「SPNレポート2016(企業危機管理体制整備に関するアンケート調査結果)」
2016.07.13「SPNレポート2016(企業危機管理体制整備に関するアンケート調査結果)」
この10年を振り返ってみると、時勢の変化に呼応して、企業の事業活動の規範とすべき数々の法律や規範が施行されてきました。
2005年施行の「個人情報の保護に関する法律」では、個人情報の取扱いについての事業者の義務が定められました。また、2007年に犯罪対策閣僚会議申し合わせとして出された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を始点に、2009年に全国で施行となった「暴力団排除条例」による反社排除の取り組みが必須となり、その一方で、企業は潜在化・不透明化する反社会的勢力との攻防を繰り返しています。
社内に目を向けると、長時間労働や、ハラスメントなどの職場環境の悪化に起因してうつ病を発症する労働者の増加があり、労働者保護を目的とする2006年の「労働安全衛生法」の改正、さらには、2015年の「過重労働撲滅特別対策班」による監視体制の強化、2016年の「ストレスチェック制度」によるメンタル不調予防対策の義務づけと続きます。
それらの動向に対し、企業が様々な問題の予防や対応に取り組む一方で、現実社会においては、サイバー攻撃による情報漏えい、過重労働に起因するメンタル不調や自殺者の増加、反社会的勢力の潜在化による企業への侵入も後を絶ちません。たとえ企業が万全な体制(ありえませんが)を敷いたとしても、上記のリスクに加えて、震災や噴火、集中豪雨など不可避な事態や、社内不正や組織的コンプライアンス違反などの緊急事態の発生など、企業はますます「全方位型リスク」への対応が求められています。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、社会の要請に応えつつ、自社の危機管理体制の構築がますます不可欠な状況となっています。しかもそれは、自社の状況や実態に応じた、活きた体制でなければなりません。
本アンケートは、危機管理専門会社である当社が運営する健全企業の集まりである「SPクラブ会員」企業の危機管理体制の状況を調査し、その全体の傾向を分析したものです。
各企業においては、それぞれの状況・状態によって、整えるべき危機管理体制は異なるでしょうが、本アンケートの結果が、自社の危機管理体制を自社の実態に則し、かつ最新の状態に維持するためのきっかけ、制度の「棚卸し」の指標となれば幸いです。