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危機管理トピックス

G7サイバー・エキスパート・グループによるランサムウェア及びサードパーティのサイバーリスクマネジメント(金融庁)/第103回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/令和4年版 過労死等防止対策白書(厚労省)

2022.10.24
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更新日:2022年10月24日 新着25記事

サイバーセキュリティ イメージ

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(第6回)議事次第
  • 金融審議会「顧客本位タスクフォース」(第2回) 議事次第
  • 「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(第5回)議事次第
  • 金融安定理事会による市中協議文書「サイバーインシデント報告の更なる収斂の達成」の公表について
  • G7サイバー・エキスパート・グループによるランサムウェア及びサードパーティのサイバーリスクマネジメントに関する基礎的要素の公表について
  • 金融安定理事会による「気候関連リスクに対する規制・監督手法:最終報告書」及び「気候関連開示に関するFSB進捗報告書」の公表について
  • G20サステナブルファイナンス作業部会による「2022年G20サステナブルファイナンス報告書」の公表について
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 金融安定理事会による暗号資産関連の活動に関する国際的な規制等に係る市中協議文書の公表について
  • 「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)」について
内閣官房
  • 国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議(第2回)
  • 官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会(第15回)議事次第
  • 第5回 孤独・孤立対策の重点計画に関する有識者会議 配布資料
消費者庁
  • 「インターネット消費者トラブルに関する調査研究」の報告書(キャッシュレス決済)掲載について
  • 第7回 霊感商法等の悪質商法への対策検討会
厚生労働省
  • 第103回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード
  • 「令和4年版 過労死等防止対策白書」を公表します~新しい働き方であるテレワークや新型コロナウイルス感染症の影響について調査分析~
国土交通省
  • 知床遊覧船事故対策検討委員会 第8回
  • 自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会 第2回
  • 米国連邦航空局との間で「空飛ぶクルマに関する協力声明」に署名~空飛ぶクルマに関する情報交換や協力を進めます~

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和4年1~9月分)
  • 令和4年1月~9月の刑法犯全体の認知件数は434,442件(前年同期420,414件、前年同期比+3.3%)、検挙件数は180,056件(192,011件、▲6.2%)、検挙率は41.4%(45.7%、▲4.3P)
  • 凶悪犯の認知件数は3,270件(3,079件、+6.2%)、検挙件数は2,776件(2,878件、▲3.5%)、検挙率は84.9%(93.5%、▲8.6P)
  • 粗暴犯の認知件数は38,727件(36,818件、+5.2%)、検挙件数は31,539件(31,925件、▲1.2%)、検挙率は81.4%(86.7%、▲5.3P)
  • 窃盗犯の認知件数は294,483件(282,838件、+4.1%)、検挙件数は107,330件(117,540件、▲8.7%)、検挙率は36.4%(41.6%、▲5.2P)
  • 万引きの認知件数は62,254件(64,940件、▲4.1%)、検挙件数は43,084件(47,201件、▲8.7%)、検挙率は69.2%(72.7%、▲3.5P)
  • 知能犯の認知件数は28,361件(26,151件、+8.5%)、検挙件数は12,991件(13,299件、▲2.3%)、検挙率は45.8%(50.9%、▲5.1%)
  • 詐欺の認知件数は25,937件(23,751件、+9.2%)、検挙件数は11,071件(11,470件、▲3.5%)、検挙率は42.7%(48.3%、▲5.6P)
  • 特別法犯全体の検挙件数は48,552件(50,577件、▲4.0%)、検挙人員は39,850人(41,523人、▲4.0%)
  • 入管法違反の検挙件数は2,916件(3,584件、▲18.6%)、検挙人員は2,178人(2,585人、▲15.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は5,648件(6,043件、▲6.5%)、検挙人員は5,616人(6,095人、▲7.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は6,931件(6,091件、+13.8%)、検挙人員は5,271人(4,682人、+12.6%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,255件(1,748件、+29.0%)、検挙人員は1,880人(1,429人、+32.4%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は377件(230件、+63.9%)、検挙人員は125人(90人、+38.9%)、不正競争防止法違反の検挙件数は42件(54件、▲22.2%)、検挙人員は53人(48人、+10.4%)、銃刀法違反の検挙件数は3,679件(3,666件、+0.4%)、検挙人員は3,254人(3,139人、+3.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は719件(593件、+21.2%)、検挙人員は422人(329人、+28.3%)、大麻取締法違反の検挙件数は4,522件(4,755件、▲4.9%)、検挙人員は3,573人(3,722人、▲4.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は6,258件(8,024件、▲22.0%)、検挙人員は4,302人(5,395人、▲20.3%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数403人(428人、▲5.8%)、ベトナム115人(159人、▲27.7%)、中国67人(69人、▲2.9%)、ブラジル30人(23人、+30.4%)、スリランカ30人(8人、+275.0%)、韓国・朝鮮15人(14人、+7.1%)、フィリピン14人(27人、▲48.1%)、パキスタン13人(3人、+333.3%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、刑法犯全体の検挙件数は7,454件(8,939件、▲16.6%)、検挙人員は4,172人(4,855人、▲14.1%)
  • 暴行の検挙件数は437件(525件、▲16.8%)、検挙人員は424人(489人、▲13.3%)、傷害の検挙件数は727件(845件、▲14.0%)、検挙人員は805人(1,009人、▲20.2%)、脅迫の検挙件数は263件(276件、▲4.7%)、検挙人員は255人(257人、▲0.8%)、恐喝の検挙件数は251件(289件、▲13.1%)、検挙人員は310人(341人、▲9.1%)、窃盗の検挙件数は3,517件(4,432件、▲20.6%)、検挙人員は556人(721人、▲22.9%)、詐欺の検挙件数は1,219件(1,272件、▲4.2%)、検挙人員は941人(1,005人、▲6.4%)、賭博の検挙件数は41件(46件、▲10.9%)、検挙人員は97人(87人、+11.5%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、特別法犯全体の検挙件数は3,979件(5,234件、▲24.0%)、検挙人員は2,686人(3,541人、▲24.1%)、入管法違反の検挙件数は12件(14件、▲14.3%)、検挙人員は19人(14人、+35.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は50件(74件、▲32.4%)、検挙人員は46人(66人、▲30.3%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は67件(81件、▲17.3%)、検挙人員は62人(73人、▲15.1%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は18件(26件、▲30.8%)、検挙人員は36人(64人、▲43.8%)、銃刀法違反の検挙件数は69件(86件、▲19.8%)、検挙人員は43人(66人、▲34.8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は136件(102件、+33.3%)、検挙人員は52人(28人、+85.7%)、大麻取締法違反の検挙件数は716件(884件、▲19.0%)、検挙人員は409人(559人、▲26.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,362件(3,340件、▲29.3%)、検挙人員は1,566人(2,189人、▲28.5%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は103件(97件、+6.2%)、検挙人員は59人(65人、▲9.2%)

~NEW~
外務省 北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置の対象者の追加について
  • 我が国は、令和4年10月4日に北朝鮮が我が国の上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したこと等を踏まえ、北朝鮮をめぐる問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講じた措置の内容に沿い、閣議了解「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置について」(令和4年10月18日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
  • 措置の内容
    • 外務省告示(令和4年10月18日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定された北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者(5団体)に対し、(ⅰ)及び(ⅱ)の措置を実施する。
      1. 支払規制
        • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
      2. 資本取引規制
        • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
▼ 参考 別添 資産凍結等の措置の対象

~NEW~
国民生活センター 電子レンジ 食品や容器・包装に合った加熱を!
  • 内容
    • 事例1 サツマイモを容器に入れて電子レンジで加熱した。サツマイモがまだ固かったので、再度自動ボタンを押して加熱し、その場を離れた。戻って来たら部屋中が煙だらけになっていた。(70歳代 男性)
    • 事例2 レトルトカレーを食べようと思い、外箱ごと温めたら発火し、外箱が燃えてしまった。いつも電子レンジ対応のレトルトカレーを食べていたので同様にしたが、当該商品の包装は電子レンジ対応ではなかった。(70歳代 男性)
  • ひとこと助言
    • 食品が少量の場合や、根菜類など水分が少なめの食品では、急速に加熱が進み、煙が出たり発火したりすることがあります。手動で加熱時間を控えめに設定し、その場を離れず様子を見ながら加熱しましょう。
    • 容器に入れて加熱する際は、電子レンジ対応の容器であるかを確かめて使用することが大切です。
    • レトルト食品や冷凍食品は、アルミ包装など電子レンジに対応していない包装の場合もあります。使用の際は電子レンジ対応包装であるかなど、表示を必ず確認してください。
    • 食品カスや汚れは、発煙・発火の原因になります。こまめに掃除しましょう。
    • 発煙・発火した際は、すぐに動作を停止させ、電源プラグを抜き、扉を開けずに収まるのを待ちましょう。

~NEW~
経済産業省 「省エネコミュニケーション・ランキング制度」の評価結果を発表します
  • 本年度より開始した、エネルギー小売事業者から一般消費者への省エネに資する情報提供状況を5段階で評価する「省エネコミュニケーション・ランキング制度」の評価結果を発表します。
    1. 背景
      • 「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)」において、エネルギー小売事業者は、一般消費者に対し、「エネルギーの使用の合理化に資する情報を提供するよう努めなければならない」と規定されています。
      • また、令和3年10月に策定された第6次エネルギー基本計画においては、家庭部門で2030年までに原油換算で1,200万klの省エネルギー(節電)と見込まれており、カーボンニュートラルの実現に向けて家庭での省エネ取組の重要性が増しています。
      • こうした中、令和3年1月から「エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会」において、エネルギー小売事業者の一般消費者に対する情報提供の取組を評価する仕組みについて審議し、本年度から「省エネコミュニケーション・ランキング制度」の本格運用を開始しました。
    2. 省エネコミュニケーション・ランキング制度とは
      • 本制度では、電力・ガス会社等のエネルギー小売事業者による省エネルギーに関する一般消費者向けの情報提供やサービスの充実度を調査し、その取組状況を毎年度評価・公表することで、電力・ガス会社等のエネルギー小売事業者による更なる情報提供やサービスの向上を促し、提供された省エネルギー情報を元に一般消費者が一層の省エネルギーに取り組んでいただけるようにすることを目的としています。
      • 評価結果は、各エネルギー小売事業者の取組状況(前年同月比、世帯間の平均エネルギー使用量比較等の実施状況)により星1から星5の5段階でランク分けされます。各社の一般消費者向けの情報提供やサービスの充実度が星数でイメージすることができるため、一般消費者はエネルギー小売事業者を選択する際に、参考にしていただくことが可能になります。
    3. 公表内容
      • 本制度における各エネルギー小売事業者のランク(獲得した★数)、各ランクの平均得点率等(別添1)を公表します。
      • また、今冬の厳しい電力需給が見通される中、エネルギー小売事業者が実施している節電やガスの節約に関する取組等がより一層重要となっていることから、本制度の上位評価事業者については具体的な取組内容等(別添2)を併せて公表いたします。

~NEW~
総務省消防庁 令和4年9月の熱中症による救急搬送状況
  • 令和4年9月の全国における熱中症による救急搬送人員は4,931人でした。これは、昨年9月の救急搬送人員2,355人と比べると2,576人多くなっています。
  • 高齢者(満65歳以上)が最も多く2,421人(49.1%)、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)1,734人(35.2%)、少年(満7歳以上満18歳未満)724人(14.7%)、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)52人(1.1%)の順となっています。
  • 軽症(外来診療)が最も多く3,591人(72.8%)、次いで中等症(入院診療)1,227人(24.9%)、重症(長期入院)73人(1.5%)の順となっています。
  • 住居が最も多く1,427人(28.9%)、次いで道路779人(15.8%)、公衆(屋外)731人(14.8%)、教育機関544人(11.0%)の順となっています。
  • 鹿児島県が最も多く12.03人であり、次いで、鳥取県9.94人、熊本県8.46人、佐賀県8.38人、沖縄県8.04人の順となっています。

~NEW~
金融庁 「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(第6回)議事次第
▼ 資料3-1 事務局資料
  • 監査人は、財務情報の信頼性を確保することを通じて、市場の公正性・透明性を確保するとともに、投資者・債権者の保護を図るという重要な役割を担っている。こうした役割を果たすに際し、現在の監査市場では、
    1. いわゆるインセンティブのねじれ(利用者に対し企業の財務情報の信頼性についての意見を示す役割を担いながら、報酬は監査対象である企業から支払われている)、
    2. 非監査業務の提供に伴う利益相反や独立性の懸念、
    3. 監査の担い手が寡占状況にあり、監査品質を高める競争原理が十分に働かない懸念
      等の構造的な課題が指摘されている
  • 監査法人のガバナンス・コードは、「大手上場企業等の監査を担い、多くの構成員から成る大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定」されており、足下、全ての大手監査法人(4監査法人)がガバナンス・コードを受け入れている。
  • 大手監査法人以外においても、全ての準大手監査法人(5監査法人)と一部の中小監査法人(9監査法人)がガバナンス・コードを受け入れている(大手監査法人を含め合計18監査法人、2022年9月末現在)。
  • 全ての大手監査法人と準大手監査法人は、全ての原則を適用しているのに対して、ガバナンス・コードを受け入れている中小監査法人の中には、一部の原則を適用していないところもみられる。また、上場会社監査を担う中小監査法人の中には、コードを受け入れていないものの、各事務所のウェブサイトにおいて、当該コードへの対応状況等を公表しているところも存在している。
  • 大手・準大手監査法人における組織体制(経営機能)については、意思決定機関と執行機関を分ける例がみられる。
  • 一方、中小監査法人の多くは、特別な経営機関を置かず代表社員中心の組織的運営を行っているが、規模が大きい法人やガバナンス・コードを受け入れている法人では、意思決定機関と執行機関を分ける例もみられる(コードを受け入れている9法人のうち7法人)。
  • 大手・準大手監査法人では、監督・評価機関に独立第三者を含める例や独立機関を設置する例がみられるが、準大手における監督評価・機関の権限や独立第三者の活用状況は大手に比べ限定的となっているところが多い。一方、中小監査法人では、監督・評価機関を設置していないところが多いが、説明責任の強化等を図るため、業務運営上の会議に独立第三者が参加する例や外部アドバイザーを選任する例がみられる。
  • 大手監査法人であっても、全体会議や業務運営会議等を通じて、経営機関が監査の現場からの必要な情報等を適時に共有するとともに、経営機関等の考え方を監査の現場まで浸透させる体制を整備している。
  • 大手・準大手監査法人では、中長期的な人材育成方針を定め教育・訓練を行うとともに、多様な業務機会を提供するなどの人材育成に取り組んでいる。これに対して、中小監査法人の多くは、監査実施者の経験や能力、被監査会社の業種などに応じた研修を提供することが困難となっている状況。一方で、一部の法人では、職員別の研修体系を整備しているところもみられる。
  • 大手・準大手監査法人では、監査品質を重視した人事評価を実施。これに対して、中小監査法人では、定期的な社員評価を実施していないところもみられる。また、社員評価を実施しているところでも、人事評価の方針や手続を定めていないところも多い。一方で、一部の法人の中には、監査品質を重視した人事評価方針・制度を整備している例もみられる。
  • 大手監査法人では、監査業務部門を地域又は業務内容に応じた複数の部門に分け、監査業務をサポートする品質管理部門等を設置するなど、中小と比べ、より機能に特化した体制を整備。なお、準大手の中には、規模の拡大に対して均質な品質を維持するための業務管理態勢の見直しが不十分なところもみられる。これに対して、中小監査法人では、社員及び常勤職員が品質管理に十分な時間を割けていない状況がみられるほか、複数の監査部門がそれぞれ独立して運営され、法人一体としての品質管理が行われていない例もみられる。品質管理の水準が担当者の能力や関与時間に依存することになり、また、知識や経験が組織に蓄積されにくいなど、大手と比べて脆弱な体制となっている。
  • 大手監査法人では、開示情報を充実させ、より広い範囲の資本市場参加者との対話を実施している。準大手監査法人の多くは、大手と比べ開示情報の記載内容が簡略化され、投資家等との意見交換も単独では実施していない。
  • 中小監査法人の場合、さらに開示項目が簡略化され、被監査会社の監査役等との意見交換に留まる傾向がある。一方で、透明性確保の意義・重要性を認識し、開示情報の充実や市場参加者との対話を行う例もみられる。
  • 中小監査事務所がその特色や個性を活かしつつ監査業務を実施するためには、以下に挙げるような基盤を整備し、その取組みについての対外的な開示を強化していくことが資本市場の信頼性の更なる確保につながる。監査法人のガバナンス・コードの適用と適用状況を透明性報告書として開示するなどといった中小監査法人の情報開示等を促進し、資本市場関係者とさらに一層の対話を実施していく機会を設ける
  • 「監査法人のガバナンス・コード」は、2017年3月の策定時から内容が見直されていないが、策定時からの受入状況・取組状況等を踏まえ、必要に応じて、改訂すべき点がないか検討することが必要である。例えば、以下の点も含め、「監査法人のガバナンス・コード」に取り入れるべき事項が幅広く検討されることが望ましい。
    1. グローバルネットワークやグループ法人との関係性・位置づけ
      • グローバルネットワークやグループ法人との関係性・位置づけについて、どのような在り方を念頭に監査法人運営を行っているのか
    2. 非監査業務の提供に伴うリスクへの対応
      • 国際的な動向を踏まえ、非監査業務の提供に伴う利益相反や独立性への懸念に対してどのような姿勢で対応しようとしているか
    3. 更なる透明性の向上
      • 監査法人が長期的に目指す姿やKPIを公表し、外部の第三者が取組みを評価できるような情報提供を行っているか
      • 監査業務の運営の適正性について、監査法人のトップを含めたマネジメントの問題として対応されているか、また、独立した第三者の眼も含めて評価される体制が整っているか
    4. 品質管理体制の充実
      • 監査人の交代時や、監査法人の合併時における監査品質の確保に向けた取組みが行われているか
      • 構成員の状況(兼業状況や常勤・非常勤の別等)を踏まえた品質管理体制が整っているか
    5. 公認会計士の能力開発
      • 所属する公認会計士が、業務と並行して能力開発に十分に取り組むことができる環境が整っているか
  • 全ての大手・準大手監査法人のほか、被監査会社の海外展開への対応が必要となる一部の中小監査法人では、グローバルネットワークに所属し、グループ監査のための体制整備を進めている。
  • 大手監査法人の中には、グローバルネットワークの運営や取組みに一定程度関与している例もみられる。また、地域ごとにメンバーファームを統括・管理する動きがあり、日本の大手監査法人のメンバーが、アジア・パシフィック地域における中心的な役割を担っている傾向にある。
  • グローバルネットワークとの法的関係、人的関係、メンバーファームが監査報酬に比例して支払うフィー、デジタルツールに係る投資額について、一部の監査法人が開示をしている例もみられる。ただし、ネットワークに起因するリスクに関して記載している例はみられない。
  • 大手監査法人が属する国内グループに含まれる法人数の平均は15法人程度、準大手監査法人の場合は4法人程度となっている。これに対して、中小監査法人においては、グループ法人を所有ところは多くない。
  • グループ法人間の利害関係や、グループの共同事業を議論する体制を整備し運営しているケースが多い。
  • 大手監査法人では、近年はグループ法人の収入の増加により、グループ全体の業務収入における非監査業務の割合は上昇傾向にある。一方、準大手監査法人では、当該割合は大手と比べ低い。
  • 大手監査法人が属する国内グループ体制については、統括合同会社を設立し各グループ法人を監査法人と同列に置く事例が多いが、どの体制であっても一定程度の非監査証明業務を行っている。
  • 法人の中には、透明性報告書において、非監査業務の提供に伴う利益相反や独立性の懸念に対して、どのように対応しているかを説明している例もみられる。
  • 大手監査法人の中には、透明性報告書において、テクノロジーの投資額や、テクノロジーを活用した監査業務の中長期的な方向性などを説明している例がみられる。
  • 中小監査法人もIT基盤の実装化が必要であるが、IT関連の人材不足や財政的な課題を抱えているため、一部の準大手監査法人が中心となって、中小監査法人と協力し電子監査調書システムの構築などを進めている例もみられる。また、一部の中小監査法人でも、IT投資、IT人材育成、サイバーセキュリティ、データのクラウド保管、監査調書の電子化など、新しいテクノロジーを積極的に取り入れて業務を遂行できるように取り組む例もみられる。
  • 大手・準大手監査法人では、eラーニングの仕組みにより、個人の習熟度に応じて、それぞれの都合の良い時間と場所で教育・訓練を受けることを可能にしている。これに対して、中小監査法人の多くは、監査実施者の経験や能力、被監査会社の業種などに応じた研修を提供することが困難となっている状況。一方で、一部の法人では、eラーニングの仕組みを整備しているところもみられる。
  • 大手監査法人では、IT・デジタル人材の育成に注力しており、所属する公認会計士が業務と並行して能力開発に十分取り組むことができる環境整備に向けて、創意工夫して取り組んでいる。また、準大手監査法人の中には、監査における不正への対応を強化する観点から、ITテクノロジーの利用促進は最も重要性の高い分野と位置づけ、監査業務にITテクノロジーを積極的に活用している例もみられる。
  • 監査法人のガバナンス・コードを改訂するにあたり、規模等に応じて実効性のある内容となるようにするには、以下の事項についてどう考えるか。
    1. コードが対象とする監査事務所
      • 現行コードは大手監査法人を想定した内容になっているが、対象を中小監査法人に限定したコードを新たに作成することはせず、「上場会社監査を担う監査法人」を想定として、あるべき組織的運営となるように内容を見直すことについて、どう考えるか。
      • この場合、中小監査法人の規模等によって、コードの受け入れに際しての課題も様々あることが考えられるため、日本公認会計士協会が中小監査法人の相談に応じて体制整備を支援することについて、どう考えるか。
      • また、コードを受け入れた中小監査法人に対して、当該法人のガバナンスが実態を伴ったものとなるよう、外部からのガバナンスの確認や改善の余地がある事項のフィードバック、参考となる事例の共有などのフォローアップを継続的に行うことについて、どう考えるか。
      • 「上場会社監査を担う監査法人」以外の監査法人も自主的にコードを採用することも妨げない場合、新たな上場会社監査の担い手の裾野を広げる観点から、当該監査法人にとって監査品質の向上や監査報酬の向上につながるように、何かインセンティブ(例えば、日本公認会計士協会による市場参加者との対話を行う機会の付与など)をつける必要性について、どう考えるか。
    2. コードの位置づけ・構成や記載内容
      • コンプライ・オア・エクスプレインの手法のもと、会計監査の品質を持続的に向上させることを促すような原則の記載内容として、どのようなものが考えられるか。
      • 現行コードの構成を維持することについて、どう考えるか。
      • コードはコンプライ・オア・エクスプレインの手法をとっているため、コードにおいて、法令で定められる事項(例えば品質管理に関する情報開示の義務づけなど)や改訂品質管理基準の要求事項を記載しないことについて、どう考えるか。
    3. 中小監査法人の受入れに馴染む工夫
      • 規模等に応じて実効的な監督・評価機能を確保する観点から、形式的な監督・評価機関の設置は必須としないことを明確にするとともに、監督・評価機関を設置していない場合の代替的な手法(独立性を有する第三者の活用)を例示することについて、どう考えるか。この場合、これまで監督・評価機関を設置していた監査法人が改訂コードの適用により監督・評価機関を設置しなくなる可能性について、どう考えるか。
      • 上場会社監査を担う中小監査法人に対しては、法令で一定の情報開示を義務づけた上で、コードによって規模・特性等を踏まえて段階的に開示の充実を促していく方向性について、どう考えるか。この場合、日本公認会計士協会による中小監査法人への支援内容やその在り方も含め、段階的に充実した開示を促していく仕組みについて、どう考えるか。
    4. グローバルネットワークやグループ法人との関係・位置づけ
      • グローバルネットワークやグループ法人との関係性・位置づけについて、どのような在り方を念頭に監査法人運営を行っているのかを明らかにして説明させることの意義について、どう考えるか。
      • グローバルネットワークを起因とする、自律的な業務運営に対するリスクとその対応策を説明させることの意義について、どう考えるか。
      • グループ法人間のコンフリクトをどのように解消しているかも含めて、法人の業務運営がグループ法人から不当な影響を受けないために講じている対応策を説明させることの意義について、どう考えるか。
    5. 非監査業務の提供に伴うリスクへの対応
      • 非監査業務の提供に伴う利益相反や独立性の懸念に対して、具体的にどのような姿勢で対応を講じているかを明らかにし説明させることの意義について、どう考えるか。
    6. 更なる透明性の確保
      • 例えば、監査法人の中長期に目指す姿やKPIなど、ガバナンスに関する情報開示を充実させることの意義について、どう考えるか。具体的にどういった情報を開示すべきか。
      • 社会のデジタル化を含めたテクノロジーの進化に対応するIT基盤の実装化や積極的なテクノロジーの活用に向けた対応状況(現状と将来の方向性)を説明させることの意義について、どう考えるか。具体的にどういった情報を開示すべきか。
      • 法人の構成員が多様かつ必要な人材が確保されている状況を説明させることの意義について、どう考えるか。具体的にどういった情報を開示すべきか。
      • 特定の監査報酬によって財務基盤が左右されるリスクやその対応策を説明させることの意義について、どう考えるか。具体的にどういった情報を開示すべきか。
      • 海外に進出する企業活動への対応状況を説明させることの意義について、どう考えるか。具体的にどういった情報を開示すべきか。
      • 監査法人による開示内容がボイラープレート化にならないような仕組みについて、どう考えるか。
      • 市場参加者による監査品質の評価に資するように、監査法人において情報開示の充実を促すための仕組みやインセンティブづけについて、具体的にどういったことが考えられるか。
    7. その他
      • 監督・評価機関や独立機関の構成、独立性を有する第三者の選任方針などについて説明させる必要性について、どう考えるか。
      • このほか、議論すべき事項はないか

~NEW~
金融庁 金融審議会「顧客本位タスクフォース」(第2回) 議事次第
▼ 資料2 事務局説明資料
  • 金融経済教育を巡る課題
    • 近年、政府や金融関係団体等において、金融経済教育に関する取組みが着実に実施されつつあるが、金融経済教育を受けたと認識している人は7%程度に過ぎず、その割合も横ばいで推移。
    • 金融知識に関して自信のある人は1割程度であるほか、長期投資や分散投資等のリスク抑制効果に関する認知度も4割程度にとどまっている。
    • 金融経済教育を受けたと認識している人は7%程度にすぎない一方、金融経済教育を行うべきと回答した者は約7割を上回っており、金融経済教育に対するニーズは確実に存在。
    • 資産運用を行わない理由としては、4割の者が「資産運用に関する知識がない」ことを理由として挙げており、こうした層に適切な金融経済教育を届けていくことが重要。
  • 金融経済教育を巡る課題(企業型DCにおける継続投資教育)
    • 確定拠出年金法では、企業型DCを実施する事業主に対して、加入者等の運用の指図に資するよう、加入者等に継続投資教育を行うことを努力義務として課している。ただし、全体の8割弱の事業主は継続投資教育を実施したことがあると回答している一方、継続的な教育を受けたと回答した加入者は1割程度に過ぎない。
    • 企業型DCを実施する企業の6割は「継続教育に関する事項」に対する悩みを抱えている。具体的には、「無関心層に対する効果的な方法が分からない」、「他の業務と兼務しているため、継続教育に割く時間が少ない」等の課題を挙げている。
    • 企業型DCの総資産の約45%は元本確保型商品で運用されている。
    • これは指定運用方法を選定している事業主の約75%が「元本確保型商品」を選定していることも一因であると考えられ、事業主にも改善の余地はあるのではないかとの指摘もある。
  • 家計の資産形成を支えるインベストメント・チェーンの機能の発揮
    • 「原則」が策定されて以降、「業務運営」のあり方について継続的に議論が行われるなか、顧客本位の商品・サービスを提供する取組みは広がりつつある。一方、前回、「状況が大きく改善しているとは言いづらい」との意見をいただいたように、顧客のニーズに適さない商品の組成や販売が引き続き行われているのではないかとの懸念が広く指摘されている。「現在も、法令上の義務として「適合性の原則」があるが、それだけでは限界があるのではないか」、「顧客本位の業務運営の原則を法令上の義務として定めるべきではないか」といった意見もいただいたが、具体的にどのような措置を講じていくことか考えられるか。
    • 前回、家計の安定的な資産形成を実現していくためには、「「原則」が対象としてきた金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う金融事業者に加え、年金等、その他のインベストメント・チェーンに関わる者の役割も重要であり、そのあるべき姿についても議論すべき」との意見をいただいたが、こうした者も含めて、インベストメント・チェーンに関わる者に期待される役割についてどのように考えるか。また、こうしたインベストメント・チェーンに関わる者の役割の発揮を促していく観点から、ルールの横断化を目指すべきであるとの意見もいただいたが、具体的にどのような措置を講じていくことが考えられるか。
  • 販売会社・アドバイザーによる顧客本位の業務運営
    • 前回、「顧客本位の業務運営を実現していくうえで、利益相反管理や利益相反・手数料等の情報提供を充実・ルール化すべき」との意見をいただいたが、具体的にどのような情報提供のための措置を講じていくことが考えられるか。また、「顧客にとって自分が相談している相手がどの程度信頼できるのかを分かるようにするため、顧客に対してどのような法的な立場に立ち、義務を負っているかが明確になると良い」との意見もいただいたが、こうした意見についてどのように考えるか。
    • このほか、顧客本位の業務運営を実現していくうえで、講ずるべき施策についてどう考えるか。
    • 前回、「販売会社と家計には利益相反の関係もあるため、両者の間に顧客ファーストの、独立した質の高いアドバイザーが入るべき」との意見をいただいた。このようなアドバイザーの役割、あり方についてどう考えるか。
    • 良質なアドバイスを手軽に受けられるようにするため、誰がアドバイザーとしてそうしたアドバイスを提供するかともあわせて考えるべきとの意見もいただいたが、この点についてどのように考えるか。
    • 諸外国では、「中立的な」アドバイザーに関して、提供できる商品・サービスの範囲や、顧客からのみ報酬を得ているかどうか等の点に着目している。前回、「どのような者が「アドバイザー」と称して良いか、「独立」とは何か、日本では定義がはっきりしていない」との意見をいただいたが、こうした点を明確にしていくことについてどのように考えるか。
  • 良質なアドバイスを受けられる環境整備のため、どのような取組みを進めるべきか。
    • アセットオーナー(企業年金等)の機能発揮
    • 前回、「年金基金の運用がどうあるべきなのか等も議論すべき」との意見があった。DBにおける運用管理体制の強化等やDCにおける運営管理機関及び商品に対する評価・モニタリングを促すため、どのような取組みを進めるべきか。
  • 資産運用業の高度化
    • この数年の資産運用業を巡る調査や議論も踏まえつつ、昨年来、市場制度ワーキンググループにおいて、資産運用会社の独立性やプロダクトガバナンスについての議論が行われてきた。前回、グループ会社の枠を超えた発展や社外取締役の機能強化が必要との意見が出されたが、海外の事例も踏まえつつ、資産運用業の高度化に向け、具体的にどのような取組みを進めていくべきか。
  • 金融リテラシーの向上
    • 前回、「金融に興味のない層への業界横断的な取組みや、若年層で、大企業に勤める者以外の層を取りこぼさないような取組みが必要」との意見があった。また、「金融リテラシーを推進する母体を常設化すべき」との意見もあった。こうした意見を踏まえ、国全体として、中立的立場から、資産形成に関する金融経済教育の機会提供に向けた取組みを推進するため、どのような具体的取組みを進めるべきか。

~NEW~
金融庁 「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(第5回)議事次第
▼ 資料3 事務局資料
  • エンゲージメント・ガイダンス(仮称)の概要、目的
    • 2050年カーボンニュートラル実現に向けた具体的な移行を実現するため、これまで「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」や、分野別技術ロードマップの策定等の支援を通じて、トランジション・ファイナンスの活用が進みつつある。しかし、一足飛びの脱炭素化が困難な多排出産業においては、脱炭素化及びそのための資金調達は未だ道半ばである。
    • 加えて、投融資先のネットゼロ実現まで求めるGFANZ等の金融連合が発足する中、ファイナンスド・エミッション(投融資先の排出)は投資家・金融機関自身の排出となることから、排出量削減は、事業会社と金融機関双方の課題となっている。
    • しかし、安易なダイベストメントではなく、実経済の脱炭素化を支援することによってこそ、ファイナンスド・エミッションの脱炭素化が実現されることを基本として、事業会社と投資家・金融機関がエンゲージメント(目的をもった対話)をしつつ、トランジション戦略を実現とすることが重要となる。
    • こうした状況を踏まえ、事業会社と投資家・金融機関のエンゲージメントを充実させ、トランジション・ファイナンスを推進するため、投資家・金融機関向けの、多排出産業を中心とした「エンゲージメント・ガイダンス(仮称)」を策定する。
    • 具体的には、投資家・金融機関と事業会社が、分野別技術ロードマップ等を参照しつつ、脱炭素化に向けた取組を行う事業会社の競争力強化を実現するため、事業会社とエンゲージメントを行う際に使用する実務的な手引きを作成する。
    • 本ガイダンスは、資金供給者(投資家・金融機関)が主な読み手であるが、エンゲージメントの際にどのようなことが論点となるか、資金供給者側の意図を正確に理解するためにも資金調達者(事業会社)も参照されることが望ましい。
  • パリ協定実現のためには再エネを中心とする「グリーン」のみならず、省エネやエネルギー転換など着実な低炭素化を実現する「移行(トランジション)」が重要。トランジション市場は未だ黎明期であり、民間での資金供給に向けた環境整備が必要。トランジションの概念形成、ファイナンス促進のために、2021年5月に基本指針を策定。トランジションの適格性を判断するためのロードマップの策定とモデル事業を実施。
  • 2021年4月に2050年ネットゼロを実現するため、GFANZが設立されるとともに、銀行、アセットオーナー等の分野において、金融機関連合が発足。賛同金融機関は、ファイナンスド・エミッション(投融資先のGHG排出量)も含めた、ネットゼロ実現に向けて、中間目標の設定や実績の公表など、より一層の努力が求められつつある。
  • 発行体の情報開示の改善や、ESGリスクや機会に対する発行体の取組の後押しなど、エンゲージメントが果たす意義を踏まえて、2018年4月、「国際責任投資原則」(PRI)が「債券投資家のためのESGエンゲージメント」と題したレポートを策定。エンゲージメントを通じて、気候変動対応を促す民間イニシアティブの取組も進展する中、特に多排出産業の事業会社と投資家・金融機関のエンゲージメントの充実化がより一層重要となっている。
  • 企業と金融機関のエンゲージメントを充実させ、トランジション・ファイナンスを推進するため、投資家・金融機関向けの、多排出産業を中心とした「エンゲージメント・ガイダンス(仮称)」を策定する。具体的には、投資家・金融機関と事業会社が、分野別技術ロードマップ等を参照しつつ、脱炭素化に向けた取組を行う事業会社の競争力強化を実現するため、事業会社とエンゲージメントを行う際に使用する、実務的な手引きを策定する。
  • トランジション・ファイナンスの定義や位置づけ等を示した基本指針を策定するとともに、トランジションの戦略・取組は、産業分野ごとに異なるため、トランジションの適格性を判断するための参考として、分野別技術ロードマップを策定したところ。他方、金融機関を巡る脱炭素化の要請の高まり等に加えて、個社ごとに、トランジションの戦略・取組は異なるため、投資家・金融機関と事業会社間におけるエンゲージメントを通じた個別の調整やすり合わせが必要。さらに、トランジション戦略を実現するためには、継続的なエンゲージメントを通じた、改善が必要である。こうしたエンゲージメントを実務的にサポートするための手引きとして本ガイダンスを策定する。
  • 企業のTCFD提言に基づいた開示を促進するため、2020年7月に、民間主導で設立されたTCFDコンソーシアムにて、最新の国内外の動向を踏まえた解説や、業種別ガイダンス等を盛り込んだ「TCFDガイダンス2.0」を策定。さらに、グリーン投資を促進していくため、投資家等が開示情報を読み解く際の視点について解説するため、2021年10月に「グリーン投資ガイダンス2.0」を策定。
  • エンゲージメントのフロー
    • 目的を持った対話であるエンゲージメントを行うためには、事前に(1)資金調達者を評価した後、(2)エンゲージメントの目標を設定する必要がある。また、投融資後においても、(3)資金調達者の取組の進捗の確認や、(4)実施したエンゲージメントの評価が必要であると考えられる。このため、本ガイダンスにおいても、エンゲージメントのフローを以下の4ステップに分類し、検討を進めてはどうか。また、多排出産業を対象としたエンゲージメントの場合、一般的なエンゲージメントのフローと異なり、留意するべき点はあるか。
  • 投融資方法の特性
    • 脱炭素及びその他環境関連投資の資金調達方法は、ボンド(債券)や、ローン(融資)が存在するとともに、気候変動をテーマに、ESG投融資を行う機関投資家が多数存在する。本ガイダンスの策定にあたっては、多様なアセットクラス毎に投融資先への関与の仕方が異なることを踏まえて、多排出産業とエンゲージメントを行う際に各アセットクラスに共通する総則を整理してはどうか。
  • ファイナンスド・エミッション
    • GFANZ等によるファイナンスド・エミッションの削減に向けた要請の高まりを受け、一部の投資家・金融機関においては、多排出産業であることを理由に投融資を控える動きも生じ始めつつある。他方、脱炭素社会の実現に向けて、多排出産業に対する投融資が不可欠。こうした状況を踏まえ、国際的な動向との整合性に留意しつつ、投資家・金融機関がエンゲージメントの取組を加速化するために、ファイナンスド・エミッションに対する取組について、何らかの工夫をすることは考えられるか。
  • 本ガイダンスの活用を促す工夫
    • SASBは、投資家がエンゲージメントを実施する際に対話が考えられる項目を業種別に記載するとともに、「国際責任投資原則」(PRI)は、エンゲージメントの取組例を交えた指針を策定し、より実務的な手引きを策定。本ガイダンスにおいても、実務上活用しやすい内容とするため、例えば、投資家・金融機関が確認するべきポイントを簡潔にまとめたチェックリストや、具体的な事例を紹介するケーススタディを盛り込むことを検討してはどうか。
  • TCFDガイダンス2.0の概要
    • 「環境と成長の好循環」の実現に向けて、気候変動対策に積極的に取り組む企業に資金が供給されることが重要。企業のTCFD提言に基づいた開示を促進するため、2018年12月に経済産業省が「TCFDガイダンス」を策定。
    • 世界的にTCFD開示とその活用が進む中、民間主導で設立されたTCFDコンソーシアムにて、最新の国内外の知見・動向を踏まえた解説、業種別ガイダンス、及び事例集を拡充する改訂を行い「TCFDガイダンス2.0」を策定
  • グリーン投資ガイダンス2.0の概要
    • TCFD提言に基づく開示は質量ともに進展しつつある。今後さらにグリーン投資を促進していくため、初版公表以降の重要な進展を反映し、投資家等が開示情報を読み解く際の視点について解説。また重要なトピックを新たに「補論」として解説。
    • 投資家等の視点に対する企業側の理解が深まり、更なる開示につながることも期待。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による市中協議文書「サイバーインシデント報告の更なる収斂の達成」の公表について
▼ プレスリリース *グーグル翻訳
  • 金融安定理事会(FSB)は本日、サイバーインシデント報告におけるより大きな収束の達成に関する市中協議文書を発行しました。サイバーインシデントに関するタイムリーで正確な情報は、効果的なインシデント対応と回復、および財政的安定の促進に不可欠です。提案は包括的なアプローチを採用しており、以下が含まれます。
    • サイバーインシデントレポートの統合を促進するための課題に対処するための推奨事項。金融当局の経験と金融機関との関与に基づいて、FSBは、金融機関からのサイバーインシデント情報の収集と金融当局間のその後の共有に関連する実際的な問題に対処するための16の推奨事項を設定しました。
    • サイバーインシデントに関連する共通用語の確立に関するさらなる作業。サイバーインシデントレポートの収束を達成するための重要な手段は、共通言語の使用です。特に、何が「サイバーインシデント」を構成するかについての共通の定義と理解が必要であり、金融当局や金融の安定にとって意味のないインシデントの過剰報告を回避する必要があります。
    • インシデント報告交換(FIRE)の共通フォーマットを開発する提案。インシデント報告テンプレートのレビューと当局のサイバーインシデント報告体制の調査では、サイバーインシデント報告の情報要件に高度な共通性があることが示されました。これらの共通点に基づいて、FSBは、金融機関と金融当局の間でさらに検討できる共通の報告形式の開発を提案しています。
  • FSBは、この市中協議文書、特にFSBが提示した質問に関するフィードバックを募集しています。回答は、2022年12月31日までに「CIR Convergence」という件名でfsb@fsb.orgに送信する必要があります。回答者が別の方法で明示的に要求しない限り、回答はFSBのWebサイトで公開されます。

~NEW~
金融庁 G7サイバー・エキスパート・グループによるランサムウェア及びサードパーティのサイバーリスクマネジメントに関する基礎的要素の公表について
▼ 「金融セクターのランサムウェアに対するレジリエンスに関するG7の基礎的要素」(仮訳)
  • ランサムウェアの発達と急増は、金融機関が現在直面している課題のなかで最も重大なもののひとつである。ランサムウェアは、侵害された情報システムを恐喝目的で操作し、身代金の要求が満たされるまで、被害者が当該システムや当該システムに保存されているデータを全く使用できないようにする1。ランサムウェアは、その性質上、被害者の業務継続能力に影響を及ぼす。金融セクターにとって、ランサムウェアは容認できないリスクをもたらし得る。
  • ランサムウェア攻撃は、その使用が利益をもたらさなくなるまで停止しない可能性がある。金融機関は、攻撃が生じる前に、ランサムウェアへのレジリエンスを確保するために必要な措置を講じることが重要である。その際には、金融機関に直接的又は間接的なランサムウェアリスクをもたらし得る、特に重要なサードパーティプロバイダについてのリスクも考慮すべきである。これらの課題に対処することで、金融機関が業務を維持すること及び攻撃者がランサムウェア攻撃による利益追求を継続する動機となり得る身代金の支払いを回避することに資する。
  • 本文書は、金融機関にランサムウェアの脅威に対処するためのハイレベルな構成要素を提供する。これは規範的ではなく、拘束力を持つものではなく、G7メンバー全体を通じて実施されている現在の政策アプローチ、業界に対するガイダンス及びベストプラクティスを取り込むことを意図している。本文書は、主に民間セクターの金融機関及びその特に重要なサードパーティプロバイダに焦点を当てる一方で、金融当局が自らの内部におけるランサムウェアによる被害を低減する活動及び金融セクターのレジリエンスを高めるための取組みにも利用できる。
  • ランサムウェアに対するレジリエンスを作り出すための過程は、多くの場合、金融機関がサイバーインシデントに備え既に実施している過程と同様であるべきである。本「金融セクターのランサムウェアに対するレジリエンスに関するG7の基礎的要素」文書は、2016年に公表した「金融セクターのサイバーセキュリティに関するG7の基礎的要素」文書と整合している。元の文書で示された各要素について、本文書はランサムウェアの脅威に対処するために必要な、検討すべき事項を述べる。
  • 要素1:サイバーセキュリティ戦略及びフレームワーク:ランサムウェアに対するレジリエンスを金融機関のサイバーセキュリティ戦略及びフレームワークに組み込むこと。
    • 包括的なサイバーセキュリティ戦略及びフレームワークは、あらゆる組織のあらゆるサイバー・セキュリティ・プログラムに不可欠な構成要素である。ランサムウェアのリスクは、金融機関が検討する他の脅威とともに、統合された包括的なアプローチによって最善の取扱いがなされる。
    • 成功したランサムウェア攻撃の大部分は、組織内の不適切なサイバー衛生の実践により生じた欠陥と関係している。これには、強力な認証行為の欠如、エンドユーザーへの不十分なサイバーセキュリティ及びフィッシング対策教育、不適切な資産管理、効果的なネットワークセグメンテーションの欠如、又は特に重要な資産に対する遅滞した若しくは不完全な脆弱性のパッチ適用が含まれる。これらの脆弱性は通常、金融機関のサイバーセキュリティ戦略及びフレームワークの中で対処される。
  • 要素2:ガバナンス:実効的なガバナンス態勢を通じ、ランサムウェアが組織に及ぼす広範な影響に対する実効的な連携を確保すること。
    • ランサムウェアのインシデントが組織のIT部門に限定されることは稀であり、むしろ、ビジネス運営、法令及び規制の遵守体制、マーケティング並びに広報業務に係る機能に大きな影響を及ぼす。意思決定過程の全体にランサムウェアに対する計画を盛り込んだ、強力な企業のサイバーセキュリティ・ガバナンスを構築することが重要である。このような準備には、取締役レベルでの監視及び事業ユニット間の高いレベルの調整が含まれる。ガバナンスの議論では、資産追跡、データ分類及びバックアップ戦略、演習、脆弱性診断、エンドユーザーに対するサイバーセキュリティ教育のような問題が取り上げられる可能性があり、これらはすべて、ランサムウェア及びその他のサイバー脅威からの保護のために重要である。ランサムウェア関連の、上級管理者レベルでのガバナンスに係る議論の、さらなる重要なトピックは、以下のとおりである。
      1. 身代金要求に対する計画
        • G7各国は、一般的に身代金の支払いに否定的であり、それは犯罪の企てへの資金提供を助長し、継続的な悪意ある行いに対する意図しない誘因を与える可能性があるためである。秘密鍵を入手できない可能性や、その鍵を用いたデータ復元が受け容れ難いほど遅い又は不完全となる可能性を考えると、身代金の支払いは復元データへのアクセスを保証しない。攻撃者は、ランサムウェア攻撃で取得した機密データの複製を保持することもあり、被害者に対する継続的な影響力をもたらす可能性がある。
        • 身代金の支払いは、国の政策又は業界の基準によって妨げられる場合がある。経済制裁対象に指定された事業体への支払いを伴う場合のように、場合によっては、身代金の支払いが法的に禁止されることもある。金融機関は、ランサムウェアのインシデントが発生する前に、それぞれの法域の法律についてあらためて調査することを検討すべきである。金融機関は、潜在的な制裁リスクを評価するために、攻撃者又はランサムウェアに係る支払いの受取人について特定が困難な可能性があることも考慮すべきである。
      2. 事業継続計画
        • ランサムウェアのインシデントは、特に重要な情報システムを長期間にわたって停止させ、特に重要な業務運営に大きな影響を及ぼす可能性がある。組織内のサイバーセキュリティ専門家は、事業継続計画の考慮事項における他の運用上の構成要素と緊密に連携することで恩恵を得る。事業継続計画にはランサムウェアに係るシナリオを含めることを検討すべきである。
      3. コミュニケーション計画
        • 内部及び外部のコミュニケーション計画は、上級管理者レベルの協議を通じて対処することが最適なもう一つの項目である。金融機関は、その業務の中核的な部分において信頼に大きく依存している。金融機関は、適時かつ効果的なコミュニケーションを通じて対処できるように、主要なステークホルダー・グループの関心及び懸念を予め理解したいと考えるであろう。これには、顧客、取引先、従業員、監督当局者及び公衆一般が含まれ得る。
        • これらのグループは、ランサムウェアのインシデントにより、その影響を受けた金融機関がサービスを継続して提供する能力並びに口座保有及び個人・企業データのセキュリティに及ぼす影響について懸念を持ち得る。彼らはまた、支払要求への金融機関の対応に関して疑問を持ち得る。
      4. 組織横断的な計画
        • 金融セクター内のランサムウェアインシデントは、個別金融機関への大きな影響に加え、他の金融セクター事業体とその顧客まで広範にわたる大きな影響を及ぼす可能性がある。ランサムウェアリスクに対処できる健全な体制を構築する上で、金融機関、業界団体、金融当局は重要な役割を果たしている。効果的な組織横断的計画は、様々なレベルの意思決定のための役割、責任、及び調整メカニズムを明確に特定することとなる。これらには、規制当局、法執行機関及びサイバーセキュリティ機関、保険提供者、緊急対応チーム、更にはバーチャル資産サービス提供者などの新たな利害関係者を含む、多様な利害関係者のグループが含まれ得る。
  • 要素3:リスク及び統制策の評価:ランサムウェアリスクに対する統制策を確実に実践すること。
    • 金融機関は、ランサムウェアのリスク及び既存のサイバーセキュリティフレームワークにおけるリスクに対応するための統制策を評価すること、並びにサイバー脅威の入口となりうるサードパーティプロバイダ(ストレージや電子メールなどのクラウドサービスを含む)の特定によって恩恵を得る。金融機関は、サードパーティのサイバーセキュリティ慣行及び自身が経験し得るあらゆるインシデントを認識することにより恩恵を得る。
    • 金融機関は、保険契約への加入を通じて、ランサムウェアリスクへの部分的な対処策を求めることができる。保険契約は、一定のランサムウェア関連の損失、特に復旧に係る損失から企業を保護することができる。また、多くの契約では、侵害に対する指導、攻撃者とのコミュニケーション、広報、及びフォレンジックなど、幅広い対応リソースへのアクセスを提供している。保険契約は、強力なサイバー衛生及び効果的なランサムウェア対策計画に代わるものではなく、実際、多くの保険会社は、保険引受プロセスの一環でこれらの証明を求める。保険契約には、制限、免責額及びサブリミット、並びに免責条項が含まれ、通常、金銭的損失の全額をカバーしない。例えば、風評やコンプライアンスへの影響など、ランサムウェアによる深刻な負の結果に対しては、保険をかけることが極めて困難である。
  • 要素4:モニタリング:潜在的なランサムウェアの挙動に係る一連の兆候をモニタリングすること。
    • ランサムウェア活動の兆候は、金融機関が情報システム上で悪意のある、又は異常な活動を検知するために構築している不正侵入検知システム及び関連システムを通じて、最善に特定される。組織が外部のランサムウェアによる脅威の追跡に使用でき、また、傾向の特定に資することができる多様な情報源がある。これらの情報源には、とりわけ法執行及びサイバーセキュリティ機関、業界団体並びにサードパーティのセキュリティプロバイダーによって発行された脅威報告やインテリジェンスの提供が含まれる。
  • 要素5:インシデント対応:ランサムウェアインシデントに対応するために策定した計画を実践すること。
    • 金融機関によるランサムウェアへの対応は、複数のレベルで協調して業務を行う場合において、最も効果的となるであろう。金融機関は、ランサムウェアによる影響の様々な側面を反映した多様なシナリオを使った訓練を通じて、組織的対応を強化するため、継続した努力を行うことが重要である。
    • ランサムウェアインシデントは犯罪に該当しかねず、適切な権限を持つ当局との調整が必要な場合がある。金融機関は、インシデント中の連携が容易になるよう、ランサムウェアインシデントに先立って、適切な法執行機関、国家安全保障機関及び規制当局との関係を確立することから恩恵を得る。法域によっては、金融機関は、ランサムウェアインシデントを示す可能性のある疑わしい活動を権限ある当局へ報告をし得る、又はしなければならない。
    • 多くの組織は、ランサムウェア対応活動の支援をサードパーティに依存することとなる。
    • サードパーティの活用により、組織は、ランサムウェアへの対応経験を重ねた、訓練された担当者のサポートを通じて、迅速に対応能力を強化できる。ただし、金融機関は、広範なインシデントの場合には、同時に複数の組織からこれらのサービスへの需要が高まりうることも認識すべきである。したがって、金融機関は、対応計画の一環として、代替となり得るプロバイダの特定を検討し得る。
    • 金融機関は、自身の特定のシステムに影響を与えないインシデントであっても対応するよう求められる場合がある。ランサムウェアの支払いは、仮想通貨交換業者を含む金融機関を通じて行われることが多い。金融機関は、ランサムウェアに係る疑わしい取引の届出を含む、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する義務を遵守することを通じて、ランサムウェアの脅威から金融システムを保護する上で重要な役割を果たしている。
    • さらに、各国は、犯罪者による金融サービスへのアクセス及び悪用を抑制するために、特に仮想資産に関して、金融活動作業部会基準を実施すべきである。
  • 要素6:インシデントからの復旧:ランサムウェアによるインシデントで損なわれた可能性のある機能を回復するための手順を実践すること。
    • ランサムウェアインシデントからの回復に不可欠な要素は、システム及びデータのバックアップ及び復元である。データバックアップ戦略を策定する上で、金融機関は、通常のバックアップ実務をかいくぐり又は妨害するランサムウェア主体の能力を考慮すべきである。金融機関は、ランサムウェア主体がバックアップデータの感染を試みようとしているかもしれず、かつ、ランサムウェア攻撃自体が明らかになるよりもかなり前から感染を開始しているかもしれないことを考慮すべきである。これによって、金融機関のシステムを再感染させずにデータを復元することが困難になり得る。また、データが適切にバックアップ及び復元されていたとしても、攻撃者は、データが公開される危機にさらされていると恐喝する目的で、窃取したデータを保有する可能性がある。
    • 金融機関は、ランサムウェアへのレジリエンスをもたらす特徴を備えたバックアップ戦略を検討すべきである。これらのソリューションには、保存されたデータの改変、削除、又は暗号化を防止するシステムが含まれ得る2。これらには、より頻繁なバックアップ、より長い期間のバックアップ保持、オフラインバックアップ並びにオンプレミス及びオフプレミスの様々なシステムにわたるデータ保持手法の冗長性といった取組みも含まれる。
    • 対応活動と同様に、事前にバックアップをテストするとともに、データの復元並びに特に重要なユーザーアカウント及びソフトウェアの適切な目標時間内での再インストールを訓練し、検証した金融機関は、ランサムウェア攻撃からの復旧を最善に行えるだろう。データの復元は、特に大規模なデータセットの場合には困難であることで知られており、金融機関がバックアップから復元する際に予期せぬ問題に直面する可能性がある。
    • 法執行機関の捜査官が必要とする可能性があるため、金融機関にとって、その回復プロセスを慎重に文書化することが重要である。また、金融機関が将来のインシデントに適用する可能性がある教訓を確認し、及び文書化することも重要である。
  • 要素7:情報共有:ランサムウェアのインシデント及び情勢に関するデータ、情報、及び/又は知識を組織内外の必要な関係者と共有すること。
    • ランサムウェアの活動は、多くの場合、悪意ある主体、対象となる業界、使用される戦術及びその他の要因に基づいたパターンに従う。金融機関は、状況認識を向上させるためにこれらのパターンを理解するよう努めるとともに、修正に資する共通の脆弱性及び新たな侵害指標を継続的に監視するべきである。
    • 法域によっては、ランサムウェア攻撃についての報告を義務付ける制度が存在する場合がある。金融機関は、インテリジェンス及び情報共有ネットワーク(例:金融分野のサイバーセキュリティインシデント対応チーム(CSIRT)及び情報共有・分析センター(ISAC))等の然るべき能力のある団体に報告することも考慮すべきである。
  • 要素8:継続的な知見獲得:過去のインシデントから知見を得ることで、ランサムウェアに対するレジリエンスを高めること。
    • すべてのサイバーセキュリティ問題と同様、ランサムウェアに対する効果的な対処には、継続的な学習アプローチの採用が必要となる。ランサムウェア攻撃は、高度な攻撃に対しての一般的なサイバー衛生の欠如に起因することが多いため、金融機関は、システムへの不正アクセスにつながり、及びランサムウェアが悪用し得る脆弱性を生み出す可能性のあるフィッシング、ソーシャルエンジニアリングその他の攻撃の影響を受けやすいエンドユーザーの教育に、追加リソースの投入を検討すべきである。さらに、対抗技術が進化しているのと同じく、ランサムウェアの脅威は絶えず進化している。金融機関は、脅威環境におけるこれらの変化を追跡し、健全な慣行の遵守を確認するためシステムログを頻繁にレビューし、また、障害が特定された場合にはプロセスと構成を改善することで、ランサムウェアに対するレジリエンスを確保することができる
▼ 「金融セクターにおけるサードパーティのサイバーリスクマネジメントに関するG7の基礎的要素」(仮訳)
  • 背景及び対象
    • 金融セクターにおける民間及び公的金融機関(以下「金融機関」という。)は、業務運営を支えるためにサードパーティとの取引関係を拡大し続けている。近年、このようなサードパーティの利用急増には、情報通信技術(ICT)プロバイダの利用拡大が含まれる。ICTプロバイダは、金融機関に対して、オペレーショナル・レジリエンスの強化、レガシーITシステムへの依存度の低減並びに金融サービスの提供におけるイノベーション、多様化及び効率性に関するポテンシャルの向上といった便益を提供し得る。さらに、外部のICTサービスを利用することで、金融機関は中核的な事業の運営に集中し、ITへの支出を効率的に管理できる。
    • ICTプロバイダを含むサードパーティの利用は、金融機関が考慮、管理すべき追加的なサイバーリスクをもたらす可能性もある。近年、サイバーインシデントは、ICTサプライチェーンの特に重要な部分が個々の金融機関のみならず金融セクターに対するシステミックなサイバーリスクを含み得ることを示している。サードパーティの脆弱性に起因するサイバーインシデントによって、例えば、不正行為、金融機関の業務の中断、顧客若しくは企業の機微(センシティブ)情報への不適切なアクセスにつながり得る可能性、又は金融市場の安全性及び健全性に影響を及ぼす可能性がある。これらの関係の規模と複雑性が増すほど、サードパーティのサービスを利用する金融機関にとって、サイバーリスクの理解、測定及び軽減はますます困難になる。
    • 本基礎的要素におけるサードパーティとの関係の定義は、その組織がグループ内企業であるか外部提供者であるかにかかわらず、金融機関と組織との間に結ばれる製品又はサービスを提供するための、あらゆる業務上の関係又は契約である。
    • サードパーティとの関係の重要な形態の一つに業務委託がある。業務委託関係のもとでは、業務委託がなければ金融機関自身により提供されていたビジネス上の機能、サービス又はプロセスをサードパーティが提供する。
    • 本基礎的要素におけるICTサプライチェーンの定義は、金融機関が自身の業務を支えるために用いるICTエコシステムを形成する、サードバーティ間の相互の結び付きから成る。ICTサプライチェーンには、すべての製品、サービス及びインフラに加え、それらの提供者、供給者及び製造業者も含まれる。金融機関は、特に重要な業務を支援するICTサプライチェーンについて、検知、回復、継続的なテスト及びインシデント対応のための適切なアプローチを維持することを検討し得る。
  • 基礎的要素
    • サイバーリスクへの対応の一助として、「金融セクターのサイバーセキュリティに関するG7の基礎的要素」(2016年10月)及び「金融セクターのサイバーセキュリティの効果的な評価に関するG7の基礎的要素」(2017年10月)が公表された。金融セクターにおけるサードパーティのサイバーリスクマネジメントへの取組みをさらに支援するため、G7は2018年に、「金融セクターにおけるサードパーティのサイバーリスクマネジメントに関するG7の基礎的要素」を公表した。
    • 2018年以降の業界の進展に対応するため、G7は2018年の基礎的要素を改訂し、サードパーティとの関係の管理のみならず、ICTサプライチェーン管理にも焦点を当てている。アップデートされた基礎的要素は、脅威が絶えず変化する環境に対応するために、広範な情報共有と透明性の大切さを強調している。金融セクターにおけるサードパーティの役割がますます重要になっていることについて注意を喚起するために、新たな基礎的要素(要素7)が追加された。
    • 金融機関は基礎的要素を必要に応じて、自身に固有のリスクプロファイル、業務や脅威に関する環境、金融セクターにおける役割、法的及び規制上の枠組みに適応させることが好ましい。基礎的要素は拘束力を持たず、既存のフレームワークを無効化するものでも、これらのフレームワークの継続的な適応を妨げるものでもない。以下の基礎的要素は、個々の金融機関におけるサードパーティのリスクマネジメントに関するライフサイクル、金融セクターに対するサードパーティの役割及びシステム全体のサイバーリスクのモニタリングについて論じている。
    • さらに本基礎的要素では、個々の金融機関のICTサプライチェーン全体におけるサードパーティのサイバーリスクマネジメントについても論じている。
    • 金融機関及びサードパーティは、自身のサイバーリスクマネジメントのツールキットの一部として、本基礎的要素を活用し得る。その際、金融機関は、サードパーティとの関係の規模、特性、対象、複雑性及び潜在的な金融システムにとっての重要性を考慮した相応のアプローチをとるべきである。
    • 一法域の当局及び法域横断的な当局は、サードパーティサイバーリスクに対応するための自らの政策や規制・監督上の取組みを形成するため、本基礎的要素を活用し得る。
  • サードパーティのリスクマネジメントのライフサイクル
    • 要素1:ガバナンス:金融機関のガバナンス組織は、サードパーティのサイバーリスクマネジメントの効果的な監視及び実行に関する責任を有すること。
      • 取締役会や役員会など、金融機関のガバナンスに関する組織は、サードパーティとの関係の管理を含む、金融機関のサイバーリスクマネジメントの監視及び実行に関する最終的な責任を有する。この監視及び実行には以下が含まれる:サードパーティ依存への対処に関する文書化された戦略、サードパーティ及びサイバーリスクに関する方針、サードパーティとの関係に対するリスク許容度の設定、並びに企業のリスク管理機能に統合され、かつ、所与の活動のリスクと重要性のレベルに応じて管理された、サードパーティのサイバーリスクマネジメントに関する役割、責任及び説明責任の明確化。このほか、金融機関内部のあらゆるレベル並びに金融機関、サードパーティ及び関連当局との間における、通常業務としての適切なコミュニケーション及びエスカレーションのプロセスも含まれる。
    • 要素2:サードパーティのサイバーリスクに対するリスクマネジメントプロセス:金融機関は、サードパーティのリスクマネジメントのライフサイクル全体を通じ、サードパーティのサイバーリスクを管理する有効なプロセスを有すること。
      • 金融機関は、サードパーティに関連するサイバーリスクを特定、評価、監視し、適切なレベルの管理者に報告し、リスクベースアプローチを用いてサードパーティのサイバーリスクを管理すべきである。金融機関は、伝播するサードパーティのサイバーリスクから身を守るために、ポリシーや統制手段を導入すべきである。
      • ・金融機関は、再委託の利用に関するリスクマネジメントのプラクティスを含め、特に重要なサードパーティのサイバーリスクマネジメントのプラクティスを把握すべきである。
    • サードパーティと重要性の特定:金融機関は、サードパーティの一覧及び当該サードパーティが金融機関の業務にとってどの程度重要かの理解を維持すること。
      • 一覧には、全てのサードパーティのリスト、提供するサービス及び機能、金融機関のシステムに対し有するアクセスレベル、保持又は処理するデータの種類や機密性及び場所を含むべきである。
      • 金融機関は、サードパーティの業務上の重要性を識別できるようにすべきである。重要性を決定する要素には、サードパーティがどの程度まで、特に重要な機能及び中核的な業務分野に対して、サポートし、アクセスするかが含まれ得る。
      • 金融機関はリスクベースアプローチを用いて、サードパーティと関連するICTサプライチェーンを更に評価することが推奨される。例えば、ソフトウェア供給者から、関連するサードパーティと厳密には関連していない(例:オープンソース)、ソフトウェアを構成するソフトウェアライブラリのリストのような、ソフトウェア部品表を入手することも重要なステップになり得る。
    • サイバーリスクの評価とデューディリジェンス:金融機関は、サードパーティと新たな取引関係に入る前、及び関係が継続する間、自らのサイバー戦略と整合的かどうかを検討するために、サードパーティのサイバーリスク評価及びデューディリジェンスを実施すること。
      • 金融機関は、サードパーティの製品やサービスの提供能力に関するリスクだけでなく、サードパーティ及びICTサプライチェーンが業務環境にもたらす潜在的なサイバーリスクや脆弱性を評価、管理すべきである。金融機関は、サポート対象の業務運営の重要性、サードパーティによる(物理的及び論理的の両面による)アクセスのレベル、アクセスまたはホストするデータ又はシステムの機密性並びに接続方法などのリスク要素を評価することができる。
      • 金融機関が実施するデューディリジェンスの一部として収集する情報には、サードパーティの現在のサイバーリスク戦略及びサイバーレジリエンス(サイバー攻撃への耐性やダメージからの回復力)に関する過去のパフォーマンスを含めることができる。金融機関は、サードパーティのリスクマネジメントプログラムが金融機関の統制環境(法的・規制上の義務を含む)に従って実施されていることについて比例的で最新の確認を行うために、サイバーリスクに係るデューディリジェンスを、契約前と契約期間中の両方で、リスクベースアプローチに基づいて実施すべきである。金融機関は、上述のリスク評価やデューディリジェンスを効率的に実施するため、共同でサードパーティを評価することを検討することができる。
    • 契約の構成:金融機関とサードパーティとの契約は、再委託から生じるものを含んだ、サイバーリスクマネジメントに資する条項を含むこと。
      • 金融機関は、サードパーティとの取引開始に先立って、法的義務並びに関連当局の要件及び金融機関の期待要件が契約に含まれていることを確認すべきである。
      • 金融機関は、サイバーセキュリティに関する契約の条項の中に、取引の対象、パフォーマンス基準、金融機関及びその関連当局のアクセス、情報及び監査に関する権限、報告規定、サイバーレジリエンステストの種類(例:侵入テスト、TLPT)及び頻度に関する要求、データの所在、保管、保持、移転及び廃棄に関する取決め、再委託、さらには可能な範囲においてICTサプライチェーンに関する規定並びに契約終了の条件を含めることができる。法律で別段の定めがない場合には、契約上の合意により、契約されたサービスの納品にかかる重大な変更を含め、サードパーティとの取引により生じるサイバーリスクの評価に必要な情報が金融機関や関連当局に対し、確実に提供されるようにすべきである。
      • さらに、サイバーインシデントを含め、サードパーティのサイバーリスクプロファイルに悪影響を及ぼし得る、ICTサプライチェーン内での事象が金融機関に報告されることに関する期待が、契約中に明示されるべきである。
    • 継続的なモニタリング:金融機関は、自らのサイバーリスクを管理するため、継続的にサードパーティの重要性やリスクの変化をモニタリングし、契約履行状況を確認すること。
      • モニタリングは、リスクの重大性に応じたものであるべき、またサードパーティとの関係の特性の変化を考慮に入れて実施すべきである。継続的なモニタリングの対象には、サードパーティに係る重大なサイバー脆弱性及びリスクの変化、その業務環境及びサイバー脅威又はインシデントの影響を含めることができる。
      • 金融機関は、契約上の期待に達しているかどうかを判断するため、サードパーティのパフォーマンスを定期的に監視すべきである。金融機関は、モニタリングに資するため、サイバーリスクの定量的指標やリスク評価指標を収集・分析することができる。
      • サードパーティが特に重要な機能を提供している場合や、より重大なリスクを金融機関にもたらしている場合には、適切な監視を伴った、より厳格かつ高頻度のモニタリングの実施が検討されるべきである。
      • 金融機関は、サードパーティ及びICTサプライチェーンに関連するサイバーリスクの進化に対応するため継続的に学習し、能力開発すべきである。
    • 要素3:インシデント対応:金融機関は特に重要なサードパーティを含むインシデント対応計画を策定し、演習を実施すること。
      • 金融機関のインシデント対応計画は、サードパーティに関係するサイバーインシデントの検知・情報収集の方法や、サードパーティ及び適切な当局との連絡手段を含むべきである。また、役割及び責任並びに国のCIRT(サイバーインシデント対応のためのチーム)を含む関連当局への報告基準も含めるべきである。
      • 定期的な演習は、弱点の特定、サイバーレジリエンスのテスト並びに対応及び復旧の適切性の評価に役立てることができる。可能な場合には、インシデント対応計画について、金融機関、サードパーティ及びその他関係者と共同で演習を実施するべきである。インシデント対応計画は、組織変更や教訓を踏まえて見直されるべきである。
    • 要素4:コンティンジェンシープランと出口戦略:金融機関は、サードパーティがサイバー関連のパフォーマンスの期待要件を満たさない場合又は金融機関の許容範囲を超えるサイバーリスクをもたらす場合に備えて、適切なコンティンジェンシープランと出口戦略を有しておくこと。
      • 金融機関は、特に重要な機能を提供する能力を確保するため、実行可能なコンティンジェンシープラン及び出口戦略を策定し、維持すべきである。金融機関のサイバーリスクに影響を及ぼすシナリオには、以下が含まれ得る:サードパーティの業務運営における重要事象、サードパーティの運営能力の変化並びにサードパーティの商業上又はビジネス上の戦略及び/若しくはパフォーマンスの変化。検討すべき事項には、サービスを金融機関に戻す又は別のサードパーティに移管することが含まれ得る。金融機関は、自らの業務に最も適し、かつ、金融システムの安全性と健全性を促進し、消費者被害を抑制するために最適な選択肢を評価すべきである。
      • コンティンジェンシープラン及び出口戦略は、実行可能な範囲で適切にテストされるべきである。また、金融機関は、コンティンジェンシープラン及び出口戦略に対応するガバナンスに関する方針や基準に加え、特に重要なサードパーティのコンティンジェンシープランを理解し、検証すべきである。
  • システム全体のサイバーリスクのモニタリングとセクター横断的な調整管理
    • 要素5:潜在的なシステミックリスクのモニタリング:金融セクター全体にわたるサードパーティとの取引がモニタリングされるとともに、潜在的にシステミックな影響を及ぼす可能性を有するサードパーティのサイバーリスクの要因が評価されていること。
      • サードパーティのサイバーリスク評価は、個別金融機関という単位を超えるものである。サードパーティがシステム上重要な金融機関に特に重要な機能を提供している場合又は複数の金融機関が共通のサードパーティを利用している場合(集中リスク)、サードパーティのサイバーリスクは、システミックな影響を及ぼす可能性がある。こうした潜在的なシステミックリスクは特定及び評価され、管理でき得るべきである。
      • サードパーティがシステム上重要な金融機関に特に重要な機能を提供していない場合であっても、同一のサードパーティが複数の金融機関にサービスを提供している場合、集中リスクが生じる可能性がある。同様に、同一のサードパーティが複数の機能を提供している場合、リスクの集積又は複合を引き起こすことがある。金融機関は、サードパーティの利用に関して、自らの観点から集中リスクを特定、評価、監視し、関連当局と関連情報を共有すべきである。
      • 関連当局は、必要に応じて、金融機関レベルとセクターレベルの両方で、集中リスク及び潜在的なシステミックリスクを特定、評価、監視するよう努めるべきである。これらのリスクのアプローチについて、関連当局は、これらのリスクを管理し、情報共有を改善するために適切な措置を実施するよう検討すべきである。
      • 手法の例としては、複数の金融機関に跨ったサードパーティ関連情報の統合並びに単一障害点、サードパーティの集中リスク又はリスクの伝播チャネルが生じ得る場所の特定が挙げられる。金融機関は、当該リスクを軽減するためにサードパーティの代替先を検討し得る。そのような措置を効果的なものとするため、金融機関、サードパーティ及び関連当局には、金融セクター内におけるサードパーティとの関係に関する情報共有を改善することが推奨される。
    • 要素6:セクター横断的な調整:セクターを跨るサードパーティへの依存に関連したサイバーリスクは、それらのセクター間で特定のうえ、管理されていること。
      • 金融セクターは、他のセクターのサードパーティに依存している。こうしたセクターの一つを混乱させるサイバーインシデントが発生した場合には、金融機関の中核的な業務機能の提供に影響を与える可能性がある。こうしたサイバーリスクを特定、管理するため、セクター間を跨いだ協調を促進するための適切なステップがとられるべきである。
      • 金融機関が他のセクターのサードパーティから生じるサイバーリスクを監視、管理できるように、サイバーリスクに関するセクター横断的な情報共有の改善に努めることが奨励されるべきである。
      • 金融機関及び関連当局は、健全なサイバーリスクマネジメントの促進、サイバーレジリエンスの向上、有効なプラクティスの共有支援及び可能な場合には協調的対応に資するため、他のセクター及び重要インフラに関するフォーラムとの協働の機会を継続的に模索すべきである。
    • 要素7:金融セクターのサードパーティ:金融機関と契約するサードパーティは、金融機関のリスク管理要件が、サービス・物品の提供に影響を及ぼす可能性を認識すべきである。
      • 金融機関は、サードパーティの提供するサービスの安全かつ健全な運営を確保する責任を免れない。しかし、サードパーティは、金融機関がサイバーリスクを特定、評価、監視、軽減し、関連するリスク管理要件を遵守することを支援すべきである。これは特に、ICT及びサイバーセキュリティサービスをサポートするサードパーティに当てはまる。この限りにおいて、サードパーティは、金融機関によるサイバーリスクの効果的な管理を促進するために、サードパーティに関するサイバーリスクを含め、必要な情報を利用できるようにすべきである。これには、重大インシデントに関連する情報、サービス又はサービスや製品のサポートを終了する意図並びにICTサプライチェーンの他の当事者と特に重要なサードパーティとの関係を開始する意図のような、金融機関や顧客に影響を及ぼす可能性のある情報が含まれる。
      • 該当する場合、サードパーティは、ICTサプライチェーンにおける自身のサードパーティから生じるサードパーティリスクに対処するために、本基礎的要素を用いることが奨励される

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「気候関連リスクに対する規制・監督手法:最終報告書」及び「気候関連開示に関するFSB進捗報告書」の公表について
▼ プレスリリース *グーグル翻訳
  • FSBは、気候関連リスクに対する監督上および規制上のアプローチに関する推奨事項を公表し、情報開示の継続的な進展を求めています。金融安定理事会(FSB)は本日、ロードマップで概説されている気候関連の金融リスクへの取り組みの一環として、2つの報告書を発行しました。
    • 気候関連リスクに対する監督および規制のアプローチに関する最終報告書。この報告書は、気候変動から生じる分野横断的およびシステム全体のリスクを監視、管理、軽減するためのアプローチを開発し、部門や管轄区域全体で一貫したアプローチを促進するために、監督当局および規制当局を支援することを目的としています。
    • 気候関連の情報開示に関する進捗報告書。この1年間に新しい世界基準設定者、国および地域の当局、企業によって達成された進捗状況を評価します。
  • 報告書は、2022年10月12~13日に開催されるG20財務大臣と中央銀行総裁に提出されました。
  • FSBはまた、業界主導の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による2022年の状況報告書の本日の発行を歓迎します。
  • 気候関連リスクに対する監督と規制のアプローチこの報告書は、当局が気候変動から生じるリスクを監視、管理、軽減するためのアプローチを開発し続ける中で、一貫性を促進するための高レベルの推奨事項を提供しています。この報告書は、2022年4月に行われた中間報告書に関する公開協議の結果、最終決定されました。推奨事項は次のとおりです。
    • 監督および規制への報告と金融機関からの気候関連データの収集:この勧告は、当局が監督および規制の目的に必要なデータの特定を加速することを奨励しています。金融機関から要求される可能性のある関連するデータと指標の種類を特定する。また、定期的な標準化された規制報告要件の拡大に向けた当局の将来の取り組みを支援するための重要な政策上の考慮事項を提供します。
    • システム全体の監督と規制のアプローチ、および監督と規制のツールとポリシーが気候関連リスクに対処する範囲:当局は、マクロプルーデンス目的で気候シナリオ分析とストレステストの使用を拡大することが奨励されます。今後数年間でアプローチが発展し、成熟するにつれて、FSBは2024年にその勧告に対する監督および規制慣行のピアレビューを実施することを検討します。FSBはまた、2025年に勧告を更新することを検討します。
    • その他の潜在的なマクロプルーデンスの政策とツールの早期検討:報告書は、マイクロプルーデンスのツールだけでは、気候関連リスクの分野横断的、世界的、および体系的な側面に十分に対処できない可能性があると指摘しています。当局と基準設定機関は、規制と監督の枠組みを適切に強化するために、短期から中期で研究と分析を行うことが奨励されています。
  • 気候関連開示の進捗報告
    この進捗レポートでは、次の内容を確認します。

    • 国際持続可能性基準委員会(ISSB)によるグローバルベースライン基準の開発の進展:気候に関する投資家やその他の利害関係者に意思決定に役立つ情報を提供するためには、管轄区域全体で採用する準備ができている最終的なグローバルベースライン気候報告基準をタイムリーに発行することが重要です。関連するリスクと機会。グローバルベースライン基準の設定におけるISSBによる進捗状況に関するレポート。国際監査および保証基準委員会、会計士のための国際倫理基準委員会の作業について。また、IOSCOも開示基準と保証基準の両方に関する作業をサポートしています。
    • 気候関連の開示を要求または促進するために法域が講じた措置:いくつかの新興市場国および発展途上国を含むほとんどのFSBメンバー法域の金融当局は、昨年以来、気候開示に関する要件、ガイダンス、または期待を設定するための追加の措置を講じています。このレポートは、アクションを要約し、グローバルなベースライン標準と管轄のフレームワークとの相互運用性を確保する必要性を強調しています。
    • 2022年のTCFDステータスレポートで報告されている、気候関連の情報開示における企業の進捗状況。報告書は、ISSBのグローバルなベースライン基準が合意され、法域全体でのその基準の実施が監視され始めるまでの期間、企業の気候開示の進捗状況を監視および報告することにより、勢いを維持する必要性が継続していることを指摘しています。したがって、FSBは、TCFDが2023年に企業の情報開示に関する別の進捗報告書を作成することを要求します。
  • 編集者への注記
    • FSBは、2021年7月にG20によって承認された、気候関連の金融リスクに対処するためのロードマップを発行しました。ロードマップは、ステップと指標となる時間枠を含む、気候関連の金融リスクに対処するための包括的かつ調整された計画を設定します。ロードマップは、企業レベルの開示、データ、脆弱性、規制および監督上の慣行とツールの合計4つの重点分野をカバーしています。2022年7月にロードマップの進捗レポートが公開されました。
    • 気候関連リスクに対する監督と規制のアプローチに関する最終報告書は、FSBが2022年4月に発行した報告書の諮問版に対して寄せられた一般からのフィードバックを反映しています。も本日公開されました。
    • TCFDは2015年にFSBによって設立され、企業が投資家、貸し手、保険引受人に気候関連の財務リスクに関する情報を提供する際に使用する一連の自主的で一貫した開示の推奨事項を作成します。これらの開示に関する推奨事項は、広範な一般市民の関与と協議を経て2017年に最終決定され、企業が既存の報告プロセスを通じてより効果的な気候関連の財務開示を作成するためのフレームワークを提供します。TCFDの30の国際メンバーには、資本提供者、保険会社、大規模な非金融会社、会計およびコンサルティング会社、信用格付け機関の代表者が含まれます。
    • FSBは、各国の金融当局と国際的な基準設定機関の作業を国際レベルで調整し、金融の安定のために効果的な規制、監督、およびその他の金融部門の政策の実施を開発および促進します。24の国と地域の金融の安定に責任を負う国家当局、国際金融機関、規制当局と監督当局のセクター別の国際グループ、および中央銀行の専門家の委員会を結集します。FSBはまた、その6つの地域諮問グループを通じて、約70の他の法域とのアウトリーチを行っています。
    • FSBの議長は、De Nederlandsche Bankの総裁であるKlaas Knotが務めます。FSB事務局はスイスのバーゼルにあり、国際決済銀行が主催しています。
    • FSBの詳細については、FSBのWebサイトfsb.orgをご覧ください。

~NEW~
金融庁 G20サステナブルファイナンス作業部会による「2022年G20サステナブルファイナンス報告書」の公表について
▼ 2022年G20サステナブルファイナンス報告書」 Executive Summary *グーグル翻訳
  • このレポートは、2022年のサステナブルファイナンスワーキンググループ(SFWG)の作業をまとめたものです。SFWGの作業は、G20サステナブルファイナンスロードマップ(「ロードマップ」)の行動に基づいており、2021年のローマサミットでG20首脳によって自発的なものとして承認され、承認されました。UNFCCCおよびパリ協定に沿った持続可能な開発のための2030アジェンダの達成に不可欠であるとして、G20FMCBGsによって今年初めに提案されました。
  • 具体的には、
    • ロードマップで推奨されるアクションの進捗状況を追跡します。
    • 3つのワークストリームにまたがるSFWG活動の成果について説明する。持続可能な金融手段の拡大-高レベルの原則と自主的な推奨事項を含む
    • 2022年6月に開催された持続可能な投資のための国際的な政策手段に関するフォーラムからの重要なポイントを報告します。
  • 移行資金のフレームワークの開発
    • 過去数年間のグリーンおよび持続可能な金融市場の急速な成長にもかかわらず、気候に合わせた資金調達を支援する取り組みは、「純粋なグリーン」および「純粋なグリーン」に近い活動に主に焦点を当ててきましたが、全体に必要なより広範な投資へのサポートが必要です。温室効果ガス集約型セクターや企業による移行活動や投資を含む、経済的気候変動への移行は制限されており、一部のセクターでは銀行融資や資本市場へのアクセスがますます困難になっています。移行資金の効果的な枠組みは、この経済全体の移行をサポートし、セクターや企業が正味ゼロ排出への移行を支援するための資金調達へのアクセスを獲得する能力を向上させることができます。これは、気候関連の移行リスク、手頃な価格で信頼できるエネルギーへのアクセスの制限、失業、潜在的なより広範な社会的影響など、無秩序な移行の潜在的な悪影響を緩和するのに役立ちます。効果的なフレームワークは、「グリーンとSDGの洗浄」によるリスクを軽減することもできます。
    • このレポートで説明されているように、移行金融とは、持続可能な開発目標(SDG)の文脈において、排出量の削減と正味ゼロの排出量と気候レジリエンスに向けて、経済全体の移行を支援する金融サービスを指します。パリ協定の目標。
    • このような背景に対して、SFWGは移行資金に関する一連の高水準の原則を策定しました。これには、相互に関連する以下の5つの柱に関する移行金融フレームワークに関する特定の原則が含まれます。
      1. 移行活動と投資の特定
        • 原則1 金融機関や実体経済企業が移行活動や投資機会を特定して理解し、特定の障壁、コスト、移行洗浄リスクを軽減するための分類法や一連の原則、またはその他のアプローチを導入する。長期的な温室効果ガス集約型ロックインの可能性に。
        • 原則2 移行活動または投資機会の特定が、必要に応じて、透明性、信頼性、比較可能性、説明責任、および期限付きの気候目標に基づいていることを保証するのに役立ちます)、そしてパリ協定の目標に沿っています。
        • 原則3 プロジェクト、エンティティ、業界、および全体(ポートフォリオ、ファンド、インデックスなど)レベルでの潜在的なユースケースに適用可能であること。
        • 原則4 パリ協定の目標と一致するGHG経路との整合性を含め、移行活動または投資の検証可能性に関する明確な推奨事項を含めます(たとえば、透明性、ベンチマーク、または独立した検証のためのガイダンスを提供することによって)。
        • 原則5 進化する科学、市場、技術の発展、政策環境、削減コスト曲線、開発のニーズと優先事項を積極的に反映し、サポートする。
        • 原則6 雇用および影響を受ける世帯、地域社会、およびその他のSDGs(環境保護と生物多様性を含む)への悪影響、またはエネルギー安全保障と価格安定へのリスクを回避または軽減しながら、秩序ある、公正で手頃な価格の移行を促進するための措置を検討し、含める。
        • 原則7 G20持続可能な金融ロードマップの整合アプローチを開発するためのG20のハイレベル原則を考慮して、法域を超えた整合アプローチの比較可能性と相互運用性を確保することにより、該当する場合、国境を越えた使用を促進する(行動1)。
      2. 移行活動と投資に関する情報の報告
        • 原則8 信頼でき、理想的には検証可能で、比較可能で、科学に基づいた暫定的および長期的な目標と、達成のタイムライン(たとえば、技術的な経路、資金調達、投資計画など)とともに、最新の移行計画を開示します。
        • 原則9 パリ協定の目標に沿った、最新の科学的方法論に裏付けられたネットゼロ目標や暫定目標などの全体的な緩和および適応目標を含む、定期的かつ適切な間隔で進捗状況を報告する。
        • 原則10 スコープ1およびスコープ2のGHG排出量データを含む気候データと、スコープ3の重要なデータを可能な限り開示します。スコープ3排出量データの開示は、データの可用性と容量の進歩を反映して、可能な限り段階的なアプローチを使用して進めることができます。企業は、使用される内部炭素価格、および移行目標を満たすために使用される炭素クレジットまたは炭素オフセットの特性など、開示のための関連するアプローチとポリシーについて報告する必要があります。
        • 原則11 リスク管理システムおよびデューデリジェンスプロセスに関するものを含め、そのような移行活動または計画が適切に実施されることを保証するコーポレートガバナンスの取り決めを開示する。
        • 原則12 排出削減、除去、リサイクルと再利用、および/またはそこで使用されるベンチマークなど、気候目標の進捗を評価するために使用される指標と方法を含むがこれらに限定されない、移行の進捗と成果を測定するために使用される方法論を開示する(炭素強度など)と、そのような方法論が国際的に認められたシナリオとどの程度一致しているか。
        • 原則13 移行金融手段から調達された資金の使途(資金の使途)、または資金調達者の事業にとって重要なKPI/SPTのパフォーマンス(持続可能性に関連するローンや債券などの一般的な企業目的の手段)を開示する。
      3. 移行関連の金融商品
        • 原則14 資金調達者は、パリ協定の目標に沿った、信頼できる整合アプローチ(分類法に基づくアプローチ、原則に基づくアプローチ、その他の整合アプローチ、または市場参加者に、移行への取り組みの野心と焦点を知らせるためのものです。
        • 原則15 資金調達者は、移行活動、目標、指標、およびKPIの透明性を確保するために、前のセクションで概説した移行関連の開示ガイダンスまたは要件、および管轄区域で適用されるその他すべての要件を遵守する必要があります。および必要に応じて、保護および是正措置の実施。
        • 原則16 の移行金融商品には、十分な規模の組み込みのインセンティブ/ペナルティを組み込んで、強力なパフォーマンスを促進することができます。GHG排出削減目標およびその他の気候関連または持続可能性関連のパフォーマンス目標(SPT)を設定します。
      4. 政策手段の設計
        • 原則17 政策立案者は、適切な政策、インセンティブ、および規制環境を設計し、移行活動の銀行性を改善し、より多くの民間部門の投資を集めるために、それらが効果的であることを保証するように取り組むことができます。貧困を根絶する。当局はまた、投資家に規制の確実性を提供するために、そのような政策の実施に関する将来のガイダンスを提供することを検討する必要があります。
        • 原則18 IOとMDBは、移行プロジェクトを支援するための適切な政策手段を設計および実施する際に、国、特に発展途上国に技術支援と長期資金を提供する上で重要な役割を果たすことができます。
        • 原則19 国際協力は、アプローチ間の透明性と理解を確保し、優れた実践と専門知識を交換するために促進されるべきである。
      5. 社会的および経済的悪影響の評価と軽減
        • 原則20 資金調達者に対し、移行計画またはその他の戦略の潜在的な影響を評価し、軽減するよう奨励する。移行活動の適格基準と報告フレームワークを設定する際に、当局またはFIは、国内の義務と現地の法律および規制と一致している場合、資金調達者(会社)が移行計画の潜在的な社会経済的影響を評価し、これらについて透明性を保つよう奨励する必要があります。負の影響を軽減するため、または潜在的な正味の正の影響を強調するために講じられた影響と対策。
        • 原則21 公正な移行の実証事例を開発する。ILO、OECD、UNDP、MDBなどの適切なIOは、民間部門と協力して、リスクと影響の測定と報告、KPIの設計、更新など、移行の「公正な」要素を明示的に組み込んだ、より具体的な移行金融事例を作成する必要があります。今後の会議でSFWGに。
        • 原則22 政府機関、使用者と労働者の代表、市場規制当局、学界、市民社会、民間部門の利害関係者の間の対話と協力を強化して、経済的および社会的悪影響を軽減するための包括的な戦略を定義する。

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
  • 2022事務年度金融行政方針の公表について(概要、サステナブルファイナンス)
    • 2022年8月31日、2022事務年度の金融行政方針を公表した。これは、毎年、事務年度のはじめに、金融庁として進める施策の方向性を明らかにするもの。
    • 本方針についても、これまで同様、これを材料として、様々な対話を活発にしてまいりたいと考えている。もし、本方針について説明してほしい、あるいは、本方針のこのテーマを議論したいといったニーズがあれば、声をかけていただきたい。
    • 内容の詳細は、3本柱で構成しており、
      • 第一に、コロナやロシアのウクライナ侵略の影響により先行きが不透明となる中、金融機関による事業者支援の取組やそのための能力向上を後押し、事業全体に対する担保制度等の環境整備を行うとともに、利用者目線に立った金融サービスの普及や金融機関の経営基盤の強化を促していくこと
      • 第二に、気候変動問題への対応、デジタル社会の実現、スタートアップ支援といった様々な社会課題解決を新たな成長へと繋げるために金融面での環境整備を行うとともに、年末に「資産所得倍増プラン」を策定することも踏まえ、「貯蓄から投資」へのシフトを進め、成長の果実が国民に広く還元される好循環を実現する施策を検討・実施すること
      • 第三に、内外の環境が大きく変化する中、職員の能力・資質の向上を図るとともに、国内外に対する政策発信力を強化すること
        などを盛り込んだ。
    • 本方針の内容のうち、サステナブルファイナンスの推進については、今回、下記の参考にある5点の取組みを今後の施策として盛り込んだが、特に、3点について述べる。
      • 1つ目は、2050年カーボンニュートラルに向けた金融機関と企業の協働の促進である。このため、新たに検討会を設置し、移行計画の策定と着実な実践に資するよう、企業と金融機関の対話の活発化に向けた方策について議論を行う。
      • 2つ目は、多様な投資家をインパクト投資へ呼び込み、サステナビリティの向上に向けた企業の取組を促すことである。これに向け、2020年より金融庁が共催している「インパクト投資に関する勉強会」を発展させた検討会を新たに設置し、投資のインパクトに関する計測手法について、その実務上の具体化等について議論を進める。
      • 最後に、アセットオーナーにおける資産運用の高度化である。投資先企業の成長と受託財産の持続的拡大を図るため、アセットオーナーが、運用方針においてESG要素を如何に考慮していくかについて知見を高めることが重要であり、まずは、そうした運用を行う上でどの様な課題があるかについて、関係者と連携し、把握していく。
    • このうち1点目については、ネットゼロに向けた金融連合に加入している金融機関を中心に、国際的に求められている中間目標の策定や、産業別の目標値の設定等、既に取組みを進めている方も多いと認識している。先ほど申し上げた2050年カーボンニュートラルに向けた金融機関の取組みに関する検討会なども含めて、様々な場面で、こうした目線も踏まえながらどのように産業界との対話を促進していくか、実務的な着眼点や課題について、意見をいただきたい。
    • (参考)2022事務年度金融行政方針「サステナブルファイナンスの推進」の主な記載
      1. 開示の充実
        • TCFD開示の質と量の充実を促すとともに、有価証券報告書に、サステナビリティ情報を一体的に提供するための記載欄を新設
        • 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、SSBJの法令上の位置づけ等について検討
      2. 市場機能の発揮
        • アセットオーナー(年金基金等)に対し、投資先企業の成長の促進と自らの受託資産の持続的増大を両立するための課題等を把握
        • 資産運用会社における態勢構築や開示の充実等を図るため、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針を改正
        • ESG評価・データ提供機関向けの行動規範(~9月5日まで市中協議)を最終化
        • 日本取引所グループのESGに関する情報プラットフォームの拡充
        • GX経済移行債(仮称)を含むGX投資のための10年ロードマップの策定やGXリーグの稼働に向け、積極的に貢献
        • カーボン・クレジット市場の整備に向け、取引の適切な価格形成を図る観点から金融機関が果たせる役割を検討
      3. 金融機関の機能発揮
        • 2050年カーボンニュートラルと整合的で科学的な根拠に基づく移行計画の策定と着実な実践に資するよう、検討会を設置し、企業と金融機関の対話と実践のためのガイダンス(仮称)を策定
        • 地域金融機関による企業支援を推進
        • 気候変動による事業影響を実務的に把握できる粒度のデータセットやその活用方法等について取りまとめ
        • 自然災害リスクへの対応における保険の役割等について、各国監督当局と議論
      4. インパクトの評価
        • 投資によるインパクトの実務的な計測手法等について、新たに検討会を設置し、年度末までに取りまとめるとともに、気候変動関連のインパクト評価の枠組み策定に向けて、関係省庁と連携を深め、クライメートテック企業に対する投資を円滑化
      5. 専門人材の育成等
        • 金融関係団体等と連携し、サステナビリティに係る資格試験の創設等を推進するほか、ESG投資に必要な知見・技能とそれを獲得する手段等(スキルマップ)を見える化。大学等における金融関係の講座や教材の提供等を検討
        • 生物多様性も含めた自然資本について、国際的な議論、民間の動向把握を通じて金融への影響や金融の役割を考察
  • 金融行政方針(監督局関係)
    • 金融行政方針について、主要行等と関係するところでは、以下の施策などを盛り込んでいる。
      • 資金繰りや経営改善・事業転換・事業再生等の事業者に寄り添った支援の一層の促進
      • 経営者保証に依存しない融資慣行の確立
      • 金融機関の経営基盤の強化と健全性の確保に向けた、ガバナンスやリスク管理態勢の強化
      • 高齢者・障がい者・女性・外国人といったすべての利用者に寄り添った丁寧な対応の促進
      • デジタル社会の実現に向けた、デジタルマネーや暗号資産等に関する環境整備、決済インフラの高度化・効率化の推進
    • 引き続き、金融機関との対話による課題の解決を重視し、こうした施策に取り組んでいく。
  • 経営者保証に依存しない融資慣行の確立について
    • 「パッケージNEXT」においては、個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策を本年内に取りまとめることについても盛り込んでいる。
    • 金融行政方針にも、経営者保証について、金融庁として、あらゆる方策を講じていく旨盛り込んでいるところであり、今後、金融機関の意見も伺いながら、具体的な方策を検討していく
  • 金融機関におけるカーボン・クレジット取引等の取扱いについて
    • 気候変動対策への世界的な要請の高まりに伴い、カーボンニュートラルの実現に向けて、民間主導によるボランタリークレジットを中心にカーボン・クレジット取引が国際的に活発化している。例えば、世界におけるカーボン・クレジットの発行量は足元10年間で約10倍に増加している。
    • 国内においても、東京証券取引所が、経済産業省の委託を受け、カーボン・クレジット市場に係る実証事業を行うこととなった。今回の実証事業では、2種類のカーボン・クレジットについて売買の実証が行われるが、このうち「Jクレジット」については、既に参加者登録や説明会が開始されており、9月22日に予定されている売買開始に向け準備が進められていると承知。
    • 金融機関がカーボン・クレジットを取り扱う場合には、業務範囲規制との関係で、取り扱おうとするカーボン・クレジットが「(算定割当量に)類似するもの」に該当するか整理が必要となる。この点、「Jクレジット」、「JCMクレジット」及び法令(外国の法令、米国州法を含む。)に基づくクレジットについては、「(算定割当量に)類似するもの」に該当すると考える。
    • また、ボランタリークレジットを含むその他のカーボン・クレジットについては、金融機関自らが、「(算定割当量に)類似するもの」に該当するか否かを的確に判断できるよう、金融庁としても環境整備を行い、カーボンニュートラルの実現に向けて積極的に貢献していく。
  • リースにより太陽光発電設備を設置している住宅等の取得に係る住宅ローンの与信審査について
    • 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては再生可能エネルギーの更なる導入促進が必要であり、政府では、2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指すなど、住宅・建築物にも太陽光発電設備の設置を拡大すべく、各種の施策を講じている。また、住宅等への太陽光発電設備の導入は自家消費等により電力需給の改善や災害時のレジリエンス強化にも繋がりうるものである。
    • 太陽光発電設備の導入に関する費用については、昨今、住宅ローン等により自己負担するケースに加え、初期費用を軽減できるリース等を活用するケースも増えてきていると承知。
    • このような状況を踏まえ、リースにより太陽光発電設備を設置している住宅等の取得に係る住宅ローンの与信審査に関しては、金融庁として一律の対応を求めるものではないが、例えば、自家消費による電気代削減や売電収入等の側面についても考慮することなど、各金融機関それぞれにおいてご検討いただければ幸いである。
  • 業態横断的なモニタリング方針等について
    • 金融行政方針の中で、2022事務年度の業態横断的なモニタリング方針(例えば、信用・市場・流動性リスク管理、顧客本位の業務運営、マネロン対策等、サイバーセキュリティ対策、システムリスク管理等のモニタリング方針)や業種別モニタリング方針について記載している。是非、金融行政方針を確認いただきたい。
    • 金融庁としては、各項目について、データ分析や金融機関との対話を通じ、深度あるモニタリングを実施していく。
    • (参考)例えば、以下に取り組む旨を記載している。
      1. 金融機関の経営戦略を確認するとともに、国内外の営業基盤、財務基盤、ガバナンス・各種リスク管理態勢等について金融機関と対話を行い、それぞれの状況に応じて経営基盤の強化を促す。経済環境の変化や金融市場の変調が金融機関の健全性や金融システムの安定性に与える影響を分析するとともに、金融機関における業況悪化先に対する与信管理や事業者支援の状況、有価証券運用や外貨流動性に関するリスク管理態勢についてモニタリングを行う。また、人的投資や人材育成の取組みを促す。加えて、業務のDX推進や銀行業高度化等会社の活用も含め、新規ビジネスの開拓、顧客利便の向上、コスト削減等の方策について確認する。
      2. 顧客本位の業務運営の確立に向け、金融機関において顧客の資産形成に資する商品組成・販売・管理等を行う態勢が構築されているかモニタリングを行う。特に、仕組債については、経営陣においてその取扱いを十分に検討しているか等についてモニタリングを行う。また、金融機関の具体的な取組みが、各々の取組方針の中で明確化されているか、営業現場において定着しているかモニタリングを行う。加えて、金融サービス利用者相談室、金融トラブル解決制度推進室、コンダクト企画室を一体的に運用し、利用者トラブルに係る情報の多角的な分析と実態把握を行い、その結果をモニタリング等に活用する。
      3. 各金融機関がマネロンガイドラインで求められる対応を2024年3月末までに完了するよう、モニタリングを行う。また、マネロン対策等に関する利用者の理解の向上を図るため、その必要性等について政府広報等による周知を行う。加えて、為替取引分析業について、制度の施行に向けた準備を進める。全国銀行協会等における共同システムの実用化に向けた検討を支援する。
      4. 各金融機関において、実効性のあるサイバーセキュリティ管理態勢が構築されているかモニタリングを行う。また、地域金融機関に対して、サイバーセキュリティ管理態勢の成熟度を評価するための点検票を活用し、自主的なサイバーセキュリティの強化を促すとともに、保険会社や証券会社に対しても、点検票を修正の上、その活用を検討する。加えて、業態横断的なサイバーセキュリティ演習を、目下のサイバー攻撃の脅威動向や新たな事例を踏まえたシナリオで実施する。
      5. 金融機関のシステム障害案件については、障害の真因及び改善策の実効性を検証することを通じて自律的な改善を促す。大規模かつ難度の高いシステムの統合・更改案件については、検査を含めた深度ある検証を実施する。また、外部委託先を含めたデータ管理等の課題など、金融機関におけるリスク管理の実態の把握を進めるほか、必要に応じ、それらの課題等に関して外部委託先との対話を行う。
      6. 銀証間のファイアーウォール規制の緩和を踏まえ、金融庁に新設の「優越的地位の濫用防止に係る情報収集窓口」に寄せられる情報等を活用しつつ、優越的地位の濫用に関する防止態勢を重点的に検証する。
  • 足元の金融経済情勢を踏まえた適切なリスク管理について
    • 世界経済は、コロナの影響を受けて減退した需要の回復が見られる反面、インフレや地政学リスク等に起因する先行きの不透明感が続いている。また、金融市場においては、金利や為替をはじめ、不安定な動きが続いている。
    • 足元においては、こうした状況が、例えば各金融機関が保有する外国債券の評価損の拡大や、外貨資金の調達費用の上昇といった形で、金融機関に影響を与えている。
    • また、先行きについても、金融市場の変調が金融機関における有価証券運用や外貨資金調達に及ぼす影響、物価を含む経済動向が国内外の商流・企業業績や金融機関における海外ファンド・低信用先との取引に及ぼす影響、ひいては自己資本比率等の健全性指標に及ぼす影響について、様々なシナリオ・波及経路が考えられる。
    • 各金融機関においては、これらのシナリオ・波及経路を丁寧に検討した上で、必要な定量的評価を行い、影響が顕在化した場合でも、財務の健全性を維持し、十分な金融仲介機能を発揮できるよう、適切に対応いただきたい。
    • 金融庁としては、こうしたフォワードルッキングなリスク把握に欠かせないデータの管理状況を含め、各金融機関における適切なリスク管理やグループ・グローバルのガバナンスの高度化について、引き続き、緊密に意見交換を実施し、金融システムの安定性を確保していく。
  • 安定的な資産形成を目指す顧客に相応しくない商品の販売について
    • 金融行政方針にも記載したが、一般の利用者から、安定的な資産形成を目指す顧客にはふさわしくない商品を金融機関が提案・販売しているといった相談が金融庁に寄せられている。
    • 各金融機関から提出のあったデータからも、実質手数料が不透明であったり、顧客による適切な投資判断が困難な商品が相当程度販売されていることを確認している。
    • こうしたことは、多くの金融機関において、自らの取組方針の中で、「顧客に最善の商品の提案」や「手数料の透明化」を掲げていることと矛盾している可能性がある。こうした取組方針の記述が、実際の商品の販売や手数料の開示状況と整合的なのか、金融機関において自発的に確認しているかを重点的に検証する。
    • また、販売手数料収益の月次動向をみると、四半期末ごとに大きく伸びる傾向が依然として見られている。こうした収益の数字作りと考えられる傾向は取組方針と整合的なのか、営業現場の業績評価体系は適切なのかについても重点的に検証する。
    • なお、リスク性商品を幅広く取り扱っている先については、商品間の相対的な評価が課題となる。取組方針の中で、「顧客に最善の商品の提案」や「利益相反の管理」と述べている以上、当然、商品ラインナップについて相応の選別がなされ、販売の際に利益相反が起きないような態勢が構築されるべきであり、この点について重点的に検証する。
    • 最後に、こうした取組方針の実践状況の管理検証にあたっては、本部リテール部門などの第1線の現場任せにせず、経営陣や2線・3線が、その進捗状況を管理検証する態勢の構築が必要である。
    • 現在、仕組債が問題と認識しているが、以上で挙げた問題と同様の課題は、仕組債以外の既存の商品や、今後現れる新たな商品でもありうる。金融庁が問題視した特定分野についてのみ受動的に後から対応するのではなく、むしろ金融庁に先んじて自発的に改善を図っていただきたい。
  • マネロン対策等に係る広報について
    • 金融機関が継続的顧客管理を適切に実施していくためには、一般利用者の理解と協力が不可欠であることから、金融庁においては、各業界団体との連名チラシの作成や、ラジオCMの配信などの政府広報、オンライン広告の配信等を通じて、積極的に情報発信を行っている。
    • 2022年3月に実施したオンライン広告の配信では、金融庁のウェブサイトへのアクセスが増加するなど効果を確認できたため、9月15日から再度、オンライン広告の実施を予定している。効果的な配信に向けて各協会からの意見も反映したので、是非ご覧いただきたい。
  • サイバーセキュリティの強化について
    • 金融行政方針で記載したモニタリング方針に沿って、金融機関のサイバーセキュリティの強化を促してまいりたいと考えているが、その一環として、2022年も10月にサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)を実施予定。参加金融機関においては、経営層も積極的に参加いただき、サイバー攻撃の検知、顧客対応、業務復旧など、コンティンジェンシープランが実効性のあるものとなっているかを確認いただきたい。
  • 「気候変動関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析の試行的取組について」の公表について
    • 金融庁と日本銀行は、共通シナリオを用いた気候関連リスクに関するシナリオ分析の試行的取組を実施し、その取組みの枠組みや分析結果の概要を2022年8月26日に公表した。
    • 本取組は、気候関連リスクの定量的な評価を目的とするのではなく、シナリオ分析の継続的な改善に向けて、データの制約や分析の仮定・手法の妥当性といった課題を把握することに主眼を置いた。
    • 本取組にご協力いただいた金融機関の方々に感謝申し上げる。本取組で把握された課題への対応を含め、シナリオ分析の手法の改善やその活用のあり方等について、引き続き議論させていただきたい。
    • また、その他の金融機関におかれても、既にシナリオ分析の実施・改善に取り組まれている金融機関も多いと考えられるところ、本文書を必要に応じ参考にしていただきたい。
  • サステナブルファイナンスに関する動向について
    • 気候変動リスク等に係る金融当局ネットワークであるNGFSは、2022年9月6日に、気候シナリオの第三版を公表した。
    • 2021年6月に公表された第二版から、COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で表明された各国のコミットメントや新型コロナウイルス感染症による影響、足元の技術開発の状況などを織り込み、データの更新を行った。
    • また、セクターの粒度を高め、物理的リスクについても、初めて洪水やサイクロンといった自然災害の激甚化等による急性リスクをマクロ経済データに反映させるなどの改定を行っている。
    • 今後、NGFSシナリオについては、当局だけでなく金融機関にも広く利用いただけるよう更なる検討を進める予定である。シナリオの開発にあたって密に連携していきたい。
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • 顧客本位の業務運営に関する「金融事業者リスト」の公表について
    • 2022年9月9日、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下、「原則」)の採択等を行う金融事業者のリストを更新し、金融庁のウェブサイトで公表した。
    • 当リストは、より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現を目指す観点から、原則を採択の上、原則との対応関係を明らかにした取組方針を策定し、それに基づいた取組状況を公表した金融事業者の報告を取りまとめ、公表したものである。
    • 一方で、金融事業者からの報告や公表内容を確認したところ、原則の文言を形式的になぞるだけで「自らの取組方針とそれに対応した取組状況が十分に示されていない事例」や「取組状況を踏まえた取組方針の見直しが行われていない事例」が認められるなど、顧客本位の業務運営の重要性や「見える化」の趣旨が十分に理解されていないことが窺われた。
    • 実際、7~8月に、地域銀行との間で意見交換を行ったところ、
      • 多くの先において、中期経営計画のリテールビジネス戦略と取組方針等とが整合的でない、
      • 7割の先において、顧客の意見を補完し得る社外取締役を交えた議論が行われていない、
      • 取組方針の内容が十分でないにも関わらず、原則と対応させるのみで十分な見直しを行っていない先も依然として少なくない、
        といった状況にあり、こうした状況は他業態も同様と考えている。
    • 金融事業者が顧客本位の業務運営の「見える化」に取り組むことは、
      • 自らの取組みの差別化を示すことができるなど、顧客を含む様々なステークホルダーに対するPRになる、
      • 経営陣が営業職員の顧客に向き合う姿勢を検証できる、
      • 営業職員が日頃の営業姿勢を見直す良い契機にもなる
        と考えられるため、各金融機関におかれては、その趣旨を理解の上、経営陣の十分な関与の下で、しっかりと対応いただきたい。
  • マネロン対策等のシステム共同化について
    • マネロン対策等のシステム共同化に向け、全国銀行協会における共同化タスクフォースにおいて、提供するサービス内容や運営主体の組織形態について、具体的な検討が進められていると承知している。
    • FATF第4次対日相互審査の結果を踏まえれば、預金取扱金融機関全体で、誤検知率の高い「取引モニタリング・システム」の高度化を図る必要があり、また、諸外国と足並みを揃えて行っているロシア制裁等を踏まえれば、「取引フィルタリング」の正確性を高める必要がある。マネロン対策等のシステム共同化は、これに資する取組みであると考えている。
    • さらに、FATFの第5次相互審査を見据えて、継続的にマネロン等管理態勢の高度化を図っていく中、システム共同化に多くの預金取扱金融機関が参加することによって、業界全体で、さらなる効率化と有効性の向上が見込めると考えている。
    • このため、金融庁としても本共同化に対して、高く期待しているところ。各行においても、持続可能な対策を講じるという中長期的な視野に立って、業界団体と共に、マネロン対策等のシステム共同化への参加に関する検討を進めていただきたい。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による暗号資産関連の活動に関する国際的な規制等に係る市中協議文書の公表について
▼ プレスリリース
  • 金融安定理事会(FSB)は本日、暗号資産関連の活動に関する国際的な規制の枠組みについての提案を公表した。本枠組みは主として以下の提言から構成される。
    1. 暗号資産関連の活動・市場に対する規制・監督・監視アプローチの一貫性・包括性を促進し、国際的な協調・連携そして情報共有を強化する勧告
    2. 関連する金融安定へのリスクに、より効果的に対処するための、「グローバル・ステーブルコイン」の規制・監督・監視に関するハイレベルな勧告の見直し
  • 提案された勧告は市中協議のために公表された。これらは「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する」との原則に基づいている。すなわち、暗号資産とその仲介者が伝統的な金融セクターにおける商品とその仲介者と同等の経済的機能を果たしている場合、それらは同等の規制の対象となるべきである。規制はまた、暗号資産が持つ新しい特徴と固有のリスクを考慮に入れ、暗号資産エコシステムと伝統的な金融システム間の相互連関の高まりがもたらし得る潜在的な金融安定リスクに対処しなければならない。
  • ステーブルコインのような、決済手段並びに/あるいは価値貯蔵手段として広く使われ得る暗号資産は、金融安定に重大なリスクをもたらし得るため、高い規制水準が適用されなければならない。提案された「グローバル・ステーブルコイン」の規制・監督・監視に関するハイレベルな勧告の見直しは、利用者の償還権と、頑健な価値安定メカニズムに関する要件を強化している。
  • 2つの勧告は、ステーブルコインとより広い暗号資産エコシステム間の相互連関を反映し、密接に関連している。それぞれ独立した文書として作成されているものの、こうした相互連関に照らして両者が一体となって機能すること、そして両者で同じ課題・リスクの取扱いが一貫していることが企図されている。
  • FSBは提案された勧告に対する市中からのコメントを募集している。枠組みに関する文書には本目的のための一連の問いが含まれている。FSBは、関心のある全てのステークホルダーが本協議に参加することを推奨する。回答は、2022年12月15日(木)までに、fsb@fsb.orgまで送付されなければならない

~NEW~
金融庁 「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)」について
▼ (別添) PDF「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)について」
  • 金融分野のサイバーセキュリティを巡る状況
    • 世界各国において、大規模なサイバー攻撃が発生しており、攻撃手法は一層高度化・複雑化
    • 我が国においても、サイバー攻撃による業務妨害、重要情報の窃取、金銭被害等の被害が発生している状況
    • こうしたサイバー攻撃の脅威は、金融システムの安定に影響を及ぼしかねない大きなリスクとなっており、金融業界全体のインシデント対応能力の更なる向上が不可欠
  • これまでの演習の概要
    • 過去6回、演習を実施。
    • 2016年度は77先・延べ約900人、2017年度は101先・延べ約1,400人、2018年度は105先・延べ約1,400人、2019年度は121先・延べ約2,000人、2020年度は114先・延べ約1,700人、2021年度は150先・延べ約2,700人が参加。
    • 参加金融機関の多くが規程類の見直しを実施・予定しているほか、社内及び外部組織との情報連携の強化に関する対応を実施・予定しており、本演習を通じて対応態勢の改善が図られている。
  • 金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)
    • 2022年10月、金融庁主催による7回目の「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習」(Delta Wall Ⅶ(注))を実施。(注)Delta Wall:サイバーセキュリティ対策のカギとなる「自助」、「共助」、「公助」の3つの視点(Delta)+防御(Wall)
    • 参加率向上の観点から、証券会社や資金移動業者等の参加先数を拡大し、約160先が参加。
    • 昨年度に引き続き、テレワーク環境下でのインシデント対応能力の向上を図るため、参加金融機関は実際のテレワーク環境下で演習に参加。
    • 対応できなかった項目の自己分析結果を提出することとし、評価の要因を明確化することで、演習効果を高める。
  • 演習の特徴
    • インシデント発生時における技術的対応を含めた攻撃内容の調査等、初動対応、顧客対応、復旧対応等の業務継続を確認
    • 経営層や多くの関係部署(システム部門、広報、企画部門等)が参加できるよう、自職場参加方式で実施
    • 参加金融機関がPDCAサイクルを回しつつ、対応能力の向上を図れるよう、具体的な改善策や優良事例を示すなど、事後評価に力点
    • 本演習の結果は、参加金融機関以外にも業界全体にフィードバック
  • 演習シナリオの概要
    1. 銀行 (ブラインド方式のため非開示)
    2. 信金・信組・労金 顧客情報の漏えいやWebサイトの異常が発生
    3. 証券・FX・資金移動業者・前払式支払手段発行者 ネットワーク機器の異常を端緒とした業務システム等の停止が発生
    4. 暗号資産交換業者 情報漏えいを端緒とした暗号資産流出が発生

~NEW~
内閣官房 国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議(第2回)
▼ 資料1 防衛力の抜本的強化(防衛省提出資料)
  • 我が国の安全保障政策は、外交政策をはじめ様々な取組みから構成されているが、防衛力は、我が国に直接脅威が及ぶことを防止し、脅威が及ぶ場合にはこれを排除するという、国家安全保障の最終的な担保となるもの。武力攻撃事態等から大規模災害に至るあらゆる事態において、「最後の砦」として中核を担うのは自衛隊
  • 十分な防衛力を持たなかったウクライナは、高い軍事力を持つロシアを抑止できず、甚大な被害が発生。力による一方的な現状変更を抑止するためには、相手の「能力」に着目した防衛力(備え)が必要
    1. ウクライナ侵略の発生
      • ウクライナは、ロシアに侵略を思い止まらせるような十分な防衛力を有しなかった
      • ウクライナは、同盟国を有さず、核の傘にも守られていなかった
      • 脅威は「意志」×「能力」で顕在化するところ、大きな軍事力を持ち、権威主義的傾向を強めるロシアは、ある時、侵略という意志を持った
    2. 結果
      • ロシアを抑止できなかった結果、既に万単位の死傷者、百万単位の避難民といった甚大な被害が発生
    3. 教訓
      • 「意志」は変わり得る。「能力」があれば、いつでも「意志」を持ち得る
      • 「力による一方的な現状変更は困難」と思わせる抑止力が必要
      • そのためには、相手の「能力」に着目した防衛力(備え)が必要
  • 我が国は、ロシア、中国、朝鮮半島の最前線に位置。尖閣諸島、台湾、南シナ海をめぐる問題に直面。欧州で起きていることはインド太平洋地域でも生起し得るため、「日本への侵攻は困難」と思わせる防衛力を備えた国家となる必要がある
  • 防衛目標
    • 力による一方的な現状変更の抑止
    • そして、万が一、抑止が破れた場合には、我が国への侵攻に対し、我が国が主たる責任をもって対処し、同盟国からの支援を受けつつ、これを阻止・排除
  • 上記の目標を達成するために、
    • 我が国の防衛力の抜本的な強化に取り組み、
    • これを前提とした同盟国等との連携(拡大抑止を含む)を強化することが必要
    • これらをもって、国民の生命・身体・財産、領土・領海・領空を守り抜く「意志」と「能力」を示す必要
  • 核の脅威については、米国の拡大核抑止をもって対応し、信頼性を向上。核以外のあらゆる行動に対応することを念頭に、7つの柱で防衛力を抜本的に強化
  • 新たな防衛力の方向性
    • スタンド・オフ防衛能力や無人アセット防衛能力など、将来の防衛力の中核となる分野の抜本的強化
    • 現有装備品の最大限の活用のため、可動率向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靭化への投資を加速
  • 様々な事態において我が国を守り抜くためには、防衛力の5年以内の抜本的強化が必要
  • 2027年までの5年間:我が国への侵攻に対し、我が国が主たる責任をもって対処し、同盟国からの支援を受けつつ、これを阻止・排除し得る防衛力
    1. スタンドオフ防衛能力
      • 実践的な運用能力を獲得
    2. 総合ミサイル防空能力
      • 極超音速兵器に対処する能力を強化
      • 小型無人機に対処する能力の強化
    3. 無人アセット防衛能力
      • 無人機の活用を拡大し、実践的な運用能力を強化
    4. 領域横断作戦能力
      • 宇宙領域把握(SDA)能力、サイバー・セキュリティ能力、電磁波能力等の強化
      • 領域横断作戦に資する陸海空領域の能力を強化
    5. 指揮統制・情報関連機能
      • ネットワークの抗たん性を強化しつつ、AI等を活用した意思決定の迅速化
      • 認知領域の対応も含め、戦略・戦術情報の両面で情報の取得・分析の強化
    6. 機動展開能力
      • 自衛隊の輸送アセットの強化や民間船舶を活用するなど、輸送・補給能力を強化(部隊展開・国民保護)
    7. 持続性・強靱性
      • 弾薬・誘導弾の数量を増加
      • 整備中以外の装備品が最大限可動する体制を確保
      • 有事に備え、主要な防衛施設を強靱化
      • 緊急に必要な火薬庫等の確
▼ 資料2 総合的な防衛力強化に向けた論点(財務省提出資料)
  • 防衛力の5年以内の抜本的強化に向けた論点
    • 三文書策定に向け、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」ため、軍事的有事に対応し得る財政余力を確保しつつ、我が国が持てる力、すなわち経済力を含めた国力を総合し、あらゆる政策手段を組み合わせて対応する必要。
    • 年末に向けて、防衛力強化の内容、金額、財源を三位一体として検討していく上で、限られた資源を最大限有効に活用するため、防衛力の内容や金額について、実効性、実現可能性、国力としての防衛力の観点から国民の理解が得られるよう、政府一丸となって取り組んでいくべきではないか。
    • その際、防衛費は一時的な経費ではなく、恒常的に支出される経費であることに留意すべきではないか
      1. 実効性
        • 日米同盟等に関する国民の理解と信頼を踏まえ、米国を中心とした同盟国・同志国との連携を前提としているか。
        • 周辺国が日本への侵攻を思いとどまらせることに真に資するか。
        • 既存事業の見直しを含め、防衛省自身が十分に効率化・合理化を図っているか。
        • 具体的な事態を想定し、費用対効果の高い装備品・研究開発等を優先しているか。
        • 防衛技術・産業基盤について、世界で通用する強みを追求した持続的な発展に向かっているか。
      2. 実現可能性
        • 開発、計画、調達、訓練、運用、そして具体的な装備品・弾薬配備に係る地元調整を含め、現実的に「5年以内」の防衛力の抜本的な強化に資するか。
      3. 国力としての防衛力
        • 国力としての総合的な防衛力を強化するため、防衛省のみならず、関係省庁の施策・資源を活かしているか
  • 国力としての防衛力を強化していくためには、我が国の限られた資源を最大限有効に活用する観点から、例えば、研究開発や公共事業などについて、実質的に我が国の防衛力に資するための取組を整理し、防衛省と関係省庁が連携するための枠組を構築していくべきではないか
  • 公共インフラについては、自衛隊や海保の配備・利用が現になされているものや、広域防災拠点など大規模災害時において自衛隊等の活動が想定されているもの、有事における自衛隊等の行動や国民保護のために重要な機能を発揮すべきものが存在。
  • 空港、港湾については、特定公共施設利用法により、武力攻撃事態等において、自衛隊や海保に優先的に利用させるよう要請することが可能だが、平時における利用方針が特段存在していないなど、自衛隊や海保が空港・港湾を利用することを念頭に置いた必要な体制が十分に整えられているとは言い難い。有事における対処の前提となる平時の訓練などを含め、わが国の平和と安全のために自衛隊や海保が利用できる体制の整備が必要。
  • 安全保障上のニーズを踏まえ、国交省が関係省庁と連携して、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能強化を行う仕組みを設けることとしてはどうか
  • 貿易や対外投資で依存度の高い周辺国と軍事的緊張が高まった場合、経済制裁や社会不安の増大等から経済状況が一変し、資本逃避や物価高などが生じる可能性。(=我が国経済・金融・財政の脆弱性)その際、資源等に乏しい我が国においては、防衛装備品に加え、戦時に希少となる資源・エネルギーといった海外物資を大量調達せねばならない等、財政需要が大幅に拡大する中で、国内外の金融市場から資金調達していく必要。
  • 軍事攻撃を受ける前段階から物資不足、物価上昇、経済悪化のリスクに直面する中、民間の社会・経済活動を維持しつつ、侵攻に対して国家として立ち向かうため、平素からの財政余力が不可欠ではないか。
  • 軍事的緊張が高まった際に想定される現象(例)
    1. 外貨の確保が急務
      • 戦略物資の確保(輸入)のニーズが急増
      • 装備品、エネルギー、食糧等が継戦能力の維持に必須
      • 経常収支への影響(悪化要因)
      • 紛争相手国を含むサプライチェーンの毀損による輸出の減少(貿易収支の悪化要因)
      • 海外子会社の収益低下(所得収支の悪化要因)
    2. 日系企業・金融機関の収益低下や資金繰り難
      • 紛争相手国による日系企業への制裁
      • 活動停止、資産凍結、海外送金停止、制裁金等
      • 日系企業・金融機関の信用が低下
      • 周辺国と対立状態にある中で、国際金融市場で信用を維持し、必要な資金調達ができるのか。
    3. 供給制約による価格上昇
      • 紛争相手国からの輸入が停止
      • 生活必需品や工業製品(中間財含む)の不足
      • 紛争相手国による周辺・関係国への日本向け物資供給の縮減圧力
      • サプライチェーンの毀損、資源不足に陥るおそれ
    4. 国内金融資産からの逃避
      • 海外資産への逃避(キャピタルフライト)
      • 安保環境・経済の不安定化
      • 社会不安の高まり
  • 自然災害や感染症等が発生し、脆弱性が高まっている際に、軍事的緊張が高まるなど、リスクが複合的に発現する可能性にも留意。脆弱性を解消せず、放置し続ければ、相手国にその脆弱性・姿勢を狙われるおそれ。市場参加者が脆弱性を「先取り」することで、金融資本市場や経済に与える影響にも注意が必要
  • ロシアは、原油・ガス等の戦略物資を自国生産により確保しつつ、これらの輸出により貿易収支は黒字を維持。特に、原油価格が上昇した2021年はプラス幅が拡大。
  • クリミア危機(2014年)以降、ロシアでは、
    • 政府債務残高(対GDP比)を、2019年まで引き下げ。
    • 外貨準備を増加させ、その内訳として、ドルを減らし、金・人民元を増加。
    • ロシアの輸出の決済通貨における米ドルのシェアを低下
  • 財政制度等審議会(9/26、10/19)における主な御意見(防衛関連)
    1. 防衛力の強化
      • 防衛、エネルギー、安全保障など重要課題が色々ある中で、ワイズスペンディングが重要であって、それに沿うように重要課題に優先順位をつけていくべき。
      • 実効性や実現性、財源の部分をしっかりと詰めていかなければならない。実現可能性などを踏まえ、積み上げることが重要である。
      • 防衛の後年度負担について見える化していくことが必要。
    2. 政府全体での取組、防衛体制に要する費用の尺度
      • 防衛力の抜本的強化が大きな課題となっているが、関係省庁の施策・資源を活用しているかという論点が大変重要。
      • 総合的な防衛力を発揮するために、関係省庁との歳出分担における連携を強化して、我が国安全保障に対する財政面からの脆弱性を克服することが必要。
      • 日本では防衛費イコール防衛省の予算として理解されているが、本来、海上保安庁や研究開発、インフラ、サイバー対策、こうしたものも防衛に係る予算であり、同様の経費はほかにも存在。省庁別ではなく、機能に即した形で見える化していくことも必要。
      • 安全保障体制の強化について、インフラについては、防衛用、民生用で共有できるものは、双方のニーズを踏まえて活用できるよう、関係省庁が縦割りではなく連携して対応していくことが重要。自衛隊や海上保安庁が使用することも念頭に置いた権限のルール整備など、既存インフラの活用の検討が必要。
    3. 財源・防衛費やGX等、財源負担の議論は避けて通れないので、それについてきちんと議論すべき。
      • 安定財源をしっかり確保していくという議論を防衛費については丁寧に行っていく必要

~NEW~
内閣官房 官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会(第15回)議事次第
▼ 資料4: LP出資について(株式会社産業革新投資機構)
  • 国内スタートアップへの投資額は年々増加しているが、米国市場等に比べれば、大きな差がある状況
  • 日本のファンド(特にVC)は、欧米に比べて、年金等の機関投資家からの資金受託が少なく、中長期的な成長を支えるリスクマネーの確保の観点から大きな課題。リスクマネーを仲介する役割を担う、日本のファンド運用者が、国内外の機関投資家から資金受託できるよう、成長を支援
  • 対GP(ファンド運用者)
    1. 出資
      • ファンドサイズの拡大により、投資キャパシティの増強、投資体制の強化が可能
      • 初号ファンドや民間の投資資金が集まりにくい領域(投資対象セクター、投資手法等)に取り組むファンドも対象に出資することで、トラックレコード作りをサポート
    2. ファンド運営、ガバナンスに関する助言、サポート
      • 組織化されたファンド運営体制(ファンドサイズ拡大による体制強化、投資チームの構成・業務分担)
      • 世代交代や安定した組織運営(インセンティブ構造の見直し)
      • 適切な利益相反・利害一致管理(キャプティブ構造からの脱却、ファンド事業への専念、諮問委員会の運営)
      • グローバルスタンダードに則った組合契約
      • 海外機関投資家に対応できるIR(DD対応、レポーティング、組合員集会運営)
      • 公正価値評価の導入
    3. 機関投資家ネットワークの紹介
      • 安定的・継続的なLP出資が期待できるLP投資家構成の実現
  • 対LP(機関投資家等)
    • 国内外の投資資金の日本市場への呼び込み
      • 国内VCの成長を支援することにより、潜在的な投資対象・ファンドユニバースを拡大
      • 国際的なカンファレンス等でのJICの活動紹介を通じ、国内VC市場に対する関心を向上
      • 海外の投資家等に向けた、日本のスタートアップエコシステムに関する情報発信
  • 民間の投資資金への「呼び水」効果は、短期では、(1)JICの投資先ファンド、(2)JICの投資先ファンドが投資する企業(スタートアップ等)への発現を企図。中長期では、リスクマネーの好循環を支えるエコシステムが発展し、自立的に機能する姿を目指す
  • 視点1 政策課題の解決に貢献
    • ファンドの投資戦略(投資手法、対象セクター、ステージ、対象地域等)について、産業競争力の強化に関する政策課題の解決に貢献することが期待できるかを考慮する。
    • 産業競争力強化法に基づく投資基準に従って、以下の4つの重点投資分野に対し投資。これらの分野を中心に、JICにおける分析や政府との対話等を通じ、対象とする政策課題や分野を検討する。
      1. Society5.0に向けた新規事業の創造の推進
        • AI、IoT、ロボットといった第四次産業革命に関する技術の社会実装の他、バイオ・創薬・ヘルスケア、モビリティ、宇宙、素材、電子デバイス等の国際競争力を持ちうる事業分野に対する、長期かつ大規模なリスクマネーを供給する。
      2. ユニコーンベンチャーの創出
        • グローバルな経済圏において競争力をもって持続的に成長することを目指すユニコーンの創出に対する長期かつ大規模なリスクマネーを供給する。
      3. 地方に眠る将来性ある技術の活用
        • 事業化により高い収益を期待できる技術を有するにもかかわらず、事業としての成長の機会を十分に与えられていない、地方の大学発ベンチャー等の資金需要に対応するためのリスクマネーを供給する。
      4. 産業や組織の枠を超えた事業再編の促進
        • 産業構造、国際的な競争条件の急激な変化に対応するため、日本が国際競争力を持ちうる事業分野における、既存企業による産業や組織の枠を超えた大胆な事業再編を促すためのリスクマネーを供給する。
  • 視点2 民間の投資資金の不足
    • 日本市場で民間投資資金が不足している分野(投資対象セクター、投資手法等)であるか、マクロの経済情勢、市場環境の悪化等により民間のファンド等からの資金が縮小している状況にあるか、等を調査・分析することで、民間の投資資金の供給状況を考慮する。
      1. 民間の投資資金が不足している分野(対象セクター、投資手法等)
        • 投資成果の実現までに長い期間を要したり、大規模な資金を必要するセクターやステージ
        • 有望な技術・事業を成長させるための民間の投資資金が十分に供給されにくいセクターや地域
        • 日本市場では先例が少なく、確立していない投資戦略や投資手法 等
          • ※これらの状況を分析し、対象セクター、ステージ、対象地域等でマッピング
          • ※新たな投資戦略や投資手法については、欧米等の状況との比較検討等を実施
      2. 市場環境の悪化等による民間の投資資金の縮小
        • マクロの経済情勢、市場環境の悪化等を踏まえた、民間投資家の投資資金の縮小の状況
        • 民間資金の補完により、リスクマネーの循環を促進する効果が発現する蓋然性
  • 視点3 投資評価
    • ファンド運用者が投資戦略の遂行能力があり、リターンをはじめとする成果を期待できるか、投資戦略、運用体制、投資プロセス、トラックレコード、ポートフォリオ等を分析し、評価する。

~NEW~
内閣官房 第5回 孤独・孤立対策の重点計画に関する有識者会議 配布資料
▼ 資料2: 孤独・孤立に関連する各種調査について
  • 日本の人口は近年減少局面を迎えている。2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されている。
  • 単独世帯割合の増加は続き、2040年には約39%に達すると見込まれる(注:令和2年国勢調査結果では38.0%)世帯主年齢65歳以上の世帯では単独世帯が増えており、2040年には4割に達し約900万世帯となる
  • 令和2年度に内閣府が4か国(日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデン)の60歳以上の男女を対象に行った調査によると、
    1. 親しい友人の有無
      • 日本は、男性において「(同性・異性の友人が)いずれもいない」という回答が約4割を占める
      • 男女いずれについても「同性・異性の両方の友人がいる」という回答が他国よりはるかに少ない
    2. 人との会話頻度
      • 日本の単身世帯の高齢者で、人との会話が「ほとんどない」と回答した割合は25.4%で、4カ国の中で最も高い
      • 一方、「ほとんど毎日」と回答した割合は23.7%で、4カ国の中で最も低い(5年前と比較して大きく変動しており、コロナ禍の影響も考えられる)
    3. 同居の家族以外に頼れる人
      • 日本は、「友人」を挙げた割合が14.9%、「近所の人」が15.0%で、いずれも4カ国の中で最も少ない
      • 性別にみると、「頼れる人はいない」の割合は女性よりも男性が高くなっており、4カ国とも同じ
    4. 同居の家族以外に頼れる人
      • 年齢別にみると、日本は、年齢が高くなるにつれて「別居の家族・親族」の割合が低くなるが、一方で、「近所の人」などの割合が高くなる
  • 平成30年度に内閣府が7か国(日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン)の13~29歳を対象に行った調査によると、悩みや心配事の相談相手
    • 日本では「母」が46.4%と最も高く、次いで、「近所や学校の友だち」(31.8%)、「父」(21.3%)、「きょうだい」(14.6%)となっている。
    • 「誰にも相談しない」と回答した割合は、日本では19.9%と、7か国の中で最も高い。
  • 国連の「世界幸福度報告(World Happiness Report)」において、幸福度に影響を与える要因のうち「社会的支援」と「寛容さ」については、社会関係資本に関する指標と見なされることが多い。日本は、「社会的支援」については近年50位前後で推移しており、G7の中では下位グループに位置している。また、「寛容さ」については近年130位前後で推移しており、G7の中では最も順位が低い。
  • 2017年にISSP(国際比較調査グループ)が行った調査によると、悩み事を相談できるような友人の数
    • 「いない」の回答割合をみると、男性は女性の約3倍となっており、年代別にみると男性の50代以降で高くなっており、70歳以上では約5割となっている
  • 2017年に国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によると、愚痴を聞いてくれる人の有無
    • 「いない」の回答割合をみると、男性は女性の約3倍。いずれの年代でも男性が高く、女性の2~4倍。男性は70歳代の11.9%、女性は80歳以上の5.9%が最高
    • 「そのことでは人に頼らない」の回答割合をみると、上記と同様、男性は女性の約3倍。年代別の傾向も同様で、男性は70歳代の11.8%、女性は80歳以上の6.9%が最高
    • 「いない」及び「そのことでは人に頼らない」者の割合を足し上げると、男性全体では18.1%。およそ5人に1人は、愚痴に関して人に頼れない又は頼らない状況
  • 令和3年度の内閣府委託調査によると、現在の不安/将来の不安
    • 現在の不安「周りに親しい人がおらず孤立している」に該当すると回答した者の割合は、年齢層が若いほど高い傾向にある。
    • 将来の不安「高齢になって孤立してしまう」に該当すると回答した者の割合は、全体的に女性のほうが高くなっており、女性の40~54歳を除き、年齢層が若いほど高い。
  • 内閣府が作成した子供・若者インデックスボードによると、
    1. 居場所
      • 13~29歳の子供・若者の約5%が、ほっとできる場所、居心地のよい場所が「どこにもない」と回答
      • 居場所の数の多さと自己認識の前向きさは、概ね相関
    2. 相談できる人
      • 何でも相談できる人が「どこにもいない」との回答が約2割
      • 相談できる人がいる場の数の多さと自己認識の前向きさは、概ね相関
    3. 助けてくれる人
      • 困った時に助けてくれる人が「どこにもいない」との回答が約1割
      • 困った時に助けてくれる人がいる場の数の多さと自己認識の前向きさは、概ね相関

~NEW~
消費者庁 「インターネット消費者トラブルに関する調査研究」の報告書(キャッシュレス決済)掲載について
  • 2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%。内訳はクレジットカードが27.7%、電子マネーが2.0%、コード決済が1.8%。
  • キャッシュレス決済を「よく利用している」とする者の比率は2019年12月の54.2%から2022年2月には64.0%に増加。利用頻度の高いキャッシュレス決済手段として、「バーコード、QRコード決済」を挙げる者の比率は51.8%にまで増加。
  • コード決済の決済の方式としては、大きく分けて(1)クレジットカードの使用等として後日支払う方式(後払い方式)、(2)あらかじめチャージを行ったチャージ残高から支払う方式(前払方式)、(3)銀行口座や資金移動用口座内の資金から即時に引き落とされることで支払う方式(即時払い方式)が存在する※。これらを組み合わせて1つのサービスとして提供しているものもある。2021年のコード決済の年間店舗利用金額は7兆3,487億円に増加している。
  • 中小事業者におけるキャッシュレス決済の利用実態を調査した経済産業省調査によると、回答事業者でのコード決済の導入率は55%。飲食業、小売業、観光業でのコード決済導入率が相対的に高い。客単価別では、相対的に低価格帯でコード決済の導入が進んでいる。
  • 後払い決済の提供形態によっては包括信用購入あつせんに関する規制が適用されることもある。包括信用購入あつせんには割賦販売法による以下の規制が適用される。令和2年(令和3年4月1日)の割賦販売法改正により、「認定包括信用購入あつせん業者」、「登録少額包括信用購入あつせん業者」を創設。
  • オンラインを含む買い物などでの支払いをするときに、キャッシュレス決済を利用していないのは2.2%。キャッシュレス決済での支払の方が現金での支払いより多いのは3/4程度。20代のキャッシュレス決済の支払状況は他の世代よりやや少ない。新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年と比較すると、62.5%でキャッシュレス決済の利用頻度が拡大。
  • この1年間にオンラインショッピングで利用したことがある支払方法では「クレジットカード」(84.9%)、「コード決済」(47.6%)が多く挙げられた。「後払い決済」は12.2%、「代金引換」は7.8%が利用経験を有している。60代の「コード決済」の利用経験率が低い。若い年代ほど「後払い決済」の利用経験率が高い傾向。20代では他の年代より「コンビニ決済(前払い)」「代金引換」の利用経験率が高くなっている。
  • この1年間に店舗等での購入時に利用したことがある支払方法では「現金」(77.0%)、「クレジットカード」(75.2%)、「コード決済」(64.2%)、「電子マネー」(43.8%)が多く挙げられた。「コード決済」は若い年代ほど利用が多い傾向。一方、「電子マネー」は上の年代ほど利用が多い傾向。2018年に当社が実施した調査と比較すると、「現金」が88.3%から77.0%に減少、「コード決済」が5.2%から64.2%に増加。
  • 現金払いしかできずに困った店舗、場面等があったとする回答者は59.1%であり、2018年に当社が実施した調査での46.8%から増加している。具体的には「病院・診療所、薬局」「飲食店」「小規模小売店」「自動販売機」「スーパーマーケット」「役所」等が挙げられた
  • コード決済を「現在、利用している」のは74.9%、「利用したことはあるが、現在は利用していない」のは5.9%。これらをあわせた80.8%がコード決済の利用経験を有する。コード決済を利用したことがなく、利用意向もないのは10.2%。「コード決済について知らなかった」のは2.5%。60代の利用経験者は73.5%であり、他の世代よりやや少ない。コード決済のチャージ等は「クレジットカードによるチャージ」(40.3%)、「銀行口座からのチャージ」(31.7%)が多い。
  • 現在の利用者の半数程度がコード決済の利点として「支払いが簡単、早い」(57.3%)、「キャンペーンやポイントなどの特典が得られる」(48.7%)、「スマートフォンだけで支払ができる」(47.4%)を挙げている。「利用したことがあるが、現在は利用していない」者、「利用したことはないが、今後利用したい」者では、「キャンペーンなどの特典」を利点として挙げる者が少ない一方、「現金に触れないため衛生的」を利点として挙げる者が多い
  • コード決済時の不便・不安な点として、現在の利用者は「通信障害等で利用ができなくなること」(38.5%)、「利用可能な店舗かどうかがわかりにくい」(30.9%)、「アプリの立ち上げ等、支払いに手間がかかる」(29.8%)を多く挙げている。利用したことがない者では、その他、「個人情報等の流出」(28.2%)、「不正使用等のトラブル」(25.9%)、「コード決済の仕組みがよくわからない」(22.4%)を、利用していない理由として挙げている。
  • 後払い決済を「現在、利用している」のは19.8%、「利用したことはあるが、現在は利用していない」のは16.1%。これらをあわせた35.9%が後払い決済の利用経験を有する。後払い決済を利用したことがなく、利用意向もないのは39.6%。「後払い決済について知らなかった」のは15.1%。若い年代の方がやや利用者の比率が高い傾向がある。後払い決済の認知度は30代が最も高くなっている。
  • 現在の利用者は後払い決済の利点として「クレジットカードを持っていなくても購入できる」「クレジットカード番号を入力せずに購入できる」「注文時に購入金額を用意できなくても支払い期限内に用意できれば購入できる」「キャンペーン等の優遇が得られる」を多く挙げている。利用意向者では「キャンペーン等の優遇が得られる」を挙げる者が31.3%と多くなっている。
  • 近年BNPLサービスの利用が急速に拡大し、各事業者も大きく成長している。成長に伴い、海外でもBNPLサービスを展開するようになり、利用者数は大幅に増加している。2021年のAffirmとAfterpayの利用者は2019年時点との比較で3倍以上に拡大。

~NEW~
消費者庁 第7回 霊感商法等の悪質商法への対策検討会
▼ 報告書(案)
  • これまでの審議を踏まえ、本検討会による提言は以下のとおりである。
    1. 総論
      1. 旧統一教会については、社会的に看過できない深刻な問題が指摘されているところ、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法(昭和26年法律第126号)第78条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある。
      2. 霊感商法等による消費者被害の救済の実効化を図るため、取消権の対象範囲を拡大するとともに、その行使期間を延長するための法制上の措置を講ずるべきである。
      3. 寄附に関する被害の救済を図るため、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第17条(寄附の募集に関する禁止行為)の規定を参考にしつつ、寄附の要求等に関する一般的な禁止規範及びその効果を定めるための法制上の措置を講ずるべきである。
      4. 相談対応に関しては、より多くの関連分野の専門家とも連携を図り、特に子どもの立場に立って、児童虐待等からの保護はもちろん、いわゆる宗教二世に対する支援を行う必要がある。
      5. 周知啓発・消費者教育に関しては、消費者被害に関する情報を迅速に公表するとともに、消費生活センターの存在の周知を強化し、また高校生を含めた消費者教育の過程で霊感商法等に関する情報を伝えることが重要である。
    2. 旧統一教会への対応等
      • 宗教法人法第81条に基づく解散命令については、団体としての存続は許容されるとはいえ、法人格を剥奪するという重い対応であり、信教の自由を保障する観点から、裁判例にみられる同条の趣旨や要件についての考え方も踏まえ、慎重に判断する必要がある。
      • また、宗教法人法第78条の2に規定する報告及び質問に関する権限は、解散命令の事由等に該当する疑いのある場合に限り、必要があると認められる場合に、宗教法人法の規定に従って行使すべきものとされ、これまで行使した例はない。しかし、これらの対応には問題があり、運用の改善を図る必要があるとの指摘があった。
      • 旧統一教会については、旧統一教会を被告とする民事裁判において、旧統一教会自身の組織的な不法行為に基づき損害賠償を認める裁判例が複数積み重なっており、その他これまでに明らかになっている問題を踏まえると、宗教法人法における「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」又は「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」宗教法人に該当する疑いがあるので、所轄庁において、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法第78条の2第1項に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある。
    3. 法制度に関する事項
      1. 消費者契約
        • いわゆる霊感等を用いた告知等による勧誘に対する取消権を規定する現行の消費者契約法第4条第3項第6号4については、霊感商法等による消費者被害の実態を踏まえつつ、その要件の緩和を検討すべきである。また、当該取消権については、マインドコントロールから抜け出すためには相当程度の時間を要するとの指摘がなされていることも踏まえ、その行使期間(現行では追認をすることができる時から1年間、消費者契約の締結の時から5年間のいずれか早い方)の延長を検討すべきである。
        • さらに、いわゆるつけ込み型の不当勧誘に対する取消権については、これまでも包括的な救済条項として消費者契約法の取消権の対象とすることが必要であるとの指摘がなされているところ、マインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況が問題となる霊感商法等に対応できるものとして法制化に向けた検討を早急に行うべきである。
      2. いわゆる寄附の位置付け等
        • いわゆる寄附の性質については、贈与・信託的譲渡その他の契約に該当する場合が多いと考えられるものの、金銭等の移転・交付の具体的状況ごとに評価する必要があること、さらに契約かどうかという入口で争いとなることを避けるためにもあえて契約に限定せずに意思表示の取消し、寄附の無効等の対策を考えることが重要である。
        • 寄附の要求等に関する規制については、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第17条(寄附の募集に関する禁止行為)の規定も参考としつつ、正体隠しの伝道等の本人の自由な意思決定の前提を奪うような活動手法やマインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況が問題となる寄附の要求等への対応も念頭に、より幅広く一般的な禁止規範を規定すべきである。当該禁止規範に違反した場合の効果については、意思表示の取消し・無効、寄附の無効等を規定することが考えられるが、本人及び家族による主張の実効性の確保の観点も踏まえつつ、法制化に向けた検討を行うべきである。
      3. その他の指摘事項
        • 上記(1)及び(2)に加え、過度の献金による本人及び家族の生活に必要な資産が失われる危険性を防ぐべく、一定範囲での献金に関する上限規制を考えるべきとの指摘、家族による財産保全又は管理の制度を設けるべきとの指摘があった。また、宗教法人法の解散命令の前段階として、質問権等の実効性を高めるための調査権や改善命令の創設、税優遇措置の剥奪等を可能とするための法整備の検討、会社法(平成17年法律第86号)の解散命令の運用の強化等、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)の執行の充実及び同法に霊感商法を対象とした新類型の追加を求める指摘もあった。
    4. 相談対応に関する事項
      • 全国の消費生活センターにおける消費生活相談に加え、政府においても「旧統一教会」問題合同電話相談窓口を設け、悩みを抱えている方々から幅広く相談を受け付けた上で、必要に応じ、日本司法支援センター(法テラス)等の関係機関を紹介している。
      • この点に関し、霊感商法による消費者被害については、消費生活相談の対応の一層の充実を図った上で、公認心理師、精神保健福祉士、精神科医、宗教社会学者、弁護士等の専門家とも連携しつつ、当事者及びその家族の支援を行うより専門的な相談窓口を設けるとともに、関係機関等が適切に連携を図ることも必要と考えられる。特に、児童虐待等からの保護も視野に入れ、子どもの側に立っていわゆる宗教二世に対する支援を行う必要がある。
      • PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)における消費生活相談の情報の保存期間は、現状では10年とされている。この点に関し、特定の団体に関する継続的な消費生活相談がある場合には保存期間が10年では十分ではないとの指摘も踏まえ、国民生活センターにおいて、消費生活相談のデジタル化の検討も踏まえつつ、その保存期間の延長を行う必要がある。
    5. 周知啓発・消費者教育に関する事項
      • 消費者被害の未然防止及び解決の促進を図るためには、被害情報を迅速に公表すること、さらに消費生活センターの存在の周知
      • を強化することが重要である。
      • したがって、個別の注意喚起を行うとともに、幅広い世代への消費者教育を推進すべきである。また、国民生活センターが消費生活相談の情報を消費者向けの注意喚起だけでなく、事業者に対する再発防止等の取組を働きかける方向で活用するための制度的な担保を検討すべきである。
      • また、特定の集団が霊感商法を引き起こしているときに、その実名を具体的に出して説明しなければ、消費者被害の防止に役立たないとの指摘があった。この点に関し、高校生も含めて消費者教育の中でしっかりと伝え、消費者被害をどう避けるか、どう救済されるのか、どこに相談できるのかということを教えることが重要である。
    6. その他
      • 消費者庁においては、本検討会における提言を踏まえた施策を着実に実施すべきである。上記の3から5までに記載した事項のうち、法制上の措置を要する事項については、現行法の改正又は新法の制定による対応が求められる。
      • また、消費者庁の所掌事務の範囲を超える事項については、消費者庁は、それぞれの行政機関における実施を強く働きかけるべきである。

~NEW~
厚生労働省 第103回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード
▼ 資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況等の概要
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約197人となり、今週先週比は1.35と増加に転じているが、今後の増加速度及び増加が継続するかについて注視する必要がある。
    • また、今後、社会経済活動の活発化による接触機会の増加等が感染状況に与える影響に注意が必要。
    • 一方、病床使用率は総じて低下傾向にあり、低い水準にある。また、重症者数や死亡者数は下げ止まりとなっている。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    • 北海道 新規感染者数は約397人(札幌市約355人)、今週先週比は1.60。病床使用率は約2割。
    • 北関東 茨城、栃木、群馬では新規感染者数は約190人、188人、224人、今週先週比は1.47、1.34、1.35。病床使用率について、茨城、群馬では2割強、栃木では1割強。
    • 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は約169人、今週先週比は1.25。病床使用率は1割強、重症病床使用率は1割未満。埼玉、千葉、神奈川の新規感染者数は約152人、145人、146人、今週先週比は1.23、1.20、1.16。病床使用率について、埼玉では約2割、神奈川では2割弱、千葉では1割強。
    • 中京・東海 愛知の新規感染者数は約151人、今週先週比は1.28。病床使用率は2割強。岐阜、静岡、三重の新規感染者数は約249人、191人、217人、今週先週比は1.46、1.43、1.45。病床使用率について岐阜では1割強、静岡では2割弱、三重では約2割。
    • 関西圏 大阪の新規感染者数は約205人、今週先週比は1.40。病床使用率は1割強、重症病床使用率は1割未満。滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の新規感染者数は約220人、133人、157人、191人、282人、今週先週比は1.33、1.22、1.49、1.47、1.75。病床使用率について、滋賀では2割強、和歌山では約2割、兵庫、京都、奈良では1割強。
    • 九州 福岡の新規感染者数は約153人、今週先週比は1.38。病床使用率は約1割。佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の新規感染者数は約178人、148人、186人、188人、169人、134人、今週先週比は1.33、1.25、1.28、1.41、1.26、病床使用率について、熊本、大分、鹿児島では1割強、長崎、宮崎では約1割、佐賀では1割弱。
    • 沖縄 新規感染者数は約132人、今週先週比は0.85。病床使用率は約1割、重症病床使用率は1割弱。
    • 上記以外 岩手、山形、富山、香川の今週先週比は1.53、1.56、1.51、1.60。病床使用率について、青森、秋田、福島、石川、長野、広島では2割強。
  • 感染状況等と今後の見通し
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、全国では増加に転じており、ほぼすべての地域で今週先週比が1を上回っているが、今後の増加速度及び増加が継続するかについて注視する必要がある。また、先週の連休の影響を考慮することも必要。北日本の地域では多くの増加がみられる。また、高齢者施設と医療機関の集団感染は一部継続している。
      • 全国の年代別の新規感染者数は、ほぼ全年代で増加に転じており、人口あたりでは若い世代ほど多くなっている。高齢者の新規感染者数も増加に転じている一方、重症者数や死亡者数は下げ止まりとなっている。
      • 本年1月以降の小児等の死亡例に関する暫定報告にあるように、小児感染者数の増加に伴う、重症例、死亡例の発生に注意が必要である。
    2. 今後の見通しについて
      • 今後の感染状況について、大都市における短期的な予測などでは、不確実性はあるものの、増加傾向が続く可能性がある。今後、社会経済活動の活発化による接触機会の増加等が感染状況に与える影響にも注意が必要。
      • また、過去2年間の傾向から予測される今冬の新型コロナウイルス感染症の流行拡大が、より早期に始まる可能性や、現時点で低い水準にある季節性インフルエンザの例年よりも早期の流行、さらにはこれらの同時流行が懸念される。
    3. 感染の増加要因・抑制要因について
      1. ワクチン接種および感染による免疫等 ワクチン接種と自然感染により獲得した免疫は、経時的に低下すると考えられる。また、60代以上では、20-40代と比較してワクチンの接種率は高いが、感染による免疫獲得は低く、高齢者層での感染拡大が懸念される。
      2. 接触パターン 夜間滞留人口について、多くの地域で増加している。今後年末に向けて、夜間滞留人口がさらに増加することも懸念される。
      3. 流行株 国内では現在BA.5系統が主流となり、概ね置き換わっている。現在のところ、さらに他の系統に置き換わりが進む傾向はみられていない。
      4. 気候要因 今後しばらくは換気を行いやすい気候条件になるが、気温の低下や激しい降雨など悪天候の日には、換気がされにくい場合もある。
    4. 医療提供体制等の状況について
      • 全国的には、病床使用率については総じて低下傾向にあり、すべての地域で3割を下回るなど低い水準にある。また、重症病床使用率も低い水準にあるが、今後の新規感染者数の増加に伴う影響に注意が必要。
      • 介護の現場では、施設内療養や、療養者及び従事者の感染がみられる。
      • 救急搬送困難事案については、非コロナ疑い事案、コロナ疑い事案ともに、全国的には足元で横ばいとなっている。
  • 必要な対策
    1. 基本的な考え方について
      • 再度の感染拡大に備え、また、季節性インフルエンザの同時流行にも対応できるよう、限りある医療資源の中でも高齢者・重症化リスクの高い方に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化・重点化を進めていくことが必要。
      • 国民ひとりひとりの自主的な感染予防行動の徹底をお願いするとともに、保健医療体制の強化・重点化を進めていくことにより、高齢者等重症化リスクの高い者を守るとともに、通常医療を確保する。
      • 国、自治体は、日常的な感染対策の必要性を国民に対して改めて周知するとともに、感染防止に向けた国民の取組を支援するような対策を行う。
    2. ワクチン接種の更なる促進
      • 「オミクロン株対応ワクチン」について、初回接種を完了した全ての12歳以上の者に対する接種を進めることが必要。
      • 4-5対応型ワクチンの接種も開始されるが、BA.1対応型ワクチンとBA.4-5対応型ワクチンいずれも従来型ワクチンを上回る効果が期待されるため、いずれか早く打てるワクチンの接種を進めることが必要。最終接種からの接種間隔については、5か月から3か月に短縮されたことを受け、すべての対象者が年内中にオミクロン株対応ワクチンの接種を完了するよう呼びかける。
      • 未接種の方には、できるだけ早い時期に初回接種を検討していただくよう促していく。
      • 小児(5~11歳)の接種については、初回接種とともに追加接種を進める。
      • 小児(6か月~4歳)の初回接種が薬事承認され、特例臨時接種に位置づけられたことを踏まえ、初回接種を進める。
    3. 検査の活用
      • 第17回新型コロナ分科会における提言に基づき、国と自治体は検査ができる体制を確保し、検査の更なる活用が求められる。
      • 高齢者施設等について、従事者への頻回検査(施設従事者は週2~3回程度)を実施する。
      • 有症状者が抗原定性検査キットで自ら検査を行い、陽性の場合に健康フォローアップセンター等で迅速に健康観察を受けられる体制整備の更なる推進が必要。
      • OTC化されインターネット販売もされている抗原定性検査キットについて、一層利活用を進める。
    4. 保健医療提供体制の確保
      • 国の支援のもと、都道府県等は、主に以下の病床や発熱外来等のひっ迫回避に向けた対応が必要。
      • 確保病床等の即応化や、病床を補完する役割を担う臨時の医療施設等の整備に加え、宿泊療養施設や休止病床の活用など、病床や救急医療のひっ迫回避に向けた取組
      • 入院治療が必要な患者が優先的に入院できるよう適切な調整、高齢者施設等における頻回検査等の実施や医療支援の更なる強化
      • 後方支援病院等の確保・拡大、早期退院の判断の目安を4日とすることの周知など転院・退院支援等による病床の回転率の向上
      • 病室単位でのゾーニングによる柔軟で効率的な病床の活用等の効果的かつ負担の少ない感染対策の推進
      • オンライン診療等の活用を含めた発熱外来の拡充・公表の推進、「発熱外来自己検査体制」整備の更なる推進
      • 受診控えが起こらないよう配慮の上、例えば無症状で念のための検査のためだけの救急外来受診を控えることについて、地域の実情に応じて地域住民に周知。併せて、体調悪化時などに不安や疑問に対応できるよう、医療従事者等が電話で対応する相談窓口を周知するとともに、こうした相談体制を強化
      • ・職場・学校等において療養開始時に検査証明を求めないことの徹底 3
    5. 新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応
      • 同時流行下に多数の発熱患者等が生じる場合を想定して、各地域の実情に応じて、発熱外来の強化や発熱外来がひっ迫する場合に備えた電話診療・オンライン診療の強化と治療薬の円滑な供給、健康フォローアップセンターの拡充と自己検査キットの確保、相談体制の強化等の対策を進める。
      • 都道府県は、地域の実情に応じた外来医療体制の強化等の体制整備の計画を策定する。
      • また、国民各位への情報提供と、重症化リスク等に応じた外来受診・療養への協力の呼びかけなどに取り組む。
      • 併せて、感染した場合にもできる限り重症化を防ぐため、新型コロナとインフルのワクチンについて、接種対象者への接種を進める。
      • なお、感染者数が膨大となり医療のひっ迫が生じる場合や、ウイルスの特性に変化が生じ病原性が強まる等の場合には、住民や事業者に対する感染拡大防止や医療体制の機能維持に関する更なる協力の要請・呼びかけや、行動制限を含む実効性の高い強力な感染拡大防止措置等が考えられ、状況に応じた対応を行うことが必要。
    6. サーベイランス等
      • 発生届の範囲の限定、届け出項目の重点化、多くの感染による検査診断・報告の遅れ、受診行動の変化などにより、現行サーベイランスの精度の低下が懸念され、発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討を速やかに進めることが必要。
      • また、変異株について、ゲノムサーベイランスで動向の監視の継続が必要。
    7. 効果的な換気の徹底
      • 第17回新型コロナ分科会における提言に基づき、屋内での換気が不十分にならないよう、効果的な換気方法の周知・推奨が必要(エアロゾルを考慮した気流の作り方、気流を阻害しないパーテーションの設置等)。
    8. 基本的な感染対策の再点検と徹底
      • 以下の基本的感染対策の再点検と徹底が必要。
        • 場面に応じた不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気の徹底などの継続
        • 3密や混雑、大声を出すような感染リスクの高い場面を避ける
        • 飲食はできるだけ少人数で、飲食時以外はマスクを着用する
        • 咽頭痛、咳、発熱などの症状がある者は外出を控える
        • 医療機関の受診や救急車の利用については目安を参考にする
        • できる限り接触機会を減らすために、例えば、職場ではテレワークの活用等の取組を再度推進するなどに取り組む
        • イベントや会合などの主催者は地域の流行状況や感染リスクを十分に評価した上で開催の可否を含めて検討し、開催する場合は感染リスクを最小限にする対策を実施する
        • 陽性者の自宅療養期間について、短縮された期間中は感染リスクが残存することから、自身による検温などの体調管理を実施し、外出する際には感染対策を徹底すること。また、高齢者等重症化リスクのある方との接触などは控えるよう求めることが必要。
        • 症状軽快から24時間経過後または無症状の場合の、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出の許容について、外出時や人と接する時は必ずマスク着用、人との接触は短時間、移動に公共交通機関は利用しないなど、自主的な感染予防行動の徹底が必要。
  • 参考:オミクロン株とその亜系統の特徴に関する知見
    1. 感染性・伝播性 オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
    2. 感染の場・感染経路 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
    3. 重症度 オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、限られたデータであること等を踏まえると、今後もさまざまな分析による検討が必要。前回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。・また、今回の感染拡大では、前回に引き続き、昨年夏の感染拡大のときよりも重症化率の減少や、入院患者に占める高齢者の割合が上昇している。さらに、今回の感染拡大における死亡者は、前回の感染拡大と比べ、人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっている。
      • 小児等の感染では内因性死亡が明らかとされた死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡しており、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも留意が必要といった実地調査結果の暫定報告がなされている。
    4. ウイルスの排出期間 国内データによれば発症後10日目までは感染リスクが残存し、発症後7日目までが感染力が高く、5日間待機後でもまだ3分の1の患者が感染性のあるウイルスを排出している状態。8日目(7日間待機後)になると、多くの患者(約85%)は感染力のあるウイルスを排出しておらず、当該ウイルスを排出している者においても、ウイルス量は発症初期と比べ7日目以降では6分の1に減少したとの報告がある。
    5. ワクチン効果 初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。4回目接種については、重症化予防効果は6週間減衰しなかった一方、感染予防効果は短期間しか持続しなかったと報告されている。
    6. オミクロン株の亜系統 引き続き、世界的にBA.5系統が主流となっているが、スパイクタンパク質に特徴的な変異を有するオミクロンの亜系統、及び組換え体が複数報告されている。欧州及び米国から多く報告されているBQ.1系統、BQ.1.1系統(BA.5.3系統の亜系統)、インドやシンガポールなどを中心に報告されているXBB系統(BJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)とBM.1.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)の組換え体)等、感染者増加の優位性が指摘されている亜系統もある。特に、米国では今後BQ.1系統、BQ.1.1系統の占める割合が増加することが懸念されている。
      • ただし、これらの変異株について、感染性や重症度等に関する明らかな知見は得られていない。新たなこれらの亜系統や組換え体の特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要。

~NEW~
厚生労働省 「令和4年版 過労死等防止対策白書」を公表します~新しい働き方であるテレワークや新型コロナウイルス感染症の影響について調査分析~
  • 「過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和3年7月30日閣議決定)」に基づき、新型コロナウイルス感染症やテレワークの影響に関する調査分析等について報告。
  • 長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。
  • 企業における長時間労働を削減する働き方改革事例やメンタルヘルス対策等、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介。
▼ 令和4年版過労死等防止対策白書(本文)
  • 我が国の労働者1人当たりの年間総実労働時間は緩やかに減少しているが、令和3(2021)年は、前年を上回り、前年比12時間の増加となった。総実労働時間を所定内労働時間、所定外労働時間の別にみると、所定内労働時間は長期的に減少傾向が続いている一方、所定外労働時間は、平成22(2010)年以降、120~132時間の範囲で増減を繰り返していたが、令和2(2020)年以降、2年連続で120時間を下回っている
  • 一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、令和3年の一般労働者の総実労働時間は3年連続で2,000時間を下回って1,945時間となり、またパートタイム労働者の総実労働時間は減少傾向を維持して946時間となった。なお、パートタイム労働者の割合は、増加傾向が継続していることから、労働者1人当たりの年間総実労働時間の中長期的な減少は、パートタイム労働者の割合の増加の寄与もあると考えられる
  • 総務省「労働力調査」で雇用者(非農林業)の月末1週間の就業時間別の雇用者の割合の推移をみると、1週間の就業時間が60時間以上である者の割合は、最近では平成15(2003)、16年の12.2%をピークとして減少傾向にある。令和3年は5.0%と前年比で0.1ポイント減少しており、月末1週間の就業時間が60時間以上である雇用者数は290万人と前年比で約2万人減少した
  • 月末1週間の就業時間が60時間以上の就業者の割合の推移を性別、年齢層別にみると、全年代の男性のうち、40歳代、30歳代で週60時間以上就業している者の割合が高く、令和3年は40歳代男性で10.4%、30歳代男性で9.9%となった。一方、女性については、20歳代で週60時間以上就業している者の割合が2.6%と、次に高い年代である30歳代と比較しても0.5ポイント高い。月末1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合については、性別、年齢層別にみても、30歳代、40歳代の男性で週60時間以上就業している者の割合が高く、令和3年は、40歳代男性で9.9%、30歳代男性で9.6%であった
  • 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定。以下「大綱」という。)において、数値目標の対象とされている月末1週間の就業時間が40時間以上である雇用者のうち、その就業時間が60時間以上である者の割合をみると、平成15年をピークとして平成18(2006)年に大きく減少した後、平成22年及び平成25(2013)年の微増を除き、緩やかな減少傾向を示しており、令和3年は8.8%と2年連続で10%を下回った。なお、大綱において令和7(2025)年までに、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としている
  • 就業者について、月末1週間の就業時間が40時間以上である就業者のうち、その就業時間が60時間以上である者の割合の推移を性別、年齢層別にみると、就業者全体に占める割合(月末1週間の就業時間が40時間以上である就業者以外も含む。)と同様、全年代の男性のうち、40歳代、30歳代において、その割合が高くなっている。また、女性については、60歳以上で割合が高くなっている。雇用者に占める割合をみても、男性については、40歳代、30歳代で、女性については、60歳以上でその割合が高い。また、雇用者に占める割合について業種別にみると、令和3年は「運輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」、「宿泊業,飲食サービス業」の順にその割合が高かった。また、令和3年の割合について、令和2年と比較すると、多くの業種で減少しているが、「情報通信業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「製造業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「複合サービス事業」では増加した
  • 厚生労働省「就労条件総合調査」により、年次有給休暇の状況をみると、取得日数は、平成9(1997)年から平成19(2007)年まで微減傾向が続き、平成20(2008)年以降増減しながらも微増傾向にあり、令和2年は10.1日と、2年連続で10日を上回った。また、取得率は、平成12年以降5割を下回る水準で推移していたが、平成29(2017)年には5割を上回り、令和2年は56.6%と、前年比0.3ポイントの増加となった。なお、大綱において、令和7年までに年次有給休暇取得率を70%以上とすることを目標としている
  • 勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設けること)について、制度を導入している企業(就業規則又は労使協定等で定めているもの)の割合は、令和3年で4.6%と前年の4.2%から0.4ポイントの増加となった
  • 年平均労働時間を国際比較すると、我が国は、欧州諸国より長く、また、週49時間以上働いている労働者の割合が高い。男性については、特にその割合が高い
  • 「民間企業の雇用者」を対象に、調査期間(令和2年5月、8月、12月、令和3年3月、6月、10月及び令和4(2022)年3月の計7時点)における、新型コロナウイルス感染症に関連した自身の雇用や収入にかかわる影響の有無を尋ねたところ、「全業種」では、全ての調査期間で、3~4割程度の雇用者が「影響があった」(「大いに影響があった」、「ある程度、影響があった」を集計。以下同じ。)と回答したが、令和2年5月と令和4年3月を比較すると「影響があった」の回答は11.6ポイント減少した。業種別にみると、おおむね「影響があった」と回答した割合は減少傾向にあるが、「飲食店、宿泊業」では、全ての調査期間で、6割を超える雇用者が「影響があった」と回答し、令和3年6月以降増加するなど、全調査期間において、高止まりしている。
  • また、影響の具体的内容について、「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」、「勤務日数や労働時間の増加」と回答したものの割合をみると、「全業種」では、全ての調査期間で、1~2割程度の雇用者が「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」と回答し、令和2年5月と令和4年3月を比較すると「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」の回答は半数程度に減少した。業種別にみると、おおむね「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」と回答した割合は減少傾向にあるものの、「飲食店、宿泊業」では、依然として4割を超える雇用者が「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」と回答した
  • 仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、令和3(2021)年は53.3%であり、依然として半数を超えている
  • 「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者のうち、その内容をみると、「仕事の量」(43.2%)が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」(33.7%)、「仕事の質」(33.6%)となっている
  • 現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて「相談できる人がいる」とする労働者の割合は92.1%となっており、「相談できる人がいる」とする労働者が挙げた相談相手は、「家族・友人」(80.1%)が最も多く、次いで「上司・同僚」(75.2%)となっている。また、家族・友人等を除き、職場の事業場外資源(事業場外でメンタルヘルス対策の支援を行う機関及び専門家)を含めた相談先がある労働者の割合は70.3%である。なお、大綱において、令和4(2022)年までに仕事上の不安悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上とすることを目標としている。また、「ストレスを相談できる人がいる」とした労働者のうち、実際に相談した人がいる労働者の割合は69.8%となっており、実際に相談した相手をみると、「家族・友人」(71.5%)が最も多く、次いで、「上司・同僚」(70.2%)となっている
  • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、令和3年は59.2%となっている。また、事業所の規模別にみると、50人以上の事業所は90%を超える割合となっている一方、10人~29人の事業所は49.6%となっている。なお、大綱において、令和4年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とすることを目標としている。
  • 労働者数50人以上の事業場に対し、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)の実施が平成27(2015)年12月から義務化されているところ、メンタルヘルスケアの取組内容をみると、「ストレスチェックの実施」(65.2%)が最も多く、次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック結果の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」(54.7%)となっている。また、ストレスチェック結果を集団分析して、その分析結果を活用した事業所の割合は、令和3年は63.2%となっている。なお、大綱において、令和4年までにストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上とすることを目標としている
  • 職場のハラスメントの問題については、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が相談内容別で10年連続最多となるなど、社会問題として顕在化している。具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を令和3年度に延べ352,914件受け付けており、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、86,034件(24.4%)を占めている
  • 我が国の自殺者数は、平成10(1998)年以降14年間連続して3万人を超えていたが、平成22(2010)年以降は減少傾向であり、令和3(2021)年は21,007人と前年比74人の減少となっている。一方で、勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者の数は、近年、ほぼ横ばいの状況にあり、令和3年は1,935人と前年比17人の増加となっている。また、自殺者数総数に対する、勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者の割合は平成19(2007)年以降の推移をみると、おおむね増加傾向であり、令和3年は9.2%であった
  • 職業別にみると、被雇用者・勤め人(有職者から自営業・家族従業者を除いたもので、会社役員等を含む。以下同じ。)の自殺者数は、令和3年では6,692人と前年比50人の減少となっている
  • 勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を原因・動機の詳細別にみると、令和3年は、「仕事疲れ」(28.3%)、「職場の人間関係」(24.6%)、「仕事の失敗」(17.0%)、「職場環境の変化」(14.0%)の順となっている
  • 勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を職業別にみると、令和3年は、「被雇用者・勤め人」(83.5%)、「無職者」(9.5%)、「自営業・家族従業者」(6.3%)の順となっている
  • 勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移を年齢層別にみると、令和3年は、「40~49歳」(25.9%)、「50~59歳」(21.7%)、「20~29歳」(20.8%)、「30~39歳」(20.7%)の順となっている
  • 業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」という。)を発症したとする労災請求件数は、平成14(2002)年度に800件を超えて以降、700件台から900件台前半の間で推移していたところ、令和3(2021)年度は753件で、前年度比31件の減少となっている。労災支給決定(認定)件数は、平成14年度に300件を超えて、平成19(2007)年度に392件に至ったが、近年は減少傾向にあり、令和3年度は172件で、前年度比22件の減少となっている。なお、令和3年度において、新型コロナウイルス感染症に関連注9)する脳・心臓疾患の労災支給決定(認定)件数は4件であった
  • 業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「運輸業,郵便業」155件(20.6%)、「建設業」105件(13.9%)、「卸売業,小売業」92件(12.2%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「運輸業,郵便業」59件(34.3%)、「製造業」23件(13.4%)、「卸売業,小売業」22件(12.8%)の順に多くなっており、前年度に引き続き、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「運輸業,郵便業」が最多となっている
  • 年齢別では、労災請求件数は「50~59歳」268件(35.6%)、「60歳以上」256件(34.0%)、「40~49歳」168件(22.3%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「50~59歳」67件(39.0%)、「40~49歳」55件(32.0%)、「60歳以上」36件(20.9%)の順に多くなっている
  • 時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数をみると、まず評価期間が1か月の場合、「100時間以上~120時間未満」20件(11.6%)、「80時間以上~100時間未満」7件(4.1%)、「120時間以上~140時間未満」、「140時間以上~160時間未満」及び「160時間以上」それぞれ5件(2.9%)の順に多くなっている。次に評価期間が2~6か月における1か月平均の場合、「80時間以上~100時間未満」56件(32.6%)、「60時間以上~80時間未満」25件(14.5%)、「100時間以上~120時間未満」18件(10.5%)の順に多くなっている
  • 就労形態別の労災支給決定(認定)件数では、「正規職員・従業員」が最多で、153件と全体の89.0%を占めている
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、増加傾向にあり、令和3(2021)年度は2,346件で、前年度比295件の増加となっている。労災支給決定(認定)件数は、平成24(2012)年度以降500件前後で推移していたところ、令和2(2020)年度に600件を超え、令和3年度は629件となり、前年度比21件の増加となっている。なお、令和3年度について、新型コロナウイルス感染症に関連する精神障害の労災支給決定(認定)件数は18件であった。
  • 業種別(大分類)でみると、労災請求件数は「医療,福祉」577件(24.6%)、「製造業」352件(15.0%)、「卸売業,小売業」304件(13.0%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「医療,福祉」142件(22.6%)、「製造業」106件(16.9%)、「卸売業,小売業」76件(12.1%)の順に多くなっており、労災請求件数、労災支給決定(認定)件数ともに「医療,福祉」が最多となっている
  • 年齢別では、労災請求件数は「40~49歳」703件(30.0%)、「30~39歳」556件(23.7%)、「20~29歳」495件(21.1%)の順で多く、労災支給決定(認定)件数は「40~49歳」200件(31.8%)、「20~29歳」153件(24.3%)、「30~39歳」145件(23.1%)の順に多くなっている
  • 精神障害事案の労災認定要因について、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が策定された後の平成24年度から令和元年度までの具体的出来事の事案割合を、男女それぞれ上位10項目でみると、男性では、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」、女性では、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」、「セクシュアルハラスメントを受けた」が高かった。また、具体的出来事以外では、男女とも「恒常的な長時間労働」の割合が最も高く、女性では「心理的負荷が極度のもの」の割合も高かった
  • 事業場規模別に1週間当たりの実労働時間の分布をみると、「週60時間以上」の就業者の割合について、事業場規模による大きな差はみられなかったが、全体の8.0%より高かったのは順に、「1~9人」(9.2%)、「300~999人」(8.4%)であった。一方、全体の8.0%より低かったのは「50~299人」(6.9%)であった
  • 所定外労働が生じる理由をみると、労働者の回答割合は「業務量が多いため」が43.6%で最も多く、次いで「人員が不足しているため」が28.8%であるのに対し、事業場の回答割合は「仕事の繁閑の差が大きいため」が43.5%で最も多く、次いで「人員が不足しているため」が35.4%であった。労働者と事業場の回答割合の差が大きいものは、順に「仕事の繁閑の差が大きいため」、「顧客からの不規則な要望に対応する必要があるため」、「仕事の特性上、長時間の労働を行わないとできない仕事があるため」であった
  • 直近の1年間の定期健康診断について、「全員に対して実施した」は86.8%、「一部に対して実施した」は10.9%であり、おおむね定期健康診断は実施されていた
  • 直近の1年間のストレスチェックについて、「全員に対して実施した」は23.1%、「一部に対して実施した」は6.3%であった。なお、全3,587事業場のうち、75.2%に当たる2,699事業場は、労働者数50人未満の事業場であった
  • ストレスチェック実施後の医師による面接指導の実施状況をみると、「面接指導の申出者に対して面接指導を実施した」が24.2%であり、「面接指導の申出者はいなかった」の72.8%を除き、ほぼ実施されていた
  • ストレスチェックの結果を用いた集団分析の実施状況をみると、「全ての集団(部、課など)について実施した」が55.6%、「一部の集団(部、課など)について実施した」が15.1%であった
  • 事業場が過重労働防止のために行っている対策をみると、「タイムカード、ICカード等の客観的な方法による労働時間の管理」が67.5%で最も高く、次いで、「病気や通院等に配慮した就業上の措置(労働時間の短縮、業務内容や配置の変更等)等の実施」が46.0%、「労働者間の業務の分担見直しや集約等の推進」が41.9%であった
  • 過去1年間に経験した心理的負荷のある具体的出来事を性別にみると、男女ともに、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が最も高く(男性が7.5%、女性が8.9%)、次いで、「上司とのトラブルがあった」(男性が5.0%、女性が4.4%)であった
  • テレワークの導入割合を業種別にみると、「情報通信業」の82.4%が最も高く、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」の62.7%、「金融業、保険業」の55.6%であり、これらの業種の新型コロナウイルス感染症の感染拡大前(以下この項で「コロナ前」という。)から感染拡大後(以下この項で「コロナ後」という。)の導入割合の増加も大きかった。また、コロナ前からコロナ後の導入割合の増加倍率でみると、「生活関連サービス業、娯楽業」の4.8倍、次いで「運輸業、郵便業」の4.6倍、「宿泊業、飲食サービス業」の4.4倍の順に高かった
  • テレワークの実施頻度別に1日の平均的な睡眠時間をみると、テレワークの頻度が高くなるにつれて睡眠時間が6時間未満の者の割合は減少する傾向がみられた
  • テレワークの実施頻度別にうつ傾向・不安(K6)をみると、テレワークを実施したことがある者の中では、テレワークの実施頻度が高くなるにつれてうつ傾向・不安のない者の割合がおおむね増加する傾向がみられた
  • テレワークの実施頻度別に主観的幸福感をみると、男女とも、「週1日程度」、「週2~3日程度」、「週4日程度」の層は、「一時的に行った」、「一度もしていない」の層より主観的幸福感が高かった
  • 世帯年収別にうつ傾向・不安(K6)をみると、世帯年収が少なくなるにつれてうつ傾向・不安がある者の割合が高くなる傾向がみられた
  • 新型コロナウイルス感染拡大による収入の変化とうつ傾向・不安(K6)をみると、「収入不変」の層に比べて、「収入減少」の層、「収入増加」の層のいずれも、うつ傾向・不安がある者の割合は高くなっていた
  • 余暇時間における情報端末利用時間を年齢階層別にみると、「30~39歳」の層が最も情報利用端末の利用時間が長い傾向がみられた
  • 1日の平均的な睡眠時間別にうつ傾向・不安(K6)をみると、睡眠時間が「7~8時間未満」で最もうつ傾向・不安がある者の割合が低く、それより睡眠時間が減少するにつれてうつ傾向・不安がある者の割合が高くなる傾向がみられた
  • 1週間当たりの実労働時間が40時間以上の者について、世帯の状況(配偶者の有無、同居人の有無)別に主観的幸福感をみると、配偶者の有無別では「配偶者あり」が、同居人の有無別では「2人以上の世帯」が、それぞれ主観的幸福感が高かった
  • 1週間当たりの実労働時間が40時間以上の者について、世帯の状況(配偶者の有無、同居人の有無)別にうつ傾向・不安(K6)をみると、配偶者の有無別では「配偶者あり」が、同居人の有無別では「2人以上の世帯」が、それぞれうつ傾向・不安がある者の割合が低かった
  • 建設業における平成22年4月から令和2年3月までの過労死等の労災支給決定(認定)事案の推移をみると、脳・心臓疾患事案は平成24年度の38件をピークに全産業と同様に減少傾向となっており、精神障害事案は急増した平成28年度の54件をピークに令和元年度まで全産業とは異なり減少傾向となっている。発症時の年齢階層別の事案数の割合を全産業平均と比較すると、脳・心臓疾患事案は「30~39歳」と「60~69歳」の割合がやや高く、精神障害事案は40歳以上の割合が高かった。
  • 顧客からの「無理のある納期」や「無理な業務依頼」は、長時間労働の要因であり、頻度が高くなるにつれて、主観的幸福感の低下、うつ傾向・不安がある者の割合の増加、疲労回復状況への悪影響を与えていた。
  • IT産業を含む情報通信業における平成22年4月から平成31年3月までの過労死等の労災支給決定(認定)事案の推移をみると、脳・心臓疾患事案は平成24年度をピークに中長期的には全産業と同様に減少傾向となっており、精神障害事案は22~35件で推移し、特に女性が全産業と同様に事案数、割合ともに増加傾向となっている。発症時の年齢階層別の事案数の割合を全産業平均と比較すると、脳・心臓疾患事案は49歳以下の割合が高く、精神障害事案は20~39歳の割合が高かった。
  • 精神障害の労災認定の要因をみると、全産業平均とは異なり、男性では「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」の割合が最も増加し、女性では「セクシュアルハラスメントを受けた」の割合が最も増加した。女性のセクシュアルハラスメントの内訳をみると、33.3%が勤務時間外に発生しており、また、相手は上司や事業主など事業場内の者のみならず、クライアントが16.7%を占めていた。
  • 情報サービス業就業者に対するアンケート調査によると、週60時間以上の就業者の割合は2.2%と、全産業の8.0%より低く、職種別では「販売従事者」が14.3%で最も高かった。時間外労働が生じる理由は、就業者調査、事業場調査ともに「業務量が多いため」が最も高く、認識は一致していた。ヒアリング調査では、業務量が多い理由として、「納期が最優先される」との回答や「製造工程の最後にソフトウエアを実装するためソフトウエア業にしわ寄せがくる」という業界の構造的な問題との回答がみられた。また、所定外労働が生じる理由として、「条件・仕様変更を要望したクライアントが納期の変更に応じない」との回答や、「作業工程を理解しているクライアントが少ないため」との回答がみられた
  • 顧客からの「無理のある納期」、「顧客やクライアントからのクレーム」は、長時間労働の要因であり、頻度が高くなるにつれて、主観的幸福感の低下、うつ傾向・不安がある者の割合の増加、疲労回復状況への悪影響を与えていた。
  • 女性がクライアントから不適切な対応を受けることについて、今回のヒアリング対象企業においては「おおむね発生していない」との回答であるものの、一部の企業においては、「ほとんどないとの認識であるが稀に生じ、顧客との接点はなるべく管理職が対応するといった取組をしている」との回答もみられた
  • 勤務時間外の仕事の連絡頻度が高い群でみると、在宅勤務の頻度が低い者は、在宅勤務の頻度が高い者と比べて、「K6(精神的健康)」と「抑うつ感」が有意に良くなかった(悪かった)。
  • 在宅勤務の頻度が低い群でみると、連絡頻度が高い者は、連絡頻度が低い者と比べて、「K6(精神的健康)」が有意に良くなかった(悪かった)。
  • 在宅勤務の頻度が低い群は、在宅勤務の頻度が高い群と比べて、「疲労」、「身体愁訴」が有意に良くなく(悪く)、逆に「WFun(健康問題による労働機能障害の程度)」は有意に良かった。
  • 勤務時間外の仕事の連絡頻度が高い群は、連絡頻度が低い群と比べて、「(勤務時間外に仕事との)心理的距離」が取れていない(悪い)傾向にあり、「身体愁訴」が良くない(悪い)傾向にあった

~NEW~
国土交通省 知床遊覧船事故対策検討委員会 第8回
▼ 資料2 「今後速やかに具体化を図るべき事項」の具体化について その1
  • 以下のとおり、小型旅客船の船長の要件を創設し、必要な資質を確保するための対策を講ずる。
    1. 事業用操縦免許の取得課程の拡充と修了試験制度の創設(→全国共通の内容を措置)
      • 講習内容について、「事故を未然に防ぐ」観点から、船長の心得や出航判断能力に関わる知識等の学科科目及び旅客船の安全運航に必要な操船技術に関わる乗船実習科目を拡充する。
      • 講習の修了要件として、修了試験制度(補講・再試験あり)を導入する。
      • 小型船舶操縦免許の更新要件は、従前どおり特定操縦免許の有無で差異を設けないこととする。なお、定期的に安全啓発に関する周知・徹底を図るため、免許更新時に重大事故や最新の関係法令知識等に関する冊子の配布等を行う。
    2. 初任教育訓練の義務づけ(→自社・海域固有の内容を措置)
      • 小型旅客船事業者は、新たに乗組員となる者に対して、初任教育訓練を行わなければならないこととする。
      • その際、国が定める一定の項目・内容を踏まえ、事業者がそれぞれ自社・海域固有の状況に応じ、教育訓練を実施することとする。
      • この他、一定期間乗船した履歴がない者に対しても、初任教育訓練の一部を実施(内容:安全管理規程、操船等を想定)することとする。
    3. 一定の乗船履歴
      • 小型旅客船の船長は、特定操縦免許を受有し、初任教育訓練を修了し、下記のような一定の乗船履歴を有していなければならないこととする。
      • 航行区域に応じ、必要となる乗船履歴の期間を設定する。
      • 運航する小型旅客船の航行区域以遠の航行区域で○年(○月)以上の期間の乗船履歴を有することを原則とする。
  • 法定無線設備から携帯電話を除外する。
    • 限定沿海区域において海上運送法の旅客定期航路事業又は旅客不定期航路事業の用に供する船舶(いわゆる「事業許可船」)の法定の無線設備から、携帯電話を除外する措置をすべく、8月23日より9月23日までパブリック・コメントを実施。
    • 限定沿海区域において旅客運送をする船舶は「事業許可船」以外にも多く存在。
    • 航行区域が同一であれば、無線設備の重要性については、許可/届出による差異は生じない。
    • 事業許可船のほか、限定沿海区域を航行する①旅客船及び②旅客を搭載して事業に使用される船舶※に対しても、事業許可船と同様に携帯電話以外の無線設備の搭載を義務化。
    • 海難発生時及びその後の位置通報の設備として、自動浮揚型のEPIRB(非常用位置指示無線標識装置)等の積付けを原則義務化するとともに、早期搭載を促進する。
    • EPIRBは、国際的な捜索救助システム(GMDSS)を構成する設備のひとつであり、EPIRBによって、おおよその海難発生位置の特定は可能。
    • また、EPIRB以外に位置情報等を発信可能な設備として、AIS(Automatic dentification System:船舶自動識別装置)などが考えられる。
    • これらの設備について、船舶の遭難位置を特定することができるものとして、搭載可能とするか検討が必要。
  • 一定の水温を下回る海域での救命設備として、改良型救命いかだ・救命浮器の積付けを原則義務化するとともに、早期搭載を促進する。
    • 救命いかだの積付けが必要となる「一定の水温」の閾値の決定のため、知見の収集及び対象海域についての検討が必要。水温検討第三者委員会を開催し、有識者を交えた検討を実施。
    • 荒天時に落水せずに乗り移りが可能であり、小型旅客船に搭載可能な小型・軽量の改良型救命いかだ等の開発が必要なため、メーカーが開発に着手。
  • 通報窓口の設置等による機動的な監査
    • 法令違反の疑いがある事案の通報窓口を設置するとともに、法令違反の疑いの通報や行政処分履歴等を踏まえ、法令違反や事故のリスクの高い事業者に対する監査を機動的・重点的に実施する。
    • 運航管理者は、事故やインシデント(事故に至るおそれの大きかった事態)が発生した際に、自社の安全管理規程に従い、事故の状況等を地方運輸局等に報告することとなっている。
    • 地方運輸局等は運航管理者から報告のあった事故・インシデント情報を踏まえ、事故の重大性等を考慮した上で、監査実施の要否判断を行っている。
    • 安全管理規程における事故やインシデントの定義や、事故やインシデントが発生した際の地方運輸局等への報告基準が明確でなく、事業者により報告がなされる事故やインシデントの範囲が必ずしも統一的な運用がなされていない。
    • 監査実施の要否判断基準が明確でなく、地方運輸局等において、必ずしも統一的な運用がなされていない。
    • 安全管理規程における事故・インシデントの定義及び地方運輸局等への報告基準を明確化するとともに、明確化した新たな定義及び報告基準に基づき、安全管理規程に基づく事業者からの報告を改めて徹底する。
    • 報告のあった事故・インシデント情報から、事故リスクの高い事業者を判定できるよう監査実施の要否判断基準を明確化することで、機動的・重点的な監査を実施する。
▼ 資料3 安全・安心対策のさらなる充実について その2
  • 現行制度は、定員12名以下の船舶による運航は届出とされている。許可事業の規制が強化された場合、届出で済むよう定員を減らす事業者が出てくる可能性があり、同時に規制を強化していかなければいけないのではないか。
    • 届出事業者は、許可事業者と比較して事業規模が小さい事業者が多く、海上タクシーや医療の緊急搬送など、地域交通を補完する役割や、遊覧船による観光コンテンツの役割を果たしている。
    • 現行制度下において、許可事業者であれば欠格事由に該当する事業者や、重大事故を起こした事業者であっても、届出事業者の場合は欠格事項に該当しないため、運航事業を継続できてしまう。
    • 事業の届出制度から登録制度に改め、事業停止や事業取消の行政処分の対象とし、欠格事由の該当確認等、一定の参入規制を行うことにより、悪質な事業者を退出させることとする。
    • 一方、事業規模が小さいこと等に鑑み、許可事業者に参入時に課す審査項目(事業遂行能力、輸送需要を踏まえた施設の適応性等)への適合性までは求めないこととする。
    • なお、許可事業と同様に、安全統括管理者・運航管理者についての資格制度の創設や事業用操縦免許の取得要件の強化、船長の選任要件の創設等、今回の事故を踏まえ安全対策を強化する。
    • 上記のいずれも、対象は対外旅客定期航路事業、人の運送をする不定期航路事業、人の運送をする貨物定期航路事業とする。
  • ルールや設備のような表面的なものでは事故を防げない。運輸安全マネジメントの常態化・日常化が必要。人間力が重要であり、人材を養成することが必要。
    • 現行制度では、事故等が発生した際に運輸局への報告は義務付けられているものの、その後の再発防止に向けた安全教育の実施のタイミングや、陸員への安全教育の実施については、必ずしも明確となっていない。
    • 旅客を死傷させる等一定の事故が発生した場合、安全統括管理者・運航管理者は、必要な範囲の陸員・船員に対し、一定期間内に、再発防止に向けた安全教育を実施しなければならないことを明確化する。
    • 当該安全教育の結果については、事業者が記録を作成・保存するとともに、運輸局に報告させることを想定。
  • 旅客名簿の備置き義務の見直し
    • 旅客名簿については、現在、船員法第18条等に基づき、原則船長が船内に備え置くこととされている。
    • 船舶が沈没した場合には、記載内容を確認できなくなり、行方不明者の身元特定や損害賠償等に支障が生じる可能性がある。
    • 沿海区域を航行する旅客船については、旅客名簿の備置きが義務付けられていない。
    • 旅客名簿を備え置く場所を原則として陸上に変更するとともに、備置きの義務主体を船長から旅客船事業者に変更することとする。
    • 沿海区域以遠を航行する船舶のうち、航行時間、航路の特性等を踏まえて、一定の船舶に備置きの義務付けを拡大することとする。
    • 旅客数が多い船舶で旅客名簿の記載のための行列が発生することを防止するため、記載時間を短縮できるよう、
      • 「氏名」及び「住所」は、カタカナによる記載が可能であること
      • 「乗下船年月日及び乗下船港」は旅客船事業者による記載が可能であることを通達で明確化
    • グループ内の代表者以外の旅客に係る記載事項を簡略化することも検討。

~NEW~
国土交通省 自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会 第2回
▼ 資料3 ヒアリングを踏まえた論点整理について
  • 論点1 運転操作以外の業務を行う者に対して、どのような要件を求めるか。
    • 輸送の安全確保の観点から、運送事業者の従業員のうち、運転者が行っていた運転操作以外の業務を行う者を「自動運行従事者(仮)」として法令に位置づけ、事業者の責任の下、業務の内容について運行管理者から指導を受けることとしてはどうか。
    • また、「自動運行従事者」は乗車し、又は遠隔から業務を行うこととしてはどうか。
    • なお、運送事業に用いる自動運転車が特定自動運行を行う間、「自動運行従事者」は運転操作を行わないことから、運転者に対して行う「酒気帯びの確認」や「自動車運転免許の保持」は求めなくて良いのではないか。
    • ただし、運送事業に用いる自動運転車が特定自動運行を終了した場合等、「自動運行従事者」が運転操作を行うこととなる場合には、当該「自動運行従事者」は「運転者」となることから、当然、運転者の要件を求めることが必要ではないか。
  • 論点2 自動運転車を用いて行う運送事業において、運転者がいる場合と同等の安全を確保するために、運送事業者に対してどのような対応を求めるべきか
    • 現行、事業用自動車の運行中、非常事態に陥った場合は、「運転者」は状況を適切に把握し、以下のとおり対応する必要がある
      1. 運行を中断したとき 旅客の運送の継続、旅客の出発地までの送還 等
      2. 事故により旅客等が死傷したとき 死傷者のあるときは、速やかに応急手当その他の必要な措置 等
      3. 旅客が車内において法令の規定、公の秩序、善良の風俗に反する行為をするとき 当該行為の制止又は必要な事項の旅客への指示等の措置
      4. 天災等により輸送の安全の確保に支障が生ずるおそれがあるとき 輸送の安全のための措置 等
      5. 車両の重大な故障を発見し、又は重大な事故が発生するおそれがあると認めたとき 直ちに運行の中止
      6. 安全な運行に支障がある箇所を通過するとき 通過時の旅客の降車
      7. 踏切内で運行不能となったとき 速やかな旅客の誘導・退避、列車に対する防護措置
    • 前頁の非常時に陥った場合において、「遠隔地での業務に必要な設備」として、遠隔地から自動運転車両の状況を適切に把握し、対応するため、「自動運転車の安全技術ガイドライン(平成30年9月)」も参考にしつつ、車室内及び車外の状況を把握できるカメラやセンサー、音声通信設備、非常停止時の自動通報装置、旅客からの通報装置、非常停止ボタンを自動運転車両に設置することが必要ではないか。
    • これにより、事故発生時においても、自動運行従事者が救急へ通報することで、運転者が負傷して救急を呼ぶことができない場合が無くなるなど、救急による救護措置は同等に行われる。
    • 一方で、自動運転車内に乗務員が乗車しない場合、運転者が行っていた「事故発生時のすみやかな応急手当」や「旅客の法律等に反する行為に対する制止等」については、従来と異なる対応を取ることが想定される。
    • 引き続き、事故時の旅客対応等について検討が必要。
  • 論点3 旅客の乗降時及び乗車中の安全を確保するためにどのようなことを求めるべきか。
    1. 旅客の乗降時の安全の確保
      • 乗降口の扉の開閉について、車室内及び車外の状況を把握できるカメラやセンサー等を活用しつつ旅客の状況を確認して、自動運行従事者が遠隔地から扉を開閉する又は自動運転車両の装置にて自動で扉を開閉する、旅客が自ら安全に扉の開閉を行う、のいずれか、又はこれらの組み合わせで対応できるようにすることが必要ではないか。
    2. 乗車中の旅客の安全の確保
      • 乗車中の旅客の安全の確保のため、
      • 走行中は旅客が移動しない
      • シートベルトが備えられている座席においてはシートベルトを着用させる
        ことを、自動運行従事者又は自動音声装置によるアナウンスで徹底させることが必要ではないか。
  • 論点4 貨物の積載状況を確認するために、自動運転車両内の設備としてどのようなことを求めるべきか。
    1. 自動運行従事者に求める事項
      • 現行と同じようにトラックに積載する荷物について、偏荷重が生じないように積載すること、貨物が運搬中に荷崩れ等により事業用自動車から落下することを防止するため、貨物にロープ又はシートを掛けること等必要な措置を講ずること、を求める必要があるのではないか。
    2. 自動運転車両内の設備として求めるべき事項
      • 運行中に荷崩れが発生した場合に対応できるよう、自動運転車両にカメラやセンサーを設置する等により、遠隔から積荷の状況を確認できるようにする必要があるのではないか。
  • 論点5 運送事業者から運行状態の監視業務や非常時の駆け付け業務等を契約により外部に委託することとした場合に、運送事業者にどのような要件を課すべきか。
    • 運送事業は事業の許可を得て、運送事業者が責任を負って実施している。そのため、運送事業者が遠隔監視及び駆け付けの業務を委託する形態であっても、運送事業者の指揮系統の下、事業を行うことが基本であるところ、以下の要件を設けてはどうか。
      1. 運送事業者において「遠隔地での業務に必要な設備」を設け、事業用自動車の運行状況を適切に把握することで、旅客の対応等が適切に行えるようにすること。
      2. 被委託者が行う業務において判断が必要な事象が生じた場合には、必ず運送事業者に指示を仰がせること。

~NEW~
国土交通省 米国連邦航空局との間で「空飛ぶクルマに関する協力声明」に署名~空飛ぶクルマに関する情報交換や協力を進めます~
  • 国土交通省では、空飛ぶクルマに関する制度整備において、米国連邦航空局(FAA)との連携を強化するため、「空飛ぶクルマに関する協力声明」への署名を行いました。
  • 国土交通省では、2025年の大阪・関西万博での空飛ぶクルマの商用運航開始に向けて、機体、運航、操縦士ライセンス、離着陸場等に関する制度整備を進めております。
  • 現在、空飛ぶクルマは、世界的にも開発が進められており、国際的な制度の調和を図ることが重要です。
  • 特に、この分野において先進的な知見を有する米国とより一層協力関係を緊密にすることは、我が国の環境整備を加速させるもので、今般、米国との調整を終えたことから、協力声明に署名することとなりました。
  • 国土交通省としては、今後とも、万博における空飛ぶクルマの実現に向け、各種制度の整備を始めとする取り組みを進めます。
  • 空飛ぶクルマに関する協力声明の概要
    1. 署名者
      • 日本側:石井航空機安全課長、梅澤無人航空機安全課長
      • 米国側:Liu, Executive Director, Aircraft Certification Service,Merkle, Executive Director, Unmanned Aircraft Systems Integration Office
    2. 内容
      • 空飛ぶクルマについて、機体、操縦ライセンス、運航等に係る手続き等のハーモナイゼーションが両者の関心事項であることから、情報交換や協力を行うための枠組みを設けるもの。
      • 協力の具体的な内容は以下の通り。
        • 政策、プログラム、プロジェクト、調査結果、文献に係る情報の交換
        • 空飛ぶクルマの開発に資するノウハウ及びベストプラクティスの共有
        • 定期的なバイ会議の開催及びシンポジウム、ワークショップまたは会議の共催 等

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