危機管理トピックス

サイバー空間をめぐる脅威の情勢等/G20デジタル経済大臣会合の開催結果/鉄道車両会社の不正行為

2024.09.24
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更新日:2024年9月24日 新着20記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

内閣府
  • 月例経済報告(月次)
  • 第10回 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会
国民生活センター
  • 国民生活2024年9月号【No.145】(2024年9月17日発行)
  • きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!-大切な貴金属が持ち去られたなどの事例が寄せられています-
  • エンジンが故障した刈払機(相談解決のためのテストからNo.187)
  • 洗濯用パック型液体洗剤の誤飲に注意
経済産業省
  • 「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます
  • 西部生コン株式会社のJIS認証取消報告がありました
  • 「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しました
  • 「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置します
総務省
  • G20デジタル経済大臣会合の開催結果
  • 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第13回)
  • 感染症対策に関する行政評価・監視-国際的に脅威となる感染症への対応を中心として-<勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>
  • 総務省消防庁 令和6年8月の熱中症による救急搬送状況
国土交通省
  • JR九州高速船株式会社に対して命令書を発出しました~海上運送法第19条第2項及び第10条の3第7項に基づく行政処分~
  • 日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスによる 舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の中間報告について
  • メトロ車両株式会社における輪軸組立時の不正行為について
  • 京王重機整備株式会社における輪軸組立時の不正行為について

~NEW~
警察庁 サイバー空間をめぐる脅威の情勢等
  • 令和6年上半期においては、サイバー攻撃の前兆ともなるぜい弱性探索行為等の不審なアクセス件数及びランサムウェアの被害報告件数が前年同期から増加した。
  • また、フィッシングの被害報告件数も前年同期比で約10万件増加したほか、インターネット上には犯罪実行者募集情報が氾濫するなど、極めて深刻な情勢が継続している。そのような中、警察においては、令和6年4月、サイバー特別捜査隊をサイバー特別捜査部に改組し、捜査・分析体制を強化した。
  1. 高度な技術を悪用したサイバー攻撃の脅威情勢
    • 近年、世界各地で重要インフラの機能停止や機密情報の窃取を企図したとみられるサイバー攻撃が相次いで発生し、我が国でも、政府機関等においてDDoS攻撃とみられる被害が発生しているほか、生成AIを悪用した事案も発生。
    • 警察庁が設置したセンサーにおいて検知した、ぜい弱性探索行為等の不審なアクセス件数は、増加の一途をたどり、その大部分が海外を送信元とするアクセス。
    • 令和6年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は、114件であり、高水準で推移。流出した情報は、ダークウェブ上のリークサイトに掲載。※ノーウェアランサム:暗号化することなくデータを窃取した上で対価を要求する手口。令和5年上半期から集計。
    • 【警察の取組】
      • サイバー特別捜査隊(当時)が参画した国際共同捜査において、ランサムウェア事案被疑者が検挙されたほか、警察庁において、中国政府を背景とするサイバー攻撃グループAPT40による攻撃手法や緩和策が示された国際アドバイザリーの共同署名に参画し、本件アドバイザリーを公表。
  2.  インターネット空間を悪用した犯罪に係る脅威情勢
    • 情報通信技術の発展が社会に便益をもたらす反面、インターネットバンキングに係る不正送金事案や、SNSを通じて金銭をだまし取るSNS型投資・ロマンス詐欺、暗号資産を利用したマネー・ローンダリングが発生するなど、インターネット上の技術・サービスが犯罪インフラとして悪用。
    • 令和6年上半期におけるフィッシング報告件数は、63万3,089件、インターネットバンキングに係る不正送金被害総額は約24億4,000万円。
    • 【警察の取組】
      • 令和4年から5年にかけて発生したインターネットバンキングに係る不正送金事件について、関係都道府県警察による捜査を通じて得られた情報をサイバー特別捜査部が集約・分析するとともに、暗号資産の追跡捜査や関係被疑者のSNSアカウントに係る捜査を実施。その結果、サイバー特別捜査部等の合同捜査本部は、同一の犯行グループが、SIMスワップという手口を駆使しながら組織的に不正送金を敢行している実態を解明するとともに、犯行グループの指示役とみられる男を特定。令和6年7月、同男を逮捕。
  3.  違法・有害情報に係る情勢
    • インターネット上には、児童ポルノ等の違法情報や犯罪を誘発するような有害情報が存在するほか、近年SNS上に氾濫する犯罪実行者募集情報は深刻な治安上の脅威。能登半島地震では、過去の災害時の画像や偽の救助情報が拡散。
    • 【警察の取組】
      • 石川県警察は、サイバー特別捜査部と連携した捜査を実施した結果、地震当日に被災者を装ってSNS上に救助を求める虚偽の内容を投稿し、本来不要な捜索活動を警察に実施させてその業務を妨害した会社員の男(25歳)を特定。令和6年7月、同男を偽計業務妨害罪で逮捕。
  4.  サイバー特別捜査部の活動状況
    • 令和4年4月、国境を容易に越えて敢行されるサイバー事案に対し、国際共同捜査を通じて被疑者を検挙するため、関東管区警察局に、全国を管轄して直接捜査を実施する「サイバー特別捜査隊」を設置。
    • 【「16SHOP」を用いたクレジットカード情報不正取得・利用事案】
      • サイバー特別捜査隊等とインドネシア国家警察との国際共同捜査により、フィッシングツール「16SHOP」を用いて日本国内の被害者等に対しフィッシングを行い、不正に入手したクレジットカード情報を用いてECサイトで不正注文を行ったとみられるインドネシア所在の被疑者を特定。令和5年7月、インドネシア国家警察が同被疑者を逮捕。本件は、フィッシングに関して国外被疑者を検挙した初の事例となった。
      • 令和6年4月、サイバー特別捜査隊を発展的に改組し、「サイバー特別捜査部」を設置することにより、捜査はもとより、重大サイバー事案の対処に必要な情報の収集、整理及び事案横断的な分析等を行う体制を強化。
    • 【DDoS攻撃ウェブサービスを利用したDDoS攻撃事案被疑者の検挙】
      • サイバー特別捜査部が、外国捜査機関から提供を受けた情報を精査した結果、海外のDDoS攻撃ウェブサービスを利用したDDoS攻撃事案の国内被疑者を特定・逮捕(令和6年8月)。本件は、EUROPOL主導の国際共同捜査への参画が国内被疑者の検挙に結びついた初の事例となった
  • 国家を背景としたサイバー攻撃やDDoS攻撃等の情勢
    • 近年、世界各地で重要インフラの機能停止や機密情報の窃取を企図したとみられるサイバー攻撃が相次いで発生している。
    • 重要インフラの基幹システムに障害を発生させるサイバー攻撃(サイバーテロ)は、インフラ機能の維持やサービスの供給を困難とし、国民の生活や社会経済活動に重大な被害をもたらすおそれがある。また、軍事技術へ転用可能な先端技術や、国の機密情報の窃取を目的とするサイバー攻撃(サイバーエスピオナージ)は、企業の競争力の源泉を失わせるのみならず、我が国の経済安全保障等にも重大な影響を及ぼしかねない。さらに、現実空間におけるテロの準備行為として、重要インフラの警備体制等の機密情報を窃取するためにサイバーエスピオナージが行われるおそれもある。
    • 例えば、我が国においても、令和6年2月には、政府機関や民間企業等のウェブサイトにおいて、DDoS攻撃による被害とみられる閲覧障害が複数発生しており、これら事案の中には、障害発生と同じ頃にSNS上でハクティビストのものと思われるアカウントから犯行をほのめかす投稿がなされる事案も確認された。また、過去には中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechが、日本を含む東アジアと米国の政府機関や事業者を標的とし、情報窃取を目的としたサイバー攻撃を行っていることも確認された。
    • 今後も国や重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせるサイバー攻撃が発生するおそれがあるなど、サイバー空間における治安の維持は、我が国の安全保障の取組とも密接に絡み合っている。
    • このようなサイバー攻撃の準備として、攻撃者は攻撃対象を事前に探索する場合があるところ、令和6年上半期に警察庁が設置したセンサーにおいて検知した、ぜい弱性探索行為等の不審なアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり9,824.7件と、平成23年以降、増加の一途をたどっており(前年同期比5%増)、その大部分を海外を送信元とするアクセスが占めている。
  • ランサムウェアの被害情勢・「RaaS」を中心とした攻撃者の相互分担状況
    • ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムであり(図表2)、ランサムウェアによって流出したとみられる事業者等の財務情報や個人情報等が、ダークウェブ上のリークサイトに掲載されていたことが確認されている。
    • サイバー特別捜査部による事案捜査及び実態解明により、ランサムウェアの開発・運営を行う者(Operator)が、攻撃の実行者(Affiliate)にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取る態様(RaaS:Ransomware as a Service)も確認された。さらに、標的企業のネットワークに侵入するための認証情報等を売買する者(IAB: Initial Access Broker)も存在するように、複数の関与者が役割を分担してサイバー攻撃を成り立たせている。その結果、攻撃の実行者が技術的な専門知識を有する必要もなくなるなど、RaaSを中心とした攻撃者の裾野の広がりがランサムウェアの被害を拡大させている背景の一つとして指摘されている。
    • また、ランサムウェアの手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝が多くを占めている。
    • 令和6年6月、出版大手企業は、同社のサーバがランサムウェアを含む大規模な攻撃を受けたと発表した。この攻撃により、同社が提供するウェブサービスが広く停止したほか、書籍の流通等の事業に影響が発生した。同年8月、同社は、この攻撃により25万人分を超える個人情報や企業情報が漏えいしたことが確認されたこと及び同年度決算において、調査・復旧費用等として30億円を超える損失を計上する見込みであることを発表した
  • AIをめぐる情勢
    • 現在急速に一般社会で利用が広がっているAIについても、様々な便益をもたらすことが期待される一方で、不正プログラム、フィッシングメール、偽情報作成への悪用、兵器転用、機密情報の漏えいといった、AIを悪用した犯罪のリスクや安全保障への影響が懸念されている。さらに、AIを悪用することで専門知識のない者でもサイバー攻撃に悪用し得る情報へのアクセスが容易になると考えられている。実際、警察庁情報技術解析部門の分析により、一般的な生成AIサービスでも、悪意あるプログラムを作成できることが判明したほか、生成AIを利用して不正プログラムを作成した容疑で、逮捕事案も発生している。
  •  インターネット空間を悪用した犯罪に係る脅威情勢
    • 情報通信技術の著しい発展や、日常生活や経済活動へのサイバー空間の浸透は社会に様々な便益をもたらす反面、サイバー空間を舞台とした犯罪をはじめ、新たな治安課題を生み、また深刻化させている。
    • インターネット上で提供される技術・サービスの中には、犯罪インフラとして悪用され、犯罪の実行を容易にし、あるいは助長するものも存在している。
    • 例えば、インターネット上での自由な活動とプライバシー保護等の目的で利用される匿名化技術が活用されたダークウェブには、ランサムウェアにより窃取された情報や児童ポルノ画像、専門的な知識を持たなくともサイバー攻撃を可能にするためのツールキット等が掲載されるなどしており、サイバー特別捜査隊(当時)による実態解明の結果、中国人グループがフィッシングで窃取した情報をダークウェブ上で売買していたとみられる事案が明らかとなっている。
    • 実際、令和6年7月にサイバー特別捜査部等からなる合同捜査本部が検挙した、インターネットバンキングに係る不正送金事案(第2部2(2)参照)においても、その犯行グループの指示役は、ダークウェブ上に存在するマーケットで流通していた、インターネットバンキングの識別符号(IDやパスワード)を入手した可能性がある。
    • また、多くの国民が利用するSNSについても犯罪インフラとして悪用される例が見られる。例えば、各種犯罪により得た収益を吸い上げる中核部分が匿名化されている、SNSを通じるなどしてメンバー同士が緩やかに結びついているといった特徴を有する「匿名・流動型犯罪グループ」が、SNSで高額な報酬を示唆して犯罪の実行犯を募集して、特殊詐欺等を敢行している実態が見られるほか、SNSを使用した非対面型の投資詐欺やロマンス詐欺、フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害においても、同グループの関与がうかがわれている。
    • さらに、近年は、SNS上での特定の個人に対する誹謗中傷も社会問題化しており、令和6年上半期に検挙されたインターネット上での名誉毀損罪及び侮辱罪は合計で217件となっており、増加傾向にある。
    • このように現代においては、ありとあらゆる犯罪がインターネット空間を悪用しているともいえる状況であり、その結果、令和6年上半期におけるサイバー犯罪1の検挙件数は5,715件に、サイバー事案2の検挙件数は1,396件に達している。
    • また、暗号資産については、利用者の匿名性が高く、その移転がサイバー空間において瞬時に行われるという性質から、犯罪に悪用されたり、犯罪収益等が暗号資産の形で隠匿されたりするなどの実態が見られる。特に、海外の暗号資産交換業者で取引される暗号資産の中には、移転記録が公開されず、追跡が困難で、マネー・ローンダリングに利用されるおそれが高いものも存在する。
    • 警察においては、警察庁サイバー警察局がサイバー政策の推進における中心的な役割を、サイバー特別捜査部が重大サイバー事案3への対処を担い、都道府県警察において被害相談の受付・捜査・対策等を推進する役割を担っている。
    • また、サイバー事案のうち、捜査に当たり高度な専門的知識及び技術を要さないものについては、各事件主管部門において主体的に捜査を行うほか、サイバー部門が各事件主管部門を適切に支援することとされている。
  •  違法・有害情報に係る情勢
    • インターネット上には、児童ポルノ、規制薬物の広告等の違法情報のほか、違法情報には該当しないものの、犯罪や事件を誘発するなど公共の安全と秩序の維持の観点から放置することのできない有害情報が存在する。
    • 近年SNS上には、匿名・流動型犯罪グループ等による犯罪の実行者を直接的かつ明示的に誘引等(募集)する情報(犯罪実行者募集情報)が氾濫しており、応募者らにより実際に強盗や特殊詐欺等の犯罪が敢行されるなど、この種情報の氾濫がより深刻な治安上の脅威になっている。
    • 実際、令和6年4月から5月までの間における匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる資金獲得犯罪5のうち、主な資金獲得犯罪6の検挙人員508人中、SNSでの犯罪実行者募集情報に応募する形で犯行に関与した者は155人と、全体の5%を占めている。
    • また、令和6年1月1日に発生した能登半島地震においては、インターネット上において、過去の別場面に酷似した画像を添付しての投稿や、存在しない住所を記載し不確かな救助を呼び掛ける投稿等が多数拡散されたほか、SNS上において、QRコードを利用した義援金を募る送金詐欺も確認された。

~NEW~
厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況
▼ 結果の概要
  1. 出生数は減少
    • 出生数は72万7288人で、前年の77万759人より4万3471人減少し、明治32年の人口動態調査開始以来最少となった。出生率(人口千対)は0で前年の6.3より低下し、合計特殊出生率は1.20で前年の1.26より低下し、過去最低となった。
    • 母の年齢(5歳階級)別にみると、出生数は15~44歳の各階級では前年より減少したが、45歳以上の各階級では増加した。合計特殊出生率の内訳は39歳以下の各階級で前年より低下したが、40歳以上の各階級では上昇した。なお、出生数及び合計特殊出生率の内訳ともに、30~34歳の階級が最多・最高となっている。
    • 出生順位別にみると、出生数及び合計特殊出生率の内訳ともに、いずれの出生順位についても前年より減少・低下した。
    • 母の年齢(5歳階級)別と出生順位別を併せてみると、合計特殊出生率の内訳は39歳以下の各階級ではいずれの出生順位についても前年より低下した。
  2. 死亡数は増加
    • 死亡数は157万6016人で、前年の156万9050人より6966人増加し、調査開始以来最多となった。死亡率(人口千対)は0で前年の12.9より上昇した。
    • 死因別にみると、前年と同様、死因順位第1位は悪性新生物<腫瘍>で死亡数は38万2504人(死亡総数に占める割合は3%、死亡率(人口10万対)は315.6)、第2位は心疾患(同14.7%、190.7)、第3位は老衰(同12.1%、156.7)となっている。
    • なお、新型コロナウイルス感染症の死亡数は、3万8086人(同4%、31.4)で第8位となっている。
    • 年齢調整死亡率(人口千対)は男1、女7.8で、男女とも前年の男14.4、女7.9より低下した。
  3. 自然増減数は減少
    • 出生数と死亡数の差である自然増減数は△84万8728人で、前年の△79万8291人より5万437人減少し、過去最大の減少となった。
    • また、自然増減率(人口千対)は△7.0で前年の△6.5より低下し、実数・率ともに17年連続で減少・低下した。
  4. 死産数は増加
    • 死産数は1万5534胎で、前年の1万5179胎より355胎増加し、死産率(出産(出生+死産)千対)は9で、前年の19.3より上昇した。
  5. 婚姻件数は減少
    • 婚姻件数は47万4741組で、前年の50万4930組より3万189組減少し、婚姻率(人口千対)は9で前年の4.1より低下した(第1表)。
  6. 離婚件数は増加
    • 離婚件数は18万3814組で、前年の17万9099組より4715組増加し、離婚率(人口千対)は52で前年の1.47より上昇した。

~NEW~
内閣府 月例経済報告(月次)
▼ 関係閣僚会議資料(令和6年9月)
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状 【判断維持】
      • 景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。
    2. 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」等に基づき、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や官民連携投資による社会課題解決と生産性向上に取り組む。
      • 「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及びその裏付けとなる令和5年度補正予算並びに令和6年度予算を迅速かつ着実に執行する。また、足元の物価動向の中、年金生活世帯や中小企業にとっては厳しい状況が続いており、まずは、早急に着手可能で即効性のある対策を講じるなど、二段構えでの対応を行っていく。
      • 「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
      • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
      • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
      • こうした取組により、デフレからの完全脱却、成長型の新たな経済ステージへの移行を実現していく。
  • 主要先進国におけるコロナ禍後の経済動向
    • 主要先進国の実質GDPはコロナ禍前の水準を回復。アメリカは、個人消費や設備投資といった民需が景気拡大をけん引。日本は、いずれの指標でも中位程度の回復。
    • 失業率は、各国ともにコロナ禍で上昇した後、現在はコロナ禍前とおおむね同水準に低下。日本の失業率はピークでも1%に抑えられ、足下は2%台半ばと、先進国最低で推移。消費者物価上昇率は、多くの欧米諸国で一時9%前後まで高まったが、現在は2~3%程度まで低下。日本はピーク時は4.3%となった後、2023年秋以降2%台で推移。
    • 欧米では、物価上昇率の高まりを受け、2022年以降、金融引締めが急速に進んだが、足下では物価上昇率の低下を受け、ユーロ圏や英国で利下げが行われるなど潮目が変化しつつある。
  • 我が国経済の変化と今後の課題
    • 1990年代末以降、長期的に名目賃金・物価の上昇率はともにゼロ%前後で推移してきたが、コロナ禍からの世界経済の回復や
  • 2022年の資源価格高騰を機に輸入物価が上昇。コストプッシュ型物価上昇に対し価格転嫁・賃上げを促進した結果、名目賃金も上昇に転じ、デフレに陥る前の水準まで伸びが高まり、24年6月には物価上昇率を超え、実質賃金はプラスに。こうした中、金融政策の主な手段は、他の多くの中央銀行と同様、短期金利に戻り、政策金利は25%程度に。
    • この3年間で、名目GDPは56兆円増加し、史上初めて600兆円を超えた。設備投資も過去最高の106兆円、消費も増加。
    • GDPギャップは足下▲6%程度まで縮小。一方、潜在成長率は0%台半ば。資本、労働、生産性の各側面から潜在成長率を引き上げるとともに、価格や賃金をシグナルとした市場経済の本来のダイナミズムを取り戻すことが重要。
  • 企業部門の動向
    • 2024年4-6月期の企業収益は、営業利益、経常利益ともに過去最高を更新。
    • 中小企業では、付加価値と人件費が同程度の伸びとなり、労働分配率はおおむね横ばい。一方、大中堅企業では、付加価値の伸びが人件費の伸びを上回り、労働分配率は緩やかな低下傾向に。
    • 過去四半世紀、国内設備投資の成果である固定資産の伸びはわずかで、海外直接投資や現預金が大きく増加。借入はほとんど増えず、内部留保が拡大。企業部門の好調さを賃上げや投資拡大に回すことにより、成長型経済の実現につなげる必要。
  • 設備投資の動向
    • 設備投資を形態別にみると、持ち直しの動きが続く中で、ソフトウェアなど知的財産生産物への投資が継続的に増加。業種別でみると、足下では非製造業がけん引。
    • 将来の成長の源泉となる研究開発投資のGDP比は、過去10年程度で、韓国、アメリカ、英国等で大きく上昇しているのに対し、日本はほぼ横ばい。無形資産投資の促進を通じた生産性向上が課題。
    • 民間建設工事の出来高が横ばい傾向の中、手持ち高は過去最高水準まで増加。建設業の人手不足の影響もあって、受注工事の工期が以前よりも長期化。今後、高水準の手持ち工事高は、徐々に出来高に反映される見込み。
  • 賃金の動向
    • フルタイム労働者の定期給与は春闘賃上げの反映が進み、高い伸び。特別給与(ボーナス等)は6-7月を通じて高い伸びとなり、中小規模の事業所の伸びが寄与。実質賃金では、パート時給は前年比プラスが継続。フルタイム労働者も2か月連続でプラス。ボーナス等を除く定期給与でも着実に持ち直し。転職により年収が増加する者の割合も上昇。
    • 最低賃金は、現行制度で最大の引上げ幅となり、全国加重平均で1,055円に。本年10月以降、パート労働者の賃金上昇につながることが期待。最低賃金引上げへの対応として、企業の半数が価格転嫁を挙げる一方、設備投資による生産性向上を挙げる中小企業は4分の1程度。引き続き、価格転嫁対策とともに、生産性向上に向けた投資の後押し等が重要。
  • 物価の動向
    • 消費者物価上昇率は、昨年11月以降、引き続き2%台で推移。円安の是正もあり、円ベースの輸入物価はこのところ下落。また、5%以上の物価上昇を予想する世帯の割合が縮小し、家計の予想物価上昇率の平均はやや低下。
    • 一方、直近では食料品の価格上昇がやや拡大。米、肉類、チョコレートなどの価格の上昇が寄与。
    • サービスの物価上昇の分布は、コロナ禍前は0%近傍に集中し、価格据置きが続いていたが、足下で、より多くの品目でプラス領域に。
  • 個人消費の動向
    • 個人消費は、2023年に入って以降、名目所得の伸びが物価上昇に追いつかず、力強さを欠いていたが、実質所得が増加傾向に転じる中で、持ち直しの動き。今後も、賃上げが広がることにより、消費が持ち直していくことが期待。
    • 財消費をスーパー等のPOSデータでみると、防災関連財の販売増もあり、8月は売上数量が増加。
    • サービス消費は持ち直しが続く。外食は売上、客数ともに緩やかに増加。日本人延べ宿泊者数も7月は増加。
    • 8月は台風による運休の影響で新幹線旅客数が減少。宿泊稼働も月末にかけて低下した後、9月に入り例年並みに回復。
  • アメリカ経済の動向
    • アメリカは個人消費を中心に景気は拡大。失業率が4%台で推移する中、雇用者数は増勢が鈍化。
    • 消費者物価上昇率は、財価格の低下を受け、2%台に低下。住居費を中心にサービス価格は底堅く推移。ただし、家賃や賃金の伸びの鈍化を受け、今後、サービス価格の伸びも鈍化する可能性。
    • 中古住宅価格は上昇が継続しており、住宅購入の際の家計の負担は増している。
  • 欧州経済
    • ユーロ圏経済は、実質GDPの回復にばらつき。ドイツ経済は足踏み状態。背景に、2022年以降の輸出の停滞と、政策の先行き不透明感による投資マインドの弱さと高い金利水準の継続による設備投資の弱い動き。
    • 州別の一人当たりGDPは、旧西ドイツ10州では、旧東ドイツ5州よりも高い。

~NEW~
内閣府 第10回 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会
▼ 【資料1】 中間整理(案)
  • デジタル化による技術の進展が消費者の関わる取引環境に与える影響についての基本的な考え方について
    1. デジタル取引の特徴の分析・具体化
      • デジタル取引は、時間・空間・資材等の物理的障壁がほとんどないため、誰でも、誰とでも、いつでも、どこでも取引に関わることを可能とする。また、事業者の参入・撤退も容易である。
      • 主体について、実店舗を有さない事業者や消費者等が売り手となるなど取引主体が多様化する一方、広告・取引の場・決済手段の各提供者等が多層的に関わり、取引関係が複雑化している。
      • 時間について、即時に取引を行うことが可能になる一方、契約締結までの過程が段階的に進むことなく瞬時に行われ、また、消費者が生活する時間と取引する時間との境界が曖昧となってきている。
      • 場所について、隔地間・越境取引が普遍化する一方、取引関係者の素性や商品の状態等の直接確認が困難であり、また、周囲に知られず取引可能となるため第三者によるチェック、サポートが効きにくい側面がある。
      • 客体・取引対象について、有体の物やサービスにとどまらず無体の情報が取引対象として事業者から提供され、他方で、消費者が金銭を支払うのではなく情報、時間、関心・アテンションを提供する取引が急速に拡大している。また、基本的なサービスを無償で提供することで自らとの取引に消費者を誘引し、追加サービスを提供する有償の取引に転換させるというビジネスモデル(いわゆる「フリーミアム」)も展開されている。
      • また、取引環境全体を見たときにも、リアル取引とは大きく異なる特徴が見られる。
      • 多様かつ膨大な情報、商品・サービスの提供が可能となっている一方、自然人である消費者にとって情報・選択の機会・選択肢の過多や取引の複雑化により単独で情報を十分に吟味し、判断することが困難となっている。
      • デジタルエコノミーにおいては、AI等の技術の進展に伴い事業者による消費者の様々な情報の収集・分析・利用や、それに基づく取引の個別化が進展している。また、生成AIの普及は利便性の向上をもたらす一方で、消費者が偽・誤情報に取り囲まれる状況の発生等にもつながっている。
      • 取引方法がデジタル化し、インターネット上で取引が完結することにより利便性が高まる一方、現実空間では限定的であった事業者側による取引環境の設計・デザインの範囲・内容が拡大している。すなわち、デジタルの取引空間においては、プラットフォームを含む事業者側が「アーキテクチャーの権力」を強力に行使して取引環境を設計し、それによって消費者の行動を現実の取引空間と比較してより効果的・無限定的に誘導することが可能である。
      • マーケティング手法が多様化・高度化する一方、従来よりも消費者の認知機能・心理メカニズムの分析に基づく手法が強化され、消費者が気付かないまま誘導される状況が多く発生している。
      • デジタル化によって海外事業者との関わりが促進されているが、これは、日本においては海外事業者によるデジタルプラットフォームが多いという側面、デジタルプラットフォームを利用することで有形の商品が海外事業者から容易に日本国内の消費者の元に届けられるという側面、無形のサービスやソフトウェアが海外事業者から日本の消費者に提供されるという側面に分けて分析する必要がある。海外事業者が提供されるものが有形物である場合と無形物である場合については、日本国内にフルフィルメント事業者や物流事業者という接点があるか否か、有形物と無形物がもたらしうる害の相対的な差異に留意して検討する必要がある。
      • デジタル取引においては、技術革新が飛躍的に進み、それによって取引環境が急激に変化することも特徴である。
    2. デジタル取引について、リアル取引と(次元の)異なる規律が必要となる場面、規律が整備されていない場面の整理
      1. 「消費者の脆弱性」の利用・作出との関係
        • AI等の技術の発展により、事業者が消費者の様々な情報を収集・分析(プロファイリング)し、それに基づくレコメンデーションやターゲティング広告等を行うことが可能となっており、「消費者の脆弱性」を高精度に推測し、利用することも可能となっている。
        • 事業者側が取引環境を設計・デザインすることが可能となっていることが、消費者が気付かない間に不利な判断・意思決定をするよう誘導する、いわゆるダークパターン(ダーク・コマーシャル・パターン)の拡大につながっている。
        • ダークパターンについては、自律性の阻害、経済的損失、プライバシー被害、心理的被害といった個々の消費者の被害にとどまらず、競争のゆがみや信頼低下による構造的な消費者の被害を生じさせるとの指摘もなされている。
        • ダークパターンは、技術的要素(デザイン)によって構成され、進化的な発展が可能であるため、事業者の主観的な意思によらずに「消費者の脆弱性」を利用・作出する可能性がある。
        • デジタル技術により「消費者の脆弱性」が作出・利用される場面については、デジタル取引特有の環境やデジタル技術による規律、情報処理能力の非対称性といった特徴によるものであり、リアル取引とは異なったこれらの特徴を踏まえた対応が必要となると考えられる。例えば、消費者自身が「消費者の脆弱性」の作出・利用や被害に気づくことが困難であるという特徴を踏まえて規律の実効性をいかに確保するかを検討することが考えられる。
        • その上で、デジタル技術により「消費者の脆弱性」が作出・利用される場面についての対応を検討する中で明らかとなってくる「消費者の脆弱性」の捉え方や対策について、リアル取引にもフィードバックして応用・活用するべきであり、過度にデジタル取引に特有のものとして限定し過ぎず、相互に参照しながら検討することも重要である。
      2. 消費者の取引環境の個別化との関係
        • プロファイリングに基づくレコメンデーション、ターゲティング広告等は、消費者の選択を支援し、利便性を高めるものである一方で、自律的な意思決定をゆがめるリスクを持つ。また、パーソナライズド・プライシングについては、価格差別がプラスの経済効果を持ち得ることから一律に規制対象とする必要はないが、一定の条件の下で価格差別が問題となる場合がある。
        • これらを踏まえ、取引環境の個別化について、いかに健全性を確保するかが課題となる。健全性の確保の在り方については、倫理的な正当性に基づいて検討すること、事業者側と消費者側との対話により認識のギャップを埋めること、利益の追求だけでなく消費者の自律的な意思決定につながる関係性の構築の志向等の健全性を裏打ちするものを捉えて促進すること、搾取や不公正な慣行、消費者の自律的な意思決定の阻害等の不健全なものを捉えて取り除くことなどの観点が考えられる。
        • もっともダークパターンが不健全であるとして対策を検討する場合とは異なり、パーソナライズド・プライシングやターゲティング広告においてはそれらを用いて商品やサービスがより多く売れるようにすることが一般的に不健全なわけではなく、それらを用いた搾取や不公正な取引が不健全であると考えるべきである。加えて事業者においては単に商品やサービスをより多く売るというだけでなく、買い手である消費者の関係的自律を尊重し確保するという視点も必要になってくると考えられる。
        • また、デジタル取引においては、消費者にとって、自分が見ている広告や商品・サービス、それらの価格が自分に対して個別化されたものなのか否かが判然とせず、他の消費者にどのように表示されているのかも分からないという、透明性に関する問題への対応が課題となる。リアル取引に比してデジタル取引においては個別化されていること自体が不透明であることが、消費者の自律的な意思決定を歪めるリスクを高めていると考えられる。
        • さらに、情報は対価性のみならず人格的価値にも根差すものであることを踏まえ、その収集・分析・利用の適切性・信頼をいかに確保するかが課題となる。例えば、プロファイリングにより一般的な情報からセンシティブ情報が生成され得ることを踏まえると、それを使って認知的な脆弱性を攻撃するようなターゲティングは許されるべきではないと考えられる。
        • AIは過去のデータに依拠するが、必ずしも予見可能性が高いとはいえない部分があり、確率は低くともミス(誤推定による不適合)は必ずあるということを踏まえる必要がある。
      3. 事業者が多層的に関わることとの関係、技術の進展、情報化の下で法制度が果たすべき役割
        • デジタル取引においては、事業者側が取引環境を設計・デザインすることが可能となっているという特徴を踏まえた対応、取引基盤提供者としてプラットフォーム提供事業者や決済機能提供事業者、情報・広告提供者が重要な役割を果たし、事業者が多層的に関わることを踏まえた対応が課題となる。
        • 事業者による技術や情報の利用が消費者の選択の支援になる側面がある一方で、消費者の自律的な意思決定をゆがめるリスクがあることを踏まえ、その健全性・信頼性を確保することが重要となる。
        • デジタル技術の進展や飛躍的な技術革新がもたらすデジタル取引の急激な環境変化に対応するためには、対症療法的な手法に限らず、包括的な視野に立った適切な規律の在り方を検討することも重要である。
        • また、悪質な行為に対しては厳格に対応し、健全な事業活動についてはこれを促進するインセンティブを設計する等のメリハリの利いた規律の在り方を検討することや越境取引の普遍化を踏まえた対応を検討することも重要である。
        • 消費者のエンパワーのために技術を活用することについて、実効性・信頼性の確保の観点も踏まえながら検討することも重要である。
        • デジタル化の下で消費者法制度が役割を果たすためには、関係主体との関係も踏まえながら行政が必要なリソースを効果的に注げるようにしていくことも重要である。
      4. 消費者・消費者団体のデジタル化への対応力との関係
        • デジタル取引において、事業者(特にプラットフォーム提供事業者)と消費者との間には情報処理能力の非対称性等による新たな格差が生じている。
        • デジタル化に対応する消費者団体の形成が遅れており、消費者団体の人的リソースの問題も深刻となっている。また、例えばデジタルネイティブ世代であるからといってデジタル取引における消費者問題に適切に対応できているとは限らず、むしろデジタル取引における消費者問題により広くさらされているものであり、その実態を消費者団体において捉えられるかを含めて課題となっている。
        • ダークパターンにより自律的な意思決定をゆがめるという問題や情報、時間、関心・アテンションが奪われるという問題のように実害を感じにくい、あるいは経済的な損失の発生に至らない問題については、消費者本人では気づきにくいため、消費者の意見を集約して活動(提言)する組織がモニタリングしていくことが必要である。
        • 消費者の認知過程を保護し、自律的な意思決定を支援すること必要である。
        • 消費者教育やリテラシーの向上と組み合わせることも重要である。

~NEW~
国民生活センター 国民生活2024年9月号【No.145】(2024年9月17日発行)
▼ 海外ニュース(2024年9月号)
  1. アメリカ:乳牛の鳥インフルエンザ感染で注意すべきこと
    • 2024年3月、テキサス州とカンザス州の牧場の乳牛から採取された口腔拭い液と加熱殺菌されていない生乳(以下、生乳)のサンプルから高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)H5N1亜型ウイルス陽性が世界で初めて確認され、7月には12州の151乳牛群に感染が拡大した。感染した鳥は死ぬが、乳牛は食欲減退や乳量の減少などがみられる程度という。同年4月にはヒトへの感染が確認され、その後、酪農労働者の感染が4件報告された。CDCは、動物からヒトおよびヒトからヒトへの感染拡大の可能性は現時点では低いと考えているが、感染リスクを避けるために、「できるだけ病気や死んだ野鳥、家禽、家畜、その他の野生動物に触れない」、「家畜等の糞尿や糞尿で汚れた敷料(わら、もみ殻など)、生乳や感染を確認した鳥や牛の周囲の物にできるだけ触れない」、「生乳を飲まない」、「感染の可能性がある場合を含め、感染したものに触れる必要のある際は、PPE(個人防護具=使い捨てのカバーオールや手袋、長靴、ゴーグル、N95フィルターマスク等)の着用する」といったことを推奨している。PPEを着用していても接触から10日間は感染リスクがあるので、結膜炎や新たな呼吸器疾患の症状が表れたら、迅速に検査し非感染の診断が出るまでは隔離が必要としている。
    • また、CDCとFDAは生乳とその乳製品を摂取する危険性を強く訴えている。アメリカでは、味や未加工品への好みなどを理由に加熱殺菌を拒否する消費者もいる。FDAは生乳を選んでいる消費者向けに、加熱殺菌は、「生乳の栄養価を低下させない」、「乳糖不耐やアレルギーの原因ではない」、「有害な細菌を死滅させ我々の命を守る」などと説明している。
  2. オーストラリア:退職年金詐欺から消費者を守るために
    • オーストラリアの年金制度は、税を財源に所得・資産調査に基づいて給付される老齢年金(AP)と、事業主の強制拠出と被用者や自営業者の任意拠出による確定拠出年金(退職年金)からなる。オーストラリアの年金ファンド市場は総額5兆豪ドル(約350兆円)といわれ、その大部分を退職年金ファンドが占める。しかし近年はファンドからの個人情報流出事案が相次ぎ、これを悪用したとみられる詐欺も頻発している。2023年のACCCへの詐欺報告は約60万件、損失額が27.4億豪ドル(約2740億円)、65歳以上の高齢者層の損失額は約13%増加の1.2億豪ドル(約120億円)に上ったという。
    • この退職年金関連の消費者問題にCHOICEと連携して取り組むSCA(スーパー・コンシューマーズ・オーストラリア)によると、2022年以降大手3つのファンド加入者で最大8万人がフィッシング詐欺などのリスクにさらされているという。
    • 金融サービス業の国内の代表的な100社以上を会員とする業界団体のFSCは7月、退職年金詐欺に対する顧客保護のために業界初となる詐欺軽減基準を発表した。この基準ではリスクの高いすべての取引にMFA(多要素認証)を義務づけるとともに詐欺行為の監視や対処の明確な方針・手順の導入などを各退職年金ファンドに要求しており、2026年7月1日までに、できるだけ早期に導入するよう求めている。
    • SCAはこれを対策の第一歩と歓迎しつつも、FSCの自主基準であり、対象は退職年金ファンド加入者全体の約4分の1に限られ、また、2026年までは義務化されず、決定的解決策にはならないと指摘し、早急に年金詐欺防止法を制定するよう政府に求めている。

~NEW~
国民生活センター きっかけは訪問購入?犯罪まがいの深刻なトラブルにご注意を!-大切な貴金属が持ち去られたなどの事例が寄せられています-
  • 2023年9月に、購入業者が自宅に来て物品を買い取るという訪問購入のトラブルについて注意喚起をしました*。
  • その後も多くの相談が寄せられる一方で、中には「『不用品を買い取り貧しい国に寄付する』と勧誘を受け了承したが、業者が帰ったあと指輪がなくなっていた」「身に着けていた大切な指輪を強引に要求された」などといった、きっかけは訪問購入に見える犯罪まがいの深刻なトラブル事例も複数寄せられています。事例をみると、主に80歳以上の女性が当事者となっていることから、特に注意してほしいトラブルです。
  • そこで、トラブルの未然・拡大防止のため、事例を紹介するとともに、消費者に注意を呼びかけます。
  • 相談事例
    • ふと目を離した隙に金のネックレスやダイヤの指輪などを業者に持ち去られたようだ。
    • 人の役に立つならと思い訪問を了承したが、業者が帰った後指輪がなくなっていた。
    • 身に着けていた母の形見の指輪を業者から強引に要求され怖い思いをした。
    • 一人暮らしの認知症の母親が記念硬貨を安値で買い取られていた。
  • 相談事例からみる問題点
    • 犯罪まがいの行為が行われる深刻な事例がみられる。
    • 特定商取引法違反の疑いがある行為が行われている。
    • 消費者の親切心に訴えかけるなどして断りにくくした上で勧誘を行っている。
    • 判断力の低下した高齢者がトラブルにあっている。
  • アドバイス
    • 突然訪問してきた購入業者は決して家に入れないようにしましょう。
    • 購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないようにしましょう。
    • 購入業者から勧誘を受けて訪問を承諾する場合は、一人では対応しないようにしましょう。
    • トラブルになった場合や不安がある場合は、消費生活センターや警察に相談しましょう。

~NEW~
国民生活センター エンジンが故障した刈払機(相談解決のためのテストからNo.187)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テストの結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「刈払機が2回目の使用で故障した。故障した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は刈刃を2サイクルエンジンの動力で回転させて草等を刈る刈払機で、相談者自身でガソリンと2サイクルエンジンオイルを混ぜた混合燃料を用い、購入してから2回目の使用中に故障したとのことでした。
    • 当該品のエンジンの内部を観察したところ、シリンダ壁面とシリンダ壁面と接触するピストンの摺動部には摺動方向と平行に入った多数の線傷がみられました。このことから、使用していた混合燃料の劣化やガソリンとオイルとの混合が不十分であったこと等によって、潤滑が十分に行われず摩擦熱が増大し、ピストンとシリンダ間に焼き付きが生じたものと考えられました。
  • 解決内容等
    • エンジン式の刈払機は、4サイクルエンジンのものと2サイクルエンジンのものがあります。2サイクルエンジンのものは混合燃料を使用する必要があり、商品ごとに適正な混合比が定められています。必ず取扱説明書をよく読み、商品に適合した混合燃料を使用しましょう。
    • 自身で混合燃料を作る場合には、ガソリンと2サイクルエンジンオイルを計量するなどして適切な混合比にし、十分に混ぜましょう。既に混合されている混合済み燃料を使用する場合でも、給油前には容器を十分に振り、よく混ぜてから使用しましょう。
    • また、期間が経過した混合燃料は劣化していることがありますので、使用しないようにしましょう。刈払機を使用した後は、混合燃料の劣化を防ぐため、燃料タンクからすべて抜いた状態で保管しましょう。

~NEW~
国民生活センター 洗濯用パック型液体洗剤の誤飲に注意
  • 内容
    • 認知症のある高齢者が、自宅の洗面所に置いてあった洗濯用パック型液体洗剤を1~2個食べてしまった。嘔吐と下痢が続き、病院に搬送された。洗剤による界面活性剤中毒から誤えん性肺炎となり入院し、その後人工呼吸器が必要となった。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 洗濯用パック型液体洗剤を食べ物と間違えるなどして口に入れてしまった事故が報告されています。
    • 洗濯用パック型液体洗剤には、界面活性剤等様々な成分が含まれています。誤飲により嘔吐したりむせたときに気道に入ってしまうことで、化学性肺炎や誤えん性肺炎等の重篤な症状の原因となることがあります。むせる力の弱い高齢者は特に注意が必要です。
    • 洗濯用パック型液体洗剤は、高齢者だけでなく、子どもの目につかないところ、手の届かないところに保管しましょう。
    • 口に入れてしまった際は、すぐに口をすすがせましょう。異常を感じる場合は、成分が分かるパッケージ等を持って、医療機関を受診しましょう。

~NEW~
経済産業省 「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます
  • 経済産業省では、コーポレートガバナンス・コードを実践するための各種ガイドライン等を策定し、公表しております。今般、これまで日本企業が行ってきたコーポレートガバナンス改革を土台としつつ、「稼ぐ力」の強化に結びつけるための更なる取組や会社法の改正の方向性等について検討するため、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます。
  1. 背景
    • 経済産業省は、日本企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、社外取締役の活用による監督機能の強化や執行機能の強化など、コーポレートガバナンス改革に取り組んできました。その結果、多くの企業で社外取締役の選任や指名委員会・報酬委員会の設置が進むなど、一定の成果が見られます。
    • 今後は、これまでの取組が日本企業の「稼ぐ力」の強化にどう寄与しているのかを踏まえつつ、「稼ぐ力」の強化に結びつけるための更なる取組を検討することが重要です。例えば、企業は、単に法令やコーポレートガバナンス・コード等を遵守するのではなく、「稼ぐ力」を強化する観点から、自社のコーポレートガバナンスの在り方を十分議論した上で、それを実行するための体制や運用の見直しまで落とし込むことが必要と考えられます。
    • 上記のコーポレートガバナンスに関する取組に加えて、企業の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上の観点から、企業活動の基盤である会社法の改正に向けた議論も必要です。
    • 以上の問題意識から、日本企業の「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス改革の進め方や会社法の改正の方向性等について検討するため、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます。
  2. 本研究会の取組
    • 本研究会では、日本企業のコーポレートガバナンス改革の進め方について、「稼ぐ力」の強化に向けてコーポレートガバナンス改革を行うに当たって必要な考え方や方法、日本企業のコーポレートガバナンス改革を後押しする方策について検討を行います。また、会社法の改正について、検討すべき事項や考えられる改正の方向性について検討を行います。
  3. 今後の予定
    • 以下の日程で第1回研究会を開催します。
      • 第1回:2024年9月18日(水曜日)午前10時00分から12時00分
      • (研究会は非公開、後日、議事要旨をホームページに掲載予定。)

~NEW~
経済産業省 西部生コン株式会社のJIS認証取消報告がありました
  • JISマーク表示制度の登録認証機関である一般財団法人日本建築総合試験所が、日本産業規格(JIS A 5308)の認証製造業者である西部生コン株式会社に対して審査を行った結果、JISマーク認証の取消しを行った旨の報告がありました。
  1. 報告の内容
    • 本日、産業標準化法に基づく「鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令」(平成17年厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第6号。以下「省令」という。)第22条第4項に則り、JISマーク表示制度の登録認証機関である一般財団法人日本建築総合試験所(以下「日総試」という。)から以下の報告がありました。
    • 日総試は、認証製造業者である西部生コン株式会社に対し、2024年7月18日、7月29日及び8月27日の審査並びにその後の調査を行ったところ、
      1. JISマークを付した架空の納入書を長期間にわたり発行した事実
      2. 一部の製品について購入者に提出した納入書等に記載されている配合表と異なる配合の製品を長期間にわたり出荷した事実
      3. 不適合を隠蔽するため、一部の品質管理記録の改ざんがなされた事実
        を確認しました。
    • 日総試は、審査内容の検討の結果、省令に定める基準を満たしておらず、不適合の内容が重大であると判断し、2024年9月18日付で、同社の次の認証を取り消しました。
  2. 認証取消しとなる製造業者
    1. 製造業者名
      • 西部生コン株式会社(法人番号 6060001008477)
    2. 認証に係る工場の名称、所在地、認証年月日、認証番号及び取消しの対象となるJIS番号
      • 工場名:西部生コン株式会社 今市工場
      • 工場名:西部生コン株式会社 足尾工場
      • 工場名:西部生コン株式会社 日光工場

~NEW~
経済産業省 「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しました
  • 経済産業省は、本年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、デジタルガバナンス・コードの改訂に向けた検討を進めてきました。
  • 同検討会での議論を踏まえ、このたび「デジタルガバナンス・コード0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しました。
  1. 概要
    • 経済産業省は、2020年11月に、企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめました。
    • また、2022年9月には、デジタル人材の育成・確保をはじめとした時勢の変化に対応するため、「デジタルガバナンス・コード0」に改訂しました。
    • 本年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、より経営者がDXに取り組むことを推進するため、DXを通して得られる企業価値向上に焦点を当て、経営者への伝わりやすさを重視した見直し(名称・構成の変更等)をはじめ、データ活用・連携やデジタル人材の育成・確保、サイバーセキュリティ等の時勢の変化に対応するための見直しを反映した「デジタルガバナンス・コード0~DX経営による企業価値向上に向けて~(案)」を取りまとめました。
    • 今般、8月8日から9月13日までの間に実施したパブリックコメントのご意見も踏まえ、このたび「デジタルガバナンス・コード0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しましたのでお知らせします。
  2. 改訂のポイント
    1. 名称
      • デジタルガバナンス・コードの目的である「DX経営による企業価値向上」を強調する副題を新たに記載。
    2. 序文
      • DXの推進による企業価値向上に焦点を当てた経営者向けのメッセージを追加するなど、序文を大幅に見直し。
      • 「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート0~」の3つの視点と整合する、「DX経営に求められる3つの視点」を追加し、デジタルガバナンス・コードの全体像を「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」と新たに整理。
    3. 本文
      • 経営者への伝わりやすさを重視し、柱立ての名称・構成を大幅に見直し。
      • デジタルガバナンス・コード0において「取組例」として設けていた内容を「望ましい方向性」に統合し、より簡潔でわかりやすい内容に変更。
      • データが企業の成長に欠かせない要素になってきていることを踏まえ、経営におけるデータ活用やデータ連携の重要性を強調。
      • DXを推進していく上で最大の課題であるデジタル人材の育成・確保について、デジタルスキル標準を参照した社員のスキル可視化や経営者を含めた役員・管理職の意識改革、キャリア形成支援等の重要性を強調。
      • 今後ますます増加するとともに高度化・複雑化していくおそれがあるサイバーセキュリティリスクについて、第三者監査やサプライチェーン保護に向けた対策等の重要性を強調。
      • その他、取締役会の役割等、各項目において必要な見直しを実施。
  3. デジタルガバナンス・コードに紐づく「DX認定」及び「DX銘柄」への影響
    1. 「DX認定」の認定基準
      • コードに記載の「デジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化」を「データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化」に、「デジタル技術を活用する戦略」を「DX戦略(=データとデジタル技術を活用する戦略)」に見直したことに伴い、各柱の②認定基準(=「DX認定」の認定基準)にデータ活用の要素も明示的に含まれました。
      • なお、デジタルガバナンス・コードの柱立ての構成を大きく見直したことに伴い、各柱の「①柱となる考え方」や「②認定基準」に記載されている各項目を移行・分割しておりますが、前述以外に認定基準の内容で大きく変更となる箇所は発生しておりません。今後、申請を予定されている事業者の皆様は、新基準に沿って申請書類を準備いただくこととなります。詳細は、DX認定制度のページをご確認ください。
    2. 「DX銘柄」の評価・選定基準
      • 全体構造を大きく見直し、「デジタルガバナンス・コード0」の各柱立てにおいて、(2)望ましい方向性及び(3)取組例、としてそれぞれ記載していた箇所を見直し、必要な改訂を行った上で、(2)望ましい方向性、として統合しました。
      • DX銘柄の選定材料となるDX調査の調査項目について、(2)望ましい方向性の記載を踏まえた内容が反映される見込みです。詳細は、追ってお知らせする「DX調査2025」の内容をご確認ください。
▼ デジタルガバナンス・コード3.0DX経営による企業価値向上に向けて~

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経済産業省 「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置します
  • 経済産業省は、グリーン鉄の市場拡大を通じた鉄鋼業のGX推進を図るため、「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置し、その方策について幅広く検討を行います。本年10月から検討を開始し、その結果を早期に取りまとめることを目指します。
  1. 趣旨
    • 鉄鋼業は、排出削減が困難な産業(hard to abate)の一つであり、その分野でのGXへの取組は脱炭素化社会の実現にあたって大きな鍵となります。
    • 現在、国内外において「グリーン鉄」製品を販売する動きが広がりつつあり、需要家が「グリーン鉄」製品を購入することで、鉄鋼業のGX推進につながる可能性があります。「グリーン鉄」には多様な製鉄プロセスがあり、それぞれの特徴や利用の意義について、需要家に対して分かりやすく、適切に情報発信を行うことが必要となります。今後、市場を拡大していくためには、需要家が「グリーン鉄」を選択することを奨励し、促進していくことも重要です。
    • 本研究会では、現在広がりつつある「グリーン鉄」製品の販売に関し、需要家への情報発信の在り方や、市場拡大に向けた課題について検討し、今後のアクションを整理します。
  2. 検討体制
    • 有識者委員数名と供給側、需要側関係企業・団体を含む実務家オブザーバーによる会議とし、本年10月から検討を開始し、早期に取りまとめることを目指します。

~NEW~
総務省 G20デジタル経済大臣会合の開催結果
▼ 閣僚宣言(仮訳)
  • 全ての人々のためのデジタル包摂性に関するG20マセイオ閣僚宣言(マセイオ、2024年9月13日)
  1. 我々、G20デジタル経済担当大臣は、2024年9月13日にブラジル・マセイオで会合を開いた。過去の議長国の成果及びコミットメントを踏まえ、我々はデジタル包摂性と普遍的で意味のある接続性、デジタル政府と包摂的なデジタル公共インフラ、オンライン上の情報インテグリティとデジタル経済における信頼性、包摂的で持続可能な開発と不平等削減のためのAIに関する議論を行った。
  2. 我々は、安全性、強靭性、セキュリティ、信頼性を構築するとともに、人類とその発展を中心に据え、人権の保護、推進、十分な享受をもたらす、実現可能で、包摂的で、オープンで、公平かつ非差別的で、安全安心で、持続可能なデジタル経済を創出することの重要性を再確認する。我々は、デジタル分野における国際協力、パートナーシップ、イノベーション、競争、起業家精神の役割を認識するとともに、既存の格差を解消し社会ならびに全ての女性や少女及び脆弱な状況にある人々を含む個人に力を与えるためのデジタル技術の変革力を認識する。そのため、我々は、発展途上国を初めとする全ての国々のニーズ、状況、能力を念頭に置きつつ、また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目的して、デジタルトランスフォーメーションの恩恵を世界各地に行き渡らせるため、課題に対処し、デジタルトランスフォーメーションの潜在力を活用することにコミットする。
  3. 我々は、G20デジタル経済作業部会(DEWG)での議論が、国連での未来サミットの文脈におけるグローバル・デジタル・コンパクトに関する進行中の議論への各国の貢献に対する貴重な見識を提供することを期待する。また、この議論が全ての人々にとってより包摂的で公平なデジタルの未来への道を開くと期待する。
  • デジタル包摂性、普遍的で意味のある接続性
  1. 我々は、デジタル接続が拡大しているにもかかわらず、世界人口の3分の1、その大半が開発途上国、特に後発開発途上国の人々であるが、アクセシビリティ、アフォーダビリティ、デジタルリテラシー及びデジタルスキルの不足により、インターネットに接続できないままであることを考慮し、全ての人々にとって普遍的で意味のある接続性を実現するという我々のコミットメントを確認する。また、我々は、2030年までにジェンダー間のデジタルデバイドを半減させるという2023年のG20首脳のコミットメントを再確認する。我々は、この接続性のギャップを埋めるためには、十分なサービスを受けていない人々や接続されていない人々の特定のニーズに対応するための協調的かつ的を絞った取組が必要であり、信頼性が高く、レジリエントな高性能なインフラによる普遍的な接続性だけでなく、脆弱な状況にある利用者に、安全で、満足のいく、豊かで、生産的なオンライン体験を、手頃なコストで提供できるような、安全で、持続可能で、高品質な接続性、すなわち意味のある接続性を提供することが必要であることを認識する。
  2. 客観的な指標を通じてこの接続性のギャップを監視・測定することは、効果的な政策立案に貢献し、投資を刺激することができる。この観点から、我々は、十分なサービスを受けていない人々や接続されていない人々の視点や、G20メンバーやそれ以外の国々の特定の状況、ニーズ、能力を考慮に入れながら、普遍的で意味のある接続性の測定のための指標や測定基準を開発し、これらの指標に関するガイドラインの共通理解を促進するための現在の取組が進んでいることを認識する。この協議に貢献するものとして、我々は、ITUと共同で作成された「普遍的で意味のある接続性のための指標に関するG20ガイドライン(付属書1)」、及びブラジル議長国下において発表された報告書「普遍的で意味のある接続性:指標と測定基準の枠組み」を歓迎する。
  3. 意味のあるデジタル包摂性を実現するためには、デジタルリテラシーとデジタルスキルが不可欠であると我々は認識している。デジタル技術にアクセスし、ナビゲートし、理解し、活用する能力を身につけることで、批判的思考、創造性、問題解決能力を通じて、すべての人がデジタルの世界に十分にかつ安全に参画し、個人的な、教育上の、あるいは職業上の開発のために十分にデジタルツール及びサービスを活用することを可能にする。
  4. 今年、G20DEWGで開催された「普遍的で意味のある接続性に関するワークショップ」では、革新的で包摂的な資金調達メカニズムの潜在的な役割や、デジタルインフラのギャップを埋めるための創造的な資金調達の実施戦略やツールについて議論された。国際開発金融機関、地域開発金融機関、政府、市民社会、民間セクターを含むあらゆる資金源からの融資の選択肢は、これらの取組を進める上で重要な役割を果たすことができる。この観点から、我々は、ITUの支援の下、「デジタルインフラ投資のイニシアティブに関するG20セミナー」を開催したことの価値を認識する。
  • デジタル政府と包摂的なデジタル公共インフラ
  1. 我々は、包摂的で、オープンで、アクセス可能で、公平で、人間中心で、安全安心で、信頼性が高く、持続可能で、開発志向のデジタルトランスフォーメーションを推進する重要性を再確認し、こうしたデジタルトランスフォーメーションの中でデジタル公共インフラ(DPI)に基づくものを含むデジタル政府サービスは、プライバシー、個人情報、人権、基本的自由を保護しつつ、デジタル時代における公的部門の即応性、有効性、透明性、信頼性の向上に重要な役割を果たし得る。この観点から、我々は、「DPIシステムに関するG20枠組み」を想起する。
  2. 我々は、DPIの基本である、デジタルIDがデジタル包摂性への入口及び持続可能な開発目標(SDGs)9、つまり「2030年までに全ての人々に法的な身分証明を提供する」を達成するためのメカニズムとなることが多いことを認識する。我々は、セキュリティ、プライバシー、個人情報保護に関して適用可能な法的枠組みに準拠する形で実施される信頼性の高いデジタルID及び効果的な認証ポリシーは、サービス及び事業機会へアクセスする際の障壁の削減に寄与し、政府サービスの透明性、説明責任、効率性、デジタル経済の信頼性を差別なく促進することを認識する。G20メンバー及び招待国は多様なアプローチを有するとともにデジタルID及び認証に関して異なる実施段階にありうることを考慮及び認識し、我々は、OECDとの協働で開発された「デジタルIDのガバナンスに関するG20一般原則(付属書2)」を歓迎する。
  3. 我々は、相互運用性に基づくものを含む、また、セキュリティ、プライバシー及び、個人データ・人権・知的財産権の保護に関するものを含む適用可能な法的枠組みに準拠した、管轄権内のデータアクセス及びデータ共有は、公益のために官民両セクターに対するデータの潜在力を引き出すことを認識する。この観点から、我々は、オープンソースソフトウェア、オープン・アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)及びオープンスタンダード、セキュリティ・バイ・デザイン・ソリューションを含む、それらをサポートする国際規格が有する重要な役割も認識する。データ共有の文脈において、我々は、適用される国内・国際的な法的枠組みを尊重しつつ、また、開発に果たすデータの役割を認識しつつ、データの越境移転と信頼性のある自由なデータ流通を実現することの重要性を再確認する。ブラジル議長国から提出された「公益のための公共機関及び民間セクターとのデータアクセス及びデータ共有に関するG20大綱」は、適切な防護措置を伴うデータアクセス及びデータ共有ソリューションの導入及び強化に関する参照文書を構成している。
  4. 安全でプライバシーが保護されたデジタル公共インフラに基づくものを含むデジタル政府サービスはイノベーションと持続可能な開発を推進する全社会的なデジタル能力を提供する潜在力を有しているため、デジタル経済における包摂性の触媒となり得ることを我々は認識する。G20DEWGブラジル議長国が企画したバーチャルワークショップ「デジタル政府と包摂性」は、デジタル包摂性とデジタル公共インフラの公平なデジタルトランスフォーメーションに対する貢献に関する対話を中心に据えた。
  • オンライン上の情報インテグリティとデジタル経済における信頼性
  1. 私たちは、デジタルプラットフォームが、地理的な境界の内外を問わず情報発信を強化し、コミュニケーションを促進することで、デジタルエコシステムとオンライン交流を再形成してきたことを認識する。しかしながら、情報領域のデジタル化とAIのような新技術の加速的な進化は、偽・誤情報、ヘイトスピーチ、その他の形態のオンライン上の有害情報のスピード、規模、範囲に劇的な影響を与えており、この現象はデジタル領域における様々な経済的インセンティブによって悪化している。私たちは、関連する政策及び適用される法的枠組みに沿ったデジタルプラットフォームの透明性と責任の必要性を強調し、この点においてプラットフォーム及び関連するステークホルダーと協力することを追求する。
  2. したがって、信頼性が高く、多様で正確な情報と知識をタイムリーに提供できる情報エコシステムの結果として理解される、情報インテグリティを促進することの必要性を認識する。情報インテグリティが欠けた場合、デジタル経済や公的機関、さらにガバナンスや民主的プロセスに対する信頼が揺らぎ、社会的結束や経済的繁栄、人権を行使する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。情報インテグリティを保護することは情報エコシステム及び科学的・歴史的知識に対する信頼を維持するためにも不可欠であり、特に脆弱な状況にある人々に影響を与える二極化の傾向を最小限に抑えられる。また、政治的、社会的、経済的不安定性、急進化及び暴力的過激主義の緩和にも貢献し、環境悪化への対応も促進する。この現象の世界的な広がりをよりよく評価するための取組として、ブラジル議長国は、この議論に情報を提供するユネスコの貢献を認識する。
  3. G20メンバーやそれ以外の国々は、全てのステークホルダーの意義ある参加を得て、各国の具体的な状況を考慮した上で国際法及び適用される法的枠組みに合致する方法によって、様々なアプローチを通じて情報インテグリティを促進することができる。情報へアクセスし分析する能力は、偽・誤情報に対する社会の強靱性を構築するために不可欠であるため、私たちは、女性及び少女に偏った影響を与えるオンライン上の有害情報のリスクを特定し、軽減するための意識を高め、利用者を支援するために、オンライン安全教育やデジタルメディアや情報のリテラシーへの投資を奨励する。これと並行して、偽・誤情報に対抗するための、独立した、事実に基づいた、証拠に基づく情報へのアクセスを通じることを含め、持続可能で強固なデジタルエコシステムと多様で強靱な情報環境を促進することは重要である。適用可能な法的枠組みを認識しつつ、我々は、人権と基本的自由を保護しつつ、オンライン上の有害情報のリスクを軽減するために、デジタルプラットフォームの透明性と説明責任を強化することを目的とした政策とガバナンスの手段の例をまとめた付属書3に従って、各国が情報インテグリティとデジタル環境における信頼性を促進することを奨励する。
  4. 情報インテグリティを保護し促進するために、情報エコシステムにおける人工知能(AI)ソリューションの開発と展開は、特にコンテンツのパーソナライズ、モデレート、生成を目的とする場合は、プライバシー、個人データの保護と、人権、基本的自由、知的財産の尊重を確保するために、適用される法的枠組みを遵守し、人間の監視のもと、倫理的で、透明性があり、監査可能で、説明責任を果たすべきである。また、バイアスを効果的に軽減すること、特に、脆弱な状況にある人々に不釣り合いに過剰な影響を及ぼす可能性のあるバイアスを軽減することも重要である。我々は、コンテンツ認証と来歴管理メカニズム、及び関連する技術標準が、AIが生成したコンテンツの識別に役立ち、利用者が情報操作を識別できるようになる可能性があると考える。知的財産権、プライバシー、データ保護を尊重し、データ、アルゴリズム、コンテンツモデレーションに関する、適切な保護を伴う透明性と説明可能性は、健全な情報エコシステムを構築するための鍵となり得る。G20メンバー及び招待国は、情報インテグリティの低下とそのデジタル経済への影響に対処するイニシアティブとベストプラクティスに関する協力と情報共有を奨励する。
  5. G20メンバー、招待国及び招待国際機関及び市民社会と民間セクターからの参加者は、DEWGサイドイベント「情報インテグリティの促進:オンライン上の偽情報、ヘイトスピーチ、公的機関への脅威への対抗」において、情報インテグリティに関する世界的な議論の現状について検討する機会を得た。このイベントの中で、ブラジル議長国は、国連、ユネスコ、及び関心を持つ国々と連携して開発された「気候変動に関する情報インテグリティのためのグローバル・イニシアティブ」を発表した。
  • 包摂的で持続可能な開発と不平等削減のためのAI
  1. 我々は、安全、安心で信頼できる人工知能(AI)が、透明で倫理的で責任と信頼性のある方法で適用された場合、社会、経済、環境の3つの次元において、経済成長と包摂的で持続可能な開発を達成するための触媒として機能する可能性があることを認識する。我々は、G20AI原則及びUNESCOAI倫理勧告を再確認する。G20ニューデリー首脳宣言において反映された我々の首脳の合意に基づき、また、これまでの議長国を踏まえ、我々は、AIを善のため、全ての人のために活用すること、また、AIの潜在力を最大限に引き出し、全ての人のためにその恩恵を共有し、そのリスクを軽減することへの我々のコミットメントを再確認する。
  2. 我々はAIにおける国際的な取組及びイニシアティブが継続していることを認識し、特に国連総会決議「持続可能な開発のための、安全、安心で信頼できるAIシステムの機会を捉える」と「AIの能力構築に関する国際協力の強化」が合意採択されたことを評価し、「人工知能に関する事務総長のハイレベル諮問機関」の報告書の公表を期待する。
  3. 我々は、AIを善のために活用するというコミットメント及び、AIの可能性を最大限に引き出し、その恩恵への公平なアクセスと共有を促進するバランスの取れたアプローチをとる決意を再確認する。また、我々は、セキュリティ、プライバシー及び、個人データ・人権・知的財産権の保護に関する適用可能な法的枠組みと整合性のある、リスクに基づき、人間中心で、開発志向の、イノベーションに親和的なAIの政策とガバナンスのアプローチにコミットすることにより、この技術から得られる利益を促進し、リスクを軽減するための我々の取組を強調する。さらに、包摂的で持続可能な開発と不平等削減のためのAIに関する国際協力と更なる議論を促進するために協力するというコミットメントを強調する。この意味で、我々は、UNESCOの活動を活用し、UNESCOと協力した「善のため、全ての人のためのAIの開発、展開及び利活用のためのリソースの有効化(付属書4)」を歓迎する。
  4. 我々は、AIやその他のデジタルデバイドから生じる課題、そして、条件、可能性及び能力の面で、国内及び先進国と開発途上国の間に存在する格差を縮小する必要性も同様に認識している。私たちは、貧困と闘い、世界の進歩に貢献するツールとして、包摂的で持続可能な開発のためにAIを活用する道筋を見出し、万人の利益につなげる必要性を認識している。加えて、多くの場合世界的な範囲において、AIシステムは、多様で代表的なデータセットに基づき、多様な範囲の言語、社会文化、人種、地理といった背景を反映するよう努めるべきであり、そのライフサイクルを通じて、差別的あるいはバイアスのあるアプリケーションや結果を強化したり、永続させたりすることを避けるよう努めるべきである。
  5. 我々は、AIが有する国内及び国際間のデジタルデバイドを拡大させる潜在的なリスクを懸念し、この領域における包摂的な国際協力の推進、特に能力構築、共同研究、自発的な技術移転及び知識の共有について、相互に合意された条件での推進を求める。これは、デジタルトランスフォーメーションにおける全ての国、特に発展途上国の参加を拡大し、その恩恵を活用し、責任ある倫理的な方法で、安全、安全で信頼できる人工知能システムの開発、展開、利活用に効果的に参加するためである。その意味で、我々は、全ての国、特に発展途上国が技術的専門知識と能力を開発する可能性を強化し、データと計算リソースを活用し、AIの利益を大規模に提供するオープンソースのテクノロジーとシステム、及びオープンデータの可能性を実現することの重要性を強調する。ブラジル議長国は、UNESCOの支援を受けて作成された「人工知能の準備と能力評価のためのツールキット」を公表した。
  6. 我々は、G20メンバー及び招待国による、AIを活用したソリューションによる公共サービス向上への取組を評価する。ブラジル議長国下において発表された報告書「G20における公共サービス向上のためのAI導入のマッピング」は、政府がAIソリューションを採用する際に直面する重要な機会と課題を提示している。我々は、経済的、社会的、環境的な地球規模の課題への対応及び様々な分野でのAIの採用におけるさらなる交流と協力を奨励する。
  7. G20サイドイベント「社会的公平性と持続可能な開発のための人工知能の活用」は、G20メンバー及び招待国が、条件、可能性、能力の面で広まっている格差から生じる課題について議論し、政府及び、民間セクター、アカデミア、市民社会を含む関係ステークホルダーに、そのような課題に対応するために必要な能力とツールを提供するための潜在的な解決策を探る機会となった。
  • 結語
  1. ブラジル議長国の下、G20デジタル経済作業部会(DEWG)に対するG20メンバー、招待国及び招待国際機関の貢献に感謝する。特に、ナレッジパートナーとして成果達成に向け貴重な意見を提供した国際電気通信連合(ITU)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)など各種国際機関に感謝する。
  2. さらに我々は、デジタル経済作業部会における将来の作業に対する、エンゲージメントグループ、特にB20、C20、T20、S20、W20、J20の、貴重なインプット及び関連する取組にも留意する。
  3. 南アフリカはG20の次期議長国として、G20をアフリカに迎えることを心待ちにしている。南アフリカは、デジタルデバイドを解消し、平等を推進し、人々の生活を向上させるための包摂的で持続可能な開発を支援するために、過去の議長国としての成果の上に積み上げていく意向である。従って、我々は、南アフリカがAI、デジタル公共インフラの導入、MSME支援のためのデジタル・イノベーション・エコシステム、普遍的で意味のある接続性をさらに推進させるための各種施策というテーマで取り組む計画を歓迎する。
  4. 我々はここにデジタル経済作業部会の付託事項を更新すると共に、同文書に概説された目的のさらなる推進というコミットメントを再確認する。

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総務省 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第13回)
▼ 資料1 令和5年度の検討を踏まえた改定方針
  • ガイドライン改定の方向性
    1. 機密性分類の名称
      • 国の分類との混同を避けるため、名称を「自治体機密性」とした上で、自治体機密性3については、個人情報の種類を考慮した上でA~Cの3段階に分類し、それぞれについて具体例を明示してはいかがか。
    2. 分類基準の見直し
      • 個人情報保護法の安全管理措置との整合性をとる形で、分類基準を見直してはいかがか。
      • 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(行政機関等編)(令和4年9月一部改正個人情報保護委員会)5‐3‐1安全管理措置(1)行政機関の長等の安全管理措置義務
      • 行政機関の長等は、保有個人情報の漏えい、滅失又は毀損(以下「漏えい等」という。)の防止その他の保有個人情報の安全管理のため、必要かつ適切な措置(以下「安全管理措置」という。)を講じなければならない(法第66条第1項)。
      • 求められる安全管理措置の内容は、保有個人情報の漏えい等が生じた場合に本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、事務又は業務の規模及び性質、保有個人情報の取扱状況(取り扱う保有個人情報の性質及び量を含む。)、保有個人情報を記録した媒体の性質等に起因するリスクに応じて、必要かつ適切な内容としなければならない。
    3. 利用可能なクラウドサービスの範囲
      • 標準化対象業務システムのガバメントクラウドへの移行が努力義務とされていることを受けて、ガバメントクラウドでは、標準化対象業務システムが取り扱っている自治体機密性3情報を、基本的には扱うことが可能である旨を記載してはいかがか。
      • ガバメントクラウド以外のパブリッククラウドサービスで、自治体機密性3情報を扱う場合には、原則ISMAPに登録されているクラウドサービスを使用するものとしてはいかがか。
      • コンビニ交付サービス等の証明書発行サーバにおいて、誤ったプログラム処理が生じたことにより、別人の証明書が交付される事案が発生した
      • サービスの品質確保や個人情報保護の観点から、一連の事案で顕在化した課題に対応するための対策を、具体例を交えつつ記載してはいかがか。
      • 品質管理は、情報システム全般に求められるところ、契約やリリース前のテスト等に係る留意事項をより詳細に記載することで、地方公共団体が整備・運用する情報システム全般の品質管理を推進し、大規模なインシデントの防止を図ることとしてはいかがか。
      • 小規模の地方公共団体は、契約や契約後の管理はベンダーに任せきりになりがちで、職員自らが管理するリソースは不足していると考える。そのため、契約上の注意点や契約した後にベンダーへの要求事項を具体的に分かるようなガイドラインの記載を検討する必要がある。
      • コンビニ交付サービスに関する事案に対する対策として、サービス選定をする際、J-LISの受入れに関する基準を明確にする等、地方公共団体への負荷が軽減される仕組みを考えていくことが必要である。
      • コンビニ交付については、J-LIS等がどこのパッケージソフトであれば大丈夫である等の保証する形がとれると、地方公共団体としてはコンビニ交付サービスを利用しやすくなるのではないか。
      • 今年12月の個人情報保護委員会の公表資料で、コンビニエンスストアでの住民票等誤交付事案に関する富士通Japan株式会社における改善策の実施状況について記載。
      • 富士通Japan株式会社は、各事案の修正プログラムを全て適用し、高負荷時の動作における動作検証等の他、処理中の中間データへの申請番号の付与、証明書の要求から証明書の作成にかけて、処理電文間で取り扱うデータの比較の実施といった、異常検出機能の開発を行う予定であることが記載
      • 地方公共団体が、ベンダとの契約締結時に、契約不適合責任に関する民法の規律をふまえつつ、問題発生時に適切に権利を確保できる契約条項とするための検討を行うことができるようにするため、民法上の要件を解説に記載してはいかがか。 ※ なお、契約上請求権が適切に確保されれば、問題発生時に訴訟に至らずとも、協議により解決する蓋然性も高まる。
  • セキュリティインシデントに関する判例
    • 原告のウェブサイトにおける商品のウェブ受注システムの導入を、被告(情報システムの保守事業者)に委託したが、納入された当該受注システムに不正アクセスがあり、顧客のクレジットカード情報を含む個人情報(約7,000件)が流出した。
    • 判決では、当時の技術水準に沿ったセキュリティ対策を施したプログラ厶を提供することが黙示的に合意されていたことを理由に、被告が、個人情報の漏洩を防ぐために必要なセキュリティ対策を施したプログラムを提供すべき債務を負っているとの判断が出された。
    • 最終的に原告の請求の一部である損害賠償請求が認められた。
  • ガイドライン改定の方向性
    1. 業務委託についての、契約項目に係る例文及び解説に、個人情報漏えい防止のための技術的安全管理措置に関する取り決めや、コンビニ交付事案の原因等について新たに規定。
      • 「コンビニ交付サービスにおける住民票等誤交付事案に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について」(令和5年9月20 日)の内容を踏まえ、個人情報漏えい防止のための技術的安全管理措置に関する取り決めを契約書に明記するよう、例文に追記し、コンビニ交付サービスの事案の原因や個人情報保護委員会の指導内容について解説に追記する。
      • 上記に関連し、契約不適合に関する民法における考え方について、解説に追記する。
    2. 技術的セキュリティに関する解説に、不具合の考慮やテスト計画の策定・実施や、セキュリティ機能に関する判断のための情報の開示を、事業者に求められるような方策を追記する。
      • 地方公共団体は、システム調達、開発、導入、保守等業務委託全般において、業務システムに誤ったプログラム処理が組み込まれないよう、不具合を考慮した技術的なセキュリティ機能を調達仕様書に記載することに加え、委託先の監督を適切に行い、当該機能を確実に検証するテスト計画の策定・実施を行う必要があることを、例文に追記する。
      • また、適切なセキュリティ機能及びテスト仕様をどのように実現するかの判断に資する情報を、事業者から適時に得られるような方策を、地方公共団体が講ずることができるようにするため、以下について解説に追記する。
        • RFI(調達前の情報収集)やRFP(提案要請)の段階でセキュリティに関する対応状況について開示を求め、委託事業者選定の際の参考にする。
        • 開発、運用・保守の各工程における、機密性の高い情報の漏えいを防止する観点で、安全管理措置に係る対応状況について、委託先に定期的に報告を求めるような契約を締結する

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総務省 感染症対策に関する行政評価・監視-国際的に脅威となる感染症への対応を中心として-<勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>
▼ 概要
  • 調査の背景・目的
    • 平成28年当時、エボラ出血熱やMERSなどが国際的に脅威となっていたところ、こうした感染症に感染したおそれのある者が入国した場合の健康状態等の把握、適切な患者搬送を行うための体制・機材の確保や関係機関の連携、感染症指定医療機関における診療体制等が不十分
    • このため、検疫所における水際対策の実施状況、感染症のまん延防止対策の実施状況、今後の感染症危機への対応のために必要な関係行政機関等の連携の実態を調査したもの
  • 調査の結果、以下を勧告
    1. 入国審査と連携し、感染症流行国での滞在歴等の確認を要することの入国者への周知徹底。健康監視対象者からの報告徴収の方法、関係都道府県等への情報提供の方法等について検討。検疫所及び都道府県等に対し健康監視対象者の健康状態等の報告の遵守方策を提示し、適切な運用を徹底
    2. 感染症指定医療機関における診療体制等の実態把握及び実態把握結果に基づく改善措置の実施。推奨すべき取組事例の収集及び感染症指定医療機関への情報提供
    3. 検疫所における検疫感染症患者等の隔離・停留先・搬送手段の確保状況についての総点検・改善指示の実施及び総合的訓練の定期的な実施の徹底。また、保健所等における感染症患者等の搬送手段等の確保状況の確認及び改善に向けた支援措置の実施並びに消防機関との合同訓練の定期的な実施
  • 主な改善措置
    1. 出入国在留管理庁や航空会社等と連携し、入国審査時における感染症流行国での滞在歴等の確認、入国者への健康監視制度の周知等を実施(H30)
    2. 感染症流行国の国籍を有する者が入国審査時に検疫所確認済書を保有していない場合の検疫所への差戻しを実施(R元)
      • 法改正により、検疫業務に係る関係機関との協力連携規定が明記(R4)
      • 入国者の健康監視や都道府県等への情報提供におけるシステムの活用を含め、検疫所及び都道府県等に対し健康監視対象者の健康状態等の報告の遵守方策を提示予定(R7目途)
    3. 感染症指定医療機関の診療体制等を実態調査(H30)
      • 「都道府県連携協議会」で平時から感染症対策に係る関係機関同士の連携の在り方を検討・議論、地域全体で感染症患者の診療体制を確保(R5)
      • 感染症指定医療機関の指定基準の見直しを含めた検討を実施中
    4. 検疫所における検疫感染症患者等の隔離・停留先等の総点検を実施(H30)し、改善に向けた取組を指示(H31)
    5. 検疫所に対し総合訓練の実施基準を示し、関係機関が参加する実践的な訓練を定期的に実施(H30)
    6. 保健所等における感染症患者等の搬送手段等を実態調査(H30)
      • 法改正により、検疫感染症患者等の隔離・停留先となる医療機関との入院委託協定が法定化(R6)
      • 検疫所における離島からの1類感染症患者等の搬送について、関係機関との連携手順を整理し、搬送手段を確保(R6)
      • 都道府県等の予防計画に、感染症患者等の移送体制確保に係る関係機関との役割分担について協議することを明記するとともに、感染症患者等の移送を含む研修・訓練を定期的に実施することを明記(R6)

~NEW~
総務省消防庁 令和6年8月の熱中症による救急搬送状況
  • 令和6年8月の全国における熱中症による救急搬送人員は 32,806 人でした。
  • 年齢区分別の救急搬送人員
    • 高齢者(満65歳以上)が最も多く18,703人(0%)、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)11,312人(34.5%)、少年(満7歳以上満18歳未満)2,642人(8.1%)、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)149人(0.5%)の順となっています。
  • 医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員
    • 軽症(外来診療)が最も多く21,308人(0%)、次いで中等症(入院診療)10,615人(32.4%)、重症(長期入院)708人(2.2%)の順となっています。
  • 発生場所別の救急搬送人員
    • 住居が最も多く12,719人(8%)、次いで道路6,169人(18.8%)、公衆(屋外)4,404人(13.4%)、仕事場(道路工事現場、工場、作業所等)3,469人(10.6%)の順となっています。
  • 熱中症は正しい知識を身につけることで、適切に予防することが可能です。予防対策として、エアコンや扇風機をためらわずに使用すること、こまめに水分補給を行うこと、屋外では帽子をかぶることなどに心がけてください。
  • 特に、こどもや高齢者は熱中症になりやすいため注意が必要です。こどもは大人に比べて暑さに弱いため、周りにいる大人が気をつけましょう。また、高齢者は暑さに対する感覚機能や体の調節機能が低下しますので、特に気をつけてください。
  • 消防庁では、熱中症予防啓発のコンテンツとして、「予防啓発動画」「予防啓発ポスター」「予防啓発イラスト」「予防広報メッセージ」「熱中症対策リーフレット」「予防啓発取組事例集」を消防庁ホームページ熱中症情報サイトに掲載しています。
  • 全国の消防機関をはじめ、熱中症予防を啓発する関係機関にも御活用いただけるよう、以下の消防庁ホームページに掲載していますので、是非御活用ください。https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html#heatstroke04

~NEW~
国土交通省 JR九州高速船株式会社に対して命令書を発出しました~海上運送法第19条第2項及び第10条の3第7項に基づく行政処分~
  • 国土交通省では、対外旅客定期航路事業者であるJR九州高速船株式会社に対し、海上運送法第25条第1項に基づく検査を実施した結果、船舶安全法及び安全管理規程に違反する事実を確認したことから、本日9月17日付で下記のとおり、海上運送法第19条第2項に基づく「輸送の安全の確保に関する命令」及び同法第10条の3第7項に基づく「安全統括管理者及び運航管理者の解任命令」を行いました。
  • 今後、事業者において再発防止策が確実に実施され、輸送の安全の確保が図られるよう、引き続き、厳格に指導監督を行ってまいります。
  1. 輸送の安全の確保に関する命令について
    1. 処分対象事業者
      • JR九州高速船株式会社(所在地:福岡県福岡市博多区沖浜町14-1)
    2. 命令の内容
      • 別添1参照
    3. 事案概要
      • JR九州高速船株式会社に対し、海上運送法第25条第1項に基づく検査を実施した結果、同社が運航する旅客船「QUEEN BEETLE」において、令和6年2月12日に浸水が確認されていたにも関わらず、同年5月30日までの間、長期に渡り国土交通省への報告を怠たり、運航を継続したこと等、関係法令及び安全管理規程に違反する事実があることを確認した。
  2. 安全統括管理者及び運航管理者の解任命令について
    1. 処分対象事業者
      • JR九州高速船株式会社(所在地:福岡県福岡市博多区沖浜町14-1)
    2. 命令の内容
      • 安全統括管理者及び運航管理者の解任
    3. 解任を命ずる理由
      • 別添2参照
    4. 解任すべき期限
      • 令和6年10月31日(木)
▼ 別添1 輸送の安全の確保に関する命令について
  • 命令の内容
    • 別紙に係る措置について、令和6年10月31日までに文書により報告すること。
      1. 船舶所有者は、船舶の堪航性に影響を及ぼすおそれのある場合及び船舶に固定して施設された警報センサーの位置を変更する場合においては、船舶安全法第5条に基づく臨時検査を受検した上で船舶を航行の用に供すること。
      2. 経営トップは、法令に違反した事実に対する再発防止策を策定するとともに、安全管理規程第5条に基づき、船舶安全法をはじめ、関係法令及び安全管理規程の遵守及び安全最優先の原則の徹底について主体的に関与し、安全マネジメント態勢を適切に運営すること。
      3. 安全統括管理者は、安全管理規程第18条に基づき、船舶安全法をはじめ、関係法令の遵守と安全最優先の原則を社内へ徹底するとともに、安全管理規程の遵守を確実にすること。
      4. 運航管理者は、安全管理規程第19条に基づき、船舶の運航管理その他船舶による輸送の安全の確保に関する業務全般を統括し、船舶安全法をはじめ、海事法令及び安全管理規程の遵守を確実にして、その実施を図ること。また、船長と協力して、船舶の運航その他船舶による輸送の安全を確保すること。
      5. 運航管理者及び船長は、安全管理規程第25条に基づき、船舶の状況が船舶の運航に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合は、協議により、運航休止の措置をとること。
      6. 船長は、安全管理規程第37条に基づく発航前検査の結果、異常を発見した場合において、同規程第66条に基づき、事実を記録し、適切に管理すること。
      7. 運航管理者は、安全管理規程第37条に基づき、船長より発航前検査で異常のある箇所を発見したことについて報告を受けたときは、直ちに運航課に対し、当該情報を通報し、修復整備を求めること。
      8. 船長は、安全管理規程第48条に基づき、自船に事故その他異常事態が発生したときは、事故等の拡大防止のための措置を講じること。また、社長及び安全統括管理者は、同規程第50条に基づき、事故等の状況、被害規模等を把握・分析し、適切に対応措置を講ずること。
      9. 運航管理者は、安全管理規程第51条に基づき、事故等の発生を知ったときは、速やかに国土交通省及び海上保安庁にその概要及び事故等の処理の状況を報告することこと。
▼ 別添2 安全統括管理者及び運航管理者の解任命令について
  • 解任を命ずる理由
    1. 安全統括管理者
      • 同社の安全統括管理者は、輸送の安全を確保するための管理業務を統括するものであるが、船舶の堪航性に影響を及ぼすおそれのある場合において、臨時検査を受けていない船舶を航行の用に供したことが、船舶安全法第5条に違反(同法第18条第1項第9号の罰則規定あり)するなど、貴社が国土交通省へ届け出た安全管理規程第18条に規定する関係法令の遵守と安全最優先の原則を貴社内部へ徹底する職務を怠っており、かつ、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあることから、海上運送法第10条の3第7項に該当する。
    2. 運航管理者
      • 同社の運航管理者は、船舶の運航の管理に関する統括責任者であるが、船舶の堪航性に影響を及ぼすおそれのある場合において、臨時検査を受けていない船舶を航行の用に供したことが、船舶安全法第5条に違反(同法第18条第1項第9号の罰則規定あり)するなど、貴社が国土交通省へ届け出た安全管理規程第19条に規定する海事法令及び安全管理規程の遵守を確実にする職務を怠っており、かつ、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあることから、海上運送法第10条の3第7項に該当する。

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国土交通省 日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスによる 舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の中間報告について
  • 本日、日立造船株式会社とその子会社である日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスより、両子会社が製造する舶用エンジンの試運転時に測定した燃料消費率のデータが改ざんに関する同社の調査状況及び現時点の再発防止策について中間報告を受けました。
  • 国土交通省からは、3社に対して、残りの調査及び報告の速やかな実施と、同社に設置された特別調査委員会の調査結果も踏まえた抜本的かつ具体的な再発防止策の策定を指示しました。
  • また、今後新たに製造される両社製のエンジンについて、測定現場の是正確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち合いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開します。
  1. 日立造船株式会社等からの中間報告概要
    1. 不適切行為の概要
      • 日立造船マリンエンジン(以下「日社」)及びアイメックス(以下「ア社」)の両社において、陸上試運転※における燃料消費率等に関する改ざんが判明。なお、安全性に関する不適切行為は確認されていない。
        ※顧客及び各国の認証機関の立会いの下、エンジン性能を確認するための運転
      • 【主な改ざん内容と改ざんを行った理由】
        • 顧客の要求値への適合確保、過去に製造したエンジンとの計測値の整合確保といった理由から、以下の改ざんが行われていた。
          1. 予め設定した燃料消費量を燃料重量計表示部に表示させる等、燃料消費量の計測データを改ざん。日社で959台中959台、ア社で416台中412台。
          2. 排ガス成分濃度の値を記録する際に、実際の計測値とは異なる値を記入。日社で959台中343台、ア社で416台中57台。
          3. 顧客向け性能データ(排気温度等)の値を記録する際に、実際の計測値とは異なる値を記入。日社で959台中111台、ア社で416台中189台。
          4. 出力の計測誤差や精度を計測機器の校正等ではなく、理論計算や過去の実績等により数値を修正。日社で959台中569台、ア社で416台中52台。
      • 【NOx放出量に係る規制への影響】
        • 上記の改ざんにより、両社の全てのエンジンにおいてNOx放出量の数値に影響が生じる。今後、NOx放出量の再計算に用いるデータの評価方法について検討。
      • 【計測現場での主な是正措置】
        • 燃料消費量のデータ改ざん機の撤去、データ計測の管理体制の見直し(将来は自動化)、複数の方法による出力計測等の実施。
  2. 国土交通省の対応等
    1. 同社の報告を踏まえ、以下の通り指示を行った。
      • 引き続き、NOx規制等への影響について調査を行うとともに、実測値が保存されていないエンジンについてNOx放出量の評価方法について検討を行い、速やかに国土交通省へ報告を行うこと。
      • 特別調査委員会の結果も踏まえ、抜本的かつ具体的な再発防止策を検討すること。
      • 海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めること。
    2. 今回の中間報告書の内容は、これまで国土交通省で実施した立入調査等による調査の結果とも整合することを踏まえ、国内向け出荷エンジンについて、以下の対応を実施。なお、現時点では国内向けに出荷したエンジンにおいてNOx放出量規制に不適合となるものは確認されていないことから、既存船の航行に影響を及ぼす状況にならない。
      • 3社の調査と並行して、国土交通省としても調査や対応策の検討を継続するが、今後、新たに製造されたエンジンについては、NOx放出量確認試験を、国及び認証機関による事前の計測現場の是正措置の確認、試験への立ち合いの下で厳格に行い、基準の適合性が確認できれば証書の交付を行う。
      • 今後の調査により、NOx放出量規制に不適合となるものが確認される等の問題が生じた場合には、調査結果を踏まえ厳正に対応する。

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国土交通省 メトロ車両株式会社における輪軸組立時の不正行為について
  • 令和6年9月12日に全国の鉄軌道事業者に対し、鉄道車両における輪軸の緊急点検を指示したところですが、東京地下鉄株式会社(以下「東京メトロ」)、東葉高速鉄道株式会社(以下「東葉高速鉄道」)及び埼玉高速鉄道株式会社(以下「埼玉高速鉄道」)から、その点検作業の過程で、輪軸の組立作業を受託していたメトロ車両株式会社(以下「メトロ車両」)において、以下のとおり輪軸組立時に不正行為があったことが確認されたとの報告を受けました。
  • このような不正行為は、鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、東京メトロ及びメトロ車両に対して、19日から特別保安監査を行い安全管理体制等について確認することとしております。
  • 引き続き、関係者を指導し、輸送の安全確保と再発防止の徹底について、厳正に対処して参ります。
  1. 東京メトロ、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道からの報告概要
    • 東京メトロ、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道が所有する車両の輪軸組立作業は、メトロ車両に委託されているが、メトロ車両は車輪を車軸にはめるための圧入力値が各社の定める基準値を超えた際、基準値に収まるように記録簿に記載し、3社に報告していた。
    • これを受けて、3社では、圧入力値の超過が一定の範囲に収まっているものについては、超音波探傷検査により安全性を確保して運行を継続している。それ以外のものについては、一旦使用を停止し、輪軸の交換を行った上で使用を再開予定としている。
  2. 国土交通省の対応
    • 東京メトロ及びメトロ車両に対し、19日から特別保安監査を実施し、安全管理体制等について確認を行う(東葉高速鉄道及び埼玉高速鉄道については、東京メトロ等への特別保安監査の結果等を踏まえ、必要な対応を取る)。
    • 今後の監査結果や輪軸の緊急点検による報告等を踏まえて、厳正に対処する。

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国土交通省 京王重機整備株式会社における輪軸組立時の不正行為について
  • 令和6年9月12日に全国の鉄軌道事業者に対し、鉄道車両における輪軸の緊急点検を指示したところですが、京王電鉄株式会社(以下「京王電鉄」)、東京都交通局及び京王重機整備株式会社(以下「京王重機」)から、その点検作業の過程で、輪軸の組立作業を委託していた京王重機において、以下のとおり輪軸組立時に不正行為があったことが確認されたとの報告を受けました。
  • このような不正行為は、鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、京王電鉄及び京王重機に対し、20日から特別保安監査を行い安全管理体制等について確認することとしております。
  • 加えて京王重機には、輪軸組立作業を委託した鉄軌道事業者に対して、技術的支援なども行うよう文書で要請しました。
  • 引き続き、関係者を指導し、輸送の安全確保と再発防止の徹底について、厳正に対処して参ります。
  1. 京王電鉄、東京都交通局、京王重機からの報告概要
    • 京王電鉄、東京都交通局等が所有する車両の輪軸組立作業は、京王重機に委託されているが、京王重機は車輪を車軸にはめるための圧入力値が各社の定める規定値を超えた際、規定値に収まるように記録簿に記載し、各事業者に報告していた。
    • これを受けて、京王電鉄及び東京都交通局では、超音波探傷検査や輪軸の交換等を実施しており、安全性を確認して運行を継続している。
    • また、上記以外の事業者においては、京王重機が個別に事案説明を行っている。
  2. 国土交通省の対応
    • 京王電鉄及び京王重機に対し、全容の解明や再発防止のための取組などについて報告を求めるとともに、20日から特別保安監査を実施し、安全管理体制等について確認を行う(その他の事業者については、京王重機等への特別保安監査の結果等を踏まえ、必要な対応を取る)。
    • 18日、京王重機に対し、委託元の鉄軌道事業者に対する技術的支援等について文書で要請した。
    • 今後の監査結果や輪軸の緊急点検による報告等を踏まえて、厳正に対処する。

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