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危機管理トピックス

業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点(金融庁)/新型コロナ5類への見直しに向けた議論(首相官邸)/経済財政諮問会議(内閣府)/第114回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/サイバーセキュリティ対策分科会(総務省)

2023.01.23
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更新日:2023年1月23日 新着23記事

マスクをつけようとする数名の会社員

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「マネー・ローンダリング等対策高度化推進事業」の公募について
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 「スタートアップ支援に関する申し合わせ」の公表について
  • 「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第3回)議事次第
消費者庁
  • 東電福島第一原発におけるALPS処理水の海洋放出と日本の食品の安全性について
  • 株式会社CLO2 Labに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
  • キリンビバレッジ株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
国民生活センター
  • 国民生活
  • スライサーで指先にけがをする事故が多発!
  • 突然破裂した健康器具(バランスボール)(相談解決のためのテストからNo.170)
  • 折りたたみ式踏み台 乳幼児が指先を切断する事故も発生
総務省
  • 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会(第1回)
  • 「大規模自然災害時における通信サービス確保のための連携訓練」の実施
  • 我が国の人口重心 -令和2年国勢調査結果から-
  • 「令和4年版 救急・救助の現況」の公表
  • 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第7回)
国土交通省
  • 「日本スタートアップ大賞2023」の募集を開始します!~起業家やスタートアップを表彰します~
  • 建設工事の下請取引(価格転嫁・工期設定の状況等)の調査結果~令和4年度下請取引等実態調査~

~NEW~
警視庁 警視庁のテロ対策
  • 警視庁の取組
    • テロは、その発生を許せば多くの犠牲を生みます。
    • そのため、テロ対策は、未然防止が重要になります。
    • 警視庁では、テロを未然に防止するため、情報収集・分析、水際対策、警戒警備、違法行為の取締りと事態対処、官民連携といったテロ対策を強力に推進しています。
    • また、テロが発生した場合に迅速・的確に対処するための部隊を設置するとともに、関係機関と共同で、日々訓練を実施するなど、対処体制の強化を図っています。
  • 官民一体のテロ対策
    • 近年、我が国でも薬局、ホームセンター等の店舗やインターネットで購入が可能な化学物質から爆発物を製造する事案が発生しています。
    • 警視庁では、これを受け、爆発物の原料となり得る化学物質を販売する事業者に対して、継続的な戸別訪問による協力依頼のほか、不審な購入者の来店等を想定した体験型の訓練(ロールプレイング型訓練)を実施するなどして、販売時における本人確認の徹底、保管管理の強化、不審情報の通報等を要請しています。
    • このほか、ホテル等の宿泊施設、インターネットカフェ、レンタカー等の事業者との連携を図り、テロ等違法行為の未然防止に努めています。
    • 首都東京でテロを引き起こさせないためには、警察による取組だけでは十分ではなく、皆様と緊密に連携して推進することが必要です。
    • 「いつもと違うな」、「何かおかしいな」と感じたら、迷わず警察への通報をお願いします。

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症の5類への見直しに向けた議論についての会見
  • 新型コロナウイルス感染症の5類への見直しに向けた議論について
    • 新型コロナ感染拡大から約3年たちました。国民の皆さん、そして現場で働く医師、看護師、介護職員など、エッセンシャルワーカーの皆さんの御協力を頂きながら感染の波を乗り越え、ウィズコロナへの移行、これを進めてきました。そして、足元の感染状況については、感染防止対策や医療体制の確保に努め、いわゆる第8波を乗り越えるべく、全力で取り組んでまいる所存ですが、その一方で、新型コロナの感染症法上の位置付けについて、昨年11月以降、専門家に新型コロナの見直しに向けた議論の深掘りをお願いして、このウィルスの病原性、感染力の評価等を行っていただいてきました。そして先週には、専門家有志から新型コロナの感染症法上の位置付けに関する考え方もお示しいただきました。
    • これらを踏まえて、先ほどの会議におきましては、原則として、この春に、新型インフルエンザ等感染症から外し、5類感染症とする方向で専門家に議論していただきたいということを確認した、このように専門家に議論していただきたいと考えているということを明らかにすることを確認した次第であります。
    • そして、感染症法上の位置付けの変更に伴い、患者や濃厚接触者の外出自粛について見直すこととなります。医療提供体制や、現在講じている公費支援についても、具体的な検討を進めてまいります。これらを含め、ウィズコロナの取組を更に進め、平時の日本を取り戻していくために、これまでの様々な政策・措置の対応について、段階的に移行することとし、具体的な検討・調整を進めてまいります。また、一般的なマスク着用の考え方などの感染対策の在り方についても見直していくこととなります。
    • なお、ワクチンについては、類型の見直しに関わらず、予防接種法に基づいて実施することになります。まずは、現在、実施しているものについて、多くの皆さんに接種をお願いいたします。今後の接種の在り方についても検討を進めており、結論を得てまいります。詳細につきましては、厚労大臣と後藤大臣の方から改めて説明させていただきます。こうしたことを、先ほどの会議で確認した、こうした次第であります。
  • 現在の新型コロナ感染状況の認識及び5類への見直しの国民生活への影響について
    • まずはその詳細を担当大臣から説明させますが、第8波については、ただ今申し上げたとおり、この第8波を乗り越えるべく、今全力を尽くしているところであり、これは引き続き全力で取り組んでまいります。その上で、ウィズコロナへの移行をこれまでも進めてきたところでありますが、平時の日本を取り戻すべく、具体的な対応、先ほど申し上げました対応、これを考えていくべきではないか。原則として、この春、感染症法の分類を見直す、これを行うべく調整を進めていこう、これを確認したということであります。スケジュール感については、今言ったようなスケジュール感で、これから物事を進めていきます。その詳細について、加藤大臣、後藤大臣から、今後説明させていただきたいと、このように思っております。
  • 5類への見直しの時期について
    • タイミングは春ということを先ほど確認しました。具体的な日にちについては、現場の準備等にも関わる話ですので、調整を引き続き行って、できるだけ早いタイミングで、日にちについても確認したいと思っています。これから来週に向けて感染症部会も開催されます。その中で確認していきたいと思っています。
  • この時期に判断する理由について
    • 基本的には先ほど申し上げたとおりであります。しかし、この議論は昨年からずっと議論を行ってきて、できるだけ早いタイミングで判断するべきだ、こういった議論が行われてきました。そして先週には専門家有志から新型コロナ感染症法上の位置付けに関する考え方、これもお示しいただきました。これを踏まえて、原則的に今年の春に感染症法上の分類を見直す、こういったスケジュール感を今日確認した、こうしたことであります。

~NEW~
内閣府 令和5年第1回経済財政諮問会議
▼資料1-1 中長期を見据えた経済財政政策の論点(柳川議員提出資料)
  1. 続的安定的成長に向けたマクロ経済運営の在り方
    • 物価上昇に負けない持続的な賃金上昇を可能とする環境の構築
    • 経済を安定的な成長軌道に乗せていくためのポリシーミックス
    • 世界経済のインフレ・経済減速の深刻化、エネルギー・食糧価格の高止まりや供給途絶、地政学リスクと重要品目のサプライチェーン破たん等のグローバルリスクへの積極的な対処
    • 中長期的な投資資金の確保と財政規律 等
  2. 成長と分配の好循環の実現とサプライサイド強化に向けた考え方
    • 分厚い中間層の構築、格差是正、質の高い雇用の創出のための環境整備
    • 社会課題解決に向けた投資促進のための中長期的な枠組み整備
    • 予見性を高める官民の連携の在り方
  3. 目指すべき経済社会構造の在り方
    • コロナ禍を契機に婚姻率・出生率が急低下する中、少子高齢化・人口減少等に伴う国力の縮小傾向や地域経済の衰退を反転させるシナリオ(人的投資、子育て支援の強化等)
    • 人口減少下での社会保障制度の持続可能性強化、地方行財政
▼資料3 財政・金融政策の役割に関する考え方(仲田泰祐氏提出資料)
  • 2008年世界金融危機前の代表的な考え方(Old Normal)
    • 金融政策:短期政策金利の調節で景気変動に対応
    • 財政政策:中長期的な成長。分配。景気変動に対してはAutomatic Stabilizerを通した受動的な役割
  • 2008年金融危機後の代表的な考え方(New Normal)
    • 金融政策:短期政策金利が下方金利制約に直面。景気後退期には非伝統的金融政策で対応
    • 財政政策:中長期的な成長・分配に加え、景気後退局面では景気刺激策として積極的な役割
  • 欧米でのポストコロナの考え方
    • New Normalの継続:中立金利の低下により、今後も景気後退局面では短期政策金利を下方制約まで下げる必要が生じる可能性
  • 日本の過去10年とポストコロナ
    • 過去10年:景気回復局面でもインフレ率が目標値以下で推移。非伝統的政策の継続。日本特有の社会経済環境・欧米New Normalと異なる政策変遷
  • ポストコロナ
    • インフレ率が持続的目標達成の場合はおそらくNew Normal
    • そうでない場合に「過去10年」を継続すべきか否か
    • インフレ率目標値に対する考え方を更新すべきか否か
    • Ben Bernanke:I’ve viewed inflation targets as important because it was part of the communication process… It was the inflation target itself that was important to me, not the number specifically.”(Oct.11,2022)
▼資料4 世界標準の経済財政運営「財政政策による成長戦略」(永濱利廣氏提出資料)
  1. 新しい経済政策の考え方~イエレン氏の高圧経済(2016年)→MSSE(2022年)~
    • 従来の成長理論
      • 長期的な経済成長を決めるのはサプライサイドであり、総需要は短期的な変動要因→金融・財政政策は短期の需要刺激策であり、長期の経済政策は供給側の成長戦略。
    • 従来理論の問題点
      • バブル崩壊後の経済が長期停滞→需要急減に伴い労働力や設備・R&D投資、起業等が減少した結果、供給力が棄損し、長期にわたって成長力低下(履歴効果)。
    • 新しい考え方(財政政策による成長戦略)
      • 金融・財政政策等の需要刺激策は、短期のみならず長期の成長戦略としても重要。→人的資本の蓄積やインフラ整備、R&D強化、温暖化防止面等での財政需要と労働市場の需給ひっ迫や流動化により長期の成長力を確保→企業収益増が経済の生産力を引き上げ、タイトな労働市場が労働力をより生産的な仕事へ転換→需要の拡大がR&Dや起業を促進
  2. 財政運営面での理論的サポート~低成長、低インフレ、低金利脱却には積極財政が最も有効~
    • サマーズ・ハーバード大教授とファーマン・元CEA委員長との共著論文(2020年末)での主張。
      1. 金利変動で国債費は変動するため、それを考慮しない財政指標「政府債務残高/GDP」で健全性を見るのはミスリード。
      2. 重要なのは、予算均衡ではなく、「政府純利払い費/GDP」を財政指標とした運営が望ましい。今後10年間は「政府純利払い費/GDP≦2%」を維持しつつ、成長促進分野に財政政策すべき(米財務省すでに取り入れ)。
      3. 資金需要が乏しく低金利下における効果的な財政拡張は、むしろこれまでの財政の維持可能性指標である「政府債務/GDP」を改善させる。
    • ブランシャールMIT名誉教授の2019年公表論文での主張
      1. 資金需要が乏しく低金利の日本では、公的債務は財政コストにならず、厚生面でのコストも小さい。
      2. 悪性の長期停滞で金融政策の限界にある日本では、プライマリーバランス赤字が長期にわたって必要。
  3. 世界標準の経済・財政運営に必要なこと~「資金需要不足下の財政政策による成長戦略は、財政の持続可能性をむしろ改善する」という考え方~
    • 日本は資金需要不足で名目成長率(2%程度)対比で金利は異常に低い(0%台)ため、最も理に叶う政策は、将来の成長に貢献し、長期的には便益が費用を上回るような財政政策。
    • 財政の持続可能性への筋道をつけるのに最も重要なことは、目先の財政均衡を優先することではなく、将来世代に便益を与える長期の投資を行い、長期停滞を一刻も早く克服すること(国内資金需要が弱く、金利が低い時には、政府支出が国債で賄われても、政府債務/GDPを下げることにつながることは米研究で実証済み)。
    • 将来の経済成長につながれば、より税収を生み、将来の社会保障支出が抑制されるような健全な経済に結び付く。
    • 喫緊の課題である人材やイノベーション、経済安保、温暖化防止等への支出は、先々リターンをもたらし、将来世代の生活を改善するという視点が重要
▼資料5 物価・賃金の現状と先行き(渡辺努氏提出資料)
  • 価格・賃金・金利の「凍結」がもたらす弊害
    1. ステルス値上げ
      • 90年代後半以降、商品の価格は凍りついたように動かず。
      • 企業は「価格」の代わりに「品質(商品の容量・重量)」を操作(品質悪化=ステルス値上げ)。
      • 企業のイノベーション(新商品開発など)を阻害。資源配分が悪化。
    2. ステルス賃上げ-90年代後半以降、賃金は凍りついたように動かず。
      • 労働者は「賃金」の代わりに「品質(労働の密度・時間)」を操作(労働の密度・時間が低下=ステルス賃上げ)。
      • 労働者のスキル向上や労働生産性の上昇を阻害。
    3. ステルス利下げ-日銀の緩和政策により短期金利・長期金利はゼロに張り付いたまま。
      • 資金貸借の対象となるプロジェクトの「価格」(=金利)はゼロで据え置かれる中、プロジェクトの「品質」の悪化が進む。
      • 財政規律の後退。民間の貸借でも、借り手の質が悪化し、新陳代謝が進まず
  • 価格に「解凍」の兆し
    • 日本を含む5ヶ国を対象に行った消費者サーベイによれば、2022年前半に、「物価は将来上昇する」との見方が日本の消費者の間に広がった(インフレ予想の上昇)。
    • 同サーベイによれば、2022年前半に、日本の消費者の「値上げ嫌い」(=値上げがあったときに他店・他の商品に逃げる)が顕著に変化。
    • 企業は、2022年前半以降、原価上昇の価格への転嫁を積極化。消費者物価(CPI)に占める価格据え置きの品目の割合が顕著に低下。
  • 2つの選択肢
    • A 価格の解凍に続き、賃金と金利も解凍、新たな均衡(=経済の落ち着きどころ)に移る。
      • ある程度の価格上昇を許容する。それをテコに賃上げを実現。
      • 価格と賃金の安定的な上昇を実現できたところで、次のステップとして金利を解凍。
      • 3つのステルスは解消へ。
    • B 価格を再度凍結し、3つとも凍結されている元の均衡(=経済の落ち着きどころ)に戻る。
      • 賃上げがうまくいかない場合は元の均衡に戻らざるをえない。
      • 価格と賃金が以前と同じく凍結(据え置き)であれば、金利もゼロの周辺にとどまる。価格と賃金は凍結、金利だけ解凍という選択肢はない。
      • 3つのステルスは残る
▼資料6 成長と分配の好循環の実現に向けた経済社会の構造改革の必要性(福田慎一氏提出資料)
  • これまでの日本の経済成長に対する見方
    • 1980年代まで日本は、先進主要国の中では突出して高い経済成長を実現
    • しかし、1990年代以降、先進主要国の中でももっとも成長率が低い国の1つに
    • とくに、2000年代以降、生産性低迷や国際競争力の低下が顕在化
    • コロナ禍、2020年の経済の落ち込みも比較的軽微。
    • しかし、2021年以降のV字型の回復は、先進主要国では遅れた国の1つ
    • その背後に日本経済の構造的な問題
    • コロナ前から存在していた構造的問題
      • 少子高齢化、財政赤字
      • 人材ミスマッチ、新陳代謝の遅れ
      • 資金余剰
      • 地域経済の疲弊
    • ウィズコロナ時代に明らかになった日本経済の構造的課題
      • サプライチェーン、DX、GX
  • 成長と分配の好循環の実現に向けた望ましい資金フロー
    • 望ましい資金フローは、資金が成長性の高い民間企業に流れること
    • バブル崩壊以前は、このような資金フローが成長を支えた!
    • しかし、1990年代以降、日本国内で大きな資金余剰が発生
      • 家計の現預金:約1090兆円(22年Q3)
      • 企業の現預金:約330兆円(22年Q3)
    • 原因1:弱い企業の資金需要
    • 背景:不確実性、新陳代謝の遅れ、スーパースター企業の不在
    • 原因2:家計セクターの予備的貯蓄
    • 背景:漠とした将来不安、将来の高齢化
    • 原因3:巨額な財政赤字
    • 背景:社会保障関係費の増大
    • 対策:「貯蓄から投資の流れ」と「政府債務の削減」を同時に行う必要
    • マクロ経済環境が大きく変わるなか、日銀頼みには限界があることには留意が必要
  • 構造改革は「道半ば」。少子高齢化がより深刻になる前に対策が必要。
    • これまでも、さまざまな構造改革の案(=成長戦略)が提唱されてきた。
    • その多くは妥当なもの。
    • しかし、戦略が策定されても、多くは実現に向けて「道半ば」。⇒効果に限界。
    • 構造改革を実現して、「将来不安」を解消することが重要!
    • 特に、少子高齢化対策は喫緊の課題。
    • 今後、少子高齢化の影響がより深刻になる前に、抜本的な対策が必要。
    • 例.地方創生は、少子化対策に即効性。
    • ただし、「手段」と「目的」を明確にして、常に改革の効果を事後的に検証することが必要。
    • 構造改革は、短期的に経済にマイナスの影響を及ぼすこともあるが、中長期的には持続的な成長を実現。
    • 動学的不整合性:政府がその場しのぎの場当たり的な政策を繰り返し行うと、結果的に非効率な経済状況が実現。
    • 中長期的な観点から、一貫性のある政策を公約し、それを実行していくことが望ましい。
▼資料8 質の高い成長を実現する新たな好循環(マルティン・シュルツ氏提出資料)
  • 過去に名目成長率と需要管理を重視した政策
    • 金融政策は、デフレ、金融危機、パンデミックという難題に対処するのに役立った。財政政策は、低い需要、地域格差、困難な景気循環とのバランスをとった。高齢化社会は政府の支援が必要であり、変革が難しいため、構造改革はしばしば財政赤字の原因となった。
  • 今、世界は変化し、より持続可能な展望を必要としている
    • (資産)価格が上昇し、通貨が弱くなると、拡張的な金融政策は限界に達する。財政政策は、赤字が構造化し、経済の活力が失われ、実質所得が減少すると、需要管理に頼れなくなる。企業は、実質利潤率(金利)が低ければ、確実な長期的投資展望が必要である。家庭は子育てや高齢者を支えるために実質所得を増やす必要がある。
    • つまり、高齢化社会は、現状維持から将来への投資へと舵を切る必要がある。
  • 将来的には政府は質の高い成長のための「ニューディール」を支持する
    • 米国では、政府のインフラ整備、インフレ対策、CHIPS法などが、将来技術への前例のない投資を支え促進している。欧州では、「グリーン・ディール」と「復興基金」が、グリーン投資とデジタル投資による新しい持続可能な産業政策を支援している。日本では、より循環型経済への持続可能な転換(SX)が効率性の潜在力を高め、特に女性の生産性と実質所得の向上によって家庭が成長し、高齢化する労働力が再教育やリスキリングによって生産性をさらに向上させることができる。
▼資料9 生産性、投資、資源配分(滝澤美帆氏提出資料)
  • 生産性、投資、資源配分
    • 相対的貧困率は先進国の中では高く、所得格差もやや拡大
    • 賃金上昇は望ましいが、同時に生産性の改善がなければ、資本蓄積抑制の懸念。日米の生産性格差は拡大
    • 有形の設備投資は停滞。無形資産投資も米国ほどは増えず(一方で、対外直接投資は増加)。有形・無形資産投資双方を増やす必要
    • 日本の資源配分の効率性は悪化(生産性の高い(低い)企業のシェアは拡大(縮小)していない)、ただし足元はやや改善。この動きを妨げない政策が望まれる

~NEW~
厚生労働省 第114回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (令和5年1月17日)
▼資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況等の概要
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約712人となり、今週先週比は0.75と、先週の増加傾向から再び減少傾向に転じている。
    • 今後の免疫の減衰や変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
    • 病床使用率は5割を上回る地域も多く、死亡者数や救急搬送困難事案数はこれまでの最高値を超える状況が続いている。
  • 感染状況等と今後の見通し
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、全国的には、先週の増加傾向から再び減少傾向に転じている。
      • 感染状況に地域差がみられ、東海や中四国、九州などでは、10万人あたりで全国を上回っている一方、北海道や東北、関東、北陸・甲信越では10万人あたりで全国を下回っている。また、高齢者施設と医療機関の集団感染が多くみられる。
      • 全国の年代別の新規感染者数は、全年代で減少傾向となっているが、60代以上では減少幅が小さく、一部地域では増加もみられる。全国では重症者数と死亡者数は足元で横ばいとなったが、特に死亡者数は、昨年夏の感染拡大時の最高値を超える状況が続いている。今般の感染拡大においては、新規感染者のうち80代以上の高齢者の占める割合が、昨年夏の感染拡大時よりも増加する傾向が続いており、引き続き注意が必要。
      • 昨年1月以降の小児等の死亡例報告にあるように、小児感染者数の増加に伴う重症例、死亡例の発生や、小児の入院者数の動向にも注意が必要。
      • 季節性インフルエンザについては、全国では同時期と比べ例年よりも低いが、直近2年間より高い水準にある。昨年末時点で定点医療機関当たりの週間報告数が1を超えて全国的に流行入りとなり、さらに、先週末公表時点では週間報告数が4を超え、沖縄、宮崎、佐賀では10を超えており、全国的に増加傾向にある。
    2. 今後の見通しについて
      • 今後の感染状況について、エピカーブや全国及び大都市の短期的な予測では、地域差や不確実性はあるものの、全国的には横ばいまたは減少傾向となることが見込まれる。さらに、今後の免疫の減衰や、より免疫逃避が起こる可能性のある株の割合の増加、また、中国における感染状況及び国内への流入等が、感染状況に与える影響についても注意が必要。
      • 季節性インフルエンザについても、今後も増加の継続が見込まれており、特に、新型コロナウイルス感染症との同時流行に注意が必要。
    3. 感染の増加要因・抑制要因について
      1. ワクチン接種および感染による免疫等
        • ワクチン接種の推進および自然感染により、オミクロン株(5とBQ1.1)に対する免疫保持者割合が各年代で増加していること、特に高齢者層ほどワクチン接種により割合の増加が進んでいることを示唆する報告がある。一方で、ワクチン接種と自然感染により獲得した免疫は、経時的に低下していくと考えられる。
      2. 接触状況
        • 夜間滞留人口の全国的な状況として、例年と同様、年末年始期間中に減少した後再び増加傾向に転じている。
      3. 流行株
        • 国内では現在BA.5系統が主流となっているが、BQ.1系統やXBB系統などのオミクロン株の亜系統、特に米国中心に報告されているXBB.1.5は、より免疫逃避が起こる可能性があるとされ、海外で感染者数増加の優位性が指摘されている。特にBQ.1系統は国内で割合が増加しつつあり、注視が必要。また、BA.2.75系統の亜系統であるBN.1.2系統、BN.1.3系統も国内で割合が増加している。
      4. 気候・季節要因
        • 冬が本格化し全国的に気温の低下がみられ、換気がされにくい状況となっている。また、冬の間は呼吸器ウイルス感染症が流行しやすくなる。
    4. 医療提供体制等の状況について
      • 全国的には、病床使用率は多くの地域で5割を上回っており、7割を上回る地域もみられ、滋賀では8割を超えている。重症病床使用率は、4割を上回っている地域も一部でみられる。
      • 介護の現場では、施設内療養数が高い水準にあり、療養者及び従事者の感染もみられる。
      • 救急医療について、冬場は通常でも医療提供体制に負荷がかかるところ、全国的に救急搬送困難事案数は、昨年夏の感染拡大時の最高値を超えて増加傾向が継続している。引き続き、救急医療提供体制の確保には注意が必要。
  • 必要な対策
    1. 基本的な考え方について
      • 限りある医療資源の中でも高齢者・重症化リスクの高い方に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化・重点化を進めることが必要。また、国民一人ひとりの自主的な感染予防行動の徹底をお願いすることにより、高齢者等重症化リスクの高い方を守るとともに、通常医療を確保する。
      • 昨年11月18日の政府対策本部決定に基づき、外来医療等の状況に応じた感染拡大防止措置を講じていく。
      • 国、自治体は、日常的な感染対策の必要性を国民に対して改めて周知するとともに、感染防止に向けた国民の取組を支援するような対策を行う。
    2. ワクチン接種の更なる促進
      • 「オミクロン株対応ワクチン」について、初回接種を完了した全ての12歳以上の者に対する接種を進めることが必要。
      • 1対応型ワクチンとBA.4-5対応型ワクチンいずれも従来型ワクチンを上回る効果が期待されるため、いずれか早く打てるワクチンの接種を進めることが必要。接種を希望するすべての対象者がオミクロン株対応ワクチンの接種を行うよう呼びかける。
      • 未接種の方には、できるだけ早い時期に初回接種を検討していただくよう促していく。
      • 小児(5~11歳)の接種については、初回接種とともに追加接種を進める。小児(6か月~4歳)の接種については、初回接種を進める。
      • 新型コロナワクチンの今後の接種のあり方について速やかに検討を進めることが必要。
    3. 検査の活用
      • 国と自治体は検査ができる体制を確保し、検査の更なる活用が求められる。
      • 高齢者施設等について、従事者への頻回検査(施設従事者は週2~3回程度)を実施する。
      • 有症状者が抗原定性検査キットで自ら検査し、陽性の場合に健康フォローアップセンター等で迅速に健康観察を受けられる体制整備の更なる推進。
      • OTC化されインターネット販売もされている抗原定性検査キットについて、一層利活用を進める。
    4. 水際対策
      • 中国において新型コロナの感染状況が急速に悪化するとともに、詳細な状況の把握が困難であることを踏まえ、新型コロナの国内への流入の急増を避けるため、昨年12月30日から入国時検査などの臨時的な措置を講じており、中国の感染状況等を見つつ柔軟に対応。
    5. 保健医療提供体制の確保
      • 冬場は新型コロナ以外の疾患の患者が増える時期でもあり、国の支援のもと、都道府県等は、主に以下の病床や発熱外来等のひっ迫回避に向けた対応が必要。
      • 病床確保計画に基づく新型コロナウイルス感染症の全体の確保病床数は引き続き維持し、感染拡大に併せ時機に遅れることなく増床を進めるとともに、新型コロナ病床を有していない医療機関に対しても、院内において新型コロナ患者が生じた場合の対応能力の向上を支援(病室単位でのゾーニングの推進等)することにより、新型コロナの対応が可能な医療機関の増加を引き続き図ること
      • 確保病床等の即応化や、病床を補完する役割を担う臨時の医療施設等の整備に加え、宿泊療養施設や休止病床の活用など、病床や救急医療のひっ迫回避に向けた取組
      • 入院治療が必要な患者が優先的に入院できるよう適切な調整(後方支援病院等の確保・拡大、早期退院の判断の目安を4日とすることの周知など転院・退院支援等による病床の回転率の向上等)、高齢者施設等における頻回検査等の実施や平時からの医療支援の更なる強化
      • 発熱外来の診療時間の拡大、箇所数の増加等のほか、地域外来・検査センターや電話・オンライン診療の強化等による外来医療体制の強化・重点化
      • 受診控えが起こらないよう配慮の上、例えば無症状で念のための検査のためだけの救急外来受診を控えることについて、地域の実情に応じて地域住民に周知。併せて、体調悪化時などに不安や疑問に対応できるよう、医療従事者等が電話で対応する相談窓口の周知及び相談体制の強化
      • 職場・学校等において療養開始時に検査証明を求めないことの徹底 3
    6. 新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応
      • 同時流行下に多数の発熱患者等が生じることへの対応として、各地域の実情に応じて、発熱外来の強化や発熱外来がひっ迫する場合に備えた電話診療・オンライン診療の強化、健康フォローアップセンターの拡充と自己検査キットの確保、相談体制の強化、救急医療のひっ迫回避に向けた取組等を進める。
      • また、新型コロナウイルス感染症の新たな治療の選択肢であり医師の適応確認の上処方される経口薬含め、治療薬の円滑な供給を進める。解熱鎮痛薬等の入手が困難な薬局等に対しては、厚生労働省の相談窓口の活用を呼びかける。
      • 都道府県は、地域の実情に応じた外来医療の強化等の体制整備の計画に基づき、保健医療体制の強化・重点化に取り組む。
      • 国民各位への情報提供とともに、感染状況に応じた適切なメッセージを発信することが必要。抗原定性検査キット・解熱鎮痛薬の購入や電話相談窓口などの連絡先の確認等の呼びかけに加え、重症化リスクが低い方の自己検査や地域のフォローアップセンターの活用をより積極的に呼びかける。また、冬場は例年救急医療が逼迫する時期であることから、急な体調不良やけがに備えて「救急車利用マニュアル」の確認や救急車の利用に迷った際のかかりつけ医への相談、#7119などの電話相談窓口の利用、必要なときは救急車を呼ぶことをためらわないことを呼びかける。
      • 併せて、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザのワクチンについて、接種対象者への接種を進める。
      • なお、感染者数が膨大となり医療のひっ迫が生じる場合には、住民や事業者に対する感染拡大防止や医療体制の機能維持に関する更なる協力の要請・呼びかけや、行動制限を含む実効性の高い強力な感染拡大防止措置等が考えられ、状況に応じた対応が必要。
    7. サーベイランス・リスク評価等
      • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討を速やかに進めることが必要。また、ゲノムサーベイランスで変異株の動向の監視の継続が必要。
      • リスク評価について、新型コロナウイルス感染症に関する病原性、感染力、変異等についての評価を引き続き進めることが必要。
    8. 効果的な換気の徹底
      • 気温の低下による暖房器具の使用等により、屋内での換気が不十分にならないよう、効果的な換気方法の周知・推奨が必要(エアロゾルを考慮した気流の作り方、気流を阻害しないパーテーションの設置等)。
    9. 基本的な感染対策の再点検と徹底
      • 以下の基本的感染対策の再点検と徹底が必要。
        • 場面に応じた不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気の徹底などの継続・3密や混雑、大声を出すような感染リスクの高い場面を避ける
        • 飲食店での会合の際は、第三者認証店等を選び、できるだけ少人数で、大声や長時間の滞在を避け、会話の際はマスクを着用する
        • 咽頭痛、咳、発熱などの症状がある者は外出を控える・医療機関の受診や救急車の利用については目安を参考にする
        • 自宅などにおいて抗原定性検査キット・解熱鎮痛薬の準備や、電話相談窓口などの連絡先の確認等を行う
        • できる限り接触機会を減らすために、例えば、職場ではテレワークの活用等の取組を再度推進するなどに取り組む
        • イベントや会合などの主催者は地域の流行状況や感染リスクを十分に評価した上で開催の可否を含めて検討し、開催する場合は感染リスクを最小限にする対策を実施する
        • 陽性者の自宅療養期間について、短縮された期間中は感染リスクが残存することから、自身による検温などの体調管理を実施し、外出する際には感染対策を徹底すること。また、高齢者等重症化リスクのある方との接触などは控えるよう求めることが必要。
        • 症状軽快から24時間経過後または無症状の場合の、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出の許容について、外出時や人と接する時は必ずマスク着用、人との接触は短時間、移動に公共交通機関は利用しないなど、自主的な感染予防行動の徹底が必要。
  • 参考:オミクロン株とその亜系統の特徴に関する知見
    1. 感染性・伝播性
      • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
    2. 感染の場・感染経路
      • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
    3. 重症度等
      • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されている。オミクロン株含め新型コロナウイルス感染症の評価には、疾患としての重症度だけではなく、伝播性や、医療・社会へのインパクトを評価することが必要。
      • 令和3年末からの感染拡大における死亡者は、令和3年夏の感染拡大と比べ、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナが直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。また、新型コロナ発生当初からデルタ株流行期までは、典型的な新型コロナ感染によるウイルス性肺炎によって重篤な呼吸不全を発症する事例が多かったが、オミクロン株流行期には、入院前からの基礎疾患の悪化や入院中の別の合併症の発症など、肺炎以外の疾患が死亡の主たる要因との報告がある。
      • 昨夏の感染拡大では、前回に引き続き、令和3年夏の感染拡大時よりも重症化率の減少や、入院患者に占める高齢者の割合が上昇。さらに、昨夏の感染拡大における死亡者は、令和3年末からの感染拡大と比べ、人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっている。
      • 小児等の感染では内因性死亡が明らかとされた死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡しており、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも留意が必要といった実地調査結果の報告がなされている。
      • 昨年7・8月の自宅での死亡事例においては、同時期の死亡者全体の傾向と同様、70歳以上の者が約8割を占め、新型コロナ以外の要因による死亡事例も多いことが示唆される。また、新型コロナ陽性死体取扱い状況によると、月別報告件数は昨年12月に過去最多となり、死因が新型コロナとされる割合は、直近では約3割となっている。自治体においては、診療・検査医療機関をはじめとする外来医療体制や健康フォローアップ体制の整備等が進められており、引き続き、自宅療養者への必要な医療の提供に努めることが重要。
    4. ウイルスの排出期間
      • 国内データによれば発症後10日目までは感染リスクが残存し、発症後7日目までが感染力が高く、5日間待機後でもまだ3分の1の患者が感染性のあるウイルスを排出している状態。8日目(7日間待機後)になると、多くの患者(約85%)は感染力のあるウイルスを排出しておらず、当該ウイルスを排出している者においても、ウイルス量は発症初期と比べ7日目以降では6分の1に減少したとの報告がある。
    5. ワクチン効果
      • 従来型ワクチンについては、初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。オミクロン株対応ワクチン(4-5対応型)については、接種後0-2か月(中央値1か月)での発症予防効果が認められたと報告されている。
    6. オミクロン株の亜系統
      • 引き続き、世界的にBA.5系統が主流となっているが、世界各地でスパイクタンパク質に特徴的な変異を有するオミクロンの亜系統、及び組換え体が複数報告されており、BQ.1系統(BA.5.3系統の亜系統)、XBB系統(BJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)とBM.1.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)の組換え体)等、感染者数増加の優位性が指摘されている亜系統もある。欧州では、BQ.1系統の占める割合が増加しており、国内でもBQ.1系統の占める割合が増加しつつある。また、米国ではXBB系統の亜系統であるXBB.1.5系統が増加傾向にある。WHO等によると、これらの変異株について、免疫逃避から感染者数増加の優位性につながっている可能性は指摘されているが、これまでに得られた情報によると、XBB.1.5系統の感染性や重症度に関する疫学的、臨床的な知見は限られている。また、国内で増加傾向にあるBN.1.2系統、BN.1.3系統に関する知見は明らかではない。新たなこれらの亜系統や組換え体の特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要。

~NEW~
経済産業省 関西電力株式会社及び関西電力送配電株式会社に対して電気事業法に基づく報告を求めました
  • 経済産業省は本日、関西電力送配電と関西電力が併用している託送システムにおいて、一般送配電事業者として漏えいを禁じられている新電力の顧客に係る非公開情報が、アクセス制限の不備により関西電力側から閲覧可能となっており、実際に多数の関西電力社員が同情報を閲覧していたという情報漏洩事案に関して、法令等遵守の観点から関西電力株式会社及び関西電力送配電株式会社に対し、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求めました。
    1. 報告事項
      • 当該2社における法令等遵守体制の整備状況、本事案が発生した原因及びそれを踏まえた改善策や、法令等遵守の観点から懸念がある他の事案について報告するよう求めました。
    2. 電気事業法に基づく措置
      • 電気事業法においては、主務大臣の権限として下記のように規定しています。
        • 経済産業大臣は、第一項の規定によるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者又は発電事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。(法第106条第3項)

~NEW~
金融庁 「マネー・ローンダリング等対策高度化推進事業」の公募について
▼実施要領
  • 金融のデジタル化の進展やマネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融の手口の巧妙化等を踏まえ、国際的にも金融活動作業部会(FATF)において、より高い水準での対応が求められており、金融機関におけるマネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策(以下「マネロン対策等」という。)の実効性向上は、喫緊の課題となっている。
  • こうした中、金融機関のマネロン対策等の中核業務である「取引モニタリング」「取引フィルタリング」については、各金融機関においてシステムを導入し対応しているものの、誤検知が多く、中小規模の金融機関を中心に対応に苦慮している。
  • この点については、2020年に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「規制の精緻化に向けたデジタル技術の開発事業」2として、AIモデルを活用した取引モニタリング・取引フィルタリングの共同システムの開発に係る実証実験が行われ、一定の有効性が示された。
  • また、2022年の通常国会で資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案が可決・成立し、複数の金融機関等からの委託を受け、為替取引に関し、取引のモニタリング等を行う「為替取引分析業」について許可制を導入し、監督当局の直接の検査・監督等を通じ、業務運営の質を確保することとされたところ。
  • こうした背景を踏まえ、補助事業により、為替取引分析業の許可を取得予定で補助金の交付を受けようとする事業者(以下「補助事業者」という。)における、複数の金融機関で利用可能なAI等の技術を活用したシステム(以下「共同システム」という。)の開発・実装を支援することにより、我が国金融業界全体のマネロン対策等の高度化・実効性の向上を適切かつ迅速に推進させることを目的とするものである。
  • 補助対象経費(共同システムの構築経費)
    • 金融機関等のマネロン対策等において中核業務である「取引モニタリング」・「取引フィルタリング」について、複数の金融機関が共同利用することが可能で、かつ、AI等の技術を活用した高度な分析を行う共同システムに係る構築経費は、以下の通り。
      1. AI等の技術を活用した取引モニタリング機能
        • 十分な金融機関のデータを用いて生成し、複数の金融機関にて利用可能なAI等の技術を用いた取引モニタリング機能の開発経費
      2. AI等の技術を活用した取引フィルタリング機能
        • 十分な金融機関のデータを用いて生成し、複数の金融機関にて利用可能なAI等の技術を用いた取引フィルタリング機能の開発経費
      3. AI等監視機能(AI等の技術に特有のリスクを監視する機能)
        • AI等の特有のリスクやAI等が正しく機能していることを評価するための監視機能の開発経費
      4. 共同システム基盤(共同システムを効果的に運用するための基盤)
        • 複数の金融機関が、取引モニタリング機能及び取引フィルタリング機能を共同利用するためのシステム基盤の構築経費

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • ロシア産原油等に係るプライス・キャップ制度の実施について
    • 2022年12月2日、G7及びオーストラリアは、ロシアのエネルギー収入を減少させつつ、世界的なエネルギー市場の安定を確保するため、ロシア産原油に係る当面の上限価格(プライス・キャップ)を、1バレル当たり60ドルとすることについて合意・公表した。
    • この合意に沿って、我が国においても、2022年12月5日、外国為替及び外国貿易法に基づき、当該上限価格を超える価格で取引されるロシア産の原油の取引については、サハリン2プロジェクトで生産された原油を除き、海上輸送に関連するサービス(海上保険、貿易金融、海運、通関)の提供を禁止することとされている。
    • 本措置の対象となる金融サービス(海上保険、貿易金融)を提供しようとする場合は、関連する原油取引が上限価格を下回るものかどうかの確認を含め、適切に対応いただきたい。
    • その際、本措置の運用上の留意点を整理した「ロシア産原油等に係る上限価格措置(プライス・キャップ制度)のQ&A」も参照いただくとともに、ご不明な点は金融庁に照会いただきたい。
  • LIBORからの移行対応について
    • ドル以外のLIBORは2021年12月末に公表停止したが、円とポンドの一部テナー(期間)について、市場データを用いて算出する擬似的なLIBOR、いわゆる「シンセティックLIBOR」が、2022年1月以降、時限的に公表されている。このうち、シンセティック「円」LIBORは12月末、シンセティック「ポンド」LIBORのうち1か月物と6か月物については2023年3月末に公表が停止される。これまでのモニタリングを通じて、シンセティックLIBORの移行対応は概ね順調に進捗していると評価しているが、エクスポージャーを有する金融機関におかれては引き続き対応をお願いしたい。
    • また、2023年6月末に公表停止が予定されているドルLIBORについても、現時点においては、移行対応に特段大きな問題は見受けられないが、時間軸を意識したドルLIBORからの移行対応を引き続きしっかりと進めていただきたい。
    • 金融庁としても、引き続き日本銀行とも連携して各金融機関の移行対応をモニタリングするとともに、その状況に応じた対応の徹底を求めていく。
  • 地域金融機関の人材仲介機能の高度化に向けた大企業人材への周知・広報について
    • 2023年初頭に、都市部の大企業人材を主な対象として、地域金融機関の人材マッチングに関する現状や課題、地域企業で働くことの意義ややりがいへの理解促進を目的としたイベントを開催する予定。
    • こうしたイベントは、セカンドキャリアや副業での地域貢献について大企業人材が考えるきっかけとなると考えており、各金融機関においては、ご案内いただきたい。
  • サイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)の振り返りについて
    • 「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)」について、演習に参加した銀行を対象に、インシデント対応例や改善点などを振り返るべく、意見交換を実施した。
    • 今後、演習結果の評価・分析を行った上で、演習に参加した金融機関に対して評価結果を還元するとともに、その後、業界全体に対しても共通課題などを共有する予定。
    • 各行においては、本演習のフィードバックも活用しながら、インシデント対応能力の向上に取り組んでいただきたい。
  • マネロン対策等に係る令和4年度一般会計補正予算及びマネロンシステムの共同化について
    • 2022年10月28日に総合経済対策が閣議決定され、臨時国会で令和4年度補正予算が成立した。
    • マネロン対策については、金融機関におけるマネロン対策等の更なる高度化・効率化等に関する施策として、
      • 「AIを活用したマネー・ローンダリング対策高度化推進事業」
      • 「継続的顧客管理に係る利用者の理解向上に必要な経費」
        に係る予算を確保しており、業界からの意見を踏まえながら、国として有効的に執行していきたい。
    • 特に、「AIを活用したマネー・ローンダリング対策高度化推進事業」は、我が国金融機関の取引モニタリングや取引フィルタリング等の高度化を後押しするため、為替取引分析業者が共同システムを構築するにあたり、国庫補助を行うもの。
    • FATF第4次審査では取引モニタリング等の高度化・効率化が必要と指摘されており、第5次審査に向けてこれを確実に実現することは我が国金融業界にとって極めて重要である。現在、協会において、マネロンシステムの共同化に向けた株式会社の設立準備を行っていると承知。
    • 金融庁としては本取組みに高く期待しているところ、各行においては、持続可能な対策を講じるという中長期的な視野に立って、自行のマネロン管理態勢をどう高度化していくのか、その中で共同システムをどう活用できるのか、しっかりと検討を進めていただきたい。
  • マネロン対策等に係る広報について
    • 金融庁では、継続的顧客管理の完全実施のため、一般利用者のご理解とご協力を得るべく、マネロン対策等に係る広報を積極的に行っている。
    • 2022年12月4日には、政府広報の一環として、東京FM等で、マネロン対策をテーマにしたトーク番組を全国配信した。
    • 放送内容は政府広報オンラインの公式ウェブサイト等で1年間視聴可能であるため、是非ご覧いただきたい。
  • テロ資金供与対策等に係る説明会について
    • FATF第4次対日相互審査では、有効性審査において、「警察庁警備局及びJAFICの専門知識を活用した、テロ資金供与対策に係るアウトリーチを金融機関に対して実施すること」が指摘事項(Recommended Actions)の1つとして勧告されているところ。
    • この指摘を踏まえ、2022年12月上旬、警察庁と合同で、テロ資金供与対策等に係る説明会をオンラインで複数回開催し、合計約2,000名に参加いただいた。
    • 各金融機関においては、説明会で説明した資料等も使いつつ、テロ資金供与等リスクに係る理解を深めていただき、マネロン・テロ資金供与リスクの管理態勢向上に努めていただきたい。
  • 「仕組債」に係る対話を踏まえた販売会社におけるプロダクトガバナンスの重要性について
    • 国民が安定的な資産形成を行うためには、金融商品の組成・販売・管理等の各段階で、金融機関による顧客本位の業務運営を確保することが欠かせない旨をこれまでも申し上げてきた。今回は、販売会社におけるプロダクトガバナンス、すなわち、個々の金融商品の選定、顧客への金融商品の提案、販売後のフォローアップといった一連の流れへの経営陣の関与の重要性について申し述べたい。
    • 各金融機関とは仕組債の取扱いを中心に対話を進めてきたが、例えば、仕組債を長年販売してきたにも関わらず、経営陣に「仕組債とは何か」を改めて説明しているなど、経営陣が十分に理解・関与していなかったのではないかと推察される先が見られた。また、ノックイン事象が多発した後になってようやく検証したものの、短期間の限られたデータのみでリスクを判断している先や、そもそも定量的な検証自体を行っていない先も見られた。
    • 顧客への金融商品の提案に際しては、(1)商品そのもののリスク、(2)顧客の期待リターンがリスクに見合ったものか、(3)事業者側によるコスト転嫁の結果として顧客のリターンが過小となっていないか、などの観点からの検討が必要である。その上で、第2線・第3線が、事後的に顧客の損益状況等のデータを検証し、経営陣も関与して「顧客の最善の利益」がもたらされているか振り返ることも重要である。
    • 経営陣においては、個々の商品選定の全てに関与することを求めるものではないが、こうした検証やその結果の報告が適切になされるようなプロダクトガバナンス態勢を整備していただきたい。
▼日本損害保険協会
  • ビジネスモデル対話について
    • 今事務年度における金融庁のビジネスモデル対話について、これまで新たな対象先としてモノラインの損害保険会社(旅行保険やペット保険を主体に販売している損害保険会社)に対し、新型コロナによる影響、それぞれの保険マーケットの今後の見通し、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた各社の取組状況や今後の課題について議論を行っている。
    • 2023年に入ってからは、大手社を中心に火災保険の収益改善等の取組みについて対話を実施する予定であり、既に対象社には事前の資料提出依頼や質問事項を送付している。その結果については次の保険モニタリングレポート等でフィードバックをしていきたいと考えているところ、対象社におかれては協力をお願いしたい。
  • 精神的な二次被害への対応について
    • 日本損害保険協会においては、「精神的な二次被害」を防止する観点から、2022年9月に交通事故被害者やその家族の心情に配慮した丁寧な対話が重要である旨を明確化すべく、ガイドラインを改定していただいたところ。これに加えて、日本損害保険協会においては、今般、外部有識者等と協力の上、交通事故被害者対応に関するハンドブックを作成いただいたところ、金融庁としても、こうした取組みに感謝申し上げたい。
    • 損害保険会社各社においては、当ハンドブックの周知徹底等を通じて、従業員や代理人弁護士等が、「被害者やそのご家族の心情面に寄り添った対応」を行うよう取り組んでいただきたい。金融庁としても、こうした取組みを促し、しっかりとフォローアップしていく。
  • 国連安保理決議の着実な履行について(北朝鮮関連)
    • 10月7日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、2022年1月から7月にかけての国連加盟国による北朝鮮制裁の履行状況等の調査結果と国連加盟国への勧告を含む中間報告書を公表した。
    • 同報告書では、
      • 北朝鮮が暗号資産関連企業及び取引所等へのサイバー攻撃を継続し暗号資産を窃取していること
      • 北朝鮮による石油精製品の不正輸入および石炭の不正輸出が継続していること
        等の事案概要や、必ずしも制裁対象ではないが、こうした事案に関与している疑義がある会社名や個人名、船舶の名前について記載。
    • 同報告書を踏まえ、各金融機関におかれては、サイバーセキュリティ対策を徹底していただくとともに、安保理決議の実効性を確保していく観点から、報告書に記載のある企業や個人、船舶については、
      • 融資や付保などの取引が存在するかどうかに関する確認
      • 取引がある場合には、同報告書で指摘されている事案に係る当該企業・個人等への調査・ヒアリング
        などをしっかりと行った上で、適切に対応いただきたい。

~NEW~
金融庁 「スタートアップ支援に関する申し合わせ」の公表について
  • 令和4年12月23日、金融庁は、経営者保証に依存しない融資慣行の確立をさらに加速させるため、経済産業省・財務省とも連携の下、「経営者保証改革プログラム」を公表し、同日付で、金融関係団体等に対し、個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取組の促進について要請したところです。
  • 当該要請文では、スタートアップ・創業企業に対する柔軟な対応についても要請しているところ、令和5年1月19日、一般社団法人全国銀行協会より、当該要請内容を踏まえた「スタートアップ支援に関する申し合わせ」が公表されました。
  • なお、本申し合わせには、一定の要件を満たすスタートアップ・創業企業については、早期に強固な財務基盤を確立した状態とすることが困難であることを勘案し、個人保証を求めないことを検討する、といった内容などが盛り込まれています。

~NEW~
金融庁 「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第3回)議事次第
▼資料5 事務局説明資料
  • 11月にGFANZが公表した、金融機関のネットゼロ移行計画に関する最終報告書では、信頼ある移行計画の策定・実施に必要な5つの構成要素と移行を実現する4つのトランジションファイナンスの戦略を推奨している。
  • 信頼ある移行計画に必要な5つのテーマ
    1. 基礎:ネットゼロを実現するための以下の4戦略を含む総合的な目標・方針の検討
    2. 実行戦略:ネットゼロ目標と自社の事業活動・方針等を整合させる戦略
    3. エンゲージメント戦略:ネットゼロ目標を実現するための外部ステークホルダーとのエンゲージメント戦略
    4. 指標・目標:ネットゼロ目標達成のための進捗状況を評価・管理するための指標・目標
    5. ガバナンス:移行計画を管理、動機付け、支援するための体制整備
  • 実体経済の移行を実現するトランジションファイナンス(TF)の主要な戦略以下の4つの活動・企業に対するファイナンスや支援
    1. 気候変動対応のサービス提供
      • 温室効果ガスを削減・除去するサービス等
      • サービスの開発・導入により経済全体の排出削減を拡大
    2. 既に1.5℃目標と整合的な企業
      • 気候分野で先導的な企業を支援し、金融界として移行を求めていることを発信
    3. 1.5℃目標に整合することをコミットした企業
      • ネットゼロに向けた移行の奨励・支援
    4. 多排出資産の計画的な除却(Managed Phaseout)
      • 秩序だった公正な移行を支援し、排出削減を加速
  • 移行計画の策定・実施に必要な構成要素は、さらに10の要素に細分化され、ネットゼロへの移行計画を実現するために各金融機関が自らの環境・方針などに応じて実施していくことを提言している。
    • 2050年又はより早期の科学的な証拠に基づく1.5℃目標と整合的な組織の目標を定めること。中期・長期の明確に定義された計測可能な目標を定め、4つのTF戦略の優先付けを行うこと。
    • 気候変動対応のサービスへの資金提供や中小企業を含めた顧客への支援等を通じ、顧客企業等の実体経済における脱炭素化を推進
    • 与信管理や投資判断といった事業における評価・意思決定プロセスにネットゼロ目標を統合
    • 化石燃料関連等の重要セクターに対する方針や条件を設定
    • 顧客企業に対して積極的かつ建設的にフィードバック、支援などのエンゲージメントを実施すること(移行計画の策定に係る支援、気候関連データ等の提供・依頼、進捗のモニタリングと支援、等)
    • 移行計画に係る情報共有や協働対話等を通じた、他金融機関に対するエンゲージメントの実施
    • 国としてのネットゼロ戦略や政策立案などについての、公共部門に対するエンゲージメントの実施
    • ネットゼロ移行計画を推進するための一連の指標と目標を設定。目標設定に当たっては、実体経済の移行(4つのTF戦略)、移行計画の実行、ポートフォリオ排出量など、複数の観点から様々な指標と目標を適切に選択
    • ネットゼロ移行計画の策定・管理・実施に関するカバナンス体制の構築(取締役を含めた各組織・個人の役割・責任・権限、報酬による動機付け等)
    • ネットゼロ移行計画の実施に必要な能力・知識を職員が得られるような研修、人材開発の支援、組織文化・慣行への移行計画を統合していくためのコミュニケーション
  • GFANZによる移行計画は、SBTiによる金融機関向け目標設定ガイドライン、TPIのガイダンスなど様々な目標設定ツールを紹介し、特定のアプローチのみではなく幅広い複数のアプローチの利用の必要性を提言している。前項の「4つのTF戦略」についても、重複もあり得るものであり複数の戦略を組み合わせることが適切としている。「指標と目標」においても、指標の捉える時間軸、特性などを加味し、1.実体経済の移行、2.移行計画の実施、3.ポートフォリオ排出の3つのカテゴリー毎に、複数の指標と目標を組みわせて採用することが推奨されている。1.については、排出削減に関する排出量ベースのものとネットゼロ達成に向けた取組に関する移行ベースのものとに分類した上で、過去実績(バックワードルッキング)と将来予測(フォワードルッキング)の両面から様々な指標例を提示している。
  • PCAFは、これまで上場株式・社債、事業性融資・未上場株式、プロジェクトファイナンス、商業不動産、住宅ローン、自動車ローン、及び国債の7つのアセットクラスについて、FEの測定スタンダードを公表している。PCAFでは、全セクターについて絶対量ベースでのFEを基礎としつつ、必要に応じて排出除去量(emission removals)及び再生可能エネルギープロジェクトに関する削減貢献量(avoided emissions)についてもFEとは分ける形で開示できるとしている。また強度ベース※1でのFEも必要に応じて開示すべきとしている。上記以外にも、保険引き受けに関するInsurance-associated emissionのスタンダードを公表し、金融仲介に係るFacilitated emissionのスタンダードも2023年前半に公表予定としている
  • 投融資に係る排出量(Scope3)に係る留意点
    • 投融資に係る排出量(Scope3)については、GFANZ等のネットゼロ連合の加盟に当たり、各金融機関が2050年までにネットゼロとすることを公約する指標となっている。グローバルに見ても適用分野(石炭関連、鉄鋼業等)、計算方法(排出量、排出係数)とも区々で厳密に一律の指標ではないが、重要性は高まっている。(特にFinanced Emissionに関しては、経産省・環境省とともに実務者によるWGを立ち上げる予定。)
    • 足もと、金融機関は自らが設定した中間目標(2025年や2030年における目標)の達成に向けて速度感のある脱炭素化が求められており、ポートフォリオについての戦略検討を進めている。
    • 他方、Financed EmissionやCarbon Intensityといった指標そのものに着目しすぎれば「木を見て森を見ず」といったことになりかねない。こうした指標が広がることによって、わかりやすく脱炭素化の進捗が把握できるという大きなメリットがある一方で、長期的なカーボンニュートラル達成に向けて、市場全体や金融システムに与える副作用、また実体経済の円滑な移行を進めることを阻害しないよう、十分な検討を行っていく必要があるのではないか。但し、指標の提示・開示に消極的であれば「わかりにくい」「ウォッシュ」であるとの指摘も想定され、誤解を招かないよう注意していく必要もある。
    • GFANZが第2回検討会において指摘していたように、「紙面上の脱炭素化」は意味がなく、実体経済を着実に脱炭素化していくことが重要。生活水準や経済活動を充実させつつ、これを達成するためには、まずはダイベストメントよりも実効的な「エンゲージメント(対話)」を行うことが非常に重要となってくる。
    • こうしたエンゲージメントの重要性などは本邦では理解されつつあるが、対話のツールはまだあまり充実していない。国際的にはScope3の目標設定に注目が集まっているが、これにとどまらず更に、実体経済の脱炭素化に資するエンゲージメントについて、どのように充実化を図っていくのか、検討していく必要。
  • 気候関連金融リスクは大きく分けて物理的リスクと移行リスクに分類できる(石油・石炭等、市場環境や社会環境が激変することで価値が大きく毀損する資産を「座礁資産(stranded assets)」と呼ぶ)
  • 物理的リスク(physical risks):気候変動に伴う極端な気象現象の過酷さ・頻度の上昇(急性的リスク)、(海面上昇等の)より長期的な気候パターンの変化(慢性的リスク)によって引き起こされる金融資産・負債へのリスク
  • 移行リスク(transition risks):低炭素社会への移行によって引き起こされる金融資産・負債へのリスク(気候変動緩和のための政策変更、技術革新、投資家・消費者のセンチメント・需要・期待の変化、等)
  • 気候関連リスクは、リスク期間の長さやリスクの不確実性の高さといった特殊性を持つ。通常の金融政策やリスク管理が数年単位であるのに対し、気候変動による気温の上昇や災害の激甚化といった影響は、今後数十年かけて顕在化し、気候変動が金融システム安定上問題となっていると判明するときには既に手遅れとなっている可能性、即ち「ホライゾンの悲劇」を生むことが指摘されている
  • 2021年7月、FSBは、気候関連金融リスクに対処するための基準設定主体や国際機関、FSBにおける今後数年間の作業を纏め、国際協調を支援する観点から、「気候関連金融リスクに対処するためのFSBロードマップ」を公表し、G20財務大臣・中央銀行総裁会議に提出。(1)企業単位の情報開示、(2)データ、(3)脆弱性分析、(4)規制・監督ツールという、相互に関連する4つの主要分野を通じて、気候変動による金融リスクを評価し、対処する作業に焦点を当てている。

~NEW~
消費者庁 東電福島第一原発におけるALPS処理水の海洋放出と日本の食品の安全性について
  • 消費者及び食品安全担当大臣として、東電福島第一原発におけるALPS処理水の海洋放出と、日本の農林水産物や食品の安全性について、お話いたします。
  • 東電福島第一原発では、原子炉建屋等から、日々発生する放射性物質を含んだ水を、浄化処理しています。その結果、トリチウム以外の放射性物質について、規制基準を満たすまで浄化されたものをALPS処理水と言います。そのALPS処理水を、トリチウムも規制基準以下になるまで海水で大幅に希釈し、海洋放出する方針です。
  • このトリチウムは、雨水や海水など自然界にも広く存在し、水道水や食料を通して私たちの身体(からだ)にも取り込まれています。しかし、トリチウムは水と一緒に排出され体内には蓄積いたしません。また、食物連鎖で魚など水産物の体内に濃縮されることもありません。
  • 国内外の原子力施設においても、各国の基準を守った上で、海洋や大気に排出されています。
  • 海洋放出後も、海水や水産物中のトリチウムのモニタリングを行います。結果は、分かりやすく情報提供します。
  • 日本の食品には、放射性物質に関し、世界標準に比べ極めて厳しい基準値による検査と、出荷制限等の厳格な安全対策が講じられています。国内外へ流通する全ての食品に、科学的な安全性が確保されています。
  • 引き続き、内外の消費者の皆様には、日本産食品を堪能していただきたいと思います。

~NEW~
消費者庁 株式会社CLO2 Labに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
  • 表示内容
    • 例えば、「オキサイダー 置き型 90g」について、令和2年7月1日から令和3年12月20日までの間、商品パッケージにおいて、「室内空間の菌・ウイルス・悪臭を除去!」等と表示するなど、別表1「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり本件商品を使用すれば、本件商品から発生する二酸化塩素の作用により、同表「場所」欄記載の場所において、室内空間に浮遊する菌又はウイルスが除菌又は除去される効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 実際
    • 前記ウの表示について、消費者庁は、景品表示法第8条第3項の規定に基づき、CLO2 Labに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
    • なお、前記ウの表示について、例えば、「オキサイダー 置き型 90g」について、令和2年7月1日から令和3年12月20日までの間、商品パッケージにおいて、「・使用環境で、菌・ウイルス・カビ・ニオイ除去効果は異なります。」と表示するなど、別表2「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ウの表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。

~NEW~
消費者庁 キリンビバレッジ株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
  • 表示内容
    • 「厳選マスクメロン」、「Tropicana® REAL FRUIT EXPERIENCE まるごと果実感」、「100% MELON TASTE」等と、別表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品の原材料の大部分がメロンの果汁であるかのように示す表示をしていた。
  • 実際
    • 原材料の98パーセント程度はぶどう、りんご及びバナナの果汁を用いており、メロンの果汁は2パーセント程度しか用いていないものであった

~NEW~
国民生活センター 国民生活
▼2023年1月号【No.125】(2023年1月16日発行)「コロナ禍で広がるネット依存、ゲーム依存」
  • コロナ禍におけるインターネットやゲームの使用現状
    • インターネットやスマートフォン(スマホ)は、「いつでも」「どこでも」「誰とでも」つながることのできる便利なツールであり、今や我々の生活に欠かせないものとなりました。日本では、スマホの世帯保有率は右肩上がりで上昇を続け、2017年にパソコンを初めて上回り、2021年は88.6%でした。同年の個人のインターネット利用率は82.9%で、13~59歳の層で9割を超えていました。一方、内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、2021年の青少年のスマホの1日平均使用時間は、小学生100.8分、中学生161.6分、高校生225.6分で、特に高校生では3時間以上使用する割合が62.4%でした。青少年が利用するスマホコンテンツは、動画、ゲーム、SNSなどのコミュニケーション、情報検索、音楽などが上位にあり、学校種別が上がるごとに、各コンテンツの利用割合も高くなっています。
    • 2020年、新型コロナウイルスCOVID-19が世界的に大流行しましたが、同時期から、ソーシャルディスタンスを取るためのオンライン化が社会で急速に進行しました。「令和3年版消費者白書」によると、2020年コロナ禍において、インターネットの利用が「増えた」と答えた消費者が38.4%に及びました。一方、2019年まで減少傾向にあった自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)が、10歳代で1.1ポイント、20歳代で3.0ポイントも2020年に上昇しました。同年自殺した学生・生徒等は1,039人に上り、前年比151人増と大きく増加し、2021年も1,031人と高止まりしていました。COVID-19はインターネット利用の増加という我々の生活様式だけでなく、若年層の自殺率増加など公衆衛生にも多大な影響を与えました。
  • ネット依存、ゲーム依存とは何か
    • インターネットが我々の生活に身近になるにつれ、過度に使用し、日常生活に支障を来すケースが世界各地でみられるようになりました。1996年、心理学者のYoung博士がインターネットに過度に依存する症例報告を行って以降、臨床医や研究者の間で、インターネットやゲームの過剰使用、あるいは依存に関する病態を精神疾患の1つとして認定するかについて、賛否を含めて多くの議論が交わされるようになりました。2013年、アメリカ精神医学会が発表したDSM-5(「精神疾患の診断と統計の手引き(第5版)」)では、「嗜癖(=依存と同義)」が精神疾患の1つとして定義されました。嗜癖は、アルコール等の物質使用障害(substance use disorder)と、ギャンブル等の行動嗜癖(behavioral addiction)に分けられます。インターネット依存は、このうちの行動嗜癖に当てはまりますが、DSM-5の発表時には、ギャンブル依存や物質使用障害と行動上の類似点等についてエビデンスが積み重ねられていたインターネットのコンテンツのうち、インターネットゲームのみを「インターネットゲーム障害:Internet Gaming Disorder」として、診断項目(今後の研究のための病態)に追加しました。しかし、その他のオンラインコンテンツについてはエビデンスが不足しているとして、診断項目には含まれませんでした。さらに、世界保健機関(WHO)の診断基準である国際疾病分類(International Classification of Diseases :ICD)の改訂に合わせ、インターネット依存を診断基準に含めるかどうかについての専門家会議が2014年以降毎年開催され、「ゲーム障害(依存):Gaming Disorder」を含むICD-11が、2019年5月WHO総会で承認されました。ゲームに依存するようになると、継続的、かつ反復的にゲームに参加します。ゲーム内ではプレイヤーが集団間で競い合いますが、同時に多様な参加者が集まるため、時間に縛られず長時間のプレイに及びがちです。このようにゲームをやり過ぎてしまい、さまざまな問題が出現しますが、それにもかかわらず、やりたいという衝動や誘惑を抑えることができない、いわゆるゲームのコントロール障害が特徴です。
    • ICD-11における「ゲーム障害」の診断ガイドラインは、ゲームによる機能不全のパターンとして定義されています。ゲーム障害は、ICD-11の診断基準にあるように、さまざまな影響が出現します。臨床的には、
      • 体力低下、運動不足、骨密度低下などの身体的問題
      • 睡眠障害、ひきこもり、意欲低下などの精神的問題
      • 遅刻、欠席、成績低下などの学業上の問題
      • 浪費や借金などの経済的問題
      • 家庭内の暴言・暴力などの家族問題
        などが報告されています。日本でも、昼夜逆転朝の起床困難、不規則な食事などの生活習慣の著しい乱れにより、学校の成績低下や学校の欠席など、日常生活に支障を来す臨床像がみられています。
    • ゲームは、青少年にとってたくさんある娯楽の中の1つです。そして、面白いゲームは、ユーザーを飽きさせないように設計されています。ゲームの世界では、同じ興味・関心でつながるので、人間関係がより強化されます。また、ゲーム内での競争やランキングは、現実世界では得にくい達成感や自己肯定感を満たしてくれるでしょう。チームで参加するような場合は、責任感からゲームへの動機づけにつながることがあります。ゲームに依存しているプレイヤーは、現実世界での活動に興味を失い、ゲーム内での報酬や活動、自己のキャラクターや武器などのアイテムを過剰に評価する傾向があると報告されています。
    • 横断研究において、ゲーム障害に関連する因子は「ゲームをプレイする時間」「ゲームをプレイする年数」と指摘されています。オフラインよりもオンラインゲーム、また、MMORPG、FPS、格闘ゲーム、RTSなど特定の種類のゲームが好まれています。ゲーム障害と関連する合併精神障害(例えば、注意欠陥多動性障害、うつ病、不安、睡眠障害、早期の薬物使用など)が多数報告されています。また、長時間プレイすることによる身体的な痛みも報告されています。
  • 相談対応として専門機関につなぐことの重要性
    • ゲームに依存している人は、もともとゲームが好きで、自ら進んでプレイしているので、時間を減らす、やめる動機づけに乏しいことが多いようです。そのため、治療で最も重要なことは、患者がいかにして「ゲーム時間を減らす」「ゲームをやめる」という動機づけを持てるかという点です。動機づけが難しい場合でも、「ゲーム以外の時間を増やす」という目標を立て、ほかの活動に少しでも興味・関心を移していくと、依存からの回復につながることが期待できます。
    • ゲーム障害は新しい疾病概念なので、まだ標準的な治療法が確立しているとはいえませんが、世界でさまざまな治療法が試みられています。限界はありますが、認知行動療法(CBT)や家族療法などの心理社会的治療の有効性が認められています。しかし、一般的に、依存症はいったん重症化すると治療に苦慮することも多いため、何より重要なのは、発症を予防することです。そのために、子どもがインターネットやスマホを使い始めるタイミングで、家庭内でのインターネットやスマホ、ゲーム使用のルール決めを早い段階で行うこと、また、気になる点があれば、相談機関・医療機関などの専門機関に早めに相談するとよいでしょう。

~NEW~
国民生活センター スライサーで指先にけがをする事故が多発!
  • 野菜等の食材を簡単にスライスするための調理器具として「スライサー」があります。
  • スライサーで指先にけがをする等の事故が複数件発生していたため、国民生活センターでは2009年8月に注意喚起し、その後も継続的に事故が発生していたため2013年2月に再度、注意喚起しました。
  • 2017年度以降の5年半あまりに、医療機関ネットワークには、スライサーによる事故事例が87件寄せられており、PIO-NETにも同じ期間に、スライサーに関する危害・危険情報が18件寄せられています。スライサーでのけがは指先の皮膚等を削ぎ落とすこともあり、そのような場合は止血しにくく、治癒までに期間を要することもあります。
  • また、食材をつかむホルダー(以下、「安全ホルダー」とします。)を使用すること等で、けがのリスクを低減することができますが、持ち方を誤るなどすると、けがをすることもあります。
  • そこで、スライサーによる事故の発生状況等を検証し、消費者に注意喚起することとしました。
  • 主な事例
    1. 調理中にけがをした事例
      • 思いのほか食材が切れる速度が速かったため指を受傷した。
      • 力を入れたら手が滑ってスライサーの刃の部分で指を強く擦った。
      • 素手で玉ねぎをにぎって調理したところ、スライサーで中指を受傷した。
      • 人参を持っていた親指がすべり、指先が斜めに5ミリほどそがれてしまった。
    2. 調理中以外にけがをした事例
      • 引き出しのスライサーを触り、右手の中指を切った。
      • スライサーの洗浄中に誤って指を切った。
  • テスト結果
    1. スライサーによる事故の検証
      • 野菜が小さくなったり、手を滑らせたりすると指が刃に接触する可能性がありました。
      • 安全ホルダーの使い方を誤るとけがをする可能性がありました。
      • 調理中以外でも指がスライサーの刃に接触することがありました。
    2. 表示の調査
      • すべての銘柄で、調理中の手指のけがに注意する旨の記載がみられました。
      • すべての銘柄で、調理後の手入れや保管に関する記載がみられました。
  • 消費者へのアドバイス
    • スライサーには刃物が付属しているため、不注意や使用方法を誤れば思わぬけがにつながる危険性があります。調理する際は取扱説明書をよく読み、十分に注意しましょう。
    • 調理中以外でもスライサーでけがをする危険性があります。手入れや保管をする際には十分に注意しましょう。

~NEW~
国民生活センター 突然破裂した健康器具(バランスボール)(相談解決のためのテストからNo.170)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テストの結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「健康器具(バランスボール)に座っていたところ、突然破裂したため転倒し、骨折した。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、空気を入れて膨らませ、身体と密着させてトレーニングを行う健康器具として販売されており、「ノンバースト」(穴があいても急激に空気が抜けにくい)をうたった商品でした。相談者は、毎日1時間程度、当該品に座って床に足をつけ、テレビを見ながら使用していたとのことでした。
    • 事故の3日前に当該品に空気を補充し、当日は使用中に突然当該品が破裂して転倒し、腰椎を圧迫骨折したとのことでした。
    • 当該品は、座っていたときに側面となっていた部分の一部が上下方向に大きく裂けており、裂けていない部分にも内面に達しない程度の亀裂が複数みられました。
    • 新品の同型品を用いて、表示されていた耐荷重を加えたところ、破裂や空気の抜けはみられませんでした。また、成人男性が座った状態を想定した荷重を加えながら画びょうや釘等を刺して側面に穴をあけたところ、穴は拡大せずにゆっくりと空気が抜けましたが、カッターナイフの刃先を側面の上下方向に刺したところ、穴が上下方向に急速に進展して裂け、瞬時に空気が抜けました。
    • なお、当該品やその同型品の表示内容を確認したところ、商品名及び商品説明として「ノンバースト」など、急速な破裂はしないと期待させる記載がみられました。
  • 解決内容等
    • 依頼センターがテスト結果を事業者に説明したところ、「ノンバースト」は誤解を与えるため、現行品は売場から撤去し、今後の商品から「ノンバースト」の文言を削除し、警告表示を追加した新商品を販売するとの回答がありました。

~NEW~
国民生活センター 折りたたみ式踏み台 乳幼児が指先を切断する事故も発生
  • 内容
    • 事例1 保護者が折りたたみ式踏み台の座面の取っ手部分を持ってたたんだ際に、子どもが踏み台の脚部分に手指を挟んだ。左手小指から出血が止まらず、病院で受診した。(当事者:1歳)
    • 事例2 自宅で子どもが折りたたみ式踏み台を触っていたところ、年上のきょうだいが踏み台を横に引っ張った。保護者が注意すると、より強く引っ張ってしまい踏み台が折りたたまれた。その際、踏み台の側面上部に子どもの右手人さし指が挟まれ、指の一部が切断された。(当事者:1歳)
  • ひとことアドバイス
    • 折りたたみ式踏み台は、広げたり折りたたんだりする際に、天板と脚部、板同士の接続部(ヒンジ)の隙間の間隔が変化するため、乳幼児の手指が隙間に挟まれ、指の一部を切断するなどの重大な事故も発生しています。
    • 乳幼児がいる環境では、乳幼児が折りたたみ式踏み台につかまり立ちをしたり、押したり引っ張ったり衝撃を与えるなどして、折りたたみ式踏み台が不意に折りたたまれる可能性があります。乳幼児がいるご家庭で踏み台を入手する場合は、可動部分がない商品の購入を検討しましょう。
    • 乳幼児が折りたたみ式踏み台に触れることがないよう、管理や保管を徹底し、事故にならないよう注意しましょう。

~NEW~
総務省 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会(第1回)
▼資料1-4-1 NOTICEの現況
  • NOTICEの枠組み
    • セキュリティ対策の甘いIoT機器の存在が、ボットネットのようなIoT機器等を踏み台とする攻撃が発生する一因となっている
    • NICT、ICT-ISAC、ISPによる協調的な対処により、IoT機器利用者に適切な管理を促す枠組みとして、2019年からNOTICEに着手
  • NICTによる「IoT機器の調査」
    • 参加ISPが管理しているIPアドレスを対象に特定アクセス調査等を実施し、脆弱IoT機器を特定
    • 脆弱IoT機器のIPアドレス等を「注意喚起対象IPアドレス」として、ICT-ISACを通じてISPに通知
  • ICT-ISACと参加ISPによる「利用者への注意喚起」
    • ICT-ISACは参加ISPに「注意喚起対象アドレス」を配布するとともに、これに基づく注意喚起実施状況を集約して把握
    • ICT-ISACは未参加ISPがNOTICEに参加できるよう必要な調整を実施
      • 参加資格の確認、参加手続きの支援、注意喚起実施方法等の指導
    • 参加ISPは「注意喚起対象IPアドレス」に基づき、当該IPアドレス利用者を特定して注意喚起を実施
  • 注意喚起対象IPアドレス件数の推移
    • 特定アクセス調査により検知される脆弱IoT機器数は継続的に減少傾向にあるー2020.12から約30%の削減
    • NICTER調査により検知される脆弱IoT機器数はMirai亜種の活動の活発化などにより高い水準に留まっている
  • 注意喚起対象機器の特徴
    • 注意喚起対象機器の大多数はルータで、次いでネットワークカメラ関連機器
    • 総務省のIoTセキュリティ基準(端末設備等規則第34条の10)が施行された2020年4月以降後に発売されたIoT機器の検知数は少ない-2014年以前に発売されたIoT機器等が検知数の半数以上(52%)を占めるなど、相当古い機器が多い
  • NOTICEの成果と期待
    • 日本のインターネットに、どのような脆弱IoT機器がどの程度接続されているのかを明らかにできるようになった
      • 参加機関が定期的に脅威情報を共有する機会が得られた
      • 普及しているIoT機器に脆弱性が発見された場合に、それが悪用されればどの程度の影響があるのか等のリスク評価が行えるようになることに期待
    • 脆弱IoT機器の利用者へ直接注意喚起ができるようになった
      • 注意喚起のためにISPが利用者を特定してもよい条件が整理がされた
      • サイバー攻撃等のリスクに対処するためにIoT機器管理者の協力が必要になった場合に、迅速に対応できるようになることに期待
    • 脆弱IoT機器の利用者に注意喚起を行うことで、脆弱IoT機器を削減する効果が確認された
      • 他方、注意喚起だけでは対策が進まない機器があることもわかってきた
      • 個人利用者と法人利用者では異なる事情があることもわかってきた
  • NOTICEの副次的な効果
    • 関係機関間で問題認識や検知情報の共有等が進んだ結果、当初想定していた利用者への注意喚起以外にも、いくつかの好事例が出ている
      1. ISPによる対策が行われた事例
        • 特定アクセスの予備調査で4000台超の脆弱IoT機器(ルータ)を検知した。これらはISPが配布・管理しているルータであったため、ISPとメーカーの協力を得てパッチを開発・適用し対処を完了できた。
      2. Emotet対策に協力した事例
        • インターポールから警察庁に日本国内のEmotet感染端末の情報提供があった。警察庁と連携し、NOTICEの枠組みを用いて当該感染端末利用者への注意喚起を行うことができた。
      3. メーカーが脆弱性対策を行った事例
        • 国内で一定規模流通しているIoT機器を対象にNICTが解析を行った。これにより発見した脆弱性をメーカーと共有し、ファームウェアのアップデートを行うことができた。
  • NOTICEが現在取り組んでいる課題
    1. 注意喚起の効果が現れない脆弱IoT機器への対策
      • IoT機器管理実態に応じた利用者への注意喚起実施方法の改善
      • IoT機器設置管理に関わる卸売り事業者、Sierとの連携
    2. 脆弱性が明らかになってから対処を求めるのではなく、予め適切な管理が行われるようにするための対策
      • IoT機器メーカーとの連携
    3. IoT機器の適切な管理の重要性に関する意識啓発
      • NOTICEホームページ等を通じた情報提供の充実
  • 今後検討すべき論点
    1. 調査対象の拡大・利用者への注意喚起以外の対処方法の在り方
      • ID・パスワードに脆弱性があり、注意喚起対象となるIoT機器は、発売から5年以上経過した古いものが大部分を占めている。
      • 感染の疑いがあるIoT機器(NICTER)の注意喚起件数は、昨年4月以降急増しており現在も高い水準にある。
      • 調査の過程(ポートスキャン)でID・パスワード以外の脆弱性を有するIoT機器が判明するケースもある。
      • メーカーに対してファームウェアの更新依頼を行った事例やISP側の対策強化のきっかけになった事例など、利用者への注意喚起以外の対処により効果的な対策につながった事例もある。
    2. 参加ISPの拡大・既に参加しているISPのインセンティブの確保に向けた方策
      • NOTICEに参加していないISPのネットワークに接続しているIoT機器等は調査の対象外となっているほか、卸売等の通信サービスの市場構造も踏まえていく必要がある。
    3. 利用者側におけるIoT機器の適切な管理など、注意喚起の実効性を向上させていくための方策
      • 利用者への注意喚起によって脆弱性のあるIoT機器の数は一定程度減少しているが、注意喚起の効果が現れないケースも存在。注意喚起を受けた利用者におけるIoT機器の管理体制や意識等によっても対応に差が出ている。
    4. メーカー側の適切なサポートの在り方
      • 利用者がIoT機器に管理機能があることに気づいていないケースも存在。機器マニュアルにリスクとセキュリティ対策方法のわかりやすい説明があると助けになる。
      • サポート期限の明示やサポート期限切れの利用者への告知などが強化されると古いIoT機器の更新が促される。
    5. 上記課題等に効果的に対応していくための今後のNOTICEの枠組みと運営の在り方
      • NOTICEの取組により、脆弱性を有するIoT機器の全体的な傾向を把握し、対処につなげる枠組みができたことは大きな成果であり、上記課題に対処しつつ、この枠組みを更に効果的に活用していくことが必要

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総務省 「大規模自然災害時における通信サービス確保のための連携訓練」の実施
  • 総務省は、大規模自然災害時の通信サービスの早期復旧体制の充実・強化を図るため、総務省、地方自治体及び通信事業者等による連携訓練を実施します。
    1. 背景・目的
      • 近年、台風、地震、豪雨等の大規模自然災害によって、国民生活にとって重要インフラである固定電話や携帯電話等の通信サービスに甚大な被害が発生しています。
      • 大規模自然災害時において、特に災害対応の重要拠点となる市町村役場や都道府県庁については、人命救助や避難者支援等の活動に支障を来さないよう、当該拠点における通信サービスに関する迅速な被害状況の把握及び応急復旧等が重要です。
      • 災害発生時において、通信サービスを早期に復旧するためには、迅速な電力や燃料の確保、被災した通信設備に至る道路の啓開等が重要であり、電力や燃料の確保に係る電力事業者や燃料供給者との連携、倒木処理等に係る道路管理者との連携を図ること等が課題となっています。
      • そこで、大規模自然災害時におけるこれらの課題に対応するため、総務省等の国の機関、被災地である地方自治体及び通信事業者等が連携して行うべき初動対応を想定した訓練を実施します。
    2. 訓練の概要
      1. 電力の確保に係る連携訓練
        • 実施地域及び日時
          • 関東地域(千葉県:風水害)令和5年2月10日(金)13時~
          • 四国地域(愛媛県:大地震)令和5年2月13日(月)13時~
        • 被災想定:風水害又は大地震の影響を受けて市内の広範囲における停電等により、通信サービスの被害が発生している状況を想定します。そこで、停電により停波した携帯電話基地局の早期復旧に向けて、迅速な復電により基地局に必要な電力を確保するため、総務省、通信事業者、地方自治体と電力事業者等との連携訓練を実施します。
        • 参加団体:総務省(本省・関東総合通信局(関東地域のみ参加)・四国総合通信局(四国地域のみ参加))、経済産業省(中国四国産業保安監督部(四国地域のみ参加))、千葉県(関東地域のみ参加)、愛媛県(四国地域のみ参加)、東日本電信電話(株)(関東地域のみ参加)、西日本電信電話(株)(四国地域のみ参加)、(株)NTTドコモ、KDDI(株)、ソフトバンク(株)、楽天モバイル(株)、東京電力パワーグリッド(株)(関東地域のみ参加)、四国電力発送電(株)(四国地域のみ参加)
      2. 倒木処理等に係る連携訓練
        • 実施地域:東海地域(静岡県浜松市)
        • 日時:令和5年1月24日(火)13時~
        • 被災想定:大地震の影響を受けて市内における広範囲の停電や倒木による電柱倒壊や伝送路断により、通信サービスの被害が発生している状況を想定します。また、倒木や土砂崩れにより、道路が不通となり、携帯電話基地局や通信ビル等の復旧に支障が生じているものと想定します。そこで、携帯電話基地局や通信ビル等の早期復旧に向けて、倒木や土砂崩れで不通となっている県道や市道について、倒木処理等による道路啓開を迅速に進めるため、総務省、通信事業者と地方自治体等との連携訓練を実施します。
        • 参加団体:総務省(本省・東海総合通信局)、経済産業省(中部近畿産業保安監督部)、静岡県、浜松市、西日本電信電話(株)、(株)NTTドコモ、KDDI(株)、ソフトバンク(株)、楽天モバイル(株)、中部電力パワーグリッド(株)
      3. 燃料の確保に係る連携訓練
        • 実施地域:東北地域(宮城県多賀城市)
        • 日時:令和5年1月26日(木)13時~
        • 被災想定:大地震の影響を受けて市内の広範囲における停電や伝送路断により、通信サービスの被害が発生している状況を想定します。そこで、停電により停止している携帯電話基地局の早期復旧に向けて、移動電源車等に必要な燃料を速やかに調達するため、総務省、通信事業者と地方自治体等との連携訓練を実施します。
        • 参加団体:総務省(本省・東北総合通信局)、経済産業省(東北経済産業局・関東東北産業保安監督部東北支部)、多賀城市、東日本電信電話(株)、(株)NTTドコモ、KDDI(株)、ソフトバンク(株)、楽天モバイル(株)、東北電力ネットワーク(株)
          • ※新型コロナウイルス感染症拡大防止等のため、オンライン形式で実施する場合があります。
    3. 訓練内容
      • 被災想定地域において設置された災害対策本部に対して、総務省(本省・各総合通信局)及び通信事業者等からリエゾンが派遣されたことを想定します。
      • 派遣されたリエゾンにおいて、通信関係連絡・調整会議を開催し、通信サービスの被害情報の収集・把握・共有等を行うとともに、携帯電話基地局や通信ビル等を早期に復旧させるための電力や燃料の確保及び倒木処理等に関する課題の特定・対策の検討・関係機関との調整等の連携の在り方について、有識者も交えた参加者間の討議等による訓練を実施します。

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総務省 我が国の人口重心 -令和2年国勢調査結果から-
▼全体版
  • 我が国の人口重心は、南東へ約2.2km移動
    • 令和2年国勢調査による我が国の人口重心は、東経137度03分20.44秒、北緯35度34分03.64秒となっており、これは岐阜県関市立武儀小学校(東経137度00分40.60秒、北緯35度35分08.15秒)から東南東へ約4.5kmの位置にあります。2015年の人口重心(東経137度02分15.84秒、北緯35度34分51.44秒)に比べ、南東へ約2.2km(東へ約1.6km、南へ約1.5km)移動しています。
    • 我が国の人口重心の動きを長期的にみると、首都圏への人口の転入超過が続いてきたことなどにより、おおむね東南東方向へ移動しています。国勢調査の行われる5年ごとの人口重心の移動距離は、1965年~1970年に東へ約8.3km移動したのを最長に、その後は約1~3kmの移動となっており、2000年以降の我が国の人口重心は、現在の関市となっています。
  • 首都圏及び近畿圏の各府県の人口重心は、おおむね東京都、大阪府の方向へ移動
    • 首都圏及び近畿圏の都府県の人口重心についてみると、2015年~2020年の移動方向は一様でないものの、山梨県を除く首都圏の各県は東京都の方向へ、近畿圏の各府県は大阪府の方向へ移動しています。
    • 首都圏の各県の人口重心から東京都の人口重心への方向と距離について、2015年から2020年にかけての変化をみると、全ての県で、方向はおおむね変わらず、山梨県を除く各県において、距離が縮まっています。
    • また、近畿圏の各府県の人口重心から大阪府の人口重心への方向と距離について、2015年から2020年にかけての変化をみると、全ての府県で、方向はおおむね変わらず、距離が縮まっています。

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総務省 「令和4年版 救急・救助の現況」の公表
  • 令和3年中の救急出動件数は、消防防災ヘリコプターによる件数も含め、619万6,069件(対前年比26万375件増、4.4%増)、搬送人員は549万3,658人(対前年比19万7,931人増、3.7%増)で前年と比較して救急出動件数、搬送人員ともに増加した(表1参照)。令和3年中の救急自動車による救急出動件数は619万3,581件(対前年比26万304件増、4.4%増)、搬送人員は549万1,744人(対前年比19万7,914人増、3.7%増)で救急出動件数、搬送人員ともに前年と比較して増加した。
  • 救急自動車は1日平均とすると1万6,969件(前年1万6,211件)で、約5.1秒(前年約5.3秒)に1回の割合で救急隊が出動し、国民の23人に1人(前年24人に1人)※が搬送されたことになる。
  • 令和3年中の救急自動車による救急出動件数の内訳を事故種別ごとにみると、「急病」が405万4,706件(対前年比20万4,209件増、5.3%増)、「一般負傷」が96万9,130件(対前年比1万7,002件増、1.8%増)、「交通事故」が36万8,491件(対前年比2,236件増、0.6%増)などとなっている。
  • 過去20年における事故種別の救急出動件数の構成比の5年ごとの推移をみると、「急病」は増加している一方で、「交通事故」は減少している
  • 令和3年中の救急自動車による搬送人員の内訳を事故種別ごとにみると、「急病」が360万5,179人(対前年比15万3,307人増、4.4%増)、「一般負傷」が87万9,503人(対前年比1万2,974人増、1.5%増)、「交通事故」が34万573人(対前年比1,677人減、0.5%減)などとなっている。
  • 過去20年における事故種別の搬送人員の構成比の5年ごとの推移をみると、事故種別ごとの救急出動件数と同じように、「急病」は増加している一方で、「交通事故」は減少している
  • 令和3年中の救急自動車による搬送人員の内訳を年齢区分別にみると、「高齢者」が339万9,802人(対前年比10万999人増、3.1%増)、「成人」が170万7,782人(対前年比5万2,721人増、3.2%増)、「乳幼児」が21万962人(対前年比3万3,645人増、19.0%増)などとなっている。
  • 過去20年における年齢区分別の搬送人員の構成比の5年ごとの推移をみると、「高齢者」の占める割合が増加傾向にある
  • 令和3年中の救急自動車による搬送人員の内訳を傷病程度別にみると、「中等症(入院診療)」が248万1,532人(対前年比13万7,599人増、5.9%増)、「軽症(外来診療)」が246万460人(対前年比4万8,459人増、2.0%増)、「重症(長期入院)」が46万6,440人(対前年比8,377人増、1.8%増)などとなっている。
  • 過去20年における傷病程度別の搬送人員の構成比の5年ごとの推移をみると、「軽症(外来診療)」は減少傾向、「中等症(入院診療)」は増加傾向にあり、令和3年には「中等症(入院診療)」が「軽症(外来診療)」を上回った
  • 令和3年中の救急自動車による現場到着所要時間(入電から現場に到着するまでに要した時間)は、全国平均で約9.4分(前年約8.9分)、病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)は、全国平均で約42.8分(前年約40.6分)となっている。
  • 現場到着所要時間と病院収容所要時間の推移をみると、どちらも延伸傾向にある
  • 令和3年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数は2万6,500人で、そのうち一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者数は1万5,225人(57.5%)となっている。
  • 一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者数のうち、一般市民がAEDを使用し除細動を実施した傷病者数は1,096人で、そのうち1ヵ月後生存者数は540人(49.3%)、1ヵ月後社会復帰者数は440人(40.1%)となっている
  • 令和3年中における全国の救助活動の状況は、救助出動件数9万9,395件(対前年比5,406件増、5.8%増)、救助活動件数6万3,198件(同3,221件増、5.4%増)、救助人員5万9,861人(同1,909人増、3.3%増)であり、前年と比較して救助出動件数、救助活動件数及び救助人員はいずれも増加している
  • 令和3年中においては、「風水害等自然災害事故」が505件(対前年比222件減、30.5%減)、「水難事故」が3,783件(同159件減、4.0%減)と減少する一方で、「建物等による事故」が4万2,109件(同3,118件増、8.0%増)と増加している。
  • 過去20年における事故種別の救助出動件数の構成比の5年ごとの推移をみると、「火災」及び「交通事故」は減少している一方で、「建物等による事故」は年々増加している。
  • 令和3年中における救助出動件数全体の構成比は、「建物等による事故」が全体の42.4%を占め、最多の事故種別となっている。次いで「交通事故」21.1%、「水難事故」3.8%、「火災」3.7%の順となっている

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総務省 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第7回)
▼資料2 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン改定のポイントについて(2)(情報セキュリティインシデント関係)
  • 兵庫県尼崎市における個人情報流出事案の概要
    • 業務委託会社の再委託先の社員が個人情報を含むUSBメモリを紛失する情報流出事案が発生。
    • 流出した個人情報
      • 全市民の住民基本台帳の情報(46万517人分)
      • 住民税に係る税情報(36万573件)
      • 非課税世帯等臨時特別給付金の対象世帯情報(R3年度分7万4,767世帯分、R4年度分7,949世帯分)
      • 生活保護受給世帯と児童手当受給世帯の口座情報(生保1万6,765件、児手6万9,261件)
    • 事案に対する対応の方向性
      • 尼崎市は、総務省のガイドラインに沿ってセキュリティポリシーを策定し、市のセキュリティポリシー上では、委託先管理の徹底等を求めていたが、運用面における管理が不十分であった。
      • このため、ガイドラインに運用面に関する記載を追記する
  • 事案に対する対応ついて
    1. ガイドラインの運用面に関する記載の追記
      • 本事案にかかる再発防止策について、市第三者委員会報告書において示されたところであり、改めてガイドラインの外部委託先の管理について、特に運用面に関する必要なセキュリティ対策を記載する。
        1. 機微なデータへのアクセス制御、情報の持ち出し管理、ログ管理など、個人情報の取扱いに関する管理の徹底不足
          • 業務委託を行う場合であっても、情報資産の分類に応じた情報のライフサイクル管理の徹底が必要であること。業務委託先が重要な情報資産を取り扱う場合においては、情報セキュリティの原則である「最小限の権限」、「複数人による確認」等を徹底する旨を記載する。また、USBメモリのような物理的なデータ移動ではなく、外部サービス等で委託事業者等へ重要な情報資産を運搬する場合の確認事項を記載する。
        2. サーバルームへの入退室管理や監視カメラ等による作業の記録など、物理的安全管理措置の徹底不足(P5)
          • 管理区域内に入室する際は、入室者に対して身分証の提示を求め、従事者名簿と突合することや職員の随行、監視カメラ等によって入室者を確認する。
          • 従事者の変更があった際は、委託事業者に対し、最新版の名簿の提出を求めるとともに、従事者名簿の提出時に身分証明書の確認や面談により本人確認を行う。委託事業者から名簿の提出がない場合であっても定期的(年1回程度)に従事者が変更されていないか確認する。
        3. 職員、委託先の従業員の個人情報の取扱いに関する意識の欠如(P6)
          • 委託事業者の従業員が地方公共団体の情報セキュリティポリシー等を理解することが重要であり、業務委託先の従業員に地方公共団体が主催する研修等に参加させることや、研修を合同で行うことも有効である旨を記載する。
        4. 作業報告書等の書面による委託業務管理の徹底不足(P7)
          • 委託事業者がセキュリティ要件を遵守していることを地方公共団体が確認するため、「外部委託先に関するセキュリティ要件のチェックシート」に基づいて、委託事業者がセキュリティ要件を遵守しているか確認する必要がある旨を記載する。
    2. セキュリティポリシーを運用する上での支援
      • 外部委託先の管理について、一定のセキュリティレベルを確保できるよう業務委託契約を締結する際のセキュリティ要件の確認事項について、委託先に提出を求めるチェックシートのひな型を作成し地方公共団体に提供する。
      • セキュリティポリシーガイドラインの理解促進のため、ガイドラインの概要版の作成を行う。
      • 職員等に対する情報セキュリティ対策に関する研修の周知や説明会の実施等を行う。

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国土交通省 「日本スタートアップ大賞2023」の募集を開始します!~起業家やスタートアップを表彰します~
  • 「日本スタートアップ大賞」は、次世代のロールモデルとなるような、インパクトのある新事業を創出した起業家やスタートアップを表彰し称える制度です。起業を志す人々や社会に対し、積極的に挑戦することの重要性や起業家一般の社会的な評価を浸透させ、もって社会全体の起業に対する意識の高揚を図ることを目的としています。
  • 経済産業省、農林水産省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会が募集し、有識者等から成る審査委員が受賞者を決定します。今回から、新たに国土交通スタートアップ賞を創設しておりますので、是非ご応募ください。
  • 表彰部門の概要
    1. 日本スタートアップ大賞(内閣総理大臣賞※予定)
      • 応募案件の中から、事業の新規性や革新性、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業のビジョンなどに関し、最も評価の高いものに対して付与します。
    2. ダイバーシティ賞(経済産業大臣賞)
      • 応募案件の中から、外国人起業家、女性起業家等、我が国のダイバーシティ経営の範たるものとして、評価の高いものに対して付与します。
    3. グローバル賞(経済産業大臣賞)
      • 応募案件の中から、事業の海外進出や国際的な活躍に関し、評価の高いものに対して付与します。
    4. 農業スタートアップ賞(農林水産大臣賞)
      • 応募案件の中から、農林水産業への寄与度等に関し、評価の高いものに対して付与します。
    5. 大学発スタートアップ賞(文部科学大臣賞)
      • 応募案件の中から、大学発ベンチャーの定義に合致するものであって、評価の高いものに対して付与します。
    6. 医療・福祉スタートアップ賞(厚生労働大臣賞)【今年度新設】
      • 応募案件の中から、医療・福祉分野への寄与度等に関し、評価の高いものに対して付与します。
    7. 国土交通スタートアップ賞(国土交通大臣賞)【今年度新設】
      • 応募案件の中から、国土交通分野への寄与度等に関し、評価の高いものに対して付与します。
    8. 審査委員特別賞
      • 応募案件の中から、上記の(1)~(7)のほか、事業の新規性や革新性、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業のビジョンなどに関し、特に評価の高い項目のあるものに対して付与します。

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国土交通省 建設工事の下請取引(価格転嫁・工期設定の状況等)の調査結果~令和4年度下請取引等実態調査~
▼令和4年度下請取引等実態調査の実施について(令和4年7月27日)
  • 国土交通省及び中小企業庁では、建設業法の規定に基づき、建設工事における下請取引の適正化を図るため、下請取引等実態調査を毎年実施しています。
  • 令和4年度調査の結果、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答を行った建設業者8,548業者に対し、指導票を発送しました。
    1. 調査の概要
      • 調査対象業者:14,000業者(うち回収業者数:11,079業者、回収率79.1%)
      • 調査方法:郵送による書面調査(令和4年7月27日~令和4年10月24日)
      • 調査対象期間:令和3年7月1日~令和4年6月30日における取引
      • 調査内容:元請負人と下請負人の間及び発注者(施主)と元請負人の間の取引の実態等、見積方法(法定福利費、労務費、工期)の状況、価格転嫁や工期設定の状況、約束手形の期間短縮や電子化の状況、技能労働者への賃金支払状況 等
    2. 調査結果
      • 建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(9,261業者)が回答すべき調査項目について、指導対象となる25の調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)だった適正回答業者率は7.7%となりました。未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況です。
      • 資材等価格の高騰による工期又は請負代金の額の変更について、元請負人は下請負人から変更交渉があった際に、工期の変更を認めていると回答した建設業者は90.3%、請負代金の額の変更を認めていると回答した建設業者は94.4%でした。
      • 技能労働者への賃金支払状況では、賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は84.2%で、昨年度(82.8%)から1.4ポイント増加しました。理由としては、「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため」が45.3%と最も多い回答でした。
    3. 調査結果に基づく今後の対応
      • 本調査の結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に対しては指導票を送付し、是正措置を講じるよう指導を行いました。さらに、本調査結果に基づき、必要に応じて、許可行政庁において立入検査等を実施します。また、講習会の場を設けるなど、建設業法令遵守の周知徹底を今後とも図ってまいります。

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