• ホーム
  • SPN JOURNAL Online
  • 連載コラム
  • 科学技術・イノベーション白書(文科省)/水産白書(水産庁)/男女共同参画白書(内閣府)/防災白書(内閣府)/消費者白書(消費者庁)

危機管理トピックス

科学技術・イノベーション白書(文科省)/水産白書(水産庁)/男女共同参画白書(内閣府)/防災白書(内閣府)/消費者白書(消費者庁)

2024.06.17
印刷

更新日:2024年6月17日 新着25記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • バーゼル銀行監督委員会によるディスカッション・ペーパー「気候関連金融リスクの管理と監督の向上のための気候シナリオ分析の役割」の公表について
警察庁
  • 令和6年4月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 犯罪統計資料(令和6年1~5月分)
  • 一般社団法人日本損害保険協会長とサイバー警察局長との対談について
内閣官房
  • すべての女性が輝く社会づくり本部(第14回)・男女共同参画推進本部(第24回)合同会議 議事次第
  • グローバルサウス諸国との連携強化推進会議(第2回)議事次第
内閣府
  • 令和6年第8回経済財政諮問会議
  • 第2回 孤独・孤立対策推進本部 配布資料
  • 男女共同参画白書
  • 令和6年版防災白書
消費者庁
  • 令和6年版消費者白書
  • 「令和5年度消費者意識基本調査」の結果について
  • 大手通信関連会社の名称をかたり、自動音声や国際電話番号等を用いて架空の利用料金請求を行う事業者に関する注意喚起
総務省
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第22回)配付資料 ※ワーキンググループ(第26回)合同開催
  • 2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果の公表
国土交通省
  • 「土地基本方針」の変更を閣議決定~サステナブルな土地の利用及び管理の実現へ~
  • 訪日外国人の国内流動状況について
  • 大型車に事故時の車両情報の計測・記録装置が搭載されます!~道路運送車両の保安基準等の一部改正について~

~NEW~
財務省関東財務局 CoinBest株式会社に対する行政処分について
  • 関東財務局は、本日、CoinBest株式会社(本社:東京都中央区。法人番号:3010001185935。以下「当社」という。)に対し、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号。以下「法」という。)第63条の17第1項及び第63条の16の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。
  • 行政処分の内容
    1. 業務停止命令(法第63条の17第1項)
      • 令和6年6月14日から令和6年12月13日までの間、IEO業務(暗号資産交換業者が発行者に代わって発行者が発行する暗号資産の販売を行う業務)を停止すること。
    2. 業務改善命令(法第63条の16)
      • 暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行のため、以下に掲げる事項について業務の運営に必要な措置を講じること。
        1. 経営管理態勢の構築
          • 下記「2.処分の理由」に記載した問題が発生している根本的な原因の分析・評価を行った上、十分な改善が可能となるよう経営体制を強化すること。また、取締役会の機能強化を図り、法令等遵守や適正かつ確実な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢を構築すること。
        2. 内部管理態勢(含むIEO業務などをはじめとする新規暗号資産の取扱いに関する態勢)及び内部監査態勢の構築
          • 上記根本的な原因の分析・評価を踏まえ、IEO業務などをはじめとする新規暗号資産の取扱いに関する態勢を整備するほか、第2線・第3線の適切な機能発揮を図ることを含め、適正かつ確実な業務運営を確保するための実効性ある内部管理態勢及び内部監査態勢を構築すること。また、職務の内容・重要性に応じた適切な人材が採用・選任されるプロセスを整備すること。
        3. マネー・ローンダリング及びテロ資金供与(以下「マネロン・テロ資金供与」という。)リスク管理態勢等の構築
          • 「マネロン・テロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)において、令和6年3月末までに対応が求められる事項のうち、取引モニタリングを適切に実施する態勢や、疑わしい取引の該当性について適切に検討・判断し、速やかに届出を行う態勢の整備をはじめ、対応未了となっている事項に係る措置を講じるなど、マネロン・テロ資金供与に利用されることを防止するための実効性あるリスク管理態勢を構築すること。
          • また、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)に基づく確認結果の記録の適切な実施をはじめとする法令等遵守態勢を構築すること。
    3. 上記2.に関する業務改善計画(具体策及び実施時期を明記したもの。)を令和6年7月16日(火曜日)までに提出し、提出後、直ちに実行すること。
    4. 上記3.の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに報告すること(初回提出基準日を令和6年9月末とする。)。
  • 処分の理由
    • 関東財務局による立入検査及び法第63条の15第1項の規定に基づく当社からの報告(令和6年4月30日付及び令和6年5月15日付)によれば、以下のとおり、当社の経営管理態勢、内部管理態勢(含む新規暗号資産の販売態勢)、内部監査態勢及びマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢について、重大な問題が認められた。
      • 経営管理態勢
        • 当社は、IEO業務の早期実現による収益獲得を優先し、経営上重要な事項であるIEO業務への参入について取締役会に付議せず、経営資源の配分や経営上のリスクに関する議論を行わないまま、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「JVCEA」という。)への新規暗号資産の販売に係る審査の申請を承認しているほか、取締役会で決議すべきとされている取締役の利益相反取引や、内部管理部長及び内部監査部長等の選任・解任等を付議していないなど、取締役会は形骸化し、業務意思決定機関としての機能を発揮していない。
        • このため、以下2.~4.に掲げる態勢の不備が認められるなど、暗号資産交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない。
      • 内部管理態勢(含む新規暗号資産の販売(IEO)態勢)
        • 当社は、2線機能を担う内部管理部門の担当役員等が相次いで退職・休職したことにより、IEO審査担当役員やマネロン・テロ資金供与対策に係る統括管理者(以下「統括管理者」という。)が不在となる中、内部管理態勢を構築することなく、IEO業務による収益獲得を優先し、同業務に必要な態勢の整備や人員の確保、同業務を行うことにより生じ得る経営上のリスクへの対応について、十分な検討を行わないまま、IEOの申請等を行っている。
        • とりわけIEO業務について、当社は、IEO審査担当役員に限らず、当該業務に取り組むための専門的な人材を配置していないなど、IEO業務への参入に係る必要な審査体制を整備していない。
        • このような中、IEO審査を開始した結果、当社は発行体及び事業内容を審査する立場にあるにもかかわらず、アレンジャー兼発行体のアドバイザーとして同事業を推進する立場にある事業者及び発行体と一体となって、IEOに係るJVCEAへの審査の申請を行っているほか、退職した役員を担当役員とした事実と異なる記載をして、申請を行うといった不適切な実態が認められており、IEO業務を適正かつ確実に遂行するための内部管理態勢に著しい不備が認められる。
      • 内部監査態勢
        • 当社は、3線機能を担う内部監査部門の部長や職員も相次いで退職しており、第3線として実効性のある内部監査態勢を構築していないことから、令和2年12月の業務開始以降、規則等に則った内部監査が実施されていない。
      • マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢
        • 当社は、統括管理者である担当役員、部長、主要な職員が相次いで退職・休職する中、役員の中から新たな統括管理者を選任していないなど、実効性のあるマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の構築を行っていない。
        • このため、マネロン・テロ資金供与やなりすましの疑いのある取引が認められるにもかかわらず、これらの取引の実態を把握・検証せず、疑わしい取引に該当するか検討を行っていないなど、取引モニタリングを適切に実施する態勢や、疑わしい取引の該当性について適切な検討・判断を行う態勢を整備しておらず、ガイドラインにおいて対応が求められる事項に係る措置が不十分となっている。
        • 当社におけるこうした現状は、金融庁が令和3年4月28日付「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」において要請した「ガイドラインで対応を求めている事項について、令和6年3月末までに対応を完了させ、態勢を整備すること」に対して、適切に対応していないと認められる。
        • 加えて、犯収法施行規則第20条第1項第24号に基づく実質的支配者の確認結果の記録を保存しておらず、犯収法に違反している。
        • 上記2.のうち、IEO業務に係る態勢の状況は、法第63条の5第1項第4号に定める「暗号資産交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人」の状況に該当すると認められることから、法第63条の17第1項第1号に基づく業務停止命令を発出するものである。また、上記1.~4.の状況は、「暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるとき」に該当するものと認められることから、法第63条の16の規定に基づく業務改善命令を発出するものである。

~NEW~
文部科学省 令和6年版 科学技術・イノベーション白書
▼ 概要版
  • 本白書は、科学技術・イノベーション基本法に基づき、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策を報告するもの。
  • 年度ごとの話題を特集する第1部、年次報告である第2部の二部構成(例年どおりの構成)。
  • 特集部分である第1部は「AIがもたらす科学技術・イノベーションの変革」について取り上げ、生成AI技術が急速に進展してきた背景や、国内外の研究開発動向、多様な科学分野における高度なAIの活用(AI for Science)の事例、そして社会への影響を紹介。
  • 新時代を迎えたAI
    • これまでの人工知能(AI)技術の進展を振り返りながら、文章や画像等を生成できる「生成AI」技術が急速に進展してきた背景や要因、そして次世代技術の方向性を紹介。
  • 我が国におけるAI関連研究開発の取組
    • 生成AIの開発、計算資源やデータ資源の整備・活用、安全性研究、人材育成等に係る取組事例を紹介。
      1. 我が国における生成AIに関する研究開発
        • 高度な日本語処理が求められる日常生活や産業現場での活用も想定した、高い日本語性能を有するモデルや軽量版モデルの開発が、大学、研究機関、スタートアップ、民間企業等で加速。
        • 国立情報学研究所は企業や大学等とLLM勉強会を主催し、知見を共有しながら開発力を底上げ。
        • 経済産業省は、国内の生成AIの開発力強化のため、基盤モデル開発を行う事業者に対し、計算資源の提供支援等を行う「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」を開始。
      2. 基盤モデルの開発を支える計算資源やデータ資源の整備・活用
        • 産業技術総合研究所「AI橋渡しクラウド(ABCI)」
        • 40-80計算ノードを最大60日間予約可能な「大規模言語モデル構築支援プログラム」を実施。
        • スーパーコンピュータ「富岳」の活用
        • 超大規模な並列計算環境において大規模言語モデル学習を効率良く実行する技術開発を実施。
      3. AIの安全性の確保に関する対策や研究開発
        • AIはデータを統計的・確率的に処理しているもので、事実と異なる情報を生成する等の問題が指摘されており、懸念としてAIが生成した偽・誤情報や偏向情報等が社会を不安定化・混乱させるリスク等が顕在化している。AIのガバナンスの在り方について、G7での議論のほか、国内でも対策や検討が進展
        • AIセーフティ・インスティテュート(AISI)の設立(令和6年2月)
        • 国立情報学研究所 大規模言語モデル研究開発センター 等での透明性・信頼性確保に向けた研究開発
      4. AI人材の育成
        • 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度
        • 次世代AI人材育成プログラム(博士後期課程学生支援)等
  • AI関連研究開発の世界の動向
    • AIの研究開発を進める主要な国の戦略や動向とともに、多国間の連携や協働の取組を紹介。
      1. 米国
        • 民間企業に安全性確保についての自主的な取組を約束させるとともに、2023年10月には大統領令を発表し、安全保障上重大なリスクをもたらし得ると考えられる基盤モデルに対しては一定の規制を課しながらも、民間企業や大学における積極的な研究開発を推進。また米国AI安全研究所(USAISI)を設置。
      2. EU
        • 2024年3月の欧州議会で「AI法」案を採択。AIシステムをリスクレベルに分類し、リスクレベルに応じた規制を行う方針。またAIの他分野での活用含めた研究開発を支援。
      3. 英国
        • イノベーション促進型のルール整備をしながら、大学やスタートアップ等での研究開発を積極的に推進。2023年11月「AI安全性サミット」を開催するとともに、英国AI安全研究所(UKAISI)を設置。
      4. 「広島AIプロセス」
        • 令和5年5月に開催されたG7広島サミットを踏まえ、日本が議長国として、G7各国にOECD、GPAIを加えたメンバーで、AIのガナバンスの在り方等について議論を主導。12月、G7デジタル・技術大臣会合で、国際指針と行動規範を含む「広島AIプロセス包括的政策枠組み」を策定し、G7首脳が承認。
  • AIの多様な研究分野での活用が切り拓く新たな科学
    • 科学的な課題の解明の加速や研究活動の生産性向上等につながる高度なAIの活用事例や、新たな課題・挑戦を紹介。
      1. 多様な科学分野における高度なAIの活用(AI for Science)
        • シミュレーションの高度化・高速化:膨大なデータ等から構造や特性の予測モデルを作成し、タンパク質の立体構造やその変化の予測、新材料の探索等を効率化・迅速化。
        • 科学的仮説の生成や推論:AIを活用し、大規模なデータから、仮説の探索や生成を行い、人間の認知限界やバイアスを超えた科学的発見も可能に。
        • AIロボティクスや研究室の自律化:AIを用いたリアルタイムでの高次元の感覚や運動の予測、誤差の最小化によって、人間と同様に家事など複数のタスクを行える汎用型AIロボットの開発や、研究実験の一部又は全部を自動化・自律化する技術の開発も進展。
      2. 科学研究向けAI基盤モデルの開発
        • 理化学研究所を中核として、多様な科学研究データを活用することで、生命医科学、物質・材料・物性などの特定科学分野指向の科学基盤モデルの開発を実施。
  • 新時代を迎えたAIの社会へのインパクト
    • 今後、公共部門や製造業をはじめ様々な業種・分野で、生成AI技術をはじめとする高度AI技術の利活用が進むと見込まれる中、行政事務や行政サービス、知識労働分野での活用に向けた実証研究を紹介。また、AIによる社会の便益を増大させ、より多くの人が恩恵を享受できることを目指した実証取組も紹介
    • トヨタの米国研究所は、車体のデザインに際し、デザイナーが”滑らか”、”モダン”等のテキストで条件入力すると、空気抵抗のような定量指標を最適化するように、画像生成AIがデザインを生成できることを発表。
    • 文部科学省は、学校現場での生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを公表するとともに、教育活動や校務での生成AIの活用に取り組む52校をパイロット校として指定し、知見の蓄積を実施。

~NEW~
水産庁 令和5年度水産白書を本日公表
▼ 概要
  • 我が国の漁業・養殖業の生産量は、漁業就業者数の減少、海洋環境の変化、水産資源の減少等により緩やかな減少傾向が継続。我が国の1人1年当たりの食用魚介類の消費量(純食料ベース)は、平成13(2001)年度の40.2kgをピークに減少傾向。漁業就業者の減少・高齢化とともに漁業経営体の後継者不足も課題。
  • 漁村の多くは、漁業にとって適地であるリアス海岸、半島、離島等に立地。漁港背後集落のうち、離島地域にあるものが約18%、半島地域にあるものが約31%。また、漁村の多くは背後に崖が迫り、平坦地が少ない狭隘・高密度な集落を形成。漁村の立地は、交通等においては条件不利地にあるほか、自然災害に対して脆弱であるなど、漁業以外の面では不利な条件下にある。漁村の高齢化率は、全国平均を約11ポイント上回る。
  • 漁村が果たす役割
    • 漁村は、漁業就業者などの住民の生活の場に加え、水産業の拠点として重要な役割。
    • 漁港は、漁業の操業に必要な物資の供給、漁獲物の陸揚げ、水産物の流通、販売、加工等消費者に新鮮で安全な水産物を安定的に供給する役割のほか、漁船の係留や避難基地としての役割も有する。
    • 水産業・漁村は、自然環境を保全する機能、国民の生命・財産を保全する機能、交流等の場を提供する機能、地域社会を形成し、維持する機能等の多面的機能を果たし、その恩恵は広く国民一般にも及ぶ。
    • 水産庁は、藻場や干潟の保全、内水面生態系の維持・保全・改善、国境・水域監視や海難救助等の漁業者等が行う多面的機能の発揮に資する取組を支援。
  • 漁村が有する地域資源
    • 漁村は、新鮮な水産物、市場への水揚げの風景、非日常の漁業体験等他の地域にはみられない特徴を有するほか、漁村集落独特の景観や釣り等の親水性レクリエーションの機会の提供など地域外の人々を惹き付ける魅力を有しており、漁村の活性化を図るためには、漁村が有する地域資源を十分に把握し最大限に活用することが重要。
    • 漁村における水産物直売所等の交流施設の増加に伴い、都市漁村交流人口は約2千万人と近年増加傾向で推移。
    • 国民の旅行に対するニーズは高く、農山漁村への旅行の目的として食や自然・景観に対するニーズが高い。
    • 代表的な親水性レクリエーションである釣りの人口は約870万人。
    • 訪日外国人は新型コロナウイルス感染症の影響により急減したものの、近年は増加傾向で推移し、増加するインバウンド需要を地域に取り込むことで地域の活性化が期待。
  • 地域経済の活性化を目指す海業とその取組の現状
    • 水産基本計画及び漁港漁場整備長期計画において、「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」として「海業」を盛り込み、漁村の人口減少や高齢化等、地域の活力が低下する中で、漁業利用との調和を図りつつ地域資源を最大限に活用し、水産業と相互に補完し合う産業である海業を育成し、根付かせることによって、地域の所得と雇用の機会の確保を目指す。
    • 漁港は、用地を活用した陸上養殖や水域を活用した増養殖・蓄養を行いやすい環境にあり、漁港の用地を活用した陸上養殖の取組は増加傾向。
    • 消費者のニーズは、「モノ消費」から「コト消費」や「トキ消費」へと移行していると言われている中、漁港は、「コト消費」・「トキ消費」の大きなポテンシャルを有しており、海や漁村の価値や魅力を活かす海業の取組により、水産業の持続的な発展に寄与していくことが求められている。
  • 海業推進のための施策等
    • 海業の推進に当たり、地域人材の育成、海業の展開に必要な調査、地域資源を魅力ある観光コンテンツとして磨き上げる取組等の海業に係る活動支援、漁港施設・用地の再編・整序、地域水産物普及施設の整備等の支援を実施。
    • 海業に取り組む際に関連する施策をまとめた「海業支援パッケージ」を作成。
    • 海業振興に取り組む方々に向けて海業振興に係る相談を総合的に受け付ける「海業振興総合相談窓口(海業振興コンシェルジュ)」を開設
  • 海業の推進のためのポイント
    • 関係者間の合意の下、幅広い経済波及効果が生まれるよう、漁業関係者、行政関係者のほか、必要に応じ地域内外の民間企業なども参加する協議会を設置するなど、多くの関係者を巻き込んだ取組とすることが重要。
    • 漁業者等の所得向上と地域の雇用創出を図るため、各関係者の適切な役割分担の下、地域の将来像を踏まえた実践・継続可能な海業の計画づくりが必要。
    • 地域の漁業実態に即した施設規模の適正化や、漁港施設・用地の再編・整序による漁港の利活用環境の改善を行い、地域の理解と協力の下、漁港と地域資源を最大限に活かした取組とすることが重要。
    • 漁村へ人を呼び込んでいくには、漁村への来訪者の安全が十分に確保されていることが必要。
  • 海業の推進のための今後の取組
    • 漁港における新たな海業等の取組500件の展開に向けて、各地で漁業関係者が海業の取組を始められるよう、地方公共団体や民間企業等との連携の枠組みづくりや、子どもたちが海とふれあう機会の創出、海業のコンセプトや魅力の国内外への発信、多様化した消費者ニーズへの対応など、海業の普及啓発の取組を推進。
    • 水産庁において、「海業の推進に取り組む地区」を募集し、令和6(2024)年3月に54地区を決定。今後、個別に助言や海業の推進に関する情報提供を行うほか、関係者による協議会の設置・運営等を通じて、実証的に新たな海業の取組計画策定を推進。
    • 地方公共団体、漁協・漁業関係者、民間企業、民間団体等の海業に関心を持つ幅広い関係者との情報共有を図るとともに、それら関係者を対象とした「海業推進全国協議会」の開催等により、海業の優良な取組事例を普及・横展開。
    • 漁業上の利用に支障を与えないことを前提に、漁港施設の長期貸付け、水面等の長期占用等を可能とするため、令和5(2023)年度に改正された漁港及び漁場の整備等に関する法律等に基づき、漁港施設等活用事業を普及するなど、漁港を十分に活かした海業の取組を推進。
    • 漁村への来訪者にも安心して漁港を利用してもらえるよう、大規模地震・津波や激甚化・頻発化する自然災害による甚大な被害に備えて、漁港・漁村における防災・減災対策等の推進を図るため、漁港施設の耐震化・耐津波化、避難経路の整備等を推進。また、漁港施設等のインフラが老朽化する中、予防保全型の老朽化対策を推進。
  • 令和4(2022)年度の魚介類の国内消費仕向量は643万t(原魚換算ベース、概算値)。うち505万t(79%)が食用、138万t(21%)が非食用(飼肥料)向け。令和4(2022)年度の食用魚介類の自給率(概算値)は、56%。
  • 食用魚介類の1人1年当たりの消費量(純食料ベース)は、平成13(2001)年度の40.2kgをピークに減少傾向で、平成23(2011)年度以降肉類の1人1年当たりの消費量を下回り、令和4(2022)年度は、22.0kg(概算値)。令和5(2023)年の生鮮魚介類の1人1年当たりの購入量は、前年より4%減少。同年の生鮮魚介類の消費者物価指数は、輸入水産物価格の上昇等の影響により、前年より9%上昇。消費者が魚介類をあまり購入しない要因は、価格の高さや調理の手間等。食の簡便化志向が強まっており、消費者の食の志向が変化
  • 令和5(2023)年の水産物輸入量(製品重量ベース)は、前年比3%減少の216万t。輸入額は前年比3%減少の2兆160億円。主な輸入先国・地域は中国、チリ、米国。品目別では、サケ・マス類、カツオ・マグロ類、エビ等が輸入額の上位。
  • 令和4(2022)年の漁業・養殖業生産量は、前年から24万t減の392万t。うち海面漁業は前年から23万t減の295万t。サバ類、カツオ等が減少。海面養殖業は1万t減の91万t。内水面漁業・養殖業は2千t増の5万t。令和4(2022)年の漁業・養殖業の生産額は、前年から2,058億円増の1兆6,001億円。うち海面漁業は1,141億円増の9,161億円、海面養殖業は749億円増の5,433億円、内水面漁業・養殖業は168億円増の1,407億円
  • 漁業就業者数は一貫して減少傾向で、令和4(2022)年は12万3,100人。令和4(2022)年度の新規漁業就業者は、1,691人。国等は、就職相談会の開催、インターンシップ、漁業現場での長期研修等、新規漁業就業者の確保に向けた取組を支援。
  • 令和5(2023)年の漁船の船舶事故隻数は408隻、漁船の船舶事故に伴う死者・行方不明者数は23人。令和5(2023)年における漁船からの海中転落者数は62人、うち死者・行方不明者数は38人。海中転落時には、ライフジャケットの着用が生存に大きな役割(約2.2倍の生存率)。原則、船室の外にいる全ての乗船者にライフジャケットの着用が義務付け。
  • 令和5(2023)年の水産庁による外国漁船等の取締実績は、立入検査7件、拿捕1件、違法設置漁具の押収8件。日本海の大和堆周辺水域における中国漁船及び北朝鮮漁船による操業は極めて問題であり、漁業取締船により重点的に取締活動を実施するとともに、海上保安庁と連携して対応。令和5(2023)年の水産庁による中国漁船等への退去警告隻数は、延べ68隻。
  • 気候変動による影響と対策
    • 気候変動は、地球温暖化による海水温の上昇等により、水産資源や漁業・養殖業に影響。サンマやスルメイカの分布域の変化、サケの回帰率の低下等が発生。
    • 気候変動への緩和策として、漁船の電化・水素化等に関する技術の確立、ブルーカーボンの二酸化炭素吸収源としての可能性の追求等、水産分野においてもカーボンニュートラルに向けた取組を推進。
    • 適応策として、養殖業においては、高水温耐性を有するノリ養殖品種の開発等を推進。
    • 令和5(2023)年3~5月に「海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会」を開催。同検討会の取りまとめを踏まえ、今後、1)資源調査・評価の充実・高度化、2)漁法・漁獲対象魚種の複合化・転換、3)養殖業との兼業化・転換、4)魚種の変更・拡大に対応しうる加工・流通等の実現に向けた対策を推進。
  • 海洋におけるプラスチックごみの問題
    • 海洋プラスチックごみは、環境や生態系のほか、漁獲物への混入等漁業にも影響。
    • 水産庁は、1)使用済み漁具の計画的処理を推進するための指針の策定、2)生分解性プラスチック等の環境に配慮した素材を用いた漁具の開発やまき網等の漁網のリサイクル推進を支援、3)環境省や都道府県等と連携した漁業者による海洋ごみの持ち帰りの促進、4)マイクロプラスチックが水産生物に与える影響の調査等を実施。
  • 世界の漁業・養殖業生産
    • 世界の漁業・養殖業の生産量は増加傾向。漁業の漁獲量は横ばい傾向である一方、養殖業の収獲量は急激に増加。
    • 漁獲量は、EU・英国、米国、我が国等の先進国・地域では、おおむね横ばいから減少傾向。インドネシア、ベトナム等の開発途上国で増加傾向。
    • 養殖業の収獲量は、中国及びインドネシアの増加が顕著。
    • 持続可能なレベルで漁獲されている世界の水産資源の割合は、令和元(2019)年には65%まで低下し、35%が過剰利用。
  • 世界の水産物消費、世界の水産物貿易と国際情勢
    • 世界の1人1年当たりの食用魚介類の消費量は増加する一方、我が国の1人1年当たりの食用魚介類の消費量は、減少傾向で推移。
    • 流通技術の向上、人件費の安い国への加工場の移転等により世界の水産物貿易量は増加傾向。世界の漁業・養殖業生産量の3割以上が輸出仕向け。
    • 令和4(2022)年6月、世界貿易機関(WTO)閣僚会議においてIUU漁業につながる補助金の禁止、濫獲された資源の枯渇を助長する補助金の原則禁止等を内容とする漁業補助金協定を追加するWTO協定改正議定書が採択
  • 平成23(2011)年3月の東日本大震災の発生以降、被災地域では漁港施設、漁船、養殖施設、漁場等の復旧が進められており、漁港施設、水産加工施設等の水産関係のインフラの復旧はおおむね完了。一方、水産加工業の売上げの回復が課題であり、政府は、水産加工業における販路の回復・開拓等の取組を引き続き支援。
  • 東京電力福島第一原子力発電所事故の影響への対応
    • 国、関係都道県、漁業関係団体が連携し、水産物の安全性確保のため水産物の放射性物質モニタリングを実施。
    • 放射性物質モニタリング結果を公表の上、基準値を超える水産物は、出荷自粛要請や出荷制限指示の対象。福島県における令和5(2023)年度の基準値超過検体はなし。福島県以外においても、海産種では平成26(2014)年9月以降、淡水種では令和3(2021)年度以降の基準値超過検体はなし。
    • 国際原子力機関(IAEA)と協力の上データの信頼性・透明性向上に向け取組。令和5(2023)年12月にIAEAから公表された報告書において「海域モニタリング計画に参加している日本の分析機関が引き続き高い正確性と能力を有している。」と評価。令和5(2023)年度の共同海洋モニタリングでは、IAEA海洋環境研究所に加え、カナダ、中国及び韓国の分析機関が参加し、試料採取から前処理までの状況及び分析手順の確認が行われ、各機関で分析が行われているところ。
    • 漁業の本格再開に向けた基礎情報を得るため令和3(2021)年3月末まで試験操業を実施。試験操業後は操業の自主的制限を段階的に緩和することとし、水揚量は令和5(2023)年には6,530t(速報値)まで回復。
    • 55か国・地域において日本産食品等の輸入規制措置が講じられていたが、各国政府に対し規制の撤廃に向けた働き掛けの結果、令和5(2023)年度にEU等で輸入規制措置が撤廃される等、規制を維持する国・地域は7に減少。
  • ALPS処理水の海洋放出をめぐる動き
    • 令和5(2023)年8月24日のALPS処理水の海洋放出開始以降、中国及びロシアが全都道府県の水産物を輸入停止としたほか、香港及びマカオは10都県の水産物等を輸入停止。輸入規制の強化により、8月以降中国への水産物輸出額が大幅に減少し、令和5(2023)年の中国への水産物輸出額は対前年で約30%減少。
    • 科学的根拠に基づかない輸入規制措置の即時撤廃を求めていくとともに、海洋放出開始以前に措置された300億円及び500億円の基金等による支援に加え、特定の国・地域への依存を分散するための207億円の緊急支援事業の創設等により、国内消費拡大・生産持続対策、風評影響に対する内外での対応、輸出先の転換対策、国内加工体制の強化対策及び迅速かつ丁寧な賠償の5本柱からなる「水産業を守る」政策パッケージを令和5(2023)年9月4日に策定。
    • さらに、令和5(2023)年11月に補正予算を措置し、輸出拡大に必要なHACCP等対応の施設・機器整備、加工原材料の買取・一時保管、地域の加工拠点の整備等を支援。
    • 水産庁は、海洋放出開始以前から実施しているトリチウムを対象とする水産物のモニタリング分析(精密分析)に加え、令和5(2023)年8月から、短時間でトリチウムの分析が行える手法(迅速分析)を導入し、分析結果を採取日から翌々日までに公表。精密分析及び迅速分析の結果は、いずれも検出限界値未満で、放出前後で変化なし。
  • 令和6年能登半島地震からの復旧・復興
    • 令和6(2024)年1月1日に、石川県能登地方を震源とする地震が発生。同地震では、最大震度7の強い揺れがあり、最大4m程度の地盤の隆起が報告されるとともに、津波が発生し、水産業にも、石川県を中心に甚大な被害。
    • 水産業の被害件数について、漁船については、転覆、沈没、座礁等が291隻以上、漁港施設(防波堤、岸壁、物揚場等)の損壊で73漁港の被害が発生。そのほか、漁具については、定置網の破損等で90件以上、共同利用施設では漁協事務所、給油施設、製氷施設等の損壊が96施設以上、養殖施設の損壊が8件以上発生
    • 令和6(2024)年1月11日、政府は、令和6年能登半島地震を激甚災害として指定。水産関係では、漁港、水産業共同利用施設の災害復旧事業について、被災自治体等の負担を軽減。
    • 同月25日、政府は、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」を取りまとめ。同パッケージでは、水産関係に対する支援として、水産基盤の被害状況調査を早期に行い、漁港、海岸等の早期復旧を支援するとともに、漁業者等による漁場の復旧の取組、漁船、漁具、養殖施設、水産業共同利用施設(荷さばき施設、冷凍冷蔵施設等)の復旧に向けた取組の支援等が盛り込まれた。

~NEW~
首相官邸 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部(第7回)議事次第
▼ 資料2 食料・農業・農村基本法改正を受けた政策の進め方
  • 食料・農業・農村基本法の改正案の国会成立を受けて、基本計画の改定を行う。
  • また、基本計画の改定を待たずに打つべき施策は打つなど、食料安全保障の強化に向けて施策を集中実施。
  • 合理的な価格の形成、人口減少下における土地改良の在り方などの関連法案については、令和7年中の国会提出を視野に法制化を検討。
  • 食料システムの持続性の確保に向けた合理的な価格の形成等(法制化)
    • 関係者の協議によるコスト指標づくりを推進しつつ、持続的な食料供給に必要な合理的なコストを考慮する仕組みを新たに法制化
    • 食料システムの持続性の確保に向けた食品事業者の取組促進(環境・人権、農業者との連携等)等
  • 人口減少下における農業用インフラの保全管理(土地改良法制の見直し)
    • 人口減少に対応し、基幹的な用排水施設について、申請がなくても更新等を行えるよう手続の簡素化
    • 末端インフラの適切な保全のため、土地改良区と地域の関係者による議論・体制づくりを推進
    • 災害リスクの増大に対応するため、緊急的な防災事業について、事業目的に地震・豪雨対策に加え老朽化対策を追加
  • 環境負荷低減の取組推進
    • 農水省関係の補助金受給に際し、適正な化学農薬・肥料の使用など、環境負荷低減に取り組むこと等を要件とするクロスコンプライアンスの実施(令和6年度から試行実施中)
    • 更に先進的な環境負荷低減の取組を行う場合に交付金を交付する仕組みの創設(令和9年度以降を想定)
    • 消費者理解醸成に向けた環境負荷低減の取組の見える化、J-クレジットによる民間資金の活用 等
  • 食料供給困難事態への対応
    • 民間在庫を含めた国の潜在的な食料供給確保量の把握
    • 上記を踏まえて民間在庫も組み合わせた総合的な備蓄方針の明確化
    • 具体的な局面を想定した食料供給困難事態の対処方針の明確化 等
  • 人・農地の確保
    • 令和7年3月末までの各地における地域計画の策定
    • 地域計画を踏まえた担い手の育成・確保と農地の集積・集約化、ほ場整備
    • 令和7年中に、食料安全保障の強化に必要な農地面積の明確化 等
  • スマート農業技術の開発促進と生産・流通等の方式の変革
    • 令和6年中に、スマート農業技術の重点開発目標の設定(基本方針の策定)
    • 農研機構の施設供用等を通じたスタートアップ支援
    • リース方式、サービス事業体等を通じたスマート農業機械の普及と、生産現場での栽培方式等の変革促進 等

~NEW~
国民生活センター 解約手続きができない!? 無人スポーツジムのトラブル
  • 内容
    • ネット上の広告を見て、格安のスポーツジムを申し込んだ。全ての手続きをネット上で済ませるシステムで、店舗にスタッフは誰もいない。入会から3カ月経ち、都合によりやめたくなった。事業者の公式ホームページにスマホで解約するよう案内があり、指示通り操作したが、途中で入力できなくなり先に進めない。事業者に電話もしたがつながらない。このままでは支払いが続いてしまうので解約手続きをしたい。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • 無人のスポーツジムやオンラインレッスン等に関して「サイト上での解約手続きができない」「問い合わせたいが電話がつながらない」などの相談が寄せられています。
    • 契約は当事者間の合意や規約の内容に従うことになります。解約時の連絡先や清算方法等、規約内容について契約前に必ず目を通しましょう。
    • 事業者と連絡が取れない場合は、電話やメール、サイト上のフォーム等複数の手段で問い合わせましょう。また、事業者のホームページ等も適宜確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
経済産業省 「高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約(スタートアップ技術提案評価方式)」について、各府省庁等会計課長等による申合せをおこないました
▼ 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約(スタートアップ技術提案評価方式)の概要
  • 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約の意義
    • スタートアップが大きく成長するためには、政府が主導して、スタートアップの提供する製品・サービスの市場・需要を創出することが重要であるほか、政府としてもスタートアップが有する高度な新技術を活用し、多様化する行政課題への対応力を高めることが必要。
    • 具体的には、能登半島地震の被災地において、スタートアップにより、使用した水を再生し循環利用するシャワー・手洗い設備の提供や、介護スタッフへのアシストスーツの提供が行われた。このように、社会課題解決・社会貢献の担い手として様々なスタートアップが活躍している。
    • また、例えば宇宙分野においては、経済社会や安全保障の基盤となる衛星コンステレーションの構築、様々な産業・地域の課題解決に資する衛星データ利用ソリューションの開発等に必要な技術を有するスタートアップによる参入が顕著であり、行政課題解決の担い手としての役割も期待される。
    • 一方で、政府がその行政課題に対してスタートアップの技術を自ら探知し調達すること、及び、スタートアップが政府のニーズを詳細に把握することは難しい場合が多いところ、「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、スタートアップが有する高度かつ独自の新技術について、政府の調達ニーズに合わせて随意契約を可能とする柔軟な調達の仕組みの創設を図る。
  • 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム
    • 政府がスタートアップの技術を自ら探知し調達すること及びスタートアップが政府のニーズを詳細に把握することが困難であるとの背景を受け、本スキームではまず、政府だけでは最適な解決策の確定が困難であり、スタートアップの有する新技術による解決が見込まれる行政課題に対して、その解決のための技術提案を公募する。
    • 調達省庁は、得られた技術提案を審査し、内閣府の確認を経た上で、行政課題を適切に解決しうる提案を行った者を、「高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等」として決定する。その後、調達省庁は当該スタートアップ等と案件の仕様等を確定し、随意契約を締結し、公表する。
    • 技術提案の公募はJ-Startup選定企業等を対象に実施する。また、J-Startup選定企業等以外の企業も含めて公募した場合は、J-Startup選定企業等であることを評価項目として、優れたスタートアップへの優遇を行う。
    • 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム
      • 調達案件の選定
        • 最適な解決策の確定が困難な課題であり、スタートアップからの調達が見込まれる案件であることを調達省庁において確認
      • 技術提案の公募
        • J-Startup選定企業等に限定して公募
        • J-Startup選定企業等以外の企業も含めて公募
        • のいずれかを選択可能
      • 技術提案の審査
        • 後者の公募の場合、J-Startup選定企業等であることを評価項目とする
        • 複数の仕様を作成する前提で、複数社を決定することも可能
      • 内閣府の確認
        • 調達省庁は技術提案の審査結果に関して内閣府の確認を経た上で、高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等を決定
      • 仕様の確定 予定価格の決定
        • 発注者は高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等と交渉のうえ、仕様を確定し、予定価格を決定
      • 随意契約の締結
        • 会計法29条の3第4項における「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当することを調達省庁において確認し、契約締結後に公表

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
  • 「気候関連シナリオ分析 ~銀行セクターにおける今後の取組~」の公表について
    • 金融庁と日本銀行は、2021事務年度に実施した気候関連シナリオ分析の第1回エクササイズに続き、3メガバンクを対象として、2024事務年度に第2回エクササイズを実施する予定である。5月10日に、その枠組を公表した。
    • 第2回エクササイズでは、短期シナリオによる移行リスクの分析を行う予定である。政策変更や技術制約等で短期的により強いストレスのかかる状況を想定しており、第1回エクササイズで行った長期シナリオによる分析を補完するものであると考えている。また、これに加えて、企業の移行(トランジション)を支援するための銀行のトランジション・ファイナンスの効果を示すことができないか、試行的に考察することも検討している。
    • 実施の詳細については、引き続き、3メガバンクと金融庁・日本銀行の間で実務的な議論を続けていくので、第2回エクササイズ実施に向けて、ご協力をお願いしたい。
    • なお、本公表においては、2023事務年度に行った、気候関連リスクが保有有価証券の時価下落を通じて銀行の財務に与える市場リスクの影響の簡易分析も紹介している。
  • マネロン等対策に係る当面の対応について
    • 「マネロンガイドラインに基づく態勢整備」については、2024年3月末に対応期限を迎え、4月末に「対応結果の報告」を提出いただいたところ。経営トップのリーダーシップのもと対応を進めてこられたことに感謝申し上げる。
    • 金融庁としては、当面の間、本報告を踏まえたモニタリングを通じて、各金融機関における態勢整備状況の確認を行っていく。
    • こうしたモニタリングの結果を踏まえて、これまで申し上げてきたとおり、必要に応じて個別に行政対応を検討する場合があることを改めて申し上げる。
    • 今後は2028年に予定されているFATF第5次対日相互審査も見据え、各金融機関においては整備したマネロン等リスク管理態勢を適切に運用し、その有効性を検証し、継続的に態勢を維持・高度化していただく必要がある。
    • 金融庁としても、各金融機関における、こうした有効性の検証等の取組について先行的に対応を実施している金融機関の事例を共有するとともに、各金融機関の参考となるような一定の目線・考え方を整理できないか検討を進める。
  • 「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」について
    • 4月17日、マネロン等対策に関する政府の新たな行動計画が策定、財務省ウェブサイトにおいて公表された。
    • 新たな行動計画は、今後3年間の政府及び金融機関等が実施すべき取組を取りまとめたものであり、金融業態においても、官民一体で、リスクベースアプローチに基づきマネロン等対策の強化・高度化を着実に進めていく必要がある。
    • これまでの計画では期限を定めて基礎的な態勢整備を主に対応いただいてきたところ、今後は態勢の実効性を高めていくとともに、金融犯罪の巧妙化をはじめとするリスク環境の変化にも対応し、国際的な水準にも対応できるよう取り組んでいただきたい。
    • また、金融庁としては、共同システムの安定運営等により、我が国の金融業態のマネロン等対策の底上げについても対応していく。
    • 各行の経営トップにおいては、引き続き自らのリーダーシップの下で、これまでに整備した態勢の下、その有効性を一層高める取組みを着実に進めていただきたい。

~NEW~
金融庁 バーゼル銀行監督委員会によるディスカッション・ペーパー「気候関連金融リスクの管理と監督の向上のための気候シナリオ分析の役割」の公表について
▼ バーゼル銀行監督委員会によるディスカッション・ペーパー「気候関連金融リスクの管理と監督の向上のための気候シナリオ分析の役割」の公表について
  • CSAの主な特徴
    1. モチベーション
      • CSAは、明確に表現され、公式に定められた目的を持つべきである。CSAのモチベーションは、シナリオの設計、CSAの特性と範囲、モデル作成枠組みの開発、及び結果の活用に繋がる重要な機能である。これらの目的は、枠組みの開発を推進し、適切に文書化され、すべての関連する利害関係者に明確に伝達されるべき。
    2. 包括性
      • CSAは、健全なリスク特定プロセスによって特定された重要かつ関連するリスクの評価を可能にし、明示されたCSAの目的と整合的であるべき。CSAは、理想的には、対象となる金融機関の性質及び構成又はエクスポージャーの種類を考慮して、目的の範囲内で特定されたすべての重要なリスクを捕捉すべき。
    3. 妥当性
      • CSAで設定するシナリオは、現在は起こりそうもないように見えるが、気候変動との関連で起こり得る極端な事象を含む、もっともらしい将来の状況・潜在的な現実世界の事象を反映すべき。
      • シナリオ及び枠組み内の前提条件は、関連する科学、技術及び経済に関する文献に明確に基づくべき。これは、既存のデータ又はモデル作成上の課題のため単純化・省略された前提条件が使用される場合においても同様。
      • シナリオの前提条件及びその理論的根拠は、特に科学的及び技術的前提条件について、信頼できる専門家から入手可能な最新の情報を反映すべきであり、厳密な分析によって裏付けられるべき。同様に、モデル作成における前提条件は、シナリオによって分析された経済及び気候条件の構造変化を反映するため、過去の関係性がどのようにもっともらしく変化するかを考慮すべき。
    4. 一貫性
      • シナリオ設計、リスク分析、モデル作成及び全体的なCSAの設計を含むCSA一式は、気候シナリオ内、及びシナリオを結果に変換するために利用されるプロセス全体にわたって、内部的な一貫性を示すべき。
      • 技術進歩、人口動態、気候の影響及びマクロ経済要因に関する前提条件は、シナリオとモデルを通して、内部的な一貫性を示すべき。
      • 気候関連リスクのドライバーから得られる経済・金融変数の一貫性については、気候変動に関する技術の変化及び科学的根拠の勘案を含めて、特別に注意が払われるべき。
    5. 透明性
      • 気候シナリオは、アウトプット、前提条件及び不確実性を含め、十分に透明性を備え、関連する利用者がアクセス可能であるべき。
      • シナリオの構成要素においては、定量的結果の前提条件及びドライバー、並びにシナリオ内の変数の観測された経路について、経済的又は財務的根拠によって裏付けられた、シナリオ間の差異を簡潔に説明すべき。
      • 主要な前提条件及びモデル作成アプローチは、銀行の経営陣や監督当局にとって明確かつ理解可能であるべき。関連するガバナンスやモデルリスクの管理のために、CSAの結果が主要なリスクドライバー及び波及経路に明確に帰属するよう、リスク分析モデルは透明性をもって設計されるべき。不確実性の原因に関する詳細を伴うべき。
    6. 扱いやすさ
      • CSAの枠組みを開発する際には、柔軟性と再現性を持つように努める必要がある。シナリオ開発者は、変化する運用環境に、シナリオを柔軟に適応させることができる必要がある。
      • 気候関連金融リスクによるショックは、銀行や監督当局が使用する経済・金融変数に、再現可能な形でマッピングされ、適切な場合には過去の一連の変数が提供されるべき。また、可能であれば、シナリオで示された影響の大きさは再現可能であるべき。
    7. 比例適用
      • CSAの深度と粒度は、リスクの重要性に比例すべき。また、すでに確認されている重要性の範囲に応じて、組織とその能力に比例したものであるべき。
      • シナリオと分析枠組みの両方の設計では、対象となる金融機関、ビジネスライン、セクター又は地域の性質と構成を考慮すべき。
  • CSAの用途別の考慮事項
    1. 標準化の程度
      • CSAの標準化には、下記の事項が含まれ得る。
        • 共通の気候リスクシナリオ一式の提示
        • 特定のシナリオ作成者からのシナリオの活用
        • 特定のシナリオ変数の使用の要求
        • 必要なデータ項目の導入
        • 特定の資産クラス、セクターまたは地域の選択・モデル作成の技術を規定
        • 特定のデータ出力の要求
      • CSAの目的の中で、採用されるカスタマイズの程度、その決定を行う際に行われたトレードオフについて議論され組織内で共有されるべき。
      • 監督上のCSAには、目的に応じて、個別の銀行が実施するもの(ボトムアップ)と、監督当局が実施するもの(トップダウン)の2種類がある。
        • ボトムアップ型のCSAは、各銀行のリスク・プロファイルに合わせて調整されるが、銀行間での比較可能性が低く、より資源集約的となり得る。
        • トップダウン型のCSAは、より標準化され、銀行間での比較が容易であるが、個別の銀行のリスク・プロファイルに見合っていない可能性がある。
    2. 時間軸
      • シナリオが予測される、及び/又は分析が実施される期間は、評価の目的によって決定される。
        • 急性の物理的リスクが顕在化した場合や政策上のショックのような一過性のショックを分析する場合は、短期の時間軸が有用。銀行が組織レベルでリスクを軽減し、監督当局が短期の脆弱性に対処するために重要となり得る。
        • 物理的・移行リスクに伴う長期の構造変化に対する既存の戦略やビジネスモデルのレジリエンスを評価する場合は、長期の時間軸を用いる必要。
      • CSA・CSTに関する重要な考慮事項は、実効的なリスク・エクスポージャー(すなわち、エクスポージャーの満期)及び予想されるリスクの具体化(すなわち、ショックの発現)の両者に関連する時間軸が、目的と整合的であること。
      • 多くのリスクベースでのツール及び評価は、一般的にエクスポージャーの満期及び性質を反映する時間軸を必要とする。
    3. シナリオの厳しさ
      • CSAにおいて用いるシナリオの厳しさには幅がある。
        • これまでは、長期的な気候リスクドライバーによる、一般的なマクロ経済や金融環境を説明するシナリオに焦点を当ててきた。
        • 最近は、気候リスクドライバーによるテールリスク事象を説明する短期的なシナリオに注目が集まっている。
        • 両者とも重要であり、目的に従い、様々な厳しさを持つシナリオ一式が必要となり得る。
      • また、2つ以上のリスク(複合リスク)の相互作用が、個々の影響よりも大きな影響をもたらす可能性がある点については、CSA、特にCSTで議論がなされている。複合的リスクとその累積的な影響を捕捉するために複数のショックを使用することは、テールリスクを適切に反映するシナリオを構築するために必要となり得る。
    4. ベースラインの選択
      • CSAはストレステストの枠組みに従って運用されることが多い。ストレステストでは、特定のベースシナリオを想定する。伝統的なストレステストの文脈においては通常、ベースラインシナリオは、他のシナリオとの比較の基礎となる、(ストレスがかかっていない)中心的な予測である。そのため、伝統的なストレステストからCSA及びCSTに移行する際、移行リスク・物理的リスクによる影響が多様であるため、ベースラインの選択という課題に直面する。
      • この点、CSAでは移行リスクと物理的リスクを除外するベースラインはない。更に、これらのリスクを含むベースラインには、ある程度のストレスが組み込まれているため、得られた結果が過少となる可能性がある点が、既存の枠組みを適用させる上での課題。
      • 事実上、一部のCSAは伝統的なストレステストのベースラインを選択しているが、これは、通常気候変動の影響を組み込んでいないため、仮想的なものである。現実的な選択肢には、これ以上の気候政策対応がない場合の最も蓋然性が高いと考えられるシナリオが含まれる。
    5. 粒度
      • 伝統的なシナリオ分析(特に資本ストレステスト)では、マクロ経済レベルのシナリオを検討する傾向があり、リスクドライバーは失業、インフレ、金利や株価等の重要なマクロ経済変数(MEV)へのショックとして伝達される。
      • 一方で、CSAは、例えばエネルギーシステムの移行、サプライチェーンの変化、保険の利用可能性の低下といった構造変化に明示的に関係していることが多い。その結果、CSAのシナリオ及びエクスポージャーデータは、経済的な関係の変化を適切に評価するために、より粒度の高いものを必要とし得る。
      • 十分な粒度のデータは容易にアクセス可能なフォーマットで利用できない可能性があるため、不足するデータについては、代替値の活用も検討考えられる。銀行及び監督当局は、代替値の活用や粒度を下げることのコスト・便益を慎重に検討すべき。または、公表データの活用などにより、定められたCSAの目的を達成することができる適切な粒度レベルを考慮すべき。
    6. バランスシートの前提条件
      • 選択された時間軸におけるバランスシートの展開に関する前提条件は、CSAの結果に影響を及ぼし得る。一般的に、バランスシートについては、現在の水準で一定とする(静的)、又は時間軸を通じて調整する(動的)前提が用いられる。いずれのアプローチも気候リスクを評価するための目的に応じてメリット・デメリットがある。
        • 静的バランスシートでは、銀行のエクスポージャーの規模、構成、及びリスク・プロファイルは一定と仮定するため、リスク削減にかかる経営上のアクションの効果を考慮しない脆弱性の規模を評価するのに適している。
        • 動的バランスシートでは、リスク削減にかかる経営上のアクションの効果を評価するのに適している。
      • バランスシートの前提条件の選択は、CSAの目的に依存。シナリオの基礎的な前提条件とどう相互作用するかを理解すべき。
    7. 分析の枠組み
      • 多くのCSAは、伝統的なストレステストの枠組み及びリスク指標に基づいている。これらの伝統的な枠組みは、一般的にマクロ経済シナリオ変数を通じて伝達される一時的なショックと、特に収益・費用・損失及び引当金の推計を予測するモデルと組み合わせるように設計されている。これらは、気候関連金融リスクの潜在的な影響を分析するための初期段階としては妥当であった。
      • しかし、銀行や監督当局がCSAに対するアプローチを進める中では、過去の経験と切り離した、構造的な関係を評価することが目的となる。従来の手法がこうした目的に適しているかは疑問視されており、新しいモデルや指標が必要となり得る。
      • 例:ヒストリカルデータを用いて測定されたストレステストのモデルは、過去の関係や相関関係が将来も維持されるという前提に依拠している。
      • また、長期的な構造変化の下での銀行のパフォーマンス、リスク及び存続性の評価を容易にするため、代替的な枠組み(機械学習、AI、ビックデータ分析との統合など)を開発する必要があるかもしれない。

~NEW~
警察庁 令和6年4月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和6年1~3月における特殊詐欺全体の認知件数は5,605件(前年同期6,195件、前年同期比▲9.5%)、被害総額は131.4憶円(126.5憶円、検挙件数は1,631件(2,086件、▲21.8%)、検挙件数は1,631件(2,086件、▲21.8%)、検挙人員559人(664人、▲15.8%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,224件(1,388件、▲11.8%)、被害総額は61.0(38.6憶円、+58.0%)、検挙件数は373件(650件、▲42.6%)、検挙人員は198人(283人、▲30.0%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は676件(836件、▲19.1%)、被害総額は被害総額は6.1憶円(11.8憶円、▲52.0%)、検挙件数は479件(419件、+14.3%)、検挙人員は134人(134人、±0%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,558件(1,561件、▲0.2%)、被害総額は32.5憶円(40.7憶円、▲20.1%)、検挙件数は95件(71件、+33.8%)、検挙人員は47人(30人、+56.7%)
  • 還付金詐欺の認知件数は1,398件(1,458件、▲4.1%)、被害総額は21.0憶円(16.6憶円、+26.7%)、検挙件数は229件(369件、▲37.9%)、検挙人員は47人(64人、▲26.6%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は90件(73件、+23.3%)、被害総額は0.9憶円(1.0憶円、▲5.1%)、検挙件数は2件(5件、▲60.0%)、検挙人員は1人(6人、▲83.3%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は28件(51件、▲45.1%)、被害総額は1.5憶円(5.4憶円、▲72.8%)、検挙件数は0件(8件)、検挙人員は1人(12人、▲91.7%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は5件(7件、▲28.6%)、被害総額は0.5憶円(0.2憶円、+96.9%)、検挙件数は0件(0件)、検挙人員は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は491件(810件、▲39.4%)、被害総額は5.8憶円(11.9憶円、▲51.4%)、検挙件数は450件(563件、▲20.0%)、検挙人員は117人(134人、▲12.7%)
  • 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は95件(50件、+90.0%)、検挙人員は36人(17人、+111.8%)、口座開設詐欺の検挙件数は246件(231件、+6.5%)、検挙人員は117人(133人、▲12.0%)盗品等譲受け等の検挙件数は0件(2件)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,192件(918件、+29.8%)、検挙人員は882人(699人、+26.2%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数の検挙件数は65件(37件、+75.7%)、検挙人員は59人(39人、+51.3%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は10件(5件、+100.0%)、検挙人員は5人(5人、±0%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体は男性(36.9%):女性(63.1%)、60歳以上81.2%、70歳以上59.3%、オレオレ詐欺は男性(25.5%):女性(74.5%)、60歳以上86.9%、70歳以上79.5%、架空料金請求詐欺は男性(61.9%):女性(38.1%)、60歳以上61.5%、70歳以上35.4%、還付金詐欺は男性(61.9%):女性(38.1%)、60歳以上61.5%、70歳以上35.4%、融資保証金詐欺は男性(70.2%):女性(29.8%)、60歳以上6.0%、70歳以上1.2%

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和6年1~5月分)
  • 令和6年1月~5月における刑法犯総数について、認知件数は288,515件(前年同期271,669件、前年同期比+6.2%)、検挙件数は108,535件(101,730件、+6.7%)、検挙率は37.6%(37.4%、+0.2P)
  • 凶悪犯の認知件数は2,733件(2,044件、+33.7%)、検挙件数は2,266件(1,707件、+32.7%)、検挙率は82.9%(83.5%、▲0.6P)、粗暴犯の認知件数は23,125件(23,462件、▲1.4%)、検挙件数は18,789件(18,757件、+0.2P)、検挙率は81.2%(79.9%、+1.3P)、窃盗犯の認知件数は195,246件(186,325件、+4.8%)、検挙件数は63,193件(58,544件、+6.1%)、検挙率は32.4%(32.0%、+0.4P)、知能犯の認知件数は24,328件(18,960件、+28.3%)、検挙件数は6,976件(7,347件、▲5.0%)、検挙率は28.7%(38.8%、▲10.1P)、風俗犯の認知件数は6,448件(2,980件、+116.4%)、検挙件数は5,123件(2,493件、+105.5%)、検挙率は79.5%(83.7%、▲4.2P)
  • 詐欺の認知件数は22,326件(17,487件、+27.7%)、検挙件数は5,676件(6,284件、▲9.7%)、検挙率は25.4%(35.9%、▲10.5P)
  • 万引きの認知件数は41,155件(38,831件、+6.0%)、検挙件数は26,922件(24,890件、+8.2%)、検挙率は65.4%(64.1%、+1.3P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は24,942件(26,764件、▲6.8%)、検挙人員は19,984人(21,980人、▲9.1%)
  • 入管法違反の検挙件数は2,276件(2,206件、+3.2%)、検挙人員は1,550人(1,548人、+0.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は2,613件(3,087件、▲15.4%)、検挙人員は2,622人(3,088人、▲15.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2,368件(4,039件、▲41.4%)、検挙人員は1,719人(3,127人、▲45.0%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は491件(480件、+2.3%)、検挙人員は399人(396人、+0.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,679件(1,266件、+32.6%)、検挙人員は1,309人(993人、+31.8%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は164件(164件、±0%)、検挙人員は70人(50人、+40.0%)、銃刀法違反の検挙件数は1,755件(1,996件、▲12.1%)、検挙人員は1,501人(1,657人、▲9.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は646件(453件、+42.6%)、検挙人員は381人(276人、+38.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は2,693件(2,664件、+1.1%)、検挙人員は2,146人(2,171人、▲1.2%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は3,116件(2,720件、+14.6%)、検挙人員は2,069人(1,879人、+10.1%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数306人(227人、+34.8%)、ベトナム88人(71人、+23.9%)、中国46人(34人、+35.3%)、フィリピン22人(10人、+120.0%)、ブラジル18人(15人、+20.0%)、韓国・朝鮮14人(10人、+40.0%)、スリランカ7人(10人、▲30.0%)、パキスタン7人(3人、+133.3%)、インド5人(4人、+25.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は3,443件(3,869件、▲11.0%)、検挙人員総数は1,834人(2,355人、▲22.1%)、暴行の検挙件数は171件(244件、▲29.9%)、検挙人員は154人(224人、▲31.3%)、傷害の検挙件数は297件(399件、▲25.6%)、検挙人員は343人(451人、▲23.9%)、脅迫の検挙件数は99件(128件、▲22.7%)、検挙人員は98人(117人、▲16.2%)、恐喝の検挙件数は116件(140件、▲17.1%)、検挙人員は135人(164人、▲17.7%)、窃盗の検挙件数は1,720件(1,731件、▲0.6%)、検挙人員は269人(322人、▲16.5%)、詐欺の検挙件数は543件(724件、▲25.0%)、検挙人員は363人(592人、▲38.7%)、賭博の検挙件数は39件(12件、+225.0%)、検挙人員は48人(46人、+4.3%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は1,629件(1,801件、▲9.6%)、検挙人員総数は1,014人(1,235人、▲17.9%)、入管法違反の検挙件数は13件(35件、▲62.9%)、検挙人員は13人(3人、+333.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は13件(35件、▲62.9%)、検挙人員は13人(25人、▲48.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は26件(25件、+4.0%)、検挙人員は26人(25人、+4.0%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は34件(10件、+240.0%)、検挙人員は40人(23人、+73.9%)、銃刀法違反の検挙件数は30件(30件、±0%)、検挙人員は20人(19人、+5.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は86件(66件、+30.3%)、検挙人員は31人(33人、▲6.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は293件(413件、▲29.1%)、検挙人員は171人(268人、▲36.2%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は915件(957件、▲4.4%)、検挙人員は569人(628人、▲9.4%)、麻薬特例法違反の検挙件数は32件(48件、▲33.3%)、検挙人員は7人(21人、▲66.7%)

~NEW~
警察庁 一般社団法人日本損害保険協会長とサイバー警察局長との対談について
  • 損保協会新納会長のご発言
    • 当協会にて、令和3年~令和5年に国内の中小企業を対象に実施したアンケートにおいて、サイバー保険の認知度は3年間で10.3pt上昇(直近では46.9%)。一方、加入率については、5%程度と低い水準となっている状況。
    • サイバー保険は、(1)法律上の損害賠償金の補償(2)調査費用や見舞品等の費用の補償(3)IT機器の機能停止により生じる喪失利益の補償のほか、関連する付帯サービス(情報セキュリティ診断サービス等)の提供による、被害の未然防止や損害の軽減といった機能も大きい。
    • 当協会のサイバー保険特設サイトでは、ランサムウェアを含む複数のサイバー攻撃の類型及びその被害事例について紹介し、注意喚起を実施。また、サイバー犯罪の被害を最寄りの警察署または都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口へ通報・相談することを推奨している。
    • 各支部で行っているセミナーを含め、今後もリスク啓発活動を継続していく。
  • サイバー警察局大橋局長の発言
    • 警察庁では、令和5年におけるサイバー空間の脅威の情勢を示す指標および事例を記載した「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を令和6年3月14日に公表。ランサムウェアの被害が依然として高水準で推移し、令和5年中は197件の被害を確認。このほか、データを暗号化することなくデータを窃取した上で企業・団体等に対価を要求する「ノーウェアランサム」の手口も確認。ランサムウェア被害の実態を明らかにし、拡大させないためには、被害を潜在化させず、警察への通報・相談が行われることが重要。
    • 警察庁は、ランサムウェア対策多国間会合(カウンターランサムウェア・イニシアティヴ会合:CRI)に参加、国際的なランサムウェアの脅威への対処に関する議論に参画。第3回会合後に発出された共同声明では、ランサムウェアに対する集団的な強靱性の構築、ランサムウェアの実行可能性を弱め、責任者の追跡に関する協力、ランサムウェアのエコシステムを支える不正資金への対抗、民間セクターとの協力、国際的な協力の継続などを再確認。
    • 引き続き、国際社会と緊密に連携し、ランサムウェアの脅威への対処含め、自由、公正かつ安全なサイバー空間の維持・発展のための取組を進めていく。
    • 警察庁では、令和5年3月には「サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会」を開催。警察では、通報・相談を受け、全国警察で保有している高度な知見等を基に、業務への影響が最小限となるよう当該相談者に配意した事件捜査を行うとともに、(1)被害企業の被害拡大防止対策に必要な情報の提供、助言、(2)被害企業の被害の復旧への貢献、(3)他の企業等の被害未然防止のための取組といった活動を推進し、被害の通報・相談が自ずと行われる社会的な機運の醸成を図っている。
    • ランサムウェア被害に対する取組として、警察庁ウェブサイト「ランサムウェア被害防止対策」コンテンツの提供等、被害の潜在化防止の重要性を訴求している。

~NEW~
内閣官房 すべての女性が輝く社会づくり本部(第14回)・男女共同参画推進本部(第24回)合同会議 議事次第
▼ 資料1-1 説明資料
  1. 企業等における女性活躍の一層の推進 ~活躍する女性人材と企業等で取組を推進する人材の育成~
    • 企業における女性の採用・育成・登用の強化
      • 女性役員登用目標の達成に向けた各企業の行動計画策定の促進、役員候補となる女性人材のパイプライン構築、女性登用の意義や必要性についての企業における理解の浸透を図る。
      • 行動計画策定ガイドの作成・周知や好事例の横展開を行う。
      • ロールモデルとなる女性役員等の事例集の作成等、啓発コンテンツの作成や情報提供を行う。
      • 取引所・機関投資家・先進的な取組を行う企業等と連携し、全てのプライム市場上場企業に対する啓発(セミナー開催)等を行う。
      • 女性活躍や子育て支援に積極的に取り組む企業を支援する。
      • 各府省の補助金等において、補助目的に鑑みつつ、取組に積極的な企業に対する加点の優遇措置の拡大・促進に取り組む。
    • 科学技術・学術分野における女性活躍の推進
      • 理工系分野を目指す女子生徒等の育成に向けて、各地域の大学・高専で理工系の魅力を発信する機会の増加を図る。
      • 若手ロールモデルによる授業等の実施手順の事例等を示した「理工チャレンジ」のプログラムを作成・周知し、地域の各大学・高専における取組を促す。
      • プログラミングに関する教育の充実を図る。
      • 中学校技術・家庭科(技術分野)や高校情報科の指導体制の充実を推進するとともに、プログラミング教育に関する教員対象の研修会等を実施する。
      • 大学・高専における文理を問わず幅広い学生を対象としたプログラミング教育を含む数理・データサイエンス・AI教育を推進する。
    • 女性起業家の支援
      • 起業家ネットワークへのアクセスが限定的、資金調達が難しいなどの課題を抱える女性起業家を支援する。
      • 金融機関や地域中核企業など様々なステークホルダーを巻き込みつつ、全国各地で女性起業家に対して一貫した支援を提供するネットワークを構築し、事業計画に対する助言を行うとともに、支援者とのマッチングに向けた支援プログラムを実施する。
  2. 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進 ~全国各地の女性が経済的に自立するための力の育成とこれを支える人材の育成~
    • 所得向上、リスキリングの推進
      • 出産を契機に多くの女性が非正規雇用化する、いわゆる「L字カーブ」の解消に向けて、正規雇用の女性の就業継続を支援するとともに、初職から非正規雇用で働く女性や、過去に妊娠等を契機に非正規雇用となった女性を正社員転換するための取組を進める。
      • 拡充された非正規雇用労働者の正社員転換及び処遇改善を進める事業主に対する助成の利用を後押しするとともに、非正規雇用労働者に対するリスキリング支援や就職支援に取り組む。また、同一労働同一賃金の遵守の徹底を進める。
      • 在職中の非正規雇用労働者等に配慮した様々な受講日程、実施手法等の職業訓練を試行的に実施することにより、非正規雇用労働者等のキャリアアップに効果的な職業訓練の検証を行う。
      • 就労に直結するデジタルスキルの習得支援・デジタル分野への就労支援を推進する。
      • 「女性デジタル人材育成プラン」に基づき、スキル取得からマッチングまで一体的に支援するなど着実に就労に結び付けることが期待される地域の取組を地域女性活躍推進交付金等で重点的に後押しするとともに、就労に結びついた実績のある優良事例を事例集により周知・啓発し、全国への横展開を図る。
      • 男女間賃金差異の公表・分析を一層推進する。男女間賃金格差の大きい業界に着目した取組を進める。
      • 女性活躍推進法に基づく男女の賃金差異に係る情報公表について、義務対象を常用労働者の数が101人以上300人以下の一般事業主への拡大を検討する。
      • 賃金差異分析ツールの開発に取り組むなど、各企業等における自主点検の促進を図る。
      • 男女間賃金格差の大きい業界に着目し、各業所管省庁等を通じた実態把握・分析・課題の整理を踏まえ、業界ごとのアクションプランの策定を促し、取組を進める。
      • いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことを可能にする。
      • 短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げ等に取り組むことと併せて、「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行し、さらに、次期年金制度改正において制度の見直しに取り組む。
    • 仕事と育児・介護の両立の支援
      • 柔軟な働き方の推進や男性の育児休業取得の促進等により、男女問わず育児・介護とキャリア形成との両立を図るとともに、女性への育児負担の偏りを解消する。
      • 柔軟な働き方を実現するための措置や、男性の育児休業取得率の公表義務の拡充等を盛り込んだ改正育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の円滑な施行のため、周知・理解促進、助成金や労務管理の専門家による支援等を行う。
      • 育児・介護休業法の説明会等の機会を捉えて、育児休業の他にも両立支援制度があることや性別によらず利用が可能であること、制度利用時のみならず制度利用後もワーク・ライフ・バランスのとれた働き方が重要であることについて経営層や管理職も含めた周知・啓発を行う。
      • 中小企業事業主が、育児休業や育児短時間勤務中の業務を代替する周囲の社員に応援手当を支給する場合や、育児期の柔軟な働き方に関する制度の導入、円滑な介護休業の取得・職場復帰のための取組等を行った場合の助成措置を講じる。
      • 長時間労働の是正や、多様な正社員制度・選択的週休3日制に関する好事例の周知や導入支援などの労働者のニーズに応じた多様な働き方の環境整備を推進する。
      • 企業が福利厚生として家事支援サービスを提供する取組を促進する観点から、広報等を行う。
    • 仕事と健康課題の両立の支援
      • 働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性の活躍を支援する。
      • プライバシーに十分配慮した上で、労働安全衛生法に基づき事業主が行う健診において、月経随伴症状や更年期障害等の早期発見に資する項目を問診等に加え、その実施を促進する。
      • 企業等におけるフェムテック製品・サービスの活用を促進し、好事例の横展開を行う。
      • 健康経営銘柄、健康経営優良法人、なでしこ銘柄等において、女性の健康課題に取り組み、成果を上げている企業や健康保険組合の好事例を集め、他の企業等にも広く周知する。小規模事業者にも取組が広まるよう、健康経営優良法人制度中小規模法人部門の要件緩和等を検討する。
      • 令和7年度末に期限を迎える女性活躍推進法の延長・改正に向けた検討において、事業主が女性特有の健康課題に取り組むことなど、更なる女性活躍推進に向けた検討を行う。
      • 企業における従業員に対する性差に応じた健康課題への理解を促進するためにも、全府省において、職員向けの健康教育に率先して取り組む。
    • 地域における女性活躍・男女共同参画の推進
      • 地域の企業における女性活躍を推進し、その担い手を育成する。
      • 日本商工会議所や全国商工会連合会、(一社)全国銀行協会、(一社)全国地方銀行協会等と連携しながら、地域において女性の活躍を推進・支援しているリーディングカンパニーにおける取組の把握を含め、各地域の企業の好事例の周知・啓発を行う。
      • 男女共同参画センター(センター)が地域の企業や経済団体、学校、NPO等と連携し、地域の女性活躍・男女共同参画の推進の担い手を育成できるよう、国立女性教育会館(NWEC)が、センターの協力を得て、センターの職員の専門性向上に資する研修の実施や、センターが企業や経済団体等への研修で用いる研修プログラムや教材の開発に向けて情報の収集や検討を進める。
      • 就労状況など統計データの整理、全国各地のセンターからの地域における男女共同参画に関する状況と課題等の集約、その分析結果の全国のセンター等への提供など、NWEC及び全国のセンター相互間で必要な知見及びノウハウの共有を可能とするため、情報プラットフォームを新たに構築するための効果的な実施手法等に関する調査研究を行う。
      • 地方公共団体における取組の推進の鍵となる地域リーダーの意識醸成・育成を推進する。
      • 地域の女性活躍・男女共同参画を推進するリーダー・担い手を育成するため、地域女性活躍推進交付金を活用して、女性の登用のほか、自治会長や地方公共団体の防災会議委員等の地域の女性リーダー育成の取組に対する支援、防災委員への女性登用の好事例の横展開を行う。
      • 地方議会における女性の政治参画に資する先進的な取組事例を横展開する。
      • 地域シンポジウム等を通じて自治体における女性活躍推進の好事例の横展開を図るとともに、女性活躍に向けた男性首長のコミットメントの強化を促す。
  3. 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現 ~男女共同参画の視点に立った防災・復興、配偶者暴力や性犯罪・性暴力の被害者等を支える人材の育成~
    • 男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進
      • 今般の能登半島地震における災害対応を検証し、今後の対応に活用する。
      • 「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を踏まえた災害対応について調査を行い、今後に向けた課題や取組を整理し、報告書を取りまとめる。
      • 防災の現場等における女性の参画拡大とこれを推進するリーダー層の意識醸成、国民への啓発を推進する。
      • 平常時からの防災・危機管理担当部局への女性職員の配置により、災害時、女性と男性で異なる支援ニーズに適切かつ迅速に対応することが可能となることから、国や地方公共団体の災害対応の現場への女性の参画を促進する。
      • 指導的立場にある者を含む防災関係者に対し、男女共同参画の視点からの防災・復興に係る研修を充実させる。
      • 災害の各段階において受ける影響やニーズが女性と男性で違うことや地域防災力を高めるためには女性の参画やリーダーシップが重要であることの理解促進を図るため、こどもの発達段階に応じた防災教育を行う。
      • 各地域において、人々の中にある固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消と、企業等の広報担当や人事・業務管理に携わる管理職、さらには経営層の意識改革と理解の促進を図り、性別役割分担にとらわれない働き方を推進する。
      • 「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の存在についてのホームページ・SNS等の様々なコンテンツを活用した情報発信、地方公共団体や経済団体等を対象としたワークショップの開催等の啓発活動を実施する。
    • 配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化
      • 改正配偶者暴力防止法や女性支援新法等の関係法律の施行状況等も踏まえ、配偶者等からの暴力の防止、被害者の保護及び支援、相談体制の整備及び周知等の一層の強化を図る。
      • 改正配偶者暴力防止法や女性支援新法等の関係法律の施行状況等も踏まえ、多様な被害者がためらうことなく相談できる体制の整備、法定協議会の活用等も含めた配偶者暴力相談支援センター、警察、児童相談所、民間団体、医師会や医療関係者、法テラス等の連携の強化等に取り組む。
      • 被害者支援の一環としての加害者プログラムについて、都道府県等の担当者等の理解促進のための研修や交付金等により、各地域における実施を推進する。
      • 「相手の同意のない性的な行為は性暴力」であること等の認識を社会全体で共有し、性犯罪・性暴力の根絶のための取組や被害者支援を強化する。
      • こども、若年層、男性等を含む多様な相談者が利用しやすいよう、都道府県等への交付金等により、ワンストップ支援センターの運営の安定化、相談員の支援能力・専門性の向上や様々な相談方法の活用を図るとともに、こども・若者の性被害防止に向けた総合的な対策を推進する。
      • 改正刑法の施行後の適用状況を的確に把握するとともに、附則規定に基づく被害申告の困難さ等の性的な被害の実態に係る調査の速やかな実施に向け、着実に検討を進める。
    • 困難な問題を抱える女性への支援
      • 令和6年4月に施行された女性支援新法に基づき、困難な問題を抱える女性一人ひとりのニーズに応じて、包括的な支援を実施する。
      • 女性相談支援センターや女性自立支援施設の機能強化、女性相談支援員の人材の養成・処遇改善、民間団体と地方公共団体との協働等を推進する。
      • 生理の貧困への対応、フェムテックの推進と更なる利活用、緊急避妊薬の利用に向けた検討、スポーツ分野における女性の参画・活躍、女性医師に対する支援等を推進する。
      • 女性の健康ナショナルセンター(仮称)における診療機能の充実を図る。また、同センターを中心として、女性の生涯にわたる健康課題に関わる研究等に取り組むとともに、「ジェンダード・イノベーション」を推進し、性差に応じ更年期などにおける健康を支援する取組を推進する。(総合対策の確立)
      • 医療従事者(内科、精神科(うつ)、整形外科(骨粗鬆症)等)に対する女性の健康課題に関する研修・啓発の実施、プレコンセプションケアなど、性差に応じた健康を支援するための取組を推進する
  4. 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化 ~あらゆる分野の政策・方針決定過程に参画する女性人材の育成~
    • 男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進
      • あらゆる分野の政策・事業の計画等において、男女別の影響やニーズの違いを踏まえた検討・立案を行う。その前提として、男女の性差を考慮するとともに、関連するデータの男女別の把握に取り組む。
      • あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画を促進する。
    • 政治・行政分野における男女共同参画の推進
      • 女性の政治参画への障壁について、より実態に即した把握に資するよう、政治に参画する上での課題等についてより詳細な調査を行い、その結果に基づき周知・啓発を行う。
      • 地方議会における女性の政治参画に資する先進的な取組事例を横展開する。(再掲)
      • 各府省において、各役職段階に占める女性の割合に関する数値目標を定める。目標や取組内容、実施状況については、各府省において公務員を志望する女性等に分かりやすい形で公表する。

~NEW~
内閣官房 グローバルサウス諸国との連携強化推進会議(第2回)議事次第
▼ 資料1 グローバルサウス諸国との新たな連携強化に向けた方針(案)概要
  • グローバルサウス諸国との連携の重要性
    • グローバルサウス諸国は、近年経済力を向上させるとともに、今後長期にわたり経済的なプレゼンスを高めると予測され、今後益々国際場裡における存在感を増していく。
    • グローバルサウス諸国の歴史的・文化的背景は多様。都市化や高齢化などの社会課題に直面する国、インフラ、公衆衛生や教育に問題を抱える国、食料や医療の不足に苦しむ脆弱国、難民の発生や気候変動の影響等の問題に苦しむ国など各国の置かれた状況も異なる。
    • 我が国は、食料・鉱物資源・エネルギー等を海外からの輸入に大きく依存し、グローバルサウス諸国との協働、そしてグローバルサウス諸国の脆弱性の克服をサポートしながらその活力を取り込むことが、経済発展や経済強靱化にとって不可欠。
    • グローバルサウス諸国を共創のパートナーとすることは、我が国の経済成長や経済安全保障面を含めた国益を実現していく上で極めて重要。また、グローバル・ガバナンスは、経済のみならず、歴史、文化、宗教、政治体制などの多様性を認めながら、世界各国とともに実現していく必要がある。そのため、置かれている状況が異なるグローバルサウス諸国を共創のパートナーとすることは、国際社会における分断と対立の動きを協調に導く上でも極めて重要。
  • グローバルサウス諸国との連携にあたっての基本的な考え方
    • グローバルサウス諸国との連携を推進することが、我が国の国益増進につながるものであること。グローバルサウス諸国との戦略的な関係構築に向け、グローバルサウスの活力を取り込み、相互の経済成長の実現を追求するとともに、重要鉱物・物資等のサプライチェーン構築による経済強靱性の強化や、循環経済の実現等を推進していくことが不可欠。
    • グローバルサウス諸国を未来の経済社会を共に創る「共創」のパートナーと考えること。そして、我が国がグローバルサウス諸国にパートナーとして選ばれる関係を構築すること。その際、個別の地域・国の事情に応じて、各国の視点に立った、きめ細かな対応をとる。置かれている状況が異なるグローバルサウス諸国の多様なニーズに応えて、様々な主体を巻き込んだ相手国との対話と協働による社会的価値の共創を実現する。
    • グローバルサウス諸国との連携強化により、国際公益の実現をともに目指すこと。その際、国連憲章にある諸原則を堅持し、国連システムの強化等を通じてグローバル・ガバナンスの強化に貢献するとともに、グローバルサウス諸国との共通項を強調し、国際社会における分断と対立の動きを協調へ導いていく。
  • 具体的な方策
    1. 重層的な関係作り
      • 本年7月の太平洋・島サミット、11月の中南米におけるG20及びAPEC首脳会議、「中央アジア+日本」対話・首脳会合の開催、日印間の相互首脳往来、来年8月のTICAD9の開催等の機会を捉えつつ、経済ミッションを同行してのトップ外交、政策対話の深化、官民フォーラムの開催を通じ、重層的な関係作りを行う。
    2. 様々な主体による連携
      • 内閣官房海外ビジネス投資支援室(GBIS室)を中心に関係省庁及び政府関係機関等が緊密に連携して、重層的・横断的な対応を行う。
      • 海外拠点においても、在外公館で推進する経済外交のための「共創プラットフォーム」を中心に、共創の取組を実践的に更に一段前に進める。
    3. テーラーメイドなアプローチ
      • グローバルサウス諸国の多様性をよく理解し、国単位のみではなく、地域単位や地域を越えたより大きな面的視点(インド洋、インド太平洋など)で捉えるとともに、我が国が重視する、未来を担う様々な産業を分野毎にグローバルに横串で捉えていくことなども加味し、各国及び各地域の実情に応じて、テーラーメイドなアプローチを検討していく。その際、相手国の状況や同志国との役割分担等を踏まえた戦略的な対応も必要となる
        1. リスク対応に向けた施設・設備の実装
          • 日本の産業協力の象徴となるようなフラッグシップ・プロジェクトを組成し、双方の国々が裨益する仕組みの構築
          • 日本が強みを有する分野等について、民間企業では背負いきれないリスクに対応するため、研究開発や商用化に向けた実証支援を着実に進めるとともに、施設・設備の実装まで含め支援強化
        2. 国際協力の新しい仕組み
          • ODAの様々な形での拡充、オファー型協力を一層推進
          • 「次の次の経済フロンティア」の形成
          • グローバルサウス諸国の社会課題解決に貢献し、その結果を国内に還元
          • ODAやその他公的資金(OOF)を通じた企業の経済活動の環境整備を強化し、これらを「触媒」として民間資金動員を更に推進するなど、国際協力の新しい仕組みの構築
        3. 日本企業の現地展開に向けた各種支援
          • 公正で持続可能な事業環境の整備、公的金融によるスタートアップを含む日本企業の海外展開支援やサプライチェーン強靱化支援、現地の実情に応じた資金支援策等の周知
          • 在外公館等を活用した支援の強化
          • 国際開発金融機関(MDBs)を含む国際機関との連携強化等を通じた現地企業や生産者とのマッチング、各国政府との協調案件の組成促進
          • 国際標準の国家戦略の新規策定
          • ビジネス上の紛争処理における連携
          • 地方自治体と連携した地元企業の海外展開の促進
          • 租税条約ネットワークの拡充等
        4. 従来のインフラの概念を超えた新領域での官民連携
          • インフラシステム海外展開戦略を見直し、2030年を見据えた新戦略を策定
          • 官民連携(PPP)を含めた案件形成の上流への積極的参画
          • スマートシティや公共交通指向型都市開発(TOD)等の推進
          • 気候変動の適応策と緩和策の推進
          • 経済安全保障上重要なインフラへの積極的関与
          • 運営・維持管理(O&M)による事業参画等を通じた案件への継続的関与
          • グリーンフィールドにおける公的機関による積極的なリスクテイク
        5. 第三国・国際枠組み等を通じた面的展開の強化
          • 日本単独で進出が難しい国々について、第三国経由での輸出促進等に向けた産業協力や拠点整備
          • 同志国との連携も含めたサプライチェーン強靱化等
          • 貿易実務等のデジタルトランスフォーメーション(DX)に資するデジタル公共基盤について、ウラノス・エコシステムとも連携しながら同志国と連携し我が国主導での構築・IPEFやAZEC等の国際枠組みを通じたインド太平洋地域における持続可能で包摂的な経済成長やGXの実現
        6. 人材育成・人材交流、文化交流
          • 人材育成・人材交流(特に大学間連携を軸とした留学を含む若者世代や、日系人の活用)や文化交流の深化
          • 対日直接投資やイノベーションの促進に資する東南アジアや南アジア等の高度外国人材の確保
          • 在外教育施設の環境整備の支援の推進
        7. OSAの活用
          • 同志国の安全保障上のニーズに応え、資機材の供与やインフラの整備等を行う、無償による資金協力の枠組みである「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の一層の活用
        8. 不測の事態への対応
          • 貿易保険のリスク対応能力の強化等、不測の事態への対応

~NEW~
内閣府 令和6年第8回経済財政諮問会議
▼ 資料1 経済財政運営と改革の基本方針2024原案
  • デフレ完全脱却の実現に向けて
    • 我が国経済は、現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている。本年の春季労使交渉では、1991年以来33年ぶりの高水準の賃上げが実現し、足下の企業の設備投資は史上最高の水準にある。こうした前向きな動きを中小企業・地方経済等でも実現し、二度とデフレに戻らせることなく、「コストカット」が続いてきた日本経済を成長型の新たなステージへと移行させていくことが、経済財政運営における最重要課題となっている。
    • 岸田内閣は、これまで、「新しい資本主義」を掲げ、「成長と分配の好循環」及び「賃金と物価の好循環」の実現に向け、日本銀行と連携し、適切なマクロ経済運営を行うとともに、官民連携による賃上げや社会課題の解決を成長につなげる投資の促進に向けた取組などを進めてきた。こうした「新しい資本主義」の考え方は、新たな経済ステージへの移行に当たっての基盤となるものである。これらにより、30年間上がらなかった賃金や物価が動き出し、企業の成長期待や投資の見通しも高まっている。今は、日本経済への「期待」を現実のものとしていくときである。
    • 現状では、物価上昇が賃金上昇を上回る中で、消費は力強さを欠いており、また、海外経済の下振れによるリスク等も残っているが、今後は、景気の緩やかな回復が続く中で、賃金上昇が物価上昇を上回っていくことが期待される。
  • 新たなステージへの移行のカギとなるのは、賃上げを起点とした所得と生産性の向上である。まずは、春季労使交渉における力強い賃上げの流れを中小企業・地方経済等春季労使交渉以外の分野でも実現し、物価上昇を上回る賃金上昇を達成し、定着させる。安定的な物価上昇の下で、賃上げに支えられた消費の増加及び投資の拡大が、企業収益を押し上げ、その成果が家計に還元され、次の消費の増加につながる。企業はその収益を原資として成長分野に更に投資を行うことによって、企業の生産性と稼ぐ力が強化される。成長分野への円滑な労働移動も可能となり、新たな成長を生み出す好循環が実現する。
    • あわせて、社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向け、官民が連携して投資を行う。グリーン、デジタル、科学技術・イノベーション、フロンティアの開拓、経済・エネルギー安全保障等の分野において、長期的視点に立ち、戦略的な投資を速やかに実行していく。こうして人材や資本等の資源を成長分野に集中投入することによって、経済全体の生産性を高め、日本経済を「成長型の新たな経済ステージ」へと移行させていく。
    • 本年の春季労使交渉では、労務費転嫁のための指針が周知されたこと等もあり、労使交渉の結果、力強い賃上げの流れが生み出された。これに加え、本年6月から実施している定額減税等によって、可処分所得を下支えし、物価上昇を上回る所得の増加を確実に実現する。そして、この流れを来年以降も持続させるため、あらゆる政策を総動員して賃上げを後押しし、国民一人一人の生活実感を高めていく。このため、重層的な取引構造となっている業種を含め、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が行われるよう、官民双方で取組を更に強化するとともに、企業の稼ぐ力を強化することによって、来年以降、物価上昇を上回る賃上げを定着させていく。
    • 賃上げについては、労務費の転嫁円滑化に加え、商慣行の思い切った見直しを含め、業種・事業分野の実態に応じた価格転嫁対策に取り組むほか、医療・福祉分野等におけるきめ細かい賃上げ支援や最低賃金の引上げを実行する。あわせて、三位一体の労働市場改革を進め、全世代を対象とするリ・スキリングの強化に取り組む。個々の企業の実態に応じたジョブ型人事(職務給)の導入を促進するとともに、雇用政策の方向性を、雇用維持から成長分野への労働移動の円滑化へとシフトしていく。
    • 企業の稼ぐ力については、人手不足への対応として、業績改善にもつながるデジタル化や省力化投資の取組を支援するとともに、生産性の持続的な向上に向けて、中堅・中小企業の設備投資、販路開拓、海外展開等の取組を後押しする。GX、経済安全保障など、社会課題の解決に向けた官民連携の投資、デジタル技術の社会実装、宇宙・海洋等のフロンティアの開拓、海外からの人材・資金の呼び込み等の取組によって、成長分野における国内投資を持続的に拡大し、経済全体の生産性を向上させる。
    • 日本銀行は、本年3月19日、それまでのマイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール等を変更し、金融政策は、新しい段階に入った。安定的な物価上昇率の下での民需主導の持続的な経済成長の実現に向け、政府は、引き続き、日本銀行と密接に連携し、経済・物価動向に応じた機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。
    • 政府は、競争力と成長力強化のための構造改革に取り組むとともに、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
    • こうした取組によって、長期にわたり染み付いた「デフレ心理」を払しょくし、社会全体に、賃金と物価が上がることは当たり前であるという意識を定着させ、デフレからの完全脱却、そして、経済の新たなステージへの移行へとつなげていく。
  • 経済財政諮問会議においては、今後とも、賃金、所得や物価動向を含む経済・財政の状況、金融政策を含むマクロ経済政策運営の状況、経済構造改革の取組状況等について、定期的に検証していく。
  • 豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会に向けて
    • 足元の人手不足の大きな要因でもある人口減少は、2030年代に加速することが見込まれており、現状のまま生産性上昇率が高まらず、労働参加の拡大や出生率の向上も十分でないという前提に立てば、我が国の潜在成長率は長期にわたりゼロ近傍の低成長に陥りかねない。
    • 将来的に人口減少が見込まれる中で長期的に経済成長を遂げるためには、生産性向上、労働参加拡大、出生率の向上を通じて潜在成長率を高め、成長と分配の好循環により持続的に所得が向上する経済を実現する必要がある。これらを通じて、少子高齢化・人口減少を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を実現していくことをミッションとして掲げ、官民挙げて総力を結集し経済成長のダイナミズムを起こし、これまでの延長線上にない、熱量あふれる日本経済の新たなステージへの移行を確かなものとしていかなければいけない。
    • 経済・財政・社会保障の持続可能性の確保を図るには、人口減少が本格化する2030年代以降も、実質1%を安定的に上回る成長を確保する必要がある。その上で、更にそれよりも高い成長の実現を目指す。このため、今動き始めているDX、GXを始めとする投資の拡大、欧米並みの生産性上昇率への引上げ、高齢者の労働参加率の上昇ペース継続や女性の正規化促進など、我が国の成長力を高める取組が必要である。こうした経済においては、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現の下で、2040年頃に名目1,000兆円程度の経済が視野に入る。
    • 人口減少が本格化する2030年度までが、こうした経済構造への変革を起こすラストチャンスである。このため、本基本方針第3章に記載されている「経済・財政新生計画」に基づき、以下に述べる「新たなステージを目指すための5つのビジョン」からバックキャストしながら、今後3年程度で必要な制度改革を含め集中的な取組を講じていく。
    • 社会課題解決をエンジンとした生産性向上と成長機会の拡大
      • 人口減少を機会と捉え、DX、新技術の徹底した社会実装、フロンティアの開拓等によりイノベーションを促進するとともに、成長分野への人材や資金の流入を加速させることにより、生産性を向上させて供給力を高めていく。また、脱炭素、経済安全保障、ヘルスケア等の生活の質向上、人口減少・高齢化といった社会課題解決を通して需要を開拓し、次世代技術や新しいビジネスモデルを用いた付加価値の高い解決策を生み出すことで新たな市場を創出・拡大し、民需主導の経済構造を構築していく。こうした需給両面での成長を支えるため、官民挙げて積極果敢な国内投資を行い、企業部門を貯蓄超過から投資超過へとシフトさせるとともに、新技術の社会実装を担うスタートアップを始め、ソーシャルビジネス、NPO等の新しいプレイヤーの活躍を支えるエコシステムを形成する。
    • 誰もが活躍できるWell-beingが高い社会の実現
      • 需要の創出に加え、家計が可処分所得の継続的な増加を通じて成長の恩恵を実感できるよう、構造的な賃上げを社会に広げ定着させるとともに、全世代型社会保障制度を構築していく。意欲のある人が年齢・性別にかかわらず、自由で柔軟に活躍できる社会を構築する。さらに、若者が安心して結婚・出産・子育てに取り組めるよう若年世代の所得向上を図るとともに、健康意識の向上を図り、自らのキャリア設計の下で希望に応じて働くことで生涯所得を拡大させ、潜在的な支出ニーズを顕在化させていく。こうした「賃金と物価の好循環」や「成長と分配の好循環」の拡大・定着を通じて、希望豊かなWell-beingの高い社会の実現を目指す。
    • 経済・財政・社会保障の持続可能性の確保
      • 高齢化率は継続的に上昇し、医療費や介護費への影響が大きい75歳以上や85歳以上の人口は長期にわたって段階的に増加する一方、生産年齢人口は減少が見込まれる。こうした中で、経済・財政・社会保障を一体として相互に連携させながら改革を進め、経済社会の持続可能性を確保していく。
      • 上述した持続的な経済成長や成長と分配の好循環の実現は、財政や社会保障の給付と負担のバランスの改善に寄与する。社会保障もまた、健康で生涯活躍できる社会の実現、セーフティネット機能による暮らしの安心確保を通じた消費の押し上げ、保険料負担の上昇の抑制による可処分所得の引上げなど、成長と分配の好循環を支える重要な役割を担い、給付と負担のバランスの確保は財政健全化にも欠かせない要素である。財政についても、EBPMによるワイズスペンディングを徹底しつつ、官民連携による投資促進等の成長力強化を図るとともに、財政の信認を確保していくことは、民需主導の経済成長を支える重要な基盤となる。
      • 以上の方向性に沿った改革を進め、人口減少が深刻化する2030年代以降も、実質1%を上回る経済成長を実現するとともに、これまでと同様に医療・介護給付費対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組み、一定幅でのPBの黒字基調を維持していくことができれば、長期的な経済・財政・社会保障の持続可能性が確保される。こうした長期のあるべき姿からバックキャストして、今後の中期的な経済財政運営を進めていく。
    • 地域ごとの特性・成長資源をいかした持続可能な地域社会の形成
      • 2050年にかけて、都市部では高齢人口が増加する一方、地方部では人口減少が深刻化するなど、人口動態の変化の現れ方は自治体や地域ごとに異なる。また、老朽化により更新時期を迎えるインフラ・公共施設が一斉に増加するとともに、人口減少の更なる進展に伴って、担い手不足や一人当たりでみた公共サービス維持のコスト増が顕在化し、個々の自治体だけでは持続可能性を確保できない地域も出現する可能性がある。こうした中で、地方創生の新展開を強力に推進して、地域の人口減少や東京一極集中に対応し、地域の特性や魅力を活かした自律的な地域社会を創出していく。また、広域化・共同化により公共サービスやインフラの選択と集中を進めるとともに、DXや新技術の社会実装により地域機能やサービスの高度化を図り、新しい生活スタイルへ移行させていく。
    • 海外の成長市場との連結性向上とエネルギー構造転換
      • 国際情勢の不確実性やエネルギー・資源制約の高まり等に対処し得る国際競争力の強化と経済安全保障の強靱化の必要性が高まっている。こうした中で、人口減少下で資源に恵まれない我が国が持続的な経済成長を実現するため、成長市場との連結性を高め、海外の人材・資金を積極的に呼び込み、我が国の投資拡大やイノベーション向上につなげていく。
      • また、エネルギー自給率の大幅な向上によりエネルギー安全保障を確保し、脱炭素とコスト削減の両立により国内産業の稼ぐ力を強くするエネルギー構造に転換していく。我が国は、世界全体の課題である気候変動対策などの分野において、先端を切りひらき、その解決に貢献していく。
    • ビジョン達成に向けた政策アプローチ
      • これらのビジョンを達成するため、以下に掲げる5つの政策の方向性に沿って、デフレ完全脱却の実現に向けた足元の政策対応から一気通貫で、包括的かつ分野横断的な政策アプローチを集中的に講じることにより、速やかに新たなステージに引き上げ持続可能な経済社会への軌道に乗せていくとともに、成長の恩恵を国民に着実に還元していく。
        • 新技術の社会実装によって社会課題の解決を経済成長に結び付けていく観点から、人的投資、研究開発投資、企業の新陳代謝の向上等を通じて付加価値生産性を高める。くわえて、社会課題と新技術をマッチングする機会の拡大や、政府調達や規制改革による一体的な支援を通じ、スタートアップによる新技術の社会実装を加速する。
        • 性別や年齢にかかわらず意欲のある人が生涯活躍できる社会を実現するため、全世代型リ・スキリングや若年期からの健康管理を促す全世代型健康診断等のプロアクティブケア、働き方に中立的な社会保障制度の構築を進める。また、構造的な賃上げの定着に加え、能力に応じた若年世代の待遇改善や、仕事と子育ての両立支援、女性活躍、男女賃金格差の是正、ジェンダーギャップ解消等を推進し、若年世代の安心と結婚・出産・子育ての希望を高め、その希望がかなう結果として出生率が向上する社会を構築する。
        • EBPMによるワイズスペンディングを徹底しつつ、将来の成長につながる分野において、官民連携の下で民間の予見可能性を高める中長期の計画的な投資を推進するとともに、歳出改革に取り組み、金利のある世界に備え財政の信認を確保する。社会保障を持続可能なものとするため、応能負担の徹底を通じて現役世代・高齢世代などの給付・負担構造を見直し、国民の安心につながる効率的で強靱な医療・介護の提供体制を実現するなど、全世代型社会保障制度の構築を進める。
        • 地域における新技術の社会実装や、地域ごとの実情に応じた少子化対策を進めるため、モデル地域を形成し、規制・制度改革や施策間・地域間連携等を通じて先駆的な取組の実践と横展開を進める。また、広域での住民の意見集約の下での都市圏のコンパクト化や、東京一極集中の是正等による強靱な国土構造の形成を推進するとともに、地域経済の活性化や広域連携、自治体DX等により地方行財政基盤を強化する。
        • 高い成長が見込まれるグローバル・サウス等の海外活力を取り込むため、モノ、カネ、ヒトの観点からグローバル戦略を抜本的に強化する。また、脱炭素・低コスト・安定供給を両立させるエネルギー需給構造を実現するため、我が国の強みをいかした革新的エネルギーの技術開発とその社会実装・海外展開を推進する。
    • 国民意識の変革と行動喚起
      • 日本経済を新たなステージに移行させ、中長期のミッションを達成していくためには、我が国が直面する人口減少がもたらす不可避的な課題とそれを解決するビジョンについて、世代を越えて個人、組織、地域社会が議論を通じて広く共有し、国民意識の変革や国民を巻き込んだムーブメントを巻き起こしつつ、一人一人が社会づくりにコミットして行動に移すことが重要となる。こうした行動が積み重なり、やがて大きな社会変革の動きにつながり、「国民が希望を創り、ともに実現する国」や「世界一暮らしやすく、働きやすい国」へと導かれる。今こそ日本経済が潜在的に有する活力を集結するときであり、過去の常識の殻を勇気と熱意をもって打ち破り、「これまで」ではなく「これから」の経済社会を築く好機を逃してはならない。このため、本方針に示された中長期の政策運営の基本的考え方や政策アプローチについて、関係省庁と連携しながら積極的に発信し、国民、民間企業、自治体等の具体的な行動へとつながる効果的な展開を図る
  • 安全・安心
    • 良好な治安を確保するため、テロの未然防止、サイバーセキュリティ対策、有事に備えた国民保護施策、多国間の枠組みを通じた取組を含むマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策等を推進する。
    • 羽田空港での航空機衝突事故等を踏まえ、運輸分野の安全対策に取り組む。自動車メーカー等の不正防止、高齢運転者等の事故防止や自動車事故による被害者の支援を行う。著名人になりすました偽広告の詐欺に対してプラットフォーム事業者に迅速に削除対応させることを含め、「国民を詐欺から守るための総合対策」97に基づき、抑止・対処能力を強化する。
    • 「第二次再犯防止推進計画」98に基づく施策を推進する。国内外の予防司法支援機能や総合法律支援の充実、司法分野・司法試験のデジタル化、インターネット上の人権侵害への対策の強化、法曹人材の確保及び法教育の推進等の人的・物的基盤の整備を進めるとともに、「第4次犯罪被害者等基本計画」99等に基づき、施策を強化する。司法外交閣僚フォーラム100の成果を展開し、法の支配の推進に向けた国際協力・司法外交を外交一元化の下で推進するほか、仲裁機関の認知度向上も含め官民が緊密に連携した国際仲裁の活性化や法令外国語訳の推進等に取り組む。
    • 信頼性の高い機能性表示食品制度の構築に取り組む。食品寄附促進を含め食品ロス削減を図るため、2024年度内に、基本方針101を改定する。デジタル化等を踏まえ、2024年度内に、公益通報者保護制度の改革、消費生活相談DXの推進等を含め、新たな「消費者基本計画」を策定する。
    • カスタマーハラスメントを含む職場におけるハラスメントについて、法的措置も視野に入れ、対策を強化する。
    • 「花粉症対策の全体像」102等に基づき、約30年後の花粉発生量の半減を目指し、スギ人工林伐採重点区域における伐採・植替えを含む発生源対策等に取り組む。熱中症特別警戒情報の活用等の熱中症対策を推進する。
    • クマによる人身被害等を防ぐため、「クマ被害対策施策パッケージ」103に基づき、人の生活圏への出没防止等を推進する。
    • 新型コロナウイルス感染症のり患後症状やワクチンの副反応についての実態把握に資する調査・研究等を進める。全面改定後の「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」に基づき、次なる感染症危機への対応に万全を期すとともに、2025年4月に、国立健康危機管理研究機構を創設し、質の高い科学的知見を迅速に提供する。
    • 狂犬病予防法105関連手続きのオンライン化等の人獣共通感染症対策を推進する。

~NEW~
内閣府 第2回 孤独・孤立対策推進本部 配布資料
▼ 資料1-1:孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画(案)のポイント
  • 重点計画の意義
    • 本年4月1日に施行された孤独・孤立対策推進法(令和5年法律第45号)に基づき、孤独・孤立対策推進本部において決定。
    • 孤独・孤立対策に関する施策についての基本的な方針、孤独・孤立対策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を定め、重点計画に定める施策については、原則として、具体的な目標及びその達成の期間を定めることとされている(推進法第8条)。
  • 現状認識等
    • コロナ禍後も、今後我が国では単身世帯や単身高齢世帯の増加が見込まれ、問題の深刻化が懸念。社会問題の背景に孤独・孤立問題の存在が指摘される。
    • 関係府省庁、地方公共団体及びNPO等が有機的に連携し、社会のあらゆる分野に孤独・孤立対策の視点を入れることを徹底。
    • 推進法に基づき、総理・担当大臣のリーダーシップの下、推進本部を中心に総合的な取組を強化・深化していく。
  • 基本理念(推進法第2条)
    • 孤独・孤立双方への社会全体での対応
    • 当事者等の立場に立った施策の推進
    • 社会との関わり及び人と人との「つながり」を実感できるための施策の推進
  • 孤独・孤立対策の基本方針
    1. 孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい社会とする
      • 孤独・孤立の実態把握
      • 支援情報が網羅されたポータルサイトの構築・タイムリーな情報発信
      • 声を上げやすい・かけやすい環境整備
    2. 状況に合わせた切れ目のない相談支援につなげる
      • 相談支援体制の整備(電話・SNS相談の24時間対応の推進等)
      • 人材育成等の支援
    3. 見守り・交流の場や居場所を確保し、人と人との「つながり」を実感できる地域づくりを行う
      • 居場所の確保
      • アウトリーチ型支援体制の構築
      • 施策の相乗効果を高める分野横断的な連携の促進
      • 地域における包括的支援体制等の推進
    4. 孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動をきめ細かく支援し、官・民・NPO等の連携を強化する
      • NPO等の活動の支援
      • NPO等との対話の推進
      • 連携の基盤となるプラットフォームの形成
      • 行政における孤独・孤立対策の推進体制の整備
  • 特に重点を置いて取り組むべき事項
    • 地方公共団体及びNPO等への支援
      • 連携の基盤となる地方版官民連携プラットフォームや孤独・孤立対策地域協議会の立ち上げ段階の伴走支援、設置の促進。
      • 交付金を活用した支援に加え、活動事例の周知・横展開により地域の実情に応じた対策が実施されるよう支援。
    • 孤独・孤立状態の予防を目指した取組強化
      • 悩みや困りごとが深刻化・複雑化する前に対応する、孤独・孤立状態の予防の観点が重要。
      • 「孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい・声をかけやすい社会」の実現に向けた普及・啓発活動の実施。
      • 身の回りの人に関心をもち、できる範囲で困っている人をサポートする一般市民「つながりサポーター」の養成。
    • 重点計画に定める施策のエビデンスに基づく評価・検証を通じた取組の推進

~NEW~
内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書
▼ 令和6年版男女共同参画白書 概要版
  • 仕事と健康の両立~全ての人が希望に応じて活躍できる社会の実現に向けて~
    • 全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会「令和モデル」の実現に向けて、基盤となるのが「健康」である。
    • 女性と男性では、健康課題の内容も課題を抱えやすい時期も異なる。
    • 女性がキャリアを継続し、キャリアアップしていくためには、仕事と家事・育児等の両立支援に加えて、女性特有の症状を踏まえた健康への理
  • 解・支援等が求められる。
    • 団塊の世代が後期高齢者に差し掛かりつつある現在、認知症への対応も含め、仕事と介護の両立も重要な課題。働きながら介護をしている
  • ワーキングケアラーが増加する中、介護の課題を個人で抱えるのではなく、社会全体で支えていくことが必要。
    • 企業における従業員の健康支援は必要不可欠であり、健康経営に関する取組を大企業だけでなく中小企業等へも拡大させることが必要。
    • 女性が健康課題を抱えながらも働きやすい社会は、男性も含めた全ての人々にとっても働きやすい社会になることが期待される。柔軟な働き方など、両立を実現できるような働き方への変革が重要。
    • 自らの理想とする生き方と仕事を両立することが可能となれば、キャリア継続、キャリアアップのモチベーションとなる。理想とする生き方の実現のために、自らが健康であることや健康課題と上手に付き合うこと、家族等周囲の健康・介護を社会で支えることが重要である。
    • 職業生活における「健康」の維持・増進は、男女ともにウェルビーイングを高め、企業の生産性を向上させることが期待できる。社会全体で健康課題に取り組むことで、人々の労働参画や地域活動などへの参画が拡大し、日本経済の成長や地域を含めた社会全体の活力向上につながるであろう。
  • 社会構造の変化と男女で異なる健康課題
    • 男性特有の病気は50代以降で多くなる傾向にあるが、女性特有の病気は20代から50代の働く世代に多い。
    • 日本型雇用慣行が形成された昭和時代と現代では、人口構造・就業者の構成が変化。女性就業者が増加する一方、就業者全体が高齢化。また、非就業の高齢者も増加。一人一人が希望に応じて、自らの個性と能力を発揮するために、健康維持・増進が重要な課題。
    • 女性の正規雇用比率は、20代後半をピークに年代が上がるとともに低下するL字カーブを描く。出生コーホートで世代による変化をみると、近年は、出産・育児によるとみられる女性の正規雇用比率の低下幅は縮小しており、今後も女性の正規雇用比率の高まりが期待される。
    • 近年、未就学児の育児をする者及び家族の介護をする者に占める有業者の割合が上昇。育児・介護ともに、依然として担い手は、男性よりも女性の方が多い。
  • 仕事、家事・育児等と健康課題の両立
    • 気になる症状への対処法として「休暇・休憩をとる」「市販の薬やサプリメント等を飲む」「病院等に行く」を挙げる割合が高いが、「特に対処していない」とする割合も3~4割。
    • 子育て中の正規雇用労働者の女性は「仕事や家事・育児等で忙しく病院等に行く時間がない」「病院が空いている時間に行けない」ため、気になる症状に十分に対処できていないことが多い。
    • 気になる症状があったときのプレゼンティーイズム※損失割合は、仕事よりも家事等の方が高い。健康課題を抱えていると、仕事よりも家事・育児等に影響が及ぶと認識していることがうかがえる。 ※プレゼンティーイズムとは、何らかの不調を抱えた状態で出社し本来のパフォーマンスが発揮できない状態を指し、出来がどの程度か(生産性)をアンケートによる自己評価等を用いて測定する。なおここでは、家事・育児・介護についても、体調不良を抱えた状態での出来(生産性)という意味で用いている。
    • 小学生以下の子供と同居している有業の女性は、仕事と家事等のプレゼンティーイズム損失割合が同程度となっており、健康課題により仕事にも家事・育児等にも影響が及ぶと自身で認識していると推測されるため、両立支援が重要
    • 月経のある女性の8割が月経不調により生活(仕事や家事・育児・介護)への「支障がある」 。特に20代・30代女性では9割が生活への支障があり、うち4割は「かなり支障がある」。
    • 更年期障害の自覚のある女性の9割、男性の6割が、生活への「支障があると思う」。
    • 職場において、月経に関して困った経験については、「経血の漏れが心配で業務に集中できない」「生理用品を交換するタイミングを作りにくい」「立ち仕事や体を動かす業務で困難を感じる」「生理休暇を利用しにくい」を挙げる割合が高い
    • 更年期障害に関わる症状への対処法をみると、女性では市販薬等の服用の割合が最も高い。一方で、男性の7割、女性の5割は特に対処していない
    • 男女ともに健康認識が高い方が、昇進意欲が高い傾向
    • 男女ともに最も気になる症状に対処できているとする方が、昇進意欲が高い傾向
    • 企業規模にかかわらず、勤務先が健康経営※に取り組んでいる方が、体調が悪い日の頻度が低い。
    • 健康経営により、プレゼンティーイズム年間損失日数を年間4~7日程度減らすことができ、女性の方が減少日数も多い。 ※健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。経済産業省の健康経営度調査では、任意健診・検診の受診勧奨や受診率向上のための取組、従業員等の健康意識向上のための教育の実施、女性特有の健康課題に対する取組等を調査している。
    • 20~39歳女性では、「生理休暇を取得しやすい環境」「出産・子育てと仕事の両立支援」、40~69歳女性では、「病気の治療と仕事の両立支援」「更年期障害支援」「介護と仕事の両立支援」を職場に求める割合が高い。
    • 男性は年代にかかわらず、経営陣・トップ、男性上司、男性社員の理解を挙げる割合が高い
  • 両立支援は新たなステージへ
    • 管理職として働く条件として、男女、年代を問わず「管理職でもきちんと休暇がとれること」の割合が最も高い。
    • 20~39歳女性では「出産・子育てとの両立支援」「育休等によってキャリアが中断されない体制・配慮」「育児等を配偶者と分担できること」が、40~69歳女性及び男性に比べて高い
    • 人生100年時代において、男女ともに自らが健康であり、自らの能力を発揮できる環境が重要。
    • 少子高齢化の進展の中で、労働力の確保・労働生産性の向上のためにも健康支援は必要不可欠。
    • これらが、持続可能な形で自らの理想とする生き方と仕事の両立を可能にする要素になり得る。
  • 家族の姿の変化
    • 人生100年時代を迎え、我が国における家族の姿は変化し、人生は多様化。
    • 昭和60(1985)年には全世帯の4割を占めていた「夫婦と子供」の世帯は、令和2(2020)年時点では全体の25%となり、単独世帯とひとり親世帯が全体の約半数を占めるようになった。
  • 正規雇用比率(L字カーブ)の推移
    • 女性の正規雇用比率は、20代後半をピークに、年代が上がるとともに低下するL字カーブを描いている。
    • 一方、近年、20代から40代を中心に女性の正規雇用比率が上昇している。

~NEW~
内閣府 令和6年版防災白書
  • 「火山」を知る、そして備える
    • 我が国は、111の活火山を抱える世界有数の火山国である。火山は、私たちの生活に恵みを与えてくれる一方で、噴火に伴って発生する火砕流や大きな噴石等は、避難までの時間的猶予がほとんどなく、生命に対する危険の高い災害をもたらすおそれがある。平成26年(2014年)の御嶽山噴火では、予測困難な水蒸気噴火(火山の地下にある水が加熱され、又は減圧により、急激に水蒸気となって膨張することを駆動力とする噴火)が突如発生し、火口周辺に滞在していた多くの登山者が被災した。
    • 我が国においては、宝永4年(1707年)の富士山の宝永噴火や大正3年(1914年)の桜島の大正噴火など、これまでにも大規模な火山噴火が発生してきた歴史がある。大規模な火山噴火が発生した場合には、周辺地域が壊滅的な打撃を受け、その影響が長期にわたって続く可能性も考えられる。
    • 火山国に暮らす私たちは、過去の災害から学び、いつ起きるか分からない火山災害への備えを事前に進めておく必要がある。
    • 令和5年(2023年)に、噴火災害が発生する前の予防的な観点から、活動火山対策の更なる強化を図るため、「活動火山対策特別措置法」(昭和48年法律第61号。以下「活火山法」という。)の一部が改正され、これにより火山調査研究推進本部の設置や「火山防災の日」を制定することなどが新たに定められた。本改正法は、令和6年(2024年)4月に施行され、今後、より一層の火山防災対策の強化・充実が図られることとなる。
  • 災害時におけるインターネット上の偽・誤情報対策
    • 災害時におけるインターネット上の偽・誤情報の流通・拡散は、迅速な救命・救助活動や円滑な復旧・復興活動等の妨げになりかねないものであり、また犯罪にもつながり得るものであることから、救命・救助、復旧・復興などの対応と併せて、当該問題への対応は重要である。
    • 令和6年能登半島地震においては、「不審者・不審車両への注意を促す不確実な投稿」「存在しない住所が記載されるなど、不確かな救助を呼びかける投稿」といった真偽の不確かな投稿が流通したと指摘されている。総務省では、SNSの活用等により、偽・誤情報に惑わされないよう注意喚起を行っているほか、主要なSNS等のデジタルプラットフォーム事業者に対して、明らかに事実と異なり、社会的に混乱を招くおそれのある情報の削除など、利用規約等を踏まえた適正な対応をとっていただくよう総務省を通じて要請を行った。
    • また、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」において、「被災地におけるネット上の偽・誤情報対策」として、被災地の住民を始めとする国民の皆様に対する様々な広報手段を複層的に組み合わせた注意喚起の実施、偽・誤情報対策に係る技術の活用などの施策を推進している。
    • なお、総務省では、「デジタル空間における情報流通の健全性確保のあり方に関する検討会(座長:宍戸常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授)」において、国際的な動向を踏まえつつ、表現の自由をはじめとする様々な権利・利益に配慮しながら、デジタルプラットフォーム事業者を含む幅広い関係者の意見を踏まえて、総合的な対策を検討しているほか、啓発教育教材「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報に騙されないために~」を作成・公表している。
  • 国民の防災意識の向上
    • 我が国ではその地形や気象などの自然的条件により、従来から多くの自然災害を経験してきた。このため、平常時においては堤防の建設や耐震化など災害被害の発生を防止・軽減すること等を目的としたハード対策と、ハザードマップの作成や防災教育など災害発生時の適切な行動の実現等を目的としたソフト対策の両面から対策を講じて、万が一の災害発生に備えている。また、災害発生時には、災害発生直後の被災者の救助・救命、国・地方公共団体等職員の現地派遣による被災地への人的支援、被災地からの要請を待たずに避難所や避難者へ必要不可欠と見込まれる物資を緊急輸送するプッシュ型の物資支援、激甚災害指定や「被災者生活再建支援法」(平成10年法律第66号)等による資金的支援など、「公助」による取組を絶え間なく続けているところである。
    • しかし、今後発生が危惧される南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震、さらに近年激甚化・頻発化する気象災害等によって広域的な大規模災害が発生した場合において、「公助」の限界が懸念されている。
    • 阪神・淡路大震災では、生き埋めになった人の約8割が家族も含む「自助」や近隣住民等の「共助」により救出されており、「公助」である救助隊等による救出は約2割程度に過ぎなかったという調査結果がある。
    • 市町村合併による市町村エリアの広域化や地方公共団体の公務員数の減少など、地方行政を取り巻く環境が厳しさを増す中、高齢社会の下で配慮を要する者は増加傾向にある。このため、国民一人一人が災害を「他人事」ではなく「自分事」として捉え、防災・減災意識を高めて具体的な行動を起こすことにより、「自らの命は自らが守る」「地域住民で助け合う」という防災意識が醸成された地域社会を構築することが重要である
    • 防災・減災のための具体的な行動とは、まずは「自助」として、地域の災害リスクを理解し、家具の固定や食料の備蓄等による事前の「備え」を行うことや、避難訓練に参加して適切な避難行動を行えるように準備すること、台風の接近時などに、住民一人一人に合わせて、あらかじめ時系列で整理した自分自身の避難行動計画(マイ・タイムライン)を作成することなどが考えられる。また、発災時における近所の人との助け合い等の「共助」による災害被害軽減のための取組が必要である。
    • 内閣府が令和4年9月に実施した「防災に関する世論調査」の結果によると、「自助」の重要性の認識や具体的な対策を講じる動きは、阪神・淡路大震災、東日本大震災といった大災害を経て、着実に国民の間に浸透している。しかし、熊本地震が発生し、大きな被害をもたらしたにもかかわらず、その後に実施した平成29年の調査では、例えば「家具等の固定」が40.6%となるなど、「自助」の取組の実施率は頭打ち傾向にある。また、直近の令和4年の調査は、平成29年までの個別面接聴取法と異なり郵送法で実施しているため、従前の調査結果との単純比較はできないものの、総じて取組の実施率は高まっていないおそれがある。その背景として、多くの国民にとっては、災害の被害状況等を報道で見聞きするだけであり、自らが被災者となる実感が得られないことから、災害の発生を契機とした国民の防災意識の高まりが得られにくくなっているとも考えられる。
    • 令和4年の調査では「自然災害への対処などを家族や身近な人と話し合ったことがない」と回答した者(全体の36.9%)に対して、その理由を新たに聞いたところ(複数回答方式)、「話し合うきっかけがなかったから」の回答選択率が圧倒的に高かった(58.1%)。このことから、着手の一歩を踏み出せていない国民に働きかける取組を強化していくことが求められる。
    • 「共助」についても、令和元年東日本台風における長野県長野市長沼地区等のように、平時より地域の防災リーダーが主体となり、避難計画の作成や避難訓練等の「共助」の取組を行っていた地域においては効果的な避難事例がみられ、「共助」の重要性が改めて認識されたところである。
    • 行政が「公助」の充実に不断の努力を続けていくことは今後も変わらないが、地球温暖化に伴う気象災害の激甚化・頻発化、高齢社会における支援を要する高齢者の増加等により、突発的に発生する激甚な災害に対して既存の防災施設等のハード対策や行政主導のソフト対策のみで災害を防ぎきることはますます困難になっている。行政を主とした取組だけではなく、国民全体の共通理解の下、住民の「自助」・「共助」を主体とする防災政策に転換していくことが必要である。現在、地域における防災力には差が見られるところであるが、防災意識の高い「地域コミュニティ」の取組を全国に展開し、効果的な災害対応ができる社会を構築していくことが求められている。
  • 事業継続力強化に向けた企業向け簡易パンフレット等の発信
    • 南海トラフ地震や首都直下地震など我が国の経済活動に甚大な影響をもたらす大規模災害の発生が切迫しているとされている。このような大規模災害が発生した場合、被害や影響は被災地に留まらず、全国に広がることが想定されている。特に、各産業はサプライチェーンを通じて相互依存関係にあり、1社の事業中断が、全国へと連鎖的に広がり、国内外の関連企業や産業全体に影響が波及することが懸念される。
    • こうした事業活動に及ぼす甚大な影響をできる限り回避するためには、これまで取組を進めてきた事業所の耐震化や安否確認、食料等の備蓄などに加え、事業継続計画の策定、仕入先の複数化、企業間や業種を超えた連携等の「事前の備え」が不可欠である。このため内閣府では、令和5年12月に、BCP策定の重要ポイントとして、重要業務の選定、目標復旧時間の設定、必要リソースの確保を明確化するなど、BCPの策定方法を分かりやすくまとめた簡易パンフレットを作成したほか、実際にBCPを策定している企業における取組やその効果などをまとめた取組事例集を作成した。
    • 切迫する大規模地震を乗り越えるため、今後も、経済団体や業界団体と連携し、我が国における事業継続の取組を強化していく。
  • 緩和策と適応策は気候変動対策の車の両輪
    • 近年の平均気温の上昇や大雨の頻度の増加など、気候変動及びその影響が世界各地で現れており、気候変動問題は人類や全ての生き物にとっての生存基盤を揺るがす「気候危機」とも言われている。
    • 個々の気象現象と地球温暖化との関係を明確にすることは容易ではないが、今後、地球温暖化の進行に伴い、このような猛暑や大雨のリスクはさらに高まることが予測されている。
    • 我が国では、2050年ネットゼロと整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けることとしている。しかしながら、2050年ネットゼロ実現に向けて気候変動対策を着実に推進し、気温上昇を1.5℃程度に抑えられたとしても、極端な高温現象や大雨等の発生リスクは増加すると予測されていることから、現在生じている、又は将来予測される被害を回避・軽減するため、適応の取組が必要となる

~NEW~
消費者庁 令和6年版消費者白書
▼ 【概要】令和6年版消費者白書
  • 消費者庁に通知された消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果
    • 2023年度に消費者庁に通知された消費者事故等は1万6,298件。
    • 内訳は、消費者安全法第12条第1項等の規定に基づき通知された重大事故等が1,658件。同法第12条第2項等の規定に基づき通知された消費者事故等が1万4,640件。
    • このうち、「生命身体事故等」が5,635件、「財産事案」が1万663件。
  • 消費生活相談の概況
    • 2023年の消費生活相談件数は約90.9万件で、前年より増加。また、架空請求に関する相談件数は約1.6万件と、直近20年で最少となった。
    • 商品・サービス別では、迷惑メールや不審な電話を含む「商品一般」に関する相談が最多。
  • 消費生活相談のトピックス
    • 成年年齢引下げ前後で18歳・19歳の相談件数の大幅な変化はみられないが、2022年に引き続き、「脱毛エステ」の相談が多くみられた。四半期別にみると、生活環境が大きく変化する4月から6月までの期間に相談件数が多くなる傾向。
    • 通信販売の「定期購入」に関する2023年の相談件数は9万8,101件で、前年より増加。2023年1月から3月までは各月1万件を超えたものの、6月以降は約5,500件から6,500件程度で推移。
    • SNSが関係する2023年の相談件数は8万404件で、前年より増加。幅広い年齢層からの相談がみられ、特に、50歳代、60歳代及び70歳以上の相談件数は、前年と比較して大きく増加。
  • 消費者被害・トラブルの経験と被害・トラブル額の推計
    • 2023年の消費者被害・トラブル推計額(既支払額(信用供与を含む。))は約8.8兆円と前年より増加。
    • 増加要因として、以下が影響していると考えられる。
    • 消費者被害やトラブルについて、推計した発生確率が上昇→被害金額が1万円以上の案件では、脱毛エステを含む「保健サービス」や、化粧品を含む「保健衛生品」等の相談件数が増加。→被害金額が1万円未満の案件においては、「外食・食事宅配」や、玩具を含む「教養娯楽品」等の相談件数が増加。
    • 被害金額1万円以上の案件について、被害1件当たりの平均既支払額が上昇。
  • 変化する取引環境と消費者~デジタル社会と消費者の脆弱性~
    • 消費者概念の変化
      • 現在の消費者法制度では「一般的・平均的・合理的」な消費者を前提としている。→しかし、現実の消費者は常に合理的な判断ができるとは限らない(消費者が有する脆弱性)。
    • 取引環境の変化
      • 近年、デジタル化や高齢化、国際化の進展によって、消費者を取り巻く取引環境が変化。→その中でも、オンライン取引の増加やAI技術の進展等、デジタル化の進展に伴い取引環境は変化し、消費者の利便性が高まる一方、消費者の脆弱性が顕在化しやすくなる可能性も指摘されている。→本年度の消費者白書では、上記課題にも鑑み、消費者の脆弱性に関する近年の議論と、デジタル化の進展した社会における課題に着目し、特集テーマとして取り上げた。
  • 消費者の脆弱性
    • 消費者には様々な脆弱性があり、一部の消費者だけが脆弱性を有するのではなく、誰しもが脆弱な消費者となる可能性がある。
    • 自身の年齢や経済状況等といった「特徴」(類型や属性)を理由に弱い立場にあると感じた人は約5割、自身が置かれた「状況」によって合理的に考えることが難しいと感じた人は約8割。
    • 多くの人が脆弱性を経験しており、また、デジタル社会ではこれらの脆弱性が顕在化しやすくなる可能性について指摘されている。
  • デジタル社会における課題と変化
    • 消費者を意図しない行動に誘導する仕組み
      • 消費者は、商品やサービスを選択する際の環境から影響を受けることがあり、近年、オンライン取引上には、消費者を意図しない行動に誘導する仕組みが存在している。
      • OECDでは、これを「ダーク・コマーシャル・パターン」と呼称し、「消費者を誘導し、欺き、強要し又は操って、多くの場合、消費者の最善の利益とはならない選択を消費者に行わせるものである」としている。また、消費者の自律性への影響や、経済的な損失、プライバシーに関する被害、心理的な被害や時間的な損失等のおそれがあるとしている。
    • AI技術の進展とその影響
      • AI技術の進展によって、ウェブサイトの閲覧履歴等から、消費者を分析し行動や趣味嗜好を予測することが容易となっており、様々なサービスで個々の消費者に合わせた情報提供を可能にしている。
      • 「おすすめ」が表示される機能は便利だと感じる人が約4割いる一方で、事業者の都合で提案をされていると感じた人は約7割、必要以上の情報を収集されていると感じる人は約8割。
      • AI技術による情報の個別化は、個々の消費者に合わせて有用である可能性が高い情報を絞り込むといった利便性の向上に資する一方、様々な課題もある。
      • 消費者を最善の利益とはならない選択に誘導し、消費者に経済的な損失、プライバシーに関する被害、心理的な被害等を与える可能性
      • 事業者と消費者の情報処理能力の非対称性による情報格差の拡大
    • 消費者を取り巻く取引環境の変化
      • 消費者が提供する情報、費やす時間、示す関心は、デジタル社会においては重要な資源と捉えることができ、消費者は、金銭を支払うだけではなく、事業者に情報・時間・関心を提供する存在であると考えられるようになっている。
      • また、デジタル機器の普及によって、シェアリングエコノミーの普及が進み、消費者が売手となるような取引形態が広がりつつあったり、ソーシャルメディアの出現によって、消費者が情報を発信し、他の消費者の購買行動に影響を与えるようになっている。
      • デジタル化の進展に伴う消費者を取り巻く取引環境の変化は、消費者の行動に影響を及ぼし、消費者の果たす役割の重要性やその影響力も変化しつつあると考えられる。

~NEW~
消費者庁 「令和5年度消費者意識基本調査」の結果について
▼ 2調査結果の概要
  • 現在の生活への満足度を聞いたところ、「満足(『満足している』+『どちらかといえば満足している』)」の割合は62.6%となっている。一方、「不満(『どちらかといえば不満である』+『不満である』)」の割合は36.0%となっている。
  • 現在の生活の程度を聞いたところ、「上」の割合が1.6%、「中の上」が14.9%、「中の中」が48.6%、「中の下」が26.9%、「下」が6.6%となっている。
  • 商品・サービス購入時の情報源について聞いたところ、「テレビ・ラジオ」の割合が74.0%と最も高く、次いで「家族・友人・知人」(66.5%)、「インターネット記事やブログ」(61.3%)の順となっている(複数回答)。商品・サービス購入時の情報源について、一人当たりの回答した個数をみると、「5個」の割合が18.3%と最も高く、平均個数は5.3個となっている。
  • 商品・サービス購入時に重視する情報源を最大3つ聞いたところ、「家族・友人・知人」の割合が36.1%と最も高く、次いで「インターネット記事やブログ」(29.9%)、「テレビ・ラジオ」(27.2%)の順となっている。
  • 普段、パソコンやスマートフォン等でインターネットをどの程度利用しているか聞いたところ、「利用している(『ほとんど毎日利用している』+『毎日ではないが定期的に利用している』+『時々利用している』)」の割合は80.1%となっている。一方、「ほとんど・全く利用していない」の割合は18.7%となっている。
  • 「当てはまる(『とても当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「インターネット上の口コミや評価が高い商品を選ぶ」が70.1%と最も高く、次いで「評価の点数が高くても、否定的な口コミを見て購入をためらうことがある」(63.9%)、「レビュー(購入者の評価)の件数が多い商品を選ぶ」(50.6%)の順となっている。
  • 「いずれかに反応したことがある(『「お気に入り」や「いいね」や「高評価/低評価」をつけたことがある』、『「リツイート」や「リポスト」や「シェア」をしたことがある』又は『投稿やコメントをしたことがある』)」の割合は47.9%となっている。一方、「1~3の反応をしたことはない」の割合は40.3%、「SNSや口コミサイト、動画サイト等を利用したことがない」の割合は9.7%となっている。
  • ステルスマーケティングが違法となったことを知っているか聞いたところ、「知っている」の割合が27.1%、「知らなかった」の割合が65.3%となっている。
  • インフルエンサー等の投稿で「PR」等の表示を見た経験について聞いたところ、「見たことがある」の割合が43.7%、「見たことはない」の割合が17.7%、「分からない・覚えていない」の割合が30.7%となっている。
  • 自身の投稿が広告であることを明示する投稿者は明示しない投稿者に比べて信頼できるか聞いたところ、「そう思う(『とてもそう思う』+『ある程度そう思う』)」の割合は63.0%となっている。一方、「そう思わない(『あまりそう思わない』+『ほとんど・全くそう思わない』)」の割合は13.9%となっている。
  • 「当てはまる(『とても当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「簡単に登録ができるのに、解約が複雑で難しいと感じることがある」が68.8%と最も高く、次いで「『残りわずか』等、売り切れ間近のような表示を見ると、購入を急がなければいけないと感じる」(46.3%)、「解約方法が電話限りなのに、つながらないことがある」(42.6%)の順となっている。
  • 自分に合わせた情報が優先的に表示されることを知っているか聞いたところ、「知っている」の割合が76.4%、「知らなかった」の割合が19.3%となっている。
  • 「当てはまる(『とても当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「自分の情報がどこまでAIに使われるかは自分で決めたいと思う」が84.1%と最も高く、次いで「AIの活用のために、必要以上の情報を収集されていると感じる(位置情報、履歴、趣味・嗜好等)」(77.5%)、「自分に適した情報が表示されていると感じる」(72.0%)の順となっている。
  • 「当てはまる(『とても当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「世間一般に向けた情報も見たいと思う」が73.7%と最も高く、次いで「興味のある情報ばかり見ていて、自分の視野が狭まっていると感じる」(52.8%)、「自分の興味がない情報を、目にする機会が減ったと思う」(50.8%)の順となっている。
  • デジタルプラットフォーム上での商品・サービスの購入や出品等の利用経験を聞いたところ、「利用したことがある」の割合が60.7%、「利用したことはない」の割合が35.1%となっている。
  • 「フリマサイト(アプリ)やオークションサイト」で「出品したことがある」の割合は37.6%、「出品したことはない」の割合は62.4%となっている。「シェアリングサービス」で「出品したことがある」の割合は0.9%、「出品したことはない」の割合は97.4%となっている。
  • 購入や出品で利用したことがあるものを聞いたところ、「オンラインモール」の割合が79.6%と最も高く、次いで「フリマサイト(アプリ)やオークションサイト」(59.3%)、「シェアリングサービス」(4.3%)の順となっている。
  • オンラインモールを利用する理由について聞いたところ、「品揃えが豊富」の割合が88.4%と最も高く、次いで「店頭に行く手間が省ける」(86.3%)、「24時間利用できる」(85.4%)の順となっている。
  • フリマサイト等を利用する理由について聞いたところ、「安価に購入・利用できる」の割合が76.7%と最も高く、次いで「24時間利用できる」(59.7%)、「店頭に行く手間が省ける」(53.8%)の順となっている。
  • シェアリングサービスを利用する理由について聞いたところ、「必要な時にだけ利用できて経済的」の割合が63.8%と最も高く、次いで「そのサービスでしか購入できない(利用できない)ものがある」、「安価に購入・利用できる」が共に50.0%となっている。
  • オンラインモールを利用する際の不安や不満について聞いたところ、「現物を手に取って確認することができない」の割合が76.1%と最も高く、次いで「商品説明や口コミ・レビュー(評価)に虚偽や誇張が含まれている」(50.8%)、「個人情報の取扱いなどのセキュリティ面が心配」(44.2%)の順となっている。
  • フリマサイト等を利用する際の不安や不満について聞いたところ、「現物を手に取って確認することができない」の割合が67.6%と最も高く、次いで「商品の安全性や衛生面の確認がしづらい」(58.1%)、「粗悪品や不良品、偽物が届く」(44.6%)の順となっている。
  • シェアリングサービスを利用する際の不安や不満について聞いたところ、「個人情報の取扱いなどのセキュリティ面が心配」の割合が31.0%と最も高く、次いで「商品の安全性や衛生面の確認がしづらい」(29.3%)、「利用規約や個人情報規約の内容が分かりにくい」、「問い合わせ窓口が分かりにくい」が共に27.6%の順となっている。
  • この1年間にオンラインモールで遭遇したトラブルを聞いたところ、「不良品・粗悪品・偽物だったり、注文したものと違うものが届いたりした」の割合が19.5%と最も高く、次いで「商品が送られてこない・遅配された・誤送された」(12.6%)の順となっている。一方、「上記のトラブルに遭ったことはない」の割合は64.1%となっている。
  • この1年間に遭遇したトラブルのうち経験があるものを聞いたところ、「電話番号やメールアドレス等の連絡先が見つけづらかった/見つからなかった」の割合が28.6%と最も高く、次いで「どこに相談すればいいかわからなかった」(27.5%)、「トラブル対応に時間がかかった」(26.6%)の順となっている。
  • この1年間にオンラインモールでトラブルに遭遇した人(749人)に、トラブル時に問い合わせた先を聞いたところ、「オンラインモール運営事業者」の割合が50.7%と最も高く、次いで「販売事業者」(44.3%)、「商品の製造元、サービスの提供元」(15.2%)の順となっている。
  • この1年間にオンラインモールでトラブルに遭遇した人(749人)に、納得のいく解決ができたかを聞いたところ、「納得のいく解決ができた」の割合は58.1%、「納得のいく解決ができなかった」の割合は40.3%となっている。
  • この1年間に実店舗で遭遇したトラブルを聞いたところ、「不良品・粗悪品・偽物だった」の割合が4.9%と最も高くなっている。一方、「上記のトラブルに遭ったことはない」の割合は86.1%となっている。
  • この1年間に遭遇したトラブルのうち経験があるものを聞いたところ、「店舗の対応が不誠実だった」の割合が21.6%と最も高く、次いで「どこに相談すればいいかわからなかった」(20.5%)、「トラブル対応に時間がかかった」(18.4%)の順となっている。
  • この1年間に実店舗でトラブルに遭遇した人(185人)に、トラブル時に問い合わせた先を聞いたところ、「購入した店舗」の割合が65.4%と最も高く、次いで「商品の製造元、サービスの提供元」(34.1%)の順となっている
  • この1年間に実店舗でトラブルに遭遇した人(185人)に、納得のいく解決ができたかを聞いたところ、「納得のいく解決ができた」の割合は50.3%、「納得のいく解決ができなかった」の割合は49.2%となっている。
  • 購入時に合理的に考えることが難しいと感じた状況について聞いたところ、「契約内容が複雑だったとき」の割合が63.0%と最も高く、次いで「十分に考える時間がなかったとき」(52.7%)、「事業者から示された情報が少なかったとき」(45.6%)の順となっている。
  • 購入時に弱い立場に置かれたと感じた理由について聞いたところ、「自身の年齢によるもの」の割合が25.1%と最も高く、次いで「自身の経済状況によるもの」(21.3%)の順となっている。一方、「弱い立場に置かれたと感じたことはない」の割合は47.7%となっている。
  • トラブルや被害に遭う不安の程度について聞いたところ、「不安を感じる(『非常に不安を感じる』+『不安を感じる』+『少し不安を感じる』)」の割合は72.5%となっている。一方、「不安は感じない」の割合は15.2%となっている。
  • トラブルや被害に遭う不安を感じる理由について聞いたところ、「法律や契約に関する知識が乏しいため」の割合が67.9%と最も高く、次いで「専門的な知識が必要なものは、自分で判断しにくいため」(63.8%)、「情報があふれていて、正しい情報を判断しにくいため」(53.2%)の順となっている。
  • 自分自身が購入した商品、利用したサービスについて、「ある」の割合が高い順にみると、「商品の機能・品質やサービスの質が期待よりかなり劣っていた」が16.3%と最も高く、次いで「表示・広告と実際の商品・サービスの内容がかなり違っていた」(11.0%)の順となっている。他の6項目はいずれも5%未満となっている。

~NEW~
消費者庁 大手通信関連会社の名称をかたり、自動音声や国際電話番号等を用いて架空の利用料金請求を行う事業者に関する注意喚起
  • 大手通信関連会社の名称をかたり、自動音声や国際電話番号等を用いて架空の利用料金請求を行う事業者に関する注意喚起を行いました。
  • 詳細
    • 令和5年7月以降、消費者の携帯電話等に、大手通信関連会社の「NTTファイナンス」又は「NTT」の名称をかたり、国際電話番号等から自動音声ガイダンスや着信があるほか、SMSによるメッセージで、「未納料金があります」などと何らかの料金が未納であるかのように告げられたため、消費者が、自動音声ガイダンスの案内に従って携帯電話を操作したり、指定の電話番号に折り返すと、会員サイトやアプリケーションの利用料金名目で「支払われていない」、「このまま支払わないと裁判になる」などと説明され、プリペイド型電子マネーによる支払を請求された、といった相談が各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
    • 消費者庁が調査を行ったところ、上記行為を行う事業者が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(消費者を欺く行為及び消費者を威迫して困惑させる行為)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
    • また、この情報を都道府県及び市町村に対し提供し、周知します。

~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第22回)配付資料 ※ワーキンググループ(第26回)合同開催
▼ 資料22-3-1とりまとめ骨子(案)
  • デジタル空間における情報流通を取り巻く環境の変化
    • SNS等のプラットフォームサービスが国民生活に浸透し、その重要性が向上するとともに、その利用の在り方も多様化しているところ、生成AI等新しい技術の進展がその状況を更に促進し、今後もSNS等プラットフォームサービスが広く深く国民に利用されることが見込まれるのではないか。
    • このような中、SNS等は国民生活や社会経済活動に正の影響がある一方、デジタル空間における情報流通の健全性、ひいては実空間に対する負の影響が顕在化・深刻化しているのではないか。具体的には、偽・誤情報の流通・拡散等の問題の深刻化、アテンション・エコノミーがもたらすリスク・問題、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展による新たなリスク・問題等が生じているのではないか。
    • とりわけ災害時など多くの人の間で正しい情報の適時な共有が求められる事態においては、個人や個別企業の生命・身体・財産への危害のみならず、我が国の国民生活や社会経済活動に与える影響も大きくなり得ることも懸念されるところ、実際に、令和6年能登半島地震等で明らかになったように、偽・誤情報が流通・拡散したと指摘されており、社会全体への負の影響が大きいのではないか。
  • 様々なステークホルダーによる課題への対応状況
    • 本検討会においては、デジタル空間における情報流通を巡る新たなリスク・問題について、構成員のみならず、情報流通に関わる様々な関係事業者や関連団体等による発表やヒアリングを実施し、また、「インターネット上の偽・誤情報対策に係るマルチステークホルダーによる取組集」(2024年5月)の取りまとめ等を通じて、各ステークホルダーによる対応状況を把握・整理してきた。
    • 第1章で概観したリスク・問題に対しては、デジタル空間における情報流通の健全性の確保に向けて、様々なステークホルダーが自主的に対応をしてきたが、対応は区々であり、ステークホルダー間におけるこれまでの連携・協力は必ずしも十分とはいえないのではないか。
    • 結果として、偽・誤情報の流通・拡散をはじめとする問題は解消するに至っていないどころか、問題が顕在化・深刻化しており、さらに、今後の新たなデジタル技術の進展やサービスの普及に伴ってますます状況の悪化が見込まれるのではないか。
  • 諸外国における政策動向
    • デジタル空間における情報流通の健全性を巡るリスク・問題は、諸外国においても同様のアーキテクチャ等によりグローバルにサービスが展開されていること、諸外国においてもインターネット上のSNS等が浸透しその重要性が向上していること、また生成AI等新たなデジタル技術の進展に伴う負の影響を同様に受けていること等から、我が国特有の課題ではなく、諸外国が共通して抱えている課題ではないか。
    • 本検討会では、構成員をはじめとする有識者等から、欧米をはじめとする主要な国・地域における対応状況について把握・整理してきており、我が国でも情報流通プラットフォーム対処法が成立したところであるが、諸外国においても、既に様々なステークホルダーが連携・協力して対応を積み重ねてきているのではないか。
    • SNS等のプラットフォームサービスが国境を越えて提供されていること、諸外国においても既にステークホルダーが連携・協力して有効な対策の検討・実施が積み重ねられつつあることを踏まえれば、今後、デジタル空間における情報流通の健全性を巡る共通する課題に対して諸外国と連携して対処することができなければ、情報流通の健全性を巡る状況が悪化することが見込まれるとの危機感を持って対処すべきではないか。
  • 情報流通の健全性確保に向けた対応の必要性と検討の方向性
    • 第1章から第3章を踏まえ、我が国においても、デジタル空間における情報流通の健全性を巡る課題への対応について、プラットフォーム事業者をはじめとするステークホルダーの個々の自主的な取組に委ねていては、情報流通の健全性が脅かされ、ひいては実空間への負の影響を看過し得なくなるという強い危機感を持ち、様々なステークホルダーがより一層連携・協力し、制度面・ルール面による対応の在り方、技術面による対応の在り方、利用者への啓発活動・リテラシ-向上の在り方等について、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた総合的な対策の在り方を議論・検討し、その結果に基づく対応を実施していくことが必要な時期にあるのではないか。
    • 特に第1章で概観したとおり、プラットフォームサービスのビジネスモデルに起因する課題、アテンション・エコノミーに起因する課題、情報の伝送手段がプラットフォームサービスへシフトすることに起因する課題、生成AI等の新たなデジタル技術に起因する課題等を十分に分析し、「構造的な」課題と「表層的な」課題を見極めた上で、デジタル空間の情報流通の健全性の確保に必要な即効性のある、短期的な「止血」としての対応を進めつつ、中長期的な視野から取り組むべき対応も並行して進めることが必要ではないか。
    • デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けて、情報流通の各過程である「発信」・「伝送」・「受信」に係る様々なステークホルダーが相互に連携・協力して、在るべき方向性について同一の認識を持った上で不断に対応を実施していくことが効果的・効率的ではないか。
    • 情報流通の健全性確保には様々な課題があることを念頭に、第5章において、情報流通に携わる幅広いステークホルダーの間で、その健全性確保に向けた基本的な理念を整理・明確化し共通認識とした上で、第6章において、連携・協力しながら推進すべき対策を検討することが必要ではないか。
  • 第5~6章 情報流通の健全性確保に向けた基本的な考え方・総合的な対策
    • 基本的な理念にのっとり各ステークホルダーがどのような責務・役割を負って健全性確保に取り組むべきかを整理・明確化し、そのための具体的な方策としてどのステークホルダーがどのような対策を講ずる必要があるのか等、総合的な対策を検討し、ステークホルダーの連携・協力の下で、迅速かつ効果的に対応を進めていくことが必要ではないか。
    • 本とりまとめにおいては、検討会において議論・検討した結果について、第5章において、基本理念や各ステークホルダーに期待される役割・責務を、第6章において、情報流通の健全性確保に向けた具体的な方策の在り方として、基本理念にのっとり各ステークホルダーが有する責務・役割を遂行しつつ、各ステークホルダーの間における連携・協力を推進する観点から、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の総合的な対策の方向性を示すこととしてはどうか。

~NEW~
総務省 2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果の公表
▼ 別紙
  • 総務省では、青少年のインターネット・リテラシーに関する実態調査を実施し、結果概要を「2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として取りまとめましたので、公表します。
  • 経緯・内容
    • 総務省では、青少年のインターネット・リテラシー向上のための前提として、特にインターネット上の危険・脅威に対応するための能力とその現状等を可視化するため、2011年度にこれらの能力を可視化するテスト(※)を指標として開発し、2012年度より毎年、高等学校1年生を対象に、青少年のインターネット・リテラシーを測るテストと、インターネット等の利用状況に関するアンケートを実施してきました。※:「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標」 =ILAS(Internet Literacy Assessment indicator for Students)。リテラシーの中でも、特に、インターネット上の危険・脅威への対応能力やモラルに配慮しつつ、的確な情報を判断するために必要な能力を、大分類(3つ)、中分類(7つ)に整理し、多肢選択式問題を作成。数値化することにより、各能力を可視化した。
    • 2023年度は75校・13,108名を対象に、テスト及びアンケートを実施した上、この結果を集計・分析し、「2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として別紙PDFのとおり取りまとめました。
  • 青少年に必要なリスク対応能力の分類
    • 【違法有害情報リスク】
      • 【違法情報リスク】違法コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。
      • 【有害情報リスク】有害コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。
    • 【不適正利用リスク】
      • 【不適切接触リスク】情報を読み取り、適切にコミュニケーションができる。
      • 【不適正取引リスク】電子商取引の問題を理解し、適切に対処できる。
      • 【不適切利用リスク】利用料金や時間の浪費に配慮して利用できる。
    • 【プライバシー・セキュリティリスク】
      • 【プライバシーリスク】プライバシ一保護を図り利用できる。
      • 【セキュリティリスク】適切なセキュリティ対策を講じて利用できる。
  • 2023年度の調査結果概要
    • テスト結果の概要は以下のとおりです。
      • 全体の正答率は71.4%。(前年度正答率:71.1%)
      • リスクの大分類別の正答率については、「3.プライバシー・セキュリティリスク」に対応する問の正答率(68.8%)が、その他のリスクに対応する問に比べてやや低い結果となりました。
      • リスクの中分類別の正答率については、「2c.不適切利用リスク」に対応する問の正答率(80.7%)が最も高く、「2b.不適正取引リスク」に対応する問の正答率(59.6%)が最も低い結果となりました。
    • また、アンケート結果の概要は以下のとおりです。
      • スマートフォンやSNSを利用する際の家庭でのルールがある者の正答率は、家庭でのルールがない者に比べ3.5%高く、また、フィルタリング等を利用している者の正答率は、それらを利用していない者に比べ2.0%高い結果となりました。
      • 偽・誤情報(フェイクニュース)や生成AIに関する危険や注意点、対応策については、「学校の先生」から教わったことがあるとの回答が最も多く、それぞれ全体の54.1%(偽・誤情報)、26.7%(生成AI)でした。
      • 偽・誤情報(フェイクニュース)に遭遇した際の対応について、最も多かった回答は、「他の人やメディアではどのように言われているか、反論している人はいるか等、「他ではどう言われているか」をチェックした」(49.6%)であり、次いで、「その情報源がどこから・いつ発信されたか、根拠となるモノが今もあるか等、「情報源」をチェックした」(43.9%)でした。
      • ICT機器を安心・安全に利用するに当たって必要な能力について、「インターネット、テレビ、新聞等を活用した自主学習で学んだ」と回答した者の正答率(75.8%)は、全体の正答率よりも4%以上高い結果となりました。

~NEW~
国土交通省 「土地基本方針」の変更を閣議決定~サステナブルな土地の利用及び管理の実現へ~
  • 土地基本法に基づく「土地基本方針」(令和3年5月変更)について、令和4年8月から国土審議会(土地政策分科会企画部会)で議論を重ね、今般、新たな施策等を盛り込んだ変更が閣議決定されました。
  • 概要
    • 土地基本方針は、土地基本法に基づき、関係省庁で一体性を持って、時代の要請に対応した土地政策が講じられるよう、施策の基本的な方向性をとりまとめるものです。
    • 新しい土地基本方針においては、「サステナブルな土地の利用・管理」の実現を全体目標とし、限られた国土の有効利用や適正な管理を進めるための施策を総合的に推進いたします。
  • 主な内容
    • 主な記載内容は以下のとおりです。
      1. 適正な土地の利用及び管理の確保を図るための措置等に関する基本的事項
        • 非宅地化を含む土地の円滑な利用転換、継続的な管理を確保するための新たな枠組の構築
        • 改正空家法による総合的な取組、空き地対策との一体的推進
        • 不適切な土地利用等を防ぎ生活環境保全、災害防止等を図る方策の検討
        • 工場跡地、廃墟等の有効利用や管理不全の防止を図るための対応の検討 等
      2. 土地の取引に関する措置に関する基本的事項
        • 空き家・空き地バンクの活用等による需給マッチングの推進 等
      3. 土地に関する調査、情報提供等に関する基本的事項
        • 地籍調査の現地調査手続の円滑化、都市部における法務局地図作成事業の計画的な実施
        • 不動産に関する多様なオープンデータを同じ地図に表示できる不動産情報ライブラリの活用 等
      4. 土地に関する施策の総合的な推進を図るために必要な事項
        • 流域関係者の協働による「流域治水」の取組の推進
        • 不動産鑑定士の担い手確保、土地・不動産のプロフェッショナル人材の確保・育成 等

~NEW~
国土交通省 訪日外国人の国内流動状況について
  • 訪日外国人の国内での移動が分かるFF-Data(2022年分)を作成しました。
  • FF-Dataの概要について
    • 国土交通省では、訪日外国人の都道府県を越える国内流動状況を把握できるFF-Data(Flow of Foreigners-Data:訪日外国人流動データ)を作成しています。FF-Dataでは、都道府県間の流動量、利用した交通機関、国籍等の把握やこれらを組合せた分析が可能です。
  • 今回作成したデータ(2022年分)ついて
    • FF-Dataは、訪日外国人を対象として、国際航空旅客動態調査と訪日外国人消費動向調査で得られたサンプル情報を元に、出入国管理統計を用いて拡大処理を施すことで作成している加工データです。
    • 今回作成したデータ(2022年分)については、訪日外国人消費動向調査(全国調査)、国際航空旅客動態調査(5月調査、8月調査、11月調査)及び出入国管理統計を使用し作成していることから、従来データ(※)との比較や分析に際しては、新型コロナウイルス感染症流行の影響と合わせて留意が必要です。
    • 2019年分のデータは、訪日外国人消費動向調査(全国調査、地域調査)、国際航空旅客動態調査(8月調査、11月調査)及び出入国管理統計を使用し作成
  • データの公表について

~NEW~
国土交通省 大型車に事故時の車両情報の計測・記録装置が搭載されます!~道路運送車両の保安基準等の一部改正について~
  • 大型車の事故時の車両情報を分析しより安全な車両の導入や安全装置の開発を促進するため、事故時のデータを記録する事故情報計測・記録装置(EDR:Event Data Recorder)を備えることとします。
  • 主な改正の概要 (詳細は別紙1参照)
    1. 大型車の事故時の車両情報(加速度、ステアリング操作、衝突被害軽減ブレーキの作動状態等)を記録するために備えるEDR※1について、国連自動車基準調和世界フォーラム(29)において、その記録性能等の要件を定めた国連基準が成立しました。
      • これを踏まえ、大型車(乗車定員10人以上の乗用車及び車両総重量3.5tを超える貨物車)を対象として、令和8年12月以降の新型車より段階的に、EDRを備えることとします※2。
        • ※1EDRは事故直前の加速度などの車両の挙動や装置の状態に関するデータ等を記録するものであり、車両周辺や車内の映像等を記録するドライブレコーダーとは異なります。
        • ※2乗用車等の小型車は、既に国連基準に適合したEDRを備えることとされています。
    2. その他29における国連基準の成立及び改正を踏まえ、以下の改正を行います。
      • バス(乗車定員10人以上の乗用車)にビルトイン型(座席一体型)のチャイルドシートを備える場合には、従来のチャイルドシートと同等の乗員保護性能を確保する構造にすること等の要件を満たさなければならないこととします。
      • ヘッドレストを備える場合には、その座席位置にかかわらず、運転席に備えるものと同等の乗員保護性能を確保する構造にすること等の要件を満たさなければならないこととします。
  • 公布・施行
    • 公布:令和6年(2024年)6月14日
    • 施行:令和6年(2024年)6月15日(1.(1)及び(2)[1]については6月20日)

ページTOPへ

Back to Top