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危機管理トピックス

令和5年犯罪収益移転危険度調査書(国家公安委員会)/「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」及び「公認会計士及び監査法人におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(金融庁)/ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件等について(警察庁)

2023.12.18
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更新日:2023年12月18日 新着23記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」の一部改訂(案)及び「公認会計士及び監査法人におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(案)の公表について
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • バーゼル銀行監督委員会によるワーキング・ペーパー「気候変動関連金融リスクが銀行に与える影響についての文献レビュー」の公表について
  • 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用に関するタスクフォース」報告書の公表について
警察庁
  • 犯罪統計資料(令和5年1~11月分)
  • ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件等について
国民生活センター
  • SNS上の広告を見て購入した海外製のクリームで重篤な皮膚障害が発生!-ほくろ等が取れるという「点痣膏」をお持ちの方は使用を中止してください-
  • 消費者問題に関する2023年の10大項目
  • 合成カンナビノイド「HHCH」は指定薬物です!-「HHCH」が含まれていたグミ等を摂取して救急搬送-
  • 重りが外れて足の指に落下したダンベル(相談解決のためのテストからNo.181)
  • 測定値が低く表示された電子体温計(相談解決のためのテストからNo.182)
  • 【20代要注意!】タレント・モデル契約のトラブル
  • 電熱ウェアの異常発熱に注意
経済産業省
  • 第13回「キャリア教育アワード」及び第12回「キャリア教育推進連携表彰」 受賞企業・団体が決定しました!~令和5年度キャリア教育推進連携シンポジウムを開催します!~
  • ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令等の一部を改正)
国土交通省
  • 「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」の提言を公表します。
  • “防災・減災対策強化へ” 13億円配分~災害の対策や防災・減災対策を推進するため緊急的に予算を配分します~

~NEW~
国家公安委員会 令和5年犯罪収益移転危険度調査書
  • 近時の情勢変化を踏まえた主な変更点
    • 令和5年調査書は、昨年同様、広範な概念のリスク評価からより限定した概念のリスク評価まで含めて記載している。また、国内外の情勢の変化、FATFによる第4次対日相互審査の結果等を踏まえ、記載内容の更新・充実を図った。
    • 記載内容の更新・充実を図った主な点は、次のとおりである。
      1. マネー・ローンダリング事犯の主体(暴力団、特殊詐欺の犯行グループ、来日外国人犯罪グループ)に関する分析を深化させ、特に特殊詐欺をめぐる近年の犯罪情勢等について記載を充実した。
      2. 令和4年の犯罪収益移転防止法改正により電子決済手段等取引業者が新たに特定事業者として追加されたことを踏まえ、「電子決済手段等取引業者が取り扱う電子決済手段」のリスク評価を行い、「危険性の認められる主な商品・サービス」として新たに記載した。
      3. FATFによる声明、レポート等を参照し、ミャンマーとの取引により生じるリスクについて記載したほか、国際的に被害が広がっているランサムウェアや暗号資産をめぐる国際的な動向、我が国を取り巻く状況等について紹介した。なお、本年調査書では、マネー・ローンダリング等対策を推進するため所管行政庁等で作成・公表しているガイドライン等について紹介しているほか、令和4年中における所管行政庁、業界団体及び特定事業者のマネー・ローンダリング等対策に係る取組についても記載した
  • 我が国は、グローバルな金融の中心として高度に発達した金融セクターを有しており、世界有数の国際金融センターとして相当額の金融取引が行われている。金融システムは、全国的に張り巡らされており、迅速かつ確実に資金を移動させることができる。令和4年3月末時点の主要金融機関*2の店舗数は37,399店舗(うち海外店舗は172店舗)で、ATMは約8万8,000台が設置されており、金融システムへのアクセスが容易である。さらに、FSB(金融安定理事会)が令和4年(2022年)に指定したグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs(Global Systemically Important Banks))30行のうち、3行が我が国の金融機関である。
  • 現金取引に関しては、金融機関の店舗やATMが多く、預金口座からの現金の引き出しや口座への入金を行いやすいことや紙幣の偽造防止技術の水準が高く、偽札の流通が少ないこと等があいまって、我が国の現金流通状況は他国に比べて高い状況にある。一方、キャッシュレス化の推進等によるキャッシュレス決済比率の上昇に伴い、決済における現金の使用比率は相対的に減少しており、キャッシュレス化の推進が、現金取引に係るマネー・ローンダリング等の抑制につながることが期待されている。
  • 国際テロ情勢としては、ISILが従前から、「対ISIL有志連合」に参加する欧米諸国等に対してテロを実行するよう呼び掛けているほか、AQ及びその関連組織も欧米諸国等に対するテロの実行を呼び掛けている。また、令和3年(2021年)8月にタリバーンによってカブールが制圧されたアフガニスタンでは、同国を拠点としてイスラム過激派組織の活動が活発化することが懸念されている。さらに、世界各地でテロ事件が発生するとともに、海外で邦人や我が国の権益がテロの標的となる事案も発生しており、我が国に対するテロの脅威は継続しているといえる。北朝鮮による拉致容疑事案についても、発生から長い年月が経過しているが、いまだに全ての被害者の帰国は実現しておらず、一刻の猶予も許されない状況にある。
  • こうした情勢に加え、サイバー空間においては、世界的規模で政府機関や企業等を標的とするサイバー攻撃が発生しており、我が国において、社会の機能を麻痺せるサイバーテロが発生することも懸念される。
  • 暴力団
    • 我が国においては、暴力団によるマネー・ローンダリングがとりわけ大きな脅威として存在している。令和4年中のマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)によるものは64件で、全体の8.8%を占めている。そのうち、組織的犯罪処罰法に係るものが62件(法人等事業経営支配1件、犯罪収益等隠匿事件43件及び犯罪収益等収受事件18件)で、麻薬特例法に係るものが2件(薬物犯罪収益等隠匿事件2件)であった。
    • 令和2年から令和4年までのマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものについて前提犯罪別にみると、詐欺、窃盗、ヤミ金融事犯が多い。
    • また、これらの犯罪収益の合計金額(金額換算できるものに限る。)は、約13億5,000万円で、犯罪収益の形態は現金(預金債権含む。)が検挙件数の75.8%を占めており、1件当たりの犯罪収益金額は約730万円であった。
    • さらに、取引等別にみると、内国為替*3が全体の31.3%を占めているほか、どの商品・サービスも介さずに犯罪収益を現金で受け取るものが21.6%を占めている。
    • 暴力団構成員等に使用された口座をみると、架空・他人名義口座の使用が82.3%を占めており、その中でも暴力団構成員等の知人名義口座の使用が31.6%、同じく親族名義口座の使用が21.5%と、暴力団構成員等との関係が近い者の名義の口座の使用が半数以上を占めている。
    • 暴力団は、経済的利得を獲得するために反復継続して犯罪を敢行しており、獲得した犯罪収益について巧妙にマネー・ローンダリングを行っている。
    • 暴力団によるマネー・ローンダリングは、国際的に敢行されている状況もうかがわれる。平成23年(2011年)7月、米国は「国際組織犯罪対策戦略」を公表し、国境をまたいで犯罪で収益を得ている犯罪組織に対して経済制裁等を科す大統領令において、我が国の暴力団を「重大な国際犯罪組織」の一つに指定し、米国内にある又は米国人が所有・管理をする暴力団の資産を凍結するとともに、米国人が暴力団と取引を行うことを禁止した。
  • 特殊詐欺の犯行グループ
    • 特殊詐欺の犯行グループは、首謀者を中心に、いわゆる「架け子」、「受け子」、「出し子」、「現金回収・運搬役」、「リクルーター」、「犯行ツール調達役」等の役割分担を細分化させるとともに、指示役と実行役との間の指示・連絡に秘匿性の高い通信手段を用いるなどして犯行の手口を一層巧妙化させた上、預貯金口座、携帯電話、電話転送サービス等の各種ツールを巧妙に悪用して、組織的に詐欺を行っている。
    • また、自己名義の口座や、偽造した本人確認書類を悪用するなどして開設した架空口座等を不正に譲渡する者がおり、マネー・ローンダリングの敢行をより一層容易にしている。近年では、外国の犯行拠点の存在も表面化し、特殊詐欺で得た犯罪収益を外国へ運搬している実態が認められる。
    • さらに、犯行グループに対して、預貯金口座や携帯電話を不正に譲渡する者や、電話転送サービス等の提供を行うなどしている悪質な事業者の存在も依然として認められる。中には、電話転送サービス事業者が特殊詐欺の犯行に使用されると知りながらIP電話回線利用サービスを提供していた事例や、電話転送サービス事業者らが特殊詐欺の犯行グループと結託して特殊詐欺でだまし取った電子マネーを買取事業者に買い取らせた上でその代金を別の電話転送サービス事業者の個人口座に入金させていた事例もあるなど、特殊詐欺に悪用されているサービスを取り扱う事業者が主体的に特殊詐欺の犯行に関与している実態も認められる。
    • 警察では、特殊詐欺等から高齢者等を守るための総合対策として犯罪対策閣僚会議において令和元年6月に策定された「オレオレ詐欺等対策プラン」や、同会議で令和5年3月に策定された「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」を踏まえ、関係行政機関、事業者等とも連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に向けた諸対策を推進している。
    • 特殊詐欺の犯行グループが関与したマネー・ローンダリング事犯には、
    • 詐取金を架空・他人名義口座に振り込ませ、現金を払い出すもの
    • 詐取金を架空・他人名義口座に振り込ませた後、別の銀行口座に送金する、又は暗号資産交換業者の口座に送金して犯人が管理するアカウントに入金するもの
    • 不正に入手したキャッシュカードを使用してATMを操作し、犯人が管理する架空・他人名義口座に送金した後、現金を払い出すもの
    • 不正に入手したキャッシュカードを使用してATMを操作し、暗号資産交換業者の口座に送金し、犯人が管理するアカウントに入金するもの
    • 不正に入手した電子ギフト券(前払式支払手段)を、電子ギフト券の売買等を仲介するサイトを通じて売却し、販売代金を犯人が管理する口座に入金するもの
    • 等があり、被害金は、現金で受領するほか、架空・他人名義口座に振り込ませるものが多いが、現金の振込み以外にも電子マネー利用権(前払式支払手段)を不正入手する事例もみられる。また、振込先の口座に振り込まれた被害金は、被害発覚後に金融機関等により当該口座が凍結されることを回避するため、犯人によって入金直後に払い戻されたり、他口座へ送金されたり、複数の口座を経由して移転されたりする傾向があるほか、暗号資産口座に移転される事例がみられる。
    • なお、移転先となる口座の名義は、個人名義、法人名義、屋号付きの個人名義等のほか、外国人が帰国時等に売却した口座が利用されるなど様・特殊詐欺の被害の大半は犯人からの電話を受けることに端を発しており、警察は犯人側の電話番号が判明したときは、通信事業者に依頼して、当該番号を使用不能にする措置を講じ、更なる被害の防止を図っている。
    • 犯人側が利用する電話番号には、電話転送サービスを利用したものが認められるが、電話転送サービス事業者の中には、犯罪に利用されることを認識しながら意図的に電話番号を犯行グループへ提供しているものの存在が認められる。令和5年6月、総務省は、悪質な電話転送サービス事業者が一定の要件を満たす場合に、当該事業者の保有する全ての固定電話番号等を一括で利用制限することができるようスキームの改定を行った。
    • また、「050」から始まる特定IP電話番号を使用した通話を可能とするアプリケーション・ソフトウェアを用いて移動端末設備(スマートフォンやタブレット端末等)において通話することを可能とするもの(いわゆる050アプリ電話)が利用されることも多い。そのため、令和5年8月、総務省では、050アプリ電話を新たに携帯電話不正利用防止法に基づく役務提供契約時の本人確認義務の対象とする省令改正を行った。
  • 来日外国人犯罪グループ
    • 外国人が関与する犯罪には、法制度や取引システムの異なる他国に犯罪収益が移転することによってその追跡が困難となるほか、来日外国人等で構成される犯罪グループがメンバーの出身国に存在する別の犯罪グループの指示を受けて犯罪を敢行するなどの特徴がある。また、その人的ネットワークや犯行態様等が一国内のみで完結せず、国境を越えて役割が分担されることがあり、巧妙化・潜在化する傾向を有する。
    • 令和4年中のマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、来日外国人によるものは108件で、全体の14.9%を占めている
    • 過去3年間の組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯検挙件数について国籍等別にみると、中国及びベトナムが多く、特に中国が全体の半数近くを占めている。これらを前提犯罪別にみると、詐欺が最も多く、次いで窃盗、入管法違反の順となっており、取引等別にみると、内国為替取引が最も多く、次いでクレジットカード、現金取引、前払式支払手段の順となっている。
    • なお、内国為替取引、預金取引等の悪用により預金口座が使用されたマネー・ローンダリング事犯のうち、外国人が名義人となる架空・他人名義口座を使用するものが6割を超えている。
    • また、過去3年間の預貯金通帳・キャッシュカード等の不正譲渡等に関する犯罪収益移転防止法違反事件の国籍等別の検挙件数では、ベトナムが全体の約7割を占めている。
    • さらに、過去3年間の疑わしい取引の届出の通知件数は、国籍等別ではベトナム及び中国に関する届出が多く、特にベトナムに関する届出が近年大幅に増加している。
    • 来日ベトナム人による犯罪の検挙は、来日外国人犯罪全体の総検挙件数の41.8%、総検挙人員の35.9%を占め、総検挙件数・人員共に最も多くなっている。ベトナムの刑法犯検挙件数を包括罪種等別にみると、窃盗犯が73.2%を占め、特に万引きが53.8%となっている。
    • ベトナム国籍の在留外国人は約49万人で、全在留外国人のうち約16%を占める。過去5年間、「技能実習」や「留学」の在留資格で入国する者が増加しており、一部の素行不良者がSNS等を介して犯罪組織を形成するなどしている。ベトナム人による犯罪は、刑法犯では窃盗犯が多数を占める状況が一貫して続いており、手口別では万引きの割合が高い。近年、ベトナム人同士のけんか等に起因した殺人や賭博における金の貸し借りに起因したベトナム人グループ内の略取誘拐、逮捕監禁等の事案の発生もみられる。
    • 来日ベトナム人によるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数を前提犯罪別にみると、詐欺が26.9%と最も多く、次いで窃盗が20.5%、入管法違反が19.2%の順となっている。また、悪用された取引等別にみると、内国為替取引が28.6%と最も多い。
    • 来日ベトナム人による主なマネー・ローンダリング事犯の検挙事例は次のとおりである。
    • SNSを利用して外国送金の依頼を受け付け、日本国内に開設された架空・他人名義口座に現金を入金させるなどして地下銀行を営んだ。
    • 偽造在留カード等の販売代金を架空・他人名義口座に入金させた。
    • 窃盗により入手した化粧品等を処分役等に発送する際、送り状に記載する品名や依頼主を偽って発送した。
    • 偽造在留カードを利用し、架空人になりすまして盗品を売却した。
    • 来日中国人による主なマネー・ローンダリング事犯の検挙事例は次のとおりである。
    • 不正に入手したクレジットカード情報を利用して購入した商品を、カード名義人になりすまして受領した。
    • スキミングで不正に入手した情報から偽造キャッシュカードを作成し、同カードを使用して、架空・他人名義口座へ送金した。
    • 飲食店を営む経営者が、酔客からクレジットカードを窃取し、カード名義人になりすまして、正規の飲食の支払を装ってクレジットカード決済をし、飲食代金分の入金を受けた。
    • 無許可の風俗店営業において、クレジットカード決済による売上金を架空・他人名義口座に入金させた。
    • 売春を行う場所を提供するなどして得た犯罪収益を、架空・他人名義口座に入金させた。
    • 代金引換サービスを利用して偽ブランド品を販売し、犯罪収益である売上金を架空・他人名義口座に入金させた。
    • その他来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯
    • ナイジェリア人らが、虚偽の内容の電子メールを送信するなどして米国の会社からだまし取った詐取金を日本国内に開設された法人名義の口座に送金させ、正当な取引による送金であるかのように装った。
    • ナイジェリア人らが、SNSを通じて知り合った被害者からだまし取った詐取金を日本国内に開設された架空・他人名義口座に入金させた。
    • ミャンマー人が、外国送金の依頼を受けて、日本国内に開設された架空・他人名義口座に現金を入金させるなどして地下銀行を営んだ。
    • スリランカ人が、偽装結婚を仲介して得た報酬を、架空・他人名義口座に入金させた。
  • 窃盗については、侵入窃盗、自動車盗、万引き等様々な手口があり、被害額が比較的少額なものもあるが、暴力団や来日外国人犯罪グループ等の犯罪組織によって反復継続して実行され、多額の犯罪収益を生み出す事例がみられる。令和4年中における窃盗の被害総額は約585億円(現金被害総額約160億円)となっており、多額の犯罪収益を生み出している。
  • 特殊詐欺をはじめとする詐欺は、国内外の犯行グループ等によって反復継続して実行されており、多額の犯罪収益を生み出している。令和4年中の財産犯(強盗、恐喝、窃盗、詐欺、横領及び占有離脱物横領)では、詐欺の被害額が最も多く、約877億円(現金被害総額約780億円)であり、1件当たりの被害額は約231万円と、窃盗の1件当たりの被害額(約14万円)よりも大きい。
  • 電子計算機使用詐欺には、犯人が、不正な手段で入手した他人のキャッシュカードを用いてATMを操作し、又はインターネットバンキングを利用するためのID・パスワード等を使って金融機関が管理する業務システムに対して不正アクセスを行い、架空・他人名義口座から犯人が管理する口座に振込みを行う不正送金事犯がある。また、電子計算機使用詐欺において用いられるキャッシュカードには、特殊詐欺により不正に入手されるものもある。令和4年中におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害額は、約15億1,950万円であった。
  • 出資法・貸金業法違反には、無登録で貸金業を営み、高金利で貸し付けるなどのヤミ金融事犯がみられる。その態様には、多重債務者の名簿に記載された個人情報を基にダイレクトメールを送り付けたり、不特定多数の者を対象にインターネット広告や電話を使って勧誘したりするなど、非対面の方法によって金銭を貸し付けて、架空・他人名義口座に振り込ませ返済させるもの等がある。近年では、「後払い(ツケ払い)現金化」と称して、後払いによる商品売買契約を結び、販売した商品の宣伝広告報酬等として金銭を貸し付け、販売代金の支払名目で金銭を回収するものや、「先払い買取現金化」と称して、商品の形式的な売買契約を締結し、顧客に先払いで買取代金として金銭を貸し付けた後、客側の都合による契約解除を名目に、買取代金の返還を求めると同時に、違約金として高額な利息を受領するものもある。令和4年中のヤミ金融事犯の被害金額は55億円を超えるなど、多額の犯罪収益を生み出している。
  • 入管法違反には、外国人が正規の出入国者、滞在者、就労資格保持者等を装う目的で在留カードを偽造するもの、偽造された在留カードを所持、行使、提供又は収受をするもの、就労資格のない外国人を不法に就労させ、又は不法就労をあっせんするもの(以下「不法就労助長」という。)等がみられる。特に、不法就労助長には、犯人が外国人から旅券等を取り上げるなどして監視下に置き、就労させた人身取引事犯もみられる。偽造在留カード事犯では、かつては中国国内にあった製造拠点が日本国内に置かれ、中国国内にいる指示役の指示に基づき、リクルートされた中国人等の在留者が様々な国籍の偽造在留カードを日本国内で製造するといった事案が確認されている。指示役は中国国内にいることから、日本国内の製造拠点を摘発されても同様の手口で中国人等の在留者をリクルートして新たな製造等の拠点を設けるなど、偽造在留カード事犯は高度に組織化されている傾向がみられる。令和4年中には、日本人・中国人・ベトナム人グループによる組織的な偽造在留カード工場を摘発した事例がある。
  • 常習賭博・賭博場開張等図利の賭博事犯には、花札賭博、野球賭博、ゲーム機賭博のほか、オンラインカジノ賭博といった様々なものが認められ、これらの賭博事犯には暴力団が直接的又は間接的に深く関与しており、暴力団にとって有力な資金源となっている実態が認められる。過去3年間における組織的犯罪処罰法に定める起訴前の没収保全命令において没収保全した件数は、常習賭博・賭博場開張等図利が上位となっており、令和4年中には、常習賭博事件に関し、売上金等である現金約325万円について没収判決がなされた事例がある。
  • 風営適正化法違反・売春防止法(昭和31年法律第158号)違反等の風俗関係事犯においては、暴力団が違法な風俗店又は性風俗店(以下「風俗店等」という。)の経営者等と結託するなど、暴力団が直接的又は間接的に関与している事例がみられ、風俗店等の経営が暴力団の資金源となっている実態が認められる。また、不法滞在等をしている外国人が違法に風俗店等で稼働している事例や、暴行、脅迫等を用いて売春を強要された人身取引事犯もみられる。過去3年間における組織的犯罪処罰法に係る起訴前の没収保全命令において没収保全した件数については、風営適正化法違反・売春防止法違反が上位となっており、令和4年中には、風営適正化法違反事件に関し、売上金である預金債権合計約5,968万円について、没収判決がなされた事例がある。
  • 覚醒剤事犯については、全薬物事犯の約5割を占めており、令和4年の覚醒剤押収量(289.0キログラム)及び密輸入押収量(282.1キログラム)は前年から減少したものの、依然として覚醒剤の密輸・密売が多額の犯罪収益を生み出していることがうかがわれる。覚醒剤の全営利犯検挙人員(450人)のうち、暴力団構成員等の検挙人員は191人と42.4%を占めており、覚醒剤の密輸・密売に暴力団が深く関与している状況が続いている。
  • また、大麻事犯については、覚醒剤事犯に続き、全薬物事犯の約4割を占めている。この割合は平成25年以降増加しており、特に20歳代以下の若年層の検挙人員構成比率が高水準にある。令和4年の乾燥大麻押収量(289.6キログラム)は前年から減少した一方、電子たばこ用等の大麻濃縮物押収量(74.0キログラム)及び密輸入押収量(70.2キログラム)は大幅に増加した。大麻の全営利犯検挙人員(436人)のうち、暴力団構成員等の検挙人員は105人と24.1%を占めている。また、過去の調査では営利目的の大規模な大麻栽培の7割以上に暴力団構成員等が関わっていたことが判明するなど、薬物事犯が暴力団にとって有力な資金源となっている実態が認められる。
  • さらに、近年では、暴力団が海外の薬物犯罪組織と結託するなどしながら、覚醒剤の流通過程(海外からの仕出しから国内における荷受け、元卸し、中間卸し、末端密売まで)にも深く関与していることが強くうかがわれ、覚醒剤密輸入事犯の洋上取引においては、令和元年、約587キログラムを押収した事件で暴力団構成員等や台湾人らを検挙している。海外の薬物犯罪組織については、特に中国系、メキシコ系及び西アフリカ系の薬物犯罪組織の存在感が依然として大きく、薬物事犯は国外の犯罪組織にとっても有力な資金源となっていることがうかがわれる。
  • 令和4年の密輸入事犯の検挙件数を仕出国・地域別にみると、覚醒剤については、マレーシアが最も多く、次いで南アフリカ、タイの順となっており、大麻については、米国が最も多く、次いでベトナム、カナダの順となっている。また、令和4年の密売関連事犯で検挙された外国人を国籍等別にみると、覚醒剤については、イラン、ブラジルが最も多く、次いで韓国の順となっており、大麻については、ブラジルが最も多く、次いでベトナム、韓国となっている。
  • 以上のとおり、薬物の密輸・密売に伴う犯罪収益が、法制度や取引システムの異なる国の間で移転しているおそれがある。なお、令和4年中の、麻薬特例法に基づく起訴前の没収保全命令の発出件数は23件であり、総額約2,536万円の金銭債権がその対象となっている。また、過去の麻薬特例法に基づく起訴前の没収保全命令の対象には、自動車、土地、建物等も含まれ、現金等で得た犯罪収益が、その形態を変えている実態が認められる
  • ランサムウェアに関連するマネー・ローンダリング等の特徴
    • ランサムウェア攻撃による対価支払や、その後のマネー・ローンダリングはほとんどが暗号資産を通じて行われ、暗号資産交換業者が利用されることが多い。
    • ランサムウェア攻撃者は暗号資産の国際的な性質を利用して、大規模かつほぼ瞬時に国境を越えた取引を行い、時にはマネー・ローンダリング等対策を講じている金融機関を介さずに取引することもある。
    • 匿名性の高い暗号資産やミキサー等、匿名性を強化する技術・手法・トークン等をマネー・ローンダリングに使用することによって、取引をさらに複雑化させている。
    • ランサムウェア攻撃者は、アンホステッド・ウォレット等非ホスト型ウォレットや、攻撃が発生した地域外に所在し、法執行機関等と連携していない暗号資産交換業者のウォレットを利用し、また、攻撃ごとに異なるウォレットアドレスを利用している。
    • 多くのランサムウェアネットワークが、マネー・ローンダリングリスクの高い国・地域とつながっており、このような国・地域で収益を預金化又は現金化している。
  • 検挙されたマネー・ローンダリング事犯の事例及び疑わしい取引として届出が行われた情報を分析した結果は次のとおりである。
    • 内国為替取引が584件、次いで現金取引が297件、預金取引が160件で、預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービスがマネー・ローンダリングに悪用された取引等の大半を占めている。
    • マネー・ローンダリング等を企図する者が、迅速かつ確実な資金移動が可能な内国為替取引を通じて、架空・他人名義口座に犯罪収益を振り込ませる事例が多くみられる。
    • 最終的に、内国為替取引又は預金取引により口座に入金された犯罪収益は現金化され、その後の資金の追跡が非常に困難になることが多い。
    • クレジットカードの不正利用の増加に応じて、クレジットカードがマネー・ローンダリングに悪用された件数も増加している。
    • クレジットカード、前払式支払手段、暗号資産、資金移動サービスの悪用が増加するなど、決済手段の多様化を受けて悪用される主な取引の広がりがみられる。
  • 令和4年中の疑わしい取引の通知件数を届出事業者の業態別にみると、銀行等の預金取扱金融機関が43万5,728件で届出全体の74.7%と最も多く、次いで貸金業者(4万5,684件、7.8%)、クレジットカード事業者(4万1,106件、7.0%)の順となっている。また、令和4年中に都道府県警察の捜査等において活用された疑わしい取引に関する情報数は37万3,849件であった
  • 非対面取引
    • 情報通信技術の発展及び顧客の利便性を考慮した特定事業者によるサービス向上、新型コロナウイルス感染症への感染防止対策等を背景に、インターネット等を通じた非対面取引が拡大している。
    • 例えば、預金取扱金融機関においては、インターネットを通じて口座の開設や振込み、外国送金等の金融取引を行うことができるほか、郵送によって口座の開設等の申込手続ができるメールオーダーサービスが行われている。また、金融商品取引業者等においては、インターネットを通じた口座の開設や株式の売買等が行われている。さらに、暗号資産交換業者のように、非対面取引を前提として商品・サービスを提供する特定事業者もいる。
    • 非対面取引は、取引の相手方と直に対面せずに行う取引であることから、対面取引と比べて相手方に関する情報が制限され、同人の本人確認書類、性別、容貌、言動等を直接確認することにより、本人確認書類の偽変造、本人特定事項の偽りや他人へのなりすまし、取引の不審点等を判断することができない。
    • そのため、犯罪行為等を企図する者を看破する手段が限定され、本人特定事項を偽ったり、他人になりすましたりすることを容易とする。
    • 詐欺により得た犯罪収益を、インターネットを通じた非対面取引により、暗号資産取引用口座に送金した上で、暗号資産を購入した。
    • 窃取した健康保険証を用いて他人になりすまし、同人の住民票の写しを取得して同保険証と共に使用し、銀行口座を開設した上で、インターネットを通じた非対面取引により融資を申し込み、融資金を同人になりすまして開設した口座に入金させた。
    • インターネット上に開設された新幹線ネット予約の会員サイトに接続し、不正に入手したクレジット情報を用いて非対面取引により新幹線チケットの購入を申し込み、発券を受けた。
    • 窃盗により得た犯罪収益を、フリーマーケットアプリを利用して売却し、非対面取引により架空・他人名義口座に入金させた。
    • 違法に複製された商品をインターネットオークションサイトに架空名義で出品し、同サイトで利用される代金支払管理サービスを通じ、非対面取引により代金を支払わせた。
  • 現金取引
    • 令和元年の1世帯(総世帯)当たりの1か月平均消費支出を購入形態別にみると、「現金」(口座引落し等を含む。以下同じ。)は17万4,237円(消費支出に占める割合73.5%)であるのに対して、「クレジットカード、月賦、掛買い」は5万3,305円(同22.5%)となっている。「現金」の割合の推移をみると、平成26年が82.4%、令和元年が73.5%と、依然として消費支出の大半を占めているものの、キャッシュレス決済の普及に伴い決済における現金使用の割合は減少傾向にある。一方、現金流通残高は、他国に比べても高い状況を保っており、高額紙幣(1万円)の発行高は増加傾向にある。現金取引には、遠隔地への速やかな資金移動が容易な為替取引と異なり、実際に現金の物理的な移動を伴うことから、相当な時間を要する一方、匿名性が高く、資金の流れが追跡されにくいという特徴がある。また、特定事業者が提供する商品・サービスの脆弱性に加え、現金の流動性等の特徴が、マネー・ローンダリング等に悪用され得る
  • 外国との取引
    • 外国との取引は、国により法制度や取引システムが異なること、自国の監視・監督が他国まで及ばないこと等から、一般に、国内の取引に比べて、資金移転の追跡を困難とする性質を有する。諸外国の中には、法人の役員や株主を第三者名義で登記することを許容している国・地域もあり、それらの国・地域において設立された実体のない法人が、犯罪収益の隠匿等に悪用されている実態も認められる。
    • また、それらの匿名性の高い法人口座等を複数経由すること等により、最終的な送金先が不透明になる危険性が高まることとなる。
    • 加えて、貿易取引を仮装することにより、容易に送金を正当なものと装うことができるほか、実際の取引価格に金額を上乗せして支払うなどして犯罪収益を移転することができる
    • 近年、国際犯罪組織によって、外国において敢行された詐欺による犯罪収益が我が国の金融機関に送金される国際的なマネー・ローンダリング事犯が認められる。これらの事案の背景には、我が国の金融システムが国際社会から高く信頼されていること、我が国と被害発生国における時差を利用し、犯罪の認知を遅らせることができること等の複数の要因があると考えられる。
    • なお、外国との取引においては、上記のコルレス契約に基づく銀行間の為替取引等以外に、キャッシュ・クーリエによる現金の輸送や暗号資産の移転によるマネー・ローンダリング等も可能である。
    • マネー・ローンダリング等対策に関する国際的な関心は急速に高まっており、諸外国においては、当局が対策の不備を理由として多額の制裁金を課す事例等もみられる。こうした点を踏まえて、外国との為替取引を行う金融機関等においては、国内のみならず、外国当局による監督の状況を含め、国外の動向も十分に踏まえた対応が求められる。
  • 北朝鮮
    • FATFは、平成23年(2011年)2月から継続して、北朝鮮から生じる継続的かつ重大なマネー・ローンダリング等の危険から国際金融システムを保護するため、全ての加盟国及びその他の国・地域に対して、対抗措置の適用を要請している。
  • イラン
    • FATFは、平成21年(2009年)2月から継続して全ての加盟国及びその他の国・地域に対して、イランへの対抗措置の適用を要請していたが、平成28年(2016年)6月、イランによる対応を評価して12か月間対抗措置を停止した。その後、平成29年(2017年)6月には、対抗措置の停止を継続してイランによる対応の進捗を監視するとした上で、イランから生じる危険に見合った厳格な顧客管理措置を適用するよう要請した。同要請に加え、令和元年(2019年)10月には、FATF勧告(勧告19)に基づき、イランに本拠を置く金融機関の支店・子会社に対する監督の強化、金融機関によるイラン関連の取引に係る報告体制又は体系的な報告の導入及び金融グループに対するイランに所在する全ての支店・子会社への外部監査の強化を要請した。そして、令和2年(2020年)2月からは、イランが国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約及びテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約を締結するための国内担保法をFATF基準に沿って整備していないことに鑑み、イランへの対抗措置の一時停止を完全に解除し、対抗措置を適用することを要請している。
  • ミャンマー
    • FATFは、令和4年(2022年)10月の声明で、ミャンマーが資金洗浄・テロ資金供与対策上、重大な欠陥への対処が進展していないこと等を踏まえ、全ての加盟国及びその他の国・地域に対し、ミャンマーから生ずるリスクに見合った厳格な顧客管理措置を適用することを要請している。本声明を踏まえれば、ミャンマーとの取引はマネー・ローンダリング等の危険度が高いものと認められる。
  • 暴力団等
    • 令和4年末現在の暴力団構成員等の総数は2万2,400人であり、このうち暴力団構成員は1万1,400人、暴力団準構成員等は1万1,000人であり、その総数は平成17年から連続して減少し、暴力団対策法が施行された平成4年以降最少となった。この背景としては、近年の暴力団排除活動の進展や暴力団犯罪の取締りの強化に伴う資金獲得活動の困難化等により、暴力団から構成員等の離脱が進んだこと等が考えられる。その一方で、暴力団と強い結び付きがありながら正式に組織に所属しない者が増加しているとみられるほか、暴力団の周辺にある者の活動や暴力団との関係性も多様化している状況にある。
    • このほか、暴力団のような明確な組織構造は有しないものの、これに属する者が集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行っている集団を準暴力団と位置付けている。また、近年、準暴力団として位置付けられる集団以外に、SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの集団もみられ、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺や強盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、実態解明を進めている。さらに、匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が匿名・流動型犯罪グループと共謀して犯罪を行っている事例もある。
  • 国際テロ情勢
    • 平成26年(2014年)にカリフ制国家の樹立を宣言したISILは、一時はイラク及びシリアにおいて勢力を増大させたものの、諸外国の支援を受けたイラク軍、シリア軍等の攻撃により、現在では両国における支配地域を失っている。
    • 令和4年(2022年)には、米国の作戦等により、2代目及び3代目の指導者が相次いで殺害され、令和5年(2023年)には、4代目の指導者も殺害され、5代目の指導者就任が発表された。
    • ISILは、従前から、イラク及びシリアにおける軍事介入に対する報復として、「対ISIL有志連合」に参加する欧米諸国等に対してテロを実行し、その実行の際に爆発物や銃器を入手することができない場合には刃物、車両等を用いてテロを実行することを呼び掛けており、令和4年(2022年)中も、ISIL等の過激思想に影響を受けたとみられる者によるテロ事件が発生している。
    • また、アフリカのサヘル地域等において、ISILが自らの「州」だと主張しているイスラム過激派組織等が現地の軍事施設等に対するテロ攻撃を活発に行っているほか、イラク・シリアにおける外国人戦闘員が母国又は第三国に渡航してテロを起こす危険性や、収容施設又は難民キャンプで更なる過激化が進む可能性が指摘されている。
    • AQ及びその関連組織は、反米・反イスラエル的思想を繰り返し主張しており、オンライン機関誌等を通じて欧米諸国におけるテロの実行を呼び掛けている。令和4年(2022年)7月、米国の作戦により、AQの指導者アイマン・アル・ザワヒリが殺害されたものの、中東やアフリカにおいて活動するAQ関連組織は、現地の政府機関等を狙ったテロを継続しており、ザワヒリの殺害がこれら関連組織に及ぼす影響は限定的とみられる。さらに、令和3年(2021年)8月にタリバーンによってカブールが制圧されたアフガニスタンでは、勢力を拡大したISIL-K*1が、令和4年(2022年)9月、在アフガニスタン・ロシア大使館前において自爆テロ事件を実行するなど不安定な治安情勢が続いている。タリバーンはAQとの密接な関係が指摘されており、同国を拠点としてイスラム過激派組織の活動が活発化することが懸念されている。
  • 我が国においても、ISIL関係者と連絡を取っていると称する者や、インターネット上でISILへの支持を表明している者が存在しているほか、過去にはICPΟ国際手配被疑者の不法入国事件も発生しており、過激思想を介して緩やかにつながるイスラム過激派組織のネットワークが我が国にも及んでいることを示している。日本国内において、ISILやAQ関連組織等の過激思想に影響を受けた者によるテロが発生する可能性は否定できない。
    • 平成27年(2015年)8月、ISILを支援した罪で米国人Aが懲役11年及び生涯にわたる監視の有罪判決を受けた。同人は、SNS上で、ビットコインを用いてISILへの資金提供を隠蔽する方法や、シリアへの渡航を企図するISIL支持者へ便宜供与をする方法を提供し、ISIL及びその支援者に対して助言をしたことを認めた。例えば、同人は、戦闘目的でISILへの参加を企図する米国居住の少年のシリア渡航を、同年1月に支援したことを認めているほか、米国人AのSNSアカウントは、4,000人以上のフォロワーを有し、7,000件以上の投稿を通じて、ISILを支持するためのプラットフォームとして利用された。特に、同人は、同アカウントを用いて、ビットコインやそのシステムの仕組みに関する解説のほか、ビットコイン利用者を匿名化する新しいツールの紹介を記載した「Bitcoin wa’ Sadaqat al-jihad(ジハードのためのビットコイン及び寄附)」と題する自身の記事へのリンク等、ビットコイン等のオンライン上の通貨を使ったISILへの資金支援を拡大する手法や、安全な方法によるISILへの寄附システムの設立方法について、SNS上に投稿するなどした。
    • FATF勧告では、非営利団体が悪用される形態として、テロ組織が合法的な団体を装う形態、合法的な団体をテロ資金供与のパイプとして利用する形態及び合法な資金をテロ組織に横流しする形態を示している。加えて、平成31年(2019年)3月に採択された国際連合安全保障理事会決議第2462号は、テロリスト等が合法的企業や非営利団体等を悪用して資金調達するとともに、暗号資産等新たな金融技術によって、合法的企業や非営利団体等を通じ資金移転する可能性があることについて、深刻な懸念を表明している。
    • NPO法人がテロ資金供与に悪用される脆弱性は次のとおりである。
    • テロ行為が実行されている地域やその周辺において活動をすること。:一部のNPO法人は、人道上の理由から、テロの脅威にさらされている地域や紛争地域、その周辺等において活動を行っているが、こうした地域における活動は、一般に法人によるリソースの管理を困難にする。また、こうした地域では、法人の活動地域がテロリストの活動地域と重なるだけでなく、支援対象の人々もテロリストが接近する人々と重なり得る。こうした状況は、テロ資金供与におけるNPO法人の悪用を促すこととなる。
    • 相当量の資金源のアクセスと海外への送金・現金の持ち出しをすること。:相当量の資金源へアクセスすることが可能であり、その資金を海外へ送金し、紛争地域や被災地等への支援を行っているNPO法人も認められ、その際、しばしば現金が集中的に取り扱われ、現金そのものが輸送されることもある。こうした海外への送金、とりわけ、現金の持ち出し等の匿名性の高い手段の利用は、テロリストやその支援者の追跡を困難にするため、NPO法人の悪用を促すこととなる。
    • 海外におけるパートナーとの連携やボランティアの活用があること。:NPO法人が海外において活動を展開する際には、現地のパートナーと連携することが多く、また、その活動には多くのボランティアが参加している。こうした海外パートナーとの連携やボランティアの活用は、関係者の身元の精査を困難とし、テロ組織やその支援者の介入を招き得る。
    • 休眠状態である又は不明瞭な活動があること。:いわゆる「休眠状態」にあるNPO法人や、事業報告書で「活動実績なし」、「事業年度内の支出がない」等とされ活動実態が不明確な法人も確認されており、このような法人は、テロ組織及びその支援者に悪用されかねない。
  • 公益法人がテロ資金供与に悪用される脆弱性は次のとおりである。
    • テロ行為が実行されている地域やその周辺において活動すること。:テロの脅威にさらされている地域やその周辺で活動している公益法人はごく一部であるが存在し、それらの法人は比較的リスクが高い。
    • 海外で事業を実施するため、事業者等への委託や助成等を行うこと。:公益法人が事業を実施する手段は多岐にわたっており、公益法人自らが事業を実施する場合だけでなく、委託や助成等、間接的に法人が事業の実施に関わる場合や、海外における事業の実施に当たって、海外の協力団体等が事業を実施する場合等、資金調達の主体と資金を支出する主体第4取引形態、国・地域及び顧客属性の危険度が異なる場合が存在し、資金の使途が不透明になり得る。また、そうした場合においては、資金管理の状況や資金等の使途の確認がより難しくなると考えられる。
    • 相当量の資金の取扱いを行うとともに、海外への送金や海外で現金の取扱いを行うこと。:一部の公益法人は、相当量の資金を取り扱うことがあるために、公益法人の資金等がテロ組織により悪用される潜在的な脆弱性を有していると考えられ、公益法人が海外に送金する際や海外で現金を取り扱う際に、公益法人が悪用される可能性がある。
  • 宗教法人<文部科学省>
    • 宗教法人として設立されながら、事実上宗教活動を停止しているなど、不活動の状態にある宗教法人(以下「不活動宗教法人」という。)については、これを放置した場合、第三者により法人格が不正に取得され、テロ資金供与のほか、脱税や営利目的の行為に悪用されるなど問題につながるおそれがある。令和4年末時点において、3,329法人が不活動宗教法人として確認されている。
  • 我が国では、テロ行為が実行されている地域やその周辺において活動している非営利団体、相当量の資金を取り扱い、海外への送金や海外で現金の取扱いを行う非営利団体、休眠状態にあるなど、法人としての実体が不明瞭な非営利団体についてはテロ資金供与に悪用される危険度は高まる上、国際金融市場としての我が国の地位、役割等を踏まえると、金融取引等に当たっては、非営利団体を悪用したテロ資金の移転に関する国際機関による指摘等についても考慮する必要がある。しかし、我が国においては、非営利団体がテロ資金供与に悪用されたとして摘発された事例は認められず、また、海外で活動する非営利団体も限定的であること等から、我が国の非営利団体がテロ資金供与に悪用されるリスクも総合的に低いと認められる
  • 非居住者
    • FATF勧告の解釈ノートにおいて、マネー・ローンダリングやテロ資金供与の危険度を高める状況の例として、「顧客が非居住者である」ことを挙げている。
    • 特定事業者においては、日本国内に住所を有していない外国人等の非居住者との取引が発生し得るが、一般的に非居住者の本人特定事項や資産・収入の確認等の顧客管理措置は、居住者に係る顧客管理措置と比べて制約的である。相手方と対面することなく取引が行われる場合には、特定事業者は、顧客等の本人確認書類を直接に確認することができないほか、本人確認に用いられる本人確認書類又は補完書類は、外国政府等が発行するものであることがあり、当該特定事業者が、当該本人確認書類等の真偽を見極めるために必要な知見を有していない場合もある。そのため、居住者との取引と比べて、特定事業者が本人特定事項を偽った顧客と取引するおそれが高い。
  • 外国の重要な公的地位を有する者
    • 外国の重要な公的地位を有する者(外国PEPs:国家元首、高位の政治家、政府高官、司法当局者、軍当局者等)は、マネー・ローンダリング等に悪用し得る地位や影響力を有するほか、非居住者であったり、居住者であっても主たる資産や収入源が国外にあったりすることから、外国の重要な公的地位を有する者との取引は、特定事業者による顧客等の本人特定事項等の確認及び資産の性格・移動状況の把握が制限されてしまう性質を有する。また、汚職対策に関する規制は、国・地域により異なる。
  • 法人(実質的支配者が不透明な法人等)
    • FATFは、平成30年(2018年)に公表したレポートにおいて、「近年の経済・金融サービスのグローバル化の進展は、犯罪者が犯罪収益の流れや犯罪性を隠匿するために、会社やビジネスの構造を悪用する機会にもなっており、例えば、会社による貿易取引を仮装して違法な収益を隠匿したり、実体のない又は不透明な法人やノミニー制度、法人等のためにサービスを行う事業者等を悪用するなどして、犯罪者の活動の真の目的や実質的支配者を隠匿したりしている」等と指摘している。
    • 我が国における法人は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社等であり、これらの企業活動を行う全ての法人は商業登記法(昭和38年法律第125号)等に基づき登記することで法人格を取得する。近年の法人形態ごとの設立登記数をみると、合同会社が増加している。法人の設立に際して必要となる定款の作成について、株式会社等の場合には公証人による認証が必要であるが、持分会社*2の場合には不要である。また、株式会社設立に際しては、実質的支配者の確認が必要であるが、持分会社設立に際しては不要であるなど法人の形態によって設立手続等が異なる。設立時のコスト、新たな出資、現物出資、業務執行役員の任期等の面において、総じて持分会社の方が手続が簡易でコストも安価といえる
    • 法人がマネー・ローンダリング等に悪用されることを防止するためには、法人の実質的支配者を明らかにして、法人の透明性と資金の追跡可能性を確保することが重要である。この点、我が国においては、法人等のために、いわゆる「住所貸し」といわれる事業上の住所や設備、通信手段及び管理上の住所を提供するレンタルオフィス・バーチャルオフィス事業者が存在する。その中には郵便物受取サービス、電話受付代行サービス、電話転送サービス等の付帯サービスを提供している事業者もあり、これらのサービスを悪用することにより、法人等は、実際には占有していない場所の住所や電話番号を自己のものとして外部に表示することができるほか、法人登記を用い事業の信用、業務規模等に関し架空の又は誇張された外観を作出することが可能となる。マネー・ローンダリング等を企図する者は、このような法人の特性を悪用し、法人の複雑な権利・支配関係を隠れみのにしたり、取締役等に自己の影響力が及ぶ第三者を充てたりするなどし、外形的には自己と法人との関わりをより一層不透明にしつつ、実質的には法人及びその財産を支配するなどして、マネー・ローンダリング等を行おうとする。
    • 令和2年から令和4年までの間に検挙されたマネー・ローンダリング事犯のうち、実体のない又は不透明な法人が悪用された件数は36件である。このうち、令和4年中における実体のない又は不透明な法人が悪用された件数は6件あり、悪用された法人数は11法人であった。この悪用された法人を形態別にみると、株式会社(特例有限会社を含む。)9法人、合同会社1法人、その他1法人となっている。
    • 悪用された法人の登記に着目して分析したところ、次のような法人も認められた。
    • 登記されている資本金の額が数万円から数十万円と極めて少額な資本金で設立されている法人
    • 所在地や役員の登記変更が頻繁である法人
    • 多数の事業目的が登記され、それぞれの目的同士の関連が低いといった不審点が認められる法人
    • また、法人が設立されてから悪用されるまでの期間を分析したところ、株式会社に比して合同会社が設立されてからより短期間のうちに悪用されている傾向にあり、中には設立から数ヶ月程度で悪用されている法人もあった。
    • 法人が悪用された事例の前提犯罪をみると、詐欺が最も多く、その中には海外におけるものも含まれているほか、出資法・貸金業法違反やわいせつ物頒布等、業務上横領等もある。さらに、犯罪組織が反復継続して実行し、多額の収益を生み出す犯罪において、実体のない又は不透明な法人が悪用されている実態が認められる。
  • 電子決済手段等取引業者が取り扱う電子決済手段
    • 近年、金融のデジタル化が進む中で、法定通貨との価値の連動を目指すいわゆるステーブルコインを用いた取引が米国等で急速に拡大しており、国際的にはG20財務大臣・中央銀行総裁会議、金融安定理事会(FSB)、FATF等において、いわゆるグローバル・ステーブルコインへの対応について、利用者保護やマネー・ローンダリング等上の課題に関する議論が交わされ、諸外国において規制の検討が行われている。
    • こうした情勢等を踏まえ、令和4年3月、資金決済法等の改正により電子決済手段等取引業者等に対する登録制等の業規制を導入することや、犯罪収益移転防止法の改正により電子決済手段等取引業者等を特定事業者に追加すること等を含む安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案が第208回国会に提出され、同法案は、同年6月3日に成立し、同月10日に公布されるとともに、下位法令の制定・改正に伴い、令和5年6月1日から施行された。
    • 資金決済法において、電子決済手段とは、不特定の者に対して代価の弁済に使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる通貨建資産であって、電子情報処理組織を用いて移転できるもの等と定義されている。
    • また、その発行者は、資金移動業者、信託会社等に限定されているほか、その取引を行う仲介者を電子決済手段等取引業者とし、電子決済手段等取引業を営むためには、内閣総理大臣の登録を受けることを必要とするなど、必要な規制を整備することにより、適切な利用者保護、マネー・ローンダリング等対策等を図りながら、分散台帳技術等を活用した金融イノベーションに向けた取組等の促進を図ることとされた。
    • FATFでは、いわゆるステーブルコインのマネー・ローンダリング等上の脆弱性について、次のとおり指摘している。
    • いわゆるステーブルコインは、匿名性が高いこと、国境を越えて取引を行うことができること、瞬時に移転が可能で追跡が困難になること等、暗号資産と同様のマネー・ローンダリング等に悪用される脆弱性を有している。
    • 上記の脆弱性は、当該サービスが流通すればするほど高まるおそれがあり、いわゆるステーブルコインは既存の暗号資産よりも価値が安定しているため、今後、社会の決済手段として広く流通する可能性がある。
    • 特にアンホステッド・ウォレットを利用したいわゆるP2P取引が容易に行われる場合、重大なマネー・ローンダリングの脆弱性が生じる可能性がある。
    • いわゆるステーブルコインの危険度を低減するためには、その発行者や取引の仲介者は、金融機関や暗号資産交換業者と同様のマネー・ローンダリング等対策上の義務を負う必要がある。
    • いわゆるステーブルコインはすぐに世界規模で利用可能となり、複数の国の法域にまたがって流通するため、マネー・ローンダリングリスクに適切に対処するためには、国際協力が不可欠である。
    • 我が国において、電子決済手段の発行は確認されていないものの(令和5年9月末時点)、将来的には幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性がある。また、世界を含めた今後の社会への流通状況や技術的進歩等、電子決済手段等を取り巻く環境は急激に変化する可能性がある。
  • 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産
    • 我が国では、資金決済法において、ビットコイン等の暗号資産は、物品を購入する場合等に、その代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器等に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨、通貨建資産並びに電子決済手段(通貨建資産に該当するものを除く。)を除く。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるものと定義されている。
    • 暗号資産交換業を行うためには、資金決済法に基づく内閣総理大臣の登録を受ける必要があり、令和5年6月末現在、当該登録を受けている者の数は30である。
    • 暗号資産は、世界的に取引額が増大しており、それに伴い暗号資産に関連した事案の発生も認められる。令和元年7月には国内の暗号資産交換業者等から多額の暗号資産が不正に移転されたとみられる事案も発生した。これらの事案の背景には、当初、暗号資産交換業に新規参入した事業者において、サイバーセキュリティ等の各種リスクに応じた適切な内部管理体制の整備が追いついていなかったという事情があったと考えられることに加え、令和4年中のサイバー犯罪の検挙件数が12,369件と過去最多を記録しているほか、ランサムウェアによる被害が拡大するとともに、不正アクセスによる情報流出や、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるサイバー攻撃が明らかになるなど、近年のサイバー空間をめぐる脅威は、極めて深刻な情勢が続いていることも背景にあると思われる。他方で、我が国においては令和元年5月の資金決済法改正により、顧客資産の分別管理(ネットワークに接続されていない、コールドウォレットでの管理)を義務付けるなど環境整備を進めており、改正法が施行された令和2年5月以降、暗号資産交換業者に対するサイバー攻撃によって顧客資産が流出する事案は発生していない。
    • 多くの暗号資産は、移転記録がブロックチェーン上で公開され、その取引を追跡することは可能である。しかし、暗号資産の設計・仕様は様々であり、海外の暗号資産交換業者で取引される暗号資産の中には、移転記録が公開されず、追跡が困難でマネー・ローンダリング等に利用されるおそれが高いものや、移転記録の維持・更新に脆弱性を有するものの存在も知られている。
    • また、近年では、暗号資産取引の匿名性を高める技術として、
    • 複数の中間アドレスを経由し、暗号資産を少しずつ連続して新しいアドレスに移転する「ピールチェーン」
    • 様々な手段を利用して暗号資産の送信アドレスと受信アドレスとのつながりを隠す「ミキサー」、「タンブラー」
    • 暗号資産を、記録されているブロックチェ-ンから、別のブロックチェーンに移動させる「チェーンホッピング」
    • 等が存在し、これを利用されることで暗号資産の移転の証跡が不明瞭となり、その追跡が困難になるおそれがある。米国では、ミキシングサービスを提供する企業に対し、犯罪収益のマネー・ローンダリングを手助けしているとして、制裁措置を実施するなどしている。
    • さらに、取引に利用されるウォレットが、本人確認等の措置が義務化されていない国・地域に所在する暗号資産交換業者や、個人の取得・管理に係るものである場合には、取引により移転した暗号資産の所有者を特定することは困難となる。また、暗号資産交換業者の取引は、その大半がインターネットを利用した非対面で行われていることから、取引における匿名性が高い。
    • 海外においては、暗号資産と法定通貨との交換を行うことができる暗号資産ATMが多数設置されている国があり、暗号資産の現金化又は現金による暗号資産購入が可能となるなど、利用者の利便性がこれまでより高まりつつある。海外では、薬物密売人が薬物売買で得た犯罪収益を、偽造した本人確認書類を用いて暗号資産ATMでビットコインに交換する事案が発生していることから、利用実態等について注視する必要がある。
  • 宝石・貴金属等取扱事業者が取り扱う宝石・貴金属
    • 宝石及び貴金属は、財産的価値が高く、その小さな形状から持ち運びも容易であり、世界のいずれの地域においても多額の現金等と容易に交換することができる。また、取引されたものの流通経路・所在を追跡するための手段が少なく匿名性が高い。
    • 重量が1キログラムを超える貴金属を携帯して輸出入する場合は、外為法において財務大臣への届出を義務付けられており、関税法において税関への申告を行わなければならないこととしている。
    • 我が国では、財産的価値の高い貴金属を密輸し、外国との税制度の違いを利用して不法に利益を得る手口がある。具体的には、非課税の国・地域で金塊を購入し、それを我が国に密輸入することにより消費税の納付を免れ、その後国内の貴金属店等で消費税込みの価格で売却することで消費税分の利益を得ることができる。
    • 令和3事務年度における金地金密輸事件の処分(通告処分又は告発)件数は13件(前事務年度比35%減)、脱税額は約2,000万円(同77%減)であった。
    • なお、平成29年に財務省が「ストップ金密輸」緊急対策を策定し、取締りの強化を実施し、平成30年には金密輸に対する罰則を大幅に引き上げ、それ以降、同密輸事件は減少傾向にある。密輸の手口は、密輸する金を加工、変形させて体腔内や着衣内等に隠匿するなど、巧妙化や小口化がみられる。密輸の経路は、航空機旅客、航空貨物、国際郵便等を利用するなど多様化がみられる。
    • 密輸の仕出地は香港、韓国、中国及び台湾が多い。また、密輸によって得た犯罪収益を基に国外で金塊を購入し、これを再び我が国へ密輸して、国内買取店で売却するという、犯罪収益を得ることを繰り返す循環型スキームが認められる。この背景には、韓国人密売グループや暴力団関係者等の国内外の犯罪組織が関与している実態がある。
    • 金地金は価格の変動を伴うことに加え、その取引は現金取引が主流であることから、取引の匿名性を高める要因の一つになっている。一方で、マネー・ローンダリング等対策として、一定金額以上の取引の場合は現金取引を廃止し金融機関口座への振込みに変更している事業者がおり、取引形態に変化がみられる。
    • 経済産業省は、宝石取扱事業者が宝石の取引を行う場合、クレジットカードや銀行振込による支払が多く現金取引が少ないことから、資金の追跡可能性の観点からマネー・ローンダリング等に悪用されるリスクは相対的に低いと評価している一方で、高額商品の取扱いが多い百貨店や大手宝石商に関しては一定のリスクがあり、また、会社規模に不相応な規模の取引や非居住者との取引が多い貴金属等取扱業者は、マネー・ローンダリング等に悪用されるリスクが高いと評価している。

~NEW~
厚生労働省 「令和5年版死因究明等推進白書」を公表します
  • 死因究明等推進計画に基づく施策の推進状況
    • 計画に掲げられた9つの基本的施策ごとに令和4年度中の政府の取組等を記載。
    • 9つの基本的施策
      1. 死因究明等に係る人材の育成等
      2. 死因究明等に関する教育及び研究の拠点の整備
      3. 死因究明等を行う専門的な機関の全国的な整備
      4. 警察等における死因究明等の実施体制の充実
      5. 死体の検案及び解剖等の実施体制の充実
      6. 死因究明のための死体の科学調査の活用
      7. 身元確認のための死体の科学調査の充実及び身元確認に係るデータベースの整備
      8. 死因究明により得られた情報の活用及び遺族等に対する説明の促進
      9. 情報の適切な管理
    • トピックスとして関係機関の死因究明等に関する取組や、各都道府県における解剖実施体制などを紹介
▼令和5年版死因究明等推進白書(本文)全体版
  • 我が国における死亡数等の推移と各都道府県における解剖実施体制
    • 我が国の死亡数は、増加傾向にあり、平成15年には100万人を超え、令和3年は143万9,856人にまで達している。
    • また、国立社会保障・人口問題研究所が公表している「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(出生中位・死亡中位)によれば、今後も死亡数の増加は続き、令和23年には166万4千人にまで増加すると推計されている。
    • こうした中、警察や海上保安庁が取り扱った死体のうち、犯罪の嫌疑が認められるものは司法解剖が、司法解剖の対象ではなくとも、その死因が、警察等として被害の拡大・再発防止等の措置を講ずる必要があるような市民生活に危害を及ぼすものであるか否かを確認するため、必要があるものは調査法解剖が、それぞれ実施されている。
    • また、これらの解剖が実施されない場合でも、公衆衛生等の観点から(例えば、感染症による死亡が疑われる死体について、その死因を明らかにして感染拡大防止措置の要否等を判断する必要がある場合)、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)の規定に基づき、監察医の判断による解剖(以下「監察医解剖」という。)が実施されたり、遺族の承諾を得て、医師等の判断による解剖(以下「承諾解剖」という。)が実施されたりするケースもある。
    • 警察及び海上保安庁が取り扱った死体について、死因・身元調査法が施行された平成25年から令和4年までの間の解剖率注5)をみると、平成25年の11.3%から平成28年の12.7%に徐々に上昇し、その後、令和4年の9.8%まで徐々に減少している。
    • また、解剖の種別ごとにその実施件数をみると、司法解剖の実施件数は概ね横ばいである一方、調査法解剖の実施件数は増加傾向にあり、その他の解剖(監察医解剖、承諾解剖等をいう。以下同じ。)の実施件数は、平成30年以降減少傾向にある。
    • このうち、令和4年の解剖の実施状況を都道府県ごとにみると、特に、その他の解剖については、28県において1件も実施されていないなど、公衆衛生等の観点から解剖が行われているかどうかは、地域によって大きな差がみられる。
    • さらに、こうした解剖は、大学の法医学教室、一部の地域に設置されている監察医務機関等において実施されているが、これらの法医解剖実施機関において解剖等を実施する常勤職員の法医の数注6)は、15県において1名のみであり、人的体制の脆弱性が見受けられる。
    • 近年では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、こうした感染症に感染している可能性のある死体について、これらの機関に解剖が委託されるケースも少なくないが、解剖における感染予防のために望ましいとされる空調設備等が十分に整備されていない機関も多く、施設・設備面での体制が十分とは言い難い。
    • こうした中、厚生労働省においては、各地域において、必要な解剖等が実施される体制の構築が推進されるよう、都道府県知事が必要と判断する解剖等の実施費用を補助する事業や、解剖等の実施に必要な施設及び設備の整備費用を補助する事業、各地域における死因究明拠点の整備を推進するための死因究明拠点整備モデル事業等を実施している。
    • また、現在、厚生労働省に置かれた本部の下、多方面の有識者を構成員とする推進会議を開催し、こうした死因究明の実態やこれら事業の成果等を踏まえつつ、死因究明等推進計画の見直しに向けた議論を進めている
  • 新型コロナウイルス感染症対策に資する死因究明の取組
    • 新型コロナウイルスの感染については、令和2年1月15日に国内で最初の感染者が確認されて以降、急速に拡大し、これに伴って、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に基づく報告による新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、死亡したものの数(地方公共団体により公表等された集計値)は、令和5年3月31日までに、7万3,908人にまでに達した。
    • 新型コロナウイルス感染症対策においては、死体の死因究明を通じて、新型コロナウイルスへの感染の有無を確実に把握し、感染拡大防止措置に繋げることや、その病態を解明し、予防や治療に資する知見を蓄積することも重要であることから、厚生労働省においては、「死因究明を行うための体制整備の推進について(依頼)」(令和5年2月8日付け事務連絡)により、都道府県等に対して、新型コロナウイルス感染症など新興感染症による死亡が疑われるが明らかでない場合も含め、検案を行った医師が必要と認めた場合には、死因究明のための検査や解剖が適切に実施できるよう体制整備に係る取組の推進を依頼した。
    • また、令和3年度から令和4年度にかけて、新型コロナウイルス感染症を含む新たな感染症発生時に対応する検案・剖検体制の確立に関する研究を推進した。
    • この研究では、新型コロナウイルス感染症の法医剖検例および死体検案事例を通じて、死亡事例の病態を解明するとともに、新興感染症発生時における剖検等による死因究明の果たす役割を明らかにした。
    • 厚生労働省においては、こうした研究結果も踏まえつつ、引き続き、死因究明により得られた知見が新型コロナウイルス感染症を含む疾病の予防及び治療を始めとする公衆衛生の向上及び増進に資する情報として活用されるよう必要な取組を進めることとしている

~NEW~
内閣官房 こども未来戦略会議(第8回)議事次第
▼資料1 「こども未来戦略」案
  • 少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。
  • 2022年に生まれたこどもの数は77万759人となり、統計を開始した1899年以来、最低の数字となった。1949年に生まれたこどもの数は約270万人だったことを考えると、こどもの数はピークの3分の1以下にまで減少した。また、2022年の合計特殊出生率は、1.26と過去最低となっている。
  • しかも、最近、少子化のスピードが加速している。出生数が初めて100万人を割り込んだのは2016年だったが、2019年に90万人、2022年に80万人を割り込んだ。このトレンドが続けば、2060年近くには50万人を割り込んでしまうことが予想されている。
  • そして、少子化は、人口減少を加速化させている。2022年には80万人の自然減となった。今後も、100万人の大都市が毎年1つ消滅するようなスピードで人口減少が進む。現在、日本の総人口は1億2,500万人だが、このままでは、2050年代に1億人、2060年代に9千万人を割り込み、2070年に8,700万人程度になる。わずか50年で、我が国は人口の3分の1を失うおそれがある。
  • こうした急速な少子化・人口減少に歯止めをかけなければ、我が国の経済・社会システムを維持することは難しく、世界第3位の経済大国という、我が国の立ち位置にも大きな影響を及ぼす。人口減少が続けば、労働生産性が上昇しても、国全体の経済規模の拡大は難しくなるからである。今後、インド、インドネシア、ブラジルといった国の経済発展が続き、これらの国に追い抜かれ続ければ、我が国は国際社会における存在感を失うおそれがある。
  • 若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、こうした状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であり、2030年までに少子化トレンドを反転できなければ、我が国は、こうした人口減少を食い止められなくなり、持続的な経済成長の達成も困難となる。2030年までがラストチャンスであり、我が国の持てる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意で取り組まなければならない。
  • 今回の少子化対策で特に重視しているのは、若者・子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできないことを明確に打ち出した点にある。もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであって、これらについての多様な価値観・考え方が尊重されるべきであることは大前提である。その上で、若い世代の誰もが、結婚や、こどもを生み、育てたいとの希望がかなえられるよう、将来に明るい希望をもてる社会を作らない限り、少子化トレンドの反転はかなわない。個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させること、これが少子化対策の目指すべき基本的方向である。
  • このため、政府として、若者・子育て世代の所得向上に全力で取り組む。新しい資本主義の下、賃上げを含む人への投資と新たな官民連携による投資の促進を進めてきており、既に、本年の賃上げ水準は過去30年間で最も高い水準となっているほか、半導体、蓄電池、再生可能エネルギー、観光分野等において国内投資が活性化してきている。まずは、こうした取組を加速化することで、安定的な経済成長の実現に先行して取り組む。その中で、経済成長の果実が若者・子育て世代にもしっかり分配されるよう、最低賃金の引上げや三位一体の労働市場改革を通じて、物価高に打ち勝つ持続的で構造的な賃上げを実現する。
  • 次元の異なる少子化対策としては、(1)構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと、(2)社会全体の構造や意識を変えること、(3)全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること、の3つを基本理念として抜本的に政策を強化する。
  • このように抜本的に政策を強化することにより、こども一人当たりの家族関係支出で見て、我が国のこども・子育て関係予算(GDP比で11.0%)は、OECDトップ水準のスウェーデン(15.4%)に達する水準(一定の前提を置いて試算すると16%程度)となり、画期的に前進する
  • こうした若者・子育て世代の所得向上と、次元の異なる少子化対策を、言わば「車の両輪」として進めていくことが重要であり、少子化対策の財源を確保するために、経済成長を阻害し、若者・子育て世代の所得を減らすことがあってはならない。
  • 少子化対策の財源は、まずは徹底した歳出改革等によって確保することを原則とする。その際、歳出改革等は、国民の理解を得ながら、複数年をかけて進めていく。
  • このため、経済成長の実現に先行して取り組みながら、歳出改革の積上げ等を待つことなく、2030年の節目に遅れることのないように、前倒しで速やかに少子化対策を実施することとし、その間の財源不足は必要に応じてこども特例公債を発行する。
  • 経済を成長させ、国民の所得が向上することで、経済基盤及び財源基盤を確固たるものとするとともに、歳出改革等による公費節減と社会保険負担軽減の効果を活用することによって、実質的な負担が生じることなく、少子化対策を進める。少子化対策の財源確保のための消費税を含めた新たな税負担は考えない。繰り返しになるが、我が国にとって2030年までがラストチャンスである。全ての世代の国民一人一人の理解と協力を得ながら、次元の異なる少子化対策を推進する。これにより、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図る。
  • 戦略では以上の基本的考え方に基づき、これまでにない規模で、全てのこども・子育て世帯を対象にライフステージ全体を俯瞰して、切れ目ない子育て支援の充実を図るとともに、共働き・共育てを推進していくための総合的な対策を推進していく。
  • そのためには、制度や施策を策定・実施するだけでなく、その意義や目指す姿を国民人一人に分かりやすいメッセージで伝えるとともに、施策が社会や職場で活用され、子育て世帯にしっかりと届くよう、企業、地域社会、高齢者や独身者も含め、社会全体でこども・子育て世帯を応援するという機運を高めていく国民運動が必要であり、こうした社会の意識改革を車の両輪として進めていく
  • 3つの基本理念
    • 我々が目指すべき社会の姿は、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、そして、こどもたちが、いかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会である。また、公教育の再生は少子化対策と経済成長実現にとっても重要であり、以下の基本理念とも密接に関連する。こうした社会の実現を目指す観点から、こども・子育て政策の抜本的な強化に取り組むため、この「こども未来戦略」(以下「戦略」という。)の基本理念は、以下の3点である。
      • 若い世代の所得を増やす
        • 第一に、若い世代が「人生のラッシュアワー」と言われる学びや就職・結婚・出産・子育てなど様々なライフイベントが重なる時期において、現在の所得や将来の見通しを持てるようにすること、すなわち「若い世代の所得を増やす」ことが必要である。
        • このため、こども・子育て政策の範疇を越えた大きな社会経済政策として、最重要課題である「賃上げ」に取り組む。新しい資本主義の下、持続的な成長を可能とする経済構造を構築する観点から、「質の高い」投資の促進を図りつつ、「成長と分配の好循環」(成長の果実が賃金に分配され、セーフティネット等による暮らしの安心の下でそれが消費へとつながる)と「賃金と物価の好循環」(企業が賃金上昇やコストを適切に価格に反映することで収益を確保し、それが更に賃金に分配される)という「2つの好循環」の実現を目指す。
        • また、賃上げを一過性のものとせず、構造的賃上げとして確固たるものとするため、(1)リ・スキリングによる能力向上支援、(2)個々の企業の実態に応じた職務給の導入、(3)成長分野への労働移動の円滑化の三位一体の労働市場改革について、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」で決定した事項を、早期かつ着実に実施する。
        • さらに、賃上げの動きを全ての働く人々が実感でき、将来への期待も含めて、持続的なものとなるよう、L字カーブの解消などを含め、男女ともに働きやすい環境の整備、「同一労働同一賃金」の徹底と必要な制度見直しの検討、希望する非正規雇用の方々の正規化を進める。
        • こうした施策を支える基盤として、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットを構築するため、週所定労働時間10時間以上20時間未満の労働者を雇用保険の適用対象とすることとし、2028年度に実施するため、所要の法案を次期通常国会に提出する。また、いわゆる「年収の壁(106万円・130万円)」を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げに取り組むことと併せて、当面の対応策として、「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。
        • また、全国どの地域に暮らす若者・子育て世代にとっても、経済的な不安なく、良質な雇用環境の下で、将来展望を持って生活できるようにすることが重要であり、引き続き、地方創生に向けた取組を促進する。特に、地方において若い女性が活躍できる環境を整備することが必要であり、地方における分厚い中間層の形成に向けて、国内投資の拡大を含め、持続的に若い世代の所得が向上し、未来に希望を感じられるような魅力的な仕事を創っていくための取組を支援していく。
        • こうした取組と併せて、Ⅲ.で掲げる「加速化プラン」において、ライフステージを通じた経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組、こども・子育て支援の拡充、共働き・共育てを支える環境整備などを一体として進め、若者・子育て世帯の所得を増やすことで、経済的な不安を覚えることなく、若者世代が、希望どおり、結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていく。
      • 社会全体の構造・意識を変える
        • 第二に、少子化には我が国のこれまでの社会構造や人々の意識に根差した要因が関わっているため、家庭内において育児負担が女性に集中している「ワンオペ」の実態を変え、夫婦が相互に協力しながら子育てし、それを職場が応援し、地域社会全体で支援する社会を作らなければならない。
        • このため、これまで関与が薄いとされてきた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身者を含めて、皆が参加して、社会全体の構造や意識を変えていく必要がある。こうした観点から、「加速化プラン」においては、こどもまんなか社会に向けた社会全体の意識改革への具体策についても掲げることとする。
        • また、企業においても、出産・育児の支援を投資と捉え、職場の文化・雰囲気を抜本的に変え、男性、女性ともに、希望どおり、気兼ねなく育児休業制度を使えるようにしていく必要がある。この点については、特に、企業のトップや管理職の意識を変え、仕事と育児を両立できる環境づくりを進めていくことが重要である。同時に、育児休業制度自体についても、多様な働き方に対応した自由度の高い制度へと強化するとともに、職場に復帰した後の子育て期間における「働き方」も変えていく必要がある。特に、出生率の比較的高い地方から東京圏への女性の流出が続いている現状を踏まえ、全国の中小企業を含めて、女性が活躍できる環境整備を強力に進めていくという視点が重要である。
        • 働き方改革は、長時間労働の是正により夫婦双方の帰宅時間を早め、育児・家事に充てる時間を十分に確保することや、各家庭の事情に合わせた柔軟な働き方を実現すること等につながる。また、子育て家庭にとってのみならず、事業主にとっても、企業の生産性向上や労働環境の改善を通じた優秀な人材の確保といった効果があることに加えて、延長保育等の保育ニーズの減少を通じて社会的コストの抑制効果が期待されるものでもある。さらに、価値観・ライフスタイルが多様となる中で、子育てに限らない家庭生活における様々なニーズや、地域社会での活動等との両立が可能となるような柔軟で多様な働き方が普及することは、全ての働く人にとってメリットが大きい。このため、特に、働き方改革の実施に課題のある中小企業の体制整備に向けた取組を強力に後押ししていくことが必要である。
        • 育児休業を取りやすい職場づくりと、育児休業制度の強化、この両方があって、子育て世帯に「こどもと過ごせる時間」を作ることができ、夫婦どちらかがキャリアを犠牲にすることなく、協力して育児をすることができる。このためには、地域や規模に関係なく全ての企業の協力が不可欠であり、働き方改革の推進とそれを支える育児休業制度等の強化など、「加速化プラン」で掲げる具体的な施策について、政府・経済界・労働界が一体となって、官民挙げて強力に取り組んでいくこととする。
      • 全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する
        • 第三に、様々なこども・子育て支援に関しては、親の就業形態にかかわらず、どのような家庭状況にあっても分け隔てなく、ライフステージに沿って切れ目なく支援を行い、多様な支援ニーズにはよりきめ細かい対応をしていくこと、すなわち「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援すること」が必要である。
        • これまでも保育所の整備、幼児教育・保育の無償化など、こども・子育て政策を強化してきたが、この10年間で社会経済情勢は大きく変わるとともに、今後、取り組むべきこども・子育て支援の内容も変化している。
        • これまでも保育所の整備、幼児教育・保育の無償化など、こども・子育て政策を強化してきたが、この10年間で社会経済情勢は大きく変わるとともに、今後、取り組むべきこども・子育て支援の内容も変化している。
        • 具体的には、経済的支援の拡充、社会全体の構造・意識の改革に加え、こども・子育て支援の内容についても、
          • 親が働いていても、家にいても、全ての子育て家庭を等しく支援すること
          • 幼児教育・保育について、量・質両面からの強化を図ること、その際、待機児童対策などに一定の成果が見られたことも踏まえ、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移すこと
          • これまで比較的支援が手薄だった、妊娠・出産期から0~2歳の支援を強化し、妊娠・出産・育児を通じて、全ての子育て家庭の様々な困難・悩みに応えられる伴走型支援を強化するなど、量・質両面からの強化を図ること
          • 貧困の状況にあるこどもや虐待を受けているこども、障害のあるこどもや医療的ケアが必要なこども、ヤングケアラー、社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者(いわゆるケアリーバー)、ひとり親家庭のこどもなど、多様な支援ニーズを有するこども・若者や、これらのこどもの家庭に対してよりきめ細かい対応を行うこと などが必要となっている。
        • こうした観点から、こども・子育て支援に関する現行制度全体を見直し、全てのこども・子育て世帯について、親の働き方やライフスタイル、こどもの年齢に応じて、切れ目なく必要な支援が包括的に提供されるよう、「加速化プラン」で掲げる各種施策に着実に取り組むとともに、「総合的な制度体系」を構築することを目指していく。
        • また、「総合的な制度体系」を構築する際に重要なことは、伴走型支援・プッシュ型支援への移行である。従来、当事者からの申請に基づいて提供されてきた様々な支援メニューについて、行政が切れ目なく伴走する、あるいは支援を要する方々に行政からアプローチする形に、可能な限り転換していくことが求められる
        • さらに、制度があっても現場で使いづらい・執行しづらいという状況にならないよう、「こども政策DX」を推進し、プッシュ型通知や、デジタル技術を活用した手続等の簡素化、データ連携などを通じ、子育て世帯等の利便性向上や健康管理の充実、子育て関連事業者・地方自治体等の手続・事務負担の軽減を図る。なお、こうした「こども政策DX」に積極的に取り組み、各制度の実施に当たってはDXによる効率的な実施を基本とするとともに、関係データの連携、そのデータの利活用を図ることは、Ⅳ.で掲げるPDCAの推進のためにも重要と考えられる。
        • また、全国それぞれの地域社会において、地域の実情に応じた包括的な支援が提供されるよう、国と地方自治体が連携して、こども・子育て支援の強化を図っていく必要がある。その際には、地域ごとの多様なニーズに対して、幼児教育・保育事業者はもとより、企業やNPO・NGO、ボランティア団体、地域住民などの多様な主体の参画の下で、それぞれの地域が有する資源を最大限に活用しながら、こども・子育て世帯を地域全体で支えるための取組を促進していくことが重要である
  • これから6~7年がラストチャンス
    • 我が国の出生数を1990年以降で見ると、2000年代に入って急速に減少しており、1990年から2000年までの10年間の出生数は約3%の減少であるのに対し、2000年から2010年は約10%の減少、2010年から2020年は約20%の減少となっている。さらに、コロナ禍の3年間(2020~2022年)で婚姻件数は約9万組減少、未婚者の結婚希望や希望こども数も大幅に低下・減少している。
    • このままでは、2030年代に入ると、我が国の若年人口は現在の倍速で急減することになり、少子化はもはや歯止めの利かない状況になる。2030年代に入るまでのこれからの6~7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にある。
    • このため、以下の各項目に掲げる具体的政策について、「加速化プラン」として、今後3年間の集中取組期間において、できる限り前倒しして実施する

~NEW~
デジタル庁 マイナンバー情報総点検本部(第5回)
▼資料
  • 概要
    • マイナンバー情報総点検では、マイナポータルで閲覧可能となっている全てのデータについて総点検を行った(6月 マイナンバー情報総点検本部を設置)。(健康保険証、共済年金、公金受取口座の事務については、先行して点検を行ってきた)
    • 紐付け方法の調査結果を踏まえ、332の自治体と労基署1署において、原則11月末までに個別データの点検を行い、紐付け誤りが判明した場合は修正するといった対応を実施し、紐付け誤りを可能な限り解消してきた。
    • 全体の点検結果としては、点検対象件数:8,208万件、本人確認作業が終了した件数(割合):8,206万件(99.9%)なお、障害者手帳情報の一部(1.5万件)は、照合不一致データについて本人確認作業を継続中(12月中に終了見込み)。
  • 再発防止対策
    • 紐付け誤りの主な原因
      • マイナンバーの提出がなく、2情報で住基ネット照会した際に複数人のマイナンバーが該当した場合の紐付け誤り
      • 申請書にマイナンバーの記載誤り
      • 本人と家族のマイナンバーの取り違え
    • 原因に対応した対策
      • 各制度の申請時にマイナンバーの記載を求める旨を明確化する省令等改正(9月)
      • (1)各制度の申請時にマイナンバーの取得を原則とすること、(2)提供されたマイナンバーの真正性の確認、(3)住基ネット照会を行う際には原則基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)で照会を行うことなどを明記した「マイナンバー登録事務に係る横断的ガイドライン」の策定(10月)
      • 原則4情報でのマイナンバー照会以外は回答不可とするJ-LISの照会システム改修(12月)
  • 総点検のスケジュール
    • 各々の機関の事情に配慮しながら、原則11月末までに、個別データの点検(マイナンバー+基本4情報データの抽出⇒照合⇒不一致データについて登録されたマイナンバーが本人のものか確認)を実施。
    • 9月末、10月末に進捗状況を取りまとめ、翌月に総点検本部を開催し公表してきた。今回の総点検本部では、これまで行ってきた総点検の結果を報告。
  • 総点検の対象事務・対象機関
    • 全体の点検結果について、点検対象件数:8,208万件、本人確認作業が終了した件数(割合):8,206万件(99.9%)紐付け誤りのあった件数(割合):8,351件(0.01%)
    • 自治体における点検支援ツールの活用結果
    • 個別データの点検で必要な作業のうち2段階目の照合の作業省力化のため、一部自治体の協力を得て、デジタル庁において点検支援ツールを開発。点検対象機関である自治体に対して、本ツールを提供(9月29日)。
    • 20自治体において点検支援ツールの活用があり、対象件数は約67万件であった(11月末時点)
    • ツールの利用者アンケートの結果
      • 点検支援ツールの利用自治体に係るアンケートの回答結果として、対象件数約67万件のうち8割以上がA判定で目検等が不要となり、照合の判定に係る確認時間を大幅に短縮できたことで、スムーズな点検の実施の支援につながったと考えている。
      • 照合の判定結果としては、A約585,000件(87%)、B約48,000件(7%)、C約36,000件(5%)。
      • ツールの操作性について、5段階評価(簡単1~難しい5)のうち最も多い評価は2であり、「点検の時間を大幅に削減することができた」や「項目ごとに判定が分かれていたので、(出力データにおいては)不一致等の除外が手作業で出来たりと、使い勝手が非常に良かったです」旨の意見が担当者からあった。

~NEW~
消費者庁 第1回解約料の実態に関する研究会
▼【資料3】解約料に関する現状等について(事務局資料)
  • 直近10年における「解約料」に関する消費生活相談は、3万件を超える水準で推移
  • 「解約料」に関する消費生活相談では、高額な商品・サービスや継続的な契約を結ぶ商品・サービスで、高額な解約料を請求されたことなどによる相談が多くみられる。
  • 高額な解約料の請求に関する相談のほか、自己都合や自然災害等のやむを得ない事情によるものまで、様々な解約理由による「解約料」の相談が寄せられている。
  • 過去1年間にキャンセルをしたことがある人の約6割がキャンセル料の支払いに対して不満と回答した。
  • キャンセル料の支払いを不満に思った理由(多い順)
    • キャンセル料が高額だったから/返金が一切またはほとんど無かったから 47.3%
    • キャンセル料を支払うこと自体が不満だから 27.3%
    • キャンセル料に関する説明が無かった、説明がわかりにくかったから 23.7%
    • 契約(予約)直後からキャンセル料が発生したから 20.3%
    • 予約当日まで期間があるのにキャンセル料が発生したから 19.5%
    • 台風などの自然災害、新型コロナウイルスの影響によるキャンセルだったから 18.5%
    • 同伴者、家族の都合によるキャンセルだったから 14.6%
    • 商品・サービスへの不満が大きかったから 10.8%
    • 事業者の対応が悪かったから 10.1%
  • 我が国の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は、年々拡大している。
  • 世帯あたりのスマートフォンの普及率は年々増加。物販におけるスマートフォン経由のBtoC-EC市場規模も年々増加しており、物販におけるBtoC-EC市場規模全体の56.0%を占めている。
  • 二人以上の世帯におけるネットショッピング利用率(インターネットを利用して財やサービスの注文をした世帯の割合)は年々増加。全体としては2021年から横ばいになっているものの、世帯主の年齢が65歳以上の高齢者世帯の利用率は引き続き増加。
  • 消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し又は違約金を定める条項(解約料条項)につき、当該消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき「平均的な損害の額」を超える部分を、無効としている。
    • 賠償額の予定(民法第420条第1項)
      • 債務不履行が生じた場合に、債務者の支払うべき損害賠償額をあらかじめ取り決めておくもの。債権者にとっては損害額の立証が不要となり、債務者にとっては事前に支払額を把握可能になる利点があるとされる。
    • 違約金
      • 契約の履行確保のために設定されるもの(違約罰)。民法上、損害賠償とは別に請求することができるが、実務上は、賠償額の予定の趣旨で定められることも多いことから、「違約金は、賠償額の予定と推定する。」(民法第420条第3項)とされている
  • 消費者契約において、契約の解除等に伴い高額な損害賠償等を請求することが定められた場合に、消費者が不当な出捐を強いられることのないようにするため
    • 「消費者契約において、契約の解除に伴う損害賠償額の予定と併せて、損害賠償とは趣旨が異なる違約罰的なものとして高額な違約金を定める場合があり得る。例えば、事業者が損害賠償の予定として3万円、違約金として2万円を定めており、当該事業者に生ずべき平均的な損害の額が4万円という事例では、損害賠償の予定と違約金は、それぞれ単独では平均的な損害の額である4万円を下回ることになるが、損害賠償の予定3万円と違約金2万円を合算した金額は5万円となり平均的な損害の額を超えることとなる。損害賠償額の予定と併せて違約金を定めた場合には、消費者に過大な義務を課されるおそれがあるため、両者を合算した額が事業者に生じる平均的な損害の額を超えてはならないこととする。」
  • 本研究会でご議論いただきたい事項
    • 解約料の実態はどのようなものか?
      • 解約料の中には「損害の発生」を前提とせずに定められているものがあるのではないか?
      • 消費者が解約料の支払に感じる「不満」にはどのようなものがあるか?
    • 解約料の実態を踏まえた、望ましいルールの在り方は何か?
      • どのような解約料が不当と考えられるのか?
      • 消費者の「不満」を減らし、トラブル自体を低減させるためには、どのような仕組みが考えられるか?

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総務省 令和4年度公害苦情調査結果の概要
▼令和4年度公害苦情調査結果概要
  • 令和4年度に新規に受け付けた公害苦情の受付件数(以下「公害苦情受付件数」という。)は71,590件で、前年度に比べ2,149件の減少(対前年度比▲2.9%)となった。過去の推移をみると、平成15年度に調査開始(昭和41年度)以来初めて10万件を上回り、その後は減少傾向が続いていたが、令和元年度及び2年度は増加に転じ、3年度及び4年度は再び減少となった。
  • 公害苦情受付件数のうち「典型7公害」は50,723件(公害苦情受付件数の70.9%)で、前年度に比べ672件の減少(対前年度比▲1.3%)となった。「典型7公害以外」は20,867件(公害苦情受付件数の29.1%)で、前年度に比べ1,477件の減少(対前年度比▲6.6%)となった。
  • 典型7公害の公害苦情受付件数(50,723件)を典型7公害の種類別にみると、「騒音」が19,391件(38.2%)と最も多く、次いで「大気汚染」が13,694件(27.0%)、「悪臭」が10,118件(19.9%)、「水質汚濁」が4,893件(9.6%)、「振動」が2,411件(4.8%)、「土壌汚染」が200件(0.4%)、「地盤沈下」が16件(0.0%)となっており、上位3公害の合計で全体の85.2%を占めている。受付件数が前年度に比べ672件の減少(対前年度比▲1.3%)となったことについては、「大気汚染」が690件(同▲4.8%)の減少となった影響が大きい。
  • 典型7公害以外の公害苦情受付件数(20,867件)のうち「廃棄物投棄」は9,018件と、前年度に比べ849件の減少(対前年度比▲8.6%)となった。「廃棄物投棄」の内訳をみると、「生活系」の投棄が6,902件(76.5%)となっており、最も多い。受付件数が前年度に比べ1,477件の減少(対前年度比▲6.6%)となったことについては、「廃棄物投棄(生活系)」が872件の減少(同▲11.2%)となった影響が大きい。
  • 公害苦情受付件数(71,590件)を主な発生原因2別にみると、「工事・建設作業」が12,492件(17.4%)と最も多く、次いで「焼却(野焼き)」が11,875件(16.6%)、「投棄された廃棄物」が7,840件(11.0%)、「自然系」が7,219件(10.1%)となっている。受付件数が前年度に比べ2,149件の減少(対前年度比▲2.9%)となったことについては、「焼却(野焼き)」が1,002件の減少(同▲7.8%)となった影響が大きい。公害苦情の主な発生原因について、その発生源3をみると、「工事・建設作業」では「建設業」が10,424件(83.4%)、「焼却(野焼き)」では「個人」が8,380件(70.6%)となっており、それぞれ最も多い。
  • 公害苦情受付件数(71,590件)を発生源別にみると、「会社・事業所」が31,847件(44.5%)と最も多く、次いで「個人」が23,103件(32.3%)となっている。「会社・事業所」の内訳を主な産業別にみると、「建設業」が13,268件(41.7%)と最も多く、次いで「製造業」が4,884件(15.3%)となっている。さらに「建設業」の内訳を主な発生原因別にみると、「工事・建設作業」が10,424件(78.6%)と最も多く、次いで「焼却(野焼き)」が624件(4.7%)となっている。同様に「製造業」の内訳をみると、「産業用機械作動」が2,044件(41.9%)と最も多く、次いで「産業排水」が570件(11.7%)となっている。また、「個人」の内訳を主な発生原因別にみると、「焼却(野焼き)」が8,380件(36.3%)と最も多く、次いで「自然系」が4,718件(20.4%)となっている。
  • 公害苦情受付件数(71,590件)を発生源の用途地域4別にみると、「住居地域」が28,316件(39.6%)と最も多く、次いで「市街化調整区域」が11,579件(16.2%)、「都市計画区域以外の地域」が7,653件(10.7%)、「その他の都市計画区域」が5,667件(7.9%)となっている。
  • 公害苦情受付件数(71,590件)を被害の種類5別にみると、「感覚的・心理的」が55,324件(77.3%)と最も多く、次いで「健康」が4,149件(5.8%)、「財産」が1,804件(2.5%)となっている。被害の種類に占める「感覚的・心理的」の割合を典型7公害の種類別にみると、「騒音」が94.3%と最も高く、次いで「振動」が92.6%となっている。
  • 公害苦情受付件数(71,590件)を被害の種類5別にみると、「感覚的・心理的」が55,324件(77.3%)と最も多く、次いで「健康」が4,149件(5.8%)、「財産」が1,804件(2.5%)となっている。被害の種類に占める「感覚的・心理的」の割合を典型7公害の種類別にみると、「騒音」が94.3%と最も高く、次いで「振動」が92.6%となっている。
  • 典型7公害の直接処理件数(45,781件)を苦情申立てから処理までの期間別にみると、「1週間以内」が30,328件(66.2%)、「1週間超〜1か月以内」が3,919件(8.6%)、「1か月超〜3か月以内」が2,795件(6.1%)、「3か月超〜6か月以内」が5,440件(11.9%)、「6か月超〜1年以内」が2,137件(4.7%)、「1年超」が1,162件(2.5%)となっている。「1週間以内」の内訳を典型7公害の種類別にみると、「騒音」及び「振動」において1週間以内に直接処理した割合が他の公害と比べ低くなっており、処理までの期間に長い日数を要する傾向がある。
  • 典型7公害の直接処理件数(45,781件)を処理方法8別にみると、「発生源側に対する行政指導が中心」が29,556件(64.6%)、「当事者間の話合いが中心」が821件(1.8%)、「申立人に対する説得が中心」が1,993件(4.4%)、「原因の調査が中心」が10,189件(22.3%)となっている。
  • 典型7公害の直接処理件数(45,781件)を行政上の措置9別にみると、「改善勧告」が788件(1.7%)、「改善命令」が52件(0.1%)、「行政指導」が21,082件(46.0%)、「条例に基づく措置」が2,661件(5.8%)、「なし」が21,198件(46.3%)となっている。
  • 典型7公害の直接処理件数(45,781件)を講じた防止対策10別にみると、「作業方法、使用方法の改善」が20,119件(43.9%)、「その他の方法で対策を講じた」が7,315件(16.0%)、「防止対策は何も講じていない」が8,085件(17.7%)、「不明」が10,262件(22.4%)となっており、防止対策を講じたもの11が全体の59.9%となっている。
  • 典型7公害の直接処理件数(45,781件)を関係の公害規制法令12の違反13別にみると、「規制に関する違反」が5,329件(11.6%)、「その他の違反」が1,808件(3.9%)、「違反なし」が20,179件(44.1%)、「不明」が18,465件(40.3%)となっている。
  • 令和4年度末(令和5年3月31日)現在、47都道府県及び1,741市町村(特別区を含む。)の計1,788自治体で公害苦情の処理を担当している職員(以下「公害苦情処理担当職員」という。)の数は10,928人(専任155人、兼任10,773人)となっている。

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金融庁 「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」の一部改訂(案)及び「公認会計士及び監査法人におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(案)の公表について
▼(別紙2)公認会計士及び監査法人におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(案)
  • 公認会計士等の特定業務と特定取引等
    • 公認会計士等は、顧客等と一定の取引を行うに際して取引時確認を行うことが必要となるなど、一定の犯収法上の義務が課されている。公認会計士等が行う業務の全てが必ずしも義務の対象となるわけではなく、義務の対象となる業務(以下「特定業務」という。)の範囲が定められている。公認会計士等においては、犯収法別表(第4条関係)中「第2条第2項第48号に掲げる者」の規定により、公認会計士法第2条第2項若しくは第34条の5第1号に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、一定のもの(以下「特定受任行為の代理等」という。)が犯収法上の義務の対象であり、監査証明業務等は対象とならない。具体的に犯収法上の義務の対象となるものは、例えば、財務に関する相談業務に付随した会社設立等の手続等が考えられる。
    • また、公認会計士等が顧客等と取引を行う際に取引時確認が必要となるのは、全ての取引についてではなく、特定業務のうち一定の取引(以下「特定取引等」という。)である。特定取引等には、特定取引とマネロン・テロ資金供与に用いられるおそれが特に高い取引(以下「ハイリスク取引」という。)があり、いずれの取引であるかにより、確認事項及びその確認方法が異なる。特定取引及びハイリスク取引とは、以下の取引を指す。
  • <特定取引>(犯収法第4条第1項及び犯収法施行令第9条第1項)
    • 特定取引とは、以下の特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結を指す。
      • 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
      • 会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続
      • 200万円を超える現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分
      • マネロン・テロ資金供与の疑いがあると認められる取引(犯収法施行規則第5条第1号)
      • 同種の取引の態様と著しく異なる態様で行われる取引(犯収法施行規則第5条第2号)
  • <ハイリスク取引>(犯収法第4条第2項及び犯収法施行令第12条)
    • なりすましの疑いがある取引
    • 取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある取引
    • マネロン・テロ資金供与に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との間におけるものその他特定国5等に居住し又は所在する者に対する財産の移転を伴う取引
    • 顧客等が外国PEPs(Politically Exposed Persons)である取引
  • ハイリスク取引の場合の確認
    • 公認会計士等は、ハイリスク取引に該当する取引を行う場合には、(2)に記載されている通常の本人特定事項等の確認に加え、当該確認の方法とは異なる方法により本人特定事項及び実質的支配者の確認を行うことが求められる(犯収法第4条第2項、犯収法施行規則第14条第1項及び第3項)。さらに、当該ハイリスク取引が200万円を超える財産の移転を伴うものである場合、顧客等の資産及び収入の状況の確認を行うことも求められる。資産及び収入の状況の確認の方法は、疑わしい取引の届出を行うべき場合に該当するかの検討に必要な限度において、例えば、以下の書類を確認する方法とする(犯収法施行規則第14条第4項)
  • 取引時確認等を的確に行うための措置
    • 公認会計士等は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(以下「取引時確認等の措置」という。)を的確に行うための措置として取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるほか、以下の(2)から(8)の事項を講ずるよう努めることが求められる(犯収法第11条及び犯収法施行規則第32条第1項)。ただし、リスクベース・アプローチの趣旨に鑑み、(3)に記載される事項は、監査法人等の規模や顧客等の特性に応じて措置を講ずることが求められるものであることに留意が必要である。また、監査法人等が複数の事務所を持っている際には、全組織的な管理態勢の構築が必要であることに留意する。また、取引時確認等を的確に行うための措置を講ずるにあたっては、必要に応じて「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(金融庁)を参照することが望ましい。
      1. 取引時確認を行った事項に係る情報を最新の内容に保つための措置
        • 特定取引等を行っている公認会計士等は、確認を行った事項について、最新の内容に保つための措置を講じることとされている。
        • 具体的には、特定取引等に係る長期的な契約を締結している顧客等を有する場合において、公認会計士等は、当初の確認事項からの変更の有無について、定期的に確認を実施することが考えられる。
      2. 使用人に対する教育訓練の実施
        • 公認会計士等の職員等が、犯収法上に定める措置を的確に実施できるようにするため、公認会計士等は、
        • 実際に顧客等と接する職員等に、マネロン・テロ資金供与リスクがあるか否かを認識するための具体的な注意点や対応要領について教育訓練する(例えば、監査法人等においては監査法人等主催の関連研修プログラムへの職員等の参加、公認会計士においては、日本公認会計士協会等主催の関連研修会等への参加等を積極的に行うことが考えられる。)
        • 監査法人等の規模・形態に応じ、疑わしい取引の届出を行うべき場合に該当するかを一元的に判断する部署を設置するなどの措置を講ずることが考えられる。
      3. 取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成
        • 取引時確認等の的確な実施を確保するため、公認会計士等は、取引時確認等の措置の実施手順や対応要領等を定めた規程を作成することが考えられる。
      4. リスク評価、情報収集、記録の精査
        • 特定取引等に係る長期的な契約を締結している顧客等を有する場合において、公認会計士等は、自らが行う取引を定期的に調査、分析して、マネロン・テロ資金供与リスクを評価した上で、必要に応じてこれを書面化し、これを更新することが考えられる。リスク評価の手法は、監査法人等の規模や顧客等の特性に応じて異なるものとなることに留意が必要である。また、作成した書面の内容を勘案し、取引時確認等の措置を行うに際して必要な情報を収集するとともに、当該情報を整理、分析すること、確認記録や取引記録等を継続的に精査することが考えられる。
      5. 統括管理者の選任
        • 監査法人等において、教育訓練の実施、規程の作成、法令の遵守状況の確認等、取引時確認等の的確な実施のために必要な業務の責任の所在を明らかにし、一元的・効率的な業務運営を行うため、取引時確認等の実施等に関する事項を統括管理する者を選任することが考えられる。
        • 個人会計事務所については、公認会計士自身が上記の対応に係る責任を有する者であることを認識し、取引時確認等の実施等を行うことになる。
      6. リスクの高い取引を行う際の対応
        • 公認会計士等が外国PEPsとの取引や通常でない取引等のリスクの高い取引15を行うに際しては、上記(5)で定義される統括管理者の承認を得ることが考えられる。また、公認会計士等は、リスクの高い取引を行うに当たって行われる情報の収集、整理及び分析の結果を書面化し、これを確認記録や取引記録等とともに保存することが考えられる。
      7. 必要な能力を有する職員の採用・育成
        • 公認会計士等は取引時確認等の措置が的確に行われるために必要な能力を有する者を採用・育成するために必要な措置を講ずることが考えられる。
      8. 取引時確認等に係る確認
        • 公認会計士等は、取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な確認を行うことが考えられる。

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • 国連安保理決議の着実な履行について(北朝鮮関連)
    • 10月27日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、2023年1月から7月にかけての国連加盟国による北朝鮮制裁の履行状況等の調査結果と国連加盟国への勧告を含む中間報告書を公表。
    • 同報告書では、
      • 北朝鮮が暗号資産関連企業及び取引所等へのサイバー攻撃を継続し暗号資産を窃取していること
      • 北朝鮮による石油精製品の不正輸入および石炭の不正輸出が継続していること
        等の事案概要や、必ずしも制裁対象ではないが、こうした事案に関与している疑義がある会社名や個人名、船舶の名前について記載。
    • 同報告書を踏まえ、各金融機関においては、サイバーセキュリティ対策を徹底していただくとともに、安保理決議の実効性を確保していく観点から、報告書に記載のある企業や個人、船舶については、
      • 融資や付保などの取引が存在するかどうかに関する確認、
      • 取引がある場合には、同報告書で指摘されている事案に係る当該企業・個人等への調査・ヒアリング、などをしっかりと行った上で、適切に対応いただきたい
  • 経済安全保障推進法の施行について
    • 経済安全保障推進法における「特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度(基幹インフラ制度)」について、来年春頃の運用開始を予定しており、それに向けて、10月4日、特定社会基盤事業者の指定基準に該当すると見込まれる事業者名を公表した。
    • 今後、対象事業者に対して指定の通知を行うとともに、事業者名等の公示を行う予定である。
    • また、近日中に、特定社会基盤事業者が特定重要設備の導入や維持管理等の委託を行う場合の届出事項等を定める主務省令の公布や、基幹インフラ制度の円滑な運用開始に資するよう金融分野におけるQ&Aの公表も予定している。
    • 金融庁においては、対象事業者を含む関係事業者等との恒常的な意思疎通を行うことを目的に、「相談窓口」を設置しており、特定重要設備の導入等に関する事前相談を受け付けている。特に制度運用開始前後に導入等の案件が想定される金融機関においては、早めに相談いただくようお願いしたい。
    • 金融庁としては、円滑な制度開始に向けて、金融機関との間で丁寧な対話に努めていく所存であり、引き続き協力いただきたい
▼全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • 共同データプラットフォームに係る高粒度データの報告徴求について
    • 金融機関と当局の間で実効的・効率的なデータ収集・管理を行うための共同データプラットフォームについては、
    • 2022事務年度に行った実証実験を通じて、金融機関から提出いただく様々な計表の代替可能性や、モニタリングや分析の高度化に高粒度データを活用できる余地が大きいことを確認した。
    • これを踏まえて2023事務年度は、データ定義やフォーマットの調整や説明会等に取り組んできたところ。この間、ご協力いただいた方々には感謝申し上げたい。
    • そして今般、2023年9月期データより、高粒度データの定期徴求を開始したいと考えている。共同データプラットフォームは新しい取組みであり、金融機関における準備・確認作業も考慮したスケジュールを考えている。
    • 引き続き各金融機関の負担に配慮しつつ、共同データプラットフォームの構築に向けた取組を進めていきたいと考えているので、御協力をお願いしたい。
  • マネロン対策等に関する半期フォローアップアンケート結果の還元及び業態横断的なフォーラムについて
    • マネロン等リスク管理態勢の整備について、2023年10月に各行に依頼した、「マネロンガイドラインに基づく態勢整備状況の確認アンケート」に協力いただき感謝申し上げる。
    • 経営陣におかれては、当該アンケート結果も活用しつつ、自行における対応の進捗をきめ細かく確認いただき、2024年3月までにマネロンガイドラインで求めている態勢整備が確実に完了するよう対応をお願いしたい。
    • また、現在、財務局と連携して、近隣地域ごとに、各行の課題や悩みを共有し解決策を検討する場として、マネロン担当役員を対象とした業態横断的なフォーラムを順次開催している。
    • 当該フォーラムを足がかりとして、近隣地域の金融機関同士で情報交換していただき、態勢整備の対応の一助としていただきたい。
    • 当庁としては、今後も協会と連携し、各行の取組状況を適時に把握しつつ、ニーズに沿った勉強会や業態横断的なフォーラムを開催するなど、きめ細かい支援を行っていく。
    • 各行においては、当庁の取組みも活用いただいた上で、マネロンガイドラインで求めている態勢整備を2024年3月末までに確実に完了する必要があることを強調させていただく

~NEW~
金融庁 バーゼル銀行監督委員会によるワーキング・ペーパー「気候変動関連金融リスクが銀行に与える影響についての文献レビュー」の公表について
▼「気候変動関連金融リスクが銀行に与える影響についての文献レビュー」(概要)
  • 本レビューでは、銀行が気候変動によってどのような影響を受けるかに焦点を当てた経済学と金融の最近の実証的文献を、特にミクロ経済学の証拠に重点を置いて記述する。気候変動が経済や金融システムに及ぼす影響を分析する研究の多くは、マクロ経済レベルでのモデル化の仮定に依存している。これらの評価を改善するためには、気候変動が特定のポートフォリオに及ぼす影響に関する詳細な情報が必要であり、ストレステストに使用されるモデルの調整に役立ちます。
  • 本稿では、これまでの銀行への影響が比較的緩やかである理由を理解することに焦点が当てられている。著者らは、リスクが実質的に小さいか、無視できるか、あるいは銀行や市場が誤って織り込んでいるか、という2つの対立仮説を検討している。
  • 著者らは、気候変動が信用リスク、市場リスク、融資基準の3つの指標に及ぼす影響を調査している。また、気候変動が特定のポートフォリオ、すなわち住宅や企業の不動産に与える影響や、より一般的には、非金融企業や中央政府、地方政府(州や地方自治体)に対する気候変動の影響についても議論しています。また、著者らは、マクロ経済の相互作用や、分析において無視できない二次的な影響を考慮することで、視野を広げています。
  • 全体として、この論文の主な貢献は、クレジット・スプレッド、債券スプレッド、非金融企業株式の期待リターン、不動産価格を考慮して、レビュー中の論文間で気候変動の影響の分布を提供することです。

~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用に関するタスクフォース」報告書の公表について
▼(参考)金融審議会 市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース 報告書 概要
  • 家計からの投資の運用を担い、リターンを生み出す資産運用会社の高度化を図るとともに、企業への成長資金の供給を促し、その成果を家計に還元することで、インベストメント・チェーンを通じた「成長と分配の好循環」を推進し、資産運用立国の実現に向けた取組みを進める。★は要法改正事項
    1. 資産運用会社の高度化 家計を含む投資家へのリターン向上、投資先の企業価値の向上
      • 投資運用業の参入要件の緩和(ミドル・バックオフィス業務の委託等)★
      • 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP)の実施
      • 大手金融グループにおける運用力向上やガバナンス改善・体制強化
      • 金融商品の品質管理を行うプロダクトガバナンスに関する原則の策定
      • 投資信託に関する日本独自の慣行の見直し(一者計算の促進等)
    2. アセットオーナーに対する金融機関の取組み 顧客等の最善利益の確保
      • 金融機関による顧客等の最善利益を確保する観点からの運用や、DC加入者への運用商品の適切な選定・提案、情報提供の充実を促進
    3. スチュワードシップ活動の実質化 日本企業・日本市場の魅力向上
      • 価値向上に向けた対話促進のための大量保有報告制度の見直し等★
    4. 成長資金の供給と運用対象の多様化 スタートアップの活性化、収益機会の拡大
      • ベンチャーキャピタル向けのプリンシプルの策定
      • 非上場株式を組み入れた投資信託・投資法人の活用促進
      • 投資型クラウドファンディングの活性化
      • 事後交付型株式報酬に係る開示規制の明確化
      • 非上場有価証券のセカンダリー取引の活性化(仲介業者の規制緩和)★
    5. 家計の投資環境の改善 金融リテラシーの向上、貯蓄から投資への推進
      • 金融経済教育推進機構を中心とした金融経済教育の推進
      • 累積投資契約のクレジットカード決済上限額の引上げ(5万円から10万円に)
  • 資産運用会社の高度化(⇒家計を含む投資家へのリターン向上、投資先の企業価値の向上)
    • 大手金融グループにおける運用力向上・ガバナンス改善・体制強化
      • 大手金融機関グループにおいて傘下資産運用会社等の人材育成を含む運用力向上やガバナンス改善・体制強化のためのプランの策定・公表
    • プロダクトガバナンスの確保
      • 資産運用会社による適切な金融商品の組成、管理、透明性を確保するためのプロダクトガバナンスに関する原則を策定(※「顧客本位の業務運営に関する原則」の改訂)
    • 投資信託に関する日本独自の慣行の見直し
      • 基準価額の計算について資産運用会社と信託銀行の双方で行う二重計算の慣行を見直し(業界における一者計算に向けた計理処理の標準化等の取組みを後押し)
      • 基準価額の計算過誤の訂正に関するマテリアリティポリシー(重大性基準)について、各社の定める水準の適切性や投資家への周知の重要性を監督指針等に記載
      • 投資運用業の参入障壁を緩和
    • 投資運用業の参入要件の緩和(ミドル・バックオフィス業務の委託等)
      • ミドル・バックオフィス業務の外部委託等による規制緩和
      • 運用権限の全部委託
        • 投資運用業における運用権限の全部委託を禁止する規制の撤廃
        • 運用委託先の管理について、必要な規定の整備
        • 特色ある運用会社への委託を促進
      • 投資運用業者の登録要件緩和
        • ミドル・バックオフィス業務を受託する事業者に任意の登録制度を創設(行為規制(善管注意義務等)等を適用)
        • 登録業者に業務委託する場合には、投資運用業の登録要件(体制整備等)を緩和(業務を外部委託した場合、委託先の管理等が必要)
      • 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP(Emerging Managers Program))
      • 金融機関・アセットオーナーによる優れた新興運用業者の発掘・運用委託を後押し。また、各主体による具体的な取組状況を公表
      • 新興運用業者を一覧化したリスト(エントリーリスト)の提供
      • 金融創業支援ネットワークや拠点開設サポートオフィス等を拡充
      • ミドル・バックオフィス業務の外部委託等による規制緩和
  • アセットオーナー、上場企業、家計に関する取組み
    • アセットオーナーに対する金融機関の取組み(⇒顧客等の最善利益の確保)
      • アセットオーナーから運用委託を受ける資産運用会社等は、アセットオーナーのリスク許容度等を考慮したうえで、最善の利益を確保するための運用を行う必要
      • 企業型確定拠出年金(DC)の運営管理機関(金融機関)は加入者の最善の利益を確保する観点から、適切な運用商品の選定・提示や情報提供の充実等を行う必要
      • 当局は、アセットオーナーを支える金融機関を適切にモニタリングし、必要に応じて改善を求めていくことが不可欠
    • スチュワードシップ活動の実質化(⇒日本企業・日本市場の魅力向上)
      • スチュワードシップ・コードの趣旨を踏まえ、自らの置かれた状況(規模・運用方針等)に応じた対応の促進や、協働エンゲージメントの取組みの積極的な活用
      • 実効的なエンゲージメントの促進のための制度の見直し(大量保有報告制度における「重要提案行為」や「共同保有者」の範囲の明確化)
      • 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた東証の要請(現状分析、計画の策定・開示、実行)を踏まえた企業の対応を一層促す観点からフォローアップ
    • 家計の投資環境の改善(⇒金融リテラシーの向上、貯蓄から投資への推進)
      • 金融経済教育推進機構を中心とした金融経済教育の推進
        • 家計が資産運用会社や金融商品を適切に選択するためには金融リテラシーの向上が不可欠
        • 金融経済教育推進機構を中心に官民一体となって、金融経済教育に取組むことが重要
      • 累積投資契約のクレジットカード決済上限額の引上げ
        • 新しいNISA制度において、つみたて投資枠は年間120万円(月10万円)になる
        • 累積投資契約のクレジットカード決済上限額について、つみたて投資枠をカバーできるよう規定を見直し(5万円から10万円に)
  • 成長資金の供給と運用対象の多様化(⇒スタートアップの活性化、収益機会の拡大)
    • 機関投資家からVCへの資金の流れの拡大
      • VCのガバナンス等の水準を向上させ、長期投資に資するアセットクラとしてのVCの魅力を高めるため 、「ベンチャーキャピタル・プリンシプル」を策定
      • VCが保有する有価証券の評価の透明性を向上させるため、公正価値評価を推進
    • スタートアップへの資金提供主体の多様化
      • 投資信託への非上場株式の組入れを行うための枠組み(自主規制規則)の整備、上場ベンチャーファンドの促進(開示頻度の緩和等)
      • 投資型クラウドファンディングの活性化
      • 企業の発行総額上限
      • 1億円→5億円(1~5億円は簡素化された開示様式を利用可)
      • 投資家の投資上限
      • 50万円→年収や純資産に応じた設定
    • 非上場有価証券のセカンダリー取引の活性化
      • 企業が役職員に付与する譲渡制限付株式ユニット(RSU)等の事後交付型株式報酬について、有価証券届出書に代えて、臨時報告書の提出
        を認める特例を設ける
    • 役職員へのインセンティブ付与円滑化
      • 非上場有価証券の取引の仲介業務への参入を促すため、
      • プロを対象とし、原則として金銭等の預託を受けない場合は、第一種金融商品取引業の登録要件を緩和
      • 私設取引システム(PTS)について、取引規模が限定的な場合は、認可を要せず、第一種金融商品取引業の登録により運営可能とする

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~11月分)
  • 令和5年1~11月の刑法犯総数について、認知件数は646,119件(前年同期549,675件、前年同期比+17.5%)、検挙件数は247,649件(230,676件、+7.4%)、検挙率は38.3%(42.0%、▲3.7P)
  • 凶悪犯の認知件数は5,200件(4,094件、+27.0%)、検挙件数は4,401件(3,594件、+22.5%)、検挙率は84.6%(87.8%、▲3.2P)、粗暴犯の認知件数は53,766件(48,099件、+11.8%)、検挙件数は43,911件(39,960件、+9.9%)、検挙件数は81.7%(83.1%、▲1.4P)、窃盗犯の認知件数は445,057件(373,707件、+19・1%)、検挙件数は145,057件(137,112件、+5.8%)、検挙率は32.6%(36・7%、▲4.1P)、知能犯の検挙件数は45,025件(36,414件、+23.6%)、検挙件数は17,834件(17,061件、+4.5%)、検挙率は39.6%(46.9%、▲7.3P)、風俗犯の認知件数は10,546件(7,532件、+40.0%)、検挙件数は7,538件(6,181件、+22.0%)、検挙率は71.5%(82.1%、▲10.6P)
  • 詐欺の認知件数は41,432件(33,346件、+24.2%)、検挙件数は15,225件(14,557件、+4.6%)、検挙率は36.7%(43.7%、▲7.0%)、万引きの認知件数は85,253件(76,690件、+11.2%)、検挙件数は57,499件(53,879件、+6.7%)、検挙率は67.4%(70.3%、▲2.9P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は64,405件(61,571件、+4.6%)、検挙人員は52,385人(50,583人、+3.6%)
  • 入管法違反の検挙件数は5,534件(3,788件、+46.1%)、検挙人員は3,843人(2,795人、+37.5%)、軽犯罪法違反の検挙件数は6,955件(7,039件、▲1.2%)、検挙人員は6,892人(6,985人、▲1.3%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は9,148件(8,869件、+3.1%)、検挙人員は6,913人(6,769人、+2.1%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は1,151件(953件、+20.8%)、検挙人員は947人(747人、+28.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は3,166件(2,864件、+10.5%)、検挙人員は2,451人(2,388人、+2.6%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は475件(487件、▲2.5%)、検挙人員は141人(156人、▲9.6%)、不正競争防止法違反の検挙件数は50件(58件、▲13.8%)、検挙人員は60人(72人、▲17.8%)、銃刀法違反の検挙件数は4,590件(4,654件、▲1.4%)、検挙人員は3,875人(4,106人、▲5.6%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,320件(935件、+41.2%)、検挙人員は774人(559人、+38.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は7,003件(5,939件、+17.9%)、検挙人員は5,687人(4,697人、+21.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は7,434件(7,801件、▲4.7%)、検挙人員は5,199人(5,409人、▲3.9%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数655人(549人、+19.3%)、ベトナム209人(171人、+22.2%)、中国80人(90人、▲11.1%)、ブラジル47人(37人、+27.0%)、スリランカ27人(35人、▲22.9%)、フィリピン26人(19人、+36.8%)、インド19人(12人、58.3%)、バングラデシュ13人(7人、+85.7%)、パキスタン13人(19人、▲31.6%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における刑法犯総数について、検挙件数は9,097件(10,447件、▲12.9%)、検挙人員は5,528人(5,711人、▲3.2%)
  • 暴行の検挙件数は538件(574件、▲6.3%)、検挙人員は499人(566人、▲11・8%)、傷害の検挙件数は910件(952件、▲4.4%)、検挙人員は1,063人(1,072人、▲0.8%)、脅迫の検挙件数は288件(340件、▲15.3%)、検挙人員は271人(345人、▲21.4%)、恐喝の検挙件数は329件(325件、+1.2%)、検挙人員は427人(415人、+2・9%)、窃盗の検挙件数は4,300件(5,123件、▲16.1%)、検挙人員は812人(790人、+2.8%)、詐欺の検挙件数は1,431件(1,739件、▲17.7%)、検挙人員は1,222人(1,320人、▲7.4%)、賭博の検挙件数は37件(48件、▲22.9%)、検挙人員は142人(151人、▲6.0%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における特別法犯総数について、検挙件数は4,598件(5,105件、▲9.9%)、検挙人員は3,225人(3,473人、▲7.1%)
  • 入管法違反の検挙件数は23人(17人、+35.3%)、検挙人員は21人(23人、▲8.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は67件(68件、▲1.5%)、検挙人員は51人(63人、▲19.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は61件(85件、▲28.2%)、検挙人員は60人(75人、▲20.0%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は16件(18件、▲11.1%)、検挙人員は31人(42人、▲20.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は207件(162件、+27.8%)、検挙人員は92人(67人、+37.3%)、大麻取締法違反の検挙件数は981人(955人、▲2.7%)、検挙人員は642人(561人、▲+14.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,541件(2,981件、▲14.8%)、検挙人員は1,739人(1,982人、▲12.3%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は100件(142件、▲29.6%)、検挙人員は51人(72人、▲29.2%)

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警察庁 ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件等について
  • ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件等について
    • いわゆるホストクラブ等の利用客が、高額な利用料金の売掛による借金を背負い、その返済のために、売春させられるなどの事例があります。
    • ホストクラブ等での利用料金を返済させるために、人を困惑させて売春をさせたり、性風俗などの有害な業務を紹介したりすることは、売春防止法や職業安定法で禁止されています。
      職業安定法に関するQ&Aは(厚生労働省のページ)こちら
    • 警察では、ホストクラブ等の売掛金等に起因する違法行為について、売春防止法違反、職業安定法違反等で検挙しているほか、ホストクラブに対する立入りにより、風営適正化法の遵守を徹底するなどの取組を推進しています。
  • 検挙事例
    • 当時ホストクラブ従業員であった者が、店での売掛金の返済名目で客の女性に現金を要求し、スカウトマンを介し、ソープランド従業員に紹介して売春をさせた事案。(同ホストクラブ従業員であった者、同スカウトマンその他関係者について、売春防止法違反、職業安定法違反等で検挙した。)
    • ホストクラブの店長らが、店での売掛金を支払わせるため、客の女性をソープランド経営者に売春婦として紹介した事案。(同ホストクラブの店長その他関係者について、売春防止法違反及び職業安定法違反で検挙した。)
    • ホストクラブ経営者らが、客の女性に対し、店での売掛金を返済するよう要求し、同女を指定したビジネスホテルに居住させた上、売春をさせた事案。(同ホストクラブの経営者らについて、売春防止法違反で検挙した。)
  • 一人で悩まずに相談してください
    • ホストに売春等を強要されている、追われている等の犯罪被害に関する相談は、最寄りの警察署への通報又は警察相談専用電話(「♯9110」番)をご利用ください。
    • なお、ホストクラブ等において、好意の感情を不当に利用した契約(いわゆるデート商法)など、不当な勧誘により締結された契約は、消費者契約法に規定する要件に該当すれば、消費者が意思表示することにより、後から取り消すことができます。
▼ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用(消費者庁のページ)
  • 関係機関の相談窓口は以下のとおりです。
    • どこに相談して良いか分からない方や困難な問題を抱え福祉的支援が必要な場合の相談各都道府県の婦人相談所
      (電話番号一覧はこちら(厚生労働省のページ))
    • ホストクラブ等との契約などにおける消費者トラブルの相談
      • 消費者ホットライン
      • 全国共通の電話番号:188
    • 売掛金に係る契約等の取消の手続等各種法的トラブルに関する相談
      • 日本司法支援センター(法テラス)
      • 電話番号:0570-078374
    • 性犯罪・性暴力被害の相談
      • 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
      • 全国共通番号:♯8891

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国民生活センター SNS上の広告を見て購入した海外製のクリームで重篤な皮膚障害が発生!-ほくろ等が取れるという「点痣膏」をお持ちの方は使用を中止してください-
  • 2023年6月、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」に、SNS上の広告を見てインターネット通信販売で購入した、ほくろ、いぼ、しみ等が取れるという、海外製の「点痣膏」(中国語読みで「ディエンジーガオ」)というクリームを顔面のほくろにつけたところ、化学熱傷を負ったという事故情報が寄せられました。
  • また、同年8月に消費生活センターから、同じ銘柄名である「点痣膏」というクリームについてテスト依頼が2件あり、調べた結果、いずれも強アルカリ性で、皮膚に使用すると重篤な障害を引き起こすおそれがあると考えられました。
  • そこで、「点痣膏」による事故の再発防止のため、消費者に注意喚起することとしました。
  • テストした「点痣膏」について
    • 医師からの事故情報受付窓口の事例の商品と当センターでテストした商品は、同じ「点痣膏」(中国語読みで「ディエンジーガオ」)という銘柄名でしたが、製造委託企業等が異なっていました。
  • 事故情報
    • 顔面のほくろに塗って20分ほど放置すると腫れて皮膚の色が変わったとのことで、化学熱傷が疑われた。
    • 顔面のほくろに塗ったところ、直後に熱くなって痛みを感じた。皮膚科を受診し、熱傷で治療見込みは1年以上と言われた。
    • 顔面のしみ周辺に塗り広げて擦ると、皮膚がむけて痛みを感じ、皮膚が変色した。
  • テスト及び調査結果
    • 容器や外箱には、成分や使用方法等の日本語の表示はみられませんでした。
    • 「点痣膏」は強アルカリ性でした。
    • 「点痣膏」は個人輸入品に該当するものと考えられ、日本国内のみに向けて販売されていました。
  • 消費者へのアドバイス
    • ほくろ、いぼ、しみ等が取れるという、「点痣膏」を使用すると、重篤な皮膚障害等を起こすおそれがあります。お持ちの方は使用を中止してください。
    • SNS上の広告や通信販売サイトの内容をしっかり確認して、少しでも不安や不明な点がある場合は購入や使用を控えましょう。
  • 事業者への要望
    • 重篤な皮膚障害等を起こすおそれがある「点痣膏」やそれに類する商品を日本国内向けに販売、あるいは個人輸入を代行する事業者は取扱いを中止するよう要望します。
  • 行政への要望
    • 健康被害を起こすおそれのある商品が、海外から日本国内向けに販売されることがないよう、商品の販売サイト、あるいは個人輸入代行サイトに対する削除要請等を含めた対策を行うよう要望します。
    • 個人輸入する医薬品や化粧品等を使用した場合、思わぬ健康被害が発生する可能性があることを、引き続き消費者に注意喚起するよう要望します。

~NEW~
国民生活センター 消費者問題に関する2023年の10大項目
  • 国民生活センターでは、毎年、消費者問題として社会的注目を集めたものや消費生活相談の特徴的なものなどから、その年の「消費者問題に関する10大項目」を選定し、公表しています。
  • 2023年は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更され、消費活動が活発化したことの影響のほか、成年年齢引下げから1年経過後の相談状況、自転車ヘルメット着用の努力義務化などに注目が集まりました。
  • 2023年の10大項目
    • 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に 旅行予約やチケット転売のトラブルが増加
    • 18歳・19歳の契約トラブル 「美」と「金」がキーワードに
    • 改正消費者契約法、改正特定商取引法が施行
    • ステルスマーケティング 規制始まる
    • ビッグモーター社の不正問題 中古車販売業界や損害保険業界のコンプライアンスに課題
    • 旧統一教会をめぐる問題 国が解散命令を請求
    • 訪問購入のトラブルが増加 8割近くが高齢者
    • 自転車のヘルメット着用 年齢を問わずすべての人の努力義務に
    • 子どもの誤飲事故防止のための玩具の新たな規制
    • 消費生活相談デジタル化・体制の再構築

~NEW~
国民生活センター 合成カンナビノイド「HHCH」は指定薬物です!-「HHCH」が含まれていたグミ等を摂取して救急搬送-
  • 2023年11月22日、厚生労働省は、危険ドラッグの成分である合成カンナビノイド「HHCH」を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の「指定薬物」として新たに指定する省令を公布し、12月2日に施行されました。「指定薬物」に指定されると、医療等の用途以外の用途での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されます。
  • 医療機関ネットワークには、HHCHを含む商品を摂取した後に救急搬送された事例が複数寄せられました。また、PIO-NETには、HHCHを含む可能性がある食品を摂取した後に体調不良になった事例が寄せられました。HHCHを含む商品を絶対に購入や使用しないでください。
  • 医療機関ネットワークに寄せられた情報
    • 飲酒した後にHHCHグミを1個食べたところ、脱力、手足のしびれ、嘔気・嘔吐の症状が出現し、救急搬送された。
    • 飲酒した後にHHCHグミを2分の1個食べたところ、身体の震え、吐き気、眠気、口渇感、胸が熱い等の症状が出現し、救急搬送された。
    • インターネット通販で購入したHHCHリキッドを吸引した。約30分後、幻覚、悪寒、振戦等の症状が出現して、夢か現実か分からない状況になり、救急搬送された。
  • PIO-NETに寄せられた事例
    • HHCHグミの関連で売れなくなるものと言って配っていたクッキーを食べたところ、頭痛がして体調が悪くなった。医療機関を受診したところ、「おそらく、そのクッキーの影響だろう」と言われた。
  • 消費者へのアドバイス
    • HHCHは、医療等の用途以外の用途での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止される「指定薬物」に指定されました。HHCHを含む商品を絶対に入手したり、使用したりしないでください。

~NEW~
国民生活センター 重りが外れて足の指に落下したダンベル(相談解決のためのテストからNo.181)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「重りを組み換えられるダンベルを持ち上げたところ、組みつけられていた重りが外れて足の指の上に落ち、けがをした。重りが外れた原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、ハンドルの両端にある重量設定用ダイヤル(最小5kg~最大40kg)を回転させると、設定重量になるよう、複数の重りがハンドルに固定される、可変式のダンベルでした。相談者によると、ダンベルの重さを設定し、持ち上げて移動中に重りの一つがハンドルから外れ、足の指の上に落下したとのことでした。
    • 相談者から提供された当該品(1)、(2)と、別途購入した同型品(1)、(2)について、重量を設定してハンドルを持ち上げてみたところ、当該品(1)は固定されるはずの一部の重りがハンドルに固定されませんでした。当該品(1)の重量設定用ダイヤルの側面にあるカバーを外したところ、内部には脱落した非金属インサート付き六角ナット(注)(以下、「ナット」とします。)がありました。ナットが外れていた当該品(1)の端を除き、当該品と同型品のナット周辺を確認したところ、それぞれのナット端面から突き出ているシャフトのおねじ部の高さが異なっており、当該品(1)、(2)のおねじ部は、ナットの端面より引っ込んでおり、緩み防止機構が十分に働いていない状態であると考えられました。
    • また、当該品と同型品を分解してシャフトの全長を確認したところ、当該品(1)、(2)は、同型品(1)、(2)よりも3mm以上短く、ナットの緩み防止機構が働くよう組み付けるためには長さが不足していました。
    • 以上より、重りが外れた原因は、シャフト全長が短すぎたことによりナットの緩み防止機構が十分に働かず、使用過程でナットが緩んで脱落し、重りを固定するためのツメが適切な位置にならず、ハンドルへの重りの固定が不完全になったためであると推測されました。
    • (注)ナット内面のめねじ上部に樹脂製のリングを装着し、緩みを抑制する効果をもたせたもの
  • 解決内容等
    • 依頼センターがテスト結果を販売事業者に説明したところ、相談者からの当該品の返品により商品代金が返金され、商品については、シャフトの製作精度の均一化、取扱説明書の補完、検品項目の追加等の改善をするとの連絡がありました。

~NEW~
国民生活センター 測定値が低く表示された電子体温計(相談解決のためのテストからNo.182)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「電子体温計を使用すると、他の銘柄よりも体温が低く表示される。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、予測検温(短時間で体温を予測する機能)及び実測検温(体温の測定値が平衡温度になるまで計測する)機能を備えた、脇に挟んで使用する電子体温計で、相談者によると、熱のある子どもの体温を予測検温機能で測定したところ、他の銘柄の同様な電子体温計よりも測定値が低く出るとのことでした。
    • 当該品の外観やX線による調査の結果、特に異常はみられず、取扱説明書の手順どおりに操作したところ、予測検温、実測検温とも動作に異常はみられませんでした。また、JIS T 1140「電子体温計」を参考に、恒温水槽を用いて、水槽温度が33.0℃、37.0℃、41.0℃のときの温度測定(実測検温)を行ったところ、誤差は±0.1℃以内で、問題はみられませんでした。
    • 次に、当該品を用いて、取扱説明書に記載された測り方で、複数名のモニターにより予測検温と実測検温の測定値を調べたところ、両者に大きな差はみられませんでした。そこで、誤った測り方として、当該品の電源を入れてから測定準備が完了状態になる前に脇に挟んで予測検温を開始したところ、正しい測り方よりも低めの測定値となりました。なお、当該品は電源を入れてから測定準備が完了状態になるまで、数秒待つ必要がありました。
    • 当該品の取扱説明書や当該事業者のウェブサイトには、測定準備が完了状態になった後に測定を開始しないと予測検温が正しく行われないおそれがある旨の記載がみられました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 電子体温計には短時間で体温を予測する予測検温機能を有した商品が多くみられますが、測定準備が完了状態になる前や、その表示を確認せずに測定を開始すると、正しく検温できないことがあります。取扱説明書の測定手順をよく確認して正しく使用し、より正確な検温を行う必要がある場合には実測検温を行うようにしましょう。

~NEW~
国民生活センター 【20代要注意!】タレント・モデル契約のトラブル
  • 憧れの芸能界!#オーディション に行ったら合格しちゃった!「事務所に所属するにはレッスン料や登録料が必要」って言われて、高いけど仕事がもらえるならって支払ってワクワクして待ってたのに、全然仕事が来ないじゃん!どうすればいいの⇒188に相談!
  • 相談事例
    • 急かされて高額なマネジメント契約をしたが、解約したい
      • インターネットでタレントオーディションの広告を見つけ、興味があったので面接審査を受けた。その後、「合格した」と電話で連絡があり、事務所に行ったところ、その場でマネジメント業務委託契約の勧誘を受けた。契約を迷っていたところ「今契約しなければチャンスはない」と言われ、初期費用約10万円と所属費毎月約3万円のほか、月数回の演技やモデルのレッスン料がかかると説明を受けた。1年以内の解約時には違約金がかかると説明されたが、具体的な違約金の額の説明はなく、契約書にも詳細の記載はない。高額な契約をしたことを後悔し、1カ月後に契約解除の連絡をしたが、レッスンを受ける前にもかかわらず違約金として初期費用約10万円と半年分の所属費を請求すると言われた。契約時に違約金の額について説明がなかったので、支払いたくない。(2023年7月受付 20歳代 女性 大学生)
    • 仕事をもらうために業務提携契約をし、解約を申し出たら高額な解約料を請求された
      • 役者募集サイトで映画のキャストの募集を見つけ、応募した。審査通過のメールがあり、面接に出向くと、「映画のオーディションを受けるには出演した実績が必要なので当社に登録しないか」と勧誘された。アルバイトのような形で案件がもらえるとの説明で、このタレント事務所に登録することにし、その場で年会費約5万円をコード決済で支払った。次回の面接日が決まり、出向いたところ、「確実に仕事ができる業務提携をしないか」と勧誘された。担当者に私のスマートフォンを操作され、約60万円を分割で支払う契約をした。その後事業者を信用できなくなり、解約を申し出たところ、40%の違約金が発生すると言われた。解約したい。(2023年8月受付 20歳代 女性 大学生)
  • トラブル防止のポイント
    • あなたの夢につけ込む勧誘トークに注意する
      • 悪質業者は「合格」という言葉であなたを夢見心地にさせ、あなたの夢につけ込んで有料のレッスンやマネジメント等の契約を勧めます。
      • 中には、「すぐに仕事が入るから問題ない」とクレジット契約や借金をして契約するよう勧めてくる事業者もいます。レッスン等を受講しても必ず仕事や報酬につながるわけではありません。家族や周囲の人に相談するなど「冷静」「慎重」な判断を心がけましょう。
    • 不意打ち的にレッスンやマネジメントの契約をさせようとする業者に注意! 具体的な活動内容やサポート体制、費用面などをよく確認する
      • オーディションや面接のために出向いた事務所で「有料のレッスン、マネジメント契約が必要」と不意打ち的に契約を求められる場合があります。消費者は「夢をかなえるためなら」と契約するものの、その後「レッスンが受けられない」「マネージャーから仕事やオーディション情報を紹介すると言われたのに、何もしてもらえない」といった事例もみられます。
      • その場で契約せず、具体的な活動内容や芸能事務所のサポート体制、それらに伴う費用負担がある場合はその内訳など、契約内容をよく確認しましょう。「アルバイトのつもりがレッスン受講契約を勧められた」など、当初の話と違うと感じたときは、契約をきっぱり断りましょう。
    • 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
国民生活センター 電熱ウェアの異常発熱に注意
  • 内容
    • 事例1:テレビ広告を見て電熱ヒーター内蔵ブルゾンを注文した。パジャマの上に着用したところパジャマが焦げてしまった。(80歳代)
    • 事例2:妻にヒーター内蔵型ベストを購入した。妻が着用時、首のあたりが熱いと感じ、何気にベストの襟を触ったところ、指をやけどし水膨れになった。ベストは4回着用しただけで、襟部が溶け穴が開いていた。(相談者:60歳代)
  • ひとこと助言
    • 電熱ウェアは、衣服の内部に電線や電熱線を配置した電気製品です。このため、電線や電熱線の損傷によって断線した線同士が不安定に接触した状態で使うと、衣服が焦げたり、やけどを負う可能性があります。強く擦る、折り曲げるなど、電熱ウェア内部の電線等に負荷をかけないように丁寧に扱いましょう。
    • 使用中に異常な発熱や異臭のほか、変形がみられたり、動作しなくなった場合には直ちに使用を中止しましょう。
    • 取扱説明書及び本体の注意表示をよく読み、理解してから使用しましょう。
    • 製造元や販売元のほか、型式や機能といった仕様が明示された商品を購入しましょう。

~NEW~
経済産業省 第13回「キャリア教育アワード」及び第12回「キャリア教育推進連携表彰」 受賞企業・団体が決定しました!~令和5年度キャリア教育推進連携シンポジウムを開催します!~
  • 経済産業省は、子ども・若者に対し働くことの意義や学びと実社会とのつながりを伝え、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育成する「キャリア教育」の取組を推し進めています。
  • この度、優れたキャリア教育の取組を行う企業・団体等を表彰する第13回「キャリア教育アワード」及び第12回「キャリア教育推進連携表彰」の受賞企業・団体を決定しました。
  • また、令和6年1月25日(木曜日)14時より、「令和5年度キャリア教育推進連携シンポジウム」(主催:文部科学省、厚生労働省及び経済産業省)を開催し、その場で受賞企業・団体の表彰式も行う予定です。
  • 表彰制度の概要及び受賞企業・団体
    • 第13回キャリア教育アワード
      • 産業界によるキャリア教育の取組を奨励・普及・促進するため、平成22年度に創設した表彰制度です。また、平成23年度より最も優れた取組を行う企業・団体等には経済産業大臣賞を授与しています。今年度は、審査委員会による厳正な審査の結果、経済産業大臣賞3件(うち1件大賞)、優秀賞4件、奨励賞4件が選出されました。
      • 経済産業大臣賞(大賞)
        • 大企業の部 富士通株式会社
          • ※3つの経済産業大臣賞(最優秀賞)のうち、総合的に最も優秀と認められる取組を行う企業・団体等として選出
      • 経済産業大臣賞(最優秀賞)
        • 中小企業の部 一般社団法人日本電機工業会
        • コーディネーターの部 一般社団法人育児総合研究協会
    • 第12回キャリア教育推進連携表彰
      • 学校を中心としたキャリア教育の推進のために、教育関係者(学校や教育委員会等)と行政(首長部局等)や地域・社会(NPO法人やPTA団体等)、産業界(経済団体や企業等)が連携・協働して行う取組を奨励・普及するため、平成23年度に文部科学省と共同で創設した表彰制度です。今年度は、審査委員会による厳正な審査の結果、最優秀賞1件、優秀賞3件、奨励賞2件が選出されました。
      • 最優秀賞
        • 茨城県立水海道第一高等学校
          • ※両表彰制度の全ての受賞企業・団体と取組概要については、別紙1,2をご参照ください。
  • キャリア教育推進連携シンポジウム
    • 令和6年1月25日(木曜日)14時より三田共用会議所にて、「令和5年度キャリア教育推進連携シンポジウム」(主催:文部科学省、厚生労働省及び経済産業省)を開催します。受賞企業・団体以外の参加者に対しては、オンライン配信を行います。
    • 本シンポジウムでは、キャリア教育アワード、キャリア教育推進連携表彰の表彰式のほか、受賞企業・団体による事例発表を行う予定です。
  • 参考
    • 「キャリア教育」とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」です。具体的には、職業に直接触れる体験だけでなく、国語・算数・理科などの授業の内容と実社会とのつながりを理解させる活動なども含まれます。

~NEW~
経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令等の一部を改正)
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、今般、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、本日、ロシア及びベラルーシ以外の国の特定団体への輸出禁止措置等を導入することが閣議了解され、また、輸出禁止措置を実施するため、本日、輸出貿易管理令の一部を改正する政令が閣議決定されました。
  • 輸出貿易管理令の一部を改正する政令の閣議決定について
    • ウクライナを巡る国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、本日、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下、外為法という。)によるロシア及びベラルーシ以外の国の特定禁止団体への輸出禁止措置等を導入することが閣議了解され、また、輸出禁止措置を実施するため、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号。以下、「輸出令」という。)の一部を改正する政令が閣議決定されました。当該措置は12月27日より実施します。
  • 閣議了解に基づく措置の概要
    • ロシア及びベラルーシ以外の国の特定団体への輸出等に係る禁止措置
      • 輸出令を改正(12月15日閣議決定、12月20日公布)し、外務省告示(12月15日公布)によりロシア及びベラルーシ以外の国の特定団体として指定されたアラブ首長国連邦2団体、アルメニア1団体、シリア1団体、ウズベキスタン2団体への輸出に係る禁止措置を導入する(12月27日施行)。
      • 経済産業省告示(外国為替令第18条第3項の経済産業大臣が指定する役務取引等を指定する件)を改正し、上記措置に関連したロシア及びベラルーシ以外の国の特定団体に関する役務取引(技術提供)の禁止措置を導入する(輸出令と同日付公布及び施行予定)。
  • ロシアの特定団体への輸出等に係る禁止措置
    • 外務省告示(12月15日公布)によりロシアの特定団体として追加された57団体への輸出等に係る禁止措置を導入する(12月22日施行)。
  • ロシアからの非工業用ダイヤモンドの輸入に係る禁止措置
    • 経済産業省告示(輸入公表)を改正し、ロシアを船積地域とする非工業用ダイヤモンドの輸入に係る禁止措置を導入する。(令和6年1月1日施行予定)。
  • ロシア連邦等の関係者に対する資産凍結等措置
    • 外務省告示(12月15日公布・施行)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦の関係者(19個人・43団体)、クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者(16個人)及びロシア連邦及びベラルーシ共和国以外の国の関係者(1団体)に対する資産凍結等の措置を導入する。
▼【概要】ロシア向け輸出入等禁止措置
  • ロシア・ベラルーシ等輸出入等禁止措置(全体像)
    • 輸出等禁止措置
      • 軍事転用可能な品目の輸出禁止
        • 国際輸出管理レジームの対象品目の輸出等の禁止措置(ベラルーシ含む)
        • 対象品目:工作機械、炭素繊維、高性能の半導体等及び関連技術
        • 軍事能力等の強化に資すると考えられる汎用品の輸出等の禁止措置(ベラルーシ含む)
          • ※対象品目:半導体、コンピュータ、通信機器等の一般的な汎用品及び関連技術、催涙ガス、ロボット、レーザー溶接機等
        • 化学・生物兵器関連物品等の輸出の禁止措置
          • ※対象品目:化学物質、化学・生物兵器製造用の装置
      • 軍事関連団体向け輸出禁止
        • ロシア・ベラルーシの特定団体(軍事関連団体)への輸出等の禁止措置
          • ※対象団体:ロシア国防省、ロシアの航空機メーカー等ロシア494団体(外務告示により、57団体を追加)、ベラルーシ27団体
        • ロシア・ベラルーシ以外の国の特定団体(軍事関連団体)への輸出等の禁止措置
          • ※対象団体:アラブ首長国連邦2団体、アルメニア1団体、シリア1団体、ウズベキスタン2団体
      • 産業基盤関連品目輸出禁止
        • 先端的な物品等の輸出等の禁止措置
          • ※対象品目:量子コンピュータ、3Dプリンター等及び関連技術
        • 産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置
          • ※対象品目:貨物自動車、ブルドーザ、1900ccを超える自動車、ハイブリッドエンジン式乗用車等
        • 石油精製用の装置等の輸出等の禁止措置
      • ぜいたく品輸出禁止
        • 奢侈品(しゃし品)輸出の禁止措置
          • ※対象品目:酒類、宝飾品等
    • 輸入等禁止措置
      • 一部物品の輸入等の禁止措置
        • ※対象品目:アルコール飲料、木材、機械類・電気機械、上限価格を超える原油及び石油製品、非工業用ダイヤモンド(ロシアを船積地とする場合)
    • 輸出入禁止措置
      • 「ドネツク人民共和国」(自称)及び「ルハンスク人民共和国」(自称)との間の輸出入の禁止措置

~NEW~
国土交通省 「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」の提言を公表します。
  • 国土交通省では、本年8月より、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、「標準的な運賃」及び「標準運送約款」について、見直しに向けて学識者の皆様を交え、議論を行いました。今般、本検討会の提言を作成・公表いたしましたので、お知らせいたします。
  • 検討会での議論を踏まえ、[1]荷主等への適正な転嫁、[2]多重下請構造の是正等、[3]多様な運賃・料金設定等の提言を取りまとめ。
    • 「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」提言の概要(別添参照)
      1. 荷主等への適正な転嫁
        • 運賃水準の引き上げ幅を提示
          • 運賃表を改定し、平均約8%の運賃引上げ
          • 原価のうちの燃料費を120円に変更し、燃料サーチャージも120円を基準価格に設定
        • 荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準を提示
          • 待機時間料に加え、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算
          • 標準運送約款において、運送と運送以外の業務を別の章に分離し、荷主から対価を収受する旨を明記
      2. 多重下請構造の是正等
        • 「下請け手数料」を設定
        • 荷主、運送事業者双方が運賃・料金等を記載した電子書面を交付することを明記
      3. 多様な運賃・料金設定等
        • 共同輸配送等を念頭に、「個建運賃」を設定
        • リードタイムが短い運送の際の「速達割増」や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増を設定 等
    • 今後のスケジュール
      • 検討会における議論や提言を踏まえて、令和6年1月以降、「標準的な運賃」については運輸審議会への諮問、「標準運送約款」についてはパブリックコメントを経て、改正。

~NEW~
国土交通省 “防災・減災対策強化へ” 13億円配分~災害の対策や防災・減災対策を推進するため緊急的に予算を配分します~
  • 国土交通省は、「防災・減災対策等強化事業推進費」の令和5年度 最終配分として、国及び地方公共団体が実施する10件の公共事業(河川・道路)に対し、13億円の予算配分を決定しました。
  • 「防災・減災対策等強化事業推進費」は、大雨による浸水被害等が発生した地域において再度の被災を防止するために緊急的に実施する対策や、大雨等による災害を未然に防ぐ事前防災対策を強化するために使われる予算です。用地の確保など事業の実施環境が新たに整った場合などに、年度途中に機動的に予算を配分します。
  • 配分事業の概要(10件 12.97億円(国費))
    • 被災地域での災害対策
      • 洪水・浸水対策(河川) 6件、6.84億円
      • 崖崩れ・法面崩壊対策(道路) 2件、4.63億円
    • 災害が起きる前に被害を防止する事前防災対策
      • 洪水・浸水対策(河川) 1件、1.00億円
      • 崖崩れ・法面崩壊対策(道路) 1件、0.50億円
▼(リーフレット)防災・減災対策等強化事業推進費の概要[令和5年度版]
  • 防災・減災対策等強化事業推進費とは
    • 近年、激甚な災害が頻発していることを踏まえ、国民の安全・安心の確保をより一層図るため、防災・減災対策の強化を行う公共事業に対して、緊急的かつ機動的に配分する予算です。
    • 【予算】 令和5年度 139億円 (国費ベース)
    • 【対象事業主体】国(関係する所管独立行政法人を含む)、地方公共団体、民間事業者
    • 本推進費は、年3回の配分を予定していますが、甚大な被害を伴う災害や事故が発生した場合は、適宜緊急配分を検討します。
    • 要求書の申請状況、事業所管部局との調整状況、財務省との協議状況によっては配分スケジュールの時期等が変更となる場合があります。
  • 推進費の対象事業
    • 一定の計画等に基づき、公共事業関係費をもって実施する事業で、早期実施により効果が適切に発現するものが対象です。
    • 国土交通省所管事業以外(他省庁の所管事業)にも配分が可能です。
  • 災害対策事業
    • 災害を受けた地域等において、災害復旧事業での対応が出来ない場合等の再度災害防止等の対策
      1. 災害復旧事業にあわせて公共土木施設等の防災機能の強化・向上を行う対策
      2. 地域は被災したものの、公共土木施設に被害・損傷がない場合の対策
      3. 災害復旧事業の対象とならない自然災害により被災した場合の対策
      4. 全国的な緊急点検の結果、要対策箇所の実施の必要が生じた場合の対策
  • 公共交通安全対策事業
    • 交通インフラ(陸上交通、海上交通、航空交通)における重大事故等が発生した場合の対策(安全性の向上)
      1. 死傷者を伴う等、社会的影響の大きい事故への対策
      2. 全国的な緊急点検の起因となった想定外の事故への対策
  • 事前防災対策事業
    • 突発的な事象が発生した箇所における住民等の早急な安全・安心を確保する対策又は新たな課題が確認され追加対策を必要とする箇所等における事業を推進し早期に防災・減災効果を発揮するための対策(公共交通の安全確保を含む)
      1. 突発的な事象が発生し緊急的な対策を必要とする箇所で、住民、利用者の早急な安全・安心の確保に資する対策
      2. 新たな課題が確認され追加対策を必要とする箇所で、事業を推進し早期に事業効果を発揮するための対策
      3. 事業推進に向けた地域等の課題が解決した箇所で、事業を推進し早期に事業効果を発揮するための対策

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