危機管理トピックス

国際テロリズム要覧2023(公安調査庁)/労働経済の分析(厚労省)/新しい時代の働き方に関する研究会(厚労省)

2023.10.03
印刷

更新日:2023年10月2日 新着31記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

内閣官房
  • 新しい資本主義実現会議(第22回)
  • 全世代型社会保障構築本部(第9回)議事次第
  • 第1回 インボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議 議事次第
首相官邸
  • 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議
  • 犯罪被害者等のための施策の推進に関する業務の基本方針について
内閣府
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
  • 令和5年第12回経済財政諮問会議
  • 企業間取引の成立におけるCEO間のジェンダーバイアスについて
消費者庁
  • PIO-NETを利用した消費者問題の傾向分析 ~テキストマイニングを用いた時系列データのトピック比較~
  • 食品ロス削減に向けた取組について
  • 電話勧誘販売業者【塚本水産株式会社及び株式会社P.Sホールディングス】に対する行政処分について
国民生活センター
  • 不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!-訪問購入のトラブルが増えています-
  • 【新手の詐欺】「○○ペイで返金します」に注意!-ネットショッピング代金を返金するふりをして、送金させる手口-
  • 防ごう 子どものベランダや窓からの転落事故
  • リーフレット「くらしの危険」
厚生労働省
  • 第2回健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会
  • 10月は「年次有給休暇取得促進期間」です~ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて年次有給休暇の取得を促進~
  • 第61回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
  • 10月は中小企業退職金共済制度の「加入促進強化月間」です~掛金の一部を国が助成する「安心・簡単・有利」な中小企業のための退職金制度~
  • 「令和5年版 労働経済の分析」を公表します~分析テーマは「持続的な賃上げに向けて」~
  • 新しい時代の働き方に関する研究会 第14回資料
経済産業省
  • 海外現地法人四半期調査(2023年4月から6月期)の結果を取りまとめました
  • 令和5年度「なでしこ銘柄」・「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の募集を本日より開始します
総務省
  • 情報通信審議会 電気通信事業政策部会 ユニバーサルサービス政策委員会 ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度における交付金・負担金の算定等に関するワーキンググループ(第2回)配布資料・議事概要
  • 民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用- イツモスマイル株式会社及び一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワークによる空き領域の利用 -
  • プラットフォームサービスに関する研究会(第48回)配付資料
  • 労働力調査(基本集計) 2023年(令和5年)8月分結果

~NEW~
金融庁 偽造キャッシュカード等による被害発生等の状況について
  • 偽造キャッシュカード、盗難キャッシュカード、盗難通帳、インターネットバンキング及び連携サービスによる預金等の不正払戻し等の被害について、各金融機関からの報告を基に、被害発生状況及び金融機関による補償状況を別紙1~5のとおり取りまとめました。
  • 当庁HP「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。」
    • インターネットバンキングによる預金の不正送金事案が引き続き増加しています。被害の多くは、メールやショートメッセージサービス(SMS)、メッセージツール等によりフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、IDやパスワード等の情報を窃取する手口によるものです。こうした状況を踏まえ、不正送金の主な手口や注意点について以下の通り公表し、注意喚起を行っています。
  • https://www.fsa.go.jp/ordinary/internet-bank_2.html

  • 当庁HP「キャッシュカード窃取等による預金の不正引出しが多発しています。」
    • キャッシュカード窃取等による預金の不正引出し事案が多発しています。被害の多くは、警察官等を装った犯人が被害者を往訪し、キャッシュカードを騙し取ったり、被害者が目を離したすきにキャッシュカードをすり替えて窃取する手口によるものです。こうした状況を踏まえ、キャッシュカード窃取等の主な手口や注意点について以下の通り公表し、注意喚起を行っています。
  • https://www.fsa.go.jp/ordinary/cashcard_theft.html

~NEW~
警察庁 中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃について
▼中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃について(注意喚起)
  • 警察庁及び内閣サイバーセキュリティセンターは、米国家安全保障局(NSA)、米連邦捜査局(FBI)及び米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラ庁(CISA)とともに、下記の中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」(ブラックテック)によるサイバー攻撃に関する合同の注意喚起を発出しました。
  • BlackTechは、2010年頃から日本を含む東アジアと米国の政府、産業、技術、メディア、エレクトロニクス及び電気通信分野を標的とし、情報窃取を目的としたサイバー攻撃を行っていることが確認されています。
  • この注意喚起は、BlackTechによるサイバー攻撃の手口を公表することで、標的となる組織や事業者に、直面するサイバー空間の脅威を認識いただくとともに、サイバー攻撃の被害拡大を防止するための適切なセキュリティ対策を講じていただくことを目的としております。あわせて、ネットワークの不審な通信を検知した際には、速やかに所管省庁、警察、セキュリティ関係機関等に情報提供いただきますようお願いします。
  • なお、注意喚起に示したBlackTechの手口及び対処例の主な内容は、以下のとおりとなります。
    • 初期侵入
      • BlackTechは、インターネットに接続されたネットワーク機器に対し、ソフトウェアの脆弱性を狙うほか、ネットワークの設定の不十分さ、サポートの切れた機器・ソフトウェアなど、標的ネットワークの様々な脆弱な点をサイバー攻撃することにより侵入します。
    • 海外子会社からの侵入
      • BlackTechは、最初の足がかりとなる侵害拠点を構築すると、侵害活動を拡大させるため、海外子会社の拠点において、本社との接続のために使用される小型のルーターを、攻撃者の通信を中継するインフラとして利用します。このようにBlackTechは、信頼された内部のルーターを通じて、本社や別の拠点のネットワークへ侵入を拡大することが確認されています。
      • 特に複数の拠点を有するネットワークの管理に携わる事業者においては、サイバー攻撃が常にインターネット側から行われるとは限らず、既に侵害された組織内部のネットワークから攻撃が行われ得ることを念頭に置いていただき、自組織だけでなく関連するグループ組織、システムの開発・保守業者等と連携して対策を講ずることが必要です。
    • ルーターの侵害手口
      • BlackTechは、様々なメーカーのネットワーク機器を侵害するために脆弱性を調査していると考えられます。BlackTechは、稼働中のシスコ社製ルーターのファームウェアを、改変されたファームウェアに取替えることが確認されています。改変されたファームウェアに取替えることにより、BlackTech自身の悪意あるサイバー活動のログを隠蔽し、より長期にわたり、標的ネットワークへのアクセスを維持することが目的と考えられます。
  • リスク低減のための対処例
    • 対処例の主な内容は、次のとおりです。注意喚起本文もあわせて参照の上、サイバー攻撃を検知し、自組織のネットワークを守るための緩和策を講じていただくようお願いします。
      1. セキュリティパッチ管理の適切な実施
        • ソフトウェアや機器の脆弱性に対して、迅速にセキュリティパッチを適用する。パッチ適用を可能な限り迅速化し、適用漏れをなくすため、脆弱性管理やパッチ管理を行うプログラムの導入を検討する。
      2. 端末の保護(いわゆるエンドポイント・プロテクション等)
        • 端末(PC、タブレット端末、スマートフォン等)のセキュリティ機能の活用や、セキュリティ対策ソフトの導入を行う。
      3. ソフトウェア等の適切な管理・運用、ネットワーク・セグメンテーション
        • ソフトウェア及び機器のリストを管理し、不要と判断するものは排除する。また役割等に基づいてネットワークを分割する。
      4. 本人認証の強化、多要素認証の実装
        • パスワードスプレー攻撃やブルートフォース攻撃によって認証が破られるリスクを低減するために、パスワードは十分に長く複雑なものを設定する。また、複数の機器やサービスで使い回さない。システム管理者等においては、多要素認証を導入し本人認証をより強化する。
        • また、不正アクセスを早期に検知できるようにするために、ログイン試行を監視する。
      5. アカウント等の権限の適切な管理・運用
        • アカウントやサービスの権限は、そのアカウント等を必要とする業務担当者にのみ付与する。特権アカウント等の管理・運用には特に留意する。
      6. 侵害の継続的な監視
        • ネットワーク内で不審な活動が行われていないか継続的に監視を行う。たとえば、業務担当者以外がシステムやネットワークの構成に関する資料へアクセスするといった通常の行動から外れた活動や、外部の様々な脅威情報と一致するような不審な活動の監視を行う。
      7. インシデント対応計画、システム復旧計画の作成等
        • インシデント発生時に迅速な対応をとることができるように、インシデント対応の手順や関係各所との連絡方法等を記した対応計画を予め作成し、随時見直しや演習を行う。また包括的な事業継続計画の一部としてシステム復旧計画の作成等を行う。
      8. ゼロトラストモデルに基づく対策
        • 境界防御の効果が期待できない場合を踏まえた認証等の強化を図るとともに、インシデントの予兆を把握した段階で即時に検知と対処ができるような仕組みや体制を整備する。

~NEW~
公安調査庁 国際テロリズム要覧2023
▼国際テロリズム要覧2023のポイント
  • 「国際テロリズム要覧2023」発行に当たって
    • ロシアによるウクライナ侵略やアフリカ各地で発生するクーデターに加え、各国による重要技術の確保に向けた取組等、国際社会が安全保障上重視すべき対象が拡大。国際テロの脅威も依然として世界各地に存在
    • 国連安保理制裁委員会においても、「コロナ禍」での各種制限の解除に伴う広範囲にわたる人的活動の再開による国際テロの脅威に対処することの重要性を指摘。こうした状況下、国際テロ組織等の活動が活発化する兆候が見受けられるほか、サイバー空間・先端技術を活用することにより、様々な場面でテロの脅威が存在
    • 「国際テロリズム要覧2023」では、専門用語等を脚注で詳しく説明するとともに、図表を効果的に活用することで、より一層読みやすさと分かりやすさの向上につながるようにして、最近のテロの情勢や脅威について国民の理解を深め、テロに対する危機意識を高めるよう情報発信
    • 日本人が海外でテロ被害に遭わないようにするため、国連安保理制裁委員会による制裁決議の対象である国際テロ組織等を網羅的に掲載し、組織の概要のほか、最近のテロや活動状況を記載
  • 2022年の国際テロ情勢
    • アフガニスタンが国際テロの起点となることへの懸念が継続
    • 世界各地で国際テロの脅威が継続
  • “二大国際テロ組織”の動向
    • ISILは、最高指導者の死亡が相次ぐも、組織の結束が維持されていることを誇示。アフリカの関連組織の勢力拡大も援護
    • 「アルカイダ」は、「タリバン」によるアフガニスタンの実権掌握後に声明等の発出件数を増加。影響力の維持・拡大を企図
  • 幹部の死亡が相次ぐ国際テロ組織のすう勢とその脅威
    • 国際テロを取り巻く環境が変化する中、2022年はISILと「アルカイダ」の最高指導者が共に死亡したとされる初めての年に。しかしながら、組織の解体に至らず。最高指導者死亡の影響については限定的との指摘
    • 米軍等のアフガニスタン撤退や各国の政情不安、ドローンやSNS等の技術を活用することによる活動空間の多様化等、国際テロ組織にとって、活動範囲を拡大し得る状況が新たに生じるなど、今後も様々な環境に適応しながら活動を続けていく状況
  • アフガニスタンが国際テロの起点となることへの懸念が継続
    • アフガニスタンにおいては、「タリバン」が2021年8月に実権を掌握して以降も、様々な国際テロ組織が活動を継続していると指摘
    • 「アルカイダ」については、協調する「タリバン」が、「アルカイダ」に自由に活動できる環境をもたらしているとの指摘
    • 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)関連組織「ホラサン州」が、アフガニスタンを拠点に活動しており、国際テロ実行のための能力を向上させる可能性が指摘
  • 世界各地で国際テロの脅威が継続
    • 世界各地では、ISIL、同関連組織、「アルカイダ」関連組織等によるテロが継続
    • アフリカのサヘル諸国、ソマリア等では、ISIL及び「アルカイダ」の両関連組織がテロを頻発させ、治安の更なる悪化が懸念
    • イラク及びシリアでは、ISILが治安部隊や市民を狙ったテロを継続的に実行
    • アフガニスタンやパキスタンでは、「ホラサン州」が耳目を引くテロを実行
    • 東南アジア地域では、ISIL関連組織が、取締りを受けながらも、従来から拠点とするフィリピン南部を中心に活動を継続
    • 欧州では、ノルウェー首都オスロで、イスラム過激主義者とされる男によるテロが発生
  • 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL):最高指導者の死亡が相次ぐも、組織の結束が維持されていることを誇示。アフリカの関連組織の勢力拡大も援護
    • 2022年中に2人の最高指導者が死亡するも、いずれも翌月に新最高指導者就任を発表。メンバーによる忠誠表明時の画像を公開
    • 最高指導者死亡に対する報復を呼び掛けた際(4月)には、自組織及び関連組織によるテロが一時的に増加
    • 度々呼び掛けてきた刑務所等襲撃によるメンバーの解放が各地で行われるなど、関連組織に対する影響力を維持していることを示したほか、アラビア語週刊誌で、アフリカの関連組織の活動を頻繁に取り上げ、その活動ぶりを称賛
    • イスラム教徒に対し、初めてアフリカへの移住を呼び掛け
  • 「アルカイダ」:「タリバン」のアフガニスタン実権掌握後に声明等の発出件数を増加。影響力の維持・拡大を企図
    • 協調関係にある「タリバン」がアフガニスタンの実権を掌握した2021年8月以降、減少傾向にあった声明等の発出件数を増加
    • 米国が、首都カブールの空爆により最高指導者アイマン・アル・ザワヒリを殺害したと発表(8月)。その後、声明等の発出は続くも、同人の生死に言及しない状態が継続
    • 機関誌では、ソマリアを拠点とする関連組織「アル・シャバーブ」の活動を称賛
  • 国際テロを取り巻く環境が変化する中、2022年は「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)と「アルカイダ」の最高指導者が死亡したとされる初めての年
    • 2021年、駐留米軍等がアフガニスタンから撤退。2022年には、駐留フランス軍がマリから撤退し、各国の国際テロ対策が、現地における直接的な対応から一部変化しつつある状
    • こうした国際テロを取り巻く環境が変化する中、ISILと「アルカイダ」の最高指導者を始めとする幹部が相次いで死亡したとされることは、各国の国際テロ対策の成果と評価
  • ISIL等は、組織の解体に至らず、依然各地でテロを継続。最高指導者死亡の影響については限定的との指摘
    • 最高指導者が死亡したとされる事態に対し、ISILは、関連組織に対して報復を呼び掛けるとともに、新最高指導者への忠誠表明を要求するなど、組織内の結束を維持しようとする動き。ISILによるテロは、報復の呼び掛けに呼応する形で一時的に増加。一方、「アルカイダ」は、最高指導者の生死に言及せずに宣伝活動を継続
    • 最高指導者が死亡したとされる中にあっても、両組織の関連組織は、テロを従前どおり実行。ISIL及び「アルカイダ」並びに各関連組織の活動への影響は限定的との指摘
  • ISIL等にとっては、活動範囲を拡大し得る状況が新たに生まれるなど、様々な環境に適応しながら活動を続けていく状況
    • アフガニスタンでは、「ホラサン州」が、駐留米軍等の撤退によって生まれた安全保障上の空白を利用。アフガニスタン発の国際テロの脅威を強める可能性も指摘。「アルカイダ」も、活動上の自由を享受
    • アフリカでは、ISILや「アルカイダ」の関連組織が、政情不安に起因する緊張を利用。ソマリアでは、警備が厳重な地域でのテロを実行するなど、テロ実行能力の高さを誇示。駐留フランス軍が撤退したマリでは、治安当局等へのテロを継続。両組織の指導部は、アフリカへの関心の高さを示し、関連組織による勢力拡大を援護
    • サイバー空間では、ISIL等の思想に共感しつつ自律的に宣伝活動を行う個人やグループが、テロ手法を始めとする各種の手法を指南
    • 固定翼型ドローンを用いた攻撃、NFT(非代替性トークン)を始めとするブロックチェーン技術を用いた資金調達活動等、先端技術の利用拡大が懸念されるとの指摘

~NEW~
国土交通省 第4回グリーンインフラ大賞の募集を開始~グリーンインフラに関する優れた取組・計画事例を表彰します~
▼(別紙2)グリーンインフラ大賞の募集 概要
  • 事業主旨
    • 新たな『グリーンインフラ推進戦略2023(令和5年9月公表)』では、「グリーンインフラのビルトイン」により、人々が社会において、自然を守り育てるとともに、自然から持続的にその恩恵を受けながら、その中で様々な活動を行う「自然と共生する社会」の実現を目指しており、これを体現する取組事例を会員の皆さまから募集します。
    • 第4回グリーンインフラ大賞の募集は、第1回~第3回において対象とした実施済みの事例だけでなく、グリーンインフラのビルトインに向けた企画・計画についても対象とします。
    • 応募された事例のうち優れた取組事例は、グリーンインフラ大賞として選定し、表彰を行うとともに、事例集の発行、WEBサイトへの掲載などにより広く情報発信し、グリーンインフラへの取組の周知を図ります。
    • 以上を通じて「自然と共生する社会」の実現を目指したグリーンインフラへの社会実装を加速化します。
  • 募集対象とする取組事例
    • グリーンインフラに関する実施済みの事例、及びグリーンインフラのビルトインに向けた企画・計画に関する事例を対象とします。
    • グリーンインフラに関する取組全般を対象とします。
    • 企画・計画、施工中の事業も対象とします。
    • 企画・計画、施工中の事業で応募される場合の例
      • 流域圏、都道府県、市区町村等、広域圏や行政単位において、グリーンインフラの導入を推進する計画
      • 地区計画、区画整理事業等、一定の区域においてグリーンインフラの導入を推進する計画
      • 道路・公園等の個別の都市施設の整備事業計画、再開発事業のランドスケープ計画等、個別の事業において具体のグリーンインフラの導入を図るための企画・計画
        • ※2022年度まで実施しておりました「防災・減災部門」「生活空間部門」「都市空間部門」「生態系保全部門」の区分は、2023年度の応募においては行いません。
  • 審査方法
    • グリーンインフラに関して専門的知見を有する有識者で構成する審査会を設置
    • 審査会による審査により、国土交通大臣賞、特別賞、及び優秀賞を選定
      • グリーンインフラに関する取組において「国土交通大臣賞」に値する特に優れたものを2件選定し、表彰 また、「国土交通大臣賞」に準ずる優れたものを「特別賞」として最大4件選定し、表彰
      • 国土交通大臣賞、特別賞以外の事例から、優秀賞を数件選定し、表彰
      • 「国土交通大臣賞」、「特別賞」、「優秀賞」の全表彰件数は第1回~第3回グリーンインフラ大賞の国土交通大臣賞、優秀賞の表彰件数と同程度を予定。
    • 審査会審査委員は、各賞の決定まで非公表
  • 応募資格
    • 「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」の会員であること。
    • 応募時点で会員でない場合は、必ず10月31日の応募〆切までにグリーンインフラ官民連携プラットフォームHPより会員登録を行ってください。連名で応募する団体、個人を含め全ての方・団体が対象となります。
  • グリーンインフラ大賞に関して
    • 評価の主な視点
      • グリーンインフラ推進戦略2023の「自然と共生する社会」に合致
      • 地域の複合的な課題が明示され、その解決を目的
      • 関係者との連携した取組、連携を念頭においた企画・計画
      • 多面的な効果がある取組、多面的な効果を目標とした企画・計画
      • 効果を発揮させるための工夫
      • 面的な広がりが期待
    • 応募・受賞のメリット
      • 国土交通大臣賞受賞者には表彰状と盾、特別賞受賞者・優秀賞受賞者には表彰状を進呈
      • 受賞事例のPR支援
      • グリーンインフラ事例集への掲載
    • 来年度以降も新たな取組や工夫を追加していただき再応募できます。
    • 広く事例を収集するため、グリーンインフラに取り組んでいる事業者や地方公共団体の他部署への展開等にご協力をお願いします。

~NEW~
内閣官房 新しい資本主義実現会議(第22回)
▼資料1 新しい資本主義の推進についての重点事項(案)
  • 経済対策
    • 以下の点を中心に、経済対策を立案する。
      • 足元の急激な物価高から国民生活を守るための対策
      • 地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現
      • 成長力の強化・高度化に資する国内投資促進
      • 人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動・推進
      • 地方の成長を図る国土強靭化など国民の安全・安心の確保
    • 足元の急激な物価高から国民生活を守るための対策
    • 地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現
      • 減税措置
        • 中小企業等についての賃上げ税制について、繰越控除・措置の期限の在り方等減税措置の強化を検討する。
      • 予算その他の措置
        • 「年収の壁」を乗り越えるための支援を新たな最低賃金が動き出す来月から実施するとともに、正しい制度理解、認識の周知を図る。
        • 最低賃金については、さらに着実に引き上げを行っていく必要がある。政府としては、引き続き、公労使三者構成の最低賃金審議会で、毎年の賃上げ額についてしっかりと議論いただき、その積み上げにより2030年代半ばまでに全国加重平均が1,500円となることを目指す。
        • 中小・小規模企業の賃金引上げ及び人手不足解消のため、省人化(人手不足解消)・省力化(高いエネルギーコストの節約)投資への簡易で、即効性がある支援措置を実施する。
        • 地方においても賃上げが可能となるよう、中小・中堅企業が工場等の拠点を新設する場合、又は、大規模な設備投資を図る場合について、支援措置を実施する。
        • 最低賃金の継続的な引上げのため、事業再構築や業務改善等の中小・小規模企業向けの支援措置を充実する。
        • 保証料の上乗せ負担とこれに対する支援措置の検討を含め、経営者保証を不要とする信用保証制度の創設を、年度内に前倒しして実施する。
        • 内閣官房及び公正取引委員会は、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を年内に策定する。具体的には、
          • 労務費について取引価格に転嫁する取組方針を、発注者側は経営トップまで上げて決定し、その取組状況を定期的に経営トップに報告すること
          • 定期的に労務費の転嫁について受注者側との協議の場を設けること
          • 受注者側が準備する根拠資料は、負担にならないよう、当該地域の最低賃金の上昇率、春闘の妥結額の平均上昇率など公表資料を可能な限り用いること
            等により、取引適正化に向けた取組を強化する。
        • 同一労働・同一賃金制について、労働基準監督署による調査結果を踏まえ、基本給・賞与の差の根拠の説明が不十分な企業などについて、文書で指導を行い、経営者に対応を求めるなど、その施行を徹底する。
        • 職務給の導入のため、ジョブの整理・括り方、人材の配置・育成・評価方法、ポスティング制度、リ・スキリングの方法、従業員のパフォーマンス改善計画(PIP)、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係、休暇制度等について事例を整理し、年内又は年度内に取りまとめる。この際、企業の実態に合った改革が行えるよう、自由度を持ったものとするとともに、中小・小規模企業等の導入事例も紹介する。
        • 職種別・エリア別に、賃金相場の前年との比較、求人数等について官民の求職・求人情報の共有化を本年度内に実施。処遇のよい職に助言できるよう、キャリアコンサルタント等へ情報共有を図るとともに、更にその充実を図る。
        • 非正規雇用労働者の正規化を加速化するため、有期雇用労働者等を正社員化する場合の支援措置を強化するとともに、対象となる有期雇用労働者の雇用期間の制限を緩和する。
        • 在職中の非正規雇用労働者のリ・スキリング支援を創設する。
        • 教育訓練給付の拡充策等について、年末までに結論を得る。
        • 省エネ効果の高い住宅の新築・リフォームや断熱窓・高効率給湯器への改修を支援する。
        • 資産運用業及びアセットオーナーシップの改革、並びに、資産運用業への新規参入と競争の促進等のため、資産運用立国にかかる政策プランを年内に策定する。
      • 成長力の強化・高度化に資する国内投資促進
        • 減税措置
          • 国内投資促進について、初期投資コスト及びランニングコストが高いため、民間として事業採算性に乗りにくいが、特段に国として戦略的に長期投資が不可欠となる投資を選んで、減税制度の創設を検討する。
          • 我が国においても、海外と比べて遜色なく民間による無形資産投資を後押しする観点から、特許権等の知的財産から生じる所得に対して優遇する減税制度の創設を検討する。
          • スタートアップのストックオプション関連の法制度や税制を早急に使い勝手のよいものとするため、株主総会から取締役会への委任内容の拡大等、会社法の特例を規定した法案の国会への提出を図る。また、ストックオプション税制の権利行使額の上限額の引き上げ等、減税措置の充実を検討する。
          • 企業の参入・退出を促進するため、親族や長く勤めた従業員が事業を承継する場合の事業承継税制について、減税措置に係る特例承継計画の申請期限の延長等を検討する。
        • 予算その他の措置
          • 全ての金融債権者の同意を必要とせず、多数決により金融債務の減額を可能にする事業再構築法案を早期に国会に提出する。
          • 社会的起業家を育成するため、インパクトスタートアップの認証制度における企業選定を年内早期に実施する。
          • AI用の計算資源や学習データが不足している状況に鑑み、その確保を図るとともに、利用・開発の促進を図る。
          • 民間企業・大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援する枠組みを設け、関連法案を早期に国会に提出する。
          • 認知症等のプロジェクト、先端半導体・蓄電池等の製造基盤の更なる拡大を進めるとともに、フュージョンエネルギー(核融合)についての支援措置を検討する。
      • 人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動・推進
      • 地方の成長を図る国土強靭化など国民の安全・安心の確保
  • 本年6月16日に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」で決定した事項の変革期間における早期かつ着実な実施
    • 人への投資・構造的賃上げと三位一体の労働市場改革
      • 三位一体の労働市場改革
        • ①リ・スキリングによる能力向上支援、②個々の企業の実態に応じた職務給の導入、③成長分野への労働移動の円滑化、の三位一体の労働市場改革を行い、構造的に賃金が上昇する仕組みを作っていく。
      • 目標
        • 同じ職務であるにもかかわらず、日本企業と外国企業の間に存在する賃金格差を、国ごとの経済事情の差を勘案しつつ、縮小することを目指す。また、転職により賃金が増加する者の割合が減少する者の割合を上回ることを目指す。
      • リ・スキリングによる能力向上支援
        • 国の在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に、過半が個人経由での給付が可能となるようにする。教育訓練給付に関しては、高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野(IT、データアナリティクス、プロジェクトマネジメント、技術研究、営業/マーケティング、経営・企画、観光・物流等)について、補助率や補助上限の拡充について年末までに結論を得る。
        • 雇用調整助成金について、在職者によるリ・スキリングを強化するため、30日を超えるような雇用調整となる場合には、教育訓練を求めることを原則とし、例外的にその日以降に休業によって雇用調整を行う場合は助成率を引き下げる等の見直しを検討する。
      • 個々の企業の実態に応じた職務給の導入
        • 職務給の導入のため、ジョブの整理・括り方、人材の配置・育成・評価方法、ポスティング制度、リ・スキリングの方法、従業員のパフォーマンス改善計画(PIP)、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係、休暇制度等について事例を整理し、年内又は年度内に取りまとめる。この際、企業の実態に合った改革が行えるよう、自由度を持ったものとするとともに、中小・小規模企業等の導入事例も紹介する。(再掲)
      • 成長分野への労働移動の円滑化
        • 失業給付制度について、自己都合で離職する場合は、求職申込後2か月ないし3か月は失業給付を受給できない。失業給付の申請時点から遡って例えば1年以内にリ・スキリングに取り組んでいた場合等について会社都合の場合と同じ扱いとする等、自己都合の場合の要件を緩和することとし、年末までに結論を得る。
        • 退職所得課税について、異なる企業への転職者が不利にならないよう、制度変更に伴う影響に留意しつつ、見直しを行う。
      • 適切な価格転嫁対策や下請取引の適正化の推進
        • 中小・小規模企業の賃上げ原資の確保のための適正な価格転嫁の慣行を定着させるため、公正取引委員会による特別調査の結果の公表など、取引適正化に向けた取組を一層強化する。
      • 国家公務員の育成・評価に関する仕組みの改革
    • GX・DX等への投資
      • レジリエンス上の日本の優位性と国内企業立地促進・高度外国人材の呼び込み
        • 国内企業立地促進の考え方と戦略分野
          • 半導体・蓄電池・バイオものづくり・データセンターといった戦略分野を中心とした投資を推進する。
        • 高度外国人材の呼び込み
          • 高度外国人材呼び込みに向けて、制度面も含めた課題の把握・検討を行い、必要な対応を行う。
      • GX・エネルギー安全保障
        • 「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」に基づき、GXの実現を通して、エネルギー安定供給、産業競争力強化・経済成長、脱炭素を同時に実現するための取組を進める。
          • エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取組
          • 「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行
          • 国際展開戦略
          • 社会全体のGXの推進
        • 市場のライフサイクル全体で資源を効率的・循環的に有効利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を産官学で連携して進める。
      • 食料安全保障
        • 「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づき、食料・農業・農村基本法の改正法案を本年度中に国会へ提出することに向け、見直しの作業を加速する。
          • 「平時から」の食料安全保障の確立
          • 農林水産業の「グリーン化」
          • 農林水産物・食品の「輸出拡大」
          • 「スマート」農林水産業
      • AI
        • 国際的な議論とリスクへの対応
          • 個人情報の不適切な利用、セキュリティに関する不安、偽情報・誤情報による混乱、著作権侵害のおそれ等、AIに関する多様なリスクに関して、検討し対応する。
        • AIの利用の促進
          • 政府機関での生成AIの活用は、機密情報漏洩等のリスクがある一方で業務効率化等に有効な可能性もあり、試験的な利用等を開始し、知見を集積し、共有する。
      • DX
        • Web3.0の推進に向けた環境整備を図るとともに、ポスト5G、6Gの実現を図る。
        • 地理空間情報を用いた建築・都市のDXの加速等、DX投資促進に向けた環境整備を図る。
      • 官民連携による科学技術・イノベーションの推進
        • 量子技術
          • 量子コンピュータ、量子暗号通信、それらの基盤技術についての研究開発等。
        • 健康・医療
          • 認知症等の脳神経疾患の発症・進行抑制・治療法の開発。また、ゲノム創薬をはじめとする次世代創薬の推進。
        • フュージョンエネルギー(核融合)
        • 国立研究機関による研究開発力の強化
        • 大学ファンドによる支援
        • 国際的な人的ネットワークや研究成果へのアクセスの確保
        • 博士課程学生・若手研究者への支援等
      • クリエイターへの支援
        • アニメ・ゲーム・エンターテイメント・漫画・映画・音楽・放送番組等の分野について、来春に向けて、慣行是正を含め、官民連携で一体的な施策の検討を行う。
    • 企業の参入・退出の円滑化とスタートアップ育成5か年計画の推進
      • スタートアップ育成5か年計画の推進
        • スタートアップへの投資額に着目し、「スタートアップ育成5か年計画」の実施により、5年後の2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)とすることを大きな目標に掲げて、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、③オープンイノベーションの推進、の3本柱の取組を官民一体で進める。
        • メンターによる支援事業の拡大・横展開、海外における起業家育成、グローバルスタートアップキャンパス構想等を進める。
        • ベンチャーキャピタルへの出資機能の強化等を行う。
        • オープンイノベーション促進税制の適用期間延長等の検討、副業・兼業の推奨等を行う。
      • 事業不振の場合の総合的な支援策
        • 企業経営者が、事業不振の際に、M&A・事業再構築・事業承継・廃業等の幅広い選択肢について、早い段階から専門家に相談できる体制を、全国にある中小企業支援実施機関の体制整備も含めて、構築する。あわせて、事業承継税制の延長・拡充を検討する。
    • 社会的課題を解決する経済社会システムの構築
      • インパクトスタートアップの認証制度の創設と認定企業への公共調達での優遇措置の導入、インパクト投資の手法等を具体化するコンソーシアムの設置等、インパクトスタートアップへの総合的な支援策の推進。
      • 競争当局のアドボカシー(唱導)機能の強化。
      • コンセッション(PPP/PFIを含む)の強化。
    • 資産所得倍増プランと分厚い中間層の形成
      • 資産所得倍増プランの推進
        • 第一に、投資経験者の倍増を目指す(5年間で、NISA総口座数(一般・つみたて)を1,700万から3,400万へと倍増させることを目指して制度整備を図る)。第二に、投資の倍増を目指す(5年間で、NISA買付額を28兆円から56兆円へと倍増させる)。
        • 新しいNISA制度(来年1月)の開始に向けた対応を進める。
        • 消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設をすすめる。
        • 金融経済教育の充実。
        • 世界に開かれた国際金融センターの実現。
      • 資産運用立国に向けた取組の促進
    • 経済社会の多極化
      • デジタル田園都市国家構想の実現
        • デジタル田園都市国家の実現に向けた基盤整備・中山間地の生活環境改善
          • 規制・制度の一括改革、光ファイバ・5G等のデジタルインフラの整備、中山間地の生活環境改善等を行う。
        • デジタル田園都市国家を支える地域交通、ヘルスケア、教育の整備
          • 自動運転・ドローン等の社会実装、地域公共交通のリ・デザイン、地域包括ケアシステムの整備、GIGAスクール構想の推進等。
        • デジタル田園都市国家構想の前提としての安心の確保
          • 広域交通インフラの整備、持続可能な地域経済社会の実現等を行う。
    • 日本の魅力を活かしたインバウンドの促進
      • 観光立国推進基本計画に基づき、2025年より早期にインバウンド消費5兆円、国内旅行消費額20兆円を達成する。また、狭義の観光に加え、文化芸術、スポーツでの取組を進める。
    • 個別分野の取組
      • 宇宙
      • 海洋
      • 対外経済連携の促進
      • グローバルヘルス(国際保健)
      • 福島をはじめ東北における新たな産業の創出

~NEW~
内閣官房 全世代型社会保障構築本部(第9回)議事次第
▼資料1 いわゆる「年収の壁」への当面の対応について(別紙)年収の壁・支援強化パッケージ
  • はじめに
    • 「こども未来戦略方針~次元の異なる少子化対策の実現のための「こども未来戦略」の策定に向けて~」(令和5年6月13日閣議決定)では、持続的な成長を可能とする経済構造を構築する観点から「成長と分配の好循環」(成長の果実が賃金に分配され、セーフティネット等による暮らしの安心の下でそれが消費へとつながる)等の実現を目指すこととされている。
    • 今年は30年ぶりの高い水準での賃上げであった。また、地域別最低賃金額の全国加重平均は1004円となり、政府目標1000円を達成した。
    • こうした中、中小企業・小規模事業者も含め賃上げしやすい環境の整備に取り組むとともに、フルタイム労働者だけではなく、短時間労働者にもこのような賃上げの流れを波及させていくためには、本人の希望に応じて可能な限り労働参加できる環境が重要である。
    • 併せて、我が国では、2040年にかけて生産年齢人口が急減し、社会全体の労働力確保が大きな課題となる。既に、企業の人手不足感は、コロナ禍前の水準に近い不足超過となっており、人手不足への対応は急務である。
    • 本人の希望に応じて可能な限り労働参加できる環境づくりは、こうした人手不足への対応にもつながるものである。
  • 現状と課題解決の方向性
    • 労働者の配偶者で扶養され社会保険料の負担がない層のうち約4割が就労している。その中には、一定以上の収入(106万円または130万円)となった場合の、社会保険料負担の発生や、収入要件のある企業の配偶者手当がもらえなくなることによる手取り収入の減少を理由として、就業調整をしている者が一定程度存在する。
    • こども未来戦略方針においても、「いわゆる106万円・130万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む。」、「こうした取組と併せて、人手不足への対応が急務となる中で、壁を意識せずに働く時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応として、(中略)支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。」とされている。
    • このため、当面の対応として、本年10月から、
      • 106万円の壁への対応((1)キャリアアップ助成金のコースの新設(2)社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外)
      • 130万円の壁への対応((3)事業主の証明による被扶養者認定の円滑化)
      • 配偶者手当への対応((4)企業の配偶者手当の見直し促進)
        を進め、年収の壁を意識せずに働くことのできる環境づくりを後押しするとともに、さらに、制度の見直しに取り組む。
    • このほか、設備投資等により事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業等に対する助成金(業務改善助成金)の活用も促進する。
  • 具体策
    • 106万円の壁への対応
      • キャリアアップ助成金のコースの新設
        • 短時間労働者が、被用者保険に加入して働き続けることは、当該労働者の処遇改善や本人のキャリアアップにつながり得るとともに、当該労働者が就業調整をせず働くことで企業の人材確保にもつながる。実際、企業独自に年収の壁を超える際の労働者負担分の保険料の補助を実施することを契機として、短時間労働者の業務の幅が広がり、より基幹的な労働者として活躍し、企業の生産性向上につながった例も存在する。
        • このため、キャリアアップ助成金を拡充し、短時間労働者が新たに被用者保険の適用となる際に、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対して、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、一定期間助成(労働者1人当たり最大50万円)を行うこととする。
        • 助成対象となる労働者の収入を増加させる取組には、賃上げや所定労働時間の延長のほか、被用者保険の保険料負担に伴う労働者の手取り収入の減少分に相当する手当(社会保険適用促進手当)の支給も含めることとする。また、支給申請に当たって、提出書類の簡素化など事務負担を軽減する。
      • 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
        • 短時間労働者への被用者保険の適用を促進する観点から、被用者保険が適用されていなかった労働者が新たに適用となった場合に、事業主は、当該労働者に対し、給与・賞与とは別に「社会保険適用促進手当」を支給することができることとする。
        • 当該手当などにより標準報酬月額・標準賞与額の一定割合を追加支給した場合、キャリアアップ助成金の対象となり得る。
        • また、被用者保険の適用に係る労使双方の保険料負担を軽減する観点から、社会保険適用促進手当については、被用者保険適用に伴う労働者本人負担分の保険料相当額を上限として、最大2年間、当該労働者の標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しないこととする。
          • ※同一事業所内において同条件で働く他の労働者にも同水準の手当を特例的に支給する場合には、社会保険適用促進手当に準じるものとして、同様の取扱いとする。
    • 130万円の壁への対応
      • 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
        • 被用者保険の被扶養者の認定に当たっては、認定対象者の年間収入が130万円未満であること等が要件とされているが、一時的に収入が増加し、直近の収入に基づく年収の見込みが130万円以上となる場合においても、直ちに被扶養者認定を取り消すのではなく、総合的に将来収入の見込みを判断することとしている。
        • 被扶養者認定においては、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等を確認することとしているところ、一時的な収入の増加がある場合には、これらに加えて、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な認定を可能とする。
    • 配偶者手当への対応
      • 企業の配偶者手当の見直し促進
        • 収入要件がある配偶者手当の存在が、社会保障制度とともに、就業調整の要因となっている。その見直しに向けては、労働契約法や判例等に留意した対応が必要であるとともに、企業等が見直しの必要性・メリット・手順等の理解を深めることが必要。
        • このため、令和6年春の賃金見直しに向けた労使の話合いの中で配偶者手当の見直しも議論され、中小企業においても配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順をフローチャートで示す等わかりやすい資料を作成・公表する。
        • 収入要件のある配偶者手当が就業調整の一因となっていること、配偶者手当を支給している企業が減少の傾向にあること等を各地域で開催するセミナーで説明するとともに、中小企業団体等を通じて周知する

~NEW~
内閣官房 第1回 インボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議 議事次第
▼資料1 登録申請の状況等(財務省提出資料)
  • 課税事業者(約300万者)の約97%(約292万者)が申請。免税事業者も111万者程度が申請
  • 課税事業者300万者
    • 約97%がインボイス発行事業者として登録申請済み(システム対応や取引先との調整等も進捗)
    • BtoC取引の場合、買手(消費者)はインボイス不要(売手はインボイス発行事業者の登録不要)
    • 登録をしていない課税事業者の大半は飲食・小売等といったBtoC事業者が占めている
  • 簡易課税事業者(課税事業者の4割弱)はインボイスなしで仕入税額控除が可能(買手としての対応は不要)
  • 免税事業者460万者
    • 農協が事業者に代わってインボイスを発行可能(免税事業者のままで可
    • BtoC取引の場合、買手(消費者)はインボイス不要(売手は免税事業者のままで可)
    • 課税転換する免税事業者の税負担を売上税額の2割に軽減 ※売上500万円の場合、初年度の税負担は2.5万円程度に軽減される。
    • IT導入補助金や持続化補助金(50万円上乗せ)による支援
    • 公取等による監視(課税転換を求める場合、明示的な価格交渉が必要。一方的な価格の据え置きは独禁法等に違反)
    • 相手が簡易課税事業者(売上5千万円以下)や免税事業者の場合、インボイス不要
    • 免税事業者から仕入れた場合でも、当面は8割の仕入税額控除が可能
    • 公取等による監視(課税転換の強要、一方的な値下げや取引の停止等は、独禁法等に違反)
    • 免税事業者に対し、「登録を必要としない、これまで通りの条件で取引を継続する」と表明する企業も(住宅、保険、出版、スポーツクラブ等)
  • インボイス制度への移行に当たっての事業者支援策
    • 相談体制の強化
      • 事業者の相談に対して丁寧に対応できるよう、インボイスコールセンターを設置
      • 中小企業へ経営支援を行っているよろず支援拠点、商工会議所、商工会等の支援機関の経営相談体制を抜本的に強化し、相談対応を実施
      • 免税事業者からの相談受付窓口を設置し、相談内容に応じ、税理士(税務相談)や、支援機関等(経営相談、補助金の案内)が対応する枠組みを、中企庁補助事業にて立ち上げ
      • 税務署において、各事業者の事業実態を聴取し、登録要否の検討をサポートする相談会を開催
      • 関係各省庁において、所管業界に対する周知広報計画を策定の上、きめ細かく事業者をサポート
      • 地銀、信金、信組において、取引先企業に対するセミナーの開催
    • 税制措置
      • 課税転換する免税事業者の税負担を売上税額の2割に軽減(R5改正)
      • 少額取引に係る事務負担軽減策(1万円未満はインボイス不要)を措置(R5改正)
      • 免税事業者から仕入れた場合でも、当面は8割の仕入税額控除が可能
    • 予算措置
      • IT導入補助金:大企業も含む発注者が取引先の中小企業等に受発注ソフトを利用させる場合にも対象拡大
      • 持続化補助金:課税転換した場合に50万円上乗せ
    • 取引環境の整備
      • 独禁法等のQ&Aの公表、6,000を超える業界団体への法令遵守要請を実施
      • 下請けGメンや書面調査による状況把握や発注者側への注意喚起等を実施

~NEW~
首相官邸 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議
  • 令和5年9月27日、岸田総理は、総理大臣官邸で認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議を開催しました。会議では、構成員プレゼンテーション及び意見交換が行われました。総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
    • 「本日は、認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議、初めての会合を開かせていただきました。認知症の方御本人及びその御家族など、様々な関係者の皆様方に御参加いただきました。そして幅広い立場で構成員の皆様方から貴重な御意見を頂きましたこと、心から感謝申し上げます。
    • 皆様方の御意見は、今後、十分に政策等に反映させていただきたいと思っておりますが、本日はひとまず3点申し上げさせていただきたいと思います。
    • まず第1に、一昨日、レカネマブが薬事承認されました。これは画期的な新薬であり、認知症の治療は新たな時代を迎えました。しかし、治療対象の患者が限られているなど、課題もあります。まずは、新薬へのアクセスや投与後のモニタリング等が適切に確保されるように、必要な検査体制、また医療提供体制の整備について、厚生労働大臣に検討を進めてもらいたいと思います。
    • そして第2に、治療薬の開発、これは引き続き推進する必要があります。国際競争が激化する中、我が国のリードを広げるべく、認知症、脳神経疾患、研究開発イニシアティブについて、健康・医療戦略担当大臣において具体的な検討を進めていただきたいと思います。あわせて、高額医薬品について、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立の観点から、薬価制度の改革を含めた対応を、厚生労働大臣を中心に検討してもらいたいと思います。
    • そして3点目は、岸田政権では安心して歳(とし)を重ねることができる『幸齢社会』づくり、これを進めてまいります。身寄りのない方を含め、認知症になったとしても安心できる、このためには、身元保証等の課題、これを解決していかなければなりません。厚生労働大臣において、実態把握、そして課題の整理、これを進めていただきたいと思います。そして、それとともに、官房長官を中心として、課題解決に向けた省庁横断の体制、これを構築させていただきたいと思っています。
    • そして今日、これ以外にも、様々な貴重な御意見や御指摘を頂きました。今申し上げた3点に限らず、緊急的に対応すべきものについては、来月をめどに経済対策を取りまとめることにしておりますが、その中にも是非反映させたいと考えております。
    • 引き続き、構成員の皆様から御意見を伺い、年末に向けて議論を深めていただき、認知症基本法の施行に先立って意見の取りまとめを行いたいと考えておりますので、今後とも構成員の皆様方及び関係大臣におかれましては、御協力をお願いしたいと思います。
    • 改めて、今日も御協力いただきましたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。」

~NEW~
首相官邸 犯罪被害者等のための施策の推進に関する業務の基本方針について
  • 犯罪被害者等のための施策(以下「犯罪被害者等施策」という。)の一層の推進を図るため、国家公安委員会において犯罪被害者等施策の推進に関する企画及び立案並びに総合調整を行うこととし、国家公安委員会において本業務に取り組むに当たり、内閣法(昭和22年法律第5号)第12条第2項第2号に規定する基本的な方針として本基本方針を定める。
    1. 基本的な方針
      • 犯罪被害者等施策については、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられる必要がある。このため、国は、犯罪被害者等施策を総合的に策定し、及び実施すること、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施することがそれぞれ求められている。また、国、地方公共団体及びその他の関係機関並びに犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等が相互に連携を図りながら協力することが、非常に重要である。
      • 犯罪被害者等施策の推進については、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)及び4次にわたる犯罪被害者等基本計画に基づき、これまでも関係府省庁の協力の下、政府全体として取り組んできたところである。しかしながら、犯罪被害者等からは、犯罪被害者等を必要な支援につなげるための相談・支援体制の更なる強化といった、様々な実施主体による多様な支援の連携強化や内容の充実を求める声など、依然として多岐にわたる意見・要望が寄せられている。
      • 犯罪被害者等が一日も早く被害から回復し、社会の中で再び平穏な生活を営むことができるようにするためには、様々な分野にわたる取組を関係府省庁等が一層緊密に連携、協力して推進していく必要がある。また、必要な支援等を途切れることなく犯罪被害者等に提供するため、多岐にわたる犯罪被害者等施策の推進状況について、これまで以上にきめ細やかに点検、検証及び評価を行い、犯罪被害者等施策の実施にいかしていくことが重要である。
      • これを踏まえ、令和5年10月1日以降は、犯罪被害者等基本計画の作成及び推進を所掌する国家公安委員会が犯罪被害者等施策の全体を俯瞰しつつ、施策の推進に関する企画及び立案並びに総合調整を行うことで施策を一元的に牽引し、関係府省庁の緊密な連携、協力の下、政府全体で犯罪被害者等施策の推進に関する業務に効果的かつ効率的に取り組むこととする。
    2. 1.に基づき行う事務の内容と関係府省庁
      • 1.の基本的な方針に基づき、関係府省庁においては、以下のとおり事務を分担し、相互に緊密な連携を取りつつ、一体的かつ効率的に犯罪被害者等施策の推進に取り組むものとする。
        • 国家公安委員会は、関係府省庁間の必要な調整等を行うため、警察法(昭和29年法律第162号)第5条第6項に基づき、犯罪被害者等施策の推進に関して行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整(以下「総合調整等」という。)を行うとともに、関連する所掌事務に当たることとする。
        • 警察庁は、警察法第17条に基づき、国家公安委員会が行う(1)の総合調整等を補佐するとともに、犯罪被害者等施策の推進に関連する所掌事務に当たることとする。
        • 国家公安委員会及び警察庁以外の関係府省庁は、(1)及び(2)の事務の実施に際し、情報又は知見の提供その他の必要な協力を行うとともに、犯罪被害者等施策の推進に関連する所掌事務に当たることとする。

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼9月 閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    • 現状【判断維持】
      • 景気は、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、緩やかに回復している
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 「経済財政運営と改革の基本方針2023」に基づき、30年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門における高い投資意欲などの前向きな動きをさらに力強く拡大すべく、未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現に向けた新しい資本主義の取組を加速させる。
    • 8月30日に決定した燃料油価格の激変緩和事業の新たな措置や延長された電気・都市ガス料金の負担軽減策等を着実に実行していく。
    • その上で、足元の急激な物価高から国民生活を守り抜くとともに、地方・中堅中小企業を含めた持続的賃上げと地方の成長の実現や、成長力の強化・高度化に資する国内投資促進に加え、人口減少を乗り越え変化を力にする社会変革の起動・推進や、国民の安全・安心の確保のため、10月末を目途に「総合経済対策」を策定する
    • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
    • こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる
  • 今月のポイント
    • 我が国の実質GDPはコロナ前の水準を超え、過去最高に。
    • GDPギャップは解消に向かい、23年4-6月期には、3年3四半期ぶりにプラスに転換したものの小幅であり、また、外需の高い伸びによるもの。今後、内需中心の成長により、プラス傾向が安定的に続いていくことが重要。
    • 一方、潜在成長率(潜在GDPの伸び率)は、G7諸国の中で最も低い。供給力の強化が課題。
  • 物価の動向
    • 消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、激変緩和措置等によりエネルギー価格が抑制される中で、前年比3%程度で推移。その構成は、財(食料やエネルギー等)、サービス(家賃や外食・宿泊等)が半々。
    • 消費者物価上昇の主因である食料品価格は、ロシアによるウクライナ侵略等を受けた世界的な価格高騰等により、食パンをはじめ、幅広い品目で価格が上昇。
    • サービス物価は、宿泊料・外食等で大きく上昇。その他サービスでも、家賃や公共サービスを除き、上昇率が高まっている。
  • 消費の動向
    • 雇用・所得環境の改善が続く下、家計調査(二人以上世帯)は弱い一方、供給側の動きを捉えた指標やカード支出データ等の様々な指標によると、個人消費は持ち直し。
    • 物価高が続く中で、相対的に低所得の世帯における消費動向には注意が必要。消費支出に占める食料品やエネルギーのシェアは、収入が低い世帯ほど高い。また、消費者マインドを見ると、収入が低い世帯ほど「暮らし向き」の回復が弱いなど、所得階層間のバラツキが拡大。
  • 家計の所得と金融資産の動向
    • 今年の春闘の賃上げ率は、ベースアップについても30年ぶりの高水準。デフレに陥る以前は、ベースアップが物価上昇率を上回っていた。デフレ脱却に向け、ベースアップを含め力強い賃上げの継続が重要。
    • 春闘の反映により、一般労働者の給与は増加、パート労働者の給与も人手不足もあって増勢継続。
    • 個人金融資産残高はコロナ禍で積みあがった貯蓄(超過貯蓄)もあって2,115兆円まで増加。これが消費に向かうことが期待。また、米欧と比べ現金・預金の比率が高く、物価が上昇する中、貯蓄から投資に回っていくことが重要。
  • 住宅の動向
    • 住宅着工は、持家や分譲住宅を中心に弱含み。木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格は上昇。加えて、労務費上昇もあり、建築費が高止まりしていることが主な背景。
    • 首都圏マンション新規販売平均価格は、都区部の高価格マンション供給の影響もあり上昇。住宅リフォームは、補助事業の効果もあり、23年以降増加
  • 企業収益及び設備投資の動向
    • 23年4-6月期の経常利益は過去最高を更新。設備投資も高水準で推移。今年度の設備投資計画において、大企業・中小企業ともにデジタル化や省力化を背景にしたソフトウェア投資を最も重視。
    • 本業による収益である営業利益も総じてみれば増加。ただし、中小企業では、製造業は2期連続の減益。設備投資も減少。継続的な賃上げに向け、適切な価格転嫁とともに、中小企業が設備投資を進め、本業の収益力を高めるための後押しが重要
  • 経済再開によるビジネスチャンスの取込み
    • インバウンドは2019年の9割弱まで回復。インバウンド需要もあり、宿泊・飲食サービスではコロナ禍前と同水準まで人手不足感が拡大、宿泊料や外食の価格は上昇。
    • 宿泊・飲食業の設備投資計画は、全産業平均と比べて弱い(4図)。売上げ拡大のチャンスを取りこぼさないよう、省力化投資を通じた効率化や、高付加価値化・差別化を通じた価格設定力強化が課題。
  • 世界経済の下方リスク
    • アメリカ経済は回復しているものの、中国は持ち直しの動きに足踏み、ドイツを始め欧州も足踏み状態。24年の世界経済は減速の見通し。中国における不動産市場の停滞による下振れリスクに注意。
    • 中国の輸出入は、18年以降、米中貿易摩擦を受け減速。感染症収束後の現在も輸出入ともに弱含み。
    • ドイツは、中国向け輸出が20年以降停滞。景況感は大幅に悪化。ドイツ政府は、国内企業の競争力強化のための経済対策を発表。

~NEW~
内閣府 令和5年第12回経済財政諮問会議
▼資料1 新内閣発足の下での諮問会議の重点課題(有識者議員提出資料)
  • 諮問会議は、経済環境変化を適切に予測しつつ、中長期に渡って目指すべき経済構造を議論し、それを実現させるための政策全体のあり方を構築する。当面の課題に適切に対処しつつ、目指すべき大きな方向性を実現させる政策運営を行うべき。
    • 重点課題
      • 中長期的な課題への対応方針、目指すべきマクロ経済目標等を議論、明確化。その際、政策全体の整合性やバランスの確保が重要。急速な少子高齢化の下、人手不足が進む中での国造りの諸課題、具体的には、経済・財政・社会保障の持続可能性、分厚い中間層の拡大、気候変動とエネルギーコストの高まり、グローバル環境の変化等の課題への適切な対処も必要。
      • 当面
        • 新政権のスタートダッシュを担う「経済対策」の在り方として、以下が必要。
          • 適度なインフレ経済への移行を実現させる経済運営の実行
          • 社会課題の解決を成長に結び付けるメカニズムの具体化(鍵となる技術、市場、制度改革)
          • 経済・財政一体改革を通じた歳出改革の徹底
    • 経済財政諮問会議の年度後半の具体的な取組み
      • 内外の有識者の意見も踏まえ、2020年代の後半に持続可能な経済社会システムの構築を目指し、来年にかけて議論を行い、対応方針を明らかにする。
      • 上記と合わせ、中長期の展望をより充実させ、来年夏の骨太方針において、今後3~5年程度の経済財政運営の中期計画を決定する。
      • 関係会議体とも連携し、経済・財政一体改革の成果・課題について、財政金融政策と規制改革の適切な連携の具体化、政策効果についてのエビデンスの明確化を行う。
      • マクロ経済戦略の方向性について、考え方を国民に示す。エネルギー関連価格の高騰に対する物価高対策の在り方、予算・制度改革・税制等の役割分担、財政の在り方や財政健全化目標との関連等、について、しっかり説明する。
      • 政府経済見通しや予算編成の基本方針において、適度なインフレ下でのマクロ経済運営の在り方を示す。

~NEW~
内閣府 企業間取引の成立におけるCEO間のジェンダーバイアスについて
  • 要旨
    • 女性CEOの割合が低い一方で、ビジネス環境において彼女たちが直面する障壁はまだ十分に理解されていない。本研究では、CEOのビジネスネットワーク形成におけるジェンダーバイアスの影響を調査する。日本企業100万社の取引データを用いると、同性CEO間は異性CEO間よりも有意に取引が多く、その多くをもたらしているのはCEOが取引に強く関与していると推定される中小企業間の取引である。ほとんどのCEOが男性であるため、このような同性バイアスは、男性CEOに比べて女性CEOの取引機会を減少させる。本研究独自に実施したサーベイ調査から、男性CEOが女性CEOと知り合うことを妨げる障壁の存在と、男性CEOが女性CEOよりも男性CEOとの交流を好む傾向の両方がメカニズムとして考えられることが明らかになった。
▼全文

~NEW~
消費者庁 PIO-NETを利用した消費者問題の傾向分析 ~テキストマイニングを用いた時系列データのトピック比較~
  • 論文要旨
    • 本稿は、2021年1月から2021年12月の1年間に受け付け、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)へ登録された相談内容のうち、新型コロナウイルス感染症関連の話題について抽出したものについて独自に分析し、消費者問題の傾向分析を行ったものである。PIO-NETの相談内容に含まれる話題の分析には、統計分析手法のトピックモデリングを用いる。話題の分類と特徴的なキーワードの抽出を行い、月ごとの新型コロナウイルス感染症関連の主な出来事について分析を行った。その結果、新型コロナウイルス感染症の流行が継続し、会社や家賃といった収入に関する相談や、ワクチン接種のような国の施策に関連する相談が目立った。同様の手法で2020年1月から2020年12月の1年間に受け付けた相談内容について分析を行った結果と比較した結果、新型コロナウイルス感染症の流行が始まったばかりの混乱期である2020年に多かったマスク等の商品の品不足関連の相談は2021年には目立たなくなり、送り付け商法等に関する相談や副業や会社、家賃といった経済的な理由に基づく相談が多くなったことが分かった。国の施策に関する相談についても、2020年に多かった給付金やGo Toトラベル等の相談に代わり、2021年にはワクチン接種関連の相談が増加した。
    • さらに、2020年1月から2021年12月の2年間の相談内容について、トピックモデリングで得られたトラブルキーワードを用いて、連続する2ヶ月のトピックの類似度を計算することにより、トピックの変動を分析し、新型コロナウイルス感染症に関連する主な出来事との関連を考察した結果、緊急事態宣言の発出の前後では、大きくトピックの内容が変化している等、国の施策が消費者の相談内容に少なからず影響を与えていることが分かった。

~NEW~
消費者庁 食品ロス削減に向けた取組について
▼食品ロス削減関係参考資料(2023年8月23日)全体版
  • 食品ロス量は年間523万トン(令和3年度推計)≒国連世界食糧計画(WFP)による食料支援量(約480万トン)の1.1倍。毎日大型(10トン)トラック約1,433台分を廃棄。年間1人当たりの食品ロス量は42kg→毎日おにぎり1個分(114g)の食べ物を捨てている計算
  • 「食品ロス」=本来食べられるのに捨てられる食品。我が国の食品廃棄等は年間2,402万トン、うち食品ロスは523万トン。国連世界食糧計画(WFP)による食料支援量(約480万トン)の1.1倍。
  • 食品ロスの内訳 事業系:279万トン(53%)、家庭系:244万トン(47%)食品ロスの約半分は家庭から
  • 我が国は食料を海外からの輸入に大きく依存。食料自給率(カロリーベース)は令和4年度では38%
  • ごみ処理事業経費(一般廃棄物処理事業のうち、し尿処理事業経費を除く)約2.1兆円
  • 食費は消費支出の中で1/4以上を占めている。9人に1人の子どもが貧困状態
  • 世界の食料品廃棄の状況
    • 1年当たり13億トンを廃棄。食料は、農業生産から世帯での消費に至るフードサプライチェーン全体を通して捨てられている
    • 研究の結果は、世界全体で人の消費向けに生産された食料のおおよそ3分の1、量にして1年当たり約13億トンが失われ、あるいは捨てられていることを示唆している。これは、食料生産に費やされた膨大な量の資源が無駄に使われ、また、失われあるいは捨てられた食料を生産するために発生した温室効果ガスもまた無駄に排出されたことを意味する。
    • 食料は、農業によって生産されてから最終的に家庭で消費されるまでのフードサプライチェーンを通る過程で失われ、あるいは捨てられている。
    • 中・高所得国では、食料はかなりの割合が消費の段階で無駄にされるが、これは、それらがまだ人の消費に適していても捨てられていることを意味する。低所得国では、食料はフードサプライチェーンの早期あるいは途中の段階で失われることが多く、消費者段階で捨てられる量はごく少ない。
    • 低所得国における食料のロス・廃棄の原因は、主として、収穫技術、厳しい気候条件での貯蔵と冷却施設、インフラ、包装及びマーケティング・システムにおける財政的、経営的及び技術的制約に関連している。
    • 中・高所得国における食料の損失・廃棄の原因は、主としてフードサプライチェーンにおける各アクター間の協調の欠如と消費者の習慣にある。
    • 先進工業国における食料の廃棄は、食品産業、小売業者及び消費者の関心を高めることによって減らすことができる。現在は捨て去られている安全な食料の、優れた、そして有益な利用方法を見出す必要がある。
  • 世界人口は急速に増加し、2050年には約97億人。世界の栄養不足人口(2021年)は、7億6,800万人(世界人口10人に1人の割合)
  • 2030年度に、2000年度と比べ、家庭系食品ロス量、事業系食品ロス量いずれも半減できるよう取組を推進。
  • 食品ロス問題の認知度(81.1%)。食品ロスを減らすための取組で、最も多いのは「残さずに食べる」(61.1%)。食生活の中で「もったいない」を意識した場面で、最も多いのは「食品廃棄に関する問題のニュースを見たとき」(43.6%)。
  • 事業系食品ロスの発生要因は、いわゆる3分の1ルール等の商慣習や消費者の過度な鮮度志向など。食品ロス削減に向けて、製配販(製造・配送・販売)の連携や消費者の理解の促進などフードチェーン全体での取組が必要。家庭系食品ロスの発生要因は、作りすぎや賞味期限切れによる廃棄など。食生活における適量の食材購入や食事量の調整など消費者への啓発が必要。
  • 過剰在庫や返品等によって発生する食品ロス等は、フードチェーン全体で解決する必要。このため、製造業・卸売業・小売業の話合いの場である「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」を設置。平成24年度から、常温流通の加工食品は「納品期限の緩和」、「賞味期限の年月表示化」、「賞味期限の延長」を三位一体で推進。
  • 経済産業省は日本気象協会と連携し、気象情報等を活用して食品ロス等のサプライチェーンのムダを削減する「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」を実施。日本気象協会では、天気予報で培った最先端の解析技術で商品の需要予測を行い、食品メーカーでの生産量の調整や小売店での仕入れの見込みをサポートし、食品ロスを削減する取組を実施。
  • 消費者の過度な鮮度志向や購買行動が食品ロスにつながることもある。→お客様がすぐに行動にうつせる小売店舗で、呼び掛けを行うことが重要。
  • 農林水産省補助事業において、大手流通業者と連携して、店頭における消費者への啓発資材による食品ロス削減効果を実証。消費者の購買行動に対する意識調査では、半数近くの消費者が食品ロス削減に向けた買物をするという反応。また、実施店舗において食品廃棄率等が改善したことを確認。
  • 農家・漁業関係者から規格外の食材を提供いただいたり、食品メーカーから割れてしまい商品にならない菓子などを提供いただいたりして、加工等することで新たな価値として食品を提供。
  • 食品ロス削減推進計画を「策定・公表済み」と回答したのは、46自治体。「令和6年度以降に策定予定」は、1自治体。指定都市において、「策定・公表済み」と回答したのは15自治体。「令和5年度に策定予定」は3自治体。「令和6年度以降に策定予定」は2自治体。
  • 災害用備蓄食料の有効活用の促進
  • 各府省においては、「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」及び「中央省庁業務継続ガイドライン第2版(首都直下地震対策)」等に基づき、災害時に非常時優先業務が実施できるよう、必要な食料を備蓄。
  • 各府省における災害時用備蓄食料の更新時の取扱いについて現状を確認したところ、廃棄との回答が複数みられたことから、災害時用備蓄食料の更新・契約の際には、食品ロス削減の観点から、備蓄食料の有効活用について検討するよう通知。(平成31年4月5日付け内閣府防災担当、消費者庁及び環境省連名通知)
  • 令和元年度には、農林水産省において、役割を終えた災害用備蓄食品をフードバンク団体等へ提供する取組を開始。令和2年度には、「食品ロス削減関係省庁」においてこのような取組を推進すべく呼び掛け、文部科学省、消費者庁でも提供を実施。
  • このような取組を踏まえ、食品ロス削減及び生活困窮者支援等の観点から、令和3年4月21日に、国の災害用備蓄食品については、不用決定を行ったものは、必要なものを除き、原則フードバンク団体等へ提供する旨、関係府省庁において申合せ。
  • 生産・流通・消費などの過程で発生する未利用食品を食品企業や農家などからの寄付を受けて、必要としている人や施設等に提供する取組。もともと米国で始まり、既に約50年の歴史があるが、我が国では、ようやく広がり始めたところ。(日本では北海道から沖縄まで2022年3月時点で215団体が活動)。食品の品質管理やトレーサビリティに関するフードバンクの適切な運営をすすめ、信頼性向上と取扱数量の増加につなげるため、フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引きを作成。(2016年11月公表、2018年9月改正)
  • フードドライブは、購入したが好みが合わなかったり、たくさんもらって食べきれないなど、家に眠っている未開封で賞味期限前の食品を提供してもらい、フードバンクなど食事に困っている人たちに寄付する活動。地方公共団体、店舗、学校の行事などフードドライブ活動が展開されている。

~NEW~
消費者庁 電話勧誘販売業者【塚本水産株式会社及び株式会社P.Sホールディングス】に対する行政処分について
  • 消費者庁は、海産物の販売を連携共同して行う電話勧誘販売業者である塚本水産株式会社(本店所在地:北海道札幌市)(以下「塚本水産」といいます。)及び株式会社Sホールディングス(本店所在地:北海道札幌市)(以下「P.Sホールディングス」といいます。)に対し、令和5年9月28日、特定商取引法第23条第1項の規定に基づき、令和5年9月29日から令和7年6月28日までの21か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
  • あわせて、消費者庁は、塚本水産及びSホールディングスに対し、特定商取引法第22条第1項の規定に基づき、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しました。
  • また、消費者庁は、塚本水産の代表取締役である塚本志穂子(つかもと しほこ)及びSホールディングスの代表取締役である塚本篤(つかもと あつし)に対し、特定商取引法第23条の2第1項の規定に基づき、令和5年9月29日から令和7年6月28日までの21か月間、塚本水産及びP.Sホールディングスに対して前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。
  • なお、Sホールディングスの代表取締役であり、かつ、塚本水産の「取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力」を同社に対して有していた者である塚本篤は、消費者庁が令和元年7月4日、特定商取引法第23条第1項の規定に基づく業務停止命令等の行政処分を行った合同会社BBC(以下「BBC」といいます。)の役員として同法第23条の2第1項の規定に基づく業務禁止命令を受けた者であるところ、かかる状況において、塚本水産及びP.Sホールディングスは、前記のBBCに対する行政処分の理由となった特定商取引法違反の行為と同様の違反行為を繰り返していました。

~NEW~
国民生活センター 不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!-訪問購入のトラブルが増えています-
  • 購入業者が自宅に来て物品を買い取る、いわゆる「訪問購入」に関する相談が、全国の消費生活センター等に寄せられており、ここ数年増加しています。契約当事者が60歳以上の割合が全体の8割近くを占めているという特徴があり、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。
  • 訪問購入については、特定商取引に関する法律(以下、特商法)においてルールが定められていますが、相談の内容をみると、ルールを守らない購入業者によるトラブルが生じています。
  • そこで、訪問購入に関するトラブル事例を紹介し、消費者に注意喚起します。
  • 年度別相談件数:2018年度は6,603件、2019年度は5,220件、2020年度は6,018件、2021年度は6,924件、2022年度は7,722件、2023年度は8月31日までで3,071件です。
  • 相談事例
    • 【事例1】困っている人の役に立つと言われ訪問を承諾したが、とにかく家に上がろうとする。
    • 【事例2】断ってもしつこく勧誘され、長く話し込んで個人情報を話してしまった。
    • 【事例3】皿だけのはずが、売るつもりのない貴金属まで強引に買い取られてしまった。
    • 【事例4】断ってもしつこく居座られ、二束三文で貴金属を買い取られてしまった。
    • 【事例5】クーリング・オフ後返品してもらったが、指輪が2つ足りない。
  • 相談事例からみる特徴と問題点
    • 電話であの手この手で来訪の承諾を得ようとする。
    • 突然訪問してきてしつこく勧誘、とにかく家に上がろうとする。
    • 購入業者名や、どの種類の物品について訪問購入の勧誘をするか告げていない。
    • 売るつもりがなかった物品も強引に買い取られる。
    • 物品名や価格を具体的に記載した書面を渡されない。
    • 消費者はクーリング・オフ期間中、物品の引渡しを拒むことができることを伝えていない。
  • アドバイス
    • 購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないようにしましょう。
    • 突然訪問してきた購入業者は家に入れないようにしましょう。
    • 事前に、購入業者の名称、買い取ってもらう物品の対象をしっかり確認しましょう。
    • 買い取りの勧誘を承諾していない貴金属の売却を迫られたら、きっぱり断りましょう。
    • 購入業者から交付された書面をしっかり確認しましょう。
    • クーリング・オフ期間内は、購入業者に物品の引渡しを拒むことができます。
    • トラブルになった場合や不安がある場合は、消費生活センターに相談しましょう。

~NEW~
国民生活センター 【新手の詐欺】「○○ペイで返金します」に注意!-ネットショッピング代金を返金するふりをして、送金させる手口-
  • ネットショッピングで商品を購入した消費者が、販売業者から「決済アプリを使って返金する」と言われ、スマートフォンで返金手続きを誘導されているうちに、「返金」してもらうはずがいつの間にか「送金」してしまっていた、という新手の詐欺に関する相談が全国の消費生活センター等に寄せられています。「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください!
  • 相談事例
    • 【事例1】美容機器をインターネット通販で注文し、支払いは外国人と思われる個人名義の口座に代金を振り込んだ。商品到着は入金確認後1週間程度のはずが、予定日を過ぎても届かなかったため電話をしたが、呼び出し音が鳴るだけで繋がらず、メールで問合せをしても2、3日後に連絡すると返信があったきり連絡がなかった。ところが、昨日、外国人と思われる男性から「注文商品の件で」と突然電話があり、「商品が準備できないので返金する」と言われ、LINEでの友達登録を求められた。その理由を尋ねると、「○○ペイでしか返金対応していないから」と言われた。怪しい。(2023年8月受付 40歳代 女性)
    • 【事例2】ネット通販で約7,000円のアクセサリーを購入した。支払方法は銀行振込のみで、事業者に振り込み完了メールを送った後、「在庫が欠品しているため、注文をキャンセルします」というメールが届いた。「払い戻しは○○ペイで行います」との内容で、LINEの友達登録をするよう指示があり、ビデオ通話で指示をされるがまま○○ペイに数字を言われて入力した。何度か相手から「失敗している」と言われ、複数回操作した結果、約10万円の送金していることが分かった。返金してほしい。(2023年9月受付 50歳代 男性)
  • 詐欺の手口
    • ネットショッピングしたが商品が届かない。
    • メールや電話でショップから返金の連絡がある。
    • LINEでやり取り。
    • リンクをタップすると○○ペイの画面が開き、言われるままに操作する。
    • 返金してもらうはずが送金しちゃった。
  • 消費者へのアドバイス
    • 「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください!
    • ネットショッピングの代金を銀行振込しているにもかかわらず、返金は決済アプリで行うのは極めて不自然です。「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑い、相手の指示に従ってスマートフォン等を操作することはせず、最寄りの消費生活センターや警察等に相談してください。

~NEW~
国民生活センター 防ごう 子どものベランダや窓からの転落事故
  • 内容
    • 事例 自宅マンションの1階にあるポストを見に行った約1分の間に、子どもが3階のベランダから転落した。当日は、ベランダへ出る窓は閉めていたが鍵はかけておらず、ベランダの柵の下には台や植木鉢を置いていた。救急要請し、肝臓損傷の疑いで7日間の入院となった。(当事者:3歳)
  • ひとことアドバイス
    • ベランダや窓のある部屋には、短時間であっても小さな子どもだけにしないようにしましょう。
    • 子どもは、何でも踏み台にして登れそうなところには登ってしまいます。ベランダの手すりや窓の近くには、子どもの足掛かりになるようなものは置かないことが大切です。特に、エアコンの室外機の置き場所は工夫しましょう。
    • 勝手に窓を開けないよう、窓や網戸には子どもの手の届かない位置に補助錠を付けましょう。
    • 窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄り掛かったりさせないようにしましょう。
    • 日ごろからベランダや窓からの転落の危険性について子どもに教えることも大切です。

~NEW~
国民生活センター リーフレット「くらしの危険」
▼【No.375】自転車用ヘルメット
  • 2023年4月1日から、道路交通法が一部改正され、すべての自転車の利用者に自転車用ヘルメット(以下、ヘルメット)着用の努力義務が課されました。また、同年7月1日からは、特定小型原動機付自転車(いわゆる電気キックボード等)の利用者のヘルメット着用が努力義務となりました。
  • 国内では、ヘルメットの安全性に関する任意の規格等がありますが、市販されているヘルメットには、任意の規格等への適合マークが表示されているものと、いないものが販売されています。商品を選ぶ時にはSGマークなど安全性を示すマークが表示されたヘルメットを選びましょう。
  • こんな事故が起きています
    • 事例1
      • 補助輪付き自転車で下り坂を走行中に自転車ごと転倒した。ヘルメットは着用していなかった。アスファルトで顔面を打撲して出血し嘔吐を繰り返した。頭部CTに異常はなく、脳振とうと診断されたが嘔吐が改善しないため、輸液を行い2日間入院した。(事故発生年月:2022年10月、7歳4カ月・女児)
    • 事例2
      • 自転車のカギに付けていたキーホルダーが後車輪に入り込み、コントロールを失って停車中の自動車にぶつかった後、自転車ごと2mほどの溝に転落した。ヘルメットはしていなかった。自力で保護者に連絡後、救急搬送された。左顔面に擦過傷あり。CTでは左眼窩底ふきぬけ骨折があり同日より入院。(事故発生年月:2018年10月、18歳3カ月・女性)
  • ヘルメットの安全性を調べました
    • 市販されているヘルメットのうち、安全性に関する規格等の適合マークが表示されていない9銘柄を調査しました
    • 衝撃吸収性:転倒時に頭部に受ける衝撃をヘルメットが正しく吸収できるかどうか
      • 9銘柄すべてで基準を満たさず
    • 締結具を含むあごひもの強さ:事故時にあごひもが切れる可能性がないか
      • 9銘柄中8銘柄が基準を満たさず。バックルが破損したものも
    • ヘルメットの脱落しにくさ:事故時にヘルメットが脱げる可能性がないか
      • 9銘柄中6銘柄が基準を満たさ
  • 消費者へのアドバイス
    • 自転車と特定小型原動機付自転車に乗車する際は、安全のためにヘルメット着用に努めましょう
    • ヘルメットは、SGマークなど安全性を示すマークが表示されたものを選びましょう
    • ヘルメットは、頭部に適合した大きさ・形状のものを正しく着用することで効果を発揮します。取扱説明書をよく読んで正しく使用しましょう
    • 1歳未満の子どもを安全に自転車に同乗させることは現状では困難です。別の移動方法の検討を!

~NEW~
厚生労働省 第2回健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会
▼【資料1】健康づくりのための睡眠指針の改訂について(案)
  • 成人版
    • 毎日の睡眠時間を6時間以上確保することを推奨。
    • 「睡眠休養感」の確保のため、適正な生活習慣や睡眠環境を整備すること等を推奨。(例:食習慣の見直し(朝食をとる、就寝間際の夜食を控える)、寝室の環境整備、嗜好品の見直し)
    • 交替制勤務の場合、夜間勤務中の仮眠や昼間に睡眠をとる場合の遮光等の睡眠環境を整備することを推奨。
    • 睡眠の不調や睡眠休養感の低下の背後に疾患が潜んでいる場合があることについての注意を喚起。(例:閉塞性睡眠時無呼吸、更年期障害等)
  • こども版
    • 1-2歳児は11-14時間、3-5歳児は10-13時間、小学生は9-12時間、中学・高校生は8-10時間の睡眠時間を確保することを推奨。
    • 夜更かしや朝寝坊に対する注意を喚起。
    • 生活習慣における注意点を提示。
    • 起床後から日中にかけて太陽の光をたくさん浴びる。
    • 朝食をしっかりとる。
    • スクリーンタイムを減らし、体を動かす。
    • 寝床ではデジタル機器の使用を控える
  • 高齢者版
    • 個人の体調や生活状況に合わせた睡眠時間、床上時間を見つけることを推奨。
    • 昼間の仮眠(昼寝)は短時間にすることを推奨。
    • 「睡眠休養感」の確保も重要であり、睡眠環境や生活習慣等を見直しても睡眠休養感の低下が改善しない場合は、医師に相談することを推奨。
  • からだと健康のための睡眠について
    • 睡眠時間が7時間前後の場合に、生活習慣病やうつ病の発症及び死亡リスクが、最も低いとの報告あり。
    • 適正な睡眠時間に加え、睡眠休養感を得ることも、健康増進と健康寿命の延伸に効果的との報告あり。
  • 良質な睡眠のための環境づくりについて
    • 日中にできるだけ日光を浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加し、入眠が促進されるとの報告あり。
    • 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが効果的との報告あり。
    • 寝室の温度設定や就寝1~2時間前の入浴の睡眠に対する効果を紹介。
    • 静かな睡眠環境の確保の重要性を紹介。
  • 運動、食事等の生活習慣と睡眠について
    • 適度な運動習慣は、入眠の促進、中途覚醒の減少、睡眠時間の増加により、睡眠の質を高めるとの報告あり。
    • ライフステージに合わせた運動のタイプ、強度、タイミングや頻度を紹介。
    • 体内時計の調整における朝食の重要性や、就寝前の夜食や間食が体内時計の調整に及ぼす悪影響について紹介。
    • 就寝前にはリラックスし、無理に寝ようとするのを避けることが効果的との報告あり。
  • 睡眠と嗜好品について
    • カフェインの摂取量は、1日400mgを超えないようにとの報告あり。
    • カフェイン含有飲料(コーヒー、紅茶、エナジードリンク等)中のカフェイン量について紹介。
    • アルコールは一時的には寝つきを促進するが、睡眠後半の眠りの質を顕著に悪化させるとの報告あり。
    • たばこに含まれるニコチンは覚醒作用を有しており、睡眠の質を悪化させるとの報告あり。
  • 睡眠障害について
    • 睡眠に関連する症状は「睡眠環境、生活習慣、嗜好品」に起因するものと「睡眠障害」に起因するものがある。
    • 睡眠障害には、不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、過眠症等がある。
    • 睡眠障害が疑われる場合は、早期の医療機関への受診を推奨。
  • 妊娠・子育てと睡眠健康について
    • 女性の睡眠は、ホルモンバランスによる影響を受ける。
    • 妊娠中の睡眠不足や睡眠障害による睡眠の質の低下は、胎児の健康リスクとなる可能性があるとの報告あり。
    • 養育者にとって、子育て期の睡眠の確保は健康維持・増進のために重要であることを紹介。
  • 就業形態と睡眠の課題について
    • 交替制勤務は体内時計の機能に逆らって生活せざるを得ないため、身体に負担の掛かる業務形態であることから、
    • 不眠や睡眠休養感の低下等により、生活に支障を来たしている場合は医療機関の受診を推奨。
    • 勤務中の眠気、仕事の効率低下、事故防止に対する対応策を紹介。(例:夜勤勤務中に適切に仮眠ができる環境整備、カフェイン含有飲料の活用、サングラスの活用等)

~NEW~
厚生労働省 10月は「年次有給休暇取得促進期間」です~ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて年次有給休暇の取得を促進~
  • 厚生労働省では、年次有給休暇(以下「年休」)を取得しやすい環境整備を推進するため、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、集中的な広報を行っています。
  • 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定)などにより、令和7年までに年休の取得率を70%とすることが、政府の目標に掲げられています。一方で、令和3年に年休の取得率は58.3%と過去最高となったものの、目標には届いていない状況です。
  • 働く人のワーク・ライフ・バランスの実現のためには、企業等が自社の状況や課題を踏まえ、年休を取得しやすい環境づくりを継続して行っていくことが重要です。
  • そのための取組として、(1)計画的な業務運営や休暇の分散化に資する年休の計画的付与制度(年休の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結ぶことにより計画的に年休の取得日を割り振れる制度)を導入すること、(2)働く人の様々な事情に応じた柔軟な働き方・休み方に資する時間単位年休(年休の付与は原則1日単位だが、労使協定を結ぶことにより年5日の範囲内で時間単位の取得ができるもの)を活用することなどが考えられます。
  • 厚生労働省では、こうした各企業等における取組を推進するため、年次有給休暇取得促進期間を通じて、年休の取得促進に向けた機運の醸成を図っていきます。
  • 実施事項
    • 年次有給休暇取得促進特設サイト、月刊誌「厚生労働」、「人事労務マガジン」での情報発信
    • インターネット広告
    • ポスターの駅貼り
    • 都道府県労働局による周知
    • 都道府県、全国規模の労使団体に対する周知依頼 など

~NEW~
厚生労働省 第61回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼【資料1-3】雇用環境・均等分科会にて検討すべき2023年度の年度目標一覧(案)
  • 女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数1,712社(2021年度)、2,176社(2022年度)2,300社(2023年度目標値)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企業数3,801社、4,131社、4,200社
  • 男性の育児休業取得率13.97%、17.13%、28%
  • 2023年度目標値の設定の考え方
    • 女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数
      • 第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月25日閣議決定)において定められた、2025年までに2,500社という目標及び2022年度の実績値(2,176社)を踏まえ、2,300社を目標としたもの。
        • ※2,176+(2,500-2,176)/3=2,284≒2,300社
    • 次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企業数
      • 少子化社会対策大綱(令和2年5月29日閣議決定)及び第5次男女共同参画基本計画に定められた、2025年までに4,300社という目標及び2022年度の実績値(4,131社)を踏まえ、4,200社を目標としたもの。
        • ※4,131+(4,300-4,131)/3=4,187≒4,200社
    • 男性の育児休業取得率
      • こども未来戦略方針で示された、2025年までに50%を目指すという方針及び2022年度の実績値(17.13%)を踏まえ、28%を目標としたもの。
        • ※17.13+(50-17.13)/3=28.086666・・・≒28%
  • 直近の実績値データ出所
    • 女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数
      • 【雇用環境・均等部(室)による法施行状況調べ】
        • ※女性活躍推進法に基づく行動計画を策定・実施し、厚生労働大臣による認定を受けた全国の企業数(令和5年3月末時点)
    • 次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企業数
      • 【雇用環境・均等部(室)による法施行状況調べ】
        • ※次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定・実施し、厚生労働大臣による認定を受けた全国の企業数(令和5年3月末時点)
    • 男性の育児休業取得率
      • 【厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」】
        • ※5人以上規模事業所で2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間に配偶者が出産した者に占める育児休業取得者(2022年10月1日までに育児休業を開始した者)の割合

~NEW~
厚生労働省 10月は中小企業退職金共済制度の「加入促進強化月間」です~掛金の一部を国が助成する「安心・簡単・有利」な中小企業のための退職金制度~
  • 厚生労働省所管の独立行政法人勤労者退職金共済機構は、毎年10月を中小企業退職金共済制度※の「加入促進強化月間」とし、この制度への加入促進や広報活動などを行います。
  • 中小企業退職金共済制度は、退職金制度を単独で備えることが難しい中小企業のために設けられた国の退職金制度で、中小企業の事業主同士が掛金を拠出しあう仕組みと、国の援助で成り立っています。掛金の一部を国が助成し、管理も簡単で、税制上の優遇措置が受けられるなどのメリットがあり、令和5年6月末時点で、約56万の中小企業が加入しています。
  • 制度を運営する勤労者退職金共済機構は、この月間中、中小企業退職金共済制度の加入促進活動や広報活動を積極的に実施するとともに、制度に関する個別相談や説明会を実施します。また、この活動を後援している厚生労働省では、都道府県労働局における周知・広報、都道府県に対する制度の周知依頼など、さまざまな活動に取り組みます。
    • ※中小企業退職金共済制度には、一般の中小企業を対象とする「一般の中小企業退職金共済制度(中退共)」と、期間雇用従業者を対象とした「特定業種退職金共済制度」があります。「特定業種退職金共済制度」には「建設業退職金共済制度(建退共)」、「清酒製造業退職金共済制度(清退共)」、「林業退職金共済制度(林退共)」があります。詳細は、勤労者退職金共済機構のウェブサイトをご覧ください。
  • 主な取り組み内容
    • 独立行政法人勤労者退職金共済機構
      • ポスター・パンフレットの配布など
        • 中退共、建退共、清退共、林退共の各制度のポスター・パンフレットを作成し、市役所やハローワークといった公共の場所にポスター掲示を依頼します。また、関係機関や事業主団体を通じて事業主などへパンフレットを配布します。
      • マスメディアなどを通じた広報の強化
        • テレビ・ラジオ・新聞などのマスメディア、インターネット、地方公共団体・関係団体などの発行する広報紙(誌)による広報を強化します。
      • 事業主団体などを通じた周知・啓発、協力要請
        • 事業主団体や関係団体などに、各制度の周知・啓発の協力要請をします。
        • 建退共に加入していることを示す「建退共現場標識」の掲示を要請します。
    • 厚生労働省
      • 都道府県労働局でポスター掲示などの周知・広報を実施します。
      • 都道府県に対し、制度の周知に関する協力などを依頼します。
      • 各行政機関、事業主団体などに、勤労者退職金共済機構の実施する加入促進活動への協力を要請します。

~NEW~
厚生労働省 「令和5年版 労働経済の分析」を公表します~分析テーマは「持続的な賃上げに向けて」~
▼【概要】令和5年版 労働経済の分析
  • 「令和5年版 労働経済の分析」のポイント
    • 2022年の労働経済の推移と特徴
      • 我が国の雇用情勢は、経済社会活動が徐々に活発化する中で持ち直している。雇用者数については、女性の正規雇用者数が堅調に増加したほか、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」では減少から増加に転じた。
      • 人手不足感はコロナ前の水準まで戻りつつある中、転職者は、「より良い条件の仕事を探すため」が牽引し、3年ぶりに増加に転じた。
      • 名目賃金は全ての月で前年同月を上回り、民間主要企業の賃上げ率は、2.20%と4年ぶりに前年の水準を上回った。一方で、円安の進行等に伴う物価上昇により、実質賃金は減少した。※実質賃金:前年比▲1.0%(2021年+0.6%、2020年▲1.2%)
    • 賃金の現状と課題
      • 賃金は、1970年から1990年代前半まではほぼ一貫して増加していたが、1990年代後半以降、それまでの増加トレンドから転換し、減少又は横ばいで推移している。
      • 1990年代後半以降、物価の影響も考慮すると、一人当たりの実質労働生産性は他の主要先進国並みに上昇しているものの、実質賃金は伸び悩んでいる。我が国においては、労働時間の減少や労働分配率の低下等が賃金を押し下げている。
      • 我が国の賃金の伸び悩みには、企業の利益処分、労使間の交渉力、雇用者の構成等の変化や、日本型雇用慣行の変容、労働者のニーズの多様化が寄与した可能性がある。
    • 賃上げによる企業・労働者や経済等への好影響
      • 賃上げは、企業にとっては、求人の被紹介確率を上昇させるとともに離職率を低下させる等の効果が、労働者にとっては、仕事の満足度を高める等の効果がある。
      • 賃上げは、経済全体でみると、消費や生産等を増加させる効果がある。また、賃上げや雇用の安定は、希望する人の結婚を後押しする観点からも重要。 ※全労働者の賃金が1%増加した場合に見込まれる効果:生産額 約2.2兆円、雇用者報酬 約0.5兆円
    • 企業と賃上げの状況について
      • 売上総額や営業利益等が増加した企業や、今後増加すると見込む企業ほど、賃上げを行う傾向がある。
      • 価格転嫁ができている企業ほど賃上げする傾向がある。価格転嫁できない理由は、「価格を引き上げると販売量が減少する可能性がある」が最多。
    • 持続的な賃上げに向けて
      • スタートアップ企業等の新規開業と賃金の関係
        • OECD諸国についてみると、開業率と労働生産性・賃金上昇には正の相関がみられる。
        • スタートアップ企業等における賃上げ率や、成長見通しは、創業15年以上の企業よりも高く、賃上げにも積極的な傾向がある。
          • ※スタートアップ企業は、通常創業10年以内の非上場企業とされるが、データの制約から15年未満の企業について分析。
      • 転職によるキャリアアップや正規雇用転換と賃金の関係
        • 転職を経ると2年後に転職前と比べて年収が大きく増加する確率が高まる。
        • また、非正規雇用労働者が正規雇用に転換すると、年収が大きく増加するだけではなく、安定した雇用に移ることで、キャリア見通し、成長実感が改善し、自己啓発を行う者の割合も高まる傾向がある。
    • 政策による賃金への影響(最低賃金制度、同一労働同一賃金)
      • 最低賃金が近年大きく上昇している中で、最低賃金近傍のパートタイム労働者割合は高まっている。最低賃金の引上げは、最低賃金+75円以内のパートタイム労働者の割合を大きく上昇させ、時給が低い(下位10%)パートタイム労働者の賃金を大きく引き上げる可能性がある。
      • 同一労働同一賃金の施行は、正規・非正規雇用労働者の時給差を約10%縮小させ、非正規雇用労働者への賞与支給事業所割合を約5%上昇させた可能性がある。
  • 雇用情勢の動向
    • 我が国の雇用情勢は、経済社会活動が徐々に活発化する中で、持ち直している。
    • 雇用者数については、男女ともに非正規雇用労働者は回復に弱さがみられるが、女性の正規雇用労働者は堅調に増加している。産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」は減少から増加に転じたほか、「医療,福祉」「情報通信業」では引き続き増加がみられた。
    • 雇用の過不足の状況をみると、2021年12月以降は全ての産業において「不足」超となっているなど、人手不足感はコロナ前の水準まで戻りつつある。
    • 民間職業紹介事業について、「介護サービスの職業」「歯科医師、獣医師、薬剤師」等では、常用求人数が新規求職申込件数の2倍以上となった一方、「一般事務の職業」では、新規求職申込件数を大きく下回った。
    • 前職を離職した理由別に転職者数の前年差をみると、2022年は「より良い条件の仕事を探すため」が3年ぶりに増加に転じている。
  • 労働時間・賃金の動向
    • 労働時間をみると、感染症の影響による2020年の大幅減から2年連続で増加した。
    • 名目賃金(現金給与総額)は、前年比で全ての月において増加した。2022年の民間主要企業の賃上げは、賃上げ率が2.20%となっており、4年ぶりに前年の水準を上回った。
    • 一方で、円安の進行や輸入原材料の価格の高騰に伴う物価上昇がみられ、実質賃金は減少した。
  • 持続的な賃上げに向けて賃金の現状と課題
    • 賃金については、1970年からおおむね1990年代前半までは、ほぼ一貫して増加している一方で、1990年代後半以降、それまでの増加トレンドから転換し、減少又は横ばいで推移している。(※)1970年代~1990年代前半までは、名目労働生産性と名目賃金がどちらもほぼ一貫して増加しており、両者は極めて強く連動していたが、1990年代後半以降、生産性の上昇ほどは賃金が増加しづらい状況が継続している。
  • 主要先進国の賃金の動向
    • 一人当たり名目労働生産性・名目賃金は、我が国では25年間ほぼ横ばいで推移している。
    • 物価の影響も考慮した実質でみると、一人当たり実質労働生産性は他国並みに上昇しているものの、一人当たり実質賃金は伸び悩んでいる。
    • 我が国においては、労働時間の減少や労働分配率の低下等が一人当たり賃金を押し下げている。
  • 我が国において賃金が伸び悩んだ背景
    • 我が国の労働時間は、他国と比べても大きく減少している。この背景には、フルタイム・パートタイム労働者それぞれの労働時間の減少だけではなく、パートタイム労働者比率の上昇が大きく寄与している。
    • また、労働分配率は一貫して低下傾向であり、1996~2000年から2016~2020年までの労働分配率の低下幅はOECD諸国の中でも大きい。
      1. 企業の利益処分の変化
        • 企業の内部留保は付加価値額の増加等を背景に増加している。先行きの不透明感等、将来見通しの低さが企業をリスク回避的にさせ、企業が賃上げに踏み切れなかった可能性。
      2. 労使間の交渉力の変化
        • 企業の市場集中度が高く、また、労働組合加入率が低いほど、賃金水準が低い傾向がある。労働組合組織率の低下等、労使間の交渉力の変化が賃金を下押しした可能性。
      3. 雇用者の構成変化
        • 雇用者の構成(産業構成・勤続年数・パート比率等)割合を1996年で固定した試算値や、賃金の寄与度分解をみると、雇用者の構成変化が賃金に影響している可能性。
      4. 日本型雇用慣行の変容
        • 同一企業に勤め続ける「生え抜き正社員」割合は低下傾向で推移している。大企業では、「生え抜き正社員」の昇進の遅れも賃金を下押しした可能性がある。
      5. 労働者のニーズの多様化
        • ここ25年で就業者に占める女性や高年齢層の男女の割合が上昇している。女性や高年齢層では、希望賃金が低い傾向があり、また、相対的に求人賃金の低い事務的職業や運搬・清掃等の職業を希望する割合が高い。
  • 賃上げによる企業や労働者への好影響(ミクロの視点)
    • 近年、企業の人手不足は企業規模にかかわらず深刻化しているが、高い求人賃金や完全週休2日、ボーナスあり、時間外労働なし等の条件が加わると、求人の被紹介確率が上昇する。
    • 賃上げは、企業にとっては、既存の社員のやる気向上や離職率の低下等の効果があり、増加額が高いほど、仕事への満足度の向上や、生き生きと働けるようになる等の効果がある可能性がある。
  • 賃上げによる経済等への好影響(マクロの視点)
    • フルタイム労働者の定期・特別給与が1%増加すると、各々0.2%、0.1%消費を増加させる効果がある。
    • 全労働者の賃金が1%増加すると、生産額が約2.2兆円、雇用者報酬が約0.5兆円増加すると見込まれる。
    • 相対的に年収が高い層ほど、結婚確率が高くなる効果がみられる(正規雇用も結婚確率を引き上げる効果がある)。若年層の賃上げや雇用の安定は、希望する人の結婚を後押しする観点からも重要。
  • 企業と賃上げの状況について(アンケート調査による分析)
    • 売上総額等が3年前と比べて「増加」した企業ほど、賃上げを実施している傾向がある。また、売上総額等が「増加」すると見込む企業において、賃上げを実施した企業の割合が高い。
    • 価格転嫁は、8割以上転嫁できている企業は1割強にとどまる一方、全く転嫁出来ていない企業が3割にのぼる。価格転嫁ができている企業ほど賃上げできている傾向。価格転嫁できない理由は、「価格を引き上げると販売量が減少する可能性がある」が約34%と最多。
  • スタートアップ企業等の新規開業と賃金の関係
    • OECD諸国についてみると、開業率と労働生産性・賃金には正の相関がみられる。
    • スタートアップ企業等は、創業15年以上の企業よりも賃上げ率や成長見通しが高い。※定期給与増加率の比較は、企業業績が何らかの形で改善している企業に限っている。
    • 収益増を見通すスタートアップ企業等は、ベースアップにも積極的な傾向がある。
  • 転職によるキャリアアップや正規雇用転換と賃金の関係
    • 転職等希望者に占める転職者の割合は2020年以降低下しており、感染拡大期において、転職へのニーズが実現出来ていなかった可能性がある。一方で、転職を経ると2年後に転職前と比べて年収が大きく増加する確率は高まる。
    • 非正規雇用労働者が正規雇用転換すると、年収が大きく増加するだけではなく、安定した雇用に移ることで、キャリア見通し、成長実感が改善し、自己啓発を行う者の割合も高まる傾向がある。
  • 政策による賃金への影響 最低賃金引上げ
    • 最低賃金が近年大きく上昇している中で、最低賃金近傍のパートタイム労働者割合は高まっている。
    • 最低賃金引上げは、最低賃金+75円以内のパートタイム労働者の割合を大きく上昇させる可能性がある。
    • 最低賃金引上げは、パートタイム労働者下位10%の賃金を0.8%程度、中位層においても0.7%程度引き上げる可能性がある。
  • 政策による賃金への影響 同一労働同一賃金~雇用形態間の賃金差~
    • 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の時給比は、勤続年数が長くなると拡大する傾向がある。
    • 同一労働同一賃金の施行は、正規・非正規雇用労働者の時給差を約10%縮小させ、非正規雇用労働者への賞与支給事業所割合を約5%上昇させた可能性がある。

~NEW~
厚生労働省 新しい時代の働き方に関する研究会 第14回資料
▼資料1 新しい時代の働き方に関する研究会 報告書(案)
  • 企業を取り巻く環境の変化)
    • 経済のグローバル化、急速なデジタル化の進展により国際競争が激化しており、国際政治環境の不安定化やウィズコロナ・ポストコロナ社会の到来などにより世界的に物価基調の変化が生じ、金融市場・商品市場が不安定化している。
    • また、Web3.0をはじめとする次世代インターネット概念の普及や、ChatGPT等の大規模言語モデルの発展が著しく、これらを基に新たなビジネスモデルが創出されていくことが見込まれ、これまで以上に、企業環境が大きく変化していくことが予測されている。デジタル技術の革新は、事業活動に大きな恩恵をもたらすものであると同時に、市場や競争環境を劇的に変え、事業活動に非連続的な変化を引き起こす可能性があり、企業が直面する不確実性を生む要因の一つとなっている。
  • 労働市場の変化
    • 人口減少等に伴う労働市場の構造変化の中で深刻な人手不足が起こっている。我が国では少子高齢化が急速に進み、既に人口減少局面にあり、今後は15~64歳の現役世代の減少が更に進む見込みである。さらに、女性・高齢者の労働参加が進んだことから、近年増加してきた労働力人口・就業者数も令和元(2019)年を転機に減少傾向2に転じている。人手不足の状況は新型コロナウイルス感染症の影響下で一時的に緩和されたものの、その後は産業間で差が見られつつも再び深刻化し、その傾向は令和4(2022)年に入り強まる状況3にある。こうした状況は、豊富な労働力供給を前提とした雇用管理に転換を迫るものである。
    • また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展は労働需要(必要なスキル・人材)の変化を引き起こしており、業種や職種を超えて広範に企業の人材戦略に影響を及ぼしている
  • 働く人の意識の変化、希望の個別・多様化
    • 職業人生の長期化・複線化が進む中で、仕事に対する価値観や、生活スタイルが個別・多様化し、仕事に対する価値観や生活スタイルに応じて働く「場所」、「時間」、「就業形態」を選択できる働き方を求める人が増加している。
    • また、新型コロナの影響下でのテレワークの進展を契機に、「働く場所」を選ぶ働き方が広がるとともに、オンラインを通じてジョブマッチングが行われるプラットフォームワーカーが増加するなど、個別・多様化する働く意識や希望する働き方とキャリアに合わせて、勤務場所や勤務時間を選び、それぞれのワークスタイルに合った働き方を採ることが普及している。
    • こうした働き方の変化は、雇用契約の当事者である「労働者」いわゆる「正規雇用」「非正規雇用」にとどまらず、フリーランス等を含む「働く人」全体に見受けられる。
  • 本研究会でのヒアリング結果
    • 集団・個別双方の労使コミュニケーションを行いながら、雇用管理・労務管理を実施している。
      • 全社員リモートワーク・バーチャルオフィスという会社もあれば、オフィスワークのメリットを再評価しているところ、人材育成と人材定着のため、長期雇用を再評価し、社内労働市場で流動化を図るところなど様々である。
      • ポストごとの職務・必要能力等を明確化し、社員とのコミュニケーションを行いつつキャリア形成を支援していた企業もあった。
      • ビジネスミッション・必要な人材像を共有し、人事部局と社員とのコミュニケーションで人材配置を実施していた企業もあった。
      • 企業においては、過半数労組・過半数代表者に限らない労使コミュニケーションを積極的に活用している様子が見られた。以下はその具体例である。
      • 睡眠時間やメンタルヘルスの状況、労働者の仕事の満足度、人間関係、健康状態などをアプリ等で直接把握し、雇用管理・労務管理に活かす企業
      • 経営陣と従業員有志との議論を経て人事制度改革を行い、制度導入後の状況を人事担当が全国の事業所に直接訪問して把握しPCDAに活かす等といった労使対話を行う企業
      • 労働組合が組織されていないため過半数代表者を法定要件を満たす必要から選出しているものの労使コミュニケーションを行うにあたっては実効的ではないため、労働者の働くニーズや就労の状況を個別の労使コミュニケーションにより把握する企業
      • 企業は、労働時間と成果がリンクしない働き方をしている労働者に対して、労働時間を厳格に管理しつつ生産性を向上させることに課題を持っている。
      • 多様で主体的なキャリアの実現、拡大する新たな働き方等に対応できるよう、労働者とコミュニケーションを図り同意を得た上で労働時間制度をより使いやすく柔軟にしてほしいという希望も見受けられた。
    • 健康管理・職場環境改善を重視し、社員とのコミュニケーションを踏まえて改善を図っている。
      • 法定の健康管理を超えて、職場環境改善のための取組みを積極的に実施していた。以下は、その具体例である。
      • 社員アンケートをもとに職場環境の状況を見える化したうえで課題を発見し、職場環境の改善を行う企業
      • 身体の健康、こころの健康を維持・増進するためには、健康経営を掲げた上で実年齢と健康年齢の差を縮めることを目標に施策を講じる企業
      • 個々の働く人の、睡眠時間やメンタルヘルスの状況をアプリ等で把握し、個人と組織の働き方の課題を分析することで労働生産性向上を図る企業
      • 全社員リモートワークの企業においても、勤怠管理・健康診断等の健康管理は重視しており、健康マネジメントを必要に応じて実施していた。
      • 企業は、労働者の健康管理を行うに当たって、労働者の健康に係る情報を業務遂行に直接かかわる部分を超えてどこまで把握してよいかについて課題感を持っていた。
  • 希望する働き方について
    • 労働者の希望する将来の働き方は多様であり、その中で「なりゆきに任せたい」「わからない」とする労働者(56.5%)が一定存在しており、自らの働き方について明確な意思を持っていない層が多いことがうかがえる。
    • 仕事の裁量については、手順(53.3%)、時間配分(54.4%)、場所(47.2%)ともに自らの裁量を増やしたい6という層が一定存在する。さらに、それを職種別に見ると、例えば仕事時間の裁量については管理的職業7(74.3%)や専門的技術的職業8(63.2%)においてその割合が高く、年収が高ければ高いほどその傾向が高まっている(300万円未満:45.6%、1000万円以上:71.5%)。
    • また、リモートワークの希望については、希望しない層(60.6%)が一定存在しており、また、業種によって傾向も異なる。情報通信業(70.3%)、金融・保険業(52.2%)、学術研究、専門・技術サービス業(52.1%)など特定の業種でリモートワークを希望する層が多い一方、運輸・郵便業(74.0%)、宿泊業・飲食サービス業(74.2%)、医療・福祉業(74.7%)については希望しない層が多く、業種によってリモートワークへの希望は多様であることがうかがえる。
    • 希望する労働時間制度については、通常の労働時間制度(61.8%)、フレックスタイム制度(53.2%)を希望する層が多いが、変形労働時間制度(37.3%)、みなし労働時間制度(30.8%)、労働時間制度の対象としない働き方(27.4%)を希望する層も一定存在し、労働者のニーズは多様である。
    • 労働時間の長さについては、現状維持を望む層(59.2%)が一定存在している一方、増やしたいと回答した割合は14.5%、減らしたいと回答した割合は26.3%である。
    • 一つの企業で長く働くことをこれまで以上に重視する層(57.9%)が一定存在しており、安定志向がうかがえる。
    • 今後仕事よりも仕事以外の生活を大切にすると回答した層は74.3%を占め、多くの方が仕事以外の生活を大事にしたいと考えていることが分かる。
  • 個人と組織の関係性
    • 個人について
      • 長期雇用の下で上司の指示どおりに着実に業務をこなす等、これまでと同様の働き方が馴染む労働者が多く存在する一方、仕事に対する価値観や生活スタイルの個別・多様化を背景にして、自発的なキャリア形成と、ライフステージ・キャリアステージにあわせた多様な働き方を求める労働者が増えている。
      • そのため、企業に対してライフステージ・キャリアステージの変化に応じて多様な働き方14をとることができることや、能力を高め、発揮し、豊かなキャリアを形成できる機会の提供を求める者が増加している。
    • 組織について
      • 企業を取り巻く環境、労働市場の変化に対応するためには、企業にとって長期的な視点に立って優れた人材を確保し活用することが重要である。
      • そのため企業では、長期雇用(雇用の安定が確保された中で働くこと)や企業内キャリア形成を重視しつつ、労働者の能力や成果を評価し、処遇や人材配置などに反映していく仕組みが広がっている。こうしたことから、働く人の多様で主体的なキャリア形成を支援しつつ、パーパス(企業の存在意義)経営を推進するために、エンゲージメントを高める、求める人材像や能力の見える化を図る、1on1などにより労働者とのコミュニケーションを図る等の取組みを重視する企業がでてきている。
    • 個人と組織の関係性について
      • こうした個人と組織が求められることの変化を背景にして、新しい個人と17企業の関係の構築を指向するケースが増加している。
      • そこでは、企業には、働く人に対して、正規雇用・非正規雇用等の従来型の雇用形態にとらわれず、全ての働く人が働き方を柔軟に選択し、能力を高め発揮できる環境を提供することが、働く人には、自発的に働き方とキャリアを選択した上で能力を発揮することが、求められている。
  • これからの労働基準法制の検討の基礎となる視点
    • 「守る」と「支える」の二つの視点
      • これからの労働基準法制の在り方を考えるに当たっては、「守る」と「支える」という2つの視点が重要であり、その視点を実現するためにどのような法制が必要かという視点で検討を進めていく必要がある。
    • 「守る」について
      • 心身の健康の重要性は全ての働く人に共通である。従来から労働基準行政が果たしてきた労働者を「守る」役割は、引き続き確保されるべきである。
      • 全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに働き続けることのできる社会を実現するためには、労働基準法制において、変化する経済社会の下でも変わらない労働憲章的な規定や基本原則、封建的な労働慣行を排除するための規定を、全ての労働者にとって変わることのない「守る」べき考え方としてこれからも堅持すべきものである。
      • この考え方を前提として、労働基準法制における具体的な制度設計においては、労働者の心身の健康をしっかりと「守る」ものとして検討される事が必要である。
      • 変化する経済社会の中で、働く人の働き方に・キャリア形成に関する希望の個別化・多様化は急速に進んでいる。加えて、一人の労働者の中でも、育児や介護を含めたライフステージ・キャリアステージの移り変わりの中で、働き方に対する希望は変化を続ける。
      • こうした環境下において、労働基準法制として「どのような働き方をする働く人」について「どのように守るのか」、すなわち働く人の「守り方」について、今後の働き方の変化に対応して再検討していくことが必要である。
      • 「守り方」の再検討に当たっては、まず労働者の健康を確保するに十分な制度であることが大前提であり、これに加えて、個々の労働者の多様な希望や事情に応じた柔軟な活用ができるものであることが求められる。
      • また、後述の「支える」視点においても、健康確保は生命に関わる大切なことであるとともに、仕事の質や働きがいを向上させることにつながるものであるため、働く人の健康が害されることがないようにすることが必要である。
    • 「支える」について
      • 人は、よりよい職業生活を送り、人生を豊かにすることを目指して日々働いている。そして、変化する経済社会の中でより良い職業生活を実現していくために、ライフステージ・キャリアステージや自らの望むワークスタイルに合わせて、また自己の成長やキャリア形成を実現するために柔軟に働くことを希望する労働者が増えている。
      • 労働基準法制が、心身の健康が確保され、人たるに値する生活を営むための必要を満たす労働条件を「守る」にとどまらず、働く人の働き方やキャリア形成の希望を叶え、より良い職業生活を送ることができるよう「支える」ことについて、労働基準法制が適切に効力を発揮するよう見直すことが必要である。具体的には、対等な労使コミュニケーションの下で、働く人が多様な働き方を選択できることや、自発的な能力開発と成長を促し、その目的の達成に向けた働き方を実現すること等、「支える」ことが重要になろう。
      • 「守る」視点で述べた、変わることのない原則や、労働者の健康確保を堅持することは前提である。
      • その上で、労働基準法制は、自らの希望やキャリアを踏まえて自発的に働き方を選択しようとする人の妨げにならないよう、また働く人の自発的な選択と希望の実現を「支える」ことができるよう、「多様性尊重の視点」に立って整備されていくことが重要である。
      • そうした「多様性尊重の視点」に立った整備が実効あるものになるためには、自発的な選択を行った人が、意図せず不利な状況に陥ることを防ぐため、労使の適正なコミュニケーションがはかられるような労働基準法制とすることが求められる。経営者が労働者を雇用する以上、経営者が労働者より強い立場にあるため、労働条件や制度の決定に経営側の都合のみが優先され、働く人の選択や希望が反映されないといったことにならないようにすべきである。
  • 「守る」「支える」ための具体的な制度設計に向けた考え方
    • ここまで述べた「守る」「支える」を実現するための労働基準法制について、具体的な制度設計を検討するに当たって、押さえるべき考え方を以下のとおり整理する。
      • 変化する環境下でも変わらない考え方を堅持すること
      • 個人の選択にかかわらず、健康確保が十分に行える制度設計
      • 個々の働く人の希望をくみ取り、反映することができる制度設計
      • ライフステージ・キャリアステージ等に合わせ、個人の選択の変更が可能な制度設計
      • 適正で実効性のある労使コミュニケーションの確保
      • シンプルでわかりやすく実効的な制度設計
      • 労働基準法制における基本的概念が実情に合っているかの確認
      • 従来と同様の働き方をする人が不利にならない制度設計
    • また、経済社会の変化に対応して変わりゆく労働基準法制の適切な履行を確保するためには、労働基準監督署による事業場の臨検監督を主たる手法としてきた労働基準監督行政の在り方について検討する必要がある。
  • 変化する経済社会の下でも変わらない考え方
    • 労働基準法において、労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならず、同法で定める労働条件は最低のものであり、労働条件の向上を図るよう努めるべきこととされている。
    • また、基本原則として、労使対等の原則、均等待遇、男女同一賃金原則、強制労働の禁止や中間搾取の排除、年少者、妊産婦等に関する規定が設けられており、これらの考え方や規定は、企業を取り巻く環境が変化したり、働く人の選択や希望が個別・多様化する中においても、全ての労働者にとって変わることのない基盤である。
    • 加えて、現場においては、不当な条件の下で働く者や長時間労働により健康上の支障が生じる者がおり、もとよりこのような方々を保護することは当然のことであるが、今後、新しい時代に即した労働基準法制の方向性を検討していく中でも、このような方々を如何にして保護していくかという労働保護の精神は忘れてはならない基本的価値観である。
  • 個々の働く人の選択・希望の変化を踏まえた制度
    • 全ての働く人が心身の健康を維持しながら働き続けることができるよう、これまで同様、強制力のある規制により労働者の権利利益の保護を行うべきである。
    • 一方、企業においては労働時間と成果がリンクしない働き方をしている労働者については、労働者の多様で主体的なキャリア形成のニーズや、拡大する新たな働き方に対応できるよう、労働者とコミュニケーションを図り同意を得た上で労働時間制度をより使いやすく柔軟にしてほしいという希望も見受けられた。そのほか、テレワークや副業・兼業のように職場の概念が変わり、従来の雇用管理では対応が難しくなっている場合や、フリーランスなど雇用によらない働き方をする者など、従来の労働基準法制のみでは有効に対応できない場合、労働基準監督署による事業場への臨検を前提とした監督指導が馴染まない場合など、働く人の働き方の変化に伴い、労働基準法制定当時では想定されなかった新たな課題が起きているので、それらのことも念頭に、それぞれの制度の趣旨・目的を踏まえ、時代に合わせた見直しが必要である。
    • また、その際には雇用形態の違いなどに関わらず、あらゆる働く人の健康と安全を「守る」ことを保障した上で、働く人の個別・多様化する働き方・キャリア形成の希望の実現を「支える」という配慮が求められる。
  • 適正で実効性のある労使コミュニケーションの確保
    • 働き方・キャリア形成に関する働く人の希望が個別・多様化し、企業も、多様性を重視する人材マネジメントを採る傾向を強めている。そのため、人材マネジメントは画一的・集団的管理から個別管理の傾向を強め、賃金・待遇等の格差が拡大することが想定されるので、労働者間の公平性・納得性の確保も課題となる。
    • こうしたことに対応するには、個々の労働者と使用者との間には情報や交渉力の格差があることを踏まえると、集団的労使コミュニケーションの役割はこれまでと以上に重要である。この点で、労働者が団結して賃金や労働時間などの労働条件の改善を図る上で、労働組合の果たす役割は引き続き大きい。
    • 一方で、企業においては、過半数労組・過半数代表に加えて様々な形での労使コミュニケーションを積極的に活用している様子も見受けられた。例えば、
      • 働く人の仕事の満足度、人間関係、睡眠時間やメンタルヘルスの状況などをアプリ等で直接把握し、雇用管理・労務管理に活かす企業、
      • 経営方針や人事施策等の検討に従業員の意見を反映させ、制度導入後の状況を人事担当が全国の事業所に直接訪問してPCDAに活かす等といった労使対話を行う企業、
      • そのほか、労働組合が組織されていないため、過半数代表制を法定要件を満たすため選出しているが、労使コミュニケーションを行うにあたっては実効的ではないため、働く人のニーズや就労の状況を個別の労使コミュニケーションにより把握する企業等があった。
    • また、上述したとおり、労働者の多様なキャリア形成のニーズや、拡大する新たな働き方に対応できるよう、労働者とコミュニケーションを図り同意を得た上で労働時間制度をより使いやすく柔軟にしてほしいという希望も見受けられる。さらに、働き方の個別・多様化が進む、非正規雇用労働者が増加する、労働組合組織率が低下する等の状況を踏まえると、企業内等において、多様な働く人の声を吸い上げ、その希望を労働条件の決定に反映させるためには、現行の労働基準法制における過半数代表者や労使委員会の意義や制度の実効性を点検した上で、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方について検討することが必要である。その際、労働基準法制については、労使の選択を尊重し、その希望を反映できるような制度の在り方を検討する必要がある。
  • 企業に期待すること
    • ビジネスと人権の視点
      • 経営活動のネットワーク化や国際化が進む中で、企業は自社内はもちろんのこと、企業グループ全体やサプライチェーン全体で働く人の人権尊重や健康確保を図っていくという視点(いわゆる「ビジネスと人権」の視点)を持って、企業活動を行っていくことが重要になっている。
      • そのため、最近では、自社・グループ会社及びサプライヤー等における人権侵害等を特定した上で、それらを防止・軽減し、その取組の実効性を評価し、どのように対処したのかを説明、情報開示していく人権デュー・ディリジェンスに取り組む企業も見られる。
    • 主体的なキャリア形成の支援
      • (人的資本投資への取り組み)
        • 働く人の主体的なキャリア形成を促していくためには、法制度において「支える」のみならず、使用者である企業による支援も重要となる。企業は人材を「人的資本」として捉え、積極的に投資(人的資本投資)して行くことが期待される。
        • 一方、人的資本投資が諸外国に比べて少ないといった指摘がある中、経営環境の変化に対して主体的・能動的に行動できる人材を必要としている我が国の企業は、その確保の観点からも、人的資本投資を増やすことが求められている。
        • 人的資本投資は、能力開発への投資にとどまらず、労働条件の改善、主体的なキャリア形成への支援への投資も含み、人材の価値、企業価値の向上とともに、個人の健康や幸福感の向上をもたらすことが期待される。
      • (働く人への情報提供)
        • 全ての働く人が価値創造の担い手である。したがって、企業は雇用形態や属性にかかわらず人的資本投資に取組み、全ての働く人の主体的な能力開発とキャリア形成を行う上で必要な情報や機会、例えば働く人が安心して学べるように、スキルアップ研修を受講するための時間の確保やその時間に対する賃金の保障などを働く人に提供することが重要である。
        • また、働く人に提供する機会と情報に格差が生じないよう、労使コミュニケーションを活用したサポートが重要である。
        • 加えて、企業内における情報提供はもちろんのこと、企業外にも情報発信、特にその企業が求める人材像や能力・スキルを示すことにより、その企業に合った人材が就職や転職を検討しやすくなるということも期待できる。
    • 働き方・キャリア形成への労使の価値観の共有
      • 企業は、働く人の自発的なキャリア形成を支援しつつ、働く人が高いエンゲージメント意識をもって働ける、人材マネージメントを実現することが求められている。
      • そのためには企業はパーパスを明確にし、ビジネスの将来像を明確にした上で求める人材像を可視化し、双方向のコミュニケーションを図ることにより、それを働く人と共有化することが大切である。
      • こうしたことにより、働く人は企業の求める方向を念頭に置いて能力を高めキャリアを形成することが、また企業は人材を確保し活用することが可能になる。
  • 働く人に期待すること
    • 働く人が幸せな職業人生を実現するためには、働き方を自ら選択し自由で豊かな発想や創造性・専門性をもって働き、自発的にキャリアを形成することが重要である。
    • そのためには、働き方が多様化するので、業務遂行の面でも健康管理の面でも自己管理能力(セルフマネジメント力)を高めることが求められている。
    • また、働く人は企業あるいは労働市場においてどのような人材が求められているか、自らの望む働き方や、キャリアに求められる能力は何かを明確にした上で、自主的に能力開発に取り組むことが求められている。
    • さらに働く人にとって、労働基準法制を正しく理解し活用すること、そのために国、企業等による教育や情報提供を活用して法制度の理解を深めることが大切である。
    • 加えて、働く人が自らのキャリアについてより適切に判断していくために、また、現在働いている職場の環境をよりよいものとしていくために、働く人がこうしたことについて自律的に考えるとともに、企業との交渉という側面だけでなく情報収集という観点からも、働く人同士のネットワークを構築していくことも有効と考えられる。こうしたつながりは、労働組合を活用しても良いし、もっと緩やかなつながりで行うことも考えられる。

~NEW~
経済産業省 海外現地法人四半期調査(2023年4月から6月期)の結果を取りまとめました
  • 経済産業省では、我が国企業の国際展開や、海外での業況を把握することを目的に、我が国企業の製造業海外現地法人の海外事業活動に関する調査を実施し、四半期毎に公表しています。この度、2023年4月から6月期の調査結果を取りまとめました。
  • 我が国企業の海外現地法人における売上高(2023年4月から6月期、ドルベース)は、前年同期比3.0%と3期ぶりの増加となりました。アジアが3期連続で減少したものの、北米が同16.6%と4期連続で増加しました。
  • 結果概要
    • 売上高
      • 売上高(全地域合計)は、前年同期比3.0%と3期ぶりの増加となりました。化学、電気機械などが減少したものの、輸送機械が増加となりました。
      • 地域別(北米、アジア、欧州)にみると、構成比の高いアジア(構成比46.8%)は、中国の輸送機械などの減少により、前年同期比-6.0%と3期連続の減少となりました。北米(同31.9%)は、輸送機械などの増加により、同16.6%と4期連続の増加、欧州(同11.6%)は同7.0%と2期連続の増加となりました。
    • 設備投資額
      • 設備投資額(全地域合計)は、前年同期比-12.3%と5期ぶりの減少となりました。電気機械などが増加したものの、輸送機械などが減少となりました。
      • 地域別にみると、アジア(構成比47.4%)は、前年同期比-7.7%と4期ぶりの減少となりました。北米(同33.2%)は、同-25.6%と2期連続の減少、欧州(同11.9%)は、同9.7%と5期ぶりの増加となりました。
    • 従業者数
      • 従業者数(全地域合計)は、前年同期比-1.0%と3期連続の減少となりました。輸送機械などは増加したものの、電気機械、はん用等機械などが減少となりました。
      • 地域別にみると、アジア(構成比66.6%)は、前年同期比-2.9%と3期連続の減少となりました。北米(同14.6%)は、同4.4%と6期連続の増加、欧州(同9.9%)は、同0.3%と2期連続の増加となりました。

~NEW~
経済産業省 令和5年度「なでしこ銘柄」・「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の募集を本日より開始します
  • 経済産業省は、東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた企業を「なでしこ銘柄」として選定する取組を、平成24年度から実施しています。
  • 企業価値向上につながる女性活躍のために不可欠な、「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」を両輪で進める企業を「なでしこ銘柄」として最大30社程度選定します。
  • また、今年度より、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」に関する取組が特に優れた企業を、新たに「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として20社程度選定します。
  • なでしこ銘柄とは
    • 女性活躍の推進に優れた企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取組を加速化していくことを狙いとしています。
    • 人的資本経営重視の流れを踏まえ、企業の女性活躍の取組の多寡だけではなく、経営戦略と結びついた女性活躍推進体制・取組となっているか、また、その取組が企業価値向上につながっているかという点を重視して選定しています。
  • 今年度の実施方針
    • 「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」を両輪で進めることが女性活躍推進に不可欠であると考え、令和5年度の「なでしこ銘柄」では、共働き・共育て支援(男女問わない両立支援)に関する設問を拡充し、こうした取組を進める企業を最大30社程度選定します。
    • また、「なでしこ銘柄」とは別に、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」に関する取組が特に優れた企業を、新たに「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として20社程度選定します。
    • 「なでしこ銘柄」、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」については、片方のみの応募、あるいは両方に応募、どちらのパターンでも応募が可能です。(※ただし、「なでしこ銘柄」に選定された企業は、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」には選定されません。)
    • 「なでしこ銘柄」及び「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の選定により、企業の女性活躍への取組に対する投資家の注目を高めることで、各社の取組の加速化を目指していきます。

~NEW~
総務省 情報通信審議会 電気通信事業政策部会 ユニバーサルサービス政策委員会 ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度における交付金・負担金の算定等に関するワーキンググループ(第2回)配布資料・議事概要
▼資料1 第1回会合における主な意見(事務局資料)
  • 事業者・自治体からのヒアリングの必要性
    • 制度自体の効率性ということだけで論点に答えを出すのは難しい。事業者だけでなく、それぞれの実情を抱える自治体からの意見、特に未整備地域の現状、公設設備の自治体負担の在り方などについて耳を傾け、裏側にある本当の困窮や実情を聴取する必要。
    • 今回はユニバ義務が課されていない中で、事業者も複数であり、町字単位の区分判定など様々な課題あり。人口密度が低いところでブロードバンドの普及を支援するため、その実態に係る事業者や自治体からの意見が非常に役立つ。
    • 未整備地域の住民が、今どういう不便を抱えているのかを承知したい。自治体からの意見や情報提供が必要。自治体や事業者の意見を聴取したい。
    • 電話ユニバと比べて事業者の数が増えると思われ、よく似てはいても、電話ユニバ制度に修正を加えなければいけない。事業者、自治体の意見を拝聴して進めていく必要。
  • ヒアリングで聴取したい追加的な論点
    • 未利用芯線がどの程度あり、どの程度維持管理コストが掛かるのか。また、世帯カバー率が高まるほど未利用芯線が増えるのではないか。未整備地域をなくすに従って、未利用芯線の数も指数関数的に上がっていくのか。未利用芯線に関わる説明を聴取したい。
    • 公設民営型等において、ブロードバンドに対する投資がどうしても後手になりやすいという嫌いはあると思う。水道管破裂や寝たきりの方へのケアが優先順位が高くなると思う。よって、初期投資は行ったが、更新予算が付かないといったケースもあるのではないか。
    • 民設移行する際の円滑な手続についても検討しなければいけない。
    • 事業者にブロードバンドサービスの提供に手を挙げていただかなければいけない。
  • 広報啓発活動の必要性
    • 日本中のブロードバンドを安定的に整備・維持していくことはとても大切。そのため、国民の理解もとても大切。早い段階から分かりやすく伝えていく努力が大切。急にブロードバンドユニバが始まります、負担がこうなりますという風にならない仕組みを考える必要。
    • ワイヤレス全体を対象にするのか、一部分のワイヤレスサービスのみを対象にするのか、分かりにくい部分もある。やはり細かい部分は、どうしても全体に伝わりきらない面がある。
    • 今回、光ブロードバンドに限定した議論をすることの理解は共有しているつもりだが、ワイヤレス(共用型)を除外することについても広報等が必要。
  • 事務局資料の修正
    • (第1回ワーキンググループで事務局が提出した資料のうち)検討事項(2)で、宣伝費についてという部分の言葉が足りない。ブロードバンドユニバーサルサービス制度の宣伝について原価として算入してよいかというように加筆すべき。その方が誤解は少なくなる

~NEW~
総務省 民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用- イツモスマイル株式会社及び一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワークによる空き領域の利用 -
  • 本日、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令(平成26年政令第155号。以下「番号法施行令」という。)第18条第2項第4号の規定に基づき、イツモスマイル株式会社及び一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワークがマイナンバーカード(ICチップ)の空き領域にアプリケーションを搭載して行う事務について、以下のとおり告示を行いました。
    • 空き領域利用の概要
      • 民間事業者は、マイナンバーカード(ICチップ)の空き領域にアプリケーションを搭載することにより、様々な事務でマイナンバーカードを活用することが可能です。
      • このためには、番号法施行令第18条第2項第4号の規定に基づき、事務の実施者及び事務の内容について、内閣総理大臣及び総務大臣による告示を受けることが必要となります。
    • 大臣が定める事務の実施者
      • イツモスマイル株式会社
      • 一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワーク
    • 大臣が定める事務の内容
      • イツモスマイル株式会社に使用される事務所等の入退館及び入退室の管理に係る事務、イツモスマイル株式会社が管理するアプリケーションを使用する権限を有する者であることの識別及び認証等に係る事務
      • 介護業界では専門職/高齢者等、デジタル活用に抵抗や苦手意識があるユーザーが多い。同ユーザー層でもデジタル活用ができるよう、マイナンバーカードの認証機能を活用する。
      • 一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワークが管理する医療情報データベースに登録されている者であることの識別及び認証等に係る事務

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第48回)配付資料
▼参考資料1 第47回会合における構成員等からの主なご意見・事業者等への質疑応答
  • 今後のモニタリングについて
    • 透明化法の規制対象となる事業の内容は「Yahoo!広告」を通じて「Yahoo!JAPAN(Yahoo!検索含む)」に広告を表示する事業というように事業が限定されており、その他のパーソナルデータの取扱いについてもモニタリング対象とすべき。例えばヤフーもYahooデータソリューションとして、必ずしも広告の表示を目的とせずにプラットフォームのもつデータを第三者が活用するサービスが提供されており、昨今ではデータクリーンルームと呼ばれるようなものもプラットフォームが提供していたりするため、「広告の表示」に限らずマーケティング等全般に対するパーソナルデータのデータ活用に対しても明確にモニタリング対象とすべき。【太田先生】
    • 利用者情報WGが閉会したため、今回はプラットフォーム研究会でモニタリングを行っているが、安定した仕組みとはいえない。透明化法はBtoBの競争法の一種であり、パーソナルデータの取扱いについては、一部重なる部分があるにせよ、すべては重ならない。モバイルエコシステムの議論もモバイルOSに特化しているため、今後どのような枠組みでこの取組を続けていくかについては考えたほうがよい。透明化法は法的な枠組みなので海外事業者も対応せざるを得ないところだが、この取組については必ずしも答えてもらえるかが分からないので、まずは安定的な枠組みを作ることが宿題として残っていると思う。【板倉先生】
    • モニタリングの位置づけについては、板倉先生に同意。広告を中心とするパーソナルデータの取扱いについて、透明化法はあくまでBtoBの観点に立つものなので、ユーザ保護の観点から見ていく必要がある。外部送信規律により、ファーストパーティーが協力してサードパーティが取得する部分についての透明化は図られているが、そこだけできていればよいということではない。外部送信規律の背後には、通信に係るプライバシーは通秘等により保護をしてきたが、Webの閲覧やアプリの利用に伴うプライバシー保護というテーマがあるはず。ファーストパーティの外部送信によりサードパーティがデータを取得する場面、サードパーティにおいてどのようにデータを結合して利用しているかについても問題になるものであり、プラットフォーム研究会の宿題であると認識している。【森構成員】
    • ログインしていない人への説明、透明性の確保について、サードパーティとして取得した人がどのように対応すべきかという問題意識だと思う。モニタリングを継続して、透明化法ではなく利用者保護の観点でモニタリングしていく必要がある。外部送信規律により間口の部分は規律したものの、取得した後サードパーティによってどのように利用されるかについても、なんらか法制度を検討することが重要ではないか。【森構成員】
  • 利用者への周知・同意取得について
    • ポリシーの重要な変更に当たっては、アプリの場合はプッシュ通知やメール等により行っていると思うが、アプリを使用していない人や、IDを取得していない人にはどのように知らせているのか。また、重要なプライバシーポリシーの改訂とは、どういうものをいうのか。【小林先生】
      • ヤフーは最初にメールアドレスを登録いただいているので、プライバシーポリシーの改訂時にはメールでお知らせしている。また、直近ではプライバシーポリシーの統合の際、ヤフーのトップページにお知らせの形で掲載していた。重要な改訂については、形式的なものではない、中身にかかわるような改訂を指している。改訂の内容が一部サービスにしか影響しない場合は、サービス内での周知にとどまり、全体への周知をしないこともある。
    • プライバシーセンターについて、真摯に取り組んでいると思うが、プライバシーへの感度の高い人にはわかるものの、一般ユーザからは難しいのではないか。また、外部送信に関する記載が取得に関する項目でよいのかが気になる。また、パーソナルデータの連携のところで、パートナー企業との連携については、どこが取得の主体で、どこに提供しているかの理解が難しい。【石井先生】
      • 正確性を期すると記載が長くなってしまい、一般ユーザが理解しづらくなってしまう。一般ユーザーが理解しやすいように心がけて引き続き改善を検討したい。外部送信に関する記載については、ヤフーが取得するものとは記載を分けたほうが良いということで、トップの部分に項目を設けているが、導線としてパーソナルデータの取得のところからも行けるようになっている。
      • また、プライバシーセンター内では「提供」という文言は使用せず、連携という言葉に統一している。グループ企業への連携が元々の表現で、記載箇所によって表現がばらけると混乱するので、連携に統一した。
    • サービス利用開始前の利用者への通知・同意取得について、ID取得時に利用規約に承諾いただいているとのことだが、IDを取得しない方についてはどのように承諾を得ているのか。また、アドパーソナライズセンターはどのようにコントロールできるのか。【太田先生】
      • プライバシーポリシーは利用規約の一部なので、サービス利用をもって同意とみなしている。ID未取得ユーザの情報はヤフー内では個人情報に当たらないこともあり、このような整理をしているが、社内ではパーソナルデータとして個人情報に準じて保護している。また、ID未取得ユーザは引き続き従来の広告オプトアウトによるコントロールが可能。
    • ヤフーが受け取るデータの中に、オーディエンスリストなど、広告主から個人情報を受領してマッチングし、広告を表示させるようなものがあると思うが、プライバシーセンターにはそのような第三者からの情報の提供に関する説明が見当たらないことについて、お考えを伺いたい。また、クッキーの代替手段での情報取得に関する動きについて、ヤフーデータクロスという取組があると思うが、こちらもプライバシーポリシーに記載がないと思われるところ、お考えを伺いたい。【太田先生】
      • 一般の利用者がプライバシーセンターから見つけるのは難しいと思うので、今後対応していく。ヤフーデータクロスについてはプレスリリースなどで説明しているが、よりユーザへの説明が充実するようにできればと考えている。
    • プライバシー設定について定期的に確認のメール送っているとのことで、よい取り組みだと思うが、定期的というのはどういうタイミングか。【木村構成員】
      • 基本的には1年に1回送付しているが、プライバシーセンターのリニューアルやアドパーソナライズセンターのローンチなど、イベントに合わせて送付しているものもあるので、定期的にと記載している。変更の都度何回もメールが送られてしまうと煩わしいということもある。
  • 広告主への対応について
    • 他アプリ提供者やサイト運営者に対してどのような同意取得や通知を促しているかについて、広告主に広告データ利用基準の遵守を求めているとのことだが、どのような方法で遵守を求めているのか。また、遵守できているかどうかについて確認をしているのか。【太田先生】
      • 広告のクライアントとのやり取りの中で遵守を求めている。遵守されているかどうかに関する確認については、網羅的に実施できているわけではないが、モニタリングの試みを行っており、基準違反があれば指摘をしている。
    • 外部送信規律に関する他アプリ提供者やサイト運営者への情報提供について、広告主の問い合わせに応じて案内をしているとのことだが、なぜ公開されていないのか。【太田先生】
      • Webサイトで公表はしており、追加情報が必要な場合には問い合わせをいただいて説明している。
    • 行動履歴を消すことに伴い、ターゲティング広告の精度が落ちることについて、広告主から懸念は示されていないか。行動履歴の消去まで行う利用者は少ないので広告への影響は小さいのか、あるいは透明性の高い運用をすることで広告主側も歓迎しているのか。【沢田先生】
      • 広告主の懸念については、そういう声もありうるとは思うが、ユーザアンケートを取ったところ、若い世代を中心に興味関心のない広告が出るよりは、自分のデータを使ってもらって自分に合った広告が出る方がよいと考える人の方が多いという結果もあった。興味関心のある広告が出るようになっていること、ユーザが細かく選択できるようになっていることがヤフーの広告品質になっている点もある。
  • その他
    • パーソナルデータの取扱いについて、対外的な説明以外に、社内やグループ企業に対しては、どのように説明・周知を行っているのか。【佐藤先生】
      • DPOとは別にCDOが設置されており、そちらがデータの取扱い等に関する社内周知等を行っている。ガイドラインやルールの策定や、eラーニングや社内通知を通じた周知を実施し、データディレクターにはしっかりと伝わるよう、毎週DD会という場を設けている
    • どのような位置情報を取得しているかを確認できる機能について、過去1年間分のみを確認できるとのことだが、これは1年以上古いデータは削除しているということなのか、あるいは利用者からは1年間分しか見えない形としているのか、いずれか。【佐藤先生】
      • 1年でデータを削除するわけではなく、確認できる期間が1年だけとなっている。それ以上を確認したい場合には、開示請求をしていただくことになる。開示請求の際のニーズが概ね1年以内のところにあるので、このような形としている。
    • 利用者からすると、IDを作るとデータを差し出すことになるように思えることからIDを取得していない人もいると思うが、先ほどの話ではIDを取得していない方も利用規約に同意したことになり、データが蓄積されているとのこと。IDを取得せずに利用していた方が新たにIDを取得した場合、IPアドレスなどを用いてデータが統合されるのか。【木村構成員】
      • ユーザがIDを取得していない場合であっても、ユーザは自身のデータが保護されることを期待していることは間違いない。利用規約に同意したこととみなすといったが、社内では個人情報に限らないパーソナルデータとして保護することとしており、しっかりと安全管理措置を取っている。途中でIDを取得した人については、IDを取得する前のクッキーや端末識別子により連携されることになる。
    • どのような位置情報を取得しているかを確認できる機能について、過去1年間分のみを確認できるとのことだが、これは1年以上古いデータは削除しているということなのか、あるいは利用者からは1年間分しか見えない形としているのか、いずれか。【佐藤先生】
      • 1年でデータを削除するわけではなく、確認できる期間が1年だけとなっている。それ以上を確認したい場合には、開示請求をしていただくことになる。開示請求の際のニーズが概ね1年以内のところにあるので、このような形としている。
    • 透明化法のデジタル広告市場について、商品等提供事業者と一般利用者はそれぞれ誰になるのか。一般消費者は入るのか。また、ヤフーでは透明化法に関する対応のコーナーが設けられているところ、一般ユーザのデータはこのように使う等の記載があるが、これは、一部は透明化対応の一環として、一部は一般消費者への情報提供として記載しているということか。一般消費者に関する議論を行うことは透明化法に係る対応に重なる部分あると思うが、どのような整理なのか。【板倉先生】
      • メディア一体型にについては、広告を見るいわゆる一般消費者を指しており、仲介型については、主に広告主が一般利用者となる。
      • ヤフーはメディア一体型で指定しており、一般利用者は一般消費者となっているので、一般利用者向けに掲載しているものかと思う。
      • 透明化法は基本的にBtoBの観点で見ており、総務省はパーソナルデータの関係でBtoCの観点で見ていると思う。BtoCで消費者の懸念が解消されることで、BtoBの取引においても有益に働くということで、連携しながらモニタリングしているものである

~NEW~
総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2023年(令和5年)8月分結果
▼労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)8月分結果の概要
  • 就業者
    • 就業者数は6773万人。前年同月に比べ22万人の増加。13か月連続の増加
    • 雇用者数は6088万人。前年同月に比べ44万人の増加。18か月連続の増加
    • 正規の職員・従業員数は3637万人。前年同月に比べ48万人の増加。2か月ぶりの増加。非正規の職員・従業員数は2114万人。前年同月に比べ7万人の減少。3か月ぶりの減少
    • 主な産業別就業者を前年同月と比べると、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」などが増加
  • 就業率(就業者/15歳以上人口×100)
    • 就業率は61.4%。前年同月に比べ0.1ポインの上昇
    • 15~64歳の就業率は79.2%。前年同月に比べ0.4ポイントの上昇
  • 完全失業者
    • 完全失業者数は186万人。前年同月に比べ9万人の増加。2か月連続の増加
    • 求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が3万人の減少。「自発的な離職(自己都合)」が11万人の増加。
    • 「新たに求職」が2万人の減少
  • 完全失業率(完全失業者/労働力人口×100)
    • 完全失業率(季節調整値)は2.7%。前月と同率
  • 非労働力人口
    • 非労働力人口は4056万人。前年同月に比べ30万人の減少。18か月連続の減少
  • 完全失業者数は186万人。前年同月に比べ9万人(5.1%)の増加。2か月連続の増加。男性は109万人。前年同月に比べ5万人の増加。女性は77万人。前年同月に比べ4万人の増加
  • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は24万人と、前年同月に比べ3万人の減少、「自発的な離職(自己都合)」は83万人と、前年同月に比べ11万人の増加、「新たに求職」は45万人と、前年同月に比べ2万人の減少
  • 男性の完全失業者数は、「25~34歳」、「35~44歳」及び「65歳以上」の年齢階級で、前年同月に比べ増加。女性の完全失業者数は、「25~34歳」、「45~54歳」及び「65歳以上」の年齢階級で、前年同月に比べ増加
  • 就業者数は6750万人。前月に比べ5万人(0.1%)の増加。雇用者数は6091万人。前月に比べ14万人(0.2%)の増加
  • 完全失業者数は185万人。前月に比べ1万人(0.5%)の増加。内訳をみると、「自発的な離職(自己都合)」は6万人(8.1%)の増加、「新たに求職」は2万人(4.1%)の減少、「非自発的な離職」は6万人(12.2%)の減少
  • 完全失業率は2.7%。前月と同率。男性は2.9%と、前月に比べ0.2ポイントの上昇。女性は2.4%と、前月に比べ0.2ポイントの低下
  • 男性の完全失業率は、「15~24歳」、「25~34歳」及び「35~44歳」の年齢階級で、前月に比べ上昇。女性の完全失業率は、「15~24歳」、「25~34歳」、「35~44歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前月に比べ低下
  • 非労働力人口は4085万人。前月に比べ9万人(0.2%)の減少

ページTOPへ

Back to Top