危機管理トピックス

公益通報者保護制度検討会/ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査/厚生労働白書

2024.09.02
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更新日:2024年9月2日 新着26記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 2024事務年度金融行政方針について
  • 資産運用立国について
  • 「コールド・コーリング」(「詐欺的な投資勧誘」)-投資家への注意喚起-
  • 「アセットオーナー・プリンシプル」の策定について
首相官邸
  • 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部(第8回)議事次第
  • 第1回 災害時における地下水等活用推進に向けた有識者会議 議事次第
内閣府
  • 第4回公益通報者保護制度検討会(2024年9月2日)
  • 月例経済報告
消費者庁
  • 機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の 製造又は加工の基準の制定及び食品表示基準について
  • 人気ブランドのヘルスケア又はオーディオ家電等を販売すると称する 偽サイトに関する注意喚起
  • 食品ロス削減ガイドブック(令和6年度版)
  • 災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!
国民生活センター
  • 「1日最大○○円」 コインパーキングの料金は細かい条件も確認を
  • 地震に便乗した詐欺的トラブルにご注意ください!-義援金を集めるという不審メールなどに注意!-
厚生労働省
  • 令和5年度「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」の報告書(速報)を公表します
  • 全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました~答申での全国加重平均額は昨年度から51円引上げの1,055円~
  • 9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です~関係府省庁等と連携し、さまざまな取組を実施します~
  • 令和5年 雇用動向調査結果の概要
  • 「令和6年版厚生労働白書」を公表します~第1部のテーマは「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」~
経済産業省
  • 「中小M&Aガイドライン」を改訂しました
  • サイバー攻撃への備えを!「SBOM」(ソフトウェア部品構成表)を活用してソフトウェアの脆弱性を管理する具体的手法についての改訂手引を策定しました
総務省
  • 「ごみ屋敷」対策に関する調査<結果に基づく通知>
  • 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)7月分
  • 「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略- Beyond 5G推進戦略2.0 -」の公表

~NEW~
内閣官房 GX実行会議(第12回)
▼ 資料1 我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて(齋藤GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)
  • GX2040ビジョンに向けた検討のたたき台
    1. エネルギー・GX産業立地
      1. DXによる電力需要増に対応するため、徹底した省エネ、再エネ拡大、原子力発電所の再稼働や新型革新炉の設置、火力の脱炭素化に必要な投資拡大
        • 大型電源については投資額が大きく、総事業期間も長期間となるため、収入・費用の変動リスクが大きく、それらを合理的に見積もるには限界がある。事業者の予見可能性を高めるには、このようなリスクに対応するための事業環境整備を進める必要がある。同時に、電源確保とあわせて、データセンターの効率改善を促すべく、技術開発や制度面での対応も進める必要。
      2. LNGの確保とLNGサプライチェーン全体での低炭素化の道筋確保や、国際的な議論も踏まえた石炭火力の扱い
        • 現実的なトランジションの手段としてガス火力を低炭素電源として活用していく必要。国際的な議論や脱炭素に向けた取組の下、石炭火力発電をより減少させていく中で、LNG調達安定化のための長期契約を可能にする方策や、石炭火力等の予備電源制度などとセットで議論が必要。
      3. 脱炭素電源や水素等の新たなクリーンエネルギー近傍への産業集積の加速、ワット・ビット連携による日本全国を俯瞰した効率的・効果的な系統整備
        • 多数の企業間連携を前提とする広域単位の産業立地施策、日本全体を俯瞰して、次世代の電力系統整備と通信基盤の一体的整備を可能とする次世代型電力・通信一体開発計画などについて官民連携での検討。
      4. 次世代エネルギー源の確保、水素等の供給拠点、価格差に着目した支援プロジェクトの選定
        • 将来的な価格低減や国産技術の活用が見込まれるなど、産業競争力強化に資するプロジェクトを中心に、黎明期のユースケースを立ち上げ。また、水素等の大規模な利用拡大に繋がり、幅広い事業者に裨益する供給拠点に対する支援や、GX製品の市場創造に向けて需要家を巻き込み、価格移転を可能とする後続制度とも連携。
    2. GX産業構造
      1. 経済安全保障の要請も踏まえたGXとDXによるサプライチェーン強化
        • GXとDX技術の組み合わせにより、既存・新規企業双方において、付加価値の掘り起こし・ビジネス化(イノベーション創出)を加速させ労働生産性・資本生産性を高める。これらを通して、鉄鋼や化学等のGX素材から、半導体等の重要物品や完成車等のGX製品に至る、中小企業含めたフルセットの「GX型サプライチェーン」を維持発展させる。
      2. GXとDXの同時進展
        • データセンター・半導体におけるエネルギー効率改善に向けた取組加速、AIの基盤となるデータセンターの国内整備
      3. 技術・ビジネス・スケールの3つの要素を最大化したイノベーション創出
        • 海外含めた学術機関との連携、大企業とスタートアップとの協業加速、大企業からのカーブアウト加速
    3. GX市場創造
      1. GX製品の国内市場立ち上げに必要となるGX製品の価値評価、調達に向けた規制・制度的措置
        • 多排出産業のGX-ETS参加義務化などカーボンプライシングの具体的制度設計、GXの価値の見える化、GX製品調達に資するインセンティブ措置の具体化
    4. グローバル認識・ルール
      1. アジアの視点も加えた体系的・総合的なルール形成
        • AZECの下でのトランジションファイナンスのアジア展開、日本発の省エネ・脱炭素機器導入拡大に資する標準などの制度設計
      2. 欧米の情勢も踏まえた現実的なトランジションの必要性
        • 2040年を見据えたエネルギー需給構造の検討
  • エネルギー・GX産業立地
    • 毎年、電力広域的運営推進機関は、一般送配電事業者から提出された電力需要の想定を取りまとめ公表。
    • 本年1月24日に公表された想定では、人口減少や節電・省エネ等により家庭部門の電力需要は減少傾向だが、データセンターや半導体工場の新増設等による産業部門の電力需要の大幅増加により、全体として電力需要は増加傾向となった。
    • 電力広域的運営推進機関では、データセンターや半導体工場の新増設により、2024年度で+48万kW、2033年度で+537万kWの最大電力需要の増加を見込んでいる。
    • DXやGXの進展に伴い、電力需要増加が見込まれる中、再エネと原子力への転換を推進する必要。
    • FIT/FIP制度等により再エネの導入拡大を進めてきたが、足元では導入速度がやや鈍化。原子力についても、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めているが、新たに原子力発電所の建て替えが行われない限り、中長期的に原子力発電所の容量は減少する。
    • インフレや金利上昇などの要因により、今後も電力分野の建設コストは上昇していく可能性あり。
    • 大型電源については投資額が大きく、総事業期間も長期間となるため、収入・費用の変動リスクが大きく、合理的に見積もるとしても限界がある。そのようなリスクに対応するための事業環境整備が必要。
    • 科学技術振興機構(JST)は、エネルギー効率の改善状況に応じたデータセンター・ネットワークの消費電力量の見通しは、省エネの度合いに応じて大きな幅があることを示している。
    • 今後、電源確保とあわせて、データセンターの効率改善を促すべく、技術開発や制度面での対応も同時に進める必要。
    • 半導体は成長(性能向上)と脱炭素化(エネルギー効率の改善)を両立させる形で進化し、デジタル技術の持続的な発展を支えてきた。
    • 微細化や高密度化、チップレット等の高度実装等の「高集積化」や、システムや設計等の「最適化」、「素材進化」による抜本的な機能向上等により、性能向上と同時にエネルギー効率も改善。
    • 2050年ネットゼロを目指す上で、国際的な議論や脱炭素に向けた取組の下、石炭火力発電をより減少させる中で、現実的なトランジションの手段としてガス火力を低炭素電源として活用していく必要がある。
    • 現状、国内のLNGの8割程度が長期契約となっているが、今後、新たな契約が行われない限り、長期契約比率は低下する見通し。価格高騰や供給途絶などのエネルギー安全保障リスクに備え、必要なLNGの長期契約を官民一体となって確保することが必要。
    • 今後もLNGを活用していく上でバリューチェーンの低炭素化が重要。上流から下流までのLNGバリューチェーン全体に適用可能なトランジション技術は複数存在しており、今後の道筋の明確化が必要。
    • 日本としては、CLEAN(Coalition for LNG Emission Abatement toward Net-zero)などの枠組を活用しながら、LNG生産者にメタン排出削減の働きかけを進めることで、バリューチェーン全体の低炭素化を目指す。
    • 第6次エネルギー基本計画では、非効率な石炭火力を段階的にフェードアウトしていく方針を示しており、大手石炭火力発電事業者が保有するSC(超臨界圧)以下の発電電力量は、2019年度から2022年度にかけての3年間で、130億kWh以上減少。
    • 2022年度の発電電力量に占める石炭火力は約31%と比重が高く、現状では安定供給を確保する上で石炭火力は重要な電源となっている。今後、石炭火力発電を減少させながら、電力安定供給を確保していくには、予備電源制度などの制度的措置とセットでの議論が必要。
    • COP28では、排出削減対策が講じられていない石炭火力フェーズダウン加速や化石燃料からの移行などに合意。総理は、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していく方針を宣言。
    • G7プーリアサミットでは、石炭火力については、各国のネット・ゼロの道筋に沿って、2030年代前半、または、気温上昇を1.5度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策が講じられていない既存の石炭火力発電をフェーズアウトすることに合意。
    • 石炭火力発電の割合が低い国は全廃の年限を表明する国が多い一方、石炭火力の割合が高い国は、段階的な脱炭素化を目指す国が多い。
    • 世界的にもGX市場創造が進むことが想定されるが、我が国では、GX製品やサービスに不可欠な脱炭素エネルギーの供給拠点には地域偏在性が存在。したがって、「需要に対してエネルギーを供給する」というこれまでの発想に加えて、「脱炭素エネルギーの供給拠点に立地を集中化させる」といった発想も取り入れ、効率的・効果的な立地誘導を進める必要。
    • その際には、既存のインフラの状況を踏まえつつ、希少で地域偏在性がある等のクリーンエネルギーの制約から、多数の企業間連携も念頭においた、広域単位の産業立地施策が求められる。
    • 何より、日本の魅力を高め、競争力の高い国内外の企業による投資やGX産業構造転換を目指す投資等により、質の高い雇用の創出、経済安全保障の向上など、国民生活向上に資する制度的・規制的措置となるよう、過去・既存の産業立地政策を踏まえた具体策とする必要。
    • 特に、データセンターの立地に際しては、効率的・効果的な系統整備の観点から、データセンターなどの需要側が供給側に近接することも考えられる。また、光を利用した革新的技術が進めば、物理的距離が制約条件とならなくなり、需要側が分散していたとしても、消費電力を抑えながら、日本全国で大量かつ迅速な情報処理が可能となる可能性もある。
    • こうした点も踏まえ、日本全体を俯瞰して、次世代の電力系統整備と通信基盤の一体的な整備を可能とする次世代型電力・通信一体開発計画等について、今後、官民で検討を進める。
    • カーボンニュートラルに向けては、再エネ等の電気に加え、熱需要の脱炭素化のため水素等が必要。国内外での水素等供給体制の構築に向け、化石原燃料との価格差に着目した支援を実施。
    • 当面の間、国内の水素等製造は小規模かつ輸入水素よりも高い傾向があるが、安価な余剰再エネを用いれば、調整力として更なる再エネ導入拡大に資する面もあるため、エネルギー安全保障の観点から、将来的に十分な価格低減と競争力を有する見込みのある国内事業を最大限支援する。
    • 加えて、鉄、化学、モビリティといった転換困難な分野・用途への拡がりを考えれば、国内で製造可能な水素等の供給量では賄えない需要が将来的に想定される。既に権益獲得競争が各国で起こり始めていることも踏まえれば、国産技術等を活用して製造され、かつ大量に供給が可能な水素等の輸入についても支援する必要がある。
    • 他方、現状ではまだコスト面での課題があり、各国とも供給コスト目標を掲げ、コスト削減に向けた技術革新を進めるとともに、サプライチェーンをスケールさせるための支援制度などの取組を進めている。
    • このため、市場環境を注視しつつも、水素社会推進法に基づく水素等のサプライチェーン構築のための3兆円規模の支援により、まずは将来の産業競争力強化に繋がる黎明期のユースケース作りをしたたかに進めるとともに、GX製品の市場創造に向けて、需要家を巻き込み、価格移転を可能とする後続制度との連携が必要となる。
    • 拠点整備支援は、大規模な利用ニーズの創出と効率的なサプライチェーン構築の実現に資する、水素等の大規模な利用拡大につながり、様々な事業者に広く裨益する設備に対して重点的に支援。
    • 「低炭素水素等を、荷揚げ後の受入基地から需要家が実際に利用する地点まで輸送するにあたって必要な設備であって、民間事業者が複数の利用事業者と共同して使用するもの(共用パイプライン、共用タンク等)」に係る整備費の一部を支援。
  • GX産業構造
    • サービス・デジタル経済化が進展する主要国においても、経済への波及効果の大きさ・経済安全保障の要請から、ものづくり産業の役割を見直す動きが顕在化。通商ルールも駆使し、自国内にサプライチェーンを誘導する動きも存在。
    • 資源が乏しい我が国において、1億人規模の「食い扶持」の確保と、資源のみならず、経済安全保障上重要な製品等を他国に依存しないためにも、鉄鋼や化学等のGX素材から、半導体等の重要物品、クリーンエネルギー、完成車等のGX製品に至る、フルセットの「GX型サプライチェーン」を維持発展させることが必要。
    • 成長する世界市場相手に稼ぐ産業構造を目指し、例えば、GXとDX技術の組み合わせにより、既存企業、新規企業とも、付加価値の掘り起こし・ビジネス化(イノベーション創出)を加速させ、労働生産性・資本生産性を高める。
    • 2024年版中小企業白書によれば、脱炭素化の取組に関する取引先からの協力要請に関し、「省エネルギー」「CO2削減量の算定」「CO2削減目標の策定」等に加え、「グリーン製品(環境負荷の低い製品)仕入れへの移行」にも一定数の回答が集まっており、環境負荷の低い製品への需要が一定程度生じていることも推察される。
    • 一方で、「コストに見合った収益を上げられない」といった課題をあげる企業も多く、好循環を生むための段階的な取組が不可欠。
    • フルセットのサプライチェーンを一定維持するためにも、コモディティ化していく製品から、高付加価値で利益率の高い分野への移行も必要。NEDOの調査では、日本には、自動車やエレクトロニクス系部材だけではなく、世界市場における圧倒的シェアを誇り「ジャパン・インサイド」とも呼べる高機能製品や中間材が多数存在(2021年には409の製品市場で世界市場シェアは合計すると40%以上。162の製品が75%以上。例:JSR,TOKのフォトレジスト等)。
    • GXとDXを機会とし、同分野での「技術リーダー」となれば、高付加価値な製品・サービスの提供を通して価格決定力をも確保し、市場シェアと利益を確保でき成長に繋げられる可能性。
    • 最終的にこうした強みは、他国に対しては、日本企業が生み出した製品・サービスが必要だという依存関係を生み出し、日本の経済安全保障の向上に資する可能性もある。
    • AIは、作業の効率化・最適化を通じ、今後の我が国産業における生産性向上やイノベーション創出のカギとなる技術。日本国内でも一部企業において利用が進みつつあるところ。
    • AIを活用した再エネ需給の最適化といった技術やGXにつながる科学技術の進展のためのAI活用を通したDXの加速は、GXの効果を最大化させる可能性を秘める。AIを有効活用するためにも、データセンターの国内整備が不可欠。
    • GXとDXの分野で日本が強みを持ち得る成長領域、もしくは将来性のある技術・領域を分析し、一定程度特定した上で、今存在しない強みを確立する為の仕組みを検討する必要。
    • 同時にそれだけでは成長につながらないため、GX技術とDX(広義におけるデジタル技術)を組み合わせた収益性の高いビジネスモデルを構築し、それらをグローバル規模に成長させるための仕組みや支援の在り方の検討加速が必要ではないか。
    • 米国はもとより、例えば、中国が徹底的な技術の吸収と応用、技術に知見を持つ人材の招へいを行い、世界の製造拠点から技術大国となっているように、技術の商用化から利益になるビジネスモデルの構築まで自前で完結することは必ずしも多くない。
    • 日本との提携に期待を寄せる海外等のトップ学術機関も存在。信頼できる同志国や事業者間の提携を前提とし、GX×DXの分野において、海外の最先端の技術開発やノウハウの取得、スタートアップと大企業の協働等を促し、新しいイノベーションの創出を目指すべきではないか。
    • WIPO(世界知的所有権機関)が毎年発表するGlobal Innovation Indexによると、日本は、R&D投資や特許取得、知的財産の活用といったイノベーションのための資源投入や技術知見において、世界に誇る実績を持つ。
    • しかし、ICTサービスの展開、労働生産性向上率といった、ノウハウを梃子にしたアウトプットに改善の余地があると考えられ、基礎研究等に加え、一層の商業化への支援の必要性が示唆される。
    • 比較的、豊富な人材や技術、研究の知見を持つ日本の大企業も、GXに必要なディープテックの分野でイノベーション創出の主体になり得る。例えば、大企業が海外等の学術機関等と連携して新規事業を創出することは資本力と技術力を融合させることになる。
    • また大企業からのスタートアップのスピンオフは、大企業の良さも引き継ぎながら敏捷性を生かすことができ、さらにスタートアップ主導の事業創出は革新力と創造力を発揮することになる。それぞれに適した事業環境整備を行うことで、GX・DX分野で、日本のイノベーション創出の再構築を目指すべきではないか。
    • フルセットの産業を持つのは日本の強みであり、コングロマリッドや既存のサプライチェーンの中に、未開拓の事業分野に切り込める技術が眠っている可能性。
    • アンモニア燃料船舶のエンジンを手掛ける「ジャパンエンジンコーポレーション」は、GX市場での大きな成長を見込み、「スピード&スケール」を体現する形で、三菱重工業の当該部門と神戸発動機が事業統合し設立。大企業の基盤とスタートアップのスピードを併せ持ち、またGI基金など政府支援もうまく活用し世界市場の確保も視野に。こうした取組は株式市場からも高い評価を得ている。
  • GX市場創造
    • 企業のGX投資を促進していくためには、投資によって生み出された製品(GX製品)が非GX製品よりも高く評価される市場環境を整備していくことが必要。
    • このためにはGX製品の調達コストが非GX製品よりも高いこと、GX製品の付加価値が確立していない・不透明という課題に対応する必要がある。
    • 前述の課題に対処し、GX市場創出のためには、(1)カーボンプライシング(CP)を通じたGX製品と非GX製品と調達コスト差の縮減や、(2)GX製品自体の付加価値向上を実施していくことが重要。
    • 本格稼働後の排出量取引制度は、諸外国の制度の経験を踏まえつつ、(1)公平かつ実効的な制度、(2)対象企業の業種特性等を考慮する柔軟性を有する制度、(3)脱炭素投資を促進するような制度、としていく必要。
    • こうした観点から、多排出企業の参加義務化等を視野に、GX推進法を改正し、本格稼働後の排出量取引制度を法定化する。
    • 我が国では、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立(GX)を実現するための施策として、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化を進めているところ。
    • 昨年度策定されたGX推進戦略では、現在GXリーグにおいて試行的に実施している排出量取引制度について、公平性・実効性をより高める形で2026年度より本格稼働させることとしており、制度の具体案について検討を行う必要。
    • そのため、経済・エネルギー・環境の専門家等の有識者から構成される本WGでは、有識者や産業界等からのヒアリングを通じて、本格稼働後の排出量取引制度の在り方について検討し、制度の具体的な設計について論点整理を行うことを目的とする。
    • GX製品自体の付加価値向上のためには、製品のGX価値の見える化指標を用いて、当初は高コストなGX製品を需要家が調達する具体的なインセンティブを高めつつ、調達コスト自体も低減させるような取組を官民が連携して実施する必要
  • グローバル認識・ルール
    • 8月21日、全AZECパートナー11カ国、国際機関の出席を得て、第2回AZEC閣僚会合を開催。「多様な道筋によるネットゼロ」や「気候変動対策・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現」といったAZECの原則を再確認する共同声明を採択。また、今後10年を見据えた「電力」、「運輸」、「産業」部門の脱炭素化を促進する部門別イニシアティブに合意するとともに、AZECの知的エンジンとして、ERIAにアジア・ゼロエミッションセンターを立上げ。
    • AZECの下で、各国の事情に応じた現実的なエネルギー移行を支え、アジアの国々と共に成長できるよう、各国との政策協調や個別協力プロジェクトの推進を加速していく。
    • 「小型貫流ボイラー」や「産業用ヒートポンプ」などの熱供給機器は、国際市場で日本企業が競争力を有しており、その高い省エネ性能が、需要側のGXを進めていく上での鍵となり得る機器。
    • GXという世界的な新市場を獲得するべく、現地のニーズに即した海外同業他社とのM&Aによる事業領域の多角化等を通じて、高付加価値のサプライチェーンを整備して成長を企図する日本企業もある。
    • 相手国にも裨益するルール形成や現地GX人材の育成等をERIAやAOTSと協働しつつ、日本政府は日本企業の国際的なGX市場の獲得と産業競争力の強化を進める。
    • 2021年、アジアの現実的なトランジション実現に向けた日本の具体的な支援策のパッケージとしてアジアエネルギー・トランジション・イニシアティブを発表。AZEC実現に向けた具体的取り組みとして、AZEC首脳宣言(23年12月)でもその推進を確認。
    • (1)エネルギートランジションのロードマップ策定支援、(2)アジア・トランジション・ファイナンスの確立・普及、(3)脱炭素技術に関する人材育成・知見共有・ルール策定支援に先行取り組み。得られた成果が認められ、IEAやADB等の国際機関との連携・協働も進展しつつある。
    • 本年3月には、アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合(AGGPM)を世界最大級のエネルギー関係イベントであるCERAWeekと共同開催。中東や欧米との協調の拡大も目指す。
    • アジアの金融機関もトランジション・ファイナンスの重要性を認識しており、2021年9月に三菱UFJフィナンシャルグループがリードし、Asia Transition Finance Study Groupが設立。アジア・欧米の民間金融機関まで巻き込み、アジアの着実なエネルギー移行のためのファイナンスの共通の考え方や、広くルールの策定に向けて議論を実施。
    • 金融機関を中心に多様なセクターとの議論と提言を通じ、トランジション・ファイナンスの導入を促進することで、アジアにおける公正かつ秩序有るネット・ゼロ移行の達成を支援。
    • 欧州や米国では、グリーンな産業に対する支援として補助金や税額控除といった金銭的支援策を講じているものの、インフレによる開発費の増大や化石燃料価格の低減によって、従来製品よりも相対的に高額となるグリーンな製品に対する投資が伸びず、域内におけるグリーンな製品の市場形成が停滞している。
    • 特に市場が黎明期の水素・合成燃料・洋上風力といった新技術は価格転嫁の壁が高く、新規需要者の獲得が困難となっている。
    • 欧州は、2030年までに域内での水素製造量を1,000万トン(電解槽容量100GW相当)とすることを目標に掲げているが、2023年9月時点での電解槽導入量は僅か0.2GWと、2030年の目標との乖離が大きい状況。
    • 欧州会計監査院は「目標の実現可能性を確認することと、目標達成のための今後の戦略的な選択が欧州の主要産業の競争力を損なわないことが重要」と言及。また、グリーン水素の製造コストについては、当初想定していた価格には未だ近付いていないという報告もある。
    • ドイツ産業同盟による8月1日のレポートでは、過去5年間、EUは産業の移行に向けたエネルギー及び気候関連の多数の規則や規制を採択してきたが、欧州における競争力のある生産を維持するための明確な道筋は示していないと分析。
    • 欧州では特に化学製品・金属といったエネルギー多消費な産業においては、エネルギー価格高騰により製造コストも上昇。生産量の減少や域内プラントの閉鎖、海外移転に乗り出す企業が増加している。
    • 米両党の政策要領におけるエネルギー・産業政策は、どちらの政党もインフレによるエネルギー価格高騰の影響を抑制する方策を宣言。
    • 過去米国の政権交代によって、パリ協定やエネルギー安全保障の考え方など、エネルギーの将来戦略とそれに基づく産業政策が大きく変化し、世界に与える影響も大きかったため、状況は注視していく必要がある。
  • 【参考】従来にない炭素生産性の向上が不可欠
    • 世界に求められる脱炭素の取組は過去の延長線上にはない、炭素生産性の向上が不可欠。政策・産業ともに過去類を見ないほどの様々なイノベーションが必要であるが、それには不確実性も大きい。
  • エネルギー多消費製造業の生産減退
    • 日本では、鉄鋼や化学などのエネルギー多消費製造業の生産指数がここ数年大きく減退。ドイツでも、同様の傾向。日本では、特に、鉄鋼業の生産減少がエネルギー多消費製造業の減退を牽引。2023年からは化学工業の生産減少が加速。
    • 温室効果ガスの排出削減の要因には、エネルギー多消費製造業の生産が減退していることも寄与しており、産業競争力の確保・強化にとって大きな懸念。
  • 【参考】 相対的なエネルギー価格について
    • グローバル化が進展している状況においては、国境を跨いだ生産拠点の移動が比較的容易に行われやすくなる。
    • GX産業構造・産業立地を考える際に、国際的なエネルギーの相対価格差に留意しなければ、エネルギー多消費産業の海外流出が加速するおそれ。
  • 【参考】 経済成長に影響を与える要素
    • GDPの増減に影響を与える要因は多岐にわたりそれぞれ関連しあって増減の要因となる。海外とのエネルギー価格差に留意しながら、GX市場創造とともに、GX・DXの同時進展等により投資を呼び込み、高付加価値製品やサービスを多く創出し、経済成長に資する取組を進める必要。
  • 経済成長のためのGXの進め方
    • NDC水準をパリ協定で示された1.5度目標と整合的な水準で維持し続けた場合においても、経済成長を実現していくためには、以下の状態を実現していく必要。
    • GX×DXなどによる技術革新を進展させ、海外との相対的なエネルギー価格差を縮小させる
    • 多排出産業の生産減少を国内需要減に伴う減少程度にとどめ、GX製品を含む日本の高付加価値製品による海外市場開拓を加速させる
    • こうした前提が整わない状況において、脱炭素の取組のみを先行させれば、低成長に陥るリスクも高まる。
    • 今後、こうした点も踏まえ、2040年を見通したエネルギー需給構造の議論を加速させる。

~NEW~
国土交通省 「木造住宅の安全確保方策マニュアル」の公表
  • 背景・経緯
    • 令和6年能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、甚大な被害が発生しました。特に所有者の多くが高齢者世帯である地域においては、住宅の耐震化率が相対的に低く、その要因としては、資力不足や動機不足等が考えられます。
    • こうした課題に対して、住宅の耐震化をより一層進めるための方策とともに、何らかの阻害要因により、本格的な耐震改修等を行えない場合でも、居住者の命を守る観点から地震へのリスクを低減するための暫定的・緊急的な方策等も含めて、有識者や地方公共団体等との意見交換、検討を重ね、取りまとめを行いました。
▼ 【別紙】木造住宅の安全確保方策マニュアル ー 耐震化のさらなる促進と減災化に向けて ー【概要】
  • マニュアル作成の目的
    • 居住者の命を守る観点から、基本原則とする住宅の耐震化をさらに進めるための方策とともに、やむを得ず本格的な耐震改修等を行うことができない場合でも、地震からのリスクを低減することが考えられる方策を含めて普及することを目的。
  • 基本的な考え方
    • まずは、住宅の耐震化の必要性を所有者に理解してもらい、意識の向上を図ることが重要。
    • その上で、住宅の耐震診断を行い、耐震性や危険性の有無を確認。
    • 耐震診断の結果、倒壊の危険性があると判断された場合は、耐震改修等を行い、住宅の耐震性を確保することが原則。
    • やむを得ない場合でも、暫定的・緊急的な対策として、人命の安全確保につながる可能性がある多様な方策を講じ、居住者の命を守る観点から地震からのリスクを低減する。
    • また、住宅の耐震化の有無に関わらず、日ごろから災害時への備えを行う。
  • 耐震化の支援制度の概要
    • 計画策定や普及啓発、耐震診断、補強設計、耐震改修等への補助
    • 耐震改修に必要な資金に対する融資
    • 税制の特例措置(所得税額の特別控除、固定資産税の減額措置)
  • 耐震化のさらなる促進に向けた方策:住宅の耐震性を確保することが原則
    • 様々なツールを用いた普及啓発
    • 工事業者等の育成や参入促進
    • 民間の創意工夫を活かした啓発から改修まで一括実施
    • 福祉関係機関や自主防災組織等と連携した調査や啓発
    • リフォームや省エネ改修と合わせた耐震改修の実施の提案
    • 所有者負担の全体像を示すモデルケースの作成・提供
    • 所有者の子供世帯等による耐震改修や耐震改修リバースモゲージの活用促進
    • 所有者の状況等に着目した追加的な補助等の実施
    • 所有者の金銭準備の負担軽減
    • 耐震改修コストを下げる工法等の工夫
    • 除却や住み替え等の支援
  • 地震からのリスクを低減するための方策:やむをえない場合の暫定的・緊急的な対策
    • 段階的な耐震改修工事の実施 ー 最終的には住宅全体を耐震改修することを想定しつつも、当面の措置として、耐震基準に満たない水準で補強する。
    • 部分的な耐震改修工事の実施 ー 主たる居室や寝室の構造部分のみの補強や、屋根の軽量化のみなど部分的に改修する。
    • 命を守るための家具等の導入 ー 住宅の構造部分等の改修工事までは行わず、耐震ベッドや耐震テーブルといった家具等を導入する。
    • 命を守るための住まい方の工夫 ー 住宅の工事等をしない場合、万が一、建物が倒壊したとしても、地震からのリスクを低減するため、2階建ての場合、2階を主たる居室や寝室にするなど、住まい方を工夫する。
  • 日頃からの災害への備え:全ての住宅における安全性向上
    • 地震時の安全性を向上させる取組みとして、家具の転倒防止、ガラスの飛散防止、感震ブレーカーの設置、自動消火機能付きコンロの設置、棚ストッパーの設置等を行う。
    • いざという時の備えとして、防災備蓄の確保、避難袋の用意、家族での避難場所や連絡手段の確認といった災害への備えを行う。

~NEW~
金融庁 2024事務年度金融行政方針について
▼ 金融行政方針(概要)
  • 国内外の経済社会の構造上の変化や金融経済情勢等の不確実性の高まりを展望しつつ、金融行政の施策・手法を不断に見直し、改革を迅速に進めていく
  • 金融のメカニズムを通じて持続的な経済成長に貢献する
    • 持続的な経済成長に向け、インベストメント・チェーン全体の活性化に取り組むとともに、気候変動問題やデジタル技術がもたらす変革への対応を進める。
      • 資産運用立国の実現に向け、以下の取組等を進める。
        • 長期・積立・分散投資の重要性等を踏まえ、金融経済教育推進機構等と連携した新NISAの適切な活用促進・金融経済教育の充実
        • コーポレートガバナンス改革の推進
        • 市場の信頼性確保の一層の推進
        • 資産運用会社の機能強化、参入促進に係る取組の着実な実施
        • アセットオーナーを支える金融機関の資産運用ビジネスのモニタリング
        • スタートアップへの成長資金の供給の促進
        • 「Japan Weeks」の開催を含めた国内外へ積極的な情報発信
      • サステナブルファイナンスを推進するため、企業のサステナビリティ開示の充実と信頼性確保、金融機関による脱炭素に向けた企業支援等の推進、インパクト投資の実践・拡大等を図る。
      • デジタル技術を用いた金融サービスの変革へ対応するため、送金・決済・与信サービス等の規制のあり方について検討を行うほか、金融機関における健全かつ効果的なAIの利活用のためのディスカッション・ペーパーの策定、フィンテック企業等の参入促進に取り組む
  • 金融システムの安定・信頼と質の高い金融機能を確保する
    • 深度ある検査・監督等を通じて、金融機関の適切な業務運営及び健全性を確保し、個人の生活と事業者の成長を支える質の高い金融機能の発揮を図る。
      • 金融経済情勢等の動向を注視し、金融機関のガバナンスやリスク管理態勢等に関するモニタリングを行うほか、金融機関による業態や国境を越えたビジネス展開の広がりに対応するため、グループ経営に対する監督態勢を強化する。
      • 事業者の持続的な成長を支援するため、金融機関によるM&A支援の促進、企業価値担保権の活用に向けた環境整備等を進める。
      • 金融機関による顧客ニーズに的確に応える質の高い金融機能の提供とビジネスモデルの持続可能性の確保に向けて対話を行う。
      • 金融商品の組成・販売・管理等について、金融機関へ法令遵守態勢の徹底を求めるとともに、顧客本位の業務運営の確保に向けた態勢整備を促す。
      • 保険市場の信頼の回復と健全な発展に向けて、大規模な保険代理店への監督の実効性向上等の対応を進めるとともに、保険代理店や保険仲立人に関する規制のあり方などを見直す。
      • 金融犯罪やマネロン、経済安全保障への対応、サイバーセキュリティやITガバナンスの強化など、台頭するリスクへの適切な対応を促す。また、国際的な動向やトランジションファイナンスの重要性等を踏まえつつ、金融機関の気候関連金融リスク管理の対応状況について確認する。
  • 金融行政を絶えず進化・深化させる
    • データ活用の高度化や国内外に対する政策発信力の強化、若手職員をはじめとする職員の能力・資質の向上等を通じて、金融行を絶えず進化・深化させる。
      • 金融行政の高度化のため、データ活用の高度化や財務局とのさらなる連携・協働の推進、国内外に対する政策発信力の強化に取り組む。
      • 金融庁の組織力向上のため、若手職員育成を含む職員の能力・資質の向上や主体性・自主性を重視し誰もが働きやすく良い仕事ができる環境の整備に取り組む

~NEW~
金融庁 資産運用立国について
▼ 資産運用立国実現プラン(概要)
  • 資産運用立国について
    • 新しい資本主義の下、我が国の家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費に繋がる、成長と分配の好循環を実現していくことが重要。
    • これまで、(1)資産所得倍増プランや(2)コーポレートガバナンス改革等を通じ、家計の安定的な資産形成の支援、企業の持続的成長、金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営の確保など、インベストメントチェーンを構成する各主体に対する働きかけを行ってきた。引き続き、こうした取組を推進。
    • これらの取組に続き、インベストメントチェーンの残されたピースとして、(3)家計金融資産等の運用を担う資産運用業とアセットオーナーシップの改革を図っていく。
    • 残されたピースをはめ、我が国経済の成長と国民の資産所得の増加に繋げていく。
  • 資産運用立国実現プラン(資産運用業・アセットオーナーシップ改革の分野)
    1. 資産運用業の改革(資産運用力向上やガバナンス改善・体制強化、国内外からの新規参入と競争の促進)
      • 大手金融グループにおいて、資産運用ビジネスの経営戦略上の位置づけのほか、専門性の向上、運用人材の育成・確保等の観点から、運用力向上やガバナンス改善・体制強化のためのプランを策定・公表
      • 資産運用会社のプロダクトガバナンスに関する原則の策定
        • 金融商品の組成に際しての想定顧客の明確化、期待リターンがコスト・リスクと見合っているかの検証等の商品の品質管理
      • 日本独自のビジネス慣行や参入障壁の是正
        • 投資信託の基準価額に関する一者計算の普及に向けた環境整備など
      • 金融・資産運用特区の創設
        • 金融庁と意欲ある自治体が協働して、関係省庁と連携しつつ、特定の地域において金融・資産運用サービスを集積し、高度化と競争力強化を促進。当該地域が金融・資産運用の対象として一体的に推進する重点分野を支援。2024年夏目途に特区のパッケージを策定・公表。
      • 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP)の策定・実施 ※ EMP:Emerging Managers Program
        • 金融機関に、新興運用業者の積極的な活用や、単に業歴が短いことのみによって排除しないことを要請。金融機関等の取組事例を把握・公表。
        • アセットオーナー・プリンシプル(後述)において、受益者の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行する観点から、運用委託先の選定における新興運用業者の取扱いについて盛り込む。
        • 官民連携の下で、金融機関・アセットオーナーに新興運用業者を一覧化したリスト(エントリーリスト)を提供
        • 新興運用業者がミドル・バックオフィス業務を外部委託すること等により、運用に専念できるよう規制緩和を実施
    2. アセットオーナーシップの改革
      • アセットオーナー・プリンシプルの策定(2024年夏目途)
        • アセットオーナーの範囲は、公的年金、共済組合、企業年金、保険会社、大学ファンドなど幅広いが、共通して求められる役割として、運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通の原則を策定。
      • 企業年金の改革
        • 確定給付企業年金(DB)について、加入者の最善の利益を達成するため、運用委託先の定期的な評価、必要に応じて運用力次第で委託先を変えるなどの見直しを促進
        • 小規模DBが企業年金連合会の共同運用事業を活用できるよう、選択肢拡大を含め、事業の発展等に向けた取組を促進
        • 企業型確定拠出年金(DC)において、労使合意に基づき指定運用方法の投資性商品への変更や運用商品の商品構成の改善など運用方法の適切な選択がなされるよう、指定運用方法や運用商品の構成等に係る情報の見える化、継続投資教育、取組事例の横展開等の取組を促進
        • 企業年金(DB・DC)について、厚生労働省が情報を集約・公表することも含めて、運用状況等を含む情報の他社と比較できる見える化を行う
    3. 成長資金の供給と運用対象の多様化
      • スタートアップ企業等への成長資金の供給の促進(ベンチャーキャピタル向けのプリンシプルの策定、投資型クラウドファンディングに係る規制緩和、非上場有価証券の流通を促進するための規制緩和)
      • オルタナティブ投資やサステナブル投資などを含めた運用対象の多様化(投資信託への非上場株式の組入れを可能とする、資産運用会社や有識者等の多様な関係者による対話の場である、「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」を2023年内に開催)
    4. スチュワードシップ活動の実質化
      • 東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を踏まえた企業による計画策定・開示・実行の取組について、東証と連携しフォローアップ。
      • 機関投資家と企業との対話の促進等のための大量保有報告制度等の見直しを含む実質的なエンゲージメントの取組の促進。
    5. 対外情報発信・コミュニケーションの強化
      • 世界の投資家等と対話を行い、ニーズを把握し、これに沿った形で資産運用業の改革を進めていくため、内外の資産運用会社を中心に、関係事業者や投資家等と連携しつつ、資産運用フォーラムを立ち上げ。そのための準備委員会を2023年内に設立。
      • 自治体や関係事業者、投資家等との対話の機会を通じ、資産運用立国に関する施策について意見交換を行い、必要に応じて、施策の深掘りや更なる施策の実施について検討。

~NEW~
金融庁 「コールド・コーリング」(「詐欺的な投資勧誘」)-投資家への注意喚起-
  • 最近、「コールド・コーリング(Cold Calling)」と呼ばれる詐欺的な証券投資勧誘行為が、世界中で行われています。コールド・コーリングとは、投資家に対し、証券会社や投資運用会社などを装い、電話あるいはファックス・Eメールといった直接対面しない方法を使って、証券投資を勧誘する行為のことです。典型的なケースは、投資家に対し、ある証券の購入を電話によって言葉巧みに説得・勧誘し、当該証券の購入代金を振り込ませ、その後に連絡が取れなくなるというものです。この結果、その投資家は、送金したにも関わらず、当該購入証券を手にすることもできず、支払った金を取り戻すこともできなくなるといった被害を受けることになります。コールド・コーリングの手口は多様化・巧妙化しており(例えば、最初数回の取引はきちんと行い、利益を投資家にもたらした後、大口の取引を持ちかけ、大金を送金させた後、連絡を絶つなど)、一層の注意と警戒が投資家に必要となっています。
  • 日本を含め世界のほとんどの国では、証券取引の勧誘行為等を行う場合、その国の金融監督当局から登録や許認可を得る必要がありますが、コールド・コーリング業者はそのような登録・許認可を有していません。また、コールド・コーリングの特徴の一つに、その所在をつかむことがきわめて困難であるということがあります。多くのコールド・コーリング業者は通常、ホームページを持っており、そのホームページ上(あるいは顧客に送った書類の中)には連絡先としてオフィスの住所の記載がある場合が多いのですが、コールド・コーリング業者の場合、その住所に実際に存在し、活動していることは、まずありません。すなわち、コールド・コーリング業者は、意図的に自らの所在を隠し、当局や勧誘した投資家等から接触を受けないようにしているものと考えられます。そして、コールド・コーリング業者の場合、勧誘を行った投資家の居住する国とは別の国にその所在地があると称するパターンが典型的です。例えば、欧米の投資家に接触したコールド・コーリング業者(その国の当局への登録や許可等はない)が、そのオフィスは日本(例えば東京の〇〇ビル)にあるとしているようなケースが実際に数多くあります。このようにすることで、コールド・コーリング業者は、投資家などからの直接訪問を受けないようにしているものと考えられます。
    • 上記のようなコールド・コーリング業者で、日本にその所在地があると称している業者に関する情報が、海外当局や海外の被害にあった投資家等から金融庁に寄せられています。金融庁は、こうした情報提供のあった業者のうち、金融商品取引法令に基づく金融庁の登録業者・許認可業者でない者の一覧を下記に掲載しています。下記の業者は、コールド・コーリング業者の疑いがありますので、投資家の皆様におかれては、これらの業者との取引についてはこれを行わないなど、十分な注意と警戒が必要です。
    • また、上述のような特徴を持つコールド・コーリングに対しては、各国の当局の協力が必要であるという認識から、世界各国の証券当局が参加しているIOSCO(証券監督者国際機構)では、平成14年2月、コールド・コーリングについて投資家に注意喚起する声明を発表しています。こうした取り組みの一環として、金融庁はこのページにあるような投資家への警告を発しているところですが、同様に、世界各国の証券監督当局のホームページにも、コールド・コーリング業者の疑いのある会社等の一覧が掲載されており、投資家の注意を呼びかけております。投資家の皆様におかれては、電話等により投資勧誘などを受けた場合には、実際の投資契約を行う前に、そちらも併せて参照され、コールド・コーリング業者の疑いのある業者としていずれかの金融監督当局のリストに掲載されていないかどうか、十分に確認することがきわめて大事であり、強く勧めるところです。
    • なお、下記に列記している業者は、金融庁に寄せられた情報を基にしており、世界中に存在しているコールド・コーリング業者のすべてではなく、このリストに掲載されていないコールド・コーリング業者が存在する可能性はあります。したがって、投資家の皆様におかれては、下記の一覧のみならず、金融庁ホームページにおける「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」などを通じて、その業者が日本で証券会社や投資顧問業者としての登録などを受けているかどうかを確認し、受けていないのであれば、例えばその業者と取引しないといった判断をするなど、十分な注意が必要です。
  • 金融商品取引法令に基づく金融庁の登録・許認可を受けていない業者
    • 以下に、金融庁に情報が寄せられた業者のうち、金融庁の登録・許認可を受けていない業者のリストを掲載します。これらの業者が証券投資勧誘を行っている場合には、コールド・コーリングの疑いがありますので、十分に注意してください。なお、掲載されたコールド・コーリング業者の実体が存在しない可能性や、ここに掲載されていないコールド・コーリング業者の容疑がある業者も存在しうるところであり、今後、新たな業者がこのリストに追加される可能性があります。
    • なお、当該リストに記載されている住所には、当該業者とは別の会社等が存在している場合がありますが、当該会社等との関係があることを示しているものでありません。また、記載された住所が存在しない可能性もあります。
▼ 金融商品取引法令に基づく金融庁の登録・許認可を受けていない業者(令和6年7月31日時点)
  • 存在しない日本政府機関
    • 以下に、金融庁に情報が寄せられたもののうち、日本に存在しない政府機関のリストを掲載します。これらの機関から登録・許認可を受けている等と主張する業者の場合には、コールド・コーリングの疑いがありますので、十分に注意して下さい。
▼ 存在しない日本政府機関(令和6年7月31日時点)
  • 掲載後5年を経過した業者等は一覧から削除しております。過去の掲載データは、国立国会図書館のウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧下さい。
  • IOSCO(証券監督者国際機構)による投資家への注意喚起
    • IOSCO(証券監督者国際機構)は、平成14年2月に、コールド・コーリングに関する「投資家への注意喚起」を発出した。その概要は次のとおりである。
      • 一般に、ある者が証券業を行うためには、投資家が居住する国の証券当局による何らかの形の承認・認可が必要である。コールド・コーリングを行う組織は、こうした認可等を得ていない可能性があり、違法な行為により投資家の金を失わせる可能性がある。
      • したがって、投資家は、コールド・コーリング(電話勧誘)のみに基づいて投資するべきではなく、少なくとも、代金支払いの前に、その業者が、投資家が居住する国及びその業者が業務を行っていると主張する国で、証券会社や投資顧問業者の免許・認可・登録を行っているかどうかを確認するべきである。また、投資家は、その業者が破格の利益を約束したり、保証したりする場合には、大いに疑いを持つべきである。
    • また、IOSCOのアジア・太平洋地域のメンバー(金融庁を含む。)のメンバーで構成される委員会(APRC)は、平成14年2月にプレスリリースを発出した。その中で、同地域のメンバーは、違法な証券取引を摘発するために、協力・相互支援及び情報共有を強化するとともに、一般投資家が詐欺的な行為の被害にあうことを防ぐため、各国が、無免許・無登録の業者の名称を公表することとした旨、表明している。

~NEW~
金融庁 「アセットオーナー・プリンシプル」の策定について
  • 政府は、令和5年12月13日に、資産運用立国の実現に向けた政策プランを策定しました。
  • 当該プランにおいて、アセットオーナーシップ改革の一つとして、アセットオーナーがそれぞれの運用目的・目標を達成し、受益者等に適切な運用の成果をもたらす等の責任を果たす観点から、「アセットオーナーの運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通の原則(アセットオーナー・プリンシプル)を2024年夏目途に策定する」とされました。
  • 令和6年3月から6月にかけて、「新しい資本主義実現会議 資産運用立国分科会」の下、「アセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会」にて議論が行われ、パブリックコメントを経て、今般「アセットオーナー・プリンシプル」が以下のとおり確定されました。
▼ アセットオーナー・プリンシプル(内閣官房)
  • 背景及び目的
    • 「成長と分配の好循環」を実現していくには、家計の資金が成長投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費につながる、という資金の好循環を生み出していくことが重要である。
      • このため、家計、金融商品の販売会社(銀行や証券会社等)、企業、資産運用業、アセットオーナーなど、インベストメントチェーンを構成する各主体が、資金の流れの創出に向けて機能を発揮することが重要である。
      • そこで、政府では、「資産所得倍増プラン」(2022年11月策定)やコーポレートガバナンス改革、「資産運用立国実現プラン」(2023年12月策定)等を通じ、各主体への働きかけを進めている。その一環として、アセットオーナーに関しては、「資産運用立国実現プラン」において、「アセットオーナーの運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通の原則(アセットオーナー・プリンシプル)を2024年夏目途に策定する」こととされた。
    • アセットオーナーは、インベストメントチェーンの中で、直接的又は間接的に、金融資本市場を通じて企業・経済の成長の果実を受益者等にもたらす重要な役割を担っている。すなわち、アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を追求する観点から、運用する目的や財政状況等に基づいた目標を定め、その目的・目標を達成するために投資先企業や委託先金融機関を厳しい眼で見極めることで、受益者等に利益をもたらすとともに、その行動が結果として、投資先企業の中長期的な成長・企業価値向上や委託先金融機関の健全な競争による運用力向上にもつながっていくことなどが期待される。
      • そこで、アセットオーナーが受益者等の最善の利益を勘案して、その資産を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)を果たしていく上で有用と考えられる共通の原則を定めることとする。
      • アセットオーナー・プリンシプルの策定の検討に当たり、2024年3月、「新しい資本主義実現会議 資産運用立国分科会」の下に、「アセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会」が設置され、同年3月から計4回にわたり議論が行われた。その議論等を踏まえ、2024年8月28日、内閣官房において、「アセットオーナー・プリンシプル」を策定する。
  • 本プリンシプルの位置づけ・原則主義(「プリンシプルベース・アプローチ」)
    • アセットオーナーの範囲は、公的年金、共済組合、企業年金、保険会社、大学ファンドのほか、例えば資産運用を行う学校法人など幅広く、その規模や運用資金の性格等は様々である。しかしながら、いずれのアセットオーナーにおいても、受益者等の最善の利益を追求するための備えがあることを自ら点検し、それぞれのステークホルダーあるいは対外的に示すことで理解や対話、協働につなげ、運用力の向上を図っていくという形で、このプリンシプルを活用していくことが期待される。
    • ただし、アセットオーナーの範囲は幅広く、課題もそれぞれである点を踏まえ、本プリンシプルは、アセットオーナーが取るべき行動について詳細に規定する細則主義(いわゆる「ルールベース・アプローチ」)ではなく、アセットオーナーがそれぞれの置かれた状況に応じて受益者等に適切な運用の成果をもたらすことができるよう、アセットオーナー共通の原則を定め、それに対して受入れを求める、原則主義(いわゆる「プリンシプルベース・アプローチ」)を採用している。
    • また、本プリンシプルは、法令とは異なり、法的拘束力を有さず、一律に対応を求めるものではない。各アセットオーナーは、本プリンシプルについてその趣旨を確認し、十分に検討した上で、その趣旨に賛同し、本プリンシプルを受け入れるかどうか判断することが期待される。
  • 「コンプライ・オア・エクスプレイン」
    • 本プリンシプルを受け入れる場合でも、全ての原則を一律に実施しなければならないわけではなく、本プリンシプルでは、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用している。
      • 本プリンシプルを受け入れるアセットオーナーにおいては、本プリンシプルの各原則を実施(コンプライ)するか、原則の中に、自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明(エクスプレイン)することにより、一部の原則を実施しないことも想定している。
    • アセットオーナーは、「実施しない理由」の説明(エクスプレイン)に当たっては、実施しない原則に係る自らの対応についてステークホルダーの理解が十分に得られるよう、留意しなければならない。
      • なお、実施(コンプライ)する原則についても、その遵守状況について、ステークホルダーにとって分かりやすい説明をすることが求められる。
    • 本プリンシプルを受け入れるアセットオーナーには、本プリンシプルの内容を実現するに当たり、自らの置かれた状況に応じた判断・工夫のもとに活動し、必要に応じてその活動を見直していくことを期待する。
  • その他
    • 本プリンシプルの受入状況を可視化するため、本プリンシプルを受け入れるアセットオーナーには、自らを所管する関係省庁へ受入れの旨を表明することを期待する。政府においては、本プリンシプルの受入状況を一覧性のある形で整理・公表する。
      • また、アセットオーナーの規模や運用資金の性格を踏まえつつ、本プリンシプルを受け入れるアセットオーナーには、例えば、自身のウェブサイトなど一般に見える形で、以下を公表することを期待する。
        • 本プリンシプルを受け入れる旨
        • 実施(コンプライ)する各原則の実施状況
        • 実施しない原則がある場合にはその原則を実施しない理由(エクスプレイン)
    • 内閣官房及び関係省庁は、本プリンシプルについて、今後、社会情勢等を踏まえ、必要に応じて見直しを検討するなど、適切なフォローアップを行うこととする。
  • 本プリンシプルの原則
    • アセットオーナーが受益者等の最善の利益を勘案して、その資産を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)を果たしていくために、
      • 原則1. アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続に基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。
        • 補充原則
          • 1-1. アセットオーナーは、運用により利益を享受させるべき受益者等が誰か、何のために運用するのかといった運用目的について明確にし、必要に応じて見直すべきである。
          • 1-2. アセットオーナーは、運用目的を達成するために、運用資金の性格、自らの能力・規模、長期的な経済・金融環境等を踏まえ、具体的に目指すリターンや許容できるリスク等といった運用目標を定めるべきである。また、運用目標を達成するために、経済・金融環境等を踏まえ、具体的な資産構成割合(基本ポートフォリオ)、リスクに関する考え方や運用対象資産の範囲等の運用方針を定めるべきである。
          • 1-3. アセットオーナーは、運用目標・運用方針を定めるに当たっては、適切な手続に基づき、十分な専門的知見に基づき意思決定を行うことができる組織体制の下で行うべきである。
          • 1-4. アセットオーナーは、定められた運用目的・運用目標を踏まえ、自らやステークホルダー等の状況や経済・金融環境等の変化に応じた運用方針となっているかを定期的に検証し、必要に応じて適切に見直すべきである。
      • 原則2. 受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである。
        • 補充原則
          • 2-1. アセットオーナーは、運用目標の達成に向けて、資産運用及びリスク管理を継続的かつ適切に運営できるよう、自らに必要な知見を把握するとともに、その知見が確保され、監督と執行それぞれが機能するガバナンス体制を構築すべきである。
          • その際、アセットオーナーの規模や運用資金の性格に照らして、必要があれば、金融市場やアセットオーナーにおいて資産運用の経験を有する運用担当責任者を設置し、運用担当責任者の権限を明確化するとともに、必要な監督を行うことも考えられる。
          • また、運用担当者について、特定の人材に依存すると、離職時の継続性の支障や運用委託先等との不適切な関係の発生といった懸念も生じることから、適切な資質を持った人材の計画的な確保に留意すべきである。
          • 2-2. アセットオーナーは、適切な運用を行うに当たって、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部人材の登用、又は、金融機関・外部コンサルティング会社・OCIO・業界団体その他の外部組織の活用等を検討すべきである。
          • その際、報酬を検討するに当たっては、外部人材や外部組織がもたらす付加価値に応じたものとすべきである。
      • 原則3. アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、自己又は第三者ではなく受益者等の利益の観点から運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な運用委託先を選定するとともに、定期的な見直しを行うべきである。
        • 補充原則
          • 3-1. アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行するため、運用目的・運用目標の達成に資することができるか、運用方針に適合しているか等の観点から、委託先の選定を含め幅広く運用方法を比較検討すべきである。
          • 3-2. アセットオーナーは、運用目的に照らして、運用対象資産の分散、投資時期の分散や流動性等を考慮して、運用方法を選択し、運用資産の分別管理のほか、適切なリスク管理を実施すべきである。
          • その際、アセットオーナーの規模や運用資金の性格に照らして、必要があれば、VaR等の定量的なリスク指標も踏まえながら、ストレステスト等も活用して経済・金融環境の変化に備えることも考えられる。
          • 3-3. アセットオーナーは、運用委託先の選定に当たっては、運用目的・運用目標の達成に資する観点から判断すべきである。
          • その際、1つの金融機関等のみに運用を委託することは、効率性の観点から必ずしも否定されるものではないが、従来から委託している金融機関等であることや、選択している運用方法であるという理由のみで同じ金融機関等を選定し続けるべきでない。また、自らや資金拠出者等と、運用委託先及びそのグループ金融機関との取引関係がある場合、運用目的・運用目標に反していないか、適切に利益相反管理を行うべきである。
          • また、運用委託先への報酬を検討するに当たっては、運用委託先がもたらす付加価値に応じたものとすべきである。
          • 3-4. アセットオーナーは、運用委託先の選定に当たっては、過去の運用実績等だけでなく、投資対象の選定の考え方やリスク管理の手法等も含めて総合的に評価すべきである。
          • その際、知名度や規模のみによる判断をせず、運用責任者の能力や経験(従前の運用会社での経験等を含む)を踏まえ、検討を行うことが望ましい。例えば、新興運用業者を単に業歴が短いことのみをもって排除しないようにすることが重要である。
          • 3-5. アセットオーナーは、受益者等にとってより良い運用を目指すため、運用委託先・運用方法を定期的に評価し、自らの運用目的・運用目標・運用方針に照らして、必要に応じて見直すべきである。
      • 原則4. アセットオーナーは、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、運用状況についての情報提供(「見える化」)を行い、ステークホルダーとの対話に役立てるべきである。
        • 補充原則
          • 4-1. アセットオーナーは、その運用目的を踏まえ、自らの特性に応じて、情報提供すべきステークホルダーを検討した上で、運用目的に照らして適切な運用が実施されているかどうか等、説明責任を果たす上で必要な情報を適切な方法で提供すべきである。
          • その際、情報提供に伴う負担を考慮しつつ、ステークホルダーの理解に資する、分かりやすい内容となる工夫に努めるべきである。
          • 4-2. アセットオーナーは、自らと他アセットオーナーの比較がステークホルダーにとって運用目的を達成する判断材料となり得る場合においては、比較できる形での情報提供も検討すべきである。その際、運用実績等の数値のみで単純比較されることは望ましくなく、運用方針等を踏まえ、総合的に比較できるよう工夫することが望ましい。
      • 原則5. アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るに当たり、自ら又は運用委託先の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。
        • 補充原則
          • 5-1. アセットオーナーは、長期的に運用目標を実現させるため、自ら又は運用委託先による、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、投資先企業の企業価値の向上やその持続的成長を促すべきである(スチュワードシップ責任)。
          • スチュワードシップ責任を果たすに当たっては、自らの規模や能力等を踏まえつつ、日本版スチュワードシップ・コードの受入れ表明をした上でその趣旨に則った対応を行うことを検討すべきである。その際、複数のアセットオーナーが協働して運用委託先のスチュワードシップ活動に対するモニタリング(協働モニタリング)を行うことも選択肢として考えられる。
          • 5-2. アセットオーナーにおいては、ステークホルダーの考えや自らの運用目的に照らして必要な場合には、投資先企業の持続的成長に資するサステナビリティ投資を行うこと、例えば、金融機関等への委託に当たってサステナビリティに配慮した運用を行うことを求めることや、サステナビリティ投資方針を策定すること、PRI(責任投資原則)に署名することも考えられる。

~NEW~
首相官邸 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部(第8回)議事次第
▼ 資料4 食品ロス削減・食品寄附促進の取組について
  • 食品ロス削減に係る背景とこれまでの取組
    • 我が国では、2000年に「循環型社会形成推進基本法」及び「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」が制定され、食品ロス削減を推進してきたが、SDGsの国際目標の達成に向け、2019年に議員立法によって「食品ロスの削減の推進に関する法律」を制定。
    • 「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、2020年3月末に「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」を閣議決定。事業系食品ロス及び家庭系食品ロスそれぞれで、2000年度比で2030年度までの半減目標を設定。
    • 直近(2022年度)の食品ロス量は着実に減少。特に事業系食品ロスについては、半減目標(2030年度までに273万トン)を達成。家庭系食品ロスは半減目標(2030年度までに216万トン)まであと20万トン。
    • 2023年12月22日取りまとめの「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」や、2024年7月2日の食品ロス削減推進会議における総理指示(事業系食品ロスの「新たな目標」の議論、食品事業者及び自治体における取組状況の開示の強化、官民による「食品寄附促進のためのガイドライン」の作成、食品の期限表示のあり方の見直し、「『食の環』プロジェクト」の推進等)を踏まえ、
    • 年度末の基本方針の5年後見直しへ反映する。
  • 食品寄附等に関するガイドライン案(概要)
    • 食品寄附への社会的信頼を高め、食品寄附活動の促進に寄与するため、一定の管理責任を果たすことができる食品寄附関係者(寄附者、仲介者(フードバンク、フードパントリー等))を認定する仕組みなどにより特定するための食品寄附に関するガイドラインを官民協議会における議論を通じて作成する。
    • ガイドラインの記載項目
      • 総論部分
        • ガイドラインについて、目的、食品寄附の意義、対象範囲、用語の定義、寄附に関する手続きを含む関係者の役割と責務、関係法令の適用関係、保険の活用、データ・システム活用などの項目を想定
      • 各論部分
        • 主体ごとに、それぞれが整備すべき体制、ガバナンス、提供先・提供元の選定、契約上の留意点、衛生面等の管理、提供時の注意、トレーサビリティ、事故時の対応、情報管理・財務管理、国・自治体等による支援・連携、中長期的課題などの項目を想定
  • 「食の環(わ)」プロジェクトに向けた施策の全体像(概要)
    • 食品ロス削減
      • 排出削減の取組(公表・商慣習見直し・国民運動等)
      • 食品寄附の促進(期限表示、保険、DX)
      • フードバンク・こども食堂等を介した食品寄附への支援(食品寄附ガイドライン作り、フードバンク・こども食堂等の活動支援等)
      • 食べ残し持ち帰り促進(持ち帰りガイドライン作り)
    • (食品の)経済的アクセス
      • 食料提供に向けた体制づくり(地域の関係者が連携して取り組む協議会の設置等支援)
      • 食料提供に資する体制づくり(食料支援等を通じたつながり創出)
      • フードバンク・こども食堂等を介した食品寄附への支援(食品寄附ガイドライン作り、フードバンク・こども食堂等の活動支援等)
      • フードバンク・こども食堂等への食料提供(備蓄米無償交付等)
    • (食品の)物理的アクセス
      • 食料提供に向けた体制づくり(地域の関係者が連携して取り組む協議会の設置等支援)
      • 移動販売等の拠点となる施設整備
      • 店舗への交通手段の確保
      • 移動販売等で店舗を届ける
      • 商品を届ける(ラストワンマイル配送支援等)
      • 食品アクセスの状況や対策事例等

~NEW~
首相官邸 第1回 災害時における地下水等活用推進に向けた有識者会議 議事次第
▼ 令和6年能登半島地震の概要
  • 令和6年1月1日16時10分にマグニチュード7.6、深さ16kmの地震が発生し、石川県輪島市、志賀町で震度7を観測したほか、北海道から九州地方にかけて地震を観測
  • この地震により石川県能登地方に対して大津波警報を、山形県から兵庫県北部を中心に津波注意報を発表し、警戒を呼びかけ
  • 地震による建物の倒壊・損壊に加え、輪島市では市街地の火災による「複合災害」が発生
  • 石川県珠洲市、能登町及び志賀町の3市町、新潟県上越市では津波により約200ha浸水
  • 石川県、富山県、新潟県の広い範囲で、液状化による被害が発生
  • 道路、上下水道施設を中心に甚大な被害が発生
  • 耐震化未実施等により、浄水場や配水池、処理場に直結する管路など、上下水道システムの基幹施設が被災したことにより、広範囲での断水や下水管内の滞水が発生するとともに、復旧の長期化を生じさせた
  • 被災市町村からの要請に基づいて、全国からの給水車による給水活動が展開された
  • 国土交通省地方整備局の計22台の給水機能付き散水車により給水支援を実施
  • 水資源機構が珠洲市に設置した「可搬式浄水装置」2台により1月12日から飲料水供給拠点として供給
  • 石川県羽咋市では、能登半島地震発生翌日の1月2日に、防災情報「利用できる井戸水の案内について」のメール(羽咋市安全・安心メール)を市民に発信。1月23日現在、32箇所の井戸水を紹介。
  • 能登半島地震発災直後より、井戸(地下水)を代替水源として活用した七尾市を対象に、有識者が3月2日(土)に地下水活用状況調査を実施。
  • 断水が長期間に及ぶ中、市民や事業者が主体的に所有井戸を開放。
  • 地元専門学校や地域住民が主体となり、発災後に生活用水確保のため、井戸を新設した事例もあり。
  • 近年、災害が激甚化・頻発化する中で、大規模災害時における水源の確保は全国の地方公共団体に共通する喫緊の課題
  • 令和6年能登半島地震の経験を踏まえ、災害時の代替水源確保のための実効的な取り組みを推進する
  • 被災地での水利用調査結果
    • 水道が整備される以前に利用されていた井戸が複数点在しており、今回確認出来た既設井戸は、349箇所あり、うち発災後に活用された既設井戸は、25箇所(7%)であった
    • 自噴井戸や湧き水などを含めた水源全体で、476箇所あり、うち発災後に活用された水源は、88箇所(18%)であった
    • 活用された水源の約半数は湧水であり、その有効性が確認できた
    • また、七尾市では「自噴井戸」が自発的に開放された事例が多く見受けられた
    • 一方、発災後に整備された新設井戸が期待した水量が得られず、活用に至らなかった事例も見られた
    • 今回全ての水源を確認できた訳ではないが、各市町において災害時に活用し得る水源が多く分布していることを確認できた

~NEW~
内閣府 第4回公益通報者保護制度検討会(2024年9月2日)
▼ <資料1>中間論点整理(案)
  • 制度見直しの必要性
    • 事業者内で重大な法令違反を目撃した場合、労働者等が公益通報を躊躇又は断念する主な要因は、
      • 誰に相談・通報したら良いのか分からないこと
      • 上司や同僚などに公益通報者の身元が特定され、不利益取扱いを受ける懸念があること
      • 公益通報をしても、利益相反のない独立した立場で適切な調査が実施されない懸念があること
        であり、令和5年度の消費者庁の各種実態調査結果からもこのことが裏付けられている。
    • このため、令和2年改正では、事業者に対して、従事者を定める義務(以下、従事者を定めることを「従事者指定」といい、従事者を定める義務を「従事者指定義務」という。)の他、体制整備義務を課すとともに、従事者には公益通報者を特定させる事項に関する守秘義務が課された。
    • 従事者指定義務及び従事者の守秘義務により、事業者内で利益相反になりにくい体制が確保され、不正を相談・通報する先が明確化・集約されることで、労働者が安心して公益通報をすることができるようになること、また、従事者の専門性が向上し、公益通報が適切に対処され、国民の生命、身体、財産等の被害の未然防止・拡大防止のための事業者の自浄機能の発揮につながることが期待された。
    • 令和2年改正については、令和5年度の消費者庁の民間事業者に対する実態調査から、以下のような効果が認められる。
      • 平成28年度に消費者庁が実施した実態調査結果と比較して、事業者における内部通報制度の導入が進み、従業員数300人超の事業者の導入率は82.0%から91.5%、従業員数300人以下の事業者の導入率は26.3%から46.9%に上昇している。
      • 従業員数3,000人超の事業者における内部通報制度の活用が進み、その半数超が内部通報窓口の年間受付件数が30件超に上る等、平成28年度よりも増加している。
      • 事業者において、内部通報の役割が一層認識されるようになり、内部通報制度を「導入している」と回答した事業者のうち、「不正発見の端緒」として、「(窓口や管理職等への)内部通報」を選択した割合は、76.8%と最多で、「内部監査」や「上司による業務チェック」を上回っており、この割合は平成28年度と比べて18%ポイント上昇している。
      • 事業者における公益通報者保護制度の認知度が向上しており、平成28年度は、従業員数300人超の事業者の法及び事業者向けガイドラインの認知率が63.6%だったが、令和5年度は、従業員数300人超の非上場事業者に限定されるが、法の指針が求める義務について、91.3%が「知っている」と回答している
    • 一方で、以下のような事象や実態調査結果から、事業者の体制整備の不徹底や運用上の課題も認められる。
      • 内部通報制度が十分に機能せず、外部通報によって、国民生活の安全・安心を脅かすような不祥事が発覚しており、その中には、事業者が従事者指定義務や体制整備義務を一切履行せず、重大な不正について内部で指摘があったものの、特段の対処をしなかった事案があった。
      • 民間事業者に対する実態調査で、非上場の義務対象事業者の1割超(10.7%)は「(従事者指定の)義務を知っているが、担当者を指名していない」と回答し、その理由について、その約半数が「上司などに情報が共有されており、特段不都合もないため」を選択している。従事者指定義務の認知度は9割を超えている(92.3%)ものの、一部の事業者においては、従事者を指定しなくても、部下から情報が共有されると考え、義務が履行されない状況にある。
      • 直近5年以内に企業から公表された不祥事に関する第三者委員会等の報告書で内部通報制度についての指摘があった企業では、「内部通報窓口の通報件数が殆どない」、「従業員の多くが内部通報窓口の存在について知らない」といった課題があった5。民間事業者に対する実態調査で内部通報制度を「導入している」と回答した事業者においても、全体として、内部通報窓口の利用は限定的である。従業員数3,000人超の事業者であっても、内部通報窓口の年間受付件数が「0件」、「1-5件」又は「把握していない」と回答した事業者は、全体の12.3%を占めている。
    • このような状況を踏まえ、更なる法改正を通じて、事業者の体制整備の徹底や実効性向上を図るとともに、公益通報に対する国民の不安を払拭することを支持する意見が多かった。
    • なお、制度の見直しを検討するにあたっては、従業員数3,000人超など、大規模な事業者では、既に内部通報窓口が大いに活用されており、通報窓口のリソースを踏まえ、企業にとって本当に対応が必要な通報が見過ごされないように留意する必要があるとの意見もあった。
    • また、ガバナンスや人権尊重の観点から、日本企業の内部通報制度の実効性に対する国外の関心は高く、ESG評価機関や海外投資家、取引先等からの要請に応え、内部通報の年間受付件数を公表している事業者も多い。本年5月には、「国連ビジネスと人権の作業部会(The UN Working Group on Business and Human Rights)」(以下「ビジネスと人権作業部会」という。)から、通報に対する報復に罰則がないことなど、公益通報者保護制度の課題について、改正法附則第5条(検討)に基づく法の見直しで改善するよう勧告を受けている。
    • さらに、近年、諸外国では公益通報者保護の強化が進んでおり、EU通報者保護指令(以下「EU指令」という。)や2019年のG20大阪サミットで承認された「効果的な公益通報者保護のためのハイレベル原則」(以下「G20ハイレベル原則」という。)にあるような国際的潮流と比べて、日本における公益通報者の保護は強化されているとは言えない状況にある。
    • 以上を踏まえ、日本の企業が海外進出や投資などで悪影響を受けないよう、法改正によって、ガバナンスや人権尊重に対する国際的な要請に応えていく必要があるとの意見が多かった。
  • 個別論点
    1. 事業者における体制整備の徹底と実効性の向上
      • 従事者指定義務の違反事業者への対応
        • 公益通報者を特定させる事項を伝達される者についての従事者指定義務は、事業者の体制整備の中核的役割を果たす特に重要なものであるとして、法定指針ではなく、法律に明記されている。しかしながら、
          • 民間事業者に対する実態調査において、非上場の義務対象事業者のうち、「(従事者指定の)義務を知っているが、担当者を指名していない」と回答した事業者が回答者全体の1割超を占めていること
          • 従事者の守秘義務違反には刑事罰が規定されている一方、事業者の従事者指定義務違反には、特段の罰則が規定されていないこと
        • を踏まえ、従事者指定義務の履行徹底に向けて、行政措置権限の強化を支持する意見が多かった。具体的には、現行法の報告徴収、指導・助言、勧告、勧告に従わない場合の公表に加え、勧告に従わない場合の命令権や立入検査権を規定し、是正すべき旨の命令を行っても違反が是正されない場合には、刑事罰を科すべきとの提案があった。
        • また、命令を行っても違反状態が解消しない事業者に対し、罰則を規定することの副次的な効果として、従事者指定義務違反の事実が、公益通報者保護法の通報対象事実となることにより、消費者庁の法執行の実効性向上が期待できるとの意見もあった。
        • 加えて、事業者に対する罰則規定を設けることで不祥事の発生や不利益取扱いを防止するのみならず、自浄機能を高める努力を行っている事業者の自主的な取組みを後押しする、あるいは、自浄機能が十分ではない事業者の体制整備を支援する発想が必要であるとの意見もあった。
      • 体制整備の実効性向上のための対応
        • 内部通報制度の実効性向上には、内部通報制度が従業員に認知され、信頼されることが必要不可欠である。事業者の労働者等及び役員・退職者に対する法及び体制の教育・周知については、体制整備義務の一部として、法定指針に規定されているが、民間事業者に対する実態調査において、通報を理由とする不利益取扱いの禁止について、「特段周知していない」と回答した事業者が、非上場の義務対象事業者の1割超(13.7%)を占めている。また、就労者に対するアンケート調査では、従業員数300人超の事業者に勤める就労者のうち、内部通報制度を理解している割合や内部通報窓口を認知している割合は全体の半数に届いておらず、内部通報制度や体制についての周知は必ずしも徹底されていない。
        • 直近5年以内に公表された企業不祥事に関する第三者委員会等の報告書で内部通報制度について指摘があった企業においても、内部通報窓口の存在について、多くの従業員が知らないと回答した事例や主としてハラスメント関連の窓口と認識されていた事例があり、事業者による周知の不徹底が、内部通報制度が機能しない一因になっている。
        • 加えて、内部通報制度の理解度が低い就労者は、相対的に高い割合で、SNSやインターネット上のウェブサイトを「最も通報しやすい先」として認識しており、SNSへの行き過ぎた投稿や内部告発により、事業者のレピュテーションが必要以上に損なわれる事態に発展する等、公益通報者保護法の通報先に応じた保護要件が労働者等に正しく理解されていない状況がある。
        • 一方、内部通報制度の理解度が高い就労者は、その多くが勤務先における研修や周知が理解のきっかけと回答しており、重大な法令違反目撃時の通報意欲が高く、実際に通報した経験も相対的に多い。このため、事業者による周知の徹底により、就労者の理解度が向上し、保護要件を満たす形で適切な公益通報が促されるという効果が期待できる。
        • 以上を踏まえ、内部通報制度の実効性向上と適切な形での公益通報の促進に向けて、通報先に応じた保護要件や公益通報を理由とする不利益取扱いの禁止、事業者の体制整備義務や従事者の守秘義務等、事業者による法令の概要の周知を法律上の義務として規定し、徹底させることを支持する意見が多かった。
        • 加えて、その他の意見として、EU指令に倣い、内部通報のフォローアップ手続を設け、通報者に適切な対応がとられていることを示し、その心理的な安全性を確保することも実効性向上の観点から重要との意見もあった。
      • 体制整備義務の対象となる事業者の範囲拡大
        • 令和5年度の消費者庁の実態調査から、従業員数300人以下の事業者(1,488者)のうち、内部通報制度を導入していない事業者(790者)の半数近く(386者)が、その理由について、「努力義務にとどまるから」と回答している。こうした状況を踏まえ、体制整備義務の対象となる事業者の範囲を、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者にも拡大すべきとの意見があった。
        • 具体的に、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)では、常時雇用する労働者の数が101人以上の事業主は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することが義務付けられており、これに倣い、体制整備義務の対象を、常時使用する労働者の数が100人超300人以下の事業者にも広げることが考えられるとの提案があった。
        • 一方、中小規模事業者における公益通報の件数は少ないことから、公益通報対応のノウハウを蓄積することは難しく、特に小規模事業者の場合には、守秘義務を遵守しても、意図せず公益通報者の身元が明らかになる可能性があり、実効的な体制整備を求めることは現実的ではないとの意見や内部通報窓口の導入支援を行う民間サービス等も少なく、中小規模事業者の対応のハードルが高いとの意見もあった。
        • また、中小規模事業者の内部通報窓口の設置負担に鑑み、例えば、弁護士会などが主体となった通報窓口プラットフォームを整備することを検討してはどうかとの意見があった。
    2. 公益通報を阻害する要因への対処
      • 公益通報者を探索する行為の禁止
        • 通報者探索の防止については、体制整備義務の一部として、法定指針に規定されているが、公益通報がなされた後、事業者内で公益通報者を特定することを目的とした調査などが行われることは、公益通報者自身が脅威に感じることはもちろん、公益通報を検討している他の労働者を萎縮させるなどの悪影響があり、法律上、通報者探索を禁止する明文規定を設けるべきとの意見があった。
        • また、法律上明記するだけではなく、通報者を探索する行為に対し、行政措置又は刑事罰を規定すべきとの意見もあった。
      • 公益通報を妨害する行為の禁止
        • 労働者に公益通報しないことを約束させるなど、公益通報を妨害する行為は、本法の趣旨に大きく反する行為であり、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国などにおいて、法律上、禁止されている他、通報を妨害する合意等を無効とする規定がある。日本においても、こうした行為を禁止する明文規定を設けるとともに、違反時の行政措置又は刑事罰を規定すべきとの意見があった。
      • 公益通報のために必要な資料収集・持ち出し行為の免責
        • 証拠となる資料がなければ、通報先に対して、公益通報者が見聞きした不正行為の存在を証明することができないが、公益通報のために必要な資料収集・持ち出し行為が事業者による解雇や懲戒等の対象となるのかどうかが明確ではなく、公益通報を躊躇する要因になっている。このため、公益通報のために必要で社会的相当性を逸脱しない限り、資料収集・持ち出し行為が免責されるよう規定を設けるべきとの意見があった。
        • この点について、EU指令第21条(報復からの保護措置)では、「通報のための証拠となる情報の取得又はアクセスは、それ自体が犯罪となる場合を除いて免責される」と規定されている他、G20ハイレベル原則の原則9においても、「公益通報者が、通報行為に関連して責任を問われることがないよう確保する」と記載されており、これらに照らして、日本の公益通報者保護は十分ではないとの意見もあった。
        • 加えて、公益通報に伴う資料収集・持ち出し行為について、刑事責任を問われる可能性があれば、安心して公益通報ができないため、民事免責のみならず、刑事免責についても具体的要件を検討して法定する必要があるとの意見もあった。具体的検討にあたっては、窃盗罪、横領罪、背任罪及び不正競争防止法上の営業秘密侵害罪等に該当する可能性も踏まえ、各犯罪の構成要件との関係を整理する必要があるとの提案があった。
      • 公益通報の刑事免責
        • 現行法では、通報行為の民事免責は規定されているものの、刑事免責が規定されておらず、公益通報を行ったことについて、あらゆる責任が免除されるのか予測可能性に欠けている。このため、刑事免責の明文化を検討してはどうかとの意見があった。
        • 具体的には、関係する刑罰として、刑法の秘密漏示罪、名誉毀損罪、信用毀損罪の他、特別法の守秘義務違反時の罰則等があり、これらの構成要件との関係を整理する必要があるとの提案があった。
      • 濫用的通報者への対応
        • 日本の大企業の内部通報窓口には、公益通報には該当しない通報が多数なされており、従事者の負担が非常に大きく、重要な内部通報が見逃されないようにする必要があること、また、EU指令第23条には、通報者が故意に虚偽の通報を行った際の罰則が規定されていることを踏まえ、濫用的通報や虚偽通報に対し、罰則を設けるべきとの意見があった。
        • 上記意見について、悪性の強さが明らかで、公益通報者保護制度を害するような行為を明確に処罰対象とすることは、制度の健全性を保つ上でメリットになる一方、新設した罰則の存在自体によって、公益通報をしようとする労働者が萎縮するというデメリットが生じるということもあり得、メリットとデメリットの両方について今後更に検討する必要があるとの提案があった。また、刑法には、虚偽告訴罪、名誉毀損罪及び偽計業務妨害罪があることから、これらの犯罪規定との関係を整理する必要があるとの提案もあった。
    3. 公益通報を理由とする不利益取扱い(報復)の抑止・救済
      1. 不利益取扱いの抑止
        • (ア)不利益取扱いに対する罰則と対象となる不利益取扱いの範囲
          • 平成18年4月の公益通報者保護法施行後、通報者が公益通報をしたことを理由に不利益取扱いを受けた事案が多数生じており、現行の民事ルールだけでは、不利益取扱いに対する抑止の効果が不十分であるとの指摘がなされてきた。以下の理由から、公益通報を理由とする不利益取扱いに対する刑事罰が必要との意見が多かった。
            • 従事者の守秘義務違反に対して刑事罰がある一方、公益通報を理由とする不利益取扱いを行った事業者及び個人には罰則がないことは不均衡であり、法益侵害の視点からの整合性がとれない。
            • 事業者内に内部通報制度が存在していても、通報後の不利益取扱いのおそれが十分に払拭されていないため、不正を発見しても内部通報に踏み切れない状況がある。
            • EU指令を含め、諸外国においては法で保護される通報を理由とする不利益取扱いに罰則を設けている国が多い。
            • 日本議長国下のサミットで承認されたG20ハイレベル原則の原則8で、「報復行為を行った者に対し、効果的で、相応かつ抑止力のある制裁を科す」ことが求められており、G20ハイレベル原則を取りまとめた日本においても、この原則を実施する必要がある。
            • 「ビジネスと人権作業部会」から、公益通報者保護法の見直しの検討において、公益通報者に報復した事業者に罰則を導入するよう勧告を受けており、人権尊重の観点からも国際的な要請に応える必要がある。
          • 一方、留意すべき事項として、以下の意見があった。
            • 配置転換については、公益通報との因果関係を客観的に判断できず、刑事罰の導入によって企業の人事・労務管理に支障を来すおそれがあるため、守秘義務違反の場合と同列に扱うべきではない。
            • 人権保護の重要性に国による違いはなくとも、各国の雇用形態には違いがあり、それを意識した制度設計が必要。特に解雇は万国共通だが、配置転換は異なり、罰則を検討するにあたっては、分けて検討する必要がある。
            • 公益通報の基本的価値を毀損するような悪質な行為を取り上げ、事業活動を不当に萎縮させない要件を規定する必要があり、例えば、現行法の要件のうち、「不正の目的」の内容を明らかにできるかを議論すべき。
        • (イ)間接罰か、直罰かについて
          • 行為の悪質性に鑑み、不利益取扱いに対する直罰を想定した意見が多かった一方、不利益取扱いを行った自然人及び法人の予測可能性を確保するため、直罰方式ではなく、行政による是正命令に違反するような場合にのみ、行政罰又は刑事罰が適用されるように措置すべきとの意見があった。
      2. 不利益取扱いからの救済
        • (ア)公益通報者の立証責任緩和と対象となる不利益取扱いの範囲
          • 通報者が解雇その他の不利益取扱いを受けた場合、公益通報者保護法で保護されるには、当該解雇その他の不利益取扱いが通報を理由とすることの立証を通報者が行わなければならない。しかしながら、情報や証拠資料が事業者側に偏在していることなどから、その立証が困難な場合もあり、通報者にとって大きな負担となっているとの指摘がある。以下の理由から、不利益取扱いが公益通報を理由とすることの立証責任を事業者に転換し、公益通報者の立証責任を緩和すべきとの意見が多かった。
            • 公益通報の受益者は企業の他、市民や社会である一方、日本においては、公益通報に伴うコストやリスクは公益通報者である個人だけが負っている構図となってバランスを欠いており、公益通報を躊躇する一因になっている。
            • EU諸国やアメリカ、韓国等では、法律上、保護要件を満たす通報者の立証責任を緩和しており、G20ハイレベル原則の原則7でも、解雇の場合も含め、立証責任を比例した方法で分配するメカニズムの導入の検討が求められているが、日本だけが導入していない。
            • 労働者・企業間の情報量の格差や実務上、企業側に立証責任がある労働契約法(平成19年法律第128号)上の解雇権濫用法理との平仄の観点から、解雇が公益通報をしたことを理由としてなされたことの立証責任は事業者に転換されるべき。
          • 一方、立証責任の緩和に慎重な意見として、以下があった。
            • 解雇については、一般の労働紛争において、公益通報を行った労働者も含め、労働者側の立証負担が一定程度軽減されている。このため、公益通報者保護法で新たに立証責任を緩和する規定を設ける必要があるかについては慎重に検討する必要がある。
            • 解雇権濫用と公益通報を理由とする解雇で、どちらで提訴・認定されるかには様々な判断があり、公益通報者が地位回復を目指す場合には、両者の効果には違いがない。
            • 人事上の取扱いに不満をもつ労働者の濫用的通報が懸念され、特に配置転換は経営活動の中で頻繁に行われるものであり、立証責任の転換によって、事業者の経営判断や人事・労務管理が制約されるおそれがある。
          • 上記意見に対して、以下の反論があった。
            • 解雇権濫用法理があるから公益通報者保護法上の立証責任の緩和は不要とすると、公益通報者保護法の存在意義が問題となる。解雇について、労働契約法上の解雇権濫用における評価根拠事実・評価障害事実と、公益通報者保護法上の公益通報を理由とした不利益取扱いであるという因果関係の評価根拠事実・評価障害事実は、必ずしも重ならない部分もあるために、解雇についても公益通報者保護法に立証責任緩和の規定を設けることには意味がある。
            • 通報者にとって不利益取扱いを受けたことの精神的苦痛は大きく、公益通報者保護法上の立証責任の緩和によって、労働契約法上の解雇権濫用法理の適用では通常、認められない慰謝料が認められやすくなるという導入効果は重要。
            • 制度が悪用されるおそれがあるとの意見について、現行法は「不正な目的」がある場合は公益通報ではないとして、保護しない制度になっており、この目的要件が悪意ある濫用的通報者への一定の歯止めとなる。
            • 公益通報を躊躇させないという法の趣旨を貫徹させるには、解雇のみならず、配置転換も含めた不利益取扱いについて、立証責任の緩和が必要。
            • 無用な争いを避けるために通報者に対する措置を一時凍結するなど、人事・労務管理上の支障を生じるとの懸念があるが、正当な理由があれば解雇や懲戒、配置転換は可能であり、当該労働者が公益通報を行ったことによって妨げられるものではない。このような制度の仕組みが、あらかじめ労働者・事業者の双方で明確になっていることで、無用な争いは少なくすることができる。
            • 事業者は人事プロセスを客観化する必要があり、事業者の窓口負担が重く、制度を悪用する通報者がいるというだけでは、公益通報を理由とする立証責任の転換に反対する理由にはならない。
            • 加えて、立証責任を緩和する場合の具体的な規定振りについて、因果関係の不存在の立証は事業者であっても困難な場合があるため、正当な理由の存在を証明させるEU指令のモデルは一案であるとの提案があった。
        • (イ)その他
          • 訴訟を起こすことの経済的・心理的負担は大きく、公益通報を理由とする不利益取扱いであることの立証負担も大きいことを踏まえ、不利益取扱いを受けた公益通報者が救済される手段として、訴訟以外の救済手段の整備を求める意見があった。
          • 具体的には、行政当局が関与し、生成AIを活用した公益通報該当性の判断の効率化等を通じて、公益通報者の支援を行うことや、ADRによる仲介あっせんを通じた早期救済の仕組みづくりを求める意見があった。
          • また、公益通報を理由とする不利益取扱いであると裁判上認定された場合の損害賠償額増額の仕組みづくりを求める意見もあった。
      3. 不利益取扱いの範囲の明確化
        • 不利益取扱いの具体例として、現行法上、解雇、降格、減給、退職金の不支給が明記されているが、配置転換についても明記すべきという意見があった。
    4. その他の論点
      • 通報主体や保護される者の範囲拡大
        • 退職者
          • 令和2年改正で、退職後1年以内の労働者と役員が、保護される通報主体に追加された。退職後1年以内の者と1年超の者を区別する合理的な理由はなく、海外法制も参考に、退職後の期間制限を撤廃すべきとの意見があった。
        • 取引先事業者・フリーランス
          • 働き方の多様化が進展し、従業員のいない個人事業者や一人社長など、いわゆるフリーランスという働き方が増えている。大部分のフリーランスにおいては特定の取引先と継続的な関係を持ちつつ、経済的に依存する傾向に陥りやすい。特にフリーランスとしての事業が主たる生計の手段である場合、発注事業者から指示を受け、役務を提供し、収入を依存する点で、その実質は、使用者と労働者との関係に類似するものとなっている。このため、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)の制定により、フリーランスの保護が強化された。
          • 公益通報との関係においても、フリーランスは労働者と同様、事業に関連した不正を知り得る立場にあるが、労働者に準じる弱い立場にあることが多く、公益通報を理由とする契約の解除や取引の削減等の不利益取扱いを受ける懸念があること、また、EU指令第4条やオーストラリア会社法1317AAA条において、法文上又は解釈上、保護される通報者にフリーランスが含まれていることを踏まえ、日本においても、保護される通報者の範囲にフリーランスを含めるべきとの意見があった。
          • さらに、下請事業者についても、元請事業者との関係で弱い立場に置かれているから、保護される通報者の範囲に含めるべきとの意見もあった。
        • その他
          • 上記の他、複数人が共同して公益通報が行われるなど、複数の共同通報者によって通報要件を満たす場合も全員が保護の対象となるよう、例えば公益通報者保護法第8条(解釈規定)や法定指針で明文化することが必要であるとの意見があった。
      • 通報対象事実の範囲の見直し
        • 通報対象事実については、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護を直接的な目的とする法律の刑事罰・過料の対象行為や違反状態が最終的にこれらの罰則につながる行為に限定されており、対象法律の規定方式は、別表及び政令で指定するポジティブリスト方式をとっている。
        • 様々な法律の規定において、その保護法益や目的は多種多様な場合があり、別表や政令に列挙されていない法律の規定ではあるものの、国民の利益擁護の観点から重要な規定は存在しており、法律の限定列挙によって労働者の保護が左右されることに不合理な面があるとして、現在のポジティブリスト方式を改め、除外すべき法律があれば、これを列挙するネガティブリスト方式を採用すべきとの意見があった。
        • また、公益の観点から、犯罪行為や過料の対象として規定された違反行為の事実がそれ以外の法令違反の事実より常に重要であるとは言いがたく、刑事罰や過料による限定を外すべきとの意見もあった。
      • 行政機関に対する公益通報(2号通報)の保護要件の緩和
        • 行政機関に対して書面でする公益通報の保護要件について、氏名に代えてメールアドレス等の継続的に連絡が取り合える連絡先を記載した場合や、弁護士である代理人を選任した場合も同様に保護対象とすべきとの意見があった。

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内閣府 月例経済報告
▼ 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年8月)
  • 日本経済の基調判断
    • 現状 【上方修正】
      • 景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。
      • (先月の判断) 景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」等に基づき、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や官民連携投資による社会課題解決と生産性向上に取り組む。
    • 「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及びその裏付けとなる令和5年度補正予算並びに令和6年度予算を迅速かつ着実に執行する。また、足元の物価動向の中、年金生活世帯や中小企業にとっては厳しい状況が続いており、まずは、早急に着手可能で即効性のある対策を講じるなど、二段構えでの対応を行っていく。
    • 「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
    • 日本銀行は、7月31日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.25%程度で推移するよう促すこととともに、長期国債買入れの減額計画を決定した。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
    • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
    • こうした取組により、デフレからの完全脱却、成長型の新たな経済ステージへの移行を実現していく。
  • GDPの動向
    • 我が国の名目GDPは、1973年度に初めて100兆円を超えて以降、約5年毎に約100兆円ずつ増加し、1992年度に500兆円を超えたが、その後約30年の間、500兆円台で推移。2024年4-6月期に年率換算で史上初めて600兆円を超えた。
    • 4-6月期の実質GDPは前期比+0.8%(年率+3.1%)と、2四半期ぶりのプラス成長。消費や投資をはじめ内需が押上げに寄与。個人消費は、物価上昇の下でも増加し、5四半期ぶりに実質でもプラス。
  • 設備投資の動向
    • 民間企業の設備投資は、2023年1-3月期に名目で年率換算100兆円を超え、2024年4-6月期には106.3兆円と、1991年(104.9兆円)以来33年ぶりに過去最高を更新。実質でも持ち直しの動きが続く。
    • 設備投資の約2割を占める研究開発投資は、24年度計画が+8.7%と、引き続き高い意欲。一方、日本企業の研究開発投資は、米英と比較して製造業に偏っており、情報通信や専門・科学技術サービスなど非製造業で投資拡大の余地。
    • 研究開発は将来の成長の源泉。日本の15歳時点での数学的・科学的リテラシーは男女ともにOECD加盟国中1位であり、研究開発のポテンシャルは高い。能力の高い人材が存分に力を発揮するための教育や組織マネジメントが重要。
  • 賃金の動向
    • フルタイム労働者の現金給与総額(名目)は、2024年上半期は前年比2.7%と27年ぶりの高い伸び率。実質賃金では、パート時給は前年比プラスが継続、フルタイム労働者も、春闘賃上げが反映され始めていることに加え、夏のボーナスが堅調であったことから、6月は前年比でプラスに。振れの大きい特別給与(ボーナス等)を除く定期給与でも着実に持ち直し。
    • こうした結果、実質総雇用者所得は約3年ぶりに前年比プラスに転じた。
    • 特別給与(ボーナス等)の伸びを事業所規模別にみると、今年は中小規模の事業所の伸びが寄与。
    • 産業別の所定内給与の伸びをみると、人手不足感の強い建設、運輸等で高い伸びが続くとともに、6月の診療報酬改定等に伴い、医療・福祉の賃金も伸び始めている。
  • 個人消費の動向
    • 2024年4-6月期の個人消費は、実質GDP成長率を0.5%pt押上げ。1-3月期に消費を大きく押し下げた自動車出荷停止事案の反動により耐久財が増加したことに加え、半耐久財・非耐久財が共にプラスに寄与。サービスは増加傾向の中で横ばい。特殊要因の大きい耐久財を除くと、1-3月期、4-6月期ともにプラスの伸び。
    • 家計の可処分所得は、賃上げの反映や夏のボーナスによる実収入の増加に加え、定額減税の効果もあり、名目・実質ともに大きく増加。超過貯蓄の取り崩しはアメリカと比べ限定的。今後の消費の下支えに期待。
    • 4月以降の高気温の影響もあって、家電販売ではエアコンの売上が好調、オリ・パラ需要もありテレビの売上も増加し、全体として持ち直しの動き。夏物衣料品の売上も堅調。大手アパレルチェーンは客単価・客数ともに増加傾向。
    • 今年の夏は、全国的に平年を大きく上回る気温を観測。猛暑日を記録した地点数は、過去5年で突出した多さだった昨年を上回る傾向。猛暑の影響について、景気ウォッチャーによると、(1)エアコンや日傘、アイスクリーム等の季節商材の消費が増加する一方、(2)テーマパークやレストラン等で、外出控えにより客足が遠のくなど、プラス・マイナス両面あり。
    • 報道等によると、8月8日の南海トラフ地震臨時情報発表後、太平洋側を中心にイベント中止、旅館等の宿泊キャンセル等の影響。一方、POSデータでみると、水や非常食といった防災関連財の売上高は急増。
  • 物価の動向
    • 消費者物価上昇率は、昨年11月以降、引き続き2%台で推移。8月以降「酷暑乗り切り緊急支援」による電気・ガス料金補助が開始され、9月から11月にかけて、消費者物価上昇率の押下げに寄与する見込み。
    • 輸入物価は、契約通貨ベースでは23年夏ごろから横ばいの一方、円ベースでは円安の進行により緩やかに上昇してきたが、足下で円安が是正されたこともあり、下落方向に向かうと見込まれる。
    • 購入頻度の高い品目の価格は、全体平均より高い上昇率。主食品では、米の価格は2023年末以降上昇し、7月は前年同月比+17%と上昇。新米流通による供給量増加を今後見込むが、食料支出割合の高い低所得層等への影響は注視。
  • アメリカ経済の動向
    • アメリカは個人消費を中心に景気は拡大。設備投資は、半導体法等に加えAI需要により情報通信機器が増加。
    • 消費者物価上昇率は2%台に低下。ただし、食料品等の身近な財・サービスの価格は、コロナ禍前と比較して高い状況。雇用者数は増勢が鈍化。特に、ヘルスケア等を除く民間部門の増加幅は縮小。局面が変化しつつある。
    • 長期的な予想物価上昇率の安定が、雇用の大幅減少なき物価上昇率の低下につながってきた可能性。物価と賃金のノルムの定着が、安定的なマクロ経済環境の維持のためにも重要であることが示唆されている。
    • いわゆるラストベルトと呼ばれる州では、製造業従事者比率が高い。ラストベルトの製造業の労働生産性は、全米平均と比較して伸びが低い傾向。
    • 世帯所得中央値は、20世紀には全米平均を上回っていたが、現在は下回っている。
    • ラストベルトでは、大卒未満の白人の人口割合、高齢化率が高い。
  • 欧州経済
    • ユーロ圏経済及び英国経済は、実質GDP成長率が2024年4-6月期もプラスになり、景気は持ち直しの動き。
    • 消費者物価上昇率の低下を受け、ECBは6月に、BOEは8月に利下げ。
  • 宮崎県等の経済と地震の影響について
    • 宮崎県の人口は約104万人、県内総生産約3.6兆円(日本全体に占めるシェアは約0.6%)
    • 日向灘を震源とする地震(8月8日)により、宮崎県、鹿児島県の一部工場の生産活動に影響はあったものの、大きな被害はなく、再開済。
    • 工業
      • 宮崎県の工業は、食料品23%、電子部品・デバイス・電子回路11%、化学11%、飲料・たばこ・飼料11%、ゴム6%で、全体の約6割を占める。(1)食料品では鶏肉加工、(2)電子部品・デバイス・電子回路では半導体前工程、シリコンウエハ、(3)化学、(4)飲料では焼酎、(5)ゴムでは四輪車タイヤ等。
    • 農林水産業
      • 農業産出額は3,505億円〔全国第6位〕。うち、畜産が2,349億円〔3位〕(うち肉用牛826億円〔3位〕、豚520億円〔3位〕、鶏905億円〔2位〕)で、農業産出額の67%を占めている。農産物の生産量は、きゅうり、キンカン、ヒュウガナツが全国第1位、ピーマン、にがうり、ズッキーニ、マンゴーが2位。
      • 海面漁業・養殖業産出額は312億円〔全国第14位〕。水産物の生産量は、海面漁業でまぐろ類で第4位、海面養殖業でぶりが4位、内水面養殖でうなぎが3位。

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消費者庁 機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の 製造又は加工の基準の制定及び食品表示基準について
▼ 概要
  • 食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するため、食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合して食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設。(現行、任意制度となっている栄養表示についても、義務化が可能な枠組みとする)
    • 整合性の取れた表示基準の制定
    • 消費者、事業者双方にとって分かりやすい表示
    • 消費者の日々の栄養・食生活管理による健康増進に寄与
    • 効果的・効率的な法執行
  • 目的
    • 消費者基本法の基本理念を踏まえて、表示義務付けの目的を統一・拡大
      • 新制度
        • 食品を摂取する際の安全性
        • 一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保
      • 基本理念(3条)
        • 食品表示の適正確保のための施策は、消費者基本法に基づく消費者政策の一環として、消費者の権利(安全確保、選択の機会確保、必要な情報の提供)の尊重と消費者の自立の支援を基本
        • 食品の生産の現況等を踏まえ、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響等に配慮
  • 食品表示基準(4条)
    • 内閣総理大臣は、食品を安全に摂取し、自主的かつ合理的に選択するため、食品表示基準を策定
      • 名称、アレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、 原産地その他食品関連事業者等が表示すべき事項
      • 前号に掲げる事項を表示する際に食品関連事業者等が遵守すべき事項
    • 食品表示基準の策定・変更~厚生労働大臣・農林水産大臣・財務大臣に協議/消費者委員会の意見聴取
  • 食品表示基準の遵守(5条)
    • 食品関連事業者等は、食品表示基準に従い、食品の表示をする義務
  • 指示等(6条・7条)
    • 内閣総理大臣(食品全般)、農林水産大臣(酒類以外の食品)、財務大臣(酒類)~食品表示基準に違反した食品関連事業者に対し、表示事項を表示し、遵守事項を遵守すべき旨を指示
    • 内閣総理大臣~指示を受けた者が、正当な理由なく指示に従わなかったときは、命令
    • 内閣総理大臣~緊急の必要があるとき、食品の回収等や業務停止を命令
    • 指示・命令時には、その旨を公表
  • 立入検査等(8条~10条)
    • 違反調査のため必要がある場合~立入検査、報告徴収、書類等の提出命令、質問、収去
  • 内閣総理大臣等に対する申出等(11条・12条)
    • 何人も、食品の表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるとき~内閣総理大臣等に申出可
      • 内閣総理大臣等は、必要な調査を行い、申出の内容が事実であれば、適切な措置
    • 著しく事実に相違する表示行為・おそれへの差止請求権(適格消費者団体~特定商取引法、景品表示法と同様の規定)
  • 権限の委任(15条)
    • 内閣総理大臣の権限の一部を消費者庁長官に委任
    • 内閣総理大臣・消費者庁長官の権限の一部を都道府県知事・保健所設置市等に委任(政令)
  • 罰則(17条~23条)
    • 食品表示基準違反(安全性に関する表示、原産地・原料原産地表示の違反)、命令違反等について罰則を規定
  • 附則
    • 施行期日~公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行
    • 施行から3年後に見直す旨規定を設けるほか、所要の規定を整備
  • (参考)表示基準(府令レベル)の取扱い
    • 表示基準の整理・統合は、府令レベルで別途実施(法律の一元化による表示義務の範囲の変更はない。)
    • 今後の検討課題
      • 中食・外食(アレルギー表示)、インターネット販売の取扱い~当面、実態調査等を実施
      • 遺伝子組換え表示、添加物表示の取扱い~当面、国内外の表示ルールの調査等を実施
      • 加工食品の原料原産地表示の取扱い~当面、現行制度の下での拡充を図りつつ、表示ルールの調査等を実施
      • 上記課題のうち、準備が整ったものから、順次、新たな検討の場で検討を開始
    • 食品表示の文字のポイント数の拡大の検討 等

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消費者庁 人気ブランドのヘルスケア又はオーディオ家電等を販売すると称する 偽サイトに関する注意喚起
  • SNSを見ていると、「オムロン」又は「アンビー」のブランドロゴを使用したヘルスケア又はオーディオ家電等に関する広告が表示され、当該広告のリンク先のウェブサイトで商品を注文したところ、これらのブランドとは関係のない商品や模倣品が届いたなどという相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
  • 消費者庁が調査を行ったところ、上記行為を行う事業者が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(消費者を欺く行為)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
  • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
▼ 人気ブランドのヘルスケア又はオーディオ家電等を販売すると称する 偽サイトに関する注意喚起
  • 消費者庁から皆様へのアドバイス
    • 被害に遭わないために
      • SNS上の広告等から誘導されたサイトでは、次の点に注意しましょう
        • ブランドロゴが表示されているだけでは危険
          • ブランドロゴだけで信用することなく、その事業者の公式サイト等に、偽サイトに関する注意喚起情報がないか確認しましょう。
          • アンビーについては、外箱や充電ケース、イヤホン本体等にブランドロゴが表記された一見して模倣品と見分けることが困難な商品が届いた事例もありました。
        • URLやドメインに違和感はないか
          • 公式通信販売サイトのURLであるかきちんと確認しましょう。偽サイトによっては、公式通信販売サイトのものに酷似したURLが使われている場合もありますので注意が必要です。
          • JC3(一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター)では、収集した偽ショッピングサイト情報をScamAdviser(SAGICHECK)に提供しています。この情報は「SAGICHECK」(https://sagicheck.jp/)にて確認できますので、これを利用してウェブサイトの危険性の有無を確認してください。
          • ただし、インターネット上の情報は日々変化しており、「SAGICHECK」の判定結果は完璧ではありませんので、この点に注意して使用してください。
        • 「特定商取引法に基づく表示」はあるか
          • 特定商取引法では、事業者が通信販売をする場合の広告において、事業者の氏名(名称)、電話番号等を表示することを原則として義務付けていますが、本件偽サイトには、本件事業者名や電話番号等の表示がないものが多くありました。
          • ウェブサイト上に、電話番号などの連絡先を含めて特定商取引法に基づく表示がされていることを確認の上、トラブルに備えて注文画面等をスクリーンショットで残しておきましょう。
        • 極端な割引を行うかのように示すものでないか
          • 本件偽サイトには、「お買い得 2点目3,000円値下げ 期間限定」、「最後の1時間限定60%OFF!」等と複数台を購入すると単価が安くなることや大幅に値引きして販売しているかのように表示しているものがありました。
        • 不自然な日本語の表示はないか
          • 本件偽サイトの中には、「スマート頸椎マッサージャーい」、「耳をふさがらなく・・・」などといった不自然な日本語の表示がありました。
        • 商品代金の支払方法が限定的ではないか
          • 公式通信販売サイトでは通常、消費者のニーズに応えるべく多様な支払方法を選択することが可能ですが、本件偽サイトでは、代金引換払又はクレジットカード払に限定されていました。限定的な支払方法の場合は注意が必要です。
    • オムロン又はアンビーの正規品との見分け方
      • オムロンは、本件偽サイトに表示されるような機能又は形状のスマートウォッチや、本件偽サイトに表示されるような形状のマッサージ器の製造・販売はしていません。
      • アンビーの正規品は、
        • 全てブランドロゴが表示されています。
        • 外箱表面に「ambie」と箔押しがあり、裏面には何も印字されていません。
        • イヤホンケースは、上蓋とイヤホン収納部との境界線が平らで、充電中はLEDランプがオレンジ色に、充電完了後は白色に点灯します。
        • 充電ケーブルの形状は、L字型(横方向)のコネクタです。
    • 偽サイトの特徴を知りましょう
      • SNS上の広告等から誘導される偽サイトには、一つの広告に、一つの商品が表示される、商品を極端な安価で販売すると表示する、支払方法が限定的である、事業者の氏名(名称)、電話番号等の表示がないなどの特徴があります。偽サイトの特徴を知り、被害に遭わないようにしましょう

~NEW~
消費者庁 食品ロス削減ガイドブック(令和6年度版)
  • 「食品ロス」って何?
    • 「食品ロス」は、まだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品のことをいいます。
    • 日本における食品ロスは、年間472万トン発生しており、この値は、国連世界食糧計画(WFP)による2022年の食料支援量(約480万トン)のほぼ同等になります。
    • 日本の食品ロスは、事業者から236万トン(50%)、家庭から236万トン(50%)排出されています。
    • 食品ロスを減らすためには、事業者、家庭双方で取り組む必要があります
  • フードサプライチェーンって知ってる?
    • 生産者から消費者まで、食品が届くまでの一連の流れを、フードサプライチェーン(food supply chain)と呼びます。
    • 食品を取り扱うときに、フードサプライチェーンの各段階で、食品ロスが発生しています。
    • まずは、私たち消費者まで、食べものがどのように運ばれてくるのか、その過程でどのような食品ロスが発生しているのか、確認してみましょう
      • 生産
        • 農林漁業者:米、野菜、果物、きのこ、畜産物等を育てたり、魚介類を捕ったりして、農畜水産物として出荷
        • とれすぎや、形が悪い(規格外)などにより、流通できず廃棄される。
      • 製造
        • 食品製造業者:農畜水産物を加工、包装して出荷
        • 需要を上回る製造、パッケージの印字ミスや破損による流通側からの返品などにより廃棄される。
      • 配送
        • 卸売業者:生産者や食品製造業者から食品を受け入れ、保存管理し、小売店や飲食店の需要に応じて配送
        • 売れ残り、パッケージの破損などにより、廃棄されたり食品製造業者へ返品される。
      • 販売等
        • 小売業者:卸売業者等から食品を購入し、消費者へ販売
        • 外食事業者:卸売業者等から食品を購入し、調理して提供
        • 小売店では、パッケージの破損や売れ残りによる返品・廃棄、飲食店では作りすぎや客の食べ残しにより廃棄される
      • 消費
        • 消費者:購入した食品を調理して消費したり、レストランなどで提供されたものを消費
        • 使い忘れや食べ残しなどにより廃棄される
  • 日本の食料事情
    • 日本の食料自給率はカロリーベースで38%です。
    • 日本は諸外国に比べて食料供給に対する国内生産の割合が低く、食料の多くを輸入に頼っています。
    • また、日本では、9人に1人の子どもが貧困であるとされています。日々の食事に困っている子どもも少なくありません。
    • 家庭における消費支出のうち、食費は1/4以上を占めています。
    • 家庭からの食品ロスは、一般廃棄物の一部として処理されます。
    • 焼却処分するための経費は、全て私たちの税金で賄われています。
    • 2022年度のごみ処理事業経費は、約2.2兆円で、ここ数年でほぼ横ばいの状況にあります。
  • 環境問題と食品ロス
    • 日本は、多くの食料を海外から輸入している一方で、たくさんの食品ロスを排出しています。
    • また、食品ロスを含む一般廃棄物の処理費用に、年間約2兆円使われています。
    • さらに、船舶・飛行機による輸入や、ごみを燃やす際に排出される二酸化炭素、焼却後の灰を埋める土地の問題もあります。
  • 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果
    • これまで、食品ロスは数量のみ推計の上公表していたところ、国民一人一人が食品ロス問題をより身近なこととして実感していただくため、2022年度食品ロス量推計値を基に経済損失及び温室効果ガス排出量を推計。2022年度食品ロス量(472万トン)を基に推計した結果、食品ロスによる経済損失の合計は4.0兆円、食品ロスによる温室効果ガス排出量の合計は1,046万t-CO2となった。この推計値を国民一人あたりに換算すると経済損失は32,125円/人/年、温室効果ガス排出量は83kg-CO2/人/年となった。
  • エシカル消費と食品ロス削減
    • 食品ロスを削減することは、環境にやさしく、人や社会等の配慮にもつながる消費行動であり、「エシカル消費」の1つです。
    • 食品ロス削減においても、「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」ではなく、将来のこと、地域のこと、周りの人のことも考えた消費行動を考えてみましょう。
  • 3Rと食品ロス削減
    • 3R(スリーアール)は、大量生産、大量消費で増えるごみ処理の対策として、資源を有効活用するために、導入された考え方です
    • Reduce 必要な分を買い、作り、食べきる・使いきる
    • Reuse 新たな価値への転換、シェア、寄附等
    • Recycle 燃料や堆肥等への変換
    • Dispose 捨てるごみは最小限に
  • 世界の食品ロスの状況
    • 世界では、人の消費のために1年間に生産される食料(約40億トン)の約3分の1に当たる約13億トンが捨てられています。
    • 国連の定義に基づくFood Loss(食品のロス)とFood Waste(食品の廃棄)の状況を見てみましょう。
  • 世界の栄養不足人口
    • 世界の栄養不足(飢餓)人口は増加しており、2021年には7億6800万人に達しています。
    • これは、世界の人口の10人に1人が飢えに苦しんでいることを意味します
  • アメリカ合衆国
    • 米国では、農務省(USDA)、環境保護庁(EPA)、食品医薬品局(FDA)が共同して、食品ロス削減のインパクトや重要性を消費者に伝えるための関係者間での調整やコミュニケーションを加速化させるため、「Winning on Reducing Food Waste Initiative」(食品廃棄物削減推進イニシアティブ)を設けており、それぞれの機関が協力して取組を進めています。
  • EU
    • EUでは、「Farm to Fork Strategy」において、
      • 環境への影響の中和又は改善
      • 気候変動の緩和やその影響への適応
      • 全ての人が十分、安全、栄養のある、持続可能な食品へのアクセスの確保
        などにより、持続可能な食料システムへの移行の加速化をめざしています。
    • また、この一環として、加盟国に対し、
      • 食品廃棄防止プログラムの策定
      • 食品の寄附を始めとする食品の再配分などによる廃棄の抑制
        などを求めています。
  • オーストラリア
    • オーストラリア政府は、2030年までに食品ロスを半減させる目標を掲げています。
    • 2017年には、「NATIONAL FOOD WASTE STRATEGY」を発行し、食品ロスの現状や多様な主体による対策の手法を紹介しています

~NEW~
消費者庁 災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!
  • 9月1日は防災の日。自然災害による停電の際にも使用される携帯発電機やポータブル電源において、製品起因の事故以外に誤使用が原因の事故も発生しています。また、停電復旧後の通電や被災で損傷した電気製品の使用が、火災の原因となることもあるため注意が必要です。今般、改めて事故を防ぐための対策をお伝えします。
  • 概要
    • キャンプなどで重宝される携帯発電機やポータブル電源ですが、自然災害に伴う停電に備え、非常用電源として用意する方もいるかと思います。しかし、いざ自然災害が発生したときに使用方法を誤ると、一酸化炭素(CO)中毒や火災等の事故につながる可能性があります。
    • また、自然災害による停電の復旧後、地震や大雨等の影響を受けて損傷した電気製品を使用したり、電熱器具が周囲の可燃物に接触していたりすることで、発火する可能性があります。
    • これらの事故を防ぐための注意点を知り、製品の使用時に対策をとりましょう。
  • 携帯発電機及びポータブル電源使用時の注意点
    • 携帯発電機
      • 屋内では絶対に使用しないでください。発電機運転中の排ガスには一酸化炭素(CO)が含まれており、屋内で使用すると一酸化炭素(CO)中毒になるおそれがあります。
      • 屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等の危険性があります。排ガスが逆流しないように出入口、窓などの開口部から離れたところ、かつ、風通しの良いところで使用してください。
    • ポータブル電源
      • 落としたりするなど衝撃を与えないようにしてください。もし、強い衝撃を与えてしまった後、発熱、変形などの異常を感じた場合は、使用を中止して製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談してください。
      • 高温環境下での使用は控えてください。また、長期間使用しない場合は、箱に入れて直射日光が当たらない冷暗所に保管しましょう。
      • 屋外では、防水・防塵性能を有する製品の使用を検討しましょう。
  • 停電復旧後の通電火災を防ぐための注意点
    • 地震が発生した際に可燃物が散乱しないように、家具はできるだけ壁に固定しましょう。あわせて、電気ストーブ等の電熱器具の周辺に可燃物を置かないように日頃から意識しましょう。
    • 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防ぐため、分電盤のブレーカーを切ってください。日頃から分電盤の位置や操作方法を確認しておきましょう。
    • 停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、特にヒーターを内蔵した電気ストーブ等の電熱器具は、停電時には電源プラグをコンセントから抜きましょう。
    • 停電復旧後、浸水などによる被害を免れた製品を使う際は、機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないか、など)を確認の上、分電盤のブレーカーを入れ、機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用しましょう。異音や異臭がする場合は、必ず使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。

~NEW~
国民生活センター 「1日最大○○円」 コインパーキングの料金は細かい条件も確認を
  • 内容
    • 駅前の駐車場の看板に「○○分○○円、1日最大600円」と記載があり、3日間で1800円になると思って3日間駐車したところ、約1万2千円の請求を受けた。すぐに事業者へ連絡したが、最大料金の適用は1回限りで、その後は時間制で料金が発生すると言われた。説明を受けて改めて看板をよく見たら、小さな文字でその旨が書かれていた。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • コインパーキングを利用する際は「1日最大○○円」等の大きな表示だけでなく、その他の細かい条件も入庫前に事前に確認しましょう。
    • 料金には、最大料金の適用回数や駐車位置、時間帯などに細かい条件がついていることが多く、平日か休日かで異なったり、年末年始やイベント開催時には特別料金が発生したりすることもあります。利用し慣れているコインパーキングであっても料金設定が変わっていることもありますので、入口付近や精算機付近の詳細案内に目を通し、不明な点はコインパーキング事業者に確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。看板等の表示を写真等で記録に残し、領収証も忘れずに保管しておきましょう。

~NEW~
国民生活センター 地震に便乗した詐欺的トラブルにご注意ください!-義援金を集めるという不審メールなどに注意!-
  • 令和6年8月8日、宮崎県日向灘を震源とする地震が発生し、気象庁は南海トラフ地震臨時情報を発表しました。これに関連して、「義援金をクレジットカード決済によるオンラインで募集するといった不審なメールが届いた」といった相談が寄せられています。このような不審なメールを受け取っても、対応せずに無視してください。
  • 地震発生後は、被災地域、被災地域以外にかかわらず、地震に便乗した詐欺的トラブルや悪質商法が多数発生しますので、不審なメールや電話等に十分に注意してください。
  • 相談事例
    • パソコンに、南海トラフ地震災害義援金をクレジットカード決済によるオンラインで募集するとのメールが届いた。寄付先としてネットバンクの口座が書かれていたが、口座名義が個人名であり不審なので情報提供する。(四国地方、50歳代・男性)
  • 消費者へのアドバイス
    • 不審なメールが届いても無視してください。また不審な電話がかかってきてもすぐに切り、来訪の申し出があっても断ってください。万が一、金銭を要求されても、決して支払わないようにしてください。
    • 公的機関が、個別にメールや電話等で義援金や寄付を求めることはありませんので、公的機関を名乗って連絡が来た場合でも決して支払わないでください。また、寄付をする際は、募っている団体等の活動状況や使途をよく確認し、納得した上で寄付しましょう。
    • 少しでも不安を感じたら、すぐにお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン「188」番)や警察に相談してください。

~NEW~
厚生労働省 令和5年度「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」の報告書(速報)を公表します
▼ 依存症対策全国センター 令和5年度「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」に関する報告書 速報
  • 国民の娯楽と健康に関するアンケート:調査(A)主要な結果
    1. 国民のギャンブル行動(有効回答数:8,898票(49.4%)〔男性4,204名、女性4,694名〕)
      • 過去1年間のギャンブル経験:男性の44.9%(1,888名)、女性の26.5%(1,243人)
      • 過去1年間にギャンブルに使った金額(1か月あたり):中央値9,000円
      • 過去1年間に最もお金をつかったギャンブルの種類:宝くじが最多(53.3%)で、パチンコ(15.0%)が次に多い。
    2. 過去1年におけるギャンブル等依存が疑われる者(PGSI8点以上)の割合とそのギャンブル行動
      • PGSI8点以上(年齢調整後):全体1.7%(95%信頼区間1.4~1.9%)、男性2.8%(同 2.3~3.3%)、女性0.5%(同 0.3~0.7%)。
      • 各年齢の有効回答数におけるPGSI8点以上の者の割合で最も高かったのは、40代が最も多く(2.4%)、次いで30代が多かった(2.1%)であった。
      • 過去1年間にギャンブルに使った金額(1か月あたり):中央値 6万円
      • 過去1年間に最もお金を使ったギャンブルの種類は、男性ではパチンコ(43.4%)、パチスロ(24.5%)、競馬(11.3%)の順で、女性ではパチンコ(60.9%)、パチスロ(17.4%)、その他(13.0%)の順で割合が高い。
    3. 他の精神疾患や自殺などの関連問題
      • K6(うつ、不安のスクリーニングテスト)で比較したところ、ギャンブル等依存が疑われる者(PGSI8点以上)は、8点未満の者より有意に抑うつ・不安が強かった。また、これまでの自殺念慮(自殺したいと考えたこと)の経験割合等についても、PGSI8点以上の者で高かった。
    4. インターネットを使ったギャンブルの現状
      • インターネットを使ったギャンブルの購入方法については、すべての公営競技などにおいて、「主にオンライン」または「両方」で行うと回答した者の割合が過半数を占めた。
    5. コロナ拡大前とのインターネット利用したギャンブル行動の変化
      • 新型コロナウイルス感染拡大前と比較し、インターネットを使ったギャンブルの利用が増えた(「新たに始めた」、「する機会が増えた」の合計)との回答は、PGSI8点未満の者では3.6%であったのに対し、PGSI8点以上の者では19.9%であった。
    6. 過去1年間で経験した宝くじの種類
      • 過去1年間で宝くじを購入した者の購入した宝くじの種類は、PGSI8点未満と8点以上の両群とも、ジャンボ宝くじ、ロト7・ロト6、スクラッチの順で多かった。ロト7、ロト6、ミニロト、ナンバーズ4、ナンバーズ3、ビンゴ5、着せかえクーちゃん、クイックワンについては、PGSI8点以上の者が、PGSI8点未満の者と比較して、統計的に有意に過去1年間にギャンブルを経験した者の割合が高かった。
    7. ギャンブル等依存症対策の認知度
      • ギャンブル等依存症対策に関して、PGSI8点以上の回答者の「知っている」との回答は、「パチンコ・パチスロの入店制限」は29.6%、「競馬・競輪・競艇・オートレースの入場制限」は16.3%、「競馬・競輪・競艇・オートレースのネット投票停止」は12.6%、「競馬・競輪・競艇・オートレースのネット投票の購入上限設定」は16.3%、「金融機関からの貸付制限」が19.3%であった。
  • 「依存の問題で相談機関を利用された方へのアンケート」:調査(B)主要な結果
    • 有効回答の内訳
      • 当事者:288名(男性251名 女性32名 性別未回答5名)
      • 家族:382名(男性73名 女性302名 性別未回答7名)【図表7】
      • 当事者の平均年齢:男性43.9歳(標準偏差11.8歳) 女性42.7歳(標準偏差16.5歳)
      • 家族の平均年齢:男性61.2歳(標準偏差11.7歳) 女性52.9歳(標準偏差12.1歳)
    • 主要な結果
      • 相談の原因となった依存の種類
        • 当事者の相談の原因となった依存の種類※はギャンブルの問題(64.9%)、アルコールの問題(17.0%)の順で多く、家族の相談の原因となった当事者の依存の種類では、ギャンブルの問題(58.1%)、アルコールの問題(25.1%)の順で多かった。※相談の原因となった依存の種類については、当事者票、家族票ともに複数回答の項目として設定。割合(%)は有効回答数を母数として算出。
      • 当事者のギャンブル行動の特徴
        • 当事者の問題となっているギャンブルの種類(当事者回答)は、パチスロ、パチンコ、競馬の順で多かった。なお、オンラインカジノについては、7.5%が「当事者の問題となっているギャンブルの種類」として回答している。
        • ギャンブルの問題に気付いてから初めて病院や相談機関を利用するまでの期間は、平均2.9年であり、1年未満で相談に来たと回答した人が最も多かった(56.1%)。
      • 家族が回答した当事者のギャンブル問題行動
        • 家族が回答した「当事者にとって問題となっているギャンブルの種類」は、パチンコ、パチスロ、競馬の順で多かった。なお、オンラインカジノについては、11.7%が家族が「当事者の問題となっているギャンブルの種類」として回答している。
        • 当事者のギャンブル問題に気付いてから、初めて病院や相談機関を利用するまでの期間は平均3.5年であり,1年未満で相談に来たと回答した人が最も多かった(52.4%)。
  • 全体のまとめと考察
    • 国民の娯楽と健康に関するアンケート:調査(A)
      • 本調査で用いたスクリーニングテストであるPGSIは、簡便にギャンブル問題を検出できるため、一般住民を対象とした疫学調査において世界的に用いられている。SOGSは、PGSIと同様にギャンブル障害に関する国内外の疫学調査で数多く採用されてきたが、近年の調査では使用されない傾向にある。SOGSはPGSIに比べて、借金について尋ねる質問が多く全体項目数が多いこと、偽陽性(SOGSは偽陽性が多いことから、PGSIによる割合よりもSOGSによるギャンブル等疑いの者の割合の方が高く出る傾向がある。)が多いなどの欠点が指摘されている。今回は全体の質問項目数も多く、調査対象者の負担軽減のため、SOGSをスクリーニングテストの項目として採用しなかった。※SOGSとPGSIでは、ギャンブル等依存の疑いの判定にかかる尺度が異なっており、その数字を単純に比較することはできない点に留意が必要。
      • なお、本調査で用いたスクリーニングテストであるPGSIによる、ギャンブル等依存が疑われる者の推計は、あくまでも問題を有する可能性がある者を検出するものである。スクリーニングテストで検出された者が、実際にギャンブル障害の診断基準に該当するかどうかについては医師の診察および診断が必要である。したがって、スクリーニングテストによる数値の解釈は慎重に行うことが望ましい。
      • PGSI8点以上でギャンブル等依存が疑われるのは、男性の2.8%(95%信頼区間:2.3~3.3%)、女性の0.5%(95%信頼区間:0.3~0.7%)、全体の1.7%(95%信頼区間:1.4~1.9%)であった。なお、令和2年度「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」報告書(34ページ)におけるギャンブル等依存が疑われる者の割合は1.6%(95%信頼区間:1.4~1.9%)であり、95%信頼区間は同値となっている。そのため、令和2年度時点における推計値と、令和5年度の推計値との間に統計的に有意な差(統計的に意味のある違い)があるとは認められない。
      • ギャンブル等依存が疑われる者のギャンブル行動として、過去1年に最もお金を使ったギャンブルの種類は全体(男女合計)で、パチンコ(46.5%)、パチスロ(23.3%)、競馬(9.3%)の順で多かった。
      • 年代ごとの「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合については40代が最も多く、次いで30代が多かった。
      • 公営競技などでは、全体としてインターネットを使用している割合が高いことが窺えた。
      • ロト7・ロト6、ミニロト、ナンバーズ4・ナンバーズ3、ビンゴ5、着せかえクーちゃん、クイックワンの経験者(過去1年間)の割合は、PGSI8点以上の者の方がPGSI8点未満の者の割合よりも統計的に有意に高く、これらの宝くじは、ギャンブル等依存症が疑われる者に比較的好まれやすいことが推測される。一方で、ジャンボ宝くじ、普通くじ、スクラッチでは、両者間に統計的に有意な差は確認されなかった。また、「選択可能性」(購入時に任意の番号等を選択する形態)、「結果の即時性」、「オンライン購入」のうち、最低2つが該当する宝くじは、すべてPGSI8点以上の者と、8点未満の者とで経験人数の割合に統計的に有意な差があったことから、一部の宝くじとギャンブル問題との間に一定の関連があることが考察される。
    • 依存の問題で相談機関を利用された方へのアンケート:調査(B)
      • 公的な相談機関を利用したギャンブル等依存の問題を抱えている当事者およびその家族が、ギャンブル問題に気が付いてから初めて病院や相談機関を利用するまでの期間は、それぞれ平均2.9年、3.5年であった。

~NEW~
厚生労働省 全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました~答申での全国加重平均額は昨年度から51円引上げの1,055円~
  • 厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和6年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は別紙のとおりです。
▼ (別紙)令和6年度地域別最低賃金額答申状況
  • これは、7月25日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を取りまとめたものです。
  • 答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定です。
  • 令和6年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント
    • 47都道府県で、50円~84円の引上げ(引上げ額が84円は1県、59円は2県、58円は1県、57円は1県、56円は3県、55円は7県、54円は3県、53円は1県、52円は2県、51円は6県、50円は20都道府県)
    • 改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)
    • 全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
    • 最高額(1,163円)に対する最低額(951円)の比率は、81.8%(昨年度は80.2%。なお、この比率は10年連続の改善)

~NEW~
厚生労働省 9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です~関係府省庁等と連携し、さまざまな取組を実施します~
  • 厚生労働省は、毎年9月10日から9月16日の「自殺予防週間」において、自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。このたび、関係府省庁、自治体、関係団体における、令和6年度の取組をまとめましたので公表します。昨年の自殺者数は前年を下回りましたが、小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続き、昨年の小中高生の自殺者数は513人となり、過去最多であった令和4年(514人)と、同水準であり深刻な状況が続いています。
  • 自殺予防週間では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充や、主にこども・若者に向けて、ポスターや動画による相談の呼びかけなど集中的な啓発活動を実施します。
  • また今年も、自殺予防週間に先立ち、こども・若者の自殺防止に向けた取組を強化するため、こども家庭庁、文部科学省、内閣府孤独・孤立対策推進室と連携し、8月1日からこども・若者に向けた集中的な啓発活動を実施しています。
  • 引き続き、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、自殺対策を推進していきます。
  • また、自殺に関する報道は、その報じ方によっては自殺を誘発する可能性があるため、各メディアの皆様は、WHOの『自殺報道ガイドライン』に沿った慎重な報道を行っていただくよう、自殺対策へのご協力をお願いします。
▼ 9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です
▼ 各自治体における令和6年度自殺予防週間の主な取組
▼ 令和6年度の広報の取り組みについて(自殺対策)

~NEW~
厚生労働省 令和5年 雇用動向調査結果の概要
▼ 概況全体版
  • 入職と離職の推移
    • 令和5年1年間の入職者数は8,501.2千人、離職者数は7,981.0千人で、入職者が離職者を520.2千人上回っている。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数4,497.3千人、離職者数4,517.6千人で、離職者が入職者を20.3千人上回っている。パートタイム労働者は、入職者数4,003.9千人、離職者数3,463.5千人で、入職者が離職者を540.4千人上回っている。
    • 年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は16.4%、離職率は15.4%で、1.0ポイントの入職超過となった。
    • 前年と比べると、入職率が1.2ポイント、離職率が0.4ポイント上昇し、入職超過率は0.8ポイント拡大した。
    • 性別にみると、男性の入職率が14.3%、離職率が13.8%、女性の入職率が18.8%、離職率が17.3%でそれぞれ入職超過となっている。
    • 就業形態別にみると、一般労働者の入職率が12.1%、離職率が12.1%で同率、パートタイム労働者の入職率が27.5%、離職率が23.8%で入職超過となっている。
    • 前年と比べると、男女とも一般労働者及びパートタイム労働者で入職率、離職率ともに上昇した。
    • 令和5年1年間の入職者数と離職者数を就業形態、雇用形態別にみると、入職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が3,286.5千人、「雇用期間の定めあり」が1,210.9千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が1,636.6千人、「雇用期間の定めあり」が2,367.3千人となっている。離職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が3,441.9千人、「雇用期間の定めあり」が1,075.7千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が1,120.2千人、「雇用期間の定めあり」が2,343.2千人となっている。
    • 前年と比べると一般労働者は、「雇用期間の定めなし」の入職者数、離職者数、「雇用期間の定めあり」の入職者数が増加した。パートタイム労働者は「雇用期間の定めなし」の離職者数、「雇用期間の定めあり」の入職者数、離職者数が増加した。
    • 令和5年1年間の入職者数、入職率を職歴別にみると、転職入職者数は5,409.9千人で、転職入職率が10.4%、未就業入職者数は3,091.3千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は1,509.8千人で、未就業入職率が6.0%となっている。
    • 前年と比べると、転職入職率は0.7ポイント、未就業入職率は0.5ポイント上昇した。
    • 性別にみると、男性は転職入職者数が2,613.9千人、未就業入職者数が1,332.7千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は715.6千人で、転職入職率は9.4%と0.7ポイント上昇し、未就業入職率は4.8%と0.3ポイント上昇した。女性は転職入職者数が2,796.0千人、未就業入職者数が1,758.6千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は794.2千人で、転職入職率は11.6%と0.8ポイント、未就業入職率は7.3%と0.6ポイント上昇した。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職者数が3,178.4千人、未就業入職者数が1,318.9千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は954.2千人で、転職入職率は8.5%、未就業入職率は3.5%となっている。パートタイム労働者は転職入職者数が2,231.5千人、未就業入職者数が1,772.4千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は555.6千人で、転職入職率は15.3%、未就業入職率は12.2%となっている。
  • 産業別の入職と離職
    • 令和5年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が1,739.0千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が1,425.4千人、「医療,福祉」が1,266.5千人の順となっている。
    • 離職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が1,422.7千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」1,354.6千人、「医療,福祉」が1,157.1千人の順となっている。
    • 入職率と離職率を就業形態別にみると、一般労働者では、入職率は「サービス業(他に分類されないもの)」19.9%、「宿泊業,飲食サービス業」19.8%の順に高く、離職率は「生活関連サービス業,娯楽業」20.8%、「サービス業(他に分類されないもの)」19.3%の順に高くなっている。パートタイム労働者では、入職率は「生活関連サービス業,娯楽業」49.2%、「宿泊業,飲食サービス業」40.5%の順に高く、離職率は「生活関連サービス業,娯楽業」36.9%、「サービス業(他に分類されないもの)」32.7%の順に高くなっている。
  • 転職入職者の状況
    • 令和5年1年間の転職入職率を性、年齢階級別にみると、「60~64歳」以上の階級で男性が高くなっているが、「55~59歳」以下の階級では女性が男性より高くなっている。
    • また、転職入職率を就業形態別にみると、男性、女性ともに「20~24歳」以下を除く階級で一般労働者よりパートタイム労働者の方が高くなっている。
    • 令和5年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の個人的理由」17.3%、「その他の理由(出向等を含む)」14.0%を除くと「定年・契約期間の満了」16.9%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%となっている。女性は「その他の個人的理由」25.1%を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%となっている。
    • 前年と比べると、上昇幅が最も大きいのは、男性は「仕事の内容に興味を持てなかった」2.9ポイントで、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」2.6ポイントとなっている。
    • 令和5年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は37.2%、「減少」した割合は32.4%、「変わらない」の割合は28.8%となっている。「増加」のうち「1割以上の増加」は25.6%、「減少」のうち「1割以上の減少」は23.4%となっている。
    • 前年と比べると、「増加」した割合は2.3ポイント上昇し、「1割以上の増加」の割合は1.1ポイント上昇した。「減少」した割合は1.5ポイント低下し、「1割以上の減少」の割合は1.8ポイント低下した。
    • 前職の賃金に比べ「増加」した割合と「減少」した割合の差をみると、「増加」が「減少」を4.8ポイント上回っている。また、雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では12.3ポイント、パートタイム労働者間の移動では9.0ポイント、それぞれ「増加」が「減少」を上回った。
  • 離職理由別離職率の推移
    • 令和5年1年間の離職率を離職理由別にみると、「個人的理由」(「結婚」「出産・育児」「介護・看護」及び「その他の個人的理由」の合計)によるものは11.4%で、前年と比べると0.4ポイント上昇、「事業所側の理由」(「経営上の都合」「出向」及び「出向元への復帰」の合計)によるものは0.9%で、前年と比べると0.2ポイント低下した。
    • 性別にみると、「個人的理由」によるものは、男性は9.4%、女性は13.7%で、前年と比べると男性は0.5ポイント、女性は0.3ポイント上昇し、「事業所側の理由」によるものは、男性は1.2%、女性は0.6%で、前年と比べると男性、女性ともに0.2ポイント低下した。

~NEW~
厚生労働省 「令和6年版厚生労働白書」を公表します~第1部のテーマは「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」~
▼ 概要版
  • 第1部「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」
    • WHO(世界保健機関)によると、「こころの健康」は、「人生のストレスに対処しながら、自らの能力を発揮し、よく学び、よく働き、コミュニティにも貢献できるような、精神的に満たされた状態」とされており、すべての人の健康とウェルビーイングに不可欠な要素であり、精神障害の有無にかかわりないものであるとされている。
    • 第1部では、「こころの健康」を取り巻く環境とその現状や、現在の取組みを紹介するとともに、こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会づくりの方向性について考察する。
    • 「こころの不調」:精神障害や社会的障壁(※)により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態を指し、重大な苦痛、機能障害、自傷行為のリスクを伴う精神状態を含む。 (※)社会的障壁:精神障害のある人にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの。
    • こころの不調を抱える人の事情は個々に異なっており、その人を取り巻く状況も多様であることに留意しつつ、環境由来の心理的負荷(ストレス)が精神障害の発病に関係するとの考え方を参考に、様々なストレス要因に着目。
    • 現代社会のストレス要因の多様性を、ライフステージごとのライフイベント、日常生活で経験しうる出来事、様々なこころの健康リスク、社会的障壁の観点から考察。
  • 精神障害による労災請求件数の増加
    • 令和4年度の支給決定(認定)件数は710件で過去最多最多。
    • 令和5年の自殺者数は21,837人
    • 令和5年の小中高生の自殺者数は513人(過去2番目)
  • 第2章 こころの健康に関する取組みの現状
    • 誰もが経験しうるライフイベントや関連する出来事がこころの不調につながらないようにするために行われている取組みや、現代社会に特徴的な側面や社会的障壁に対する取組み、共生社会の実現に向けた取組みを紹介。
  • 共生社会の構築
    • こころの不調を抱える人を含むすべての人が、地域や職場で生きがい・役割を持ち、安心して暮らすことができる社会の構築が不可欠。
  • 第3章 こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に
    • こころの健康と向き合う視点が、ライフステージの全般を通じて重要であることを確認。
    • 各ステージにおけるこころの不調を抱える人に関する取組みに共通する理念として「当事者の意思の尊重と参加」を提示。
    • 地域や職場におけるこころの健康づくり、社会の意識変容、こころの健康と向き合う一人ひとりの取組みについて方向性を示し、最後に「隣人のこころの健康にも留意する」「自己決定の幅を広げる」ことの必要性に言及。
  • こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会への方向性
    • 当事者の意思の尊重と参加
      • こころの不調を抱える当事者を含め、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、相互に助け合う一員として地域に参加することの実現を目指す。
      • 当事者の参加が、ピアサポートや地域の理解促進、スティグマ(差別や偏見)の解消に向けた取組み等において重要な役割を果たす可能性。
    • 地域や職場におけるこころの健康づくり
      • 市町村等の精神保健支援体制の整備 改正精神保健福祉法の施行による多様なニーズへの支援体制の整備、対象拡大
      • 精神医療提供体制の整備 外来機能の強化、オンライン精神療法の適正かつ幅広い活用、長期入院者の地域移行 等
      • 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 計画的な地域の基盤整備、協議の場を通じた関係機関・関係者との重層的な連携
      • 孤独・孤立対策の推進 官民連携プラットフォームの設置の推進による対象者の早期把握
      • 職場のメンタルヘルス対策と両立支援 「健康経営」など経営戦略への浸透、中小事業場への支援 等
    • 社会の意識変容
      • 心のサポーター養成 令和6年度からの10年間で100万人のサポーター養成
      • 若い世代の新たな人生観の実現 家事や育児の協働意識が根づきつつある若い世代の人生観を実現できる社会へ
    • こころの健康と向き合う一人ひとりの取組み
      • 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 睡眠ガイド2023の活用による睡眠の質の向上支援
      • 認知行動療法 認知行動療法の手法による日常的なストレス対処、セルフケアのすすめ
      • 身近な相談窓口の利用 若者向けサイト「こころもメンテしよう」や地域の身近な相談窓口の把握と利用
  • 具体的な取組み事例
    • 若年者のこころの不調の相談窓口(あだち若者サポートテラスSODA)
      • 交通アクセスが良く、大学のキャンパスも多い北千住に相談窓口を開設。
      • どのような困りごとでもワンストップで受け止め、必要に応じて医療機関や専門機関へ橋渡しを行う。
    • 依存症の問題を抱えた方の回復と成長を支援(NPO法人ジャパンマック福岡)
      • 本人、その家族、職員が一体となって依存症から本質的に回復することを目指す。
      • 県や市、関係行政機関などとも連携。研修会の開催や講師の派遣により、関係機関や地域における依存症に対する正しい知識の普及に寄与。
    • 多面的なサポートで障害者の就労移行を支援(LITALICOワークス赤羽)
      • 利用者の暮らしから整えることが大切との考えから、主治医や地域の福祉機関とも連携。
      • 入社前に、独自の「職場での合理的配慮ガイドブック」を用いて、利用者の就職後に起こりうる困りごとを整理。
    • 薬物依存症者への回復支援(認定特定非営利活動法人京都ダルク)
      • 「孤立感」を払拭するため、人間関係を構築する練習をしてもらうことを狙いとしたプログラムを実践し、薬物依存症からの回復を目指す。
      • 地元のお祭りなどの催しに参加し、積極的に地域住民と交流。
    • 社員への細かい目配りで健康な職場づくり(株式会社アキツ)
      • 毎月1回、安全衛生統括責任者が講師となり、労働安全衛生に関する講習会を実施。
      • 人間ドックを受診したい35歳以上の社員には1回10万円まで費用を助成。
    • テレワーク勤務者へのメンタルヘルス対策(株式会社ジョイゾー)
      • テレワーク下で見えてきた課題に対し、バーチャルオフィスの導入や定例ミーティングとは別の個別面談を実施するなどして対応。
      • サテライトオフィスを利用して、社員研修を兼ねたワーケーションを実施。
  • こころの健康
    • 2020(令和2)年の精神疾患を有する外来患者数は、約586万人。
    • 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムは、地域における制度・分野の枠や、「支える側」と「支えられる側」という従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる包摂的なコミュニティや地域社会であり、地域共生社会の実現に向かう上では欠かせない仕組みである。
    • 心身の健康に対するリスクについて、身体の健康と比較して、こころの健康に対するリスクが重視されつつある。
      • ※「総合的な健康状態にとって最もリスクとなること」について「精神病を引き起こすようなストレス」を選んだ人の割合5.0%(2004年調査)→11.0%(2014年調査)→15.6%(2024年調査)>>過去20年間で3倍増
    • こころの健康によい影響を与えている人では、「同居の家族」が最も多い。
    • こころの不調は、身体の病気(がん)と比較して、家族・学校・職場への相談をためらうだろうと考えられている。
    • こころの不調は、若い世代のほうが身近に感じている人の割合が高い。
  • 令和6年能登半島地震への厚生労働省の対応
    • 半島という地理的特性や高齢化率が高い地域における地震であり、道路等のインフラに甚大な被害が生じ、アクセスが困難となったほか、水道・電気等のライフラインに甚大な被害が生じ、被災者の命や健康を守るための取組みの重要性が高まった。このため、発災初期から中期(発災後3か月程度)にかけて、主に以下の対応を行った。
      • 災害関連死を防止するため、要配慮者を中心に、環境の整った2次避難先(ホテル・旅館等)への2次避難の取組みが行われ、医療チームによる移送支援や2次避難先の環境整備(人的・物的支援)を実施した。
      • 被災自治体及び避難所や自宅等で過ごす被災者を支援するため、全国から、DMATやDHEAT等の支援チームを派遣し、保健・医療・福祉活動を実施したほか、モバイルファーマシーを活用した医薬品供給を実施した。

~NEW~
経済産業省 「中小M&Aガイドライン」を改訂しました
  • 中小企業庁は、「中小M&Aガイドライン」を改訂しました。本改訂によって、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図ります。
  • 改訂の趣旨
    • 不適切な譲り受け側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A専門業者が実施する過剰な営業・広告等の課題に対応し、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図る観点から、中小M&Aガイドライン(第3版)において、中小企業向けのガイダンス及び仲介者・FA向けの留意事項等を拡充しました。
  • 改訂の主なポイント
    • 仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の手数料・提供業務に関する事項
      • 中小企業向けに、手数料と業務内容・質等の確認の重要性、手数料の交渉の検討等について追記しました。
      • 仲介者・FA向けに、手数料の詳細説明、プロセスごとの提供業務の具体的説明、担当者の保有資格や経験年数・成約実績の説明等を求めています。
    • 広告・営業の禁止事項の明記
      • 仲介者・FA向けに、広告・営業先が希望しない場合の広告・営業の停止等を求めています。
    • 利益相反に係る禁止事項の具体化
      • 仲介者向けに、追加手数料を支払う者やリピーターへの優遇(当事者のニーズに反したマッチングの優先実施、譲渡額の誘導等)を禁止し、情報の扱いに係る禁止事項を明確化しました。
      • 加えて、これらの禁止事項について、仲介契約書に仲介者の義務として定める旨を明記しました。
    • ネームクリア・テール条項に関する規律
      • 仲介者・FA向けに、譲り渡し側の名称について、譲り受け側への開示(ネームクリア)前の譲り渡し側の同意の取得を求めています。
      • テール条項の対象の限定範囲・専任条項がない場合の扱いについて明確化しました。
    • 最終契約後の当事者間のリスク事項について
      • 中小企業向けに、最終契約・クロージング後に当事者間でのトラブルとなりうるリスク事項を解説しています。
      • 仲介者・FA向けに、当事者間でのリスク事項について、依頼者に対する具体的説明を求めています。
    • 譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
      • 中小企業向けに、M&Aを通じた経営者保証の解除又は譲り受け側への移行を確実に実施するための対応として、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等へのM&A成立前の相談や最終契約における位置づけの検討等の対応について明記しています。
      • 仲介者・FA向けに、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等への相談が選択肢となる旨の説明、最終契約における経営者保証の扱いの調整を行うことを求めています。
      • 金融機関向けに、M&Aの成立前又は成立後に経営者保証の解除又は移行について相談を受けた場合の「経営者保証に関するガイドライン」等に留意した適切な対応の検討が求められる旨を明記しました。
    • 不適切な事業者の排除について
      • 仲介者・FA、M&Aプラットフォーマー向けに、譲り受け側に対する調査の実施、調査の概要・結果の依頼者への報告を求めています。また、不適切な行為に係る情報を取得した際の慎重な対応の検討を求めています。
      • 加えて、業界内での情報共有の仕組みの構築の必要性を明記するとともに、当該仕組みへの参加有無について、依頼者に対して説明することを求めています。
▼ 中小M&Aガイドライン(第3版)概要資料

~NEW~
経済産業省 サイバー攻撃への備えを!「SBOM」(ソフトウェア部品構成表)を活用してソフトウェアの脆弱性を管理する具体的手法についての改訂手引を策定しました
  • 経済産業省は、2023年7月に、ソフトウェアを供給する企業と調達する企業の双方を想定読者として、SBOM(ソフトウェア部品表)を導入するメリットや実際に導入するにあたって認識・実施すべきポイントをまとめた手引書を策定しました。
  • その後も中小企業を含むあらゆる企業にとってSBOMをより効率的に活用できる方法等の検討を継続し、今般、今年4月26日から5月27日に実施した意見公募で頂いた御意見を踏まえて本手引書の改訂版を策定しましたので、公表します。
  • 具体的には、(1)ソフトウェアの脆弱性を管理する一連プロセスにおいてSBOMを効果的に活用するための具体的な手順と考え方、(2)SBOM導入の効果及びコストを勘案して実際にSBOMを導入することが妥当な範囲を検討するためのフレームワーク、(3)委託先との契約等においてSBOMに関して規定すべき事項(要求事項、責任、コスト負担、権利等)を追加しています。
  • 背景・趣旨
    • 近年、ソフトウェアの脆弱性管理に関し、ソフトウェアの開発組織と利用組織双方の課題を解決する一手法として、「ソフトウェア部品表」とも呼ばれるSBOM(Software Bill of Materials)を用いた管理手法が注目されています。米国サイバーセキュリティ・インフラ安全庁(CISA)等が策定し、我が国政府も共同署名をしたセキュア・バイ・デザイン(IT製品(特にソフトウェア)が、設計段階から安全性を確保されていること)の考え方においては、ソフトウェアの製造業者が製品ごとにSBOMを構築・管理し、ユーザーがSBOMを利用できるようにすることが奨励されています。
    • 経済産業省では、SBOMの企業による活用を推進しており、企業がSBOMを導入するメリットや実際に導入するにあたって実施すべきポイントをまとめた手引書を「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver1.0」として2023年7月に公表しました。
    • 中小企業も含め、あらゆる企業にとってSBOMをより効率的に活用できる方法等について、「産業サイバーセキュリティ研究会ワーキンググループ1(制度・技術・標準化)サイバー・フィジカル・セキュリティ確保に向けたソフトウェア管理手法等検討タスクフォース」において検討を進め、今年4月26日から5月27日に実施した意見公募で頂いた御意見を踏まえ必要な修正を行い、同ソフトウェアタスクフォースで了承を得た上で、今般、「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0」を策定しました。
  • 「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0」の概要
    • 「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0」は、ソフトウェアを供給する企業と調達する企業の双方を想定読者としています。2023年7月に公表した「ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に関する手引ver1.0」の内容に加えて、以下の内容を盛り込んでいます。
      • 脆弱性管理プロセスの具体化(第7章)
        • SBOMを活用することで、ソフトウェアの脆弱性管理を通じた脆弱性リスクの低減が効果として見込まれていることから、SBOMを活用するプロセスの中でも、脆弱性管理に関するフェーズが特に重要です。本章では、ソフトウェアの脆弱性を管理する一連プロセスにおいてSBOMを効果的に活用するための具体的な手順と考え方をまとめることで、SBOM活用による効果を高めるための参考情報を提供しています。
      • 「BOM対応モデル」の追加(8.付録)
        • 本モデルでは、SBOM導入の効果及びコストを勘案して実際にSBOMを導入することが妥当な範囲を検討するためのフレームワークを示しています。当該フレームワークを用いることで、高度な管理を行えるソフトウェア、すなわちセキュアなソフトウェアが市場に適切に評価され、その流通が促進されることが期待できます。
      • 「SBOM取引モデル」の追加(9.付録)
        • 本モデルでは、ソフトウェア部品の受発注において、調達者と供給者の間でSBOMに関して契約に規定すべき事項(要求事項、責任、コスト負担、権利等)について参考となる例を示しています。
▼ ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0概要資料

~NEW~
総務省 「ごみ屋敷」対策に関する調査<結果に基づく通知>
▼ 概要
  • いわゆる「ごみ屋敷」は、物品の堆積による悪臭・害虫の発生や火災のおそれなど、周辺地域の生活環境に悪影響を及ぼしている
  • 「ごみ屋敷」の解消のため、一部の市区町村においては条例を制定するなどして対応しているが、居住者が堆積物の排出に応じない、一旦堆積物を排出しても「ごみ屋敷」が再発するなど、市区町村は対応に苦慮
  • 本調査は、調査対象30市区が把握している「ごみ屋敷」事案(解消62・未解消119の計181事例)を整理することにより、「ごみ屋敷」事案の実態や、市区町村の対応状況、課題等を明らかにすることを目的として実施
  • 主な調査結果
    • 未解消事例の約3割は堆積物を有価物であると主張し、排出に応じない状況。現行の国の指針・通知の内容では、廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するとの判断が困難であり、排出指導も困難とする意見あり。一方、他法令(公営住宅法、消防法)に基づく指導・助言により排出された事例あり
    • 居住者の約7割は健康面や経済面の課題(要介護、認知症、精神疾患、生活困窮等)を抱えている状況。関係機関と連携した福祉的支援(介護施設入所、ヘルパー導入、成年後見等)や経済的支援(ごみ出し支援等)により解消した事例あり
    • 未解消事例の約3割は、一旦堆積物が排出されても再発している状況(再発の可能性があると市区が判断している事例を含む。)。再発防止の観点から福祉的支援を継続し、再発防止に効果を上げている例あり
      • ※上記に関し、調査した市区からは、関連する法令の解釈に資する情報を含め、関連する国の支援方策や他の市区町村における取組事例等を教えてほしいとの意見あり
  • 当省の意見
    • 市区町村における多種多様なアプローチを組み合わせた部局横断的な対応を可能とする観点から、関係省庁が連携し、下記のような活用可能な支援方策や取組事例等の情報をパッケージとして示すこと
      • 廃棄物該当性の判断に資する情報【環境省】、公営住宅入居者への対応に係る情報【国土交通省】、火災予防の観点からの情報【総務省(消防庁)】
      • 健康面・経済面の活用し得る支援方策・取組事例【厚生労働省】
      • 再発防止の取組事例【環境省・厚生労働省】など
  • 期待される効果
    • 市区町村における「ごみ屋敷」事案に対する手段の増加
    • 「ごみ屋敷」事案の改善、周辺地域や居住者の生活環境の改善

~NEW~
総務省 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)7月分
  • 男女別就業者数
    • 就業者数は6795万人。前年同月に比べ23万人(0.3%)の増加。24か月連続の増加。
    • 男性は3722万人。9万人の増加。女性は3074万人。15万人の増加
  • 従業上の地位別就業者数
    • 自営業主・家族従業者数は643万人。前年同月に比べ12万人(1.8%)の減少
    • 雇用者数は6113万人。前年同月に比べ28万人(0.5%)の増加。29か月連続の増加。
    • 男性は3289万人。前年同月と同数。女性は2824万人。28万人の増加
  • 雇用形態別雇用者数
    • 正規の職員・従業員数は3642万人。前年同月に比べ34万人(0.9%)の増加。9か月連続の増加
    • 非正規の職員・従業員数は2114万人。前年同月に比べ29万人(1.4%)の減少。3か月連続の減少
    • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.7%。前年同月に比べ0.6ポイントの低下
  • 就業率
    • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は61.8%。前年同月に比べ0.4ポイントの上昇
    • 15~64歳の就業率は79.6%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇。男性は84.9%。0.3ポイントの上昇。女性は74.1%。0.6ポイントの上昇
    • 20~69歳の就業率は81.3%。前年同月に比べ0.6ポイントの上昇
  • 男女別完全失業者数
    • 完全失業者数は188万人。前年同月に比べ5万人(2.7%)の増加。4か月連続の増加
    • 男性は105万人。前年同月と同数。女性は82万人。前年同月に比べ4万人の増加
  • 求職理由別完全失業者数
    • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は25万人と、前年同月と同数、「自発的な離職(自己都合)」は82万人と、前年同月に比べ7万人の増加、「新たに求職」は46万人と、前年同月と同数
  • 年齢階級別完全失業者数
    • 男性の完全失業者数は、「15~24歳」、「45~54歳」及び「65歳以上」の年齢階級で、前年同月に比べ増加し、「25~34歳」、「35~44歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
    • 女性の完全失業者数は、「25~34歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前年同月に比べ増加

~NEW~
総務省 「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略- Beyond 5G推進戦略2.0 -」の公表
▼ 別紙2 概要
  • 2030年代の社会におけるAIの利活用イメージ
    • 今後AIはあらゆる分野で利用され、AIの開発や利活用等のイノベーションが、社会課題の解決や我が国の競争力に直結すると期待される一方、現在、開発競争が激化している生成AIについては、電力消費の増大や、偽・誤情報等の様々なリスクが指摘。
    • リスク等を抑えつつ、イノベーションの加速を図るため、例えば、巨大な汎用AIで全てを解決するのではなく、個別分野に特化した、小型・分散化したAI同士を連携させるなどにより、低環境負荷(グリーン)で安全・安心で信頼できるAIがあらゆる分野で利用可能な社会を目指す。
  • 2030年代のAI社会を支えるデジタルインフラ像
    • 2030年代のAI社会を支えるデジタルインフラとして、個別分野に特化した小規模・分散化した多数のAIや、これを駆動するデータセンター等の計算資源群を連携させ、モノ(自動車、ドローン、ロボット等)やセンサーを含む多様なユーザとを場所を問わずに繋ぐことが可能な、低遅延・高信頼・低消費電力な次世代情報通信基盤(Beyond 5G)が求められている。
    • 低環境負荷(グリーン)で安全・安心で信頼できるAIが社会全体で提供され社会課題の解決や我が国の競争力に繋がるイノベーションを加速
      • データセンター等の計算資源
        • オール光ネットワーク等と一体的に運用されるデータセンター等の計算資源が、様々な分野で利用される多数のAIを駆動
        • オール光ネットワークで繋ぐことにより距離の制約が緩和され、現在、大都市圏に集中するデータセンター拠点を、再生可能エネルギーが活用可能な地域等へと分散化が可能
      • オール光ネットワーク(APN)
        • 今後増大が予想される大量のデータを低遅延・高信頼・低消費電力で流通させるための基幹的なインフラとして位置付け
        • 特に、計算資源・ユーザ等を連携させ、必要な計算資源を直接・柔軟に利用可能とすることで、我が国のAI開発力の強化やAI利活用を促進するゲームチェンジャーとなることが期待
      • 非地上系ネットワーク(NTN)無線アクセスネットワーク(RAN)
        • ヒトよりも、モノ(自動車、ドローン、ロボット等)や、環境を把握するセンサー等が主たる端末となって、「産業のワイヤレス化」を加速
        • RANやNTN(衛星・HAPS等)等からなる複層的なネットワークにより、非居住地域も含め、どこでも繋がる環境を実現
  • Beyond 5Gの実現に向けた戦略
    • 戦略目標
      • 強靭で活力ある社会の実現に不可欠な基盤となるBeyond 5Gの早期かつ円滑な導入
      • Beyond 5Gにおける国際競争力の強化・経済安全保障の確保
      • 相互に相乗的な戦略目標
    • 戦略推進に当たっての基本的考え方
      • 各種取組において重視すべき視点
        • 業界構造等の変化の的確な把握とゲームチェンジ
          • 業界構造等が流動的となる現況を的確に把握、ゲームチェンジの好機と捉え、戦略的に取り組む必要。
          • ビッグ・テック等新たなプレイヤーを意識。
        • グローバルなエコシステムの形成・拡大
          • グローバル第一で大きな生態系を。
          • 開発・標準化・生態系作りを同時に。
          • 市場全体の中で一定の存在感を発揮できる立ち位置を確保。
        • オープン化の推進
          • ベンダーの多様化によるネットワークの自律性、市場競争環境、円滑なマイグレーションを確保する観点からオープン化(相互運用性の確保等)を推進。
        • 社会的要請に対する意識強化
          • 5Gの現在の状況等を踏まえつつ、社会的要請の見極めが重要。
          • 現時点で明らかな要請としては、コスト、環境負荷低減、信頼性・強靭性、接続性、セキュリティ・プライバシー。
      • 官民の役割整理
        • Beyond 5Gの社会実装や海外展開の担い手は民間事業者。
        • 特に、Beyond 5G(6G)基金事業の社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム※で採択された、各企業が一定の覚悟をもって取り組むプロジェクトを、ゲームチェンジを実現するための我が国の「戦略商品」として位置付け、その社会実装・海外展開に向けた支援に取り組む
      • 総合的な取組(各種取組の有機的な連携)の必要性
        • 官民それぞれにおいて、「戦略商品」を軸に、研究開発、国際標準化、社会実装・海外展開等の各種取組を有機的に連携させつつ、総合的に取り組む姿勢が不可欠。
    • 3つの戦略分野
      • オール光ネットワーク(APN)分野
        • 複数事業者間をシームレスに繋ぐオール光ネットワークサービスの2030年頃の国内本格導入とオール光ネットワーク関連製品・サービスの海外展開を目指す。
        • これに向けて、
          • 複数事業者間をシームレスに繋ぐ共通基盤技術の研究開発を進め、2028年頃に確立。
          • 開発成果について、実証基盤環境の整備等を推進。また、2027年以降、国際的なフォーラム標準へ順次反映するため、民間の標準化活動を支援。
          • 日本企業のフットプリント拡大に向け、既に商用化された製品等の海外展開を現段階から積極的に支援
      • 非地上系ネットワーク(NTN)分野
        • HAPSについて、2026年中の国内導入のための制度整備に加え、高度化等の研究開発や海外展開等を支援。
        • 衛星通信について、グローバルに提供されるサービスの円滑な国内導入のための制度整備に加え、研究開発を支援。
      • 無線アクセスネットワーク(RAN)分野
        • サブ6・ミリ波、Stand Alone(SA)の活用を拡大。
        • 今後のトラヒック需要の拡大に対応するための周波数確保、RANの高度化や更なる高周波数の利活用等に向けた研究開発等を推進。

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