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危機管理トピックス

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知・検挙件数/国民生活基礎調査/情報通信白書/デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方

2024.07.08
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更新日:2024年7月8日 新着24記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 『「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」対話から得られた示唆』の公表について
  • FATFによる市中協議文書「FATF勧告16の改訂に関する説明文書及び勧告改訂案」の公表について
  • 「2024年 保険モニタリングレポート」の公表について
  • リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果等について(2023事務年度)
  • 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」報告の公表について
  • 共同データプラットフォームの進捗と今後の進め方
警察庁
  • 海賊版セキュリティツールを悪用するサイバー攻撃の無力化に向けた世界各国の取組に係るユーロポールのプレスリリースについて
  • 令和6年5月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
  • 令和6年5月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 警察庁のウェブサイトを模倣した偽サイトに注意
国民生活センター
  • 新紙幣発行に伴うトラブルにご注意ください
  • 会員登録のつもりが…別サイトでのサブスク契約に
厚生労働省
  • 死因究明等推進計画の変更について
  • 「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」議論の取りまとめ
  • 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
総務省
  • 令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)の公表
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第31回)配付資料
  • 「輪島市大規模火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会報告書」の公表
国土交通省
  • 災害時に電動車は移動式の非常用電源として使えます
  • 型式指定申請における不正行為の有無等に関するトヨタ自動車(株)からの調査結果報告について
  • 住宅宿泊管理業者への全国一斉立入検査結果(令和5年度)

~NEW~
首相官邸 北朝鮮による拉致問題について
  • 私(官房長官)から1件ございます。北朝鮮による拉致問題は、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題です。国内では、御家族はもとより、国民の皆様の間に差し迫った思いが強まっておりますが、拉致問題の解決を願う国民の皆様から政府に対し、令和6年6月30日現在で、1,821万9,830筆(注)の署名を頂いております。これらの署名は、政府にとって大変心強い後押しになります。一つ一つに込められた思いをしっかりと受け止め、引き続き全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでまいります。私(官房長官)からは以上です。
    • (注)会見では「1,821万9,380筆」と発言しましたが、正しくは「1,821万9,830筆」です。

~NEW~
消費者庁 第9回食品ロス削減推進会議
▼ 資料1_食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針の改定の考え方(案)(概要)
  • 食品ロス削減に係る背景とこれまでの取組
    • 世界では、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)において、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させる目標を設定。
    • 我が国では、2000年に「循環型社会形成推進基本法」及び「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」が制定され、食品ロス削減を推進してきたが、SDGsの国際目標の達成に向け、2019年に議員立法によって「食品ロスの削減の推進に関する法律」を制定。
    • 「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、2020年3月末に「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」を閣議決定。事業系食品ロス及び家庭系食品ロスそれぞれで、2000年度比で2030年度までの半減目標を設定。
    • 今般、昨年末関係省庁で取りまとめた「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」に基づき、未利用食品等の提供(食品寄附)の促進に向けたガイドライン策定、食品事業者による食品ロス削減の取組の開示促進、食品の期限表示の見直し、デコ活等も活用した消費者の行動変容の推進等を実施しており、年度末の基本方針の5年後見直しへ反映する。
  • 食品ロスの削減の推進に関する基本方針の見直し
    • 食品ロス削減・食品寄附を巡る現状
      • 直近(2022年度)の食品ロス量は、事業系食品ロスは236万トン・家庭系食品ロスは236万トンであり、いずれも着実に減少。
      • 特に事業系食品ロスについては、半減目標(2030年度までに273万トン)を達成。家庭系食品ロスは半減目標(2030年度までに216万トン)まであと20万トン。
      • これらの食品ロス量(事業系・家庭系の合算)の経済損失の合計は4.0兆円以上
      • 物価高騰や物流の2024問題、食品流通等におけるAI活用やDX、食料安全保障や食品アクセスの確保など、前回の基本方針の制定時から社会情勢が変化。
      • 食品寄附は、食品ロス削減とともに、こども食堂や生活困窮者などへの支援にも繋がる。こども食堂数はコロナ禍において大きく増加。フードバンク団体活動数も増えているものの、我が国の食品寄附の量は、海外と比較して著しく低い水準であり、フードバンクへの食品寄附等に対する潜在的な需要が十分に想定される。
    • 基本方針の改定の考え方
      • 「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」において2024年度中に実施されることとなっている施策の進捗を踏まえて施策の拡大を図ること。
      • 物流問題や人手不足等の社会変化や、DX・AIといったイノベーションを契機とした、ベンチャーやスタートアップを含む多様なプレイヤーによる取組の支援や、アジアや国際社会をリードできるような施策の推進を図ること。
      • 政府において、食品ロスの削減、食品寄附の促進、食品アクセスの確保を一元的に発信し、福祉等とのシナジーを図るとともに、地域においても、地方自治体や事業者、福祉団体及びNPO等の連携体制を構築し、総合的な取組の促進を図ること。

~NEW~
経済産業省 株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの下請代金支払遅延等防止法違反について
  • 本日、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントより、同社において、下請法が規定する「返品の禁止」及び「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」に違反する行為が認められ、公正取引委員会により勧告を受けたとの報告を受けました。
  • このような違反行為が行われたことは、下請事業者の信頼を損ない、かつ、取引適正化を妨げるものであり、極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化の徹底等を実施するとともに、取組状況について速やかに報告するよう求めました。
    • トヨタカスタマイジング&ディベロップメントからの報告
      • トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(以下「TCD」)から、本日付で、公正取引委員会から、以下の違反行為が行われたことが認定され、下請代金支払遅延等防止法第7条第2項及び第3項の規定に基づく勧告を受けたとの報告がありました。
        • 自社製品の製造委託において、下請事業者に対して、製品を受領した後、当該製品について品質検査を行っていないにもかかわらず、製品に瑕疵があることを理由に、令和4年7月から令和6年3月までの間、当該製品を引き取らせていたことが、同法第4条第1項第4号(返品の禁止)に該当する。
        • 下請事業者に対して、自社が所有する金型等について、令和4年7月以降、当該金型等を用いる製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、無償で保管をさせていたことが、同法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)に該当する。
    • 経済産業省からの指示
      • TCDからの報告を踏まえ、同社に対し、当該下請事業者への適切な対応や、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化に向けた取組の徹底を指示するとともに、取組の状況について速やかに報告するよう求めました。

~NEW~
金融庁 『「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」対話から得られた示唆』の公表について
▼ (参考1)「サステナビリティ投資商品」の充実に向けたダイアログ」対話から得られた示唆概要
  • GXの実現など、経済・社会の成長・持続可能性の確保につながる投資を推進していくには、幅広い投資家に魅力的なGXその他のサステナビリティに関する投資商品を開発し、多様な投資家の市場参加を促していくことが重要
  • 商品組成を担う資産運用会社、投資を受ける企業、投資を行う個人・機関投資家など、幅広い関係者の戦略・選好が相互にフィットしていくことが重要との観点から、金融庁において23年12月から計4回、「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」を開催。対話を通じて得られた今後の課題や論点等に係る示唆について、「対話から得られた示唆」として24年7月に公表。
  • サステナビリティ投資商品の基本的意義
    • 幅広い投資家がサステナビリティ投資市場に参画することは、経済社会の持続可能性の向上の観点から重要性が高いほか、投資家にとっても、長期的な投資収益を実現できる可能性
    • サステナビリティ投資は、商品の名称等ではなく、企業との対話を含む投資の戦略・実践手法であると考えられるが、実際にはその内容が見えづらい
    • エンゲージメントが事業改善や中長期の機会創出につながり得ることを含め、幅広い理解の獲得がすそ野拡大につながっていく
  • 商品の特性
    • 投資効果を想像・実感し易い商品への個人投資家等の関心は高く、持続可能性への対応やこれを通じた事業の成長の実現を、手触り感をもって理解できることが必要
    • 多様な投資先を専門的に分析し、能動的な投資判断・働きかけを行う点では、アクティブ運用と期待される機能発揮が共通する面も。パッシブ運用でも有用な投資は想定され、特性を活かした商品組成が重要
  • 商品の提供方法
    • サステナビリティに係る課題と投資・事業との関係性は様々であり、自らの投資が、資産形成と社会・環境課題への対応の双方に資することについて理解を得ていくには、分かり易い説明に特に留意が必要
    • フラグシップとなり得る代表的な投資商品や、ロールモデルとなり得る運用者・運用会社等の存在は、具体イメージを明確化し、信頼感を醸成することにつながる可能性
  • 今後の対応のあり方に係る示唆
    • 投資家にとって投資の基本的意義・効果を実感できる機会・情報提供を図るため、以下を含めた総合的な議論が重要
      • 投資家の特性や意向等の実態把握、これを踏まえた具体的な投資機会のあり方等に係る議論
      • 運用会社、販売会社、情報提供会社や投資家等による協働など、フラグシップ的な投資機会の創出に係る議論
      • サステナビリティ投資の基本的な意義や戦略など、中核的な概念・実務に係る議論

~NEW~
金融庁 FATFによる市中協議文書「FATF勧告16の改訂に関する説明文書及び勧告改訂案」の公表について
▼ 6月FATFプレナリー結果概要:Outcomes FATF Plenary,26-28 June 2024(グーグル翻訳)
  • シンガポールのラジャ・クマール議長の下での第6回FATF総会が本日閉幕しました。
  • 200以上の国・地域からなるFATFのグローバル・ネットワークの代表者と国際機関のオブザーバーが、シンガポールにおける主要なマネーロンダリング、テロ資金供与、拡散資金問題に関する3日間の議論に参加しました。
  • FATFは、現地視察の成功を受けて、2カ国を監視強化の対象から外し、高リスク国・地域別監視対象国・地域に関する声明を更新しました。FATFは、過去10年間のFATFの声明に基づき、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)がマネーロンダリング防止及びテロ資金供与対策(AML/CFT)体制における重大な欠陥、並びに大量破壊兵器の拡散及びその資金供与に関連する北朝鮮の違法行為がもたらす深刻な脅威に対処していないことに対する懸念を改めて表明した。
  • FATFは、リスクと状況に重点を置くことに伴い、国際協力レビューグループ(ICRG)プロセス(いわゆるグレーリストまたはブラックリストプロセス)の下で国を優先するための基準を改訂することにより、重要な戦略的マイルストーンを達成しました。これらの変更は、次回の評価ラウンドで適用され、プロセスをさらにリスクベースにし、後発開発途上国が直面する能力の課題を認識します。
  • 次回の相互評価に備え、本会議は、資産回収と国際協力の枠組みを更に強化し、犯罪者から犯罪収益をより効果的に奪う、最近改訂されたFATF基準の遵守について、各国がどのように評価されるかについて合意した。また、FATFは第2回学習・開発フォーラムを主催し、今回は受益者に関するFATF基準の改訂版の国内実施の支援に焦点が当てられました。
  • 参加者は、インドのFAT/APG/EAG合同評価とクウェートのFATF-MENAFATF合同評価について議論し、採択した。
  • メンバーは、次期議長国メキシコの下でのFATFの優先事項を承認しました。これらには、金融包摂への焦点が含まれます。新しい評価ラウンドの成功裡のスタートを確保する;グローバルネットワークの結束を強化する。資産回収、実質的所有者及び仮想資産に重点を置いた改正FATF基準の効果的な実施を支援する。テロ資金供与及び多元資金供与と闘うための継続的な努力。
  • FATF議長は、9つのFATF型地域機関(FSRB)の議長と会談し、FATFとFSRBsのパートナーシップ強化の進捗状況について議論し、来年のグローバルネットワークの優先事項について合意しました。
  • メンバーは、議長国シンガポールがWomen in FATF(ファトフ)及びグローバル・ネットワーク(WFGN)イニシアティブを開始したことに感謝した。このイニシアチブの主なハイライトは、多様な文化や背景を持つ15組のメンターとメンティーのペアが参加する多文化パイロットメンタリングプログラムと、FATFとグローバルネットワークの著名なリーダーのストーリーを特集した電子書籍「Breaking Barriers: Inspiring the Next Generation of Women Leaders」の発売です。
  • ロシア連邦の停止は引き続き続いています(2024年2月の声明を参照))
  • FATF基準の遵守
    • ICRG審査プロセスにおける国別優先順位付け基準の見直し
      • FATF加盟国は、国際金融システムにリスクをもたらす戦略的AML/CFTの不備(FATFのグレーリストまたはブラックリスト)を有する国について、国際協力レビューグループ(ICRG)の審査プロセスにおける国の優先順位付け基準の改訂を承認し、次の評価ラウンドに適用することで、重要な戦略的マイルストーンを達成しました。この更新された優先順位付け基準は、FATFの上場プロセスが引き続きリスクベースで、公正で、透明性があり、後発開発途上国が直面する能力の課題を認識していることを保証するために設計されたいくつかの新しい措置の1つです。
    • 方法論の改訂
      • メンバーは、2023年10月に採択された資産回収及び関連する国際協力に関するFATF基準の遵守状況を各国がどのように評価するかに合意した。今後、各国は、他の措置の中でも特に、資産回復を優先していることを示す必要があります。所轄官庁は、犯罪財産を特定し、追跡しています。犯罪者から犯罪収益を奪うために没収命令が取得され、執行されます。建設的かつ時宜を得た国際協力を提供していること。
    • 高リスクおよびその他の監視対象の管轄区域
      • 監視強化対象の管轄区域
        • 監視を強化している国・地域は、マネーロンダリング、テロ資金供与、拡散資金供与に対抗するための体制の戦略的欠陥に対処するために、FATFと積極的に協力しています。FATFが管轄区域を監視強化下に置くことは、その国が合意された期間内に特定された戦略的欠陥を迅速に解決するための行動計画を実施することを約束したことを意味します。この総会で、FATFはモナコとベネズエラを監視強化の対象国のリストに追加しました。
      • 監視強化の対象ではなくなった管轄区域
        • FATF総会は、ジャマイカとトルコが、相互評価で以前に特定されたAML/CFTの戦略的欠陥への対処において大きな進展を遂げたことを称賛した。両国は、合意された期間内に特定された戦略的欠陥を解決するための行動計画を完了しており、FATFの強化された監視プロセスの対象ではなくなります。
        • ジャマイカ及びトルコは、AML/CFT/CPF体制の強化を継続するため、FATF及び同国が加盟する関連するFATF型地域機関と引き続き協力する。
      • 行動要請の対象となる管轄区域
        • FATFは、マネーロンダリング、テロ資金供与、拡散資金供与に対抗するための重大な戦略的欠陥がある国または地域を特定します。これらの国・地域は、国際金融システムを保護するための行動の呼びかけの対象となります。
        • FATFは、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)がマネーロンダリング防止及びテロ資金供与対策(AML/CFT)体制における重大な欠陥、並びに大量破壊兵器の拡散及びその資金供与に関連する北朝鮮の違法行為がもたらす深刻な脅威に対処していないことに対する懸念を改めて表明した。特に、FATFは、北朝鮮が国際金融システムとの連結性を高めており、それが拡散資金リスクを高めていることに留意する。したがって、FATFは、北朝鮮に対する対抗措置の警戒を強化し、新たな実施と執行を求める。
    • インドとクウェートの相互評価報告
      • FATFは、マネーロンダリング、テロ資金供与、拡散資金対策の有効性、およびFATF勧告の遵守を評価したインドのFATF/APG/EAGの合同相互評価報告書を議論し、採択しました。
      • 本会議は、インドがFATFの要求事項を高いレベルで技術的に遵守しており、そのAML/CFT/CPF体制は、MLおよびTFリスクの理解、国際協力、基本的かつ受益的な所有者情報へのアクセス、金融情報の利用、犯罪者の資産剥奪と拡散防止資金供与措置など、良好な成果を上げていると結論付けました。しかし、一部の非金融セクターでは、予防措置の監督と実施を強化するための改善が必要である。また、インドは、ML及びTFの訴追の終結に関する遅延に対処し、非営利セクターがTFのために濫用されるのを防ぐことを目的としたCFT措置が、TFリスクに関するNPOへのアウトリーチの実施を含め、リスクベースのアプローチに沿って実施されることを確保する必要がある。
      • FATFは、FATFの品質と一貫性のレビューが完了した後、報告書を公表します。
      • また、本会議では、クウェートに対するFATF-MENAFATFの共同評価が議論され、採択され、クウェートにはML/TF/PFに対処するための適切な法的・監督的枠組みがあるが、効果的な成果をもたらすという点では深刻な欠陥が残っていると結論付けた。クウェートは、ML/TFリスクに対する理解を深め、TFの捜査と訴追を強化し、テロや大量破壊兵器への資金提供に関連する資産を遅滞なく合法的に凍結できるようにする必要がある。また、クウェートは、法人の濫用を防止し、非営利セクターをTFの濫用から保護するために、対象を絞ったリスクベースの措置を適用することにも注力すべきである。
      • FATFは、FATFの品質と一貫性のレビューが完了した後、報告書を公表します。
    • メンバーシップの問題
      • ロシア連邦の加盟国資格停止は引き続き続いている。2022年3月以降に発表された声明に続き、FATFは、国際金融システムを保護するために、すべての国・地域がロシア連邦に対して講じられた措置の回避による現在および新たなリスクに警戒すべきであることを改めて表明しています。
  • 戦略的な取り組み
    • 腐敗に関するDNFBP技術コンプライアンスの水平レビュー
      • FATFは、ゲートキーパー(会計士、弁護士、不動産業者、信託・企業サービスプロバイダー)がマネーロンダリングやテロ資金供与に利用されるのを防ぐために加盟国が実施している措置の見直しを完了しました。これらのゲートキーパーがFATF基準に従って規制されていない場合、彼らは重大な犯罪リスクにさらされたままであり、マネーロンダリングの危険信号を見抜くための手段を欠いています。FATFは、2024年7月に本レビューの結果を公表する予定です。
    • 仮想資産:FATF基準の実施に関する的を絞った最新情報
      • FATFは、仮想資産及び仮想資産サービスプロバイダー(VA/VASP)に関するFATF基準の実施に関する各国・地域別の進捗状況に関する第5回年次報告書を公表することに合意しました。
      • 重要なVASP活動を行う国・地域を含め、2023年6月の前回更新以降、一定の進展が見られました。実質ベースでは、この分野においてFATF基準に準拠している、または概ね準拠している国・地域の数は増加しています(2024年に33、2023年に25)。しかし、4分の3の国・地域(75%、130カ国中97カ国)は、この分野のFATF基準に部分的または非準拠である。これは、VASPによるFATF基準の実施が他の金融セクターのそれよりも遅れていることを意味し、VAとVASPは悪用に対して脆弱なままです。
      • FATFは、すべての国・地域に対し、VAおよびVASPに関するFATFの要求事項を迅速に行動し、完全に実施することを求めています。FATFは引き続き状況を注視し、各国が要件を実施するための支援を確保するための努力を継続します。第5回年次アップデートは2024年7月に公開される予定です。
    • 支払いの透明性
      • FATFは、国境を越えた決済システムの進化と業界標準(特にISO20022)の変更を反映するために、FATF基準を改訂する過程にあります。プレナリーは、2024年5月3日に閉幕した基準の改正案に関する広範なパブリックコンサルテーションの結果について議論した。この改訂は、AML/CFTコンプライアンスを確保し、FATF基準が技術的中立であり続けることを保証すると同時に、国境を越えた支払いをより速く、より安く、より透明で、より包括的にすることを目的としています。プレナリーは、要件の複雑さと決済システムへの潜在的な影響を考慮し、改正を最終決定する前に、公的部門と民間部門の両方の関連機関および専門家とのさらなる対話を行うべきであることに合意した。
    • グローバルネットワーク連携
      • FATF議長は、FATF-FSRB年次ハイレベル会合においてFSRBsの議長と会談し、グローバルネットワークの2022年戦略的ビジョンの実施状況について議論し、FATFとFSRBsのパートナーシップ強化における主な成果を強調した。FATF議長とFSRB議長は、来年のグローバル・ネットワークの3つの優先事項に合意した。相互評価の新たなラウンドに備える。地域レベルでのAML/CFTの専門知識を強化する。参加者は、FATF議長が議長国としてFSRBsに積極的に関与し、強力に支援したことに感謝し、グローバルネットワークの結束強化を含む議長国メキシコの優先事項案を歓迎した。
    • Women in FATFとグローバル・ネットワーク(WFGN)イニシアティブ
      • FATF総裁は、2023年2月の総会で発足した「Women in FATF and the Global Network (WFGN)」イニシアティブの最新の成果を発表しました。インドラニー・ラジャ首相府大臣兼財務・国家開発担当第二大臣は、本会議の傍らで、シンガポール議長国のWomen in FATF(国連ファトフにおける女性)とグローバル・ネットワーク(WFGN)イニシアチブの最新成果物である電子書籍「Breaking Barriers: Inspiring the Next Generation of Women Leaders(障壁を打ち破る:次世代の女性リーダーを鼓舞する)」を発表しました。この電子書籍は、女性が金融犯罪との闘いにもたらす決意、回復力、専門知識に関する洞察を提供し、意欲的な女性リーダーに強力なインスピレーション、アドバイス、模範となる力を提供します。これは、多文化メンタリングプログラムと、すべての人にとってより強力なFATFおよびグローバルネットワークコミュニティを構築するための取り組みを補完するものです。
    • 入ってくるメキシコ人2024-2026年の議長国の優先事項
      • 次期大統領のエリサ・デ・アンダ・マドラソは、メキシコ大統領府の優先事項をメンバーに提示しました。メキシコは、2024年7月1日から2026年6月30日までFATF議長国に就任します。
      • 議長国メキシコは、以下の5つの主要優先事項を概説した。
        • 均衡性の原則の下で、リスクベースの基準の実施を促進することにより、金融包摂を推進する。
        • 新しい評価ラウンドを成功裏に開始する。
        • 透明性、包摂性及び一体性を醸成し、FATFとFSRBsの間の協力及び協力を強化するための提案を支持することにより、グローバル・ネットワークの結束を強化する。
        • 資産回収、受益者及び仮想資産に重点を置いたFATF基準の効果的な実施を支援する。そして
        • テロ及び拡散資金供与と闘うための努力を継続する。

~NEW~
金融庁 「2024年 保険モニタリングレポート」の公表について
▼ 概要
  • 保険会社の社会的役割
    • 国民生活の安定や国民経済の健全な発展に不可欠な保障・補償機能を適切かつ安定的に提供。
    • 機関投資家として活力ある資本市場を実現し、ひいては安定的な資産形成に貢献。
  • 環境変化と諸課題
    • 少子高齢化や自然災害の頻発・激甚化、自動車保険市場の縮小等の中長期的な事業環境の変化 など
    • 諸課題
      • 保険ビジネスを巡る動向(持続可能なビジネスモデルの構築、自然災害の頻発・激甚化への対応など)
      • 財務の健全性の確保
      • 顧客本位の業務運営(損害保険会社による代理店に対する内部統制の実効性、外貨建保険の募集管理の高度化など)
      • 不適切事案を踏まえた対応 など
  • 令和6年能登半島地震
    • 令和6年1月1日夕刻に発生した能登半島地震等に対し、1月2日、適用地域を管轄する財務局より日本銀行と連名で「金融上の措置要請」を関係金融機関等に発出した。
    • これを踏まえ、保険会社等は、保険料の払込や継続契約の手続猶予等を実施。特に、日本損害保険協会においては、現地への立入調査が困難な地域が発生していた状況を踏まえ、迅速な損害調査・保険金支払対応に向け、航空写真等を用いた「共同調査」を実施。
      1. 保険料の払込み、保険契約手続の猶予
        • 保険料の払込み及び保険契約の更新手続(継続)を猶予(最長6か月)。
      2. 契約保険会社の照会制度のご案内
        • 災害救助法が適用された地域で、家屋等の損壊等により保険会社との保険契約に関する手がかりを失った顧客に対する契約照会の受付について案内。
      3. 生命保険に係る保険金の支払の柔軟化
        • 全ての生命保険会社において、今回の災害で被災された顧客との保険契約に対して、約款上の地震による免責条項等を適用せず、災害関係保険金・給付金を全額支払うことを決定。
      4. 生命保険会社による入院給付金等の特別取扱い
        • 一部の生命保険会社が、被災地の事情等により直ちに入院できなかった被災者の入院給付金について、ケガをした日から入院を開始したものとする特別取扱いを実施。
      5. 地震保険金の損害認定に係る「共同調査」の実施
        • 日本損害保険協会は、地震保険金の支払迅速化のため、航空写真等を用いた「共同調査」を実施。当該調査の結果、火災・津波被害については「全損地域」及び「一部全損地域」、倒壊建物については「全損建物」及び「全損の可能性が高い建物」を認定し、損害保険会社が現地調査を省略して損害認定することができるようにした。
  • 保険ビジネスを巡る動向(生命保険会社)
    • 少子高齢化や自然災害の頻発・激甚化、自動車保険市場の縮小等の中長期的な事業環境の変化を見据え、顧客基盤の強化や収益の補完に向けた取組み、国土強靭化の推進や自然災害リスク管理への取組みなどを通じて、持続可能なビジネスモデルを構築することが求められている。
    • 営業職員が主軸チャネルの大手生命保険会社、乗合代理店チャネルや銀行窓販チャネルを主軸とする保険会社など、計18社を対象に対話を実施。
      • 大手生保を中心に、中長期的な人口動態の変化や顧客ニーズの多様化等を見据え、医療、健康増進事業などの非保険領域の強化を目的とした企業買収による保険周辺分野への参入の動きが見られた。一方、事業の持続可能性の確保や子会社管理態勢等の更なる高度化が課題。
      • 乗合代理店チャネルを主軸とする社において、販売競争が激化している第三分野商品の販売につき、競争力強化や差別化を目的として、ヘルスケアへの関心の高まりなどの顧客ニーズを踏まえた商品開発を行うといった取組みがみられた。一方で、第三分野商品においては、商品開発が短期化しており、乗合代理店は、新たな商品知識の習得等に追われ、顧客に向き合う時間が減少。このため、保険会社においては、顧客本位の業務運営の観点から、商品開発競争に対する取組みを検討する必要。
      • 銀行窓販チャネルを主軸とする社において、政策動向や市場環境等を踏まえ、平準払商品や変額保険などの資産形成ニーズを捉える商品の拡販に注力する動きが見られた。一方、銀行窓販マーケットは商品の特性上、市場環境の影響を受けやすいという特徴があり、収益のボラティリティの高さが課題。
  • 保険ビジネスを巡る動向(損害保険会社)
    • 本事務年度は、関東大震災から100年の節目に当たるほか、7月には国土強靭化基本計画が見直されたことも受けて、大手3グループ及び中堅7社を対象に、主に国土強靭化、自然災害リスク管理をテーマにして対話・モニタリングを実施。
      • 水災は、標準補償となっている風災に比べて補償付帯率が低く、家計分野では低下傾向にある。損害保険会社は、保険契約者がリスクを正しく認識できるよう、水災リスクや水災料率に関する十分な情報を提供することが必要。
      • 家計分野の地震リスクを補償する地震保険は、火災保険とセットで加入する形式となっているが、その付帯率は徐々に増加。企業向け地震補償においては、各社の保険引受キャパシティが限られ、普及率の拡大は容易でないが、引受可否を検討するポイントとして、十分な耐震性、支払限度設定、免責金額設定などがあげられる、との声が聞かれた。
      • 近年、大手損害保険会社を中心に、ドローン等による画像データやAIを活用した損害認定を試行。現状では精度面で課題があるケースも多いが、将来の大規模災害時の実用化に向けて、引き続き精度の向上を図ることが必要。
      • 多くの損害保険会社では、自社や子会社等を通じて、防災・減災・早期復旧サービスを提供。一方、認知度が低く利用実績が限定的なサービスも見られ、利用実績の向上に向けた取組みなど、不断の工夫が必要。
      • 2023年は、大雨や雹による中小規模の災害が多発。再保険の発動には至らず、多くの社で多額の異常危険準備金の取崩しが行われた一方、ここ数年上昇が続いていた再保険料率はわずかに下落。損害保険会社は、将来の大規模自然災害に備え、準備金積立や再保険手配など、自然災害リスク管理への取組みが引き続き重要。
  • 財務の健全性の確保
    • 保険会社を取り巻く経営環境やリスクが絶えず変化していく中で、保険会社のリスクや収益性についてフォワードルッキングな分析を行い、保険会社の財務の健全性を確保する必要がある。
    • 世界経済や金融市場の動向を踏まえ財務の健全性に係るモニタリングを行うと共に、資産運用の状況についても注意深くフォローアップしていく。また、経済価値ベースのソルベンシー規制の円滑な導入に向けて作業を着実に進めていく。
  • 顧客本位の業務運営(保険代理店における体制整備の高度化)
    • 保険代理店は、顧客との直接的な接点として、顧客と保険会社をつなぐ重要な役割を担っているところ、顧客本位の業務運営の観点も踏まえ、保険代理店における業務品質の向上や体制整備の高度化を促していくことが必要である。
    • また、「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」による報告書を踏まえ、特に大規模乗合代理店に対する監督のあり方について、第三者評価枠組みの導入なども含め、今後検討していく必要がある。
    • 財務局と協働して、「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択の上で取組方針等を公表し、金融庁で公表する「金融事業者リスト」へ掲載している社のうち、86の保険代理店を中心にヒアリングを実施。
      • 多くの保険代理店が、公的保険制度を踏まえた保険募集を行うことの必要性を認識した上で対応。顧客にとって真に必要と考えられる保障を提案することで、顧客からの信頼を得られているといった声も聞かれた。
      • 多くの保険代理店が、サイバーセキュリティ対策について、募集人端末の管理等に関する内部規程を整備。一方、コンティンジェンシープランを策定している保険代理店は6割程度にとどまっており、取組みの進展を期待。また、専門的知識を持つ人員の確保に課題認識を持つ保険代理店が複数見られた。
      • ヒアリング先の7割弱の保険代理店が生命保険協会の代理店業務品質評価基準を業務運営の参考としていた。一方で、約半数の保険代理店が生命保険会社からの情報連携がなかったと回答しており、生命保険会社における保険代理店への情報連携等のサポートの充実などの工夫が必要。
      • 損害保険会社と代理店との円滑な連携について、手数料ポイントや代理店統廃合に関し、引き続き一部の代理店から懸念の声があることを踏まえ、これらの対応が一方的なものとならないよう、損害保険会社と保険代理店との間で丁寧な対話が行われることが重要。
  • 顧客本位の業務運営(損害保険会社による代理店に対する内部統制の実効性)
    • 自動車関連事業を兼業する代理店を販売チャネルとしている損害保険会社に対して、内部監査モニタリングを実施。
    • 保険代理店に対する指導・監督について、3線(内部監査部門)の監査機能にとどまらず、1線(本社各部門等)や2線(本社コンプライアンス部門等)の取組みも含めた全体的な3線管理の実態を確認。
      • 保険代理店に対する監査については、全国に非常に多くの代理店が存在しており、損害保険会社各社の監査リソースにも制限がある中で、ほとんどの社においては、代理店に「直接監査」を実施するのではなく、1線や2線に対する監査時に、それぞれの部門等における代理店管理の内部統制を監査・評価。
      • 一連の保険金不正請求問題を踏まえ、損害保険会社に対する影響力の大きい大規模代理店等については、3線がリスクべースで「直接監査」を実施することを検討している社がある一方、多くの社ではこうした取組みを全く検討していない。
      • 3線による営業拠点等に対する監査において、一部の社では、リスクアセスメントが十分とは言えない実態にある中、最長5年以上監査を実施していない拠点等が存在。
      • 損害保険会社による代理店に対する検査・点検について、多くの社は、1線の営業担当職員が実施している実態にあり、検査等の独立性・透明性が懸念されるほか、検査等のスキルにバラツキが生じている可能性。また、検査等の手法も、画一的な検査・点検項目を形式的に確認するにとどまっている社が多数。
      • 保険募集人ではない自動車修理工場の工員等による不正行為について、一部の社においては、保険業法の適用外であるとして、コンプライアンス部門が全く関与せずに損害調査部門等にその調査を委ねている実態にあったため、調査態勢の改善に着手。
      • 代理店手数料ポイント制度について、業務品質を評価する割合は各社間で大きなバラツキがあるが、総じて挙績・増収に傾注。
      • 保険代理店への出向等について、一部の社においては、代理店への出向者数を拡大している中、出向者の管理を十分に行っていない実態が見られた。
  • 顧客本位の業務運営(外貨建保険の募集管理等の高度化)
    • 外貨建保険については、販売量が前年度対比で落ち着きを見せており、苦情件数・苦情発生率とも減少傾向を維持しているものの、外貨建保険以外の保険に係る苦情発生率と比較すると高い水準にある。顧客本位の業務運営を確保する観点から、苦情抑制に加え、顧客の最善利益の追求を意識した取組みの高度化が重要である。
    • 顧客本位の良質な金融商品・サービスを提供する金融事業者の選択に資するとともに、顧客が各業態の枠を超えた商品の比較検討を容易にする観点から、比較可能な共通KPIを作成・公表することにより、有益な情報提供が行われることが望ましい。
  • 不適切事案を踏まえた対応(保険金不正請求事案)
    • 業務改善命令の対象となった大手損害保険会社においては、業務改善計画にもとづき、一連の取組みを実効性のあるものとして進めていくことが必要であり、金融庁としても、当該計画の着実な実施に向け、モニタリングを行っていく。
    • 一連の行政対応の中で認められた構造的課題等について、主に制度・監督上の観点から、必要な対応を検討していく。
    • 保険金不正請求事案に関し、一連の行政対応を実施。
      • 損害保険代理店に対し、立入検査を行い、保険業法に定める損害保険代理店としての登録取消しを実施。
      • 損害保険会社及びその親会社に対し、立入検査を行い、保険業法に基づき、経営責任の明確化や経営管理態勢の抜本的な強化を求める業務改善命令を発出。
      • 「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」を3月~6月にかけて開催し、大規模代理店に対する損害保険会社による指導等の実効性確保のために必要な対応等に関する論点などについて幅広く議論を行い、報告書を公表(2024年6月25日)。
  • 不適切事案を踏まえた対応(保険料調整行為事案)
    • 保険料調整行為事案に関し、一連の行政対応を実施。
      • 大手損害保険会社4社に対し、保険業法に基づき、経営責任等の明確化や経営管理態勢の抜本的な強化を含む業務改善命令を発出。
      • 「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」を3月~6月にかけて開催し、適正な競争環境確保のために必要な対応等に関する論点などについて幅広く議論を行い、報告書を公表(2024年6月25日)。
  • 少額短期保険業者の態勢整備
    • 業者数の増加や取扱商品の多様化とともに、収入保険料等の市場規模も一貫して拡大傾向にある一方、経営管理態勢等に係る問題事案が認められる中、引き続き少短業者の財務の健全性及び業務の適切性を確保するための態勢整備を促していく必要がある。

~NEW~
金融庁 リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果等について(2023事務年度)
▼ リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(概要版)
  • リスク性金融商品の販売会社等におけるモニタリングの着眼点
    • プロダクトガバナンス態勢の整備・構築
      • 顧客の最善の利益の実現を図る観点から、販売会社においても、適切な検証期間の下でのリスク・リターンの合理性等や自らの想定顧客層に適した金融商品かどうかについて検証を行った上で、顧客の最善の利益の追求に資するリスク性金融商品の導入を判断することが重要。
      • 金融商品を導入した後も、販売実績等を基に商品性を継続的に検証し、必要に応じて商品の見直し等を行うことが重要。
    • 販売・管理態勢及び従業員に対する適切な動機付けの枠組み等の整備・構築
      • 販売・管理態勢
        • 販売会社は、複雑又はリスクの高い金融商品の販売・推奨等を行う場合には、コスト(名目を問わず、顧客が負担する手数料その他の費用)やリスク・リターン等といったリスク性金融商品の販売・推奨等に係る重要な情報について、他の金融商品と比較しながら顧客に分かりやすく提供すべきとされている。【本原則4及び5等】
        • 販売会社は、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズ等を把握した上で、同顧客にふさわしい金融商品の販売・推奨等を行うべきとされている。【本原則6】
      • 従業員に対する適切な動機付けの枠組み等
        • 販売会社は、顧客本位の業務運営を確保する観点から、適切な販売・管理等を促進するよう、報酬・業績評価体系等といった従業員に対する適切な動機付けの枠組み等を整備等すべきとされている。【本原則7】
  • 販売会社等へのモニタリング結果/外貨建一時払保険
    • プロダクトガバナンス態勢
      • リスク・リターン検証を十分に行わないまま、実質的な議論を行うことなく、予定利率や積立利率といった表面金利等の形式的な情報を踏まえて商品を導入。
    • 販売・管理態勢
      • 目標値に到達したターゲット型保険の多くが解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する乗換販売が発生。
      • 為替・金利リスクを理解できていない可能性の高い顧客や、リスク許容度が低いと考えられる顧客に外貨建一時払保険を販売。
    • 販売後の管理(顧客のフォローアップ)及び手数料体系(適切な動機付けの枠組み)
      • 工夫事例(下記参照)において掲げられる顧客への丁寧なフォローアップを行う販売会社は限られている。この背景の一つとして、販売会社が組成会社から受け取る手数料の体系が、顧客へのフォローアップ等を行う役務負担に見合ったものとなっていないことが考えられる。
    • 工夫事例(一部の重点先)
      • (販売会社において、)乗換販売を防止する観点から、適切なフォローアップを行った職員に対してプラスの業績評価を行うこととした事例
      • (組成会社において、)販売会社が目標値到達前に適時・適切なフォローアップができるよう、ターゲット型保険の契約一覧を定期的又は要請に応じて販売会社に提供している事例
  • 金融庁における外貨建一時払保険の運用パフォーマンス分析
    • 金融庁において、代表的な運用型の外貨建一時払保険(8商品)の運用パフォーマンスを分析。2023年8月末時点での運用終了分の同保険は、少なくとも今般のモニタリング実施時での販売・管理の下では、継続期間5年以上の同保険と比べて劣後。
    • 外貨建一時払保険は、長期保有を前提に販売されている商品であるが、少なくとも今般のモニタリング実施時での販売・管理の下では、ターゲット型保険を中心に同保険購入後4年間で約6割の解約等が発生していることから、契約継続期間の平均は2.5年と短期化。
    • 契約継続期間の短期化に伴い、顧客が複利運用効果を十分に享受できていない可能性があるほか、解約や運用終了に伴い発生する費用(市場価格調整と解約控除)が利幅を押し下げている状況が窺われた。
  • 外貨建一時払保険の販売先(顧客層)に関する、金融庁による検証の結果
    • 金融庁において、販売会社における347名分の顧客カードを分析したところ、2割の顧客で外貨建一時払保険を購入するための知識・投資経験不足の懸念や投資方針との不一致の懸念が認められた。
    • 知識・投資経験の不足が懸念される事例
      • 株・債券・為替という言葉は知っているが、詳しくは知らない
      • 投資経験なし
      • 株式・為替相場を特に確認していない 等
    • 投資方針との不一致が懸念される事例
      • 安定的な運用をして資金準備をしたい
      • 収益性が小さくてもリスクが小さいことを重視
      • 定額運用によって安定的に資金を準備したい 等
  • 販売会社等へのモニタリング結果/仕組預金
    • 仕組預金の販売額は、いずれの業態でも2022年度下期は増加している一方、2023年度上期は減少。仕組預金のうち、円ベースで元本割れのリスクがある外貨償還特約付預金のモニタリングを実施。
    • 課題事例(多くの重点先)
      • プロダクトガバナンス態勢
        • リスク・リターンの合理性等について十分に検証しないまま、外貨償還特約付預金の組成・導入を判断。また、導入後も販売実績等を基に十分な検証を行っていなかった。
      • 販売・管理態勢等
        • 組成コストや販売手数料を十分に情報提供していないほか、解約時の手数料を分かりやすく情報提供していなかった。
        • 外貨償還特約付預金のリスク特性を理解していない懸念がある者にも販売していることが窺われた。
      • 工夫事例(一部の重点先)
        • 外貨償還特約付預金の商品性(リスク・リターンやコスト等)について、他のリスク性金融商品と比較・検証した上で、顧客の最善の利益を追求する観点から、販売手数料の削減を行い、顧客が受け取るリターンの向上を図った事例
  • 外貨償還特約付預金に係る顧客の損益実績の検証結果
    • 外貨償還特約付預金の預入データを検証(注3)。多くの重点先では、同預金を預け入れした顧客が受け取った償還金のトータルリターン(年率換算)がマイナス。
    • 顧客が負担するコスト(手数料等)は、重点先からの申出ベースでは年率換算で最大5%強と考えられる。
  • 販売会社等へのモニタリング結果/仕組債、その他のリスク性金融商品
    • 仕組債
      • 公募による仕組債の販売額は減少している一方、特に法人等を対象にした私募による販売額は一定の水準。
      • 今事務年度は、日本証券業協会が策定した複雑な仕組債等の販売勧誘に係る関係ガイドライン等の対応状況を確認するとともに、「本原則」を踏まえたモニタリングを実施。
      • 「本原則」を踏まえたモニタリングの結果、一部の重点先では、以下の課題や工夫事例が見られた。
      • 課題として、EB債の個人向け販売と法人向けの販売における取扱いの違いについて十分な整理をしていない。
      • 工夫事例として、能動的な勧誘による仕組債の販売を停止した上で、仮に仕組債の購入を希望する顧客に対しても、まずは顧客が取り得るリスクやニーズを確認した上で、代替商品を提案。
    • 外貨建債券
      • 外貨建債券は、為替・金利等の影響を受けることから、円ベースでの元本が確保されないリスクのある商品。
      • 特に、新興国通貨建債券は、先進国通貨建債券に比べて為替のボラティリティが大きく、リスクが高くなる傾向があり、商品性を十分に理解できる顧客への販売や、より丁寧な説明を期待。
    • ファンドラップ
      • 位置付けや付加価値の明確化などに向けて取り組むことを期待。(顧客が負担するコストとコスト控除後の(期待)リターンの妥当性についての検証、(期待)リターン・顧客が負担するコスト・運用実績等の情報開示等の充実 等)
  • リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果
    • 今事務年度は、金融機関の顧客等に対して資産運用に関する意識等について調査を実施。2020事務年度調査(以下「前回調査」)の結果と、2023事務年度調査(以下「今回調査」)の結果を比べると、顧客本位の業務運営について一定の進捗は見られたものの、引き続き、各金融機関が顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みを継続していくことが必要。

~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」報告の公表について
▼ (参考)金融審議会 市場制度ワーキング・グループ 報告書 概要 ープロダクトガバナンスの確立等に向けてー
  • 家計の安定的な資産形成を図り、「成長と分配の好循環」を実現すべく、製販全体として顧客の最善の利益に適った商品提供等を確保するため、組成会社向けの「補充原則」を「顧客本位の業務運営に関する原則」に追加
  • 基本的な考え方
    • 組成会社・販売会社間での建設的なコミュニケーション等により、製販全体・金融商品のライフサイクル全体として顧客の最善の利益を実現
    • 投資信託を含む幅広い金融商品について、組成会社による補充原則の受け入れを期待
    • 組成会社・販売会社の負担にも配慮し、金融商品の特性(リスク・複雑さ)に応じて対応(プロポーショナリティ)
    • 組成会社・販売会社間の情報連携に係る実効性を確保(フォーマット等の実務面の検討)
    • 金融庁において、金融事業者における取組状況をフォローアップし、好事例や課題等を把握・分析
  • 組成会社に求められる対応 (プロダクトガバナンスに関する補充原則)
    • 補充原則1 基本理念:経営者のリーダーシップの下、金融商品提供に関する理念の明確化
    • 補充原則2 体制整備:プロダクトガバナンスの実効性を確保するための体制整備、金融商品の組成・提供・管理の各プロセスにおける品質管理体制の整備
    • 補充原則3 金融商品の組成時の対応:金融商品の組成時における商品性の検証や想定顧客属性の特定、組成会社・販売会社間の情報連携の促進
    • 補充原則4 金融商品の組成後の対応:金融商品の組成後における商品性の検証、組成会社・販売会社間の情報連携による運用・商品提供等の改善
    • 補充原則5 顧客に対する分かりやすい情報提供:運用体制やガバナンス等に関する顧客への分かりやすい情報提供
  • 販売会社に求められる対応
    • 原則6 顧客にふさわしいサービスの提供
    • 実際に購入した顧客層や反応等について組成会社との情報連携
    • 組成会社による想定顧客属性を踏まえつつ、自らの責任で顧客の適合性を判断
  • 株式決済期間の短縮
    • 日本では、株式の取引が行われた約定日(T日)の2営業日後(T+2日)に決済が行われている一方、国際的に株式決済期間の短縮(T+1化)の実施・検討が進められている
    • 日本の証券決済制度が国際標準から取り残されないよう、市場関係者において、T+1化に関するメリットと課題等について、実務的な検討を始めるべき
    • メリット
      • 決済リスクの削減
      • 資金効率の向上・担保負担の軽減
      • 決済事務の一層の合理化・効率化 等
    • 課題
      • フェイルリスクの増加
      • オペレーショナルリスクの増加
      • 非居住者による日本株取引への影響 等
  • 投資型クラウドファンディング
    • 株主一元化スキームの活用
      • 株式投資型クラウドファンディング(CF)において、株主一元化スキームの組成ニーズが高まっているが、ファンド運営に係る投資運用業の登録要件を満たすための体制整備の負担が課題
      • 投資運用業の登録審査において、実態に即した人的構成・業務運営体制での登録が可能であることを明確化
      • 株式投資型CFと株主一元化スキームとで自主規制規則における規制体系に差異(少額要件の適用の有無等)
      • 株主一元化スキームと株式投資型CFとの規制の平仄を合わせる
    • 勧誘方法
      • 投資型CFの勧誘方法は、自主規制規則において、一部を除き、電磁的方法に限定され、電話・訪問勧誘等は禁止
      • 特定投資家への勧誘は電磁的方法以外(電話・訪問等)の方法を認めてほしいとの要望
      • 電磁的方法以外(電話・訪問等)の方法による勧誘について、法人の特定投資家に対しては可能とする(一方、個人(特定投資家を含む)に対しては引き続き慎重に対応)

~NEW~
金融庁 共同データプラットフォームの進捗と今後の進め方
▼ 共同データプラットフォームの進捗と今後の進め方
  • データ一元化のこれまでの取組み
    • 金融庁と日本銀行は、より質の高いモニタリングの実施と金融機関の負担軽減を図る観点から、データの一元化に取り組んできた。
      • 計表の統合・廃止
        • 金融庁・日本銀行が収集する計表について、様式の重複等を踏まえ、統合・廃止。
      • 提出先の一元化
        • 業界から提出を受けるファイルを日本銀行と共有する受渡サーバーを金融庁で開発し、金融庁・日本銀行で共通する計表の提出先を一元化。
      • 共同データプラットフォーム
        • 高粒度データ(取引単位の法人向け貸出明細等)の収集に向けた項目・定義の整理や、より効率的なデータ収集・管理の枠組みを検討。
    • 計表の統合・廃止や提出先一元化については、業界の要望も踏まえ、統計集計上の理由やシステム上の理由により対応困難なもの等を除きすべて対応し、金融機関の負担軽減を実現。その後も定例的に要望を聞きつつ、対象計表の拡充等について検討を進めている。
    • 共同データプラットフォームについては、2021年度の海外事例の調査や2022年度の実証実験(一部の金融機関から高粒度データを収集)の結果を踏まえ、2023年度は、引き続き実務的な検討を行うとともに、高粒度データの収集を段階的に開始した。
  • 共同データプラットフォームの進捗
    • 2023年度は、以下の通り、金融機関との間で定義・フォーマットの標準化等の調整を実施し、高粒度データの収集を段階的に開始した。
      • 主要行等
        • 各行のデータ保有状況や提出項目数・データ量を踏まえ、各行と個別に定義・フォーマットの内容を調整。
      • 地方銀行(地方銀行協会加盟行)
        • 各行で共通する既存のデータベースを活用すること等により、定期的なデータの収集を開始。
        • 金融庁・日本銀行において、既存計表の代替可否を確認し、要件を満たした先に対して順次結果を通知。
      • 第二地方銀行(第二地方銀行協会加盟行)
        • 新たに第二地方銀行を対象に追加(2022年度の実証実験では、第二地方銀行は対象外)。
        • 提出フォーマット・定義の調整を目的としたトライアルデータの収集を開始。
    • データ収集・管理に係るオペレーション(データクレンジング、データ共有等)についても、金融庁・日本銀行間で検討を進めた。
  • 今後の進め方
    • 本格的なデータ収集開始に向けた金融機関の提出準備状況の確認・データの精度向上
      • 2025年3月期からの本格的なデータ収集に向けて、引き続き提出データの確認やデータ精度の更なる向上等の働きかけを行う。
      • 併せて、金融機関の負担軽減に向けて、高粒度データによる既存計表代替の可否の確認作業を進める。
    • オペレーションの効率化
      • データ提出にかかる金融機関の負担軽減や、金融庁・日本銀行でのデータクレンジング(データの確認・修正等正確性の向上作業)の短期化・効率化を図る観点から、形式的なエラー等を検知・修正可能なツール等の開発を検討する。
      • データクレンジング作業におけるチェック項目の見直しや処理の一段の自動化等、金融庁・日本銀行のオペレーションの改善に向けた取組みを継続する。
    • モニタリング・分析の高度化等
      • 高粒度データを使ったより解像度の高いモニタリングや分析の手法の検討を継続し、金融・経済環境が変化する中での金融システムのリスクの把握等に繋げる。
      • 以上の取組みを着実に進めたうえで、より網羅的かつ的確なモニタリング・分析に向けて、提出項目の見直しを行うとともに、対象金融機関の拡大等を検討する。

~NEW~
警察庁 海賊版セキュリティツールを悪用するサイバー攻撃の無力化に向けた世界各国の取組に係るユーロポールのプレスリリースについて
  • プレスリリースの概要
    • ユーロポールは、サイバー攻撃者が、広く普及している商用の侵入テストツールである「Cobalt Strike」の海賊版を、攻撃対象企業のITシステムへの侵入等に悪用しているところ、世界各国が民間事業者とも連携しながら協力して捜査を行い、関係サーバーのテイクダウンを行った旨をプレスリリースした。
    • 同プレスリリースにおいては、今回の無力化に向けた取組に関し、日本警察の協力についても言及されている。
  • 日本警察及び関係事業者の協力
    • 警察庁では、「Cobalt Strike」の海賊版を悪用するサイバー攻撃において用いられているとみられるサーバー(IPアドレス)について、ユーロポールから情報提供を受け、これを管理する事業者に順次働きかけを行っており、既に一部については、当該事業者によってテイクダウンの措置が講じられている。
    • 引き続き、サイバー空間における一層の安全・安心の確保を図るため、サイバー事案の厳正な取締りや実態解明、国内外の関係機関との連携を推進する

~NEW~
警察庁 令和6年5月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
  • SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は4,197件(前年同期+3,201件)、被害額は約548.2憶円(+442.2憶円)
  • SNS型投資詐欺の認知件数は3,049件(+2,568件)、被害額は約430.2憶円(+381.5憶円)
  • ロマンス詐欺の認知件数は1,148件(+633件)、被害額は約117.9憶円(+60.7憶円)
  • SNS型投資・ロマンス詐欺の検挙件数は22件、検挙人員は14人。うちSNS型投資詐欺の検挙件数は15件、検挙人員は8人、ロマンス詐欺の検挙件数は7件、検挙人員は6人
  • SNS型投資詐欺の被害者の性別について、男性52.2%、女性47.7%。被害者の年齢層は男性は60代30.5%、50代23.2%、70代18.5%、女性は50代29.3%、60代25.5%、70代16.5% など。被疑者が詐称した職業は、投資家35.0%、その他著名人19.0%、会社員3.5%、芸術・芸能関係2.4%など。当初接触ツールについて、男性はLINE21.5%、フェイスブック21.0%、インスタグラム18.2%、女性はインスタグラム34.9%、LINE18.2%、フェイスブック12.7%。被害時の連絡ツールはLINE92.2%。被害金の主たる交付形態は振込89.4%。被害者との当初の接触手段はバナー等広告51.8%、ダイレクトメッセージ19.1%など
  • ロマンス詐欺の被害者の性別について、男性61.2%、女性38.8%。被害者の年齢層は男性は60代28.2%、50代27.3%、40代20.3%、女性は50代26.3%、40代30.1%、60代18.0% など。被疑者が詐称した職業は、投資家10.5%、会社員9.4%、会社役員5.7%、芸術・芸能関係4.2%など。当初接触ツールについて、男性はマッチングアプリ33.7%、フェイスブック26.6%、インスタグラム16.4%、女性はマッチングアプリ36.9%、インスタグラム34.4%、フェイスブック16.4%。被害時の連絡ツールはLINE92.3%。被害金の主たる交付形態は振込77.2%、暗号資産16.5%。被害者との当初の接触手段はダイレクトメッセージ71.2%、その他のチャット8.4%、オープンチャット3.0%など。金銭等の要求名目は投資71.6%。

~NEW~
警察庁 令和6年5月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和6年1月~5月における特殊詐欺全体の認知件数は7,389件(前年同期7,776件、前年同期比▲5.0%)、被害総額は185.1憶円(157.7憶円、+17.4%)、検挙件数は2,048件(2,647件、▲22.6%)、検挙人員は725人(854人、▲15.1%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,689件(1,716件、▲1.6%)、被害総額は85.0憶円(48.5憶円、+75.2%)、検挙人員は491人(831人、▲40.9%)、検挙人員は258人(367人、▲29.7%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は860件(1,058件、▲18.7%)、被害総額は8.1憶円(14.6憶円、▲44.7%)、検挙件数は600件(555件、+8.1%)、検挙人員は167人(176人、▲5.1%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は2,050件(2,063件、▲0.6%)、被害総額は48.6憶円(52.3憶円、▲7.1%)、検挙件数は129件(91件、+41.8%)、検挙人員は64人(38人、+68.4%)
  • 還付金詐欺の認知件数は1,789件(1,771件、+1.0%)、被害総額は26.8憶円(20.3憶円、+32.0%)、検挙件数は278件(437件、▲36.4%)、検挙人員は65人(76人、▲14.5%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は129件(82件、+57.3%)、被害総額は1.1憶円(1.1憶円、▲1.3%)、検挙件数は4件(9件、▲55.6%)、検挙人員は3人(6人、▲50.0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は41件(68件、▲39.7%)、被害総額は2.8憶円(6.0憶円、▲53.1%)、検挙件数は0件(11件)、検挙人員は1人(13人、▲92.3%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は8件(10件、▲20.0%)、被害総額は0.8憶円(0.3憶円、+175.8%)、検挙件数は0件(0件)、検挙人員は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は613件(984件、▲37.7%)、被害総額は7.0憶円(14.0憶円、▲49.9%)、検挙件数は540件(711件、▲24.1%)、検挙人員は149人(177人、▲15.8%)
  • 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は137件(59件、+132.2%)、検挙人員は52人(20人、+160.0%)、口座開設詐欺の検挙件数は301件(287件、+4.9%)、検挙人員は153人(162人、▲5.6%)、盗品等譲受け等の検挙件数は0件(2件)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,487件(1,105件、+34.6%)、検挙人員は1,128人(860人、+31.2%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は73件(54件、+35.2%)、検挙人員は67人(56人、+19.6%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は12件(7件、+71.4%)、検挙人員は5人(6人、▲16.7%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では男性(37.3%):女性(62.7%)、60歳以上79.8%、70歳以上58.2%、オレオレ詐欺は男性(26.9%):女性(73.1%)、60歳以上83.5%、70歳以上76.0%、預貯金詐欺は男性(11.0%):女性(89.0%)、60歳以上99.1%、70歳以上95.9%、融資保証金詐欺は男性(70.7%):女性(29.3%)、60歳以上5.7%、70歳以上1.6%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合は、特殊詐欺全体では70.7%(男性32.8%、女性67.2%)、オレオレ詐欺 80.9%(19.5%、80.5%)、預貯金詐欺 97.9%(11.2%、88.8%)、架空料金請求詐欺 49.1%(67.2%、32.8%)、還付金詐欺 77.1%(36.8%、63.2%)、融資保証金詐欺 4.1%(60.0%、40.0%)、金融商品詐欺 34.6%(66.0%、34.0%)、ギャンブル詐欺 50.0%(75.0%、25.0%)、交際あっせん詐欺 30.0%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺 15.0%(53.3%、46.7%)、キャッシュカード詐欺盗 97.9%(22.0%、78.0)

~NEW~
警察庁 警察庁のウェブサイトを模倣した偽サイトに注意
  • 警察庁のウェブサイトを模倣した偽サイトがあることが分かりました。偽サイト内のリンクなどをクリックすると、悪質なサイトに誘導され、サイバー犯罪等の被害に遭う可能性がありますのでご注意ください。
  • 注意すべき点
    • 不正なアドレスにアクセスしない。
      • アドレス欄をよく見る、リンクにポインタを置きアドレスを表示させるなどして、アドレスを必ず確認してください。
      • 警察庁のウェブサイトの正しいアドレスはnpa.go.jpです。
    • 不審と思われるアドレスにアクセスしない。
      • 不審と思われる場合には、安易にアクセスしたり、当該ウェブサイト上のリンクをクリックしたりしないでください

~NEW~
国民生活センター 新紙幣発行に伴うトラブルにご注意ください
  • 約20年ぶりとなる新紙幣の発行が7月から始まります。
  • これに伴い、「新紙幣発行に便乗した詐欺行為」の発生が予想されます。
  • 国民生活センターでは、詐欺被害を防止するため、情報提供(注意喚起)してまいります。
  • 新紙幣発行に伴う詐欺被害にご注意ください。
  • 予想されるトラブル
    • 「旧紙幣は使えない」、「新紙幣と交換する」などと言って、紙幣をだまし取ろうとする事例の発生が予想されますので、ご注意ください。
    • 「旧紙幣が使えなくなるから」と言われ、交換を求められた。
    • 「その新紙幣は偽札だ」と言われ、交換を求められた。
    • 金融機関の職員を装った者から「新紙幣と交換する」と言われた。
  • 消費者へのアドバイス
    • 新紙幣発行後も、現在の紙幣は使えます。
    • 金融機関や行政機関が新紙幣について交換を求めることはありません。第三者に渡さないでください。
    • 新紙幣に関する不審な電話やメール、訪問があった場合は、警察に相談しましょう。
    • 不審に思ったら、すぐに消費生活センター等に相談しましょう。
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番:最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
    • 警察相談専用電話「#9110」:最寄りの警察の相談窓口につながる全国共通の電話番号です。

~NEW~
国民生活センター 会員登録のつもりが…別サイトでのサブスク契約に
  • 内容
    • フリマアプリの新規登録をしようと「スタート」というボタンを押して、クレジットカード情報などの入力を完了した。すると身に覚えのない海外事業者の動画配信サービスにつながってしまい「視聴期間は5日間で、キャンセルがなければ月額約7500円がカードから支払われる」と表示された。どうすればよいか。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • 国内事業者のサイトの利用時に表示された「スタート」「OK」などのボタン表示をクリックし、クレジットカード情報等を入力したところ、意図せず海外事業者とのサブスクリプション契約になっていたという相談が寄せられています。
    • 「スタート」などのボタンは海外事業者の広告で、ウェブデザイン等で勘違いさせ、消費者に認識させないままサブスク契約に誘導しています。
    • 「スタート」等の表示が、自身の登録しようとしているサイトの手続きボタンなのか、クリックする前によく確認しましょう。枠の端に小さい「×」印等があれば広告です。
    • クレジットカードの請求はこまめに確認しましょう。
    • 不安なときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。海外事業者とのトラブルについては国民生活センター越境消費者センターでも相談を受け付けています。

~NEW~
厚生労働省 死因究明等推進計画の変更について
▼ 資料1 死因究明等推進計画の概要等
  • 死因究明等推進計画のポイント
    • 背景
      • 令和2年4月「死因究明等推進基本法」施行→令和3年6月「死因究明等推進計画」策定
      • 政府は、死因究明等に関する施策の進捗状況等を踏まえ、3年に1回、死因究明等推進計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。(法第19条第7項)
      • 令和5年度 死因究明等推進計画検証等推進会議(5回開催)
    • 現状と課題
      • 年間死亡数の増加 ※ 年間死亡数:138万人(R元)→157万人(R4)
      • 死因究明等に係る人材の乏しさ ※ 法医学教室の定年退職者増加、常勤医1人以下が10県(R4)、働き方改革の中での人員確保 等
      • 死因究明等に係る更なる地域の体制整備の必要性等 ※ 地方協議会の議論の活性化と深化、連携の人的基盤や死因究明等に係る質の均てん化 等
    • ポイント
      • 死因究明等に係る人材の育成、確保方策
        • 検案医の増加、資質向上等を目的とした死体検案研修会
        • 法医解剖実施施設等で臨床研修の選択研修が可能であることの周知
      • 死因究明等に係る専門的な機関の全国的な整備方策
        • 地方公共団体の体制整備推進支援(死因究明センターの設置、地域枠の活用等の助言)
        • 地方協議会の運営マニュアルの充実
        • 地方協議会の積極的開催、解剖等対応可能施設の把握、協議会による研修等への支援 等
      • その他
        • 地域の死因究明等・薬毒物検査の持続可能な体制の検討、整備の促進
        • 予防のためのこどもの死亡検証(CDR)について、課題検討、好事例の横展開、普及啓発等の推進
        • 検案医が死者の医療情報を迅速、確実に把握できるような仕組みの可能性の検討 等
  • 死因究明等に関し講ずべき施策
    • 人材育成等
      • 死体検案研修会等による検案医の増加と資質向上等
      • 法医解剖実施施設等で臨床研修の選択研修が可能であることの周知
      • 研修による警察等職員の育成等
    • 教育及び研究の拠点の整備
      • 大学を通じた教育・研究拠点整備の取組支援
    • 警察等における実施体制の充実
      • 検視官、鑑識官の効果的・効率的な運用
      • 必要な解剖、薬毒物検査、死亡時画像診断等の確実な実施
      • 適正かつ効果的な身元確認の推進
    • 死体の検案及び解剖等の実施体制の充実
      • 地域の死因究明等の持続可能な体制の検討、整備の促進
      • 解剖、画像診断、検査や施設設備整備の費用支援
      • 死亡診断書の様式、電子的交付の検討
      • 検案する医師が法医学者に相談できる体制の充実
    • 死体の科学調査の活用
      • 地域の薬毒物検査の持続可能な体制の検討、整備の促進
      • 死亡時画像診断の活用に係る費用の支援、研修会等による医師、診療放射線技師の増加と資質向上等
    • 専門的な機関の全国的な整備
      • 公衆衛生に活用される地方公共団体の体制整備の推進支援(死因究明センターの設置、地域枠の活用等の助言)
      • 死因究明等推進地方協議会運営マニュアルの充実
      • 死因究明等推進地方協議会の積極的な開催、解剖等対応可能施設等の把握、協議会による研修等への支援等
      • 大規模災害等に備えた体制の構築推進
    • 身元確認のための死体の科学調査の充実等
      • 歯科所見による身元確認のためのデータベース構築の検討
    • 情報の活用及び遺族等に対する説明の促進
      • 解剖等データベース運用の実現可能な体制等の方向性
      • 予防のためのこどもの死亡検証(CDR)の課題検討、好事例の横展開、普及啓発等を推進
      • 遺族等への丁寧な説明の促進
    • 情報の適切な管理
      • 情報管理の重要性の周知徹底による適切な管理
  • 中長期的な課題
    • 法医学や検案に対する関心拡大、人材のキャリアパスを含めた処遇確保、補助人材の法医学教育等の実施等による育成、確保等
    • 死因究明等推進地方協議会等を活用した、地方公共団体横断的な取組のあり方の検討
    • 検案医が死者の医療情報を迅速、確実に把握できるような仕組みの可能性の検討

~NEW~
厚生労働省 「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」議論の取りまとめ
▼ 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ
  • 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方
    • 多様な働き方の実態
      • 被用者保険は従来、特定の事業所において一定程度働く労働者を、被用者や事業主による支え合いの仕組みに包摂してきたが、近年、働き方の多様化が進み、複数の事業所で働く者、フリーランスとして独立する者やプラットフォームワーカー等が増えてきている。
      • 副業を希望する雇用者は増加傾向にあり、本業も副業も雇用される形で働いている者は、2022(令和4)年時点で、約169.8万人となっている。副業をしている者の本業の所得を見ると、299万円以下の者が副業している者の約67%を占めている。
      • 本業がフリーランスとして働く者は、現在約209.4万人おり、業種別では、「建設業」が約49.7万人、「学術研究、専門・技術サービス業」が約36.7万人と他業種よりやや多いものの12、様々な業種に存在することが見て取れる。また、フリーランスの働き方は、雇用契約がないものの労働者に近い働き方から、従来の自営業者に近い働き方まで幅広く、多様である。
    • 複数の事業所で勤務する者
      • 事業主と被用者との関係を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みである被用者保険の適用においては、事業所単位で適用要件を満たすか判断するため、複数の事業所で勤務する者については、労働時間等を合算することなく、それぞれの事業所における勤務状況に応じて適用を判断している。
      • 複数の事業所で適用されることとなった場合、厚生年金保険においては、本人からの届出により主たる年金事務所を選択した上で、それぞれの事業所における給与を合算した額に基づき、保険料を負担し、年金給付を受けることとなる。健康保険においては、労働者本人からの届出により保険者を選択し、選択した保険者から健康保険証が発行されることとなる。保険料は、年金同様にそれぞれの事業所における給与を合算した額に基づき負担し、傷病手当金や出産手当金の現金給付についても、合算した額に基づき支給されることとなる。
      • 本懇談会の議論においては、複数事業所での労働時間等を合算すれば適用要件を満たす者について、全ての労働者に被用者保険を適用する観点から適用対象とすることが望ましいとの意見がある一方、事業所側で複数事業所勤務の状況を把握するのが困難であること、医療保険者の事務負担が大きいこと等、実務的な課題が多く指摘された。この点については、雇用保険においては、同時に2以上の雇用関係にある労働者について、当該2以上の雇用関係のうち、当該労働者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1つの雇用関係についてのみ被保険者となるが、2022(令和4)年から65歳以上の労働者に限り本人からの申し出を起点として2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行し、2027(令和9)年を目途に検証することとされていることから、こうした制度の状況を踏まえて検討するべきとの意見や、マイナンバーやIT技術の活用等も視野に入れて検討するべき、現行の適用事務は事業所の事務負担が大きいことからまずは手続の合理化を進めるべきとの意見があった。
      • また、合算制度を導入する場合、1つの事業所のみで見ると週5時間や10時間といった労働時間の者も適用されることとなることに対して、被用者保険の適用対象にふさわしい「被用者」としての実態を備えていると言えるのかという課題や、事業主側から見て同様の働き方をしているにもかかわらず、一方は複数事業所勤務で合算により適用要件を満たし、他方は単独事業所勤務で適用要件を満たさない状況が生じることから、前者のみに対して、事業所が保険料を負担する正当性をどのように見出すか、制度論的な観点から検討する必要性も指摘された。
      • こうした意見を踏まえれば、複数の事業所で勤務する者について、労働時間等を合算する是非は、マイナンバーの活用状況や雇用保険の施行状況等を参考に、実務における実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要がある。その上で、まずは現行の事務手続を合理化し、事務負担軽減が図られるよう、具体的な検討を進めるべきである。
    • フリーランス等
      • 被用者保険においては、適用事業所に労務を提供し、その対価として給与や賃金を受ける使用関係がある者を「被用者」として被保険者としている。使用関係は、形式的な雇用契約によらず、実態に即して判断されることとなる。
      • フリーランスと呼称される方々については、様々な働き方があるが、その中でも、業務委託契約でありながら、実態としては被用者と同様の働き方をしている者については、本来、被用者保険が適用されるべき者である。こうした者の適用を確実なものとしていくため、2023(令和5)年、労働基準法上の労働者に該当する場合については、被用者保険においても被用者と認められることを明確化した上で、労働基準監督署において労働者であると判断した事案について、日本年金機構が情報提供を受け、その情報を基に適用要件に該当するか調査を行うことができる環境を整備した。
      • 諸外国においては、働き方の多様化、プラットフォームワーカーの拡大等の状況に対応するため、労働法制において推定方式の導入26等が検討されており、我が国においても、こうした国際的な動向を踏まえ、厚生労働省で開催している労働基準関係法制研究会にて、労働基準法上の労働者について議論が進められている。
      • 本懇談会においては、上記を踏まえ、労働基準法上の労働者に該当しない働き方をしている者への対応を中心に議論を行った。まず、こうした者の中でも、労働者に近い働き方をしているケースがあることから、労働者性・被用者性の概念をどう整理するかが必要であることが多く指摘され、まずは、労働法制における議論の状況等を注視し、それを踏まえて検討を進めるべきとの意見があった。
      • また、労働者性が認められる場合でも、雇用の流動性が高い働き方であれば、医療保険制度では保険者の変更が頻繁に起きる可能性や、労働者性の判断に疑義が生じた場合、裁判になると、結論を得るまで時間がかかる点に課題があるとの意見もあった。
      • 従来の自営業者に近い働き方の者に関しては、労働保険(労災保険・雇用保険)と異なり、国民皆保険・皆年金として国民健康保険や国民年金というセーフティネットが存在していることを踏まえ、労災保険の特別加入のような別途の仕組みを設けることには慎重な検討が必要とする意見や、医療保険制度では制度間の差が傷病手当金や出産手当金の現金給付に限られるため、国民健康保険の側の給付を充実させる方向も考えられるのではないかとの意見、収入など自身の置かれた状況を踏まえて被用者保険への加入・非加入の調整が生じないような仕組みを構築する必要があるとの意見、小規模企業共済のように被用者保険制度以外での支援も考えられるとの意見等、様々な観点から、被用者保険の適用を検討することに慎重な姿勢が示された。
      • こうした意見を踏まえれば、フリーランス等の働き方や当事者のニーズは様々であるが、現行の労働基準法上の労働者については、被用者保険の適用要件(雇用期間や労働時間等)を満たせば適用となることから、適用が確実なものとなるよう、労働行政との連携を強化しており、その運用に着実に取り組んでいくべきである。
      • その上で、労働基準関係法制研究会において、労働基準法上の労働者について国際的な動向を踏まえて検討がなされており、まずは、労働法制における議論を注視する必要がある。また、従来の自営業者に近い、自律した働き方を行っているケースについては、被用者保険が事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みであること、医療保険制度や年金制度においては、労働保険と異なり、国民健康保険・国民年金というセーフティネットが存在することを踏まえ、諸外国の動向等を注視しつつ、中長期的な課題として引き続き検討していく必要がある。
  • おわりに
    • 本懇談会では、被用者保険の適用の在り方について、業界団体・労働者団体をはじめとする13の関係団体からヒアリングを行った上で、短時間労働者、個人事業所、複数の事業所で勤務する者、フリーランス等とそれぞれの観点から議論を重ねてきた。
    • 働き方が多様化する中で、被用者にふさわしい保障を実現していく意義や、働き方に中立的な制度を構築していく重要性は、基本的な方向として共通の認識が得られた。一方で、現行制度の見直しは、対象となる事業所において新たな負担が生じるほか、労働者の働き方や医療保険制度の在り方、保険者の財政等にも大きな影響があることから、そうした点に配慮しつつ、関係者の意見を伺いながら丁寧に議論していくことが不可欠である。
    • 今後、被用者保険の適用に関する議論は、社会保障審議会の医療保険部会や年金部会等において引き続き行われることとなるが、本懇談会で議論した検討事項は多岐にわたるため、次期制度改正で対応すべき点、中長期的に検討を進める点等、時間軸についても意識しながら検討を行い、必要な制度見直しが着実に進められることを期待する。

~NEW~
厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
▼ 概況
  • 2023(令和5)年6月1日現在における全国の世帯総数は5445万2千世帯となっている。
  • 世帯構造をみると、「単独世帯」が1849万5千世帯(全世帯の34.0%)で最も多く、次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1351万6千世帯(同24.8%)、「夫婦のみの世帯」が1339万5千世帯(同24.6%)となっている。
  • 世帯類型をみると、「高齢者世帯」は1656万世帯(全世帯の30.4%)となっている。
  • 65歳以上の者のいる世帯は2695万1千世帯(全世帯の49.5%)となっている。
  • 世帯構造をみると、「夫婦のみの世帯」が863万5千世帯(65歳以上の者のいる世帯の32.0%)で最も多く、次いで「単独世帯」が855万3千世帯(同31.7%)、「親と未婚の子のみの世帯」が543万2千世帯(同20.2%)となっている。
  • 65歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯の世帯構造をみると、「単独世帯」が855万3千世帯(高齢者世帯の51.6%)、「夫婦のみの世帯」が730万3千世帯(同44.1%)となっている。
  • 「単独世帯」をみると、男は35.6%、女は64.4%となっている。
  • 性別に年齢構成をみると、男は「70~74歳」が27.7%、女は「85歳以上」が24.9%で最も多くなっている。
  • 65歳以上の者は3952万7千人となっている。
  • 家族形態をみると、「夫婦のみの世帯」(夫婦の両方又は一方が65歳以上)の者が1593万8千人(65歳以上の者の40.3%)で最も多く、次いで「子と同居」の者が1337万8千人(同33.8%)、「単独世帯」の者が855万3千人(同21.6%)となっている。
  • 性・年齢階級別にみると、年齢が高くなるにしたがって男は「子夫婦と同居」の割合が高くなっており、女は「単独世帯」と「子夫婦と同居」の割合が高くなっている
  • 児童のいる世帯は983万5千世帯で全世帯の18.1%となっており、児童が「1人」いる世帯は478万2千世帯(全世帯の8.8%、児童のいる世帯の48.6%)、「2人」いる世帯は390万2千世帯(全世帯の7.2%、児童のいる世帯の39.7%)となっている。
  • 世帯構造をみると、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が746万5千世帯(児童のいる世帯の75.9%)で最も多く、次いで「三世代世帯」が110万5千世帯(同11.2%)となっている。
  • 児童のいる世帯における母の仕事の状況をみると、「仕事あり」の割合は77.8%となっている
  • 2022(令和4)年の1世帯当たり平均所得金額は、「全世帯」が524万2千円となっている。また、「高齢者世帯」が304万9千円、「高齢者世帯以外の世帯」が651万1千円、「児童のいる世帯」が812万6千円となっている。
  • 所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「100~200万円未満」が14.6%、「200~300万円未満」が14.5%、「300~400万円未満」が12.9%と多くなっている。
  • 中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は405万円であり、平均所得金額(524万2千円)以下の割合は62.2%となっている。
  • 世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均所得金額をみると、「50~59歳」が758万5千円で最も高く、次いで「40~49歳」、「30~39歳」となっており、最も低いのは「29歳以下」の339万5千円となっている。
  • 世帯人員1人当たり平均所得金額をみると、「50~59歳」が309万4千円で最も高く、最も低いのは「70歳以上」の193万5千円となっている。
  • 各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額の構成割合をみると、全世帯では「稼働所得」が72.9%、「公的年金・恩給」が20.9%であるが、高齢者世帯では「公的年金・恩給」が62.9%、「稼働所得」が26.1%となっている
  • 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は41.7%となっている
  • 生活意識別に世帯数の構成割合をみると、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)が59.6%となっている
  • 各種世帯の生活意識をみると、「苦しい」の割合は、「高齢者世帯」が59.0%、「児童のいる世帯」が65.0%となっている

~NEW~
総務省 令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)の公表
▼ 別紙1「令和6年版情報通信白書の概要」
  • 特集 能登半島地震 情報通信インフラの被害状況と復旧に向けた取組
    • 令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、国民生活の重要なライフラインである情報通信インフラにも影響が大きく及び、北陸地方を中心に、通信回線の断線や停電等により通信サービスが利用できなくなる、テレビ・ラジオ放送が視聴できなくなる等の被害が発生した。
    • がけ崩れや土砂災害の影響で陸路からのアクセスが困難ななか、民間事業者や自治体、政府機関が連携し、通信・放送の早期復旧に向けた取組を実施したほか、衛星通信サービスが活用された。
    • 情報通信インフラの被害状況
      • 通信
        • 固定電話 最大約7,800回線、固定通信 最大約1,500回線のサービスに障害移動通信(携帯電話等) 最大839基地局(うち石川県799)が停波
      • 放送
        • 輪島市の一部でNHK及び民放テレビ4局で停波、最大約2,130世帯に影響ケーブルテレビ2局も石川県内の一部で停波
      • 郵便
        • 最大で117局の郵便局が閉局した他、郵便・物流事業の遅延・業務停止が発生
  • 特集 能登半島地震 情報入手メディアと偽・誤情報の流通・拡散
    • 地震の情報入手手段として、2011年の東日本大震災時と比較して依然テレビ放送の割合が高い。また、ラジオ放送の割合は減少する一方で、若年層を中心にSNSの割合が増加した。
    • SNS上では震災に関連する“真偽不確かな情報”が多々流通・拡散。SNS利用者の42.7%が“1つ以上見かけた”とし、そのうち約25%が知人等にその“真偽不確かな情報”を拡散したと回答した。
    • 真偽不確かな情報の例:
      • 個人で支援を募る投稿(寄付・募金等を求める投稿)
      • 東日本大震災等、異なる災害時の画像や動画を添付して被害状況を報告する投稿
      • 能登半島地震が人工地震であるとする投稿 等
  • 真偽不確かな情報の”拡散”
    • 真偽不確かな情報を“1つ以上見かけた”人のうち、25.5%がその情報を拡散
    • 拡散した主な理由:
      • 他の人にとって役に立つ情報だと思った
      • その情報が興味深かった
      • その情報が間違っている可能性があると注意喚起をしようと思った
      • 人に注目してもらえると思った
  • 特集 能登半島地震 浮かび上がった課題への対応
    • 今般の震災で浮かび上がった課題への対応として、今後総務省は、通信事業者・放送事業者等と連携し、携帯電話基地局・光ファイバの強靭化、非常時における事業者間ローミングの実現、放送施設の停電対策や中継局の共同利用、ケーブル網の光化等の取組を推進していく。
    • また、SNSを中心に顕在化したインターネット上での偽・誤情報の流通・拡散に対しては、国際的な動向を踏まえつつ、制度面を含む総合的な対策を推進していく。
    • 主な課題
      • 大規模停電・交通アクセス遮断の長期化により、通信設備・放送設備の非常用電源の燃料が枯渇
      • SNS上における偽・誤情報の流通が拡大
        • 通信ネットワークの強靭化 取組例
          • 蓄電池の長寿命化やソーラーパネルの設置
          • 衛星回線による通信回線を冗長化
          • 大規模ゾーン基地局を整備し、緊急時幅広いエリアをカバー
          • 非常時の事業者間ローミングの実現
        • インターネット上の偽・誤情報への対応 取組例
          • 政府や放送・新聞等のメディアによる注意喚起
          • SNSプラットフォーム事業者への適正な対応を要請
          • 偽・誤情報への総合的な対策について、総務省検討会において、制度面も含め検討
        • 放送ネットワークの強靱化 取組例
          • 中継局の共同利用や設備の共通化について放送事業者間で協議を推進
          • センター施設の停電対策や伝送路の監視機能を強化
          • ケーブル網の光化・複線化等を実施
  • 特集 デジタルテクノロジー 技術の発展経緯と経済・社会への効果
    • AIは黎明期から現在まで、3度のブームと冬の時代を繰り返して高度化してきた。ディープラーニングの発展はメタバース、ロボティクス、自動運転技術等の開発に寄与したほか、生成AIの登場は産業構造にも大きなインパクトを与えた。これらの“デジタルテクノロジー”の進展は、社会的・経済的課題解決に貢献することが期待されている。
  • 特集 デジタルテクノロジー 利活用の状況(アンケート結果・活用事例)
    • 日本の生成AI、メタバース等の活用状況は欧米と比較すると低調である一方、今後の利用に前向きな割合は7割程度あり、潜在的なニーズは高い。
    • 生成AI、メタバース等を利用したサービスが開発され、教育、就労支援、介護等各分野でも活用が進んでいる。
  • 特集 デジタルテクノロジー 生成AIで顕在化した課題・リスクへの対応
    • 急速に進展・普及したAIには機密情報の流出、偽・誤情報の流通の加速等の多様なリスクが存在している。
    • AIの安全・安心の確保に向けて、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、日本にAIセーフティ・インスティテュート(AISI)が設立された。
    • 偽・誤情報対策としてはAI生成コンテンツを判別する技術の開発・実証も進んでいるほか、メディアを中心とした取組として、インターネット上の記事や広告に発信元の情報を付与する技術の開発等も進展している。
    • また、大規模言語モデル(LLM)開発は、OpenAIのほか、巨額の投資が可能で日々大量のデータを収集しているGAFAM等のビッグテック企業がリードしており、データの取扱いの透明性や、公平な市場環境の確保、日本の国際競争力強化に向けた対策等が求められる。
    • 対策の一つとして、産官学が連携して国産LLMの開発や大量・高品質で安全性の高い日本語中心の学習用データの整備を推進している。
  • 特集 デジタルテクノロジー AIに関するルール整備・国際連携
    • G7広島サミットを機に、広島AIプロセスを立ち上げ、生成AIに関する国際的なルール作りを主導。
    • 2023年12月、我が国が策定を主導した「広島AIプロセス包括的政策枠組み」(国際指針、国際行動規範等を含む)等が、G7首脳声明で承認。
    • 2024年5月、我が国が議長を務めたOECD閣僚理事会において、広島AIプロセスの成果を踏まえ、OECD AI原則を改定、岸田首相が「広島AIプロセス フレンズグループ」の立ち上げを宣言し、G7外へのアウトリーチを牽引。
    • 米国では、2023年10月に「安全・安心・信頼できるAIの開発と利用に関する大統領令」が発表。EUでは、2024年5月にAI事業者を対象とする世界初の包括的なAI規制法「欧州AI法(EU AI Act)」が成立。
    • 国内では、2024年4月に「AI事業者ガイドライン」が策定・公表。今後、AIに関する様々なリスクや、ソフトロー(規格、ガイドライン等)とハードロー(法律・基準等)に関する国際的な動向等も踏まえ、制度の在り方について検討。
  • 特集 デジタルテクノロジー 健全な活用、共生に向けた情報通信分野の取組
    • AIを活用した多様なデジタルサービスは我々の生活に深く浸透。メタバース、ロボティクス、自動運転技術等も地域活性化、防災等の我が国が抱える様々な社会的・経済的課題解決に貢献することが期待される。
    • こうしたテクノロジーを上手く活用し、共に生きる社会の実現に向け、サイバーセキュリティの確保に加え、以下のような取組の一層の推進が重要である。
      1. 産業競争力の強化/社会課題解決のためのデジタルテクノロジーの活用
        • デジタルテクノロジーの利用は、今やあらゆる産業における競争力強化・社会課題解決のために不可欠
        • 各分野での利用促進に向け、AIの計算資源/高品質データの整備・拡充のほか、基盤モデルの研究開発を推進(AI開発力の強化)
        • 社会課題解決のため、ユースケースごとに求められるデジタルテクノロジーの活用を推進
        • AI開発等でさらに技術面・ビジネス面で独占的な地位を占めようとするビッグテック企業について、公平な市場環境や利用者保護のための透明性向上等に向けた取組を推進
      2. デジタル空間の情報流通の健全性確保/活用に向けた人材育成・リテラシー向上
        • 生成AIで一層複雑化するデジタル空間の情報流通の健全性の確保に取り組むとともに、テクノロジーを使いこなすためのスキル向上が重要
        • 偽・誤情報の流通・拡散への対応等について、プラットフォーム事業者等の幅広い関係者を含めた総合的な対策を推進
        • 国民が適切に情報を受発信するためのリテラシーの向上施策を推進
        • デジタルテクノロジーを適切かつ積極的に利用する人材の育成・スキルの向上を推進
      3. デジタルテクノロジーを支える通信ネットワークの実現
        • AIによるネットワークの構造変化、メタバース等の新たなサービスの普及を受け、これらの技術を安定して使用できる通信ネットワークの需要が増大
        • 超高速・超大容量・超低遅延のデータ流通、低消費電力を可能とするBeyond 5Gに向けた取組を推進
        • 自動運転の実現に向けた通信ネットワークの構築を推進
      4. 安心・安全で信頼できる利用に向けたルール整備・適用と国際協調
        • 国境のないデジタル空間では、国際社会と連携して標準化やルールを推進・形成していくことが重要
        • AI事業者ガイドラインの一層の普及・周知を進めるとともに、今後政府全体で制度の在り方等について検討
        • 「広島AIプロセス」の成果の普及・拡大をはじめとし、引き続き各国と連携しつつAIガバナンスに関する取組を主導

~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第31回)配付資料
▼ 資料WG31-1 「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」ワーキンググループ中間とりまとめ(案)
  • 情報伝送PFサービスには、(1)誰もが低コストで不特定の者に向けた情報発信を行うことができ(情報発信コストの低廉性)、(2)情報の流通・拡散を促進する「いいね」やリポスト等の機能を備えていたり(拡散促進機能の具備)、(3)閲覧等受信側の利用者の興味・関心等に応じてコンテンツやデジタル広告の表示順位その他の表示方法を変更する機能を備えている(レコメンデーション機能・広告ターゲティング機能の具備)といった特徴を有するものが存在し、特に、コンテンツに付随して表示されるデジタル広告に対して支払われる広告費を主たる運営基盤としている情報伝送PFサービスの場合には、デジタル広告、ひいてはデジタル広告が付随するコンテンツの流通・拡散しやすさが収益に直結することから、上記(1)から(3)までに挙げた特徴をより強化するインセンティブが存在すると言える。
  • その結果、情報伝送PFサービスを中心とする現在のデジタル空間は、多様な一般利用者や広告主が実名・匿名で投稿・出稿する玉石混交のコンテンツやデジタル広告が、伝統メディアをはじめとするプロの書き手・送り手によるコンテンツと混じり合いながら溢れる情報過多の状況になっており、その状況がもたらす、一般に「アテンション・エコノミー」と呼ばれる経済モデルの下で、情報伝送PFサービスは、上記(1)から(3)までに挙げた特徴を一層先鋭化させ、更なる情報過多の状況をデジタル空間において再生産する傾向がある。
  • 例えば、一部の情報伝送PFサービスは、コンテンツやコンテンツに付随して表示されるデジタル広告の閲覧数等に応じて、当該コンテンツの発信者に経済的インセンティブを付与する仕組みを取り入れている。その結果として、閲覧等受信側の利用者を刺激し、より多くの注目・関心を集めて金銭的対価を得るために、情報伝送PFサービス上で、過激なタイトル・内容の情報や、憶測だけで作成された事実に基づかない情報等を流通・拡散させる者が現れており、このことが、偽・誤情報の流通・拡散に関連しているとする意見がある。実際に、SNSや動画投稿・共有サービス等の情報伝送PFサービスが偽・誤情報の流通・拡散の主要な場となっているとする調査結果が存在する10。特に、令和6年能登半島地震では、X(旧Twitter)の仕様変更(発信者への経済的インセンティブの付与開始)に伴い、閲覧数稼ぎが目的とみられる複製投稿(いわゆるコピペ投稿)その他偽・誤情報を含む投稿が多数確認されたとの調査結果もある。
  • さらに、放送、新聞等の伝統メディアが制作・編集・発信し、かつ自ら伝送したコンテンツが受信者の主な情報源であった従来の情報流通空間と異なり、情報伝送PFサービスを通じた情報流通14に関しては、個人の情報処理能力を遙かに超える量の情報が未整理の形で流通することにより、表現の自由や知る権利の前提となる思想同士の自由競争の場(思想の自由市場)が機能不全に陥る可能性も指摘されている。
  • このように、情報伝送PFサービスは、偽・誤情報の流通・拡散や、それによる社会的影響の発生・増幅をもたらすリスクを構造的に有していると言える。
  • このことを踏まえ、情報伝送PF事業者には、偽・誤情報の流通・拡散に関連して自社サービスやそのアーキテクチャ(サービスに組み込まれた拡散促進機能、レコメンデーション機能及び広告ターゲティング機能に加え、それらを支えるアルゴリズムを含む。)がデジタル空間における情報流通の健全性、ひいては権利侵害、社会的混乱その他の実空間や個人の意思決定の自律性に与える影響・リスクを自ら適切に把握した上で、影響・リスクに応じたコンテンツモデレーションを実施し、またデジタル広告の質の確保や質の高いメディアへの広告配信に資する取組を実施するなど、情報流通の適正化に取り組む一定の責任を果たすことが期待されている。
  • また、利用者の表現を預かる立場として、利用者の表現の自由の確保に取り組む一定の責任を果たすことも期待されている。特に、大規模事業者は、人々の日常的なコミュニケーション手段等として、国民生活や社会経済活動等に広くかつ深く浸透しており16、我が国のデジタル空間における情報流通について公共的役割を果たしている。
  • しかしながら、本検討会におけるプラットフォーム事業者ヒアリングの結果を踏まえると、デジタル空間における情報流通の適正化や利用者の表現の自由の確保に向けた情報伝送PF事業者による取組として、我が国国内における偽・誤情報の流通・拡散への対応状況(情報の削除等)を含む取組状況に関する透明性・アカウンタビリティの確保は総じて不十分であり、取組状況そのものについても全体として十分とは言えない。事業者団体による偽・誤情報対策に関する自主的な行動規範の策定に関する議論が白紙に戻り中断されていること27も鑑みると、情報伝送PF事業者による自主的な取組も期待できない状況であり、新たな具体的な対応が必要である。
  • 加えて、今後、生成AI等の新たな技術やサービスの進展・普及による偽・誤情報の爆発的増加・巧妙化も懸念されるほか、情報伝送PFサービスに組み込まれたアルゴリズム等の影響(フィルターバブル、エコーチェンバー等)により、人々が多様な情報を受信できずに適切な判断を下すことが困難となり、インターネット上で集団分極化が進み、結果として社会経済の混乱や民主主義への悪影響をもたらす可能性が指摘されるなど、いわば「誰にも開かれた情報流通の場」としてのインターネットそのものの存立が脅かされつつある近年の状況に鑑みると、情報伝送PF事業者による取組を中心としたデジタル空間の情報流通に関して、健全性を確実かつ持続的に確保するためのガバナンスを確立することが急務である。
  • 以上のようなデジタル空間における情報流通の現状や、情報伝送PF事業者に期待される役割・責務及びこれまでの取組状況等を踏まえると、制度整備も含め、情報伝送PF事業者に対して以下の具体的措置を求めることが適当である。
  • 対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲
  • 情報伝送PF事業者において対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲については、利用者の表現の自由をはじめとする様々な権利利益に配慮する観点から、前述の主要な情報伝送PF事業者における現状の利用規約等の内容を踏まえつつ、対象範囲の客観的な明確性を確保するとともに、必要かつ相当な対策が適正に講じられることを担保できるよう定められる必要がある。
  • 具体的には、少なくとも、次の(1)及び(2)の要件をいずれも満たす情報は、原則として、対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲に含まれるものと考えることが適当である。
    • (1)検証可能な誤りが含まれていること
    • (2)次の各要素の有無・軽重に照らし、具体的な方策との関係で比例性が認められること
      • ⅰ.当該情報そのものが有する権利侵害性その他の違法性や客観的な有害性(及びその明白性)
      • ⅱ.当該情報が流通・拡散することによる社会的影響の重大性(及びその明白性)例)人の生命、身体又は財産に重大かつ明白な悪影響を与えるような情報重大な社会的混乱を招くような情報
      • ⅲ.(1)の誤りが含まれていることについての検証の容易性(誤りが含まれていることの明白性
  • (1)の要件は、対象範囲の客観的な明確性を確保する観点から要求されるものである。「内容」に誤りが含まれている情報のみならず、なりすましアカウントによる投稿など、発信者の「名義」に誤りが含まれる情報も、①の要件を満たし得る。
  • 一方、誤りが含まれていることに関する発信者の認識(主観的意図)については、「偽情報」と「誤情報」とを画する要件にはなり得る28ものの、情報伝送PF事業者において判別困難と考えられることから、対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲の要件とはしないことが適当である。
  • (2)の要件は、どのような「偽・誤情報」に対して、具体的にどのような対応(具体的な方策)を実施すべきかが、)ⅰ.からⅲ.までの各要素の有無・軽重により異なり得ることを示している。
  • この点について、情報そのものに「権利侵害性その他の違法性」(ⅰ .)がある場合には、比較的広い範囲の具体的な方策との関係で(2)の要件に合致するものと評価し得るが、「権利侵害性その他の違法性」がない情報であっても、例えば、当該情報そのものが、又は当該情報が流通・拡散することにより、・人の生命、身体又は財産に重大かつ明白な悪影響を与えるような情報・重大な社会的混乱を招くような情報については、情報伝送PF事業者において、少なくとも、これらの情報の流通・拡散に関連して自らのビジネスモデルがもたらす社会的影響を予測し、有効な軽減措置を実施するといった方策(又はそれ以上の方策)を要する程度の「客観的な有害性」(ⅰ.)又は「社会的影響の重大性」(ⅱ.)を備えている、すなわち②の要件に合致するものと評価し得る。
  • 一方、これらの情報の具体的な範囲や、これらの情報以外のいかなる情報(又はその流通・拡散)について、いかなる具体的な方策との関係で、「客観的な有害性」や「社会的影響の重大性」が認められ得るかについては、今後、更なる検討が必要である。
  • (2)の要件に関連して、「客観的な有害性」及び「社会的影響の重大性」がともに小さいなど一定の類型の情報については、対応を検討すべき「偽・誤情報」の範囲に含まれないものと考えることが適当である。なお、「一定の類型の情報」として具体的にどのようなものが考えられるかについては、今後、更なる検討が必要である。
  • 以上のほか、必ずしも誤りは含まれていないが文脈上誤解を招く(ミスリーディングな)情報や、事実ではあるが人を害する意図を持って発信された悪意ある情報への対応の要否及び具体的な対応の在り方については、具体的なケースを想定しつつ、今後、更なる検討が必要である。
  • 偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションの実効性確保に向けた方策
    • 情報伝送PF事業者によるコンテンツモデレーションの実効性を確保するための方策としては、例えば次のようなものが考えられる。
      1. コンテンツモデレーションに関する透明性の確保を通じた過不足ない実施の確保
      2. コンテンツモデレーションに関する対応の迅速化を通じた実施の促進
      3. 収益化の停止、ラベルの付与等、情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーションを中心に、体制を整備して確実に実施
      4. 情報の削除、アカウントの停止・削除等、情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーションについて、体制を整備して確実に実施
      5. 上記(1)から(4)までの組合せによる対応
    • 対象とする偽・誤情報の特性・性質(権利侵害性その他の違法性・有害性、流通することによる社会的影響の重大性、誤りの明白性)等に応じた対応とすることが適当である。
    • この方策については、情報流通プラットフォーム対処法における迅速化規律等を参考としつつ、次の(ⅰ )から(ⅳ)までの対応を中心に具体化を進めることが適当である。
      • (ⅰ )外部からのコンテンツモデレーション申出・要請窓口を整備・公表
      • (ⅱ)上記(ⅰ )の窓口を通じて申出・要請があった場合に、一定期間内にコンテンツモデレーションの実施の要否・内容を判断し、申請者に判断結果(及び不服申立ての方法)を通知
      • (ⅲ)コンテンツモデレーションの実施の要否・内容を判断するための体制(コンテンツモデレーションに関する不服申立てを受け付ける体制を含む。)を整備
      • (ⅳ)一定の条件(例えば、行政機関等の特定の第三者からの申出・要請を受けて実施した場合等)の下で行ったコンテンツモデレーションにより発信者が被った損害について、情報伝送PF事業者を免責
    • これらの方策の具体化に当たっては、濫用的な申出・要請から生じる情報伝送PF事業者の実務上の負担に配慮する観点から、対象とする偽・誤情報の特性・性質に応じ、いかなる主体からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーションの実施を促進すべきかについて、以下を基本的な方向性としつつ、今後、更なる検討が必要である
      1. 他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報
        • 他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報については、(既に情報流通プラットフォーム対処法に規律が置かれたように、)自己の権利を侵害されたとする者(被侵害者)からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーションについて、上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対応を中心に、その迅速化を通じた実施の促進のための方策の在り方について具体化を進めることが、濫用的な申出・要請のおそれも小さく適当である。
      2. 行政法規に抵触する違法な偽・誤情報
        • 行政法規に抵触する違法な偽・誤情報については、対応の迅速化を通じた実施の促進を図ることとする場合、違法性の判断能力の観点から、当該行政法規を所管する行政機関(当該行政機関の委託や認証を受けた機関を含む。)からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーションについて、上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対応を中心に具体化を進めることが基本的には適当である44。なお、この点については、今後、具体的な行政法規45を洗い出しつつ、具体化を進めることが適当である。
        • ただし、この場合の対応については、前提として、行政機関による恣意的な申出・要請を防止し、透明性・アカウンタビリティを確保するとともに、過度な申出・要請に対し発信者や情報伝送PF事業者を救済するため、次のような方策を併せて検討することが不可欠である。
          • (ア)行政機関において、申出・申請に関する手続等(事後救済手段を含む。)を事前に策定・公表
          • (イ)行政機関において、実際に行った申出・申請の状況を事後的に公表
          • (ウ)申出・要請に応じて実施されたコンテンツモデレーションにより発信者が被った損害について、情報伝送PF事業者を免責
          • (エ)コンテンツモデレーションを実施した情報伝送PF事業者において、行政機関の名称等の情報を発信者に通知
      3. 権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報
        • 権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報は、上記(1)の偽・誤情報(他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報)や上記(2)の偽・誤情報(行政法規に抵触する違法な偽・誤情報)とは異なり、違法性のない情報であることから、これに対するコンテンツモデレーションについては、第3章で後述する「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」としての影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みの活用を含め、情報伝送PF事業者による取組を促す観点が重要である。
        • 一方、こうした取組の実効性を担保することも重要であるところ、以下の方向性を基本としつつ、上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対策を含め、情報伝送PF事業者によるコンテンツモデレーションの迅速化を通じた実施の促進のための方策の在り方について具体化を進めることが適当
        • (ア)情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーション
          • 上記のとおり、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報は、違法性のない情報であることから、第三者からの申出・要請を契機とした可視性への影響が大きいコンテンツモデレーション(情報の削除、アカウント停止・削除等)について上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対策の実施を制度的に担保することは、そうした措置の実施により、違法性のない情報に関する利用者の表現の自由を実質的に制約するおそれがあるため、当該偽・誤情報の特性・性質(有害性や社会的影響の大小・明白性、誤りが含まれることの明白性)を考慮しつつ、引き続き慎重な検討が必要である。
          • 一方、情報伝送PF事業者が自主的な判断により、こうした情報の流通・拡散を抑止するため、利用規約等に基づいて、情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーションの措置を講ずることは妨げられるものではない。こうした取組を促す観点からは「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」として情報伝送PF事業者による影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みを活用することが適当である。
        • (イ)情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーション等
          • 上記のとおり、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションについては、第3章で後述する「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」としての影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みの活用を含め、情報伝送PF事業者による取組を促す観点が重要である。一方、こうした取組の実効性を担保することも重要であるところ、特に情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーション(収益化の停止、ラベルの付与等)を中心とした対応については、発信者や情報伝送PF事業者以外の特定の第三者(当該情報付近に広告を表示された広告主、ファクトチェック機関、行政機関等)から申出・要請があった場合における上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対策を含め、情報伝送PF事業者によるコンテンツモデレーションの迅速化を通じた実施の促進のための方策の在り方について具体化を進めることが適当である。
          • なお、当該偽・誤情報の特性・性質(有害性や社会的影響の大小・明白性、誤りが含まれることの明白性)に応じた適切な申出・要請主体の範囲や対象とするコンテンツモデレーションの範囲等の詳細については、今後、更なる検討が必要である。
      4. 情報の可視性に直接の影響がないものを中心としたコンテンツモデレーションの確実な実施
        • 上記(1)③の方策は、コンテンツモデレーションのうち、情報の可視性に直接の影響がない収益化の停止、ラベルの付与等を中心に、情報伝送PF事業者による確実な実施を担保するための方策である。
        • 特に、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションについては、上記(3)のとおり、第3章で後述する「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」としての影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みの活用を含め、情報伝送PF事業者による取組を促す観点が重要である。一方、こうした取組の実効性を担保することも重要であるところ、情報の可視性に直接の影響がない方策を中心としたコンテンツモデレーションを確実に実施する方策については、利用者の表現の自由の保護とのバランスを踏まえつつ、発信者や情報伝送PF事業者以外の特定の第三者(当該情報付近に広告を表示された広告主、ファクトチェック機関、行政機関等)からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーション(収益化の停止、ラベルの付与等)の実施も含め、具体化を進めることが適当である。
        • なお、本WGにおける議論では、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報の一部について、脆弱な個人に対するレコメンデーションや広告ターゲティングの停止(これもコンテンツモデレーションの一類型に該当すると考えられる。)の確実な実施を担保することが適当とする意見もあった。こうした方策の適否については、情報伝送PFサービスにおけるレコメンデーションや広告ターゲティングの実態を踏まえつつ、今後、更なる検討が必要である。
      5. 情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーションの確実な実施
        • 上記(1)④の方策により、情報伝送PF事業者に対し、偽・誤情報の流通・拡散に対する対応として、情報の削除やアカウント停止・削除の確実な実施を罰則付きで義務付けて、その流通・拡散の抑止を制度的に担保することについては、情報伝送PF事業者による過度な削除やアカウントの停止・削除が行われることにより、利用者の表現の自由を実質的に制約するおそれがあるため、対象とする偽・誤情報の特性・性質(権利侵害性その他の違法性・有害性、流通することによる社会的影響の重大性、誤りの明白性)を考慮しつつ、引き続き慎重な検討が必要である。
        • ただし、情報伝送PF事業者が利用者との契約に基づき、自主的に情報の削除やアカウント停止・削除の確実な実施を行うことは妨げられるものではない。
      6. 違法性を有する偽・誤情報の発信を繰り返す発信者等への対応
        • 明白な権利侵害性その他の違法性を有する偽・誤情報を繰り返し発信する者など、特に悪質な発信者に対する情報の削除やアカウント停止・削除を確実に実施する方策については、こうした対応の段階的な実施を担保することも含め、具体化を進めることが適当である。
        • なお、こうした方策を実施する具体的な要件等については、情報伝送PF事業者によって実施されているコンテンツモデレーションの実態等を踏まえつつ、今後、更なる検討が必要である。
      7. 情報流通の態様に着目したコンテンツモデレーションの実施
        • 令和6年能登半島地震では、X(旧Twitter)の仕様変更(発信者への経済的インセンティブの付与開始)に伴い、閲覧数稼ぎが目的とみられる複製投稿(いわゆるコピペ投稿)その他偽・誤情報を含む投稿が多数確認されたとの調査結果がある。このように、例えば、別の投稿を複製した投稿が高頻度で送信された場合等、送信された情報の内容そのものの真偽に着目するのではなく、情報流通の態様に着目したコンテンツモデレーションの実施の在り方についても、偽・誤情報の流通・拡散を抑止する観点も含め、具体化を進めることが適当である。
        • なお、具体的にどのような態様の情報流通を対象とするか等の詳細については、当該態様の情報流通によって発生又は増幅する影響及びリスクを特定しつつ、今後、更なる検討が必要である。
  • 偽・誤情報の発信を抑止するためのその他の方策
    • コンテンツモデレーションの実施を促進する以外に、偽・誤情報の発信を抑止するための方策として、国内の既存の法制度の下では、発信者に対する刑罰による対応、民事法による対応、行政処分等による対応が講じ得ることとされている。
    • 一方、情報伝送PF事業者を含む伝送主体においては、こうした発信者の法的責任を前提に、共同正犯(刑法60条)や幇助犯(同法62条)として処罰されたり、一定の条件の下で被侵害者から損害賠償請求や差止請求を受けたり、行政機関等から一定の処分・要請等52を受けたりすることがあり得るところ、情報伝送PFサービスがデジタル空間における情報流通の健全性に与える影響の大きさや、情報伝送PF事業者に期待される役割・責務等に照らすと、こうした既存の対応では実効性の観点から十分でない可能性が指摘されている。
    • このように、情報伝送過程で偽・誤情報の発信を抑止するための追加的な方策として、例えば次のようなものが考えられるが、いかなる方策が必要かつ適当か、また、その方策をどのように実現するかについては、情報伝送PF事業者による取組等の実態を踏まえつつ、その自主的な実施を促す方策も含め、今後、更なる検討が必要である。
      • (1)アカウント登録時やアカウント情報変更時等の本人確認の厳格化
      • (2)botアカウントの抑止策の導入(アカウントの有料化等)
      • (3)特定のサービスアーキテクチャの採用(シェア、リポスト等の拡散機能の利用に複数のアクションを要求する等)
    • 特に(1)については、発信者のトレーサビリティを確保することを通じ、偽・誤情報の発信に一定の抑止効果を期待できるものの、その効果は事後的な責任追及の可能性を前提とした間接的なものに過ぎないことを踏まえれば、偽・誤情報の発信を抑止するための方策としての実効性に疑義があること、匿名表現の自由への制約となり得ること等から、情報伝送PFサービスにおけるアカウント登録時等の本人確認の実態を踏まえつつ、制度的な対応の要否について慎重な見極めが必要である。
  • 特に災害発生時等における対応
    • 災害発生時、感染症流行時、テロ発生時等、限られた時間の中で多くの人の間で適時に正確な情報の共有が求められる場面における情報収集・伝達手段としての情報伝送PFサービスの存在感や公共的役割は高まっている。
    • こうした場面では、偽・誤情報等の流通・拡散による社会的影響が質的にも量的にも大きくなり得、また、特にコンテンツ(それに伴うデジタル広告を含む。)の閲覧数等に応じて発信者に経済的インセンティブを付与する仕組みを取り入れている情報伝送PFサービスにおいて、経済的インセンティブ目当てのいわゆる「インプレッション稼ぎ」の投稿が増加するなど、情報流通に伴う社会的影響のリスクが高まると言える。
    • その中で、情報伝送PF事業者は、偽・誤情報等の流通・拡散による社会的影響を抑止するとともに、公共的役割として人々にとって必要な正確な情報を迅速かつ適時・確実に伝送すべく、平時から計画を立て、災害発生時等には当該計画に従って即応することが適当である。
    • 特に、前記の影響予測と軽減措置の確実な実施について制度整備を含む具体化を進めるに当たり、情報伝送PF事業者が災害発生時等に備えて立案すべき計画の一部として、災害発生時等に自社のビジネスモデルがもたらす社会的影響を平時から予測し、有効な軽減措置をあらかじめ講じておくことが適当である。
    • この場合の軽減措置としては、例えば次のような措置が考えられるところであり、上記の制度設計や実施指針にどのように反映するかも含め、更なる具体化を進めることが適当である。
      • (1)信頼できる情報源からの情報の伝送確保(プロミネンス)及びその基準の明確化
      • (2)災害発生時等に特に適用されるコンテンツモデレーション(収益化の停止を含む。)に関する利用規約等の整備
      • (3)上記(2)の利用規約等を踏まえた適正な対応を実施するために必要な人員等の体制の整備とその状況の公表
      • (4)上記(2)の利用規約等の運用状況を事後に公表(平時における定期的な公表とは別途、より短期的な運用状況を公表)
      • (5)関係機関(行政機関、ファクトチェック機関、研究機関、偽・誤情報等付近に広告を表示された広告主等)との連絡窓口の明確化と、当該窓口を通じた迅速かつ緊密な連携・情報共有(偽・誤情報等の流通・拡散等による社会的影響の大小や軽減措置の有効性を検証するに足りるデータの提供を含む。)
    • ただし、表現の自由に対する過度の制約を避ける観点から、この場合の「災害発生時等」に該当するための要件や、始期・終期を誰がどのような手続で決定するのかについては、明確に定められる必要があり、少なくとも始期・終期の要件、誰がどのような手続で決定するのか等については、マルチステークホルダーによる平時からの協議で決定することが適当である。
    • こうしたマルチステークホルダーによる協議・決定のプロセスの具体については、透明性を確保しつつ、具体的にどのように定めることが必要かつ適当かという観点から、今後、更なる検討が必要である。
    • 以上のほか、災害発生時等における更なる対応(例えば、上記①から⑤までの影響軽減措置のうち一部の確実な実施等)については、個々の場面ごとに平時とは区別した追加的な対応が求められる具体的な理由を整理しつつ、今後、引き続き検討が必要である。

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総務省 「輪島市大規模火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会報告書」の公表
  • 令和6年能登半島地震により輪島市で発生した大規模火災について、消防法(第35条3の2)に基づく消防庁長官調査を実施
    • 火災概要:焼失面積約4万9千㎡、約240棟焼損、出火から14時間後に鎮圧
    • 火災原因:地震の影響により電気に起因した火災が発生した可能性は考えられるが、具体的な発火源、着火物等の特定に至らなかった。
  • 本火災を踏まえ、今後取り組むべき消防防災対策のあり方を検討するため、消防庁及び国土交通省を事務局とした検討会を開催
  • 明らかになった課題
    • 条件不利地域である半島部での大規模火災
      • 道路の寸断により陸路での早期応援が困難
    • 地震・津波発生時における沿岸部での大規模火災
      • 住民・消防職団員が避難を要することによる火災発見・通報、初期消火の遅れ
      • 地震による車両、消防団拠点施設(詰所)等消防施設の被災や管内での災害同時発生による消防力の低下
      • 断水、地盤の隆起及び津波により消火栓や自然水利の確保が困難
      • 津波警報下での津波浸水想定区域における消防活動
    • 古い木造建物密集地域での大規模火災
      • 道路が狭隘であり、火災が発生すると延焼拡大しやすい
      • 倒壊した建物等が通行障害の原因となるとともに、道路を越えた延焼媒体となった可能性
  • 全国消防本部への調査結果
    • 地震・津波災害時における消防活動計画の策定状況
      • (1) 地震時の木造密集地域の火災防ぎょ(39%)
      • (2) 津波警報下における消防活動(31%)
      • (3) (1)及び(2)の双方(20%)
      • (4) 無限水利を活用した遠距離送水(4%)
    • 気象台との関係構築
      • 津波災害時の情報共有・連携体制等(2%)
    • 火災予防対策
      • 地震火災の予防のための普及啓発(23%)
  • 今後の対応策
    • 地元消防本部等の体制強化
      • 震災時の木造密集地域での活動及び津波時の浸水想定区域での活動について勘案した計画の策定等
      • 津波の状況に応じた活動のための効果的な情報収集等
      • 消防水利の確保が困難である場合等における消火方策(空中消火、延焼危険がある倒壊建物等の除去)
      • 火災の早期覚知、情報収集のためのドローン、高所監視カメラ等の整備促進
      • 消防署・消防団拠点施設(詰所)等消防施設の耐震化・機能維持
      • 消防水利の確保(耐震性貯水槽の設置促進、無限水利を活用した遠距離送水)
      • 消火活動の省力化、無人化の促進(無人走行放水ロボット、水幕ノズル、消火用ドローン等の整備)
      • 消防団の充実など地域防災力の強化
    • 応援部隊の体制強化
      • 悪条件下での進出・活動を可能にするための、車両の小型化、資機材の軽量化
      • 空路・海路での応援部隊及び車両・資機材の投入、関係機関との連携強化
    • 地震火災対策の推進
      • 地域における火災予防の推進(家具転倒防止対策、耐震自動消火装置付き火気設備、住宅用火災警報器、防災訓練等)
      • 大規模地震時の電気火災対策(感震ブレーカー等の普及推進)
    • まちづくり
      • 都市構造の不燃化や密集市街地の整備改善及び住民等の地域防災力の向上に資するソフト対策の引き続きの推進
      • 老朽木造家屋や避難・消防活動上重要な沿道の建築物等の耐震化の促進

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国土交通省 災害時に電動車は移動式の非常用電源として使えます
  • 多くの電動車は、外部給電機能を備えており、災害時に移動式の非常用電源として活用できます。しかしながら、非常時に電動車から給電できることを認識されていない方もいらっしゃるため、改めて紹介いたします。詳しくは新たに開設した以下のホームページをご覧ください。
    https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn7_000008.html
  • 電動車をお持ちの皆様
    • 電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車)は100V用電源コンセントを有する車種も多く存在します。災害等に備えて、添付資料のマニュアルとあわせて、是非ご確認ください。
  • 自治体の皆様
    • 台風や地震などの災害時には、停電が発生する恐れがありますが、電動車を移動式の非常用電源として活用することにより、避難所等に給電することができます。令和6年能登半島地震による停電の際には、自動車メーカー等が被災地に電動車を派遣し、外部給電機能を活用した活動を行いました。
    • 国土交通省においては、経済産業省と連携し、添付資料のマニュアルを整備しておりますので、自治体の皆様におかれましては、ご参考にしてください。
    • また、災害時における電力の確保を目的として、自治体と自動車メーカー等において災害時の連携に関する協定を締結する動きが全国で加速しています。
    • さらに、自治体と自動車メーカー等による電動車の派遣実証(訓練)も増えてきています。自治体や自動車メーカー等からは、協定締結に関する情報や災害時の活用事例、訓練の様子などが公開されていますので、あわせてご参考にしてください。
  • 参考

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国土交通省 型式指定申請における不正行為の有無等に関するトヨタ自動車(株)からの調査結果報告について
  • 本日、トヨタ自動車より、型式指定申請における不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この報告の中で、5月末時点で判明したもの(※)以外の不正行為は確認されなかった旨の報告がありました。※:現行生産車3車種及び過去生産車4車種に対する不正行為
  • 国土交通省としては、道路運送車両法に基づき、トヨタ自動車に対して更なる調査を実施し、その結果を踏まえ、厳正に対処して参ります。
  • トヨタ自動車からの報告概要
    • 調査の結果、5月末時点で判明したもの(※)以外の不正行為は確認されなかった。
      • ※現行生産車3車種について、歩行者保護試験における虚偽データの提出等
      • ※過去生産車4車種について、衝突試験における試験車両の不正加工等
  • 国土交通省の対応
    • 同社の報告を踏まえ、以下のとおり指示を行った。
      • 不正行為の原因とその背景を継続調査し、速やかに報告すること
    • 今後、以下のとおり対応を行う。
      • トヨタ自動車へ立入検査を行い、不正行為の事実関係等の更なる確認を行ったうえで、トヨタ自動車による原因調査結果も踏まえ、道路運送車両法に基づき厳正に対応する。

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国土交通省 住宅宿泊管理業者への全国一斉立入検査結果(令和5年度)
  • 国土交通省では、令和5年6月から令和6年3月にかけ、全国38業者の住宅宿泊管理業者へ立入検査を実施し、うち34業者に是正指導を行いました。
  • 引き続き、立入検査等を通じて住宅宿泊管理業の適正化に向けた指導を行って参ります。
  • 住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業法(以下「法」という。)に基づき適正に住宅宿泊管理業を営むことが必要です。
  • このため、令和5年度において、法に基づき、全国38業者に対して立入検査を行うとともに、34業者に対して是正指導を行いました。
  • 是正指導事項別の指導件数は、「証明書の携帯等義務違反」及び「帳簿の備付け等義務違反」が最も多く、次いで「住宅宿泊事業者への定期報告義務違反」となっており、多くの住宅宿泊管理業者において、法に対する理解不足がみられる結果となりました。
  • なお、34業者すべてにおいて是正等がなされたことを確認しています。
  • 国土交通省としては、引き続き、立入検査等を通じた指導を行い、法令違反に対しては、法に基づき、厳正かつ適正に対処して参ります

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