが、シャープレシオがマイナスとなっているファンドも多く見られる。
    2. 国内株アクティブファンドの「アルファ」
      • アクティブ投資の付加価値である超過リターン(「アルファ」)を定量的に把握するために、国内株アクティブファンド444本の時系列データを用いて重回帰分析による統計的な推計を行った。アルファの推計値が有意にマイナスとなったファンドは32本。大手資産運用会社のファンドが多くを占め、独立系等の資産運用会社のファンドは見られない。また、そのうち約7割(23本)が設定から20年以上経過しているファンド。
        • 特にt値が-4を下回るものは、真のアルファがプラスである確率はわずか1万分の1以下と推定される。いずれのファンドも運用期間が20年前後と長期にわたっており、改善に向けた対応がもはや困難とも考えられる不芳ファンドが、結果として長期に継続していることは、組織のプロダクトガバナンス体制に深刻な問題があることを示唆している。経営陣が主導し、組織における検証体制自体の早期改善が必要と考えられる。
      • 一般的に投資家は、アクティブファンドに対して、パッシブ投資を上回るリターンを期待して投資を行う。アルファがマイナスとなっているファンドは、そうした投資家の期待に応えられていないことを示している。大半の大手資産運用会社の商品ラインナップには、中長期にアルファがマイナスとなっていると考えられるファンドが存在しており、商品組成後の品質管理に課題が認められる。
    3. 国内株アクティブファンドの信託報酬設定
      • 国内株アクティブファンドのうち約8割強のファンドは、コスト控除前では一定程度パッシブ投資を上回る運用成果を実現しているものの、その成果がコストに相殺されてしまい、顧客に付加価値を届けられていない可能性が考えられる。
      • コスト控除前アルファと信託報酬水準の分布からは、信託報酬の設定が、同種のアクティブファンドで横並びに行われており、個別ファンドの商品性に応じた信託報酬水準の設定や、設定後のパフォーマンス結果に基づいた信託報酬水準の見直しは行われていない可能性が推測される。
    4. 顧客利益最優先の実効性あるプロダクトガバナンス体制の確立
      • 大手資産運用会社において中長期にパフォーマンスが低迷するファンドが存在するため、各社における顧客利益を最優先とするプロダクトガバナンス体制の実効性に課題があると考えられる。
      • 全てのファンドについて、実効性あるプロダクトガバナンスを機能させることが重要。商品組成時に想定した運用が実践できているか、他社類似ファンドとの比較のみならず、それぞれ独立したファンドとして、コスト水準に見合ったリターンが実現できているか、長期視点での検証体制の確保が必要。
      • 商品組成時に想定していた運用の継続が困難である等と判断される場合には、コスト水準の見直しや繰上償還等の対応が検討される必要。
      • 経営陣が自社ファンドの実態を把握した上で、各部署を統率するプロダクトガバナンスの権限の明確化など、実効性ある検証プロセスの構築に責任を持って対応することが必要。
    5. 顧客利益最優先の商品組成と償還の検討
      • 商品組成時における類似商品の有無等の検証や顧客に不利益を生じさせている可能性のある小規模ファンドの繰上償還の要否を検討するなどの取組みが進められている。一方、償還ファンドの検討においては課題も見られた。
      • 全てのファンドに対してプロダクトガバナンスを機能させるため、自社の運用するファンド等の数やリソースに応じた体制整備を進めることが必要。
  3. 目指す姿・強み
    1. 注力する運用戦略等の確立
      • 各社は、選択と集中により、注力する分野において創意工夫を凝らすことで、目指す姿を実現し、競争力の強化に繋げていくことにより、他社との差別化を図っていくことが必要。
    2. 外部委託等における運用委託先の適切な調査
      • 運用資産残高上位のアクティブ公募株式投信の約半数(100本中56本)が外部委託運用。
      • 外部委託運用が用いられることの多い米国株アクティブファンドのほとんどは、パッシブ投資を上回ることが難しい状況。
      • 国内の資産運用会社が海外ファンドに投資するに当たって、投資対象先の運用体制や運用実績について十分な検証が行われていない事例等が認められている。
      • 各社は、外部委託やFOFsによる運用を行う場合には、委託先等の選定や管理を慎重に行う必要。
      • 投資家のニーズに応えるため、外部委託運用を自社の強みとすることはビジネスモデルの一つであると考えられるが、投資対象先の選定、管理を行う資産運用会社の責任は重大であることを踏まえ、投資家が安心して長期に投資できる商品の組成・運用を行うことが必要。
    3. 目指す姿を実現するための評価報酬体系
      • 各社においては、資産運用会社独自の運用実績を重視した評価・報酬制度の導入や変更等が進められている。
      • 各部門の役職員が顧客利益最優先の業務運営を貫徹するための評価報酬体系の構築と浸透に向けた創意工夫が必要。
    4. 運用や業務の効率化に向けた取組み
      • 各社においては、競争力強化のため、テクノロジー等の活用により、運用や業務の効率化を推進。
      • AIやデジタライゼーションの活用により、運用力の強化とコスト削減に向けた研究や取組みが一層進展することを期待。
  • 金融庁において、2021年10月末時点のESG関連公募投資信託(以下、ESG投信)(37社・225本)を調査。新規設定本数は増加しており、一部のESG投信に資金が集中している傾向。平均信託報酬率は、アクティブファンドにおいてはESG投信の方がその他投信よりも高い。一方、パッシブファンドにおいては、ESG投信の方が低い結果となった。全体としてパッシブファンドの低コスト化が進む中で、ESG投信の多くが最近設定されたものであることが要因であると考えられる。償還期限として10年以下の期間を設定しているESG投信は全体の37%。中長期的な視点が求められるESG投信であることに照らし、償還期限の設定が短いものについては、合理的な理由を説明する必要がある。
  • 多くの資産運用会社が、「運用プロセスにおいてESGを考慮すること(ESGインテグレーション)は、これまで評価されてこなかった投資機会や投資リスクの特定につながるものであり、ポートフォリオの長期的なパフォーマンスに優位に影響する可能性がある」と考えている。提供するESG投信の特徴や運用プロセスの説明として「ESG要素を考慮している」等の記載を行っている場合は、運用プロセス・アプローチの一層の強化を継続的に図るとともに、顧客が投資判断を適切に行えるよう、運用プロセスの実態に即して一貫性のある形で、明確な説明や開示を行うべき。
  • 一部の資産運用会社においては、ESG投資を推進するための部署を設置した場合であっても全員が他部署との兼務、そもそも専門部署・チームが無い、ESG専門人材はいないなど、ESG投資を実施するための実効的な体制整備が必要な例が見られた。
  • 約7割の資産運用会社においては、将来の企業価値を左右する重要なESG要素の特定に努めている。約8割の資産運用会社がESG評価に当たって、自社ESGスコアを活用しているが、その設計は多種多様(企業に対してESG課題を理解してもらうためのエビデンスとして有用。自社のESGインテグレーションにおいて、アナリスト・ESG専門家・運用者が議論する際の共通言語として機能)。企業価値に影響を与える潜在的な事業機会・リスクを効果的に分析・把握するため、ファンドマネージャーの属人的な判断のみに委ねず、組織としての一貫性や継続性が確保された体系的な対応も進めていくべき。
  • 多くの資産運用会社が、企業分析のために複数のESG評価・データ提供機関を活用。評価手法の透明性やデータの質などについて課題も指摘されるところであるが、一部の資産運用会社からは、「ESG評価機関によるESG評価は参考にしているだけなので、その適切性等を検証してはいない。」等の回答も得た。各ESG評価・データ提供機関において、質の向上に向けた取組みが継続的に進められているものの、利用する資産運用会社としてもESG評価・データ提供機関に対して適切な検証を行うべき。
  • 各資産運用会社においては、投資先企業のESGに関する事業機会や事業リスクについて理解を深めると共に、対話や働きかけ(エンゲージメント)等を重ねることにより長期的な企業価値向上を図っている例が多く見られた。しかしながら、各資産運用会社の対応状況はまちまち。より精緻なマイルストーン管理に基づくエンゲージメントの実施や、財務情報分析に基づく議題が中心となっているアクティブ運用先との対話の深化を検討している社も存在。投資戦略に応じて、積極的なスチュワードシップ活動を行い、銘柄選定時に特定したESG関連の事業機会の向上・事業リスクの低減により、企業価値の向上を図るべき。
  • 一部の資産運用会社は、レポート等を活用して、自社としてのESG投資に対する基本的な考え方や取組状況を開示する等の対応を行っていない。多くのESG投信において、目論見書上、運用プロセスにおけるESG要素の考慮方法に関する記載が抽象的。運用状況や投資銘柄に対する評価については、月報や運用報告書において、せいぜい投信への組入上位10銘柄のESGに関連する取組みを簡潔に記載する程度。顧客が投資商品の内容を誤解することなく正しく理解し、他の商品と比較するなどして適切な投資判断を行えるよう、運用プロセスの実態に即して一貫性のある形で、適切な情報提供や開示を積極的に進めるべき。
  • 調査対象としたESG投信のうち、約7割が運用の全部又は一部を外部へ委託。一部の資産運用会社からは、外部委託先のESG投資戦略やエンゲージメントの実施状況等の把握状況について、「具体的には把握しておりません。」「適宜実行されております。」と回答するなど、外部委託先の運用実態を十分に把握していないと思われる例も見られた。受託者責任を果たす観点から、外部委託等を活用する場合であっても、自社運用と同様に運用体制、運用戦略、運用実績等について、外部委託先に対して適切な頻度と深度で確認・把握するべき。
  • ファンドの国際比較においては、シャープレシオ・エクスペンスレシオの両レシオとも米国籍ミューチュアルファンドが優位にある。パッシブファンドとアクティブファンドの比較をみると、シャープレシオは、日本、UCITS、米国のいずれにおいてもパッシブファンドがアクティブファンドを上回っている。また、エクスペンスレシオは、日本、UCITS、米国のいずれにおいてもパッシブファンドがアクティブファンドより低くなっている。アクティブファンドのエクスペンスレシオの比較においては、米国では1%未満のファンドが過半数を占めているのに対して、日本においては1%以上2%未満に設定されているものが大半を占める。一方、UCITSはエクスペンスレシオのばらつきが大きい。欧州の様々な国・地域向けに、異なるフィー体系でファンドを組成・提供していることが背景として考えられる。
  • 同一ベンチマークに連動するインデックスファンドのうち、同一の資産運用会社・販売チャネルの中でも、信託報酬にばらつき(一物多価)が見られる。信託報酬の引下げをすでに実施している事例や販売会社等との間で適切な報酬水準への変更に向けた協議を進めている事例が見られる。信託報酬水準の適切な設定や見直しについては、顧客本位の観点から、商品の組成者である資産運用会社とともに販売会社や受託銀行を含めた業界全体で取り組んでいくことが期待される。
  • 好調なマーケット環境の恩恵を受け、2021年のパフォーマンスはプラスとなったファンドラップが多いが、その質には差がみられる。コスト控除後の5年間のシャープレシオを見ると、バランス型ファンドに劣るファンドラップが依然として多い。コストが高いファンドラップほど、パフォーマンスが劣る傾向がある。ファンドラップのコストは全体で年率1.5%以上のものが多い一方で、現状の低金利環境下で安全資産が1.5%を上回るリターンを上げることは難しいと考えられる。そのため、当該安全資産部分については「逆ザヤ」となっているファンドラップが多く、特にパフォーマンスの悪いファンドラップでは、安全資産の組入れ比率が高い傾向にある。安定的な資産運用を望む顧客が安全資産の組入れ比率を高めるのは当然であるが、安全資産についてはファンドラップ以外の選択肢も複数あり、あえて高コストのファンドラップを利用する必然性はないとも考えられる。「逆ザヤ」により負のリターンとなれば、顧客の資産はむしろ毀損する。一方、販売会社からすると、ファンドラップが残高ベースのフィー体系となっているため、安全資産を含め多くの顧客資産をファンドラップに含めたいという利益相反の誘因が働きやすい。高コストで安全資産の組入れ比率の高いファンドラップについては、真に顧客利益に資するものか、商品性についての再考が求められる。
  • 仕組債のうち一定の販売規模を占めるEB債(他社株転換可能債)の仕組みは、株式のプットオプションの売りポジションに類似しており、株価の大幅下落時には大きな損失が発生しやすい。サンプルの中には、僅か3か月で元本の8割を毀損した例もあり、リターンの分布を見ると、頻度は少ないものの損失率の裾野が広い。リスク(分布の標準偏差)は相応に高く、いわゆるテールリスクと呼ばれる性質を有している。他の資産クラスの長期的なリスク・リターン比と比べると、EB債のリターンはリスクに見合うほど高いとは言えない(図表22)。商品特性上、株式との相関が強い一方で、リスク・リターン比は劣後するため、株式に代えてEB債を購入する意義はほとんどないと考えられる。EB債の実質コスト(元本と公正価値の差)は、当庁による業界ヒアリングや公開情報からの推計に基づくと、投資元本に対して平均して5~6%程度と推定されるが、実現満期が0.6年程度と短いため、実質コストを年率換算すると8~10%程度に達すると考えられる。こうした高い実質コストが、図表22のリスク・リターン比の悪さにつながっていると考えられる。取扱金融機関(販売会社もしくは組成会社)側から見ると短期間で収益を上げやすいため、償還済み顧客に繰り返し販売する回転売買類似の行動に対する誘因が働きやすい商品性となっている。取扱金融機関各社や業界団体が自主的にデータを集計して定期的に公表するとともに、重要情報シートで組成・販売それぞれの実質コストを開示するなど、顧客向けの情報提供が充実されることが望ましい。
  • 日本の資産運用会社の運用受託額は、全体で800兆円を超える規模になっている。私募投信の残高は2021年12月末時点で約110兆円に増加。また、純資産総額で、私募投信はETFを除く公募投信を上回っている。機関投資家向けの私募投信においては、公募投信よりも低コストの商品が提供されている。顧客が大口の機関投資家中心であることが、その背景として考えられる。国内株式、海外株式、海外債券のいずれのアセットクラスでも、信託報酬水準に大きな乖離が存在する。
  • インベストメント・チェーンにおける「アセットオーナー」は、DBでは企業であり、受託機関(信託銀行、生保、投資顧問業者等)を通じて内外の株式・債券等で運用を行っている。DCでは「アセットオーナー」はDC加入者等であり、DCを実施する企業や運営管理機関(銀行、信託銀行、生損保、証券会社等)は、DC加入者が選択する運用商品ラインナップ(投資信託、預金、保険商品等)を選定・提示する重要な役割を担っている。DBについては、委託調査※によると、海外の年金に比べ、まず、日本の企業年金の情報公開の課題が指摘された。加入者だけでなく、拠出金を負担する株主を含めたステークホルダーに配慮し、人材や体制の拡充による運用高度化の余地が大きいとの提案がなされた。※委託調査「企業年金を取り巻く状況に関する調査」(金融庁 令和4年5月20日公表)
  • DC専用のインデックスファンドについては、依然として一物多価が続き、目立った改善の動きがない状況となっている。最終受益者である加入者の適切な資産形成のためには、日々の運営業務に加えて、以下が重要である。
    • 企業が適切な運用商品のラインナップ選択及び見直しに留意し、DC加入者に投資教育を行うこと
    • 運営管理機関が、企業や加入者に対してDCの商品ラインナップとその他のよりコスト効率のすぐれた商品との差異についての情報提供や投資教育の支援を行うこと

~NEW~
金融庁 「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(第6回)議事次第
▼資料1 ESG評価・データ提供機関等の報告書素案
  • ESG評価・データをとりまく現状と課題
    • サステナブルファイナンスの急速な拡大3を受けて、企業のESGに関する取組み状況や債券の適格性等について情報を収集・集約し、評価を行う「ESG評価・データ提供機関」の利用が広まっている。
    • 生命保険会社等のアセットオーナーやアセットマネジメント会社等の資産運用機関では、投資方針の策定やポートフォリオの選定に当たって、いわゆるESGインテグレーション(ESGを投資判断に織り込むこと)を進める動きが広く見られるようになっている。
    • アセットオーナーや資産運用機関等の機関投資家4が、個別にESG評価・データ提供機関のESG評価・データを用いて投資判断を行うほか、評価機関等がESG評価・データに基づき企業の指数(ESG指数)を選定し、これに連動する形で投資が行われることも増えている。
    • また、ESG関連債などの発行に当たっても、ESGに関する評価を得ることが一般的となっている。いわゆるグリーンボンド5に係る国際的な基準として参照されることの多い、「グリーンボンド原則」(国際資本市場協会(ICMA))では、調達資金の使途や対象プロジェクトの選定方法等について、同原則への準拠状況を個別に評価機関が確認するよう、推奨している。6
    • さらに、機関投資家等によるESGに関しての、株式や債券等の発行体との目的をもった対話(エンゲージメント)が広まりつつある中で、ESG評価・データは、エンゲージメント対象の選定や、エンゲージメントの内容・方法等を検討するに当たって広く参照されている。
    • このように利用場面が多様化する中で、ESG評価・データの対象となる企業や事業分野も拡大している。例えば、専門分科会に参加したグローバルなESG評価・データ提供機関からは、世界1万社以上の企業に評価を行い、世界2万銘柄以上の債券・株式・指数について、評価を提供しているとの報告があった。
    • ESG評価・データの利用・対象が拡大する中で、サービスの提供のあり方については、いくつかの課題が指摘されている。
    • 有識者会議の昨年6月の報告書では、i)各社で基準が異なる評価について透明性や公平性を確保すること、ii)評価対象の企業に有償でコンサルティングサービスを提供する等の利益相反の懸念に対応すること、iii)評価の質を確保するために人材を確保すること、iv)多くの評価機関から評価内容の確認を求められる企業の負担に配慮すること、の4点を課題として掲げている。
    • 前述のIOSCOの報告書では、気候変動等のESGの財務的な影響に関心が高まる中で、ESGに係るパフォーマンスを評価するものとしてESG評価・データの需要が急増しており、潜在的に、投資家保護、市場の透明性・効率性、適切な価格付け等に係るリスクが懸念され得るとしている。
    • その上で、ESG評価・データの利用者の視点からみて、サービスの信頼性の確保、評価手法に関する透明性の確保、利益相反への対応、企業とのコミュニケーションに、改善の余地があるとしている
  • 本報告書の概要
    • 議論では、外部性を投資判断の中に取り込むサステナブルファイナンスは重要であり、これを育てていくためにも、市場関係者の情報の仲介役となる評価機関等の役割は大きい旨の指摘があった。実際にこれまでも、評価機関等がESG投資における評価の着眼点を明らかにし、市場を切り拓いてきたことも指摘された。
    • 他方で、評価やデータが誤認を招くものであった場合には、情報は転々流通して、幅広い投資家が意図するところと異なる事業や企業に投資を行ってしまうおそれがあることが指摘された。
    • この点、評価が各社によって異なることそれ自体は必ずしも問題でなく、評価の品質が確保され、その基本的な考え方が明らかにされることで、投資家や企業の納得感を高め、市場関係者全体としての取組改善・対話につなげていくことが重要、との指摘があった。
    • ESG投資のすそ野が急拡大する中で、ESG評価・データ提供機関においては、サステナビリティを巡る社会全体の動きを的確に理解しつつ、合理的な根拠と専門的・職業的な判断に基づき、適切に評価・データを提供することが期待される。
    • また、評価・データ提供に際して、ESG評価・データ提供機関が評価を受ける企業との間で建設的に対話を行い、評価等に対する企業の納得感を高めるとともに、ESGに関する取組みについての気づきを促すことは、企業と経済の成長・持続可能性の確保に寄与していくものと考えられる。
    • 評価を受ける企業は、一般に、経営戦略を不断に見直し、適切な業務執行を通じて、企業価値の向上と持続的な成長を図ることが求められているが、このためにも、ESG評価・データ提供機関の存在は有効なものと考えられる。
    • 機関投資家においても、企業の戦略について自ら理解を深めつつ、ESG評価・データをその特定や限界も踏まえつつ活用することで、的確な投資戦略を実行し、企業との対話を深め、投資資産の持続的な発展につなげていくことが出来ると考えられる。
    • 本報告書は、ESG評価・データが適切に利用されるための市場環境を整備することで、サステナブルファイナンスの促進を図り、わが国経済の成長・持続可能性に貢献していくよう、ESG評価・データ提供に係る市場関係者に期待される事項を提言として取りまとめたものである。
    • インベストメントチェーン全体にわたる建設的な取組み・対話を促す観点から、ESG評価・データ提供機関に係る提言のほか、投資家、企業に係る提言を含めて、包括的に取りまとめている。
    • また、ESG評価・データ提供機関についても、株式や企業単位で行われるESG評価(企業評価、ESGレーティング等)と、債券等の単位で行われるESG評価(債券評価、外部レビュー等)、及びこれらに係るデータ提供を包括的に取りまとめている。
    • 取りまとめに当たっては、ESG評価・データの提供サービスが発展途上にあること、ESGの概念と同様に様々なものが存在すること、諸外国でも規範や規制の議論の途上であること等、いくつかの留意点が存在した。
  • 原則1(品質の確保)
    • ESG評価・データ提供機関は、可能な限り公開情報によりつつ、必要に応じてその他情報ソースに基づき、提供するESG評価・データの品質を確保するべきであり、このために必要な基本的手続き等を定めるべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則1の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. ESG評価・データについては、自らが入手可能な情報を詳細に分析し、策定・提供を行うよう、必要な手続き等を定めること
        2. 質の高いESG評価・データを提供するための論理的・体系的で、組織横断・継続的に適用される手法を定め、これを、機密性・知的財産等に配意しつつ、公開すること
        3. 定めた手法等が組織横断的に一貫して適用されるよう、組織内での浸透を図るほか、専門の委員会等で横断的な検証を行いつつ、知見を蓄積・共有する等の工夫を行うこと
        4. 上記のとおり定めたサービス提供手法について、定期的に、実際に自らのサービス提供の状況に照らして検証し、必要がある場合には改善を図り、改善の内容及びその影響を含めて、公表すること(評価に係るPDCAサイクルの実践)
        5. ESG評価・データを継続的に管理し、評価の時点を明確にするか、又は定期的に更新すること。また、評価の根拠となるデータの取得日や更新日を明らかにし、こうした裏付けについて、内部で記録を作成・保持すること
  • 原則2(人材の育成)
    • ESG評価・データ提供機関は、自らが提供する評価・データ提供サービスの品質を確保するために十分な人材等を確保・配置し、また、自社において、専門的能力の育成等を図るべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則2の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 適切な評価・データの提供を行うための必要な情報を収集・分析し、意思決定を行うために十分な人材や技術を保持すること
        2. 特に、ESG評価・データの提供に携わる人材が、専門的・職業的な知見を有し、誠実に職務を遂行するよう、社内外の関係者・関係機関と連携し、金融・ESG双方の知見に係る能力開発を図り、活用すること
        3. 質の高い評価・データの提供に取り組む人材が的確に評価されるよう、公正で専門的・職業的な評価を行っていることを人事評価に組み込むこと
        4. 人材の確保・育成が、質の高い評価を継続していく上で重要であることを、ESG評価・データ提供機関の経営者において認識し、このために必要な対応を行うこと
  • 原則3(独立性の確保・利益相反の管理)
    • ESG評価・データ提供機関は、独立して意思決定を行い、自らの組織・オーナーシップ、事業、投資や資金調達、その他役職員の報酬等から生じ得る利益相反に適切に対処できるよう、方針・手続きを定めるべきである。
    • 利益相反については、自ら、業務の独立性・客観性・中立性を損なう可能性のある業務・場面を特定し、潜在的な利益相反を回避し、又は適切に管理・低減・開示するべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則3の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 提供するサービスに関して、自らの組織・従業員が行う評価・分析に影響を与え得る利益相反の可能性を特定し、その上で、これらを回避し、又は適切に管理・低減・開示するための実効的な方針・手続きを定め、公表すること
        2. ESG評価・データの対象となる企業との間に、自社又は自社の関係会社と取引やその他のビジネス関係が存在する、又は検討中である場合には、当該関係がESG評価・データに影響を受けないことを確保するため、営業と評価の担当・部門間のファイアウォールを構築するなど、適切な手段を講じること
        3. 特に購買者負担のビジネスモデルに基づく場合について、提供するESG評価・データの内容・構成、この作成のために行われる調査等が著しく複雑又は理解しづらい場合に、調査等を理解し的確な回答を行うには事実上自らの有償サービスを利用する必要がある、といったことがないよう、調査等のわかり易さやサービス提供の構成について、留意すること
        4. 自らの職員が、ESG評価・データ提供サービスと利益相反が生じ得る有価証券取引やデリバティブ取引を行わないよう、適切な手段を講じること
        5. 自らの職員に関して、適切なレポーティングラインや報酬体系を整備し、ESG評価・データ提供サービスに係る利益相反の削減・管理を図ること。例えば、ESG評価・データサービスの営業を担当する職員と別に評価等を行う職員を割り当てる、ESG評価・データの対象となる企業から得る収益額に直接に基づき、報酬を支払い又は評価を行わない、といった対応を行うこと
        6. 評価等の対象となる企業との間で、取引やその他のビジネス関係が存在する場合には、守秘義務等に留意しつつ、当該取引における報酬の性質等について、明らかにすること
        7. 特に、発行者負担モデルは、評価対象となる企業から報酬を受け取るものであり、例えば、適切なファイアウォールを構築するほか、評価を付与する前に個別に、専門又は上部の委員会等が当該企業への評価について利益相反の懸念や評価の妥当性について検証を行うなど、より詳細な品質管理手続きを実施すること
  • 原則4(透明性の確保)
    • ESG評価・データ提供機関は、透明性の確保を本質的かつ優先的な課題と認識して、評価等の目的・考え方・基本的方法論等、サービス提供に当たっての哲学を明らかにするべきである。
      • また、提供するサービスの策定方法・プロセス等について、十分な開示を行うべきである。
      • 指針
        • ESG評価・データ提供機関は、原則4の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
          1. 取引上の必要な配慮は行いつつも、透明性の確保を本質的かつ優先的な課題と認識して、自らのサービスに係る透明性を確保すること
          2. ESG評価・データ提供サービスの利用者が、当該評価等が何を捉えることを目的とし、どのようにこれを計測するのかなど、評価の基本的内容を理解できるよう、評価等の目的・考え方・基本的方法論を含むサービス提供に当たっての哲学を明らかにすること
          3. 評価内容等がどのように決定されるか、利用者・評価対象の企業が基本的な仕組みを理解できるよう、評価等の策定方法・プロセス等について、十分な情報を開示すること。変更があった場合にはその旨を明らかにすること。特に、窓口を通じ、評価対象となった企業から問合せ等があった場合には、可能な範囲で、一般の情報開示に加えてより丁寧な説明を行うこととするか、又はこれを検討すること
          4. ESG評価・データの策定に利用した情報源を明らかにすること。特に、推計データを用いる場合には、その旨及び推計の基本的な方法を明らかにすること
          5. 上記を含めて、評価の目的・考え方・基本的方法論として、以下のような事項を、まとめてわかり易く公表すること
            • ESG評価・データの目的、考え方、測定の趣旨
            • 評価手法の具体的内容(評価の基準、評価結果の差異につながる重要な取組み、評価の対象等)
            • 評価のプロセス(評価の手続き、手順、けん制やモニタリング等)
            • 評価の目的・手法に照らした評価結果の具体的な説明が可能な窓口
            • 評価の基となる情報源や、推計データの利用の有無
            • 評価の実施時期、利用データの作成・利用時期
            • 評価手法を更新した際の変更点、とりわけ、自らのPDCAサイクルを経て改善を図った事項
          6. サービス利用者にとってわかり易いように、可能な限り、評価の趣旨や目的等を理解し易い名称等をサービスに付すこと
  • 原則5(守秘義務)
    • ESG評価・データ提供機関は、業務に際して非公開情報を取得する場合には、これを適切に保護するための方針・手続きを定めるべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則5の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 守秘義務契約に基づき、又は守秘を条件としてESG評価・データサービスに関して提供された情報を保護するための方針・手続きを定め、開示・実施すること
        2. 守秘情報について、特段の取決めがない限り、提供目的に沿って、ESG評価・データサービス以外に使われることがないよう、方針・手続きを定め、開示・実施すること
  • 原則6ESG評価・データ提供機関は、企業からの情報収集を評価機関・企業双方にとって効率的となるよう、工夫・改善すべきである。企業から問題提起があった場合には、ESG評価・データ提供機関は、これに適切に対処すべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則6の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 評価対象となる企業から情報を収集する場合、収集時期を十分前に当該企業に伝達することとし、依頼を行うに当たっては、公開情報や過去に提出を受けている情報等の既に知り得た情報を利用可能な場合には、評価機関等においてこれらを事前に入力した上で、企業に確認を求めること
        2. 企業がESG評価・データ提供に関して問合せ、問題提起を行うことが出来る統一的な窓口を設置し、対象企業に伝達する、もしくはわかり易い形で掲示しておくこと
        3. ESG評価・データを公表する事前に、公表する評価・データの基本的な情報ソースについて、評価対象企業に予め通知し、当該企業が、情報ソースを含めて評価・データ等に重大な欠陥がないかを確認する時間的猶予を、確保すること
        4. 評価・データの対象となる企業から、評価・データの情報ソースについて質問・問題提起があった場合には、少なくとも根拠となるデータ(インプット)の正確性を企業に確認することを許容し、誤りがあれば訂正するなど、適時・適切に対処すること
        5. ESG評価・データ提供機関として、自らの提供する評価・データについて、評価等の対象企業と通常どのように関わるかに関する「対話の手順」(terms of engagement)を公表すること。当該手順書には、状況変化による柔軟性も確保しつつ、評価の対象企業にいつ情報提供を依頼するのか、対象企業はいつ何について確認を行うことができ、課題等がある場合にはどのように問題提起を行うことが出来るか、また、評価機関等は問題提起にどう対応し得るか、といった内容を含めること
        6. 投資家・企業との間で、ESG評価・データのほか、投資家・企業を含む市場関係者の前向きな取組改善を促す観点から、例えば投資判断にどのように評価結果を利用したのかのフィードバック等それぞれに創意工夫を行いつつ、建設的に対話を行うこと
  • 投資家への提言
    • 投資家は、自らが投資判断等に用いているESG評価・データについて、評価の目的、手法、制約等を精査・理解し、評価結果に課題等があると考え得る場合には、評価機関や企業と対話を行うべきである。
    • また、この様な特性も踏まえながら、投資家自身がどのようにESG評価・データを投資判断において利用しているのか、明らかにすべきである。
  • 具体的な提言
    1. 投資家は、自らが投資判断等に用いているESG評価・データについて、評価の基本的な目的・方針のほか、手法、制約等として、例えば、
      • 評価等に用いられているデータの情報源・時点、推計の方法
      • 定量的・定性的な判断の程度、検証可能性、他の評価基準等との整合性
      • 当該評価・データを利用する際の留意点・制約条件
      • 等について理解し、評価方針と結果に不合理な乖離が見られると考えられる場合等には、評価機関や企業との間で対話を行うべきである
    2. 投資家は、アクティブ運用における自らの投資判断やパッシブ運用における活用において、どのようにESG評価・データを利用しているのか、具体的には、
      • どのようなESG評価・データをどのような目的で投資判断に利用しているか
      • 投資判断における重要性
      • 特に重視しているデータや留意している事項があればその内容
      • パッシブ運用において特定のESG評価・データ提供機関を選定した理由
      • 等について、明らかにすべきである。
      • また、自らが投資判断に関してESG評価を実施・利用している場合(いわゆる自家評価(インハウス評価)の場合)にも、同様に、自らがどのような基準・目的でESG評価を行い、投資判断で利用しているか、上記の点を明らかにすべきである
    3. ESG評価・データ提供機関・企業との間で、評価の質の改善に向けて、円滑かつ建設的なコミュニケーションを行うべきである。その際、個別の評価に際して取引関係等を背景とした不当な影響を行使しているとの誤認を与えないよう、留意すべきである
  • 企業への提言
    • 企業においては、規制動向等も踏まえつつ、サステナビリティ関連の情報をわかり易く開示すべきである。
  • 具体的な提言
    1. 企業は、自らのサステナビリティ関連の情報について、リスク情報も含めて、わかり易く整理し、公表すべきである
    2. 企業は、ウェブサイトや出版物において、公表する内容の更新日等の時期に係る情報を明らかにすべきである
    3. 企業は、ESG評価・データ提供機関からの企業の戦略・方針等に関する問合せに対応する窓口を明らかにし、併せて、どのような問合せについてどう対応を行うか等、基本的な対応の手順を明らかにするべきである
    4. 企業は、ESG評価・データ提供機関・投資家との間で、評価の質の改善に向けて、円滑かつ積極的にコミュニケーションを行うべきである。その際、個別の評価に際して取引関係等を背景とした不当な影響を行使しているとの誤認を与えないよう、留意すべきである

~NEW~
国民生活センター 雑音で音声が聞き取りにくい耳かけ集音器(相談解決のためのテストからNo.164)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 依頼内容
      • 「集音器を購入したが、雑音で会話等の声が聞き取りにくい。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 調査
      • 当該品は本体を耳にかけて使用する充電式の集音器でした。実際に装着して動作確認をしたところ、イヤホンにより耳がふさがれるため、音がこもった様に聞こえたほか、本体のボリュームを上げていくと、周囲の雑音も含め大きくなりました。
      • 次に、当該品による音の増幅を確認するため、入力信号に対する出力測定を行いました。テストは、周波数の異なる8種類の正弦波の音源を用いて、音量を「最小」から「最大」に上げたときの出力信号の変化を調べました。
      • その結果、いずれの周波数においても音量「最小」から「最大」に上げることで周波数は変化せずに信号が増幅されていました。当該品を使用することで音は増幅されるものの、音の聞こえについては、会話やテレビの音声などの聞き取りたい音だけではなく、周囲の雑音も含めて増幅されるため、聞き取りにくい状況が生じているものと考えられました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 耳かけ集音器は、本体のマイクに入力された音を増幅する単機能のものが多く、周囲の雑音を含めて増幅するほか、耳にイヤホンを装着するため、思ったような聞こえ方にならないことがあります。集音器にはさまざまな形状・機能を有したものがありますので、このような特性を理解した上で、使用する目的に合っているか確認するようにしましょう。

~NEW~
国民生活センター 組成表示が異なっていた婦人パジャマ(相談解決のためのテストからNo.165)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 依頼内容
      • 「綿100%と表示されたパジャマを購入したが、綿100%とは思えない。表示に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 調査
      • 当該品について、JISの試験方法によって繊維混用率(製品に使用されている繊維ごとの、その製品全体に対する質量割合を百分率で表したもの)を調べたところ、表示とは組成が異なっていました。
      • 家庭用品品質表示法おいて、混用率が100%である旨を表示する場合、その誤差の許容範囲は、毛以外の繊維では-1%以内とされています。
      • 当該品は「綿100%」と組成表示されていましたが、繊維混用率は、同法規程に定められている誤差の許容範囲を大幅に超えていました。
      • また、当該品から糸を採取し、ほぐして拡大観察したところ、扁平(へんぺい)でよじれが特徴的な綿と考えられる繊維と、均一な太さのポリエステルと考えられる繊維がみられました。
    • 解決内容等
      • 依頼センターがテスト結果を販売店に説明したところ、このテスト結果を知った製造事業者から、海外の工場でミスがあったものと思われるとの連絡があり、相談者への返金対応が行われました。

~NEW~
国民生活センター 一度に中身がすべて噴出したスプレー缶(相談解決のためのテストからNo.166)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 依頼内容
      • 「制汗スプレーを使用したところ、空になるまで噴射し続けた。原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 調査
      • 当該品は本体がアルミ製のスプレー缶で、開封後の最初の使用時に噴射ボタンを1回押しただけで内容物が出続けて空になったとのことでした。
      • 一般的なスプレー缶では、ステムガスケットがステム孔を塞いで内容物が漏れ出ないように密閉しています。噴射ボタンを押すと、ステムとステムガスケットが下がり、ステム孔が開放され、容器内で圧力がかかっている噴射剤及び原液の混合内容物がディップチューブを通って噴射ボタンの孔から噴射されます。
      • 当該品の外観に腐食や損傷等は見られず、X線の装置により内部の様子を観察したところ、ハウジングが脱落している様子が見られました。そこで、当該品を切り開き、内部の様子を観察したところ、分離したハウジングは樹脂製でもろくなって破断している様子が見られ、樹脂製のステムももろくなっている様子が見られました。
      • 当該品は噴射ボタンを押した際に、もろくなっていたハウジングが脱落したことでスプリングによって戻る力がなくなり、ステム孔が開放状態となって内容物が出続けたものと考えられました。また、開封後の最初の使用時に噴射ボタンを1回押しただけで内容物が出続けたとのことから、使用時には既にハウジングがもろくなっていたものと考えられました。
      • なお、当該品に表示されていた製造者名は20年以上前に変わっており、当該品はその前に製造されたものと考えられました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 古いスプレー缶は今回の事例のように内部の部品が劣化して噴射剤等が漏れたり、噴射が止まらなくなってしまう可能性があります。また、缶本体が腐食して破裂したり、漏れた噴射剤に引火する等の事故を引き起こす危険性もあります。製造から長期間経過したものや製造時期が不明なもの、異常が見られるスプレー缶は使用しないようにしましょう。なお、廃棄方法についてはスプレー缶に表示されているメーカー連絡先か、お住まいの自治体の指示に従うようにしましょう(注1、2)。
    • また、多くのスプレー缶の噴射剤には可燃性ガスが使われており、近くに火気があれば引火の危険性もあります。スプレー缶を使用するときや使用直後には火気を近づけないようにし、換気にも注意しましょう。

~NEW~
国民生活センター 実在する組織をかたるフィッシングメールに注意!
  • 内容
    • 事例1 大手通販サイトからクレジットカード番号を登録し直すようにとのメールが来たので、記載されていたURLをクリックし名前やカード番号などを入力した。その後、約1万7千円分のカード利用がされていたことが判明した。(80歳代 男性)
    • 事例2 大手カード会社から「不正利用の事例が多いので確認するように」とメールが届き、URLをクリックしカード番号などを入力した。その後、カード会社から「通信販売で不正な利用が確認された」と連絡があった。5万円ほどの買い物をされていた。(70歳代 男性)
  • ひとこと助言
    • 通販サイト、クレジットカード会社、フリマサービス運営事業者、携帯電話会社などの実在する組織をかたり、パスワードやアカウントID、暗証番号、クレジットカード番号などの情報を詐取するフィッシングの手口が多く発生しています。
    • メールに記載されたURLには安易にアクセスせず、事業者の正規のホームページでフィッシングに関する情報がないか確認しましょう。日ごろから公式アプリやブックマークした事業者のサイトにアクセスすることを習慣にしましょう。
    • メールのURLにアクセスし、個人の情報を入力してしまうと、クレジットカードや個人情報を不正利用されるおそれがあります。もし、アクセスしてしまっても、個人情報は絶対に入力してはいけません。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
厚生労働省 第85回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年5月25日)
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約188人となり、今週先週比は0.91と減少に転じている。
    • 年代別の新規感染者数は、10歳未満の増加が継続する一方、その他の年代は微減又は減少している。
    • 全国の新規感染者数が減少に転じていることに伴い、療養者数は減少傾向。一方、重症者数は減少が続き、死亡者数は横ばい。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(5/8)で1.04と1を上回る水準となっており、首都圏では1.02、関西圏では1.06となっている。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 北海道 新規感染者数は今週先週比が0.81と1を下回り、約291(札幌市約309)。20代以下が中心。10歳未満のみ増加し、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は約2割。
    2. 北関東 茨城の新規感染者数は今週先週比が0.89と1を下回り、約123。20代以下が中心。10歳未満及び70代以上で増加又は微増となる一方、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は約1割。栃木、群馬でも今週先週比がそれぞれ0.88、0.93と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約124、120。病床使用率について、栃木では1割強、群馬では2割弱。
    3. 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は今週先週比が0.92と1を下回り、約172。20代以下が中心。10歳未満及び80歳以上で増加又は微増となる一方、その他の年代では微減又は減少。病床・重症病床使用率はいずれも1割強。埼玉、千葉、神奈川でも今週先週比がそれぞれ0.82、0.90、0.91と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約116、105、135。病床使用率について、埼玉では2割弱、千葉では約1割、神奈川では1割強。
    4. 中京・東海 愛知の新規感染者数は今週先週比が0.95と1を下回り、約195。20代以下が中心。10歳未満で増加するとともに、30代及び60代で微増。その他の年代では微減又は減少。病床使用率は2割弱。岐阜、静岡、三重でも今週先週比がそれぞれ0.99、0.93、0.98と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約198、176、157。病床使用率について、岐阜では3割弱、静岡では1割強、三重では2割強。
    5. 関西圏 大阪の新規感染者数は今週先週比が0.92と1を下回り、約219。20代以下が中心。10歳未満のみ増加し、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は2割強、重症病床使用率は1割強。京都、兵庫、奈良、和歌山でも今週先週比がそれぞれ0.99、0.91、0.83、0.85と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約228、180、136、166。滋賀では今週先週比が1.02と1を上回り、新規感染者数は約179。病床使用率について、滋賀、兵庫では2割弱、京都、奈良では1割強、和歌山では3割弱。
    6. 九州 福岡の新規感染者数は今週先週比が0.95と1を下回り、約259。20代以下が中心。10歳未満及び80歳以上で増加又は微増となる一方、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は2割強。佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島でも今週先週比がそれぞれ0.87、0.97、0.97、0.88、0.96と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約209、215、223、298、276。熊本では今週先週比が1.03と1を上回り、新規感染者数は約243。病床使用率について、佐賀では1割強、長崎、宮崎では2割強、熊本、鹿児島では約3割、大分では約2割。
    7. 沖縄 新規感染者数は今週先週比が0.91と1を下回り、約931と全国で最も高い。30代以下が中心。10歳未満及び70代以上で増加となる一方、その他の年代では微減又は減少。病床使用率は5割弱、重症病床使用率は2割強。
    8. 上記以外 青森、岩手、秋田、山形、福島、石川、鳥取、広島、山口、香川、高知の新規感染者数はそれぞれ約180、129、106、118、151、289、132、280、159、235、226。病床使用率について、青森、秋田、石川、山口、香川では2割強、岩手、福島、広島では3割弱、山形、鳥取、高知では約2割。
  • 今後の見通しと必要な対策
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、GW後半以降の増加傾向は継続せず、全国的には一部の地域を除いて減少傾向が続いているが、発症日のエピカーブからは感染者数が再び増加する可能性も懸念されるため、今後の動向を注視していく必要がある。地域別に見ると、直近1週間の移動平均について、首都圏などでは昨年夏のピーク時を下回る状況にある一方、沖縄県や宮崎県などでは直近1週間の移動平均が昨年末からのピークを上回っている。特に、沖縄県における新規感染者数は、減少傾向が見られるものの全国で最も高い状況が続いている。それ以外の地域においても、今後の感染者数の推移に引き続き注意が必要。
      • 年代別の新規感染者数では、10歳未満の増加が継続する一方、その他の年代は微減又は減少している。特に増加が継続している10歳未満は、多くの地域で顕著な増加が見られる。また、沖縄県では、特に10歳未満の増加が顕著であるとともに、70代以上でも増加が見られることから、引き続き、高齢者の感染状況を注視していく必要。
      • 新規感染者の感染場所について、学校等や保育所・幼稚園等における割合が高止まりする一方、飲食店における割合は減少傾向となっている。
      • 今後の感染状況については、BA.2系統へ概ね置き換わった状況などの感染の増加要因と、ワクチンの3回目接種等による抑制要因に影響されるものと考えられる。
    2. 感染の増加要因と抑制要因について
      • 感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するものと考えられる。
        1. 接触パターンについて
          • 夜間滞留人口について、全国の半数以上の地域で増加傾向が見られる。昨年末のピーク時に迫るほど増加する地域もあり、今後の感染状況への影響に注意が必要。
        2. 流行株について
          • BA.2系統へ概ね置き換わっており、BA.1系統が優位であった時期と比較すると、新規感染者の増加や減少スピードが遅れる一要因となりうる。
        3. ワクチン接種等について
          • 3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。3回目接種は高齢者で進むとともに、若年層でも接種が進んでいるが、これから若年層がさらに接種対象になることで一層接種率が向上することが期待される。しかし、3回目接種から一定の期間が経過することに伴い、感染予防効果は、より早く接種を受けた人から今後減弱していくことが予想され、留意が必要。また、これまでの感染による免疫保持については、地域の発生動向に影響する可能性もある。
        4. 気候要因について
          • 気温が上昇する時期は、換気を行いやすい気候条件になる。しかし、気温の上昇やこれから梅雨の時期に入ると、降雨によって屋内での活動が増える場合もある。
    3. 医療提供体制について
      • 沖縄県では、入院者数や病床使用率について減少傾向に転じる一方、重症病床使用率は2割台で横ばい。全国的には、新規感染者数の減少傾向が続いていることに伴い、半数近くの地域で病床使用率の減少傾向が見られる。
      • 救急搬送困難事案については、非コロナ疑い事案、コロナ疑い事案ともに減少傾向となったが、感染者数の増減に関わらず増加している地域もあり、地域差が見られる。
    4. オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
      1. サーベイランス等
        • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株について、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
      2. 自治体における取組
        • 自治体では、オミクロン株の特徴を踏まえた対応強化を図るべく、診療・検査体制や保健所体制の点検も必要である。
        • 地域の感染状況に基づき、必要な医療提供体制の構築に引き続き取り組むことが必要。
        • 高齢者施設等に対する医療支援体制の強化・徹底にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ進めていくことが重要。
        • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保することが重要。
      3. ワクチン未接種者、3回目接種者への情報提供の再強化等
        • 3回目接種率について、5月24日公表時点で65歳以上高齢者では約89%、全体では約58%となった。対象者への3回目の接種を今後も着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。4回目接種については、重症化予防を目的として、60歳以上の者と、重症化リスクの高い基礎疾患を有する者、その他重症化リスクが高いと医師が認める方を対象として特例臨時接種として5月25日から開始されることとなった。
        • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、3回目及び4回目接種を着実に実施していくことも必要。また、ワクチン接種者においては症状が遷延するリスクが低いとの報告がある。
        • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。
      4. 水際対策
        • 海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。また、出国前検査は継続して求めつつ流入リスクに応じた対応を行うとともに、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
    5. オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
      • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
        • 学校・幼稚園・保育所等においては、児童・生徒の感染リスクが高まる場面を職員や子ども・保護者等と共有しつつ、子どもの感染対策はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策を徹底する。その上で、できるだけ教育活動や社会機能などの継続に取り組むことが必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。
        • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策の徹底が必要。このため、従業者等へは積極的な検査を実施することが必要。また、重症化予防のため、入所者に対するワクチンの4回目接種を進めることも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
        • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、テレワークの活用や休暇取得の促進等による出勤者数の削減や、接触機会の低減に向けた取組が求められる。また、従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要。さらに、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
    6. 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
      • 全国的には未だに昨年夏のピークよりも高い状況が続いており、今後も感染の増加要因と抑制要因が続くことにより、リバウンドの可能性も懸念される。このため、基本的な感染対策と日頃の体調管理を徹底して呼びかけた上で、できるだけ新規感染者数の継続的な増加が起こらないよう、引き続き、市民や事業者には感染リスクの低減に向けた取組にご協力いただくことが必要。
        1. ワクチン接種について
          • ワクチンの3回目接種は、その種類に関わらず、時期が来れば、早めに受けていただくことが重要。新型コロナウイルス感染症に罹患すると、若年者でも重症化することがあり、また、遷延症状が見られる場合もあることから、重症化リスクの高い高齢者はもとより、若年者も自らの健康を守るために接種していただくことが求められる。
        2. 感染対策の徹底
          • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。
          • 一方、マスクの着用について、屋外で周囲の人と距離が十分に確保できるような場面であったり、屋外で周囲との距離が十分に取れない場面でも、周囲で会話が少ない(又はほとんどない)ようであれば、これまでどおり、マスク着用は必ずしも必要ない。ただし、屋外でも人混みでは適宜着用することが必要。また、未就学児についてはマスク着用を一律には求めず、無理に着用させないこと等について、周知内容をより明確にした上で、幅広く周知・徹底を行っていくことが必要。
        3. 外出等に際して
          • 混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスク着用の徹底が必要。
        4. 体調管理について
          • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。特に、高齢者をはじめ、重症化リスクの高い方と会う機会がある場合には注意が必要。
    7. 参考:オミクロン株の特徴に関する知見
      1. 感染性・伝播性
        • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
      2. 感染の場・感染経路
        • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
      3. 重症度
        • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても限られたデータではあるが季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。感染前の状況として、医療機関に入院中の方や高齢者施設に入所中の方が多いことが示された。侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化等の影響で重症の定義を満たさずに死亡する方など、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されており、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が増悪することや、高齢の感染者が心不全や誤嚥性肺炎等を発症することにより、入院を要する感染者の増加に繋がることにも注意が必要。
      4. ウイルスの排出期間
        • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出は、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。
      5. ワクチン効果
        • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。
      6. BA.2系統
        • 海外ではBA.2系統への置き換わりがある中で、感染者数の増加が見られたが、現在は世界的に減少傾向となっている。国内におけるオミクロン株は、当初BA.1とBA.1.1の海外からの流入がともにあったものの、その後BA.1.1が多数を占めた。現在は、BA.2系統へ概ね置き換わった。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は、BA.1系統と比べ15%短く、実効再生産数は26%高いことが示された。BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。英国の報告では、BA.1系統ウイルス感染後におけるBA.2系統ウイルスに再感染した事例は少数あり、主にワクチン未接種者であると報告されている。
      7. XE、4、BA.5及びBA.2.12.1系統
        • オミクロン株のXE系統は、オミクロン株のBA.1系統とBA.2系統の組換え体であり、XE系統について、検疫で2件確認されている。WHOレポートによれば、BA.2系統に比べて市中での感染者の増加する速度が10%程度高いと報告されている。また、BA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統は検疫で検出されており、このうちBA.5系統及びBA.2.12.1系統については国内でも検出されている。一部の国や地域ではBA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統の検出割合が増加し、BA.2系統からの置き換わりが進んでおり、感染者の増加の優位性が示唆されている。国立感染症研究所によれば、感染力や重症度等に大きな差が見られるとの報告は現時点ではないものの、ウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要としている。

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厚生労働省 第180回労働政策審議会職業安定分科会資料
▼【資料1】ウクライナ避難民への就労分野での支援について
  • 出入国在留管理庁を中心に、相談窓口やハローワークによる就労支援のほか利用可能な支援メニューを情報提供。また、身寄りのない避難民向けに一時滞在施設を提供し、生活費・医療費の支給等を実施。なお、身寄りのある避難民には、日本財団において生活費等の支援を実施。
  • 就労分野でのこれまでの主な対応
    • 3月18日:全国の労働局、ハローワークにウクライナ避難民に係る特定活動の付与について周知
    • 4月15日:ウクライナ避難民への支援申出企業の労働局、ハローワークへの提供
    • 4月19日:ウクライナ避難民に対し、ハローワークの相談窓口を日・英・ウで周知
    • 4月21日:緊急全国安定部長会議を開催・各都道府県労働局に指示。全国の自治体向け説明会において、ハローワークでの対応について周知
  • ウクライナ避難民の状況
    • ウクライナ避難民 995名
    • うち特定活動 694名 ※ 5月18日時点・出入国在留管理庁による集計。特定活動には、子どもなど就労不可の者を含む。
  • 東京(5/19~)、大阪(5/20~)の外国人雇用サービスセンターにおいて、ウクライナ語通訳を配置した、避難民支援窓口を設置。
  • 今後の対応
    • あらゆる機会を捉えたハローワークの周知広報:自治体等との情報連携及び協力体制の構築
    • 企業側への働きかけ:
      • 地元の外国人雇用に慣れた企業や支援申出企業との求人化に向けた調整
      • 本件を契機に初めて外国人を雇い入れる企業へのアドバイザーの派遣
    • 避難民に対するマッチング支援:
      • 地方入管、自治体、一時滞在施設等での出張相談
      • メールによる双方向支援の実施(就労希望の把握及び希望者へのプッシュ型の情報送付を含む。)
    • 避難民を雇用する企業への支援:避難民を特定求職者雇用開発助成金及びトライアル雇用助成金の対象に追加
    • 避難民が職業訓練を受講しやすくするための見直し:訓練委託費が高い定住外国人向けの公共職業訓練の対象に避難民を追加、職業訓練受講給付金の支給手続の柔軟化
  • ウクライナ避難民を雇用する事業主への支援について
    • 目的
      • 就労を希望するウクライナ避難民の就労支援については、ハローワークを中心として行われるところ。ハローワーク等の紹介により、ウクライナ避難民を継続雇用または試行雇用する事業主に対して、特定求職者雇用開発助成金またはトライアル雇用助成金を支給する。これにより、ハローワークの就労支援に加え、当該助成措置によるウクライナ避難民の更なる雇用機会の増大や創出を図る。
    • 支給対象者追加について
      • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)新たに支給対象者を省令改正により追加し、支給要領(局長通知)を改正。※65歳以上の方については、同助成金の生涯現役コースにより対応。
      • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)・・・・・トライアル雇用の対象者を追加する旨の局長通知の発出。
    • 助成金の対象となる「日本に避難を余儀なくされたウクライナの住民」について
      • 出入国在留管理庁発行の「ウクライナ避難民証明書」及び就労可能な在留資格を所有する者
    • 施行 令和4年5月30日(予定)

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厚生労働省 小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年5月27日)
▼小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年5月27日報道発表)
  • 世界各国において小児における原因不明の急性肝炎が継続して報告されています。世界保健機関(WHO)では、この急性肝炎の原因特定を目的として、暫定的な症例定義を定め、各国に症例定義に該当するケースの報告を求めています。
  • 厚生労働省ではこうした事案について、令和4年4月20日に自治体等に対し、注意喚起及び情報提供依頼、4月27日に当該事例の感染症サーベランス及び積極的疫学調査についての事務連絡を発出しているところです。
  • 暫定症例定義(※)に該当する2021年10月1日から2022年5月26日10時までの累積報告症例数を別添の通り公表します。今後も、定期的に症例報告の状況をとりまとめて公表していきます。
  • 厚生労働省としては、引き続き、各国政府やWHO、専門家等とも連携しつつ、諸外国の感染状況を注視しながら、情報収集に努めてまいります。
  • 報道機関各位におかれましては、ご本人やご家族などが特定されないよう、個人情報保護にご配慮下さい。
    • ※暫定症例定義は以下のとおりとする。「欧州及び米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生について(協力依頼)」(令和4年4月27日付厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)
    • 2021年10月1日以降に診断された原因不明の肝炎を呈する入院例のうち、以下の1、2、3のいずれかを満たすもの:
      1. 確定例 現時点ではなし。
      2. 可能性例 アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT)が500 IU/Lを超える急性肝炎を呈した16歳以下の小児のうちA型~E型肝炎ウイルスの関与が否定されている者。
      3. 疫学的関連例 2の濃厚接触者である任意の年齢の急性肝炎を呈する者のうち、A型~E型肝炎ウイルスの関与が否定されている者。

~NEW~
厚生労働省 サル痘について
  • サル痘は、1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めの感染が確認された、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。国内では感染症法上の4類感染症に指定されています。
  • 日本では感染症発生動向調査において、集計の開始された2003年以降、輸入例を含めサル痘患者の報告はありません。
  • 2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が欧州、米国等で報告されています。
  • サル痘とは?
    1. 病原体 ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルス
    2. 感染経路 アフリカ生息するリスなどの齧歯類をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。また、ヒトからヒトに感染することがあり、主に接触感染、飛沫感染をするとされている。
    3. 世界での発生状況 2022年5月21日13時時点の、サル痘の非流行国における発生状況は以下のとおり(略)このほか、2021年12月15日から2022年5月1日までの期間に、カメルーン(25例)、中央アフリカ共和国(6例)、コンゴ民主共和国(1238例)、ナイジェリア(46例)において、サル痘患者の発生が確認されている。
    4. 潜伏期 6~13日(最大5~21日)
  • 治療と診断
    1. 臨床症状:
      • 発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0-5日程度持続し、発熱1-3日後に発疹が出現。
      • 皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。
      • 多くの場合2-4週間持続し自然軽快するものの、小児例や、あるいは曝露の程度、患者の健康状態、合併症などにより重症化することがある。
      • 皮膚の二次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。
    2. 診断:
      • 主に水疱や膿疱の内容液や蓋、あるいは組織を用いてPCR検査で遺伝子を検出することが有用である。
      • その他、ウイルス分離・同定や、ウイルス粒子の証明、蛍光抗体法などの方法が知られている。
    3. 治療:
      • 対症療法
  • 予防法
    • 天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされている。
    • 流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切である。

~NEW~
経済産業省 2021年(1月~12月)工場立地動向調査結果を取りまとめました
  • 経済産業省は、工場を建設する目的で2021年(1月~12月)に1,000㎡以上の用地を取得した製造業、ガス業、熱供給業、電気業の事業者を対象に「工場立地動向調査」を実施し、結果を取りまとめました。
  • 製造業等の工場立地件数は858件(前年比3%増)、工場立地面積は1,283ha(前年11%増)となりました。※1ha=10,000㎡
  • 業種別の工場立地の動向は、立地件数については、食料品製造、金属製品製造業、輸送用機械製造等の件数が増加したものの、化学工業、生産用機械製造等の件数が減少しました。立地面積については、食料品製造、金属製品製造、はん用機械製造、輸送用機械製造等で増加しました。
  • 立地地点の選定理由は、「本社・自社工場への近接性」がトップであり、「地価」が2番目に多くなっています。その結果、本社と同じ県内に立地する件数(県内立地件数)は、全立地件数の6~7割で推移しています。

~NEW~
経済産業省 ロシアによるウクライナ侵略を非難する共同プレスリリースを発出しました
  • APEC貿易担当大臣会合後、豪州、カナダ、チリ、韓国、ニュージーランド、米国と共に、ロシアによるウクライナ侵略を非難する共同プレスリリースを発出しました。
▼APEC貿易担当大臣会合共同プレスリリース(仮訳)
  • 我々は、APECに対する確固とした支持を表明するとともに、2022年APECが成功裏に終えるよう、議長であるタイをサポートすることに全面的にコミットする。
  • 我々は、地域の平和及び安定の確保と国際法を遵守するという決意のもと連帯し、これらがAPECの目指す包摂的かつ持続可能な経済成長の前提条件であることを認識する。
  • 我々は、ロシアによるウクライナに対するいわれのない侵略戦争を最も強い言葉で非難する。
  • 我々は、ロシアの行為により引き起こされた人道的状況の悪化と、世界の食料及びエネルギー安全保障に対する脅威に対し深刻な懸念を表明する。ロシアの行為は、世界経済と世界のサプライチェーンを更に不安定化させているとともに、新型コロナウイルス感染症から回復する能力を弱体化させている。
  • 我々は、エネルギー市場の不安定性について懸念を表明するとともに、APEC地域におけるエネルギー強靱性、アクセス、安全保障を促進する必要性を強調する。
  • 同様に、我々は、人々の健康と幸福、そして経済の成功にとって重要である、適切に機能する食料システムに対する我々のコミットメントを確認する。ロシアの侵略による食料不安の高まりは、世界中で、特に不均衡に最も脆弱な層の人々に感じられている。
  • 開かれた、ダイナミックで、強靱かつ平和なアジア太平洋地域を支えるルールに基づいた国際秩序の重要性を再確認し、我々は、ロシアに対し、直ちにその武力行使を停止し、ウクライナから完全及び無条件にその全ての軍隊を撤退させることを強く要求する

~NEW~
総務省 テレワークセキュリティに関する手引き(チェックリスト)第3版の公表
  • 総務省では、企業等がテレワークを実施する際のセキュリティ上の不安を払拭し、安心してテレワークを導入・活用していただくための指針として「テレワークセキュリティガイドライン」を策定しています。
  • また、中小企業等におけるシステム管理担当者を対象として、テレワークを実施する際に最低限のセキュリティを確実に確保してもらうための手引き(チェックリスト)等を策定しています。
  • 今般、より中小企業等のセキュリティ担当者等が活用しやすい文書・資料を目指し、(1)ユニバーサルデザインを意識して読みやすいデザイン・文言となるようチェックリストを改定するとともに、(2)従業員の方々が実際に活用可能な「従業員向けハンドブック」等を付録として作成いたしましたのでお知らせします。
▼中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)
▼従業員向けハンドブック(令和4年5月)
▼緊急時対応カード(A4版、10面ラベルシート用)(令和4年5月)
▼緊急時対応カード(A4版、12面ラベルシート用)(令和4年5月)

~NEW~
総務省 サイバーセキュリティタスクフォース(第38回)
▼資料38-2 「ICTサイバーセキュリティ総合対策2022(仮)」の骨子(案)
  • 政府内におけるサイバーセキュリティに関する動向
    • 「サイバーセキュリティ戦略」の閣議決定(2021年9月)
      • “Cybersecurity for ALL”をコンセプトに、(1)DXとサイバーセキュリティの同時推進、(2)公共空間化と相互連関・連鎖が進展するサイバー空間全体を俯瞰した安全・安心の確保、(3)安全保障の観点からの取組強化を柱として策定されており、総務省として同戦略を踏まえた取組の推進が求められる。また、同戦略に基づき、重要インフラ行動計画の改定に向けた議論が進んでいる。
    • デジタル庁の設置(2021年9月)
      • 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2021年12月閣議決定)では「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を進めることとされており、デジタル化の基本戦略の1つとしてサイバーセキュリティの確保を含む「安全・安心の確保」が掲げられている。
  • サイバーセキュリティ全般を巡る動向
    1. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の終了
      • 大会運営に支障を生じるようなサイバー攻撃は確認されなかったが、本大会の教訓を踏まえ、我が国全体としてサイバー攻撃への対処能力の向上を図ることが重要。
    2. サイバー攻撃リスクの拡大
      • ランサムウェアやフィッシング報告件数の増加、NICTER観測のサイバー攻撃関連通信数の増加傾向、Emotet再拡大、ロシアによるウクライナ侵略などの国際社会における安全保障を巡る状況の緊迫化等、サイバー攻撃リスクは拡大している。政府としても、2022年2月23日、3月1日、同月24日、4月25日にサイバーセキュリティ対策の強化を求める注意喚起を行っている。こうした動向を踏まえ、政府機関や重要インフラ事業者をはじめとする企業・団体等においては、サイバー攻撃の脅威に対する認識をより一層深めるとともに、適切な対策を講じることが求められる。
    3. 情報通信ネットワークの重要性の更なる高まり
      • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景としたテレワークの利用の拡大・定着など、デジタル活用がますます進展し、サイバー空間があらゆる主体が利用する公共空間となるとともに、国際社会における安全保障を巡る状況の緊迫化に伴い、国家間の競争・衝突の場となる中、情報通信ネットワークは、国民生活や経済活動の基盤としてその重要性が高まっていると考えられる。このような状況のもと、情報通信ネットワークの安全性・信頼性を確保することは一層重要となっている。
  • CYNEX(サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤)等の推進
    • 我が国の企業を支えるセキュリティ技術について過度に海外に依存する状況を回避・脱却し、我が国のサイバー攻撃への自律的な対処能力を高めるべく、国内でのサイバーセキュリティ情報生成や人材育成を加速するエコシステムの構築を進めることとしてはどうか。
      1. 情報収集・分析
        • 取得情報の効果的な共有と適切な管理、育成人材の質の担保等にも留意しつつ、早期の本格稼働に向けて、システム基盤構築・運営環境整備をサイバーセキュリティタスクフォースに報告しつつ引き続き進める。
        • 産学官の関係性を深め、コミュニティの形成を積極的に推進し、これらの組織がより深い関係性と信頼を築けるよう運営する。
        • 国内のマルウェア感染状況について、利用者等からもリアルタイムかつ横断的な集約を可能とし、その分析結果を当該利用者等に対して迅速に通知するとともに、分析結果は国内のベンダー等がIoT機器やセキュリティ製品の開発に活かせる国内循環型のセキュリティ情報フレームワークについて検討する。
      2. 人材育成
        • 演習の実施に必要なデータセット、計算機リソース等を総合的にカバーするオープン型の新たな人材育成プラットフォームや、産学官の連携により当該プラットフォームを積極的に活用するためのコミュニティの支援も踏まえつつ、自立的な人材育成に向けた取組を進める。
  • 研究開発の推進
    1. NICTにおける研究開発
      • 巧妙化・複雑化するサイバー攻撃に対応した攻撃観測・分析・可視化・対策技術などの研究開発を引き続き実施する。
      • 耐量子計算機暗号等を含む新たな暗号・認証技術や高機能暗号技術の研究開発を実施し、成果普及を図る。
    2. 大学や民間企業における研究開発の支援等
      • 暗号技術に関し、主に安全性評価の観点から、2022年度末目途に予定されているCRYPTREC暗号リストの10年に一度の全面改定に向けた検討を進めるとともに、耐量子計算機暗号、軽量暗号や高機能暗号のガイドライン作成を行う。
      • Beyond 5G等の中長期的な技術トレンドを視野に入れつつ、以下のように、安全保障の観点を含む、
  • 国際連携の推進
    • 各国政府・民間レベルでのサイバーセキュリティ分野における情報共有や国際標準化活動への積極的な関与を進めるとともに、国際的なサイバーセキュリティ上の弱点を減らし、日本を含む世界全体のリスクを低減させる等の観点から発展途上国に対する能力構築支援を行うほか、国内企業のサイバーセキュリティ分野における国際競争力の持続的な向上を図る取組も推進することとしてはどうか
      1. 二国間連携
        • 総務省主催のICT政策対話等の経験を踏まえ、引き続き、情報の自由な流通という理念を共有する国を中心に、連携強化を図る。
      2. 多国間連携
        • 2023年のG7及びIGF(インターネットガバナンスフォーラム)の国内開催、Quadを通じた日米豪印の連携や、日ASEANサイバーセキュリティ政策会議を通じたASEANとの関係強化を踏まえ、引き続き、情報の自由な流通という理念を共有する国を中心に、連携強化を図る。
      3. ISAC間連携
        • ICT-ISACと米国IT-ISAC間でより効果的な情報共有の在り方を引き続き模索するとともに、EUをはじめとする他の国・地域のISAC関連組織との連携を促進する。
        • 日ASEAN情報セキュリティワークショップの経験を踏まえ、民間の脅威情報共有基盤を活用したASEAN地域のISP向けワークショップの在り方について検討を進める。
      4. 能力構築支援
        • 2018年設立の日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)におけるCYDER 等を引き続き実施する。
        • 「サイバーセキュリティ分野における開発途上国に対する能力構築支援に係る基本方針(サイバーセキュリティ戦略本部決定)」の方針に則り、AJCCBCが実施する研修参加者のすそ野拡大や、ASEAN以外のインド太平洋地域における能力に係る構築支援について検討を進める。
      5. 国際標準化
        • 「IoTセキュリティガイドライン」の国際標準化に向けた活動に引き続き貢献していくほか、 「自由、公正かつ安全なサイバー空間」という我が国の基本的理念に必ずしも整合的でない動きに積極的な対処ができるよう連携体制の強化に取り組む。
      6. 国際展開支援
        • ASEAN諸国を中心とした海外展開支援に係る調査等を踏まえ、「ICT国際競争力強化パッケージ支援事業」等の取組を通じ、我が国の成功事例の海外展開や製品・サービスの海外プロモーションを推進する。

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