危機管理トピックス
マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理/労働基準関係法制研究会報告書/デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会デジタル広告WG
更新日:2025年1月27日 新着19記事
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【新着トピックス】
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
- 関東財務局 トヨタモビリティ東京株式会社に対する行政処分について
- 東海財務局 株式会社グッドスピードに対する行政処分について
- 警察庁 国民生活の安全・安心のための広報啓発活動の強化について~インターネットを通じた呼びかけ~
- 国民生活センター 注意!「セルフエステ」はクーリング・オフ対象外
- 国土交通省 能登6市町において水道の本復旧に向けて「衛星画像を活用した漏水調査」を実施します~DXにより、水道の早期復旧を目指します~
金融庁
- マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理(案)
- 金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」報告書の公表について
内閣府
- 月例経済報告(令和7年1月)
- 令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度
消費者庁
- 電話勧誘販売業者【 株式会社ディプセル及び株式会社ウィリング 】に対する行政処分について
- 食品寄附ガイドライン~食品寄附の信頼性向上に向けて~(概要)
厚生労働省
- 第193回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
- 第80回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
経済産業省
- 国内初の中型バスでのレベル4自動運転による運行を開始します
- 「GX推進のためのグリーン鉄研究会」のとりまとめを行いました
総務省
- 「令和6年版 救急・救助の現況」の公表
- デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会デジタル広告ワーキンググループ(第5回)配付資料
- ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会(第5回)
- 令和6年版 消防白書
~NEW~
関東財務局 トヨタモビリティ東京株式会社に対する行政処分について
- 関東財務局は、本日、トヨタモビリティ東京株式会社(本社:東京都港区、法人番号:5010401042032。以下「当社」という。)に対し、保険業法(平成7年法律第105号)第306条の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。
- 行政処分の内容
- 業務改善命令(保険業法第306条)
- 業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者の保護を図るため、今般、保険業法第305条第1項の規定に基づき実施した立入検査において確認された保険金不正請求疑義事案を含む不適切事案について全容把握のための調査を実施し、調査結果を踏まえた真因分析を行った上で、以下を実行すること
- 今回の処分を踏まえた経営責任の所在の明確化
- コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
- 適切な保険募集管理態勢の確立
- 適切な顧客情報管理態勢及び苦情等管理態勢の確立
- 上記を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化
- 上記1.に係る業務の改善計画を、令和7年2月21日(金曜)までに提出し、ただちに実行すること
- 上記2.の改善計画について、実施完了までの間、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和7年5月末とする)
- 業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者の保護を図るため、今般、保険業法第305条第1項の規定に基づき実施した立入検査において確認された保険金不正請求疑義事案を含む不適切事案について全容把握のための調査を実施し、調査結果を踏まえた真因分析を行った上で、以下を実行すること
- 業務改善命令(保険業法第306条)
- 処分の理由
- 当社は、トヨタ自動車株式会社の直営の自動車ディーラーであり、新車・中古車の販売、点検・整備及び板金塗装事業を行うほか、保険代理店を兼業している企業であるが、本業において、令和2年2月に高機能塗装・ボデーコートの未施工による保険金の過大請求等が多数判明したとして、再施工を行う旨を公表したほか、令和3年9月には、不正車検が多数発覚したことにより国土交通省から行政処分を受けている。
- これら一連の不祥事件を受け、当社は、令和3年8月に、「内部管理体制マニュアル」を策定し、3ラインオブディフェンスによる内部統制を構築することで、ガバナンスの強化を図る等、再発防止策に取り組んできたとしている。
- しかしながら、今般、保険業法第305条第1項の規定に基づく立入検査を実施したところ、本業における保険金不正請求について、当社は、不正発覚後の伏在調査により4,820台で同事案が発覚したとしているものの、当該伏在調査が部分的・限定的で不十分となっていることに加え、修理に使用していない部品代金を保険金として過大に請求するといった不正請求疑義事案が多数内在している蓋然性が高いと認められる等、保険金不正請求の未然防止態勢は不十分であると認められる。
- こうした中、当社における保険代理店としての経営管理態勢、保険募集管理態勢等についても、以下の問題が発生していることが確認されており、こうした実態は、保険業法第294条の3第1項等に規定する体制整備義務に違反するとともに、特定の保険商品を推奨販売する際の推奨理由の説明については、保険業法第294条第1項及び保険業法施行規則(平成8年大蔵省令第5号)第227条の2第3項第4号ハに、個人情報の管理については、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第23条に違反するものと認められる。
- 経営管理態勢(ガバナンス)
- 当社経営陣は、保険事業に関しては、「本業ではない」との意識が根底にあり、同事業に保険業法等に精通した十分な人的リソ-ス(質・量)を配賦していないほか、人材育成も行っていないため、3ラインオブディフェンスによるそれぞれの取組が形骸化している等、内部統制上、重大な問題・欠陥があり、その結果、2.3.及び4.の問題等が発生している。
- 経営陣自身が保険業法等に関する知見を有しておらず、保険事業の内部統制の構築に向けた議論を全く行っていない等、ガバナンス体制が機能不全となっている。
- 2ラインである保険推進室は、1ラインの監視に必要な権限や人員配置を受けていないため、1ラインの業務運営状況の実態を全く把握しておらず、2ラインとしての機能を果たしていない。
- 3ラインである「正しいことを正しく推進部」は、保険事業のリスクを検知・評価できる人材が配置されていないため、監査手法が形式的な点検にとどまっており、今回の検査において認められた多くの問題が検知・是正できておらず、3ラインとしての機能を果たしていない。
- 当社経営陣は、保険事業に関しては、「本業ではない」との意識が根底にあり、同事業に保険業法等に精通した十分な人的リソ-ス(質・量)を配賦していないほか、人材育成も行っていないため、3ラインオブディフェンスによるそれぞれの取組が形骸化している等、内部統制上、重大な問題・欠陥があり、その結果、2.3.及び4.の問題等が発生している。
- 保険募集管理態勢
- 当社では、経営陣の「保険事業に関しては、「本業ではない」との意識」から、保険推進室において、1ラインの監視に必要な権限や人的リソースが不足し、保険募集管理に必要な保険募集人への教育や管理、モニタリング及び苦情管理を行えない状態が続いている。
- こうした中、保険募集人教育やモニタリング等において、以下のような問題が認められる。
- 推奨保険会社を選定して商品を推奨する場合、顧客に対してその推奨理由の説明が義務づけられているが、保険推進室担当役員は、保険募集に係る法令等に関する知見に乏しく、店舗ごとに推奨理由を定めていない。
- 多数の保険募集人が、推奨保険会社の商品を推奨する理由を説明していないほか、保険募集人が個々に創作した推奨理由を説明している事例が認められる。
- 保険推進室担当役員は、保険募集に係るモニタリングを行うために必要な体制整備についての認識が欠如していたことから、営業現場をモニタリングする保険推進室に必要な人員・人材の配置や調査権限の付与を行っておらず、保険推進室は、保険募集コンプライアンスの観点でモニタリングを実施していない。
- 保険推進室は、保険募集人が実施すべき具体的な募集プロセスや1ラインの管理者による管理方法を定めておらず、今回検査の実地調査等において、保険募集人が重要事項の説明を網羅的に行っていない実態が認められた。
- 顧客情報管理態勢
- 経営陣及び担当部署は、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等の存在すら認知していないため、法令等で求められている各種安全管理措置を講じておらず、個人情報を適切に管理するために必要な体制整備を怠っており、以下のような問題が認められた。
- 個人データの管理が役職員の属人的な判断・管理に委ねられている等、ガイドライン等で求められている「各管理段階における安全管理措置に係る取扱規程」が定められていない。
- 各部署の個人情報の管理責任者は、保有する個人データを網羅的に洗い出していないほか、個人データの取扱状況を確認できる5項目の要件を満たした台帳の定期的な見直しを行っていないため、台帳に記載されていない個人データが多数存在しているほか、台帳の正確性が担保されていない等、データ管理が機能不全に陥り、データの一部が外部に漏えいしている。
- 個人データに関する技術的安全管理措置として、個人データの利用者の識別及び認証、アクセス制御・制限、管理及び外部からの不正アクセスを防止する措置等を講じなければならないとされているが、当社は、オンラインストレージで保有している個人データのアクセス権限やパスワード設定を各部署の判断に委ねており、その適切性について全く確認していないため、担当部署が長期にわたり、損害保険会社の社員に対し、オンラインストレージで保有している個人データ(2.3万件)へのアクセス権限を与えている大規模な情報漏えい事案が認められた。
- 担当部署は、機器及び電子媒体等の盗難防止や電子媒体等を持ち運ぶ場合の漏えい等の防止等に関するルールを策定しているが、本社部門の担当者等に対して、周知していないため、個人用のUSBで、当社の社員等の個人データ(9,489人分)を外部に持ち出し、USBを紛失する漏えい事案等不適切な事例が複数認められた。
- 経営陣及び担当部署は、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等の存在すら認知していないため、法令等で求められている各種安全管理措置を講じておらず、個人情報を適切に管理するために必要な体制整備を怠っており、以下のような問題が認められた。
- その他
- お客様関連部及び保険推進室が、保険代理店としての苦情対応の重要性の認識が欠如していることから、苦情対応の基本となる方針、規程・マニュアル等を一切整備しておらず、また、真因や効果的な再発防止策を協議する態勢を整備していない。
- 経営管理態勢(ガバナンス)
- 行政処分の内容
~NEW~
東海財務局 株式会社グッドスピードに対する行政処分について
- 東海財務局は、本日、株式会社グッドスピード(本社:愛知県名古屋市、法人番号:4180001057902)に対し、保険業法第306条の規定に基づき、下記のとおり、行政処分を行う旨の命令を発出した。
- 命令の内容
- 保険業法第306条(業務改善命令)に基づく命令
- 業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者の保護を図るため、今般、保険業法第305条第1項の規定に基づき実施した立入検査において確認された保険金不正請求疑義事案を含む不適切事案について全容把握のための調査を実施し、調査結果を踏まえた真因分析を行った上で、以下を実施すること
- 今回の処分を踏まえた経営責任の所在の明確化
- コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
- 適切な保険募集管理態勢の確立
- 適切な苦情管理態勢及び顧客情報管理態勢の確立
- 上記を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化
- 上記1.に係る業務の改善計画を、令和7年2月21日(金)までに提出し、ただちに実行すること
- 上記2.の改善計画について、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和7年5月末とする)
- 業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者の保護を図るため、今般、保険業法第305条第1項の規定に基づき実施した立入検査において確認された保険金不正請求疑義事案を含む不適切事案について全容把握のための調査を実施し、調査結果を踏まえた真因分析を行った上で、以下を実施すること
- 保険業法第306条(業務改善命令)に基づく命令
- 処分の理由
- 保険業法第305条第1項に基づく立入検査の結果、保険代理店としての経営管理態勢、保険募集管理態勢等について、以下のような問題が認められた。
- 当社は、中古車販売・買取等を中核事業とする保険代理店を兼業する企業であるが、当社の事故車修理において不適切な保険金請求疑義事案が発生しているとの報道を受け、当社の板金塗装部門が実施主体となった社内調査を実施し、令和5年8月には、調査対象案件1,051件に対して30件の不適切請求事案が判明した旨公表している。
- その後、当社は、当該社内調査の信用性に問題があるとの取引銀行の意向を踏まえ、社外取締役監査等委員を調査委員長とする2回目の社内調査を実施し、令和5年10月には、調査対象案件1,664件に対して91件の不適切請求事案が認められたと公表している。
- そのほか、当社は、令和6年1月には、不正な会計処理が継続的かつ組織的に行われていたことも公表している。
- これらの一連の不祥事件を受け、当社は、役員の意識改革とけん制機能の強化、監査等委員の監督強化、営業偏重の企業風土からの脱却、及びコンプライアンス部門・内部監査部門の強化等、ガバナンスの改善等を含めた再発防止策に取り組んでいるとしている。
- しかしながら、今般、保険業法第305条第1項の規定に基づく立入検査を実施したところ、2回目の社内調査は取引銀行から早期の融資再開を受けるために短期間での実施にとどまっていた等、実態把握や再発防止のために十分な調査を行っていない可能性がある上、調査委員長が調査結果の内容を改ざんする等極めて不適切な行為が認められた。
- こうした中、当社における保険代理店としての経営管理態勢、保険募集管理態勢等についても、以下の問題が発生していることが確認されており、こうした実態は、保険業法第294条の3第1項等に規定する体制整備義務に違反するとともに、特定の保険商品を推奨販売する際の推奨方針・理由の説明については、保険業法第294条第1項及び保険業法施行規則(平成8年大蔵省令第5号)第227条の2第3項第4号ハに規定する情報提供義務に違反するものと認められる。
- 経営管理態勢(ガバナンス)
- 経営陣は、営業偏重及び過度な事業収益拡大志向の企業風土等により、3ラインオブディフェンスが機能していない等、経営管理態勢に深刻な問題が生じている実態を看過し、以下のとおり、保険募集業務の健全かつ適切な運営を確保するための体制整備を怠っており、その結果、2.及び3.の問題等が発生している。
- 経営陣は、戦略及び経営執行に関する重要事項を実質的に協議する機関として設置した経営連絡会の位置づけや運営方法等を定めておらず、同連絡会の役割・責任等を不明確な状態のままにしている。
- 経営陣は、保険募集管理部門の役割・責任・権限等を適切に定めていないほか、保険募集管理部門を営業推進部門の傘下に配置する等、同部門の営業部門に対するけん制機能を確保しているとは言い難い組織体制としている。
- 経営陣は、内部監査部が要員面でぜい弱な体制であることから、リスクベースの監査計画を策定していない実態にあることを看過している。
- 経営陣は、コンプライアンス体制の整備・推進のために設置したコンプライアンス委員会が、コンプライアンス統括部署であるコンプライアンス部にコンプライアンスプログラムを策定させておらず、全社的なコンプライアンス推進を図る等の措置を講じていないことを看過している。
- 経営陣は、営業偏重及び過度な事業収益拡大志向の企業風土等により、3ラインオブディフェンスが機能していない等、経営管理態勢に深刻な問題が生じている実態を看過し、以下のとおり、保険募集業務の健全かつ適切な運営を確保するための体制整備を怠っており、その結果、2.及び3.の問題等が発生している。
- 保険募集管理態勢
- 保険募集管理部門においては、保険会社からの出向者の引き上げによるリソース不足により、保険募集管理に必要な保険募集人への指導や管理、モニタリング及び苦情把握等を行えない状態が続いている。
- しかしながら、経営陣は、保険募集に関する業務を全て担当役員任せとし、同役員からリソースの問題を含む保険募集管理態勢の状況を報告させておらず、実態を把握することを怠っており、以下のような問題が認められる。
- 保険募集管理部門の責任者(以下、「保険募集管理責任者」という。)は、営業推進業務を優先し、店舗の付保率を向上させる取組に注力していることから、保険募集人に対する体系的な指導要領や研修の具体的手順・時期を定めた実施要領を整備しておらず、保険募集人の教育・管理・指導を行う体制を構築していない。
- 保険募集管理責任者は、契約後早期に解約・解除された契約が直近1年に全店舗の8割以上の店舗において発生し、不適切な募集が行われている可能性があることを認識していながら、これらの契約に対するモニタリングのルール・方法等を策定しておらず、モニタリングを通じて不適切な保険募集を検知し得る態勢を整備していない。
- 保険募集管理責任者は、特定の保険会社の保険商品を推奨販売するにあたり、「損害保険商品に関する推奨販売方針」を策定し、「日常のサポート体制や事務に精通している」ことを各店舗一律の推奨理由としているが、実際には「保険会社からの入庫紹介等による当社への本業支援」や「店舗の保険付保率の高低等の実績」により推奨保険会社を選定している。加えて、顧客に推奨理由を説明しなければならないことをマニュアルに明確に規定していないほか、推奨方針・理由の説明についての実態把握も行っていない。
- 保険募集管理部門は、当社が販売を推進する長期自動車保険について、保険期間の最終年度に事故が発生した場合等には、1年契約の自動車保険と比べて支払保険料の総額の面で不利になるケースがあることを踏まえて、適切に顧客への説明を行う措置を講じていない。
- 保険募集管理部門においては、保険会社からの出向者の引き上げによるリソース不足により、保険募集管理に必要な保険募集人への指導や管理、モニタリング及び苦情把握等を行えない状態が続いている。
- その他
- 保険募集管理部門は、店舗又は同部門が受け付けた保険業務に係る苦情について、責任者や責任部署等を定めていない等、苦情を把握し管理する体制の整備を怠っており、加えて、苦情の再発防止策を策定した後、その実効性の検証を行うルールを定める等、苦情を今後の業務に活かすための体制を整備していない。
- 当社における個人情報保護の責任者である代表取締役社長等は、個人情報保護に係る人的リソースが不足しているにもかかわらず、必要な対応をとっておらず、個人情報の安全管理措置に問題が認められる等、適切な顧客情報管理態勢の整備を怠っている。
- 経営管理態勢(ガバナンス)
- 命令の内容
~NEW~
警察庁 国民生活の安全・安心のための広報啓発活動の強化について~インターネットを通じた呼びかけ~
- 概要
- 犯罪実行者募集に起因する強盗等の「犯行に加担させない」ための対策として、SNS等で犯罪実行者募集に応募する可能性がある者等に対して、犯罪実行者募集に応じないよう、インターネットを通じた呼びかけを実施するもの。
- 内容
- 実施日:令和7年1月27日(月)から順次(令和7年3月21日(金)まで)
- 媒体:犯罪実行者の募集実態が認められるSNS等
- 啓発内容:犯罪実行者募集の危険性や、危険な募集情報を伝えるとともに、疑問や不安を感じた際は警察相談専用電話「♯9110」に相談すること等について呼びかけを実施。
~NEW~
国民生活センター 注意!「セルフエステ」はクーリング・オフ対象外
- 事例
- サイトで見つけた歯のセルフホワイトニングサロンに出向き、低額の体験コースを申し込んだ。自分で歯に薬剤を塗布して専用の機械で光を照射した。効果はあまり感じなかったが「何回か通うと白くなる」と言われ、「体験当日に10回分の回数券を購入すると、有料体験コースが無料になり、2回分増える」と勧誘されて回数券約3万円を購入した。帰宅後、全回通っても効果があるのか、将来、就職で当地を離れたら全回通えるのかなどを考え、クーリング・オフを希望したがサロンに「できない」と言われた。(当事者:学生)
- ひとことアドバイス
- エステティシャンが施術を行う、いわゆるエステティックサロンでは、期間が1カ月を超え、金額が5万円を超える場合、特定商取引法の特定継続的役務に該当しクーリング・オフができますが、事例のような「セルフエステ」は自身で機器等を使用するため、一般に同法の対象外とされており、クーリング・オフはできません。
- 無料体験コースのつもりでも「今日ならお得」などの勧誘に、焦って契約してしまいがちですが、迷ったらきっぱりと断りましょう。
- 契約の際は契約期間や違約金の有無等をよく確認し、長期間の契約や回数券を購入する場合、継続できるかどうかや中途解約の可否も踏まえ、慎重に検討しましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
~NEW~
国土交通省 能登6市町において水道の本復旧に向けて「衛星画像を活用した漏水調査」を実施します~DXにより、水道の早期復旧を目指します~
- 令和6年能登半島地震で水道施設に甚大な被害が生じた能登6市町において、「衛星画像を活用した漏水調査」を実施します。
- 令和6年能登半島地震において、奥能登地方で水道施設に甚大な被害が発生しました。
- 全国の水道事業者の応援もあり、令和6年5月末をもって、建物倒壊地域等を除いて、水道事業体が管理している水道施設の応急復旧が完了しております。
- 一方で、地域に水を供給できているものの、地震等の影響で、現在も水道管から漏水している可能性がある状況で、その箇所を特定するには、広範囲であるため、時間を要することが考えられます。
- このため、漏水調査を効率的かつ効果的に実施していくにあたって、「衛星画像を活用した漏水調査※」を、特に水道施設の被害が甚大であった七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の能登6市町で実施致します。※当該調査は、「Digi田甲子園2023」において「内閣総理大臣賞」を受賞したものである。
- 引き続き、国土交通省としては、能登半島地震からの復旧・復興に向けて被災市町を支援していきます。
~NEW~
金融庁 マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理(案)
- 位置付け
- 本文書は、金融機関等が有効性検証を実施するための参考となる文書かつ金融庁と金融機関等との対話の材料という位置付けとし、金融庁によるモニタリングにおいて、本文書の個々の論点を形式的に適用したり、チェックリストとして用いたりすることはしない。また、本文書を用いた対話に当たっては、金融機関等の規模・特性を十分に踏まえた議論を行う。
- 金融機関等においては、以下に記載する内容について、チェックリストのように用いて自社の対応状況を確認するといった使い方ではなく、Ⅲ章に記載した考え方も参考に自社で有効性検証を実施する、金融庁等との有効性に係る対話などにおいては、Ⅳ章の内容も参考に自社のマネロン等対策の有効性についての説明等を実施するといった対応を行うことが有用である
- 金融機関等における有効性検証
- 金融機関等はGLに基づいてマネロン等リスク管理の基礎的な態勢整備を実施している。一方で、金融機関等がGLの「対応が求められる事項」に則してマネロン等リスク管理態勢をある時点で整備していたとしても、
- 変化するマネロン等リスクの特定・評価の見直しが適切にできていない、
- 特定・評価の見直しを踏まえた低減が適切にできていない、
- といった場合は、有効なマネロン等対策が実施できているとは言えない。こうしたことを防ぎ、金融機関等が有効なマネロン等対策を継続的に実施するためには、「自社が、直面するマネロン等リスクの特定・評価・低減を適切に実施していること」を自ら確認することが必要である。
- また、検証の結果発見した課題を改善していない場合、有効なマネロン等対策を行っているとは言えないため、課題に対して自主的に改善対応を行うことも重要である。
- なお、GLで求めているとおり、マネロン等対策担当役員をはじめとする金融機関等の経営陣においては、自社の直面するマネロン等リスクや自社のマネロン等対策について理解すること等はもちろんのこと、有効性検証を実施するための態勢を整備すること、自社のマネロン等対策が有効であることを自ら説明できること、有効性検証の実施や発見した課題への改善対応に主導的に関与すること等も必要である。
- 有効性検証の目的と視点
- 有効性検証は、金融機関等が、変化するマネロン等リスクに対して有効な管理態勢の維持・高度化を目的として、「自社が、直面するマネロン等リスクの特定・評価・低減を適切に実施していること」を確認する取組みである。
- マネロン等リスク管理態勢の有効性検証においては、金融機関等が、
- マネロン等リスクの特定・評価が適切か
- マネロン等リスクの低減が適切か
- という視点で、自社のマネロン等リスク管理態勢を検証することが考えられる。
- また、重大な法令違反等の発生や自社の商品・サービスを悪用されたマネロン等事犯の多発などマネロン等リスクが顕在化したと思われる事象が発生した際に、必要に応じてリスクの特定・評価・低減を追加で実施すべきことはGLで求められているところ、当該事象を踏まえて自社のマネロン等リスク管理態勢の有効性検証を行い、必要に応じて改善対応を行うことも重要と考えられる。
- 想定される実施内容
- 有効性検証は一過性の取組みではなく、継続的に検証を実施し、その結果を踏まえて改善対応を行うことが必要である。そこで、以下に述べる内容を参考に、各社が実施すべき有効性検証を検討の上、計画を作成し、計画に則って検証を実施し、検証結果に応じて改善対応を行うことが重要である。
- 有効性検証の実施計画の作成に当たっては、内外の情報を勘案し、有効性検証を行う対象を選定することが考えられる。例えば、リスクの特定・評価の結果、監査の指摘事項、当局からの指摘事項、社内の規程・手続等の改定状況、組織・体制の変更、自社で取り扱う商品・サービスの変化、及び過去の有効性検証結果等を勘案して、有効性検証を行う対象を選定し、年度計画を作成すること等が考えられる。なお、必ずしもマネロン等対策に係る業務を一律に全て単年で有効性検証を実施することまでは必要なく、例えば、リスクに応じて、毎年検証を行う業務や数年ごとに検証を行う業務が存在しうる。
- また、マネロン等対策の有効性確保のためには、自社の方針・手続・計画等を策定した上で、経営陣による関与の下、これを全社的に徹底し、有効なマネロン等リスク管理態勢を構築することが求められる。この点は有効性検証においても同様であり、営業・管理・監査の各部門が担う役割・責任を、経営陣の責任の下で明確にして、組織的に対応を進めることが重要である。そこで、有効性検証の実施のため、経営陣が主導して適切な資源配分を行い、各部門が役割・責任に応じて連携することで、有効性検証の取組みを実施するための態勢を整備することも重要である。
- マネロン等リスクの特定・評価に係る検証
- マネロン等対策においては、リスクベース・アプローチの実施が重要である。リスクの特定はリスクベース・アプローチの出発点であり、リスクの評価は低減措置等の具体的な対応を基礎付け、リスクベース・アプローチの土台となるものであるため、リスクの特定・評価が適切でない場合、マネロン等対策全体の基礎が揺らぐこととなる。よって、有効性検証においても、リスクの特定・評価が適切に実施できているか確認することが重要である。
- GL等に基づき、金融機関等は自社の直面するマネロン等リスクの特定・評価の結果として文書(リスク評価書)を作成している。よって、マネロン等リスクの特定・評価に係る検証として、金融機関等が自社のリスク評価書の作成過程の妥当性を確認することが考えられる。
- 直面するマネロン等リスクが、十分な情報を基に特定・評価されており、リスクの変化に応じて適時に更新されている場合、妥当性があると言えると考えている。
- 具体的には、GL等も参照し、以下の観点から検証を行うことが考えられる。
- リスク特定に当たっての包括的かつ具体的な検証において、対象としている内外の情報は十分か。
- 特定したリスクを全て評価しているか。
- リスク評価に当たって活用している情報は十分か(疑わしい取引の届出状況等の分析も踏まえてリスク評価を実施しているか)。
- 定期的にリスク評価を見直す頻度や随時の更新時期は適切か。
- マネロン等リスクの低減に係る検証
- 金融機関等において、変化するマネロン等リスクに対して有効な管理態勢を維持・高度化するためには、直面するマネロン等リスクの特定・評価を踏まえて、適切なリスク低減を実施する必要がある。そこで、金融機関等が実施する有効性検証においては、マネロン等リスクの特定・評価を踏まえて低減策を適切に整備できているか、整備内容に準拠して低減措置を実施できているか確認する必要がある。
- 金融機関等は、マネロン等リスクの低減のために、GLの「顧客管理(カスタマー・デュー・ディリジェンス:CDD)」「取引モニタリング・フィルタリング」「記録の保存」「疑わしい取引の届出」「ITシステムの活用」「データ管理(データ・ガバナンス)」「海外送金等を行う場合の留意点」で求められる内容に対応している。特に有効性を検証することが重要と考えられる業務に関しては、既にGLでも有効性を検証すべき旨に言及しているところであるが、「対応が求められる事項」には明示的に有効性を検証すべき旨の記載がない業務も含めて、上記のリスクの低減に係る業務の有効性を検証し、不断に見直しを行っていくことが必要である。
- そこで、金融機関等では、直面するマネロン等リスクや規模・特性等も踏まえて、上記のリスクの低減に係る業務についてそれぞれ、以下に記載する観点を参考に、低減策を適切に整備できているか、整備内容に準拠して低減措置を実施できているかを定性的・定量的に検証することが考えられる。なお、定量的な検証に当たっては、FATF等の文書も参考に、例えば、疑わしい取引の届出を行った件数や比率(例えば、対象顧客数/全顧客数)、マネロン等(金融犯罪含む)の疑いを理由とした自主的な取引制限等を行った件数や比率(例えば、対象顧客数/全顧客数)、捜査関係事項照会・凍結依頼を受けた件数や比率(例えば、対象顧客数/全顧客数)、取引モニタリングの誤検知率、取引フィルタリングの誤ヒット率、検知から疑わしい取引の届出までに要した日数、継続的顧客管理における定期的な情報更新依頼に対する回答率、自社で策定したマネロン等対策のための手続等に対する対応不備(手続違反等)の件数、などを指標として活用することも考えられる。
- マネロン等リスク低減策の整備に係る検証
- GL等に基づき、金融機関等はマネロン等リスク低減に係る規程等(方針・手続・計画等)やシステム(シナリオ・検知基準・ロジック等)・管理体制等(組織・人員等リソース配分・研修等)といった低減策を整備している。変化するマネロン等リスクに対して有効な態勢を維持・高度化するためには、特定・評価の結果を踏まえて低減策が適切に整備され見直されているか確認する必要がある。
- マネロン等リスクの特定・評価が適切に実施されていることを前提に、特定した全てのリスク領域に対して低減策が設けられており、その低減策がリスク評価の程度に応じた内容となっている場合、規程等やシステム・管理体制等の低減策が適切に整備されていると言える。また、定期又は随時のリスクの特定・評価を行った際に、特定・評価の結果を踏まえて、規程等やシステム・管理体制等の範囲や内容が適切か見直しされていれば、低減策の適切な見直しがなされていると言える。なお、ここでいう見直しは、規程等やシステム・管理体制等がリスクに対して十分に整備できているかという観点から行うことに加えて、既存の規程等やシステム・管理体制等が外部環境等の変化を経て必ずしも必要ではなくなったと判断する場合は、停止や削除、再設計することも含む。具体的には、GL等も参照し、以下の観点から検証を行うことが考えられる。
- 特定したマネロン等リスク全てに対して低減を行うための規程等やシステム・管理体制等が存在するか。
- 規程等やシステム・管理体制等はマネロン等リスクの評価に応じた内容となっているか。
- 定期的又は随時のリスクの特定・評価の結果を踏まえて、整備した規程等やシステム・管理体制等が対象とする範囲・内容が適切か見直しされているか(例えば、導入当初は有効であった取引モニタリングの検知シナリオが、外部環境等の変化を経て不要なシナリオになっていることが判明した場合は、当該シナリオを削除し、当該シナリオにより生成されるアラートへの対応に投じていたリソースを他の分野に投じるなど)。
- マネロン等リスク低減措置の実施に係る検証
- 変化するマネロン等リスクに対して有効な管理態勢を維持・高度化するためには、低減策の整備だけでなく、整備した低減策に準拠して低減措置が実施されていることも確認する必要がある。
- 適切なマネロン等リスク低減策が整備されていることを前提に、規程等に準拠して業務が実施されていること、システムが設計どおりに稼働していること、管理体制が形骸化していないこと等をサンプルチェック等によって確認できる場合、低減策に準拠して低減措置が実施されていると言える。具体的には、GL等も参照し、以下の観点から検証を行うことが考えられる。
- 規程等について、策定したルールに準拠した実務対応がなされているか。
- システムについて、設計した仕様どおりに稼働しているか。
- 管理体制について、設計したとおりに運用されているか(例えば次の観点)。
- 各部門が業務分掌に応じた責任を果たしているか。
- 計画どおりに人員等のリソースが配分されているか。
- 設置した会議体やプロジェクトチーム等は設立趣意に沿った運営がなされているか。
- 計画どおりに研修が実施されているか。
- マネロン等リスクの特定・評価に係る検証
- 適時の有効性検証
- GLで対応を求めているとおり、重大な法令違反等の発生や自社の商品・サービスを悪用されたマネロン等事犯の多発など、マネロン等リスクが顕在化したと思われる事象が発生した際は、当該事象に対応して改めてリスクの特定・評価・低減を実施することが必要である。また、こういった事象が、従来のリスク特定・評価・低減の不足に起因して発生している場合、マネロン等リスク管理態勢は有効であるとは言えない。そこで、変化するマネロン等リスクに対して有効な管理態勢を維持・高度化するためには、事象発生時に、従来のリスクの特定・評価・低減が適切であったかという観点から有効性検証を行う必要がある。また、検証の結果、課題を発見した場合、改善対応を行うことはもちろんのこと、従来の有効性検証で同様の課題が発見できなかった原因を分析し、必要に応じて有効性検証の取組みの改善を行うことも重要である
- 金融機関等はGLに基づいてマネロン等リスク管理の基礎的な態勢整備を実施している。一方で、金融機関等がGLの「対応が求められる事項」に則してマネロン等リスク管理態勢をある時点で整備していたとしても、
- 対話の手法
- 経営陣とは、GLでも求められている内容を踏まえて、計画・実施・改善対応の取組みのための適切な資源配分を行い、有効性検証についても役員・部門間で連携して実施する態勢を整備できているか、有効性検証の実施状況を把握して議論を行い、必要に応じて追加的な対策を指示するなどの主導的な関与を行っているかといった点を中心に対話する。
- 内部監査部門からは、有効性検証に関する計画・実施・改善対応の適切性等について、第1線や第2線から独立した立場で実施した監査の状況とその結果を中心に説明を受け、有効性検証を実施する態勢が適切であるかといった点を中心に対話を行う。
- 有効性検証の担当部署や関係部署等とは、有効性検証の結果も踏まえて、「マネロン等リスクの特定・評価」「マネロン等リスクの低減」「適時の有効性検証」について、それぞれ以下(1)から(3)の内容に留意して対話を行う。
- (1)マネロン等リスクの特定・評価に係る対話
- 金融機関等においては、マネロン等リスクの特定・評価の結果としてリスク評価書を作成している。そこで、まず金融庁は、対話の前に金融機関等から提出された最新のリスク評価書の内容を把握する。その上で、金融機関等からリスク評価書の内容が適切と考える理由(リスクの特定・評価に係る有効性検証の結果)の説明を受け、その後、リスク評価書の内容と金融機関等からの説明内容を踏まえて、金融機関等が実施しているリスクの特定・評価が適切か対話を通じ確認する。
- また、対話において深度ある確認を行うために、金融庁は、金融機関等の直面するマネロン等リスクの特定・評価の結果の仮説を手元に準備し、仮説を踏まえて金融機関等と対話を行い、相互に認識を確認し、一致させることが重要と考えている。
- 仮説は、金融機関等から毎年報告を受領しているマネロン等リスク量に係る計数等を含むリスクの特定・評価に係る情報を基に作成する想定である。なお、金融庁としては、仮説を押し付けたり誘導したりするのではなく、金融機関等からの説明・主張に十分に耳を傾け、その合理性・客観性を踏まえて対話を行う。
- (2)マネロン等リスクの低減に係る対話
- 金融機関等はマネロン等リスクの特定・評価に基づいて、リスク低減策を整備・実施することで、マネロン等リスクの低減を行っている。そこで、金融庁としては、金融機関等において適切に低減策の整備を行っているか、低減策に準拠して低減措置が実施されているか対話を通じ確認する。金融機関等より、マネロン等リスク低減措置について自社が実施した有効性検証の取組み内容やその結果について説明を受けた上で、定性的・定量的な検証結果も確認しつつ対話を行うことを想定している。
- (3)適時の有効性検証に係る対話
- 対象となる金融機関等において、重大な法令違反等の発生や自社の商品・サービスを悪用されたマネロン等事犯の多発などマネロン等リスクが顕在化したと思われる事象が発生していた場合(直近1年間程度を目途)、個別事象の発生経緯や対応内容を含めて、適時の有効性検証の取組みについても対話を行う。
- 適時の有効性検証については、発生した事象に応じて実施内容は様々であるため、説明や対話における観点も発生した事象に応じて異なるものと考えられる。よって以下の点を中心に説明を受け、説明内容を踏まえて対話する。
- 個別事象発生の経緯と発生後のリスク特定・評価・低減の内容
- 個別事象の発生原因の分析結果
- 原因分析を踏まえたリスク特定・評価・低減の取組みの課題と改善対応
- 原因分析を踏まえた有効性検証の取組みの課題と改善対応
- (1)マネロン等リスクの特定・評価に係る対話
- 対話に当たっての留意点
- 上述のとおり、金融機関等において、変化するマネロン等リスクに対して有効な対策を講ずるための管理態勢の維持・高度化には、金融機関等自身で態勢の有効性を検証することが重要であると考えており、個社における取組みは自社が直面するマネロン等リスクに応じて検討されるべきものであることから、金融機関等自身の判断を尊重する必要がある。
- また、対話に際して、金融機関に過度な負担が生じないように配慮する必要がある。
- 金融機関からの情報収集についても、定期的に収集している情報を最大限活用し、真に必要な情報を収集・議論することとし、定期的な情報収集の内容や頻度を適宜見直すことも重要である。
- なお、対話の中で、金融機関等が規制・監督上の課題・悩みを抱えていることを把握した場合には、法規制の解釈の明確化等といった支援を行うことが必要である。
- 当局の問題意識の発信
- 対話の結果として得られた有益な気づきや問題意識(問題事案から得られた教訓や先進的な取組み事例の紹介を含む)については、対話の対象となった金融機関へのフィードバックに加え、金融レポートや業界団体との意見交換等の場を通じて対外的に発信していく。また、重点的にモニタリングを行った特定の課題等について、その結果や今後の課題・着眼点等を必要に応じて公表していく。
- さらに、法規制の変更等の検討を要すると思われる課題が見つかった場合には、関係する部局や省庁と情報共有や意見交換を行う。
- モニタリングに関する態勢整備
- 実効的なモニタリングを行うためには、それを実施する当局側の態勢整備も必要となる。マネロン等対策に関する専門知識のみならず、多様で幅広い情報を収集・分析し、金融機関等の潜在的リスクや課題を抽出する能力、物事の軽重を判断できる能力及び金融機関等の経営陣と十分なコミュニケーションを図ることができる対話力を持つ人材の育成や採用が重要となる。
- あわせて、個別金融機関等や各業態についての知見と、マネロン等対策に関する知識及び経験を、当局全体として高い水準で保持し、それらを十分に活用できる組織の態勢及び文化を醸成していくことが重要となる。例えば、内外の重要な問題事例についてケース・スタディとしてまとめ、考え方を深める材料とし、また、モニタリングの過程で得られた各種情報等を適切に蓄積し、将来のモニタリングに有効に活用できる態勢を整備していくことなどが考えられる。
~NEW~
金融庁 金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」報告書の公表について
▼ 概要
- 送金・決済サービス
- 資金移動業
- 破綻時における利用者資金の返還方法の多様化
- 資金移動業者の破綻時には、供託手続を通じて国が各利用者に対して保全された資金の還付手続を実施することとされており、利用者への資金の還付手続に最低170日の期間を要する。
- 新たに以下の返還方法の選択肢を設けるべき。
- 銀行等による保証の場合、既存の供託を経由する返還方法に加え、保証機関による直接返還
- 信託の場合、既存の供託を経由する返還方法に加え、信託会社等による直接返還
- 第一種資金移動業の滞留規制の緩和
- 高額送金が可能な第一種資金移動業に課せられる極めて厳格な滞留規制について、利用者の利便性等の観点から課題。(※)現行制度上、資金の移動に関する事務を処理するために必要な期間に限って滞留が認められている。
- 滞留規制の趣旨を踏まえつつ、利用者利便を向上させる観点から、以下の見直しを行うべき。
- 上記の破綻時における利用者資金の新たな返還方法を採用する場合、利用者資金の最長2か月の滞留を認める。
- 送金日のみならず、送金期限の指定も認める。
- クロスボーダー収納代行への規制のあり方
- クロスボーダー収納代行について、現行制度上、資金移動業登録は必ずしも必要ではないが、海外オンラインカジノや海外出資金詐欺等に用いられる事例が存在し、金融安定理事会(FSB)の勧告も踏まえた利用者保護やマネロン等のリスクへの対応が必要。
- 商品・サービスの取引成立に関与しない者が行うクロスボーダー収納代行については、基本的には、資金移動業の規制を適用すべき。
- (※)クロスボーダー収納代行とは、国内と国外との資金移動であって、収納代行の形式で行われるもの。
- 破綻時における利用者資金の返還方法の多様化
- 前払式支払手段(プリカ)の寄附への利用
- 前払式支払手段(プリカ)は、一般的な送金手段として認められていないことから、寄附に利用することができない。
- マネロンや詐欺等のリスクにも留意し、国・地方公共団体や認可法人等の寄附金受領者を対象に1回当たり1~2万円を上限にプリカによる寄附を認めるべき。
- 資金移動業
- 暗号資産・電子決済手段(ステーブルコイン)
- 暗号資産
- 暗号資産交換業者等の破綻時等の資産の国外流出防止
- 暗号資産交換業者等が破綻等した場合、暗号資産交換業者等に対する資産の国内保有命令を発出できない。
- (※)暗号資産デリバティブも取り扱う暗号資産交換業者は、金融商品取引業者(金商法)の登録を受けているため、同法により国内保有命令の発出が可能。
- 国内利用者への資産の返還を担保するため、暗号資産交換業者等に対して資産の国内保有命令を発出することができるようにすべき。
- 暗号資産交換業者等が破綻等した場合、暗号資産交換業者等に対する資産の国内保有命令を発出できない。
- 暗号資産等に係る事業実態を踏まえた規制のあり方
- 暗号資産交換業者等と利用者をつなぎ、暗号資産等の売買・交換の媒介のみを行う場合であっても、暗号資産交換業者等の登録が必要。
- 暗号資産等の売買等の媒介のみを業として行う新たな仲介業を創設し、必要限度での規制を適用すべき。
- 暗号資産交換業者等の破綻時等の資産の国外流出防止
- 電子決済手段(ステーブルコイン)
- 特定信託受益権(3号電子決済手段)の発行見合い金の管理・運用方法の柔軟化
- 特定信託受益権の発行見合い金について、全額銀行等への要求払預貯金で管理することが求められている。
- (※)電子決済手段は、法定通貨と連動する価値を有し額面で償還を約するもの等。
- 満期・残存期間3か月以内の日本国債(米ドル建ての場合は米国債)と一定の定期預金による運用を認めるべき(ただし、その組入比率は、50%を上限とする)。
- 特定信託受益権の発行見合い金について、全額銀行等への要求払預貯金で管理することが求められている。
- 特定信託受益権におけるトラベルルールの適用
- 特定信託受益権について、受益権原簿がない場合は、信託会社等が保有者の情報を把握することができない。
- 受益権原簿がない特定信託受益権について、トラベルルールの適用等を通じて電子決済手段等取引業者等に送付人及び受取人の情報を把握させ、適切に監督すべき。
- (※)トラベルルールとは、電子決済手段等取引業者に対して、電子決済手段の移転時に送付人及び受取人の情報の把握を求めるもの。
- 特定信託受益権(3号電子決済手段)の発行見合い金の管理・運用方法の柔軟化
- 暗号資産
~NEW~
内閣府 月例経済報告(令和7年1月)
▼ 閣僚会議資料
- 日本経済の基調判断
- 現状【判断維持】
- 景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。
- (先月の判断)景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。
- 先行き
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
- 政策の基本的態度
- 経済財政運営に当たっては、デフレ脱却を確かなものとするため、「経済あっての財政」との考え方に立ち、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現していく。
- このため、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」(11月22日閣議決定)及びその裏付けとなる令和6年度補正予算を速やかに執行するとともに、令和7年度予算及び関連法案の早期成立に努める。
- 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- 現状【判断維持】
- 賃金の動向
- フルタイムとパートタイムを平均した名目賃金は、所定内給与の伸びが着実に高まる中、24年5月以降、7か月連続で2%以上の伸び。これは1992年以来。実質賃金でみると、フルタイム労働者の現金給与総額は、6月以降プラス傾向が継続。ボーナスを除く定期給与は前年比ゼロ近傍が継続。11月は消費者物価上昇率が高まったため、若干のマイナス。パートの実質時給は前年比2%程度が継続。
- フルタイム労働者の賃金を年齢別に見ると、23年の賃金上昇は若年層が中心だったが、24年は中年層にも広がり。
- 現時点で、25年度に所定内給与の引上げを予定する中小企業は全体の半数程度。うち約半数が3%以上の賃上げを予定。価格転嫁の更なる推進や、生産性向上のための省力化・デジタル化投資等の促進が引き続き重要。
- 物価の動向
- 消費者物価上昇率は、一昨年11月以降おおむね2%台で推移。ただし、12月の東京都区部(中旬速報)では、生鮮野菜価格の上昇が加速。POSデータでは、昨年秋以降、生鮮食品以外の食料品の価格も再び上昇。
- 2010年代以降、猛暑日の急増による生育不良等を背景に、生鮮野菜の価格上昇率は他の財・サービスを上回る傾向。円安の進行もあって肥料(ほぼ全量輸入)が高騰するなど、資材価格の上昇も農業生産者のコスト増要因。
- 食料品等身近な物価動向に反応しやすいとされる家計の予想物価上昇率は、2022年以降、1年先、5年先ともに上昇。賃金と物価の好循環の下、2%程度の安定的な物価上昇と、物価上昇を上回る賃上げの定着が重要。
- 個人消費の動向
- 個人消費は持ち直しの動きがみられるが、所得の伸びほどには増加せず、結果として貯蓄率はコロナ禍前を上回る水準で推移。食料品等身近な物価の上昇もあって、「暮らし向き」の見通しをはじめ消費者マインドは改善に足踏み。
- 12月の気温低下の影響もあり、冬物衣料品の売上は堅調。大手アパレルチェーンは客数・客単価ともに増加。
- 一世帯あたりの平均可処分所得は長期的に緩やかな減少傾向にあるが、高齢化に加え、単身世帯の増加に伴う世帯人数減少の影響が大きい。世帯類型別に世帯員の生活水準を示す等価可処分所得を見ると、総じて2010年代半ば以降緩やかな増加傾向。
- 雇用の動向
- 我が国の就業者数約6,800万人のうち、15~24歳の就業者は約570万人(8.4%)。若年人口が減少する一方、通学のかたわらに働く人が増加傾向。特に宿泊・飲食業の非正規雇用者は、学生を中心に若年層の占める比率が高い。
- 夫の収入が高い女性の有業率は低い。特に子どものいる子育て世代(39歳以下)ではその傾向が強い。なお、6歳未満の子どものいる有配偶女性の約7割は就労。
- 民間職業紹介における求人は、正社員では緩やかな増加傾向が続くが、パート・アルバイトでは足下、緩やかな減少傾向。一方、すき間時間を活用するスポットワークは引き続き利用者が増加し、約2,800万人に(5図)。労働市場のDXが進行。
- 若者の就職と地域間人口移動
- コロナ禍を経て若年層の意識に変化の兆しがみられ、2025年卒見込みの大学生のUターン希望割合は、コロナ禍前の2020年卒と比べ、全地域で増加傾向。特に、東海、九州・沖縄、東北、北陸では約半分がUターンを希望。地元から転出した者の中で、「やりがいがあり、自分らしい仕事があれば地元に残りたかった」という者も多く、雇用の機会と質が重要。
- 新卒を含む20代前半では、賃金の高い地域ほど転入超過率が高い傾向。特に、女性は男性よりも、地域間の賃金差が転入超過率に与える影響が大きい。
- 企業部門の動向
- 我が国企業は、1998年度以降、投資が貯蓄を下回り、黒字が四半世紀にわたり継続。企業の保有する現預金のGDP比は、コロナ禍を経て6割まで上昇し、際立って高い水準。
- 倒産件数は、コロナ禍ではゼロゼロ融資等により年6,000件に抑制。経済活動の正常化や資金繰り支援の縮小の中で増加に転じ、2024年は11年ぶりに年間1万件を超えた。一方、デフレに陥る前の1980年代前半は負債金額の大きい倒産も含め年間1.8万件を超えていた。直近では、従業員数が4人以下の小規模な企業の倒産が多く、業種別には飲食を含むサービスや卸・小売が中心。また、足下の動向をみると、ゼロゼロ融資返済開始の最後のピーク(24年春)を経て、増勢が鈍化し、横ばいに。
- 対外経済関係
- 米国は、我が国の最大の投資相手国。米国の対内直接投資残高の中でも、日本の投資は増加し、2019年以降5年連続首位。米国現地での雇用者数も、全産業では英国に次いで2位、製造業では1位と雇用の創出に寄与。
- 日本のサービス貿易のうち、輸出は特許権使用料やインバウンドが中心であるのに対し、輸入はデジタル関連等のシェアが大きい。インターネット広告等の海外への支払はコロナ禍を経て急増(5図)。規模は小さいものの、コンテンツのライセンス料やオンラインのゲームの売上等の輸出は着実に増加。強みのある分野での稼ぐ力の向上が重要。
- 米国経済の動向
- 米国では、個人消費を中心に景気は拡大。雇用者数は緩やかに増加、失業率はおおむね横ばい。物価上昇率は低下してきたが、足下では下げ止まり、おおむね横ばい。物価の安定と雇用の最大化を使命とするFRBは、9月、11月、12月と3回の利下げを実施。
- 財・サービスともに輸出は増加傾向にあり、特に、デジタル関連サービスがけん引しサービス輸出の比率は上昇傾向。
- 中国経済の動向
- 中国では、24年10-12月期の実質GDP成長率は+5.4%、24年通年は目標としていた+5%の成長となったが、消費の寄与は前年から半減。不動産市場の停滞が継続する中、消費マインドはコロナ禍前を下回る水準で推移。輸出は緩やかに増加しているが、今後の通商関係の動向には留意が必要。
- 内需が伸び悩む中、財物価や住宅賃貸料が低下し、消費者物価は横ばいで推移(5図)。24年12月の中央経済工作会議で示された内需の全面的拡大の方針に基づき、政府は2025年の消費・投資支援策の拡充を表明(6表)。
- ドイツ経済の動向
- ドイツ経済は、我が国に比べて労働生産性の水準が高く、2023年の名目GDPは為替の動向もあり、日本を抜いて世界第3位。ただし、2024年は2年連続でマイナス成長。背景に、雇用不安を受けた貯蓄志向の高まりによる個人消費の伸び悩みや、政策の先行き不透明感による投資マインドの低下と高い金利水準の継続を受けた設備投資の弱い動き、2022年以降の中国向け輸出の減少を受けた財輸出の停滞。
- 需要の停滞等を受け、2023年以降生産活動は低下傾向にあり、雇用情勢に懸念。
~NEW~
内閣府 令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度
- 令和6年度の経済動向
- 我が国経済は、現在、長きにわたったコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にある。
- こうした中、政府は、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものとするため、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服及び国民の安心・安全の確保を三つの柱とする「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(令和6年11月22日閣議決定。以下「総合経済対策」という。)を策定した。その裏付けとなる令和6年度補正予算を迅速かつ着実に執行し、総合経済対策の効果を広く波及させていく。
- 令和6年度の我が国経済は、緩やかな回復を続け、実質国内総生産(実質GDP)成長率は0.4%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は2.9%程度、消費者物価(総合)は2.5%程度の上昇率になると見込まれる。
- 令和7年度の経済財政運営の基本的態度
- 令和7年度の経済財政運営においては、引き続き、全ての世代の現在及び将来にわたる賃金・所得の増加を最重要課題とし、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものとしていく。
- 令和6年度補正予算と一体的に、かつ、足元の物価高、賃金や調達価格の上昇に対応しつつ、メリハリの効いた編成を行った令和7年度予算を着実に実行に移し、切れ目のない経済財政運営を推進する。
- 具体的には、最低賃金の引上げ、価格転嫁等の取引適正化、人手不足に対応する省力化・デジタル化投資の促進、人への投資を含む三位一体の労働市場改革に取り組む。また、DX・GX、AI・半導体等の成長分野における官民連携投資など、「投資立国」の取組とともに、国民の資産形成を後押しする「資産運用立国」の取組を進め、我が国経済を高付加価値創出型の成長経済へと転換していく。
- この他、地方創生2.0、防災・減災及び国土強靱化等を始め、総合経済対策及び「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定。以下「骨太方針2024」という。)に基づき政策対応を推進する。
- こうした政策対応を含め、当面の経済財政運営を推進していくに当たっては、デフレを脱却し、新たな経済のステージに移行することを目指して、「経済あっての財政」との考え方に立ち、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作っていく。
- 骨太方針2024を踏まえて策定した「EBPMアクションプラン2024」及び「改革実行プログラム2024」に基づき、EBPMやPDCAの取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底する。
- 政府は、引き続き、日本銀行と緊密に連携し、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、一体となって取り組んでいく。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- 令和7年度の経済見通し
- 令和7年度には、総合経済対策の効果が下支えとなって、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が増加するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継続するなど、引き続き、民間需要主導の経済成長となることが期待される。
- 令和7年度の実質GDP成長率は1.2%程度、名目GDP成長率は2.7%程度、消費者物価(総合)は2.0%程度の上昇率になると見込まれる。
- ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響には、十分注意する必要がある。
- 実質国内総生産(実質GDP)
- (ⅰ)民間最終消費支出
- 物価上昇を上回る賃金上昇が普及・定着する中、増加する(対前年度比1.3%程度の増)。
- (ⅱ)民間住宅投資
- 総合経済対策の政策効果が下支えとなるものの、資材価格が高い水準で推移する中、実質値は減少する(対前年度比0.3%程度の減)。
- (ⅲ)民間企業設備投資
- 企業の堅調な収益や高い投資意欲を背景に、総合経済対策の政策効果もあって、増加する(対前年度比3.0%程度の増)。
- (ⅳ)政府支出
- 高齢化等に伴う支出増が見込まれる一方で、総合経済対策に基づく政府支出が前年度と同程度となる中で、物価上昇の影響から、実質値はおおむね横ばいとなる(対前年度比0.0%程度)。
- (ⅴ)外需(財貨・サービスの純輸出)
- 世界経済の緩やかな成長に伴い輸出が増加する一方で、国内需要の増加に伴い輸入が増加し、おおむね横ばいとなる(実質GDP成長率に対する外需の寄与度▲0.0%程度)。
- (ⅰ)民間最終消費支出
- 実質国民総所得(実質GNI)
- 実質GDP成長率と同程度の伸びとなる(対前年度比1.1%程度の増)。
- 労働・雇用
- 労働力人口がおおむね横ばいとなる中、経済の緩やかな成長に伴い労働需給は引き締まり、完全失業率は低下する(2.4%程度)。
- 鉱工業生産
- 国内需要や輸出の増加に伴い、上昇する(対前年度比2.4%程度の上昇)。
- 物価
- 消費者物価(総合)上昇率は、原材料価格など輸入コスト上昇の影響は一巡するものの、賃金上昇に伴う国内物価の緩やかな上昇が見込まれることから、2.0%程度となる。GDPデフレーターについては、対前年度比1.5%程度の上昇となる。
- 国際収支
- 所得収支の黒字が続く中、経常収支の黒字はおおむね横ばいで推移する(経常収支対名目GDP比4.9%程度)
- 実質国内総生産(実質GDP)
~NEW~
消費者庁 電話勧誘販売業者【 株式会社ディプセル及び株式会社ウィリング 】に対する行政処分について
- 消費者庁が特定商取引法に基づく行政処分を実施しましたので公表します。
- 詳細
- 消費者庁は、滞留在庫を詰め合わせたアソートボックスと称する商品の販売並びに当該商品の販売を行う仕入れサイトと称する会員制ウェブサイトの利用及びフリーマーケットサイトにおける販売サポートに係る役務の提供を行う電話勧誘販売業者である株式会社ディプセル(本店所在地:大阪市中央区)(以下「ディプセル」といいます。)及び株式会社ウィリング(本店所在地:大阪市淀川区)(以下「ウィリング」といいます。)(注)に対し、令和7年1月22日、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」といいます。)第23条第1項の規定に基づき、令和7年1月23日から令和7年4月22日までの3か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
- (注)同名の別法人と間違えないよう本店所在地なども確認してください。
- あわせて、消費者庁は、ディプセル及びウィリングに対し、特定商取引法第22条第1項の規定に基づき、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しました。
- また、消費者庁は、ディプセルの代表取締役である中西啓(なかにし ひろむ)及びウィリングの代表取締役である粟井義道(あわい よしみち)に対し、特定商取引法第23条の2第1項の規定に基づき、令和7年1月23日から令和7年4月22日までの3か月間、ディプセル及びウィリングに対して前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。
- 消費者庁は、滞留在庫を詰め合わせたアソートボックスと称する商品の販売並びに当該商品の販売を行う仕入れサイトと称する会員制ウェブサイトの利用及びフリーマーケットサイトにおける販売サポートに係る役務の提供を行う電話勧誘販売業者である株式会社ディプセル(本店所在地:大阪市中央区)(以下「ディプセル」といいます。)及び株式会社ウィリング(本店所在地:大阪市淀川区)(以下「ウィリング」といいます。)(注)に対し、令和7年1月22日、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」といいます。)第23条第1項の規定に基づき、令和7年1月23日から令和7年4月22日までの3か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
~NEW~
消費者庁 食品寄附ガイドライン~食品寄附の信頼性向上に向けて~(概要)
- 背景・目的
- 食品ロスを削減するためには、未利用食品の有効活用(食品寄附)の促進が重要とされるところ、食品寄附に関わる各主体の情報不足、信頼性・透明性等を高めるための枠組みの整備、フードバンク等の底上げの必要性などが指摘されている。
- 令和5年12月、関係省庁において「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」を取りまとめ、その中で、「一定の管理責任を果たすことができる食品寄附関係者(寄附者、仲介者(フードバンク、フードパントリー等))を認定する仕組みなどにより特定するための食品寄附に関するガイドラインを官民で作成し、食品寄附への社会的信頼を高める」とされた。
- そこで、既に官民で策定されている既存の各種ガイドライン・手引き等を参照しつつ、各主体が一定の管理責任を果たすことができるようにするために遵守すべき基準や留意事項を示したガイドラインを、官民協議会における議論を通じて作成。
- ガイドラインの対象範囲
- (1)食品寄附者(事業者)、(2)ファシリテーター(需要のマッチングを行うサービスを提供する場合の者)、(3)フードバンク、(4)フードパントリー等、(5)こども食堂等、(6)資源提供者(資金・物流サービス等の提供者)を想定。
- ガイドラインの具体的な遵守事項の整理
- 法令事項:法令上名宛て人に一定の義務付けをしている法令を引用した事項(食品衛生法、食品表示法、個人情報保護)
- 必要事項:食品寄附の信頼性向上等の観点からガイドラインとして必要と考える事項
- 推奨事項:取り組むことが望ましい事項
- ガイドラインの具体的な内容
- 提供元・提供先における合意事項
- 提供食品の情報(保存方法、期限表示、アレルゲン等)、品質確保・管理、転売禁止、事故時の対応等
- 安全面等の管理
- 食品の品質・衛生管理(必要な設備の設置等)、受取・輸配送時の検品(期限表示・破損等の確認等)、施設の衛生管理(清掃等)等
- 提供時の注意
- 衛生上の取組(保冷剤の提供等)、食品表示情報の伝達と管理等
- トレーサビリティ
- 記録の作成・保存(名称、数量、期限、アレルゲン、入出荷年月日、寄附者・提供先の名称等)
- 事故時の対応
- 保険の加入(保険分科会においては、主にフードバンク向けの損害賠償保険の在り方を、こども食堂等については、既存のボランティア用保険の活用について議論)、記録を踏まえた連絡等
- 財務管理・情報開示
- 損金算入、実績報告等
- 参考資料として、各種ひな形(フードバンク・こども食堂等間の合意書、こども食堂等から最終受益者への説明事項等)、必要事項を抽出したチェックリスト等を添付
- 損金算入、実績報告等
- 提供元・提供先における合意事項
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厚生労働省 第193回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
▼ 資料No.2 労働基準関係法制研究会報告書
- 企業外部への情報開示
- 労働基準法の強行的な規制による労働時間の短縮のほか、労働市場の調整機能を通じて、個別企業の勤務環境を改善していくことが考えられる。
- このためには、労働者が就職・転職に当たって、各企業の労働時間の長さや休暇の取りやすさといった情報を十分に得て、就職・転職先を選べることが必要である。このことは労働者の主体的な希望に基づく労働移動を増やし、労働市場全体を通じた労働力の最適配置にも資するものとなり得る。
- 長時間労働の是正について考えると、特に企業の時間外・休日労働の実態について、正確な情報が開示されていることが望ましい。
- 現行法制において、企業の時間外・休日労働の実態に関する情報については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)や次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づく認定制度等の企業による自主的な取組を促す仕組みを含め、各制度の目的に応じて様々な情報開示の仕組みが既に設けられているが、時間外・休日労働時間を短縮するという観点からも、様々な情報開示の取組が進められ、また、これらの情報を労働者・求職者が一覧性をもって閲覧できるようになることが望ましいと考えられる。労働環境の改善を促すとの観点から、企業による自主的な情報開示が、質・量ともにより充実するよう、その基盤を整えることや、義務的な情報開示について検討することについては、厚生労働省として不断に取り組んでいくことを期待する。
- テレワーク等の柔軟な働き方
- テレワークは、一般に、仕事と生活を両立させやすく、柔軟に働くことができる働き方であり、諸外国でも、柔軟な働き方の一つの典型として、労働者の希望に沿ってテレワークを促進すべきとする考え方も生じている。
- しかし、テレワークは、事業場で就労する場合のような使用者の直接的な指揮命令が及ばない場合もあり、働き方の自由度が高まる一方で長時間労働の問題も生じ得るなど、テレワーク中の労働時間管理の在り方が問題となる。また、在宅でテレワーク勤務を行う場合には、自宅が職場となるという特殊性から、就業環境の整備やプライバシーへの配慮、仕事と家庭生活が混在し得ること等についても留意する必要がある。以上のような問題意識から、本研究会では、テレワークに適用できるより柔軟な労働時間管理について、
- テレワーク日と通常勤務日が混在するような場合にも活用しやすいよう、コアタイムの取扱いを含め、テレワークの実態に合わせてフレックスタイム制を見直すことが考えられるか
- 緩やかな時間管理の中でテレワークを行い、一時的な家事や育児への対応等のための中抜け等もある中で、客観的な労働時間が測定できるか否か、測定できるとしてもプライバシーの観点から測定するべきか否かという観点から、実効的な健康確保措置を設けた上で、テレワーク時の新しいみなし労働時間制を設けることが考えられるか
- という2つの視点を基に、フレックスタイム制の改善や、テレワークを行う際の新たなみなし労働時間制の導入可否について検討した。なお、フレックスタイム制の改善と、テレワーク時の新たなみなし労働時間制とは制度としては両立可能であり、どちらか一方しか採用できないというものではないと考えられる。
- フレックスタイム制の改善について
- 在宅勤務の場合には1日の勤務の中でも労働の時間と家事や育児等の労働以外の時間が混在しがちであり、こうしたことへの対応等のための中抜け時間が細切れに発生する可能性があること等も踏まえると、テレワークでの柔軟な働き方に対応した労働時間制度としてフレックスタイム制を活用することが考えられるが、現行制度においては、フレックスタイム制を部分的に適用することはできず、テレワーク日と通常勤務日が混在するような場合にフレックスタイム制を活用しづらい状況がある。このため、テレワーク日と通常勤務日が混在するような場合にも活用しやすいよう、テレワークの実態に合わせてフレックスタイム制を見直すことが考えられ、また、この見直しについては、必ずしもテレワークに限らず、出勤日も含めて部分フレックス制を導入し、柔軟な働き方を認めていくということが適切ではないかといった議論が行われた。テレワークの場合に限らず広くフレックスタイム制の導入が進むことは有用であると考えられることから、テレワークの場合に限らず、特定の日については労働者が自ら始業・終業時刻を選択するのではなく、あらかじめ就業規則等で定められた始業・終業時刻どおり出退勤することを可能とすることにより、部分的にフレックスタイム制を活用できる制度の導入を進めることが考えられる。まずは、このフレックスタイム制の改善に取り組むべきと考えられる。
- テレワーク時のみなし労働時間制について
- 次に、実労働時間規制のかからない自由度の高い働き方として、みなし労働時間制の活用が考えられる。既存のみなし労働時間制については、まず、事業場外みなし労働時間制はそもそも労働時間の算定が困難であるという要件がある。専門業務型裁量労働制については、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため業務遂行の手段、時間配分の決定等に関して具体的な指示をすることが困難なものとして省令及び告示で定められた業務であるという要件があり、企画業務型裁量労働制については、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者が業務遂行の手段、時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこととするという要件がある。これらの要件が満たさなければ、テレワークにみなし労働時間制を適用することができない。
- 一方で、テレワーク時の労働時間の管理について、フレックスタイム制であっても使用者による実労働時間管理が求められる以上、そのことを理由として使用者が自宅内での就労に対する過度な監視を正当化したり、一時的な家事や育児への対応等のための中抜け時間など実労働時間数に関する労使間の紛争が生じたりし得るといった懸念もある。
- こうしたことから、仕事と家庭生活が混在し得るテレワークについて、実労働時間を問題としないみなし労働時間がより望ましいと考える労働者が選択できる制度として、実効的な健康確保措置を設けた上で、在宅勤務に限定した新たなみなし労働時間制を設けることが考えられる。この場合、その導入については集団的合意に加えて個別の本人同意を要件とすること、そして、制度の適用後も本人同意の撤回も認めることを要件とすること等が考えられる。
- これに対し、在宅勤務を対象とする新たなみなし労働時間制について、テレワーク中の長時間労働を防止するという観点からは、
- これまで裁量労働制の対象業務を厳密に定めてきたのは、みなし労働時間制の副作用を最小限にしようとしたものであるが、そうした規定を潜脱することになりかねない。
- 健康管理の観点からは、高度プロフェッショナル制度のように健康管理時間を客観的に把握するなど健康確保のための時間把握や健康状況を確認するための取組が必要になるのではないか。
- 本人同意の撤回権を設定しても、例えば撤回するとテレワークができなくなるというような制度設計の場合、事実上撤回権を行使できなくなると懸念される。
- 前述するフレックスタイム制の導入を新たなみなし労働時間制の導入の要件とし、同意を撤回した者に対してはフレックスタイム制を適用することを条件とするなど、実効性を担保する仕組みを設計する必要があるのではないか。
- 上記のような条件設定の仕組みについては、本人の同意の撤回の自由が実効的に確保できるかの検証も必要ではないか。
- みなし労働時間制が適用されると、単月100時間未満、複数月平均80時間以内といった時間外・休日労働時間の上限規制も事実上外れることになり、長時間労働の懸念等が強まってしまう。新たなみなし労働時間制を適用したとしても、労働時間の上限や労働からの解放時間を決めるといった一定の規制を導入すること、その場合の労働時間の把握や管理の在り方を具体的に検討することも必要ではないか。
- といった懸念や意見も示されているところである。
- 在宅勤務を対象とする新たなみなし労働時間制については、上記の実労働時間管理をする場合の課題やそれに代わる健康管理時間の把握をめぐる課題等を踏まえて、こうした点に関する検討も含め、在宅勤務における労働時間の長さや時間帯、一時的な家事や育児への対応等のための中抜け時間の状況等の労働時間の実態や、企業がどのように労働時間を管理しているのか、新たなみなし労働時間制に対する労働者や使用者のニーズが実際にどの程度あるのかということを把握し、また上記により改善されたフレックスタイム制の下でのテレワークの実情や労使コミュニケーションの実態を把握した上で、みなし労働時間制の下での実効的な健康確保の在り方も含めて継続的な検討が必要であると考えられる。
- 法定労働時間週44時間の特例措置
- 法定労働時間を週44時間とする特例措置の対象事業場について、87.2%の事業場がこの特例措置を使っていない現状20に鑑みると、概ねその役割を終えていると考えられる。現状のより詳細な実態把握とともに、特例措置の撤廃に向けた検討に取り組むべきである。その際、業種に特徴的な労働時間の実態もあることから、業種による状況の違いを把握しつつ検討するべきである。
- 勤務間インターバル
- 働き方改革関連法で導入された時間外・休日労働時間の上限規制は、過重労働を防止する観点から、月を単位として、労使協定によっても超えることのできない上限を設定したものである。一方で、労働者の暮らしと健康を考えると、月を単位とした労働時間管理だけでなく、日々の生活を送る上でのワーク・ライフ・バランスの確保が必要となる。このため、欧州等では、日々の勤務と勤務の間に一定の時間を空けることを義務とする勤務間インターバル制度が設けられている。
- 我が国では、勤務間インターバル制度は、労働時間等設定改善法第2条において、「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」として努力義務が課されており、また労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)においても一定の記述があるが、概念的な内容にとどまり、勤務間インターバルの時間数や対象者、その他導入に当たっての留意事項等は法令上示されていない。
- 厚生労働省において、勤務間インターバル制度の導入・運用マニュアルを作成し、時間数や対象者等の設定に当たっての留意点を示しているものの、2023年(令和5年)1月時点の導入企業割合は6.0%にとどまっている。他方、制度の導入予定がなく検討もしていない81.5%の企業のうち、51.9%は「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」と回答している点にも留意が必要である。また、既に勤務間インターバルを導入している企業の制度設計や、諸外国の勤務間インターバル制度を見ると、様々な適用除外が設けられた上で制度が運用されている。
- このような現状を踏まえ、本研究会としては、抜本的な導入促進と、義務化を視野に入れつつ、法規制の強化について検討する必要があると考える。企業に勤務間インターバル制度の導入を求める場合に、具体的にどのような内容の制度を求めるかについては、例えば、
- 勤務間インターバル時間として11時間を確保することを原則としつつ、制度の適用除外とする職種等の設定や、実際に11時間の勤務間インターバル時間が確保できなかった場合の代替措置等について、多くの企業が導入できるよう、より柔軟な対応を法令や各企業の労使で合意して決めるという考え方
- 勤務間インターバル時間は11時間よりも短い時間としつつ、柔軟な対応についてはより絞ったものとする考え方
- 規制の適用に経過措置を設け、全面的な施行までに一定の期間を設ける考え方
- 等が考えられる。いずれにしても、多くの企業が導入しやすい形で制度を開始するなど、段階的に実効性を高めていく形が望ましいと考えられる。
- 勤務間インターバル時間が確保できなかった場合の代替措置については、健康・福祉確保措置の一環として実施される健康観察や面接指導等といった事後措置を目的としたモニタリングではなく、代償休暇など労働からの解放を確保するものであることが望ましいとの考え方や、代替措置によることが可能な回数について各事業場の労使協議で上限を設定するという考え方が示された。
- また、義務化の度合いについても、労働基準法による強行的な義務とするという考え方、労働時間等設定改善法等において勤務間インターバル制度を設けることを義務付ける規定や、勤務間インターバルが確保できるよう事業主に配慮を求める規定を設けるという考え方、これらと併せて労働基準法において勤務間インターバル制度を就業規則の記載事項として位置付け行政指導等の手法により普及促進を図るという考え方、現行の抽象的な努力義務規定を具体化するという考え方等が示されており、様々な手段を考慮した検討が必要と考えられる。
- つながらない権利
- 本来、労働契約上、労働時間ではない時間に、使用者が労働者の生活に介入する権利はない。しかし現実には、突発的な状況への対応や、顧客からの要求等によって、勤務時間外に対応を余儀なくされ、私生活と業務との切り分けが曖昧になり、仕事が私生活に介入してしまうことになる状況も容易に発生し得る。
- 欧州等では、「つながらない権利」を行使したことや行使しようとしたことに対する不利益取扱いの禁止、使用者が労働者にアクセス可能な時間帯の明確化や制限、「つながらない」状態を確保するための措置の実施(より具体的には労使交渉の義務付け)等を内容とした、「つながらない権利」が提唱されている。例えば、「つながらない権利」を法制化しているフランスの例を見ると、具体的な内容の設定の仕方・範囲は労使で協議して決めており、その内容は企業によって様々であるが、労使交渉で合意に至らない場合には、つながらない権利の行使方法等を定めた憲章を作成することが使用者に義務付けられている。
- また、実際に勤務時間外に労働者に連絡をとる必要が生じる際は、労働者と使用者の関係だけでなく、顧客と担当者の関係等も含めた複合的な要因が生じていることが多いと考えられ、当該連絡の内容についても、具体的な仕事が発生して出勤等をしなければならないこともあれば、電話等での対話を行わなければならないもの、メール等が送られてくるだけといったような、様々な段階のものが存在し得る。こうした点を整理し、勤務時間外に、どのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否することができることとするのか、業務方法や事業展開等を含めた総合的な社内ルールを労使で検討していくことが必要となる。このような話し合いを促進していくための積極的な方策(ガイドラインの策定等)を検討することが必要と考えられる。
- 副業・兼業の場合の割増賃金
- 労働者が副業・兼業を行う場合においては、労働基準法第38条を受けた通達に基づき、事業主を異にする場合についても労働時間を通算して割増賃金を支払うこととされている。このため、現在は厚生労働省のガイドラインに基づき、労働契約の締結の先後の順に所定労働時間を通算し、次に所定外労働の発生順に所定外労働時間を通算することによって割増賃金を計算するか、あらかじめ設定したそれぞれの事業場における労働時間の範囲内で労働させる管理モデルを利用するかのいずれかとされている。
- この取扱いについては、割増賃金の計算のために本業先と副業・兼業先の労働時間を1日単位で細かく管理しなければならないこと(その過程で、労働者自身も細かく自己申告する等の負担が生じること)など、複雑な制度運用が日々求められるものとなっている。このことが、企業が雇用型の副業・兼業を自社の労働者に許可することや、副業・兼業を希望する他社の労働者を雇用することを難しくしていたり、労働者が企業に申告せずに副業・兼業を行う要因の一つになったりしているのではないか、また、企業が雇用型の副業・兼業を自社の労働者に許可しないことで、労働者が副業・兼業を行うことを諦めることにつながっているのではないかとの指摘もある。
- なお、欧州諸国の半数以上の国で実労働時間の通算は行う仕組みとなっているものの、それらの国でも、フランス、ドイツ、オランダ、イギリス等では、副業・兼業を行う場合の割増賃金の支払いについては労働時間の通算を行う仕組みとはなっていない。
- 副業・兼業が使用者の命令ではなく労働者の自発的な選択・判断により行われるものであることからすると、使用者が労働者に時間外労働をさせることに伴う労働者への補償や、時間外労働の抑制といった割増賃金の趣旨は、副業・兼業の場合に、労働時間を通算した上で本業先と副業・兼業先の使用者にそれぞれ及ぶというものではないという整理が可能であると考えられる。また、副業・兼業の場合に割増賃金の支払いに係る労働時間の通算が必要であることが、企業が自社の労働者に副業・兼業を許可したり、副業・兼業を希望する他社の労働者を雇用することを困難にしているとも考えられる。
- 一方で、労働者は使用者の指揮命令下で働く者であり、使用者が異なる場合であっても労働者の健康確保は大前提であり、労働者が副業・兼業を行う場合において、賃金計算上の労働時間管理と、健康確保のための労働時間管理は分けるべきと考えられる。
- こうした現状を踏まえ、労働者の健康確保のための労働時間の通算は維持しつつ、割増賃金の支払いについては、通算を要しないよう、制度改正に取り組むことが考えられる。その場合、法適用に当たって労働時間を通算すべき場合とそうでない場合とが生じることとなるため、現行の労働基準法第38条の解釈変更ではなく、法制度の整備が求められることとなる。
- あわせて、割増賃金の支払いに係る通算対応を必要としなくする分、副業・兼業を行う労働者の健康確保については、これまで以上に万全を尽くす必要がある。また、同一の使用者の命令に基づき複数の事業者の下で働いているような場合に、割増賃金規制を逃れるような行為がなされないように制度設計する必要がある。
- 具体的には、
- 健康確保のための労働時間の通算管理を適正に行うための労働時間に関する情報の把握方法や、健康確保のための労働時間を通算した上で長時間労働となっている場合の、本業先と副業・兼業先の使用者の責任関係に関する考え方やとるべき健康確保措置の在り方を整理すること
- 割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理について、事業場を異にする場合には通算することを要しないこととした場合においても、同一の事業者の異なる事業場で働いている場合や、労働者が出向先と出向元で兼務する形態のように、使用者の命令に基づき使用者の異なる事業場で働いているような場合においては、引き続き通算することが妥当であることといった論点の検討についても取り組む必要がある。
- なお、副業・兼業先が非雇用の形態の場合であっても、健康確保の観点から、本業先の企業が全体の就業時間や疲労度に応じて何らかの配慮を行うことも期待されるという意見や、副業・兼業を行う労働者自身が自らの健康管理に対するリテラシーを高めていくことも期待されるという意見があった。
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厚生労働省 第80回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ (参考資料1-3)女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について(建議)概要
- はじめに
- 女性活躍推進法は令和8年3月末にその期限を迎えることとなるが、我が国の男女間賃金差異は長期的に縮小傾向にあるものの国際的に見れば依然として差異が大きい状況にあるなど、なお課題が残るところであり、女性活躍の更なる推進が求められている。
- 職場におけるハラスメントはあってはならないものであり、これまでも対策が強化されてきたが、カスタマーハラスメントや就職活動中の学生等に対するセクシュアルハラスメントが社会的に問題となっており、更なる対策の強化が求められている。
- 必要な対応の具体的内容
- 女性の職業生活における活躍の更なる推進
- 女性活躍推進法の延長
- 女性活躍推進法は未だその役割を終えたといえる状況にはないため、期限を10年間延長した上で、以下の見直しを行い、更なる取組の推進を図る。
- 女性の職業生活における活躍に関する情報公表の充実等
- 男女間賃金差異の情報公表の拡大
- 支援策の充実等を通じて、改善に向けた企業による一連の取組を促すとともに、「説明欄」の更なる活用を促していく。
- 情報公表の意義や効果について十分な周知を行い、取組の裾野を着実に広げていくことと併せて、常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の企業においても、男女間賃金差異の情報公表を義務とする。(※301人以上の企業については既に義務化されている。)
- 女性管理職比率の情報公表の義務化等
- 支援策の充実を図りつつ、常時雇用する労働者の数が101人以上の企業において、新たに女性管理職比率の情報公表を義務とする。
- 女性管理職比率について新たに「説明欄」を設け、追加的な情報公表や、男女別管理職登用比率を参考値として記載することを促す。
- 「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化
- 情報公表を行うに当たって「女性の活躍推進企業データベース」を利用することが最も適切であることを示すとともに、国は、「女性の活躍推進企業データベース」の認知度が必ずしも高くないなどの課題の解消に取り組む。
- 職場における女性の健康支援の推進
- 事業主行動計画策定指針を改正し、企業が一般事業主行動計画を策定する際に女性の健康支援に資する取組を盛り込むことを促す。
- えるぼし認定制度の見直し
- 現行のえるぼし認定1段階目の要件について、認定制度は実績を評価するものであるということに留意しつつ見直しを行う。また、くるみんプラスも参考にしつつ、女性の健康支援に関するプラス認定を設ける。
- 男女間賃金差異の情報公表の拡大
- 女性活躍推進法の延長
- 職場におけるハラスメント防止対策の強化
- 職場におけるハラスメントを行ってはならないという規範意識の醸成
- 雇用管理上の措置義務が規定されている4種類のハラスメントに係る規定とは別に、一般に職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて、社会における規範意識の醸成に国が取り組む旨の規定を、法律に設ける。
- カスタマーハラスメント対策の強化
- カスタマーハラスメント対策を、事業主の雇用管理上の措置義務とする。その上で、措置の具体的な内容は、指針において明確化する。
- 中小企業を含め、足並みを揃えて取組を進める必要があることから、国が中小企業等への支援に取り組む。
- 業種・業態によりカスタマーハラスメントの態様が異なるため、厚生労働省が消費者庁、警察庁、業所管省庁等と連携し、それを通じて、各業界の取組を推進する。
- 定義は、以下の要素をいずれも満たすものとし、詳細は指針等で示す。その際には、実態に即したものとする。
- 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
- 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
- 労働者の就業環境が害されること。
- 「正当なクレーム」はカスタマーハラスメントに当たらないことや、対策は消費者の権利等を阻害しないものでなければならないことなどを指針において示す。
- 事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない旨を法律で規定する。
- 国は、消費者教育施策と連携を図りつつ、カスタマーハラスメントを行ってはならないことについて周知・啓発を行う。
- 就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
- 就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するセクシュアルハラスメントの防止を、事業主の雇用管理上の措置義務とする。
- 具体的な内容については、セクシュアルハラスメント防止指針の内容を参考とするほか、例えば以下の内容を、指針において明確化する。
- 労働者が求職者と接触するあらゆる機会について、実情に応じて、面談等のルールをあらかじめ定めておくこと、相談窓口を求職者に周知すること
- 発生した場合には、事案の内容や状況に応じて、被害者の心情に十分に配慮しつつ、行為者の謝罪、相談対応等を行うことが考えられること
- 就職活動中の学生をはじめとする求職者に対するパワーハラスメントに類する行為等については、パワーハラスメント防止指針等において記載の明確化等を図りつつ、周知を強化することを通じて、その防止に向けた取組を推進するとともに、社会的認識の深化を促していく。
- パワーハラスメント防止指針へのいわゆる「自爆営業」の明記
- いわゆる「自爆営業」に関して、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満たす場合にはパワーハラスメントに該当することを指針に明記する。 等
- 職場におけるハラスメントを行ってはならないという規範意識の醸成
- 女性の職業生活における活躍の更なる推進
~NEW~
経済産業省 国内初の中型バスでのレベル4自動運転による運行を開始します
- 経済産業省と国土交通省で取り組んでいる茨城県日立市でのレベル4自動運転※の実証事業については、2025年1月24日までに運行に必要な全ての許認可を取得し、事業者において2月3日より営業運行を開始します。これに先立ち、2月2日に国と日立市で出発式を開催します。
- ※特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。
- 概要
- 2021年度より経済産業省と国土交通省が共同で進めてきた「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(以下、「RoAD to the L4」)」にて、自動運転移動サービスの実現に向けた実証実験を実施してきましたが、茨城県日立市での取組において、2025年1月24日付けで、道路運送法に基づく認可を取得しました。
- これにより、既に取得してきた他の法令で求められる許認可と併せて、レベル4自動運転での営業運行が可能となります。
- 経緯・詳細等
- 経済産業省、国土交通省では、「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023年改訂版)(2023年12月26日閣議決定)」における「無人自動運転移動サービスを2025年度目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上で実現」との目標達成に向けて、国立研究開発法人産業技術総合研究所と民間事業者のコンソーシアムを組成し、RoAD to the L4を進めてきました。
- この取組の中で、茨城県日立市の「ひたちBRT」でのレベル4自動運転に関して、2025年1月24日までに、道路運送車両法、道路交通法、道路運送法で求められる許認可を取得しました。
- 2025年2月3日から、国内初となる中型バスでのレベル4自動運転(運転者なし)による運行を開始予定であり、その走行距離は、国内のレベル4自動運転では最長となる約6.1kmとなります。前日2月2日には、国と日立市とで出発式を開催予定です。
- 本取組を通じて、自動運転移動サービスを他地域にも展開していくため、信号のない交差点や横断歩道、多数のバス停での停車など、技術的に困難な課題にも正面から取組み、得られた知見は「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」にまとめ広く公開しています。
- 今後も、官民の先行事例における成果を全国に発信し、他地域に展開していくことで、移動課題解決に貢献し地方創生を進めていきます。
- 実証実験の内容
- 使用車両:国産中型バス(先進モビリティ株式会社が自動運転車両に改造)
- 運行事業者:茨城交通
~NEW~
経済産業省 「GX推進のためのグリーン鉄研究会」のとりまとめを行いました
- 経済産業省では、「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置し、グリーン鉄市場を拡大することで鉄鋼業のGXを推進していくためのアクションプラン等を検討していましたが、このほど、同研究会のとりまとめを行いました。
- 背景
- 鉄鋼業は、日本の温室効果ガス排出量の約1割(産業部門の4割弱)を排出しており、脱炭素化社会の実現にあたっては、GXの推進を通じた排出量削減が必要です。一方、脱炭素化された製鉄プロセスによる鉄鋼製品の製造コストは、初期においては、従来の製品よりも割高になる可能性があります。
- 現在、国内外においてグリーン鉄を販売する動きがありますが、GX投資を持続的に行うためには、「グリーン鉄」(グリーンスチール)市場の拡大が重要です。
- 経済産業省では、昨年10月に「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を立ち上げました。同研究会は、5回にわたり議論を行い、市場拡大のためのアクションプラン等を検討した上で、このほど、とりまとめを行いました。
- 「GX推進のためのグリーン鉄研究会」のとりまとめの概要
- 本とりまとめにおいては、今後、以下に取り組むことが重要としています。
- GX価値の訴求、国際標準への反映
- GX価値の意義についての国内外の理解促進。
- worldsteel(世界の鉄鋼企業が加盟する団体)や国際イニシアティブとの連携。GX推進のためのグリーン鉄が国際的に製品のカーボン・フットプリント(CFP)が低いものと評価される手法についての国内外の議論促進。
- 鉄鋼製品に係るCFPの製品別算定ルール策定。国のCFPガイドラインへの反映。建築物のライフサイクルアセスメント(LCA)等の国の施策への採用検討。
- 鋼材のCFP活用拡大
- 需要家におけるCFPの活用促進。
- 低環境負荷鋼材の利用拡大。
- 鋼材のCFPデータの整備・開示の推進。鋼材の非化石証書利用の考え方の整理。
- 需要側への支援
- 「GX推進のためのグリーン鉄」の生産初期段階における政府による優先的調達・購入などを通じた重点的支援。
- CEV(Clean Energy Vehicle)補助金における自動車製造業者へのインセンティブ付与。
- 供給側への支援
- 複線的な技術開発や設備投資支援・税制措置など供給側に対する支援。
- 関係事業者間の連携を通じた、鉄スクラップの有効活用を促進。
- GX価値の訴求、国際標準への反映
- 本とりまとめにおいては、今後、以下に取り組むことが重要としています。
▼ GX推進のためのグリーン鉄研究会 とりまとめ(概要)
~NEW~
総務省消防庁 「令和6年版 救急・救助の現況」の公表
- 救急業務の実施状況
- 令和5年中の救急出動件数(消防防災ヘリコプターを含む。)は、764万987件(対前年比40万8,869件増、5.7%増)、搬送人員は664万3,379人(対前年比42万4,080人増、6.8%増)であった。
- そのうち、救急自動車による救急出動件数は763万8,558件(対前年比40万8,986件増、5.7%増)、搬送人員は664万1,420人(対前年比42万4,137人増、6.8%増)で救急出動件数、搬送人員ともに集計を開始した昭和38年以降、最多を記録した。
- 現場到着所要時間(119番通報を受けてから現場に到着するまでに要した時間)の平均は約10.0分(前年約10.3分)となっており、新型コロナウイルス感染症禍(以下、「新型コロナ禍」という。)前の令和元年と比べ、約1.3分延伸している。また、病院収容所要時間(119番通報を受けてから医師に引き継ぐまでに要した時間)の平均は約45.6分(前年約47.2分)となっており、新型コロナ禍前の令和元年と比べ、約6.1分延伸している。
- 救助業務の実施状況
- 令和5年中の救助活動件数は7万1,707件(対前年比3,584件増、5.3%増)、救助人員は6万6,815人(対前年比4,136人増、6.6%増)となった。
~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会デジタル広告ワーキンググループ(第5回)配付資料
▼ 資料5‐1一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)発表資料
- 運用型広告の出稿の現状と課題
- 誰もが広告主になり広告出稿できるプラットフォームが登場
- プログラマティック取引(リアルタイム入札など)による自動掲載が拡大
- 広告掲載メディアと広告配信プラットフォームの分離によってタグ入稿が一般的に(広告原稿を入稿するのではなく、広告配信時に原稿を呼び出すタグを入稿)
- 媒体社は、他社から配信を受ける場合、自社の広告枠にどの事業者からどのような広告主のどのようなクリエイティブが配信されて掲載されるのか、事前に確認できない
- クリエイティブの数と種類が膨大で、広告主側のプラットフォームで成果を見ながら掲載差し替えが可能となっている(1広告配信事業者に対して、月に万単位のクリエイティブが入稿される(国内例))
- クリックを誘発しやすいクリエイティブが最適化アルゴリズムによって掲載されやすくなることも
- ユーザーによってターゲティング配信されるため、事後的に目視確認することが困難
- 掲載している広告の中には、リンク先のサイトチェンジを頻繁に繰り返すものもある
- 不正なクローキング等の技術を用いて、プラットフォーム等の審査ツールを欺くケースがある
- 従来のメディアビジネス、正当な広告ビジネスの在り方との乖離が生じている。
- インターネット広告市場のエコシステムの中に、アフィリエイトサイト等への集客のためにインターネット広告を大量出稿し、不当な広告情報を拡散する者が入り込んでいる。
- 小遣い稼ぎや金儲け目的の個人や小規模事業者を広く取り込んで、アフィリエイト(成果報酬プログラム)を利用したビジネスネットワークが構築されている。短期的に売り上げて収益を得る目的のため、情報の拡散・収束のスピードが速く、対応が後手に回ってしまう。
- 問題行為を行う事業者等にとってメディアや広告ビジネスは金儲けの手段でしかなく、広告情報の真実性やビジネスの公正性への意識が欠如している。社会問題化して法規制や自主規制が強化されると商材や手法を変えていき、消費者が“情報弱者”として扱われる。
- あえて法令やポリシーに違反するかもしれない広告を大量に入稿し、審査のボーダーラインを狙うような出稿の仕方をしたり、審査を通過して広告配信が開始された後で不当な表示内容に変更し、違反が見つかり配信停止をされるまで原稿やリンク先を頻繁に変えながら運用するなどの悪質なケースも多い。
- インターネットの特性や広告サービスの効率化の仕組みが犯罪に悪用されている。
- インターネット広告市場のエコシステムの中に犯罪者が入り込み、正当な広告ビジネスを行うメディアや広告プラットフォームが、結果として詐欺行為の手段として利用されている状況となっている。
- 広告原稿やリンク先URLを様々に変えながら膨大な量の広告を繰り返し投下する手法や、一般ユーザーが“情報弱者”として扱われる点は通販等の消費者トラブルと同じだが、商品・サービスの販売等の広告本来の目的は一切なく、広告表示の審査を中心とした対応だけでは排除しきれず、既存の広告適正化のため施策や枠組みは通用しない。
- なりすましや詐称、大量のアカウントの使い捨て、ボリュームの少ないターゲティングでごく短期間の出稿など、手法が巧妙化しており、対策を行うと次々と手段や手法を変化させるため“いたちごっこ”になっている。
- 被害を防ぐためには、デジタルプラットフォーム取引透明化法の規制対象となるプラットフォーム提供者であっても、詐欺の疑いのある広告は理由を告げずに掲載拒否・即時掲載停止できるべき。ただし、判断を厳格にすると、問題のない正当なものまで停止してしまう可能性もある。
- オンライン詐欺のグローバルでの状況
- Global Anti-Scam Alliance(GASA):オンライン詐欺から消費者を保護するために、政府、警察、消費者保護団体、金融監督機関・事業者、ブランド保護機関、ソーシャルメディア、インターネット接続サービス事業者、サイバーセキュリティ企業が集まり、知見の共有や対策を協働して行っている組織
- Stop Scams UK:詐欺による被害を根本的に防ぐ技術的対策のために、金融、通信、技術の部門を横断して設けられた民間企業による組織。英国の情報通信庁(Ofcom)、金融行動監視機構(FCA)、個人情報保護監督機関(ICO)などの主要な規制当局から全面的なサポートを受けている
- GASA「Global State of Scams Report 2023」(2023年10月)によると、過去12か月間の全世界のオンライン詐欺による被害の総額は、1兆260億ドル(約190兆円)
- 米国の連邦取引委員会(FTC、Federal Trade Commission)の「Consumer Sentinel Network 2023」によると、報告された詐欺被害件数は約2,600万件、うち27%が金銭的被害があり、被害総額は100億ドル(約1.5兆円)を超え、その中でも投資詐欺が最も大きく被害額は46億ドル以上(2024年2月9日)
- 世界経済フォーラム(WFE、World Economic Forum)によると、オンライン金融詐欺“Pig-butchering”が世界中で増加し、2023年の被害額は1兆ドルを超える(2024年4月10日)
- ブランドセーフティ確保…広告掲載先からの違法・不当サイトの排除
- 【ブランドセーフティ】広告掲載先の品質確保による広告主ブランドの安全性
- インターネット上の海賊版サイトや違法・有害情報を掲載するサイトに広告が掲載され、その広告費収入が運営の資金源の一つになっている。正当な広告関係者が、違法・不当サイトと気付かずに広告を出稿・配信するおそれがある。
- アドフラウド対策…広告配信における不正トラフィックの排除
- 【アドフラウド】悪意ある第三者による不正な広告費詐取
- 不正な行為者によるアドフラウドによって、広告主が支払う広告費が詐取され、正当な媒体社(パブリッシャー)の収入となるべき広告費が不当に横取りされるおそれがある。
- 広告主は悪意ある第三者によって広告費を詐取され直接被害を受けるものであるが、売上を横取りされるパブリッシャーや、不良な広告在庫をつかまされ返金を余儀なくされるプラットフォーム事業者も間接的な被害者となる。
- メディア環境の変化
- デバイスやネットワーク環境の向上により、時間や場所、コスト、量などの制約なく情報発信・受信できる手段や機会が拡充。
- UGC、CGM(ユーザーによって作成されたコンテンツやメディア)が社会に定着し、ソーシャルメディアが有力な広告メディアに成長。
- 広告テクノロジーの進化
- テクノロジーによる自動的・即時的な広告取引の仕組みが進展し、多数の事業者間の連携により広告配信の経路が複雑化・多様化。
- メディアの「広告枠」ではなく「人」に対して広告を配信するオーディエンスターゲティングが普及・進化。
- 広告のパフォーマンス(クリックやコンバージョンなどの獲得効率)を重視する傾向が強まり、運用型広告が拡大。
▼ 資料5-3-1 一般社団法人日本民間放送連盟発表資料
- 民放コンテンツの違法アップロードと広告について
- 「大手広告主」267社の約2割の広告がYouTubeの違法アップロードコンテンツに表示
- 表示された広告に業種の偏りは無く、幅広い分野にわたっていた。
- 表示されるのは調査期間中に広告展開を行っている広告主に限るので、通年ではより多くの広告主の広告が表示されていると推定される。
- 違法アップロードコンテンツでの広告表示 4割超が「大手広告主」であることも
- YouTube上に違法アップロードされたコンテンツに、どれだけの割合で「大手広告主」の広告が掲出されているのかを調査。
- 同じ違法動画を繰り返し再生し、その都度表示される広告を調べたところ、32~46%が「大手広告主」の広告だった。
- 悪質な違法アップロードサイトにも「大手広告主」の広告が表示
- 民放コンテンツを違法アップロードしているウェブサイトあるいはリーチサイトに掲載されている広告を調査。
- 大手広告主の44社の広告が表示されていた。
- 表示された広告に業種の偏りは無く、幅広い分野にわたっていた。
- 表示されるのは調査期間中に広告展開を行っている広告主に限るので、通年ではより多くの広告主の広告が表示されていると推定される。
- 「大手広告主」267社の約2割の広告がYouTubeの違法アップロードコンテンツに表示
▼ 資料5-3-2(一般社団法人日本民間放送連盟報道発表)違法アップロードコンテンツと広告に関する実態調査 結果概要(別紙1)
- 民放コンテンツのYouTubeへの違法アップロード 登録者数の多いチャンネルでも確認
- 登録者数が1万5千人以上のチャンネルだけでも、少なくとも54のチャンネルで民放コンテンツが違法アップロードされていることを確認した。54チャンネルの違法アップロードコンテンツの合計は5,745件、のべ再生回数は約17億回。1再生あたり1回の頻度で広告が表示されると仮定し、インプレッション単価を1円として推計すると17億円の広告費が流出していることになる。登録者数の多いチャンネルでも、違法アップロードを行うチャンネルが野放しになっている実態が明らかとなった。
- 違法にアップロードされたコンテンツをジャンル別にみると、バラエティやアニメ、ドラマが顕著だった。
- 今回の調査では、登録者数の多いYouTubeチャンネルに絞って調査を行った。登録者数が1万5千人未満のチャンネルに拡げて調査を行うことは困難だが、より多くの違法アップロードコンテンツが存在すると考えられる。本調査で明らかとなった実態は全体の一部に過ぎない。
- TikTok違法アップロードコンテンツがサンプル300アカウントで5億回以上再生
- 全数調査が困難なため、今回の調査では、Facebook、TikTok、Xのそれぞれのサービスで在京民放テレビキー5局の25の番組名をキーワードに検索し、違法アップロードを行っているアカウントをサンプルとしてまず300件検出した。そのアカウントについて違法アップロードコンテンツの件数や再生回数をカウントした。
- TikTokではサンプル300アカウントで6,193の違法アップロードコンテンツを確認。のべ再生回数は少なくとも5億回を超えていた。
- Facebookではサンプル300アカウントで4,117の違法アップロードコンテンツを確認。少なくとものべ1,400万回再生されていた。
- Xではサンプル300アカウントで2,469の違法アップロードコンテンツを確認。少なくとものべ1億3,000万回再生されていた。
- 「大手広告主」の広告が違法アップロードコンテンツに頻出
- 違法アップロードコンテンツとともに表示されていた広告主の総数は約460社。このうちJAA会員である「大手広告主」は84社。JAA会員以外の大企業や地方公共団体の広告も多数含まれていた。
- YouTube上では、今回の調査期間において190社の広告が違法アップロードされた民放コンテンツとともに表示されていた。このうち「大手広告主」は52社。JAA会員社全体の約2割にあたる。
- すべての「大手広告主」が約1か月の調査期間中にインターネット上で広告を展開していたわけではないので、通年の調査を行った場合、違法アップロードコンテンツに広告表示されている広告主数はより多くなることが推定される。
- Facebook、TikTok、Xでも同様に違法アップロードコンテンツに「大手広告主」の広告が掲載されている事例を多数確認した。
- JAAに非加入でも多額の広告出稿を行っている広告主が存在する。今回の調査でも多くの非加入社の広告が違法アップロードコンテンツに掲出されていることを確認した。
- 違法アップロードコンテンツでの広告表示 4割超が「大手広告主」であることも
- YouTubeに違法アップロードされた民放コンテンツを任意に5件サンプル抽出し、繰り返し再生した際に表示される広告を調べたところ、32~46%の割合で「大手広告主」の広告が表示された。
- 表示された広告の広告主の業種に偏りはなく、食品会社、飲料会社、自動車会社、衛生用品メーカー、インターネットサービス会社など多くの分野にわたった。
- 悪質な違法アップロードサイトにも「大手広告主」の広告が表示
- もっぱら違法アップロードされたコンテンツを掲載したウェブサイトや、こうしたサイトへの窓口となっているリーチサイトなど、悪質な違法アップロードサイトにおいても「大手広告主」の少なくとも44社の広告が表示されていた。
- 表示された広告の広告主の業種に偏りはなかった。
~NEW~
総務省 ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会(第5回)
▼ 資料5-1 ICTサービスの利用環境を巡る諸問題について(事務局)
- 従来、犯罪に悪用される情報通信ツールの多様化に応じ、本人確認や利用停止等を中心とする対策を講じてきたが、ツールの悪用と対策の「いたちごっこ」が繰り返されてきた。
- 昨今、携帯電話を用いたなりすまし等に加え、多種多様な形態で不正行為が行われるようになり、被害が甚大化、犯罪実態を踏まえ、より包括的な対策が求められるようになってきている。
- 悪用されるツールの多様化
- SMS闇バイト募集
- SMSで闇バイト募集が出現。犯罪抑止のため、既存の取組も踏まえ、有効な対策が取りうるか
- SIM不正転売
- SIMの不正転売が増加。事業者から犯罪を見抜きにくい実態を踏まえ、効果的な対策はあるか
- スプーフィング
- 電話番号の表示を偽装するケースが報告されており、どのような対策がとれるか
- 海外番号の悪用
- 海外電話番号を簡単に入手することができるウェブサイトがある中、どのような対策がとれるか
- 法人在籍確認
- 法人の在籍確認が自主的取組となっているところ、より実効的なルール作りが可能か
- 依拠
- 過去の本人確認結果への依拠について、どのような確認方法であれば認めうるか
- 通信ログ保存
- ログ保存が短いと指摘がある中、通信ログの保存のあり方についてどう考えるか
- その他
- 携帯電話の不適正利用防止などの観点から、その他課題があるか
- SMS闇バイト募集
~NEW~
総務省 令和6年版 消防白書
▼ 概要版
- 令和6年能登半島地震等への対応
- 令和6年1月1日16時10分に石川県能登地方において、輪島市及び志賀町で最大震度7を観測する地震が発生した。
- 発災後、直ちに消防庁長官は緊急消防援助隊の出動の求めを行い(後に出動指示に切替)、発災当初から2,000人を
- 超える規模の部隊を展開した。
- 被災地域の消防団は、常備消防と連携した消火・救助活動や、避難所運営支援や巡回・警戒活動を実施した。
- 消防庁においては、輪島市大規模火災を踏まえた消防防災対策のあり方や、緊急消防援助隊の活動などについて検証を行った。
- 緊急消防援助隊や常備消防、消防団の更なる充実強化など、消防防災対策の強化に一層注力していくこととしている。
- 令和6年9月21日午前、石川県に線状降水帯が発生し、石川県能登地方を中心に、河川氾濫、浸水、がけ崩れ等が発生した。
- 同日、消防庁長官は、緊急消防援助隊の出動の求めを行い、600人規模の部隊を展開した。
- 近年の大規模災害等への対応
- 令和6年1月2日17時47分頃、東京国際空港(羽田空港)C滑走路上において、日本航空機と海上保安庁機が衝突し、両機が全焼した。
- 国土交通省東京空港事務所の化学消防車6台が出動するとともに、管轄の東京消防庁からは、大型化学消防車、救急車等115隊が出動し、消火・救急等の活動が行われた。
- 令和6年8月8日16時42分、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県日南市で震度6弱を観測した。
- また、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が気象庁から初めて発表され、消防庁は南海トラフ防災対策推進地域に係る都府県に対して、必要な周知を実施した。
- 令和6年8月22日に発生した台風第10号の影響により、8月27日から9月1日にかけて、西日本から東日本の太平洋側を中心に記録的な大雨となった。
- 大規模ながけ崩れが発生した愛知県蒲郡市では、地元消防本部や県内応援隊により、救助活動が行われた。
- 緊急消防援助隊の充実強化
- 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を踏まえ、国内で発生した地震等の大規模災害における人命救助等をより効果的かつ迅速に実施できるよう、全国の消防機関相互による援助体制として、同年6月に緊急消防援助隊が創設された。
- 創設当初1,267隊であった登録隊数は6,661隊(令和6年4月1日現在)まで増加し、地震、火災、土砂・風水害のほか、噴火や列車事故などのあらゆる種別の大規模災害に対して、発足から令和6年11月までに45回出動し、人命救助活動等を実施してきた。
- 近年は、災害が激甚化・頻発化するとともに、南海トラフ地震などの大規模地震の発生も切迫している。それらの災害に的確に対応するため、部隊の増強を図るとともに、緊急消防援助隊設備整備費補助金の活用や、消防組織法第50条による無償使用制度を活用した車両・資機材の配備により、装備等の充実を図っている。
- 全国6ブロックにおける地域ブロック合同訓練や、全都道府県が参加する全国合同訓練を実施し、緊急消防援助隊の消火・救助技術や指揮・連携活動能力等の向上を図っている。
- 消防庁では、道路損壊等により進出が困難となった場合の対策として、車両の小型化・資機材の軽量化や空路・海路での応援部隊等の進出に向けた関係機関との連携、航空運用調整の強化、緊急消防援助隊の活動環境の整備を進めていく。
- 増大する救急需要への対応
- 令和5年中の救急自動車による全国の救急出動件数は763万8,558件、救急自動車による搬送人員は664万1,420人となり、集計を開始した昭和38年以降、最多となった。
- また、令和6年5月から9月までにおける全国の熱中症による救急搬送人員についても9万7,578人となり、集計を開始した平成20年以降、最多となった。
- 救急需要が増大する中、救急業務を安定的かつ持続的に提供することは、近年の大きな課題となっており、消防庁ではマイナ救急や♯7119などの取組を推進している。
- 健康保険証として利用登録をしたマイナンバーカードを活用して、救急隊が、救急搬送する傷病者の過去の受診歴や薬剤情報などの医療情報等を閲覧することで、医療機関の選定や搬送中の応急処置を適切に行うことが期待される。令和6年度は、67消防本部660隊の参画を得て実証事業を行い、運用面での課題整理や有効事例の収集等を行っている。
- 消防団を中核とした地域防災力の充実強化
- 消防団員数は年々減少。令和6年4月1日現在、前年に比べ、1万5,989人減少し、74万6,681人となっている。
- 一方、入団者数については、入団促進に向けて重点的に取り組んできた女性消防団員数(前年比2.3%増)、学生消防団員数(前年比8.5%増)、機能別消防団員数(前年比8.3%増)の増加等に伴い、2年連続で増加した。退団者数については、3年ぶりの減少となった。
- 消防防災分野におけるDXの推進
- 被害の早期把握による迅速な対応には、より多くの災害発生直後の映像情報が必要であり、消防庁と地方公共団体の間における災害時の映像情報共有手段の一層の充実を図るため、「消防庁映像共有システム」を整備し、令和6年9月から運用を開始している。
- 令和6年度中に、「消防庁映像共有システム」を、内閣府の新総合防災情報システム(SOBO-WEB)と接続し、災害映像を関係府省庁とも共有していく。
- 緊急消防援助隊の指揮支援部隊がデジタル作戦卓等のDX資機材を用いて映像等のデジタル情報を含めた豊富なリアルタイムの情報を収集、整理、共有することで、指揮支援体制の強化を図っていく。令和6年度は、9都道府県の消防本部に配備し、習熟訓練などを実施する。
- 国民保護施策の推進
- 各市町村において、国民保護事案の発生時、住民の避難のための避難実施要領を円滑に定められるよう、消防庁では、あらかじめ複数パターンを作成しておくことを促進するための取組を進めている。
- 消防庁では、爆風等からの被害を軽減する緊急一時避難施設の指定について、地方公共団体等に働き掛けを行い、指定の取組を促進している
- 国民保護措置に関する国と地方公共団体との共同訓練について、消防庁では、内閣官房と連携し、全国における取組を一層推進している。
- 令和6年5月、北朝鮮により弾道ミサイル技術を使用した発射が強行され、発射された物体が日本の領域に落下する又は上空を通過する可能性があったことから、Jアラートにより、国民に対して避難の呼びかけ等を伝達した。
- 新技術の進展を踏まえた消防防災行政の対応
- 政府において「令和6年能登半島地震に係る災害応急対応の自主点検レポート」等が取りまとめられ、消防防災分野においては、ドローンや衛星通信資機材などの有効な新技術について、今後より一層の活用を推進していく必要がある。
- 消防庁・消防研究センターでは、官民連携の研究開発による新技術の実用化を推進しており、 これまでに、パンク後も一定距離走行可能なパンク対応タイヤや、少量の放水で延焼拡大抑制効果が期待できる高粘度液体放射装置などを実用化してきた。
- 消防庁では、「消防防災科学技術研究推進制度」による研究開発を推進しており、無人走行放水ロボットの研究開発や、AIやDXを推進する技術の現場活用検証などの令和7年度の研究テーマを公募し、委託研究を行うこととしている。
- 新エネルギーを利用する発電施設や製品等における火災事例が発生しており、消防庁として、各消防機関で適切な消防活動が行われるよう対策を講じている。
- また、水素エネルギーやリチウムイオン蓄電池などの新たなエネルギー技術の普及に伴い、安全性の確保を前提として、消防法令における危険物規制のあり方についての検討を進めている。
- 消防の広域化及び連携・協力
- 令和6年10月1日、全国初となる全県一区の共同消防指令センターとなる大分県内全18市町村14消防本部による「おおいた消防指令センター」の本格運用が開始された。
- 消防を取り巻く環境の変化に的確に対応していくためには、小規模消防本部の体制強化等を図る必要があり、消防庁では更なる消防の広域化・連携協力を推進している。
- 消防における女性の活躍推進に向けた取組
- 消防吏員及び消防団員に占める女性の割合は年々増加している。(消防吏員3.7%/消防団員3.8%(令和6年4月1日現在))
- 消防庁では、消防分野で活躍する女性を知ってもらい、消防を目指す女性を増やすため、先進事例の横展開やPR動画等による広報、女性の職務環境・活動環境の整備等に取り組んでいる。
- 感震ブレーカーの普及推進
- 過去の大規模地震時に発生した火災では、電気火災が半数以上を占めており、感震ブレーカーの設置を推進する必要がある。
- 消防庁では、令和6年能登半島地震により輪島市の朝市通り周辺で発生した火災等を踏まえ、感震ブレーカーの普及推進に向けた取組を進めている。
- 地方公共団体の受援計画の策定促進
- 大規模災害に備え、各地方公共団体や消防本部は、あらかじめ人的・物的支援の受入れ体制を構築することが重要である。
- 消防庁では、受援計画未策定市町村への策定促進や、消防本部における受援計画策定例の提示・受援訓練に係る動画作成等を通じ、受援能力の向上に取り組んでいる。
- 大規模災害時における情報の収集・広報
- 災害現場の映像情報の共有手段の充実を図るため、消防庁と地方公共団体の間や地方公共団体間で映像共有を行う、「消防庁映像共有システム」を整備し、令和6年9月から運用を開始している。
- 大規模災害時に、被災地における被害の状況や活動等を記録し、正確かつ適切に報道されるよう、消防庁現地広報員を派遣している。
- 国際協力・国際交流
- 経済発展や都市化が進展する開発途上国の消防防災能力の向上に資するため、消防庁では、毎年度、我が国の消防技術、制度等を広く紹介する国際消防防災フォーラムを海外で開催している。
- 開発途上国の災害対応能力向上や、「顔の見える国際協力」などを目的として、消防本部や消防団で不用となった消防車両等を開発途上国に無償で寄贈している。
- 火災予防 ~出火件数・火災による死者数~
- この10年間の出火件数と火災による死者数は減少傾向であったが、令和3年からは増加に転じている。
- 令和5年中の出火件数は3万8,672件(前年比2,358件増加)であり、10年前の80.4%。
- 火災による死者数は1,503人(前年比51人増加)であり、10年前の92.5%。
- 火災予防 ~住宅火災件数・死者数、住宅用火災警報器設置状況~
- 火災による死者の多くが住宅火災により発生。
- 令和5年中の住宅火災件数は1万1,361件(前年比578件増加)、死者数は1,023人(前年比51人増加)。
- 住宅用火災警報器の設置率は年々上昇しており、令和6年6月1日時点で全国の設置率は84.5%、条例適合率は66.2%となっている。
- 救急体制 ~救急業務の実施状況~
- 令和5年中の救急自動車による救急出動件数は、約764万件(前年比約41万件増加)。
- 令和6年4月1日現在の救急隊設置数は、5,415隊(前年比56隊増加)。
- 令和5年中の現場到着所要時間の平均は約10.0分(新型コロナウイルス感染症禍(以下「新型コロナ禍」という。)前の令和元年と比べ約1.3分延伸)。
- 令和5年中の病院収容所要時間の平均は約45.6分(新型コロナ禍前の令和元年と比べ約6.1分延伸)。
- 消防体制 ~消防組織~
- 消防本部(令和6年4月1日現在)
- 720消防本部、1,716消防署を設置。消防職員数は16万8,898人(前年比1,037人増加)。
- 消防団(令和6年4月1日現在)
- 消防団数は2,174、消防団員数は74万6,681人(前年比1万5,989人減少)。
- 消防団は市町村の非常備の消防機関。全ての市町村に設置。
- 消防本部(令和6年4月1日現在)