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  • デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会(金融庁)/こども政策推進会議(こども家庭庁)/日本企業向け「対日M&A活用に関する事例集」(経済産業省)

危機管理トピックス

デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会(金融庁)/こども政策推進会議(こども家庭庁)/日本企業向け「対日M&A活用に関する事例集」(経済産業省)

2023.04.24
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更新日:2023年4月24日 新着26記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 地域金融機関におけるサイバーセキュリティセルフアセスメントの集計結果(2022年度)
  • 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第9回)議事次第
  • 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第28回)議事次第
財務省
  • 関東財務局 無登録で暗号資産交換業を行う者について(株式会社ブリッジインベストメント)
  • 関東財務局 無登録で暗号資産交換業を行う者について(クリプトカレンシーワールドワイド株式会社)
内閣府
  • 令和5年第4回経済財政諮問会議
  • 第399回 消費者委員会本会議
消費者庁
  • 消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書(トランポリンパーク等での事故)を公表しました。
  • 「電動アシスト自転車」と称し販売された製品でも、道路交通法の基準に適合しない場合は道路の通行をやめましょう!-まずは、お持ちの銘柄を確認しましょう!-
国民生活センター
  • その「¥」表示は本当に日本円の表示ですか?-通貨をよく確認しないと約20倍の価格になってしまうため要注意!!-
  • 想定外の高額請求! トイレ修理トラブルに注意
厚生労働省
  • 2023年世界保健デーのテーマは「公衆衛生を向上させた75年間」です。
  • 第121回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年4月19日)
経済産業省
  • 知財を活用した企業経営に悩んでいる経営者や知財部門の方々必読!知財経営のノウハウをまとめた「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック」を公開
  • 日本企業向け「対日M&A活用に関する事例集」を初めて取りまとめました
  • 一般送配電事業者の情報漏えい事案に関し、業務改善勧告を行いました
総務省
  • 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会(第4回)
  • 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第47回)
  • Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(第9回)
国土交通省
  • ベビーカー利用に関するキャンペーンを実施しますーベビーカー利用者の方々へのご理解とご協力をー
  • YKK AP株式会社が製造した特定防火設備(片開き戸)に関する 国土交通大臣認定の仕様への不適合について
  • インフラ分野のDX アクションプラン(第2版)骨子の公表

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~3月分)
  • 令和5年1~3月における刑法犯総数について、認知件数は154,670件(前年同期124,994件、前年同期比+23.7%)、検挙件数は61,348件(58,738件、+4.4%)、検挙率は39.7%(47.0%、▲7.3P)
  • 凶悪犯の認知件数は1,158件(987件、+17.3%)、検挙件数は1,004件(856件、+17.3%)、検挙率は86.7%(86.7%、±0P)、粗暴犯の認知件数は13,597件(11,078件、+22.7%)、検挙件数は11,154件(9,815件、+13.6%)、検挙率は82.0%(88.6%、▲6.6P)、窃盗犯の認知件数は105,037件(84,013件、+25.0%)、検挙件数は35,900件(35,320件、+1.6%)、検挙率は34.2%(42.0%、▲7.8%)、知能犯の認知件数は11,334件(8,839件、+28.2%)、検挙件数は4,752件(4,659件、+2.0%)、検挙率は41.9%(52.7%、▲10.8%)
  • 万引きの認知件数は22,973件(20,971件、+9.5%)、検挙件数は14,876件(14,733件、+1.0%)、検挙率は64.8%(70.3%、▲5.5P)
  • 詐欺の認知件数は10,427件(7,991件、+30.5%)、検挙件数は4,081件(3,844件、+6.2%)、検挙率は39.1%(48.1%、▲9.0%)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は15,919件(15,528件、+2.5%)、検挙人員は13,099人(12,815人、+2.2%)
  • 入管法違反の検挙件数は1,303件(917件、+42.1%)、検挙人員は946人(702人、+34.8%)、軽犯罪法違反の検挙件数は1,740件(1,588件、+9.6%)、検挙人員は1,746人(1,578人、+10.6%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2,511件(2,194件、+14.4%)、検挙人員は1,950人(1,677人、+16.3%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は294件(232件、+26.7%)、検挙人員は247人(181人、+36.5%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は294件(232件、+26.7%)、検挙人員は247人(181人、+36.5%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は819件(868件、▲5.6%)、検挙人員は613人(698人、▲12.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は119件(118件、+0.8%)、検挙人員は29人(56人、▲48.2%)、不正競争防止法違反の検挙件数は12件(18件、▲33.3%)、検挙人員は10人(23人、▲56.5%)、銃刀法違反の検挙件数は1,122件(1,110件、+1.1%)、検挙人員は943人(975人、▲3.3%)
  • 麻薬等取締法違反の検挙件数は243件(246件、▲1.2%)、検挙人員は154人(138人、+11.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,513件(1,379件、+9.7%)、検挙人員は1,219人(1,098人、+11.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,566件(1,926件、▲18.7%)、検挙人員は1,063人(1,284人、▲17.2%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数135件(121件、+11.5%)、ベトナム43件(42件、+2.4%)、中国18人(15人、+20.0%)、スリランカ8人(15人、▲46.7%)、フィリピン6人(5人、+20.0%)、ブラジル6人(7人、▲14.3%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員の総数について、検挙件数は2,347件(2,349件、▲0.1%)、検挙人員は1,313人(1,400人、▲6.2%)
  • 暴行の検挙件数は128件(138件、▲7.2%)、検挙人員は119人(148人、▲19.6%)、傷害の検挙件数は205件(237件、▲13.5%)、検挙人員は239人(255人、▲6.3%)、脅迫の検挙件数は73件(85件、▲14.1%)、検挙人員は68人(83人、▲18.1%)、恐喝の検挙件数は73件(85件、▲14.1%)、検挙人員は85人(102人、▲16.7%)、窃盗の検挙件数は1,134件(1,076件、+5.4%)、検挙人員は156人(199人、▲21.6%)、詐欺の検挙件数は452人(385人、+17.4%)、検挙人員は369人(313人、+17.9%)、賭博の検挙件数は7件(9件、▲12.5%)、検挙人員は36人(46人、▲21.7%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員の総数について、検挙件数は958件(1,331件、▲28.0%)、検挙人員は605人(906人、▲33.2%)
  • 入管法違反の検挙件数は3件(1件、+200.0%)、検挙人員は1人(6人、▲83.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は19件(23件、▲17.4%)、検挙人員は14人(21人、▲33.3%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は10件(19件、▲47.4%)、検挙人員は10人(17人、▲41.2%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は6件(10件、▲40.0%)、検挙人員は17人(24人、▲29.2%)、銃刀法違反の検挙件数は14件(18件、▲22.2%)、検挙人員は8人(13人、▲38.5%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は29件(48件、▲39.6%)、検挙人員は14人(15人、▲6.7%)、大麻取締法違反の検挙件数は217件(232件、▲6.5%)、検挙人員は131人(147人、▲10.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は516件(734件、▲30.5%)、検挙人員は297人(471人、▲36.9%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は28件(57件、▲50.9%)、検挙人員は11人(39人、▲71.8%)

~NEW~
公安調査庁 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況及び破壊活動防止法による団体規制の状況に関する国会報告
▼令和4年「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況に関する報告」
  • 組織の概況
    • 当該団体は、令和四年十二月三十一日現在、国内に構成員約千六百五十人(出家した構成員約二百五十人、在家の構成員約千四百人)を擁し、ロシア連邦内にも構成員を擁している。また、十五都道府県下に三十箇所の拠点施設及び約五箇所の出家した構成員居住用施設等を確保している。
    • なお、当該団体は、いわゆる「松本サリン事件」及び「地下鉄サリン事件」(以下「両サリン事件」という。)の首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫(以下「松本」という。)への絶対的帰依を明示的に強調するAleph 及び山田らの集団並びに観察処分を免れるため、松本の影響力の払拭を装いつつ、松本の意思を実現することを目的として組織されたひかりの輪を中心に構成されており、いずれの団体も、依然として、松本及び松本の説くオウム真理教の教義を共通の基盤としているものと認められる。
  • 松本の影響力
    • 当該団体のうち、Aleph及び山田らの集団においては、従前と同様、松本の写真を施設内の修行道場等に掲げていること、説法会等において、構成員に対して、松本の「偉大性」を称賛する内容の映像を視聴させたり、松本への絶対的帰依を求める文言を繰り返し唱和する修行等に取り組ませたりしていることなどが、また、当該団体のうち、ひかりの輪においては、松本に関係があるとする仏画を施設内の修行道場等に掲げていることなどが確認されている。
    • こうしたことから、当該団体は、松本の死後も依然として、松本及び松本の説くオウム真理教の教義がその存立、運営の基盤をなしていると認められ、松本が、その活動に絶対的ともいえる影響力を有していると認められる。
  • 閉鎖的・欺まん的体質
    • 当該団体は、従前と同様、出家した構成員を当該団体管理下の拠点施設等に集団居住させて一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築しており、公安調査官による立入検査の際には、検査開始時に施設入口の開扉までに時間を掛けたり、出家した構成員が、公安調査官の質問に対して、「答える義務はない」などと発言して回答を拒否したり、物件の検査に対して異議を唱えたりするといった非協力的な姿勢を徹底するなど、その組織体質は依然として閉鎖的であると認められる。
    • また、当該団体は、公安調査庁長官宛ての報告において、構成員や団体活動に関する意思決定等について実態に即した内容を報告していない。
    • 特に、当該団体のうち、Alephは、団体の営む収益事業に関する事項等、報告すべき事項の一部について、報告を行っていない。さらに、Alephにおいては、対外的には両サリン事件に対する反省・謝罪を強調しているものの、実際には、構成員が、両サリン事件をはじめとする当該団体がじゃっ起した一連の事件について、当該団体の関与を否定する趣旨の発言を行っていることなども確認されている。
    • こうしたことから、当該団体の組織体質は依然として欺まん的であると認められる。
  • 資金及び構成員獲得に向けた諸活動
    • 当該団体は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念される状況下においても、幹部構成員による説法会を実施しているほか、当該団体のうち、Aleph及びひかりの輪は、年末年始、五月連休及び夏季又は秋季にセミナーを実施して参加費や布施を徴収しており、さらに、Alephは、一般企業に就業する出家した構成員の給与等を上納させるなどして、資金を獲得している。
    • また、当該団体のうち、Alephは、インターネット上で提供されるソーシャル・ネットワーキング・サービスの利用などによる非対面型の勧誘手法等を用いて、青年層を中心に接触を図り、その名称を秘匿して運営するヨーガ教室や勉強会への参加を働き掛けるなどして、新規構成員を獲得している。

~NEW~
環境省 G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合
▼G7 気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケ(仮訳)
  • 我々は、ロシアによるウクライナに対する違法で、不当で、いわれのない侵略戦争、国連憲章の違反、及びロシアの戦争が世界中の人々に与えている影響の軽視を非難する。我々は、エネルギー並びに食料を地政学的な威圧の手段として利用しようとするロシアの試みを非難し、ロシアがエネルギー並びに食料を武器として利用することによって最も影響を受ける人々を支援するという我々のコミットメントを改めて表明する。
  • 我々は、高いエネルギー価格、市場の変動及びエネルギー供給の混乱に特徴付けられる前例のない世界的なエネルギー危機、人々の生活に現実に経済的影響を与えるインフレ、食料不安と栄養不良を増大させる世界の穀物及び肥料価格の高騰を引き起こしている、ロシアのウクライナに対する侵略戦争が及ぼす、環境も含めた破滅的な影響を、深く憂慮する。
  • 我々は、戦争に関連する瓦礫や汚染の管理、生態系や水システムの回復、森林やシェルターベルトの再植樹、森林や土地における地雷除去、戦争によって影響を受けた海洋保護地域の回復に関する我々の経験、知識、専門知識を共有することを含め、ウクライナの持続可能でレジリエントな回復とグリーンな復興を支援する用意がある。
  • 我々は、ロシアによって意図的に破壊されたウクライナの重要なエネルギー・環境インフラの修復・復元を引き続き支援し、ウクライナにおけるクリーンで強靭なエネルギーインフラの構築に対する我々の強い支持を強調する。
  • 気候、エネルギー及び環境の合同セッション
    • 我々が直面する地球規模課題:我々は、気候変動、生物多様性の損失、汚染という、相互に補強し合い、本質的に結びついている未曾有の三つの世界的危機に加え、ロシアによるウクライナに対する侵略によって引き起こされた、あるいは悪化したものを含む経済及び社会の混乱、健康への脅威及び環境破壊を悪化させている未曾有の規模の世界的なエネルギー危機に直面している。これらの課題は、既に多くの地域や国々に悪影響を及ぼしている。多国間協力を通じてこれらの課題に対処するため、我々は、この決定的に重要な10年間に行動を拡大することにより世界の気温上昇を1.5℃に抑えることを射程に入れ続けるパリ協定、及び、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させることを使命とする生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)で採択された歴史的な昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の完全、迅速かつ効果的な実施へのコミットメントを堅持し、また国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全及び持続可能な利用に関する画期的な法的拘束力のある国際文書を歓迎する。現在の世界的なエネルギー危機と経済の混乱を認識し、我々は、遅くとも2050年までに温室効果ガス(GHG)のネット・ゼロ排出に向けてクリーンエネルギーへの移行を加速させるというコミットメントを再確認し、エネルギー安全保障とエネルギー低廉性を高めるために供給源の効率的多様化を促進することの重要性を認識する。我々は、この決定的に重要な10年に、即時、短期・中期の行動を実施するというコミットメントを強調する。
    • グリーン・トランスフォーメーション:我々は、包摂的かつ社会・環境面で持続可能な経済成長と開発、及びエネルギー安全保障を確保しながらグリーン・トランスフォーメーションを世界的に推進及び促進し、気温上昇を1.5℃に抑えることを射程に入れ続けるべく、また気候変動に強靭で、循環型で、汚染のない、ネイチャーポジティブな経済を可能とすべく、遅くとも2050年までに温室効果ガス排出のネット・ゼロを達成するために我々の経済を変革すること、及び2030年までに生物多様性の損失を食い止め反転させることを統合的に目指して協働する。
    • 重要鉱物及び原材料:我々は、ネット・ゼロ経済の実現に向けて重要鉱物及び原材料の供給を強化し、重要鉱物及び原材料のサプライチェーンが、人権を十分に尊重した上で、可能な限り最も高い環境、社会、ガバナンスの基準に従うことを確保することが極めて重要であることを強調する。環境と社会へのフットプリントを最小化し、一次資源利用への圧力を緩和し、サプライチェーンにおける供給と循環性を強化するために、我々は、重要鉱物及び原材料を含む製品をできるだけ長く経済内に維持することに全面的にコミットする。また、我々は、人の健康及び環境を守る観点から、国の回収・リサイクル能力が、厳しい環境基準に適合し、経済的に効率的で安全な回収・リサイクルが達成されるような場合において、電子機器、尾鉱、その他の回収・リサイクル可能な材料から重要鉱物及び原材料の国内及び国際的な回収・リサイクルの増加にコミットする。我々は、生物多様性の損失を防ぎ、自然保護を促進し、自然環境にプラスの利益をもたらすことを目的とした、ネイチャー・ポジティブ・アプローチを採用する。このような目的を達成するため、我々は、回収・リサイクルに関する環境フットプリントを最小化するために特に開発途上国における透明性を持った形での環境規制の枠組みや能力開発の強化を含む環境整備を促進しつつ、円滑で環境的に優れ効率的な国際的な回収・リサイクルを確保するための議論を促進する。我々は、効率性を高め、より持続性のある代替物質に置き換えることを可能にすることを含め、重要鉱物及び原材料への依存を減らすために重要鉱物及び原材料に関する研究開発を支援する。
    • 環境犯罪:我々は、野生生物の違法取引、木材及び木材製品、有害廃棄物やその他の廃棄物、貴金属・宝石などの鉱物の違法取引、違法採掘、違法伐採、違法・無報告・無規制(IUU)漁業に係る犯罪等の環境犯罪を、効果的に防止し対処するための国際及び越境協力を強化する努力を継続することにコミットする。我々は、多国間環境フォーラムにおいてこれらの犯罪に関する認識を高め、世界的な対応を発展させ続けることを再確認する。
  • 環境
    • 昆明・モントリオール生物多様性枠組:2022年12月の生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)における昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の採択という歴史的成果を強く歓迎する。GBFは、持続可能な経済発展と人間の健康と福利を脅やかしている、かつてなく憂慮すべき速さで進行する生物多様性の損失に対処するための野心的な道筋を提供するものである。我々は、女性、若者及び先住民族を含む、全政府的及び全社会的アプローチを通じた、枠組の迅速かつ完全な実施にコミットする。我々は、全てのセクターにまたがって生物多様性を主流化する。この観点からCBD締約国であるG7メンバーについては、我々はGBFの迅速かつ効果的な実施に向けて、2023年内又はCBD-COP16に十分先んじて、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)を速やかに改定、更新及び提出し、又はGBFの該当する全てのゴール及びターゲットを反映した国別目標を伝達することをコミットする。我々は、他のすべてのCBD締約国にもそうすることを求め、そのような努力を支援するための国内資源動員の重要性を再確認する。国際機関等と連携し、統合的アプローチを取り入れるためのマニュアル等の効果的なツールを提供するとともに、資源動員や他の実施手段の強化の途上国への支援に向けた共同のコミットメントを通じ、150以上の途上国の生物多様性国家戦略の改定・更新や生物多様性国家財政計画の策定を支援する。我々は、モニタリング枠組の指標群を含む、計画、モニタリング、報告及び、レビューのメカニズムの最終化に向けて、CBD締約国と取り組む。
    • 30by30:我々は、2030年までに陸域及び内陸水域の少なくとも30%、海洋及び沿岸域の少なくとも30%を効果的に保全・管理するという目標(30by30)を国内及び世界で達成するというコミットメントを再確認する。個々の生態系間の連結性を考慮しつつ、保護地域や保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の指定を各国の状況に応じて推進する。GBFの30by30目標を達成するため、保護区やOECMのベストプラクティスを他国と共有する。我々は、30by30目標の実施を支援するための協力・運用プラットフォームを目指す「自然と人々のための高い野心連合」の発展を支持する。2030年までに少なくとも30%という数値目標を達成しつつ、保全活動の影響のモニタリングや評価など、保護地域やOECMの管理を強化することで、生物多様性の保全と保護の質を向上させる。さらに、我々は、生物多様性と生態系の機能及びサービス、生態学的健全性及び連結性を向上させるために、2030年までに、劣化した陸域、内陸水域、沿岸域及び海域の生態系の少なくとも30%の地域を効果的な回復下におくという世界的な目標にコミットする。我々は、2050年までに自然生態系の面積を世界的に大幅に増加させることにコミットする。
    • プラスチック汚染に関するG7目標:我々は、2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心を持って、プラスチック汚染を終わらせることにコミットしている。これを念頭に、我々は、包括的なライフサイクル・アプローチ、プラスチックの持続可能な消費及び生産の推進、経済におけるプラスチック循環の増加及び環境上適正な廃棄物管理を踏まえ、我々の行動を継続し、発展させることを決意する。これらの行動は、適切な形で、可能な場合のフェーズアウト及び生産・消費の削減等の措置を通じた使い捨てプラスチック、リサイクル不可能なプラスチック及び有害な添加物を含むプラスチックへの対応、プラスチック汚染由来のコストの内部化のためのツールの適用並びにマイクロプラスチックの排出源や流出経路及び影響への対策を含む。こうした取組を通じ、我々はパートナーやステークホルダーと強固に関与し、彼らを参加させ続ける。こうした取組について、G7オーシャンディール、大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、G20海洋プラスチックごみに関する実施枠組み、海洋プラスチック憲章、G20海洋ごみ対策行動計画、G7海洋ごみ対策行動計画を踏まえつつ、他の国々にも同様の取組を促し、支援していく。陸域由来及び遺棄・放棄された漁具(ALDFG)を含む海域由来の不適切な予防と管理等が主要な汚染要因であることを認識し、国際海事機関(IMO)による漁具のマーキング及び ALDFG の報告に関する交渉を引き続き支援する。我々は、報告及びモニタリングを含む、プラスチック汚染に関する科学的・技術的な知識を強化し、プラスチック汚染を終わらせることに貢献するプラスチックのライフサイクル全体にわたる既存及び革新的な技術やアプローチを促進する。関連する地域及び国際的な条約や文書間での協力、調整、補完性の重要性を再確認し、地域海洋協定および行動計画の下で海洋におけるプラスチック汚染を防止し、削減する現行の取組を強調する。主要な経済国やステークホルダーと、既存のフォーラムやイニシアティブを通じてベストプラクティスや教訓を共有することで緊密に連携する。
  • 気候変動及びエネルギー
    • 気候の危機:我々は、IPCCの第6次評価報告書(AR6)の最新の見解によって詳述された気候変動の加速化及び激甚化する影響に対する強い懸念を強調する。世界の温室効果ガス(GHG)排出の即時、大幅、迅速かつ持続可能な削減を達成し、全ての人にとって住みやすく持続可能な未来を確保するためには、全てのセクターとシステムにおける迅速かつ広範囲な移行が必要である。現在実行可能で有効な適応の選択肢は、地球温暖化が進むにつれ、制約を受け、効果は低下する。我々G7は、科学的知見に基づき、我々の指導的役割を継続し、全てのコミットしたパートナーとともに、気温上昇を1.5℃に抑えることを射程に入れ続けるために排出量を削減し、気候の影響に対する強靱性を世界全体で構築するための即時かつ具体的な行動をとることをコミットする。我々は、この決定的に重要な10年間において、現時点の世界の排出量の軌跡及び現在のNDCと、気温上昇を1.5℃に抑えることを射程に入れ続けるために必要な野心と実施のレベルの間の大きなギャップを埋め、遅くとも2025年までに世界の温室効果ガス排出量(GHG)をできるだけ早くピークにし、遅くとも2050年までにネット・ゼロ排出を達成するために、全てのレベルの主体が一丸となり、全ての部門を通じて我々の経済を変革するために協働することを求める。我々はIPCCの最新の見解を踏まえ、世界のGHG排出量を2019年比で2030年までに約43%、2035年までに60%削減することの緊急性が高まっていることを強調する。
    • 再生可能エネルギー:我々は、再生可能エネルギーの導入ペースと規模の大幅な増加は、エネルギー供給の多様化によるエネルギー安全保障の強化や化石燃料への依存度の低減により、経済の脱炭素化の効果的な手段として、遅くとも2050年にネット・ゼロの目標を達成し、さらに経済成長と雇用の創出のために重要であると改めて表明する。IEAが示すように、我々は、エネルギー危機がエネルギー安全保障と気候変動への野心を原動力に、再生可能エネルギーへの投資と展開を大きく加速させたことを認識する。我々は、再生可能エネルギーの発電量を大幅に増加させるとともに、冷暖房や運輸・産業分野での再生可能エネルギーの利用を促進し、消費者や市民エネルギーコミュニティにおける積極的な役割を推進する。我々は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)World Energy Transition Outlook 2023の調査に懸念を持って留意し、1.5℃に抑えることを射程に入れるために更なる再生可能エネルギー導入率が必要であることに着目する。G7は、2030年までに洋上風力の容量を各国の既存目標に基づき合計で150GW増加させ、太陽光発電の容量を各国の既存目標や政策措置の手段を通じて、IEAやIRENAで推計された2030年までに合計で1TW以上に増加させることも含め、再生可能エネルギーの導入拡大とコスト引き下げに貢献する。太陽光、陸上・洋上風力、水力、地熱、持続可能バイオマス、バイオメタン、潮力などの再生可能エネルギーの導入を加速するとともに、次世代技術の開発・実装への投資や、安全で、持続可能で、強靭なサプライチェーンの整備を進める。具体的には、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力発電、波力発電などの革新的技術の開発や、新技術実装のための評価方法の国際標準化を国際協調のもとで推進する。我々はIRENAに、浮体式洋上風力のイノベーションと持続可能性に関する分析を依頼する予定である。また、系統増強、独立型システムやミニグリッド、蓄電池を含むエネルギー貯蔵システムの運用の近代化、需要側のマネジメントなど、システムの柔軟性を着実に向上させていく。我々は再生可能エネルギーの導入が大きく進む中で認識すべき、再生可能エネルギーの季節・年次変動の影響と対応策に着目したIEAの報告書を発表したことを歓迎する。
    • 福島第一原子力発電所の事故対応:国際原子力機関(IAEA)が過去数年以上にわたって福島第一原子力発電所の状況に関する進捗について報告していることに留意し、我々は、同発電所の廃炉作業の着実な進展とともに、科学的根拠に基づきIAEAとともに行われている日本の透明性のある取組を歓迎する。我々は、同発電所の廃炉及び福島の復興に不可欠である多核種除去システム(ALPS)処理水の放出が、IAEA安全基準及び国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するためのIAEAによる独立したレビューを支持する。我々は、また、日本がIAEAの専門家グループと連携し、除去土壌の再生利用と最終処分の課題を議論するために取り組んでおり、東京電力福島第一原子力発電所の敷地外における被災地の環境再生が一歩一歩進んでいることを認識する。我々は、オープンで透明性をもって、国際社会との緊密なコニュニケーションをとりながら進められているこれらの取組を継続するよう、日本に奨励する。

~NEW~
こども家庭庁 こども政策推進会議(第1回)
▼資料2:こども大綱の案の作成の進め方(案)
  • こども基本法において、以下が規定されている。
    • こども大綱は、これまで別々に作成・推進されてきた少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱及び子供の貧困対策に関する大綱を一つに束ね、こども施策に関する基本的な方針や重要事項等を一元的に定めるもの。
      • ※こども大綱が対象とする「こども施策」とは、こどもの健やかな成長や結婚・妊娠・出産・子育てに対する支援を主たる目的とする施策のみならず、主たる目的はこどもの健やかな成長に対する支援等ではないがこどもや子育て家庭に関する施策、例えば、若者に係る施策や教育施策・雇用施策・医療施策・福祉施策など幅広い施策が含まれる。
    • こども大綱の案の作成に当たっては、こども、こどもを養育する者、学識経験者、民間団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる。
  • これを踏まえ、こども大綱の案の作成に当たっては、こどもや若者、子育て当事者等の意見に耳を傾けながら、こどもの居場所づくりや安全確保等をはじめとするこどもの健やかな成長への支援、困難な状況にあるこども・若者への支援、子育て支援、こども・若者を支援する担い手の育成等に係る幅広い分野の様々な英知を結集して議論を進める必要がある。
  • このため、こども家庭庁設置法に基づき基本的な政策に関する重要事項を調査審議することとされている、こども家庭審議会に対し、内閣総理大臣から、今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針や重要事項等について諮問し、こども家庭審議会において、こどもや若者、子育て当事者の視点に立って、具体的な議論を進めることとする
▼資料3:こども政策の推進に係る有識者会議第2次報告書(令和5年3月28日)概要
  • こども大綱の案の具体化に当たり、こども・若者や子育て当事者等から聴いた意見を真摯に受け止めるとともに、既存3大綱の進捗と成果を踏まえつつ、本報告に示した考え方及び第1次報告書に記載された具体的施策の実現に向け最大限の努力を求める。
  • こども大綱の役割
    • 既存の少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱を一元化し、さらに必要な施策を盛り込む。
    • 政府を挙げて取り組むべきこども・若者に関する施策、少子化の克服、こどもの貧困に関する施策を幅広く対象。
    • こども大綱で、常にこども・若者の最善の利益を第一に考え、こども・若者に関する取組・政策を社会の真ん中に据えた「こどもまんなか社会」を実現。
    • 家庭を持つことや、こどもを産むことや育てることの喜び・楽しさを実感できることで、少子化の克服やこども・若者のより良い成長を実現。
  • こども施策の立案・実施に当たって踏まえるべき基本的な共通事項
    • こども・若者、結婚・子育てを希望する方や子育て当事者の視点に立って考えること
      • こども・若者が、社会や保護者の支えを受けながら、意見表明と自己決定の主体、いわば権利の主体として意見形成・意見表明・社会参画ができること
      • 声をあげにくいこども・若者への十分な配慮
      • こども・若者の意見を施策に反映し、フィードバック、社会に発信
    • こどもや若者のライフステージに応じて切れ目なく対応していくこと
      • ライフスタイルによらず、将来の展望を描ける環境整備
      • 乳幼児期から大人になるまで社会全体で支える
    • 全てのこども・若者への対応を基本としつつ、こどもや若者の現在と将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないようにすること
      • 全てのこども・若者の幸福(Well-being)向上(居場所・学び・外遊び等)
      • 全国どこでも必要な支援が受けられる環境整備
      • こども・若者が抱える困難に対する重層的アプローチ
    • 結婚や子育てに希望を持つことができ、その希望を叶えるようにすること
      • 子育てに夢と喜びを感じることのできる社会づくり
      • 結婚や子育てに希望を持てるようにし、その希望を叶える(価値観を押し付けない・プレッシャーを与えない)
    • 施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方自治体、民間団体等との連携を重視すること
      • 国が地方自治体と密接に連携、視点を共有しながら施策を推進
      • 地域の支援団体や若者団体などの共助を行政が支える
      • こども・若者に関する国内施策の推進、国際的な取組への貢献
  • こども施策を進めるに当たっての基本姿勢
    • こどもや若者の人格・個性を尊重する基本認識の共有
      • 人格・個性・多様性が尊重され、主体的に、尊厳を持ち、幸福に暮らす
      • 属性等により差別的な取扱いを受けない。こども・若者の可能性を拡げる
      • こども基本法や児童の権利条約を社会全体に共有
    • こども・若者のライフステージに応じた切れ目ない施策の確保
      • 成育過程において、関係機関等が連携し保健・療育・福祉・教育を提供
      • 学校等の場をプラットフォームとして、相互に協力
    • 若者、結婚・子育てを希望する方や子育て当事者が結婚や子育てに希望を持つことができ、その希望をかなえられる環境の整備
      • 結婚、妊娠・出産、子育てのライフステージに応じた切れ目ない支援の推進
      • 地域の実情に応じたきめ細かな取組や、全ライフステージにわたる雇用環境等の整備・働き方改革を進める
    • こども・若者に関わる大人への重層的な支援の確保
      • 保護者が自己肯定感を持ち、幸せにこどもと向き合える環境を整える
      • 支援者が喜び・幸せ・充実を感じ、安心したキャリアパスを描ける環境を整える、多様な人材確保・育成
    • 誰一人取り残さず、確実に届ける支援の充実
      • 制度・組織による縦割りの壁、18歳や20歳などの年齢の壁を克服した、プッシュ型・アウトリーチ型支援
      • 個別ニーズに応じたきめ細かい支援及びインクルージョン推進の観点から施策を講じることが重要
    • EBPMの推進
      • 中長期的視点に立ったPDCAサイクル構築、効果の点検・評価・公表
      • 大学・民間研究機関等と連携した、包括的な観点での調査研究

~NEW~
金融庁 地域金融機関におけるサイバーセキュリティセルフアセスメントの集計結果(2022年度)
▼本文
  • 経営方針の策定とその実現に向けた態勢
    • 対顧客サービスの拡充や業務改革の推進といったデジタル化戦略を推進するにあたっては、その戦略内容を踏まえたサイバーセキュリティ管理態勢の整備について、経営トップの関与のもと、経営資源の投入を含む具体的な計画を策定し、計画的に取り組むことが重要である。サイバーセキュリティに関する経営方針・計画の策定状況をみると、8割弱の先が、経営トップの関与のもと、経営方針としてサイバーセキュリティの確保を掲げ、実現に向けた計画を策定していると回答している。
    • 次に、自組織のサイバーセキュリティを統括する責任者についてみると、9割強の先が役員と回答している。内訳については、システムリスクを所掌する役員(CIO)が約8割となっており、一部大手行で任命される事例がみられるサイバーセキュリティを専門に担う役員(CISO)が置かれている先は7%弱となっている。
    • サイバーセキュリティに関し、経営層に定例的に報告している内容についてみると、自組織のサイバーインシデントや対策状況が高い一方で、他社事例については自組織と比べて低いとの回答となった。経営層に対し、他社のサイバーインシデント事例を含め最近の脅威動向に関する情報を広く報告し、自組織の対策状況の点検に繋げていくことが重要である。なお、他社事例に関しては、報道情報に加え、業界団体、官公庁などから無償で収集することが可能である。
  • サイバーセキュリティに関するリスク評価の実施
    • 自組織が利用する重要なシステムに対しては、サイバーセキュリティに関するリスク評価を、適時適切に行うことが重要である。リスク評価の実施状況をみると、定期的に実施している先や、システムの導入時や大規模更改時に実施している先が多かった。
    • リスク評価を踏まえた、対応(低減、回避、移転、受容)の決定や対応方針の優先順位の決定については、経営層の関与のもとで組織的に行われることが重要である。決定者についてみると、システムリスク管理部署やシステム所管部署が判断している先が多く、経営層が判断している先は4割強であった。
  • サイバーセキュリティに関する監査
    • サイバーセキュリティに関する監査結果の報告先についてみると、大半の先が経営層に報告している。サイバーリスクは金融機関の経営上の重要課題の一つであることを踏まえると、今後はサイバーセキュリティの監査について、経営層が監査結果を認識することにとどまらず、監査部門が監査指摘事項の改善策の実施状況を被監査部門に確認することなどを通じ、所謂「第3線部門としての機能」を発揮することが重要である。
  • サイバーセキュリティ人材の確保の態勢
    • デジタル技術を活用した対顧客サービスの拡充や業務改革を進めるにあたり、同時に、それにより生じ得るサイバーセキュリティに関するリスクを評価・管理できる人材の確保が重要である。こうした人材の確保の状況をみると、7割強の先が要員を十分に確保できていないと回答している。
    • サイバーセキュリティ人材の不足感が強い中にあって、各先とも、内部職員の育成のほか、外部専門業者の活用など組織態勢の強化に向けて複線的に取り組んでいる。そうした人材の育成・強化策の一つであるe-learning(ビデオ、書面等含む)によるサイバーセキュリティに関する意識啓発の対象者をみると、システム所管部署の職員を対象に含めている地域金融機関が8割を上回っているものの、役員やその他の職員を対象とする先は6~7割にとどまっている。今後、システム所管部署にとどまらず、経営層、業務部署、広報その他部署などの幅広い層への研修等を通じて、組織全体としてのサイバーセキュリティ人材の育成や知識の底上げを図ることが期待される。
  • サイバー攻撃への技術的対策
    • OA端末のサイバー攻撃対策についてみると、インターネットとの分離、外部記憶媒体の接続制限、パターン検知型マルウェア対策製品の導入といった対策が進んでいる。今後、デジタル化施策を一段と推進していく場合、脅威動向の変化に目配りしつつ、新しいリスクに応じたサイバーセキュリティ対策の高度化に取り組んでいく必要がある。
  • サイバーインシデントの監視・分析態勢
    • サイバーインシデントを早期に検知し、迅速に対応するためには、セキュリティ関連の監視・分析等を行う組織(SOC)を設置することが重要である。そうした組織の設置状況をみると、約8割の先で設置されており、常時の監視・対応を行っているとの回答は6割を超えていた。今後も、常時化(24時間365日)を含め、検知・対応の迅速化が期待される。
    • また、SOC等サイバーセキュリティの監視部署でのモニタリング対象をみると、マルウェア検知・感染状況や外部との通信状況を監視・分析しているとの回答が8割を超えていた。今後も、監視する対象システム等の拡充を含め、モニタリングの一層の高度化が期待される。
  • システム資産の管理、脆弱性への対応
    • サイバーインシデントの発生原因としては、システムのOSやソフトウェアの脆弱性(vulnerability)を悪用した攻撃が多くみられる。まず、組織としてシステム資産の管理が適切に行われているかという観点から、管理簿等の整備状況をみると、内部システムと比べて外部システムの更新・確認の頻度が低くなっていた。自らが提供する対顧客サービスや内部の重要情報を格納するシステムについては、外部システムであっても自組織におけるシステムとして認識し、管理簿等を作成するほか、内容を最新化しておくことで、システムの脆弱性調査や保守契約の管理などを迅速かつ正確に実施できるようにすることが重要である。
    • 脆弱性が新たに判明する可能性もあることから、システム導入時の脆弱性診断に加え、導入後も診断を継続的に実施することが重要である。脆弱性診断等の実施状況についてみると、多くの先でシステム導入後も継続的に実施されている。また、脆弱性診断の実施に加え、自組織における検知・監視態勢を整備・確立している先においては、ペネトレーションテストや脅威ベースのペネトレーションテストを実施し、客観的な目線から検知・監視態勢の実効性の確認を行うことも重要である。
    • このほか、自組織のシステムで深刻な脆弱性が判明した場合の対応としては、セキュリティパッチ(脆弱性修正プログラム)を迅速に適用することが重要である。そうした場合のパッチの適用方針をみると、インターネットと接続しているシステムでは8割以上の先が可及的速やかに適用している一方、インターネットと接続していないシステムでは、ほぼ半数の先が、システム更改時に適用するか、原則としてパッチを適用しないとの対応であった。攻撃の蓋然性を勘案したリスクベースでの対応を基本としつつ、最近のサイバーインシデント事案を踏まえ、閉域網を過信することなく、パッチ適用の要否を検討することが重要である。
  • コンティンジェンシープランの策定、訓練・演習の実施
    • サイバーリスクが顕在化した場合を想定し、迅速な復旧を図ることが重要である。コンティンジェンシープランの整備状況をみると、大半の先がサイバー攻撃(被害)の別に応じてプランを整備している。今後は、業務への影響に応じて目標復旧時間を設定するとともに、外部委託先をはじめ重要なサードパーティに対するサイバー攻撃を想定した自組織のコンティンジェンシープランの整備および演習の実施など、コンティンジェンシープランの実効性を一層高めることが重要である。
    • また、サイバーインシデント対応や訓練・演習の実績を踏まえ、インシデント対応のための関連規程、情報連絡体制、コンティンジェンシープラン、要員数等の体制の見直しを図るとともに実効性を向上していくことも重要である。こうした取り組みについてみると、大半の先が実績を踏まえ、体制または技術的対策の更新に繋げていた。
  • サードパーティリスクへの取り組み
    • 昨年、G7がサードパーティに関するハイレベルガイダンスを公表するなど、デジタルビジネスを支える広範かつ複雑なサプライチェーンを管理することの重要性が高まっている。重要なサードパーティに関するサイバーセキュリティのリスク管理状況をみると、半数以上の先で統括部署にて一元的に管理されている。
    • また、外部委託先とサイバーセキュリティに関する事項を契約等で定めているかについては、委託業務または提供サービス等におけるサイバーセキュリティ対策についての責任分界や、サイバーセキュリティのリスク管理責任者を定めていない先が少なからずみられた。サードパーティとの契約は先方の雛形に沿って締結されることが多いものと考えられるが、重要事項については、相手先と十分に確認を行い、追加的に書面のかたちで取扱いの明確化を図ることが重要である。
  • 今後に向けて
    • 金融機関によるデジタル技術を活用した対顧客サービスの拡充や業務改革を推進する動きが進むなかで、サイバー攻撃の脅威は一段と高まっている。各金融機関におけるビジネスの内容やデジタル技術の活用状況、システム構成によって、直面するサイバー攻撃の脅威には違いがあり、サイバーセキュリティの確保のために求められる取り組みも一律ではないものの、そうした脅威の高まりを踏まえて、今後もサイバーセキュリティ管理態勢の整備や実効性の確保に向けて取り組んでいくことが重要である。
    • この点、従来であれば、外部からのマルウェアの侵入をいかに水際で防ぐか、といった境界防御型の対策が重視されていたが、デジタル技術の活用に伴い、インターネットとの接続の拡大やサイバー攻撃の組織化・洗練化を受け、その対策として、最近では未知のマルウェアの侵入可能性は完全に排除できないとの前提のもと、性悪説に立って、組織のネットワーク内部も含め、多層的に対策を講じていくとの傾向が窺われる(この考え方は「ゼロトラスト」と呼ばれることもある)。こうした傾向を踏まえ、例えば、振舞検知型マルウェア対策製品(EDR19を含む)や端末ログイン時の多要素認証の仕組みといった対策の導入に加え、SOCによる監視機能や ID・アクセス権管理、脆弱性対策20の高度化を計画的に推進していくことが期待される。

~NEW~
金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第9回)議事次第
▼資料1 事務局説明資料
  • 金融安定理事会(FSB)は、暗号資産とグローバル・ステーブルコインに関するハイレベル勧告案をG20に提出。これに併せて、両ハイレベル勧告案の位置づけや、今後の作業方針等を明確化したアンブレラ・ノートを提出。
  • 暗号資産とグローバル・ステーブルコインにかかるハイレベル勧告案の位置づけ
    • 暗号資産に関するハイレベル勧告案(CA勧告)は、暗号資産関連の活動・市場について、包括的かつグローバルに整合性のとれた規制・監督を促進するために策定。当該ハイレベル勧告案は、金融システムの安定にリスクを及ぼしうる全ての暗号資産の活動、発行者、サービス提供者に適用される。
    • グローバル・ステーブルコインに関するハイレベル勧告案(GSC勧告)は、潜在的にグローバル・ステーブルコインになりうる全てのステーブルコインに適用されるものであり、2020年10月に策定された「グローバル・ステーブルコインの規制・監督・監視にかかるハイレベル勧告」を見直したもの。
  • FSB「暗号資産活動及び市場に関する規制・監督・監視」に係る市中協議(CA勧告、2022年10月)
    1. 暗号資産の活動・市場(発行者・サービス提供者含む)を規制・監督・監視するために適切な権限・手段と十分なリソースを有すべき。
    2. 暗号資産の活動・市場(発行者・サービス提供者含む)に対して、「同一の活動、同一のリスクには同一の規制を適用する」という原則に沿って、金融安定リスクに応じた効果的な規制・監督・監視を適用すべき。
    3. 規制監督上の結果の一貫性を促進するために、効率的・効果的な情報共有・協議等を推進するよう、国内外で相互に協力・協調すべき。
    4. 暗号資産の発行者・サービス提供者に対して、包括的なガバナンス枠組みを整備し、開示するよう要求すべき。ガバナンス枠組みは、リスク、規模、複雑性、システム上の重要性、金融安定リスクに応じたものであるべきであり、明確かつ直接的な責任及び説明責任を提供すべき。
    5. 暗号資産のサービス提供者に対して、全ての重要なリスクに包括的に対処する効果的なリスク管理枠組みを有するよう要求すべき。当該枠組みは、リスク、規模、複雑性、システム上の重要性、金融安定リスクに応じたものであるべき。伝統的な金融と同等の規制上の結果を達成するために必要な範囲で、暗号資産の発行者に対して、金融安定リスクに対処するよう要求すべき。
    6. 暗号資産の発行者・サービス提供者に対して、リスク、規模、複雑性、システム上の重要性に応じて、データの収集・保存・保護・適時正確な報告のための強固な枠組みを整備するよう要求すべき。規制・監督・監視の責務を果たすために、必要かつ適切なデータへのアクセスを有するべき。
    7. 暗号資産の発行者・サービス提供者に対して、業務・リスク特性・財務状況・提供商品・活動に関する、包括的で明確かつ透明性のある情報を、利用者・関連するステークホルダーに開示するよう要求すべき。
    8. 暗号資産エコシステム内・暗号資産エコシステムと金融システムとの間の相互連関性を特定し監視すべき。これらの相互連関性や相互依存性から生じる金融安定リスクに対処すべき。
    9. 複数の機能や活動を組み合わせた暗号資産のサービス提供者が、個別の機能に係るリスクと、機能の組み合わせから生じるリスクに包括的に対処する規制・監督・監視の対象となることを確保すべき。
  • FSB「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視に関するハイレベル勧告」の改定案(GSC勧告、2022年10月)
    1. GSCやその関連する機能・活動に関する包括的な規制・監督・監視・法執行に必要ないし適切な権限・手段等を有するべき。
    2. GSCについて、各当局の責務と整合的に、機能やリスクに応じて国際基準と整合的な包括的な規制・監督・監視要件を適用するべき。
    3. 国内外で協力・協調し、GSCについて効率的・効果的な情報共有及び協議を推進するべき。
    4. GSCに対し、全ての機能と活動に関する責任及び説明責任の所在を明確かつ直接的にするような包括的なガバナンス枠組みの構築を要求すべき。
    5. GSCに対し、オペレーショナル・レジリエンス、サイバーセキュリティ、AML/CFT等に関する効果的なリスク管理枠組みを有し、各法域の
    6. GSCに対し、データを収集・保管・保護する頑健なシステム及びプロセスの構築を要求すべき。
    7. GSCに対し、適切な再建・破綻処理計画を有することを要求すべき。(変更無し)
    8. GSC発行者に対し、全ての利用者や関係者がガバナンス枠組み、償還権、価値安定化メカニズム等のGSCの機能を理解するための包括的かつ透明性のある情報提供を要求すべき。
    9. GSCに対し、発行者や裏付け資産への強固な法的請求権を提供し、適時の償還を保証するよう要求すべき。単一法定通貨を参照するGSCの償還は額面価格で行われるべき。GSCに対し、効果的な価値安定化メカニズム、明確な償還権、健全性要件を満たすよう要求すべき。
    10. GSCに対し、ある法域でのサービス開始前に、その法域において適用され得る全ての規制・監督・監視上の要件を満たすことを要求し、また必要に応じて適切に新たな規制を適用するべき。
  • 米国財務省「分散型金融の不正金融リスク評価」(2023年4月)
    • 米国財務省は、2023年4月、「分散型金融の不正金融リスク評価」を公表。同評価書は、分散型金融(DeFi)の分散化の程度に影響を及ぼす要素や、DeFiが犯罪に利用される危険性・脆弱性等を分析した上で、DeFiの不正金融リスクへの対処方法を提言。
      1. ガバナンス
        • 多くのDeFiサービスでは、中央集権的なガバナンス構造に依拠せず、自律的に運営されることを主張するが、実際にはガバナンス構造にて特徴づけられることが多い(例経営機能、コードの問題の修正、スマートコントラクトの機能の変更)
        • ガバナンストークンが少数の者に集中している場合(例開発者や初期投資家がサービスの支配を維持する場合)や議決権の行使を第三者に集中して委託する場合があり、このような場合にはガバナンストークンの利用が分散化に寄与しない。
        • DeFiのガバナンス構造が問題となったケースとして、The DAO事案(2017年)、Ooki DAO事案(2022年)がある。
      2. アプリケーションレイヤー
        • DeFiサービスの利用者は、スマートコントラクトを通じて取引を行うことが可能だが、通常アプリケーションやウェブサイトに依拠する。
        • 多くのケースでは、アプリ開発者がDeFiサービスの利便性にとって重要であり、ガバナンストークンを保有する必要がない場合であっても、利用者によるDeFiサービスの利用について重大な影響を及ぼしている。
        • アプリの重要性が指摘されたケースとして、オンライン取引プラットフォームであるPolymarket事案(2022年)がある。
      3. 決済レイヤー
        • DeFiサービスが運営されるブロックチェーンの多くはパーミッションレス型であるが、中にはコンセンサスメカニズムへの参加者であるバリデータが限定されたブロックチェーンも存在する。こうしたチェーンは、取引承認に係る意思決定権限を集中させ、意思決定を少数の者にさせることを可能とする。
        • 例えば、十分なマイニング力やステーキングされた暗号資産を有する者は、自身の取引を他者の取引に優先させることができる。多くのバリデータを有するブロックチェーンにおいても、少数の者がマイニング力、ステーキングされた暗号資産、提案された取引ブロック、コンセンサスメカニズムの支配方法について指示する場合には、権限の集中が起きる可能性がある。
  • 不正金融リスクへの更なる対処のための提言
    1. 暗号資産活動に係る米国のAML/CFT監督の強化
      • 米国政府は、既存の監督・執行機能を強化して、DeFiサービスに係る銀行秘密法(BSA)上の義務を含むAML/CFTその他の規制遵守を向上等させるべき。その一環として、規制当局は、従前発行した規制・ガイダンスに沿う形で、既存規制がDeFiサービスへどのように適用されるかを説明するための業界へのアウトリーチを実施すべき。
      • 業界の反応を踏まえて、当局は追加的な規制行為・追加ガイダンスの発行を検討すべき。
    2. DeFiに適用される米国のAML/CFT枠組み強化の可能性の評価
      • 米国財務省は、規制枠組みが不正金融活動等から米国の金融システムを効果的に保護するよう、AML/CFT規制の評価を継続する。
    3. DeFiエコシステムの発展の理解を促進する調査、民間との関わりの継続
      • DeFiサービスはその発展とともに分散化の程度を増減させる可能性があり、米国政府は、調査や民間との関わりを通じて、不正金融リスクやAML/CFT義務の適用に影響を与えうるDeFiエコシステム内での変化のモニタリングを継続すべき。
    4. 海外当局等との協業の継続
      • 米国政府は、暗号資産やVASPに関する国際基準の実施に係るギャップを埋めるため、FATF等国際機関や海外当局といった海外パートナーとの協業を継続する。
    5. 暗号資産企業のサイバー耐性、コードのテスト、強固なリスク情報共有の支援
      • 米国は、民間事業者などが、脆弱性をより早く特定して疑わしい取引の端緒に対応するため、DeFiサービスのリアルタイムでの分析、モニタリング、コードの厳格なテストを行うことを支援するとともに、米国当局は可能な限りそれらの情報を開示し、民間における対処を促進する。
    6. リスク軽減措置の責任あるイノベーションの促進
      • 暗号資産業界の中には、DeFiサービスに係るAML/CFT措置や暗号資産業界がDeFiに関連する不正金融リスクを軽減するために利用可能なその他のツールを開発している企業がある。米国政府は、DeFiサービスの不正金融リスクの軽減を図るイノベーションを促進するため、テックスプリント(TechSprint)等を通じて、こうしたツールの開発者とやり取りを持つべき。
  • (米国)連邦準備制度理事会等による銀行に対する暗号資産リスクに係る共同声明(2023年1月)
    • 銀行が認識すべき主要な暗号資産に係るリスク
      1. 暗号資産セクターの参加者間の詐欺等のリスク
      2. カストディの実務、償還、所有権の法的不明確性
      3. リテール投資家・機関投資家・顧客・相手方を害する、暗号資産企業による不正確・ミスリーディングな表示・開示(連邦預金保険に関する誤表示を含む)及び不公正・詐欺的・濫用的な実務
      4. 暗号資産市場における高ボラティリティ(暗号資産企業の預金流出を伴う潜在的影響を含む)
      5. 準備金を保有する銀行預金の潜在的な流出を招く、ステーブルコインの取付けリスク
      6. (不透明な貸付、投資、資金調達、サービス等を通じたものを含む)特定の暗号資産参加者間の相互関連性から生じる暗号資産セクター内での伝播リスク(当該相互関連性は、暗号資産セクターにエクスポージャーを有する銀行に対する集中リスクも招く)
      7. 成熟性・頑健性の欠如を示している暗号資産セクターのリスク管理・ガバナンス実務
      8. システム監視を構築するガバナンスメカニズムの欠如、役割・責任・義務を明確に定義づける契約・基準の不存在、サイバー攻撃・不正金融等に関連する脆弱性を含む、オープン、パブリック型及び/又は分散型ネットワークその他類似のシステムに関する高いリスク
  • Tornado Cashに対する米OFACによる制裁等
    1. 執行事例の概要
      • Tornado Cashは、ブロックチェーン上で自律的に稼働する暗号資産ミキサーであり、匿名性を確保した取引執行を可能とする。
      • Tornado Cashは、ガバナンストークンであるTORNの保有者によって管理されていたとされる(プロトコル変更の提案・投票を行うためにTORNをロックすることが必要)。
      • 米OFACは、北朝鮮が支援するハッキング組織であるLazarus Group等によってマネー・ローンダリングに使用されていたとして、Tornado Cash(ミキシングサービスそのもの)に対し制裁。
      • 蘭FIODは、Tornado Cashの開発者兼実質的意思決定者であったとされるAlexey Pertsevを逮捕。
    2. 本件を踏まえた課題
      • スマートコントラクトを用いて自律的に稼働していたとされるミキシングサービスが違法行為を幇助・助長した場合に、責任主体をどのように捉えていくべきかについて、当局の執行対象は異なっており、既存の規制執行のアプローチの当てはめが適切か否かも含め、今後の議論が待たれる。
      • ブロックチェーンバリデーターによる制裁対象となったアドレスが関わっている取引の承認の可否といった観点は不明確となっている。匿名性を維持・更に強化しながらデジタル資産の取引を可能にするツールがマネー・ローンダリングやテロ資金供与を含む犯罪行為に利用されることを阻止するために効果的な執行をする上では、執行内容の明確化も課題となる。
  • Coinbase社員等によるインサイダー取引事案
    1. 執行事例の概要
      • Coinbaseは、米国最大の暗号資産取引プラットフォームの1つを運営。
      • 2021年6月頃~2022年4月頃、Coinbaseの社員であったIshanは、Coinbaseによる暗号資産の上場発表の内容やタイミングに関する非公開情報を、NikhilとSameerに繰り返し伝達。NikhilとSameerはこの情報を利用して、複数の暗号資産を上場発表に先立って取引し、少なくとも110万米ドルの利益を得た。
      • 2022年4月、あるTwitterアカウントにおいて、Coinbaseによる上場発表の約24時間前に数十万米ドルの暗号資産を購入したイーサリアムブロックチェーンウォレットを特定したとのツイートが投稿。
      • 2022年7月、SEC及びDOJは、上記3名を訴追
    2. 本件を踏まえた課題
      • 外国の暗号資産取引プラットフォームにおける取引等を組み合わせることで、本人確認等を回避した形で不公正取引が実行されていた。このような匿名取引を利用した不公正取引に対する捜査及び執行の実効性確保が課題となっている。
      • 第三者のTwitterアカウントがブロックチェーン分析ツールを利用して、不自然な取引を特定したことが捜査のきっかけとなった。こうしたパブリックブロックチェーン上でなされた取引内容の透明性を不公正取引の防止や市場の公正性向上に活用するための具体的な方策も課題となる。
      • 加えて、オンチェーン情報の分析のみでは、オフチェーンも含む取引の流れや実際の取引者(最終受益者)を識別することが難しいことから、オンチェーン情報とオフチェーン情報を組み合わせた取引の分析及び追跡の活用も課題となる。
      • 伝統的金融と共通する課題として、暗号資産取引プラットフォーム運営者などの事業者においても、情報管理体制及び役職員による取引管理体制の整備やその実効性確保のためのモニタリングや役職員への研修の実施などの不公正取引の未然防止のための社内体制の構築が必要となる点が挙げられる。
  • Mango Marketsにおける担保価値操作事案
    1. 執行事例の概要
      • 本事例は、分散型暗号資産取引所であるMango Marketsにおける人為的な担保価値操作及び暗号資産の窃取に関するSEC、CFTC、DOJによる訴追事例。
      • 攻撃者との交渉を踏まえ、プラットフォーム側がDAOにおけるガバナンス投票を行い、一定の金額の返還の交換条件として攻撃者への訴追等の権利を放棄することが可決されたが、プラットフォーム側は後日、投票結果は無効と主張し、訴状では全額返済を求めて提訴。
    2. 本件を踏まえた課題
      • Mango Marketsでは、流動性が低かったMNGOトークンのパーペチュアル(無期限)先物が取引でき、他の暗号資産等の借入の担保にも使える仕様になっていた。攻撃者は、この脆弱性を突き、Mango Marketsが利用するオラクルの参照先(第三者取引所)において、MNGOトークン(現物)を大量購入することで担保価値の操作を行い、Mango Marketsにおいて多額の暗号資産等を借入れた後、窃取することに成功した。
      • Mango Markets、Switchboard等のスマートコントラクトは攻撃者を含めて誰にでも内容が開示されており、透明性があると主張されていた。一方で、攻撃者はオープンになっているソースコードを解読し今回の攻撃を実行した。
      • パブリックブロックチェーン上はアカウント(ウォレットアドレス)は匿名であり、個々のアカウントの連動性については確認できるものの、所有者情報などを確認することは難しい。所有者の情報を特定するため、本事案では中央集権型取引所やステーブルコイン発行者のオフチェーン情報(本人確認情報)を捜査・執行上で参照したものと考えられる。
      • 攻撃者との交渉を踏まえ、プラットフォーム側がDAOにおけるガバナンス投票を行い、一定の金額の返還の交換条件として攻撃者への訴追の権利等を放棄することが可決された。しかし、プラットフォーム側が後日、投票結果は無効と主張し、被害額の全額返済を求めて訴追したことで、Mango Marketsのガバナンスの法的根拠の曖昧さが浮き彫りとなった。
  • FTX及びAlameda Researchによる詐欺及び顧客資産流用に対するSEC, CFTC, DOJによる訴追
    1. 執行事例の概要
      • SEC、CFTC、DOJは、顧客資産の不正流用、虚偽の情報を用いた資金調達、債権者等に対する詐欺、その他の米国連邦法違反について、暗号資産交換所等を運営するFTX、暗号資産ヘッジファンドのAlameda、その創業者Bankman-Fried及び関連する不正に従事した両社役員を訴追
    2. 本件を踏まえた課題
      • 伝統的金融と同様の課題
        • 経営者による不正を阻止するためのガバナンスの不在
        • リスク管理態勢及びコンプライアンス管理態勢の不備
      • デジタル資産で特に課題となるもの
        • 暗号資産に関する規制が整備されていない法域が多数存在
        • 暗号資産を担保にした資金調達に関する課題
        • 暗号資産関連企業の相互連関性
  • 執行事例等を踏まえた課題
    • デジタル資産の不公正取引については、伝統的金融と同様の課題も多くある一方、デジタル資産特有の(又はデジタル資産で特に難しい)課題が存在。
      1. DeFiと称するサービスやスマートコントラクトを利用して自律的に稼働しているとするサービスが違法行為を行った場合の責任主体
      2. 上記のような違法行為を抑止するための実効的な方法
      3. オンチェーン情報については(匿名ではあるものの)取引データは公表されることを踏まえた実効的な市場監視のあり方や、オフチェーン情報も含めた総合的な分析のあり方
      4. 流動性の低い自社固有トークン等を担保にしたデリバティブ取引や資金調達、暗号資産関連企業の相互連関性から生じる信用不安の拡大
      5. DAOにおける関係者の形成する合意やガバナンス
      6. 十分に規制されていない法域の存在
▼資料2 討議いただきたい事項
  1. 海外(特に米国)においては、暗号資産やDeFiに関して、捜査・監督当局による執行事例が出てきている。こうした事例も踏まえ、伝統的な金融資産と異なる暗号資産やDeFi特有の課題として、どのようなものが考えられるか。また、日本において、こうした課題を検討していく上で、留意すべき点はあるか。
  2. DeFiと称するサービスやスマートコントラクトを利用したサービスについて、どのような者を責任主体と捉えていくことが考えられるか。例えば、個別の執行事例においては、捜査・監督当局は以下のような者を責任主体として認定したと考えられるが、こうした考え方についてどのように考えるか。
    • Tornado Cashの事例:蘭 FIODは、開発者であり事実上意思決定できるほどの多数のガバナンストークンを保有している者を逮捕。米 OFACは、Tornado CashおよびTornado Cashと関連するウォレットアドレスとの取引を制限した。
    • Ooki DAOの事例:
      • 創業者であり支配権を有する者(会社及び個人)を責任主体として罰金を科す命令を発出
      • DAOが支配権を取得した後のDAO及びガバナンストークンの保有者を責任主体として訴追
  3. 上記の他に、分散台帳技術等を活用した金融的手法・サービスに関して、留意すべき点はあるか。

~NEW~
金融庁 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第28回)議事次第
▼資料2 事務局資料
  • ジャパン・コーポレート・ガバナンス・フォーラムの設置
    • コーポレートガバナンス改革を加速化し強化するため、海外投資家を含むステークホルダーから幅広く意見を聞く場として、ジャパン・コーポレート・ガバナンス・フォーラム(JCGF)を設置。
    • JCGFにおいては、コーポレートガバナンスの改善を評価する声があった一方、(1)資本コストを踏まえた収益性・成長性を意識した経営の促進、人的資本含むサステナビリティに関する取組みの促進といった経営上の課題、(2)独立社外取締役等の機能発揮に関する課題、(3)企業と投資家との対話に係る課題が指摘された。
      1. 総論
        • 企業意識を含め、実質的にガバナンス改革が進み始めた。未だ課題はあるが、今後の進捗を期待。
      2. 経営上の課題、独立社外取締役等の機能発揮に関する課題
        • 資本効率の重要性は認識されつつあるがすべての企業で認識されていない。現預金のため込み、低ROEやPBR1倍割れ企業の多さが課題。
        • 人的資本に関する開示や、ジェンダーを含む取締役会の多様性が必要。
        • 指名・報酬委員会の役割強化や取締役会の独立性確保等、独立社外取締役の機能発揮等が必要。
      3. 企業と投資家との対話に係る課題
        • インデックス投資における受託者責任が十分に果たされていない、投資人材の待遇改善が必要。
        • 株主総会前の有価証券報告書の開示等の情報開示の充実が必要。
        • 英文開示の充実や、コーポレートガバナンスの優れた企業の見える化が有用。
        • エンゲージメントの促進・実質化や、少数株主保護の観点から法制度の見直しが必要。
        • 上場子会社における少数株主の利益毀損の懸念や、政策保有株式の多さ等が課題。
  • 金融審議会ディスクロージャーWGにおける検討-有価証券報告書の記載事項の拡充
    • 2021年9月以降、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、投資家の投資判断に必要な情報を適時に分かりやすく提供し、企業と投資家との間の建設的な対話に資する企業情報の開示のあり方について検討。
    • 2022年6月の報告を踏まえて、有価証券報告書にサステナビリティ情報の「記載欄」を新設するほか、人的資本・多様性やコーポレートガバナンスに関する開示を拡充。
    • ディスクロージャーワーキング・グループ報告(2022年12月公表)において、サステナビリティ開示に関して、以下の内容を取りまとめた。
    • サステナビリティ開示
      • 我が国のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)や今後策定される開示基準を、法令上の枠組みの中で位置づけ(府令事項)
      • 今後の検討課題(サステナビリティ開示基準、開示内容に対する第三者による保証(※)等)、ロードマップについて議論
        • ※保証とは、独立した第三者が、情報の信頼性を高めるために、その情報が正しいかどうかについて結論を表明すること
  • 「記述情報の開示の好事例集」の公表・更新
    • 2019年3月以降、投資家と企業との建設的な対話に資する充実した企業情報の開示を促すため、投資家・アナリスト及び企業からなる勉強会を開催し、「記述情報の開示の好事例集」を公表・更新。
    • 2022年度は、2023年1月に改正した「企業内容等の開示に関する内閣府令」を踏まえ、新たに開示が求められる「サステナビリティ情報」に関する開示等を取りまとめ、「記述情報の開示の好事例集2022」として公表(2023年1月、同年3月最終更新)。
  • スチュワードシップ活動の実態調査
    1. 調査の結果指摘された課題
      1. エンゲージメントのためのリソース(人材・時間)の不足
        • 運用機関各社及び業界全体において、実効的なスチュワードシップ活動を担うために必要なスキル・能力を備えた人材が不足している。
        • 自社で十分な人材の確保・育成が難しい場合には、協働エンゲージメント等を通じた外部の知見の活用が期待されるが、大量保有報告制度上の「共同保有者」の概念が不明確であることや協働エンゲージメント等の負担が一部の運用機関に集中することにより、協働エンゲージメント等を通じたリソースの補完が十分に出来ていない可能性がある。
        • エンゲージメント対象企業の選定を行う結果、中堅以下の規模の企業が対象外となりやすい。
      2. 投資先企業における行動変化やその姿勢が不十分
        • 企業から運用機関によるエンゲージメント(対話)や議決権行使が形式的と捉えられ、企業の納得感が得られず、行動変容につながっていない可能性がある。
        • 大量保有報告制度上「重要提案行為」概念が不明確であるために踏み込んだエンゲージメントがなされていない可能性がある。
      3. プロセス構築(PDCAサイクル)に改善の余地
        • アセットオーナーにおける十分な評価・モニタリング体制が確保されていない可能性がある。
      4. コスト・予算を割いて取組みを行うインセンティブの欠如
        • 運用機関によるスチュワードシップ活動が、運用機関の選定や報酬設定に適切に反映されていない可能性がある。
    2. 課題解決に向けての取り組み
      1. 運用機関における幅広い協働の取組み
        • 運用機関個別の課題に関する各運用機関の自己評価を踏まえ、運用機関が幅広く協働して、各運用機関における課題認識の妥当性やその解決に向けた取組みの有効性について意見交換を行い、具体的な対応策を検討する場を設けることが考えられる。
        • 運用機関全体の課題として、協働エンゲージメント等の取組みにおいて、一部の運用機関のみが過度な負担を強いられることがないよう、適切な体制を構築していくべきである。また、新規人材の獲得に向けた取組みなどについても、運用業界全体で協働して取り組むことが期待される。
      2. 運用機関とアセットオーナーの間の取組み
        • 運用機関において、アセットオーナーに対して、自らが抱える課題やその解決に向けた取組みを報告すべきであるとともに、アセットオーナーから受けた評価を適切に今後の取組みに反映すべきである。
        • アセットオーナーにおいて、上記報告を受けて運用機関の課題認識の妥当性やその解決に向けた取組みの有効性を適切に評価し、今後の取組みを適切にモニタリングすべきである。また、評価・モニタリングの結果を運用機関の選定や報酬設定に反映することが期待される。
      3. アセットオーナーにおける幅広い協働の取組み
        • アセットオーナーにおいて評価・モニタリングのための十分な知見・運営体制が確保されることが重要。
        • 各アセットオーナーが単独で十分な知見や運営体制を確保することが困難な場合においては、必要に応じ、十分な知見や運営体制を有するアセットオーナーと協働して運用機関を評価・モニタリングするといった方策を講じることも考えられる。
      4. 行政当局におけるフォローアップ
        • 上記の各取組みについて、行政当局はその実効性を適切にフォローアップし、必要に応じ、これらを促進するための更なる施策を講じるべきである。
        • 大量保有報告制度上の「共同保有者」概念や「重要提案行為」概念の不明確性について、課題解決に向けた取組みを進めるべきであるとともに、運用機関のエンゲージメント対象外となる企業が、自ら運用機関との対話を依頼することができるよう、実質株主の透明性を向上させるべきである。
  • ご議論いただきたい事項
    1. 現状の課題
      • 前回会議・JCGF・機関投資家の実態調査等においては、主に以下の事項がコーポレートガバナンス改革の実質化に向けた課題として指摘された。
      • 資本コストを踏まえた収益性・成長性を意識した経営の促進、人的資本への投資をはじめとするサステナビリティに関する取組みの促進といった経営上の課題
      • 取締役会や指名委員会・報酬委員会の実効性向上、独立社外取締役の質の向上といった独立社外取締役の機能発揮に関する課題
      • 情報開示の充実、法制度上・市場環境上の課題解決といった企業と投資家との対話に関する課題
      • 今後、上記の各課題の解決に並行して取り組んでいくことについて、どう考えるか。また、上記以外に重要な課題はあるか。
    2. 今後の取組みに向けた考え方・具体的な取組み内容
      • 上記の各課題の解決方法について、コードの更なる細則化については改革の形骸化を招くおそれがあるとの指摘があることも踏まえ、どのような考え方に基づき取り組むべきか。また、今後のコードの改訂時期についてどう考えるか。
      • 上記の各課題の解決方法として、具体的にどのような取組みを進めていくべきか。
      • 上記の考え方及び各取組みについて、アクション・プログラムとしてこれを取りまとめた上で、各取組みの実施状況をフォローアップ会議において随時検証していくことについて、どう考えるか。
  • 課題の解決に向けた具体的な取り組み内容(案)
    1. 収益性と成長性を意識した経営
      • 資本コストの的確な把握やそれを踏まえた収益性・成長性を意識した経営(事業ポートフォリオの見直しや、人的資本や知的財産への投資・設備投資等、適切なリスクテイクに基づく経営資源の配分等を含む。)を促進する。
    2. サステナビリティを意識した経営
      • サステナビリティ開示の好事例集の公表等を通じて、サステナビリティ課題への取組みを促進する。
      • 女性役員比率の向上(2030年までに30%以上を目標)等、取締役会や中核人材の多様性向上に向けて、企業の取組状況に応じて追加的な施策の検討を進める。
    3. 独立社外取締役の機能発揮等
      • 取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況に関する実態調査・公表や、独立社外取締役への啓発活動等を通じて、更なる機能発揮を促進する。
    4. スチュワードシップ活動の実質化
      • スチュワードシップ活動における課題(リソース、インセンティブ、アセットオーナーの体制等)の解決に向けて、運用機関・アセットオーナー等の取組みを促進する。
    5. 対話の基礎となる情報開示の充実
      • 対話状況の開示や、エクスプレインの好事例・不十分な事例の明示に取り組む。
      • 投資家が必要とする情報を株主総会前に提供する方策や、投資家との対話の基礎となるよう企業のタイムリーな情報開示を促進する方策について検討を進める。
    6. グローバル投資家との対話促進
      • グローバル投資家の期待に自律的・積極的に応える企業群の見える化や、英文開示の更なる拡充を通じて、グローバル投資家との対話を促進する。
    7. 法制度上の課題の解決
      • 大量保有報告制度における「重要提案行為等」「共同保有者」の範囲・実質株主の透明性・部分買付けに伴う少数株主保護のあり方について検討を進める。
    8. 市場環境上の課題の解決
      • 従属上場会社に関する情報開示・ガバナンスのあり方について検討を進めるとともに、政策保有株式の縮減の進捗をフォローアップし、必要に応じて更なる検討を進める。

~NEW~
財務省 関東財務局 無登録で暗号資産交換業を行う者について(株式会社ブリッジインベストメント)
  • 無登録で暗号資産交換業を行う者について、事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16.暗号資産交換業者関係III-1-6(2)2に基づき、本日、警告を行いましたので、下記のとおり公表いたします。
    • 業者名等 株式会社ブリッジインベストメント
    • 代表取締役 小林栄次
    • 所在地又は住所 東京都港区元赤坂1-2-7
    • 内容等 オンラインセミナー等を通じて、暗号資産交換業を行っていたもの。
    • 備考 当該業者から当時上場予定の暗号資産「ジャスミー」を購入したとの情報が寄せられている。
  • 上記は、勧誘資料等に基づいて記載しており、「業者名等」「所在地又は住所」は虚偽の可能性があります。
  • 注意事項
    • 暗号資産は「法定通貨」ではありません。
    • 暗号資産交換業者は資金決済法上の登録が必要です。登録を受けずに、暗号資産売買の勧誘等をすることは法律違反の可能性があり、無登録業者による詐欺的な勧誘が多発しています。
    • 資金決済法上の登録を行っている業者についても、金融庁・財務局が、その業者の信用力等を保証するものではありません。登録業者等から暗号資産の取引を行う場合でも、その業者の信用力を慎重に見極めるとともに、取引内容を十分に理解したうえで、投資を行うかどうかの判断をすることが重要です。
  • 無登録業者にご注意!
    • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えております。不審に思ったら、一人で悩まず、すぐに下記問い合わせ先へご相談ください。

~NEW~
財務省 関東財務局 無登録で暗号資産交換業を行う者について(クリプトカレンシーワールドワイド株式会社)
  • 無登録で暗号資産交換業を行う者について、事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16.暗号資産交換業者関係III-1-6(2)2に基づき、本日、警告を行いましたので、下記のとおり公表いたします。
    • 業者名等 クリプトカレンシーワールドワイド株式会社
    • 代表取締役 白潟裕基
    • 所在地又は住所 東京都港区赤坂2-14-5 ダイワ赤坂ビル7F
    • 内容等 オンラインセミナー等を通じて、暗号資産交換業を行っていたもの。
    • 備考 当該業者から当時上場予定の暗号資産「ジャスミー」を購入したとの情報が寄せられている。
  • 上記は、勧誘資料等に基づいて記載しており、「業者名等」「所在地又は住所」は虚偽の可能性があります。
  • 注意事項
    • 暗号資産は「法定通貨」ではありません。
    • 暗号資産交換業者は資金決済法上の登録が必要です。登録を受けずに、暗号資産売買の勧誘等をすることは法律違反の可能性があり、無登録業者による詐欺的な勧誘が多発しています。
    • 資金決済法上の登録を行っている業者についても、金融庁・財務局が、その業者の信用力等を保証するものではありません。登録業者等から暗号資産の取引を行う場合でも、その業者の信用力を慎重に見極めるとともに、取引内容を十分に理解したうえで、投資を行うかどうかの判断をすることが重要です。
  • 無登録業者にご注意!
    • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えております。不審に思ったら、一人で悩まず、すぐに下記問い合わせ先へご相談ください。

~NEW~
内閣府 令和5年第4回経済財政諮問会議
▼資料1 参考資料(目指すべきマクロ経済の構造と求められる政府の役割)(柳川議員提出資料)
  • 「新しい資本主義」を通じた持続的な成長を可能とする経済構造
    • サプライサイド強化:社会的課題解決、持続的な経済成長につながる「質の高い」投資の促進
      • 民間が主体となって質の高い投資を行うことが原則
      • 政府は、民間投資を誘発するために、予算、税制、規制改革等を適切に組み合わせた上で、企業の予見可能性を高めるため、多年度のフレームとして提示
    • 2つの好循環の実現:
      • 成長の果実が賃金に分配され、セーフティネット等による暮らしの安心の下でそれが消費へとつながる「成長と分配の好循環」
      • 企業が賃金コストを価格に反映することで収益を確保し、それが更に賃金に分配されるという「賃金と物価の好循環」
  • 政府の政策展開・財政規律の在り方
    • 政策の有効性確保には、補正予算を含め、EBPMを通じたワイズスペンディングの徹底が必要。その際、政策の将来にわたる効果を見据えた「動的思考」も踏まえて多年度で政策を評価し、優先順位を明確にすべき
    • 新規事業のみならず既存事業のPDCAも強化し、社会保障を含めて歳出改革を徹底する必要。新しい財政ニーズが生まれれば、既存事業の見直しにより、時代の変化に即した財政資源のシフトを図るべき。
    • 現在の歳出改革努力の枠組みが2024年度を期限としていることを踏まえれば、しっかりとした財政規律を内外に示せるよう、PB黒字化等財政健全化目標の実現とその先を見据えた、新たな中期経済財政フレームの策定が必要。2024年度に改革の進捗を点検すべく、今年度から評価・分析の強化を実施すべき。
  • 市場経済を補完する政府の役割
    • こども政策や社会保障は、少子高齢化・人口減少等に伴う国力の縮小への対応、あるいは公平で活力ある社会形成を図る上で重要な基盤。子供から高齢者まで誰も取り残さないよう機能強化を図るとともに、医療・介護を成長分野とする規制緩和や高齢者の就業を妨げない制度整備を推進すべき。同時に、全世代型社会保障改革の推進、費用の適正化や必要な財源の確保を通じて持続性の確保を図るべき。
    • 地方行財政は、広域連携により自治体ごとの人手不足に対応し、デジタルを活用した行政サービスの効率化を徹底すべき。インフラ整備においても、広域的・戦略的な管理が重要であり、費用対効果に基づき、老朽化するインフラの予防保全型メンテナンスを効果的に進めるべき。
    • 国・地方一体となって、地方創生臨時交付金、緊急包括支援交付金等、コロナ禍で肥大化した政府支出の正常化(特に補正予算・予備費の縮小)をできるだけ早急かつ確実に実行すべき。
  • 好循環実現により導かれるマクロ経済
    • 人口減少、過少投資下では停滞した経済状況に陥る可能性が高くなる中で、「成長と分配の好循環」と「賃金と物価の好循環」を車の両輪とする経済の実現に向けて取り組むことにより、持続的成長を可能とする以下のようなマクロ経済が導かれる。
      • 企業
        • GXや経済安全保障等への取組、DX、省人化投資等の強化等、国内投資を増強
        • 資本蓄積や人への投資を通じた生産性上昇の果実を適切に賃金に分配
        • ⇒内外からの積極的な投資により、高い収益・付加価値を産出(→貯蓄超過の縮小/投資超過へ)
      • 家計
        • 幼児教育から始まる教育システム、リスキリング、労働移動の円滑化等による人的資本の形成→賃金の上昇
        • 多様な働き方の下での女性を中心とした正規化の推進、良質な医療が提供され健康寿命が延伸する下での高齢者の就労期間の延長
        • 家計の資産を貯蓄から投資へとシフト
        • セーフティネットによる暮らしの安心の下で、消費を拡大→所得と消費の好循環
        • ⇒女性・高齢者の労働参加や資産所得の拡大等により所得を押上げ(→高齢化による貯蓄率低下圧力を緩和)
      • 政府
        • 短期的には、政府が呼び水となる支出(ワイズスペンディングの徹底)等を行い民間投資を誘発
        • 投資的支出を含めた多年度にわたる計画的な財政運営により、市場の信認を確保
        • ⇒コロナ禍で拡大した支出を正常化するとともに、国内での民間部門の活動が活発化する中で、必要な政策を推進しつつ、歳出改革の徹底と必要な税収の確保により財政健全化を推進(→国・地方PBの黒字化)
  • 我が国は、バブル崩壊以降、企業が収支黒字(貯蓄超過)となり、余剰資金を保有する状態に。その反面、家計の収支黒字は小幅となり、一般政府は大きな収支赤字から脱却できずにいる。持続的な経済成長に向けて、政府によるサポートの下で、民間における賃金への分配や国内投資の強化が実現することで、企業は収支赤字(投資超過)方向にシフト、政府は民間の活動が活発化する中で収支を改善という姿を目指していくべき。
  • 企業は、国内の余剰資金を活用し、近年、対外直接投資を拡大。今後、GX、経済安全保障等に取り組み、国内投資の増強に結び付ける必要。家計の収支黒字は、1990年代以降、高齢化の影響等により縮小。人への投資により労働生産性を高め、抑制されてきた賃金への分配を強化すべき。また、高齢化が更に進む中で家計所得の拡大を図るには、資産所得の増加も重要。
  • 政府は、短期的には政府が呼び水となる支出を行って民間投資を誘発しつつも、民間の予見性向上と財政健全化に向けて計画的な財政運営を行うべき。財政状況の改善には、国のみならず、地域における公的サービスの提供者である地方も一体となって取り組む必要。まずは、コロナ禍での支出増の正常化をできるだけ早急かつ確実に実施すべき
  • 目指すべき経済社会構造と財政規律の在り方
    • 目指すべき経済社会構造の在り方
      • 新しい資本主義の根幹は、成長とともに、社会資本(社会保障・教育等の制度資本、インフラ等の公共資本、地球環境等の自然資本)の充実による安定した生活を確保すること。マイクロレベル(家計・企業)での安定には、社会保障と教育が重要。
      • 少子高齢化や深刻な財政赤字の蓄積等により、将来に希望を持てないことが、民間が資金を貯め込む原因。構造改革を通じて、これを解決することが非常に重要。
      • 高齢者社会では、成長や生産性が鈍化し、所得分配も不均等となり、より質の高い生活や環境が求められるが、高齢世帯は、長期的な成長よりも、損失や痛みを恐れて構造改革を拒否する傾向。
      • 市場原理に任せていてはうまくいかない教育を含めた社会資本について、どの部分が老朽化しているのかを検討して、どの分野に資金を投入していくべきかを日本として考える必要がある。
      • 新しい資本主義は、人への投資を通じた労働生産性上昇、所得格差の縮小、環境保護等の理念で共通点が多い。格差については、結果の格差が全くない社会では、がんばる意欲が失われる。機会の格差が小さい社会、貧困率がある程度低い社会が望ましい。
      • 物価と賃金について、日本は両方が動かない状況が四半世紀にわたって続いてきたが、足下では、消費者のインフレ予想、企業の価格転嫁、賃上げの動き等、前向きな変化が生じている。この変化を定着させ、賃金と物価の好循環を実現する必要がある。
      • 社会保障では、人々の中で一番弱いグループである幼児と高齢者への支援が重要。介護と年金は高齢者にセーフティネットを提供する意味で不可欠。良質な医療は持続的な成長と補完的。
      • 医療・介護は、費用の適正化に加え、この分野を成長センターにする必要。新しい担い手の参入や異業種間の連携を促す規制緩和や、オンライン診療等のITの実装が必要。
      • 社会保障の財源について、社会保険料は勤労世代に大きな負担。事業主負担もあり、雇用に対して悪影響が生じる。負担の公平や効率性の観点からは消費税の方が妥当。消費税には、国内立地企業の国際競争力を阻害しないというメリットもある
      • 少子高齢化の問題は世界の中でも日本がかなり突出しているという状況を認識すべき。団塊ジュニア世代が退職する2040年代頃を見据え、抜本的な改革により解決していくことが非常に重要。
      • 地方の国からの自立を促すためにも、地方財政計画や地方予算等の費目名の統一を含め、国から地方への資金の流れを見える化すべき。費用対効果を検証し、PDCAを回すことが必要。
      • 人口減少の中、市町村が地方分権の受け皿となるのは限界が来ている。地方は、モノ・カネに比べ、人が不足。複数の自治体が専門人材を共有するなどの広域連携で対応する必要
      • 公共投資については、新規投資が強調されがちだが、古くなったインフラの維持は効率が良い。限界生産性やコストベネフィットの高いものを選択する必要。
      • 政府が、基礎研究への助成に加え、幼児教育を中心に良質な基礎教育を全ての子供に提供することが重要。
    • 財政規律の在り方
      • 従来のデフレ下と異なり、世界的な金利やエネルギー価格の上昇等、潮目が大きく変化する中で、社会の高齢化に備え、危機に対する財政余力を確保する必要。
      • 財政赤字は、世代間の不平等を助長。日本は高齢者に資産が偏在している上、政府は借金により将来世代に負担を残している。世代間の不平等は現在のセーフティネットでは解消が困難。
      • 家計部門の資金余剰が、政府の財政赤字を支えているが、今後、高齢化に伴い資金余剰は減少。
      • 財政運営は、需要を埋める対応から供給サイドに働きかけるものに(量から質に)転換すべき。補正予算を含め支出に優先順位をつけ、その効果(生産性向上のようなアウトカム)の検証により、ワイズスペンディングを徹底すべき。
      • 企業の過剰貯蓄に対して、政府の支出を呼び水として課題解決や成長に資する投資を誘発することが重要。税制優遇を活用すべきであり、その際、海外のように多年度で税収を中立にする視点が重要。
      • ポストコロナの政策運営について、コロナ危機の政府支出拡大の正常化に時間がかかるリスクがある。財政政策の正常化をコロナの影響を大きく受けた人々に配慮しつつ進めることが理想的。
      • 新しい財政ニーズが生まれれば、既存の財政ニーズを見直す必要。古い事業に対する検証が乏しい。
      • 経済が不調な中で財政健全化を進めると、成長の足を引っ張って税収が改善しないことになる。GDPギャップがある程度改善するまでは経済成長を優先することが重要。
      • 財政健全化目標については、当面は2025年度のPB黒字化は避けては通れない。この達成が無理であれば検証し、コロナ等で拡大した支出の継続が原因の場合は歳出を適正化すべき。
      • 財政健全化には、平均寿命が長くなる下では、働く期間の延長で対応することが自然。それでも足りなければ、課税ベースの広い消費税で対応。
      • 財政健全化に向けては、世代間の格差を是正させる一定の負担や資産を踏まえた応能負担が必要。
      • PBは2025年度以降も重要な指標。債務残高対GDP比を管理する上で、金利と成長は経済要因で決まることから、政策で決められるのはPBのみ。それを目標とすることは理に適っている。
      • 国際標準に照らし、構造的PBや純利払費、粗債務に加えて純債務も参照すべき。
      • 経済・財政一体改革推進委員会において、2025年PB黒字化目標に向けたこれまでの取組を総括する中で、定量的な分析も活用した本格的な検証作業の機会を設けることが理想的

~NEW~
内閣府 第399回 消費者委員会本会議
▼【資料2】 消費者団体の政策提言機能の強化のために(飯田氏提出資料)
  • 「消費者の意見を代表する役割」とは
    • 1つの団体が消費者の意見を網羅的に代表することは不可能。各々の消費者団体が、当該構成員の代表として意見を発信する役割を担えばよい。
    • 消費者の意見を代表するからには、その意見の妥当性(公共性)、論理性(根拠)が事実、資料、調査結果等から導かれ、説得性(共感性)を持つものでなければならない。
    • そのためには、一定の見識のもとに意見発信が可能となるよう、消費者団体の不断の研鑽が必要になる。
  • 消費者団体にとって政策提言機能の位置付けは
    1. 消費者の啓発・啓蒙
    2. 消費者被害の防止・救済
    3. 企業社会への意見発信(監視)、拮抗力の確保
    4. 行政庁への政策提言
    5. 消費者団体間の連携・連帯
    6. 社会的運動との連携など
      政策提言機能は3,4に属し、一部に過ぎない。
  • 消費者団体が政策提言を行う意義は
    • 政策提言の実施は、その団体の存在意義に関わる消費者団体の責務でもある。当該団体は、その活動経験に基づいて意見発信を継続的に行う必要がある。それは、現代社会にあって、
      • 企業社会の監視と企業(社会)への政策提言は、消費者団体の必然的な役割である。
      • 行政施策の拡大や深化、行政の不作為に対しても、意見提出の役割を担う必要がある
  • 消費者団体の意見反映方法の多様化に向けて
    • 議会や行政庁への要請、請願、陳情行動、情報公開請求
    • 企業との対話による意見交流、要請行動
    • 様々なツールや機会を活用した国民・住民に向けた意見発信
    • SNSを活用した消費者に対する情報発信
    • 諸外国の消費者団体との交流によって開発される手法の可能性もある
  • 国・自治体に求められる役割は
    1. 消費者団体委員の審議会等への参加枠の拡大
    2. 消費者団体の意見表明の場の設定
    3. 提出意見に対する、国・行政庁の見解の説明、情報公開
    4. 消費者団体(運動)に関与する消費者の育成事業を担うNPO等の設立・支援(例えば、日本版フォルケホイスコーレ)
      その前提となる労働時間の短縮、最低賃金の引上げ、賃金の大幅アップを基調にした労働条件の改善
  • 消費者団体の政策提言機能を強化するには
    • 継続的な消費者教育・啓発事業の実施
    • 継続的な調査活動の実施
    • 専門家や学識者の参加、協力、連携関係の構築
    • SNS環境の整備と活用の熟達
    • クラウドファンディングの活用
    • 諸外国の消費者団体との交流 など
  • めざすべき日本の消費者団体像
    • 企業社会との拮抗力を確保できる消費者団体
    • 政策提言能力の継続的確保ができる消費者団体
    • 消費者教育・啓発事業を確保できる消費者団体
    • SNSの活用に熟達した消費者団体
    • 専門家や学識者が参加、協力、連携できる消費者団体
    • 諸外国の消費者団体との交流、議論ができる消費者団体

~NEW~
消費者庁 消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書(トランポリンパーク等での事故)を公表しました。
▼概要
  • 調査の端緒
    • 事故情報データバンクには、消費者安全法第12条第1項の規定に基づき、遊戯施設でのトランポリン使用によって発生したと考えられる事故情報が2017年1月1日から2023年4月10日までの約6年3か月間で43件寄せられている。2020年3月9日、「トランポリン外に落下し、左肘関節脱臼骨折」との重大事故等が通知された。これらを受け、2020年12月に消費者庁及び国民生活センターは、遊戯施設におけるトランポリンでの事故について注意喚起を行ったが、2021年3月13日、「宙返りの際の着地により、頸椎骨折」との2件目の重大事故等が発生した。こうした事故の発生を受けて、2021年6月に消費者安全調査委員会(以下「調査委員会」という。)は調査を開始することとした。さらに、2021年8月31日、高い台よりトランポリンに飛び込んだところ、右上腕骨顆上骨折したとの重大事故等が消費者庁に通知され、2023年3月現在、重大事故等は3件が通知されている。
    • なお、特定のトランポリンパークを中心に事故が発生していたことから、2022年9月、消費者安全法第38条第1項に基づく注意喚起がされている。
  • 調査対象
    • 本件調査の対象は「トランポリンパーク等」、すなわち「トランポリンを遊戯の用に供しており、複数のトランポリンを連結させた施設、又は1台以上のトランポリンと他の設備を組み合わせて設置する施設」とした。
  • 施設設備と重大事故等に関する情報
    • トランポリン
      • トランポリンは、利用者の持つ「運動エネルギー」を、「弾性エネルギー」に変換して、跳躍できる設備である。着地した際には、自身の発生させた運動量に応じた自身に掛かる重力の数倍にも及ぶ反発力が、ベッドに接触した身体の部位を起点に瞬時に加わることが考えられる。そのため、利用者には、トランポリンの反発力を安全に利用して跳躍するスキルや体力(トランポリンによる衝撃のタイミングを計る、片足ではなく両足での着地をするなど安全な着地姿勢をとる、衝撃に応じた筋力を使い姿勢を保つなど。)が必要とされる。また、複数人利用の場合には、他の利用者の影響で自身に加わる反発力が大幅に増幅し得ることが報告されており、特に意図した行為もなく飛び跳ねているだけで、脛骨骨折に至った事例も報告されている。
      • 【事例1】トランポリン着地時に手をついた。(10歳代)2020年3月9日発生(大阪府)。友人が宙返りをやっていたので、自分も宙返りを始めた。手のひらでトランポリンを受け止めた。頭が下になってそのまま落ちてしまい、左肘関節脱臼骨折の重傷。
    • フォームピット
      • フォームピットは、多くはトランポリンと組み合わせて構成される設備である。その一画は掘り下げられ、角形のスポンジ(フォーム)で満たされている。利用者は、手前のトランポリンで助走し跳躍、フォームピットに着地するように利用できる。海外では、フォームピットにおいて、特に脊髄損傷、頸椎骨折等の重篤な負傷及び死亡の事例が報告されている。
      • 【事例2】トランポリンから宙返りでフォームピットへ飛び込んだ。(20歳代)2021年3月13日発生(宮城県)。他の利用者が、トランポリンから助走してフォームピットで宙返りをしているのを見て、自分もやってみようと思い、宙返りを始めた。前回り宙返り2回転のつもりが1.5回転になってしまった。頭からフォームピットに突入し、クッションが敷かれた底部の硬い床に頭を打ち、頸椎骨折の重傷。
    • ウォール
      • ウォールは、トランポリンと組み合わせて設置された壁であり、上面に立つことができる設備もある。利用者は、跳躍しながら壁を利用して遊ぶ、又は上面から飛び降りてトランポリンに着地する使用も可能である。後述のトランポリンパークの安全に関する規格ISO 23659では、ウォール高さや上面の幅の寸法範囲等が規定されている。トランポリン競技の専門家は、「少なくとも、こどもや未習熟な利用者はウォールからトランポリンに飛び降りることを避けるべきと考える」としている。
      • 【事例3】2人で、高さ1.3m壁(ウォール)からトランポリンに飛び降りた。(いずれも10歳代)2021年8月31日発生(愛知県)。ウォール上面から、トランポリンに飛び降りて、右上腕骨顆上骨折の重傷。2人で同時に飛び降りた模様(詳細不明)。なお、施設職員と、引率者は負傷の瞬間を見ることができなかった。
    • 重大事故等の事例3件の被災者へのヒアリング
      • 被災者は、いずれも10~20歳代で、トランポリン経験は、施設利用が1、2回目、又は被災者自身がこどものころに商業施設で遊んだ程度であった。
      • 事例1、及び2の被災者、また事例3の被災者の引率者は、利用中に施設から注意の声がけはなかったと認識していた。また、事例3の被災者の引率者は、複数人で一台のトランポリンを利用することが危険であることを、事故後に消費者庁の注意喚起で知ったとのことであった。
    • 重大事故等が発生した施設に対するヒアリング
      • いずれの施設でも、当該事故以外に救急搬送を伴う負傷事故が複数件発生していると認識していた一方で、当該事故以降も再発防止の対策が取られていない施設があった。
      • 当初は上級者を除いて宙返りを禁止していたが、事故多発を受けて、宙返りを全面的に禁止としたところ、利用者のクレームにより撤回したとする1施設が確認された。
      • フォームピットが深さ0.8mしかない状態で利用に供されていた施設があった(後述のASTM F2970では1.524m以上)。
  • 施設及び消費者へのアンケート
    • 施設へのアンケート
      • レクリエーションを主目的にトランポリンを使用することができると考えられる170施設を対象に実施した。(調査回答73施設うち43施設がトランポリンパーク等、回答率:42.9%)
      • 経済産業省の「商業施設内の遊戯施設の安全に関するガイドライン」は55.0%、アンケート調査時点で存在しているトランポリンの機材や運営についての安全に関する国際規格(ASTM規格等)があることを45.0%が「知らない」と回答した。
      • 専任スタッフを常時配置しているのは46.3%であった。
      • 「事前に伝えている禁止事項はない」と回答したのは1施設のみで(2.4%)、ほとんどの施設が何らかの方法で禁止事項を利用者に伝えていた。
      • 宙返りを禁止していても上級者を除くとしているが、上級者の定義は本人の判断とする施設があった。
    • 消費者へのアンケート
      • 調査会社の登録モニター1000名(インターネット上でのアンケート調査)
      • 特に危険な行為とされるトランポリンでの宙返り、フォームピットでの宙返り、1台のトランポリンを複数の人で同時に利用することについて、その行為の危険性を認知してないとの回答は、それぞれ39.9%、48.3%、29.8%であった。
      • トランポリンパークで遊んだ、こどもを連れて行ったことがある計600名において、安全な跳び方について案内されていない、又はその記憶がないと回答した利用者は54.0%であった。
  • 分析
    • トランポリンパーク等施設運営者において、以下のとおり、リスクの認識が不足していると考えられる。利用者の現状は、人々が感じるリスク(認知リスク)と実際のリスクとが乖離した状態にあると考えられる。
    • 当該重大事故が発生したトランポリンパークでは、リスクに応じた工夫を施さないまま営業を続けてきたと考えられる。したがって、安全性を継続して向上させる意識が不足していると考えられる。
    • 当該重大事故が発生したトランポリンパークのうち少なくとも2施設では、トランポリンパーク施設運営者の独自の判断で施設を整備し、利用者の用に供されているような状態であると考えられる。
    • アンケート対象の、レクリエーションを主目的にトランポリンを使用することができると考えられる施設では、監視員、指導員の重要性を十分に認識していないと考えられる。
    • 禁止事項や危険性の説明・周知が、利用者に十分に届いていない可能性が考えられ、様々な遊戯を楽しみたいと思って施設を訪れている利用者に対しての、リスクのある行為の抑止材料としては実効性に乏しいと考えられる。
  • 原因
    • トランポリンでは、自身が作り出した運動量の大きさに応じて利用者は跳ね上がることができる。着地した際には、自身の発生させた運動量に応じた自身に掛かる重力の数倍にも及ぶ反発力が、ベッドに接触した身体の部位を起点に瞬時に加わることが考えられる。そのため、利用者には、トランポリンの反発力を安全に利用して跳躍するスキルや体力(トランポリンによる衝撃のタイミングを計る、片足ではなく両足での着地をするなど安全な着地姿勢をとる、衝撃に応じた筋力を使い姿勢を保つなど。)が必要とされる。スキルや体力が伴わない場合は、今回調査を行った重大事故等の事例3件のように、死亡事故に直結する恐れもある。
    • それにもかかわらず、施設運営者にその認識が十分になく、結果的に施設の安全管理が十分になされていないことが、事故等が起きる原因と考えられる。また、利用者において、宙返り等に起因するトランポリンへの首や手からの着地、フォームピットへの頭や肩からの着地及びトランポリンへの飛び降り、複数人利用等の行為の危険性が十分に認識されていないことも事故等が起きる原因と考えられる。
  • 再発防止策
    • トランポリンパークの利用について、利用者の安全をリスクとベネフィットのバランスに基づき合理的に確保するためには、施設運営者がこの遊戯のリスクを十分に認識し、経営者と連携して継続的にリスク低減を実施することが求められる。特に、宙返り等に起因するトランポリンへの首や手からの着地、フォームピットへの頭や肩からの着地及びトランポリンへの飛び降り、複数人利用等の行為に関して、経営者及び施設運営者は、利用者に対しての十分なリスク低減を実施できないと判断する場合や判断に迷う場合は、当該施設ルールで禁止するなどの措置をとることが必要であると考える。
  • トランポリンパーク施設運営者が実施すべき安全対策
    • 施設運営者によるリスク低減策
      • 公益財団法人日本体操協会の技術的支援を仰ぐなどして、トランポリンの技術的な知識の習得と、リスク認識を確実なものとする。
      • 日本体操協会は技術的支援としてトランポリンパーク施設運営者向けの講習会を開催予定である。
      • 本講習会については、巻末のQRコード「トランポリンパーク事業者向け講習会問合せメールアドレス」から問合せが可能。
      • 施設の運営については、安全性向上のため、社会的に許容されるレベルまでリスク低減の対策を実施、管理することを組織的かつ継続的に行う。
      • トランポリンパークの運営の要件や、フォームピットの深さなどの設備の仕様を定めている国際規格等に準拠する形で、施設運営者は、運営、設備の仕様決定を含め施設全体の安全確保を図る。
      • 施設運営者は、不適切な行為等を監視・是正し利用者の安全を管理する監視員、そのスキルに加えてトランポリン未経験の利用者の技術指導も行うことができる指導員等の配置を行い、危険な行為のチェックや安全な跳び方の指導を常時行うようにする。
      • 専任の監視員・指導員の常時配置に際しては、公益財団法人日本体操協会の公認トランポリン普及指導員等の資格保有者の採用、又は資格取得を検討する。
      • 施設運営者は、利用者に対する危険性及び安全対策の説明・周知を、認知リスクに対して思い込みの影響が出ないようにすることや理解が曖昧にならないように配慮し丁寧に行う。掲示による周知では、なぜ危険か、どのように危険か、及び対策等を、簡潔に利用者に提示することが必要である。
    • 安全への取組状況の公表
      • 施設運営者は安全への取組状況、リスクアセスメント結果及び残留するリスクをホームページ等で公表するなど消費者が容易に認知できるようにする。
  • トランポリンパークに準ずる設備を併設するその他の業態への注意喚起
    • トランポリンパーク向けの再発防止策は、トランポリンパークに準ずる設備を併設するその他の業態を採用する類似施設での事故に対しても有用と考えられ、既存の周知資料とともに情報提供することが必要である。
  • 危険性に対する消費者の認識促進
    • 消費者に対して、トランポリンパークでの遊戯の危険性に対する理解を促進するため、施設での説明のみによらず、トランポリンの一般的な危険性の周知を行うべきである。
  • 経済産業大臣への意見
    • 経済産業省は、トランポリンパークで、本報告書が示すとおり重大事故等が発生していることから、各施設運営者に対して個別に、本報告書の再発防止策を踏まえた安全への取組を、小規模施設運営者にも実施できるよう実効性に配慮して要請するとともに支援をすること。
    • また中長期的には、トランポリンパークの安全性を確保するためのシステムの構築に対する支援をすること。
      1. 施設運営者によるリスク低減策
        1. 対策の必要性の周知
          • 各施設運営者に対して、宙返り等に起因するトランポリンへの首や手からの着地、フォームピットへの頭や肩からの着地及びトランポリンへの飛び降り、複数人利用等のリスクを低減する対策の必要性を周知すること。
        2. 直ちに実施すべき再発防止策の要請
          • 各施設運営者に対して、公益財団法人日本体操協会の技術的支援を仰ぐなどしてトランポリンの技術的な知識を習得すること及びリスク認識を確実なものとすること、継続的なリスク低減を事業の実状に即して実践すること、さらに、国際規格等に基づいたハード及びソフト設計を行うこと、常時監視の運営を確立すること、利用者に実効的に危険性を周知させることを重視して、要請すること。
        3. 専任の監視員・指導員
          • 各施設運営者に対して、専任の監視員・指導員に関しては、公益財団法人日本体操協会の公認トランポリン普及指導員、公認トランポリンコーチの資格保有者の採用、又は資格取得を促すこと。
        4. 中長期的な施策
          • 経済産業省として、継続的に対策状況を把握しリスク低減のための具体的な施策を立案していくこと。中長期的には、安全性向上のため、組織的にリスク低減の対策を実施、管理することを継続的に行うよう各施設運営者に促すこと。
          • 関係する省庁の要請に応じた施設や設備メーカー等が中心となって、業態の実態や利用実績などを踏まえながら、利用者への危険性及び安全の効果的な周知、国際規格等に準拠した規格の策定を進めるよう、施設運営者等に促すこと。
      2. 安全への取組状況の公表
        • 各施設運営者に対して、消費者にとっての安全の「見える化」を目指し、関係する省庁からの安全に関する要請事項についての適合状況を、施設が自ら作成し、ホームページ等で公表するよう促すこと。

~NEW~
消費者庁 「電動アシスト自転車」と称し販売された製品でも、道路交通法の基準に適合しない場合は道路の通行をやめましょう!-まずは、お持ちの銘柄を確認しましょう!-
  • 道路交通法上の基準に適合しないと判明した「電動アシスト自転車」で道路を通行するのはやめましょう
    • 駆動補助機付自転車(以下「電動アシスト自転車」という。)のアシスト比率が道路交通法上の基準の上限を超えている場合など、急発進や急加速などの原因となります。このような基準に適合しない製品は、過大なアシスト力が不意に加わってバランスを崩したり、スピードが出過ぎるなど、事故につながるおそれがあり危険です。基準に適合しない「電動アシスト自転車」で道路を通行すると法令違反ともなり、法令違反となった場合、運転者が罰則の対象となります。電動アシスト自転車の購入に際しては、型式認定のTSマーク(型式認定番号と併せて表示されているものをいう。)を目安にするなど、道路交通法の基準に適合しているかをよく確認しましょう。
  • 道路交通法上の基準に適合しない「電動アシスト自転車」
    • 京都府警察本部等が、道路交通法上の電動アシスト自転車の基準に適合せず、原動機付自転車に該当する車両を「電動アシスト自転車」と称して販売していた事業者とその代表取締役を不正競争防止法違反の被疑者として検挙しました。
    • これを踏まえ、警察庁から、当該事業者が販売していた車両のうち、2銘柄が京都府警察本部等における捜査の過程で、道路交通法の基準に適合せず、原動機付自転車に該当することが判明していることに加え、他の8銘柄についても警察官が確認した結果、道路交通法上の基準に適合せず、原動機付自転車に該当するおそれがあるとの連絡がありました。
    • なお、8銘柄のうち、(独)国民生活センターにおいて車両を入手することができた2銘柄については同センターの商品テストで、アシスト比率が道路交通法上の電動アシスト自転車の基準の上限を超えており、基準に適合しないことが判明しました。
▼(独)国民生活センター「「電動アシスト自転車」と称し販売された製品でも、道路交通法の基準に適合しない場合は道路の通行をやめましょう!-まずは、お持ちの銘柄を確認しましょう!-」
  • 警察庁においては、本件について、注意喚起を実施しています。
▼警察庁「道路交通法の基準に適合しない「電動アシスト自転車」と称する製品について」
  • 道路交通法上の電動アシスト自転車のアシスト比率の基準
    • 人がペダルを踏む力とモーターによる補助力の比(アシスト比率)が以下になることとされています。(道路交通法施行規則第1条の3)
      • 10km/h未満の速度では最大で1:2
      • 10km/h以上24km/h未満の速度の場合では走行速度が上がるほどアシスト比率が徐々に減少
      • 24km/h以上の速度では補助力が0
  • 道路交通法上の基準に適合しないことが疑われる「電動アシスト自転車」をお持ちの方は、使用を控え、購入先等に確認しましょう
    • 道路交通法上の基準に適合しないことが疑われる製品をお持ちの方は、別添資料を参照し、基準に適合していない、またはそのおそれがある銘柄に該当していないか確認してください。該当していた場合は、当該製品による道路の通行を控えてください。このほか、別添資料の銘柄に限らず、ペダルをこがずに電動のモーターだけで進む、急発進するなどの「電動アシスト自転車」は、道路交通法上の電動アシスト自転車の基準に適合していない可能性がありますので、同様に道路の通行を控え、購入先等に確認しましょう。
    • 道路交通法上の基準に適合しない「電動アシスト自転車」で道路を通行すると法令違反となり、事故につながるおそれもあります。ご自身が使用しないのはもちろんですが、他者が電動アシスト自転車と誤認等して道路を通行しないよう管理し、不要となった場合は適切に廃棄してください。
    • なお、当該事業者の販売サイトはサービスを終了しています。購入先と連絡が取れない場合など、困ったときには、「消費者ホットライン」188(いやや)に相談しましょう。

~NEW~
国民生活センター その「¥」表示は本当に日本円の表示ですか?-通貨をよく確認しないと約20倍の価格になってしまうため要注意!!-
  • 全国の消費生活センター等には、カリグラフィー(欧文の文字を美しく書く技法)のガイドブックなどをインターネット上で販売する「Calli-Calli」について、「『¥』表示を見てクレジットカード決済で申し込んだところ、日本円(JPY)ではなく、中国人民元(CNY)で決済され、約20倍の価格で購入したことになっていた」との相談が複数寄せられています。
  • 当センターで通販サイトの表示を確認したところ、消費者が画像共有SNS上の広告を見て、通販サイトで申し込みを完了するまでの画面では、「¥」表示が「中国人民元(CNY)」であるとの表示は確認できませんでした。通販サイトは日本語で作成されているため、日本の消費者が「¥」表示を「日本円(JPY)」であると誤認して申し込んでしまいます。
  • 販売業者の情報(当該通販サイトで確認できた情報)
    • 名称:Calli-Calli(画像共有SNSアカウント名:calli101)
    • 通販サイトURL:https*//calli-calli.com/ja
      • 注:通販サイトURLはアクセス可能な状態のためご注意ください。誤ってアクセスしないよう「:」を「*」に変えています。
  • 相談事例
    • 価格が日本円で表示されていると思っていたら中国人民元の表示だった
      • 1月下旬、画像共有SNSで、ダウンロード版のカリグラフィーのガイドブックの広告を見て通販サイトにアクセスした。通販サイトで「¥1,680」のガイドブックを選び、クレジットカード決済で申し込んだ。申し込み後、通販サイトから届いた受注確認メールには「¥1,680」と記載されていたが、クレジットカード会社から届いた決済のお知らせメールには「¥32,916」と記載されていた。「1,680円」で購入したつもりが「3万2,916円」で購入したことになっていたため、価格が高額で驚いて通販サイトを確認した。すると、「サポート」というページに「通貨は中国人民元円です」と記載されていた。「¥」のマークが表示されていたため通貨の単位は「日本円」だと思っていた。
      • クレジットカード会社に決済をキャンセルして欲しいと伝えたが、「キャンセルはできない。自分自身で通販サイトにキャンセルと申し出て、その結果を報告して欲しい。その結果次第で調査できる可能性がある。請求は一旦保留にする」とのことだった。今後どのように対応したらよいか。(2023年1月受付 40歳代 女性)
  • 相談事例からみる問題点
    • 「¥」表示が「中国人民元(CNY)」であることがわかりにくい。
    • 消費者が契約の取消しを主張しても販売業者から返信が無い、代金が返金されない。
    • 通販サイトに販売業者の名称、住所、電話番号等が表示されていない。
    • 当該販売業者とは連絡が取れない。
  • 消費者へのアドバイス
    • 「¥」表示が「日本円(JPY)」なのか、「中国人民元(CNY)」なのか、通販サイトを隅々まで確認しましょう。
    • 販売業者との交渉による解決が困難な場合はクレジットカード会社に相談しましょう。
    • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
      • また、海外事業者とのトラブルについては、国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)でも相談を受け付けています。インターネット通販で利用したサイトの業者情報を確認し、それが海外の事業者であった場合はCCJをご利用ください。

~NEW~
国民生活センター 想定外の高額請求! トイレ修理トラブルに注意
  • 内容
    • トイレが詰まったので、インターネットで検索し「修理〇百円~」と記載のある業者に依頼した。最初ポンプのようなもので作業したが改善せず、ドリルのようなもので詰まった異物を粉砕することになった。「通常50万円だが半額にする」と言われ了承し、詰まりは解消した。手持ちの現金がなく翌日支払うと伝えたがダメだと言われ、ATMで引き出して支払った。気になって、後日他の業者に聞いたら、ありえないほど高額だと言われた。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • 広告に表示された料金で作業できるとは限りません。広告の料金をうのみにせず、依頼する際は、その料金での作業内容や追加料金が発生しないかなどを確認しましょう。
    • 想定していないほど高額な料金の作業を提案された場合は、作業を断るようにしましょう。また、請求額や作業内容に納得できないときは、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いはきっぱり断りましょう。
    • 地域の工務店などの、安心して依頼できる事業者の情報を日ごろから集めておきましょう。
    • 広告表示額と請求額が大きく異なる場合など、クーリング・オフできる可能性もあります。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
厚生労働省 2023年世界保健デーのテーマは「公衆衛生を向上させた75年間」です。
  • 4月7日は、世界保健機関(WHO)の設立を記念する世界保健デーです。2023年のテーマは、「公衆衛生を向上させた75年間」です。1948年、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的としてWHOが設立されました。本年はWHO設立から75周年を迎え、生活の質を向上させた公衆衛生の成功を振り返り、また、これからの健康課題に取組むための行動を喚起する機会でもあります。
  • 世界保健デーとは
    • 世界保健デーは、世界保健機関(World Health Organization:WHO)が設立された1948年(昭和23年)4月7日を記念して設けられました。この日には、WHOが国際保健医療に関するテーマを選びます。また、世界各国でその年のテーマに沿った様々なイベントが開催されます。
  • 2023年世界保健デーについて
    • 2023年のテーマは、「公衆衛生を向上させた75年間(75 years of improving public health)」です。WHOは1948年の設立以来、全世界の人々の健康を守るため、様々な活動を行っています。
  • WHOのこれまでの歩み
    • 75年前、第二次世界大戦の余波のなか、WHO憲章が発効し、WHOが設立されました。WHO憲章[i]には「到達しうる最高基準の健康を享受することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人に有する基本的権利の一つである」とあります。これは、全ての人に健康を促進し、提供し、守るためのWHOの活動の指針となっています。
    • 過去75年の間、天然痘の根絶、ポリオ患者の99%以上の減少、小児予防接種を通じた数百万人の命の保護、妊産婦死亡率の低下、健康と福祉の向上など、素晴らしい進展がありました。
    • しかし、全ての人々が到達しうる最高基準の健康を享受するためには、多くの課題が残っています。具体的には、保健サービスへの不平等なアクセス、公衆衛生上の危機への対応における格差、気候変動による脅威などが挙げられます。
    • 加えて、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、健康を守ることが経済、社会、安全保障、安定にとっての基盤であることを示しました。また、将来のパンデミックに備えるため、いわゆる「パンデミック条約」、国際保健規則の改正、財政、ガバナンス、運営上のイニシアティブ等の交渉に向けて各国を支援する準備を整えています。
  • 我が国とWHO
    • 我が国は、1951年5月に加盟して以降、WHO総会や我が国が所属するWHO西太平洋地域の各種会合に積極的に参加し、世界の保健課題への対応に積極的に貢献すると共に、我が国の保健医療分野の対策に資するべく、国際的な情報交換に努めて来ました。
    • 1996年には、兵庫県内の自治体等の支援により神戸市にWHO健康開発総合研究センター(通称:WHO神戸センター)が設立され、2016年からは新たに持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)[i]を主なテーマに研究を行い、世界に向けて情報を発信しています。
    • また、WHOに対する資金的、人的貢献や技術上の協力も行っており、WHOの要請に基づく専門家の派遣や研修生の受け入れを行うほか、国内のWHO研究協力センター[ii]を介して協力を行っています。
  • 我が国の国際社会における取り組み
    • 特に昨今のCOVID-19パンデミックは、国際社会に未曾有の影響を与え、現在のグローバル・ヘルス・アーキテクチャーの脆弱性を露呈し、健康危機に対する予防・備え・対応(PPR)の強化や保健システムの強靱化を通じたUHC達成の必要性を示しました。
    • 本年、我が国が議長国を務めるG7広島サミットやG7長崎保健大臣会合においては、人間の安全保障の重要性を強調しつつ、(1)公衆衛生危機対応のためのグローバル・ヘルス・アーキテクチャーの構築・強化、(2)保健システムの強化を通じたより強靭、より公平、より持続可能なUHC達成への貢献、(3)様々な健康課題に対応するためのヘルス・イノベーションの促進に焦点を当てていきます。グローバルヘルスの推進及びポストコロナ時代を見据え、保健課題への対応の中核的な原則として人間の安全保障を捉え、より健康、より公平、より平和かつより豊かな国際社会の構築に貢献していきます。
  • 今後の展望
    • 「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達する」社会の実現に向けて、厚生労働省は、今後も関係機関と連携しながら、公衆衛生を向上させる取組を支援し、国際保健の議論に貢献していきます。

~NEW~
厚生労働省 第121回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年4月19日)
▼資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況等の概要
    • 全国の新規感染者数は、直近の1週間では人口10万人あたり約46人となり、今週先週比は1.06と、緩やかな増加傾向となっている。
    • 接触機会の増加や免疫の減衰、変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
    • 重症者数や死亡者数は横ばいとなっており、病床使用率は全国的に低い水準にある。
  • 感染状況等と今後の見通し
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、全国的に下げ止まりの後、足元で緩やかな増加傾向となっている。一方で、水準については、昨年夏の感染拡大前を下回る状況が継続している。
      • 地域別の新規感染者数について、北海道や北陸・甲信越、沖縄などでは人口あたりで全国を上回っている一方、東海や四国、九州などでは人口あたりで全国を下回っている。また、高齢者施設や医療機関等の集団感染は横ばいとなっている。
      • 全国の年代別新規感染者数は、東京や大阪など一部の大都市では20代の増加もみられるが、直近では10代以下の増加幅が大きくなっている。
      • 全国では、重症者数及び死亡者数は横ばいとなっている。この冬の感染拡大では、昨年夏の感染拡大時よりも、新規感染者のうち80代以上の高齢者の占める割合の増加傾向がみられる。
      • 昨年1月以降の小児等の死亡例報告にあるように、小児感染者数の増加に伴う重症例、死亡例の発生や、小児の入院者数の動向にも注意が必要。
      • 季節性インフルエンザについては、先週末公表時点では、定点医療機関当たりの週間報告数が、全国では注意報レベルを大きく下回り、減少傾向が継続している。
    2. 今後の見通しについて
      • 今後の感染状況について、地域差はあるものの、全国の新規感染者数が横ばいから緩やかな増加傾向が継続する可能性もあり注視が必要。今後、接触機会の増加や免疫の減衰、より免疫逃避が起こる可能性のある株の割合の増加等が感染状況に与える影響についても注意が必要。
      • 過去2年の状況を踏まえると、今後、5月の連休明けに感染が拡大し、その後一旦減少となり、再度夏に向けて感染拡大することがありえる。
      • 季節性インフルエンザについて、一部地域ではいまだに注意報レベルにあるものの、例年の傾向を踏まえると、今後さらに減少することが見込まれる。
    3. 感染の増加要因・抑制要因について
      • ワクチン接種および感染による免疫等
        • ワクチン接種の推進および自然感染により、これまで各年代において増加してきたオミクロン株(5とBQ1.1)に対する免疫保持者割合は、今後経時的に低下していくと考えられる。
      • 接触状況
        • 夜間滞留人口について、足元では、年度替わりの水準から減少している地域が多くみられる。今後、5月の連休による接触機会の増加も予想される。
      • 流行株
        • 国内ではBQ.1系統を含むBA.5系統が主流となっていたが、3月頃からその割合は低下傾向にある。一方、米国から多く報告されているXBB.1.5系統や欧州から多く報告されているXBB.1.9系統、インドから多く報告されているXBB.1.16系統を含むXBB系統の割合は上昇傾向にある。なお、国内における感染者の減少に伴い変異株の登録数が減少しているため、変異株の割合について考慮する際は注意が必要。
      • 気候・季節要因
        • これから気温が上昇していくことにより、換気を行いやすい気候条件になる。屋内で過ごすことが減ることも感染者抑制には一定の効果があると考えられるが、この時期に感染拡大することもあり留意が必要。
    4. 医療提供体制等の状況について
      • 病床使用率は、ほとんどの地域で1割を下回るなど低い水準にある。重症病床使用率も全国的に低い水準にある。
      • 介護の現場では、施設内療養数は減少傾向が継続している。
      • 救急医療について、救急搬送困難事案数は、全国的に横ばいとなっているが、引き続き、救急搬送困難事案数の今後の推移と、救急医療提供体制の確保には注意が必要。
  • 必要な対策
    1. 基本的な考え方について
      • オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなどの特段の事情が生じない限り、本年5月8日から、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、5類感染症に位置づける。これに伴い、医療提供体制や高齢者施設等への対応、患者等に対する公費支援など、これまで講じてきた各種の政策・措置について、本年3月10日の政府決定に基づき必要な見直しを行う。
      • それまでの間においても、限りある医療資源の中でも高齢者・重症化リスクの高い方に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化・重点化に引き続き取り組むことが必要。
      • また、国民一人ひとりの自主的な感染予防行動の徹底をお願いすることにより、高齢者等重症化リスクの高い方を守るとともに、通常医療を確保する。
    2. ワクチン接種の更なる促進
      • 「オミクロン株対応ワクチン」について、初回接種を完了した全ての5歳以上の者に対する接種を進めることが必要。
      • 接種を希望するすべての対象者がオミクロン株対応ワクチンの接種を行うよう呼びかける。
      • 未接種の方には、できるだけ早い時期に初回接種を検討していただくよう促していく。
      • 小児(5~11歳)について、初回接種とともにオミクロン株対応ワクチンによる追加接種を進める。小児(6か月~4歳)については、初回接種を進める。
      • 今後、令和5年度の接種(秋冬に5歳以上の全ての者を対象に接種を行い、高齢者等重症化リスクが高い方等には、秋冬を待たず春夏にも追加で接種を行う)を進める。
    3. 検査の活用
      • 国と自治体は検査ができる体制を確保し、検査の活用が求められる。
      • 高齢者施設等について、従事者への頻回検査(施設従事者は週2~3回程度)を実施する。
      • 有症状者が抗原定性検査キットで自ら検査し、陽性の場合に健康フォローアップセンター等で迅速に健康観察が受けられる体制整備の推進。
      • OTC化されインターネット販売もされている抗原定性検査キットについて、利活用を進める。
    4. 効果的な換気の徹底
      • 屋内での効果的な換気方法の周知・推奨が必要(エアロゾルを考慮した気流の作り方、気流を阻害しないパーテーションの設置等)。
    5. 保健医療提供体制の確保
      • 国の支援のもと、都道府県等は、病床や発熱外来等のひっ迫回避に向けた対応を継続。
      • 入院治療が必要な患者が優先的に入院できるよう適切な調整(後方支援病院等の確保・拡大、早期退院の判断目安4日の周知など転院・退院支援等による病床の回転率の向上等)、高齢者施設等における頻回検査等の実施や平時からの医療支援の更なる強化
      • 受診控えが起こらないよう配慮の上、例えば無症状で念のための検査のためだけの救急外来受診を控えることについて、地域の実情に応じて地域住民に周知。併せて、体調悪化時などに不安や疑問に対応できるよう、医療従事者等が電話で対応する相談窓口の周知及び相談体制の強化
      • 本年3月10日の政府決定を受け、5類感染症への位置づけ変更に伴い、新型コロナウイルス感染症にこれまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促すための取組に着手。
      • 医療機関における感染対策の見直しや設備整備等の支援、応招義務の明確化、感染対策や診療方針に関する分かりやすい啓発資材等の周知などを通じて、対応する医療機関の維持・拡大
      • 各都道府県において、次の冬の感染拡大までの間、新たな医療機関による軽症等の患者の受入れを進めること、医療機関間による入院調整を進めること等を内容とする9月末までの「移行計画」を4月中に策定
    6. 新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行への対応
      • 各地域の実情に応じて、発熱外来や電話診療・オンライン診療、健康フォローアップセンター、自己検査キット、相談体制、救急医療の取組等を進める。
      • また、医師の適応確認の上処方される経口薬含め、治療薬の円滑な供給を進める。薬局等に対しては、解熱鎮痛薬等に関する厚生労働省の相談窓口の活用を呼びかける。
      • 都道府県は、地域の実情に応じた外来医療の強化等の体制整備の計画に基づき、保健医療体制の強化・重点化に取り組む。
      • 国民各位への情報提供とともに、感染状況に応じた適切なメッセージの発信が必要。また、重症化リスクが低い方の自己検査や地域のフォローアップセンターの活用を呼びかける。
      • 急な体調不良やけがに備えて「救急車利用マニュアル」の確認や救急車の利用に迷った際のかかりつけ医への相談、#7119などの電話相談窓口の利用、必要なときは救急車を呼ぶことをためらわないことも呼びかける。
    7. サーベイランス・リスク評価等
      • サーベイランスについて、本年5月8日の感染症法上の位置付け変更以降も、感染者数や入院者数、死亡者数等の把握・公表に向けて、自治体とも連携して準備を進め、引き続き血清疫学調査や下水サーベイランス研究等を実施することも含め、重層的な確認を行う。また、ゲノムサーベイランスで変異株の動向の監視を継続。
      • リスク評価について、新型コロナウイルス感染症に関する病原性、感染力、変異等についての評価を引き続き進めることが必要。
    8. 水際対策
      • 昨年12月30日以降の中国からの入国者に対する臨時的な措置について、本年3月1日から一部の入国者を対象に実施している入国時のサンプル検査を継続しつつ、内外の感染状況や臨時的な措置によって得られた知見、G7各国の水際措置の状況等を踏まえ、中国本土便による入国者に対する「陰性証明書の提出」に替えて、本年4月5日以降、「陰性証明書又はワクチン接種証明書(3回)」のいずれかの提出を求めることとする。
      • 本年5月8日を予定している水際措置の終了に併せて、新たな感染症の流入を平時においても監視するため、「感染症ゲノムサーベイランス(仮称)」を同日より開始する。
    9. 基本的な感染対策の再点検と徹底
      • 地域での感染症の流行状況に関心を持ち、自らを感染症から防ぎ、身近な人を守り、ひいては社会を感染症から守り、特に高齢者に感染が及ばないよう配慮するといった観点で、以下の基本的な対策を一人ひとりが身に着けておくことが必要。
      • 体調不安や症状がある場合、無理せず自宅で療養あるいは受診・日常の生活習慣としての手洗い等の手指衛生
      • その場に応じたマスクの着用や咳エチケットの実施・適度な運動、食事などの生活習慣の理解・実行
      • 換気の励行、密集・密接・密閉(三密)の回避
      • 職場ではテレワークの活用等の取組を推進するなどに取り組む
      • 基本的感染対策について、本年5月8日から、行政が一律に求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に委ねることを基本とする。
      • 陽性者の療養期間について、自身による検温などの体調管理を実施し、外出する際には感染対策を徹底する。また、高齢者等重症化リスクのある方との接触などは控えるよう求める。なお、本年5月8日以降は、発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控えることが推奨される。また、その後も10日間が経過するまでは、マスク着用やハイリスク者との接触は控えることが推奨される。
      • 症状軽快から24時間経過後または無症状の場合の、食料品等の買い出しなど必要最小限の外出の許容について、外出時や人と接する時はマスク着用、人との接触は短時間、移動に公共交通機関は利用しないなど、自主的な感染予防行動の徹底が必要。
  • オミクロン株とその亜系統の特徴に関する知見
    1. 感染性・伝播性
      • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
    2. 感染の場・感染経路
      • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路も同様に、飛沫の粘膜への付着やエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
    3. 重症度等
      • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院や重症化のリスクが低いことが示されている。オミクロン株含め新型コロナウイルス感染症の評価には、疾患としての重症度だけではなく、伝播性や、医療・社会へのインパクトを評価することが必要。
      • 令和3年末からの感染拡大における死亡者は、令和3年夏の感染拡大と比べ、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナが直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。また、新型コロナ発生当初からデルタ株流行期までは、典型的な新型コロナ感染によるウイルス性肺炎によって重篤な呼吸不全を発症する事例が多かったが、オミクロン株流行期には、入院前からの基礎疾患の悪化や入院中の別の合併症の発症など、肺炎以外の疾患が死亡の主たる要因との報告がある。
      • 昨夏の感染拡大では、前回に引き続き、令和3年夏の感染拡大時よりも重症化率の減少や、入院患者に占める高齢者の割合が上昇。さらに、昨夏の感染拡大における死亡者は、令和3年末からの感染拡大と比べ、人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっている。
      • 小児等の感染では、内因性死亡が明らかとされた死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡しており、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも留意が必要、といった実地調査結果の報告がなされている。
      • 昨年7・8月の自宅での死亡事例においては、同時期の死亡者全体の傾向と同様、70歳以上の者が約8割を占め、新型コロナ以外の要因による死亡事例も多いことが示唆される。また、新型コロナ陽性死体取扱い状況によると、月別報告件数は昨年12月に過去最多となり、死因が新型コロナとされる割合は、全体では約3割となっている。
    4. ウイルスの排出期間
      • 国内データによれば、個人差はあるものの、発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出しており、発症後3日間は、感染性のウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は、発症日の20分の1から50分の1に大きく減少し、検出限界値に近づくことが示唆されている。
    5. ワクチン効果
      • 従来型ワクチンについては、初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。オミクロン株対応ワクチン(4-5対応型)については、接種後0-2か月(中央値1か月)での発症予防効果が認められたと報告されている。
    6. オミクロン株の亜系統
      • 世界的に主流となっていたBA.5系統の割合は低下傾向にあり、現在はXBB.1.5系統を含むXBB系統(BJ.1系統(BA.2.10系統の亜系統)とBM.1.1.1系統(BA.2.75.3系統の亜系統)の組換え体)の割合の上昇がみられる。米国ではXBB.1.5系統、欧州ではXBB.1.9系統、インドではXBB.1.16系統(いずれも亜系統含む)の割合の上昇がみられている。XBB.1.5系統の重症度はBQ.1系統と比較して上昇していないが、そのほかの臨床像・疫学的な知見は十分ではない。また、XBB.1.9系統やXBB.1.16系統についても臨床像・疫学的な知見はまだ十分ではなく、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要。
      • なお、世界における感染者の減少に伴い変異株の登録数が減少しているため、変異株の割合について考慮する際は注意が必要。

~NEW~
経済産業省 知財を活用した企業経営に悩んでいる経営者や知財部門の方々必読!知財経営のノウハウをまとめた「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック」を公開
  • 特許庁は、知財を活用した企業経営の実践に向けて、経営層と知財部門とのコミュニケーションの課題を明らかにし、取り組むべき事項を取りまとめて、ガイドブックとして公開しました。
    1. 本ガイドブックの要旨
      • 知財を活用した企業経営(知財経営)を実践している企業では、経営層と知財部門との十分なコミュニケーションのもとで、知財部門が企業の将来の経営戦略や事業戦略に対して知財の視点で積極的に貢献しています。一方、知財経営の実践に悩む企業では、経営層、知財部門が、知財部門の役割を既存事業等を守るための知財管理として限定的に捉え、相互のコミュニケーションもその範囲内に留まっていることが分かりました。
      • そのため、知財経営の実践に悩む企業では、知財部門の役割に対する意識を変えることが必要です。また、知財部門が将来の経営や事業に関する情報に接する機会を設け、その上で、知財部門が情報を分析して経営層に提案するなど、経営層と知財部門とが将来の経営や事業に対して知財で貢献するための議論を繰り返すことが求められます。
    2. 本ガイドブックの構成
      • 巻頭にはコミュニケーションガイドブックの内容を整理したエグゼクティブサマリーを設けました。一読することで、知財経営の実践に向けた課題や解決方法のポイントをコンパクトに把握することが可能です。
      • 知財経営を実践する企業4社の知財担当役員からヒアリングを行い、知財経営を実践する企業での知財部門の役割や、経営層と知財部門との情報共有の仕方に整理して掲載しました。
      • 知財経営の実践に悩む企業での、知財部門の役割についての意識変革と経営層と知財部門のコミュニケーションの強化の試行錯誤のプロセスを、仮想事例として6社分掲載しました。各仮想事例の末尾にはコミュニケーション改善のための突破口となった取組を1ページに整理しました。
      • 知財経営の実践に向けて、自社の課題を確認するためのチェックリストを掲載しました。
    3. 本ガイドブックの想定読者
      • 知財経営の実践に対して悩みのある企業の経営層や知財部門等の皆様を、想定読者としています。
    4. ダウンロード・冊子の配布
      • 特許庁ウェブサイト「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック~経営層と知財部門が連携し企業価値向上を実現する実践事例集~」外部リンクからダウンロードできます。
▼特許庁 「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック~経営層と知財部門が連携し企業価値向上を実現する実践事例集~」について
  • また、6月下旬以降には、全国47都道府県に設置されている「知財総合支援窓口」や経済産業局の知的財産室等において、冊子版を無料配布する予定です。

~NEW~
経済産業省 日本企業向け「対日M&A活用に関する事例集」を初めて取りまとめました
  • 経済産業省は、日本企業が経営課題解決や成長の加速に向けた選択肢の一つとして、対日M&A(外国企業又は海外プライベートエクイティファンド(PEファンド)による日本企業へのM&A)を活用する際に参考となる「対日M&A活用に関する事例集~海外資本を活用して、企業変革・経営改善・飛躍的成長につなげた日本企業のケーススタディ~」を取りまとめました。
  • 本事例集では、海外資本を有効に活用した対日M&A20事例に加え、対日M&Aを実施した企業が直面していた課題、対日M&Aの留意点、メリットなどを掲載しています。
  • 対日M&A案件に焦点を当てた事例集の作成は、経済産業省として初めての試みです。
  • なお、本事例集の説明・報告会を5月17日水曜日にオンラインで開催します。
  • 背景・経緯
    • 近年、海外資本の活用方法の一つである対日M&Aの件数・金額は増加傾向にあり、複数の日本企業が、海外資本の持つグローバルネットワークやノウハウ等を活用して、経営の高度化や人材の強化・育成、海外販路の拡大などを実現しています。
    • このような傾向に注目し、経済産業省は対日M&Aの効果意義を検証すべく、2022年9月「対日M&A課題と活用事例に関する研究会」を設置し、外国企業及び海外PEファンドによる対日M&Aとその後の経営及び事業展開について、対日M&Aを実施した企業が直面していた課題、対日M&Aの留意点、メリットなどを分析してまいりました。
    • その結果を踏まえ、日本企業が経営課題解決や成長の加速に向けた選択肢の一つとして、対日M&Aを活用する際に参考となる、日本企業向け「対日M&A活用に関する事例集~海外資本を活用して、企業変革・経営改善・飛躍的成長につなげた日本企業のケーススタディ~」を、経済安全保障等の観点も検討の上、取りまとめました。
▼対日M&A活用に関する事例集~海外資本を活用して、企業変革・経営改善・飛躍的成長につなげた日本企業のケーススタディ~
  • 事例集の概要
    • 近年、複数の日本企業が、海外資本の持つグローバルネットワークやノウハウ等を活用して、海外販路の拡大や経営の高度化、人材の強化・育成などを実現している
    • 日本政府としても、海外からの人材・資金の呼び込み(高度外国人材及び対日直接投資の促進)に取り組んでおり、海外資本の活用方法の一つである外国企業又は海外プライベートエクイティファンド(以下「PEファンド」という)による日本企業へのM&A(以下「対日M&A」という)の件数・金額も増加傾向にある
    • 本事例集では、海外資本を有効に活用した対日M&A18事例に加え、海外PEファンドから出資を受けたスタートアップ2事例も取り上げ、対日M&A等のメリットや留意点、成功のキーファクターなどを研究した
    • 急激に変化する経営環境において、企業が持続的成長を続けるためには、事業ポートフォリオの見直しやイノベーション創出、グローバル展開の強化、DXの推進や生産性・収益性の向上、ESGやダイバーシティ経営等の困難な課題への迅速な対応が必要である
    • これらの参考となるよう、各事例では、課題解決に向けた取組や成長過程を、具体的な従業員の声とともに記載している。また、サクセスストーリーだけでなく、ステップバイステップの地道な取組や厳しい判断を迫られたケースも少なくない。この点について、より実践的な事例集となるよう、対日M&A等の良い面だけでなく、具体的な苦労などにもできる限り触れるよう留意した
    • 本事例集が、読者である皆様の企業における経営課題解決や成長の加速に向けたヒントにつながれば幸いである
  • 対日M&Aの概況
    • 対日M&A(OUT-IN)の件数は、直近10年間で増加傾向にある。金額は、大型案件の有無等の要因により変動があるものの、増加傾向にある(2010年代には、日本企業同士のM&A(IN-IN)が安定的に推移するなかで、対日M&A(OUT-IN)が徐々に増加し、近年は拮抗)。ただし、欧米諸国に比べ対日M&A(OUT-IN)は、件数・金額とも少ない(米国と比べ、名目GDPに占める対日M&A(OUT-IN)金額の割合は1/10程度)
  • 対日M&Aを活用した企業が直面していた課題
    • 近年、複数の日本企業が、海外資本の持つグローバルネットワークやノウハウ等を活用して、海外販路の拡大や経営の高度化、人材の強化・育成などを実現している。急激に変化する経営環境において、企業が持続的成長を続けるためには、事業ポートフォリオの見直しやイノベーション創出、グローバル展開の強化、DXの推進や生産性・収益性の向上、ESGやダイバーシティ経営等の困難な課題への迅速な対応が必要である。本事例集では以下の課題について対日M&Aを活用して解決した日本企業を取り上げている
      • 企業・事業戦略
        • 主力事業とシナジーのない事業や子会社がある
        • 海外で先行する分野における商品・サービスやビジネスモデルを活用し収益基盤を確保したい
        • 円滑に事業承継を実施したい(オーナーに頼らない組織経営への移行)
      • 人材・体制
        • 更なる事業成長に向けて自社に不足する経営人材を獲得したい
        • 体制整備(上場を含む)や魅力あるエクイティストーリーを構築したい
      • 資金・ノウハウ
        • 海外展開のノウハウやネットワークが不足している
        • グローバルな知見によるDX推進や生産性の向上につなげたい
        • 自社や国内企業の技術力・資金力では今後の事業開発に限界がある
        • 同業他社などM&A(企業買収)を実施したいが資金やノウハウが不足している
  • 対日M&Aにおける留意点
    • 対日M&Aには多数のメリットがあるものの、円滑な実施・期待する効果の実現に向けては、企業文化の違いの理解や外為法の手続き遵守など、留意すべき点も存在する。なお、企業文化の違いや期待した効果が得られないことなどの留意点は、対日M&Aに限ったものではなく、国内企業同士のM&A等にも共通する部分がある
      • 企業文化の違い(ビジョンの共有・信頼関係)
        • 国内企業同士のM&Aに比べて、特に海外事業会社の場合、言語はもちろんのこと、企業カルチャーの違いが経営の難しさを生む可能性がある。調査事例から、企業文化の違いを踏まえて、経営ビジョンが一致している買い手を選定することや、M&A後に課題に関して議論しあえる信頼関係の醸成に努めることの重要性が確認できた
      • 従業員・取引先の心理的な抵抗感・変革へのとまどい(丁寧なコミュニケーション)
        • 海外資本の傘下に入ることに関して、不安を抱える従業員や取引先が発生することもある。また、 M&A直後は、経営改善や企業変革のスピード感が速いことから、とまどう従業員が出ることもある。調査事例から、企業のビジョンや戦略を説明するなど、丁寧なコミュニケーションをとることの重要性が確認できた
      • 期待した効果が得られない(認識差異・外部環境)
        • 海外資本を受け入れることでメリットを享受できる事例がある一方、一部の事例では、期待した効果やメリットが発揮されないケースもあった。その要因としては、買い手・対象会社間の認識の差異や想定外の外部環境変化等があげられる。なお、これらは対日M&Aに限ったものではない
      • 交渉開始・公表後案件成立に至らない(M&Aに向けた準備)
        • 対日M&Aに限られないが、交渉開始・公表後に案件成立に至らず解消される事例もある。多い要因は、TOB不成立、次に買い手の資金不足、契約条件での合意の難航が挙げられる。買い手・売り手双方が合意しても、合併規制関連等について国内外関係当局の不承認により案件成立に至らないケースもある。戦略・事業面、資金・金額面、手続き面などそれぞれの観点から、M&Aに向けた事前準備が重要である
      • 経済安全保障(外為法の手続き遵守)
        • 健全な対内直接投資は日本経済の発展に重要な役割を果たすことから、その一層の促進を図っていく必要がある一方、国の安全等を損なうおそれのある投資について、「外国為替及び外国貿易法」(外為法)では、投資自由を原則としつつ、一定の業種に対する対内直接投資に関し、国の安全等の観点から事前届出を求めている
        • また、安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化する中、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するための「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(経済安全保障推進法)が制定される等、政府全体として、経済安全保障の取組の強化が図られている
        • こうした中、M&Aに関わる企業は、過度に萎縮する必要はないが、外為法を含む各種法令の遵守が求められる。また、技術力の維持・向上及び技術流出の防止を始め、安全保障上の視点も踏まえた取組も重要である

~NEW~
経済産業省 一般送配電事業者の情報漏えい事案に関し、業務改善勧告を行いました
  • 本日、電力・ガス取引監視等委員会は、電気事業法第66条の12第1項の規定に基づき、東北電力ネットワーク株式会社、東北電力株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、中部電力ミライズ株式会社、中国電力株式会社及び四国電力株式会社に対し、業務改善勧告を行いました。
  • 概要
    • 今般、一般送配電事業者において、漏えいを禁じられている新規参入事業者である小売電気事業者(以下「新電力」という。)の顧客情報(以下「新電力顧客情報」という。)が、関係の小売電気事業者側で閲覧可能となっており、実際に閲覧されていたことが判明しました。
    • これを受け、電力・ガス取引監視等委員会においては事案解明作業を行っておりましたが、各事案の事実関係を踏まえ、電気事業法(昭和39年法律第170号)第66条の12第1項の規定に基づき、東北電力ネットワーク株式会社、東北電力株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、中部電力ミライズ株式会社、中国電力株式会社及び四国電力株式会社に対し、業務改善勧告を行いました。
  • 勧告の前提となる事実関係
    • 東北電力ネットワーク株式会社
      • NW設定端末を東北電力株式会社の一部の従業員が立ち入り可能な場所に設置したこと、また、同端末を同社の一部の従業員に対して配備したことにより、当該従業員において、NW設定端末を通じて当該従業員により新電力顧客情報の閲覧が可能となっており、実際に新電力顧客情報が閲覧される事態を惹起した。
      • カスタマーセンターにおけるNW設定端末の設置管理や東北電力ネットワーク株式会社が管理責任を負う部屋の入室管理の不備により、カスタマーセンターにおける東北電力株式会社又はその委託先従業員がNW設定端末を使用可能な状態に置き、実際に新電力顧客情報が閲覧される事態を惹起した。
      • NW側システムのID、パスワードの管理の不徹底により、NW側システムにアクセス可能なID、パスワードを知る者が東北電力株式会社の従業員となる事態を生じさせ、実際に同システムより非公開情報が閲覧される事態を惹起した。
    • 東北電力株式会社
      • 東北電力ネットワーク株式会社が、NW設定端末を東北電力株式会社の一部の従業員が立ち入り可能な場所に設置したこと、また、同端末を東北電力株式会社の一部の従業員に対して配備したことにより、当該従業員において、同端末を通じて新電力顧客情報の閲覧が可能となっており、実際に当該従業員においてNW設定端末から新電力顧客情報が閲覧されていた。
      • カスタマーセンターにおける東北電力ネットワーク株式会社のNW設定端末の設置管理や同社が管理責任を負う部屋の入室管理の不備により、カスタマーセンターにおける東北電力株式会社又は同社委託先の従業員がNW設定端末を通じて新電力顧客情報の閲覧が可能となっており、実際にNW設定端末から新電力顧客情報が閲覧されていた。
      • 東北電力ネットワーク株式会社におけるNW側システムのID、パスワードの管理の不徹底により、NW側システムにアクセス可能なID、パスワードを知る者が東北電力株式会社の従業員となる事態が生じていたところ、実際に当該従業員において同システムから非公開情報が閲覧されていた。
    • 中部電力パワーグリッド株式会社
      • 託送業務システムにおいて、中部電力パワーグリッド株式会社のアクセス制限及びマスキング処置に不備により、同システムにおける一部の画面において中部電力ミライズ株式会社の従業員により新電力顧客情報が閲覧可能な状態となっており、実際に同社従業員により、新電力顧客情報が閲覧される事態を惹起した。
      • 中部電力ミライズ株式会社の保有するCC支援システムにおいて独自に検索結果表示を行う画面におけるマスキング処置に不備があり、託送業務システム上の新電力顧客情報がCC支援システムを通じて同社従業員から参照され閲覧できる状態となっており、実際に同社従業員により、新電力顧客情報が閲覧される事態を惹起した。
    • 中部電力ミライズ株式会社
      • 託送業務システムにおいて、中部電力パワーグリッド株式会社のアクセス制限及びマスキング処置に不備があり、同システムにおける一部の画面において中部電力ミライズ株式会社の従業員により新電力顧客情報が閲覧可能な状態となっており、実際に同社従業員により、新電力顧客情報が閲覧されていた。
      • 中部電力ミライズ株式会社の保有するCC支援システムにおいて独自に検索結果表示を行う画面におけるマスキング処置に不備があり、託送業務システム上の新電力顧客情報がCC支援システムを通じて中部電力ミライズ株式会社の従業員から参照され閲覧できる状態となっており、実際に同社従業員により、新電力顧客情報が閲覧されていた。
    • 中国電力株式会社
      • 中国電力ネットワーク株式会社が顧客情報を管理している営業システム及びお客さま台帳検索システムは、中国電力株式会社の小売業務の用にも供されている共用システムであるにもかかわらず、カスタマーセンターにおいて、営業システムはマスキング処置が不十分であり、また、お客さま台帳システムはマスキング処置が全く施されておらず、新電力顧客情報が閲覧可能となっていたところ、カスタマーセンターにおける中国電力株式会社の従業員及び委託先従業員が、当該情報を閲覧していた。
      • 営業システムはカスタマーセンター以外にも中国電力株式会社のセールスセンターの業務において用いられていたところ、その一部画面において、電力販売に係る新電力顧客情報が中国電力株式会社の一部従業員に閲覧可能な状態となっており、当該従業員により当該情報が閲覧されていた。
      • 営業システムの一部画面及び帳票において、電力購入に係る新電力顧客情報が中国電力株式会社の一部従業員に閲覧可能な状態となっており、当該従業員により当該情報が閲覧されていた。
      • 営業システムからデータの抽出又は参照が可能なシステムにおいて、情報遮断措置の不備があり、中国電力株式会社の従業員により電力販売に係る新電力顧客情報並びに電力購入に係る新電力買取契約情報及び送配電買取契約情報が閲覧可能な状態となっており、当該従業員により当該情報が閲覧されていた。
      • 中国電力株式会社がデータの抽出等を業務委託している業務委託先事業者から抽出したデータの納品を受けたところ、納品されたデータに新電力顧客情報が含まれており、当該情報が中国電力株式会社の従業員により閲覧可能な状態となっていた。
      • 当委員会からの調査に対する報告及び対応に関して、内容及び迅速性等の観点から、初動対応が不適切であった。
    • 四国電力株式会社
      • 四国電力株式会社は、四国電力送配電株式会社から、災害等非常時における需要家への対応業務を受託しており、災害等非常時の対応のために従業員に対して託送システムの利用権限(以下「受託者権限」という。)を付与していたところ、当該従業員が、災害等非常時の対応以外の目的で、新電力顧客情報のうち、マスキングの対象外としていた項目に係る情報を閲覧していた。
      • 上記同様に、四国電力株式会社の従業員において、FIT送配電買取に係る契約情報も、閲覧されていた。
  • 勧告の内容
    • 東北電力ネットワーク株式会社
      1. 東北電力株式会社と協議の上で、託送情報に係る情報システムの共用状態を速やかに(約3年以内を想定※)解消する計画を立案し、令和5年5月12日(金曜日)までに当該計画を経済産業省に提出すること。また、当該計画の進捗状況を定期的に経済産業省に報告しつつ、当該計画を実施すること。
        • ※合理的な理由があり約3年以内に共用状態を解消することが困難である場合は、その旨を記載すること。
      2. 行為規制の遵守は業務遂行の大前提であることを、現場を含めた社内で徹底し意識改革を図るための内部統制の抜本的強化策を検討し、実施すること。
        • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたっては、少なくとも4(1)に記載の事項・観点を満たすものとし、令和5年5月12日(金曜日)までに、経済産業省に提出した上で、以降も定期的に状況を報告すること。
      3. 事案の内容及び発生原因を調査し、社会に対して公表するとともに、関係者の厳正な処分を行うこと。
      4. 上記(1)及び(2)の勧告内容に係る改善計画が不十分であると認められる場合においては、必要に応じて追加的な改善策を策定し、及び実施すること。
        • また、勧告内容の実施状況について経済産業省のフォローアップに誠実に対応すること。
    • 東北電力株式会社
      1. 東北電力ネットワーク株式会社と協議の上で、託送情報に係る情報システムの共用状態を速やかに(約3年以内を想定※)解消する計画を立案し、令和5年5月12日(金曜日)までに当該計画を経済産業省に提出すること。また、当該計画の進捗状況を定期的に経済産業省に報告しつつ、当該計画を実施すること。
        • ※合理的な理由があり約3年以内に共用状態を解消することが困難である場合は、その旨を記載すること。
      2. 行為規制の遵守は業務遂行の大前提であることを、現場を含めた社内で徹底し意識改革を図るための内部統制の抜本的強化策を検討し、実施すること。
        • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたっては、少なくとも4(2)に記載の事項・観点を満たすものとし、令和5年5月12日(金曜日)までに、経済産業省に提出した上で、以降も定期的に状況を報告すること。
      3. 事案の内容及び発生原因を調査し、社会に対して公表するとともに、関係者の厳正な処分を行うこと。
      4. 上記(1)及び(2)の勧告内容に係る改善計画が不十分であると認められる場合においては、必要に応じて追加的な改善策を策定し、及び実施すること。
        • また、勧告内容の実施状況について経済産業省のフォローアップに誠実に対応すること。
    • 中部電力パワーグリッド株式会社
      1. 中部電力株式会社及び中部電力ミライズ株式会社と協議の上で、託送情報に係る情報システムの共用状態を速やかに(約3年以内を想定※)解消する計画を立案し、令和5年5月12日(金曜日)までに当該計画を経済産業省に提出すること。また、当該計画の進捗状況を定期的に経済産業省に報告しつつ、当該計画を実施すること。
        • ※合理的な理由があり約3年以内に共用状態を解消することが困難である場合は、その旨を記載すること。
      2. 行為規制の遵守は業務遂行の大前提であることを、現場を含めた社内で徹底し意識改革を図るための内部統制の抜本的強化策を検討し、実施すること。
        • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたっては、少なくとも4(1)に記載の事項・観点を満たすものとし、令和5年5月12日(金曜日)までに、経済産業省に提出した上で、以降も定期的に状況を報告すること。
      3. 事案の内容及び発生原因を調査し、社会に対して公表するとともに、関係者の厳正な処分を行う。
      4. 上記(1)及び(2)の勧告内容に係る改善計画が不十分であると認められる場合においては、必要に応じて追加的な改善策を策定し、及び実施すること。
        • また、勧告内容の実施状況について経済産業省のフォローアップに誠実に対応すること。
    • 中部電力ミライズ株式会社
      1. 中部電力株式会社及び中部電力パワーグリッド株式会社と協議の上で、託送情報に係る情報システムの共用状態を速やかに(約3年以内を想定※)解消する計画を立案し、令和5年5月12日(金曜日)までに当該計画を経済産業省に提出すること。また、当該計画の進捗状況を定期的に経済産業省に報告しつつ、当該計画を実施すること。
        • ※合理的な理由があり約3年以内に共用状態を解消することが困難である場合は、その旨を記載すること。
      2. 行為規制の遵守は業務遂行の大前提であることを、現場を含めた社内で徹底し意識改革を図るための内部統制の抜本的強化策を検討し、実施すること。
        • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたっては、少なくとも4(2)に記載の事項・観点を満たすものとし、令和5年5月12日(金曜日)までに、経済産業省に提出した上で、以降も定期的に状況を報告すること。
      3. 事案の内容及び発生原因を調査し、社会に対して公表するとともに、関係者の厳正な処分を行うこと。
      4. 上記(1)及び(2)の勧告内容に係る改善計画が不十分であると認められる場合においては、必要に応じて追加的な改善策を策定し、及び実施すること。また、勧告内容の実施状況について経済産業省のフォローアップに誠実に対応すること。
    • 中国電力株式会社
      1. 中国電力ネットワーク株式会社と協議の上で、託送情報に係る情報システムの共用状態を速やかに(約3年以内を想定※)解消する計画を立案し、令和5年5月12日(金曜日)までに当該計画を経済産業省に提出すること。
        • また、当該計画の進捗状況を定期的に経済産業省に報告しつつ、当該計画を実施すること。
        • 合理的な理由があり約3年以内に共用状態を解消することが困難である場合は、その旨を記載すること。
      2. 行為規制の遵守は業務遂行の大前提であることを、現場を含めた社内で徹底し意識改革を図るための内部統制の抜本的強化策を検討し、実施すること。
        • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたっては、少なくとも4(2)に記載の事項・観点を満たすものとし、令和5年5月12日(金曜日)までに、経済産業省に提出した上で、以降も定期的に状況を報告すること。
      3. 事案の内容及び発生原因を調査し、社会に対して公表するとともに、関係者の厳正な処分を行うこと。
      4. 上記(1)及び(2)の勧告内容に係る改善計画が不十分であると認められる場合においては、必要に応じて追加的な改善策を策定し、及び実施すること。また、勧告内容の実施状況について経済産業省のフォローアップに誠実に対応すること。
    • 四国電力株式会社
      1. 行為規制の遵守は業務遂行の大前提であることを、現場を含めた社内で徹底し意識改革を図るための内部統制の抜本的強化策を検討し、実施すること。
        • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたっては、少なくとも4(2)に記載の事項・観点を満たすものとし、令和5年5月12日(金曜日)までに、経済産業省に提出した上で、以降も定期的に状況を報告すること。
      2. 事案の内容及び発生原因を調査し、社会に対して公表するとともに、関係者の厳正な処分を行うこと。
      3. 上記(1)の勧告内容に係る改善計画が不十分であると認められる場合においては、必要に応じて追加的な改善策を策定し、及び実施すること。また、勧告内容の実施状況について経済産業省のフォローアップに誠実に対応すること。
  • 内部統制の抜本的強化策の検討にあたって求める事項・観点
    1. 一般送配電事業者
      • 統制環境
        • 体系的な内部統制体制を構築しているか。
        • 行為規制を含めたコンプライアンス遵守の意識定着をどのように図っているか。
        • 内部通報体制の整備など不正が発見されやすい環境を整えているか。
      • リスク評価
        • 業務全体のリスク評価が行われているか。
        • リスク評価の上で重要なデータやシステムが特定されているか。
      • 統制措置
        • 業務委託先の管理をどのように行っているか。
        • 物理的隔離の担保はどのように行っているか。
        • 人事異動の際の管理はどのように行っているか。
        • 非常災害対応の業務委託はどのように行っているか。
        • 行為規制に関する定期的な社内研修はどのように行われているか。
        • 行為規制に関係しうる社内意思決定の文書化や決裁はどのように行われているか。
      • 情報と伝達 ITガバナンス
        • 情報システムの物理分割等に向けたスケジュールはどのようになっているか。
        • ID、パスワード管理はどのように行っているか。
        • 重要なシステム発注を行う際の要件定義における確認体制はどのようになっているか。
      • モニタリング
        • アクセスログの解析をどのように行っているか。
        • 独立かつ強力な内部監査体制が構築されているか。
      • その他
        • 不正発生時に関係者の厳正な処分が行われているか。
          • ※以上の事項・観点は、随時見直しを行うことがあり得る。
    2. 小売電気事業者
      • 統制環境
        • 体系的な内部統制体制を構築しているか。
        • 行為規制を含めたコンプライアンス遵守の意識定着をどのように図っているか。
        • 内部通報体制の整備など不正が発見されやすい環境を整えているか。
      • リスク評価
        • 業務全体のリスク評価が行われているか。
      • 統制措置
        • 業務委託先の管理をどのように行っているか。
        • 物理的隔離の担保はどのように行っているか。
        • 人事異動の際の管理はどのように行っているか。
        • 非常災害対応の業務受託はどのように行っているか。
        • 行為規制に関する定期的な社内研修はどのように行われているか。
        • 行為規制に関係しうる社内意思決定の文書化や決裁はどのように行われているか。
      • 情報と伝達 ITガバナンス
        • 情報システムの物理分割等に向けたスケジュールはどのようになっているか。
      • モニタリング
        • 独立かつ強力な監査体制が構築されているか。
      • その他
        • 不正発生時に関係者の厳正な処分が行われているか。
          • ※以上の事項・観点は、随時見直しを行うことがあり得る。

~NEW~
総務省 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会(第4回)
▼資料4-3 諸外国におけるサイバーセキュリティ対策の取組事例
  • 米国
    • 連邦取引委員会(FTC)が米国の6大ISP(AT&T、ベライゾン、チャーター、コムキャスト、T-モバイル、グーグルファイバー)を対象に各社の顧客データの取り扱いにつき調査を行ったレポート(2021年10月)には、事業者の慣行としてセキュリティ対策を行っている旨の記載がある。
      • 調査対象のISPの多くは、詐欺を防止し、ISPのネットワークに接続されている顧客のデバイスのセキュリティを確保するために、消費者の名前、電話番号、位置情報、デバイス情報、永続的識別子、モバイルブロードバンド利用情報などを使用している。例えば、いくつかのISPは、位置情報や消費者のネットワーク上のデバイス数に関する情報を利用して、ボットネットやその他の悪質な行為を検知・防止している。同様に、ISPが、ある顧客のIPアドレス経由で分散型サービス拒否(「DDoS」)攻撃を行っているとの報告を受けたり、検出したりした場合、ISPはその顧客の利用情報、主にその顧客が生成するトラフィック量について調べ、その量がDDoS攻撃の発生を示唆しているかどうかを判断することができる。その場合、ISPは顧客に通知し、または正当な理由があれば、これらの送信をブロックすることがある。
    • また、ベライゾンやAT&T等の大手通信事業者では、企業向けに通信のフロー情報を活用した脅威監視サービスを提供している。
      • ベライゾンのNetwork Threat Advanced Analyticsでは、顧客構内のルータとベライゾンのIPバックボーンから同意ベースでetFlowデータを抽出し、自動化された監視機能と、SOCでのアナリストによる分析を組み合わせて提供している。
  • 英国
    • NCSC(国家サイバーセキュリティセンター)では、2022年11月からインターネットに接続されたすべてのデバイスを対象としてアクティブスキャンによる脆弱性調査を実施している。この活動は、サイバー攻撃に対する英国内の脆弱性・安全性を評価し、インターネットに接続されたシステム所有者が、日々のセキュリティに対する心構えを理解することなどを目的としている。NCSCは、共通する脆弱性、または影響が大きいために特に重要な脆弱性を対象とし、収集したデータを使って、脆弱性の公開後に英国が脆弱性にさらされている状況を概観し、その修復状況を長期的に追跡していくとしている。
  • ドイツ
    • FKIE(フラウンホーファー通信・情報処理・人間工学研究所)は、BSI(情報セキュリティ庁)の委託を受けて、「ボットネットの体系的分析」等のプロジェクトを実施しており、悪意のあるドメインをシンクホールでパッシブ検知し、ボットネットのトラヒックから検出した感染対象をISPに提供し、当該情報を得たISPは、対象ユーザに通知することができる。
    • 上記について、その技術提供により貢献した、2016年の不正送金マルウェアのボットネット「Avalanche」の摘発に関する公表資料によれば、
      • FKIEが開発したシンクホールソフトウェアにより、Avalancheを取り押さえた後も感染しているシステムからの接続要求をシンクホールサーバーに転送することで、被害者特定が可能
      • FKIEが開発したプロバイダ情報システムを通じて、2014年以降、ドイツのプロバイダー(450万人以上)には、100万通の通知が届いていたとされている
    • オランダ
      • 2018年にデルフト大学・横浜国立大学・NICTが、オランダのISPであるKPNの協力を得て、実際の環境を用いてマルウェア(Mirai)に感染したルータやネットワークカメラ等の機器の利用者を特定し、対象者への通知の手法・内容と改善状況に関する実証実験を実施している。その中で、Walled Gardenと呼ばれる、マルウェアに感染した利用者がインターネットにアクセスしようとする際のランディングページに表示を行うなどインターネットアクセスに制限を加える方法で通知を行った場合、メールで通知を行った場合、通知を行わなかった場合で改善状況の比較を行った結果、Walled Gardenによる通知での改善率が最も高く、92%の利用者においてマルウェアが消滅するといった、極めて高い効果が判明した。

~NEW~
総務省 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第47回)
▼資料6 キャリアショップ店員に対するアンケート調査の結果について
  • ウェブアンケートという手法の制約により、実態を正確に反映できていない可能性があることには留意が必要。
  • 詳細な調査結果については、販売現場への影響を考慮し、構成員及びヒアリング対象者等限りとする。
  • 「適合性の原則」関連
    • 2022年8月以降、「消費者のニーズや意向に合わない(または消費者のニーズや意向を確認しないで)※2下記のような販売を強
    • く行ったことはあるか。」という問に対して、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した者の割合は、いずれも20%以下だった。(具体的な回答割合は以下の通り)
    • 「上位料金プラン等への加入推奨」13.6%、「高額かつ高性能なスマートフォンの購入推奨」10.6%、
    • 「オプションサービスへの加入推奨」18.8%、「アクセサリなどの購入推奨」13.7%、「新規の携帯電話回線契約の推奨」13.7%、
    • 「光回線やタブレット端末の加入推奨」12.1%、「他社へのポートアウト後のポートインの推奨」11.1%。
    • また、上記のような販売を行う背景として、販売代理店の経営層が設定する目標が、「キャリアからのノルマ等の目標を達成するために設定していると思われる」と回答した者は71.9%、「キャリアからのノルマ等の目標とは関係なく設定していると思われる」と回答した者は15.2%だった。
    • また、上記の様な販売の背景として、「店長や上司からの指示」と回答した者は30.5%だった。
    • 店舗販売では上記のような販売を行ったことはないが、出張販売では行ったことがあると回答した者は13.8%、電話勧誘又は訪問販売では行ったことがあると回答した者は15.7%だった。
    • 昨年度調査では、上位の料金プラン等を推奨したことがあると回答した者は3割、不要と思われるようなオプションやアクセサリを推奨したことがあると回答した者はそれぞれ3割、2割という結果だったのに対し、今年度調査ではいずれも2割以下となっており、改善傾向にあるといえる。
  • 「通信と端末の分離」関連
    • 端末単体販売等の拒否を行ったことがあると回答した者は8.4%だった。また、全体のうち16.4%の者が、端末単体販売等に対応しないよう「店長や上司」「販売代理店の経営層」「委託元のキャリア」から明示的又は暗黙の働きかけがあったと回答した。
    • 昨年度調査では、端末単体販売等の拒否を行ったことがあると回答した者は2割という結果だったのに対し、今年度調査では1割以下となっており、改善傾向にあるといえる
  • その他
    • 最近の総務省等の要請等を踏まえ、勤務先のショップにおいて以前より「適合性の原則」や「通信料金と端末代金の完全分離」を意識して適切に対応するようになったと回答した者は39.4%だった。また、適正営業の観点からキャリアの手数料施策等が改善されたと回答した者は18.6%だった。
    • 契約内容に対する利用者の満足度やその結果が、「キャリアの手数料施策において十分評価されるようになり、現場における適合性の原則に則った契約締結に繋がっている」と回答した者は21.1%、反対に「手数料施策において評価されるようになっていない」と回答した者は29.5%だった。
  • 昨年度調査と比べると、「適合性の原則」、「通信と端末の分離」それぞれの観点において、改善傾向にあるといえる。
  • また、こうした不適切な勧誘を強く行った事はないと回答した者の割合は、昨年が4割に満たなかったのに対し、今年は7割以上となっており、全体として見ても改善傾向にあるといえる。
  • 一方で、約3割の者が不適切な勧誘を行った事があると回答されていることから、不適切な勧誘事例が一定数は存在していることを踏まえ、引き続きキャリア及び販売代理店の動向等を注視していく必要がある。

~NEW~
総務省 Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(第9回)
▼資料9-3 内閣府知的財産戦略推進事務局御発表資料
  • 検討事項1 現実空間と仮想空間を交錯する知財利用、仮想オブジェクトのデザイン等についての論点整理
    1. 仮想空間における知財利用と権利者の権利保
      1. デザイン保護
        • 現実空間の商品のデザインがメタバース内で無断で使用される等の事案を踏まえ、仮想空間におけるデザインの保護等の在り方について検討。
        • 現行制度上、現実空間では保護の対象となるデザインが、仮想空間では、著作権法、意匠法、不正競争防止法のいずれの保護対象ともならないケースも想定
        • 不正競争防止法を改正し、仮想空間における商品デザイン模倣を防止してくことが適当【2023年通常国会に法案提出】
      2. 商標等保護
        • 現実空間における実在の商品のブランド名、マークなどが仮想空間上で無断で使用される等の事案を踏まえ、これらへの対応方策について検討。
        • 現実空間の商品(例:衣服)の商標が、仮想空間の商品(例:アバターの衣服)に無断で使用された場合であっても、一般に、双方の商品が同一の営業主により製造又は販売されている等の事情がない限り※、商標権侵害は成立しないケースが多いと想定。
        • 商標権者側の対抗策として、現実空間と仮想空間双方の商品について商標登録を出願する等の方策が有効
          • ※商標権侵害の要件とされる商品の類似性の判断は、「同一営業主により製造・販売されている等の事情により、それらの商品に類似の商標を使用するときは、同一営業主による製造・販売にかかる商品と誤認されるおそれがあるか」によって判断される。
      3. デザイン等の写り込み
        • 現実空間を3Dスキャンして仮想空間化する際に他者のデザイン等の写り込みが生じる場合について、必要となる著作権等の権利処理の取扱い等に関し検討。
        • 現行著作権法上も、屋外に公開された美術の著作物や建築の著作物、メインの被写体に付随的に写り込んだ著作物(「付随対象著作物」)等については、一般に、著作権者の許諾なく利用が可能
          • ※付随対象著作物の利用に関しては、メタバース内では対象物に接近すると大写しになることとの関係等について、さらに整理が必要
    2. 仮想空間における知財利用と権利者の権利保護
      1. 著作物の適正利用
        • メタバース上の様々な活動における他者の著作物(音楽、映像、写真、キャラクターなど)の利用については、権利者の許諾が原則必要となるところ、不正利用の防止や権利処理の円滑化等のための方策について検討。
        • メタバースユーザーによる第三者の著作物利用について、プラットフォームの利用規約等においても適切なルールを定める必要
        • プラットフォーマーと著作権等管理事業者との間で包括許諾契約を行う等の方策も有効
      2. UGC・二次創作
        • メタバースでは、ユーザーもクリエイターとなり、ユーザーの創作による多様な作品(UGC)が生み出されるところ、それら作品の利用・権利処理に係る取扱いについて検討
        • 他者のUGCを素材とした二次創作等について、個別の権利処理手続なしに相互に認め合うことを、各プラットフォームの利用規約等で定めることも有効
        • 利用に当たり権利処理手続を要するものについては、政府において検討中の新たな裁定制度(2023年通常国会に法案提出)を積極的に活用することも有効
      3. NFT等
        • NFT等を活用した仮想オブジェクト(メタバース上の土地、アイテムなど)の取引については、当該オブジェクトの法的位置付けや、その「保有者」がもつ権利に関し、十分な理解がなされないまま取引が行われる等の実態があるところ、課題を整理。
        • 「無体物」たる仮想オブジェクトは、所有権の客体とはならず、その「保有者」がもつ権利の実態は、一般的に、当該仮想オブジェクトのデジタルデータにアクセスし、利用することのできる利用権(当該オブジェクトのデザイン等が著作権の対象となる場合には、そのライセンスを含む)
        • 取引に当たっては、どのような法的位置付けの下に、誰が、どのような権利をもつのか、契約上も明確化することが必要
  • 検討事項2 アバターの肖像等に関する取扱いについての論点整理
    1. メタバース外の人物の肖像の無断使用への対応
      1. 肖像の写り込み
        • 現実空間を3Dスキャンして仮想空間化する際に実在の人物の肖像が写り込む場合等について、当該人物の肖像権・パブリシティ権との関係など基本的な考え方を整理
        • メタバースのケースも、通常の写真撮影のケースと同様、一定の場合には、肖像権・パブリシティ権侵害に当たり得る可能性
          • ※当該肖像を無断で使用する行為が、
            • 被撮影者の社会的地位・活動内容、撮影の場所・目的・態様・必要性等の要素を総合考慮して、被撮影者の人格的利益の侵害が社会的受忍の限度を超える場合には、肖像権の侵害に当たる
            • 専ら、当該肖像の有する顧客誘引力の利用を目的とすると言える場合には、パブリシティ権の侵害に当たる
      2. 実在の人物の肖像を模したアバターの作成・使用
        • 実在の人物の容貌をリアルに再現したアバターが無断で作成・使用される等のケースも想定されるところ、肖像権等の適切な保護の観点から、これらケースに関する考え方を整理
        • このようなケースでは、当該人物とわかる容貌のアバターが他者の意図により操作され、その姿が公開されることとなるところ、その心理的負担を考慮すれば、肖像権侵害に当たる場合が少なくないことが想定
          • ※著名人の肖像を用いる場合、パロディとして用いていることが明白な場合等における肖像権侵害の判断については、さらに整理が必要
    2. 他者のアバターの肖像等の無断使用その他の権利侵害への対応
      1. 創作された他者のアバターの肖像・デザインの盗用
        • 創作されたデザインのアバターについて、そのデータを無断でコピーし、他のアバターの容ぼうとして用いる等の事案が生じており、これへの対応方策について検討
          • <肖像権等に基づく対応>
            • 肖像権・パブリシティ権の侵害に関するこれまでの裁判例は、いずれも実在の人物の生身の肖像等が使用されるケースについて判断されたもの
              • ※創作されたキャラクターの肖像を商業的に利用する権利に関しては、一般に、パブリシティ権ではなく、知的財産法による保護の対象
            • 一方、アバターの容貌も、操作者(中の人)の人格と結びつくものとして、肖像権の対象となり得るかが、新たな議論の対象に
              • ※今後さらに議論が深められることを期待。
          • <著作権に基づく対応>
            • アバターユーザーの多くは、他者が創作したアバターの利用についてライセンスを受けるのみで、著作権の移転を受けないことが通常
            • 著作権を移転されないユーザーにも可能な対応策として、
              • 当該アバターのデザインを許諾を得て改変して利用する場合には、当該改変に係る権利者(二次創作者)として権利行使
              • 独占的ライセンスを受ける場合には、その地位に基づく損害賠償請求、債権者代位請求権に基づく差止請求権の代位行使 など
      2. なりすまし・のっとり
        • 自己の生身の容貌や、自己のアバターの肖像を模したアバターが第三者により無断で作成され、これによるなりすまし行為が行われたり、不正アクセス等により自己のアバターがのっとられるなどの問題が生じ得ることが懸念されるところ、これへの対処について検討
        • なりすまし行為については、
          • 詐欺、電磁的不正作出・供用、名誉毀損、偽計業務妨害等の刑事罰の対象となり得る可能性
          • 肖像権・パブリシティ権又は著作権、氏名権、名誉権、プライバシー権等の侵害にも当たり得る可能性
        • 不正アクセスの手段により他者のアバターをのっとる行為は、不正アクセス禁止法、刑法等による規制の対象
      3. 誹謗中傷等
        • アバターに向けた誹謗中傷等の事案も生じているところ、アバターの「中の人」が誰かわからない等の場合に、人格権的保護がどこまで及ぶか等について検討
        • 一般に、人格権の主体となるのは実在の人物(「中の人」)であり、「中の人」の社会的評価の低下がなければ、名誉毀損は成立しないと解されるところ、「中の人」が誰かを明かさずにアバターが活動している場合、これへの誹謗中傷は名誉毀損とならないのではないかとの議論がある。
        • これに対し、最近の裁判例では、VTuberとして活動する原告のアバターに向け誹謗中傷が行われた事案において、アバターの言動は原告自身の個性を生かし、体験・経験を反映したものであって、侮辱の矛先が表面的にはアバターに向けられたものだとしても、アバターで活動する者に向けられたと認められるとして、原告本人への名誉毀損に当たるとした例がある。
    3. アバターの実演に関する取扱い
      • アバターの実演
        • アバターを通じて行う演奏、演劇等において、これらアバターの操作者の動きや発声等が著作権法上の「実演」に当たる場合、その操作者には「実演家」としての権利(著作隣接権)が生じるところ、当該実演を他者が録画し、又は送信する場合等の権利処理の取扱いについて検討
        • モーションキャプチャを通じて抽出・記録したモーションデータが実演に当たる場合、これをアバターの動きに反映したアバター映像が著作物に当たる場合、それぞれについての権利処理が必要
          • ※実演家の権利の1つとされる「録画権」との関係において、点群データとして記録されるに過ぎないモーションデータが、「録画(=影像の連続した固定)」の対象となり得るかについては、議論あり
  • 検討事項3 アバターに対する行為、アバター間の行為をめぐるルール形成、規制措置等についての論点の整理
    1. 自由と安全・安心の両立
      • ワールドごとのローカルルールの設定
        • 利用規約による共通ルールに加え、ワールドごとのローカルルールを設定。わかりやすく表示
      • 子ども・未成年者の安全・安心の確保
        • 子供・未成年者保護の観点から遵守すべき事項の明確化、将来課題を見据えた議論の積み重ね
    2. プラットフォーマーの利用規約等による適切なルール形成とその実効性の確保・向上
      • 各プラットフォームにおけるコミュニティ基準等の整備
        • わかりやすいコミュニティ基準等の整備事例の共有など
      • 問題発生防止・事後対応のノウハウの共有
        • 有効な方策、留意事項等の情報の整理
    3. 被害ユーザー自身による対抗措置や法的請求を可能とするための対応
      • 発信者情報開示制度の運用の明確化
        • メタバース特有の問題事案に関する事例の収集・蓄積と類型化など
      • 海外プラットフォーマーに係る国内代表等の明確化
        • 外国会社の登記の徹底など
    4. 国際的な動向への対応
      • 国内議論から国際的な議論への接続
        • 国際的動向への情報収集機能の向上
        • 国際的なルール形成の場へのコミットメント体制の強化

~NEW~
国土交通省 ベビーカー利用に関するキャンペーンを実施しますーベビーカー利用者の方々へのご理解とご協力をー
  • 「子育てにやさしい移動に関する協議会」では、5月1日から1ヶ月間、公共交通機関等でベビーカーを利用しやすい環境作りに向けて、ベビーカー使用者及び周囲の方のお互いの理解を深めるため、本年4月1日に発足した「こども家庭庁」とも共有するなど連携して、キャンペーンを実施します。
  • 国土交通省では、平成26年3月に「ベビーカー利用にあたってのお願い」及び統一的な「ベビーカーマーク」などについてとりまとめ公表を行いました。
  • 以降、毎年度、ベビーカー使用者及び周囲の方のお互いの理解を深めるため継続的な普及・啓発活動として、関係事業者等と連携して、キャンペーンを実施しており、今回で10回を数えることとなりました。
  • また、キャンペーンを通じて、ベビーカーマークの認知度(ベビーカーマーク認知度に関する調査(令和4年7月)においては、43%)の向上にも努めてまいります。
  • キャンペーン時期
    • 令和5年5月1日(月)~5月31日(水)の1ヶ月間
  • キャンペーン内容
    • 本年度の取組は別添のとおり。
  • キャンペーン主催者
    • 子育てにやさしい移動に関する協議会(別紙5「こそモビ協議会」。オブザーバー:こども家庭庁)
  • キャンペーン実施者
    • 鉄道:39事業者・団体、バス:242事業者・団体をはじめ、旅客船、旅客船ターミナル、空港ターミナル、商業施設等において実施予定

~NEW~
国土交通省 YKK AP株式会社が製造した特定防火設備(片開き戸)に関する 国土交通大臣認定の仕様への不適合について
  • YKK AP株式会社より国土交通省に対し、同社が製造・出荷した特定防火設備※(片開き戸)のうち、国土交通大臣認定の仕様に適合しないものが、住宅等2,105棟(戸の数:約2.6万セット)に設置されているとの報告がありました。 ※火災の拡大を防止するため、防火区画及び外壁の開口部、避難階段の出入口部分等に用いられるもの。
  • これを受け、国土交通省は同社に対して、改修の実施等の所要の対応を速やかに行うよう指示しました。
  • 事案概要
    • 令和5年4月13日、YKK AP株式会社より、国土交通省に対し、同社が製造・出荷した特定防火設備(片開き戸)の一部について、国土交通大臣認定の仕様に適合しない製品があったとの報告がありました。
    • 上記報告を受け、国土交通省から同社に対し、不適合の特定防火設備の出荷先等の調査を指示した結果、令和5年4月20日までに、以下の報告がありました。
      1. 大臣認定の仕様に適合しない製品が設置されている建築物は、住宅等2,105棟(戸の数:約2.6万セット)で、平成8年4月から平成19年12月までに取り付けられたものであること。
      2. 不適合の内容は、以下のとおりであること。
        • 大臣認定の仕様では、ガラス溝部にバックアップ材を使用することとなっているところ、同社はバックアップ材を使用していなかった。
        • 大臣認定の仕様では、枠の気密材にクロロプレンゴムを用いるべきところ、同社はEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を使用していた。
      3. 同社は、今後、不適合の特定防火設備が設置された物件の所有者に速やかに連絡をし、建築基準法に適合させるための改修を行う方針であること。
  • 国土交通省における対応
    • YKK AP株式会社への指示
      • 特定防火設備(片開き戸)に関する国土交通大臣認定の仕様への不適合について、別紙のとおり、所要の対応を速やかに行うよう指示しました。
    • 関係特定行政庁への依頼
      • 国土交通省は、関係特定行政庁に対し、物件リストを情報提供し、必要な対応を進めるよう依頼しました。
  • 相談窓口
    • YKK AP株式会社において、以下の相談窓口が設置されています。
      • お客様からのお問い合わせ先
        • YKK AP株式会社 お客様相談窓口
        • 電話番号 0120-84-1134
        • 受付時間 9:00-17:00(土日祝を除く)
      • 建築・設計関係者からのお問い合わせ先
        • YKK AP株式会社 ビル本部 品質保証部
        • 電話番号 03-5610-8151
        • 受付時間 9:00-17:00(土日祝を除く)
▼YKK AP株式会社における公表
  • 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(愛称:住まいるダイヤル)に次の消費者相談窓口を設置しています。
    • 電話番号 0570-016-100(ナビダイヤル)
    • ナビダイヤル以外は03-3556-5147
    • 受付時間 10:00-17:00(土日、祝休日、年末年始を除く)

~NEW~
国土交通省 インフラ分野のDX アクションプラン(第2版)骨子の公表
▼インフラ分野のDXアクションプラン
  • 取組の背景
    • 2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、社会全体でデジタル化が進展し、デジタル技術を活用したテレワーク・オンライン会議等が急速に浸透したほか、宅配需要やドローン配送といった感染症リスクに対する業務形態や新業態が急成長・急拡大するなど、短期間のうちに社会全体で働き方を含め、生活様式が大きく変容している。
    • 一方で、首都圏の物流を例にとってみると、新型コロナウイルス感染症拡大時においても、首都圏の消費を支えるため、全国各地からの物流は継続しており、持続的な物流網の確保が、我が国の社会・経済活動を支える重要性を改めて再確認したところである。
    • また、物流に限らず我が国の国土管理という観点で見ても、近年、豪雨・豪雪・地震・津波等の災害は頻発・甚大化しており、国民の生命・財産を守り、社会・経済活動を維持していくためのインフラへの要請がより高まっているところである。
    • このように、いかなる時も国民の生活、社会活動、経済活動を支えるための環境を、社会基盤としてのインフラを通じて国民や社会へ提供しており、求められているインフラ機能を日常から確保するために、管理者や建設業界により、インフラの建設・整備のみならず、インフラの維持管理(点検・補修・更新)や災害対応が求められている。
    • そのような中でインフラ分野を取り巻く状況を見てみると、日本社会全体で少子高齢化が急速に進んでおり、建設業においても就業者数は482万人(2021年平均)と、ピーク685万人(1997年平均)から約30%減少している。また、建設業就業者の年齢構成をみると55歳以上の就業者が3割を超えている一方で、29歳以下は約1割と、高齢化が進行しており、高い技能を持つ熟練技術者から次世代への技術継承に加えて、担い手に確保に向けた取組が求められている。頻発する災害への対応に加え、インフラ自体の老朽化も進んでいる。
    • 建設業は製造業と比較して屋外での作業かつ一品生産であり建設現場の生産性向上は一朝一夕には難しい業態ではあるものの、インフラの維持管理や災害対応を担う不可欠な産業であり、国民の安全・安心の確保のためにも、生産性向上を図り、インフラを通したサービス提供は継続していかなければならない。
    • これまで国土交通省においては、建設現場の生産性向上を図る“i-Constructionの推進”のための取組として、①ICT(情報化技術)の全面的な活用、②全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)、③施工時期の平準化の3施策をトップランナー施策と位置づけ、強力に推進してきた。2017年には業界内外・産官学で提携を進める主体として「iConstruction 推進コンソーシアム」を発足し、i-Constructionの推進するための取組を行ってきた。
    • 業界外に目を向けると、近年、データやデジタル技術の普及・拡大により、インターネットやソフトウェアといった技術革新が急速に進んでおり、これまでの現実空間を前提とした業務そのものが効率化し、さらに抜本的に変革する「デジタル・トランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」が様々な業界・業種で本格的に進展している。その背景の1つとして、スマートフォンやIoT(Internet of Things)デバイス等の機器の普及や、それらの機器を通じた大量のデータ(ビッグデータ)の集積が挙げられる。また、メモリ処理能力の劇的な向上に伴い、様々な業種で機械学習・人工知能(AI)等の適用範囲が急速に拡大した。一連の技術の社会実装の基盤となるデータプラットフォームや大容量・低遅延・多数同時接続の通信環境(5G通信環境)等の整備もDXの後押しとなっている。
    • さらに、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、デジタル技術を活用したテレワーク・オンライン会議等が急速に浸透したほか、公共工事の現場においても非接触・リモート型の働き方に転換するなど、感染症リスクに対して短期間のうちに社会全体で生活様式が大きく変容している。
    • 日本政府としてもこうした動きを受け、デジタル社会形成の司令塔として2021年にデジタル庁を発足させ、国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を進めている。2021年12月24日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」においては、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」を目指すこととし、デジタル社会の実現に向けた理念・原則が示された。また、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、デジタル実装を通じた地方活性化の推進が取り組まれている。
    • インフラ分野においても、社会経済状況の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスを変革すると共に、業務そのものや、組織、プロセス、建設業や国土交通省の文化・風土や働き方を変革し、インフラへの国民理解を促進すると共に、安全・安心で豊かな生活を実現すべく、2020年7月に「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」を設置した。同本部において、インフラ分野のDXの全体像の整理や各種施策の進捗状況の確認を進めてきたところである。
  • 取組の目的
    • 「インフラ分野のDXアクションプラン」(以下、「アクションプラン」という。)は、インフラ分野のDXの実現に向けて、国土交通省の所管する各分野における施策を洗い出し、「インフラ分野のDX推進のための取組」、その実現のための「具体的な工程」(2025年度まで)や取組により「利用者目線で実現できる事項」を取りまとめたものである。国土交通省としてのインフラ分野のDXの取組方針を具体化するとともに、それにより実現する社会の姿を明確化している。
    • なお、建設業界では、i-Constructionの推進を通じて、ICT建設機械や無人航空機(UAV)等を活用したICT施工等、設計・施工におけるデジタル技術の積極的な活用を進めてきたところである。インフラ分野のDXは、これまでのi-Constructionの取組を中核とし、インフラ関連の情報提供やサービス(各種許認可等)を含めてDXによる活用を推進していく「インフラの利用・サービスの向上」と、建設業界以外(通信業界、システム・ソフトウェア業界等)や占用事業者を含め業界内外がインフラを中心に新たなインフラ関連産業として発展させる「関連する業界の拡大や関わり方の変化」の2つの軸により、i-Constructionの目的である建設現場の生産性の向上に加え、業務、組織、プロセス、文化・風土や働き方を変革することを目的とした取組である。
    • 例えば、ICT施工については、大容量・低遅延・多数同時接続の通信環境(5G通信環境)を活用し、建機の自動化・自律化を推進していく。また、コンクリート工の規格の標準化については、BIM/CIMを活用しデータ化するとともに、画像データを活用して材料・材質の判定を行うことを目指す。さらに、施工時期の平準化については、適切なコストや工期設定につながるようデータマネジメントへの取組を発展させていく。
  • DXアクションプランの取組(施策)を構成する柱
    • インフラにより国民の生活、社会活動、経済活動を支えていくためには、デジタル技術を活用し、これまでのやり方を変革し、インフラまわりをスマートにしていくことが重要である。具体的に、インフラ分野のDX推進のため国土交通省が推進する取組(施策)は、大きく以下の3つの柱から構成される。
      1. 行政手続のデジタル化
        • 国土交通省のインフラ分野に係る各種手続のデジタル化を推進することにより、WEBシステム等を活用した手続のリモート化、不必要な紙の書類等の提出を減らすペーパーレス化、接触を減らすタッチレス化を目指す。デジタル上の手続では、必要なデータの表示や実際の申請等が、即時で可能なシステムを目指す。また1つの手続のために複数の部署に書類を提出する等、不必要に煩雑化したプロセスを簡易化し、システム上で一元的に処理することを目指す。
      2. 情報の高度化とその活用
        • 関係者間において正確でリアルな情報共有が行える、3次元データによるコミュニケーションを推進する。3次元データ(BIM/CIM)の流通や、XRの活用、WEB会議システムの活用、インフラデータの公開・活用等を促進する。また国民に対しても、3次元で表示した映像を用い、効果的な情報伝達や広報を行うことを目指す。
      3. 現場作業の遠隔化・自動化・自律化
        • 建設業の現場における各種作業(例:施工作業・出来高確認・災害復旧・点検)に対する遠隔化・自動化・自律化技術の一層の開発・社会実装を推進する。また、その推進のため、遠隔化・自動化・自律化に係る各種技術基準類の標準化や開発環境・プラットフォームの整備を図る
  • インフラ分野のDXで目指す姿
    • 「DXアクションプランの取組(施策)を構成する柱」のそれぞれに対して、インフラ分野のDXを通じて目指す姿を、利用者の観点から以下の通り整理する。
      1. 手続きなどいつでもどこでも気軽にアクセス
        • 従来の国土交通省のインフラ分野に係る各種手続の多くは、利用者が行政機関等に直接赴き、紙の書類等を準備した上で対応する必要があり、利用者にとって多くの時間や労力を必要とするものであった。各種手続のリモート化により、行政機関に出向かなくとも、利用者の自宅や事務所から手続等が実施可能となることを目指す。紙の書類等の準備も最低限とし、タッチレスでの手続実現により、新型コロナウイルスの感染防止にもつなげる。
        • これらを実現する一元的なWEBシステム等により、24時間365日手続を可能とし、またインフラ関係に係る行政手続をワンストップで実現することで、国民・事業者の利便性の向上、行政手続の効率化、行政手続コストの削減を目指す。
      2. コミュニケーションをよりリアルに
        • 建設生産プロセス(設計・施工等)において、受発注者間や現場の受注者間等の関係者間で3次元等のデジタルデータやデジタルデバイスの活用によるコミュニケーションを促進することにより、作業の効率化・高度化・省力化や作業員や住民等の安全性や利便性を向上させるとともに、従来以上の関係者間(例:受発注者間や地域住民等)の理解促進・合意形成の円滑化・効率化を目指す。
        • また、国土交通省を含めた関係機関等が有するインフラに関するデータを公開し、活用しやすい環境作りを進めることにより、データを利活用した国民に対するサービスの向上(例:分かりやすい情報の提供による避難行動・被害状況把握の支援、オープンデータを用いたソリューションの開発)、新たなサービス創出等への促進・発展を目指す。
      3. 現場にいなくても現場管理が可能に
        • 施工現場にいなくても建設機械が自動・自律施工をし、出来形・品質検査等も自動化、遠隔化を可能とすることで、建設従事者の肉体的・精神的な負担軽減、省人化・従事時間の短縮につなげる。また、工事を効率化し、確実性や作業精度の向上を図る。
        • こうした取組を通じて生産性向上や現場環境の改善(安全性向上)などにつなげるとともに、建設従事者の業務・働き方を新3K(給与・休暇・希望)に向けて変革し、若手入職者の確保に繋げていく。

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