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危機管理トピックス

サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会報告書等(警察庁)/第120回新型コロナ感染症対策アドバイザリーボード(厚労省)/責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料(経産省)/誹謗中傷等の違法・有害情報への対策(総務省)

2023.04.11
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更新日:2023年4月10日 新着19記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「金融機関における国際的に信頼たる脱炭素トランジションに関する調査」報告書の公表について
  • 「地域における中小企業の気候変動対応と金融機関による支援に関する実態把握業務」報告書の公表
  • 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」の公表について
  • 「FX取引・暗号資産投資の勧誘」にご注意!!
警察庁
  • 令和5年2月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会報告書等について
内閣官房
  • ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議
  • 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策
  • 再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(第3回)議事次第
首相官邸
  • 国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等関係閣僚会議
  • 新型コロナウイルス感染症に係る水際措置の見直しについて
経済産業省
  • 外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮輸出入禁止措置を延長しました
  • 2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました~キャッシュレス決済比率は36.0%、決済額は初の100兆円超えに拡大~
  • 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を公表しました
総務省
  • 総務省を騙るフィッシングサイトに関する注意喚起
  • 誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ(第5回)配布資料

~NEW~
消費者庁 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(令和4年法律第105号)
▼概要
  • 法人等による不当な寄附の勧誘を禁止するとともに、当該勧誘を行う法人等に対する行政上の措置等を定めることにより、消費者契約法とあいまって、法人等からの寄附の勧誘を受ける者の保護を図る。
  • 寄附の勧誘に関する規制等
    • 契約による寄附に加え、契約ではない寄附(単独行為)も対象とする 【第2条】
    • 寄附の勧誘を行うに当たっての寄附者への配慮義務 【第3条】
    • 以下の1~3に十分に配慮しなければならない
      1. 自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにする
      2. 寄附者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする
      3. 勧誘する法人等を明らかにし、寄附される財産の使途を誤認させるおそれがないようにする
    • 寄附の勧誘に際し、不当勧誘行為で寄附者を困惑させることの禁止 【第4条】
      • (1)不退去、(2)退去妨害、(3)勧誘をすることを告げず退去困難な場所へ同行、(4)威迫する言動を交え相談の連絡を妨害、(5)恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知、(6)霊感等による知見を用いた告知
    • 借入れ等による資金調達の要求の禁止 【第5条】
      • 借入れ、又は居住用の建物等若しくは生活の維持に欠くことのできない事業用の資産で事業の継続に欠くことのできないものの処分により、寄附のための資金を調達することを要求してはならない
  • 違反に対する行政措置・罰則
    • 配慮義務(第3条)の遵守に係る勧告等 【第6条】
      • 個人の権利の保護に著しい支障が生じていると明らかに認められ、同様の支障が生ずるおそれが著しい場合、法人等に遵守すべき事項を示して勧告 従わなかったときは、公表可能
      • 勧告に必要な限度で、法人等に対し報告を求める
    • 禁止行為(第4条・5条)に係る勧告・命令等 【第7条】
      • 施行に特に必要な限度で、法人等に対し報告を求める
      • 不特定・多数の個人への違反行為が認められ、引き続きするおそれが著しい場合、必要な措置をとるよう勧告措置をとらなかったときは、命令・公表
    • 第7条違反への罰則 【第16条~18条】※両罰規定あり
      • 虚偽報告等:50万円以下の罰金
      • 命令違反:1年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金
  • 寄附の意思表示の取消し
    ※消費者契約に該当する場合は消費者契約法によって取消し

    • 不当な勧誘により困惑して寄附の意思表示をした場合の取消し 【第8条】
      • 取消権の行使期間(追認できるときから・寄附時から、(1)~(5)は1年・5年、(6)は3年・10年) 【第9条】
  • 債権者代位権の行使に関する特例
    • 子や配偶者が婚姻費用・養育費等を保全するための特例 【第10条】
      • 被保全債権が扶養義務等に係る定期金債権(婚姻費用、養育費等)である場合、本法・消費者契約法に基づく寄附(金銭の寄附のみ)の取消権、寄附した金銭の返還請求権について、履行期が到来していなくても債権者代位権を行使可能にする(※民法上は、履行期が到来した分のみ)
  • 関係機関による支援等
    • 不当な勧誘による寄附者等への支援【第11条】
      • 取消権や債権者代位権の適切な行使により被害回復等を図ることができるようにするため、法テラスと関係機関・関係団体等の連携強化による利用しやすい相談体制の整備等、必要な支援に努める

~NEW~
厚生労働省 第120回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年4月5日)
▼資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況等の概要
    • 全国の新規感染者数は、直近の1週間では人口10万人あたり約39人となり、今週先週比は1.03と、全国的に下げ止まりとなっており、足元では増加の地域も多くみられる。
    • 年度替わりの感染リスクが高まる場面や免疫の減衰、変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
    • 病床使用率は全国的に低下傾向にあり、重症者数や死亡者数も減少傾向が継続している。
  • 感染状況等と今後の見通し
    • 感染状況について
      • 新規感染者数について、全国的に下げ止まりとなっており、大都市部をはじめ、足元では増加の地域も多くみられる。一方で、水準については、昨年夏の感染拡大前を下回る状況が継続している。
      • 地域別の新規感染者数について、北海道や北陸・甲信越などでは人口あたりで全国を上回っている一方、近畿や九州などでは人口あたりで全国を下回っている。また、高齢者施設や医療機関等の集団感染は減少傾向が継続している。
      • 全国の年代別の新規感染者数は、全年代平均で減少傾向が継続しているものの、20代をはじめ増加している年代もみられる。
      • 全国では、重症者数及び死亡者数は減少傾向が継続している。この冬の感染拡大では、昨年夏の感染拡大時よりも、新規感染者のうち80代以上の高齢者の占める割合の増加傾向がみられる。
      • 昨年1月以降の小児等の死亡例報告にあるように、小児感染者数の増加に伴う重症例、死亡例の発生や、小児の入院者数の動向にも注意が必要。
      • 季節性インフルエンザについては、先週末公表時点では、定点医療機関当たりの週間報告数が、全国では減少傾向が継続しており、注意報レベルを下回っている。
    • 今後の見通しについて
      • 今後の感染状況について、現在の大都市部における感染者数の増加傾向、特に20代の増加から、今後の感染者数が増加に向かう可能性もあり注視が必要。また、エピカーブや全国及び大都市の短期的な予測では、地域差や不確実性はあるものの、全国的には横ばい傾向が続く可能性もあるが、東京など一部地域では増加傾向となることが見込まれる。今後、年度替わりの感染リスクが高まる場面や免疫の減衰、より免疫逃避が起こる可能性のある株の割合の増加等が感染状況に与える影響についても注意が必要。
      • 季節性インフルエンザについて、一部地域ではいまだに注意報レベルにあるものの、例年の傾向を踏まえると、今後さらに減少することが見込まれる。
    • 感染の増加要因・抑制要因について
      • ワクチン接種および感染による免疫等
        • ワクチン接種の推進および自然感染により、これまで各年代において増加してきたオミクロン株(5とBQ1.1)に対する免疫保持者割合は、今後経時的に低下していくと考えられる。
      • 接触状況
        • 夜間滞留人口について、足元では、減少の地域もある一方で、首都圏など増加の地域もみられる。引き続き、春休みと年度替わりによる接触機会の増加も予想される。
      • 流行株
        • 国内ではBA.5系統が主流となっていたが、3月頃からその割合は減少傾向にある。欧米から多く報告されているXBB.1.5系統を含むXBB系統やBA.2.75系統の亜系統であるBN.1.3系統の割合は増加傾向にある。一方、国内で数と割合が増加していたBQ.1系統は1月上旬をピークとして減少傾向である。なお、国内における感染者の減少に伴い変異株の登録数が減少しているため、変異株の割合について考慮する際は注意が必要。
      • 気候・季節要因
        • これから気温が上昇していくことにより、換気を行いやすい気候条件になる。屋内で過ごすことが減ることも感染者抑制には一定の効果があると考えられるが、この時期に感染拡大することもあり留意が必要。
    • 医療提供体制等の状況について
      • 病床使用率は全国的に低下傾向にあり、すべての地域で2割を下回るなど低い水準にある。重症病床使用率も全国的に低い水準にある。
      • 介護の現場では、施設内療養数は減少傾向が継続している。
      • 救急医療について、救急搬送困難事案数は、全国的に減少傾向であるが、引き続き、救急搬送困難事案数の今後の推移と、救急医療提供体制の確保には注意が必要。
  • 必要な対策
    1. 基本的な考え方について
      • オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなどの特段の事情が生じない限り、本年5月8日から、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、5類感染症に位置づける。これに伴い、医療提供体制や高齢者施設等への対応、患者等に対する公費支援など、これまで講じてきた各種の政策・措置について、本年3月10日の政府決定に基づき必要な見直しを行う。
      • それまでの間においても、限りある医療資源の中でも高齢者・重症化リスクの高い方に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化・重点化に引き続き取り組むことが必要。また、国民一人ひとりの自主的な感染予防行動の徹底をお願いすることにより、高齢者等重症化リスクの高い方を守るとともに、通常医療を確保する。
    2. ワクチン接種の更なる促進
      • 「オミクロン株対応ワクチン」について、初回接種を完了した全ての5歳以上の者に対する接種を進めることが必要。
      • 接種を希望するすべての対象者がオミクロン株対応ワクチンの接種を行うよう呼びかける。
      • 未接種の方には、できるだけ早い時期に初回接種を検討していただくよう促していく。
      • 小児(5~11歳)について、初回接種とともにオミクロン株対応ワクチンによる追加接種を進める。小児(6か月~4歳)については、初回接種を進める。
      • 今後、令和5年度の接種(秋冬に5歳以上の全ての者を対象に接種を行い、高齢者等重症化リスクが高い方等には、秋冬を待たず春夏にも追加で接種を行う)を進める。
    3. 検査の活用
      • 国と自治体は検査ができる体制を確保し、検査の活用が求められる。
      • 高齢者施設等について、従事者への頻回検査(施設従事者は週2~3回程度)を実施する。
      • 有症状者が抗原定性検査キットで自ら検査し、陽性の場合に健康フォローアップセンター等で迅速に健康観察を受けられる体制整備の推進。
      • OTC化されインターネット販売もされている抗原定性検査キットについて、利活用を進める。
    4. 保健医療提供体制の確保
      • 国の支援のもと、都道府県等は、病床や発熱外来等のひっ迫回避に向けた対応を継続。
      • 入院治療が必要な患者が優先的に入院できるよう適切な調整(後方支援病院等の確保・拡大、早期退院の判断目安4日の周知など転院・退院支援等による病床の回転率の向上等)、高齢者施設等における頻回検査等の実施や平時からの医療支援の更なる強化
      • 受診控えが起こらないよう配慮の上、例えば無症状で念のための検査のためだけの救急外来受診を控えることについて、地域の実情に応じて地域住民に周知。併せて、体調悪化時などに不安や疑問に対応できるよう、医療従事者等が電話で対応する相談窓口の周知及び相談体制の強化
      • 本年3月10日の政府決定を受け、5類感染症への位置づけ変更に伴い、新型コロナウイルス感染症にこれまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促すための取組に着手。
      • 医療機関における感染対策の見直しや設備整備等の支援、応招義務の明確化、感染対策や診療方針に関する分かりやすい啓発資材等の周知などを通じて、対応する医療機関の維持・拡大
      • 各都道府県において、次の冬の感染拡大までの間、新たな医療機関による軽症等の患者の受入れを進めること、医療機関間による入院調整を進めること等を内容とする9月末までの「移行計画」を4月中に策定
    5. 新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行への対応
      • 各地域の実情に応じて、発熱外来や電話診療・オンライン診療、健康フォローアップセンター、自己検査キット、相談体制、救急医療の取組等を進める。また、医師の適応確認の上処方される経口薬含め、治療薬の円滑な供給を進める。解熱鎮痛薬等の入手が困難な薬局等に対しては、厚生労働省の相談窓口の活用を呼びかける。
      • 都道府県は、地域の実情に応じた外来医療の強化等の体制整備の計画に基づき、保健医療体制の強化・重点化に取り組む。
      • 国民各位への情報提供とともに、感染状況に応じた適切なメッセージの発信が必要。また、重症化リスクが低い方の自己検査や地域のフォローアップセンターの活用を呼びかける。
      • 急な体調不良やけがに備えて「救急車利用マニュアル」の確認や救急車の利用に迷った際のかかりつけ医への相談、#7119などの電話相談窓口の利用、必要なときは救急車を呼ぶことをためらわないことも呼びかける。
    6. サーベイランス・リスク評価等
      • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討を速やかに進めることが必要。また、ゲノムサーベイランスで変異株の動向の監視の継続が必要。
      • リスク評価について、新型コロナウイルス感染症に関する病原性、感染力、変異等についての評価を引き続き進めることが必要。
    7. 水際対策
      • 昨年12月30日以降の中国からの入国者に対する臨時的な措置について、本年3月1日から一部の入国者を対象に実施している入国時のサンプル検査を継続しつつ、内外の感染状況や臨時的な措置によって得られた知見、G7各国の水際措置の状況等を踏まえ、中国本土便による入国者に対する「陰性証明書の提出」に替えて、本年4月5日以降、「陰性証明書又はワクチン接種証明書(3回)」のいずれかの提出を求めることとする。
      • 本年5月8日を予定している水際措置の終了に併せて、新たな感染症の流入を平時においても監視するため、「感染症ゲノムサーベイランス(仮称)」を同日より開始する。
    8. 効果的な換気の徹底
      • 屋内での換気が不十分にならないよう、効果的な換気方法の周知・推奨が必要(エアロゾルを考慮した気流の作り方、気流を阻害しないパーテーションの設置等)。
    9. 基本的な感染対策の再点検と徹底
      • 地域での感染症の流行状況に関心を持ち、自らを感染症から防ぎ、身近な人を守り、ひいては社会を感染症から守り、特に高齢者に感染が及ばないよう配慮するといった観点で、以下の基本的な対策を一人ひとりが身に着けておくことが必要。
      • 体調不安や症状がある場合、無理せず自宅で療養あるいは受診・日常の生活習慣としての手洗い等の手指衛生
      • その場に応じたマスクの着用や咳エチケットの実施・適度な運動、食事などの生活習慣の理解・実行
      • 換気の励行、密集・密接・密閉(三密)の回避
      • 職場ではテレワークの活用等の取組を推進するなどに取り組む
      • 基本的感染対策について、本年5月8日から、行政が一律に求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に委ねることを基本とする。
      • 陽性者の自宅療養期間について、自身による検温などの体調管理を実施し、外出する際には感染対策を徹底する。また、高齢者等重症化リスクのある方との接触などは控えるよう求めることが必要。
      • 症状軽快から24時間経過後または無症状の場合の、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出の許容について、外出時や人と接する時はマスク着用、人との接触は短時間、移動に公共交通機関は利用しないなど、自主的な感染予防行動の徹底が必要。
  • 参考:オミクロン株とその亜系統の特徴に関する知見
    1. 感染性・伝播性
      • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
    2. 感染の場・感染経路
      • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路も同様に、飛沫の粘膜への付着やエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
    3. 重症度等
      • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院や重症化のリスクが低いことが示されている。オミクロン株含め新型コロナウイルス感染症の評価には、疾患としての重症度だけではなく、伝播性や、医療・社会へのインパクトを評価することが必要。
      • 令和3年末からの感染拡大における死亡者は、令和3年夏の感染拡大と比べ、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナが直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。また、新型コロナ発生当初からデルタ株流行期までは、典型的な新型コロナ感染によるウイルス性肺炎によって重篤な呼吸不全を発症する事例が多かったが、オミクロン株流行期には、入院前からの基礎疾患の悪化や入院中の別の合併症の発症など、肺炎以外の疾患が死亡の主たる要因との報告がある。
      • 昨夏の感染拡大では、前回に引き続き、令和3年夏の感染拡大時よりも重症化率の減少や、入院患者に占める高齢者の割合が上昇。さらに、昨夏の感染拡大における死亡者は、令和3年末からの感染拡大と比べ、人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっている。
      • 小児等の感染では、内因性死亡が明らかとされた死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡しており、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも留意が必要、といった実地調査結果の報告がなされている。
      • 昨年7・8月の自宅での死亡事例においては、同時期の死亡者全体の傾向と同様、70歳以上の者が約8割を占め、新型コロナ以外の要因による死亡事例も多いことが示唆される。また、新型コロナ陽性死体取扱い状況によると、月別報告件数は昨年12月に過去最多となり、死因が新型コロナとされる割合は、全体では約3割となっている。
    4. ウイルスの排出期間
      • 国内データによれば発症後10日目までは感染リスクが残存し、発症後7日目までが感染力が高く、5日間待機後でもまだ3分の1の患者が感染性のあるウイルスを排出している状態。8日目(7日間待機後)になると、多くの患者(約85%)は感染力のあるウイルスを排出しておらず、当該ウイルスを排出している者においても、ウイルス量は発症初期と比べ7日目以降では6分の1に減少したとの報告がある。
    5. ワクチン効果
      • 従来型ワクチンについては、初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。オミクロン株対応ワクチン(4-5対応型)については、接種後0-2か月(中央値1か月)での発症予防効果が認められたと報告されている。
    6. オミクロン株の亜系統
      • 世界的に主流となっていたBA.5系統の割合は減少傾向にあり、現在はXBB.1.5系統を含むXBB系統(BJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)の割合の増加が見られる。米国ではXBB系統の亜系統であるXBB.1.5系統、欧米ではXBB.1.9系統(いずれも亜系統含む)の数と割合の増加がみられている。XBB.1.5系統の重症度はBQ.1系統と比較して上昇していないが、そのほかの臨床像・疫学的な知見は十分ではない。また、XBB.1.9系統についても臨床像・疫学的な知見はまだ十分ではなく、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要。なお、世界における感染者の減少に伴い変異株の登録数が減少しているため、変異株の割合について考慮する際は注意が必要。

~NEW~
国土交通省 小型旅客船のハッチカバーに関する点検結果等について~知床遊覧船事故に関する運輸安全委員会の経過報告を踏まえた対応~
  • 昨年4月に知床で発生した遊覧船事故に関し、同年12月に運輸安全委員会から公表された経過報告において国土交通大臣へ示された意見を踏まえ、ハッチカバーの確実な閉鎖等に関する点検等を実施しました。また、小型旅客船の隔壁の水密化等について検討を行い、更なる安全性確保のための対策をとりまとめました。
  • 船首甲板開口部(ハッチカバー等)・避難港の点検・確認
    • 運輸安全委員会から国土交通大臣に対し、[1]小型旅客船の船首甲板開口部が確実に閉鎖され浸水のおそれがないことを点検すること、[2]避難港の活用等について再確認することとの意見が示されました。
    • これを受け、国土交通省では、昨年12月16日から今年3月15日までの間、限定沿海以遠を航行区域とする小型旅客船を運航する全国の1,646事業者に対し、ハッチカバー等の閉鎖装置の作動状況・避難港の活用状況等について自主点検を実施するよう指導しました。
    • 点検を実施した事業者のうち、1,565者については、特段の問題は確認されていません。29者については、自らがハッチカバー等の閉鎖装置の作動状況を確認して是正し、7者については、国により不備が確認され、是正を指示・確認しております(添付資料参照)。また、3者については、過去運航中にハッチカバー等のフタが開いたことがあり、改めて発航前検査の徹底を指導しております。残る42者については、冬季休業等により現在一時的に運航を中止しており、今後、営業再開前までに国による確認を実施し、不備を確認した場合には是正を指示いたします。
  • 小型旅客船の隔壁の水密化等の検討
    • 運輸安全委員会から国土交通大臣に対し、「安全性を更に高める観点から、小型旅客船の隔壁の水密化に関し、検討すること。」との意見が示されました。
    • これを受け、国土交通省では、学識経験者や造船技術者等からなる検討会を設置し、「隔壁の水密化」等について検討を重ね、今般、小型旅客船の更なる安全性確保のための対策をとりまとめました。
    • 検討会では、小型旅客船の実際の事故件数に基づく座礁等の発生確率や数値計算による波の打ち込みの発生確率推定等を基に沈没に至るリスクを算出し、隔壁の設置等の各対策を講じた場合の沈没リスク低減効果についての検証を行いました。
    • その結果、限定沿海以遠を航行区域とする小型旅客船について、「水密全通甲板の設置」及び「いずれの1区画に浸水しても沈没しないように水密隔壁の設置」を義務付けます。また、当該安全対策を実施することが困難な船舶(既存船や5トン未満の小型船)に対しては、代替措置として「浸水警報装置及び排水設備の設置」又は「不沈性の確保(全没水しないこと)」を義務付けます。
    • 今後、これらの安全対策を実施するための詳細を検討して参ります。

~NEW~
金融庁 「金融機関における国際的に信頼たる脱炭素トランジションに関する調査」報告書の公表について
▼(別添)「金融機関における国際的に信頼たる脱炭素トランジションに関する調査」報告書
  • 調査の背景
    • 2014年のパリ協定採択以降、脱炭素に向けた動きはグローバルベースで急速に加速している。国ないし世界全体での目標設定などが加速する一方、企業においては、属する産業や地理的要因などに応じて、カーボン・ニュートラルへの移行に向けた具体的な経路(パスウェイ)の策定が気候変動対応の大きなテーマとなっている。
    • また、様々な業界の企業を投融資先とする金融機関においても、投融資先の排出量を含めた企業活動のモニタリングが求められており、各企業と対話を行い、パスウェイの具体化を進めていくことが課題となっている。
    • このような脱炭素への移行(トランジション)の取組みについて、わが国では、トランジションファイナンスに関する指針である「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を2021年に策定した。ただ、グローバルでも様々な団体が脱炭素移行に係るガイドやパスウェイを定めつつあり、国際的な議論は必ずしも収れんしていないのが実情である。
  • 調査の目的
    • 以上の背景を踏まえつつ、国際的なトランジションの在り方や経路などの議論を把握しておくことは、わが国の金融機関が企業等との対話を更に進めていくにあたって参考となり得る
    • これを受けて、本調査では、国際的に行われているトランジションに関する議論の動向を、先進的な企業・金融機関などによる取組み事例と併せて整理することを目的とした。
  • 国際的議論の動向
    • 金融機関においては、2050年までのネットゼロ達成にむけて、国際的な議論や顧客企業・地域の特性を踏まえつつ、企業と協働して持続可能性の向上に資する取組みを進めることが期待され、金融機関が果たすべき役割等について議論が活発化している。
    • それを踏まえ、科学的な根拠に基づく移行計画の在り方等について、大手金融機関を中心とした国際的な議論が進んでいる。
    • 国際的な議論の一例として、ネットゼロへの移行を目的に銀行、保険、アセットオーナー、運用機関等のイニシアティブの連合体、Glasgow Financial Alliance for Net Zero (GFANZ)が2021年、COP26にあわせて正式に発足、2022年には(1)金融機関の移行計画の策定、(2)セクター別パスウェイ、(3)ポートフォリオ整合性測定、(4)多排出資産の計画的なフェーズアウト、(5)実体経済移行計画の移行計画について金融機関の脱炭素・トランジションの取組みに関する提言(5つのレポート)を公表した。
    • その他、さまざまなイニシアチブにより、ガイドライン、基準等が示され、それぞれの性質に応じた分類等も行われつつあるが、未だ国際的に統一の基準が確立したとは言えない現状がある
  • 金融機関と企業の対話
    • 企業(実体経済)の脱炭素の取組の推進に向けた金融機関からの働きかけとして、議決権行使を通じた脱炭素の取組みに対する意思表明や、通常の対話の中で企業の脱炭素推進に向けた助言が主に行われている。
    • しかし、多種多様な企業に対し、セクター、事業規模、地域による差を踏まえた効果的な対話が、十分に行われている段階には至っていない。
    • その背景には、脱炭素にかかる定義、政策・規制、最新技術の不透明さがあり、また、脱炭素の取組を評価する基準のあいまいさや、企業側の情報開示の不十分さも課題として残存している状況があり、結果として、金融機関が企業に対する働きかけに苦慮している状況であることが考えられる
  • 国内外の先進事例
    • 脱炭素トランジションに関して、国内外でさまざまな金融機関の取組事例が見られるようになっている。
    • 例えば、脱炭素の方針、アプローチを設定し、独自に脱炭素に向けた計画的な取組みを行っている事例がある。
    • また投資先やアセット発行体の評価にかかる動きが見られるようになっている。例えば、投資先企業の脱炭素推進に向けた取組みを独自のフレームワークにより評価、環境影響スコアといった個別指標でアセットの発行体を格付けする取組みを実施している例がある。
    • その他、脱炭素に向けたタスクフォース等への参加を通じ、脱炭素に向けた指針策定への参画や、アライアンスによる関係政府への働きかけなども見られる。
    • さらに、企業自身の取組みも見られるようになっている。一例として、専門家を擁し脱炭素を含む気候変動対応にかかる業界標準の策定に貢献している例がある
  • 本調査を踏まえた提言
    • 脱炭素トランジション取組に関して、金融機関は、企業の進捗状況のモニタリングに必要な評価軸を確立することが必要であろう。また、投資先等企業との信頼関係に基づく脱炭素にかかる対話を進め、取締役会にも積極的に関与するなど、より効果的な助言が求められる。
    • 金融機関は、効果的な助言のために、先進的な国内外の取組事例を収集し、参考にすべきである。特に、投融資先企業に対するナレッジやツールの提供(フレームワーク、ベストプラクティス、サポート)が十分とはいえないため、海外事例を参考にしつつ、作成・提供することが求められる。
    • また、政策的に求められる取組みとして、地域の事情を考慮し、各ステークホルダー間で調整を行った上で、パリ協定の温度目標に沿った国別のセクター別目標やパスウェイを提示し、かつ広く理解しやすい形で周知すること等が挙げられる。
    • その他、金融機関からの働きかけを促すために、国内外の先進的な事例を紹介していくとともに、企業と金融機関との情報の非対称性を軽減すべく、企業に向けた情報開示にかかる指針の策定も求められていくであろう

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金融庁 「地域における中小企業の気候変動対応と金融機関による支援に関する実態把握業務」報告書の公表
▼別添 「地域における中小企業の気候変動対応と金融機関による支援に関する実態把握業務」報告書
  • 金融機関による中小企業の気候変動対応を支える枠組みや事例 調査結果まとめ
    • 地域金融機関による中小企業(取引先)の脱炭素化への支援は、積極的なエンゲージメント活動や公的機関(中央省庁、地方公共団体等)による政策的な後押しにより、現在日本において様々な事例が積みあがっており、各組織・団体において事例が公表されるケースもある。
    • このようななか、地域によって産業の集積状況やサプライチェーンの状況が大きく異なることや、各地域金融機関の経営方針や融資先との関係性も多様であることから、中小企業への脱炭素化支援のあり方もより一層の工夫が求められている。特に、脱炭素化への移行において、金融仲介機能を発揮し得る地域金融機関への期待は大きく、また金融機関自身にとっても中長期的に持続可能なビジネスモデルを構築するために重要な機会として位置づけることが重要である。
    • このような問題意識のもと、地域金融機関による中小企業の脱炭素化に関する多くの支援事例から、先進的と思われる取組み事例や創意工夫に基づく特徴的な取組み事例に焦点を当て、幅広くヒアリング調査を実施した。
    • 各事例の当事者である金融機関及び自治体へのヒアリングを通して、各金融機関の問題意識や地域経済の状況を踏まえた具体的な取組み内容やその変遷、創意工夫の状況を調査・分析することにより、金融機関としての機会や各事例の現時点での成果や成功要因を明らかにすることができた。また、各事例を「金融機関の関与度合い」及び「関係者の広がり」の2軸により整理し、相対的な位置づけを示した。
    • さらに、各事例の成功の背後にある要因を考察すると、(1)地域産業やサプライチェーンの特徴の把握、(2)外部の関係者との協業、(3)自社の強み・特色の活用、(4)金融機関内部の人材育成・支援といった共通要素が指摘できた。なお、一事例に複数の要因が関係するケースも相応に存在しており、複合的な要因により成功につながっているとも考えられる。
    • 国内の事例に加えて、海外の中小企業支援のイニシアティブ、海外金融機関の中小企業脱炭素支援の取組みについて、文献や各国政府のウェブサイト等を対象に調査を実施した。日本では観察されないような支援事例が確認でき、今後の金融機関の脱炭素支援の検討に当たって参考になるものと考えられる。
  • 中小企業の気候変動対応への取り組みに関する実態調査まとめ
    • 域の中堅・中小企業においては、国際的な企業によるサプライチェーンへの働きかけもあり、地域の関連組織と多面的な連携を図りながら、各産業・地域の実情に応じた気候変動対応を進めることが求められているが、どのように主体的に対応を進めるべきか、といった課題に直面している
    • この様な認識のもと、中堅・中小企業の気候変動対応の取組みと地域金融機関との連携の実態に明らかにすべく、特に気候変動対応が求められる多排出産業の企業に焦点を当て、アンケート及びヒアリング調査を実施した。
    • 調査を通して、中堅・中小企業による気候変動対応の取組みはみられるものの、気候変動対応に対するそもそもの認知や、取組むうえで経営資源の観点から課題があることがわかった。具体的には、以下の課題が明らかとなった
      • そもそも気候変動対応の必要性を感じていない
      • 気候変動対応の重要性は認識しているが取組めていない
      • 地域金融機関の気候変動対応が認知されていない
    • 多角的な対応を要する気候変動対応を推進するには、地域金融機関のみならず幅広いステークホルダーとの連携が必要となる
    • これらの課題を踏まえた上で、今後、地域金融機関には、(1)取組みに対する補助金や支援金の提供・融資における優遇といった金銭的(経済的)動機付け、(2)事例紹介と産業毎の情報提供、(3)営業担当スキル向上と新規チャネルの開拓、(4)行政・産業・専門家などの外部機関とタッグを組んだ支援の拡充、が取りえる対応策であると考えられる
    • 上記4点を通じた中小企業の取組み活性化への貢献が、今後気候変動対応が義務に近い形で求められてくる将来的なビジネス環境を見据えた際の、地域金融機関に求められてくる対応であると考えられる

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金融庁 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」の公表について
▼(別紙1)財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)
  • 経緯
    • 金融商品取引法により、上場会社を対象に財務報告に係る内部統制の経営者による評価と公認会計士等による監査(以下「内部統制報告制度」という。)が平成20(2008)年4月1日以後開始する事業年度に適用されて以来、15年余りが経過した。
    • この内部統制報告制度は、財務報告の信頼性の向上に一定の効果があったと考えられる。
    • 一方で、経営者による内部統制の評価範囲の外で開示すべき重要な不備が明らかになる事例や内部統制の有効性の評価が訂正される際に十分な理由の開示がない事例が一定程度見受けられており、経営者が内部統制の評価範囲の検討に当たって財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮していないのではないか等の内部統制報告制度の実効性に関する懸念が指摘されている。
    • また、国際的な内部統制の枠組みについて、平成25(2013)年5月、米国のCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)の内部統制の基本的枠組みに関する報告書(以下「COSO報告書」という。)が、経済社会の構造変化やリスクの複雑化に伴う内部統制上の課題に対処するために改訂された。具体的には、内部統制の目的の一つである「財務報告」の「報告」(非財務報告と内部報告を含む。)への拡張、不正に関するリスクへの対応の強調、内部統制とガバナンスや全組織的なリスク管理との関連性の明確化等を行っている。我が国でも、コーポレートガバナンス・コード等において、これらの課題に一定の対応は行われているものの、内部統制報告制度ではこれらの点に関する改訂は行われてこなかった。
    • このような内部統制報告制度を巡る状況を踏まえ、令和3(2021)年11月、「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)論点整理」において、高品質な会計監査を実施するための環境整備の観点から、内部統制報告制度の在り方に関して、内部統制の整備・運用状況について分析を行い、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論の進展も踏まえながら、必要に応じて、内部統制の実効性向上に向けた議論を進めることが必要であるとされた。
    • こうしたことから、当審議会は、令和4(2022)年10月から内部統制部会において、内部統制の実効性向上を図る観点から審議・検討を行った。
    • 令和4(2022)年12月、内部統制部会において公開草案を公表し、広く各界の意見を求めた。当審議会では、寄せられた意見を参考としつつ、公開草案の一部を修正して、これを「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」として公表することとした。
    • なお、内部統制部会の審議においては、以下の問題提起があった。
      • サステナビリティ等の非財務情報の内部統制報告制度における取扱いについては、当該情報の開示等に係る国内外における議論を踏まえて検討すべきではないか。
      • ダイレクト・レポーティング(直接報告業務)を採用すべきかについては、内部統制監査の在り方を踏まえ、検討すべきではないか。
      • 内部統制監査報告書の開示の充実に関し、例えば、内部統制に関する「監査上の主要な検討事項」を採用すべきかについては、内部統制報告書における開示の進展を踏まえ検討すべきではないか。
      • 訂正内部統制報告書について、現在監査を求めていないが、監査人による関与の在り方について検討すべきではないか。
      • 経営者の責任の明確化や経営者による内部統制無効化への対応等のため、課徴金や罰則規定の見直しをすべきではないか。
      • 会社法に内部統制の構築義務を規定する等、会社法と調整していくべきであり、将来的に会社法と金融商品取引法の内部統制を統合し、内部統制の4つの目的をカバーして総合判断できるようにすべきではないか。
      • 会社代表者による有価証券報告書の記載内容の適正性に関する確認書において、内部統制に関する記載の充実を図ることを検討すべきではないか。
      • 定期的な開示から臨時的な開示に金融商品取引法が動いているのであれば、臨時報告書についても内部統制を意識すべきではないか。
    • これらについては、法改正を含む更なる検討が必要な事項であることから、中長期的な課題とすることとした。
  • 主な改訂点とその考え方
    • 内部統制の基本的枠組み
      1. 報告の信頼性
        • サステナビリティ等の非財務情報に係る開示の進展やCOSO報告書の改訂を踏まえ、内部統制の目的の一つである「財務報告の信頼性」を「報告の信頼性」とすることとした。報告の信頼性は、組織内及び組織の外部への報告(非財務情報を含む。)の信頼性を確保することをいうと定義するとともに、「報告の信頼性」には「財務報告の信頼性」が含まれ、金融商品取引法上の内部統制報告制度は、あくまで「財務報告の信頼性」の確保が目的であることを強調した。
      2. 内部統制の基本的要素
        • 「リスクの評価と対応」においては、COSO報告書の改訂を踏まえ、リスクを評価するに際し不正に関するリスクについて考慮することの重要性や考慮すべき事項を明示した。また、「情報と伝達」については、大量の情報を扱う状況等において、情報の信頼性の確保におけるシステムが有効に機能することの重要性を記載した。さらに、「ITへの対応」では、ITの委託業務に係る統制の重要性が増していること、サイバーリスクの高まり等を踏まえた情報システムに係るセキュリティの確保が重要であることを記載した。
      3. 経営者による内部統制の無効化
        • 内部統制を無視又は無効ならしめる行為に対する、組織内の全社的又は業務プロセスにおける適切な内部統制の例を示した。また、当該行為が経営者以外の業務プロセスの責任者によってなされる可能性もあることを示した。
      4. 内部統制に関係を有する者の役割と責任
        • 監査役等については、内部監査人や監査人等との連携、能動的な情報入手の重要性等を記載した。また、内部監査人については、熟達した専門的能力と専門職としての正当な注意をもって職責を全うすること、取締役会及び監査役等への報告経路も確保すること等の重要性を記載した。
      5. 内部統制とガバナンス及び全組織的なリスク管理
        • 内部統制とガバナンス及び全組織的なリスク管理は一体的に整備及び運用されることの重要性を明らかにし、これらの体制整備の考え方として、3線モデル等を例示した。
    • 財務報告に係る内部統制の評価及び報告
      1. 経営者による内部統制の評価範囲の決定
        • 経営者が内部統制の評価範囲を決定するに当たって、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮すべきことを改めて強調するため、評価範囲の検討における留意点を明確化した。具体的には、評価対象とする重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標について、例示されている「売上高等のおおむね3分の2」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」を機械的に適用すべきでないことを記載した。
        • また、評価範囲に含まれない期間の長さを適切に考慮するとともに、開示すべき重要な不備が識別された場合には、当該開示すべき重要な不備が識別された時点を含む会計期間の評価範囲に含めることが適切であることを明確化した。評価対象に追加すべき業務プロセスについては、検討に当たって留意すべき業務プロセスの例示等を追加した。
        • さらに、評価範囲に関する監査人との協議について、評価範囲の決定は経営者が行うものであるが、監査人による指導的機能の発揮の一環として、当該協議を、内部統制の評価の計画段階及び状況の変化等があった場合において、必要に応じ、実施することが適切であることを明確化した。
        • なお、上記の「売上高等のおおむね3分の2」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」について、それらを機械的に適用せず、評価範囲の選定に当たって財務報告に対する影響の重要性を適切に勘案することを促すよう、基準及び実施基準における段階的な削除を含む取扱いに関して、今後、当審議会で検討を行うこととしている。
      2. ITを利用した内部統制の評価
        • ITを利用した内部統制の評価について留意すべき事項を記載した。この評価に関して、一定の頻度で実施することについては、経営者は、IT環境の変化を踏まえて慎重に判断し、必要に応じて監査人と協議して行うべきであり、特定の年数を機械的に適用すべきものではないことを明確化した。
      3. 財務報告に係る内部統制の報告
        • 内部統制報告書において、記載すべき事項を明示した。経営者による内部統制の評価の範囲について、重要な事業拠点の選定において利用した指標とその一定割合等の決定の判断事由等について記載することが適切であるとした。また、前年度に開示すべき重要な不備を報告した場合における当該開示すべき重要な不備に対する是正状況を付記事項に記載すべき項目として追加した。
    • 財務報告に係る内部統制の監査
      • 監査人は、実効的な内部統制監査を実施するために、財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠の活用や経営者との適切な協議を行うことが重要である。
      • 監査人は、経営者による内部統制の評価範囲の妥当性を検討するに当たっては、財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠も必要に応じて、活用することを明確化した。また、評価範囲に関する経営者との協議については、内部統制の評価の計画段階、状況の変化等があった場合において、必要に応じて、実施することが適切であるとしつつ、監査人は独立監査人としての独立性の確保を図ることが求められることを明確化した。
      • また、監査人が財務諸表監査の過程で、経営者による内部統制評価の範囲外から内部統制の不備を識別した場合には、内部統制報告制度における内部統制の評価範囲及び評価に及ぼす影響を十分に考慮するとともに、必要に応じて、経営者と協議することが適切であるとした。
  • 内部統制報告書の訂正時の対応
    • 近年、開示すべき重要な不備が当初の内部統制報告書においてではなく、後日、内部統制報告書の訂正によって報告される事例や、経営者による内部統制の評価範囲外から当該不備が識別される事例が一定程度見受けられる。また、訂正内部統制報告書においては、現在、当該不備が当初の内部統制報告書において報告されなかった理由、及び当該不備の是正状況等についての記載は求められていない。
    • こうしたことから、事後的に内部統制の有効性の評価が訂正される際には、訂正の理由が十分開示されることが重要であり、訂正内部統制報告書において、具体的な訂正の経緯や理由等の開示を求めるために、関係法令について所要の整備を行うことが適当である。
  • 適用時期等
    • 改訂基準及び改訂実施基準は、令和6(2024)年4月1日以後開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用する。なお、改訂基準及び改訂実施基準を適用するに当たり、関係法令等において、基準・実施基準の改訂に伴う所要の整備を行うことが適当である。
    • 改訂基準及び改訂実施基準を実務に適用するに当たって必要となる内部統制監査の実務の指針については、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で、早急に作成されることが要請される。

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金融庁 「FX取引・暗号資産投資の勧誘」にご注意!!
  • FX・バイナリーオプション・暗号資産取引等について、勧誘を要請していない顧客に勧誘を行うことは原則禁止されています!!
  • あなたが望んでいない勧誘、それは詐欺かも!?
    • 「セミナーで勉強すれば、勝てるようになる」「自動売買ソフトを使えば、なにもしなくても儲かる」などと言って、FX・バイナリーオプション・暗号資産等への投資を一方的に勧めてくるケースが以前より発生しています。特に、SNSで知り合った方からの投資勧誘に応じて投資した方からの相談が多く寄せられています。
    • また、それが友人・知人からの勧誘・紹介であったとしても、取引する業者が日本で登録を受けていない違法な業者であったり、詐欺等をしているおそれもあります。そして、取引をした結果、投資したお金が引き出せない、出金の際に税金等の名目で高額な金銭を要求される、紹介者や業者と連絡が取れなくなるといったトラブルに巻き込まれたりするケースが生じています。
  • 取引はグローバル!!でも業者はどこにいる?
    • このような勧誘による取引は、日本の法令に基づく登録等がない海外のFX業者や暗号資産取引所等を利用するとしているケースが多いです。そのため、上記のようなトラブルに巻き込まれたとしても、海外の業者であることから、損害賠償請求を海外の裁判所等に行うことになるほか、そもそも取引していた業者が存在していなかった等、被害回復が困難となる場合が多く、泣き寝入りとなってしまうおそれがあります。
  • 違法な業者と取引しない!!
    • 実際に取引する(契約する)前に、取引する業者が登録を受けているか確認しましょう。金融商品取引業の登録を受けている業者、暗号資産交換業の登録を受けている業者は、別途確認できます。
    • なお、日本で登録を受けた業者と取引を行う場合であっても、その業者の信用力などを慎重に見極めることが大切です。また、登録業者の名を利用する業者もありますので、ご注意ください。
    • また、当庁ウェブサイトの以下のページにおいて、FX・バイナリーオプション・暗号資産投資等に関する注意喚起等をしていますので、参考にしてください。

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警察庁 令和5年2月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和5年1~2月の特殊詐欺全体の認知件数は2,816件(前年同期2,147件、前年同期比+31.2%)、被害総額は61.7憶円(44.2憶円、+39.6%)、検挙件数は1,016件(778件、+30.6%)、検挙人員は321人(300人、+7.0%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は597件(443件、+34.8%)、被害総額は18.5憶円(13.4憶円、+38.1%)、検挙件数は316件(206件、+53.4%)、検挙人員は129人(115人、+12.2%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は379件(317件、+19.6%)、被害総額は5.3憶円(3.3憶円、+60.1%)、検挙件数は210件(191件、+9.9%)、検挙人員は73人(83人、▲12.0%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は745件(404件、+84.4%)、被害総額は21.0憶円(14.2憶円、+47.9%)、検挙件数は28件(17件、+64.7%)、検挙人員は16人(16人、±0%)
  • 還付金詐欺の認知件数は669件(542件、+23.4%)、被害総額は7.3憶円(5.8憶円、25.9%)、検挙件数は181件(79件、+129.1%)、検挙人員は33人(17人、+94.1%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は32件(13件、+146.2%)、被害総額は0.5憶円(0.2憶円、+133.5%)、検挙件数は1件(1件、±0%)、検挙人員は3人(1人、+200.0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は22件(3件、+633.3%)、被害総額は2.5憶円(0.5憶円、596.7%)、検挙件数は0件(0件)、検挙人員は1人(1人、±0%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は5件(7件、▲28.6%)、被害総額は0.2憶円(1.4憶円、▲84.0%)、検挙件数は0件(2件)、検挙人員は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は362件(408件、▲11.3%)、被害総額は5.0憶円(5.5憶円、▲10.1%)、検挙件数は278件(281件、▲1.1%)、検挙人員は66人(63人、+4.8%)
  • 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は41件(26件、+57.7%)、検挙人員は12人(6人、+100.0%)、口座開設詐欺の検挙件数は117件(138件、▲15.2%)、検挙人員は64人(71人、▲9.9%)、盗品等譲り受け等の検挙件数は1件(0件)、検挙人員は0人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は447件(482件、▲7.3%)、検挙人員は338人(360人、▲6.1%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は17件(21件、▲19.0%)、検挙人員は23人(20人、+15.0%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は1件(1件、±0%)、検挙人員は1人(0人)
  • 被害者の年齢・性別構成について。特殊詐欺全体は男性31.6%:女性68.4%、60歳以上89.2%、70歳以上70.2%、オレオレ詐欺は男性19.3%:女性80.7%、60歳以上98.7%、70歳以上96.5%、架空料金請求詐欺は男性61.7%:女性38.3%、60歳以上71.5%、70歳以上46.2%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳)被害者の割合について、特殊詐欺全体では82.6%(男性29.0%、女性71.0%)、オレオレ詐欺97.8%(19.2%、80.8%)、預貯金詐欺99.7%(8.2%、91.8%)、架空料金請求詐欺60.6%(65.2%、34.8%)、還付金詐欺80.9%(35.7%、64.3%)、融資保証金詐欺6.5%(100.0%、0.0%)、金融商品詐欺27.3%(33.3%、66.7%)、ギャンブル詐欺0.0%、交際あっせん詐欺0.0%、その他の特殊詐欺40.0%(100.0%、0.0%)、キャッシュカード詐欺盗99.4%(10.8%、89.2%)

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警察庁 サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会報告書等について
▼報告書 本編
  • サイバー空間は、量的に拡大し質的に深化するとともに、実空間との融合が進み、「公共空間」としての外縁を着実にそして驚くべき速さで広げている。同時に、ひとたびサイバー事案が発生すると、社会経済活動に多大な影響を及ぼしかねないことは周知のとおりである。インターネットで検索すれば、毎日のようにサイバー事案のニュースが目に飛び込んでくる。ランサムウェア感染被害の件数は右肩上がりで増加し、個人情報・機密情報の流出やインターネットバンキングに係る不正送金等のサイバー事案の例は枚挙にいとまがない。
  • 様々な主体が参画し、公共空間化が進むサイバー空間においては、各主体の関係が複雑に絡み合い、一部の被害が予想外の形で広範囲に波及する危険がある。これに的確に対処するためには、犯人を検挙して犯行の制圧を迅速に行い、また、被害拡大の阻止と被害の未然防止により、可能な限り「潜在的な被害者」を現実の被害者にしないようにすることが重要である。この点、警察が有する犯罪を捜査する機能と犯罪を予防する機能に対する国民の期待・要請は大きい。
  • 警察においては、従来、被害の届出により実態把握のための情報を収集していたが、被害者が刑事処分を望むとは限らず、被害に遭ったことへの引け目や被害者に対する社会的評価の悪化(レピュテーションリスク)の懸念から被害申告をためらうなど、現実の被害が潜在化している状況がうかがわれる。また、サイバー空間においては匿名性が悪用され、サイバー事案の中には国家の関与が疑われるものもあるなど、犯行が組織化され手法が洗練されてきていることから、被害自体の認知や事件捜査が一層困難なものになってきている。このことから、個々の事案から得られる情報が断片的なものにとどまるとしても、それらを幅広く集め、総合的に分析・検討することで実態を把握し、取締りと対策を効果的に進める必要がある。
  • こうした観点から、警察への通報・相談をより一層促進し、被害者等からの情報を広範に収集する必要があるが、そのためには、警察の情報収集能力を強化するとともに、被害者の被害拡大防止や被害回復に貢献することや、犯罪手口や未然防止対策に関する情報を社会に速やかに還元するなどの活動を充実させ、それにより、被害の通報・相談が自ずと行われる社会的な気運を醸成していくことが重要である。その前提として、警察においても、通報・相談に係る負担を軽減することや、通報・相談に対して適切に対応する必要があることは言うまでもない。
  • そうしたところ、サイバー警察局が令和4年4月に警察庁に設置された。実に28年振りの局の新設である。サイバー空間に山積する課題に対し、関係機関等との連携強化を含め、一元的かつ強力に対処する体制が備わることとなった。もちろん、対策を進める中で被害の潜在化防止もその射程の一つである。
  • サイバー空間における情勢認識
    • サイバー空間の情勢は、ランサムウェアによる被害が広範に及んでいるほか、国家を背景に持つ集団によるサイバー攻撃も確認されているなど、極めて深刻な情勢が続いている。
    • 令和5年2月に警察庁が公表した「令和4年の犯罪情勢」によると、令和4年中に警察庁に報告されたランサムウェアによる被害件数は230件と、前年比で57.5%増加し、VPN機器やリモートデスクトップ等のテレワークにも利用される機器等のぜい弱性を狙われたケースが大半を占めている。その被害は企業・団体等の規模やその業種を問わず広範に及んでおり、一時的に業務停止に陥る事態も発生している。
    • また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯について、令和4年は発生件数が1,136件、被害総額は約15億円と、いずれも3年ぶりに前年比増加となった(それぞれ前年比で94.5%、85.4%増加。)。その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導する電子メールが多数確認されている。
  • 個人情報の漏えい等の被害
    • 令和2年に改正された個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)の令和4年4月の全面施行により、従前、努力義務であった個人情報の漏えい等事案の発生時における個人情報保護委員会への報告について、一定の要件を満たすものに係る同委員会への報告及び本人への通知が義務化された。これに伴い、令和4年度上半期に個人情報保護委員会に報告された個人データの漏えい等事案は、1,587件と前年度同期の報告件数(517件)と比較して件数が増加しており、このうち、不正アクセス等による漏えい事案については、報告件数全体に占める割合こそ大きくないものの、1件当たりの漏えいの規模が1,000人を超えるものが多く確認されるなど、深刻な被害が生じている状況である。
    • 個人データの取扱いに当たっては、個人情報保護法において、個人情報取扱事業者は「個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない」と定められており、具体的に講じるべき措置として、「組織的安全管理措置」、「人的安全管理措置」、「物理的安全管理措置」、「技術的安全管理措置」、「外的環境の把握」が「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」において示されている。個人情報保護委員会では、個人情報等の取扱いに関する監視・監督を行う中で、漏えい等事案の報告を受けた場合には、事実関係及び再発防止策の確認等を行い、必要に応じて指導等を行っている。
    • また、「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定、令和4年4月1日一部変更)において、「サイバーセキュリティ対策の観点から、個人情報保護委員会は、各主体が取り扱う保有個人データや個人データの外部からの不正アクセスやランサムウェア等のサイバー攻撃等による漏えい等の未然防止や被害の拡大防止等のリスクの低減、漏えい等事態への適切かつ迅速な対応を図るため、NISC等の関係省庁等及びサイバーセキュリティ関係機関と緊密に連携する」と定められている。これを踏まえ、令和4年12月に開催された「個人情報保護法サイバーセキュリティ連携会議」において、各省庁・機関が持つ報告等の枠組みを活用して双方の報告等制度の更なる促進を図ることの重要性について認識が共有された。
  • 医療分野におけるサイバー事案被害
    • 本検討会における警察庁の発表によると、警察庁に報告された医療・福祉分野におけるランサムウェアによる被害件数は増加傾向にあり、データが暗号化されることによって電子カルテシステムが使用不能となり、新規外来患者の受け入れを停止するなどの被害が生じている。
    • 具体の事例について、厚生労働省の発表によると、令和4年10月、大阪府立病院機構の大阪急性期・総合医療センターにおいて、センター内の調理を委託していた給食事業者のシステムを経由してランサムウェアに感染する被害が生じた。これにより、同センターでは新規外来患者の受入れを一時停止するとともに、緊急性が高くない入院患者の一度自宅退院、周辺病院への転院を進めることとなった。結果的に患者の生命等への影響はなかったものの、地域医療に深刻な影響が生じた
    • 厚生労働省においては、こうした状況を踏まえ、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の改定を進めるとともに、ぜい弱性が指摘されている機器・ソフトウェアの確実なアップデートの働きかけ、医療分野におけるサイバーセキュリティに関する情報共有体制(ISAC)の構築等に向けた取組等のほか、厚生労働省委託事業において、「医療機関向けセキュリティ教育支援ポータルサイト(MIST:Medical Information Security Training)」等による医療機関向けサイバーセキュリティ対策研修の充実や被害発生時の初動対応の支援(駆けつけ機能の確保)等により、医療情報システムのサイバーセキュリティの強化を推進している。
  • クレジットカード決済におけるサイバー事案被害
    • 社会のデジタル化・新型コロナウイルス感染症の被害拡大を受けた巣ごもり需要の拡大等により、令和3年のECの市場規模は約21兆円にまで拡大し、これに伴いECサイトでの非対面取引における主要な決済手段としてクレジットカードが利用される機会が増加している。民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率は令和3年には32.5%に達し、クレジットカードの取引はそのうち約9割を占めているところ、今後も引き続き増加すると見込まれている。
    • 一方で、EC加盟店やクレジットカードの決済代行会社等が標的となったサイバー事案だけでなく、消費者が標的となったフィッシング被害により、令和3年にはクレジットカードの不正利用被害額は約330億円と過去最高となっている。このうち、クレジットカードの番号盗用の割合が約94%を占め、非対面取引でクレジットカード番号等を窃取したなりすましによる不正利用が主要な要因となっている。これらの不正利用の対象となっているクレジットカード番号等は、関係事業者からの漏えいだけでなく、クレジットカード決済処理の仕組みを悪用しクレジットカード番号等を割り出すクレジットマスター、SMS等を通じて利用者からクレジット情報等をだまし取るフィッシングにより詐取されているとみられている。また、クレジットカード決済機能の分化により多様な主体がクレジットカード決済網に関与しているため、EC加盟店、ECシステム提供者、決済代行業者、消費者等、多様な主体に対するサイバー攻撃のリスクが存在している。
    • 経済産業省においては、クレジットカード決済システムの信頼性を確保すべく、割賦販売法(昭和36年法律第159号)に基づくクレジットカード番号等の適切管理や加盟店での不正利用防止を義務付けている。
    • 特に非対面取引での安全・安心なクレジットカード決済を確保するため、令和4年8月に有識者会議「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会」を立ち上げ(警察庁はオブザーバ参加)、(1)クレジットカード番号等を安全に管理する(漏えい防止)、(2)クレジットカード番号等を不正に利用させない(不正利用防止)、(3)クレジットの安全・安心な利用に関する周知・犯罪の抑止、の3本柱に沿って、当該検討会での議論を踏まえ、クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化に向けた具体的な取組と今後の課題について、令和5年1月に報告書を取りまとめている。
    • 今後、デジタル化の更なる進展により新たなサービスが次々と生み出され、社会に展開されていくと予想されることに伴い、複数のデジタルサービスの連携の間隙を突いた犯罪や、技術革新の恩恵を攻撃側が悪用する犯罪等の発生が懸念される。また、クラウドサービスの利用拡大、産業分野でのAIやIoT機器の利用拡大等により、サイバー事案が経済社会活動等に与える影響も、より広範により重篤に及ぶようになり、被害が発生した際の影響を予見したり、発生原因を特定したりすることが困難になると懸念される。
    • サイバー空間の脅威は、今後、より一層深刻なものになっていくことが予想される
  • 通報・相談の重要性
    • 前述した深刻化する情勢においてもなお、サイバー空間の安全・安心を確保するためには、サイバー事案が発生した場合に、被疑者の検挙に向けた捜査を行うことに加え被害者や被害企業等における被害の拡大防止や被害回復、社会全体の被害の未然防止対策を推進することが必要不可欠である。
    • こうした観点から、警察では、サイバー事案を把握した場合は、捜査のみならず攻撃者・犯行手口等の実態解明や被害防止対策・未然防止対策等、様々な取組を行っている。
    • 被害の未然防止対策については、例えば、令和4年8月下旬から9月にかけてインターネットバンキングに係る不正送金被害が急増した際には、警察庁において、通報・相談により把握した情報を基に不正送金被害の手口等を分析し、令和4年9月に警察庁ウェブサイトにおいて注意喚起を行っている。また、同月、金融庁と連携し、業界団体等を通じて金融機関に対しフィッシング対策の強化を要請している。
    • また、サイバー攻撃を受けたコンピュータやサイバー攻撃に使用された不正プログラムの解析結果や犯罪捜査の過程で得た情報等を総合的に分析し、攻撃者及び手口に関する実態解明に努めているところ、これらの情報等は、サイバー攻撃の攻撃者を公表し、非難することでサイバー攻撃を抑止する、いわゆるパブリック・アトリビューション等にも活用されている。令和4年10月には、金融庁、内閣サイバーセキュリティセンターと連名で、北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたサイバー攻撃について、具体的な攻撃の手口、リスク低減のための対処例を示すなどの注意喚起を行っているほか、12月には、我が国として同グループを外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)に基づく資産凍結等の対象として指定している。
    • さらに、サイバー攻撃の攻撃者等を特定するに至らず、パブリック・アトリビューションを実施できない事案についても、事業者等からの通報・相談を基に捜査・実態解明を実施し、関係省庁と連携して広く手口や対策方法を公表し、注意喚起を行うことで、被害の未然防止・拡大防止を図っている。例えば、令和4年11月30日には、内閣サイバーセキュリティセンターと連名で、学術関係者・シンクタンク研究員等を標的としたサイバー攻撃について、注意喚起文を発出している。
    • このように、警察では、サイバー事案の捜査のみならず、攻撃者・犯行手口等の実態解明、被害の拡大防止・未然防止対策に取り組んでいるところであるが、これらは主に国民・企業等からの通報・相談によって得られた情報を端緒として実施しているものであり、通報・相談が警察の活動において重要かつ代替できない役割を担っている。
  • 被害の潜在化
    • ところが、サイバー事案においては、被害者側におけるレピュテーションリスクや、早期復旧に支障が及ぶことなどへの懸念、届出するべきなのか分からないなどの理由から、被害者からの通報・相談がためらわれる傾向があり、いわゆる「被害の潜在化」が課題となっている。
    • 警察庁が令和4年に実施した「不正アクセス行為対策等の実態調査」において、過去1年間に不正アクセス等の被害に遭った行政機関や企業等に対して、届出先機関を調査したところ、「届け出なかった」が最も多く43.9%を占めていた。また、このうち、届出を躊躇させる要因(複数回答)については、「実質的な被害が無かった」との回答が74.4%、「社・団体内で対応できた」との回答が32.6%であった。
    • 通報・相談が適切に対応されていない要因には、
      • 届出する必要があるかわからない
      • どこに届ければよいかわからない(通報すべき窓口がわからない)
        など、犯罪の態様や通報・相談に関する情報不足によるものが見受けられるほか、ランサムウェアの被害者に対して警察が実施したアンケートにおいて、「復旧作業等に対応する中で、捜査協力としてどのような対応を求められるかわからない」、「被害に関する情報が外部に伝わってしまう懸念がある」等の捜査協力に関して不安がある旨の意見も見受けられた。
    • また、個人の被害者に目を向けると、高齢者や青少年が被害に遭った際に、そもそも被害に遭ったことを認識していないことや、犯罪に関する知識不足や家族に相談しにくい内容などにより、被害の通報・相談がなされていない状況がうかがわれる。
    • さらに、警察への通報・相談がなされた際、警察の受理体制の不足や対応者の知識不足等により、適切な対応・処理がなされていない状況も発生している。暗号資産やNFT(NonFungible Token;非代替性トークン)等のいわゆるデジタル資産をはじめとした新たな情報通信技術に関する知識不足・理解不足は、その一因であろう。
    • なお、被害の潜在化は、「サイバーセキュリティ戦略」(令和3年9月28日閣議決定)においても、「サイバー犯罪に関する警察への通報や公的機関への連絡の促進によって、サイバー犯罪の温床となっている要素・環境の改善を図る」とされているなど、警察のみならず政府・社会全体として取り組むべき課題とされている。
    • また、攻撃を受けた被害組織がサイバーセキュリティ関係組織と被害に係る情報を共有するための取組として、官民の多様な主体が連携する協議体である「サイバーセキュリティ協議会」の運営委員会の下に、「サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス検討会」を開催し、被害組織が被害情報を共有する際の実務上の参考となるガイダンス(サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス)が策定された。当該検討では、警察庁も事務局として参画しており、被害発生時における警察への通報・相談の必要性やその意義について活発な議論等が行われたところである。
  • 被害の潜在化防止に向けた方策
    • 前述した被害の潜在化を防止するためには、広く社会に対して警察への通報・相談の重要性、意義等のほか、被害発生時の被害拡大防止・被害回復等に関する助言等の被害企業等に裨益する事項を丁寧に周知する必要がある。
    • 社会への周知に当たっては、既に整備された法的枠組みや関係省庁や企業等との情報共有や交換の枠組み等を活用することが一般に効率的かつ効果的であることは論をまたないであろう。
    • 具体的には、個人情報の漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合は、個人情報保護委員会への報告等が義務化されており、また、重要インフラ事業者等については、各業法等により事業への障害を所管省庁へ報告することが義務付けられている。
    • こうした枠組みを活用するためには、所管省庁等と連携した取組を推進する必要があり、これについては3.1において検討する。
    • 同時に、警察における通報・相談に関する環境整備を進める必要がある。これは、情報発信や広報啓発の観点、マニュアル整備や教育の実施等、警察側の対応を見直すものであり、その中には、警察の相談・受付対応者の意識改善といった論点を含むものである。
  • 関係機関等との連携強化
    • 概括すると、事案発生時においては、可能な場合は関係省庁等から被害概要等を提供してもらうとともに、関係省庁等から被害企業等に警察への通報・相談を促進してもらうべきである。一方で、警察において事案を認知した場合は、所管行政を円滑に進めるためにも被害企業等に対し関係省庁等への報告の有無を確認し、報告していない場合は報告を促すべきである。
    • 社会的な反響の大きい事案となりやすい分野を所管する省庁等として、例えば、NISC、金融庁や総務省に加え、個人情報保護法を所管する個人情報保護委員会や、医療機関を所管する厚生労働省、大学等を所管する文部科学省、クレジットカード業界を所管する経済産業省等が挙げられる
    • 具体的には、個人情報保護委員会においては、個人情報漏えい等事案の報告を受けた場合に、被害企業等に対し警察への通報を促進することが望まれる。また、厚生労働省、文部科学省及び経済産業省においては、医療機関や大学、クレジットカード事業者等においてサイバー事案が発生した際に、被害組織に対し警察への通報を促進するとともに、情報の取扱い等に関する被害組織の意向に配慮しつつ、被害の概要を警察庁に提供することが望まれる。
    • また、こうした取組は、被害発生時に緊急に実施したとしても実効性を確保することが困難であることから、平素から相互に通報・相談又は報告の促進に関する広報啓発を推進することが求められる。
    • 具体的には、ガイドライン等に盛り込んだり、講演等において説明したりすることが適当であろう。また、令和5年3月24日、警察庁サイバー警察局と個人情報保護委員会事務局との間で連携に関する覚書が締結されているところ、このように関係機関等との間で申し合わせを締結し、これを広報することなどにより、関係業界団体や国民に対しそれぞれの取組を可視化することも効果が大きいと考える。
  • サイバー事案の被害に関する報告窓口の一元化
    • 被害企業等の報告先が複数にわたる場合があることは述べたが、企業等がサイバー事案の被害に遭った場合の関係機関等への報告は、被害企業等の負担軽減や関係機関等における迅速な情報の把握・共有の観点から、ポータルサイトを設けるなど窓口を一元化(統一化)すべきである。警察庁においては、犯罪被害の拡大防止を強力に進めるため、省庁横断の統一窓口の創設に向けイニシアティブを強力に発揮することを期待する。
    • そして、より負担が少なくスタートしやすいことから、第一歩として、被害に遭った企業等が届け出る内容や様式について、関係機関等と連携し可能な限り統一化することから始めるべきである。
    • そのほか、例えば、インターネット上の誹謗中傷について警察による捜査等を望まずに削除のみを希望する被害者や、自社のウェブサイトを騙ったフィッシングサイトについて迅速なテイクダウンを求める企業等、通報・相談の内容によっては警察以外の窓口に相談することが適している場合もある。そうした通報・相談の内容に関し、関係機関等と連携して対策等に関する広報啓発を行うとともに、それぞれの所掌事務、特徴等を生かせる分野等を基に、効果的な役割分担となるよう検討を進め、あわせて、関係機関等の窓口や担当業務を都道府県警察のウェブサイト等において提示すべきである。
  • 被害者に対する情報発信の不足
    • 通報・相談を行うに当たって必要な情報が不十分であることが、通報・相談を躊躇させる理由となっている状況がうかがえることは述べたとおりである。
    • 実際、都道府県警察のウェブサイトにおける情報発信の状況について調べたところ、「サイバー犯罪の具体例を示している」のが30警察、「通報・相談すべき具体的内容を示している」のが23警察、「通報・相談時に必要となる情報を示している」のが10警察、「よくある相談とその対応策を示している」のが26警察、「被害回復の手続を示している」のが4警察であるなど、全ての都道府県警察において情報発信を十分に実施できていないことが判明している(令和5年2月末時点)。
    • また、都道府県警察のウェブサイトからのサイバー相談受理状況は極めて低調であることも併せて判明しているところ、都道府県警察における通報・相談窓口は、必ずしも担当窓口や警察署の電話番号が明示的ではない状況である。都道府県警察のウェブサイトにおけるサイバー相談に関する窓口の設置状況について確認したところ、入力フォームか電子メールかの違いはあるものの、19警察にのみ設置されている状況であり、残りの都道府県警察では、警察相談の枠組みで相談を受け付けている状況であった(令和5年2月末時点)。
  • 被害者が相談しにくい事案の存在
    • 3G回線のサービス終了や成人年齢の引き下げといったことを背景として、これまでインターネットやスマホに触れてこなかったなどの理由から情報リテラシーが比較的低い層における急速なスマートフォンの普及が見込まれる。こうしたことに加え、被害に遭った高齢者や青少年が家族等に相談しにくいなどの理由から、通報・相談が躊躇されることが懸念される。例えば、サポート詐欺であれば、被害者が犯罪と認識できずコンビニエンスストア等でギフトカードを購入し送金する事案が発生しているほか、フィッシング詐欺のように偽のサイトと気付かずに銀行の口座番号やパスワードを入力し不正送金されてしまう事案が発生している。
    • また、令和4年10月末時点で外国人労働者数が過去最高を記録し、今後も来日する外国人の増加が見込まれることを踏まえ、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和4年度改訂)」(令和4年6月14日関係閣僚会議決定)に基づいて日本語が堪能ではない外国人に対する配慮を実施する観点や、「障害者基本計画(第5次)」(令和5年3月14日閣議決定)に基づく障害のある人への合理的配慮を提供する観点等からの対応を併せて行う必要がある。
    • こうした状況を踏まえると、高齢者、青少年、外国人、障害のある人等に対し、被害の拡大防止・未然防止等の観点から、どういった犯行手口があるのかを個別かつ丁寧に説明を行う必要があるほか、万が一だまされた場合における被害対策を講じる必要がある。
  • 警察の適切な対応の不足
    • 国民や企業等が警察に通報・相談した際に、警察において適切な対応が取られていない場合があるとの指摘がなされている。例えば、警察からの説明が不十分であり、「通報や相談をしても警察は捜査に消極的である」との印象を与える場合がある。また、通報・相談の対応をする警察職員によっては、デジタル資産をはじめとした新たな情報通信技術に関する知識不足・理解不足等により、被害者の窮状や切迫した状況等が理解できず適切な対応ができていない場合がある。
    • これまで述べてきた施策を推進し通報・相談が促進されたとしても、こうした対応が改善されない場合は、被害者の要望や希望に対する落差は大きくなり警察への信頼が失われ、かえって被害が潜在化してしまうおそれがある
  • インターネット上の通報・相談窓口の統一化
    • 述べたとおり、企業等がサイバー事案の被害に遭った場合の関係機関等への届出先は、通報・相談を行う企業等の負担軽減や関係機関等における迅速な情報の把握・共有の観点から、ポータルサイトにより統一されることが望ましい。しかし、こうした取組については、関係機関等との調整や所要の期間、予算等を要することから、関係機関等の相談窓口について相互に参照できるようにすると同時に、まずは警察庁においてインターネットから一元的かつ簡易に通報・相談できる窓口を整備するべきである。
    • この際、インターネットからの手続に苦手意識を持つ高齢者等もいることから、一元的に相談を受け付けるページにおいて、各都道府県警察の警察署の連絡先のリンクを掲載するなどの配慮を行うべきである

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内閣官房 ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議
▼結果概要
  • 会合では、公共調達における人権配慮に関する政府の方針について決定を行いました。具体的には、入札説明書や契約書等において、「入札希望者/契約者は『責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン』(以下、人権DDガイドライン)を踏まえて人権尊重に取り組むよう努める。」旨の記載の導入を進めることとしました。
  • また、昨年9月に策定した人権DDガイドラインの普及・周知活動について、各府省庁から取組状況について報告がありました。政府としては、引き続き行動計画を着実に実施し、省庁横断的に取組を進めていく考えです。
  • 参考1 「ビジネスと人権」に関する行動計画
    • 我が国は、2016年に行動計画の策定を決定。2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018―『Society 5.0』『データ駆動型社会』の変革―」や、「SDGs実施指針改定版」等にその旨盛り込まれている。
    • 2018年、行動計画策定の第一段階として現状把握調査を実施し、「ビジネスと人権に関する行動計画に係る諮問委員会」及び「ビジネスと人権に関する行動計画に係る作業部会」での議論やパブリックコメントを踏まえて、2020年10月に、「ビジネスと人権に関する関係府省庁連絡会議」において、企業活動における人権尊重の促進を図るため、本行動計画を策定及び公表。
    • 本行動計画においては、「ビジネスと人権」に関して、今後政府が取り組む各種施策が記載されているほか、企業に対し、人権デュー・ディリジェンスの導入促進への期待が表明されている。
  • 参考3 人権デュー・ディリジェンス
    • 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において、「人権デュー・ディリジェンス」は、人権への悪影響を特定し、予防し、軽減し、対処し、情報発信を継続的に実施するプロセスとしている。
▼公共調達における人権配慮について
  • 政府の実施する調達においては、入札する企業における人権尊重の確保に努めることとする。
  • 具体的には、公共調達の入札説明書や契約書等において、「入札希望者/契約者は『責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン』(令和4年9月13日ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議決定)を踏まえて人権尊重に取り組むよう努める。」旨の記載の導入を進める

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内閣官房 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策
▼防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(概要)
  • 基本的な考え方
    • 近年、気候変動の影響により気象災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震等の大規模地震は切迫している。また、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化するが、適切な対応をしなければ負担の増大のみならず、社会経済システムが機能不全に陥るおそれがある。
    • このような危機に打ち勝ち、国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を図る必要がある。また、国土強靱化の施策を効率的に進めるためにはデジタル技術の活用等が不可欠である。
    • このため、「激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」「国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進」の各分野について、更なる加速化・深化を図ることとし、令和7年度までの5か年に追加的に必要となる事業規模等を定め、重点的・集中的に対策を講ずる
  • 重点的に取り組む対策・事業規模
    • 対策数:123対策
    • 追加的に必要となる事業規模:おおむね15兆円程度を目途
      • 激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策[78対策] おおむね12.3兆円程度
        • 人命・財産の被害を防止・最小化するための対策[50対策]
        • 交通ネットワーク・ライフラインを維持し、国民経済・生活を支えるための対策[28対策]
      • 予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策[21対策] おおむね2.7兆円程度
      • 国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進[24対策] おおむね0.2兆円程度
        • 国土強靱化に関する施策のデジタル化[12対策]
        • 災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化[12対策]
      • 合計 おおむね15兆円程度
  • 激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策[78対策]
    • 人命・財産の被害を防止・最小化するための対策[50対策]
      • 流域治水対策(河川、下水道、砂防、海岸、農業水利施設の整備、水田の貯留機能向上、国有地を活用した遊水地・貯留施設の整備加速)(国土交通省、農林水産省、財務省)
      • 港湾における津波対策、地震時等に著しく危険な密集市街地対策、災害に強い市街地形成に関する対策(国土交通省)
      • 防災重点農業用ため池の防災・減災対策、山地災害危険地区等における治山対策、漁港施設の耐震・耐津波・耐浪化等の対策(農林水産省)
      • 医療施設の耐災害性強化対策、社会福祉施設等の耐災害性強化対策(厚生労働省)
      • 警察における災害対策に必要な資機材に関する対策、警察施設の耐災害性等に関する対策(警察庁)
      • 大規模災害等緊急消防援助隊充実強化対策、地域防災力の中核を担う消防団に関する対策(総務省) 等
    • 交通ネットワーク・ライフラインを維持し、国民経済・生活を支えるための対策[28対策]
      • 高規格道路のミッシングリンク解消及び4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化等による道路ネットワークの機能強化対策、市街地等の緊急輸送道路における無電柱化対策(国土交通省)
      • 送電網の整備・強化対策、SS等の災害対応能力強化対策(経済産業省)
      • 水道施設(浄水場等)の耐災害性強化対策、上水道管路の耐震化対策(厚生労働省) 等
  • 予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策[21対策]
    • 河川管理施設・道路・港湾・鉄道・空港の老朽化対策、老朽化した公営住宅の建替による防災・減災対策(国土交通省)
    • 農業水利施設等の老朽化、豪雨・地震対策(農林水産省)
    • 公立小中学校施設の老朽化対策、国立大学施設等の老朽化・防災機能強化対策(文部科学省) 等
  • 国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進[24対策]
    • 国土強靱化に関する施策のデジタル化[12対策]
      • 連携型インフラデータプラットフォームの構築等、インフラ維持管理に関する対策(内閣府)
      • 無人化施工技術の安全性・生産性向上対策、ITを活用した道路管理体制の強化対策(国土交通省) 等
    • 災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化[12対策]
      • スーパーコンピュータを活用した防災・減災対策、高精度予測情報等を通じた気候変動対策(文部科学省)
      • 線状降水帯の予測精度向上等の防災気象情報の高度化対策、河川、砂防、海岸分野における防災情報等の高度化対策(国土交通省) 等

~NEW~
内閣官房 再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(第3回)議事次第
▼資料1-1 「GX実現に向けた基本方針」を踏まえた再生可能エネルギーの導入拡大に向けた関係府省庁間連携アクションプラン(案)概要
  • 「GX実現に向けた基本方針」に基づき、再生可能エネルギーについては、本常会にGX脱炭素電源法案を提出。地域との共生を図りながら、主力電源として最優先の原則で最大限導入拡大に取り組む。このため、関係府省庁間及び自治体との連携を強化し、以下の取組を加速。
  • 併せて、「福島新エネ社会構想」の実現に向け、関係府省庁連携の下、取組を加速
  • 再エネ導入に向けた環境整備
    1. イノベーションの加速
      • 日本発のペロブスカイト太陽電池は、主原料のヨウ素生産量が世界2位。軽量・柔軟で、技術自給率向上に資する国産再エネ。量産技術の確立、需要の創出、生産体制整備を三位一体で進め、2030年を待たずに早期の社会実装を目指す。公共施設・ビルの壁面、工場・倉庫・学校施設等の屋根、空港・鉄道の未利用地等への導入を推進。
      • 浮体式洋上風力は、我が国の地の利を活かし世界をリードすべく、2023年度内に官民協調で産業戦略及び導入目標を策定。GI基金も活用し、2023年度から大規模実証を開始。コスト競争力ある生産体制構築を推進。
      • GX経済移行債も活用し、産業競争力強化・経済成長と排出削減の両立に貢献する分野を後押し。
      • 大学・高専・研究機関と連携した人材育成を強化。
    2. 次世代ネットワークの構築/調整力の確保
      • 北海道からの海底直流送電について、2030年度までの完工を目指し、2023年度内に、(1)道路、鉄道網等のインフラ活用も含めた具体的な敷設ルート作成に向けた調査・関係者との調整、(2)ファイナンスの具体化、(3)実施主体の立ち上げに向けた環境整備を行う。
      • 2030年に向けた定置用蓄電池の導入見通しを2023年夏目途に策定。また、蓄電池の機能を最大限評価できるよう、電気自動車や家庭用蓄電池等が需給調整市場に参加できる仕組みを早期に構築し、2026年度までの開始を目指す。
      • 2023年度に導入予定の長期脱炭素電源オークションにより、揚水発電や蓄電池など脱炭素型調整力を確保。
    3. 需要側による取組
      • 需給ひっ迫対策や再エネ有効活用に資するディマンドリスポンス(DR:現状230万kW程度)について、改正省エネ法による定期報告を2023年度から義務化。DRに対応できるよう、設備のIoT化を促進しつつ、年間50万kW規模の積み増しを目指す。高度なDRの報告・評価方法を2023年度中に具体化する。
      • 事業者の省エネ・非化石転換の取組の情報発信を促すため、省エネ法定期報告の任意開示を2023年度から試行運用し、2024年度から本格運用を目指す。
      • 脱炭素先行地域、DX、コンパクトシティ等、関係府省庁の取組を組み合わせて、相乗効果を生み出す。
  • 再エネの推進と規律の両立
    1. 地域と共生した再エネの導入拡大
      • 太陽光:温対法、農山漁村再エネ法、建築物省エネ法を活用した後押しを実施。事業用太陽光について、2023年度下期より、屋根設置の買取区分を創設しメリハリのついた導入を促進。2030年に現在の約2倍である14-16%の導入を目指す。
      • 風力:洋上風力の導入拡大に向け、港湾等の環境整備や排他的経済水域(EEZ)の国内法制度の検討を行う。また、浮体式洋上風力の導入拡大に向けて、海外の公募制度も踏まえた検討を行う。
      • 水力:既存ダムの発電可能性を調査し、AIを活用したダム流入量予測やダムの運用高度化等により治水機能と水力発電の増強を両立するハイブリッドダムの取組等を推進。
      • 地熱:地熱の導入拡大に向け、有望地点の特定、初期調査支援等の実施。新技術等の導入支援。探査技術高度化によるリードタイム短縮、森林の公益的機能と調和した利用促進、地熱開発加速化プランの着実な実施、地域の理解促進強化を実施。
      • バイオマス:新たな燃料ポテンシャル(早生樹、広葉樹等)の開拓のための実証等による国産バイオマス燃料の低コスト化を推進。ライフサイクルGHG排出量が、2030年までは火力発電と比較して50%削減、2030年度以降は70%削減を満たす等の事業環境整備を推進。
    2. 適切な事業規律の確保
      • 本常会にGX脱炭素電源法案を提出。加えて、省令改正により、FIT申請時の手続き強化や立地状況のリスク等を踏まえた運用強化などを、2023年夏頃までに行う。
      • 衛星データを含め地理情報を一元化し、各発電設備の立地情報を反映・充実化するシステム整備を2023年度中に速やかに構築。自治体や関係省庁が連携し、発電エリアのリスクマネジメントを強化。
      • 太陽光パネル等の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討を開始し、2023年内を目途に結論を得る。また、リサイクル技術の高度化や、リユース・リサイクルの促進に向けた実証に関する取組を進める。
    3. 「福島新エネ社会構想」に基づく再エネ等の導入拡大
      • 2023年度に設立したF-REI、FREAや県内企業等が連携し、再エネ・水素分野の研究開発・産業集積・人材育成を推進。
      • 阿武隈山地の送電線整備を速やかに行い、2024年度頃までに福島県内の風力発電導入量を2020年度比で約3倍に増やす。
      • FH2Rを核とした水素の本格的な社会実装に向け、関係府省庁や自治体等で議論する場を設置し、2023年春より検討を本格化。
  • アジアゼロエミッション共同体(AZEC)構想の下、AZECパートナーとの相互の信頼を活用し、エネルギートランジションの加速に共同で取り組む。その際、日本の技術や制度を活かし、アジアを中心に世界の脱炭素化に貢献していく

~NEW~
首相官邸 国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等関係閣僚会議
▼国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等に関する基本戦略(概要)
  • 「国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等に関する基本戦略」の概要
  • 基本戦略策定の背景と目的
    • 基本計画は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大があったこと等から、2020年までの計画期間を2022年まで延長している。
    • 今般、我が国を含む世界各国においてウィズコロナの取組が進み、2023年には我が国が議長国となるG7サミットが開催されることも踏まえ、基本方針と基本計画とを一本化し改定することにより、基本戦略を取りまとめ、関係府省庁が一体となって施策を推進していく。
    • 感染症対策については、各国の国際社会の一員としての貢献が、国際社会、自国における感染症との戦いを有利にするものであるという観点から、本基本戦略には先進諸国との連携、開発途上国への国際協力等を通じて国際社会へ貢献するための施策を盛り込む。これに伴い、本基本戦略の名称を「国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等に関する基本戦略」とする。
    • 基本戦略は、「グローバルヘルス戦略」、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」、「新型インフルエンザ等政府行動計画」、「アジア健康構想に向けた基本方針」、「アフリカ健康構想に向けた基本方針」等の関係する政府方針等とも相互に連携を図り、一体的に推進。
  • 主な新規・強化事項等
    1. グローバルヘルス・アーキテクチャーの構築を通じたPPRの強化、UHC推進への貢献等
      • 新たな資金メカニズム(パンデミック基金)や財務・保健連携を含む関連する新たなプラットフォームなどのグローバルヘルス・アーキテクチャー強化の動きに適切に対応
      • 2024年5月の第77回WHO総会において国際保健規則の改正案の採択がなされるよう、積極的に議論に参加。また、新たな国際文書の策定のための政府間交渉会議が設置され、加盟国間で交渉が開始されており、日本は副議長国として貢献
      • WHOの取組を活用することで有機的な国際的なネットワークを形成し、現場のニーズに対応できる国際保健人材の育成や、医療技術、医薬品等の開発の促進加速化等
      • UHCに関する国際会議等の取組、これらの有機的な連携を通じ、グローバルレベルでのより強靭、公平、持続可能なUHCの達成に向けた取組の効果的かつ確実な実行を促進
      • 国立健康危機管理研究機構を創設し、UHC実現等に向け、WHOや各国CDC等の国際機関・公衆衛生当局と連携、協力関係を構築。相手国への医師等派遣、公衆衛生対応力の向上支援、現地人材の育成などを行う
      • WHO任意拠出金、世界銀行等の国際機関やCEPI、世界抗結核薬基金、グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ拠出金、GHIT等の官民連携基金等に対する適切な拠出を通じた国際連携強化
      • 医薬品への公平なアクセス確保のための国際的な枠組みにおける議論に参加 等
    2. 感染症等対応人材の充実、人的支援による国際貢献等
      • 国立感染症研究所の実地疫学専門家養成コースの研修内容の高度化等を実施
      • 国際緊急援助隊・感染症対策チームの派遣体制の整備、活動支援 等
    3. 感染症に関する検査、情報収集・分析、研究等の推進
      • 国立健康危機管理研究機構において、国内外の多施設共同治験等のネットワーク構築の推進、国内外で活躍できる人材養成等
      • AMEDに先進的研究開発戦略センター(SCARDA)を設置し、世界トップレベル研究開発拠点の形成や戦略的なワクチン開発を長期的に支援
      • 長崎大学に建設が完了したBSL4施設について、安全・安定的な管理運営に向け必要な支援を行う 等
    4. ワンヘルス・アプローチの推進
      • 輸入動物を介した感染症の侵入防止対策や、渡り鳥等の越境等により発生する可能性のある感染症(鳥インフルエンザ等)への早期対応
      • 人獣共通感染症病原体のゲノム性状の解析、薬剤耐性菌の実態解明に向けた研究等において、関係機関による分野横断的な連携を推進
      • 連携シンポジウム等の開催による関係機関間での協力体制の強化
      • 自治体とも緊密に連携を図り、ワンヘルスの一層推進。自治体において、部局を超えて防疫体制を構築するなど、自治体内での部局間の緊密な連携を図る 等
    5. 薬剤耐性(AMR)対策の推進
      • 抗菌薬開発に対する新たな市場インセンティブの導入を含めた、薬剤耐性(AMR)対策に資する研究開発を推進し、薬剤耐性(AMR)に関する国際的な政策の推進を主導
      • WHOのAMRに対する取組の支援、G7プロセスにおける薬剤耐性(AMR)の取組の更なる推進。国際連合食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)及び国際連合環境計画(UNEP)、並びに世界抗結核薬基金(ストップ結核パートナーシップ)、グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ(GARDP)及びパンデミック基金等の国際的イニシアティブによる薬剤耐性(AMR)に対する取組への支援又は貢献を行うことで、先進国間における国際連携を強化するとともに、国際的な議論を主導

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症に係る水際措置の見直しについて
  • 新型コロナ感染症に関する水際対策について申し上げます。5月8日に予定されている新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの変更に伴い、新型コロナウイルス感染症に関する水際措置も終了する予定ですが、これに併せて、新たな感染症の流入を平時においても監視するため、「感染症ゲノムサーベイランス」を5月8日に開始することとします。
  • また、中国本土からの直行旅客便での入国者に対して講じている臨時的な措置について、内外の感染状況、臨時的な措置によって得られた知見、G7各国の水際措置の状況などを踏まえ、変更することとします。具体的には、中国本土便による入国者に対するサンプル検査は引き続き行うこととしますが、4月5日午前0時以降、これらの入国者に対する陰性証明書の提出に代えて、従来の措置である陰性証明書又はワクチン3回の接種証明書のいずれかの提出を求めることとします。

~NEW~
経済産業省 外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮輸出入禁止措置を延長しました
  • 経済産業省は、「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮に係る対応措置について」(令和5年4月7日閣議決定)に基づき、北朝鮮を仕向地とする全ての貨物の輸出禁止及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする全ての貨物の輸入禁止等の措置を引き続き講ずることとしました。
  • 措置の内容
    • 北朝鮮を仕向地とする全ての貨物について、経済産業大臣の輸出承認義務を課すことにより、輸出を禁止します(関係条文:外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)第48条第3項)。
    • 北朝鮮を原産地又は船積地域とする全ての貨物について、経済産業大臣の輸入承認義務を課すことにより、輸入を禁止します(関係条文:外為法第52条)。
    • これらの措置に万全を期すため、次の取引等を禁止します。
      1. 北朝鮮と第三国との間の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(仲介貿易取引)(関係条文:外為法第25条第6項)
      2. 輸入承認を受けずに行う原産地又は船積地域が北朝鮮である貨物の輸入代金の支払(関係条文:外為法第16条第5項)
    • 人道目的等に該当するものについては、措置の例外として取り扱うものとします。
  • 措置の期間
    • 上記の措置は、令和5年4月14日から令和7年4月13日までの間、実施します。

~NEW~
経済産業省 2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました~キャッシュレス決済比率は36.0%、決済額は初の100兆円超えに拡大~
  • 経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げ、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。この目標の実現に向け、キャッシュレス決済比率を定期的に算出・公表しています。
  • 2022年のキャッシュレス決済比率は、36.0%となりました。
  • 2022年のキャッシュレス決済比率は堅調に上昇し、36.0%(111兆円)となりました。その内訳は、クレジットカードが30.4%(93.8兆円)、デビットカードが1.0%(3.2兆円)、電子マネーが2.0%(6.1兆円)、コード決済が2.6%(7.9兆円)でした。

~NEW~
経済産業省 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を公表しました
  • 人権方針の策定
    • 人権方針は策定・公表することで終わりではなく、企業全体に人権方針を定着させ、その活動の中で人権方針を具体的に実践していくことが求められることに留意が必要です(ガイドライン3.2)。
      1. 自社の現状把握
        • 社内各部門からの知見収集、ステークホルダーとの対話・協議等を通じた、自社が関与し得る人権侵害リスク3についての確認。(ガイドライン 3.1)
      2. 人権方針案作成
        • 上記も踏まえつつ、記載すべき項目を検討
      3. 経営陣の承認
        • 企業のトップを含む経営陣(例:取締役会4)の承認(ガイドライン 3)
      4. 公開・周知等
        • 自社ホームページへの掲載など一般への公開(ガイドライン 3.1)
        • 従業員、取引先、関係者への周知(ガイドライン 3.1)
  • 人権方針に記載することが考えられる項目の例
    1. 位置付け
      • 人権方針は、特にこれから策定する企業の従業員等にとっては、その位置付けが明確ではないことも考えられます。そこで、人権方針が自社にとってどのような文書であるのかを明確にするため、人権方針にその位置付けを記載することが考えられます。
      • 例えば、人権方針は、人権尊重の取組について企業の基本的な考え方を示すものであり(ガイドライン 3.1)、企業のあるべき姿勢等を定める経営理念や行動指針等と密接に関わります。そのため、こうした企業経営における重要な文書と人権方針の関係を検討し、両者の一貫性を担保することで、社内における位置付けが明確になり、より人権方針を社内に定着させることに繋がります(ガイドライン 3.1)。そこで、経営理念や行動指針等と人権方針の関係性について記載することが考えられます。
    2. 適用範囲
      • 企業は、その事業活動を通じて人権尊重に取り組む必要があり、一般に、人権方針は、一般的な社内規程と異なり、自社だけではなく自社が支配権を有する他の企業にも適用されると考えられます。他方で、場合によっては、例えば、グループ会社に適用される人権方針とは別に、そのグループ内の特定の企業が自社のために追加的な人権方針を策定することなども考えられます。
      • そこで、人権方針の適用範囲を明確にすることが考えられます。グループ会社にも自社の人権方針を適用する場合には、「グループ会社」の定義を明らかにすることが望ましいと考えられます。
    3. 期待の明示
      • 人権方針を実践していくためには、取引先を含む関係者の協力が不可欠であり、人権方針では、従業員や取引先をはじめとする関係者に対する人権尊重への期待を明らかにすることが求められます(ガイドライン 3)。
      • 例えば、自社の事業・製品・サービスと直接関連する可能性がある関係者に対して、人権を尊重することを期待する旨を記載することが考えられます。また、自社の人権方針に対する理解や支持を期待すると明示することも考えられます。
    4. 国際的に認められた人権を尊重する旨のコミットメントの表明
      • 人権尊重責任を果たしていく自社の姿勢を明確にし、社内外のステークホルダーの理解を得る観点等から、国際的に認められた人権を尊重する旨のコミットメント(約束)を表明することが考えられます。
      • まず、企業が尊重責任を負う「国際的に認められた人権」には、少なくとも、国際人権章典で表明されたもの、及び、「労働における基本的原則及び権利に関するILOで宣言」に挙げられた基本的権利に関する原則が含まれます(ガイドライン 2.1.2.1)。そのため、上記コミットメントを示すため、これらの文書の支持・尊重等を記載することが重要と考えられます。
      • 加えて、そうした人権を尊重していく企業の責任については、国連指導原則やOECD多国籍企業行動指針等が言及していることから、これらの国際文書への支持等を記載することも考えられます。
      • 上記以外にも、自社の活動に特に関連する国際文書への支持等を記載することも考えられます。なお、こうした国際文書への支持等は、事前にそれらの内容について理解を深めた上で記載するのが大前提であり、人権方針策定後はそうした支持等を表明した企業として適切な対応をしていく必要がある点に留意が必要です。
    5. 人権尊重責任と法令遵守の関係性
      • 企業は、国際的に認められた人権であるかどうかにかかわらず、各国の法令で認められた権利や自由を侵害してはならず、法令を遵守しなければならないことは当然です(ガイドライン2.1.2.1)。他方で、企業には「国際的に認められた人権」を尊重することが求められるため、ある国の法令を遵守しているだけでは人権尊重責任を十分に果たしていないと考えられることもあります。例えば、ある国の法令やその執行によって国際的に認められた人権が適切に保護されていない場合、企業は、国際的に認められた人権を可能な限り最大限尊重する方法を追求する必要があります(ガイドライン 2.1.2.1)。
      • 人権尊重に向けた自社の姿勢を明確にするといった観点から、これらの内容を人権方針に改めて明記することも考えられます。
    6. 自社における重点課題
      • 人権侵害リスクが生じ得る人権の種類や、想定される人権侵害リスクの深刻度等も各企業によって異なるため、人権方針の策定に当たっては、まずは、自社が影響を与える可能性のある人権を把握する必要があります(ガイドライン 3.1)。
      • 企業は、自社のサプライチェーン等において、より深刻な人権侵害が生じ得るステークホルダーやその人権を認識し、それらに特に焦点を当てた取組を行うことが考えられ、自社の重点課題として人権方針に記載することも考えられます。
      • なお、自社の事業や社会状況等の変化によって、自社にとっての重点課題が変化する可能性があるため、定期的に見直しを行うことが重要です。
    7. 人権尊重の取組を実践する方法
      • 人権方針は策定・公表することで終わりではなく、企業全体に人権方針を定着させ、その活動の中で人権方針を具体的に実践していくことが求められます(ガイドライン 3.2)。そのため、企業がその約束(人権方針)をどのように実現していくかを記載することが考えられます。
      • 具体的には、例えば、人権DDの実施や救済の方針、ステークホルダーとの対話の実施について、人権方針に記載することが考えられます。また、人権方針の実施状況を監督する責任者を配置することも考えられ、そうした責任者及びその責任の内容を人権方針に記載することも考えられます。
  • 負の影響(人権侵害リスク)の特定・評価
    • 企業は、人権DDの第一歩として、企業が関与している、又は関与し得る人権侵害リスクの特定・評価を行う必要があります。具体的には、自社・グループ会社、サプライヤー等における人権侵害リスク(実際に発生している人権侵害と、生じる可能性のある人権侵害の双方を含みます)を確認し、確認された人権侵害リスクの評価を行います(ガイドライン 4.1)。
    • 本章では、多くの中小企業をはじめ、これまで人権DDを行ったことがない企業を主たる対象に、人権侵害リスクの特定・評価の各ステップで実施することが考えられる内容について、取組の際の参考となるよう、取組方法の例を参考資料(別添1)及び作業シート(別添2)と併せて記載しています。
    • 本章も、本資料全体の位置づけと同じく、本章の記載のとおりやらなければならない、本章の記載事項だけやっておけばいいという趣旨のものではありません。企業は、本章も参照しながら、自社の状況等を踏まえ、人権尊重の観点からどのような取組みが適切か検討する必要があります。本章で記載する各ステップについてのイメージは、図表2のとおりです。なお、本章の各ステップを実施し、人権侵害リスクの防止・軽減、取組の実効性の評価を経て、最終的には人権DDとしてどのようなプロセスを踏んだかを開示していくことが重要です(ガイドライン 4.4)。
    • なお、特定・評価プロセスの途中であっても、例えば、明らかに深刻な人権侵害リスクが確認され、直ちに防止・軽減措置を講じなければ被害の回復が困難と想定されるような場合、その人権侵害リスクに直ちに対応する必要があることは言うまでもありません。また、人権侵害リスクの特定・評価の全てのプロセスにおいて、ステークホルダーとの対話は重要です(ガイドライン 2.2.3)。
  • ステップ(1):リスクが重大な事業領域の特定(ガイドライン 4.1.1(a))
    • 人権侵害リスクの特定・評価プロセスでは、まず、自社の事業のうち、リスクが重大な事業領域を特定することが考えられます。この際、社内関連部門(例:営業、人事、法務・コンプライアンス、調達、製造、経営企画、研究開発等)や社外の専門家等と意見交換を行いながら、以下のように、セクター(事業分野)、製品・サービス、地域、個別企業の視点から、どのような人権侵害リスクが指摘されているか等を確認することが考えられます。
    • そして、自社がビジネスを展開している事業領域のうち、より重大なリスクのある事業領域から優先して、ステップ(2)以降のステップを実行していきます。
    • なお、本ステップを実行する際、自社が提供する製品・サービスに関連して、どのようなサプライヤー等が存在するか把握できていることが望ましいです。他方、実際には全てのサプライヤー等を把握することが困難なケースも考えられます。そのような場合には、幅広いステークホルダーとの対話や、適切な苦情処理メカニズムの設置・運用等を通じて、又は、ステークホルダー等や業界団体と連携しながら、追跡可能性が低いサプライヤー等における人権侵害リスクも把握するように努めることが、より一層重要となります。また、なぜサプライヤー等の把握に限界があるのかを対外的に説明できるようにしておくことが望ましいです(ガイドラインQ&AのQ6)。
  • ステップ(2):負の影響(人権侵害リスク)の発生過程の特定(ガイドライン 4.1.1(b))
    • リスクが重大な事業領域について16、(i)人権侵害リスクを確認します。そして、(ii)確認された人権侵害リスクについて、その状況や原因を確認します。これらの確認に際しては、以下のような方法で行うことが考えられます。
      1. 社内資料(苦情処理メカニズムに寄せられた情報を含む)に基づく確認・調査
        • 苦情処理メカニズムに寄せられた人権侵害リスクの情報や、過去にサプライヤー等において人権侵害リスクが発生した情報が社内記録に残されていないかを調査し、その状況を確認するとともに同様の人権侵害リスクが再発する状況にないか確認します。
        • 契約書等を確認し、取引先との間で人権侵害リスクを防止する取決めがあるかを確認します。
      2. 企業(経営者・管理責任者)に対する質問票調査
        • サプライヤー等に質問票を送付し、返送された回答を確認します。
        • 例えば、取引先等における人権尊重の取組体制(例:人権侵害リスクの防止・軽減や救済のための仕組み)を確認する質問項目や、人権侵害リスクが発生していないかを確認する質問項目等を含めることが考えられます。
      3. 従業員に対するアンケート・ヒアリング
        • 従業員に対して、自社内外において、実際に人権侵害リスクが発生していないか、確認します。
        • アンケートから人権侵害リスクが確認された場合、関係する従業員等に対してヒアリングを実施する方法も考えられます。
      4. 現地調査・訪問
        • 典型的な例として、例えば、現地の従業員の労働環境(安全で健康的な作業環境が提供されているかどうか)を確認します。
      5. ステークホルダーとの対話
        • 自社業界や調達する原料・調達国の事情等に精通したステークホルダーと対話をして懸念を聴取します。
        • 実際に人権侵害リスクを受けるステークホルダーから、被害の状況や人権侵害リスクについて聴取します。
        • どのような方法が適切かは、収集する情報の種類等を踏まえて判断されます(ガイドライン4.1.2.3)。そして、社内資料や質問票等の書面調査については、それらにより確認できる内容が限定的であり、また、質問票への回答内容が客観的な事実と整合しない可能性もあるということにも留意が必要です。
        • なお、事業活動の問題の中で問題となり得る人権侵害リスクは多数に上ると考えられることから、その全てについて、完璧に人権侵害リスクの発生過程を特定しようとすることは困難であると考えられます。むしろ、情報収集の正確を期そうとするあまり、防止・軽減を実施する前に実際に深刻な人権侵害が生じてしまいかねません。そのため、一定の初期的なステップ(2)における調査をもとに暫定的にステップ(3)の優先順位を付けて、人権侵害リスクの防止・軽減へと進めていく(新たな事象が確認されれば必要に応じて優先順位付けを変更する)という柔軟な対応が重要と考えられます
  • ステップ(3):負の影響(人権侵害リスク)と企業の関わりの評価及び優先順位付け(ガイドライン4.1.1(c)・(d))
    • ステップ(2)で確認された人権侵害リスクと自社の関わり、すなわち、その人権侵害リスクが下表の(i)~(iii)のいずれに該当するかを評価します
      • (i)自社が人権侵害リスクを引き起こしているか 人権侵害リスクの防止・軽減措置を講ずる必要があります
      • (ii)人権侵害リスクを助長しているか 人権侵害リスクの防止・軽減措置を講ずる必要があります
      • (iii)人権侵害リスクが自社の事業・製品・サービスと直接関連しているか 人権侵害リスクを引き起こし又は助長している企業に働きかけて、人権侵害リスクの防止・軽減に努めます
    • 確認された人権侵害リスクの全てについて直ちに対処することが難しい場合、下記(i)及び(ii)のように優先順位を検討します(ガイドライン 4.1.3.1)。
    • 下記(i)及び(ii)の検討により同等の優先順位の人権侵害リスクが存在する場合には、下記(iii)のように対応の優先順位付けを行うことも考えられます(ガイドライン 4.1.3.1)。
      • (i)人権侵害リスクの深刻度を評価し、深刻度の高いものから対処します。深刻度は3つの観点(規模・範囲・救済困難度)で評価を行います。
      • (ii)深刻度が同等な潜在的なケースが複数存在する場合には、発生可能性の高いものから対処します。
      • (iii)深刻度及び発生可能性が同等なケースが複数存在する場合には、まず、自社及び直接契約関係にある取引先において自社が人権侵害リスクを引き起こし又は助長しているケースについて優先的に対応することも考えられます。

~NEW~
総務省 総務省を騙るフィッシングサイトに関する注意喚起
  • 「【総務省】重要なお知らせ、必ずお読みください」というSMS(ショートメッセージサービス)が送信される事案が確認されています。
  • 当該SMSは総務省を騙り、「住民税等お支払いサイト」といったサイトに誘導するものですが、総務省ではそのようなサイトは設置しておりません。アクセスをしたり、個人情報を入力したりせずに、各都道府県警察に設けている「フィッシング110番」から、フィッシング報告専用窓口に通報をお願いいたします。
  • 参考情報
▼警察庁ホームページ(フィッシング報告専用窓口一覧)
▼フィッシング対策協議会
▼国民のためのサイバーセキュリティサイト

~NEW~
総務省 誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ(第5回)配布資料
▼資料1 検討アジェンダ3-2(1)の「削除請求権」が必要とされる事情について(事務局)
  • 送信防止措置請求権を巡る現状
    • 従来、人格権に基づく差止請求として、名誉権、プライバシー権等の権利又は法律上保護される利益を侵害する投稿について、かかる侵害が違法と評価される場合には、プロバイダ等に対する削除請求が認められている。【プライバシーの侵害に当たる投稿について侵害行為の差止めができると判断した事例として、最判令和4年6月24日民集76巻5号1170頁】
    • また、一定の権利侵害について、特別法において差止請求権が規定されている。【著作権法、不正競争防止法等】
    • プロバイダ責任制限法は、特定電気通信役務提供者が、権利侵害情報について送信防止措置を講じなかった場合において、権利侵害を知らず、かつ、知ることができたと認めるに足りる相当の理由がないときには、被害者に対する不作為による不法行為の損害賠償責任を負わないこととしている(同法3条1項)。その反面で、権利侵害を知り又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるときは、送信防止措置の作為義務が生ずることを不文の前提としている。【参考:第4回ワーキンググループヒアリング資料】
  • 送信防止措置請求を巡る課題
    1. プロバイダ責任制限法は、権利侵害情報に係る送信防止措置の作為義務を不文の前提としていると考えられているとはいえ、同法は、こうした前提を明文で規定しておらず、一定の場合に作為義務が生じることが不明確との指摘がある。
    2. 主に海外プラットフォーム事業者を念頭に、明文で送信防止措置請求権の規定がないと削除請求に対応してもらえないとの指摘がある。海外のプラットフォーム事業者は、裁判外では専らポリシーのみに基づいて投稿の削除等について運用しているため、名誉毀損、プライバシー侵害等について、日本の法律上の判断と一致した運用がなされていないとの指摘がある。
    3. また、判例上、一定の場合に人格権に基づく差止請求権が認められているとはいえ、ユーザに対するアンケート調査では、一定の要件で差止請求権が認められること(人格権に基づく差止請求権が認められていること)を知っている人は、3割程度にとどまっており、差止請求権が活用されているとは言い難いとの指摘がある。
    4. さらに、判例上、一定の場合に人格権に基づく差止請求権が認められているが、人格権以外の権利又は法律上保護される利益の侵害をする情報(例:営業上の利益を侵害する情報)について差止請求権が認められるかどうかについては明らかになっていないとの指摘がある。ただし、近時の学説では、人格権に留まらないとの指摘がある。
  • 送信防止措置請求権の明文化により期待される効果
    • 送信防止措置請求権が明文化されることにより、権利又は法律上保護される利益が違法に侵害された場合には、被害者が特定電気通信役務提供者に対して、権利侵害情報について送信防止措置を求めることが可能であることが明確化され、
      • 被害者が送信防止措置を求めることが可能であると広く認知され、送信防止措置請求により救済される被害者が増える、
      • 特に海外のプラットフォーム事業者に対して、一定の場合に被害者に対して送信防止措置義務を負うことが明確化され、日本の法律上の判断と一致した判断と対応の促進が図られる、
      • 人格権以外でも、権利又は法律上保護される利益(例:営業上の利益を侵害する情報)の侵害が違法な侵害と評価される場合には送信防止措置を求めることが可能であることが明確化される、
        といった効果が生じることが期待されるのではないか。
  • 送信防止措置請求権の明文化にあたっての要検討事項
    • 一方、裁判例によれば、特定電気通信役務提供者が送信防止措置の作為義務を負う要件は、被侵害利益やサービス提供の態様などにより異なるため、送信防止措置請求権の要件は抽象的なものとならざるを得ないと考えられる(例:被害者が、特定電気通信役務提供者に対して、権利侵害の認識や侵害を知り得た相当の理由があるときであって、技術的に可能な場合に、送信防止措置を請求できるといった、被侵害権利・利益ごとの要件には立ち入らない規定)。
    • このとき、
      • このような抽象的な規定であっても、前述のような効果が得られるか、
      • 実務上、主に人格権侵害についてのみ差止請求が請求されていたところ、送信防止措置請求権の明文化により、人格権以外の権利又は法律上保護される利益の侵害も送信防止措置請求の対象となり得ることが明確になると考えられるが、その影響についてどう考えるか、
      • 安易な送信防止措置請求の乱発を招きかねないことについて、どう考えるか、
      • 著作権法や不正競争防止法などの個別法における差止請求の規定との整合性について、どう考えるか、
        といった諸点について検討がなされることが必要ではないか。
  • 削除請求権の認知度
    • 判例上、人格権に基づく削除請求が認められているものの、アンケート調査によると、削除請求権があることを知っていた人は3割程度(33.7%)であった。
  • 削除請求に関する指摘
    • プラットフォーム事業者におけるコンテンツモデレーションに関して、名誉毀損、プライバシー等についての対応が不十分との指摘がある。
    • また、海外プラットフォーマーについて、日本の法律上の判断と一致した判断がなされていないとの指摘もある
    • 名誉毀損、プライバシー侵害等にかかる情報についての監視・対応は不十分ではないか
    • 削除や開示は、基本的には裁判所がそれを命じた際にのみ応じるといった対応が取られているように感じられる
    • 海外プラットフォーマーの場合、日本人の感覚、日本の法律上の判断と一致した判断がされない→自らの定める規約違反かどうかが主たる基準になっている?
  • 人格権を侵害しないが、その他の権利・利益を侵害しうるケース
    • インターネット上で問題となる投稿には、人格権を侵害しないものの、営業権など、権利や法律上保護される利益を侵害するとみられる情報が投稿されるケースがある。
    • これらのケースに限らず、人格権以外の権利・利益を侵害すると考えられる投稿について、全体の流通の中で、どの程度の割合を占めるかについて、実態の把握を要すると考えられるのではないか。
    • 人格権を侵害しないものの、その他の権利を侵害すると考えられるケース
    • 「●●会場に11:00に爆弾を設置した。イベントを中止しないと爆破する」といった爆破予告がされて、イベントが中止になったケース
    • 「●●店の●●という商品に針を混入しておいた」といった商品に対する外部的なイタズラをしているケース*信用毀損にはなりえるが、元々の商品に問題があるとはいえないので名誉毀損にはならない。ただし、店の防犯体制がなっていないという指摘と捉えて、店からの名誉毀損と構成する余地はある
    • 「従業員の個人情報を晒す」といった投稿をしているケース*放置したら使用者の安全配慮義務違反が問われかねないので対応する必要があり、それによって本来業務ではないことについてリソースが割かれるため業務妨害になる
    • 非上場会社が会社の売上げ、販管費、利益率などの情報を投稿するなどのケース*不正競争防止法上の営業秘密とまでは言えないが、少なくとも会社との間の守秘義務に違反するものである場合。なお、不正競争防止法にいう営業秘密に当たる場合でも、ネット上の投稿では、行為類型の特定が困難であるため不正競争防止法上の違反があると立証することは相当難しく(できない場合の方が多い)、需要があると思料される。
    • 「このマンションは自殺をした人がいる」といった投稿がされているケース*物件所有者の社会的評価は低下せず、不動産の価値が下げられているだけなので名誉毀損にはならない
    • ステマランキングサイトなどを作成され、低い順位付けをされているケース*実際には最安値くらいでの提供なのに、高いとして順位が低くされていれば有利誤認、実際のサービス内容がそれほど良いものではないとして低くされていれば優良誤認などになり得る。ランキング入りしているということ自体から、それほど悪いものではないとして名誉毀損は認められにくいと思われる。
    • Google検索の右側のところに出るマイビジネスの表示に関して、ビジネスプロフィールの管理権限を第三者に勝手に取得されているケース。同様に、管理権限を取得していなかったために、「閉業」などと表示されてしまったケース。

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