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  • 企業会計審議会第22回内部統制部会(金融庁)/令和4年警察白書(警察庁)/霊感商法等の悪質商法への対策検討会(消費者庁)/令和4年版自殺対策白書(厚労省)/第102回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)

危機管理トピックス

企業会計審議会第22回内部統制部会(金融庁)/令和4年警察白書(警察庁)/霊感商法等の悪質商法への対策検討会(消費者庁)/令和4年版自殺対策白書(厚労省)/第102回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)

2022.10.17
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更新日:2022年10月17日 新着21記事

打ち合わせをする2人の会社員

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたサイバー攻撃について(注意喚起)
  • 企業会計審議会第22回内部統制部会 議事次第
  • 「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第1回)議事次第
  • 金融安定理事会による「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:次の局面に向けた優先取組分野」および「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:2022年統合進捗報告書」の公表について
内閣官房
  • 第1回スタートアップ育成分科会 配付資料
  • 医療DX推進本部(第1回)
消費者庁
  • 連鎖販売業者【日本アムウェイ合同会社】に対する行政処分について
  • 第6回 霊感商法等の悪質商法への対策検討会(2022年10月4日)
国民生活センター
  • 模倣品に関するトラブルにご注意!-令和4年10月から水際取締りが強化されました-
  • フリマサービス 受取評価は商品をよく確認してから
厚生労働省
  • 令和4年版自殺対策白書
  • 自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~
  • 第102回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年10月12日)
  • 第8回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」
  • 健康日本21(第二次)最終評価報告書を公表します
国土交通省
  • 高知県で大規模津波防災総合訓練を実施~南海トラフ地震を想定した、陸海空にわたる大規模な実動訓練~
  • 静岡県駿東郡小山町で発生した貸切バスの事故について事業用自動車事故調査委員会に調査を要請

~NEW~
警察庁 令和4年警察白書
▼概要版
  • 先端技術等の悪用により深刻化する現代社会における脅威と対策
    • 近年の技術革新は、様々な面で国民生活の利便性を向上させている一方、犯罪者やテロリスト等が先端技術等を悪用することにより、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっているほか、新たな手法・形態によるテロ等が発生する懸念も生じさせている。
      1. 深刻化するサイバー空間における脅威と対策
        1. 深刻化するサイバー空間における脅威
          • キャッシュレス決済サービス等が急速に普及しつつある中で、SMS認証の不正な代行注を行い、第三者に不正にアカウントを取得させる事案が発生している。
          • また、ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害の深刻化や手口の悪質化が世界的に問題となっており、国内外を問わず、市民生活にまで重大な影響を及ぼしているほか、近年、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるサイバー攻撃が発生している。
        2. サイバー空間における脅威への対処に係る組織基盤の強化
          • サイバー事案への対処能力の強化を図るため、警察法等を改正し、令和4年(2022年)4月、警察庁にサイバー警察局を新設するとともに、関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を新設した。
          • サイバー警察局では、官民連携、人材育成等の基盤整備、各国との情報交換、サイバー事案の捜査指導、高度な解析への技術支援等を強力に推進している。
          • また、サイバー特別捜査隊は、重大サイバー事案への対処を担う国の捜査機関として、外国捜査機関等との強固な信頼関係を構築し、サイバー攻撃集団により国境を越えて敢行されるサイバー事案等に対処すべく、国際共同捜査に積極的に参画することとしている。
        3. サイバー空間における犯罪インフラ対策の推進
          • ダークウェブや暗号資産等の技術・サービスが犯罪インフラとして悪用されることを防ぐため、警察では、違法行為に対する取締りを推進するとともに、関係機関・団体等と連携して必要な対策を進めている。
      2. 先端技術等を悪用したテロ等の脅威と対策
        • 警察では、先端技術等を悪用したテロ等に関し、未然防止及び事態対処の両面から、従来の手法と新たな手法とを効果的に組み合わせた対策を推進している。
        • 小型無人機等飛行禁止法等を適切に運用するなど、小型無人機を悪用したテロ等の未然防止に努めているほか、NBCテロの発生を未然に防止するため、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律をはじめとする関係法令に基づき、核物質や特定病原体等を取り扱う事業所等に警察職員が定期的に立入検査を行うなどして、事業者が講じる防護措置や盗難防止措置が適正なものとなるよう指導している。
        • また、インターネット上の違法情報・有害情報対策を強化しており、爆発物の製造方法等に関する有害情報の把握に努めるとともに、把握した場合には、サイト管理者等に対する削除依頼を行っているほか、爆発物を製造している、爆発物を製造する目的で化学物質を所持しているなどと認められる事案については、化学物質の押収等の必要な捜査を行っている。
  • 経済安全保障に関する取組
    1. 技術情報等の流出の脅威
      • 近年、国際情勢の複雑化、AI、量子技術等の革新的技術の出現、宇宙・サイバー・電磁波といった安全保障における新たな領域の誕生等により、安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大しつつあるとの認識が広がっていることなどを踏まえ、諸外国において産業基盤強化の支援、機微技術の流出防止、輸出管理強化等の経済安全保障に関連する施策が推進されている。我が国においては、経済構造の自律性の確保、我が国の技術の優位性・不可欠性の獲得及び国際秩序の維持・強化を目標として、政府一体となった取組を進めていくこととしている。この中で、必要な法制度の整備を行うため、経済安全保障推進法が、第208回国会で成立した。
      • 特に、技術情報等の流出防止対策は、経済安全保障上の重要かつ喫緊の課題であり、警察も、この課題に一層積極的に取り組むことが期待されている。
    2. 技術情報等の流出防止に向けた取組
      • 警察では、従前から、安全保障貿易管理の実効性を確保する取組の一環として、大量破壊兵器関連物資等の不正輸出に対する取締りを徹底しているほか、産業スパイ事案やサイバー事案の実態解明・取締りについても強化している。
      • また、捜査等を通じて把握した技術情報等の獲得に向けた外国からの働き掛けの手口やそれに対する有効な対策について、技術情報等を扱う企業や研究機関に情報提供する、いわゆるアウトリーチ活動を強化している。
  • 今後の展望
    • 科学技術が急速に発展し、社会に大きな変革をもたらしている中で、警察は、時代の変化を的確に把握し、新たに生じ、又は変容する脅威に的確に対応できるよう科学技術を最適に利活用していくなど、不断の努力を重ねる必要がある。そのため、今後、次のような課題に重点的に取り組むこととしている。
      1. 警察における科学技術政策の総合的かつ強力な推進
        • 科学技術を警察活動に的確に導入するためには、各種警察活動における技術ニーズを全国的に把握する必要がある。警察庁では、全国的な調査分析を継続的に実施することとしているほか、国内外の企業、学術研究機関、法執行機関等から幅広く、警察活動に導入し得る技術シーズの動向や研究開発状況等に関する情報を継続的に集約するとともに、その結果も踏まえて、都道府県警察の潜在的な技術ニーズを把握し、技術政策の提案、調整等を行うこととしている。また、技術シーズを警察活動に最適なものとして実装していくためには、外部の研究機関等と連携して研究を行うほか、府省横断的な研究開発プログラム、ファンド事業等を効果的かつ戦略的に活用するなど、あらゆる方策を効果的に駆使して開発・導入を進めることが不可欠である。
        • 将来にわたって、国民の安全・安心を守るため、警察には、各種技術の開発・導入を進めることにより、従来の方法では対処が困難又は不可能であった領域にも挑み、高度な警察活動を実現すべく、科学技術政策を総合的かつ強力に推進していくことが求められている。
      2. デジタル社会の安全・安心の確保
        • デジタル化の進展と併せてサイバーセキュリティ確保に向けた取組を同時に推進することが、我が国の極めて重要な課題となっており、そのために警察が中心的な役割を果たすことが求められている。サイバー事案に的確に対処するためには、警察が保有するリソースを最大限に有効活用することが不可欠であり、国内外の多様な主体と手を携え、社会全体でサイバーセキュリティを向上させるための取組を推進する必要がある。
        • 重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げているサイバー空間、さらにはサイバー空間と高度に融合することとなる実空間の安全を確保し、国民が安全・安心に生活できるデジタル社会の実現に貢献するため、警察には、その総力を挙げてサイバー空間における脅威に対処することが求められている。
  • 我が国におけるマネー・ローンダリング対策
    1. マネー・ローンダリング対策の概要
      • マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。警察では、犯罪収益移転防止法の施行を中心に、関係機関・団体等と協力してマネー・ローンダリング対策を推進している。
    2. 警察の取組
      • 警察では、犯罪による収益の移転防止、犯罪組織の弱体化及び壊滅、テロ資金供与の防止等を図ることを目的として、特定事業者の自主的な取組及び国民の理解の促進、犯罪収益に関する情報の分析及び活用、犯罪収益関連犯罪の取締り及び犯罪による収益の剥奪、国際的な連携等を推進している。
▼PDF版
▼組織犯罪対策
  • 暴力団構成員及び準構成員等の推移
    • 暴力団構成員及び準構成員等の過去10年間の推移は、図表4-1のとおりであり、その総数は平成17年(2005年)以降減少し、令和3年(2021年)末には、暴力団対策法が施行された平成4年以降最少となった。この背景としては、近年の暴力団排除活動の進展や暴力団犯罪の取締りに伴う資金獲得活動の困難化等により、暴力団からの構成員の離脱が進んだことなどが考えられる。
    • また、六代目山口組からの分裂組織を含む主要団体等の暴力団構成員及び準構成員等の総数に占める割合は、令和3年末も7割を超えており、寡占状態は継続している。
  • 暴力団の解散・壊滅
    • 令和3年中に解散・壊滅をした暴力団の数は99組織であり、これらに所属していた暴力団構成員の数は328人である。このうち主要団体等の傘下組織の数は76組織(76.8%)であり、これらに所属していた暴力団構成員の数は275人(83.8%)である。
  • 暴力団の指定
    • 令和4年6月1日現在、暴力団対策法の規定に基づき25団体が指定暴力団として指定されている。令和3年中は4団体がそれぞれ指定を受けたほか、池田組が新たに指定を受けた。また、令和4年中は6月までに神戸山口組が3回目の指定を受けた。
  • 検挙状況
    • 暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)の検挙人員は、近年減少傾向にある。暴力団構成員等の総検挙人員のうち、覚醒剤取締法違反、恐喝、賭博及びノミ行為等(以下「伝統的資金獲得犯罪」という。)の検挙人員が占める割合は3割程度で推移しており、特に覚醒剤取締法違反の割合が大きく、依然として覚醒剤が暴力団の有力な資金源となっているといえる。他方、平成3年以降の検挙人員の罪種別割合をみると、図表4-4のとおりであり、恐喝、賭博及びノミ行為等の割合が減少しているのに対し、詐欺の検挙人員が占める割合が増加傾向にあるなど、暴力団が資金獲得活動を変化させている状況もうかがわれる
  • 対立抗争事件等の発生
    • 暴力団は、組織の継承等をめぐって銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、自らの意に沿わない事業者を対象とする、報復・見せしめ目的の襲撃等事件を起こしたりするなど、自己の目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性がみられる。
    • 近年の対立抗争事件、暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件等の発生状況は、図表4-5のとおりである。これらの事件の中には、銃器が使用されたものもあり、市民生活に対する大きな脅威となるものであることから、警察では、重点的な取締りを推進している
  • 資金獲得犯罪
    • 暴力団は、覚醒剤の密売、繁華街における飲食店等からのみかじめ料の徴収、企業や行政機関を対象とした恐喝・強要のほか、強盗、窃盗、各種公的給付制度を悪用した詐欺等、時代の変化に応じて様々な資金獲得犯罪を行っている。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、暴力団が特殊詐欺を有力な資金源の一つとしている実態が認められる。
    • また、暴力団は、実質的にその経営に関与している暴力団関係企業を利用し、又は共生者と結託するなどして、その実態を隠蔽しながら、一般の経済取引を装った貸金業法違反、労働者派遣法違反等の資金獲得犯罪を行っている。
    • 警察では、巧妙化・不透明化をする暴力団の資金獲得活動に関する情報の収集・分析をするとともに、社会経済情勢の変化に応じた暴力団の資金獲得活動の動向にも留意しつつ、暴力団や共生者等に対する取締りを推進している。
  • 地方公共団体における暴力団排除に関する条例の運用
    • 各都道府県は、地方公共団体、住民、事業者等が連携・協力をして暴力団排除に取り組む旨を定め、暴力団排除に関する基本的な施策、青少年に対する暴力団からの悪影響排除のための措置、暴力団の利益になるような行為の禁止等を主な内容とする暴力団排除に関する条例の運用に努めている。
    • 各都道府県では、条例に基づき、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益の供与をしてはならない旨の勧告等を実施している。令和3年中における実施件数は、勧告が45件、中止命令が17件、再発防止命令が3件、検挙が27件となっている。
  • 暴力団員の社会復帰対策の推進
    • 暴力団を壊滅するためには、構成員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要である。警察庁では、平成29年に閣議決定された「再犯防止推進計画」等に基づき、関係機関・団体と連携して、暴力団関係者に対する暴力団からの離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、構成員の離脱・就労、社会復帰等に必要な社会環境及びフォローアップ体制の充実に関する効果的な施策を推進している。
  • 準暴力団等の動向と特徴
    • 暴走族の元構成員等を中心とする集団に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等の事件を起こしている例がみられるほか、特殊詐欺や組織窃盗等の違法な資金獲得活動を活発化させている。こうした集団の中には、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、犯罪組織との密接な関係がうかがわれるものも存在しており、警察では、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付けている。
    • 準暴力団等は、犯罪ごとにメンバーが離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的である点で、明確な組織構造を特徴とする暴力団と異なる。準暴力団等には、暴走族の元構成員や地下格闘技団体の元選手等を中核とするものがみられるほか、暴力団構成員や元暴力団構成員がメンバーとなっている場合もある。
    • 準暴力団等の中には、特殊詐欺や組織窃盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を、更なる違法活動や自らの風俗営業等の事業資金に充てるなど、活発な資金獲得活動を行っていることがうかがわれる集団が数多くみられる。また、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が準暴力団等と共謀して犯罪を行っている事例もあり、このような準暴力団等の中には、暴力団と準暴力団等との結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
  • 警察の取組
    • 警察では、準暴力団等の動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、組織窃盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、準暴力団等に係る事案を把握するなどした場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている。
  • 疑わしい取引の届出
    • 犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出制度により特定事業者がそれぞれの所管行政庁に届け出た情報は、国家公安委員会が集約して整理・分析を行った後、都道府県警察や検察庁をはじめとする捜査機関等に提供され、各捜査機関等において、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に活用されている。
    • 疑わしい取引の届出の年間受理件数は、図表4-21のとおりであり、おおむね増加傾向にある。
  • マネー・ローンダリング事犯の検挙状況
    • マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、図表4-23のとおりであり、令和3年中は632件(前年比32件(5.3%)増加)であった。前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが243件、窃盗に係るものが217件、電子計算機使用詐欺に係るものが42件、ヤミ金融事犯に係るものが25件となっている。
    • 令和3年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは64件と、全体の10.1%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが19件、窃盗に係るものが10件、風営適正化法違反に係るものが8件、ヤミ金融事犯に係るものが6件と、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。
    • また、令和3年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は91件と、全体の14.4%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが37件、窃盗に係るものが28件、入管法違反に係るものが13件と、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、偽名で盗品等を売却したりするなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる
  • 薬物対策 供給の遮断
    • 我が国で乱用されている薬物の大半が海外から流入していることから、警察では、これを水際で阻止するため、税関、海上保安庁等の関係機関との連携を強化するとともに、国際捜査共助等の積極的な実施や国際会議への参加を通じた情報交換等による国際捜査協力を推進している。令和3年中は、国連麻薬委員会(CND)や国連薬物・犯罪事務所(UNODC)が主催する会議等に参加した。
    • また、薬物犯罪組織の壊滅を図るため、通信傍受等の組織犯罪の取締りに有効な捜査手法を積極的に活用し、組織の中枢に迫る捜査を推進している。さらに、薬物犯罪組織に資金面から打撃を与えるため、麻薬特例法の規定に基づき、業として行う密輸・密売等やマネー・ローンダリング事犯の検挙、薬物犯罪収益の没収・追徴等の対策を推進している。
    • このほか、インターネットを利用した薬物密売事犯対策として、サイバーパトロールやインターネット・ホットラインセンター(IHC)からの通報等により薬物密売情報の収集を強化し、密売人の取締りを推進している。
  • 需要の根絶
    • 警察では、薬物乱用者を厳しく取り締まるとともに、広報啓発活動を行い、社会全体から薬物乱用を排除する気運の醸成を図っている。
    • また、薬物事犯で検挙された者やその家族等の希望に応じて、薬物乱用防止のための相談先等を記載した資料を配付するなど、薬物再乱用防止に向けた相談活動の充実を図っている。

~NEW~
首相官邸 観光立国推進閣僚会議
▼第16階配布資料 観光の現状と今後の方向性(観光庁)
  • 2019年まで、訪日外国人旅行者数(約3200万人)と消費額(約4.8兆円)は飛躍的に増加
  • 新型コロナの影響により、2020年以降、大幅な落ち込み
  • ※アジア太平洋地域の航空旅客数の2019年水準への回復は2025年との国際機関(IATA)の予測あり
  • コロナ禍を経て、旅行者の持続可能性への関心や、自然・アクティビティに対する需要が高まっている
    • 「当面の旅行について、よりサステナブルな旅を心がけたい」:71%
    • 自然・アクティビティに対する需要の高まり
    • 世界のアドベンチャーツーリズム市場規模は、2026年には173兆円まで成長との予測あり⇒ツーリズム産業の成長を牽引
  • 人口減少を迎えている我が国において、国内外からの交流人口を生み出す観光は、成長戦略の柱、地域活性化の切り札として期待されている重要な分野。
    1. 国内交流拡大戦略
      • 全国旅行支援等の国内需要喚起
      • 第2のふるさとづくり(継続した来訪の促進)
      • ワーケーション
    2. インバウンド回復戦略
      • インバウンドV字回復に向けた集中的取組
      • 消費額増加と地方誘客の促進
      • 高付加価値なインバウンドの誘致
    3. 高付加価値で持続可能な観光地域づくり戦略
      • 宿の改修等、観光地・観光産業の再生・高付加価値化
      • 自然、文化の保全と観光の両立等、持続可能な観光地域づくり
      • 地域に根付く観光資源の磨き上げ、観光DX
  • 2025年に向けて、インバウンドのV字回復を図るため、全国津々浦々で観光回復の起爆剤となる取組を集中的に実施。地域の関係者の発意による特別な体験や期間限定の取組等を全世界に発信しつつ、モデルツアーの造成も通じ、誘客の促進につなげる
    • 特別な体験の提供
    • 大自然の魅力を活かした新たな体験の提供
    • イベントをフックとした誘客の促進
  • 宿泊施設のリニューアルや廃屋撤去、DX化など、観光地・観光産業の高付加価値化の取組を推進し、地域の「稼ぐ力」の回復・強化を図る。
  • 「観光立国の復活」に向けた取組の方向性
    • 観光により全国各地で地域活性化を図るとともに、持続可能な形で観光を復活させる
    • 国内旅行の回復を図りつつ、消費額・地方誘客を重視したインバウンドの本格回復を目指す
    • インバウンドのV字回復に向け、円安の効果も生かし、集中的な取組の展開や観光地の再生・高付加価値化等の取組を推進する
    • 世界的な旅行需要の回復が見込まれ、大型イベントも予定される2025年に向けて、
  • 計画的に取組を推進する
    1. 大阪・関西万博2025
      • 20年ぶりの日本開催
      • 想定来場者数2,820万人(うちインバウンド350万人)
    2. 世界陸上2025(東京)
      • 18年ぶりの日本開催
      • 世界中のアスリートが終結
    3. 全国各地
      • ジブリパーク:2022年11月開業
      • 瀬戸内国際芸術祭:2025年
  • 2025年大阪・関西万博へ、「日本の美と心」を発信
    1. 最高峰の文化の祭典
      • 伝統芸能、舞台芸術、音楽、メディア芸術、アートなどから厳選、国内外へ発信
    2. 地域の魅力を総動員
      • 文化×農泊×食×交通×宿×自然×スポーツ×交流×学びetcを磨き上げ「広がり」と「奥行き」を持った真に満足出来る観光、地域のファン作り
    3. 最先端のバーチャル体験
      • アフターコロナを見据えてリアルとバーチャルを融合、メタバース、NFT等の先端技術を活用した、ボーダーレスで新しい鑑賞・体験
    4. 若い力で未来を拓く
      • 未来を生きる若者が参加、障害者芸術・多文化共生の推進若者目線で、未来に持っていきたいものを創造し、鑑賞し、考える
    5. ソフトパワーで日本の心を発信
      • 海外アーティスト、文化施設等と連携して協調・交流の促進。インバウンドを含め、海外の人へ日本の美・心を伝える
  • 官民連携による国立公園の魅力向上とインバウンド促進対策(環境省)
    1. 現状と課題
      • 平成28年度より、「国立公園満喫プロジェクト」を開始。
      • 「National Parks of Japan」として、世界からのデスティネーションとなるためには、利用拠点のさらなる魅力向上と日本の傑出した自然景観のプロモーションが必要。
      • コロナ禍からの、訪日外国人利用者及び国内利用者の復活・増加
    2. 新たな展開の方向性
      • キーコンセプト「保護と利用の好循環」「官民連携」「高付加価値化」
      • 民間提案による国立公園利用拠点の面的な魅力向上
    3. 民間提案による国立公園利用拠点の面的な魅力向上
      • 有識者会議におけるスキーム等の検討
      • サウンディング調査による実現可能性確認
      • 面的再生をパッケージで提案
      • 民間提案⇒マスタープラン作成(環境省・地域・民間)
      • 公園計画等へ反映(公募による初の試み)
      • 民間の発想を生かした国立公園の拠点の磨き上げ、官民による集中的な取り組み実施

~NEW~
内閣府 生物多様性に関する世論調査(令和4年7月調査)
▼報告書概略版
  • あなたは、自然について、どの程度関心がありますか
    • 関心がある(小計)75.3% 非常に関心がある18.2% ある程度関心がある57.1%
    • 関心がない(小計)23.4% あまり関心がない19.8% まったく関心がない3.6%
  • あなたは、私たちの生活にとって、どのような自然の働きが重要だと考えますか。
    • CO2や大気汚染物質の吸収などの大気や気候を調整する働き 66.9%
    • 水資源の供給・水質浄化の働き 60.8%
    • 動物・植物など生物の生息・生育地としての働き 47.3%
  • 地球上には何百万種類もの生物が存在し、これらの生物が、例えば食べる・食べられるなど、お互いを利用し、支えあうといった繋がりの中で生きていることを「生物多様性」と呼びます。あなたは、この「生物多様性」の言葉の意味を知っていましたか。
    • 言葉の意味を知っていた 29.4%
    • 意味は知らないが、言葉は聞いたことがあった 43.2%
    • 聞いたこともなかった 26.5%
  • 生物多様性は、食料や木材、薬など、私たちの生活に欠かすことのできない様々な恵みをもたらしていますが、今、人間の活動などの影響によって危機に直面しています。あなたは、生物多様性の危機を招く要因について、どのようなことに関心がありますか。
    • 地球温暖化・気候変動による生物の生息・生育地の減少や消失 73.2%
    • 開発による野生生物の生息・生育地の破壊 60.8%
    • その土地に生息・生育していた生物が、本来その土地にいなかったが人間の活動によって持ち込まれた生物に食べられたり、生息・生育地を奪われたりすることにより減少すること 49.1%
    • 野外に放出された化学物質や廃棄物などによる野生生物への悪影響 45.8%
    • 里山など、人との関わりによって成り立っていた身近な自然の放棄による荒廃 41.7%
    • 行き過ぎた捕獲や採取による野生生物の減少 41.6%
  • あなたは、生物多様性の保全に貢献する行動として、次にあげる行動の中で既に取り組んでいることはありますか。
    • 生産や流通で使用するエネルギーを抑えるため、地元で採れた旬の食材を味わう 33.7%
    • エコラベルなどが付いた環境に優しい商品を選んで買う 26.8%
    • 取り組みたい行動はあるが、行動に移せてはいない 33.7%
  • あなたの、生物多様性の保全に貢献する行動を制限することは何ですか。生物多様性の保全に貢献する行動に取り組んでいる場合でも、行動の支障になると感じていることを、お答えください。
    • 体力や時間がないこと 51.2%
    • 何をしたらよいのか、よくわからないこと 50.7%
    • 費用がかかること 26.3%
  • 2021年6月に日本も参加した主要7か国首脳会議で、生物多様性の損失を食い止め、2030年までに世界の陸と海の30%を保全・保護することが約束されました。自然や生物を守るために、あなたはどのような取り組みで貢献したいと思いますか。
    • 保全・保護活動を実施しているエリアで収穫された農作物などを購入したい 48.0%
    • 保全・保護に熱心な企業の製品やサービスを積極的に購入・利用したい 47.2%
    • ふるさと納税で貢献したい 20.7%
    • 特に貢献したいと思わない 12.3%

~NEW~
経済産業省 第10回ロボット大賞が決定しました!~今後の活躍が期待されるロボット等を表彰・展示します~
  • 経済産業省と一般社団法人日本機械工業連合会は、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省との共催により「第10回ロボット大賞」を実施し、この度、各賞の受賞ロボット等が決定しました。
  • 10月19日(水曜日)、「Japan Robot Week 2022」(主催:一般社団法人日本ロボット工業会、株式会社日刊工業新聞社)の会場内において、表彰式と受賞ロボット等の展示を行います。
    1. 概要
      • 「ロボット大賞」は、我が国のロボット技術の発展や社会実装を促進することを目的として、ロボットの先進的な活用や研究開発、人材育成といった様々な分野において、優れた取組を実施した企業等を表彰する制度です。
      • 2006年度に第1回を開催し、2008年度からは隔年での開催を続け、今回が10回目の開催となります。
    2. 第10回ロボット大賞の審査結果
      • 本年4月11日から6月3日までの募集期間に寄せられた全112件の応募の中から、第10回ロボット大賞審査特別委員会(委員長:川村貞夫 立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 機構長代理 特別招聘研究教授)等の審査により、「別紙」のとおり各賞の表彰対象を決定しました。
      • このうち経済産業大臣賞は、オムロン株式会社の「モバイルロボットLD/HDシリーズ」に決定しました
      • 名称 モバイルロボットLD/HDシリーズ
      • 受賞者 オムロン株式会社
      • 概要
        • 人や障害物を回避しながら走行し続けられる安全性を確保した自動運転機能を持ち、運行管理ソフトウェアにより最大100台までの一括管理が可能。工場レイアウトのCADデータ作成などを必要とせず、導入ルートを走ることで周囲環境をスキャンし、走行用のマップが自動生成される。また、ロボットに不慣れなユーザーでも簡単に搬送を指示できる使いやすさも備える。搬送・配達・周回といった単純作業をモバイルロボットが担うことで、人はより付加価値の高い作業に専念できる。
      • 評価のポイント
        • 多数のAMR(Autonomous Mobile Robot, 自律走行搬送ロボット)プラットフォームとして完成度が高い。個々の技術(SLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術)、障害物回避など)を組み合わせ、実用的なシステムを実現している。すでに40か国3,000台を超える実績もあり、生産現場の生産性向上にも大きく貢献している。SIerとの連携により、今後様々な分野への適用が期待できる搬送プラットフォーム。

~NEW~
金融庁 北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたサイバー攻撃について(注意喚起)
  • 北朝鮮当局の下部組織とされる、ラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループについては、国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネルが本年10月7日に公表した安全保障理事会決議に基づく対北朝鮮措置に関する中間報告書が、ラザルスと呼称されるものを含む北朝鮮のサイバー攻撃グループが、引き続き暗号資産関連企業及び取引所等を標的にしていると指摘しているところです。また、米国では本年4月18日、連邦捜査局(FBI)、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)及び財務省の連名で、ラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループの手口や対応策等の公表を行うなど、これまでに累次の注意喚起が行われている状況にあります。同様の攻撃が我が国の暗号資産交換業者に対してもなされており、数年来、我が国の関係事業者もこのサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃の標的となっていることが強く推察される状況にあります。
  • このサイバー攻撃グループは、
    • 標的企業の幹部を装ったフィッシング・メールを従業員に送る
    • 虚偽のアカウントを用いたSNSを通じて、取引を装って標的企業の従業員に接近する
      などにより、マルウェアをダウンロードさせ、そのマルウェアを足がかりにして被害者のネットワークへアクセスする、いわゆるソーシャルエンジニアリングを手口として使うことが確認されています。その他様々な手段を利用して標的に関連するコンピュータネットワークを侵害し、暗号資産の不正な窃取に関与してきているとされ、今後もこのような暗号資産の窃取を目的としたサイバー攻撃を継続するものと考えられます。
  • また、最近では分散型取引所による取引など暗号資産の取引も多様化しており、秘密鍵をネットワークから切り離して管理するなど、事業者だけでなく個人のセキュリティ対策の強化も重要となっています。
  • 暗号資産取引に関わる個人・事業者におかれましては、暗号資産を標的とした組織的なサイバー攻撃が実施されていることに関して認識を高く持っていただくとともに、以下に示すリスク低減のための対処例を参考に適切にセキュリティ対策を講じていただくようお願いいたします。あわせて、不審な動き等を検知した際には、速やかに所管省庁、警察、セキュリティ関係機関等に情報提供いただきますよう重ねてお願いいたします。
  • リスク低減のための対処例
    • 前述のサイバー攻撃グループは、多様な手法、手口を駆使しているとされるところ、次のような対策の実施を推奨します。
      1. この種のサイバー攻撃に対する優先度の高い対策
        1. ソーシャルエンジニアリングに関する意識の向上、ユーザ教育の実施
          • ソーシャルエンジニアリングの手法・技術について理解し、常に注意を払う。例えば、電子メールを介したマルウェア感染のリスクを低減するため、電子メールの添付ファイル又はハイパーリンクを不用意に開封又はクリックしない。企業・組織等においては、職員のトレーニングの実施を検討する。
          • 例:SNSのプロフィールに違和感や偽りがないか。
        2. ファイルをダウンロードする際の配信元の確認
          • 外部からファイルをダウンロードする際には、配信元が信頼できるソースであることを常に確認する。特に暗号資産関連のアプリケーションは真正性が確認できる配信元以外からダウンロードしない。
          • 例:配信元のWebサイトは別サイトを模したものや、登録後間もないドメインではないか。社内資料のやり取りに社外のURLを使用していないか。
        3. 秘密鍵のオフライン環境での保管
          • 暗号資産への不正アクセスを防止するため、秘密鍵をインターネットから切り離されたハードウェアウォレット等のデバイス上などで保管する。
      2. この種のサイバー攻撃に対して効果的な対策
        1. 電子メールに関する対策の実装
          • システム管理者等においては、電子メールの添付ファイルやハイパーリンクのスキャンを行う。
        2. ドメインとの通信に関する対策の実装
          • レピュテーションの低いドメインや登録後間もないドメインとの通信について確認や制限を行う。
        3. アプリケーションセキュリティの強化
          • マルウェア感染のリスクを低減するため、システム管理者等は、アプリケーション許可リストを用いて、許可されていないプログラムの実行を禁止する。また、Officeファイルのマクロ機能については、必要がなければ無効にする。
      3. 多様な手法、手口に備えたその他の一般的な対策
        1. セキュリティパッチ管理の適切な実施
          • ソフトウェアや機器の脆弱性に対して、迅速にセキュリティパッチを適用する。パッチ適用を可能な限り迅速化し、適用漏れをなくすため、脆弱性管理やパッチ管理を行うプログラムの導入を検討する。
        2. 端末の保護(いわゆるエンドポイント・プロテクション等)
          • 端末(PC、タブレット端末、スマートフォン等)のセキュリティ機能の活用や、セキュリティ対策ソフトの導入を行う。
        3. ソフトウェア等の適切な管理・運用、ネットワーク・セグメンテーション
          • ソフトウェア及び機器のリストを管理し、不要と判断するものは排除する。また役割等に基づいてネットワークを分割する。
        4. 本人認証の強化、多要素認証の実装
          • パスワードスプレー攻撃やブルートフォース攻撃によって認証が破られるリスクを低減するために、パスワードは十分に長く複雑なものを設定する。また、複数の機器やサービスで使い回さない。
          • システム管理者等においては、多要素認証を導入し本人認証をより強化する。また、不正アクセスを早期に検知できるようにするために、ログイン試行を監視する。
        5. アカウント等の権限の適切な管理・運用
          • アカウントやサービスの権限はそのアカウント等を必要とする業務担当者にのみ付与する。特権アカウント等の管理・運用には特に留意する。
        6. 侵害の継続的な監視
          • ネットワーク内で不審な活動が行われていないか継続的に監視を行う。たとえば、業務担当者以外がシステムやネットワークの構成に関する資料へアクセスするといった通常の行動から外れた活動や、外部の様々な脅威情報と一致するような不審な活動の監視を行う。
        7. インシデント対応計画、システム復旧計画の作成等
          • インシデント発生時に迅速な対応をとれるように、インシデント対応の手順や関係各所との連絡方法等を記した対応計画を予め作成し、随時見直しや演習を行う。また包括的な事業継続計画の一部としてシステム復旧計画の作成等を行う。
        8. フィッシングサイトへの注意
          • 暗号資産取引所等を装ったフィッシングサイトに注意を払う。企業・組織等において自社を装ったフィッシングサイトを把握した場合は、利用者等への注意喚起を行う。

~NEW~
金融庁 企業会計審議会第22回内部統制部会 議事次第
▼資料1 事務局資料(内部統制報告制度について)
  • 内部統制に関するフレームワークについて、経済社会の急激な構造変化や各種業務・リスクの複雑化に伴う内部統制上の課題に対処するため、国際的には、ERM(全社的リスク管理)、三線管理、リスクアペタイト・フレームワークやガバナンスとの連携を強調した改訂が行われている。一方、我が国では、これらについて、コーポレートガバナンス・コード等において考慮されているものの、内部統制報告制度に関する基準等には未だ反映されていない。
  • 内部統制報告制度導入の背景・経緯(2006年)
    • ディスクロージャーをめぐる不適切事例→財務報告に係る企業の内部統制が有効に機能していなかったのではないかとの懸念
  • 内部統制の整備の必要性
    • 米国では、2002年、企業改革法(サーベンス・オクスリー法)により、財務報告に係る内部統制について、経営者による評価と公認会計士による監査を義務付け
    • 我が国では、2004年3月期から(有価証券報告書等の適正性に係る)経営者確認制度を任意で導入
      1. 金融商品取引法(2006年6月7日成立):2008年4月1日以後開始する事業年度から適用
        • 上場会社等を対象に財務報告に係る内部統制の「評価」と「監査」を義務付け(内部統制報告制度)
        • 併せて、有価証券報告書等の適正性について、経営者の確認を義務付け(確認書制度)
      2. 企業会計審議会「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(以下、「内部統制基準・実施基準」)の設定について」(2007年2月15日)」
      3. 政令・内閣府令の公布(2007年8月)、事務ガイドライン・Q&Aの公表(2007年10月)
      4. 日本公認会計士協会 内部統制監査の実務指針の公表(2007年10月)
  • 内部統制に「開示すべき重要な不備」が存在すると開示したケースは、引き続き一定数がみられる。内部統制に「開示すべき重要な不備」が存在すると開示したケースのうち、事後的に内部統制報告書を訂正して開示したケースが大きな割合を占める年度が見受けられる。
  • 近年において内部統制が有効でなかった事例の原因としては、コンプライアンス意識の欠如、モニタリング体制の不備、牽制機能の無効化、子会社等の管理体制の不備等がみられる。
  • 内部統制報告書(訂正内部統制報告書を含む)に記載された、内部統制の評価結果に「開示すべき重要な不備」があり、「財務報告に係る内部統制は有効でない」とした者の不備の原因(複数項目該当者有)
  • 提出会社における開示すべき重要な不備の主な原因
    1. コンプライアンス意識の欠如 19件
    2. 内部監査等のモニタリングの体制不備又は不十分な実施 15件
    3. 役員への権限集中等による牽制機能の無効化 15件
    4. 子会社等管理体制の不備 13件
    5. その他上記以外の不備の原因 30件
  • 子会社における開示すべき重要な不備の主な原因者数
    1. コンプライアンス意識の欠如 8件
    2. 役員への権限集中等による牽制機能の無効化 5件
    3. 内部監査等のモニタリングの体制不備又は不十分な実施 3件
    4. その他上記以外の不備の原因 8件
  • 内部統制に起因する会計不正事例は、近年も発生している。
    • A社:コンプライアンス意識の欠如・内部統制の無効化
      • 誠実な業務遂行に努める姿勢が欠けていたことや、取締役の業務執行に対して適切な監督を行っていなかったことなどから、新事業に係る事実と異なる開示を行った。
      • 上記行為のほか、監査人に対して虚偽の資料提出を行ったことなどもあり、法定開示書類を期限内に提出できなかった。
    • B社:コンプライアンス意識の欠如・内部統制の無効化
      • 元代表取締役主導の下、過剰ノルマ達成のために、売上の前倒しや架空計上を行った。その後、外部からの指摘により不適切な会計処理が明るみとなり、法定開示書類を期限内に提出できなかった。
    • C社:海外子会社における管理体制の不備
      • 海外子会社における加工品の架空取引が判明。特別調査委員会の調査結果によれば、子会社管理を属人的な対応として組織的な対応を行っていなかったことなどが要因。当該調査においては、調査対象となる海外子会社が調査に非協力的であったことから、調査が複数回にわたって行われるなど、調査完了までに時間を要し、法定開示書類を期限内に提出できなかった。
  • 内部統制を巡る環境変化と新たな課題
  • 制度導入以来十数年が経過し、これまで企業の経営管理・ガバナンスの向上に一定の効果はあったものの、近年、実効性に懸念があるとの指摘がある。
  • また、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論も進展している。
  • これらを踏まえて、有識者等から様々な提言がなされている。会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)や今事務年度の金融行政方針においては、内部統制の整備・運用状況について分析を行った上で、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論の進展も踏まえながら、内部統制の実効性向上に向けた議論を進めるべき、とされている。
  • 内部統制基準・実施基準等の見直しに係る論点整理
    1. 経営者による内部統制の構築・評価
      1. 基本的枠組み
        • 内部統制基準・実施基準等の中で、「コーポレート・ガバナンス/リスクマネジメント/内部統制」の関係に係る記述を明確化
        • ITの利用及び統制の在り方につき再検討
        • 経営者による内部統制の無効化に対応した内部統制基準・実施基準等を見直し
      2. 評価範囲
        • 重要な虚偽表示の発生可能性とその程度を勘案し、リスクベースで範囲及び対象を決定することを強調
        • 評価範囲の選定基準の定量的な例示を見直し
    2. 監査人による内部統制監査
      1. 経営者と監査人との議論の促進・透明性向上
        • 経営者によるリスクベースの内部統制評価を促していく観点から、例えば、経営者と監査人間の内部統制評価に関する議論について促進し、内部統制報告書の中で明らかにするなど、内部統制監査の実務で見直すべき点はないか検討
    3. 内部統制報告書の訂正時の対応
      1. 内部統制報告書を訂正する際の情報開示の充実
        • 内部統制報告書における内部統制評価は経営者によって適切に実施されたものであり、安易な変更は想定されていないことを踏まえ、訂正内部統制報告書で評価結果が変更される場合には、背景・理由の明記など、企業に説明責任を求めることを検討
  • コーポレートガバナンス・コードの改訂(2021年)の概要
    1. 取締役会の機能発揮
      • プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討を慫慂)
      • 経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表
      • 他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任
      • 指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任を基本とする)
    2. 企業の中核人材の多様性の確保
      • 管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定
      • 多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表
    3. サステナビリティを巡る課題への取組み
      • サステナビリティについて基本的な方針の策定
      • サステナビリティについての取組みの開示(特にプライム市場上場企業において、TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実)
    4. 上記以外の主な課題
      • [グループガバナンスの在り方]プライム市場に上場する「子会社」において、独立社外取締役を過半数選任又は利益相反管理のための委員会の設置
      • [監査に対する信頼性の確保/内部統制・リスク管理]グループ全体を含めた適切な内部統制や全社的リスク管理体制の構築やその運用状況の監督
      • [株主総会関係]プライム市場上場企業において、議決権電子行使プラットフォーム利用と英文開示の促進
      • [事業ポートフォリオの検討]取締役会で決定された事業ポートフォリオに関する基本的な方針や見直しの状況の説明
  • 評価範囲の選定基準
    • 経営者によるリスクベースの評価がなされておらず、経営者の評価範囲外で「開示すべき重要な不備」が検出される企業が一定程度みられる。例えば、開示すべき重要な不備が認識された直近数年の訂正内部統制報告書のうち、当該不備が経営者による評価範囲外から認識されたものは2~3割程度みられた(数字は大手監査法人へのヒアリングをもとに金融庁にて作成)。
    • その原因の一つとして、評価範囲について、企業が選定基準の定量的な例示に偏重して評価範囲を決定し、リスクの高い対象を含めることができていないといった指摘がみられる。
  • 内部統制に関する監査のあり方
    • 経営者が実施した内部統制の評価結果に対して監査人が意見を出す現行の枠組みについては、経営者が内部統制を整備・運用する役割と責任があることを明確にした上で、同一の監査人が財務諸表監査と内部統制監査を一体として効率よく実施することが可能であり、一定程度機能している。
    • 一方で、経営者によるリスクベースの内部統制評価を促していく観点から、例えば、経営者と監査人の早期の緊密な協議を促すことや、内部統制報告書の中で、監査人が評価対象とすべきであると判断する領域が経営者の内部統制の評価にどのように反映されたのかを明らかにするなど、経営者と監査人との議論の促進・透明性の向上を図ることが考えられる。
    • 現行の訂正内部統制報告書は、記載が形式化されており、不正内容の把握に必要な情報が不十分。
  • ご議論いただきたい事項
    1. 内部統制の基本的枠組み
      • 社会構造の変化等に伴う内部統制上の課題に対処するため、基本的枠組みについて見直しを行うことについてどう考えるか。例えば、内部統制基準・実施基準等の中で、内部統制とERM(全社的リスク管理)やガバナンスとの連携に関する記述を明確化すべきか。その他、COSO2013、コーポレートガバナンス・コード、ERMの議論等で考慮すべき事項はないか。また、ITの利用及び統制の在り方について、内部統制基準・実施基準等に織り込むべき論点はあるか。
      • 経営者による内部統制の無効化について、内部統制基準・実施基準等に織り込むべき論点はあるか。
    2. 経営者による内部統制の評価範囲
      • 内部統制の評価範囲に関して、画一的な運用がなされている点が指摘されているが、経営者に内部統制のよりリスクに応じた評価範囲の決定を促すために、内部統制基準・実施基準等を見直すことについて、どう考えるか。
    3. 監査人による内部統制監査
      • 経営者によるリスクベースの内部統制評価を促していく観点から、例えば、経営者と監査人の早期の緊密な協議を促すことや、内部統制報告書の中で経営者と監査人間の内部統制評価に関する議論を明らかにするなど、経営者と監査人との議論の促進・透明性の向上を図ることについてどう考えるか。
    4. 内部統制報告書の訂正時の対応
      • 訂正内部統制報告書の中で、当初「有効」とした内部統制を「有効でない」と訂正した際の判断事由を開示させることについて、どう考えるか。
    5. その他
      • 上記のほか、内部統制基準・実施基準等を見直すにあたり、検討すべき点はないか。

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金融庁 「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第1回)議事次第
▼資料1 事務局資料
  • 金融庁の検査・監督基本方針(2018年6月29日公表)を踏まえ、分野別の考え方と進め方として、金融機関の気候変動への対応についての金融庁の基本的な考え方(ガイダンス)を整理し、2022年7月12日に公表。
  • 本ガイダンスでは、顧客企業の気候変動対応の支援や気候関連リスクの管理に関する金融庁と金融機関との対話の着眼点や金融機関による顧客企業の気候変動対応の支援の進め方などを示している。
  • 各金融機関におけるよりよい実務の構築に向けた金融庁と金融機関の対話の材料であり、金融機関に対し一律の対応を義務付ける性質のものではない。
  • ガイダンスでは、金融機関の参考となるよう顧客企業の気候変動対応支援の具体的な進め方を盛り込んでいる。
    1. 成長資金の提供
      • 気候変動に対応する新たな技術や産業育成につながる成長資金のファンド等を通じた供給 等
      • 脱炭素化等の事業変革に向けた取組みを促す資金の提供(グリーンローン、トランジション・ローン等も活用)、実行後のモニタリング等による伴走支援
    2. アドバイスの提供
      • 顧客企業が脱炭素化に取り組む第一歩としての「温室効果ガス排出量」の「見える化」の支援や、これを通じた削減策の実行支援
      • 顧客企業の持つ技術を新たな製品やサービスの創出に結び付けるための顧客間のマッチング 等
    3. 自身の知見の蓄積
      • 金融機関として、技術開発や製品化等の経験を有する専門家の採用等を通じて産業知見を高め、投融資や支援に活用 等
      • 地域の産業構造と影響度を分析し、優先して支援を行う業種等を特定、人材面を含む支援策に活用
    4. 産学官金の連携
      • 他の金融機関や地元自治体、研究機関と連携し、地域事業者の事業展開等を面的に支援
      • 地域の中核メーカーの対応も踏まえて、関連サプライヤー企業に戦略検討、技術開発等を支援
  • ガイダンスでは、同一地域内に広く関連する産業・企業等が所在する場合には、関連企業や団体、金融機関、公的機関等の関係者が連携しながら、企業等が抱える共通の課題について俯瞰的に検討し、企業群全体に面的な支援を図っていくことが重要である旨を指摘している。
  • 東海地方では、東海財務局と中部経済産業局が連携して、金融・産業両面からサプライヤー企業への支援を進めるとし、以下のような情報共有の枠組みの構築や、地域の支援拠点を核としたサプライヤー企業の課題抽出、戦略策定など専門人材を活用した伴走型支援の体制整備を図っている。
  • 中小企業の多くは、カーボンニュートラルの進展が経営に与える影響を認識しているが、カーボンニュートラルの影響への方策の検討状況を見ると、約8割の企業が実施・検討を「していない」とし、情報面・知識面・人材面での課題等が挙げられている。
  • 具体的な脱炭素等の対応のあり方については、地域金融機関でも悩みを抱える先が多いとの指摘があり、脱炭素に係る取組の意義と現状、業種や規模を踏まえた対応のあり方、これに応じた支援策等の総合的な情報提供・浸透が求められる。
  • 2021年4月、金融機関や投資家等による業態別のネットゼロを目指すイニシアティブを統合するGlasgow Finance Alliance for Net Zero (GFANZ)が発足。傘下となるイニシアティブへの参加にあたっては、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が実施する「Race to Zero」キャンペーンにも準じたコミットメント(例えば、2050年までに投融資先に係る温室効果ガス(GHG)排出をネットゼロにすること、このための2030年までの中間目標を設定すること等)が求められている。
  • 2022年6月15日、GFANZは、ネットゼロに向けた金融機関の移行に関する5つの文書を公表(その後一部更新)。特に、「ネットゼロに向けた金融機関の移行計画に関する提言とガイダンス」は、金融機関の信頼性ある移行計画について、10の要素からなるフレームワークを提示し、ネットゼロに向けたコミットメントと整合的な目標設定、商品開発、エンゲージメント等の実施を提言している(11月のCOP27前に最終化予定)。
  • ご議論いただきたい点(まとめ)
    • P1で「共有・議論すべき論点の一例」として3点あげているが、これら以外に金融機関の脱炭素の取組みを推進する上で必要な論点はあるか。
    • GFANZ等の取組みは民間主体の任意の取組みではあるが、1.5℃目標と科学的に整合した目標設定やファイナンスドエミッションの測定など市場でのスタンダード化の動きも見られ、投資家の目線も高まっている。このようなスタンダードを国内に適用する際の課題についてどのようなことが考えられるか、またこうした課題に対応するために金融庁・政府としてはどのような支援を行うべきか。
    • 地域金融機関においては、産業構造など地域の特性を踏まえて個別の対応を進める必要があるが、企業との対話、自治体や業界団体等地域における関連ステークホルダーとの連携、サプライチェーンや産業単位での対応、またそのための人材を含めたリソースの確保など多くの課題に直面している。こうした中で、地域の金融機関としての対応にどのような留意点があるか、またそのために金融庁・政府としてはどのような支援を行うべきか。
    • 本年7月に公表した「金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方」との関連も含め、本検討会の成果を金融庁として具体的にどのような成果につなげていくべきか。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:次の局面に向けた優先取組分野」および「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:2022年統合進捗報告書」の公表について
▼「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:次の局面に向けた優先取組分野」全文(仮訳)
  • G20首脳がクロスボーダー送金を改善するためのロードマップ1を2020年に承認して以来、必要なストックテイクと分析を通じて、基礎を成す多くの取り組みが達成されてきた。ロードマップは現在転換点に差し掛かっており、送金アレンジメントを改善するための実務的なプロジェクトの実施に移行する必要がある。我々は、今後の重要な取り組みについて、改めてG20の支持を求める。
  • ロードマップの最初の2年間は、プロジェクトの範囲は意図的に包括的であり、クロスボーダー送金で特定された課題の要因に対処するためのあらゆるアプローチやモデルが検討されてきた。ロードマップの19の構成要素(BB)にわたって、幅広い論点、技術、およびアレンジメント(現存するものと将来的なもの)が綿密に検討された。様々なワークストリームが、具体的な提案、ベスト・プラクティス、および最新のガイダンスを通じて進むべき方向を特定し、クロスボーダー送金のための既存のアレンジメントの改善および潜在的な新たなマルチラテラル・プラットフォームなどのアレンジメントの両方を探究してきた2。
  • より安く、より速く、より透明で、よりアクセスしやすいクロスボーダー送金の実現を目指すロードマップの野心を示し、説明責任を果たすため、(殆どの場合2027年までを達成期限とした)定量的な目標の公表は、ロードマップの基本的な要素と位置付けられる3。モメンタムを維持するため、金融安定理事会(FSB)は、重要業績評価指標を用いて、目標の達成に向けた進捗状況に関する年次報告を公表する。
  • ロードマップの目標は、分析や勧告を通じた机上の取り組みのみで達成されるわけではない。基礎となるシステムやアレンジメントの改善、および新たなシステムの開発は、グローバルな協調と継続的な政治的支援を必要とする。また、システムやプロセス、テクノロジーへの投資も必要となる。その成功は、官民による協働とコミットメントに大きく依存する。
  • 本稿では、G20による承認に向けて、FSBのCross-border Payments Coordination Groupによるロードマップを進めるための優先順位付けの計画とステークホルダーの関与確保の枠組みの概要を示している。
  • FSBは、業界関係者との議論なども含め、優先順位付けの計画を踏まえて実施する施策の更なる詳細化を行うため、作業を調整する。FSBは、これらの施策を踏まえてロードマップを更新し、2023年の最初のG20財務大臣・中央銀行総裁会議に提出する。
  • 共同施策を後押しするための手段
    • G20首脳陣によって承認されたロードマップは、目的地を定めている。もっとも、ロードマップそれ自体は、送金をより安く、より速く、より信頼できるものとすることはできない。ロードマップの推進を任務とするFSBとその協力機関は、決済システムを運営しておらず、自らでは、送金をより速く、より安く、またはよりアクセスし易く透明なものとすることはできない。官民のパートナーシップが極めて重要となる。作業を前進させるため、FSBと協力機関は共同施策を後押しするべく、次の手段を用いる。
      • 関連する主体が必要な措置を講じることを促すため、ロードマップと目標と施策に対するハイレベルな政治的な支持を伝達する。
      • 特定された優先取組分野で実施された措置および残存する課題にかかる進捗状況をレビューし、公表する。
      • 主要分野における取り組みを促すために、既存および新たな枠組みを通じて民間セクターと協働する。
      • 関連する規制上の障壁への対処を支援するために、公的セクターにおける関連機関を取り纏める。
      • G20以外の法域における最も差し迫ったクロスボーダー送金の問題への取り組みを支援するために、技術支援を提供し、積極的に手を差し伸べる。
      • 新たな送金のアレンジメントに関する分析的、実験的、および政策的作業を促進し、それらがもたらす技術的改善、直面する課題、および決済のエコシステムにもたらすリスクを評価する。
  • 目標達成のための優先順位付け
    • FSB、BIS決済・市場インフラ委員会(CPMI)、および協力機関は、これまでの分析とステークホルダーからのフィードバックを踏まえて、将来の作業の絞り込みと優先順位付けを開始した。優先順位付けの指針としては、―当該プロジェクトがクロスボーダー送金のために設定された目標の達成にどのように役立つか?―これを検討の中心に置くことで、公的・民間セクターが、2027年の目標期日までに最も大きな影響を与えうる作業に直接リソースを向けることができる。
    • ロードマップの次の局面の方向付けと重点化のために特定された3つの包括的かつ相互に連関するテーマは、
      1. 決済システムの相互運用性と拡大
      2. 法律・規制・監督の枠組み
      3. クロスボーダーのデータ交換と電文標準
  • 決済システムの相互運用性と拡大
    • 当該優先分野の下での作業は、決済システムの相互運用性の改善およびRTGSシステムの稼働時間とアクセスの拡大に注力する。決済システムのインターリンクにかかるアレンジメントは、銀行やその他の決済サービス事業者が、同じ決済システムに参加する必要なく、あるいは仲介者(例えばコルレス銀行)を経由する必要なく取引することを可能とする。このようなアレンジメントは、取引チェーンの短縮や総コストの削減、送金の透明性とスピードの向上につながる。同様に、主要な国内決済システムへのアクセスは、クロスボーダー送金サービスの安全かつ効率的な提供を促進するほか、アクセスの拡大は、決済サービス事業者間のレベル・プレイング・フィールドを確保し、更なる競争と革新を育むことができる。関連して、法域を跨いで主要な決済システムの稼動時間を延長すること、および稼動時間の重複を拡大することは、クロスボーダー送金のスピードの向上、流動性管理の改善、決済リスクの軽減につながりうる。
    • 2027年までの目標の達成に資するこのような既存の決済アレンジメントの改善のための優先的な作業に加え、相互運用性に関する取り組みは、CBDC設計における国際的な側面の勘案を含む、ロードマップの他のBBにおける新たな決済インフラやアレンジメントが将来的に担いうる潜在的な役割の探究といったより長期的な作業にとっても役に立つ。
    • 当該優先分野に関連するBBに含まれるのは、決済システムへの(直接)アクセスの改善(BB10)、主要な決済システムの稼動時間の延長・重複の拡大(BB12)およびクロスボーダー送金のための決済システムのインターリンクの推進(BB13)。
  • 法律・規制・監督の枠組み
    • 当該優先分野の下での作業は、クロスボーダー送金の安全性、セキュリティ、および完全性を維持しつつ、効率的な法律・規制・監督の環境の促進に注力する。一貫性のない、あるいは整合性が取れていない法律・規制・監督の枠組みは、クロスボーダー送金における課題の要因の重大な源泉となりうる。例えば、銀行とノンバンクの間の規制や監督の範囲と適用における実際、または感覚的な差異は、銀行や金融市場インフラが提供する決済サービスへのノンバンクのアクセスを制限する可能性があり、クロスボーダー送金市場における競争を低下させる。ノンバンクに対する規制枠組みは法域間で大きく異なっており、新たな技術がクロスボーダー送金サービスの提供を促進するにつれて、そうした違いが引き起こす摩擦が将来的により重要となる可能性がある。例えば、顧客管理(CDD)の要請を含む法域を跨ぐマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)規制の一貫性のない実装または差異は、クロスボーダー送金のスピードを低下させ、コストを増加させる課題の要因となりうる。
    • 当該優先分野に関連するBBに含まれるのは、規制・監督・オーバーサイト枠組みの調和(BB4)およびAML/CFT規制の統一的・包括的適用(BB5)。
  • クロスボーダーのデータ交換と電文標準
    • 当該優先分野の下での作業は、クロスボーダー送金でのデータ交換の促進や、クロスボーダー送金における標準化された電文フォーマットの利用増加に注力する。データに関する標準とフォーマットは、法域、インフラ、およびメッセージネットワーク間で大きく異なり、データフレームワークも法域間で異なっている。その結果、殆どのクロスボーダー送金のメッセージで含まれるデータは非常に限られ、STPと自動照合の水準低下を招いている。同様に、現在進められているISO20022標準への世界的な移行の中にあっても、標準の一貫性のない実装や利用は、クロスボーダー送金の処理や決済システムのインターリンクの改善による便益を制限する可能性がある。
    • 当該優先分野に関連するBBに含まれるのは、データフレームワークとクロスボーダー送金の間の相互作用の見直し(BB6)、電文フォーマットにおけるISO20022の標準規格の採用(変換・マッピングルールを含む)(BB14)およびデータ交換のためのAPIプロトコルの調和(BB15)。
  • あらゆるレベルでの民間セクターの関与
    • 民間セクターとの関与やパートナーシップの強化は、ロードマップの次の局面において重要な要素となる。過去2年間にわたるロードマップの基礎的な作業の一環として、民間セクターとは、技術的なレベルでの広範な関与が既に行われてきており、それは今後も継続される。これからの民間セクターとの関与は、ロードマップの作業に関する責任の共有、不可欠な投資へのコミットメントの共有、実務的なプロジェクト実行におけるパートナーシップについて、より強い認識を築くため、役員・経営レベルの戦略的関与の強化によって、補完される必要がある。
  • FSBは、ロードマップにおける作業の新しい局面を開始するため、官民のリーダーを集めたハイレベルなクロスボーダー送金サミットを2022年10月に開催する。サミットの目的は、クロスボーダー送金を改善するための作業を前進させるためのより具体的な官民共同のコミットメントの構築にある。
    • サミットに続いて、公的セクターと、シニアマネジャーや技術専門家との定期的な関与を確保することは、進行中のプロジェクトに戦略的視点と主要分野に関する専門性をもたらす。このようなレベルのグループにおける関与は年間を通じて継続的に行われ、クロスボーダー送金のアレンジメントの提供や見直しに関する助言と協力を提供し、実装経験の共有および公的当局と民間セクターの利害関係者間の協調の場として機能する。
  • G20を超える法域の公的当局の関与
    • 現在、多大な課題に直面している地域においてクロスボーダー送金を改善しようとするならば、G20を超える法域のより広範な公的当局の関与も重要となる。より幅広い関与を通じて、私たちは互いから学び合い、異なる地域のシステムの相互運用性を向上させることができる。
    • 公的セクターにおける地域に焦点を当てたアウトリーチは、各地域で最も重大な実装上の課題に対処するための作業をより戦略的に仕立てていくことに役立つ。これにより実装に向けた課題、G20の目標達成を支援する上で最も効果的な施策、様々な施策の実装に必要となりうる法律や規制の見直しに向けた各地域の関連当局の関与について、共通理解が育まれる。加えて、重点的な技術支援は、アウトリーチを後押しし、G20の目標を達成するための重要な要素となる。ロードマップは、技術支援をいくつかのBBの作業の一部として想定しており、各主体が従う技術支援の提供のための確立されたガバナンス・プロセスに則って作業しつつ、その効果を最大化するためには、こうした技術支援は様々な技術支援の提供主体間で協調されるべきである。

~NEW~
内閣官房 第1回スタートアップ育成分科会 配付資料
▼資料3 スタートアップに関する基礎資料集
  • 企業の参入率・退出率の平均(創造的破壊の指標)が高い国ほど、一人当たり経済成長率が高い。
  • 日本の開業率は米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移し、2020年で5.1%。
  • 日本の廃業率は米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移し、2020年で3.3%。
  • 雇用の流動性を示す超過雇用再配置率について、統計的に企業規模による影響をコントロールする(取り除く)と、企業年齢が若いほど雇用流動性が高い。
  • 米国では、開業率で評価すれば起業は減少している。他方で、ベンチャーキャピタルの投資額は増加傾向であり、有望な起業への投資は増加。
  • 起業を望ましい職業選択と考える人の割合は、中国では79%、米国では68%であるのに対し、日本は25%。先進国・主要国の中で最も低い水準にある。
  • 日本で起業家を増やすには、「意識・風土・風潮」(60%)の改善が必要と回答した割合が高い。
  • 国内のスタートアップにおいて、起業の動機は「社会的な課題を解決したい、社会の役に立ちたい」が筆頭。
  • 日本では462万人がフリーランスとして働いていると試算されている(2020年、内閣官房)。営業、講師・インストラクター、建設・現場作業、デザイン・コンテンツ制作、配送・配達など多様な業種でフリーランスとして働かれている実態がある(2021年)。
  • 若い人材の選抜・支援プログラムとして、日本では、IT分野では、優れたアイディア・技術を持つ人材を発掘・育成するプロジェクトとして、IPAの「未踏事業」がある。「未踏事業」からは、これまで300人が起業または事業化を達成。これを政府を挙げて、大規模に推進することは、スタートアップ育成として有意義ではないか。
  • スタートアップを支援する組織として、インキュベーター、アクセラレーターが存在。主としてスタートアップへ施設・設備のみを貸与するインキュベーターは徐々に国内に普及。一方、イノベーションの創出には、単に施設・設備に同居するだけではなく、経験者が「メンター」となって助言を行ってもらうことが不可欠との議論あり。メンターによる助言を含めて提供するサービスがアクセラレーター。メンターによる支援を受ける機会は、日本では未だ制約あり。米国へのインターン派遣も含めて検討することに意義あり。
  • メンター機能を提供するアクセラレーターの支援を受けた企業は、うまく行かない場合、傷が大きくなる前に、廃業する傾向が強い。メンターからの助言で自社のレベルについて把握し、早期に損切りのタイミングを知ることができるため。アクセラレーターの支援を受けた企業は、支援を受けなかった企業と比べて、早期に買収されてエグジットできる傾向が強い。早い段階でプロダクトや創業者自身が有望と判断されるため。これらは、アクセラレーター・メンターは、スタートアップに対して、有益な情報を提供できていることの証左。
  • 対面のミーティングを実施すると、事業者間の特許の引用(イノベーションと知識の波及)が増加。実際、ある企業の従業員が他の企業の従業員と対面のミーティングを行う確率が25%低下すると、事業者間の特許の引用が7.9%低下する。特定のエリアに密に集積し、偶然の出会いが生まれる仕組みを設けることで、イノベーションが起こることを示唆。集積地で若手人材が仕事をすることに意味がある。
  • DMN-Treは、結核を迅速・安価・正確に検出することができる新規の低分子化合物。ベルトッツィ教授と研究室の学生がカリフォルニア大学バークレー校で研究。ただし、バークレー校時代は、アイディアが臨床につながることはなかった。ベルトッツィ教授がスタンフォード大学に移籍をしてから急速に商業化が進展した(2019年にOliLux Bioscienceを設立)。カリフォルニア大学バークレー校もスタンフォード大学も一流の研究大学であるが、スタンフォード大学ならではの起業家精神の育成のカルチャーが成功に大きく作用。
  • スタートアップに対する事業化支援や施設提供、起業家教育を実施している大学の割合は依然として少なく、改善の余地が大きい。
  • 大学発スタートアップは、東京・神奈川・京都・大阪・福岡で件数が特に多いものの、全県で生まれており、地方においてもポテンシャルがある。大学発スタートアップを全国の研究大学で進める「運動」に意義あり。
  • 2021年のベンチャーキャピタル投資額を見ると、日本は依然として投資額・件数ともに小さい。かつ、日本は投資額が1.5倍増加しているのに対して、米国は投資額が2倍となっている。
  • シカゴ大学などの経済学者の研究によると、ベンチャーキャピタルの投資を受けた企業はそうでない企業と比較して、雇用の拡大やイノベーションに積極的。ベンチャーキャピタルは成長企業を有意に評価する能力があり、育てる能力があることが実証的に確認されている。
  • 起業関心層が考える失敗時のリスクとして、77%が「借金や個人保証を抱えること」と回答。創業時に、信用保証付き融資を含め、民間金融機関から借り入れを行う際、47%の経営者は個人保証を付与している。創業時に信用保証を受けている場合は、経営者による個人保証を不要とする議論が必要ではないか。
  • 日本におけるIPO1件あたりの調達額は、米国の3億ドル、欧州の2億ドルと比べて、0.6億ドルと小さい。
  • 米国の調査会社による国際比較によると、ユニコーン企業(時価総額10億ドル超の未公開企業)は、米国633社、中国173社、欧州147社。一方、日本は、プリファードネットワークス(深層学習)、スマートニュース(ニュースアプリ)、スマートHR(人事労務ソフト)、スパイバー(バイオ素材)、リキッド(仮想通貨)、プレイコー(モバイルゲーム開発)の6社に留まる。
  • 米バイオものづくりのスタートアップGinkgo Bioworks(ギンコ・バイオワークス)は、SPAC(特別買収目的会社)を用いて上場。バイオのように、創業初期から多額の資金を必要とする場合、通常の上場の道筋では、資金調達に支障をきたす。このため、SPACは、創業してから短期間のうちに上場による多額の資金調達を要するディープテック分野においては特に有効な手段。我が国においても、SPACについて、導入した場合に必要な制度整備について、国際金融市場の動向を踏まえ、投資家保護に十分に配慮しつつ検討を進める。
  • 旧来の破壊的イノベーションの議論によると、旧来技術を用いてきた企業は新技術を用いて参入した企業に必然的に負けるとの議論であった。最近の実証分析によると、旧来技術を用いてきた企業でも新技術と両方を用いた場合、持続的に存続可能(赤線)であることが分かってきた。
  • ファイザー社は、mRNA(メッセンジャーRNA)の技術を社内に有していなかった。このため、ドイツのスタートアップであるビオンテック社から、mRNAの技術の供与を受けて、共同で開発を行うオープンイノベーションの形態を選択。ファイザー社は、ビオンテック社とのオープンイノベーションに早期に合意したことで、早期のコロナワクチン開発を実現。
  • 既存の事業会社によるオープンイノベーションを推進するには、スタートアップへの投資が重要。日本における事業会社によるスタートアップ企業に対する投資額は、米国、中国、欧州と比べて極めて低い水準。
  • スタートアップを買収することが、スタートアップのエグジット戦略(出口戦略)としても、また既存の大企業のオープンイノベーションの推進策としても重要。スタートアップに対するM&Aの件数についても、日本は欧米に比べて極めて少ない。

~NEW~
内閣官房 医療DX推進本部(第1回)
▼資料3 医療DXの推進について
  • 具体的に推進すべき施策(「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)より抜粋して一部改変)
    1. 「全国医療情報プラットフォームの創設」
      • オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームを創設。
    2. 「電子カルテ情報の標準化等」
      • 医療情報の共有や交換を行うに当たり、情報の質の担保や利便性・正確性の向上の観点から、その形式等を統一。その他、標準型電子カルテの検討や、電子カルテデータを、治療の最適化やAI等の新しい医療技術の開発、創薬のために有効活用することが含まれる。
    3. 「診療報酬改定DX」
      • デジタル人材の有効活用やシステム費用の低減等の観点から、デジタル技術を利活用して、診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化。これにより、医療保険制度全体の運営コスト削減につなげることを目指す。
        • ※医療情報の利活用に係る法制上の措置等を講ずることとしている点についてもフォローアップを行う。
▼資料4 医療DXにより実現される社会(厚生労働大臣提出資料)
  • 誕生から現在までの生涯にわたる保健医療データが自分自身で一元的に把握可能となることにより、個人の健康増進に寄与
    • 自分で記憶していない検査結果情報、アレルギー情報等が可視化され、将来も安全・安心な受療が可能【PHRのさらなる推進】
  • 本人同意の下で、全国の医療機関等が必要な診療情報を共有することにより、切れ目なく質の高い医療の受療が可能【オンライン資格確認等システムの拡充、電子カルテ情報の標準化等、レセプト情報の活用】
    • 災害や次の感染症危機を含め、全国いつどの医療機関等にかかっても、必要な医療情報が共有
  • デジタル化による医療現場における業務の効率化、人材の有効活用【診療報酬改定に関するDXの取組の推進等】
    • 次の感染症危機において、必要な情報を迅速かつ確実に取得できるとともに、医療現場における情報入力等の負担を軽減し、診療報酬改定に関する作業の効率化により、医療従事者のみならず、医療情報システムに関与する人材の有効活用、費用の低減を実現することで、医療保険制度全体の運営コストを削減できる
  • 保健医療データの二次利用による創薬、治験等の医薬産業やヘルスケア産業の振興【医療情報の利活用の環境整備】
    • 産業振興により、結果として国民の健康寿命の延伸に資する
▼資料5 デジタル原則からみた医療DX(デジタル大臣提出資料)
  • 今後の医療DXの基盤となる、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXを進め、感染症有事の対応を含め、医療全体のDXを工程表を策定して、強力に進めていく。
  • 個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する「デジタルファースト」、一度提出した情報は二度提出することを不要とする「ワンスオンリー」、様々な手続・サービスをワンストップで実現する「コネクテッド・ワンストップ」、のデジタル3原則の考え方が重要。
  • 国民、医療機関等の方々がデジタル化のメリットを早く感じていただけるよう、以下の項目の早期実現を目指す。
    1. マイナンバーカード1枚で患者等が様々な医療・福祉サービスを受けることができ、医師等も医療サービス提供に必要な認証ができる
      • 医療機関等で示す様々な証、手帳等については、マイナンバーカードに一元化する。
      • 国民はマイナンバーカード一枚で医療機関等に。自治体、健保組合等も、記録管理事務が効率的に。
        • ※健康保険証、公費制度(生活保護、難病等)の各種受給証、診察券、予防接種の接種券、母子健康手帳、お薬手帳など
    2. 医療・福祉サービスに関する手続きをデジタル化し、1度入力された情報は再度の入力を要しない
      • 医療・福祉サービスに関わる紙の届出はデジタル化する。その際、自治体、保険者、医療機関等の関係システムを連携し、一度入力された情報は、再度入力しない(入力のワンストップ化)。
      • 医療に関わる職員に書類作成の負担を軽減するとともに、その後の共有や管理が効率的に。
        • ※処方箋、感染症法上の届け出、介護保険や生活保護での主治医意見書、生命保険等の診断書、死亡診断書、医療機関間の情報提供書、問診票、予診票、障害年金等の障害等級や労災保険の手当金の判断資料など
    3. マイナンバーカードで自身の健康に関する情報を必要な相手に共有できるようコントロールできる
      • マイナンバーカードで患者の同意を得つつ、医療情報全般にわたって全国の医療機関等で共有を可能とするとともに、国民も、マイナポータル等で閲覧可能に。
      • 診療の質の向上、重複検査・投薬の回避につながるとともに、国民の健康維持・増進にも寄与
        • ※薬剤情報、健診情報、電子カルテ情報、予防接種情報、母子保健情報など
      • 医療情報について、質の高いビックデータとして分析・研究開発で活用し、エビデンスに基づいた医療の質の向上を実現する。
      • 治療の最適化やAI医療等の新技術開発、創薬、新たな医療機器の開発等

~NEW~
消費者庁 連鎖販売業者【日本アムウェイ合同会社】に対する行政処分について
▼連鎖販売業者【日本アムウェイ合同会社】に対する行政処分について
  • 事業概要
    • 日本アムウェイ合同会社(以下「日本アムウェイ」という。)は、各種「ボーナス」と称する利益を収受し得ることをもって、健康食品及び化粧品等を含む家庭用日用品等(以下「本件商品」という。)の販売をあっせんする者(以下「会員」という。)を誘引し、その者と本件商品の購入及び会員登録に係る年会費の支払を伴う本件商品の販売に係る取引を行っている。
    • 当該利益は、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第72号)による改正前の特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「旧法」という。)第33条第1項に規定する特定利益に該当し、本件商品の購入及び会員登録に係る年会費の支払は、同法第33条第1項に規定する特定負担(以下「特定負担」という。)に該当することから、日本アムウェイは、同項に規定する連鎖販売業を行っている。
  • 処分の内容
    1. 取引等停止命令
      • 日本アムウェイは、令和4年10月14日から令和5年4月13日までの間、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第33条第1項に規定する連鎖販売業に係る次の取引等を停止すること。
        1. 日本アムウェイが行う連鎖販売取引(特定商取引法第33条第1項に規定する連鎖販売取引をいう。以下単に「連鎖販売取引」という。)について勧誘を行い、又は特定商取引法第33条の2に規定する勧誘者(以下単に「勧誘者」という。)に勧誘を行わせること。
        2. 日本アムウェイが行う連鎖販売取引についての契約の申込みを受け、又は勧誘者に当該取引に係る契約の申込みを受けさせること。
        3. 日本アムウェイが行う連鎖販売取引についての契約を締結すること。
    2. 指示
      • 日本アムウェイが旧法第33条第1項に規定する連鎖販売取引(以下「旧法に規定する連鎖販売取引」という。)を行うに当たり、同社がその統括する一連の連鎖販売業(同項に規定する連鎖販売業をいう。以下「旧法に規定する連鎖販売業」という。)に係る旧法に規定する連鎖販売取引(以下「本件連鎖販売取引」という。)について勧誘を行わせる者(同法第33条の2に規定する勧誘者をいう。以下「旧法に規定する勧誘者」という。)は、同法第33条の2に規定する氏名等の明示義務に違反する行為(統括者の名称や勧誘目的の不明示)、同法第34条第4項の規定により禁止される勧誘目的を告げずに誘引した者に対して公衆の出入りする場所以外の場所において特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする行為及び同法第38条第1項第3号に掲げる日本アムウェイの統括する一連の旧法に規定する連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすることに該当する行為を、日本アムウェイは、同法第37条第1項に規定する書面の交付義務に違反する行為(不交付)をしている。かかる行為は、旧法の規定に違反し、又は同法に規定する指示対象行為に該当するものであることから、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これらを日本アムウェイの役員、従業員及び会員に、前記(1)の取引等停止命令に係る取引等を再開するまでに周知徹底すること。
  • 処分の根拠となる法令の条項
    • 特定商取引法第38条第1項及び第39条第1項
  • 処分の原因となる事実
    • 日本アムウェイ及び旧法に規定する勧誘者は、以下のとおり、旧法の規定に違反し、又は旧法に規定する指示対象行為に該当する行為をしており、消費者庁は、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
      1. 氏名等の明示義務に違反する行為(統括者の名称及び勧誘目的の不明示)(旧法第33条の2)
        • 旧法に規定する勧誘者は、遅くとも令和3年3月以降、本件連鎖販売取引をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、日本アムウェイの名称や特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていない。
      2. 勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘(旧法第34条第4項)
        • 旧法に規定する勧誘者は、遅くとも令和3年3月以降、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに、電話又は電磁的方法により、特定の場所への来訪を要請する方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該契約の締結について勧誘をしている。
      3. 迷惑勧誘(旧法第38条第1項第3号)
        • 旧法に規定する勧誘者は、令和3年3月、消費者が日本アムウェイの統括する一連の旧法に規定する連鎖販売業に係る連鎖販売契約を締結しない旨の意思を繰り返し明示又は黙示に表示しているにもかかわらず、消費者の意見を否定するような発言をしたり、強い口調で執ように勧誘をしたり、事前に何の説明もないまま一方的かつ不意打ち的に勧誘をしたりするなど、当該連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしていた。
      4. 概要書面の交付義務に違反する行為(旧法第37条第1項)
        • 日本アムウェイは、令和3年3月以降、日本アムウェイの統括する一連の旧法に規定する連鎖販売業に係る本件商品の販売又はそのあっせんを店舗等によらないで行う個人を相手方として本件連鎖販売取引に伴う特定負担についての契約を締結しようするときに、その契約を締結するまでに、日本アムウェイの旧法に規定する連鎖販売業の概要について記載した書面を交付していない

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消費者庁 第6回 霊感商法等の悪質商法への対策検討会(2022年10月4日)
▼【資料1】検討会における主な指摘事項
  1. 旧統一教会への対応等
    • 旧統一教会については、マニュアルや研修により違法な献金要求行為を繰り返していたという考え方もある。本来であれば、既に宗教法人法の質問権で調査をして、解散命令要求の必要性があるのかどうかは判断されているべき。(第3回:菅野委員)
    • この検討会としては、旧統一教会への既存の宗教法人法にのっとった解散命令請求の発動に踏み込むべきだと提言すべき。政府の出番であり、宗教法人法第78条の2の質問権や報告徴収権を使えば、政府は代表役員、責任役員に対してまで報告を求めることができる。(第4回:菅野委員)
    • 日本の旧統一教会に献金させるのではなくて、韓国の旧統一教会に献金させる、直接お金を持っていかせることも脱法行為としてよくやられている。これは二重の脱法行為であり、日本法の適用をさせない。もう一つは、外国為替管理法違反の行為、個々の信者にお金を持っていかせることによって脱法するもの。(第3回:紀藤委員)
    • 多くの被害者は3年前の被害、3年ぐらいほとんど自己破産になるような状態まで献金させられる。それで、本人も悩んで、誰かに相談する。その方が相談してくるので、説得する。旧統一教会の問題をやっていると、いわば被害者から見た旧統一教会というのは3年前の旧統一教会の実相を表している印象である。つまり、現在の被害者は相談に来ない。(第3回:紀藤委員)
    • 2000年に廃止されたが、準禁治産者制度に浪費(者の行為能力の制限)の規定があったことから、旧統一教会関係に関しても、2000年まではその浪費の規定を使って言わば財産の保全をした。個人の人権の観点からそれが廃止されて以降、財産を保全することに非常に困難を伴うことになっている。(第2回:紀藤委員)
    • 旧統一教会を始めとして各種の事件を見ると、社会的に遮断して、目的を告げずに接近してくる。その上で、現実感を変えて、価値観の構造も変えさせて、よいと思っていたことは間違いであり、間違いだと思っていたことをよいものだというように価値を転換させる。そこに持っていくには、抱えている問題を解消させる権威者というのを構築して、そして恐怖感を与えて、やめたら大変なことになるといったようなテクニックというのはほぼ共通している。そういった点を考えると、いわゆる信教の自由を奪うような心理的な作戦が構築されているのだという認識に立たないと、問題の解決にはつながっていかないのではないか。(第4回:西田委員)
  2. 法制度に関する事項
    1. 消費者契約
      1. 総論
        • 2018年改正で入った霊感商法の取消権がこれまで使われた裁判例が見当たらない。霊感商法対策として効果的な法律になっていないということを改善する立法事実かと思う。このためには、狭過ぎる要件を広げ、様々な専門家の方が提起していた無知や脆弱性を殊更に利用するような場合という要件をここに持ち込んでいくことを検討すべき。(第2回:菅野委員)
      2. 取消しの対象範囲
        • 霊感商法(の対策)をやっていると、健康不安は結構ある。その健康不安は第5号であることから、同号は絶対に必要。総論である第3号ではなかなかうまくいかないので、第5号や第6号を切り出したという経過がある。第3号は一種の総論になっていて、この第3号の「社会生活上の経験が乏しいことから」を削除すれば、あとはイロハでくっつければ、霊感商法も健康不安商法も入ってくる。(第2回:紀藤委員)
        • 消費者契約法第4条第3項第6号については非常に長い様々な要件が付されているということで、霊感商法的なものは、いろいろなパターンが考えられ、あまりに細かく要件を設定し過ぎると、かえってそれが範疇から外れてしまうことになってしまって、使い勝手が悪くなっているのではないか。(第2回:芳野委員)
        • 霊感商法等の取消権が使われた裁判例が見当たらないという事実も踏まえれば、つけ込み型の加害要件というのを包括的な救済条項として消費者契約法の取消権の対象にするべき。また、客観的な立証を実現できる方策を考えるべき。(第3回:菅野委員)
        • 消費者契約法の霊感商法の取消権については、立案当時から狭過ぎるという懸念があった。実際、使いにくいという状況が明らかになっているので、やはり包括的な条項として蘇らせる必要がある。正体隠しで人心に入り込み、恐怖を土台とした支配・隷従関係をつくり出し、自由意思を奪うというような消費者契約については取り消せるというふうに変えていく必要がある。(第4回:菅野委員)
        • 消費者契約法の改正の際にもつけ込み型の包括的条項の導入が検討されてきたが、なかなか合意が得られず、議論を重ねる中でだんだん細かい規定になっている。その細かい規定をもう一度細かく変えようという話をしても根本的な救済にはならない。したがって、もう少し大きな視野で細かいものを大きく包み込むような規定の導入を考えた方がよいのではないか。(第3回:宮下委員)
      3. 取消権の行使期間
        • 消費者契約法は取消権について時効があり、2016年の改正により当初の6か月から1年にその期間が延びたが、1年でも短い(注:追認をすることができる時から1年間、契約の締結時から5年間)ということは、従来から議論されている。現行法では限界があるということであれば、取消権の時効期間をもう少し延長するような形で対応しなければいけない。(第3回:宮下委員)
        • 自分が被害を受けていると気づいていない状態の人をどう救うかという論点が大事であり、家族が取り消せるみたいな方向に進むのか、それとも本人のマインドコントロールを解いて、気づいた段階で本人が取り消せるというふうに時効の延長を考えるか。本質的な個人の自由の観点から後者を深めたい。(第5回:菅野委員)
    2. 特定商取引
      • インターネット通販などは今のデジタルインターネット通販にちゃんと対応した法律となっていないのではないか、今の通販の基本はインターネット経由だということを考えると、そこに合わせて変えていく必要がある。(第1回:芳野委員)
    3. いわゆる寄附の位置付け等
      1. 総論
        • 契約の中核は拘束力にあって、献金の中核は双方に拘束力がないという点にあるとすると、拘束力のない献金を拘束力のある契約と見るのは基本的には難しい。かなり特殊な方式のごく一部の献金を契約と捉えてみても、ほとんどは網から抜けてしまうので、契約については契約として今の消費者契約法を改正して網を広げる必要がある。そして、献金については献金として新しく規制の網をかける必要がある。(第3回:菅野委員)
      2. 契約と解することに積極的なもの
        • 献金の中には契約と言いにくいものもあるのではないかと思うが、一方で契約でないとすると単独行為になると思うものの、類型のない単独行為は認められないで、その金銭の移転の法的根拠は何だと見るのかという話にもなってくる。贈与契約と決めつけると、現実に献金する前に献金義務が生じるみたいな問題が生じるけれども、一方で自然債務を生じさせる無名契約と捉えることができるのであれば、幅広く救済できるかもしれない。(第4回:菅野委員)
        • 「1万円以上」というのが果たして金額の明示にならないのかというと、「1万円」と明示したうえで「以上」と書いてあるということは、最低1万円という形である種の金額は明示していると考えられる。その意味では、「1万円以上」と書いてあっても、これは金額を明示したものとして、契約と捉えることができるのではないか。(第3回:宮下委員)
      3. 契約と解することに消極的なもの
        • 献金の性質に関して、これまでいろいろな本を読んでもきちっと書いてあるものがない。そのために、裁判で争われるというのが実際の経過である。(第3回:紀藤委員)
        • 契約という概念で説明し切れないものがあるのではないか。それ以外の場面も全て包括するような形の法律、もちろん民法であれば不法行為という方法があるが、それ以外の方法で、場合によっては特別立法といったものも考える余地があるのではないか。(第4回:宮下委員)
      4. 寄附の要求等に関する規制
        • 公益法人にも寄附要求についてのルールがあるので、宗教法人にも規制があってしかるべき。ただし、こちらは宗教法人特有のマインドコントロールという特性に配慮して、つけこみ型、目的秘匿型、こういう献金については取消による救済ということを本格的に考えるべき。(第3回:菅野委員)
        • 事業者でもある宗教団体に直接的に働きかけるものとして、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の「寄附募集に関する禁止行為」は参考になる。不適切な寄附募集行為を未然に防ぐ方法として、自由な意思決定ができる環境を整えるという意味からも、宗教法人法への導入の検討があってもよいのではないか。(第3回:田浦委員)
        • 長時間の勧誘とか閉鎖した場所での勧誘をした場合には、そもそもそういう形で献金させること自体を禁止するとともに、これを例えば民事上も無効にする、あるいは取消しの対象にするような方法が必要ではないか。
        • 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の第17条で寄附をしない意思を表示した者に対して勧誘または要求を継続し、あるいは粗野もしくは乱暴な言動を交えて迷惑を覚えさせる方法で寄附の勧誘や要求をしたりすることを禁止行為としている。これを宗教法人法に入れるのがいいのか、あるいは特別な立法という形がいいのか、そこは議論の余地があると思うが、こういった禁止行為に加えて、そのようなことをした場合には献金を無効とするのも一つの手である。(第5回:宮下委員)
        • 貸金業法や割賦販売法では、年収をベースにして一定額以上の貸付けをすること、あるいは取引をすることを禁止している。こういったように、年収をベースにして一定金額以上の献金をした場合には、その献金を無効という形にできないか。ただし、難しいのは、(これらの法律では)本人の年収調査の義務を貸金業者とかクレジット会社に課しているところ、それをやると、今度はカルト団体が、自分たちが狙っている相手の年収を把握してしまうことになり、ここは慎重な対応が必要である。一方で、一定額以上の献金をすることに対する直接の規制は、あってしかるべきである。(第5回:宮下委員)
    4. 法人の解散命令等
      • これまで宗教法人法の質問権や解散命令請求権について、所轄庁は自らの権限や職責の範囲を狭く解してきた。実際に法律で質問権とか報告徴収権、条件付の立入権なども認められている中で、このように自らがなすべき権限あるいは責任を小さく考えてきたということは実際にあると思う。(第3回:菅野委員)
      • 税優遇のうまみを前提とした搾取のシステムを壊す必要がある場合には、宗教法人としての法人格を剥奪するということには大きな意味がある。法としては、問題が疑われたときに質問権などで調査をして、その結果に基づいて必要があれば解散請求をかけるというあるべき流れが流れていない。この流れが機能するように、運用の改善並びに法改正の具体的な検討が必要。認証取消しの1年という期間が短過ぎるのではないかという論点もあるし、あるいは解散しないまでも税優遇などを剥奪するというメニューを設けるという検討もあっても良い。(第3回:菅野委員)
      • 宗教法人法等の改正で、正体隠しで人心に入り込み、恐怖を土台とした支配・隷従関係をつくり出し、自由意思を奪うような宗教団体の活動は違法である、禁止である、行政的にも認められないということを明確に書くべきではないか。(第4回:菅野委員)
      • 会社解散命令が消費者庁でも協働してできるのであれば、宗教法人の解散命令でも同じことが言える。悪徳事業者に、会社と宗教法人、両方を悪用する場合があるから、そういう場合は宗教法人法上の解散命令をやりやすくするという手法が必要ではないか。(第3回:紀藤委員)
      • 解散命令をすると不法行為の債権(の存在)を証明しないといけない。そのためには民事の訴訟と同じことをしなければならないということになると、過去の裁判でも数年がかりの解散命令の申立てになっている。解散命令を申し立てること自体に膨大な時間がかかる。同時に、場合によっては、(相手方から)供託をされたら(原告)適格を失う。実務的に言うと、利害関係人、つまり被害者から解散命令の申立てをするというのは著しく困難である。また、国の申立てと当事者の申立ては、両立はするかもしれないが、裁判所的に見ると、立証の問題として原告適格の問題が先にあるから、そこでつまずく。最終的に清算人がつくということは、清算人の報酬という問題があり、3千万円から4千万円程度のお金を清算人に予納金として払わないといけないが、それを被害者から用意することは著しく困難である。(第4回:紀藤委員)
    5. その他
      • 民法上の公序良俗違反による無効については、要件があまり明確ではない部分が逆に使いやすいところであるとも言われている。ただし、使いやすい法理だけれども、要件が明確ではないのでなかなか手を出しにくいという部分もある。そこで、その守備範囲をもう少し拡充していくのも1つの方法と思う。(第3回:宮下委員)
      • 法の適用に関する通則法の第11条に消費者契約の特例が規定されており、消費者の常居所地、要するに消費者が住んでいるところの法律を適用するというルールもある。ただし、消費者契約ということで捉え切れない部分をこの規定だけで解決するのは難しいのではないか。(第3回:宮下委員)
  3. 相談対応に関する事項
    1. 総論
      • 相談窓口を国だけで置くことが本当に正しいのかどうか、民間に委託することも必要である。カルト、セクト側から見たときに、見え方が中立的な窓口も大事である。(第1回:紀藤委員)
      • 相談の内容が教育に反映しないと、予防に勝る被害救済はないので、そこの連関がうまくいっているのかどうかが重要である。(第5回:紀藤委員)
    2. 他の専門機関との連携等
      • 政府として、リストを充実させるだけでなくて、リストに挙がった関係機関を人員あるいは予算ともにバックアップしていくことにもう一歩踏み込まないといけない。(第5回:菅野委員)
      • 霊感商法の場合、当事者が被害に遭っているという認識がないまま契約を重ね、時間が経過してしまう傾向があることから、時間をかけて当事者や家族の支援をする、より専門的な窓口が必要ではないか。(第5回:田浦委員)
      • 相談員の質を上げる、あるいは相談員の知識を広げるということで見ると、所轄庁の範囲を超えた幅広い範囲のことが必要である。また、そこの相談窓口に宗教や心理の専門家や特定の集団の被害者関係者などのいろいろな専門家が参画できる、民間活用ということも大事である。(第5回:紀藤委員)
      • 霊感商法として消費者被害に位置づけられる相談については、(日本弁護士連合会の)判断基準を満たすものは、仮に相手側が宗教団体であったとしても、消費者被害を救済するために毅然と対応する。しかし、全ての相談を消費者被害にくくることは難しい。法的対応で解決するのは難しい側面もあり、個別の問題についてのカウンセリング、子供の問題については子供の専門家によるフォローが必要なこともある。また、消費者問題でない場合は、情報共有や情報集積する場所がなく、対応するにも横の連絡を取る体制もない。そのため、深刻な悩みを抱えた本人や家族にとって相談する場がなく、個人や家族内での悩みや困難を募らせている。この問題に対処できる相談センターを設立し、体制を整えることも必要である。(第5回:芳野委員)
      • お金相談以外の窓口が十分に開いていないので、ほぼ泣き寝入り状態というか、悩んでいるだけでどこにも相談できずに終わっている。それを改善するためには、例えば児童相談所に関しては公認心理師や精神保健福祉士のような専門家を確実に配置して、かつ、彼らに研修ないし教育のプログラムの中に、マインドコントロールとか、批判的思考法といった対処方法を学ばせないとならない。今の公認心理師はそんな知識がないので、相談を受けても対応できないレベルである。質的な向上が求められる。(第5回:西田委員)
    3. PIO-NETの保存期間等
      • PIO-NETの保存期間は10年であるが、特定の団体に関して継続的に相談がある場合にPIO-NETの保存期間をその特定の団体に対して延ばすができないのであれば、それは不十分である。(第5回:紀藤委員)
      • 文書やデータの保存は、基本的には一定期間を過ぎた場合には処分をしていくというのが基本的な立てつけであり、公文書を含め、そうした準則に基本的に沿って個々の文書の種類に応じた保存年限を定めている。長期間にわたって保存することになるとデータ量が増えるので、容量とか処理能力を引き上げる必要があり、それに応じたコストがかかってくる。また、古いデータの形式のものをそのまま使い続けられるようにすることは、システムを変えていくたびに扱いが難しくなると思われる。現在、消費生活相談のDX化を進めており、消費生活相談の情報の取扱いも検討や作業を進めているところである、その中でどのようにしていくのがいいのかというのは検討していきたい。(第5回:山田委員)
      • PIO-NETに載っている情報を基に注意喚起などを行っており、そうした注意喚起が相談現場だけではなくて、その後方にある教育の現場でもあるいは相談員に対する研修の現場でも活用されている。(第5回:山田委員)
  4. 周知啓発・消費者教育に関する事項
    1. 総論
      • 消費者トラブルの未然防止や解決のために、トラブル情報を伝えること、消費生活センターの存在を知っていただくことが課題である。そういう意味では、個別の注意喚起を行うとともに、幅広い世代への消費者教育が重要である。(第1回:田浦委員)
      • トラブルに遭ってしまってからでは被害回復が難しいこともあるので、未然防止が何より大切である。そのためには、トラブル情報の収集先と相談窓口の2つの周知が重要である。国民生活センターのホームページ、消費者庁のホームページは信頼できる情報の収集先である。また、相談窓口としての消費生活センターについては、最近は「消費者ホットライン188(いやや)」経由で相談が入ることも増えており、この番号を設けた意味は大きい。覚えやすい「188」の番号の周知も重要である。(第5回:田浦委員)
      • コロナ感染症の拡大で、この2年半ぐらいは、消費生活センターで行っている出前講座などもできず、少し足踏みの状態の面もあったと思うので、今まで以上に力強く消費者教育を進めていただきたい。(第2回:田浦委員)
    2. 霊感商法に着目したもの
      • 一定の特定の集団が霊感商法を引き起こしているときに、特定の集団の実名を出して説明しなければ、被害の防止に役立たない。(第5回:紀藤委員)
      • 霊感商法というとどちらかというと高齢者の方に向けた対策と捉えられてきた傾向があるが、宗教2世の問題もクローズアップされている。宗教を隠れみのにした搾取の構造は厳然としてあることから、宗教だからといってタブー視せず、こういう社会的現象を高校生も含めて消費者教育の中できちっと伝えて、それをどう避けるか、どう救済できるのか、どこに相談できるのかということを教えることが必要である。(第5回:菅野委員)
      • 非科学的なものに対する思考は、文化的にも定着しているせいか、一定層の人がすぐにそういうのを信じてしまう。そういうことから、消費者教育はうまくいっているととても思えない現実である。一般人は法を知らないこと、教育現場との連携が不十分であること、そもそも教育の中身そのものが霊感商法等対策に合わせて十分ではないことの3点が課題である。(第5回:西田委員)
  5. その他
    • 内心における信仰の自由は絶対的、無制限な自由ではあるけれども、それが対外的な宗教活動や宗教的結社の自由となると、社会的な存在としての公共の福祉の下、一定の制約を受ける。また、日本国憲法の下では、まず個人の自由が優先し、それを前提にして宗教活動の自由が構築されており、これが逆になるのは本末転倒。すなわち宗教団体の持つ信教の自由はどうあるべきかという問題は、個人の自由の優越性を念頭に置いて議論されなければならない。(第5回:芳野委員)
    • マインドコントロール対応に関しては、過激な行動をやめさせるということと思考そのものの間違いを正していくという2段階がある。そもそも2段階目までやると、内心の自由の問題に触れてくる可能性があり、抵抗する方も多いのではないか。しかし、問題は第1段階の脱過激化、具体的には児童虐待をするとか多額の献金をするという、過激な部分をコントロールしてもらうことが大事である。(第5回:西田委員)
    • (この検討会の射程は)大きく二つかと思う。一つが、霊感であれ、献金であれ、カルト的な団体による違法な金銭的な搾取をどのように予防・救済するのかという問題である。もう一つが、こうした違法な金銭的搾取を繰り返すカルト的な団体の根っこを断つ、つまり、必要があればきちんと解散命令に持っていって税優遇などの特権的地位を取り上げるためにはどうすればいいのかという問題である。(第2回:菅野委員)
    • 関係省庁連絡会議のメンバーを通じて働きかけていくことは重要である。検討会で行われた議論を各省庁で持ち寄ってもらって、各省庁でできることはそこでやっていただきたい。(第1回:紀藤委員)
▼【資料2】宗教法人等に関する指摘事項
  1. 特定の宗教法人が霊感商法等に関する法令違反を行っている場合に、消費者庁が宗教法人法の所轄庁として質問権を行使したり、それに基づいて解散命令請求をかけることが可能か。
    • 宗教法人法上、宗教法人の所轄庁は都道府県知事又は文部科学大臣と規定されており(第5条)、消費者庁が宗教法人法に定める所轄庁の権限を行使することは規定されていません。
  2. 宗教法人審議会の議事録が(遡ると)1998年までしか公開されていないが、その前についても公開すべきではないか。
    • 宗教法人審議会では、1997年の第133回会議において、行政処分及び不服審査に係る審議を除き、原則として議事録を公開する旨の申合せを行っており、それより前の会議の議事録については公開する取扱いとなっていません。なお、現在、文化庁ウェブサイトに掲載されていない第133回会議及び第134回会議(いずれも1997年開催)の議事録については、公開に向けて・準備を行っているところです。
  3. 文化庁宗務課の定員、予算の状況はどうなっているか。
    • 令和4年度における文化庁宗務課の定員は8名、予算は約4700万円です。
  4. PIO-NET情報は文化庁宗務課に共有されているのか。
    • 文化庁宗務課においては、PIO-NETに接続する権限を有していません。
  5. 消費者庁と文化庁宗務課はこれまで交流があったのか。
    • 消費者庁及び文化庁宗務課においては、必要に応じ、情報交換等のやりとりを行っています。

~NEW~
国民生活センター 模倣品に関するトラブルにご注意!-令和4年10月から水際取締りが強化されました-
  • 令和4年10月1日に改正商標法、意匠法、関税法が施行され、海外の事業者から日本に模倣品(商標権または意匠権を侵害するもの)が送付された場合は、個人使用の場合でも、税関で没収の対象となりました。
  • インターネットでの模倣品の購入トラブルは引き続き見られます。詐欺的な販売サイトから模倣品を購入しないよう、注文する前にサイトの情報をよく確認しましょう。
  • 模倣品取締り強化のポイント
    • インターネット通販で購入され、海外の事業者から郵送等により国内に送付された商品が模倣品であり、それが税関において発見された場合は、没収され、消費者の手元には届きません。
    • 税関において知的財産を侵害する疑いのある模倣品を発見した場合、認定手続が開始され、消費者には、税関から「認定手続開始通知書」が届きます。最終的に、知的財産を侵害する物品に該当すると認定された場合は、その模倣品は没収されます。
      • 令和4年9月30日までは、もし「模倣品」であっても個人使用目的なら受取可能でした。
      • これは個人使用目的の模倣品(商標権又は意匠権を侵害するもの)は、税関による没収の対象外であったためです。
      • 令和4年9月30日までは、海外から送付された商品が、税関で商標権又は意匠権を侵害する疑いがあると判断され、消費者に認定手続開始通知書が送付されても、個人使用目的であると主張し、それが税関に認められれば、輸入が許可され、商品を受け取ることができました。
      • 令和4年10月1日からは、「模倣品」であれば個人使用目的でも受け取れなくなります。
      • これは個人使用目的であっても、海外事業者から郵送等により送付される模倣品は税関による没収の対象になったためです。
      • 令和4年10月1日以降も海外から送付された商品が、税関で商標権又は意匠権を侵害する疑いがあると判断された場合、消費者に認定手続開始通知書が送付されますが、個人使用目的であると主張しても、その商品が海外の事業者から購入したものであれば、税関に没収され、受け取ることができません。
  • 模倣品のトラブルを避けるためのチェックポイント
    • サイトのURLの表記が、ブランドの正式な英語表記と少しだけ異なる。
    • 日本語の字体、文章表現が不自然。
    • ブランド、メーカー品で価格が通常より安い。
    • 市場では希少なものがこのサイトでは入手可能となっている。
    • 事業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない。嘘の情報が記載されている。
    • 海外の電話番号の国番号が住所地と異なる。
    • 事業者の名称、住所、代表者名などをインターネットで検索すると、他のサイトでも同一の内容が表示されている。
    • 問い合わせ先のメールアドレスがフリーメール。
    • 問い合わせ電話番号が通じない。
    • キャンセル、返品、返金のルールがどこにも記載されていない。
    • 支払方法が銀行振込に限定されている(クレジットカードの利用ができるとサイトに表示されていても、後から銀行振込を指定される場合もある)。

~NEW~
国民生活センター フリマサービス 受取評価は商品をよく確認してから
  • 内容
    • 事例1:フリマサービスのアプリでブランドもののネックレスを購入した。商品が届いたが、状態をよく確認せずに受取評価をしたため、その後偽物だと分かった。アプリの規約には「評価後の苦情などについては当事者間で話し合うように」と書かれていた。(60歳代 女性)
    • 事例2:フリマサービスのアプリで中古のプロジェクターを購入した。電源が入らなかったので出品者に連絡したが、評価したことを理由に対応してくれない。フリマサービス運営事業者に苦情を伝えると「受取評価をしたらお金は戻らない」と言われた。(60歳代 男性)
  • ひとこと助言
    • フリマサービスでの取引は、売主と買主との個人間の取引です。トラブルが起きた場合は、基本的には当事者間での解決を求められることを理解しましょう。
    • フリマサービスでは、買主が商品を受け取り、出品者を「評価」すると出品者に代金が支払われます。評価してサービス上の取引が完了してしまうと、トラブルが起きても、フリマサービス運営事業者の補償サービスやサポートを受けられないことがあります。商品が届いたら、状態をよく確認してから評価しましょう。
    • 利用する際は、規約や初心者ガイドなどで、取引ルールやトラブル発生時の対応(補償サービスやサポートなど)をしっかり確認することが大切です。

~NEW~
厚生労働省 令和4年版自殺対策白書
  • 我が国の自殺者数は、平成10年に3万2,863人、平成15年には統計開始以来最多の3万4,427人となった。その後平成22年に減少に転じ、令和元年は最少の2万169人となった。令和2年は11年ぶりに総数が増加に転じたが、令和3年は2万1,007人と減少した。男性は平成22年以降12年連続で減少、女性は令和2年に続き令和3年も増加した。
  • 自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)も自殺者数と同様の傾向であり、平成10年に急上昇し、平成21年まで高い水準が続いていたが、近年は低下を続けていた。令和2年は11年ぶりに上昇し、令和3年は16.7と同水準となった
  • 年齢階級別の自殺者数をみると、「40~49歳」、「50~59歳」及び「60~69歳」の自殺者数が多い
  • 年齢階級別の自殺死亡率をみると、近年では、令和2年に「50~59歳」及び「60~69歳」を除く全ての年齢階級で上昇に転じた。特に、「20~29歳」及び「40~49歳」は令和2年以降2年連続で上昇となり、その中でも「20~29歳」の上昇が比較的大きかった
  • 自殺の状況を職業別にみる際、平成19年の自殺統計原票改正で職業分類が改められたことから、その前後の推移の比較には注意が必要である。しかし、この改正を考慮しても、昭和53年から「無職者」の自殺者数が最も多く、次に「被雇用者(平成18年以前)」及び「被雇用者・勤め人(平成19年以降)」が続いた。
  • 令和2年は「自営業・家族従業者」以外の「被雇用者・勤め人」、「無職者」及び「学生・生徒等」が増加に転じ、令和3年は令和2年と同様の自殺者数となった
  • 原因・動機別の自殺の状況については、平成19年の自殺統計から、原因・動機を最大3つまで計上できることとしている。自殺の原因・動機として最も大きい割合を占める「健康問題」は平成10年から高い水準を続けていたが、平成22年以降は減少傾向にあり、令和3年は統計開始以来最少の9,860人となった。次いで多い「経済・生活問題」は平成10年に急増以降増加が続き、平成15年は8,897人となり、平成21年以降は減少した。「家庭問題」及び「勤務問題」は、平成10年以降緩やかに増加を続けたが、平成23年を境に減少に転じ、おおむね横ばいで推移した
  • 厚生労働省の人口動態統計による自殺者数の推移をみると、平成10年に急増して以降3万人前後で推移していたが、平成22年以降は減少を続け、令和元年は1万9,425人となった。しかし、令和2年は20,243人と11年ぶりの増加となった。
  • 自殺死亡率は平成15年をピークとして高い水準が続いていた。平成22年以降は低下傾向となったものの、令和2年は上昇に転じた。
  • 年齢階級別に令和2年の死因順位をみると、5歳階級でみた10歳から39歳までの死因の第1位が「自殺」となった。「15~19歳」、「20~24歳」及び「25~29歳」の年齢階級では死因の半数以上が「自殺」によるものであった。
  • 令和3年の主要な自殺の状況について、自殺者数は前年に比べて74人減少、男性は116人減少、女性は42人増加となった。年齢階級別では「50~59歳」、「40~49歳」、「70~79歳」の順で多くなった。職業別では「無職者」、「被雇用者・勤め人」、「自営業・家族従業者」、「学生・生徒等」と続く。無職者の内訳をみると、「年金・雇用保険等生活者」がその半数を占めていた。学生・生徒等の内訳をみると、「大学生」が最も多くなった。原因・動機別にみると、「健康問題」、「経済・生活問題」、「家庭問題」の順に多くなった
  • 年齢階級及び職業別の構成をみると、総数・男女ともに高年齢層の無職者による自殺が多かったことがわかる。構成比では、「~19歳」は「学生・生徒等」の割合が高い。男性は「20~29歳」、「30~39歳」及び「40~49歳」で「被雇用者・勤め人」の割合が半数以上を占めており、女性は30歳以上の全ての年齢階級で「無職者」が半数を超えていた。
  • 年齢階級及び原因・動機別の構成をみると、総数・男女ともに全ての年齢階級で「健康問題」による自殺者数が多くなった。構成比では、男女ともに年齢階級が上がるにつれて「健康問題」の割合が高くなる傾向にある。
  • 配偶関係別の自殺者数の構成割合をみると、「有配偶」と「未婚」が高く、次いで「離別」、「死別」が続く。男女別にみると、男性は「未婚」が最も高く、女性は「有配偶」が最も高い
  • 令和3年の自殺未遂歴の有無別の自殺の状況をみると、「未遂歴あり」は全体の2割であった。女性の「未遂歴あり」は、男性の約2倍となっていた
  • 令和3年の自殺者数を月別にみると、男女ともに「3月」が最も多く、男性は次いで「4月」、「5月」となり、女性は「5月」、「6月」となった
  • 都道府県別の自殺者数は「東京都」、「大阪府」、「神奈川県」の順に多かった。令和2年の自殺者数と比較してみると、23都道府県で増加がみられ、24府県では減少がみられた。
  • 都道府県別の10万人当たり自殺死亡率では「青森県」、「山梨県」、「新潟県」の順に高くなった
  • 令和3年における東日本大震災に関連する自殺3の状況について、総数は6人で、前年に比べ1人増加した。県別にみると、「岩手県」は横ばい、「宮城県」は3人増加、「福島県」は2人減少した
  • 先進国(G7)の自殺死亡率について、世界保健機関によれば、我が国は男女ともに先進国の中でも高い水準にある。
  • 先進国(G7)の自殺の状況を若年層の死因順位からみると、「10~19歳」及び「20~29歳」の死因順位の第1位が「自殺」となっているのは「日本」のみであった

~NEW~
厚生労働省 自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~
▼自殺総合対策大綱の概要・ポイント
  • 自殺対策基本法が成立した平成18年と、コロナ禍以前の令和元年の自殺者数を比較すると男性は38%減、女性は35%減となっており、これまでの取組みに一定の効果があったと考えられる。(平成18年:32,155人→令和元年:20,169人)
  • 自殺者数は依然として毎年2万人を超える水準で推移しており、男性が大きな割合を占める状況は続いているが、更にコロナ禍の影響で自殺の要因となる様々な問題が悪化したことなどにより、女性は2年連続の増加、小中高生は過去最多の水準となっていることから、今後5年間で取り組むべき施策を新たに位置づける。
    1. 子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化
      • 自殺等の事案について詳細な調査や分析をすすめ、自殺を防止する方策を検討。
      • 子どもの自殺危機に対応していくチームとして学校、地域の支援者等が連携し自殺対策にあたることができる仕組み等の構築。
      • 命の大切さ・尊さ、SOSの出し方、精神疾患への正しい理解や適切な対応等を含めた教育の推進。
      • 学校の長期休業時の自殺予防強化、タブレットの活用等による自殺リスクの把握やプッシュ型支援情報の発信。
      • 令和5年4月に設立が予定されている「こども家庭庁」と連携し、子ども・若者の自殺対策を推進する体制を整備。
    2. 女性に対する支援の強化
      • 妊産婦への支援、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた女性の自殺対策を「当面の重点施策」に新たに位置づけて取組を強化。
    3. 地域自殺対策の取組強化
      • 地域の関係者のネットワーク構築や支援に必要な情報共有のためのプラットフォームづくりの支援。
      • 地域自殺対策推進センターの機能強化。
    4. 総合的な自殺対策の更なる推進・強化
      • 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進。
      • 国、地方公共団体、医療機関、民間団体等が一丸となって取り組んできた総合的な施策の更なる推進・強化。
      • 孤独・孤立対策等との連携
      • 自殺者や親族等の名誉等
      • ゲートキーパー普及 *悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聴いて、必要な支援につなげ、見守る人のこと。
      • SNS相談体制充実
      • 精神科医療との連携
      • 自殺未遂者支援
      • 勤務問題
      • 遺族支援
      • 性的マイノリティ支援
      • 誹謗中傷対策
      • 自殺報道対策
      • 調査研究
      • 国際的情報発信 など
▼自殺総合対策大綱(本文)
  • 自殺総合対策の基本理念<誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す>
    • 平成18年10月に自殺対策基本法(以下「基本法」という。)が施行されて以降、「個人の問題」と認識されがちであった自殺は広く「社会の問題」と認識されるようになり、国を挙げて自殺対策が総合的に推進された結果、自殺者数は3万人台から2万人台に減少するなど、着実に成果を上げてきた。しかし、自殺者数は依然として毎年2万人を超える水準で推移しており、さらに令和2年には新型コロナウイルス感染症拡大の影響等で自殺の要因となり得る様々な問題が悪化したことなどにより、総数は11年ぶりに前年を上回った。特に、小中高生の自殺者数は、自殺者の総数が減少傾向にある中においても、増加傾向となっており、令和2年には過去最多、令和3年には過去2番目の水準になった。このように非常事態はいまだ続いており、決して楽観できる状況にはない。
    • 自殺は、その多くが追い込まれた末の死である。自殺の背景には、精神保健上の問題だけでなく、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤独・孤立などの様々な社会的要因があることが知られている。このため、自殺対策は、社会における「生きることの阻害要因(自殺のリスク要因)」を減らし、「生きることの促進要因(自殺に対する保護要因)」を増やすことを通じて、社会全体の自殺リスクを低下させる方向で、「対人支援のレベル」、「地域連携のレベル」、「社会制度のレベル」のそれぞれのレベルにおいて強力に、かつそれらを総合的に推進するものとする。
    • 自殺は、その多くが追い込まれた末の死であることや、自殺対策の本質が生きることの支援にあることを改めて確認し、「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出して、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指す。
  • 自殺の現状と自殺総合対策における基本認識
    1. 自殺は、その多くが追い込まれた末の死である
      • 自殺は、人が自ら命を絶つ瞬間的な行為としてだけでなく、人が命を絶たざるを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉える必要がある。自殺に至る心理は、様々な悩みが原因で心理的に追い詰められ、自殺以外の選択肢が考えられない状態に陥ることや、社会とのつながりの減少や生きていても役に立たないという役割喪失感から、また、与えられた役割の大きさに対する過剰な負担感から、危機的な状態にまで追い込まれてしまう過程と捉えることができるからである。
      • 自殺行動に至った人の直前の心の健康状態を見ると、大多数は、様々な悩みにより心理的に追い詰められた結果、抑うつ状態にあったり、うつ病、アルコール依存症等の精神疾患を発症していたりするなど、これらの影響により正常な判断を行うことができない状態となっていることが明らかになっている。
      • このように、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」ということができる。このことを社会全体で認識するよう改めて徹底していく必要がある。
    2. 年間自殺者数は減少傾向にあるが、非常事態はいまだ続いている
      • 平成19年6月、政府は、基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として自殺総合対策大綱(以下「大綱」という。)を策定し、その下で自殺対策を総合的に推進してきた。
      • 大綱に基づく政府の取組のみならず、地方公共団体、関係団体、民間団体等による様々な取組の結果、基本法が成立した平成18年とコロナ禍以前の令和元年とで自殺者数を比較すると、男性は38%減、女性は35%減となった。しかし、それでも非常事態はいまだ続いていると言わざるを得ない。この間、男性、特に中高年男性が大きな割合を占める状況は変わっていないが、先述したとおり、令和2年には新型コロナウイルス感染症拡大の影響等で自殺の要因となり得る様々な問題が悪化したことなどにより、特に女性や小中高生の自殺者数が増え、総数は11年ぶりに前年を上回った。令和3年の総数は令和2年から減少したものの、女性の自殺者数は増加し、小中高生の自殺者数は過去2番目の水準となった。さらに、我が国の人口10万人当たりの自殺による死亡率(以下「自殺死亡率」という。)はG7諸国の中で最も高く、年間自殺者数も依然として2万人を超えている。かけがえのない多くの命が日々、自殺に追い込まれているのである。
    3. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進
      • 社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大により人との接触機会が減り、それが長期化することで、人との関わり合いや雇用形態を始めとした様々な変化が生じている。その中で女性や子ども・若者の自殺が増加し、また、自殺につながりかねない問題が深刻化するなど、今後の影響も懸念される。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響は現在も継続しており、その影響について確定的なことは分かっていない。そこで引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大の自殺への影響について情報収集・分析を行う必要がある。
      • また、今回のコロナ禍において、様々な分野でICTが活用される状況となった。今回の経験を生かし、今後、感染症の感染拡大が生じているか否かを問わず、国及び地域において必要な自殺対策を実施することができるよう、ICTの活用を推進する。
      • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大下では、特に、自殺者数の増加が続いている女性を含め、無業者、非正規雇用労働者、ひとり親や、フリーランスなど雇用関係によらない働き方の者に大きな影響を与えていると考えられることや、不規則な学校生活を強いられたり行事や部活動が中止や延期となったりすることなどによる児童生徒たちへの影響も踏まえて対策を講じる必要がある。
      • さらに、新型コロナウイルス感染症罹患後の実態把握を進める。
    4. 地域レベルの実践的な取組をPDCAサイクルを通じて推進する
      • 我が国の自殺対策が目指すのは「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」であり、基本法にも、その目的は「国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与すること」とうたわれている。つまり、自殺対策を社会づくり、地域づくりとして推進することとされている。
      • また、基本法では、都道府県及び市町村は、大綱、地域の実情等を勘案して、地域自殺対策計画を策定するものとされている。あわせて、国は、地方公共団体による地域自殺対策計画の策定を支援するため、自殺対策の総合的かつ効果的な実施に資するための調査研究及びその成果の活用等の推進に関する法律第4条の規定に基づき指定される指定調査研究等法人(以下「指定調査研究等法人」という。)において、都道府県及び市町村を自殺の地域特性ごとに類型化し、それぞれの類型において実施すべき自殺対策事業をまとめた政策パッケージを提供することに加えて、都道府県及び市町村が実施した政策パッケージの各自殺対策事業の成果等を分析し、分析結果を踏まえてそれぞれの政策パッケージの改善を図ることで、より精度の高い政策パッケージを地方公共団体に還元することとしている。
      • 自殺総合対策とは、このようにして国と地方公共団体等が協力しながら、全国的なPDCAサイクルを通じて、自殺対策を常に進化させながら推進していく取組である。

~NEW~
厚生労働省 第102回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年10月12日)
▼資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況等の概要
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約143人となり、今週先週比は0.73と減少が継続している。しかし、連休による接触機会の増加等が感染状況に与える影響に注意が必要。
    • 新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率も低下傾向にあり、医療提供体制について状況の改善がみられる。重症者数や死亡者数は減少傾向が継続している。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    1. 北海道 新規感染者数は約223人(札幌市約216人)、今週先週比は0.80。病床使用率は約2割。
    2. 北関東 茨城、栃木、群馬では新規感染者数は約153人、130人、162人、今週先週比は0.67、0.70、0.72。病床使用率について、茨城では3割弱、栃木では2割弱、群馬では2割強。
    3. 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は約131人、今週先週比は0.67。病床使用率は1割強、重症病床使用率は1割弱。埼玉、千葉、神奈川の新規感染者数は約121人、116人、128人、今週先週比は0.69、0.71、0.69。病床使用率について、神奈川では2割強、埼玉では約2割、千葉では1割強。
    4. 中京・東海 愛知の新規感染者数は約113人、今週先週比は0.61。病床使用率は2割強。岐阜、静岡、三重の新規感染者数は約150人、143人、186人、今週先週比は0.66、0.78、0.78。病床使用率について岐阜では約1割、静岡では1割強、三重では約2割。
    5. 関西圏 大阪の新規感染者数は約143人、今週先週比は0.69。病床使用率は1割強、重症病床使用率は1割未満。滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の新規感染者数は約146人、110人、114人、134人、167人、今週先週比は0.64、0.69、0.73、0.79、0.86。病床使用率について、滋賀では2割強、兵庫、京都、奈良では1割強、和歌山では約1割。
    6. 九州 福岡の新規感染者数は約114人、今週先週比は0.74。病床使用率は1割強。佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の新規感染者数は約123人、115人、130人、131人、135人、129人、今週先週比は0.57、0.67、0.74、0.73、0.75、0.70。病床使用率について、熊本、大分、宮崎では1割強、長崎、鹿児島では2割弱、佐賀では約1割。
    7. 沖縄 新規感染者数は約142人、今週先週比は0.70。病床使用率は1割強、重症病床使用率は約1割。
    8. 上記以外 福島、長野、広島の今週先週比は0.91、0.91、0.92。病床使用率について、福井、山梨では1割弱。
  • 感染状況等と今後の見通し
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、すべての地域において減少が継続している。しかし、高齢者施設と医療機関の集団感染は、減少しているものの一部継続している。
      • 全国の年代別の新規感染者数は、全年代で減少が継続しているが、人口あたりでは若い世代ほど多くなっている。高齢者の新規感染者数も減少傾向となっており、重症者数や死亡者数も減少傾向が継続している。
      • 本年1月以降の小児等の死亡例に関する暫定報告にあるように、小児感染者数の増加に伴う、重症例、死亡例の発生に注意が必要である。
    2. 今後の見通しについて
      • 今後の感染状況について、大都市における短期的な予測などでは、不確実性はあるものの、緩やかな減少傾向または横ばいとなる可能性がある。連休や観光による接触機会の増加等が感染状況に与える影響にも注意が必要。また、過去2年間の傾向から今冬の新型コロナウイルス感染症の流行拡大や、季節性インフルエンザの例年よりも早期の流行、さらにはこれらの同時流行が懸念される。
    3. 感染の増加要因・抑制要因について
      1. ワクチン接種および感染による免疫等 ワクチン接種と自然感染により、獲得した免疫は経時的に低下すると考えられる。また、60代以上では、20-40代と比較してワクチンの接種率は高いが、感染による免疫獲得は低く、今後高齢者層での感染拡大が懸念される。
      2. 接触パターン 夜間滞留人口について、気温の低下と降雨が続いたことにより多くの地域で減少しており、直近の感染者数の減少にも一定の影響があった可能性がある。しかし、今後年末に向けて、夜間滞留人口が増加することも懸念される。
      3. 流行株 現在BA.5系統が主流となり、概ね置き換わっている。現在のところ、さらに他の系統に置き換わりが進む傾向はみられていない。
      4. 気候要因 今後しばらくは換気を行いやすい気候条件になるが、高い気温や激しい降雨となる日には、換気がされにくい場合もある。
    4. 医療提供体制の状況について
      • 全国的には、感染状況の改善の継続により、病床使用率については低下傾向にあり、すべての地域で3割を下回るなど低い水準にある。
      • 重症病床使用率も低下傾向にあり、ゼロとなる地域が増加している。
      • 全国的に、一般医療を含めた医療提供体制について状況の改善がみられる。しかし、介護の現場では、施設内療養や、療養者及び従事者の感染がみられる。
  • 必要な対策
    1. 基本的な考え方について
      • 感染症法上の措置について、高齢者・重症化リスクのある方に対する適切な医療の提供と患者の療養期間の見直しなどを行う。
      • 現在の感染状況への対応と併せ、今夏の感染拡大の振り返りを行いつつ、今秋以降の季節性インフルエンザの同時流行による感染拡大が生じうることも想定した対応を行う。
      • 国民ひとりひとりの自主的な感染予防行動の徹底をお願いするとともに、高齢者等重症化リスクの高い者を守るとともに、通常医療を確保するため、保健医療体制の強化・重点化を進めていく。
      • 国、自治体は、日常的な感染対策の必要性を国民に対して改めて周知するとともに、感染防止に向けた国民の取組を支援するような対策を行う。
    2. ワクチン接種の更なる促進
      • 「オミクロン株対応ワクチン」について、初回接種を完了した全ての12歳以上の者に対する接種を進めることが必要。
      • 4-5対応型ワクチンの接種も開始されるが、BA.1対応型ワクチンとBA.4-5対応型ワクチンいずれも従来型ワクチンを上回る効果が期待されるため、いずれか早く打てるワクチンの接種を進めることが必要。接種間隔は5か月とされたが、海外の動向等を踏まえ、接種間隔を短縮する方向性で今後検討し、10月下旬までに結論を得ることが必要とされた。
      • 未接種の方には、できるだけ早い時期に初回接種を検討していただくよう促していく。
      • 小児(5~11歳)の接種については、初回接種とともに追加接種を進める。
      • 小児(6か月~4歳)の初回接種が薬事承認され、特例臨時接種に位置づけられたことを踏まえ、初回接種を進める。
    3. 検査の活用
      • 第17回新型コロナ分科会における提言に基づき、国と自治体は検査ができる体制を確保し、検査の更なる活用が求められる。
      • 高齢者施設等について、従事者への頻回検査(施設従事者は週2~3回程度)を実施する。
      • 有症状者が抗原定性検査キットで自ら検査を行い、陽性の場合に健康フォローアップセンター等で迅速に健康観察を受けられる「発熱外来自己検査体制」整備の更なる推進が必要。
      • 抗原定性検査キットについて、OTC化によるインターネット販売など、一層利活用を進める。
    4. 保健医療提供体制の確保
      • 国の支援のもと、都道府県等は、主に以下の病床や発熱外来等のひっ迫回避に向けた対応が必要。
      • 確保病床等の即応化や、病床を補完する役割を担う臨時の医療施設等の整備に加え、宿泊療養施設や休止病床の活用など、病床や救急医療のひっ迫回避に向けた取組
      • 入院治療が必要な患者が優先的に入院できるよう適切な調整、高齢者施設等における頻回検査等の実施や医療支援の更なる強化
      • 後方支援病院等の確保・拡大、早期退院の判断の目安を4日とすることの周知など転院・退院支援等による病床の回転率の向上
      • 病室単位でのゾーニングによる柔軟で効率的な病床の活用等の効果的かつ負担の少ない感染対策の推進
      • オンライン診療等の活用を含めた発熱外来の拡充・公表の推進、「発熱外来自己検査体制」整備の更なる推進
      • 受診控えが起こらないよう配慮の上、例えば無症状で念のための検査のためだけの救急外来受診を控えることについて、地域の実情に応じて地域住民に周知。併せて、体調悪化時などに不安や疑問に対応できるよう、医療従事者等が電話で対応する相談窓口を周知するとともに、こうした相談体制を強化
      • 職場・学校等において療養開始時に検査証明を求めないことの徹底 3
    5. 療養の考え方の転換・全数届出の見直し
      • 9月26日から開始された全国一律での全数届出の見直しを受け、重症化リスクの高い方を守るために保健医療体制の強化、重点化を進めるとともに、発生届の対象外となる若い軽症者等が安心して自宅療養できる環境整備が必要。
    6. 自宅療養期間の見直し等
      • 陽性者の自宅療養期間の短縮に当たり、短縮された期間中は感染リスクが残存することから、自身による検温などの体調管理を実施し、外出する際には感染対策を徹底すること。また、高齢者等重症化リスクのある方との接触などは控えるよう求めることが必要。
      • 症状軽快から24時間経過後または無症状の場合の、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出を許容するに当たり、外出時や人と接する時は必ずマスク着用、人との接触は短時間、移動に公共交通機関は利用しないなど、自主的な感染予防行動の徹底が必要。
    7. サーベイランス等
      • 発生届の範囲の限定、届け出項目の重点化、多くの感染による検査診断・報告の遅れ、受診行動の変化などにより、現行サーベイランスの精度の低下が懸念され、発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討を速やかに進めることが必要。また、変異株について、ゲノムサーベイランスで動向の監視の継続が必要。
    8. 効果的な換気の徹底
      • 第17回新型コロナ分科会における提言に基づき、屋内での換気が不十分にならないよう、効果的な換気方法の周知・推奨が必要(エアロゾルを考慮した気流の作り方、気流を阻害しないパーテーションの設置等)。
    9. 基本的な感染対策の再点検と徹底
      • 以下の基本的感染対策の再点検と徹底が必要。
        • 場面に応じた不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気の徹底などの継続
        • 3密や混雑、大声を出すような感染リスクの高い場面を避ける
        • 飲食はできるだけ少人数で、飲食時以外はマスクを着用する
        • 咽頭痛、咳、発熱などの症状がある者は外出を控える
        • 医療機関の受診や救急車の利用については目安を参考にする
        • できる限り接触機会を減らすために、例えば、職場ではテレワークの活用等の取組を再度推進するなどに取り組む
        • イベントや会合などの主催者は地域の流行状況や感染リスクを十分に評価した上で開催の可否を含めて検討し、開催する場合は感染リスクを最小限にする対策の実施が必要
    10. 参考:オミクロン株とその亜系統の特徴に関する知見≫
      1. 感染性・伝播性 オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
      2. 感染の場・感染経路 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
      3. 重症度 オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、限られたデータであること等を踏まえると、今後もさまざまな分析による検討が必要。前回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。また、今回の感染拡大では、前回に引き続き、昨年夏の感染拡大のときよりも重症化率の減少や、入院患者に占める高齢者の割合が上昇している。さらに、今回の感染拡大における死亡者は、前回の感染拡大と比べ、人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっている。
        • 小児等の感染では内因性死亡が明らかとされた死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡しており、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも留意が必要といった実地調査結果の暫定報告がなされている。
      4. ウイルスの排出期間 国内データによれば発症後10日目までは感染リスクが残存し、発症後7日目までが感染力が高く、5日間待機後でもまだ3分の1の患者が感染性のあるウイルスを排出している状態。8日目(7日間待機後)になると、多くの患者(約85%)は感染力のあるウイルスを排出しておらず、当該ウイルスを排出している者においても、ウイルス量は発症初期と比べ7日目以降では6分の1に減少したとの報告がある。
      5. ワクチン効果 初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。4回目接種については、重症化予防効果は6週間減衰しなかった一方、感染予防効果は短期間しか持続しなかったと報告されている。
      6. オミクロン株の亜系統 世界的には、BA.5系統の占める割合の増加とともに陽性者数の増加が見られ、BA.5系統はBA.2系統と比較して感染者増加の優位性が示唆されたが、現在、陽性者数が減少傾向となっている。BA.5系統はBA.1系統やBA.2系統に比して既存免疫を逃避する傾向が示されているが、感染力に関する明確な知見は示されていない。なお、東京都のデータに基づき算出されたBA.5系統の実効再生産数は、BA.2と比較して約1.27倍とされた。また、民間検査機関の全国の検体では約1.3倍と推計された。
        • WHOレポートでは、BA.5系統の重症度については、既存のオミクロン株と比較して、上昇及び変化なしのいずれのデータもあり、引き続き情報収集が必要であるとしている。また、国内の実験室内のデータからは、BA.5系統はBA.1及びBA.2系統よりも病原性が増加しているとする報告があるが、臨床的には現時点では確認されていない。国内のゲノムサーベイランスによると、BA.5系統の検出割合が増加し、概ね置き換わっている。
        • また、本年6月以降インドを中心に報告されているBA.2.75系統、及び米国・英国を中心に報告されているBA.4.6系統は国内で検出されているが、他の系統と比較した感染性や重症度等に関する明らかな知見は海外でも得られていない。これらのウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要。

~NEW~
厚生労働省 第8回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」
▼資料1 第8回における論点
  1. 業務による心理的負荷評価表の検討
    1. 「具体的出来事」の類型④に関して、「強」「中」「弱」と判断する具体例や総合評価の視点について、どのような内容を示すべきか。
      • これまで検討してきた「具体的出来事」の内容やその考え方、これまでの裁判例、裁決例等を踏まえ、「強」「中」「弱」と判断する具体例や総合評価の視点について、追記、修正等すべき事項として、どのようなものがあるか。
  2. 精神障害の労災認定要件
    1. 精神障害の労災認定要件のうち、「3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと」について、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当なものと考えてよいか。
      • 認定要件
        1. 対象疾病を発病していること。
        2. 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
        3. 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。
    2. 業務以外の心理的負荷について、現行認定基準においては、別表2により評価を行っているが、これについて、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当なものと考えてよいか。
    3. 個体側要因について、現行認定基準においては、その有無とその内容について確認し、個体側要因の存在が確認できた場合には、それが発病の原因であると判断することの医学的な妥当性を慎重に検討することとしているが、これについて、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当なものと考えてよいか。
  • 認定基準の検証に係る具体的な論点(たたき台)
    1. 業務による心理的負荷評価表の検討
      • 「具体的出来事」の類型に関して、「強」「中」「弱」と判断する具体例や総合評価の視点について、どのような内容を示すべきか。
    2. 精神障害の労災認定要件
      • 精神障害の労災認定要件のうち、「3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと」について、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当なものと考えてよいか。
      • 認定基準においては、
        1. 業務以外の心理的負荷及び個体側要因が認められない場合
        2. 業務以外の心理的負荷又は個体側要因は認められるものの、業務以外の心理的負荷又は個体側要因によって発病したことが医学的に明らかであると判断できない場合に、本要件を満たすものとしている。
      • 業務以外の心理的負荷について、現行認定基準においては、別表2により評価を行っているが、これについて、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当なものと考えてよいか。
      • 強度が「Ⅱ」又は「Ⅰ」の出来事しか認められない場合は、原則として、業務外の心理的負荷により発病したことが明らかとは判断できないものと取り扱っている。
      • 「Ⅲ」の出来事のうち心理的負荷が特に強いものがある場合や、「Ⅲ」の出来事が複数ある場合等については、それらの内容等を詳細に調査の上、それが発病の原因であると判断することの医学的な妥当性を慎重に検討することとしている。
      • 個体側要因について、現行認定基準においては、その有無とその内容について確認し、個体側要因の存在が確認できた場合には、それが発病の原因であると判断することの医学的な妥当性を慎重に検討することとしているが、これについて、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当なものと考えてよいか。
      • 業務による強い心理的負荷が認められる事案であって個体側要因によって発病したことが医学的に見て明らかな場合を例示することについて、どのように考えるか。
        • ※就業年齢前の若年期から精神障害の発病と寛解を繰り返しており、請求に係る精神障害がその一連の病態である場合
        • ※重度のアルコール依存状況がある場合

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厚生労働省 健康日本21(第二次)最終評価報告書を公表します
▼最終評価報告書 概要
  • 20年間の評価のまとめ
    • 健康日本21の開始、健康増進法施行などにより基本的な法制度の整備・枠組みの構築が進み、健康づくりに対する機運の醸成などに貢献。
    • 健康日本21(第一次)では、「一次予防の重視」等を基本方針とし、健康日本21(第二次)では、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を最終的な目標とし、国民の健康づくりを推進。
    • 「持続可能な達成目標(SDGs)」においても「すべての人に健康と福祉を」が目標の1つとされており、国際的にも健康づくりの重要性がより認識。
    • 自治体においては、健康増進事業に加え、介護保険制度、医療保険制度、生活保護制度におけるなど各分野において健康づくりの取組を推進。加えて、自治体だけでなく、保険者、企業等による健康づくりの広まり。
    • こうした各主体の取組を通じて、健康寿命は着実に延伸。
    • 直近では、ICTの発展、データヘルス改革の進展、スマホ等の普及に伴い、健康づくり分野においても最新のテクノロジーを活用する動き。
    • 「健康寿命延伸プラン」においては、「自然に健康になれる環境づくり」や「行動変容を促す仕掛け」など新たな手法も活用して健康寿命延伸に向けた取組を進めることとされている。
    • 健康日本21(第二次)においても健康格差の縮小が目標とされているが、新型コロナウイルス感染症を機に、格差が拡大しているとの指摘もある。
  • 次期プランに向けた課題
    • プランの在り方
      • 次期プランとして打ち出すビジョン
      • 次期プランの計画期間。それと併せた、中間評価及び最終評価の時期
      • 次期プランにおける主目標及び「基本的な方向」
      • 他計画との整合性・調和・連携
    • 指標
      • 指標、データソースの設定。モニタリングの在り方
      • 中間評価及び最終評価における指標の評価方法
      • 指標の設定にとどまらない、目標達成のための方策
    • 自治体による取組
      • 自治体において、住民に対して、効果的に介入する体制。自治体内の各部門の連携を進める方策
      • 都道府県と市町村の役割分担。都道府県が司令塔として、より機能するための方策
      • 自治体と大学や企業、保険者、民間団体などとが協力・連携を深めるための方策
    • その他
      • データを利活用してより効果的に住民の行動変容を促すための方策
      • 住民や健康づくりに携わる職員に対して、エビデンスや最新の知見を伝えるための情報発信・職員の人材育成方法
      • 健康づくり分野におけるコミュニティの力をより向上させるための方策
      • 社会環境整備等を通じ、健康無関心層を含めた健康づくり施策を更に進めていくための方策
      • 性差や年齢等も加味した健康づくり施策
      • 健康格差縮小を進めるための方策
      • 新型コロナウイルス感染症拡大による生活習慣の変化等を踏まえた健康づくり施策

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国土交通省 高知県で大規模津波防災総合訓練を実施~南海トラフ地震を想定した、陸海空にわたる大規模な実動訓練~
  • 国土交通省は、11月13日(日)に、高知県、高知市及び南国市と共同で、高知県南国市のメイン会場を含む4会場において、大規模津波防災総合訓練を実施します。
  • 「世界津波の日」及び「津波防災の日」に関する取組の一環として、国、県、市など関係機関が連携し、地震による大規模津波の被害軽減を目指すとともに、津波に対する知識の普及・啓発を図るため、大規模津波防災総合訓練を実施します。
  • 本年は、高知県南国市のメイン会場において、南海トラフ地震による津波来襲を想定し、警察、消防、自衛隊、海上保安庁、国土交通省TEC-FORCE、県、市等による救助・救出、道路・航路啓開や緊急排水等の陸海空にわたる大規模な実動訓練を行います。
  • また、サテライト会場において、地元住民の参加による避難訓練も実施します。
    • 訓練日時 令和4年11月13日(日) 9:00~11:30
    • 訓練開催場所
      • メイン会場:物部川右岸河川敷(高知県南国市物部地先)
      • サテライト会場
      • <住民による避難訓練>イオンモール高知(高知市秦南町)南国市津波避難施設「スポーツセンタータワー」(南国市前浜)
      • <海上での航路啓開等訓練>高知新港(高知市仁井田)
    • 主催 国土交通省、高知県、高知市、南国市
    • 参加機関 国、地方公共団体、公共機関等87機関(予定)
    • その他 訓練開催場所、訓練の内容等については、別添パンフレット、ウェブサイトを参照願います。
▼大規模津波防災総合訓練特設サイト

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国土交通省 静岡県駿東郡小山町で発生した貸切バスの事故について事業用自動車事故調査委員会に調査を要請
  • 国土交通省は、以下の事故について、特別重要調査対象事故として事業用自動車事故調査委員会に対して事故の調査を要請しました。要請を受け、本日、事業用自動車事故調査委員会においては調査を開始しました。
  • 事故概要
    1. 発生日時
      • 令和4年10月13日(木) 午前11時50分頃
    2. 発生場所
      • 静岡県駿東郡小山町 県道(ふじあざみライン)
    3. 事故概要
      • 静岡県駿東郡小山町の県道において、乗客乗員36名が乗った貸切バスが、何らかの原因により横転した。
      • この事故により、当該貸切バスに乗っていた1名が死亡し、3名が重傷を負っている模様(13日午後3時45分現在)。
    4. 関係事業者名
      • 事業者名:株式会社美杉観光バス(埼玉県飯能市美杉台六丁目1番地の15)

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