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公益通報者保護制度検討会/女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化/SNS等におけるいわゆる「闇バイト」への対応に関する要請/カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(東京都)
更新日:2025年1月6日 新着31記事
【新着トピックス】
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
消費者庁
- 第9回公益通報者保護制度検討会(2024年12月24日)
- 戸籍の振り仮名の届出に関連する詐欺にご注意ください
- 株式会社デザインワードに対する景品表示法に基づく措置命令について
国民生活センター
- 球形のチーズによる子どもの窒息に注意!-1歳児の死亡事故が発生しました-
- 国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和6年度第3回)
- 「2時間後に電話が使えない!?」個人情報を聞き出す不審な電話にご注意!
- つけ爪用接着剤によるやけどに注意
- 海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症
厚生労働省
- 労働政策審議会建議「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について」を公表します
- 令和6年上半期雇用動向調査結果の概要
- 令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
- 建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます~厚生労働省・国土交通省の令和7年度予算案の概要~
- 第1回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料
経済産業省
- 「GX2040ビジョン(案)」に対する御意見を募集します
- 第7次エネルギー基本計画策定に向けて御意見を募集します
- 株式会社JERAから提出された報告書に関して同社に対して追加報告を要請しました
- GX実現に向けた投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」を改定しました
- サイバーセキュリティ分野における防衛省・経済産業省・IPAによる包括的な連携協定を締結しました
- サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース第2回会合を開催しました
総務省
- SNS等におけるいわゆる「闇バイト」への対応に関する要請の実施
- 国際行動規範の「報告枠組み」に係る合意(「広島AIプロセス」)
国土交通省
- 「令和6年能登半島地震から1年」の復旧・復興状況と今後の見通し~被災者の方々の暮らしと生業の再生に向けて~
- 住友林業株式会社が供給した住宅等における国土交通大臣認定の仕様への不適合について
- 日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスによる 舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の追加報告について
- 川崎重工業株式会社による舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の追加報告について
- 「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会 とりまとめ」 を公表します
- 水道におけるPFOS 及びPFOA に関する調査の結果について(最終取りまとめ)
- 札契約の適正化の取組状況に関する調査結果について~ダンピング対策や週休2日工事等を中心に取組が進展~
- 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう!~インターネット等において販売されている車両に気を付けましょう~
その他
- 東京都 カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)
~NEW~
消費者庁 第9回公益通報者保護制度検討会(2024年12月24日)
▼ 公益通報者保護制度検討会 報告書(案)
- 従事者指定義務の違反事業者への対応
- 従事者指定義務の履行徹底に向けて、消費者庁の行政措置権限を強化すべきである。具体的には、現行法の報告徴収、指導・助言、勧告、勧告に従わない場合の公表に加え、勧告に従わない場合の命令権や立入検査権を規定し、事業者に対し、是正すべき旨の命令を行っても違反が是正されない場合には、刑事罰を科すこととすべきである。
- なお、命令違反時に刑事罰を規定することの副次的な効果として、従事者指定義務違反の事実が、法の通報対象事実となり、義務を履行していない事業者に関する内部の労働者等からの公益通報が増えることが見込まれ、これに適切に対応できるよう、消費者庁において十分な法執行体制を確保すべきである。
- 体制整備の実効性向上のための対応
- 事業者が整備した公益通報への対応体制について、現状、法定指針で事業者に求めている労働者及び派遣労働者に対する周知が徹底されるよう、体制整備義務の例示として、法律で周知義務を明示すべきである。
- 周知事項の具体的な内容としては、法定指針で必要な措置として既に定めがある、(1)部門横断的な内部通報窓口の設置(連絡先や連絡方法等を含む)、(2)調査における利益相反の排除の措置、(3)是正措置等の通知に関する措置、(4)不利益な取扱いの防止に関する措置、(5)範囲外共有の防止に関する措置等が考えられ、事業者が何を周知すべきかが明らかになるよう、法定指針で具体的に規定すべきである。
- 消費者庁においても、事業者における周知を支援するために、例えば、周知媒体(ポスター等)のひな形を作成することや、地方自治体による地方消費者行政強化交付金の活用の促進等を通じて、事業者に対する制度概要の周知を行うこと、事業者の取組みの好事例を収集し、それを広く周知することなど、制度の普及・浸透に向けた取組みを強化すべきである。
- 体制整備義務の対象となる事業者の範囲拡大
- 主要国の動向を踏まえ、消費者庁は、努力義務対象事業者に対しても、窓口設置の必要性と重要性について一層の周知啓発を行い、その認識を高めた上で、義務の履行を支援する民間サービスの普及状況も踏まえ、義務対象事業者が常時使用する労働者数の段階的な引き下げや中小規模事業者が対応可能な措置について、引き続き検討すべきである。
- 公益通報者を探索する行為の禁止
- 法律上、正当な理由がなく、労働者等に公益通報者である旨を明らかにすることを要求する行為等、公益通報者を特定することを目的とする行為を禁止する規定を設けるべきである。
- 正当な理由の例としては、通報者がどの部署に所属し、どのような局面で不正を認識したのか等を特定した上でなければ、通報内容の信憑性や具体性に疑義があり、必要性の高い調査が実施できない場合に従事者が通報者に対して詳細な情報を問う行為等が考えられる。ただし、潜脱的な行為が行われ、禁止規定の実効性が損なわれることがないよう、正当な理由として解釈で認められる範囲は限定的な場合に留めるべきである。
- なお、探索行為に対して罰則21を規定すべきとの意見もあったが、
- 不利益な取扱いを伴わない探索行為自体が、罰則に値する反社会性の高い行為とまでは言えないこと、
- 従事者以外の職場の上司などが公益通報を受け付け、公益通報者を特定する情報を漏らした場合には、罰則対象となっていないこととの均衡を保つことができないこと、
- 公益通報者の探索行為は、不利益な取扱いの予備行為ともいえるが、我が国において、予備行為に罰則を規定している例は、基本犯が重大な犯罪である場合など極めて限定的であることとの均衡を保つことができないこと
- を踏まえ、今後、必要に応じて、慎重に検討すべきである。
- 公益通報を妨害する行為の禁止
- 法において、事業者が、正当な理由なく、労働者等に公益通報をしないことを約束させるなどの公益通報を妨害する行為を禁止するとともに、これに反する契約締結等の法律行為を無効とすべきである。
- 正当な理由としては、例えば、事業者において、法令違反の事実の有無に関する調査や是正に向けた適切な対応を行っている場合に、労働者等に対して、当該法令違反の事実を事業者外部に口外しないように求めることなどが考えられる。ただし、潜脱的な行為が行われ、禁止規定の実効性が損なわれることがないよう、正当な理由として解釈で認められる範囲は限定的な場合に留めるべきである。
- なお、公益通報を妨害する行為に罰則を規定すべきとの意見もあったが、現状、こうした行為について立法事実の蓄積が十分にないことから、今後の立法事実を踏まえて、必要に応じて検討すべきである。
- 公益通報のために必要な資料収集・持ち出し行為の免責
- 令和2年改正で、2号通報の保護要件を緩和し、真実相当性がない場合であっても一定の要件を満たせば、公益通報者が保護されるようになったことや3号通報の保護要件が主要先進国と比べて緩やかであることを踏まえ、公益通報のための資料収集・持ち出しの必要性を検討するとともに、行為の影響を分析し、具体的にどのような場合であれば、民事上及び刑事上免責することが許容されるか、検討する必要がある。
- 今後の立法事実を踏まえ、窃盗罪、横領罪、背任罪、不正アクセス禁止法違反、建造物侵入罪、個人情報保護法違反などの犯罪の構成要件との関係を整理し、免責のための具体的な要件や事業者の免責の必要性について、引き続き、検討すべきである。
- 公益通報の刑事免責
- 現状、公益通報の刑事免責の具体的要件を検討するために必要な立法事実の蓄積は十分でないことから、今後の立法事実を踏まえ、必要に応じて、刑法の秘密漏示罪、名誉毀損罪、信用毀損罪の他、特別法の守秘義務違反時の罰則等の保護法益との関係を整理できるか検討すべきである。
- なお、一般論として、法の通報対象事実は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為の事実であり、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第100条第1項や地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条第1項に規定する「秘密」として保護するに値せず、公務員が法第3条各号に定める公益通報をしたとしても、法律上の守秘義務に違反するものではないと考えられる。また、公務員には刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項によって犯罪の告発義務が課されている趣旨にも鑑みれば、公益通報をしても守秘義務に反しないと考えられ、むしろ公務員として積極的に法令違反の是正に協力すべきものと考えられる。消費者庁は、このような一般的な解釈について、公務員に対する周知に努めるべきである。
- 濫用的通報者への対応
- 公益通報者保護制度の健全な運営を確保する観点から、事業者の適切な内部通報対応を阻害したり、風評被害などの損害を生じさせるおそれがある濫用的通報の抑止が必要であり、消費者庁は、濫用的通報の実態を調査し、その結果を踏まえて、対応を検討すべきである。
- 不利益な取扱いの抑止
- 公益通報を理由とする労働者等に対する不利益な取扱いは、法の趣旨を損なう加害行為であり、かつ、事業者内や更には社会全体において、不正を覚知した者が通報することに萎縮が生じてしまう点においても違法性が高い。
- 原始法制定以降も通報を理由として不利益な取扱いが行われていること、民事訴訟の負担が大きく、不利益な取扱いが依然として公益通報を躊躇する要因であること、また、国際的な潮流を踏まえると、法の禁止規定のみでは抑止として不十分である。
- 具体的には、公益通報に対する報復や不正を隠蔽する目的で、不利益な取扱いを行った事業者及びその意思決定に関与した個人に対する厳しい制裁を加えることで、労働者が躊躇せず公益通報をして、国民生活の安心・安全を損なう不正行為が早期に是正されるようにするとともに、公益通報者が職業人生や生活上の悪影響を受けることがないよう確保することで、制度の実効性の向上を図る必要がある。
- そこで、公益通報者保護制度に対する社会一般の信頼と公益通報をした個人の職業人生や生活の安定を保護法益として、禁止規定に違反した事業者及び個人に対して刑事罰を規定すべきである。
- ただし、刑事罰を導入するにあたっては、経済活動の過度な萎縮を防止する観点から、具体的にどのような場合に犯罪となるのか、その構成要件が明確でなければならず、また、刑事罰という制裁を加えることが相当とされる行為が対象でなければならない。このような構成要件の明確性及び当罰性の観点から、刑事罰の対象となる不利益な取扱いは、不利益であることが客観的に明確で、かつ、労働者の職業人生や雇用への影響の観点から不利益の程度が比較的大きく、事業者として慎重な判断が求められているものとして、労働者に対する解雇及び懲戒に限定することが考えられる。
- 不利益な取扱いのうち、解雇及び懲戒を除く、例えば、不利益な配置転換や嫌がらせ等を罰則対象とすることについては、構成要件の明確性及び当罰性の観点から、具体的に罰則対象となる不利益性の大きい行為の範囲や定義について更に検討することが必要であり、我が国における今後の雇用慣行の変化37や公益通報以外の事由を理由とする不利益な取扱いを禁止する法律における罰則の導入状況等も注視しつつ、今後、引き続き対応を検討すべきである。
- また、法の通報対象事実には、直接罰の対象となる重大な犯罪もあれば、間接罰にとどまるもの、過料の対象事実もあることから、個別事案の刑事罰の適用にあたっては、不利益な取扱いの態様の悪質性のほか、通報された事案の重大性も踏まえた量刑の判断がなされるよう、適切な法定刑が設定されるべきである。
- なお、公益通報をしたことを理由として、労働者に対する解雇及び懲戒が行われた場合、事業者の他、公益通報を理由として、又は公益通報が理由であることを知って、これらの措置の意思決定に関与した者は処罰対象となり得る。これに加え、当該意思決定に関する直接的な権限を有していなくても、意思決定に関与した者は、刑法の共犯規定により処罰対象となり得る。
- 公益通報を理由とする不利益な取扱いは、法の趣旨を損なう加害行為であり、仮に、そのような行為が放置されれば、事業者内やさらには社会全体において、不正を覚知した者が公益通報をすることに萎縮が生じる。このように悪質性が高く社会的な影響の大きい行為である点を踏まえ、強い抑止力が求められていることから、行政命令を挟む間接罰ではなく、直罰方式が相当である。
- 法人に対する刑事罰については、自然人と比較した事業者の資力格差、不正発覚の遅れによって事業者が得る利益や社会的被害の大きさ、行為の悪質性・社会的な影響等を踏まえ、法人重課を採用すべきである。
- 不利益な取扱いからの救済
- 民事訴訟においては、自己に有利な法律効果の発生要件となる事実について立証責任を負うことが原則とされており、立証責任の転換は、立法政策に基づいて、その例外を設けるものである。
- 主要先進国の通報者保護制度においては、各国内の労働関係法規や労働実務と一定の平仄をとる形で立証責任を転換する措置が導入されている。
- 例えば、
- 性別等の事由を理由とする場合と同様に、事業者と労働者との情報格差を背景に、法で保護される通報をしたことを理由とする不利益な取扱いについて、正当な理由の立証責任を事業者に転換している国、
- 性別等の事由を理由とする場合と同様に、通報したことを理由とする不利益な取扱いについても、一義的には労働者に事業者の動機の立証責任があるものの、公共の福祉の観点から特に重要な業界における法令違反に関する通報に限定して、労働者が「不利益な取扱いが通報を理由とすること」の一応の証明に成功した場合には、通報行為がなかったとしても同様の取扱いをしたことの立証責任を事業者に転換している国がある。
- 我が国においては、労働訴訟実務上、労働者が解雇無効(労働契約法第16条)や懲戒無効(同法第15条)を主張する場合には、解雇・懲戒事由について、事実上、事業者に重い立証負担がある。このことや情報の偏在、公益性を踏まえれば、解雇や懲戒について、「公益通報を理由とすること」の立証責任を事業者に転換すべきである。
- 一方、不利益な取扱いのうち、解雇及び懲戒を除く、例えば、不利益な配置転換や嫌がらせ等については、我が国の労働関係法規において、民事的な効果や適法性・違法性をめぐる立証責任の所在を明確に定めた規定はない。
- また、配置転換については、我が国の多くの事業者は、メンバーシップ型雇用を採用しており、採用時に勤務地や職務内容が定まっておらず、労働者に様々な職業経験をさせ、その能力を最大限活用する観点、職場の人間関係の改善を図る観点などから、定期・不定期に実施されている。裁判において、配置転換が権利濫用と認められるためには、労働者の立証負担は相応にある。事業者の中には公益通報者かどうかに関係なく人事運営が行われるよう徹底しているところもあるが、不利益な配置転換の理由の立証責任を事業者に転換した場合の影響について、人事異動に不満を持つ労働者によって制度が悪用され事業者内の円滑な人事運営や適切な通報への対応に支障が生じるとの懸念が根強い。
- このため、不利益な配置転換や嫌がらせ等、解雇・懲戒以外の不利益な取扱いについては、立法事実を踏まえ、どのような場合に公益通報を理由とすることの立証責任の転換という例外的な措置を許容することができるか、より踏み込んだ検討が必要であり、我が国の労働関係法規における取扱いや雇用慣行、事業者の公益通報対応の実務、労働訴訟実務の変化も注視しつつ、立証責任の配分の在り方について、今後、引き続き検討すべきである。
- 我が国の労働関係法規において、立証責任を転換した規定例や、公益通報後、近接した時期に、解雇及び懲戒が公益通報者に対して行われた場合には、公益通報を理由とするものである蓋然性が高いことを踏まえ、公益通報をした日から1年以内の解雇及び懲戒に限定して、「公益通報を理由とすること」の立証責任を転換すべきである。
- また、2号通報及び3号通報については、事業者が公益通報があったことを知って、不利益な取扱いが行われた場合には、当該「知った日」を起算点とすべきである。
- 加えて、立証責任を転換する場合の期間制限については、今後の立法事実の蓄積を踏まえて、必要に応じて、見直しを検討すべきである。
- 公益通報の対象法律は約500本と多く、通報先ごとに保護要件が異なることにより、公益通報該当性や保護要件充足性の判断は容易ではなく、高い専門性が求められる場合もある。消費者庁においては、「公益通報者保護制度相談ダイヤル」を設置し、法の内容や解釈について、通報者及び事業者からの相談を電話で受け付けているが、生成AI等の情報技術の進展を注視しつつ、公益通報者を支援するための更なる取組みを検討すべきである。
- 我が国の法律において、禁止される不利益な取扱いとして配置転換やハラスメント等を例示した条文はなく、法律で例として明示するためには、それらの措置の定義や射程等について更に検討が必要である。まずは、配置転換やハラスメント等が不利益な取扱いに含まれうることについて、法定指針で明記することを検討すべきである。
- 通報主体や保護される者の範囲拡大
- 公益通報の主体に事業者と業務委託関係にあるフリーランス(法人成りしているフリーランスの場合はその役員である個人)及び業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスを追加し、フリーランスが法第3条第1項各号に定める保護要件を満たす公益通報をしたことを理由として、事業者が当該フリーランスに対して、業務委託契約の解除、取引の数量の削減、取引の停止、報酬の減額その他の不利益な取扱いを行うことを禁止すべきである。
- ただし、フリーランスと業務委託事業者との関係は、取引関係であり、雇用関係ではないことから、公益通報をしたことを理由とする取引関係上の不利益な取扱いについて刑事罰を規定することの要否については、今後の立法事実を踏まえ、必要に応じて、検討すべきである。
- また、下請事業者など、自然人以外の法人の取引先を公益通報の主体や保護対象とすることについては、今後、必要に応じて、検討すべきである。
- 公益通報者の親族、同僚、代理人、支援者を保護対象とすることについては、これらの者に対する不利益な取扱いの実態が明らかではないことから、その状況を注視し、今後、必要に応じて、検討すべきである。
- 退職後1年を超える元労働者等を公益通報の主体とすることについては、これらの者による通報の実施状況や通報をしたことを理由として受けた不利益な取扱いの実態が明らかではないことから、その状況を注視し、今後、必要に応じて、検討すべきである。
- 通報対象事実の範囲の見直し
- 法は、消費者保護という観点に重点を置き、国民の生命、身体、財産その他の利益を保護することを直接の目的とする法律に違反する事実を通報対象事実としている。
- 直接の法目的による限定を外すことによって、公益通報と消費者の生活や利益との関連性が希薄となることの妥当性が問題となるため、このような限定を外すことについては、今後、必要に応じて、慎重に検討すべきである。
- また、法目的による限定を維持したまま、対象法律を列挙しないネガティブリスト方式を採用した場合には、対象となる法律が不明瞭となり、通報者及び事業者、行政機関にとって、公益通報該当性の判断が一層困難になるおそれがあること、また、刑事罰・過料による限定を外した場合には、通報件数の増加によって、事業者及び行政機関の対応負担が大幅に増加し、消費者の生活や利益にとって真に重要な法令違反に対する適切な対応が困難となるおそれがあることから、今後、必要に応じて、慎重に検討すべきである。
- 権限のある行政機関に対する公益通報(2号通報)の保護要件の緩和
- 原始法では、2号通報の保護要件として、「通報対象事実が生じ若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合」が定められていたが、平成27年4月施行の改正行政手続法施行を受け、令和2年改正で2号通報の保護要件を緩和した。このため、単に「思料する」場合であっても、「公益通報者の氏名」や「通報対象事実の内容」等を記載した書面(電磁的方式を含む。)を提出した場合には、保護要件を満たすこととなった。
- このため、現状、法の2号通報の保護要件は、主要先進国の法制度と比べて緩やかなものとなっており、これを更に緩和することは、信憑性に欠ける通報が増加するとともに、通報者が公益通報の主体に該当することの確認が困難となって、行政機関の対応負担が増大する懸念があり、今後、必要に応じて、慎重に検討すべきである。
- また、行政機関が公益通報者に関する情報を故意に漏らすことは、国家公務員法や地方公務員法上の守秘義務違反として罰則対象になっており、今後の実態調査において、通報時の行政機関による情報の取扱いや適切な対応について国民の不安が大きい場合には、その要因を分析し、不安が払拭されるよう、消費者庁において必要な対応を検討すべきである。
~NEW~
消費者庁 戸籍の振り仮名の届出に関連する詐欺にご注意ください
- 改正戸籍法施行により、令和7年5月26日以降、本籍地の市区町村長から皆様に、戸籍に記載する予定の氏名の振り仮名が通知されます。通知された振り仮名が誤っている場合は、令和8年5月25日までに届出をする必要があります。
- 届出に当たって、法務省や市区町村に金銭を支払うよう要求することはありません。
- 不審に思ったら、お住まいの市区町村担当窓口や、最寄りの警察署又は警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン「188(いやや!)」番にお電話ください。
- 改正戸籍法による戸籍への振り仮名の追加について
- 現在、氏名の振り仮名は戸籍上公証されていませんが、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(令和5年法律第48号)の施行(令和7年5月26日)により、戸籍の記載事項に氏の振り仮名及び名の振り仮名が追加されることになりました。
- 令和7年5月26日以降、本籍地の市区町村長から皆様に、戸籍に記載する予定の振り仮名が通知されますので、通知を受け取ったら必ず内容を御確認いただき、通知された振り仮名が誤っている場合は、令和8年5月25日までに届出をしていただく必要があります。
- また、通知の振り仮名が正しい場合は、届出をしなくても、令和8年5月26日以降に、この通知に記載された振り仮名がそのまま戸籍に記載されます。
- 改正戸籍法による戸籍への振り仮名の追加について
~NEW~
消費者庁 株式会社デザインワードに対する景品表示法に基づく措置命令について
- 違反行為者の概要
- 名 称 株式会社デザインワード(法人番号 8010001232939)
- 所 在 地 東京都新宿区歌舞伎町二丁目46番3号
- 代 表 者 代表取締役 和田 正樹
- 設立年月 令和5年2月
- 資 本 金 600万円(令和6年12月現在)
- 措置命令の概要
- 対象役務
- 別表1記載の9役務(以下「本件9役務」という。)
- 対象表示
- ア 表示の概要
- 表示媒体・表示箇所
- 別表2「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所
- 表示期間
- 別表2「表示期間」欄記載の期間
- 表示内容(表示例:別紙1及び別紙2)
- 例えば、本件ウェブサイトの札幌校の「ネイリスト養成コース 講座・費用一覧」と称するページにおいて、「プロフェッショナルネイルコース」と称する講座について、令和5年10月6日から令和6年3月24日までの間、「今だけ授業料50%割引!!」、「通常授業料701,800円(税込)」、「割引額350,900円(税込)」及び「授業料350,900円(税込)」と表示するなど、別表2「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「対象役務」欄記載の役務について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、「通常授業料」と称する価額は、同表「校舎」欄記載の校舎において同表「対象役務」欄記載の役務について通常提供している価格であり、「授業料」と称する実際の提供価格が当該通常提供している価格に比して安いかのように表示していた。
- 表示媒体・表示箇所
- イ 実際
- 「通常授業料」と称する価額は、別表2「校舎」欄記載の校舎において同表「対象役務」欄記載の役務について最近相当期間にわたって提供された実績のないものであった。
- ア 表示の概要
- 命令の概要
- ア 前記⑵アの表示は、前記⑵イのとおりであって、それぞれ、本件9役務の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
- イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
- ウ 今後、同様の表示を行わないこと。
- 対象役務
~NEW~
国民生活センター 球形のチーズによる子どもの窒息に注意!-1歳児の死亡事故が発生しました-
- 2024年11月、PIO-NETに1歳児が球形のチーズを食べて窒息し、死亡したという情報が寄せられました。当該品は、直径およそ2cmの球形のチーズで、フィルムで包み両端がねじられたかたちで個装されているものでした。
- 球形の個装チーズによる子どもの窒息に関する事故情報は、PIO-NETのほか、医療機関ネットワークにも寄せられており、「~食品による窒息 子どもを守るためにできること~(日本小児科学会)」では、窒息につながりやすい食品のひとつとして「球形の個装チーズ(球形のチーズ)」があげられています。
- その他、飴、パン類、豆類などの食品も、窒息につながりやすい食品とされ、死亡事故も発生しています。子どもが不用意に口にしそうなものは手の届く範囲に置かないことが大切ですが、子どもは大人が目を離した間に思いがけない物を口に入れることがあり、大人の目の届かないところで事故が発生してしまう可能性も考えられます。
- そこで、球形の個装チーズ等による子どもの窒息事故について、事故の再発防止のため、消費者に注意喚起することとしました。
- 事故情報
- 夕食時に1歳の子どもにキャンディータイプのチーズを与えた。子どもが苦しんでいる様子に気づき、すぐに吐き出させようとしたが出て来なかった。救急車で搬送された病院に入院していたが12日後に亡くなった。
- 1歳の子どもがキャンディータイプのチーズをのどに詰まらせた。突然えずいたようになり、背中を叩いたが吐き出さず、苦しがってきたので、子どもを逆さにして振ったり、背中を強く叩いたりしたが、チアノーゼになった。保護者が子どもの口の中のチーズを手前に掻き出したところ、声を出せるようになり回復した。
- 3歳の子どもが、飴玉のような形状の子ども向けのチーズを食べたところ、のどに詰まらせてしまった。すぐに吐き出したので大事には至らなかった。
- 子どもに1人で球形のチーズを食べさせていたところ、急にむせ始めた。泣き声は出ていたがかすれ声で、顔色も悪くなっていたため救急車を要請した。保護者が背後から腹部突き上げ法を行ったが何も出てこず、口の中に指を入れて掻き出したところ、ドロドロのチーズの小片がいくつか出てきて、顔色も良くなった。
- 消費者へのアドバイス
- 球形の個装チーズなど窒息を起こしやすい食品は、無理なく食べられるよう小さく切ったりつぶしたり、加熱して形状を変えて与え、飲み込むのを確認しましょう。
- 丸くてつるっとしているものや粘着性の高いものなど、窒息を起こしやすい食品の特性を知り、注意しましょう。
- 球形の個装チーズのほかに、飴やパン類、豆類、グミなどでも事故が起きています。
- 窒息したと思ったら、直ちに救急要請し、背部叩打等による異物除去を試みましょう。
~NEW~
国民生活センター 国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和6年度第3回)
- 国民生活センター紛争解決委員会によるADRの実施状況と手続結果の概要について公表する。
- 実施状況(令和元年度~令和6年9月末日)
- 令和元年度累計申請件数 204件
- 令和2年度累計申請件数 166件
- 令和3年度累計申請件数 136件
- 令和4年度累計申請件数 142件
- 令和5年度累計申請件数 117件
- 令和6年度累計申請件数 62件
- 結果の概要
- 紛争解決委員会(第65回会合、11月27日開催)での審議を踏まえ、結果の概要を公表。
- アートメイクの解約料に関する紛争
- フィットネスクラブに関する紛争
- 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(43)
- 屋根改修工事の返金等に関する紛争(5)
- クレジットカードの不正利用に関する紛争(73)
- 新築戸建住宅の屋根の落雪防止に関する紛争
- 競馬予想ソフトの解約に関する紛争(8)
- 通信販売の定期購入に関する紛争(69)
- 火災保険における保険金請求に関する紛争
- インターネットを利用した副業契約の解約に関する紛争(34)
- クレジットカードの不正利用に関する紛争(74)
- 未成年者のオンラインクレーンゲームの高額請求に関する紛争
- クリーニング事故に関する紛争(22)
- 紛争解決委員会(第65回会合、11月27日開催)での審議を踏まえ、結果の概要を公表。
~NEW~
国民生活センター 「2時間後に電話が使えない!?」個人情報を聞き出す不審な電話にご注意!
- 【 年末の帰省時にご家族へ伝えてください 】
- #総務省、 #NTT かたる #不審電話 発生中
- 「2時間後に電話が使えない」 → ウソ
- #自動音声 の電話 → すぐ切る
- #個人情報 を聞き出す → 絶対に伝えない
- →188 や #9110 に相談!
- 相談事例
- 総務省をかたる不審な電話
- 自宅の固定電話に総務省を名乗り「これから2時間後に通信できなくなる」という電話がかかってきた。非通知設定からの着信だった。突然通信できなくなることはないはずなので、明らかにおかしい。総務省をかたっていると思い電話を切ったが、他にも同様の電話がかかる可能性があるので情報提供したい。(2024年10月受付 70歳代 女性)
- NTTをかたる不審な電話
- 「2時間後にこの電話が使えなくなる。オペレーターと話す方は1番を押すように」という自動音声の電話がかかってきた。1番を押し、男性のオペレーターとつながった。内容を確認してもらうために住所、氏名、生年月日を伝えた。相手にどこからの電話であるかを確認するため、電話番号や会社名を尋ねたが、NTTカスタマーセンターとしか言わず、その後「間違いでした」と言って一方的に電話を切られた。個人情報を伝えたので、今後、請求書などが届くのだろうか。また、個人情報が悪用されてしまうのだろうか。(2024年10月受付 50歳代 女性)
- 総務省をかたる不審な電話
- 消費者へのアドバイス
- 総務省やNTT東日本およびNTT西日本から、電話を停止することに関して、自動音声ガイダンスやSMSを使って連絡することは絶対にありません!
- 総務省やNTT東日本およびNTT西日本をかたり、「2時間後に電話が使えなくなる」などの不審な電話に関する相談が寄せられています。相談事例を見ると、「2時間後に電話が使えなくなる」という自動音声ガイダンスが流れ、さらに「1番を押してください」などとボタン操作を誘導するアナウンスが流れ、1番を押すとオペレーターとつながり、個人情報を聞き出すケースが確認されています。総務省やNTT東日本およびNTT西日本から、電話を停止することに関して、自動音声ガイダンスやSMSを使って連絡することは絶対にありません。
- 個人情報は絶対に伝えないようにしましょう
- 非通知や知らない番号からの電話は、不審な電話のおそれがありますので、普段から慎重になりましょう。電話の中で個人情報を聞き出そうとしているため、個人情報は絶対に伝えないでください。自動音声ガイダンスが流れた場合には、最後まで聞かずに電話をすぐ切ることも大切です。
- 特に高齢者には日頃から身近な家族や周りの人の見守りも大切です
- 高齢者の消費者トラブルを防ぐためには、身近にいる周りの方が日頃から高齢者の生活や言動、態度などを見守り、変化にいち早く気づくことがとても重要です。遠くに離れて暮らしている場合でも、定期的に電話をして様子をうかがい、不審な電話があった場合には個人情報を伝えないように伝えてください。
- 不安に思った場合や、個人情報を伝えてしまった場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等や警察へ相談しましょう
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- 警察相談専用電話「#9110」
- 発信地を管轄する警察本部等の総合窓口につながる全国共通の電話番号です。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 総務省やNTT東日本およびNTT西日本から、電話を停止することに関して、自動音声ガイダンスやSMSを使って連絡することは絶対にありません!
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国民生活センター つけ爪用接着剤によるやけどに注意
- 内容
- 事例1 つけ爪用接着剤をデニム、机、じゅうたんにこぼした。熱いので驚いて見ると白煙が出てデニムが溶けており、太ももにやけどをしていた。また、机にこぼした接着剤をティッシュペーパーで拭き取ったところ白煙が出て指が熱くなった。じゅうたんは焼けた。太ももに水ぶくれができ、4回通院した。英語表示ばかりで使い方や注意事項がわからない。(当事者:10歳代)
- 事例2 つけ爪用接着剤を親指の爪につけた際、手のひら側に垂れ、ティッシュペーパーで拭き取ったところやけどをした。皮ふ科を受診したらⅡ度の熱傷で1カ月以上の通院が必要と診断された。商品の使用方法を熟読したが、使い方によってはやけどを起こすなどの注意表示はなかった。(当事者:10歳代)
- ひとことアドバイス
- シアノアクリレート系の物質が含まれる瞬間接着剤は、ティッシュペーパーや衣類など染み込みやすい繊維質のものに染み込んで表面積が拡大すると、急激な化学反応により発熱し、やけどをする場合があります。
- つけ爪用の接着剤にも同様の成分が使われているため、使用する際には、繊維質のものに染みこませないよう注意しましょう。
- 誤って衣類に付着させた場合は、発熱しないよう大量の水をかけましょう。手指など皮ふについた場合は、ティッシュペーパーなどで拭き取らず、40℃程度の湯の中でもむようにはがしましょう。家具等にこぼした場合は、ポリエチレン手袋をしたうえで布などで手早く拭き取りましょう。拭き取った布なども発熱のおそれがあるため取り扱いに注意しましょう。
- 使用前には商品の表示や取扱説明書を読み、ポリエチレン手袋を装着して扱いましょう。
~NEW~
国民生活センター 海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症
- 2024年2月、「医師からの事故情報受付窓口【ドクターメール箱】」に、インターネット通信販売で購入した、海外事業者が製造・販売する「鉄サプリメント」の使用により鉄過剰症等を発症した、という事故情報が2件寄せられました。いずれの事例も、日本人の一日の推奨量以上の鉄を約1年以上の長期間摂取していました。
- 鉄は人体に必要なミネラルの一種で、鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血になるおそれがあるとされていますが、他方で、長期にわたる鉄サプリメントの利用や食事からの過剰な鉄摂取が健康障害を起こす可能性は否定できないとされています。
- そこで、海外事業者が製造・販売する鉄サプリメント5銘柄の鉄含有量と表示の調査を行い、消費者に情報提供することとしました。
- 医師からの事故情報受付窓口に寄せられた事故情報
- 鉄サプリメントにより一日54~108mgの鉄を約3年間摂取した結果、続発性鉄過剰症と診断された。
- 鉄サプリメントにより一日36mgの鉄を約11カ月摂取した結果、鉄過剰状態と肝機能障害が疑われた。
- テスト結果
- テスト対象銘柄の一日当たりの摂取目安量に含まれる鉄量及びパッケージに表示された鉄量は、日本人の食事摂取基準に示された推奨量を大きく超えるものでした。
- テスト対象銘柄には米国の一日摂取量に占める割合が表示されていましたが、この数値を目安に摂取すると、過剰摂取につながるおそれがあると考えられました。
- 通信販売サイトには、商品名や一日当たりの摂取目安量に含まれる鉄量は日本語で記載されていましたが、一部のサイトでは、注意表示は商品パッケージの画像のみが表示されていました。
- 消費者へのアドバイス
- 海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントには、日本人の食事摂取基準に示された推奨量を大きく超える量の鉄を含む場合があり、長期間使用することで過剰摂取につながる可能性があります。成分量や注意表示をよく確認し、過剰摂取にならないように注意しましょう。
- 健康食品を使用していて身体に異常が生じた場合は、使用を中止し、速やかに医療機関を受診しましょう。
- インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
- 海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントによる事故の未然防止のため、注意表示を日本語で記載するとともに、購入者に対し、長期間の過剰摂取に関する注意喚起や啓発を行う等の協力を依頼します。
- 行政への要望
- 海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントによる事故の未然防止のため、成分量や注意表示等をよく確認し、長期間、過剰摂取することのないよう、消費者に周知啓発を行うよう要望します。
~NEW~
厚生労働省 労働政策審議会建議「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について」を公表します
▼ (参考資料4)女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について 概要
- はじめに
- 女性活躍推進法は令和8年3月末にその期限を迎えることとなるが、我が国の男女間賃金差異は長期的に縮小傾向にあるものの国際的に見れば依然として差異が大きい状況にあるなど、なお課題が残るところであり、女性活躍の更なる推進が求められている。
- 職場におけるハラスメントはあってはならないものであり、これまでも対策が強化されてきたが、カスタマーハラスメントや就職活動中の学生等に対するセクシュアルハラスメントが社会的に問題となっており、更なる対策の強化が求められている。
- 必要な対応の具体的内容
- 女性の職業生活における活躍の更なる推進
- 女性活躍推進法の延長
- 女性活躍推進法は未だその役割を終えたといえる状況にはないため、期限を10年間延長した上で、以下の見直しを行い、更なる取組の推進を図る。
- 女性の職業生活における活躍に関する情報公表の充実等
- 男女間賃金差異の情報公表の拡大
- 支援策の充実等を通じて、改善に向けた企業による一連の取組を促すとともに、「説明欄」の更なる活用を促していく。
- 情報公表の意義や効果について十分な周知を行い、取組の裾野を着実に広げていくことと併せて、常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の企業においても、男女間賃金差異の情報公表を義務とする。(※ 301人以上の企業については既に義務化されている。)
- 女性管理職比率の情報公表の義務化等
- 支援策の充実を図りつつ、常時雇用する労働者の数が101人以上の企業において、新たに女性管理職比率の情報公表を義務とする。
- 女性管理職比率について新たに「説明欄」を設け、追加的な情報公表や、男女別管理職登用比率を参考値として記載することを促す。
- 「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化
- 情報公表を行うに当たって「女性の活躍推進企業データベース」を利用することが最も適切であることを示すとともに、国は、「女性の活躍推進企業データベース」の認知度が必ずしも高くないなどの課題の解消に取り組む。
- 職場における女性の健康支援の推進
- 事業主行動計画策定指針を改正し、企業が一般事業主行動計画を策定する際に女性の健康支援に資する取組を盛り込むことを促す。
- えるぼし認定制度の見直し
- 現行のえるぼし認定1段階目の要件について、認定制度は実績を評価するものであるということに留意しつつ見直しを行う。また、くるみんプラスも参考にしつつ、女性の健康支援に関するプラス認定を設ける。
- 男女間賃金差異の情報公表の拡大
- 女性活躍推進法の延長
- 職場におけるハラスメント防止対策の強化
- 職場におけるハラスメントを行ってはならないという規範意識の醸成
- 雇用管理上の措置義務が規定されている4種類のハラスメントに係る規定とは別に、一般に職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて、社会における規範意識の醸成に国が取り組む旨の規定を、法律に設ける。
- カスタマーハラスメント対策の強化
- カスタマーハラスメント対策を、事業主の雇用管理上の措置義務とする。その上で、措置の具体的な内容は、指針において明確化する。
- 中小企業を含め、足並みを揃えて取組を進める必要があることから、国が中小企業等への支援に取り組む。
- 業種・業態によりカスタマーハラスメントの態様が異なるため、厚生労働省が消費者庁、警察庁、業所管省庁等と連携し、それを通じて、各業界の取組を推進する。
- 定義は、以下の要素をいずれも満たすものとし、詳細は指針等で示す。その際には、実態に即したものとする。
- 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
- 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
- 労働者の就業環境が害されること。
- 「正当なクレーム」はカスタマーハラスメントに当たらないことや、対策は消費者の権利等を阻害しないものでなければならないことなどを指針において示す。
- 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない旨を法律で規定する。
- 国は、消費者教育施策と連携を図りつつ、カスタマーハラスメントを行ってはならないことについて周知・啓発を行う。
- 就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
- 就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するセクシュアルハラスメントの防止を、事業主の雇用管理上の措置義務とする。
- 具体的な内容については、セクシュアルハラスメント防止指針の内容を参考とするほか、例えば以下の内容を、指針において明確化する。
- 労働者が求職者と接触するあらゆる機会について、実情に応じて、面談等のルールをあらかじめ定めておくこと、相談窓口を求職者に周知すること
- 発生した場合には、事案の内容や状況に応じて、被害者の心情に十分に配慮しつつ、行為者の謝罪、相談対応等を行うことが考えられること
- 就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するパワーハラスメントに類する行為等については、パワーハラスメント防止指針等において記載の明確化等を図りつつ、周知を強化することを通じて、その防止に向けた取組を推進するとともに、社会的認識の深化を促していく。
- パワーハラスメント防止指針へのいわゆる「自爆営業」の明記
- いわゆる「自爆営業」に関して、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満たす場合にはパワーハラスメントに該当することを指針に明記する。
- 職場におけるハラスメントを行ってはならないという規範意識の醸成
- 女性の職業生活における活躍の更なる推進
▼資料1-1 女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について(案)
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厚生労働省 令和6年上半期雇用動向調査結果の概要
▼ 概況全体版
- 令和6年上半期の入職と離職の状況
- 令和6年上半期(令和6年1月~6月。以下同じ。)の入職者数は4,539.4千人、離職者数は4,261.9千人で、入職者数が離職者数を5千人上回っている。
- 就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数2,814.9千人、離職者数2,515.3千人で、入職者数が離職者数を6千人上回っている。パートタイム労働者は、入職者数1,724.5千人、離職者数1,746.6千人で、離職者数が入職者数を22.1千人上回っている。
- 年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は0%、離職率は8.4%で、0.6ポイントの入職超過となった。
- 前年同期と比べると、入職率が7ポイント低下し、離職率が0.3ポイント低下となり、入職超過率は縮小した。
- 性別にみると、男性の入職率が9%、離職率が7.5%、女性の入職率が10.1%、離職率が9.4%でそれぞれ入職超過となっている。
- 就業形態別にみると、一般労働者の入職率が6%、離職率が6.8%で入職超過、パートタイム労働者の入職率が12.5%、離職率が12.6%で離職超過となっている。
- 就業形態、雇用形態別入職と離職の状況
- 令和6年上半期の入職者数と離職者数を就業形態、雇用形態別にみると、入職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が2,166.0千人、「雇用期間の定めあり」が9千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が741.4千人、「雇用期間の定めあり」が983.2千人となっている。離職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が1,901.9千人、「雇用期間の定めあり」が613.5千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が633.8千人、「雇用期間の定めあり」が1,112.8千人となっている。
- 一般労働者では、いずれの雇用形態でも入職者数が離職者数を上回っている。パートタイム労働者では、「雇用期間の定めなし」で入職者数が離職者数を上回っており、「雇用期間の定めあり」で離職者数が入職者数を上回っている。
- 職歴別入職者数と入職率の状況
- 令和6年上半期の入職者数を職歴別にみると、転職入職者数は2,778.1千人で、転職入職率が5%、未就業入職者数は1,761.3千人で、未就業入職率が3.5%となっている。
- 前年同期と比べると、転職入職率が同率、未就業入職率は7ポイント低下した。
- 男女別にみると、男性は転職入職者数が1,343.9千人、未就業入職者数が5千人で、転職入職率は5.0%で同率、未就業入職率は2.9%と0.6ポイント低下した。女性は転職入職者数が1,434.2千人、未就業入職者数が979.8千人で、転職入職率は6.0%と0.1ポイント、未就業入職率は4.1%と0.8ポイント、それぞれ低下した。
- 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職者数が1,775.9千人、未就業入職者数が1,039.0千人で、転職入職率は8%と0.1ポイント上昇し、未就業入職率は2.8%で同率となった。パートタイム労働者は転職入職者数が1,002.2千人、未就業入職者数が722.3千人で、転職入職率は7.2%と0.3ポイント、未就業入職率は5.2%と2.4ポイント、それぞれ低下した。
- 産業別の入職と離職の状況
- 令和6年上半期の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数は「卸売業,小売業」が3千人と最も多く、次いで「医療,福祉」が761.9千人、「宿泊業,飲食サービス業」が686.2千人の順となっている。
- 離職者数は「卸売業,小売業」が1千人と最も多く、次いで「医療,福祉」が709.5千人、「宿泊業,飲食サービス業」が643.7千人の順となっている。
- 入職率と離職率を就業形態別にみると、一般労働者では、入職率は「宿泊業,飲食サービス業」9%、「生活関連サービス業,娯楽業」11.6%の順に高く、離職率は「宿泊業,飲食サービス業」10.9%、「サービス業(他に分類されないもの)」9.9%の順に高くなっている。パートタイム労働者では、入職率は「宿泊業,飲食サービス業」18.3%、「教育,学習支援業」17.0%の順に高く、離職率は「宿泊業,飲食サービス業」17.9%、「電気・ガス・熱供給・水道業」17.2%の順に高くなっている。
- 転職入職者の賃金変動状況
- 令和6年上半期の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べて「増加」した割合は0%、「減少」した割合は28.9%、「変わらない」の割合は29.5%となっている。「増加」のうち「1割以上の増加」は29.7%、「減少」のうち「1割以上の減少」は21.1%となっている。
- 前職の賃金に比べ「増加」した割合と「減少」した割合の差をみると、「増加」が「減少」を1ポイント上回っている。また、雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では17.5ポイント、パートタイム労働者間の移動では10.7ポイント、それぞれ「増加」が「減少」を上回った。
- 未充足求人の状況
- 令和6年6月末日現在の未充足求人数は1,481.5千人、欠員率は9%となっている。
- また、未充足求人数のうちパートタイム労働者は1千人で、欠員率は3.6%となっている。
- 産業別未充足求人の状況
- 令和6年6月末日現在の未充足求人数を産業別にみると、「卸売業,小売業」が6千人で最も多く、次いで「医療,福祉」が269.5千人となっている。
- 欠員率では、「建設業」が4%で最も高く、次いで「鉱業,採石業,砂利採取業」が4.6%となっている。
- 産業別未充足求人の状況
- 令和6年6月末日現在の未充足求人数を産業別にみると、「卸売業,小売業」が6千人で最も多く、次いで「医療,福祉」が269.5千人となっている。
- 欠員率では、「建設業」が4%で最も高く、次いで「鉱業,採石業,砂利採取業」が4.6%となっている。
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厚生労働省 令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
- 厚生労働省では、このたび、令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果を取りまとめましたので、公表します。
- 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう、企業に義務付けています。
- 加えて、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務付けています。
- 今回の集計結果は、従業員21人以上の企業237,052社からの報告に基づき、このような高年齢者の雇用等に関する措置について、令和6年6月1日時点での企業における実施状況等をまとめたものです。
- 厚生労働省では、今後も、生涯現役社会の実現に向けて、これらの措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる必要な指導や助言を実施していきます。
- 集計結果の主なポイント
- 65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
- 65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は9%[変動なし]
- 中小企業では9%[変動なし]、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]
- 高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳は、
- 「継続雇用制度の導入」により実施している企業が4%[1.8ポイント減少]、
- 「定年の引上げ」により実施している企業は7%[1.8ポイント増加]
- 65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は9%[変動なし]
- 70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況(9ページ表4-1)
- 70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は9%[2.2ポイント増加]
- 中小企業では4%[2.1ポイント増加]、大企業では25.5%[2.7ポイント増加]
- 企業における定年制の状況(10ページ表5)
- 65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は6%[1.8ポイント増加]
- 65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
- 集計対象
- 全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業237,052社(報告書用紙送付企業数252,058社)
- 中小企業(21~300人規模):219,992社
- 大企業(301人以上規模):17,060社
- 全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業237,052社(報告書用紙送付企業数252,058社)
~NEW~
厚生労働省 建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます~厚生労働省・国土交通省の令和7年度予算案の概要~
▼ 別添:「建設業の人材確保・育成に向けて(令和7年度予算案の概要)」
- 厚生労働省及び国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため、令和7年度予算案の概要を取りまとめましたので、公表します。(別添参照)
- 建設業の技能者のうち、60歳以上の割合が約4分の1を占める一方、29歳以下は全体の約12%となっています。このような中、建設業が引き続き「地域の守り手」として役割を果たしていくためには、将来の建設業を支える担い手の確保が急務となっています。特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めていくことが重要です。
- 厚生労働省と国土交通省は、引き続き、連携して関係施策を実施し、建設業の人材の確保・育成に一層取り組んでまいります。
- 「建設業の人材確保・育成に向けて(令和7年度予算案の概要)」のポイント
- 3つの重点事項で厚生労働省と国土交通省の予算を取りまとめ(下線は厚生労働省施策)。
- 「人材確保」…建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上やきめ細かな取組を実施
- 建設事業主等に対する助成金による支援 69億円
- ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援 50億円
- 働き方改革等による建設業の魅力向上 5億円 等
- 「人材育成」…若年技能者等を育成するための環境整備
- 中小建設事業主等への支援 9億円
- 建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施 3億円
- 働き方改革等による建設業の魅力向上(再掲) 1.5億円 等
- 「魅力ある職場づくり」…技能者の処遇を改善し、安心して働けるための環境整備
- 働き方改革推進支援助成金による支援 92億円
- 働き方改革推進支援センターによる支援 30億円
- 働き方改革等による建設業の魅力向上(再掲) 5億円 等
- 「人材確保」…建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上やきめ細かな取組を実施
- 3つの重点事項で厚生労働省と国土交通省の予算を取りまとめ(下線は厚生労働省施策)。
~NEW~
厚生労働省 第1回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料
▼ 資料2 労災保険データ集
- 令和4年度末の適用事業場数は2,968,456事業場で、前年度と比べ6%増となった。
- 令和4年度末の適用労働者数は61,455,906人で、前年度に比べ3%増となった。
- 令和4年度のメリット制適用事業場数は145,053事業場となった。うち、継続事業のメリット制適用事業場数は83,025事業場で、令和4年度当初適用事業場数2,279,995事業場に対し、6%のメリット制適用率となった。
- 増減率別にみると、令和4年度の労災保険率を引き下げることとなった事業場数は62,724事業場(構成比5%)、労災保険率を引き上げることとなった事業場数は、18,222事業場(同21.9%)、労災保険率を据え置くこととなった事業場数は2,079事業場(同2.5%)であった。
- 一括有期事業のメリット制適用事業場数は26,234事業場で、令和4年度当初適用有期事業場数622,463事業場に対し、2%のメリット制適用率となった。
- 増減率別にみると、令和4年度の労災保険率を引き下げることとなった事業場数は22,120事業場(構成比3%)、労災保険率を引き上げることとなった事業場数は3,863事業場(同14.7%)、労災保険率を据え置くこととなった事業場数は251事業場(同1.0%)であった。
- 有期事業のメリット制適用事業場数は、35,794事業場となった。また、令和4年度の消滅事業場数は、40,064事業場となった。
- 増減率別にみると、確定保険料の額を引き下げて改定された事業場数は34,690事業場(構成比9%)、確定保険料の額を引き上げて改定された事業場数は1,060事業場(同3.0%)、確定保険料の額を据え置くこととなった事業場数は44事業場(同0.1%)であった。
- 令和4年度の保険給付支払額は7,144億円で、前年度に比べ5%減となった。
- 業種別にみると、「その他の事業」が2,408億円(構成比7%)と最も多く、次いで「建設事業」が1,964億円(同27.5%)、「製造業」が1,618億円(同22.6%)と、この3業種で保険給付支払額の83.8%を占めている。
- 令和4年度の療養補償給付1日当たり平均支払額を業種別にみると、全業種平均支払額(3,263.38円)を上回ったのは、「建設事業」の4,321.38円、「船舶所有者の事業」の4,039.61円、「運輸業」の3,839.01円、「製造業」の3,552.49円、「漁業」の3,513.23円となった。これら以外の業種では全業種平均支払額を下回った。
- 令和4年度の年金等給付支払額は、3,242億円で前年度と比べ7%減となった。
- 年金等給付を業種別にみると、「建設事業」が1,063億円(構成比8%)と最も多く、次いで「製造業」が910億円(同28.1%)、「その他の事業」が688億円(同21.2%)と、この3業種で年金等給付支払額の82.0%を占めている。
- 令和4年度の複数業務要因災害の保険給付支払額は12,828千円であった。
- 令和4年度中に新たに保険給付の支払を受けた者の数(以下「新規受給者数」という。)は777,426人で、前年度に比べ98,822人(14.6%)増となった。令和4年度中に葬祭料の支払を受けた者の数は2,754人で、前年度に比べ497人(15.3%)減となった。令和4年度中に新たに障害補償年金及び障害補償一時金の支払を受けた者の数は20,174人で、前年度と比べ3,516人(14.8%)減となった。
- 令和4年度末の年金受給者数は188,968人(船員保険からの移管者を除く。)で、前年度と比べ5%減となった。
- 業種別にみると、「製造業」が59,609人(構成比5%)と最も多く、次いで「建設事業」が55,708人(同29.5%)、「その他の事業」が41,835人(同22.1%)と、この3業種で年金受給者数全体の83.2%を占めている。
- 令和4年度の特別支給金支払額は880億円で、前年度に比べ9%減となった。給付種類別にみると、一般の特別支給金が503億円(構成比57.2%)、特別年金が351億円(同39.9%)、特別一時金が25億円(同2.9%)となった。
- 業種別にみると、「その他の事業」が267億円(構成比3%)、「製造業」が229億円(同26.1%)、「建設事業」が226億円(同25.7%)と、この3業種で特別支給金支払額全体の82.1%を占めている。
- 令和4年度の複数業務要因災害の特別支給金支払額は3,844千円であった。
▼ 資料3 議論の視点
- 労災保険に関する制度について、以下の視点も踏まえつつ、見直すべきことについて御検討いただきたい。
- 社会・経済の動きに適合しなくなりつつあるものはないか。(例;制度創設時の前提に変化が生じている等)
- 社会・経済の動きに応じ、新たに講ずべきものはないか。
- 制度の趣旨を踏まえて改めて効果を検証等、改善を検討すべきものはないか。
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経済産業省 「GX2040ビジョン(案)」に対する御意見を募集します
▼ GX2040ビジョン(案)
- 目指すGX産業構造
- 1990年代以降の日本経済は、いわゆる「失われた30年」と呼ばれる状況が続いた。
- この30年間、日本ではデフレマインドが広がり、人口減少による将来悲観も合わさって、国内における企業の期待成長率も低下した。全体として、企業経営も雇用維持が重視され、企業は既存事業のコストカットと海外投資に注力し、国内投資は30年間に及び大きく停滞し、新事業創出に向けての国内での大胆な投資は行われなかった。その結果、この30年間における賃金上昇率はOECD内でも低位にとどまり、世界における日本の経済的地位も大きく後退した。企業経営については、資本効率向上に向けたコーポレートガバナンス改革が一定程度進展したが、成長投資によって持続的に企業価値を高める取組は道半ばである。
- GXの取組はこうした状況を打破する大きなチャンスであり、GX分野での投資を通じて、(1)革新技術を活かした新たなGX事業が次々と生まれ、(2)日本の強みである素材から製品に至るフルセットのサプライチェーンが、脱炭素エネルギーの利用やDXによって高度化された産業構造を目指す。これにより、国内外の有能な人材・企業が日本で活躍できる社会を目指す。
- その上で、こうしたGX産業構造により、高い付加価値を生み出すためにも、経済安全保障に配慮しつつも、最初から世界市場で戦うことを念頭に、国内市場のみに最適化することなく、スピードとスケールを追求する。
- 産業構造の転換に向けては、国内で製品等のサプライチェーン全体のマネジメントを行いながら、エンドマーケットで販売を行うセットメーカーのみならず、中間部素材でも高付加価値製品を担うレイヤーマスター3と呼ばれる存在も不可欠であることを認識して取り組む。
- また、GXは、既存産業の構造転換を促し、新陳代謝を起こす大きなきっかけとなる。その途上では、既存産業の再編・集約のプロセスを経て、新たなGX産業への大規模投資を伴うことも想定され、競争法を始めとする対応なども必要となる。
- さらに、新たな産業創出に障害となる規制については、社会的な影響も考慮にいれながら、必要な見直しを行っていく。
- 実現に向けたカギとなる取組
- 日本は、イノベーションの担い手や技術があっても、スピード感をもって商業化させスケールアップさせることが十分できていない4。GX産業構造への転換を進めるためには、イノベーションの社会実装とグローバル化の加速を強力に進めることが求められる。これまで実施してきた研究開発や商用設備投資のような技術シーズへの支援のみならず、以下の取組を通して、付加価値を生み出せる産業構造に転換していく。
- GX型の産業構造に転換していくためにも、需要に着目し、GX市場創造のための制度的対応を進める必要がある。こうした取組を最大化するためには、規制と支援一体型の取組が不可欠。成長志向型カーボンプライシングなど、分野横断的な措置に加え、各分野においても、例えば分野別投資戦略に基づく規制的措置の導入も進めていく。
- さらに、今後、企業がリスクを取った大胆な投資に踏み出すためにも、企業経営・資本市場に係る事業環境整備が不可欠となる。
- また、中堅・中小企業の多くは、脱炭素への取組が自社の売上に直結しない、GXを推進する人材・ノウハウや資金が足りていない等の課題から、取組が進みづらい傾向にあるが、サプライチェーンによっては、脱炭素への取組が進まない企業がサプライチェーンからはじき出されるといったリスクも顕在化しつつある。公正な移行の観点からも、こうしたリスクに直面する企業を中心として、対応策を講じていく必要がある。
- 企業の成長投資を後押しする企業経営・資本市場の制度改善
- 日本企業の「価値創造経営」、すなわち高い資本効率・収益性を確保しつつ、社会課題の解決を通じた成長戦略を策定することで成長期待を集め、持続的に企業価値を向上させる経営は、GX分野での投資とイノベーション創出を進める上でも必要条件となっていく。その際、企業は、短期的な事業戦略のみならず、事業ポートフォリオの最適化も考慮した上で、中長期の成長戦略を描き、それが資本市場の投資家や株主からも評価されることで、リスクを取って大胆な成長投資に踏み出せるようになることが望ましい。
- こうした成長投資に係る企業・投資家の対話が活性化し、結果として、日本国内において、大胆な設備投資、研究開発投資、人材投資等が実践されるようになるために、政府としても、企業のリスクテイクを後押しするための制度改善を通じて事業環境整備を進めていく。
- 国内外の学術機関等と提携したイノベーションの社会実装や政策協調
- 技術の商業化にあたり、米国にはシリコンバレーを中心に、最新の技術と最優秀な人材を惹きつけ、新たなビジネスを次々と生み出すエコシステムがある。中国は、国家を挙げて他国から技術や人材を吸収し、それを更に発展させ、世界の単なる製造拠点から技術大国へと変貌を遂げている。英国では、「自国に不足している科学技術を特定して、それを有する国に取りに行く」ことを科学技術政策に位置づけている5。いずれの国々も、過度な自前主義にとらわれず、他国から優れた技術や人材を惹きつけ、自国の発展につなげている。明治維新後、高度成長期の日本も積極的に取り入れて成長を遂げてきた。
- GX分野で成長を目指す上でも、国内はもちろんのこと、過度な自前主義に囚われず、海外の学術機関などとの提携等を積極的に進め、日本の次の飯のタネになり得る「フロンティア領域の金の卵」を探索、特定するとともに、それらを国内に裨益ある形で育成し、商用化につなげ、新たな産業を創出していく取組を強力に進めていく。
- また、人口が増加する国々と比較して内需が相対的に拡大しにくい中、日本のGX製品等が世界の市場で存在感を持つための投資促進策に加え、日本企業がアジアのCNに貢献し、相手国から選ばれるための政策協調によるルール形成や人的交流をアジア・ゼロエミッション共同体(以下、「AZEC」という。)等を通じて進めていく。
- 大企業からの積極的的なカーブアウト
- 大企業や既存のサプライチェーンの中には、未開拓の事業分野に切り込める人材・技術が眠っている可能性が高い。大企業の一部門にとどまる限り、資金・人材・ビジネス機会の面で大きく成長することが困難なケースであっても、大企業からのカーブアウトによって大企業の良さも引き継ぎながら、スピードとスケールを生かした成長を遂げるケースが日本でも生じ始めている。
- 社会秩序を重視し、大きな変化に対する受容性が米国などと異なる日本においては、日本の強みを生かしたカーブアウトは、GXのためのイノベーション創出を加速させるためのカギになり得る。
- 日本の大企業には、自らのビジネスポートフォリオを今一度見つめなおし、成長につながり得る「フロンティア領域の金の卵」を見出していくことが求められる。政府は、そこで発掘された金の卵から新たな産業を育てるための政策的支援を進めていく。
- GX産業につながる市場創造
- 成長のための継続した投資には、将来の需要に対する継続した期待と予見性が不可欠である。他方、高度成長期に見られた人口ボーナスによる物量としての需要拡大は見込めず、今後は社会課題の解決を目指すことで生じる需要が成長投資には不可欠となるが、こうした需要は製造業における脱炭素プロセスへの転換のようにコストアップを伴い、またそれに見合う価値が顕在化していないため、市場メカニズムのみでは需給の循環が生じづらい。
- 特にCNへの取組においては、新たな脱炭素エネルギーに転換される規模・タイミング・コストなどの面で不確実性が高く、安定した需要を生み出しづらい。
- それらの課題に対応するため、サプライチェーン全体でGX製品・サービスが有するGX価値を評価するなど、需要創出に着目した取組を進める。同時に、後述の成長志向型カーボンプライシング構想による段階的な炭素価格の上昇を通じ、足下の需要創出と中長期的な予見性確保という両輪のアプローチで、GX市場の創造を目指す。
- 中堅・中小企業のGX
- 脱炭素化の取組を進めるにあたり、まずは自社や個別設備のエネルギー消費量やCO2排出量を算定・見える化し、削減計画等を策定する必要がある。このため、中堅・中小企業が簡易にエネルギー消費量やCO2排出量の算定・見える化を行えるよう、省エネルギー診断事業を充実させるほか、国の電子報告システムの改修等を行い、広く中堅・中小企業が同システム上での算定ができるようにする。
- 中堅・中小企業にとって、省エネルギーがGXに向けた取組として着手しやすいと考えられ、取引先からの協力要請への対応においても、省エネルギーの取組が最多となっている14。このため、省エネルギー・省CO2を促進する設備導入支援、大企業等が取引先の中堅・中小企業とともに行う設備導入支援の充実を図る。また、GXに資する革新的な製品・サービスの開発や新事業への挑戦を通じた中小企業の新市場・高付加価値事業への進出を支援する。
- 新たな金融手法の活用
- 2050年CNに向け、2023年度から10年間で官民150兆円超のGX投資を実現するため、20兆円規模の脱炭素成長型経済構造移行債(GX経済移行債)の発行を行う予定である。こうした中で、2024年2月からは、世界初の国によるトランジション・ボンドとして、国際資本市場協会等の国際標準への準拠について第三者評価機関から認証を取得した形で、個別銘柄「クライメート・トランジション利付国債」(以下、「CT債」という。)の発行も開始した。引き続き、技術開発動向を注視しつつ、産業競争力強化・経済成長と排出削減の両立に貢献する分野の研究開発、設備投資等を対象に、2023年度から10年間で20兆円規模の先行投資支援に取り組む。
- また、民間におけるトランジション・ファイナンスについても、トランジション・ファイナンスに関する基本指針や、その対象となり得る8分野の技術ロードマップの策定、ファイナンスド・エミッションの考え方の整理等により、市場環境整備を進め、2024年末時点で民間のトランジション・ファイナンスの累計調達額は2兆円を超える規模に到達した。CT債の発行も踏まえて、トランジション・ファイナンス市場をリードする日本の取組への国際的な関心も高まっており、国外においてもトランジション・ファイナンスに関するフレームワークの策定などの取組が進んできている。引き続きAZECの枠組み等も活用し、アジア開発銀行(以下、「ADB」という。)や東アジア・アセアン経済研究センター(以下、「ERIA」という。)等とも協力して、高い経済成長とエネルギー需要の増加が見込まれるASEAN各国との協力を強化するなど、国内外のトランジション・ファイナンス市場の拡大に取り組む。
- 加えて、公的資金と民間資金を組み合わせた金融手法(ブレンデッド・ファイナンス)を確立するため、2024年7月に業務を開始した脱炭素成長型経済構造移行推進機構(以下、「GX推進機構」という。)において、民間では取り切れないリスクを補完するための債務保証や出資等による金融支援を開始した。今後GX推進機構を通じて、GXに資する技術の社会実装やディープテックスタートアップの活動促進、地域におけるGX投資支援など、金融機関と一体となって官民150兆円超のGX投資実現に向けた取組を進めていく。また、GX推進機構は、今後排出量取引制度の運営・化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収等の業務も担うことが想定されており、産業界・金融界・政府・自治体・研究機関等のGX推進に向けた様々な取組の情報が集まるハブとして、GX産業政策の調査研究・発信等の機能強化にも取り組む。
- 企業の成長投資を後押しする企業経営・資本市場の制度改善
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経済産業省 第7次エネルギー基本計画策定に向けて御意見を募集します
▼ 2040年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)
- 2040年度エネルギー需給見通しの基本的な考え方
- ロシアによるウクライナ侵略以降、2022年のLNG価格が大幅に上昇するなど、エネルギー価格の高騰が発生。また、脱炭素化に伴う化石燃料開発への投資減退などにより、今後も量・価格両面で化石燃料の供給が大きく変動する可能性がある。
- また、気候変動対策について、各国は野心的な目標を維持する一方、足下の進捗状況は芳しくなく、目標と現実の乖離が大きくなる傾向にある。本年11月には、パリ協定からの離脱を掲げるトランプ氏の次期米国大統領就任が決まるなど、脱炭素に関する各国の動向に変化も見られる。
- 世界では、再エネや原子力、水素などの脱炭素に向けた投資が進んでいるが、2050年カーボンニュートラル実現には、更なるイノベーションが不可欠な状況であり、今後の技術開発に対する期待が高まっている。
- IEAが本年10月に公表した「World Energy Outlook 2024」においても、「将来のエネルギー需給の姿に対して単一の見解を持つことは困難」と指摘されるなど、将来におけるDXやGXの進展に伴うエネルギー需要側の不確実性も上昇している。
- こうした中、2040年度エネルギー需給の見通しは、単一の前提ありきではなく、様々な不確実性が存在することを念頭に、エネルギー政策におけるS+3Eの原則の下、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減、及び2050年ネットゼロを目指すことを踏まえ、現時点において幅を持ってエネルギー需給の見通しを示すものである。
- 2040年度に向けては、まずは、2030年度46%削減を目指した対応を進めていく必要がある。その上で、様々な変化が想定されることを前提に、技術動向や各分野における脱炭素化の取組の状況等を踏まえて、2040年度に向けて施策の更なる強化・具体化を順次図っていく。
- 複数シナリオの考え方
- 2050年カーボンニュートラル実現を目指す上では、ペロブスカイト太陽電池、浮体式洋上風力、水素・アンモニア、CCUSなど、現時点では社会実装が進んでいない革新技術の普及拡大が不可欠である。
- 2040年度のエネルギー需給の姿は、2050年カーボンニュートラルの途上にあり、革新技術の動向によって大きく左右される。それぞれの革新技術がいつ、どの程度普及するかは、技術としての成熟性、供給可能性、コスト低減などの要因によって大きく異なるが、現時点で2040年度における技術動向を確度高く見通すことは極めて困難である。
- このような不確実な状況においても、国民負担を最大限抑制し、エネルギー安定供給と脱炭素の両立を経済合理的に進めていくためには、技術中立的なアプローチを通じて、利用可能な方策を幅広く活用していくことが重要となる。
- こうした観点から、下記の複数シナリオを設定し、2040年度のエネルギー需給に関する分析を実施した。
- 革新再エネ技術が普及拡大するシナリオ
- 水素・アンモニア・合成燃料・合成メタン等が普及拡大するシナリオ
- CCSの活用が拡大するシナリオ
- 革新技術(上記①~③)の普及・活用が幅広く拡大するシナリオ
- 革新技術のコスト低減が十分に進まず、既存技術を中心にその導入が進展するシナリオ
- 技術進展シナリオの考え方
- 2050年カーボンニュートラル実現に向けては更なるイノベーションが不可欠であるところ、2040年度時点において再エネ、水素等、CCSなどの脱炭素技術の開発が期待されたほど進展せず、コスト低減等が十分に進まないような事態も想定していく必要がある。
- こうした場合にも、経済成長を実現しながら、国民生活をエネルギー制約から守り抜くため、諸外国の対応も踏まえつつ、LNGの長期契約の確保を含め、エネルギー安定供給の確保に万全を期すことが重要である。
- このような観点に立ち、S+3Eのバランスの下、国際的なエネルギー価格差をできる限り抑制するべく、脱炭素化に伴う社会的コストに一定の上限を設けているケースとして、技術進展シナリオを設定している。
- 他方で、再エネ、水素等、CCSなどの脱炭素技術の開発が期待されたほど進展せず、コスト低減等が十分進まない場合であっても、次世代型地熱発電、フュージョンエネルギー(核融合)等の次世代革新炉、炭素吸収除去手段など更なる次世代技術開発が想定を超える水準で進むなどの場合には、2040年度NDCを実現することも可能となる。
- エネルギーは国民生活や経済活動の基礎とならなくてはならないものであり、こうした不確実性にも備えながら、エネルギー政策手段を準備しておくことが重要となる。
- 2040年度エネルギー需給見通しの作成に活用する分析
- 2040年度エネルギーミックスの検討に向けて、6つの専門機関※に条件を合わせた上でシナリオ分析を依頼。
- 2040年度エネルギーミックスについては、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時実現するという、GXの基本的な考え方と整合的な内容とする必要がある。
- このため、まず、脱炭素に伴うコスト上昇を最大限抑制していく視点が不可欠であるため、少なくとも以下の要素が備わったシナリオ分析結果を、エネルギーミックスの基礎とすることとする。
- 2040年度に向けて脱炭素化を進めていく場合、温室効果ガス排出削減対策コストの上昇も予想されるため、エネルギー需給の全体を対象として、コスト最適化の考え方に基づくシナリオ分析を行っていること
- また、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時実現する上では、経済活動量を最大限維持する必要があることに加え、国際競争力を維持・確保する観点から海外と遜色ないコスト水準を維持する必要があるため、以下の要素も評価できるシナリオ分析を主軸とするべきである。
- 脱炭素を進めつつも、最大限の経済成長を目指すこと(経済活動量などを最大限維持していること)
- 海外との相対的なエネルギー価格差を踏まえた評価が可能となること
- 以上を踏まえ、2040年度エネルギーミックスの作成に際しては、上記(1)~(3)の全ての要素を満たす地球環境産業技術研究機構(RITE)による分析を主軸としつつ、2040年度エネルギーミックスの作成を行うこととする。その上で、(1)の要素を満たすシナリオ分析結果を用いて、RITEの分析結果の妥当性を検証・補完することとする。
- シナリオ分析結果を踏まえたエネルギー需給見通しの考え方
- 2040年度エネルギー需給見通しについては、地球環境産業技術研究機構(RITE)による分析を主軸としつつ、2040年度エネルギーミックスの作成を行うこととし、コスト最適化の考え方に基づくモデルを用いた専門機関の分析結果を活用して、RITEの分析結果の妥当性を検証・補完することとする。
- 具体的には、2040年度エネルギー需給見通しは、以下のように整理している。
- RITEによる分析から、2050年ネットゼロに向けた直線的な排出削減を実現するシナリオを参照し、シナリオ間の数値の幅に着目し、2040年度エネルギー需給に関する主要な指標について、幅を持たせた見通しを設定。この際、シナリオ分析結果とその結果を踏まえて作成する2040年度エネルギー需給見通しは明確に峻別する必要がある。
- シナリオ分析では、技術、コスト等の想定の置き方や、モデルの特性に応じ、その結果は変わりうるため、2040年度エネルギー需給見通しの各指標の見通しの設定に当たっては、他のシナリオ分析結果も参照し、RITEによる分析シナリオが示す各指標の幅と、他のシナリオ分析結果が示す幅との比較を実施。
- 2050年カーボンニュートラルに向けて不確実性が大きい中、官民が予見可能性を持ちながら、経済成長と排出削減の両立に向けた取組を進めるための野心的な目標として2040年度温室効果ガス73%削減(P)との目標を設定しており、2040年度エネルギー需給見通しについては、こうした野心的な目標を前提に、将来からバックキャストして考える方法を採用している。このため、2040年度エネルギー需給見通しは、前提により変わり得るものであり、かつ、一定の技術進展が実現する場合に到達可能なものであることを踏まえた上で、我が国のエネルギー政策として目指すべき方向性を示すものである。
- このため、2040年度エネルギー需給見通しにおいて示した水準(例:2040年度電源構成など)は、導入の上限やキャップを示すものではなく、技術革新等により、示した水準を超えて導入が進むことも考えられる。
- また、将来の技術革新の動向やGXやDXの進展状況など、我が国のエネルギーを巡る状況が著しく変化した場合には、そうした変化も踏まえつつ、必要に応じて見直しを行うこととする。
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経済産業省 株式会社JERAから提出された報告書に関して同社に対して追加報告を要請しました
- 令和6年11月12日、電力・ガス取引監視等委員会は、卸電力取引所が開設する翌日市場(スポット市場)における継続的な未供出を発生させていたことについて、株式会社JERAに対して業務改善勧告を行いました。これに基づき同社から提出された報告書について、当委員会は、その内容を精査した上で、同社に対して追加報告を要請しました。
- 概要
- 令和6年11月12日、電力・ガス取引監視等委員会(以下「委員会」という。)は、株式会社JERA(以下「JERA」という。)に対し、スポット市場における継続的な未供出を発生させていたことについて、相場操縦に該当するとして業務改善勧告を実施しました(令和6年11月12日 経済産業省プレスリリース)。
- これに伴い、委員会は、令和6年12月12日、JERAから再発防止策等をまとめた報告書を受領し、内容を精査しました。
- 委員会の対応
- 委員会は、令和6年12月12日に提出されたJERAによる報告書の内容を精査したところ、業務改善勧告に対する報告として不十分な箇所があると認めました。そのため、JERAに対し、令和7年3月31日を期限として、以下の対応を実施した上で、委員会に対して追加報告を行うよう要請しました。
- 同社内における原因分析により特定された本件未供出の原因と、報告書に記載された対策との関連性について、具体化が必要な箇所や不明確な箇所がある。このため、原因を踏まえた対策の具体化や、当該対策の背景にある原因について明確にされたい。
- 入札業務プロセス総点検の終了時期について明確にされたい。
- 提示された改善策の内容を短期的対策と中期的対策とに分けた上で、スケジュールを再構築されたい。
- 委員会は、本日から令和7年12月26日までの1年間を同社の集中改善期間とし、本件に関連するJERAの対応について重点的に確認・指導してまいります。
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経済産業省 GX実現に向けた投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」を改定しました
- 脱炭素、経済成長、エネルギー安定供給の3つを目指すGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて企業の予見可能性を高め、GX投資を強力に引き出すため、重点分野における10年間の「分野別投資戦略」を改定しました。
- 背景
- 昨年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」(7月に「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(GX推進戦略)」を閣議決定)の参考資料として、国が長期・複数年度にわたるコミットメントを示すと同時に、規制・制度的措置の見通しを示すべく、22分野において「道行き」を提示しました。当該「道行き」について大括り化等を行った上で、重点分野ごとに「GX実現に向けた専門家ワーキンググループ」で議論を行い、GX実行会議の下で昨年12月に取りまとめた「分野別投資戦略」を改定しました。
- 概要
- GX経済移行債を活用した「投資促進策」に関し、基本原則や具体化に向けた方針支援策の対象となる事業者に求めるコミットメントの考え方、執行原則等の基本的考え方を示すとともに、以下の16分野について、GXの方向性と投資促進策等を取りまとめました。今後、「分野別投資戦略」の遂行により、重点分野でのGX投資を促進し、我が国におけるGXの実行を加速していきます。
- 重点16分野
- 鉄鋼、化学、紙パルプ、セメント、自動車、蓄電池、航空機、SAF、船舶、くらし、資源循環、半導体、水素等、次世代再エネ(ペロブスカイト太陽電池、浮体式等洋上風力、次世代型地熱)、原子力、CCS
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経済産業省 サイバーセキュリティ分野における防衛省・経済産業省・IPAによる包括的な連携協定を締結しました
- 防衛省、経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、防衛省・自衛隊を含む我が国のサイバー状況把握力及びサイバー事案への対処能力の強化並びにサイバー安全保障の確保に資することを目的として、3者間での連携を強化すべく、包括的な連携協定を締結しました。
- 今後、自衛隊によるIPAの取組への参画等を通じた産業界向けセキュリティ支援や、情報提供等を通じた防衛産業との連携強化など、具体的な取組を3者間で共同して進めていく予定です。
- 背景・趣旨
- 防衛省、経済産業省及びIPAでは、今般、防衛省・自衛隊を含む我が国のサイバー状況把握力及びサイバー事案への対処能力の強化並びにサイバー安全保障の確保に資することを目的として、3者間での連携を強化すべく、12月27日(金曜日)、「サイバー事案の対処及びサイバー脅威情報等の共有等に関する包括的な連携に関する協定書」を締結しました。
- 連携協定の概要等
- 本協定における取組事項として、(1)自衛隊によるIPAの取組への参画等を通じた産業界向けセキュリティ支援、(2)情報提供等を通じた防衛産業との連携強化、(3)3者間の新たな協議体(枠組み)の設置を想定しています。
- 今後、3者で共同して、具体的な取組を進めていく予定です。
▼ 概要説明資料
- 連携協定の目的
- 第1条 本協定は、防衛省・自衛隊、重要インフラ事業者及び防衛産業事業者等企業等におけるサイバー事案(そのおそれがある事案を含む。以下同じ。)の未然防止及びサイバー事案発生時の被害の拡大防止等に関し、防衛省整備計画局(…)、経済産業省商務情報政策局(…)及び独立行政法人情報処理推進機構(…)が相互に緊密な連携を推進することにより、それぞれが保有するサイバー脅威情報等に係る技術的・専門的な知識や経験の相互利用を図り、もって防衛省・自衛隊を含む我が国のサイバー状況把握力及びサイバー事案への対処能力の強化並びにサイバー安全保障の確保に資することを目的とする
- 連携協定の概要(想定される主な取組)
- 自衛隊によるIPAの取組への参画等を通じた産業界向けセキュリティ支援
- サイバーレスキュー隊(J-CRAT)への参加を通じた標的型サイバー攻撃に関するハントフォワード活動への参画、協働展開
- 制御システムの安全性・信頼性検証事業への参画(重要インフラ事業者等へのリスクアセスメント等) 等
- 情報提供等を通じた防衛産業との連携強化
- サイバーディフェンス連携協議会(CDC)に対するサイバー攻撃関連情報の共有・注意喚起
- 防衛産業サプライチェーン向け経済産業省関連中小企業支援策の普及展開、IPAによる制御システムリスクアセスメントの普及促進 等
- 3者間の新たな協議体(枠組み)の設置
- 上記1.及び2.の進捗管理その他全体の調整枠組みとして「サイバー連携フォーラム」を設置
- 自衛隊によるIPAの取組への参画等を通じた産業界向けセキュリティ支援
~NEW~
経済産業省 サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース第2回会合を開催しました
- サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース第2回会合を開催し、日米政府やステークホルダーの取組について情報交換を行いました。
- 2023年1月、日米の貿易政策、法令、ガイドライン、及び必要に応じて執行実務に関する情報を共有することにより、サプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等の促進を目的に、「サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース」を立ち上げました。
- このたび、柏原経済産業省国際経済部長/ビジネス・人権政策統括調整官及びダウガン米国通商代表補代行の共同議長の下、日本時間本年10月8日(火曜日)の日米政府間対話及び同年12月18日(水曜日)の産業界へのアウトリーチを第2回会合として開催しました。
- 政府間対話において、日本側からは、サプライチェーン上の人権尊重に向けた企業の取組を促進するための施策や、人権デュー・ディリジェンスに関する国際協力に向けた取組等を報告しました。米側からは、ウイグル強制労働防止法の執行方針や水産物サプライチェーンに関する取組等について説明がありました。
- 産業界へのアウトリーチでは、水産物を含む様々なサプライチェーンにおける人権尊重に関する日米関連法規制、施策等を紹介するとともに、日米の産業界による人権尊重の具体的取組について情報交換を行いました。
- 政府間対話参加省庁
- 日本:経済産業省、外務省、法務省、厚生労働省、農林水産省
- 米国:通商代表部、労働省、国務省、税関国境警備局を含む国土安全保障省、海洋大気庁
~NEW~
総務省 SNS等におけるいわゆる「闇バイト」への対応に関する要請の実施
- 総務省は、本日、SNS等を提供する大規模事業者に対して、SNS等におけるいわゆる「闇バイト」への対応について、文書により要請を実施しました。
- ソーシャルネットワーキングサービスその他交流型のプラットフォームサービス(以下「SNS等」という。)の一部では、いわゆる「闇バイト」の募集活動が行われており、このような募集投稿を端緒とした強盗等事件が多発し、社会問題となっています。
- SNS等が国民生活や社会経済活動を支える社会基盤になる中で、「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ」(令和6年9月10日)でも提言されているように、プラットフォーム事業者はデジタル空間における情報流通の健全性の確保について一定の責任が求められる立場になっていると考えております。
- こうした状況を踏まえ、総務省は、本日、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ)を通じて、SNS等を提供する大規模事業者(※)に対して、対策の実施を要請しました。
- 同機構への要請内容は別紙PDFを御覧ください。
※同機構の会員企業のうち、当該企業又はその関連会社が日本国内における前年度末時点の平均月間アクティブユーザ数が1,000万人以上であるSNS等を提供する企業
▼ 別紙
- 昨今、ソーシャルネットワークサービスその他交流型のプラットフォームサービス(以下「SNS等」という。)の一部では、いわゆる闇バイトの募集活動が行われており、このような募集投稿を端緒とした強盗等事件が多発し、社会問題となっています。
- 総務省としては、昨年、違法行為の実行を募る行為と判断できる投稿も削除対象であることを明確化する旨の契約約款モデル条項の解説の改訂を周知するなど、対応を行ってきたところですが、現在も闇バイトの被害は後を絶ちません。
- SNS等が国民生活や社会経済活動を支える社会基盤になる中で、総務省の有識者会議のとりまとめでも提言されているように、プラットフォーム事業者はデジタル空間における情報流通の健全性の確保について一定の責任が求められる立場になっていると考えております。
- つきましては、上記を踏まえ、国民の生命・身体・財産を守るため、闇バイトの入口を塞ぐという観点から、貴団体に加盟する会員企業のうち大規模事業者(貴団体の会員企業のうち、当該企業又はその関連会社が日本国内における前年度末時点の平均月間アクティブユーザ数が1,000万人以上であるSNS等を提供する企業であるもの)が下記事項による対策の実施に取り組むよう、貴団体を通じて要請することといたしたいと存じます。
- 以上について、貴団体において会員企業のうち大規模事業者に対して伝達していただきますようお願い申し上げます。
- なお、今後、総務省の有識者会合の場において、当該大規模事業者における下記事項への対応状況について御説明いただく機会を設定する可能性があることを申し添えます。
- 闇バイトの募集活動に係る投稿に対する利用規約等に基づく対応
- SNS等における闇バイトの募集活動に係る投稿に対し、利用規約等に基づき、より迅速に削除等の対応を実施すること。
- なお、総務省では、闇バイトの募集は職業安定法(昭和22年法律第141号)違反と判断し得るため、厚生労働省や警察庁と連携し、違法情報に関するガイドラインに関連記載を盛り込むことを検討しており、本年11月21日に同ガイドライン案を公表したところである。こうした状況を踏まえ、削除等の適切な対応を実施すること。
- SNS等のアカウント開設時における本人確認手法の厳格化
- 犯行グループのいわゆる「リクルーター」によってSNS等が闇バイトの募集活動に利用されていることを踏まえ、犯罪対策の観点から、SNS等のアカウント開設時における本人確認手法の厳格化(SMS認証等)を含む措置を検討すること。
- SNS等に対する照会への回答の円滑化
- 闇バイトに悪用されていることについての捜査機関等からの照会に対して、円滑に回答できる体制の整備を検討すること。
- SNS等の利用者に対する注意喚起・周知活動
- SNS等の利用者に対して、SNS等における募集投稿をきっかけとして「闇バイト」等により重大な犯罪に加担する危険性について、提供するサービス形態を踏まえた効果的な方法を検討し、注意喚起や周知活動を行うこと。
~NEW~
総務省 国際行動規範の「報告枠組み」に係る合意(「広島AIプロセス」)
- 2023年、我が国は、G7議長国として、生成AIに係る国際的なルール形成を行う枠組みである「広島AIプロセス」を立ち上げ、「国際指針」及び「国際行動規範」を取りまとめました。
- 2024年のG7イタリア議長国下では、「国際行動規範」を自主的に遵守するAI開発企業等による履行状況を確認するための手法(「報告枠組み」)を開発・導入するべく、G7で議論を行ってまいりましたが、今般、「報告枠組み」の基本的な運用方法及び質問票に関して、合意に至りましたのでお知らせします。
- 経緯
- 2023年、我が国は、G7議長国として、生成AIに係る国際的なルール形成を行う枠組みである「広島AIプロセス」を立ち上げ、「国際指針」及び「国際行動規範」を取りまとめました。
- 本年3月のG7産業・技術・デジタル大臣会合では、生成AI開発における透明性及び説明責任を促進するため、「国際行動規範」を自主的に遵守するAI開発企業等による履行状況を確認するための適切な手法(「報告枠組み」)を開発・導入することに合意しました。
- 以降、G7で議論を重ね、今般、「報告枠組み」の基本的な運用方法及び質問票について合意しました。
- 概要
- 「国際行動規範」に沿って作成されたAI開発企業等への質問票をOECDのwebサイト上で公開し、回答を依頼します。質問票に回答したAI開発企業等は、原則として、OECDのwebサイト上でリスト化されるとともに、回答内容も公開されます。なお、「報告枠組み」の運用開始は、2025年2月以降を予定しております。
- 質問票の項目立ては以下の通りです。
- リスクの特定及び評価
- リスクの管理及び情報セキュリティ
- 高度なAIシステムに関する透明性報告
- 組織のガバナンス、インシデント管理及び透明性
- コンテンツの認証及び来歴確認の仕組
- AIの安全性向上や社会リスクの軽減に向けた研究及び投資
- 人類と世界の利益の促進
~NEW~
国土交通省 「令和6年能登半島地震から1年」の復旧・復興状況と今後の見通し~被災者の方々の暮らしと生業の再生に向けて~
▼ 報道発表資料
- 復旧・復興に臨む方針
- 被災者の方々の暮らしと生業の再生を支える大前提は、インフラの復旧やまちの復興にあるとの考えに立ち、できる限り具体的な見通しを明らかにしながら、地元の声にも耳を傾けて、各種事業に取り組んできました。
- この結果、地震発生から満1年となる令和6年末時点での復旧・復興の実績見込みと今後の主な予定は次のとおりとなっております。
- 引き続き、国土交通省の現場力を最大限発揮し、総力を挙げて被災地の一日も早い復旧・復興に取り組んでまいります。
- 復旧・復興の実績見込みと今後の予定
- 全体認識
- 9月の豪雨による被災分を含め、二次災害に直結するような切迫した被災箇所の応急対策はすべて終了し、年内又は来年の梅雨前を目指した機能回復対策が順調に進捗するとともに、本復旧・本格対策への着手も順次始まっている。
- 復旧・復興の見通しが段階的に明らかになるにつれて、様々な不便が続くなかでも、住まい再建に向けた事前相談、漁業の再開、空路の増便など、暮らしや生業の再生に向けた動きが徐々に活発化しつつあると考えられる。
- インフラの復旧・まちの復興を担当する国土交通省としては、復旧・復興の見通し時期を今後もできるだけ具体的にお示しすることで、これを目安に、被災地の皆様による再生に向けた動きが一層加速することを期待している。
- 分野ごとの状況
- 復興まちづくり計画等
- 復興計画
- 石川県が6月に公表した復旧・復興の基本方針「創造的復興プラン」を踏まえ、一部市町では復興まちづくり計画を策定・公表し、その他の市町でも素案を作成。
- 住まい再建等が可能な地区や時期、まちづくりビジョン、輪島朝市周辺再生プロジェクトなどが明らかになって、被災者が住まいと生業の再生に向けた検討を具体的に行いやすくなる。
- 復興まちづくり計画を作成する全ての被災市町において、令和7年3月までに、計画を策定・公表見込み。
- 機運醸成
- まちの復興に向けた機運醸成のため、輪島の朝市イベントを9月に開催(30店舗以上が参加)。仮設店舗・仮設工房も5市町で計112区画がオープン(12月26日時点)。
- 今後も、輪島の朝市イベントは、冬季の屋内開催や令和7年春以降の定期開催化を予定。
- 復興計画
- 住まいの再建
- 応急仮設住宅(建設型)
- 9月の豪雨で被災した218戸の修理も含め、必要戸数6,882戸すべてが12月26日までに完成し、避難所生活からの受け皿ができた(12月20日現在、6,410戸が入居済)。
- 豪雨の被災者向けに新たに必要となった286戸についても、全て着工済。令和7年3月末までの完成を目指す方針。
- 恒久的な住まいの再建(自力再建が困難な被災者向け)
- 恒久使用も視野に入れた木造応急仮設住宅1,603戸を6市町で供給。
- 国直轄の調査による支援も得て、市町が行う災害公営住宅の被災者ニーズ
- 調査が進捗(12月末時点での推計必要戸数は約3,000戸)。10市町にて災害公営住宅を整備予定であり、うち能登町及び氷見市では令和6年中に設計に着手した。
- 整備に向けて、農地を含む用地を選定中。
- 今後、整備予定の大半の市町で年度内に設計に着手予定。
- UR都市機構も発注支援等について技術的に協力。能登町及び氷見市では令和7年夏頃にも工事着手予定。
- 恒久的な住まいの再建(自力再建を目指す被災者向け)
- 2月、石川県において建築士等へ技術的相談ができる「被災住宅相談窓口」を開設。
- (独)住宅金融支援機構においては、能登半島地震の発災以降、被災者向けの「災害復興住宅融資」について、現地相談会を継続的に開催する等、自宅再建等を金融面で支援(11月末時点融資受理実績99件)。月々の返済が利息のみとなる「高齢者向け返済特例」など、被災者のニーズを踏まえた融資を提供中。
- (参考)12現在、金利1.34%(高齢者向け返済特例は2.67%)住まいの再建のイメージを示す「いしかわ型復興住・宅」モデルプランを石川県が12月26日に中間報告。
- 復興まちづくり計画の公表や各種支援措置の周知を通じ、被災者それぞれが住まい再建に向けて前向きになり、具体的な検討をしやすくなるものと期待される。
- 応急仮設住宅(建設型)
- 上下水道
- 道路下等の水道本管
- 建物倒壊地域等を除き5月に復旧。その後、9月豪雨で5,216戸が新たに断水したが、12月20日にはその全てが復旧した(いずれも、汚水処理機能は確保済)。
- 応急復旧した水道本管等の地上の仮設配管は、凍結しにくいよう大きな口径を採用。
- 残る建物倒壊地域等(691戸)は、家屋解体の進捗や帰宅ニーズに応じて復旧。
- 日々の暮らしに欠かせない上下水道の復旧によって、避難所等からの帰還や住まい再生に向けた被災者の動きに弾みがつくものと期待。
- 宅内配管
- 県窓口で、修理業者とのマッチングを実施中(12月末までの予定を令和7年3月まで延長)。
- 新技術を活用した本復旧の取り組み・耐災害性の強化
- 本復旧では、早期に、水道施設の漏水箇所を把握することが必要であるため、漏水調査を効率的かつ効果的に実施していくにあたって、衛星技術やデジタル技術を活用する。
- また、断水に強い上下水道に向けて、効率的な耐震化技術の実証、最先端の浄水技術等を利用した小規模分散型の技術実証、などを行い、地震に強い上下水道の在り方を全国に発信予定。
- 道路下等の水道本管
- 道路
- 通行止め箇所
- 県道以上で、地震により87箇所、豪雨により48箇所の通行止が発生したが、国道249号沿岸部で国の砂防事業とも連携して、権限代行により復旧を進めるなどした結果、12月26日までに、計19箇所(地震11、豪雨8)まで減少した。
- 集落等へのアクセス
- 8月に確保された全ての集落等※へのアクセスが、豪雨による被災箇所を含め12月26日までに再度確保された。
- 長期避難箇所に関連するところは除く
- 能越道・のと里山海道
- 能登への幹線である能越道・のと里山海道は、権限代行等により7月迄に全線で南北両方向の通行を確保済。大規模崩落により走りづらい箇所を12月25日までには、カーブや勾配を緩やかにし、走行性、安全性が向上。
- 今後も、更なる走行性、安全性向上に向け、本復旧を推進。
- これにより、輪島・七尾間の走行性・安全性が向上する。
- 国道249号沿岸部
- 交通需要が大きい国道249号沿岸部を経由した輪島市門前町・珠洲市間は、権限代行により、12月27日までに通行を確保(千枚田工区では2車線を確保、大川浜・逢坂トンネル工区は緊急車両等を対象にして1車線確保、中屋トンネル区間は県道・市道を活用した迂回路を確保)。
- 令和7年夏頃に中屋トンネルを活用した一般交通の2車線通行確保を予定。
- 大幅な迂回が不要となるため、地域住民の交通の円滑化などが期待される。
- 除雪対策
- 復旧・復興を止めないための除雪体制を強化し、国・県の役割分担の明確化、一元的な情報収集・共有のための「情報連絡本部」設置などを図った。
- 通行止め箇所
- 河川・土砂災害
- 河原田川・町野川の河道閉塞箇所
- 権限代行等で地震後に設けた応急対策施設(仮排水路、ブロック堰堤等)が9月豪雨の際に一定の機能を発揮し、河道閉塞箇所の決壊に繋がるような侵食等を防止。
- 9月の豪雨により大きく被災した箇所については、追加の応急対策を実施中。
- 9月の豪雨による新たな被災箇所
- 豪雨による新たな河川の埋塞や施設損壊、土砂・洪水氾濫等による被害が発生した塚田川等では、緊急的な河道内土砂撤去や砂防工事等を国が権限代行等により実施中。また、豪雨で被災したその他の県管理河川38河川では、うち20河川で年内に応急復旧が完了した。
- 全体
- 塚田川等の豪雨による被災箇所も含め、引き続き、応急対策を実施し、令和7年出水期までに概ね完了することを目指す。
- また、応急対策に引き続き、河川の本格的な復旧工事を進めるとともに、直轄砂防・地すべり事業の恒久対策については、内容・スケジュールを年内に公表し、これに基づき恒久対策を推進する。
- 応急対策の法止工等が完了すれば、避難指示範囲内にある生活道路の通行が可能となり、道路の通行止め解除や農地利用など、地元の住まいや生業の再建に向けた要望に応えることが可能になる。
- 河原田川・町野川の河道閉塞箇所
- 海岸堤防
- 甚大な津波被害があった宝立正院海岸(珠洲市)は、権限代行により大型土のうの設置など応急復旧を4月までに完了。
- 海岸堤防の本復旧は、復興まちづくりにおける沿岸の土地利用方針と密接に関わるため、相互に調整しながら本復旧の方針を定める必要。地元調整が整った上戸地区で、11月25日に本復旧に着手。
- 今後も、同様の地元調整を経て、順次、海岸堤防の本復旧に着手し、令和8年の本格的な台風期前の完成を目指す。
- 港湾
- 全港湾共通
- 発災直後からの応急復旧により、港湾施設を利用した荷役を可能とすることで、生業の再建に寄与している(能登半島地域の港湾で利用可能な係留施設延長は、地震前の36%)。令和6年中に、全港湾で工事契約手続や現地工事等の本復旧に向けた作業に着手した。
- 地盤隆起の影響が大きい輪島港
- 7月にはもずく漁、9月には刺し網漁、11月には底引き漁が再開。並行して8月より本復旧工事を実施中。
- 令和8年度中の可能な限り早期の本復旧完了を目指す。
- 輪島港及び和倉港以外の港湾
- 令和7年度中の本復旧完了を目指している。
- 全港湾共通
- 和倉港・和倉温泉
- 護岸の復旧
- 能登観光の拠点である和倉温泉では、旅館建物と海沿いの護岸が大きく被災。護岸の復旧は、温泉地全体の再生と密接に関わるため、関係者と協議を重ね、和倉温泉の魅力の維持等に配慮しながら、民有の護岸も公有化した上で復旧するとした「護岸復旧方針」を策定(9月)。12月20日には、護岸の本復旧に全面着工。
- 今後は、国の代行復旧等を進め、旅館の営業再開予定を踏まえつつ、令和8年度中の可能な限り早期の工事完了を目指す。
- 和倉温泉旅館の再生
- 2月に和倉温泉再生の目標等を描いた『和倉温泉創造的復興ビジョン』が策定された。これを踏まえて、現在、和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会において、和倉温泉の具体的な復興プラン作りが進められている。
- 令和7年3月を目途に復興プラン(案)が公表される予定であり、当該プランとあわせて「護岸復旧と一体となった和倉温泉の地域観光再生支援プラン(仮称)」を策定し、和倉温泉旅館協同組合加盟の全21の旅館に係る営業再開や護岸復旧の見込み、活用可能な支援策を個々具体に見える化する。
- その後は、「支援プラン」を随時改定して、旅館再開の見込みを明らかにしていく(令和7年度中に21軒中9軒が再開の見込み)。また、観光再生に向けた復旧・復興計画の策定・実行を支援する予定。
- これらにより、和倉温泉街の再建に向けた検討や作業が加速するものと期待。
- 護岸の復旧
- 観光
- 旅行需要の喚起
- 「北陸応援割」を実施。また、食や伝統工芸体験など観光コンテンツの造成や、10月からは、能登の体験型アクティビティや最新情報を発信する「のと100事業」により情報発信を支援中。
- 今後の復興状況・地元の意見を踏まえ、能登を対象とした復興応援割の実施を検討する。
- 観光地の再生
- 今後、観光再生に向けた復旧・復興計画の策定・実行を支援する。
- 旅行需要の喚起
- 堆積土砂等
- 一括撤去スキーム
- 9月豪雨により、道路等の公共施設、宅地、農地に跨がって土砂等が堆積したため、10月には、これら土砂等を市町が一括撤去可能なスキームを構築し、縦割りの国庫補助制度が土砂等の撤去の妨げとならないよう措置した。
- 撤去状況
- 被災者から要請のあった箇所を優先して撤去を進めており、地権者と調整のついた全ての箇所で年内に撤去を完了見込み。
- 一括撤去スキーム
- 空港
- 空港施設
- 国が応急復旧を代行し、1月27日には、民間航空機の離着陸を開始したが、なお残る滑走路上の段差や滑走路外の被災箇所について、本復旧を実施中。
- 令和7年度中の本復旧完了を目指す。
- 就航状況
- 羽田=能登路線について、1月27日から週3往復、4月15日から1日1往復が就航。12月25日からは、地震前と同じ1日2往復の運航を開始。
- 東京からの日帰りも可能に
- 空港施設
- 地域公共交通(鉄道・バス)
- 全体
- 奥能登地域を除き、総じて、地震前のサービス水準まで概ね回復済。
- 金沢・能登間
- 9月から能登空港をハブとする特急バスの運行を開始し、輪島市へは6往復/日、珠洲市へは5往復/日、能登町へは5往復/日を運行。
- 金沢市等への避難者にとって、自宅再建のための往復等が容易になった。
- 乗合バスの運行を再開できない奥能登の区間
- 仮設住宅との移動を含め、市町のコミュニティバスやデマンド交通の実証運行を国が支援し、移動の足を確保している。
- 地域交通の持続可能性の向上
- 令和7年3月を目途に、県と関係市町等が広域で、持続可能な交通モデルの構築に向けた基本方針である「能登地域公共交通計画」を策定。
- これに基づき、令和7年度以降、のと鉄道の事業再構築、観光列車「のと里山里海号」の運行再開、市町をまたぐデマンド交通の導入や公共ライドシェアの導入等による「交通空白」解消の取組みなどを順次具体化予定。
- 全体
- 鉄道
- JR七尾線・のと鉄道
- JR七尾線は2月、のと鉄道は4月に運転再開。震災前と同ダイヤに回復済。
- 穴水駅再整備
- 12月24日にとりまとめられた穴水町復興計画には、「奥能登の玄関口再生プロジェクト」として、穴水駅再整備が位置づけられた。
- 今後、令和7年度末にかけて、駅舎のコンセプトや機能などについて検討する予定。
- JR七尾線・のと鉄道
- 液状化災害
- 傾斜した住宅の修復
- 住宅傾斜の修復等への支援を7月から開始し、住まいの修復が進められている(12月1日時点で、石川県・富山県・新潟県で計698件の支援申請を受理)。
- 甚大な液状化災害を受けた内灘町・かほく市
- 10月29日、国が市町へ液状化対策方針案を策定・提示し、これを受け、内灘町では、液状化対策を盛り込んだ災害復興計画(基本計画)を策定。
- かほく市も年度内には、同様の計画を策定予定。
- 令和7年以降、復興事業計画を策定し、順次、実証実験の実施など事業が開始の見込み。
- 傾斜した住宅の修復
- 復興まちづくり計画等
- 全体認識
~NEW~
国土交通省 日本航空株式会社に対する業務改善勧告について
- 本年12月1日(現地時間)の日本航空774便(メルボルン→成田)の機長及び副機長が乗務前日に過度な飲酒を行い、当該便が遅延した旨、12月6日夜に報告がありました。
- これを受け、航空法(以下「法」という。)に基づき、12月17日及び18日に立入検査等を実施した結果、当該機長及び副機長が意図的に過度な飲酒をし、口裏合わせをして隠ぺいしていたことに加え、同社において、アルコール検査が適切に実施されず、また、本年5月の厳重注意を受けた再発防止策等が十分に機能していなかったこと等が確認されました。
- このため、国土交通省航空局は、本日付で、同社に対して別添のとおり業務改善勧告を行い、再発防止策を検討の上、令和7年1月24日までに再発防止策を報告するよう指示しましたのでお知らせします。
- 確認された事実の概要
- 機長及び副機長が、法に基づき認可を受けた運航規程に定める飲酒量の制限を認識しながら乗務前日に過度な飲酒を行った。また、両者間で口裏合わせをし、12月3日夕刻に過度な飲酒を認めるまで、両者は虚偽の説明を行った。
- 同社の運航規程に基づく乗務前アルコール検査は、出発前ブリーフィングに先立ち、編成乗員が一緒に実施することとしていたが、機長と副操縦士が乗務前アルコール検査を実施し出発前ブリーフィングを開始後も、副機長はアルコールが検知されなくなるまで自主的な検査を継続し、乗務前アルコール検査を実施しなかった。また、当該自主的な検査には空港所担当者が立ち会っていたが、同社の運航本部の担当部署に詳細な情報が伝達されず、当該担当部署は誤検知と判断し、運航乗務員の交代等の必要な措置がとられなかった。
- 本年12月20日の日本航空58便(成田→サンフランシスコ)の副操縦士に対する乗務前アルコール検査を、本来は出頭後に行うべきところ、遅延の影響を少なくするために同社の運航本部の担当部署の指示により出頭前に行っていた(アルコール検知はなし)。
- 本年5月の厳重注意を受けた再発防止策が十分に機能していたとは言えず、これらの事案の発生に至った。また、日本航空774便の副機長は、過去にアルコール検知事案を発生させていたが、懸念のある運航乗務員に対する管理が十分でなかった。
- 業務改善勧告の内容
- 飲酒対策を含む安全確保に関する社内意識改革
- 運航乗務員の飲酒傾向の管理の更なる強化
- アルコール検査体制の再構築
- 厳重注意を受けた再発防止策の定着状況の継続的な確認を含む安全管理体制の再構築
- 国土交通省航空局は、同社において再発防止が確実に図られ、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。
~NEW~
国土交通省 住友林業株式会社が供給した住宅等における国土交通大臣認定の仕様への不適合について
- 住友林業株式会社より国土交通省に対し、同社が供給した一部の住宅等の軒裏の仕様が、国土交通大臣認定に適合しない仕様となっており、建築基準法の規定に抵触するおそれがあるとの報告がありました。
- これを受け、国土交通省は同社に対して、是正の迅速な実施等の所要の対応を行うよう指示しました。
- 事案概要
- 令和6年12月5日(木)、住友林業株式会社より国土交通省に対し、同社が供給した一部の住宅等の軒裏(準耐火構造※)の仕様が、国土交通大臣認定に適合しない仕様となっており、建築基準法の規定に抵触するおそれがあるとの報告がありました。
- 建築基準法では、防火地域等にある建築物の軒裏については、通常の火災による周囲への延焼を防止するため、規模等に応じて、準耐火性能を有する構造(準耐火構造)とすることを求めている。準耐火構造については、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの(告示仕様)又は国土交通大臣の認定を受けたものとする必要がある。
- 上記報告を受け、国土交通省から同社に対して必要な調査等を指示した結果、令和6年12月24日(火)までに、以下の報告がありました。
- 軒裏が大臣認定に適合しない仕様となっている平成26年12月~令和6年12月に完成した住宅等930棟において、建築基準法の規定に抵触するおそれがあること。
- 不適合の内容は、大臣認定の仕様と成分が異なる軒裏材を使用していたこと。
- 同社は、対象の930棟について速やかに改修等を行う方針であること。
- 国土交通省における対応
- 住友林業株式会社への指示
- 軒裏(準耐火構造)に関する国土交通大臣認定の仕様への不適合について、別紙のとおり、所要の対応を速やかに行うよう指示しました。
- 関係特定行政庁への依頼
- 国土交通省は、関係特定行政庁に対し、物件リストを情報提供し、必要な対応を進めるよう依頼しました。
- 住友林業株式会社への指示
- 相談窓口
- 住友林業株式会社において、以下の相談窓口が設置されています。
- 所有者等のお問い合わせ先
- 【窓口】 住友林業株式会社 お客様相談窓口
- 電話番号 0120-370-222
- 受付時間 10:00-17:00
- 報道関係のお問い合わせ先
- 【窓口】 住友林業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部
- 電話番号 03-3214-2270
- 受付時間 10:00-17:00(年末年始12/28~1/5を除く)
- (住友林業株式会社における公表)
- 所有者等のお問い合わせ先
- 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(愛称:住まいるダイヤル)に次の消費者相談窓口を設置しています。
- 【窓口】 電話番号 03-3556-5147
- 受付時間 10:00-17:00(土日、祝休日、年末年始12/28~1/5を除く)
- 住友林業株式会社において、以下の相談窓口が設置されています。
~NEW~
国土交通省 日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスによる 舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の追加報告について
- 本日、カナデビア株式会社と、その子会社である日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスより、両子会社が製造する舶用エンジンの試運転時に測定した燃料消費率のデータ改ざんに関する同社の調査状況及び対応方法について追加報告を受けました。
- 国内向けに出荷された72台について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものは確認されず、新造船向けCO2放出規制も不適合は確認されませんでした。
- 国土交通省からは、3社に対し、引き続き海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めることを指示しました。
- カナデビア株式会社等からの追加報告の概要
- 9月17日の中間報告後に、社内に保存されていた社内確認運転時のデータを参考にしつつ、試運転時の燃料消費量を評価し、NOx放出量を再計算したところ、改ざんのあった舶用エンジン1,375台(うち国内向け72台)のうち1,335台(うち国内向け72台)について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものは確認されなかった。
- また、NOx放出量への適合性に依然として懸念がありさらに検証の必要な舶用エンジンが21台(国内向け無し)、NOx放出量の再計算に必要な燃料消費量が特定できていない舶用エンジンが19台(国内向け無し)確認された。
- 新造船向けCO2放出規制の対象になる船舶について調査を実施したところ、日本籍船14隻(14台)について、いずれも規制への不適合は確認されなかった。既存船向けCO2放出規制への影響については調査中。
- 中間報告以降、計測機器の改修など再発防止策を実施してきたところ、今後、計測・記録の自動化を行うとともに、特別調査委員会の調査結果を踏まえ、組織的原因も含めた根本原因に対応した実効的な再発防止策を講じる。
- 国土交通省の対応等
- 3社に対して、引き続き海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めることを指示した。
- 今後の調査により、規制への不適合等が確認された場合には、その内容を踏まえ適切に対応する。
~NEW~
国土交通省 川崎重工業株式会社による舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の追加報告について
- 本日、川崎重工業株式会社より、同社が製造する舶用エンジンの試運転時に測定した燃料消費率のデータ改ざんに関する同社の調査状況及び対応方法について追加報告を受けました。
- 国内向けに出荷された27台について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものは確認されず、新造船向けCO2放出規制も不適合は確認されませんでした。
- 国土交通省からは、同社に対し、引き続き海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めることを指示しました。
- 川崎重工業株式会社からの追加報告の概要
- 9月27日の中間報告後に、社内に保存されていたデータ書き換え記録に基づき書き換え前の実測値を算出し、その値でNOx放出量を再計算したところ、改ざんのあった舶用エンジン673台(うち国内向け27台)のうち665台(うち国内向け27台)について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものは確認されなかった。
- また、引き続き調査が必要な舶用エンジンが8台(国内向け無し)確認された。
- 新造船向けCO2放出規制の対象になりうる船舶について調査を実施したところ、日本籍船5隻(5台)について、いずれも規制への不適合は確認されなかった。既存船向けCO2放出規制への影響については調査中。
- 中間報告以降、計測機器の改修・監視機能の追加など再発防止策を実施してきたところ、今後、特別調査委員会の提言も踏まえ、不正ができない仕組みの構築、組織風土・意識改革などの抜本的な再発防止策を講じる。
- 国土交通省の対応等
- 川崎重工業に対して、引き続き海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めることを指示した。
- 今後の調査により、規制への不適合等が確認された場合には、その内容を踏まえ適切に対応する。
~NEW~
国土交通省 「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会 とりまとめ」 を公表します
▼ とりまとめ概要
- 考え方
- 自動車メーカー等が自身で不正を予防・抑止できるような仕組みを構築し、それを有効に機能させることに主眼を置く。
- 官民それぞれが保有する資源をより効果的に配分し、必要となる対策を実効性の高い取組とすることを目指す。
- 主な対策
- 内部統制の強化・徹底
- 認証業務に係る3つの重要事項の義務付け
- 法令遵守を経営方針に明記
- 「認証業務責任者」等の明確化
- 内部統制の実施状況の評価、報告(第三者評価の活用を推奨)
- 認証業務に係る3つの重要事項の義務付け
- 国による監視の強化
- 量産車の保安基準適合性の監視、 違反者に対する措置(審査の強化等)
- 規制の実効性向上
- 内部統制の状況に応じ軽重をつけて対応(内部統制が良好⇒監査や監視の軽減)
- 保安基準の適用時期の統合(適用時期を年1~2回へ⇒基準対応の開発や手続きの合理化)
- 官民協議会の設置(幹部層での意見交換⇒課題共有、国際提案)など
- 内部統制の強化・徹底
- 内部統制の強化・徹底
- 考え方
- 自動車メーカー等が自ら認証業務に係る内部統制を構築・強化することが必要。
- このために、特に重要と考えられる事項について義務的に実施を求めるとともに、実施を推奨する事項を具体的に示すことが重要。
- 対策の内容
- 義務的に実施を求める事項
- 経営方針
- 認証業務に係る法令遵守を経営方針に明記
- 組織・責任体制
- 認証業務全般に関して責任を有する「認証業務責任者(仮称)」の明確化
- 申請車種のプロジェクトを管理する「プロジェクト管理者(仮称)」の明確化
- 監査、内部通報制度等
- 認証業務に係る内部統制の状況評価及び報告書作成
- 経営方針
- 実施を推奨する事項(一例)
- 経営方針
- 法令遵守がコストや日程に優先することの経営方針への明記
- 経営トップからのメッセージ発信を繰り返し実施
- 組織・責任体制
- 「認証業務責任者(仮称)」の氏名の公表
- 開発業務と認証業務を分離し、独立性確保
- 計画・経営資源管理
- 現場意見を踏まえた経営資源管理体制の整備
- 開発・認証の日程管理や見直し体制の構築
- 人材教育
- 全職位の社員に対し、定期的に繰り返し社内教育を実施
- 習熟度が客観的に確認できる体制の整備
- 認証業務実施体制
- 認証試験の設定・結果等に係る記録保存
- デジタル技術活用推進による改ざん防止
- 監査、内部通報制度等
- 内部通報制度や内部監査等の拡充
- 第三者機関による内部統制評価の受審
- 型式指定後における保安基準適合性等の自主確認
- 経営方針
- 義務的に実施を求める事項
- 考え方
- 国による監視の強化
- 考え方
- 自動車メーカー等に対し認証業務に係る内部統制の強化・徹底を動機づけるため、型式指定時及び型式指定後における国の監視の強化や、不正を行った者に対する措置を講じることが重要。
- 対策の内容
- 型式指定時に、自動車メーカー等における認証業務に係る内部統制に係る取組状況を確認する。(対策Ⅰの確認)
- 型式指定後に、実車による試験を行い、量産車の保安基準適合性等を監視する。
- 不正を行った者に限定して、以下の措置を一定期間講じる。
- 型式指定申請において、再発防止策に係る措置を適切に講じたことを証する書面の提出を求める
- 型式変更(マイナーチェンジ)申請において、国の判断により、変更内容以外の審査も行う
- 国が指定する項目や条件で量産車の試験を行い、その結果を国に報告するよう求める
- 考え方
- 規制の実効性向上
- 考え方
- 自動運転やカーボンニュートラルの実現等といった昨今の社会的要請に応えるための基準強化が行われており、これにより、自動車メーカー等がそれに対応するための開発・評価の負荷が増加し、国も審査・監査の負荷が増加している。
- 官民それぞれの資源をより効果的に配分し、規制の実効性を向上させるため、規制の重点化・合理化に取り組む。
- 対策の内容
- 自動車メーカー等への不正リスクに応じた軽重ある対応
- 認証業務に係る内部統制の実施状況の評価結果等を踏まえて、監査や適合性監視を実施
- 保安基準の適用時期の統合
- 複数の規制の適用時期を統合して、自動車メーカー等の技術開発を効率化
- 認証に係る手続きの簡素化及び合理化
- 認証試験・計測機器のデジタル化の推進
- 官民協議会の設置 等
- 国交省・交通安全環境研究所と自動車メーカー等の経営層の間において、定期的な意見交換を行う場を設置
- 考え方
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国土交通省 水道におけるPFOS 及びPFOA に関する調査の結果について(最終取りまとめ)
▼ 報道発表資料
- 水道事業及び水道用水供給事業
- 調査への回答及び水質検査の実施状況
- 令和2年度にPFOS及びPFOAを水質管理目標設定項目に位置付けて以降、PFOS及びPFOAの水質検査を実施した事業の数は毎年増加しており、令和2年度から6年度までに検査を行ったことがある事業数は2,227事業であった。
- 検査実績が「無」と回答した水道事業等において検査を実施していない理由を表2に示す。理由のうち「その他」については、「検査スケジュール上、本調査の報告期限に間に合わない」等が理由として挙げられていた。
- 調査への回答及び水質検査の実施状況
- PFOS及びPFOAの暫定目標値(50ng/L)を超過した事業数は、図1-1のとおりであった。暫定目標値を超過した事業数は、令和2年度は11事業あったが、年々減少し、令和5年度は3事業、令和6年度(9月30日時点)では0事業であった。なお、令和5年度までのいずれかで暫定目標値を超過した全14事業において、最新の検査結果では、全て暫定目標値を下回っている。
- 水質基準等の分類見直しの考え方を踏まえて、暫定目標値超過、50%(25ng/L)超、10%(5ng/L)超についての分布を確認したところ、図1-2のとおりであった。
- 調査への回答及び水質検査の実施状況
- 専用水道
- 水質検査の結果
- 令和2年度から令和6年度(令和6年度は9月30日時点)までにPFOS及びPFOAの暫定目標値(50ng/L)を超過した専用水道の数は、検査実績があると回答した1,929のうち、42(約2%)であった。都道府県別の状況をに、国設専用水道における調査の結果を(参考2)に示す。なお、この他、調査対象期間(令和2年4月~令和6年9月30日)後、2件の国設専用水道から暫定目標値の超過の報告があった。
- 水質基準等の分類見直しの考え方を踏まえて、暫定目標値超過、50%(25ng/L)超、10%(5ng/L)超についての分布を確認したところ、図2のとおりであった。
- 暫定目標値を超過した専用水道における対応状況
- 暫定目標値を超過した42の専用水道と、調査対象期間(令和2年4月~令和6年9月30日)後に暫定目標値の超過の報告があった2件の国設専用水道における対応状況を表4に示す。26の専用水道においては、上水道への切替えや当該井戸の取水停止等により対策を実施済であった。また、14の専用水道においては、飲用制限などにより飲用暴露防止のための応急的な対応を実施していた。残りの4の専用水道においては、都道府県等から飲用制限等の指導を実施中であり、濃度低減のための措置や工事を計画するなど、今後、対策を実施するなどを予定している。
- 水質検査の結果
- 今後の予定等
- 国土交通省と環境省は連携して、検査をまだ実施していない水道事業者等及び専用水道設置者に対し、検査を実施するよう、引き続き呼びかけていく。
- また、令和6年11月29日に、国土交通省において「水道事業者等によるこれまでのPFOS及びPFOA対応事例について」を公表した。今後、水道においてPFOS及びPFOAの暫定目標値の超過が確認された場合は、引き続き、国土交通省と環境省が連携し、水道事業者等及び専用水道の設置者により適切な体制が速やかに図られるよう取り組んでいくとともに、都道府県等が所管する者については、都道府県等を通じた指導等に取り組んでいく
~NEW~
国土交通省 札契約の適正化の取組状況に関する調査結果について~ダンピング対策や週休2日工事等を中心に取組が進展~
- 国土交通省・総務省・財務省では、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」等に基づき、毎年度、公共工事の発注者による入札契約の適正化の取組状況を調査しています。
- 今般、取組の実施状況に関する今年度の調査結果をとりまとめましたので、公表します。
- 調査対象者
- 国(省庁等) : 19機関
- 特殊法人等 : 121法人
- 地方公共団体 : 47都道府県、20指定都市、1,721市区町村 (総計1,928団体)
- 調査対象時点
- 令和6年7月1日現在(工事契約実績等については令和5年度の実績)
- 調査結果-主な項目-
- 適正な工期の設定
- 工期の設定に当たっての猛暑日考慮について、国、特殊法人等及び市区町村の取組に遅れ。
- 週休2日工事や週休2日交替制工事の実施について、市区町村を中心に取組が改善。
- スライド条項の運用、ダンピング対策
- ライド条項の運用については、取組が遅れていた市区町村でも、運用基準を策定している団体が5割を超えるなど取組が進捗。
- 低入札価格調査基準価格等の算定式については、各団体において最新の中央公契連モデルやそれ以上の水準の独自モデルの使用が進展。
- 発注事務におけるICTの活用
- 特殊法人等及び市区町村における、電子契約システムの導入率が約2割、ASPの導入率が約1割にとどまっており、ICTの活用に遅れが見られる。
- 適正な工期の設定
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国土交通省 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう!~インターネット等において販売されている車両に気を付けましょう~
- 国土交通省では、特定小型原動機付自転車(電動キックボード※等)について、保安基準不適合品の流通防止を図っています。※電動キックボードには特定小型原動機付自転車のほか、一般原動機付自転車に該当するものがあります。
- インターネット等で流通している車両を抜き取り、現車確認を行った結果、20車種で保安基準不適合が確認されました。このうち、未だ不適合品が市場に残っている車種について、国土交通省ホームページで公表しています。
- インターネット等で特定小型原動機付自転車を購入し、公道で使用する際は、保安基準に適合したものを選んでいただきますようお願いいたします。
- 特定小型原動機付自転車の安全性の確保について
- 性能等確認制度について
- 国土交通省では、特定小型原動機付自転車(特定原付)の保安基準適合性等を確認する「性能等確認制度」を令和4年12月に創設し、現在、保安基準への適合が確認された84車種を国土交通省ホームページで公表しており、これらの車種の車体には「性能等確認済」を示すシールが貼付されています。
- 市場調査(サーベイランス)について
- 国土交通省では、インターネット等において流通している特定原付の市場調査を実施し、
- 性能等確認を受けずに保安基準不適合のおそれがある42車種
- 性能等確認を受けた車種の均一性事後確認のための4車種
- 計46車種を市場から抜き取り、現車確認を実施しました。
- その結果、20車種で保安基準不適合が確認され、このうち15車種は市場に未対応の不適合品が残っている状態であり、車種名・外観等を国土交通省ホームページで公表するとともに、当該車両の製造・販売事業者に対して、車両の改良、既に販売した車両の不適合箇所の改修等の指導をしております。
- 更に、オンラインマーケットプレイスでは不適合車両を削除済みであり、また、警察庁、消費者庁及び経済産業省に対して情報提供を行っております。
- 国土交通省では、引き続き市場調査を行い、不適合品の流通防止を図ってまいります。
- 国土交通省では、インターネット等において流通している特定原付の市場調査を実施し、
- 性能等確認制度について
- 特定原付を購入・使用される皆様へ
- インターネット等で特定原付を購入する際は、保安基準不適合品にご注意ください。商品説明欄に「公道走行不可」等の記載がなされているものがありますので、よくお確かめください。
- 保安基準適合性等が確認された特定原付の車種一覧、市場サーベイランスに関する詳細及び不適合品の情報提供窓口は、以下のページをご覧ください。
▼ 国土交通省ホームページ 特定小型原動機付自転車について
~NEW~
東京都 カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)
▼ 本文
- 禁止の趣旨・目的
- 条例第3条第1項では、「カスタマー・ハラスメントは、顧客等による著しい迷惑行為が就業者の人格又は尊厳を侵害する等就業環境を害し、事業者の事業の継続に影響を及ぼすものであるとの認識の下、社会全体でその防止が図られなければならない。」と規定している。
- カスタマー・ハラスメントは、働く人を傷つけるのみならず、商品又はサービスの提供を受ける環境や事業の継続に悪影響を及ぼすものとして、個々の事業者にとどまらず、社会全体で対応しなければならない。禁止を明示することで、行為の抑止効果を見込んでいる。
- カスタマー・ハラスメントの禁止を通じて、就業者の安全及び健康の確保だけでなく、顧客等の豊かな消費生活、事業者の安定した事業活動を促進し、もって公正かつ持続可能な社会の実現に寄与することを目的としている。
- 禁止の法的効果
- 当該禁止規定に違反した場合の罰則規定はないが、行為の内容によっては、この条例にかかわらず、法律に基づく処罰等を受ける可能性がある。
- (例)
- 刑法(明治40年法律第45号)や特別刑法(以下「刑法等」という。)に反する行為は、刑法等により処罰の対象となる可能性がある。
- 財産的・精神的損害が発生した場合は、民法(明治29年法律第89号)の不法行為責任に基づく損害賠償請求権が発生する可能性がある。
- 企業間取引に関しては、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)や私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)に違反する行為があった場合は、罰金(刑事罰)や課徴金(行政罰)等の対象となる可能性がある。
- カスタマー・ハラスメントの定義
- 「著しい迷惑行為」の考え方
- 条例第2条第4号では、著しい迷惑行為を、「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為をいう。」と規定しているが、それぞれの趣旨は次のとおりである。
- 暴行、脅迫その他の違法な行為
- 暴行、脅迫、傷害、強要、名誉毀損、侮辱、威力業務妨害、不退去等の刑法に規定する違法な行為のほか、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)や軽犯罪法(昭和23年法律第39号)等の特別刑法に規定する違法な行為を指す。
- 顧客等から就業者に対して違法な行為が行われた場合、その時点で直ちに著しい迷惑行為に該当するだけでなく、犯罪として処罰される可能性がある。
- 正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為
- 客観的に合理的で社会通念上相当であると認められる理由がなく、要求内容の妥当性に照らして不相当であるものや、大きな声を上げて秩序を乱すなど、行為の手段・態様が不相当であるものを意味する。
- 相当性の判断に当たっては、当該行為の目的、当該行為を受けた就業者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該行為が行われた経緯や状況、就業者の業種・業態、業務の内容・性質、当該行為の態様・頻度・継続性、就業者の属性や心身の状況、行為者との関係性など、様々な要素を総合的に考慮することが適当である。
- 以上を踏まえると、正当な理由に基づき、社会通念上相当であると認められる手段・態様による、顧客等から就業者への申出(苦情・意見・要望等)自体は妨げられるものではない。ただし、その後の交渉や話し合いの過程で違法又は不当な行為があった場合、その時点で著しい迷惑行為に該当する可能性がある。
- その業務に関して
- 「その業務に関して」行われる著しい迷惑行為とは、以下の(1)又は(2)に該当する行為を意味する
- 労働時間内の就業者が受けた顧客等からの著しい迷惑行為
- 「労働時間」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条に規定する労働時間のことで、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を意味する。
- 労働基準法が適用されない就業者は、その他法令で規定される勤務時間を意味する。
- 労働時間外の就業者又は定まった労働時間がない就業者が受けた、その業務遂行に影響を与える顧客等からの著しい迷惑行為
- 「業務遂行に影響を与える」とは、当該行為を受けた就業者の円滑な業務遂行の妨げとなることを意味する。休憩時間や通勤時間など、使用者の指揮命令下に置かれていない時間に受けた行為であっても、「その業務に関して」行われる著しい迷惑行為に該当する可能性がある。
- 労働時間内の就業者が受けた顧客等からの著しい迷惑行為
- 「その業務に関して」行われる著しい迷惑行為とは、以下の(1)又は(2)に該当する行為を意味する
- 暴行、脅迫その他の違法な行為
- 条例第2条第4号では、著しい迷惑行為を、「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為をいう。」と規定しているが、それぞれの趣旨は次のとおりである。
- 「就業環境を害する」の考え方
- 「就業環境を害する」とは、顧客等による著しい迷惑行為により、人格又は尊厳を侵害されるなど、就業者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったため、就業者が業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じることをいう。
- この判断に当たっては、平均的な就業者が同様の状況で当該行為を受けた場合、社会一般の就業者が業務を遂行する上で看過できない程度の支障が生じたと感じる行為であるかどうかを基準とすることが適当である。顧客等の要求内容に妥当性がないと考えられる場合でも、就業者が要求を拒否した際にすぐに顧客等が要求を取り下げた場合、就業環境が害されたとは言えない可能性がある。
- なお、顧客等から法人等に対する著しい迷惑行為(例:インターネット上での法人への誹謗中傷など)は、その内容により法人等の経営者や従業員などの就業環境が害されたと言える可能性があるため、法人等に対する著しい迷惑行為も行われるべきでない。3.「就業者」の範囲
- 「就業者」には、企業や国の機関及び地方公共団体で働く者のほか、企業経営者、個人事業主、フリーランス、ボランティア活動に従事する者、企業等で就業体験を行う学生(いわゆる「インターンシップ生」)、PTA活動に従事する保護者、議員なども含まれる。
- インターネット上で業務を行う者
- 「あらゆる場において」カスタマー・ハラスメントを禁止する趣旨から、インターネット上のカスタマー・ハラスメントも禁止される。
- その際、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や動画配信サイト等を活用して業務を行う者が「就業者」に当たるか否かは一見して不明確であるが、「都内で業務に従事する者(事業者の事業に関連し、都の区域外でその業務に従事する者を含む。)」であれば、「就業者」になり得る。
- 例えば、都内の事務所・事業所で勤務していることをインターネット上で明示している場合であれば、その者は「業務に従事する者」として「就業者」になり得る。
- また、都外の事務所・事業所で勤務する就業者が一時的に都内で業務に従事している場合や、都内の事務所・事業所で勤務する就業者が一時的に都外で業務に従事している場合は、それらをインターネット上で明示していれば、その者は「就業者」になり得る。
- 上記以外にも、インターネット上には多種多様な発信主体があり、「就業者」と判断し難い場合も多いが、インターネット上かどうかにかかわらず、著しい迷惑行為は行われるべきでない。著しい迷惑行為は、刑法における名誉毀損(第230条)や侮辱(第231条)に該当する可能性や民法の不法行為責任(第709条)に基づき損害賠償を請求される可能性もあり、慎むべきである。
- 「著しい迷惑行為」の考え方
- カスタマー・ハラスメントの代表的な行為類型
- 顧客等から就業者に対する行為の中で、カスタマー・ハラスメントに該当する可能性がある代表的な行為類型は、次のとおりである。
- ただし、就業者の業務内容によって顧客等との接し方が異なること、実際に発生した個別事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、行為類型は限定列挙ではないことなどに十分留意する必要がある。
- 顧客等の要求内容が妥当性を欠く
- 顧客等の主張に関して、事実関係や因果関係を踏まえ、根拠のある要求がなされているかを確認する。就業者が提供した商品やサービスに瑕疵・過失がない場合、あるいは全く関係のない主張や要求の場合は、正当な理由がないと考えられる。
- なお、妥当性を欠く主張や要求は、就業者が拒否するなどの対応が可能であることから、カスタマー・ハラスメントに該当するか否かは、次の(2)又は(3)に該当する顧客等の行為の有無と併せて判断することが必要である
- 就業者が提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない
- 全く欠陥がない商品を新しい商品に交換するよう就業者に要求すること。
- あらかじめ提示していたサービスが提供されたにもかかわらず、再度、同じサービスを提供し直すよう就業者に要求すること。
- 要求内容が、就業者の提供する商品・サービスの内容とは関係がない
- 就業者が販売した商品とは全く関係のない私物の故障等について就業者に賠償を要求すること。
- 就業者が販売する商品とは全く関係のない商品を販売するよう要求すること。
- 就業者が提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない
- 顧客等の要求内容の妥当性にかかわらず、要求を実現するための手段・態様が違法又は社会通念上不相当である
- 顧客等の主張に関して、事実関係や因果関係を踏まえ、根拠のある要求がなされていた場合でも、その要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲かを確認する必要がある。
- 例えば、殴る、蹴るなどの違法な暴力行為は直ちにカスタマー・ハラスメントに該当し、その言動が威圧的である場合などは、社会通念上不相当としてカスタマー・ハラスメントに該当する可能性がある。
- 就業者への身体的な攻撃
- 就業者に物を投げつける、唾を吐くなどの行為を行うこと。
- 就業者を殴打する、足蹴りを行うなどの行為を行うこと。
- これらの行為は、暴行罪(刑法第208条)、傷害罪(刑法第204条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への精神的な攻撃
- 就業者や就業者の親族に危害を加えるような言動を行うこと。
- 就業者を大声で執拗に責め立て、金銭等を要求するなどの行為を行うこと。
- 就業者の人格を否定するような言動を行うこと。
- 多数の人がいる前で就業者の名誉を傷つける言動を行うこと。
- これらの行為は、脅迫罪(刑法第222条)、恐喝罪(刑法第249条)、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への威圧的な言動
- 就業者に声を荒らげる、にらむ、話しながら物を叩くなどの言動を行うこと。
- 就業者の話を遮るなど高圧的に自らの要求を主張すること。
- 就業者の話の揚げ足を取って責め立てること。
- これらの行為は、脅迫罪(刑法第222条)、威力業務妨害罪(刑法第234条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への土下座の要求
- 就業者に謝罪の手段として土下座をするよう強要すること。
- これらの行為は、強要罪(刑法第223条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への執拗な(継続的な)言動
- 就業者に対して必要以上に長時間にわたって厳しい叱責を繰り返すこと。
- 就業者に対して何度も電話をして自らの要求を繰り返すこと。
- これらの行為は、威力業務妨害罪(刑法第234条)、偽計業務妨害罪(刑法第233条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者を拘束する行動
- 長時間の居座りや電話等で就業者を拘束すること。
- 就業者から店舗等から退去するように言われたにもかかわらず、正当な理由なく長時間にわたって居座り続けること。
- 就業者を個室等で拘束し、長時間にわたって執拗に自らの要求を繰り返すこと。
- これらの行為は、監禁罪(刑法第220条)、不退去罪(刑法第130条)、威力業務妨害罪(刑法第234条)、偽計業務妨害罪(刑法第233条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への差別的な言動
- 就業者の人種、職業、性的指向等に関する侮辱的な言動を行うこと。
- これらの行為は、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への性的な言動
- 就業者へわいせつな言動や行為を行うこと。
- 就業者へのつきまとい行為を行うこと。
- これらの行為は、不同意わいせつ罪(刑法第176条)のほか、ストーカー規制法等にも該当する可能性がある。
- 就業者個人への攻撃や嫌がらせ
- 就業者の服装や容姿等に関する中傷を行うこと。
- 就業者を名指しした中傷をSNS等において行うこと。
- 就業者の顔や名札等を撮影した画像を本人の許諾なくSNS等で公開すること。
- これらの行為は、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)等にも該当する可能性がある。
- 就業者への身体的な攻撃
- 顧客等の要求内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当である
- 顧客等の主張に関して、事実関係や因果関係を踏まえ、根拠のある要求がなされ、違法又は社会通念上不相当な行為がない場合であっても、顧客等の要求内容の妥当性に照らして、その手段・態様が不相当となることがあり得る。
- 例えば、商品やサービスの瑕疵を根拠に、顧客等から就業者に対して金銭による賠償や謝罪等を丁寧な口調で要求した場合であっても、その金額が社会通念上著しく高額であったり、正当な理由がない過度な謝罪を要求したりするものであれば、カスタマー・ハラスメントに該当する可能性がある。
- また、顧客等の要求内容が、就業者にとっては不可能な行為であったり、どのように対応すれば良いか分からない抽象的な行為であったりする場合も、カスタマー・ハラスメントに該当する可能性がある。
- 過度な商品交換の要求
- 就業者が提供した商品と比較して、社会通念上、著しく高額な商品や入手困難な商品と交換するよう要求すること。
- 過度な金銭補償の要求
- 就業者が提供した商品・サービスと比較して、社会通念上、著しく高額な金銭による補償を要求すること。
- 過度な謝罪の要求
- 就業者に正当な理由なく、上司や事業者の名前で謝罪文を書くよう要求すること。
- 就業者に正当な理由なく、自宅に来て謝罪するよう要求すること。
- その他不可能な行為や抽象的な行為の要求
- 就業者に不可能な行為(法律を変えろ、子供を泣き止ませろ等)を要求すること。
- 就業者に抽象的な行為(誠意を見せろ、納得させろ等)を要求すること。
- 過度な商品交換の要求
- 顧客等の要求内容が妥当性を欠く
- 顧客等による正当なクレーム
- 本来、正当なクレームは業務の改善や新たな商品又はサービスの開発につながるものであり、不当に制限されてはならない。また、就業者が応対する顧客等の中には、障害のある人など、合理的配慮が必要な人も存在する。
- 顧客等と就業者とが対等の立場において、相互に尊重することを旨とするという基本理念(条例第3条第2項)の下、次のような権利について十分に配慮する必要がある。
- これらの権利は例示であり、限定列挙ではないことに十分に留意する必要がある。
- 消費者の権利
- 消費者基本法(昭和43年法律第78号)第5条第1項第4号では、事業者は、その供給する商品及び役務について、消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理する責務を有する旨を規定しており、同法第2条に規定する消費者の権利の実現や、国際消費者機構が提唱する消費者の責務を果たす機会が失われないよう十分に留意する必要がある。
- 消費者契約法(平成12年法律第61号)第3条第1項では、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること(契約条項の明確化)、同条第2項では、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供すること(情報提供)が事業者の努力義務として規定されている。
- 障害者の権利
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第8条第2項では、事業者がその事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をする責務を有する旨を規定しており、障害者の権利の保護に十分に留意する必要がある。
- 認知症の人の権利
- 共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和5年法律第65号)第7条に規定する事業者は、国及び地方公共団体が実施する認知症施策に協力するとともに、そのサービスを提供するに当たっては、その事業の遂行に支障のない範囲内において、認知症の人に対し必要かつ合理的な配慮をする責務を有しており、認知症の人の権利の保護に十分に留意する必要がある。
- 表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利
- 我が国では、全ての国民に対し、日本国憲法第21条により表現の自由が保障されており、その他の日本国憲法で保障される自由と権利の保護に十分に留意する必要がある
- 消費者の権利
- 表現の自由とカスタマー・ハラスメント
- 日本国憲法第21条第1項では、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と規定されており、表現の自由が保障されている。したがって、カスタマー・ハラスメントの禁止規定をもって、顧客等から就業者に対する正当なクレームが制限されることはない。
- また、政治活動や報道に関しては「政治活動の自由」や「報道の自由」があり、その従事者は、監視・評価やチェックなどが責務であり社会からも厳しい言動を期待される場合があるという特質も考慮する必要がある。
- 一方、最高裁判所が「憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するもの」と判示(最高裁判所第二小法廷・平成20年4月11日判決)しており、顧客等から就業者に対するあらゆる言動が許されるわけではないと解される。また、日本国憲法第13条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定されており、就業者の人格権・名誉権・プライバシー権などが保障されていると解される。
- これらを踏まえ、カスタマー・ハラスメントの防止に当たっては、顧客等と就業者それぞれに日本国憲法における自由や権利が保障されていることを前提としつつ、互いの立場を尊重し合う条例の理念の下、自らの意見や考えを適切な方法で相手方に伝えることが期待される。
- 公務に関するカスタマー・ハラスメント
- 都内の国の機関や自治体の職員は「就業者」であり、行政サービスを提供する相手方である住民はこの条例の「顧客等」に当たる。行政サービスの提供を担う受託事業者や指定管理者等も、「公務の現場」に準ずるものである。
- 行政サービスは、民間企業が提供する商品やサービスと異なり、住民が自由に選択できるものではない。公務の従事者においても、すべての住民に対し、公平・公正に行政サービスを提供する義務を負う。
- 住民から公務員に対する要求等が、住民の生命、財産に関わる問題を背景とする場合も想定される。このため、例えば、経済的に困窮した場合の最後のセーフティネットである生活保護制度における要保護者への対応、公共料金等の徴収の現場など、それぞれの現場の特質を十分に考慮し、カスタマー・ハラスメントに当たるかどうかを判断する必要がある。
- 国の機関や自治体等は、「事業者の取組に関する事項」に基づく取組を検討する際は、民間企業とは異なる特質があることを十分踏まえ、住民の権利を不当に侵害しないよう、慎重な対応が求められる。
- 議員は、自治体等の職員にとって行政サービスを提供する相手方ではないが、「就業者の遂行する業務の目的に相当な関係を有する者」としてこの条例の「顧客等」に当たる。
- 一方、議員は、自治体の首長と同様に特別職の公務員である。議員は行政の監視機能を有し、地方自治法第89条第3項で「住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない。」と規定されており、地方議会の議員は住民の声を公務員(行政)に伝える責務も負っている。
- 議員に関連するカスタマー・ハラスメントへの対応については、議員の仕事の特質や、こうした活動に対するハラスメントが起こり得る視点も考慮する必要がある。
- 事業者の責務
- 条例第9条では、顧客等からのカスタマー・ハラスメントを防止するための措置を講ずる必要がある「事業者」が果たすべき責務を明らかにしている。同条第1項では、「事業者は、基本理念にのっとり、カスタマー・ハラスメントの防止に主体的かつ積極的に取り組むとともに、都が実施するカスタマー・ハラスメント防止施策に協力するよう努めなければならない。」と規定している。同条第2項では、「事業者は、その事業に関して就業者がカスタマー・ハラスメントを受けた場合には、速やかに就業者の安全を確保するとともに、当該行為を行った顧客等に対し、その中止の申入れその他の必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定している。同条第3項では、「事業者は、その事業に関して就業者が顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定している。
- なお、事業者と就業者との間で雇用関係がない場合(例:派遣労働者、無償ボランティア、インターンシップ生、フランチャイズ加盟店の経営者・従業員など)であっても、その就業者は事業者の事業に関連した業務に従事していることから、雇用関係がある就業者と同様に取り扱うことが必要である。
- 「主体的かつ積極的」の考え方
- 就業者が顧客等からカスタマー・ハラスメントを受けた場合、就業者の意欲の低下等を起因とした職場環境の悪化、職場全体の生産性の低下等につながり得ることで、事業者の事業活動の継続に大きな影響が生じる。事業者においては、カスタマー・ハラスメント防止に当たって、事業者ごとの状況に合わせた効果的な対策を講じるとともに、就業者がカスタマー・ハラスメントによる被害を受けないよう、積極的な取組が求められる。
- 「都が実施するカスタマー・ハラスメント防止施策に協力」の考え方
- 事業者は、現代の社会経済活動において重要な役割を果たす存在として、その社会的影響力は大きい。事業者においては、カスタマー・ハラスメントの防止に関する都の施策を実効性あるものにするため、これに協力することが求められる。
- 「就業者の安全を確保」の考え方
- 労働契約法(平成19年法律第128号)第5条の規定により、事業者には、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務がある。事業者においては、顧客等による暴力行為等によって就業者の安全が脅かされる事態が発生した場合、あらかじめ定めた対応方針に従い、現場監督者等が対応を代わった上で、顧客等から就業者を引き離す、あるいは、弁護士や管轄の警察と連携を取りながら対応するなど、就業者への被害がこれ以上継続しないようにすることが求められる。
- なお、労働契約法が適用されない公務員のような公務現場で働く就業者であっても、カスタマー・ハラスメントによって健康や安全が害される可能性がある点で何ら変わりはないことについて、十分留意する必要がある。
- 「中止の申入れその他の必要かつ適切な措置」の考え方
- 事業者においては、カスタマー・ハラスメントが発生した場合、行為者である顧客等に対して、就業者への行為を止めるよう要請するとともに、あらかじめ定めた対応方針に従い、現場監督者等からの退去要請や出入り禁止、商品やサービスの提供停止の通告等の対処を行うことが求められる。その際、恣意的で正当な理由のない退去要請や出入り禁止、商品やサービスの提供の拒否がないよう、十分留意する必要がある。
- 「就業者が顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わない」の考え方
- 就業者は、カスタマー・ハラスメントを受ける立場である一方、例えば、取引先との関係では顧客等であるなど、カスタマー・ハラスメントを行う立場にもなり得る。事業者においては、事業に従事する者が、カスタマー・ハラスメントを行わないよう、カスタマー・ハラスメント防止に関する啓発や教育等を行っていくことが求められる。
- また、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第11条第3項の規定の趣旨を踏まえ、就業者の行為に関連して取引先の事業者から「第5 事業者の取組に関する事項」の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずることが求められる。
- 「主体的かつ積極的」の考え方
- 事業者の取組に関する事項(対応のポイント)
- カスタマー・ハラスメント対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
- カスタマー・ハラスメント対策の基本方針や基本姿勢を明確にすることで、事業者が就業者を守り、尊重しながら業務を進めるという安心感が就業者に育まれる。
- また、こうした基本方針等を外部に対して周知することで、事業者の姿勢が顧客等に対しても明確になる。
- さらに、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者やその周囲の就業者も、実際のトラブルに係る事例やその解消に関して発言しやすくなり、その結果、再発を防ぐことにもつながることが期待される。
- カスタマー・ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知
- 自社の就業者が、カスタマー・ハラスメントに該当する言動をした場合、具体的にどのような対処がなされるのかをルールとして明確化し、就業者に認識してもらうことで、カスタマー・ハラスメントの防止を図ることが重要である。
- 具体的にカスタマー・ハラスメントに該当する言動と社内の処分内容を対応させた懲戒処分規定を定めるほか、その判断要素を明らかにする方法が考えられる。
- 相談窓口の設置
- カスタマー・ハラスメントに関する就業者からの相談に対し、対応可能な窓口をあらかじめ職場内に定めた上で、就業者に対して広く周知することが求められる。
- ここでいう「相談窓口」とは、形式的なものではなく、実際に就業者による利用が可能なものである必要がある。また、就業者が利用しやすいよう、面談だけでなく電話やメールなど、複数の方法で相談を受けられることが望ましい。
- 適切な相談対応の実施
- 相談窓口の担当者は、就業者からの相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにする必要がある。
- ここでいう「相談内容や状況に応じて適切に対応」とは、カスタマー・ハラスメントが発生した現場の事実確認を行い、顧客等への対応方法の検討・実施、就業者へのフォロー等、事案に即した対応を意味する。
- また、研修を実施する場合、相談窓口の対応者が、事業者であらかじめ定めた基準や対応手順を理解し、ケーススタディ等を通して対応例を想定しておくようなものが有効である。
- 相談窓口の担当者が就業者から相談を受ける際は、就業者が事業者や職場の上司に不信感を持たないよう、その話に真摯に耳を傾け、詰問にならないように留意し、丁寧に対応することが必要である。就業者から自殺を暗示する言動があった場合、直ちに医療専門家につなぐ等の対応が求められる。
- 相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じて就業者に周知
- カスタマー・ハラスメントを受けた就業者に関する個人情報は、個人のプライバシー保護に関連する事項であり、事業者は、その保護のために必要な措置を講ずるとともに、その旨を就業者に周知することで、就業者が安心して相談できるようにする必要がある。
- 相談を理由とした不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め周知
- 就業者が実質的にカスタマー・ハラスメントに関する相談等をしやすくするため、相談等を理由とした不利益な取扱いがされない旨を定めた上で、就業者に周知・啓発することが必要である。カスタマー・ハラスメント対策の基本方針の周知・啓発の際や相談窓口の設置の周知に併せて、これらを周知することが望ましい。
- 現場での初期対応の方法や手順の作成
- カスタマー・ハラスメントが発生した際の対応方針は、事業者の業種、業態、企業文化、顧客等との関係などによって異なると考えられるため、各事業者の状況に合わせた対応例を準備しておくことが重要である。したがって、各業界団体は、事業者にとってよりどころとなるようなマニュアルをあらかじめ作成しておくことが望ましい。
- 対応例を作成する際は、顧客等に対して複数名で対応する、一次対応者に代わって現場監督者が対応するなど、就業者の安全に配慮した内容とする必要がある。
- ただし、小規模事業者等の場合や対応を引き継ぐ管理者がいない場合も想定されるため、現場の就業者のみでも対応可能な基本的な対応方法を周知・教育しておくことが望ましい。
- 内部手続(報告・相談、指示・助言)の方法や手順の作成
- カスタマー・ハラスメントに対応する体制を構築する上で、就業者からの相談を受ける相談対応者、相談窓口とは別に、カスタマー・ハラスメント対策を推進し、取組全体を所管する組織があることが望ましい。
- 例えば、本社組織(人事労務部門、カスタマーサービス部門、法務部門など)が中心となって対策推進チームを設け、基本方針や対応方法・手順の作成、教育や周知、再発防止策の検討・実施を取りまとめるという体制を取ることが考えられる。
- 事実関係の正確な確認と事案への対応
- 事実関係の確認の際は、カスタマー・ハラスメントを受けたとの相談があった就業者の心身の状況や受け止め方等にも配慮し、本人の意向に沿いながら丁寧かつ慎重に対応する。
- その際、カスタマー・ハラスメントを受けた当時の状況が録音・録画されたものを相談者とともに確認すると、より正確に状況を把握することができる。
- その後の対応は、確認した情報を基に決めるが、あらかじめ社内で対応方針・手順を決めておくことが望ましい。
- 顧客等による著しい迷惑行為により、事業者に何らかの損害が発生した場合、事業者から顧客等に対して損害賠償請求をする可能性がある旨、あらかじめ明示しておくことが望ましい。
- 就業者の安全の確保
- 正当な理由のない恣意的な退去要請や出入り禁止、商品やサービスの提供の拒否がないよう、十分留意することが必要である。
- 就業者の精神面及び身体面への配慮
- 就業者が性的な言動等を伴うカスタマー・ハラスメントを受けた際は、同性の担当者が相談対応するなど、被害内容に合わせた配慮が必要である。
- 就業者への教育・研修等
- 顧客等からの迷惑行為や悪質なクレーム等への具体的な対応について、就業者への教育・研修等を行う必要がある。
- 研修は可能な限り就業者全員が受講できるようにし、中途入社の就業者がいることなどを考慮すると、定期的に実施することが望ましい。特に経営層に対しては、カスタマー・ハラスメントが事業に与える影響や優先順位を判断した上での対応が求められることについて、外部講師を招いた研修等を通じて意識改革を図るなど、積極的な取組を促すことが有効である。
- カスタマー・ハラスメントの再発防止に向けた取組
- カスタマー・ハラスメントの再発を防止するためには、定期的な取組の見直しや改善を行う必要がある。職場の管理職から現場の就業者への注意喚起、接客対応に関する研修、eラーニングを活用した周知のほか、プライバシーに配慮した上で社内会議等において情報共有することも有効である。
- カスタマー・ハラスメント対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
- その他カスタマー・ハラスメントを防止するために必要な事項
- 条例附則第2項では、「都は、社会環境の変化及びこの条例の規定の施行の状況その他カスタマー・ハラスメントの防止に関する取組の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定している。
- 今後、カスタマー・ハラスメント防止に向けて、国による法制化や他自治体による条例化など、カスタマー・ハラスメントを取り巻く社会環境の変化が見込まれる。
- その際、国の法制度等と比較して条例の見直しを図るなど、弾力的な対応が求められることが想定されるため、あらかじめ条例の中に見直し規定を設けている