危機管理トピックス

犯罪統計資料/消費生活意識調査/消費者問題に関する2024年の10大項目/労働基準関係法制研究会報告書

2024.12.16
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更新日:2024年12月16日 新着27記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融犯罪対策に係る業界横断的な広報について
  • 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第26回)議事次第
  • 「金融機関のモデル・リスク管理の高度化に向けたプログレスレポート(2024)」の公表について
警察庁
  • 犯罪統計資料(令和6年1~11月分)
  • DDoS攻撃ウェブサービスに関する国際共同捜査について
  • 「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について
内閣府
  • 男女共同参画局 男女共同参画会議(第73回)議事次第
消費者庁
  • インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視状況
  • 自転車用ヘルメットの安全性を示すマークについて―消費者庁が自転車用ヘルメットを標ぼうする商品に関する措置命令を実施―
  • 「令和6年度消費生活意識調査(第4回)」の結果について
  • 第12回解約料の実態に関する研究会(2024年12月11日)
国民生活センター
  • 少しずつゆっくりとかんで、餅での窒息事故を防止!
  • 商品が届かない…!返金してもらえない…!悪質通販サイトを巡るトラブルにご注意
  • 消費者問題に関する2024年の10大項目
  • 毛皮ではない「ムートン」が使用されていたベッドパッド(相談解決のためのテストからNo.192)
厚生労働省
  • 製品安全誓約(日本国)の対象に「麻薬及び向精神薬取締法」及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が加わります
  • 「令和5年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(確定値)」を公表します
  • 労働基準関係法制研究会 第15回資料
  • 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)における資金移動業者の指定
経済産業省
  • 消費生活用製品安全法等の関係政令が閣議決定されました 子供を含む消費者の安全のため、玩具やガストーチへの新たな規制を導入します
  • 「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価(案)」を公表します
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律違反の特定事業者(郵便物受取サービス業者)に対する行政処分を実施しました
総務省
  • 令和5年度公害苦情調査結果の概要
  • 国の庁舎におけるAEDの周知・管理等に関する調査(地域計画調査)<改善意見の通知に対する改善措置状況(フォローアップ)の概要>
  • 2024年(令和6年)科学技術研究調査の結果
国土交通省
  • 企業間取引におけるコールドチェーン物流サービスに関する日本提案の国際規格が発行されました~日本式コールドチェーン物流の海外展開を目指して(ISO31512)~
  • 「品確法基本方針」及び「入契法適正化指針」の変更について閣議決定~建設業が「地域の守り手」等の役割を果たし続けられるよう、公共工事の発注者等が講ずべき具体的な措置を新たに規定~

~NEW~
金融庁 金融犯罪対策に係る業界横断的な広報について
  • 金融機関では、預貯金口座の悪用防止のため、定期的にハガキや封書の送付などを通じて、口座が本人に使われているか確認しています。こうした情報確認に国民の皆さま一人ひとりがご協力いただくことが、ひいては社会全体の安心・安全につながります。
  • このような情報確認について国民の皆さまの理解や協力をお願いするため、今般、全国銀行協会が主導し、金融庁・警察庁も協力する形で、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫の業界横断的な広報コンテンツを作成しました。
  • 金融庁においても、今般の広報コンテンツを積極的に発信してまいります。

~NEW~
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第26回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
  • 前回(第25回)いただいた主なご意見
    • サステナブルファイナンスの意義
      • サステナブルファイナンスの意義をいかに伝えるかについて、特に個人に対しては、気候変動に伴うリスクの低減や資産形成に結びつく投資である旨に焦点を当てた方が良いのではないか。
      • 機関投資家の投資方針や経営戦略においてサステナブルファイナンスの意義がどの程度浸透しているかの実態把握が必要ではないか。
    • サステナビリティの考慮とリターンの確保
      • 個人へのサステナビリティ投資商品の普及を考える際、リターンを前提にサステナビリティ投資商品を選択する個人を念頭に置いて商品設計を考える必要。
      • 投資家と投資先の企業が行うサステナブルな事業との距離はアセットクラスによって異なり、特にエクイティはグリーンボンド等と比較すると距離が遠く、リターンが投資判断の大きな要素となっている。
      • サステナビリティが中長期的な企業価値の向上に資することについて、アセットオーナーも再確認する必要がある。
    • サステナビリティ投資商品の普及
      • 個人と機関投資家は切り分けて議論した方が良い。個人がサステナビリティ投資商品を理解しやすくする方法として、日本の現状等を踏まえると、例えばファンドを販売する場合に分類に応じてESG要素の考慮方法等を開示するなど、商品を分かりやすくするのが良いのではないか。個人に対しては投資商品の内容や手触り感を投資商品を通じて提供する方が現実的。
      • 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針においてESGの定義はなく、投資家にとって「ESGとは何か」という分かりづらさといった側面もあるのではないか。
      • 個人投資家には様々な層が存在するため、販売会社がサステナビリティ投資商品をどのように販売しているのかを含め、どのようなチャネルで投資しているのかという観点からも実態把握を行ってはどうか。
  • (参考)個人のサステナビリティ投資に関する調査
    • 投資経験のある個人を対象としたアンケート調査によれば、日本の投資家がサステナビリティ投資に魅力を感じている理由として、「環境に対してプラスの影響を期待できる」との回答が約6割、「高い投資リターンが見込める」との回答が約2割となっている。投資知識のレベルが高い投資家ほど、企業のサステナブルな行動の促進が企業の長期的な価値に繋がると認識している。
    • また、サステナビリティ投資が与える影響に関する情報が不足していることからサステナビリティ投資を増やすことができないと考える日本の投資家の割合は約5割となっている。
  • ご議論いただきたい事項
    • 海外の動向(主要国におけるサステナビリティ投資商品の分類等に係る議論状況等)や、個人のサステナビリティ投資に関する理解・選好、機関投資家のサステナビリティ投資に関する実態、現在の市場実態(注)等を踏まえ、(注)「『サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ』対話から得られた示唆」では、我が国の公募投信で「ESG」を冠する商品は1%程度だが、投資に際してサステナビリティを考慮する戦略・商品はずっと多いことが想定されると指摘。
    • 個人において、サステナビリティ投資の意義・効果に対する認知・理解を促進する上で、リスク・機会、リターンの関係性に関する分かり易い説明等、サステナビリティ投資商品の組成・提供実務の観点から具体的にどのような取組みが有効であると考えるか。その際、投資家保護等の観点から、どのような点に留意すべきと考えるか。
    • 機関投資家への投資機会の拡充を図る観点から、上記についてどのように考えるか。

~NEW~
金融庁 「金融機関のモデル・リスク管理の高度化に向けたプログレスレポート(2024)」の公表について
▼ (概要版)金融機関のモデル・リスク管理の高度化に向けたプログレスレポート(2024)
  • 「モデル・リスク管理に関する原則」の公表と、その後の状況
    • 金融機関で様々なモデルの活用が進み、モデル・リスク管理の重要性が高まっている状況を踏まえ、金融庁は2021年11月、「モデル・リスク管理に関する原則」(以下「本原則」という。)を公表。
    • 金融庁は、本原則の対象金融機関におけるモデル・リスク管理態勢の高度化に向けた計画やその進捗についてモニタリング及び対話を実施。
    • 本原則公表後3年が経過した2024年においては、各金融機関ともに管理態勢を一定程度構築。
    • 今後は、実務(モデル・ライフサイクル管理)を定着させていくフェーズ。
    • また、本原則の対象とはされていない金融機関においても、本原則を任意に活用し、モデル・リスク管理の高度化を目指す動きや、本原則を活用することを検討中の金融機関が見られる。
  • 本文書の目的と構成
    • 金融機関においてはその規模を問わず、経営に大きな影響を与えるモデルを担当者が内容を十分に理解しないまま使用し続け、経営が必要な態勢構築行わない場合、重大なリスクにつながり得る。金融機関はその規模や複雑性に応じて、重要なモデルを認識し、それらモデルの手法・仮定・弱点・限界等の把握、アウトプットの検証等、モデルに係るリスクへの必要な管理を行うことが重要。
    • 本原則はルール・ベースではなく原則ベースのアプローチを採用。取組の詳細は金融機関ごとの事情に応じて行うよう委ねているため、モデル・リスク管理の態勢構築や実務に係る手掛かりに乏しいとの声も。
    • 対象金融機関のモデル・リスク管理の一層の高度化を後押しするにとどまらず、管理高度化を目指しているその他の金融機関の自主的な取組を広く後押しすることを目的として、本原則公表後の対象金融機関の取組を整理し、本文書を公表。
  • 「モデル・リスク管理に関する原則」
    • ガバナンス&インフラ
      • 原則1
        • 取締役会等及び上級管理職は、モデル・リスクを包括的に管理するための態勢を構築すべき
      • 原則2
        • 金融機関は、管理すべきモデルを特定し、モデル・インベントリーに記録した上で、各モデルに対してリスク格付を付与するべき
    • 個別モデルの管理
      • 原則3
        • 金融機関は、適切なモデル開発プロセスを整備すべき。モデル開発においては、モデル記述書を適切に作成し、モデル・テストを実施すべき
      • 原則4
        • 金融機関は、モデル・ライフサイクルのステージ(モデルの使用開始時、重要な変更の発生時、再検証時等)に応じたモデルの内部承認プロセスを有するべき
      • 原則5
        • モデルの使用開始後は、モデルが意図したとおりに機能していることを確認するために、第1線によって継続的にモニタリングされるべき
      • 原則6
        • 第2線が担う重要なけん制機能として、モデルの独立検証を実施すべき。独立検証には、モデルの正式な使用開始前の検証、重要な変更時の検証及びモデル使用開始後の再検証が含まれる
      • 原則7
        • 金融機関がベンダー・モデル等や外部リソースを活用する場合、それらのモデル等や外部リソースの活用に対して適切な統制を行うべき
    • 有効性評価
      • 原則8
        • 内部監査部門は、第3線として、モデル・リスク管理態勢の全体的な有効性を評価すべき
  • 本文書の内容
    • 主に以下の内容を記載している。
      • 「Ⅱ.モデル・リスク管理に係るモニタリング経過・結果(概要)」:原則公表後の金融庁によるモニタリング結果の概要。
      • 「Ⅲ.本原則に係る対象金融機関の取組状況、実務の傾向」:各原則について、金融庁がモニタリングにより把握した、対象
        • 金融機関の具体的な取組状況・実務・事例を記載。加えて、AIモデルへのガバナンス検討状況も記載。
      • 「Ⅳ.モデル・リスク管理の高度化により得られた経営上のメリット」:原則対応から、経営上どのようなメリットが得られたかを記載。

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和6年1~11月分)
  • 令和6年1~11月の刑法犯総数について、認知件数は678,254件(前年同期645,961件、前年同期比+5.0%)、検挙件数は263,286件(247,552件、+6.4%)、検挙率は38.8%(38.3%、+0.5P)
  • 凶悪犯の認知件数は6,450件(5,193件、+24.2%)、検挙件数は5,715件(4,397件、+30.0%)、検挙率は88.6%(84.7%、+3.9P)、粗暴犯の認知件数は53,078件(53,753件、▲1.3%)、検挙件数は43,914件(43,894件、+0.0%)、検挙率は82.7%(81.7%、+1.0P)、窃盗犯の認知件数は461,917件(444,982件、+3.8%)、検挙件数は152,724件(145,013件、+5.3%)、検挙率は33.1%(32.6%、+0.5P)、知能犯の認知件数は56,009件(44,975件、+24.5%)、検挙件数は17,287件(17,830件、▲3.0%)、検挙率は30.9%(39.6%、▲8.7%)、風俗犯の認知件数は17,079件(10,538件、+62.1%)、検挙件数は13,784件(7,536件、+82・9%)、検挙率は80.7%(71.5%、+9.2P)
  • 詐欺の認知件数は51,736件(41,412件、+24.9%)、検挙件数は14,361件(15,222件、▲5.7%)、検挙率は27.8%(36.8%、▲9.0P)
  • 万引きの認知件数は90,071件(85,233件、+5.7P)、検挙件数は61,768件(57,482件、+7.5%)、検挙率は68.6%(67.4%、+1.2P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は59,651件(64,348件、▲7.3%)、検挙人員は47,352人(52,283人、▲9.4%)
  • 入管法違反の検挙件数は5,676件(5,532件、+2.6%)、検挙人員は3,830人(3,826人、+0.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は5,964件(6,956件、▲14.3%)、検挙人員は6,004人(6,892人、▲12.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は5,267件(9,142件、▲42.2%)、検挙人員は3,744人(6,902人、▲45.8%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は1,219件(1,151件、+5.9%)、検挙人員は975人(944人、+3.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は4,120件(3,163件、+30.3%)、検挙人員は3,089人(2,448人、+26.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は503件(475件、+5.9%)、検挙人員は149人(141人、+5.7%)、銃刀法違反の検挙件数は4,208件(4,588件、▲8.3%)、検挙人員は3,592人(3,871人、▲7.2%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,883件(1,320件、+42.7%)、検挙人員は1,092人(771人、+41.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は6,705件(6,996件、▲4.2%)、検挙人員は5,352人(5,669人、▲5.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は7,934件(7,423件、+6.9%)、検挙人員は5,387人(5,190人、+3.8%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数803人(657人、+22.2%)、ベトナム232人(211人、+10.0%)、中国118人(80人、+47.5%)、ブラジル50人(47人、+6.4%)、フィリピン40人(26人、+53.8%)、スリランカ37人(27人、+37.0%)、パキスタン28人(13人、+115.4%)、韓国・朝鮮27人(24人、+12.5%)、インド17人(19人、▲10.5%)、アメリカ17人(8人、+112.5%)、インドネシア14人(8人、+75.0%)、バングラデシュ11人(13人、▲15.4%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は9,484件(9,276件、+2.2%)、検挙人員総数は4,667人(5,639人、▲17.2%)
  • 強盗の検挙件数は79件(110件、▲28.2%)、検挙人員は162人(206人、▲21.4%)、暴行の検挙件数は389件(547件、▲28.9%)、検挙人員は358人(506人、▲29.2%)、傷害の検挙件数は779件(939件、▲17.0%)、検挙人員は975人(1,099人、▲11.3%)、脅迫の検挙件数は248件(290件、▲14.5%)、検挙人員は252人(275人、▲8.4%)、恐喝の検挙件数は314件(333件、▲5.7%)、検挙人員は336人(429人、▲21.7%)、窃盗の検挙件数は4,926件(4,349件、+13.3%)、検挙人員は642人(832人、▲22.8%)、詐欺の検挙件数は1,599件(1,481件、+8.0%)、検挙人員は986人(1,239人、▲20.4%)、賭博の検挙件数は66件(39件、+69.2%)、検挙人員は92人(144人、▲36.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は4,129件(4,687件、▲11.9%)、検挙人員は2,709人(3,305人、▲18.0%)
  • 入管法違反の検挙件数は23件(23件、±0%)、検挙人員は23人(21人、+9.5%)、軽犯罪法違反の検挙件数は51件(69件、▲26.1%)、検挙人員は47人(53人、▲11.3%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は52件(16件、+225.0%)、検挙人員は73人(31人、+135.5%)、銃刀法違反の検挙件数は62件(100件、▲38.0%)、検挙人員は42人(77人、▲45.5%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は248件(211件、+17.5%)、検挙人員は103人(94人、+9.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は739件(999件、▲26.0%)、検挙人員は421人(658人、▲36.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,328件(2,585件、▲9.9%)、検挙人員は1,500人(1,787人、▲16.1%)、麻薬特例法違反の検挙件数は98件(103件、▲4.9%)、検挙人員は44人(54人、▲18.5%)

~NEW~
警察庁 DDoS攻撃ウェブサービスに関する国際共同捜査について
  • 概要
    • 日米等の関係各国では、DDoS攻撃ウェブサービスのインフラ管理者や利用者について、国際共同捜査を推進している。ユーロポール主導のこの度の取組によって、これまでに関係国全体で27件のインフラのテイクダウン(機能停止)、3名のインフラ管理者の検挙、300名以上の利用者の特定がなされた。
    • また、DDoS攻撃ウェブサービスの利用者への対策として、令和6年12月11日、関係国法執行機関が一斉にオンラインでの広報啓発キャンペーンを開始した。
  • 日本警察の対応
    • 日本警察においては、令和5年から、ユーロポール主導の国際共同捜査に参画し、外国捜査機関から提供を受けた情報を緻密に精査したことによって端緒を得、サイバー特別捜査部においてはDDoS攻撃ウェブサービスを利用して、DDoS攻撃を行った男を逮捕したほか、関係都道府県警察において、同様にDDoSサービスを利用した者1名を任意送致、1名を児童相談所通告している。
    • また、警察庁においては、12月11日から、ウェブサイトにおいて、DDoS攻撃に関する注意を促すメッセージを掲載するとともに、公式SNSアカウントやGoogleの広告機能を活用して同メッセージを周知する取組を行っており、関係各国においても、同様の取組が同時に進められている

~NEW~
警察庁 「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について
▼ 概要
  • 司法書士等による本人特定事項等の確認が必要な業務からの帰国等保証金の納付の除外(犯収法施行令の一部改正)
  • 本改正案の内容
    • 刑事訴訟法の改正による出国制限制度の創設に伴い、司法書士等が本人特定事項等の確認をしなければならない業務から、帰国等保証金の納付の代理行為を除外するもの
    • 出国制限制度:拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者等は、裁判所の許可を受けなければ本邦から出国してはならず、裁判所が本邦からの出国を許可する場合には、原則として、帰国等保証金額を設定
  • 現行規定の内容
    • 犯収令8条1項は、司法書士等が本人特定事項等の確認をしなければならない業務のうち、マネロンリスクが低いことから、当該確認が不要とされるものを規定
    • 刑事手続に係る保証金や監督保証金の納付に係る代理の業務は、マネロンリスクが低いため、本人特定事項等の確認義務の対象外
    • 犯収令8条1項各号に規定する行為又は手続(=マネロンリスクが低い)
      • 1号 租税の納付
      • 2号 罰金、科料、追徴に係る金銭又は刑事手続に係る保証金若しくは監督保証金の納付
        • 帰国等保証金を追加
        • 制度の性質:裁判所からの命令に基づき、行為者が金銭を納付する
        • 運用:裁判所に直接金銭等を納付
  • 今後の予定
    • 施行期日:刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和5年法律第28号)の公布の日(令和5年5月17日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日

~NEW~
内閣府 男女共同参画局 男女共同参画会議(第73回)議事次第
▼ 資料2 女性活躍・男女共同参画に関する現状と今後の課題について
  • 第5次男女共同参画基本計画に掲げた目標の達成に向けて、同計画の達成状況についてフォローアップを行うとともに、企業における女性登用の更なる加速化、女性起業家の支援強化など経済分野の取組をはじめ、意思決定層における女性の参画を妨げる課題をしっかりと分析し、あらゆる分野における取組の一層の強化につなげることが重要である。
  • 女性の所得向上・経済的自立を実現するため、男女間賃金格差の是正に取り組むとともに、正規雇用の女性の就業継続への支援、「女性デジタル人材育成プラン」の見直しなどリスキリングの支援の強化、仕事と育児・介護・健康課題の両立支援など、全ての人が希望に応じて働くことのできる環境づくりに取り組む必要がある。
  • 地方においては、少子高齢化や人口減少の進展により、様々な局面において、担い手として欠かせない女性の参画がこれまで以上に求められる状況であり、地域の実情に応じた取組を進め、女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくりに取り組む必要がある。
  • 個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会は、女性活躍・男女共同参画の基盤であることから、重大な人権侵害である性犯罪・性暴力やDV等について、多様な被害者への相談・支援体制の充実・強化に取り組むとともに、男女共同参画の視点に立った防災・復興、生涯にわたる健康への支援等を推進する必要がある。
  • 女性活躍・男女共同参画に関する中長期的な施策の検討にあたっては、人口構造や就業構造の変化、若い世代の生活様式や働き方に対する考え方の多様化等を踏まえ、全ての人が希望に応じて、活躍できる社会の実現を目指すことが重要である。

~NEW~
消費者庁 インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視状況
  • 一般的な検索エンジンを用いて、キーワードによる検索の上、検索された商品のサイトを目視により確認。
  • 監視の結果、インターネットにおいて健康食品等を販売している127事業者による152商品について、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある文言等を含む表示を行っていたことが確認されたため、当該事業者に対し、当該表示の改善指導を行った。
  • また、当該事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者に対しても、同指導を行った旨を通知し、当該運営事業者に表示の適正化について協力を依頼した。
  • 生鮮食品(農産物、水産物)【6商品】
    • 肝臓機能向上、夏バテ予防、生活習慣病予防、不安やストレスの緩和、睡眠の質改善、学習能力や記憶力の向上、糖尿病や肥満の防止、がん予防に効果を有すること等を標ぼうする表示
  • 加工食品(農産加工品、果実加工品、水産加工品等)【35商品】
    • がん予防、腸活、熱中症予防、免疫力向上、学習・記憶能力の向上、骨粗しょう症予防、認知障害緩和、美肌、風邪予防、動脈硬化予防、ウィルス性感染症予防、腫瘍細胞の成長抑制、脳卒中予防に効果を有すること等を標ぼうする表示
  • 飲料等(茶、コーヒー及びココア調製品)【8商品】
    • 紫外線対策、血糖値上昇の抑制、血流改善、美肌、アンチエイジング、体脂肪減少、むくみ改善、冷え性改善、活性酸素除去、免疫力向上、風邪予防、老化防止、若返りに効果を有すること等を標ぼうする表示
  • いわゆる健康食品(カプセル、錠剤、顆粒状等)【123商品】
    • 老化予防、認知症予防、がん予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、白内障予防、動脈硬化予防、関節痛緩和、糖尿病予防、高血圧予防、アレルギー症状改善、花粉症改善、熱中症予防、精力増強に効果を有すること等を標ぼうする表示
    • 女性ホルモンの活性化に働きかけ、美白、シミ防止、薄毛・白髪の改善、乳がん予防、不妊予防、更年期障害改善に効果を有すること等を標ぼうする表示

~NEW~
消費者庁 自転車用ヘルメットの安全性を示すマークについて―消費者庁が自転車用ヘルメットを標ぼうする商品に関する措置命令を実施―
  • 消費者庁では、令和6年12月10日及び同月11日、インターネット上で自転車用ヘルメットを標ぼうする商品を販売する事業者3社に対し、これら事業者が景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)を行ったことから、措置命令を行いました。
  • 不当表示の内容は、自転車用ヘルメットに係る欧州の安全規格又は安全基準に適合するものであるかのように示す表示が行われていたにもかかわらず、実際には、これらの規格又は基準に適合するものではなかったというものです。
  • 自転車用ヘルメットの安全性を示すマーク・規格について
    • 自転車用ヘルメットには、自転車運転時の事故の際に頭部を保護する重要な役割があり、令和5年4月から着用が努力義務化されています。
    • 我が国においては、現時点で、乗車用ヘルメット(バイク用ヘルメット)と異なり、自転車用ヘルメットに対する法令による規格・基準はありませんが、民間機関・団体による安全規格や安全基準が存在します。また、外国における法令や民間の安全規格や安全基準への適合をうたう製品も輸入・販売されています。
    • 自転車用ヘルメットの安全性を示すマークには様々なものがありますが、代表的なものとして、SGマーク、JCF公認/推奨マーク、CEマークなどが挙げられます(図)。これらのマークが要求する安全性を満たすためには、いずれも、視界確保試験、衝撃吸収試験、あご紐等による保持システムの規格適合試験・強度試験・安定性試験、耐久性試験など、極めて厳格なテストに加え、視界確保やヘルメットの保持装置に関する基準をクリアする必要があります。
  • 自転車用ヘルメットのマークに関する相談事例
    • ネット通販で自転車のヘルメットを購入した。広告には海外の製品安全の認証マークのCEマークとCPSCマークがついているとの表示があったが、届いたものにはついていなかった。
    • ネット通販で安全基準認証済の自転車用ヘルメットを購入した。商品紹介には【CE安全基準認証済、自転車用ヘルメット】と表示があったが、商品到着後に表示を確認すると、EN812という産業用ヘルメットの規格であり、自転車ヘルメットの規格EN1078ではなかった。
  • 消費者へのアドバイス
    • 自転車用ヘルメットを購入する際は、以下のポイントを参考にしましょう。
      • 作業用ヘルメットなどではなく、自転車用ヘルメットに関する安全性を示すマークが付されているものを選択するようにしましょう。
      • 消費者庁では、今般の措置命令及び本注意喚起と合わせて、「自転車用ヘルメットの外形上の主な注意点」を公表しています。主な注意点については、これらに一つでも該当すれば、CEマークやSGマークの安全規格や安全基準を満たさないと考えられますので参考にしてください。
      • この機会にマークごとの特性を理解することも非常に有益です。例えば、SGマークとJCF公認/推奨マークを取得している製品の多くは、各認証等をした団体のウェブサイトで公表されており、個別製品の認証取得の有無を回答してくれます。購入時の参考にしましょう。
      • 製造事業者、輸入事業者や販売元が確かな製品を購入するようにしましょう。インターネット通販で購入する際は、万一不具合等が発生した時のために、国内の問合せ先が表示されている製品を選びましょう。
      • 自転車用ヘルメットは、自転車運転時の事故の際に頭部を保護するための製品です。視界の確保やヘルメットの機能が保てないと思われる製品は、選ばないようにしましょう。
  • 事業者の方へ
    • 安全規格や安全基準を満たしたとするマークが付された自転車用ヘルメットを選んで購入する消費者は、安全の確保に第一義的な価値を置いていると考えられます。多くの事業者の方は、この価値を確実に提供するため、厳格なテストを経て商品を世に出しています。法令による規格基準でなかったとしても、安全の確保を第一に商品を選ぼうとする消費者に対し、正にその安全に関する表示を偽ることは、消費者を決定的に裏切る行為であり、決して許容されません。
    • また、安全性を含め、製品の長所を一般消費者に訴求するために品質や規格等の内容について積極的に表示を行う場合には、製造事業者や仕入先事業者の説明をうのみにするのではなく、当該表示の根拠となる情報をしっかりと確認する必要があります。詳細は、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年11月14日内閣府告示第276号)を参照してください。

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消費者庁 「令和6年度消費生活意識調査(第4回)」の結果について
  • 調査結果のポイント
    1. 「消費者志向経営」に係る関心度
      • 「消費者志向経営」の内容を説明し、考えていただくきっかけをつくることを意図して、「企業における社会課題解決に向けた取組事例」や、「消費者志向経営の概念」を提示した。
      • その上で、どの程度「消費者志向経営」に興味を持ったか聞いたところ、興味を持ったと回答した人(「興味を持った」又は「ある程度興味を持った」と回答した人)の割合は、51.4%であった。年代別では、70歳代以上が最も高く(67.9%)、次いで60歳代(52.5%)、10歳代(52.3%)の関心度が高かった。
    2. 「消費者志向経営」の取組の認知度
      • 企業が「消費者志向経営」に該当する取組を行っていることについて知っていたか聞いたところ、知っていたと回答した人の割合は15.4%であった。年代別では、70歳代以上が最も高く(19.6%)、次いで60歳代(16.2%)、20歳代(15.6%)の認知度が高かった。
    3. 「消費者志向経営」に取り組んでいる企業の商品等の購入意向
      • 「消費者志向経営」に取り組んでいる企業の商品・サービスを購入したいか聞いたところ、購入したいと回答した人(「購入したいと思う」又は「ある程度購入したいと思う」と回答した人)の割合は、60.6%であった。年代別では、70歳代以上が最も高く(77.7%)、次いで60歳代(62.4%)、10歳代(59.2%)の購入の意向が高かった。
    4. 「消費者志向経営」に取り組んでいる企業の商品等に対する価格許容度
      • 「消費者志向経営」に取り組んでいる企業に賛同し、その商品・サービスを選ぶ場合、他の商品・サービスよりどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、「割高でも購入したいと思う」と回答した人(「割高(30%程度以上)に関係なく購入したいと思う」、「ある程度割高(10%以上30%程度未満)でも購入したいと思う」又は「少し割高(10%程度未満)でも購入したいと思う」と回答した人)の割合は、47.4%であった。年代別では、70歳代以上が最も高く(54.6%)、次いで10歳代(52.3%)、20歳代(51.3%)の価格許容度が高かった。
    5. 「消費者志向経営」に取り組んでいる企業への就職・求職に係る希望
      • 就職活動や求職活動(転職のための活動を含む)を行う際、企業における「消費者志向経営」の取組状況を確認し、判断材料にしたいか聞いたところ、判断材料にしたいと回答した人(「判断材料にしたいと思う」又は「ある程度判断材料にしたいと思う」と回答した人)の割合は、45.0%であった。年代別では、70歳代以上が最も高く(54.3%)、次いで10歳代(48.1%)、60歳代(45.7%)の希望が高かった。
    6. 「消費者志向経営」に取り組んでいる企業への取引・投資に係る希望
      • 取引相手や投資先を選定する際、企業における「消費者志向経営」の取組状況を確認し、判断材料にしたいか聞いたところ、判断材料にしたいと回答した人(「判断材料にしたいと思う」又は「ある程度判断材料にしたいと思う」と回答した人)の割合は、50.2%であった。年代別では、70歳代以上が最も高く(65.4%)、次いで60歳代(51.1%)、10歳代(49.6%)の希望が高かった。

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消費者庁 第12回解約料の実態に関する研究会(2024年12月11日)
▼ 【資料1】解約料の実態に関する研究会 議論の整理(案)
  • 「解約料」の実態を踏まえた望ましいルールの在り方
    1. 総論
      • 損失補填以外の目的で設定される「解約料」の存在に対応すること
        • 事業者が損失補填以外の目的で「解約料」を設定する場合があるところ、「解約料」に関するルールが損失補填の目的を念頭に置いたものだけであると、損失補填以外の目的で「解約料」を設定する場合に対して適切な行為規範や紛争解決規範を提示することが困難になる可能性があると考えられる。そのため、「解約料」の様々な目的に応じた適切な行為規範や紛争解決規範として機能するル-ルの在り方を検討することが考えられる。
        • この点について、それぞれの目的との関係で「解約料」に関する望ましいルールの在り方は異なり得る。「解約料」の合理性の判断において「目的手段審査」と同様の判断枠組みを使うことが考えられる。すなわち、「解約料」の目的と手段の対応関係を検討する視点から、それぞれの目的で設定された「解約料」に関する望ましいルールの在り方を検討することが考えられる。具体的には、(1)当該「解約料」が設定された目的が合理的なものであるか、(2)その目的を達成するために当該「解約料」を設定することが必要・有効であるか、という観点から、「解約料」に関する望ましいルールの在り方を検討することが考えられる。
        • 他方、事業者が複数の目的で「解約料」を設定する場合があり、また、当該「解約料」がいかなる目的で設定されているのかを客観的に特定することが困難である実態があるため、これらも踏まえてルールの在り方を工夫する必要がある。
        • 例えば、「解約料」の目的ごとにルールを設定しつつ、そのルールの組合せ方や適用の順番を検討したり、あるいは一般条項を設けたりするなど様々な工夫が考えられる。
      • 手続面の問題を「解約料」の正当性の判断において考慮すること
        • 現行の「解約料」に関するルールは、契約内容に着目して一定の不合理な契約内容を規律する内容規制が中心となっている。
        • 他方、「解約料」について消費者に典型的に表れる心理的バイアスの影響によって社会的に望ましくない契約が締結されてしまう場合26など、主に手続面に問題があって「解約料」が正当とはいえない場合があると考えられる。また、上記の「解約料」の目的と手段の対応関係を考えた場合、その目的を達成するための手段として一定の手続的対応がなされることが必要・有効な場合も考えられる。さらに、価格差別の目的の「解約料」など、「解約料」が対価的性質を有する場合があるところ、同様に対価的性質を有する賃貸借契約の更新料に係る条項の有効性を判断した判例法理(最判平成23年7月15日民集65巻5号2269頁)において、「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され」ているといった手続的対応がなされているかという点が考慮されていることを参考に、「解約料」に関するルールにおいても一定の手続的対応の有無といった手続面の問題を考慮する余地があると考えられる。
        • 以上を踏まえ、一定の手続的対応の有無といった手続面の問題を「解約料」の正当性の判断において考慮できるルールの在り方を検討することが考えられる。
        • 例えば、「解約料」について手続に関するルールを設け、当該ルールに違反した場合には「解約料」の正当性が認められないと推認して、上記も踏まえ事業者に「解約料」の目的と手段の対応関係の正当性を立証させたり、内容規制に接続したりする方向性などが考えられる。
        • なお、手続面の問題を考慮できるルールの在り方を検討する場合、事業者が遵守すべき手続の具体的内容を明確化する必要がある。この点について、「解約料」が問題となる消費者契約には様々な業界の商品・サービスがあるところ、業界ごとに望ましい手続の具体的な在り方は異なる実態を踏まえると、全ての業界にとって望ましい業界横断的なルールを事前に策定することは困難ないし非効率であると考えられる。他方、事業者団体等に対するヒアリングから、その業界の実態を踏まえて情報提供の在り方等を明確化しようとする事業者団体の取組が確認された。そうした取組は、業界ごとに異なる望ましい手続の具体的な在り方を明確化するために有益であると考えられる。
      • 「解約料」に関する情報提供の在り方を検討すること
        • 「解約料」に関する消費生活相談の件数が高い水準で推移している状況を改善するため、「解約料」の支払に対する消費者の不満を減らす方法を検討する必要がある。
        • この点について、「解約料」についての情報提供の在り方が「解約料」の支払に対する消費者の不満度に大きく影響することなどを踏まえると、そうした消費者の不満を減らす方法としては、消費者に対して「解約料」条項の存在及びその内容や解約可能性を意識させるように分かりやすく情報提供をすることが、基本的取組として重要である。例えば、提供される情報が膨大ないし詳細になりすぎるとかえって消費者が重要な事項を認識することが困難となる可能性があることから、消費者に提供すべき情報の重要性を考慮しつつ簡略化する工夫をする必要があることや、オンライン取引と対面取引など取引場面によって望ましい情報提供の方法が異なり得ることも踏まえ、適切なタイミング・態様での情報提供の在り方を検討する必要がある。
        • また、その業界における標準的な「解約料」の考え方について消費者の共通認識が得られていることは、「解約料」条項の内容等の認識のしやすさとの関係で重要である。そのため、その業界における標準的な「解約料」の考え方を明確化し、消費者が信頼できる指針を明示することは、消費者が「解約料」を支払うことに納得する材料の1つになり得るものを提供する意味で、「解約料」の支払に対する消費者の不満を減らす方法として有益であると考えられる。
        • もっとも、これらの取組を実施する動機が事業者に必ずしもあるわけではないことから、取組の実効性を確保するため、事業者が取組を実施する動機を付与する仕組みを考える必要がある。この点について、「解約料」の正当性の判断するに当たって上記の手続面の問題を考慮することは、事業者団体等が「解約料」に関する消費者の不満を減らす方法として有益な取組を実施する動機付けに資する可能性もあると考えられる。
    2. 「解約料」を設定する目的ごと
      • 損失補填
        • 損失補填の目的で「解約料」を設定するのであれば、その目的を達成するために必要な範囲の金額で設定すべきであり、その範囲を超えた金額の「解約料」、つまり解約に伴って事業者に生じる「平均的な損害」の額を超えた金額の「解約料」を設定することは、損失補填の目的との関係で過剰な手段であり合理性に欠けると考えられる。また、上記のとおり、「解約料」が発生した時にそれがいかなる損失を補填するためのものであるのか消費者にとって不明確であることが、その支払に対する消費者の不満の一因となっている可能性があると考えられる。これに対し、損失補填の目的で設定された「解約料」は、解約時に具体的に適用される「解約料」規定などが確定する性質を有する一方、事業者は当該「解約料」を設定する際に補填を予定する損失の内容を検討していると想定されることを踏まえると、事業者が消費者に対して「解約料」を請求する時に、当該「解約料」がいかなる損失を補填するものであるのかについて情報提供をすることが望ましいと考えられる。
        • なお、損失には様々な捉え方(逸失利益、機会損失、信頼利益等)があり、また、「平均的な損害」の考え方は業界ごとに異なる実態がある。この点について、その業界における「平均的な損害」の内容を詳細に分析することで、業界全体の消費者の信頼を確保しようとする事業者団体の取組が確認された。そうした取組は、業界ごとに異なる「平均的な損害」の内容を明確化するとともに、「解約料」の支払に対する消費者の不満を減らす観点からも有益であると考えられる。
      • 価格差別(多様な価格プランの提示)
        • 消費者の選好が多様であることを前提に、多様な価格プランを提示し、選好に応じた価格プランを消費者に選択させるために「解約料」が設定される場合、その価格差別の目的は合理的である場合もあると考えられる。
        • この「解約料」について、価格差別の目的が有効に機能するためには、消費者が多様な価格プランから選好に応じたものを選択する際に、「解約料」と価格が連動していることを意識できる必要がある。また、上記のとおり、消費者が価格プランを選択する際に多様な価格プランの内容を認識できずに自らの選好に合わない価格プランを選択したことが「解約料」の支払に対する消費者の不満の一因になっている可能性がある一方、本意識調査の結果から、消費者が「解約料」の有無・金額の多寡を多様な選択肢から選択できるときには、消費者が「解約料」を意識する傾向が強くなり、自身の選択に不満を帰属させることで「解約料」の支払に対する消費者の不満が低減される可能性があると考えられる。これらを踏まえると、価格差別の目的で「解約料」を設定する場合には、合理的な価格プランとして設定されていることに加え、消費者が自らの選好に応じた価格プランを選択できるように、消費者が価格プランを選択する際に、事業者が消費者に対して多様な価格プランの選択肢の存在及びその内容について適切なタイミングで明確に情報提供するなど、消費者の選択の実質を確保する情報提供をすることが望ましいと考えられる。
      • 解約抑止
        • 社会的に望ましくない解約を抑止することで、事業者が商品・サービスの提供のために行う必要がある費用投下を安心して行うことを可能にするために「解約料」が設定される場合、その解約抑止の目的は合理的である場合もあると考えられる。
        • この「解約料」について、解約抑止の目的が有効に機能するためには、事業者が消費者に対して契約締結時にどのような場合に「解約料」が発生するのかを説明することで、消費者に解約可能性を意識させるとともに、実際に「解約料」が発生した際に余計な手続費用(消費者が解約条件を確認する手間、事業者・消費者間の紛争解決費用等)を生じさせないことが必要である。このことを踏まえると、解約抑止の目的で「解約料」を設定する場合には、事業者が消費者に対して、契約締結時にどのような場合に「解約料」が発生するのかについて明確に情報提供することが望ましいと考えられる。
      • 売上安定化
        • 例えば長期投資が必要な事業形態などにおいて、売上ないし商品・サービスの提供を安定化することで、一定の取引が見込まれることを前提とした費用投下の効率化を図るために「解約料」が設定される場合、その売上安定化の目的は合理的である場合もあると考えられる。
        • この売上安定化の目的で「解約料」を設定するのであれば、一定の取引が見込まれることを前提とした費用投下の効率化に必要な範囲で設定すべきであり、その範囲を超えた「解約料」を設定することは、売上安定化の目的との関係で過剰な手段であり合理性に欠けると考えられる。
      • 「解約料」による収益向上
        • 契約の目的の一つとして、当事者双方の利潤を増大させること(社会全体の利益の向上)が挙げられる。一方、双方の利潤の増大ではなく、一方から他方への利益移転だけを目的とした行為(レントシーキング行為)は、社会全体の利益を向上しないものである。したがって、そのような「解約料」は許容しがたいと考えられる。
      • まとめ
        • 事業者が「解約料」を設定する目的として、「損失補填」のほかに「価格差別(多様な価格プランの提示)」があり、またそれらに付随して並存し得る目的として「解約抑止」や「売上安定化」の目的があることが確認された。
        • 「解約料」の実態を踏まえた望ましいルールの在り方を検討するに当たっては、上記ア~オで示した視点を考慮して、それぞれの目的で設定された「解約料」の特徴に応じた適切な行為規範や紛争解決規範として機能するルールの在り方を検討することが重要であると考えられる

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国民生活センター 少しずつゆっくりとかんで、餅での窒息事故を防止!
  • 内容
    • 事例1 自宅で餅を食べていたところ、のどに詰まらせた。苦しがって数分で意識を失い、救急車を呼んだ。救急隊により餅は取り除かれたが、死亡した。(80歳代)
    • 事例2 朝食に食べた餅がのどに詰まり、反応がなくなった。家族が救急車を呼び、口の中から餅を取り出した。救急隊が到着した時は、呼吸はできていたが異物が残っていたため取り除いた。病院に到着した時には意識が回復し、他に異常がないことが確認されたため、帰宅となった。(80歳代)
  • ひとこと助言
    • 高齢になると、かむ力や飲み込む力が弱くなるため、特に餅を食べる機会が増える年末年始は、以下の点に注意して窒息事故を防ぎましょう。
      • 餅を食べやすい大きさに小さく切っておきましょう。
      • あらかじめお茶や汁物を飲んでのどを潤しておきましょう。
      • ゆっくりとよくかんで、唾液とよく混ぜ合わせてから飲み込みましょう。
      • 高齢者と一緒に食事をする際は、少しずつ口に入れているか、しっかりかんでいるかなど食事の様子に注意を払い、見守りましょう。

~NEW~
国民生活センター 商品が届かない…!返金してもらえない…!悪質通販サイトを巡るトラブルにご注意
  • #ブランド品 が安い!希少な物が売ってる!ネット通販で手軽に購入!あれ、#商品が届かない…お店と連絡も取れない…#返金 もしてもらえない…⇒188に相談!#通販サイト
  • 相談事例
    • 銀行振込で代金を支払ったが、その後、商品が届かず、事業者と連絡がとれない
      • 通販サイトでウイスキーの注文を行った。代金支払い後、発送するとメールで連絡があり、約7,000円を事業者から指定された個人名義の銀行口座に振り込んだ。その後、連絡がないため発送状況を尋ねるメールを3回したが、返信がない。商品が届かないので、全額返金してほしい。(2024年6月受付 60歳代 男性)
    • 偽サイトと気付かず商品を購入してしまい、商品が届かず返金もされない
      • 通販サイトでアウトドアブランドのリュックを注文し、約4,500円をクレジットカードで支払った。日本語サイトであるにもかかわらず、注文受付メールが英語で届いた。発送の連絡がないためメールで問い合わせたところ、荷物追跡番号が送られてきたが追跡ができなかった。
      • 不審に思い、「商品をキャンセルしたい」と伝えたが、「キャンセルはできない。発送中に商品を紛失したため、半額のみ返金する。」と返信がきた。再度、ブランド名を検索し、公式サイトに問い合わせたところ、これまでやり取りしていたのは偽サイトであると言われた。全額返金してほしいが、どうすればよいか。(2024年4月受付 50歳代 女性)
    • サイトで商品を購入し、プリペイド型電子マネーで支払ったが商品が届かない
      • 通販サイトで約6,000円のスピーカーを注文し、コンビニ払いを選択したところ、プリペイド型電子マネーでの支払いを求められ、コンビニで購入した電子マネーの情報を伝えた。支払完了メールが届いたが、商品が到着予定日を過ぎても届かなかった。その後、事業者から返金するというメールが届き、メッセージアプリでのやり取りに誘導するリンクが記載されていたが、どのように対応すればよいか。(2024年6月受付 20歳代 男性)
  • 消費者へのアドバイス
    • 購入前に悪質通販サイトでないかよく確認する!
      • トラブルが寄せられる通販サイトには、次のような特徴が見られます。悪質な通販サイトの特徴を知り、少しでも怪しいと感じたら注文をしないようにしましょう。
        • 市場では希少なものがこのサイトでは入手可能となっている。
        • ブランド、メーカー品で価格が通常より安い。
        • サイト内の説明が不自然な日本語の文章となっている。
        • 支払い方法が限定されている。振込先の銀行口座の名義が個人名である。
        • キャンセル、返品、返金のルールがどこにも記載されていない。
        • サイト上に事業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない など。
    • 悪質通販サイト情報
      • 越境消費者センター(CCJ)ウェブサイトでは「悪質通販サイト情報」を掲載しています。少なくとも購入前に確認して、ここに掲載されている事業者サイトからは購入しないようにしましょう。
      • 悪質通販サイトのトラブルにあわないために(越境消費者センター(CCJ))

        • ※現存のウェブサイトを網羅したものではありません。掲載されていないウェブサイトであっても、上記のような特徴が見られる場合は、信頼できるウェブサイトか否かを慎重に判断してください。
    • プリペイド型電子マネーをコンビニで購入し、その情報をメール等で伝えるよう求められた場合は、応じない!
      • コンビニ等でプリペイド型電子マネーを購入するよう指示し、電子マネー番号等の情報を写真に撮り、メールで送らせる等の方法は詐欺の手口です。そのような方法で支払い求められた場合は、絶対に応じず、購入の手続を進めないでください。プリペイド型電子マネーの情報を一度相手に伝えてしまうとお金を取り戻すことは非常に困難です。
    • トラブルにあってしまった場合は、すぐに決済関連事業者に相談する!
      • クレジットカード決済の場合
        • クレジットカード会社に対してトラブルにあったことを連絡することで、クレジットカード会社から対応が得られる場合があります。早急にクレジットカード会社に相談しましょう。
      • 銀行振込の場合
        • 銀行振込で支払ったお金を取り戻すことは非常に困難ですが、早急に振込先銀行に事情を伝え、相談しましょう。併せて、最寄りの警察に被害を届け出るようにしましょう。警察に相談した場合は、その旨も振込先銀行の相談窓口に伝えましょう。
      • プリペイド型電子マネーの場合
        • お金を取り戻すことは非常に困難ですが、早急にプリペイドカードの発行会社に連絡しましょう。併せて、最寄りの警察に被害を届け出るようにしましょう。
    • 少しでも不安に思ったらすぐに消費生活センター等に相談する!
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
        • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
      • 越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)
        • 海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のためのオンラインの相談窓口です。
      • 警察相談専用電話「#9110」
        • 最寄りの警察の相談窓口につながる全国共通の電話番号です。被害に遭ってしまった場合には警察にも相談しましょう。

~NEW~
国民生活センター 消費者問題に関する2024年の10大項目
  • 国民生活センターでは、毎年、消費者問題として社会的注目を集めたものや消費生活相談の特徴的なものなどから、その年の「消費者問題に関する10大項目」を選定し、公表しています。
  • 2024年は、能登半島地域で1月に発生した地震や9月に発生した豪雨など、各地で度重なる自然災害が発生し、これに関連した「災害便乗商法」に係る消費者トラブルのほか、紅麹サプリによる健康被害、越境消費者相談及び訪日観光客消費者ホットラインへの相談件数増、サポート詐欺、訪問購入をきっかけとした犯罪まがいの事例などに注目が集まりました。
  • 2024年の10大項目
    1. 能登半島地震や度重なる豪雨など、自然災害相次ぐ「災害便乗商法」も発生
    2. 紅麹を原料とするサプリによる健康被害拡大 健康被害情報の報告を義務化
    3. 越境消費者相談の件数が大幅増 インバウンドの回復に伴い「訪日観光客消費者ホットライン」への相談も増加
    4. 害虫・害獣駆除やロードサービスなどの想定外の高額請求にかかるトラブルが若い年代で増加
    5. サポート詐欺 高齢者のトラブルが後を絶たず
    6. 「スキマ時間に気軽に稼げる」などとうたう副業に関する相談が増加
    7. 「訪問購入」に関するトラブルの相談、引き続き多く寄せられる 中には犯罪まがいの事例も
    8. 消費生活用製品安全法等の改正 海外から直接販売される製品の安全確保や子ども用の製品による事故の未然防止に対応
    9. 「ステマ広告規制」措置命令相次ぐ
    10. 集団的消費者被害回復訴訟に関し、初の最高裁判所判決が出される

~NEW~
国民生活センター 毛皮ではない「ムートン」が使用されていたベッドパッド(相談解決のためのテストからNo.192)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「インターネット通信販売でムートンと表示されたシーツを購入したが、ムートンとは思えない。表示に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、インターネット通信販売サイトで「ムートンシーツ」として販売されていたベッドパッドでした。販売サイトはすべて日本語で記載されていましたが、事業者の連絡先は海外の住所でした。
    • 当該品の断面を観察すると、起毛した繊維と繊維が植毛された基布からなる表地、中綿、裏地という3層の構造でした。販売サイトの表示によると、ムートンとされるのは表地であると考えられたため、JIS L 1030-1「繊維製品の混用率試験方法-第1部:繊維鑑別」に従い、表地の起毛した繊維と基布の繊維を鑑別しました。
    • その結果、起毛した繊維は主に羊毛、基布は主にポリエステルであり、表地は、ポリエステルの基布に羊毛を打ち込んだパイル織様の生地であると考えられました。
    • ムートンに関する公的な規格等はないものの、特定非営利活動法人 日本皮革技術協会によると、「繊細な毛をもつシープスキン又はラムスキンを原料とする毛皮*1」とされています*2。当該品の表地は、ポリエステルの基布に羊毛を打ち込んだものであり、日本皮革技術協会の定義する「ムートン」とは異なる素材であると考えられました。
      • *1 毛皮とは、体毛が生えた獣皮のこと。
      • *2 皮革用語辞典「ムートン」p.253、日本皮革技術協会(編)
  • 消費者へのアドバイス
    • インターネット通信販売では、広告から想定していた商品とは異なる品質の商品が届くことがあります。事前に素材や仕様など細かいところまで確認し、不安な点がある場合は、販売サイトに確認した上で購入するようにしましょう。

~NEW~
厚生労働省 製品安全誓約(日本国)の対象に「麻薬及び向精神薬取締法」及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が加わります
  • 製品安全誓約(日本国)は、OECDが公表した「製品安全誓約の声明」を踏まえて、リコール製品や安全ではない製品が生命・身体に及ぼすリスクから消費者をこれまで以上に保護することを目的として、令和5年(2023年)6月29日に、消費者庁、総務省消防庁、経済産業省及び国土交通省といった消費者向け製品の関係省庁とオンラインマーケットプレイスの運営事業者により策定された日本版「製品安全誓約」であり、製品安全に係る法的枠組みを超えた「官民協働の自主的な取組」です。
  • 今回、製品の対象として、「麻薬及び向精神薬取締法及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(厚生労働省)」が新たに加わることとなりました。
  • 別添のとおり、消費者庁と共同で報道発表を実施しておりますので、お知らせいたします。
▼ 【別添】製品安全誓約(日本国)に新たに加わる対象製品(安全ではない製品)について
  • 法律
    • 麻薬及び向精神薬取締法
    • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
  • 対象製品
    • 麻薬及び向精神薬取締法に規定する「麻薬」成分が混入(疑いを含む。)した製品
    • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する「指定薬物」成分が混入(疑いを含む。)した製品
    • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する「指定薬物」に速やかに指定する可能性のある成分が混入(疑いを含む。)した製品
      • 広域禁止物品として官報告示公示前の製品
      • 広域禁止物品として官報告示公示後の製品
▼ 参考情報:薬物乱用防止に関する情報(厚生労働省)

~NEW~
厚生労働省 「令和5年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(確定値)」を公表します
  • 厚生労働省は、令和5年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況」の確定値を取りまとめましたので、公表します(速報値は今年6月19日に公表済み)。
  • 「労災保険給付」の令和5年度の請求件数は1,305件(石綿肺を除く)、支給決定件数は1,170件(同)で、請求件数は昨年度と比べやや減少、支給決定件数は昨年度と比べやや増加しました。
  • 「特別遺族給付金」の令和5年度の請求件数は317件で、支給決定件数は159件でした。
  • なお、令和5年度までに労災保険給付などに関する支給決定を受けた労働者の死亡年別の統計資料(資料1~5)も取りまとめましたので、併せて公表します。資料4と5は、船員保険関係のものです。
  • 「労災保険給付」の請求・支給決定状況
    • 石綿による疾病で、療養や休業を必要とする労働者や死亡した労働者のご遺族は、疾病発症が仕事によるものと認められた場合、「労働者災害補償保険法」に基づく給付の対象となります。
    • (1)肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚
      • 請求件数 1,305件(前年度比 56件減、 4.1%減)
      • 支給決定件数 1,170件(同 91件増、 8.4%増)
    • (2)石綿肺 ((1)の件数には含まれない)
      • 支給決定件数 62件 (同 1件増、 1.6%増)
  • 「特別遺族給付金」の請求・支給決定状況
    • 石綿による疾病で死亡した労働者のご遺族で、時効(5年)によって労災保険の遺族補償給付を受ける権利が消滅した人については、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づき、疾病発症が仕事によるものと認められた場合、「特別遺族給付金」が支給される仕組みとなっています。
      • 請求件数 317件(前年度比 185件増、140.2%増)
      • 支給決定件数 159件(同 11件減、6.5%減)

~NEW~
厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第15回資料
▼ 資料1 労働基準関係法制研究会報告書(案)
  • 現代における「労働者」性の課題
    • 労働基準法による保護の対象者は、同法第9条に規定する「労働者」であり、「職業の種類を問わず、事業又は事務所・・・に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されている。一方で、明確に労働契約を交わしてはいないものの、実態として「労働者」と同じような働き方をしている請負事業者が存在するなど、個別の働く人が同法の「労働者」に該当するかどうかの判断は、かねて法運用に当たっての課題となってきた。実際に、使用者が労務管理に関する責任や社会保障負担等を免れる目的から、本来「労働者」として雇用すべき者を請負事業者として扱うといった、法を潜脱しようとする事案も生じている。
    • こうした事象は他国でも同様に発生している。「労働者」の判断に当たって各国共通なのは、「契約名称にかかわらず働き方の実態に照らして判断される」ということである。そうでなければ、強行的規範によって労働条件の最低基準を定めた労働保護規範が、交渉力の強い使用者によって押し付けられた労働契約以外の名称の契約を締結することによって簡単に潜脱されることとなってしまい、労働保護法を制定した意義自体が失われてしまう。したがって、客観的に「労働者」である者を契約上「労働者」ではない取り扱いとする、いわゆる「誤分類(misclassification)」は強行的に是正されるべきことになる。このように、労働者性は契約名称ではなく、働き方の実態に照らして客観的に判断されるが、日本では、労働者性の実態判断の予見可能性を高めるため、1985年(昭和60年)に、昭和60年労働基準法研究会報告が示されており、以後の行政解釈も司法判断も、この報告にまとめられた判断要素を参考としている。
    • 昭和60年労働基準法研究会報告から約40年が経過し、その間、産業構造の変化、働き方の多様化、デジタル技術の急速な発展があった。サービス産業の拡大による産業構造の変化により多種多様な働き方が増えることで、労働者性の境界に位置するような働き方もまた増加してきたし、新型コロナウイルス感染症のまん延を契機にテレワークが幅広く定着し、場所にとらわれない働き方も拡大した。さらには、プラットフォーム・エコノミーの進展により、就労するか否かの選択権がありつつも、働き方の実態は「労働者」に近似したギグワーカーやプラットフォームワーカーが世界中で拡大し、加えて、AIやアルゴリズムによる労務管理のデジタル化等も発展している。こうした中で、労働者性判断の分かりにくさが増大し、予見可能性が低くなりつつある。こうした状況に対応するため、例えばギグワーカーやプラットフォームワーカーについて、諸外国では、
      • 個人で役務を提供している者を「労働者である」と推定した上で、それに異論がある場合には使用者に反証を求める方式(米国のいわゆるABCテスト)や、
      • 各国の法令、労働協約等に従って、指揮(direction)と支配(control)を含む要素が見いだされる場合には、法的に雇用関係があると推認する方式(2024年(令和6年)10月に成立したEUの「プラットフォーム労働におる労働条件の改善に関する指令」)等の法的対応が検討されてきた。日本においても、こうした新しい働き方への対応や、実態として「労働者」である者に対し労働基準法を確実に適用する観点から、労働者性判断の予見可能性を高めていくことが求められている。
  • 時間外・休日労働時間の上限規制
    • 時間外・休日労働時間の上限規制(原則:月45時間・年360時間/特別条項:単月100時間未満・複数月平均80時間以内・年720時間)を導入した働き方改革関連法が2019年(平成31年)4月から施行され、5年が経過した。また、適用を猶予されていた業種についても、段階的に適用が開始された。この間、全体の時間外・休日労働は緩やかに減少している。上限規制の労働時間短縮の効果はある程度表れていると考えられるものの、2020年(令和2年)以降は新型コロナウイルス感染症の影響が無視できないことなどから、現時点では、上限そのものを変更するための社会的合意を得るためには引き続き上限規制の施行状況やその影響を注視することが適当ではないかと考えられる。もちろん、「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」(2017年(平成29年)3月)にあるように、時間外労働の上限を36協定の原則である月45時間・年360時間に近付けられるよう努めていくべきであり、目標を見据えて定期的に時間外・休日労働等の実態を把握し、上限規制の水準の見直しについて議論することが必要である。
    • また、自動車運転者や医師などは、2024年(令和6年)度から時間外・休日労働時間の上限規制が適用となったが、なお一般より長い上限が適用されているため、健康確保措置の在り方や、一般の上限規制の適用に向けた取組をどのようにするかを議論すべきである。これらについては引き続き中長期的に検討していく必要がある一方で、働く人を「守る」という観点からは、後述するように、労働時間の情報開示等により企業による自主的な労働時間短縮を促進する取組や、休日等の労働からの解放に関する規制については、早期に対応可能な取組もあるのではないかと考えられる。
    • なお、労使協定は法的には免罰効等を有するものであり、労働条件を定めるものではない。36協定が締結されたとしても、個別の労働者にとって、当該協定で定められた時間外・休日労働を行わなければならない義務が発生するわけではなく、あくまでも労働協約や就業規則、労働契約といった根拠に基づいて時間外・休日労働が命じられるものである。36協定はあくまで上限設定であり、個別の労働者の事情を踏まえて、時間外・休日労働を行うことが難しい労働者が安心して働けるような環境を整備することや、育児や介護等の特定の事由に限定せず、働き方や労働時間を選択できるようにすることなど、柔軟な働き方を可能にする法制度について、労働基準法以外の法令における対応を含めて中長期的に検討していく必要がある。
    • また、労働基準法第33条第1項の特例について、同項は災害時等による臨時の必要がある場合の規定ではあるが、日本は災害が多いことも踏まえれば、長時間の時間外・休日労働をせざるを得ない場合の健康確保について、何らかの対応が望まれる。
    • なお、こうした制度的議論だけではなく、我が国全体の働き方への考え方として、長時間労働に対応する労働者こそが会社の中核的なメンバーであり、そうでない者は周縁的なメンバーであるという考え方・空気感が今なお存在し、これが存続する限り、労働者間の分断が進んでしまう可能性もある。こうした考え方を変えていくためには、強行法規による規制に加え、人事評価制度や人員配置・管理等について、健康経営や人的資本経営の観点からも、企業の意識改革が望まれ、そうした気運の醸成に努めていく必要がある。
    • 加えて、長時間労働の是正には、労働時間制度だけでなく、官公庁取引を含む商慣行の見直しや、大企業や親会社、国・地方自治体の働き方改革が中小企業や子会社を始め取引先にしわ寄せを生じさせる状況の是正といった観点も重要であり、厚生労働省と業所管省庁が協力して進めることが重要である。
  • 企業外部への情報開示
    • 労働基準法の強行的な規制による労働時間の短縮のほか、労働市場の調整機能を通じて、個別企業の勤務環境を改善していくことが考えられる。
    • このためには、労働者が就職・転職に当たって、各企業の労働時間の長さや休暇の取りやすさといった情報を十分に得て、就職・転職先を選んでいくことが必要である。このことは労働者の主体的な希望に基づく労働移動を増やし、労働市場全体を通じた労働力の最適配置にも資するものとなり得る。長時間労働の是正について考えると、特に企業の時間外・休日労働の実態について、正確な情報が開示されていることが望ましい。
    • 現行法制において、企業の時間外・休日労働の実態に関する情報については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)や次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づく認定制度等の企業による自主的な取組を促す仕組みを含め、各制度の目的に応じて様々な情報開示の仕組みが既に設けられているが、時間外・休日労働時間を短縮するという観点からも、様々な情報開示の取組が進められ、また、これらの情報を労働者・求職者が一覧性をもって閲覧できるようになることが望ましいと考えられる。労働環境の改善を促すとの観点から、企業による自主的な情報開示が、質・量ともにより充実するよう、その基盤を整えることや、義務的な情報開示について検討することについては、厚生労働省として不断に取り組んでいくことを期待する。
  • 企業内部への情報開示・共有
    • 労働基準法の強行的な規制による労働時間の短縮や、前で述べた企業外部への情報開示による労働市場の調整機能を通じた個別企業の勤務環境の改善のほか、企業内部への労働時間の情報の開示・共有によって、個別企業の勤務環境の改善、労働基準法違反の状態の発生の防止や迅速な是正につなげていくことも考えられる。
    • こうした企業内部への労働時間の情報の開示・共有については、誰に対して、どのような目的で開示・共有し、何を改善していくのかを整理することが必要である。こうした問題意識から本研究会として検討を加えた。
    • 衛生委員会や労働時間等設定改善委員会等の労使の会議体への時間外・休日労働の状況等の情報開示は、例えば衛生委員会においては長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関することが調査審議事項とされているように、実質的な議論をする上で非常に重要となる。また、36協定など労働時間に関する労使協定を締結する際には、過半数代表に対して情報を開示していくことが必須と考えられる。過半数代表者の基盤強化と併せ、実効的な労使交渉を進めていくためにも、情報開示に取り組むべきであると考えられる。なお、個人ごとの時間外・休日労働時間は、労働者個人に関する情報であるため、取扱いに関しては配慮が必要である。
    • 次に、管理職が、他部署や全社平均との比較等を通じて、自部署の労働者の時間外・休日労働時間の状況を認識することを可能とする方策として、管理職に対してその管理対象となる部署の時間外・休日労働時間の情報を共有し、改善を求めることが考えられる。これは、企業による労働時間短縮の取組を強く促すという点で有効と考えられる。一方、管理職は部下との関係では労働基準法第10条の使用者に当たる面もあることから、労働基準法は事業主と管理職との関係を直接規律する法律ではなく、管理職への情報共有と改善の取組はある種の企業内ガバナンスの整備のような問題として捉えられる。
    • 最後に、労働者個人が、部署平均や全社平均との比較等を通じて、自らの時間外・休日労働時間の状況や年次有給休暇の取得状況・残日数等を認識することを可能とする方策として、個別の労働者に対する情報開示が考えられるが、これについては、当該個人の情報を開示する場合と、事業場全体の情報を開示する場合とで、効果が異なると考えられる。個別の労働者に対して個人の情報を開示し、改善を促すとしても、自主的な行動変容によって労働時間を短縮できるのは、ある程度働き方に裁量のある労働者に限られるのではないかという懸念もある。一方で、個別の労働者に対する情報開示は、割増賃金が適正に払われているかを確認し、労働基準法違反の状態の発生を防止し、あるいは迅速に是正することにも資するものといえる。
  • テレワーク等の柔軟な働き方
    • テレワークは、一般に、仕事と生活を両立させやすく、柔軟に働くことができる働き方であり、諸外国でも、柔軟な働き方の一つの典型として、労働者の希望に沿ってテレワークを促進すべきとする考え方も生じている。
    • しかし、テレワークは、事業場で就労する場合のような使用者の直接的な指揮命令が及ばない場合もあり、働き方の自由度が高まる一方で長時間労働の問題も生じ得るなど、テレワーク中の労働時間管理の在り方が問題となる。また、在宅でテレワーク勤務を行う場合には、自宅が職場となるという特殊性から、就業環境の整備やプライバシーへの配慮、仕事と家庭生活が混在し得ること等についても留意する必要がある。以上のような問題意識から、本研究会では、テレワークに適用できるより柔軟な労働時間管理について、
      • テレワーク日と通常勤務日が混在するような場合にも活用しやすいよう、コアタイムの取扱いを含め、テレワークの実態に合わせてフレックスタイム制を見直すことが考えられるか
      • 緩やかな時間管理の中でテレワークを行い、一時的な家事や育児への対応等のための中抜け等もある中で、客観的な労働時間が測定できるか否か、測定できるとしてもプライバシーの観点から測定するべきか否かという観点から、一定の健康確保措置を設けた上で、労使合意で労働時間を定めていく制度が考えられるか
    • という2つの視点を基に、フレックスタイム制の改善や、テレワークを行う際のみなし労働時間制の導入可否について検討した。なお、フレックスタイム制の改善と、テレワーク時のみなし労働時間制とは制度としては両立可能であり、どちらか一方しか採用できないというものではないと考えられる。
  • フレックスタイム制の改善について
    • 在宅勤務の場合には労働の時間と家事や育児等の労働以外の時間が近接しており、こうしたことへの対応等のための中抜け時間が細切れに発生する可能性があること等も踏まえると、テレワークでの柔軟な働き方に対応した労働時間制度としてフレックスタイム制を活用することが考えられるが、現行制度においては、フレックスタイム制を部分的に適用することはできず、テレワーク日と通常勤務日が混在するような場合にフレックスタイム制を活用しづらい状況がある。このため、テレワーク日と通常勤務日が混在するような場合にも活用しやすいよう、テレワークの実態に合わせてフレックスタイム制を見直すことが考えられ、また、この見直しについては、必ずしもテレワークに限らず、出勤日も含めて部分フレックス制を導入し、柔軟な働き方を認めていくということが適切ではないかといった議論が行われた。テレワークの場合に限らず広くフレックスタイム制の導入が進むことは有用であると考えられることから、テレワークの場合に限らず、特定の日については労働者が自ら始業・終業時刻を選択するのではなく、あらかじめ就業規則等で定められた始業・終業時刻どおり出退勤することを可能とすることにより、部分的にフレックスタイム制を活用できる制度の導入を進めることが考えられる。まずは、このフレックスタイム制の改善に取り組むべきと考えられる。
  • テレワーク時のみなし労働時間制について
    • 次に、実労働時間規制のかからない自由度の高い働き方として、みなし労働時間制の活用が考えられる。既存のみなし労働時間制について、事業場外みなし労働時間制はそもそも労働時間の算定が困難であるという要件があり、専門業務型裁量労働制については、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため業務遂行の手段、時間配分の決定等に関して具体的な指示をすることが困難なものとして省令及び告示で定められた業務であるという要件があり、企画業務型裁量労働制については、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者が業務遂行の手段、時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこととするという要件がある。これらの要件が満たさなければ、テレワークにみなし労働時間制を適用することができない。
    • 一方で、テレワーク時の労働時間の管理について、フレックスタイム制であっても使用者による実労働時間管理が求められる以上、自宅内での就労に対する過度な監視や、一時的な家事や育児への対応等のための中抜け時間など実労働時間数に関する労使間の紛争が生じ得ることといった課題も考えられる。こうした課題に対応するため、また、仕事と家庭生活が混在し得るテレワークについて実労働時間該当性を問題としないみなし労働時間制がより望ましい働き方と考える労働者が選択できる制度として、一定の健康確保措置を設けた上で、自宅等でのテレワークに限定したみなし労働時間制を設けることが考えられる。この場合、その導入については集団的合意に加えて個別の本人同意を要件とすること、そして、制度の適用後も本人同意の撤回も認めることを要件とすること等が考えられる。
    • これに対し、自宅等でのテレワークを対象とするみなし労働時間制については、テレワーク中の長時間労働を防止するという観点からは、
      • これまで裁量労働制の対象業務を厳密に定めてきたのは、みなし労働時間制の副作用を最小限にしようとしたものであるが、そうした規定を潜脱することになりかねない。
      • 健康管理の観点からは、高度プロフェッショナル制度のように健康管理時間を把握するなど、一定の時間把握は必要になるのではないか。
      • 本人同意の撤回権を設定しても、例えば撤回するとテレワークができなくなるというような制度設計の場合、事実上撤回権を行使できなくなると懸念される。
      • 前述するフレックスタイム制の導入をみなし労働時間制の導入の要件とし、同意を撤回した者に対してはフレックスタイム制を適用することを条件とするなど、実効性を担保する仕組みを設計する必要があるのではないか。
      • みなし労働時間制が適用されると、単月100時間未満、複数月平均80時間以内といった時間外・休日労働時間の上限規制も事実上外れることになり、長時間労働の懸念等が強まってしまう。みなし労働時間制を適用したとしても、労働時間の上限や労働からの解放時間を決めるといった一定の規制を導入する必要があるのではないか。
    • といった懸念や意見も、本研究会構成員から示されているところである。
    • 自宅等でのテレワークを対象とするみなし労働時間制については、上記の実労働時間管理をする場合の課題を踏まえて、こうした点に関する検討も含め、現実のテレワークにおける一時的な家事や育児への対応等のための中抜け時間が客観的にどういう状況か、企業がどのように労働時間を管理しているのか、みなし労働時間制に対する労働者や使用者のニーズが実際にどの程度あるのかということを把握し、また上記により改善されたフレックスタイム制の下でのテレワークの実情を把握した上で継続的な検討が必要であると考えられる。
  • 定期的な休日の確保
    • 現行制度では、法定休日として、労働者に毎週少なくとも1回の休日を付与することを原則としつつ(労働基準法第35条第1項)、4週間を通じ4日以上の休日を与える変形休日制(4週4休制)を可能としている(同条第2項)。また、1987年(昭和62年)の労働基準法改正により、法定労働時間が週40時間となったことに伴い、週休2日制とする企業も増えてきた。これらの企業では、1週に法定休日1日と所定休日1日が混在することとなった。
    • 一方で、業務の繁忙や業種・職種の特性によっては、長期間の連続勤務を余儀なくされている例も存在する。労災保険における精神障害の認定基準では、2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行ったことが心理的負荷となる具体的出来事の一つとして示されている。近年でも2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行ったことによる心理的負荷が具体的出来事の一つとして評価され、精神障害事案として労災保険の支給決定を行った事案が生じている。
    • 現行の法定休日は、前述のとおり4週4休を認めており、付与する法定休日を偏らせ、長期間の連続勤務が生じる場合であっても、そのことをもって労働基準法違反となるわけではない20。法定休日の本来の趣旨を貫徹するならば、4週4休の特例を2週2休とするなど、連続勤務の最大日数をなるべく減らしていく措置の検討に取り組むべきであると考えられる。
    • また、36協定に休日労働の条項を設けることにより、割増賃金を支払うことで法定休日に労働させることが労働基準法上可能となるが、現行法ではこの回数に制限はなく、労使協定を締結することが前提とはなるが、割増賃金を支払えば、協定の範囲内で理論上無制限に連続勤務させることが可能である。労使協定を経るとはいえ、このような連続勤務は健康上望ましくなく、時間外労働の上限と同様、休日労働にも一定の制限をかけるべきではないかと考えられる。
    • これらの点を総合的に考慮すると、36協定に休日労働の条項を設けた場合も含め、精神障害の労災認定基準も踏まえると、2週間以上の連続勤務を防ぐという観点から、「13日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労働基準法上に設けるべきであると考えられる21。ただし、災害復旧等の真にやむを得ない事情がある場合の例外措置や、顧客や従業員の安全上やむを得ず必要な場合等に代替措置を設けて例外とする等の対応を労使の合意で可能とする措置についても検討すべきである。
  • 勤務間インターバル
    • 働き方改革関連法で導入された時間外・休日労働時間の上限規制は、過重労働を防止する観点から、月を単位として、労使協定によっても超えることのできない上限を設定したものである。一方で、労働者の暮らしと健康を考えると、月を単位とした労働時間管理だけでなく、日々の生活を送る上でのワーク・ライフ・バランスの確保が必要となる。このため、欧州等では、日々の勤務と勤務の間に一定の時間を空けることを義務とする勤務間インターバル制度が設けられている。
    • 我が国では、勤務間インターバル制度は、労働時間等設定改善法第2条において、「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」として努力義務が課されており、また労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)においても一定の記述があるが、概念的な内容にとどまり、勤務間インターバルの時間数や対象者、その他導入に当たっての留意事項等は法令上示されていない。
    • 厚生労働省において、勤務間インターバル制度の導入・運用マニュアルを作成し、時間数や対象者等の設定に当たっての留意点を示しているものの、2023年(令和5年)1月時点の導入企業割合は6.0%にとどまっている。他方、制度の導入予定がなく検討もしていない81.5%の企業のうち、51.9%は「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」と回答している22点にも留意が必要である。また、既に勤務間インターバルを導入している企業の制度設計や、諸外国の勤務間インターバル制度を見ると、様々な適用除外が設けられた上で制度が運用されている。
    • このような現状を踏まえ、本研究会としては、抜本的な導入促進と、義務化を視野に入れつつ、法規制の強化について検討する必要があると考える。企業に勤務間インターバル制度の導入を求める場合に、具体的にどのような内容の制度を求めるかについては、例えば、
      • 勤務間インターバル時間として11時間を確保することを原則としつつ、制度の適用除外とする職種等の設定や、実際に11時間の勤務間インターバル時間が確保できなかった場合の代替措置等について、多くの企業が導入できるよう、より柔軟な対応を法令や各企業の労使で合意して決めるという考え方
      • 勤務間インターバル時間は11時間よりも短い時間としつつ、柔軟な対応についてはより絞ったものとする考え方
      • 規制の適用に経過措置を設け、全面的な施行までに一定の期間を設ける考え方
    • 等が考えられる。いずれにしても、多くの企業が導入しやすい形で制度を開始するなど、段階的に実効性を高めていく形が望ましいと考えられる。
    • 勤務間インターバル時間が確保できなかった場合の代替措置については、健康・福祉確保措置の一環として実施される健康観察や面接指導等といった事後措置を目的としたモニタリングではなく、代償休暇など労働からの解放を確保するものであることが望ましいとの考え方や、代替措置によることが可能な回数について各事業場の労使協議で上限を設定するという考え方が示された。
    • また、義務化の度合いについても、労働基準法による強行的な義務とするという考え方、労働時間等設定改善法等において勤務間インターバル制度を設けることを義務付ける規定や、勤務間インターバルが確保できるよう事業主に配慮を求める規定を設けるという考え方、これらと併せて労働基準法において勤務間インターバル制度を就業規則の記載事項として位置付け行政指導等の手法により普及促進を図るという考え方、現行の抽象的な努力義務規定を具体化するという考え方等が示されており、様々な手段を考慮した検討が必要と考えられる。
  • つながらない権利
    • 本来、労働契約上、労働時間ではない時間に、使用者が労働者の生活に介入する権利はない。しかし現実には、突発的な状況への対応や、顧客からの要求等によって、勤務時間外に対応を求められる状況は容易に発生し得る。このような場合に、実際にはなし崩しに対応を余儀なくされている場合もある。私生活と業務との切り分けが曖昧になり、仕事が私生活に介入してしまうことになる。
    • 欧州等では、「つながらない権利」を行使したことや行使しようとしたことに対する不利益取扱いの禁止、使用者が労働者にアクセス可能な時間帯の明確化や制限、「つながらない」状態を確保するための措置の実施(より具体的には労使交渉の義務付け)等を内容とした、「つながらない権利」が提唱されている。例えば、「つながらない権利」を法制化しているフランスの例を見ると、具体的な内容の設定の仕方・範囲は労使で協議して決めており、その内容は企業によって様々であるが、労使交渉で合意に至らない場合には、つながらない権利の行使方法等を定めた憲章を作成することが使用者に義務付けられている。
    • また、実際に勤務時間外に労働者に連絡をとる必要が生じる際は、労働者と使用者の関係だけでなく、顧客と担当者の関係等も含めた複合的な要因が生じていることが多いと考えられ、当該連絡の内容についても、具体的な仕事が発生して出勤等をしなければならないこともあれば、電話等での対話を行わなければならないもの、メール等が送られてくるだけといったような、様々な段階のものが存在し得る。こうした点を整理し、勤務時間外に、どのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否することができることとするのか、業務方法や事業展開等を含めた総合的な社内ルールを労使で検討していくことが必要となる。このような話し合いを促進していくための積極的な方策(ガイドラインの策定等)を検討することが必要と考えられる。
  • 副業・兼業の場合の割増賃金
    • 労働者が副業・兼業を行う場合においては、労働基準法第38条を受けた通達に基づき、事業主を異にする場合についても労働時間を通算して割増賃金を支払うこととされている。このため、現在は厚生労働省のガイドラインに基づき、労働契約の締結の先後の順に所定労働時間を通算し、次に所定外労働の発生順に所定外労働時間を通算することによって割増賃金を計算するか、あらかじめ設定したそれぞれの事業場における労働時間の範囲内で労働させる管理モデルを利用するかのいずれかとされている。
    • この取扱いについては、通常の労働時間管理が概ね月単位で行われているところ、割増賃金の計算のために本業先と副業・兼業先の労働時間を1日単位で細かく管理しなければならないこと(その過程で、労働者自身も細かく自己申告する等の負担が生じること)など、運用が複雑で企業側に重い負担となっている。政府としては副業・兼業を促進しているが、この労働時間通算の煩雑さが障壁となり、雇用型の副業・兼業の許可や受入れが難しいとの指摘がある。
    • なお、フランス、ドイツ、イギリスでは、実労働時間の通算については行う仕組みとなっているものの、副業・兼業を行う場合の割増賃金の支払いについては労働時間の通算を行う仕組みとはなっていない。
    • 副業・兼業が使用者の命令ではなく労働者の自発的な選択・判断により行われるものであることからすると、使用者が労働者に時間外労働をさせることに伴う労働者への補償や、時間外労働の抑制といった割増賃金の趣旨は、副業・兼業の場合に、労働時間を通算した上で本業先と副業・兼業先の使用者にそれぞれ及ぶというものではないという整理が可能であると考えられる。また、副業・兼業の場合に割増賃金の支払いに係る労働時間の通算が必要であることが、企業が自社の労働者に副業・兼業を許可したり、副業・兼業する労働者を受け入れたりすることを困難にしているとも考えられる。
    • 一方で、労働者は使用者の指揮命令下で働く者であり、使用者が異なる場合であっても労働者の健康確保は大前提であり、労働者が副業・兼業を行う場合において、賃金計算上の労働時間管理と、健康確保のための労働時間管理は分けるべきと考えられる。
    • こうした現状を踏まえ、労働者の健康確保のための労働時間の通算は維持しつつ、割増賃金の支払いについては、通算を要しないよう、制度改正に取り組むことが考えられる。その場合、法適用に当たって労働時間を通算すべき場合とそうでない場合とが生じることとなるため、現行の労働基準法第38条の解釈変更ではなく、法制度の整備が求められることとなる。
    • あわせて、割増賃金の支払いに係る通算対応を必要としなくする分、副業・兼業を行う労働者の健康確保については、これまで以上に万全を尽くす必要がある。また、同一の使用者の命令に基づき複数の事業者の下で働いているような場合に、割増賃金規制を逃れるような行為がなされないように制度設計する必要がある。
    • 具体的には、
      • 健康確保のための労働時間の通算管理を適正に行うための労働時間に関する情報の把握方法や、健康確保のための労働時間を通算した上で長時間労働となっている場合の、本業先と副業・兼業先の使用者の責任関係に関する考え方やとるべき健康確保措置の在り方を整理すること
      • 割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理について、事業場を異にする場合には通算することを要しないこととした場合においても、同一の事業者の異なる事業場で働いている場合や、労働者が出向先と出向元で兼務する形態のように、使用者の命令に基づき異なる事業場で働いているような場合においては、引き続き通算することが妥当であること
    • といった論点の検討についても取り組む必要がある。

~NEW~
厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)における資金移動業者の指定
  • 本日、株式会社リクルートMUFGビジネスに対し、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号の規定に基づき、資金移動業者の口座への賃金支払いに関する厚生労働大臣の指定を行いましたので、お知らせします。サービスの開始時期については、同社からの発表をご確認ください。
  • なお、賃金のデジタル払いについては、各事業場での労使協定の締結及び労働者本人の同意が必要となります。その他賃金のデジタル払い及び指定資金移動業者の詳細については、下記URLを参照してください。
    • ※資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について(厚生労働省ウェブサイト)
  • (参考)指定資金移動業者の概要
    • 商号:株式会社リクルートMUFGビジネス
    • 業態:資金移動業者(第二種資金移動業)
    • 所在地:東京都千代田区丸の内一丁目9番2号
    • 代表者:代表取締役社長 夏目 英治

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経済産業省 消費生活用製品安全法等の関係政令が閣議決定されました 子供を含む消費者の安全のため、玩具やガストーチへの新たな規制を導入します
  • 本日、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」(以下「整備政令」という。)及び「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(以下「期日令」という。)が閣議決定されました。これらの政令は、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)の施行に伴う関係政令の整備を行うとともに、施行期日を定めるものです。
  • また、12月3日(火曜日)には「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。本政令は、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(以下「液石法」という。)の特定液化石油ガス器具等に、新たに携帯液化石油ガス用バーナー(いわゆる「ガストーチ」)を指定し、技術基準に適合しない製品の販売を規制するものです。
  • 整備政令及び期日令について
    • 改正の背景
      • 特に3歳未満の子供に集中して玩具の誤嚥による事故が発生していること、国際的にも3歳未満向けの玩具に対して特に厳しい安全規格が存在することなどを踏まえ、令和6年6月26日(水曜日)に公布された改正法で創設された「子供用特定製品」の第一弾として、3歳未満向けの乳幼児用玩具を指定します。これにより、技術基準に適合しないもの、対象年齢等の使用上の注意に関する表示のないもの等は、販売できないこととする規制対象としました。
      • あわせて、既に特別特定製品として規制の対象である乳幼児用ベッドを子供用特定製品にも指定するなどの制度整備を行いました。
      • また、これらの新しい制度が施行される日を、令和7年12月25日(木曜日)としました。
    • 改正の概要
      • 消費生活用製品安全法施行令別表第1第13号に以下を追加し、同表第3号の乳幼児用ベッドとあわせて子供用特定製品として規定します。「乳幼児用玩具(主として家庭において出生後三十六月未満の乳幼児の遊戯に使用することを目的として設計したものに限る。)」
      • 消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律の施行期日は、令和7年12月25日(木曜日)とします。
    • 今後の予定
      • 整備政令
        • 公布:令和6年12月13日(金曜日)
        • 施行:令和7年12月25日(木曜日)
      • 期日令
        • 公布・施行:令和6年12月13日(金曜日)
  • 「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令」について
    • 改正の背景
      • 昨今、調理やアウトドアでの需要増加に伴い、ガストーチによる事故の発生件数が増加しているため、液化石油ガス器具等及び特定液化石油ガス器具等へ指定して規制対象とし、技術基準に適合しない製品の販売を規制することとしました。
      • 液石法では、液化石油ガスを消費する場合に使用する機械・器具等において、一般消費者等の安全確保のために必要な製品を「液化石油ガス器具等」(液石法第2条第7項)、国に登録された検査機関による確認が必要な製品を「特定液化石油ガス器具等」(液石法第2条第8項)で定めています。
    • 改正の概要
      • 「液化石油ガス器具等」及び「特定液化石油ガス器具等」を指定する液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行令の別表第1(液化石油ガス器具等)及び別表第2(特定液化石油ガス器具等)に以下を追加します。
      • 携帯液化石油ガス用バーナー(液化石油ガスを充塡補填した容器が直接取り付けられる構造のものに限り、当該容器との接続部から火炎を出す位置までの距離が三十五センチメートル以上のもの及び当該容器(液化石油ガスの吸収材の使用その他の液化石油ガスの漏えいを防止するための加工がされているものに限る。)との接続部がねじ式のものを除く。)
    • 今後の予定等
      • 公布:令和6年12月6日(金曜日)
      • 施行:令和7年2月6日(木曜日)

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経済産業省 「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価(案)」を公表します
  • 「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価(案)」(総合物販オンラインモール分野、アプリストア分野及びデジタル広告分野)を公表します。広く国民の皆様から御意見を頂戴すべく、以下の要領で御意見を募集しますのでお知らせします。
  • 背景・趣旨
    • 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(令和2年法律第38号。以下「透明化法」という。)第9条第2項に基づき、経済産業大臣は特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価を行うこととしており、このたび当該評価(案)を作成しました。
  • 参考
    • 本評価(案)は、特定デジタルプラットフォーム提供者(アマゾンジャパン合同会社、楽天グループ株式会社、LINEヤフー株式会社、Apple Inc.及びiTunes株式会社、Google LLC、Meta Platforms, Inc.)から提出された報告書、デジタルプラットフォーム取引相談窓口に寄せられた情報、「デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合」(座長:岡田羊祐成城大学社会イノベーション学部教授)の意見等を踏まえて作成したものです。
    • 透明化法上、特定デジタルプラットフォーム提供者は、本評価の結果を踏まえ、透明性及び公正性の自主的な向上に努めなければならないとされています。
▼ 2024年度大臣評価(案)の概括(全体像)
  • オンラインモール分野、アプリストア分野(2022~)については、2回の大臣評価等を経て、特定プラットフォーム提供者の対応に一定の改善が見られた。今年度は、個社ごとに残っている課題への対応改善等を指摘。
  • デジタル広告分野(2023~)については、社会問題となったなりすまし広告への対応(不十分な本人確認等)などについて、有識者から厳しい指摘があった。今年度は、本件をはじめとする各種課題への対応改善を指摘。
  • 主な課題と指摘事項
    • オンラインモール分野
      • 提供条件の開示の改善
        • 売上金留保措置における説明不足の改善
      • 審査の正確性向上
        • アカウント削除・出品停止の理由の具体化
      • 不正行為への対応
        • 規約違反の無在庫転売の取締り
    • アプリストア分野
      • 提供条件の開示の改善
        • 複数の経路から寄せられる苦情を計数し開示
      • 審査の正確性向上
        • 誤ったアカウント停止の最小化
      • 不正行為への対応
        • 消費者による不適切な返金申込みに対する対応強化
    • デジタル広告分野
      • 提供条件の開示の改善
        • 運用で決定されている支払手段など重要な提供条件変更理由の通知
      • 審査の正確性向上
        • 広告掲載媒体の適正性審査における誤判定の最小化
      • 不正行為への対応
        • なりすまし広告対策(本人確認の強化等)

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経済産業省 犯罪による収益の移転防止に関する法律違反の特定事業者(郵便物受取サービス業者)に対する行政処分を実施しました
  • 経済産業省は、郵便物受取サービス業(私設私書箱業)を営む「福岡私設私書箱サービス」又は「日本私設私書箱センター」こと呂 正吉に対し、犯罪による収益の移転防止に関する法律第18条の規定に基づき、取引時確認義務及び確認記録の作成義務に係る違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命じました。
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)では、特定事業者に対し、一定の取引について顧客等の取引時確認を行うとともに、その記録を作成するなどの義務を課しており、郵便物受取サービス業者(私設私書箱業者)は、同法の特定事業者として規定されています。
    1. 特定事業者の概要
      • 名称:「福岡私設私書箱サービス」又は「日本私設私書箱センター」(個人事業者)
      • 代表者:呂 正吉
      • 所在地:福岡県福岡市東区箱崎二丁目9番31号
    2. 事案の経緯
      • 「福岡私設私書箱サービス」又は「日本私設私書箱センター」こと呂 正吉(以下「同事業者」という。)が犯罪収益移転防止法に定める義務に違反していることが認められたとして、国家公安委員会から経済産業大臣に対して同法に基づく意見陳述が行われました。
      • これを踏まえ、経済産業省において同事業者に対して立入検査等を行った結果、犯罪収益移転防止法違反が認められたため、同事業者への処分を行うこととしました。
    3. 違反行為の内容
      • 国家公安委員会による意見陳述及び経済産業省による立入検査等の結果、同事業者には、犯罪収益移転防止法に定める義務について以下の違反行為が認められました。
        • 取引時確認
          • 同事業者は、顧客との間で締結した郵便物受取サービス業に係る契約について、犯罪収益移転防止法第4条第1項の規定に基づく本人特定事項の確認を行っていない。
        • 確認記録の作成
          • 同事業者は、犯罪収益移転防止法第6条第1項の規定に基づく確認記録(取引時確認を行った者の氏名等、自己の氏名等と異なる名義を用いる理由)の作成を行っていない。
    4. 命令の内容
      • 3.の違反行為を是正するため、令和6年12月12日付けで同事業者に対し、犯罪収益移転防止法第18条の規定に基づき、以下の必要な措置をとるべきことを命じました。
        • (1)犯罪収益移転防止法第4条第1項に規定する取引時確認義務に違反する契約について当該取引時確認を行うこと。また、同法第6条第1項に規定する確認記録の作成義務に違反する契約について当該確認記録を作成すること。
        • (2)犯罪収益移転防止法の理解及び遵守を徹底するとともに、上記(1)の義務違反の発生原因について調査分析の上検証し、再発防止策を策定すること。当該再発防止策の一環として、以下の措置を講じること。
          • 上記(1)以外の契約のうち、令和2年4月1日以降に締結した契約について、同法第4条第1項に規定する取引時確認を行うこと。
          • 上記(1)以外の契約について、同法第4条第1項に規定する取引時確認を行った場合には同法第6条第1項に規定する確認記録を作成すること。
        • (3)令和7年1月14日までに、上記(1)及び(2)の措置を講じた上で経済産業大臣宛てに文書(当該措置を証明するに足りる証票を添付すること。)により報告すること。

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総務省 令和5年度公害苦情調査結果の概要
▼ 令和5年度公害苦情調査結果概要
  • 令和5年度の全国の公害苦情受付件数は69,153件(対前年度比▲3.4%)であった。「典型7公害」は48,969件(対前年度比▲3.5%)「典型7公害以外」は20,184件(対前年度比▲3.3%)
  • 典型7公害では、「騒音」(38.6%)、「大気汚染」(26.9%)、「悪臭」(19.9%)で全体の85.4%を占める。受付件数の減少(対前年度比▲1,754件)は、「大気汚染」(同▲529件)の減少による影響が大きい。
  • 典型7公害以外では、「廃棄物投棄」が前年度に比べ減少し8,376件。前年度から「生活系」が545件の減少(対前年度比▲7.9%)となったことによって、廃棄物投棄全体でも642件の減少(同▲7.1%)
  • 公害苦情の主な発生原因のうち最も多いのは「工事・建設作業」で全体の18.1%、次いで「焼却(野焼き)」が15.4%。「工事・建設作業」の発生源は、「建設業」が84.5%「焼却(野焼き)」の発生源は、「個人」が71.0%
  • 公害苦情の発生源のうち最も多いのは「会社・事業所」で全体の44.8%、次いで「個人」が31.4%「会社・事業所」の主な産業は、「建設業」が42.5%、「製造業」が14.7%
  • 公害苦情の発生源の用途地域のうち最も多いのは「住居地域」で全体の39.7%、次いで「市街化調整区域」が16.6%
  • 公害苦情の被害の種類のうち最も多いのは「感覚的・心理的」で全体の77.5%、次いで「健康」が6.4%「騒音」「振動」では、被害の種類の9割以上が「感覚的・心理的」
  • 令和5年度の全国の公害苦情取扱件数は74,608件(対前年度比▲3.0%)で、うち直接処理件数は62,087件(同▲2.8%)
  • 典型7公害の直接処理では、「1週間以内」が65.6%「騒音」「振動」では、他の公害と比べ処理までの期間に長い日数を要する傾向
  • 典型7公害の直接処理では、「発生源側に対する行政指導が中心」が64.2%、「原因の調査が中心」が21.6%
  • 典型7公害の直接処理では、「なし」が47.7%、「行政指導」が45.0%
  • 典型7公害の直接処理では、防止対策を講じたものが全体の60.1%
  • 典型7公害の直接処理では、「違反なし」が45.1%
  • 令和5年度末現在の全国の公害苦情処理担当職員数は10,937人

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総務省 国の庁舎におけるAEDの周知・管理等に関する調査(地域計画調査)<改善意見の通知に対する改善措置状況(フォローアップ)の概要>
▼ 概要
  • 総務省九州管区行政評価局は、自動体外式除細動器(以下「AED」という。)の円滑・確実な利用環境の確保を目的として、九州5県(福岡県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県)の国の行政機関を抽出し、庁舎内に設置されているAEDの設置情報の登録状況、管理状況等を調査し、令和5年11月に調査結果を公表
  • 総務省行政評価局は、上記調査結果を踏まえ、同年11月に厚生労働省に対して、改善意見を通知
  • 改善通知(主な調査結果)
    • 「財団全国AEDマップ」(※)へのAED設置情報の登録の必要性について、各府省に周知徹底すること
      • ※日本救急医療財団が運用するAED設置情報提供サービス 厚生労働省は各府省にAED設置情報の登録・更新を要請している
      • 主な調査結果
        • 調査対象機関の一部で「財団全国AEDマップ」に正確な情報が表示されていないものあり
          • 情報更新のルール(機器更新時は再登録が必要等)が十分浸透していない
    • AEDの適切な管理等の実施について、省内に周知徹底すること
      • 主な調査結果
        • 調査したハローワークの一部でAEDの点検が未実施
          • 厚生労働省は、平成21年に各府省に対し、日常点検の徹底等について通
  • 改善措置状況
    • AED設置情報の登録の必要性等について、令和5年11月に各府省に改めて周知した。また、省内に対して適切な登録を行うよう通知した
      • 上記改善措置後の状況(当省確認結果)
        • 九州5県のAEDを設置・管理している全てのハローワーク(55か所)で「財団全国AEDマップ」に正確な情報が登録されていることを確認したと回答
    • AEDの適切な管理等の実施について、令和5年11月に省内に周知した。同年12月には都道府県労働局に対し、「AEDの適切な管理に係る取扱要領」を示し、適切な管理等の徹底を指示した。
      • 上記改善措置後の状況(当省確認結果)
        • 九州5県のAEDを設置・管理している全てのハローワーク(55か所)において、日常点検等を実施していると回答

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総務省 2024年(令和6年)科学技術研究調査の結果
▼ 結果の要約
  • 総務省統計局では、我が国における科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術振興に必要な基礎資料を得ることを目的として、科学技術研究調査を毎年実施しています。
  • この度、本年6月1日に実施した調査の結果を取りまとめましたので、公表します。
  • 科学技術研究費の動向
    • 2023年度の科学技術研究費の総額は、22兆497億円(対前年度比6.5%増)で、3年連続で増加し、過去最高
    • 国内総生産(GDP)に対する研究費の比率は、3.70%と前年度に比べ0.05ポイント上昇
    • 研究費を研究主体別にみると、企業の研究費が16兆1199億円(対前年度比6.5%増)と最も多く、大学等が3兆9365億円(同2.5%増)、非営利団体・公的機関が1兆9932億円(同15.1%増)
    • 企業の研究費を産業別にみると、「輸送用機械器具製造業」が4兆4361億円(対前年度比10.6%増)と最も多く、次いで、「医薬品製造業」が1兆5386億円(同7.6%増)、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が1兆3706億円(同11.3%増)などとなっている。
  • 研究者数の動向
    • 2024年3月31日現在の研究者数は、90万7400人(対前年度比0.3%減)で、8年ぶりに減少
    • 研究者1人当たりの研究費は、2430万円(対前年度比6.9%増)で、3年連続の増加
    • 女性研究者数(実数)は、18万2800人(対前年度比0.3%減)で、43年ぶりに減少したものの、研究者全体に占める割合は18.5%(前年度に比べ0.2ポイント上昇)と過去最高

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国土交通省 企業間取引におけるコールドチェーン物流サービスに関する日本提案の国際規格が発行されました~日本式コールドチェーン物流の海外展開を目指して(ISO31512)~
  • 国際標準化機構(ISO)において、我が国が主体となって提案・開発を進めてきた企業間(BtoB)取引におけるコールドチェーン物流サービスに関する国際規格(ISO31512)が発行されました。今後、コールドチェーン物流に関する需要が旺盛なアジア諸国をはじめ、世界各国において本規格の普及を図ることにより、我が国物流事業者の海外展開をより強力に支援して参ります。
  • 背景
    • 近年、アジア諸国では、経済成長・所得の向上に伴い食生活が多様化し、冷蔵・冷凍食品の国内流通量が著しく増加しています。これにより、流通段階において温度管理を伴う質の高いコールドチェーン物流(低温輸送・低温保管サービス)に対する需要が高まっていますが、一部の国ではいまだ温度管理が不十分な物流サービスが行われている状態であり、適切な水準のコールドチェーン物流網の構築が追いついていない状況です。
    • こうした状況を踏まえ、我が国は、令和3年6月に閣議決定した「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」において、我が国の物流事業者が高まるアジア諸国の物流需要を取り込むために、日本の高品質なコールドチェーン物流サービス等の国際標準化や普及を重要施策の一つとして位置づけ、取組を進めてきました。
  • これまでの取組
    • 我が国では、平成28年3月以降、「我が国物流システムの国際標準化等の推進に関する連絡検討会」(事務局:国土交通省)において、物流事業者・業界団体・関係省庁が連携し、オールジャパン体制で標準化の検討を進めてきました。
    • さらに、アジア諸国との物流政策対話及びワークショップ等を活用し、各国の物流関係省庁、標準化機関等との連携を行ってきた結果、令和2年5月28日には小口保冷配送サービスに関する国際規格ISO23412が、令和2年6月30日には日本式の企業間コールドチェーン物流サービスに関する民間規格JSA-S1004がそれぞれ正式に発行されました。
    • その後、令和2年11月に、我が国の提案により新たな技術委員会(コールドチェーン物流に係る技術委員会:TC315)が設置され、令和3年9月よりJSA-S1004を原型とした国際規格の作成が始まりました。我が国は議長国としてISOでの議論を主導し、国際標準作成に向けた取組を推進してきたところ、今般実施された発行の是非を問う最終投票において全会一致で可決され、令和6年12月6日にISO31512が正式発行されました。
  • 期待される効果
    • 本規格が普及することにより、日本の物流事業者のサービス品質が適切に評価され、国際競争力が強化されるほか、日本の農林水産物・食品の輸出拡大、各国におけるコールドチェーン市場の健全な育成と拡大への寄与が期待されます。
    • 国土交通省は、本規格を含めた日本式コールドチェーン物流に関する国際標準がアジア諸国をはじめとして世界各国で普及するよう、引き続きオールジャパン体制での取組を行っていきます。
  • 規格の概要
    • 今回発行されたISO31512は、企業間(BtoB)取引のコールドチェーン物流サービスにおいて運送事業者及び倉庫事業者が適切な温度管理を実現するための要求事項を定めています。

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「品確法基本方針」及び「入契法適正化指針」の変更について閣議決定~建設業が「地域の守り手」等の役割を果たし続けられるよう、公共工事の発注者等が講ずべき具体的な措置を新たに規定~
  • 担い手確保・生産性向上・地域における対応力強化を図るため、公共工事の発注者等が新たに講ずべき措置を盛り込んだ「品確法基本方針」及び「入契法適正化指針」の変更が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 今年6月に成立した第三次・担い手3法(※)を踏まえ、公共工事の発注者等が講ずべき具体的な措置について定める「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針」(以下「品確法基本方針」という・平成17年8月26日閣議決定、令和元年10月18日最終変更)及び「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(以下「入契法適正化指針」という・平成13年3月9日閣議決定、令和4年5月20日最終変更)について所要の変更を行いました。
      • ※「公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律(令和6年法律第54号)」及び「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第49号)」
  • 概要
    • 品確法基本方針の変更
      • 公共工事等の発注者が講ずべき措置として
        • 週休2日工事の推進、時間外労働規制に対応した工期設定や猛暑日の考慮
        • 施工時期の平準化に向けた関係部局連携の強化
        • 地域の実情を踏まえた適切な入札参加条件・規模の設定 等を新たに規定。
      • 公共工事等の受注者に関する事項として
        • 能力や経験に応じた適切な処遇確保
        • 情報通信技術を活用した生産性の向上 等を新たに規定。
    • 入契法適正化指針の変更
      • 公共工事の発注者が講ずべき措置として
        • 資材高騰時等における誠実な契約変更協議の実施、スライド条項の適切な運用
        • 現場管理におけるICT活用の推進、技術者の専任・兼任状況の確認
        • 入札契約に係る情報公表の原則インターネット化 等を新たに規定。

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