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  • 警察白書(警察庁)/GX実現に向けて(内閣官房)/適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議(内閣府)/雇用動向調査結果の概要(厚労省)

危機管理トピックス

警察白書(警察庁)/GX実現に向けて(内閣官房)/適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議(内閣府)/雇用動向調査結果の概要(厚労省)

2023.08.28
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更新日:2023年8月28日 新着14記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

警察庁
  • 令和5年警察白書
  • 犯罪統計資料(令和5年1~7月分)
内閣官房
  • GX実行会議(第7回)
  • 第1回 総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議 議事次第
消費者庁
  • ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、 実際には高額な料金を請求するトイレの詰まり修理業者に関する注意喚起
  • 第6回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会
厚生労働省
  • 令和4年 雇用動向調査結果の概要
  • 世界メンタルヘルスデーJAPAN 2023特設サイト
経済産業省
  • ALPS処理水の処分に伴う経営・輸出等の対策に関する特別相談窓口の設置及びアドバイザーの派遣を行います
  • 「ビジネスと人権」の対話イベントを開催します 「アジアにおける責任あるビジネス、人権そしてディーセント・ワーク ~人権と包摂的な成長の相乗効果を活かして~」
  • 「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!

~NEW~
内閣府 適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議
▼第3回 資料
  • 登録申請状況等(令和5年7月末時点)
    • 累計の申請件数は約370万件。
    • 課税事業者(約300万者)の9割超の278万者程度が申請。免税事業者も92万者程度が申請。
  • コールセンターの相談件数等
    • インボイス制度に関する相談件数は、令和5年1月以降、確定申告期と原則の登録申請期限が重なった令和5年3月の約8万件をピークに、約4~6万件で推移。
    • 相談内容は、制度の概要・趣旨に関するものは1割程度にとどまり、登録や公表制度に関する相談が半数以上を占める。また、足もとでは、インボイスの記載事項など、より実務的な相談の割合が増加傾向。
  • 「免税事業者の登録」に係る考え方等
    • 個々の免税事業者にとっては、必ずしも「登録する」ことだけが制度対応ではなく、税制改正や補助金等の支援策の内容も含め制度をよく理解し、まずは「登録要否の判断」を適切に行っていただくことが重要。具体的には、例えば、取引先のほとんどが一般消費者であるため登録しない、インボイスがなくとも一定割合仕入税額控除が可能な経過措置や自身の業界や取引先の動向を踏まえて、現時点での登録を見送り、制度開始後に必要があれば改めて登録を検討する(実際に、取引先である免税事業者に対し、「登録を求めない」等といった方針を明確に示す企業も現れてきている)といった選択も、インボイス制度への対応の一つとなる。
  • 制度開始以降の対応について
    • 国税庁においては、制度の円滑な定着に向けて、制度開始以降も、(1)制度開始後も登録するか否かを検討している事業者に対する対応、(2)インボイス発行事業者への登録を契機に課税転換した事業者への説明等に取り組んでいく。
      1. 登録するか否かを検討している事業者に対する寄り添った対応を継続
        • 制度開始後も登録するか否か検討する事業者の方に向けて、引き続き、個々の事業者の実態を踏まえた個別相談や、インボイスコールセンターによる相談を実施
          • ※上記の説明の際には、事務負担の軽減や事業者の業務のデジタル化等の観点から、引き続き、中小企業庁の補助金制度を紹介
      2. 課税事業者となった事業者の適正な消費税申告に向けての対応
        • インボイス発行事業者への登録を契機に課税事業者となった事業者が適正に消費税申告をすることができるよう、以下の取組を行う。
        • 登録通知書の送付時のほか、DMやe-Taxメッセージボックスへの通知等の各種広報を活用して、消費税申告が必要であることについて注意喚起。
        • 各種説明会において、インボイス制度を含む消費税制度等の説明を実施。
  • インボイス制度後の税務調査の運用について
    • これまでも、保存書類の軽微な記載不備を目的とした調査は実施していない。
      • 従来から、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度の高い納税者を対象に重点的に実施。
    • 仮に、調査等の過程で、インボイスの記載事項の不足等の軽微なミスを把握しても、
      • インボイスに必要な記載事項を他の書類等※で確認する、
        • ※相互に関連が明確な複数の書類を合わせて一のインボイスとすることが可能。
      • 修正インボイスを交付することにより事業者間でその不足等を改める、といった対応を行う。
  • まずは制度の定着を図ることが重要であり、柔軟に対応していく。

~NEW~
国土交通省 9月1日から「屋外広告物適正化旬間」が始まります!~地域の景観を踏まえた安全な屋外広告物のあるまちづくりに向けて~
  • 国土交通省では、毎年9月1日から10日までを屋外広告物適正化旬間に設定し、屋外広告物の適正管理の促進に向け、企業や国民の意識啓発を図っています。
  • この期間中、看板の点検パトロールや市民の方々との意見交換など、全国各地で、官民が連携した意識啓発に向けた取組が行われます。
  • 令和5年度においても、122件の様々な取組が予定されています。
  • 昨年度の取組(例)
    • 違反屋外広告物の是正措置を行った件数…約3,200件
    • 簡易除去した張り紙等…約16,000枚
    • 点検パトロール等へ参加したボランティアの数…のべ約3,000人

~NEW~
国民生活センター 健康食品で体調不良 医師などに相談しよう
  • 内容
    • 健康食品を購入し、数日食べたところ激しい腹痛と下痢を繰り返した。かかりつけ医に相談すると健康食品が原因ではないかと言われ、食べるのをやめると腹痛も下痢も治まった。販売店は「下痢を起こすような材料は入っていない。悪いものが身体から出ただけ」と言う。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 健康の維持・増進の基本は、「栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」です。健康食品を摂る選択をする前に、今の自分にとって本当に必要かをよく考えましょう。
    • 健康食品を複数利用したり、医薬品的な効果を期待して利用したりしないようにしましょう。
    • 自己判断での医薬品との併用は避け、不調を感じたら必ず医師や薬剤師などに相談しましょう。
    • 一般的に「好転反応」と呼ばれるような、体調が良くなる過程で不調の症状が出たり、体調がより悪くなったりする現象は、科学的には存在しません。体調が悪くなるのはその健康食品が身体にあっていない証拠です。体調に異変を感じたらすぐに使用を中止しましょう。

~NEW~
警察庁 令和5年警察白書
▼特集 複雑化する社会に適応する警察組織と多彩な人材
  • 情報通信技術の発展、サイバー空間の変容と治安課題の変化
    • 情報通信技術の著しい発展や、日常生活や経済活動へのサイバー空間の浸透は、社会に様々な便益をもたらす反面、サイバー空間を舞台とした犯罪をはじめ、新たな治安課題を生み、また深刻化させている。
    • 1990年代以降急速に発展したインターネット、パソコン、携帯電話等の情報通信技術は、それ以前の固定電話を中心とする通信手段に大きな変化をもたらした。特に、近年、スマートフォンが様々なコンテンツやアプリケーションの利用が可能なモバイル端末として急速に普及し、サイバー空間が日常生活に浸透してきたことにより、新たな治安課題が生じているところである。
      1. サイバー空間における技術・サービスの犯罪インフラ化
        • インターネット上で提供される技術・サービスの利用により匿名でのコミュニケーションや経済取引が可能となる中、これらの技術・サービスは、犯罪の実行を容易にし、あるいは助長するツールとして悪用されており、いわば犯罪のインフラとして利用されるようになっている。
        • 例えば、他人の携帯電話番号や認証コードを利用したSMS認証により不正に設定されたアカウントがサイバー事案や特殊詐欺に悪用される実態がみられるなど、インターネット上で提供されるサービスが、規制の間隙を突いて不正に用いられている。
        • また、「Tor」等の匿名化技術は、情報統制が行われている海外の国々において、インターネット上での自由な活動と当該活動におけるプライバシーの保護等の目的で利用される一方で、これらの技術が活用されたダークウェブについては、ランサムウェアにより窃取された情報や児童ポルノ画像等が掲載されるなど、犯罪インフラとして悪用されている。
        • さらに、SNS上では、犯罪の実行者を募集する投稿(犯罪実行者募集情報)等が発信されている実態がみられる。こうした犯罪実行者募集情報等においては、「高額バイト」等の表現が用いられたり、仕事の内容を明らかにすることなく著しく高額な報酬を示唆したりするなど、犯罪の実行者を募集する投稿であることを直接的な表現で示さないものがみられる。こうした犯罪実行者募集情報等は、青少年等が安易に犯罪に加担する契機となっている。
      2. サイバー空間における犯罪やテロを助長する情報等の拡散
        • 個人の誹謗中傷に類する言説やプライバシーに関わる画像・映像等のほか、企業における秘密情報が、インターネットを通じて急速かつ広範囲に拡散されるようになるなど、情報をめぐる違法行為が治安課題となっている。
        • また、インターネット上の情報量が増大する中、爆発物を製造する方法や銃砲を3Dプリンタを用いて製造する設計図等がインターネット上に匿名で投稿され、容易に入手することができるようになるなど、テロ等の準備・実行に利用されるおそれがある情報がインターネット上で流布されている。また、インターネット上における様々な言説等を契機として、特定のテロ組織等と関わりのない個人が過激化するいわゆるローン・オフェンダーの脅威も現実化している。
      3. サイバー空間を通じた犯罪・テロのグローバル化
        • サイバー空間が、全世界において重要な社会経済活動が営まれる公共空間となる中、サイバー空間をめぐる脅威は、グローバル化し、深刻の度を増している。
      4. 国境を越えて敢行されるサイバー事案・組織犯罪
        • ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害は、全世界で深刻化しており、国内においても、サプライチェーン全体の事業活動や地域の医療提供体制に影響を及ぼす事例が確認されるなど、被害が拡大し続けている。
        • 令和4年中、ランサムウェアの感染経路については、VPN機器やリモートデスクトップからの侵入が全体の8割以上を占め、テレワーク等に利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入されたと考えられるものが大半を占めている。
        • また、SNSの普及等により国内外の間の連絡が容易となる中、犯罪者グループの中には、犯罪の実行に当たっての役割分担を細分化させ、そのネットワークを海外にまで広げているものもみられる。こうした犯罪者グループには、指示役と実行役との間の指示・連絡に秘匿性の高い通信手段を用いているものや、国内外の金融機関を利用してマネー・ローンダリングを行うものがあるなど、情報通信技術やサイバー空間を利用しながら国境を越えて犯罪を敢行している。
      5. 国家を背景に持つサイバー攻撃集団等によるサイバー攻撃
        • 近年、我が国の事業者や学術関係者等を標的としたサイバー攻撃が発生しており、これらの中には、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるものがみられる。
        • 例えば、北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスと呼称されるサイバー攻撃集団が用いる手口と同様のサイバー攻撃が、我が国の暗号資産交換業者に対してなされており、数年来、我が国の関係事業者もこのサイバー攻撃集団によるサイバー攻撃の標的となっていることが強く推察される状況にある。
        • また、海外の政府機関や重要インフラ分野の関連企業・施設等に対するサイバー攻撃も後を絶たず、これらの攻撃についても、国家を背景とするサイバー攻撃集団の関与が疑われるものがみられる。我が国においては、令和4年9月、「e-Gov」等の政府機関等が運営する複数のウェブサイトが一時的に閲覧不能となる事案が発生し、時期を同じくして、親ロシアのハッカー集団とされる「Killnet」等が犯行をほのめかす声明を発表したことが確認されている
  • 我が国の治安情勢全般に関する国民の認識
    1. 犯罪情勢に関する指標の動向
      • 我が国における刑法犯認知件数は、官民一体となった総合的な犯罪対策や様々な社会環境の変化を背景に、総数に占める割合が大きい自動車盗、傷害及び暴行等の街頭犯罪及び侵入強盗や侵入窃盗等の侵入犯罪を中心として、平成15年以降大幅に減少している。令和4年の刑法犯認知件数は60万1,331件と、ピーク時の平成14年と比べ約225万件(78.9%)減少している。
    2. 国民の体感治安の動向
      • 内閣府の最新の治安に関する世論調査(注2)によれば、「日本は安全・安心な国だと思う」と回答した者の割合は85.1%(平成16年の調査では42.4%)となっており、国民の体感治安には一定の改善がみられる。一方、「ここ10年で日本の治安は悪くなった」と回答した者の割合は54.5%で、依然として半数以上を占めている。
      • また、治安に関連した現在の日本社会に関する認識として、「偽の情報を含め様々な情報がインターネット上で氾濫し、それが容易に手に入るようになった」と回答した者の割合は64.4%、「人と人のつながりが希薄となった」は54.1%、「国民の規範意識が低下した」は33.0%となっている
  • 多様な治安課題に対する国民意識の高まり
    • 我が国の犯罪情勢は、全体的に改善されてきたものの、1で述べたような社会情勢の変化に伴い、被害が深刻化しているサイバー事案や特殊詐欺等、従来の街頭犯罪や侵入犯罪に重点を置いた犯罪対策では捉えられない事象が生じており、治安課題が多様化している。ここでは、治安に関する世論調査において「自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等」として高い割合が示されている犯罪等を中心に、その結果も引用しつつ、近年における国民意識の変化に触れる。
      1. サイバー空間をめぐる脅威に対する国民の不安
        • 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、不正アクセスやフィッシング詐欺等のサイバー犯罪を挙げた者の割合は52.3%(平成16年は24.2%)となっているほか、自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になる場所としてインターネット空間を挙げた者の割合は53.9%(平成16年の調査では19.1%)となっている。
        • サイバー空間をめぐる脅威は、依然として深刻な情勢にあるところ、社会のデジタル化が進展し、インターネットの利用が日常生活に不可欠なものとなる中で、国民がサイバー空間をめぐる脅威に不安を感じているものとみられる。
      2. 特殊詐欺をめぐる国民意識
        • 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、特殊詐欺や悪質商法等の犯罪を挙げた者の割合は52.6%(平成16年は28.4%)となっている。特殊詐欺については、暴力団、匿名・流動型犯罪グループ(注3)が、犯行手口を巧妙化させ、犯行の分業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にある
      3. 女性や子供に対する犯罪をめぐる国民意識
        • 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、配偶者からの暴力や児童虐待等の家庭内での犯罪を挙げた者の割合は26.0%(女性は28.8%)、児童ポルノ、児童売春等の子供に対する犯罪を挙げた者の割合は24.4%(女性は26.6%)、痴漢や強制わいせつ等の性犯罪を挙げた者の割合は23.9%(女性は26.1%であり、平成16年は23.2%)となっており、いずれも4分の1程度の割合を占めている。
        • 性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な影響をもたらすものであることから、その根絶に向けた取組や被害者支援の強化が求められている。こうした中、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」において、令和2年6月に「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が決定され、令和5年3月には、取組の継続・強化を目的とした「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」が決定されるなど、政府による取組が推進されているほか、累次の立法措置が講じられた。
        • 児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が年々増加しており、令和4年中の通告児童数は過去最多の11万5,762人となっている。さらに、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和4年は8万4,496件と、配偶者暴力防止法の施行以降で最多となった。
      4. 重要犯罪をめぐる国民意識
        • 治安に関する世論調査によると、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、殺人、強盗、暴行、傷害等の凶悪・粗暴な犯罪を挙げた者の割合は43.5%(平成16年は、殺人、強盗等の凶悪な犯罪が34.7%、暴行、傷害等の粗暴な犯罪が43.0%)となっている。
        • 国民の体感治安に影響するとみられる殺人、強盗、強制性交等の重要犯罪の認知件数は、令和4年は9,535件で、9年ぶりに前年を上回った。また、世論調査後には、一般住宅等において多額の現金や貴金属等が強取される強盗等事件が連続して発生したことなどにより、国民の間で不安が広がっていることが懸念される。
      5. 交通事故をめぐる国民意識
        • 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、飲酒運転による交通事故やひき逃げ、妨害運転(あおり運転)等の悪質・危険な交通法令違反を挙げた者の割合が50.2%(平成16年は30.5%(注4))となっている。
        • 交通事故情勢については、令和4年中の交通事故による死者数(注5)は2,610人と、7年連続で減少し、警察庁が統計を保有する昭和23年以降の最少を更新した一方、子供が犠牲となる痛ましい交通事故や、高齢運転者による悲惨な交通事故が相次いで発生しており、子供をめぐる交通安全対策や高齢運転者対策の充実・強化に対する社会的要請が高まっている。
▼第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動
  • 特殊詐欺への対策
    1. 特殊詐欺の情勢等
      • 令和4年中の特殊詐欺の認知件数及び被害額は、いずれも前年より増加し、高齢者を中心に多額の被害が生じており、依然として高い水準にある。
      • 令和4年中の認知件数は、手口別にみると、還付金詐欺が4,679件と最も多く、次いでオレオレ詐欺(注4)が4,287件となっている。
      • 警察では、職務質問等による「受け子」等の検挙、架け場等の摘発、悪質な犯行ツール提供事業者に対する取締り、犯行グループ及びその背後にいるとみられる組織の実態等に関する情報の収集・集約・分析を徹底することにより、特殊詐欺の根絶に向けた取組を推進している。
    2. 「オレオレ詐欺等対策プラン」等に基づく対策の推進
      • 令和元年6月に開催された犯罪対策閣僚会議において、特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として「オレオレ詐欺等対策プラン」が決定され、これに基づき、国民、各地方公共団体、各種団体、民間事業者等の協力を得ながら、各府省庁において施策を推進していくこととされた。警察では、増加傾向にある還付金詐欺への対策として、「ATMでの携帯電話はしない、させない」ことを社会の常識として定着させるための「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を引き続き推進するなど、金融機関やコンビニエンスストア等と連携した各種被害防止対策、特殊詐欺に悪用される電話への対策等の犯行ツール対策及び効果的な取締り等を推進している。また、幅広い世代に対して高い発信力を有する著名な方々で構成される「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(略称:SOS47)では、全国各地における広報イベントを実施するとともに、各種メディアを通じて被害防止に向けたメッセージを継続的に発信している。
      • このほか、警察庁では、令和5年4月、特殊詐欺に用いられる通信手段等の手口を分析し、「特殊詐欺の手口と対策」を取りまとめ、今後の特殊詐欺対策の推進に役立てることとしている。
  • 犯罪インフラ対策の推進
    1. 犯罪インフラに関する取組
      • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいい、本人確認書類を偽造して携帯電話やクレジットカード等の契約をするなどその行為自体が犯罪となるもののほか、それ自体は合法であっても、特殊詐欺等の犯罪に悪用されている各種制度やサービス等がある。
      • 警察では、犯罪インフラに関連する情報を広範に収集・分析をし、関係事業者等との連携を強化することによって、犯罪インフラの解体等を図るとともに、関係事業者が提供するサービス等に関する捜査に必要な情報を適時かつ円滑に確保することができるようにすることにより、迅速かつ的確な捜査に資する捜査環境(捜査インフラ)を構築するための取組を推進している。
      • 警察庁においては、関係省庁及び事業者と連携し、技術の発展等に伴う新たな制度やサービス等が犯罪に悪用されることの防止・解消をするための取組を推進している。
    2. 携帯電話への対策
      • 特殊詐欺等を実行する犯行グループには、自己への捜査を免れるために不正に取得した携帯電話を悪用する実態が認められ、特に近年では、MVNOに対して偽造した本人確認書類を提示したり、本人確認書類に記載された者になりすまして契約したりするなどの方法により、不正に取得された架空・他人名義の携帯電話が特殊詐欺等に悪用される事例が目立っている。
      • このような状況に鑑み、警察では、不正に取得された携帯電話について、携帯電話不正利用防止法に基づく役務提供拒否がなされるよう携帯電話事業者に情報提供を行うとともに、悪質なレンタル携帯電話事業者を検挙するなど、犯罪に悪用される携帯電話への対策を推進している。
    3. 固定電話番号への対策
      • 特殊詐欺の犯行では、電話転送の仕組みを悪用して、犯行グループの携帯電話等から相手方に固定電話番号を表示させて架電したり、官公署を装った電話番号への架電を求める文面のはがき等を送り付けたりする手法が多用されている。
      • このような状況に鑑み、令和元年9月以降、電気通信事業者において、犯行に利用された固定電話番号の利用を警察の要請に基づき停止することとしているほか、電気通信事業者が連携して、複数回にわたって利用停止の要請がなされた固定電話番号の契約者には新たな電話番号の提供を一定期間行わないなどの対策を推進している。警察による利用停止の要請に基づき、令和4年末までに1万1,785件の利用停止が実施されている。
    4. 特定IP電話番号への対策
      • 近年、特定IP電話番号(050IP電話番号)が特殊詐欺の犯行に悪用される事例がみられていることに鑑み、令和3年11月、犯行に利用された固定電話番号の利用停止等についての電気通信事業者における枠組みの対象に、特定IP電話番号が追加された。警察による利用停止の要請に基づき、令和4年末までに2,110件の特定IP電話番号の利用停止が実施されている
▼第3章 サイバー空間の安全の確保
  • ランサムウェアの情勢
    • 令和4年中のランサムウェアによる被害の報告件数は230件(令和4年上半期114件、下半期116件)であり、令和2年下半期(21件)以降、連続して増加している。従来の被害においては、暗号化したデータを復元する対価として企業等に金銭や暗号資産を要求する手口が一般的であったが、最近の事例では、データを窃取した上で、企業等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求するダブルエクストーション(二重恐喝)という手口が認められる。対価を要求する手口を警察として確認したランサムウェアによる被害の報告件数182件のうち、ダブルエクストーション(二重恐喝)の手口によるものは119件であり、65%を占めている。
    • また、ランサムウェアによる被害の報告件数を被害企業・団体等の規模別にみると、大企業は63件、中小企業は121件と、企業・団体等の規模を問わず被害が発生している。さらに、企業・団体等におけるランサムウェア被害の実態を把握するため、被害企業・団体等を対象としてランサムウェアの感染経路に関するアンケート調査を実施したところ、有効回答数102件のうち、VPN機器を利用して侵入された事例は63件(62%)、リモートデスクトップサービス(注4)を利用して侵入された事例は19件(19%)と、テレワークに利用される機器等の弱性や強度の弱い認証用パスワード等の情報を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めている。
  • サイバーテロ・サイバーインテリジェンスの情勢
    • 重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れ、社会の機能を麻痺させるサイバーテロや情報通信技術を用いて政府機関や先端技術を有する企業から機密情報を窃取するサイバーインテリジェンス(サイバーエスピオナージ)が、世界的規模で発生している。
      1. サイバーテロの情勢
        • 情報通信技術が浸透した現代社会において、重要インフラの基幹システムに対する電子的攻撃は、インフラ機能の維持やサービスの供給を困難とし、国民の生活や社会経済活動に重大な被害をもたらすおそれがある。海外では、電力会社がサイバーテロの被害に遭い、広範囲にわたって停電が発生するなど国民に大きな影響を与える事案が発生している。
      2. サイバーインテリジェンスの情勢
        • 近年、情報を電子データの形で保有することが一般的となっている中で、軍事技術への転用も可能な先端技術や、外交交渉における国家戦略、新型コロナウイルス感染症に関連する研究等の機密情報の窃取を目的としたサイバーインテリジェンスの脅威が世界各国で問題となっている。また、我が国に対するテロの脅威が継続していることを踏まえると、現実空間でのテロの準備行為として、重要インフラ事業者等の警備体制等の機密情報を窃取するためにサイバーインテリジェンスが行われるおそれもある。我が国においても、不正プログラムや不正アクセスにより、機密情報が窃取された可能性のあるサイバーインテリジェンスが発生している
▼第4章 組織犯罪対策
  • 暴力団情勢
    1. 暴力団構成員及び準構成員等の推移
      • 暴力団構成員及び準構成員等の過去10年間の推移は、図表4-1のとおりであり、その総数は平成17年(2005年)以降減少し、令和4年(2022年)末には、暴力団対策法が施行された平成4年以降最少となった。この背景としては、近年の暴力団排除活動の進展や暴力団犯罪の取締りに伴う資金獲得活動の困難化等により、暴力団からの構成員の離脱が進んだことなどが考えられる。
      • また、六代目山口組からの分裂組織を含む主要団体等の暴力団構成員及び準構成員等の総数に占める割合は、令和4年末も7割を超えており、寡占状態は継続している。
    2. 暴力団の解散・壊滅
      • 令和4年中に解散・壊滅をした暴力団の数は106組織であり、これらに所属していた暴力団構成員の数は369人である。このうち主要団体等の傘下組織の数は67組織(63.2%)であり、これらに所属していた暴力団構成員の数は121人(32.8%)である。
    3. 暴力団の指定
      • 令和5年6月1日現在、暴力団対策法の規定に基づき25団体が指定暴力団として指定されている。令和4年中は14団体が、令和5年中は6月までに4団体が、それぞれ指定の有効期間を満了したことから、引き続き指定を受けた。
  • 暴力団犯罪の取締りと暴力団対策法の運
    1. 検挙状況
      • 暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)の検挙人員は、図表4-3のとおりである。令和4年中は9,903人と、前年と比べ1,832人(15.6%)減少した。また、平成4年以降の検挙人員の罪種別割合をみると、図表4-4のとおりであり、恐喝、賭博及びノミ行為等の割合が減少しているのに対し、詐欺の検挙人員が占める割合が増加傾向にあり、暴力団が資金獲得活動を変化させている状況がうかがわれる。
    2. 資金獲得犯罪
      • 暴力団は、覚醒剤の密売、繁華街における飲食店等からのみかじめ料の徴収、企業や行政機関を対象とした恐喝・強要のほか、強盗、窃盗、各種公的給付制度を悪用した詐欺等、時代の変化に応じて様々な資金獲得犯罪を行っている。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、暴力団が特殊詐欺を有力な資金源の一つとしている実態がうかがわれる。
      • また、暴力団は、実質的にその経営に関与している暴力団関係企業を利用し、又は共生者と結託するなどして、その実態を隠蔽しながら、一般の経済取引を装った違法な貸金業や労働者供給事業等の資金獲得犯罪を行っている。
      • 警察では、巧妙化・不透明化をする暴力団の資金獲得活動に関する情報の収集・分析をするとともに、社会経済情勢の変化に応じた暴力団の資金獲得活動の動向にも留意しつつ、暴力団や共生者等に対する取締りを推進している。
    3. 特殊詐欺
      • 令和4年中の特殊詐欺の検挙人員2,458人のうち、暴力団構成員等の人数は434人であり、その割合(17.7%)は、刑法犯・特別法犯総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合(4.4%)と比較して、依然として高い割合となっている。また、主な役割別検挙人員に占める暴力団構成員等の割合をみると、現場実行犯である「受け子」では11.2%、「出し子」では14.6%となっている一方、中枢被疑者では41.5%、「受け子」等の指示役(注1)では34.3%、リクルーター(注2)では54.9%と、犯行グループ内で主導的な立場にある者の割合が高い水準で推移しており、暴力団が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。さらに、近年は、匿名・流動型犯罪グループが特殊詐欺事件に関与している事例も確認されている。
      • 警察では、特殊詐欺事件の背後にいるとみられる暴力団や匿名・流動型犯罪グループを弱体化し、特殊詐欺の抑止を図るため、各部門が連携した多角的な取締りを推進するとともに、積極的な情報収集等により、こうしたグループの活動実態や特殊詐欺事件への関与状況等の解明を推進している
    4. 対立抗争事件等の発生
      • 暴力団は、組織の継承等をめぐって銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、自らの意に沿わない事業者を対象とする報復・見せしめ目的の襲撃等事件を起こしたりするなど、自己の目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性がみられる。
      • 近年の対立抗争事件、暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件等の発生状況は、図表4-8のとおりである。これらの事件の中には、銃器が使用されたものもあり、市民生活に対する大きな脅威となるものであることから、警察では、重点的な取締りを推進している
    5. 暴力団対策法の運用
      • 指定暴力団員がその所属する暴力団の威力を示して暴力的要求行為を行った場合等において、都道府県公安委員会は、暴力団対策法に基づき、中止命令等を発出することができる。中止命令等の発出件数の推移は、図表4-9のとおりである。
  • 地方公共団体における暴力団排除に関する条例の運用
    • 各都道府県は、地方公共団体、住民、事業者等が連携・協力をして暴力団排除に取り組む旨を定め、暴力団排除に関する基本的な施策、青少年に対する暴力団からの悪影響排除のための措置、暴力団の利益になるような行為の禁止等を主な内容とする暴力団排除に関する条例の運用に努めている。
    • 各都道府県では、条例に基づき、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益の供与をしてはならない旨の勧告等を実施している。令和4年中における実施件数は、勧告が38件、指導が3件、中止命令が10件、再発防止命令が4件、検挙が14件となっている。
  • 暴力団員の社会復帰対策の推進
    • 暴力団を壊滅するためには、構成員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要である。警察庁では、令和5年に閣議決定された「第二次再犯防止推進計画」等に基づき、関係機関・団体と連携して、構成員に対する暴力団からの離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、構成員の離脱・就労、社会復帰等に必要な社会環境及びフォローアップ体制の充実に関する効果的な施策を推進している。
  • 匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組
    1. 匿名・流動型犯罪グループの動向と特徴
      • 暴走族の元構成員等を中心とする集団に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等の事件を起こしている例がみられるところ、こうした集団の中には、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、暴力団等の犯罪組織との密接な関係がうかがわれるものも存在しており、警察では、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付け、取締りの強化等に努めてきた。
      • こうした中、近年、準暴力団として位置付けられる集団以外に、SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの集団もみられ、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺や強盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、実態解明を進めている。
      • また、匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が匿名・流動型犯罪グループと共謀して犯罪を行っている事例もあり、このような集団の中には、暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
    2. 警察の取組
      • 警察では、匿名・流動型犯罪グループの動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、侵入強盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、匿名・流動型犯罪グループに係る事案を把握するなどした場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている。
      • 暴力団構成員の男(22)は、自らがリーダーとなっている集団のメンバーらと共に、令和4年5月、知人の男性を車両後部座席に乗車させ、同男性の顔面等を殴るなどの暴行を加えて負傷させるとともに、同男性の両手首等を結束バンド等で緊縛し、同男性の目等を粘着テープで塞ぎ、同車からの脱出を不能にした。さらに、これらの暴行等により反抗を抑圧されている同男性から腕時計等を強取した。同年8月までに、同男ら5人を逮捕監禁罪等で逮捕した(警視庁、福岡)。
      • 特殊詐欺等の事件を起こしていた集団のメンバーの男(24)らは、令和3年9月、知人女性とトラブルになった男性に制裁を加えようと考え、出会い系サイトを利用して同男性をおびき出し、熊本県内の駐車場において、車両に乗車中の同男性に対し、木刀等を手に持って同車両を取り囲んだ上、「お前昨日何かしよったやろが」などと言い、運転席窓ガラス等を殴打するなどし、さらに、運転席ドアを開けて木刀を車内に突き入れるなどの暴行を加えて脅迫した。令和4年8月、同男ら7人を暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕した(熊本)。
      • 暴力団と密接に関係し、その資金源となっている状況がうかがわれる集団のメンバーであり、飲食店の個人事業主である男(40)は、令和3年1月から同年11月にかけて、国の雇用調整助成金制度の特例措置及び緊急雇用安定助成金制度を利用して同助成金の名目で現金をだまし取ろうと考え、虚偽の雇用調整助成金支給申請書等を厚生労働省福岡労働局に提出して同助成金の支給を申請し、現金合計約2,554万円をだまし取った。令和4年6月、同男を詐欺罪で逮捕した(福岡)。
      • 電磁的公正証書原本不実記録(偽装結婚等)等の事件を起こしていた集団のメンバーの男(36)らは、住宅ローン融資の名目で金融機関から現金をだまし取ろうと企て、令和3年4月から同年6月にかけて、勤務先や年収等について虚偽の内容を記載した住宅ローンの借入申込書を提出するなどして金融機関に融資を承認させ、総額2,498万円をだまし取った。令和4年8月までに、同男ら3人を詐欺罪で逮捕した(岐阜)。
      • 表向きにはラップグループとして活動している集団を特殊詐欺事件の捜査過程で把握したことを端緒として、同集団に対する実態解明を進めた結果、同集団がSNSを利用して大麻の密売をしていることが明らかになった。令和4年9月までに、同集団のリーダーの男(26)ら13人を詐欺罪、大麻取締法違反(営利目的譲渡等)等で検挙し、同集団を壊滅させた(群馬、沖縄)。
  • 薬物情勢
    • 令和4年(2022年)中の薬物事犯の検挙人員は1万2,142人と、引き続き高い水準にあり、我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。薬物は、乱用者の精神や身体をむしばむばかりでなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあるほか、薬物の密売が暴力団等の犯罪組織の資金源となることから、その乱用は社会の安全を脅かす重大な問題である。
      1. 覚醒剤事犯
        • 令和4年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より減少したが、全薬物事犯の検挙人員の50.4%を占めている。また、押収量は289.0キログラムと、前年より399.8キログラム減少した。覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員のうち約4割を暴力団構成員等が占めていることのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
      2. 大麻事犯
        • 大麻事犯の検挙人員は過去最多となった前年から横ばいで推移しており、覚醒剤事犯に次いで検挙人員の多い薬物事犯である。近年では、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる。
  • 薬物密輸入事犯の検挙状況
    • 令和4年中の薬物密輸入事犯の検挙件数は294件と、前年より82件(38.7%)増加し、検挙人員は376人と、前年より108人(40.3%)増加した。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙状況の推移は、図表4-13のとおりである。令和4年中は、覚醒剤の押収量が前年より減少したものの、暴力団構成員等や来日外国人の検挙人員は前年より増加し、覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は、3年ぶりに100件を超えており、覚醒剤に対する根強い需要が存在しているものと考えられる。
  • 犯罪組織等の動向
    1. 暴力団による薬物事犯
      • 令和4年中の薬物事犯の検挙人員(1万2,142人)のうち、暴力団構成員等が24.0%(2,915人)を占めている。また、密売関連事犯(注)の検挙人員(626人)のうち、暴力団構成員等が33.9%(212人)を占めているところ、これらを薬物事犯別でみると、覚醒剤の密売関連事犯の検挙人員(280人)のうち53.6%(150人)を、大麻の密売関連事犯の検挙人員(305人)のうち20.0%(61人)を、それぞれ暴力団構成員等が占めており、覚醒剤や大麻の密売に暴力団が深く関与していることがうかがわれる。
    2. 来日外国人による薬物事犯
      • 令和4年中の来日外国人による薬物事犯の検挙人員は652人と、前年より62人(8.7%)減少した。このうち、営利目的輸入事犯の検挙人員は150人であり、国籍・地域別でみると、ベトナムが48.0%(72人)を占めているほか、密売関連事犯の検挙人員は36人であり、国籍・地域別でみると、ベトナムが38.9%(14人)を占めている。
  • 来日外国人犯罪の情勢
    1. 来日外国人犯罪の組織化の状況
      • 令和4年(2022年)中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は37.5%と、日本人(13.0%)の約2.9倍に上っている。罪種別にみると、万引きで46.7%と、日本人(2.6%)の約18.0倍に上る。
      • このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて組織的に行われる傾向がうかがわれる。
    2. 組織の特徴
      • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を行うために様々な国籍の構成員が役割を分担するなど、構成員が多国籍化しているものもある。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。
      • また、近年、他国で行われた詐欺事件による詐取金の入金先口座として日本国内の銀行口座を利用し、詐取金入金後にこれを日本国内で引き出してマネー・ローンダリングを行うといった事例があるなど、犯罪行為や被害の発生場所等の犯行関連場所についても、日本国内にとどまらず複数の国に及ぶものがある。
    3. 犯罪インフラの実態
      • 来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造等がある。
      • 地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、近年では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の濫用・誤用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある
  • 犯罪収益移転防止法に基づく活動
    • 暴力団等の犯罪組織を弱体化させ、壊滅に追い込むためには、犯罪収益の移転を防止するとともに、これを確実に剥奪することが重要である。警察では、犯罪収益移転防止法、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法を活用し、関係機関、事業者、外国のFIU等と協力しながら、総合的な犯罪収益対策を推進している。
      1. 犯罪収益移転防止法の適切な履行を確保するための措置
        • 国家公安委員会では、犯罪収益移転防止法に基づき、毎年、犯罪収益の移転に係る手口等に関する調査及び分析を行った上で、特定事業者等が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪収益の移転の危険性の程度等、当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成・公表している。
        • また、国家公安委員会では、関係機関と連携し、犯罪収益移転防止法に基づき、顧客等の本人確認、疑わしい取引の届出等を行う特定事業者に対する研修会等を実施しているほか、特定事業者が犯罪収益移転防止法上の義務に違反していると認めた場合には、当該特定事業者に対して報告を求めるなどの必要な調査を行うとともに、当該特定事業者を所管する行政庁に対して、是正命令等を行うべき旨の意見陳述を行っている。
      2. 疑わしい取引の届出
        • 犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出制度により特定事業者がそれぞれの所管行政庁に届け出た情報は、国家公安委員会が集約して整理・分析を行った後、都道府県警察や検察庁をはじめとする捜査機関等に提供され、各捜査機関等において、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に活用されている。
        • 疑わしい取引の届出の年間通知件数は、図表4-24のとおりであり、おおむね増加傾向にある。
  • マネー・ローンダリング事犯の検挙状況
    • マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、図表4-26のとおりであり、令和4年中は726件(前年比94件(14.9%)増加)であった。前提犯罪別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが257件、詐欺に係るものが254件、電子計算機使用詐欺に係るものが105件となっている。
    • 令和4年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは64件と、全体の8.8%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが28件、電子計算機使用詐欺に係るものが11件、窃盗に係るものが9件、恐喝に係るものが7件と、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。
    • また、令和4年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は108件と、
    • 全体の14.9%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが36件、窃盗に係るものが35件、電子計算機使用詐欺に係るものが11件、入管法違反に係るものが6件と、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、不正入手した他人の電子決済コードを利用したりするなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~7月分)
  • 令和5年1~7月の刑法犯総数について、認知件数は393,895件(前年同期324,680件、前年同期比+21.3%)、検挙件数は146,344件(139,118件、+5.2%)、検挙率は37.2%(42.8%、▲5.6P)
  • 凶悪犯の認知件数は2,987件(2,469件、+21.0%)、検挙件数は2,469件(2,148件、+14.9%)、検挙率は82.7%(87.0%、▲4.3P)、粗暴犯の認知件数は33,792件(29,571件、+14.3%)、検挙件数は26,772件(24,295件、+10.2%)、検挙率は79.2%(82.2%、▲3.0P)、窃盗犯の認知件数は271,057件(219,326件、+23.6%)、検挙件数は85,456件(83,069件、+2.9%)、検挙率は31.5%(37.9%、▲6.4P)、知能犯の検挙件数は27,112件(20,777件、+30.5%)、検挙件数は10,573件(10,254件、+3.1%)、検挙率は39.0%(49.4%、▲10.4P)
  • 万引きの認知件数は54,253件(48,509件、+11.8%)、検挙件数は35,481件(33,847件、+4.8%)、検挙率は65.4%(69.8%、▲4.4P)
  • 詐欺の認知件数は24,953件(18,941件、+31.7%)、検挙件数は9,031件(8,689件、+3.9%)、検挙率は36.2%(45.9%、▲9.7P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は38,996件(37,606件、+3.7%)、検挙人員は31,948人(30,926人、+3.3%)
  • 入管法違反の検挙件数は3,274件(2,280件、+43.6%)、検挙人員は2,318人(1,688人、+37.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は4,386件(4,395件、▲0.2%)、検挙人員は4,343人(4,374人、▲0.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は5,907件(5,154件、+14.6%)、検挙人員は4,559人(3,982人、+14.5%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は691件(588件、+17.5%)、検挙人員は570人(463人、+23.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は257件(285件、▲9.8%)、検挙人員は71人(96人、▲26.0%)、不正競争防止法違反の検挙件数は27件(31件、▲12.9%)、検挙人員は33人(35人、▲5.7%)、銃刀法違反の検挙件数は2,761件(2,831件、▲2.5%)、検挙人員は2,321人(2,493人、▲6.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は668件(543件、+23.0%)、検挙人員は405人(325人、+24.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は4,042件(3,514件、+15.0%)、検挙人員は3,352人(2,776人、+20.7%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は4,244件(5,031件、▲15.6%)、検挙人員は2,924人(3,471人、▲15.8%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数338人(306人、+10.5%)、ベトナム117人(88人、+33.0%)、中国42人(55人、▲23.6%)、ブラジル24人(23人、+4.3%)、スリランカ13人(25人、▲48.0%)、フィリピン12人(10人、+20.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,032件(5,657件、▲11.0%)、検挙人員総数は3,239人(3,300人、▲1.8%)
  • 暴行の検挙件数は321件(361件、▲11.1%)、検挙人員は304人(358人、▲15.1%)、傷害の検挙件数は536件(592件、▲9.5%)、検挙人員は630人(647人、▲2.6%)、脅迫の検挙件数は180件(207件、▲13.0%)、検挙人員は165人(195人、▲15.4%)、恐喝の検挙件数は2,169件(2,469件、▲12.2%)、検挙人員は440人(436人、+0.9%)、詐欺の検挙件数は936件(1,009件、▲7.2%)、検挙人員は746人(747人、▲0.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は2,571件(3,253件、▲21.0%)、検挙人員は1,777人(2,216人、▲19.8%)
  • 入管法違反の検挙件数は13件(8件、+62.5%)、検挙人員は12人(9人、+33.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は42件(38件、+10.5%)、検挙人員は33人(34人、▲2.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は38件(53件、▲29.3%)、検挙人員は37人(46人、▲19.6%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は12件(17件、▲29.4%)、検挙人員は23人(35人、▲34.3%)、風営適正化法違反の検挙件数は32件(62件、▲48.4%)、検挙人員は32人(81人、▲60.5%)、銃刀法違反の検挙件数は45件(54件、▲16.7%)、検挙人員は29人(32人、▲9.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は111件(103件、+7.8%)、検挙人員は51人(40人、+27.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は549件(563件、▲2.5%)、検挙人員は369人(330人、+11.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,442件(1,933件、▲25.4%)、検挙人員は959人(1,283人、▲25.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は65件(92件、▲29.3%)、検挙人員は29人(56人、▲48.2%)

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内閣官房 GX実行会議(第7回)
▼資料1 我が国のグリーン・トランスフォーメーション実現に向けて(西村GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)
  • 2050年カーボンニュートラル等の排出削減と経済成長・産業競争力強化を共に実現していくため、国ごとに異なるエネルギー環境や経済安全保障の状況などを踏まえて、取り組んでいくことが重要。
    • 排出削減に効果の高い「カーボンプライシング」
      • 欧州は、排出量取引制度で先行(なお、一部の多排出産業には無償枠を超過配布)。
      • 一方、米国は、カーボンプライシング(CP)の導入は原則無し。
    • 経済成長に効果の高い「投資促進策」
      • 米国は、複数年度にわたる国のコミットを前提とし、初期投資だけでなく生産比例型の投資支援策を実行。
      • 欧州は、グリーンディール産業計画等の具体化を検討。
  • 我が国は、その置かれた状況を踏まえ、最適な形で、「カーボンプライシング」とGX経済移行債による「投資促進策」を効果的に組み合わせた「成長志向型カーボンプライシング構想」により、GXを実現していく。
  • 欧州と同水準のカバー率で排出量取引制度を試行的に開始+カーボンプライシングの導入時期と将来的に水準を引き上げていくことを予め明示。
  • さらに将来の政府のカーボンプライシング収入を活用し、足元からGX経済移行債による「投資促進策」を講ずることで、企業のGX投資や取組を前倒し。
  • 我が国は、さらに今後、(1)世界初の、国による「トランジション・ボンド」発行を通じた民間トランジション・ファイナンスの強化、(2)排出量取引制度の発展、(3)20兆円規模の投資促進策の具体化(生産比例型の投資促進策を含む)を検討・実行していくことで、世界に伍する新たな政策を実行していく
  • GXの早期実行に向けては、既存技術の活用が重要。他方、既存技術のみでは、カーボンニュートラル(CN)実現は不可能。⇒GXの鍵は、(1)新技術の開発・確立、(2)社会実装の前倒し。
  • 我が国には、世界に誇るGX関連技術シーズのポテンシャルが存在。そこで、こうした技術シーズの研究開発を加速し、技術を確立させることで、商用化段階へと早期に移行。
  • また、確立された新技術は、排出削減効果をもたらす一方で、既存技術よりもコストが大きい可能性大。そこで、コスト差を埋める「カーボンプライシング」(CP)と、CP効果を先取りする「投資促進策」により、市場原理を通じて新技術の実装を推進。
    1. 将来のCP導入・引上げの見通しの明確化と、
    2. GX経済移行債によりCP効果を先取りする「投資促進策」で、新技術の社会実装を前倒し=【成長志向型CP構想】
  • GX経済移行債を活用した20兆円規模の「投資促進策」の内容については、客観的な指標と専門家の知見を活用し、以下の5つの考え方により決定していく。
    1. 民間のみでは投資判断が真に困難、産業競争力強化・経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献 等の基本原則に合致
    2. 排出量の多い分野について取り組む
    3. 年末までに「分野別投資戦略(道行き)」をブラッシュアップ・確定、これに沿った「投資促進策」を決定
    4. 限界削減費用分析等に基づく排出削減効果、市場動向を踏まえた投資収益分析に基づく経済効果の分析活用
    5. 具体的投資内容は専門家の知見を活用しつつ、GX実行会議で決定
  • GX経済移行債による「投資促進策」については、「GX推進戦略」において、以下の要件が定められており、これを踏まえて、施策を実行していく。加えて、「投資促進策」の内容は、GX経済移行債のフレームワークに基づく国際認証・レポーティングが必要になることや、分野・財ごとの分析に基づく勝ち筋も踏まえて、検討していくことが重要。
  • GX実現に向けては、排出量の多い部門について取り組む必要。エネルギー転換部門(発電等)に加えて、電気・熱配分後排出量の多くを占める鉄・化学等の産業部門や、国民のくらしに深く関連する部門(家庭、運輸、教育施設等の業務部門)などにおける排出削減の取組が不可欠。こうした各部門の排出削減を効果的・効率的に実現する技術のうち、特に産業競争力強化・経済成長に効果の高いものに対して、GX経済移行債を活用した「投資促進策」を講じていく。
  • 企業の予見可能性を高め、GX投資を強力に引き出すため、(1)今後10年間の具体的な「分野別投資戦略(道行き)」を年末までにブラッシュアップ・確定。(2)その中で、2050年カーボンニュートラルを見据えた「先行5か年アクション・プラン」を策定する。GX実行会議及び専門家の知見を活用する仕組みを経て取りまとめ、これらに基づき、具体的な施策を実行していく。
  • 自国産エネルギー拡大に向け、最優先である再エネ拡大に向けた技術革新(ペロブスカイト等)や、次世代革新炉の開発・建設、製造業をはじめ国内産業に裨益する形での規制・支援一体型の制度整備に取り組む。GX実現に向けては、市場環境整備が必須であり、技術革新に向けた研究開発等の取組だけでなく、多様性を確保した燃料中立的な制度(カーボンプライシング、長期脱炭素電源オークション等)を組み合わせていく。
  • 今後、GXに向けた取組が加速すると同時に、DXも加速。一方で、Chat GPTなどの生成AIの拡大に伴い、計算資源における電力消費量が増加するとの指摘もある。今後、AI計算量の増大に伴って電力消費量が急増する極端なシナリオがあることには留意。GXを進める上での大前提となるエネルギー、特に電力の安定供給を確保していくためにも、AIを含めたDXの動きは今後とも注視が必要。
  • 我が国全体のGX実現には、GX関連製品のサプライサイドにおける取組だけでなく、GX市場創造に向けた、ディマンドサイドにおける取組により、バリューチェーン全体でのGX投資を促進していくことが重要。その一環として、家庭部門、自家用乗用車などの運輸部門、教育施設等の業務部門など国民のくらしに深く関連する部門において、排出削減と経済成長・産業競争力強化の観点から効果の高いGX投資を促進していく。家庭からの排出の2/3は電力由来で、電源の脱炭素化が必要であるが、用途別では、冷暖房・給湯が約半分を占めるため、排出削減に向けては足元から断熱性能向上や省エネ機器の普及が重要。また、これらの分野は、我が国企業が国際的な強みを持ち、成長にもつながり得る。(※欧州における空気熱ヒートポンプの世界シェアで、日本企業は1位と6位)また、建材や家電等の素材自体の脱炭素化は、セメントや鉄等の産業部門のGXにおいて不可欠な市場創造でも重要な役割を果たす。
  • くらし関連部門のGX推進は、経済社会全体で見た削減効果、産業競争力強化・経済成長につながるだけでなく、各家庭で見れば、省エネルギーによる光熱費低減や、快適性向上にもつながる。こうしたGXによる果実を国民が実感できるように、投資促進策を講じていくことが必要。断熱性能に優れた窓改修、高効率給湯器(ヒートポンプ等)、次世代自動車等の支援に、来年度100万件の国民のニーズに応えられるよう、必要な措置を講じていく。
  • 今後も日本経済の成長を支える上で、ものづくり産業は不可欠な存在。世界でGXが進む上では、成長するGX市場に対応できるGXサプライチェーンを早急に立ち上げるとともに、新たなGX分野での市場創造を行う必要がある。その際、特にCO2排出削減でも大きなカギを握る鉄や化学等の素材分野においては、
  • GX製品(グリーンスチール/ケミカル等)を生み出す新たなサプライチェーンには、製造プロセスの革新が必要。それには大規模な研究開発・設備投資が必要で、製品のコストアップにつながる
    • コストアップするGX製品でも素材の性能は変わらないため、評価する市場がないと、販売見通しが立たず投資に踏み切れない
    • 『ニワトリとタマゴ』の関係(供給がないと、需要は生まれないが、需要が見えないと、供給はされない)
  • また、使用段階の排出削減に寄与する産業においても、世界市場獲得と排出削減の両立に向け、投資を進めていくことが必要。そのため、先行投資の支援策と、市場を作るための「規制/制度」とを一体的に講じ、需要と供給の好循環を生み出す。→分野別の投資戦略の狙い
  • 当該戦略分野の内、排出削減と産業競争力強化双方に大胆な投資計画を迅速に展開する先行企業群に対し、投資促進策を重点化し、日本全体のGXを牽引。
  • GX実現に向けた投資は、規制・支援一体型によるGX市場の立ち上げとともに実施する必要がある分野や、研究開発要素を伴う分野が存在するため、世界的に見ても、足元数年間から徐々に立ち上がる傾向となる。出来るだけ早期の投資促進に向けて、規制・制度の活用や国の複数年度コミットに基づく大胆な投資促進策により強力に実行していく。
  • GX推進法によって、国による複数年度にわたるコミットと、炭素価格を踏まえた値差支援制度など、規制・制度と一体化した予算措置が可能になった。複数年度にわたり、各国の制度・技術動向を見据えて、「総額2兆円超+事項要求」を内容とする、戦略的で予見可能性をもった予算要求を行う。
  • 「投資促進策」の具体化に際しては、限界削減費用分析・投資収益分析等に基づく客観的な指標と専門家の知見を活用して対象プロジェクトの選定・投資促進ツールの使い分けを検討していく。例えば、排出削減技術の導入を判断する際の基準は、その導入による「追加的費用」と「排出削減効果(削減ポテンシャル)」。そこで、各技術の限界削減費用(導入による「追加的費用」を「排出削減効果」で除したもの)や投資リスク等に応じて投資先と投資促進ツールを使い分けることで、市場原理を活用した効果的・効率的なGXの実現が可能となる。限界削減費用マイナスの技術(下図左端)には、既に経済合理性が確保されているため、規制・制度の活用や、資金調達におけるリスクに対応する金融支援等が有効となる可能性。他方、限界削減費用プラスの技術(下図中央・右端)にはスケール化によるコスト削減に向けた投資支援等が有効となり、限界削減費用が特に高い技術やその見積もりが困難な技術シーズには研究開発支援が有効である可能性。
  • 世界初の、国によるトランジション・ボンド(GX経済移行債)を発行し、国内外の民間によるトランジション・ファイナンスを一層拡大していく。発行体である日本政府は、トランジション・ボンド等に係る国際標準に基づき、資金使途等をまとめた「フレームワーク」を策定し、これらの基準への準拠について第三者評価機関からセカンドパーティオピニオン(SPO)を取得。我が国の新たな政策イニシアティブについて国内外投資家の理解を醸成するため、当該評価機関については、GXの取組を理解し、国際的な市場の信頼を得られる事業者を、公平かつ透明なプロセスで選定していく。
  • カーボンニュートラル実現に向けては、電化+電源の非化石化が重要。加えて、産業部門や運輸部門における熱需要・原料需要など、電化が困難な排出への対応も不可欠。また、世界の排出量の過半を占めるアジア等の諸外国においても同様の状況が存在。そこで、製鉄業における水素還元製鉄技術をはじめ、新技術開発等により大幅な排出削減や段階的な排出削減を進める取組も対象とする「トランジション・ファイナンス」を、国内外で推進していくことが必要。国が、第三者評価機関のSPOを得た上で、トランジション・ボンドを発行することで、(1)上記の取組を含め、カーボンニュートラルに資する資金使途を明確化すること、(2)トランジション・ファイナンスの市場を拡大させていくこと、(3)これらを通じて、民間の事業者及び金融機関による、トランジション・ファイナンスを含めたGX投資を活性化させていく。
  • 本年7月に閣議決定した「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)は、我が国のカーボンニュートラルに向けた「移行戦略」となるものであり、これに基づいて、資金使途として「適格クライテリア」及びその「適格事業例」を整理することが適切。「GX推進戦略」に定められた取組の中から、民間のみでは投資判断が真に困難な事業であって、排出削減と産業競争力強化・経済成長の実現に貢献する分野への投資に優先順位をつけて、資金使途の対象としていく。調達した資金は、GX投資の実現に向けて長期・複数年度にわたり支援策を講じ、民間事業者の予見可能性を高めていくべく、研究開発から社会実装まで各分野・技術の技術リスク・市場リスク等に応じて補助、金融支援の原資などに充当していく。
  • GXリーグは、カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群が、GXを牽引する枠組み。日本のCO2排出量の4割以上(EUと同水準)を占める企業群が参画。(566社)多くの企業が2030年度までの削減目標の設定に留まる中、GXリーグの参画企業は、5年間前倒した2025年度までの野心的な削減目標を設定。足元から、排出量取引も活用しながら排出削減に取り組む企業を後押し。本年10月には、カーボン・クレジット市場を開設し、排出量取引に向けた環境整備を加速。また、GXリーグは、GX実現の鍵となる市場創造に貢献する意欲的な企業が集まり、個社の取組のみでは難しいルール形成等について一体的に取り組む場としても機能。
  • GXリーグの下、企業が自主的に設定する削減目標達成に向けた排出量取引(GX-ETS)を本年度より試行的に実施。(本年9月末:参加企業が排出目標を策定・提出。10月:カーボン・クレジット市場開設。来年10月末:超過削減枠の取引開始)知見やノウハウの蓄積、必要なデータ収集を行い、公平性・実効性を更に高めるための措置を講じたうえで、2026年度より、排出量取引を本格稼働。さらに、発電部門の脱炭素化の移行加速に向け、2033年度頃から発電部門について段階的な有償化(オークション)を導入。併せて、GXリーグに参画する多排出企業の排出削減への果敢な取組を後押しするため、投資促進策との連動についても検討していく。
  • 炭素価格の予見可能性を向上させることにより、GX投資の期待収益を引き上げていくことが重要。具体的には、GXリーグの排出量取引制度において、炭素価格を段階的に上げていくことを予め示すことで、予見可能性の向上を図る。(2026年度~)他方、将来の炭素価格水準については、グローバルな排出削減の進捗・技術開発動向等により大きく影響を受けるため、様々な見込みが存在。国内における排出削減の状況や海外における炭素価格の水準、各機関の将来見通し等を踏まえ、参照価格を幅をもって示すことで、投資決定の前提となる一定の相場観を醸成。
  • GXリーグにおいては、有志の参加企業でWGを立ち上げ、GX促進のために必要なルールについて、官民で連携して議論。これまでの実績として削減貢献量の開示についての指針を整理。今後、GX-ETSに利用できるカーボンクレジットの整理等について、新たなWGを立ち上げ官民で検討予定。

~NEW~
内閣官房 第1回 総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議 議事次第
▼資料1-3 総合的な防衛体制の強化に資する研究開発の推進のための重要技術課題(案)
  • 最先端の科学技術は加速度的に進展し、民生用と安全保障用の技術の区別は極めて困難となっている。世界では民生用途でのイノベーションと防衛用途でのイノベーションが、相互に影響し合う中で発展してきており、我が国でも政府、民間のそれぞれで活発に進められている研究開発の成果を防衛目的にも活用することは非常に重要である。
  • このような認識から、令和4年12月に策定された国家安全保障戦略においては、防衛力の抜本的強化を補完し、それと不可分一体のものとして研究開発の分野における取組を推進することとしている。同戦略においては防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズを合致させることにより、総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発を推進することとしている。
  • 今般、そのような研究開発ニーズと技術シーズを踏まえ、関係省庁の民生利用目的の研究の中で、総合的な防衛体制の強化にも資する重要な技術課題として当面推進していく、以下のものを重要技術課題とする。
    1. エネルギー
      • 新たなエネルギー源からのエネルギー創出、
      • 高性能なエネルギー貯蔵(高容量・高出力・高安全性等)、
      • 高出力エネルギーの投射(高出力マイクロ波・高出力レーザ等)、
      • エネルギーの要素技術の確立(高効率送電、高耐圧・大電流制御等) 等
    2. センシング
      • 高精度な測位・航法・測時手法の確立、人、もの、環境等を高精度にセンシング、従来よりも高性能なセンシング(量子センシング、バイオセンシング等)、高度なセンシングデータ処理手法の確立(センシング情報(衛星画像等)の融合・統合等)、
      • センシングの要素技術の確立(センサデバイスの高度化等) 等
    3. コンピューティング
      • 高速・高効率な新原理コンピューティング(量子、光、脳型等)、膨大なデータの高効率な演算処理(分散・エッジコンピューティング等)、高性能なコンピュータデバイス、高速な演算処理(高性能コンピューティング(HPC)等) 等
    4. 情報処理
      • 高精度な将来の予測、有益な情報の抽出・解析、高度な人工知能、情報可視化・提示手法の確立(デジタルツイン等)、認知能力の向上・強化(医療含む)、人の精神状態・行動等の測定・評価技術の確立(医療含む) 等
    5. 情報通信
      • 高速・大容量の通信、低遅延な通信、広域な通信、従来よりも高性能な通信・ネットワーク(光通信等)、高性能な情報通信デバイス技術の確立(宇宙等で利用可能な通信デバイス等)、安全性の高いセキュアな通信(量子暗号通信等) 等
    6. 情報セキュリティ
      • サイバーフィジカルセキュリティの実現、効率的・常時継続的なサイバー攻撃の検知・防御・対処、サイバーレジリエンスの強化、高度な暗号(量子暗号、高機能暗号等) 等
    7. マテリアル
      • 新材料・素材の創製(医療含む)、多機能性を有する材料(自己修復機能等)の創製、高性能な材料(耐熱、超軽量等)の創製、高度な製造・加工手法の確立 等
    8. 無人化・自律化
      • 機械の無人化・自律化、高度なヒューマン・マシン・インターフェース(ブレイン・マシン・インターフェース等)、多種・有人機・無人機間の群制御・分散制御 等
    9. 機械(構造、設計、推進等)
      • 高機能・高性能な機械構造、高度な設計・製造プロセス、極超音速飛しょう技術の確立、高度な宇宙航行、長時間・長距離航行 等
▼資料2 総合的な防衛体制の強化に資する取組について(公共インフラ整備)
  • 自衛隊及び海上保安庁は、安全保障環境を踏まえ、必要な場合、以下のような活動を行う。このために、必要な空港・港湾等を整備し、自衛隊・海上保安庁の艦船・航空機が平時から円滑に利用できるようにすることが必要である。
    • 海上保安庁
      • 港湾施設等におけるテロ等の警戒、捜索救難・人命救助、国民保護等を実施。
    • 自衛隊
      • 航空優勢を確保し、我が国に侵攻する部隊の接近・上陸を阻止
      • 状況に応じて必要な部隊を迅速に機動展開。また、国民保護を実施。
  • 空港・港湾等整備・利用の考え方
    • 安全保障環境を踏まえた必要な対応を実効的に行うため、南西諸島を中心としつつ、その他の地域においても、必要な空港・港湾等について、民生利用とのデュアルユースを前提として、自衛隊・海上保安庁の艦船・航空機が利用できるように、整備又は既存事業の促進を図る。
    • 併せて、自衛隊・海上保安庁が、平時から円滑に空港・港湾等の利用ができるよう、インフラ管理者との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設ける。
    • 上記を満たす施設を、特定重要拠点空港・港湾(仮称)とする。
      • 整備
        • 空港の滑走路延長・エプロン整備や港湾の岸壁・航路の整備などを行う。
        • 円滑な利用に関する枠組みを設けることにより、有事のみならず平時においても円滑な利用を確保する
      • 既存事業の促進
        • 自衛隊・海上保安庁の早期かつ円滑な利用に資するよう、既存の整備計画を活用し、整備の促進や追加工事の実施を行う。
        • 円滑な利用に関する枠組みを設けることにより、有事のみならず平時においても円滑な利用を確保する。

~NEW~
消費者庁 ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、 実際には高額な料金を請求するトイレの詰まり修理業者に関する注意喚起
  • 令和4年夏以降、トイレの詰まり修理を提供する事業者のウェブサイト上の「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」などの表示を見た消費者が、低額な料金でトイレの詰まり修理が受けられるものと思い修理を依頼したところ、追加工事が必要などと言われ、高額な料金を請求されたといった相談が、各地の消費生活センターなどに数多く寄せられています。
  • 消費者庁及びさいたま市が合同で調査を行ったところ、RS設備と称する事業者(以下「本件事業者」といいます。)による、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示)を確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼び掛けます。また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
  • 具体的な事例の内容
    • 本件事業者は以下のような行為を行っていました。
      1. トイレが詰まり困っている消費者がウェブサイトで修理業者を検索し、「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」などと、低額な料金でトイレの詰まり修理を行う旨を表示する、本件事業者が運営するウェブサイトである「水の関東24」(以下「本件ウェブサイト」といいます。)を見つけます。
        • 夜間といった他の事業者に連絡がつきにくいときなどに、トイレの詰まりに困った消費者は、本件ウェブサイトの以下のような表示を見ることにより、トイレの詰まり修理を、一般的な料金よりも低額な料金で行ってもらえるという印象を持ちます。
          • 「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」
          • 「トイレのつまり・水漏れ解決 通常1,580円(税込)→220円(税込)~」
          • 「明確な金額を提示!追加料金一切なし!水まわりの交換や修理といった作業時には、作業を開始する前に必ず明確な金額を提示します。また、特殊な例を除いて、お見積もり時になかった追加費用が発生することはありません。」
          • 「悪徳工事業者にご注意ください!!関東の水道業者の中には、修繕を依頼したお客様に対し、依頼した以外の作業を行い、わけの分からない高額な請求をする業者がございます。」、「私たちは業界の健全化を目指し、そういった悪徳水道業者の排除に努めて参ります。」
      2. 消費者からの電話を受け、作業員を派遣します。
        • 消費者が、前記(1)の広告を見て、本件ウェブサイトに表示された本件事業者の電話番号に電話するとコールセンターにつながり、消費者から故障内容などを聞き取って、「今から30分くらいで伺います」などと答えて作業員を派遣します。
        • なお、このときに、コールセンターから、見積りや誰が訪問するかなど詳細な説明はしないこともありました。
      3. 消費者宅を訪問した作業員は作業を開始しますが、追加工事が必要と説明します。
        • 作業員は消費者宅を訪問し、当初は、「たぶんこれで直ります」などと説明して、数千円から数万円程度の比較的低額な料金を示しながら作業を進めます。
        • しかし、作業を進めていくと、「排水管の奥が詰まっているかもしれない」などと、当初の作業ではトイレの詰まりは解消できないとして、便器を外して配管に薬剤を投入したり、機械を使ったりする作業が必要だとして、数万円から十数万円の追加工事が必要であると説明します。
        • 消費者としては、本件ウェブサイトを見て想定していた料金よりも大幅に増額していることは認識しますが、既に修理作業が行われており、ここで作業をやめられても困るなどと考え、追加工事を承認します。
      4. 作業員は追加工事を開始しますが、更に追加工事が必要と説明することがあります。
        • 作業員は、追加工事を開始した後、大掛かりな工事が必要などとして、数十万円の更なる追加工事が必要であると説明することもありました。同様にここで作業をやめられても困るなどと考えた消費者が作業員から提案された追加工事を承認すると、作業員は、消費者に対し、会社に追加工事を依頼する電話をしてほしいとして、「工事請負契約書」に記載の電話番号に電話するよう依頼することがありました。消費者は、なぜわざわざ作業員の会社に電話しなければならないのか疑問に思いながらも、作業員から指定された電話番号に電話し、改めて追加工事の依頼をしていました。
      5. 最終的には、一般的な修理料金よりも数倍高額な料金を請求します。
        • 作業員は工事が終了すると、修理作業の内容と請求金額が記載された「工事請負契約書」を消費者に渡し支払を請求しますが、その金額は、同内容の修理作業の一般的な料金よりも数倍高額なものとなっていました。また、「工事請負契約書」には、事前に消費者に説明のなかった修理作業の費用が計上されていることがありました。
        • 消費者は、トイレの詰まりは修理されたこと、作業員と減額等の交渉をする時間がなかったことなどから請求された料金を支払っていました
  • 消費者庁から皆様へのアドバイス
    1. ウェブサイトに表示された低額な料金をうのみにせず、依頼する前に、作業内容や料金を確認しましょう。
      • 本件事業者はウェブサイトで低額な料金を表示し、一般的な料金よりも低額な料金でトイレ修理が受けられると思わせていました。インターネットで検索をすると、他にも低額な料金を表示するウェブサイトは存在します。これらが全て悪質業者というわけではありませんが、表示された料金で修理作業が完了するとは限りませんので注意が必要です。会社概要や所在地、水道局指定業者か否かなどをチェックして、信頼のおける事業者かを確認しましょう。
    2. 自宅に来た作業員は信頼できる作業員でしょうか。作業内容や請求された料金に納得できないときは、その場で料金を支払うことに慎重になりましょう。
      • 自宅に来た作業員は、依頼した事業者から委託を受けた別の事業者から派遣されてくることもあります。後にトラブルになった場合のためにも、まずは自宅に来た作業員の身元をしっかりと確認し、作業手順やどこが詰まっているのかなどの説明を受けて、見積りを示してもらい、高額だと感じた場合は他の事業者にも料金を問い合わせてみるなどしてみましょう。
      • また、悪質業者は作業をしながら次々と工事を追加し高額な料金を請求します。事前に説明のなかった修理作業の費用が計上されていたりして、作業内容や請求された料金に納得できないときは、家族に相談するなどと伝え、その場で料金を支払うことに慎重になりましょう。
    3. トイレが詰まってしまっても慌てずに、まずは冷静になりましょう。
      • トイレが詰まっても慌てずに、まずは冷静になりましょう。普段から、簡易トイレを数日分備蓄しておいたり、信頼のおける事業者を探しておくとよいでしょう。
    4. ウェブサイトを見て修理依頼した場合であっても、クーリング・オフできる可能性もあります。
      • ウェブサイトの低額な料金を見て訪問修理を依頼したにもかかわらず、実際には消費者のお宅において高額な修理の勧誘を受けて契約した場合、クーリング・オフできる可能性もあります。
      • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
消費者庁 第6回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会
▼公益社団法人日本通信販売協会提出資料(送料無料表示の見直しについて)
  • 協会としての意見・提言
    • 送料無料表示を見直す場合、小売業全体で取り組むことを希望します
      • 協会としては、物流の下請け配送事業者の地位向上に向け、小売業一体となって取り組みたい。
      • その際には、大手プラットフォーマーも含め、市場に影響のある事業者・関係者の協力が不可欠と考える。
      • まずは、送料無料表示を見直すかどうかは事業者の選択に委ねつつ、
      • 送料無料表示をやめ適切な物流コスト負担を表示する事業者にインセンティブを与える奨励策も考えられる。万一、法規制化を検討する場合は「送料弊社(社名)負担」等、コスト負担を表示するよう求める規制を希望。
        • ※通販事業者だけでなく、プラットフォーマー、配送サービス無料をうたう店舗型小売業者も規制対象に含め、公正な競争環境を。
    • 政策の効果を数値検証できる制度を希望します
      • そもそも、日本の総貨物量に占める宅配便の割合はごく限られている。(「宅配便が日本の総貨物量に占める割合は、実際には1.4%をはるかに下回るとみられる。」
      • 政策により下請け配送事業者の地位向上が図られているか、結果を確認できる基準をもって取り組みたい。
      • 送料無料表示を見直す政策を実施する場合、その効果を数値として測定し共有してほしい。
      • 送料無料表示を取りやめる場合は表示変更など事業者もコストを負担して対応せざるを得ない。相応の負担にかなうよう、政策の実施効果は数値検証してほしい。
  • 通販業界および協会の立場について
    • 通販業界も物流業界と問題意識を共にしています
      • 通販は商品を消費者までお届けすることで成り立つ。通販と物流は不可分の関係。通販事業者としても、物流コストの止まらない上昇を防ぐため、下請け配送事業者の待遇改善への抜本的対策を希望。
        • ※通販業界としては、物流コストが度々上昇している実態について社会的な理解を求めたい。これ以上の配送運賃の上昇は、商材によっては、商売が成り立たなくなる通販事業者を生むおそれがある。
    • 通販事業者は配送費の値上げ要請に応じてきています
      • ヤマト運輸のドライバーへの未払残業問題を契機に注目を集めた2017年の宅配クライシス以降、通販業界は配送各社の度重なる値上げ要請に応じ適切なコストを負担してきた。2017年以降に配送料値上げ要請があった会員のうち、値上げ要請に応じた会員割合およそ98%(令和5年7月実施の会員アンケートより)。
  • 法規制化する場合、全事業者・関係者を対象に実効性ある規制を希望します
    • 「(法規制案も奨励案も)いずれも不要」とする回答が最も多かったが、法規制に賛成する事業者のなかでは、通販事業者に加え、プラットフォーマーや店舗型小売業者なども規制対象に含め、実効性ある規制にすることを前提にした意見が目立つ。
    • 送料無料表示に替わる表記は「送料弊社(社名)負担」への賛成が多く、送料を事業者が負担していることが分かり、かつ送料金額を明らかにしない表示を希望する。
      • 事業者が負担する送料金額を表示することを求めると、「送料1円」等の送料の低価格化競争を招くため反対
  • 会員通販事業者からのコメント
    • 「消費者の理解度が低く流通コストが発生していないと誤解される」という論調に疑問。この規制が物流業界の人手不足に対しどのような影響があるのか疑問。
    • Web通販は「送料無料」にしないと検索上位に表示されない等の事情がありやむなく送料無料対応している。大手オンラインモールも含めて抜け道を作らず全事業者が従うことが必要。
    • 「送料無料」とサイト内で表示したとしても、送料は通販事業者で負担するので「送料弊社負担」という表示が嘘偽りのない内容で、ユーザーにとっても分かり易いと思う。
    • 送料無料を謳うことをもし法律で禁止するのであれば、相応の準備期間を用意し、各種チラシやCM広告の修正などの変更費用を補助すべき。
    • 議論の進み方によっては、表記変更コストが発生し、結果的に消費者に要らぬ負担をさせることに繋がる。
    • 弊社は取扱い商品が多岐に渡り、商品によって送料が弊社負担、または仕入先負担(メーカー負担)のケースがあり、一概に「送料弊社負担」とは言いきれない状況となっている。
    • 送料を誰かが負担していることを消費者に認識させるという趣旨からすれば、「○○円以上の注文は送料無料」の表示であれば本来は送料がかかると認識できる。規制する場合でも、「送料無料」を一律に不可とするのではなく、趣旨に反しないのであれば柔軟に工夫できる内容の表示規制を望む。
    • 法規制等によりある一定の強制力をもって「送料無料」表示を禁止することとして決めた方がよいと思う。実際には送料が商品価格に含まれている場合でも「送料無料」として表示する事業者がいると、不公平が残る。
    • 多くの通販事業者にとって送料無料は上位顧客向けの特典や、一部商品のみが対象であり限定的に運用されている。送料無料が消費者に広まっている要因は、消費者の利用が圧倒的に多い大手ECモールが出店者の負担のもとに送料無料をうたっていることや、小売以外のサブスクリプション型サービスを含む有料会員制度によって運送コストを回収することで送料無料をうたっていることなどが考えられる。まずはそういったサービスを提供している事業者を対象に限定的な規制を。
    • 「送料無料」とはいえ販売側が費用負担をしている。消費者も「送料無料」の実態が配送費用が生じていないとの認識はないと思われる。「送料無料」表示の目的は他社との差別化のため自社負担によるサービスである。「送料無料」表示をやめて何か変わるとは思えず、2024年問題の論点は別のところにある。
    • 送料無料表示を禁止すれば、「送料1円」「送料分ポイント還元」など不適正な競争になり、消費者にとっても負担額がわかりにくい。消費者利益を損なうことになる。
    • 通販業界にとって宅配事業者との関係はビジネスの生命線であり、現実的に取引先の選択肢も限られる。値上げだけでなく集荷時間など配送業務関連の要望があれば応じてきた。値上げによる増収分が現場ドライバーに回ってないとすれば、表示の問題よりもそれを改善することが優先課題では。

~NEW~
厚生労働省 令和4年 雇用動向調査結果の概要
▼概況全体版
  • 令和4年1年間の入職者数は7,798.0千人、離職者数は7,656.7千人で、入職者が離職者を141.3千人上回っている。
  • 就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数4,398.3千人、離職者数4,414.9千人で、離職者が入職者を16.6千人上回っている。パートタイム労働者は、入職者数3,399.7千人、離職者数3,241.8千人で、入職者が離職者を157.9千人上回っている。
  • 年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は15.2%、離職率は15.0%で、0.2ポイントの入職超過となった。前年と比べると、入職率が1.2ポイント、離職率が1.1ポイント上昇し、入職超過率は0.1ポイント拡大した。
  • 性別にみると、男性の入職率が13.2%、離職率が13.3%、女性の入職率が17.6%、離職率が16.9%、就業形態別にみると、一般労働者の入職率が11.8%、離職率が11.9%、パートタイム労働者の入職率が24.2%、離職率が23.1%で、女性とパートタイム労働者は入職超過、男性と一般労働者は離職超過となっている。前年と比べると、男女とも一般労働者及びパートタイム労働者で入職率、離職率ともに上昇した。
  • 令和4年1年間の入職者数と離職者数を就業形態、雇用形態別にみると、入職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が3,194.3千人、「雇用期間の定めあり」が1,203.9千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が1,637.7千人、「雇用期間の定めあり」が1,762.0千人となっている。離職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が3,298.1千人、「雇用期間の定めあり」が1,116.8千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が1,024.6千人、「雇用期間の定めあり」が2,217.2千人となっている。前年と比べると一般労働者は、雇用形態を問わず入職者数、離職者数ともに増加した。パートタイム労働者は「雇用期間の定めなし」の入職者数、離職者数、「雇用期間の定めあり」の離職者数が増加した。
  • 令和4年1年間の入職者数、入職率を職歴別にみると、転職入職者数は4,969.9千人で、転職入職率が9.7%、未就業入職者数は2,828.0千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は1,463.3千人で、未就業入職率が5.5%となっている。前年と比べると、転職入職率は1.0ポイント、未就業入職率は0.3ポイント上昇した。
  • 性別にみると、男性は転職入職者数が2,397.0千人、未就業入職者数が1,237.9千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は759.5千人で、転職入職率は8.7%と0.7ポイント上昇し、未就業入職率は4.5%と横ばいとなった。女性は転職入職者数が2,572.9千人、未就業入職者数が1,590.1千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は703.7千人で、転職入職率は10.8%と1.2ポイント、未就業入職率は6.7%と0.6ポイント上昇した。
  • 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職者数が3,014.6千人、未就業入職者数が1,383.7千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は936.7千人で、転職入職率は8.1%、未就業入職率は3.7%となっている。パートタイム労働者は転職入職者数が1,955.3千人、未就業入職者数が1,444.4千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は526.5千人で、転職入職率は13.9%、未就業入職率は10.3%となっている。
  • 令和4年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が1,682.8千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が1,304.6千人、「医療,福祉」が1,138.1千人の順となっている。離職者数は「卸売業,小売業」が1,400.4千人と最も多く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」1,302.3千人、「医療,福祉」が1,210.0千人の順となっている。前年と比べると、入職者数では、「宿泊業,飲食サービス業」が503.3千人増と最も増加幅が大きく、次いで「卸売業,小売業」が163.5千人増となっており、一方、「教育,学習支援業」が120.7千人減と最も減少幅が大きく、次いで「生活関連サービス業,娯楽業」が69.6千人減となっている。離職者数は、「卸売業,小売業」が233.2千人増と最も増加幅が大きく、次いで「医療,福祉」が153.6千人増となっており、一方、「生活関連サービス業,娯楽業」が43.9千人減と最も減少幅が大きく、次いで「教育,学習支援業」が22.7千人減となっている。(表4)
  • 入職率と離職率をみると、入職率では「宿泊業,飲食サービス業」が34.6%と最も高く、次いで「生活関連サービス業,娯楽業」が23.2%となっている。離職率では「宿泊業,飲食サービス業」が26.8%と最も高く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が19.4%となっている。入職超過率をみると、「宿泊業,飲食サービス業」が7.8ポイントと最も高く、次いで、「不動産業,物品賃貸業」が4.6ポイントとなっており、一方、「複合サービス事業」が-4.0ポイントと最も低く、次いで、「電気・ガス・熱供給・水道業」が-3.1ポイントとなっている。
  • 令和4年1年間の転職入職率を性、年齢階級別にみると、25~29歳以下と60~64歳以上で男性が高い、もしくは同率となっているが、30~34歳以上、55~59歳以下では女性が男性より高くなっている。
  • また、男性の転職入職率を就業形態別にみると、すべての年齢階級で一般労働者よりパートタイム労働者の方が高くなっており、女性では20~24歳以下を除く他の階級で一般労働者よりパートタイム労働者の方が高くなっている
  • 令和4年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の個人的理由」19.6%、「その他の理由(出向等を含む)」14.7%を除くと「定年・契約期間の満了」15.2%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」9.1%となっている。女性は「その他の個人的理由」25.0%を除くと「定年・契約期間の満了」10.9%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」10.8%となっている。
  • 前年と比べると、上昇幅が最も大きいのは、男性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」1.1ポイントで、女性は「仕事の内容に興味を持てなかった」2.1ポイントとなっている。
  • 令和4年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は34.9%、「減少」した割合は33.9%、「変わらない」の割合は29.1%となっている。「増加」のうち「1割以上の増加」は24.5%、「減少」のうち「1割以上の減少」は25.2%となっている。前年と比べると、「増加」した割合は0.3ポイント上昇し、「1割以上の増加」の割合は0.8ポイント上昇した。「減少」した割合は1.3ポイント低下し、「1割以上の減少」の割合は1.1ポイント低下した。
  • 前職の賃金に比べ「増加」した割合と「減少」した割合の差をみると、「増加」が「減少」を1.0ポイント上回っている。また、雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では9.5ポイント、パートタイム労働者間の移動では2.2ポイント、それぞれ「増加」が「減少」を上回った。
  • 令和4年1年間の離職率を離職理由別にみると、「個人的理由」(「結婚」「出産・育児」「介護・看護」及び「その他の個人的理由」の合計)によるものは11.0%で、前年と比べると0.9ポイント上昇、「事業所側の理由」(「経営上の都合」「出向」及び「出向元への復帰」の合計)によるものは1.1%で、前年と比べると0.2ポイント上昇した。
  • 性別にみると、「個人的理由」によるものは、男性は8.9%、女性は13.4%で、前年と比べると男性は0.3ポイント、女性は1.7ポイント上昇し、「事業所側の理由」によるものは、男性は1.4%、女性は0.8%で、前年と比べると男性は0.3ポイント、女性は0.2ポイント上昇した。

~NEW~
厚生労働省 世界メンタルヘルスデーJAPAN 2023特設サイト
▼メンタルヘルスとは
  • メンタルヘルスについて
    • メンタルヘルスとは体の健康ではなく、こころの健康状態を意味します。体が軽いとか、力が沸いてくるといった感覚と同じように、心が軽い、穏やかな気持ち、やる気が沸いてくるような気持ちの時は、こころが健康といえるでしょう。
    • しかし、だれでも気持ちが沈んだり、落ち込んだりすることはあります。日々の生活の中でストレスを感じることも少なくありません。気分が落ち込んだり、ストレスを感じることは自然なことですが、このような気分やストレスが続いてしまうと、こころの調子をくずしてしまう原因にもなります。さらにこころの不調は、周囲の人に気づかれにくく、自分からも伝えづらいため、回復に時間がかかってしまうこともあります。
    • 世界メンタルヘルスデーJAPANは、こころの健康に欠かせない“人とのつながり”を大切にしたイベントです。「つながる、どこでも、だれにでも」をテーマに掲げ、こころを支える輪を築いていきたいと思います。
  • こころの病気は誰でもかかりうる病気です
    • 近年、こころの病気は増えていて、生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるともいわれています。こころの病気は特別な人がかかるものではなく、ストレスなどが積み重なることがきっかけとなって、かかってしまうことがあるように、誰でもかかる可能性があるのです。眠れない、気分が沈む状態が続いてしまうなど、人によって症状はさまざまです。
    • そのため、こころの調子をくずしてしまった場合は、ひとりで抱え込まずに家族や友人など、身近な人に相談しましょう。身近な人には相談しづらい場合や、相談できる人が周りにいない場合は、こころの相談窓口などに、あなたの不安やつらい気持ちを伝えてください。
  • みんなのメンタルヘルスを大切にする、誰もが暮らしやすい社会のために
    • みんなのメンタルヘルスを大切にしながら、誰もが安心して自分らしく暮らすことができる地域づくりを進めるためには、自治体による取り組みに加え、地域の皆様とともに、差別や偏見のない、あらゆる人が共生できる包摂的(インクルーシブ)な社会を築くことが重要です。また、「支える側」・「支えられる側」という関係を超えて、相互に助け合える社会を築いていくことも重要となります。
    • 厚生労働省では、これらの実現に向け、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(※)の構築をすすめています。
      • ※「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」とは、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加(就労など)、地域の助け合い、普及啓発(教育など)が包括的に確保されたシステムのことであり、地域共生社会の実現に向かっていく上で欠かせないものです。

~NEW~
経済産業省 ALPS処理水の処分に伴う経営・輸出等の対策に関する特別相談窓口の設置及びアドバイザーの派遣を行います
  • 政府は、令和3年4月に、ALPS処理水を海洋放出する基本方針を決定し、本年8月22日には、政府としてALPS処理水の処分が完了するまで安全確保、風評対策・なりわい継続に全責任を持って取り組むことを確認した上で、海洋放出開始は8月24日を見込むと示し、東京電力ホールディングス株式会社が同日に放出を開始しました。
  • 他方、ALPS処理水の放出に関しては、新たな風評影響の発生についてご懸念の声をいただいていることから経営・輸出等について事業者の皆様からのご相談を受け付ける体制を改めて整備しました。
  1. 特別相談窓口の設置
    • 中小企業基盤整備機構(全国の地域本部及び沖縄事務所)、日本貿易振興機構(ジェトロ)(本部、大阪本部、全国の事務所)及びよろず支援拠点(北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県及び千葉県の地域)に特別相談窓口を設置します。(3.参照)
    • ご利用例
      • 売上げの減少等のお悩みを抱えている中小企業等の相談に対して、新たな販路の拡大や新商品の開発などの支援策情報を提供し、ハンズオンで支援を行います。
      • 食品輸出に当たって現地通関、物流、取引先とのトラブルが生じた中小企業等の相談に対してアドバイスを行うほか、新たな海外販路開拓に関する相談に対応します。
  2. アドバイザーの派遣
    • 中小企業基盤整備機構北海道本部、東北本部(福島支援センター含む)及び関東本部は、アドバイザーを派遣し、事業計画の策定や販路開拓等に関する相談及びアドバイスを行います。
    • ご利用例
      • 売上げの減少等のお悩みを抱えている中小企業等を訪問し、個別の課題等を確認しながら、事業計画の策定や生産性改善の提案等を行います。

~NEW~
経済産業省 「ビジネスと人権」の対話イベントを開催します 「アジアにおける責任あるビジネス、人権そしてディーセント・ワーク ~人権と包摂的な成長の相乗効果を活かして~」
  • 経済産業省は、アジア諸国において、ビジネスと人権に関する議論を深める機会として、国際労働機関(ILO)と共催で、対話イベントを開催します。
  • 概要
    • 近年、ビジネスと人権に関する国際的な議論がより活発になる中、本年4月のG7貿易大臣声明において、ビジネスと人権について、G7内外で議論を深める必要性や、人権尊重の確保に向けた取組を他国にも呼びかけることを確認しています。
    • この声明に基づき、経済産業省は、アジア諸国において、ビジネスと人権に関する議論を深める機会として、国際労働機関と共催で、対話イベントを開催します。
    • 本イベントでは、G7・アジア諸国を中心に、政府、産業界、労働団体、有識者の方々をお招きし、人権尊重・責任ある労働慣行の取組を推進する各国固有の経験やアプローチを共有し、また、人権尊重と包摂的な成長の相乗効果に関する重要性の認識を深めることを目指します。
    • 経済産業省では、企業が積極的に人権尊重に取り組める環境の整備に向けて、国内外でビジネスと人権に関する議論を一層活発化させるべく、引き続き取組を進めてまいります。
  • 開催概要
    • 開催日時:2023年9月18日(月・祝)
    • インドネシア時間8:30から17:40(日本時間10:30から19:40)
    • 場所:インドネシア・ジャカルタ(会場開催・オンライン視聴のハイブリッド形式)
    • 参加費:無料
  • セッション概要
    • 基調講演
      • 「持続可能な未来に貢献する人権と包摂的成長の相乗効果を如何に促すか」
    • セッション1
      • 責任あるビジネスと労働慣行を通じた持続可能な成長の解放:G7及びアジア諸国のアプローチ
    • セッション2
      • 人権、ディーセント・ワーク、包摂的な成長の相乗効果に貢献する技能開発
    • セッション3
      • 責任ある企業行動:企業レベルでのイニシアチブ

~NEW~
経済産業省 「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!
  • 本日より、「健康経営銘柄2024」及び「健康経営優良法人2024」の申請受付を開始します。今年度調査の主な変更ポイントは、(1)情報開示の促進、(2)社会課題への対応、(3)健康経営の国際展開です。また、中小規模法人の取組促進に向けて、本年度からブライト500申請企業に対して、各項目の取組状況を偏差値で表したフィードバックを行います。
  1. 健康経営への関心の高まり
    • 経済産業省では、健康長寿社会の実現に向けた取組の1つとして、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取組を戦略的に実践する「健康経営」を推進するため、健康経営に取り組む法人が社会的に評価される環境を整備することを目的に、平成26年度から東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」の選定を開始し、平成28年度からは日本健康会議と共同で「健康経営優良法人認定制度」を運営してきました。
    • 取組企業が年々増えている健康経営は、令和4年6月7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」にも位置づけられ、人的資本経営の土台として注目されるとともに、投資家や就活生等が健康経営優良法人認定の有無を企業評価に活用する動きも見られるなど、企業戦略としての位置づけに関心が高まっています。
  2. 健康経営優良法人認定制度について
    • 健康経営を実践している企業等が社会的に評価される環境を整備することを目的に、企業規模別に「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門において、「健康経営優良法人」を日本健康会議外部リンク※2が認定する制度です※3。
    • なお、本年度は公募の結果、日本経済新聞社が同制度の運営事務局となり、積極的な広報活動等を通じて健康経営の更なる普及に取り組みます。(「令和5年度健康経営制度運営事業」により補助)
      • ※2経済団体、医療団体、保険者などの民間組織や自治体が連携し、職場、地域で具体的な対応策を実現していくことを目的に組織された活動体。
      • ※3健康経営優良法人2024認定申請には申請料が必要です。
    • 健康経営優良法人2024(大規模法人部門)の認定について
      • 令和5年度健康経営度調査の回答に基づき、要件の達成状況を判定します。大規模法人部門の上位法人500社は、「ホワイト500」として認定されます。
    • 健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)の認定について
      • 健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定申請書の内容に基づき、要件の達成状況を判定します。中小規模法人部門の上位法人500社は、「ブライト500」として認定されます。
  3. 健康経営度調査の実施について
    • 健康経営度調査とは、法人の健康経営の取組状況と経年での変化を分析するとともに、「健康経営銘柄」の選定及び「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定にあたっての基礎情報を得るために実施される調査です。
    • 認定の前提となる同調査への回答法人数も年々増加しており(昨年度は3,169法人)、特に日経平均株価を構成する225銘柄の8割を超える企業が回答するなど、各業界のリーディングカンパニーの多くが経営戦略の一つとして健康経営に取り組んでいます。
    • 令和5年度調査のポイント:令和5年度は、主に以下の点について変更しました。
      • 情報開示の促進
        • 人的資本に関する非財務情報の開示・評価の動向を踏まえつつ、健康経営の質の向上を図るため、特定健診・特定保健指導の実施率や、業務パフォーマンス指標の測定及び開示を評価対象とし、さらに、労働安全衛生・リスクマネジメントの開示状況について問う設問を追加します。
      • 社会課題への対応
        • 子育てや親の介護、女性特有の健康課題等による従業員の心身の負担が社会的な課題となっていることを踏まえ、従業員の業務パフォーマンスを最大化し、組織の活力を高めるため、個別事情に応じた柔軟な働き方や生産性低下防止に関する設問を新たに追加します。
      • 健康経営の国際展開
        • 健康経営の国際的な普及促進の検討にあたり、海外駐在員や現地法人の健康増進、健康課題への対応状況について把握することを目的とした設問を追加します。(評価には用いない)
  4. 回答企業へのフィードバックについて
    • 健康経営度調査に回答いただいた法人(大規模法人部門)に対し、全法人における評価順位や偏差値等を記載したフィードバックシートの交付を引き続き行います。
    • また、今年度から、中小規模法人の更なる裾野拡大を目指すとともに、既に取り組んでいる法人にとっても、より健康経営の取組を強化してもらうため、ブライト500申請法人に対しても、結果のフィードバックを行います。
    • なお、次年度以降、中小規模法人に申請する全法人に対してフィードバックを行うことを検討します。
  5. 健康経営銘柄の選定について
    • 経済産業省及び東京証券取引所が共同で、特に優れた健康経営を実践している上場企業を「健康経営銘柄」に選定し、投資家にとって魅力ある企業として紹介します。令和5年度健康経営度調査の回答に基づき評価を行います。
  6. 今後のスケジュール
    • 令和5年度健康経営度調査回答期間
      • 令和5年8月21日(月曜日)~令和5年10月13日(金曜日)17時
    • 健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定申請期間
      • 令和5年8月21日(月曜日)~令和5年10月20日(金曜日)17時
    • 選定・認定時期
      • 令和6年3月頃(予定)

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