2024/11/18

危機管理トピックス

【省庁別記事(後半)】

【経済産業省】

【2024年11月】

経済産業省 補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました
  • 経済産業省は、以下の事業者に対して、公正取引委員会が令和6年10月31日、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)違反があったとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行ったため、本日、補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました。
    1. 対象事業者
      • 三井住友海上火災保険株式会社(6010001008795)
      • 損害保険ジャパン株式会社(4011101023372)
      • あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(3011001027739)
      • 東京海上日動火災保険株式会社(2010001008824)
      • 共立株式会社(3010001128893)
    2. 補助金交付等停止措置期間及び契約に係る指名停止等措置期間
      • 上記1. (1)、(2)、(4)の事業者
        • 本日から4.5ヶ月(令和6年11月7日から令和7年3月22日まで)
      • 上記1. (3)、(5)の事業者
        • 本日から3ヶ月(令和6年11月7日から令和7年2月6日まで)
    3. 本件の概要
      • 公正取引委員会は、保険契約者・発注者が行った損害保険契約8件及び当省の国家備蓄管理委託事業の受託者である独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構が行った損害保険契約に関し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)違反があったとして、令和6年10月31日、関係事業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
      • これを受けて、経済産業省は、上記1. の事業者に対して、「経済産業省所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領」第3条第1項に基づき、補助金交付等停止措置及び指名停止等措置を行いました。

経済産業省 下請中小企業振興法に基づく「振興基準」を改正しました 親事業者及び下請事業者双方が共存共栄の関係を築くことを目指します
  • 経済産業省は、関係省庁とともに、親事業者及び下請事業者双方が適切な利益を得てサプライチェーン全体の競争力向上につなげていく共存共栄の関係を築くことを目指し、下請取引における方向性、在り方を示し、下請中小企業の振興を図っています。約束手形等の指導基準の見直し等を踏まえ「振興基準」を改正しました。これを契機として、サプライチェーン全体で手形等のサイト※短縮への取組が行われることを期待します。
    • ※サイトとは、手形、一括決済方式又は電子記録債権における手形期間又は決済期間をいいます。
  • 振興基準改正のポイント
    • 令和6年4月30日に公正取引委員会が手形等の指導基準について、手形等の交付から満期日までの期間を120日から60日に見直したことを踏まえ、下請中小企業振興法第3条第1項に基づいて経済産業大臣が定める「振興基準」を改正しました。(令和6年11月1日施行)
    • 今回の改正では、親事業者及び下請事業者は、下請代金を手形等で支払う場合の支払サイトについて、業種を問わず60日以内とすることを徹底する旨を規定しています。また、公正取引委員会が令和6年5月に下請代金支払遅延等防止法の運用基準を改正し、買いたたきの解釈の明確化をうけて、振興基準でも同様に買いたたきの解釈を規定しました。

経済産業省 「DX銘柄2025」選定に向けたDX調査の項目を公表します
  • 経済産業省、東京証券取引所及び情報処理推進機構(IPA)は、デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていくデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業を、「DX銘柄」として選定しています。同銘柄の選定に向け、国内上場企業を対象に、「DX調査」を実施するため(提出期間:12月2日(月曜日)から12月23日(月曜日))、DX調査の項目を事前に公表します。
  • DX銘柄の狙い
    • 「DX銘柄」は、東京証券取引所に上場している企業(プライム、スタンダード、グロース)のうち、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用により企業価値向上を実現している企業を選定して紹介するものです。
    • 企業を取り巻く環境は昨今、生成AIも含むデジタル技術やデータ活用の急速な進展に加え、GX、SX、経済安全保障等の影響から大きく変化しています。こうした中、目指すべきビジネスモデルや経営戦略にDX戦略を適合させていく重要性は増しています。
    • 「DX銘柄」として企業を表彰することにより、選定企業のさらなる活躍を期待するとともに、目標となる企業モデルを広く波及させること、デジタル技術の利活用に関する重要性に対する経営者の意識変革を促すことを目的としています。
    • 「DX銘柄」に選ばれた企業の中から、特に優れた取組を行っている企業を「DXグランプリ」として、「DX銘柄」には選ばれなかったものの、特に注目すべき取組を行っている企業を「DX注目企業」としてそれぞれ選定します。さらに、特に優れた取組を継続している企業を「DXプラチナ企業」として選定します。
  • 「DX調査2025」とは
    • 経済産業省では、「DX銘柄2025」の選定に向けて、国内上場企業に対し、「DX調査2025」を実施します。本調査にご回答いただいた企業には、DX銘柄への選定有無に関わらず、銘柄発表後にフィードバックを行い、各社の更なる取組推進に資する情報を提供することに加え、例年5月下旬もしくは6月上旬に実施しているDX銘柄選定企業発表会及びその後の名刺交換会に参加可能とする予定です。
    • なお、フィードバックは回答頂いた全企業に対して行いますので、未だDXの取組が途上にあるという場合であっても、現在の自社の立ち位置をご確認いただくために、本調査を積極的にご活用ください。
    • また、本調査にご協力いただいた企業については、DXを積極的に推進する企業として、 原則、企業名を公表させていただく予定です。
  • 「DX調査2025」調査項目について
    • 「DX調査2025」は、DX時代の経営の要諦集として、経営者がDXによる企業価値向上の推進のために実践することが必要な事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に沿った構成としています。
    • 同コードは2024年9月に、データ活用・連携やデジタル人材の育成・確保、サイバーセキュリティ等の重要性を強調し、「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」として改訂されました。
    • 今回の改訂に伴い、同コードに紐づく事業であるDX銘柄の調査項目及び審査ポイントに関する主な変更点は以下のとおりです。詳細は、「デジタルトランスフォーメーション調査(DX調査)2025」について、をご覧ください。
    • 選択式項目について
      • デジタルガバナンス・コードの(2)望ましい方向性の記載内容の見直しに伴い、調査項目数がDX調査2024よりも増加していますが、調査項目数の増加を踏まえ、選択式項目の各設問に対する記述部分を廃止しました。
    • 記述式項目について
      • デジタルガバナンス・コードの構成・名称の見直し等を踏まえ、記述式の質問項目を追加するとともに、DX調査の記述式項目の一部を選択式項目の様式に統合したことに伴い、評価項目の体系変更を行いました。
    • 調査様式について
      • 今回より、これまでの「選択式項目一覧」と「記述式項目一覧」の2つのファイルを1つに統合しました。

経済産業省 「DXセレクション2025」の募集を開始しました
  • 経済産業省では、デジタルガバナンス・コードに沿った取組を通じてDXで成果を残している、中堅・中小企業等のモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション」として選定しています。この度、「DXセレクション2025」の選定に向け、募集を開始しましたのでお知らせします。
  • DXセレクションについて
    • DXセレクションとは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組を通じてDXで成果を残している、中堅・中小企業等のモデルケースとなるような優良事例を選定するものです。優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDX推進及び各地域での取組の活性化につなげていくことを目的として、2022年より開始した取組です。
    • DXセレクションとして選定される企業は、DXによる企業価値向上に向けて、デジタルガバナンス・コードをもとに、企業がデジタルによって自らのビジネスを変革するためのビジョン・戦略・体制等が整った事業者として経済産業大臣が認定する「DX認定」を取得した上で、DXによる企業価値向上を目指していくことが望ましいとされます。
    • そのため、応募時点でDX認定を取得済みである企業に限っては、DX認定レベルを確認する審査項目への記載を免除した上で自薦での応募も認めることとしますが、DX認定未取得企業の応募にあたっては、DX認定を取得するという自己宣言を必須としたDX認定レベルを確認する審査項目への回答とともに関係機関※からの推薦を必要とします。
      • ※推薦者は、地域DX推進ラボ、地方版IoT推進ラボ、地方公共団体(都道府県、市区町村)、経済団体(全国商工会連合会、商工会連合会、商工会、日本商工会議所、商工会議所、全国中小企業団体中央会、都道府県中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、都道府県商店街振興組合連合会)、金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫、農林中央金庫)、独立行政法人、国立研究開発法人、報道機関、ITベンダー、地域のコンサルタント(ITコーディネータ、中小企業診断士等)、大学、教育機関、その他、被推薦者の地域における事業活動や経営の状況等を把握し、「DXセレクション」として選定されうる事業者を適切に推挙できる者とします。
  • 応募の対象
    • DXに取り組み、成果をあげている日本全国の中堅・中小企業等
      • ※中小企業基本法に基づく中小企業者及び、産業競争力強化法に基づく中堅企業者のうち、法人に限る。なお、過去にDXセレクションに選定された事業者(グランプリや準グランプリ等も含む)や、過去に応募をされた事業者も再度の応募が可能です。

経済産業省 パートナーシップ構築宣言のひな形を改正しました(令和6年11月1日改正)
  • 経済産業省では、関係府省庁とともに、サプライチェーン全体での共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」を推進しています。11月1日(金曜日)に、企業が宣言を公表する際の参考となるパートナーシップ構築宣言の「ひな形」を改正しました。既にパートナーシップ構築宣言を公表している企業におかれては、新しいひな形での宣言の更新を、まだの企業はこの機会に宣言をお願いします。
  • ひな形改正のポイント
    • 下請中小企業振興法に基づく「振興基準」の改正(令和6年11月1日施行)において、親事業者及び下請事業者は、下請代金を手形等で支払う場合の支払サイトについて、業種を問わず60日以内とすることを徹底する旨が規定されたことを踏まえ、ひな形文中の「手形などの支払条件」の項目を変更しました。
    • 改正前
      • 下請代金は可能な限り現金で支払います。手形で支払う場合には、割引料等を下請事業者の負担とせず、また、支払サイトを60日以内とするよう努めます。
    • 改正後
      • 下請代金は可能な限り現金で支払います。手形等で支払う場合には、割引料等を下請事業者の負担とせず、また、支払サイトを60日以内とします。
  • 今後の取組
    • 経済産業省では、新しいひな形での宣言更新・新規宣言を促すため、関係府省庁等と連携し、
      • パートナーシップ構築宣言を公表している全企業に向け、メールによる周知
      • 業界団体経由で各会員企業向けの周知
        等を実施します。

【2024年10月】

経済産業省 G7デジタル・技術大臣会合を開催しました
▼ 共同声明【仮訳】
  1. 我々、G7デジタル技術大臣は、2024年10月15日、イタリアのチェルノッビオ・コモにおいて、アレッシオ・ブッティ政務次官(技術革新担当)の議長の下、2024年3月15日にイタリアのトレントで行われた前回会合で示された公的部門における人工知能(AI)、デジタル政府、デジタル・アイデンティティ及び広島AIプロセスの成果に対するコミットメントを前進させるために会合した。
  2. 我々は、経済協力開発機構(OECD)及び国連教育科学文化機関(ユネスコ)のナレッジパートナーとしての取組に感謝する。
  3. 我々は、デジタル技術が我々の社会に積極的に貢献することを確保しながら、それによってもたらされる課題や機会に対応するための協力的な環境を促進することに引き続き取り組む。我々は、グローバル・デジタル・コンパクトを歓迎し、そのコミットメントの実施とフォローアップに向けた包摂的かつ透明性のあるマルチステークホルダー・プロセスを支援することを期待している。特に、インターネット・ガバナンス・フォーラムをさらに強化することで、これを支援する。また、海底ケーブルインフラの展開、修理、保守に関する原則を含む、グローバルにデジタル化された世界における海底ケーブルの安全性と強靭性に関する最近の共同声明を歓迎する。
  4. 我々は、政府のデジタル・トランスフォーメーションを前進させ、公的サービスの提供を改善する、安全、安心で、信頼できるAIの可能性を認識する。我々は、倫理的配慮を考慮しつつ、法の支配、民主主義、人権及び、特にプライバシー権など基本的自由を尊重し、個人データと知的財産を保護する方法で、公的部門によるAIの開発、導入、利用に関する枠組みを提供する、OECD及びユネスコの支援の下で提供された、公的部門におけるAIツールキットを歓迎する。我々は、ツールキットが公的部門と、関連する場合には他の利害関係者を支援し、AIの機会を利用およびリスクを管理し、また原則を実行可能な政策に反映することを確信している。
  5. 我々はG7メンバーがそれぞれ異なるアプローチを取っていることを認識しつつ、引き続き、人間中心で、強靭で、信頼できる、権利を尊重した、AIやデジタル公共インフラから恩恵を受ける可能性のあるデジタル公的サービスを促進することにコミットする。また、デジタル公的サービスの提供およびデジタル公共インフラの促進におけるクラウドコンピューティングやその他のツールの重要性を認識する。この観点から、我々はOECDの支援の下で策定したデジタル政府に関する大綱をG7各国のベスト・プラクティス及び解決策を紹介する手段かつ今後の協力を導くものとして歓迎する。
  6. 我々は、より包摂的なデジタル政府を推進し、AIによって実現するデジタル政府サービスを促進し、全ての人がデジタル・トランスフォーメーションの恩恵を受けるための国家的取組及び国際的協力の重要性を強調する。
  7. 我々は、安全で、信頼できるデジタル・アイデンティティの解決策及び国境を越えた相互運用性の促進に関する継続的な機会と課題の重要性を認識する。我々は、OECDの支援によって提供されるG7メンバー間のデジタル・アイデンティティに関する協力のための戦略的提言を含む、デジタル・アイデンティティ・マッピングエクササイズを歓迎する。我々は、OECDに対し、適用範囲を拡大し、より広範囲の協力と将来の相互運用性を促進するために実施マッピングをG7外の主要なパートナー間に適切に普及し、そのフォローアップをG7デジタル技術作業部会に報告することを求める。
  8. 我々は、OECDが2024年7月19日から9月6日まで実施した、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」のための報告枠組みのパイロット版から得られた結果について議論した。我々は、企業、アカデミア、市民社会、国際機関、政府といった真のマルチステークホルダーでの共同作業であったこの期間に、報告枠組みをより良くするために貴重な支援をいただいた全ての参加組織に感謝の意を表する。この点において、我々は、イタリア議長国による広島AIプロセス報告枠組みのOECDパイロットの要約に留意する。我々は、OECD及び参加組織との協力の下、年内に報告枠組みを前進させることを目指し、策定に向けて引き続き取り組む。
  9. 我々は、国際行動規範の今後の報告枠組みに自発的に参加し、実施している組織を特定するために使用できるブランドの策定に向けた取組を、イタリア議長国下で、続けることを期待する。
  10. 我々は、公的部門におけるものを含む安全、安心で、信頼できるAIを推進するための、我々それぞれの取組を追及するための政策、ツール及びメカニズムと、デジタル政府やデジタル・アイデンティティ・アプローチに関する対話をG7やその他の関連するフォーラムを通じて継続する予定である。我々は、全ての人に恩恵をもたらすAIの更なる発展に遅れないようにし、AIガバナンス・アプローチ間の相互運用性を高める取組を強化するためのコミットメントを再確認する。
  11. 我々は、2025年のカナダのG7議長国に期待するとともに、イタリアの2024年のG7議長国の成果を継承し、今後継続して積み上げていくことを期待する

経済産業省 第15回クリーンエネルギー大臣会合(CEM15)/第9回ミッション・イノベーション(MI-9)閣僚会合及びG20エネルギー移行大臣会合が開催されました
▼ 第15回クリーンエネルギー大臣会合及び第9回ミッション・イノベーション大臣会合 閣僚共同声明
  • 我々、クリーンエネルギー大臣会合(CEM)及びミッション・イノベーション(MI)は、本日2024年10月3日、ブラジルのフォス・ド・イグアスにおいて、第15回クリーンエネルギー大臣会合(CEM15)及び第9回ミッション・イノベーション閣僚会合(MI-9)を開催した。
  • 我々は、力強く、持続可能で、バランスの取れた包摂的な成長を可能にし、かつ気候目標を達成する手段として、多様な道筋に沿って、クリーンで、持続可能で、公正で、低廉かつ包摂的なエネルギー移行を加速させることをコミットする。これらの行動は、政策と技術を加速度的に推進することにより、SDG7の「クリーンで低廉なエネルギー」の目標に向けた進展を支援する。
  • 我々は、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議において採択されたパリ協定の「第1回グローバルストックテイクの成果」を歓迎する。我々は、世界平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃を十分に下回る水準に抑える、および、気候変動のリスクと影響を著しく低減させるだろうと認識しつつ、気温上昇を産業革命前と比べて5℃に抑える努力を追求する、パリ協定の気温目標を再確認する。我々は、1.5℃の気温上昇では、2℃の気温上昇に比べて気候変動の影響が大幅に小さくなることを強調し、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求することを決意する。我々は、資金、キャパシティ・ビルディング、技術移転が気候変動対策の重要な実現手段であることを強調する。
  • 我々は、利用可能な解決策を展開するための行動と投資だけでなく、グローバル・カーボン・ニュートラル/ネット・ゼロへの多くの道筋を示す将来の解決策における研究、開発、実証の重要性と、CEMやMIなどのプラットフォームを通じた多国間協力が、SDGsとパリ協定の目標に向けた進展をいかに加速できるかを認識する。我々は、我々のワークストリームやミッションを通じて、また、より広範な分野での他者とのパートナーシップを通じて、2030年までに野心的な成果を達成し、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議で採択された世界目標を実施し、SDG7目標やより長期的な目標を支援するために、緊急性をもって取り組んでいる。
  • 我々は、ブラジル政府がG20エネルギー移行大臣会合と並行してCEM及びMI閣僚会合を主催し、G20の野心設定アジェンダとCEM及びMIの野心を行動に移すという焦点との間のシナジーを積極的に模索してくれたことに感謝の意を表する。我々は、ブラジルと協力し、G20議長国としての成果を支援し、COP30議長国としてのCEMとMIの活動を前進させるための更なる方法を特定することを期待する。
  • CEMとMIは、バリューチェーン全体にわたり世界的なクリーンエネルギー移行を推進している。MIコミュニティは、研究・開発・実証(RD&D)の努力を結集し、結びつけることで、投資を最大化し、斬新な解決策の規模拡大を促進する。CEMコミュニティは、技術が広く採用され、個人およびビジネス用途で使用されることを確実にするために、障壁を取り除く政策を開発し、推進し、実施する。
  • これら2つの強力なプラットフォームの活動を、主要なパートナーとともに連携させることで、私たちは世界中で再現可能な、実行可能で多次元的なカーボンニュートラル/ネット・ゼロの道筋を創り出す。そして、我々は、人々を中心に据えた公正で包摂的なアプローチを通じて、すべての人が低廉な価格で信頼できる持続可能な近代的エネルギーにアクセスできるようにし、社会的弱者、労働者、産業を含むすべての地域社会に利益をもたらす。
  • 我々は、CEMとMIを通じて、世界最高峰の行動志向のプラットフォームとして協力し、メンバーがクリーンエネルギー目標を達成するのを支援するコミットメントを再確認し、我々のクリーンエネルギーの未来を確保するために必要な技術的、経済的、社会的変革を実現させる。
  • ハイレベルの政治的リーダーシップと深い技術的専門知識を通じて、官民および市民社会の関係者を結集し、CEMとMIは、UNFCCCやG20などの関連する多国間フォーラムを含め、クリーンエネルギー技術や協力に関連する主要な優先事項の引き上げを支援している。CEMとMIはまた、グローバルストックテイクの野心に応えるための実施プラットフォームを提供している。
  • CEMとMIのコミュニティにおける取組の幅広さと野心を示す、以下のCEM15/MI-9からの共同成果は、多くのメンバーに支持され、CEMとMIがどのように協力して世界的なクリーンエネルギーの優先課題に取り組んでいるかを強調する:
    • 電力システムソリューションのための行動の呼びかけは、持続可能で安全かつ強靭な電力門のインフラとシステムへの投資を支援するために、CEM電力ワークストリームとMIグリーン電力未来ミッションが実施できる具体的な行動と目標の概要を示す。当該行動の呼びかけは、2030年までに再生可能エネルギーを3倍にし、エネルギー効率改善率を2倍にするという世界的な目標に向けて前進する助けとなる。
    • 設立されるGt by 2030キャンペーンは、CEM炭素回収・利用・貯留イニシアティブとMI二酸化炭素除去ミッションの共同の取り組みであり、2030年までにギガトン規模の炭素管理ソリューションを加速させることを支援する。
    • CEMとMIのワークストリームは、公正で包摂的な移行を支援するためのコミットメントを発表した。G20エネルギー移行作業部会および女性のエンパワーメント作業部会との共同イベントは、クリーンエネルギー移行における女性の重要な役割を強調した。CEMの平等イニシアティブとMIが新たに立ち上げたInclusivity Catalystによって開発された新しい包摂性の実施枠組みは、CEMとMIのイベントにおける包摂性と代表性に関するCEMとMIの作業を強化することを意図している。
  • CEM15/MI-9で披露されたCEMとMIの成果の全リストは、CEM成果文書とMIファクトシートに掲載されている。
  • CEMとMIはまた、次のような重要な進展も祝った:
    • CEMのメンバーは、CEMの15周年を祝い、CEMの柔軟で行動志向のアプローチの価値を強調し、次の10年に向けて野心的な目標を設定した。
    • CEMメンバーはまた、追加拠出金とともにCEM事務局をさらに3年間支援することに同意した。
    • MIメンバーは、MI事務局への支援の継続を発表した。閣僚は、2017年以来、MI事務局を受け入れている英国の寛大さに感謝した。
    • CEMとMIのメンバーは、2025年の第16回クリーンエネルギー大臣会合(CEM16)及び第10回ミッション・イノベーション閣僚会合(MI-10)を韓国が主催する旨の発表を歓迎した。
  • ブラジルは、CEM15/MI-9の主催国であり、2024年G20の議長国として、持続可能な未来型燃料のイノベーションと展開を進めるため、CEMイニシアティブの能力を活用し、MIミッションとの協力を模索する未来型燃料行動計画を発表した。ブラジルは、持続可能な燃料、および行動計画を通じたCEMとMIの協力を、COP30における優先課題とする意向を表明した。
  • 2030年とその先を見据えて、我々、CEMとMIの大臣は、世界規模でのクリーンエネルギーソリューションの研究、開発、実証、展開に緊急に引き続き尽力する。我々は、COP29において更なる進展を示し、COP30に向けてブラジルと協力し、エネルギーのイノベーションと展開を中心に据えることに引き続きコミットする。私たちは、CEMとMIを通じて、この努力に参加するよう他の国や組織に呼びかける
▼ G20エネルギー移行大臣会合 2024年10月4日 フォズ・ド・イグアス閣僚声明
  • 我々、エネルギーの消費者と生産者の世界最大のグループを代表するG20エネルギー担当大臣は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7、パリ協定、及び第28回国連気候変動会議において採択された「第1回グローバル・ストックテイクの成果」に基づき、気候変動への対応の緊急性に鑑み、各国の事情を考慮し、安全で持続可能で公正で共有された包摂的成長を可能にする手段として、エネルギー安全保障を強化するとともに、クリーンで持続可能で公正で低廉で包摂的なエネルギー移行を加速する必要に留意し、:
    • 誰一人、特に貧困層や脆弱な状況にある人々を取り残さず、クリーンで持続可能で公正で低廉で包摂的なエネルギー移行を加速させることをコミットする;
    • 世界的なエネルギー移行の資金ギャップを埋めるため、あらゆる財源とチャネルからの投資を促進し、その規模を拡大する必要性を認識し、特に開発途上国におけるエネルギー移行のための技術とインフラへの既存投資と追加投資のデリスキング、動員、多様化の緊急性を強調する;
    • エネルギー移行のための資金を呼び込むための環境整備において、国内のエネルギー計画、能力構築、政策戦略、枠組、および政府間協力が重要な役割を担うことを認識する;
    • 議長国ブラジルによるエネルギー計画世界連合(GCEP)の設立、及び次期議長国の南アフリカと協力して2025年に開催される第1回エネルギー計画サミットの発表を留意する;
    • エネルギー安全保障、市場の安定性、全ての人のための低廉で信頼でき、持続可能で近代的なエネルギーへの普遍的アクセスを確保しつつ、エネルギー移行において特に開発途上国が最も深刻に直面しているような現在の世界的なエネルギー状況に存在する不平等と課題を認識する;
    • クリーン・クッキング・プロジェクトの年間投資額を増加させ、その低廉性を支援するため、実現可能な政策の策定と実施、開発途上国に対するあらゆるソースからの財政的及び技術的支援の提供と動員を含め、2030年までにクリーン・クッキングへの普遍的アクセスを達成するための努力を加速させることにコミットする;
    • 自主的な「公正かつ包括的なエネルギー移行のための原則」を支持し、各国の状況に沿ってエネルギー移行を追求するための政策を検討、実施するにあたり、同原則を考慮する;
    • 開かれた、公正で、競争的で、非差別的かつ自由な国際エネルギー市場を促進しつつ、持続可能な開発と気候変動の目標に沿って、拡大するエネルギー需要を満たすための包括的な投資等を含めて、強化されたエネルギー安全保障及び市場の安定への道を探る、多角的な供給源、供給者及びルートからのエネルギーの途絶ない流れを維持することの重要性を強調する;
    • 排出削減及び除去、炭素管理及び排出削減等を目的とした、様々な持続可能燃料及び技術を開発及び導入するための技術中立的で統合的かつ包摂的なアプローチが、特に排出削減困難なセクターにおいて、エネルギー移行を加速させるための規模とグローバルな市場を創出する上で、極めて重要な役割を果たすことを強調する;
    • 方法論と基準の開発に携わる国際機関に対し、各国の事情に即して、状況に応じたライフサイクル評価の原則に基づき、相互承認され、相互運用可能で、透明性があり、比較及び検証可能な基準および認証方法論を用いた、持続可能燃料のGHG排出量を評価するための方法論的アプローチの一貫性を高め、ステークホルダーの関与を強化し、持続可能燃料の拡張性、低廉な価格、公正な競争、迅速な普及に貢献するため、IPCCの科学的・技術的情報や各国の事情を考慮し、協力することを奨励する;
    • 持続可能な開発目標の達成や、今世紀半ば頃までのGHG排出量のネット・ゼロ又はカーボンニュートラルの達成に貢献するために、多様な道筋を通じてエネルギー移行を進めることが緊急に必要であると認識する。途上国の低炭素及び低排出への移行を支援する必要があることを認識し、途上国に対する低コストなファイナンスの促進に向けて取り組む;
    • 2030年までに、各国の状況に沿って、既存の目標や政策を通じて再生可能エネルギー容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を世界平均で年率2倍にする努力の実施を支持し、排出削減対策技術及び除去技術を含む他のゼロ及び低排出技術に関しても同様にその実施を支援する。再生可能エネルギー容量を3倍にする努力については、各国の状況に沿って、需要管理、柔軟性、改修、系統インフラのバックアップやバランシング能力の拡張と近代化を含む、系統の柔軟性と安定性を強化するための様々なアプローチを採用する必要性を認識する。蓄電池や揚水発電を含む、エネルギー貯蔵技術の導入規模を加速することの重要性を強調する。第一の燃料として、省エネルギー及びエネルギー節減に取り組む。G20メンバーに対して、世界全体のエネルギー移行にとって望ましい国際的な環境作りを主導するよう求める;
    • 民生用原子力エネルギーの安全かつ平和的利用を選択する国は、その国内状況を踏まえ、GHG排出削減への貢献、SDGsの目標7の達成、エネルギー安全保障の確保における役割を再確認することに留意する;
    • エネルギー移行に必要なソリューションの開発、展開、商業化を加速するための研究・開発・実証(RD&D)を含む、イノベーションに対する持続的な資金提供と国際協力の横断的な重要性を強調する;
    • 特定の鉱物、原材料、部品、製品及び技術がエネルギー移行に不可欠であり、世界市場が透明性及び持続可能性を基盤とし、信頼性が高く、多角的で持続可能かつ責任あるサプライチェーン及びバリューチェーンを促進しつつ、地域での付加価値の創出や原産地での利益享受を含むグローバルな機会を提供するものでなければならないことを認識し、「エネルギー移行重要鉱物に関する国連事務総長パネル」の下に招集された専門家の作業に留意する;
    • 10月3日に開催された第15回クリーンエネルギー大臣会合および第9回ミッション・イノベーション大臣会合の合同会議が、G20メンバー間の協力を強化し、エネルギー移行に向けた共通目標の実施を加速する上で大きく貢献することに留意する

経済産業省 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律の施行期日を定める政令」、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律施行令」、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律関係手数料令」が閣議決定されました
  • 本日、第213回国会において成立した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律」(以下「水素社会推進法」といいます。)を施行するための関係政令が閣議決定されました。
  • 政令の概要
    • 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律の施行期日を定める政令
      • 水素社会推進法の施行期日を令和6年10月23日と定めます。
    • 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律施行令
      • 政令委任事項である特定水素等供給事業者(水素等供給事業者のうち、勧告・命令等の対象となる事業者)の要件等を定めます。
    • 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令
      • 水素社会推進法の施行に伴い、整備が必要な政令の改正を行います。
    • 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律関係手数料令
      • 高圧低炭素水素等ガスの製造の承認等に係る審査に要する手数料について、その承認等の種類ごとに手数料の額を定めます。

経済産業省 「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合 中間とりまとめ3.0」の公表について
▼ デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合 中間とりまとめ3.0(概要)
  • 社会経済のデジタル化に伴い、今や、デジタルインフラは、「社会インフラのインフラ」として、我が国における安心・安全や社会経済の持続的な発展を確保するために必要不可欠な礎。
  • これまでの提言を踏まえつつ、生成AIの台頭やGX等、デジタルインフラを取り巻く最近の環境変化を踏まえ、今後のデジタルインフラ整備の基本的な考え方・方向性、具体的な対応策を提言。
  • これまで提言された方向性等について、東京圏・大阪圏への集中の改善に向けた補完・代替としての北海道や九州における拠点整備や国際海底ケーブルの多ルート化等、官民連携による取組が着実に進められつつある。
  • 中間とりまとめ1.0(2022年1月)
    • デジタルインフラの分散立地を進める際に重視される事項を整理
      • 災害等へのレジリエンス強化
      • 再生可能エネルギーの効率的活用
      • データの地産地消を可能とする通信ネットワーク等の効率化
  • 中間とりまとめ2.0(2023年5月)
    • 国際情勢の変化等を踏まえ、国際的なデータ流通のハブ機能強化等の観点から、デジタルインフラ整備の青写真を更に具体化
      • 東京圏・大阪圏を補完・代替する中核拠点としての北海道・九州への整備促進
      • 上記中核拠点の整備と連動して、国際海底ケーブルの多ルート化の促進
      • 5Gの進展や脱炭素電源等、地域ごとの状況に応じた分散型DCの整備の促進
  • デジタルインフラを取り巻く最近の環境変化
    • 我が国では地域における人口減少・少子高齢化等がますます深刻化。これらに伴う社会的な課題の解決に向け、デジタル技術による地域DXの実現の重要性が増加。
    • 日本の産業競争力強化や地政学的リスク等への対応の観点からも、AIの導入・進展に合わせた国内における大規模な計算資源の確保が急務。
    • クラウド化の進展による地方から東京圏・大阪圏へのデータセンターの新規投資等の更なる集中に加え、生成AIの台頭に伴いデータセンターの役割・用途が変化するとともに大規模化。
    • カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化実現の重要性が一層増加。大量の電力を消費するデータセンターそのもののエネルギー消費効率の改善や電力の地産地消への貢献への期待の高まり。
    • データセンターの立地が集中する地域においては電力ネットワークの整備に長期間かかるケースも出てきているほか、建設業界のリソース不足によりデータセンターの建設期間が長期化し、建設コストも増加。
    • 太平洋を中心に我が国が信頼できるパートナーとして国際海底ケーブル敷設に係る欧米や豪州等との間での連携が進むとともに、技術革新が進展。
  • 2030年代に向けての検討の視点(デジタルインフラ整備の基本的考え方・方向性)
    • 経済合理性に基づき解決できない東京一極集中や人口減少・少子高齢化等の社会的な課題の解決や産業競争力の確保・強化のために必要不可欠なDXやGXの推進、地政学的リスク等に対するレジリエンス強化・経済的自律性の確保等に向け、民間主導を基本としつつも、国としてもデジタルインフラの未来像を描き、官民の役割分担を踏まえて相互に連携し、デジタルインフラ整備に戦略的に対応することが必要。
      1. AI社会を支えるインフラとしての役割
        • オール光ネットワークとの一体的な運用により多数のAIの駆動を実現
          • 今後、AIが急増し、様々な分野で利活用され、社会的な課題の解決や産業競争力の確保・強化等に直結することが期待される中、AIがあらゆる分野で利活用可能な社会を目指し、このAI社会を支えるデジタルインフラが必要。
          • 遅延が許容される学習用途や低遅延が求められる推論用途を分けて考える等、データセンターの用途や必要とされる規模に応じたデータセンターの分散立地が重要。この際、オール光ネットワークの活用により、超低遅延な通信が実現されることで、国内及び国際での広域分散AI環境が実現され、処理の分散化がより円滑になるとともに、データセンターが立地可能な地域の幅が広がり、脱炭素化の実現への貢献が期待。
      2. 電力・通信インフラの関係性/GXへの貢献
        • 情報処理と電力・通信インフラの関係性を踏まえたデータセンターの立地
          • 電力の輸送コストと比して、通信コストの方が低廉であることから、電力インフラ近傍に立地されたデータセンターで処理を行い、その結果を通信ネットワークにより需要地に伝送することが重要。
          • この際、脱炭素電源を含めた電力の地産地消の観点からも、データセンターの分散立地の推進が一層重要。
      3. レジリエンス強化/経済的自律性の確保
        • 首都直下・南海トラフ等の災害や高まる地政学的リスクへの対応強化
          • 我が国のデジタルインフラが東京圏・大阪圏に集中する構図を是正していく必要。
          • この際、データセンターだけでなく、国際海底ケーブルの陸揚局の分散立地も併せて推進していくことが重要。
        • 国際的なプレゼンスの確立・向上
          • 国際海底ケーブルの多ルート化の促進による欧米・アジアとの接続性強化を通じて、我が国におけるデータガバナンスや信頼できるAIの実現にむけた「広島AIプロセス」等の取組も踏まえつつ、アジア・太平洋地域の国々や欧米各国と信頼性の高いコネクティビティを強化していくことも含め、我が国として、国際的なデータ流通のハブ機能を一層強化することが重要。
          • 我が国への大規模AI用データセンターの立地を促進し、国際的なAIファクトリー(AIを使い生産性や効率を上げるためのデータセンターの集積拠点)として位置づけることが重要。その際、立地に自由度のある学習用のAI用データセンターの地域への分散立地と併せて、国際海底ケーブルの陸揚局の東京圏・大阪圏以外への分散立地も一層推進することが重要。
          • 我が国が信頼できるパートナーとして、欧米や豪州等との間で連携が進められている太平洋を中心とした国際海底ケーブル整備とも連動していくことが重要。
      4. 地域DXの推進
        • 地域におけるエコシステムを支える基盤として社会的な課題を解決
          • 5G/Beyond 5G等の進展と合せ、地域DXが社会実装されていくことが期待される中で、官による需要喚起も含めた地域におけるエコシステム形成が重要。
          • デジタルインフラの格差により、地域DXの格差が東京圏・大阪圏と地域との間で生じることを防ぐ意味でも、データセンターや国際海底ケーブルの陸揚局の地域への分散立地は一層重要。
  • 具体的な対応策
    • 2030年代のAI社会を支えるデジタルインフラの整備に向けて、以下の具体的な対応策を提言。
      1. データセンターの分散立地の更なる推進
        • 地域におけるエコシステムを支える基盤としてのデータセンターの地域分散に向けた政策的支援
          • あらゆる社会活動へのAI利活用と高度なサービスの実装を地域においても東京圏・大阪圏と遜色なく実現し、地域におけるAIの利活用やデジタル実装に貢献するため、データセンターの分散立地に向けた政策的支援策を早急に検討。
        • 様々な行政サービスを支えるデータ基盤整備との連携
          • 地域へのデジタル実装を考える際には、地方が経済的に自立するためにも、我が国全体の経済的自律性の確保も念頭におきながら、様々な行政サービスを支えるデータ基盤整備とも連携。
      2. 最先端技術の研究開発・社会実装の推進
        • 最先端技術による産業の競争力強化・エネルギー消費効率の改善
          • 産業全体の競争力強化・エネルギー消費効率向上の観点から、次世代光技術や先端半導体技術及びAIチップの開発技術などの最先端技術の研究開発や社会実装を推進。社会実装に当たっては、社会で運用されるシステムとしての開発及び展開、さらには管理・運用技術や環境の整備が必要。
        • オール光ネットワーク技術等の次世代光技術
          • 低遅延性・低消費電力性によりデータセンターの脱炭素化の実現に貢献するポテンシャルを持つオール光ネットワークの研究開発を推進。
        • オール光ネットワークの社会実装・整備に向けた取組と連動したデータセンターの拠点整備を誘導。
        • AIの社会実装を見据えた計算基盤技術
          • 今後増加するAIの社会実装を見据え、分散化されたAI基盤の実現のため、計算基盤の最適化や効率的な活用、高度化に向けた研究開発を促進。
      3. 国際海底ケーブルの陸揚局の分散/国際的なプレゼンスの確立・向上
        • 国際海底ケーブルの陸揚局の分散立地の推進
          • データセンターの分散立地やオール光ネットワークの国際連携等も見据えつつ、房総半島・志摩半島に集中する国際海底ケーブルの陸揚局の分散立地を促進。
        • 国際的なプレゼンスの確立・向上
          • 国際海底ケーブルの多ルート化を一層促進し、我が国のデータガバナンスや信頼出来るAIの実現に向けた「広島AIプロセス」等も踏まえつつ、欧米・アジアとの接続性強化を通じて国際的なデータ流通のハブ機能を強化。
          • 大規模なAI用データセンターの国内立地を推進しAIファクトリーとしてのプレゼンスを確立。その際、国際海底ケーブルの陸揚局の分散立地も併せて推進。
      4. GX政策との連携
        • 電力インフラを踏まえたデータセンターの立地
          • 大量の電力を必要とする大規模なAI用データセンターについて、脱炭素電源の確保も促進しつつ、既存の電力インフラを活用可能な場所や、将来的に電力インフラが立地する見込みがある場所の近傍への立地を誘導することが有効であるため、GX政策と連携。
        • データセンターの省エネ化
          • エネルギー消費効率の改善をはじめとする最先端技術の研究開発・実装を促進。満たすべき効率を設定した上で、エネルギー消費効率改善の取組の現状や今後の取組の可視化、研究開発成果の実装などの効率改善を促進。諸外国の取組も踏まえつつ、支援策と一体でデータセンター自体のエネルギー消費効率の改善を促す制度を検討。
  • 今後の検討に向けて
    • デジタルインフラは、「社会インフラのインフラ」として、我が国にとって必要不可欠な礎。政府として、デジタルインフラの整備に向けて、本提言を受けての施策を早急に検討し、具体化することが重要。
    • AI・半導体・オール光ネットワーク・量子コンピューター等の技術を軸に、AI革命に続く大きなパラダイムシフトが数年以内に起こり得ることを念頭に置いた柔軟性の確保が重要。
    • 今後は、AIの利活用や人材育成・研究開発等にも目を向けていくことが重要。
    • 関連する他の政策の枠組みや検討の動向を注視しつつ、取組の進捗状況等についてフォローアップを実施。関係省庁や事業者等とも連携しながら更なる戦略の検討や必要に応じた適時の見直しを行っていくことが必要。

【2024年9月】

経済産業省 令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
  • 経済産業省は、「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態等について取りまとめました。
  • 調査結果概要
    1. 国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)
      • 令和5年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、24.8兆円(前年22.7兆円、前々年20.7兆円、前年比9.23%増)に拡大しています。また、令和5年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は465.2兆円(前年420.2兆円、前々年372.7兆円、前年比10.7%増)に増加しました。
      • また、EC化率は、BtoC-ECで9.38%(前年比0.25ポイント増)、BtoB-ECで40.0%(前年比2.5ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。
        • 物販系分野
          • 物販系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「食品、飲料、酒類」(2兆9,299億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆6,838億円)、「衣類・服装雑貨等」(2兆6,712億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆4,721億円)の割合が大きく、これらの上位4カテゴリーが2兆円を超過するとともに、物販系分野の73%を占めています。
          • EC化率については、「書籍、映像・音楽ソフト」(53.45%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(42.88%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(31.54%)において高い値となっています。
        • サービス系分野
          • サービス系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「旅行サービス」(3兆1,953億円)が大きな割合を占めています。令和5年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に落ち込んでいた旅行サービス、飲食サービス、チケット販売が昨年に引き続き大きく増加しました。
        • デジタル系分野
          • デジタル系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「オンラインゲーム」(1兆2,626億円)が大きな割合を占めていますが、市場規模は前年比マイナス3.6%と減少しています。
    2. 国内電子商取引市場規模(CtoC)
      • 近年、ECチャネルの一つとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大していることを踏まえ、平成28年から、CtoC-EC市場規模推計を実施しています。
      • 令和5年のCtoC-ECの市場規模は2兆4817億円(前年比5.0%増)と推計されました。
    3. 日本・米国・中国の3か国間における越境電子商取引の市場規模
      • 令和5年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加しました。なお、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆4,301億円(前年比7.7%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆9,610億円(前年比7.7%増)であり、昨年に引き続き増加しています。
  • 電子商取引に関する市場調査について
    • 本調査は、電子商取引市場動向や利用者実態を調査したものであり、平成10年度から毎年実施し、今回で26回目となります。
    • 日本国内のBtoC-EC、BtoB-EC、CtoC-ECの市場規模に加え、越境ECの消費者向け市場動向(日本、米国及び中国相互間)について、調査を実施しております。

経済産業省 「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます
  • 経済産業省では、コーポレートガバナンス・コードを実践するための各種ガイドライン等を策定し、公表しております。今般、これまで日本企業が行ってきたコーポレートガバナンス改革を土台としつつ、「稼ぐ力」の強化に結びつけるための更なる取組や会社法の改正の方向性等について検討するため、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます。
  1. 背景
    • 経済産業省は、日本企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、社外取締役の活用による監督機能の強化や執行機能の強化など、コーポレートガバナンス改革に取り組んできました。その結果、多くの企業で社外取締役の選任や指名委員会・報酬委員会の設置が進むなど、一定の成果が見られます。
    • 今後は、これまでの取組が日本企業の「稼ぐ力」の強化にどう寄与しているのかを踏まえつつ、「稼ぐ力」の強化に結びつけるための更なる取組を検討することが重要です。例えば、企業は、単に法令やコーポレートガバナンス・コード等を遵守するのではなく、「稼ぐ力」を強化する観点から、自社のコーポレートガバナンスの在り方を十分議論した上で、それを実行するための体制や運用の見直しまで落とし込むことが必要と考えられます。
    • 上記のコーポレートガバナンスに関する取組に加えて、企業の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上の観点から、企業活動の基盤である会社法の改正に向けた議論も必要です。
    • 以上の問題意識から、日本企業の「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス改革の進め方や会社法の改正の方向性等について検討するため、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会を立ち上げます。
  2. 本研究会の取組
    • 本研究会では、日本企業のコーポレートガバナンス改革の進め方について、「稼ぐ力」の強化に向けてコーポレートガバナンス改革を行うに当たって必要な考え方や方法、日本企業のコーポレートガバナンス改革を後押しする方策について検討を行います。また、会社法の改正について、検討すべき事項や考えられる改正の方向性について検討を行います。
  3. 今後の予定
    • 以下の日程で第1回研究会を開催します。
      • 第1回:2024年9月18日(水曜日)午前10時00分から12時00分
      • (研究会は非公開、後日、議事要旨をホームページに掲載予定。)

経済産業省 西部生コン株式会社のJIS認証取消報告がありました
  • JISマーク表示制度の登録認証機関である一般財団法人日本建築総合試験所が、日本産業規格(JIS A 5308)の認証製造業者である西部生コン株式会社に対して審査を行った結果、JISマーク認証の取消しを行った旨の報告がありました。
  1. 報告の内容
    • 本日、産業標準化法に基づく「鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令」(平成17年厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第6号。以下「省令」という。)第22条第4項に則り、JISマーク表示制度の登録認証機関である一般財団法人日本建築総合試験所(以下「日総試」という。)から以下の報告がありました。
    • 日総試は、認証製造業者である西部生コン株式会社に対し、2024年7月18日、7月29日及び8月27日の審査並びにその後の調査を行ったところ、
      1. JISマークを付した架空の納入書を長期間にわたり発行した事実
      2. 一部の製品について購入者に提出した納入書等に記載されている配合表と異なる配合の製品を長期間にわたり出荷した事実
      3. 不適合を隠蔽するため、一部の品質管理記録の改ざんがなされた事実
        を確認しました。
    • 日総試は、審査内容の検討の結果、省令に定める基準を満たしておらず、不適合の内容が重大であると判断し、2024年9月18日付で、同社の次の認証を取り消しました。
  2. 認証取消しとなる製造業者
    1. 製造業者名
      • 西部生コン株式会社(法人番号 6060001008477)
    2. 認証に係る工場の名称、所在地、認証年月日、認証番号及び取消しの対象となるJIS番号
      • 工場名:西部生コン株式会社 今市工場
      • 工場名:西部生コン株式会社 足尾工場
      • 工場名:西部生コン株式会社 日光工場

経済産業省 「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しました
  • 経済産業省は、本年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、デジタルガバナンス・コードの改訂に向けた検討を進めてきました。
  • 同検討会での議論を踏まえ、このたび「デジタルガバナンス・コード0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しました。
  1. 概要
    • 経済産業省は、2020年11月に、企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめました。
    • また、2022年9月には、デジタル人材の育成・確保をはじめとした時勢の変化に対応するため、「デジタルガバナンス・コード0」に改訂しました。
    • 本年6月に「企業価値向上に向けたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、より経営者がDXに取り組むことを推進するため、DXを通して得られる企業価値向上に焦点を当て、経営者への伝わりやすさを重視した見直し(名称・構成の変更等)をはじめ、データ活用・連携やデジタル人材の育成・確保、サイバーセキュリティ等の時勢の変化に対応するための見直しを反映した「デジタルガバナンス・コード0~DX経営による企業価値向上に向けて~(案)」を取りまとめました。
    • 今般、8月8日から9月13日までの間に実施したパブリックコメントのご意見も踏まえ、このたび「デジタルガバナンス・コード0~DX経営による企業価値向上に向けて~」を策定しましたのでお知らせします。
  2. 改訂のポイント
    1. 名称
      • デジタルガバナンス・コードの目的である「DX経営による企業価値向上」を強調する副題を新たに記載。
    2. 序文
      • DXの推進による企業価値向上に焦点を当てた経営者向けのメッセージを追加するなど、序文を大幅に見直し。
      • 「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート0~」の3つの視点と整合する、「DX経営に求められる3つの視点」を追加し、デジタルガバナンス・コードの全体像を「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」と新たに整理。
    3. 本文
      • 経営者への伝わりやすさを重視し、柱立ての名称・構成を大幅に見直し。
      • デジタルガバナンス・コード0において「取組例」として設けていた内容を「望ましい方向性」に統合し、より簡潔でわかりやすい内容に変更。
      • データが企業の成長に欠かせない要素になってきていることを踏まえ、経営におけるデータ活用やデータ連携の重要性を強調。
      • DXを推進していく上で最大の課題であるデジタル人材の育成・確保について、デジタルスキル標準を参照した社員のスキル可視化や経営者を含めた役員・管理職の意識改革、キャリア形成支援等の重要性を強調。
      • 今後ますます増加するとともに高度化・複雑化していくおそれがあるサイバーセキュリティリスクについて、第三者監査やサプライチェーン保護に向けた対策等の重要性を強調。
      • その他、取締役会の役割等、各項目において必要な見直しを実施。
  3. デジタルガバナンス・コードに紐づく「DX認定」及び「DX銘柄」への影響
    1. 「DX認定」の認定基準
      • コードに記載の「デジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化」を「データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化」に、「デジタル技術を活用する戦略」を「DX戦略(=データとデジタル技術を活用する戦略)」に見直したことに伴い、各柱の②認定基準(=「DX認定」の認定基準)にデータ活用の要素も明示的に含まれました。
      • なお、デジタルガバナンス・コードの柱立ての構成を大きく見直したことに伴い、各柱の「①柱となる考え方」や「②認定基準」に記載されている各項目を移行・分割しておりますが、前述以外に認定基準の内容で大きく変更となる箇所は発生しておりません。今後、申請を予定されている事業者の皆様は、新基準に沿って申請書類を準備いただくこととなります。詳細は、DX認定制度のページをご確認ください。
    2. 「DX銘柄」の評価・選定基準
      • 全体構造を大きく見直し、「デジタルガバナンス・コード0」の各柱立てにおいて、(2)望ましい方向性及び(3)取組例、としてそれぞれ記載していた箇所を見直し、必要な改訂を行った上で、(2)望ましい方向性、として統合しました。
      • DX銘柄の選定材料となるDX調査の調査項目について、(2)望ましい方向性の記載を踏まえた内容が反映される見込みです。詳細は、追ってお知らせする「DX調査2025」の内容をご確認ください。
▼ デジタルガバナンス・コード3.0DX経営による企業価値向上に向けて~

経済産業省 「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置します
  • 経済産業省は、グリーン鉄の市場拡大を通じた鉄鋼業のGX推進を図るため、「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置し、その方策について幅広く検討を行います。本年10月から検討を開始し、その結果を早期に取りまとめることを目指します。
  1. 趣旨
    • 鉄鋼業は、排出削減が困難な産業(hard to abate)の一つであり、その分野でのGXへの取組は脱炭素化社会の実現にあたって大きな鍵となります。
    • 現在、国内外において「グリーン鉄」製品を販売する動きが広がりつつあり、需要家が「グリーン鉄」製品を購入することで、鉄鋼業のGX推進につながる可能性があります。「グリーン鉄」には多様な製鉄プロセスがあり、それぞれの特徴や利用の意義について、需要家に対して分かりやすく、適切に情報発信を行うことが必要となります。今後、市場を拡大していくためには、需要家が「グリーン鉄」を選択することを奨励し、促進していくことも重要です。
    • 本研究会では、現在広がりつつある「グリーン鉄」製品の販売に関し、需要家への情報発信の在り方や、市場拡大に向けた課題について検討し、今後のアクションを整理します。
  2. 検討体制
    • 有識者委員数名と供給側、需要側関係企業・団体を含む実務家オブザーバーによる会議とし、本年10月から検討を開始し、早期に取りまとめることを目指します。

経済産業省 第11回ロボット大賞が決定しました!
  • 経済産業省と一般社団法人日本機械工業連合会は、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省との共催により「第11回ロボット大賞」を実施し、この度、各賞の受賞ロボット等が決定しました。
  • 9月18日(水曜日)、「Japan Robot Week 2024」(主催:一般社団法人日本ロボット工業会、株式会社日刊工業新聞社)の会場内において、表彰式と受賞ロボット等の展示を行います。
  • 概要
    • 「ロボット大賞」は、我が国のロボット技術の発展や社会実装を促進することを目的として、ロボットの先進的な活用や研究開発、人材育成といった様々な分野において、優れた取組を実施した企業等を表彰する制度です。
    • 2006年度に第1回を開催し、2008年度からは隔年での開催を続け、今回が11回目の開催となります。
  • 第11回ロボット大賞の審査結果
    • 本年2月19日から4月12日までの募集期間に寄せられた全85件の応募の中から、第11回ロボット大賞審査特別委員会(委員長:川村貞夫 立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 機構長代理 特別招聘研究教授)等の審査により、「別紙」のとおり各賞の表彰対象を決定しました。
    • このうち経済産業大臣賞はファナック株式会社の「世界最小の大型加工機 高精度本格加工ロボットM-800」、中小企業庁長官賞(中小・ベンチャー企業賞)は株式会社ハーモテックの「KUMADE-FORK(ECシリーズ)」に決定しました。
  • 経済産業大臣賞
    • 名称:世界最小の大型加工機 高精度本格加工ロボットM-800
    • 受賞者:ファナック株式会社
    • 概要:従来の加工機では困難だった高精度な加工を実現する高精度6軸多関節ロボット。60kgの可搬重量ながら、大きな加工反力に耐える高剛性アームを搭載し、高い軌跡精度を実現。高精度キャリブレーション技術により、アーム誤差を補正し、±0.1mm以下の絶対精度を達成。高精度なレーザ切断やウォータジェット加工に加え、加工反力を受けても高い精度を維持できるため、切削加工、面加工、穴あけなどの本格加工が可能。小さい設置面積で広い動作範囲を持ち、様々な方向からの加工ができるため、経済的かつコンパクトな設備を提供する。自動車や航空機の部品加工に適用が進んでおり、厳しい環境下でも長期間の安定稼働を実現している。
    • 評価のポイント:世界でもトップクラスの技術で実現された高剛性、極めて高い絶対位置精度、大きな加工反力を受けながら高い精度での動作が可能という特徴を有している。これまでのロボットでは不可能であった様々な加工作業を可能とし、自動車産業、航空機産業等での利用が始まっている。その省スペース効果、低コスト化は絶大であり、今後益々の利用が見込まれると共に、本ロボットで導入された技術の横展開も大いに期待できる。
  • 中小企業庁長官賞(中小・ベンチャー企業賞)
    • 名称:KUMADE-FORK(ECシリーズ)
    • 受賞者:株式会社ハーモテック
    • 概要:ベルヌーイ方式やエジェクターを複合的に利用し、広範囲に負圧を発生させることで、脆弱な極薄ウェハを優しく搬送する技術。特にパワーデバイス製造分野で高く評価され、大手企業にも採用されている。新型ECシリーズは、ウェハの反りや撓みを考慮して非接触搬送が可能。カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて、次世代パワー半導体の製造に対応し、消耗部品がなくランニングコストがかからない。さらに、半導体産業以外の分野への応用も視野に入れている。食品業界などでも、脆弱な製品の傷つけない搬送が実証されており、今後の自動化分野での利用が期待される。
    • 評価のポイント:これまで搬送が難しかった薄く大型のウェハを、接触せずに吸引固定し、さらに裏返すことができる技術は他に例を見ない技術。国の流通特許事業で、使われていなかった特許を引き受け、実用化した。半導体製造は、AI等の半導体チップのニーズから今後の市場拡大の期待が大きい。応募者独自の技術であり、また、産業分野としても今後に大きく波及効果の高い技術である。

経済産業省 「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律」の一部が施行されました
▼ 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律の概要
  • 我が国経済では、地政学的リスクの拡大といったマクロ環境の変化と、気候変動やデジタル化といった人類や社会の課題解決に資する大規模・長期・計画的な支援を行う新たな産業政策(経済産業政策の新機軸)により、30年ぶりの高水準の賃上げ・国内投資という「潮目の変化」が生じている。
  • 足下のインフレは輸入物価上昇を中心とするインフレだが、こうした潮目の変化を持続化することで賃上げ・経済活性化を伴うインフレとなるよう、国内投資により供給力を強化し、日本経済を成長軌道に乗せていくため、「戦略的国内投資の拡大」と「国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進」といった新機軸の取組強化を通じて、我が国経済の構造改革を実現することが必要。
  • 法律の概要
    • 戦略的国内投資の拡大に向けて、戦略分野への投資・生産に対する大規模・長期の税制措置及び研究開発拠点としての立地競争力を強化する税制措置を講じる。
    • 国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進に向けて、我が国経済のけん引役である中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じる。
  • 戦略的国内投資の拡大
    • 国際競争に対応して内外の市場を獲得すること等が特に求められる商品を定義し(電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体)、これを生産・販売する計画を主務大臣が認定した場合、以下を措置
      • 戦略分野国内生産促進税制(物資毎の生産・販売量に応じた税額控除)- EV40万円/台、グリーンスチール2万円/トン等の生産・販売量に応じた税額控除
      • 日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)
    • 政府が事業活動における知的財産等の活用状況を調査できる規定を新設し、一定の知的財産を用いていることを確認できた場合には以下を措置
      • イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)
        • 対象知財:国内で自ら研究開発して生み出した、特許権及びAI関連ソフトウェアの著作権
        • 対象所得:対象知財のライセンス所得及び譲渡所得
        • 30%の所得控除(法人実効税率ベースでは、74%を約20%相当まで引下げ)
  • 国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進
    1. 中堅企業関連措置
      • 常用従業員数2,000人以下の会社等(中小企業者除く)を「中堅企業者」、特に賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者を「特定中堅企業者」と定義。特定中堅企業者等について、成長を伴う事業再編の計画を主務大臣が認定し、以下を措置
        • 中堅・中小グループ化税制(特定中堅企業者又は中小企業者が、複数回のM&Aを行う場合の税制優遇)-株式取得価額の最大100%・10年間、損失準備金として積立可能に
        • 日本政策金融公庫による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)
        • 知財管理に関するINPITの助成・助言 等
          • ※別途、特定中堅企業者が地域未来投資促進法の計画承認を受けた場合に、設備投資減税を拡充(最大6%の税額控除※現行は最大5%)
    2. スタートアップ企業関連措置
      • 産業革新投資機構(JIC)が有価証券等の処分を行う期限を2050年3月末までに延長(現在の期限は2034年3月末)
      • NEDOによるディープテック・スタートアップの事業開発活動への補助業務の追加
      • LPS(投資事業有限責任組合)の取得可能資産への暗号資産の追加 等
      • スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプション・プール)の整備(株主総会から取締役会に委任できる内容・期間を拡大)
    3. 企業横断的措置
      • 企業・大学等の共同研究開発に関する、標準化と知的財産を活用した市場創出の計画を主務大臣が認定し、INPIT・NEDOが助言

経済産業省 日ASEAN知財共同声明2024を採択しました
  • 特許庁とASEAN各国の知財庁による第14回日ASEAN特許庁長官会合が、9月3日にブルネイで開催され、特許庁とASEAN各国の知財庁との間で、日ASEAN知財共同声明2024を採択しました。共同声明では、AI/IoT等の先端技術の特許審査における透明性の確保と、出願時の誤訳により権利を失わないよう訂正できる制度整備の重要性について認識が一致しました。共同声明の採択は、第9回日ASEAN特許庁長官会合以来、5年ぶりとなります。
  • 背景
    • 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC)において策定された「ASEAN知財アクションプラン2016-2025」に基づき、ASEAN地域における知財環境の向上に向けた取組を進めています。
    • ASEAN諸国の取組を支援するため、特許庁は長年にわたり様々な協力を行っています。また、特許庁とASEAN各国の知財庁との間では、2020年より各庁の実務者が集まり、日ASEAN特許専門家会合を設立し、AI/IoT等の先端技術の特許審査の在り方などについて、議論を積み重ねてきました。
    • ASEAN諸国との協力をさらに深めることを目的として、第14回日ASEAN特許庁長官会合をブルネイで開催しました。
  • 結果概要
    • 日ASEAN知財共同声明2024の採択
      • 特許庁とASEAN各国知財庁との間で、日ASEAN知財共同声明2024を採択しました。これにより、第1回から第4回までの日ASEAN特許専門家会合の議論の成果を確認するとともに、協力体制を強化していくことで一致しました。具体的には、特許審査基準の公開や、特許出願時の誤訳に起因して権利が失われる問題に対処できる誤訳訂正制度整備の重要性を認識しました。
    • 2024年度における日ASEAN知財アクションプランの合意
      • JPOから2023年度における日ASEAN知財アクションプランの内容がすべて実施されたことが報告されるとともに、2024年度におけるアクションプランについて、これまでの日ASEAN協力を継続しつつ、以下の事項についても取り組んでいくことに合意しました。
        • 東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)による調査の継続
        • 第5回日ASEAN特許専門家会合の開催
        • 国際出願制度(マドリッド・プロトコル/ハーグ協定)の加盟/運用協力の推進
        • 人材育成、審査業務管理に関する協力の推進
        • 知財の商業化、普及啓発の推進
      • ERIAによる調査の中間報告
        • ブランディング戦略に関する調査、及び医薬等の注目技術の審査実務に関する調査について、ERIAから中間報告が行われました。報告内容の一部は第5回日ASEAN特許専門家会合においても議論される予定で、この議論を通じ、ASEAN各国の医薬等の注目技術の審査実務の整備が促されることが期待されます。
  • 今後の取組
    • 特許庁は、今後もハイレベルや実務者レベルでの会合の開催を通じて、ASEAN各国の知財庁との相互協力をさらに深化させ、ASEANにおける知財制度の整備およびその発展に向けた取組を積極的に進めていくことにより、日本企業が、ASEANにおいて適切な知的財産権の保護を受けられるように取り組んでまいります。

経済産業省 我が国の石油・天然ガスの自主開発比率(令和5年度)を公表します
  • 令和5年度の我が国の石油・天然ガスの自主開発比率は、前年度比+8%の37.2%となりました。
  • 自主開発比率
    • 石油・天然ガスの自主開発比率は、石油・天然ガスの輸入量及び国内生産量に占める、我が国企業の権益に関する引取量及び国内生産量の割合と定義されます。
    • 石油・天然ガスの大宗を海外からの輸入に頼る我が国にとって、安定的な資源・エネルギー供給の確保は必要不可欠です。そのため、第6次エネルギー基本計画(令和3年10月閣議決定)において、国産を含む石油・天然ガスの自主開発比率を、2030年度に50%以上、2040年度に60%以上に引き上げることを目指すこととしています。
  • 要因分析
    • 令和5年度の石油・天然ガスの自主開発比率は、前年度と比べ8%増加しました。これは石油・天然ガスの輸入量が減少したことと、特に海外における天然ガス開発プロジェクトの進展により我が国企業が権益を持つ引取量が増加したこと等によるものと考えられます。

経済産業省 「中小M&Aガイドライン」を改訂しました
  • 中小企業庁は、「中小M&Aガイドライン」を改訂しました。本改訂によって、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図ります。
  • 改訂の趣旨
    • 不適切な譲り受け側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A専門業者が実施する過剰な営業・広告等の課題に対応し、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図る観点から、中小M&Aガイドライン(第3版)において、中小企業向けのガイダンス及び仲介者・FA向けの留意事項等を拡充しました。
  • 改訂の主なポイント
    • 仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の手数料・提供業務に関する事項
      • 中小企業向けに、手数料と業務内容・質等の確認の重要性、手数料の交渉の検討等について追記しました。
      • 仲介者・FA向けに、手数料の詳細説明、プロセスごとの提供業務の具体的説明、担当者の保有資格や経験年数・成約実績の説明等を求めています。
    • 広告・営業の禁止事項の明記
      • 仲介者・FA向けに、広告・営業先が希望しない場合の広告・営業の停止等を求めています。
    • 利益相反に係る禁止事項の具体化
      • 仲介者向けに、追加手数料を支払う者やリピーターへの優遇(当事者のニーズに反したマッチングの優先実施、譲渡額の誘導等)を禁止し、情報の扱いに係る禁止事項を明確化しました。
      • 加えて、これらの禁止事項について、仲介契約書に仲介者の義務として定める旨を明記しました。
    • ネームクリア・テール条項に関する規律
      • 仲介者・FA向けに、譲り渡し側の名称について、譲り受け側への開示(ネームクリア)前の譲り渡し側の同意の取得を求めています。
      • テール条項の対象の限定範囲・専任条項がない場合の扱いについて明確化しました。
    • 最終契約後の当事者間のリスク事項について
      • 中小企業向けに、最終契約・クロージング後に当事者間でのトラブルとなりうるリスク事項を解説しています。
      • 仲介者・FA向けに、当事者間でのリスク事項について、依頼者に対する具体的説明を求めています。
    • 譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
      • 中小企業向けに、M&Aを通じた経営者保証の解除又は譲り受け側への移行を確実に実施するための対応として、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等へのM&A成立前の相談や最終契約における位置づけの検討等の対応について明記しています。
      • 仲介者・FA向けに、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等への相談が選択肢となる旨の説明、最終契約における経営者保証の扱いの調整を行うことを求めています。
      • 金融機関向けに、M&Aの成立前又は成立後に経営者保証の解除又は移行について相談を受けた場合の「経営者保証に関するガイドライン」等に留意した適切な対応の検討が求められる旨を明記しました。
    • 不適切な事業者の排除について
      • 仲介者・FA、M&Aプラットフォーマー向けに、譲り受け側に対する調査の実施、調査の概要・結果の依頼者への報告を求めています。また、不適切な行為に係る情報を取得した際の慎重な対応の検討を求めています。
      • 加えて、業界内での情報共有の仕組みの構築の必要性を明記するとともに、当該仕組みへの参加有無について、依頼者に対して説明することを求めています。
▼ 中小M&Aガイドライン(第3版)概要資料

経済産業省 サイバー攻撃への備えを!「SBOM」(ソフトウェア部品構成表)を活用してソフトウェアの脆弱性を管理する具体的手法についての改訂手引を策定しました
  • 経済産業省は、2023年7月に、ソフトウェアを供給する企業と調達する企業の双方を想定読者として、SBOM(ソフトウェア部品表)を導入するメリットや実際に導入するにあたって認識・実施すべきポイントをまとめた手引書を策定しました。
  • その後も中小企業を含むあらゆる企業にとってSBOMをより効率的に活用できる方法等の検討を継続し、今般、今年4月26日から5月27日に実施した意見公募で頂いた御意見を踏まえて本手引書の改訂版を策定しましたので、公表します。
  • 具体的には、(1)ソフトウェアの脆弱性を管理する一連プロセスにおいてSBOMを効果的に活用するための具体的な手順と考え方、(2)SBOM導入の効果及びコストを勘案して実際にSBOMを導入することが妥当な範囲を検討するためのフレームワーク、(3)委託先との契約等においてSBOMに関して規定すべき事項(要求事項、責任、コスト負担、権利等)を追加しています。
  • 背景・趣旨
    • 近年、ソフトウェアの脆弱性管理に関し、ソフトウェアの開発組織と利用組織双方の課題を解決する一手法として、「ソフトウェア部品表」とも呼ばれるSBOM(Software Bill of Materials)を用いた管理手法が注目されています。米国サイバーセキュリティ・インフラ安全庁(CISA)等が策定し、我が国政府も共同署名をしたセキュア・バイ・デザイン(IT製品(特にソフトウェア)が、設計段階から安全性を確保されていること)の考え方においては、ソフトウェアの製造業者が製品ごとにSBOMを構築・管理し、ユーザーがSBOMを利用できるようにすることが奨励されています。
    • 経済産業省では、SBOMの企業による活用を推進しており、企業がSBOMを導入するメリットや実際に導入するにあたって実施すべきポイントをまとめた手引書を「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver1.0」として2023年7月に公表しました。
    • 中小企業も含め、あらゆる企業にとってSBOMをより効率的に活用できる方法等について、「産業サイバーセキュリティ研究会ワーキンググループ1(制度・技術・標準化)サイバー・フィジカル・セキュリティ確保に向けたソフトウェア管理手法等検討タスクフォース」において検討を進め、今年4月26日から5月27日に実施した意見公募で頂いた御意見を踏まえ必要な修正を行い、同ソフトウェアタスクフォースで了承を得た上で、今般、「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0」を策定しました。
  • 「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0」の概要
    • 「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0」は、ソフトウェアを供給する企業と調達する企業の双方を想定読者としています。2023年7月に公表した「ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に関する手引ver1.0」の内容に加えて、以下の内容を盛り込んでいます。
      • 脆弱性管理プロセスの具体化(第7章)
        • SBOMを活用することで、ソフトウェアの脆弱性管理を通じた脆弱性リスクの低減が効果として見込まれていることから、SBOMを活用するプロセスの中でも、脆弱性管理に関するフェーズが特に重要です。本章では、ソフトウェアの脆弱性を管理する一連プロセスにおいてSBOMを効果的に活用するための具体的な手順と考え方をまとめることで、SBOM活用による効果を高めるための参考情報を提供しています。
      • 「BOM対応モデル」の追加(8.付録)
        • 本モデルでは、SBOM導入の効果及びコストを勘案して実際にSBOMを導入することが妥当な範囲を検討するためのフレームワークを示しています。当該フレームワークを用いることで、高度な管理を行えるソフトウェア、すなわちセキュアなソフトウェアが市場に適切に評価され、その流通が促進されることが期待できます。
      • 「SBOM取引モデル」の追加(9.付録)
        • 本モデルでは、ソフトウェア部品の受発注において、調達者と供給者の間でSBOMに関して契約に規定すべき事項(要求事項、責任、コスト負担、権利等)について参考となる例を示しています。
▼ ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引ver2.0概要資料

【厚生労働省】

【2024年11月】

厚生労働省 第75回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ 資料1-1 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題と主な御意見
  • 女性活躍推進法の延長
    • 延長は必要だが、単に延長するだけでなく、実効性の向上が必要という意見
    • 業種・業態や企業規模による取組の難しさや、男性社員への理解促進への配慮が必要という意見
  • 中小企業における取組の推進
    • 将来的には全ての企業における行動計画策定を目指し、支援が必要という意見
    • 引き続き努力義務としつつ、取組への支援やメリットの周知が必要という意見
  • 男女間賃金差異の情報公表の拡大
    • 企業規模にかかわらず是正していくことが重要であり、国が支援を行いつつ、対象拡大が必要という意見
    • 中小企業での取組は重要だが、まずは支援の充実等が重要であり、義務の拡大は、実態を踏まえて慎重に検討すべきという意見
  • 格差是正につなげていくため、説明欄を活用した分析や取組を促すべきである。また、業種や業態等による課題や背景があるならば、それをこそ説明欄に記載するべきであるという意見
    • 説明欄の活用は重要だが負担軽減のため選択式にすること等も検討すべきという意見
    • 男女の人事評価の結果における差異など、賃金格差の要因となるような状況把握の任意項目についても、基礎項目として把握することが必要という意見
    • 基礎項目は、賃金差異の大きな要因と考えられるものが設定されている一方、任意項目は、基礎項目を把握・分析した上で、自社の実情を踏まえ、更に課題と考えられるものを選択する位置づけであり、多様な事情を抱える企業が効果的に取り組めるよう、現行の項目を維持すべきであるという意見
  • 女性管理職比率等の情報公表の義務化等
    • 女性管理職比率の低さは男女間賃金差異の大きな要因の1つであり、公表を義務化すべきという意見
    • 管理職比率を上昇させるのには一定の時間を要する中、一律に公表を義務化することについては慎重な議論が必要という意見
    • 行動計画の策定と情報の公表を一体的に取り組むことが有効であり、行動計画策定が義務づけられている企業規模に合わせることが考えられるという意見
    • 一律に公表を義務化することについては慎重な議論が必要という意見(再掲)
    • 説明欄を設け、男女別管理職登用比率を参考値として記載することが必要という意見
    • 企業によっては女性社員・管理職の増加に取り組んでも分母が小さいためなかなか進まない場合もあり、記載はあくまで任意とすべきという意見
    • 管理職の定義に沿う旨や、計上している役職呼称名を明記することが必要という意見
    • 管理職の定義は企業の事情に応じて適切に管理職数を計上できる運用・周知が必要。併せて、役職呼称名の記載は全て記載するとかなりの数となるため、実務面での配慮が必要という意見
  • 情報公表必須項目数
    • 項目数は増やす必要がある。少なくとも状況把握項目の基礎項目は公表も必須とすることが適切。状況把握において雇用管理区分ごとになっている項目は、公表においても雇用管理区分ごととすべきという意見
    • 男女間賃金差異の公表の拡大や管理職比率の公表義務化も議論されている中では、項目数の拡大には慎重であるべき。その上で、情報公表は、公表範囲そのものが事業主の姿勢を表すものであり、主体性に委ねることを基本とすべきという意見
  • 「女性の活躍推進企業データベース」の活用強化
    • データベースでの公表を原則とすることが必要。併せて、認知度の向上や機能強化も必要という意見
    • 認知度を高めることが前提。一律に数値が比較される環境には懸念。データベースへの登録を義務化することは行き過ぎではないかという意見
  • 職場における女性の健康支援の推進
    • 事業主が健康支援に取り組むことは重要。ヘルスリテラシー向上のための研修や、健康支援に関する制度の創設、管理職への研修等を盛り込むことが考えられる。一方、労働者の健康情報に係る項目は、プライバシー保護の観点から、指針に盛り込むべきではないという意見
    • 女性に過度に特化せず労働者全体の健康支援といった取組を検討していくことも必要という意見
  • えるぼし認定制度の見直し
    • 認定制度については、まずは制度やメリットの周知が必要。見直しについては、具体的な案を踏まえて検討するべきであるが、考え方としては、認定制度はあくまで結果で判断すべきという意見
    • 1段階目は数社しか認定がないという状況を踏まえると、頑張っている企業にインセンティブを与えられるような見直しが考えられるのではないかという意見
    • 健康課題に対応する相談窓口の設置や、休暇制度などの健康支援に関する制度を盛り込むことは考えられるが、労働者の健康情報に係る項目については、プライバシー保護の観点から盛り込むべきではないという意見
  • 職場におけるハラスメントは許されるものではない旨の明確化
    • ハラスメントは人権侵害であり、あらゆるハラスメントを行ってはならないことを法律で明確化すべきという意見
    • 何でもハラスメントとして指摘される状況がある中、こうした規定によって、ハラスメントの範囲が過剰に広く解釈され、混乱を招くことがないようにするべきという意見
    • 法制化されている4種類のハラスメント対策の強化についても審議が必要であるという意見
    • ILO第190号条約の批准に向けて、先進国の状況なども参考にしながら、引き続き、検討や法整備が必要という意見
  • 顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等(カスタマーハラスメント)対策の強化
    • 雇用管理上の措置義務の創設
      • 被害の状況に鑑み、対策を進めるため、措置義務を設けることは必要という意見
      • 中小企業については、経過措置や、支援窓口の設置等、取組に対する積極的支援が必要という意見
      • 業種・業態によりカスタマーハラスメントの態様が異なるため、消費者庁、警察庁、業所管省庁等との連携や、各業界においてガイドラインを作成する等の取組が必要という意見
      • 具体的な内容を指針で明確化することについて異論はないという意見
    • カスタマーハラスメントの定義
      • 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
        • 「顧客」には、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含むと考えられること。
        • 「施設利用者」とは、施設を利用する者をいい、施設の具体例としては、駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等が考えられること。
        • 「利害関係者」には、法令上の利害関係だけではなく、施設の近隣住民等、事実上の利害関係がある者も含むと考えられること。
        • 「利害関係者」の範囲については、事例等も踏まえて、網羅的なものとなっているか検討すべきという意見
      • 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
        • 権利の濫用・逸脱に当たるものをいい、社会通念に照らし、当該顧客等の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、又は、手段・態様が相当でないものが考えられること。
        • 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断することが適当であり、一方のみでも社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得ることに留意が必要であること。
        • 事業者又は労働者の側の不適切な対応が端緒となっている場合もあることにも留意する必要があること。
        • 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の具体例
        • 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」には、性的な言動等他のハラスメントに当たり得るような言動が入ることを明確に示す必要があるという意見
        • 例示については、必要に応じて、改めて企業の実態を把握した上で、実態に即したものにすべきという意見
      • 労働者の就業環境が害されること。
        • 労働者が身体的又は精神的苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味すること。
        • 「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当であること。
        • 言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回でも就業環境を害する場合があり得ること。
        • 個々の対応においては、労働者の心身の状況や受け止め・認識には個人差があるため、丁寧かつ慎重に相談対応等を行うべきという意見
    • 上記のほか指針等において示すべき事項
      • 総論
        • 顧客等からのクレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわば「正当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する必要があること。
        • カスタマーハラスメント対策を講ずる際、消費者法制により定められている消費者の権利等を阻害しないものでなければならないことや、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)に基づく合理的配慮の提供義務を遵守する必要があることは当然のことであること。
        • 各業法等によりサービス提供の義務等が定められている場合等があることに留意する必要があること。
        • 消費者、特に高齢者や障害者の権利への配慮は重要であるという意見。
      • 講ずべき措置の具体的な内容
        • 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
        • 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
        • カスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応(カスタマーハラスメントの発生を契機として、カスタマーハラスメントの端緒となった商品やサービス、接客の問題点等が把握された場合には、その問題点等そのものの改善を図ることも含む。)
        • これらの措置と併せて講ずべき措置
        • 講ずべき措置の詳細は、他のハラスメント指針の内容を参考にしつつ、行為者が、顧客や取引先等の第三者であることを考慮して検討していくべきという意見
      • 他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定
        • 特に取引先からのカスタマーハラスメントを考えると、実効あるものとするためには、努力義務ではなく義務とするべきであり、併せて現行のセクシュアルハラスメントに係る同様の規定も義務規定とすべきという意見
        • データを見ても、他社から協力を求められた場合にはほとんどの企業が対応しているため、現行のセクシュアルハラスメントに係る規定と同様、努力義務とすべきという意見
        • 事業主は、取引先の事業主から必要な協力を求められたことを理由に、契約解除等の不利益取扱いを行ってはならないことを明記すべきという意見
        • これについても現行のセクシュアルハラスメントに係る取扱いと同様に、指針に記載し、企業の対応を促していくことが必要という意見
        • 必要な協力を求められた事業主は、必要に応じて、周囲の労働者に協力を求めることが必要になるが、その際協力した労働者に対して不利益取扱いを行わないことを定めて、労働者に周知することが必要という意見
        • 雇用している労働者が実際に取引先の労働者に対してカスタマーハラスメントを行っていた場合、事業主は、労働者が職場におけるハラスメントを行った場合と同様に、行為者に厳正な対処を行うことが必要という意見
        • そうした場合には、企業は自社の懲戒規程等に照らして適切に対処していると考えられるため、法制面での手当は必要ないという意見
        • 実際には力関係の差や今後の取引のことを考えて協力を求めにくい場面も想定されるため、相談・助言を受けられる窓口の整備や、モデル事例の周知等があると良いという意見
      • カスタマーハラスメントの防止に向けた周知・啓発
        • 労働関係法令だけでの対策は難しく、消費者教育をはじめ総合的な対策が必要という意見
  • 就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
    • 雇用管理上の措置義務の創設
      • 就活パワーハラスメントについても措置義務とすべきであり、また、求職者全体を視野に入れれば、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントだけでなく、あらゆるハラスメントを対象とすべきという意見
      • セクハラ防止の取組を進めることは重要であり、事業主の措置を盛り込むことについて異論はないが、就活等におけるパワーハラスメントについては現行のパワーハラスメントの定義ではカバーできない面があり、実態を把握しつつ、対策に取り組むことが望ましい旨を周知していくことが適当であるという意見
    • 指針等において示すべき事項
      • 事業主の方針等の明確化に際して、その雇用する労働者が求職者と面談等を行う際のルールをあらかじめ定めておくことや、求職者の相談に応じられる窓口を求職者に周知すること。
      • セクシュアルハラスメントが発生した場合には、被害者である求職者への配慮として、事案の内容や状況に応じて、行為者の謝罪や、相談対応等が考えられること。
      • OB・OG訪問など、雇用する労働者と求職者が接するあらゆる機会を対象とするべきという意見
      • 具体的な措置については、セクシュアルハラスメントの防止に向けた方針の策定や相談窓口の設置等、企業規模にかかわらず実施できる基本的なものとすることが適切であるという意見
      • 国において、求職者に対して、各種の相談窓口を周知するとともに、相談があった場合には、関係機関で連携して、助言・指導等を徹底すべきという意見
      • いわゆる「自爆営業」についての考え方の明確化
      • 職場におけるパワーハラスメント3要件を満たす場合にパワーハラスメントに該当するのはある意味当然であり、必要があれば、指針に明記すれば良いのではないかという意見

厚生労働省 「グッドキャリア企業アワード2024」の受賞企業を決定しました ~従業員の自律的なキャリア形成に取り組む企業を表彰11月27日に表彰式を兼ねたシンポジウムを開催
  • 厚生労働省は、このたび、従業員の自律的なキャリア形成支援に取り組む企業15社を「グッドキャリア企業アワード2024」受賞企業に決定しましたので、お知らせします。
  • 「グッドキャリア企業アワード」※は、従業員の自律的なキャリア形成支援について他の模範となる取組を行っている企業を表彰し、その理念や取組内容などを広く発信することで、キャリア形成支援の重要性を普及・定着させることを目的に実施しています。
  • 今回は、全国94社から応募があり、有識者による審査委員会での審査を経て、「大賞」(厚生労働大臣表彰)に5社、「イノベーション賞」(厚生労働省人材開発統括官表彰)に10社を選定しました。
  • 表彰式はシンポジウムと同時開催で、11月27日(水)13時30分から行います。審査総評や基調講演、受賞企業などによるパネルディスカッションも実施します。
    • ※平成24年度から27年度までは「キャリア支援企業表彰」として実施し、平成28年度に「グッドキャリア企業アワード」に呼称を変更しました。これまでに103社を表彰しています。なお、令和2年度以降は隔年で実施しています。
  • グッドキャリア企業アワード2024受賞企業
    • 大賞(厚生労働大臣表彰)(5社)
      • 株式会社関西鳶:奈良県磯城郡、職別工事業(27人)
      • キヤノンマーケティングジャパン株式会社:東京都港区、各種商品卸売業(4,541人)
      • 住友生命保険相互会社:大阪府大阪市、保険業(保険媒介代理業,保険サービス業を含む)(42,511人)
      • 西日本電信電話株式会社:大阪府大阪市、通信業(1,410人)
      • ネクスキャット株式会社:東京都豊島区、情報サービス業(36人)
    • イノベーション賞(厚生労働省人材開発統括官表彰)(10社)
      • 株式会社岡崎土質試験所:愛知県岡崎市、技術サービス業(15人)
      • キャレオス株式会社:広島県福山市、社会保険・社会福祉・介護事業(853人)
      • 株式会社サカイエステック:福井県福井市、総合工事業(61人)
      • 株式会社就労センター:愛知県半田市、社会保険・社会福祉・介護事業(52人)
      • 株式会社セーフティ&ベル:東京都江東区、設備工事業(120人)
      • 株式会社ダイナム:東京都荒川区、娯楽業(7,496人)
      • 株式会社デンソー:愛知県刈谷市、輸送用機械器具製造業(54,292人)
      • 株式会社日本エー・エム・シー:福井県福井市、金属製品製造業(185人)
      • 株式会社ビジョン・コンサルティング:東京都港区、専門サービス業(他に分類されないもの)(1,066人)
      • 株式会社Massive Act:東京都港区、情報サービス業(9人)
▼ 別紙1 受賞企業における取組概要
  • 株式会社関西鳶
    • 全員経営で最大限の顧客満足を実現するというビジョンを掲げ、全員参加の未来会議等で経営者の思いを従業員全員が共有し、企業成長の最重要ミッションとしてキャリア支援を実施
      • 全員参加の未来会議で、経営者と従業員のコミュニケーションを積極的に図りつつ自由闊達に意見交換。管理職による面談の積極的な実施を通じて個々の希望を確認した上で配置や異動を行い、自主的な成長を促す
      • 現状のスキルや経験に応じて多様な研修を受けられる機会を設けるとともに、資格取得をサポート。従業員が自身の掲げた目標を意識し達成に向けて何が必要かを考え、積極的に成長の機会を獲得できるよう支援
      • 個々の能力・スキルを適正に評価し、年齢や国籍に関係なく昇給や昇格が可能な環境を整備するとともに、障害者の方が働きやすい職場づくり等、多様な人材活用も推進。新卒入社の従業員離職率0%等の取組成果を達成
  • キヤノンマーケティングジャパン株式会社
    • 退職理由を分析・把握した課題をもとに、社内キャリアコンサルタントによるキャリア面談、年代別セミナー等のキャリア支援施策等を導入し、従業員のリテンションに貢献
      • 若手の早期離職者増加を受け、社員の退職時のヒアリングを実施し、分析・把握した課題をもとに、キャリア面談・年代別セミナー等のキャリア支援施策に反映させ、従業員のリテンションに貢献
      • 3年間でキャリアコンサルタント有資格者5名の専任組織を形成し、セルフ・キャリアドッグ運営、職場環境や人事制度の改善、経営層への施策提言および実現などのキャリア支援策を推進
      • 目標管理面接とは別に部下と上司のキャリア面談の機会を設けることで信頼関係の構築を図り、ひいては人事評価に対しても高い納得度を得ている。キャリア支援施策について労働組合等との情報交換等を通じて品質向上に努めている

厚生労働省 令和6年版自殺対策白書
▼ 概要版
  • 自殺の現状
    • 自殺者数の年次推移をみると、令和2年に11年ぶりに増加に転じた後21,000人台で推移し、令和5年は21,837人と前年より減少した。男女別にみると、男性は2年連続の増加、女性は4年ぶりに減少した。
    • 年齢階級別の自殺死亡率(10万人当たりの自殺者数)は、令和2年以降多くの年齢階級で上昇しており、特に40歳代は令和5年まで連続して上昇し、50歳代は令和3年から4年にかけて大きく上昇した。10歳代は近年緩やかな上昇傾向であり、令和5年の小中高生の自殺者数は513人と、過去最多であった前年と同水準であった。
    • 令和5年の職業別の自殺者数を前年と比較すると、「有職者」が男女ともに増加した。
    • 令和5年の自殺者の自殺の原因・動機を前年と比較すると、「健康問題」が男女ともに減少しており、「経済・生活問題」が男女ともに増加した。
  • 第2章 こどもの自殺の状況と対策
    • 我が国の自殺者数は、全体としては減少傾向にあるものの、こどもについては増加傾向にある。特に、小中高生の自殺者数については、令和5(2023)年に513人となり、過去最多であった前年と同水準で推移している。
    • 政府は、この状況を大変重く受け止め、令和4年に、こども・若者の自殺対策の更なる推進・強化を柱のひとつとした第4次「自殺総合対策大綱」を閣議決定した。令和5年には、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめ、こどもの自殺対策を緊急的かつより強力に推進している。
    • 本白書では、特集として、こどもの自殺の状況についての自殺統計に基づくより詳細な分析を行うとともに、対策の紹介を行うこととしたもの。
    • 小中高生は自殺の原因・動機が「不詳」である割合が高く、学校段階が上がるにつれ、その割合は低下する。
    • 「家庭問題」の割合が高いのは、男女ともに小学生である。
    • 「健康問題」の割合が高いのは、女子高校生である。
    • 「学校問題」の割合が高いのは、男性では中学生、高校生であり、女性では中学生である。
    • 自殺の原因・動機の詳細項目で多くみられるものは、
      • 「家庭問題」では「家族からのしつけ・叱責」、「親子関係の不和」
      • 「健康問題」では「病気の悩み・影響(うつ病)」、「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」等
      • 「学校問題」では「学業不振」、「その他学友との不和」、「その他進路に関する悩み」等である。
    • 小中高生のうち、男性は2019年、女性は2020年に自殺者数が急増しており、特に男子高校生、女子中学生及び女子高校生が大きく増加している。
    • 自殺者数の急増に伴って増加した自殺の原因・動機は、
      • 女子中学生では「不詳」、「その他家族関係の不和」、「学業不振」、
      • 男子高校生では「病気の悩み・影響(うつ病)」、
      • 女子高校生では「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」、「不詳」、「病気の悩み・影響(うつ病)」であった。
    • 小中高生の自殺者急増前(2009~2019年)、自殺者急増期(2020~2021年)、自殺者急増後(2022~2023年)の各期間について、小中高生の自殺者に占める自殺未遂歴ありの割合の推移をみると、
      • 女性は、自殺者急増期に自殺未遂歴ありの割合が上昇している。
      • 女子小学生は、自殺者急増後も自殺未遂歴ありの割合が横ばいで推移している。
    • 2022年以降では、小中高生は男女ともに自殺未遂があった時期が自殺の1年以内である場合が過半数を占め、特に女子小学生や女子高校生では、自殺から1か月以内に自殺未遂歴があった自殺者の割合が高い。
    • 2009年以降の小中高生の自殺者数を日別でみると、8月後半から増加し、特に夏休み明けの9月1日に多くなっている。過去の分析と比べ、夏休み明けの9月1日の自殺者数は減少し、春休み明け(4月上旬)の自殺者数の増加は緩やかになっている。
    • 地域別にみると、「北海道・東北」の自殺者数が特に増加する時期は、「その他地域」よりも2週間ほど早い。北海道・東北地方については、夏休み明けが1~2週間早い傾向にあることと関連があると考えられる。
    • こどもが自ら命を絶つようなことのない社会を実現するため、自殺総合対策大綱の取組に加えた緊急的な取組が求められ、令和5年6月、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」が取りまとめられた。
    • 緊急強化プランに基づく関係府省庁の取組状況は、「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」において進捗状況を確認するとともに、各施策のロードマップを示している。
    • 主な施策の取組状況
      • こどもの自殺の要因分析
        • こども家庭庁では、こどもの自殺の実態解明に取り組むため、警察や学校等が保有する自殺統計や関連資料を集約して要因分析を行う委託調査研究を令和5年度に実施し、自殺前の学校の出席状況や周囲の気付きの有無など、これまでの自殺統計では把握できなかった「生前に置かれていた状況」などの自殺対策に役立ち得る情報を確認した。
      • 当事者へのヒアリング等を通じた施策評価
        • こども家庭庁では、緊急強化プランへの評価や実施に当たっての留意点を確認するため、令和5年度に、自身が死にたい気持ちを抱いた経験のある方等に対するヒアリングや、「こども若者★いけんぷらす」を活用したこどもや若者へのヒアリング・アンケートを実施。
      • こどもの居場所づくり
        • こども家庭庁では、「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月閣議決定)に基づき、こどもの視点に立ってこどもが安心して過ごすことができる居場所づくりを支援するため、「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」を実施。
      • 自殺予防のためのチームの設置
        • 厚生労働省では、多職種の専門家で構成されるチーム(若者の自殺危機対応チーム)を都道府県等に設置し、自殺未遂歴や自傷行為の経験等がある若者など市町村等では対応が困難な場合に、地域の支援者に対し助言等を行うための事業の実施を支援。
      • 遺されたこどもへの支援
        • 厚生労働省では、国又は地方公共団体を介した遺児を含む自死遺族関係団体等に対する活動等の支援(分かち合いの会、法律面・生活面の相談支援)を実施。
      • 自殺リスクの早期発見
        • 文部科学省では、1人1台端末を活用した「心の健康観察」を実施すること等により、自殺リスクの把握や適切な支援につなげるため、有償・無償で利用できるシステムやその活用方法、マニュアル等を整理・作成し、全国の教育委員会等へ周知するとともに、令和5年度補正予算においてその導入を推進するための調査研究を実施。
    • 電話・SNS等を活用した相談体制の整備
      • 法務省では、こどもの人権に関する相談ダイヤルである「こどもの人権110番」を始め、メール、チャット等により、こどもの人権問題に関する相談に対応。
      • 内閣官房孤独・孤立対策担当室(令和6年度から内閣府孤独・孤立対策推進室)では、孤独・孤立対策Webサイト「あなたはひとりじゃない」のこども(18歳以下)向けページを通じて、相談窓口の案内や声を上げやすくするための情報を発信。
    • 夏休みの集中的な啓発活動の実施
      • こどもの自殺が長期休暇明けに増加する傾向を踏まえ、令和5年8月には、こども・若者の自殺防止に向けた取組を強化し、集中的な啓発活動を実施。
      • こども・若者向けのポスターや動画を作成し、夏期休暇中から掲示するとともに、自殺対策に関する相談窓口などの情報をまとめたWebサイト「まもろうよこころ」の周知などを行い、幅広いルートを通じて、こども・若者に必要な情報を周知。
      • 令和5年8月29日には、厚生労働大臣、文部科学大臣、こども政策担当大臣及び孤独・孤立対策担当大臣が連名で、身近な人やSNS相談窓口へ気軽に悩みや気持ちを伝えることや、友人の様子がいつもと違うと感じたときの声掛けについて、若い世代に呼び掛けるメッセージを公開。
    • 自殺統計原票 データから示されたこと
      • 小中高生の自殺の原因・動機は不詳が多いが、小学生では「家庭問題」、中学生では「学校問題」、高校生では男性で「学校問題」、女性で「健康問題」が多くみられるなど、年齢別・性別で様相が異なる
      • 令和2年前後の自殺者急増期に、女性の自殺未遂歴のある自殺者の割合が上昇
      • 夏休み明けが早い「北海道・東北」は、小中高生の自殺者数が特に増加する時期がその他地域より約2週間早い
    • 考えられる対応等
      • 1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の推進
      • 「こども・若者の自殺危機対応チーム」の取組を通じた、地域における自殺未遂・自傷行為の経験者等への支援に関する知見の蓄積
      • 「自傷・自殺未遂レジストリ」を活用した自殺未遂者の属性や傾向についての分析と支援手法の探究
      • 国や都道府県等による、適時適切かつ集中的な相談窓口等の啓発活動
    • 今後の取組の方向性
      • 令和4年の自殺統計原票の改正により集計可能となった項目を含めたデータの更なる蓄積及びその分析
      • こどもの自殺の多角的な要因分析の結果も踏まえ、こどもの自殺をどのように防ぐことができるのか検討
      • こどもの命を守るためには、保護者を始めとする身近な大人一人一人がこどもたちの微妙なサインに気付き、こどもの不安や悩みの声に耳を傾け、適切に受け止め、必要な支援につなげることが重要である。
      • 家庭と学校、地域、警察や医療機関などの関係機関が緊密に連携し、不安や悩みを抱えるこどもたちを孤立させることなく地域全体で支援していくことが可能となるよう、地域のネットワークづくりを推進していく必要がある。
      • 地方公共団体や民間団体、国民等との連携・協働の下、国を挙げて、誰も自殺に追い込まれることのないよう、生きることの包括的な支援として、こどもへの自殺対策を強力に推進する。
  • 令和5年度の自殺対策の実施状況
    • 地域レベルの実践的な取組への支援を強化する取組
      • 地域自殺実態プロファイル、地域自殺対策政策パッケージの作成
      • 地域自殺対策計画の策定・見直し等の支援
      • 「『地域自殺対策計画』策定・見直しの手引」等の作成・公表令和5年6月に、第4次大綱及び地域の実情を踏まえ、地域自・殺対策計画の円滑な策定・見直しに資するよう、標準的な手順と留意点などを取りまとめた「『地域自殺対策計画』策定・見直しの手引」及び「関連事業・施策事例集」を作成・公表。
      • 地域自殺対策推進センターへの支援
      • 自殺対策の専任職員の配置・専任部署の設置の促進
    • 国民一人ひとりの気付きと見守りを促す取組
      • 自殺予防週間と自殺対策強化月間の実施
      • 長期休暇の時期を踏まえた大臣連名メッセージの発信
      • 令和5年8月に、国民やこども・若者に向けたメッセージについて厚生労働大臣、文部科学大臣、こども政策担当大臣及び孤独・孤立対策担当大臣の連名で広く情報発信を実施。
      • 児童生徒の自殺対策に資する教育の実施
      • 「SOSの出し方に関する教育」の推進
      • 文部科学省・厚生労働省の連名通知(平成29年度)を踏まえ、引き続き「SOSの出し方に関する教育」を推進。
      • 自殺や自殺関連事象等に関する正しい知識の普及、うつ病等についての普及啓発
    • 自殺総合対策の推進に資する調査研究等を推進する取組
      • 自殺の実態や自殺対策の実施状況等に関する調査研究・検証
      • 成果活用
      • 子ども・若者及び女性等の自殺調査、死因究明制度との連動
      • 児童生徒の自殺予防に向けた調査研究の推進
      • こどもの自殺の要因分析の実施
      • 警察や消防、学校や教育委員会、地方公共団体等が保有する自殺に関する統計及びその関連資料を集約し、「令和5年度こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」を実施。
      • コロナ禍における自殺等の調査
      • うつ病等の精神疾患の病態解明等につながる学際的研究
    • 自殺対策に関わる人材の確保、養成及び資質の向上を図る取組
      • 大学や専修学校等と連携した自殺対策教育の推進
      • かかりつけ医、地域保健スタッフ、公的機関職員等の資質向上
      • 教職員に対する普及啓発
      • 介護支援専門員等への研修
      • 様々な分野でのゲートキーパーの養成
      • 地方公共団体職員等を対象としたe-ラーニング教材の作成・提供
      • 地方公共団体職員等を主な対象としたゲートキーパーに関するe-ラーニング教材(連携編・傾聴編)を作成し、令和5年9月から提供。
      • 自殺対策従事者への心のケア
      • 家族や知人、ゲートキーパー等を含めた支援者への支援
    • 心の健康を支援する環境の整備と心の健康づくりを推進する取組
      • 職場におけるメンタルヘルス対策の推進
      • 地域における心の健康づくり推進体制の整備
      • 学校における心の健康づくり推進体制の整備
      • スクールカウンセラー等を活用した教育相談体制の充実
      • 児童生徒の抱える様々な問題に対応するため、スクールカウンセラー等の配置時間を充実。
      • 大規模災害における被災者の心のケア、生活再建等の推進
      • 能登半島地震におけるDPATの派遣
      • 令和6年能登半島地震における精神科医療に対する支援等のため石川県からの要請に基づき県内外からDPATを派遣。
    • 適切な精神保健医療福祉サービスを受けられるようにする取組
      • 精神科医療、保健、福祉等の連動性の向上、専門職の配置
      • 各施策の連動性を向上させるための研修等の実施
      • 地方公共団体の職員等を対象に「生きることの包括的支援のための基礎研修」を実施するとともに、自殺対策に係る多機関協働による対応事例の情報を収集・整理した事例集を作成・提供。
      • 精神保健医療福祉サービスを担う人材の養成等
      • 子どもに対する精神保健医療福祉サービスの提供体制の整備
      • うつ等のスクリーニングやうつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策
    • 社会全体の自殺リスクを低下させる取組
      • 相談体制の充実と相談窓口情報等の分かりやすい発信、アウトリーチの強化
      • 孤独・孤立相談ダイヤル(♯9999)の試行実施
      • 孤独・孤立に悩む人の相談窓口へのアクセスの容易化や相談ニーズへの迅速な対応のため、NPOなど関係団体が連携し、統一的に相談を受け付ける窓口体制である「孤独・孤立相談ダイヤル(♯9999)」を試行実施。
      • ICT(インターネット・SNS等)の活用
      • 1人1台端末を効果的に活用したSOSの発信や心身の状況把握学校での1人1台端末を効果的に活用したSOSの発信や心身の状況把握に関する調査研究や取組事例の普及の取組を実施。
      • インターネット上の誹謗中傷及び自殺関連情報対策
      • ひきこもり、児童虐待、性犯罪・性暴力の被害者、生活困窮者、ひとり親家庭に対する支援
      • 性的マイノリティに対する支援の充実
      • 自殺対策に資する居場所づくりの推進
      • こどもの居場所づくり支援体制強化事業の実施
      • 「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日閣議決定)に基づくこどもの居場所づくりを支援するため、令和5年度補正予算において「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」を実施。
      • 報道機関に対するWHOの手引き等の周知
      • 自殺対策に関する国際協力の推進
    • 自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ取組
      • 地域の自殺未遂者支援の拠点機能を担う医療機関の整備
      • 救急医療機関における精神科医による診療体制等の充実
      • 自殺未遂者ケア研修の実施
      • 救急医療の従事者を対象とした「自殺未遂者ケア研修」を、一般救急版及び精神科救急版に分けて開催。
      • 自傷・自殺未遂者レジストリの構築
      • 自殺未遂者に対してより実効的な介入、援助の方法を確立すべく、救命救急センターにおける登録システムである「自傷・自殺未遂者レジストリ」を構築。
      • 医療と地域の連携推進による包括的な未遂者支援の強化
      • 家族等の身近な支援者に対する支援
    • 遺された人への支援を充実する取組
      • 遺族の自助グループ等の運営支援
      • 学校、職場等での事後対応の促進
      • 児童生徒の自殺が起こった際の事後対応の周知
      • 学校における「子供の自殺が起きたときの緊急対応の手引き」等の活用支援を実施。
      • 遺族等の総合的な支援ニーズに対する情報提供の推進等
      • 遺族のためのリーフレット等の作成・配布
      • 地方公共団体において、地域の相談先や自助グループの連絡先などを記載した遺族のためのリーフレット等を作成し、配布。
      • 遺族等に対応する公的機関の職員の資質の向上
      • 遺児等への支援
    • 民間団体との連携を強化する取組
      • 民間団体の人材育成に対する支援
      • ゲートキーパー養成研修用動画の公開
      • 様々な活動分野に対応したゲートキーパー養成研修用動画をWebサイト上に掲載。
      • 地域における連携体制の確立
      • 民間団体の相談事業に対する支援
      • 民間団体に対する財政的支援
      • 電話相談事業を行う団体等を含む自殺防止対策に取り組む民間団体に対して財政的支援を実施。
      • 民間団体の先駆的・試行的取組や自殺多発地域における取組に対する支援
    • 子ども・若者の自殺対策を更に推進する取組
      • いじめを苦にした子どもの自殺の予防
      • 学生・生徒への支援の充実
      • 「COCOLOプラン」に基づいた取組の実施
      • 「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」に基づいた校内教育支援センターの設置促進等。
      • 子ども・若者への支援や若者の特性に応じた支援の充実
      • 子ども・若者の自殺対策を推進するための体制整備
      • 「若者の自殺危機対応チーム」の設置の取組の推進
      • 自殺未遂歴や自傷行為の経験等がある若者への支援のため、多職種の専門家で構成される「若者の自殺危機対応チーム」を都道府県・指定都市に設置するモデル事業を実施。
    • 勤務問題による自殺対策を更に推進する取組
      • 長時間労働の是正
      • 労働基準法遵守のための支援等
      • 都道府県労働局等において時間外労働の上限規制の遵守等のための相談・支援を行うとともに、長時間労働が行われているおそれがある事業場に対して重点的に監督指導を実施。
      • 職場におけるメンタルヘルス対策の推進
      • 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
      • 働く人のメンタルヘルスに関する基礎知識や事業場の取組事例等の情報を提供するとともに、労働者等に対してメール・電話・SNSによる相談窓口を設置するなど、様々な支援を実施。
      • ハラスメント防止対策
    • 女性の自殺対策を更に推進する取組
      • 妊産婦への支援の充実
      • 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制の構築
      • 「こども家庭センター」の整備の促進や、母体の身体的機能の回復や精神状態の把握等を行う産婦健康診査事業、産後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行う産後ケア事業の全国展開等を実施。
      • コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた女性支援
      • 困難な問題を抱える女性への支援
      • 様々な状況に置かれている女性への実効性ある支援の充実・強化
      • 「孤独・孤立対策」といった視点を含めた新たな女性支援の仕組みを構築するための「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の施行に向けた取組を実施。

厚生労働省 令和6年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞者を決定しました~11月25日開催の「『働く、を変える』テレワークイベント」で地方創生担当大臣表彰、総務大臣表彰と併せて表彰式を実施~
  • 厚生労働省では、このほど、令和6年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の受賞者を決定しました。
  • この賞は、テレワークの活用によって、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を図るとともに、他社の模範となる取組を行っている企業・団体に授与されるものです。今年度の表彰は、「優秀賞」に1社、「特別奨励賞」に5社を決定しました。
  • 表彰式は、テレワーク月間の一環として11月25日に御茶ノ水ソラシティ(東京都千代田区)で開催される「『働く、を変える』テレワークイベント」の中で行い、地方創生担当大臣賞及び総務大臣賞の表彰式と合同で実施します。また、受賞企業による取組紹介も行います。
  • 今年度の表彰式は、会場およびオンラインでの参加が可能です。
  • 表彰対象
    • 「優秀賞」受賞企業
      • 取組が総合的に優れていると認められる企業・団体に対する表彰です。
      • 株式会社プログレス
    • 「特別奨励賞」受賞企業(五十音順)
      • 取組が優れていると認められる企業・団体に対する表彰です。
        • グリービジネスオペレーションズ株式会社
        • 有限会社ジェム
        • パーソルホールディングス株式会社
        • 株式会社Massive Act
        • 株式会社吉村
  • 認定マーク
    • 表彰にあたり、「輝くテレワーク賞」を受賞した企業が、テレワークの活用によりワーク・ライフ・バランスの実現を図っていることがアピールできるようにするため、認定マークを作成しました。

厚生労働省 第8回 食品の営業規制の平準化に関する検討会 資料
▼ 【資料1】従業者が常駐しない施設に対する施設基準の適用について
  • 従業者が常駐しない施設に対する施設基準の適用について
    • 前回の議論の内容
      • 近年の科学技術の発展等を背景として、飲食店営業の施設において、飲料の調理等を自動で行う機器(以下「全自動調理機」という。)を導入した営業形態が可能となっている。
      • 飲食店営業の施設基準について、従業者の常駐を前提としない、全自動調理機で調理した食品を提供する場合に、新たに必要となる、又は不要となる事項を検討するため、関係事業者に対し、営業実態に関するヒアリングを実施した。
    • 関係事業者へのヒアリングを踏まえた主な内容
      • 飲食店施設で自動調理機を使用し省人化されているケースは、コーヒーマシンを使用した飲料の提供のみ。
      • コーヒーマシンは、監視カメラが備え付けられている。
      • コーヒーマシンは、イレギュラー時に自動的に販売停止措置が図られている。
      • コーヒーマシンは、1日1回人員による洗浄等のメンテナンスを実施。
      • 飲食店施設の自動調理については、無人で行うことは考えていない。
        • ※食事を提供する営業形態では、調理工程の一部に調理機器を導入している実態はあるものの従業者が常駐しない状態ではない。
      • 省人化された営業実態を踏まえ、施設基準の見直しができるのではないか。(関係事業者へのヒアリングを踏まえた検討委員の意見)
      • 技術の革新に伴って不要になる規制は、合理性が説明できる限りにおいて規制を緩和することは適切な方向性であろう。
      • 他方で、機械に任せると、機械の中で何か起きているのかとか、あるいは通信環境が途絶えたときにどうするのかといった、人が確認しにくいことが増えるため、そちらの観点からの新たな規制の基準が必要なのではないか
    • 従業者が常駐しない営業の実態
      • 前回の検討会における関係事業者へのヒアリングを踏まえ、従業者が常駐せず飲食店営業を可能としている実態は、全自動調理機を用いた飲料となっている。
      • そのため、営業実態を踏まえ、施設基準の見直しについて検討していきたい。
        • ※その他、食事を提供する営業形態では、調理工程の一部に調理機器を導入している実態はあるものの従業者が常駐しない状態ではない。
    • 全自動調理機の範囲
      • 従業者が常駐しない施設において、飲食を提供する場合は、自動販売機の規格基準と同等以上の材質、構造及び機能等を有する全自動調理機による安全性確保が求められるため、これを起点として今後の開発状況を反映させていく。
    • 施設基準の適用に関する考え方
      • 本来、従業者が常駐する施設において目視確認、感覚的な確認、消費者との対話等により行っていた、施設内の状況の把握について、従業者が常駐しない施設では機器の機能等により補完して行うこととなるため、施設基準ではこれらの設備等の追加が必要となる。
      • 一方で、従業者が常駐しないことにより、必要としない若しくは代替設備により対応が可能となる場合がある。
    • 従業者が常駐しない施設に対する施設基準追加項目
      • 施設全体の衛生状態を確認するための監視設備を有すること。
        • 施設外部から汚染防止確認、汚染があった場合の状況確認するため。
        • カメラ等により常時把握する。異常があった場合に従業者に通報する。
      • 施設内で異常が生じた場合に、営業を停止することができる設備を有すること。
        • 機器の故障、停電、外部からの衝突等により機器に問題が生じた場合に、商品の安全性が担保できないため。
        • 異常があった場合に機器自体に営業を停止する機能を有すること。また、従業者に通報し、遠隔操作において営業停止措置ができること。
      • 全自動調理機について、原料、調理工程における温度等の状況を監視し、異常があった場合に停止等の措置が講じられる設備を有すること。
        • 原料や調理工程の温度管理の状況を確認し、異常があった場合に商品の安全性が担保できないため。
        • 機器自体に温度センサー等の機能を有すること。異常があった場合に機器自体に営業を停止する機能を有すること。また、従業者に通報し、遠隔操作において営業停止措置ができること。
      • 調理後の食品を一時的に保管する場合、
        • 外部(他者含む)からの汚染等を防止できる構造の保管庫を設けること。
        • 保管庫は、保管開始後一定時間経過すると自動的に廃棄することができるものであること。
        • 調理後の食品が引き取りまでの間に外部から汚染されることや長時間保管中に食中毒菌が増殖し健康被害が発生することを防止するため。
        • 機器自体に鍵付き等の保管庫及び自動廃棄機能を有すること。また、従業者に通報し、遠隔操作において営業停止措置ができること。
      • 異常が生じた場合に、客と営業者(従事者含む)とが対話できる設備を有すること。
        • 機器設計時に想定しておらず自動停止しない事案やその他衛生に関する苦情等に適切に対応するため。
        • インターホンの設置、連絡先等の掲示を行うこと。

厚生労働省 第375回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料
▼ 資料1 労使協定の見直しを行う派遣元事業主への支援及び取組の進捗状況について
  • 都道府県労働局による該当事業所の把握及び個別フォローアップの進捗状況は、以下のとおり。
    • 賃金の引き上げ及び差額の支払いを実施済み又は実施が確定
      • 127事業所 1,242人
      • 令和6年4月1日以降に働いたことがある方で既に離職された元派遣労働者を含め、該当労働者全員に実施済み又は実施が確定しているもの。
    • 令和6年4月1日からフォローアップ時点までの間において当該誤りのあった指数による労働者派遣の実績がない
      • 964事業所
    • 労使協定の改定及び差額の支払いについてフォローアップ中
      • 184事業所 1,202人
      • 確認や対応をいただきたい点について、個別に案内・要請を実施。
      • 引き続き、人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)の利用勧奨を含め、フォローアップを行っているもの。
    • 労使協定の改定及び差額の支払いについてフォローアップを開始
      • 107事業所
      • 労働局において事業所に個別の案内・要請を実施。
      • 事業所において対象者の確認作業を実施中など、時間を要しているもの。
  • ハローワーク別地域指数の誤り及びその訂正に伴い、労使協定の再締結とともに、現行協定と新協定との差を補う対応を行う派遣元事業所について、通常であれば生じない年度途中での当該作業が円滑に進むよう、都道府県労働局において、個別に連絡をとり、周知や要請、支援策の活用など、1つ1つ丁寧なフォローを行う。
  • ハローワーク別地域指数の算定誤りを踏まえた再発防止策の実施について
    • デジタル技術の導入によるヒューマの排除
      • ICTの活用等による業務効率化などを支援する省内担当課室と連携し、担当者がハローワークシステムからダウンロードしたデータを加工せず必要な情報の集計を可能とするデジタルツールの開発・導入
    • 外部業者を活用したベリファイ方式の実施よる公表数値の確実性の確保
      • 需給調整事業関係業務の受託実績がある外部業者が各数値の算定作業を実施し、その結果を担当者における算定結果と突合することにより公表数値の確実性を確保(ベリファイ方式)
    • 作業や発注の前提となる事項の確実性の確保
      • 組織管理を担当する省内担当課室と連携して、地域指数の算定対象となるハローワークと、対象とならない附属施設の区分を再確認するなど、作業の前提となるデータの範囲の確実性を確保
    • 課内体制の強化及び作業手法の整備
      • 室長級職員が、作業工程ごとの手順のマニュアル化及び作業プロセスの適切な実施を統括管理。
      • 複数担当者制によるダブルチェックに加え、集計結果のチェック作業には、担当班以外の職員を従事させることで、第三者の視点から誤りがないことを確認

厚生労働省 立ち作業の負担軽減対策の取組事例紹介
  • 現状・経緯
    • 作業中の姿勢は、業種や職種によって様々ですが、持続的に立ち姿勢で作業を行う「立ち作業」は、「工場のライン作業」や「スーパーの会計作業」、「工事現場における交通誘導作業」など、様々な場面で見られます。
    • 立ち作業には、業務に集中しやすいといった点や、とっさの際に動きやすいなどのメリットもありますが、長時間による立ち作業は足腰への負担が大きい等のデメリットもあります。
    • 立ち作業に伴う足腰の負担を軽減するためには、作業時間の短縮やこまめな休憩の取得等が有効ですが、作業中に座ることができるイスを設置するなど、作業環境の工夫により、足腰への負担等を軽減するための対策を実施している例もあります。実際に行われている企業の取組事例は以下のとおりであり、すぐに取り入れられる対策もございます。
    • 労働安全衛生規則第615条では、就業中にしばしば座ることのできる機会のある際における椅子の備え付けを事業者に義務付けており、必ずしも座って作業をすることを求めているものではありませんが、今回ご紹介する取組事例を参考に、長時間の立ち作業を改善するなど、健康に働ける職場づくりに努めてくださいますようお願いします。
  • 対策事例紹介
    • ちょっとラクと健康を考えませんか?
    • 産業ごとに各企業で取り組んでいる立ち作業の負担軽減対策をご紹介します。
      • 小売業
        • 株式会社ダイエー
          • 立って作業を行っていたスーパーマーケットのレジに、軽く腰を掛けられるイスを設置。接客の合間など、座っての待機を可能に。また、お客さまに取り組みを周知するため、レジ周辺に理解を求めるポスターを掲示している。
          • 足腰の負担軽減対策でレジの足元にクッション性のあるマットを設置。レジ以外には、可動式の陳列棚の導入により、品出しの作業効率を上げるとともに、中腰姿勢の時間削減で腰痛対策につなげている。
        • 株式会社アオキスーパー
          • 長時間立ったままのレジ接客の在り方を見直すべく、スーパーマーケットの「レジ接客中に座れるイス」を設置。7月23日にプレスリリースを展開して、会社の認知度向上にも繋げている。また従業員の声を集め、現在は全店舗での導入を検討・進めている。
          • 育児短時間勤務制度の対象期間を『中学校卒業まで』に延長
          • お客様と働く人が、笑顔で過ごせるお店作りを目指して、カスタマーハラスメントに対する基本方針の策定
          • 『禁煙サポートプログラムで全額補助制度』で卒煙を支援
          • 髪色・髪型自由!身だしなみ基準の緩和
      • 警備業
        • 株式会社セキュリティ庄内
          • 座ることで、疲労・ストレスの軽減、心拍数・血圧などの上昇の抑制、身体的な負担が軽減されるとの研究結果をもとに、座哨しての警備を実践しています。
          • また、警備業には欠かせないヘルメットには、UVカットシールドを内蔵したものを採用しました。
          • 熱中症対策として、ポロシャツ型警備服の導入や取り外し可能な空調ファン、各労働者に経口補水パウダーや飲料水、瞬間冷却剤等が入った、熱中症救急キットを支給しています。また、従来の警備のイメージから脱却するため、デザイン性と機能性を兼ね備えた高い制服や防寒着なども導入しました。
          • イス、ポロシャツ、空調ファン、シールドなど使用開始した当初は、他社がしていないことを、私たちの会社だけが行うことに対し、最初は若干抵抗がありましたが、実際に使用すると、以前よりも快適で、今ではなくてはならないものとなっています。
          • 「警備員は立っているのが当たり前」「夏は暑いものだ」というような長年の固定概念を覆し、「こういうものがあれば、もっと快適に仕事ができるのだけどなぁ」という私たちの現場の声を、親身になって取り入れてくれる会社に感謝です。
      • その他事業
        • 株式会社チェッカーサポート
          • レジ業務で立つ位置にクッション性のあるマットを設置して、高さのないパンプスやスニーカーでの勤務を可能にすることで、立ち作業における足腰の負担軽減対策を実施しています。
          • レジ業務での作業の動線を考慮して、できるだけコンパクトに無駄な動作を行わずにレジ業務ができるよう、レジ周りの配置改善などを実施しました。

【2024年10月】

厚生労働省 「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を労働基準監督署に設置します~労働者かもしれないフリーランスからの相談に対応~
  • 厚生労働省は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号。以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)が施行される11月1日に合わせて、全国の労働基準監督署に、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランス(業務委託を受ける事業者)からの労働基準法等の違反に関する相談窓口(受付時間:8時30分~17時15分(平日のみ))を設置します。
  • 労働基準法上の「労働者」に該当するか否かは、契約の形式や名称にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断されます。
  • 近年、働き方が多様化し、フリーランスとしての新しい働き方が拡大する一方で、フリーランスとして働く方の中には、実態としては労働基準法(昭和22年法律第49号)上の労働者に該当するような働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者として扱われ、労働基準法等に基づく保護が受けられていないといった問題が指摘されています。
  • 厚生労働省は、このたびの取り組みを通じて、フリーランスとして契約しながら実態は労働者となっている方々の労働環境整備に努めます。
    • ※なお、フリーランス・事業者間取引適正化等法に関する相談先は、内容が就業環境の整備に 関するものは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)、内容が取引の適正化に関するものについては公正取引委員会または中小企業庁になります。
  • 取り組み概要
    • 労働者性に疑義がある方からの労働基準法等違反に関する相談窓口を設置します
      • 請負契約や委任契約といった契約形式にとらわれることなく、働く方々からの相談に丁寧に対応します。また、労働者に該当するかどうかの判断基準の説明や、「働き方の自己診断チェックリスト」を用いたチェックなども行います。(別添参照)
    • 労働基準監督署において労働者に当たるかどうかの判断を行います
      • 労働者性の判断基準について理解を促すため、新たに、厚生労働省において労働者性判断に係る近時の代表的な裁判例を取りまとめた参考資料集を作成しました。
      • 労働基準監督署では、これらの資料も活用しつつ、相談内容から労働基準法等違反が疑われ、申告(労働基準法等に基づき、法違反の事実を労働基準監督署に申し立てることをいいます)として調査した場合には、原則、相談者の方が労働者に当たるかどうかの判断を行います。

厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します~就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者38.4%、新規大卒就職者34.9%~
  • 厚生労働省は、令和3年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況を取りまとめましたので公表します。
  • 就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が38.4%(前年度と比較して1.4ポイント上昇)、新規大学卒就職者が34.9%(同2.6ポイント上昇)となりました。
  • 厚生労働省では、新卒応援ハローワークなどで、引き続き、新規学卒就職者に対する職場定着支援や離職者等に対するきめ細かな就職支援を行っていきます。

厚生労働省 厚生労働省職員や機関を装った不審な電話・メールにご注意ください。
  • 電話によるもの
    • かかってきた電話を取ると、厚生労働省を名乗るアナウンスが流れ、「○番を押すとオペレーターにお繋ぎします」といった内容が流れ、番号を押すと、オペレータを名乗る者に繋がり、「○○という医療機関であなたの保険証が不正に利用されている」等の旨を伝えられ、個人情報を聞き出そうとしてくる不審電話があったとの情報が複数の地方厚生(支)局に寄せられています。厚生労働省及び地方厚生(支)局から、直接国民の皆様にお電話を差し上げることはありません。このような電話があっても対応しないようお願いします。
    • 厚生労働省医薬局や医薬生活局を名乗り、「保険証が不正利用されている」「薬が不正処方されている」等として、個人情報を聞き出そうとする事案についての相談が多数寄せられています。厚生労働省からこのような問合せを行うことはありませんので、不審と思われる照会(特に個人情報を要求された場合)については、絶対に個人情報を教えずすぐに電話をお切りください。
    • 「厚生局のオオタニ」と名乗る人物から医療機関に、「従事している医師の人数・名前を教えてほしい」と電話があったとの情報が、複数の地方厚生(支)局に寄せられています。厚生労働省及び地方厚生(支)局から、このような内容の問い合わせを電話で行うことはございません。不審と思われる照会(特に個人情報を要求された場合)については、すぐに回答せず、相手の氏名・電話番号をご確認の上、管轄の地方厚生(支)局企画調整課へお問い合わせいただくようお願いいたします。
    • かかってきた電話を取ると、厚生労働省を名乗り、「重要書類を預かっているので、直接オペレーターと話しをする場合は「〇番」を押してください。」などとダイヤル操作を促す音声ガイダンス(テープ)が流れ、そのまま放置すると外国語が流れるという国際電話を使用した不審電話あったとの情報が、複数の地方厚生(支)局に寄せられています。厚生労働省及び地方厚生(支)局から国際電話(+番号)を使用した電話をすることはありません。このような電話があっても、当該ダイヤル番号を押すことなく、そのまま電話を切るようお願いします。
    • 厚生労働省を名乗る者から、民間事業主に、「パワハラなどハラスメント防止の推進企業の認定制度がある。来社して説明させてほしい」と電話が入る事案が発生しています。厚生労働省は、現在、ハラスメント防止に関する認定制度を創設しておりません。また、厚生労働省や都道府県労働局の職員がこのような電話をすることもありません。事業主の皆さまは、このような電話があっても対応しないようにお願いします。
    • 厚生労働省職員を名乗る女性から、フリーコール(0120で始まる電話番号で、労働安全衛生調査が委託した事業者とは別の番号)にて「令和3年労働安全衛生調査のリスクアセスメントの回答について不備があるという内容の電話があった」との情報が調査対象事業所から寄せられております。労働安全衛生調査については、調査票や封筒に書かれているフリーコールと異なる番号で、調査対象事業所にお電話をすることはありません。
    • 県庁等の職員を名乗る者から、「雇用動向調査に協力しなければ、罰金を支払ってもらうことになります。」という旨の電話があったとの情報が寄せられております。雇用動向調査は、県庁等に業務を依頼(委託)しておりませんので、県庁等がこのような電話をすることはありません。
    • 厚生労働省保険局の職員を名乗る者から、「医療費の還付手続きを行ってください」という旨の電話があったとの情報が寄せられております。厚生労働省保険局では、医療費の還付について、直接国民の皆様にお電話を差し上げることはありません。このような電話があっても対応しないようお願いします。
    • 厚生労働省年金局「統計調査第2課」、「統計調査室」や「調査第2課」を名乗る者から、「調査のため家族構成、年収、資産、年金額等を教えてほしい」という旨の電話があったとの情報が寄せられております。厚生労働省には「統計調査第2課」、「統計調査室」や「調査第2課」という組織はありません。厚生労働省年金局では、調査と称して家族構成、年収、資産、年金額等を、国民の皆様に直接、電話で問い合わせることはありません。このような電話があっても対応しないようお願いします。
    • 国民生活基礎調査の調査員を名乗る者から、「調査のため家族構成を教えてほしい」という内容で問い合わせる事例が発生しています。国民生活基礎調査では、調査員証を携帯した調査員が訪問して行っており、電話での問い合わせは行っておりませんので、このような電話には対応しないようお願いいたします。
    • 厚生労働省職員を名乗る者から「人口動態調査で、お宅の小学生の人数を教えてほしい」という内容で電話で問い合わせる事例が発生しております。人口動態調査では、直接国民の皆様に世帯の情報等を電話やメールで問い合わせる事はありませんので、このような電話には対応しないようお願いします。
    • 「厚生労働省年金課の職員を名乗る者から、年金のアンケートをとりたい」という旨の不審な電話が発生しています。情報提供いただいたお客様は、厚生労働省年金課キタムラという者から電話を受け、年金のアンケートをとりたい旨の依頼があったが、不審に思い折り返し電話すると答え、電話を切られました。その後、お客様は当課に電話をされ、当該職員が存在しないことを確認されております。厚生労働省や日本年金機構から年金のアンケートと称して、直接お客様あてにお電話を差し上げることはありません。上記のように、不審に思われた方は、このような電話があっても対応しないようお願いします。
    • 「厚生労働省国際年金フォーラム」を名乗る者から、「事業主の年齢調査を行っておりますので、事業主の年齢が61歳以下かどうか教えてください。これは国の調査であり回答義務があります。」という旨の電話があったとの情報が寄せられております。厚生労働省には「国際年金フォーラム」という組織はありません。このような催しも開催しておりません。また、これに関連する調査も行っておりません。このような電話があっても対応しないようお願いします。
    • 独立行政法人福祉医療機構の公的年金担保融資をあっせんする等と称して、年金受給者宅に電話で勧誘を行い、当該融資のあっせんにかかる手数料を要求している業者がいるとのお問い合わせが福祉医療機構に寄せられております。福祉医療機構はこれらの業者とは何ら関係はありません。また、このような業者を介しても融資決定が有利になることもありません。公的年金担保融資の借入申込手続きは、「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示された銀行、信用金庫、信用組合にて承っており、融資をご利用になりたい方は、直接これらの窓口で説明を受けながら手数料なしで申し込みをすることができます。ご不明な点がございましたら、福祉医療機構までお問い合わせください。
    • 厚生労働省医薬食品局を名乗る者から、ある企業の複数の工場に、「MSDS(化学物質等安全データシート)の担当者の氏名等を教えて欲しい。教えない場合には工場に指導に行く。」旨の電話がありました。厚生労働省では、そのような問い合わせは行っておりませんので、不審に思われる場合には、即答せず、相手の所属、氏名、電話番号を確認する等の対応をお願いします。
    • 市役所等の組織を名乗り、提出されるべき書類が提出されていないので、指示する電話番号に電話するよう伝え、そこに電話すると、「厚生労働省健康保険調査室」を名乗る者が応対し、健康保険の還付金があるような旨の話から、ATMに行って手続きをさせるというものです。厚生労働省には「健康保険調査室」といった組織はありませんので注意していただき、そのような電話はすぐに切るようお願いします。
    • かかってきた電話を取ると、「国民健康保険庁」と名乗り、ダイヤル操作を促す音声ガイダンス(テープ)が流れるというものです。「国民健康保険庁」といった組織は存在しませんので、ガイダンスに従わず、そのまま電話を切るようお願いいたします。
    • 「厚生労働省社会医療センター(又は厚生労働省医療保険センター、厚生労働省社会保険局)ですが、医療保険特別補助金○○円の請求期限が今日までなので請求手続を行ってください。」
    • (同様のケース)「高額療養費の申請手続きが行われていません。銀行/郵便局のATMに行って電話をしてください。すぐに振り込みます。」「医療費控除の還付金があるので、銀行/郵便局のATMに行って電話をして下さい。すぐに振り込みます。」厚生労働省では、このような請求手続の依頼は行っておりません。このような電話があっても、銀行口座等の個人情報を教えたり、金銭の振込を行ったりすることのないようご注意ください。
    • 「厚生労働省が新たに食品のリスクマネジメントに関するライセンスを新設し、現在講習会の募集をしている」又は「夏場の食品衛生に関するアンケート調査を行っています。品質保証担当責任者の氏名を教えて下さい。」などと言って、氏名を聞き出そうとする。厚生労働省では、「リスクマネジメントに関するライセンスの新設」及び「電話で夏場の食品衛生に関するアンケート調査」を行っておりません。不審に思われる場合には即答せず、相手の所属・氏名・電話番号を確認する等の対応をお願いします。
    • かかってきた電話を取るとテープで、「厚生労働省からのお知らせ」と言った上で、「労働保険・雇用保険の還付が発生しましたので、詳細については○番を押してください。」との案内が流れるというものです。厚生労働省では、このような還付処理等のテープ案内は行っておりません。このような電話があっても、当該ダイヤル番号を押すことなく、そのまま電話を切るようお願いします。
    • 厚生労働省を名乗る者から「あなたはC型肝炎ですね。どの様に感染したか話を聞かせてください。検査してあげましょう。」と言い、「検査費用は10万円かかります。」というものです。また、「必要でしたら訪問しましょうか。」というものです。厚生労働省では、このような検査、請求及び訪問は一切行っておりません。このような電話があっても、銀行口座等の個人情報を教えたり、金銭の振り込みを行ったりすることのないようご注意下さい。
    • 分煙に関する機器等の売り込みにあたり、厚生労働省から認定や推奨を受けていると、誤解を与えるような説明をしている事業者がいるとの連絡が入っています。厚生労働省が、特定の企業の機器等について認定や推奨をすることや、特定の企業に分煙等の施工や機器等の販売を委託するようなことはありませんのでご注意ください。
    • 厚生労働省の職員を名乗る者から、「戦争で亡くなった方の年金で払いすぎた分がある。直接訪問するのでその際に返してほしい。」と、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく遺族年金の受給者であった方の家族に電話があったものです。不審な点がありましたら、相手の所属・氏名・電話番号をご確認のうえ、厚生労働省までご連絡いただきますようお願いします。
    • 厚生労働省年金局年金課を名乗る者から自宅に『「医療補助」の給付金を口座に振り込むので、近くの銀行又は郵便局のATMに行き、そこから電話をかけてください。』というものです。厚生労働省では、このような手続きをお願いすることはありませんので、このような電話があっても、対応しないようご注意ください。「ウソ」だと分かったら、直ぐに110番、又は警察総合相談電話番号(#9110)へ通報してください。
    • ハローワークの職員を装い、電話アンケートとして、個人情報の収集を目的とするかのような不審電話があったとの通報が寄せられています。ハローワークでは、こうした電話調査は一切行っておりません。不審な点がありましたら、相手の所属・氏名・電話番号をご確認のうえ、厚生労働省までご連絡いただきますようお願いします。
    • 柔道整復師に個別指導を行う旨の書面を郵送した後、電話により近畿厚生局の職員を名乗る者から、個別指導を免除して欲しければ、現金を振り込むよう要求されたとの情報が寄せられております。地方厚生(支)局では、個別指導を免除し、口座に金銭を振り込ませることは一切しておりません。このような電話があっても、金銭の振り込みを行ったりすることのないようご注意ください。不審に思われる場合は、相手の所属・氏名・電話番号をご確認のうえ、お近くの地方厚生局各都府県事務所等へお問い合わせください。
  • メールによるもの
    • 国民生活基礎調査を装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、国民生活基礎調査を装った不審なメールの情報が寄せられています。
      • 国民生活基礎調査の名前で「銀行より入金を受け付けました。受給申請などは全て無料です。」とURL付きのメールを受信した。
    • 厚生労働省を装った不審なメールにご注意ください。
      • 「厚生労働省雇用環境調整課」の職員であると名乗り、一般企業(主に医療関係機関)にお勤めの職員に対して、「職場のハラスメント調査」に関する厚生労働省が行うヒアリングへの協力を求めるメールがあったとの情報が、複数寄せられています。
      • 厚生労働省では、令和5年度委託事業として「職場のハラスメントに関する実態調査」を実施しているところございますが、厚生労働省から、このようなヒアリングへの協力依頼を企業の連絡窓口や職員様にご連絡することはございませんのでご注意ください。
    • 関東信越厚生局薬事監視指導課を装った不審なメールにご注意ください。
      • 10月31日未明から、関東信越厚生局薬事監視指導課が医薬品等の個人輸入手続きにおいて使用するメールアドレス(yakkan[at]mhlw.go.jp)によって、心当たりのないメールが大量に発信されていることが確認されました。
      • 第三者により、yakkan[at]mhlw.go.jpのアドレスが使用され、なりすましでメールが発信されている疑いがあります。
      • 対応について以下の点をご注意ください。
      • 「yakkan[at]mhlw.go.jp」のアドレスからメールが到着した場合は、開封しないでください。
      • 当分の間、当該メールアドレスは受信専用とします。関東信越厚生局薬事監視指導課から返信する場合は他のメールアドレスから行います。
      • 関東信越厚生局薬事監視指導課が本メールアドレスからお問い合わせの回答などを送信することはございません。
        • ※メールアドレスの「@」を「[at]」へ置き換えております。
    • 厚生労働省医療広告ネットパトロールを装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、厚生労働省の医療広告ネットパトロール事業者であることをかたって、「医療機関のウェブサイトに対して改善命令を行う」といった不審なメールが送付されている情報が寄せられています。厚生労働省では、このようなメールは送付しておりません。
    • 日本年金機構を装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、日本年金機構を騙り、日本年金機構のロゴを使用して「個人電子年金情報の更新」等の件名で、任意のホームページに誘導し、個人情報を入力させようとする不審なメールが報告されています。当メールについては、日本年金機構が発信したものではありませんので、絶対に個人情報を入力しないでください。
    • ハローワークを装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、ハローワークからのメールを装った不審なメールの情報が寄せられています。メールを受け取った方は、以下の内容を確認ください。
      • ハローワークに求職登録をしていない方にメールを送信しておりません。
      • ハローワークから採用結果の連絡をメールで行うことはございません。
    • 厚生労働省を装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、厚生労働省からのメールを装った不審なメールが送信されているという情報が寄せられています。厚生労働省では以下のようなメールを送信することはありませんのでご注意ください。
      • 差出人が「厚労省情報」で、内容としていわゆる「儲け話」に関する内容となっている。
      • 送信者のメールアドレスが「info@go.jp」、メールの件名が「厚生労働省の知らせ」、「InfluenzaReport.zip」というファイルが添付されており、「新型インフルエンザ」に関する内容になっている。
      • 送信者のメールアドレスが「e-Gov@mhlw.go.jp」、メールの件名が「新型インフル、ワクチン接種」、「zip」というファイルが添付されている。
    • 検疫所を装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、検疫所からのメールを装った不審なメールが送信されているという情報が寄せられています。検疫所では以下のようなメールを送信することはありませんのでご注意ください。
      • メールの件名が「This is as good as it gets」で本文中のURLをクリックすることを求めている。
      • メールの件名が「Position opening in your area」で仕事の紹介を行うような内容になっている。
    • 厚生労働省保険局保険課を装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、健保組合への連絡メールを装った不審なメールが送信されているという情報が寄せられています。厚生労働省では以下のようなメールを送信することはありませんのでご注意ください。
      • 差出人名が「健保組合連絡メール(保険課)(kenpoaddress)」で、本文の記載がなく添付ファイルとパスワードのみの内容となっており、送信者のメールアドレスが「kenpoaddress@go.jp」以外のものである。
      • 件名が「Fwd:」や「Re:」または記載されていない。
    • 医療機関に対する厚生労働省による経営調査を装った不審なメールにご注意ください。
      • 令和4年2月以降、医療機関に対して、厚生労働省による経営調査を装い、厚生労働省のメールアドレスに報告を求める不審なメールが送付されているとの情報が寄せられています。厚生労働省では、このようなメールは送付しておりません。
    • 厚生労働省を装った不審なメールにご注意ください。
      • 最近、厚生労働省をかたって、国民健康保険の補助金の説明のためとして、任意のホームページに誘導しようとする不審なメールが送付されているとの情報が寄せられています。厚生労働省では、以下のようなメールを送信することはありませんのでご注意ください。
      • 差出人名が「厚生労働省」で、国民健康保険の補助金を支給するといった内容となっている。
      • 件名が「厚生労働省通知:国民健康保険20000円の補助金説明!」となっている。
  • 訪問によるもの
    • 就労条件総合調査を名乗り、自宅を訪問し、義務であるため調査に回答するよう求める者がいるとの情報提供がありました。
    • 就労条件総合調査は、厚生労働省が委託した民間事業者が、調査票を調査対象企業へ郵送し、調査対象企業の記入担当者が記入した後、民間事業者に郵送又はインターネットを利用したオンライン報告様式により提出いただいています。ご自宅に訪問することはありませんので、このような訪問があっても対応しないようご注意ください。不審な点がありましたら、担当までご連絡ください。
    • ハローワーク職員の名刺を差し出し、ハローワーク職員であることを装って、求職者の自宅を訪問し、求職者の自宅内で職業相談を行うことを執拗に迫る不審者がいるとの通報が寄せられています。
    • ハローワークでは、事前の連絡なしに求職者の自宅を直接訪問し職業相談を行うことはありません。このような訪問があっても自宅内に入れることのないようご注意ください。不審な点がありましたら、ご利用いただいているハローワークに御確認ください。
  • SMS(ショートメッセージサービス)によるもの
    • 最近、厚生労働省をかたって、国民健康保険料(税)の督促状や納付のお知らせ等に関する、不審なSMSが送信されているという情報が寄せられています。
    • 厚生労働省から、このようなSMSを送信することはありませんので、ご注意ください。
    • 不審なSMSが届いたら
      • 不審なSMSを受信した場合には、SMS中のURLをクリックする、または届いたSMSに対して返信するなどの行為は行わないようにしてください。また、警察庁のウェブサイト「フィッシング110番」から各都道府県警察のフィッシング専用窓口に通報をお願いします。

厚生労働省 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第17回)資料
▼ 【資料2】安定確保医薬品の見直しについて
  • 安定確保医薬品の見直しに関する論点
    1. 総論
      1. 今回の見直しにおいても、前回同様、日本医学会の協力の下、安定確保会議で全体的な方針及び品目・カテゴリの最終決定を担当し、ワーキンググループ(WG)で個別品目の選定及びカテゴリ分類の検討を行うこととしてはどうか。
    2. 検討体制
      1. 現在の安定確保医薬品の選定プロセスについては、臨床上の視点が必ずしも反映されていないのではないかとの指摘がある。今回の見直しにおいては、臨床上の観点から品目の漏れ等を確認するため、WGの構成を次項のとおりとしてはどうか。
    3. 品目の選定及びカテゴリ分類のための要素について
      1. 現在の安定確保医薬品については、「対象疾患の重篤性」、「代替薬・代替療法の有無」、「製造の状況・サプライチェーン」、「多くの患者が服用(使用)していること」の4要素を勘案し、品目選定及びカテゴリ分類がなされている。
        • 今回の見直しにおいても当該4要素を勘案し決定することとするが、必要な品目について漏れなく安定確保医薬品に選定する観点から、選定においては、主に「対象疾患の重篤性」、「代替薬・代替療法の有無」、「製造の状況・サプライチェーン」を評価し決定することとしてはどうか。一方、安定確保に係る取組を行う際の優先順序付けを行う必要もあることから、カテゴリ分類においては、「多くの患者が服用(使用)していること」も加えた、当該4要素を総合的に勘案し、決定することとしてはどうか。
      2. 令和3年の選定時においては、安定確保に係る取組を行う際の優先順序付けとしての目的を重視し、各学会10成分を目安に検討を依頼したが、今回の見直しにおいては、各学会10成分を目安としつつも、3.①及び4.①の観点から必要な品目については10成分に限らず提案可能としてはどうか。また、学会への依頼に際しては、臨床現場の実情も考慮の上、各品目の優先順位及び選定・優先順位付けの理由を付記いただくこととしてはどうか。
    4. 供給確保措置等の要請について
      1. 安定確保医薬品について、供給不足のおそれがある場合、法令上、感染症対策物資と同様に、次のような措置を講ずることができるようにするとともに、サプライチェーン強靱化の観点から必要な要請を行えることとしてはどうか。
        • 生産促進等の要請(A・B)
        • 報告徴収(平時からのモニタリング)(A・B・C)

厚生労働省 フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果について
▼ 別添
  • 本法の認知度
    • 委託者側からの回答によると、「建設業」「医療、福祉」「農業、林業」の業種において、本法の認知度の割合が他の業種に比べて低い状況が見受けられた。
    • フリーランス側からの回答によると、「医療、福祉」「建設業」「学術研究、専門・技術サービス業」の業種において、本法の認知度の割合が他の業種に比べて低い状況が見受けられた。
  • 取引条件の明示(本法第3条)
    • 委託者側からの回答によると、「建設業」「生活関連サービス業、娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
    • フリーランス側からの回答によると、「建設業」「生活関連サービス業、娯楽業」「学術研究、専門・技術サービス業」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
  • 報酬の支払期日(本法第4条)・特定業務委託事業者の遵守事項(本法第5条)
    • 委託者側からの回答によると、「サービス業(他に分類されないもの)」「建設業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
    • フリーランス側からの回答によると、「情報通信業」「生活関連サービス業、娯楽業」「学術研究、専門・技術サービス業」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
  • 募集情報の的確な表示(本法第12条)
    • 委託者側からの回答によると、「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」「卸売業、小売業」「医療、福祉」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
    • フリーランス側からの回答によると、「生活関連サービス業、娯楽業」「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」「運輸業、郵便業」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
  • 育児介護等の配慮(本法第13条)
    • 委託者側からの回答によると、本法施行後に問題となり得る行為が行われているとの回答はなかった。
    • フリーランス側からの回答によると、「情報通信業」「サービス業(他に分類されないもの)」「教育・学習支援」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
  • ハラスメント対策(本法第14条)
    • 委託者側からの回答によると、「農業・林業」「製造業」「建設業」「サービス業(他に分類されないもの)」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
    • フリーランス側からの回答によると、「建設業」「サービス業(他に分類されないもの)」「学術研究、専門・技術サービス業」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
  • 中途解除等の事前予告(本法第16条)
    • 委託者側からの回答によると、「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」「製造業」「農業、林業」「学術研究、専門・技術サービス業」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
    • フリーランス側からの回答によると、「卸売業、小売業」「情報通信業」「生活関連サービス業、娯楽業」「教育・学習支援」の業種において、本法施行後に問題となり得る行為が行われている割合が他の業種に比べて高い状況が見受けられた。
  • フリーランスからの声
    • 事前に契約書を作成するのは稀で多くは口約束。メール等の文字で証拠を残すことを嫌がる傾向がある。【情報通信業(映像・画像・音楽制作、編集)】
    • 大手は丁寧な対応をしてくださるが、それ以外は報酬が振り込まれるまで額が不明なこともある。【学術研究、専門・技術サービス業(通訳)】
    • 20年この仕事をしているが実写の場合は今も、期日の口約束のみ。【学術研究、専門・技術サービス業(ライティング、記事等執筆業務)】
    • 大手でもそもそも契約書を発行する雰囲気もないです。改善してほしいです。【生活関連サービス業、娯楽業(俳優、女優、モデル)】
    • サイン/捺印がある契約書を交わすことが、業務‥終了時にきます。意味がありません。【学術研究、専門・技術サービス業(カメラマン)】
    • 老舗出版社では、その出版物刊行後に支払う慣習が未だ横行しており60日ルールが浸透していない。【学術研究、専門・技術サービス業(アニメーター、イラストレーター)】
    • 先方都合で案件がペンドとなり支払いもされていないものがある。【学術研究、専門・技術サービス業(ライティング、記事等執筆業務)】
    • 仕事をしても勉強だからとギャラ不払いが過去に何度もあった。【生活関連サービス業、娯楽業(俳優、女優、モデル)】
    • 出版業界の慣習なのか、支払いが遠い。2月に撮影し納品したが、使用するのが来年になるので支払いは来年(になっている)【その他
    • 「更新しない」旨を30日以上前に連絡したが減額されたことがある。【情報通信業(アプリやシステムの設計、ソフトウェア開発、SE)】
    • 報酬から消費税分差し引くという会社がいまだにある【情報通信業(映像・画像・音楽制作、編集)】
    • 問題あるツアーでクレーム発生し報酬を8割カットされた。【学術研究、専門・技術サービス業(通訳)】
    • 業務委託の扱いが直雇用、ながら突如報酬の削減仕事量変わらず管理は厳しく矛盾(している)【教育、学習支援業(添削、校正、採点)】
    • 交渉と言っても殆ど忖度の形式上のもので、無茶な価格を言ってくるなよと祈るのが実態だと思います。【学術研究、専門・技術サービス業(その他(デザイン・映像制作関連))】
    • 講演料は先方の言い値なので割に合わないと感じる場合もあるが、依頼がひとづてのため、断ることができない【教育、学習支援業(講師、インストラクター)】
    • 報酬額は一方的に決められている、なかなか交渉は切り出せない。【学術研究、専門・技術サービス業(通訳)】
    • 昨今の色々な理由による物価高による運賃の値上げをお願いしても、半数は受け入れて貰えない。【運輸業、郵便業(自動車・トラックによる運輸、配送、配達)】
    • フリーランスになると人の足元をみた値踏みや条件、夜間休日返上の納期を求められることが多くなった。【情報通信業(ウェブサイトの作成・管理)】
    • 単価交渉には一切答無視状態。工期も決算のため無理な工程である。決算後は一ヶ月くらい仕事がなくなる。【その他】
    • 通訳案内士は添乗業務を全て任され重労働。ドタキャンされても保証は無し。事前下見の費用は自腹。【サービス業(他に分類されないもの)(その他(現場作業関連))】
    • 依頼承諾後、難しい詳細内容がくる。相談すると、「臨機応変に現場で対応してください」など丸投げされる。【学術研究、専門・技術サービス業(通訳)】
    • 俳優の業務内容を全て書くのは厳しく、取引後の追加依頼は続き、その際の対応を検討する必要性を感じます。【生活関連サービス業、娯楽業(俳優、女優、モデル)】
    • 依頼してくる事業者はお客様にキャンセルチャージを課しているが、フリーランスの私には一切支払われない。【学術研究、専門・技術サービス業(その他(専門業務関連))】
    • 3年契約だった会社に、2年で切られたことがある。違約金も払われなかった。【学術研究、専門・技術サービス業(その他(専門業務関連))】
    • 最初は健全だった契約内容を、取引中に発注者から一方的に不公平な内容へと変更されたことがある。【学術研究、専門・技術サービス業(デザイン制作、コンテンツ制作)】
    • 努力と運で現在は良好な環境ですが、今後の仕事量・報酬額・パワハラなど、常にストレスと共に生きています【ライティング、記事等執筆業務】
    • パワハラで精神を病んでも、仕事を失うことを恐れて訴え出ることができない。【映画・画像・音楽制作、編集】
    • パワハラがあっても、我慢しなくてはならず、尊厳が守られない【学術研究、専門・技術サービス業(その他(専門業務関連))】
    • 設問にあった○○担当や○○窓口が無い場合が殆どであり、問題が拗れた場合の仲介制度があると安心【学術研究、専門・技術サービス業(建築設計、土木設計、測量技術))】
    • 著作者人格権の不行使に同意を求められ、拒否したら話し合いもなく切られた【学術研究、専門・技術サービス業(調査、研究、コンサルティング)】
    • 業務委託報酬を未払いのまま事業者が突然居なくなり、一方的に解除通知がメールで送られてきた。【教育、学習支援業(講師、インストラクター)】
    • 完治見込みのがん手術を受けたら健康上の不安を理由に契約を切られた【情報通信業(アプリやシステムの設計、ソフトウェア開発、SE)】
    • 3年契約だった会社に、2年で切られたことがある。違約金も払われなかった。【サービス業(他に分類されないもの)(その他(専門業務関連))】
    • 単発の業務請負のため、常に仕事を打ち切られる立場にある【学術研究、専門・技術サービス業(デザイン制作、コンテンツ制作)】
    • 10件以上の通訳案内士業務を何ら説明もなく一方的にキャンセルされた【サービス業(他に分類されないもの)(その他(専門業務関連))】
  • 委託者からの声
    • 個人タレントへの出演依頼等の際、契約書を交わしていない事例が散見されるため、是正したい。【生活関連サービス業、娯楽業(俳優、女優、モデル)】
    • 従業員としてではなく作図、計算書等の作業単位で書面等による取引条件を明示して業務委託をしています。【学術研究、専門・技術サービス業(建築設計、土木設計、測量技術)】
    • 報酬の額(算定方法)は、委託内容、市場相場等を勘案し、適切な水準となるよう配慮しつつ決定している。【卸売業、小売業(営業)】
    • 通常の業務委託先と同様の契約体系で対応しており、フリーランスである理由で内容変更したものはない。【情報通信業(アプリやシステムの設計、ソフトウェア開発、SE)】
    • 従業員に対してはハラスメント教育を行い、立場の弱い人への対応には細心の注意を払うよう指導しています。【情報通信業(映像・画像・音楽制作、編集)】
    • 外部相談窓口を準備中。また、ハラスメント窓口を書面で通知する予定。【学術研究、専門・技術サービス業(その他(専門業務関連))】
    • ハラスメントについてはこれから取り決め、周知する。【医療、福祉(あん摩マッサージ指圧、針灸、柔道整復、マッサージ)】
    • ハラスメントに限定していないが、下請業者(少数ではあるが一部がフリーランス)からの相談担当者は設置。【建設業(建設、現場作業)】
    • 1件のみフリーランス対応があったが、途中で法人化したのと、先方のミスも続いたため合意解約とした【学術研究、専門・技術サービス業(建築設計、土木設計、測量技術)】

厚生労働省 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」の改定について
  • 令和6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号。以下「本法」といいます。)が施行されることから、令和3年3月26日に内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省が策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」について、本法の施行に伴って構成を整理するとともに、本法及び本法の関係政令等の内容を追記するなどの形式的な改定を行いましたので、別紙1のとおり公表します。改定内容は別紙2のとおりです。
  • 同ガイドラインについては、以下のページにも掲載しています。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
▼ 別紙1
▼ 別紙2
  • 本法に違反する行為の未然防止や本法の迅速かつ適切な執行を行うべく、引き続き、普及啓発等、本法の施行に向けた準備を進めてまいります。

厚生労働省 「令和6年版 過労死等防止対策白書」を公表します
▼ 令和6年版 過労死等防止対策白書(本文)
  • 我が国の労働者1人当たりの年間総実労働時間は、長期的には緩やかに減少していたが、令和3年からおおむね横ばいとなり、令和5年は前年より3時間の増加となった。
  • 総実労働時間を所定内労働時間、所定外労働時間の別にみると、所定内労働時間は長期的に減少傾向が続いていたが、令和3年からおおむね横ばいとなった。所定外労働時間は、令和3年以降増加していたが、令和5年は前年より1時間の減少となった
  • 主要産業別にみると、「運輸業、郵便業」、「建設業」、「情報通信業」及び「製造業」の労働時間が全産業平均よりも長くなっている。また、「運輸業、郵便業」及び「製造業」の労働時間は3年連続増加、「建設業」及び「情報通信業」は前年より増加している
  • 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和6年8月2日閣議決定。以下「大綱」という。)において数値目標の対象とされている、月末1週間の就業時間が40時間以上である雇用者のうち、その就業時間が60時間以上である雇用者の割合をみると、平成15年をピークとして、長期的には緩やかな減少傾向を示しており、令和5年は4%と4年連続で10%を下回った
  • 厚生労働省「就労条件総合調査」により、年次有給休暇の状況をみると、取得日数は、平成10年から平成19年まで微減傾向が続き、平成20年以降増減しながらも微増傾向にあり、令和4年は9日と、4年連続で10日を上回った。また、取得率は、平成12年以降5割を下回る水準で推移していたが、平成29年には5割を上回り、令和4年は62.1%と、前年より3.8ポイントの増加となった
  • 勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設けること)について、制度を導入している企業(就業規則又は労使協定等で定めているもの)の割合は、令和5年で0%と前年の5.8%から0.2ポイントの増加となったが、「制度を知らない」と回答した企業は全体で19.2%であった
  • 年平均労働時間を国際比較すると、我が国は、欧州諸国より長く、また、週49時間以上働いている労働者の割合が高い。男性については、特にその割合が高い

厚生労働省 10月は「年次有給休暇取得促進期間」です~ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて年次有給休暇の取得を促進~
  • 厚生労働省では、年次有給休暇(以下「年休」)を取得しやすい環境整備を推進するため、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、集中的な広報を行っています。
  • 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和6年8月2日閣議決定)により、令和10年までに年休の取得率を70%とすることが、政府の目標に掲げられています。一方で、令和4年の年休の取得率は62.1%と過去最高となったものの、目標には届いていない状況です。
  • 働く人のワーク・ライフ・バランスの実現のためには、企業等が自社の状況や課題を踏まえ、年休を取得しやすい環境づくりを継続して行っていくことが重要です。
  • そのための取組として、(1)計画的な業務運営や休暇の分散化に資する年休の計画的付与制度を導入すること、(2)働く人の様々な事情に応じた柔軟な働き方・休み方に資する時間単位年休を活用することなどが考えられます。
  • 厚生労働省では、こうした各企業等における取組を推進するため、年次有給休暇取得促進期間を通じて、年休の取得促進に向けた機運の醸成を図っていきます。
    • 年休の計画的付与制度:年休の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結ぶことにより計画的に年休の取得日を割り振れる制度
    • 時間単位年休:年休の付与は原則1日単位だが、労使協定を結ぶことにより年5日の範囲内で時間単位の取得ができるもの
  • 実施事項
    • 年次有給休暇取得促進特設サイト、月刊誌「厚生労働」、「人事労務マガジン」での情報発信
    • インターネット広告・ポスターの駅貼り・都道府県労働局による周知
    • 都道府県、全国規模の労使団体に対する周知依頼 など

厚生労働省 11月は「過労死等防止啓発月間」です~過労死等防止対策推進シンポジウムや過重労働解消キャンペーンなどを実施~
  • 厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施しています。
  • 月間中は、国民への周知・啓発を目的に、各都道府県において「過労死等防止対策推進シンポジウム」を行うほか、「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導やセミナーの開催、一般の方からの労働に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行います。
  • 「過労死等」とは・・・
    • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
    • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
    • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害
  • 取組概要
    • 国民への周知・啓発
      • 「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施
        • 47都道府県48会場(東京は2会場)でシンポジウムを開催し、過労死遺族の方の体験談やメンタルヘルスの専門家等による講演などを行います(無料でどなたでも参加できます。)。
        • また、インターネット視聴用の講演などの動画配信も行います。
      • ポスターの掲示などによる国民に向けた周知・啓発の実施
        • 国民一人ひとりが自身にも関わることとして、過労死等とその防止に対する関心と理解を深められるよう、ポスターの掲示やパンフレット・リーフレットの配布、インターネット広告など多様な媒体を活用した周知・啓発を行います。
    • 過重労働解消キャンペーン
      • 過労死等につながる過重労働などへの対応として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話・SNS相談などを行います。

厚生労働省 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第16回)資料
▼ 【資料2】医療用医薬品の安定供給について
  • マネジメントシステムの構築について(議論のたたき台)
    1. 製薬企業における安定供給確保に向けた体制整備
      • 安定供給の確保のため、製薬企業に対し、手順書等の整備や、一定の在庫や生産管理等(安定供給確保措置)を、法令上の遵守事項とすることとしてはどうか。
      • 特に、安定供給確保措置の遵守を徹底するとともに、厚生労働省からの要請等への適切な対応を担保する観点から、安定供給責任者の設置については、法令上の義務とすることについては、どう考えるか。
    2. 供給不安の迅速な把握/報告徴収/協力要請
      • 本年4月から開始した供給不安報告・供給状況報告を法令に位置づけ、その徹底を求めることとしてはどうか。
      • 現在、上記報告を受けた厚生労働省は、
        • 製薬企業、卸等に、供給状況に関する報告徴収を求めるとともに、
        • 製薬企業、卸、医療機関、薬局等に必要な協力要請を行っているが、こうした対応も法令に位置づけることとしてはどうか。
    3. 安定確保医薬品の供給確保要請
      • 安定確保医薬品を、法令に位置づけることとしてはどうか。その上で、指定時からの状況の変化を踏まえ、必要な見直しを行うこととしてはどうか。
      • 安定確保医薬品について、供給不足のおそれがある場合、法令上、感染症対策物資と同等の措置を講ずることができることとするとともに、サプライチェーン強靱化の観点から他に検討すべきことはないか。

【2024年9月】

厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年7月分結果確報
  • 現金給与総額は403,090円(3.4%増)となった。うち一般労働者が530,596円(3.9%増)、パートタイム労働者が115,141円(4.2%増)となり、パートタイム労働者比率が30.77%(0.45ポイント上昇)となった。
  • なお、一般労働者の所定内給与は334,353円(2.6%増)、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,339円(3.7%増)となった。
  • 共通事業所による現金給与総額は4.7%増となった。うち一般労働者が5.0%増、パートタイム労働者が3.5%増となった。
  • 就業形態計の所定外労働時間は10.1時間(2.0%減)となった

厚生労働省 労働経済動向調査(令和6年8月)の概況
▼ 結果の概要
  • 労働者の過不足状況
    • 正社員等労働者
      • 令和6年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.をみると、調査産業計で+46ポイントの不足超過となった。
      • 産業別にみると、特に「学術研究,専門・技術サービス業」、「医療,福祉」、「建設業」、「運輸業,郵便業」で人手不足感が高くなっている。
    • パートタイム労働者
      • 令和6年8月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.をみると、調査産業計で+29ポイントの不足超過となった。
      • 産業別にみると、特に「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「生活関連サービス業,娯楽業」で人手不足感が高くなっている。
  • 雇用の状況
    • 正社員等雇用
      • 正社員等雇用判断D.I.(令和6年7~9月期実績見込)をみると、調査産業計で+8ポイントとなった。
      • 産業別にみると、「情報通信業」+15ポイント、「不動産業,物品賃貸業」+12ポイント、「製造業」+9ポイントなど各産業でプラスとなった。
      • 正社員等雇用判断D.I.(令和6年10~12月期見込)をみると、調査産業計で+9ポイントとなった。
      • 産業別にみると、「情報通信業」+26ポイント、「学術研究,専門・技術サービス業」+14ポイント、「不動産業,物品賃貸業」+13ポイントなど各産業でプラスとなった。
    • パートタイム雇用
      • パートタイム雇用判断D.I.(令和6年7~9月期実績見込)をみると、調査産業計で+3ポイントとなった。
      • 産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」+16ポイント、「サービス業(他に分類されないもの)」+8ポイント、「卸売業,小売業」+6ポイントなどでプラスとなる一方、「金融業,保険業」△4ポイント、「建設業」△2ポイント、「学術研究,専門・技術サービス業」△2ポイントなどでマイナスとなった。
      • パートタイム雇用判断D.I.(令和6年10~12月期見込)をみると、調査産業計で+3ポイントとなった。
      • 産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」+19ポイント、「卸売業,小売業」+6ポイントなどでプラスとなる一方、「生活関連サービス業,娯楽業」△6ポイント、「金融業,保険業」△2ポイントなどでマイナスとなった。
  • 未充足求人の状況
    • 未充足求人の有無
      • 令和6年8月1日現在の未充足求人がある事業所の割合は、調査産業計で60%となった。
      • 産業別にみると「医療,福祉」75%、「宿泊業,飲食サービス業」69%、「サービス業(他に分類されないもの)」69%、「運輸業,郵便業」61%などとなった。(表5)
    • 欠員率
      • 令和6年8月1日現在の欠員率は、調査産業計で3.4%となった。
  • 雇用調整等の実施状況
    • 実施割合
      • 雇用調整(表7の表頭の「残業規制」から「希望退職者の募集、解雇」までの措置)を実施した事業所の割合(令和6年4~6月期実績)をみると、調査産業計で29%となっており、前年同期(令和5年4~6月期実績)より4ポイント上昇した。
    • 実施した措置
      • 実施した雇用調整の措置(複数回答)別の事業所の割合(令和6年4~6月期実績)をみると、調査産業計では多い順に「配置転換」15%、「残業規制」12%、「休日の振替、夏期休暇等の休日・休暇の増加」9%となった。
      • また、事業活動縮小による雇用調整を実施した事業所の割合は、調査産業計で2%となった。
  • 中途採用
    • 中途採用の実績がある事業所の割合(令和6年4~6月期実績)をみると、調査産業計で70%となり、前年同期(令和5年4~6月期実績)より2ポイント上昇した。
  • 労働者不足の対処方法
    • 現在労働者が不足していて、かつ、過去1年間に何らかの労働者不足の対処をした事業所の割合は、調査産業計で71%、今後1年間に「対処する予定」とする事業所の割合は66%であった。
    • その対処方法(複数回答)をみると、過去1年間及び今後1年間とも「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」の割合が最も多く(過去1年間59%、今後1年間60%)、次いで過去1年間及び今後1年間とも「在職者の労働条件の改善(賃金)」の割合が多い(過去1年間55%、今後1年間48%)。
    • 産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」では、「臨時、パートタイムの増加」、「サービス業(他に分類されないもの)」では、「在職者の労働条件の改善(賃金)」の割合が、過去1年間及び今後1年間とも多い。
  • 令和5年度新規学卒者の採用枠での募集
    • 新規学卒者の採用枠での募集状況
      • 令和5年度新規学卒者の採用枠で正社員の募集を「行った」事業所の割合は、調査産業計で57%となった。
      • 上記事業所についてその募集時期をみると、調査産業計では「年間を通して随時」とする割合が最も多く46%、次いで「春季(3月~5月頃)のみ」30%、「年複数回(春季と秋季など)」13%などとなった。
    • 募集時期が「春季(3月~5月頃)のみ」であった事業所の今後の春季以外の時期の募集予定
      • 令和5年度新規学卒者の採用枠で正社員の募集を行った際の募集時期が「春季(3月~5月頃)のみ」であった事業所について、今後、春季に加えて他の時期にも募集を行う予定があるかをみると、調査産業計では「未定」とする事業所の割合が最も多く42%、次いで「全く予定していない」29%、「検討している」15%、「予定している」13%となった。
    • 既卒者の応募可否及び採用状況
      • 令和5年度新規学卒者の採用枠での正社員の募集を「行った」事業所のうち「既卒者は応募可能だった」とする事業所の割合は、調査産業計で72%となり、そのうち「採用にいたった」のは40%となった。
    • 既卒者の新規学卒者の採用枠での応募についての今後の方針
      • 既卒者の新規学卒者の採用枠での応募についての今後の方針をみると、調査産業計では「応募可能としたい」とする事業所の割合が最も多く32%、次いで「現在のところ未定」31%、「本社等でしか回答できない」18%、「年齢によって応募可能としたい」13%、「応募不可としたい」3%となった。

厚生労働省 令和5年若年者雇用実態調査の概況
  • 若年者の雇用状況
    • 若年労働者のいる事業所の割合
      • 令和5年10月1日現在で、若年労働者が就業している事業所の割合は73.6%となっており、その内訳は「若年正社員がいる」事業所が62.0%、「正社員以外の若年労働者がいる」事業所が34.4%となっている。
      • 「若年正社員がいる」事業所割合を産業別にみると、「金融業,保険業」が86.6%と最も高く、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」79.0%となっている。一方、「正社員以外の若年労働者がいる」事業所の割合は「宿泊業,飲食サービス業」が60.4%と最も高く、次いで「教育,学習支援業」が49.7%となっている。
      • 事業所規模別にみると、30人以上の各事業所規模において「若年労働者がいる」事業所割合が9割を超えているのに対して、「5~29人」規模では69.5%と7割弱となっている。
      • また、前回調査(平成30年)と比較すると「若年労働者がいる」事業所の割合は、正社員、正社員以外ともに低下している。
    • 雇用形態別若年労働者の割合
      • 全労働者に占める若年労働者の割合は23.7%となっており、若年労働者の割合を産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」が34.3%と最も高く、次いで「情報通信業」32.0%、「生活関連サービス業,娯楽業」26.8%の順となっている。
      • 正社員に占める若年労働者の割合が高い産業は「情報通信業」の33.5%、「金融業,保険業」の30.1%などとなっており、正社員以外の労働者に占める若年労働者の割合が高い産業は「宿泊業,飲食サービス業」の38.5%、「生活関連サービス業,娯楽業」の28.1%などとなっている。
      • 事業所規模別にみると、正社員に占める若年労働者の割合は、「1,000人以上」規模が35.9%と最も高く、事業所規模が大きいほど高くなっている。正社員以外に占める若年労働者割合は、「1,000人以上」規模で27.4%と最も高くなっている一方で、「5~29人」規模が23.2%と他の事業所規模に比べて高くなっている。
  • 若年労働者の採用状況
    • 採用された若年労働者の有無
      • 過去1年間(令和4年10月~令和5年9月)に正社員として採用された若年労働者がいた事業所の割合は33.4%、正社員以外の労働者として採用された若年労働者がいた事業所は19.8%となっている。
      • 採用された若年労働者がいた事業所割合を産業別にみると、正社員では「金融業,保険業」(56.2%)、「情報通信業」(53.1%)の順で、正社員以外では「宿泊業,飲食サービス業」(34.1%)、「教育,学習支援業」(32.7%)の順で高くなっている。(表3)
    • 若年正社員の採用選考にあたり重視した点
      • 若年正社員の採用選考をした事業所のうち、採用選考にあたり重視した点(複数回答)について採用区分別にみると、「新規学卒者」、「中途採用者」とも「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」がそれぞれ79.3%、72.7%と最も高くなっている。次いで「新規学卒者」、「中途採用者」とも「コミュニケーション能力」(74.8%、66.9%)、「マナー・社会常識」(58.6%、58.1%)となっており、積極性や他者との関わり合いの中で円滑に業務を遂行することができる能力、スキルが重視されている。
      • また、「新規学卒者」に比べ「中途採用者」は「業務に役立つ職業経験・訓練経験」(14.7%、42.3%)が重視されている。(表4)
  • 若年労働者の育成状況
    • 若年労働者の育成方法についてみると、若年正社員の育成を行っている事業所の割合は77.9%、正社員以外の若年労働者の育成を行っている事業所の割合は66.3%となっている。
    • 若年正社員の育成方法(複数回答)についてみると、「OJT」69.8%、「OFF-JT」35.2%、「自己啓発への支援」33.1%、「ジョブローテーション」24.0%の順となっている。また、正社員以外の若年労働者の育成方針をみると、「OJT」56.5%、「OFF-JT」20.2%、「自己啓発への支援」15.8%、「ジョブローテーション」9.0%の順となっている。
  • 正社員への転換について
    • 正社員以外の労働者を正社員へ転換させる制度についてみると、「制度がある」事業所は59.9%、「制度がない」事業所は36.9%となっている。
    • 「制度がある」事業所の割合を産業別にみると、「複合サービス事業」(87.8%)、「宿泊業,飲食サービス業」(70.4%)「金融業,保険業」(69.9%)の順で高くなっている。
  • 若年労働者の定着について
    • 自己都合により退職した若年労働者の有無
      • 過去1年間(令和4年10月~令和5年9月)に若年労働者がいた事業所のうち、「自己都合により退職した若年労働者がいた」事業所は40.9%となっており、自己都合により退職した若年労働者を雇用形態別(複数回答)でみると「正社員」が28.4%、「正社員以外」の若年労働者が18.4%となっている。
      • 産業別にみると、「生活関連サービス業,娯楽業」(56.5%)、「情報通信業」(47.5%)、「卸売業,小売業」(45.6%)の順で「自己都合により退職した若年労働者がいた」事業所割合が高くなっている。(表7)
    • 定着のための対策
      • 若年正社員の「定着のための対策を行っている」事業所は73.7%、正社員以外の若年労働者の「定着のための対策を行っている」事業所は60.1%となっており、若年労働者の定着のために実施している対策(複数回答)をみると、「職場での意思疎通の向上」が若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに最も高くなっている。また、若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに、前回(平成30年)調査より「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」を実施する事業所割合が大きく増加している。

厚生労働省 麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動の実施について~薬物乱用の根絶に向けた啓発を強化します~
  • 厚生労働省は、都道府県と共催して、10月1日(火)から11月30日(土)までの2か月間、「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」を実施します。
  • 令和5年の我が国の大麻事犯の検挙人員は6,703人で、過去最多を大幅に更新し、統計開始後初めて覚醒剤事犯の検挙人員を超えており、まさに「大麻乱用期」の渦中にあると言えます。このうち、30歳未満の若年層が7割以上を占めており、若年層における乱用の拡大に歯止めがきかない状況です。
  • 麻薬、覚醒剤、大麻、危険ドラッグ等の薬物の乱用は、乱用者個人の健康上の問題にとどまらず、さまざまな事件や事故の原因になるなど、公共の福祉に計り知れない危害をもたらします。一度でも薬物に手を出さない・出させないことは極めて重要であり、国民一人ひとりの理解と協力が欠かせません。
  • この「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」は、薬物の危険性・有害性をより多くの国民に知っていただき、一人ひとりが薬物乱用防止に対する意識を高めることにより、薬物乱用の根絶を図ることを目的とするものです。
  • 「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」の概要
    • 実施期間
      • 令和6年10月1日(火)から11月30日(土)までの2か月間
    • 実施機関
      • 主催:厚生労働省、都道府県
      • 後援:警察庁、こども家庭庁、法務省、最高検察庁、財務省税関、文部科学省、海上保安庁、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター
    • 主な活動
      • 厚生労働省と都道府県の共催による麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動
      • 地区大会の開催
      • 正しい知識を普及するためのポスター、パンフレット等の作成・掲示
      • 薬物乱用防止功労者の表彰

厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況
▼ 結果の概要
  1. 出生数は減少
    • 出生数は72万7288人で、前年の77万759人より4万3471人減少し、明治32年の人口動態調査開始以来最少となった。出生率(人口千対)は0で前年の6.3より低下し、合計特殊出生率は1.20で前年の1.26より低下し、過去最低となった。
    • 母の年齢(5歳階級)別にみると、出生数は15~44歳の各階級では前年より減少したが、45歳以上の各階級では増加した。合計特殊出生率の内訳は39歳以下の各階級で前年より低下したが、40歳以上の各階級では上昇した。なお、出生数及び合計特殊出生率の内訳ともに、30~34歳の階級が最多・最高となっている。
    • 出生順位別にみると、出生数及び合計特殊出生率の内訳ともに、いずれの出生順位についても前年より減少・低下した。
    • 母の年齢(5歳階級)別と出生順位別を併せてみると、合計特殊出生率の内訳は39歳以下の各階級ではいずれの出生順位についても前年より低下した。
  2. 死亡数は増加
    • 死亡数は157万6016人で、前年の156万9050人より6966人増加し、調査開始以来最多となった。死亡率(人口千対)は0で前年の12.9より上昇した。
    • 死因別にみると、前年と同様、死因順位第1位は悪性新生物<腫瘍>で死亡数は38万2504人(死亡総数に占める割合は3%、死亡率(人口10万対)は315.6)、第2位は心疾患(同14.7%、190.7)、第3位は老衰(同12.1%、156.7)となっている。
    • なお、新型コロナウイルス感染症の死亡数は、3万8086人(同4%、31.4)で第8位となっている。
    • 年齢調整死亡率(人口千対)は男1、女7.8で、男女とも前年の男14.4、女7.9より低下した。
  3. 自然増減数は減少
    • 出生数と死亡数の差である自然増減数は△84万8728人で、前年の△79万8291人より5万437人減少し、過去最大の減少となった。
    • また、自然増減率(人口千対)は△7.0で前年の△6.5より低下し、実数・率ともに17年連続で減少・低下した。
  4. 死産数は増加
    • 死産数は1万5534胎で、前年の1万5179胎より355胎増加し、死産率(出産(出生+死産)千対)は9で、前年の19.3より上昇した。
  5. 婚姻件数は減少
    • 婚姻件数は47万4741組で、前年の50万4930組より3万189組減少し、婚姻率(人口千対)は9で前年の4.1より低下した(第1表)。
  6. 離婚件数は増加
    • 離婚件数は18万3814組で、前年の17万9099組より4715組増加し、離婚率(人口千対)は52で前年の1.47より上昇した。

厚生労働省 第71回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ 資料4 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 概要
  • 令和元年に女性活躍推進法等改正法が成立し、一般事業主行動計画の策定義務拡大、情報公表の強化、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設等を講じてきた。
  • 改正法施行後において、
    • 常時雇用する労働者の数が301人以上の企業について、男女の賃金の差異の情報公表が義務化されるという新しい動きがあったが、男女の賃金の差異は依然として大きく、女性管理職の割合も国際的に見るとその水準は低い、
    • ハラスメント関係の相談件数は高止まり傾向にあり、カスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントなどが社会問題化している、という課題がみられる。
  • これらの課題に加え、平成28年度より施行してきた女性活躍推進法は、令和7年度末で失効するとされているところである。
  • こうした状況を踏まえ、雇用の分野における女性活躍推進の方向性や、ハラスメントの現状と対応の方向性等について議論し、とりまとめた。
    1. 女性活躍推進法等を通じた雇用の分野における女性活躍の更なる推進
      • 女性活躍推進法については、10年間期限を延長することが適当。
      • 事業主行動計画の策定が努力義務である100人以下の企業については、努力義務を維持した上で、支援策の充実が必要。
      • 現行のえるぼし認定では評価できない企業の積極的な取組・実績を評価できるような仕組みも視野に、必要な見直しを検討すべき。
      • 女性活躍に関する情報公表について、・男女間賃金差異については、101人以上300人以下の企業においても公表を義務とすることが適当。
        • 女性管理職比率については、企業の実情を踏まえつつ、開示必須項目とすることが適当。併せて、男女別管理職登用比率の付記を促すことも検討すべき。
        • 情報公表義務がある企業に、女性活躍データベースにおける情報公表を促す方向で、具体的な制度設計を検討すべき。 等
    2. 月経・不妊治療・更年期等の健康課題への対応
      • 性差の特徴に応じて健康課題に取り組むことは社会的便益につながり、労働者個人の生活や仕事のパフォーマンスの向上につながるという視点が重要。プライバシー保護への留意も必要。
      • 女性特有の健康課題については、ヘルスリテラシーの向上が重要であり、国がコンテンツの作成・周知に取り組むことが望ましい。女性の健康ナショナルセンター(仮称)との連携も重要。
      • 女性特有の健康課題への取組の要素を女性活躍推進法の事業主行動計画に盛り込むことを検討すべき。行動計画策定指針に、健康支援やヘルスリテラシー向上の意義、プライバシーへの配慮の必要性等を明記することが考えられる。なお、企業が取り組む際には、産業保健スタッフの活用も検討されることが望ましい。
      • 女性特有の健康課題に取り組む企業を評価するための、えるぼし認定制度の見直しをすることが適当。 等
    3. 職場におけるハラスメント対策の充実
      • 一般に職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確化することが考えられる。
      • カスタマーハラスメントについては、
        • 企業横断的に取組が進むよう、対策強化が必要。労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当。
        • 定義については、社会全体で幅広く受け入れられるものの検討が適当であり、別紙の3つの要素のいずれも満たすものとして検討すべき。
        • 取組の強化に当たり、業界団体等や業所管官庁との協力・連携が必要。
      • 就活等セクシュアルハラスメントについても、事業主の雇用管理上の措置が講じられるようにしていくことが適当。
      • ILO第190号条約に関しては、本検討会で調査・議論した海外法制の状況が参考となるほか、(1)の法整備も批准に向けた環境整備に資するものと考えられ、引き続き、条約全般について更なる検討を進めることが適切。 等
  • カスタマーハラスメントの3要素
    • カスタマーハラスメントは以下の3つの要素を満たすもの
      • 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと
      • 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
      • 労働者の就業環境が害されること
    • 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」か否かの判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断。「言動の内容」、「手段・態様」の片方のみで社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得る。また、正当な指摘等を受けた事業者(労働者)の側の不適切な対応が端緒となっている場合があることにも留意する必要がある。
    • なお、クレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわば「正当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する必要がある。
  • 社会通念上相当な範囲を超える
    • 言動の内容
      • そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求
      • 契約等により想定しているサービス等を著しく超える要求
      • 対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求
      • 不当な損害賠償請求 等
    • 手段・態様
      • 身体的な攻撃(暴行、傷害等)
      • 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
      • 威圧的な言動
      • 継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動
      • 拘束的な言動(不退去、居座り、監禁) 等
  • 社会通念上相当な範囲を超える言動の内容及び手段・態様の例
    • 言動の内容
      • そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求
      • 契約等により想定しているサービス等を著しく超える要求
      • 対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求
      • 不当な損害賠償請求 等
      • 契約内容を著しく超える要求
      • 会社の事業とは関係のない要求(性的なもの、プライバシーに関わるもの等)
      • 商品やサービス等の内容と無関係である不当な損害賠償要求 等
    • 手段・態様
      • 身体的な攻撃(暴行、傷害等)
        • 殴る、蹴る、叩く
        • 物を投げつける
        • わざとぶつかる
        • つばを吐きかける 等
      • 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
        • 「物を壊す」、「殺す」といった発言による脅し
        • SNSへの暴露をほのめかした脅し
        • インターネット上の投稿(従業員の氏名公開等)
        • 人格を否定するような発言
        • 土下座の強要
        • 盗撮 等
      • 威圧的な言動
        • 大声でオペレーターを責める
        • 店内で大きな声をあげて周囲を威圧する
      • 反社会的な言動 等
        • 継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動
        • 頻繁なクレーム
        • 同じ質問を繰り返し、対応のミスが出たところを責める
        • 当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立て 等
      • 拘束的な言動(不退去、居座り、監禁) 等
        • 長時間の拘束・居座り・電話 等

厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第13回資料
▼ 資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
  • 時間外・休日労働時間の上限規制
    • 今後、法定労働時間に係る上限規制については、特別条項に係る上限を原則的上限に近付けていくことが必要。
    • 労使協定は法的には免罰効・強行性解除効を持つものであり、時間外労働をさせるには契約上の根拠を要するということになっているが、実際には就業規則で時間外労働をさせられるという規定があればそれが契約内容となる。労働者個人の希望・意図が反映される余地がほとんどなく、時間外労働をする働き方が正社員としてのデフォルトになっている。働き方のニーズが多様化する中で、労働者個人の希望を反映するため、36協定の適用に不同意の者は、原則である第32条の上限の適用に戻るような仕組みは考えられないか。
    • もう少しマイルドな手法として「多様な正社員」の議論のように、契約で対応する形は今はあり得ると思う。
  • 法定労働時間週44時間の特例措置
    • 法定労働時間週44時間の特例措置については、基本的に週40時間にしていくべきであると考えるが、支障のある業種についてどう考えるか。
  • 企業による労働時間の情報開示
    • 情報開示については、積極的に義務化していくべき。現在、いくつかの法律で求めている情報開示の仕組みがあるが、見やすさ・わかりやすさの観点からは、統一した基準を作って一つの表にまとまったものがあると良いと思う。
    • 人手不足の時代でいかにして人を雇うか、また離職抑制が重要な課題となっているからこそ機能するものとして、労働時間についての情報を公開することを義務化することで、どういう働き方・働かせ方をしているかという点での企業間の競争を通じて、労働条件の改善に繋がると考えられる。
    • どの法律で実施するかという点について、所轄部局が異なるため、調整が必要。
    • 開示項目のうち、平均残業時間や年次有給休暇の取得状況については、ワークライフバランスに関心が高い求職者が多いという点に鑑みても、必須の開示項目にして良い事項ではないか。ただ、小規模の企業の場合ウェブサイトをもっていない場合もあるので、その場合は、求職者への開示等の別の方法もあり得る。
    • 企業外部への情報開示については、もし求めるのであれば、一体的な制度にするなど、制度の簡素化や整理が必要。
    • 企業内部への情報開示について、特に衛生委員会等への労使の会議体への時間外労働の状況の情報開示は議論をする上で非常に重要。労使の会議体だけでなく、36協定を締結する過半数代表者についても、開示相手として含まれてくるべき。
    • 管理職への開示については、労働基準法の構造上の問題もある。管理職は使用者として禁止規定の名宛人になっているということからも、労働基準法は事業主と管理職との関係を直接規律する発想に立っていない。事業主が管理職に対してコンプライアンス等を実現するための何らかの行動を行うという、ある種の企業内ガバナンス規律のようなものは、現在の労働基準法には無い。
    • 本人への開示については、自主的な行動変容がメリットとしてあげられているが、自主的な行動変容によって労働時間を短縮できるのはある程度働き方に裁量のある労働者だけではないか。一方で、残業時間がどのくらいか、割増賃金が適正に払われているか確認することなどの権利行使をすべきかどうかという判断のための情報開示制度を設けていく、というのもひとつ検討課題。
    • 労働基準法において何が労働時間に当たるのかということについて、手がかり又は基準のようなものを明らかにするという方策が、情報開示に限らず前提として必要となる。
  • 実労働時間規制が適用されない労働者に対する措置
    • 管理監督者は、手続規制がないだけでなく、高度プロフェッショナル制度で敷かれているような年収規制等の実体規制もない。実労働時間規制が合理的でないとされている制度にも要件等にかなり差が出てしまっているので、制度が複雑化している中で、これを全体として均す必要があると認識。
    • 例えば、管理監督者に対して特別の長期休暇を取れるようにするとか、そのような処遇が可能になるくらいの時間的裁量を持っている人を管理監督者として認める要件にする等の方向性もある。管理監督者自身の健康確保やワーク・ライフ・バランスへの懸念だけではなく、現在では若い人が管理職になりたがらないという社会問題もある。管理監督者の規制・中身の見直しは必要。
  • テレワーク等の柔軟な働き方
    • テレワークに特化した形でのみなし制の創設ということが必要ではないか。労働時間を技術的には把握できるが、労働者がそれを望まないときに、みなし制ということを認めるべき。テレワーク一般というものを対象とするのではなく、在宅勤務でのテレワークに限定して検討するのが適切であり、サテライトオフィスの場合は、労働時間管理が困難でもなく、プライバシー保護の観点も必要ないので、認めるべきではない。
    • テレワークによる過重労働の実態が生じているという中で、みなし労働時間制にすると実労働時間規制から外れ、過重労働のリスクが大きい。このため、テレワークについても実労働時間規制を基本としながら、部分フレックス制度を導入し、必ずしもテレワークに限ることなく、出社した場合にも適用できるような制度設計を考えていくのが適切ではないか。この制度はテレワークに関係なく成り立つものであり、仮にみなし制を導入する場合にも両立可能な選択肢になるのではないか。
    • これまで裁量労働制の対象業務を厳密に定めてきた、それはみなし労働時間制の副作用を小さくしようとしてきたということでもあり、広くテレワークでみなし労働時間制を認めるとなれば、その趣旨を潜脱することになりかねないという懸念はある。テレワークについては、実労働時間規制として、フレックスタイムの活用という方向も検討すべきではないか。
    • テレワークをみなし労働時間制で対応する場合も、健康管理の観点からは、一定の時間把握は必要になるのではないか。
    • テレワークをみなし労働時間制で対応する場合、本人の同意のほかに、その撤回も認めるという高度プロフェッショナル制度同様のもので、過大な業務が割り当てられることが多ければ撤回できるようにするといった選択肢もあり得る。
    • テレワークのみなし労働時間制の本人同意の撤回について、実際に撤回したときに、厳格な実労働時間の把握がなされプライバシーが侵害されるとか、在宅勤務を望んでいたのに、在宅勤務を認められず出社を求められるようになるとか、実質的には撤回を選択できないということになりかねないということで、実効性がある仕組みをどう考えるか。
  • 休日制度
    • 4週4休は健康確保の点から見直しをすべき。労災の心理的負荷の判断要素も根拠の一つとなり得る。
    • 労災認定基準を労働基準法の規制に据えるという点で、本当に労働基準法に合致した制度設計になるのかは要検討。
    • 連続勤務を何日まで認めるかということには議論があると思うが、労災関係では2週間以上の連続勤務が基準となっているし、単月100時間、複数月平均80時間という上限規制も、いわゆる過労死基準との関係で設定したということとパラレルで考えて、連続勤務規制を強行的、罰則付きでかけるということは大切になってくる。
    • 13日を超える連続勤務というのは、疲労回復がかなり難しくなってくる。予防という観点では、週に1回の休日というのが理想であると思うが、せめて2週間に1回というのが、妥当なところではないか。
  • 休日制度(法定休日の特定)
    • 法定休日の特定については、労働者の私的生活の尊重、生活リズムの確保が趣旨と考えられることからすれば、あらかじめ休日を特定しなければならないということ自体を作為義務として罰則付きで命じることが考えられる。週休2日で法定休日ではない方の休日の取扱いについては難しい問題ではあるが、少なくとも週に1日は法定休日として特定するということを罰則付きで命じるということが大切。
    • 法定休日の特定について、特定の頻度や、どのくらい事前に特定する必要があるのか、明確にする必要がある。
    • 週休1日制で法定休日を特定しない場合の対応について、予め特定しなかったことをもって第35条違反となるように思う。年次有給休暇の使用者による時季指定に関する罰則同様、特別な罰則規定になるのではないか。
    • 法定休日の特定について、4週4休制の規定を削除する場合、休日の振替えは同一週内に行わなければならないことになる。週休2日制の場合に、例えば日曜日から起算して日・土が休日、日曜日が法定休日の場合で、法定休日である日曜日に働かせる場合、土曜日が休日にも関わらず、その週に原則として振替休日を設けなければいけないということになってしまう。そこまでの縛りが必要なければ、例えば、休日に働かせた場合には、同一週内に法定外休日があればその日をもって法定休日とするというようなただし書きを推定規定のように入れるということは考えられる。
    • 法定休日を特定した場合の振替えの議論は、法定休日の変更という問題でもあり、それについてどのような要件で認めるか等も法規律の在り方としては検討が必要。
  • 勤務間インターバル制度
    • 勤務間インターバルは是非設定いただきたいが、代替措置をどのように設けるかは非常に重要。原則としての設定をして、様々な事情で難しい場合については代替措置を設けることを検討できると良い。段階的な導入を目指す形で、一定の時期にインターバル規制を導入することを前提に、労使での話し合いを促すような政策的対応もあり得る。
    • デフォルトとしてのインターバル規制を課すことについては、法令レベルで定めても良いのではないか。現場の実態に合わせて労使でより柔軟に設定する旨の同意・協定がある場合には、一定範囲で柔軟な勤務間インターバル等を設定することができる、とすることも考えられる。
    • 勤務間インターバル制度の導入企業割合6.0%は低いと感じるが、多くの企業がそもそも時間外労働がないことを導入予定がない理由として回答していることからすると、ポテンシャルとしては義務化の余地がある。
    • 勤務間インターバル制度の導入企業割合が6.0%であることからすると刑罰規制として労働基準法に入れるのは難しい。段階的導入であればあり得る。現行の努力義務規定が抽象的なので、それを具体化することも考えられる。
    • インターバルの時間数は、11時間を原則とすべき。時間数については逸脱を認めすぎない方が良い。インターバルを確保できなかった場合の代替措置などは広めに認めるという方向。
    • 理想として11時間という考え方がある一方、現実論は別途考える必要がある。どのような設定にすれば受け入れやすい形となるか、検討する余地がある。
  • つながらない権利
    • つながらない権利について、労働のON/OFFをはっきりさせた上で、OFFについては基本的に使用者が介入しないものであるのが本来なので、つながらない権利を労働者の権利として構成することには違和感がある。
    • つながらない権利について、フランス等で先進的な事例があるものの、会社が違えばつながらない権利の具体的な形もそれぞれ違うというくらいに、非常に多様。このため、労使できちんと協議することを義務付けている。基本的には労使で、労働実態を踏まえてきちんと協議をし、ルールを定めて具体的に実現するようにすることとするしかないのではないか。
  • 年次有給休暇制度
    • 労働者に対して年次有給休暇の残日数を可視化することも有効だと思う。失効時期と残日数が分かれば、一部取得率が上がることも想定されるのではないか。
    • 時間単位年休について、現状の上限日数拡大は労働者に対して、様々な事情を背景に年次有給休暇を利用しやすくなるという観点から有効という側面もあるが、年次有給休暇は1日単位での取得が原則であるという本来の趣旨を踏まえると、上限日数の拡大に踏み切るのは難しい。
    • 欧州のように計画的に連休を取らせる趣旨で年次有給休暇の計画的付与が導入されたが、普及しないということで、時季指定5日の付与義務を働き方改革で設定した。ただ、労働者が自ら指定した休日についても時季指定義務分として算定とするという形になっている。
    • 自ら指定した年次有給休暇を時季指定義務にカウントしないという形での検討が必要なのではないか。少なくとも年5日については、最初から計画的に取らせる必要があるのではないか。基本的には連続休暇の取得が本来の趣旨であるため、この原則に立ち返る良い機会ではないか。また、制度の趣旨に鑑み、現状課されている出勤率要件をなくすべきではないか。
    • 連続休暇、バカンスのニーズがどの程度あるのか、実感としてはよくわからない。自分の用事であるとか、好きなタイミングで好きなところに出かけるというニーズが多いような気もする。
    • 1年間にどのくらい休んでいるかという実態を見たときに、例えば日本は諸外国と比べて祝祭日が多いとか、実際に休んでいる日数で比較することが有益ではないか。
    • 祝祭日が休日になるということは法的に保障されているわけではない。実際に、週休2日を実現できていないところであるとか、祝祭日も働いている業種も多い。
    • 年度途中の育休復帰者や退職労働者について、時季指定義務5日の付与義務をどうするかについては、対応が必要だと思う。
    • 年次有給休暇取得時の賃金支払いの在り方について、(1)平均賃金、(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、(3)当該事業場の労働者の過半数代表との労使協定により、健康保険法上の標準報酬月額の30分の1に相当する額とあるところ、本来、(1)や(3)はシフト制等不規則勤務を想定して導入されているもの。賃金を減らすことを目的に(1)や(3)で支払をする実態もある。原則(2)である等の制度設計が必要だと思う。
  • 休憩
    • 休憩について、労働者の心身の疲労回復という目的は今も変わらないと思うが、一斉付与の原則などの工場法の規制の延長となっているようなものについては、見直す可能性ということを検討しても良いのではないか。
    • 労働時間が8時間超の場合の追加休憩や6時間を下回る場合に休憩を付与すると、かえって拘束時間が長くなるという見解はそのとおりと思う。
    • 労働時間が6時間を下回る労働者への休憩付与について、昼休みがなくて昼食が取れないという問題も発生するとは思うが、これは労働基準法による規制を行うレベルの話でなく、各企業が労働契約のレベルで考えていくべき問題。
    • 休憩の目的を達成するためには、休憩をどのように付与するのか、どのような長さの休憩時間を与えるのかということも重要であるが、休憩できる環境がその事業場に備わっているかということも重要。
    • 実質的に休憩が取れている実態が無ければ、休憩時間に係る義務について議論したとしても、拘束時間が長くなる割に賃金が支払われず、実質的にも労働をさせているような時間が増えるだけというような可能性がある。寧ろ形式的に休憩を入れることの弊害が生じる。
    • 生理現象であるトイレにも行かせず、トイレに行った場合には、労働時間外だとして給料をカットするなどの、非人間的な働き方が強制されている実態がある。生理現象からくる短時間の労働からのポーズについても、労働基準法そのものの問題ではないかもしれないが、休憩時間との関係において現場の問題を観察し、どう考えるかについて整理することが必要。
    • 常識的な範囲における使用者の休憩配慮義務のようなものは、労働契約法上、想定しても良いかもしれない。
  • 割増賃金
    • 割増賃金率に関して、25%は国際的水準からすると非常に低い。均衡割増賃金率を考慮した上で割増賃金率を考えることや、割増賃金率が50%以上となる時間外労働が60時間超というラインにあることについて、36協定の原則的限度時間としての45時間とずれていることをどう考えるか。
    • 裁量的な働き方をしている者の深夜割増賃金について、労働者の自己の選択において深夜労働をしている場合にも、使用者は割増賃金を支払うべきなのか。このような場合には、割増賃金の支払を不要にしても良いのではないか。
    • 歩合給制との関係において、割増賃金についても、労使コミュニケーションの基盤がきちんとあることを前提に、一定の労使自治によるデロゲーションを認める余地があるのではないか。
    • 日本で時間外労働が当然になっている背景は、雇用保障とセットで考えられてきたことにある。均衡割増賃金率の観点もあることは承知しているが、裏返せば、雇用維持を優先し時間外労働の増減で対処してきた雇用慣行の在り方とどの程度セットで考えられるか。
    • 現場での賃金の決め方というのは、原資枠を配分する形なので、割増賃金率を上げたとしても、原資が増える訳ではない。また、割増賃金率を上げたとしても、インフレ下では賃金自体が上がらなければ、従来の長時間労働をしないと生活水準が維持できないという状況も想定される。
    • 割増賃金の計算の基礎となる「通常の労働時間又は労働日の賃金」の考え方がはっきりしていない部分がある。立法による対処ではないかもしれないが解釈の整理は必要。
  • 割増賃金(副業・兼業の場合の通算管理)
    • 諸外国では労働時間の長さは通算するが、割増賃金までは通算しないということなので、この点から見直すべき。健康確保の観点からは通算に係る規制をかける必要はある。実労働時間の通算ということになれば、結局はある1人の使用者が、全体として時間外労働をさせたことについての責任という構造になると思うが、健康確保の観点でそれがいいかどうか検討は必要。
    • ヨーロッパに実態調査に行き、状況を確認すると、副業・兼業で割増賃金の観点で労働時間を通算している国はなかった。EUのうち、半分ほどの国が実労働時間の通算を行っており、残りの半分は行わない、そういった実態であった。
    • 副業・兼業の場合の割増賃金の計算の通算について、日本では割増賃金の経済的負担による長時間労働の抑制という趣旨が全面に出されてきたことにより、わかりにくさを生んでいる。事業主が異なる場合というのは、それぞれの労働時間が5時間、4時間の場合など、どちらも長時間ではないという状況だと、経済的負担による長時間労働の抑制という趣旨は薄くなる。労働基準法第38条の解釈としても、通算しない方が合致するという整理もできるのではと思う。
    • 健康確保の観点から労働時間把握が必要となった場合、誰が把握するのかは、割増賃金とは別に検討すべき観点。情報提供を労働者がするのか、政府がやるのか、各企業がやることなのか等検討する必要がある。
    • 一般に、労働時間の算定については自己申告制は望ましくないということも考慮しつつ、把握のスキームはいろいろあり得る。
    • 労働安全衛生法上の労働時間の状況の適正把握義務や、労働契約法上における安全配慮義務との関係でどのように把握するか問題になる。割増賃金との関係で通算を外すという形になった場合、健康確保のための具体的施策を出していくための検討が必要になってくる。
    • 副業・兼業時の割増賃金について、通算管理は不要と考えるが、同じ使用者の下で異なる事業場で働いている場合や、出向関係にある企業で、出向先で働き、かつ、出向元でも働かなければならないようなケースでは、なお割増賃金の支払も通算が必要ではないか。
    • 兼業副業の場合の健康管理のための実労働時間の通算は重要で、各企業が働きかけるべきだということはそのとおりであるが、労働時間の情報を集める仕組みもなく、労働者本人の自発的な範囲で減らしてくださいと言ったことをもって安全配慮義務を満たせるのかということについては疑問であり、整理が必要。

厚生労働省 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第11回)会議資料
▼ 【資料8】日本の移住労働者–OECD労働移民政策レビュー
  1. 日本は移民政策をとっていないのか?
    • 日本はOECD加盟国の中で移民人口が最も少ない国のひとつである。
    • 日本は、主に生産性の向上と国内人口による労働供給の引き上げを目的とした様々な政策を通じて、労働市場の構造的課題の解決に取り組んでいる。
    • 労働移住は、労働市場の変化に対応するために検討された政策オプションのひとつである。日本は労働移住プログラムを、人口構造の変化から最も影響を受ける分野を含む、特定の分野に焦点を当てて進めてきた。
    • 日本は需要主導型の労働移住システムである。日本への技能労働移住にはほとんど制限がない。
    • 日本の移民政策は、技能移民の受け入れと留学生の誘致に重点を置いてきた。
  2. 日本は高度人材にとって魅力がないのか?
    • 高技能移民の大半は、単一プログラムである「技術・人文知識・国際業務」(技人国)で日本に移住している。
    • 人材の獲得は、日本型雇用システムによっても妨げられている。雇用慣行を変えることを目的とした最近の政策は、高い技能を持つ移民にとっての日本の魅力を向上させるかもしれない。
    • 日本に来ることを選択した高技能移民は、日本に留まる傾向がある。日本は国際的にみても留学生の定着率が高い。留学生の30%から40%が、来日後5年経っても日本に留まっている。
    • 日本は、潜在的な高技能移民を惹きつけるための雇用マッチング・プラットフォームを開発することができる。
    • 移民にとって日本社会への統合は依然として課題である。他のOECD加盟国に比べて、永住資格取得のための居住条件は厳しい。配偶者の労働市場へのアクセスを促進すべき。
      • 「OECD移民政策レビュー」(157)
        • 技人国の賃金率(時間当たり賃金)は平均的な日本人男性労働者よりも35%低い。この差の大部分は、日本の労働市場での経験年数と勤続年数(同じ雇用主のもとで勤務した年数)が少ないことによる。これらの違いを考慮すると、賃金格差は10%と推定され、日本人男性と比較した場合、技人国の男性も女性も賃金格差は同程度である。
        • 調査結果によれば、新卒採用者のうち、移民の「新卒者」の初任給は日本人と同程度である。
      • 「令和6年度経済財政白書」(211-2)
        • 各種属性の差異をコントロールしなかった場合、日本人労働者と外国人労働者との間の賃金差は28.3%であるが、差異をコントロールした場合、その差は7.1%となる。この結果から、日本人労働者と外国人労働者との間にある賃金差のうち、約4分の3は、労働者個人の属性や勤め先の事業所の属性によって説明される一方で、それらでは説明されない部分が約4分の1残ることも明らかになった。※(高技能に限定すると-4.2%)
  3. 技能実習制度は単なる低スキル労働者の受入れの代替なのか?
    • 技能実習制度は現在、技能レベルの低い外国人労働者を雇用するための主なプログラムである。
    • 送出国における過剰な手数料とブローカーの関与は依然として問題である。技能実習生は「送出機関」又は雇用主に縛られ、到着後の雇用主の変更の可能性は限定的である。
    • NGOが指摘する技能実習制度に対する主な批判のひとつは、技能実習生が同じ会社に留まることを義務付けられているため、搾取の対象になりやすいというものである。OECD加盟国の多くの期限付き労働移住プログラムは雇用者の流動性を制限しているが、こうした制限は通常、ホスト国に残留する労働者については徐々に緩和されることが多い。
    • 特定技能制度は技能実習制度と同様、他のOECD加盟国の労働移住プログラムよりも厳重に管理されている。ほとんどの技能実習生が雇用主のもとに留まり、コンプライアンスのレベルも高い。アメリカ国務省の報告書では、強制労働を目的とした人身取引のリスクが引き続き技能実習制度の議論の焦点となっているが、これらの重要な点はほぼ解決されている。
    • 技能実習制度には現在、通常の労働移住プログラムには含まれない多くの追加的支援メカニズムが含まれている。日本の労働市場の特殊性を考慮すれば、監理団体が提供する労働移住の初期段階におけるオリエンテーション、雇用者と労働者への支援、日常生活の責任という全体的枠組みは維持されるべきである。
    • 技能実習制度は、出身国に対してより良い貢献ができる。そのためには、出身国における訓練の機会の提供を促進するために、試験の基準や要件を見直す必要がある。日本の労働慣行に焦点を当てた明確で現代的な試験であればより適切であり、それは参加者が日本又は自国で将来のキャリアに役立つ技能を身に付けることを促進するだろう。
    • 特定技能制度は、職業資格を持つ移民に長期的な移住経路を作るために導入された。特定技能制度は将来の労働需要を効果的に満たす可能性を秘めているが、移民が必要な技能を習得できるようにするためには、別のプログラムに頼るべきである。つまり、技能試験よりも技能実習制度が特定技能制度への主な経路となっている。
    • 技能実習制度の訓練と試験、及び特定技能制度の試験の存在は、これらのプログラムを包括的なスキルズ・モビリティ・パートナーシップ(Skills Mobility Partnership)アプローチとして有望なものにしている。
  4. アメリカ国務省の人身取引報告書と技能実習制度(249)
    • アメリカ国務省は、人身取引(TIP)に関する年次報告書を発行している。この報告書では、人身取引撲滅に向けた政府の取り組みと、その活動の進捗状況に応じて、アメリカ自身を含む各国をランク付けしている。TIPランキングを注視している国もあり、この分野の政策立案に影響を与えることもある。強制労働と現代奴隷制はTIP報告書の対象である。日本は2020年から2023年までTier2であり、2018~19年のTier1から低下した。残念ながら、この評価は古く、主観的なものである。
    • TIP報告書は、アメリカ在外公館からの情報だけでなく、公開された文書や聴取、ないしは寄せられた意見も活用した、混合的な方法論に基づいている。2022年の報告書では、その範囲や規模を定量化することなく、多くの出身国において送出機関が技能実習生を強制労働によって搾取している事例を挙げている。TIP報告書は、技能実習制度の下での労働者人身取引は日本政府が主張するよりも頻繁であると主張し、同様に、日本政府が送出国と結んでいる二国間協定について、仲介業者が過大な手数料を請求するのを防ぐことをできていないと評価している。TIP報告書は、日本における人身取引の証拠は限られていると強調している(例えば、2021年、日本の出入国在留管理庁は、契約終了前に日本を出国する1万2,865人の技能実習生に聞き取り調査を行ったが、その中に人身取引の被害者は1人もいなかった)。しかし、人身取引の証拠がないのは、審査手順と担当者の訓練が不十分だからだとしている。この評価は、数十万人の参加者を擁するプログラムのアウトカムに対する詳細な評価というよりは、エピソードベースの報告や極端な虐待のケースに基づいたものである。
    • OECD加盟国における期限付き労働移住プログラムも、違法な募集費用や借金のために、濫用のリスクや強制労働への脆弱性と無縁ではない。しかし、こうしたケースのほとんどに対して、TIP報告書はプログラムの改革について抜本的な勧告を行っていない。
  5. 報告書から何を読み取るか?
    • 日本は生産年齢人口の減少に対する政策オプションとして労働移民政策をとる国であり、多くの課題を他のOECD加盟国と共有する。
    • 日本型雇用や日本語といったハードルによって高度人材の受入れは阻まれている部分もあるものの、留学を経由したり、いったん入国した高度人材外国人の定着率は高い。より多くの高度人材を獲得するためには、雇用の流動性を高め、生産性と賃金の連動性を高める現在の改革や、高度人材獲得のための「雇用マッチング・プラットフォーム」の開発も有用。
    • 技能実習は特定技能制度と併せて、低ー中技能労働者の供給ルートとなりえる。その際、技能実習制度はスキル形成を通じて特定技能制度への人材供給源としての役割を果たす(スキルズ・モビリティ・パートナーシップ)。
    • 技能実習制度、及び特定技能制度における現行のシステム(移住仲介機能の介在、技能検定との整合性)は今後の改革においても維持されるべき。
    • 現在の改革の方向性はこうした指摘とおおむね一致する。

厚生労働省 第5回 日・ILO年次戦略協議の開催(結果)
  • 第112回ILO総会期間中の6月10日、12日~14日、日本政府と国際労働機関(ILO)は第5回日・ILO年次戦略協議を開催しました。
  • 6月10日、ILO本部(スイス・ジュネーブ)において、本協議のハイレベルセッションとして、宮﨑政久厚生労働副大臣とジルベール・F・ウングボILO事務局長の会談を行いました。本セッションにおいては、宮﨑厚生労働副大臣とウングボILO事務局長のほか、ILOから中込ひとみ上級顧問アジア太平洋担当、日本政府から尾池厚之在寿府国際機関日本政府代表部特命全権大使、富田望厚生労働省総括審議官(国際担当)、髙島洋平寿府代表部参事官、佐藤仁美外務省国際協力局専門機関室長ほかが出席しました。
  • 本セッションにおいて、日本とILOは、事務局長が就任当時から取り組んでいる「社会正義のためのグローバル連合」構想について、社会正義を実現する重要性について認識の共有等を行うとともに、労働分野における開発協力や国際労働基準の遵守・批准に関して意見交換を行いました。
  • また、日本によるILOへの人的、財政的及び政策的貢献について確認するととも両者は、ILOにおける日本人職員の増強に向けて、引き続き双方の取組を進めていくことで一致しました。
  • さらに、6月12日~14日に、対面形式(スイス・ジュネーブ)及びハイブリッド形式を併用し、政策担当者において人事、開発協力及び国際労働基準に関する各セッションを行い、ハイレベルセッションで確認された方向性等について、意見交換を行いました。
  • [参考1]国際労働機関(ILO)
    • ILOは、労働条件の改善を通じて、社会正義を基礎とする世界の恒久平和の確立に寄与すること、完全雇用、社会対話、社会保障等の推進を目的とする国際機関(本部はスイス・ジュネーブ)であり、唯一の政、労、使の三者で構成される機関。日本はILO加盟国として、政労使ともに総会や理事会等の各種会合に積極的に参加している(参照:厚生労働省ウェブページ、ILO駐日事務所ウェブページ)。
  • [参考2]日ILO年次戦略協議の開催の背景
    • 2017年5月、ガイ・ライダーILO事務局長と塩崎厚生労働大臣(当時)との間で結ばれた協力覚書に基づき開催しているもの。第1回年次戦略協議は2018年6月にジュネーブのILO本部、第2回年次戦略協議は2019年1月に東京において開催し、第3回年次戦略協議は2020年12月にオンライン形式で開催し、第4回年次戦略協議は2023年4月に東京・倉敷において開催した。

厚生労働省 第16回健康・医療・介護情報利活用検討会資料
▼ 資料2 医療等情報の二次利用に関するワーキンググループの検討状況について
  • 医療・介護DXの更なる推進
    • 活力ある健康活躍社会を築く上で、デジタル化とデータサイエンスを前提とする医療・介護DXの推進は、国民一人ひとりの健康・生命を守り、今後の医療等の進歩のための基盤となるもの。より質の高い医療やケアを効率的に提供する体制を構築するとともに、医療分野のイノベーションを促進し、その成果を国民に還元していく環境整備を進めていく。
    • 本年12月にマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を控える中で、医療DXの基盤であるマイナ保険証の利用促進を図りつつ、「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、各取組をより実効的かつ一体的に進める。また、速やかに関係法令の整備を行う。
      • 全国医療情報プラットフォームの構築等
        • 電子カルテ情報共有サービスの構築・普及(大病院における電子カルテ情報の標準化の加速化、診療所への標準型電子カルテの導入促進、必要な支援策の検討)、電子処方箋の普及促進
        • 次の感染症危機に備え、電子カルテ情報と発生届との連携や臨床研究における電子カルテ情報との連携促進、JIHS(国立健康危機管理研究機構)への情報集約
        • 診療報酬改定DX、介護情報基盤の構築、PMH(公費負担医療等の情報連携基盤)の推進
      • 医療等情報の二次利用の推進
        • 医療・介護等の公的DBの利用促進(仮名化情報の利用・提供、電子カルテ情報共有サービスで収集するカルテ情報の二次利用等)
        • 公的DB等を一元的かつ安全に利活用できるクラウド環境の情報連携基盤の構築、利用手続のワンストップ化
        • 検査や薬剤等に関するコードの標準化・質の高い医療データを整備、維持・管理するための取組推進
      • 医療DXの実施主体
        • 社会保険診療報酬支払基金を、医療DXに関するシステムの開発・運用主体の母体(「医療DX推進機構(仮称)」)として、抜本的に改組
        • 国が医療DXの総合的な方針を示し、支払基金が中期的な計画を策定。保険者に加え、国・地方が参画し、運営する組織。情報技術の進歩に応じた迅速・柔軟な意思決定、DXに精通した専門家が意思決定に参画する体制に改組
      • マイナ保険証の利用促進、生成AI等の医療分野への活用
        • 国が先頭に立って、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用を促進
        • 生成AI等の医療分野への活用
  • 医療等情報の二次利用の推進向けた対応方針について(案)
    • 医学・医療分野のイノベーションを進め、国民・患者にその成果を還元するためには、医療等情報の二次利用を進めていく必要がある。
    • 他方で、我が国の医療等情報の二次利用については、以下のような現状・課題があり、医薬品等の安全性検証や研究開発、疫学研究等において、医療等情報が利用しづらいことが指摘されている。医療現場や患者・国民の理解を得ながら医療等分野の研究開発を促進していくため、次の対応を進めていく。
      • 我が国では、カルテ情報(臨床情報)に関する二次利用可能な悉皆性のあるDBがなく、診療所を含む医療機関における患者のアウトカム情報について、転院等の場合も含めた長期間の分析ができない。
      • データ利活用が進んでいる諸外国では、匿名化情報だけでなく臨床情報や請求情報等の仮名化情報の利活用が可能になっており、さらにそれら仮名化情報のデータを連結解析することが可能。
      • 我が国では、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベース(以下「公的DB」)で匿名化した情報の利活用を進めてきたところ、より研究利用で有用性が高い仮名化情報の利活用を進めるべきとの指摘。また、民間部門においては、R5年の次世代医療基盤法改正で、仮名加工医療情報の利活用を一定の枠組みで可能とする仕組みが整備された。
      • 公的DBについては、データを操作する物理的環境に関して厳しい要件が求められているなど、研究者等の負担が大きい。
      • また、我が国では、公的DBのほか、次世代医療基盤法の認定DB、学会の各種レジストリなど、様々なDBが分散して存在しており、研究者や企業はそれぞれに利用の交渉・申請を行わなければならない。
    • 現在構築中である「電子カルテ情報共有サービス」で共有される電子カルテ情報について、二次利用を可能とする。その際、匿名化・仮名化情報の利活用を可能とする。具体的な制度設計については、医療関係団体等の関係者や利活用者等の意見を踏まえながら検討する。
    • 公的DBについても、仮名化情報の利活用を可能とし、臨床情報等のデータとの連結解析を可能とする。
    • 公的DB等に研究者・企業等がリモートアクセスし、一元的かつ安全に利用・解析を行うことができるVisiting環境(クラウド)の情報連携基盤を構築する。
    • 公的DB等の利用申請の受付、利用目的等の審査を一元的に行う体制を整備する。

厚生労働省 G7労働雇用大臣会合がイタリアで開催され、武見厚生労働大臣が出席しました。
  • 9月12日(木)から13日(金)にかけて、イタリア(カリアリ)で開催されたG7労働雇用大臣会合に、武見厚生労働大臣が出席しました。
  • 今回の会合においては、下記について活発な議論が行われ、労働雇用大臣宣言が採択されました。
    • 仕事の世界におけるAIの人間中心の開発と利用
    • 高齢社会における強靭な労働市場
    • 柔軟で包括的なスキルと生涯学習施策システム
    • 包摂的な労働市場と安全で健康的な労働環境の推進
  • 武見大臣からは、高齢者の就業支援、介護サービスの充実、AI技術の活用等に関する我が国の取組を紹介しつつ、昨年の日本議長国下の議論を踏まえ、人口動態の変化や、デジタル・トランスフォーメーション、グリーン・トランスフォーメーションに対応するため、「人への投資」が益々重要になることを強調しました。
  • また、この機を捉え、武見大臣は現地にて、イタリア共和国及び英国の担当大臣、国際労働機関(ILO:International Labour Organization)の事務局長と会談を行い、協力関係を深めました
  • 関係閣僚会合を含むG7サミット全般に関する詳細は、以下のG7イタリアの公式ホームページをご覧ください。https://www.g7italy.it/en/

厚生労働省 第6回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム
▼ 資料3 内閣府政策統括官(経済財政分析担当)提出資料
  • 1980年代、我が国の名目GDPは就業者数とともに拡大してきたが、1990年代以降は長期にわたって両者ともに停滞。しかし、2013年アベノミクス開始以降は、就業者数が増加する中、名目GDPも拡大し、さらにコロナ禍後は、賃金と物価の好循環もあいまって、2024年4-6月期には史上初めて年率600兆円を突破。
  • アベノミクス以降の就業者数増加に寄与したのは、女性の雇用者数の増加。女性の雇用者数は、この10年間で正社員230万人増加、非正規雇用者200万人増加。
  • 日本の女性の15歳時点における学力(数学的・科学的リテラシー、読解力)はOECD加盟38か国の中でもトップクラス。特に、数学的・科学的リテラシーでは男女ともOECD加盟国中1位で、日本の女子は諸外国の男子よりも高いスコア。読解力でもOECD加盟国中4位。しかし、日本はSTEM分野の大卒・院卒者に占める女性の割合が低い。
  • 女性がその持てる力を十分に発揮すれば、労働力の量だけでなく質においても、我が国の潜在成長率を高める可能性。そのためには、教育や労働、組織マネジメントにおける制度・慣習・意識をはじめ様々な側面で取組が必要。
  • 国際的に、我が国は、平均余命だけでなく、健康寿命も男女ともに高い(1図)。また、我が国の高齢者の労働参加率は、男女ともに国際的に高く、かつ、上昇傾向。
  • 我が国の女性高齢者の労働参加率は、年々高まっているが、就業意欲がある女性はさらに多く、こうした方々が働きやすい環境を整えることにより、更なる雇用拡大の余地がある。
  • 夫の配偶者手当や配偶者控除の受益減を考慮しても、60歳以降の「年収の壁」超えにより、世帯の手取り所得は大きく増加。女性は半数が90歳以上まで生きる。女性自らの所得を高めていくことも重要。
  • 女性の非労働力人口における年齢別のシェアを見ると、人口構成の変化もあって、25~44歳のシェアは低下する一方、45~64歳の中高年層が拡大。
  • 女性の留保賃金(現在就労していない人が、その水準以上の賃金であれば、就労する賃金水準)は、年齢が高いほど上昇。その結果、非労働力女性の年齢構成の変化により、女性の留保賃金は一貫して上昇傾向。
  • 女性の賃金が十分に上昇していかなければ、人数ベースで見た女性の労働参加が頭打ちになる可能性。人材確保の観点からも、2022年に決定した開示義務化をテコとして、男女間賃金格差の是正を進めることが重要。
  • 潜在成長率の規定要因は、労働・資本・全要素生産性(TFP)の3つ。人口減少等を背景に日本の労働投入は伸びず、潜在成長率を押し下げる傾向にあるが、女性の職業生活における活躍は、労働供給の増加を通じてその影響を緩和。
  • 職業生活において意欲ある女性が潜在的な能力を発揮すれば、労働の質の向上を通じて全要素生産性を高める可能性。また、意思決定層をはじめ、さまざまな場で多様性が進むことによる効果を指摘する研究もある。
  • 需要面においては、女性が稼得する所得が増えれば、消費及び住宅投資を通じた効果も期待される。
  • 追加的に労働供給を望み、働くことができる人口は約540万人、うち女性は約290万人。人手不足感が高まる中、意欲のある就業者・就業希望者の持てる力を十分に発揮できる環境整備が喫緊の課題。
  • 「年収の壁」を意識している方々(厚生労働省の推計では約60万人)には、「年収の壁」対策等が重要。仕事内容や勤務条件等のミスマッチに対しては、効果的なマッチングやリ・スキリングの支援、多様で柔軟な働き方の促進が重要。
  • 正社員の男女間賃金格差は、入社3年目で既に観察される。
  • 結婚・出産未経験の女性が多い年齢層にもかかわらずこのような格差が観察される理由について、5万人のパネルデータ(同一個人の追跡調査)を用いて分析したところ、勤続3年目には労働時間の分布に明確な男女差が生じており、職務内容に男女差がある可能性。
  • その後の職業生活で活躍する力を身につける上では、勤続初期における配属や職務経験が重要。
  • 本人の意向を踏まえつつ、勤続初期における職務内容の偏りを是正することは、女性の能力発揮と意欲の維持に寄与し、労働の質を高める上でも重要。
  • 20~50代の女性の就業率は約80%と高い水準にあるが、30歳以降は非正規雇用割合が高い(いわゆるL字カーブ問題)。
  • 女性の非正規雇用割合は、飲食・宿泊、生活関連サービス・娯楽業、卸売・小売業等の産業で高く、こうした産業における非正規雇用労働者の賃金水準は、フルタイムで年収250万円程度と正社員の6~7割の水準。女性の賃金上昇のためには、同一労働同一賃金の原則の徹底と、希望者には正社員として能力を発揮できる環境づくりが重要。
  • 女性の所得向上は消費拡大に寄与。女性が世帯主の家計は、平均的にみて収入が低く、平均消費性向が高い。
  • 現在、日本の女性の寿命の最頻値は93歳、女性の半分は90歳以上まで生きる。女性の継続的な所得向上は、老後への備えと将来の安心を通じて、足元の消費を下支えする可能性。
  • 住宅ローンにおいては、夫婦でローンを組んで住宅を購入するペアローンが増加。ペアローンによる借入金額は、若い世代を中心に単独ローンよりも大きく、女性の継続就業・所得向上は、住宅投資を拡大する可能性
▼ 資料4 厚生労働省 提出資料
  • 平均継続勤続年数の男女差、管理職に占める女性割合など、女性の就業状況については、都道府県ごとに状況が異なる。
  • 女性の職業生活における活躍推進のためには、各産業だけでなく、各地域の実情に応じ、対策を講じていくことが必要。
  • 若年女性が大都市圏に流出した結果、一部地域で未婚者の男女比の不均衡が存在。(※2を上回る県は23県、1.3を上回る県は7県)
  • 若年女性の流出にはさまざまな要因が考えられるが、未婚者の男女比の不均衡と各地域における男女間賃金格差の間には、緩やかな相関関係が観察される。男女間賃金格差への対応も含め、女性が地域で活躍しやすい環境をつくることは、地域経済の長期的な持続性を高める上でも重要。

厚生労働省 令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-
▼ 全体版
  • フルタイム労働者の賃金プレミアムについて
    • 厚生労働省(2023)においては、我が国において過去25年間賃金が伸びなかった現状やその背景、賃上げの効果、賃上げと価格転嫁の関係、最低賃金や同一労働同一賃金が賃金に及ぼす影響等、様々な観点から、「賃金」について分析した。本コラムでは、生産性との関係という観点から、「賃金」を深掘りしてみよう。
    • 一般に、経済学では、完全競争市場において、賃金上昇は労働生産性に見合うように決まるとされているものの、実際の賃金は必ずしも労働生産性によってのみ決まるわけではなく、特定の業務や属性に対して「プレミアム」が付いていることが指摘されている。例えば、多くの人に忌避されるような特性の仕事に従事する労働者を集めるには、他の仕事よりも高い賃金を導入(正の賃金プレミアムを付与)する必要がある。一方で、その仕事が雇用保護等の観点からより良い条件である場合は、より低い賃金(負の賃金プレミアム)でも労働者を集めることができる可能性がある。こうした考え方は、補償賃金仮説として知られており、例えば黒田・山本(2013)は、こうした考え方に立って、ワーク・ライフ・バランス施策と賃金の関係に着目し、フレックスタイム制度を利用している男性従業員では、最大で9%程度の負の賃金プレミアムが検出されることを指摘している。
    • 厚生労働省(2023)においては、我が国において過去25年間賃金が伸びなかった現状やその背景、賃上げの効果、賃上げと価格転嫁の関係、最低賃金や同一労働同一賃金が賃金に及ぼす影響等、様々な観点から、「賃金」について分析した。本コラムでは、生産性との関係という観点から、「賃金」を深掘りしてみよう。
    • 一般に、経済学では、完全競争市場において、賃金上昇は労働生産性に見合うように決まるとされているものの、実際の賃金は必ずしも労働生産性によってのみ決まるわけではなく、特定の業務や属性に対して「プレミアム」が付いていることが指摘されている。例えば、多くの人に忌避されるような特性の仕事に従事する労働者を集めるには、他の仕事よりも高い賃金を導入(正の賃金プレミアムを付与)する必要がある。一方で、その仕事が雇用保護等の観点からより良い条件である場合は、より低い賃金(負の賃金プレミアム)でも労働者を集めることができる可能性がある。こうした考え方は、補償賃金仮説として知られており、例えば黒田・山本(2013)は、こうした考え方に立って、ワーク・ライフ・バランス施策と賃金の関係に着目し、フレックスタイム制度を利用している男性従業員では、最大で9%程度の負の賃金プレミアムが検出されることを指摘している。
    • このように、フルタイム・パートタイム労働者の賃金を考える場合には、それぞれ労働
    • 生産性によらない「賃金プレミアム」が付与されている可能性を検討する必要もある。フルタイム労働者は勤務日数や労働時間などの拘束時間がパートタイム労働者よりも長い傾向がある。仮にフルタイム労働者の拘束時間の長さに対する「賃金プレミアム」があるなら、フルタイム・パートタイム労働者間の賃金差52に影響している可能性がある。
    • ただし、フルタイム・パートタイム労働者間の賃金差は、生産性による分と賃金プレミアムによる分に、必ずしも明確に判別できるわけではない。労働生産性は、売上や付加価値等のアウトプットを総労働時間等のインプットで除して算出するが、フルタイム・パートタイム労働者別の売上等については、統計調査等のデータからは計測できない。このため、本コラムでは、過去の研究を踏まえつつ、多くの仮定を置いた上で、フルタイム・パートタイム労働者の労働生産性の比率を推計する。推計した比率により、フルタイム・パートタイム労働者の賃金総額を比較し、フルタイム労働者の賃金プレミアムを試算する。
    • 本試算にあたっての主な仮定は以下のとおりである
      • フルタイム労働者・パートタイム労働者の賃金額は生産性から導出され、賃金額には一定の乗率が付与されているものとする。
      • 企業(各事業所)は、フルタイム労働者とパートタイム労働者の両方を雇用して、特定の生産関数に基づいて、生産活動を行っているものとする。
      • 同一産業(小分類)・同一企業規模の中の資本蓄積の違いは考えない
  • 入職経路から考える求人数の増加の背景
    • これまで人手不足感の高まりほど欠員率が高まっていない背景について考察したが、有効求人倍率がバブル期の水準を既に超えている状況についてはどう考えればよいだろうか。その理由の一つとして、ハローワークに出される求人数の増加が指摘できる。2023年の新規求人数は相当程度高い水準にあり、パートタイムでは1990年時点の3倍程度の30万人超に増加しているほか、フルタイムでもバブル期とほぼ同水準となっている。
    • 高水準のフルタイム求人の背景には、縁故等の入職経路が細くなっていったことも考えられる。入職者に占める縁故の割合をみると、1990年には30%程度であったが、ほぼ一貫して低下し、2022年には20%程度となっている。また、同図(2)により、企業規模別にみると、特に5~99人規模の中小企業において、縁故採用は重要な人材確保のルートであるものの、1990~2022年にかけて、入職者に占める割合は25%程度まで低下している。
    • 中小企業においては、これまでの縁故による採用に代わって、ハローワーク等の求人で補おうとした結果、2010年代以降の人手不足の局面においては、ハローワークでの求人がより大きく増加した可能性が考えられる。
  • 地域別にみた人手不足
    • 本節では、1970年代前半、1990年代前半、2010年代以降の3期間における人手不足の状況や背景についてみてきたが、地域によって産業や経済情勢は異なっているため、人手不足にも地域差が存在している。本コラムでは、それぞれの期間で地域差がどのように変化しており、2010年代以降の人手不足にどのような特徴があるのか紹介しよう。
    • まず、全国の有効求人倍率が同程度の水準であった1990年(40倍)と、2016年(1.36倍)の2時点を取り上げて、その地域差を確認してみよう。都道府県(受理地)別の有効求人倍率を色の濃淡で示したものであり、有効求人倍率が高い(人手不足の状況が厳しい)都道府県は濃い色で、低い都道府県では薄い色で表している。
    • これをみると、1990年では北関東から中部地方にかけて有効求人倍率が特に高くなっているが、北海道や九州地方では低く、地域によるばらつきが大きいことが分かる。2016年については、1990年のような地域差はみられず、全国的に人手不足の状況が生じていることが分かる。
    • 地域別に有効求人倍率の推移をみると、1970年代には、東海で有効求人倍率が5倍にも達していたほか、関東・甲信越、近畿でも2倍を超えており、東京、名古屋、大阪といった三大都市圏の人手不足がうかがえる。一方、この時期においては、北海道・東北や九州・沖縄においては有効求人倍率が一貫して1倍を下回っており、求職者数が求人数よりも多く、厳しい雇用情勢が常態化している。高度経済成長期以降、三大都市圏への人口の流入が続き、人口が集中していったが、こうした地域での求人の活発さやそれ以外の地域での雇用情勢の厳しさも影響していることがうかがえる。
    • 1990年代においても、こうした傾向がおおむね続いている。東海、北陸、関東・甲信越は有効求人倍率が5倍を上回っており、中国・四国も同様の水準となったが、近畿は1倍前後となった。一方で、1990年代の有効求人倍率は、北海道・東北、近畿、九州・沖縄では高くても1倍程度と求人を求職が上回る状況となっている。このように、1990年代までは地域間における有効求人倍率には差があり、人手不足は主に大都市部を含む地域で生じていたことがうかがえる。
    • 一方、2010年代においては、これまでと異なった様相となっている。これまでは三大都市圏と他の地域との有効求人倍率の差が大きかったが、2010年代以降においては全ての地域で有効求人倍率は1~5倍となっている。また、北海道・東北、九州・沖縄などこれまで有効求人倍率が低かった地域においても1倍を超えるなど、これまで雇用情勢が厳しかった地域においても人手不足が生じており、人手不足が全国的なものであることが改めて確認できる。
    • この背景には、まず、同期間において、労働参加率が高い25~54歳の人口の減少が一部の都市部を除いた地方において特にみられたことが考えられる。国勢調査における1990~2015年にかけての都道府県別の25~54歳人口の増減率をみると、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、沖縄県を除いた全ての道府県において25~54歳人口は減少し、その減少度合いは、東北・四国・中国・九州において大きい。一方で、経済環境や雇用情勢の改善がみられ始めた2013年度から、新型コロナウイルス感染症の拡大前である2019年度までの都道府県別GDPの増加率をみると、バラつきはありつつも全国的に経済規模の拡大が生じている。すなわち、労働参加率が高い25~54歳人口は地方において25年間で大きく減少した一方で、2013年度以降の経済規模の拡大が全国的に生じた結果、2010年代以降においては、地方における労働力需給の引き締まりが生じたものと考えられる。ただし、25~54歳人口の減少がみられた道府県においても一部を除いて就業者数は増加しており、減少した分を女性や高齢者が補っているが、それでもなお労働力需要の増加に追いついていないことが確認できる。また、失業率についてみると、全ての都道府県において低下しており、雇用情勢の改善は、全国的であったことが分かる。以上から、2013年から2019年にかけての地方における雇用を取り巻く環境をみると、(1)人口が減少する中にあっても、地方も含めて全国的な経済規模の拡大と、(2)それに伴う労働力需要の増加がみられ、この結果、(3)多様な労働参加が進み、就業者数は地方においてもおおむね増加し、(4)失業率は大きく低下する等、雇用情勢は大きく改善したことが確認できる。
    • また、2010年代において、地方における人手不足が深刻化した背景には、既に指摘したようなサービス産業化の影響も考えられる。コラム2-4-④図から、第2次産業・第3次産業別に欠員率の推移をみると、1990年前後では特に製造業(第2次産業)における欠員率が高く、1990年において特に工業地域で労働力需要が高まる背景があったと考えられる63。一方で、2010年代においては、第2次産業・第3次産業ともに同程度まで欠員率が高まっている。
    • これらをまとめると、2010年代以降の人手不足は、製造業や都市部を中心に人手不足が生じた過去の人手不足とは異なり、全産業的にかつ全国的に広がりをもって人手不足が生じており、職業間の差や地域差もこれまでよりも小さいことが特徴であることが分かる。
    • より労働集約的なサービス業が中心となる中で、これまで人手不足が生じてこなかった地域にも人手不足が生じている。人材確保に向けて、こうした地域においても、求人条件の見直しや職業安定機関におけるきめ細かなマッチング、機械化等による生産性の向上などが重要となっていくだろう。
  • マッチング効率性・バーゲニングパワーの試算
    • ハローワーク・有料職業紹介事業所(民間)において、マッチング効率性が低下した可能性を指摘した。マッチング効率性については、特定のマッチング関数を仮定した上で、同図の分析では、求人と求職の力関係(バーゲニングパワー)が等しいという仮定も置いている。一方で、有効求人倍率が低い(就職できる可能性が低い)状況では、就職する人がいる求人条件であっても、有効求人倍率が高い(就職できる可能性が高い)状況では、ほかに良い求人があるはずだと考えて就職しないこともあるかもしれない。求人側においても、有効求人倍率が高い(求人が充足できる可能性が低い)状況では、求人条件を緩和してでも採用する可能性があるが、有効求人倍率が低い(求人が充足できる可能性が高い)状況では、ほかに良い求職者がいるはずだと考え、求職者は採用されないかもしれない。
    • このように、求人と求職の力関係(バーゲニングパワー)は変化し得るものであるため、マッチング効率性とバーゲニングパワーを同時に推計し、その変化を確認する。
    • まず、ハローワークのマッチング効率性とバーゲニングパワーを推計すると、マッチング効率性はほぼ一貫して低下していることが分かる。一方で、労働者と企業間の交渉力であるバーゲニングパワーについては、5近傍で推移しており、ハローワークにおいては、おおむね労働者と企業の力関係は均衡していることが分かる。ただし、求人が大きく減少した2020年以外は、人手不足の中、求職側のバーゲニングパワーが徐々に強くなっている。
    • 同じ推計方法で、2018~2021年について、ハローワークと有料職業紹介所(民間)におけるマッチング効率性とバーゲニングパワーの推計を行った。マッチング効率性は、有料職業紹介事業所においても低下傾向で推移しており、これは指摘したとおりである。ただし、バーゲニングパワーの水準はハローワークとは大きく異なり、相対的に求人側の力が強くなっている傾向がある。
    • こうしたことから、ハローワークも有料職業紹介事業所も、マッチング効率性を下げており、人手不足の中で、求職者の交渉力が徐々に強くなっていることがうかがえる。
  • 人手不足と賃金の関係についての分析
    • 各国ともに欠員率と賃金上昇率には正の相関関係がみられ、欠員率が高まるほど賃金上昇率も高まる傾向があることを確認した。ただし、賃金上昇率には、欠員率だけではなく生産性上昇率も大きな影響を及ぼす。このため、1974年からの第2次産業・第3次産業別の欠員率と、生産性上昇率等を用いて、賃金上昇率を説明変数にした回帰分析を行った。その結果生産性を考慮してもなお、欠員率の上昇は賃金増加率に対して有意なプラスの影響を及ぼすことを確認している。
    • ただし、賃金が高いほど、就業希望者が増加し、結果として欠員率が下がるといった関係も存在している可能性があり、逆の因果関係が存在する可能性に留意する必要がある。
    • 例えば、2013年以降のデータを用いて、我が国における企業規模別の欠員率と年収や時給の関係をみると、特に1,000人以上企業や100~999人企業においては、欠員率が高いほど年収・時給の水準が低くなる傾向がみてとれる
    • それでは、欠員率の高まりが賃金上昇に与える影響については、どのように考えればよいだろうか。高い賃金が欠員率を引き下げ得る効果を除いた効果のみを推計するため、操作変数法を用いて、欠員率の高まりが賃金上昇に及ぼす影響を分析する。ここでは、欠員率と賃金の間に逆の因果関係や測定できない要素が存在すると考えられる場合に、欠員率と相関があって賃金と相関がない「ある変数」(操作変数)から、欠員率が賃金に影響する部分を推計する88。操作変数には、「週35時間以上就業労働者に占める週60時間以上労働者割合の前年差」を用いた。推計結果をみると、最小二乗法では有意ではあるものの係数が小さかった欠員率は、操作変数による推計結果においては係数が大きくなり、1%水準で有意となっている。一方で、生産性上昇率の係数をみると、最小二乗法で推計したときよりも小さくなっており、単に賃金上昇率を欠員率と生産性上昇率で推計するだけでは、生産性の効果を過大評価している可能性があることが分かる。
    • 以上から、最小二乗法だけではなく、操作変数法による分析からも、生産性上昇率を考慮したとしても、欠員率が高まると賃金増加率も高まる効果があることが確認された。このため、既に指摘しているように、今後欠員率が高まってくれば、賃金増加率が高まってくる可能性があると考えられる。

厚生労働省 石綿(アスベスト)含有品の販売に関する注意喚起
  • 石綿(アスベスト)が含まれている製品の販売について8月29日に注意喚起した内容に続き、このたび新たにオンラインマーケットプレイス(OM)で、石綿(アスベスト)含有製品の販売が確認されたので、以下のとおりお知らせします。
  • 対象製品をお持ちの皆さまへ
    • 対象製品に関する相談等については、出品者にご確認ください。
    • 石綿付金網については、使用しないでください。
    • 通常の使い方で使用する限りは石綿(アスベスト)が飛散する可能性は極めて低いですが、8月29日に公表した製品含め金網の耐火材の部分(真ん中の白い部分)が劣化して脱落が見られるものがあり、そうした場合には石綿の飛散の可能性があるため、ビニール袋等に入れ、テープ等でしっかりと封をして保管してください。
    • なお、製品に劣化等が見られない場合でも、削る・割るなどして破損した場合には飛散する可能性がありますので、破損しないようご注意ください。
    • もしすでに破損しているなどでご心配な場合は、ビニール袋等に入れ、テープ等でしっかりと封をして保管してください。
▼ 参考:「石綿(アスベスト)含有品の販売に関する注意喚起」(8月29日発表)
  • 新たに販売が確認された石綿(アスベスト)含有品(7製品)
    • 厚生労働省で確認できた範囲。他の主要OM事業者でも同製品の取り扱いがないか確認依頼中。なお、これら7製品については、co.jpにおいては出品停止済み
      1. HAMILOセラミックス金網 石綿金網 実験用具 理科 アルコールランプ ビーカー 研究 加熱(5枚セット)
        • 石綿(アスベスト)が使われていない旨の商品説明が記載されていましたが、石綿(アスベスト)の含有が確認されました。
      2. HOTQセラミックス金網 石綿金網 実験用具金網 加熱アルコールランプ ビーカー(5枚セット)
        • 石綿(アスベスト)が使われていない旨の商品説明が記載されていましたが、石綿(アスベスト)の含有が確認されました。
      3. セラミックス金網 石綿金網 実験用具 理科 アルコールランプビーカー 研究 加熱 家庭用の断熱材としても使えます5*12.5cm(5枚セット)
      4. DiYaDiセラミックス金網 石綿金網 実験用理科 アルコールランプ金網 セラミックス ビーカー 研究 加熱(5枚 セット)
      5. セラミックス金網 石綿金網 実験用具(5枚セット15×15cm)理科アルコールランプビーカー 研究 加熱 家庭用の断熱材としても使えます
      6. セラミックス金網 石綿金網 実験用具 理科 アルコールランプ ビーカー 研究 加熱 家庭用の断熱材としても使えます20*20cm(3枚セット)
      7. Roczentialセラミックス金網、石綿金網の8枚セット。アルコールランプ金網、実験用具、理科、アルコールランプ、ビーカー、研究、加熱。家庭用の断熱材としても使用可能。実験装置、実験化学や物理実験用の研究器具としておすすめです。(15*15cm・5個セット、5*12.5cm・3個セット)

厚生労働省 第1回厚生労働省医師偏在対策推進本部 資料
▼ 資料2 医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案の主な論点
  • 主な論点
    1. 医師確保計画の実効性
      • 都道府県が医師偏在是正に主体的に取り組み、国は都道府県をサポートする仕組みを検討すべきではないか。
    2. 医師の確保・養成
      • 医師少数区域等での勤務を後押しするため、医学生・若手医師の地域への理解・意識を涵養し、地域での活躍を推進するとともに、臨床研修の広域連携型プログラムの制度化、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の大幅な拡大を検討すべきではないか。
      • 外来医師多数区域における新規開業希望者に対する医療機能の要請等の現行の仕組みをより実効力のあるものとする等の規制的手法について、医療法等における位置づけを含めて検討すべきではないか。
      • 保険医制度の中で、保険診療の質を高めつつ医師の偏在是正に向けて、どのような方策が考えられるか検討すべきではないか。
      • 地域の医療需要や働き方改革推進の観点から、より一層の対応が必要な診療科の医師について、インセンティブを高める方策についてどのように考えるか。
      • 医師少数区域等で勤務することも念頭に、中堅以降医師等の総合的な診療能力等に係るリカレント教育を推進すべきではないか。
      • 医師養成課程や診療報酬を通じた対策についても、医師偏在是正の観点から検討すべきではないか。
        • ※なお、骨太方針2024においては「今後の医師の需給状況を踏まえつつ、2027年度以降の医学部定員の適正化の検討を速やかに行う。」とされている。
    3. 実効的な医師配置
      • 新たに選定する重点的な支援対象区域(都道府県において医師偏在対策に重点的に取り組む支援対象区域)における開業・承継の支援や、経済的インセンティブを含め、医師の勤務意欲につながる方策について検討すべきではないか。
      • 新たに選定する重点的な支援対象区域に医師派遣等を行う大学病院等の中核的な病院への支援や、全国的なマッチング機能の支援等を検討すべきではないか。
    4. 実施に向けて
      • 1~3の取組を推進していく上で、規制的手法はもとより、経済的インセンティブとして、どのような対応が必要か。経済的インセンティブによる偏在是正を進めるにあたっては、国や地方のほか、保険者等からの協力を得るなど、あらゆる方策を検討すべきではないか。
      • 1~3の取組を国、地方、医療関係者、保険者等がどのように協力して実施していくべきか。
  • 医師偏在是正に向けた総合的な対策
    • 少子高齢化が進展する中、持続可能な医療提供体制の構築に向け、地域間・診療科間の医師偏在の是正を総合的に推進する。
      • (1)医師確保計画の深化・(2)医師の確保・育成・(3)実効的な医師配置を柱として、2024年末までに総合的な対策のパッケージを策定し、これらを組み合わせた医師偏在是正に係る取組を推進する。
    • 総合的な対策パッケージの骨子案
      • 医師確保計画の深化
        • 人口や医療アクセス状況等を踏まえ、都道府県における医師偏在の是正プランの策定、国における重点的な支援対象区域の選定。
        • 第8次医師確保計画(後期)ガイドライン」策定・運用
      • 医師の確保・育成
        • 医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大、外来医師多数区域の都道府県知事の権限強化、保険医制度における取扱い等の規制的手法を検討。
        • 臨床研修の広域連携型プログラムの制度化。
        • 中堅以降医師等の総合的な診療能力等に係るリカレント教育について、R7年度予算要求。
        • 医師多数県の臨時定員地域枠の医師少数県への振替を検討。
      • 実効的な医師配置
        • 地域医療介護総合確保基金等による重点的な支援区域の医療機関や処遇改善のための経済的インセンティブ、当該区域への医師派遣等を行う中核的な病院への支援、全国的なマッチング機能の支援等を検討。
        • 大学病院との連携パートナーシップについて、都道府県・大学病院にヒアリング等を行い、対応を検討。

厚生労働省 「令和5年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します
  • 調査結果のポイント
    1. 通報・届出のあった事業所数・対象となった障害者数
      • 通報・届出のあった事業所数は、前年度と比べ9%増加し、1,512事業所。
      • 通報・届出の対象となった障害者数は、前年度と比べ4%増加し、1,854人。
    2. 虐待が認められた事業所数・障害者数
      • 虐待が認められた事業所数※2 は、前年度と比べ0%増加し、447事業所。
      • 虐待が認められた障害者数は、前年度と比べ0%増加し、761人。
    3. 認められた虐待の種別
      • 認められた虐待の種別※3では、経済的虐待が659人(6%)で最多。
  • 令和5年度における使用者による障害者虐待の事例
    • 事例1 心理的・経済的虐待が認められた事例
      • 通報・届出の概要
        • 障害種別:知的障害
        • 就労形態:正社員
        • 事業所の規模:5人~29人
        • 業種:食品製造業
        • 相談支援事業所の相談支援専門員から都道府県経由でなされた通報事案。事業主から、作業用具を投げつけられたり、怒鳴られたり、トイレに行きたいと伝えると恫喝されたり、休憩が取得できないことがあるとして、相談支援事業所に相談があったもの。
      • 労働局の対応
        • 労働局は、職業安定部(公共職業安定所)、労働基準部(労働基準監督署)および雇用環境・均等部(室)を担当部署として調査を実施した。
        • 事業主および関係者に事情聴取し、関係資料を確認したところ、相談支援専門員からの通報内容をおおむね事実として認めたほか、本来の休憩時間に就労した分の賃金未払いも判明した。事業主による心理的虐待および経済的虐待が認められたため、事業主に対し、公共職業安定所は、障害者雇用促進法に基づき、事業主と障害者従業員との間を取り持つ障害者職業生活相談員の配属を検討すること、雇用環境・均等部(室)は、労働施策総合推進法に基づき、パワーハラスメント防止措置を講じること、労働基準監督署は、労働基準法に基づき、休憩の取得と、休憩が取得できなかった日の賃金の支払いを行うよう指導した。処理終了後、労働局は、都道府県に対して情報提供を行った。
    • 事例2 身体的虐待が認められた事例
      • 通報・届出の概要
        • 障害種別:精神障害(発達障害を除く)
        • 就労形態:パート・アルバイト
        • 事業所の規模:30人~49人
        • 業種:製造業
        • 障害者の家族から市町村経由でなされた通報事案。所属の上司から、背中を蹴られる、耳のあたりを殴られる、服を破られたことなどがあるとして、市町村に相談があったもの。
      • 労働局の対応
        • 労働局は、職業安定部(公共職業安定所)を担当部署として調査を実施した。公共職業安定所が事業所を訪問し、事業主に事情聴取したところ、障害者の家族からの相談内容を事実として認めた。
        • 所属の上司による身体的虐待が認められたため、公共職業安定所は、被虐待者の職場環境の安全性および虐待者への処分等について確認した上で、事業主に対し、障害者虐待防止法に基づく事業主の責務(労働者の研修、苦情処理体制の整備等)を説明した上で、障害者雇用促進法に基づき、再発防止対策を講じるよう指導した。処理終了後、労働局は都道府県に対して情報提供を行った。
    • 事例3 性的虐待が認められた事例
      • 通報・届出の概要
        • 障害種別:知的障害
        • 就労形態:正社員
        • 事業所の規模:5人~29人
        • 業種:清掃業
        • 障害者就業・生活支援センターの相談支援専門員から都道府県経由でなされた通報事案。
        • 所属の上司から、抱きしめられる、肩を揉まれるなどの性的な言動を受けたとして障害者就業・生活支援センターに相談があったもの。
      • 労働局の対応
        • 労働局は、雇用環境・均等部(室)および職業安定部(公共職業安定所)を担当部署として、調査を実施した。本社管理職に事情聴取したところ、相談支援専門員からの届出内容をおおむね事実として認めた。
        • 所属の上司による性的虐待が認められたため、事業主に対し、雇用環境・均等部(室)は、男女雇用機会均等法に基づき、セクシュアルハラスメントに関する再発防止措置を講ずること、公共職業安定所は、障害者雇用促進法に基づき、管理職に対する研修および啓発活動の実施を行うよう指導した。
        • 処理終了後、労働局は、都道府県に対して情報提供を行った。
    • 事例4 身体的・心理的・経済的虐待が認められた事例
      • 通報・届出の概要
        • 障害種別:発達障害
        • 就労形態:正社員
        • 事業所の規模:30人~49人
        • 業種:製造業
        • 障害者の同僚からの通報事案。
        • 早出時間外労働に対する賃金の不払いと、所属の上司から、殴る、蹴るなどの暴力を受けているとして、労働基準監督署に相談があったもの。
      • 労働局の対応
        • 労働局は、労働基準部(労働基準監督署)および職業安定部(公共職業安定所)を担当部署として調査を実施した。労働基準監督署、公共職業安定所が合同で事業所を訪問し、所属長および被虐待者に事情聴取したところ、同僚からの通報内容をおおむね事実として認めた。
        • 時間外労働に対する賃金不払い(経済的虐待)および、所属の上司による身体的虐待が認められたため、事業主に対し、労働基準監督署は、労働基準法に基づき、時間外労働に対する割増賃金を支払うこと、公共職業安定所は、障害者雇用促進法に基づき、相談体制の整備などの再発防止対策を講じるよう指導した。
        • 処理終了後、労働局は、都道府県に対して情報提供を行った。
    • 事例5 放置等による虐待が認められた事例
      • 通報・届出の概要
        • 障害種別:知的障害
        • 就労形態:パート・アルバイト
        • 事業所の規模:5人~29人
        • 業種:医療、福祉
        • 障害者本人からの届出事案。
        • 同僚の職員から、「障害者だから指示が分からない」という発言や、仕事ができないとして、仕事を取り上げられるという嫌がらせを受け、障害者の家族が管理職に相談するも、何ら対応がなされず放置された。また、障害者が利用者から身体を触られた時、嫌がらせを続ける職員と管理職はこれを目撃しているにも関わらず、この行為を止めたり、注意をせずに笑っていたとして、労働局に相談があったもの。
      • 労働局の対応
        • 労働局は、職業安定部(公共職業安定所)および雇用環境・均等部(室)を担当部署として、調査を実施した。事業主に事情聴取したところ、障害者本人からの届出内容について、管理体制や就業環境整備が不十分であったことに問題があることを認めた。
        • 事業主による放置等による虐待が認められたため、事業主に対し、公共職業安定所は、障害者雇用促進法に基づき、他の労働者への指導・啓発や相談窓口の設置などの再発防止対策を講じること、雇用環境・均等部(室)は、労働施策総合推進法に基づき、ハラスメント相談には迅速かつ適切に対応するよう指導した。
        • 処理終了後、労働局は、都道府県に対して情報提供を行った。
    • 事例6 経済的虐待が認められた事例
      • 通報・届出の概要
        • 障害種別:身体障害
        • 就労形態:正社員
        • 事業所の規模:5人~29人
        • 業種:製造業
        • 労働基準監督署が臨検監督において発見した事案。
        • 最低賃金の減額特例許可※を受けずに、地域別最低賃金から約20%程度低い約定賃金で支払いを行っていたもの。 ※一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの特定の労働者について、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められる制度。
      • 労働局の対応
        • 労働基準監督署が、障害者の勤務実態等を確認した。労務管理資料により、障害者の約定賃金が地域別最低賃金未満であり、事業主による経済的虐待が認められたため、労働基準監督署は、事業主に対し、最低賃金法に基づき、地域別最低賃金額との差額を支払うよう指導した。
        • 処理終了後、労働局は都道府県に対して情報提供を行った。

厚生労働省 ウクライナ保健省との協力覚書に署名しました
  • 令和6年9月5日(木)、「日本国厚生労働省とウクライナ保健省との間の協力覚書」の署名が行われました。
  • 本協力覚書は、保健・医療分野における二国間の関係を促進し、両国における保健・医療の水準を向上させることを目的としています。なお、日・ウクライナ保健当局間の協力覚書については、今回が初めての作成となります。
▼ 別紙2 日本国厚生労働省とウクライナ保健省との間の協力覚書(和文・仮訳)
  • 日本国厚生労働省及びウクライナ保健省(以下個別には「当事者」といい、総称して「両当事者」という。)は、保健・医療分野における二国間の関係を促進する意志があり、互助及び人道の原則に基づき、本協力が日本及びウクライナにおける保健・医療の水準を向上させることを確信し、以下のとおりの認識に到達した。
  • 第一項
    • 両当事者は、権限の範囲内において、日本及びウクライナの法令及び規則に従って、保健・医療分野における協力を発展・実施する。
  • 第二項
    • 両当事者は、以下の分野について、相互に有益な協力を発展させる。
      • 保健機関間の協力の発展
      • 保健人材の研修を含む保健教育
      • 非感染性疾病
      • 感染症予防管理、特に、関連するパンデミックの備え及び対応、薬剤耐性並びに予防接種プログラム
      • 遠隔医療
      • eヘルス(健康管理情報システムをいう。)の導入及び発展
      • 医薬品及び医療製品の流通に関する専門知識の共有並びに保健システムの必要性に対応した臨床医学及び予防医学における革新的な技術及び研究の発展
      • 時事的な保健問題に係る相談
      • その他相互に決定する協力分野
  • 第三項
    • 本覚書の下での協力活動は、技術上の実現可能性及び双方の共通の関心に従って、以下の様式にて実施され得る。
      • 関連する情報・経験の交換
      • 両当事者によって特定される分野における専門家及び代表団の交流
      • 保健人材の研修
      • 日本及びウクライナで開催される会議及びイベントへの専門家の参加促進
      • その他両当事者によって定める協力様式
  • 第四項
    • 本覚書は、本覚書に基づいて実施される協力活動に関して、当事者間で金銭的和解を行うことを規定するものではない。
  • 第五項
    • 一方の当事者によって秘密であると決定された情報は、情報を提供した当事者による事前の書面による許可なしには、第三国には開示されない。
  • 第六項
    • 本覚書の解釈、適用又は実施に関して生じた紛争は、両当事者の友好的な協議と交渉を通じて解決する。
  • 第七項
    • 両当事者の承認により、修正は、本覚書に別の取決めの形で統合されることにより行うことができる。補足文書は、本覚書の一部となる。
  • 第八項
    • 本覚書の下での協力は、本覚書の署名日より効力が生じるものとし、5年間継続する。
    • 本覚書は、一方の当事者が他方の当事者に対し、本覚書を終了させる意図を少なくとも6か月前に書面で通知しない限り、5年毎に自動更新される。
    • 本覚書は、英文で2通作成され、2024年9月5日に署名された。

厚生労働省 「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表します
▼ 令和5年度医薬品販売制度実態把握調査結果(概要)
  • 薬局・店舗販売業の店舗販売に関する調査
    1. 従事者の名札等により専門家の区別ができたか:
      • 調査件数3,025件(薬局1,288件 店舗販売業1,737件)
      • 区別できた7%(2,926件)/区別できなかった等3.3%(99件)
    2. 要指導医薬品の購入者が使用しようとする者本人かどうかの確認:
      • 調査件数284件(薬局231件 店舗販売業53件)
      • 確認あり0%(230件)/確認なし19.0%(54件)
    3. 要指導医薬品販売時における使用者の状況についての確認:
      • 調査件数284件(薬局231件 店舗販売業53件)
      • 確認あり1%(273件)/確認なし3.9%(11件)
    4. 要指導医薬品販売における文書による情報提供の有無:
      • 調査件数268件(薬局220件 店舗販売業48件)
      • 文書を用いて情報提供があった0% (244件)/文書を渡されたが詳細な説明がなかった2.6% (7件)/口頭のみでの説明だった6.3% (17件)
    5. 要指導医薬品販売時の情報提供を行った者:
      • 調査件数268件(薬局220件 店舗販売業48件)
      • 薬剤師8% (262件)/ 登録販売者1.5% (4件)/一般従事者0% (0件)/名札未着用等のため不明0.7% (2件)
    6. 第1類医薬品販売時における使用者の状況(*)についての確認:
      • 調査件数806件(薬局663件 店舗販売業143件)
      • 確認あり8%(740件)/確認なし8.2%(66件)
    7. 第1類医薬品販売における文書による情報提供の有無:
      • 調査件数753件(薬局621件 店舗販売業132件)
      • 文書を用いて情報提供があった3%(605件)/文書を渡されたが詳細な説明がなかった2.4% (18件)/口頭のみでの説明だった17.3% (130件)
    8. 第1類医薬品販売の情報提供された内容を理解したかどうか等の確認の有無:
      • 調査件数753件(薬局621件 店舗販売業132件)
      • 確認があった9% (496件)/ 確認がなかった34.1% (257件)
    9. 7の情報提供を行った者:
      • 調査件数753件(薬局621件 店舗販売業132件)
      • 薬剤師5% (727件)/ 登録販売者1.3% (10件)/一般従事者0.4% (3件)/名札未着用等のため不明1.7% (13件)
    10. 第1類医薬品に関する相談に対し、適切な回答があったか(*):
      • 調査件数806件(薬局663件 店舗販売業143件)
      • 適切な回答があった0% (790件)/ 適切な回答がなかった2.0% (16件)
    11. 10の相談に対応した者の資格:
      • 調査件数806件(薬局663件 店舗販売業143件)
      • 薬剤師4% (753件)/ 登録販売者2.7% (22件)/一般従事者1.2% (10件)/名札未着用等のため不明2.6% (21件)
    12. 第2類医薬品等に関する相談に対応した者の資格
      • 調査件数1,520件(薬局208件 店舗販売業1,312件)
      • 薬剤師5%(129件)/登録販売者85.1%(1,293件)
      • 一般従事者8%(43件)/わからなかった3.6%(55件)
    13. 指定第2類医薬品の注意喚起の状況:
      • 調査件数1,738件(薬局255件 店舗販売業1,483件)
      • 認識できた4%(1,414件)/認識できなかった18.6%(324件)
    14. 濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとした時の対応:
      • 調査件数1,256件(薬局189件 店舗販売業1,067件)
      • 1つしか購入できなかった6%(611件)/複数必要な理由を伝えたところ、購入できた32.2%(405件)/質問等されずに購入できた19.1%(240件)/その他0.0%(0.0%)
    15. 相談を行わずに一般用医薬品(第1類医薬品を除く。)を購入しようとした際の対応:
      • 調査件数276件(薬局77件 店舗販売業199件)
  • 特定販売(インターネット販売)に関する調査
    1. 第1類医薬品販売時の使用者の状況についての確認状況:
      • 調査件数81件(薬局32件 店舗販売業49件)
      • 確認あり0%(81件)/確認なし0.0%(0件)
    2. 第1類医薬品販売時の情報提供の有無*:
      • 調査件数81件(薬局32件 店舗販売業49件)
      • 情報提供あり1%(73件)/情報提供なし9.9%(8件)
    3. 第1類医薬品販売の情報提供された内容を理解したかどうか等の確認の有無:
      • 調査件数73件(薬局29件 店舗販売業44件)
      • 確認があった5% (69件)/ 確認がなかった5.5% (4件)
    4. 2の情報提供を行った者の資格:
      • 調査件数73件(薬局25件 店舗販売業48件)
      • 薬剤師3% (63件)/ 登録販売者0.0% (0件)/その他・わからなかった13.7% (10件)
    5. 第1類医薬品販売時の相談に対し回答があったかどうか:
      • 調査件数80件(薬局31件 店舗販売業49件)
      • 回答あり3% (73件)/回答なし8.8% (7件)
    6. 5の相談に対応した者の資格:
      • 調査件数:73件(薬局29件 店舗販売業44件)
      • 薬剤師8% (59件)/ 登録販売者2.7% (2件)/その他・わからなかった16.4% (12件)
    7. 第2類医薬品等に関する相談に対し回答があったかどうか:
      • 調査件数405件(薬局114件 店舗販売業291件)
      • 回答あり5%(399件)/回答なし1.5%(6件)
    8. 7の相談に対応した者の資格:
      • 調査件数399件(薬局112件 店舗販売業287件)
      • 薬剤師6%(118件)/登録販売者47.6%(190件)/その他・わからなかった22.8%(91件)
    9. 指定第2類医薬品に関する注意喚起(*)の状況:
      • 調査件数242件(薬局54件 店舗販売業188件)
      • 認識できた3%(238件)/認識できなかった1.7%(4件)
    10. 濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとした時の対応:
      • 調査件数140件(薬局27件 店舗販売業113件)
      • 1つしか購入できなかった1%(108件)/複数必要な理由を伝えたところ、購入できた5.0%(7件)/質問等されずに購入できた17.9%(25件)

厚生労働省 令和5年度「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」の報告書(速報)を公表します
▼ 依存症対策全国センター 令和5年度「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」に関する報告書 速報
  • 国民の娯楽と健康に関するアンケート:調査(A)主要な結果
    1. 国民のギャンブル行動(有効回答数:8,898票(49.4%)〔男性4,204名、女性4,694名〕)
      • 過去1年間のギャンブル経験:男性の44.9%(1,888名)、女性の26.5%(1,243人)
      • 過去1年間にギャンブルに使った金額(1か月あたり):中央値9,000円
      • 過去1年間に最もお金をつかったギャンブルの種類:宝くじが最多(53.3%)で、パチンコ(15.0%)が次に多い。
    2. 過去1年におけるギャンブル等依存が疑われる者(PGSI8点以上)の割合とそのギャンブル行動
      • PGSI8点以上(年齢調整後):全体1.7%(95%信頼区間1.4~1.9%)、男性2.8%(同 2.3~3.3%)、女性0.5%(同 0.3~0.7%)。
      • 各年齢の有効回答数におけるPGSI8点以上の者の割合で最も高かったのは、40代が最も多く(2.4%)、次いで30代が多かった(2.1%)であった。
      • 過去1年間にギャンブルに使った金額(1か月あたり):中央値 6万円
      • 過去1年間に最もお金を使ったギャンブルの種類は、男性ではパチンコ(43.4%)、パチスロ(24.5%)、競馬(11.3%)の順で、女性ではパチンコ(60.9%)、パチスロ(17.4%)、その他(13.0%)の順で割合が高い。
    3. 他の精神疾患や自殺などの関連問題
      • K6(うつ、不安のスクリーニングテスト)で比較したところ、ギャンブル等依存が疑われる者(PGSI8点以上)は、8点未満の者より有意に抑うつ・不安が強かった。また、これまでの自殺念慮(自殺したいと考えたこと)の経験割合等についても、PGSI8点以上の者で高かった。
    4. インターネットを使ったギャンブルの現状
      • インターネットを使ったギャンブルの購入方法については、すべての公営競技などにおいて、「主にオンライン」または「両方」で行うと回答した者の割合が過半数を占めた。
    5. コロナ拡大前とのインターネット利用したギャンブル行動の変化
      • 新型コロナウイルス感染拡大前と比較し、インターネットを使ったギャンブルの利用が増えた(「新たに始めた」、「する機会が増えた」の合計)との回答は、PGSI8点未満の者では3.6%であったのに対し、PGSI8点以上の者では19.9%であった。
    6. 過去1年間で経験した宝くじの種類
      • 過去1年間で宝くじを購入した者の購入した宝くじの種類は、PGSI8点未満と8点以上の両群とも、ジャンボ宝くじ、ロト7・ロト6、スクラッチの順で多かった。ロト7、ロト6、ミニロト、ナンバーズ4、ナンバーズ3、ビンゴ5、着せかえクーちゃん、クイックワンについては、PGSI8点以上の者が、PGSI8点未満の者と比較して、統計的に有意に過去1年間にギャンブルを経験した者の割合が高かった。
    7. ギャンブル等依存症対策の認知度
      • ギャンブル等依存症対策に関して、PGSI8点以上の回答者の「知っている」との回答は、「パチンコ・パチスロの入店制限」は29.6%、「競馬・競輪・競艇・オートレースの入場制限」は16.3%、「競馬・競輪・競艇・オートレースのネット投票停止」は12.6%、「競馬・競輪・競艇・オートレースのネット投票の購入上限設定」は16.3%、「金融機関からの貸付制限」が19.3%であった。
  • 「依存の問題で相談機関を利用された方へのアンケート」:調査(B)主要な結果
    • 有効回答の内訳
      • 当事者:288名(男性251名 女性32名 性別未回答5名)
      • 家族:382名(男性73名 女性302名 性別未回答7名)【図表7】
      • 当事者の平均年齢:男性43.9歳(標準偏差11.8歳) 女性42.7歳(標準偏差16.5歳)
      • 家族の平均年齢:男性61.2歳(標準偏差11.7歳) 女性52.9歳(標準偏差12.1歳)
    • 主要な結果
      • 相談の原因となった依存の種類
        • 当事者の相談の原因となった依存の種類※はギャンブルの問題(64.9%)、アルコールの問題(17.0%)の順で多く、家族の相談の原因となった当事者の依存の種類では、ギャンブルの問題(58.1%)、アルコールの問題(25.1%)の順で多かった。※相談の原因となった依存の種類については、当事者票、家族票ともに複数回答の項目として設定。割合(%)は有効回答数を母数として算出。
      • 当事者のギャンブル行動の特徴
        • 当事者の問題となっているギャンブルの種類(当事者回答)は、パチスロ、パチンコ、競馬の順で多かった。なお、オンラインカジノについては、7.5%が「当事者の問題となっているギャンブルの種類」として回答している。
        • ギャンブルの問題に気付いてから初めて病院や相談機関を利用するまでの期間は、平均2.9年であり、1年未満で相談に来たと回答した人が最も多かった(56.1%)。
      • 家族が回答した当事者のギャンブル問題行動
        • 家族が回答した「当事者にとって問題となっているギャンブルの種類」は、パチンコ、パチスロ、競馬の順で多かった。なお、オンラインカジノについては、11.7%が家族が「当事者の問題となっているギャンブルの種類」として回答している。
        • 当事者のギャンブル問題に気付いてから、初めて病院や相談機関を利用するまでの期間は平均3.5年であり,1年未満で相談に来たと回答した人が最も多かった(52.4%)。
  • 全体のまとめと考察
    • 国民の娯楽と健康に関するアンケート:調査(A)
      • 本調査で用いたスクリーニングテストであるPGSIは、簡便にギャンブル問題を検出できるため、一般住民を対象とした疫学調査において世界的に用いられている。SOGSは、PGSIと同様にギャンブル障害に関する国内外の疫学調査で数多く採用されてきたが、近年の調査では使用されない傾向にある。SOGSはPGSIに比べて、借金について尋ねる質問が多く全体項目数が多いこと、偽陽性(SOGSは偽陽性が多いことから、PGSIによる割合よりもSOGSによるギャンブル等疑いの者の割合の方が高く出る傾向がある。)が多いなどの欠点が指摘されている。今回は全体の質問項目数も多く、調査対象者の負担軽減のため、SOGSをスクリーニングテストの項目として採用しなかった。※SOGSとPGSIでは、ギャンブル等依存の疑いの判定にかかる尺度が異なっており、その数字を単純に比較することはできない点に留意が必要。
      • なお、本調査で用いたスクリーニングテストであるPGSIによる、ギャンブル等依存が疑われる者の推計は、あくまでも問題を有する可能性がある者を検出するものである。スクリーニングテストで検出された者が、実際にギャンブル障害の診断基準に該当するかどうかについては医師の診察および診断が必要である。したがって、スクリーニングテストによる数値の解釈は慎重に行うことが望ましい。
      • PGSI8点以上でギャンブル等依存が疑われるのは、男性の2.8%(95%信頼区間:2.3~3.3%)、女性の0.5%(95%信頼区間:0.3~0.7%)、全体の1.7%(95%信頼区間:1.4~1.9%)であった。なお、令和2年度「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」報告書(34ページ)におけるギャンブル等依存が疑われる者の割合は1.6%(95%信頼区間:1.4~1.9%)であり、95%信頼区間は同値となっている。そのため、令和2年度時点における推計値と、令和5年度の推計値との間に統計的に有意な差(統計的に意味のある違い)があるとは認められない。
      • ギャンブル等依存が疑われる者のギャンブル行動として、過去1年に最もお金を使ったギャンブルの種類は全体(男女合計)で、パチンコ(46.5%)、パチスロ(23.3%)、競馬(9.3%)の順で多かった。
      • 年代ごとの「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合については40代が最も多く、次いで30代が多かった。
      • 公営競技などでは、全体としてインターネットを使用している割合が高いことが窺えた。
      • ロト7・ロト6、ミニロト、ナンバーズ4・ナンバーズ3、ビンゴ5、着せかえクーちゃん、クイックワンの経験者(過去1年間)の割合は、PGSI8点以上の者の方がPGSI8点未満の者の割合よりも統計的に有意に高く、これらの宝くじは、ギャンブル等依存症が疑われる者に比較的好まれやすいことが推測される。一方で、ジャンボ宝くじ、普通くじ、スクラッチでは、両者間に統計的に有意な差は確認されなかった。また、「選択可能性」(購入時に任意の番号等を選択する形態)、「結果の即時性」、「オンライン購入」のうち、最低2つが該当する宝くじは、すべてPGSI8点以上の者と、8点未満の者とで経験人数の割合に統計的に有意な差があったことから、一部の宝くじとギャンブル問題との間に一定の関連があることが考察される。
    • 依存の問題で相談機関を利用された方へのアンケート:調査(B)
      • 公的な相談機関を利用したギャンブル等依存の問題を抱えている当事者およびその家族が、ギャンブル問題に気が付いてから初めて病院や相談機関を利用するまでの期間は、それぞれ平均2.9年、3.5年であった。

厚生労働省 全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました~答申での全国加重平均額は昨年度から51円引上げの1,055円~
  • 厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和6年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は別紙のとおりです。
▼ (別紙)令和6年度地域別最低賃金額答申状況
  • これは、7月25日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を取りまとめたものです。
  • 答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定です。
  • 令和6年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント
    • 47都道府県で、50円~84円の引上げ(引上げ額が84円は1県、59円は2県、58円は1県、57円は1県、56円は3県、55円は7県、54円は3県、53円は1県、52円は2県、51円は6県、50円は20都道府県)
    • 改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)
    • 全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
    • 最高額(1,163円)に対する最低額(951円)の比率は、81.8%(昨年度は80.2%。なお、この比率は10年連続の改善)

厚生労働省 9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です~関係府省庁等と連携し、さまざまな取組を実施します~
  • 厚生労働省は、毎年9月10日から9月16日の「自殺予防週間」において、自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。このたび、関係府省庁、自治体、関係団体における、令和6年度の取組をまとめましたので公表します。昨年の自殺者数は前年を下回りましたが、小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続き、昨年の小中高生の自殺者数は513人となり、過去最多であった令和4年(514人)と、同水準であり深刻な状況が続いています。
  • 自殺予防週間では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充や、主にこども・若者に向けて、ポスターや動画による相談の呼びかけなど集中的な啓発活動を実施します。
  • また今年も、自殺予防週間に先立ち、こども・若者の自殺防止に向けた取組を強化するため、こども家庭庁、文部科学省、内閣府孤独・孤立対策推進室と連携し、8月1日からこども・若者に向けた集中的な啓発活動を実施しています。
  • 引き続き、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、自殺対策を推進していきます。
  • また、自殺に関する報道は、その報じ方によっては自殺を誘発する可能性があるため、各メディアの皆様は、WHOの『自殺報道ガイドライン』に沿った慎重な報道を行っていただくよう、自殺対策へのご協力をお願いします。
▼ 9月10日から9月16日は「自殺予防週間」です
▼ 各自治体における令和6年度自殺予防週間の主な取組
▼ 令和6年度の広報の取り組みについて(自殺対策)

厚生労働省 令和5年 雇用動向調査結果の概要
▼ 概況全体版
  • 入職と離職の推移
    • 令和5年1年間の入職者数は8,501.2千人、離職者数は7,981.0千人で、入職者が離職者を520.2千人上回っている。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数4,497.3千人、離職者数4,517.6千人で、離職者が入職者を20.3千人上回っている。パートタイム労働者は、入職者数4,003.9千人、離職者数3,463.5千人で、入職者が離職者を540.4千人上回っている。
    • 年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は16.4%、離職率は15.4%で、1.0ポイントの入職超過となった。
    • 前年と比べると、入職率が1.2ポイント、離職率が0.4ポイント上昇し、入職超過率は0.8ポイント拡大した。
    • 性別にみると、男性の入職率が14.3%、離職率が13.8%、女性の入職率が18.8%、離職率が17.3%でそれぞれ入職超過となっている。
    • 就業形態別にみると、一般労働者の入職率が12.1%、離職率が12.1%で同率、パートタイム労働者の入職率が27.5%、離職率が23.8%で入職超過となっている。
    • 前年と比べると、男女とも一般労働者及びパートタイム労働者で入職率、離職率ともに上昇した。
    • 令和5年1年間の入職者数と離職者数を就業形態、雇用形態別にみると、入職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が3,286.5千人、「雇用期間の定めあり」が1,210.9千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が1,636.6千人、「雇用期間の定めあり」が2,367.3千人となっている。離職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が3,441.9千人、「雇用期間の定めあり」が1,075.7千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が1,120.2千人、「雇用期間の定めあり」が2,343.2千人となっている。
    • 前年と比べると一般労働者は、「雇用期間の定めなし」の入職者数、離職者数、「雇用期間の定めあり」の入職者数が増加した。パートタイム労働者は「雇用期間の定めなし」の離職者数、「雇用期間の定めあり」の入職者数、離職者数が増加した。
    • 令和5年1年間の入職者数、入職率を職歴別にみると、転職入職者数は5,409.9千人で、転職入職率が10.4%、未就業入職者数は3,091.3千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は1,509.8千人で、未就業入職率が6.0%となっている。
    • 前年と比べると、転職入職率は0.7ポイント、未就業入職率は0.5ポイント上昇した。
    • 性別にみると、男性は転職入職者数が2,613.9千人、未就業入職者数が1,332.7千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は715.6千人で、転職入職率は9.4%と0.7ポイント上昇し、未就業入職率は4.8%と0.3ポイント上昇した。女性は転職入職者数が2,796.0千人、未就業入職者数が1,758.6千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は794.2千人で、転職入職率は11.6%と0.8ポイント、未就業入職率は7.3%と0.6ポイント上昇した。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職者数が3,178.4千人、未就業入職者数が1,318.9千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は954.2千人で、転職入職率は8.5%、未就業入職率は3.5%となっている。パートタイム労働者は転職入職者数が2,231.5千人、未就業入職者数が1,772.4千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は555.6千人で、転職入職率は15.3%、未就業入職率は12.2%となっている。
  • 産業別の入職と離職
    • 令和5年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が1,739.0千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が1,425.4千人、「医療,福祉」が1,266.5千人の順となっている。
    • 離職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が1,422.7千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」1,354.6千人、「医療,福祉」が1,157.1千人の順となっている。
    • 入職率と離職率を就業形態別にみると、一般労働者では、入職率は「サービス業(他に分類されないもの)」19.9%、「宿泊業,飲食サービス業」19.8%の順に高く、離職率は「生活関連サービス業,娯楽業」20.8%、「サービス業(他に分類されないもの)」19.3%の順に高くなっている。パートタイム労働者では、入職率は「生活関連サービス業,娯楽業」49.2%、「宿泊業,飲食サービス業」40.5%の順に高く、離職率は「生活関連サービス業,娯楽業」36.9%、「サービス業(他に分類されないもの)」32.7%の順に高くなっている。
  • 転職入職者の状況
    • 令和5年1年間の転職入職率を性、年齢階級別にみると、「60~64歳」以上の階級で男性が高くなっているが、「55~59歳」以下の階級では女性が男性より高くなっている。
    • また、転職入職率を就業形態別にみると、男性、女性ともに「20~24歳」以下を除く階級で一般労働者よりパートタイム労働者の方が高くなっている。
    • 令和5年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の個人的理由」17.3%、「その他の理由(出向等を含む)」14.0%を除くと「定年・契約期間の満了」16.9%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%となっている。女性は「その他の個人的理由」25.1%を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%となっている。
    • 前年と比べると、上昇幅が最も大きいのは、男性は「仕事の内容に興味を持てなかった」2.9ポイントで、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」2.6ポイントとなっている。
    • 令和5年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は37.2%、「減少」した割合は32.4%、「変わらない」の割合は28.8%となっている。「増加」のうち「1割以上の増加」は25.6%、「減少」のうち「1割以上の減少」は23.4%となっている。
    • 前年と比べると、「増加」した割合は2.3ポイント上昇し、「1割以上の増加」の割合は1.1ポイント上昇した。「減少」した割合は1.5ポイント低下し、「1割以上の減少」の割合は1.8ポイント低下した。
    • 前職の賃金に比べ「増加」した割合と「減少」した割合の差をみると、「増加」が「減少」を4.8ポイント上回っている。また、雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では12.3ポイント、パートタイム労働者間の移動では9.0ポイント、それぞれ「増加」が「減少」を上回った。
  • 離職理由別離職率の推移
    • 令和5年1年間の離職率を離職理由別にみると、「個人的理由」(「結婚」「出産・育児」「介護・看護」及び「その他の個人的理由」の合計)によるものは11.4%で、前年と比べると0.4ポイント上昇、「事業所側の理由」(「経営上の都合」「出向」及び「出向元への復帰」の合計)によるものは0.9%で、前年と比べると0.2ポイント低下した。
    • 性別にみると、「個人的理由」によるものは、男性は9.4%、女性は13.7%で、前年と比べると男性は0.5ポイント、女性は0.3ポイント上昇し、「事業所側の理由」によるものは、男性は1.2%、女性は0.6%で、前年と比べると男性、女性ともに0.2ポイント低下した。

厚生労働省 「令和6年版厚生労働白書」を公表します~第1部のテーマは「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」~
▼ 概要版
  • 第1部「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」
    • WHO(世界保健機関)によると、「こころの健康」は、「人生のストレスに対処しながら、自らの能力を発揮し、よく学び、よく働き、コミュニティにも貢献できるような、精神的に満たされた状態」とされており、すべての人の健康とウェルビーイングに不可欠な要素であり、精神障害の有無にかかわりないものであるとされている。
    • 第1部では、「こころの健康」を取り巻く環境とその現状や、現在の取組みを紹介するとともに、こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会づくりの方向性について考察する。
    • 「こころの不調」:精神障害や社会的障壁(※)により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態を指し、重大な苦痛、機能障害、自傷行為のリスクを伴う精神状態を含む。 (※)社会的障壁:精神障害のある人にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの。
    • こころの不調を抱える人の事情は個々に異なっており、その人を取り巻く状況も多様であることに留意しつつ、環境由来の心理的負荷(ストレス)が精神障害の発病に関係するとの考え方を参考に、様々なストレス要因に着目。
    • 現代社会のストレス要因の多様性を、ライフステージごとのライフイベント、日常生活で経験しうる出来事、様々なこころの健康リスク、社会的障壁の観点から考察。
  • 精神障害による労災請求件数の増加
    • 令和4年度の支給決定(認定)件数は710件で過去最多最多。
    • 令和5年の自殺者数は21,837人
    • 令和5年の小中高生の自殺者数は513人(過去2番目)
  • 第2章 こころの健康に関する取組みの現状
    • 誰もが経験しうるライフイベントや関連する出来事がこころの不調につながらないようにするために行われている取組みや、現代社会に特徴的な側面や社会的障壁に対する取組み、共生社会の実現に向けた取組みを紹介。
  • 共生社会の構築
    • こころの不調を抱える人を含むすべての人が、地域や職場で生きがい・役割を持ち、安心して暮らすことができる社会の構築が不可欠。
  • 第3章 こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に
    • こころの健康と向き合う視点が、ライフステージの全般を通じて重要であることを確認。
    • 各ステージにおけるこころの不調を抱える人に関する取組みに共通する理念として「当事者の意思の尊重と参加」を提示。
    • 地域や職場におけるこころの健康づくり、社会の意識変容、こころの健康と向き合う一人ひとりの取組みについて方向性を示し、最後に「隣人のこころの健康にも留意する」「自己決定の幅を広げる」ことの必要性に言及。
  • こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会への方向性
    • 当事者の意思の尊重と参加
      • こころの不調を抱える当事者を含め、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、相互に助け合う一員として地域に参加することの実現を目指す。
      • 当事者の参加が、ピアサポートや地域の理解促進、スティグマ(差別や偏見)の解消に向けた取組み等において重要な役割を果たす可能性。
    • 地域や職場におけるこころの健康づくり
      • 市町村等の精神保健支援体制の整備 改正精神保健福祉法の施行による多様なニーズへの支援体制の整備、対象拡大
      • 精神医療提供体制の整備 外来機能の強化、オンライン精神療法の適正かつ幅広い活用、長期入院者の地域移行 等
      • 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 計画的な地域の基盤整備、協議の場を通じた関係機関・関係者との重層的な連携
      • 孤独・孤立対策の推進 官民連携プラットフォームの設置の推進による対象者の早期把握
      • 職場のメンタルヘルス対策と両立支援 「健康経営」など経営戦略への浸透、中小事業場への支援 等
    • 社会の意識変容
      • 心のサポーター養成 令和6年度からの10年間で100万人のサポーター養成
      • 若い世代の新たな人生観の実現 家事や育児の協働意識が根づきつつある若い世代の人生観を実現できる社会へ
    • こころの健康と向き合う一人ひとりの取組み
      • 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 睡眠ガイド2023の活用による睡眠の質の向上支援
      • 認知行動療法 認知行動療法の手法による日常的なストレス対処、セルフケアのすすめ
      • 身近な相談窓口の利用 若者向けサイト「こころもメンテしよう」や地域の身近な相談窓口の把握と利用
  • 具体的な取組み事例
    • 若年者のこころの不調の相談窓口(あだち若者サポートテラスSODA)
      • 交通アクセスが良く、大学のキャンパスも多い北千住に相談窓口を開設。
      • どのような困りごとでもワンストップで受け止め、必要に応じて医療機関や専門機関へ橋渡しを行う。
    • 依存症の問題を抱えた方の回復と成長を支援(NPO法人ジャパンマック福岡)
      • 本人、その家族、職員が一体となって依存症から本質的に回復することを目指す。
      • 県や市、関係行政機関などとも連携。研修会の開催や講師の派遣により、関係機関や地域における依存症に対する正しい知識の普及に寄与。
    • 多面的なサポートで障害者の就労移行を支援(LITALICOワークス赤羽)
      • 利用者の暮らしから整えることが大切との考えから、主治医や地域の福祉機関とも連携。
      • 入社前に、独自の「職場での合理的配慮ガイドブック」を用いて、利用者の就職後に起こりうる困りごとを整理。
    • 薬物依存症者への回復支援(認定特定非営利活動法人京都ダルク)
      • 「孤立感」を払拭するため、人間関係を構築する練習をしてもらうことを狙いとしたプログラムを実践し、薬物依存症からの回復を目指す。
      • 地元のお祭りなどの催しに参加し、積極的に地域住民と交流。
    • 社員への細かい目配りで健康な職場づくり(株式会社アキツ)
      • 毎月1回、安全衛生統括責任者が講師となり、労働安全衛生に関する講習会を実施。
      • 人間ドックを受診したい35歳以上の社員には1回10万円まで費用を助成。
    • テレワーク勤務者へのメンタルヘルス対策(株式会社ジョイゾー)
      • テレワーク下で見えてきた課題に対し、バーチャルオフィスの導入や定例ミーティングとは別の個別面談を実施するなどして対応。
      • サテライトオフィスを利用して、社員研修を兼ねたワーケーションを実施。
  • こころの健康
    • 2020(令和2)年の精神疾患を有する外来患者数は、約586万人。
    • 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムは、地域における制度・分野の枠や、「支える側」と「支えられる側」という従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる包摂的なコミュニティや地域社会であり、地域共生社会の実現に向かう上では欠かせない仕組みである。
    • 心身の健康に対するリスクについて、身体の健康と比較して、こころの健康に対するリスクが重視されつつある。
      • ※「総合的な健康状態にとって最もリスクとなること」について「精神病を引き起こすようなストレス」を選んだ人の割合5.0%(2004年調査)→11.0%(2014年調査)→15.6%(2024年調査)>>過去20年間で3倍増
    • こころの健康によい影響を与えている人では、「同居の家族」が最も多い。
    • こころの不調は、身体の病気(がん)と比較して、家族・学校・職場への相談をためらうだろうと考えられている。
    • こころの不調は、若い世代のほうが身近に感じている人の割合が高い。
  • 令和6年能登半島地震への厚生労働省の対応
    • 半島という地理的特性や高齢化率が高い地域における地震であり、道路等のインフラに甚大な被害が生じ、アクセスが困難となったほか、水道・電気等のライフラインに甚大な被害が生じ、被災者の命や健康を守るための取組みの重要性が高まった。このため、発災初期から中期(発災後3か月程度)にかけて、主に以下の対応を行った。
      • 災害関連死を防止するため、要配慮者を中心に、環境の整った2次避難先(ホテル・旅館等)への2次避難の取組みが行われ、医療チームによる移送支援や2次避難先の環境整備(人的・物的支援)を実施した。
      • 被災自治体及び避難所や自宅等で過ごす被災者を支援するため、全国から、DMATやDHEAT等の支援チームを派遣し、保健・医療・福祉活動を実施したほか、モバイルファーマシーを活用した医薬品供給を実施した。

【国土交通省】

【2024年11月】

国土交通省 空港内における不発弾に関する当面の対応について
  • 10月2日に宮崎空港で発生した不発弾爆発事案を踏まえ、国管理空港においては、宮崎空港に加えて、これまでに不発弾が発見されている仙台空港、松山空港、福岡空港、那覇空港について、磁気探査を順次実施することと致しました。
  • また、地方管理空港等については、各空港管理者の相談に応じるため、相談窓口を設置して対応致します。
    • 10月2日に宮崎空港の誘導路ショルダーにおいて、不発弾が爆発する事案が発生致しました。
    • これを踏まえ国土交通省では、宮崎空港において磁気探査に着手したところですが、国管理空港においてこれまでに不発弾が発見されている仙台空港、松山空港、福岡空港、那覇空港について、緊急性を鑑みて順次磁気探査を実施することとし、実施に向けて調整を進めてまいります。
    • また、地方管理空港等においても、各空港の状況を確認し、適切に対応頂く必要があることから、各空港管理者に国土交通省の対応について情報提供するとともに、航空局に相談窓口を設置し、各空港管理者の相談に応じてまいります。

国土交通省 重量超過等違反車両の『首都圏大規模同時合同取締』を実施しました~違反車両28台に対し行政指導等を実施~
  • 昨日、国土交通省、警察、高速道路株式会社等は、首都圏に流入・通過する重量超過等違反車両を一斉に取り締まる合同取締を1都8県、21箇所で実施し、計測車両68台のうち、道路法違反車両27台等に対し、指導警告等を行いました。
  • 重量超過等の悪質な違反は、深刻な事故の原因となるとともに、道路を劣化させる原因となるため、引き続き違反車両の抑止を図り、大型車両の通行適正化を推進してまいります。
  • 実施日
    • 令和6年11月7日(木)9:30~
  • 場所
    • 首都圏21箇所(詳細は別紙のとおり)
  • 取締結果
    • 道路法違反
      • 引込台数 68台 うち違反台数 27台
      • 指導内容 指導警告 19台 措置命令 8台
        • ※指導警告:違反の程度が軽微であり、措置を講ずるまでの必要がないと認められる場合に行う注意喚起
        • ※措置命令:積載物の軽減措置や違反車両に高速道路外への退出措置等を命ずるもの
      • 【措置命令を行った違反の具体例】
        • 車両総重量42.9t(制限値30tを12.9t超過)の車両に対し、道路管理者から違反者に措置命令書を発出し、減載場所まで移動し、当該車両の諸元を車両制限令に規定する制限値以下にすることを命令
  • 道路運送車両法違反
    • 整備命令 引込台数45台のうち1台(トラクタ・トレーラ別計上)

国土交通省 日本貨物鉄道株式会社に対する保安監査の結果の公表および不利益処分に係る通知について
  • 令和6年7月24日に新山口駅構内で発生した日本貨物鉄道株式会社(以下JR貨物)の列車が脱線する事故が発生し、当該事故の調査過程で、JR貨物による作業記録の書き換え等の不適切事案が判明しました。
  • これらの報告された事実を受け、令和6年9月11日から、鉄道事業法第56条に基づく保安監査を実施しました。
  • その結果を、別紙「JR貨物の安全確保のために講ずべき措置」として公表します。
  • また、以下のとおり、JR貨物に対する行政手続法に基づく不利益処分に係る通知を行いました。
  • 鉄道事業法第23条第1項の命令
    • 通知事項:弁明の機会の付与
    • 弁明の期限:令和6年11月6日(水)
▼ 別紙
  1. 輪軸の圧入作業に関する不適切事案に関する経緯
    • 令和6年7月24日、新山口駅構内において、JR貨物の列車が脱線する事故が発生した。当該事故の調査過程で、JR貨物による作業記録の書き換え等の不適切事案が判明した。こうした作業記録の書き換えについては、輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、到底容認できるものではないことから、国土交通省において鉄道事業法に基づく保安監査を実施したところ、「2.確認された事実関係」に示す事実が明らかとなった。
  2. 確認された事実関係
    1. 規程類に関する実態
      • 圧入力値に関する規定や、規定された数値を逸脱した場合の取扱等についての規程類がなく、職場内で口頭で引き継がれている事業所があった。
      • 規程類がある事業所のものは、本社が関与した体系的なものではなく、それぞれの事業所等が独自に定めていた。
    2. 現場における圧入作業の実態
      • 圧入作業の内容は、職場内で口頭で漫然と踏襲されていた、又は、規程類に規定されている車輪の圧入力値を逸脱して輪軸を使用していた。
      • 規定等から逸脱した輪軸をそのまま使用する運用が、長く職場内で口頭で漫然と踏襲されていた。
      • 工程、コスト、手間を惜しむ観点から、規程に定められた再圧入等の作業を怠った。
    3. 係員の知識と教育の実態
      • 圧入力値の下限を下回ると問題であるが、上限を上回っても問題はないと認識していた。
      • 輪軸組立作業の知識に関する教育が体系的に行われていなかった。
      • 規定等を逸脱して使用した場合の安全上の問題について正しく理解していなかった。
    4. 作業記録の書き換えの実態
      • 作業記録の書き換えが可能であり、実際に書き換えていた事業所があった。
      • 圧入力値が規定値を逸脱した場合、事業所の管理的立場にいる者からの再圧入の指示を避けるため、書き換えていた。
      • 車輪内面間距離を管理していることから、圧入力値の上限を超えても問題ないとの認識のもと、上限を超えて計測された数値を上限値に書き換えていた。
      • こうした認識や作業記録を書き換える運用は、職場内で口頭で漫然と踏襲されていた。
    5. 作業の管理の実態
      • 事業所の管理的立場にいる者が、輪軸の使用の可否に係る判断に必要な確認を行っていなかった。
      • 事業所の管理的立場にいる者は、輪軸組立作業に関わったことは無く、規程類に違反する作業や作業記録の書き換えに気づかなかった。
      • 以上の確認された事実関係は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令第10条第1項、第87条第4項に抵触する。
  3. JR貨物が講ずべき措置
    • 「2.確認された事実関係」を踏まえ、JR貨物が講ずべき措置を以下に記載する。
      1. 規程類の整備
        • 輪軸組立作業に関し、規程類を社内で体系的に整備すること
        • 規程類を適切に管理できる体制に改善すること
      2. 教育体制の改善
        • 輪軸組立作業に関し、体系的、計画的に教育を実施すること
        • コンプライアンスに関し、体系的、計画的に教育を実施すること
      3. 作業記録の書き換えの防止
        • 作業記録の書き換えが容易に行われない仕組みを確立すること
        • 作業記録の重要性を周知するとともに、圧入作業に関する作業記録の管理体制を改善すること
        • 内部監査等の仕組みを検証し、不適切な取扱が見過ごされない体制を整備すること
      4. 安全管理体制の点検と見直し
        • 同様の問題が他の作業や部門で無いか点検し、必要な見直しを行うこと
  4. 報告期限
    • 3.(1)~(4)について、措置を講じ、又は、措置を講ずるための計画を策定し、3.(1)~(3)については、令和7年1月31日までに、3.(4)については、令和7年3月31日までに報告すること

国土交通省 保安監査の結果に基づく改善指示等の発出について
  • 令和6年9月12日に発出した鉄道車両における輪軸の緊急点検の課程で、鉄道車両の輪軸組立時の作業記録の書き換えが判明したことから、令和6年9月19日以降、東京メトロ、メトロ車両、京王電鉄、京王重機整備、JR東日本、東急電鉄、総合車両製作所に対して鉄道事業法第56条に基づく保安監査を実施しました。
  • 監査で確認された改善すべき事項等を、事業者へ改善指示等として発出しましたので公表します。
  • また、全国の鉄軌道事業者に対しても、同内容について周知し、必要に応じて見直しを行うよう指導しております。
    • 保安監査に基づく改善指示
      • 対象事業者:東京メトロ、京王電鉄、東急電鉄
    • 保安監査に基づく指示
      • 対象事業者:JR東日本
    • 通達に基づく指導
      • 対象事業者:メトロ車両、京王重機整備、総合車両製作所
▼ 別紙
  1. 確認された事実関係
    1. 規程類に関する実態
      • 委託先との契約に圧入力値に関して規定された数値を逸脱した場合の取扱い等についての規定があったにも関わらず、委託先の規程類にそれらが反映されておらず、委託先において輪軸の圧入作業が適切に実施できる体制となっていなかった。
    2. 現場における圧入作業の実態
      • 委託先において、規定等から逸脱した輪軸をそのまま使用する運用が、長く職場内で口頭で漫然と踏襲されていた。
      • 委託先において、圧入力値の下限を下回ると問題であるが、上限を上回っても問題はないと認識していた。
    3. 係員の知識と教育の実態
      • 委託先において、輪軸組立作業の知識に関する教育が体系的に行われていなかった。
    4. 作業記録の書き換えの実態
      • 委託先において、作業記録の書き換えが可能であり実際に書き換えていた。
      • 委託先において、作業記録の書き換えは職場内で口頭で漫然と踏襲されていた。
    5. 作業の管理の実態
      • 管理的立場にいる者が、輪軸の使用の可否に係る判断に必要な確認を行っていなかった。
      • 以上の確認された事実関係は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令第87条第4項及び鉄道事業法第18条の3第2項に抵触する。
  2. 東京地下鉄株式会社が講ずべき措置
    • 「2.確認された事実関係」を踏まえ、東京地下鉄株式会社が講ずべき措置を以下に記載する。
      1. 規程類の整備
        • 委託先の規程類ひいては実作業にそれらが反映されるよう、適切に管理できる体制に改善すること。
      2. 教育体制の改善
        • 委託先の圧入作業に関する教育及び訓練の管理ができるよう改善すること。
      3. 作業記録の書き換えの防止
        • 委託先との協議のもと、作業記録の書き換えが容易に行われない仕組みを確立するとともに、貴社において必要な確認を行うこと。
        • 委託先における内部監査等の仕組みを検証し、不適切な取扱いが見過ごされない体制を整備すること。
      4. 安全管理体制の点検と見直し
        • 同様の問題が他の作業や部門で無いか点検し、必要な見直しを行うこと。
  3. 報告期限
    • 2.1~4について、措置を講じ、又は、措置を講ずるための計画を策定し、2.1~3については、令和7年1月31日までに、2.4については、令和7年3月31日までに報告すること

国土交通省 令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会 中間とりまとめについて
▼ 中間とりまとめ
  • 構造躯体等の耐震安全性の確保
    • 木造建築物
      • 旧耐震基準の木造建築物については、平成28年(2016年)熊本地震など過去の震災と同様に新耐震基準導入以降の木造建築物と比較して顕著に高い倒壊率であった。必要壁量が強化された新耐震基準は、旧耐震基準と比較して、今回の地震に対する倒壊・崩壊の防止に有効であったと認められる。
      • 新耐震基準導入以降の木造建築物では、接合部の仕様等が明確化された2000年以降の倒壊率が低く、現行規定は、今回の地震に対する倒壊・崩壊の防止に有効であったと認められる。
      • 能登半島における住宅の耐震化率は、各市町の耐震改修促進計画によると、輪島市で45%(令和元年)、穴水町で48%(令和元年)、珠洲市で51%(平成30年度)となっており、国土交通省推計の平成30年度の全国の住宅の耐震化率(87%)に比べても低く、耐震化が進んでいないことが木造建築物の被害の拡大につながったものと考えられる。
      • 対策の方向性
        • 旧耐震基準の建築物について、耐震化の一層の促進を図る。
        • 国土交通省は、2024年8月に、「木造住宅の安全確保方策マニュアル」を公表し、この中で、高齢者世帯が多く住宅の耐震化率が低い地域等における住宅の耐震化を一層推進するとともに、資力不足等で本格的な耐震改修等を行うことが困難な場合についても暫定的・緊急的な安全確保方策が講じられるよう取組を推進するための方策をとりまとめている。このマニュアルを地方公共団体や関係事業者等へ広く周知することなどにより、木造住宅の安全確保の推進を図る。
        • 新耐震基準の木造建築物について、2000年に明確化された仕様等に適合しないものがあることに留意し、新耐震基準導入以降の木造住宅を対象とした効率的な耐震診断方法の周知普及を図る
    • 鉄筋コンクリート造等建築物・鉄骨造建築物
      • 鉄骨造建築物
        • 旧耐震基準の鉄骨造建築物については、過去の震災と同様に倒壊、崩壊の被害が見られた。
      • 鉄筋コンクリート造等建築物
        • 旧耐震基準の鉄筋コンクリート造等建築物については、過去の震災で確認された被害と同様に柱のせん断破壊や柱はり接合部の破壊などの構造部材の被害や、方立壁の破壊などが確認された。
        • 杭の損傷や移動等に起因すると思われる鉄筋コンクリート造等建築物の転倒及び傾斜被害が確認された。転倒被害の要因については、これまで得られている情報では、地震時の杭の損傷や移動等による支持力の低下が関係していることが推定されるが、大きな沈下を生じた杭の上部には転倒し10た建築物が覆い被さっている状況であり、周辺地盤を含めた杭の損傷状況などは現時点で明らかになっていない。
        • このため、周辺地盤を含む杭の状態について、解体工事の進捗と並行し、主として以下の検討に取り組む必要がある。
          • 地盤中に埋まっている当該建築物の損傷状況の調査
          • 損傷状況を踏まえた転倒メカニズムの検討
          • 転倒メカニズムに対する現行の建築基準の妥当性の検証
          • 現行の建築基準の妥当性の検証を踏まえた再発防止の方向性の検討
        • このほか、傾斜角が1/75radを超える大破の被害となった建築物や上部構造が耐震補強された建築物において杭の損傷が確認されている。上記の転倒した建築物に加え、傾斜した建築物の被害要20因の分析及び検証が必要であることに加え、類似の基礎構造を有する鉄筋コンクリート造等建築物が傾斜していない事例を分析することで、転倒や傾斜の被害を抑える対策についての検討が必要である。
        • 対策の方向性
          • 旧耐震基準の建築物について、耐震化の一層の促進を図る。なお、杭基礎である鉄筋コンクリート造等建築物の転倒及び傾斜被害の対策については、今後の調査及び原因分析を踏まえて検討する。
    • 地震地域係数と建築物被害
      • 建築物の構造計算を行う場合に設計に用いる地震力を算出するための係数である地震地域係数については、各地域における過去の地震記録に基づき、発生した地震の大きさや頻度等を踏まえて、地域ごとに0.7~1.0の数値を定めている。
      • 一方、近年の地震では地震地域係数の低い地域においても、過去に建築物の大規模被害が発生した地震動に匹敵するような大きさの地震動が頻発している。
      • 今回地震が発生した能登北部は地震地域係数が0.9である。今回の地震に加え、2007年及び2023年の地震ではいずれも甚大な被害が生じたが、新耐震基準導入以降に地震地域係数を用いた構造計算を行い建築されたと考えられる建築物について、地震地域係数を要因とする倒壊等の被害は確認されていない。
      • 対策の方向性
        • 地震地域係数が1.0未満の地域において大きな地震動が頻発している状況や、当該地域における地震動による建築物の被害の状況の検証、最低限の基準を定める建築基準法の趣旨等を踏まえながら、地震地域係数を用いた基準のあり方について検討を行う。
  • 建築物の使用継続性、復旧復興容易性等
    • 大地震を経験した低層木造建築物等(新耐震建築物)
      • 建築基準法においては、大地震においては損傷を許容しているところ、地震で大きな揺れのあった地域に存する木造住宅は損傷により構造耐力が低下している可能性がある。住まいの復旧を図る上では、地震後に住み続けられるか否かの判断、構造的な被害程度の確認及び復旧方法の検討が必10要であり、(一財)日本建築防災協会の被災度区分判定の活用を促進することが望ましい。
      • 免震構造の建築物について、構造体の損傷の防止とともに、大地震時における機能継続を図る上での免震構造の有効性が確認された。
      • 対策の方向性
        • 被災度区分判定をもとに国土交通省が2024年7月に公表したパンフレット「木造住宅の地震後の安全チェック」の周知を図る。また、居住者からの相談を受ける専門家向けに被災度区分判定の普及を図る。
        • 大地震時に機能継続が必要な防災拠点等について、機能継続が可能な性能の確保に向けて、免震構造を含む適切な構造の採用などを促す観点から、平成30年に国土交通省が策定した「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン」の活用を促す。
    • 天井・内外装壁
      • 天井の全面的な脱落は確認されなかったが、特定天井を含めて、天井板の落下や鋼製下地材の外れ等が確認された。
      • その他、これまでの地震でも見られているような内壁や外壁等の落下やガラスの被害が見られた。
      • 対策の方向性
        • 特定天井に該当する既存の天井について、耐震診断および耐震改修の一層の促進を図る。
        • 内壁や外壁等の被害防止のため、引き続き、既存建築物の非構造部材の耐震診断指針等について周知する。
    • 耐震改修の効果・影響等
      • 今回調査対象となった耐震改修を実施した木造建築物、鉄筋コンクリート造等建築物及び鉄筋コンクリート造架構で屋根が鉄骨造の建築物においては倒壊・崩壊の被害は確認されず、耐震改修の有効性が確認された。
    • 液状化被害
      • 液状化に関しては、住まいの復旧を図る上での課題があるところ、新潟県においては1964年に発生した新潟地震でも液状化の被害が発生しており、本委員会においては、過去の地震における液状化被害の経験がどのように活かされたのかを検証すべきとの議論があった。
      • 今回の地震において液状化の被害が生じたと考えられる地域は、新潟地震で液状化の被害が生じた新潟県の市街地とは異なる一部の地域であり、過去の地震で液状化による被害が生じた地域において、その経験がどのように活かされたのかについての直接的な比較検証はできなかった。
      • 建築学会が実施した液状化による建築物被害の調査においては、敷地地盤の柱状改良により傾斜被害を免れた可能性のある事例があったこと、比較的築年数の浅いと考えられる建築物で傾斜の度合いや地盤変状による上部構造の変形が小さい傾向にあったことが示されている。今後、建築学会において、被害と建設年代との関係について分析予定である。その結果等を踏まえ、敷地地盤の柱状改良や基礎の構造が液状化による建築物被害の軽減にどのように影響したかについて可能な限り検証することが必要である。
  • 引き続き検討すべき課題
    • 本報告の第3章(被害状況・被害要因等の分析)において被害や現象が報告されているものの、必要な情報が十分に得られていないことなどにより要因分析に至っていないとされている以下の項目等については、引き続き情報収集や詳細な検討が必要である。
      • 1981年~2000年に建築された木造建築物の被害要因や被害が無かった建築物に関する要因分析
      • 住宅性能表示を活用した木造建築物の被害状況の分析
      • 耐震改修を実施した木造建築物の補強の程度と被害状況の関係の分析
      • 上部構造のみを耐震補強したことによる基礎地盤への影響分析
      • 悉皆調査において、過去の地震災害により建築物が除却・建替されたこと等による被害状況への影響(被害の減少等)の分析
      • 杭基礎である鉄筋コンクリート造等建築物の傾斜・転倒被害の原因分析
      • 地震被害と継続使用性の関係の調査、分析

国土交通省 上下水道施設の耐震化状況の緊急点検結果を公表します~国民の生命と暮らしを支える強靭で持続可能な上下水道システムの構築に向けて~
  • 能登半島地震の教訓を踏まえ、災害時においても上下水道システムの機能を維持するにあたって重要となる施設の耐震化状況について、緊急点検を実施しましたので、その結果を公表します。
  • 背景・目的
    • 上下水道は国民の生命や暮らしを支えるインフラであり、特に令和6年能登半島地震では、上下水道システムの「急所施設」(その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設)や避難所などの重要施設に接続する水道・下水道の管路等について、耐震化の重要性が改めて明らかになったところです。このため、これら施設の耐震化状況について緊急点検を行いました。
  • 緊急点検結果の概要(令和5年度末時点での全国の耐震化率)
    • 上下水道システムの急所施設
      • 水道システムの急所施設について、取水施設は約46%、導水管は約34%、浄水施設は約43%、送水管は約47%、配水池は約67%に留まっています。
      • 下水道システムの急所施設について、下水処理場は約48%、下水道管路は約72%、ポンプ場は約46%に留まっています。
    • 避難所などの重要施設に接続する水道・下水道の管路等
      • 避難所などの重要施設に接続する管路等について、水道管路は約39%、下水道管路は約51%、汚水ポンプ場は約44%に留まっています。
      • また、給水区域内かつ下水道処理区域内における重要施設のうち、接続する水道・下水道の管路等の両方が耐震化されている重要施設の割合は、約15%と低い結果でした。
  • 今後の取組について
    • 国土交通省としては、全ての水道事業者や下水道管理者等に対して、今般の緊急点検結果を踏まえた「上下水道耐震化計画」の策定を要請しており、計画に基づく取組状況のフォローアップなどを通じて、上下水道施設の耐震化を計画的・集中的に推進してまいります。
    • また、耐震化の推進とあわせて、上下水道事業の運営基盤強化や施設規模の適正化、効率的な耐震化技術の開発、災害時の代替性・多重性の確保などを推進し、強靭で持続可能な上下水道システムの構築を図ってまいります。

【2024年10月】

国土交通省 鉄軌道輸送の安全に関わる情報(令和5年度)
▼ 概要版
  • 運転事故
    • 概要
      • 運転事故(列車事故、踏切障害事故、道路障害事故、人身障害事故及び物損事故をいう)の件数は長期的に減少傾向にありますが、令和5年度は681件(対前年度97件増)、死傷者数は577人(同66人増)、うち死亡者数は294人(同19人増)でした。
      • 乗客の死亡事故は、ありませんでした。
    • 踏切事故
      • 踏切事故の件数は長期的に減少傾向にありますが、令和5年度は運転事故全体の37.9%に当たる258件(対前年度比63件増)でした。
      • 令和5年度に発生した踏切事故による死傷者数は165人(運転事故に占める割合28.6%、対前年度比28人増)であり、うち死亡者数は104人(同35.4%、同12人増)でした。
    • 人身障害事故
      • 令和5年度に発生した人身障害事故は運転事故全体の55.9%に当たる381件(対前年度比40件増)でした。
      • 令和5年度に発生した人身障害事故による死傷者数は387人(運転事故に占める割合67.1%、対前年度比37人増)、うち死亡者数は188人(同63.9%、同5人増)でした。
      • 令和5年度に発生した人身障害事故のうち、「ホームから転落して接触」及び「ホーム上で接触」した件数は150件(対前年度比30件増、25.0%増)でした。
  • 輸送障害
    • 輸送障害(列車の運休、旅客列車の30分以上の遅延等)の件数は、長期的に増加傾向にあり、令和5年度は7,088件(対前年度比159件増)でした。
    • 鉄道係員、車両又は鉄道施設等の部内原因に起因する輸送障害は、1,555件(輸送障害に占める割合21.9%、対前年度比22件増)でした。
    • 線路内立入り等の部外原因による輸送障害は、3,669件(輸送障害に占める割合51.8%、対前年度比42件増)でした。
    • 風水害、雪害、地震等の災害原因による輸送障害(災害原因による輸送障害は、従来より、1事業者の1つの事象(台風、地震等)における運休や遅延を1件と計上している。例えば、梅雨前線による豪雨で、ある事業者の複数の路線で多数の運休が数日間発生した場合でも1件と計上している)は、1,864件(輸送障害に占める割合26.3%、対前年度比95件増)でした。

国土交通省 ベビーカー利用に関するキャンペーンを実施しますーベビーカー利用者の方々へのご理解とご協力をー
  • 「子育てにやさしい移動に関する協議会」では、11月1日から1ヶ月間、公共交通機関等でベビーカーを利用しやすい環境作りに向けて、ベビーカー使用者及び周囲の方のお互いの理解を深めるため、「こども家庭庁」及び「総務省」とも取組を共有するなど連携して、キャンペーンを実施します。
  • 国土交通省では、平成26年3月に「ベビーカー利用にあたってのお願い」及び統一的な「ベビーカーマーク」などについてとりまとめ公表を行いました。
  • 以降、毎年5月に、ベビーカー使用者及び周囲の方のお互いの理解を深めるため、継続的な普及・啓発活動として、関係事業者等と連携して、キャンペーンを実施しており、令和6年度からはこども家庭庁が実施する「秋のこどもまんなか月間」と連携し、11月1日から1ヶ月間についても実施します。
  • また、キャンペーンを通じて、ベビーカーマークの認知度(※)の向上にも努めてまいります。(※)ベビーカーマーク認知度に関する調査(令和6年6月)においては、48.1%。

国土交通省 全日本空輸株式会社に対する厳重注意について
  • 本年9月7日、福島空港において、全日本空輸株式会社(以下、「同社」という。)の大阪基地から派遣された整備従事者が、ANA1698便(福島→大阪)の出発前に右主脚のタイヤ圧がタイヤの交換が必要な状況まで低下していたことを確認したにもかかわらず必要な整備措置を行わずに当該便を出発させた事案が発生しました。また、当該不適切整備事案について大阪基地が把握したにもかかわらず、社内への報告を行わなかった結果、10月8日に同社が組織的に把握するまでの間、要因分析や再発防止のために必要な措置が行われなかったことも確認されました。
  • 国土交通省航空局としては、10月10日に同社から本事案の報告を受け、同社に対し詳細な事実関係の確認を行うよう指示していましたが、今般、当該整備従事者が福島空港に予備タイヤの配備がなかったことから同社の業務規程及び整備規程に意図的に違反して不適切な整備を行っており、また、大阪基地から社内への報告が行われなかったことについては安全管理体制に不備があると考えられ同社の安全管理システムが十分に機能していないものと認められたことから、本日付けで同社に対して別添のとおり厳重注意を行い、再発防止策を検討の上、令和6年11月8日までに再発防止策を報告するよう指示しましたのでお知らせします。
  • 国土交通省航空局は、同社において再発防止が確実に図られ、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。

国土交通省 秋田県で統計開始以来最大の水害被害~令和5年の水害被害額(暫定値)を公表~
  • 国土交通省では、昭和36年より、水害(洪水、内水、高潮、津波、土石流、地すべり等)による被害額を暦年単位でとりまとめています。
  • 令和5年の水害被害額(暫定値※)は、全国で約6,800億円となり、平成26年~令和5年の過去10カ年でみると3番目の被害額となっています。
  • また、都道府県別では、秋田県において、統計開始以来最大の被害額となりました。
    • 水害被害額の算出に当たって使用する係数(都道府県別家屋1㎡当たり評価額等)の令和5年単価の設定や都道府県からの報告内容の更なる精査等を行い、令和7年7月頃に最終的な取りまとめ結果を公表する予定です。
  • 1年間の水害被害額の概要
    • 全国 約6,800億円
    • 都道府県別の水害被害額上位3県の水害被害額は、以下のとおり。
      • 秋田県 (水害被害額:約1,430億円)
      • 福岡県 (水害被害額:約640億円)
      • 静岡県 (水害被害額:約550億円)
  • 主要な水害による水害被害額の概要
    1. 令和5年7月の梅雨前線豪雨による災害(水害被害額:約1,590億円)
      • (令和5年7月11日~20日に生じた梅雨前線豪雨による被害額)
      • 都道府県別の水害被害額上位3県は、以下のとおり。
        • 秋田県 (約1,400億円)
        • 石川県 (約130億円)
        • 福井県 (約30億円)
      • 秋田県管理河川では6水系16河川が氾濫、国管理河川でも2水系2河川で無堤部での浸水被害が発生した。
      • 今回の大雨により、死者1名、約9,500棟の建物が被災するなどの被害が発生した。
      • また、秋田県及び新潟県で8件の土砂災害が発生した。
    2. 令和5年豪雨及び台風第2号による災害(水害被害額:約1,580億円)
      • (令和5年5月30日~6月5日に生じた豪雨及び台風2号による被害額)
      • 都道府県別の水害被害額上位3県は、以下のとおり。
        • 和歌山県 (約500億円)
        • 静岡県 (約390億円)
        • 埼玉県 (約210億円)
      • 国管理河川、都道府県管理河川あわせて44河川で氾濫が発生した。
      • 今回の大雨により、九州地方を中心に、死者6名、約9,600棟の建物が被災するなどの被害が発生。
      • また、18府県で328件(土石流等:26件、地すべり:9件、がけ崩れ:293件)の土砂災害が発生した。
    3. 令和5年6月末からの大雨による災害(水害被害額:約1,560億円)
      • (令和5年6月26日~7月13日に生じた梅雨前線等による被害額)
      • 都道府県別の水害被害額上位3県は、以下のとおり。
        • 福岡県 (約620億円)
        • 山口県 (約280億円)
        • 熊本県 (約200億円)
      • 国管理河川では6水系9河川、都道府県管理河川では38水系112河川あわせて118河川が氾濫した。
      • 今回の大雨により、福岡県、佐賀県などの都道府県で死者13名、4,400棟の建物が被災するなどの被害が発生。
      • また、22県で397件(土石流等:29件、地すべり:9件、がけ崩れ:359件)の土砂災害が発生した。

国土交通省 能登半島における9月20日からの大雨に係る災害査定を大幅に簡素化します~令和6年能登半島地震と9月20日からの大雨に係る災害査定の一体的運用~
  • 能登半島における9月20日からの大雨による災害は、令和6年能登半島地震からの復旧の最中に、同一地域で再び激甚災害が発生した極めて特殊な災害であり、地震により被災した施設の中には、大雨により、その被害が拡大したものも多数あることから、それぞれを個々の災害として捉えるのではなく複合的な災害と捉え、災害査定を一体的に実施していく必要があります。
  • このため、今回初めて、二つの災害に対して統一した災害査定の効率化内容を適用することとし、地方自治体に通知しましたので、お知らせします。
  • 設計図書の簡素化のほか、書面査定の対象及び現地で決定できる対象の拡大により、査定に要する時間や人員を大幅に縮減し、迅速な災害復旧を支援します。
  • 対象区域
    • 石川県
  • 災害査定の効率化
    1. 設計図書の簡素化
      • 既存地図や航空写真、代表断面図を活用することで、測量・作図作業等を縮減する。
      • 土砂崩落等により被災箇所へ近寄れない現場に対し、航空写真等を用いることで、調査に要する時間を縮減する。
    2. 書面による査定の上限額の引上げ
      • 書面による査定の上限額を通常の1,000万円未満から以下のとおり引き上げる。
      • 水管理・国土保全局所管施設※1のうち水道除く:1億4千万円以下※2
      • 水道:12億円以下
        • ※1 河川、海岸(港湾に係る海岸を除く。)、砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、道路、水道、下水道。
        • ※2 地震による道路の路面に係る災害については、上記引上額を超える場合であっても、机上査定とすることができる。
    3. 現地で決定できる災害復旧事業費の上限額の引上げ
      • 現地で決定できる災害復旧事業費の上限額を通常4億円未満から以下の金額に引き上げる。
      • 水管理・国土保全局所管施設※1のうち水道除く:25億円未満
      • 水道:12億円未満

国土交通省 誰もが安心して暮らせるための先導的な取組みを選定しました!~人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業選定結果(令和6年度第1回)~
  • 誰もが安心して健康に暮らせるための先導的な取組を行う事業者を支援する「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」について、6事業を選定しました。
  • 事業概要
    • 本事業は、高齢者、障害者、子育て世帯など誰もが安心して健康に暮らせる住環境の整備を促進するため、ライフステージに応じて変化する居住ニーズに対応したモデル的な取組を実施する民間事業者等を公募し、学識経験者からなる評価委員会を経て、先導性が認められたプロジェクトを支援するものです。
  • 選定事業
    • 大家、NPO、企業、行政が連携する空家を活用した弾力的な居住支援モデル 東京都豊島区 有限会社窪田屋商店
    • 横浜における母子ハウスの面的展開 神奈川県横浜市 YOROZUYA
    • 宿場町再生・拠点づくりプロジェクト 高齢者と障害者が共に働くレストラン建設 大分県竹田市 社会福祉法人博愛会
    • 在宅介護等の紙オムツごみ地域回収からはじまる多世代参加型地域コミュニティ形成事業 鳥取県米子市 株式会社LIXIL LWTJデザイン・新技術統括部 要素技術研究所
    • 居住者が相互扶助を育むシェアリビングを持つ住宅への再生 大阪府大阪市株式会社フジモト
    • 「多世代共生令和の長屋プロジェクト」~単身高齢者の安心を生む自宅再生・継承法~ 東京都日野市 株式会社こたつ生活介護
      • ※詳しくは、別紙及び住まい環境整備モデル事業評価事務局HPをご参照ください。
        http://100nen-sw.jp/

国土交通省 上下水道地震対策検討委員会 最終とりまとめを公表します~上下水道の地震対策を強化・加速化するため、関係者一丸となって取組を推進~
▼ 最終とりまとめ概要
  • 全国の水道基幹管路の耐震適合率は、令和4年度末時点で、42.3%にとどまっており、事業体間、地域間でも大きな差があることから、全体として底上げが必要な状況である。
  • 全国の水道基幹管路の耐震化率は、令和4年度末時点で、28%にとどまっており、事業体間、地域間でも大きな差があることから、全体として底上げが必要な状況である。
  • 全国の下水道の重要な幹線等における耐震化率は、令和4年度末時点で、約56%にとどまっており、事業体間、地域間でも大きな差があることから、全体として底上げが必要な状況である。
  • 国土地理院による「だいち2号」観測データの解析により、能登半島西部では約4m隆起の大きな地殻変動が見られた。さらに現地の基準点を対象に実施した緊急測量の結果、最大で4.10mの隆起、1.48mの西向きの水平変動が確認された。
  • 防災科研K-NETの各地域の地震計の加速度応答スペクトルと「下水道施設の耐震対策指針と解説2014年版」((公社)日本下水道協会)に示す標準加速度応答スペクトルとを重ね合わせた結果、今回の地震はL2地震動と同程度であったと想定される。なお、震度7を記録した地域等では、一部の周期帯でレベル2地震動を上回るところもあった。
  • 被災4県の二次調査は、建物倒壊地域等を除き完了(調査困難箇所0.1%)二次調査を実施した管路のうち、被害が確認された延長は約5割程度あったが、応急工事が必要となった延長はわずかであり、被害を受けたほとんどの管路で流下機能は確保されていた。仮設管路の設置など応急工事で対応した箇所は限定的。
  • 管路の被災率は石川県で5.9%であり、特に能登6市町の被災率は6.2~69.0%と過去の地震と比較して高い。流下機能喪失率(応急工事実施延長/全延長)は石川県で0.3%であり、能登6市町においても0.2~3.6%程度であったことから、流下機能は概ね確保できていた。
  • 被災4県の被災延長は、塩ビ管(VU)が約340km、コンクリート管(HP)が約50kmであり、被災率はそれぞれ約2.5%と約1.1%であった。被災4県の被災管路の管種延長割合は、塩ビ管(VU)が約80%、コンクリート管(HP)が約10%を占めていた。
  • 下水管路の被災パターンは、「たるみ・蛇行」の箇所数が最も多く、液状化などによる地盤の変動による被害が顕著であった。
  • 応急工事を必要とした実施延長は17.5km(総延長に対する割合は0.1%)であり、仮設配管やポンプの設置による対応が半分以上を占めていた。
  • 耐震化がされていない熊谷ポンプ場から珠洲市浄化センターへの圧送管(重要な幹線等)が被災し、仮設圧送管を布設する応急工事を実施(珠洲市)
  • 土砂崩れにより管路(重要な幹線等)に被害が発生したため、仮設配管を敷設する応急工事を実施(輪島市)
  • マンホール浮上の被害個数が著しく多く、液状化による被害が顕著であったと考えられる。
  • マンホール浮上により下水管路の破損やたわみ等が発生するとともに、交通障害が発生。マンホール浮上防止対策を実施した箇所では、効果が発揮された。
  • 下水処理場4箇所において、一時的に処理機能が低下したが、速やかに応急対応を行い、必要な処理機能を確保した。その他の下水処理場とポンプ場においては、未耐震部分の被災、導水渠のフランジ部分の破断や沈澱池の掻き寄せ機の不具合が処理場29箇所、ポンプ場12箇所で発生したものの、必要な処理機能は確保されていた。
  • 輪島市門前水質管理センターは1系がH7供用(旧指針)、2系はH16供用(新指針)の施設。1系も2系も杭基礎。旧指針で設計された1系では、OD槽で目地のズレ、最終沈澱池で躯体の傾きが発生〇新指針で設計された2系では、被害が発生していないことから、L2地震動に対して耐震効果があったことを確認
  • 地震動による被害は沈澱池の掻き寄せ機の不具合やポンプの脱落など6施設で発生。いづれも被害は軽微であり、応急対応などによって処理機能を早期に確保。
  • 耐震化未実施等により、浄水場や配水池、処理場に直結する管路など、上下水道システムの基幹施設が被災したことにより、広範囲での断水や下水管内の滞水が発生するとともに、復旧の長期化を生じさせた。
  • 能登地方6市町の人口はいずれの市町も減少傾向であり、2020年から2050年までの人口減少率は47.6%と半数以下となることが予測されている。
  • 送水管などの重要幹線管路は津波の浸水想定区域を通らないよう整備。新設した配水池は、災害時の給水拠点等となるよう整備(配水池から直接給水可能)。災害復旧事業を進めながら、単独事業にて配水管のループ化を図り災害に強い管網整備を実施
  • 第3次提言:東日本大震災で被災した下水道施設の本復旧のあり方 ~平成23年8月15日公表~
    • 職員、作業員等の下水道関係者だけではなく、施設周辺の住民の生命を守ることにも寄与する。
    • 被災時において管路、処理場等の基本機能(下水の排除等)を確保する。
    • 被災後、管路、処理場等の全体機能の復旧が迅速にできる。
    • 21世紀における希望ある復興にふさわしい技術を採用する。
  • 復興まちづくりに資する下水道整備 人口密集度に応じた集合処理、個別処理の選択
  • 能登地方の特性や復興まちづくりなどを踏まえ、水道事業、汚水処理事業全体の持続性向上を目指して以下について考慮すべき。
    • 適切な手法の選択(運搬送水や浄化槽等の分散型システム活用など)
    • 地震被害を踏まえ、現在の広域化計画を再検討した上で、将来的な施設の統廃合を踏まえた復旧の方向性を検討
    • 地盤変状の恐れがある箇所などを避けるなどの災害に強い整備の推進
    • 復旧後の事業執行体制(複数市町による共同化・官民連携など)
    • DXを含めた新技術活用による効率化
  • 現地対策本部に厚生労働省、国土交通省の職員を派遣し、関係機関と連携して上下水道の全体調整を実施 被害の大きかった能登6市町については、上下水道TEC-FORCEを派遣し、ニーズ調査や個別調整を実施 国、支援自治体、関係機関が総動員して上下水道一体となった復旧を支援
  • 水道施設の応急復旧の支障となっていた被災道路について、TEC-FORCE(水道支援チーム)の情報を基に現地対策本部で調整を図り、早期の道路啓開を促進。
  • 国土交通省では、休憩、宿泊スペース等を提供する災害対策車両(待機支援車)を派遣。TEC-FORCE隊員に加え、水道施設の復旧を行う自治体職員や民間事業者等の利用も推進。(2/15時点で22台派遣。うち、5台を水道関係者が利用。)
  • 上下水道一体となった早期復旧を図るため、現地で復旧支援に携わる全国の水道・下水道職員が相互に連携を図り、優先地区の確認や工程調整を行い、水道の復旧に合わせて下水道を復旧
  • これまでの下水道管路の災害対応は、災害復旧工事(災害査定)を念頭に、一次調査が終了した箇所から順次二次調査を実施。今回、水道の復旧と連携し、給水開始に遅れることなく応急復旧対応を実施する必要があることから、水道の復旧状況や通水状況、被災自治体のニーズを把握した上で、管路内の閉塞物の除去作業や仮配管の設置等の応急復旧対応を二次調査より優先して実施。
  • 被害の集中する区間の管路について、仮設配管(転がし配管)を活用することにより、漏水調査を待たずに、応急的な通水の復旧を図り、下流側の地区の復旧までの期間を早期化。
  • 能登半島地震における給水支援活動調整の実績
    • 応急給水活動の関係機関が連携して情報共有・調整する体制を初めて構築(図:給水支援チームの活動フロー)
    • 被災地での給水支援を行う各機関の給水支援活動の予定・実績を共有
    • 活動のベースとなる被災地の給水ニーズや浄水の補給点の情報を集約・共有
    • 各機関で対応できない新たな給水ニーズが発生した場合に、給水活動の調整を実施した
  • 能登半島地震における給水支援活動調整の課題
    • 今回は、給水支援機関の応援体制は、基本的に各機関に調整を委ねた
    • 今後の給水支援活動の調整の考え方・範囲について検討が必要:
    • 支援要請に基づく応援活動と、現場での給水活動の効率化との兼ね合い
    • 各給水支援機関の活動の対象範囲等に応じた活動の調整の考え方
    • 飲料水、生活用水、仮設住宅への運搬給水など、支援のフェイズや内容に応じた支援活動の考え方
  • 令和2年4月に改定された地震等緊急時対応の手引き(日本水道協会)に基づき、奥能登地域6市町に対して水道施設の応急復旧支援を実施。水道事業体に技術職員と全国管工事業協同組合連合会と連携し、日最大630名が現地で支援。
  • 被災のあった珠洲市宝立浄水場等において、既存施設の代替として可搬式浄水施設・設備を設置・活用することにより応急給水等を実施。浄水場での能力を補完するとともに、近隣河川に設置・活用して周辺地域の給水活動を効率的に実施したほか、管路の漏水調査を早期に実施して管路復旧までの期間を短縮。
  • 応急給水先や給水基地の位置情報を入れた地図情報の活用により、土地勘のない支援市町でも効率的に応急給水を実施 電子情報のため、関係者間での情報共有が容易
  • 電子台帳を入れたタブレットの活用により、悪天候時にも調査資料の棄損を防止でき、効率的な調査を実施 電子情報のため、関係者間での調査結果の情報共有が容易(上下水道一体での復旧の効率化の可能性) 今回の活用では、タブレット上で記載した調査結果を記録表に改めて転記する作業が必要であり、調査データと記録表の連携など、さらなる効率化の可能性あり
  • 水道の断水解消と下水道の応急復旧状況を見える化したサイトを作成済み(3月27日公表) 今後の課題は、発災前のシステムの構築方法(作成者、基礎データの整理など)や、発災後の活用ルールの整備や住民への情報発信の方法(内容やタイミングなど)を検討する必要あり
  • 能登6市町について、未調査の下水道管路から汚水が溢水した場合に備え、コールセンターを設置するとともに、夜間作業者が待機し対応する体制を構築。
  • 能登半島地震では「水」が使えることの重要性・公共性があらためて認識。今般の被害を踏まえつつ、上下水道の地震対策を強化・加速化するため、関係者一丸となって取組を推進
    • 被災市町での整備の方向性
      • 復興まちづくりや住民の意向等を踏まえつつ、分散型システム活用も含めた災害に強く持続可能な将来にふさわしい整備
      • 代替性・多重性の確保と、事業の効率性向上とのバランスを図ったシステム構築
      • 人口動態の変化に柔軟に対応できる等の新技術の積極的な導入
      • 台帳のデジタル化や施設の遠隔監視などのDXの推進
      • 広域連携や官民連携による事業執行体制や災害対応力の更なる強化 等
    • 今後の地震対策
      • 上下水道システムの「急所」となる施設の耐震化
      • 避難所など重要施設に係る上下水道管路の一体的な耐震化
      • 地すべりなどの地盤変状のおそれのある箇所を避けた施設配置
      • 可搬式浄水施設・設備/汚水処理施設・設備の活用などによる代替性・多重性の確保
      • マンホールの浮上防止対策・接続部対策
      • 人材の確保・育成や新技術の開発・実装 等
    • 上下水道一体の災害対応
      • 国が上下水道一体の全体調整を行い、プッシュ型で復旧支援する体制の構築
      • 処理場等の防災拠点化による支援拠点の確保
      • 機能確保優先とした上下水道一体での早期復旧フローの構築
      • 点検調査技術や復旧工法の技術開発
      • DXを活用した効率的な災害対応
      • 宅内配管や汚水溢水などの被害・対応状況の早期把握、迅速な復旧方法・体制の構築 等

国土交通省 鉄道車両における輪軸の緊急点検の結果(速報)
  • 令和6年9月12日に全国の鉄軌道事業者に対し、鉄道車両における輪軸の緊急点検を指示したところです。今般、その報告内容を速報としてとりまとめましたのでお知らせいたします。
  • 概要
    • 緊急点検の対象となる鉄軌道事業者計156事業者のうち、
      • 不適切な事案が確認された事業者は計91事業者でした。
      • そのうち、改ざんが確認された事業者は計50事業者でした。
        • ※改ざんを行った事業者等としては、JR東日本、JR貨物、メトロ車両(3事業者)、京王重機整備(26事業者)、総合車両製作所(27事業者)
        • 注)重複もあるため、合計は一致しない。
      • 安全に運転することができる状態でない車両を使用している事業者は確認されませんでした。
        • ※この数字は9月30日12:00時点の速報値であり、変更となった場合は改めてお知らせします。
  • 輪軸組立作業時の不正行為は、鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です。
  • 輸送の安全確保は、鉄軌道事業者にとって、最も基本的、かつ、最も重要な使命であり、国土交通省としては、今般の緊急点検や特別保安監査の結果等も踏まえ、安全性向上に向けた取組をしっかりと講じてまいります。

国土交通省 舶用エンジンのNOx放出量確認試験における不正行為の有無等に係る実態調査の結果について
  • 国土交通省は、国内舶用エンジンメーカーによるデータ改ざん事案を踏まえ、同業各社に対し、NOx放出量確認試験における不正行為の有無等に係る調査・報告を求めていました。その結果、いずれの社も不正行為は無かったとの報告でした。
  • ただし、一部のメーカーから、試験記録の転記誤り等が確認された旨の報告がありました。国土交通省としては、これら報告の内容について確認を行い、適切に対処します。
  • IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックスによる、舶用エンジンのNOx放出量確認試験におけるデータ改ざん事案を踏まえ、国土交通省は、舶用エンジンを製造している他のメーカー19社に対し、NOx放出量確認試験における不正行為の有無等を調査し、9月末を目途に報告を求めていた。このうち、川崎重工業からは燃料消費率等に関するデータ改ざんが行われていた旨の報告を受けており(8月21日及び9月27日公表済)、その他の18社(別紙)からは、不正行為は無かった旨の報告を受けた。
  • ただし、そのうち8社からは、試験記録の転記誤り等が確認された旨の報告があったほか、機器の校正等、確認が必要なものがあった。国土交通省としては、NOx放出量確認が正確に行われていたかを確認する観点から、報告の内容を確認し、適切に対処する。

【2024年9月】

国土交通省 「分野横断的技術政策ワーキンググループ 中間とりまとめ」の公表について~国による技術開発の牽引と社会実装の加速化~
▼ 中間とりまとめ(概要)
  • 技術開発行政機関
    • 民間に対し、i-construction2.0等インフラ分野のDX以外の社会課題解決に資する技術開発のビジョンを示せていない
    • 民間の技術研究開発の投資は年々増加しているものの他産業と比較して低い水準であり、投資を促すことが必要
    • デジタル技術を含め、求められる技術の多様化に応じた人材育成や異分野との人材の流動化が十分になされていない
    • イノベーションやDXの推進に向けて、インフラ分野のニーズが異分野には見えづらいという声があり、分野の垣根を超えて、参入を促すことが必要
    • 技術開発では、人材や資金などの限られたリソースの効果的活用が重要であるが、同様の研究開発の事例も散見されており、効率化に改善の余地がある
    • 研究・開発への支援に関して、費用対効果の検証がなされていない
    • データ活用について、他分野では、現場をデジタルデータで把握し、AIによる生産管理や経理システムとの連携等の効率化が進んでいる。インフラ分野のDXとして、例えば、国土交通省の直轄工事ではBIM/CIMを導入しているが、設計で作成されたデータが施工時で活用しづらいなど、依然として道半ばの状況・建設現場のCNの社会実装に向けた計画がない
    • 建設系スタートアップの公共工事への参入の支援が十分ではない
  • 発注行政機関
    • 技術開発には試行錯誤のプロセスが必要で、プロジェクトベースによる技術開発がなされてきたが、昨今は事例が少ない
    • 開発された技術の現場試行は、施工協議により発注者の理解を得て実施するなど、実施できる現場は限られている
    • 技術開発は、よりよいインフラを早く、安全に整備することを目的とすべきだが、同業者間での受注競争のための技術開発になっていることも否めない
    • 社会課題解決に資する質の高い技術について、性能や安全性の確保や費用との兼ね合いで導入を躊躇することもある
    • 国土交通省のプロジェクトでは設計と施工の分離が基本で、新技術を比較的導入しやすい設計・施工一体型の発注方式の場合は発注者側の適正な審査・評価等の体制づくりが課題
    • 新技術について、特に工事目的物そのものに影響する場合には、性能の確保や安全性の観点を限られた情報から判断せざるを得ず、発注者は慎重にならざるを得ない
  • 技術開発等機関
    • 他分野では、技術力の高い独立的な立場の機関が、基礎研究から実用化までの一貫した研究開発の推進等のため、環境整備や
    • 一元的な補助を行う事例がある
    • インフラ分野では、社会的要請に応じた技術開発の全体方針やニーズを示すことはできていない
    • 他分野では、新技術の品質、有効性や安全性について、指導・審査等を行う独立した機関がある
    • インフラ分野では、技術開発者相当の技術力を有する機関による評価は個別の要請に応じて対応している状況であり、また、技術基準に反映する等の仕組みとなっていない
  • 今後の国土交通行政における技術開発に関わる分野横断的技術政策の方向性
    • 技術開発全般と、技術開発のうち研究・開発、社会実装の3つの視点から、社会課題の解決に資する技術政策の方向性について提示
      • 国による技術開発の一貫した力強い牽引
        • 国は、技術開発の推進のために、政策の目標や技術開発のニーズを重点的に示すとともに、民間企業にはリスクが高く困難な技術開発について、強化すべき領域を設定し、研究から普及までの各段階において必要な支援又は自ら投資を行い、総合的に価値の高い技術開発を強く誘導すべき
        • 国は、技術開発において、試行・評価・改良の繰返しが必要であるため、プロジェクトベースで先行的に活用するための仕組みを構築し、技術の開発・改良を牽引すべき
        • 国は、計画、調査、設計、施工、維持管理のプロセスにおけるデジタルデータの流通、建設生産・管理システムのアプリケーションとの連携ができるルール整備等を進めるべき。データ流通は、インフラ管理者以外の需要も留意すべき
      • 研究・開発の投資の強化・効率化
        • 国は、異分野の技術導入等によるイノベーションやDXに向けて、オープンなプラットフォームの構築等により大学やスタートアップ等の異分野企業との連携を強化し、ニーズの明確化や実装への課題克服を図るとともに、その開発成果について共有を図るべき
        • 産学官は、競争領域の発展を促進させるために、重複投資を避け、共通化・標準化などにより効率化を図り 、得られた成果を可能な限り産業全体で共有できるような協調領域について検討を進めるべき
      • 社会実装の円滑化・加速化
        • 国は、総合的に価値の高い素材、構造、工法等を設計段階からも採用できるよう、総合的価値の評価手法や実態に即した積算基準等を整備すべき
        • 国は、技術の費用の評価にあたっては、施工のみならず、材料の製造・運搬、施工、供用後の維持管理、更新までを含めて、金銭的・人的・社会的コストを考慮するべき
        • 国は、社会実装の推進のために、設計施工分離の考え方を改め、ECI方式の対象を拡大し設計時に施工の知見を取り入れやすくするなど、新技術を導入しやすい調達方式の導入をさらに進めるべき
        • 国は、施工管理や検査などの従来の仕組みのまま、新技術を取り入れるのではなく、新技術を前提として効率的な新たな仕組みを検討するべき
        • 国は、標準的な設計ではない素材、構造、工法等の選定には、品質や性能の確保のために研究機関や第三者機関の認証等の仕組みを構築すべき

国土交通省 JR九州高速船株式会社に対して命令書を発出しました~海上運送法第19条第2項及び第10条の3第7項に基づく行政処分~
  • 国土交通省では、対外旅客定期航路事業者であるJR九州高速船株式会社に対し、海上運送法第25条第1項に基づく検査を実施した結果、船舶安全法及び安全管理規程に違反する事実を確認したことから、本日9月17日付で下記のとおり、海上運送法第19条第2項に基づく「輸送の安全の確保に関する命令」及び同法第10条の3第7項に基づく「安全統括管理者及び運航管理者の解任命令」を行いました。
  • 今後、事業者において再発防止策が確実に実施され、輸送の安全の確保が図られるよう、引き続き、厳格に指導監督を行ってまいります。
  1. 輸送の安全の確保に関する命令について
    1. 処分対象事業者
      • JR九州高速船株式会社(所在地:福岡県福岡市博多区沖浜町14-1)
    2. 命令の内容
      • 別添1参照
    3. 事案概要
      • JR九州高速船株式会社に対し、海上運送法第25条第1項に基づく検査を実施した結果、同社が運航する旅客船「QUEEN BEETLE」において、令和6年2月12日に浸水が確認されていたにも関わらず、同年5月30日までの間、長期に渡り国土交通省への報告を怠たり、運航を継続したこと等、関係法令及び安全管理規程に違反する事実があることを確認した。
  2. 安全統括管理者及び運航管理者の解任命令について
    1. 処分対象事業者
      • JR九州高速船株式会社(所在地:福岡県福岡市博多区沖浜町14-1)
    2. 命令の内容
      • 安全統括管理者及び運航管理者の解任
    3. 解任を命ずる理由
      • 別添2参照
    4. 解任すべき期限
      • 令和6年10月31日(木)
▼ 別添1 輸送の安全の確保に関する命令について
  • 命令の内容
    • 別紙に係る措置について、令和6年10月31日までに文書により報告すること。
      1. 船舶所有者は、船舶の堪航性に影響を及ぼすおそれのある場合及び船舶に固定して施設された警報センサーの位置を変更する場合においては、船舶安全法第5条に基づく臨時検査を受検した上で船舶を航行の用に供すること。
      2. 経営トップは、法令に違反した事実に対する再発防止策を策定するとともに、安全管理規程第5条に基づき、船舶安全法をはじめ、関係法令及び安全管理規程の遵守及び安全最優先の原則の徹底について主体的に関与し、安全マネジメント態勢を適切に運営すること。
      3. 安全統括管理者は、安全管理規程第18条に基づき、船舶安全法をはじめ、関係法令の遵守と安全最優先の原則を社内へ徹底するとともに、安全管理規程の遵守を確実にすること。
      4. 運航管理者は、安全管理規程第19条に基づき、船舶の運航管理その他船舶による輸送の安全の確保に関する業務全般を統括し、船舶安全法をはじめ、海事法令及び安全管理規程の遵守を確実にして、その実施を図ること。また、船長と協力して、船舶の運航その他船舶による輸送の安全を確保すること。
      5. 運航管理者及び船長は、安全管理規程第25条に基づき、船舶の状況が船舶の運航に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合は、協議により、運航休止の措置をとること。
      6. 船長は、安全管理規程第37条に基づく発航前検査の結果、異常を発見した場合において、同規程第66条に基づき、事実を記録し、適切に管理すること。
      7. 運航管理者は、安全管理規程第37条に基づき、船長より発航前検査で異常のある箇所を発見したことについて報告を受けたときは、直ちに運航課に対し、当該情報を通報し、修復整備を求めること。
      8. 船長は、安全管理規程第48条に基づき、自船に事故その他異常事態が発生したときは、事故等の拡大防止のための措置を講じること。また、社長及び安全統括管理者は、同規程第50条に基づき、事故等の状況、被害規模等を把握・分析し、適切に対応措置を講ずること。
      9. 運航管理者は、安全管理規程第51条に基づき、事故等の発生を知ったときは、速やかに国土交通省及び海上保安庁にその概要及び事故等の処理の状況を報告することこと。
▼ 別添2 安全統括管理者及び運航管理者の解任命令について
  • 解任を命ずる理由
    1. 安全統括管理者
      • 同社の安全統括管理者は、輸送の安全を確保するための管理業務を統括するものであるが、船舶の堪航性に影響を及ぼすおそれのある場合において、臨時検査を受けていない船舶を航行の用に供したことが、船舶安全法第5条に違反(同法第18条第1項第9号の罰則規定あり)するなど、貴社が国土交通省へ届け出た安全管理規程第18条に規定する関係法令の遵守と安全最優先の原則を貴社内部へ徹底する職務を怠っており、かつ、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあることから、海上運送法第10条の3第7項に該当する。
    2. 運航管理者
      • 同社の運航管理者は、船舶の運航の管理に関する統括責任者であるが、船舶の堪航性に影響を及ぼすおそれのある場合において、臨時検査を受けていない船舶を航行の用に供したことが、船舶安全法第5条に違反(同法第18条第1項第9号の罰則規定あり)するなど、貴社が国土交通省へ届け出た安全管理規程第19条に規定する海事法令及び安全管理規程の遵守を確実にする職務を怠っており、かつ、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあることから、海上運送法第10条の3第7項に該当する。

国土交通省 日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスによる 舶用エンジンの燃料消費率に関するデータ改ざん事案の中間報告について
  • 本日、日立造船株式会社とその子会社である日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスより、両子会社が製造する舶用エンジンの試運転時に測定した燃料消費率のデータが改ざんに関する同社の調査状況及び現時点の再発防止策について中間報告を受けました。
  • 国土交通省からは、3社に対して、残りの調査及び報告の速やかな実施と、同社に設置された特別調査委員会の調査結果も踏まえた抜本的かつ具体的な再発防止策の策定を指示しました。
  • また、今後新たに製造される両社製のエンジンについて、測定現場の是正確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち合いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開します。
  1. 日立造船株式会社等からの中間報告概要
    1. 不適切行為の概要
      • 日立造船マリンエンジン(以下「日社」)及びアイメックス(以下「ア社」)の両社において、陸上試運転※における燃料消費率等に関する改ざんが判明。なお、安全性に関する不適切行為は確認されていない。
        ※顧客及び各国の認証機関の立会いの下、エンジン性能を確認するための運転
      • 【主な改ざん内容と改ざんを行った理由】
        • 顧客の要求値への適合確保、過去に製造したエンジンとの計測値の整合確保といった理由から、以下の改ざんが行われていた。
          1. 予め設定した燃料消費量を燃料重量計表示部に表示させる等、燃料消費量の計測データを改ざん。日社で959台中959台、ア社で416台中412台。
          2. 排ガス成分濃度の値を記録する際に、実際の計測値とは異なる値を記入。日社で959台中343台、ア社で416台中57台。
          3. 顧客向け性能データ(排気温度等)の値を記録する際に、実際の計測値とは異なる値を記入。日社で959台中111台、ア社で416台中189台。
          4. 出力の計測誤差や精度を計測機器の校正等ではなく、理論計算や過去の実績等により数値を修正。日社で959台中569台、ア社で416台中52台。
      • 【NOx放出量に係る規制への影響】
        • 上記の改ざんにより、両社の全てのエンジンにおいてNOx放出量の数値に影響が生じる。今後、NOx放出量の再計算に用いるデータの評価方法について検討。
      • 【計測現場での主な是正措置】
        • 燃料消費量のデータ改ざん機の撤去、データ計測の管理体制の見直し(将来は自動化)、複数の方法による出力計測等の実施。
  2. 国土交通省の対応等
    1. 同社の報告を踏まえ、以下の通り指示を行った。
      • 引き続き、NOx規制等への影響について調査を行うとともに、実測値が保存されていないエンジンについてNOx放出量の評価方法について検討を行い、速やかに国土交通省へ報告を行うこと。
      • 特別調査委員会の結果も踏まえ、抜本的かつ具体的な再発防止策を検討すること。
      • 海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めること。
    2. 今回の中間報告書の内容は、これまで国土交通省で実施した立入調査等による調査の結果とも整合することを踏まえ、国内向け出荷エンジンについて、以下の対応を実施。なお、現時点では国内向けに出荷したエンジンにおいてNOx放出量規制に不適合となるものは確認されていないことから、既存船の航行に影響を及ぼす状況にならない。
      • 3社の調査と並行して、国土交通省としても調査や対応策の検討を継続するが、今後、新たに製造されたエンジンについては、NOx放出量確認試験を、国及び認証機関による事前の計測現場の是正措置の確認、試験への立ち合いの下で厳格に行い、基準の適合性が確認できれば証書の交付を行う。
      • 今後の調査により、NOx放出量規制に不適合となるものが確認される等の問題が生じた場合には、調査結果を踏まえ厳正に対応する。

国土交通省 メトロ車両株式会社における輪軸組立時の不正行為について
  • 令和6年9月12日に全国の鉄軌道事業者に対し、鉄道車両における輪軸の緊急点検を指示したところですが、東京地下鉄株式会社(以下「東京メトロ」)、東葉高速鉄道株式会社(以下「東葉高速鉄道」)及び埼玉高速鉄道株式会社(以下「埼玉高速鉄道」)から、その点検作業の過程で、輪軸の組立作業を受託していたメトロ車両株式会社(以下「メトロ車両」)において、以下のとおり輪軸組立時に不正行為があったことが確認されたとの報告を受けました。
  • このような不正行為は、鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、東京メトロ及びメトロ車両に対して、19日から特別保安監査を行い安全管理体制等について確認することとしております。
  • 引き続き、関係者を指導し、輸送の安全確保と再発防止の徹底について、厳正に対処して参ります。
  1. 東京メトロ、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道からの報告概要
    • 東京メトロ、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道が所有する車両の輪軸組立作業は、メトロ車両に委託されているが、メトロ車両は車輪を車軸にはめるための圧入力値が各社の定める基準値を超えた際、基準値に収まるように記録簿に記載し、3社に報告していた。
    • これを受けて、3社では、圧入力値の超過が一定の範囲に収まっているものについては、超音波探傷検査により安全性を確保して運行を継続している。それ以外のものについては、一旦使用を停止し、輪軸の交換を行った上で使用を再開予定としている。
  2. 国土交通省の対応
    • 東京メトロ及びメトロ車両に対し、19日から特別保安監査を実施し、安全管理体制等について確認を行う(東葉高速鉄道及び埼玉高速鉄道については、東京メトロ等への特別保安監査の結果等を踏まえ、必要な対応を取る)。
    • 今後の監査結果や輪軸の緊急点検による報告等を踏まえて、厳正に対処する。

国土交通省 京王重機整備株式会社における輪軸組立時の不正行為について
  • 令和6年9月12日に全国の鉄軌道事業者に対し、鉄道車両における輪軸の緊急点検を指示したところですが、京王電鉄株式会社(以下「京王電鉄」)、東京都交通局及び京王重機整備株式会社(以下「京王重機」)から、その点検作業の過程で、輪軸の組立作業を委託していた京王重機において、以下のとおり輪軸組立時に不正行為があったことが確認されたとの報告を受けました。
  • このような不正行為は、鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、京王電鉄及び京王重機に対し、20日から特別保安監査を行い安全管理体制等について確認することとしております。
  • 加えて京王重機には、輪軸組立作業を委託した鉄軌道事業者に対して、技術的支援なども行うよう文書で要請しました。
  • 引き続き、関係者を指導し、輸送の安全確保と再発防止の徹底について、厳正に対処して参ります。
  1. 京王電鉄、東京都交通局、京王重機からの報告概要
    • 京王電鉄、東京都交通局等が所有する車両の輪軸組立作業は、京王重機に委託されているが、京王重機は車輪を車軸にはめるための圧入力値が各社の定める規定値を超えた際、規定値に収まるように記録簿に記載し、各事業者に報告していた。
    • これを受けて、京王電鉄及び東京都交通局では、超音波探傷検査や輪軸の交換等を実施しており、安全性を確認して運行を継続している。
    • また、上記以外の事業者においては、京王重機が個別に事案説明を行っている。
  2. 国土交通省の対応
    • 京王電鉄及び京王重機に対し、全容の解明や再発防止のための取組などについて報告を求めるとともに、20日から特別保安監査を実施し、安全管理体制等について確認を行う(その他の事業者については、京王重機等への特別保安監査の結果等を踏まえ、必要な対応を取る)。
    • 18日、京王重機に対し、委託元の鉄軌道事業者に対する技術的支援等について文書で要請した。
    • 今後の監査結果や輪軸の緊急点検による報告等を踏まえて、厳正に対処する。

国土交通省 10月は「土地月間」、10月1日は「土地の日」です。~土地月間作品コンテストの受賞作品が決定しました!~
  • 国土交通省では、毎年10月を「土地月間」、10月1日を「土地の日」と定め、地方公共団体や土地関係団体等と連携し、全国で『土地』に関連するテーマの講演会や無料相談会などを集中的に実施します。
  • 『令和6年「土地月間」作品コンテスト』について、審査委員及び土地関係団体による審査を行い、受賞作品が決定しました。受賞作品は、ポスターや冊子に掲載され、広報・啓発に活用されます。 土地は、私たちの日常生活や企業活動にとって不可欠な基盤であり、貴重な資源です。土地基本法においても、土地所有者の責務として、適正な土地の利用及び管理並びに取引を行うことなどが定められています。
  • 国土交通省では、国民の皆様が今一度身近な土地について考え、土地の制度に関する理解を深めていただけるきっかけとなるよう、10月を「土地月間」と定め、広報活動等を展開しています。

国土交通省 日本貨物鉄道株式会社の輪軸組立時における不正行為について
  • 令和6年7月24日に山陽線・新山口駅構内で発生した貨物列車の脱線事故に関して、日本貨物鉄道株式会社(以下「JR貨物」)から、当該脱線車両の輪軸組立時に不正行為があった旨、以下のとおり報告を受けました。
  • 国土交通省としては、同社に対して、全車両の輪軸について緊急点検を指示するとともに、11日から特別保安監査を行い安全管理体制等について確認することとしております。
  • 引き続き、同社を指導し、輸送の安全確保と再発防止の徹底について、厳正に対処して参ります。
  • JR貨物からの報告概要
    • 車両の車軸組立時には、車輪や歯車等を車軸にはめるための圧力を管理・記録することとなっているが、当該輪軸組立時の大歯車圧入力値が基準値を超過し、また、当該歯車圧入力値に係る記録簿の差し替えが行われていた。
    • 社内調査を行ったところ、複数の車両で基準値超過や改ざんが確認されたことから、それらの車両については、安全確認がとられるまで使用を停止することとしている。
  • 国土交通省の対応
    • 同社の報告を踏まえて、以下のとおり同社に緊急点検の指示を行った(9日)。
      • 全車両の輪軸について、歯車等を圧入した際の圧入力値を至急確認すること。
      • 基準値を超えている、記録簿の差し替えが行われている等の不適切な事案について、報告すること。
      • 上記により報告対象となる輪軸を備えた車両について、安全に運転することができる状態であることが確認されるまで、使用を停止すること。
      • 講じた措置等について報告すること。
    • JR貨物に対し、11日から特別保安監査を実施し、安全管理体制等について確認を行う。
    • 今後の監査結果や報告等を踏まえて、厳正に対処する。

国土交通省 10月より、車検の項目に「電子装置の検査(OBD検査)」が追加されます!~ 新しいクルマに、新しい車検が始まります ~
  • 自動車の使用時においても、自動ブレーキ等の先進安全技術の機能維持を図るため、本年10月1日より、車検の検査項目として「電子装置の検査(OBD検査)」が追加されます。
  • 近年、普及する自動ブレーキ等の先進安全技術は、交通事故の防止に大きな効果が期待される一方、正しく作動するためには定期的な検査が必要です。
  • 国土交通省では、平成29年度より「電子装置の検査(OBD検査)」の導入について検討を重ね、令和元年の道路運送車両法改正等により関係法令を整備し、本年10月1日より、車検の検査項目として追加されます。これにより、先進安全技術の故障による不作動・誤作動を防止します。
  • OBD検査のポイント
    • OBD検査は、令和3年10月(輸入車は令和4年10月)以降の新型車のみが義務の対象となります。
    • OBD検査は、専用の機器(検査用スキャンツール)を車両のコンピュータ(ECU)に接続して行います。
    • OBD検査は、運転支援装置(自動ブレーキ等)、自動運行装置、排出ガス抑制装置が対象です。
    • OBD検査の結果、故障が確認された場合には、修理しなければ、車検に合格しません。

国土交通省 不動産分野においてPLATEAUの社会実装を進めます!~3D都市モデルを活用したビジネス・ソリューションを選定~
  • 不動産分野における新たなサービス創出を目指し、PLATEAUで整備された3D都市モデルを活用したビジネス・ソリューションについて、6事業を選定しました。
  • 都市デジタルツインの実現を目指し、国土交通省が様々なプレイヤーと連携して推進するProject PLATEAU(プラトー)は、2020年度にスタートし、様々な分野におけるソリューション開発やコミュニティ育成、技術開発等に取り組んできました。
  • このたび、不動産分野における新たなサービス創出を目指し、PLATEAUで整備された3D都市モデルを活用したビジネス・ソリューションを募集した結果、22件の応募があり、そのうち以下6事業を選定しました。
  • 今後、選定された事業者は、提案したソリューションの実装に向けた検討・開発を約半年間で進めてまいります。これを契機に、PLATEAUが民間ビジネスにおいて活用される機会が増えることが期待されます。
  • なお、本公募は国土交通省都市局が一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)へ発注した業務の一環として実施されたものであり、同協議会がビジネスアイディアの実現に向けたレビュー等の支援を実施しております。
  • 選定された事業者・事業名
    • 株式会社マップル MAPPLE法務局地図ビューアと3D都市モデルの連携による不動産各種業務の効率化
    • 株式会社くわや 3D都市モデルを利用した建築計画ボリューム検証出力サービス
    • 株式会社パスコ 「不動産鑑定・固定資産税・相続税」評価における3D都市モデルの活用
    • 株式会社構造計画研究所 不動産敷地内のグリーンインフラ推進による、温熱環境と人流への影響の可視化
    • 森ビル株式会社 画像の定量分析による眺望シミュレーションサービスの開発
    • 株式会社リアルグローブ 3D都市モデル統合型不動産調査支援システムの活用可能性検証

国土交通省 「木造住宅の安全確保方策マニュアル」の公表
  • 背景・経緯
    • 令和6年能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、甚大な被害が発生しました。特に所有者の多くが高齢者世帯である地域においては、住宅の耐震化率が相対的に低く、その要因としては、資力不足や動機不足等が考えられます。
    • こうした課題に対して、住宅の耐震化をより一層進めるための方策とともに、何らかの阻害要因により、本格的な耐震改修等を行えない場合でも、居住者の命を守る観点から地震へのリスクを低減するための暫定的・緊急的な方策等も含めて、有識者や地方公共団体等との意見交換、検討を重ね、取りまとめを行いました。
▼ 【別紙】木造住宅の安全確保方策マニュアル ー 耐震化のさらなる促進と減災化に向けて ー【概要】
  • マニュアル作成の目的
    • 居住者の命を守る観点から、基本原則とする住宅の耐震化をさらに進めるための方策とともに、やむを得ず本格的な耐震改修等を行うことができない場合でも、地震からのリスクを低減することが考えられる方策を含めて普及することを目的。
  • 基本的な考え方
    • まずは、住宅の耐震化の必要性を所有者に理解してもらい、意識の向上を図ることが重要。
    • その上で、住宅の耐震診断を行い、耐震性や危険性の有無を確認。
    • 耐震診断の結果、倒壊の危険性があると判断された場合は、耐震改修等を行い、住宅の耐震性を確保することが原則。
    • やむを得ない場合でも、暫定的・緊急的な対策として、人命の安全確保につながる可能性がある多様な方策を講じ、居住者の命を守る観点から地震からのリスクを低減する。
    • また、住宅の耐震化の有無に関わらず、日ごろから災害時への備えを行う。
  • 耐震化の支援制度の概要
    • 計画策定や普及啓発、耐震診断、補強設計、耐震改修等への補助
    • 耐震改修に必要な資金に対する融資
    • 税制の特例措置(所得税額の特別控除、固定資産税の減額措置)
  • 耐震化のさらなる促進に向けた方策:住宅の耐震性を確保することが原則
    • 様々なツールを用いた普及啓発
    • 工事業者等の育成や参入促進
    • 民間の創意工夫を活かした啓発から改修まで一括実施
    • 福祉関係機関や自主防災組織等と連携した調査や啓発
    • リフォームや省エネ改修と合わせた耐震改修の実施の提案
    • 所有者負担の全体像を示すモデルケースの作成・提供
    • 所有者の子供世帯等による耐震改修や耐震改修リバースモゲージの活用促進
    • 所有者の状況等に着目した追加的な補助等の実施
    • 所有者の金銭準備の負担軽減
    • 耐震改修コストを下げる工法等の工夫
    • 除却や住み替え等の支援
  • 地震からのリスクを低減するための方策:やむをえない場合の暫定的・緊急的な対策
    • 段階的な耐震改修工事の実施 ー 最終的には住宅全体を耐震改修することを想定しつつも、当面の措置として、耐震基準に満たない水準で補強する。
    • 部分的な耐震改修工事の実施 ー 主たる居室や寝室の構造部分のみの補強や、屋根の軽量化のみなど部分的に改修する。
    • 命を守るための家具等の導入 ー 住宅の構造部分等の改修工事までは行わず、耐震ベッドや耐震テーブルといった家具等を導入する。
    • 命を守るための住まい方の工夫 ー 住宅の工事等をしない場合、万が一、建物が倒壊したとしても、地震からのリスクを低減するため、2階建ての場合、2階を主たる居室や寝室にするなど、住まい方を工夫する。
  • 日頃からの災害への備え:全ての住宅における安全性向上
    • 地震時の安全性を向上させる取組みとして、家具の転倒防止、ガラスの飛散防止、感震ブレーカーの設置、自動消火機能付きコンロの設置、棚ストッパーの設置等を行う。
    • いざという時の備えとして、防災備蓄の確保、避難袋の用意、家族での避難場所や連絡手段の確認といった災害への備えを行う。

【文部科学省】

※現在、該当の記事はありません。

【農林水産省】

※現在、該当の記事はありません。

【総務省】

【2024年11月】

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第13回)
▼ 資料13-1 利用者情報の取扱いに関するモニタリング結果(案)
  • 取得する情報の内容、取得・使用の条件の開示
    • 事業者の説明の概要
      • LINEヤフーは、ログインの有無やアカウント保有の有無について特段区分せずに、プライバシーポリシーを作成。
      • Meta、Googleとも、プライバシーポリシーの中で、ログイン利用者、ログアウト利用者、アカウント非保有利用者それぞれに向けて、取得する利用者情報の取扱いについて説明している。
      • 各社とも、提携する第三者が運営するウェブサイトやアプリから、デバイス情報、クッキーデータ等の利用者情報を受け取っている。
      • 各社とも、利用者からの同意取得や利用者への説明の実施を、規約等で第三者に義務づけている
    • モニタリング結果(素案)
      • ログインの有無やアカウント保有の有無によって、利用者に対する説明の水準に大きな差があるとは言えないがものの、特にアカウント非保有者の情報の取得について、各社が適切に説明を行っているか更に把握すべきとの意見が構成員からあり、今後も実態を把握していく必要がある。
      • プライバシーポリシーで、ログアウト利用者やアカウント非保有利用者に向けた説明を記載していない事業者も存在するため、利用者利益の確保の観点から、より明確化を求めていくことが望ましい。
      • ログアウト利用者、アカウント非保有利用者を含め、プライバシーポリシーが利用者からどの程度読まれ理解されているか把握すべきとの意見が構成員からあり、今後も動向を注視していく必要がある
      • 各社とも、利用者からの同意取得や利用者への説明を、規約等で第三者に義務づけている点は一定の評価ができる。
      • 他方、プラットフォーム事業者が、第三者による同意取得や説明が適切に実施されていることを把握しているか(例えば、プラットフォーム事業者による調査・点検、当該第三者による申告や報告の義務づけ、利用者や外部からの通報の仕組みの設置を実施しているか)については、今後、よく実態を把握していく必要がある。
      • プラットフォーム事業者が、アカウントを持っていない人から広くデータを集める場合、その旨利用者に周知すべきとの意見が構成員からあるところ、これまでは、プラットフォーム事業者が、第三者や第三者の運営するウェブサイトを通じて(アカウント非保有利用者を含む)利用者の情報を取得・利用していることについて、自社のプライバシーポリシー等で利用者に説明しているか明示的に確認してこなかったため、今後確認する必要がある。
  • ターゲティング広告を実施する旨及び事前の設定の機会やオプトアウト機会の提供についての開示
    • 事業者の説明の概要
      • ログイン利用者向けには、Googleはアカウント作成時にターゲティング広告の事前の設定の機会を提供している(残り2社は提供なし)。各社とも、ログイン利用者向けに、アカウント作成後のオプトアウトの機会を提供している。
      • その一方で、ログアウト利用者やアカウント非保有利用者に対するオプトアウト機会の提供については、各社により対応に差がある。各社とも、ターゲティング広告の事前の設定やオプトアウトの機会を利用者に提供している。
    • モニタリング結果(素案)
      • 各社とも、ターゲティング広告の事前の設定やオプトアウトの機会をログイン利用者に提供しているが、一部の社において、ログイン利用者にオプトアウトの機会が設けられているにもかかわらず、アカウント作成時には同意を拒否する選択肢が設けられていない、一部の社はアカウント非保有利用者へのオプトアウトの方法について情報提供が十分でない等の指摘があるところ、今後も動向を注視していく必要がある
  • 消費者がデータの取得・利用を拒否した場合の、サービスを利用するオプション提供の可否の開示
    • 事業者の説明の概要
      • LINEヤフー、Googleでは、広告への利用をオプトアウトをした場合でも、広告以外の用途に使用される場合がある。
    • モニタリング結果(素案)
      • オプトアウトしても広告以外の用途で利用者情報が使用される場合の実態について、今後把握していく必要がある。
  • データ・ポータビリティの可否・方法の開示
    • 事業者の説明の概要
      • 各社とも、データ・ポータビリティの機能を提供しているものの、ダウンロードできるデータの範囲や他社サービスへの転送が可能かどうかといった点について、事業者ごとに対応に差がある。
    • モニタリング結果(素案)
      • 各社から、生成データを利用者がダウンロードできるという回答はなかったが、今後も動向を注視していく必要がある。
  • 今後のモニタリングに向けて
    • 「利用者情報に関するワーキンググループ」は、今年度のモニタリングの実施及び結果を踏まえて、総務省による今後の利用者情報の取扱いに関するモニタリングについて、以下のとおり提言する。
      • 「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」第52条第2項等に基づき、デジタル広告分野に限らず利用者情報の取扱いについて、継続的にモニタリングを行うべきである。
      • 上記のモニタリングを行うにあたり、総務省において安定的な枠組みを作ることが必要である。
      • 上記のモニタリングを行うにあたり、事業者からの情報提供が十分に得られるように、総務省においては、ヒアリング項目や方法の工夫を行うとともに、必要に応じ制度的な対応も検討すべきである。
      • 上記のモニタリングを行うにあたっては、特に利用者保護の観点に立ち、新たなターゲティング手法の登場等の業界の動向を踏まえながら、プラットフォーム事業者における情報取得の方法等、利用者情報の取扱いについて確認していく必要がある。
      • 上記のモニタリングを行うにあたり、利用者保護を確保する観点から、プライバシーポリシーをはじめとする利用者への情報提供について、(1)特にアカウントを保有していない利用に対してどの程度実施されているか、(2)利用者の理解がどの程度進んでいるか、提供されているオプションなどの認知や利用がどの程度進んでいるか確認していく必要がある。

総務省 11月はテレワーク月間です-テレワークの普及促進に向けた取組を集中的に行います-
  • テレワーク月間実行委員会(内閣官房内閣人事局、内閣府地方創生推進室、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省、一般社団法人日本テレワーク協会、日本テレワーク学会)では、11月を「テレワーク月間」として、テレワークの普及促進に向けた取組を集中的に行います。
  • 総務省では、テレワーク月間中に関係府省庁や団体等と連携して、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワークの更なる普及・定着を目的としたイベント等を実施します。
  • 主な取組
    1. 総務省は、内閣官房、内閣府、デジタル庁、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省と共に、都道府県、政令指定都市及び経済団体等に対して、「テレワーク月間」への協力依頼を行います。
    2. テレワークの一層の普及・定着を目的としたセミナーを全国各地で開催予定です。
    3. 企業・団体におけるテレワークの導入・活用の参考となるよう、「テレワークトップランナー2024」として優良事例の募集、選定を行い、その中から特に優れた取組について、令和6年11月25日(月)に開催する表彰式にて「テレワークトップランナー2024総務大臣賞」として表彰します。
      • なお、表彰式は厚生労働省の「輝くテレワーク賞」及び内閣府地方創生推進室の「地方創生テレワークアワード」の表彰式と合同で開催する予定です。
    4. テレワーク月間サイトにて、テレワーク月間の趣旨・目的に賛同し、期間中にテレワークに取り組む個人・団体を募集しています。テレワーク月間サイトで配布しているテレワーク月間のロゴマークや別添PDFのポスターを広く活用いただき、テレワーク月間活動にご参加ください。
      • また、テレワーク月間サイトから活動登録をすると、個人名・団体名がサイトに表示されますので、積極的な登録をお待ちしております。

総務省 労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)9月分結果
▼ 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)9月分結果の概要
  1. 就業者の動向
    • 男女別就業者数
      • 就業者数は6814万人。前年同月に比べ27万人(0.4%)の増加。26か月連続の増加。
      • 男性は3706万人。16万人の減少。女性は3108万人。43万人の増加
    • 従業上の地位別就業者数
      • 自営業主・家族従業者数は632万人。前年同月に比べ3万人(0.5%)の減少
      • 雇用者数は6149万人。前年同月に比べ25万人(0.4%)の増加。31か月連続の増加。
      • 男性は3295万人。12万人の減少。女性は2854万人。37万人の増加
    • 雇用形態別雇用者数
      • 正規の職員・従業員数は3692万人。前年同月に比べ59万人(1.6%)の増加。11か月連続の増加
      • 非正規の職員・従業員数は2107万人。前年同月に比べ34万人(1.6%)の減少。2か月ぶりの減少
      • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.3%。前年同月に比べ0.8ポイントの低下
    • 就業率
      • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は62.0%。前年同月に比べ0.4ポイントの上昇
      • 15~64歳の就業率は79.8%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇。男性は84.6%。0.2ポイントの低下。女性は74.8%。1.2ポイントの上昇
      • 20~69歳の就業率は81.5%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇
  2. 完全失業者の動向
    • 男女別完全失業者数
      • 完全失業者数は173万人。前年同月に比べ9万人(4.9%)の減少。2か月連続の減少
      • 男性は105万人。前年同月に比べ2万人の減少。女性は68万人。前年同月に比べ8万人の減少
    • 求職理由別完全失業者数
      • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は21万人と、前年同月に比べ1万人の減少、「自発的な離職(自己都合)」は78万人と、前年同月に比べ3万人の減少、「新たに求職」は50万人と、前年同月に比べ1万人の増加
    • 年齢階級別完全失業者数
      • 男性の完全失業者数は、「25~34歳」、「55~64歳」及び「65歳以上」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
      • 女性の完全失業者数は、「15~24歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前年同月に比べ減少

総務省 サービス産業動向調査(月次調査) 結果の概要 2024年8月分(速報)
  • サービス産業の8月の売上高は、33.0兆円。前年同月に比べ2.4%の増加で、34か月連続の増加。
  • 増加に寄与した産業
    • 娯楽などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」 前年同月に比べ4.7%の増加で、33か月連続の増加
    • 情報サービスなどを含む「情報通信業」 前年同月に比べ3.1%の増加で、29か月連続の増加
    • 不動産取引などを含む「不動産業,物品賃貸業」 前年同月に比べ3.1%の増加で、5か月連続の増加

【2024年10月】

総務省 デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 デジタル広告ワーキンググループ(第1回)配付資料
▼ 資料1-3-1(Meta)ヒアリングシート回答
  • 広告の事前審査基準の名称及び当該基準の公表URL
    • 広告審査
      • 広告主に対する弊社の事前審査基準は広告審査システムに依拠しています。これは主に自動化されたツールを使用して広告をポリシーに照らしてチェックするもので、すべての広告が公開される前に審査を行うよう設計されています。ポリシー違反が検出された場合、広告が公開される前に削除されます。
      • 広告審査システムは、ポリシー違反の広告を審査します。この審査プロセスでは、広告の特定の要素(画像、動画、テキスト、ターゲット情報など)や、広告に関連するランディングページやその他のリンク先など、さまざまな情報が審査の対象となります。
      • 審査の大部分は自動化されていますが、これらのシステムの構築とトレーニングは当社のチームが担当しており、場合によっては広告を手動で審査することもあります。
      • 審査結果に基づいて、広告の拒否または掲載許可が判断されます。広告が拒否された場合、広告主は新しい広告を作成することができます。新しい広告クリエイティブを使用するか、拒否された広告を修正していただきます。
      • 広告が誤って拒否されたと思われる場合は、再審査を依頼することもできます。広告審査システムに関する詳細情報は「審査中の広告について」をご参照ください。
      • 個々の広告の審査以外にも、広告主の行動(過去に広告が拒否された回数や、広告審査を回避しようとした試みなど、違反の深刻度を含む)を審査および調査する場合があります。
    • 認証:
      • 広告主には、電話認証以外の追加の認証手続きが必要となる場合があります。一部のビジネスツールでは、アクセスに認証が必要となる場合があります。例えば、特定の製品にアクセスするにはビジネス認証が必要です。さらに、広告アカウントから何らかの被害が疑われる場合、お客様のビジネス資産が不正に利用された場合や、当社の広告規定に違反している疑いがある場合、Metaは認証を求める場合があります
  • なりすまし型「偽広告」を端緒とした詐欺の手口・実態の把握方法
    • Metaは、このような詐欺広告に対処するために多大なリソースを投入しています。当社のアプローチは、次の4つの分野に重点を置いています。
      • 詐欺広告の一般的な特徴を理解するためのより詳細な分析と、施行および自動検出システムの改善
        • 当社は、詐欺広告の最新の傾向に関する理解を絶えず深め、その学習結果を検出テクノロジーと審査担当者の精度向上に役立てています。日本語と日本文化に精通した審査担当者は、これらの取り組みとプロセスに深く関与しています。
        • また、Metaの機械学習技術を活用して、さらに精度の高い検知モデルを構築し、自動検知システムを改善することで、取締りの強化を図っています。
        • すべての広告はシステムによって審査され、当社の取締りを回避しようとする広告が見つかった場合は、広告を拒否する以上の措置を取ります。
        • 著名人を装った広告は、乗っ取られたアカウントや偽アカウントから投稿されることがあります。 当社のコミュニティ規定施行レポート(2024年第1四半期)で共有したように、当社の検知テクノロジーは、偽アカウント作成の試みを毎日6億3100万件ブロックし、作成後数分以内にさらに数百万件を検知しています。 当社のシステムは、数千ものアカウント属性を調査し、当社のプラットフォーム上の他のユーザーとのつながりなど、悪意のあるユーザーが偽装しにくい行動の検知に重点的に取り組んでいます。
      • 著名人や著名人のイメージを悪用し、ユーザーを欺いて広告への関与を促す行為に対するより厳格な措置
        • 悪質な行為者をより迅速に特定し、ポリシー違反の広告が実際に表示される前に防止するための手段を活用しています。例えば、疑わしい広告主である兆候が見られる場合や、ポリシー違反の履歴が見られる場合には、広告を拒否したり、ポリシーに違反する広告アカウントを制限または無効化し、将来的な広告掲載能力を削除するなどの措置を取ります。
        • 複数のFacebookまたはInstagramアカウントを連携させて不正行為を行うなど、組織的な不正行為や詐欺行為への参加や関与を企てる行為は許可されません。例えば、4月に実施した取り組みでは、さまざまな日本の著名人の画像を使用した詐欺アカウントやページのネットワークを削除しました。当社のチームは、これらの広告を作成するために使用されていた約100万の広告と5,000のFacebookアカウントを特定し、削除しました。
        • 悪意のある行為者のネットワーク全体を一挙に排除することは、現在進行中の自動化された施行システムや安全ツール、機能の補完となります。これらの取り組みを併せて行うことで、悪意のある行為者が活動を継続することを可能な限り困難にしています。
      • 現実社会での影響の確率、悪意のある行為者に対しては、法の下で責任を問う
        • すでに、私たちはサイト上のインテグリティを確保するために多大なリソースを投入しており、これはアカウントやページ、広告の停止や削除にとどまらず、場合によっては、Metaのルールに違反した人物に対してさらなる法的措置を検討することを意味します。
        • 例えば、複数の国において、著名人を偽装したページにユーザーを欺いて訪問させ、連絡先情報を提供させたり、その情報を収集してオンラインマーケティング担当者や広告主に横流していた企業に対して、FacebookおよびInstagramの利用規約およびポリシーに違反したとして訴訟を起こしています。
      • ユーザーツール/透明性:
        • 当社のアプリ上でユーザーの安全を確保できるよう、当社はユーザー向けの報告ツールと透明性の提供を継続しています。例えば、なりすましアカウントの報告ツール:なりすましアカウントをアプリ内で報告できるよう、なりすましアカウントのプロフィールにある3つのドットをクリックして報告することが簡単にできるようになっています。
        • Instagramの偽装アカウントに関する警告:Instagramでは、他者になりすましたアカウントなど、自動システムが不正と判断したアカウントを削除しています。しかし、犯罪者がすぐに不正にアカウントを使用するとは限らないため、現在、なりすましの疑いがあるアカウントがフォローリクエストを送った場合、警告を送信するテストを行っています。また、企業になりすました疑いがあるアカウントがダイレクトメッセージを送った場合にも、警告を送信します。
        • Instagram認証バッジの可視性を向上:認証バッジがInstagram上のより多くの場所に表示されるように拡大することで、ユーザーがやりとりしているアカウントが本物で認証済みであることを確認しやすくします。
        • また、Instagram上でもアカウントの透明性に関する情報を表示しています。アカウントのプロフィール、フィード投稿、ストーリーの「その他」3つのドットメニューのオプションで、ユーザー名をタップするとアクセスできる「このアカウントについて」機能で表示されます。アカウントの透明性に関する情報には、広告主全員に対して、アカウントがInstagramに参加した日付、以前にユーザー名を変更したことがある場合はその回数、アカウントの所在地となる国が表示されます。これにより、ユーザーは交流している相手についてより多くの情報を得ることができ、広告主と交流するかどうかを選択する際に、より確信を持って決定することができます。これは、Facebookページにも適用され、ページとページを管理する人々に関するより多くの情報を提供しています。
        • また、FacebookとInstagramのすべてのアクティブな広告を広告ライブラリで公開しています。
        • 公開されている広告ライブラリは、Facebookのアカウントを持たない方でも、数十カ国で閲覧することができ、FacebookとInstagramのすべてのアクティブな広告が掲載されています。
        • 広告ライブラリから、ユーザーは広告を報告することができます。ページごとに検索して、そのページが現在掲載している広告を確認し、国別にフィルタリングすることもできます。
        • 広告の報告、非表示、ブロックなど、フィード内およびライブラリ内の広告に対する否定的なフィードバックのシグナルを組み込んでいます。これにより、公開前にこれらの広告を自動的に検出するシステムが改善されます。
        • 広告主に対するより厳格な認証
          • 弊社は、アクセス、プライバシー、潜在的な被害への対処のバランスを取るリスクベースの認証アプローチを採用しています。この考え方に基づき、新たに作成された広告アカウントの管理者は、広告を公開するために電話番号の認証が必要になる場合があります。
          • 広告主は、電話番号の確認以外にも追加の確認手続きが必要になる場合があります。一部のビジネスツールでは、アクセスに確認が必要になる場合があります。例えば、特定の製品にアクセスするにはビジネス認証が必要になります。
          • さらに、お客様の広告アカウントから何らかの被害が疑われる場合、お客様のビジネス資産が不正に使用された疑いや、当社の広告規定に違反している疑いがある場合には確認を求める場合があります
  • 当該通報以降、なりすまし型「偽広告」の事前審査で強化した内容
    • なりすましによる虚偽広告詐欺が急増していることを受け、私たちはタスクフォースを結成し、著名人の広告を積極的に監視し、確認と対応を行う体制を整えました。
    • 私たちはまた、当社のポリシーを更新しました。
    • コミュニティ規定において、複数のFacebookまたはInstagramアカウントを連携して使用するなど、組織的な詐欺や詐欺行為への関与を企てる、または関与していると偽る行為を禁止しています。さらに、コミュニティの安全性を保護するために、関連するネットワークも調査しています。広告主は、他の不正なビジネス資産に繋がるビジネス資産を管理したり、過去に削除されたビジネス資産と同様の行為を禁止しています。また、信頼のおけるパートナーから報告された著名人を装った広告に関連する違反については、ビジネス資産(広告アカウント、ユーザー、ページ)に対して厳しい処罰を科しています。
    • さらに、検出と実施をより効率的に行うために、さまざまなツールの適用を開始しました。
    • 日本に影響を与えるネットワークに対して、より的を絞った対策を行うために、削除を行いました。例えば、4月に実施した作戦では、さまざまな日本の著名人の肖像を無断で広告に使用した、日本を標的とした詐欺アカウントとページのネットワークを削除しました。当社のチームは、広告に使用されていた約100万の広告と5,000件のFacebookアカウントを特定し、削除しました。
    • また、既知の詐欺広告で使用されたキーワードや画像に基づいて、詐欺広告を自動的に検出して削除するシステムも導入しました。これらのツールにより自動検出と削除が可能になるため、この問題に対処する上で役立つ自動化ツールが改善されています。
    • 今年から日本に関連するものも含めた新たな詐欺、被害、戦術を組み込むことで、AI対応の機械学習による検出および施行モデルを改善しています。
    • 違反が確認されたアカウントや広告に関する情報を活用し、積極的な検知と削除の取り組みを拡大することも行っています。違反広告に関する情報を自動的に機械学習システムにフィードバックすること新たな攻撃パターンの積極的な検知を強化します。
    • 詐欺対策の継続的な取り組みの一環として、最近、新規広告主の確認と削除の強化を実施しました。
▼ 資料1-4-1(X)ヒアリングシート回答
  • 広告の事前審査基準の名称及び当該基準の公表URL
    • X広告ポリシー:Xでは、プラットフォーム上でプロモーションされるすべてのコンテンツに適用されるさまざまなポリシーがあります。これには、広告が詐欺的または詐欺的な行動と関連するコンテンツを促進しないようにするための、広告品質ポリシーおよび虚偽のコンテンツや詐欺的コンテンツポリシーへの準拠が含まれます。
    • 広告主のオンボーディング:Xは、広告エコシステムに参加するすべての新規広告主をレビューし、広告ポリシーに準拠し、正規品で非偽造の商品またはサービスを提供していることを確認します。特定の規制された広告カテゴリーについては、広告主に対して、事前認可フォームを通じて適切なライセンス文書を提出し、追加の制限を遵守することを要求します。
    • なお広告のみならずランディングページも広告審査の対象となります。また広告審査はマシンラーニングアルゴリズムと人間によるレビューの組み合わせを利用します。
  • 既存の広告の事前審査基準の実効性を確認し、対応が不十分な点を踏まえた当該基準の改訂内容
    • 2024年3月22日(米国時間)より、Xの健全性、および広告品質を高めるために、金融商品・サービス、および賭博関連コンテンツの広告審査について広告掲載前の目視審査を強化致しました。これはなりすましなどの違反広告に対処するための弊社グローバル全体での取り組みとなります。
    • このアップデートにより、金融商品・サービス、および賭博関連コンテンツのプロモーションに対する広告単位の目視審査を行う頻度が増加いたしました。
  • なりすまし型「偽広告」を端緒とした詐欺の手口・実態の把握方法
    • 広告作成時において、マシンラーニングモデル、ビジネスロジック、拒否リスト用語を用いたいくつかの積極的な措置を採用することで、悪質な広告を検出するようシステムが設定されています。拒否リスト用語は、プロモーション投稿でのコンテンツの表示を制限します。広告レビュー拒否リストに用語が追加されると、その用語やフレーズを言及しているプロモーションコンテンツは自動的にレビューホールド状態になり、進行する前に人間によるレビューが必要になります。また、システムの検出がきちんと機能しているか確認するために人間によるダブルチェックを行います。検出された広告は、当社の広告ポリシーに従って停止または制限されます。
    • 広告主がX Adsを使用してコンテンツをプロモーションすることを選択した場合、そのアカウントとコンテンツは品質と安全基準を確保するためのレビュープロセスを通過します。広告ポリシーに準拠しているかどうかを確認するために、マシンラーニングアルゴリズムと人間によるレビューの組み合わせを利用します。
    • その他ユーザーからのレポートも把握における重要なシグナルとなります。

総務省 デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 デジタル広告ワーキンググループ(第2回)配付資料
▼ 資料2-3-1(TikTok Japan)ヒアリングシート回答
  • 広告の事前審査基準の名称及び当該基準の公表URL
    • 弊社では従前より実効性の高い事前審査基準を運営していたところ、要請を受けて、改めて事前審査基準の実効性を確認いたしました。その後も継続して、以下のような特徴のある、事前審査基準を適正に運営しています。
    • 広告クリエイティブだけでなく、そのランディングページ(遷移先)も確認し、ランディングページにおいて扱われている商材が広告クリエイティブと一致しているか等の審査を行なっています。
    • この点、Q2-2(1)ご回答に記載した、弊社広告ポリシー「広告フォーマットおよび機能性」の「1.0ランディングページ要件」において、「広告は、機能していないランディングページにユーザーを誘導するものであってはならない。」と定めています。
    • また、広告クリエイティブからの誘導が禁止されているランディングページの例として、以下を挙げています。
      • 期限切れ、エラーがある、または作成中のランディングページ。
      • 不完全なコンテンツまたは情報があるランディングページ。
      • モバイルに対応していないランディングページ。
      • ユーザーの携帯電話にファイルが自動的にダウンロードされるランディングページ。
      • ランディングページ上のメインコンテンツ表示のために、追加プログラムのダウンロードまたは個人情報の入力を要求するランディングページ
  • なりすまし型「偽広告」を端緒とした詐欺の手口・実態の把握方法
    • 日々の広告審査活動を通じて、広告審査チームが、なりすまし型「偽広告」を端緒とした詐欺の手口・実態の把握に努めています。
    • TikTokでは、ユーザーが広告動画を長押しするだけで、通報することもできます。通報の際に選択できる項目には、「詐欺行為」や「誤解を招く」も含まれているため、これらの通報を端緒として詐欺の手口・実態を把握することも可能です。
    • 報道機関により、なりすまし型「偽広告」に関するニュースが発信された際には、その報道を端緒として、TikTokにそのような広告がないかを確認することもあります。また、広告に限りませんが、仮に詐欺等に関する報道においてTikTokに言及があった場合には、当該事件を所管する警察組織などと連携の上、以降の審査活動に反映すべく、社内で情報共有を行うこともあります

総務省 公正競争ワーキンググループ(第9回)配布資料・議事概要
▼ 資料9-4 電気通信事業分野における公正競争確保の在り方 報告書(案) 概要
  • 公正競争の確保に関する基本的な考え方
    • 電気通信事業は、多額の設備投資が必要であり、自然独占性がある中で、NTTが、電電公社から承継した全国的な線路敷設基盤や独占的な回線設備のシェアを有している状況等に鑑み、「構造規制」と「行為規制」により必要な措置を講じ、「サービス競争」と「設備競争」の双方を促進することにより、「サービスの多様化・高度化、低廉化」と「ネットワークの高度化」の実現を図ることが適当。
    • 技術革新が著しく市場環境の変化が激しい電気通信事業分野において公正競争を確保するためには、透明性をもって規制の遵守状況や競争環境を検証し、時代に即した規制の見直しを図る規制のPDCAサイクルを法的に位置付けることが適当。
  • NTT東西の通信インフラの在り方
    • NTT東西の線路敷設基盤(電柱・管路等)やその上に設置された電気通信設備は、他事業者による同規模の構築・設置が事実上不可能であること等に鑑みると、NTTは、その線路敷設基盤等に関し、以下のような役割を果たすべきと考えられる。
      • 我が国の通信インフラ全体を支える※観点から、その線路敷設基盤を適切に維持するとともに、その上に電気通信設備を適切に設置・維持すること
      • 設備競争を補完する観点から、電気通信設備の高度化を図り、もって電気通信サービスの多様化・高度化に寄与すること
    • NTT東西の線路敷設基盤は、我が国の通信インフラ全体を支え、通信サービスの安定的な提供等を確保する上で重要な役割を有すること等に鑑み、その譲渡等(処分行為を含む。)は、適切な対象範囲を検討した上で、認可の対象とすることが適当。
    • NTT東西の電気通信設備の自己設置要件は、通信サービスの安定的な提供の確保と自己設置する電気通信設備の高度化を通じて設備競争の補完を図る役割を有することに鑑み、引き続き維持することが適当。
    • アクセス部門の分離の4案を多角的な観点から検討※2した結果、現時点では、以下の点等から、直ちにアクセス部門の分離を行うのではなく、公正競争確保の措置を着実に講じ、その効果を見極めることが適当。その上で、利用の同等性・公平性の確保に問題が生じている場合は、アクセス部門の分離を含む措置を改めて検討することが適当
    • NTT東西の分離には、以下のような公正競争上の意義があることに鑑みると、NTTは、まずはコスト削減策等の他に採り得る手段を検討・実施すべきであり、NTT東西の分離は、引き続き維持することが適当。
  • NTT東西等の業務の在り方
    • メタル固定電話を含め、距離に依存しないIP網で提供される状況の中で、県内業務と県間業務を区別する競争政策上の意義が希薄化していること等に鑑み、NTT東西の県域業務規制(本来業務を県内通信とする規制)を撤廃し、本来業務は、「東/西日本地域内における通信」を媒介するサービスを提供する業務を基本とし、移動通信業務やISP業務等、公正競争の確保に支障が生じるおそれのある業務は、実施を認めないことを明確化することが適当
    • 活用業務の実施要件(本来業務や公正競争に支障がないこと)は、緩和した場合、サービスの適切かつ安定的な提供や公正競争に支障が生じる懸念があるため、引き続き維持した上で、活用業務は類型化が進展している状況等に鑑み、経営自由度の向上を図る観点から、実施要件の確認は事前届出から事後検証にすることが適当。
    • NTT持株の本来業務である基盤的技術の研究について、その成果を死蔵させず「死の谷」を乗り越えるためには、NTT持株自身が研究成果の実用化業務に取り組むことが必要かつ効果的である場合も考えられる。
    • 他方、事業リスクを抱えることによる本来業務への支障や電気通信事業の関連事業の実施による公正競争への支障が懸念され、NTTから具体的ニーズが示されていないこと等に鑑みると、研究成果の実用化業務は、研究開発の動向や具体的ニーズ等を踏まえつつ、NTT持株の在り方や公正競争との関係を含め、引き続き検討することが適当。
  • NTTグループに関する公正競争の確保の在り方
    • NTTに対する累次の公正競争条件(NTT再編時等に課した条件)は、NTTの巨大性・独占性の弊害等を排除する観点から基本的に必要であるところ、時代に即して現行化が必要な条件があると想定されることから、個別の条件ごとにその要否・適否を検討し、必要な見直しを行うことが適当。
    • また、見直しを行った結果、必要とされる累次の公正競争条件については、法的安定性や実効性の確保等の観点から、電気事業法で法定されているグループ内事業者とのファイアウォール措置等を踏まえ、法定化した上で、その遵守状況は引き続き検証を行うことが適当。
    • 経営判断によりグループ内の組織再編を行うことは基本的に妨げるべきでないが、市場支配的事業者については、グループ内会社との合併等を通じ、禁止行為規制(グループ内会社の不当な優遇等を禁止)が潜脱されることを防止する必要があること等から、登録の更新制※2の対象を見直し、グループ内会社との合併等を審査できるようにすることが適当。
    • この際、できる限り規制コストを最小化し、自由な経営判断に基づく組織再編を阻害しない観点から、合併等の審査の対象は、公正競争に重大な影響を及ぼすおそれのあるものに限定することが適当。
  • ネットワークの開放の促進等の在り方
    • メタル固定電話固有の設備について、「IP網への移行後(2025年1月~)もLRIC方式で接続料を算定」するとの考え方を変更する必要はないが、今後、2035年頃を目途としたメタル固定電話の縮退が見込まれるなど、大きな環境変化が想定されるため、NTTによる策定が見込まれるメタル回線設備の具体的な移行計画等を踏まえ、メタル固定電話の接続ルールの在り方については、適時適切に検討することが適当。
    • 卸役務は、引き続き相対契約を基本とすることが適当であるが、一種・二種指定事業者の交渉力の優位性等に鑑み、適正性等の確保を厳格に検証する必要があるため、引き続き事業者間協議の状況を注視しつつ検証等を行い、課題が生じていると認められる場合は、卸役務に関するルールの在り方を適時適切に検討することが適当。
    • 5G(SA方式)の機能開放※2については、2024年6月に、MVNOの要望が多い「L2接続相当」の国際標準化が確定したこと等を踏まえ、今後も事業者間で精力的に協議を行うことが適当であるが、MVNOは、機能開放により実現したいサービスの明確化を行い、MNO・MVNO双方で相互理解を深めるように努めるとともに、MNOは、必要な情報提供を適切に行うことにより、MNOとMVNOが同時期にサービス提供を開始できるようにすることが適当。
    • 現在、市場支配的事業者が目的外利用・提供を禁止される情報は、接続関連情報であるところ、卸役務に関する情報を目的外利用・提供した場合も、同様に不当な競争が引き起こされる蓋然性が高いことから、市場支配的事業者に目的外利用・提供を禁止する情報に、卸役務に関する情報を追加することが適当。
    • 移動通信分野における禁止行為規制の対象事業者について、収益シェアの状況等に鑑み、現在NTTドコモのみが指定されていることには合理性があると考えられるが、今後のMNOの収益シェアの推移やモバイル市場の競争状況等を注視しつつ、引き続き検討を行うことが適当。
  • 線路敷設基盤の開放の促進等の在り方
    • 線路敷設基盤の開放は、使用の手続や対価等をガイドライン※で定めることにより図っているところ、NTT東西の電柱等について自己・他者利用でリードタイムに差があるとの意見があり、また、ガイドラインでは、自己・他者利用の同等性確保について明確でないこと等を踏まえ、総務省では、自己・他者利用の同等性が確保されていないと考えられる事例の実態を検証し、その結果、必要な場合には、ガイドラインの見直しを含めて、必要な措置を講ずることが適当。
    • 不採算地域を含む効率的な基地局設置のためには、鉄塔等のインフラシェアリングの促進が重要であるため、土地等の所有者の私権の制限に留意しつつ、以下の要件等を課した上で、他者に鉄塔等を貸し出す事業を行うインフラシェアリング事業者に、認定電気通信事業者※と同様の公益事業特権(土地の使用等に係る権利)を付与することが適当。
      • 鉄塔等が回線設置事業に利用されることを担保すること
      • 回線設置事業者が鉄塔等を利用する場合の適正性や公平性、安定性等を担保すること
    • 電報事業(国内:NTT東西、国際:KDDI)については、利用が大幅に減少※1し、代替手段(電子メール等)も普及する中で、国民生活における最低限の通信手段として全国あまねく確保する必要性が低下しており、その観点から設けられている電気通信事業法に基づく特別な規律(事業の休廃止や業務区域の変更許可、コストベースの料金認可等)を課す必要性も低下していることから、他の電報類似サービスと同様に、信書便法に基づく規律を課すことを基本とすることが適当
    • メタル固定電話については、今後も契約数の更なる減少により利用者利益への影響も更に低下が見込まれること等を踏まえ、その料金は、プライスキャップ規制(料金水準の上限を規制)の対象外とすることが適当
    • 現在の電気通信事業法の規律体系は、「回線設置」や「通信の媒介」の有無、「設備」と「機能」の一致等を前提に構築されているところ、回線非設置事業(ネット関連サービス等)の拡大や、仮想化した機能のクラウド化等による「設備」と「機能」の分離の進展等が見込まれる中で、法目的を適切に達成するための規制の対象や内容など、時代に即した規律の体系の在り方について、まずは今後のネットワーク環境や利用形態等の変化を注視することが適当であるが、必要な場合には、時機を逸することなく、慎重かつ丁寧な検討を行うことが適当。

総務省 大洋州島しょ国向けサイバーセキュリティ能力構築演習(令和6年度第1回)を実施
  • 令和6年10月2日から10日まで、フィジーにて大洋州島しょ国向けのサイバーセキュリティ能力構築演習(令和6年度第1回)を実施しました。
  • 総務省では、本年度中に第2回を予定する等、今後も大洋州島しょ国におけるサイバーセキュリティの現状やニーズに合った演習の提供について検討を進め、大洋州島しょ国におけるサイバーセキュリティの能力構築に貢献してまいります。
  • 背景・概要
    • サイバー空間は国境を越えて利用される領域であることから、サイバーセキュリティの確保のためには国際連携の推進が必要不可欠です。また、日本を含む世界全体のサイバーセキュリティ上のリスクを低減させる等の観点から、インド太平洋地域を含む開発途上国に対する能力構築支援を行い国際的な人材育成への貢献を図ることが重要です。
    • 総務省では、政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現に向けた取組の一環として、インフラ構築やデジタル化が進み、地理的に重要な位置を占めている大洋州島しょ国からサイバーセキュリティ対策に従事する政府職員及び通信事業者等の重要インフラ事業者の職員を対象としたサイバーセキュリティ能力構築演習を昨年度から実施しています。
    • 今般、令和6年10月2日から10日まで、フィジーにてサイバーセキュリティに関する基礎知識の習得を目的とした研修と実践的サイバー防御演習(CYDER)(※1)を含んだサイバーセキュリティ能力構築演習を実施し、大洋州島しょ国13カ国計29名が参加しました。
    • 今後は、今回の演習の実施結果を今年度中に予定している第2回の演習に反映するとともに、大洋州島しょ国におけるサイバーセキュリティの現状やニーズに合った演習の提供について更に検討を進め、大洋州島しょ国におけるサイバーセキュリティの能力構築に貢献してまいります。
      • (※1)CYDER(Cyber Defense Exercise with Recurrence)は、国内では国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が実施している、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人及び重要インフラ事業者等の情報システム担当者等を対象とした体験型の実践的サイバー防御演習です。
    • 開催概要
      • 日時・場所:令和6年10月2日~10日フィジー
      • 参加者:パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル、キリバス、フィジー、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ、トンガ、ツバル、クック諸島の政府職員および通信事業者等の重要インフラ事業者の職員
      • 主催者:総務省
      • 協力:フィジー政府による開催支援、米国(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)によるオンライン講義の提供

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ報告書(案)及び 不適正利用対策に関するワーキンググループ報告書(案) についての意見募集
▼ 別紙1 利用者情報に関するワーキンググループ報告書(案)
  • 利用者情報の取扱いにおけるダークパターンについて、構成員からは以下のとおり意見があった。
    • (構成員からの意見)
      • IDFAは利用者の同意を取っているものの、ダークパターンと見受けられるものがある印象である。どのようなものがダークパターンに当たるのか、SPIで例示しても良いのではないか。(第1回太田構成員)
      • SPIにおいて、ダークパターンまたは欺瞞的な行為の禁止を明確に示す必要があるのではないか。その上で、ダークパターンの判断の線引きは難しい面もあるが、具体的に例示が必要ではないか。さらに、法的根拠を与えるために、電気通信事業法で禁止する規定を追加しても良いのではないか。(第3回寺田構成員)
      • ダークパターンとされる中でも欺瞞的なものをSPIの中で例示し禁止すべきだと思う。その上で、ダークパターンと同意の在り方についても整理が必要。AppleもGoogleもデータの収集や仕様に対して同意を必須としているが、アプリ利用開始時の規約同意で、すべてのデータ利用に対して同意をさせるというのは、欺瞞的なダークパターンと言え、非ログイン時のデータの取扱いについて、書いていない、どこに書いてあるかわからない、というようなものもダークパターンであると言えるのではないか、という観点でも検討し、SPIで方向性を示すべき。(第3回太田構成員)
      • EDPBの示すダークパターンの具体例というところも参照いただいているが、EDPBの示すダークパターンの中から、SPIとしてどれに対応することが望ましいのかというところは明記しても良いと思ったところ。今の書き方だと、参考で何個か例が挙げられているけれども、この参考の中にも書いていないが、よく同意を促すようなもの、例えば、iPhoneのATTの同意を得るときに、本当はできるにもかかわらず、この同意をしてくれないと何とかできない。そういった掲載であるとか、本当は同意しなくても良いのに、同意しないと前に進めないようなものに対して、ちゃんとSPIの中で、そういうものはダークパターンになるので、やらないことが望ましいというところを書くのが良いと思っている。(第7回太田構成員)
      • SPIは名前どおりプライバシーに関することなので、どこまで取り込むかというところはあるが、景表法、特定商取引法、消費者契約法と様々な法令によりダークパターンに対する対応が進んでいるところ、このSPIの文書の趣旨から大きく外れず可能な範囲で言及していけると良い。(第7回呂構成員)
      • SPIとしてどのような手法に注意すべきかということも言及できると良い。令和6年版(令和5年度版)消費者白書ではOECDの報告書を引用しつつ、具体的に気をつけるべき手法について図解を交えて注意喚起している。クッキー同意を取得する際に「同意しない」選択肢を視認しづらく表示する方法や、位置情報を取得するために繰り返し同意を求める画面を出す方法等プライバシーに関する事例についてもかなり分かりやすく示されているので、参照すると良いのではないか。(第7回呂構成員)
    • これを踏まえ、EDPBによるガイドライン等も参照の上、原則として欺瞞的な方法による利用者情報の取扱いが行われないことが望ましい旨記載することとした。
  • プロファイリングについては、EUのGDPR及びDSAにおいて、一定の規律が実施されている。GDPRにおいては、プロファイリングを含む自動的な決定が存在すること等についてデータ主体へ情報提供をすることや、利用者はプロファイリングを含む個人データの取扱いに対し異議を述べる権利があること、データ主体に対して法的効果や重大な影響を及ぼす、プロファイリングを含む完全に自動化された意思決定は禁止されること等が規定されている。DSAにおいては、プロファイリングに基づく未成年者へのターゲティング広告の禁止や、特別なカテゴリーの個人データを使用したプロファイリングに基づくターゲティング広告の禁止等が規定されている。
  • このようなプロファイリングの在り方について、構成員からは以下のとおり意見があった。
    • (構成員からの意見)
      • プロファイリングそのものが問題というわけではないが、例えばどういったプロファイリングをしてはいけないのか等、例示する必要があるのではないか。(第1回寺田構成員)
      • プロファイリングの在り方については、GDPRは上乗せの規定があり、その点視野に入れるべき。(第1回生貝主査代理)
      • プロファイリングについて、利用目的の特定・明示のところに書かれているので、これも場所が違うかもしれないが、プロファイリングのときに利用目的を特定して明示するとありまして、それはそのとおりだと思うが、プロファイリングとの関係では、どこかでプロファイリングして生成される情報の項目、何を生成しているのかということを明示させるべきではないか。(第7回森構成員)
      • プロファイリングをする・しないについては書いていると思うが、何を生成しているのか、生成する情報にはライトなものもディープなものもあると思うので、その生成される項目を記載するべきではないかという意見だと理解している。要配慮情報は反映しているが、それ以外のものについても書くべきではないかということだと受け止めている。一方、ここは、事業者への御負担というところでも、大きな問題、大きなお話にもなってくると思うので、コンセンサスを取ったほうがよい。(第7回山本主査)
      • プロファイリングを実施することそのものと、プロファイリングに基づいた決定を行うことの両面から考えていく必要があるということを、事前のヒアリングでも話をした。脚注15に、決定を行う場合の対応が記載されており、決定を伴うプロファイリングに関しては、そのロジックというのが1つの透明性条項としてGDPRの中でも重視されている。そういった側面をどのように考えていくかというのも1つの論点にはなる。(第7回生貝主査代理)
      • 地域のプロファイリング程度であればよくても、その地域に住む人はこういう傾向である等、プロファイリングの結果を基にさらなるプロファイリングがなされることもある。要は、プロファイリングした結果、どういうものに、どういう情報になり、それが何に使われるのかというところが重要なところなので、どういうプロファイリングをしてそれを何に使っているのかというところが、セットで見られると良いと思う。(第7回太田構成員)
      • 前提として、センシティブな情報というのはできるだけ使わないようにというのはあるが、それ以外の安全と思われているデータでも、組合せ次第ではいろんなことが、推測するとか、AIを使えば、こういうのに該当する人は、ほかのところの情報と照らし合わせてどうかということはいくらでもできてしまうので、一定程度のセグメントというのを出すのは必要であるが、それにプラスして重要なのは、利用目的を明示して、それ以外のことはしないということを大前提にするべきと思っている。これは、今回原則に入った適正な利用の禁止というものとも連携する話になる。(第7回寺田構成員)
      • マーケティング目的といっても、政治広告にも販売されており、デモグラフィック情報も様々なものがある。例えば特定の地区等をプロファイリングすると、問題があるかもしれない。サイコグラフィック情報でも、例えばアウトドア派等というのもサイコグラフィックだと思うが、それは全然問題ないし、普通にマーケティングに使われると思う。逆に「怒りに流される」だと問題があるだろう。マーケティングとの関係でも、なかなか一概に、これはセーフでこれは危険と言いにくいところ、どういう項目でプロファイリングするのかをまずは教えてもらうというのは良いのではないか。(第7回森構成員)
      • 項目がいくつぐらいあるのかというか、あるいは、どういう形で表示すべきなのかというところでフィージビリティを、ベストプラクティスなので、我々として具体的なイメージは持っておかないと、事業者も何をしていいか分からないということになってしまうので、その辺りをいろいろと確認すべきことがあるという印象がある。(第7回山本主査)
      • セグメンテーションの最初の分類はどれだけあるのですかというところでいくと、Googleのプライバシーサンドボックスでも三百数十で、多いところは数万ある。これを全部というのは現実的ではないと思う。(第7回寺田構成員)
      • 米国のアドテクでは、自分がどういうセグメントに属しているかを表示するページを作っており、かつそこからオプトアウトできるというようなところは、結構、海外でも事例はあるので、そういった形が良いと思う。(第7回太田構成員)
    • これを踏まえ、プロファイリングに係る予見性確保の取組、プロファイリングによるセンシティブ情報の予測・生成やこどもの利用者情報のプロファイリングに基づくターゲティング広告の表示を原則として実施しないことが望ましいこと等について記載することとした。
    • なお、一部の構成員から、プロファイリングにより予測・生成される情報を明示するべきとの意見もあったところ、当該取組は、利用者に対する透明性の確保に資する取組であると考えられる一方、利用者のセグメントの種類は多数に及び、その実現性には懸念があること等を踏まえ、この点については、民間事業者においては、プロファイリングにより自身がどのように分類されているかについて利用者が確認できる仕組みを提供している例があることを踏まえ、そのような取組は利用者情報の取扱いの予測・想定に資するものであると考えられる旨、記載することとした。
  • センシティブ情報及びこども等の利用者情報の在り方について、事業者及び構成員からは以下のとおり意見があった。
    • (構成員からの意見)
      • 日本の個人情報保護法制では青少年について特別な規定が置かれていないが、青少年や脆弱な個人の保護、要配慮個人情報の取扱いについて、ソフトロー面で考えていく必要があるのではないか。(第1回生貝主査代理)
      • アプリケーションが健康・フィットネス・医療データを取得する場合には、アプリ内にプライバシーポリシーを掲載することや、当該データの収集とアプリケーションの中心的な機能との関連性について、利用者に対して明確に示すことを義務化。(第5回Google提出資料)
      • これを踏まえ、センシティブ情報の取得時には本人の同意を取得することや、プロファイリングによりセンシティブ情報を予測・生成する行為は原則として実施せず、実施する場合には本人の同意を取得することが望ましい旨記載するとともに、こどもの利用者情報を取得する場合には、事前に法定代理人から同意取得を行うことや、こどもの利用者情報のプロファイリングに基づくターゲティング広告の表示は実施しないことが望ましい旨記載することとした。
      • 2024年2月より、総務省において、セキュリティ分野の有識者で構成される「サイバーセキュリティタスクフォース」の下に「ICTサイバーセキュリティ政策分科会」が設置され、総務省が中長期的に取り組むべきサイバーセキュリティ施策の方向性が検討されている。同分科会において、スマートフォンアプリにおけるセキュリティを確保していく上での課題等について議論されたところ、関係団体からは以下のとおり意見があった。
      • スマホアプリにおけるサイバー脅威は、「スマホアプリの脆弱性(セキュリティホール)」と「不正アプリ(マルウェア)」の2つの観点で考える必要があり、アプリ流通経路の責任において一定のセキュリティ確保が可能。アプリ開発者及びアプリストアは、アプリを提供する際のセキュリティ確保において大きな役割を担っている。(第1回分科会 一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会発表)
      • アプリのセキュリティやプライバシーを確保するためにはアプリ診断というプロセスが必要。ただし、アプリ診断のみでは十分ではなく、アプリのセキュリティやプライバシーの状態を改善するためには、セキュア設計・開発ガイド(アプリのセキュリティ要件やリスク分析、セキュアコーディングの指針、セキュリティテストの方法等をまとめたもの)のサポートが必要。(第5回分科会OWASP(The Open Web Application Security Project))さらに本ワーキンググループにおいて、KDDI株式会社から、令和5年度「通信アプリに含まれうる不正機能の検証に関する実証」について説明があった。本事業では、国内解析事業者の解析能力の水準の把握や、アプリにおける利用者情報の取扱慣行等を整理するため、代表的なアプリに対して実際に技術的解析(スクリーニング解析、表層解析、詳細解析)を実施するとともに、利用者の意図しない利用者情報の取扱いの実態や諸外国におけるスマートフォンアプリ規制動向に係る文献調査を実施し、その結果を踏まえ、以下のような意見があった。
      • 利用者情報の保護のためには、アプリ開発者のみならず、アプリストア運営者等の関係者も含めて、適切な対応を取ることが重要である。現行のSPIでは、プライバシーの観点から関係者が遵守すべき方向性を示しているが、脆弱性があるアプリや不正なアプリにおける利用者情報の取扱い等に係るセキュリティの観点は明示的に含まれていない。英国のDSITの「Code of practice for app store operators and app developers」も参考に、セキュリティの観点から、脆弱性があるアプリへの対応等をSPIに盛り込むことが望ましいと考えられる。なお、その際、日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)が策定した「スマートフォンアプリケーション開発者の実施規範(第一版)(2024年3月8日)も参考にすることが望ましい。(第7回KDDI株式会社)
  • 以上に関し、構成員からは以下のとおり意見があった。
    • (構成員からの意見)
      • まさにアプリに関しては、プライバシーとサイバーセキュリティは一体で論じていかなければならない。セキュリティにしっかり取り組んでいくことは大変望ましいこと。(第7回生貝主査代理)
      • SPIにセキュリティを加えるのは大変良いこと。1つの事業領域に対して複数の場所からガイドラインが発行されているのは、事業者にとっても利用者にとっても非常に煩雑になるので、可能な限りこのように1カ所にまとめると良い。(第7回寺田構成員)
      • 「セキュリティ・バイ・デザイン」という言葉は、基本原則として広く流通するものとするのが良い。(第7回生貝主査代理)
    • これらを踏まえ、基本原則にセキュリティ・バイ・デザインを記載するとともに、アプリケーション提供者や情報収集モジュール提供者において、セキュリティ・バイ・デザインや脆弱性があるアプリへの対応を実施することが望ましいこと、アプリストア運営事業者等において、アプリストアとしての基本的対応、脆弱性があるアプリへの対応、不正なアプリへの対応、アプリ削除・掲載拒否時の対応を実施することが望ましいこと等について記載することとした。
▼ 別紙2 不適正利用対策に関するワーキンググループ報告書(案)
  • 新たな本人確認方法等の検討
    1. 自然人の本人確認方法
      • 非対面契約時における本人確認書類の券面を確認する方法の廃止
        • 前述のとおり、本人確認書類の券面の精巧な偽変造が可能となっており、特に非対面契約における本人確認に当たっては、画像情報に頼った本人確認方法から、公的個人認証や本人確認書類に搭載されたICチップを読み取るなど、デジタル技術を活用した本人確認方法に移行することが必要であるとの意見があった。具体的には、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」にも示されているとおり、本人確認書類の写しを送付する方法や、容貌及び写真付き本人確認書類の画像情報を送信する方法を廃止することが望ましいとの意見があった。
      • 対面契約時におけるデジタル技術を活用した本人確認方法の導入
        • 対面契約における本人確認に当たっては、基本的に目視により真贋判定が行われているが、前述のとおり、近年、精度の高い偽造身分証を用いた不正契約やSIMスワップ等の事案が発生している。対面契約の場合でも目視による真贋判定だけに頼るのではリスクが高くなっているのではないかと指摘されている状況を踏まえ、マイナンバーカードに搭載されているICチップを活用した公的個人認証による確認方法や、運転免許証等の本人確認書類に搭載されたICチップの情報を読み取る方法など、デジタル技術を活用した本人確認方法を導入すべきではないかとの意見があった。
      • 例外的な確認方法としての非電子的な確認方法の存置
        • 上記の見直しに伴い、デジタル技術を活用した本人確認方法が中心となることにより、利用者の利便性の低下を懸念する意見があった。これについて構成員からは、何らかやむを得ない理由によりICチップ付き本人確認書類を所持できない場合など、デジタル技術の活用が難しい場合には、例外的な措置として非電子的な確認方法を存置することも考えられるのではないかという意見があった。
      • カード代替電磁的記録の活用
        • 令和6年5月に行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)が改正され、スマートフォンにマイナンバーカードの機能を搭載することが可能となった。これにより、物理的なマイナンバーカードを持ち運ぶことなく、スマートフォンに搭載された情報(カード代替電磁的記録)の活用によって本人確認を行うことが可能となるため、携帯電話契約時の本人確認にも適用されるよう、携帯電話不正利用防止法施行規則を整備するべきではないかと提案があった。
    2. 法人の本人確認方法
      • 登記情報提供サービスとの連携による本人確認方法の導入
        • 犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第3号ロにおいて、法人の代表者等から法人の名称及び本店または主たる事務所の所在地の申告を受けるとともに、(一社)民事法務協会が提供している登記情報提供サービスにより、登記情報の送信をうける方法による本人確認が認められている。一方、携帯電話不正利用防止法施行規則においては、登記情報提供サービスとの連携による本人確認方法を規定していないことから、登記事項証明書の提示等が必要となってしまっているため、利用者の利便性の観点から、携帯電話不正利用防止法施行規則においても、登記情報提供サービスと連携した本人確認を可能とするべきではないかと提案があった。
      • 法人の契約担当者(代表者等)の本人確認方法
        • 携帯電話不正利用防止法第3条第2項において、役務提供契約の相手方と役務提供契約の締結の任に当たっている自然人が異なるとき、その契約締結の任に当たっている自然人(代表者等)についても本人確認を行うことが義務づけられており、その方法が携帯電話不正利用防止法施行規則第4条等に定められている。代表者等の本人確認方法は、概ね自然人の本人確認方法と同様の規定となっているが、電子証明書を用いた方法が規定されていない。一方、犯罪収益移転防止法施行規則において定められている代表者等の本人確認方法については、犯罪収益移転防止法施行規則第12条により読み替えて適用する同規則第6条第1項第1号ヲ~カにおいて、電子証明書を用いた本人確認方法が認められている。これに関し、オンラインによる法人契約の推進等、利用者の利便性の向上にもつながることから、携帯電話不正利用防止法施行規則においても、電子証明書を用いた代表者等の本人確認を可能とするべきではないかと提案があった。
    3. 過去の確認結果への依拠
      • 金融機関等が過去に実施した本人確認結果への依拠
        • 犯罪収益移転防止法施行規則第13条第1項において、犯罪収益移転防止法の適用を受ける一部の収納機関における金融取引について、当該金融取引に係る決済を銀行やクレジットカード会社が行う場合、当該銀行や当該クレジットカード会社が過去に実施した取引時確認に係る確認記録を保存していることを確認する方法(この方法を用いる収納機関と当該銀行や当該クレジットカード会社が、あらかじめ、この方法を用いることについて合意をしている場合に限る。)という、他事業者の本人確認結果に依拠する本人確認方法が認められている。一方、携帯電話不正利用防止法施行規則における本人確認方法には、他事業者の本人確認結果に依拠する本人確認方法が定められていない。他事業者の本人確認結果に依拠する方法が認められた場合、新たな契約を締結する際、同様の本人確認を再度実施する必要がなくなり、契約時における利用者の利便性が高まるため、携帯電話不正利用防止法施行規則についても犯罪収益移転防止法施行規則と同様に、銀行やクレジットカード会社、さらには、他の携帯電話事業者や他の金融機関における本人確認結果に依拠することを可能としてはどうかと提案があった。
      • 公的個人認証を用いて本人確認を実施した事業者への依拠
        • 公的個人認証とは、マイナンバーカード等に搭載されたICチップ内の電子証明書を活用し、インターネット上で本人確認を行うものであり、申請等の際、第三者によるなりすましやデータの改ざんを防ぐことが可能となる。
        • 携帯電話不正利用防止法施行規則における公的個人認証を用いた本人確認に当たっては、マイナンバーカードの署名用電子証明書のほか、スマートフォンに搭載された署名用電子証明書を用いることができる。
        • なお、民間事業者が、公的個人認証を利用する(マイナンバーカードの電子署名を検証(認証)する)ためには、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第百五十三号。以下「公的個人認証法」という。)第17条第1項に基づき、内閣総理大臣及び総務大臣の認定を受けるとともに届出を行うプラットフォーム事業者(以下「PF事業者」という。)、もしくは、電子証明書の保管を含めた署名検証業務の全てをPF事業者へ委託することで、みなし認定取得したサービスプロバイダー事業者(以下「SP事業者」という。)になる必要があり、また、認証の流れは図16のとおりである
        • 例えば、携帯電話事業者がSP事業者となり公的個人認証を行う場合、契約者から携帯電話事業者を介しPF事業者に署名用電子証明書を送付し、その電子証明書について、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に失効情報を確認し、その署名検証結果をPF事業者から携帯電話事業者に回答することとなる。
        • 現在、犯罪収益移転防止法施行規則では、一部の取引について、特定事業者から他の特定事業者への依拠による本人確認を認めている一方、携帯電話不正利用施行規則では依拠による本人確認は認められていない。今後、本人確認方法が原則公的個人認証に一本化されることを考えると、公的個人認証を用いて本人確認を行った事業者に依拠することにより、本人確認の厳格さを担保しつつ、事業者及びユーザーにとって利便性の高い本人確認が実現できないかと提案があった。
      • 継続的顧客管理の導入
        • 犯罪収益移転防止法施行規則第20条第3項において、本人特定事項等に変更等があることを知った場合は、当該変更等に係る内容を確認記録に付記することが求められている。一方、携帯電話不正利用防止法施行規則においては、当該変更等に係る内容に係る確認記録における取扱いに関して規定していない。このため、特に契約途中で住所が変更となった場合に、2回線目の契約を行おうとした際に、携帯電話不正利用防止法施行規則第3条第3項及び第4項に定める方法が利用できないなどの事象が発生していることから、携帯電話不正利用防止法施行規則においても、本人特定事項の変更等について確認記録に付記することを可能とするべきではないかと提案があった。
    4. その他の事項
      • その他の見直し事項
        • 携帯電話不正利用防止法においては、役務提供契約締結時のみならず、通話可能端末設備等の譲渡時や貸与時においても本人確認が義務付けられていることから、上記の議論を踏まえ、譲渡時や貸与時の確認方法についても、役務提供契約時と同様の見直しを図るべきとの意見があった。
        • また、プライバシーの保護や新たな不正利用のリスクへの対策という観点から、本人確認書類の写しや券面の画像情報なども確認記録に保存しないようにするといった、電子的確認方法における確認記録への保存の在り方の見直しを行うべきではないかといった意見があった。
        • また、警察署長は、犯罪利用の疑いがあると認めたとき、携帯電話事業者に対して契約者確認を求めることが可能であるが、上記の議論を踏まえ、契約者確認時の確認方法についても、役務提供契約時における本人確認方法と同様の見直しを図るべきとの意見があった。
        • さらに、前述のとおり、携帯電話不正利用施行規則と犯罪収益移転防止法施行規則では、本人確認方法やそれに対する使用可能な書類等に差異があることから、事業者の利便性の確保等の観点から、それらの整合性の確保を進めるべきではないかといった意見があった。
      • 本人確認方法の見直し以外の事項
        • 本人確認方法の見直しに伴い、デジタル技術の活用が難しい高齢者等の利用者への対応や災害時(通信障害時)の対応への考慮が必要である。もっとも、単に非電子的な本人確認方法を準備するだけではなく、デジタルディバイドへの対応としては、高齢者等がデジタル化した方法に対応できるよう、サポートを充実させることが必要ではないかとの意見や、携帯電話不正利用防止法の目的や、契約時の本人確認の意義・重要性について、利用者に対する説明を行うとともに、周知広報を進めるべきとの意見があった。
  • 携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認方法等の見直しの方向性
    • 第1章のとおり、ワーキンググループにおいて、犯罪収益移転防止法における検討状況の確認や事業者への意見聴取を実施し、こうした結果を踏まえて、携帯電話不正利用防止法施行規則に定める本人確認方法の見直しの方向性を検討したところ、以下の方向性が適当と考えられる。
      1. 非対面における券面を確認する方法の廃止
        • 本人確認書類の写しを用いた本人確認では、偽変造の看破が困難なことに鑑み、本人確認書類の写しを用いた非対面における本人確認方法は廃止することが適当である。(第3条第1項第1号ハ、ヘ等)
      2. 対面における電子的な確認方法の義務化
        • 携帯電話の不正契約に使われた本人確認書類において、精巧に偽変造された本人確認書類が多く使われている実態に鑑み、対面(特定事項伝達型本人限定受取郵便を用いる場合を含む)での本人確認においては、ICチップを読み取る等デジタル技術を活用した方法により本人確認を実施することが適当である。(第3条第1項第1号イ、ト等)
      3. 例外的な確認方法としての非電子的な確認方法の存置
        • 2に記載のとおり、対面における本人確認についてもデジタル技術を活用する方法に移行することが必要だが、何らかのやむを得ない理由によりICチップ付本人確認書類を所持できない場合等においては、例外的に、代替手段として、非電子的な確認方法を認めることも考えられる。(第3条第1項第1号ロ等)
      4. 登記情報提供サービスとの連携による確認方法の導入
        • 登記情報提供サービスとの連携による法人の本人確認について、犯罪収益移転防止法施行規則においても、法人の本人確認方法の一つとして認められていることに鑑み、携帯電話不正利用施行規則においても法人の本人確認方法の一つとして認めることが適当である。(第3条第1項第2号)
      5. 法人の契約担当者の本人確認における電子証明書の導入
        • 電子証明書を用いた、法人の契約担当者の本人確認について、犯罪収益移転防止法施行規則においても、代表者等の本人確認方法の一つとして認められていることに鑑み、携帯電話不正利用施行規則においても代表者等の本人確認方法の一つとして認めることが適当である。(第4条第1項)
      6. 過去の本人確認結果への依拠
        • 本人確認のプロセスは、通常、身元確認と当人認証の2つのプロセスに分けられる。身元確認とは、手続の利用者の氏名等を確認するプロセスのことであり、当人認証は、ある行為の「実行主体」と、当該主体が主張する「身元識別情報」との同一性を検証することによって、「実行主体」が身元識別情報にあらかじめ関連付けられた人物(あるいは装置)であることの信用を確立するプロセスのことである。身元確認と当人認証の保証レベルは、下図のとおり分類がなされている。
        • 過去の本人確認結果に依拠するに当たっては、依拠先の本人確認結果に依存することとなるため、保証レベルの低い本人確認結果に依拠することは、現行の法令に則った本人確認と同等の手続きがとられたとは必ずしもみなせないものと考えられる。従って、本人確認における保証レベルが高く、一定の手続きのもと継続的に最新の本人特定事項を取得可能な本人確認を実施することが望ましい。こうした本人確認方法は、例えば、公的個人認証による方法が考えられ、過去の本人確認結果の依拠方法としては、公的個人認証を用いて本人確認を行った結果に依拠するとともに、依拠先において多要素認証等の当人認証を実施する方法が考えられる。なお、過去の本人確認結果に依拠する方法については、事業者のニーズや本人確認の保証レベルとのバランス等を鑑みつつ、今後、総合的に検討することが適当である。
      7. 継続的顧客管理による確認記録の更新
        • 犯罪収益移転防止法施行規則の規定を鑑み、携帯電話不正利用防止法施行規則においても、本人特定事項の変更等について確認記録に付記することを可能とすることが適当である。
      8. その他見直し事項
        • 携帯音声通信役務の提供に係る契約締結時の本人確認方法の見直しについては上記のとおりだが、通話可能端末設備等の譲渡時や貸与時における本人確認の方法や契約者確認の方法についても、契約時の本人確認方法と同様の見直しを行うことが必要である。また、電子的な確認方法における確認記録への保存の在り方について、プライバシーの保護や新たな不正利用のリスク対策という観点から、券面の画像情報なども確認記録に保存しないようにするといった見直しを実施する必要がある。さらに、携帯電話不正利用施行規則における本人確認と犯罪収益移転防止法施行規則における取引時確認は、その方法や使用可能な書類に差異があることから、事業分野における状況や各法令で求める法益を鑑みながら、検討を進めていくべきである。
        • なお、見直しに当たっては、デジタルディバイド等への対応や利用者への本人確認の目的やその重要性の説明等にも配慮する必要がある。

総務省 「地域社会DXナビ」の公開
  • 総務省では、「活力ある地域社会の実現に向けた情報通信基盤と利活用の在り方に関する懇談会 報告書」を踏まえて、地域社会DXに取り組む地方公共団体や民間企業の担当者等に向けて、過去に総務省が実施した事業を含む地域社会DXの先進事例等をニュース形式で配信するポータルサイト「地域社会DXナビ」を公開します。
  • 概要
    • 令和6年9月に総務省が公表した「活力ある地域社会の実現に向けた情報通信基盤と利活用の在り方に関する懇談会 報告書」では、デジタル技術を活用した地域課題の解決や産業振興などの地域社会DXを加速させていくためには、「地域の先進事例の他地域への普及」が重要である反面、多くの地方公共団体の担当者等は先進事例等に関する情報の不足を感じていることが課題として指摘されており、地域の先進事例の他地域への普及方策として情報発信の強化が挙げられています。
    • これを踏まえ、総務省では、これまで総務省が実施してきた事業を含む地域社会DXの先進事例等について、地方公共団体や民間企業の担当者等が地域社会DXの取組を検討・実施する際に参考となる情報をニュース形式で配信するポータルサイト「地域社会DXナビ」(以下、「本サイト」といいます。)を公開します。本サイト名は、その目標である「地域社会DXを更に加速させ、地域の先進事例の他地域への普及を促進していけるナビゲーション(道しるべ)となること」を表わしています。
    • 本サイトでは、先進事例を担当者等のコメントや活用した技術を交えた形で紹介しており、それらの事例は、行政分野や技術ごとに検索・確認できます。そのほか、総務省による支援事業の概要、地方公共団体や地域社会DXに取り組む企業へのインタビュー等を掲載しており、掲載内容を随時充実させてまいります。
  • 「地域社会DXナビ」へのアクセス
    • 「地域社会DXナビ」へは以下、URL又は二次元コード(省略)からアクセスください。
      ▼ 地域社会DXナビURL

総務省 「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」の開催
  • 総務省は、デジタル空間における情報流通に伴う様々な諸課題について、制度整備を含むその対処の在り方等を検討するため、「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」を開催します。
  • 目的
    • デジタル空間において、誹謗中傷をはじめとする違法・有害情報の流通は依然深刻な状況であり、また、生成AI等の新しい技術やサービスの進展及びデジタル広告の流通に伴う新たなリスクなど、デジタル空間における情報流通に伴う様々な諸課題が生じています。
    • デジタル空間における違法・有害情報の流通については、第213回国会において改正された「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号。以下「情報流通プラットフォーム対処法」という。)」により、大規模なプラットフォーム事業者に対して削除対応の迅速化及び運用状況の透明化に係る措置が義務付けられることとなりました。同法の着実な運用を含め、今後更なる取組が期待されるところです。
    • こうした現状を踏まえ、デジタル空間における情報流通に伴う様々な諸課題について、制度整備を含むその対処の在り方等を検討するため、「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」を開催します。
  • 検討事項
    • 情報流通プラットフォーム対処法の施行及び運用に関する事項
    • デジタル空間における情報流通に係る制度整備に関する事項
    • デジタル広告の流通を巡る諸課題への対処に関する事項
    • その他

【2024年9月】

総務省 民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用
▼ 別紙1 公的個人認証制度の概要について
  • 公的個人認証サービスは、電子証明書を用いて、成りすまし、改ざん、送信否認の防止を担保し、インターネット上での本人確認や電子申請等を可能とする公的なサービス。
    • 電子証明書は、市町村が管理する「住民票」に基づき、市町村での対面による厳格な本人確認を経て発行。
    • マイナンバー制度導入時に、マイナンバーカードに電子証明書を標準搭載し、公的機関に限られていた利用を民間にも開放。
▼ 別紙2 民間事業者における公的個人認証サービスの活用(プラットフォーム事業者制度)
  • 公的個人認証サービスの利用のために必要となる「電子証明書の受付・有効性確認等のためのシステム」を、各民間事業者(署名等検証者)が個別に整備・運用するのではなく、特定事業者(いわゆる「プラットフォーム事業者」)が整備し、これを、各民間事業者が利用することとすれば、いわゆる「割り勘効果」により、各民間事業者の導入・利用コストを大きく削減することが期待できる。
  • こうした、プラットフォーム事業者を活用した公的個人認証サービスの利用の拡大を推進するため、制度面において、以下の趣旨の措置を講じている。
    • 「主務大臣の認定」(法17条1項6号)について
      • 「電子証明書の受付・有効性確認のためのシステム」の全部を、プラットフォーム事業者に委託する場合には、各民間事業者に代わり、プラットフォーム事業者が認定を受けることができることとし、各民間事業者の負担を軽減する。
    • 「機構への届出」(法第17条第1項)について
      • 「電子証明書の受付・有効性確認のためのシステム」の全部を、プラットフォーム事業者に委託する場合には、各民間事業者に代わり、プラットフォーム事業者が届出を行うことができることとし、各民間事業者の負担を軽減する
▼ 別紙3 公的個人認証サービスの提供について
  • マーソ株式会社は公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者として、主務大臣より認定を受けました。
  • 運営する人間ドック・健診予約サイトMRSO.jp(https://www.mrso.jp/)や医療/行政/法人に提供するバーティカルSaaSにて、マイナンバーカードを活用し、身分詐称を防ぐ確実な本人認証サービスを提供します。

総務省 「令和5年度電気通信事故に関する検証報告」の公表
▼ 令和5年度 電気通信事故に関する検証報告【概要】
  • 令和5年度に、影響利用者数が100万人を超える重大な事故は発生しなかったが、その件数は18件と、前年度の10件から8件増加している
  • 主な事例は、通信機器ベンダ等と電気通信事業者との連携不足により既存の不具合情報等を適切に把握出来ていなかったことによるもの、ヒューマンエラーによるもの、予備系設備への切替不全によるものであった。
  • 令和5年度において、重大な事故が生ずるおそれがあると認められる事態(令和5年6月施行)は4件発生。
  • 具体的には、設備故障の発生を速やかに覚知できず予備系設備へ速やかに切り替えることができなかったものが2件、衛星や海底ケーブルに重大な損傷等が生じたものが2件発生した。
  • また、これらの事態のうち、設備要因によるものが2件、外的要因によるものが2件であった。
  • 今年度、電気通信事故は7,261件発生。影響利用者数500人未満の事故が90%以上を占める。また、継続時間2時間以上5時間未満の事故が約43%と最多であり、12時間以上の事故は約34%を占める。
  • データ通信サービスの事故が最も多く、8,682件(64%)、次いで音声サービスの3,762件(28%)となっている。
  • データ通信サービスの事故の内訳は、インターネット接続サービスが最も多く3,125件(36%)となっている。
  • 音声サービスの内訳は、携帯電話が1,856件(49%)、IP電話が1,487件(40%)となっており、これらで89%を占める一方で、アナログ電話は272件(7%)であり、事故の割合は非常に低くなっている。
  • 自社以外の要因(外的要因)が4,146件(57%)と最も多く、そのうち、他の電気通信事業者の事故が3,527件(85%)と外的要因の大半を占めている。
  • 次いで自然故障等の設備要因の事故が2,803件(39%)となっており、そのうち、機器故障が2,591件と設備要因の92%を占めている。
  • その他(133件)を除いた故障設備が明確である4,780件のうち、伝送路設備に起因する事故が2,218件と最も多く、そのうち、加入者系ケーブルが1,251件、中継ケーブルが301件とケーブル支障による事故が伝送路故障の約7割を占めている。
  • 次いで、伝送交換設備に起因する事故が2,039件となっており、そのうち、加入者収容装置の事故が1,262件と伝送交換設備故障の約6割を占めている
  • 令和5年度に発生した重大な事故及び重大な事故が生ずるおそれがあると認められる事態について検証を行い、当該事故等から得られる教訓等を整理。主なものは次のとおり。
    1. 作業手順書の適切な管理
      • 運用実績のある手順書であっても、定期的なレビューを行うことが重要
      • 工事の作業手順書には、作業前に必要な準備内容及び作業に必要な手順を記載することが重要
      • 限定された作業主体のみが作業できる仕組みを構築し、手順どおりに作業が行われるよう教育等を行うことが重要
    2. 適切な環境における試験・検証
      • 設備等を新規に導入する際や変更する際は、ベンダ等の外部関係者と検証項目をすり合わせ、可能な限り運用環境に近い環境で網羅的に試験・検証することが重要
    3. 迅速な異常検知のための監視及び被疑箇所特定
      • オペレーターが、監視機能の運用状況を含め、監視用サーバへ監視情報の送信が正常に行われているかを定期的に確認することが重要
      • ログデータの蓄積により、メモリ領域が圧迫されていないか、監視することが重要
      • システムの可用性について、内部・外部双方からの常時監視を行い、基準を下回った場合にアラートが発せられる仕組みが構築されていることが重要
      • 事故の長期化を防ぐため、異常設備を迅速に特定することが重要
    4. 定期点検・設備交換の実施
      • 保守網における機器故障が、主信号に影響を及ぼす可能性があるため、保守網を構成する機器も主信号に関する機器と同様に徹底した点検を実施することが重要
      • 現用系と予備系の両系故障に備え、平常時から予備系の動作を確認し、正常性を担保することが重要
      • 海底ケーブルを設置する際は防護管の取付けや埋設などによってケーブルの損傷を防ぐとともに、断線が発生する可能性を考慮し定期的に点検することが重要
      • ネットワーク機器だけではなく、電源装置等の設備についてもベンダ等が推奨する交換期間を遵守し、予防保全的な交換を実施することが重要
    5. フェイルセーフ機能の検討
      • フェイルセーフ機能等を実装することで、不具合の影響を最小限に留めることが重要
      • フェイルセーフ機能の発動条件を設定する際、過剰な設定により不具合が発生する可能性を考慮することが重要
    6. 潜在するソフトウェア不具合への適切な対処
      • マルチキャスト通信等、電気通信業界としても採用数が限られる方式に使用される機器には未知のバグが内在する可能性が高いため、メーカ等と協働によるリスクの洗い出しや、社内のリスク管理体制の強化が重要
      • ソフトウェアバグが生じた場合、現用系と予備系の両方に不具合が生じることが考えられるため、冗長構成が有効に機能しない場合であっても、サービス提供を継続するための取組みを講じることが重要
      • 機器ベンダから使用中のソフトウェアに生じ得る不具合情報等を収集し、商用稼働後も定期的にリスク分析やアップデートを行い、不具合発生を防止することが重要
    7. 冗長性の確保
      • 海底ケーブルを用いて、離島へ電気通信役務を確実かつ安定的に供給するため、伝送路等の冗長性を確保することが重要
      • 社外組織が提供するネットワークや設備を使用する場合、社外組織が実施するアップデート等の影響を受けないよう、冗長性等を考慮したネットワーク構成にすることが重要
      • 発生可能性が非常に小さい異常や予備系が利用できない場合の障害に備えるため、更なる冗長構成の確保や対応手順の策定が重要
    8. 復旧措置の適切なレビュー
      • 障害を早期復旧させるため、平時から重要設備の監視アラートの把握、必要に応じたアラート設定の見直し、復旧措置の事前整理を実施することが重要
      • 故障箇所や原因が不明な状態で事故が復旧した場合に対する原因究明等の対応方針や考慮すべき事項を整理することが重要
      • 迅速な復旧のため、手動で行う手順について、自動化できる部分は自動化することが望ましい
      • 故障が発生した際、多くの利用者に影響を与える設備を有するビル等では、予備機の配備数や人員の常駐・駆けつけ体制を強化することが重要
    9. 組織外の関係者との連携
      • 24時間365日、外部関係者と円滑に連携を行うことができる体制を整備することが重要
      • ネットワーク・設備の運用維持管理に関しては、自社のみならず組織外の様々な者が関係することが多くなっていることから、これら組織外の関係者と適時適切に情報を共有するとともに、外部委託先を活用する場合には、定期的な業務報告、監査等の業務遂行のための仕組みを構築することが重要
    10. 組織内の関係者との連携
      • 通信に重要な影響を与える可能性がある作業を行う場合は、社内の必要な部署と情報共有を行うことが重要
    11. 電気通信サービスの重要度の適切な設定
      • 電気通信サービスの重要度に応じて対応措置が異なる場合、当該重要度の妥当性を定期的に確認することが重要
    12. 他社の事故事例の活用
      • 他社の事故事例や教訓の確認、当該内容を自社の状況に置き換えられるか等の検討を定期的に行うことが重要
    13. 障害復旧後の被疑箇所の監視
      • 障害が復旧したとしても、サービスが安定的に提供されていることを継続的に監視することが望ましい
    14. 事故原因を特定するための情報確保
      • 事故原因の特定や再発防止策の策定のために必要な情報を確保することが重要
    15. 障害時緊急モードへの切り替え
      • 障害時緊急モードへの切り替え判断及び切り替え作業について、自動化できる部分は自動化することが望ましい
    16. 適時適切な利用者周知
      • 事故発生時における利用者への情報提供は、速やかにかつ正確に利用者が状況を理解できるように実施することが重要
    17. 事故発生時の総務省への連絡
      • 重大な事故の可能性のある事故の発生時において、総務省に対する適時適切な報告・連絡や周知も必要
    18. 適時適切な利用者周知
      • 事故発生時における利用者への情報提供は、速やかにかつ正確に利用者が状況を理解できるように実施することが重要
    19. 事故報告の活用・共有
      • 通信業界全体での事故の再発防止や影響縮小のため、事故から得られた知見を、通信業界全体で共有することが重要

総務省 G20デジタル経済大臣会合の開催結果
▼ 閣僚宣言(仮訳)
  • 全ての人々のためのデジタル包摂性に関するG20マセイオ閣僚宣言(マセイオ、2024年9月13日)
  1. 我々、G20デジタル経済担当大臣は、2024年9月13日にブラジル・マセイオで会合を開いた。過去の議長国の成果及びコミットメントを踏まえ、我々はデジタル包摂性と普遍的で意味のある接続性、デジタル政府と包摂的なデジタル公共インフラ、オンライン上の情報インテグリティとデジタル経済における信頼性、包摂的で持続可能な開発と不平等削減のためのAIに関する議論を行った。
  2. 我々は、安全性、強靭性、セキュリティ、信頼性を構築するとともに、人類とその発展を中心に据え、人権の保護、推進、十分な享受をもたらす、実現可能で、包摂的で、オープンで、公平かつ非差別的で、安全安心で、持続可能なデジタル経済を創出することの重要性を再確認する。我々は、デジタル分野における国際協力、パートナーシップ、イノベーション、競争、起業家精神の役割を認識するとともに、既存の格差を解消し社会ならびに全ての女性や少女及び脆弱な状況にある人々を含む個人に力を与えるためのデジタル技術の変革力を認識する。そのため、我々は、発展途上国を初めとする全ての国々のニーズ、状況、能力を念頭に置きつつ、また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目的して、デジタルトランスフォーメーションの恩恵を世界各地に行き渡らせるため、課題に対処し、デジタルトランスフォーメーションの潜在力を活用することにコミットする。
  3. 我々は、G20デジタル経済作業部会(DEWG)での議論が、国連での未来サミットの文脈におけるグローバル・デジタル・コンパクトに関する進行中の議論への各国の貢献に対する貴重な見識を提供することを期待する。また、この議論が全ての人々にとってより包摂的で公平なデジタルの未来への道を開くと期待する。
  • デジタル包摂性、普遍的で意味のある接続性
  1. 我々は、デジタル接続が拡大しているにもかかわらず、世界人口の3分の1、その大半が開発途上国、特に後発開発途上国の人々であるが、アクセシビリティ、アフォーダビリティ、デジタルリテラシー及びデジタルスキルの不足により、インターネットに接続できないままであることを考慮し、全ての人々にとって普遍的で意味のある接続性を実現するという我々のコミットメントを確認する。また、我々は、2030年までにジェンダー間のデジタルデバイドを半減させるという2023年のG20首脳のコミットメントを再確認する。我々は、この接続性のギャップを埋めるためには、十分なサービスを受けていない人々や接続されていない人々の特定のニーズに対応するための協調的かつ的を絞った取組が必要であり、信頼性が高く、レジリエントな高性能なインフラによる普遍的な接続性だけでなく、脆弱な状況にある利用者に、安全で、満足のいく、豊かで、生産的なオンライン体験を、手頃なコストで提供できるような、安全で、持続可能で、高品質な接続性、すなわち意味のある接続性を提供することが必要であることを認識する。
  2. 客観的な指標を通じてこの接続性のギャップを監視・測定することは、効果的な政策立案に貢献し、投資を刺激することができる。この観点から、我々は、十分なサービスを受けていない人々や接続されていない人々の視点や、G20メンバーやそれ以外の国々の特定の状況、ニーズ、能力を考慮に入れながら、普遍的で意味のある接続性の測定のための指標や測定基準を開発し、これらの指標に関するガイドラインの共通理解を促進するための現在の取組が進んでいることを認識する。この協議に貢献するものとして、我々は、ITUと共同で作成された「普遍的で意味のある接続性のための指標に関するG20ガイドライン(付属書1)」、及びブラジル議長国下において発表された報告書「普遍的で意味のある接続性:指標と測定基準の枠組み」を歓迎する。
  3. 意味のあるデジタル包摂性を実現するためには、デジタルリテラシーとデジタルスキルが不可欠であると我々は認識している。デジタル技術にアクセスし、ナビゲートし、理解し、活用する能力を身につけることで、批判的思考、創造性、問題解決能力を通じて、すべての人がデジタルの世界に十分にかつ安全に参画し、個人的な、教育上の、あるいは職業上の開発のために十分にデジタルツール及びサービスを活用することを可能にする。
  4. 今年、G20DEWGで開催された「普遍的で意味のある接続性に関するワークショップ」では、革新的で包摂的な資金調達メカニズムの潜在的な役割や、デジタルインフラのギャップを埋めるための創造的な資金調達の実施戦略やツールについて議論された。国際開発金融機関、地域開発金融機関、政府、市民社会、民間セクターを含むあらゆる資金源からの融資の選択肢は、これらの取組を進める上で重要な役割を果たすことができる。この観点から、我々は、ITUの支援の下、「デジタルインフラ投資のイニシアティブに関するG20セミナー」を開催したことの価値を認識する。
  • デジタル政府と包摂的なデジタル公共インフラ
  1. 我々は、包摂的で、オープンで、アクセス可能で、公平で、人間中心で、安全安心で、信頼性が高く、持続可能で、開発志向のデジタルトランスフォーメーションを推進する重要性を再確認し、こうしたデジタルトランスフォーメーションの中でデジタル公共インフラ(DPI)に基づくものを含むデジタル政府サービスは、プライバシー、個人情報、人権、基本的自由を保護しつつ、デジタル時代における公的部門の即応性、有効性、透明性、信頼性の向上に重要な役割を果たし得る。この観点から、我々は、「DPIシステムに関するG20枠組み」を想起する。
  2. 我々は、DPIの基本である、デジタルIDがデジタル包摂性への入口及び持続可能な開発目標(SDGs)9、つまり「2030年までに全ての人々に法的な身分証明を提供する」を達成するためのメカニズムとなることが多いことを認識する。我々は、セキュリティ、プライバシー、個人情報保護に関して適用可能な法的枠組みに準拠する形で実施される信頼性の高いデジタルID及び効果的な認証ポリシーは、サービス及び事業機会へアクセスする際の障壁の削減に寄与し、政府サービスの透明性、説明責任、効率性、デジタル経済の信頼性を差別なく促進することを認識する。G20メンバー及び招待国は多様なアプローチを有するとともにデジタルID及び認証に関して異なる実施段階にありうることを考慮及び認識し、我々は、OECDとの協働で開発された「デジタルIDのガバナンスに関するG20一般原則(付属書2)」を歓迎する。
  3. 我々は、相互運用性に基づくものを含む、また、セキュリティ、プライバシー及び、個人データ・人権・知的財産権の保護に関するものを含む適用可能な法的枠組みに準拠した、管轄権内のデータアクセス及びデータ共有は、公益のために官民両セクターに対するデータの潜在力を引き出すことを認識する。この観点から、我々は、オープンソースソフトウェア、オープン・アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)及びオープンスタンダード、セキュリティ・バイ・デザイン・ソリューションを含む、それらをサポートする国際規格が有する重要な役割も認識する。データ共有の文脈において、我々は、適用される国内・国際的な法的枠組みを尊重しつつ、また、開発に果たすデータの役割を認識しつつ、データの越境移転と信頼性のある自由なデータ流通を実現することの重要性を再確認する。ブラジル議長国から提出された「公益のための公共機関及び民間セクターとのデータアクセス及びデータ共有に関するG20大綱」は、適切な防護措置を伴うデータアクセス及びデータ共有ソリューションの導入及び強化に関する参照文書を構成している。
  4. 安全でプライバシーが保護されたデジタル公共インフラに基づくものを含むデジタル政府サービスはイノベーションと持続可能な開発を推進する全社会的なデジタル能力を提供する潜在力を有しているため、デジタル経済における包摂性の触媒となり得ることを我々は認識する。G20DEWGブラジル議長国が企画したバーチャルワークショップ「デジタル政府と包摂性」は、デジタル包摂性とデジタル公共インフラの公平なデジタルトランスフォーメーションに対する貢献に関する対話を中心に据えた。
  • オンライン上の情報インテグリティとデジタル経済における信頼性
  1. 私たちは、デジタルプラットフォームが、地理的な境界の内外を問わず情報発信を強化し、コミュニケーションを促進することで、デジタルエコシステムとオンライン交流を再形成してきたことを認識する。しかしながら、情報領域のデジタル化とAIのような新技術の加速的な進化は、偽・誤情報、ヘイトスピーチ、その他の形態のオンライン上の有害情報のスピード、規模、範囲に劇的な影響を与えており、この現象はデジタル領域における様々な経済的インセンティブによって悪化している。私たちは、関連する政策及び適用される法的枠組みに沿ったデジタルプラットフォームの透明性と責任の必要性を強調し、この点においてプラットフォーム及び関連するステークホルダーと協力することを追求する。
  2. したがって、信頼性が高く、多様で正確な情報と知識をタイムリーに提供できる情報エコシステムの結果として理解される、情報インテグリティを促進することの必要性を認識する。情報インテグリティが欠けた場合、デジタル経済や公的機関、さらにガバナンスや民主的プロセスに対する信頼が揺らぎ、社会的結束や経済的繁栄、人権を行使する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。情報インテグリティを保護することは情報エコシステム及び科学的・歴史的知識に対する信頼を維持するためにも不可欠であり、特に脆弱な状況にある人々に影響を与える二極化の傾向を最小限に抑えられる。また、政治的、社会的、経済的不安定性、急進化及び暴力的過激主義の緩和にも貢献し、環境悪化への対応も促進する。この現象の世界的な広がりをよりよく評価するための取組として、ブラジル議長国は、この議論に情報を提供するユネスコの貢献を認識する。
  3. G20メンバーやそれ以外の国々は、全てのステークホルダーの意義ある参加を得て、各国の具体的な状況を考慮した上で国際法及び適用される法的枠組みに合致する方法によって、様々なアプローチを通じて情報インテグリティを促進することができる。情報へアクセスし分析する能力は、偽・誤情報に対する社会の強靱性を構築するために不可欠であるため、私たちは、女性及び少女に偏った影響を与えるオンライン上の有害情報のリスクを特定し、軽減するための意識を高め、利用者を支援するために、オンライン安全教育やデジタルメディアや情報のリテラシーへの投資を奨励する。これと並行して、偽・誤情報に対抗するための、独立した、事実に基づいた、証拠に基づく情報へのアクセスを通じることを含め、持続可能で強固なデジタルエコシステムと多様で強靱な情報環境を促進することは重要である。適用可能な法的枠組みを認識しつつ、我々は、人権と基本的自由を保護しつつ、オンライン上の有害情報のリスクを軽減するために、デジタルプラットフォームの透明性と説明責任を強化することを目的とした政策とガバナンスの手段の例をまとめた付属書3に従って、各国が情報インテグリティとデジタル環境における信頼性を促進することを奨励する。
  4. 情報インテグリティを保護し促進するために、情報エコシステムにおける人工知能(AI)ソリューションの開発と展開は、特にコンテンツのパーソナライズ、モデレート、生成を目的とする場合は、プライバシー、個人データの保護と、人権、基本的自由、知的財産の尊重を確保するために、適用される法的枠組みを遵守し、人間の監視のもと、倫理的で、透明性があり、監査可能で、説明責任を果たすべきである。また、バイアスを効果的に軽減すること、特に、脆弱な状況にある人々に不釣り合いに過剰な影響を及ぼす可能性のあるバイアスを軽減することも重要である。我々は、コンテンツ認証と来歴管理メカニズム、及び関連する技術標準が、AIが生成したコンテンツの識別に役立ち、利用者が情報操作を識別できるようになる可能性があると考える。知的財産権、プライバシー、データ保護を尊重し、データ、アルゴリズム、コンテンツモデレーションに関する、適切な保護を伴う透明性と説明可能性は、健全な情報エコシステムを構築するための鍵となり得る。G20メンバー及び招待国は、情報インテグリティの低下とそのデジタル経済への影響に対処するイニシアティブとベストプラクティスに関する協力と情報共有を奨励する。
  5. G20メンバー、招待国及び招待国際機関及び市民社会と民間セクターからの参加者は、DEWGサイドイベント「情報インテグリティの促進:オンライン上の偽情報、ヘイトスピーチ、公的機関への脅威への対抗」において、情報インテグリティに関する世界的な議論の現状について検討する機会を得た。このイベントの中で、ブラジル議長国は、国連、ユネスコ、及び関心を持つ国々と連携して開発された「気候変動に関する情報インテグリティのためのグローバル・イニシアティブ」を発表した。
  • 包摂的で持続可能な開発と不平等削減のためのAI
  1. 我々は、安全、安心で信頼できる人工知能(AI)が、透明で倫理的で責任と信頼性のある方法で適用された場合、社会、経済、環境の3つの次元において、経済成長と包摂的で持続可能な開発を達成するための触媒として機能する可能性があることを認識する。我々は、G20AI原則及びUNESCOAI倫理勧告を再確認する。G20ニューデリー首脳宣言において反映された我々の首脳の合意に基づき、また、これまでの議長国を踏まえ、我々は、AIを善のため、全ての人のために活用すること、また、AIの潜在力を最大限に引き出し、全ての人のためにその恩恵を共有し、そのリスクを軽減することへの我々のコミットメントを再確認する。
  2. 我々はAIにおける国際的な取組及びイニシアティブが継続していることを認識し、特に国連総会決議「持続可能な開発のための、安全、安心で信頼できるAIシステムの機会を捉える」と「AIの能力構築に関する国際協力の強化」が合意採択されたことを評価し、「人工知能に関する事務総長のハイレベル諮問機関」の報告書の公表を期待する。
  3. 我々は、AIを善のために活用するというコミットメント及び、AIの可能性を最大限に引き出し、その恩恵への公平なアクセスと共有を促進するバランスの取れたアプローチをとる決意を再確認する。また、我々は、セキュリティ、プライバシー及び、個人データ・人権・知的財産権の保護に関する適用可能な法的枠組みと整合性のある、リスクに基づき、人間中心で、開発志向の、イノベーションに親和的なAIの政策とガバナンスのアプローチにコミットすることにより、この技術から得られる利益を促進し、リスクを軽減するための我々の取組を強調する。さらに、包摂的で持続可能な開発と不平等削減のためのAIに関する国際協力と更なる議論を促進するために協力するというコミットメントを強調する。この意味で、我々は、UNESCOの活動を活用し、UNESCOと協力した「善のため、全ての人のためのAIの開発、展開及び利活用のためのリソースの有効化(付属書4)」を歓迎する。
  4. 我々は、AIやその他のデジタルデバイドから生じる課題、そして、条件、可能性及び能力の面で、国内及び先進国と開発途上国の間に存在する格差を縮小する必要性も同様に認識している。私たちは、貧困と闘い、世界の進歩に貢献するツールとして、包摂的で持続可能な開発のためにAIを活用する道筋を見出し、万人の利益につなげる必要性を認識している。加えて、多くの場合世界的な範囲において、AIシステムは、多様で代表的なデータセットに基づき、多様な範囲の言語、社会文化、人種、地理といった背景を反映するよう努めるべきであり、そのライフサイクルを通じて、差別的あるいはバイアスのあるアプリケーションや結果を強化したり、永続させたりすることを避けるよう努めるべきである。
  5. 我々は、AIが有する国内及び国際間のデジタルデバイドを拡大させる潜在的なリスクを懸念し、この領域における包摂的な国際協力の推進、特に能力構築、共同研究、自発的な技術移転及び知識の共有について、相互に合意された条件での推進を求める。これは、デジタルトランスフォーメーションにおける全ての国、特に発展途上国の参加を拡大し、その恩恵を活用し、責任ある倫理的な方法で、安全、安全で信頼できる人工知能システムの開発、展開、利活用に効果的に参加するためである。その意味で、我々は、全ての国、特に発展途上国が技術的専門知識と能力を開発する可能性を強化し、データと計算リソースを活用し、AIの利益を大規模に提供するオープンソースのテクノロジーとシステム、及びオープンデータの可能性を実現することの重要性を強調する。ブラジル議長国は、UNESCOの支援を受けて作成された「人工知能の準備と能力評価のためのツールキット」を公表した。
  6. 我々は、G20メンバー及び招待国による、AIを活用したソリューションによる公共サービス向上への取組を評価する。ブラジル議長国下において発表された報告書「G20における公共サービス向上のためのAI導入のマッピング」は、政府がAIソリューションを採用する際に直面する重要な機会と課題を提示している。我々は、経済的、社会的、環境的な地球規模の課題への対応及び様々な分野でのAIの採用におけるさらなる交流と協力を奨励する。
  7. G20サイドイベント「社会的公平性と持続可能な開発のための人工知能の活用」は、G20メンバー及び招待国が、条件、可能性、能力の面で広まっている格差から生じる課題について議論し、政府及び、民間セクター、アカデミア、市民社会を含む関係ステークホルダーに、そのような課題に対応するために必要な能力とツールを提供するための潜在的な解決策を探る機会となった。
  • 結語
  1. ブラジル議長国の下、G20デジタル経済作業部会(DEWG)に対するG20メンバー、招待国及び招待国際機関の貢献に感謝する。特に、ナレッジパートナーとして成果達成に向け貴重な意見を提供した国際電気通信連合(ITU)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)など各種国際機関に感謝する。
  2. さらに我々は、デジタル経済作業部会における将来の作業に対する、エンゲージメントグループ、特にB20、C20、T20、S20、W20、J20の、貴重なインプット及び関連する取組にも留意する。
  3. 南アフリカはG20の次期議長国として、G20をアフリカに迎えることを心待ちにしている。南アフリカは、デジタルデバイドを解消し、平等を推進し、人々の生活を向上させるための包摂的で持続可能な開発を支援するために、過去の議長国としての成果の上に積み上げていく意向である。従って、我々は、南アフリカがAI、デジタル公共インフラの導入、MSME支援のためのデジタル・イノベーション・エコシステム、普遍的で意味のある接続性をさらに推進させるための各種施策というテーマで取り組む計画を歓迎する。
  4. 我々はここにデジタル経済作業部会の付託事項を更新すると共に、同文書に概説された目的のさらなる推進というコミットメントを再確認する。

総務省 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第13回)
▼ 資料1 令和5年度の検討を踏まえた改定方針
  • ガイドライン改定の方向性
    1. 機密性分類の名称
      • 国の分類との混同を避けるため、名称を「自治体機密性」とした上で、自治体機密性3については、個人情報の種類を考慮した上でA~Cの3段階に分類し、それぞれについて具体例を明示してはいかがか。
    2. 分類基準の見直し
      • 個人情報保護法の安全管理措置との整合性をとる形で、分類基準を見直してはいかがか。
      • 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(行政機関等編)(令和4年9月一部改正個人情報保護委員会)5‐3‐1安全管理措置(1)行政機関の長等の安全管理措置義務
      • 行政機関の長等は、保有個人情報の漏えい、滅失又は毀損(以下「漏えい等」という。)の防止その他の保有個人情報の安全管理のため、必要かつ適切な措置(以下「安全管理措置」という。)を講じなければならない(法第66条第1項)。
      • 求められる安全管理措置の内容は、保有個人情報の漏えい等が生じた場合に本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、事務又は業務の規模及び性質、保有個人情報の取扱状況(取り扱う保有個人情報の性質及び量を含む。)、保有個人情報を記録した媒体の性質等に起因するリスクに応じて、必要かつ適切な内容としなければならない。
    3. 利用可能なクラウドサービスの範囲
      • 標準化対象業務システムのガバメントクラウドへの移行が努力義務とされていることを受けて、ガバメントクラウドでは、標準化対象業務システムが取り扱っている自治体機密性3情報を、基本的には扱うことが可能である旨を記載してはいかがか。
      • ガバメントクラウド以外のパブリッククラウドサービスで、自治体機密性3情報を扱う場合には、原則ISMAPに登録されているクラウドサービスを使用するものとしてはいかがか。
      • コンビニ交付サービス等の証明書発行サーバにおいて、誤ったプログラム処理が生じたことにより、別人の証明書が交付される事案が発生した
      • サービスの品質確保や個人情報保護の観点から、一連の事案で顕在化した課題に対応するための対策を、具体例を交えつつ記載してはいかがか。
      • 品質管理は、情報システム全般に求められるところ、契約やリリース前のテスト等に係る留意事項をより詳細に記載することで、地方公共団体が整備・運用する情報システム全般の品質管理を推進し、大規模なインシデントの防止を図ることとしてはいかがか。
      • 小規模の地方公共団体は、契約や契約後の管理はベンダーに任せきりになりがちで、職員自らが管理するリソースは不足していると考える。そのため、契約上の注意点や契約した後にベンダーへの要求事項を具体的に分かるようなガイドラインの記載を検討する必要がある。
      • コンビニ交付サービスに関する事案に対する対策として、サービス選定をする際、J-LISの受入れに関する基準を明確にする等、地方公共団体への負荷が軽減される仕組みを考えていくことが必要である。
      • コンビニ交付については、J-LIS等がどこのパッケージソフトであれば大丈夫である等の保証する形がとれると、地方公共団体としてはコンビニ交付サービスを利用しやすくなるのではないか。
      • 今年12月の個人情報保護委員会の公表資料で、コンビニエンスストアでの住民票等誤交付事案に関する富士通Japan株式会社における改善策の実施状況について記載。
      • 富士通Japan株式会社は、各事案の修正プログラムを全て適用し、高負荷時の動作における動作検証等の他、処理中の中間データへの申請番号の付与、証明書の要求から証明書の作成にかけて、処理電文間で取り扱うデータの比較の実施といった、異常検出機能の開発を行う予定であることが記載
      • 地方公共団体が、ベンダとの契約締結時に、契約不適合責任に関する民法の規律をふまえつつ、問題発生時に適切に権利を確保できる契約条項とするための検討を行うことができるようにするため、民法上の要件を解説に記載してはいかがか。 ※ なお、契約上請求権が適切に確保されれば、問題発生時に訴訟に至らずとも、協議により解決する蓋然性も高まる。
  • セキュリティインシデントに関する判例
    • 原告のウェブサイトにおける商品のウェブ受注システムの導入を、被告(情報システムの保守事業者)に委託したが、納入された当該受注システムに不正アクセスがあり、顧客のクレジットカード情報を含む個人情報(約7,000件)が流出した。
    • 判決では、当時の技術水準に沿ったセキュリティ対策を施したプログラ厶を提供することが黙示的に合意されていたことを理由に、被告が、個人情報の漏洩を防ぐために必要なセキュリティ対策を施したプログラムを提供すべき債務を負っているとの判断が出された。
    • 最終的に原告の請求の一部である損害賠償請求が認められた。
  • ガイドライン改定の方向性
    1. 業務委託についての、契約項目に係る例文及び解説に、個人情報漏えい防止のための技術的安全管理措置に関する取り決めや、コンビニ交付事案の原因等について新たに規定。
      • 「コンビニ交付サービスにおける住民票等誤交付事案に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について」(令和5年9月20 日)の内容を踏まえ、個人情報漏えい防止のための技術的安全管理措置に関する取り決めを契約書に明記するよう、例文に追記し、コンビニ交付サービスの事案の原因や個人情報保護委員会の指導内容について解説に追記する。
      • 上記に関連し、契約不適合に関する民法における考え方について、解説に追記する。
    2. 技術的セキュリティに関する解説に、不具合の考慮やテスト計画の策定・実施や、セキュリティ機能に関する判断のための情報の開示を、事業者に求められるような方策を追記する。
      • 地方公共団体は、システム調達、開発、導入、保守等業務委託全般において、業務システムに誤ったプログラム処理が組み込まれないよう、不具合を考慮した技術的なセキュリティ機能を調達仕様書に記載することに加え、委託先の監督を適切に行い、当該機能を確実に検証するテスト計画の策定・実施を行う必要があることを、例文に追記する。
      • また、適切なセキュリティ機能及びテスト仕様をどのように実現するかの判断に資する情報を、事業者から適時に得られるような方策を、地方公共団体が講ずることができるようにするため、以下について解説に追記する。
        • RFI(調達前の情報収集)やRFP(提案要請)の段階でセキュリティに関する対応状況について開示を求め、委託事業者選定の際の参考にする。
        • 開発、運用・保守の各工程における、機密性の高い情報の漏えいを防止する観点で、安全管理措置に係る対応状況について、委託先に定期的に報告を求めるような契約を締結する

総務省 感染症対策に関する行政評価・監視-国際的に脅威となる感染症への対応を中心として-<勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要>
▼ 概要
  • 調査の背景・目的
    • 平成28年当時、エボラ出血熱やMERSなどが国際的に脅威となっていたところ、こうした感染症に感染したおそれのある者が入国した場合の健康状態等の把握、適切な患者搬送を行うための体制・機材の確保や関係機関の連携、感染症指定医療機関における診療体制等が不十分
    • このため、検疫所における水際対策の実施状況、感染症のまん延防止対策の実施状況、今後の感染症危機への対応のために必要な関係行政機関等の連携の実態を調査したもの
  • 調査の結果、以下を勧告
    1. 入国審査と連携し、感染症流行国での滞在歴等の確認を要することの入国者への周知徹底。健康監視対象者からの報告徴収の方法、関係都道府県等への情報提供の方法等について検討。検疫所及び都道府県等に対し健康監視対象者の健康状態等の報告の遵守方策を提示し、適切な運用を徹底
    2. 感染症指定医療機関における診療体制等の実態把握及び実態把握結果に基づく改善措置の実施。推奨すべき取組事例の収集及び感染症指定医療機関への情報提供
    3. 検疫所における検疫感染症患者等の隔離・停留先・搬送手段の確保状況についての総点検・改善指示の実施及び総合的訓練の定期的な実施の徹底。また、保健所等における感染症患者等の搬送手段等の確保状況の確認及び改善に向けた支援措置の実施並びに消防機関との合同訓練の定期的な実施
  • 主な改善措置
    1. 出入国在留管理庁や航空会社等と連携し、入国審査時における感染症流行国での滞在歴等の確認、入国者への健康監視制度の周知等を実施(H30)
    2. 感染症流行国の国籍を有する者が入国審査時に検疫所確認済書を保有していない場合の検疫所への差戻しを実施(R元)
      • 法改正により、検疫業務に係る関係機関との協力連携規定が明記(R4)
      • 入国者の健康監視や都道府県等への情報提供におけるシステムの活用を含め、検疫所及び都道府県等に対し健康監視対象者の健康状態等の報告の遵守方策を提示予定(R7目途)
    3. 感染症指定医療機関の診療体制等を実態調査(H30)
      • 「都道府県連携協議会」で平時から感染症対策に係る関係機関同士の連携の在り方を検討・議論、地域全体で感染症患者の診療体制を確保(R5)
      • 感染症指定医療機関の指定基準の見直しを含めた検討を実施中
    4. 検疫所における検疫感染症患者等の隔離・停留先等の総点検を実施(H30)し、改善に向けた取組を指示(H31)
    5. 検疫所に対し総合訓練の実施基準を示し、関係機関が参加する実践的な訓練を定期的に実施(H30)
    6. 保健所等における感染症患者等の搬送手段等を実態調査(H30)
      • 法改正により、検疫感染症患者等の隔離・停留先となる医療機関との入院委託協定が法定化(R6)
      • 検疫所における離島からの1類感染症患者等の搬送について、関係機関との連携手順を整理し、搬送手段を確保(R6)
      • 都道府県等の予防計画に、感染症患者等の移送体制確保に係る関係機関との役割分担について協議することを明記するとともに、感染症患者等の移送を含む研修・訓練を定期的に実施することを明記(R6)

総務省 情報通信審議会 電気通信事業政策部会 電気通信番号政策委員会(第37回)配布資料・議事録
▼ 資料37-6 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ 報告書 概要
  • 構成員意見の概要
    1. 現行制度の課題
      • 番号使用計画の認定基準については犯罪利用に関するものが入っていない。また、認定後に行う使用状況の報告においても、番号の犯罪利用に関する内容の報告を求めておらず、犯罪利用に関わったことによる法律上の担保がないと感じる。
      • 逮捕・起訴され判決に至った認定事業者が、現在も認定を受けているのは問題なのではないか。
      • 特殊詐欺に関与し、逮捕・起訴・有罪となった事業者でも、現在の番号制度では特殊詐欺などの犯罪に関与したことをもって認定の欠格事由とすることはできず、総務省が公開する認定事業者リストに引き続き掲載されていることは問題。
      • 現行の認定基準は、公平、効率的な電気通信番号の使用等の観点からのみ規定されているが、この点を見直して、番号の不適正利用のおそれが疑われる事業者の認定を行わないための制度上の仕組みが求められるのではないか。
      • 電話番号が特殊詐欺などに悪用されているという実態を考えると、何らかの制度的な対応が必要。
      • 犯罪に結びつくおそれのある番号の制度であっては、我々が安心して電話番号を使うことができない。
    2. 対策方法(総論)
      • 刑事的な世界での対処も考慮しつつ、軸となる電気通信事業法の中で、行政法的な手だてを考えていく議論が必要。
      • 犯罪利用対策としては、電気通信事業法を見直して、必要な制度をインストールしていくという方向が適当。
      • 電気通信事業法の第1条(目的)では「電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者等の利益を保護し」との記載があるが、この「利益」の中には、安心して安全に電話番号制度を利用するというところも含まれるもと考える。
      • 世間的には、総務大臣が行う認定には犯罪に利用されていない適正な利用も含めて認定しているという期待があるのではないか。このため、電気通信事業法の中で、その担保が必要となるのではないか。
      • 番号の使用状況報告を行っていない事業者の全てが悪質な事業者とはいえないことも考慮に入れる必要があるのではないか。
      • 番号制度の見直しを行った上で、JUSAが構築しようとしている事業者評価制度等と協力していくやり方もあるのではないか。
    3. 対策方法(各論)
      • 欠格事由・認定基準に関する意見
        • 犯罪利用に関する認定基準や欠格事由を設けるというのが一つの方法として考えられるのではないか。
        • 欠格事由に該当していることを認定申請時や認定後に申告してくるとは考えにくい。このため、疑義がある場合にはしっかり調査する仕組みが重要。また、欠格事由への該当についての虚偽申請や申告していなかった場合に何らかの強力なペナルティーや制裁が必要なのではないか。
      • 番号の提供を行うに際し事業者に求める対応に関する意見
        • 特殊詐欺に関与した事業者が起訴され、判決が出るまでには相当な時間が必要となる。このため、不適正利用の防止の観点からどのような対策を講じることが有効か考える必要があるのではないか。
        • 認定の取消しだけで抑止力、制裁となり得るのか検討が必要ではないか。例えば、短命覚悟で犯罪利用する事業者に対しては、番号の提供元事業者が提供を行う際に対策を講じることが有効なのではないか。
        • 番号の犯罪利用対策については、例えば、卸先事業者の確認、提供数の制限、使用計画の認定の確認、本人確認、二次卸の制限等が考えられるのではないか。
        • 事業者及びその卸元事業者に対し、提供した番号を犯罪に利用させたことの責任を負わせるということもありうるのではないか。
        • 電気通信番号の卸提供を行う事業者に対し、卸提供契約時に相手方の本人確認を行わせることに加え、当該番号が不適正に利用されないための対策等を講じさせるよう制度上の措置が必要ではないか。
        • 例えば二次卸などを原則禁止として、二次卸に至る場合には、厳しい確認の要件を課すというようなやり方もあるのではないか。
        • 卸先事業者が電話をユーザーに提供する際の本人確認等をもっと明確にしていくということ対策として有効ではないか。
        • 各社が行っている犯罪利用対策の中で有効なものを全事業者が実施することで、悪用の可能性を減らしていけるのではないか。
        • 制度整備にあたっては、事業者が対応可能で一定の効果が上げられる制度とする必要がある。
      • 番号の卸契約時における提供先事業者の適正性の判断に関する意見
        • 提供先事業者が怪しいかどうかあらかじめ判断することは困難(判断基準がない)。
      • 犯罪利用対策の義務づけに関する意見
        • 具体的にどのような対策が義務づけられるかが明確でないと事業者としてコメントできない。
        • 過度なものとならないよう実行可能性の観点からも検討して欲しい。
        • 日本市場の活性化、国際競争力の確保をおこないつつ、犯罪対策にもつながるような対応が理想ではないか。
        • 電話転送役務の提供にあたっては番号制度と犯罪収益移転防止法に基づく本人確認が必要であるが、これは中小の電気通信事業者でも実施をしているものである。このため、同様の内容を課すのであればKYCプロセスの義務化に問題はないのではないか。
        • KYCプロセスの義務化の検討を行うにあたっては、事業者の対応も必要だが、利用者等に理解いただく必要がある。個人情報の提出を求めるのは、仮に制度で定められていても利用者から理解を得るのが難しい。
        • KYCについては、法律上義務化された方が利用者に対して説得力がある。
  • 事業者の取組に対する意見の概要(電気通信番号使用計画の認定の確認について)
    • 事業者意見
      • 全体の方向性に関する意見
        • これまでも現行制度に基づき認定状況の確認を実施しており、追加負担は大きくない。
        • 電気通信番号使用計画の認定及び電気通信事業者であることの確認は有効であり、現状を鑑みるに行うべきだと考えられる。
        • 各卸元事業者が主体的に取り組むべきものと認識しており、法令による取組の義務づけについては慎重に検討すべきではないか。
      • 番号種別に関する意見
        • 固定電話番号及び特定IP電話番号は賛成。音声伝送携帯電話番号は、携帯電話不正利用防止法で足りるのではないか。
        • 音声伝送携帯電話番号は現状義務づけがないため、義務づけは事業者の過度な負担となる。
        • 音声伝送携帯電話番号を確認対象とすることは負担ではあるが、犯罪利用対策という趣旨に鑑みれば対応可能。
      • 確認方法に関する意見
        • 確認方法は、認定証の確認と合わせて、総務省が公表している認定者リストと照合することが有効ではないか。
      • 対象事業者に関する意見
        • 確認対象はこれから卸提供を行う場合のみとして欲しい。
        • 既存の卸契約も確認が必要。
        • 外国事業者に流れた番号のサプライチェーンは特に確認が必要。
      • その他意見
        • 確実な実施に向けて、広報・啓発等の推進が必要。
        • 認定を受けていることが確認できなかった場合の対応について明確にする必要がある。
        • 事業者側の負荷についても考慮が必要
      • 対象事業者に関する意見
        • 認定の確認は、新規だけではなくて全ての事業者に対して実施が必要。
        • 事業者への負担が特殊詐欺対策を超える正当な理由になるとは考えられない。
      • 確認方法に関する意見
        • 事業者による確認作業を、効率的かつ信頼性の高いものとするため、クリアな基準が設けられることが必要。基本的には認定証の照合を行うことが適切。
        • 総務省は認定の取消しを受けた事業者を公表し、事業者はそのようなネガティブ情報を自主的に確認することで、より効果的な確認作業が行えるのではないか。
        • 特殊詐欺の犯罪に関与する事業者に番号を提供しないため、事業者の自主的な取組として期待し得る内容をある程度整理したガイドライン等が必要ではないか。
        • 事業者の自主的取組として認定事業者リストを参照してもらうのであれば、これに資するよう、総務省は当該リストを更新していく必要がある。
        • 認定事業者リストは公表されている以上、悪意を持っている者は、当該リスト上の事業者名を用いて認定証の偽造が可能になる。そう考えるとリストの確認は重要とまではいえず、認定証の確認を重視した方が良いのではないか。
  • 事業者の取組に対する意見の概要(電気通信番号提供数の制限について)
    • 事業者意見
      • 全体の方向性に関する意見
        • 事業実績を確認し、実績の少ない事業者には大量の番号を提供しないよう制限することに賛同。
        • 短命覚悟の悪意のある参入事業者に大量の番号を提供しない方法を検討するべきという考え方に賛同。
        • 悪意を持って参入する事業者への対策として、事業実績の確認および実績の少ない事業者への番号提供制限を設けることに賛成。
        • 新規参入事業者のビジネス機会の喪失、ひいては事業者のサービスやイノベーションを阻害することにつながりかねないと懸念。
        • 悪意を持たない事業者の円滑なサービス提供に支障が生じる可能性がある。
      • 義務づけの在り方に関する意見
        • 全ての事業者に対して一律に制限することなく、例外適用となるケースが整理されることを希望。
        • 判断基準が各社でバラバラとならない仕組みが必要。新規参入事業者の使用可能な番号数を総務大臣や第三者機関が直接審査するような方法も考えらえるのではないか。
        • 国内の事業実績のみでなく、海外の実績も考慮すべき。
        • 電気通信事業へのマーケットインを阻害しないこと、悪質事業者による規制逃れを許さないことに留意し検討すべき。
        • 一律な制限を設けない、または例外規定を設けるなど、健全な事業者に対する過度な規制とならない配慮も必要。
      • 例外規定に関する意見
        • 事業開始が客観的に確認できる場合やグループ企業へのサービス提供を目的とすることが確認できる場合は例外とできないか。
        • 事業実績による一律制限等ではなく、事業継続性を別の形で確認することを可能にする等、新規参入事業者のビジネスを阻害しない仕組みの検討が必要。
        • 電気通信番号の指定事業者は当該制限の適用除外とする等の考慮が必要。
        • 一定番号数以上の提供について法人契約に限るとしてはどうか。
        • 一定番号数以上の提供について法人契約に限ることについては、一定の効果があると考える。
        • 一定番号数以上の提供について法人契約に限ることについては、方法としてあり得るものの、犯罪利用対策につながるかはわからない。
        • 法人により回線の使用方法が変わってくる。法人名義だから影響がないとは現時点ではいえない。
    • 構成員等意見
      • 義務づけの在り方に関する意見
        • 提供制限数の定めについては、一定数以上の提供を禁止することを定めるか、一定数以上の提供は拒否できると定めた上で、提供する場合は事業者の責任で実施すると定めるべきか、どちらが事業者にとって望ましいか。
        • 新規参入事業者の番号数を総務大臣が審査した場合、行政コストが発生する。また、第三者機関で審査するとしても結局事業者が参加することになるためコストが発生するのではないか。
      • 例外規定に関する意見
        • ウェブサイトでのニュースリリースやサービス紹介は客観的な情報であり、これが確認できた場合は例外とできるのではないか。
        • 番号提供数の制限の例外として、真っ当なビジネスを行う事業者かどうかの判断に、例えば異業種であっても半年以上実績があること、国内外問わず上場企業であること、そのような企業が設立したグループ企業であること等が考えられないか。
        • 一定件数を超える場合には法人契約を原則とする考えもあり得ると考えられるが、犯罪対策としての有効性は検討が必要。
        • 卸先事業者が法人であることをもって一律に例外として認めることには反対。
        • 法人であることを持って一律に例外にするのは犯罪の抑止にはならないのではないか。複雑な例外規定にすると運用が難しくなるとは思うが、何らかの絞り込みが必要。
        • 法人であれば犯罪関与の蓋然性が低いということについて疑問は残るが、他の対策や今後の議論・意見を踏まえれば、まずは方針のとおりでも良いのではないか。
  • 事業者の取組に対する意見の概要(本人確認、当人確認、与信審査及び二次卸の禁止について)
    • 事業者意見
      • 本人確認
        • 電気通信番号使用計画の認定の確認で足りるとする考え方に賛同。
        • 新たな本人確認の義務づけは重畳であるため改めての義務化は不要という考え方に賛同。
      • 当人確認
        • 事業者の負担を考慮して状況を見ることとする考え方に賛同。
        • 当人確認の義務づけは「犯罪収益移転防止法」においてもハイリスク取引に限定されており対応の負担も大きい。
        • 当人確認を全ての卸契約に対して履行することは難しい。
        • 最近の犯罪実態では闇バイトなどで名義貸しなども行われていることなどから、より効果的な手法についても検討されるべき。
      • 与信審査
        • 番号制度の観点からは義務づける必要はないとの考え方に賛同。
        • 卸先事業者の財務状況をもって番号の提供を拒むことは差別的取扱いとなりかねない。
        • 番号制度の観点から一律に与信審査を義務化することは不適切。
        • 悪質事業者と財務状況に相関があるデータはなく、財務状況による役務提供の拒否は不当な差別的取扱いに該当する恐れがる。
        • 与信そのものと犯罪の関係性はそれほど高くないと考えられる。
        • 番号の卸提供において統一的で合理的な与信基準を確保することは困難。
      • 二次卸の禁止
        • 二次卸の禁止の義務づけについては見送るとの考え方に賛同。
        • 多段卸の提供形態は既に多く存在し、社会的影響が大きいため見送ることの考え方に賛同。
        • まずは利用者への影響の程度を検討する等のステップを踏むべき。
        • 既存の卸契約に遡って二次卸を禁止した場合、既に事業を行っている二次卸先事業者及びその利用者に対する影響が大きい。
        • MVNOは二次卸となるため実施困難。
        • 電気通信の卸ビジネス全体を否定するものと言え、過度な規制。
        • 今後の動向を注視しつつ必要に応じて対策を検討する必要がある。
        • 卸回数の制限を行う場合には番号の直接割り当てを推進するなど他国の事例も参考にしながら多面的な議論が必要。
        • 二次卸を含む卸提供は既に多く実施されており、事業者に対する過度な規制に繋がる。
    • 構成員等意見
      • その他意見
        • JUSAが中心となって構築を進めている評価制度との連携について、事業者が当該評価制度に参加するインセンティブが働くよう、何らかの仕組みを検討してはどうか。
        • 義務づけの効果を注視する必要がある。全体的な推移はもちろん、事業者ごとの効果確認を行い、一部の事業者で効果がみられないような場合には、警察庁からも情報共有を受けつつ、何らかの対応をする必要があるのではないか。
        • 事業者の確認については、仮にすり抜けが発生した場合、その理由をしっかりと検証することが必要。どのような確認をしたか、確認時の書類等が必要になってくるのではないか。
        • 情勢に応じた不断の見直しが必要

総務省 「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ」及び意見募集の結果の公表
▼ 別紙3 とりまとめ概要
  • 偽・誤情報の流通・拡散等のリスク、それをもたらすアテンション・エコノミー等の構造的リスクが存在。PF事業者ヒアリングでは自主的な取組のみには期待できない状況。
  • こうしたリスクは我が国特有の課題ではなく、諸外国にも共通。諸外国と連携・協力して対処しなければ、状況の悪化が見込まれるとの危機感を持って対応する必要。
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた基本理念や主体の役割・責務を明確化しつつ、情報流通の健全性確保に必要な「総合的な対策」を提言。
  • 現状と課題
    • SNS等の情報伝送プラットフォーム(PF)サービスは、国民生活・社会経済活動等に広く・深く浸透し、公益性が高まっている。
    • 偽・誤情報の流通・拡散等の「表層上の」リスク、それをもたらすアテンション・エコノミー等の「構造的な」リスクがある。(令和6年能登半島地震やなりすまし型「偽広告」を巡り顕在化)
    • 特に、SNS等には、(1)低廉な情報発信コスト、(2)拡散促進機能、(3)レコメンデーション機能という特徴(構造)があり、リスクを先鋭化。
    • 金銭対価の仕組みが偽・誤情報の流通・拡散に関連するとも指摘。
    • デジタル広告と広告が掲載されるメディア双方の信頼性にも影響。
  • PF事業者ヒアリングの総括 2024年2~3月に実施
    • デジタル空間における情報流通の適正化等に向けた取組として、全体として十分な回答が得られたとは言いがたい。
    • 特に国外事業者は、日本の状況を踏まえた取組に関する明確な回答がなかったことに鑑みても、日本国内で公共的役割を果たす上で、透明性・アカウンタビリティの確保は総じて不十分。
    • 取組状況についても、全体として十分とは言えない。事業者団体による偽・誤情報対策に関する行動規範の策定に関する議論が白紙となり中断されていることも鑑みると、事業者による自主的な取組のみには期待できない状況。新たに具体的な対応が必要。
  • 日本
    • 権利侵害情報への対応の迅速化、情報削除等に関する運用状況の透明化の措置を義務付ける情報流通プラットフォーム対処法が成立。
  • 米国
    • 合衆国憲法修正1条により表現の自由が手厚く保障。PF事業者に広範な免責が与えられているが、連邦・州レベルで議論の高まり。
  • 欧州
    • 2024年2月、違法情報等への対処を規定するデジタルサービス法の全面適用開始。偽情報に関する行動規範の遵守が事業者に奨励。
  • その他
    • 英国その他の先進国でも制度的な対応が進展。
  • 基本理念
    • 表現の自由と知る権利の実質的保障及びこれらを通じた法の支配と民主主義の実現
    • 安心かつ安全で信頼できる情報流通空間としてのデジタル空間の実現
    • 国内外のマルチステークホルダーによる国際的かつ安定的で継続的な連携・協力
  • 情報発信
    • 自由かつ責任ある発信の確保
    • 信頼できるコンテンツの持続可能な制作・発信の実現
  • 情報伝達
    • 公平・オープンかつ多元的な情報伝送
    • 組の透明性とアカウンタビリティの確保
    • 利用者データの適正な取扱いと個人のプライバシー保護
  • 情報受信
    • リテラシーの確保
    • 多様な個人に対する情報へのアクセス保障とエンパワーメント
  • 総合的な対策
    • 情報伝送PF事業者による偽・誤情報への対応
      • 偽・誤情報に対するコンテンツモデレーション※の実効性確保策として、大規模な情報伝送PF事業者を対象とした次の方策を中心に、制度整備も含め、具体化を進めることが適当。※特定のコンテンツの流通・拡散を抑止するために講ずる措置(情報削除、収益化停止等)。
        • 違法な偽・誤情報に対する対応の迅速化
          • 行政法規に抵触する違法な偽・誤情報に対し、行政機関からの申請を契機とした削除等の対応を迅速化(窓口整備、一定期間内の判断・通知 等)
          • ただし、前提として、行政機関による申請状況の透明性確保等が不可欠
        • 違法な偽・誤情報の発信を繰り返す発信者への対応
          • 特に悪質な発信者に対する情報の削除やアカウントの停止・削除を確実に実施する方策について、その段階的な実施を含め具体化
        • 違法ではないが有害な偽・誤情報に対する対応
          • 違法ではないが有害な偽・誤情報への対応は、影響評価・軽減措置の実施を求める枠組みの活用を含め、事業者による取組を促す観点が重要
          • こうした取組の実効性を補完する観点から、情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーション(収益化停止等)を中心とした対応について、迅速化や確実な実施を含め、利用者の表現の自由の保護とのバランスを踏まえながら具体化
        • 情報流通の態様に着目したコンテンツモデレーションの実施
          • 送信された情報の内容そのものの真偽に着目せず、情報流通の態様に着目してコンテンツモデレーションを実施する方策について具体化
        • コンテンツモデレーションに関する透明性の確保
          • 基準や手続の策定・公表、人員等の体制に関する情報の公表 等
    • 情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減
      • 情報伝送PF事業者による社会的影響の予測・軽減措置の実施
        • 政府による大枠の制度設計の下、社会的影響を事前予測し、軽減措置を検討・実施(サービスアーキテクチャの変更等による対応)
      • 特に災害等における影響予測と事前の軽減措置の実施
    • マルチステークホルダーによる連携・協力の枠組みの整備
      • 連携・協力の目的(行動規範の策定・推進、軽減措置の検証・評価 等)
      • 協議会の設置
      • 協議会の役割・権限等
    • 広告の質の確保を通じた情報流通の健全性確保
      • 広告事前審査の確実な実施と実効性向上
        • 審査基準の策定・公表、審査体制の整備・透明化、本人確認の実施 等
      • 事後的な広告掲載停止措置の透明性の確保
        • 基準や手続の策定・公表、人員等の体制に関する情報の公表 等
      • 事後的な広告掲載停止措置の迅速化
        • 外部からの申請窓口の整備・公表、一定期間内の判断・通知 等
      • 事後的な広告掲載停止措置の確実な実施
    • 質の高いメディアへの広告配信に資する取組を通じた健全性確保
      • 広告主・代理店による取組促進(経営陣向けガイドライン等の策定)
      • 広告仲介PF事業者による取組促進
    • A 普及啓発・リテラシー向上
      • プレバンキングの効果検証等有効な方法及び取組の推進
      • 普及啓発・リテラシー向上に関する施策の多様化
      • マルチステークホルダーによる連携・協力の拡大・強化
    • B 人材の確保・育成
      • 検証報道等の信頼性のある情報を適時に発信する人材
      • コンテンツモデレーション人材
      • リテラシー向上のための教える人材
    • C 社会全体へのファクトチェックの普及
      • ファクトチェックの普及促進
      • ファクトチェック人材の確保・育成
      • 関連するステークホルダーによる取組の推進
    • D 技術の研究開発・実証
      • 偽・誤情報等対策技術
      • 生成AIコンテンツ判別技術
      • デジタル広告関連技術
    • E 国際連携・協力
      • 普及啓発・リテラシー向上・人材育成の国際連携・協力
      • 偽・誤情報等対策技術の国際標準化・国際展開の推進
      • 欧米等とのバイやG7・OECD等とのマルチ連携・協力の推進

総務省 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第7回)配布資料・議事概要
▼ 資料7-2 WG報告書(案)概要
  • 電気通信番号の犯罪利用の現状
    • 特殊詐欺等、電気通信番号を悪用した犯罪は従来から存在しており、深刻な状況が続いている。
    • 特殊詐欺に悪用される電話サービスはこれまで何度も移り変わっており、対策を講じては、新たな手段が登場し、犯罪に悪用される繰り返しである。
    • 最近では、総務大臣から電気通信番号使用計画の認定を受けた電気通信事業者が、特殊詐欺に使われると知りながら電話回線を提供したとする詐欺ほう助の罪で逮捕・起訴され、判決に至った例が顕在化。
  • 電気通信番号の有限資源性及び社会における位置づけ
    • 電気通信番号は、ITU(国際電気通信連合)が定める国際的なルールにより桁数等の制約がある有限希少な資源であり、各国が配分や使用の手続を定めている。(日本では、総務省が電気通信番号を管理し、必要に応じて電気通信事業者に指定)
    • 通話サービスだけではなく、SMS等の多様なサービスにも利用されており、これらのサービスは国民の社会経済活動を支える基盤となっており、電気通信番号は重要なインフラを構成している。
    • 固定電話網のIP網への移行やIoTの普及等によって、電気通信番号のニーズは高まっている。
  • 電気通信番号を取り巻く社会のあるべき姿
    • 国民生活や経済活動において、有限希少な電気通信番号がニーズ等に合わせて適切に利用できる状態にすること
    • 電気通信番号が使用されているサービス(固定電話、携帯電話等)を利用者が安心して使えるようにすること
    • これを実現するためには、総務省(電気通信事業を所管)、警察庁(犯罪対策等)、電気通信事業者など様々な主体がそれぞれの立場で対策を講じ、連携していく必要がある。
    • 電気通信事業法は、電気通信番号の有限資源性を踏まえ、その適正な管理を目的に電気通信番号制度を規定している。犯罪に利用された電気通信番号は、関係事業者の逮捕や事業廃止によって一定期間使用されなくなるケースも多く、これは電気通信番号の有限資源性の観点から問題であるといえ、電気通信番号の犯罪利用については、電気通信事業法の範疇において、一定の対策を講じることが可能と考えられる。
    • まずは、電気通信事業法の下で講じられる対策を優先的に検討し、その対策の実効性を評価しつつ、新たに必要な対策については検討を継続していくことが適当
    • 並行して、事業者による自主的な取組と連携し、制度面、実態面の双方で対応していくことが適当
  • 電気通信番号制度の見直しの意義
    • これまで、様々なサービスを活用した犯罪への対策としては、当該サービスを提供する事業者と利用者の間に着目し、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)」(以下「犯収法」という)及び「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号)」 (以下「携帯電話不正利用防止法」という)によって、契約者に対する本人確認が義務づけられている。
    • 一方、総務大臣による電気通信番号使用計画の認定を受けた事業者が、使用できるようになった電気通信番号を特殊詐欺グループに提供し、特殊詐欺の幇助として実刑を受けているケースが顕在化している。また、そのように犯罪に利用された電気通信番号は、関係事業者の逮捕や事実上の事業廃止によって使用されていないケースも多い。
    • このため、事業者・利用者間のレイヤーより上のレイヤー、つまり、事業者が番号の使用が可能となる段階において、電気通信番号の適正な管理の観点から、電気通信番号制度の見直しを行う必要がある。
    • また、このような見直しを行うことは、特殊詐欺の犯罪対策としても適当である
  • 電気通信番号を利用した犯罪の現状(警察庁)
    • 令和6年3月末現在の特殊詐欺の被害は、昨年同期に比較して件数約17%、被害額5%減少したが、1日当たり被害額は約1億円と高水準が続いているなど依然として深刻な状態。
    • 典型例は、総務大臣から認定を受け、他の事業者から番号の提供を受けて番号が使用可能になった事業者が、番号を特殊詐欺グループに提供し、特殊詐欺グループがその番号を使って電話口で詐欺を実行するケース。
    • 特殊詐欺に関与した悪質事業者の代表者が詐欺幇助等の犯罪で逮捕されるケースは複数あるが、会社自体が解散された例は少なく、登記上は存在することが多い。そのような事業者が経営者や社名を変えるなどして活動を再開することが懸念される。
    • 利用番号や販売拒否の停止は対症療法であり事業者だけの取組には限界があることから制度上の対応が重要。
    • 認定取得済み事業者が悪質事業者であった場合には、認定取消しを含め、市場から排除できるような仕組みが望まれる。
    • 他人の名義を使用するなどして、短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者に大量の番号が販売されないような仕組みが望まれる。
    • 悪質事業者の参入抑止には、番号提供の際に、本人確認・当人確認を行う仕組み、あるいは、番号販売時における使用計画の認定を受けていることの確認をより厳格に行える仕組みを導入することなどが有効と考える
  • 電気通信番号の犯罪利用対策~消費者団体としての意見~(主婦連合会)
    • 電話サービスの詐欺利用に対しては、これまでの対策が行われてきたが、現状問題解決には至っていないことから、制度整備が必要。
    • 総務省は電気通信番号使用計画の認定を受けた事業者のリストを公開しているが、その中には特殊詐欺に関与し、逮捕・起訴・有罪となった事業者が存在しているのは問題。
    • 番号を悪用する認定事業者は、認定を迅速に取り消し、また再認定が容易に行われないような制度を整備することが必要。
    • 総務省が認定を行う際に、番号の不適正利用のおそれが疑われる事業者については認定を行わないための仕組みが必要。
    • 事業者は、卸提供を含めて番号の提供を行う際には、番号が不適正に利用されないための対策を講ずるべきではないか
  • 事業者における電気通信番号の犯罪利用対策(事業者)
    • 事業者から以下の取組が紹介されたが、具体的な内容及びその粒度にはばらつきがあった。
      • 卸先事業者が電気通信番号使用計画の認定を受けていることの確認
      • 提供番号数の制限
      • 本人確認
      • 当人確認
      • 与信審査
      • 二次卸の禁止
    • また、事業者からは以下の意見があった。
      • 提供先事業者が怪しいかどうかは判断基準がなく、あらかじめ判断することは困難。
      • 過度なものとならないよう実行可能性の観点からも検討が必要。
      • 事業者で実施している取組の一部については、犯罪収益移転防止法等に基づき既に実施しており、義務化に問題はない。
  • 事業者における電気通信番号の犯罪利用対策(事業者団体)
    • 一般社団法人 日本ユニファイド通信事業者協会(JUSA)
      • 総務省、警察庁、TCAと連携し、番号利用停止等スキームを運用。特殊詐欺に利用された番号の即時停止を実施。
      • 電話番号を利用する不適正な事業者・サービスに関する申告窓口を設置。総務省・警察庁と連携して申告・不適正な事案に対処。
      • 最新の法令を周知して市場の健全化を目指すため、電気通信事業者を対象としてセミナーを複数回開催。
      • 総務省との連携の下、TCA、JAIPA等と連携して、事業者による自主的な評価制度を構築中。本評価制度では優良な事業者を評価するもので、これにより、適正な事業者同士の卸提供契約の実現と、利用者が契約先事業者を選定する際の指標としての活用を期待。
    • 一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)
      • 「オレオレ詐欺等対策プラン」(令和元年6月25日犯罪対策閣僚会議決定)において、「特殊詐欺に利用された固定電話番号の利用停止をはじめとする実効性のある対策を講じる」とされたことを受け、特殊詐欺に利用された固定電話番号の利用停止等の運用・検討等のため、令和元年9月に部会を設置。
      • 総務省からの通知に基づき、特殊詐欺対策検討部会に参加する会員事業者は、県警等からの要請に応じ、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止や悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否等を実施。
      • 関係機関等と連携した取組みにより、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の悪用への対策に寄与。
      • (参考)令和5年末までの利用停止等の件数
        • 固定電話番号 :12,665件
        • 050IP電話番号 :9,482件
  • 対策の方向性
    • 世間的には、総務大臣が行う認定には犯罪に利用されていない適正な利用も含めて認定しているという期待があることから、電気通信事業法の中で、その担保が必要。
    • 犯罪利用に関する認定基準や欠格事由を設けるというのが一つの方法として考えられるのではないか。
    • 現行の認定基準は、公平、効率的な電気通信番号の使用等の観点からのみ規定されているが、番号の不適正利用のおそれが疑われる事業者の認定を行わないための制度上の仕組みが求められる。
    • 特殊詐欺に関与し、逮捕・起訴・有罪となった事業者でも、現在の番号制度では特殊詐欺などの犯罪に関与したことをもって認定の欠格事由とすることはできず、総務省が公開する認定事業者リストに引き続き掲載されていることは問題。
    • 番号の提供元事業者が提供を行う際に対策を講じることが有効。
    • 事業者が行っている犯罪利用対策の中で有効なものを全事業者が実施することで、悪用の可能性を減らしていけるのではないか。
    • 電気通信番号制度の具体的な見直しの方向性として、以下を見直しつつ、運用も工夫することが適当。
      • 欠格事由
      • 事業者の取組
      • 認定基準
      • 認定の取消事由
  • 欠格事由の見直し
    • 欠格事由は、行政庁の判断により許認可の対象として適切ではないと考えられる者をあらかじめ許認可の対象から排除するものである。しかし、行政庁の裁量が過大にならないよう、その内容はあらかじめ明確に示すこと、また、一般国民の経済活動の自由等を制限をする側面もあるため、内容には合理性、必要性があることが求められる。
    • 電気通信番号の特殊詐欺への犯罪利用を排除し、電気通信番号の適正な管理を担保するという目的に鑑みれば、今般の見直しにおいて欠格事由に追加する項目は、特殊詐欺として立法事実のある犯罪とすることが適切である。
    • 令和3~5年における特殊詐欺の罪状を踏まえれば、欠格事由として規定することが適切な犯罪は、窃盗(刑法 第235)、詐欺(刑法 第246条)及び電子計算機使用詐欺(刑法第246条の2)が適当と考えられる
    • 特殊詐欺として立法事実のある犯罪を欠格事由に追加するにあたっては、当該事由が現行の欠格事由と異なり、総務省が所管していない法令に関するものとなることから、その適切な運用が課題となる。
    • 所管外の法令を欠格事由として規定している例は他の法律においても存在しており、その運用としては、欠格事由に該当しない旨の誓約書を提出させた上で、当該誓約書に疑義があると認められる場合は、市町村等に犯歴等の照会を行うこととしているのが一般的である。(例:民間事業者による信書の送達に関する法律)
    • したがって、番号制度においても、認定の申請時(変更申請時を含む)に欠格事由に該当しない旨の誓約する書面を提出させることによって、欠格事由該当性を判断する運用とすることが考えられる。なお、電気通信事業法第9条による登録の申請も、欠格事由に該当しないことを誓約する書面を添付が義務づけられている。
    • また、認定後においても欠格事由の非該当性を担保するため、電気通信事業報告規則第8条に基づく電気通信番号の使用状況報告で、欠格事由該当性の有無についても報告を求めることが考えられる。
    • 現行の認定の欠格事由には、認定の取消しを受けた者に関する規定がない。
    • 許認可の欠格事由には、一般的に、当該許認可を取り消された者が規定されていることが多く、これは、許認可を取り消されたような者がただちに当該許認可の申請を行っても、当該許認可を受けるに適切ではないと考えられるためである。
    • 後述する事業者への取組の義務づけをする場合、当該取組が講じられておらず、電気通信番号の管理が杜撰で特殊詐欺等の犯罪の温床になっているなど、公共の利益が阻害されていると認められるようなときは、認定の取消しの対象となり得る。そして、このような事由で認定の取消しを受けた者は、当面は、電気通信番号の適切な使用が期待できないと考えられる。
    • このため、今般の見直しに合わせて、認定の欠格事由に、認定の取消しを受けた者を追加することが適当と考えられる
  • 事業者の取組
    • 欠格事由の追加によって、制度上、番号の特殊詐欺への使用を排除し、番号の適正な管理が一定程度可能となるが、限界はあると考えられる。このため、実態として、悪質事業者に番号を特殊詐欺に使わせないようにすることが、番号の有効利用を図る上で重要。
    • 一般的な特殊詐欺の実態として、特殊詐欺に関与する事業者は、他の事業者から卸電気通信役務の提供を受けて番号の提供を受けていることを踏まえると、事業者が他の事業者に番号を提供しようとする際に何らかの取組を講じるよう義務づけることによって、特殊詐欺に関与する悪質事業者に番号を流通させないようにすることが有効。
    • 取組の義務づけの対象とする番号種別は、合理性、必要性の観点から、特殊詐欺に利用されているエビデンスのある固定電話番号、音声伝送携帯電話番号及び特定IP電話番号とすることが適当
    • 具体的に義務づける事業者の取組は、関係者ヒアリングや構成員等の意見を踏まえれば、(1)卸先事業者に対する電気通信番号使用計画の認定の確認、(2)提供番号数の制限、(3)本人確認、(4)当人確認、(5)与信審査、(6)二次卸の禁止、が考えられる。
    • 一方で、取組の効果とこれを行うことによる社会的影響等を考慮すれば、① 電気通信番号使用計画の認定の確認、② 提供番号数の制限を義務づけの対象とすることが適当。
    • 犯罪に関与している事業者は、そもそも電気通信番号使用計画の認定を受けていない場合、認定を受けていても他人の名義を無断で使用している場合、他人の名義を合意の上で使用している場合の3つのケースがあり得るが、上記2つの取組を義務づけることで、犯罪に関与する事業者に電気通信番号が流通することを防止する大きな成果が得られると考えられる。
    • 一方で、特殊詐欺に悪用される電話サービスはこれまでも移り変わっており、対策を講じては新たな手段が登場し、犯罪に悪用されてきたことを踏まえれば、引き続き状況を注視し、必要な場合には、対策を講じていくことが必要と考えられる。
    • また、制度面の対応のみならず、例えばJUSA等の事業者団体が中心となって構築を検討している評価制度など、事業者による自主的な取組と連携し、制度面、実態面の両面から、相互補完していくことが有効である。このためにも、総務省は当該評価制度を重要な取組と位置付けて支援し、業界にビルトインしていくことが重要
    • 各取組の義務づけの有無に関する考え方については、次のとおり。
      1. 電気通信番号使用計画の認定の確認
        • 番号を使用する全ての事業者は、総務大臣による電気通信番号使用計画の認定を受ける必要があり、認定を受けていない事業者に番号の提供を行うことは、番号の適正な管理の観点からも問題である。
        • このため、番号を提供しようとする際には、契約の相手方事業者が総務大臣から使用計画の認定を受けていることを確認するよう義務づけることが適当である。
      2. 番号の提供数の制限
        • 最近では短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者が増加傾向にあり、特殊詐欺に使用された番号は一定の期間、再使用されないケースも多く、番号の有限資源性の観点から問題である。
        • このため、短期間で電気通信番号を特殊詐欺に使用する意図を持った事業者が番号を使用できないよう、事業実績を確認し、実績の少ない事業者に対して提供する番号数は必要最小限に限ることが有効と考えられる。
        • 本取組は、継続的に事業を行わず、番号が効率的に使用されないリスクが高い場合を排除することが目的であることに鑑みれば、そのようなリスクや蓋然性がない場合にまで、一律に制限を行う必要はないものと考えられ、事業継続可能性等の電気通信番号の効率的な使用が客観的に判断できる場合については、制限の例外として定めることが適当である。
        • 例外の基準については、
          • 卸先事業者が電気通信事業を含む業に係る製品・サービスの提供を6ヶ月以上行っていると確認できる場合
          • 卸先事業者が法人である場合
        • を基本とすることが考えられるが、制限数も含めて具体的な内容は、例えば法人であれば例外としても問題はないのかという点も含めて、電気通信番号の特殊詐欺への悪用の実態や関係事業者等の意見を踏まえながら、総合的に判断し、総務省において検討を進めていく必要がある
      3. 本人確認
        • 契約時の本人確認については、「犯収法」及び「携帯電話不正利用防止法」でも義務づけられていることを踏まえれば、これを義務づけても事業者に新たに大きな負担を課すものではないと考えられる。
        • 一方で、番号使用計画の認定手続では、電気通信事業の登録又は届出の有無を確認しており、登録又は届出の手続では登記事項証明書や住民票の写しが提出されている。
        • このため、電気通信番号使用計画の認定の確認を行えば、本人確認を行ったといえ、新たに本人確認を義務づけることは重畳的な義務づけになりかねず、認定の確認で足りると考えられる
      4. 当人確認
        • 最近では短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者が増加傾向にあり、この中には他人の名義を使用して法人を設立しているケースも存在することから、当人確認(契約における代表者等が本人確認書類の人物と相違ないか確認を行うこと)が有効とも考えられる。
        • 一方で、当人確認の義務づけは犯収法においてもハイリスク取引(なりすましの疑いがある取引又は取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引)に限定されていること、また、この実施を求めることは事業者への負担が大きいと考えられる。
        • このため、番号制度では、電気通信番号使用計画の認定の確認の確実な実施を優先することとし、当人確認の義務づけについては状況をみることが適当である
      5. 与信審査
        • 短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者に対しては、財務状況等を確認することも有効な手段の一つとなり得る。
        • 一方で、与信審査は番号の卸元事業者が経営リスクの判断のため行う要素が高く、また、事業者の財務状況をもって番号の提供を行わないとすることは差別的取扱いを行うこととなりかねない。
        • このため、番号制度の観点からは、与信審査の義務づけを行わないことが適当である。
      6. 二次卸の禁止
        • 総務大臣による認定制度を悪用し、認定を受けた事業者として他事業者から番号を入手して特殊詐欺の犯人グループに電話サービスを提供するケースが存在していることから、二次卸を禁止し、番号の最終利用者の管理を強化することも有効な手段と考えられる。
        • 一方で、現実には、二次卸を含む卸提供は既に多く実施されており、この中で特殊詐欺等の犯罪に関与している事業者は一部に過ぎない。
        • このため、二次卸の禁止は事業者に対する過度な規制となりかねず、また、社会的影響が大きいと考えられることから、この義務づけについては見送ることが適当である。
  • 認定基準の見直し
    • 現行制度では、認定基準を電気通信番号の使用の必要性・公平性・効率性の観点から定めている。
    • 前述した事業者の取組の義務づけの新設を踏まえれば、その取組が適切に講じられることを認定基準に追加することが適当。
    • また、認定後も認定事業者が当該取組を適切に講じていることを担保する必要がある。この確認を容易に行うため、例えば、電気通信事業報告規則第8条に基づく電気通信番号の使用状況報告で、みなし認定事業者も含む全ての事業者から電気通信番号を使用する役務の卸元事業者の報告を求めることが考えられる。具体的な方法については、総務省において検討を進めることが適当である。
  • 認定の取消事由の見直し
    • 現行制度では、認定の取消事由として特殊詐欺の犯罪への関与に関する規定はないが、欠格事由への該当が取消事由の一つとして規定されている。
    • 前述のとおり、電気通信番号を特殊詐欺に悪用した場合が欠格事由に追加されることによって、これも認定の取消事由に該当し、実質的に認定の取消事由が追加されることになるから、当面はこれで足りると考えられる。
  • 今後の対応
    • 現行の電気通信番号制度については、以下の見直しを行い、対策を着実に講じていくことが適当。
      • 欠格事由関係
        • 特殊詐欺として立法事実のある犯罪(窃盗、詐欺及び電子計算機使用詐欺)及び認定の取消しを受けた者を追加する。
        • 欠格事由に該当しないことを誓約する書面の提出を求めるとともに、電気通信事業報告規則第8条に基づく電気通信番号の使用状況報告の際に、欠格事由の該当性の有無について報告を求める。
      • 事業者の取組関係
        • 電気通信番号(固定電話番号、音声伝送携帯電話番号及び特定IP電話番号)を使用した卸電気通信役務を提供する際、既存の卸先事業者を含め全ての事業者に次の取組を行うことを義務づける。
        • 電気通信番号使用計画の認定を受けていることの確認
        • 継続的に事業を行わず、電気通信番号が効率的に使用されないリスクが高い事業者への電気通信番号提供数の制限
      • 認定基準関係
        • 認定基準に義務づけられる取組が適切に講じられることを追加する。
        • 当該取組が適切に講じられているか容易に確認できるよう、電気通信番号の使用状況報告に係る制度を見直し
    • 見直しの具体化にあたっては、関係事業者等と連携の上、電気通信事業の発展と電気通信番号の有限資源性のバランスを図りながら検討を行うこととし、着実に運用していくことが重要。
    • そのうえで、本見直しの施行後は、その実効性を評価するとともに、電気通信番号の特殊詐欺の犯罪利用の動向を注視し、必要に応じて更なる対策を検討していくことが適当。その中には、例えば、今般の見直しを徹底するという趣旨で、欠格事由の誓約書に虚偽記載をした場合の制裁を科すことや、事業者の取組を追加することが考えられる。
    • また、電気通信番号の適正な管理は、制度面及び実態面の両面から相互に補完していくことが重要であり、総務省は、JUSA等の事業者団体中心となって構築を検討している評価制度のような事業者による自主的な取組と、引き続き、連携を強化していく必要がある。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第26回)配付資料 ※ワーキンググループ(第33回)合同開催
▼ 資料26-1-1「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)」に対する意見募集結果(概要)
  • 表現の自由に関する慎重な配慮の必要性
    • プラットフォーム事業者による透明性確保の水準といった、「表現の自由」の根幹に係る議論に関する評価の指標及びプロセスに関する詳細な検討過程については、対象事業者や業界団体等のステークホルダーへ丁寧な説明を行っていただきたい。 【LINEヤフー】
    • 情報流通の健全性確保に向けた具体的な施策の検討や課題への対処に当たっては、表現の自由と知る権利の保障を謳う基本理念に常に立ち返り、検討、対処されることを強く要望する。 【テレビ東京】
    • (回答案)表現の自由の基盤を確保するという観点から、今後、総務省における丁寧な政策検討がなされていくことを期待。
  • アテンション・エコノミーに関する意見
    • 「アテンション・エコノミー」は、それ自体に本質的な欠陥があるわけではなく、むしろイノベーションを促進し、表現を育み、活気あるオンラインエコシステムを支えている。 【Google】
    • 偽情報や誤情報の発信・拡散を容易にするとともに、フィルターバブルやエコーチェンバーなどアテンション・エコノミーによる様々な課題を引き起こしているのはPF事業者のサービス設計によるところが大きい。PF事業者が情報流通を担う責任を自覚し健全な言論空間の維持に向け主体的に取り組むことが、各ステークホルダーの協力・連携の前提。【日本新聞協会】
    • (回答案)イノベーションの結果として、インターネット上のアテンション・エコノミーといった特徴が特に注目されており、対策が必要という議論がなされているという認識。表現の自由の基盤を確保するという観点から、今後、総務省における丁寧な政策検討がなされていくことを期待
  • コンテンツモデレーション実施に向けた慎重な検討の必要性
    • 違法性のない情報に対するモデレーションに関しては、表現の自由を尊重しつつ、各プラットフォームのサービスの特性や利用規約に基づいて、柔軟な対応がなされるべき。また、投稿者の表現の自由を過度に制限したり、プラットフォーマーの裁量を狭めるような方策は、憲法上の権利を侵害する可能性があり、慎重な検討が必要。 【AICJ】
    • 行政庁からのモデレーションの要請については、実質的には削除を求められることから、それが検閲類似の行政庁による表現の自由への制約(事前抑制)とならないよう、極めて慎重な配慮が必要。 【Google】
    • コンテンツモデレーションの実施要否等の判断に関与する人員等の体制に関する情報の公表に対して、反対。適切なコンテンツモデレーションの在り方はプラットフォームごとに異なる。その上で人員等の体制について評価の方法がないにも関わらず情報開示を求めるのは非常に乱暴な話であり、意味がないどころか、リスクにもなり得る。 【X】
    • (回答案)表現の自由の基盤を確保するという観点から、今後、総務省における丁寧な政策検討がなされていくことを期待。
  • 協議会に係る制度設計に向けた慎重な検討の必要性
    • マルチステークホルダーにより構成される協議会の設置に関しては、その構成員、役割、権限等についての透明性確保とともに、同協議会の活動が、デジタル情報空間における表現の自由を不当に侵害しないよう慎重な制度設計を要望。 【民放連】
    • 民産学官のマルチステークホルダーによる取組が、政府による制度設計の下で実施されることに強い懸念。言論の 自由への政府による介入を想起させるとともに、そのような枠組みが今後政府によるファクトチェックを推進するための 枠組みとして利用されることはないか、措置の目的や必要性、設計の在り方から慎重に議論をすべき。 【新経連】
    • (回答案)総務省において、できるだけ幅広い意見を踏まえながら、議論・検討が深められていくことを期待。
  • 広告の質の確保に向けた法制化の妥当性
    • 結論ありきで性急に法制化を進めるのではなく、オンライン広告の配信の仕組みなどについて丁寧に情報収集を行い、広告事業の実態を踏まえた慎重な検討をするべき。関係省庁とも適切に連携を図るべき。 【LINEヤフー】
    • 広告審査体制の透明化について反対。プラットフォームごとにプロダクト・サービスが異なり、必要な体制が異なる。評価することもできない状況で誰しもアクセスできる情報として開示することは、リスクを増大させる。 【X】
    • 営利広告が制約の余地が大きいということの根拠については議論の余地がある、という指摘には賛同し、慎重な議論が求められるべき。【スマートニュース】
    • (回答案)総務省において、広告の仕組みや事業実態をしっかり把握した上で、適切な対応がなされることを期待
  • ファクトチェック機関の独立性確保の必要性
    • 取りまとめでは、「政府・公的機関などからのファクトチェック組織の独立性確保が必須」との明記が必要。 【FIJ】
    • (回答案)「政府・公的機関などからのファクトチェック組織の独立性が確保されるべき」に修正。【とりまとめ案 修正】
    • 情報伝送プラットフォーム事業者によるファクトチェック団体への財政支援については、ファクトチェックされる情報を掲載するPF側が、ファクトチェックする側を支援するという点で、公平性について賛否両論あると理解しており、政府として積極的に推奨するべきではないのではないかという点については留意すべき。 【SMAJ】
    • (回答案)ファクトチェックの公平性・中立性に留意しつつ、取組が進められることを期待。
資料26-2-1「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」とりまとめ(案)(概要)
  • デジタル空間における情報流通を巡っては、偽・誤情報の流通・拡散等のリスク、それをもたらすアテンション・エコノミーやフィルターバブル等の構造的リスクが存在。
  • さらに、生成AI等の新たな技術やサービスの進展・普及によって、このようなリスクが加速化するおそれ。
  • デジタル空間における情報伝送PFサービスの現状等を整理し、情報流通を巡るリスク・問題を整理。
  • デジタル空間を活用した技術やサービスの進展・普及等の状況
    • 情報伝送PFサービスは、国民生活や社会経済活動等に広く・深く浸透(人々は情報収集だけでなく発信手段としてサービスを利用。企業や行政による発信や企業等によるデジタル広告出稿も増加 等)
    • 情報伝送PFサービスの情報流通の場としての公益性の高まり(人々の主な情報収集先は伝統メディアから情報伝送PFサービスへ。災害時の情報収集手段としてもSNS等が活用 等)
    • 新たな技術やサービスの進展・普及に伴う変化(生成AI等の新たな技術・サービスの進展・普及によるネット上のコンテンツの多様化 等
  • デジタル空間における情報流通を巡るリスク・問題
    • 偽・誤情報等、なりすまし型「偽広告」等の流通・拡散、信頼性のある情報の相対的な減少
    • アテンション・エコノミーやフィルターバブル等、情報伝送PFサービスの特徴等により生み出される構造的なリスク・問題
    • 上記を加速化させるリスク・問題 (新技術やサービスの進展・普及、地政学上等のリスク・問題等)
    • 特に、多くの人の間で正確な情報の適時な共有が求められる事態における偽・誤情報等の流通・拡散(令和6年能登半島地震等における偽・誤情報等の流通・拡散等)
  • 様々なステークホルダーによる課題への対応状況
    • 偽・誤情報等の流通・拡散をはじめとするデジタル空間における情報流通を巡るリスク・問題は、実空間への影響も顕在化・深刻化。
    • 現在、デジタル空間における情報流通を巡るリスク・問題に対して、様々なステークホルダーが自主的に様々な対応をしてきている状況にあるが、対応は区々であり、ステークホルダー間におけるこれまでの連携・協力も必ずしも十分とはいえない状況。
    • 情報伝送PF事業者においては、偽・誤情報等への対応として、ステークホルダーとの連携・協力を通じた一層の取組が必要。
    • また、特に多くの外国の情報伝送PF事業者においては、日本国内の状況を踏まえた取組に関する明確な回答がなかったことに鑑みても、透明性・アカウンタビリティの確保は総じて不十分であり、事業者による行動規範策定の取組が白紙の状況となっているなど、自主的な取組のみには期待できない状況であり、具体的な対応が必要。
  • 諸外国等における対応状況
    • デジタル空間における情報流通の健全性を巡るリスク・問題については、日本特有の課題ではなく、グローバルな課題。
    • 諸外国においては既にマルチステークホルダーが連携・協力して有効な対策の検討・実施が積み重ねられてきている状況。
    • 日本においても、国内におけるステークホルダーの連携・協力を進め、これらのリスク・問題に対して諸外国と連携・協力して対処する必要。
      • 日本
        • 権利侵害情報への対応の迅速化、情報削除等に関する運用状況の透明化の措置を義務付ける情報流通プラットフォーム対処法が成立。
      • 米国
        • 合衆国憲法修正1条により表現の自由が手厚く保障。情報伝送PF事業者に広範な免責が与えられているが、連邦・州レベルで事業者の取組への規制に関する議論が進行中。
      • EU
        • 2024年2月、違法情報等への対処を規定するデジタルサービス法の全面適用開始。偽情報に関する行動規範の策定と参加を奨励。そのほか、マルチステークホルダーによる取組が進展。
      • 大洋州地域
        • オーストラリアやニュージーランドでは、情報伝送PF事業者が民間主導の行動規範に参画。
      • ASEAN諸国
        • ファクトチェックに関するマルチステークホルダーによる連携・協力。リテラシー向上に関するキャンペーン等も実施。
      • 国連
        • 行動規範を作成する取組が進行中。IGF等マルチステークホルダーによる連携・協力。
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた対応の必要性と方向性
    • 日本においても、諸外国と同様、ステークホルダーの個々の自主的な取組だけでは情報流通の健全性が脅かされ、ひいては実空間への負の影響を看過し得なくなるという強い危機感を持ち、ステークホルダーがより一層連携・協力して対応していくことが必要な時期にある。
    • デジタル空間の情報流通の健全性を確保するためには、情報流通を巡るリスク・課題を十分に分析し、短期的な止血としての即効性のある対応を進めつつ、中長期的な視野からの対応も並行して進めることが必要。
    • また、情報流通の各過程である「発信」・「伝送」・「受信」に係る様々なステークホルダーが相互に連携・協力して、在るべき方向性について同一の認識を持った上で不断に対応していくことが効果的・効率的。
    • 情報流通に携わる幅広いステークホルダーの間で、健全性確保に向けた「基本理念」を明確化・共有した上で、「総合的な対策」を実施していくという共通認識としていくことが必要。
    • 各ステークホルダーがどのような責務・役割を遂行して情報流通を巡るリスク・課題への対応を実施するべきかを「基本理念」として整理・明確化。
    • そのための具体的な方策としてどのステークホルダーがどのような対策を講ずる必要があるのか等、「総合的な対策」を検討し、ステークホルダーの連携・協力の下で、迅速かつ効果的・効率的に対応を進めていくことが必要。
  • 情報流通の健全性確保に向けた基本的な考え方(基本理念)
    1. 情報流通過程全体に共通する高次の基本理念
      • 表現の自由と知る権利の実質的保障及びこれらを通じた法の支配と民主主義の実現
        • 自由な情報発信と多様な情報摂取の機会が保障され、個人の自律的な意思決定が保護されるとともに、これを通じ、表現の自由や知る権利以外の様々な権利利益(営業の自由など)にも配慮したルールに基づく健全な民主的ガバナンスが実現すること
      • 安心かつ安全で信頼できる情報流通空間としてのデジタル空間の実現
        • 平時・有事(災害発生時等)を通じ、アテンション・エコノミーを構造的要因とするものを含め、偽・誤情報や悪意ある情報の流通による権利侵害、社会的混乱その他のフィジカル空間への影響が抑止されるとともに、情報流通の過程全体を通じ、サイバー攻撃や安全保障上の脅威等への対抗力が確保された強靱なデジタル空間が実現すること
      • 国内外のマルチステークホルダーによる国際的かつ安定的で継続的な連携・協力
        • デジタル空間に国境がないことを踏まえ、国内外の民産学官を含むマルチステークホルダーが相互に連携・協力しながらデジタル空間における情報流通に関するガバナンスの在り方について安定的かつ継続的に関与できる枠組みが確保されていること
    2. 情報発信に関する基本理念
      • 自由かつ責任ある発信の確保
        • 自由かつ、ジャーナリズムやリテラシーに裏付けられた責任ある発信が確保されていること
      • 信頼できるコンテンツの持続可能な制作・発信の実現
        • 信頼できる魅力的なコンテンツの制作・発信(ファクトチェックを含む)に向けたリソースが安定的かつ継続的に確保され、そうした活動の透明性が確保されるとともに、その価値が正当に評価されていること
    3. 情報受信に関する基本理念
      • リテラシーの確保
        • 受信者において技術的事項を含むリテラシーが確保され、デジタル社会の一員としてデジタル空間における情報流通の仕組みやリスクを理解し、行動できること
      • 多様な個人に対する情報へのアクセス保障とエンパワーメント
        • 個人の属性・認知的能力や置かれた状況の多様性を考慮しつつ、あらゆる個人に対してデジタル空間における情報流通への参画と意思決定の自律性確保の機会が与えられていること
    4. 情報伝送に関する基本理念
      • 公平・オープンかつ多元的な情報伝送
        • 多元的で信頼できる情報源が発信する情報が偏りなく伝送(媒介等)されていること
      • 情報伝送に関わる各ステークホルダーによる取組の透明性とアカウンタビリティの確保
        • プラットフォーム事業者や政府を含む関係者の取組・コミュニケーションの透明性が確保されるとともに、それらの取組等や透明性確保につき責任を負うべき主体・部門が特定され、明確であり、当該主体・部門から責任遂行状況について十分に説明してもらうことが可能な状態にあること
      • 情報伝送に関わる各ステークホルダーによる利用者データの適正な取扱いと個人のプライバシー保護
        • 個人情報を含む様々な利用者データの適正な収集・利活用とそれを通じた個人の意思決定の自律性が確保され、個人のプライバシーが保護されていること
    5. 各ステークホルダーに期待される役割・責務(抜粋)
      • 政府
        • 内外のマルチステークホルダー間の相互連携・協力に基づくガバナンスの基本的な枠組みの設計・調整
        • 民間部門による取組について、透明性・アカウンタビリティ確保の促進、コンテンツモデレーションによって生じる被害に対する救済手段の確保、教育・普及啓発、認知度向上等のファクトチェックの推進、研究や技術の開発・実証、人材育成の推進等を通じた支援 等
      • 地方自治体
        • 情報発信主体の一つとして、地域内外への効果的な発信の実施と発信の信頼性向上に向けた体制の確立 等
      • 伝統メディア(放送、新聞等)
        • デジタル空間で流通する情報の収集・分析を含む取材に裏付けられ、偽・誤情報等の検証報道・記事や偽・誤情報等の拡散を未然に防ぐコンテンツを含む信頼できるコンテンツの発信 等
      • ファクトチェックを専門とする機関を含むファクトチェック関連団体
        • 持続可能なファクトチェックの実現に向けたビジネスモデルの確立
        • 効果的かつ迅速なファクトチェックの実現 等
      • 情報伝送PF事業者
        • 自社サービスや、そのサービスに組み込まれたアルゴリズムを含むアーキテクチャがアテンション・エコノミーの下で情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握及び必要に応じたリスク軽減措置の実施
        • 違法・有害情報等の流通抑止のために講じる措置を含め、情報流通の適正化についての一定の責任
        • 大規模な情報伝送PF事業者は、サービスの提供により情報流通についての公共的役割
        • 多くの人の間で正しい情報の適時な共有が求められる場面における、国民にとって必要な情報の確実かつ偏りない伝送
        • コンテンツモデレーションに関し、日本の法令等に精通する等の人材を確保・育成するとともに、全体の基準やその運用状況等のマクロ的、個別の発信者への理由説明や救済手段の確保等のミクロ的両面での透明性・アカウンタビリティ確保 等
      • 広告仲介PFその他広告関連事業者
        • デジタル広告そのものや広告配信先メディアの質の確保に向けた取組の実施及びその透明性・アカウンタビリティの確保 等
      • 利用者・消費者を含む市民社会
        • デジタル空間における情報流通に関するリスク・問題や構造の理解及びリテラシーの確保
      • 利用者団体・消費者団体
        • 情報伝送PFサービスの利用者や消費者を含む市民社会のリテラシー向上に向けた支援
      • 教育・普及啓発・研究機関
        • 市民社会のリテラシー向上に向けた効果的な教育・普及活動
        • 情報流通の健全性に対するリスクの度合い・適切な軽減措置の在り方等に関する、ファクトやデータに基づく専門的研究・評価・分析
  • 総合的な対策
    1. 基本的な考え方
      • サイバーセキュリティやプライバシー等の関連分野を踏まえた社会全体で対応する枠組み
      • 信頼性のある情報の流通促進と違法・有害情報の流通抑制の両輪による対応
      • 個人レベルとシステムレベルの両面及び相互作用による対応
      • プレバンキングとデバンキング※の両輪による対応 ※ プレバンキング:偽・誤情報等が流通・拡散する前の備え(リテラシー向上等)デバンキング:偽・誤情報等が既に流通・拡散した状況での事後対応(ファクトチェック等)
      • 流通・拡散する情報とそれに付随するデジタル広告への信頼性に対する相互依存関係を踏まえた対応
    2. 総合的な対策
      • 普及啓発・リテラシー向上
        • プレバンキングの効果検証等有効な方法及び取組の推進
        • 普及啓発・リテラシー向上に関する施策の多様化
        • マルチステークホルダーによる連携・協力の拡大・強化
      • 人材の確保・育成
        • 検証報道等の信頼性のある情報を適時に発信する人材
        • コンテンツモデレーション人材
        • リテラシー向上のための教える人材
      • 社会全体へのファクトチェックの普及
        • ファクトチェックの普及推進
        • ファクトチェック人材の確保・育成
        • 関連するステークホルダーによる取組の推進
      • 技術の研究開発・実証
        • 偽・誤情報等対策技術
        • 生成AIコンテンツ判別技術
        • デジタル広告関連技術
      • 国際連携・協力
        • 普及啓発・リテラシー向上・人材育成の国際連携・協力
        • 偽・誤情報等対策技術の国際標準化・国際展開の推進
        • 欧米等とのバイやG7・OECD等とのマルチ連携・協力の推進
      • 制度的な対応
        • 情報伝送PF事業者による偽・誤情報への対応
        • 情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減
        • マルチステークホルダーによる連携・協力の枠組みの整備
        • 広告の質の確保を通じた情報流通の健全性確保
        • 質の高いメディアへの広告配信に資する取組を通じた健全性確保
    3. 情報伝送PF事業者による偽・誤情報への対応
      • 偽・誤情報に対するコンテンツモデレーション※の実効性確保策として、大規模な情報伝送PF事業者を対象とした次の方策を中心に、制度整備も含め、具体化を進めることが適当。 ※特定のコンテンツの流通・拡散を抑止するために講ずる措置(情報削除、収益化停止等)
        • 違法な偽・誤情報に対する対応の迅速化
          • 行政法規に抵触する違法な偽・誤情報に対し、行政機関からの申請を契機とした削除等の対応を迅速化(窓口整備、一定期間内の判断・通知 等)
          • ただし、前提として、行政機関による申請状況の透明性確保等が不可欠
        • 違法な偽・誤情報の発信を繰り返す発信者への対応
          • 特に悪質な発信者に対する情報の削除やアカウントの停止・削除を確実に実施する方策について、その段階的な実施を含め具体化
        • 違法ではないが有害な偽・誤情報に対する対応
          • 違法ではないが有害な偽・誤情報への対応は、影響評価・軽減措置の実施を求める枠組みの活用を含め、事業者による取組を促す観点が重要
          • こうした取組の実効性を補完する観点から、情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーション(収益化停止等)を中心とした対応について、迅速化や確実な実施を含め、利用者の表現の自由の保護とのバランスを踏まえながら具体化
        • 情報流通の態様に着目したコンテンツモデレーションの実施
          • 送信された情報の内容そのものの真偽に着目せず、情報流通の態様に着目してコンテンツモデレーションを実施する方策について具体化
        • コンテンツモデレーションに関する透明性の確保
          • 基準や手続の策定・公表、人員等の体制に関する情報の公表 等
    4. 情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減
      • 情報伝送PF事業者による社会的影響の予測・軽減措置の実施
        • 情報伝送PF事業者のビジネスモデルがもたらす将来にわたる社会的影響を事前に予測し、軽減措置を検討・実施(サービスアーキテクチャの変更等による対応)
      • 特に災害等における影響予測と事前の軽減措置の実施
    5. マルチステークホルダーによる連携・協力の枠組みの整備
      • 連携・協力の目的(行動規範の策定・推進、軽減措置の検証・評価 等)
      • 協議会の設置
      • 協議会の役割・権限等
    6. 広告の質の確保を通じた情報流通の健全性確保
      • 広告事前審査の確実な実施と実効性向上
        • 審査基準の策定・公表、審査体制の整備・透明化、本人確認の実施等
      • 事後的な広告掲載停止措置の透明性の確保
        • 基準や手続の策定・公表、人員等の体制に関する情報の公表 等
      • 事後的な広告掲載停止措置の迅速化
        • 外部からの申請窓口の整備・公表、一定期間内の判断・通知 等
      • 事後的な広告掲載停止措置の確実な実施
    7. 質の高いメディアへの広告配信に資する取組を通じた健全性確保
      • 広告主・代理店による取組促進(経営陣向けガイドライン等の策定)
      • 広告仲介PF事業者による取組促進
  • (参考)偽・誤情報の流通・拡散を抑止するための「コンテンツモデレーション」の類型
    1. 発信者に対する警告表示
      • 可視性影響なし
      • 不適切な内容を投稿しようとしている、又は直近で投稿したことが判明している旨の警告を表示する措置(投稿自体は可能)
    2. 収益化の停止
      • 可視性影響なし
      • 広告を非表示にしたり、広告報酬の支払いを停止することにより、収益化の機会を失わせる措置
    3. 可視性に影響しないラベルの付与
      • 可視性影響なし
      • 情報発信者の信頼性等を見分けるためのラベルを付与する措置(本人確認を行っていない利用者の明示等)
    4. 可視性に影響するラベルの付与
      • 可視性一部影響あり
      • 情報の信頼性等を見分けるためのラベルを付与する措置(ファクトチェック結果の付与等)
    5. 表示順位の低下
      • 可視性一部影響あり
      • 投稿された情報を、受信者側のおすすめ欄等の表示候補から外したり、上位に表示されないようにする措置
    6. 情報の削除 影響あり(可視性ゼロ)
      • 投稿された情報の全部又は一部を削除する措置(新規投稿等は可能)
    7. サービス提供の停止・終了、アカウント停止・削除
      • 影響あり(可視性ゼロ)
      • サービスの一部から強制退会、又はその一部の利用を強制終了し、新規投稿等をできないようにする措置
      • アカウントの一時停止又は永久停止(削除)を実施する措置
    8. 信頼できる情報の受信可能性の向上(いわゆるプロミネンス)

総務省 「ごみ屋敷」対策に関する調査<結果に基づく通知>
▼ 概要
  • いわゆる「ごみ屋敷」は、物品の堆積による悪臭・害虫の発生や火災のおそれなど、周辺地域の生活環境に悪影響を及ぼしている
  • 「ごみ屋敷」の解消のため、一部の市区町村においては条例を制定するなどして対応しているが、居住者が堆積物の排出に応じない、一旦堆積物を排出しても「ごみ屋敷」が再発するなど、市区町村は対応に苦慮
  • 本調査は、調査対象30市区が把握している「ごみ屋敷」事案(解消62・未解消119の計181事例)を整理することにより、「ごみ屋敷」事案の実態や、市区町村の対応状況、課題等を明らかにすることを目的として実施
  • 主な調査結果
    • 未解消事例の約3割は堆積物を有価物であると主張し、排出に応じない状況。現行の国の指針・通知の内容では、廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するとの判断が困難であり、排出指導も困難とする意見あり。一方、他法令(公営住宅法、消防法)に基づく指導・助言により排出された事例あり
    • 居住者の約7割は健康面や経済面の課題(要介護、認知症、精神疾患、生活困窮等)を抱えている状況。関係機関と連携した福祉的支援(介護施設入所、ヘルパー導入、成年後見等)や経済的支援(ごみ出し支援等)により解消した事例あり
    • 未解消事例の約3割は、一旦堆積物が排出されても再発している状況(再発の可能性があると市区が判断している事例を含む。)。再発防止の観点から福祉的支援を継続し、再発防止に効果を上げている例あり
      • ※上記に関し、調査した市区からは、関連する法令の解釈に資する情報を含め、関連する国の支援方策や他の市区町村における取組事例等を教えてほしいとの意見あり
  • 当省の意見
    • 市区町村における多種多様なアプローチを組み合わせた部局横断的な対応を可能とする観点から、関係省庁が連携し、下記のような活用可能な支援方策や取組事例等の情報をパッケージとして示すこと
      • 廃棄物該当性の判断に資する情報【環境省】、公営住宅入居者への対応に係る情報【国土交通省】、火災予防の観点からの情報【総務省(消防庁)】
      • 健康面・経済面の活用し得る支援方策・取組事例【厚生労働省】
      • 再発防止の取組事例【環境省・厚生労働省】など
  • 期待される効果
    • 市区町村における「ごみ屋敷」事案に対する手段の増加
    • 「ごみ屋敷」事案の改善、周辺地域や居住者の生活環境の改善

総務省 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)7月分
  • 男女別就業者数
    • 就業者数は6795万人。前年同月に比べ23万人(0.3%)の増加。24か月連続の増加。
    • 男性は3722万人。9万人の増加。女性は3074万人。15万人の増加
  • 従業上の地位別就業者数
    • 自営業主・家族従業者数は643万人。前年同月に比べ12万人(1.8%)の減少
    • 雇用者数は6113万人。前年同月に比べ28万人(0.5%)の増加。29か月連続の増加。
    • 男性は3289万人。前年同月と同数。女性は2824万人。28万人の増加
  • 雇用形態別雇用者数
    • 正規の職員・従業員数は3642万人。前年同月に比べ34万人(0.9%)の増加。9か月連続の増加
    • 非正規の職員・従業員数は2114万人。前年同月に比べ29万人(1.4%)の減少。3か月連続の減少
    • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.7%。前年同月に比べ0.6ポイントの低下
  • 就業率
    • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は61.8%。前年同月に比べ0.4ポイントの上昇
    • 15~64歳の就業率は79.6%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇。男性は84.9%。0.3ポイントの上昇。女性は74.1%。0.6ポイントの上昇
    • 20~69歳の就業率は81.3%。前年同月に比べ0.6ポイントの上昇
  • 男女別完全失業者数
    • 完全失業者数は188万人。前年同月に比べ5万人(2.7%)の増加。4か月連続の増加
    • 男性は105万人。前年同月と同数。女性は82万人。前年同月に比べ4万人の増加
  • 求職理由別完全失業者数
    • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は25万人と、前年同月と同数、「自発的な離職(自己都合)」は82万人と、前年同月に比べ7万人の増加、「新たに求職」は46万人と、前年同月と同数
  • 年齢階級別完全失業者数
    • 男性の完全失業者数は、「15~24歳」、「45~54歳」及び「65歳以上」の年齢階級で、前年同月に比べ増加し、「25~34歳」、「35~44歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
    • 女性の完全失業者数は、「25~34歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前年同月に比べ増加

総務省 「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略- Beyond 5G推進戦略2.0 -」の公表
▼ 別紙2 概要
  • 2030年代の社会におけるAIの利活用イメージ
    • 今後AIはあらゆる分野で利用され、AIの開発や利活用等のイノベーションが、社会課題の解決や我が国の競争力に直結すると期待される一方、現在、開発競争が激化している生成AIについては、電力消費の増大や、偽・誤情報等の様々なリスクが指摘。
    • リスク等を抑えつつ、イノベーションの加速を図るため、例えば、巨大な汎用AIで全てを解決するのではなく、個別分野に特化した、小型・分散化したAI同士を連携させるなどにより、低環境負荷(グリーン)で安全・安心で信頼できるAIがあらゆる分野で利用可能な社会を目指す。
  • 2030年代のAI社会を支えるデジタルインフラ像
    • 2030年代のAI社会を支えるデジタルインフラとして、個別分野に特化した小規模・分散化した多数のAIや、これを駆動するデータセンター等の計算資源群を連携させ、モノ(自動車、ドローン、ロボット等)やセンサーを含む多様なユーザとを場所を問わずに繋ぐことが可能な、低遅延・高信頼・低消費電力な次世代情報通信基盤(Beyond 5G)が求められている。
    • 低環境負荷(グリーン)で安全・安心で信頼できるAIが社会全体で提供され社会課題の解決や我が国の競争力に繋がるイノベーションを加速
      • データセンター等の計算資源
        • オール光ネットワーク等と一体的に運用されるデータセンター等の計算資源が、様々な分野で利用される多数のAIを駆動
        • オール光ネットワークで繋ぐことにより距離の制約が緩和され、現在、大都市圏に集中するデータセンター拠点を、再生可能エネルギーが活用可能な地域等へと分散化が可能
      • オール光ネットワーク(APN)
        • 今後増大が予想される大量のデータを低遅延・高信頼・低消費電力で流通させるための基幹的なインフラとして位置付け
        • 特に、計算資源・ユーザ等を連携させ、必要な計算資源を直接・柔軟に利用可能とすることで、我が国のAI開発力の強化やAI利活用を促進するゲームチェンジャーとなることが期待
      • 非地上系ネットワーク(NTN)無線アクセスネットワーク(RAN)
        • ヒトよりも、モノ(自動車、ドローン、ロボット等)や、環境を把握するセンサー等が主たる端末となって、「産業のワイヤレス化」を加速
        • RANやNTN(衛星・HAPS等)等からなる複層的なネットワークにより、非居住地域も含め、どこでも繋がる環境を実現
  • Beyond 5Gの実現に向けた戦略
    • 戦略目標
      • 強靭で活力ある社会の実現に不可欠な基盤となるBeyond 5Gの早期かつ円滑な導入
      • Beyond 5Gにおける国際競争力の強化・経済安全保障の確保
      • 相互に相乗的な戦略目標
    • 戦略推進に当たっての基本的考え方
      • 各種取組において重視すべき視点
        • 業界構造等の変化の的確な把握とゲームチェンジ
          • 業界構造等が流動的となる現況を的確に把握、ゲームチェンジの好機と捉え、戦略的に取り組む必要。
          • ビッグ・テック等新たなプレイヤーを意識。
        • グローバルなエコシステムの形成・拡大
          • グローバル第一で大きな生態系を。
          • 開発・標準化・生態系作りを同時に。
          • 市場全体の中で一定の存在感を発揮できる立ち位置を確保。
        • オープン化の推進
          • ベンダーの多様化によるネットワークの自律性、市場競争環境、円滑なマイグレーションを確保する観点からオープン化(相互運用性の確保等)を推進。
        • 社会的要請に対する意識強化
          • 5Gの現在の状況等を踏まえつつ、社会的要請の見極めが重要。
          • 現時点で明らかな要請としては、コスト、環境負荷低減、信頼性・強靭性、接続性、セキュリティ・プライバシー。
      • 官民の役割整理
        • Beyond 5Gの社会実装や海外展開の担い手は民間事業者。
        • 特に、Beyond 5G(6G)基金事業の社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム※で採択された、各企業が一定の覚悟をもって取り組むプロジェクトを、ゲームチェンジを実現するための我が国の「戦略商品」として位置付け、その社会実装・海外展開に向けた支援に取り組む
      • 総合的な取組(各種取組の有機的な連携)の必要性
        • 官民それぞれにおいて、「戦略商品」を軸に、研究開発、国際標準化、社会実装・海外展開等の各種取組を有機的に連携させつつ、総合的に取り組む姿勢が不可欠。
    • 3つの戦略分野
      • オール光ネットワーク(APN)分野
        • 複数事業者間をシームレスに繋ぐオール光ネットワークサービスの2030年頃の国内本格導入とオール光ネットワーク関連製品・サービスの海外展開を目指す。
        • これに向けて、
          • 複数事業者間をシームレスに繋ぐ共通基盤技術の研究開発を進め、2028年頃に確立。
          • 開発成果について、実証基盤環境の整備等を推進。また、2027年以降、国際的なフォーラム標準へ順次反映するため、民間の標準化活動を支援。
          • 日本企業のフットプリント拡大に向け、既に商用化された製品等の海外展開を現段階から積極的に支援
      • 非地上系ネットワーク(NTN)分野
        • HAPSについて、2026年中の国内導入のための制度整備に加え、高度化等の研究開発や海外展開等を支援。
        • 衛星通信について、グローバルに提供されるサービスの円滑な国内導入のための制度整備に加え、研究開発を支援。
      • 無線アクセスネットワーク(RAN)分野
        • サブ6・ミリ波、Stand Alone(SA)の活用を拡大。
        • 今後のトラヒック需要の拡大に対応するための周波数確保、RANの高度化や更なる高周波数の利活用等に向けた研究開発等を推進。

【消防庁】

【2024年11月】

総務省消防庁 弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施
  • 富山県及び同県南砺市並びに千葉県及び同県長柄町が、それぞれ国と共同で、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施することが、以下のとおり決定しました。
  • また、今年度は、本訓練を含め、27件の訓練を実施する予定としておりますので、併せてお知らせします。
  • 富山県南砺市における訓練
    • 日時
      • 令和6年11月14日(木)10:20~11:10頃
    • 場所
      • 富山県南砺市
    • 訓練想定
      • X国から弾道ミサイルが発射され、我が国に飛来する可能性があると判明
    • 主要訓練項目
      • 校内放送により児童等への情報伝達を実施
      • 小学校において、児童等が避難行動を実施
    • 訓練主催者
      • 内閣官房、消防庁、富山県、南砺市
    • その他
      • 取材対応については、別途、富山県から報道発表を実施
  • 千葉県長柄町における訓練
    • 日時
      • 令和6年12月9日(月)13:45~14:00頃
    • 場所
      • 千葉県長柄町
    • 訓練想定
      • 国から弾道ミサイルが発射され、我が国に飛来する可能性があると判明
    • 主要訓練項目
      • 模擬のJアラート音声や緊急速報メール等により住民等への情報伝達を実施
      • 児童、住民が緊急一時避難施設等において避難行動を実施
    • 訓練主催者
      • 内閣官房、消防庁、千葉県、長柄町
    • その他
      • 取材対応については、別途、千葉県から報道発表を実施
      • 同日10:30~10:50頃、長柄町役場において、初動対処訓練を実施

総務省消防庁 令和5年(1~12月)における火災の状況(確定値)
  • 令和5年中の火災の状況について、1月から12月までの確定値を取りまとめましたので、その概要を公表します。
  • 前年と比較すると、総出火件数、火災による死者数ともに増加しています。
  • 総出火件数は38,672件、前年より2,358件の増加
    • 総出火件数は、38,672件で、前年より2,358件(6.5%)増加しています。火災種別では、建物火災が807件増加、林野火災が60件増加、車両火災が112件増加、船舶火災が20件減少、航空機火災が1件減少、その他火災が1,400件増加しています。
  • 総死者数は1,503人、前年より51人の増加
    • 火災による総死者数は、1,503人で、前年より51人(3.5%)増加しています。負傷者数は、5,766人で、前年より16人(0.3%)増加しています。
  • 住宅火災による死者(放火自殺者等※を除く。)数は1,023人、前年より51人の増加
    • 住宅火災による死者(放火自殺者等を除く。)数は1,023人で、前年より51人(5.2%)増加しています。このうち65歳以上の高齢者は762人で、前年より31人(4.2%)増加し、住宅火災による死者(放火自殺者等を除く。)数の74.5%を占めています。(※放火自殺(心中を含む。)者及び放火自殺巻き添え・放火殺人の犠牲者。以下同じ。)
  • 出火原因として最も多いのは「たばこ」、次いで「たき火」
    • 総出火件数38,672件の出火原因別の内訳は、件数の多い順に、「たばこ」3,498件(9.0%)、「たき火」3,473件(9.0%)、「こんろ」2,838件(7.3%)、「放火」2,495件(6.5%)、「電気機器」2,205件(5.7%)となっています。また、「放火」及び「放火の疑い」を合わせると4,111件(10.6%)となっています。

総務省消防庁 令和6年9月の熱中症による救急搬送状況
  • 令和6年9月の全国における熱中症による救急搬送人員は11,503人でした。
  • これは、9月の調査を開始した平成20年以降、最も多い搬送人員となっています。
  • 全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別、初診時における傷病程度別等の訳は次のとおりです。
    • 年齢区分別では、高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっています。
    • 初診時における傷病程度別にみると、軽症が最も多く、次いで中等症、重症の順となっています。
    • 発生場所別の救急搬送人員をみると、住居が最も多く、次いで道路、公衆(屋外)、仕事場(道路工事現場、工場、作業所等)の順となっています。

【2024年9月】

総務省消防庁 令和6年8月の熱中症による救急搬送状況
  • 令和6年8月の全国における熱中症による救急搬送人員は 32,806 人でした。
  • 年齢区分別の救急搬送人員
    • 高齢者(満65歳以上)が最も多く18,703人(0%)、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)11,312人(34.5%)、少年(満7歳以上満18歳未満)2,642人(8.1%)、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)149人(0.5%)の順となっています。
  • 医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員
    • 軽症(外来診療)が最も多く21,308人(0%)、次いで中等症(入院診療)10,615人(32.4%)、重症(長期入院)708人(2.2%)の順となっています。
  • 発生場所別の救急搬送人員
    • 住居が最も多く12,719人(8%)、次いで道路6,169人(18.8%)、公衆(屋外)4,404人(13.4%)、仕事場(道路工事現場、工場、作業所等)3,469人(10.6%)の順となっています。
  • 熱中症は正しい知識を身につけることで、適切に予防することが可能です。予防対策として、エアコンや扇風機をためらわずに使用すること、こまめに水分補給を行うこと、屋外では帽子をかぶることなどに心がけてください。
  • 特に、こどもや高齢者は熱中症になりやすいため注意が必要です。こどもは大人に比べて暑さに弱いため、周りにいる大人が気をつけましょう。また、高齢者は暑さに対する感覚機能や体の調節機能が低下しますので、特に気をつけてください。
  • 消防庁では、熱中症予防啓発のコンテンツとして、「予防啓発動画」「予防啓発ポスター」「予防啓発イラスト」「予防広報メッセージ」「熱中症対策リーフレット」「予防啓発取組事例集」を消防庁ホームページ熱中症情報サイトに掲載しています。
  • 全国の消防機関をはじめ、熱中症予防を啓発する関係機関にも御活用いただけるよう、以下の消防庁ホームページに掲載していますので、是非御活用ください。https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html#heatstroke04

【その他省庁】

【2024年11月】

外務省 シリアにおける人道状況の悪化を受けた緊急無償資金協力
  • 10月29日、日本政府は、レバノン情勢の影響によるシリアにおける人道状況の悪化を受けて、新たに1,000万米ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。
    • 今般の緊急無償資金協力により、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及び国連世界食糧計画(WFP)等を通じ、生活必需品、食料、水・衛生等の分野で人道支援を実施します。
    • 日本政府として、引き続き、イスラエルとヒズボッラーとの間の即時停戦を求めるとともに、地域における更なるエスカレーションを回避するため、全ての当事者に対し、最大限の自制及び外交的解決に向けて真摯に取り組むことを強く求めていきます。
  • (参考1)実施機関、供与額及び事業分野
    • 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):生活必需品、一時的避難施設、保護(600万米ドル)
    • 国連世界食糧計画(WFP):食料(200万米ドル)
    • 国連児童基金(UNICEF):水・衛生(100万米ドル)
    • 国連開発計画(UNDP):廃棄物管理(100万米ドル)
  • (参考2)シリアを巡る情勢
    • シリアでは2011年3月以降、反政府デモの発生に端を発する内戦(シリア危機)により、全土で約40万人以上の死者、670万人以上の国内避難民が発生するなど、今世紀最悪の人道危機の一つとも言われる状況が発生。これまでレバノンにも約200万人のシリア人避難民が流入している。
    • 上記の状況に加え、本年9月20日以降、イスラエルによるレバノンへの大規模空爆が激化し、UNHCRによれば、10月18日までに42万人を超えるシリア人・レバノン人等がシリアに流入し、シリアの人道状況は急激に悪化している。

【2024年10月】

外務省 ベトナム及びミャンマーにおける台風被災者に対する緊急無償資金協力
  • 10月8日、日本政府は、9月上旬に発生した台風11号(国際名:ヤギ)の影響により、洪水や土砂崩れ等の甚大な被害を受けたベトナム及びミャンマーの被災者に対する支援として、計400万米ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。
  • 今般の緊急無償資金協力により、国際移住機関(IOM)、国連児童基金(UNICEF)及び国連世界食糧計画(WFP)を通じて水・衛生、食料、一時的避難施設等の分野での人道支援を実施します。
  • メコン地域は、洪水等の自然災害リスクが高い地域であり、日本政府としては、「日メコン協力戦略2024」で確認しているとおり、メコン地域における気候変動に対応し、水に関する災害リスク削減の取組を引き続き強化していきます。
  • (参考)支援実施機関、支援分野及び拠出額内訳
    • ベトナム
      • 国際移住機関(IOM):一時的避難施設・非食料援助物資(100万米ドル)
      • 国連児童基金(UNICEF):水・衛生、子どもの保護(100万米ドル)
    • ミャンマー
      • 国連世界食糧計画(WFP):食料(100万米ドル)
      • 国連児童基金(UNICEF):水・衛生、子どもの保護(100万米ドル)

【2024年9月】

公安調査庁 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の決定に係る公安調査庁コメント
  • 公安調査庁長官は、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「人格のない社団Aleph」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づく再発防止処分の請求を行っていたところ、本日(令和6年9月2日)、公安審査委員会から、同処分を行う旨の決定書を受け取りました。
  • 公安審査委員会におかれては、厳正かつ慎重な審査の結果、四度目となる再発防止処分を決定したものと承知しており、同決定により、「Aleph」は、9月21日から6か月間、(1)当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部を使用することが禁止されるとともに、(2)金品その他の財産上の利益の贈与を受けることが禁止されることとなります。
  • このうち、(1)については、現在の再発防止処分期間中、「Aleph」が、一部使用禁止施設のうち1施設において、使用が禁止されていない道場に多数の出家した構成員を参集させている事実が確認され、今後、当該施設において、資金獲得を企図した在家の構成員向けの集中セミナーを開催するおそれがあると認められることなどから、当該施設の使用禁止場所が拡張されました。
  • 引き続き、処分違反行為や処分潜脱の動きの把握に努め、これに対して厳正に対処してまいります。
  • また、(2)についても、引き続き、通常の取引活動や費用徴収であるかのように仮装して金品等の贈与を受けるなどの処分違反行為の把握に努め、同様に厳正に対処してまいります。
  • 公安調査庁としましては、引き続き、警察当局と緊密に連携を図りながら、再発防止処分の実効性を確保していくとともに、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態を把握するなどして、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・緩和に鋭意努めてまいる所存です。

【裁判所】

※現在、該当の記事はありません。

【東京都】

※現在、該当の記事はありません。

【その他(国内)】

【2024年11月】

会計検査院 令和5年度決算検査報告の概要
▼ 検査の結果(1)国民の関心の高い事項等に関する検査状況
  • 新型コロナウイルス感染症対策関係経費等に関するもの
    • 一般会計の補正予算の執行状況等について
    • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施状況について
    • 子育て世帯及び低所得世帯向け給付金事業の実施状況について
    • 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付に係るフォローアップ支援の体制整備等の状況について
    • サービス等生産性向上IT導入支援事業の実施状況について
    • 交付要綱等において使途が明らかでないなどの補助金等収入における消費税の調整計算に係る申告審理体制の整備等について
  • 物価高騰対策関係経費等に関するもの
    • 電気利用効率化促進対策事業及び電気・ガス価格激変緩和対策事業の実施状況について
    • 一般会計の補正予算の執行状況等について
    • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施状況について
    • 子育て世帯及び低所得世帯向け給付金事業の実施状況について
    • 特別交付税の交付が過大
  • 社会保障に関するもの
    • 高齢者保健事業と介護予防等との一体的な実施に係る特別調整交付金の交付額の算定について(厚生労働省)
    • 事業者から返還させることとなった給付費に係る障害児入所給付費等国庫負担金及び障害者自立支援給付費国庫負担金の算定における取扱いについて(内閣府(こども家庭庁)、厚生労働省)
    • 雇用保険の人材開発支援助成金の支給について(厚生労働省)
    • 国民健康保険の療養給付費負担金の算定事務について(厚生労働省)
    • 居宅介護支援における特定事業所集中減算の適用について(厚生労働省)
    • 生活習慣病予防健診の一般健診として実施された眼底検査に係る費用負担について(全国健康保険協会)
  • デジタルに関するもの
    • マイナンバー制度における地方公共団体による情報照会の実施状況について(国会及び内閣に対する報告)
    • GIGAスクール構想の一環として公立学校情報機器購入事業等により高校に整備された学習者用コンピュータの貸与状況等について(文部科学省)
    • サービス等生産性向上IT導入支援事業の実施状況について(経済産業省、独立行政法人中小企業基盤整備機構)
    • ICT(情報通信技術)活用工事の積算について(国土交通省)
  • 国民生活の安全性の確保に関するもの
    • 緊急輸送道路にある橋りょうの耐震補強の効率的な実施等について(国土交通省)
    • 橋脚の耐震補強の設計が不適切(国土交通省)
    • 水管橋の設計が不適切(国土交通省)
  • 制度・事業の効果等に関するもの
    • 一般会計の補正予算の執行状況等について
    • 相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価について
    • 防衛予算の執行状況等について
    • 水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業における漁業所得の算出について(農林水産省)
    • 消費者還元補助事業のように見込みの数値により補助金の額を確定する事業の実施について(経済産業省)
    • 政府開発援助の実施状況について(外務省、独立行政法人国際協力機構)
  • 予算の適正な執行、会計経理の適正な処理等に関するもの
    • 建設工事に係る契約変更について(防衛省)
    • 出国時に免税対象物品を所持していない者に対して行われる消費税の賦課決定等について(財務省)
    • 犯罪被害者等給付金の支給に伴い国が取得する損害賠償請求権の債権管理について(内閣府(警察庁))
    • 戸田公園内に所在する普通財産の管理等について(財務省)
  • 資産、基金等のストックに関するもの
    • 独立行政法人農林漁業信用基金が行う農業信用基金協会に対する貸付金の規模について(農林水産省)
    • 住宅融資保険勘定における政府出資金の規模について(独立行政法人住宅金融支援機構)
    • 福島再生加速化交付金により設置造成等が行われた基金の規模について内閣府(こども家庭庁)復興庁、文部科学省、農林水産省、国土交通省)
  • 新型コロナウイルス感染症対策関係経費等に関する検査報告掲記事項の一覧
    1. 総務省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費の精算が過大など
    2. 財務省
      • 処置済
      • 交付要綱等において使途が明らかでないなどの補助金等収入における消費税の調整計算に係る申告審理体制の整備等について
    3. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G- MIS)の構築、運用等一式に係る契約において、支払額が過大
    4. 厚生労働省
      • 不当
      • インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金(インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業及びインフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業実施医療機関支援事業)の交付が過大
    5. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業補助金の交付が過大
    6. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症対策事業及び新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業に係る分)の交付が過大
    7. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関設備整備事業に係る分)の交付が過大など
    8. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(帰国者・接触者外来等設備整備事業に係る分)の交付が過大
    9. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(感染症検査機関等設備整備事業に係る分)の交付が過大
    10. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症重点医療機関等設備整備事業に係る分)の交付が過大
    11. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症を疑う患者受入れのための救急・周産期・小児医療体制確保事業に係る分)の交付が過大
    12. 厚生労働省
      • 不当
      • 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業に係る分)の交付が過大
    13. 厚生労働省
      • 意見
      • 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付表示 制度における緊急小口資金等の特例貸付に係るフォローアップ支援の体制整備等の状況について
    14. 独立行政法人 中小企業基盤
      • 不当
      • 実質的還元による不正等によりサービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金の交付が過大整備機構
    15. 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
      • 不当
      • 中小企業等事業再構築促進補助金の補助対象事業費の一部が補助対象外
    16. 経済産業省、独立行政法人 中小企業基盤整備機構
      • 意見表示・処置要求
      • サービス等生産性向上IT導入支援事業の実施状況について
    17. 8府省等
      • 特定
      • 一般会計の補正予算の執行状況等について
    18. 2府省等
      • 特定
      • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施状況について
    19. 2府省等
      • 特定
      • 子育て世帯及び低所得世帯向け給付金事業の実施状況について

内閣官房 新しい資本主義実現会議(第30回)
▼ 資料1 重点施策(案)
  • 中堅・中小企業の賃上げ環境の整備
    1. 労務費の適切な価格転嫁
      • 大企業における高い賃上げの動きが中小企業・小規模企業に広がっていくためには、労務費の価格転嫁が鍵の一つ。
      • 民間の調査会社によると、多少なりとも価格転嫁ができている中小企業は、2022年12月時点で69.2%であったが、2024年2月時点で75.0%に上昇。他方、価格転嫁が全くできないと回答した企業も比率が減少しているとはいうものの(15.9%→12.7%)、残っており、転嫁対策の更なる徹底が必要。
      • 中小・小規模企業の取引適正化のため、価格転嫁の基本的な法律である下請代金法の制度改革も含め検討を進める。
    2. 付加価値の向上や省力化に資する投資の推進
      • 中小・小規模企業の生産性向上を図る上で、AI、ロボットなどの自動化技術の利用・活用が不可欠。また、こうした自動化技術は省力化に資することから、人手不足対策としても有効。政府を挙げて支援を加速する。
    3. 事業承継、M&Aを通じた産業革新
      • 後継者が不在の企業のうち7割以上は黒字企業であり、黒字企業であっても、後継者が不在であるために廃業に至る可能性がある。承継者については、近年、同族承継が低下し、企業内部からの昇格やM&Aによる外部からの就任が増加している。また、M&Aは、従業員1人あたり売上高を伸ばし、複数回実施すると売上、利益、労働生産性、成長指標(修正ROIC)が上昇することが確認されている。
      • このため、事業承継税制や中堅・中小グループ化税制等、予算・税制措置を最大限に活用することにより、中小・小規模企業の多様な事業承継やM&A・グループ化を推し進め、成長・生産性向上を一層促進する。また、経営人材の確保について官民を挙げた広範なマッチングを進める。
    4. 人への投資と労働市場改革の早期実行
      • 積極的な人への投資により、年齢、性別、雇用形態、障害の有無を問わず、能力を発揮して働ける環境整備が重要。
      • 三位一体の労働市場改革((1)リ・スキリングによる能力向上、(2)企業の実態に応じたジョブ型人事、(3)成長分野への労働移)を進め、我が国企業が、能力ある若手や、労働意欲のあるシニア層に、労働機会を提供できるようにする。また、人手不足が目立つ現場を支える現場人材についても、スキル標準の整備等を通じ、ノウハウのある労働者が高い賃金を得られる構造を作り上げる。
      • 非正規雇用労働者については、賃上げのために同一労働・同一賃金制の施行を徹底するとともに、正規化を促進する。
  • 成長力に資する国内投資促進による「投資大国」の実現
    1. 科学技術・イノベーション
      • 科学技術・イノベーションには、感染症・地球温暖化・少子高齢化等、世界が直面する様々な社会的課題を解決する力がある。官民が連携して科学技術投資の拡充を図り、令和の時代の科学技術創造立国を実現する。
    2. 半導体・経済安全保障
      • 半導体は、DX・GX、AIの高度化をはじめ、経済・社会活動を支える基盤であり、経済安全保障上の重要性が極めて高いことから、その研究開発の推進や国内での量産体制の整備が重要。
      • 経済安全保障については、我が国の産業・技術基盤の維持発展の観点から、脅威・リスク分析のための体制を構築するとともに、技術優位性獲得に向けた投資の促進、技術管理対策の強化等を進める。
    3. GX・サーキュラーエコノミー
      • エネルギー安全保障が確保され、脱炭素につながり、競争力強化に貢献するエネルギー構造に転換していくための国家戦略の策定・実行が不可避である。本年度中を目途とするエネルギー基本計画改定に向けて、議論を集中的に行う。さらに、同計画の裏打ちとなるGX国家戦略を「GX2040ビジョン」として、産業競争力強化も見据え、昨年のGX推進戦略を更に発展する内容として展開する。
      • 市場のライフサイクル全体で資源を効率的・循環的に有効利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を産官学で連携して進める。
    4. DX・AI
      • 社会課題解決、産業発展を加速させるべく、官民による集中的な投資によって、デジタル基盤の社会実装を進める。
      • AIの開発や利活用等のイノベーションが社会課題の解決や我が国の競争力に直結する可能性がある。一方、生成AIは社会経済システムに大きな変革をもたらす一方で、偽・誤情報の流布や犯罪の巧妙化など様々なリスクも指摘され、安全・安心の確保が求められる。生成AIを含むAIの様々なリスクを抑え、安全・安心な環境を確保しつつ、イノベーションを加速する。
    5. スタートアップ
      • スタートアップは、新しい技術やアイディアの事業化により日本経済の活性化と成長を加速させる担い手。
      • 「スタートアップ育成5か年計画」(2022年11月策定)で掲げた以下の3本柱の取組を一体的に着実に進め、スタートアップ支援を引き続き強化することで、アジア最大のスタートアップハブの実現を目指す。
        • スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
        • スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
        • オープンイノベーションの推進
    6. クリエイター・コンテンツ産業
      • アニメ・音楽・放送番組・映画・ゲーム・漫画といったコンテンツは、我が国の誇るべき財産であり、「コンテンツ産業活性化戦略」に基づき、政府を挙げて、官民連携による本戦略を推進する。
      • クリエイター・コンテンツ産業に係る政府の司令塔機能を明確化した上で体制を強化し、クリエイターの教育・発掘・育成や海外展開支援に取り組む。
      • 海外展開を促進するため、制作会社に対するビジネス展開の支援、国際見本市や国際映画祭における出展支援、若い人に対する留学支援や国内での学びの場の整備等を実施する。また、世界に通用するコンテンツの制作・流通等に取り組む。
      • クリエイターやアーティスト等が安心して持続的に働くことができるよう、適切な収益還元や健全な労働環境等を阻害する労働慣行や取引関係の是正に着手し、官民の取組により、制作サイドに収益を還元するビジネスモデルの構築を図る。
      • 美術館における漫画、アニメ、ゲーム、メディアアート等の展示が可能となるよう原画等の収集、保存及び公開並びにデジタル・アーカイブ化の促進を図る。
    7. 農林水産業、観光業の高付加価値化
      • 生産者が減少する中で、産地の生産力の強化を図るため、産学官連携によるスマート技術の開発とともに、サプライチェーン全体で新技術に対応するための栽培方法や流通・販売方法の変革を促進する仕組みを構築する。また、林業・水産業においてもスマート技術の導入を進める。
      • 人口減少に伴い国内市場が縮小する一方、海外市場が拡大する中で、国内の農業生産基盤を維持し、地方の稼ぎの柱とするために、輸出の促進を図る。
      • 持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復、国内交流拡大に向けた施策を推進するとともに、観光客の受入れ増加に伴う混雑・マナー違反等の未然防止・抑制等に取り組む。
    8. 資産運用立国の推進
      • 勤労所得の拡大に加えて、金融資産所得を増やしていくため、資産運用立国の取組を推進する。家計、金融商品の販売会社、企業、資産運用会社、アセットオーナー等、インベストメント・チェーンを構成する各主体をターゲットとした取組をパッケージとして推進すべく、昨年12月に策定した「資産運用立国実現プラン」の着実な実行を図る。
      • 機関投資家として、受益者等のために年金、共済、保険等の資金を運用するアセットオーナーに期待される役割も大きい。アセットオーナーにおいて、それぞれの運用目的・目標を達成し、受益者等に適切な運用の成果をもたらす責任が適切に果たされるよう、その機能強化を図る。

内閣官房 GX実行会議(第13回)
▼ 資料1 我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて(武藤GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)
  • GXの加速
    • GXの取組は、待ったなしの気候変動対策への対応のみならず、脱炭素分野における投資拡大を通じて、30年来の日本経済の停滞を打破し、再び成長軌道に乗せる大きなチャンス。
    • また、エネルギー自給率が10%台にとどまる日本にとって、化石燃料への過度な依存からの脱却は、国家運営の基盤となるエネルギーの安定供給の確保にもつながる。
    • 新たな脱炭素分野における投資は、地域経済への波及効果も期待され、また住環境などの改善を通じた生活環境の向上にも資するものであり、スピード感を持って進める必要。
  • GX加速に向けた当座の取組
    • エネルギー安定供給・脱炭素・経済成長の同時実現を目指すGXの加速は、地熱等の地域によっては高い潜在力を持つ「再エネの拡大」や、省エネ・脱炭素関連産業の「新規投資」等により、新しい地域経済の創生をけん引する可能性を秘める。
    • 断熱改修や高効率給湯器の導入等、くらしのGXは、光熱費削減にとどまらず、くらしの快適性を向上。また、ガソリン等、燃料価格上昇の影響に強い電動車への乗り換えは、給電機能をもつ充電インフラの整備と併せることで災害時にも活躍。
    • こうした生活環境の向上にもつながるくらし分野のGXの取組を加速することが重要。
  • IRAを契機とした米国国内における脱炭素関連投資の増加
    • 米国においても、2022年に成立したインフレ抑制法(IRA)を機に国内の脱炭素関連分野の投資促進や新規産業の振興を加速。
    • 2023年には太陽光発電や水電解装置などのクリーン技術の製造に対し約425億ドルの投資が実現(2023年の年間投資額は、前年と比較して2倍以上)。
  • 米国における脱炭素関連のスタートアップと大企業の連携による新技術の社会実装の加速
    • 米DOEはインフラ整備とクリーンエネルギー技術の加速を目的として、Office of Clean Energy Demonstrations(OCED)を設立し、260億ドル以上の資金を活用して、クリーンエネルギー技術の実証プロジェクトへの支援を行う。
    • 本支援では、革新的な技術と大規模展開の両立を目指しているため、スタートアップの革新性と大企業の実行力を組み合わせるプロジェクトを奨励し、これにより水素ハブや炭素貯留等の新規産業の推進に繋げることを狙う。
  • 【参考】新たな脱炭素化技術の大規模商用化
    • 米国では、安価で豊富な再生可能エネルギーや枯渇ガス田をはじめとした豊富なCCS適地を活かし、DACCS(Direct Air Capture + CCS(大気中のCO2を回収し、CCSにより埋める技術))の商用化が加速。
    • 米エネルギー省のDACハブの取組や、インフレ抑制法(IRA)による支援により、米Amazonやマイクロソフトといった巨大テック企業のDAC由来のクレジットの長期間・大量購入という需要創出と大規模なプロジェクト組成が実現。
  • 【参考】主要テック企業は原子力発電を積極的に活用
    • Amazon
      • 2024年3月、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)社は、米タレン・エナジー社より、原子力発電所直結のデータセンター(キュムラスデータセンター)を買収。
      • 同データセンターは、ペンシルベニア州北東部に位置しており、売却額は6億5,000万ドル(約975億円)。同データセンターは、隣接のサスケハナ原子力発電所(BWR、130万kW×2基)から直接電力供給を受ける。
    • Microsoft
      • 2024年9月20日、米国の発電事業者コンステレーション社は、経済的な理由により、5年前に停止したスリーマイル島原子力発電所1号機を再稼働させ、その全発電量を、20年間にわたりマイクロソフト社に供給させるという計画を発表。
      • 同社は、2028年までの再稼働を目指す計画。また、米政府によるインフレ削減法(IRA)に基づく原子力発電向けの税額控除措置の適用も想定している。
    • Google
      • 2024年10月、グーグル社が、米カイロス・パワー社と、同社の開発する革新炉(溶融塩炉)から原子力由来の電力を購入する契約を締結した旨を公表。
      • カイロス・パワー社は、2030年までに初号機の運転を目指し、その後、さらに追加の建設を行う予定。今回発表された契約では、最大500MWの電力供給を見込むとされている。
  • 欧州における新たな産業戦略(ドラギレポート)
    • 2024年9月、欧州中央銀行(ECB)前総裁・イタリア前首相を務めたマリオ・ドラギ氏は、EUの産業競争力強化に向けた「The future of European competitiveness」(通称:ドラギレポート)を公表。
    • 脱炭素に向けた取組は堅持しつつも、成長を加速させるためのEU域内投資加速、そのための公的資金の必要性等、産業政策の推進の必要性を強調。
    • ドラギレポートでは、欧州の高いエネルギーコストが欧州企業の成長の妨げになっている点を指摘。
    • 欧州企業の約半数がエネルギーコストを投資の主な障害と捉え、特に、エネルギー集約産業は、2021年比で生産量が10~15%減少し、エネルギーコストの低い国からの輸入が増加したとしている。
  • 【参考】EUにおける2040年目標水準の提案
    • 2024年2月、欧州委員会は、欧州科学的助言機関(ESABCC)の提案を参考に、2040年の目標水準のオプションを3通り提示。Fit for 55により2030年▲55%が達成されることが、2040年目標の検討の前提。分析の結果、S3(1990年比90%削減)を目標水準として提案。今後、欧州理事会・欧州議会で議論され、法制化される予定。
    • 最終合意された2040年目標をもとに、次期NDCとなる2035年GHG排出量を算出予定。
  • 【参考】90%削減シナリオにおける分野別の絵姿
    • 経済成長率や人口動態などの基本的な経済見通し(例:鉄の生産量は2040年まで一定、化学は増加など)はシナリオ間で共通化。排出削減の強度に応じて、合成燃料やCCSなどの脱炭素技術が普及する絵姿を描いている(更に、需要サイドでシェアリングの普及などライフスタイルの変化が加速した場合の感度分析も実施)。
    • S3(90%削減シナリオ)における分野別の絵姿は以下のとおり。なお、これらは影響評価による分析結果であり、政策目標ではないことに留意。
      • エネルギー分野
        • 最終エネルギー消費は、2015年比で2040年に36%削減。
        • 総エネルギー供給は、足元から2040年にかけて約3割減少。
        • 化石燃料使用量が2021年比で7割以上減少。
        • 電化率は2021年25%→2040年51%。
        • 電源構成は、再エネ87%、原子力10%、ピーク対応又はCCS付のガス火力発電3%。再エネの間欠性対策で揚水発電+蓄電池を275GW導入。
        • エネルギー供給の域外依存度が61%(2019年)から26%(2040年)まで低下。
        • 水素の導入が進み、排出削減困難分野においてはe-fuelも使用。
        • 風力、太陽光などの導入に向け、大量の銅、リチウム、コバルト等の需要が大幅増。
      • 産業・経済分野
        • マクロ経済分析では、S3の2040年GDPはシナリオ2と比較して▲0.2%と、シナリオ間で大きな差異はない。
        • GDPに占めるエネルギーコストの割合は、足下から若干増加(2011年~2020年の単年平均11.9%から、S3で12.9%に増加)。
        • 産業分野からの排出はエネルギー由来:80%、非エネルギー由来:95%の排出削減。炭素回収・貯留・利用が極めて重要な役割。加えて、循環経済による排出削減も重要。
        • CO2回収量344Mtのうち、産業プロセス由来137Mt、化石燃料火力発電32Mt、バイオマス発電153Mt等。
        • 回収炭素の用途はe-fuel101Mt、地下貯留243Mt。
  • AZEC首脳会合@ラオスの具体的な成果について
    • GXの取組をアジア域内に拡大することは、アジアの脱炭素化のみならず我が国の成長にとっても不可欠。10月11日、石破総理が議長を務め、ラオスで開催された第2回AZEC首脳会合において、”今後10年のためのアクションプラン”を含む首脳共同声明に合意。武藤経済産業大臣も出席し、8月の第2回閣僚会合の成果を報告。
    • AZECパートナー国の首脳からは、①AZECを主導してきた日本の取組に対する支持、②地域の脱炭素化、経済成長、エネルー
  • 安全保障を同時に達成しつつ、各国の事情に応じで多様な道筋の下でネットゼロを目指すAZEC原則への強固な支持が示された。
    • また、AZEC原則に従った排出削減対策(再生可能エネルギー推進、火力発電ゼロエミッション化、CCS技術等)や、技術革、
  • エネルギー移行に向けたファイナンス促進により、地域として温室効果ガス排出削減を進めていくことへの、重要性が表明された。
    • これまでの「個別プロジェクトの実施」に加え、各国とのルール形成を含む「政策協調」のステージへと、新たな協力のフェーズに進展。
  • GXとDXの同時進展 (産業の生産性向上・経済成長をもたらすAIの社会実装)
    • AIを活用した再エネ需給の最適化技術やCO2削減効果の高い効率的な新素材開発など、AI活用を通したDXの加速は、GXの効果を最大化させる可能性を秘める。
    • 環境分野でのAIの活用は、2030年までに世界全体の温室効果ガス排出量をBAU(Business as Usual。現状のまま推移するケース)と比較して約1.5~4.0%削減し、世界全体のGDPを3.1~4.4%押し上げる可能性があると指摘されている。
  • 生成AIが我が国経済に与える潜在的インパクト
    • 我が国でも、生成AIによる業務の質の向上により各産業において生産額が向上する余地があり、国内生産額を約148.7兆円引き出せるとする試算がある。
    • 人口減少による構造的な人手不足に直面する我が国が、今後も国民生活の水準や生産性・産業競争力を向上させるためには、生成AI+ロボットなどのデジタル技術を、全国津々浦々、あらゆる産業で進めていくことが必要。
  • 【参考】生成AI・半導体がもたらす社会課題解決とイノベーション
    • 運輸業のように特に人口減少による影響が顕著な産業では、AIや半導体を活用したドローン配送や自動運転といった新たなモビリティの活用手段が生まれることで、我が国が目下抱えている課題を解決するとともに、新たな製品・サービスを生み出すことにつながる。
  • DX・AIの活用に必要不可欠なデータセンター整備
    • GXの効果を最大化させ、省人化と製品の高付加価値化による成長に寄与するDXを加速させるためにも、データやAIの活用に向けてデータセンターの国内整備が不可欠。データセンターの国内立地が増えれば、脱炭素電力に対する需要が高まるため、データセンターのエネルギー効率の改善に加え、供給源としての脱炭素電源の確保も加速させる必要。
    • 今後のデータセンターの整備促進に当たっては、脱炭素電源の確保も促進しつつ、既存の電力インフラを活用可能な場所や将来的に電力インフラが立地する見込みがある場所の近傍への立地を誘導することが有効。その際、将来の光技術を活用したワット・ビット連携を見据えた段階的な対応が必要。
  • 「World Energy Outlook 2024」における世界の電力需要予測
    • 本年10月、IEAは「World Energy Outlook 2024」を公表。世界的なエネルギー危機や特定国へのサプライチェーン依存によるリスクの高まりを踏まえて、エネルギー安全保障の不変の重要性を再確認するとともに、不確実性を強調し、「将来のエネルギー需給の姿に対して単一の見解を持つことは困難」と指摘。
    • また、世界の電力需要は、STEPSで2023年から2035年に向けて年率約3%で増加すると予想。電力需要の主な変動要因として、(1)データセンター需要、(2)平均気温の上昇、(3)電気機器の省エネ、(4)EV需要を挙げている((1)~(4)の感度分析では、年成長率は約2.7%~3.4%まで変動)。
  • データセンターや半導体の省エネ
    • 半導体は、微細化や高密度化、チップレットの高度実装の「高集積化」等により、性能向上と同時にエネルギー効率も改善。データセンターの効率改善を促すべく、光通信や液体に浸す冷却方法などの技術開発や、制度面での対応も同時に進める必要。
    • 今後、ワット・ビット連携の実現のためにも、通信インフラの光技術活用による高度化にも取り組む必要。
  • GX2040ビジョンに向けた検討のたたき台
    1. エネルギー・GX産業立地
      • DXによる電力需要増に対応するため、徹底した省エネ、再エネ拡大、原子力発電所の再稼働や新型革新炉の設置、火力の脱炭素化に必要な投資拡大
        • 大型電源については投資額が大きく、総事業期間も長期間となるため、収入・費用の変動リスクが大きく、それらを合理的に見積もるには限界がある。事業者の予見可能性を高めるには、このようなリスクに対応するための事業環境整備を進める必要がある。同時に、電源確保とあわせて、データセンターの効率改善を促すべく、技術開発や制度面での対応も進める必要。
      • LNGの確保とLNGサプライチェーン全体での低炭素化の道筋確保や、国際的な議論も踏まえた石炭火力の扱い
        • 現実的なトランジションの手段としてガス火力を低炭素電源として活用していく必要。国際的な議論や脱炭素に向けた取組の下、石炭火力発電をより減少させていく中で、LNG調達安定化のための長期契約を可能にする方策や、石炭火力等の予備電源制度などとセットで議論が必要。
      • 脱炭素電源や水素等の新たなクリーンエネルギー近傍への産業集積の加速、ワット・ビット連携による日本全国を俯瞰した効率的・効果的な系統整備
        • 多数の企業間連携を前提とする広域単位の産業立地施策、日本全体を俯瞰して、次世代の電力系統整備と通信基盤の一体的整備を可能とする次世代型電力・通信一体開発計画などについて官民連携での検討。
      • 次世代エネルギー源の確保、水素等の供給拠点、価格差に着目した支援プロジェクトの選定
        • 将来的な価格低減や国産技術の活用が見込まれるなど、産業競争力強化に資するプロジェクトを中心に、黎明期のユースケースを立ち上げ。また、水素等の大規模な利用拡大に繋がり、幅広い事業者に裨益する供給拠点に対する支援や、GX製品の市場創造に向けて需要家を巻き込み、価格移転を可能とする後続制度とも連携。
    2. GX産業構造
      • 経済安全保障の要請も踏まえたGXとDXによるサプライチェーン強化
        • GXとDX技術の組み合わせにより、既存・新規企業双方において、付加価値の掘り起こし・ビジネス化(イノベーション創出)を加速させ労働生産性・資本生産性を高める。これらを通して、鉄鋼や化学等のGX素材から、半導体等の重要物品や完成車等のGX製品に至る、中小企業含めたフルセットの「GX型サプライチェーン」を維持発展させる。
      • GXとDXの同時進展
        • データセンター・半導体におけるエネルギー効率改善に向けた取組加速、AIの基盤となるデータセンターの国内整備。
      • 技術・ビジネス・スケールの3つの要素を最大化したイノベーション創出
        • 海外含めた学術機関との連携、大企業とスタートアップとの協業加速、大企業からのカーブアウト加速。
    3. GX市場創造
      • GX製品の国内市場立ち上げに必要となるGX製品の価値評価、調達に向けた規制・制度的措置
        • 多排出産業のGX-ETS参加義務化などカーボンプライシングの具体的制度設計、GXの価値の見える化、GX製品調達に資するインセンティブ措置の具体化。
    4. グローバル認識・ルール
      • アジアの視点も加えた体系的・総合的なルール形成
        • AZECの下でのトランジション・ファイナンスのアジア展開、日本発の省エネ・脱炭素機器導入拡大に資する標準などの制度設計。
      • 欧米の情勢も踏まえた現実的なトランジションの必要性
        • 2040年を見据えたエネルギー需給構造の検討。
  • エネルギー基本計画の議論の進捗状況
    1. 総論
      • 今後もS+3Eの原則はエネルギー政策の柱として維持すべき。
      • 各国の動向を踏まえ、日本でも、エネルギー政策と産業政策、気候変動対策の一体的な検討が必要。安定供給、経済性、脱炭素のバランスが重要。
      • 次期エネルギー基本計画は、GX推進戦略(2023年7月閣議決定)など、これまでの政策との継続性を確保する必要。
      • 様々な不確実性が高まる中、次期エネルギー基本計画は不確実性にも対応できる柔軟なものとすべき。
      • 次期エネルギー基本計画は、GX2040と一体的なものとする必要。次期エネルギーミックスについても、GX2040と連動すべきであり、2040年度を対象年とすべき。
      • 国際競争力の確保には、電力価格が海外と同程度の水準である必要。速やかに政策を決定・実行するべき。
      • カーボンプライシングなど、2050年ネット・ゼロ実現に向けた対策にはコスト負担が伴い、最終的にはそれが国民負担となり得ることも踏まえ、GXに伴う社会全体のコストを最適化していく必要。
      • 電力システム改革時には、国内電力需要は減少、脱炭素が現在ほど強調されていないなど、今とは状況が異なっている。こうした状況変化に対応して、今後の電力システム改革を進めていく必要がある。
      • 若者を含め、様々な階層でエネルギー政策に関する議論が行われることは重要。
    2. 福島
      • 福島復興と再生はエネルギー政策の原点。事故の反省から得られる教訓を活かす必要があり、安全性向上の不断の努力を積み重ねるべき。復興の現状や今後の見通しを情報発信し続けることが重要。
    3. 将来の電力需要・脱炭素電源
      • 今後、GXの進展に伴う電化や、生成AIの普及拡大に伴うデータセンターや半導体などの増加により、大幅な省エネ効果を見込んだとしても、将来の電力需要については増加する可能性が高い。
      • 将来の電力需要の増加に対しては、脱炭素電源を拡大することで対応する必要がある。その際、再エネか原子力かといった択一的な議論ではなく、再エネと原子力がともに必要。
      • 十分な脱炭素電源が確保できなかったために、国内での投資機会を失い、あるいは経済成長が阻害され、産業競争力が落ちるようなことは決して起こしてはならない。
      • 特に、DXやGXの進展に伴う電力需要増加が見込まれる中、必要な脱炭素電源を確保できるかが日本の国際競争力を左右しかねない状況。脱炭素電源が不足するが故に、データセンターや半導体工場などの新たな設備投資が行われないといった事態は避けるべき。
      • 化石燃料輸入に伴う貿易赤字に加え、デジタル収支の悪化も近年拡大。貿易収支の改善や経済安全保障の観点からも、国内で必要なデータセンター等が整備される必要がある。
      • 将来の電力需要の増加に対しては、脱炭素電源を拡大することで対応する必要がある。データセンターや半導体工場などと脱炭素電源・系統設備の建設には必要なリードタイムに大きな差があることを踏まえ、将来必要となる脱炭素電源や系統設備への投資が行われるよう、政府による信用補完など事業環境整備にスピード感を持って対応する必要。
      • 小売電気事業者に供給責任をしっかりと果たすことを求めるとともに、大規模需要家の脱炭素電源ニーズ等を踏まえたサービスの提供の障壁となっているような制度については見直しを検討することが必要。
    4. 火力発電・化石燃料
      • 2050年ネットゼロを目指す中でも、自然災害等への対応を含め、エネルギー安定供給の確保は最優先。脱炭素化に向けて、化石燃料を突然ゼロにすることは難しく、現実的なトランジションが必要。
      • 自家発を含め、非効率石炭火力のフェーズアウトにはしっかり取り組んでいくべき。他方で、石炭火力からの転換のため、LNGやガス火力は脱炭素への移行期において必要。
      • 価格高騰や供給途絶などのリスクに備え、必要なLNGの長期契約を官民一体となって確保する必要。
      • 火力の脱炭素化に向けた水素・アンモニア、CCS等の活用は、技術開発やコストなどを踏まえた対応が必要。
      • その上で、電源の脱炭素化に向けては事業者の予見可能性を確保しつつ、政策的な支援が必要。
    5. 省エネ・非化石転換、重要鉱物等
      • 2050年ネットゼロに向けて、S+3Eの原則の下、電源の脱炭素化と電化を推進していくべき。
      • 資源の大宗を海外に依存し、国産資源に乏しい我が国では、徹底した省エネの重要性は不変。
      • その上で、2050年ネットゼロ実現に向けては、省エネに加え、電化や非化石転換の割合も大きくなるため、今後は、CO2をどれだけ削減できるかという観点を踏まえつつ、コスト最適な手段を用いて取組を強化していく必要。
      • 鉄鋼や化学等の産業部門や商用車などの運輸部門などの脱炭素化が難しい分野(hard to abate)や発電等の分野において、水素等、CCUSなどの活用を進めていく必要がある。
      • 重要鉱物のサプライチェーンについて、特定国に大きく依存する状況はエネルギー安全保障上、問題である。重要鉱物の確保に向けては、政府支援や資源外交に加え、リサイクルを推進していく必要。

【2024年10月】

内閣官房 自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議(第1回)議事次第
▼ 資料 第1回自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議
  • 問題認識と主な検討項目
    • 自衛官は、身をもって我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという職務の性質とあらゆる事態に常時対応する責務を有することから、特別職の国家公務員として、一般職の国家公務員とは異なる人事管理制度及び給与制度を設けている。
      • 一般職(29.5万人):国家公務員法及び国家公務員給与法
      • 自衛官(24.7万人):自衛隊法及び防衛省職員給与法
    • 特に、自衛隊の精強性を保つため、若年定年制(56歳が大宗)と任期制(退職が20代から30代半ば)という制度を採用している点が一般職公務員と異なる。
    • 自衛官が誇りを持ち、安心して職務に従事できるよう、自衛官の職務の特殊性を考慮した俸給と諸手当を設け、不断にその改善を実施してきた。
    • 他方、冷戦終結後、自衛隊の任務・役割は多様化、拡大する中、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応した防衛力の抜本的強化のためには、その担い手である自衛官の確保が至上命題。
    • しかしながら、少子高齢化の大きな流れの中、現下の人手不足は自衛隊にも深刻な影響を及ぼしている。5年度は2万人募集のところ1万人しか採用できず、24.7万人の定員中2万人の欠員が更に4,000人増加した。令和6年度予算の年間充足率は約92%としているが、このまま抜本的な策を講じなければ、こうした状況はさらに悪化することが見込まれる。
    • また、若年定年制で多くの自衛官が56歳で退職する中、退職後の再就職・収入に不安を感じさせないようにすることが、自衛官の確保にとっても重要な課題。一般に、自衛官の若年定年退職後の収入は現役時代に比べて低いが、自衛官としての知識・技能・経験を活かした職種への円滑な再就職による、安んじて生活できる収入の確保などを通じ、自衛官の将来不安の払しょくに取り組む必要。
    • 防衛力の抜本的強化を真に実現するためには、自衛官の志願者を増やし、士気を維持・向上させ、優れた自衛官を安定的に確保し続ける必要がある。このためには、これからの防衛力の担い手となる世代が、安心して厳しい任務に従事でき、自衛官という職業を選択したこと、現役時代は自衛官であること、退職後は自衛官であったことの誇りと名誉を得ることができるような、令和の時代にふさわしい処遇を確立する必要がある。
    • 主な検討項目は次のとおり。
      • 処遇の改善
        • 任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与面の処遇の在り方
        • 自衛隊員として長年にわたり任務に精励した功績に相応しい叙勲等の在り方
      • 生活勤務環境の改善
        • 若い世代のライフスタイルに見合った生活勤務環境の構築
      • 新たな生涯設計の確立
        • 若年定年制における将来不安の払拭の観点から、自衛官としての知識・技能・経験を活かした再就職先の拡充等
      • その他

【2024年9月】

内閣官房 リニア開業に伴う新たな圏域形成に関する関係府省等会議(第2回)
▼ 資料1 リニア開業に伴う新たな圏域形成に関する関係府省等会議 中間取りまとめ 概要資料(案)
  • リニア中間駅を始めとした新たな広域圏形成 ~かがやく未来へ~
    • 「日本中央回廊」の核となる新たな圏域形成により、多様な自然や文化を有する地域を内包する新たな経済集積圏域の形成を目指す。
    • (1)生活・交流(2)産業・しごと(3)観光(4)交通ネットワークという4つのテーマに基づく施策の実現により、新たな圏域形成の効果を広域に波及させる。
    • 地域活性化やダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る。
  • 未来を呼ぶ、新しい暮らしの風景 ~地域生活圏の形成、二地域居住の促進へ~
    • リニア中間駅を核とした高速交通ネットワークの強化やテレワークの普及等を通じて、新たな暮らし方・働き方の先導モデルの形成を図る。
    • 新しいライフスタイルとしての「二地域居住」や「転職なき移住」の促進に向けて、空き家等の既存ストックの活用を含めた良質な住宅の提供やサテライトオフィス等の環境整備を進め、新たなライフスタイルを実現する。
  • リニア中間駅から広がる次世代のビジネスフロンティア ~人流・物流の活性化による産業創造へ~
    • 全国各地との時間距離短縮の効果をいかし、サテライトオフィス拠点やインキュベーション施設の設置、新たな産業創出に取り組むスタートアップ企業の誘致等、国内外各都市と新たな圏域の「人流」「物流」の活性化を図り、多様な自然や文化を有する地域を内包する世界に類を見ない魅力的な経済集積圏域を形成する。
    • リニア中間駅周辺地域の先端技術拠点の形成や地場産業の強みをいかし、ビジネス・商圏・販路の拡大につなげることで、新たな圏域全体の活力を広域に波及させ我が国の成長を牽(けん)引する。
  • リニアがつなぐ圏域を越えた魅力の創造 ~世界が注目する新たな広域観光モデルへ~
    • リニア中央新幹線の開業による時間距離短縮の効果をいかすとともに、自然・文化等の個性豊かな地域の魅力をいかし、持続可能な広域周遊観光を創出する。
    • AIオンデマンド交通や自動運転バス等を活用した観光拠点へのアクセスを強化し、観光消費の増加を促進する。国内外への積極的なプロモーションなど、ハード・ソフト両面の取組によりインバウンド需要も取り込み、二地域居住とも連動した観光交流の拡大につなげる。
    • 4県ならではの観光資源・文化資源を保全・活用し、リニア中間駅を核とした世界に選ばれる新たな広域観光モデルを創出する。
  • リニア中間駅、交通の新たな拠点へ ~人が出会い、ビジネスがつながる新たな結節点へ~
    • リニア中間駅を始めとした新たな圏域内及び他圏域との交通ネットワークの形成、AIオンデマンド交通や自動運転技術の導入により、「シームレス」な交通体系を実現し、リニア中央新幹線開業による時間短縮効果を新たな圏域の内外に更に波及。
    • 4県のつながりを強化し、新たな圏域を越えた「人流」、「物流」の更なる拡大・強化を通じたイノベーションの創造を図る。また、交通の結節点となるリニア中間駅周辺のまちづくりやリニア中間駅の効果を広域に波及させるためのアクセス向上等について検討を進め、人々が出会い、つながる場として地域活性化を促進する。
      • 長野県の取組
        • リニアと新幹線、高規格道路等を基軸に東日本と西日本、太平洋と日本海を結ぶ広域的な交通ネットワークの整備推進広域交通・地域振興の拠点となる駅周辺の整備
      • 岐阜県の取組
        • リニア中間駅を核とした東西・南北軸を形成する道路ネットワークの充実
        • 新モビリティの整備による駅を起点としたシームレスな交通体系の構築
      • 山梨県の取組
        • 強靱で信頼性の高い道路ネットワーク整備推進民間活力を最大限にいかした駅周辺におけるまちづくり
      • 神奈川県の取組
        • リニア神奈川県駅と、現在、誘致を進めている新幹線新駅を核とした南北ゲートの形成及びそれに関連する鉄道ネットワーク等の充実強化によるネットワーク型都市圏の形成
        • リニア神奈川県駅周辺、相模原駅周辺における広域交流拠点のまちづくり
  • 神奈川県のビジョン・施策
    • 全国との交流と連携を促進するため、リニア神奈川県駅を核とした「北のゲート」と、現在、誘致を進めている東海道新幹線の新駅を核とする「南のゲート」の形成を図り、交通ネットワークの充実・強化を目指すとともに、さがみロボット産業特区を活用した先端技術の拠点づくりや、新たなイノベーションハブの形成を目指す。
    • 働く世代に対し、多様な働き方・暮らし方を提供することにより、県内への人の流れを創出し、移住を促進する。
    • 東京圏や中部圏からの速達性をいかした連携により、ヒト・モノを引き付ける魅力を高め、リニア神奈川県駅を「降りたくなる駅」にすることを目指す。
    • 相模原市においては、リニア神奈川県駅周辺と地域間のアクセスや利便性の向上を図るため、広域的な交通網の整備を促進し、県内駅が設置される橋本駅周辺地区と、相模原駅周辺地区を広域交流拠点として一体的なまちづくりを進める。
    • さがみロボット産業特区を活用し、先端技術等の研究開発に対する支援等の実施や、オープンイノベーション、ベンチャー・スタートアップ企業の創出促進等を通じ、相模原市一帯において、新たな価値やイノベーションを創出する基盤を形成する。
  • 山梨県のビジョン・施策
    • リニア中央新幹線の開業を見据え、県民の生活基盤を強く安心できるものにする「ふるさと強靱化」、物理的な面とともに意識の上での開化も進め、国内外全ての人に対して開かれた「『開の国』づくり」、それらの先に、県民一人一人に豊かさが漏れなく届けられる仕組みを持った「豊かさ共創社会」を築き上げていく。
    • 産業・観光振興や災害発生時の輸送路確保(リダンダンシー確保)、また、都市部との二拠点居住の促進に向けて、県外とを結ぶ高速道路等の強靱で信頼性の高い道路ネットワーク整備を図る。リニア山梨県駅は県内各地からアクセスが容易な交通結節点となることを踏まえ、その駅前においては、民間活力を最大限にいかして生活・産業・観光の場が融合した新たな価値を生み出すまちづくりを進めるとともに、テレワークの普及等を通じて新たな暮らし方や働き方の先導モデルを形成することを目指す。
    • また、リニア中央新幹線の開業を見据え、最先端技術やサービスの実証実験や社会実装に向けた支援を進める。
  • 長野県のビジョン・施策
    • アルプスの眺望と大自然に囲まれた伊那谷地域に、長野県の強みをいかし、東京一極集中から多極分散型国家の実証モデルとなる都市圏域を先行形成することで、「広域中核地方圏」としての新たな価値の創造を実現する。
    • これにより、リニア中央新幹線の開業効果として期待される人流等の活発化を実現することで、地域活性化を目指すとともに、近隣県とも連携し、開業効果を広く全県下に拡大することにより、長野県の魅力向上につなげることとする。
  • 岐阜県のビジョン・施策
    • リニアをいかした地域づくりを戦略的に進めるため、「岐阜県リニア中央新幹線活用戦略」(平成26年策定、令和5年全面改訂)に基づき、「産業振興」、「観光振興・まちづくり」及び「基盤整備」の3分野並びに「森のまちづくり」の実現に向けた取組を進め、リニア中央新幹線の開業効果をリニア岐阜県駅から東美濃地域、県内全域、そして隣接県へ最大限に波及させていく。

内閣官房 コンテンツ産業官民協議会(第1回)・映画戦略企画委員会(第1回)配布資料
▼ 資料3 基礎資料
  • 世界のコンテンツ市場の規模
    • 世界のコンテンツ市場規模の推移を見ると、日本は世界第3位。2022年は13.1兆円。
    • 中国は、2013年に日本を抜き世界第2位へ。2022年時点で日本の2.5倍の市場規模(33.2兆円)。
  • コンテンツ産業の世界市場・我が国輸出額規模の相場感
    • 世界のコンテンツ市場の規模は、石油化学産業、半導体産業よりも大きい。
    • 日本由来コンテンツの海外売上は、鉄鋼産業、半導体産業の輸出額に匹敵する規模。
  • コンテンツの海外進出の日中韓比較
    • 日本はアニメ、家庭用ゲームの海外収入では中国、韓国に勝り、実写映像の海外収入では韓国を下回る。
    • PC・スマートフォン向けゲームでは中国・韓国を下回る
  • コンテンツ産業のデジタル化
    • 世界のコンテンツ市場は、今後もデジタルコンテンツが成長を牽引する見通し。日本は、分野により、デジタル化(配信)に遅れ気味。
  • 映像コンテンツによる海外収入
    • 映像による海外収入は、米国が一番大きく、144億ドル。
    • 日本の映像による海外収入は、9.7億ドルでアニメが8割。
    • 韓国の映像による海外収入は、8.7億ドルでテレビ番組が8割。
  • 実写映画の興業収入と制作費との相関関係
    • 世界興行収入が高い作品ほど、制作費が高い傾向が見られる。
  • アニメの海外売上高
    • アニメ制作会社の海外売上高は、増加傾向(856億円)。海外の地上波放送や有料チャンネル放送において、「ドラゴンボール」、「ポケットモンスター」等が継続して放送されていることが理由。
  • 聖地巡礼による経済効果
    • 日本各地にアニメの聖地巡礼地が存在。インバウンド観光客のうち聖地巡礼者数は140万人、アニメ関連グッズの購入額は380億円。
    • 潜在的な聖地巡礼者の需要は310万人と見込まれ、4,700億円の国内消費支出が期待されている。
  • キャラクターの累積収入の世界ランキング
    • キャラクターが誕生してからの累積収入(USドルベース)ランキングでは、世界のTOP17の約半分にポケモン、ハローキティ、マリオ等の日本発コンテンツがランクインしている
  • テレビ局の広告収入と番組制作費
    • テレビの東京キー局すべてにおいて、過去7年間で、広告収入が減少し、これと相関して、番組制作費も減少
  • 世界のNetflixの会員数と売上高の伸長
    • 世界のNetflixの会員数と売上高は年々拡大。2023年時点で世界売上は337億ドル。
    • 日本のテレビ局4局の制作費を合計しても、Netflixの制作費の5分の1。
  • 世界の音楽市場の推移
    • 世界の音楽市場は縮小から2015年以降デジタル化(特にストリーミング)により反転し、286億ドルに。
    • 日本の音楽市場は、音楽ソフト(CD等)が66%、音楽配信(ストリーミング等)が35%であり、デジタル化が遅れている。
  • 音楽業界は、旧譜が中心の市場に
    • 検索が可能なサブスクリプションサービス(月単位または年単位で定期的に料金を支払い利用するサービスの形式)の増加に伴い、発表日が意味をなさなくなってきている。CD自体は新譜が売上げの大半だったが、現在は旧譜(18か月以上前発表)が7割を占める状況(米国の場合)。
    • 旧譜が充実した日本には有利であり、「日本ブランド」の確立の契機。
    • 他方で、旧譜については、我が国の慣行から、利用が難しいとの議論があり、契約の適正化が課題。
  • 世界のコンサート市場の動向
    • 音楽市場のストリーミング化の裏側で、リアルな接触を求めて、世界のコンサート収益(スポンサー権利+チケット売上)は、コロナ期を除き年々増加。
    • 2023年~2030年の年平均成長率は4%と分析。
  • 日本の雑誌販売額と電子出版の市場規模
    • 雑誌の販売金額は、1997年以降右肩下がりで、2022年には3分の1まで縮小。
    • 一方で電子出版の市場規模は、大きく増加。スマホで読める等の電子コミックの増加分が大半。

内閣官房 ジョブ型人事推進会議
▼ 資料 各社のジョブ型人事の取組について
  • 三菱マテリアル株式会社
    • 「4つの経営改革」の大きな柱の一つとして「人事変革」に取り組んでおり、その中の1つの施策として、管理職社員に対して、2022年に「職務型人事制度」を導入
      • 職務型人事制度の導入目的
        • 事業競争力の強化のために、多様な人材をタイムリーに配置する必要があったこと
        • 自律的な課題解決能力を持つ組織と人づくりを目指す中で、役割の明確化が必要だったこと
      • 制度改革のポイント
        • 各人が担う職務を評価して等級を設計し、外部のベンチマークデータを用いて報酬水準を決定
        • 個人の業績結果とその過程で発揮された行動の両軸を用いた考課制度を構築。制度運用に大きな責任を持つ組織長に対する人材マネジメント講座の実施
      • 改革の効果
        • 従来の職能資格をベースにした制度に比べて、待遇根拠が明確となり、経験者採用が進むようになったこと
        • 年次に依らない積極的で柔軟な人材登用に役立ち、年次管理や予定調和的な人材配置から転換する促進策となったこと
        • 東洋合成工業株式会社
  • 東洋合成工業株式会社
    • ジョブ型人事の導入目的
      • 中長期的な事業成長に向けて、最重要課題である人材育成と採用競争力の強化を図るため、管理職を対象に導入。
    • 人事制度改革のポイント
      • 「役割」 と「業務で実践する」ことを重視し、仕事を分かりやすく
      • 役割に見合った報酬水準設定(引き上げ)と公正な処遇
      • 成長分野への労働力のシフト
      • スキルマップ作成とキャリア開発・能力開発プログラムの拡充によるリスキリング
      • 組織開発による関係性構築でチャレンジが生まれる文化醸成
    • 人事制度改革の効果
      • 10年で、売上2倍(150億→300億)、営業利益7倍(5億→35億)、株価25倍(400→10,000円)、社員倍増(500→1000名)に成長
      • 事業成長に必要な優秀な人員採用と個人パフォーマンス最適化
      • 優秀な人材は早期に上位のポジションに引き上げる文化醸成
      • エンゲージメント「仕事のやりがい、成長実感、効力感」が改善
      • 利益を賃上げと各種リワード強化に配分する好循環
  • 株式会社メルカリ
    • 多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて
    • メンバーの多様性は、イノベーションの源泉
      • 2018年には、優秀な技術系人材が数多く集まるインド工科大学の卒業生を29名を含む、44名の外国人材を一挙に採用。現在、約50ヶ国のメンバーが在籍、エンジニア組織の半数以上が外国籍。
      • リモートワークにより働き方が多様化する中、組織文化を明文化した「Culture Doc」の策定
    • グローバルに準拠した制度への変革
      • 新卒社員からCEOまで、一貫した人事制度により処遇
      • バリューの発揮度に応じた大胆な抜擢・登用を積極的に実施
        • 市場データなどを元に、職種×グレード別報酬水準を設定
        • バリュー発揮度に基づく昇給率を設定し、成果を出せば報酬が引き上がる設計
    • 人材不足の深刻化とさらなる多様な人材活用の必要性
      • 2030年までに558万事業所で人手不足となる中、外国人材だけでなく女性、若年層、高齢者など多様な人材が働ける社会を作ることが重要。
        • 高度外国人材の受け入れ拡大
          • 長期有給インターンシップを本採用前に実施することで採用のミスマッチを減らすことができる。
          • 一方、外為法の要請により、ビザの種類によっては居住者用銀行口座の開設不可
          • 創業外国人材と同様、一定の条件を見満たす外国人材に対し、口座開設要件の明確化が望まれる。
        • 働きたいが「壁」があって働けないことの解消
          • 個人のニーズに合わせた柔軟な働き方を選択できる「スポットワーク事業」を開始
          • 副業促進のため、事業者をまたいだ労働時間通算管理の見直し
          • 所得税徴収基準等の見直しによる事業者負担の軽減と働く時間の壁の突破
  • アフラック生命保険株式会社
    • 人財マネジメント制度改革の目的・概要
      • 変化の激しい中で持続的な成長を実現するために、社員が自律的に働くことが重要と考え、2021年に「主体性」をキーワードに人財マネジメント制度改革を実行(職務等級制度を導入)
      • 経営が一枚岩となってコミットするために、社長と各部門の役員でプロジェクトチームを組成し、2年間で86回(合計126時間)をかけて人財マネジメント制度改革の議論を実施
      • 導入に際しては、社員のエンゲージメント向上のために、人事主導ではなく、担当役員から管理職、管理職から社員へと、丁寧な対話プロセスを複数回実施。社員との座談会、動画、専用サイトなど、マルチチャンネルで、理念浸透策を経年的に実施
      • 制度改革に合わせて、「戦略マップ」を作成。人財マネジメント戦略が経営戦略に基づくことを明確にしたうえで、人財マネジメントに関する制度や仕組みが統合的に機能する仕組みを構築
    • 人財マネジメント制度の根幹
      • 非管理職も含め全ポスト(1,600)の職務記述書(JD)を作成。全社に公開し透明性を確保。JDは、採用・異動・育成・人事評価など、人財マネジメントのあらゆる場面で活用
    • 制度の実行性・実効性を確保する取り組み
      • 制度理念実現に向けて、制度の運用を徹底するため、社長をトップとし各部門の役員で構成される「人財マネジメント政策委員会」で、データドリブンで実証的にモニタリングを実施
  • KDDI株式会社
    • ジョブ型人事の導入目的
      • 非通信分野への事業領域拡大を進めるにあたり、社内外から専門的な人財を惹きつけ、育成する必要性が増した
      • シニア層の増加と、若手の「挑戦心」と「成長心」の低下により、社員個人の成長で会社の活力を高める人材マネジメントシステムへの転換が必要だった
    • 「KDDI版ジョブ型人事制度」の特徴
      • 30の「専門領域」を定義、それぞれの職務やスキルを具体化し、社員が専門性を深耕することを後押し
      • 共創・協業で組織を成功に導く「人間力」の高さを重視(ジョブ型人事制度により多様な人財が集まる中で、KDDIフィロソフィをベースに一体感を維持・向上していくため「人間力」を重視)
      • 社内向け教育機関「KDDI DX University」による人材育成
    • 人事制度改革の効果
      • 経験者採用が10年で10倍に(13年度約30名→23年度385名)
      • DXおよび戦略領域の「プロ人財」比率35%(3実績)
      • 40歳未満の若手管理職が3年で6倍に(21年度110名→24年度283名)
  • オリンパス株式会社
    • ジョブ型人事の導入背景および目的
      • グローバルに競争力を高め、真のグローバル・メドテックカンパニーへ飛躍するために、企業変革プラン”Transform Olympus”を策定し、グローバル・グループ一体経営体制への転換を実施した
      • グローバル一体経営への転換を進める中で、人的リソースを最大限に有効活用するため、日本の人事制度をグローバル標準であるジョブ型に変更し人事制度をグローバルに統一した
      • 人事制度のグローバル化により、優秀人材のグローバル適所適材での活用、ジョブ型人事制度への転換によるハイポテンシャル人材の獲得・登用およびプロフェッショナル人材の育成強化を図る
    • 人事制度改革のポイント
      • 旧来の能力基準の職能資格制度から職務の責任の大きさに応じた職務等級制度への移行(マネジメント職の職務等級はグローバル共通)
      • 職務責任に応じた報酬体系への改定を行うとともに、ベンチマーク先を変更し、医療事業において競争力を確保できる水準を実現
      • グローバル共通の評価制度を導入し、3つの要素(成果・行動・総合)を統一基準によりメリハリ・公正ある評価実施
  • 富士通株式会社
    • ジョブ型人事の導入目的
      • 社会における存在意義となるパーパスを定め、それに基づく全社変革を実行。特に人事制度は、企業活動を支える基盤として注力、柱としてジョブ型人事制度を導入
      • グローバルで競争に勝ち抜くためには、経営戦略に沿った組織設計、人材ポートフォリオが必要
    • 人事制度改革のポイント
      • 人材マネジメントの在り方全体を見直し
      • 事業戦略に沿った、「適所適材」の人材リソースマネジメントへの変革、人事部門から各部門への採用や配置に関する権限の委譲
      • 個人の職責に応じた評価・報酬制度の導入
      • オンデマンド型学習、ポスティングなど社員が自律的に学び、キャリアを形成できる成長機会を大幅拡大
    • 人事制度改革の効果
      • 多様な人材が国や組織を超えて流動化。採用権限を持つ各部門がより魅力的な職場づくりに取り組み、内部労働市場が活性化
  • ENEOS株式会社
    • ジョブ型人事の導入目的
      • 激変する事業環境下で企業として持続的な成長を遂げるために、一人一人の社員には、これまで以上のスピードで事業の変革を推し進める役割が求められる。
      • 一方で、旧来の能力を軸とした人事制度のままでは、横並びの意識がはびこり、社員の挑戦や変革への意欲が低減し得る。
      • こうした現状を脱却するため、人事制度を抜本的に転換することを決意。成果に対する強いコミットメントや社員の自律性を高め、重要なポジションへの優秀な人材の配置を促進するため、管理職に対しジョブ型人事を導入することとした。
    • 人事制度改革のポイント
      • 経営の意思に基づき、事業や職務の価値を序列化し、職務の価値と報酬をバランスさせる。それにより、年齢や経験にかかわらず、職務の価値に応じて処遇することが可能。
      • 長期雇用と人材育成は引き続き大切にし、社員には自律的なキャリア形成を求めつつ、会社は支援体制を整備する。
      • 非管理職についてもコース別人事制度を導入。育成段階であることを踏まえ引き続き職能制度を維持しつつも、役割給も導入し、職務と報酬との関連性をより高めた。
    • 人事制度改革の効果
      • ポスト就任者の平均年齢が若返り、若くても優秀な人材が重要なポジションに配置され活躍しており、年功序列の意識を変えていく第一歩にはなった。
      • 自律的なキャリアを意識付ける狙いであったが、2024年4月の定期異動において、324件のポスト変更のうち、4分の1強の93件でポストチャレンジによる異動が実現。自律的にキャリアを考える意識が浸透しつつある。

内閣官房 原子力関係閣僚会議(第12回)議事次第
▼ 資料3 避難対策を中心とする具体的対応の方針
  • 国が前面に立った取組(県民理解への取組や事業者に対する指導・監督の強化)、避難対策の実効性向上等(避難路の整備、除排雪体制の強化、屋内退避施設整備の強化等)について、地元から要望がなされているところ。
  • 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を巡っては、東京電力や避難などに対する懸念や不安の声がある中で、要望への対応は、課題の解決に向けて重要であり、関係府省庁一体で取り組んでいく。
  • 速やかな着手が求められる避難対策を中心とする当面の具体的対応は以下のとおり。
    • 国が前面に立った取組
      • 県民理解への取組
        • 本年7・8月に7回、県主催の県民説明会を実施。今後さらに、厳しいエネルギー情勢や柏崎刈羽原子力発電所の必要性等について、年末に向け集中的に、説明会や情報発信の取組を強化
        • 新潟県内や電力消費地である首都圏において、新聞、テレビ、ウェブ、SNS、主要駅における広告や交通広告など、多様なメディアを活用した広報を展開
        • 電力事業者は、発電所視察受入やコミュニケーションブース、広報対応などの取組を強化
      • 安全・安心の確保につながる柏崎刈羽原子力発電所のガバナンス体制の強化
        • 柏崎刈羽原子力発電所の運営に対するガバナンスの強化に向け、海外の専門家や他の事業者など「外部の目」による気づきを改善につなげる新たな体制を構築すべく、指導・監督
    • 避難対策の実効性向上等
      • 原子力災害時の住民避難を円滑にするための避難路の整備等
        • 経産省、内閣府、国交省で整備促進に向けた「協議の枠組み」を新たに立ち上げる
        • 6方向へ放射状にUPZ(概ね30km圏内)外まで避難する経路等について、経産省、内閣府、国交省等の関係府省庁で整備する(土砂災害警戒区域等の法面対策、未改良区間の拡幅、橋梁の耐震化等を実施)
        • 経産省は県の実負担額相当分の措置など必要な規模の予算を継続確保する
      • 除排雪体制の強化
        • 内閣府、経産省、電力事業者が連携し、冬季の2車線確保のための拡幅用除雪車両の増強、急勾配区間への消融雪施設や監視カメラの設置など、除排雪体制を強化する
        • 地域レベルで対応が困難な場合における政府を挙げた全国規模の実動部隊(警察、消防、防衛)による支援を実施する
      • 放射線防護対策を施した屋内退避施設(シェルター)整備の強化
        • 新潟県内UPZ(概ね30km圏内)全域で、放射線防護対策施設の整備を可能とする(これまでは概ね10km圏内)とともに、施設の空調対策、維持管理費等も含め、内閣府で予算を確保し、整備する
  • (参考)地元からの要望
    • 国が前面に立った取組
      • 県民理解への取組
      • 事業者に対する指導・監督の強化
    • 避難対策の実効性向上等
      • 原子力災害時の住民避難を円滑にするための避難路の整備等
      • 除排雪体制の強化
      • 放射線防護対策を施した屋内退避施設(シェルター)整備の強化
      • 令和6年能登半島地震も踏まえた屋内退避の運用の見直しと緊急時対応の取りまとめ
      • ICTを活用した円滑な避難方法の構築
      • 資機材整備等の充実
      • 放射線モニタリング体制の維持強化
      • 原子力災害医療体制の強化
      • 原子力施設に対する武力攻撃事態等への対処
      • 原子力災害対策重点区域への適切な対応等
      • 電力移出による脱炭素への寄与度の適正な評価
      • 首都圏の理解促進及び経済的なメリットを感じられる取組の実施

内閣官房 GX実行会議(第12回)
▼ 資料1 我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて(齋藤GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)
  • GX2040ビジョンに向けた検討のたたき台
    1. エネルギー・GX産業立地
      1. DXによる電力需要増に対応するため、徹底した省エネ、再エネ拡大、原子力発電所の再稼働や新型革新炉の設置、火力の脱炭素化に必要な投資拡大
        • 大型電源については投資額が大きく、総事業期間も長期間となるため、収入・費用の変動リスクが大きく、それらを合理的に見積もるには限界がある。事業者の予見可能性を高めるには、このようなリスクに対応するための事業環境整備を進める必要がある。同時に、電源確保とあわせて、データセンターの効率改善を促すべく、技術開発や制度面での対応も進める必要。
      2. LNGの確保とLNGサプライチェーン全体での低炭素化の道筋確保や、国際的な議論も踏まえた石炭火力の扱い
        • 現実的なトランジションの手段としてガス火力を低炭素電源として活用していく必要。国際的な議論や脱炭素に向けた取組の下、石炭火力発電をより減少させていく中で、LNG調達安定化のための長期契約を可能にする方策や、石炭火力等の予備電源制度などとセットで議論が必要。
      3. 脱炭素電源や水素等の新たなクリーンエネルギー近傍への産業集積の加速、ワット・ビット連携による日本全国を俯瞰した効率的・効果的な系統整備
        • 多数の企業間連携を前提とする広域単位の産業立地施策、日本全体を俯瞰して、次世代の電力系統整備と通信基盤の一体的整備を可能とする次世代型電力・通信一体開発計画などについて官民連携での検討。
      4. 次世代エネルギー源の確保、水素等の供給拠点、価格差に着目した支援プロジェクトの選定
        • 将来的な価格低減や国産技術の活用が見込まれるなど、産業競争力強化に資するプロジェクトを中心に、黎明期のユースケースを立ち上げ。また、水素等の大規模な利用拡大に繋がり、幅広い事業者に裨益する供給拠点に対する支援や、GX製品の市場創造に向けて需要家を巻き込み、価格移転を可能とする後続制度とも連携。
    2. GX産業構造
      1. 経済安全保障の要請も踏まえたGXとDXによるサプライチェーン強化
        • GXとDX技術の組み合わせにより、既存・新規企業双方において、付加価値の掘り起こし・ビジネス化(イノベーション創出)を加速させ労働生産性・資本生産性を高める。これらを通して、鉄鋼や化学等のGX素材から、半導体等の重要物品や完成車等のGX製品に至る、中小企業含めたフルセットの「GX型サプライチェーン」を維持発展させる。
      2. GXとDXの同時進展
        • データセンター・半導体におけるエネルギー効率改善に向けた取組加速、AIの基盤となるデータセンターの国内整備
      3. 技術・ビジネス・スケールの3つの要素を最大化したイノベーション創出
        • 海外含めた学術機関との連携、大企業とスタートアップとの協業加速、大企業からのカーブアウト加速
    3. GX市場創造
      1. GX製品の国内市場立ち上げに必要となるGX製品の価値評価、調達に向けた規制・制度的措置
        • 多排出産業のGX-ETS参加義務化などカーボンプライシングの具体的制度設計、GXの価値の見える化、GX製品調達に資するインセンティブ措置の具体化
    4. グローバル認識・ルール
      1. アジアの視点も加えた体系的・総合的なルール形成
        • AZECの下でのトランジションファイナンスのアジア展開、日本発の省エネ・脱炭素機器導入拡大に資する標準などの制度設計
      2. 欧米の情勢も踏まえた現実的なトランジションの必要性
        • 2040年を見据えたエネルギー需給構造の検討
  • エネルギー・GX産業立地
    • 毎年、電力広域的運営推進機関は、一般送配電事業者から提出された電力需要の想定を取りまとめ公表。
    • 本年1月24日に公表された想定では、人口減少や節電・省エネ等により家庭部門の電力需要は減少傾向だが、データセンターや半導体工場の新増設等による産業部門の電力需要の大幅増加により、全体として電力需要は増加傾向となった。
    • 電力広域的運営推進機関では、データセンターや半導体工場の新増設により、2024年度で+48万kW、2033年度で+537万kWの最大電力需要の増加を見込んでいる。
    • DXやGXの進展に伴い、電力需要増加が見込まれる中、再エネと原子力への転換を推進する必要。
    • FIT/FIP制度等により再エネの導入拡大を進めてきたが、足元では導入速度がやや鈍化。原子力についても、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めているが、新たに原子力発電所の建て替えが行われない限り、中長期的に原子力発電所の容量は減少する。
    • インフレや金利上昇などの要因により、今後も電力分野の建設コストは上昇していく可能性あり。
    • 大型電源については投資額が大きく、総事業期間も長期間となるため、収入・費用の変動リスクが大きく、合理的に見積もるとしても限界がある。そのようなリスクに対応するための事業環境整備が必要。
    • 科学技術振興機構(JST)は、エネルギー効率の改善状況に応じたデータセンター・ネットワークの消費電力量の見通しは、省エネの度合いに応じて大きな幅があることを示している。
    • 今後、電源確保とあわせて、データセンターの効率改善を促すべく、技術開発や制度面での対応も同時に進める必要。
    • 半導体は成長(性能向上)と脱炭素化(エネルギー効率の改善)を両立させる形で進化し、デジタル技術の持続的な発展を支えてきた。
    • 微細化や高密度化、チップレット等の高度実装等の「高集積化」や、システムや設計等の「最適化」、「素材進化」による抜本的な機能向上等により、性能向上と同時にエネルギー効率も改善。
    • 2050年ネットゼロを目指す上で、国際的な議論や脱炭素に向けた取組の下、石炭火力発電をより減少させる中で、現実的なトランジションの手段としてガス火力を低炭素電源として活用していく必要がある。
    • 現状、国内のLNGの8割程度が長期契約となっているが、今後、新たな契約が行われない限り、長期契約比率は低下する見通し。価格高騰や供給途絶などのエネルギー安全保障リスクに備え、必要なLNGの長期契約を官民一体となって確保することが必要。
    • 今後もLNGを活用していく上でバリューチェーンの低炭素化が重要。上流から下流までのLNGバリューチェーン全体に適用可能なトランジション技術は複数存在しており、今後の道筋の明確化が必要。
    • 日本としては、CLEAN(Coalition for LNG Emission Abatement toward Net-zero)などの枠組を活用しながら、LNG生産者にメタン排出削減の働きかけを進めることで、バリューチェーン全体の低炭素化を目指す。
    • 第6次エネルギー基本計画では、非効率な石炭火力を段階的にフェードアウトしていく方針を示しており、大手石炭火力発電事業者が保有するSC(超臨界圧)以下の発電電力量は、2019年度から2022年度にかけての3年間で、130億kWh以上減少。
    • 2022年度の発電電力量に占める石炭火力は約31%と比重が高く、現状では安定供給を確保する上で石炭火力は重要な電源となっている。今後、石炭火力発電を減少させながら、電力安定供給を確保していくには、予備電源制度などの制度的措置とセットでの議論が必要。
    • COP28では、排出削減対策が講じられていない石炭火力フェーズダウン加速や化石燃料からの移行などに合意。総理は、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していく方針を宣言。
    • G7プーリアサミットでは、石炭火力については、各国のネット・ゼロの道筋に沿って、2030年代前半、または、気温上昇を1.5度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策が講じられていない既存の石炭火力発電をフェーズアウトすることに合意。
    • 石炭火力発電の割合が低い国は全廃の年限を表明する国が多い一方、石炭火力の割合が高い国は、段階的な脱炭素化を目指す国が多い。
    • 世界的にもGX市場創造が進むことが想定されるが、我が国では、GX製品やサービスに不可欠な脱炭素エネルギーの供給拠点には地域偏在性が存在。したがって、「需要に対してエネルギーを供給する」というこれまでの発想に加えて、「脱炭素エネルギーの供給拠点に立地を集中化させる」といった発想も取り入れ、効率的・効果的な立地誘導を進める必要。
    • その際には、既存のインフラの状況を踏まえつつ、希少で地域偏在性がある等のクリーンエネルギーの制約から、多数の企業間連携も念頭においた、広域単位の産業立地施策が求められる。
    • 何より、日本の魅力を高め、競争力の高い国内外の企業による投資やGX産業構造転換を目指す投資等により、質の高い雇用の創出、経済安全保障の向上など、国民生活向上に資する制度的・規制的措置となるよう、過去・既存の産業立地政策を踏まえた具体策とする必要。
    • 特に、データセンターの立地に際しては、効率的・効果的な系統整備の観点から、データセンターなどの需要側が供給側に近接することも考えられる。また、光を利用した革新的技術が進めば、物理的距離が制約条件とならなくなり、需要側が分散していたとしても、消費電力を抑えながら、日本全国で大量かつ迅速な情報処理が可能となる可能性もある。
    • こうした点も踏まえ、日本全体を俯瞰して、次世代の電力系統整備と通信基盤の一体的な整備を可能とする次世代型電力・通信一体開発計画等について、今後、官民で検討を進める。
    • カーボンニュートラルに向けては、再エネ等の電気に加え、熱需要の脱炭素化のため水素等が必要。国内外での水素等供給体制の構築に向け、化石原燃料との価格差に着目した支援を実施。
    • 当面の間、国内の水素等製造は小規模かつ輸入水素よりも高い傾向があるが、安価な余剰再エネを用いれば、調整力として更なる再エネ導入拡大に資する面もあるため、エネルギー安全保障の観点から、将来的に十分な価格低減と競争力を有する見込みのある国内事業を最大限支援する。
    • 加えて、鉄、化学、モビリティといった転換困難な分野・用途への拡がりを考えれば、国内で製造可能な水素等の供給量では賄えない需要が将来的に想定される。既に権益獲得競争が各国で起こり始めていることも踏まえれば、国産技術等を活用して製造され、かつ大量に供給が可能な水素等の輸入についても支援する必要がある。
    • 他方、現状ではまだコスト面での課題があり、各国とも供給コスト目標を掲げ、コスト削減に向けた技術革新を進めるとともに、サプライチェーンをスケールさせるための支援制度などの取組を進めている。
    • このため、市場環境を注視しつつも、水素社会推進法に基づく水素等のサプライチェーン構築のための3兆円規模の支援により、まずは将来の産業競争力強化に繋がる黎明期のユースケース作りをしたたかに進めるとともに、GX製品の市場創造に向けて、需要家を巻き込み、価格移転を可能とする後続制度との連携が必要となる。
    • 拠点整備支援は、大規模な利用ニーズの創出と効率的なサプライチェーン構築の実現に資する、水素等の大規模な利用拡大につながり、様々な事業者に広く裨益する設備に対して重点的に支援。
    • 「低炭素水素等を、荷揚げ後の受入基地から需要家が実際に利用する地点まで輸送するにあたって必要な設備であって、民間事業者が複数の利用事業者と共同して使用するもの(共用パイプライン、共用タンク等)」に係る整備費の一部を支援。
  • GX産業構造
    • サービス・デジタル経済化が進展する主要国においても、経済への波及効果の大きさ・経済安全保障の要請から、ものづくり産業の役割を見直す動きが顕在化。通商ルールも駆使し、自国内にサプライチェーンを誘導する動きも存在。
    • 資源が乏しい我が国において、1億人規模の「食い扶持」の確保と、資源のみならず、経済安全保障上重要な製品等を他国に依存しないためにも、鉄鋼や化学等のGX素材から、半導体等の重要物品、クリーンエネルギー、完成車等のGX製品に至る、フルセットの「GX型サプライチェーン」を維持発展させることが必要。
    • 成長する世界市場相手に稼ぐ産業構造を目指し、例えば、GXとDX技術の組み合わせにより、既存企業、新規企業とも、付加価値の掘り起こし・ビジネス化(イノベーション創出)を加速させ、労働生産性・資本生産性を高める。
    • 2024年版中小企業白書によれば、脱炭素化の取組に関する取引先からの協力要請に関し、「省エネルギー」「CO2削減量の算定」「CO2削減目標の策定」等に加え、「グリーン製品(環境負荷の低い製品)仕入れへの移行」にも一定数の回答が集まっており、環境負荷の低い製品への需要が一定程度生じていることも推察される。
    • 一方で、「コストに見合った収益を上げられない」といった課題をあげる企業も多く、好循環を生むための段階的な取組が不可欠。
    • フルセットのサプライチェーンを一定維持するためにも、コモディティ化していく製品から、高付加価値で利益率の高い分野への移行も必要。NEDOの調査では、日本には、自動車やエレクトロニクス系部材だけではなく、世界市場における圧倒的シェアを誇り「ジャパン・インサイド」とも呼べる高機能製品や中間材が多数存在(2021年には409の製品市場で世界市場シェアは合計すると40%以上。162の製品が75%以上。例:JSR,TOKのフォトレジスト等)。
    • GXとDXを機会とし、同分野での「技術リーダー」となれば、高付加価値な製品・サービスの提供を通して価格決定力をも確保し、市場シェアと利益を確保でき成長に繋げられる可能性。
    • 最終的にこうした強みは、他国に対しては、日本企業が生み出した製品・サービスが必要だという依存関係を生み出し、日本の経済安全保障の向上に資する可能性もある。
    • AIは、作業の効率化・最適化を通じ、今後の我が国産業における生産性向上やイノベーション創出のカギとなる技術。日本国内でも一部企業において利用が進みつつあるところ。
    • AIを活用した再エネ需給の最適化といった技術やGXにつながる科学技術の進展のためのAI活用を通したDXの加速は、GXの効果を最大化させる可能性を秘める。AIを有効活用するためにも、データセンターの国内整備が不可欠。
    • GXとDXの分野で日本が強みを持ち得る成長領域、もしくは将来性のある技術・領域を分析し、一定程度特定した上で、今存在しない強みを確立する為の仕組みを検討する必要。
    • 同時にそれだけでは成長につながらないため、GX技術とDX(広義におけるデジタル技術)を組み合わせた収益性の高いビジネスモデルを構築し、それらをグローバル規模に成長させるための仕組みや支援の在り方の検討加速が必要ではないか。
    • 米国はもとより、例えば、中国が徹底的な技術の吸収と応用、技術に知見を持つ人材の招へいを行い、世界の製造拠点から技術大国となっているように、技術の商用化から利益になるビジネスモデルの構築まで自前で完結することは必ずしも多くない。
    • 日本との提携に期待を寄せる海外等のトップ学術機関も存在。信頼できる同志国や事業者間の提携を前提とし、GX×DXの分野において、海外の最先端の技術開発やノウハウの取得、スタートアップと大企業の協働等を促し、新しいイノベーションの創出を目指すべきではないか。
    • WIPO(世界知的所有権機関)が毎年発表するGlobal Innovation Indexによると、日本は、R&D投資や特許取得、知的財産の活用といったイノベーションのための資源投入や技術知見において、世界に誇る実績を持つ。
    • しかし、ICTサービスの展開、労働生産性向上率といった、ノウハウを梃子にしたアウトプットに改善の余地があると考えられ、基礎研究等に加え、一層の商業化への支援の必要性が示唆される。
    • 比較的、豊富な人材や技術、研究の知見を持つ日本の大企業も、GXに必要なディープテックの分野でイノベーション創出の主体になり得る。例えば、大企業が海外等の学術機関等と連携して新規事業を創出することは資本力と技術力を融合させることになる。
    • また大企業からのスタートアップのスピンオフは、大企業の良さも引き継ぎながら敏捷性を生かすことができ、さらにスタートアップ主導の事業創出は革新力と創造力を発揮することになる。それぞれに適した事業環境整備を行うことで、GX・DX分野で、日本のイノベーション創出の再構築を目指すべきではないか。
    • フルセットの産業を持つのは日本の強みであり、コングロマリッドや既存のサプライチェーンの中に、未開拓の事業分野に切り込める技術が眠っている可能性。
    • アンモニア燃料船舶のエンジンを手掛ける「ジャパンエンジンコーポレーション」は、GX市場での大きな成長を見込み、「スピード&スケール」を体現する形で、三菱重工業の当該部門と神戸発動機が事業統合し設立。大企業の基盤とスタートアップのスピードを併せ持ち、またGI基金など政府支援もうまく活用し世界市場の確保も視野に。こうした取組は株式市場からも高い評価を得ている。
  • GX市場創造
    • 企業のGX投資を促進していくためには、投資によって生み出された製品(GX製品)が非GX製品よりも高く評価される市場環境を整備していくことが必要。
    • このためにはGX製品の調達コストが非GX製品よりも高いこと、GX製品の付加価値が確立していない・不透明という課題に対応する必要がある。
    • 前述の課題に対処し、GX市場創出のためには、(1)カーボンプライシング(CP)を通じたGX製品と非GX製品と調達コスト差の縮減や、(2)GX製品自体の付加価値向上を実施していくことが重要。
    • 本格稼働後の排出量取引制度は、諸外国の制度の経験を踏まえつつ、(1)公平かつ実効的な制度、(2)対象企業の業種特性等を考慮する柔軟性を有する制度、(3)脱炭素投資を促進するような制度、としていく必要。
    • こうした観点から、多排出企業の参加義務化等を視野に、GX推進法を改正し、本格稼働後の排出量取引制度を法定化する。
    • 我が国では、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立(GX)を実現するための施策として、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化を進めているところ。
    • 昨年度策定されたGX推進戦略では、現在GXリーグにおいて試行的に実施している排出量取引制度について、公平性・実効性をより高める形で2026年度より本格稼働させることとしており、制度の具体案について検討を行う必要。
    • そのため、経済・エネルギー・環境の専門家等の有識者から構成される本WGでは、有識者や産業界等からのヒアリングを通じて、本格稼働後の排出量取引制度の在り方について検討し、制度の具体的な設計について論点整理を行うことを目的とする。
    • GX製品自体の付加価値向上のためには、製品のGX価値の見える化指標を用いて、当初は高コストなGX製品を需要家が調達する具体的なインセンティブを高めつつ、調達コスト自体も低減させるような取組を官民が連携して実施する必要
  • グローバル認識・ルール
    • 8月21日、全AZECパートナー11カ国、国際機関の出席を得て、第2回AZEC閣僚会合を開催。「多様な道筋によるネットゼロ」や「気候変動対策・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現」といったAZECの原則を再確認する共同声明を採択。また、今後10年を見据えた「電力」、「運輸」、「産業」部門の脱炭素化を促進する部門別イニシアティブに合意するとともに、AZECの知的エンジンとして、ERIAにアジア・ゼロエミッションセンターを立上げ。
    • AZECの下で、各国の事情に応じた現実的なエネルギー移行を支え、アジアの国々と共に成長できるよう、各国との政策協調や個別協力プロジェクトの推進を加速していく。
    • 「小型貫流ボイラー」や「産業用ヒートポンプ」などの熱供給機器は、国際市場で日本企業が競争力を有しており、その高い省エネ性能が、需要側のGXを進めていく上での鍵となり得る機器。
    • GXという世界的な新市場を獲得するべく、現地のニーズに即した海外同業他社とのM&Aによる事業領域の多角化等を通じて、高付加価値のサプライチェーンを整備して成長を企図する日本企業もある。
    • 相手国にも裨益するルール形成や現地GX人材の育成等をERIAやAOTSと協働しつつ、日本政府は日本企業の国際的なGX市場の獲得と産業競争力の強化を進める。
    • 2021年、アジアの現実的なトランジション実現に向けた日本の具体的な支援策のパッケージとしてアジアエネルギー・トランジション・イニシアティブを発表。AZEC実現に向けた具体的取り組みとして、AZEC首脳宣言(23年12月)でもその推進を確認。
    • (1)エネルギートランジションのロードマップ策定支援、(2)アジア・トランジション・ファイナンスの確立・普及、(3)脱炭素技術に関する人材育成・知見共有・ルール策定支援に先行取り組み。得られた成果が認められ、IEAやADB等の国際機関との連携・協働も進展しつつある。
    • 本年3月には、アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合(AGGPM)を世界最大級のエネルギー関係イベントであるCERAWeekと共同開催。中東や欧米との協調の拡大も目指す。
    • アジアの金融機関もトランジション・ファイナンスの重要性を認識しており、2021年9月に三菱UFJフィナンシャルグループがリードし、Asia Transition Finance Study Groupが設立。アジア・欧米の民間金融機関まで巻き込み、アジアの着実なエネルギー移行のためのファイナンスの共通の考え方や、広くルールの策定に向けて議論を実施。
    • 金融機関を中心に多様なセクターとの議論と提言を通じ、トランジション・ファイナンスの導入を促進することで、アジアにおける公正かつ秩序有るネット・ゼロ移行の達成を支援。
    • 欧州や米国では、グリーンな産業に対する支援として補助金や税額控除といった金銭的支援策を講じているものの、インフレによる開発費の増大や化石燃料価格の低減によって、従来製品よりも相対的に高額となるグリーンな製品に対する投資が伸びず、域内におけるグリーンな製品の市場形成が停滞している。
    • 特に市場が黎明期の水素・合成燃料・洋上風力といった新技術は価格転嫁の壁が高く、新規需要者の獲得が困難となっている。
    • 欧州は、2030年までに域内での水素製造量を1,000万トン(電解槽容量100GW相当)とすることを目標に掲げているが、2023年9月時点での電解槽導入量は僅か0.2GWと、2030年の目標との乖離が大きい状況。
    • 欧州会計監査院は「目標の実現可能性を確認することと、目標達成のための今後の戦略的な選択が欧州の主要産業の競争力を損なわないことが重要」と言及。また、グリーン水素の製造コストについては、当初想定していた価格には未だ近付いていないという報告もある。
    • ドイツ産業同盟による8月1日のレポートでは、過去5年間、EUは産業の移行に向けたエネルギー及び気候関連の多数の規則や規制を採択してきたが、欧州における競争力のある生産を維持するための明確な道筋は示していないと分析。
    • 欧州では特に化学製品・金属といったエネルギー多消費な産業においては、エネルギー価格高騰により製造コストも上昇。生産量の減少や域内プラントの閉鎖、海外移転に乗り出す企業が増加している。
    • 米両党の政策要領におけるエネルギー・産業政策は、どちらの政党もインフレによるエネルギー価格高騰の影響を抑制する方策を宣言。
    • 過去米国の政権交代によって、パリ協定やエネルギー安全保障の考え方など、エネルギーの将来戦略とそれに基づく産業政策が大きく変化し、世界に与える影響も大きかったため、状況は注視していく必要がある。
  • 【参考】従来にない炭素生産性の向上が不可欠
    • 世界に求められる脱炭素の取組は過去の延長線上にはない、炭素生産性の向上が不可欠。政策・産業ともに過去類を見ないほどの様々なイノベーションが必要であるが、それには不確実性も大きい。
  • エネルギー多消費製造業の生産減退
    • 日本では、鉄鋼や化学などのエネルギー多消費製造業の生産指数がここ数年大きく減退。ドイツでも、同様の傾向。日本では、特に、鉄鋼業の生産減少がエネルギー多消費製造業の減退を牽引。2023年からは化学工業の生産減少が加速。
    • 温室効果ガスの排出削減の要因には、エネルギー多消費製造業の生産が減退していることも寄与しており、産業競争力の確保・強化にとって大きな懸念。
  • 【参考】 相対的なエネルギー価格について
    • グローバル化が進展している状況においては、国境を跨いだ生産拠点の移動が比較的容易に行われやすくなる。
    • GX産業構造・産業立地を考える際に、国際的なエネルギーの相対価格差に留意しなければ、エネルギー多消費産業の海外流出が加速するおそれ。
  • 【参考】 経済成長に影響を与える要素
    • GDPの増減に影響を与える要因は多岐にわたりそれぞれ関連しあって増減の要因となる。海外とのエネルギー価格差に留意しながら、GX市場創造とともに、GX・DXの同時進展等により投資を呼び込み、高付加価値製品やサービスを多く創出し、経済成長に資する取組を進める必要。
  • 経済成長のためのGXの進め方
    • NDC水準をパリ協定で示された1.5度目標と整合的な水準で維持し続けた場合においても、経済成長を実現していくためには、以下の状態を実現していく必要。
    • GX×DXなどによる技術革新を進展させ、海外との相対的なエネルギー価格差を縮小させる
    • 多排出産業の生産減少を国内需要減に伴う減少程度にとどめ、GX製品を含む日本の高付加価値製品による海外市場開拓を加速させる
    • こうした前提が整わない状況において、脱炭素の取組のみを先行させれば、低成長に陥るリスクも高まる。
    • 今後、こうした点も踏まえ、2040年を見通したエネルギー需給構造の議論を加速させる。

【その他(海外)】

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