2018年06月25日号
大麻合法化の意味を正しく理解すべきだ
カナダはG7では初めて、大麻の所持や使用を10月17日に合法化すると発表した。国が管理することで把握が難しい不法取引を減らす狙いだという。さらに「大麻は麻薬の中では依存性が低く副作用が軽いとされ」との報道もあった。だが、WHOが大きな疾患と指摘しているように、大麻は安全ではないし、実は、大麻依存症の依存症化率は10%にも上る(アルコール依存症は0.9%)。大麻合法化は、「大麻が国民の50%近くまで蔓延して禁止する意味がなくなった国がやむなく行うこと」であり、「経済的損失を少なくするための便宜的措置に過ぎないこと」を知っておくべきだ。また、医学的見地からは、依存性の高さや脳への影響、再就労への影響など大麻の有害性が指摘されている。「医療用と吸煙用」の大麻の違い(無害性と有害性の違い)など正確な情報が必要だ。(芳賀)
ゲーム依存、世界保健機関(WHO)が「精神疾患」認定
世界保健機関(WHO)は、オンラインゲームなどに没頭し健康や学業、仕事に深刻な支障が出た状態を精神疾患として「病気」と位置づけた。インターネットへの依存は国内で大人が421万人、中高生が52万人と推計される。その大半がゲーム依存で、眠りが妨げられたり、食事が不規則になったりしても自己規制ができなくなり、勉強や業務の効率にも大きな影響を及ぼすという。今後、実態把握や治療法の開発など、早急な対策が求められるが、本人の心がけだけではどうにもならないのが依存症であり、家庭や学校、職場などで周囲が予兆を捉えることも重要となる。また、ネットやゲームに触れるきっかけが至る所にある現在、消費者自身が過度な利用によって心身を害する前に、依存症へのリスクの理解を進めて、ネットやゲームと適切な距離を保つ必要があるだろう。(佐藤)
新入社員の「働くことの意識」調査、経済環境により変化する意識の把握が求められる
日本生産性本部は、新入社員を対象に「働くことの意識」調査結果を発表した。その年の就職活動が順調さで敏感に変化する項目に「人並み以上に働きたいか」があり、就職活動が厳しいと「人並み以上」が増える。今回は「人並みで十分」が61.6%と過去最高を更新した。また、会社の選択理由の回答では「自分の能力、個性が活かせるから」が31.0%と最多だ。会社に依存する発想から、自らの能力や職種への適性に関心が変化している。会社は業務と本人の適性に目配りが必要だ。担当する業務の難度よりも本人の能力の方が高い場合は、実力以上の力を発揮しないと対応が難しい業務を任せることで本人の業務遂行力や課題解決力を強化し、本人の能力を伸ばす方法もあろう。会社は業務を任せる理由を説明し、従業員への期待や必要性を理解してもらう努力が欠かせない。(伊藤)
ヤクザマネーやテロ資金に懸念、コンプラ問われる仮想通貨取引所──国内事業者の4割に行政処分
今月6日、金融庁は国内の仮想通貨事業者6社に業務改善命令を下した。国内の登録事業者は16社であり、その4割が処分された異例の事態だ。その論調はきわめて厳しく、たとえば国内最大規模の取引所を構えるビットフライヤー社に対しては、内部統制どころか企業風土そのものにも疑義を呈し、抜本的な改善を求めている。特筆すべきは、「カネの流れ」に対する認識の甘さだろう。マネロンおよびテロ資金に対するリスク管理が不足とされたのは6社中5社、反社会勢力の排除が不徹底とされたのは3社に及ぶ。一部海外報道では「6社中1社に暴力団との取引が認められた」との憶測記事も認められており、あらためて仮想通貨事業者のコンプライアンスが問われた形だ。新興市場だからこそ、その発展の礎となるべく厳格な顧客管理を徹底することが肝要だろう。(山岡)