危機管理トピックス

警察白書/労働安全衛生調査/薬物情勢/人口動態及び世帯数

2024.07.29
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更新日:2024年7月29日 新着38記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 金融安定理事会による「自然関連リスクに係るストックテイク:金融リスクに対する規制・監督上の手法及び観点」の公表について
  • 「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第11回)議事次第
  • 「大手銀行・地域銀行 国内LBOローンに関するアンケート調査結果」の公表について
警察庁
  • 令和6年版警察白書
  • 令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況等
内閣官房
  • 国土強靱化基本計画
  • 我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議開催状況
内閣府
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年7月25日)
  • 内閣府年央試算
  • 第7回 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会
厚生労働省
  • 長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します
  • 令和5年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要
  • 第12回雇用政策研究会資料
  • 第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料
  • 「第六次薬物乱用防止五か年戦略」フォローアップについて (令和5年の薬物情勢公表)
  • 小林製薬株式会社からの報告に係る不備について
経済産業省
  • 「日本スタートアップ大賞2024」の表彰式を行いました!クラウド人事ソフトを展開する「株式会社SmartHR」が大賞を受賞
  • 「省エネ・地域パートナーシップ」を立ち上げ、地域金融機関等と連携し、中小企業等の省エネ取組を支援します
  • 中国による日本製ステンレス製品に対するアンチダンピング課税措置が撤廃されました
  • 「スタートアップによる経済波及効果」の調査概要を公表しました
  • シンガポールにおいて日本企業・スタートアップ・中小企業の 海外でのオープンイノベーションを加速する「日シンガポール・ファストトラック・ピッチ2024」を開催しました
  • 補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました
  • ガス事業法に基づく業務改善命令を行いました
総務省
  • 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第4回)配布資料・議事概要
  • 令和6年6月の熱中症による救急搬送状況
  • 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和6年1月1日現在)
  • 「2023年経済構造実態調査」二次集計結果 産業横断調査(企業等に関する集計)
国土交通省
  • 下水道事業における事業マネジメントの実施に関する ガイドラインを策定しました~下水道事業における事業マネジメントの推進について~
  • YKK AP株式会社による特定防火設備(片開き戸)の遮炎性能試験における不正受験について
  • 木造住宅の地震後の安全チェック方法を作成しました!~住み続けてよいか、専門家に相談した方がよいかをご自身で簡単に判定できます~
  • 建設業の担い手確保を推進するため、改正建設業法の一部を施行します~「労務費の基準」や工事契約内容に関する調査を建設業法に位置づけ~
  • 令和6年能登半島地震からの復旧・復興の加速化に向けた体制強化~緊急増員の活用により総勢104人の安定的な体制に移行~
  • 「自動物流道路のあり方 中間とりまとめ」の公表について~「危機」を「転機」とする自動物流道路~

~NEW~
公安調査庁 「Aleph(アレフ)」を対象とする再発防止処分の請求について(令和6年7月22日請求)
▼ 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の請求に係る公安調査庁コメント
  • 公安調査庁長官は、令和6年7月22日、同年1月12日に8回目の期間更新決定を受け、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「人格のない社団Aleph」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対し、再発防止処分の請求を行いました。
  • 現在、再発防止処分下にある「Aleph」は、同年2月の再発防止処分請求以降においても、同法で定められている報告すべき事項の一部を報告しておらず、公安調査庁としては、報告の是正を求めるため、指導文書の発出を繰り返し行ってまいりました。
  • しかし、「Aleph」は、指導文書の受取を拒否した上、いまだに報告すべき事項の一部を報告せず、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難である状況に変化は見られません。
  • このため、現在の再発防止処分の期間満了後においても、引き続き、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握するため、改めて再発防止処分の請求を行ったものです。
  • 今次請求に係る処分の内容は、(1)「Aleph」管理下の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、(2)金品等の贈与を受けることの禁止であり、処分の期間は6か月間が相当であると考えております。このうち、(1)については、現在の再発防止処分の期間中における「Aleph」の活動状況等に鑑み、既に一部使用禁止とされている建物のうち、1施設において使用禁止場所を拡張して請求しました。
  • 今後は、公安審査委員会において、審査の上、決定がなされるものと考えております。
  • 公安調査庁としましては、引き続き、観察処分の適正かつ厳格な実施により、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・緩和に鋭意努めてまいる所存です。

~NEW~
外務省 暴力的行為に関与するイスラエルの入植者に対する資産凍結等の措置について
  • ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植者による暴力的行為をめぐる問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容も踏まえ、閣議了解「暴力的行為に関与するイスラエルの入植者に対する資産凍結等の措置について」(令和6年7月23日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
  • 措置の内容
    • 資産凍結等の措置
      • 外務省告示(7月23日公布)にliより資産凍結等の措置の対象者として指定された暴力的行為に関与するイスラエルの入植者(4個人)に対し、1及び2の措置を実施する。
        1. 支払規制
          • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
        2. 資本取引規制
          • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
  • 上記資産凍結等の措置の対象者
▼ (参考)別添 「暴力的行為に関与するイスラエルの入植者に対する資産凍結等の措置について」(三省連名報道発表)

~NEW~
国民生活センター その申込み、定期購入ではありませんか?最終確認画面チェックリスト
  • チェックリスト
    • 定期購入が条件になっていませんか?
    • 継続期間や購入回数が決められていませんか?
    • 支払い総額はいくらですか?
    • 解約の際の連絡手段を確認しましたか?
    • 「解約・返品できるか」「解約・返品できる場合の条件」など、返品特約や解約条件を確認しましたか?
    • お届け予定日や利用規約の内容を確認しましたか?
      • ※申込み前に「最終確認画面」をスクロールして、最後まで確認しましょう。
      • ※注文直後に表示された「割引クーポン」等の利用時にも再度確認しましょう。
      • ※最終確認画面はスクリーンショットで保存しましょう。
  • ひとこと助言
    • 低価格を強調する広告を見て、1回だけもしくは単品のつもりで注文したら「定期購入」だったという相談が多く寄せられています。特にインターネット通販では、申込み前に必ず最終画面で上記を確認しましょう。
    • 特定商取引法では、サイトの最終確認画面で、価格や申込みの解除等の重要事項を簡単に確認できる表示を義務付けています。これがなされていなかったり、誤認するような表示の場合等は、申込みを取り消せる場合があります。
    • 不安に思ったら、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
金融庁 SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
  • SNSやマッチングアプリ等を通じて知り合った者から、暗号資産やFXなどの投資商品の投資勧誘を受けて投資したところ、「返金を申し出ても返金されない」「(相手に送金後に)相手と連絡が取れなくなった」などという相談が多く寄せられています。
  • 同様に、著名人を騙るSNS上の広告等を通じて投資を行った結果、出金できなくなった等の相談も寄せられています。
  • 著名人を騙るSNS上の広告等を通じた投資勧誘の主な手口
    1. SNS(Facebook、Instagram等)上の偽アカウント・偽広告は著名人のアカウント・広告を装います。偽アカウント・偽広告は公式アカウントやウェブサイトで掲載されている写真を無断転載したりして本人を名乗ることもあります。
    2. SNS(Facebook、Instagram等)上の偽広告やURLをクリックすると、LINEのグループへの参加や詐欺サイトへのアクセスを誘導されます。また、個人のLINEアカウントやSMSに突然連絡が来るケースも確認されています。多くの場合に犯人グループと個人間のやり取りに持ち込もうとしてきます。
    3. LINEのグループに参加した場合には、グループ内で特定の銘柄の投資勧誘が行われたり、口座開設や入金を要求されます。LINEのグループ内では、犯人たちが複数のアカウントを使って投資が成功しているそぶりを見せて、参加者が投資を行いたくなるように仕向けるケースもあります。このとき、個人名義の口座に入金を指示されるケースもあります。
    4. その後、しばらくは利益が出たように装うこともありますが、安心して高額な入金をした後に連絡が取れなくなったり、出金時に高額な手数料や税金の支払いといった名目の口座入金を要求され、入金した直後に連絡が取れなくなることもあります。
  • こうした投資勧誘を受けた場合には、冷静にご対応いただくとともに、取引をする業者が暗号資産交換業や金融商品取引業の登録等を受けているか、「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」にてご確認ください。
  • SNS・マッチングアプリ等を通じて知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘に応じてしまい不安に思った場合や、トラブルに遭った場合は、金融庁金融サービス利用者相談室に情報をお寄せ頂くとともに、最寄りの警察署にご相談ください。

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
  • 金融・資産運用特区における外国人銀行口座の開設支援ネットワークについて
    • 金融・資産運用特区における取組として、海外からのビジネス進出を志向する外国人に対する金融機関・自治体による銀行口座開設支援ネットワークを構築する。
    • 本取組は、外国人による銀行口座の開設について、言語の壁、審査書類の提出対応等で、開設までに多くの事務手続き負担や時間を要するケースがみられることを踏まえ、運用面において、手続きの迅速化・円滑化を図るもの。
    • 6月5日に、本取組への参加を希望する金融機関の募集・参加要領について周知しているところ、積極的な参加を検討していただきたい
  • 「商品・サービス及び業務のライフサイクル管理に関する基本的な考え方」(案)に対する意見募集の実施について
    • 「商品・サービス及び業務のライフサイクル管理に関する基本的な考え方」(案)に関し、2024年4月26日から5月31日にかけて意見募集を行った。
    • 本文書は、金融機関の経営環境が複雑化し、急速に変化する中で、金融機関における商品等の管理態勢を見直し、高度化する必要性が増しているとの観点から「商品等のライフサイクル管理」に関し、金融庁としての基本的な考え方をまとめたもの。
    • 主として本邦大手銀行、本邦大手証券会社及び海外G-SIBsの日本拠点を対象に、より良い実務の構築に向けた金融庁と金融機関との対話の材料として活用することを念頭に置いている。
    • 経営トップに期待することは、新商品等の導入のスピードと、十分なリスクの特定・評価を両立することのできる新商品等管理態勢の経営上の重要性を認識し、態勢の整備を担う役職員等に対して、その重要性を示していくことである。このような姿勢を示すことで、例えば過度に重厚なリスク特定・評価プロセスを整備したために、新商品等の導入の時期を逸するといったことや、形式的な運用に陥るといったことを防いでいただきたい。
    • 本文書は、意見募集の結果を踏まえ、近日中に最終化することを予定している。各大手行においては、本文書も参考に、新商品等管理態勢や商品等の継続的な管理態勢の向上に取り組んでいただきたい。
  • 2023事務年度のモニタリング結果について
    • 事務年度末にあたり、大手銀行グループに対する通年検査のフィードバック面談を各社の経営陣と行っている。2023事務年度も、各金融機関の協力により、有意義なモニタリングを実行することができたと考えている。
    • 2023事務年度のモニタリング結果を踏まえ、何点か申し上げる。
      1. リスクガバナンス
        • 2023事務年度のモニタリングでは、各社それぞれが抱えるリスク管理上の最重要の課題について対話し、フィードバックを行っている。各社においては、これを踏まえて、引き続きリスク管理やガバナンスの強化に努めていただきたい。
        • 2023事務年度は、海外不動産融資について、その与信方針・リスク管理状況等についてモニタリングを実施した。一部には課題が見られたが、各行それぞれのビジネスモデルを踏まえたリスク管理態勢の高度化に取り組んでいただきたいと考えている。
        • 次に、近年、複数の破綻企業において、粉飾決算を行っていた事案が表面化した。今回、これらの事案を受けて、一部の銀行に対し、与信管理の状況について改めてモニタリングを実施した。与信先の的確な実態把握や融資実行時の使途・返済原資の確認、期中における変化・兆候管理など、一層の与信管理態勢の強化等に取り組むことが必要と考えている。
        • 加えて、外貨流動性リスクの管理については、従来から日銀との共同調査を通じて、着実な進展を確認しているが、一層のリスク管理の高度化に向けた課題も残っているため、引き続き、取組を進めていただきたいと考えている。
        • また、2023事務年度マイナス金利が解除され、更なる円金利上昇を想定し得る状況である。適切なリスク管理と預貸運営、丁寧な顧客対応が求められる局面であり、今後も、対応状況について確認する。
      2. 顧客本位の業務運営の確保
        • 2023事務年度は、顧客本位の業務運営に関する原則を踏まえ、外貨建一時払保険、仕組預金を中心に個別のリスク性金融商品に係るプロダクトガバナンス態勢や販売・管理態勢などのモニタリングを行った。
        • 当該モニタリングで認められた、販売会社等において共通するとも考えられる課題(注1)等を、「リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果」で記載予定である。(7月5日公表)
        • このほか、2023事務年度は、「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」も併せて公表する予定である。
        • 経営陣においては、当該モニタリング結果等も参考に、顧客本位の業務運営の確保に向けて、リーダーシップを発揮して取り組んで頂きたい。
      3. サイバーセキュリティ
        • サイバーセキュリティは、金融機関ひいては金融システムに重大な影響を与えかねない問題であり、金融庁は、近年、サイバーセキュリティの検査・モニタリングを実施してきた。
        • サイバーリスクは金融セクターのトップリスクであり、サイバーセキュリティの確保は経営層の責務である。金融庁としては、引き続き、モニタリングを通じ、各社のサイバーセキュリティの実効性を検証していく。
      4. マネロン等対策
        • マネロン等対策については、2024年3月末を期限としたマネロンガイドラインに基づく態勢整備の進捗状況を中心に確認した。各金融機関においては、今後、マネロン等リスク管理態勢の有効性を検証し、必要な改善を繰り返しながら強化・高度化していく必要がある。経営陣におかれては、2024年3月末までに整備した管理態勢をスタート地点として捉え、引き続きリーダーシップを発揮して、管理態勢の有効性を高める取組を進めていただきたい。
        • 一部の主要行との間では、整備した態勢の有効性を検証する取組についての対話も既に開始している。
        • 有効性検証の取組については、顧客管理措置や取引モニタリングといった個々のリスク低減措置の実効性の検証はもとより、マネロン等対策に係る方針・手続・計画の包括的な見直しにより、各行が自ら、態勢の高度化を図る動きが見られた。
        • 金融庁としては、当面の間、2024年3月末時点の「対応結果報告」を踏まえたモニタリングを通じて、各金融機関における態勢整備状況の確認に加え、有効性検証に関して、取組事例の共有や、各金融機関の参考となるような一定の目線・考え方を整理できないか検討を進めていく。
        • また、SNS型投資詐欺事案において預貯金口座の悪用が増加傾向にある実態を踏まえ、預貯金口座の不正利用対策に関してもモニタリングを実施した。
        • 一部の金融機関では、口座の不正利用が頻発する時間帯や不正利用特有の挙動を分析の上、これらの特徴に応じて、例えば、営業時間外にも、送金取引の自動保留や謝絶、預貯金口座の凍結判断を行うなどの動きが見られた。
        • 足元では、法人口座を含む預貯金口座を不正に利用し詐欺等の被害金の資金洗浄を行ったとする事案が発生しており、各金融機関においては、これまで以上にリスク感度を高く持って対策を検討していただきたい。
      5. 結び
        • フィードバックレター等で各社に伝達している内容については、特に経営陣の主導により、リソースの確保も含めて取組を着実に進めていただきたいと考えており、金融庁としても、その取組をフォローアップしたいと考えている。
  • 投資詐欺等への対策について
    • 昨今、SNS上で著名人等になりすました投資詐欺やフィッシングによる被害が急増している現状を踏まえ、政府として、これらの犯罪に対処するための総合的な対策が、2024年6月目途に取りまとめられる。
    • 今後、取りまとめられる総合的な対策の内容も踏まえ、金融庁としては、関係省庁と連携し、犯罪者グループによる法人口座を含む預貯金口座の悪用防止のための不正利用防止対策の推進など、詐欺等の金融犯罪被害の抑止に向けた対応を強化していく。各社におかれては、引き続き協力いただきたい。
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • 2023事務年度のモニタリング結果について
    1. 地域銀行のストレステスト実施状況等
      • 金融機関のリスク管理上重要なツールであるストレステストについて、その実施状況及び実際のストレス時の対応計画を把握するため、2023事務年度において複数の地域銀行を対象にモニタリングを実施した。モニタリング対象先については、アンケートの回答、関連資料のご提出、及びヒアリング等にご協力いただき感謝申し上げる。
      • モニタリング対象先において、定期的なストレステストの実施態勢が相応に整備されていることを確認した。個別には、自行特性を踏まえたシナリオ策定や対応策の検討が行われていた事例があった一方、業務計画の策定やリスク管理の見直しといった経営判断に活用されておらず形式的な点検に留まるなど、高度化が期待される事例も確認され、それぞれの対応状況にばらつきがみられた。
      • 円金利上昇など、金融機関を取り巻く環境が大きく変化しているが、ストレステストの有効な活用においても、リスクガバナンスの一環として経営陣の主体的関与により実効性を高めていくことを期待している。
    2. 顧客本位の業務運営の確保
      • 2023事務年度は、顧客本位の業務運営に関する原則を踏まえ、外貨建一時払保険、仕組預金を中心に個別のリスク性金融商品に係るプロダクトガバナンス態勢や販売・管理態勢などのモニタリングを行った。
      • 当該モニタリングで認められた、販売会社等において共通するとも考えられる課題等を、「リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果」で記載予定である。(7月5日公表)
      • このほか、2023事務年度は、「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」(注2)も併せて公表する予定である。
      • 経営陣においては、当該モニタリング結果等も参考に、顧客本位の業務運営の確保に向けて、リーダーシップを発揮して取り組んで頂きたい。
    3. サイバーセキュリティ
      • 金融庁では、検査・モニタリングを通じて、地域銀行のサイバーセキュリティ管理態勢の実効性を確認してきた。金融庁としては、引き続き、検査・モニタリングのほか、サイバーセキュリティセルフアセスメント(CSSA)や金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall)といった取組みにより、金融業界全体のサイバーセキュリティの強化を促していく。
    4. マネロン等対策
      • マネロン等対策については、2024年3月末を期限としたマネロンガイドラインに基づく態勢整備の進捗状況を中心に確認した。皆様のご尽力に改めて感謝申し上げる。
      • 各金融機関においては、今後、マネロン等リスク管理態勢の有効性を検証し、必要な改善を繰り返しながら強化・高度化していく必要がある。経営陣の方々においては、2024年3月末までに整備した管理態勢をスタート地点として捉え、引き続きリーダーシップを発揮して、管理態勢の有効性を高める取組みを進めていただきたい。
      • 一部の主要行との間では、整備した態勢の有効性を検証する取組みについての対話も既に開始している。
      • 有効性検証の取組みについては、顧客管理措置や取引モニタリングといった個々のリスク低減措置の実効性の検証はもとより、マネロン等対策に係る方針・手続・計画の包括的な見直しにより、各行が自ら、態勢の高度化を図る動きが見られた。
      • 金融庁としては、当面の間、2024年3月末時点の「対応結果報告」を踏まえたモニタリングを通じて、各金融機関における態勢整備状況の確認に加え、有効性検証に関して、取組事例の共有や、各金融機関の参考となるような一定の目線・考え方を整理できないか検討を進めてまいりたい。
      • また、SNS型投資詐欺事案において預貯金口座の悪用が増加傾向にある実態を踏まえ、預貯金口座の不正利用対策に関してもモニタリングを実施した。
      • 一部の金融機関では、口座の不正利用が頻発する時間帯や不正利用特有の挙動を分析の上、これらの特徴に応じて、例えば、営業時間外にも、送金取引の自動保留や謝絶、預貯金口座の凍結判断を行うなどの動きが見られた。
      • 足元では、法人口座を含む預貯金口座を不正に利用し詐欺等の被害金の資金洗浄を行ったとする事案が発生しており、各金融機関においては、これまで以上にリスク感度を高く持って対策を検討していただきたい。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「自然関連リスクに係るストックテイク:金融リスクに対する規制・監督上の手法及び観点」の公表について
▼ 金融安定理事会 自然関連リスクのストックテイク:財務リスクに対する監督・規制アプローチと視点
  • 自然遺産の劣化や生物多様性の損失など、自然関連リスクの潜在的な影響を検討する金融当局はますます増えています。
    • 2024年2月、G20財務大臣・中央銀行総裁は、生物多様性の損失などの自然劣化が関連する金融リスクであるかどうかについての中央銀行や監督当局の認識を調査することを含め、自然関連の金融リスクの特定と評価に関連する規制・監督上の取り組みの棚卸しを行うようFSBに要請しました。
    • このストックテイクは、現在および計画されている規制および監督イニシアチブを要約し、自然関連の金融リスクを特定、評価、管理する際の当局の主要な課題を提示しています。また、当局や国際機関(NGFS(Network for Greening the Financial System)、世界銀行(Who、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)、DNB(De Nederlandsche Bank))の取組事例も紹介しています。

~NEW~
金融庁 「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第11回)議事次第
▼ 資料1 気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ懇談会取りまとめ(案)
  • 背景
    • 気候変動に係る適応・リスク低減策等を効果的に実施していくには、気候変動による事業影響等に関する様々なデータを組み合わせ、事業の将来的な機会・リスクを分析していくことが有益と考えられる。
    • 他方で、気候変動に係るデータは種別・粒度を含めて多数存在しているほか提供主体・様式等も様々であり、データを活用する企業等において、自らが利用する際に必要となるデータを理解し、適切に利活用を図っていくことは必ずしも容易でなく、実際の利活用等も十分に進んでいないとの指摘がある。
    • また、データを提供する官民の様々な機関等においても、データを利用する企業ニーズ等の把握・理解に取り組んでいる一方、データの種別・利活用方法が潜在的には多数に及ぶ中で、有効なデータの種別・提供方法等について、継続的に模索が続いている状況にある。
    • こうした点を踏まえ、令和4年12月より、気候変動に係るデータの提供・利活用に係る官民の関係者が会し、同データのより効率的かつ適切な利活用を図っていく観点から、「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会(以下、「懇談会」という)」を開催し、双方向での情報・意見交換を実施してきた。
  • これまでの議論で確認された課題等
    • 懇談会では、上場企業、金融機関、投資家、及びデータを提供する関係省庁等が、それぞれの取組を共有して議論を行い、令和5年6月に、「論点整理」を公表した。同論点整理においては、大きく
      • データの創出・提供体制等について、企業や金融機関等が利用可能な国内外のデータを一元的に把握できる環境整備が望まれること、データの内容についても、精度の高いデータの創出が求められる中で、データ提供側とデータユーザー側の対話の場が定期的に設定されることが重要であること、
      • データを用いたシナリオ分析等のリスク・機会の評価について、国際的な動向を踏まえたシナリオ等の標準的な分析手法や、データを活用してリスク・機会の評価結果を戦略策定等につなげる対応事例等を集約・情報提供することが必要であること、
      • シナリオ・データに不可避な不確実性について、分析の精緻化・高度化を進めつつも、基本的には不確実性も加味しながらデータの整備・利用を進めていくことについても併せて理解を広げていく必要があること
        といった課題等が指摘されている。
    • 以後、こうした課題等について更に検討を深めるため、関係省庁において、気候関連データに関わる研究者・研究機関、データの専門事業者、経営分析・適応策等を検討する民間企業等との間で、個別のヒアリング等も通じて、議論を行ったほか、こうした議論も必要に応じ懇談会で紹介し、議論を進めてきた。
    • 懇談会では、上記の様な状況・論点を、大きく、幅広い事業者・専門家等がデータを創出・提供・利用していく以下の4つのフェーズ・データ(「気候変動関連データのアセンブリチェーン」)に便宜的に整理し、議論を行ってきており、本中間整理も同様の区分に沿って取りまとめている。
      • ※本懇談会による「気候変動関連データのアセンブリチェーン」
        1. 気温、降水量や河川等の氾濫に伴う浸水等の気候変動及び農林水産業や健康等へのその影響に関する予測データや観測データを創出・提供する「気候予測・観測データの創出・提供」、
        2. これを、農作物収量や漁獲量、工場への浸水深など、特定の事業活動等に関連し得るデータに具体化・加工する等した「事業関連データの創出・提供」、
        3. 農作物収量や漁獲量又はその収益額の増減見込みや、工場浸水による設備及び営業被害額など、上記を活用した「経済影響予測データの創出・提供」、
        4. 以上を活用した経営方針、リスク・機会の分析の開示、投資戦略や事業計画など、定性的である場合も多い「経営活用データの創出・提供」
  • 課題等を踏まえた今後期待される対応のあり方
    • 1)気候予測・観測データの創出・提供
      • 気候予測・観測データについては、長年にわたり国内の研究機関等において、様々なデータを創出・提供してきた蓄積がある。一方、こうしたデータの具体的な項目、利用上の留意点、応用可能な分野等を、実務者や気候分野以外の研究者等にとって分かり易い形で提供し、理解を得る必要がある。
        • (参考1)気候変動に係る気候予測データについて
          • 大気中の温室効果ガスの増加等によって、気温や降水等の長期的な変化が起きる「気候変動」については、国内外の研究機関において、スーパーコンピュータ等を活用して、将来の複合的な気候予測研究を行っている。
          • 特に、「気候予測データ」は、「気候変動に関する政府間パネル」の評価報告書の基盤や、あらゆる気候変動対策の科学的な基盤・根拠として活用されるなど、重要性が高い。また、「気候予測データ」は、気温、降水量、風速等の地球大気や海洋・陸地の状態を数式化した「気候モデル」を用いて総合的に算出された、100年後、200年後等の将来の気候予測情報を提示することが一般的であり、「気候モデル」の構築にあたっては、国際的な学会等で合意された共通理解が存在する。我が国では、「気候変動予測先端研究プログラム」等において、「気候予測データ」を創出している。
          • 気候変動に係る適応・リスク低減の評価等に気候予測データを利用する場合には、個別の町村、山地、海流等の個別領域のデータを必要とする場合も多く、通例、地球全体を対象とした「全球気候モデル」を用いた「全球気候予測データ」から、特定の地域を対象とした「領域気候モデル」を用いて「ダウンスケーリング」を行い「領域気候予測データ」を創出する。
          • なお、「気候モデル」には、温室効果ガスの濃度など社会経済活動に伴う係数が考慮されており、これらは特に長期間の予測等が容易でない点を踏まえて、政策動向や経済活動等について一定の仮定を置いた複数の「シナリオ」を作成し、「気候モデル」に反映している。
        • (参考2)研究機関等が提供する気候予測・気候変動影響予測データについて
          • 文部科学省では、平成18年度より、人工衛星、船舶、地上観測等により得られる、地球規模や地域の降水量、海水温、河川水位等の地球観測データや「気候変動予測先端研究プログラム」等において創出された気候予測データを蓄積・統合・解析・提供する「データ統合・解析システム(DIAS)」を整備・運用するとともに、DIASの計算機能を用いて、それらのデータと社会経済データ等を統合・解析し、気候変動等の地球規模課題の解決に貢献する研究開発を、企業等との共同研究も含め、取り組んでいる。
          • 環境省では、「気候変動影響評価」を概ね5年ごとに実施し、我が国の気候変動影響について、「農業・林業・水産業」、「水環境・水資」「自然災害」「健康」「自然生態系」など7つの分野に分けて取りまとめているほか、「気候変動影響予測・適応評価の総合的研究」8で、最新の気候変動影響予測データの創出・提供を行っている。国土交通省では、河川整備計画を策定し、洪水浸水想定区域図や任意地点での浸水深等の情報提供サイトを提供しているが、これらにも「気候予測データ」が活用されている。
          • 国立環境研究所では、気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)において気候変動影響予測等のデータを公表し、地方自治体や企業等のエンドユーザーや研究者向けに情報の提供を行っている。
      • 気候予測・観測データの創出・提供については、自然科学等に関する専門的な知見等が必要であるところ、気候変動に伴う気象災害や農作物、漁業資源、水資源、自然生態系、健康等に及ぼす影響に関する可能性について、近年、研究開発が幅広く進捗し、特に国内影響については、情報の幅が広がっている。
      • こうしたデータや研究成果等の有効な利活用を一層促すために、上記の研究機関等が創出するデータについて、分かり易く、統合的に発信し、理解を得る取組みを継続的に行っていく必要がある。特に、データの利用側からみて、データが理解し易く提供され、利活用につながる形となっているか、継続的に状況・ニーズ把握等を行っていく必要がある。
      • このため、例えば、上記の「気候変動の物理的リスク評価等に資するデータ一覧」を含めて、データを扱う上での留意点、分かりやすい概要文、その他の補足情報等を利用者の意見を取り入れながら充実を図る、「気候変動リスク産官学ネットワーク」を通して幅広い事業者から継続的にデータの利用し易さ等について意見を得る、といったことが考えられる。
      • また、この他にも、網羅的な内容であるが資料が膨大で全体像が理解しづらい、具体的な内容を伴うが記述が専門的で理解が難しい、又は分かり易い記述だが具体的な項目の記述がないなど、様々な障壁がある可能性があり、分野ごとの説明会・議論をネットワークで図っていくなど、多様な機会の確保が重要である。
    • 2)事業関連データの創出・提供、3)経済影響予測データの創出・提供
      • 気候予測・観測データを活用して、各産業、企業、地域等への影響を観測・評価し、自社の適応・リスク低減策等に活用していくには、通例、気温、降水量、海面高度や、その他各分野への影響予測等、気候予測・観測データから、自らの産業・企業特性等に合わせて、例えば農作物の収量や漁獲量、工場等への浸水可能性や水位の予測、地下水の利用可能性など、自社の事業に係る具体的データを推計していくことが必要となる(事業関連データの創出・提供)。
      • さらに、同データから、実際の経済影響がどのように及ぶか、例えば、農作物収量の増減により変化する売上高、漁獲量の増減により変化する自社加工製品の生産量、洪水等により被災する設備の被害額、被害によって生じる営業停止による損害額など、自社への影響額を試算することが想定される(経済影響予想データ)
      • このような、事業関連・経済影響等に係るデータは、気候予測・観測データに、自社の事業領域の特性等と併せて統合的に分析を行う必要があり、気候予測・観測データを他のどの様なデータと組み合わせて分析することが可能か、また有益か、他の分析事例も必ずしも判然としない中で、理解・対応することは容易でない。
      • 農漁業、工業立地等の社会や事業に関するデータは、創出・保有・利用者が様々で、データの有無含め状況が全般に必ずしも明瞭でない。さらには、こうした社会や事業に係るデータを、気候予測・予測データのどの項目と如何に掛け合わせれば、有効な適応・リスク低減策等につながる試算を行えるか、各分野で行い得る影響評価試算の手法や可能性が明瞭なものとなっていない。
      • データ整備に係る課題もある。例えば、気候変動を踏まえた原料農産物等の将来価格は、当該原料の現地地理・生産方法等により影響が異なるが、例えば、懇談会では、最終メーカーから、原料調達は卸売商社等に委ね、産地等は必ずしも把握しておらず、このため将来試算に必要な前提データが自社で不詳な場合がある等の指摘があった。
      • 災害リスクについても、例えば、高潮による港湾被災による自社サプライチェーンへの影響額を試算したい場合、同港湾内に施設や在庫を保有する企業がサプライチェーン内にあるか、ない場合にも港湾を通常利用しており物流等に影響が及ぶか、といった情報が必要となるが、こうした情報を包括的に整備している企業等は必ずしも多くはないと想定される。
      • このため、例えば、企業・業界団体等と関係省庁において対話を深め、気候予測・観測データと社会や事業に係るデータを結びつける具体的な手法、データ事例、論文等について相互に理解を深め、データの有効な利用の可能性を模索していくことが重要と考えられる。
      • 例えば、地域別の生産量や漁獲量、産地毎の生産量等のデータの気温に対する感応度分析の研究結果を、関連する企業・業界団体に対話の一環として共有し、活用の可能性や活用に当たっての課題を相互で認識し、更なる議論に活かしていく、といったことが考えられる。
      • また、気候予測・観測データを経済影響等の予測に結び付けるには、過去の両者の相関を理解することが有効・早道である場合も多い。例えば、台風や吹雪等の状況と鉄道や航空等の欠航・運休データの相関、豪雨時の気圧や雨量と建築物の倒壊・浸水等の規模又は被害金額等の過去データを的確に集約・分析することで、企業・研究機関等による将来予測に活かすことが想定される。
    • 4)経営活用(「経営活用データの創出・提供」)
      • 気候予測データや社会や事業に係るデータを、企業・金融機関・投資家等の単位で、自らや顧客の適応・気候変動リスク・機会への対応等に活かしていくことが期待されるが、本懇談会等における様々な議論で、データの発見・利用・分析等に係る様々な課題・障壁等が指摘された。
      • 第一に、企業・金融機関等がデータを活用する場合、実際の事業状況等に合わせた具体的な粒度・前提に基づくデータ・予測を導出・利用する必要があるが、こうした個別状況に合わせたいわばテイラーメイドのデータの分析・活用を行うには、データに係る相応の資源投入が前提となり、予測に不可避な不確実性やデータの粒度等の課題を総合的に勘案して、躊躇する企業等も存在する。
      • 例えば、気候変動に応じた魚種の変化を踏まえて、地域ごとの加工・冷凍設備等の導入方針を策定するには、当該地域の特定年数期間の魚種の変容を具体的に予測する必要があるが、国等が既に提供するデータで自社が利用したいと考えるデータが提供されているのかを把握し、どの程度の追加の検討・対応を行う必要があるか、どの程度の確実性で分析等を得ることが出来るか、といった一律の理解は容易でない。
      • データ分析については、既述のとおり、地球環境分野等での専門知見、データの所在等の理解、対象とする事業や社会及びこれに係るデータの知見等が必要で、学際的な側面もあり、自社の広範な部署を巻き込み、又は事業・データに係る他者等と連携するなど、相応のリソースが必要となる。
      • これらを踏まえ、企業・業界団体等と関係省庁等との対話を深め、例えば、データの分析がリスク分析に止まらず事業機会の創出につながる場合があることなど、データ活用の有用性・利点について理解を得つつ、幅広い適応・リスク低減・機会創出の実例を相互に共有・浸透していくことが重要と考えられる。
  • 今後の議論のあり方について
    • 以上のとおり、気候予測・観測データ、社会や事業に係るデータの双方について、これらを創出・提供し、全体を俯瞰して活用可能性を検討し、データベース等のインフラを整備し、事業等への活用を促すため、データ提供側と利活用側の対話の場を定期的に設定していくことが重要である。
    • このため、本懇談会と気候変動リスク産官学ネットワークにおけるこれまでの議論を更に発展させ、具体的なアクションや成果に有効かつ効率的につなげていく観点から、以下の様な2つの枠組みを交互に活用しながら、関係者間の相互理解とデータ活用の具体策の推進を図っていく。
    • 「気候変動関連データ活用と適応に関する実践パネル」
      • 企業・金融機関および関係省庁等が、気候変動に係る適応、リスク低減、機会創出等に向け、気候変動関連データを的確・有効に活用することができるよう、令和7年春の開催に向けて年1~2回程度パネル形式でデータ活用を含む関係者の取組事例や課題感等を共有しつつ、協働の可能性等を実践的に議論する。
    • 「気候変動リスク産官学ネットワーク」
      • 引き続き年数回程度の会員機関向け勉強会と、年1回の会員機関以外も対象としたシンポジウムを開催していく。データの一覧の充実化、分かり易いデータの提供、分野ごとのデータ活用における説明会・議論など、本提言に記載された施策の進捗状況を定期的にストックテイクしつつ、これを基に幅広い関係者を交えたシンポジウムを通して情報共有・議論を行う。
      • 次回シンポジウムは令和6年秋頃を検討

~NEW~
金融庁 「大手銀行・地域銀行 国内LBOローンに関するアンケート調査結果」の公表について
▼ 大手銀行・地域銀行 国内LBOローンに関するアンケート調査結果
  • 大手銀行アンケート結果
    • 取組み実績
      • 大手銀行すべてにおいて、LBOローンの取組み実績があると回答した。うち8行はアレンジ実績があると回答した。
      • LBOローン残高は19年3月末の約2.6兆円から23年9月末は約6.6兆円に増加した。うち3メガバンクで約80%を占めた。債務者区分が要注意先以下の比率は一時期に比べ減少した(約11%)。
      • 大手銀行のうち、6行はメザニンへの取組み実績があると回答した<図表3>。
      • メザニン残高は19年3月末の約80億円から23年9月末は約3,800億円に増加も、LBOローン全体(約6.6兆円)に占める割合は高くない(約6%)
    • 取組み姿勢
      • 大手銀行のうち、6行はLBOローン残高の積増しに積極的と回答した。
      • また、8行はアレンジ案件に積極的と回答した<図表6>。この8行のうち3行は参加案件にも積極的と回答した。
      • 4行は海外にも積極的と回答した。一方、3行は国内のみしか取り組んでおらず、今後も国内しか取り組まないと回答した
    • リスク管理
      • 大手銀行のうち、7行はLBOローンに関する規程・マニュアルを整備済と回答した。その他と回答した2行のうち1行は、通常の与信規程・マニュアルにLBOローンの内容を包含していると回答した。
      • 6行は定量的な新規採上基準があると回答した。その他と回答した2行のうち1行は、レバレッジ比率などについて一定の水準を超える案件において営業・審査の役員を交えて協議する場を設定していると回答した。
      • 大手銀行すべてにおいて、LBO関連ポートフォリオを定期的に会議体等へ報告していると回答した
    • 体制整備の状況
      • 大手銀行すべてにおいて、フロント部門に専担部署を設置していると回答した。また、7行は人員を増強済又は検討中と回答した。
      • 6行は審査部門に専担部署を設置していると回答した。また、1行は専担部署を設置していないものの、LBOローンに知見のある審査担当職員も含め、複数名で検討する体制を構築していると回答した
    • 投資家層の拡大に向けた取組み
      • アレンジ実績があると回答した大手銀行(8行)すべてにおいて、投資家層の拡大に向けた取組みを実施していると回答した。
      • 具体的には、フロント部門及び審査部門において、地銀等からのトレーニー受入れや、地銀等向けの勉強会の開催等を実施し、投資家層の拡大に向け、LBOローンの知見・経験を広める活動を行っていると回答した。その他の取組みとして1行は、地銀等と個別に面談や情報交換を実施していると回答した。
    • その他
      • フロント業務における課題・問題意識
        • 人材の確保、専門性の向上※大半の銀行が回答した
        • 業務量の増加、短い案件検討期間
        • 日本のLBOローン市場は3メガバンクを中心としたマーケットであり、機関投資家を中心に新たな投資家の呼び込みのため、以下が必要と認識
          • セカンダリーマーケットの創設
          • マーケット情報の可視化
          • リスク・リターンの向上
          • 欧米のように業界全体を規律するガイドラインの規定 等
      • 審査業務における課題・問題意識
        • 人材の確保、専門性の向上
        • 短い案件検討期間
        • のれんの減損リスクに対する評価の妥当性
        • 高いレバレッジや緩いコベナンツを求められ、適切な融資規律が働いていない
        • 財務コベナンツ以外にも、破綻に至る予兆を事前に察知する指標等が必要
        • ストレス計画の検証手法および期中管理態勢の高度化が必要
        • 契約締結前に経営者インタビューの機会がなく、PEファンドが考えている経営方針や危機対応方針の実現性を対象会社に直接確認できない
        • 十分な企業価値向上が認められない案件に対するリキャピタリゼーションやファンドからファンドへの売却案件が増加 等
  • 地域銀行のアンケート結果
    • 取組み実績
      • 地域銀行のうち、77行はLBOローンの取組み実績があると回答した。うち47行はアレンジ実績があると回答した。
      • LBOローン残高は19年3月末の2,300億円から23年9月末は約1.4兆円に増加した。33行は残高100億円以上となった。債務者区分が要注意先以下の比率は残高の大幅な増加に伴い低下した(約10%)。
      • 15行はメザニンへの取組み実績があると回答した。また、28行は取組み実績はないものの、興味があると回答した。
      • メザニン残高は19年3月末の約50億円から23年9月末は約1,700億円に増加した。ただし、メザニン残高は上位3行で90%以上占めた
    • 取組み姿勢
      • 地域銀行のうち、40行はLBOローン残高の積増しに積極的と回答した。その他と回答した27行のうち、5行は取組方針を設定していないと回答した。
      • 15行はアレンジ案件に積極的と回答し、38行は中立的と回答した。一方、その他と回答した18行のうち、3行は取組みたいがノウハウがないと回答した。
      • 9行は参加案件に積極的と回答し、68行は中立的と回答した。中立的と回答した68行のうち、5行は金利条件が比較的良好な大型案件などの良い案件を選別の上で取組むと回答した。
      • LBOローンの取組み実績があると回答した77行のうち、52行は地元のみ又は地元優先と回答した。一方、14行は地元以外にも積極的に取り組むと回答した。その他と回答した11行のうち、1行は出資しているPEファンドの案件を中心に取り組むと回答した
      • LBOローンの取組み実績があると回答した77行のうち、44行はLBOローンに関する規程・マニュアルはないと回答した。残高100億円以上の33行のうち、7行が規程・マニュアルはないと回答した。
      • 48行はレバレッジ比率、のれん・純資産比率などの一般的なLBOローンの指標に関する定量的な採上基準を定めていないと回答した。残高100億円以上の33行のうち、13行が定めていないと回答した。その他と回答した11行のうち、2行は体制整備中と回答した。
      • 38行はLBO関連ポートフォリオを定期的に会議体等へ報告していないと回答した。残高100億円以上の33行のうち、8行が報告していないと回答した。その他と回答した11行のうち、4行は不定期で報告していると回答した
      • LBOローンの取組み実績があると回答した77行のうち、55行はリスク・リターンに関する明示的な目線がないと回答した。その他と回答した8行のうち、1行はLBO単独でなく、ストラクチャード・ファイナンス全体で明示的な目線を設定している、1行は基準設定を検討中であると回答した。
      • 60行は1件当たりの引受金額(最大)は50億円未満と回答した。一方、4行は200億円超と回答した。
      • 50行は与信限度額基準(格付別与信限度額等)の範囲内でLBOローンに取組むと回答した。一方、10行は超過を許容していると回答した。その他と回答した17行のうち、9行はLBOローンに関する与信限度額基準がないと回答した
    • 体制整備の状況
      • LBOローンの取組み実績があると回答した77行のうち、38行はフロント部門に専担部署を設置していると回答した。また、26行は大手銀行等へのトレーニー派遣を通じて知見の習得に努めていると回答した。
      • 11行は審査部門に専担部署を設置していると回答した。ただし、フロント部門と比較すると、具体的な取組みを実施している銀行は少数に留まった
    • その他
      • ビジネス戦略上のLBOローンの位置づけ
        • 事業承継ニーズに対するソリューションの一つ
        • 中期経営計画において重要な収益源の一つとして推進する注力分野
        • 都市部マーケットにおける業容拡充の手段
      • 入口審査・期中管理・ポートフォリオ管理の手法
        • 【入口審査】
          • チェックシート等を用いて検証(買収金額・事業計画の妥当性、出口の蓋然性、レバレッジ比率、のれんの評価、PEファンドの投資実績等)
          • 専門部署・チームにて対応
        • 【期中管理】
          • モニタリングシート等を用いて、月次等で管理(コベナンツ管理を含む)
          • PEファンドと定期的な情報交換
        • 【ポートフォリオ管理】
          • LBOローンポートフォリオを定期的に会議体へ報告
            • ※LBOローンの取組み実績があると回答した銀行において、一般的な法人与信と同じ扱いとの回答も複数あった
      • フロント業務における課題・問題意識
        • 人材の確保、専門性の向上※大半の銀行が回答した
        • 短い案件検討期間
        • PEファンド、アレンジャー(メガバンク)とのリレーション強化
        • 案件、情報へのアクセス
        • 審査・リスクリターン等の目線の確立
        • 期中管理のノウハウ、業況悪化時のモニタリング
        • 行内連携(専担部署と営業店及び審査部との調整)等
      • 審査業務における課題・問題意識
        • 人材の確保、専門性の向上
        • 短い案件検討期間
        • 参加案件における審査のための情報の制約
        • 審査基準(のれんの評価を含む)等の体制の整備
        • 与信限度額基準の整備
        • 格付手法の整理
        • プライシングの適正化
        • アレンジ案件における引受後のシンジケーションが予測困難 等

~NEW~
警察庁 令和6年版警察白書
▼ 抜粋版
  • 匿名・流動型犯罪グループが関与する事件をみると、中核的人物が、自らに捜査が及ぶことのないようにするため、匿名性の高い通信手段を使用して実行犯への指示をするなど、各種犯罪により得た収益を吸い上げる中核部分は匿名化される一方、犯罪の実行者は、SNSでその都度募集され、検挙されても新たな者が募集されるなど流動化しているという特徴がみられる。
  • 匿名・流動型犯罪グループは、犯罪を敢行するに当たって、SNS等において、「高額バイト」等の表現を用いたり、仕事内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払を示唆したりするなどして、犯罪の実行犯を募集している実態が認められる。同グループは、このような犯罪の実行犯を募集する情報(犯罪実行者募集情報)への応募者に対して、あらかじめ運転免許証や顔写真等の個人の特定に資する情報を匿名性の高い通信手段を使用して送信させることで、応募者が犯行をちゅうちょしたり、グループからの離脱意思を示したりした場合には、個人情報を把握しているという優位性を利用して脅迫するなどして服従させ、実行犯として繰り返し犯罪に加担させるなどの状況がみられる。また、応募者が犯罪を敢行したとしても約束した報酬が支払われない場合もある
  • 匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺をはじめ、組織的な強盗や窃盗、違法なスカウト行為、悪質なリフォーム業、薬物密売等の様々な犯罪を敢行し、その収益を有力な資金源としているほか、犯罪によって獲得した資金を風俗営業等の新たな資金獲得活動に充てるなど、その収益を還流させながら、組織の中核部分が利益を得ている構造がみられる。
  • 令和6年4月から5月までの間における匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる資金獲得犯罪について、主な資金獲得犯罪の検挙人員508人を罪種別にみると、詐欺が289人、強盗が34人、窃盗が103人となっており、匿名・流動型犯罪グループが詐欺を主な資金源としている状況がうかがわれる。
  • また、令和6年4月から5月までの間における同グループによるものとみられる主な資金獲得犯罪の検挙人員のうち、SNSでの犯罪実行者募集情報に応募する形で犯行に関与した者は155人と、全体の30.5%を占めている。
  • 令和5年中の特殊詐欺の検挙人員2,455人のうち、暴力団構成員等の人数は439人(17.9%)と、依然として暴力団が特殊詐欺を主要な資金源の一つとしている実態がうかがわれる一方、近年は、匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる特殊詐欺が広域的に行われている状況がみられる。特殊詐欺を敢行する匿名・流動型犯罪グループは、SNS等で高額な報酬を示唆して「受け子」等を募集し、犯行に加担させるなどしている。また、首謀者、指示役、実行役の間の連絡手段には、匿名性が高く、メッセージが自動的に消去される仕組みを備えた通信手段を使用するなど、犯罪の証拠を隠滅しようとする手口が多くみられる。さらに、近年、特殊詐欺を敢行する犯罪グループは、架け場等の拠点を小規模化・多様化して短期間で移転させる傾向を強めているほか、首謀者や指示役のほか、架け子・架け場が海外に所在するなどのケースもみられる
  • 令和5年下半期において、SNSを使用した非対面型の投資詐欺やロマンス詐欺の被害が急増し、同年中の被害額は、特殊詐欺の被害額(約453億円)を上回る約455億円に上るなど、極めて憂慮すべき状況にある。これらの詐欺では、被疑者がSNSやマッチングアプリを通じて被害者と接触した上で、他のSNSに連絡ツールを移行し、やり取りを重ねて被害者を信用させ、預貯金口座への振込みにより被害金をだまし取るといった手口がみられる。同年中の被害状況をみると、被害者の年齢は、男性は50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代の被害が多く、また、同年におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の1件当たりの平均被害額は1,000万円を超えている。SNS型投資・ロマンス詐欺については、被害実態や犯行手口が必ずしも十分に明らかになっていないことから、これを早急に解明する必要がある。
  • こうした情勢を踏まえ、令和6年6月、犯罪対策閣僚会議において、「国民を詐欺から守るための総合対策」が決定され、SNS型投資・ロマンス詐欺のほか、特殊詐欺やフィッシング詐欺を含め、この種の犯罪から国民を守るため、関係省庁・事業者等が連携し、同対策に基づく施策を推進することとされた。SNS型投資・ロマンス詐欺には、匿名・流動型犯罪グループの関与がうかがわれることから、警察では、同グループが資金獲得活動として同種事案を敢行している可能性も視野に、SNS型投資・ロマンス詐欺対策が新たな「警戒の空白」となることのないよう、部門横断的な体制を構築した上で、特殊詐欺対策及び匿名・流動型犯罪グループ対策と一体的に捜査と抑止を含む総合的な対策を強力に推進していくこととしている。
  • 強盗・窃盗等についても、SNSや求人サイト等で「高額バイト」、「即日即金」等の文言を用いて実行犯が募集された上で敢行される実態がうかがわれる。このような匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる手口により敢行された強盗・窃盗等事件は、令和3年9月以降、令和6年3月までに22都道府県において78件発生しており、これらの中には、被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、その犯行態様が凶悪なものもみられる
  • 近年、外国人グループ等により、組織的に金属盗や自動車盗、万引きが敢行され、盗品が海外へ不正に輸出されるなどの事案が発生しており、治安上の課題となっている。例えば、メンバーが流動的に入れ替わる外国人グループにより太陽光発電施設内の銅線が大量に盗み出され、買取業者に売却されるなど、窃盗等が組織的かつ計画的に行われているほか、こうした事案が不法滞在外国人等の収入源となっている実態もみられる。また、海外に所在する首謀者が、SNSを利用してつながった実行役に対して盗む物品を指示し、指定した場所に大量の盗品を送らせるという手口での犯行も確認されている。警察では、匿名・流動型犯罪グループが組織的窃盗・盗品流通事犯にも関与している可能性を視野に、実態解明を進めているほか、このような組織的窃盗・盗品流通事犯に対し実効的な対策を講じるため、警察庁にワーキンググループを設置し、部門横断的な検討を行っている。
  • 匿名・流動型犯罪グループは、風俗店、性風俗店、賭博店の経営やスカウト行為等に直接的又は間接的に関わるなど、繁華街・歓楽街における活動を有力な資金源としているとみられる。また、インターネットやSNS、匿名性の高い通信手段の利用等によって、その活動実態や資金の流れを潜在化させつつあるほか、警察への対抗措置を強化している。また、近年、いわゆるホストクラブ等で男性従業員が女性客を接待するなどして高額な料金を請求し、その売掛金等名下に女性客に売春をさせたり、性風俗店で稼働させたりするといった事案が問題となっている。こうしたホストクラブ等の中には、風営適正化法に定められた営業の許可を得ることなく営業する店舗や、許可を受けていても、客引き禁止違反、営業時間制限違反、料金表示義務違反等の違法行為を行う店舗も見受けられるとともに、事案の背後で暴力団や匿名・流動型犯罪グループが不当に利益を得ている可能性が懸念される。警察では、こうした犯罪組織の関与も視野に、違法行為を行う悪質なホストクラブ等に対する厳正な取締りを推進している。
  • 高齢者宅を狙って家屋修繕や水回り工事等の住宅設備工事やリフォーム訪問販売を装い、損傷箇所がないにもかかわらず家屋を故意に損傷させ、それを修理することで高額な施工料を要求するなどの悪質なリフォーム業者による犯罪行為が確認されている。こうした悪質行為が組織的に反復継続して敢行され、その収益が匿名・流動型犯罪グループの資金源となっている可能性があることから、警察では、実態解明及び取締りを推進している
  • 近年、海外オンラインカジノサイトへのアクセス数の増加が指摘されており、国内の賭客が自宅や違法な賭博店等のパソコン等からオンラインカジノサイトにアクセスして賭博を行う状況がうかがわれる。こうしたオンラインカジノに係る賭博事犯には、実質的な運営者として、又はその背後で、暴力団や匿名・流動型犯罪グループが関与しているケースもみられることから、警察では、捜査を徹底し、実態解明を進めているほか、賭博運営者等に対する組織的犯罪処罰法の適用による加重処罰や犯罪収益の剥奪に努めている
  • 近年、フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害が増加しており、こうした事案の中には、匿名・流動型犯罪グループが関与する事例も確認されている。警察では、捜査を徹底し、実態解明を進めるとともに、関係機関・団体と連携した被害防止対策を推進している
  • 匿名・流動型犯罪グループが大麻等薬物の密売やヤミ金融関連事犯等の資金獲得活動を行っている実態も確認されており、警察では、実態解明及び取締りを徹底することとしている
  • 第一線の声
    • 匿名・流動型犯罪グループに対する取締りにおいては、各部門で強力に突き上げ捜査を行うことを前提として、部門間で情報を集約・共有し、無駄のない効率的な捜査に取り組むことが重要である。
    • 特殊詐欺等の全国的に敢行される犯罪については、各都道府県警察内部での連携等のみでは対処しきれないと感じている。全国警察が一丸となって取り組むことによって、効率的な捜査が実現され、匿名・流動型犯罪グループの壊滅に近づくことができる。
    • 匿名・流動型犯罪グループは、手を替え品を替えその活動を匿名化・潜在化させていることから、だまされたふり作戦、協力者への保護対策といった従来からの手法にとらわれず、警察としても、創意工夫しながら強力な対策を推進していく必要がある。
    • 匿名・流動型犯罪グループは新たな技術を取り入れつつ資金獲得のための犯罪を敢行していることから、こうした動向に的確に対応するため、SNSや携帯電話の解析技術等の向上を図り、携帯電話、預金口座、電子マネー等犯行ツール対策を今後更に強化していく必要がある。
  • 近年、SNS等のインターネット上において犯罪実行者を募集する内容が掲載されている実態がみられる。こうした犯罪実行者募集情報においては、「高額バイト」等の表現が用いられたり、仕事の内容を明らかにすることなく著しく高額な報酬を示唆したりするなど、犯罪の実行犯を募集する投稿であることを直接的な表現で示さないものがみられる。令和5年中に特殊詐欺の「受け子」等として検挙した被疑者のうち41.8%が、「受け子」等になった経緯として「SNSから応募した」旨を供述するなどしている。こうした犯罪実行者募集情報は、青少年等が安易に特殊詐欺をはじめとする犯罪に加担する契機となっている。警察では、関係機関・団体等と連携し、このような犯罪の実行者を生まないための対策を多角的に推進している
  • 求人サイト等においても犯罪実行者募集情報が掲載される実態があったことから、警察では、これを排除するため、求人メディア等の業界団体や事業主への働き掛けについて、都道府県労働局等の取組を支援するなどしている。また、犯罪実行者募集情報等の発信が、職業安定法に規定する「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」での「労働者の募集」等として違法行為に該当することに鑑み、この種の犯罪の取締りを推進している。
  • 匿名・流動型犯罪グループは、不正に譲渡された預貯金口座を金銭の授受に悪用している実態がみられるところ、警察では、預貯金口座の犯罪への悪用を防止するべく、金融機関等に不正な口座開設に係る手口等の情報を提供したり、顧客等への声掛け・注意喚起を徹底・強化するよう要請したりしているほか、犯罪収益移転防止法等に基づく取締りを強化するなど、預貯金口座の不正利用防止対策を推進している。また、近年、帰国する在留外国人から不正に譲渡された預貯金口座が、特殊詐欺をはじめとする匿名・流動型犯罪グループの各種資金獲得活動に利用される実態が認められることから、警察庁では、関係機関・団体と連携し、預貯金口座の不正譲渡の違法性について広報啓発を徹底し、注意喚起を行っている
  • 匿名・流動型犯罪グループが多様な資金獲得活動を敢行するに当たって、電話を悪用している実態がみられる。例えば、特殊詐欺についてみると、令和5年中に特殊詐欺として被害届を受理した事案1万9,038件のうち、犯人側が被害者側に接触する最初の通信手段の77.5%が電話であり、また、用いられる番号種別も固定番号、特定IP電話番号(050IP番号)、携帯番号、国際番号等、様々なものが確認されている。警察では、このように悪用される電話への対策を多角的に推進している。
  • 匿名・流動型犯罪グループの中には、自己への捜査を免れる目的で、不正に取得した携帯電話を悪用する実態が認められる。携帯音声通信事業者に対して偽造した本人確認書類を提示したり、本人確認書類に記載された者になりすましたりして契約するなどの方法で、不正に取得された架空・他人名義の携帯電話が悪用される事例が確認されている。警察では、不正に取得された携帯電話について、携帯電話不正利用防止法に基づく役務提供拒否がなされるよう携帯音声通信事業者に情報提供を行うとともに、悪質なレンタル携帯電話事業者を検挙するなど、犯罪に悪用される携帯電話への対策を推進している。
  • 電話転送の仕組み(注)を悪用して、犯行グループの携帯電話等からかける電話を「03-××-××」などの固定電話からのものであるかのように偽装したり、官公署を装った電話番号への架電を求める文面のはがき等を送り付けてこれを信じて応じてきた相手をだましたりする手口が、匿名・流動型犯罪グループによりとられている。このような状況に鑑み、令和元年9月以降、電気通信事業者においては、悪用された固定電話番号の利用を警察の要請に基づき停止する仕組みを運用しているほか、利用停止の対象となった電話番号の契約者情報を警察において集約し、複数回にわたって利用停止の要請がなされた契約者に対する電話番号の新規提供を一定期間停止するよう電気通信事業者に要請するなどの対策を講じている。警察による利用停止の要請に基づき、令和5年末までに1万2,665件の利用停止が実施されている
  • 近年、特定IP電話番号(050IP電話番号)が、匿名・流動型犯罪グループの多様な資金獲得活動の一つである特殊詐欺等の犯行に悪用される事例が多くみられたことなどに鑑み、令和3年11月、犯行に利用された固定電話番号を電気通信事業者が利用停止等する仕組みの対象に、特定IP電話番号が追加された。警察による利用停止の要請に基づき、令和5年末までに9,482件の特定IP電話番号の利用停止が実施されている
  • 犯罪グループが高齢者を中心とした名簿を入手し、名簿に登載されている者に対して電話をかけるなどして特殊詐欺や強盗・窃盗等の犯行に及んでいる実態が認められるところ、警察では、捜査の過程で入手した名簿の登載者に対し、警察官による戸別訪問や警察が業務委託したコールセンターからの電話連絡を行い、注意喚起や具体的な対策について指導・教示するなどしている。また、警察庁では、名簿の利用実態に関し、個人情報保護委員会事務局と意見交換を行ったほか、個人情報の適正な取扱いが一層確保されるよう関係機関・団体等への働き掛けを実施している。
  • 近年、匿名・流動型犯罪グループの資金獲得活動において、暗号資産が犯罪に悪用されたり、犯罪収益等が暗号資産の形で隠匿されたりするなどの実態がみられる。警察では、こうした様々な犯罪に悪用される暗号資産の移転状況を追跡するとともに、警察庁において、追跡結果を横断的・俯瞰的に分析し、その結果を都道府県警察と共有している。こうした取組により、例えば、インターネットバンキングに係る不正送金事犯と特殊詐欺事案に関して同一被疑者の関与が判明するなど、従来の捜査では必ずしも明らかにならなかった複数事案同士の関連性や、背景にある組織性等が浮き彫りになっているところであり、今後も更なる捜査の進展が期待される。また、暗号資産が犯罪に悪用される場合において、暗号資産交換業者の金融機関口座を送金先とする手口が多発している。こうした状況を踏まえ、令和6年2月、警察では、金融庁と連携し、関係団体等に対し、暗号資産交換業者の金融機関口座に対して行われる送金元口座名義人名と異なる依頼人名で送金された場合に取引を拒否すること、暗号資産交換業者への不正な送金を監視することなどの対策の強化を要請した
  • 匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺をはじめとした資金獲得活動を敢行するに当たって、コンビニエンスストアで電子マネーを購入するよう被害者に仕向け、これを不正に取得するなどしている実態がみられる。電子マネー等を悪用するこうした手口への対策として、警察と関係事業者が協力し、不正な方法で詐取された電子マネーのモニタリングによる検知及び利用停止を強化するとともに、コンビニエンスストア等での従業員による電子マネー購入希望者への声掛けの強化、店頭販売棚やレジ・端末機画面における訴求力の高い注意喚起、情報発信といった取組を推進している。
  • 警察では、フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害が近年増加していることを踏まえ、具体的な被害事例を踏まえたフィッシング対策を講じるよう金融機関に対し要請するとともに、関係機関・団体と連携し、警察庁ウェブサイトにおいてフィッシングの被害防止に関する注意喚起を行っている。また、警察庁では、都道府県警察が把握したフィッシングサイトに係るURL情報を集約し、ウイルス対策ソフト事業者等に提供することにより、ウイルス対策ソフトの機能による警告表示等、フィッシングサイトの閲覧を防止する対策を実施している
  • 近年、SNSや動画配信・投稿サイト等のデジタルサービスの普及により、あらゆる主体が情報の発信者となり、インターネット上で膨大な情報データが流通し、誰もがこれらを入手することが可能となっている。こうした中、ディープフェイクを利用して作成された偽情報が拡散するという事例も発生している。こうして作成された偽情報は、匿名・流動型犯罪グループによるものを含め、詐欺等の犯罪に悪用されるおそれもあることから、警察では、新たな技術を悪用した犯罪の動向を注視している。
  • 警察では、違法風俗店等の取締りにより生じた空きビル・空き店舗等が再び違法風俗店等に利用されることを防止するため、宅地建物取引業者、ビルオーナー、管理会社等に対して、不動産賃貸借契約時における犯罪組織のメンバーや違法風俗店等の排除等の措置を指導するとともに、空きビル・空き店舗等に速やかに適正な用途の入居等が行われるよう、商店街等や自治体による対策を促している。また、飲食業組合等と連携して、繁華街・歓楽街において営業する飲食店等が匿名・流動型犯罪グループをはじめとする犯罪組織からの不当な要求を拒否する活動を支援するとともに、警察として対応を要する行為を認めた場合には、厳正に対処することとしている。さらに、風俗情報誌、風俗情報サイト、来日外国人向けフリーペーパー等について、犯罪組織の関与、在留資格や住居の不正な仲介、斡旋等が行われないよう、関係業界等に対して働き掛けを行っている。
  • 経済的困窮を抱えた女性や若年層につけ込み、性風俗店での勤務やアダルトビデオへの出演を斡旋することなどを目的として、主要な駅や繁華街の路上等において悪質なスカウト行為等がなされる例がある。この種のスカウト行為等が女性や若年層に対する性的搾取や労働搾取につながり、匿名・流動型犯罪グループをはじめとする犯罪組織の不法な利益となる。警察では、こうした悪質なスカウト行為等、特定の地域で常態的に行われる売春目的の勧誘、風俗店等における客からの不当な料金の取立て、客引き等の迷惑行為に対して、風営適正化法、売春防止法等の関係法令を適用し、検挙、行政処分、警告、指導、街頭補導を行うなど、積極的な指導取締りを推進している。
  • 匿名・流動型犯罪グループは、獲得した犯罪収益について巧妙にマネー・ローンダリングを行っている。その手口は、コインロッカーを使用した現金の受け渡し、架空・他人名義の口座を使用した送金、他人の身分証明書等を使用した盗品等の売却、暗号資産・電子マネー等の使用、犯罪グループが関与する会社での取引に仮装した出入金、外国口座の経由等、多岐にわたり、捜査機関等からの追及を回避しようとしている状況がうかがわれる。犯罪収益が最終的に行き着く先は、中核的人物であることから、匿名・流動型犯罪グループから犯罪収益を剥奪し、その還流を防ぐため、犯罪グループの資金の流れを徹底的に追跡、分析している。また、国家公安委員会及び警察庁においては、犯罪収益移転防止法に基づき、疑わしい取引の集約、整理及び分析を行っている。具体的には、過去に届け出られた疑わしい取引に関する情報、警察が蓄積した情報及び公刊情報等を活用し、近年多種多様な方法で資金獲得活動を繰り返す匿名・流動型犯罪グループの実態の解明を行っている。疑わしい取引に関する情報を総合的に分析した結果については、関係する捜査機関等へ提供している。警察庁が分析結果を捜査機関等へ提供した件数は毎年増加しており、令和5年中は過去最多の2万1,730件であった。
  • さらに、警察では、令和4年12月に法定刑が引き上げられた組織的犯罪処罰法(犯罪収益等隠匿・収受)等を積極的に適用するなど、適正な科刑の実現を目指した取締りを推進している。このほか、実態のない法人が詐欺等の犯罪収益の隠匿等に悪用されている実態がある。警察としては、これらの取締りを推進するとともに、関係機関と連携し、こうした行為を防止するための対策を講じることとしている。
▼ 本文
  • 令和5年中のランサムウェアによる被害の報告件数は197件(令和5年上半期103件、下半期94件)であり、引き続き高い水準で推移している。こうした被害において、暗号化したデータを復元する対価として企業等に金銭等を要求する手口のほか、データを企業等から窃取した上で「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する手口であるダブルエクストーション(二重恐喝)が認められる。対価を要求する手口を警察として確認したランサムウェアによる被害の報告件数175件のうち、ダブルエクストーション(二重恐喝)の手口によるものは130件であり、74%を占めている。また、ランサムウェアによる被害の報告件数を被害企業・団体等の規模別にみると、大企業は71件、中小企業は102件と、企業・団体等の規模を問わず被害が発生している。さらに、企業・団体等におけるランサムウェア被害の実態を把握するため、被害企業・団体等を対象としてランサムウェアの感染経路に関するアンケート調査を実施したところ、有効回答数115件のうち、VPN機器が利用されて侵入された事例は73件(63%)、リモートデスクトップサービスが利用されて侵入された事例は21件(18%)と、テレワークに利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証用パスワード等の情報を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めている。加えて、企業・団体等のネットワークに侵入し、データを暗号化することなくデータを窃取した上で対価を要求する手口(ノーウェアランサム)による被害が、令和5年中30件確認されている。
  • 情報通信技術が浸透した現代社会において、重要インフラの基幹システムに対する電子的攻撃は、インフラ機能の維持やサービスの供給を困難とし、国民の生活や社会経済活動に重大な被害をもたらすおそれがある。海外では、電力会社がサイバーテロの被害に遭い、広範囲にわたって停電が発生するなど国民に大きな影響を与える事案が発生している。
  • 近年、情報を電子データの形で保有することが一般的となっている中で、軍事技術への転用も可能な先端技術や、外交交渉における国家戦略等の機密情報の窃取を目的としたサイバーエスピオナージの脅威が世界各国で問題となっている。また、我が国に対するテロの脅威が継続していることを踏まえると、現実空間でのテロの準備行為として、重要インフラ事業者等の警備体制等の機密情報を窃取するためにサイバーエスピオナージが行われるおそれもある。我が国においても、不正プログラムや不正アクセスにより、機密情報が窃取された可能性のあるサイバーエスピオナージ事案が発生している。
  • 警察では、インターネットバンキングに係る不正送金事犯に対し、関係機関と連携したフィッシング被害の実態把握や、フィッシングサイトに関する分析及び関係事業者への照会等、早期の実態解明と必要な取締りを推進している。また、警察では、一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)等との間における官民連携の枠組みも活用して把握したフィッシングサイトの情報をウイルス対策ソフト事業者等に提供するなど、積極的な被害防止対策を推進している。このほか、令和4年(2022年)7月から8月にかけてSIMスワップによる不正送金事犯が急増した状況を踏まえ、令和4年9月、大手携帯電話事業者に対し、販売店における本人確認の強化についての要請を総務省と連携して行ったところ、令和5年2月までに、各事業者において要請に基づき本人確認が強化された結果、令和5年上半期におけるSIMスワップによる不正送金事犯の被害が激減した。
  • 暴力団構成員及び準構成員等の過去10年間の推移は、図表4-1のとおりであり、その総数は平成17年(2005年)以降減少し、令和5年(2023年)末には、暴力団対策法が施行された平成4年以降最少となった。この背景としては、全国警察による集中的な取締りや暴力団排除の取組の進展により、暴力団からの構成員の離脱が進んだことなどが考えられる。また、六代目山口組からの分裂組織を含む主要団体等の暴力団構成員及び準構成員等の総数に占める割合は、令和5年末も7割を超えており、寡占状態は継続している。
  • 暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)の検挙人員は、図表4-3のとおりである。令和5年中は9,610人と、前年と比べ293人(3.0%)減少した。また、平成5年以降の検挙人員の罪種別割合をみると、図表4-4のとおりであり、恐喝、賭博及びノミ行為等の割合が減少傾向にあるのに対し、詐欺の割合が増加傾向にあり、暴力団が資金獲得活動を変化させている状況がうかがわれる
  • 暴力団は、覚醒剤の密売、繁華街における飲食店等からのみかじめ料の徴収、企業や行政機関を対象とした恐喝・強要のほか、強盗、窃盗、各種公的給付制度を悪用した詐欺等、時代の変化に応じて様々な資金獲得犯罪を行っている。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、暴力団が特殊詐欺を有力な資金源の一つとしている実態がうかがわれる。また、暴力団は、実質的にその経営に関与している暴力団関係企業を利用し、又は共生者と結託するなどして、その実態を隠蔽しながら、一般の経済取引を装った違法な貸金業や労働者派遣事業等の資金獲得犯罪を行っている。警察では、巧妙化・不透明化をする暴力団の資金獲得活動に関する情報の収集・分析をするとともに、社会経済情勢の変化に応じた暴力団の資金獲得活動の動向にも留意しつつ、暴力団や共生者等に対する取締りを推進している
  • 暴力団は、組織の継承等をめぐって銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、自らの意に沿わない事業者を対象とする報復・見せしめ目的の襲撃等事件を起こしたりするなど、自己の目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性がみられる。近年の対立抗争事件、暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件等の発生状況は、図表4-5のとおりである。これらの事件の中には、銃器が使用されたものもあり、市民生活に対する大きな脅威となるものであることから、警察では、重点的な取締りを推進している
  • 令和5年(2023年)中の薬物事犯の検挙人員は1万3,330人と、引き続き高い水準にあり、20歳代以下の若年層による大麻事犯が相次いで検挙されたほか、大麻事犯の検挙人員が警察庁が保有する昭和33年(1958年)以降の統計で最多となるなど、我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。薬物は、乱用者の精神や身体をむしばむばかりでなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあるほか、薬物の密売が暴力団等の犯罪組織の資金源となることから、その乱用は社会の安全を脅かす重大な問題である。
  • 令和5年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より減少したが、全薬物事犯の検挙人員の44.4%を占めている。また、押収量は1,342.9キログラムと、前年より1,053.9キログラム増加した。覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員に占める暴力団構成員等の割合が高いことのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
  • 大麻事犯の検挙人員は過去最多となり、全薬物事犯の検挙人員の48.6%を占め、覚醒剤事犯の検挙人員を上回った。近年、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる。
  • 令和5年(2023年)中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は38.7%と、日本人(12.9%)の約3倍に上っている(注1)。罪種別にみると、万引きで25.8%と、日本人(3.6%)の約7.1倍に上る。このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて組織的に行われる傾向がうかがわれる。
  • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を行うために様々な国籍の構成員が役割を分担するなど、構成員が多国籍化しているものもある。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。また、近年、他国で行われた詐欺事件による詐取金の入金先口座として日本国内の銀行口座を利用し、詐取金入金後にこれを日本国内で引き出してマネー・ローンダリングを行うといった事例があるなど、犯罪行為や被害の発生場所等の犯行関連場所についても、日本国内にとどまらず複数の国に及ぶものがある。
  • 来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造等がある。地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、近年では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の悪用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある
  • 令和5年中の来日外国人による刑法犯の検挙状況をみると、ベトナム人による窃盗犯等の増加に伴い、検挙件数・検挙人員共に増加した。また、特別法犯の検挙状況を同様にみると、ベトナム人やタイ人による入管法違反等の増加に伴い、検挙件数・検挙人員共に増加した。
  • 検挙件数・人員は、ベトナム及び中国の2か国で検挙件数全体の約6割を占めており、検挙人員全体の約半数を占めている。また、刑法犯検挙件数(罪種別)をみると、侵入窃盗及び万引きについてはベトナムが、詐欺については中国及びベトナムが、それぞれ高い割合を占めている。
  • 犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出制度により特定事業者がそれぞれの所管行政庁に届け出た情報は、国家公安委員会が集約して整理・分析を行った後、都道府県警察や検察庁をはじめとする捜査機関等に提供され、各捜査機関等において、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に活用されている。疑わしい取引の届出の年間通知件数は、図表4-21のとおりであり、おおむね増加傾向にある
  • マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、図表4-23のとおりであり、令和5年中は909件(前年比183件(25.2%)増加)であった。前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが334件、窃盗に係るものが319件、電子計算機使用詐欺に係るものが60件となっている。令和5年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは57件と、全体の6.3%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては電子計算機使用詐欺に係るものが17件、詐欺に係るものが12件、窃盗に係るものが9件と、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。また、令和5年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は96件と、全体の10.6%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが46件、窃盗に係るものが27件、電子計算機使用詐欺に係るものが10件となっている。さらに、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、不正入手した他人の電子決済コードを利用したりするなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。

~NEW~
警察庁 令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況等
▼ 令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況
  • 交通事故死者数の推移
    • 死者数は1,182人で、前年同期比1人、0.1%増
    • 65歳以上の死者数は650人で、前年同期比4人、0.6%増
  • 特徴
    • 状態別死者数は全年齢で、「歩行中」は増加、「自動車乗車中」、「二輪車乗車中」、「自転車乗用中」は減少
    • 状態別死者数は、全年齢、65歳以上ともに「歩行中」が最多、小学生は「歩行中」、「自転車乗用中」がそれぞれ半数
  • 令和6年上半期の交通事故発生状況
    • 歩行者
      • 歩行中死者数は3年連続の増加となり、昼夜別でみると「夜間」が増加
      • 夜間は、65歳未満は「横断歩道以外横断中」と「路上横臥」が多く、65歳以上は「横断歩道以外横断中」が多い
    • 自転車
      • 自転車乗用中死者数は減少傾向にあるが、法令違反ありの構成率は約7割から8割で高止まり
      • 交差点の事故が多く、法令違反は「信号無視」が約2割、「指定場所一時不停止等」、「優先通行妨害等」が約1割
      • 飲酒自転車関連死亡・重傷事故は減少
      • 携帯電話等使用自転車関連死亡・重傷事故は近年増加傾向にあり、前年同期比で約2.3倍に増加
    • 高齢運転者
      • 75歳以上高齢運転者による死亡事故は減少
      • 75歳以上高齢運転者は「操作不適」が多く、ブレーキとアクセルの踏み違いは前年同期比で約2.9倍に増加
    • 飲酒運転・携帯電話等使用運転(自動車)
      • 飲酒死亡事故は減少傾向にあるが、飲酒重傷事故は、近年はほぼ横ばいで推移
      • 携帯電話等使用事故は近年増加傾向

~NEW~
内閣官房 国土強靱化基本計画
▼ 国土強靱化基本計画(令和5年7月28日閣議決定)概要
  • 4つの基本目標
    • 人命の保護
    • 国家・社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持される
    • 国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化
    • 迅速な復旧復興
  • 国土強靱化に当たって考慮すべき主要な事項と情勢の変化
    • 国土強靱化の理念に関する主要事項
      • 「自律・分散・協調」型社会の促進
      • 事前復興の発想の導入促進
      • 地震後の洪水等の複合災害への対応
      • 南海トラフ地震等の巨大・広域災害への対応
    • 分野横断的に対応すべき事項
      • 環境との調和
      • インフラの強靱化・老朽化対策
      • 横断的なリスクコミュニケーション(災害弱者等への対応)
    • 社会情勢の変化に関する事項
      • 気候変動の影響
      • グリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現
      • 国際紛争下におけるエネルギー・食料等の安定供給
      • SDGsとの協調
      • デジタル技術の活用
      • パンデミック下における大規模自然災害
    • 近年の災害からの知見
      • 災害関連死に関する対策
      • コロナ禍における自然災害対応
  • 国土強靱化を推進する上での基本的な方針【5本柱】
    • 国民の生命と財産を守る防災インフラ(河川・ダム、砂防・治山、海岸等)の整備・管理
    • 経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化
    • デジタル等新技術の活用による国土強靱化施策の高度化
    • 災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携強化
    • 地域における防災力の一層の強化(地域力の発揮
  • 新たに打ち出す5本柱【基本的な方針】
    • 国民の生命と財産を守る防災インフラの整備・管理
      • 防災インフラ(河川・ダム、砂防・治山、海岸等)の充実・強化を図り、予防保全により適切に維持管理する
        • 被害を最小に抑え、地域経済を支える防災インフラの整備
          • 河川・ダム、砂防・治山、海岸等における計画的な事前防災、改良復旧など
          • ダムによる洪水調節と水力発電の両機能を最大化するとともに地域振興にも資する「ハイブリッドダム」の取組
        • 予防保全型メンテナンスへの本格転換など防災インフラ施設の老朽化対策
          • ライフサイクルコストの低減や広域的・戦略的なインフラマネジメント
        • 既存の防災インフラにおける操作の高度化・効率化
          • ダムの事前放流など、より一層の操作の高度化・効率化
        • 避難所としても活用される学校施設等の環境改善・防災機能の強化
          • 地域コミュニティの災害対応の拠点でもある小中学校施設の環境改善
        • 自然環境が有する多様な機能(グリーンインフラ)の活用
        • 建設・医療を始め国土強靱化に携わるあらゆる人材の育成、防災体制・機能の拡充・強化
    • 経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化
      • 交通(道路、鉄道、空港、港湾等)、通信、エネルギーなどのライフラインを強化し、かつ代替性を確保する
        • 壊滅的な損害を受けない耐災害性の高い構造物補強
          • 地震発生時に直接死を可能な限り軽減させる適切な設計・施工・維持管理
        • 人員の避難・物資輸送の強化・複数経路の確保・防災拠点の整備
          • 孤立集落の発生を防ぐ代替経路の整備
          • 「全国的な回廊ネットワーク」、「日本中央回廊」の形成
        • 予防保全型メンテナンスへの本格転換などライフライン施設の老朽化対策
          • ライフサイクルコストの低減や広域的・戦略的なインフラマネジメント
        • 災害発生時にも安定的な通信サービスを可能な限り確保
          • 携帯端末用の通信施設の自家発電の完備、必要な燃料の備蓄・調達
        • 災害や海外情勢の変化にも強靱なエネルギー・食料の安全保障と水の安定供給
          • 再生可能エネルギーや蓄電池等の導入、輸入・備蓄による食料の確保と供給体制の充実
          • 農業・工業・生活用水におけるシステムの改善、施設の強靱化
    • デジタル等新技術の活用による国土強靱化施策の高度化
      • デジタル技術を含めて積極的に新技術を活用し、災害対応力の向上など、国土強靱化施策の高度化を図る
        • 線状降水帯の予測精度向上等により気象予測等の課題をデジタルで克服
        • 事前防災・地域防災に必要な情報の創出・確度向上・デジタルでの共有
        • 被災者の救援救護や災害時の住民との情報共有にデジタル(ロボット・ドローン・AI等)を最大限活用
        • 災害時における個人確認の迅速化・高度化
        • デジタルを活用した地方の安全・安心の確保
        • 災害時にもデータを失うことがないよう分散管理
        • デジタルを活用した交通・物流ネットワークの確保
        • その他様々な地域の課題をデジタルで解決
    • 災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携強化
      • サプライチェーンの強靱化も含め、災害が発生しても民間経済活動が継続できるよう官民の連携を図る
        • 国内におけるサプライチェーンの複線化や工場等の分散など災害等に強い産業構造
        • 民間施設でも早期に強靱な構造物へ補強等が可能な支援
        • 民間施設においても適切な情報伝達と早期避難が可能な支援
        • 非常電源設備を始め民間施設のライフライン確保へ支援
        • 防災投資や民間資金活用・公共性の高い民間インフラの維持管理など官民連携の強化
        • 企業体としての社員に対する防災教育の充実⑦医療の事業継続性確保の支援
        • 大規模災害時における遺体の埋火葬の実施体制の確保
    • 地域における防災力の一層の強化
      • 地域の特性に応じて、国民一人一人の多様性を踏まえた、地域コミュニティの強靱化など、地域防災力の向上を図る
        • 避難生活における災害関連死の最大限防止
        • 地域一体となった人とコミュニティのレジリエンスの向上
        • 地元企業やNPO等の多様な市民セクターの参画による地域防災力の向上
        • DEI(多様性・公平性・包摂性)の観点を踏まえたSDGsとの協調
        • 男女共同参画・女性の視点に立った防災・災害対応・復旧復興の推進
        • 高齢者・障害者・こども等の要配慮者へのデジタル対応を含めた支援
        • 若者から高齢者まで幅広い年齢層における防災教育・広報と要配慮者を含めた双方向のコミュニケーション
        • 外国人も含めた格差のない情報発信・伝達
        • 地域の貴重な文化財を守る防災対策と地域独自の文化や生活様式の伝承
        • 地域特性を踏まえた教育機関や地域産業との連携
        • 国際社会との連携による被災地域の早期復興と「仙台防災枠組2015-2030」に基づく国際社会への貢献
        • 近傍/遠距離の地方公共団体の交流等を通じた被災地相互支援の充実
        • 国土強靱化地域計画の再チェックとハード・ソフト両面の内容の充実

~NEW~
内閣官房 我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議開催状況
▼ 第5回 配布資料
  • 「物流革新に向けた政策パッケージ」の進捗状況と今後の対応
    • 物流の停滞が懸念される「2024年問題」に対応するため、昨年6月に、(1)物流の効率化、(2)商慣行の見直し、(3)荷主・消費者の行動変容を柱とする抜本的・総合的な対策を取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」(以下「政策パッケージ」という。)を決定した。
    • また、昨年10月には、可能な施策の前倒しを図るべく、「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめた。
    • さらに、本年2月には、両パッケージに基づき、中長期的な対策として、物流の適正化・生産性向上をさらに進めるため、「2030年度に向けた政府の中長期計画」を策定・公表した。
    • 今般、トラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用された2024年4月から4か月が経過しようとしていることや、政策パッケージに盛り込まれた対策を具体化した改正物流法が本年5月に公布されたことを踏まえ、政策パッケージの進捗状況と今後の対応について報告を行う。
    • 当該報告を踏まえ、2030年度に不足する輸送力34%を補うことを目指し、荷待ち・荷役の削減、積載率向上、モーダルシフト、再配達削減等に着実に取り組んでいくための必要な施策について検討を進めることとする。
  • 「政策パッケージ」の進捗状況と今後の対応のポイント
    1. 物流の効率化
      • 即効性のある設備投資や物流DX・GX、物流標準化やデータ連携の推進
        • 自動化・機械化設備・システム投資、物流の脱炭素化の実証事業や海運のDX化に向けた技術開発を支援
        • 物流標準化やデータ連携の促進等の実証事業を通じて、共同輸配送や帰り荷確保の取組を支援
      • 自動運転やドローン物流等のデジタル技術を活用したサービスの実装加速
        • デジタルライフライン全国総合整備計画におけるアーリーハーベストプロジェクトとして、自動運転サービス支援道とドローン航路に係る取組を開始
      • 多様な輸送モードの活用推進
        • モーダルシフトを強力に促進するため、先進的な取組を行う際の大型コンテナやシャーシ等の導入を支援
        • 国際航空貨物の競争力強化に向けて、成田空港における滑走路の新設等の更なる機能強化に取り組むとともに、アクセス道路等の整備や、国際物流拠点における外国人材の活用(特区の活用を含む)が必要
        • 自動物流道路の構築に向けて、想定ルート選定を含め中間とりまとめを実施
        • 自動運航船検討会(本年6月設置)を通じて国内制度の検討・整備を進めるとともに、国際ルール策定を主導
      • 高速道路の利便性向上
        • ダブル連結トラックの通行区間の拡充
    2. 商慣行の見直し
      • 適正運賃収受や物流生産性向上のための法改正等
        • 荷主・物流事業者に対して物流効率化のための計画策定等を義務付ける改正物流効率化法の施行に向けて、国交省・経産省・農水省三省の合同会議を立ち上げ、国が定める基本方針、判断基準等の論点を整理
      • トラックGメンの機能強化
        • 物流の適正化に向けて悪質な荷主等を是正するため、トラックGメンを補助するGメン調査員の設置や荷主情報等のデータベース化など、トラックGメンの機能を強化し、本年も11~12月に集中監視を実施
    3. 荷主・消費者の行動変容
      • ポイント還元実証事業等を通じた再配達削減の仕組みの社会実装
        • 本年10月からポイント還元実証事業を実施し、物流負荷の低い選択を利用者に促す仕組みの社会実装を目指す
          • ※国として1配送当たり最大5円を支援
      • 「送料無料」表示の見直し
        • 今後の消費生活意識調査において、「送料無料」表示に関する消費者等の意識改革・行動変容の状況把握を実施するとともに、改正物流効率化法に基づく基本方針においても、「送料無料」表示の見直し等を定める方向で議論中
  • 各施策の進捗状況と今後の対応
    • 物流の効率化
      • 物流の効率化に向けて、自動化・機械化設備・システム投資や技術開発、物流の脱炭素化を推進。
      • 物流標準化やデータ連携の促進等により、積載率向上に向けた共同輸配送や帰り荷確保を推進。
    • 即効性のある設備投資や物流DX・GXの推進
      • 荷主企業や物流事業者の営業所等において、自動フォークリフト、自動倉庫、無人荷役機器、バース予約システムの導入等の自動化・機械化設備・システム投資の実証事業や海運のDX化に向けた技術開発を支援。(約140件採択)
      • 物流の脱炭素化に向けて、EVトラックの導入(約3,000台)や、物流施設等において再生可能エネルギー設備等を導入する実証事業(約50件採択)を支援。
    • 物流標準化やデータ連携の促進等を通じた共同輸配送や帰り荷確保の推進
      • 本年6月、官民の協議会において、パレットの標準的な規格と運用(標準仕様パレット)を整理。
      • パレット標準化を通じた荷役時間の短縮等に取り組む荷主・物流事業者に対して、標準仕様パレットの導入に係る設備導入・改修等の実証事業を支援。(約20件申請)
      • 物流データの標準形式を定めた「物流情報標準ガイドライン」を活用したデータ連携を促し、積載率向上に向けた共同輸配送や帰り荷確保に取り組む実証事業を支援。(2件採択)
    • 自動運転サービス支援道に係る取組
      • デジタルライフライン全国総合整備計画におけるアーリーハーベストプロジェクトとして、新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間約100kmにおける、自動運転サービス支援道に係る取組を開始した。
      • 物流ニーズを考慮したうえで、中長期的には東北から九州までをつなぐ幹線網の形成を図る。
    • ドローン航路に係る取組
      • デジタルライフライン全国総合整備計画におけるアーリーハーベストプロジェクトとして、秩父地域の送電網上空約150km及び浜松市の天竜川・水系上空におけるドローン航路整備等の取組を開始した。
      • 短期的には全国の一級河川上空約100km等において、中長期的には全国の国管理の一級河川上空約1万km等においてドローン航路を整備する。
    • 大型コンテナやシャーシ等の導入促進
      • 鉄道による貨物輸送について、荷主や物流事業者等のニーズや自助努力によるコンテナ導入状況を踏まえつつ、31ftコンテナの確保が必要。また、内航海運について、輸送量の増加に対応するための大型コンテナやシャーシ等の確保が必要。
      • 物流効率化法の認定を受けたモーダルシフトの先進的な取組について、大型コンテナやシャーシ等の導入を支援。(1次公募では約50件採択し、約540個の大型コンテナ、約300個のシャーシ等の導入を支援)
    • 内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化等
      • 港湾施設の整備等の内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化を実施。(苫小牧港、敦賀港、大分港 等)
      • 内航海運の利用促進に向けて、船舶の新造に対する支援を行うとともに、荷主・物流事業者の新規需要等を調査。
    • 成田空港の更なる機能強化
      • 平成30年3月の地元合意に基づき、令和10年度末目途の供用を目指して成田空港の滑走路の新増設を推進。
      • 成田空港は国内最大の貿易港であり、滑走路の新増設とあわせ今後も取扱量が増加。既存施設の容量には限界があることから、空港隣接地との一体的運用による航空物流拠点の形成が必要。
    • 成田空港周辺における環境整備
      • 成田空港においては、滑走路の新設等により貨物取扱量が増加することから、これらの空港施設整備とあわせた環境整備が必要(千葉県の要望事項)
      • 成田空港へのアクセス道路の早期整備や圏央道と空港を結ぶ新たなインターチェンジが必要
      • 成田空港を核とした国際物流拠点における外国人材の活用が必要(特区の活用を含む)
    • 自動運航船の実現に向けたロードマップ
      • 2016年から要素技術の開発・実証を支援。「自動運航船検討会」において、2025年前半を目途に実証運航に必要な安全基準等について一定の結論を得るとともに、自動運航技術の進展に対応した国際ルールの策定を主導。
    • 商慣行の見直し
      • トラックGメンの活動実績
        • 「物流革新に向けた政策パッケージ」(令和5年6月)に基づき、全国162名体制の「トラックGメン」を設置(同年7月)。
        • 関係省庁と連携して、悪質な荷主・元請事業者に対し、貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」や「要請」を実施。
      • トラックGメンの機能強化の概要
        • Gメン調査員の設置 国のトラックGメンに加え、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関(都道府県トラック協会)にGメン調査員を設置し、情報収集体制を強化。
        • 荷主情報等のデータベース化 荷主情報等を管理するクラウドシステムを整備し、関係者間でタイムリーに情報を共有することにより効果的な要請等を実施。
    • 荷主・消費者の行動変容
      • 宅配の再配達率の半減(12%→6%)に向けて、本年10月からポイント還元実証事業を実施し、物流負荷の低い選択を利用者に促す仕組みの社会実装を目指す。
        • ※国として1配送当たり最大5円を支援
      • 物流サービスに対するコスト意識の浸透やドライバーに対する社会的な理解の醸成に向けて、
        • 令和6年度の消費生活意識調査において、「送料無料」表示に関する消費者等の意識改革・行動変容の状況把握を実施。
        • 改正物流効率化法に基づく基本方針においても、「送料無料」表示の見直し等を定める方向で議論中。
      • 消費者に対する意識調査
        • 「送料無料」表示を見聞きしたことがある人のうち、「送料無料」表示の見直しの議論を見聞きしたことがある人は約70%。→そのうち、(1)内容もよく知っている人が約20%、(2)詳しい内容は知らない人が約50%
        • 上記の議論の内容について、詳しい内容は知らない人((2))においては、「送料無料」と表示することに問題はないと考える人が多数。一方で、よく知っている人((1))でも、問題はないと考える人(B)が半分いるが、「無料」と表示するのはやめるべき(A)と考える人の割合は、(2)のそれよりも高い。
      • 事業者等の主な取組事例
        • 令和5年12月の「送料無料」表示の見直し要請に応じて、以下の取組等を実施
          • 公益社団法人 日本通信販売協会
            • 事業者団体としての取組として、団体作成の「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」の中に、「送料無料」表示の見直し等の取組を盛り込んだ。
          • アマゾンジャパン合同会社
            • 「送料を無料とする仕組み」について説明を加えるとともに、持続可能な配送を目指した取組等を紹介
          • LINEヤフー株式会社
            • オンラインモールの商品検索結果に表示される「表示情報について」をクリックすると「送料無料=表示価格に送料が含まれる商品」との説明等を表示
          • 楽天市場
            • 「送料を無料とする仕組み」について図表を用いて説明を加えるとともに、物流の持続可能性に関する取組等を紹介

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年7月25日)
  • 日本経済の基調判断
    • 現状【判断維持】
      • 景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」等に基づき、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や官民連携投資による社会課題解決と生産性向上に取り組む。
    • 「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及びその裏付けとなる令和5年度補正予算並びに令和6年度予算を迅速かつ着実に執行する。また、足元の物価動向の中、年金生活世帯や中小企業にとっては厳しい状況が続いており、まずは、早急に着手可能で即効性のある対策を講じるなど、二段構えでの対応を行っていく。
    • 「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
    • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
    • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
    • こうした取組により、デフレからの完全脱却、成長型の新たな経済ステージへの移行を実現していく。
  • 今月のポイント
    • 賃金の動向
      • 2024年の春闘の賃上げ率は、最終集計(7月3日公表)で、定昇込み5.10%、ベア3.56%と、33年ぶりの高水準に。5月のフルタイム労働者の所定内給与は、春闘賃上げの反映により、前年比+2.6%と1994年以来最高。産業別には、人手不足感の強い建設、運輸等で特に高い伸び。
      • 実質賃金の伸びを就業形態別にみると、パート時給は昨年半ばよりプラスに転化し、フルタイム労働者もマイナス幅が縮小。30人以上事業所について、振れの大きい特別給与を除く定期給与の前年比をみると、26か月ぶりにプラス。この夏の民間企業のボーナスも過去最高額を更新し、高い伸び。公的部門への広がりも期待
    • AIと雇用
      • 職種別の有効求人倍率をみると、人手不足感の高い建設や介護等では3~4倍となる一方、事務職は0.4倍と低い。民間職業紹介における転職求人倍率でも、事務・アシスタントは足下で0.5倍を下回る低い水準で推移。さらに、今後は、多くの企業が、事務職の業務である定型的な書類作成やスケジュール調整等をAIに代替する意向。
      • AIの導入は、職種や仕事内容によって影響が異なる。IMFの研究によると、英国では、管理職や専門職はAIからより多くの便益を得る可能性がある一方、事務補助員はAIに代替される可能性が高い。我が国では、AIに代替される可能性がある事務従事者のシェアが就業者の2割となっており、事務職等の労働者のリ・スキリングは喫緊の課題。
  • 今月の指標
    • 企業を巡る物価の動向
      • 資源価格をみると、ドルベースでは、原油の上昇は緩やかで、銅の上昇にも一服感がみられるが、円安の進行を背景に、円ベースでは高止まり。仕入価格が上昇する中で、企業においては、世界金融危機前とは異なり、販売価格への転嫁の動きが進んでいる。
      • 中小企業の半数以上が、円安は、原材料や部品、燃料・エネルギーの負担増等により、業績に対してデメリットが大きいと認識。また、自社にとって望ましい為替レート水準として、中小企業の約7割は1ドル110円以上135円未満と回答
    • 為替の動向
      • 為替レートは、2022年以降、円安ドル高が進行し、2024年7月初には1ドル161円台に。実質実効為替レートでみると、1990年代半ば以降、円安傾向で推移し、直近2024年5月には1973年の変動相場制移行以来最も低い水準。
      • 実質実効為替レートの長期的な円安傾向は、(1)我が国の物価上昇率が貿易相手国よりも低く推移したことに加え、(2)足下では、内外金利差の拡大による名目為替レートの円安が主因。
      • 国際収支も構造変化。貿易収支は資源価格の高騰で赤字化しやすい構造となり、サービス収支も赤字傾向が継続。第1次所得収支は拡大し、大幅な黒字である一方、海外子会社の内部留保分など海外に再投資され、円として戻らない部分も多い
    • 企業の業況、設備投資、外需の動向
      • 企業の業況(全規模)は、製造・非製造業とも改善。売上の7割を占める非製造業は、引き続きバブル期以降最高水準。
      • 設備投資意欲は引き続き旺盛。23年度実績は前年度比+9%と高い伸びとなった後、24年度計画も6月時点で10%増と堅調。
      • 輸出数量は、約半分を占めるアジア向けのうち、韓国・台湾等向けは、世界的な半導体需要の回復により、情報関連財を中心に持ち直し、ASEAN向けも下げ止まる一方で、景気が足踏み状態にある中国向けは軟調に推移し、全体として横ばい。
    • 消費の動向
      • 定額減税が6月から始まる中、オルタナティブデータによる週次データでは、6月下旬からは消費支出は増加傾向で推移。消費者の景況感も持ち直し傾向にあり、景気ウォッチャーの先行き判断でも、定額減税に対する期待感がみられる。
      • 新車販売台数は、昨年末以降の一部自動車メーカーの生産・出荷停止事案の影響が縮小し、持ち直し。6月の新たな認証不正事案に伴う販売台数への下押しは前回に比べると限定的。
      • 消費者マインドのうち物価に敏感な「暮らし向き」を世帯年収別にみると、相対的に収入の高い世帯では横ばいの一方、相対的に収入の低い世帯では低下しており、ばらつきが拡大していることに留意が必要。
    • 物価の動向
      • 消費者物価上昇率は、昨年11月以降、引き続き2%台で推移。一方、家計の予想物価上昇率は、本年初め以降、上昇傾向に転じている。
      • サービス物価(消費者物価全体の約5割)は、前年比2%程度で推移しているが、12%を占める公共サービスや18%を占める家賃の伸びはゼロ近傍で推移。我が国では、これらの伸びが抑制されている一方、諸外国においては、公共サービス、家賃ともに物価は上昇。物価と賃金がともに上昇することがノルムとして定着していく中にあっては、公共サービス価格においても、賃金引上げにつながるよう人件費の増加が適切に転嫁されることと、国民生活の安定とのバランスが重要。
    • 令和6年能登半島地震の影響
      • 北陸地域の景気ウォッチャーの景況感をみると、2024年1月に大きく落ち込んだ後、足下では全国平均を上回って回復傾向。北陸及び石川県の鉱工業生産指数も、4~5月にかけて緩やかに持ち直し。地震の影響による稼働停止もあって、2024年1月に大きく減少した混成ICの生産も、昨年末の水準まで回復。
      • 旅行需要も回復。被害が大きかった石川県の宿泊者数は、「北陸応援割」の効果もあって、3月以降大きく増加。特にインバウンドの宿泊者は、3月以降、全国平均を大きく上回る伸び。
      • 引き続き、現場が抱える課題を速やかに把握し、被災者の生活・生業の再建を始め復旧・復興を進めることが重要。
    • 中国経済の動向
      • 中国の成長率は4.7%に低下。不動産市場の停滞が続く中で、政策効果が内需の好循環に繋がらず、景気は足踏み状態。家計の可処分所得の伸びが低下し、消費は横ばい。構造的な需要不足を反映し、物価は5四半期連続で下落基調、新規貸出は減少。
      • 不動産開発の停滞により、地方政府の土地使用権譲渡収入は大幅に減少。地方財政にも影響。
    • アメリカ経済の動向
      • アメリカでは景気拡大が継続。実質可処分所得の増加により、個人消費は増加傾向。自動車販売台数は、高金利が続く中でおおむね横ばいで推移。コロナ禍後、政策効果等によりEVが増加するも、24年以降は伸び悩み。
      • 住宅着工件数は、住宅ローン金利が高止まる中で、このところ弱い動きがみられる。
      • FRBの使命は物価の安定と雇用の最大化。物価上昇率は高止まりし、失業率は4%程度で推移
    • 諸外国の物価と為替
      • 欧米の輸入物価は、2023年は前年比でマイナスとなり、足下ではゼロ近傍。背景には為替レートの安定。
      • アジア諸国はアメリカとの金利差から為替レートが下落。輸入物価を通じた物価上昇を避け、それぞれの物価安定目標を達成するために、各中央銀行(中国を除く)は政策金利を引上げ。一部の国では経済政策上の困難に直面。

~NEW~
内閣府 内閣府年央試算
▼ 令和6(2024)年度 ポイント
  • 2024年度は、高水準の賃上げや堅調な企業収益、定額減税等各種政策効果に支えられ、消費が回復するとともに、設備投資が増加し、民需が主導する形で成長が継続する見込み。
  • 2025年度は、物価上昇が落ち着く中で、回復が継続する消費と堅調な設備投資に支えられる形で、実質1%を上回る民需主導の堅調な成長が実現する見込み。
  • 堅調な企業収益と高い設備投資意欲を背景に、引き続き設備投資は拡大する見込み。
  • 2023年度に名目100兆円を超えた設備投資は、2024年度は108.1兆円、2025年度は113.2兆円と、堅調な増加を見込む。
  • この動向が続けば、経団連目標の「2027年度に設備投資115兆円」は達成される。

~NEW~
内閣府 第7回 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会
▼ 【資料1】 消費者の脆弱性に関連した団体ヒアリングの結果について
  • 典型的な消費者被害
    • 高齢者
      • 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
      • 還付金詐欺
      • 詐欺的な定期購入の契約や消費者が認識できていない契約の自動更新
      • スマートフォンアプリ(マッチングアプリを含む)やSNSを介した副業詐欺、投資詐欺
      • スマートフォンを利用したキャッシュレス決済・後払い決済による多重債務
      • ロマンス詐欺
    • 若者
      • オンラインゲームへの高額課金
      • ホストクラブ・メンズコンセプトカフェ
      • 未成年者に対する酒・たばこの高額販売
      • スマートフォンアプリ(マッチングアプリを含む)やSNSを介した副業詐欺、投資詐欺(再掲)
      • スマートフォンを利用したキャッシュレス決済・後払い決済による多重債務(再掲)
      • ロマンス詐欺(再掲)
    • 生活困窮者
      • スマートフォンアプリ(マッチングアプリを含む)やSNSを介した副業詐欺、投資詐欺(再掲)
      • スマートフォンを利用したキャッシュレス決済・後払い決済による多重債務(再掲)
    • 医療サービス利用者(患者)
      • 美容医療
      • オンライン診療で本来とは異なる用途で薬を処方
      • 本来不要な入院セット(衣服、おむつ等)の強制的な購入
      • 代替医療(公的に通常医療と見なされていない施術、投薬)の勧誘
  • 消費者被害発生の原因となっている「脆弱性」
    • 個人特性
      • 誘惑への弱さ、発達障害、軽度知的障害
      • 判断能力の不足、認知能力の衰え
      • 知識や情報の不足
      • 金銭的な余裕や健康に関する不安
      • 医療制度、疾患に関する知識の不足
    • 環境要因
      • 孤独、身近に相談できる人がいない
      • 虐待、いじめ、貧困や家庭環境に起因する社会経験の欠如
      • コミュニケーション支援の欠如
  • 第三者の介入を必要とすると思われる事例
    • 高額・不合理な取引金額
      • 住宅改修工事等で一般常識を超える高額な請求がされている
      • 身の回りの世話をしてくれる知人にお礼名目で高額の金銭を支払っている
      • 家のリフォーム工事をする必要があると騙されている
    • 健康への悪影響
      • 明らかに怪しい食品
      • 認可を受けていない美容医療
    • ただし、下記のような意見も・・・
      • 障害者支援における意思決定支援の考え方によれば、第三者による介入は明らかな詐欺や本人の身体が危険になるほどの搾取でもなければ難しいと思われる
      • 本人が信じ込んでいる場合に介入するのは、非常に難しい
      • スマートフォン上の取引は支援者の目から見えにくい
      • 目で直接見えないデジタル上のお金に対する想像力が不足している場合がある(例:発達障害)
  • 消費者の意思決定・消費行動をサポートする技術・サービス
    • AIが不審なメッセージを検知して、近親者にアラートが届くシステム
    • 詐欺メール、メッセージの自動削除や、送信者の迅速な特定を可能とするシステム
    • 支援者が、支援を受ける者のスマートフォン決済の1日の上限を設定できるようにするシステム
    • 人には話しづらい相談(消費者被害を含む)にAIが応えてくれるアプリ
    • 検索エンジンで「自殺」と検索すると、「こころの健康相談統一ダイヤル」がトップに出てくるように、消費者被害の多いもの(例えば「美容医療」「ホスト」)を検索すると、消費者庁のウェブサイトやアラートが出てくるようにする

~NEW~
厚生労働省 長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します
  • 厚生労働省では、このたび、令和5年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめましたので、監督指導事例等と共に公表します。
  • この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等を対象としています。
  • 対象となった26,117事業場のうち、11,610事業場(44.5%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行いました。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、5,675事業場(違法な時間外労働があったもののうち48.9%)でした。
  • 厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行います。
  • 監督指導結果のポイント(令和5年4月~令和6年3月)
    • 監督指導の実施事業場:26,117事業場
    • 主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
      • 違法な時間外労働があったもの:11,610事業場(44.5%)
        • うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
          • 月80時間を超えるもの:5,675事業場(48.9%)
          • うち、月100時間を超えるもの:3,417事業場(29.4%)
          • うち、月150時間を超えるもの:737事業場(6.3%)
          • うち、月200時間を超えるもの:35事業場(0.3%)
          • 賃金不払残業があったもの:1,821事業場(7.0%)
          • 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:5,848事業場(22.4%)
    • 主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
      • 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:12,944事業場(49.6%)
      • 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,461事業場(17.1%)
▼ 長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します
  • 監督指導において違法な長時間労働を認めた事例
    • 事例1(倉庫業)
      • 立入調査で把握した事実
        • 倉庫業の事業場(労働者約20人)に立入調査を実施した。
        • 倉庫内の作業管理を行う労働者6人について、取引先のセール等で取扱貨物量が増加したことによる業務繁忙と人手不足のため、36協定で定めた上限時間(特別条項:月80時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える、最長で1か月当たり127時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
      • 労働基準監督署の指導
        • 長時間にわたる違法な時間外・休日労働を行わせたこと
          • 36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
          • 労働基準法に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項違反)
          • 時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
      • 長時間労働是正の取組
        • 取引先の理解も得て、時間外労働削減の取組を積極的に実施
          • 労務管理責任者が日々の労働時間管理を徹底
          • 業務量が取引先の貨物量によって大きく左右されるため、取引先の理解を得て、(1)一部業務の同社別事業場への移管、(2)当日出荷依頼の締め時間の前倒しを実現したことから、取り扱う貨物量、特に当日中に出荷完了させなければならない貨物が減少
          • 倉庫内で荷物を移動させる作業を効率化するシステムを導入
        • 取組の結果、時間外・休日労働時間数は大幅に削減(最長でも月45時間)
    • 事例2(製造業)
      • 立入調査で把握した事実
        • 機械器具製造を行う事業場(労働者約20人)において、営業職の労働者が精神障害を発症。長時間労働が原因であるとして労災請求がなされたため、立入調査を実施した。
        • 精神障害を発症した労働者の勤務状況を確認したところ、繁忙期に上司の不在が重なり業務が集中したため、36協定で定めた上限時間(月42時間)を超える、最長で1か月当たり111時間の違法な時間外労働が認められた。
        • また、当該労働者には固定残業代(20時間分)が支給されていたものの、それを超過する時間外労働に対して、割増賃金が支払われていなかった。
        • そのほか、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超えていたにもかかわらず、当該労働者に対し、時間外・休日労働に関する情報を通知していなかった。
      • 労働基準監督署の指導
        • 長時間にわたる違法な時間外・休日労働を行わせたこと
          • 36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
          • 労働基準法に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項違反)
          • 時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
        • 時間外に対する割増賃金を支払っていないこと
          • 時間外労働について2割5分以上の割増賃金を支払っていないことついて是正勧告(労働基準法第37条違反)
        • 労働者に対し、時間外・休日労働の情報を提供しなかったこと
          • 時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超えた労働者に対し、時間外・休日労働時間に関する情報を通知していなかったことについて是正勧告(労働安全衛生法第66条の8第1項違反)
      • 長時間労働是正の取組
        • 実態を把握し、過重労働の再発防止のための取組を実施
          • 社内調査の結果、管理者が部下の時間外労働の状況を把握していない実態があったため、時間外労働は所属長の確認を経て実施するとともに、当該確認の結果をもとに所属長が特定の者に負荷が偏らないよう業務量の調整を行う体制とした。
        • 取組の結果、時間外・休日労働時間数は最長でも月30時間程度に減少
    • 事例3(その他の事業)
      • 立入調査で把握した事実
        • 工事の施工管理等を行う事業場(労働者約250人)に、立入調査を実施した。
        • 36協定で定めた上限時間や労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える時間外労働は認められなかったが(最長で1か月当たり74時間)、勤怠管理システムの労働時間の記録と、労働者のパソコンのログオン・オフ時間との間に、長い者で1日当たり2時間以上の乖離が発生している状況が確認された。
      • 労働基準監督署の指導
        • 労働時間を適正に把握すること
          • 労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施することを指導
          • 過去に遡って労働者に事実関係の聞き取りなど時間外・休日労働の実態調査を行い、調査の結果、差額の割増賃金の支払いが必要になる場合は、追加で当該差額を支払うことを指導
          • 時間外・休日労働時間を1か月当たり45時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
      • 長時間労働是正の取組
        • 全社的に労働時間の適正な管理を徹底
          • 乖離の原因について合理的な説明ができない時間を、労働時間として計算し直し、割増賃金の遡及払いを実施
          • 全社員に対し、乖離は原則認めないこと、正しく終業時間を記録すること等、適切な労働時間管理について指導を実施
          • 管理者は部下の時間外・休日労働予定を事前調整の上、予定どおり実施されているか確認を行うこととし、予定外の実施等については部下本人に確認の上、人事部へ報告することを徹底
          • 企業トップから、法令遵守と勤怠システムの適正な利用を全社員に改めて周知
  • 企業が実施した長時間労働削減のための自主的な取組事例
    • 事例1 建設事業者(労働者数:約30人)
      • 「情報共有システム」の導入
        • 発注者・受注者間の情報共有システムを導入したことで、同システムを通じて受注者から発注者へインターネット上で各種工事書類の提出・差し替え等ができるようになり、訪問の日程調整や、往復の移動時間が解消した。
      • 「遠隔臨場システム」の導入
        • 遠隔臨場システムを導入したことで、監督職員による現場確認をオンラインで(受注者はスマートフォン等で現場の映像を配信し、監督職員はパソコン上でそれを確認する)行えるようになり、監督職員の往復の移動時間削減とともに、受注者も待機時間解消に繋がった。
        • また、同システムでは映像が残るため、監督職員が後日に再確認することもでき、見落としも解消された。
      • ドローン及び高性能パソコン・3Dデータ処理ソフト等の導入
        • ドローン及び高性能パソコン、点群解析ソフトや3Dデータ処理ソフト等を導入。その結果、例えば「測量+その後の書類作成作業」に約6日(光波測量に約3日、その後の書類作成業務に約3日)要していた現場について、約2日(ドローン測量に約0.5日、その後の書類作成業務に約1.5日)で終えることができるようになり、大幅に作業が効率化するとともにコストカットにも繋がった。
      • 電子小黒板ソフトの導入
        • 「電子小黒板」ソフトを導入。そのソフトを起動し対象箇所をスマートフォンで撮影し、黒板に記載したい内容をスマートフォンに入力することで、撮影した写真とともに黒板状のフォームに文字が表示されるようになった。
        • このソフトの導入により、現場での写真撮影対応人数が削減されたほか、撮影データをクラウド上に保管することで、社内で容易にデータ共有ができるようになり、作業効率化に繋がった。
      • 上記取組のほか、現場業務従事者について、工事終了後に一定のまとまった年次有給休暇の取得(リフレッシュ目的での休暇取得)等を促進。それらの結果、
        • 時間外労働時間数は、令和2年度20.49時間/月→令和4年度13.1時間/月
        • 年次有給休暇取得率は、令和2年度53.1%→令和4年度57.6%へと向上!
    • 事例2トラック運送事業者(労働者数:約500人、主な荷:化学製品)
      • デジタル化の推進
        • デジタルタコグラフから算出されるトラック運転者ごとの労働時間や拘束時間を、労務管理・運行管理を行う部署が毎月定期に確認し、各ドライバーに業務が偏り、長時間労働とならないよう配車調整等を行っている。
      • 出荷注文締切時間の明確化
        • 発荷主との間で、従前明確な取り決めがなかった出荷注文の締切時間を設定したことで、倉庫での荷役作業時間や荷待ち時間が短縮され、時間外労働が削減された。
          • 取組前:当日夕刻まで
          • 取組後:前日12:00(正午)まで(やむを得ない事情がある場合は当日14:00まで)
      • 鉄道貨物輸送(モーダルシフト)の実施
        • 自動車輸送の一部を鉄道貨物輸送にシフトしたことで、ドライバーや荷役作業員の労働時間の縮減につなげた。
      • 出荷量の平準化
        • 上記の出荷注文締切時間の明確化により、事前の出荷量の把握が可能となったことで、出庫業務や梱包業務を前倒しで行えることとなり、一日の作業時間の平準化と配車の効率化にもつながった。
      • 上記取組のほか、自動車荷役システムの導入、荷のパレット化を実施し、
        • ドライバーの拘束時間を削減
        • 出荷量の平準化や荷のパレット化による荷待ち時間を縮減
          • 取組前:平均2~3時間※荷役時間含む
          • 取組後:平均0.5時間※荷役時間含む
        • 事業場全体の年次有給休暇取得率は80%超

~NEW~
厚生労働省 令和5年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要
▼ 事業所調査
  • 過去1年間(令和4年11月1日から令和5年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%[令和4年調査13.3%]となっている。このうち、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.4%[同10.6%]、退職した労働者がいた事業所の割合は6.4%[同5.9%]となっている。また、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者の割合は0.6%[同0.6%]、退職した労働者の割合は0.2%[同0.2%]となっている。
  • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.8%[令和4年調査63.4%]となっている。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所について、取組内容(複数回答)をみると、「ストレスチェックの実施」が65.0%[同63.1%]と最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」が49.6%[同53.6%]となっている。
  • ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果の集団(部、課など)ごとの分析を実施した事業所の割合は69.2%[令和4年調査72.2%]であり、その中で分析結果を活用した事業所の割合は78.0%[同80.2%]となっている
  • 産業保健の取組を行っている事業所の割合は87.1%となっている。このうち、産業保健の取組内容(複数回答)をみると、「健康診断結果に基づく保健指導」が74.7%と最も多く、次いで「メンタルヘルス対策(相談体制の整備、ストレスチェック結果を踏まえた職場環境改善等)」が74.2%となっている。
  • 労働者の転倒を防止するための対策の取組状況をみると、「物理的対策」では「設備・装備などの対策(職場内の手すり、滑りにくい床材の導入・靴の使用、段差の解消、照度の確保等)、整理・整頓・清掃の徹底など」に取り組んでいる事業所の割合が78.1%、「身体的要因を考慮した対策」では「骨密度、ロコモ度等のチェックによる転倒やけがのリスクの見える化」に取り組んでいる事業所の割合が6.6%、「転びにくい、又はけがをしにくい身体づくりのための取組(専門家等による運動指導、スポーツの推進等)」に取り組んでいる事業所の割合が13.4%となっている
  • 労働安全衛生法に基づく雇入れ時教育を実施している事業所の割合は56.1%となっている。実施している労働者の就業形態(複数回答)をみると、「正社員」に実施している事業所の割合は54.9%、「契約社員」に実施している事業所の割合は26.8%、「パートタイム労働者」に実施している事業所の割合は34.2%となっている
  • 60歳以上の高年齢労働者が業務に従事している事業所のうち、エイジフレンドリーガイドライン(「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」)を知っている事業所の割合は23.1%、うち高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は19.3%となっている。このうち、高年齢労働者に対する労働災害防止対策の取組内容(複数回答)をみると、「高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(高齢者一般に見られる持久性、筋力の低下等を考慮した高年齢労働者向けの作業内容の見直し)」が56.5%と最も多く、次いで「個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応(健康診断や体力チェックの結果に基づく運動指導や栄養指導、保健指導などの実施など)」が45.9%となっている。
  • 在留資格を有する外国人労働者が業務に従事している事業所のうち、外国人労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は75.9%となっている。外国人労働者に対する労働災害防止対策の取組内容(複数回答)をみると、「外国人労働者に分かる言語(母国語ややさしい日本語等)により災害防止の教育を行っている」が49.9%と最も多く、次いで「災害防止のための指示などを理解できるように、必要な日本語や基本的な合図を習得させている」が41.7%となっている。
  • 陸上貨物運送事業の事業所のうち、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく措置に取り組んでいる事業所の割合は87.1%となっている。このうち、取組内容(複数回答)をみると、「荷台からの墜落転落防止対策の実施(荷台への昇降設備やプラットフォーム等の設置等)」が76.1%と最も多く、次いで「荷役作業の安全衛生教育の実施」が66.8%となっている。
  • 建設業の事業所のうち、労働者の安全の確保に関しリスクアセスメントに取り組んでいる事業所の割合は90.9%となっている。このうち、取組内容(複数回答)をみると、「高所からの墜落・転落(2m未満も含む。)」が93.9%と最も多く、次いで「作業に用いる建設機械等の危険性」が90.6%となっている。
  • 製造業で、はさまれ・巻き込まれのおそれのある機械を保有している事業所のうち、機械によるはさまれ・巻き込まれ災害の防止に取り組んでいる事業所の割合は98.6%となっている。このうち、取組内容(複数回答)をみると、「作業者に使用方法・取扱方法を教えている」が94.2%と最も多く、次いで「注意喚起の標識を掲示等している」が65.4%となっている。
  • 林業の事業所のうち、「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく措置に取り組んでいる事業所の割合は92.7%となっている。このうち、取組内容(複数回答)をみると、「ガイドラインに定めるチェーンソーの取扱い方法等の徹底」が96.2%と最も多く、次いで「ガイドラインに定めるかかり木処理における禁止事項の遵守の徹底」が93.1%となっている。
  • 化学物質を取り扱っている(製造、譲渡・提供、使用)事業所の割合は10.3%[令和4年調査9.7%]となっている。労働安全衛生法第57条の2に該当する化学物質を使用している事業所のうち、リスクアセスメントをすべて実施している事業所の割合は58.2%[同69.6%]、同条には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生法第28条の2第1項の規定に基づいてリスクアセスメントを行うことが努力義務とされている化学物質)を使用している事業所のうち、リスクアセスメントをすべて実施している事業所の割合は52.0%[同63.8%]となっている。
  • 化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所の割合は1.3%[令和4年調査1.0%]となっている。労働安全衛生法第57条に該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベルを表示している事業所の割合は94.9%[同71.8%]、同条には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生規則第24条の14で譲渡・提供者に危険有害性の表示が努力義務とされている化学物質)を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベルを表示している事業所の割合は73.6%[同80.9%]となっている。
  • 労働安全衛生法第57条の2に該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は89.7%[令和4年調査43.2%]、同条には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生規則第24条の15で譲渡・提供者に危険有害性の通知が努力義務とされている化学物質)を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は75.6%[同54.9%]となっている
▼ 個人調査
  • 現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.7%[令和4年調査82.2%]となっている。ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の失敗、責任の発生等」が39.7%[同35.9%]と最も多く、次いで「仕事の量」が39.4%[同36.3%]、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が29.6%[同26.2%]となっている。
  • 現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は94.9%[令和4年調査91.4%]となっている。ストレスを相談できる人がいる労働者について、相談できる人(複数回答)をみると、「家族・友人」が71.7%[同68.4%]と最も多く、次いで「同僚」が64.9%[同68.0%]となっている。男女別にみると男性は「上司」が68.9%と最も多く、次いで「家族・友人」が67.1%、女性では「家族・友人」が77.1%と最も多く、次いで「同僚」が63.2%となっている。また、ストレスについて相談できる人がいる労働者のうち、実際に相談したことがある労働者の割合は73.0%[同69.4%]となっており、その中で実際に相談した相手(複数回答)をみると、「家族・友人」が65.7%[同62.0%]と最も多く、次いで「同僚」が60.0%[同63.5%]となっている。男女別にみると男性は「上司」が60.8%と最も多く、次いで「家族・友人」が59.0%、女性では「家族・友人」が73.1%と最も多く、次いで「同僚」が62.7%となっている。
  • 過去1年間(令和4年11月1日から令和5年10月31日)に1か月間の時間外・休日労働が80時間を超えた月があった労働者の割合は、2.2%[令和4年調査2.0%]となっている。このうち、医師による面接指導の有無をみると、1か月間の時間外・休日労働が80時間を超えたすべての月について医師による面接指導を受けた労働者の割合は6.1%[同21.3%]となっている。

~NEW~
厚生労働省 第12回雇用政策研究会資料
▼ 【資料2】雇用政策研究会報告書(案) 概要
  • 労働供給制約下で展望される今後の労働市場
    • 日本の総人口は、2040年には現在の9割に減少し、65歳以上がおよそ35%を占めると推計されている。労働力人口は、1人あたりの実質経済成長や労働参加が現状から進まないと仮定し機械的に推計した場合には6002万人となるとされる一方、経済成長と多様な個人の労働参加が実現した場合には、6791万人となることが見込まれる。このような労働市場を実現するには、多様な個人の労働参加の促進と経済成長を実現するための労働生産性の向上が重要。
    • 人手不足については、労働需要量に対し労働供給量が追いついていない「労働需要超過型の人手不足」、求人と求職のミスマッチによって生じる「摩擦的な人手不足」、職場環境や労働環境が個々の労働者の制約に対応していないことや、企業側が求めるスキルを有する人材の不足による「構造的な人手不足」といった類型が考えられ、処遇の改善等を通じた労働参加の促進、労働市場のインフラ整備、職場環境の整備・人材育成の強化等のそれぞれの類型に合った処方箋が必要。
    • これまでの雇用政策では、労働者の能力向上に向けた施策の充実が図られてきた側面があるが、人手不足が深刻化する中にあっては、企業が労働者に選ばれる職場をつくる能力を高めることが重要。こうした職場づくりに向け、労使の適切なコミュニケーションが重要。
  • 多様な個人の労働参加
    • 多様な個人の労働参加に向け、長時間労働を是正するとともに、様々な選択肢が提示できる雇用管理への転換が必要。
    • ミドル・シニア世代の人材活用に向け、ワーク・エンゲージメントを下げないような取組みや、地域に貢献し地域と繋がるような仕組みの強化が重要。
    • 家庭等の事情に関わらず希望する働き方の実現に向け、職場・家庭の役割分担の見直しへの社会的な機運の醸成が必要。さらに、個々の労働者の健康状態に合わせ対応できる職場環境の整備も重要。
    • 地域の人手不足への対応として、地域間でのマッチングの促進を通じ、地域の担い手を確保することが必要。
    • 外国人労働者への対応として、選ばれる国であり続けるよう、キャリアアップが見込める等の雇用環境の整備や、日本の受入制度と送出国のニーズ等の調和に向けた戦略的対応が重要。
  • 新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上
    • 労働生産性の向上に向けては、新たなテクノロジーの活用だけでなく、従来行われてきた省力化投資や業務改善を行うとともに、雇用の質を高めるべく人的資本投資を行っていくことが必要。
    • 新たなテクノロジーの活用に際しては、労使コミュニケーションの深化とテクノロジーの進展によるタスク・スキル変化のモニタリングを通じ、労働者が担うべきタスクの検討を進めるとともに、技術変化を踏まえたキャリア形成支援・職業訓練の充実により、労働者がテクノロジーに代替されないスキルを深化させることが重要。
    • さらに生成AI・AI等の活用促進にむけては、働き方改革を同時に進めるなど一層のウェルビーイングに配慮した対応が必要。
  • 労働市場のインフラ整備等
    • テクノロジーの進歩や個人の就労ニーズの多様化の中、人材育成支援(キャリア形成支援やスキルの習得)、労働市場の見える化といった労働市場のインフラ整備が重要。
    • 企業内の人材育成支援については、自律的・主体的なキャリア形成が行える仕組みや、スキルの習得に取り組んだ人材が、自社内で処遇される仕組み作りが重要。
    • 職業人生が長期化する中、様々な選択肢の中で、個人が活躍できる労働市場の構築に向け、
      • 自律的・主体的にキャリアに関する相談や必要なスキルの習得ができる環境
      • 処遇改善に繋がるキャリアラダーが見える労働市場
        の構築が重要。
    • 人材育成により、獲得したスキルが評価され、賃金等に反映され、更なるステップアップに繋がるという好循環を実現できる労働市場の機能強化が重要。

~NEW~
厚生労働省 第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料
▼ 資料1-1 医師確保策について
  • 平成20年度以降、医学部の入学定員が過去最大規模となっており、令和2年度以降、前年度比増が継続している。医学部定員に占める地域枠等の数・割合も、増加してきている。(平成19年度173人(2.3%)→令和4年1,736人(18.8%))
  • 1970年は約436人に1人が医学部進学していたところ、2024年度の募集定員数で固定した場合、2050年には約85人に1人が医学部進学することとなる。
  • 医師需給は、労働時間を週60時間程度に制限する等の仮定をおく「需要ケース2」において、2023年(令和5年)の医学部入学者が医師となると想定される2029年(令和11年)頃に均衡すると推計される。
  • 平成26年の前後で比較すると、医師少数都道府県の若手の医師数は、医師多数都道府県と比較し伸びており、若手の医師については地域偏在が縮小してきている。
▼ 資料1-2 看護職員確保の取組について
  • 看護職員の確保が進められて、看護職員就業者数は増加を続け、2020年(令和2年)には173.4万人となった。
  • 人口10万人当たり看護職員就業者数については、首都圏等の都市部において、全国平均よりも少ない傾向。
  • 2025年の需要推計との比較によれば、看護職員就業者数の増大が必要。また、看護師及び准看護師の有効求人倍率は職業計よりも高くなっており、看護職員は不足傾向にある。
  • 都道府県別でみた場合、28の自治体(約6割)において、供給数が2025年の看護職員需要数を上回る一方で、都心部等では依然として2025年の看護職員需要数が供給数を上回り、看護職員不足が見込まれる。
  • 都道府県別でみた場合、31の自治体(約7割)において、供給数が2025年の看護職員需要数を上回るなど、全体的に不足状況は改善しているものの、依然として地域偏在が生じている。
  • 訪問看護に従事する看護職員は増加しているが、2025年の需要推計との比較によれば、ニーズの増大に伴って、今後とも大幅に訪問看護に従事する看護職員の確保を推進していくことが必要。
  • 都道府県ナースセンターにおける領域別の看護職員の求人倍率を比較すると、訪問看護ステーションの求人倍率が3.22倍と最大になっており、訪問看護における人材確保が困難である状況にあると言える。
  • 看護職員の確保に当たっては、「新規養成」「復職支援」「定着促進」を三本柱にした取組を推進していく。
  • 都道府県ナースセンターは、(1)潜在看護職の復職支援等(無料職業紹介)、(2)看護職や医療機関に対する情報提供・相談対応、(3)訪問看護等の知識・技術に関する研修の実施等を通じて、地域における看護職の就業・資質向上を支援している。
  • 都道府県ナースセンターの無料職業紹介による就職者数は年間12,000人程度で推移。2022年度は約14,000人。※2021年度(令和3年度)は、ワクチン接種業務等の新型コロナ関連業務への就職もあり、就職件数が大幅に増加。
▼ 資料1-3 介護人材の現状と対応等について
  • 今後、日本の総人口が減少に転じていくなか、高齢者(特に75歳以上の高齢者)の占める割合は増加していくことが想定される。
  • 団塊のジュニア世代が65歳となる2040年には、65歳以上が全人口の35%となる。2070年には、人口は8,700万人にまで減少するが、一方で、65歳以上は全人口の約39%となる。
  • 第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数を集計すると、2026年度には約240万人(+約25万人(6.3万人/年))2040年度には約272万人(+約57万人(3.2万人/年))となった。※()内は2022年度(約215万人)比
  • 国においては、(1)介護職員の処遇改善、(2)多様な人材の確保・育成、(3)離職防止・定着促進・生産性向上、(4)介護職の魅力向上、(5)外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組む。
  • 介護関係職種の有効求人倍率は、依然として高い水準にあり、全職業より高い水準で推移している。
  • 介護職員の離職率は低下傾向にある。介護職員の離職率は、事業所別に見るとバラツキが見られ、10%未満の事業所が約5割である一方、離職率が30%以上と著しく高い事業所も約1割存在する。
  • 平均年齢・勤続年数に違いがあり、単純な比較はできないが、介護職員の平均賃金の水準は産業計と比較して低い傾向にある。また、介護職員の勤続年数は産業計と比較して短い傾向にある。

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厚生労働省 「第六次薬物乱用防止五か年戦略」フォローアップについて (令和5年の薬物情勢公表)
▼ 報道発表資料
  • 令和5年の薬物情勢
    • 薬物事犯の検挙人員(医薬品医療機器等法違反によるものを除く)は13,815人(+1,194人/+9.46%)と前年より増加した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は6,073人(-216人/-3.43%)と8年連続で減少し、5年連続で1万人を下回っている。また、大麻事犯の検挙人員については6,703人(+1,157人/+20.9%)と過去最高値を大幅に更新するとともに、初めて覚醒剤事犯の検挙人員を上回った。
    • 覚醒剤の押収量は1,601.6kg(+1,126.3kg/+237.0%)と前年より大幅に増加した。大麻の押収量のうち、乾燥大麻の押収量は850.0kg(+519.3kg/+157.0%)と前年より増加した。大麻リキッドに代表される大麻濃縮物の押収量は56.5kgであった。
    • 一方、コカインの押収量は56.2kg(+13.4kg/+31.3%)、MDMA等錠剤型合成麻薬の押収量は169,743錠(+74,129錠/+77.5%)と前年より増加した。
    • 薬物密輸入事犯の検挙件数は472件(+124件/+35.6%)、検挙人員は563人(+120人/+27.1%)と2年連続で検挙件数、人員ともに増加した。
    • 30歳未満の検挙人員は、覚醒剤事犯、大麻事犯ともに前年より増加し、大麻事犯全体に占める30歳未満の検挙人員の割合は72.9%(+3.7P)と過去最高を更新した。
    • 覚醒剤事犯の再犯者率は66.0%(-1.7P)と前年より減少した。
    • 大麻事犯の初犯者率は76.4%であり、初犯者が占める割合が高い。
    • 危険ドラッグ事犯の検挙人員は444人(+132人/+42.3%)と前年より増加した。
  • 目標1 青少年を中心とした広報・啓発を通じた国民全体の規範意識の向上による薬物乱用未然防止
    • 薬物の専門知識を有する各関係機関の職員等が連携し、学校等において薬物乱用防止教室を実施したほか、各種啓発資料の作成・配布を行った。〔文科・警察・財務・法務・厚労〕
    • 大麻の乱用拡大が進む若年層に対し、薬物乱用の危険性・有害性に関する正しい知識を普及するため、大学等や民間企業における薬物乱用防止講習を実施したほか、薬物乱用防止指導員や学校薬剤師等の講師による学校等における薬物乱用防止教室の実施、有職・無職少年を対象とした薬物乱用防止読本の作成・配布、関係省庁のウェブサイトやSNSへの広報啓発資料・動画の掲載といった広報啓発活動を実施した。〔警察・文科・厚労〕
    • 家庭及び社会における広報啓発として、各種運動、薬物乱用防止に関する講演、街頭キャンペーン等、地域住民を対象とした広報啓発活動を実施するとともに、ウェブサイトやリーフレット等の啓発資材に相談窓口を掲載し、広く周知した。〔内閣府・警察・こども・消費者・法務・財務・文科・厚労〕
    • 海外渡航者が安易に大麻に手を出したり、「運び屋」として利用されたりすることのないよう、法規制や有害性を訴えるポスター等の活用を図ったほか、ウェブサイトやSNS等で注意喚起を実施した。〔警察・外務・財務・厚労〕
  • 目標2 薬物乱用者に対する適切な治療と効果的な社会復帰支援による再乱用防止
    • 「依存症対策地域支援事業」の実施により、依存症専門医療機関及び依存症治療拠点機関の選定を推進するとともに、「依存症対策全国拠点機関設置運営事業」により医療従事者の依存症治療に対する専門性の向上と地域における相談・治療等の指導者となる人材の養成を実施した。〔厚労〕
    • 薬物事犯で検挙された者のうち、保護観察処分が付かない執行猶予判決を受けた者等、相談の機会が必要と認められる薬物乱用者に対して、再乱用防止プログラムの実施を強化するとともに、パンフレットを配布して全国の精神保健福祉センターや家族会等を紹介するなど相談窓口の周知を徹底した。〔厚労・警察〕
    • 薬物事犯者の処遇プログラムを担当する職員への研修等の実施により、職員の専門性向上を図るとともに、関係機関が連携し、薬物処遇と社会復帰支援を一体的に実施した。〔法務・厚労〕
    • 家族会を開催する民間支援団体等を支援するとともに、保健所、精神保健福祉センターにおいて民間支援団体と連携して家族教室等を実施した。さらに、再非行に走る可能性のある少年やその保護者に対し、積極的に指導・助言等の支援活動を行った。〔法務・厚労・警察〕
  • 目標3 国内外の薬物密売組織の壊滅、大麻をはじめとする薬物の乱用者に対する取締りの徹底及び多様化する乱用薬物等に対する迅速な対応による薬物の流通阻止
    • 各種捜査手法の効果的な活用に努め、薬物密売組織の中枢に位置する者に焦点を当てた取締りを推進し、令和5年中、首領・幹部を含む暴力団構成員等2,809人を検挙した。〔警察・法務・財務・厚労・海保〕
    • 令和5年中、麻薬特例法第11条等に基づく薬物犯罪収益等の没収規定を54人に、同法第13条に基づく薬物犯罪収益等の追徴規定を199人にそれぞれ適用し、没収・追徴額の合計は約4億292万円に上った。〔法務〕
    • 危険ドラッグ等取扱業者に対する取締りを推進し、危険ドラッグの把握に努め、29物質を新たに指定薬物に指定した。〔厚労〕
    • 迅速な鑑定体制を構築し、未規制物質や新たな形態の規制薬物の鑑定に対応するため、資機材の整備を行うとともに、薬物分析手法にかかる研究・開発を推進し、会議等を通じ関係省庁間で情報を共有した。〔警察・財務・厚労・海保〕
    • ダークウェブ、暗号資産を利用した密輸・密売事犯に適切に対応するため、関係機関との情報共有体制や、サイバー捜査に特化した部門を強化し、サイバー空間を利用した薬物密売事犯に対し捜査を展開した。〔警察・厚労〕
    • 近年の若年層を中心とした大麻事犯の増加等の国内における薬物情勢、諸外国における大麻から製造された医薬品の医療用途への活用、大麻草由来成分の活用等の国際的な動向を踏まえ大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の改正を行い、大麻を麻薬として位置づけ、施用罪を適用する等の法整備を行った。〔厚労〕
  • 目標4 水際対策の徹底による薬物の密輸入阻止
    • 関係機関間において緊密な連携を取り、捜査・調査手法を共有した結果、統一的な戦略の下に効果的、効率的な取締りが実施され、令和5年中、水際において、約2,406kgの不正薬物の密輸を阻止した。〔警察・財務・厚労・海保〕
    • 麻薬等の原料物質に係る輸出入の動向及び使用実態を把握するため、国連麻薬統制委員会(INCB)と情報交換を行うとともに、関係機関と連携し、麻薬等の原料物質取扱業者等に対し、管理及び流通状況等にかかる合同立入検査等を実施した。〔厚労・経産・海保〕
    • 訪日外国人の規制薬物持込み防止のため、関係省庁のウェブサイト等での情報発信に加え、民間団体等に対して広報協力の働きかけを行うとともに、国際会議や在外関係機関を通じて広報・啓発を実施した。〔財務・警察・厚労・法務・外務・海保〕
  • 目標5 国際社会の一員としての国際連携・協力を通じた薬物乱用防止
    • 国際捜査共助等を活用し、国際捜査協力を推進するとともに、国際的な共同オペレーションを進めた結果、薬物密輸入事案等を摘発した。〔法務・警察・財務・厚労・海保・外務〕
    • 第66会期国連麻薬委員会(CND)会期間・再開会期会合、第67会期CNDハイレベル会合・通常会合、アジア太平洋薬物取締機関長会議(HONLAP)及び国連薬物・犯罪事務所(UNODC)開催のSMART犯罪科学プログラムに関する活動等に参加し、参加各国における薬物の乱用状況、乱用対策等に関する情報を入手するとともに、国際機関や諸外国関係者等と積極的な意見交換を行い、我が国の立場や取組について情報共有を図った。〔警察・外務・財務・厚労・海保〕
  • 当面の主な課題
    • 令和5年の我が国の薬物情勢は、大麻事犯の検挙人員が6,703人となり、過去最多であった令和3年を大幅に更新し、大麻事犯の検挙人員に係る統計が確認できる昭和26年以降、初めて覚醒剤事犯の検挙人員を上回った。特に大麻事犯の検挙人員の7割以上が30歳未満の若年層であり、依然として大麻の乱用拡大に歯止めがかからない状況にあることから、我が国は引き続き「若年者大麻乱用期」の渦中にあると言える。大麻の乱用拡大を阻止すべく、令和5年12月に成立・公布となった改正法の施行も控える中、関係省庁と連携の上、予防啓発や取締りの強化などの対策を徹底していく必要がある。
    • また、地域社会の中において、薬物依存症者及びその家族が関係機関の支援を受けられるよう環境整備を推進していくことが求められており、薬物依存症治療を実施する医療機関の整備を図るほか、関係機関が連携して、薬物依存症者への各施策を一体的に実施していくこととする。
    • 危険ドラッグ事犯については増加傾向にある中、令和5年に入りTHC等に類似した化合物を含有する危険ドラッグを摂取したことによる健康被害が相次いで報告されたことを受け、関係機関が連携して調査を行い、危険ドラッグ販売店舗と健康被害情報等の実態を把握した。また、令和5年9月に危険ドラッグ対策会議を開催し、必要な対策の検討を行うとともに、関係機関との情報共有や、取締体制の強化を図った。さらに、危険ドラッグ販売店舗への立入検査、検査命令及び販売等停止命令を実施するなど関係機関と連携した取締りの強化を行うとともに、広域的に規制する必要があると認められた製品については、医薬品医療機器等法に基づき、全国的に販売等を禁止する旨を告示した。引き続き、これらの取締りを徹底していくとともに、包括指定を含めた指定薬物への迅速な指定を行い、乱用断絶に向けた取組を行っていく。
    • また、密輸入事犯の検挙人員は前年より増加し、水際での不正薬物全体の押収量は約2,406kgと、過去2番目に多かった。我が国で乱用されている規制薬物の大半は海外から密輸されたものと考えられており、密輸形態別に見ると、海上貨物及び航空貨物から複数の大口事犯が摘発され押収量が増加しているのみならず、航空旅客からの摘発が著しく増加している。新型コロナウイルス感染症拡大防止による水際措置の終了などにより、入国者数は、新型コロナウイルス感染症拡大前まで戻りつつあることから、今後ますます航空旅客による密輸事犯の増加が懸念される。このため、関係機関が連携して、民間団体・事業者に対する広報協力の働きかけを行うとともに、引き続き、海外渡航者・訪日外国人への規制薬物持込み防止に関する広報・啓発活動を実施する必要がある。
    • さらに、近年、欧米諸国においてフェンタニルなどの合成オピオイド等の乱用が深刻な社会問題となっていることに対して、国を跨いだ新たな枠組みが創設されており、こうした枠組みを通じて、関係諸国と更なる連携を深めていくほか、引き続き国際機関等との情報共有や国際会議等への参加による情報収集を行うなど、より一層国際機関や各国機関との連携を強化していくこととする。

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厚生労働省 小林製薬株式会社からの報告に係る不備について
  • 本年4月5日までに、小林製薬株式会社から報告を受けていた、同社製の紅麹を含む食品に係る自主点検の結果について、点検対象の製造業者の製品に係る自主回収届出を受理した地方自治体から厚生労働省に照会があり、厚生労働省から小林製薬に確認を求めたところ、同社からの報告に係る不備があったことが判明しました。
  • この自主点検に当たっては、厚生労働省から小林製薬に対し、報告対象の基準として、「(1)小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記3製品と同等量100 mg/1製品)以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品」、「(2)過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品」の2つを示していましたが、小林製薬からは、報告に係る不備事案として、製造のみで販売を行っていない社(5社)を厚生労働省への報告対象から除外していたとの報告がありました。
  • 厚生労働省としては、小林製薬からの報告を受けて、直ちに地方自治体と協力し、小林製薬から示された5社に関する安全情報(紅麹1日あたり摂取量、特定ロットの使用可能性、現在の流通状況)に関する調査を実施しており、その内容については、別紙のとおりです。
  • 小林製薬に対しては、自主点検の結果について早急に再確認し、遅くとも7月31日までに結果を報告するよう指示しています。
  • なお、特定ロットの使用可能性がある2製品については、各社において服用の中止を要請するとともに、自主回収が行われているところです。
  • お手元に製品がある場合は、各社の回収の案内に沿ってご対応ください。

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経済産業省 「日本スタートアップ大賞2024」の表彰式を行いました!クラウド人事ソフトを展開する「株式会社SmartHR」が大賞を受賞
  • 経済産業省は本日、「日本スタートアップ大賞2024」の表彰式を内閣総理大臣官邸にて開催しました。本大賞は、次世代のロールモデルとなるようなインパクトのある新事業を創出したスタートアップを政府として称えるものです。内閣総理大臣賞には、「well-working」をテーマにクラウド人事労務ソフトを展開している株式会社SmartHRが選出されました。また、経済産業大臣賞には自動運転用オープンソースソフトウェアを活用したビジネスを行っている株式会社ティアフォーが選ばれるなど、全10社のスタートアップが表彰されました。各企業の表彰後、岸田内閣総理大臣らが受賞企業のブースを周り、各受賞企業の製品・サービスの説明を受けました。
  • 表彰式の様子
    • 表彰式では岸田内閣総理大臣からの挨拶の後、各省の大臣から受賞企業へ表彰状が授与されました。また、経済産業大臣をはじめとする関係官僚らとともに各受賞企業の製品・サービスの説明を受け、各受賞企業の経営者にお祝いの言葉を述べました。
  • 日本スタートアップ大賞受賞企業
    • 内閣総理大臣賞(日本スタートアップ大賞) 株式会社SmartHR
    • 経済産業大臣賞(日本スタートアップ優秀賞) 株式会社ティアフォー
    • 農林水産大臣賞(農業スタートアップ賞) 株式会社FRDジャパン
    • 文部科学大臣賞(大学発スタートアップ賞) Chordia Therapeutics株式会社
    • 厚生労働大臣賞(医療・福祉スタートアップ賞) 株式会社カケハシ
    • 国土交通大臣賞(国土交通スタートアップ賞) Global Mobility Service株式会社
    • 総務大臣賞(情報通信スタートアップ賞) 株式会社ELEMENTS
    • 審査委員会特別賞 株式会社YOUTRUST
    • 審査委員会特別賞 PuREC株式会社
    • 審査委員会特別賞 AnyMind Group株式会社
  • 「日本スタートアップ大賞」について
    • 次世代のロールモデルとなるような、社会的インパクトのある新事業を創出したスタートアップを表彰することにより、積極的な挑戦の重要性や起業家への評価を浸透させ、社会全体のチャレンジ精神の高揚を図ることを目的としています。本大賞は、2015年から実施の「日本ベンチャー大賞」を2022年から改称したものです。

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経済産業省 「省エネ・地域パートナーシップ」を立ち上げ、地域金融機関等と連携し、中小企業等の省エネ取組を支援します
  • 経済産業省は、中小企業等の省エネ取組を地域で支援するため、地域の金融機関や省エネ支援機関等と連携する枠組みとして、本日、「省エネ・地域パートナーシップ」を立ち上げました。
  • 取組の背景
    • 中小企業等のエネルギーコスト削減やGX実行のためには、第一歩として省エネの取組が重要です。
    • 経済産業省では、企業向けの省エネ支援策として省エネ診断や省エネ補助金等の支援策を拡充してきました。
    • 今般、地域で中小企業等の省エネを支援する体制を構築するため、200を超える金融機関や省エネ支援機関等とともに、「省エネ・地域パートナーシップ」を立ち上げました。
  • 取組の内容
    • 経済産業省及び本パートナーシップ事務局と、中小企業等の身近な相談先であるパートナー機関(金融機関、省エネ支援機関)等との間で、省エネ政策・取組等に関する各種情報の提供や交換を行いながら、中小企業等の省エネを地域で支える取組を進めます。
    • 具体的には、経済産業省及び事務局は、パートナー機関に対し、省エネをめぐる政策動向、省エネ補助金等の公的支援策、中小企業等で省エネを進める際の着眼点、地域におけるベストプラクティスの共有等の各種情報提供や、パートナー金融機関の支援を受けた中小企業等が行う省エネ補助金申請における優遇措置を行うことにより、パートナー機関による省エネ支援の活動を後押しします。
    • また、パートナー機関には、中小企業等からの省エネ相談への丁寧な対応、省エネ支援策に関する助言・発信、ニーズに合った支援策の検討、省エネに関する提案力の向上等により、地域の身近な支援者として、中小企業等の省エネを後押ししていただきます。
    • 本パートナーシップを通じ、各地域の関係者のネットワークが強化され、省エネ専門人材の裾野拡大、中小企業等の省エネ促進、ひいては地域の省エネ取組が加速することを期待します。

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経済産業省 中国による日本製ステンレス製品に対するアンチダンピング課税措置が撤廃されました
  • 中国商務部は、7月23日午前0時をもって、日本製ステンレス製品に対するアンチダンピング課税措置を撤廃しました。
  • 我が国の申立てに基づき、同措置はWTOで審理され、WTOアンチダンピング協定に整合しない措置であるとして、WTO紛争解決機関から中国に対し是正が勧告されていました。
  • 概要
    • 2023年6月19日、WTO紛争解決小委員会(パネル)は、我が国の申立てに基づき、日本製ステンレス製品に対するアンチダンピング課税措置(以下、「本アンチダンピング措置」といいます。)につき、「千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)」に整合しないと判断し、中国に対し措置の是正を勧告しました。
    • その後、日中両国は、中国が2024年5月8日までに勧告を履行することに合意し、中国政府は、同年7月23日午前0時をもって、本アンチダンピング措置を撤廃しました。
  • 日本政府の受け止め
    • 我が国は、中国に対し、WTO協定に整合しない本アンチダンピング措置を速やかに撤廃するよう繰り返し求めてきました。今回日本製品に対する本アンチダンピング措置が撤廃されたことは、我が国がWTO紛争解決手続を申し立て、我が国の主張が認められた成果であると考えます。
    • 我が国は、今後も、WTO紛争解決手続を通じ、保護主義的な貿易救済措置の濫用はWTO協定上容認されないことを明確にし、かかる措置の是正・撤廃を目指していきます。
  • 参考
    • (参考1)WTO協定に基づく紛争解決手続
      • 政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。措置国が妥当な期間内に勧告に沿って違反を是正しない場合、申立国は関税譲許その他の義務を停止すること(いわゆる「対抗措置」)ができます。
      • なお、パネルの判断に不服がある場合は上訴することができますが、第2審の上級委員会は現在機能停止中であるため、その機能を暫定的に代替すべく、MPIA(多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント)と呼ばれる仲裁手続が2020年4月に発足し、日本は2023年3月に参加しました(現時点で日本、中国を含む54か国・地域が参加)。MPIA参加国は、パネル判断を不服とする場合にも機能停止中の上級委員会に上訴して審理待ちのまま手続を中断させること(いわゆる「空上訴」)はせず、MPIAに基づく仲裁手続(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU)第25条に基づく合意による仲裁)による解決をはかることとしています。
      • 本件では、中国はパネル判断(2023年6月19日公表)を「空上訴」せず、またMPIA上訴仲裁にも付さなかったため、同判断はWTO紛争解決機関により採択されました(2023年7月28日)。その後、日中両国は、中国が2024年5月8日までに勧告を履行することに合意しました。しかし、本年5月8日以降も本アンチダンピング措置が継続していたため、日本は措置の早期撤廃を促しつつ、WTO協定上更なる手続(勧告履行の有無・適否を確認する手続、及び、対抗措置を申請する手続等)の検討を進め、5月29日には、今後の手続の遂行順序(「シークエンス合意」)をWTOに通報しました。
    • (参考2)ステンレス製品とは(対象製品)
      • 本アンチダンピング措置では、ステンレス鋼片(スラブ)、ステンレス鋼熱間圧延鋼板(カットシート及び厚板)及びステンレス鋼熱間圧延コイルが対象製品となっています。ステンレス鋼片は、精錬された溶鋼を鋳造して得られる半製品です。ステンレス鋼熱間圧延鋼板は、船舶・橋梁など建材部材や産業用機械に利用されています。ステンレス鋼熱間圧延コイルは、自動車部品、家庭用電化製品用冷延鋼帯の原材料等に利用されています。
    • (参考3)アンチダンピング措置とは
      • ある商品の輸出向け販売価格が国内向け販売価格よりも安く、その輸出によって輸入国内における競合する産業が損害を被っていることが正式な調査により明らかになった場合に、その商品に対して国内向け販売価格と輸出向け販売価格の差を上限とする関税を賦課することをいいます。
      • アンチダンピング措置は、発動から5年以内に終了するのが原則ですが、措置延長調査を行い、アンチダンピング措置を終了するとダンピング及び損害が存続し又は再発するおそれがあると認定された場合は、措置を延長することができます。
      • なお、現在中国が日本製品に対し課税中のアンチダンピング措置19件のうち、15件は期間が延長されて課税が続いています。
      • 本アンチダンピング措置では、日本を含む4カ国・地域(日本、韓国、インドネシア及びEU)から中国に輸入されるステンレス製品に対し課税が行われていました(措置期間:2019年7月23日~2024年7月22日)。7月22日、措置延長調査が開始されましたが、同延長調査の対象には日本は含まれておらず、韓国、インドネシア、EU、英国(2020年にEUから離脱したため)に対してのみ延長調査を開始するとしています。したがって、日本製ステンレス製品に対する本アンチダンピング措置は、2024年7月22日の措置期間末日の経過をもって終了・撤廃されました。

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経済産業省 「スタートアップによる経済波及効果」の調査概要を公表しました
▼ スタートアップによる経済波及効果(調査概要)
  • スタートアップ政策の日本経済への裨益を把握するために、スタートアップの経済活動および付随するサプライヤーの経済活動や消費支出に伴う、付加価値の創出による経済効果を推計。スタートアップによるGDP創出額は19.39兆円(間接波及効果含む)と、各都道府県と比べても遜色のない経済効果をもたらしていることが確認された。
  • 本事業の調査により、(1)ここ10年間でスタートアップが買い手となったスタートアップへのM&Aが増加していること、(2)女性経営者の比率はスタートアップが大企業を大きく上回っていることが分かった。スタートアップは日本の経済構造を変える可能性を秘めていると言える
  • 出自がスタートアップであり、IPOを実施またはM&AをされたEXIT済企業は、経済波及効果に対して大きなインパクトを示している
  • 本事業におけるスタートアップ9,249社のうち、70%にあたる6,469社がVCからの出資を受けている。また、スタートアップの直接効果による創出GDPのうち、72%がVCからの出資を受けた企業によって生み出されている
  • スタートアップの産業別創出GDPは、情報通信産業を筆頭に上位5つの産業によって全体の78%を占めている
  • スタートアップの資金調達スケールは、累積調達総額で見ると日本は他国よりも低い水準にある。しかし、スタートアップによる経済波及効果を同様に推計しているイギリスと比較すると、GDP創出効果の絶対額や対全体GDP比率では劣るものの、資金調達スケールの違いを踏まえると、日本には伸びしろがあると言える

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経済産業省 シンガポールにおいて日本企業・スタートアップ・中小企業の 海外でのオープンイノベーションを加速する「日シンガポール・ファストトラック・ピッチ2024」を開催しました
  • 概要
    • 経済産業省及び日本貿易振興機構(ジェトロ)は、シンガポール貿易産業省・経済開発庁・企業庁との共催による「日シンガポール・ファストトラック・ピッチ2024」を7月19日にシンガポールにて開催しました。
    • 当日は、合計約300名(会場参加約170名、オンライン参加約130名)を前に、5社のチャレンジオーナーから提示されたオープンイノベーション・チャレンジに対し、日本及びシンガポールをはじめとする13社のファイナリストが提案をプレゼンしました。
    • プレゼンに先立ち、齋藤健経済産業大臣、タン・シーレン人材大臣兼第二貿易産業大臣が開会の挨拶を行い、両国間でのイノベーション創出に向け、協力強化の重要性を発信しました。
  • ファイナリストによるピッチ
    • 募集期間を通じて、日本とシンガポールの5社のチャレンジオーナーが提示したチャレンジに対して、全世界から約50件の応募がありました。本ピッチセッションでは、この中から各チャレンジオーナーによって選ばれた13社のファイナリストがプレゼンしました。
  • 今後の開催予定について
    • 次回のファストトラック・ピッチは、ベトナム・ハノイにて、開催を予定しています。6社のチャレンジオーナーが提示した課題に対する解決策を9月1日まで募集しています。
  • 【参考】日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブについて
    • 経済産業省及びジェトロでは、2023年の日ASEAN友好協力50周年を機に、ASEAN各国との新たなイノベーション創出に向けた協力の在り方として、各国政府関係機関との共催で、日ASEAN双方のスタートアップと大企業との協業によるオープンイノベーション創出を後押しする施策を「日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブ」として開始しました。
    • 日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブを通じて、日ASEANのスタートアップにとっては、(1)ジェトロ等の日本の関係機関だけでなくASEANの政府・関係機関による支援機会が得られるとともに、(2)日本の大企業だけでなく在ASEANの大企業も含む幅広いスタートアップ・エコシステムへのアクセス機会が得られます。
    • 更に、ファイナリストに選出された企業による実証事業については、グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金等の審査において加点がされます

~NEW~
経済産業省 補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました
  • 経済産業省は、以下の事業者に対して、本日、補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました。
    1. 対象事業者
      • (1)東武トップツアーズ株式会社(法人番号 4013201004021)
      • (2)株式会社日本旅行東北(法人番号 7370001018972)
      • (3)名鉄観光サービス株式会社(法人番号 4180001033060)
      • (4)株式会社JTB(法人番号 8010701012863)
      • (5)近畿日本ツーリスト株式会社(法人番号 2010001187437)
    2. 補助金交付等停止措置期間及び契約に係る指名停止等措置期間
      • 上記1(1)、(2)、(5)の事業者
        • 本日から2ヶ月(令和6年7月25日から令和6年9月24日まで)
      • 上記1(3)、(4)の事業者
        • 本日から4ヶ月(令和6年7月25日から令和6年11月24日まで)
    3. 本件の概要
      • 公正取引委員会は、青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務の入札に関し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)違反があったとして、令和6年5月30日、関係事業者に対して排除措置命令を行いました。
      • これを受けて、経済産業省は、上記(1)の事業者に対して、「経済産業省所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領」第3条第1項に基づき、補助金交付等停止措置及び指名停止等措置を行いました。

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経済産業省 ガス事業法に基づく業務改善命令を行いました
  • 本日、経済産業省は、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第20条第1項の規定に基づき、東邦瓦斯株式会社及び中部電力ミライズ株式会社に対して業務改善命令を行いました。
  • 概要
    • 本年6月24日付けで、ガスの適正な取引の確保を図る観点から、電力・ガス取引監視等委員会(以下「委員会」という。)から経済産業大臣に対し、東邦瓦斯株式会社及び中部電力ミライズ株式会社に対して、ガス事業法第20条第1項の規定に基づく業務改善命令を行うよう勧告が行われました。
    • この勧告を受け、当省としてガス事業法に基づく業務改善命令を行う必要があると判断し、同月27日付けで、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項第2号の規定に基づき、業務改善命令に係る弁明の機会を付与し、同法第30条の規定に基づき、命令の対象となる各事業者に対し書面で通知を行いました。
    • 各社からの弁明等を踏まえた上で、当省として、業務改善命令を行う必要があると判断したため、ガス事業法第177条第1項第5号の規定に基づき、本年7月23日付けで委員会への意見の聴取を行っておりましたが、同月24日付けで当該命令について実施することに異存はない旨の回答があったため、本日別紙のとおり業務改善命令を行いました。
    • ▼ 各社宛命令理由・命令内容
    • 関連条文
      • ガス事業法
        • (業務改善命令)
        • 第二十条 経済産業大臣は、ガス小売事業の運営が適切でないため、ガスの使用者の利益の保護又はガス事業の健全な発達に支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、ガス小売事業者に対し、ガスの使用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、そのガス小売事業の運営の改善に必要な措置をとることを命ずることができる。
        • 2・3(略)

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総務省 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第4回)配布資料・議事概要
▼ 資料4-1電気通信番号の犯罪利用対策に向けた制度見直しの検討について(案)
  • 電気通信番号を取り巻く社会のあるべき姿
    • 国民生活や経済活動において、有限希少な電気通信番号がニーズ等に合わせて適切に利用できる状態にすること
    • 電気通信番号が使用されているサービス(固定電話、携帯電話等)を利用者が安心して使えるようにすること
      • これを実現するためには、総務省(電気通信事業を所管)、警察庁(犯罪対策等)、電気通信事業者など様々な主体がそれぞれの立場で対策を講じ、連携していく必要がある。
      • 電気通信事業法は、電気通信番号の有限資源性を踏まえ、その適正な管理を目的に電気通信番号制度を規定している。犯罪に利用された電気通信番号は、一定期間使用されないケースも多く、これは電気通信番号の有限資源性の観点から問題であるといえ、電気通信番号の犯罪利用については、電気通信事業法の範疇において、一定の対策を講じることが可能と考えられる。
      • このため、まずは、電気通信事業法の下で講じられる対策を優先的に検討し、そのような対策の実効性を評価しつつ、新たに必要な対策について検討を継続していくことが適当ではないか。
      • 並行して、事業者による自主的な取組と連携し、制度面、実態面の双方で対応していくことが適当ではないか。
  • 電気通信番号制度の見直しの意義
    • これまで、様々なサービスを活用した犯罪への対策としては、当該サービスを提供する事業者と利用者の間に着目し、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)」(以下「犯収法」という)及び「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号)」(以下「携帯電話不正利用防止法」という)によって、利用者に対する本人確認が義務づけられている。
    • 一方、総務大臣による電気通信番号使用計画の認定を受けた事業者が、使用できるようになった電気通信番号を特殊詐欺グループに提供し、特殊詐欺の幇助として実刑を受けているケースが顕在化している。また、そのように犯罪に利用された電気通信番号は一定の期間、使用されないことも多い。
    • このため、事業者・利用者間のレイヤーより上のレイヤー、つまり、事業者が番号の使用が可能となる段階において、電気通信番号の適正な管理の観点から、電気通信番号制度の見直しを行う必要がある。
    • また、このような見直しを行うことは、特殊詐欺の犯罪対策としても有効と考えられる
  • 欠格事由の見直し
    • 欠格事由は、行政庁の判断により許認可の対象として適切ではないと考えられる者をあらかじめ許認可の対象から排除するものである。しかし、行政庁の裁量が過大にならないよう、その内容はあらかじめ明確に示すこと、また、一般国民の経済活動の自由等を制限をする側面もあるため、内容には合理性、必要性があることが求められると考えられる。
    • 今回の見直しの目的が、電気通信番号の特殊詐欺への犯罪利用を排除することにより、電気通信番号の適正な管理を担保することであることを踏まえれば、欠格事由に追加する項目は、その原因である特殊詐欺として立法事実のある犯罪を特定して定めることが適切ではないか。
    • 令和3〜5年における特殊詐欺の罪状を踏まえると、窃盗(刑法 第235条)、詐欺(刑法 第246条)及び電子計算機使用詐欺(刑法第246条の2)を欠格事由として規定することが考えられる。
  • 欠格事由の運用について
    • 今回の欠格事由の追加は、現行の欠格事由と異なり、総務省が所管していない法令に関するものとなるため、その適切な運用が課題となる。
    • 他の法律を確認したところ、所管外の法令を欠格事由として規定している例は存在している。
    • この場合、運用としては、欠格事由に該当しない旨の誓約書を提出させたうえで、当該誓約書に疑義があると認められる場合は、市町村等に犯歴等の照会を行うこととしているのが一般的である。(例:民間事業者による信書の送達に関する法律)
    • このため、番号制度でも、認定の申請時(変更申請時を含む)に欠格事由に該当しない旨の誓約する書面を提出させることが考えられる。なお、電気通信事業法第9条による登録の申請も、欠格事由に該当しないことを誓約する書面を添付が義務づけられている。
    • また、認定後においても欠格事由の非該当性を担保するため、年1回の使用状況報告の際に、欠格事由該当性の有無について報告を求めることが考えられる
  • 事業者における取組
    • 欠格事由の追加によって、番号の特殊詐欺への使用を排除し、番号の適正な管理が一定程度可能となるが、これには制度面としての限界があるため、実態として、悪質事業者に番号を特殊詐欺に使わせないようにすることで、番号の有効利用を図ることが重要と考えられる。
    • 特殊詐欺のケースでは、悪質事業者が他の事業者から番号の提供を受けている状況を踏まえれば、事業者が他の事業者に番号を提供しようとする際に、何らかの取組を講じることが適当ではないか。
    • また、取組の対象とする番号の種別は、義務づけの合理性、必要性の観点から、特殊詐欺に利用されているエビデンスのある固定電話番号(0AB〜J番号)、音声伝送携帯電話番号(070/080/090)及び特定IP電話番号(050)に限ることが適当ではないか。
    • 番号提供の際に実施する取組として、事業者ヒアリングでは、①電気通信番号使用計画の認定の確認、②提供番号数の制限、③本人確認、④当人確認、⑤与信審査、⑥二次卸の禁止、の紹介があった。
    • 各項目については、特殊詐欺対策の効果等を考慮すると次のように考えられるのではないか。
      • 電気通信番号使用計画の認定の確認
        • 番号を使用する全ての事業者は、総務大臣による電気通信番号使用計画の認定を受ける必要があり、認定を受けていない事業者に番号の提供を行うことは、番号の適正な管理の観点からも問題である。
        • このため、番号を提供しようとする際には、契約の相手方事業者が総務大臣から使用計画の認定を受けていることを確認する必要があるのではないか。
        • 具体的な確認の方法については、契約の相手方が受けている認定に応じて、次のとおりとすることが適当と考えられないか。
          • 指定事業者・非指定事業者:総務大臣が発行する「電気通信番号使用計画認定証」又は「電気通信番号使用計画変更認定証」
          • みなし認定事業者:当該事業者が作成した「標準電気通信番号使用計画」及び総務大臣が発行する電気通信事業者の登録又は届出番号の通知書
        • 現行制度においても、番号を使用する卸電気通信役務の提供を行う際には電気通信番号使用計画の認定を受けていることを確認することが定められているが、具体的な確認の方法は定めがないことから、今般の見直しの際に一元化することが適当ではない
      • 番号の提供数の制限
        • 最近では短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者が増加傾向にあり、特殊詐欺に使用された番号は一定の期間、再使用されないケースも多く、番号の有限資源性の観点から問題である。
        • このため、短期間で電気通信番号を特殊詐欺に使用する意図を持った事業者が番号を使用できないよう、事業実績を確認し、実績の少ない事業者には大量の番号を提供しないよう制限を設けることが有効ではないか。
        • 具体的には、例えば、事業実績が6ヶ月未満の事業者には提供可能な番号を50番号に制限してはどうか。
      • 本人確認
        • 契約時の本人確認については、「犯収法」及び「携帯電話不正利用防止法」でも義務づけられていることを踏まえれば、これを義務づけても事業者に新たに大きな負担を課すものではないと考えられる。
        • 一方で、番号使用計画の認定手続では、電気通信事業の登録又は届出の有無を確認しており、登録又は届出の手続では登記事項証明書や住民票の写しが提出されている。
        • このため、①の電気通信番号使用計画の認定の確認を行えば、本人確認を行ったといえ、新たに本人確認を義務づけることは重畳的な義務づけになりかねず、認定の確認で足りるのではないか。
      • 当人確認
        • 最近では短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者が増加傾向にあり、この中には他人の名義を使用して法人を設立しているケースも存在することから、当人確認(契約における代表者等が本人確認書類の人物と相違ないか確認を行うこと)が有効とも考えられる。
        • 一方で、当人確認の義務づけは犯収法においてもハイリスク取引(なりすましの疑いがある取引又は取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引)に限定されていること、また、この実施を求めることは事業者への負担が大きいと考えられる。
        • このため、番号制度では、電気通信番号使用計画の認定の確認の確実な実施を優先することとし、当人確認の義務づけについては状況をみることとしてはどうか。
      • 与信審査
        • 短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者に対しては、財務状況等を確認することも有効な手段の一つとなり得る。
        • 一方で、与信審査は番号の卸元事業者が経営リスクの判断のため行う要素が高く、また、事業者の財務状況をもって番号の提供を行わないとすることは差別的取扱いを行うこととなりかねない。
        • このため、番号制度の観点からは、与信審査を義務づける必要はないか。
      • 二次卸の禁止
        • 総務大臣による認定制度を悪用し、認定を受けた事業者として他事業者から番号を入手して特殊詐欺の犯人グループに電話サービスを提供するケースが存在していることから、二次卸を禁止し、番号の最終利用者の管理を強化することも有効な手段と考えられる。
        • 一方で、現実には、二次卸を含む卸提供は既に多く実施されており、この中で特殊詐欺等の犯罪に関与している事業者は一部に過ぎない。
        • このため、二次卸の禁止は事業者に対する過度な規制となりかねず、また、社会的影響が大きいと考えられることから、この義務づけについては見送ることが適当ではないか。
  • 認定基準・認定の取消事由の見直し
    • 認定基準の見直し
      • 現行の認定基準は電気通信番号の使用の必要性・公平性・効率性の観点から規定されているが、今般、事業者に取組を義務づけることを踏まえ、この取組が講じられることを認定基準に追加してはどうか。
      • また、事業者の取組状況の確認を容易とするよう、番号使用状況報告で求める事項として、みなし認定事業者も含む全ての場合に卸元事業者を追加すること等が考えられないか。
    • 認定の取消事由の見直し
      • 現行の認定の取消事由には欠格事由への該当が含まれており、今般の欠格事由の追加によって、認定の取消事由も追加されることになるため、当面はこれで足りるのではないか。
▼ 参考資料1電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ 中間報告
  • 制度の見直しについて(総論)
    • 電気通信番号は、有限希少な資源であると同時に、通話サービスだけではなく、SMS等の多様なサービスに利用されている。これらのサービスは国民の社会経済活動を支える基盤となっており、電気通信番号は、重要なインフラを構成するものであると言える。また、固定電話網のIP網への移行やIoTの普及等により、電気通信番号のニーズは高まっている。
    • 社会の重要なインフラを構成する電気通信番号が特殊詐欺等の犯罪に使用されている状況を看過することは、国民が安心して電話サービスを利用することができなくなるおそれがあり、ひいては円滑な社会経済活動に支障が生じるおそれがある。また、犯罪に使用された電気通信番号は一定の期間、使用されないケースも多く、電気通信番号の有限資源性、電気通信番号の適正な管理という観点からも問題である。
    • 電気通信事業法の目的(第一条)は、「電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保」を規定しており、上記のような状況を是正することは、この目的に合致するものと考える。
    • したがって、電気通信事業法の下にある電気通信番号制度の見直しを行うことによって、電気通信番号の特殊詐欺等への使用を排除する対策を講じていくことが適当なのではないか
    • また、制度上の措置だけではなく、例えば、JUSAが中心となって構築を検討している評価制度など、事業者における自主的な取組と連携していくことも有効なのではないか。
    • 制度の見直しにあたっては、犯罪収益移転防止法に基づくマネーロンダリング対策(本人確認の義務づけ等)などの取組も参考になるのではないか。
    • 制度の見直しにあたっては、電気通信事業法だけの見直しで十分か確認が必要ではないか。
  • 制度の見直しについて(各論)
    • 欠格事由(電気通信事業法 第50条の3)
      • 現行制度では、総務大臣の認定に係る主な欠格事由として、① 電気通信事業法、有線電気通信法及び電波法違反による刑の執行から2年を経過しない者、② 登録の取消を受けてから2年を経過しない者、③ ①・②に役員が該当した場合が規定されている。
      • 欠格事由は、認定申請があった場合の要件であり、これに該当する者は認定を受けることができないため、電気通信番号の特殊詐欺等の犯罪への使用を排除する観点から、欠格事由の追加が考えられないか。この場合、どのようなケースを追加することが適当と考えるか。
    • 認定基準(電気通信事業法 第50条の4及び電気通信番号規則 第6条)
      • 現行の認定基準は、電気通信番号の使用の必要性、公平性、効率性の観点から規定されている。
      • 認定基準は、認定申請があった場合の要件であり、これに合致しない者は認定を受けることができないため、電気通信番号の特殊詐欺等の犯罪への使用を排除する観点から、認定基準の見直しが考えられないか。この場合、どのような基準の追加が考えられるか。
    • 認定の取消事由(電気通信事業法 第50条の9)
      • 現行の認定の取消事由は、(1)電気通信事業法に違反した場合で公共の利益を阻害すると認めるとき、(2)不正の手段により認定を受けたとき、(3)欠格事由に該当するに至ったとき、④ 適合命令に違反したときが規定されている。
      • 認定の取消により、特殊詐欺等の犯罪に関与した認定事業者から事後的に電気通信番号の使用を排除することが可能となるため、認定の取消事由の追加が考えられるか。しかし、認定の取消事由には欠格事由への該当が含まれることから、欠格事由の見直しによる検討を行うことが合理的か。これによって、当初行われた認定の内容を担保することが可能となる。
      • 制度改正を行った場合、事業者の遵守状況についてフォローする必要があるのではないか。この場合、例えば、年1回の電気通信番号の使用状況報告により確認することも考えられるが、現在求めている報告内容は十分か。十分ではない場合、どのような内容について報告を求めることが必要か
    • 事業者における取組
      • 電気通信番号の特殊詐欺等の犯罪への使用を排除するべく、電気通信番号を利用する事業者に対し、卸提供を含めた番号提供の際に、措置を講じるよう求めることが適当か。
      • 具体的には、番号提供先の電気通信番号使用計画の認定の有無の確認の実施、本人確認の実施、電気通信事業者としての事業実績に応じた提供番号数の制限等が考えられる。
      • 仮に上記の措置を義務づける場合には、番号の使用状況報告を行っていない事業者であっても、その全てが番号を特殊詐欺等の犯罪に使用する事業者とはいえないことを十分考慮する必要があるか。
      • 事業者に求める措置については、事業者の実行可能性を考慮して検討することが適当ではないか。
      • また、具体的な措置の内容については、犯罪収益移転防止法のマネーロンダリング対策などの取組を参考としつつ、過度な規制とならないよう、電気通信番号の特殊詐欺等の犯罪への使用の排除という観点から効果があるかについても考慮すべきではないか。
      • 事業者の取組状況について、ヒアリングを踏まえ、さらに内容を精査したうえで検討を進めることが妥当ではないか。
      • JUSAが中心となって構築を検討している評価制度など、事業者における自主的な取組と連携していくことも有効なのではないか

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総務省消防庁 令和6年6月の熱中症による救急搬送状況
  • 熱中症は正しい知識を身につけることで、予防することが可能です。エアコンや扇風機をためらわずに使用すること、こまめに水分補給を行うこと、熱中症警戒アラートが発令されるような日は外出をできるだけ控え、暑さを避けていただくことなど、命を守るために基本的な熱中症予防対策を心がけてください。
  • 特に、こどもや高齢者は熱中症になりやすいため注意が必要です。こどもは大人に比べて暑さに弱いため、周りにいる大人が気をつけましょう。また、高齢者は暑さに対する感覚機能や体の調節機能が低下しますので、特に気をつけてください。
  • 消防庁では、熱中症予防啓発のコンテンツとして、「予防啓発動画」「予防啓発ポスター」「予防啓発イラスト」「予防広報メッセージ」「熱中症対策リーフレット」「予防啓発取組事例集」を消防庁ホームページ熱中症情報サイトに掲載しています。
  • 全国の消防機関をはじめ、関係機関にも御活用いただけるよう、以下の消防庁ホームページに掲載していますので、熱中症の予防啓発に是非御活用ください。
    https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html#heatstroke04
    • 令和6年6月の熱中症による救急搬送状況の概要
      • 総数
        • 令和6年6月の全国における熱中症による救急搬送人員は7,275人でした。これは、6月からの調査を開始した平成22年以降、6月としては1番多い搬送人員となった令和4年に次ぐ、2番目に多い搬送人員となっています。
      • 内訳
        • 年齢区分別の救急搬送人員
          • 高齢者(満65歳以上)が最も多く4,254人(58.5%)、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)2,068人(28.4%)、少年(満7歳以上満18歳未満)859人(11.8%)、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)93人(1.3%)の順となっています。
        • 医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員
          • 軽症(外来診療)が最も多く4,874人(67.0%)、次いで中等症(入院診療)2,225人(30.6%)、重症(長期入院)144人(2.0%)の順となっています
        • 発生場所別の救急搬送人員
          • 住居が最も多く2,705人(37.2%)、次いで道路1,420人(19.5%)、公衆(屋外)911人(12.5%)、仕事場(道路工事現場、向上、作業所等)661人(9.1%)の順となっています。

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総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和6年1月1日現在)
▼ 資料1 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和6年1月1日現在)
  • 全国の人口
    • 人口
      • 総計 <100.0%> 1億2,488万5,175人(△53万1,702人、△0.42%)
      • 日本人住民 <97.34%> 1億2,156万1,801人(△86万1,237人、△0.70%)
      • 外国人住民<2.66%> 332万3,374人(32万9,535人、+11.01%)
        • 日本人住民の人口は、平成21年をピークに15年連続で減少
          • 現行調査開始(昭和43年)以降、平成18年に初めて減少し、平成20年、21年と増加したが、平成22年から15年連続で減少し、対前年減少数及び対前年減少率は最大
        • 外国人住民の人口は、令和5年に引き続き増加
          • 令和3年から2年連続で減少していたが、令和5年から再び増加に転じた人口は調査開始(平成25年)以降最多、対前年増減数及び対前年増減率は調査開始(平成25年)以降最大
    • 自然増減数(出生者数-死亡者数)
      • 日本人住民の自然増減数は、△85万360人
        • 自然減少数は16年連続で拡大し、対前年減少数及び対前年減少率は調査開始(昭和54年度)以降最大
        • 調査開始(昭和54年度)以降、自然増加数は縮小傾向で推移し、平成19年度以降、自然減少が継続
        • 出生者数は、72万9,367人。減少傾向にあり、調査開始(昭和54年度)以降最少
        • 死亡者数は、157万9,727人。増加傾向にあり、調査開始(昭和54年度)以降最多
      • 外国人住民の自然増減数は、+1万839人
        • 自然増加数は令和2年をピークに2年連続で縮小したが、令和5年に再び増加
        • 出生者数は、1万9,545人。令和3年から2年連続で減少したが、再び増加し、令和5年は調査開始(平成24年度)以降最多に
        • 死亡者数は、8,706人。調査開始(平成24年度)以降最多となった令和4年に次いで多い
    • 社会増減数(転入者数等-転出者数等)
      • 日本人住民の社会増減数は、△1万877人
        • 平成27年以降増加していたが、令和4年以降は減少
        • 転入者数は、483万1,852人で、調査開始(昭和54年度)以降最少
        • 転出者数は、487万4,448人で、令和3年から2年連続で増加し、令和5年に再び減少
      • 外国人住民の社会増減数は、+31万8,696人
        • 令和2年から2年連続で社会減少となったが、令和4年から再び社会増加に転じた
        • 国外からの転入者数は、60万5,863人で、国外への転出者数等は、28万8,510人
  • 都道府県の人口
    • 人口1位
      • 総計 東京都(1,391万1,902人)
      • 日本人住民 東京都(1,326万4,486人)
      • 外国人住民 東京都(64万7,416人)
    • 人口増加、自然増加、社会増加
      • 人口増加数
        • 総計 増加団体 3団体 東京都(+7万237人)
        • 日本人住民 増加団体 1団体 1位 東京都(+3,933人)
        • 外国人住民 増加団体 47団体 1位 東京都(+6万6,304人)
      • 人口増加率
        • 総計 東京都(+0.51%)
        • 日本人住民 1位 東京都(+0.03%)
        • 外国人住民 1位 熊本県(+24.18%)
      • 自然増加数
        • 総計 増加団体 0団体 1位 沖縄県(△2,459人)
        • 日本人住民 増加団体 0団体 1位 沖縄県(△2,525人)
        • 外国人住民 増加団体 38団体 1位 東京都(+2,327人)
      • 自然増加率
        • 総計 沖縄県(△0.17%)
        • 日本人住民 沖縄県(△0.17%)
        • 外国人住民 埼玉県(+0.77%)
      • 社会増加数
        • 総計 増加団体 24団体 1位 東京都(+11万9,144人)
        • 日本人住民 増加団体 6団体 1位 東京都(+5万5,167人)
        • 外国人住民 増加団体 47団体 1位東京都(+6万3,977人)
      • 社会増加率
        • 総計 増加団体 3団体 1位 東京都(+0.86%)
        • 日本人住民 増加団体 3団体 1位 東京都(+0.42%)
        • 外国人住民 増加団体 3団体 1位 北海道(+24.00%)
  • 市区町村の人口
    1. 人口
      • 日本人住民:市区部・町村部ともに減少
      • 外国人住民:市区部・町村部ともに増加
      • 市区部
        • 総計 1億1,456万5,923人<91.7%>(△41万7,459人) (△ 0.36%)
        • 日本人住民 1億1,144万2人<91.7%>(△71万9,512人) (△ 0.64%)
        • 外国人住民 312万5,921人<94.1%>(+30万2,053人) (+10.70%)
      • 町村部
        • 総計 1,031万9,252人<8.3%>(△11万4,243人) (△ 1.09%)
        • 日本人住民 1,012万1,799人<8.3%>(△14万1,725人) (△1.38%)
        • 外国人住民 19万7,453人<5.9%>(+2万7,482人)(+16.17%)
    2. 市・区・町・村別の人口割合【総計】
      • 市84.0% 区7.7% 町7.7% 村0.6%
    3. 人口1位
      • 市区部
        • 総計 神奈川県横浜市(375万2,969人)
        • 日本人住民 神奈川県横浜市(363万7,015人)
        • 外国人住民 大阪府大阪市(16万9,392人)
      • 町村部
        • 総計 広島県府中町(5万2,642人)
        • 日本人住民 広島県府中町(5万1,948人)
        • 外国人住民 群馬県大泉町(8,306人)
    4. 大都市
      • 総計 100万人以上の都市は11市(神奈川県横浜市、大阪府大阪市、愛知県名古屋市、北海道札幌市、福岡県福岡市、神奈川県川崎市、兵庫県神戸市、京都府京都市、埼玉県さいたま市、広島県広島市、宮城県仙台市)
      • 日本人住民 同上
      • 外国人住民 10万人以上の都市は2市(大阪府大阪市、神奈川県横浜市)
    5. 人口増減率、自然増減率、社会増減率
      • 人口増減率(市区部)
        • 総計 △0.36% 84.0%がマイナス団体
        • 日本人住民 △0.64% 91.7%がマイナス団体
        • 外国人住民 +10.70% 98.7%がプラス団体
      • 人口増減率(町村部)
        • 総計 △1.09% 89.8%がマイナス団体
        • 日本人住民 △1.38% 95.2%がマイナス団体
        • 外国人住民 +16.17% 84.9%がプラス団体
      • 自然増減率(市区部)
        • 総計 △0.63% 97.4%がマイナス団体
        • 日本人住民 △0.66% 97.7%がマイナス団体
        • 外国人住民 +0.36% 63.8%がプラス団体
      • 自然増減率(町村部)
        • 総計 △1.07% 97.3%がマイナス団体
        • 日本人住民 △1.09% 97.4%がマイナス団体
        • 外国人住民 +0.34% 24.8%がプラス団体
      • 社会増減率(市区部)
        • 総計 +0.27% 49.4%がプラス団体
        • 日本人住民 +0.02% 29.7%がプラス団体
        • 外国人住民 +10.33% 98.7%がプラス団体
      • 社会増減率(町村部)
        • 総計 △0.03% 63.7%がマイナス団体
        • 日本人住民 △0.29% 77.0%がマイナス団体
        • 外国人住民 +15.83% 85.0%がプラス団体
    6. 【総計】人口増加、自然増加、社会増加の1位
      • 市区部
        • 人口増加数 大阪府大阪市 (+1万6,055人)
        • 人口増加率 東京都台東区 (+2.37%)
        • 自然増加数 東京都港区 (+733人)
        • 自然増加率 東京都中央区 (+0.41%)
        • 社会増加数 大阪府大阪市 (+3万1,780人)
        • 社会増加率 東京都台東区 (+2.68%)
      • 町村部
        • 人口増加数 北海道倶知安町 (+869人)
        • 人口増加率 北海道赤井川村 (+22.33%)
        • 自然増加数 沖縄県南風原町 (+172人)
        • 自然増加率 沖縄県北大東村 (+0.74%)
        • 社会増加数 北海道倶知安町 (+925人)
        • 社会増加率 北海道赤井川村 (+23.15%)
    7. 【日本人住民】人口増加、自然増加、社会増加の1位
      • 市区部
        • 人口増加数 福岡県福岡市 (+8,829人)
        • 人口増加率 東京都台東区 (+1.28%)
        • 自然増加数 東京都中央区 (+682人)
        • 自然増加率 東京都中央区 (+0.41%)
        • 社会増加数 大阪府大阪市 (+1万4,774人)
        • 社会増加率 東京都台東区 (+1.64%)
      • 町村部
        • 人口増加数 熊本県益城町 (+282人)
        • 人口増加率 北海道南幌町 (+2.97%)
        • 自然増加数 沖縄県南風原町 (+172人)
        • 自然増加率 沖縄県北大東村 (+0.74%)
        • 社会増加数 茨城県阿見町 (+445人)
        • 社会増加率 北海道南幌町 (+3.97%)
    8. 【外国人住民】人口増加、自然増加、社会増加の1位
      • 市区部
        • 人口増加数 大阪府大阪市 (+1万6,832人)
        • 人口増加率 北海道芦別市 (+115.79%)
        • 自然増加数 神奈川県横浜市 (+470人)
        • 自然増加率 和歌山有田市 (+2.30%)
        • 社会増加数 大阪府大阪市 (+1万7,006人)
        • 社会増加率 北海道芦別市 (+115.79%)
      • 町村部
        • 人口増加数 北海道倶知安町 (+1,129人)
        • 人口増加率 沖縄県北大東村 (+800.00%)
        • 自然増加数 群馬県大泉町 (+73人)
        • 自然増加率 佐賀県玄海町 (+9.09%)
        • 社会増加数 北海道倶知安町 (+1,125人)
        • 社会増加率 沖縄県北大東村 (+800.00%)
  • 三大都市圏(東京圏、名古屋圏、関西圏)の人口
    • 総計の人口は、6,604万1,511人で、4年連続で減少
      • 人口割合は、52.88%で、12年連続で全国人口の50%を上回る。
    • 日本人住民の人口は、6,375万3,880人で、6年連続で減少
      • 人口割合は、52.45%で、18年連続で全国人口の50%を上回る。
    • 外国人住民の人口は、228万7,631人で、2年連続で増加
      • 人口割合は、68.83%で、12年連続で全国人口の約70%を占める。
    • 東京圏の日本人住民の人口は、0.19%減で3年連続減少
  • 年齢階級別人口(日本人住民)
    • 日本人住民の年少人口は、1,410万8,935人で、調査開始(平成6年)以降毎年減少
      • 生産年齢人口は、7,174万1,119人で、平成7年を除き、毎年減少
      • 老年人口は、3,571万1,738人で、調査開始(平成6年)以降毎年増加していたが、令和5年に初めて減少。令和6年に再び増加(平成27年から年少人口の2倍以上に)
    • 日本人住民の年少人口の割合は、調査開始(平成6年)以降毎年減少
      • 生産年齢人口の割合は、調査開始(平成6年)以降毎年減少していたが、令和5年に初めて増加。令和6年に再び減少
      • 老年人口の割合は、調査開始(平成6年)以降毎年増加
    • 【日本人住民】年少人口割合、生産年齢人口割合、老年人口割合の1
      • 市区部
        • 年少人口割合 沖縄県豊見城市 (18.91%)
        • 生産年齢人口割合 東京都中央区 (71.02%)
        • 老年人口割合 北海道歌志内市 (54.40%)
      • 町村部
        • 年少人口割合 鹿児島県三島村 (23.53%)
        • 生産年齢人口割合 東京都小笠原村 (67.37%)
        • 老年人口割合 群馬県南牧村 (68.49%)
  • 世帯数
    • 世帯数は、現行調査開始(昭和43年)以降毎年増加(日本人住民・複数国籍の世帯)
    • 1世帯の平均構成人員は、現行調査開始(昭和43年)以降毎年減少(日本人住民・複数国籍の世帯)
      • 総計 6,077万9,141世帯(+51万2,823世帯、+0.85%) 1世帯平均構成人員 2.05人(△0.03人)
      • 日本人住民・複数国籍の世帯 5,873万8,888世帯(+24万5,460世帯、+0.42%) 1世帯平均構成人員 2.07人(△0.02人)
      • 外国人住民の世帯 204万253世帯(+26万7,363世帯、+15.08%) 1世帯平均構成人員 1.63人(△0.06人)

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総務省 「2023年経済構造実態調査」二次集計結果 産業横断調査(企業等に関する集計)
▼ 結果の要約
  • 経済構造実態調査における売上高及び付加価値額
    • 2022年の売上高は1812兆9543億円で、売上高の多い産業をみると、「卸売業,小売業」が508兆9791億円、次いで「製造業」が453兆5996億円などとなっている。
    • 付加価値額は323兆6327億円で、付加価値額の多い産業をみると、「製造業」が81兆4378億円、次いで「卸売業,小売業」が48兆3859億円などとなっている
  • 経済構造実態調査における事業活動別費用の構成
    • 経済構造実態調査では、各事業活動個別に詳細な費用項目の構成比を把握しており、その一例をみると、「医療業」においては、「給与総額」の構成比が44.4%となっているほか、「医療業」を対象に把握している費用項目である「薬品費」が12.2%、「材料費(薬品費を除く)」が9.3%と、合わせて2割以上を占めている。
    • また、「映画館」についてみると、「映画館」を対象に把握している費用項目である「上映映画料」※2が46.2%となっているほか、「賃借料(土地・建物)」が16.4%、「給与総額」が10.1%などとなっている

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国土交通省 下水道事業における事業マネジメントの実施に関する ガイドラインを策定しました~下水道事業における事業マネジメントの推進について~
▼ 下水道事業における事業マネジメント
  • 事業ストックマネジメントの推進
    • 下水道事業における事業マネジメントとは、地方公共団体の実情や財源・人的資源の制約条件を踏まえ、避けて通ることができない施設の老朽化対策を起点として、強靭化、脱炭素化、肥料利用等の各施策の目標と優先度を定めて、効率的に事業を実施し、下水道事業を将来にわたり継続させるための取組をさします。
      1. 老朽化施設の増大
        • 令和4年度末における、全国の下水道管渠の総延長は約49万km。
        • 標準耐用年数50年を経過した管渠の延長約3万km(総延長の約7%)が、10年後は約9万km(約19%)、20年後は約20万km(約40%)と今後は急速に増加します。
        • 令和3年度末で約2,200箇所ある下水処理場でも、機械・電気設備の標準耐用年数15年を経過した施設が約2,000箇所(全体の90%)と老朽化が進行しています。
        • 持続的な下水道機能確保のため、計画的な維持管理・改築事業の実施が必要です。
      2. 下水道事業における主要な施策
        • 下水道事業を取り巻く環境として、老朽化施設の増大以外にも以下に示すさまざまな課題を抱えています。
          • 災害リスクの増大
          • 脱炭素・資源利用への貢献
          • 地方公共団体における下水道担当職員の減少等の執行体制の脆弱化
          • 人口減少等による使用料収入の減少
        • 加えて、下水道事業をめぐる社会情勢及び求められる施策(役割)は、以下に示すようなものを含め、大きく変化しています。
          • 令和4年9月 閣議決定された「バイオマス活用推進基本計画」を受けた下水汚泥資源の肥料利用拡大
          • 令和5年6月 民間ノウハウの一層の導入により持続可能性の確保等を図る観点から、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)」に位置づけられたウォーターPPPの推進
  • 事業ストックマネジメント促進に向けた取組
    • 事業マネジメントは新たに計画を策定するものではなく、下水道事業に係る方向性や運営方針、目標を明確にしてCAPDサイクルを回す取組であり、これらの取組は、組織全体で共有することが重要です。
    • なお、事業マネジメントは、常に実施するものであるが、事業計画、ストックマネジメント計画や各種計画の見直しの際に反映します。必要に応じて、人口や汚水量などの計画フレームを見直し、施設規模の適正化を図ることも有効です。
    • 以下に、事業マネジメントの実施手順を示します。
      • 現状評価と課題抽出【C:評価】
        • 下水道事業の運営状況について、客観的指標を用いたギャップ分析や、現有施設規模に対する実績を比較することにより、現状評価を行います。また、現状評価の結果を踏まえ、課題を抽出します。
      • 目標設定【A:改善】
        • 課題を解決するために実施すべき施策の設定を行います。下水道事業の基本理念(下水道事業の方向性)、基本方針(下水道事業の運営方針)を明確にした上で、各施策のアウトカム(成果目標)とアウトプット(取組目標)を設定します。なお、目標は各施策の優先度を考慮して設定しますが、各施策の優先度は施策相互の調整を図りながら設定します。
      • 施策相互の調整【P:計画】
        • 目標を達成するために、各施策の優先度を設定した上で、施策相互の調整を図ります。また、施策実施に対する効果と未実施に対するリスクについて把握します。
      • 各施策の実施および進捗管理【D:実施】
        • 整理した各施策に係る計画に基づき、施策(事業)を実施します。併せて、設定した目標に基づき、各施策の進捗を管理します。

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国土交通省 YKK AP株式会社による特定防火設備(片開き戸)の遮炎性能試験における不正受験について
  • YKK AP株式会社より国土交通省に対し、同社が平成19年12月までに製造・出荷した一部の特定防火設備※1片開き戸)について、申請仕様と異なる試験体を用いて遮炎性能試験※2を受け、国土交通大臣認定を受けていたとの報告がありました。
    • ※1 火災の拡大を防止するため、防火区画及び外壁の開口部、避難階段の出入口部分等に用いられるもの。
    • ※2 通常の火災による火熱が加えられたときに、一定時間加熱面以外に火炎を出さないことを確かめる試験。
  • これを受けて、国土交通省は、本日当該大臣認定を取り消すとともに、改修の実施等の所要の対応を速やかに行うよう指示しました。
  • 事案概要
    • YKK AP株式会社が国土交通大臣認定仕様に適合しない特定防火設備(片開き戸)を平成19年12月まで製造・出荷していた事案について、国土交通省から同社に対し、原因究明等の調査を指示していました。(令和5年4月21日付報道発表)
    • これを受け、同社が調査を進めていたところ、当該事案に加え、同社が同時期に製造・出荷していた一部の特定防火設備(片開き戸)について、申請仕様と異なる試験体を用いて遮炎性能試験を受け、国土交通大臣認定を受けていたことが判明したと、令和6年7月16日に同社から報告がありました。
    • 上記報告を受け、国土交通省から同社に対し、対象の特定防火設備の出荷先等の調査を指示したところ、同社から以下の報告がありました。
      • 大臣認定不適合の解消のために取得した、新たな大臣認定に係る遮炎性能試験(平成20年3月)において、申請仕様と異なる試験体を用いていた事案が判明したこと。
      • 上記の対象となる特定防火設備が設置されている建築物は、住宅等117棟(扉の数:981セット)で、平成8年4月から平成19年12月に取り付けられたものであること。
      • 不正の内容は、ガラスをおさえる骨材の曲げ角度をガラスが脱落しにくいように変更するなど、合計7項目であったこと。
      • 同社は、今後、対象の特定防火設備が設置された物件の所有者に速やかに連絡をし、建築基準法に適合させるための改修を行う方針であること。
  • 国土交通省の対応
    • 大臣認定の取消
      • 試験体不正が発覚した以下の大臣認定を本日付けで取り消しました。
        • 大臣認定番号:EA-0259
        • 大臣認定日:平成20年4月24日
        • 構造方法等の名称:ペーパーハニカムコア充てん網入板ガラス入鋼製片開き戸
    • YKK AP社への指示
      • 特定防火設備(片開き戸)の遮炎性能試験における不正受験について、別紙のとおり、所要の対応を行うよう指示しました。
    • 関係特定行政庁への依頼
      • 国土交通省は、関係特定行政庁に対し、物件リストを情報提供し、必要な対応を進めるよう依頼しました。
  • 相談窓口
    • YKK AP株式会社において、以下の相談窓口が設置されています。
      • 一般のお客様からのお問い合わせ先
        • YKK AP株式会社 お客様相談窓口
        • 電話番号:0120‐84‐1134
        • 受付時間:9:00~17:00(土日祝を除く)
      • 建築・設計関係者様からのお問い合わせ先
        • YKK AP株式会社 ビル本部品質保証部
        • 電話番号:03‐5610-8151
        • 受付時間:9:00~17:00(土日祝を除く)
▼ YKK AP株式会社における公表
  • 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(愛称:住まいるダイヤル)に次の消費者相談窓口を設置しています。
    • 電話番号0570-016-100(ナビダイヤル)
    • ナビダイヤル以外は03-3556-5147
    • 受付時間10:00-17:00(土日、祝休日、年末年始を除く)

~NEW~
国土交通省 木造住宅の地震後の安全チェック方法を作成しました!~住み続けてよいか、専門家に相談した方がよいかをご自身で簡単に判定できます~
  • 地震で大きなゆれのあった地域の住宅は、損傷により構造耐力が低下している可能性があります。
  • このため、木造戸建て住宅について、居住者がご自身で住宅の状況をチェックのうえ、そのまま住み続けてよいか、専門家に相談した方がよいかを判定する方法を整理し、パンフレットを作成しました。
  • 令和6年能登半島地震を含め、地震で大きなゆれのあった地域にお住まいの方に活用いただけるよう、広く周知してまいります。
  • パンフレット「~木造住宅の地震後の安全チェック~この家、住み続けていいのかな?」
    • 地震で大きなゆれのあった地域では、そのまま住み続けることができるかどうかを、一般の方が判定することは困難です。
    • このパンフレットでは、木造住宅の傾きやひび割れなど4つのチェック項目を、目視などにより確認します。
    • これにより、そのまま住み続けて大丈夫か、お住まいの市町村や専門家に相談した方がよいかを判定することができます。
▼ 別紙

~NEW~
国土交通省 建設業の担い手確保を推進するため、改正建設業法の一部を施行します~「労務費の基準」や工事契約内容に関する調査を建設業法に位置づけ~
  • 概要
    • 第213回国会(常会)において成立した「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(改正法)の一部規定は、その公布の日から3月以内の政令で定める日から施行することとされていることから、本日、その施行期日を令和6年9月1日と定める政令を閣議決定しました。
  • 施行する内容
    • 「建設工事の労務費の基準」の作成・勧告(建設業法第34条)
      • 中央建設業審議会は、建設工事における適正な労務費の基準を作成・勧告できるようになります。
      • なお、労務費の基準は今後中央建設業審議会にWGを設置し、作成の検討を行っていく予定です。
    • 建設工事の請負契約の締結状況の調査・公表・報告(建設業法第40条の4)
      • 国土交通大臣は、建設工事の請負契約の適正化及び建設業従事者の処遇確保のため、必要な調査を行い、その結果を公表できるようになります。
      • また、次なる施策に活かせるよう、その結果を必要に応じ、中央建設業審議会に報告することとなります。
      • なお、改正法による改正規定のうち、その公布の日から6月以内の政令で定める日から施行することとされている部分※1及び1年6月以内の政令で定める日から施行することとされている部分※2の施行日については、追ってお知らせいたします。
        • ※1 価格転嫁の協議円滑化措置、監理技術者等の配置義務の合理化等
        • ※2 通常必要な労務費の額を著しく下回る見積や契約の禁止、工期ダンピング対策の強化等

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国土交通省 令和6年能登半島地震からの復旧・復興の加速化に向けた体制強化~緊急増員の活用により総勢104人の安定的な体制に移行~
  • 国土交通省は、令和6年能登半島地震からの復旧・復興の加速化に向けて、七尾市に設置している能登復興事務所、金沢港湾・空港整備事務所、能登上下水道復興支援室について、7月31日に計24人の緊急増員や組織拡充による体制強化を行います。これにより、これまでの併任職員が中心の応急的な体制から、総勢104人の安定的な体制に移行します。
    • (注)本日(7月26日)、上記の増員等を内容とする行政機関職員定員令の一部を改正する政令を閣議決定。同政令は7月31日に公布・施行される予定。
  • 引き続き、被災自治体からのインフラの復旧・復興に係る技術的な相談なども受けつつ、7月1日に設置された能登創造的復興タスクフォースの下、関係機関と連携し、被災地の復旧・復興に取り組みます。
  • 【能登復興事務所(北陸地方整備局)】
    • 2月16日 2課・16人体制で設置
    • 4月 1日 56人体制に規模を拡充
    • 7月31日 増員15人や組織拡充等により専属で61人の体制を構築、8課・1出張所に組織拡充
  • 【金沢港湾・空港整備事務所(北陸地方整備局)】
    • 2月16日 既存定員に加え9人を併任発令し体制を強化
    • 4月 1日 定員26人に加え実員14人を追加配置
    • 7月31日 増員8人や組織拡充等により専属で40人の体制を構築
  • 【能登上下水道復興支援室(国土技術政策総合研究所)】
    • 4月 1日 3人体制で設置
    • 7月31日 増員1人や組織拡充により専属で3人の体制を構築

~NEW~
国土交通省 「自動物流道路のあり方 中間とりまとめ」の公表について~「危機」を「転機」とする自動物流道路~
  • 国土交通省道路局は、トラックドライバーに対する時間外労働の上限規制の適用や、担い手不足などの物流危機への対応、温室効果ガス削減に向けて、新たな物流形態として、道路空間を活用した「自動物流道路」の構築に向けた検討を進めるため、「自動物流道路に関する検討会」を設置しています。
  • 今般、第1回検討会から第5回検討会までの議論を踏まえ、『自動物流道路のあり方 中間とりまとめ』がとりまとめられましたので、お知らせします。
  • 中間とりまとめのポイント
    1. 自動物流道路のコンセプト
      • 人手不足などの物流危機を転機と捉え、カーボンニュートラルなどの社会の変化に対応するため、道路空間を活用した物流専用空間の構築と、無人化・自動化された輸送手法の組み合わせによって、新たな物流形態である自動物流道路を構築する。
      • 人的リソースの制約を離れた小口・多頻度輸送による省スペースでの安定輸送や輸送と保管を統合したバッファリング機能による物流全体の効率化が可能となることから「持続可能で、賢く、安全な、全く新しいカーボンニュートラル型の物流革新プラットフォーム」をコンセプトの柱とする。
    2. 方向性
      • 物流の全体最適化:需要平準化・標準化などのロジスティクス革命に貢献
      • 物流モードのシームレスな連結:積替えバリアを解消し、新しいモーダルシフトを実現
      • カーボンニュートラル:低炭素技術を導入し、環境負荷を最小限に抑制等
    3. 自動物流道路が真に社会の役に立つ姿が実現できるよう、関係省庁、関係事業者、大学などと連携して議論を進めることが重要であり、引き続き、本検討会で議論を進めていく。
    4. その他
      • 『自動物流道路のあり方 中間とりまとめ』の概要、本文については別紙をご覧ください。
▼ 【別紙1】中間とりまとめ(概要)
▼ 【別紙2】自動物流道路のあり方 中間とりまとめ

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