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危機管理トピックス

輸出拡大に向けた今後の展開方向について(農水省)/プラットフォームサービスに関する研究会(総務省)/特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の概要(厚労省)

2023.05.30
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更新日:2023年5月29日 新着26記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に関するパブリックコメントの結果等について
  • 「保険会社の新たな健全性規制の導入に係る市場への影響度調査」の結果の公表について
  • 「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第7回)議事次第
内閣府
  • 令和5年第7回経済財政諮問会議
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
消費者庁
  • ICPEN詐欺防止月間(2023年)
  • 訪問販売業者【日本瓦斯株式会社】に対する行政処分について
国民生活センター
  • スライサーで指先にけがをする事故が多発!(リーフレット「くらしの危険」)
  • 災害に便乗した消費者トラブルに注意!-2023年石川県能登地方地震-
  • 当選した無料バスツアー 高額商品の販売勧誘に注意!
厚生労働省
  • 第58回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
  • 第111回ILO総会の開催
  • 令和4年の労働災害発生状況を公表~死亡者数は過去最少、休業4日以上の死傷者数は過去20年で最多~
経済産業省
  • APEC貿易担当大臣会合が開催され、議長声明が発出されました
  • ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します
  • 新規事業の社会実装に役立つ外部サービスの活用ガイドブックを作成しました イノベーションの社会実装を支援する「新市場創出サービス」の効果的活用に向けて
  • 「第3次地域知財活性化行動計画」を策定しました
  • 国内初!レベル4での自動運転移動サービスが開始されました
国土交通省
  • 6月1日から土砂災害防止月間が始まります!
  • AI等を活用したターミナルオペレーション最適化の実証と効果検証を行いAIシステム導入の際のガイドラインをとりまとめました
  • 国土交通省初!ドローンの長時間連続飛行に成功!~災害現場や建設現場で効果的なドローンの実装化を目指します~
  • 洪水の緊急速報メール配信対象を拡大します

~NEW~
警察庁 令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
  • 認知状況全般
    • 令和4年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は17,570件(+3,072件、+21.2%)、被害額は370.8億円(+88.8億円、+31.5%)と、前年に比べて総認知件数及び被害額はともに増加。被害額は8年ぶりに増加に転じた。
    • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は3,218件(-101件)、神奈川2,090件(+629件)、大阪2,064件(+526件)、千葉1,457件(+354件)、埼玉1,387件(+305件)、兵庫1,074件(+215件)及び愛知980件(+106件)で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は69.8%(-0.8ポイント)。
    • 1日当たりの被害額は約10,159万円(+約2,433万円)。
    • 既遂1件当たりの被害額は218.6万円(+16.6万円、+8.2%)。
  • 主な手口別の認知状況
    • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は9,724件(+1,606件、+19.8%)、被害額は205.1億円(+44.4億円、+27.6%)で、総認知件数に占める割合は55.3%(-0.6ポイント)。
    • オレオレ詐欺は、認知件数4,287件(+1,202件、+39.0%)、被害額129.3億円(+38.7億円、+42.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は24.4%(+3.1ポイント)。
    • 預貯金詐欺は、認知件数2,363件(-68件、-2.8%)、被害額28.9億円(-1.7億円、-5.5%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は13.4%(-3.4ポイント)。
    • キャッシュカード詐欺盗は、認知件数3,074件(+472件、+18.1%)、被害額46.9億円(+7.4億円、+18.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は17.5%(-0.5ポイント)。
    • 架空料金請求詐欺は、認知件数2,922件(+805件、+38.0%)、被害額101.8億円(+33.7億円、+49.5%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は16.6%(+2.0ポイント)。
    • 還付金詐欺は、認知件数4,679件(+675件、+16.9%)、被害額53.7億円(+8.5億円、+18.8%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は26.6%(-1.0ポイント)。
  • 主な被害金交付形態別の認知状況
    • 現金手交型の認知件数は3,981件(+1,188件、+42.5%)、被害額は130.0億円(+35.6億円、+37.7%)と、いずれも増加。
    • キャッシュカード手交型の認知件数は2,671件(-27件、-1.0%)、被害額は39.8億円(+0.0億円、+0.0%)と、認知件数は減少、被害額は微増。キャッシュカード窃取型の認知件数は3,074件(+472件、+18.1%)、被害額は46.9億円(+7.4億円、+18.7%)と、いずれも増加。
    • 両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は32.7%。
    • 被害者と直接対面して犯行に及ぶ現金手交型、キャッシュカード手交型及びキャッシュカード窃取型を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は55.4%(-0.4ポイント)。
    • 振込型の認知件数は6,058件(+963件、+18.9%)、被害額は105.3億円(+26.2億円、+33.1%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は34.5%(-0.7ポイント)。
    • 現金送付型の認知件数は319件(+130件、+68.8%)、被害額は38.6億円(+18.1億円、+88.6%)と、いずれも増加。
    • 電子マネー型の認知件数は1,416件(+320件、+29.2%)、被害額は9.9億円(+1.5億円、+17.2%)と、いずれも増加。
  • 高齢者被害の認知状況
    • 高齢者(65歳以上)被害の認知件数は15,114件(+2,390件、+18.8%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は86.6%(-1.6ポイント)。
    • 65歳以上の高齢女性の被害認知件数は11,559件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は66.2%(-2.4ポイント)。
  • 欺罔手段に用いられたツール
    • 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話が86.3%、電子メールが8.1%、はがき・封書等※2は0.08%と、電話による欺罔が9割近くを占めている。
    • 主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺及び還付金詐欺は、約99%が電話。架空料金請求詐欺は、電子メールが約47%、電話が約24%。
  • 予兆電話
    • 警察が把握した、特殊詐欺の被疑者が電話の相手方に対し、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなど特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は120,444件(+19,929件、+19.8%)で、月平均は10,037件(+1,661件、+19.8%)と増加。
    • 都道府県別では、東京が35,192件と最も多く、次いで埼玉12,177件、千葉11,128件、大阪10,230件、神奈川8,526件、愛知7,233件、兵庫3,700件の順となっており、予兆電話の総件数に占めるこれら7都府県の合計件数の割合は73.2%。
    • 令和4年の特殊詐欺の検挙件数は6,640件(+40件、+0.6%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,458人(+84人、+3.5%)と増加。
    • 手口別では、オレオレ詐欺の検挙件数は1,771件(+311件、+21.3%)、検挙人員は967人(+185人、+23.7%)と、いずれも増加。還付金詐欺の検挙件数は1,061件(+314件、+42.0%)、検挙人員は186人(+75人、+67.6%)といずれも増加。
    • 検挙人員のうち、中枢被疑者※は41人(-2人)で、総検挙人員の1.7%。※犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等)をいう。
    • 被害者方付近に現れた受け子や出し子、それらの見張り役は1,917人(+45人、+2.4%)で、総検挙人員の78.0%。
    • このほか、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,778件(+385件)、2,789人(+259人)検挙。
  • 暴力団構成員等の検挙状況
    • 暴力団構成員等※の検挙人員は434人(+111人、+34.4%)で、総検挙人員に占める割合は17.7%。※暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者の総称。
    • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、中枢被疑者は17人(±0人、±0.0%)であり、出し子・受け子等の指示役は12人(-9人、-42.9%)、リクルーターは79人(+17人、+27.4%)であるなど、依然として暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。
    • このほか、現金回収・運搬役としては39人(+6人、+18.2%)、道具調達役としては11人(+3人、+37.5%)を検挙。
  • 少年の検挙状況 資料13、14
    • 少年の検挙人員は473人(+40人)で、総検挙人員に占める割合は19.2%。少年の検挙人員の73.8%が受け子(349人)で、受け子の総検挙人員(1,619人)に占める割合は21.6%と、受け子の5人に1人が少年。
  • 外国人の検挙状況 資料13、14
    • 外国人の検挙人員は145人(+28人)で、総検挙人員に占める割合は5.9%。外国人の検挙人員の57.9%が受け子で、20.0%が出し子。
    • 国籍別では、中国76人(52.4%)、ベトナム21人(14.5%)、フィリピン15人(10.3%)、韓国15人(10.3%)、ブラジル6人(4.1%)、北朝鮮3人(2.1%)。
  • 架け場等の摘発状況
    • 東京都をはじめ大都市圏に設けられた架け場等(犯行グループが欺罔電話をかけたり、出し子・受け子らグループのメンバーに指示を出したりする場所等)20箇所を摘発(-3箇所)。
  • 主な検挙事件
    • 令和4年6月までに、移動する車両の中からオレオレ詐欺の欺罔の電話を架けていた特殊詐欺グループを特定、犯行中の車両を急襲して架け子2名を詐欺罪で逮捕するとともに、その後の捜査で共犯被疑者3名を同じく詐欺罪で逮捕した(埼玉)。
    • 令和4年6月までに、警察官をかたって被害者からキャッシュカードを詐取したり隙を見て盗んだりする預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗の電話を、それぞれの自宅等から架けていた架け子被疑者や、これら被疑者の面接や犯行の報酬の振り込みを担っていた被疑者等16名を詐欺罪で逮捕した(警視庁)。
    • 令和4年8月までに、預貯金詐欺の受け子被疑者を順次割り出し逮捕するとともに、架け場等を摘発するなどの突き上げ捜査を徹底し、特殊詐欺グループの中枢被疑者を含む16名を詐欺罪で逮捕した(岡山、福井)。
    • 令和4年10月までに、架空料金請求詐欺で被害者からだまし取った電子マネーの利用権を電子マネーの売買等を仲介するサイトを通じて販売させ、販売代金を振込入金させた事業者の代表等4名を、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した(警視庁、熊本)。
    • 令和4年10月までに、オレオレ詐欺で逮捕した受け子への捜査から被疑者を順次割り出し逮捕するなどの突き上げ捜査を徹底し、受け子の管理役である道仁会傘下組織組員等9名を詐欺罪で逮捕した(熊本、群馬、新潟、北海道、長野)。
  • あらゆる法令を駆使した犯罪者グループ等の取締り
    • 特殊詐欺には、暴力団・準暴力団はもちろん、より外縁の不明確な集団も含めた犯罪者グループ等が関与しており、これらに実質的な打撃を与え、弱体化、壊滅させる必要がある。
    • そのため、警察では、あらゆる法令を駆使して、こうした犯罪者グループ等の主要幹部の検挙を図る取締りを強化している。
    • 令和4年8月までに、神戸山口組傘下組織の幹部を特殊詐欺で逮捕するとともに、同組織の総長らを風営適正化法違反、暴力団排除条例違反等により逮捕した(警視庁)
  • 関係事業者と連携した対策の推進
    • 金融機関等と連携した声掛けの取組を推進した結果、金融機関職員等の声掛けにより、18,730件(+3,724件)、約80.1億円(+22.7億円)の被害を阻止(阻止率(※)52.6%)。金融機関の窓口において高齢者が高額の払戻しを認知した際には警察に通報するよう促すなど、金融機関との連携を強化。※阻止件数を認知件数(既遂)と阻止件数の和で除した割合
    • 還付金詐欺への対策として、金融機関に対し、例えば、一定年数以上ATMでの振り込みのない高齢者口座にかかるATM振込限度額をゼロ円(又は少額)とし、窓口に誘導して声掛け等を行うようにするなどの働き掛けを推進(令和4年12月末現在、47都道府県、409金融機関)。
    • また、金融機関と連携しつつ、還付金詐欺の手口に注目した「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で実施。
    • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替えるなど具体的な手口の積極的な広報を推進。また、金融機関に預貯金口座のモニタリングの強化や、高齢者口座のATM引出限度額を少額とするよう働き掛ける取組を推進(令和4年12月末現在、41都道府県、248金融機関)。
    • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストア、電子マネー発行会社等と連携し、高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け、購入した電子マネーのカード等を入れる封筒への注意を促す文言の記載、発行や申込みを行う端末機の画面での注意喚起等を推進。
    • 現金送付型への対策として、宅配事業者に対し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを提供し、これを活用した不審な宅配の発見や警察への通報等を要請する取組のほか、コンビニエンスストアに対し、高齢者からの宅配便の荷受け時の声掛け・確認等の推進を要請。
    • SNSを利用した受け子等の募集の有害情報への対策として、特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿や、受け子等を募集していると認められる投稿に対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和4年12月末現在、16都道府県)。
  • 犯行ツール対策
    • 主要な電気通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号等の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和4年中は固定電話番号3,401件、050IP電話番号2,107件が利用停止され、新たな固定電話番号等の提供拒否要請を3件実施。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する犯罪収益移転防止法に基づく報告徴収を4件、総務省に対する意見陳述を4件実施。
  • この意見陳述を受けて、令和4年中、総務大臣から電話転送サービス事業者に対して是正命令を3件発出。
    • 犯行に利用された携帯電話(仮想移動体通信事業者(MVNO(※))が提供する携帯電話を含む。)について、携帯電話事業者に対して役務提供拒否に係る情報提供を推進(6,083件の情報提供を実施)。※Mobile Virtual Network Operatorの略。自ら無線局を開設・運用せずに移動通信サービスを提供する電気通信事業者。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し電話して警告メッセージを流すことで、その番号の電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を推進。
  • 悪質な電話転送サービス事業者の取締り
    • 特殊詐欺事件の背後には、特殊詐欺の犯行に利用されることを認識しながら、その実行犯に対して電話転送サービスを提供する悪質な事業者の存在が依然として認められている。
    • こうした事業者は、複数の事業者に再販売を繰り返して、最終的に犯行グループに提供することで、自らは犯行に関与していないよう偽装するなど、非常に巧妙な手口で犯行に加担している。
    • 警察では、令和4年12月までに、犯行グループに対して多数の電話の転送サービスを提供していた電話転送サービス事業の経営者ら13名を詐欺幇助で逮捕(岐阜・警視庁)するなど、悪質な電話転送サービス事業者の取締りを進めている。

~NEW~
内閣官房 「国土強靱化基本計画(素案)」及び「国土強靱化年次計画2023(素案)」に関する意見募集について
▼国土強靱化基本計画(素案)
  • 国土強靱化の理念
    • 我が国は、その国土の地理的・地形的・気象的な特性ゆえに、数多くの災害に繰り返しさいなまれてきた。そしてその都度、多くの尊い人命を失い、莫大な経済的・社会的・文化的損失を被り続けてきた。しかし、災害は、それを迎え撃つ社会の在り方によって被害の状況が大きく異なる。
    • 災害に対する国全体の強靱性(レジリエンス)を向上させるためには、「発災そのものを抑制する」「たとえ発災してもその被害を小さくする」「速やかに復旧する」という3点を効果的に連携させて施策を展開していくことが重要である。
    • 大規模地震等の発生の度に甚大な被害を受け、その都度、長期間をかけて復旧復興を図る、といった「事後対策」の繰り返しを避け、今一度、大規模自然災害等の様々な危機を直視して、平時から大規模自然災害等に対する備えを行うことが重要である。
    • 平成23年東北地方太平洋沖地震(以下「東日本大震災」という。)から得られた教訓を踏まえれば、大規模自然災害等への備えについて、予断を持たずに最悪の事態を念頭に置き、従来の狭い意味での「防災」の範囲を超えて、国土政策・産業政策も含めた総合的な対応を、いわば「国家百年の大計」の国づくりとして、千年の時をも見据えながら行っていく必要がある。
    • 加えて、少子高齢化の影響を受けて様々な活動が従来と比較して弱まる地方都市や中山間地域において、その地域が質的に変化しながら災害にも時代の変化にも適応し、「地域力」を高め、発揮していくことが必要である。国土強靱化のためになされる投資は、災害を防ぐことだけに留まらず、同時に新しい生活スタイルや地域の魅力を創出することにも貢献し、住民が子育てをし、老後も住み続けたいと思える地域の形成につながる未来への投資である点も広く認識されるべきである。
    • そのような国づくりを通じて、危機に翻弄されることなく危機に打ち勝ち、その帰結として、国の持続的な成長を実現し、時々の次世代を担う若者たちが将来に明るい希望を持てる環境を整備・維持する必要がある。
    • このため、いかなる災害等が発生しようとも、
      1. 人命の保護が最大限図られること
      2. 国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること
      3. 国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化
      4. 迅速な復旧復興
        を基本目標として、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するため「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」を推進することとする。
    • この国土強靱化に必要な官(国、地方公共団体)民(住民、民間事業者等)による取組を精力的に進め、いかなる事態が発生しても機能不全に陥らない国家及び社会の重要な機能を平時から確保しておくことは、地域住民の生命・財産、産業競争力及び経済成長力を守ることのみならず、国・地方公共団体・民間それぞれに、様々な状況の変化への対応力や生産性・効率性の向上をもたらす。また、国土強靱化の推進による新規市場の創出や投資の拡大等によって国の成長戦略に寄与することは、我が国の経済成長の一翼を担い、国際競争力の向上、国際的な信頼の獲得をもたらすものである。
    • 本計画は、国の他の計画等の指針となる、国土強靱化に関するアンブレラ計画である。すなわち、本計画以外の計画等は、すべからく本計画を基本とした上で、国土強靱化に関する施策が展開される。このような考え方のもと、本計画のアンブレラ計画としての機能が十分発揮されるよう、各府省庁は国土強靱化に必要な取組を府省庁横断的に、地方公共団体や民間とも連携して、総合的に推進することとする。
  • 国土強靱化基本計画の見直しに当たって考慮すべき主要な事項と情勢の変化
    • 近年、大規模地震の切迫性の高まりや地球規模での気候変動等、災害リスクの高まりに加え、エネルギー・食料等の安定共有に関するリスクの高まりや、デジタル革命・SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)・ポストコロナの生活様式の社会浸透の進展等、国土強靱化を取り巻く情勢は目まぐるしく変化している。
    • また、これまで国土強靱化の取組を継続する中、平成28年熊本地震(以下「熊本地震」という。)等の大規模地震や、平成30年7月豪雨や令和元年房総半島台風(令和元年台風第15号。以下「房総半島台風」という。)、令和元年東日本台風(令和元年台風第19号。以下「東日本台風」という。)等の風水害を経験し、新たな教訓を得た。とりわけ、自助・共助・公助の各々の関係者が多様化する中、より総合的、横断的な対応が必要になっている点は意識すべきである。
    • 今後、中長期の将来にわたる国土強靱化の取組は、次表に示す「国土強靱化基本計画の見直しに当たって考慮すべき主要な事項や情勢の変化」を踏まえた上で、課題を整理し、政策の展開方向に沿って具体的な施策を推進することとする。
    • なお、国民生活・国民経済に影響を及ぼすリスクとしては、自然災害のほかにも新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック、原子力災害等の大規模な事故による被害(事故災害)やテロ・国際紛争等も含めたあらゆる事象が想定され得るが、南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや、気候変動の影響等により水災害、土砂災害が多発していること、一たび大規模自然災害が発生すれば、国土の広範囲に甚大な被害をもたらすものとなることから、本計画では、大規模自然災害を対象とする。
  • 国土強靱化基本計画の見直しに当たって考慮すべき主要な事項と情勢の変化
    1. 国土強靱化の理念に関する主要事項
      • 「自律・分散・協調」型社会の促進
        • 今後30年以内に高い確率で発生するとされている南海トラフ地震や首都直下地震を踏まえれば、その影響を強く受ける地域に主要な機能が過度に集中する状況は避ける必要がある。人口が密集する都市部が大規模災害に見舞われた際、被災者の受入れや都市機能の代替を可能とするバックアップ機能を整備することにより、自然災害に対する「しなやかさ」を高めることが重要である。
        • また、コロナ禍を背景に、リモートワークの普及により暮らし方や働き方が多様化し、二地域居住や田園回帰への意識が高まっている現況も鑑み、平時と有事の両面から「自律・分散・協調」型社会を形成する必要がある。
      • 事前復興の発想の導入促進
        • 「より良い復興(Build Back Better)」という概念は定着してきているが、大規模災害が発生した後の混乱の中で、被災前よりも災害に強い地域に復興していく姿を描くことは容易ではない。
        • 平時から、あらかじめ30年、50年の大計を描き、どのような国・地域を目指すのか、長期的・広域的に考えておくことが重要である。
      • 地震後の洪水等の複合災害への対応
        • 大規模地震後の復旧には相応の時間が必要なことを踏まえれば、その間に火山噴火や風水害等が発生することは十分想定されるため、複合災害を想定し、震災と火山災害・水害等の双方に有効な事前防災を推進することが重要である。
        • また、災害発生に備え、近隣市町村や都道府県、さらには想定する災害の影響が及ばない遠隔地の地方公共団体が相互に災害支援協定を締結するなど、多段階の地域連携を構築することが必要である。
      • 南海トラフ地震等の巨大・広域災害への対応
        • 未曾有の巨大・広域災害への対応に当たっては、最大クラスの地震・津波が発生する場合のみならず、時間差を置いて大規模な地震が発生する場合の時間的・空間的影響を考慮した対応の検討を通じて、事前の備えを強化するほか、あらかじめ過去の災害経験から得られた知見の情報発信・共有化を図り、初動対応に必要な専門スキルを有する人材や物資を広範囲から確保できる体制を構築するなど、ハード・ソフトの両面から、国を挙げて取り組む必要がある。
        • また、経済活動の停滞を回避するため、サプライチェーンの維持・確保が重要であり、長期に及ぶ移転先の確保等について、比較的被害が軽微な地域が、甚大な被害を受けた地域の後方支援を行う体制づくりを進める必要がある。
        • なお、一たび災害が発生すれば、被害状況の迅速かつ正確な把握が必要となるため、情報収集手段の冗長性を確保することも重要である。
    2. 分野横断的に対応すべき事項
      • 環境との調和
        • 気候変動対策に関しては、「パリ協定」(平成27年国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)採択、平成28年発効)で定められた世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力をするという目標の実現に不可欠な「カーボンニュートラル」の実行が国際的な潮流となっている。
        • また、生物多様性の保全に関しては、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」(令和4年生物多様性条約締約国会議(COP15)採択)に即して、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失が深刻化する中で、生物多様性の損失を止め、反転させるという「ネイチャーポジティブ」の考え方に基づき、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30目標」の実現等が求められる状況となっている。
        • 例えば、遊水地のように防災機能に加え、生物多様性保全機能も期待できる防災施設は、整備後の土地の利用形態などを含めた検討により、住民が子育てをし、老後も住み続けたいと思える故郷の風景を残すために活用されるべきである。
        • これらの考え方を踏まえれば、気候変動の影響が深刻化する中、生物多様性の損失を止め、反転させるという「ネイチャーポジティブ」の考え方は、今後国際社会の中でも主流となるものであり、地域が有する豊かな自然の恵みを生かすグリーンインフラの活用を積極的に推進し、NbS(Nature-based Solutions:自然を活用した解決策)の考え方に基づく取組を拡大していくことが必要である。
        • なお、太陽光等の再生可能エネルギー関連施設の設置に関しては地域との共生の観点が重要となっていることから、地域環境の悪化を招かないよう、関係法令等に基づき、適切に調整する必要がある。
      • インフラの強靱化・老朽化対策
        • 自然災害の激甚化・頻発化やインフラ施設の老朽化が加速度的に進行している状況を踏まえ、インフラが求められる機能を発揮するためには、正しく設計・施工・維持管理される必要がある。
        • このため、防災関連施設はもとより、交通インフラ、エネルギー関連インフラ等、官民を問わず公共性の高いインフラについて、災害外力の見直しに基づき適切な補強等を行うとともに、定期的な点検・診断の結果に基づく老朽化対策を講じていく必要がある。
        • その際、多くのインフラを管理している市区町村では、土木系を含む技術系職員数が減少するなど、メンテナンスに携わる担い手が不足している状況も踏まえ、新技術の活用促進や点検・補修データの利活用により効率化を図るなど、これに対応していく必要がある。
      • 横断的なリスクコミュニケーション(災害弱者等への対応)
        • 様々な主体がリスク情報の受信者とも発信者ともなる現代において、リスクコミュニケーションは、災害リスクを正確に認識し、生命を守るための的確な行動を促す上で重要な要素であり、災害弱者や情報弱者も含め、確実に実施される体制づくりが必要である。
    3. 社会情勢の変化に関する事項
      • 気候変動の影響
        • 近年、北日本での猛暑や西日本での豪雪等、これまで経験してこなかった気象現象が各地域で発生しており、国土交通省が行った検討によると、気温が産業革命以前と比べて2℃上昇した場合、降雨量が約1.1倍、洪水発生頻度が約2倍になると試算されている。また、IPCC報告書によると、平均海面水位は0.29~0.59m上昇し、台風が強大化することが予測されている。
        • 近年、世界各地でこれまで経験のない気象災害が頻発するなど、気候変動の影響が顕在化しており「気候危機」の時代とも言われている。今後、地球温暖化の進行に伴って、その強度と頻度が増加することが懸念されており、気候変動リスクを踏まえた防災・減災対策が必要となっている。
        • 災害外力の増大に伴い、防ぐことのできない災害も増加することを想定し、ハード・ソフトを組み合わせ、しなやかに対応することが重要である。
      • グリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現
        • 地球温暖化対策は経済成長の制約ではなく、積極的に地球温暖化対策を行うことで産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につなげるという考えの下、我が国は令和2年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、令和5年2月には「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、徹底した省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの主力電源化等を進めることとしている。
        • これらの取組の一環として、地域の防災拠点における非常用電源への再生可能エネルギーの活用や、分散型電源等を整備するなど、地域のレジリエンスの向上を図ることが必要である。
      • 国際紛争下におけるエネルギー・食料等の安定供給
        • エネルギー・食料等の安定供給を取り巻く世界情勢は激動の時代を迎えており、ウクライナ情勢など国際紛争下において一層厳しさを増している。
        • このため、国全体として太陽光・風力等の再生可能エネルギーを含めた多様なエネルギー源を確保するとともに、東西の周波数の違いによる電力融通のボトルネックの解消を図る等、震源地から遠く離れた地域でのブラックアウトの発生を回避する取組を進め、有事でもエネルギー供給が途絶えにくいシステムを構築する必要がある。併せて、コージェネレーションの活用や家庭単位での取組も含めた様々な省エネルギーの取組を進める必要がある。
        • 食料については、気候変動による生産作物への影響や、大規模自然災害下における家畜伝染病の流行等の影響も考慮した取組が必要である。
        • このほか、半導体など国内製造業のサプライチェーンに関し、海外からの供給に影響が生じ得ることに鑑み、供給ルートの複線化や国内生産拠点を強化する必要がある。
      • SDGsとの協調
        • 気象災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震等の大規模地震の発生が切迫する中で、国民の生命・財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすため、防災・減災、国土強靱化に取り組むとともに、質の高いインフラ投資を官民一体となって引き続き積極的に支援することは、SDGsにおいても非常に重要である。
        • さらにSDGsの観点からは、民間の力を活用した社会課題解決に向けた取組を推進すると同時に、多様性に富んだ包摂的な社会の実現、一極集中から多極化した社会を作り、地域を活性化する必要があり、国土強靱化においても、当該観点を踏まえ施策を推進することが必要である。
        • 特に、多様性に富んだ包摂的な社会の実現のためには、性別や世代、障害の有無等の垣根を越えて、多様な人々がお互いを認め、一体感を持って国土強靱化に向かって取り組む「DEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包摂性)」の考え方が広く認識されるよう取り組むことが重要である。
        • 具体的には、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~(令和2年5月)」を踏まえ、行政機関のあらゆる災害対応において女性職員の参画を図るほか、障害者や高齢者、訪日外国人旅行者を災害情報弱者として取り残すことがないよう配慮する等の「誰ひとり取り残さない」ための取組が必要である。
        • これらの取組を通じ、社会福祉に精通した多様な職員・NPO等の避難所運営への参画や、ジェンダーバランス等の多様性に配慮した避難所運営体制の確保を全国的に展開する必要がある。
      • デジタル技術の活用
        • 世界に類をみない急速なペースで人口減少・少子高齢化が進行し、地方の過疎化や地域産業の衰退等が大きな課題となる中、ICTの進化やネットワーク化により、地域や社会の在り方、産業構造が急速に変化する大変革期、新しい時代(Society5.0)が到来し、デジタル技術はその実証の段階から実装の段階へと着実に移行しつつある。
        • このため、「デジタル田園都市国家構想総合戦略(令和4年12月23日に閣議決定)」に基づき、避難計画の策定や災害対応の迅速化・適切化、防災情報の高度化等にデジタル技術を活用し、防災・減災、国土強靱化をより効率的に進める必要がある。
        • その際、インフラ・防災・減災分野において、人工知能(AI)、IoT、クラウドコンピューティング、ソーシャル・ネットワークサービス(SNS)等、その時点の最先端のデジタル技術の活用を進めることが重要である。
        • また、単なるデジタル技術の活用にとどまらず、業務そのものや組織、プロセスの変革を含む概念であるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の取組により、災害予測、事前復興、災害発生時等、様々な段階においてデジタルの力で対応力を強化することが重要である。
      • パンデミック下における大規模自然災害
        • 長期に及ぶパンデミック下で医療従事者が対応に追われる中、自然災害が発生することも十分あり得ることから、コロナ禍において経験したことを踏まえた備えが重要である。
        • なお、リモートワークの普及による暮らし方・働き方の多様化は、東京一極集中のリスクを分散する上で有効であり、「自律・分散・協調」型社会を促進する観点からも考慮する必要がある。
    4. 近年の災害で得られた新たな知見
      • 災害関連死に関する対策
        • 熊本地震など近年の災害では、避難生活における疲労や持病の悪化等による災害関連死も多く発生している。
        • このため、避難生活が長期化する場合、生活環境の改善を図るほか、避難者に対する心身のケアについて具体的な事案に学ぶ形で改善を図るなど、災害関連死を防ぐ取組を進めることが必要である。
      • コロナ禍における自然災害対応
        • 令和2年にはコロナ禍において大水害が相次いで発生し、避難所における感染症対策が課題となった。今後も、一たび感染症がまん延すれば、一定期間継続することを前提に、感染症と自然災害の同時発生は想定しておく必要がある。
        • その際、車中泊の活用も含め、感染の可能性がある避難者を他の避難者と隔離する手法や、感染源となり得るトイレの使用区分けなど、具体的な避難所運営を見据えた事前の備えが必要である。
  • 中長期的に取り組むべき課題
    • 大規模自然災害への備えをより盤石に
      • 大規模地震の切迫性の高まりや、気候変動に伴う洪水発生頻度の増加及び平均海面水位の上昇が予測される中、事前防災対策を強化することが重要であり、上流・下流や本川・支川の流域全体を見据えた「流域治水」の取組として、中小河川も含め、気候変動の影響を考慮した河川の整備に係る計画を策定し、堤防の整備や排水機場の強化、河道掘削・浚渫を実施するなど、防災インフラの整備を更に推進する必要がある。
      • また、賢く使う観点から、ダムの事前放流など洪水調節機能を有する施設の操作等、既存の防災インフラの高度化・効率化を進めるとともに、老朽化したインフラ施設の予防保全に取り組むなど、適切な維持管理を推進する必要がある。
      • さらに、自然環境が有する防災・減災等の多様な機能を活用し、国土全体の自然災害に対する強靱化を図ることが必要である。
      • 一たび自然災害が発生すると、災害対応拠点となる避難者受入施設・医療機関等の環境を構築し、順次改善・充実させる必要がある。その拠点が相応の期間使用される場合には、災害関連死を可能な限り生じさせない取組も重要である。
      • 地域コミュニティにおける災害対応の拠点の一つとして、小中学校は重要な役割を果たしているが、近年、少子化による小中学校の統廃合が進み、地域の災害対応拠点としての機能を維持できなくなっている地域もある。小中学校を避難時に使用する上での環境改善・防災機能強化だけでなく、小中学校の統廃合を踏まえた地域の災害対応拠点の在り方も検討するなど、取組を強化する必要がある。
    • 大規模自然災害発生後も経済活動が持続できる国土づくり
      • 大規模地震による直接死を最大限防ぐ観点から、構造物の耐震化・耐災害性強化を促進することが重要である。また、被害が長期化しても一定の日常生活や社会経済活動が継続されるよう、あらかじめ事前復興を考えておくことが重要である。
      • このため、被災地域が孤立する可能性も考慮し、救援救護が到着するまでの間、生命を守るために必要な通信・エネルギーを確保できるよう、地産地消の再生可能エネルギーを活用した自立・分散型の仕組みの導入を図るほか、ミッシングリンクの解消やリダンダンシーの確保、交通結節点の機能強化等、総合交通ネットワークの機能強化や、浸水被害等の自然災害から命を守るための避難路の整備を進め、交通・物流手段を確保する必要がある。
      • さらに、我が国全体の経済が、ひとつの大規模災害で壊滅的な損害を受けず、粘り強く早期復興を果たすためには、企業の生産活動を国全体で支えるサプライチェーンの強靱化を図ることが重要であり、民間企業の生産拠点・体制の強靱化が図られるよう、国の支援を充実する必要がある。
      • このほか、GXの実現のための新たな取組を活用して、大規模自然災害発生後における迅速な経済活動の復旧を図ることが必要である。
    • 限られた人員でも効率的な災害対応、より豊かな社会活動・地域づくりの実現
      • より豊かな社会活動・地域づくりを行う上で、デジタル等新技術の活用が図られることが望ましい。国土強靱化の分野においても、様々な気象観測データやスーパーコンピュータ等を活用した気象予測、ヘリやドローンによる情報集約の一層の迅速化・効率化、電子媒体を用いたプッシュ型の情報受発信システムの活用等が期待されている。
      • また、少子高齢化が進む中、限られた人員でも効率的に災害対応等の活動を可能にする観点から、デジタル技術を最大限活用する必要がある。
      • 一方、デジタル技術の活用に際しては、情報弱者に陥りやすい高齢者、障害者等に対して配慮・工夫が必要である。
      • これらの点も踏まえ、都市部のみならず地方においてもデジタル技術の活用を通じて、日常生活と災害時等有事の際の双方において、住民が住み続けたいと思える地域づくりを進めることが重要である。
    • 官民連携の促進と民間主導の取組の活性化
      • 国土強靱化を実効性あるものにするためにも、国、地方公共団体のみならず、民間事業者等の主体的取組が極めて重要であり、官と民が適切な連携及び役割分担の下、民の自助や共助の活性化や、民の力の公助への活用を更に進めていく必要がある。
      • 例えば、災害時における事業継続性の確保や、ライフライン・交通ネットワークの維持・早期復旧に当たっては、国・地方公共団体が所有する公共施設の強靱化のみならず、民間施設の強化を促進することが重要である。大規模な再開発や物流拠点の整備等における民間の防災投資を促すため、インセンティブの付与等、幅広い取組を促進する必要がある。
      • また、発災後の迅速な復旧復興に当たっては、被災者の支援体制を充実させる必要があり、災害保険等の活用など相互扶助の分野も含めて総合的に取り組むべきである。地方公共団体における民間企業の防災関連技術の活用や、民間主導による防災・減災に関する地域貢献活動等も進められており、民間主導の取組の活性化を図ることが重要である。
      • このようなハード対策とソフト対策の両面からの総合的な国土強靱化の取組は、各分野において多様なニーズを生み出し、新たなイノベーションや更なる民間投資の拡大をもたらす可能性を秘めており、競争力の強化につなげ、我が国の持続的な経済成長に貢献できるよう、取組を強化する必要がある。
    • 国土強靱化地域計画の内容充実と支援の在り方
      • 国土強靱化地域計画(以下「地域計画」という。)は、ほぼ全国の都道府県・市町村で策定されている。今後は、広域的な対応が必要な課題に対するため、各地域計画の整合性の確認や、有識者からの助言を得るなどして、地域計画の一層の充実を図る段階に至っている。
      • 地方公共団体が地域計画の改定を行うに当たっては、当該地域の特徴や脆弱性を的確に捉えた上で、民間事業者や住民とも連携・協働することにより、個々の事情を丁寧に反映させた計画となるよう内容の充実を図ることが重要である。例えば、災害時に連携する周辺市町村や地域内企業・NPO団体との関係構築等、地域コミュニティの強化に関するソフト施策について、地方公共団体が様々な主体や住民等の幅広い参画を得て検討を重ねた上で、自らが方向性を見出し、より実効性のある地域計画へと改定することが考えられる。
      • 一方、地方公共団体の中には、省庁連携や官民連携に関わる知見を有する組織が存在せず、地域計画を策定・改定が困難なケースがある。また、防災・減災分野に従事する職員のマンパワーが不足し、組織内の連携も希薄であるケースも多い。
      • このため、地方公共団体における関係部局の連携方策等について、地方公共団体の主体性を尊重しつつ、求めに応じて的確に支援していくことが必要である。

~NEW~
首相官邸 農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議(第18回)
▼資料4輸出拡大に向けた今後の展開方向について
  • 農林水産物・食品の輸出促進にあたっては、マーケットインによる「稼げる輸出」を拡大し、成長する海外の市場を取り込んでいくことが求められている状況。
  • 2025年の輸出額2兆円目標の前倒しを目指しつつ、2030年の5兆円目標を達成し、農業者等へ真に裨益するよう、以下の内容について深化を図っていく。
  • 地域ぐるみの生産・流通の転換による輸出産地の形成
    • 大規模輸出産地の育成
      • 今後、都道府県やJA、地域商社等の地域の関係者が一体となって、輸出支援プラットフォーム等と連携しながら、地域全体として輸出に取り組む推進体制を整備し、生産面や集荷・船積み方法等流通面の転換を通じ、生産から流通・販売までを繋ぐ大規模輸出産地を育成することにより、国内生産基盤の維持・強化を図る。(所得向上効果を明記した事業実施計画に基づき、施策の効果を検証。)
    • JAグループ間の連携による産地指導等
      • こうした大規模輸出産地の形成に当たっては、国内流通の大宗を占めるJAグループの取組が必要不可欠。
      • JAグループが総力をあげ、主体的に輸出産地の課題を踏まえたより効果的な指導等ができるよう、JAグループと国とが定期的に協議する場を設け、連携して輸出産地を育成。
  • 生産から加工・物流・販売までのサプライチェーンの関係者が一体となった戦略的な輸出体制の整備・強化
    • 戦略的サプライチェーンの具体化に向けた取組
      • 輸出先国での物流・商流の拡大効率化を図るため、海外展開する複数の企業による倉庫等の物流施設、加工施設の共同利用の拡大を図る。
      • これらの施設や施設を保有する事業者への投資に対して公的金融機関も活用した投融資等の支援策を検討
    • 輸出重点品目における輸出目標の見直し
      • 令和2年の目標を設定時に想定していなかった新市場への輸出も視野に、輸出重点品目の品目別目標に新規市場を追加するなど必要な検証を実施。
    • 現地の輸出支援体制の更なる整備
      • 上記目標の見直しも踏まえつつ、必要に応じ、輸出支援プラットフォーム設置国・地域の拡大や、人材の配置、非設置国における担当者の明確化を検討。
    • 輸送リスクを低減させる損害保険等によるセーフティーネットの取組
      • 品目団体と連携し、輸送中の腐敗や品質劣化など特有の輸送リスクを低減させるよう輸送・梱包方法を検証し、損害保険等によるセーフティネットの検討。
    • 輸出人材の育成・確保
      • 個別の輸出事業者が検疫条件等輸出に必要な知識を体得し、商流開拓することは容易でないため、関係省庁等と連携し、輸出についての知見や輸出マインドを有する人材の育成や人材を確保する仕組みを検討。
      • 海外における日本食料理人の人材育成ニーズに応えるため、海外の日本食料理人育成の推進策を検討。
    • 都道府県等との連携
      • 各都道府県でのプロモーションを横断的に支援するため、本年1月に「都道府県・輸出支援プラットフォーム連携フォーラム」を開催。更に、全国知事会に新たに設置された「農林水産物輸出拡大PT」との連携を図る。
      • 本年4月に立ち上げた、輸出促進に関する商工関係機関との情報交換会等を活用して、「新規輸出1万者支援プログラム」等とも連携し、事業者の掘り起こしを実施。
  • 海外への流出防止や競争力強化等に資する知的財産等の保護・活用の強化
    • 育成者権管理機関の取組の推進
      • 品種の保護・管理を徹底しつつ、海外からのロイヤリティを新品種開発に投資するサイクル確立と、輸出先国における周年供給ビジネスモデル構築を後押し。その一環として、海外ライセンスの指針の策定を検討。
      • 品種の海外流出防止の実効性の強化に向け、国内における新品種の流通管理の方策を検討。
    • GI等の活用による日本産品のブランド保護
      • 「ジャパンブランド」としてのGIの活用のほか、内外のGI登録や商標取得を推進し、日本産品のブランドを保護。
    • 総合的な知財マネジメントの推進
      • 農林水産業・食品産業全体として、日本の強みである優れた品種や技術、高い品質、特有の食文化等を知的財産として戦略的に保護・活用する意識と能力を高めるための、農林水産・食品分野における知的財産教育の充実に向けた方策を検討。

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第45回)配布資料
▼資料1諸外国における偽・誤情報対策の動向について(みずほリサーチ&テクノロジーズ)
  • 本資料は、総務省「令和4年度 偽・誤情報等の情報流通環境の実態把握及び啓発施策の在り方等に関する調査研究の請負」を再構成し、米国、欧州、オーストラリアの政府機関等における偽・誤情報への対抗事例を紹介します。
  • 【米国】
    • 偽誤情報流通に対してオンラインプラットフォームの責任を高めるため通信品位法230条の改正を伴う検討はバイデン政権や議会において行われている。
      • 2022年9月、ホワイトハウスは「競争及び、技術プラットフォームの説明責任の強化」を公表。上下院議会において230条改正を伴う法案が提出された(2023年2~3月には4件提出)。
    • 2021年には米国中間選挙が実施された。州レベルで選挙の完全性を担保するために専門組織整備や情報発信などの取組が行われた。
    • 偽誤情報に対抗するための州法等の検討が行われている。COVID-19、ディープフェイクを禁止する例がある。
  • 【欧州】
    • 最初の行動規範の課題を踏まえ、2022年6月に「2022年版 偽情報に関する行動規範」が公表された。その後、2023年1月に34署名者は、自身の活動をまとめた初のパフォーマンスレポートを提出した。Google、Meta、TikTok、Microsoftは、初めてEU加盟国レベルでのデータを提供した。同時にこれらを集めた「透明性センター」が開設された。
    • 2022年11月に「デジタルサービス法(DSA)」が施行された。DSAと行動規範の関連をみると、VLOPとVLOSEに対して「偽情報に関する行動規範」への署名と遵守に関する記載が確認できた。※VLOP:超大規模オンラインプラットフォーム。VLOSE:超大規模オンライン検索エンジン
  • 【オーストラリア】
    • 2022年5月末に8署名者は2回目となる「2021年版透明性レポート」を公表した。オーストラリアにおける誤情報の削除量にも言及したものもあった。
    • 2022年12月にDIGI(デジタル産業団体)は更新版「偽・誤情報に関するオーストラリアの行動規範(ACPDM)」を公表した。小規模プラットフォームの参加、偽情報を拡散しないようアルゴリズムやデジタル広告への対応等が追加された。
    • 2023年1月に政府は「New disinformation laws」制定を公表。また、オーストラリア通信メディア庁(ACMA)に、オンラインの偽・誤情報と闘うためにデジタルプラットフォームに対する新たな権限を付与することを公表した
▼資料2諸外国におけるファクトチェックの取組状況(みずほリサーチ&テクノロジーズ)
  • 本資料は、総務省「令和4年度 偽・誤情報等の情報流通環境の実態把握及び啓発施策の在り方等に関する調査研究の請負」を再構成し、多様な主体によるファクトチェック活動が盛んで、多くの人にファクトチェック結果を届けるための工夫をしている事例として韓国を紹介します。また、ファクトチェック機関の国際的な連携について紹介を行います。
  • 【韓国】
    • 日本と比べファクトチェックの活動が盛んである。テレビ局、新聞社、オンラインメディア等がファクトチェックを行っている。テレビのニュース番組の中でファクトチェックコーナーや、ファクトチェック専門番組が存在する。
    • 一方で、資金難から活動を停止するファクトチェック機関も存在する。過去調査対象とした市民参加型の「ファクトチェックネット」は政府からの資金減により2023年に解散した。
  • 【国際連携】
    • ウクライナ情勢に関連して、世界各国のファクトチェック機関が連携しファクトチェックを行う。IFCNの「#UkraineFacts」は120団体が参加する。
    • 欧州評議会加盟国内の偽情報と闘うためにファクトチェックやOSINT活動を行う機関の連携プロジェクトが立ち上がっている(European FactChecking Standards Network (EFCSN))。EFCSNはファクトチェック活動の指針となる規範を作成しており、これに準拠することが確認されればメンバーとなる。
▼資料4国内における偽情報に関する意識調査(みずほリサーチ&テクノロジーズ)
  • 偽情報~おすすめ・レコメンデーションまで 日本のみ
    • 「知っている」の上位3位までをみると、「誤情報」(92.8%)、「偽情報」(91.2%)、「ディープフェイク」(61.4%)であった。
    • 逆に低くなった下位3位(知らないが高くなった用語)についてみると、「アテンションエコノミー」(16.4%)、「エコーチェンバー」(18.0%)、「フィルターバブル」(21.7%)であった。
  • 情報の真偽を見分ける自信【インターネットやメディアで流れる情報全般】 日本(性別年代別比較)
    • 「女性」は「自信がない」(42.4%)が高い。「男性」は、「自信がある」(36.6%)が高い。
    • なお、2022年2月調査と同じ傾向を示した。
    • 年代別には「自信がない」が高くなった年代の方が多くなった(30代~60代)。
  • 情報の真偽を見分ける自信【インターネットやメディアで流れる情報全般~気候変動に関する情報】 日本のみ
    • 「インターネットやメディアで流れる情報全般」においては、「自信がない」が(34.8%)となり、「自信がある」(28.5%)より高い。
    • 「新型コロナウイルスやそのワクチンに関する情報」の場合は、「自信がある」(32.0%)、「自信がない」(30.5%)と差が小さくなった。
    • 「ウクライナ情勢に関する情報」については「自信がない」が(41.5%)と「インターネットやメディアで流れる情報全般」よりも高くなった。
  • メディアごとの偽・誤情報を見かける頻度【インターネット上のメディア(SNSやブログなど)】 国際比較
    • 「週1回以上」に着目すると、インターネット上のメディア(SNSやブログなど)は、日本は約4割台であり、その他の対象国(約5~6割台)と比べて低くなった。
    • なお、2022年2月調査では日本は約3割台、その他の対象国(約4~5割台)であった。日本では見かける割合が高くなった。
  • 偽・誤情報に接することの多い情報源国際比較
    • 日本における上位3つをみると「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)」(41.4%)、「ニュース系アプリ・サイト」(28.4%)、「動画投稿・共有サービス」(25.3%)が高くなった。
    • 今年度調査及び、2022年2月調査とも、多くの国において偽・誤情報だと思う情報を見かけたメディアとして「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)」が挙げられた。しかし、この2期間の回答割合を比較すると低下していることもわかる。
    • なお、2022年2月調査と比較すると、2位と3位のメディアが「テレビ」、「ポータルサイトやソーシャルメディアによるニュース配信」から、「ニュース系アプリ・サイト」、「動画投稿・共有サービス」へと変わった。
  • 偽情報・誤情報対策に取り組むべき主体 国際比較
    • 諸外国についてみる。日本を含め、フランス、韓国では「政府機関」が最も高くなった。アメリカとイギリスは「SNSを提供する事業者」となった。
    • 日本における上位5つまでをみると「政府機関」(49.8%)、「ニュース系アプリ・サイトを提供する事業者」(38.7%)、「マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、ジャーナリスト」(37.3%)、「SNSを提供する事業者」(35.9%)、「検索サービスを提供する事業者」(30.8%)であった。なお、2022年2月調査では「報道機関、放送局、ジャーナリスト」(48.2%)、「政府機関」(42.2%)、「個人(信用性の低い情報を拡散しないなど、自分自身のリテラシー向上)」(42.8%)、「ソーシャルメディアサービスを提供している事業者」(34.1%)、「インターネット検索サービス事業者」(25.6%)が高くなった。「ニュース系アプリ・サイトを提供する事業者」が2番目となった。
  • 新型コロナウイルスやそのワクチンに関して特に信用できる情報源やメディア・サービス 国際比較
    • 新型コロナウイルスやそのワクチンに関する情報に関して信頼できる情報源をあげてもらった。
    • 日本における上位3つをみると、「自国の政府機関による情報発信」(41.0%)、「世界保健機関(WHO)や専門機関、病院による情報発信」(27.7%)、「公共放送局による情報発信※国営放送含む」(23.7%)であった。
    • アメリカ、イギリス、フランス、韓国において「世界保健機関(WHO)や専門機関、病院による情報発信」が最も高くなった。なお、2022年2月調査では、イギリス、フランス、韓国では「自国の政府機関のウェブサイトや情報配信」が最も高くなった。アメリカでは「世界保健機関(WHO)や専門機関のウェブサイトや情報発信」が、ドイツでは「公共放送局(テレビ・ラジオ・ウェブサイトなど)」が最も高くなった。日本を除き対象国において信頼できる情報源として「世界保健機関(WHO)や専門機関、病院による情報発信」が最も高くなった。
  • 新型コロナウイルスやそのワクチンに関して特に信用できる情報源やメディア・サービス 日本(性別年代別比較)
    • 「女性」、「男性」とも、「自国の政府機関のウェブサイトや情報配信」となった(41.0%,40.9%)。
    • 年代別にみると、すべての年代において「自国の政府機関のウェブサイトや情報配信)」、なお、40代では「該当するものはない」(29.0%)が2番目に高くなった。
  • 新型コロナウイルスやそのワクチン、ウクライナ情勢、気候変動に関して得た情報【直近1ヶ月程度】 国際比較
    • 全対象国において「上記について見たり聞いたりしたことはない」が最も高くなった。なお、日本は5割であるが、他国は2~3割となっており、日本の割合が高い。
    • 各国で2番目となった情報についてみる。アメリカでは「新型コロナウイルスのワクチンを接種した人が変異株に感染すると重症化しやすい」、イギリスと韓国では「新型コロナウイルスはただの風邪である」、フランスでは「電気自動車のバッテリーは再利用やリサイクルができないため、環境を汚染する」であった。
    • 日本で2番目に高くなった「新型コロナウイルスはただの風邪である」は、2022年2月は20.1%、2023年3月は24.4%と2期で変化がなかった。
  • 新型コロナウイルスやそのワクチン、ウクライナ情勢、気候変動に関する誤情報を見たときの印象・行動 日本のみ
    • 日本において、「正しい情報だと思った」の回答が高くなった上位3つをみると「天然ガス生産によって生成されるメタンガスは、石油やガスの燃焼に伴うCO2よりも気候への影響が大きい」(n=143、45.5%)、「電気自動車のバッテリーは再利用やリサイクルができないため、環境を汚染する」(n=163、42.9%)、「気候変動が存在したとしても、人間の活動のせいではない」(n=137、32.8%)であった。
    • 「正しい情報だと思った」の上位の3つは、気候変動に関連する情報であった。日本でこれらの情報を目にした人は数%台にとどまっていたが、もし目にする機会が多くなると影響が出る可能性がある。
  • 上記のうち「天然ガス生産によって生成されるメタンガスは、石油やガスの燃焼に伴うCO2よりも気候への影響が大きい」 日本(性別年代別比較)
    • 男性が女性よりも「正しい情報だと思った」割合が高くなった(9.0ポイント差)。
    • 年代でみると、高くなった順に「20代」(60.0%)、「30代」(54.5%)、「10代」(46.4%)、「60代」(40.7%)、「40代」(35.3%)、「50代」(26.3%)であった。最も高い「20代」と最も低い「50代」との差は33.7ポイントとなった。
  • 情報共有・拡散の理由 国際比較
    • 2期で比較すると、日本において「情報の真偽に関わらず、その情報が興味深かったから」(34.6%)が1番目となった。なお、2022年2月調査では4番目(26.3%)と順位が上がった。
    • 諸外国をみると、アメリカでは「その情報が正しいものだと信じ、他の人にとって役に立つ情報だと思ったから」、イギリスと韓国では「その情報の真偽がわからなかったが、他の人にとって役に立つ情報だと思ったから」、フランスでは「その情報の真偽がわからなかったが、その情報が間違っている・誤解を招く情報である可能性があることを他の人に注意喚起をしようと思ったから」となった。
  • 「信じなかった」理由 国際比較
    • 日本における上位3つは、「常識に照らして正しい情報ではないと思った」(76.2%)、「自国の政府機関による情報で知っていた」(15.2%)、「国連や世界保健機関(WHO)などの国際機関、専門機関による情報で知っていた」(12.4%)であった。
    • 諸外国をみると、アメリカ、イギリス、フランス、韓国では「常識に照らして正しい情報ではないと思った」が最も高かった。2022年2月調査と同様の結果となった。さらに、2番目に高くなった項目をみると、アメリカと韓国では「ファクトチェック結果を見て知っていた」、イギリスでは「国連や世界保健機関(WHO)などの国際機関、専門機関による情報で知っていた」(28.9%)、フランスでは「自国の政府機関による情報で知っていた」(17.3%)であった。
  • 情報の真偽を確かめた経験の有無 国際比較
    • 日本における上位3つは、「半々くらい」(31.1%)が最も高い。2期で比較すると「半々くらい」調べたとの回答割合が高くなった。
    • 情報の真偽を「調べる」のは、調査対象国のうち欧米は約3~5割台、アジアでは約2割台となった。
  • 情報の真偽を確かめた方法 国際比較
    • 日本における上位3つは、「情報の発信者が信頼できる組織や人物なのかを確認した」(40.6%)、「1次ソース(情報が引用・抜粋されている場合や伝聞の場合に、その情報が最初に投稿された際(オリジナルの情報)はどのように書かれているか)を調べた」(26.1%)、「自国の政府機関(首相官邸/大統領府、関係省庁、地方政府など)による情報を確認した」(24.8%)となった。
    • 日本を含め、アメリカ、イギリス、フランス、韓国では「情報の発信者が信頼できる組織や人物なのかを確認した」が最も高かった。
  • インターネット空間を流れる情報についての意見や考え方 国際比較
    • 「思う」(強くそう思う+ある程度そう思う)に着目する。
    • 日本における上位3つは、「インターネット上で自身が受け取る情報のうち、何が正しいのか、何が間違っているのかを判断するのは難しい」(70.1%)、「政府は、インターネット上の情報の真偽を見分けられるようにするために、メディア情報リテラシーを向上させる機会を提供するべき」(62.4%)、「偽情報・誤情報対策としてファクトチェックがもっと積極的に行われることが必要だ」(61.8%)であった。
    • 対象国に共通した意見として、「政府は、インターネット上の情報の真偽を見分けられるようにするために、メディア情報リテラシーを向上させる機会を提供するべき」において、「思う」の割合が上位3位までに入った。
  • 偽・誤情報対策講座等への参加 国際比較
    • 諸外国をみると、日本を含め、イギリス、フランス、韓国では「偽情報・誤情報対策を学べるテレビ番組の視聴」が最も高かった。
    • アメリカでは「ファクトチェックの体験学習(講座等で受講するもの)」(38.2%)が最も高かった。
  • 偽・誤情報対策講座等への参加 日本(性別年代別比較)
    • 10~30代は「学校・職場での授業や研修の実施」が最も高くなった(47.6%、37.7%、35.3%)。40~60代は「偽情報・誤情報対策を学べるテレビ番組の視聴」(36.5%、38.6%、49.1%)であった。「学校・職場での授業や研修の実施」が年齢が上がるにつれて回答割合が低下した。「偽情報・誤情報対策を学べるテレビ番組の視聴」は年齢が上がるに従い、回答割合も上がった。
    • 3番目に高くなった「リテラシー能力診断テスト(ネット上で簡易に実施可能なもの)」は性別・年代によらず選択され、2~3割台であった。
  • SNSアカウントの真偽判定を行ったポイント 日本(アカウントの真偽判断別)
    • SNSをもした架空のアカウント(画像)を表示し、アカウントが本物か、偽物と思うか回答してもらった。
    • 「いいえ」と答えた人は「プロフィールの記載詳細」(57.5%)、「フォロワー数」(44.3%)、「外部リンク(Ed8sj442B.vw)」(44.0%)となった。
    • 「プロフィールの詳細」は「いいえ」の人が最も高くなったが、「はい」と答えた人では6番目(9項目中)となった
▼資料5プラットフォーム事業者による偽情報等の対応状況のモニタリング結果について(総務省)
  • ヒアリング結果に関する全体的な傾向
    • 多様なステークホルダーによる協力関係の構築や、特定のトピックに関する偽情報や誤解を招く情報の流布に関するポリシーの設定、ファクトチェック推進、ICTリテラシー向上に関しては、日本ファクトチェックセンターの創設を通じた協力関係の構築や一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ)での行動規範策定の議論が進んでいることなど、まだ十分とは言い切れないものの我が国においても取組が進められつつある。
    • Twitterを除くすべての事業者において、我が国における偽情報への対応及び透明性・アカウンタビリティ確保の取組の進捗は、前回ヒアリングと比較して、一部で進展が見られるもののほぼ同等であり、未だ限定的。特に、Twitterからは、口頭での発表が行われたものの、ヒアリングシート及び説明資料の提出がなく*、透明性・アカウンタビリティ確保の取組について後退があった。
    • 第41回会合(2023年2月10日)に提供を依頼した自社における偽情報対策の取組事例に関する資料及び第43回会合(2023年4月13日)に提供を依頼した資料(ヒアリングシート及び説明資料)について、事務局から会合後に提出依頼を累次行ったが、現時点(2023年5月25日)までに、これらの資料について、提供がなかった。
    • 以下「すべての事業者」と記載する場合には、ヒアリングシートの提出があった、ヤフー、Google、LINE、Metaを指す(Twitterは含まない)。なお、Twitterによる取組については、第43回会合における発表の際に口頭で提供された情報を一部事務局において確認のうえ掲載している。
  • 「我が国における実態の把握」関係(2.関係)
    • すべての事業者において、前回ヒアリングに引き続いて、我が国における偽情報の流通状況に関する実態把握とその結果の分析・公開が十分に行われているわけではない。

~NEW~
金融庁 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に関するパブリックコメントの結果等について
▼別紙7 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係5前払式支払手段発行者関係)の一部改正(新旧対照表)
  • Ⅱ-5 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行の業務に係る監督上の評価項目
    • 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行の業務を行う者(以下「高額電子移転可能型前払式支払手段発行者」という。)に係る監督に当たっては、Ⅰ、Ⅱの項目毎の着眼点に記載されている対応が適切になされていることに加え、以下で示す留意点を踏まえて監督するものとする。
  • Ⅱ-5-1 取引時確認等の措置
    • 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)に基づく取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(犯収法第11条に定める取引時確認等の措置をいう。以下「取引時確認等の措置」という。)に関する内部管理態勢を構築することは、組織犯罪による金融サービスの濫用を防止し、我が国金融市場に対する信頼を確保するためにも重要な意義を有している。高額電子移転可能型前払式支払手段発行者の監督に当たっては、リスクベース・アプローチを含む「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下「マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン」という。)に基づき、当該高額電子移転可能型前払式支払手段発行者の規模・特性等を踏まえた各種態勢整備状況を確認するとともに、例えば、以下の点に留意するものとする。
      • (注)リスクベース・アプローチとは、自己のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクを特定・評価し、これを実効的に低減するため、当該リスクに見合った対策を講ずることをいう。
  • Ⅱ-5-1-1 主な着眼点
    • 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行の業務に関して、取引時確認等の措置及びマネロン・テロ資金供与対策ガイドライン記載の措置を的確に実施し、テロ資金供与やマネー・ローンダリング、高額電子移転可能型前払式支払手段の不正利用といった組織犯罪等に利用されることを防止するため、以下のような態勢が整備されているか。
      1. 取引時確認等の措置及びマネロン・テロ資金供与対策ガイドライン記載の措置を的確に行うための一元的な管理態勢が整備され、機能しているか。特に、一元的な管理態勢の整備に当たっては、以下の措置を講じているか。
        (注)取引時確認等の措置の的確な実施に当たっては、「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(平成24年10月金融庁)を参考にすること。

        1. 管理職レベルのテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策のコンプライアンス担当者など、犯収法第11条第3号の規定による統括管理者として、適切な者を選任・配置すること。
        2. テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて調査・分析し、その結果を勘案した措置を講じるために、以下のような対応を行うこと。
          • 犯収法第3条第3項に基づき国家公安委員会が作成・公表する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、取引・商品特性や取引形態、取引に関係する国・地域、顧客属性等の観点から、自らが行う取引がテロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて適切に調査・分析した上で、その結果を記載した書面等(以下「特定事業者作成書面等」という。)を作成し、定期的に見直しを行うこと。特に、海外加盟店や外国人顧客を有する場合においては、国・地域ごとのリスクを十分に評価しているか、外国人顧客の在留期限に応じたリスク評価を実施しているか、代理店を介した発行や移転のリスクを評価しているか、非対面取引のリスクを評価・検討しているかなどについて、留意すること。
          • 特定事業者作成書面等の内容を勘案し、顧客受入れ方針を策定するとともに、顧客管理や取引記録等の保存に関する具体的な手法を策定すること。また、策定した方針・手法については、定期的又はテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策に重大な影響を及ぼし得る新たな事象を把握した際に見直しを行うこと。
          • 犯収法第4条第2項前段に定める厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引若しくは犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(以下「犯収法施行規則」という。)第5条に定める顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引又はこれら以外の取引で犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案してテロ資金供与やマネー・ローンダリング等の危険性の程度が高いと認められる取引(以下「高リスク取引」という。)を行う際には、統括管理者が承認を行い、また、情報の収集・分析を行った結果を記載した書面等を作成し、確認記録又は取引記録等と共に保存すること。確認記録及び取引記録等の正確性や適切性について適時に検証すること。
          • 特定事業者作成書面等に基づく顧客リスク評価に応じた頻度による顧客情報の調査等、継続的顧客管理の方針を策定し、確実に当該方針を実行すること。また、顧客リスク評価に影響を与える事象が発生した際に、顧客リスク評価を見直すこと。
        3. 特定事業者作成書面等も踏まえつつ、リスクに応じた適切な取引時確認の方法を採用すること。また、テロ資金供与やマネー・ローンダリング、高額電子移転可能型前払式支払手段の不正利用といった組織犯罪等の手法や態様の高度化・巧妙化を含めた環境変化や自社又は他の事業者における事件の発生状況を踏まえ、定期的かつ適時にリスクを認識・評価し、公的個人認証の導入を含め、取引時確認の向上を図ること。
        4. 取引時確認時等において、犯収法上の取引時確認義務の履行に加えて、我が国を含め関係各国による制裁リスト等を照合するなど、受け入れる顧客のスクリーニングを適切に行っているか。また、各種リスト更新時には再スクリーニングを実施すること。
        5. 適切な従業員採用方針や利用者受入方針を策定すること。
        6. 必要な監査を実施すること。
        7. 取引時確認等の措置を含む利用者管理方法について、マニュアル等の作成・従業員に対する周知を行うとともに、従業員がその適切な運用が可能となるように、適切かつ継続的な研修を行うこと。
        8. 取引時確認や疑わしい取引の検出を含め、従業員が発見した組織的犯罪による金融サービスの濫用に関連する事案についての適切な報告態勢(方針・方法・情報管理体制等)を整備すること。
        9. 代理店管理において、各代理店はリスクに応じた継続的顧客管理措置等の実践が必要であり、それを高額電子移転可能型前払式支払手段発行者が検証・評価する態勢を整備すること。また、高額電子移転可能型前払式支払手段発行者は各代理店のリスク評価を行い、そのリスクに応じて管理態勢のモニタリングを行うこと。
      2. 法人顧客との取引における実質的支配者の確認において、信頼に足る証跡を求めて行うことや、外国PEPs(注)該当性の確認、個人番号や基礎年金番号の取扱いを含む本人確認書類の適正な取扱いなど、取引時確認を適正に実施するための態勢が整備されているか。
        • (注)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(以下「犯収法施行令」という。)第12条第3項各号及び犯収法施行規則第15条各号に掲げる外国の元首及び外国政府等において重要な地位を占める者等をいう。
        • とりわけ、犯収法第4条第2項前段及び犯収法施行令第12条各項に定める、下記イ.~二.のような厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引を行う場合には、顧客の本人特定事項を、通常と同様の方法に加え、追加で本人確認書類又は補完書類の提示を受ける等、通常の取引よりも厳格な方法で確認するなど、適正に(再)取引時確認を行う態勢が整備されているか。また、資産及び収入の状況の確認が義務づけられている場合について、適正に確認を行う態勢が整備されているか。
          • 取引の相手方が関連取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引
          • 関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引
          • 犯収法施行令第12条第2項に定める、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との特定取引等
          • 外国PEPsに該当する顧客等との特定取引
      3. 疑わしい取引の届出を行うに当たって、利用者の属性、取引時の状況その他高額電子移転可能型前払式支払手段発行者の保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案した上で、犯収法第8条第2項及び犯収法施行規則第26条、第27条に基づく適切な検討・判断が行われる態勢が整備されているか。当該態勢整備に当たっては、特に以下の点に十分留意しているか。
        • 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者の行っている業務内容・業容に応じて、システム、マニュアル等により、疑わしい利用者や取引等を検出・監視・分析する態勢を構築すること。
        • 取引モニタリングにおいて、各顧客のリスク評価も踏まえ、適切に敷居値が設定されているか。また、ビジネスモデルを踏まえ、疑わしい取引を検知するためのシナリオが適切に設定されているか。届出をした疑わしい取引事例や届出に至らなかった事例を分析し、届出に至る調査が適切か、定期的にシナリオ、敷居値の見直し作業を適切に行っているか。
        • 犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案の上、国籍(例:FATFが公表するマネー・ローンダリング対策に非協力的な国・地域)、外国PEPs該当性、利用者が行っている事業等の利用者属性や、国外取引と国内取引との別、利用者属性に照らした取引金額・回数等の取引態様その他の事情を十分考慮すること。また、既存顧客との継続取引や高リスク取引等の取引区分に応じて、適切に確認・判断を行うこと。
      4. 前払式支払手段記録口座(法第3条第9項に規定する前払式支払手段記録口座をいう。)の開設を行うことを内容とする契約(以下「口座開設契約等」という。)の締結に当たって、必要に応じ、取引時確認の実施や利用目的等の確認を行うなど、テロ資金供与やマネー・ローンダリング、高額電子移転可能型前払式支払手段の不正利用といった組織犯罪等による被害防止のあり方について検討を行い、必要な措置を講じているか。
      5. テロ資金供与やマネー・ローンダリング、高額電子移転可能型前払式支払手段の不正利用といった組織犯罪等に関する裁判所からの調査嘱託や弁護士法に基づく照会等に対して、個々の具体的事案毎に、前払式支払手段発行者に課せられた守秘義務も勘案しながら、これらの制度の趣旨に沿って、適切な判断を行う態勢が整備されているか。
      6. 海外営業拠点(支店、現地法人等)のテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を的確に実施するための態勢が整備されているか。
        1. 海外営業拠点においても、適用される現地の法令等が認める限度において、国内におけるのと同水準で、テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を適切に行っているか。
          • (注)特に、FATF勧告を適用していない又は適用が不十分である国・地域に所在する海外営業拠点においても、国内におけるのと同水準の態勢の整備が求められることに留意する必要がある。
        2. 現地のテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策のために求められる義務の基準が、国内よりも高い基準である場合、海外営業拠点は現地のより高い基準に即した対応を行っているか。
        3. 適用される現地の法令等で禁止されているため、海外営業拠点が国内におけるのと同水準の適切なテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を講じることができない場合には、以下のような事項を速やかに金融庁又は本店所在地を管轄する財務局に情報提供しているか。
          • 当該国・地域
          • テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を講じることができない具体的な理由
          • テロ資金供与及びマネー・ローンダリングに利用されることを防止するための代替措置を取っている場合には、その内容
  • Ⅱ-5-1-2 監督手法・対応
    • 検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された取引時確認等の措置又はマネロン・テロ資金供与対策ガイドライン記載の措置に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条に基づき報告書を徴収することにより、前払式支払手段発行者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
    • さらに、高額電子移転可能型前払式支払手段の利用者の利益の保護の観点を含む前払式支払手段の発行の業務の健全かつ適切な運営の確保の観点から重大な問題があると認められるときには、前払式支払手段発行者に対して、法第25条に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大、悪質な法令違反行為が認められるときには、法第27条に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項はⅢ-3による。)。
      • (注)取引時確認の取扱いについては、別途、犯収法に基づき、必要な措置をとることができることに留意する。
  • Ⅱ-5-2 未使用残高の上限額
    • 移転、記録及び使用が可能な未使用残高について、特に高額な利用が可能な高額電子移転可能型前払式支払手段に関しては、テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策の重要性が相対的に高まることから、上限額に応じたより堅牢なテロ資金供与及びマネー・ローンダリングリスク管理態勢の構築・維持が求められる。
  • Ⅱ-5-2-1 主な着眼点
    • 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者として、マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン及びⅡ-5-1の事項を適正かつ確実に実施しているか。また、移転、記録及び使用が可能な未使用残高の上限額に応じたより堅牢なテロ資金供与及びマネー・ローンダリングリスク管理態勢を整備するため、高額電子移転可能型前払式支払手段発行者の規模・特性等に応じて以下のような措置を講じているか。
    • (注)テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策に当たっては、リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢を整備する必要があることに留意する必要がある。
      1. 移転、記録及び使用が可能な未使用残高の上限額に応じたリスク評価を実施し、当該リスク評価を踏まえたリスク管理態勢を整備しているか。また、リスク評価を見直しているか。
      2. テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策に関し、専門性・適合性等を有する職員を必要な役割に応じ確保・育成しながら、適切かつ継続的な研修等を行うことにより、組織全体として、専門性・適合性等を維持・向上させる態勢を整備しているか。
  • Ⅱ-5-2-2 監督手法・対応
    • 検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された移転、記録及び使用が可能な未使用残高の上限額に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条に基づき報告書を徴収することにより、前払式支払手段発行者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
    • さらに、高額電子移転可能型前払式支払手段の利用者の利益の保護の観点を含む前払式支払手段の発行の業務の健全かつ適切な運営の確保の観点から重大な問題があると認められるときには、前払式支払手段発行者に対して、法第25条に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大、悪質な法令違反行為が認められるときには、法第27条に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項はⅢ-3による。)。
▼別紙8 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係16暗号資産交換業者関係)の一部改正(新旧対照表)
  • 特定事業者作成書面等に基づく顧客リスク評価に応じた頻度による顧客情報の調査等、継続的顧客管理の方針を策定し、確実に当該方針を実行すること。また、顧客リスク評価は、定期的な見直しに加えて、同評価に影響を与える事象が発生した際に、顧客リスク評価を随時見直すこと。
  • 特定事業者作成書面等も踏まえつつ、リスクに応じた適切な取引時確認の方法を採用すること。また、テロ資金供与やマネー・ローンダリング、金融サービスの不正利用といった組織犯罪等の手法や態様の高度化・巧妙化を含めた環境変化や自社又は他の事業者における事件の発生状況を踏まえ、定期的かつ適時にリスクを認識・評価し、公的個人認証の導入を含め、取引時確認の向上を図ること。
  • 取引時確認時等において、犯収法上の取引時確認義務の履行に加えて、我が国を含め関係各国による制裁リスト等を照合するなど、受け入れる顧客のスクリーニングを適切に行うこと。また、各種リスト更新時には再スクリーニングを実施すること。
  • 暗号資産の交換等や暗号資産の移転(法第2条第15項に規定する暗号資産の交換等に伴うものを除く。以下同じ。)を他の暗号資産交換業者及び国外の事業者(以下「取引業者等」という。)との間で行う場合、取引業者等との間で暗号資産の移転について委託又は受託する旨の契約を締結する場合、取引業者等に対して自社における口座開設を許諾する場合又は自社が開発したシステムを取引業者等が使用することを許諾する場合その他の提携を行う場合には、犯収法第10条の4及び第11条、犯収法施行規則第31条の5及び第32条並びにマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに基づき、以下の態勢が整備されているか。
  • (注)これらに係る契約(外国所在暗号資産交換業者と締結する場合に限る。)は、犯収法第10条の4の「外国所在暗号資産交換業者との間で、暗号資産の移転を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約」に該当することがある点に留意すること。
  • 取引業者等が営業実態のない架空の事業体(いわゆるシェルカンパニー、フロントカンパニー等)でないこと、及び取引業者等がその保有する口座を架空の事業体に利用させないことについて確認すること。また、確認の結果、取引業者等が架空の事業体であった場合又は取引業者等がその保有する口座を架空の事業体に利用されることを許容していた場合、当該取引業者等との契約の締結・継続を遮断すること。
  • 顧客から依頼を受けて暗号資産の移転を行うに際し、他の暗号資産交換業者又は外国暗号資産交換業者(法第2条第17項に規定する外国暗号資産交換業者をいい、犯収法施行令で定める国又は地域に所在するものを除く。以下併せて「他の暗号資産交換業者等」という。)に対し暗号資産の移転に係る通知を行う場合(いわゆるトラベルルール)において、犯収法第10条の5及び第11条、犯収法施行規則第31条の7及び第32条並びにマネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに基づき、以下に掲げる点に留意して、暗号資産の移転に係る通知等が行われているか。
    1. 暗号資産の移転に関する事務規定において、犯収法第10条の5が求めている、顧客及び受取顧客に係る本人特定事項その他の事項(以下「法定通知事項」という。)を正確に通知するための事務手順を規定すること。
    2. 他の暗号資産交換業者等が暗号資産の移転に係るリスクを適切に認識できるよう、暗号資産交換業者は法定通知事項を正確に通知する態勢を整備すること。
    3. 暗号資産の移転に係る通知義務の履行においては、コンプライアンス、システム、コールセンター等の関係部門間を調整し、通知義務に関する犯収法の規定を遵守する態勢を整備すること。
    4. 顧客から暗号資産の移転の依頼を受ける暗号資産交換業者の部門は、通知事項を適切に把握し、また、暗号資産の移転に係る事務を行う部門は、上記イに掲げる事務手順を踏まえて顧客から暗号資産の移転の依頼を受ける部門が把握した法定通知事項を正確に通知すること。
    5. 暗号資産交換業者が、法定通知事項の通知を他の暗号資産交換業者等に委託して暗号資産の移転を行う場合においては、顧客との間で暗号資産の移転を行う暗号資産交換業者が通知義務を負っているとの認識の下、受託者との間において、通知義務を確実に履行するための取決め等を締結し、当該取決め等に基づき、受託者による通知の実施状況を適切に確認すること。
    6. 他の暗号資産交換業者等が取次ぐ顧客からの暗号資産の移転を暗号資産交換業者が受託して行う場合において、当該暗号資産交換業者が通知義務を負っているとの認識の下、通知義務の履行のために必要な情報を確実に取得するための取決め等を締結し、当該取決め等に基づき、当該他の暗号資産交換業者等による法定通知事項の把握状況を定期的にモニタリングすること。
    7. 通知事項に係る記録を犯収法の定めるところに従って適切に保存していること。
    8. 暗号資産交換業者の経営陣は、暗号資産の移転に係る通知義務の履行状況を正確に把握すること。
    9. 暗号資産交換業者は、暗号資産の移転に係る通知義務に関する犯収法を遵守するための事務手続や組織体制の有効性を適時適切に検証し、必要に応じて見直しを行うこと。
    10. 暗号資産の移転に係る通知義務に関する犯収法の遵守状況に関し、必要に応じ、取締役会等は報告を受け、取締役会等は、当該報告に基づき、暗号資産の移転に係る通知義務に関する犯収法を遵守するための態勢整備等につき適切な意思決定を行うこと。
  • 暗号資産交換業者が行う暗号資産の移転に係る取引が、他の暗号資産交換業者等が管理していないウォレット等の犯収法第10条の5に規定する通知義務の対象外のウォレット(以下「アンホステッド・ウォレット等」という。)との取引等であり、トラベルルールに基づく通知を伴わない場合(犯収法施行規則第24条第9号ハ又はニに掲げる場合に該当するとき)には、その匿名性や移転の制限がないことから、テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクが一般的に高いと考えられる。そのため、アンホステッド・ウォレット等との取引を行う場合には、その取引の頻度、取り扱う暗号資産の性質などを踏まえて、テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクを特定・評価し、当該リスクに応じた適切な態勢を整備することが求められ、特に以下の措置を講じているか。
  • (注)アンホステッド・ウォレット等には、利用者が自ら管理するウォレットであるいわゆるアンホステッド・ウォレットのほか、無登録業者の管理するウォレット、我が国の通知義務に相当する義務が課されていない国又は地域に所在する外国暗号資産交換業者の管理するウォレットその他の通知義務の対象とならないウォレットを含む(トラベルルールに基づく通知が必要であるにも関わらず、通知を伴わない場合についても同様)。
    • 犯収法第7条第1項及び第11条並びに犯収法施行規則第24条及び第32条に基づき、犯収法施行規則第31条の7第1項に定める事項に相当する事項を収集し、記録しているか(アンホステッド・ウォレット等から暗号資産を受け取る場合には、暗号資産交換業者が知り得た事項に限る)。
    • 犯収法第11条及び犯収法施行規則第32条に基づき、アンホステッド・ウォレット等との取引を行う場合には、当該アンホステッド・ウォレット等の属性について、調査・分析を行い、そのリスクを評価しているか。
    • (3)(2)に加え、特に送金・決済手段として広く利用・取引される可能性がある暗号資産については、当該性質を踏まえたリスクを特定・評価し、当該リスクに応じた適切な態勢整備が必要であり、例えば、以下の態勢を整備しているか。
    • 経営陣は、アンホステッド・ウォレット等との取引について、テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクを低減し、定期的にその有効性を検証する態勢を整備するとともに、法令等遵守・リスク管理事項として、当該リスクの低減を明確に位置づけているか。
    • アンホステッド・ウォレット等との取引を監視・分析するにあたって、ブロックチェーンを検証等することによりリスクを把握しているか。
    • アンホステッド・ウォレット等との取引を行う利用者や自らの調査を通じて、アンホステッド・ウォレット等に関する情報を適切に取得することとしているか。具体的には、アンホステッド・ウォレット等に暗号資産を移転する場合、移転先のアンホステッド・ウォレット等の情報を利用者等から取得し、疑わしい取引と判断した場合には、利用者に暗号資産を移転させない対応が可能な態勢を整備しているか。また、アンホステッド・ウォレット等から暗号資産を受け取る場合、アンホステッド・ウォレット等の情報を利用者等から取得し、疑わしい取引と判断した場合には、受領した暗号資産を利用者に利用させない対応が可能な態勢を整備しているか。

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金融庁 「保険会社の新たな健全性規制の導入に係る市場への影響度調査」の結果の公表について
▼「保険会社の新たな健全性規制の導入に係る市場への影響度調査」結果
  • エグゼクティブサマリー
    • 本調査では、経済価値ベースのソルベンシー規制(以下、「経済価値規制」という。)の導入に伴う保険会社の経営行動の変化と金融市場への影響を分析した。具体的には、次の(1)~(3)のシナリオの下で、各グループのESRの水準、ESRターゲット水準に向けての株式売却等による金融市場のリバランス規模、それらのリバランスが相場へ影響を与えることなく実行できる期間(リバランス期間)を調査した。
  • 基本シナリオ
    • 経済価値規制の導入に伴う金融市場への影響を分析する
    • 経済前提 2022年3月末における経済環境
    • ESRターゲット水準 平常時の目標水準
    • 各グループのESR 一部のグループで平常時の目標水準を下回った
    • リバランス期間 平常時の目標水準に対し1ヵ月以内
  • 金融危機シナリオ
    • 経済価値規制導入後にリーマンショック級の金融危機が発生した場合の金融市場への影響を分析する
    • 経済前提 リーマンショック級の金融危機が発生した状況
    • ESRターゲット水準 ストレス下の目標水準/PCR
    • 各グループのESR 一部のグループでストレス下の目標水準を下回った/PCRを下回ったグループはなかった
    • リバランス期間 平トレス下の目標水準に対し3ヵ月以内/不要
  • 国内ワーストシナリオ
    • 経済価値規制導入後に一部の保険会社がPCRに抵触する規模の2以上の金融危機が発生した場合の金融市場への影響を分析する
    • 経済前提 国内の経済指標のワーストケースが発生した状況
    • ESRターゲット水準 ストレス下の目標水準/PCR
    • 各グループのESR 一部のグループでストレス下の目標水準を下回った/一部のグループでPCRを下回った
    • リバランス期間 ストレス下の目標水準に対し金融市場におけるリバランスのみでは回復困難/PCRに対し6ヵ月以内

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金融庁 「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第7回)議事次第
▼資料2 脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書(案)概要
  • 概要
    • 近年、脱炭素に向けてコミットメントを行う金融機関が増加しており、金融機関と企業との実効的な対話(エンゲージメント)が重要となっている。金融機関が脱炭素に向けて企業と対話を行っていく際の課題や留意点、金融機関の取組みを推進するために政府等が取り組むべき事項について検討会において議論を行い、以下を提言する報告書として取りまとめた(5月公表)。
  • カーボンニュートラルを目指す金融機関への提言(ガイド)
    1. 金融機関の移行計画のとらえ方
      • 金融機関の融資先の排出量(Financed Emissions)に加えて、様々な指標をもって金融機関の移行を捉えることが重要
    2. 温室効果ガス(GHG)排出量データの整備
      • GHG排出量データの重要性が高まっており、グローバルな視点やサプライチェーンにおける計測支援も含め、充実を図っていく必要
    3. 排出経路の適格性(移行計画の策定)
      • 様々なパスウェイの特性を理解した上で、業種・企業ごとの特性を踏まえて使い分けていくことが重要
  • 金融機関等の脱炭素を促す環境整備に向けた政府等への提言
    1. CO2排出量のデータ整備に関する取組み
      • サプライチェーン・ファイナンスも活用した金融機関による「見える化」の促進
      • データの標準化、共通化やプラットフォームの構築、様式の統一
      • グローバルな連携、企業データの充実
    2. トランジションファイナンスの推進
      • 経済産業省による分野別技術ロードマップの拡充
      • アジアにおける脱炭素の取組みの拡大
        • 金融機関や事業会社等が情報・課題を共有する場の設置
        • 多排出設備の除却に伴うカーボンクレジットの発行にかかる検討
    3. リスクマネーの供給に向けた取組み
      • リスクマネー供給に向けた金融商品の多様化
        • グリーンやトランジションに資する優先株や劣後債の発行促進やESG投信の普及に向けた検討
      • 脱炭素目線からのインパクト投資の推進
      • ブレンデッドファイナンスの推進
    4. 地域の中小・中堅企業における脱炭素の促進
      • 財務局等におけるセミナーの開催(中小・中堅企業に向けた啓蒙活動や地域金融機関同士の連携)
      • 地域金融機関を通じた支援策の普及
        • カーボンニュートラルに関する施策集の作成
        • 地域金融機関への説明会の開催等も通じた情報提供の充実

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内閣府 令和5年第7回経済財政諮問会議
▼資料1-1 社会保障分野における経済・財政一体改革の重点課題とマイナンバー制度の利活用拡大(有識者議員提出資料)
  • 急速な少子高齢化・人口減少の下で我が国が持続的な成長を遂げるには、質の高い投資を促すと同時に、分厚い中間層や格差を固定化しない公平で活力ある社会の形成を通じて、国民生活や経済の安定を図る必要がある。
  • 社会保障はその重要な基盤であり、健康で長く働ける環境の整備や給付効率化等を通じた保険料負担の上昇抑制により、家計可処分所得の増加に寄与するとともに、セーフティネット機能の強化や制度の持続性への信頼性向上により、暮らしに安心をもたらすことを通じて消費の押上げに寄与するなど、成長と分配の好循環実現に大きく貢献し得るものである。
  • こうした機能の発揮に向けて、社会保障分野では、地域を問わず健康で安心して暮らせる医療・介護提供体制の構築や、国民の健康増進へとつながるイノベーションが絶えず生まれるような規制・制度整備、EBPMやワイズスペンディング、応能負担を通じた社会保障制度の持続性の確保を実行していく必要がある。その際、特にマイナンバー制度の利活用を徹底し、家計への効果的な支援と費用抑制の双方を実現することも重要である。
  • 少子化対策への更なる対応が求められる中、こども政策も含めた将来の全世代型社会保障の展望を示すとともに、その給付をどのような保険料・税・資産収入等の財源構成で賄うかについて検討していく必要がある。その前提として、徹底した歳出改革と保険料負担の上昇抑制がこれまで以上に求められている。こども政策の強化も徹底した歳出改革を大前提とすべきである。また今年度は、新型感染症が5類となり平時への移行を早急に進める必要があるとともに、次期診療報酬・介護報酬の同時改定をはじめ懸案の改革を進める極めて重要な年であり、この機を捉えて社会保障改革を一層強力に前進させるべく、骨太方針に向けて、以下提言する。
    1. 強靭で効率的な医療・介護提供体制の構築
      • 各地域で国民一人一人が健康で安心した暮らしを送ることができるよう、オンライン診療等のデジタル技術の更なる実装を含め、次の施策に取り組み、限られた資源の最適配分を実現すべき。
        • 地域医療構想は、2025年の目標年限に対して都道府県の権限強化等だけでは進展が不十分であり、改めて実効性が確実に担保できるよう法制上の措置を講ずべき。また、基金による各種支援策は、期限の定めがないところ、目標年限と整合的に医療機関の行動が促されるよう見直すべき。
        • かかりつけ医機能については、医療者が信頼関係の下で継続的に患者の健康状態をケアすることが重要。医療機関がそのための機能を強化し、地域において必要な機能の確保が進むよう、かかりつけ医機能報告制度を国民の信頼が得られる実効性の高いものに具体化すべき。また、国民が適切な医療機関を選択できるよう、医療機能情報提供制度を拡充すべき。
        • 医療・介護分野での他職種間や同一職内でのタスク・シフト/シェアは、来春の医師の時間外労働規制施行、在宅サービスの増大等に備えるため、まったなしの課題。医師、看護師、薬剤師等、様々な職種間の連携や業務の重なり合いも含め、できるものから直ちに実行すべき。
        • 更なる高齢化の下では、医療・介護等の一体提供を行う地域包括ケアシステムがますます重要。介護報酬改定では、医療機関、訪問看護事業所、薬局、介護サービス事業所等の効果的な連携や在宅サービスの充実の推進とともに、実効性を高めるため、科学的根拠に基づく効果的なサービスによる日常動作の維持改善等のアウトカムを重視して配分を見直すべき。
        • 介護の担い手不足やビジネスケアラー増大に対し、NPOや民間企業による「共助」とも連携した対策が必要。ICT機器・ロボットの利活用や経営の大規模化により介護事業者の生産性向上を図るとともに、家事支援や送迎等の介護保険外サービスの振興及び利用促進や、企業向けガイドラインの整備等による企業における介護と仕事の両立に係る取組を推進すべき。
    2. 医療・介護分野でのイノベーション創出に向けた環境整備
      • 医療・介護は、新たな担い手の参入を通じたヘルスデータの積極活用(HX)や、国際競争力のある新薬の開発等により、産業として高付加価値を生み出す可能性を秘めた分野。イノベーションが創出されるよう規制・制度整備を推進し、その便益が、予防・健康づくりやサービスの効率化・質の向上等、社会全体で享受されるようにすべき。
        • 電子カルテ標準化や全国医療情報プラットフォーム構築は、医療DX推進本部が定める工程表に沿って着実に実行するとともに、本人同意の下での自治体や介護事業者等の閲覧可能主体の追加や利用可能な情報の拡大(予防接種情報等)など、更なる拡充を図るべき。
        • イノベーション促進には、ヘルスデータが創薬や医学研究など社会のために二次利用されることが重要。独法等に分散するデータへの研究者等の円滑なアクセスの確保、必ずしも患者の同意に依存しないデータ提供が可能な制度構築等、基盤整備を更に進めるべき。
        • 国民の健康づくりには、PHR(Personal Health Record)を活用した民間サービスにより、本人に自身の健康状態を通知し、行動変容を促していくことも重要。このため、データ標準化等の事業環境整備を行うとともに、大学とも連携しつつ、具体的なユースケース創出を進めるべき。
        • 創薬力強化に向けては、有効な新薬の創出企業が収益を上げ、その資金で次の新薬開発が進むという好循環が必要。薬価改定では、新薬の薬価算定の改善や特許期間中の更なる薬価特例など新薬創出を強力に後押しすべき。同時に、長期収載品の負担やその他薬剤自己負担の在り方等、保険制度の持続性確保に向けた見直しを進めるべき。
    3. 社会保障制度の安定性・持続性の確保
      • 持続可能な社会保障制度を構築するには、経済再生と財政健全化の両立を図るというマクロ政策運営と整合的な形で、支え手を増やしながら、中長期的に給付と負担のバランスが保たれるよう不断の見直しを行っていく必要がある。こうした観点から次の取組を着実に進めるべき。
        • 序文の認識に立ち、最新の将来推計人口や働き方の変化等を踏まえた上で、こども政策も社会保障のフレームに含めた新たな給付・負担の将来見通しを明らかにすべき。
        • 健康寿命が70歳を超える中、年齢にかかわらず仕事を通じて活躍し、支え手に回ることが重要。生産年齢人口の年齢区分の見直しとともに、年金を含め高齢者の就業を妨げない制度整備を推進すべき。また、女性の労働参加・正規化も同様に重要であり、年収の壁の解消や子育てと仕事の両立支援の強化を図るべき。
        • その上で、高齢化に伴う給付増に対しては、保険料負担の増加を抑制するため、給付・サービスの見直しに加え、所得・資産に即した応能負担の強化が必要。介護保険の給付と負担も、応能負担等の考え方に沿って検討し、利用者2割負担の判断基準や1号保険料負担、多床室の室料負担の見直しは早期に結論を得るべき。
        • 緊急包括支援交付金等、コロナ禍で拡大した支出は早急に平時の状態に戻すべき。また、政策効果の検証とそれによる有効な政策立案のためにはデータ整備が不可欠。医療法人の財務情報のデータベースは、できるだけ早期に全ての保険医療機関へと対象を拡大すべき。
        • さらに、保険給付の内外にかかわらず医療・介護サービスを包括的に捕捉できる国際基準(OECD Health Expenditure)での速やかなデータ整備と公表の早期化を実現すべき。
        • さらに、医療サービスの質の地域差是正・標準化による一人当たり医療費の地域差半減、医師・薬剤師の連携等によるリフィル処方箋の所期の効率化効果の達成、OTC医薬品・検査薬の拡大、バイオシミラーの研究開発・普及促進等、改革工程表の施策を着実に推進すべき。
    4. DXの利活用を通じた徹底的な行財政効率化と効果的な子育て支援の推進
      • マイナンバーカードの申請の累計は岸田政権の下で約1億件に倍増し、ほぼ全ての国民に普及。この成果を最大限活用し、マイナンバー制度を核とする行政DXを本格化すべき。社会保障の効率化や安定性・持続性の確保につなげるとともに、こども家庭庁とデジタル庁の連携により、デジタルネイティブ中心の子育て家庭への効果的な支援に活用すべき。
        • 社会保障におけるデータ蓄積やAI等イノベーションの活用を通じ、EBPMによるワイズスペンディングを徹底し、サービスの利便性向上と費用抑制を両立すべき。
        • 多様化する子育て家庭の状況に効率的かつきめ細かく応えるため、共通基盤であるマイナポータルの機能拡充と活用促進の徹底が重要。家庭が様々な支援策から選択できる形に施策の在り方をシフトさせるとともに、真に必要とする者にはプッシュ型支援を原則とすべき。
        • こうした支援を実現させるためにも、地方自治体の基幹業務システムの統一・標準化においては、実務を担う基礎自治体からの意見をよく聴きながら、効率的な情報連携を可能とする機能を同時に搭載すべき。

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内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和5年5月25日)
  • 日本経済の基調判断
    • 現状【上方修正】
      • 景気は、緩やかに回復している。
      • 先月の判断 景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
    • 政策の基本的態度
      • 足下の物価高などの難局を乗り越え、日本経済を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていくべく、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和4年度第2次補正予算、「物価・賃金・生活総合対策本部」で取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策、並びに令和5年度当初予算を迅速かつ着実に実行する。
      • 賃上げ等の前向きな動きを拡大し、賃金と物価の安定的な好循環につなげるとともに、グリーン、イノベーションを始めとする計画的で重点的な官民連携投資の拡大を進め、「成長と分配の好循環」の実現に向けて取り組む。
      • 今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、経済状況等を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済運営を行っていく。
      • このため、「経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称)」等を6月に取りまとめる。
      • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • GDPの動向
    • 2023年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率+1.6%)。供給制約の緩和を通じた自動車販売の増加やウィズコロナの下でのサービス消費の持ち直しなど、内需が牽引。外需は、アジア向けの輸出減少等によりマイナス寄与。
    • 名目GDPは、輸入物価上昇の転嫁が進むことで、コロナ禍以前の過去最高水準(19年7-9月期)を3年半ぶりに更新するなど、堅調に増加。
  • 個人消費の動向
    • 個人消費は持ち直し。新車販売が増加するほか、持ち直しが遅れていた高齢者の外食消費も増加。
    • 家計動向をみている景気ウォッチャーの評価は、現状・先行きともに4月にさらに上昇。5月も、新型コロナの感染症法上の位置づけ変更等も背景として、GWの交通機関の利用実績は新幹線や国内線航空でコロナ禍前の水準まで回復し、4年ぶりに各地でイベントが通常開催されるなど、コロナ禍から平時への移行が進展。
  • 生産と輸出の動向
    • 製造業の生産は、持ち直しの兆し。世界的な半導体需要の軟化の下、メモリ等の電子部品・デバイスは在庫調整により減少傾向。一方、乗用車等の輸送機械は、供給制約が緩和する中で増加傾向が強まっている。
    • 財輸出は、昨年秋以降、半導体需要の軟化や中国の感染拡大等を背景に弱含みが続いてきたが、このところは生産の増加を受けた自動車輸出の増加等によって底堅い動き。
    • 訪日外客数は、4月に195万人と着実に増加。引き続き、インバウンド需要の拡大に期待。
  • 物価の動向
    • 国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、原油価格の下落等に伴い輸入デフレーターの押下げ寄与が縮小したことで、23年1-3月期は前期からプラス幅を拡大。
    • 輸入物価は、石油やLNG等の価格下落に伴い、4月の前年比はマイナスに転じた(2年2か月ぶり)。
    • 消費者物価は、4月の前年比は3.4%。食料品の値上げなど財を中心とした上昇が続く中、サービスもこれに遅れて徐々にプラス寄与を拡大。一方、エネルギーは、昨年の原油価格下落等が時間差を伴って反映されるのに加え、電気・ガス価格激変緩和対策の効果もあり、マイナス寄与。
    • 消費者の物価予想は、電気・ガス代といった生活に身近な価格が抑えられたことも背景に、「5%以上」と大幅な上昇を予想する割合が足下では減少の動き
  • 企業収益・業況の動向
    • 上場企業の決算をみると、23年1-3月期は、売上高が前年比で増加となる中、本業の動向を示す営業利益は増益が継続。経常利益の前年比は減益したものの、2022年度計では過去最高。
    • 業種別の営業利益をみると、素材関係の製造業は市況の悪化を受け前年比マイナスとなる一方、ウィズコロナの下での人流回復や供給制約の緩和等を背景に、陸運・空運や輸送用機器で好調が続く。
    • 企業の景況感は、サービス業を中心に改善が継続。原材料コスト増等を受けて22年以降は低下が続いていた製造業も、輸入物価の下落や生産の増加等を背景に、このところ改善傾向。
  • 雇用及び賃金の動向
    • 雇用情勢は持ち直し。就業率は全体としては横ばいである中、足下では女性で高まり。失業率は足下で上昇したが、失業期間別にみると、23年1-3月期は長期的な失業が前年比で減少する一方、3か月未満の短期的な失業が増加。経済社会活動の正常化に伴い、新たに労働市場に参入する者が職探しを始める中で、一時的に失業が増加している面も。
    • 一人当たり賃金は、緩やかに増加。こうした中、転職市場では処遇改善を目的とした転職者が増加しており、転職によって賃金が1割以上増加した者の割合は上昇傾向(7四半期連続)。
    • 構造的な賃上げの実現に向けては、リスキリングの促進、失業者のマッチング強化や職業訓練等の支援充実など、処遇改善を伴う労働移動の円滑化の取組が重要。
  • 世界経済の動向
    • 世界の景気は持ち直し。アメリカでは、雇用・所得環境の着実な改善がみられる中で、2023年1-3月期は消費の増加等がけん引しプラス成長が続くなど、景気は緩やかに回復。
    • 中国では、感染収束に伴う経済活動の回復の下で1-3月期はプラス成長となり、4月は一服感がみられるものの、消費を中心に景気は持ち直しの動き。
    • 欧米の失業率はおおむね横ばい。労働市場のひっ迫が続く中、金融引締めが継続。世界的な金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに引き続き留意が必要。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要。

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消費者庁 ICPEN詐欺防止月間(2023年)
  • はじめに
    • 毎年、消費者月間に合わせて行っている「詐欺防止月間(Fraud Prevention Month)」の今年のテーマは、「ダークパターン(dark patterns)」です。
    • OECDの報告書では、ダークパターンは、通常オンライン・ユーザー・インターフェースに見られ、消費者を誘導し、欺き、強要し、又は操って、多くの場合消費者の最善の利益とはならない選択を行わせるもので、消費者に多大な被害を生じさせる可能性があるという懸念が高まりつつあるとされています。
    • 消費者庁は、国境を越えた不正な取引行為を防止するための取組を促進する国際ネットワークであるICPEN(※)に参画しています。その取組の一つである「詐欺防止月間(Fraud Prevention Month)」では、加盟国それぞれがテーマに沿った注意喚起などを実施しています。消費者の皆様におかれましては、このキャンペーンを、詐欺被害の未然防止に役立ててください。
    • (※)ICPEN(アイスペン:International Consumer Protection and Enforcement Network(消費者保護及び執行のための国際ネットワーク))は、国境を越えた不正な取引行為を防止するため1992年に発足したネットワークで、約70か国の消費者保護関係機関が参加。
  • ダークパターンとは
    • ダークパターンは、一般的に、消費者が気付かない間に不利な判断・意思決定をしてしまうよう誘導する仕組みのウェブデザインなどを指すとされています。
    • ダークパターンの行為類型は多岐にわたると考えられるところ、例えば、「残り○分」などと、あたかもその後の短期間のみに適用されるお得な取引条件であるかのように表示しているが、実際には当該期間経過後も同じ条件が適用されるもの、サブスクリプションの登録後、解約方法を一般消費者に対して不明瞭とすることで購入者の契約の解除権の行使を困難とするものなどは、ダークパターンに該当すると指摘されています。
    • OECDの報告書では、ダークパターンは概して、消費者に望ましい範囲を超えて金銭を支出させ、個人情報を開示させ、又は注意時間を費やさせることを目的とするとされています。ダークパターンの明確な定義はなかったところ、OECDにおいて以下のとおり実用的な定義が提案されています。
    • ダーク・パターンとは、消費者の自主性、意思決定又は選択を覆す又は損なうデジタル選択アーキテクチャの要素を、特にオンライン・ユーザー・インターフェースにおいて、利用するビジネス・プラクティスのことである。これらは、しばしば消費者を欺き、強制し、又は操作し、様々な方法で直接的又は間接的に消費者被害を引き起こす可能性があるが、多くの場合、そうした被害を計測することは困難又は不可能であろう。
  • ダークパターンの分類
    • OECDの報告書では、多くのダークパターンは、消費者の認知バイアス、行動バイアス、ヒューリスティックス(経験則等)を悪用することにより消費者に影響を与え、一般的に以下の区分に分類されるとされています。
      1. 【強制】特定の機能にアクセスするために、消費者にユーザー登録や個人情報の開示を強要するなどの強制的な行為。
      2. 【インターフェース干渉】デフォルトで事業者に有利な選択肢を事前に選択する、視覚的に目立たせるなど。
      3. 【執拗な繰り返し(ナギング)】通知や位置情報の取得など、事業者に都合の良い設定に変えるように何度も要求する。
      4. 【妨害】解約や、プライバシーに配慮した設定に戻すことなどへの妨害行為。
      5. 【こっそり(スニーキング)】取引の最終段階で金額を追加する、試用期間後に自動的に定期購入に移行するなど。
      6. 【社会的証明】虚偽の推奨表現、過去の購買実績を最近の実績のように通知するなど。
      7. 【緊急性】カウントダウンタイマー、在庫僅少の表示など。

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消費者庁 訪問販売業者【日本瓦斯株式会社】に対する行政処分について
  1. 事業概要
    • 日本瓦斯株式会社(以下「本件事業者」という。)は、営業所等以外の場所である消費者宅において、ガス及び/又は電気の供給に係る役務(以下「本件役務」という。)を有償で提供する契約(以下「本件役務提供契約」という。)の締結について勧誘を行い、本件役務提供契約を締結して本件役務を提供していることから、本件事業者が行う本件役務の提供は、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第72号)による改正前の特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「旧法」という。)第2条第1項第1号に規定する訪問販売(以下「旧法に規定する訪問販売」という。)及び特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第2条第1項第1号に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という。)に該当する。
  2. 処分の内容
    • (1)業務停止命令
      • 本件事業者は、令和5年5月25日から同年8月24日までの間、訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
        • 本件事業者が行う訪問販売に関する役務提供契約の締結について勧誘すること。
        • 本件事業者が行う訪問販売に関する役務提供契約の申込みを受けること。
        • 本件事業者が行う訪問販売に関する役務提供契約を締結すること。
    • (2)指示
      • 本件事業者は、旧法第3条に規定する勧誘目的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的不明示)、同法第3条の2第2項により禁止される契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘及び同法第6条第1項により禁止される役務の対価につき不実のことを告げる行為をした。かかる行為は、旧法に違反するものであることから、本件事業者は、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)し、これを本件事業者の役員及び従業員並びに本件事業者が訪問販売に係る勧誘行為の実施を委託する事業者(再委託や再々委託等により委託先の事業者が更に業務の実施を委託する事業者を含む。以下「本件委託先」という。)に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
      • 本件事業者は、旧法に規定する訪問販売及び訪問販売により、本件役務提供契約を締結しているところ、令和4年2月1日から令和5年5月23日までの間に本件事業者との間で本件役務提供契約を締結した全ての相手方(以下「契約の相手方」という。)に対し、以下の(ア)から(ウ)までの事項を、消費者庁のウェブサイトに掲載される、本件事業者に対して前記(1)の業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、令和5年6月23日までに文書により通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに文書(通知したことを証明するに足りる証票及び通知書面を添付すること。)により報告すること。
      • なお、令和5年6月7日までに、契約の相手方に発送する予定の通知文書の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに文書により報告し承認を得ること。
        • (ア)前記(1)の業務停止命令の内容
        • (イ)本指示の内容
        • (ウ)下記4(3)の違反の内容
      • 本件事業者は、少なくとも令和4年2月、本件役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、実際には、本件事業者が設定していた電気の料金について、勧誘当時に勧誘の相手方である当該消費者が契約を締結していた特定の事業者(※)との契約と比較すると、年間を通して安くなる事実はないにもかかわらず、「大丈夫です。これだけ使っているなら、安くなりますよ。」、「一年を平均すると、ニチガスに切り替えた方がメリットがありますよ。」などと、本件役務提供契約に係る役務の対価について、あたかも、本件役務提供契約を締結することにより、現状の電気使用量を前提として、年間を通した電気の料金が既存の電気の料金よりも安くなるかのように不実のことを告げたこと。
        • ※行政処分に際して本件事業者に交付した書面には、該当する具体的な事業者名を明記している。
  3. 処分の根拠となる法令の条項
    • 特定商取引法第7条第1項及び第8条第1項
  4. 処分の原因となる事実
    • 本件事業者は、以下のとおり、旧法に違反する行為をしており、消費者庁は、訪問販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
      1. 勧誘目的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的不明示)(旧法第3条)
        • 本件事業者は、少なくとも令和3年3月から同年11月までの間に、旧法に規定する訪問販売をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「今回ニチガスから、お客様にお知らせありまして、お伺いしました。」、「ご自宅の方にお伝えがありまして。」、「ちょっと、お知らせが遅れてしまって申し訳ないんですけども、一応最短で来月からガス料金の方、料金下げて使うことができますんで、よろしくお願いいたします。」などと告げるのみで、本件役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。
      2. 契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(旧法第3条の2第2項)
        • 本件事業者は、少なくとも令和3年4月から令和4年3月までの間に、「あー、いい。そんなのいいよ。」、「えっ、いいよ、じゃ、いや、いいよ。下げなくたってこのくらいの値段だから。」、「だって、なんだかややこしいからいいや。いい、いい。いい、いい。」などと本件役務提供契約を締結しない意思を表示した者に対し、「簡単に済みます。」、「特にややこしくはないです。」、「で、まあ同じ電気とかガス使う方なら、安い方がやっぱいいじゃないですか。」などと告げ、また、「我が家はずっと●●だから、ガス会社を替えることは考えていないです。」、「うちは光熱費を全部●●でまとめているから。」、「光熱費をまとめることで割引されているので、替える気はないですよ。」、「話を聞いても仕方ないから。」などと本件役務提供契約を締結しない意思を表示した者に対し、「ニチガスに切り替えた方が安くなるかもしれませんので、ガス料金を調べさせてください。」、「検針票を見せてください。」などと告げ、引き続き本件役務提供契約の締結について勧誘した。
      3. 役務の対価につき不実のことを告げる行為(旧法第6条第1項)
        • 本件事業者は、少なくとも令和4年2月、本件役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、実際には、本件事業者が設定していた電気の料金について、勧誘当時に勧誘の相手方である当該消費者が契約を締結していた特定の事業者との契約と比較すると、年間を通して安くなる事実はないにもかかわらず、「大丈夫です。これだけ使っているなら、安くなりますよ。」、「一年を平均すると、ニチガスに切り替えた方がメリットがありますよ。」などと、本件役務提供契約に係る役務の対価について、あたかも、本件役務提供契約を締結することにより、現状の電気使用量を前提として、年間を通した電気の料金が既存の電気の料金よりも安くなるかのように不実のことを告げた

~NEW~
国民生活センター スライサーで指先にけがをする事故が多発!(リーフレット「くらしの危険」)
  • 野菜などの食材を簡単にスライスするための調理器具「スライサー」で指先にけがをする事故が発生しています。スライサーでのけがは、指先の皮膚などを削ぎ落とすこともあり、止血しにくく、治癒までに期間を要することもあります。食材をつかむホルダー「安全ホルダー」を使用することで、けがのリスクを低減することができますが、持ち方を誤るなどすると、けがをすることもあります。
  • こんな事故が起きています
    • 新品のスライサーでキャベツを調理中に右手母指を負傷した。30分ほど経過しても出血が止まらず、救急外来を受診した。約2×1cm程度の切創で、表皮がはがれていた。(事故発生年月:2022年6月、10代、女性)
    • 引き出しのスライサーを触り、右手の中指を切った。保護者がティッシュにて圧迫止血し、止血した。(事故発生年月:2019年1月、1歳8カ月、男児)
  • スライサーについて調べてみました
    1. 調理中
      • 小さな野菜を調理するときは、野菜を手で保持しづらかったり、手を滑らせてしまうことがあります
      • 安全ホルダーから手を滑らせたり、安全ホルダーの外側を持つなど、使い方を誤ると指が刃に触れやすくなります
    2. 調理中以外
      • スライサーのプレートを洗浄する際、刃やその周辺を洗う際に触れてしまうことがあります
      • スライサーを保管している引き出しからものを取り出す際に、内部をよく見ずに不用意に手を入れると刃に触れてしまうことがあります
  • 消費者へのアドバイス スライサーによるけがを防ぐためには…
    • 使用する際は取扱説明書をよく読み、刃物であることを認識して十分注意しましょう
    • 野菜が小さくなったら食材をつかむ「安全ホルダー」を使ったり包丁で調理したりしましょう
    • スライサーを洗う際や引き出しなどからものを取り出す際にも刃に触れないよう注意しましょう

~NEW~
国民生活センター 災害に便乗した消費者トラブルに注意!-2023年石川県能登地方地震-
  • 2023年5月5日に石川県能登地方で発生した地震で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
  • 被災地域の方から地震に関連した相談が寄せられています。地震に便乗した不審な訪問等に注意してください。
  • 相談事例
    1. 自宅を訪問した事業者に、「損害保険金請求の申請サポートをする」と勧誘を受けた
      • 自宅を訪問した事業者から、「震度6強の場合に、損害保険からお見舞金が出る。受け取り方の紙だけを渡している」などと手書きで書かれたチラシを渡され、「損害保険金請求の申請サポートをする」と勧誘を受けた。契約後、誤字脱字の多い書面で不審に感じ、知人に相談し、契約を取り消すことができたが、他の家にも個別訪問をしているようだ。(2023年5月受付 80歳代 男性)
    2. 地震の後、ブルーシートを高額で訪問販売する事業者がいる
      • 地震の後、ブルーシートを約10万円という高額で訪問販売する事業者が市内を巡回しているので情報提供する。(2023年5月受付 年代性別不明)
  • 消費者へのアドバイス
    • 突然の訪問でも、その場で契約せず、しつこく契約を迫る業者には特に注意しましょう。また、不審な電話があってもすぐに切り、来訪の申し出があっても断ってください。
    • 「申請サポートをする」と勧誘をされてもすぐに契約せず、損害保険金の請求でわからないことがあれば、加入先の保険会社や保険代理店に相談してください。保険金の請求は加入者自身で行うことが基本です。
    • 少しでも不安を感じたら、すぐに最寄りの消費生活センター等(消費者ホットライン「188」番)や警察に相談してください。

~NEW~
国民生活センター 当選した無料バスツアー 高額商品の販売勧誘に注意!
  • 内容
    • 日帰りバスツアーの当選ハガキが届いた。心当たりはなかったが、無料ならと思い参加した。ツアー中に敷物の工場に立ち寄った際、高額なムートンのシーツを勧められた。「今買うなら安くする。約60万円でいい」と言われたが、高額なので断った。しかし、出発時間が迫り焦っている中「分割払いなら大丈夫」と強く言われ、慌てて契約してしまった。クーリング・オフしたい。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 懸賞等で当選し、無料または格安のバス旅行に参加したところ、途中で立ち寄った施設で高額なネックレスや布団類等を勧められたという相談が寄せられています。
    • その場の雰囲気にのまれたり、旅という非日常の中で気分が高揚したりしてつい購入してしまうケースがみられます。強引に勧められても、・冷静になり、本当に必要なものかをよく考えましょう。必要なければきっぱりと断ることが大切です。
    • 要件を満たせばクーリング・オフ等ができる場合もあります。困ったときは、早めにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
厚生労働省 第58回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼【資料5-1】特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の概要
  • 趣旨
    • 我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずる。
  • 概要
    • 対象となる当事者・取引の定義
      1. [特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものをいう。[第2条第1項]
      2. 「特定受託業務従事者」とは、特定受託事業者である個人及び特定受託事業者である法人の代表者をいう。[第2条第2項]
      3. 「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することをいう。[第2条第3項]
      4. 「特定業務委託事業者」とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者であって、従業員を使用するものをいう。[第2条第6項]
        • ※従業員」には、短時間・短期間等の一時的に雇用される者は含まない。
    • 特定受託事業者に係る取引の適正化
      1. 特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければならないものとする。[第3条]
      2. 従業員を使用していない事業者が特定受託事業者に対し業務委託を行うときについても同様とする。
      3. 特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならないものとする。(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)[第4条]
      4. 特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、1~5の行為をしてはならないものとし、6・7の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないものとする。[第5条]
        1. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
        2. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
        3. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
        4. 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
        5. 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
        6. 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
        7. 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること
    • 特定受託業務従事者の就業環境の整備
      1. 広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならないものとする。[第12条]
      2. 特定受託事業者が育児介護等と両立して業務委託(政令で定める期間以上のもの。以下「継続的業務委託」)に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないものとする。[第13条]
      3. 特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならないものとする。[第14条]
      4. 継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに特定受託事業者に対し予告しなければならないものとする。[第16条]
    • 違反した場合等の対応
      • 公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができるものとする。[第8条、第9条、第11条、第18条~第20条、第22条]
        • ※命令違反及び検査拒否等に対し、50万円以下の罰金に処する。法人両罰規定あり。
    • 国が行う相談対応等の取組
      • 国は、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備に資するよう、相談対応などの必要な体制の整備等の措置を講ずるものとする。[第21条]
  • 施行期日
    • 公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日
▼(参考資料1)男女労働者それぞれの職業生活の動向
  • 現在の雇用情勢は、求人の回復に遅れがみられる産業もあるなど、一部に厳しさがみられるものの、緩やかに持ち直している。新型コロナウイルス感染症や物価上昇が雇用に与える影響に留意する必要がある。なお、リーマン・ブラザーズの経営破綻(2008年9月15日)後には、完全失業率は10か月で4.0%→5.5%にまで悪化し、有効求人倍率は11か月で0.83倍→0.42倍に低下した。
  • 日本の人口は近年減少局面を迎えている。2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されている。
  • 女性の労働力率は、長期的に見ると上昇傾向。
  • 令和4年の女性の労働力人口は3,096万人。総労働力人口に占める女性の割合は44.9%となっている。女性の年齢階級別労働力率はM字カーブを描いていたが、全体が台形に近付きつつある。労働力率と潜在的労働力率の差は大きく、就業を希望する女性の数は171万人にのぼる。
  • 女性の年齢階級別の労働力率はM字型を描いていたが、台形型に近づきつつある。10年前と比べると全ての年齢階級で労働力率は上昇している。10年前と比べると、有配偶者の「20~24歳」、「25~29歳」、「30~34歳」、「35~39歳」、「40~44歳」の上昇幅が大きい。
  • 令和4年の女性雇用者数は2,765万人。雇用者総数に占める女性の割合は45.8%となっている。
  • 平均勤続年数について、平成17年以降、男性が横ばいで女性が緩やかに伸びたため、男女差は徐々に縮小している。
  • 正規雇用労働者は3,588万人(2022年平均。以下同じ)。対前年比で8年連続の増加(+1万人)。非正規雇用労働者は2,101万人。2010年以降増加が続き、2020年以降は減少したが、2022年は増加(+26万人)。役員を除く雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は36.9%。前年に比べ0.2ポイントの上昇。
  • 非正規雇用労働者の男女別の内訳をみると、男性が31.8%、女性が68.2%となっている。男女別の役員を除く雇用者のうち、非正規雇用労働者の割合は、男性が22.2%、女性が53.4%となっている。
  • 男性は「正規の職員・従業員」が約8割でほぼ横ばい。女性は「正規の職員・従業員」が増加傾向であるが、雇用者数の約5割に留まる。
  • 年齢階級別に女性の就業形態をみると、「正規の職員・従業員」は25~29歳がピークとなっている。年齢別の就業率は、35~39歳を底に再び上昇していくが、パート・アルバイト等の非正規雇用が主となっていく。
  • 職業別の男性雇用者数は、「専門的・技術的職業従事者」が一番多く、様々な職業に従事している。職業別の女性雇用者数は、「事務従事者」が多く、従事している職業に偏りがみられる。
  • 産業別の男性雇用者数は、「製造業」が一番多い。平成29年と比較すると、「情報通信業」、「医療、福祉」の増加が大きい。産業別の女性雇用者数は、「医療、福祉」が一番多い。平成29年と比較すると「医療、福祉」、「教育、学習支援業」の増加が大きい。
  • 「経済成長と労働参加が進まないケース」は、2040年の就業者数が▲1,285万人(2017年比)となるが、「経済成長と労働参加が進むケース」では、その場合よりも約779万人増となり、2017年比で▲506万人にとどまる見込みである。
  • 男性:「経済成長と労働参加が進むケース」では、年齢に関わりなく希望する全ての者が働ける社会の実現により、男性の高齢層の労働力率は上昇。また、「経済成長と労働参加が進まないケース」より、2040年時点での就業者数は約234万人増となるが、人口減少の影響で、2017年比で477万人減少する見込み。
  • 女性:「経済成長と労働参加が進むケース」では、女性の就業環境の改善等によりM字カーブが解消。また、「経済成長と労働参加が進まないケース」よりも、2040年時点での就業者数は約545万人増となるが、人口減少の影響で、2017年比で30万人の減少となる見込み。
  • 男女間賃金格差は長期的には縮小傾向にある。男女間賃金格差の要因で最も大きいのは、役職の違い(管理職比率)であり、次いで勤続年数の違いとなっている。
  • 男女間賃金格差は長期的には縮小傾向にあるが、国際的に見ると依然その開きは大きい。
  • 一般労働者の平均月間総実労働時間は、概ね160時間台で高止まりしている。
  • 日本の長時間労働者の割合は国際的に見て高くなっている。特に男性就業者の長時間労働者の割合が高くなっている。
  • 管理職に占める女性の割合は長期的には上昇傾向にあるが、国際的に見ると依然その水準は低い。
  • 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の企業規模別届出数及び届出率について、301人以上企業の届出率はほぼ100%で推移。令和5年3月末時点で97.7%(17,608/18,001社)。令和4年4月から届出義務が課せられた101~300人企業の届出率は、令和5年3月末時点で97.8%(31,264/31,789社)。
  • 育児休業の規定あり事業所割合は、令和3年度は30人以上で95.0%になるなど、制度の定着が進んでいる。
  • 育児休業取得率は、女性は8割台で推移している一方、男性は低水準ではあるものの上昇傾向にある(令和3年度:13.97%)。
  • 育児休業の取得期間は、女性は9割以上が6か月以上となっている一方、男性は約5割が2週間未満となっており、依然として短期間の取得が中心となっているが、男性の「1か月~3か月未満」の取得は24.5%で、3番目に多い取得期間となっている。
  • 「男性 正社員・職員」に育児休業の利用状況をたずねると、「利用したことはないが、利用したかった(利用したい)」と回答した割合が29.1%であった。
  • 育児のための勤務時間短縮等の措置内容別で見ると、短時間勤務制度、所定外労働の制限の順で割合が高く、事業所規模が大きい事業所を中心に、法定の措置義務(3歳まで)以上の措置を講じている。
  • 介護休業の規定率は30人以上で約9割となっている。
  • 介護休業の規定率は30人以上で約9割となってい
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画策定届出について、101人以上企業の届出率は98.0%となっている。
  • くるみん認定企業数は年々増加し、令和4年6月末時点で3,861社となっている。プラチナくるみん認定企業数は、令和4年6月末時点で491社となっている。
  • 不妊治療を受ける夫婦は約4.4組に1組となっている(第16回出生動向基本調査)。一方、不妊治療経験者のうち16%(女性では23%)が仕事と両立できずに離職するなど、不妊治療と仕事との両立支援は重要な課題。両立が難しいと感じる理由は、通院回数の多さ、精神面での負担、通院と仕事の日程調整の難しさ。
  • 正規雇用労働者は3,588万人(2022年平均。以下同じ)。対前年比で8年連続の増加(+1万人)。非正規雇用労働者は2,101万人。2010年以降増加が続き、2020年以降は減少したが、2022年は増加(+26万人)。役員を除く雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は36.9%。前年に比べ0.2ポイントの上昇。
  • 非正規雇用労働者の男女別の内訳をみると、男性が31.8%、女性が68.2%となっている。男女別の役員を除く雇用者のうち、非正規雇用労働者の割合は、男性が22.2%、女性が53.4%となっている。
  • 同一労働同一賃金など、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保の実現に向けて「取り組んでいる又は取り組んだ」事業所の割合は調査対象計で63%、「待遇の見直しは必要ないと判断した」「異なる雇用形態が存在しない」事業所を含めると91%。
  • 多様な正社員制度の導入状況は20.1%(令和2年度28.6%)、事業所規模が大きいほど導入割合は高い。制度ごとでは、短時間正社員制度が9.7%(同16.3%)、勤務地限定正社員制度が15.0%(同17.0%)、職種・職務限定正社員制度が8.7%となっている。
  • テレワーク実施率は、新型コロナウイルスの新規感染者数の状況に関わらず一定程度定着している。2020年12月には低下したものの、地域によらずテレワーク実施率は一定程度定着している。東京都23区に比べると地方圏のテレワーク実施率は低い。業種別に見ると、情報通信業は高く、保育関係や医療・福祉は低い傾向にある。
  • 若者を中心に、固定的な性別役割分担意識の解消が徐々に進展。男女ともに「子供ができても、ずっと職業を続けるほうがよい」とする割合が高い。約7割の女性が第1子出産後も就業継続している。妊娠・出産、子の育児等を理由とした退職理由を見ると、「両
  • 立の難しさで辞めた」(45.8%)、「家事・育児に専念するため」(26.8%)
  • 日本の夫(6歳未満の子どもを持つ場合)の家事・育児関連時間は、2時間程度と国際的にみて低水準。夫の家事・育児時間が長いほど、妻の継続就業割合が高く、また第2子以降の出生割合も高い傾向にある。
  • 「男性 正社員・職員」に育児休業の利用状況をたずねると、「利用したことはないが、利用したかった(利用したい)」と回答した割合が29.1%であった。
  • 感染症の拡大後、男女ともに家事・育児時間が増加している者が増えている。

~NEW~
厚生労働省 第111回ILO総会の開催
  • 今般、国際労働機関(ILO)の第111回総会が、下記のとおり、スイス国ジュネーブで開催されます。
  • ILO総会は、原則毎年1回行われ、ILO加盟187か国の政府、労働者、使用者からなる代表団が一堂に会する最高意思決定機関であり、ILO条約などの国際労働基準の策定を含め、労働問題に係る議論が行われます。
  • 会期
    • 令和5年6月5日(月)~6月16日(金)
  • 主な議題
    1. 理事会議長及び事務局長の報告
      • 理事会議長及び事務局長の報告に対して、各国政労使のハイレベル出席者が演説を行う。
    2. ILOの財政
      • 2024-2025年計画予算案について検討、採択等を行う。
    3. 条約・勧告の適用状況
      • 各国における条約・勧告の適用状況等に関する議論を行う。
    4. 徒弟制度(アプレンティスシップ)
      • 質の高い徒弟(見習い研修)制度のための枠組みに関して、新たな国際労働基準の策定について議論を行う。
    5. 社会的保護に関する周期的討議
      • ILO第97回総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」において、
      • ILOが戦略目標に設定しているテーマの1つである「社会的保護」について、労働保護の観点から議論を行う。
    6. 公正な移行に係る一般討議
      • ILOの定めた「公正な移行ガイドライン」に基づいた各国の取組に関して議論を行う。

~NEW~
厚生労働省 令和4年の労働災害発生状況を公表~死亡者数は過去最少、休業4日以上の死傷者数は過去20年で最多~
  • 厚生労働省では、このたび、令和4年の労働災害発生状況を取りまとめましたので公表します。
  • 令和4年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症へのり・患によるものを除いた労働災害による死亡者数は774人(前年比4人減)と過去最少となりました。休業4日以上の死傷者数は132,355人(前年比1,769人増)と過去20年で最多となりました。
  • また、新型コロナウイルス感染症へのり・患による労働災害による死亡者数は17人(前年比72人減)、死傷者数は155,989人(前年比136,657人増)となりました。
  • 新型コロナウイルス感染症へのり・患によるものを含めた労働災害による死亡者数は791人(前年比76人減)、休業4日以上の死傷者数は288,344人(前年比138,426人増)。
  • 労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第14次労働災害防止計画」(以下「14次防」という。)(令和5年度~令和9年度)では、令和9年までに令和4年比で「建設業及び林業においてそれぞれ死亡災害を15%以上」、「製造業における機械によるはさまれ・巻き込まれの死傷者数を5%以上、陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上」減少させること等を目標にしています。
  • 計画の初年度となる令和5年度は、目標の達成に向け、労働者の作業行動に起因する労働災害対策、高年齢労働者、多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策、陸上貨物運送業、建設業、製造業や林業への対策、労働者の健康確保対策、化学物質等による健康障害防止対策などに取り組んでいきます。
  • また、全国安全週間(7月1日~7日)とその準備月間(6月1日~30日)では、厚生労働省、都道府県労働局から事業場、関係業界団体等に対して、積極的な労働災害防止活動の実施を働きかけます。
  • 令和4年労働災害発生状況の概要
    • 死亡者数
      • 死亡者数は774人と、過去最少となった。
      • 第13次労働災害防止計画(以下「13次防」という。)(平成30年度~令和4年度)の重点業種は、建設業が281人(前年比3人・1.1%増、29年比42人・13.0%減)、製造業が140人(同9人・6.9%増、同20人・12.5%減)、林業が28人(同2人・6.7%減、同12人・30.0%減)となった。
    • 死傷者数
      • 死傷者数は132,355人となり、過去20年で最多となった。
      • 13次防の重点業種は、陸上貨物運送事業が16,580人(前年比225人・1.4%増、29年比1,874人・12.7%増)、小売業が16,414人(同11人・0.067%減、同2,533人・18.2%増)、社会福祉施設が12,780人(同17人・0.13%減、同4,042人・46.3%増)、飲食店が5,304人(同559人・11.8%増、同583人・12.3%増)となった。
      • 事故の型別では、特に死傷者数が最多の「転倒」が35,295人(前年比1,623人・4.8%増、29年比6,985人・24.7%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が20,879人(同103人・0.50%増、同4,702人・29.1%増)を合わせて全体の4割を超え、さらに増加した。
      • 年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、37,988人(前年比1,618人・4.4%増、29年比7,961人・26.5%増)となった。
    • 業種別の労働災害発生状況
      • 製造業の死亡者数は、前年比で9人(6.9%)増加し、事故の型別では、機械等による「はさまれ・巻き込まれ」と「墜落・転落」が多くを占めている。
      • 建設業の死亡者数は、令和2年以降増加に転じており、前年比で3人(1.1%)増加した。事故の型別では、「墜落・転落」(前年比6人・5.5%増、29年比19人・14.1%減)が最も多く、「激突され」(同8人・42.1%増、同4人・17.4%増)、「飛来・落下」(同6人・60.0%増、同3人・15.8%減)が前年比で大きく増加した。
      • 林業の死亡者数は、事故の型別では、最多である「激突され」(前年比1人・6.7%増、29年比5人・23.8%減)等が前年比で増加したが、「飛来・落下」(同2人・50.0%減、同2人・50.0%減)が前年比で減少した。
      • 陸上貨物運送事業の死傷者数は、事故の型別では、「墜落・転落」が4,294人(前年比202人・4.5%減、29年比102人・2.4%増)と最多で、「動作の反動・無理な動作」(同44人・1.5%減、同737人・33.5%増)は前年比で減少したが、「転倒」(同104人・3.7%増、同677人・30.2%増)は増加した。
      • 小売業、社会福祉施設及び飲食店の死傷者数は、いずれの業種も事故の型別では、「転倒」が全数の3割以上を占め、多い。

~NEW~
経済産業省 APEC貿易担当大臣会合が開催され、議長声明が発出されました
▼2023年APEC貿易担当大臣会合議長声明(概要)
  • 前文
    • 我々は、自由で、開かれた、公正で、無差別で、透明性のある、包摂的かつ予測可能な貿易・投資環境を実現する決意を再確認する。
    • 世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多角的貿易体制の重要性を再確認し、これを維持し、更に強化することにコミットする。
    • 好ましい貿易・投資環境を促進する公平な競争条件を確保するための努力を続け、開かれた市場を維持し、サプライチェーンの混乱に対処するという我々のコミットメントを再認識する。
    • 我々は、バイオ・循環型・クリーン(BCG)経済に関する「バンコク目標」、特に持続可能で包摂的な貿易・投資を進める重要性に係る2022年首脳のコミットメントを再確認し、全てのエコノミーがBCG経済の完全な履行を支援すべく行動することを奨励する。
  • ウクライナ情勢
    • 昨年11月に首脳が強調したように、我々は、ウクライナにおける戦争が世界経済に更なる悪影響を与えていることも目の当たりにした。この問題に関して議論が行われた。我々は、3月2日の国連総会決議ES―11/1(141か国が賛成、5か国が反対、35か国が棄権、12か国が欠席)においてロシアのウクライナ侵略を最も強い言葉で遺憾とし、同国のウクライナ領土からの完全かつ無条件での撤退を要求している国連総会や、国連安全保障理事会を含む他のフォーラムで表明してきた立場を改めて表明した。ほとんどのメンバーは、ウクライナにおける戦争を強く非難し、この戦争が計り知れない人的被害をもたらし、また、成長の抑制、インフレの増大、サプライチェーンの混乱、エネルギー及び食料不安の増大、金融安定性に対するリスクの上昇といった世界経済における既存の脆弱性を悪化させていることを強調した。この状況及び制裁について、他の見解及び異なる評価があった。APECが安全保障問題を解決するためのフォーラムではないことを認識しつつ、我々は、安全保障問題が世界経済に重大な影響を与え得ることを認識する。
  • 世界貿易機関(WTO)
    • 我々は、加盟国がWTOの基本的な目的を達成し、既存及び新たに発生する世界的な貿易課題により良く対処できるよう、WTOの全ての機能を向上させるために必要な改革を支援することを継続する。
    • 第12回WTO閣僚会議(MC12)で合意された改革の道筋へのコミットメントを再確認する。2024年までに全てのWTO加盟国がアクセス可能な完全なかつ十分に機能する紛争解決制度の実現を目的として議論を行うことにコミットする。APEC参加エコノミーは、電子商取引、開発のための投資円滑化及びサービスの国内規制実施に係る努力に関する共同声明イニシアチブ(JSI)に具体的な進展があったことを歓迎する。
    • 我々は、持続可能な農業生産及び食料システムを促進し、混乱を最小化する貿易促進のコミットメントを再確認するとともに、世界経済が直面する食料安全保障と気候の課題に対処する。
    • MC12の成果をタイムリーかつ効果的に実施することを期待する。WTO加盟国が第13回WTO閣僚会議(MC13)での前向きな成果に向けて取り組むよう、リーダーシップとアイデアのインキュベーターとしての役割を通じて、引き続き支援を継続する。
  • 気候変動・エネルギー
    • 我々は、気候変動、食料安全保障、サプライチェーンの混乱、世界的なパンデミックの影響の共通課題を乗り越えるべく引き続き積極的に関与し、貿易がこれら及び将来の課題に立ち向かう強靱性を構築する上で積極的な役割を果たせることを認識する。循環型経済アプローチを通じてエネルギーや資源効率に優れ、廃棄物や温室効果ガス排出量を削減し、環境にプラスの結果をもたらす製品の貿易・投資の促進を奨励する。
    • 合意された勧告に従い新たな環境物品の自主的かつ拘束力のない参考リストの作成を支持し、環境物品のAPEC参考リスト作成のための議論のフレームワークを作成する作業の開始を指示する。
  • 包摂性
    • 包括性を重視し、零細・中小企業、女性、障がい者、遠隔地や農村地域の人々、先住民など経済的な潜在力があるその他の人々の障壁を取り除きローカル、地域、世界経済への参画を強化する貿易政策の推進、技術協力、能力構築への支援にコミットする。
  • アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)
    • FTAAPアジェンダ行動計画を支援するべく、PSU(ポリシーサポートユニット)に対してAPEC域内の適切な貿易協定全章における共通点と相違点について報告書を作成するよう指示する。
  • デジタル
    • 相互運用アプローチや貿易・投資を円滑にするデジタル技術の使用を促進する「APEC地域における電子インボイス発行システム相互運用性のための原則」(付属書1)を歓迎する。
    • デジタル取引を加速し、インターネット及びデジタル経済に影響を与える規制的アプローチやデジタル環境における適切な消費者保護ルールに関する協力等を通じて、データの流れの円滑化及びデジタル取引における企業及び消費者の信頼の強化に関して協力する。
    • デジタルインフラを強化し、情報通信技術製品とサービスへのアクセスを円滑化することであらゆる形態の情報格差を克服する重要性を強調する。
  • 良い規制慣行
    • 良い規制慣行ブループリントの完成に向けたエコノミーの作業を歓迎すると共に、第16回良い規制慣行会議の成功を期待する。
  • サプライチェーン・連結性
    • 我々は、物理的、制度的、人と人との連結性を強化するとともに、デジタル連結性を活用し、質の高いインフラ開発及び投資を通じた地域、準地域及び遠隔地の連結性を促進する取組を強化する。
    • 安全で、強靱かつ持続可能で開かれたサプライチェーンを構築するビジネス能力を妨げる障壁に対処するサプライチェーン連結性枠組み行動計画(SCFAPⅢ)の進捗を引き続き支援する。
    • 災害対応と復興を支援し、人道救援物資の流れを加速する規定を含むWTO貿易円滑化協定の実施を加速するコミットメントを再確認する。
    • 地域において効率的で継ぎ目のないビジネス・トラベルを促進する技術を採択する努力を認識すると共に、バーチャルのAPECビジネス・トラベル・カードの利用と採用を歓迎する。
  • サービス分野
    • 必要不可欠な物品の流通を支援する物流サービスに関する作業及び資格の相互承認に関する能力構築の活動を歓迎する。
    • 海洋ゴミ問題に取り組むべく「海洋ゴミ清掃をサポートするサービスに関するAPEC非拘束ガイドライン」(付属書2)を歓迎する

~NEW~
経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者に対する資産凍結等の措置等について」(令和5年5月26日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による措置を実施します。
  • 措置の内容
    • 資産凍結等の措置
      • 外務省告示(5月26日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦の関係者(17個人・78団体)及びクリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者(7個人)に対し、(1)及び(2)の措置を実施する。
        • 支払規制
          • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
        • 資本取引規制
          • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
    • ロシア連邦の特定団体への輸出等に係る禁止措置
      • 外務省告示(5月26日公布)によりロシア連邦の特定団体として指定された80団体への輸出等に係る禁止措置を、令和5年6月2日より実施する。
    • ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置
      • ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置を導入する。(措置の詳細については、後日決定予定。)
    • ロシア連邦向けのサービスの提供の禁止措置
      • 財務省告示により、ロシア連邦向けの建築サービス及びエンジニアリング・サービスの提供の禁止措置を導入する。(措置の詳細については、後日決定予定。)
  • 関連URL

~NEW~
経済産業省 新規事業の社会実装に役立つ外部サービスの活用ガイドブックを作成しました イノベーションの社会実装を支援する「新市場創出サービス」の効果的活用に向けて
  • 新市場を創出し、イノベーションを社会実装するには、当該市場に適合した外部環境(規制・基準・社会通念等)を構築することが必要です。一方、多くの日本企業は、こうした「外部環境の構築」を苦手としており、革新的なプロダクト・サービスが思うように普及しないといった課題に直面しています。
  • このため、本プロジェクトでは、新市場創出サービス(顧客が目指すイノベーションの社会実装に向け、ステークホルダーと協力し、新市場の創出に必要な外部環境の構築を支援するサービス)に注目し、当該サービスを効果的に活用するためのメソッド・ノウハウをまとめたガイドブックを作成しました。
  • 本ガイドブックを普及させ、新市場創出サービスの効果的な活用が増加することで、イノベーションの社会実装を後押ししたいと考えています。
  • 本プロジェクトの背景
    • 複雑化・成熟化した現代社会において、新市場を創出し、イノベーションを社会実装するには、当該市場に適合した外部環境(規制・基準・社会通念等)を構築することが必要です。一方、多くの日本企業にとっては、規制・基準や社会的関心のような外部環境をマネジメントするスキルや経験が不足するため、外部環境の構築を含めた事業戦略の立案とその実行を苦手としていることが課題です。
    • このため、本プロジェクトでは、「新市場創出サービス」に注目しています。
    • 参考 本プロジェクトの経緯
      • 2021年6月:社会実装チーム発足。新市場創出サービスの調査を開始。
      • 2022年5月:新市場創出サービスの「国内産業マップ」と、その市場規模の試算を公表(資料はこちら外部リンク)。
      • 2023年5月:新市場創出サービスの効果的活用に役立つ「新市場創出サービス活用ガイドブック」を作成(資料は本ページ下段の「関連資料」)
  • 新市場創出サービス
    • 新市場創出サービスとは、「中長期的な社会・経済の流れを利用して、問題設定やストーリーテリング等を通じてステークホルダーの共感・理解を獲得し、協力を募ることで、顧客が目指すイノベーションの社会実装に必要な外部環境の構築を支援するサービス」を指します。主なサービス提供者は、戦略コンサルティング、PR会社、政策コンサルティング、法律事務所、規格策定機関等です。
    • 新市場創出サービスのイメージとしては、上記の図のように、まず、革新的なプロダクト・サービスの社会実装を目指す事業者が、新市場創出サービス提供者と連携して、その社会実装によって生じる価値を様々なステークホルダーに説明し、共感・理解の獲得を目指します。次に、新市場創出サービス提供者や協力を得られたステークホルダーと共に外部環境の構築(社会的関心の喚起、規制や基準の変更等)を進めることで、顧客等の行動変容を促し、社会実装(新市場創出)を実現するというプロセスとなります。
  • ガイドブック
    • 革新的なプロダクト・サービスの社会実装を目指す事業者が、外部環境の構築に必要なスキルを社内で確保すること(内製化)が困難な場合には、新市場創出サービス提供者と契約を結び、外部環境の構築を外注することが合理的です。しかしながら、新市場創出サービスの活用に不慣れな場合には、「新市場創出サービスの意義が伝わらず社内の説得に失敗する」、「契約した新市場創出サービス提供者とのプロジェクトに対する考え方の差が埋まらず連携が上手くいかない」など、「典型的な障壁」に阻まれることで、新市場創出サービスの効果的な活用につながらない場合があります。
    • このような障壁を回避し、新市場創出サービスの効果を高めるため、この度、「新市場創出サービス活用ガイドブック」を作成しました。本ガイドブックでは、新市場創出に向けた標準的なプロセスを3つのステップで定義した上で、各ステップに必要な取組を新市場創出サービス提供者に外注する場合の判断基準や確認事項等をまとめるとともに、外注の際に直面しやすい「典型的な障壁」の例示とその回避方法を記載するなど、実務における様々な場面に応じた知見を整理しています。
    • 本ガイドブックが多くのプロジェクトに利用されることで、イノベーションの社会実装の後押しを行いたいと考えています。
▼新市場創出サービス活用ガイドブック
▼調査報告書

~NEW~
経済産業省 「第3次地域知財活性化行動計画」を策定しました
  • 特許庁は、知財分野における地域・中小企業支援について、2025年度までの3年間の「第3次地域知財活性化行動計画」を策定しました。
  • 第3次地域知財活性化行動計画の策定
    • 特許庁は今般、知財分野における地域・中小企業支援に関する2022年度までの「第2次地域知財活性化行動計画」(2020年7月15日策定)を改定し、特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が自治体等の関係主体と連携して実施する次期行動計画として、2025年度までの3年間の「第3次地域知財活性化行動計画」(以下、「第3次行動計画」)を策定しました。
  • 第3次行動計画のポイント
    • 第3次行動計画における基本方針は以下のとおりです。
      • 基本方針1:「ターゲットを意識した支援の実践強化と地域における価値創造の促進」
        • 地域の中核となる企業や変革期にある中小企業をターゲットに、ハンズオン支援等により、それぞれの状況に応じた知財経営の実践を支援することで、中小企業の経営資源の掘り起こしや活用を通じた、地域における価値創造に寄与します。また、中小企業に対し、知財経営の実践への支援から得られた知財の活用方法等を、モデル的な事例として周知することにより、企業の知財活用の底上げとともに、支援の在り方もアップデートを図っていきます。
      • 基本方針2:「中央と地域における中小企業に対する知財支援のシナジーの創出」
        • 地域の関係機関の連携及びネットワークの強化を図り、知財を中心とした企業支援の広がりと深化を加速させていきます。また、関係機関の支援施策の相互利用やシームレスな利用を推進し、企業の経営課題に合わせた支援を実施することで、施策効果の向上を図ります。
      • 基本方針3:「KPIの設定・共有と支援施策への活用」
        • 各関係主体がKPIを設定し、PDCAサイクルを回しながら定期的に自己検証を行い、他関係主体に共有することで、関係主体間で活動状況を相互に把握します。中央KPIとして設定するハンズオン支援では、支援実施に加え、支援後の結果分析まで実施し、分析結果を地域へフィードバックすることで、取組の地域への浸透を図ります。
▼第3次地域知財活性化行動計画概要

~NEW~
経済産業省 国内初!レベル4での自動運転移動サービスが開始されました
  • 2021年度よりRoAD to the L4プロジェクトにて自動運転移動サービスの実現に向けた実証実験を実施してきましたが、令和5年5月21日より、福井県永平寺町において、レベル4での自動運転移動サービスが開始されました。
  • 概要
    • 2021年度より経済産業省と国土交通省が共同で進めてきた「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(以下、「RoAD to the L4」)」にて、自動運転移動サービスの実現に向けた実証実験を実施してきましたが、福井県永平寺町で実施する実証実験において、令和5年3月30日付けで道路運送車両法に基づく自動運行装置としての認可、また、同年5月11日付けで道路交通法に基づく特定自動運行の許可を取得しました。
    • その後、最終的な確認作業を行い、福井県永平寺町から運行を委託された「まちづくり株式会社ZENコネクト」によるレベル4※1での自動運転移動サービスが、5月21日から開始されました※2。
      • ※1特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。
      • ※2本格的なサービス開始は5月28日を予定。具体的なスケジュールはまちづくり株式会社ZENコネクトHP外部リンクをご覧下さい。
  • レベル4自動運転移動サービスの開始に係る記念式典
    • 上記を踏まえ、5月21日に、西村経済産業大臣、豊田国土交通副大臣、河合永平寺町長らが出席の下、レベル4自動運転移動サービスの開始に係る記念式典を開催しました。
    • 当日は、多くの報道陣が集まる中、レベル4自動運転移動サービスの第1便が出発するとともに、永平寺町の町民の方々による乗車も行われました。

~NEW~
国土交通省 6月1日から土砂災害防止月間が始まります!
  • 梅雨や台風の時期を迎える毎年6月は「土砂災害防止月間」です。全国各地で国民一人ひとりに土砂災害の防止や被害軽減の重要性を認識し、理解を深めてもらうための行事や、功労者の表彰を行います。
  • 主な取組
    1. 土砂災害防止「全国の集い」の開催(富山県富山市)
      • 「治水分県・富山で考える土砂災害対策~立山の砂防120年とこれから~」をテーマとしたシンポジウムのほか、国や都道府県の最新の土砂災害対策事例等をパネルで紹介します。(主催:国土交通省・富山県)
    2. 土砂災害防止功労者の表彰
      • 土砂災害防止に関して顕著な功績があった個人・団体に対して、国土交通大臣表彰を行います。今年度の功労者表彰は、個人7名、3団体です。
    3. 小・中学生を対象とした土砂災害防止に関する絵画・作文の募集
      • 次代を担う小・中学生に土砂災害及びその防止についての理解と関心を深めてもらうため、絵画・作文を募集します。なお、今年の土砂災害防止月間ポスターには昨年の最優秀作品を使用しています。
    4. 土砂災害・全国防災訓練の実施
      • 土砂災害に対する避難体制の強化と防災意識の向上を図るため、全国の土砂災害警戒区域等における住民参加による実践的な訓練を実施します。
    5. 都道府県による主要行事一覧
      • 国と都道府県、市町村等で連携しつつ、適時・的確な避難行動の重要性の理解促進、土砂災害防止意識の普及活動の推進、警戒避難・情報伝達体制の確認等を実施します。

~NEW~
国土交通省 AI等を活用したターミナルオペレーション最適化の実証と効果検証を行いAIシステム導入の際のガイドラインをとりまとめました
  • 「ヒトを支援するAIターミナル」の取組の一環として、AI等を活用したターミナルオペレーションの最適化に関する取組を令和元年度から実施し、この度、現場実証の結果及び、事業者が導入を検討する際の「導入ガイドライン」をとりまとめました。引き続き、ターミナルの生産性向上、労働環境改善に向けた取組を進めてまいります。
  • 取組の背景
    • コンテナ船の大型化に伴い、1寄港あたりのコンテナ積降個数が増加しており、ターミナルにおける荷役効率の更なる向上が求められています。一方で、ターミナルにおいては、必要なコンテナを取り出すために「荷繰り※」と呼ばれる作業が発生し、ターミナルでのコンテナ取扱個数が増加するほど、この作業が頻繁に発生します。
    • ターミナルの更なる効率的なオペレーションのためには、無駄な作業を可能な限り削減し、効率的な荷繰り等を実現する必要があります。
  • 取組の概要
    • コンテナ搬出入日時予測等の機能(詳細は別紙1参照)を有するAIシステムを構築し、ターミナルオペレーションシステム(TOS)とAIシステムを連携したうえで、通常のオペレーションとAIを活用した場合のオペレーションを同時並行で行う現場実証を実施しました。その上で、両オペレーションにおける荷繰り回数の比較や、AIシステムの計画立案速度について効果検証を行いました。
  • 結果
    • 一定の荷繰り回数の削減効果(最大約83%)や、実運用可能な速度での計画立案が可能であることが確認できました。
    • また、事業者がターミナルオペレーションにAIシステムを導入する際の検討手順をまとめた、導入ガイドラインについてとりまとめました。

~NEW~
国土交通省 国土交通省初!ドローンの長時間連続飛行に成功!~災害現場や建設現場で効果的なドローンの実装化を目指します~
  • 国土交通省では、「インフラ管理、災害対応等に活用できる長時間飛行ドローンの実装化に参画する企業」の募集を行ってきました。この度、一次締切りまでに応募のあった機体について、国土交通省として初めての試みとなる長時間連続飛行の実証試験を荒川第二調整池予定地にて行いました。本実証ではレベル3※程度までの飛行、3時間を超える長時間連続飛行、並びに1時間を超えるレーザー点群測量飛行に成功しました。※無人地帯での目視外飛行(補助者なし):今回は補助者を配置
  • 日時
    • 1日目:令和5年5月20日(土)(※雨天により中断し、予定されていた実証を2日目に延期)
    • 2日目:令和5年5月21日(日)(※軽ペイロード長時間飛行及びレーザー点群測量を実施)
  • 実証内容
    • 軽ペイロードで、3時間程度の連続飛行(1日目中断の影響により時間短縮して実施)
    • レーザー点群測量をしながら1時間以上の連続飛行
    • なお、国土交通省では引き続き、「インフラ管理、災害対応等に活用できる長時間飛行ドローンの実装化に参画する企業」の募集をしております。皆様の応募を心よりお待ちしております

~NEW~
国土交通省 洪水の緊急速報メール配信対象を拡大します
  • 令和5年6月から、楽天モバイルの携帯電話ユーザーに向けて緊急速報メールサービスを活用した国管理河川の洪水情報のプッシュ型配信を開始します。
  • 国土交通省では、洪水時に住民の主体的な避難を促進するため、洪水情報のプッシュ型配信(携帯電話事業者が提供する「緊急速報メール」のサービスを活用した周知)に取り組んでいます。
  • これまで、NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー(au)、ソフトバンクの携帯電話ユーザーを対象に、国が管理する河川全109水系で運用してきました。
  • その後、楽天モバイルが新たに携帯電話事業者としてサービスを開始し、緊急速報メールによる国・地方公共団体が配信する「災害・避難情報」の利用が可能となったことを受け、楽天モバイルとの洪水情報配信に向けた調整、設備の改修が完了したことから、楽天モバイルの携帯電話ユーザーにもプッシュ型配信を開始します。
    • ※「プッシュ型配信」とは、受信者側が要求しなくても発信者側から情報が配信される仕組みです。
▼緊急速報メール
  • 配信開始日(予定)
    • 令和5年6月13日(火)
  • 配信対象エリア
    • 国が管理する全109水系の546市区町村(令和4年6月13日時点)詳細は、以下のWEBサイトをご確認ください。
      • ※河川事業の進捗に応じて更新を行う場合がありますので最新情報をご参照ください。
▼洪水情報の配信先一覧(全国)
  • 配信対象者
    • 配信対象エリア内の携帯電話等(NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー(au)、ソフトバンク、楽天モバイル)のユーザー(国内携帯電話事業者が発行するSIM(MVNO含む)を利用した場合)を対象
  • 配信する情報
    • 国が管理する河川全109水系の洪水予報河川において、「河川氾濫のおそれがある(氾濫危険水位に到達した)情報(レベル4)」及び「河川氾濫が発生した情報(レベル5)」を配信
  • 留意事項
    • 携帯電話事業者毎の基地局や通信システムの関係により、配信対象となる市区町村よりも広範囲のエリアに緊急速報メールが配信されることがあります。
    • 携帯電話等の電源が入っていない場合や、圏外、電波状況の悪い場所、機内モード時、通話中、パケット通信中の場合は受信することができません。
    • ご利用の機種により、緊急速報メールに対応していない場合があります。
    • 緊急速報メールを受信するために、受信設定が必要な場合があります。詳細については、各携帯電話会社のホームページよりご確認ください。
    • メールを受信したことまたは受信できなかったことに起因した損害について、国土交通省及び携帯電話事業者は一切責任を負いません。ご了承ください。
▼NTTドコモ
▼KDDI・沖縄セルラー
▼ソフトバンク
▼楽天モバイル

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