危機管理トピックス

原子力白書/マネー・ローンダリング等対策の取組と課題/なりすまし広告問題/国土交通白書

2024.07.01
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更新日:2024年7月1日 新着45記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)」の公表について
  • 「地域銀行による顧客の課題解決支援の現状と課題」について
  • 大手損害保険会社の保険料調整行為等に係る追加調査の結果について
  • 「金融機関の取組みの評価等に関する企業アンケート調査」の公表について
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券及び三菱UFJ銀行に対する行政処分等について
  • 「成長戦略」等における金融庁関連施策
  • 「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書の公表について
  • ベンチャーキャピタルに関する有識者会議(第3回)議事次第
  • 「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」の公表について
  • 日本IFIARネットワーク第8回総会議事次第・議事要旨
  • 「職域等における金融経済教育を推進するための手法等に関する調査」報告書の公表について
法務省
  • 7月は「再犯防止啓発月間」です
  • 第74回“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~
内閣府
  • 中央防災会議 第44回議事次第
  • 重要経済安保情報保護活用諮問会議
  • 月例経済報告 令和6年6月
消費者庁
  • 「低価格・高リスク」の非純正バッテリーに注意~建物が全焼に至った火災も~
  • 「火災保険を使って実質的に無料で修理ができる」などとうたい、火災保険金を利用した修理工事契約を締結させる事業者に関する注意喚起
国民生活センター
  • そのサイト、大丈夫?ネット通販で商品を購入する前に確認を!-「悪質通販サイト情報」を公表します-
  • 被害回復は困難!SNS上で著名人を名乗る投資話の勧誘に注意
厚生労働省
  • 令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
  • 内部通報に係る調査の結果について
  • 第11回雇用政策研究会資料
経済産業省
  • 著名人・有名企業等なりすまし広告問題に関する3社からの聞き取り結果及び当該結果を踏まえた取組状況の評価の公表について
  • 「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」~変革のための生成AIへの向き合い方~ を取りまとめました
  • 生成AIの学習に必要なデータセット構築やデータ・生成AIの利活用に向けた調査事業を実施します
  • 日本風力開発株式会社から報告徴収に対する回答を受領しました
  • 「持続的な企業価値向上に関する懇談会」の検討結果を「座長としての中間報告」として取りまとめました
  • 「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」を取りまとめました
総務省
  • 災害時の携帯電話の位置情報の提供に係る通知の発出
  • 我が国における青少年のインターネット利用に係る調査結果の公表
  • 利用者情報に関するワーキンググループ(第7回)
  • ICTサイバーセキュリティ政策分科会(第10回)
国土交通省
  • 「令和6年版国土交通白書」を公表します。~持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦~
  • 令和6年能登半島地震でも効果を発揮した免震構造!世界トップクラスの実大免震試験機による「免震動的性能認証制度」が7月よりスタート
  • ダイハツ工業の不正事案に係る基準適合性の確認結果について
  • 宅地建物取引業者の免許申請等及び宅地建物取引業者に係る閲覧制度のデジタル化を推進します!~「宅地建物取引業法施行令及び地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令」を閣議決定~
  • 社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会 令和6年能登半島地震を踏まえた緊急提言の公表について
  • 法人取引量指数 令和6年3月分を公表(試験運用)~全国において、前月比6.0%下落~
  • 既存住宅販売量指数 令和6年3月分を公表(試験運用)~全国において、前月比5.4%下落~
  • 不動産価格指数(令和6年3月・令和6年第1四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.4%上昇、商業用は前期比0.1%減少~
  • 設計住宅性能評価書を交付した住宅の割合は8年連続増加~令和5年度の住宅性能表示制度の実施状況について~
  • 「標準的運賃」に係る実態調査結果の公表~「標準的運賃」の浸透・活用状況等について調査を実施~

~NEW~
内閣官房 「アセットオーナー・プリンシプル」(案)
  • 原則1.アセットオーナーは、受益者等の最善の利益3を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続に基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである4。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。
    • 補充原則
      • 1-1.アセットオーナーは、運用により利益を享受させるべき受益者等が誰か、何のために運用するのかといった運用目的について明確にし、必要に応じて見直すべきである。
      • 1-2.アセットオーナーは、運用目的を達成するために、運用資金の性格、自らの能力・規模、長期的な経済・金融環境等を踏まえ、具体的に目指すリターンや許容できるリスク等といった運用目標5を定めるべきである。また、運用目標を達成するために、経済・金融環境等を踏まえ、具体的な資産構成割合(基本ポートフォリオ)、リスクに関する考え方や運用対象資産の範囲等の運用方針を定めるべきである。
      • 1-3.アセットオーナーは、運用目標・運用方針を定めるに当たっては、適切な手続に基づき、十分な専門的知見に基づき意思決定を行うことができる組織体制の下で行うべきである。
      • 1-4.アセットオーナーは、定められた運用目的・運用目標を踏まえ、自らやステークホルダー等の状況や経済・金融環境等の変化に応じた運用方針となっているかを定期的に検証し、必要に応じて適切に見直すべきである。
  • 原則2.受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである。
    • 補充原則
      • 2-1.アセットオーナーは、運用目標の達成に向けて、資産運用及びリスク管理を継続的かつ適切に運営できるよう、自らに必要な知見を把握するとともに、その知見が確保され、監督と執行それぞれが機能するガバナンス体制を構築すべきである。
        その際、アセットオーナーの規模や運用資金の性格に照らして、必要があれば、金融市場やアセットオーナーにおいて資産運用の経験を有する運用担当責任者を設置し、運用担当責任者の権限を明確化するとともに、必要な監督を行うことも考えられる。
        また、運用担当者について、特定の人材に依存すると、離職時の継続性の支障や運用委託先等との不適切な関係の発生といった懸念も生じることから、適切な資質を持った人材の計画的な確保に留意すべきである。
      • 2-2.アセットオーナーは、適切な運用を行うに当たって、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部人材の登用、又は、金融機関・外部コンサルティング会社・OCIO・業界団体その他の外部組織の活用等を検討すべきである。
        その際、報酬を検討するに当たっては、外部人材や外部組織がもたらす付加価値に応じたものとすべきである。
  • 原則3.アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、自己又は第三者ではなく受益者等の利益の観点から運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な運用委託先を選定するとともに、定期的な見直しを行うべきである。
    • 補充原則
      • 3-1.アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行するため、運用目的・運用目標の達成に資することができるか、運用方針に適合しているか等の観点から、委託先の選定を含め幅広く運用方法を比較検討すべきである。
      • 3-2.アセットオーナーは、運用目的に照らして、運用対象資産の分散、投資時期の分散や流動性等を考慮して、運用方法を選択し、運用資産の分別管理のほか、適切なリスク管理を実施すべきである。
        その際、アセットオーナーの規模や運用資金の性格に照らして、必要があれば、VaR11等の定量的なリスク指標も踏まえながら、ストレステスト等も活用して経済・金融環境の変化に備えることも考えられる。
      • 3-3.アセットオーナーは、運用委託先の選定に当たっては、運用目的・運用目標の達成に資する観点から判断すべきである。
        その際、1つの金融機関等のみに運用を委託することは、効率性の観点から必ずしも否定されるものではないが、従来から委託している金融機関等であることや、選択している運用方法であるという理由のみで同じ金融機関等を選定し続けるべきでない。また、自らや資金拠出者等と、運用委託先及びそのグループ金融機関との取引関係がある場合、運用目的・運用目標に反していないか、適切に利益相反管理を行うべきである。
        また、運用委託先への報酬を検討するに当たっては、運用委託先がもたらす付加価値に応じたものとすべきである12,13。
      • 3-4.アセットオーナーは、運用委託先の選定に当たっては、過去の運用実績等だけでなく、投資対象の選定の考え方やリスク管理の手法等も含めて総合的に評価すべきである。
        その際、知名度や規模のみによる判断をせず、運用責任者の能力や経験(従前の運用会社での経験等を含む)を踏まえ、検討を行うことが望ましい。例えば、新興運用業者を単に業歴が短いことのみをもって排除しないようにすることが重要である。
      • 3-5.アセットオーナーは、受益者等にとってより良い運用を目指すため、運用委託先・運用方法を定期的に評価し、自らの運用目的・運用目標・運用方針に照らして、必要に応じて見直すべきである。
  • 原則4.アセットオーナーは、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、運用状況についての情報提供(「見える化」)を行い、ステークホルダーとの対話に役立てるべきである。
    • 補充原則
      • 4-1.アセットオーナーは、その運用目的を踏まえ、自らの特性に応じて、情報提供すべきステークホルダーを検討した上で、運用目的に照らして適切な運用が実施されているかどうか等、説明責任を果たす上で必要な情報を適切な方法で提供すべきである。
        その際、情報提供に伴う負担を考慮しつつ、ステークホルダーの理解に資する、分かりやすい内容となる工夫に努めるべきである。
      • 4-2.アセットオーナーは、自らと他アセットオーナーの比較がステークホルダーにとって運用目的を達成する判断材料となり得る場合においては、比較できる形での情報提供も検討すべきである。その際、運用実績等の数値のみで単純比較されることは望ましくなく、運用方針等を踏まえ、総合的に比較できるよう工夫することが望ましい。
  • 原則5.アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るに当たり、自ら又は運用委託先の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。
    • 補充原則
      • 5-1.アセットオーナーは、長期的に運用目標を実現させるため、自ら又は運用委託先による、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、投資先企業の企業価値の向上やその持続的成長を促すべきである(スチュワードシップ責任)。
        スチュワードシップ責任を果たすに当たっては、自らの規模や能力等を踏まえつつ、日本版スチュワードシップ・コードの受入れ表明をした上でその趣旨に則った対応を行うことを検討すべきである。その際、複数のアセットオーナーが協働して運用委託先のスチュワードシップ活動に対するモニタリング(協働モニタリング)を行うことも選択肢として考えられる。
      • 5-2.アセットオーナーにおいては、ステークホルダーの考えや自らの運用目的に照らして必要な場合には、投資先企業の持続的成長に資するサステナビリティ投資を行うこと、例えば、金融機関等への委託に当たってサステナビリティに配慮した運用を行うことを求めることや、サステナビリティ投資方針を策定すること、PRI(責任投資原則)に署名することも考えられる。

~NEW~
原子力委員会 原子力白書
▼ 令和5年度版原子力白書 概要
  • 放射線の安全・安心と利用促進に向けた課題の多面性
    • ALPS処理水の海洋放出は、放射性物質の安全性等について国内外で議論を巻き起こした。
    • その背景の一つには、放射線に関する諸現象は難解であり、放射線に関する正確な知識が必ずしも国民に幅広く浸透しておらず、漠然と不安を感じていること等が考えられる。
    • 他方で、我々は、日常生活を営む上で日々、自然放射線を一定量受けて生活している。
    • また、放射線は医療や工業、農業等においても利活用が図られており、今日の生活基盤を支える技術となっている。
    • そうした中、安全・安心な放射線の利用促進に向けては、安全性の確保はもとより、社会的受容性、経済性など多面的な側面を考慮して取組を進める必要。
    • 今後の原子力政策の一助となるよう、「放射線の安全・安心と利用促進に向けた課題の多面性」に関して、具体的な事例をトピックとして採り上げて分析。
    • 原子力・放射線を含む様々なリスク源に関するリスク認識についての調査を紹介
  • ALPS処理水の海洋放出
    • ALPS処理水の安全性については、政府・東京電力一丸となった客観的かつ透明性の高い情報発信や粘り強いコミュニケーションの実施により、国民の間に一定程度浸透。
    • IAEAなどの第三者機関の評価を受けるなど、情報発信の客観性・透明性を確保しようとする取組は有効。
    • 政府・東京電力に対しては、継続して国民の不安の声に真摯に応えていく粘り強い取組が求められる
  • クリアランス物の利用
    • 原子力発電所等の廃止措置を安全かつ円滑に進めるには、クリアランス制度を活用した再利用の促進等、廃棄物の最小化が重要な課題。
    • クリアランス制度では、自然放射線よりも大幅に低く設定されているクリアランス基準(0.01mSv)以下であると確認を得た放射性廃棄物は、一般廃棄物や産業廃棄物と同様に処分や再利用が可能。
    • 一般産業廃棄物(金属くず・コンクリートがれき)はそのほとんどが再利用されている一方で、原子力施設由来のクリアランス物の再利用は、原子力施設敷地内での利用等限定的。
    • 安全性の確保を大前提としつつも、今後のフリーリリースを見据えた再利用先の範囲の拡大や放射能濃度の測定方法などの合理化・効率化等を検討をしつつ、クリアランス制度を活用した再利用を進めることが重要。
    • 原子力関連施設由来のクリアランス物の再利用は金属くず・コンクリートがれきとも進んでいない
  • 放射線の食品・医療分野への利用
    • 食品照射には殺菌効果や発芽防止効果などがあり、世界的には商業規模で流通しているが、日本では法規制によりジャガイモへの照射しか認められていない。
    • 放射線育種は従来より用いられてきた品種改良の手法で、日本でもイネの栽培面積の約18%で放射線育種品種・系統を活用して開発された品種が栽培されている。
    • 医療分野では、X線診断、CT検査やがん治療など放射線利用が浸透しつつある。
    • 個人的ベネフィットが多い医療分野での利用は広まりつつあるが、食品照射は消費者におけるベネフィットが実感されていないこともあり、日本では浸透していない。
  • 放射性廃棄物最終処分
    • 放射性廃棄物の処分については、例えば地層処分の場合は多重バリアを構成して処分するという前提で各バリアの機能について詳細な検討を行うなど、処分する方法ごとに安全に最大限配慮しつつ、積極的に情報発信や地元住民との対話の会などを行っている。
    • 万が一放射性物質が漏れ出した場合も想定し、人間の生活環境への影響が安全な範囲に収まることを確認・説明することが重要。
    • 一方、放射性廃棄物施設以外の例(PCB処理施設)においても、安全性についての丁寧な説明、住民(ステークホルダー)を巻き込んだ検討、徹底した情報公開が実施されている。
    • 放射性廃棄物の処分場確保について、全国レベルで自分ごととしてとらえる必要がある。また、リスク評価や安全性について科学的根拠を持った情報が浸透するよう、あらゆる施策の総動員が望まれる。
  • 放射線利用によるインフラ検査
    • 我が国では、1950年代半ばから始まる高度経済成長期以降に建設された道路橋などの社会インフラ設備の高齢化に対し、X線等の放射線を・利用したコンクリート内部の透過検査等が進められている。
    • X線透過検査においては、放射線の有害な影響から人と環境を適切に防護するため、周辺公衆(道路上を通る車中の人を含む)や作業従事者に関する放射線影響の管理は、法律等により定められている。
    • 放射線利用にあたり、防護の実効性を高めるためには、規制措置への理解と遵守が重要であり、その取組を透明性をもって丁寧に説明することが、国民の安全・安心を得ることに繋がるものと考えられる。
  • 原子力・放射線を含む様々なリスク源に関するリスク認識についての調査
    • 一般層と原子力・放射線に詳しい層の2集団を対象にアンケート調査※を実施。
    • 原子力・放射線に詳しい層に比べ、一般層においては、原子力・放射線関係の項目に対する認知度は総じて低く出る傾向。
    • 主観的に危険と感じる度合いに対して受容度が低く出る傾向。・各リスク項目を「受け入れられない」とする割合は、原子力・放射線に詳しい層の方が総じて低く出る傾向。
    • 中でも原子力・放射線関係の項目については、「受け入れられない」とする割合が原子力・放射線に詳しい層と一般層の間でその差が大きく出る傾向。
    • これまで、国など原子力・放射線関係者が積極的に情報発信や地域住民との対話などを行ってきているが、国民の立場に立って、継続的に必要な見直しを行っていくことが重要。
    • 各リスク項目を「受け入れられる」とした理由に関して、原子力・放射線関係の項目に限らず全体として、「少なければ危険性はない」、「基準値を適正に管理している」が主な理由。
    • 「ワクチン」や「医薬品」などの日常的に使用されているものについては、「ベネフィットがリスクを上回る」の回答割合が高く、そうしたものについては、受容度も高く出る傾向。
    • 一方、原子力発電所は電力の安定供給等に資するが、その運転に伴って対応が必要な廃棄物関連、クリアランス物などは将来にわたっての安全な処分や資源の再利用といった社会的な意義等について、国民のご理解・信頼を得る継続的な努力が重要。
  • 放射線の取扱いに際しての多面的評価の重要性 委員会からのメッセージ
    • 国など原子力・放射線関係者が放射線の取扱いを検討する場合は、代替手段との比較など、社会全体としてのリスクとベネフィットを科学的かつ多面的に評価した上で、国民と共有することが必要となる。
    • その際、国など原子力・放射線関係者は、自らが伝えたい内容のみを恣意的に伝えるのではなく、公正性・客観性を十分踏まえ、正確な情報提供や国民との誠実な双方向の対話等を通じて、国民の信頼を得る努力を粘り強く継続していかなければならない。
    • 自然放射線量等を参考に、放射線に科学的根拠をもって向き合い、安全に活用していくことが重要である。
  • 福島第一事故の原因・事故の進展に関する最新の状況
    • 東京電力福島第一原発事故から13年以上が経過したが、事故進展については、いまだに不明な点も多く、事故当時者の東電やその他機関による調査・研究が継続的に進められている。
    • 時間経過に伴う空間線量率の低下、廃炉作業の進展による環境改善などにより、事故調査が進めやすくなり、さらなる事故進展の解明が期待される。
    • 検討会において、事故当時のベントガス逆流の可能性、水蒸気凝縮のメカニズム解明、水素爆発への可燃性有機化合物の寄与の可能性等の検証が進められている。
    • 独立した組織を設立し、原子力規制委員会と連携して調査研究を推進。ペデスタル内部のコンクリート破損等のメカニズムの解明※を進めている。
    • 事故後13年以上経過する中、リソースの確保が課題となっているが、今後、事故調査が進み、事故進展過程が明らかになることにより、国内外の原子力施設の安全性向上に貢献することが大いに期待される。
  • 国際協力の下での原子力の平和利用と核不拡散・核セキュリティの確保
    1. 原子力の平和利用
      • 原子力委員会は、平和利用とプルトニウムバランス確保の観点から、事業者等が策定するプルトニウム利用計画や使用済燃料再処理等実施中期計画を評価。
      • 我が国保有の分離プルトニウム総量は、2022年末で約45.1トン。
    2. 核セキュリティの確保
      • 原子炉等規制法に基づく核物質防護、核セキュリティ文化の醸成、核セキュリティ対策強化の取組を実施。
      • 2023年10月よりIAEAの核セキュリティ訓練・実証センターの運用を開始。
      • 2023年12月に原子力規制委員会による原子力規制検査の結果を踏まえて、柏崎刈羽原子力発電所の事実上の運転禁止命令が解除された。
    3. 核軍縮・核不拡散体制の維持・強化
      • 唯一の戦争被爆国として、核兵器不拡散条約を基礎に、非核兵器国に認められた奪い得ない権利である原子力の平和的利用の観点も踏まえつつ、核軍縮・核不拡散に向けた取組(国連総会への核兵器廃絶決議案の提出、「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議の開催等)を積極的に実施。
      • 2023年5月、核軍縮に焦点を当てたG7初の首脳独立文書である「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が発出された
  • 諸外国におけるサプライチェーンの現状
    • 日本の原子力の技術は、燃料製造からバックエンドまで国内に一貫したサプライチェーンが存在するものの、福島第一原発事故以降、原発の建設が中断、プロジェクト経験者の高齢化が進み、2012~2020年にかけて20社が原子力事業から撤退。
    • 米国では、2013年までに原子炉の新設が35年間行われず、原子力サプライチェーンが衰退。一方で原子力潜水艦など軍用での需要があり今なお技術を保有する企業は比較的多く存在。
    • フランスでは、建設に関するサプライチェーンが国営会社フラマトム社に集約。フラマトム傘下のドイツ企業等からの調達も多く、欧州全体でサプライチェーンを構築。
    • 米国、フランスでは、規制機関による設計の成熟度の客観的な評価や資機材に関する規格の第三者認証が行われており、サプライチェーンの維持・強化の観点からも、今後の日本の取組にも参考になり得る

~NEW~
金融庁 「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)」の公表について
▼ 「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)」
  • 新たな金融セクターの現状
    1. 第一種資金移動業を営む資金移動業者
      • 資金移動業は、取引額の上限によって第一種から第三種までの3類型に分類されており、第一種資金移動業については取引額の上限が設けられていない。
      • 第一種資金移動業は海外送金を含め、個人による高額商品・サービスの購入や企業間決済の際に利用するなど、従来の送金上限額を超える利用者のニーズに応えるために新たに創設された。高額の為替取引を扱うことが可能となり、マネロン等リスクも相対的に高まることから、資金移動業者は第二種・第三種よりも一層堅牢なリスク管理態勢を整備することが求められる。
      • 2024年以降、新たに2社が第一種資金移動業の認可を受けており、2024年6月現在、第一種資金移動業を営む資金移動業者は4社となっている。
    2. 電子決済手段
      • 我が国では、デジタルマネー類似型ステーブルコインは電子決済手段、暗号資産型ステーブルコインは暗号資産や有価証券として規制されている。
      • 近年、ステーブルコイン発行に向け、海外送金業務を手掛ける資金移動業者がスタートアップ企業との業務提携を発表したほか、大手信託銀行を始めとする複数の金融機関等が発行や活用に向けた共同検討を開始する等、ステーブルコインの発行・実用化に向けた動きが活発化している。
      • ステーブルコインについては、匿名性が高いこと、国境を越えて瞬時に移転が可能であること、資金源の偽装を図る取引に悪用される可能性があること等、暗号資産と同様の脆弱性がFATFのレポートで指摘されており、広範な利用が見込まれることも合わせると、マネロン等リスクの高まりが想定される。
      • 2024年6月時点では、我が国において電子決済手段の発行は確認されていないものの、将来的に幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性がある。
      • 電子決済手段等取引業者においては、環境の変化に伴うリスクの変化を機動的に捉え、適時適切にリスクの低減を図りつつ、利用者のニーズに応じたサービスを提供していくことが期待される。
    3. 高額電子移転可能型前払式支払手段
      • 高額電子移転可能型前払式支払手段については、高額のチャージや、多額の譲渡を実際に行っている利用者は限られるとみられるものの、かねてより前払式支払手段がマネー・ローンダリングに悪用される事例が指摘されているほか、例えば、国際ブランドの前払式支払手段では、数千万円のチャージが可能なサービスも提供されているなど、マネロン等に利用される危険は高いと考えられる。
      • 高額電子移転可能型前払式支払手段の発行者に対しては業務実施計画の届出が求められることとなっており、特定事業者としてリスク管理態勢を整備することが重要である。
  • 態勢整備状況の確認
    • 2024年3月、金融庁等は、金融機関等に対し、ガイドライン対応の期限である3月末時点における対応結果を4月末までに報告することを求めた。
    • 当該対応結果の報告を集計した結果、2024年3月末時点の金融機関等におけるガイドライン対応の完了率は99%であった。
    • これまでの取組を振り返ると、ターゲット検査実施当初は、FATF第4次対日相互審査を受けて改訂・策定したガイドラインやFAQが公表されて間もなかったこともあり、リスクの特定・評価・低減措置といったリスク管理の根幹となる態勢整備が不十分な先や、ガイドラインとのギャップを金融機関等自ら分析する自己評価と検査での検証結果に乖離が生じる先が多く見受けられた。
    • ガイドライン対応の期限が近づくに従って、こうした態勢の不備や自己評価との乖離は少なくなっていった。これは、前述の業界団体と連携した取組やアウトリーチ等も踏まえ、各金融機関等において、経営トップのリーダーシップの下、求められる内容の理解が進み、態勢整備が進展したことが要因と推測される。
    • また、前述のとおり、大方の金融機関等からガイドライン対応が完了したとの報告があったことを踏まえれば、対応期限を定めた集中的な取組が一定の効果を発揮したものと認識している。
  • マネロン等対策に係る2024年4月以降の金融庁の対応
    • 金融機関等においては、2024年3月末にガイドラインに基づく態勢整備期限が到来したことを踏まえ、2024年4月以降、RBAを高度化させるとともに、整備した態勢の有効性を更に向上させていく必要がある。
    • 態勢の有効性を向上させるに当たっては、当然のことながら、態勢整備が完了していることが前提となる。そこで、金融庁としては、2024年4月以降、まずは、金融機関等が2024年3月末の期限までに必要な対応を実施したことを確認し、態勢整備が完了していない場合には早急な対応を求めていく。
    • 具体的には、期限までに必要な対応を完了しなかった金融機関等については、必要に応じて、その理由や今後の対応計画等を個別に確認した上で、適宜、個別に行政対応を検討・実施していく。
    • また、期限までに必要な対応を完了した旨報告があった場合においても、今後、対応が著しく不十分であることが判明した場合には、必要に応じて個別に行政対応を検討・実施していく。
    • 他方、金融機関等における態勢の有効性向上の取組を支援していくことも重要であり、金融機関等が実施する有効性の検証等の取組について事例や参考となる考え方などを整理し、公表・共有に向けた検討も進めていく。
  • マネロン等対策に係る業務の共同化
    • 我が国においては、金融機関等における取引モニタリング等システムの誤検知率が非常に高く、FATF第4次対日相互審査においても、大量の誤検知を手作業でチェックする作業が経営資源の活用に制約を加えているという指摘がなされるなど、中核的な業務である取引モニタリング等の高度化・効率化を図ることが喫緊の課題となっている。
    • 他方、こうした課題に対応していくためには、システム整備や人材確保等の面で負担が大きく、金融機関等が単独で対応するには限界があるといった問題もあったことから、2022年6月に資金決済法が改正されたことを受け、金融庁は、制度的対応として複数の銀行等の委託を受けて為替取引の分析等を行う「為替取引分析業」を創設、許可制を導入するとともに、2023年6月から「為替取引分析業者向けの総合的な監督指針」を適用するなど、監督体制の整備を図ってきた。
      1. 為替取引分析業者の役割・対応方針
        • 為替取引分析業に係る許可申請を提出した事業者に対し、審査を実施の上、これまで3事業者に対して許可を行った。
        • 為替取引分析業は金融機関等におけるマネロン等対策の中核的な業務を受託して行うものであり、為替取引分析業者には、自らが提供する取引モニタリング等の有効性をより高い水準で確保しつつ、金融機関等におけるマネロン等対策の有効性の向上に資する役割が求められている。
        • 金融庁としては、金融機関等が個別に抱えている困難な課題等を解決し、金融セクター全体の高度化・効率化を図っていくため、為替取引分析業者が運用する共同システム及び提供するサービスを利用することが有効と考えている。為替取引分析業者の取組が、金融機関等における取引モニタリング等の有効性の向上に資するものとなるよう、検査・モニタリングを強化していく。
        • なお、金融機関等は、自らのリスクに応じた対応が求められており、その責任は金融機関等自身に帰属することから、為替取引分析業者を利用する場合であっても、委託する業務について一任することなく、各金融機関等においても提供を受けるサービスの品質を確認し、必要に応じ自ら追加の対応等を行う必要がある。
      2. マネー・ローンダリング等対策高度化推進事業
        • 「マネー・ローンダリング等対策高度化推進事業」とは、金融業界全体のマネロン等対策の高度化・実効性の向上を適切かつ迅速に推進することを目的とし、複数の金融機関で利用可能なAI等の技術を活用したシステム開発・実装に係る経費の一部に補助金を交付するものである。当事業に係る経費について令和4年度第2次補正予算にて措置を行った。2023年1月に補助事業者の公募を開始し、同年3月に、外部有識者による審査結果を踏まえて選定した補助事業者2社を公表した。
        • 2024年3月に補助事業実施期間が終了し、同年4月、選定された2社に対し、補助金を交付した。
  • 継続的顧客管理に関する課題
    • 継続的顧客管理の実施に当たっては、金融機関等が自らの全顧客のリスク評価を実施し、そのリスクに応じた頻度・深度により顧客情報の確認・更新を行っている。顧客情報の確認には、ダイレクトメール等で調査票を送付するなどして対応している金融機関等が多い。しかしながら、顧客からの回答が得られないケースが散見され、回答率の向上や郵送以外の顧客情報の確認手段が課題となっている。こうした中、金融庁等としては、各金融機関等の以下の取組を把握した。
    • 【取組事例】
      • 顧客に自動音声電話又はSMS送信で案内している。
      • 顧客が来店した際、窓口担当者が端末画面で情報更新が必要な顧客かどうか確認できるようになっている。
      • 営業店ごとの目標回答率を設定し、業績評価にも反映させている。
      • ATMの取引画面や取引明細書等に、情報更新依頼や読み取ると情報更新手続に進む二次元コード等を表示させている。
    • また、金融機関等が継続的顧客管理を円滑に進めるためには、顧客の理解と協力が不可欠である。こうした観点から、金融庁等や業界団体は、一般利用者に向けて、情報発信や広報活動を行っている。
    • これまでも、政府広報媒体も活用して金融機関等が行っている継続的顧客管理への理解を求める広報に取り組んできたが、2023年7月以降、金融機関等による利用者情報の更新への協力依頼に加えて、情報更新の必要性等について簡潔に解説するための動画を作成し、金融庁ウェブサイト及び金融庁公式YouTubeチャンネル上で公開した。
    • くわえて、近年、売買等によって不正に取得された法人名義の預貯金口座を利用する特殊詐欺等の犯罪が多発している状況を踏まえ、2024年1月に、警察庁と連名でマネロン等対策に係る法人向けチラシを作成し、業界団体に配布した。
    • 今後、業界団体との連携を強化し、より一体的かつ集中的な広報活動を展開する予定としており、関係省庁とともに、広く国民に継続的顧客管理への理解・協力を求めていく。
  • 暗号資産交換業者におけるトラベル・ルールの運用状況
    • 2023年6月にFATFが公表した「暗号資産及び暗号資産交換業者に関するFATF基準の実施状況についての報告書」では、調査に回答した法域のうち半数以上がトラベル・ルールの実施に向けた措置を講じておらず、世界的な基準遵守状況は依然として不十分であるとの見解が示されている。
    • さらに、FATFは、勧告15の実施促進の観点から、2024年3月には、FATF全加盟法域と重要な暗号資産活動のある法域を対象として、基準の実施状況等に係る一覧表を公表した。FATFは、こうした取組が、重要な暗号資産活動がある法域に対する支援の促進を図るとともに、規制・監督当局のみならず、民間セクターにおいても、暗号資産活動が重要な法域における法整備等の基準実施状況や当該国に所在する暗号資産交換業者との取引をリスクベースで自ら見極める一助となることを期待している。
    • こうした中、我が国は犯収法等を改正し、2023年6月以降、暗号資産交換業者に対し、暗号資産を移転する際、移転先の暗号資産交換業者への送付人及び受取人情報の通知を義務付けた。
    • 金融庁等は、定期的なヒアリング等を通じ、トラベル・ルールの運用状況をモニタリングしている。その結果、以下のような対応が不十分な事例が認められており、各暗号資産交換業者においては、これらの事例も参考に自らの運用状況を継続的に検証し、態勢の整備を進めていくことが求められる。(犯収法第10条の5(暗号資産の移転に係る通知義務)関係)
      • 暗号資産交換業者A社は、通知システム(情報通知インフラとしてのコンプライアンスツール)の互換性がない暗号資産交換業者に対し、必要な通知を行わずに暗号資産を移転した。
      • 暗号資産交換業者B社は、顧客から暗号資産の外部への移転指示を受けた際、顧客が提示した移転先がトラベル・ルールの対象法域の外国暗号資産交換業者であるかどうかの調査を完了させていないにもかかわらず、移転先である法域対象国の外国暗号資産交換業者が管理するウォレットをアンホステッド・ウォレット34と同等の扱いとして、通知を行わないまま暗号資産を移転した。
      • 暗号資産交換業者C社は、顧客から暗号資産の外部への移転指示を受けた際、所定のリストから移転先を顧客に選択させる仕様としていた。こうした中、C社は、リストで示した移転先が、非要通知先から要通知先に変わっているかどうか十分に調査・確認していなかったことから、移転先の暗号資産交換業者が非要通知先から要通知先へ変わっていたにもかかわらず、当該暗号資産交換業者への通知を行わないまま暗号資産を移転した。
  • マネロン等リスク管理態勢の有効性検証
    1. 有効性検証態勢に係るモニタリングの実施
      • 金融庁において、マネロン等リスクに応じ必要な態勢整備を完了させた一部の金融機関(以下「金融庁によるモニタリング対象先金融機関」)に対し、ガイドラインで求められる有効性検証の取組状況についてモニタリングを実施した。
      • ガイドラインでは、金融機関等の管理部門及び内部監査部門が、リスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等を含むマネロン等対策の有効性を不断に検証すること及びそのための態勢を整備すること並びに個々のリスク低減措置について個別に有効性を検証することを求めている。上述のとおり、2024年4月以降は、このような検証を踏まえた、リスク管理態勢の高度化及び実効性確保に資する取組がより重要となる。
    2. リスクの特定・評価・低減に係る有効性検証に関する取組事例
      • 金融庁によるモニタリング対象先金融機関では、ガイドラインを踏まえ、(1)顧客属性・取引内容等に鑑みたリスク低減措置の有効性、(2)異常/不正取引抽出措置の有効性、(3)データ管理措置の有効性等を検証している【図表6】。これらは検証時期、要件、主体等を定めたマニュアル及びリスク管理態勢に係る有効性検証計画に従って実施され、その結果を受け、経営陣の関与の下、方針・手続・計画等の見直し等が行われている。
      • 金融庁によるモニタリング対象先金融機関における取組状況の概要は以下のとおりである。
        • 顧客属性・取引内容等に鑑みたリスク低減措置の有効性
          • 顧客全体のリスクの特定及び評価結果によるリスク分布が、自らのリスク認識と整合的であることを確認
          • 高リスク類型顧客に対する追加的リスク低減措置を整理した上で、顧客リスクが許容可能な水準まで確実に低減されているかを精査
          • 高リスク類型顧客に対するデュー・ディリジェンスの実施状況を、顧客から受領したKYCに関する質問票回答のサンプル等を用いて再確認
          • 疑わしい取引の届出実績の分析により、特にリスクが高い取引種別、顧客属性・グループ、取引チャネル等を特定し、それらに対する現行のリスク低減措置の十分性を確認
        • 異常/不正取引抽出措置の有効性
          • 取引モニタリングにおける現行の抽出基準(シナリオ・敷居値等)により、不審又は不自然な取引を適切かつ効率的に検知できているかを、内外情報(アラート生成数、疑わしい取引の届出件数、当局による疑わしい取引の参考事例情報、捜査機関からの情報・口座凍結要請等)に照らし検証
          • 取引フィルタリングに用いるリスト及び取引フィルタリングシステムに設定された検知基準により、不正又はその可能性がある取引を適切かつ効率的に検知できているかを、当局情報や関連ダミーデータを用いたシミュレーション等により検証
        • データ管理措置の有効性
          • 関連ITシステムに連携されたデータ(顧客・口座・取引等)について、必要な情報が全て揃っていて欠損等がないことを、上流システム(勘定系・情報系システム等)が保有するデータに照らし確認
          • 関連ITシステムに登録されるデータの正確性について、元情報や想定されるデータ型(利用可能な記号種、空白の入力可否等)に照らし検証
    3. 有効性検証を実施するための態勢整備や手法に関する事例
      • 金融庁によるモニタリング対象先金融機関では、上記の有効性検証を実施するための態勢整備や実施手法の整理を行っている。個別のリスク低減措置の有効性検証の実施のみにとどまらず、方針・手続・計画の検証及び見直しを行うことで、リスク管理態勢の高度化を図っている。
      • 具体的には、検証対象とする方針・手続・計画等をリスクベースで(例えば全社的リスク評価の過程で)選定し「検証項目」とした上で、その有効性を検証している。方針・手続・計画は、前述の(1)顧客属性・取引内容等に鑑みたリスク低減措置、(2)異常/不正取引抽出措置、(3)データ管理措置に係る取組を含め、包括的に検証されている。
      • 金融庁によるモニタリング対象先金融機関における第2線部署では、10~50程度の検証項目を検証目的に応じて選定した上で、項目ごとの検証時期や検証手法を定めた、リスク管理態勢の有効性検証計画を定期的に策定している。検証計画、検証結果を踏まえた必要な対応等は、上級管理職の関与をもって協議及び決定される。
      • 第2線部署における有効性検証の手法としては、各規程等に定める措置の十分性や、業務記録のサンプル調査により規程等の遵守状況を検証する、などの取組が見受けられた。検証手法は検証対象業務の特性等を踏まえて決定されている。
      • 金融庁によるモニタリング対象先金融機関の第3線部署では、リスク評価を第3線部署独自の手法により再実施の上、年次監査計画を策定している。
      • 第3線部署が被監査部門の業務の遂行状況を検証するに当たり、第3線部署が自らの視点で検証するか、第2線部署における検証の適切性を確認するにとどめるか、あるいは双方を組み合わせた検証を実施するかを、監査項目ごとに選択している事例が確認された。
    4. 有効性検証に係る金融庁の着眼点
      • 金融機関等は、上記1.のとおり、ガイドラインに従い、リスク管理態勢の有効性を検証することを求められているが、特定の時点での取組にとどまることなく、FATF第5次対日相互審査も見据え、金融機関等は継続的に自らのマネロン等対策の有効性検証を実施し、リスク管理態勢を維持・高度化していく必要がある。
      • 金融庁としても、前述の有効性検証等の取組事例に加え、既に述べたとおり、金融機関等が実施する有効性の検証等の取組について事例や参考となる考え方などを整理し、公表・共有に向けた検討を進めていく。
  • 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂
    • 2024年4月、金融庁は、金融機関等によるリスク分析に基づく創意工夫・主体的な対応をより一層促進するため、金融機関等の意見・要望を踏まえ、FAQを一部改訂した。今後も各金融機関等のマネロン等対策の実効性向上に資するよう、ガイドラインやFAQの改訂は機動的に行っていく。改訂の主なポイントは以下のとおりである。
      1. 顧客管理
        1. 自らのリスク分析を踏まえた柔軟な顧客管理措置の促進
          1. リスクに応じた簡素な顧客管理
            • リスクに応じた簡素な顧客管理(以下「SDD」)の適用対象顧客とできる要件である「対象顧客は低リスク先顧客であること」「対象顧客の口座を取引モニタリング検知対象とすること」「対象顧客であっても情報更新された場合は顧客リスク評価を見直すこと」の3点に加え、これらの要件を満たした上で、自らの顧客等のリスク分析を踏まえてSDDの適用対象顧客を選定することができる旨を明確化した。
            • 従来は上記に加えて、「法人・営業性個人ではないこと」「本人確認済みであること」「直近1年間において捜査機関等からの外部照会及び口座凍結依頼を受けた実績がある顧客や疑わしい取引の届出実績のある顧客でないこと」の3点も要件としていた。これらは、金融機関等がリスク分析を行うに当たって考慮すべきポイントではあるものの、これら3点に合致しない顧客を一律にSDD対象外とすることは必須ではない。よって、これら3点は要件ではなく、リスク分析に当たって考慮することが考えられる点として注書きに記載することとした。金融機関等が対応に当たって留意すべき点は以下のとおり。
              • 注書きに記載した点に該当する顧客をSDDの適用対象外とする取扱いを継続することに問題はないと考えられる。
              • 新たな基準でSDD対象を選定する場合、自らのSDD対象顧客群のリスクを分析し、SDDを適用することが妥当である旨の検証することが考えられる。
          2. 顧客情報更新の頻度
            • 顧客のリスクに応じた定期的な顧客情報更新の実施に当たって、金融機関等が自らの直面するマネロン等リスクを検証し、顧客情報更新の頻度を自ら決定できる旨を明確化した。
            • 今般、高リスク先については1年に1度、中リスク先については2年に1度、低リスク先については3年に1度といった頻度で情報更新を行う点はあくまで例示であることを明確化した。また、例示によらず顧客情報更新の頻度を自ら決定する場合は、全顧客のリスク格付を行っていることを前提として、更新頻度が顧客リスク評価を適切に行うために妥当か検証し、経営陣に報告の上適切な頻度を定めること、以降も定期的に更新頻度の妥当性に問題がないことを検証することが考えられる旨を明確化した。金融機関等が対応に当たって留意すべき点は以下のとおり。
              • 高リスク先について1年に1度、中リスク先について2年に1度、低リスク先について3年に1度の頻度での顧客情報更新を継続する金融機関等においては、従来の対応を継続して問題ないと考えられる。
              • 金融機関等が、自ら顧客情報更新頻度を検討する際には、情報更新が必要であると判断した全顧客のリスク評価見直しを一度は実施していることが前提となると考えられる。
              • 金融機関等が自ら顧客情報更新頻度を検討するに当たって、情報更新実施手順や妥当性検証の手順等を規程等に定めること及び経営陣の関与、実施・検討内容・意思決定等の証跡確保等も必要と考えられる。
        2. 調査に応ずることがない顧客のリスク評価
          • 情報更新に有効であると考えられるあらゆる手段を講じても顧客が調査に応ずることがない場合、当該顧客等のリスクを分析し、適切に自らの顧客リスク評価に反映することが考えられる。
          • 金融機関等が定期的に情報を更新することが必要と判断した顧客に対しては、当該顧客の情報更新に有効であると考えられるあらゆる手段を講じて情報を更新することが重要である点は引き続き変わらない。
          • あらゆる手段を講じてもなお情報更新できない顧客については、その事実のみをもって必ずしも高リスクとする必要はなく、取引履歴データ等を踏まえて顧客等のリスクを分析し、分析結果を顧客リスク評価に反映すること及びこうした顧客群の管理状況・評価結果等の妥当性が定期的に検証され経営陣に報告されていることが必要であることを明確化したものである。
        3. 国際機関PEPsに関する記載の明確化
          • 国際機関PEPsについても、国内PEPsや他の顧客と同様にリスクに応じた対応が必要である点を明確化し、併せて国際機関PEPsの定義を記載した。
          • 本項における今般の改訂は、全ての国内PEPs・国際機関PEPsに対する何らかのリストを利用したスクリーニングを一律に行うことや、全ての国内PEPs・国際機関PEPsに対して一律にEDD38を行うことを示したものではない。他の顧客と同様に、国内PEPs・国際機関PEPsについても、リスク評価を行い、リスクに応じた顧客管理を行うことが考えられることを明確化したものである。
      2. 取引モニタリング・フィルタリング
        • ガイドラインでは、金融機関等に対して、国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定された際に、遅滞なく照合するなど、国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じた必要な措置を講ずることを求めている。
        • 遅滞なく照合するための金融機関等における具体的な対応として、外務省告示の発出日以降、金融機関等は、速やかに制裁対象者リストの更新に着手し、合理的な期日までに差分照合を完了することが考えられることを明確化した。
        • 具体的には、従来は、国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定されてから遅くとも24時間以内に自らの制裁リストに取り込み、取引フィルタリングを行い、各金融機関等において既存顧客との差分照合が直ちに実施されているところであるが、今般の改訂で、財務省が金融機関等に示している基準と整合させた。今後は、改訂後の内容を踏まえて対応することで差し支えないと考えている。
  • フォーラムを終えての感想
    • マネロン等対策は営業面で競合する分野ではなく、地域でマネロン等対策に取り組んでいる姿勢を示すことが顧客の安心・安全につながるため、連携して取り組んでいきたい。(地方銀行)
    • 継続的顧客管理に係る他行の取組事例は、課題である回答率の向上に大変参考になった。(第二地方銀行)
    • 第二地方銀行の中では情報を発信する側だったため、地銀とも意見交換できたことが大変有意義だった。(第二地方銀行)
    • 技術的な面も含めて他金融機関の事例を聞くことができ、大変参考になった。(信用金庫)
    • 2024年3月末に向けて態勢整備を進めていたところ、フォーラムによってかなり疑問点が解消された。(信用組合)
    • 今後は、業容、営業地域、顧客特性等が似通った金融機関でグルーピングして議論するというのも有益(地方銀行)
    • 当局から対面で解決策や参考事例について共有いただけたのが非常に有難かった。今後も対面での開催を希望(地方銀行)
    • 今後は金融犯罪防止の取組も情報交換していきたい。(地方銀行)
  • 直近のFATF基準改訂状況
    • FATFは、2023年10月に、財産回復(勧告4及び38)及びNPO(勧告8)に係る勧告を改訂した。さらには、2024年2月、改訂勧告25(法的取極)に係るガイダンスを採択し、法人及び法的取極の実質的支配者の透明性向上に向けた一連の作業を完了させた。
    • また、クロスボーダー送金の改善に向けたG20における取組、新たな決済手段や送金事業者の登場等による決済市場の構造変化、ISO20022の決済規格等の標準化の動きも踏まえ、FATFでは、現在、FATF基準の技術的中立性や”same activity,same risk, same rules”原則に則り、電信送金(勧告16)に係る基準の改訂作業に取り組んでいる。
    • FATFでは、市中協議(2024年2月~2024年5月)や官民対話を実施してきたところであるが、本勧告改訂は、民間事業者への影響が大きくなり得ること、クロスボーダー送金のコスト・スピードの改善や金融包摂など他の政策目的との両立を図る必要があること、勧告自体が高度に技術的かつ複雑であるといった特性を有する。
    • 金融庁としては、これらを踏まえ、引き続き、関係省庁・民間事業者等と緊密に意見交換を行いながら、勧告の最終化等に適切に対応していく方針である。
  • FATF基準改訂を踏まえた政府による主な取組
    • 法人及び法的取極の透明性向上に関する取組(勧告24、25関係)
      • 政府として、株式会社を対象とした仕組みの構築を優先的に実施することと整理し、法人の透明性向上に関する取組について検討を進めた。また、外国で設立された法人や外国信託等について、本邦においてマネロン等に悪用されるリスクの評価を実施する等、検討結果を踏まえ、今後3年間で取り組むべき対応内容を行動計画(2024-2026年度)に取りまとめた。
    • 財産回復に関する取組(勧告4及び勧告38関係)
      • 政府は、2023年10月にFATFにて採択された財産回復に係る勧告改訂等を踏まえ、2026年度末までに取り組むべき対応方針につき、行動計画(2024-2026年度)に取りまとめた。
    • NPOのテロ資金供与目的での悪用防止に関する取組(勧告8関係)
      • NPOセクターのテロ資金供与目的での悪用リスクに対して、正当なNPO活動を不当に遮ることのないよう、2023年10月、焦点を絞った、比例的かつリスクに応じた措置が効果的な取組の中核となることを明確化する勧告改訂案等が取りまとめられた。これも踏まえ、令和7年度末までに取り組むべき対応内容を行動計画(2024-2026年度)に取りまとめた。
  • フィッシング対策
    • 我が国のインターネットバンキングに係る不正送金事犯については、昨年に引き続き増加傾向にあり、2023年は発生件数が5,578件、被害総額は約87.3億円と過去最多となっている(それぞれ前年比で391.0%、474.6%増加)。
    • 同事犯の多くは、フィッシングによるものと考えられるところ、同事犯に対応するため、各金融機関等によるフィッシング対策の高度化が喫緊の課題となっている。
    • 金融庁は、2022年9月、警察庁と連名で、全国銀行協会(以下「全銀協」)等に対し、DMARCの導入やフィッシングサイトのテイクダウン等を含む不正送金対策の強化を要請したほか、2023年12月、同事犯に係る注意喚起を警察庁、全銀協及び日本サイバー犯罪対策センターと連携して行っている49。また、各金融機関等においてもアプリやウェブサイト上での表示・掲載、店頭でのチラシの配布等により、利用者向けの注意喚起を実施している。
    • フィッシングの特徴としては、常に他金融機関等比で脆弱な金融機関等に標的が移ることや、金融機関側が対策を講ずるたびに新たなフィッシング手口による攻撃が行われることにある。そのため、絶えずフィッシング対策の情報収集を行い、フィッシングの最新の手口や他の金融機関等のフィッシング対策の取組状況等を把握する必要がある。
    • 以下、金融庁がモニタリングにより把握した各金融機関等のフィッシング対策の取組状況を列挙する。各金融機関等は、これに限らず他の金融機関等や業界団体と連携し、日々対策を高度化していくことが求められる。
      • 普段と異なる利用環境からのアクセスを適時・適切に捕捉するシステムを導入し、リアルタイムでのログイン謝絶や送金保留を実施
      • 不正送金事犯で使用されたIPアドレスや端末情報をブラックリスト化し、リスト登録先からのログインを自動謝絶
      • モアタイム中(夜間)の振込上限額の変更依頼や新規振込先への送金依頼を自動保留し、即時での反映は行わず、翌営業日以降に反映
  • 暗号資産交換業者宛ての不正送金対策
    • 昨今、インターネットバンキングによる不正送金事犯や特殊詐欺事案において、暗号資産交換業者が所有する預貯金口座を利用した不正送金被害が多発している。
    • こうした状況を踏まえて、2024年2月、金融庁と警察庁は連名で、全銀協を始めとする関連業界団体等へ利用者保護等のためのリスクベースによる更なる対策の強化等を要請している。本要請においては下記2点の対策が参考事例として挙げられているが、各金融機関等はこれに限らず他の金融機関等や業界団体等と連携し、対策を不断に高度化していくことが期待される。
    • 対策事例の1点目は、振込名義変更(異名義)による暗号資産交換業者への送金停止等である。金融庁にてモニタリングを行った金融機関では、既にインターネットバンキングにおける振込名義変更による暗号資産交換業者への送金をシステムで検知し、自動で事前停止しているなどの取組が多く見受けられた。
    • 対策事例の2点目は、暗号資産交換業者への不正な送金への監視強化である。前述したフィッシング対策や、後述する口座の不正利用対策の内容の中には、暗号資産交換業者宛ての不正送金の監視にも有益となる取組が含まれている。また、下記のような暗号資産交換業者に特化した検知の仕組みや不正利用実態の調査・分析などが含まれる。
    • 暗号資産交換業者宛ての送金の中でも、特にリスクが高いと判断された取引やその取引に関連した個人及び法人に対する深堀調査、必要に応じてインターネットバンキングの利用制限を実施
    • ネットワーク分析を行い、不正利用の疑いが強い口座名義人に関連する個人・法人を特定して、組織的犯罪集団の疑いがあるケースとして深堀調査を実施
  • 預貯金口座の不正利用対策等
    • 近年、特殊詐欺の被害やフィッシング被害が増加しており預貯金口座の不正利用件数も増加傾向にある。
    • 金融庁は、口座の不正利用対策に関して金融機関等に対する継続的なモニタリングを行っており、以下の傾向を把握した。
      • 非対面にて開設された口座は対面で開設された口座よりも不正利用されやすい。
      • 新規に開設された口座(開設後約1年未満の口座)は既存の口座よりも不正利用されやすい。
    • 以下では、口座の不正利用対策として先進的な取組を紹介する。なお、こうした先進的な取組を行っている金融機関等の多くにおいて口座の自主凍結の件数が、警察等からの凍結要請の件数を上回っていた。
      1. 検知及び検知後対応の即時性(リアルタイムモニタリング)
        • 24時間体制で、送金等個別取引の自動保留、自動謝絶や速やかな口座の凍結対応等を実施
      2. 預貯金口座凍結の判断基準の精緻化・明文化
        • 属人的な判断能力やノウハウに頼ることなく口座凍結の判断基準を明確に設定し、規程やマニュアル等にて明文化
      3. 取引モニタリングシナリオや預貯金口座の凍結の判断基準の機動的な見直し
        • 口座の売買・譲渡や収納代行などに見られる特有の挙動・振舞いに着目し、きめ細やかなモニタリングシナリオを設定
        • 不正利用の検知基準向上のため、日々の業務の中で把握した傾向等を、数日以内に既存のモニタリングシナリオや判断基準に反映
        • モニタリングシナリオや判断基準の見直しを、月次以上の頻度で実施。くわえて、定期的にシナリオや敷居値の有効性を検証
        • 金融庁は、これまでのモニタリングを通じて、相対的に対策が劣る金融機関等では口座の不正利用が増加する傾向を把握している。他方で、口座凍結に積極的に取り組む金融機関等では不正利用が抑止・減少する傾向にある。
        • 各金融機関等は、積極的・機動的な情報交換を行うとともに、他の金融機関等の取組を参考にしつつ、自らの口座不正利用対策に劣っている点がないか、また、改善・高度化の余地がないか、感度を高く保つことが重要である。
  • 法人名義の預貯金口座の悪用への対応
    • 法人名義の預貯金口座は、一般的に個人名義の口座と比較して、振込限度額が高額あるいは上限設定がない場合が多く、例えば、短期間で多頻度の入出金が繰り返される場合であっても、通常の商取引に係る決済・送金と不正な入出金とを明確に区別をすることは、金融機関等にとって困難な場合が多くみられる。
    • また、金融機関等が正規に利用されている法人名義の口座を誤って口座凍結・取引停止した場合、当該法人の事業運営及び継続、資金繰り等に多大な影響を与えるおそれがあることについて、金融機関等としては、不正利用が疑われる場合であっても法人名義の口座への対応には慎重になる傾向がある。
    • これらの特徴を含め、詐欺等のために口座の不正利用を企図する者にとっては、法人名義の口座の買入れ・譲受けを志向するものと考えられる。
    • 各金融機関等における法人名義の口座の取引モニタリングに当たっては、インターネットバンキングの接続場所や端末、申告された事業の特性と入出金との整合性等、通常の商取引に係る取引とは異なる取引を検知するため、これまで以上に法人顧客について、リスクに応じた適切な顧客理解を深めることが期待される。
  • 偽造本人確認書類を用いた預貯金口座開設への対応
    • 特殊詐欺やSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺53など預貯金口座への振込みにより他人の金銭を詐取する類いの犯罪において、架空・他人名義の口座が振込先として悪用されている例が多数みられる。
    • このように不正に利用される振込先口座には、本人確認書類(運転免許証等)の偽造等により不正に開設されたものもある。インターネット上には、偽造本人確認書類の販売や本人確認書類の偽造等の請負に関するウェブサイトが存在し、精巧な偽造書類を比較的容易に入手することが可能となっている。そのため、金融機関等にとって、本人確認書類の偽造等への対応を始め、不正な手段による口座開設への対策は急務である。特に、顧客と対面することなく口座開設を受け付ける場合には、本人確認書類自体の手触りや質感等を確認することができず、偽造等を看破することが困難であることから、本人特定事項の確認方法の特性に応じた対応を検討する必要がある。後述の「国民を詐欺から守るための総合対策」では、口座の不正利用防止対策の強化等として、非対面、対面ともに公的個人認証による本人確認を行うこととしている。
    • なお、本人確認書類の偽造等を識別するために金融機関等では、以下のような対策が講じられている。
      • 本人確認書類の偽造に関し、手口等の特徴を分析して審査に活用
      • 偽造本人確認書類の識別能力を向上するためシステム化を推進
      • 口座開設数の増加に応じ、行内のリソース確保や業務委託先との連携を含め、適切な審査体制を整備
    • また、本人確認書類の偽造等に対し高い耐性を持つと考えられる本人確認方法としては、犯収法施行規則第6条第1項第1号ヘ・ト・チに規定する本人確認書類のICチップに記録された情報の送信を受ける方法のほか、同号ワに規定する公的個人認証サービスを利用する方法があり、今後、一層の利用拡大が期待される。また、対面での本人確認においても、本人確認書類の提示に加え、ICチップ情報の確認を行うことも偽造本人確認書類を見分ける上で効果的である。
▼ 「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)」(概要)
  • 「マネロンガイドライン」に基づく態勢整備の期限を迎え、今後はFATF第4次対日相互審査での指摘への対応〔第2章〕から第5次対日相互審査審査に向けた実効性の向上〔第3章〕に視点を移していくことが必要。
  • 特殊詐欺事案等の急増とこれらにおける金融サービスの不正利用対策〔第4章〕は目下の最重要課題
  • 第1章 日本政府におけるマネロン等対策の取組
    1. 「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」の策定
      • 「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」のうち、金融庁関連部分の概要
    2. 金融庁におけるリスクベース・アプローチの取組
      • 当庁のリスクベース・アプローチ手法としての金融セクター分析とCRR
    3. 新たな金融セクターの現状
      • 近年登場した金融セクター(第一種資金移動業を営む資金移動業者、電子決済手段、高額電子移転可能型前払式支払手段)の現状
  • 第2章 FATF第4次対日相互審査での指摘対応を含めた基礎的な態勢の整備
    1. 2024年3月末までの態勢整備状況
      • FATF第4次審査での指摘を踏まえ各金融機関に要請していた態勢整備に関する、現状の把握やターゲット検査・アウトリーチ等の取組
    2. マネロン等対策に係る2024年4月以降の金融庁の対応
      • 上記1.で取りまとめた現状を踏まえた行政対応を含む今後の対応
    3. マネロン等対策に係る業務の共同化
      • 為替取引分析業による取引モニリング等の高度化の取組
    4. 継続的顧客管理に関する課題
      • 円滑に継続的顧客管理を進めるための官民一体での情報発信・広報
    5. 暗号資産交換業者におけるトラベル・ルールの運用状況
  • 第3章 FATF第5次対日相互審査を見据えた実効性向上に向けた取組
    1. マネロン等リスク管理態勢の有効性検証
      • 有効性検証に関するモニタリング結果と取組事例
    2. 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂
      • 金融機関の主体的な対応を促すためのFAQ改訂(24年4月公表)
    3. 各地域における金融機関等の連携強化(業態横断フォーラム)
      • 各地域における「業態横断フォーラム」の概要・結果
    4. FATF基準改訂も踏まえた対策の実効性向上
  • 第4章 金融サービスの不正利用対策
    1. インターネットバンキング不正送金対策強化
      • フィッシング対策
      • 暗号資産交換業者への異名義送金の停止等とモニタリングの強化
    2. 預貯金口座不正利用対策等
      • 法人口座を含めた預貯金口座の不正利用の特徴や対策
    3. 偽造本人確認書類を用いた口座開設への対応
      • 本人確認書類の偽変造対策、公的個人認証(JPKI)の活用
    4. 国民を詐欺から守るための総合対策
      • 「国民を詐欺から守るための総合対策」(24年6月公表)のうち、金融庁関連部分の概要
▼ 「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2024年6月)別紙:金融セクター分析結果概要」

~NEW~
金融庁 「地域銀行による顧客の課題解決支援の現状と課題」について
▼ 「地域銀行による顧客の課題解決支援の現状と課題(主なポイント)」
  • 本レポートは、地域銀行による顧客企業の課題解決支援の取組みを後押しするため、金融仲介を取り巻く環境変化が地域銀行に与えている影響を分析し、企業のライフサイクルごとに支援の現状と課題を整理したもの。
  • 地域銀行は、支援分野の多様化等に対応するため、人的リソースの確保が課題となっている。そうした中、顧客の課題解決に向けた付加価値の高い支援を提供し、地域銀行自身の収益基盤を強化するためには、中長期的な視点で注力する分野を見極め、適切な人的リソースの配分や必要な態勢整備を行うことが重要である。
  • 今後、金融庁としては、分析結果を踏まえ、地域銀行の取組みの実態把握や海外事例の調査等をさらに進め、地域銀行の顧客支援態勢の充実に向けた一層の創意工夫を後押ししていく。
  • 創業支援
    • 創業期の企業に対しては、公的創業支援制度の積極的な活用が見られる
    • 創業期以外の企業への融資よりも積極的に取り組む方針の地域銀行は少ない
    • 創業後の事業拡大期の資金ニーズに応えられるよう、意識的に事業内容や成長可能性を評価する「目利き力」を高めていくことが重要
    • スタートアップ融資については、海外事例等を参考にしつつ審査基準・態勢を構築することが重要
  • 本業支援
    • 顧客の抱える経営課題の多様化にあわせ、本業支援サービスを拡充している
    • 顧客の経営課題やニーズの把握等には改善の余地がある
    • 顧客の経営課題の十分な理解等が、収益性の向上につながることを認識し、各事業に最適な人的リソースを配分することが重要
    • 専門人材の育成・確保、支店と本部の連携強化等を通じ、効果的な支援態勢を確立することが重要
    • 支援効果や顧客からのフィードバックを把握し、更なる支援の質の向上につなげるサイクルを構築することが重要
  • 経営改善支援/事業再生支援
    • コロナを受け支援専門部署の人員を増強し、返済条件の変更や改善・再生計画の策定を中心に支援している
    • 返済条件の変更が長期間にわたっている事業者が相応に存在している
    • 経営陣が経営改善・事業再生支援にコミットし、中長期的な収益機会と認識して、地域への影響等も考慮しつつ早期の支援に取り組むことが重要
    • 個々の事業者の状況をより反映した引当を検討することが重要
    • 支援の動機づけとなるよう評価制度を工夫したり、支援を担う人材の育成を強化することが重要

~NEW~
金融庁 大手損害保険会社の保険料調整行為等に係る追加調査の結果について
  • 金融庁は、令和5年12月26日(火曜日)、大手損害保険会社4社(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、損害保険ジャパン株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、三井住友海上火災保険株式会社。以下「各社」という。)に対し、保険業法第132条第1項に基づく業務改善命令を発出しました。
  • 今般、業務改善命令におけるⅠ.1.②「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)に抵触すると考えられる事案、同法の趣旨に照らして不適切な行為があった事案について、更なる事案の特定、調査等」に関して、各社からの報告を取りまとめましたので、公表します。
  • 追加調査の結果、各社からの報告によれば、少なくとも1社の保険会社において、独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為(以下「不適切行為等」という。)があるとされた保険契約者は600先※1、そのうち1社からの報告は392先、2社以上からの報告は208先となりました(令和6年6月14日時点※2※3。)。
    • ※1 保険契約者数は金融庁による名寄せ後の数字。なお、保険契約者数について、最終的な保険契約者数は多数になるが、代理店が包括的に契約条件の決定権限を持っていた契約や複数団体向けの契約は1件として集計。
    • ※2 令和5年12月26日時点では、不適切行為等があるとされた保険契約者は576先、そのうち1社からの報告は458先、2社以上からの報告は118先。
    • ※3 各社からの報告を突合した結果、ある社から独占禁止法に抵触するおそれのある行為として報告があった事案について、当該行為に関与したとされた他の社から報告がない場合に、当該他の社に対して調査を求めたところ、前回報告時点で未報告であった理由としては、会社として事案を把握するに至らなかったものが80%、会社として事案は把握していたが、前回報告時点では調査の上で不適切行為等と認められなかったことや調査中の事案であった等の理由で報告の対象外としていたものが20%。
  • 金融庁としては、追加調査の結果も踏まえ、引き続き、各社において、業務改善計画が確実に実施され、定着が図られるよう、改善を求めてまいります。

~NEW~
金融庁 「金融機関の取組みの評価等に関する企業アンケート調査」の公表について
▼ 「企業アンケート調査の結果」
  • 企業が抱える「事業や経営に関する課題」は、「労働力不足」、「取引先・販売先の拡大」、「人材育成・従業員福祉」、「財務内容の改善」、「経営人材の不在」の順に回答が多い(課題として回答のあった上位5つの合算)。
  • 上位の課題(第1位)として挙げられたものでは、「労働力不足」が最も多く、次いで、「取引先・販売先の拡大」、「財務内容の改善」の順であった。
  • 経営上の課題や悩みをメインバンクに「日常的に相談している」または「時々相談している」と回答した企業の割合は全体で79.8%であり、債務者区分が下位であるほど、「日常的に相談している」と回答した企業の割合が高い。
  • 「日常的に相談している」または「時々相談している」理由としては、債務者区分が上位であるほど「専門性や情報に期待」の割合が高く、債務者区分が下位であるほど「事業への理解度」と回答した企業の割合が高い。
  • 相談状況(左グラフ)について、「全く相談したことがない」と回答した理由としては、「他に相談相手がいるから」が全体で29.2%と最も多く、次いで、「アドバイスを期待できない」、「融資以上期待していない」の順であった。
  • メインバンクが自社の経営上の課題や悩みを「よく聞いてくれる」または「ある程度聞いてくれる」と回答した企業の割合は全体で73.0%であり、前回調査(※)と比較し、3.5%pt増加。(※)前回調査は、2023年2月17日~同年3月8日に実施。以下、同じ。
  • メインバンクの対応について、コロナ期の2021年4月~2022年3月頃と比較して「(課題や悩みを)より聞いてくれるようになった」と回答した企業の割合は、債務者区分が下位になるほど高い。
  • メインバンクが自社の経営上の課題に関する分析結果や評価を「よく伝えてくれる」または「ある程度伝えてくれる」と回答した企業の割合は全体で55.7%であり、前回調査と比較して、0.9%pt増加。
  • メインバンクの対応について、コロナ期の2021年4月~2022年3月と比較して「(課題や評価を)より伝えてくれるようになった」と回答した企業の割合は、債務者区分が下位になるほど高い。
  • メインバンクから伝えられた経営上の課題の分析結果や評価に対する納得感について、「とても納得感がある」または「ある程度は納得感がある」と回答した企業の割合は全体で59.2%であり、前回調査と比較し3.3%pt低下。
  • コロナ期の2021年4月~2022年3月と比較して「納得感が増した」と回答した企業の割合は、債務者区分が下位になるほど高い。
  • メインバンクの評価として「経営上の課題や悩みを聞いてくれる」、「経営上の課題に関する分析結果を伝えてくれる」、「伝えられた経営課題や評価に対する納得感がある」の3つの質問全てに肯定的に回答した先(以下、「課題共有先」という。)は、事業者と金融機関との間で共通理解の醸成が図られており、事業性評価の前提が得られているものと考えられる。こうした「課題共有先」の割合は全体の44.9%であり、前回調査と比較し0.9%pt低下。
  • メインバンクとの取引全般について「満足」と回答した企業の割合は、「課題共有先」が「その他の先」より34.3%pt高い。
  • メインバンクとの関係性について10年前と比較すると、「課題共有先」では、「付き合いが深くなった」と回答した企業の割合は「浅くなった」の割合より51.4%pt高く、また、「事業に対する理解が深くなった」と回答した企業の割合は「変化を感じない」の割合より36.4%pt高い。「その他の先」では、「訪問頻度が減少した」と回答した企業の割合は「増加した」の割合より13%pt高く、また、「営業担当者のレベルが下がった」と回答した企業の割合は「上がった」の割合より9.2%pt高い。
  • メインバンクの担当者との面談頻度は、企業規模が小さい、または債務者区分が下位であるほど面談頻度が低下。
  • メインバンクの担当者と面談頻度が「月1回以上」と答えた企業の割合は、「課題共有先」では8割以上を占める一方、「その他の先」では4割程度にとどまる。
  • メインバンクとのオンライン面談について、約9割の企業が「オンライン面談は実施していない」と回答。
  • メインバンクの担当者の能力・ノウハウ・商品知識に関する評価について、「課題共有先」においては「非常に評価している」、「ある程度評価している」と回答した企業の割合は、それぞれ23.2%、72.2%である。一方、「その他の先」において、「非常に評価している」、「ある程度評価している」と回答した企業の割合は、それぞれ3.8%、56.1%である。また、「その他の先」では、企業規模が小さいほどこれらの割合は低下する。
  • メインバンクの対応について、過去1年以内に「問題点を感じたことがない」と回答した企業の割合は全体で71.0%であり、「課題共有先」においては8割以上が「問題点を感じたことはない」と回答。「担当者の退職や交代が多い」と回答した企業の割合は全体で17.2%であり、「その他の先」の方が「課題共有先」より12.4%pt高い。
  • 過去1年以内に感じた問題点として「ノルマ達成のために担当者が頻繁に訪問してくる」と回答した企業(全体の6.7%)に対して、具体的な営業行為を尋ねたところ、「投信や年金等の金融商品の購入を勧められた」と回答した企業の割合が53.3%と最も高い。上記結果は、「課題共有先」と「その他の先」において、差異はほとんどみられなかった。
  • メインバンクと取引を継続するうえで「借入金利の上昇を許容できる」と回答した企業の割合は、全体で83.3%であり、「僅かでも金利が上昇するのであれば取引を継続したくない」の割合より高い。特に、企業規模が大きい先、債務者区分が上位である先、課題共有先において、金利上昇への許容度が高い。
  • 自社の経営が傾いた際にメインバンクからの支援を「期待できる」、「ある程度期待できる」と回答した企業の割合は、全体でそれぞれ20.6%、58.2%である。また、企業規模が大きい先、債務者区分が上位であるほど割合が高い。「課題共有先」において、メインバンクからの支援を「期待できる」、「ある程度期待できる」と回答した企業の割合は、それぞれ32.6%、59.9%である。一方、「その他の先」において、「期待できる」、「ある程度期待できる」と回答した企業の割合は、それぞれ10.7%、57.1%である。
  • 借入期間の延長や金利の減免など、「借入条件変更、緩和を受けている」と回答した「要注意先以下」企業(「要注意先以下」企業全体に占める)の割合は32.8%である。この割合は、企業規模が大きいほど高い。借入条件変更、緩和を受けた「要注意先以下」企業のうち、過去1年以内に「経営改善に資するサービスの提案・提供を受けている」と回答した企業の割合は51.9%である。この割合は、「課題共有先」の方が「その他の先」より高くなる。
  • 借入期間の延長や金利の減免など、「借入条件変更、緩和を受けている」と回答した「要注意先以下」企業のうち、「借入条件変更、緩和を継続したい」と回答した企業の割合は87.6%である。「課題共有先」と「その他の先」においてその割合に差異はほとんどみられなかった。
  • 金融機関から「手数料を支払っても受けたいサービス」、「実際に提供を受けたサービス」のいずれにおいても、「取引先・販売先の紹介」や「各種支援制度の紹介や申請の支援」といった売上や利益改善に直結するサービスが高い割合を占める。「業務効率化(IT化・デジタル化含む)に関する支援」と「経営人材の紹介」は、「手数料を支払っても受けたい」と回答した企業の割合が「実際に提供を受けた」と回答した企業の割合を上回っており、その差は他のサービスと比較して大きい。
  • サービス提供にあたり、金融機関が自社の経営課題やニーズを「十分に理解している」と回答した企業の割合は26.2%。金融機関が提供するサービスを受けた理由として、「課題共有先」では「信頼できる」、「ニーズをよく理解している」と回答した企業の割合が50%を超え、「その他の先」でのそれぞれの割合を20~30%pt上回る。一方、「金融機関との付き合いから提供を受けた」と回答した企業の割合は、「その他の先」の方が「課題共有先」よりも12%pt高い。
  • 必要性を感じているものの、実際には金融機関からサービスの提供を受けていない理由について、「自社で対応することができた」と回答した企業の割合が最も高いが、「金融機関から提案自体がなかった」と回答した企業の割合が二番目に高く、企業側に金融機関のサービスに対する潜在的なニーズがある。また、「提案されたサービスが自社の経営課題やニーズに沿わないものだった」と回答した企業の割合は13.0%であった。
  • 金融機関から提供されたサービスが自社の経営課題やニーズに合致していたかについて、全体では、「完全に合致していた」と回答した企業の割合は15.3%であり、「ある程度合致していた」と回答した企業の割合は64.1%。提供されたサービスの手数料水準について、全体で62.6%が「妥当な水準である」と回答。提供されたサービスに関し、今後機会があれば「同じ金融機関から提供を受けたい」と回答した企業の割合は、全体で61.8%であり、サービス毎では「事業戦略に関するアドバイス・提案」が69.6%で最も高い。
  • 金融機関からのサービス提供について、「課題共有先」と「その他の先」別にみると、提供されたサービスが自社の経営課題やニーズに合致していたかについて、「どちらかといえば合致していなかった」と回答した企業の割合は、「その他の先」が「課題共有先」を16.6%pt上回る。提供されたサービスの手数料水準について、「どちらかと言えば高い」と回答した企業の割合は、「その他の先」が「課題共有先」を6.6%pt上回る。提供されたサービスに関し、今後機会があれば「同じ金融機関から提供を受けたい」と回答した企業の割合は、「課題共有先」が「その他の先」を16.8%pt上回る。
  • 実際に各サービスの提供を受けた後、金融機関にそのサービスの改善点や活用状況を伝える機会が「特になかった」と回答した企業の割合は、全体で26.5%であり、サービス毎では、「脱炭素化に関する支援」が32.3%と最も高い。また、特に伝える機会はなかったと回答した企業のうち「改善点など伝えたいことはあるが、伝えるつもりはない」、「サービスの改善等に繋がるのであれば、伝えたい」と回答した企業の割合は、全体でそれぞれ13.3%、34.7%。
  • 金融機関へのフィードバックについて、「課題共有先」と「その他の先」別にみると、実際に各サービスの提供を受けた後、金融機関にそのサービスの改善点や活用状況を伝える機会が「特になかった」と回答した企業の割合は、「その他の先」が「課題共有先」を20.7%pt上回る。また、特に伝える機会がなかった企業のうち「改善点など伝えたいことはあるが、伝えるつもりはない」、「サービスの改善等に繋がるのであれば、伝えたい」と回答した企業の割合は、「その他の先」が「課題共有先」をそれぞれ8.1%pt、6.4%pt上回る。
  • 既存融資の個人保証徴求について、企業規模が小さい企業や債務者区分が下位の企業ほど、「徴求されている」と回答した企業の割合が高い。既存融資に個人保証を徴求されている企業のうち、2023年4月の「経営者保証改革プログラムに基づく監督指針の改正」以降、新たに個人保証契約を締結・更新した企業は、全体で45.3%であり、債務者区分が下位であるほど割合が高い。上記各結果について、「課題共有先」と「その他の先」で大きな差はみられなかった。
  • 既存融資における個人保証の保証徴求理由の説明状況について、「説明を受けた」と回答した企業の割合は、全体では52.2%であり、企業規模が大きい先や課題共有先において割合が高い。他方、「説明の申し出がなかったため、説明を受けていない」と回答した企業の割合は全体で36.2%。
  • 経営改善や事業再生に関し、検討した、または検討の俎上に載った支援メニューのうち、「経営改善(計画策定)」「経営改善(ビジネスマッチング・その他)」「事業再生(返済条件変更)」については、約5割の企業が「メイン行に提案を依頼した」または「メイン行より提案があった」と回答。
  • 金融機関以外の支援機関に提案を依頼した、もしくは金融機関以外から提案があった企業では、いずれの支援メニューにおいても「税理士」または「コンサルタント」から支援を受けたと回答した企業の割合が合計で約7割。
  • 「経営改善(計画策定)」「経営改善(ビジネスマッチング・その他)」「事業再生(M&A・事業譲渡)」については、約6割の企業が「業況が厳しくなると予想されるタイミング」に提案やアドバイスを受けたと回答。他方、上記以外の事業再生や廃業支援については、「実際に業況が厳しくなったタイミング」や「約定弁済ができなくなったタイミング」になってから提案やアドバイスを受けたとの回答が5割以上となった。

~NEW~
金融庁 三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券及び三菱UFJ銀行に対する行政処分等について
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対する行政処分
    1. 処分の理由
      • MUMSSに対する証券取引等監視委員会による検査の結果、以下の法令違反等が認められたとして、令和6年6月14日、行政処分を求める勧告で開きますが行われた。
      • 銀証間における不適切な顧客情報の共有等
        1. (ア)銀証間における不適切な顧客情報の共有等
          • 金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号において、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)は、当該金融商品取引業者又はその親法人等若しくは子法人等による非公開情報の提供について、あらかじめ発行者等の書面又は電磁的記録による同意がある場合等を除き、当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等と当該発行者等に関する非公開情報を受領又は提供してはならないとされている。
          • しかしながら、MUMSSの役職員は、親法人等であるMUBK、親法人等であるMSMSとの間において、法人顧客から情報共有を禁止されていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該法人顧客に関する非公開情報の授受を少なくとも13回にわたって行い、これをMUMSS社内で共有していた。また、MUBKから受領した一部の非公開情報については、MUMSS代表取締役副社長(当時)自らが受領するとともに、当該非公開情報を利用して、引受契約の締結にかかる勧誘を行っている状況も認められた。
          • (主な事例1)
            • A社株式の売出しに関する非公開情報について、A社は役員自らが、MUBKに対し、MUMSS及びMSMSへの情報提供の禁止を再三伝達していた。しかしながら、MUMSS代表取締役副社長(当時)は、当該売出しの実行時期、金額、方法等に関する情報をMUBKから受領し、これを社内関係者に共有及び社内関係者からMSMSに提供しているほか、当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、当該非公開情報を利用して、営業戦略を企画し、引受契約の締結にかかる勧誘を行った。
          • (主な事例2)
            • B社が予定していた企業買収に際し、買収資金に係る融資契約の締結に向けた交渉過程において、MUBKがB社より伝えられた本件買収の実施予定に関する非公開情報について、MUMSS職員は、当該情報共有が法令違反行為であると知りながら、B社の意思に反し、MUBKから非公開情報を受領し、これをMUMSS代表取締役副社長(当時)も含めた社内関係者に共有及びMSMSに提供した。
        2. (イ)法人関係情報の管理態勢不備
          • 金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号において、金融商品取引業者は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じなくてはならないとされている。
          • しかしながら、上記アのとおり、MUMSSの役職員は、MUBK及びMSMSとの間で不適切な法人関係情報の授受を少なくとも13回にわたって行っていた。
          • また、社内規程に基づく適切な管理を行わないなど、法人関係情報の不適切な管理も少なくとも16件認められた。
          • MUMSSにおける上記アの行為は、金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号及び第8号に規定する行為に該当するものと認められる。
          • また、MUMSSにおける上記イのような状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。
          • 上記ア、イの行為等は、MUMSS役職員が、銀証間で情報の授受を行ってはならないことを認識しながら、案件獲得というMUMSS、MUBK及びMSMSの利益を優先したものであり、MUMSS代表取締役副社長自らが非公開情報を受領している状況が認められるなど、銀証連携ビジネスの推進にあたり、MUMSSとして法令等遵守意識が希薄であることに起因するものであり、MUMSSにおいては法令等遵守態勢に不備があるものと認められる。
      • 登録金融機関による有価証券関連業の禁止を看過・助長したうえで不適切に金融商品取引契約を締結している状況
        • 登録金融機関による有価証券関連業の禁止を看過・助長したうえで不適切に金融商品取引契約を締結している状況
          • MUMSSは、前回検査において、MUMSSからMUBKに対して引受交渉を依頼し、MUBKが引受シェアの交渉を行ったともとれるような営業日報の記録が認められるなど、MUBKが法令上禁止されている有価証券関連業務を行うことを誘発しかねない状況が認められる旨の指摘を受けていた。この際、MUMSSは、MUMSS担当職員に対する聞き取りを中心とした事実関係の確認のみにとどまり、メール等の検証やMUBKに対する確認を行うことなく、単に誤解を招く記載であったなどと結論づけていた。この結論を前提に、社内に対して営業日報に不適切な記載を行わないよう注意喚起が行われ、MUBKが引受交渉を行っていた旨の事実関係が営業日報に記載されない状況となっていた。このような中、以下のような事実関係が確認された。
            • MUMSS役職員は、少なくとも4回、MUBKが法令違反に該当し得る有価証券の引受けに係る交渉を行っている状況につき、MUBKから報告を受けるなどして把握していたにもかかわらず、MUMSSコンプライアンス部門に対して当該行為を報告・相談していないほか、MUBKの行員に対し、当該行為を止めるよう注意や警告をすることなく、この状況を看過・助長したうえで金融商品取引契約を締結した。
            • MUMSS職員は、少なくとも3回にわたり、MUBKの行員に対し、引受交渉を要請するなど、MUMSS職員からMUBKに対して不適切な働きかけを行っていた。
            • MUMSS職員は、MUBKが本来行うことができない引受業務を行っていること、MUBKが所定の契約条件の融資を行う場合の最低条件としてMUMSSの引受シェアを引き上げてほしい旨の抱き合わせ勧誘を行っていること、及び、MUBKにより所定の契約条件の融資が行われていることを知りながら、顧客との間で引受契約を締結した。
        • 不適切な銀証連携を防止するための内部管理態勢が不十分な状況
          • MUMSSは、前回検査において、MUBKが法令上禁止されている有価証券関連業務を行うことを誘発しかねない状況及びモニタリングが不十分な状況であった旨の指摘を受けており、改善策として、不適切な銀証連携の防止などをテーマとした研修の実施やモニタリングの強化に取り組んでいた。
          • しかしながら、MUMSSコンプライアンス部署によるモニタリングが不十分であったことから、MUBKにおいて多数の法令違反行為が行われている状況を全く把握していなかったほか、MUBKによる法令違反行為が行われていた疑義のある事象少なくとも1件をモニタリングで検出していたにもかかわらず、グループ全体のコンプライアンスを担当する部署と連携し、必要な対応策を講じるなどの然るべき対応をすることを怠るなど、MUBKの法令違反行為を看過していた。
          • このようなMUMSSの対応状況は、不適切な銀証連携を防止するための内部管理態勢が不十分であったと認められる。
          • MUMSSにおける上記のような状況は、金融商品取引法第51条の「公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
          • また、上記行為ア③については、金融商品取引法第44条の3第1項第2号で禁止されている行為に該当する。
          • なお、上記のような状況は、MUMSS経営陣において、MUFGがグループ会社間の営業連携やこれに伴うグループ収益の拡大を掲げる中で、MUBKがグループ収益の確保に向けて、法令で禁止されている引受交渉等に自ら関与するリスクの認識が希薄であったことにより発生したものと認められる。
          • 上記(1)(2)の行為は、グループ連携に係る適正な内部管理態勢を構築・運用する責務を負っている経営陣が、その責務に照らして求められるべき認識を持たず、上記の不適切行為の発生を未然に防止するために必要な内部管理態勢を構築していないなど、経営陣によるガバナンスが十分に発揮されていないことに起因するものであり、MUMSSにおいては、適切な業務運営を確保するための経営管理態勢に不備があるものと認められる。
    2. 命令の内容
      • 業務改善命令(金融商品取引法第51条)
        1. 本件に関して、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
          • 今回の処分を踏まえた経営陣を含む責任の所在の明確化を図ること。
          • 本件に係る根本的な発生原因の分析に基づき、再発防止に向けて、以下の点を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施すること。
            • 経営管理態勢並びに銀証連携等に係る法令等遵守態勢及び顧客情報管理態勢を含む内部管理態勢の強化
        2. 上記1に係る実施状況及び業務改善計画を令和6年7月24日までに書面で報告すること。
        3. 上記2の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として、当面の間、報告すること。
  • モルガン・スタンレーMUFG証券に対する行政処分
    1. 処分の理由
      • MSMSに対する証券取引等監視委員会による検査の結果、以下の法令違反が認められたとして、令和6年6月14日、行政処分を求める勧告で開きますが行われた。
      • 銀証間における不適切な顧客情報の共有等
        • 銀証間における不適切な顧客情報の共有等
          • 金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号において、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)は、当該金融商品取引業者又はその親法人等若しくは子法人等による非公開情報の提供について、あらかじめ発行者等の書面又は電磁的記録による同意がある場合等を除き、当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等と当該発行者等に関する非公開情報を受領又は提供してはならないとされている。
          • しかしながら、MSMSの職員は、親法人等であるMUMSSとの間において、法人顧客から情報共有を禁止されていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該法人顧客に関する非公開情報の受領を少なくとも3回にわたって行い、これをMSMS内で共有していた。また、MUMSSから受領した非公開情報を利用して引受契約の締結にかかる勧誘を行っている状況も認められた。
          • (主な事例1)
            • A社株式の売出しに関する非公開情報について、A社は役員自らが、MUBKに対し、MSMS及びMUMSSへの情報提供の禁止を再三伝達していた。しかしながら、MUBKの役職員は、当該情報提供が禁止されていることを認識していたにもかかわらず、MSMS及びMUMSSが当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、当該売出しの実行時期、金額、方法等に関する情報をMUMSSの役職員に提供し、さらにMSMS職員はMUMSSの職員からこれを受領した。このほか、当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、MSMSの職員及びMUMSSの役職員は当該非公開情報を利用して、営業戦略を企画し、引受契約の締結にかかる勧誘を行った。
          • (主な事例2)
            • B社が予定していた企業買収に際し、買収資金に係る融資契約の締結に向けた交渉過程において、MUBKがB社より伝えられた本件買収の実施予定に関する非公開情報について、当該情報共有が法令違反行為であると知りながら、B社の意思に反し、MUBKはMUMSSに当該非公開情報を提供し、MSMS職員はMUMSSからこれを受領した。
        • 法人関係情報の管理態勢不備
          • 金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号において、金融商品取引業者は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じなくてはならないとされている。
          • しかしながら、上記アのとおり、MSMSの職員は、MUMSSとの間で不適切な法人関係情報の受領を少なくとも3回にわたって行っていた。
          • また、本来であれば、法人関係情報を認識した段階で登録手続などの適切な管理を行うべきところ、MSMSにおいては、幹事指名の内諾までは登録手続を行わないという不適切な取扱いが多く確認されているなど、法人関係情報の不適切な管理も少なくとも30件認められた。なお、30件の不適切管理のうち、登録が1月以上遅延している事例が11件認められている(最大遅延は9月以上)。
          • コンプライアンス部門は、職員の情報登録時の情報取得経緯等を確認する段階で、登録遅延及び登録漏れの疑いを認識し得たにもかかわらず、今回検査において登録遅延及びその疑いを指摘されるまで、いずれも検出できていない状況にあるなど、法人関係情報のモニタリング態勢に不備が認められた。
          • MSMSにおける上記アの行為は、金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号及び第8号に規定する行為に該当するものと認められる。
          • また、MSMSにおける上記イのような状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。
          • 上記ア、イの行為等は、MSMS職員が、親法人等から顧客の非公開情報の受領をしてはならないことを認識しながら、案件獲得というMSMS、MUBK及びMUMSSの利益を優先したものであり、銀証連携ビジネス等の推進にあたり、MSMSとして法令等遵守意識が希薄であることに起因するものであって、MSMSにおいては法令等遵守態勢に不備があるものと認められる。
          • また、経営陣において、日本の法令等の遵守のために必要かつ実効性の伴うモニタリング態勢や、法令等遵守意識の教育指導態勢など、顧客に関する非公開情報及び法人関係情報の取扱いに係る内部管理態勢を十分整備していないことに起因するものであり、MSMSにおいては、適切な業務運営を確保するための経営管理態勢に不備があるものと認められる。
    2. 命令の内容
      • 業務改善命令(金融商品取引法第51条)
        1. 本件に関して、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
          • 今回の処分を踏まえた経営陣を含む責任の所在の明確化を図ること。
          • 本件に係る根本的な発生原因の分析に基づき、再発防止に向けて、以下の点を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施すること。
            • 経営管理態勢並びに銀証連携等に係る法令等遵守態勢及び顧客情報管理態勢を含む内部管理態勢の強化
        2. 上記1に係る実施状況及び業務改善計画を令和6年7月24日までに書面で報告すること。
        3. 上記2の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として、当面の間、報告すること。
  • 三菱UFJ銀行に対する行政処分
    • 処分の理由
      • MUBKに対する証券取引等監視委員会による検査の結果、以下の法令違反等が認められたとして、令和6年6月14日、行政処分を求める勧告新しいウィンドウで開きますが行われた。
      • 銀証間における不適切な顧客情報の共有等
        • 銀証間における不適切な顧客情報の共有等
          • 金融商品取引法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号において、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る)は、当該金融商品取引業者又はその親法人等若しくは子法人等による非公開情報の提供について、あらかじめ発行者等の書面又は電磁的記録による同意がある場合等を除き、当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等と当該発行者等に関する非公開情報を受領又は提供してはならないとされている。
          • しかしながら、MUBKの役職員は、親法人等であるMUMSSとの間において、法人顧客から情報共有を禁止されていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該法人顧客に関する非公開情報の授受を少なくとも10回にわたって行っていた。なお、一部の非公開情報の提供に関しては、MUBK専務執行役員(当時)自らも提供している状況も認められた。
          • (主な事例1)
            • A社株式の売出しに関する非公開情報について、A社は役員自らが、MUBKに対し、MUMSS及びMSMSの2社(以下、当該2社を総称して「系列証券会社」という。)への情報提供の禁止を再三伝達していた。しかしながら、MUBK専務執行役員(当時)は、当該情報提供が禁止されていることを認識していたにもかかわらず、系列証券会社が当該売出しにおける主幹事としてのポジションを獲得するため、当該売出しの実行時期、金額、方法等に関する情報をMUMSSに提供した。
            • MUBK代表取締役(当時)は、不適切な情報提供が行われている可能性があることを認識したものの、当該専務執行役員からA社役員との間で事実上の黙認が成立している旨の報告を受け、違法性のある行為ではなかったと誤認したとしている。そのため、当該専務執行役員に対してそれ以上の詳細な事実関係の確認を行っておらず、内部管理統括責任者をはじめとしたコンプライアンス部署に一切の連絡を行わないなど、特段の対応を指示しなかった。このため、MUBKは、本件について適切な是正措置を講じていなかった。
            • なお、当該専務執行役員とA社役員との間で、実際は、黙認が成立していなかった。
          • (主な事例2)
            • B社が予定していた企業買収に際し、買収資金に係る融資契約の締結に向けた交渉過程でB社より伝えられた本件買収の実施予定に関する非公開情報について、MUBK行員は、B社から本件買収にかかる秘密保持契約の取り交わしを求められ、秘密保持契約を交わしたにもかかわらず、B社の意思に反し、MUMSSに非公開情報を提供した。
        • 法人関係情報の管理態勢不備等
          • 金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号において、登録金融機関は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じなくてはならないとされている。
          • しかしながら、上記アのとおり、MUBKの役職員は、MUMSSとの間で不適切な法人関係情報の授受を少なくとも10回にわたって行っていた。
          • また、社内規程に基づく適切な管理を行わないなど、法人関係情報の不適切な管理も少なくとも11件認められた。
          • このほか、MUBK行員は配偶者名義で開設した証券口座を利用し、平成30年7月から令和5年11月までの間、専ら投機的利益の追求を目的として、勤務時間中の発注を含め、主に信用取引により短期間での同一銘柄反対売買を行う手法により、自己の計算に基づく有価証券の売買を多数回(約5000回、約20億円)にわたり行っており、このうち少なくとも4銘柄の売買については、職務上知り得た法人関係情報に基づく不適切な有価証券の売買であった。なお、当該行員が所属していた部署は、法人関係情報を用いて業務を行う部署ではあるものの、Need to Know原則(顧客等に関する情報へのアクセス及びその利用は業務遂行上の必要性のある役職員に限定されるべきという原則)に反し、本来、法人関係情報を知る必要のない行員に対しても法人関係情報が広く伝達されている状況にあった。
          • MUBKにおける上記のような状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められる。また、MUBK行員における専ら投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第12号に該当するものと認められる。
          • 上記ア、イの行為等は、MUBK役職員が、銀証間で情報の授受を行ってはならないことを認識しながら、案件獲得というMUBK及び系列証券会社の利益を優先したものであり、MUBK専務執行役員自らが非公開情報を提供している状況及びMUBK代表取締役も不適切な情報提供があった可能性を認識している状況が認められるなど、銀証連携ビジネスの推進にあたり、MUBKとして法令等遵守意識が希薄であることに起因するものであり、MUBKにおいては法令等遵守態勢に不備があるものと認められる。
      • 登録金融機関による有価証券関連業の禁止
        • 金融商品取引法第33条第1項において、登録金融機関は有価証券の引受業務などの有価証券関連業を行ってはならないとされている。
        • しかしながら、MUBKは、有価証券の引受等に関し、上場会社等に対して、系列証券会社を引受先や割当先とするよう交渉及び勧誘する行為を少なくとも28回にわたって行った。当該行為は、本検査での指摘を受けるまで多数の部署において広く継続的に行われていた。
        • なお、上記不適切勧誘の一部に関しては、MUBKの営業部店からMUBK代表取締役(当時)に対して、MUBK関与によりMUMSSの案件獲得に至った旨の報告がなされており、当該代表取締役においても不適切な勧誘行為が行われていることを認識している状況も認められた。
        • MUFGは平成30年に策定した中期経営計画において、グループ収益の最大化を目指す施策を打ち立てており、その一環として、MUBKの収益目標についても、従来のグループ連携収益と銀行収益の2本柱の目標から銀行収益を含むグループ収益に1本化されている。このため、行員の業績評価においても、MUMSSに対して顧客ニーズの連携(案件紹介)を行い、系列証券会社で成約に至り収益計上された利益金額が、MUBKの行員の営業実績にも反映される仕組みとなっていた。
        • このような状況のもと、MUBKの多数の部署において不適切勧誘が行われることとなり、一部営業店の行員においては、銀行収益と系列証券会社収益を比較して、系列証券会社収益の方が大きい場合には系列証券会社の契約を獲得する方が収益目標額との関係でも利点が多いと考えたうえで行動している状況も確認された。
        • (主な事例1)
          • C社の社債発行に関し、MUMSSの提案内容が他社に劣後している状況を把握したMUBKは、C社に対して、MUMSSの引受シェアが全くないと厳しいため、MUFGとしてMUMSSを主幹事とし、引受シェアを与えてもらえるよう交渉を繰り返し行った。しかしながら、C社からMUMSSに引受シェアを与えない方針があらためて伝えられたことから、MUBKは、同時期にMUBKとC社の間で折衝していた融資条件から金利スプレッドの引下げ、弁護士費用及び担保を免除する一方、MUMSSの引受シェアを得られるよう交渉を行った。その結果、MUMSSは幹事に指名され引受シェアを得られることとなった。
          • このほか、MUBKはC社に関する別の社債発行に際しても同様の交渉を行い、MUMSSが主幹事に指名されているが、その際、MUBKの営業部店からMUBK代表取締役(当時)に対して、MUBKが何度もC社に対してMUMSSの引受交渉に関与した結果がMUMSSの契約に結びついた旨の報告がなされていた。
        • (主な事例2)
          • MUBKはD社から期間10年の融資要望を受けていた。同時期に予定されていたD社の公募増資に関し、MUBKの関連部署間において、期間10年で融資する取組意義は証券取引の拡大である旨の議論が行われた結果、MUBKはD社に対して、期間10年の融資をする条件として系列証券会社の引受シェアを引き上げてほしい旨の抱き合わせ勧誘を行った
          • D社が、MUBKに引受シェアを引き上げなかった場合、今後のMUBKとの融資に影響が生じるのではないかと危惧している旨の懸念を伝えると、MUBKは、仮に系列証券会社の引受シェアの引き上げがない場合、貸出金額の変更こそしないが、貸出期間については短縮する意向である旨を伝達した。
          • MUBKにおける上記行為は、登録金融機関による有価証券関連業を禁止する金融商品取引法第33条第1項に違反するものと認められる。
          • なお、上記のような状況は、MUBK経営陣において、MUFGがグループ会社間の営業連携やこれに伴うグループ収益の拡大を掲げる中で、MUBK行員がグループ収益の確保に向けて、法令で禁止されている引受交渉等に自ら関与するリスクの認識が希薄であったことにより発生したものと認められる。
          • 上記12の行為は、グループ連携に係る適正な内部管理態勢を構築・運用する責務を負っている経営陣が、その責務に照らして求められるべき認識を持たず、上記の不適切行為の発生を未然に防止するために必要な内部管理態勢を構築していないなど、経営陣によるガバナンスが十分に発揮されていないことに起因するものであり、MUBKにおいては、適切な業務運営を確保するための経営管理態勢に不備があるものと認められる。
    • 命令の内容
      • 業務改善命令(金融商品取引法第51条の2)
        1. 本件に関して、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
          • 今回の処分を踏まえた経営陣を含む責任の所在の明確化を図ること。
          • 本件に係る根本的な発生原因の分析に基づき、再発防止に向けて、以下の点を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施すること。
            • 経営管理態勢並びに銀証連携に係る法令等遵守態勢及び顧客情報管理態勢を含む内部管理態勢の強化
        2. 上記1に係る実施状況及び業務改善計画を令和6年7月24日までに書面で報告すること。
        3. 上記2の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として、当面の間、報告すること。
  • 三菱UFJ銀行及び三菱UFJフィナンシャル・グループに対する報告徴求
    • MUBK及びMUFGに対する金融庁検査において、経営管理態勢並びに内部管理態勢が不十分であることが確認されたことから、本日、銀行法に基づき、以下の事項について報告するよう求めた。
      • MUBKに対する報告徴求(銀行法第24条第1項)
        1. 報告事項
          • ①銀行法第12条に規定する他業禁止及び同法第12条の2第2項に規定する顧客情報管理措置に関して認められた事案の事実認識、発生原因の分析(背景となる真因の分析を含む)、並びに当該分析を踏まえた問題認識
          • ②を踏まえた、以下の点を含む再発防止に向けた実効性のある改善対応策(改善対応策の実施計画と実施状況等を含む。)
            • 経営管理態勢並びに銀証連携に係る法令等遵守態勢及び顧客情報管理態勢を含む内部管理態勢の強化
        2. 報告期限
          • 上記1に係る報告を令和6年7月24日までに報告すること。
          • 上記2①の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として、当面の間、報告すること。
      • MUFGに対する報告徴求(銀行法第52条の31第1項)
        • 報告事項
          • ①子会社であるMUBKにおいて認められた、銀行法第12条に規定する他業禁止及び同法第12条の2第2項に規定する顧客情報管理措置に関する事案を踏まえ、銀行持株会社としての発生原因の分析(背景となる真因の分析を含む)、及び当該分析を踏まえた問題認識
          • ②今回の事案を踏まえた、グループとしての再発防止に向けた以下の点を含む実効性のある改善対応策(改善対応策の実施計画と実施状況等を含む)
            • 経営管理態勢並びに銀証連携に係る法令等遵守態勢及び顧客情報管理態勢を含む内部管理態勢の強化
        • 報告期限
          • 上記1に係る報告を令和6年7月24日までに報告すること。
          • 上記2①の実施状況について、四半期末経過後15日以内を期限として、当面の間、報告すること。

~NEW~
金融庁 「成長戦略」等における金融庁関連施策
▼ 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」における金融庁関連の主要施策
  • 人への投資に向けた中小・小規模企業等で働く労働者の賃上げ定着
    • 価格転嫁の商習慣化の徹底と中小・小規模企業の省力化投資の加速
      • 大企業と中小・小規模企業・スタートアップの間の協力関係の確立
        • 地域企業経営人材マッチング促進事業の推進
  • 企業の参入・退出の円滑化を通じた産業の革新
    • スタートアップ育成5か年計画の実行
      • 非上場株式のセカンダリー取引の活性化
      • 東証の上場維持基準等の中長期的な在り方の検討
    • 経営者の意向に沿った参入退出
      • 事業再構築やM&A支援に際し経営者保証を見直す枠組みの検討
      • 経営者保証に依存しない融資慣行の確立、企業価値担保権の周知
      • 地域金融機関によるM&A仲介・支援の促進
  • 投資の推進
    • DX
      • web3に関するトークンの利活用や決済の円滑化等
  • GX・エネルギー・食糧安全保障
    • GX・エネルギー
      • 中小・小規模企業におけるGX推進
      • トランジション・ファイナンスの推進
  • 資産運用立国の推進
    • 資産運用立国実現プランの実行
      1. 家計の安定的な資産形成の支援
        • NISAの活用
        • 金融経済教育の充実
        • 投資詐欺等への対処
        • 多様な投資商品の提供
      2. 金融商品の販売会社等における顧客本位の業務運営の確保
      3. コーポレートガバナンス改革、金融・資本市場の機能向上
      4. 資産運用業の改革
        • 資産運用会社の競争力強化やガバナンス改善・体制強化
        • 日本独自のビジネス慣行や参入障壁の是正
        • 金融・資産運用特区の推進
        • 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP)の実施
      5. 企業年金・個人年金の改革
      6. 成長資金の供給と運用対象の多様化
      7. 対外情報発信・コミュニケーションの強化
    • アセットオーナーシップの改革
  • 社会的課題を解決する経済社会システムの構築
    • インパクトスタートアップに対する総合的な支援策
      • コンソーシアムを通じたネットワーク形成
      • インパクト投資の案件創出

~NEW~
金融庁 「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書の公表について
▼ (参考)「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書の概要
  • 顧客本位の業務運営の徹底
    1. 大規模代理店に対する指導等の実効性の確保
      • 損保会社による代理店に対する指導等の実効性の確保
      • 金融庁・財務局のモニタリング強化
      • 第三者による代理店の業務品質の評価の枠組みの検討
      • 損保募集人の試験制度や継続教育の高度化・厳格化等
      • 態勢整備の厳格化、自主規制機関についての検討
    2. 代理店手数料ポイント制度
      • 「規模・増収」に偏ることなく「業務品質」を重視する評価体系への変革
      • 「業務品質」の指標を顧客にとってのサービス向上に資するものとする
    3. 保険会社による代理店等への過度な便宜供与等の制限
      • 自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引する便宜供与等の解消
      • 自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するほか、代理店の自立に向けた動きを阻害する出向等を解消
    4. 乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保
      • 顧客の最善の利益を勘案した比較推奨の確保
      • 顧客の保険リテラシー向上の支援(商品選択のガイドブックの作成 等)
    5. 代理店の兼業と保険金等支払管理部門の独立性確保等
      • 代理店の兼業による弊害を防止するための措置の実施
      • 適切な保険金等支払管理態勢の確保(営業部門からの介入の排除 等)
  • 健全な競争環境の実現
    1. 競争環境の歪みの是正
      • 独占禁止法抵触リスクをはらむ共同保険のビジネス慣行の適正化
      • 政策保有株式の縮減及び不適切な便宜供与の解消
    2. 損保会社における態勢の確保
      • 独占禁止法等を遵守するための適切な法令等遵守態勢の確保
      • コンプライアンス上不適切なインセンティブとならない評価体系の策定等、適正な営業推進態勢の確保
      • リスクに応じた適切な保険料を提示するための保険引受管理態勢の強化
    3. 企業内代理店のあり方
      • 企業内代理店の立場の明確化、情報共有ルールの策定
      • 企業内代理店の実務能力の向上(損保会社による指導等の態勢整備、不適切な代行の解消 等)
      • 企業内代理店の自立の促進(特定契約比率の見直し 等)

~NEW~
金融庁 ベンチャーキャピタルに関する有識者会議(第3回)議事次第
▼ 資料1 「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」
  • GPはLPに対する受託者責任を果たすために、投資先企業の企業価値最大化を通じ、LPの持分価値の最大化に向けて、VCを運営していくことが求められていることを十分に認識し、必要な説明責任を果たすことが推奨される。LPとGPの意思疎通を促進する観点から、LPとGP間で利益相反事項のほかファンド運営に関する重要な事項等が議論されるよう、LPの代表により構成される諮問委員会(LPAC)を設置する等、LPの意見が十分に反映されることが推奨される。
  • GPはLPに対する受託者責任を果たす観点から、やむを得ない事情がある場合や、ファンド運営に支障や利益相反が生じるおそれがない場合を除き、キーパーソンがファンド運営に専念する体制を整備することが推奨される。また、短期間でのキーパーソンの離反は、基本的には起きてはならない事象であるとの認識を持ち、万が一、キーパーソンが離反する場合には、ファンドの新規投資の停止やLPによる出資コミットメントの再検討が可能とされることが推奨される。VCのファンドとしての継続性を高める観点から、複数の投資担当者やミドル・バックオフィス業務の担当者を備える等、持続可能な体制が構築されることが推奨される。
  • 関連法令、ファンドに関する契約等を遵守するため、LPの要求水準に応じた適切な範囲において、コンプライアンス管理の責任者の明確化や非公表情報の取扱いその他業務運営に必要な規程を整備し、コンプライアンス管理の体制を確保することが推奨される。
  • LP間の公平性の観点から、一部のLPが認識しないうちに不利益を被ることがないよう、特定のLPに対し、他のLPに重大な悪影響を及ぼし得る個別権利の付与を行う場合には、他のLPにも情報提供が行われる等の透明性が確保されることが推奨される。また、特定のLPに個別権利の付与を行う場合には、ファンドサイズやLPの属性に応じ、LPは自身よりも出資コミットメント額が同等以下のLPに付与されている権利を求めることができるようにすることが推奨される。
  • GPはLPに対する受託者責任を果たす観点から、ファンド組成時において、利益相反が生じ得る事項の特定とその管理体制に関する検討を行い、LPに十分に説明することが推奨される。また、LPとGP間の利益相反事項については、LPACに諮問を求める等、利益相反のおそれに対処することが推奨される。特に、GPが他事業との兼任・兼業や複数ファンドの運営を行う場合は、利益相反管理を徹底することが推奨される。他事業との兼任・兼業については、GP内のリソース配分やファンド運用との関係を明確にした上で、ファンドの運営に影響があり得る場合には、投資先企業の価値向上につながるもの等、LPのリターン向上に資するものに限定することが推奨される。また、複数ファンドの運営については、ファンド間の利益相反に関する明確な管理体制(GP内のリソース、投資機会、エグジット時期等)を整備することが推奨される。
  • GPによるファンドに対する適切な出資コミットメントが行われる等、LPとGPの利益を一致させるための対応を講じることが推奨される。GPは、投資先ごとの投資額に対するリターンよりも、LPの出資コミットメント額に対するリターンを最大化することが重要であることを意識することが推奨される。組合契約における利益分配構造等の主要な条件については、グローバルな機関投資家からの資金調達も見据え、ILPA Private Equity Principles等のグローバル・スタンダードに配意したものとすることが推奨される。
  • ファンドの資産の状況を算定するにあたり、保有する非上場企業の株式について公正価値評価を行った上で、LPに情報提供することが推奨される。また、公正価値評価における評価手法等についても情報提供することが推奨される。
  • ファンドの財務情報に関し、LPに四半期ごとに財務情報を提供することが推奨される。また、年次報告においては、ファンドの投資戦略の実現状況及び今後の方針を提供することが推奨される。

~NEW~
金融庁 「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」の公表について
▼ 「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」の概要
  • 金融庁では、監督指針等に基づき、金融機関から報告を受けているシステム障害(サイバー攻撃を含む)の分析結果をまとめ、2019年以降、毎年、「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」として公表している。
  • 本レポートは、過去の事例も含め、障害の端緒に着目して障害事例を分類し、原因と課題を分析している(次頁参照)。また、ITレジリエンス強化の参考となるよう、ATM停止時の円滑な顧客対応や、コンティンジェンシープランに則った円滑なシステム復旧などの障害対応の好事例も記載している。加えて、今般のレポートにおいては、「金融機関における脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT)の好事例及び課題」及び「オペレーショナル・レジリエンスに係る金融機関との対話等の概要」のコラムも掲載している。
  • 金融機関においては、本レポートに加え、サイバーセキュリティを含むシステムリスク管理に関する各種標準、ガイドライン等を参照し、自組織の体制及び対策について見直し、求められるITセキュリティ又はITレジリエンスとの差異を特定し、解消することが望ましい。
  • システム障害の傾向及び課題等の概要
    1. サイバー攻撃、不正アクセス等の意図的なもの
      • マルウェア感染
        • 脆弱性に係る最新情報の把握、パッチ適用の徹底
        • マルウェア対策整備、重要な外部委託先のサイバーセキュリティ管理態勢のリスク評価実施や強化
      • DDoS攻撃
        • DDoS攻撃の軽減対策強化、DDoS攻撃の早期検知・復旧のための態勢整備
    2. システム統合・更改や機能追加に伴い発生
      • 外部委託管理不十分
        • 外部委託先管理の強化
      • BCP・大規模障害時の危機管理体制の整備が不十分
        • プロジェクトの固有のリスクを踏まえたBCPの整備
        • 大規模障害を想定した危機管理体制の整備
        • 訓練等による実効性の確保
        • 課題解決のためのIT人材の確保、第三者目線によるチェック強化
    3. 日常の運用・保守等の過程の中で発生
      • 冗長構成が機能しない
        • 冗長構成が意図どおりに機能するよう実効性の確保
        • 冗長構成が機能不全を起こす不具合へのパッチに関する適切な管理
      • 障害時の復旧に関する不芳事案
        • 障害原因を早期特定するための必要な情報把握と情報取得手段の確保
      • 記憶領域の確保不足による障害
        • 記憶領域の確保に係る設定内容の十分な確認、検証の強化
        • 記憶領域の使用状況を把握、適時対策を実施するための監視強化
      • 取引量増加に起因する障害
        • 顧客の利用量増加を踏まえたシステムの処理能力設計に係る品質強化
        • システムの処理能力の事前検証による実効性の確保
    4. プログラム更新、普段と異なる特殊作業等から発生
      • 設定ミス・作業の誤り
        • (本番システムに影響する作業を行うことよるリスクを軽視することなく)作業手順書の確認強化、作業実施体制の強化
  • 金融機関における脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT)の好事例及び課題
    • 国内金融機関におけるTLPTの現状
      • サイバー攻撃の脅威が高まる中、技術的な対策だけではなく、人及びプロセスも含めた対応が必要であり、TLPTはその対応態勢の実効性を検証する有効な手法。近年、我が国の金融機関において、TLPTの活用が増えており、好事例も認められるものの、TLPTの内容や活用方法に改善の余地がある事例も認められる
      • 金融庁では、銀行等におけるTLPTの実施事例を収集し、主な好事例及び課題を整理し、匿名化・一般化したうえで、その結果を銀行と共有した
    • 分析結果概要
      • TLPTの重要な要素:
        • 一般的な脅威だけではなく、自組織に特有の脅威を分析し、現実の攻撃を模した攻撃を実施する(具体的には、脅威インテリジェンスの導出結果を踏まえ、自組織を標的とし得る攻撃者、及び、それらの攻撃者が現実に用いている攻撃手法を想定し、テスト計画へ反映する等)
        • システム、IT資産、技術的な対策のほか、人、対応プロセスも評価する(例えば、導入されているセキュリティ製品の有効性にとどまらず、インシデント対応を担うブルーチームの能力も評価する)
      • 本調査で銀行等から提供された事例を分析した結果認められたTLPTとして望ましい事例と不十分な事例の概要は次頁のとおり
        • なお、TLPTとしては不十分であっても、なおサイバーセキュリティの強化に資する側面があると考えられるため、そうした金融機関の取組そのものが否定されるものではない
    • 金融機関に求められる対応
      • 金融機関は、TLPTに重要な要素、望ましい事例及び不十分な事例を参考としてTLPTを実施することが望ましい
      • 経営陣は、攻撃者の目線から、組織的な態勢と技術的対策を検証し、抽出された課題への対策を講じることにより、経営上のリスクを低減させるというTLPTの意義を踏まえたうえで、TLPTで重要な課題が検出されれば、躊躇なく現場から報告がなされるような組織文化を築くべき。また、経営陣は、現場とのコミュニケーションを厚くすることなどを通じ、TLPTによって判明した課題の経営上の重要性及び緊急性、課題の根本原因、課題の解決に必要なリソース及び時間などを含め、課題の全体像を把握したうえでその解決に臨むべきである
  • TLPTの好事例及び課題
    • 脅威インテリジェンス
      • 望ましい事例
        • 自組織に特有の脅威インテリジェンスを導出し、シナリオ選定している。
      • 不十分な事例
        • 脅威インテリジェンスが一般的な脅威情報の分析にとどまっている。
    • 評価
      • 望ましい事例
        • ブルーチームに対して事前予告せずにTLPTを実施し、その検知・対応能力を評価している。
        • SOCにおける検知・対応能力だけでなく、フィッシングメールを起点とした職員からCSIRTへのエスカレーションと、CSIRTの対応状況も評価している。
      • 不十分な事例
        • TLPTの計画を事前にブルーチームに伝え、ブルーチームが、疑似攻撃が発生することを把握しているため、その検知・対応能力が適正に評価されていないおそれがある。
        • 攻撃者が考え得る複数の経路からの侵入や迂回攻撃を試みていないため、事前に想定した攻撃手法・経路で検証対象の脆弱性を検証する脆弱性診断と実質的に異ならないものにとどまっている。
    • 経営陣への報告 経営陣の対応
      • 望ましい事例
        • サイバーセキュリティ担当部署は、TLPTの結果から判明した全社的な影響を生じさせ得るリスクを経営陣に報告している。
        • 経営陣は、TLPTの結果報告を受け、課題への対応を指示するだけではなく、テスト範囲の拡大や事前に予告せずにテストを実施することを通じて、TLPTの高度化を図るように指示している。
      • 不十分な事例
        • 業務や顧客に重大な影響を及ぼし得る類似の課題が繰り返し検出されており、対策が十分ではなく、重要なリスクが残存している可能性を推測すべきであるにもかかわらず、過去の発見事項と類似していることをもってサイバーセキュリティ担当部署が経営陣への報告を省略している。
        • TLPTによって検出された課題のうち、金融機関の経営に重要な影響を及ぼし得るものついて経営陣に報告したり、具体的なリスクについて報告したりせず、単に「良好な結果であった」と報告している。
    • 発見事項の活用
      • 望ましい事例
        • サイバーセキュリティ担当部署は、TLPTで検出された課題と同様の課題がTLPTの対象でなかったシステムにおいても認められないかどうかを確認し、報告するよう、社内の他のシステム担当者及びグループ会社のシステム担当者に対して指示している。
      • 不十分な事例
        • TLPTで検出された課題が他のシステムでも認められないかどうかを確認していない。その結果、それ以降、他のシステムに対して実施したTLPTでも類似した課題が検出されている。
    • その他
      • 望ましい事例
        • 犯罪集団、国家が関与する主体、内部犯行者などの様々な主体の攻撃が生じさせる脅威に応じ、複数のシナリオを設定し、TLPTを実施している。
      • 不十分な事例
        • TLPTの趣旨・目的に沿った十分な予算が確保されておらず、脅威インテリジェンスやブルーチームの評価が省かれ、結果として、TLPTとしては不十分なテストとなっている。
  • オペレーショナル・レジリエンスに係る金融機関との対話等の概要
    • 金融庁では、2023年4月に公表した「オペレーショナル・レジリエンス確保に向けた基本的な考え方」(オペレーションナル・レジリエンスに関するディスカッション・ペーパー)及び同ディスカッション・ペーパーの趣旨を踏まえて同年6月に改正した主要行等向けの総合的な監督指針に規定する基本動作及び主な着眼点等について、主要行等及び国際統一基準金融機関を対象にアンケートを実施した上で一部の金融機関と対話を行った。その結果の概要は、以下のとおり。
      1. 「重要な業務」の特定
        • 重要な業務の選定にあたっては、既存のBCP(事業継続計画)の対象業務を選定することを検討しつつも、新たな基準を設けて、重要業務の範囲を見直している先が多くあった。
        • 具体的には、顧客目線に立った業務中断時の影響を重視するとともに、業務が中断した場合の自行への影響(取引数・取引額などの観点からなど)、業務の特性(取引時限があるか否かなど)等も加味しながら選定を行っている傾向が認められた。
      2. 「耐性度」の設定
        • 既存のBCPのRTO(目標復旧時間)を活用して耐性度を設定するとしている先が多くあった。
        • 一部の金融機関においては、影響を受ける取引数、取引額及び利用者数に加え、苦情数を考慮している事例、業務特性に応じた時限を考慮している事例、RTOにRLO(目標復旧レベル)を組み合わせている事例が認められた。
      3. 相互連関性のマッピング・必要な経営資源の確保
        • 重要業務の遂行に必要な経営資源として、人員、システム、施設、サードパーティなどの関連性・依存度をマッピングしている先が多くあった。
        • マッピングにおいて重要業務単位でフローチャートを用いて経営資源(人員、システム、施設など)を可視化している事例が認められた。
      4. 適切性の検証・追加対応
        • 重要な業務の特定、耐性度の設定、必要な経営資源の配分などが適切であることを検証するシナリオとして、システム停止が長期化するなどのストレスシナリオの検証を行っている事例、業務停止の原因を問わず、システム、要員などの経営資源が棄損したという結果事象を想定したシナリオによる検証を進めている事例が認められた。
  • 金融機関においては、利用者目線に立った重要業務の早期復旧や影響範囲の最小化のため、経営陣のコミットメントの下、ロードマップを立て、オペレジの確保を計画的に進めることが望ましい。

~NEW~
金融庁 日本IFIARネットワーク第8回総会議事次第・議事要旨
  • テーマ(1)監査法人のガバナンス
    • 監査法人のガバナンスコードは、上場会社等監査人登録制度が法定化されたことでより大きな役割を持つようになると考える。上場会社等監査人名簿が登録された監査人の監査品質を保証することになるため、登録された監査人に監査法人のガバナンスコードを適用するだけでなく、その適用状況に関してフォローできる枠組みを入れるべきであり、業務及び財産の状況に関する説明書、又は透明性報告書といった形で公表することを義務付けるべき。企業や投資家が監査品質を外部から確認できる仕組みが必要。
    • 監査役には監査法人による開示を確認し、監査法人の状況をしっかり理解いただいた上で、会計監査人選任の判断をしていただきたい。
    • 昨今株式市場の評価を意識し、情報開示を強化する企業が増えている。そうした企業は中小監査事務所を選任することもあるため、監査法人のガバナンスコードを中小監査事務所にも浸透させてほしい。
    • 監査の担い手の質・量の確保のため、監査・保証の魅力を伝えつつ、アドバイザリー以外の監査サービス自体のビジネスモデルで十分に成り立つという議論が世界的になされていくことが重要。
    • 企業の監査役が監査人の質や開示をしっかり確認することも重要。
  • テーマ(2)サステナビリティ開示・保証
    • サステナビリティ情報に関する保証業務については、監査法人以外の保証業務提供者に対しても、財務諸表監査と同様の自主規制と監督機関のフレームワークが適用されることを期待する。
    • 最近、例えば「再生可能エネルギー100%を達成した」といった企業のメッセージをよく見る。再生可能エネルギーはあまり潤沢に存在するものではなく、まとまった量を早い段階で確保するには企業のブランド力や価格支配力等様々な要因が働いていると考えられる。中にはクラウドアウトされている企業も存在する可能性もあり、こうした点も開示・保証の観点で確認していくことができればよい。
    • 約10%から15%の有価証券報告書が訂正される状況を踏まえると、グリーンウォッシングを防ぐためにも、開示と保証は同時に開始されるべき。企業の負担が大きいのであれば、実施当初は会計士や保証業務提供者に対して保証導入支援業務を認め、3年等の一定期間経過後に正式に保証を導入することも考えられる。
    • 様々な海外の動向を比較した上で厳し目の規制が日本の制度に導入される傾向があるが、サステナビリティ開示に関する方向性が国によって異なる中で日本がどのような方向性で進めるかというスタート時点の意思決定は重要。日本市場の魅力向上、及び日本企業の国際競争力強化を第一に考えて検討を進めてほしい。
    • 開示基準の適用については、段階的に進めざるをえないと考える。最終的に全てのプライム上場企業にまで開示を求めるか、本当にできるのか、投資家が本当に求めているのかという点については、効果とコストをよく考えて検討すべき。
    • 開示のスケジュールについて、有価証券報告書の2段階開示については、総会前の有価証券報告書の開示といった論点との関連性も含めて検討すべき。法務省等、他の省庁との連携も必要になると思うが、株主総会の時期も含め、国際的に見た際の日本の立ち位置にも目を向け検討を進めるべき。
    • サステナビリティに関して具体的に検討が進む中、企業や監査法人における人材育成について日本全体として考える必要がある。試験制度をどうするかという観点も出てくると考える。
    • 企業からはいつまでに何をやればよいのか分からないといった声もあり、サステナビリティ開示に関する工程表や記述情報の開示の好事例集を浸透させることが重要。好事例集について、2018年度から毎年作成されているが、毎回の特徴がより明確になるとメディアにも取り上げられ、より浸透するのではないか。
    • 現実的に可能な範囲でという前提で、できるだけ早めの開示を実現することが重要。
    • 保証については、監査法人以外の保証提供者も認めるのかといった点も含めて担い手をどうするかという議論が最も難しいと考える。国際的な議論も踏まえてフレームワークを検討していく必要がある。保証の内容については、過度に難しいことを求めるべきではない一方で、投資家が要求する水準に応えることも必要。十分な議論をしながら進めるべき。また、手戻りを防ぐためにも基準ややり方については早めに議論をするとよい。
    • サステナビリティ情報は開示の内容が重要であり、戦略の財務への影響の記載、財務情報との整合性に注目している。
    • バリューチェーンに関する開示の保証がIESBAの倫理規程の公開草案には入っている一方でIAASBの保証基準案には入っていないことが日本基準ではどのように取り扱われるのかや、監査法人以外の保証業務提供者について、利益相反の問題も生じうる中でしっかり管理ができるのかといった点に関心を持っている。
  • テーマ(3)監査におけるテクノロジーの活用
    • 各監査法人において、生成AIを含む各種監査ツールの実用化を検討しているが、特に不正リスクシナリオや、不正の兆候の分野でAI利用が効果的と考える。生成AIの利用は一朝一夕に進むものではないものの、人が経験をベースに対応しているものを可能な限り機械化し、公認会計士は専門的判断を求められる領域にリソースを割いていくことで、監査の高品質化を実現していける。
    • 現在主流のAIはディープラーニングを用いたもので、AIを利用した不正検出やシナリオ分析はあくまでも過去の経験に基づいたもの。
    • 統計ソフトウェアを用いて分析したものの、なぜその分析結果になったか、(分析者自身に知識や経験がなく)仮説が立てられない例をよく目にする。AIに長けた専門家を育成し、生成AIによる不正の兆候の発見やシナリオ分析を進めたとしても、その人自身の知識と経験不足により、生成AIが検出した不正がなぜ起きたか、原因に結び付けられない事態となっては身もふたもない。AIの推進を強調する場合、生成AIによる分析結果に対して専門的な判断(professional judgment)を行える能力の向上も同時に強調していくべき。

~NEW~
金融庁 「職域等における金融経済教育を推進するための手法等に関する調査」報告書の公表について
▼ 別添)「職域等における金融経済教育を推進するための手法に関する調査」報告書
  • 日本における金融経済教育の取り組みの全体像
    • 海外の先進取組事例を踏まえ、職域を軸としながら、未到達層を複層的にカバーする施策を提言
      • 職域(大企業)
        • 大企業に対する金融経済教育のインセンティブ付与・教育カリキュラム提供
        • 企業ヒアリングにおいては、金融経済教育に取り組む意義の明確化に加えて、従業員の教育にどこまで関与すべきかの線引きが曖昧である、との声が聞かれた
        • 海外先進事例においても、カナダ、イギリス、ドイツにおいて、政府が主体的に企業の啓発や、社員に対する支援内容の標準化に取り組んでいる事例が見られた
      • 職域(中堅・中小企業)
        • 取り組みの動機付けから計画・実行支援までを一気通貫で支援するプラットフォーム構築
        • 企業ヒアリングにおいては、大企業以上にノウハウ・リソース不足が取り組む際の障壁となり実行できないとの声が多かった
        • 海外先進事例においては、カナダ・韓国等の国において、取り組みのインセンティブ付与や、計画・実行のサポート等、単なる啓発にとどまらない工夫が見られた
      • 職域以外(未到達層)
        • 個々の資産状況やリテラシーに応じたセグメンテーション・アプローチの拡充
        • 消費者サーベイから、未到達層が金融経済教育を受講しない理由は様々あり、大きく4つのセグメントに類型化できることを確認
        • 海外先進事例においても、カナダ・イギリスにおいて、セグメント毎に施策投入を行いながら、未到達層のカバー範囲を拡大して行く取り組みが見られた
  • 職域(大企業)施策の全体像(案)
    • 施策1:企業向け認定制度の整備
      • 最低限目指すべき水準の明確化
      • 企業が目指すべき金融経済教育の水準を明確化し、認定制度として整備 例)健康経営優良法人認定、えるぼし認定
      • 認定取得企業を公開することで、自主的に取組強化を行う企業にとってのベンチマークを拡充
      • 現状どこまで社員の教育に関与すれば良いかの線引きが曖昧である。目線がクリアになれば大企業はキャッチアップする努力をするように感じる。(国内大手製造業、人事担当者)
    • 施策2:情報開示の拡充
      • 情報開示の拡充による企業間での必要性理解の促進
      • 先進企業に対して、自社の取り組みに関する情報開示を依頼・奨励(統合報告書等)
      • IRに加え、セミナー・イベント等、不定期の発信機会・媒体を拡充
      • 有価証券報告書等での開示についても”金融経済教育”に関する記載の充実を促す
      • 他社の開示が増えていくと、当社も横並びで取り組み・開示を強化する様に経営層が課題を認識し、検討の指示が来ると思われる。人的資本開示の際にも同じようなことが発生した。(国内大手金融機関、人事担当者)
    • 施策3:取り組み意義の持続的啓発
      • 金融経済教育に企業として取り組む本質的な意義を持続的に啓発
      • ベストプラクティス企業の取り組みを事例集等の形で紹介
      • サステナビリティ、人的資本経営等のテーマとの関連付けを実施-「企業が支払う給与を生活の豊かさに正しく結びつける取り組みが企業のサステナビリティに貢献」 等
      • 金融経済教育は自己責任で学ぶべきであり、企業側が提供するものでないと考えている(企業が取り組むためには、本質的な意義の明確化が必要)。(国内大手製造業、人事担当者)
    • 施策4:従業員向けコンテンツ提供
      • 十分な受講満足度・成果実感を得られる教育コンテンツの提供
      • コンテンツ開発に課題を抱える大企業が導入・利用できる教育カリキュラム/コンテンツを提供
      • 企業が自社の取り組みを評価し、持続的に改善するためのツール・ノウハウも提供
      • 社内にあるコンテンツの満足度が低く、今のコンテンツでは従業員に業務を中断させてまで教育を受けさせるインセンティブが働かないのが悩み。(国内大手製造業、人事担当者)

~NEW~
法務省 7月は「再犯防止啓発月間」です
  • 法務省では、広く再犯防止についての関心と理解を深めていただくため、再犯の防止等の推進に関する法律に基づき、毎年7月を、「再犯防止啓発月間」として定めています。
  • 「再犯防止啓発月間」には、重点的に再犯防止に関する様々な広報・啓発活動を展開しています。
  • 令和5年度の取組
    • 再犯防止啓発ポスターの作成
      • 令和5年3月に「第二次再犯防止推進計画」が策定され、再犯防止の取組は新たな段階を迎えております。
      • そのような今だからこそ、再犯防止がなぜ必要か、改めて考え直すことをコンセプトに、本ポスターを作成しました。
      • 再犯防止は、犯罪をした者等が再び犯罪をすることを防ぐ取組でありますが、その根底には、新たな被害者を生まない、安全・安心な社会の実現という目的があります。
      • 令和5年度の再犯防止啓発ポスターは、そのような思いを一人でも多くの方にお伝えするために、「変わってほしい 被害者も 加害者も 生まない 未来のために」をキャッチフレーズとしました。
      • このポスターは、法務省の出先機関のほか、裁判所、地方公共団体、鉄道会社等にも御協力いただき、全国で掲示いただいています。また、法務省前の祝田橋交差点にあるポスター掲示板のほか、法務省内にも掲示しています。
      • 本ポスターを目にされた一人でも多くの方が、再犯防止について知っていただき、また、考えるきっかけとしていただけますと幸いです。
    • ソーシャルメディアサービス(SNS)を活用した情報発信
      • 令和5年度においても、ソーシャルメディアサービスの「Twitter」や「note」を活用し、再犯防止に関する情報について、集中的に発信を行います。ぜひご覧ください。

~NEW~
法務省 第74回“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~
  • “社会を明るくする運動”とは?
    • “社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~は、すべての国民が、犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。令和6年で74回目を迎えます。
  • 地域のチカラが犯罪や非行を防ぐ
    • テレビや新聞では、毎日のように事件(犯罪)のニュースが報道されていますが、安全で安心な暮らしはすべての人の望みです。犯罪や非行をなくすためには、どうすればよいのでしょうか。取締りを強化して、罪を犯した人を処罰することも必要なことです。しかし、立ち直ろうと決意した人を社会で受け入れていくことや、犯罪や非行をする人を生み出さない家庭や地域づくりをすることもまた、とても大切なことです。
    • 立ち直りを支える家庭や地域をつくる。そのためには、一部の人たちだけでなく、地域のすべての人たちがそれぞれの立場で関わっていく必要があります。“社会を明るくする運動”では、犯罪や非行のない地域をつくるために、一人ひとりが考え、参加するきっかけをつくることを目指しています。
  • あなたもできることから始めてみませんか
    • “社会を明るくする運動”では、街頭広報、ポスターの掲出、新聞やテレビ等の広報活動に加えて、だれでも参加できるさまざまな催しを行っています。イベントに参加したり、このホームページを見たりしたことなどをきっかけにして、犯罪や非行のない安全で安心な暮らしをかなえるためいま何が求められているのか、そして、自分には何ができるのかを、みなさんで考えてみませんか。

~NEW~
内閣府 中央防災会議 第44回議事次第
▼ 資料1 防災基本計画修正案(概要)
  • 防災基本計画
    • 災害対策基本法に基づき、中央防災会議が作成する我が国の防災に関する総合的かつ長期的な計画で、指定行政機関や指定公共機関が作成する防災業務計画や、自治体が作成する地域防災計画の基本となるもの
  • 主な修正項目
    • 最近の施策の進展等を踏まえた修正
      • 新たな総合防災情報システムの運用開始
        • 防災情報の総合防災情報システム(SOBO-WEB)への集約
      • 水害対策の強化
        • 道路のアンダーパス冠水等を踏まえた対策の強化
      • 避難所以外で避難生活を送る避難者等への支援
        • 自治体、保健師、福祉関係者等の間で連携した状況把握の実施
        • 在宅避難者、車中泊避難者に対する支援に係る拠点の設置や、被災者支援に係る情報の提供
    • 関連する法令の改正を踏まえた修正
      • 活動火山対策特別措置法の改正
        • 活動火山対策の強化
        • 火山調査研究推進本部の設置
        • 「火山防災の日」を活用した防災知識の普及
        • 登山届等を容易に提出できる仕組みへの配慮
      • 医療法の改正
        • 災害支援ナースの充実・強化
      • 水防法及び気象業務法の改正
        • 国が取得した指定洪水予報河川に関する予測水位情報について、都道府県の求めに応じた提供の実施
      • 災害対策基本法施行令の改正>
        • 緊急通行車両確認標章等の事前交付
    • 令和6年能登半島地震を踏まえた修正
      • 被災地の情報収集及び進入方策
        • 車両や資機材の充実・小型化・軽量化
        • 無人航空機、SAR衛星、衛星インターネット等の活用
        • 海路・空路を活用した道路啓開に向けた調整
        • 道路管理者と生活インフラ事業者との連携強化
      • 自治体支援
        • 派遣職員が現地で自活できる資機材や装備品の充実
        • 応援職員等の宿泊場所として活用可能な施設やスペース等のリスト化
      • 避難所運営
        • パーティション、段ボールベッド等の避難所開設当初からの設置
        • 避難所における生活用水の確保
        • トイレカー等のより快適なトイレの設置への配慮
        • 高齢化の進展を踏まえた福祉的な支援の充実・明確化
        • 保健医療福祉に係る支援者(JRAT、JDA-DAT等)の明確化
      • 物資調達・輸送
        • 運送事業者等との連携による、物資輸送拠点の効率的な運営に必要な人員、資機材等の速やかな確保
      • 長時間継続する津波の見通し等に関する解説
      • より実態に即した液状化リスク情報の提供

~NEW~
内閣府 重要経済安保情報保護活用諮問会議
▼ 別紙3 重要経済安保情報保護活用法の施行に向けた検討
  • 今後の主な論点
    • 重要経済安保情報の指定・管理・解除
      • 重要経済安保情報の範囲
        • 「重要経済基盤保護情報」
        • 「秘匿の必要性」
      • 重要経済安保情報の保護・管理のための措置
      • 重要経済安保情報の指定の解除
      • 独立公文書管理監による検証・監察
    • 適性評価・調査、目的外利用の禁止
      • 適性評価(調査を含む)の具体的な業務の在り方
      • 評価対象者の範囲
      • 個人情報の取扱い
      • 適性評価後の事情変更の取扱い
      • 苦情の申出の取扱い
      • 目的外利用の禁止(評価対象者の保護)を担保するための方策
      • クリアランス保有者であることの対外的な証明
    • 適合事業者の認定
      • 適合事業者の認定の具体的な業務フロー
      • 適合事業者の認定基準
      • 適合事業者との契約に盛り込むべき事項
      • 適合性認定後の事情変更があった場合の取扱い
    • その他
      • 関係省庁や適合事業者に対する研修 など

~NEW~
内閣府 月例経済報告 令和6年6月
▼ 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状
      • 【判断維持】景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
    2. 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。
      • また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」等に基づき、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や官民連携投資による社会課題解決と生産性向上に取り組む。
      • 「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及びその裏付けとなる令和5年度補正予算並びに令和6年度予算を迅速かつ着実に執行する。また、足元の物価動向の中、年金生活世帯や中小企業にとっては厳しい状況が続いており、まずは、早急に着手可能で即効性のある対策を講じるなど、二段構えでの対応を行っていく。
      • 「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
      • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
      • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
      • こうした取組により、デフレからの完全脱却、成長型の新たな経済ステージへの移行を実現していく。
    4. 今月のポイント・指標
      • 賃金の動向
        • 実質賃金を就業形態別にみると、雇用者の3割を占めるパート労働者は、昨年秋以降、時給ベースで前年比1%弱のプラスに。7割を占めるフルタイム労働者は、時給ベースでは前年比でゼロ近傍まで回復しており、月給ベースでもマイナス幅が着実に縮小。一方、パート労働者比率は上昇傾向が続いており、平均の賃金上昇率を下押しする要因に。
        • フルタイム労働者の所定内給与の伸びは、2024年4月は2.3%と1994年10月以来の高さ。30人以上の事業所で賃金上昇が先行。経営側の集計における定昇込みの春闘賃上げ率は、大企業の5.58%に対し、中小企業は3.62%。今後、中小事業所に春闘賃上げを波及させるためには、サプライチェーン全体での適正な価格転嫁の促進が重要。
        • フルタイム労働者の所定内給与は、医療・福祉、教育といった公定価格分野以外では着実な増加傾向。医療・福祉は、診療報酬改定等が反映される6月以降の賃上げに期待。教育に含まれる学校教員等は、地方公務員の4割弱を占め、12月に反映される公務員給与の改定が鍵に。
        • 23年度の地方公務員一般行政職の給料月額の平均伸び率は0.1%程度。公務員給与のGDP比が高い県では、賃上げによる波及効果も高い。公務員の月例給勧告率は、過去は民間ベアと同様であった一方、近年は民間ベアを下回る
      • 雇用と労働時間
        • パート労働者の時給は増加する一方で、年収の壁の範囲内で収入を抑える就業調整もあって、労働時間は緩やかな減少傾向が継続し、現金給与総額の上昇が抑制。女性の有配偶就業者の年収分布を学歴別にみると、年収200万円未満の割合は、高校卒では6割、専門学校・短大卒では5割、大学卒では4割弱となっており、能力発揮により世帯所得を向上させる余地。
        • 一定の仮定を置いた試算では、妻が年収の壁を超えて働く場合、世帯の生涯可処分所得として、給与所得分に加え、年金所得分の増加が、配偶者手当等の減少を大きく上回る(3図)。人手不足への対応という観点に加え、世帯の生涯可処分所得の向上という観点からも、女性が年収の壁を超えて働くことをためらうことがないような情報の周知と環境整備が重要。
      • 物価の動向
        • 消費者物価は、年一回の再エネ賦課金改定の影響はあるが、引き続き2%台で推移。電気・ガスの激変緩和措置は一旦終了するが、今夏の一時再開により、消費者物価上昇率を抑制。ガソリンの激変緩和措置の継続も物価上昇率の抑制に寄与。
        • コメ価格は、昨夏の猛暑の影響により上昇傾向。生鮮野菜も生育不良により一部の品目で5月に平年比を大きく上回るなど、天候不順の影響には注意。また円安も相まって、輸入物価の上昇が国内物価を押し上げるリスクには留意が必要
        • 物価と収入・賃金に関する最新のアンケート結果(2024年4月)によれば、(1)消費者は、約半数が「物価と収入がともに緩やかに上昇する状態」を望ましいとする、(2)企業も、業種・規模によらず、7割超が「物価と賃金がともに緩やかに上昇する状態」を望ましいとする。安定的な物価上昇とこれを上回る継続的な賃金・所得の増加を実現することが極めて重要。
        • 日米欧の消費者物価を比較すると、欧米では財価格の伸びは縮小し、サービス価格が安定的にプラス。日本もその姿に近づきつつある。サービス物価は、BtoB、BtoCともに、人件費比率が高い品目の伸びが徐々に高まる傾向にある。
      • 消費の動向
        • 名目個人消費は、総雇用者所得とともに緩やかに増加の一方、実質消費は、実質所得が伸び悩む中、力強さを欠く。
        • 消費者マインドは、円安の影響もあり家計の予想物価上昇率の上昇を背景に足踏み。年収別のばらつき拡大にも留意。
        • 近年、GDPには原則として計上されない中古品消費が6兆円規模にまで拡大。中古車に加え、衣服やブランド品での利用が多い。節約志向のほか、CtoCアプリの取引市場の発展や環境志向等が背景にあるとみられる。
      • 企業収益・生産・投資の動向
        • 企業収益は経常利益、営業利益ともに過去最高を更新し、企業部門は好調。生産は、半導体製造装置を含む生産用機械を含め持ち直しの動き。ただし、新たに発生した自動車メーカーの不正事案に伴う生産停止の影響が懸念される。
        • 名目設備投資は過去最高水準。知的財産投資や建設投資が増加の一方、機械投資は足踏みがみられていた。先行指標の機械受注は持ち直し傾向に転じており、今後の機械投資の回復に期待。
      • 公共投資の動向
        • 6月に公表された「建設総合統計」の公共工事出来高は過去に遡って改定(建設工事受注動態統計の訂正の反映分を含む)。5月の月例経済報告ではその時点で利用可能であったデータを踏まえ、堅調に推移していると判断。改定後のデータでは、高水準で底堅い姿にあり、2024年4月の出来高は、年初来増加に転じた受注等を反映し、大きく増加。
        • 2023年後半以降、都道府県発注工事等で出来高が減少していたが、足下では、市区町村を含め地方政府発注の公共事業の進捗がみられる。ただし、都道府県工事は契約率が近年低下しており、引き続き、公共工事の円滑な執行が重要
      • アメリカ経済の動向
        • アメリカでは高い金利水準が継続し、その長期化が懸念されている。物価上昇率の下げ止まりが背景。身近な財・サービス価格は、一部でコロナ禍前と比較して3割程度高くなっており、低所得者層を中心に個人消費への影響が懸念。
        • 支持政党別の消費者マインドは大統領選前後で逆転する傾向。政治情勢が個人消費に与える影響にも留意が必要。
        • 先月発表された中国からの輸入品に対する関税引上げの影響は、2026年以降に本格化する可能性
      • 欧州経済の動向
        • 2023年秋以降、ドイツ経済は弱含んでいたものの、2024年1-3月期には、輸出がけん引し、景気は持ち直しの兆し。フランス経済は、輸出に加え家計消費も景気をけん引。
        • 2024年6月、ECBは消費者物価上昇率の低下を受け、政策金利を引下げ。フランス下院総選挙をめぐる財政への警戒感からフランス長期金利は上昇傾向。一方、ドイツ長期金利は、政治的なリスク回避の動きから低下。

~NEW~
消費者庁 「低価格・高リスク」の非純正バッテリーに注意~建物が全焼に至った火災も~
  • 近年、繰り返し充電して使用できる「リチウムイオン電池搭載製品」は、私たちの生活に欠かせないものとして普及が進んでいます。その一方で、安価で入手しやすい「非純正バッテリー」で火災を伴う事故が多く発生しています。これを踏まえ、非純正バッテリーに潜むリスクをお伝えします。
  • 概要
    • 2014年から2023年までの10年間に収集された製品事故情報では、非純正バッテリーによる事故は235件ありました。事故のほとんどが火災事故(235件中227件)に発展し、中には建物が全焼する事故も発生しています。
    • バッテリーには可燃性の電解液が含まれており、一度発火すると大きな火災に発展するおそれがあります。非純正バッテリーは純正品に比べて”低価格”のものも多いですが、これらの中には安全対策や品質管理が不十分な”高リスク”のものが潜んでいることを認識しましょう。
  • 気を付けるポイント
    • 非純正バッテリーが抱えるリスクについて理解する
      • 設計に問題があり、異常発生時に安全保護装置が作動しない場合がある。
      • 品質管理が不十分で、通常の使用であっても事故に至る場合がある。
      • 事故が発生した際に、事業者の対応や補償を受けられない場合がある。
    • メーカーからのお知らせ及びリコール情報を確認する
      • バッテリーを取り付ける機器本体のメーカーのホームページに非純正品に関する注意喚起が掲載されているか確認する。
      • 使用しているバッテリーがリコール対象ではないか確認する。

~NEW~
消費者庁 「火災保険を使って実質的に無料で修理ができる」などとうたい、火災保険金を利用した修理工事契約を締結させる事業者に関する注意喚起
  • かねてから、保険金を使って住宅の修理を行う、保険金の請求サポートをするなどとして消費者を勧誘する事業者に関する相談があったところ、令和5年4月以降、消費者宅に電話がかかってきて、「自宅を無料で点検できる」、「火災保険で軒どい等の修理ができる」などと説明され、消費者宅に訪問して無料点検を実施された後、損傷箇所について「このままだと雨漏りをしてしまう可能性が高い」などと自宅の修理が必要であることや火災保険金を使って実質的に無料で修理工事が可能であると説明されたため、火災保険金を利用した自宅の修理工事契約を締結したが、不審であるなどという相談が各地の消費生活センターなどに多く寄せられています。
  • 消費者が、住宅の損害が経年劣化によるものだと知りながら、自然災害による損害であるかのように、うその理由で保険金の支払を請求すると、保険会社から保険金の返還請求や保険契約の解除をされたり、詐欺罪に問われたりすることがあることから、消費者庁が調査を行ったところ、天建と称する事業者(以下「本件事業者」といいます。)が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(不実告知)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
  • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。

~NEW~
国民生活センター そのサイト、大丈夫?ネット通販で商品を購入する前に確認を!-「悪質通販サイト情報」を公表します-
  • 国民生活センター越境消費者センター(以下、越境消費者センター)には、日本語表示の通販サイトで商品を購入したが、「海外から発送された商品が届かない」、「購入した商品が模倣品であるとの税関からの通知が届いた」などの相談が寄せられています。商品代金を支払った後に、販売事業者と連絡が取れなくなり、販売事業者に対応を求めることが困難な事例も多くみられます。
  • 越境消費者センターでは、実際に寄せられた相談の中から、令和6年6月26日より、越境消費者センターウェブサイト上で、随時「悪質通販サイト情報」を公表していきます。
  • 「悪質通販サイト情報」の利用を呼びかけるとともに、リスト掲載のサイト以外にも悪質通販サイトを見極めるポイントを紹介し、通販サイトで商品を購入する前に、慎重に判断するよう消費者への注意喚起を行います。
  • 悪質通販サイト情報
  • 消費者へのアドバイス
    • 購入前に通販サイト内の表示や支払い方法等をよく確認しましょう。
    • 越境消費者センターウェブサイトで悪質通販サイト情報を確認し、掲載事業者からは購入しないようにしましょう。
    • 万が一、商品が届かない等のトラブルにあってしまった場合は、決済関連事業者に相談しましょう。
    • 不安に思った場合にはすぐに消費生活センター等に相談してください。
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
    • 越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)
      • 海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のためのオンラインの相談窓口です。

~NEW~
国民生活センター 被害回復は困難!SNS上で著名人を名乗る投資話の勧誘に注意
  • 内容
    • 投資を考えていたら、有名経済評論家主催の投資相談のSNS広告が表示された。100万円が1億円になったとの体験談に惹かれメッセージアプリに登録すると、評論家のアシスタントを名乗る人から投資話が届いた。有名な評論家なら信用できると思い100万円を振り込むと、利益を増やすため100万円を追加するよう言われ、別の口座へ振り込んだ。その後も次々と勧められ総額1500万円を振り込んだ。運用状況を確認すると6千万円の利益が出ていたので引き出そうとしたら、手数料や税金約2200万円を支払わないと出金できないと言われた。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • SNS上で、消費者を信用させるために、著名人本人に無断で名前や写真を使用した投資勧誘が横行しています。著名人の公式サイトや公式アカウント等で注意喚起が出ていないか、まずは確認するようにしましょう。
    • 投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合は詐欺です。絶対に振り込まないでください。相手と連絡が取れなくなるなど被害回復は困難です。安易に資金を振り込むことはやめましょう。
    • 不安に思ったら、振り込む前にお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
厚生労働省 令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
  • ポイント
    • 過労死等に関する請求件数 4,598件(前年度比1,112件の増加)
    • 支給決定件数 1,097件(前年度比193件の増加)
    • うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 135件(前年度比14件の増加)
  • 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
    1. 請求件数は1,023件で、前年度比220件の増加。
      • うち死亡件数は前年度比29件増の247件。
    2. 支給決定件数は214件で前年度比20件の増加。
      • うち死亡件数は前年度比2件増の56件。
    3. 業種別の傾向
      • 業種別(大分類)
        • 請求件数は「運輸業、郵便業」244件、「卸売業、小売業」135件、「建設業」123件の順で多い。
        • 支給決定件数は「運輸業、郵便業」75件、「卸売業、小売業」29件、「宿泊業、飲食サービス業」25件の順に多い。
      • 業種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「運輸業、郵便業」のうち「道路貨物運送業」171件、66件が最多。
    4. 職種別の傾向
      • 職種別(大分類)
        • 請求件数は「輸送・機械運転従事者」200件、「専門的・技術的職業従事者」156件、「サービス職業従事者」135件の順で多い。
        • 支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」67件、「サービス職業従事者」29件、「専門的・技術的職業従事者」22件の順に多い。
      • 職種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「輸送・機械運転従事者」のうち「自動車運転従事者」183件、64件が最多。
    5. 年齢別の傾向
      • 請求件数は「50~59歳」404件、「60歳以上」363件、「40~49歳」203件の順で多い。
      • 支給決定件数は「50~59歳」96件、「60歳以上」53件、「40~49歳」52件の順に多い。
    6. 時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
      • 支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」24件が最も多い。
      • また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」53件が最も多い。P13表1-6
  • 精神障害に関する事案の労災補償状況
    • 請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。
      • うち未遂を含む自殺の件数は前年度比29件増の212件。
    • 支給決定件数は883件で前年度比173件の増加。
      • うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の79件。
    • 業種別の傾向
      • 業種別(大分類)
        • 請求件数は「医療、福祉」888件、「製造業」499件、「卸売業、小売業」491件の順で多い。
        • 支給決定件数は「医療、福祉」219件、「製造業」121件、「卸売業、小売業」103件の順に多い。
      • 業種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「医療、福祉」のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」494件、112件が最多。
    • 職種別の傾向
      • 職種別(大分類)
        • 請求件数は「専門的・技術的職業従事者」990件、「事務従事者」782件、「サービス職業従事者」579件の順で多い。
        • 支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」259件、「事務従事者」154件、「サービス職業従事者」126件の順に多い。
      • 職種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「事務従事者」のうち「一般事務従事者」582件、107件が最多。
    • 年齢別の傾向
      • 請求件数は「40~49歳」953件、「30~39歳」848件、「50~59歳」795件の順で多い。
      • 支給決定件数は「40~49歳」239件、「20~29歳」206件、「30~39歳」203件の順に多い。
    • 時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
      • 支給決定件数は「20時間未満」が63件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が55件。
    • 出来事(※)別の傾向
      • 支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」157件、「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」111件、「セクシュアルハラスメントを受けた」103件の順に多い。
        • ※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの。
  • 裁量労働制対象者に関する労災補償状況
    • 令和5年度の裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は3件で、専門業務型裁量労働制対象者が2件、企画業務型裁量労働制対象者が1件であった。また、精神障害の支給決定件数は6件で、いずれも専門業務型裁量労働制対象者であった。
    • 複数業務要因災害※に関する脳・心臓疾患の決定件数は18件(うち支給決定件数5件)で、精神障害の決定件数は11件(うち支給決定件数4件)であった。
      • ※事業主が同一でない二以上の事業に同時に使用されている労働者について、全ての就業先での業務上の負荷を総合的に評価することにより傷病等との間に因果関係が認められる災害。

~NEW~
厚生労働省 内部通報に係る調査の結果について
  • 厚生労働省が契約していた委託事業に関し、職員より内部通報があったことを受けて調査を行い、その状況を令和6年4月19日付けで公表(別紙)していましたが、今般、調査が完了しましたので、公表します。
  • 今後、調査結果を踏まえて必要な対応を行うとともに、こうしたことが起こることの無いよう、再発防止に取り組んでまいります。
  • 新たに確認した事項
    • 令和2年度から令和4年度までの委託事業において、精算報告書の記載額と領収書等に一致しないものがあり、改めて確認した結果、令和2年度の委託事業及び令和4年度の委託事業において、精算額が過大となっていた。
    • 【要返還額】約560万円(令和2年度分;約69万円、令和4年度分;約491万円)
      • ※受託者より、確認の結果を踏まえた再精算報告書等を受領し、返還手続き中。
  • 今般の事案が生じた主な要因
    • 今般の事案において、再委託に係る必要な手続きが行われなかったことや、精算額が過大となっていたこと等が生じた主な要因としては以下が考えられる。
    • 担当管理職等においては、担当職員から複数回問題点の指摘があり、具体的な確認等により課題を把握、処理できていた可能性があったにもかかわらず、いずれも状況の把握や進捗の管理が不十分であったこと。
    • 担当管理職等において、会計法令等の理解が不十分であったこと。
  • 今後の対応
    • 再委託に係る必要な手続きが行われていなかったことについて、公共調達審査会等に報告を行う。
    • 関係職員について、調査結果を踏まえた適切な対応を行う。
    • 「4.再発防止策」について、速やかに実施する。
  • 再発防止策
    • 人材開発統括官において委託事業に従事する職員全員に対し、会計法令に関する認識や契約事務に関する知識等に関する再研修を行う。
    • 人材開発統括官において委託事業を所管する全管理職に対し、委託事業に係る会計法令や契約事務のポイント、適切な進行管理の実施について再研修を行う。

~NEW~
厚生労働省 第11回雇用政策研究会資料
▼ 【資料3】雇用政策研究会報告書(素案)② 概要
  • 人手不足下で展望される今後の労働市場
    • 日本の総人口は、2040年には現在の9割に減少し、65歳以上がおよそ35%を占めると推計されている。労働力人口は、1人あたりの実質経済成長や労働参加が現状から進まないと仮定し機械的に推計した場合には6002万人となるとされる一方、経済成長と多様な個人の労働参加が実現した場合には、6791万人となることが見込まれる。このような労働市場を実現するには、多様な個人の労働参加の促進と経済成長を実現するための労働生産性の向上が重要。
    • 人手不足については、労働需要量に対し労働供給量が追いついていない「労働需要超過型の人手不足」、企業側が求めるスキルを有する人材の不足による「構造的な人手不足」、求人と求職のミスマッチによって生じる「摩擦的な人手不足」といった類型が考えられ、処遇の改善等を通じた労働参加の促進、リスキリングの強化、労働市場のインフラ整備等のそれぞれの類型に合った処方箋が必要。
    • これまでの雇用政策では、労働者の能力向上に向けた施策の充実が図られてきた側面があるが、人手不足が深刻化する中にあっては、企業が労働者に選ばれる職場をつくる能力を高めることが重要。こうした職場づくりに向け、労使の適切なコミュニケーションが重要。
  • 多様な個人の労働参加
    • 多様な個人の労働参加に向け、長時間労働を是正するとともに、様々な選択肢が提示できる雇用管理への転換が必要。
    • ミドル・シニア世代の人材活用に向け、ワーク・エンゲージメントを下げないような取組みや、地域に貢献し地域と繋がるような仕組みの強化が重要。
    • 家庭等の事情に関わらず希望する働き方の実現に向け、職場・家庭の役割分担の見直しへの社会的な機運の醸成が必要。さらに、個々の労働者の健康状態に合わせ対応できる職場環境の整備も重要。
    • 地域の人手不足への対応として、地域間でのマッチングの促進を通じ、地域の担い手を確保することが必要。
    • 外国人労働者への対応として、選ばれる国であり続けるよう、キャリアアップが見込める等の雇用環境の整備や、日本の受入制度と送出国のニーズ等の調和に向けた戦略的対応が重要。
  • 新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上
    • 労働生産性の向上に向けては、新たなテクノロジーの活用だけでなく、従来行われてきた省力化投資や業務改善を行うとともに、雇用の質を高めるべく人的資本投資を行っていくことが必要。
    • 新たなテクノロジーの活用に際しては、労使コミュニケーションの深化とテクノロジーの進展によるタスク・スキル変化のモニタリングを通じ、労働者が担うべきタスクの検討を進めるとともに、技術変化を踏まえたキャリア形成支援・職業訓練の充実により、労働者がテクノロジーに代替されないスキルを深化させることが重要。
    • さらに生成AI・AI等の活用促進にむけては、働き方改革を同時に進めるなど一層のウェルビーイングに配慮した対応が必要。
  • 労働市場のインフラ整備等
    • テクノロジーの進歩や個人の就労ニーズの多様化の中、人材育成支援(キャリア形成支援やスキルの習得)、労働市場の見える化といった労働市場のインフラ整備が重要。
    • 企業内の人材育成支援については、自律的・主体的なキャリア形成が行える仕組みや、スキルの習得に取り組んだ人材が、自社内で処遇される仕組み作りが重要。
    • 職業人生が長期化する中、様々な選択肢の中で、個人が活躍できる労働市場の構築に向け、以下の構築が重要。
      • 自律的・主体的にキャリアに関する相談や必要なスキルの習得ができる環境
      • 処遇改善に繋がるキャリアラダーが見える労働市場
    • 人材育成により、獲得したスキルが評価され、賃金等に反映され、更なるステップアップに繋がるという好循環を実現できる労働市場の機能強化が重要。

~NEW~
経済産業省 著名人・有名企業等なりすまし広告問題に関する3社からの聞き取り結果及び当該結果を踏まえた取組状況の評価の公表について
  • 経済産業省は、デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、著名人・有名企業等になりすます偽広告への対応についてプラットフォーム事業者に対する聞き取りを行いました。本日、聞き取り結果を踏まえた取組状況の評価を公表します。
  • 経緯
    • 昨今の投資環境の変化等を背景に、ソーシャルネットワーキングサービス、その他交流型のプラットフォームサービス(以下「SNS等」という。)やインターネット検索サービス、インターネットメディア等に表示されるデジタル広告で、個人又は法人の氏名・名称、写真等を無断で利用して著名人の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスに勧誘等を図る広告(以下「なりすまし型偽広告」という。)が流通・拡散しており、こうした広告を端緒とするSNS型投資詐欺の被害が急速に拡大しています。
    • 経済産業省としては、デジタルプラットフォーム取引透明化法(以下「透明化法」という。)に基づき、正当な広告主がなりすまし被害に遭い、広告掲載取引上の不利益を受けることを防止する観点から、同法の規制対象事業者である、Google LLC(以下「Google」という)、LINEヤフー株式会社(以下「LINEヤフー」という)、Meta Platforms, Inc.(以下「Meta」という。)の3社に、なりすまし型偽広告に対する取組状況について聞き取りを行いました。今般、聞き取りの結果を踏まえた取組状況の評価を公表します。
  • 評価の概要
    • デジタル広告が掲載されるまでのプロセスに着目し、①広告主アカウント作成時の審査(本人確認)、②広告出稿時の事前審査、③事前審査通過後の出稿内容変更・差替時の審査について聞き取りを行い、各社の取組状況の評価を行いました。
    • 主な評価内容は以下のとおりです。
      1. アカウントの本人確認強化
        • なりすまし型偽広告等を抑制するためには、悪意のある出稿者にアカウントを付与しないよう、アカウントの本人確認を強化することが有効。
        • 各社とも広告主の本人確認の仕組みはあるが、そのタイミングや本人確認を求める対象範囲に違いがあった。(アカウント作成後に追加の本人確認を行う仕組みの社も複数あった。)
        • 追加の本人確認を行う仕組みの場合、悪意のある出稿者の捕捉が実効的に機能するよう、リスクに応じて適切な範囲の広告主に対して本人確認を実施する必要がある。
        • Metaにおいては、追加の本人確認を求める広告主の対象範囲が未だ限定的であることが窺われる。
      2. 広告審査の強化
        • 広告の審査(当初出稿時、審査通過後の広告内容変更時)
          • [1]当初出稿時または内容変更時に、機械や人の目により審査を行うこと、[2]新たな手口の悪質広告を踏まえ、審査手法をアップデートすることは有効なアプローチと考えられる。この点、各社とも取組を行っている。
          • また、悪質な出稿者の行為態様を考えると、ランディングページ(広告をクリックすると表示されるページ)の内容変更についても、適切なリスク評価を行うとともに、グループチャットに誘引するものを個別審査の対象とすることが有効。
        • 日本特有の悪質広告に対応する審査体制
          • なりすまし型偽広告等への対応には、日本語ないし日本文化上の文脈を踏まえた判断が必要。
          • この点、LINEヤフー及びGoogleは上記判断を行える体制を組んでいることが回答されているが、Metaにおいては、専ら機械(システム)により審査を行う中、上記判断を行える体制に関し、十分な回答が行われていない。
          • 評価に当たっては、経済産業省が別途実施した、なりすまし型偽広告による被害を受けた広告主へのヒアリング等の結果も踏まえています。なお、本評価の公表は、政府の犯罪対策閣僚会議にてとりまとめられた「国民を詐欺から守るための総合対策」(令和6年6月18日)に基づくものです。
  • 今後の取組
    • なりすまし型偽広告への各社の対応については、本年度の「デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合」(座長:岡田羊祐・成城大学社会イノベーション学部教授)の中で取り上げ、同会合の意見とりまとめを踏まえた「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価」(経済産業大臣評価)において各社に対する改善要請を行う予定です。
▼ なりすまし広告問題に関する3社からの聞き取り結果及び当該結果を踏まえた事務局評価

~NEW~
経済産業省 「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」~変革のための生成AIへの向き合い方~ を取りまとめました
▼ 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(令和6年6月)<概要>
  • 生成AI技術は急速に進展し、国内企業の導入が加速も、本格的な利活用には課題
  • 生成AIの利活用を妨げる課題と解決に向けた示唆、生成AI時代のDX推進人材のスキル、政策対応を取りまとめ
    1. 生成AIの利活用の現在地
      • 開発者の貢献や企業の前向きな生成AI導入(国内企業の生成AIの社内利活用・推進は1年前から大きく進展)
      • 一方、組織として生成AIの日常業務への組み込み、新サービス創出、これを後押しする経営層の関与が停滞(世界平均より低い)
    2. 生成AI利活用の課題、解決策と今後
      • 組織として生成AIを日常業務に組み込んで利用する取組や、新たなサービス創出につながる活用、また、これを後押しするような経営層の関与において停滞
      • 利活用を妨げる課題解決に向けた示唆
        • 生成AIへの理解不足と向き合い方
          • 目的志向のアプローチ、環境整備と実験、答えでなく問いを深める
        • 経営層の姿勢、関与
          • 経営層自身がビジョン・方針を定め、変革推進人材の役割を定義
        • 推進人材とスキル
          • スキルトレンドをデータドリブンに捉え、人材定義・教育・活躍の場作り
        • データの整備
          • 全社的なデータマネジメントとデータ「目利き」人材の育成・確保
          • 経験機会の喪失と実践的な教育・人材育成
          • 開発生産性の革新で、新たなベンダー・ユーザーの契機
    3. 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル
      • 生成AIの業務での活用により知識や技術が補填されるため、DX推進人材はより創造性の高い役割としてリーダーシップや批判的思考などパーソナルスキルやビジネス・デザインスキルが重要となる
      • DX推進人材には「問いを立てる力」や「仮説を立て・検証する力」、に加えて「評価する・選択する力」が求められる
      • 求められるスキル
        • ビジネスアーキテクト:選択肢から適切なものを判断する選択・評価する力
        • デザイナー:独自視点の問題解決能力、顧客体験を追求する姿勢
        • データサイエンティスト:利活用スキル(使う、作る、企画)、背景理解・対応スキル(技術的理解、技術・倫理・推進の各課題対応)
        • ソフトウェアエンジニア:AIスキル(AIツールを使いこなす)、上流スキル(設計・技術面でビジネス側を牽引)、対人スキル
        • サイバーセキュリティ:AI活用の利益とリスク評価、社内管理スキル、コミュニケーションスキル
    4. 生成AIを踏まえた人材・スキルのあり方に関する対応<経済産業省における政策対応>
      • 「デジタルスキル標準」(DSS)の見直し
      • 「デジタルガバナンス・コード」の見直し
      • AI学習機会の裾野の拡大
      • 生成AI時代に求められる継続的な学びの実現に向けた環境整備

~NEW~
経済産業省 生成AIの学習に必要なデータセット構築やデータ・生成AIの利活用に向けた調査事業を実施します
  • 経済産業省では、生成AIの開発力強化に向けて取り組んでいます。今回、GENIACプロジェクトの一環として、NEDOのポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業を活用し、生成AIの学習に必要なデータセット構築やデータ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査事業の公募を行います。これにより、生成AIモデルの開発からユーザー企業による利活用までのバリューチェーン上に存在するボトルネックの解決を目指します。
  • 背景及び概要
    • 生成AIは、従来のAIでは不可能であった様々な創造的な作業を人間に代わって行える可能性があることから、産業活動・国民生活に大きなインパクトを与える革新的な技術であるとされており、民間においても徐々に生成AI利活用が進みつつあるところです。
    • 経済産業省では、日本国内の生成AI開発企業の開発力を強化するための様々な支援を「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」と称して実施しています。具体的には、基盤モデル開発企業に対する、計算資源の調達等の支援を実施しています。
    • 他方、生成AI開発を取り巻く課題は計算資源の確保のみならず、生成AIの学習に有用なデータセットを構築する手法等が確立していないといった技術的な課題や、データホルダーやユーザー企業との連携が進んでいないといった課題も抱えています。
    • こうした背景から、経済産業省では、GENIACプロジェクトの一環として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業を活用し、生成AIモデルの開発からユーザー企業による利活用までのバリューチェーン上に存在するボトルネックの解決に資する調査を実施します。
    • また、各事業によって得られた取組成果を広く波及させていくことが重要であるところ、各事業の成果が事業実施主体のみに閉じてしまうことのないよう、その成果を一元的かつ効率的に普及すること等を実施する事業者(成果普及等支援者)の公募も実施します。
  • 具体的な実施内容
    • 生成AI開発加速に向けた新たなデータセットの構築に関する調査
      • 生成AIの開発には大量かつ良質なデータが必要です。他方、生成AIの開発にあたって活用できるデータは限られており、そのデータセットの構築のあり方も模索が続いているところです。
      • こうした背景から、新たなデータセットの構築とそれに対する生成AI開発企業等からのフィードバックを通じて、生成AIの開発を加速するためのデータセットの構築のあり方に関する調査を実施します。
    • データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査
      • 生成AIの開発や利活用の推進においては、データホルダーと生成AI開発者との連携や自身の業務を代替されるといった不安感等といった課題が存在します。
      • こうした背景から、生成AI開発者とデータホルダーの連携や、個別業界毎の生成AIの利活用の推進に向けた課題を明らかにし、その解決手法の仮説とその実証を通じて調査を実施します。
  • 公募期間
    • 2024年6月28日(金曜日)から2024年7月29日(月曜日)正午
  • 関連リンク
▼ 生成AI開発加速に向けた新たなデータセットの構築に関する調査(NEDOホームページ)
▼ データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査(NEDOホームページ)
▼ GENIAC(METI/経済産業省)

~NEW~
経済産業省 日本風力開発株式会社から報告徴収に対する回答を受領しました
  • 経済産業省は、令和6年4月2日に日本風力開発株式会社(以下「JWD」という。)に対して、特別調査委員会による検証結果に対する認否等について、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求め、本日、同社から回答を受領しました。
  • 資源エネルギー庁は、令和5年10月17日、JWDに対して、発電事業の実施に当たっての法令遵守の対応やコンプライアンス体制等について、中立的かつ客観的な検証等を求める指導を行い、令和6年3月6日、JWDより当該指導に対する報告を受領しました。
  • 当該報告を踏まえ、経済産業省は、令和6年4月2日、同社に対し、電気事業法第106条第3項の規定に基づき、以下について、報告するよう求めました。
    • 特別調査委員会による検証結果に対する認否
    • 法令等遵守の観点から懸念がある他の事案の有無
    • コンプライアンスの遵守等を徹底するために取り組んできた内容及び今後の計画
  • 本日、経済産業省は、書面(資料)での回答を受領しました。
▼ 資料:報告徴収に対するご報告について
  • 本件事案の原因とその対策
    • 取締役に対する監督機能の不全
      • 経営体制の刷新・強化
        • 旧経営陣の退任及び報酬の自主返上
        • 新経営陣の就任
        • インフロニアによる役員審査
        • 取締役会の機能強化
    • 役職員におけるコンプライアンス意識の不足
      • 組織体制・規程の整備や教育を通じたコンプライアンス意識の向上
      • 経営トップによるコミットメント・メッセージの発信
      • コンプライアンス体制の整備
        • 法務・コンプライアンス部の新設
        • JWDグループ行動規範の策定
        • 腐敗防止の徹底
        • 就業規則の改定(懲戒関連規程の見直し)
        • コンプライアンス教育の実施
        • 人事評価制度の見直し
    • 業務プロセスにおける予防機能の脆弱性
      • 業務プロセスの再整備による適切性・透明性の確保
      • 決裁権限関連規程及びシステムの整備・改定
        • 決裁権限関連規定の改定・整備
        • ワークフローシステムの改定
      • 不適切な取引の防止
        • 法務・コンプライアンス部による契約内容の事前審査
        • 決裁権限規程に基づく承認
        • 経理部における支払い可否のチェック
        • 内部監査部の監査による事後的な確認
    • 監視・チェック機能の脆弱性
      • 監視・チェック機能の強化による、リスクの早期発見・早期解決
      • 新任取締役の就任、新任監査役の就任
      • 内部監査体制の整備
        • 内部監査部の設立
        • インフロニアグループの監査体制
      • 監査役による監査体制の強化
        • 月例ミーティングへの参加
        • インフロニアグループ監査連絡会の出席
        • 内部監査部門による業務監査への同行
      • 会計監査人による監査の強化
      • 従業員に対する定期的なコンプライアンス調査の実施
      • 内部通報体制の整備
      • コンプライアンス委員会の設置

~NEW~
経済産業省 「持続的な企業価値向上に関する懇談会」の検討結果を「座長としての中間報告」として取りまとめました
  • 経済産業省は、2024年4月に設立した「持続的な企業価値向上に関する懇談会」の検討結果を「座長としての中間報告」として取りまとめました。
  • 背景・問題意識
    • 2014年の伊藤レポート公表以降も、価値協創ガイダンスや東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コードの公表をはじめ、各所から各種ガイダンス等が公表されるなど、企業価値向上に向けた様々な取組が行われてきました。
    • こうした中、一部の企業では、コーポレートガバナンス改革も進み、経営変革が行われた結果、企業価値が向上しました。しかし、日本企業全体では、依然として、ROE(自己資本利益率)、PBR(株価純資産倍率)等のパフォーマンス指標において米国・欧州企業と比較して差があるのが実情です。この10年間、一部の企業を除き、多くの日本企業において、これまで指摘されてきた課題が解消されず、パフォーマンスが上げられなかったのはなぜか。
  • 懇談会の目的
    • 本懇談会では、伊藤レポートで提言・推奨した各課題等について、公表後10年間の進捗状況を確認した上で、取組が不十分だった課題については、取組が進まなかった要因の分析を行います。
    • その上で、課題や要因は、企業経営、取締役会、資本市場などにまたがり、複合的に絡み合っていると考えられますが、当時からの環境変化も踏まえつつ、今後の対応の方向性を検討します。
  • 「座長としての中間報告」の概要
    • 本懇談会での議論に先立ち、座長から8つの課題認識(座長メモ)を提示し、計4回の議論を行いました。その結果も踏まえて、「座長としての中間報告」では、以下5つの課題に再整理を行いました。
    • 企業価値に対する企業と投資家との間の認識のずれ
      • 企業価値を高めることの意義の再確認
    • 長期視点の経営の重要性
      • 企業が置かれているポジションによる優先課題や処方箋の違い
      • 社会のサステナビリティも踏まえた、長期視点の経営による将来の成長期待(PER)の向上(企業情報開示のあり方も含む)
      • 中期経営計画のあり方の再考など
    • 経営チーム体制の強化の必要性
      • CFO・FP&A、CHRO・HRBP機能の強化
      • 経営者人材の育成に向けた取組の加速 など
    • 取締役会の実効性の強化
      • 取締役会の役割の明確化
      • 経営者の選解任等の機能の強化
      • 社外取締役の実効性の強化(選任方法の検証、投資家との対話・エンゲージメントの充実、社外取締役の質の向上等) など
    • 資本市場の活性化
      • 次世代を担うアセットマネージャーの人材確保・育成
      • アセットオーナーの投資運用力を含む専門能力の強化
      • 政策保有株式の更なる低減や資本市場への説明のあり方
      • 企業情報開示の質の向上
      • 企業間の競争を促すための株価指数の運用改善 など
▼ 持続的な企業価値向上に関する懇談会 座長としての中間報告
  • 経営者を支える経営陣の重要性
    • もちろん経営者ひとりで企業経営を担うわけではなく、戦略、財務、人事、デジタルなどの各分野で一定の役割と責任を負い、時には経営者に対して「否定」も含めた、生産的・建設的な意見を言えるCxOの存在が重要である。その意味で、効果的・効率的に機能する経営チームを組成することが求められる。
    • 特に2004年の伊藤レポートでも指摘したCFO機能の拡充は引き続き重要となる。CFOは経理・財務のみを担うのではなく、経営戦略の策定にも関わり、経営戦略に財務的な知見を加えることが期待される。また、CFOを支えるFP&A機能の強化も必要である。FP&A機能は、CFOの配下で、業績目標の達成のために計画策定やモニタリング、業績予測や分析を通じて、CEOや事業部門の意思決定を支援し、企業価値の向上に貢献する機能を果たすことが期待されている。
    • FP&Aは多くの欧米企業で見られる機能であるのに対し、日本企業では、経理財務部門と経営企画部門で計数管理の機能・権限が分散し、制度会計と管理会計の所管やレポーティングラインが分かれていることが多い。経営戦略には、常に財務的な裏付けや予測を組み入れるべきであり、CFOがFP&A機能を担う組織を有効に活用して、経営戦略と経理財務の全体を担当することにより経営戦略の厚みが増し、投資家との効果的な関係構築にも寄与すると考えられる。
    • さらに、経営戦略と人材戦略のマッチングを図るためには、CHROに期待される役割も極めて大きい。昨今、日本企業において、CEOの右腕として、企業の中長期ビジョンの実現のために必要な組織と人材のあり方を構想し、軋轢をうまくコントロールしながら、経路依存性を絶ちながら大きな変革を推進するCHROの活躍が見られる。一方で、「人事は管理部門の一部」といった感覚で、専門性のある役員を配置していない企業も少なくない。CEOに求められることの高度化に鑑みると、共に人材、組織の変革を構想・推進する、頼れるCHROを持つことは重要で、その有無は中長期的な企業の発展にとっても極めて大きな違いを生む。また、CHROの機能を遂行するには、事業部門側にもCHROと連携しながら人事戦略を立案・実行するHRBP(HRビジネスパートナー)の役割も大きい。また、人事組織は個社ごとの特徴・個性が強く出るところであり、CHROを外部採用して機能させることは他のCxOよりも難しいとの声も聞かれる。中長期的なCHRO人材パイプラインづくり、サクセッションに真剣に取り組むことが肝要である。
    • 加えて、当然CxO間での連携、特に、CFOとCHROは緊密に連携し、それぞれの戦略の相互依存性を理解する必要がある。
    • また、経営会議等の執行サイドの会議体において、同調やコンセンサスを重視しすぎて、戦略の差別化の議論が不十分な企業が多いという意見があった。多種多様な知見を有するCEO、CxO等により活発かつ厚みのある議論がなされるようにするなど、経営会議等の高度化を図ることによって、それを監督する取締役会の実効性の向上にもつながることに留意する必要がある。
  • 社長・CEOら経営陣をエンドースする役割の重要性
    • 経営陣が適切なリスクテイクを行い、将来の「目指す姿」の実現に向けて長期視点での経営を実行していこうとする際、重要な役割を担うのが取締役会による経営陣のエンドースメント機能である。不確実性が高く、変化が激しい、複雑な経営環境下において、将来を完全に見通し、常にローリスクで経営を行って、その上で企業価値を向上させることは困難である。
    • 取締役会は、経営陣が策定した大きな戦略の方向性の案について、その検討の際に用いた仮定を検証することにより妥当性を判断できれば、後は力強く、経営陣をエンドースすることが重要なのではないか。本懇談会では、経営陣のリスクテイクを牽制することに注力する取締役も少なからずいるとの意見もあったところ、十分な情報収集や検討に基づき判断を行う必要はあるが、取締役会は経営陣による適切なリスクテイクを後押しすべきではないか。
  • 社外取締役の役割の重要性
    • 取締役会の実効性向上の鍵は、社外取締役である。
    • 上場企業の取締役は、会社法に基づき株主からの付託を受け、株主共同の利益の最大化に向けて、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与する役割・責務を負っており、社外取締役も、取締役の一員としてこのような役割・責務を負っている。
    • 社外取締役には、取締役会の構成員として、経営陣から独立した立場から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる優れた経営者を選び出すとともに、取締役会等での経営の助言や監督等を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を強く意識した経営を行うことを促すことが期待されている。
    • 社外取締役がこのような役割を果たすには、個々の知識・経験・能力が優れていることはもちろんであるが、経営戦略に照らして取締役会の全体として備えるべきスキル等を特定し、スキル・マトリックスを策定するなどして、適切な人材を配置し、取締役会を構成することが重要なのではないか。本懇談会では、このような観点も踏まえ、企業は社外取締役の選任の状況やプロセスの実態について改めて検証した上で、適切な社外取締役を選任することが必要との意見があった。
    • また、社外取締役に期待される役割が高まるにつれ、社外取締役が経営陣や株主等との対話を行う必要性が増す。このため、社外取締役の中から、単なる調整役としてではなく、様々な対話の中心として、主導的な役割・責任を果たす社外取締役を「筆頭独立社外取締役」等として選定しておくことが効果的であり、「筆頭独立社外取締役」をはじめとする社外取締役の役割・責任を定義しておくことが重要との意見もあった。
    • 加えて、東京証券取引所プライム市場(東証一部)上場企業の独立社外取締役の数は、コーポレートガバナンス・コードの改訂や会社法の改正もあり、ここ10年間で約5倍になり、大きく増加しているものの、欧米と比べるとまだまだ人数は少ない。社外取締役人材の拡大とともに、今後は経営者の選解任や再任・不再任の判断など、タフなタスクに十分な知識・経験・能力をもって取り組めるような社外取締役の質の向上が重要なのではないか。
  • 投資家との社外取締役の対話の重要性
    • 経営者がリスクテイクを行い、長期視点での経営を実行するには、社外取締役を中心とする取締役会と経営者を中心とする執行サイドとの適切な緊張関係が必要となる。また、社外取締役がその役割を認識し、執行サイドを適切に監督・エンドースするには、社外取締役自身も資本市場からの社外取締役への期待・責任を直接受け止める状態に置くことも重要である。そのためには、投資家とのエンゲージメントに社外取締役が経営陣から独立した立場で参加することも重要ではないだろうか。社外取締役は、株主の代表であるため、投資家の視点を持つことが重要であり、投資家とのエンゲージメントを通じて、投資家の意見を直に聞くのは有用であろう。
    • しかし、社外取締役が投資家と対話している事例は少なく、また、その必要性を感じていないというアンケート結果もある。もちろん、投資家が、社外取締役と対話する際のアジェンダと執行サイドと対話する際のアジェンダは異なるべきである。すなわち、社外取締役との対話では、経営の実行戦略などの細かい事項をアジェンダにするべきではなく、長期ビジョンや社外取締役の視点から経営をどのようにみているのか、コーポレートガバナンス体制はどうなっていて、どのように評価しているのか、などの大局的な項目をアジェンダとすることが考えられる。一方、執行サイドには、具体的な実行戦略なども含む項目もアジェンダにすることが考えられる。
  • 企業情報開示の質の向上
    • 企業と投資家のエンゲージメントの実効性を高めていくためには、その両者の結節点となる企業情報開示の質を高めていくことが重要となる。
    • また、情報開示のタイミングについても改善の余地が多い。ICGN(International Corporate Governance Network)の提言も踏まえつつ、株主の十分な検討時間を確保するため、議決権行使に必要な情報が多く含まれる有価証券報告書が定時株主総会開催の相当程度前には公表されていることが重要である。このような開示書類の公表タイミングに加え、今後、サステナビリティ情報開示や英文開示の進展も予想される中、投資家にとって有用な制度開示及び任意開示を含む日本企業の開示体系のあり方の抜本的な検討が必要な時に来ている。

~NEW~
経済産業省 「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」を取りまとめました
▼ 企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)
  • 開示書類間の記載内容の重複について
    • 現状の日本企業の情報開示体系においては、制度開示間並びに制度開示・任意開示間において記載内容の重複が見られている。
    • 日本の制度開示においては、複数の報告書(金融商品取引法に基づく有価証券報告書、会社法に基づく事業報告・計算書類等、証券取引所上場規程に基づくコーポレート・ガバナンス報告書等)が作成されているが、異なる開示媒体において類似の情報の記載が求められることがあり、開示媒体間の内容の重複が指摘されている。例えば、コーポレート・ガバナンス情報については、有価証券報告書、事業報告・計算書類等、コーポレート・ガバナンス報告書という三つの制度開示媒体において、それぞれ少しずつ内容は異なるものの、記載が求められている。
    • また、統合報告書やサステナビリティレポート等の任意の報告書と、制度開示の報告書との間でも内容の重複が見られる。前述のコーポレート・ガバナンス情報については、統合報告書やサステナビリティレポートにも記載されていることが多く、全く同じ内容が記載されているケース、他の書類やウェブサイトへのリンクが貼られているケース、また、類似の内容を媒体毎に編集を加えて記載しているケース等がある。
    • こうした情報開示の重複については、複数の原因が考えられる。制度開示間の重複については、一つの法令等に対して一つの開示書類が対応していることが原因の一つと考えられる(当該状況に対して、例えば、英国では、一つの開示書類で複数の法令に対応している。)。各法令等の目的や趣旨は少しずつ異なるものの、それを達成するために類似の情報を必要とすることがあり、各法令等において求められる情報を各法令等が定めた書類に開示することにより、情報の重複が生じている。
    • 他方、制度開示・任意開示間の重複については、その書類の目的が一部重複していることから生じていることがある。例えば国際統合報告フレームワークにおいては、統合報告書の主たる目的が、「財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造、保全又は毀損するかを説明すること」とされているため、投資家に対して投資判断に有用な情報を提供するための有価証券報告書3と自ずと内容の重複が起こりうる。
    • その他、サステナビリティ関連情報については、2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、コーポレート・ガバナンス報告書においてサステナビリティ関連情報の開示が求められるようになったことや、2023年3月期決算より、有価証券報告書において「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されたことから、有価証券報告書、コーポレート・ガバナンス報告書とサステナビリティレポート等の間で内容の重複が生じ始めている。これは、制度開示間の内容重複と同様、各書類の目的は少しずつ異なるものの、それらを達成するために、類似のサステナビリティ関連情報を記載していることから起きている。
    • このように、現状の日本企業の情報開示体系では、関連する情報や類似する情報が複数の開示媒体に分断・重複して記載されていることから、投資家等の利用者においては、複数の報告書を読む負担が増加するとともに、企業情報の体系的な理解や必要な情報の収集における難易度が高まっている。本懇談会では、こうした状況が資本市場において、諸外国と比較して、日本企業のディスカウントを招いているのではないかとの指摘もあった。また、作成者側においても、複数の報告書の作成にともなう負担が増加している。今後、開示すべき情報の増加が見込まれていることも踏まえ、関係省庁・機関が連携の上、情報開示体系の整理・改善策を講じていくことが望ましいのではないか。
  • 有価証券報告書と統合報告書の使い分けの実態と課題について
    • 有価証券報告書と統合報告書については、各企業において使い分けが行われていることも多い。例えば、有価証券報告書は、主に過去の実績のデータベースとして用いられる一方で、統合報告書は、主に企業の将来を語ったり、持続的に利益を上げていく仕組みを伝えたりするために活用されているといった使い分けである。
    • この背景には、金融商品取引法における罰則の規定、様式の存在、固定観念等を背景として、有価証券報告書には記載しづらいものの投資家に提供すべき情報や、企業自身が訴えたい情報については、自由な構成・様式で記載することが可能な統合報告書等が活用されているという実態がある。
    • この状況について、投資家からは、両書類は異なる視点・性格を有していると理解しており、それぞれを投資判断や議決権行使に活用しているという説明があった。一方で、企業価値に関する情報が二つの書類に分断して記載されることに加え、二つの報告書が違うタイミングに異なる記載ぶりで開示されることにより、情報収集にコストがかかり、情報の正確な理解を阻害する可能性があることを懸念する意見もあった。
  • 各報告書の一本化について
    • 報告書間の記載内容の重複状況を踏まえ、制度開示書類(有価証券報告書、事業報告・計算書類等、コーポレート・ガバナンス報告書)と統合報告書を統合し、ワンストップで開示するべきではないかとの提案もあった。
    • 現在の実務において、過去情報は主に有価証券報告書に記載し、将来情報は主に統合報告書に記載するという書類の使い分けがなされていることについて、過去・現在・未来を繋ぐ価値創造ストーリーとして一つの書類で開示することが重要ではないかとの意見が示された。また、財務情報と非財務情報を関連付けた開示は、これからの有価証券報告書のあり方そのものであり、どのようにそれを実現できるかを検討していくべきとの声も聞かれた。さらに、投資家向けの情報が複数の報告書を通じて開示されるという日本の情報開示実務は諸外国のものと異なっており、こうしたガラパゴス化した開示体系が用いられることによって、特にグローバルな投資家にとっては必要としている情報を見つけにくい可能性があるのではないか、また、複数の報告書における記載ぶりが異なることにより信頼性への懸念が生じる可能性があるのではないか、との指摘もあった。
    • 一方、現在の有価証券報告書については、過去・現在・未来を繋ぐ価値創造ストーリーを記載しにくいといった企業の声もある。それらの情報を、適切なセーフハーバー・ルールを設けないまま法定開示で求めることによって、記載が形式化してしまうことに対する強い懸念も投資家側から示されている。制度開示において、企業が独自性のある情報、将来に向けたビジョン等を積極的に語るためには、なぜそれが現状の有価証券報告書では実現できないのかを問い直し、諸外国の状況なども踏まえて、新たな情報開示のあり方を検討することが必要であると考えられる。
  • 事業報告等、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の一体開示
    • 事業報告・計算書類等、有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書については、イメージ案1・2のいずれの場合においても、一体開示を目指していくこととしている。我が国では、会社法と金融商品取引法のそれぞれの法律で開示のルールが定められていることから、二種類の法定開示書類を作成する実務が広く行われているが、両書類の内容の重複や二つの監査報告の必要性、情報収集にかかるコストや企業における負担等を踏まえ、将来的には会社法と金融商品取引法の両方の要請を満たす書類を作成・開示していく実務を広めていくことが、開示実務の効率性の向上につながると考えられる。また、コーポレート・ガバナンス報告書についても、事業報告・計算書類等及び有価証券報告書との間で内容の重複が生じていることから、一つの法定開示書類へ統合することを想定している。
  • 定時株主総会前の一体書類の開示
    • 事業報告・計算書類等については、定時株主総会の3週間前までの電子提供が会社法において求められている。これに加えて、有価証券報告書についても、従前、定時株主総会の十分前に開示することを求める投資家の声が示されており、本懇談会においては、有価証券報告書の情報が議決権行使に利用されないのは本末転倒であるとの意見や、有価証券報告書は議決権行使基準日よりも前に開示されるべきとの意見もあった。また、株主提案に関する検討を行うためにも、定時株主総会前にサステナビリティ関連情報を含めて十分な情報が開示されることが重要との投資家の意見もあった。これらの状況を踏まえ、イメージ案1・案2のいずれの場合においても、事業報告・計算書類等、有価証券報告書の情報を含む法定開示書類は、定時株主総会の開催時期の後ろ倒しという選択肢も考慮に入れつつ、定時株主総会の十分前に開示されることを想定している。
  • 英文による情報開示
    • 前述のとおり、海外投資家から、英文での情報開示に関して改善を求める声が寄せられていることを踏まえ、特に海外投資家からの投資を呼び込むことを目指す企業においては、法定開示書類について、日本語・英語両方での開示を進めていく必要があり、それが海外投資家にとって、日本企業に対する資本コストを下げることにも繋がると考えられる。
  • XBRL化
    • 近年、AI等を用いて報告書が読まれることが増えてきていることを踏まえ、本懇談会では、XBRL形式でタグ付けを行うことにより、情報収集の容易性、機械可読性を向上させるべきとの意見が聞かれた。XBRL形式で情報が開示されることにより、利用者は容易に多数の企業からの情報を取得・比較することが可能となるため、証券アナリストによる分析、ファンド組成等においても有益である。また、タグ付けを行うことにより、データの定義が明確化され、共通認識の形成が図られるという効果もある。現在、有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書はXBRL形式で提供されているが、イメージ案1を選択する場合は、それらに加えて事業報告・計算書類の情報もXBRL形式を用いて開示されることとなる。また、イメージ案2を選択する場合は、それらに加えて、現状、統合報告書に記載されることが多い情報についても、XBRL形式を用いた開示が行われることになる。

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総務省 災害時の携帯電話の位置情報の提供に係る通知の発出
  • 災害時の携帯電話の位置情報の提供について、総務省は、一般社団法人電気通信事業者協会(会長 髙橋 誠)に通知を発出しました。
  • 経緯等
    • 電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第4号。以下「ガイドライン」といいます。)第41条第5項の規定に基づき、電気通信事業者は、救助を要する者(以下「要救助者」といいます。)を捜索し、救助を行う警察、海上保安庁又は消防その他これに準ずる機関(以下「救助機関」といいます。)からの要請により要救助者の位置情報の取得を求められた場合においては、要救助者の生命又は身体に対する重大な危険が切迫しており、かつ、要救助者を早期に発見するために当該位置情報を取得することが不可欠であると認められる場合に限り、当該位置情報を取得することができることとされています。また、同条第2項の規定に基づき、電気通信事業者は、あらかじめ同意を得ている場合、裁判官の発布した令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合に限り、位置情報について、他人への提供その他の利用をすることができることとされています。
    • 今般、救助機関が災害時の位置情報の提供の要請を行う場合における携帯電話事業者の対応について、総務省において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)及びガイドライン等における関係規律に照らし問題がないよう別紙PDFのとおり整理し、一般社団法人電気通信事業者協会に通知(以下「総合通信基盤局通知」といいます。)を発出しました。
    • なお、総合通信基盤局通知の整理は、災害時の位置情報の取扱いに限るものであり、災害時以外の位置情報の取扱いには適用されないものです。
  • 総合通信基盤局通知の概要
    • 救助機関に該当する機関について
      • 位置情報提供要請が可能な救助機関として、都道府県災害対策本部及び市町村災害対策本部が新たに加えられること。
    • 電話番号不明時の対応について
      • 災害時においては、救助機関は、携帯電話番号が不明の場合であっても、氏名・住所等で要請が可能であること。
    • 過去の位置情報について
      • 災害時においては、携帯電話事業者において、現在の位置情報が確認できない場合、最後に確認された位置情報の提供が可能であること。

~NEW~
総務省 我が国における青少年のインターネット利用に係る調査結果の公表
  • 調査結果のポイント
    • 主な知見
      • インターネット利用において、「トラブルに遭遇したことはない」という青少年の回答は52.4%であり、「答えたくない」と回答した1.6%を考慮しても、46.0%の人が何らかのトラブルに遭遇したことがあると回答している。
      • 青少年がインターネットを利用することについて、とりわけスマートフォンにおいて「課題・問題と感じていたり、不安に感じていたりすること」がある保護者が多く、未就学~中学生の保護者では60%を超えていた。一方、青少年自身の回答では、「課題・問題と感じていたり、不安に感じていたりすること」がある割合は中学で28.0%、高校で32.3%と、保護者に比べると低い傾向がある。
      • 青少年が投稿している内容として、「自分自身が写った画像・動画」「友人・恋人・パートナーが写った画像・動画」が多かった。プライバシー設定に関する質問では「非公開設定機能(鍵アカウント)を利用している」との回答が44.7%と最多であったが、逆にいえば、大半の青少年は公開状態のままインターネット上で投稿しているといえる。
      • 青少年の回答では、「ネットを通じて知り合い、会ったことがある人」と交流している例が少なくなく、特に高校生では20.6%であった。高校生の保護者の回答では、この数値は14.3%であり、実際には、高校生は保護者が把握しているよりもネットを通じて知り合い、会っているケースが多いことが分かる。
      • 保護者を対象とした調査でも、青少年を対象とした調査でも、インターネット利用に伴うトラブルのうち、最も高頻度で遭遇しているのが「使いすぎによって学業や生活に支障が出た」であった。
      • ペアレンタルコントロールという言葉について、「人に説明できる程度に内容を詳しく知っている」「人に説明はできないが、ある程度内容を理解している」のいずれかに該当した保護者は30.0%であった。
      • 保護者、青少年ともに、トラブル予防・対処方法について教わりたい手段として「学校が行う講座」「学校で配られるチラシ・パンフレット」のニーズが極めて高かった。
      • 青少年インタビュー調査では、インタビュー対象の10件中8件において「学校・クラス」「知人・友人」間でトラブルが発生していた。また、10件中9件でSNSのDM・チャット上でトラブルが発生していた。
    • 主な政策的含意
      • 青少年はインターネット利用においてトラブルに少なくない割合で遭遇しており、中には深刻な被害をもたらすものもある。引き続き対策を強化していくことが求められる。
      • 多くの人が、青少年がインターネットを利用することについて課題・問題や不安を感じているため、引き続き啓発の推進が求められる。特に年齢の低い青少年の保護者への啓発が求められる。青少年はインターネット接続機器の利用に不安を感じていない傾向にあるが、実際には5割弱の青少年がトラブルに遭遇していることから、トラブル遭遇リスクについて青少年自身に啓発していくことも重要と考えられる。
      • 自身や周囲の人の画像・動画の投稿に関するリスク及びプライバシー設定についての啓発をさらに進め、保護者と青少年が十分な知識を基に適切に対応できるようにすることが大切である。
      • 青少年がインターネット上で、見知らぬ人と会うリスクについて、保護者・青少年双方に幅広く啓発し、共通知識を醸成していくことが重要である。また、家庭内において、見知らぬ人と会うことの報告や何らかのトラブルに遭遇した時の情報共有などを行いやすい状況にしておくことの重要性を啓発することも効果的と考えられる。
      • インターネットの使いすぎについて、そのリスクや適切な防ぎ方(家庭内ルールの導入・ペアレンタルコントロールサービスの導入など)について啓発することが重要である。
      • ペアレンタルコントロールという言葉を啓発すると共に、フィルタリングやペアレンタルコントロールサービスのような機能の活用と、適切な家庭内ルールの導入という2点について、より一層の啓発が求められる。
      • 学校の講座・配布チラシ、インターネット上の動画・ショート動画は保護者と青少年共通でニーズの高い手段であり、これらの手段でペアレンタルコントロールについて啓発していくことが望まれる。
      • SNSの利用に関して問題のある行為について、情報モラルだけでなく法律についての知識も含め、青少年への啓発をさらに推進する必要がある。

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総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第7回)
▼ 資料7-1 SPI論点整理(案)(事務局)
  • Appleの取組
    • ユーザーに関わるデータの使用に関しては、ユーザー自身に判断を委ねるべきであるというスティーブ・ジョブズ以来の考え方が取組みの根幹。
    • アプリケーションは事前の同意なしにユーザや端末に係るデータを収集してはならず、同意の取消にも速やかに対応すべきこととしている。
    • アプリケーションがユーザや端末に係るデータを収集・利用等することについて説明したプライバシーポリシーを公表することを義務づけるとともに、収集するデータや利用目的の概要をアイコンとともに示したプライバシーニュートリションラベルへの記入を義務化。
    • アプリケーションによるユーザのトラッキングはユーザによる許諾を必要とすることとしており、許諾を得るための標準的なポップアップ表示を提供している。
    • アプリケーションが位置情報にアクセスする場合には、ポップアップ表示によりユーザの同意を取得することとしており、また提供する位置情報の頻度や粒度を選択できるようにしている。
    • アプリケーションが写真データにアクセスする場合には、ユーザの同意を取得するとともに、アクセス範囲を一部に限定することができることとしている。
    • フィンガープリントなどユーザーに関するデータを収集する目的でAPIが誤用されることを防止するとともに、SDKによるデータの利用目的等への理解促進のため、プライバシーマニフェストへの対応を求めている。
  • Googleの取組
    • プライバシーポリシーの設置を義務化するとともに、アプリストアの個別ページ内に「データセーフティセクション」を設け、アイコン等で収集しているデータの内容や共有方針を記載することを義務化。
    • アプリケーションが健康・フィットネス・医療データを取得する場合には、アプリ内にプライバシーポリシーを掲載することや、当該データの収集とアプリケーションの中心的な機能との関連性について、利用者に対して明確に示すことを義務化。
    • アプリケーションによる個人情報の収集は、ユーザが合理的に予期することができる目的でのみ行えることとしている。
    • アプリケーションによるユーザの機密情報へのアクセスは、提供している機能やサービスの実装に必要であり、その利用目的等がアプリストアに掲載されている場合に限定している。
  • SPI改定への反映方針案
    • 法令から一歩進んだベストプラクティスとして、関係事業者等の望ましい対応を記載することとしてはどうか
    • 一方、法的拘束力はない点は明記すべきではないか
    • R2改正個人情報保護法関連の追記
      • 個人関連情報及び仮名加工情報の追加
      • 越境移転時の本人説明充実化(外国にある第三者への提供の制限)
      • 不適正利用の禁止(基本原則)
    • R4改正電気通信事業関連の追記
      • 特定利用者情報規律及び外部送信規律の導入 が必要ではないか
    • ダークパターンとならないための対応
    • プロファイリングに係る予見性確保等の取組
    • センシティブ情報への配慮
    • 子どもの利用者情報の保護
    • 利用者の属性に対応した適切な配慮 等が必要ではないか
    • 目的外利用を行わないことや必要最低限のデータ取得
    • 取得情報や利用目的の分かりやすい概要の掲示
    • 同意の撤回方法のプラポリへの記載
    • 利用者行動の事業者横断的なトラッキングに係る対応
    • 位置情報や写真データ等の適正な取扱い 等が必要ではないか
    • 他のデバイスについては、実態把握を行った上で、改めて検討が必要ではないか。
    • セキュリティに関しても追記が必要ではないか
    • 欧州データ保護会議(EDPB)におけるガイドライン等も参照の上、原則として欺瞞的な方法による利用者情報の取扱いが行われないよう望ましい対応を追記してはどうか。
    • GDPRやDSA等も踏まえ、プロファイリングに係る予見性確保の取組、プロファイリングによるセンシティブ情報の予測・生成や子どもの利用者情報のプロファイリングに基づくターゲティング広告の表示を原則として実施しないことが望ましいこと等について、追記してはどうか。
    • GDPR及びDSA並びに民間の取組を踏まえ、センシティブ情報への配慮及び子どもの利用者情報の保護を追記してはどうか。
    • GDPRや民間での取組を踏まえ、目的外利用を行わないことや必要最低限のデータ取得について、追記してはどうか。
    • GDPRや民間での取組を踏まえ、同意の撤回方法のプライバシーポリシーへの記載について追記してはどうか。
    • GDPR及びePrivacy指令並びに民間の取組を踏まえ、事業者横断的なトラッキングに係る対応、位置情報や写真データ等の適正な取扱いについて、追記してはどうか。
    • 民間の取組を踏まえ、取得情報や利用目的の概要を分かりやすく掲示することについて追記してはどうか。
▼ 資料7-2 ICTサイバーセキュリティ政策分科会での議論(総務省サイバーセキュリティ統括官室)
  • 総務省では、本年2月より、総務省が中長期的に取り組むべきサイバーセキュリティ施策の方向性について検討することを目的として、サイバーセキュリティタスクフォースの下で「ICTサイバーセキュリティ政策分科会」(主査:後藤厚宏 情報セキュリティ大学院大学 学長)を開催している。
  • 同分科会における議論の一環として、スマートフォンアプリにおけるセキュリティを確保していく上での課題等について議論がなされ、第5回会合(4月5日開催)では、「スマートフォンプライバシーイニシアティブ」にセキュリティの観点を盛り込むべきとされた。
  • ICTサイバーセキュリティ政策分科会での議論(抜粋)主な報告内容等
    • スマホアプリにおけるサイバー脅威は、「スマホアプリの脆弱性(セキュリティホール)」と「不正アプリ(マルウェア)」の2つの観点で考える必要があり、アプリ流通経路の責任において一定のセキュリティ確保が可能。アプリ開発者及びアプリストアは、アプリを提供する際のセキュリティ確保において大きな役割を担っている。(第1回 一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会)
    • アプリのセキュリティやプライバシーを確保するためにはアプリ診断というプロセスが必要。ただし、アプリ診断のみでは十分ではなく、アプリのセキュリティやプライバシーの状態を改善するためには、セキュア設計・開発ガイド(アプリのセキュリティ要件やリスク分析、セキュアコーディングの指針、セキュリティテストの方法などをまとめたもの)のサポートが必要。(第5回OWASP)
    • 利用者情報の保護のためには、アプリ開発者のみならず、アプリストア運営者等の関係者も含めて適切な対応を取ることが重要。英国のDSIT(Department for Science, Innovation & Technology)の「Code of practice for app store operators and app developers」も参考に、「スマートフォンプライバシーイニシアティブ」にセキュリティの観点も盛り込むことが望ましい。(第5回KDDI株式会社※)(※)第5回分科会においては、KDDI株式会社より、「スマートフォンプライバシーアウトルックⅩ」についても発表があった。

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総務省 ICTサイバーセキュリティ政策分科会(第10回)
▼ 資料10-2「ICTサイバーセキュリティ政策の中期重点方針」(案)の概要
  • 総務省では、本年2月から「ICTサイバーセキュリティ政策分科会」(主査:後藤厚宏 情報セキュリティ大学院大学学長)を開催し、総務省が取り組むべきサイバーセキュリティ政策について、2030年頃も見据えた中長期的な方向性について検討。
  • 政府の主な動き
    • 国家安全保障戦略
    • 経済安全保障推進法の施行(特定社会基盤事業者の指定等) 等
  • サイバーセキュリティを巡る主な課題
    • 厳しさを増す国際情勢とサイバー攻撃リスクの高まり
    • 多様化・複雑化するサプライチェーンとアタックサーフェス(攻撃対象領域)の増加
    • セキュリティ人材の確保
    • 生成AI等の新たな技術への対応
  • 重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保
    • 通信分野(総合的なIoTボットネット対策(新NOTICEの推進やC&Cサーバの検知・対処能力の向上)、スマートフォンアプリのセキュリティ対策やサプライチェーン対策の推進等)
    • 放送分野(安全・信頼性に関する新たな技術基準に基づくセキュリティ対策の着実な推進等)
    • 自治体分野(クラウド化・標準化等の環境変化を見据えた人材育成やCSIRT能力向上の取組等)
    • クラウドセキュリティの確保やトラストサービス(eシールの認定制度を2024年度中に創設等)の推進
  • サイバー攻撃対処能力の向上と新技術への対応
    • CYNEX・CYXROSSを強力に推進し、国産のサイバーセキュリティ情報・技術による自律的なサイバーセキュリティ対処能力を抜本的に強化
    • CYXROSSとGSOCとの連携により政府システムの一元的な監視体制の構築に貢献
    • CYDER等を通じた国や地方公共団体等におけるCSIRT対処能力の抜本的強化
    • サイバーセキュリティ研究分野の国際競争力向上を図るため、NICT内に米国との連携を強化するための結節点を形成
    • 生成AI等の新技術への対応(AIを起因とするセキュリティリスクの回避・低減に向けた取組、AIを活用したサイバーセキュリティ対策の促進、耐量子計算機暗号技術(PQC)等の研究開発等の推進)
  • 地域をはじめとするサイバーセキュリティの底上げに向けた取組
    • 地域SECUNITYの活動強化(他機関との更なる連携、持続的な推進体制の整備等)
    • 各種ガイドラインの周知啓発等
  • 国際連携の更なる推進(国際連携全般、人材育成支援)
    • 日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)の活動強化(プログラムの拡充、有志国との連携強化等)
    • 大洋州島しょ国向け人材育成支援プロジェクトの2025年度以降の本格的な実施

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国土交通省 「令和6年版国土交通白書」を公表します。~持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦~
▼ 【資料1】令和6年版国土交通白書 概要
  • 我が国は、少子化の進行が危機的な状況にある。少子化の進行は、将来にわたって、人口(特に生産年齢人口)の減少、高齢化の進展を通じ、経済規模の縮小、産業や社会の担い手不足、地域の衰退等、我が国の経済や社会に深刻な影響を及ぼすことから、少子化に歯止めをかけ、出生率を向上させることが何よりも重要である。
  • このような中、こども家庭庁が発足し(2023年4月)、こどもまんなか社会や次元の異なる少子化対策の実現に向け、こども大綱やこども未来戦略が策定された(同年12月閣議決定)。第三次国土形成計画(全国計画)(同年7月閣議決定)においても、人口減少等の加速による地方の危機等、直面する課題に対応するため、地域の活性化の将来ビジョンとして「地域生活圏の形成」を打ち出すなど、「新時代に地域力をつなぐ国土」を目指すこととしている。
  • 国土交通行政は、社会資本、交通をはじめ国民一人ひとりの暮らしと密接に関わっている。人口減少がもたらす影響を最小限に抑え、我が国の経済成長、地域の足の確保や担い手不足への対応、災害の激甚化・頻発化への対応等の大きな課題に、今後も「挑戦」し続けることが肝要である。
  • こうした背景等を踏まえ、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとし、本格化する少子高齢化・人口減少の課題に対して国土交通分野で期待される取組みについて分析し、現状を俯瞰するとともに、我が国の将来像を展望する。
  • 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
    • 我が国の人口は、2011年以降13年連続で減少しており、2070年には総人口9千万人を割り込むと推計されている。また、高齢化も進行し、65歳以上の人口割合(高齢化率)は、2020年の28.6%から2070年には38.7%へと上昇すると推計されている。
    • 持続可能で豊かな未来につながる社会を実現していくために、深刻化する少子高齢化・人口減少において直面する課題を整理するとともに、国土交通分野を中心に期待される取組みについて取り上げる。
  • 我が国の経済社会と人口減少
    • 我が国の就業者は、ここ20年で急速に高齢化が進んでおり、今後、高齢就業者の大量退職や、少子化による若年層の就業者の減少が見込まれることから、担い手不足の深刻化が懸念される。
    • 人口減少による労働力の減少が見込まれる中では、新技術の活用により省人化・省力化を図り、生産性を向上させていくことや、生産性の飛躍的な向上に結び付くイノベーションの創出が重要である。
    • 2023年の産業別就業者の年齢構成比を見ると、全産業の就業者のうち、55歳以上の高齢就業者の占める割合が31.9%であるのに対し、29歳以下の就業者の占める割合は16.7%にとどまっている。
    • 建設業及び運輸業について見ると、全産業平均に比べ、55歳以上の割合は高く、29歳以下の割合は低く推移しており、高齢化が進行している。
  • 将来の生産年齢人口の減少
    • 2023年の出生率は1.20と、過去最低の水準にまで低下しており、出生数は約73万人と、過去最少を更新している。出生率の低下や出生数減少は、将来の生産年齢人口の減少に直結することから、出生率の向上や出生数の増加に寄与する取組みが求められる。
    • 共働き世帯数の増加に加え、出産前後の女性の就業継続率は上昇しており、出産・育児と仕事の両立を支援する職場環境の整備が求められる。
    • 1992年時点で、共働き世帯は専業主婦世帯(男性雇用者と無業の妻からなる世帯)を上回り、2022年時点では専業主婦世帯の2.3倍程度となっている。
    • 第1子出産前に就業していた女性の出産後の就業継続率(育休利用有り・無しの合計)は、1985年~1989年では39.0%であったのに対し、2015~2019年では69.5%と、7割近くまで上昇している。
  • 高齢社会と地域活力の維持
    • 大都市圏に属する都県では、高齢化率は相対的に低い水準にとどまるものの、65歳以上の人口の増加率が高く、都市部・地方部を問わず、高齢化に対応した取組みが求められる。
    • 我が国の人口は東京に一極集中する一方で、人口減少は、小規模都市のみならず、日常生活の中心的な役割を担う中規模都市へも拡大することが見込まれており、人口減少に応じた暮らしや社会を支える取組みが必要である。
    • 高齢化は、ここ30年で急速に進行しており、1990年の高齢化率12.1%から、2020年には28.6%まで上昇している。
    • 2050年には37.1%にまで上昇し、高齢化率が40%を超える都道府県は、2020年時点ではゼロであったものの、2050年には25の道県に増加すると推計されている。
    • 2020年から2050年の人口規模別人口減少率の推計によると、人口規模が小さい市区町村ほど、人口減少率が高まる傾向にあり、人口30万人未満の市区町村に居住する人口については、約2割以上減少すると推計されている。
    • 場所や時間の制約を解消するデジタル技術の活用により、近隣地域からの買い物や通院等の移動の負担の軽減を図るとともに、その推進に当たっては、社会経済的な結びつきがある近隣地域同士が連携し、自治体や民間事業者、団体、住民等関係者が協働することで、地域全体で生活サービス提供機能を維持していくことが重要である。
    • 地域外から地域の祭りやイベントに毎年参加し運営にも携わるなど、特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」の創出・拡大が重要である。関係人口が地域住民の共助の取組みに参画していくことで、地域の社会課題解決や地域の活性化につながるほか、将来的な移住者の増加につながることが期待される。
    • 新技術の活用や官民連携の促進のほか、地域のニーズに応じてインフラの廃止・除却や機能転換等を行う「集約・再編等」によるインフラストック適正化を進めるとともに、既存の行政区域にこだわらない広域的な視点で、複数・多分野のインフラを群としてとらえ、効率的・効果的にマネジメントする取組み等が重要である。
    • 中心市街地は、公共交通ネットワークや、都市機能・インフラ等のストックが整備されていることから、空き家・空き地、既存施設を有効活用するとともに、公共施設や商業施設を備えた複合施設を再生拠点とすることで、賑わいの創出による地域活性化が期待される。
  • 海外と比較した我が国の現状
    • 少子高齢化・人口減少が進展する中、未来につながる変革と持続可能で豊かな社会の実現に向けて、担い手不足を補う労働力の確保や生産性の向上、出生率の向上に向けた就業・子育て環境の改善、賑わいの創出や関係人口の創出・拡大による地域の持続性確保が求められる。
    • 我が国の就業者一人当たり労働生産性は、OECD加盟国38か国中31位、時間当たり労働生産性は30位と、1970年以降、最も低い順位に落ち込み、主要先進7か国では最下位となっている。
    • 生産年齢人口の減少による労働力不足が懸念される中、就業者一人当たり・時間当たり労働生産性を高めていくことが重要である。
    • 我が国の出生率は、諸外国と比較すると現在は低い水準にあり、1960年には2.0程度あった出生率も、1990年代以降は1.5を下回る水準となっている。
    • 出生率が低下している諸外国の中には、家族手当等の経済的支援のみならず、保育や育児休業制度の充実、出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備等の施策を推進する動きもみられる。我が国においても出生率の向上に向けた取組みの推進が必要である。
    • 高齢化率の推移について、欧米の先進諸国と比較すると、我が国の高齢化率は1980年代までは低い水準であったが、急速な高齢化により2005年以降は最も高い水準となっている。
    • 少子化が進む我が国において、今後も高齢化率の上昇は続くと予想されており、高齢社会への対応がより一層求められる。
  • 技術活用による持続可能な社会に向けた取組み
    • 急激な人口減少による労働力不足に伴う経済活動の停滞を回避すべく、様々な技術を活用することにより、生産性の向上につなげる取組みが重要。
    • 生産性向上施策として、省人化・省力化の推進と技術・イノベーションのインフラ分野の取組みが期待される。
  • 子ども・子育て等にやさしい社会に向けた取組み
    • 若者・子育て世代が、結婚や出産、子育てに対する安心感を抱けるような環境の整備が必要。
    • 子どものための近隣地域の生活空間を形成する施策「こどもまんなかまちづくり」を加速化するとともに、子どもや子育て当事者を社会全体で支える機運を醸成する取組みを実施。
    • 働き方の多様化が進展する中、女性や子育て世代等が活躍できるよう、業界の働き方改革やD&Iの推進が重要。
  • 子ども・子育て等にやさしい社会に向けた取組み
    • 働く女性が増加する中、育児等による負担から女性が離職を余儀なくされることを防止し、女性の定着率を向上させるため、女性が働きやすい職場づくりが重要。
    • 国土交通省では、男女問わず誰もが働きやすい建設業界とすることを目的に、「女性活躍に向けた建設業行動計画」を策定し、官民一体となって、女性の入職促進や就労継続に向けた様々な取組みを実施。
    • 国土交通省では、トラック業界において、女性を含む多様な人材を確保するため、荷役作業の負担軽減に資する機械等の導入支援や、女性ドライバーの生の声の発信等職場環境の改善に向けた取組みの後押し等を進めている。
    • 物流業の担い手不足等の課題に加え、物流産業を魅力ある職場とする必要がある。トラックドライバーへの2024年度からの時間外労働規制の適用もあり、物流が停滞しないよう対策を講じる必要がある。
  • 地域の持続性につなげる取組み
    • 人口減少による人手不足の中で、地域公共交通やインフラ等の存続が危ぶまれており、持続性や安全・安心を脅かすリスクが高まっている。
    • 地域力を高めつつ、都市部以外の地域への人の流れを創出・拡大するような環境整備に取り組むことが重要。
    • 人口減少により、地域の暮らしを支える生活サービス提供機能が低下・喪失するおそれがある。
    • 分野の垣根を超えた、市町村界にとらわれない、官民パートナーシップによる地域経営と、デジタルの活用によるリアル空間の質的向上により、日常の暮らしに必要なサービスが、持続的に提供される地域生活圏の形成を目指すことが重要。
    • 地域公共交通や買い物、医療、教育等の必要なサービスの最適化や複合化、デジタル技術実装の加速化、地域内経済循環の仕組みの構築等に取り組み、地域の課題解決と魅力向上を図る。
    • インフラの適切な維持管理を進める上で、体制面・予算面に課題を抱えている地方公共団体が多く見受けられる。
    • 新技術の活用や官民連携の促進等、取組みの高度化・効率化を図るとともに、広域・複数・多分野のインフラを群としてとらえ、総合的かつ多角的な視点から、地域のインフラを戦略的にマネジメントする「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の推進が重要。
  • 望ましい将来への展望
    • 我が国では、今後も少子化の傾向が続くと予想される中、2050年代の暮らしと社会について、国民が期待することをたずねる「国民意識調査」を実施した。第2節においては、調査結果及び有識者の意見を踏まえ、私たちの暮らしや社会を展望する。
    • 2050年代の暮らしと社会について期待することについて、「子ども・子育てにやさしい社会」、「高齢者にやさしい社会」「誰もが豊かな生活を享受できる社会」といった、性別・年齢・国籍等を問わない多様性のある豊かな生活を享受できる社会への期待がうかがえる結果となった。
    • 「国民意識調査」では、更に、国土交通分野において期待する将来像を「技術活用における持続可能な社会」、「子ども・子育てにやさしい社会」、「高齢者等にやさしい社会」、「地域の活性化維持に向けて」の4テーマ別に調査を実施、各テーマにおける回答と今後期待される暮らしや社会の展望をまとめた。
    • 「技術活用における持続可能な社会」をテーマとした質問では、AIやロボット・ドローンを活用した省人化・省力化の取組みへの期待が挙げられた。
    • 「子ども・子育てにやさしい社会」をテーマとした質問では、子どもが安全・安心に、また、健康で元気に生活できることを重視する回答が挙げられた。
    • 白書では、展望として「AI・ロボット・ドローンによる次世代のインフラメンテナンス」や「子ども・子育てにやさしい自動運転」を取り上げた。
    • 「高齢者等にやさしい社会の実現」をテーマとした質問では、特に「移動手段の確保」を挙げる回答が多かったことからニーズが高いことがうかがえる。
    • 「地域の活性化維持」をテーマとした質問では、「魅力的な雇用の場・機会の創出」次いで「地域の産業に従事する人材の育成」が挙げられ、地域産業の高付加価値化や人材の育成の必要性をうかがえる結果となった。
    • 白書では、有識者インタビューとして「少子高齢化時代の地域公共交通のあり方」・「持続可能な町の実現への挑戦」、展望として「自動運転移動サービスの実用化による地域の足の確保」や「未来の働き方(ワーケーション等)」を取り上げた

~NEW~
国土交通省 令和6年能登半島地震でも効果を発揮した免震構造!世界トップクラスの実大免震試験機による「免震動的性能認証制度」が7月よりスタート
  • 一般財団法人免震研究推進機構が「免震動的性能認証制度」を7月1日より開始します。
  • 世界トップクラスの精度を誇る実大免震試験機(E-Isolation)を用いて、免震装置の性能を評価するものであり、免震構造の信頼性がより高まることが期待されます。
    • 建築物における免震構造の採用効果
      • 免震構造は、地震時における建築物の被害の大幅な軽減や機能継続の確保に有効であり、特に庁舎、病院等の建築物において採用されてきています。
      • 令和6年能登半島地震においては、七尾市内は震度6強という大きな地震動を受け、市内の木造建築物には大きな被害が生じましたが、免震構造を採用した病院において地震後でも機能継続が図られた事例が報告されています。
    • 実大免震試験機を用いた「免震動的性能認証制度」の開始
      • 7月1日から、一般財団法人免震研究推進機構において、免震構造に用いる免震装置を対象とした「免震動的性能認証制度」が開始されます。
      • 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)によって整備された、世界トップクラスの精度を誇る実大免震試験機(E-Isolation)を用いて実大・動的試験を行い、免震装置の性能を評価することとしており、免震構造の信頼性向上に寄与することが期待されます。

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国土交通省 ダイハツ工業の不正事案に係る基準適合性の確認結果について
  • 国土交通省では、ダイハツ工業による型式指定申請における不正行為が確認された車種について、順次、基準適合性の確認を行ってまいりました。
  • 本日、全ての車種の確認が終了しましたので、結果をお知らせします。
    • 経緯
      • 令和5年12月、ダイハツ工業より、型式指定申請における不正行為があったとの報告を受け、国土交通省では、開発中の1車種を除き、不正行為が確認された全ての車種(計45車種)・エンジン(計4機種)について、基準適合性の確認を行い、順次結果を公表してきたところ。
    • 確認結果(詳細は別紙参照)
      • 45車種・エンジン4機種の確認結果は以下の通り。
        • 42車種・エンジン4機種について、基準に適合していることを確認した。
        • 令和6年1月26日付けで型式指定を取消したダイハツ・グランマックス等3車種※について、「後面衝突時における燃料漏れ防止の基準」に不適合であることを確認した。
          • ※ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ(いずれもトラックタイプのみ)
    • 国土交通省の対応
      • ダイハツ工業に対し、基準不適合であることが確認された3車種について、速やかにリコール措置を実施するよう指導した。

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国土交通省 宅地建物取引業者の免許申請等及び宅地建物取引業者に係る閲覧制度のデジタル化を推進します!~「宅地建物取引業法施行令及び地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令」を閣議決定~
  • 本年6月19日に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)」の施行に必要な規定の整備等を行う政令が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 第213回国会において、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号。以下「第14次地方分権一括法」という。)」が成立し、令和6年6月19日に公布されました。
    • 第14次地方分権一括法においては、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第10条に基づく宅地建物取引業者名簿及び宅地建物取引業者の免許申請等に係る書類の閲覧制度について、「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表」(令和4年12月21日デジタル臨時行政調査会)においてデジタル完結を基本とするとされていることを踏まえ、閲覧所に出向かなくてもデジタル閲覧できるようにするため、閲覧の対象文書を見直すこととし、個人情報保護の観点から対象文書を再整理するとともに、消費者等による宅建業者の選定に支障が生じない範囲内で合理化する改正が行われました。また、これを受け、宅地建物取引業者の免許等の申請及び閲覧制度のデジタル化により都道府県等の事務の合理化を行うこととしています。
    • これを踏まえ、今般、その施行に当たり必要な規定の整備等を行います。
  • 政令の概要
    • 宅地建物取引業法施行令(昭和39年政令第383号)の一部改正について
      • 第14次地方分権一括法の施行に伴い、所要の規定の整備を行う。
      • 国土交通大臣に対する宅地建物取引業の免許の更新に係る申請を電子情報処理組織を使用して行う場合の手数料の額を26,500円とする。
    • 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(平成12年政令第16号)の一部改正について
      • 都道府県知事に対する宅地建物取引業の免許等に係る申請を電子情報処理組織を使用する方法により行う場合の手数料の標準となる額を26,500円とする。
  • スケジュール
    • 公布日:令和6年6月28日(金)
    • 施行日:令和7年4月1日(火)(※改正法の施行日)

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国土交通省 社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会 令和6年能登半島地震を踏まえた緊急提言の公表について
  • 社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会では、令和5年10月31日に『高規格道路ネットワークのあり方 中間とりまとめ』を公表したところですが、このたび、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震を踏まえ、『令和6年能登半島地震を踏まえた緊急提言』がとりまとめられましたので、お知らせします。
  • 令和6年能登半島地震では、半島の地形的制約から道路ネットワークが限られるなか、道路啓開を含む復旧や被災地支援の活動のアクセスルートとなるべき能越自動車道などの幹線道路が被災し、厳冬期の降積雪とも重なり、初動における被災状況の把握や復旧等の対応が困難化しました。
  • 本とりまとめは、今般の災害対応から得られた教訓事項を踏まえ、今後道路行政が取り組むべき方向を、本部会における累次の議論を経て緊急提言としてとりまとめられたものです。
  • 本とりまとめでは、本部会が令和5年10月31日に公表した『高規格道路ネットワークのあり方 中間とりまとめ』にて示された基本方針に加え、防災の観点を中心とした道路ネットワークのあり方として、以下の緊急提言がなされています。
    1. 地域安全保障のエッセンシャルネットワークの早期確立
      • 耐震性や復旧性を備え災害時に機能するネットワーク整備(物流機能も含め、「いざという時」にこそ機能するネットワークの早期確立/持続可能な地域づくりへの貢献)
      • <新たな知見を踏まえた盛土の緊急点検の実施>
        • 集水地形上の盛土(高盛土)の早急な点検の実施
        • 災害脆弱箇所に対する計画的な補強等の対策
      • <能登半島における道路ネットワークの再構築>
        • 能越自動車道の4車線化や線形改良などの機能強化
        • 珠洲道路など高規格化も含め、必要な機能や役割の精査
        • 機動性と持続可能性を備えた管理体制(適切な管理のあり方の検討/道路啓開等の権限代行の手続き等についての必要な見直し)
    2. 拠点機能の強化
      • 防災拠点としての「道の駅」の機能強化「防災道の駅」の追加選定、高付加価値コンテナの活用推進
      • 害時における交通結節機能の強化
    3. データ活用による災害時交通マネジメントの高度化
      • ドローン活用など地形に合わせた機動的な情報収集体制の構築
      • 交通情報と地理空間情報とのデータ連携とオープン化・アーカイブ化
    4. 災害に備えた体制の強化
      • 建設業者等の民間企業との連携 民間企業による「地域インフラマネジメント産業」としての役割の強化
      • 代替手段も備えた総合的な防災力の強化 地理的不利性を有する地域における総合的な対応の必要性/自衛隊等との連携による海上・航空アクセスルート/緊急時の空陸一体輸送
    5. 地域の新たな価値の創出につなげる道路空間の活用
      • 半島地域の豊かな地域資源を生かす道路空間の活用
      • 能登半島地域の効果的な復旧・復興 既存の枠にとらわれない道路空間の活用で関係人口拡大と新たな価値の創出に貢献
  • また、今般の災害を能登半島に限定されたものではなく、地方部災害の典型事例として捉え、教訓事項を特に地方部における今後の道路政策の指針として、関係行政機関、民間企業とも連携を図りながら活用することが重要であるとされています。

~NEW~
国土交通省 法人取引量指数 令和6年3月分を公表(試験運用)~全国において、前月比6.0%下落~
  • 国土交通省は、登記データをもとに法人が取得した既存建物(住宅・非住宅)の移転登記量を加工・指数化した法人取引量指数を毎月発表しています。直近の令和6年3月分(住宅・非住宅)については、前月比6.0%下落していることがわかりました。
  • なお、今回は年単位による集計値として、サブインデックス(建物構造、面積帯等)の公表を行います。
  • ポイント
    • 直近の令和6年3月分の同指数は、合計・季節調整値は前月比6.0%減の242.3、住宅合計・季節調整値は前月比4.6%減の266.9
    • 戸建住宅の季節調整値は前月比4.8%減の312.0、マンションの季節調整値は前月比4.4%減の227.4、非住宅の季節調整値は前月比9.1%減の198.6
      • ※2010年平均=100
  • 法人取引量指数の定義
    • 建物の売買を原因とした所有権移転登記戸数(登記データ)のうち、法人取得の住宅及び非住宅で、既存住宅取引又は既存非住宅取引ではないものを除いたものとする。
    • 既存住宅販売量指数と集計方法を統一し、比較出来るようにするため、マンションにおいて床面積30㎡未満の数値を含んだものと除去したものを併用して公表する。※既存住宅販売量指数では、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み、マンションにおいて、上記のような場合分けをおこない、併用して公表している。
    • 各月の取引量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行うこととする。

~NEW~
国土交通省 既存住宅販売量指数 令和6年3月分を公表(試験運用)~全国において、前月比5.4%下落~
  • 国土交通省は、登記データをもとに個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化した既存住宅販売量指数を毎月発表しています。直近の令和6年3月分(戸建・マンション合計)については、前月比5.4%下落していることがわかりました。
  • なお、今回は年単位による確報値として、サブインデックス(建物構造、面積帯等)の公表を行います。
  • ポイント
    • 直近の令和6年3月分の同指数は、合計・季節調整値は前月比5.4%減の119.3、30㎡未満除く合計・季節調整値は前月比5.8%減の109.6
    • 戸建住宅の季節調整値は前月比7.2%減の116.1、マンションの季節調整値は前月比4.7%減の123.4、30㎡未満除くマンションの季節調整値は前月比5.7%減の102.1
      • ※2010年平均=100各数値は確報値
  • 既存住宅販売量指数の定義
    • 建物の売買を原因とした所有権移転登記個数(登記データ)のうち、個人取得の住宅で既存住宅取引ではないものを除いたものとする。
    • なお、この中には総務省統計局が5年に1度実施している住宅・土地統計調査で把握可能な「既存住宅取引量」には含まれていない別荘、セカンドハウス、投資用物件等を含む。
    • 特に、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み、マンションにおいて床面積30㎡未満の数値を含んだものと除去したものとを併用して公表する。
    • 各月の販売量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行うこととする。

~NEW~
国土交通省 不動産価格指数(令和6年3月・令和6年第1四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.4%上昇、商業用は前期比0.1%減少~
  • 国土交通省は、今般、不動産価格指数(住宅及び商業用不動産)を公表しました。住宅総合の季節調整値は、前月比で0.4%上昇し、商業用不動産総合の季節調整値は前期比で0.1%減少となりました。
  • ポイント
    • 不動産価格指数(住宅)(令和6年3月分・季節調整値)
      • 全国の住宅総合は前月比0.4%増の137.4
      • 住宅地は117.3、戸建住宅は115.8、マンション(区分所有)は197.9(対前月比はそれぞれ、0.7%増、1.2%増、0.7%減)
    • 不動産価格指数(商業用不動産)(令和6年第1四半期分・季節調整値)
      • 全国の商業用不動産総合は前期比0.1%減の140.6
      • 店舗は151.2、オフィスは170.6、マンション・アパート(一棟)は166.6(対前期比はそれぞれ、0.2%減、0.4%減、0.6%増)
        • ※2010年平均=100
          各数値は速報値であり、初回公表後3ヶ月間は改訂を行う。
▼ 不動産価格指数掲載ウェブサイト

~NEW~
国土交通省 設計住宅性能評価書を交付した住宅の割合は8年連続増加~令和5年度の住宅性能表示制度の実施状況について~
  • 令和5年度における新設住宅着工戸数に対する設計住宅性能評価書の交付割合は、32.8%となり、8年連続で増加しました。
    • 住宅性能表示制度の概要
      • 住宅の性能について、国が定める共通のルールに基づき、登録住宅性能評価機関が評価し、その性能を表示する制度です。
      • 住宅性能評価書には、以下があります。
        • 設計段階の図書審査による評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」
        • 施工段階と完成段階の検査による評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書(新築住宅)」
        • 既存住宅の現況検査による評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書(既存住宅)」
    • 令和5年度実績
      • 評価書交付割合
        • 【設計】32.8%(新設住宅着工戸数:800,176戸)
      • 評価書交付実績
        • 【設計】262,564戸(対前年比:0.8%減)
        • 【建設(新築)】199,295戸(対前年比:3.3%増)
        • 【建設(既存)】225戸(対前年比:4.7%増)

~NEW~
国土交通省 「標準的運賃」に係る実態調査結果の公表~ 「標準的運賃」の浸透・活用状況等について調査を実施 ~
  • 国土交通省物流・自動車局では、令和2年4月に告示した「標準的運賃」の活用状況等について、トラック運送事業者及び荷主企業を対象にアンケート調査を実施しました。この度、調査結果をとりまとめましたので公表します。
  • 平成30年に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(平成30年法律第96号)に基づき、運賃交渉力の弱いトラック事業者の適正な運賃収受を支援するため、令和2年4月に、「標準的運賃」を告示しました。
  • 今般、トラック運送事業者における制度の活用状況などの把握を行うことを目的として、原価計算の実施状況、標準的運賃の運賃交渉への活用状況、交渉の結果等について、アンケート調査を実施し、結果を取りまとめましたのでお知らせします。
  • 調査結果の概要
    • 調査期間
      • 令和6年1月22日~3月10日
    • 調査方法
      • 事業者及び荷主に対するアンケート
    • 調査対象
      • 公益社団法人全日本トラック協会の会員事業者及びホワイト物流推進運動において把握した荷主企業
    • 調査結果(概要)
      • 今回の調査(令和5年度)では、運賃交渉を行ったトラック事業者は約71%、このうち荷主から一定の理解を得られた事業者は約75%。即ち、事業者全体のうち運賃交渉について荷主から一定の理解を得られた事業者は約53%であった。
      • 令和2年度の初めに「標準的運賃」を告示して以降、3年目の令和4年度に運賃交渉について荷主の理解を得られた事業者は約43%であったものが、4年目の令和5年度に約53%と10%増となった。
      • 実勢運賃水準として、令和4年度は「標準的運賃」の8割以上収受できた事業者が約45%であったものが、令和5年度では約50%であった。

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