2018年12月25日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
大麻に関する誤解を正すことが急務だ~警視庁「大麻を知ろう」
嗜好用大麻の合法化の流れがとまらない。医療用大麻とは異なり「安全」ではないし、依存性の高さはアルコール依存症の10倍以上に上る。そもそも合法化に踏み切るのは最高使用率50%を超えているという経済合理性の観点からのものだ。専門家は、「大麻を使えば使うほど神経回路は削られていくのに対し、覚せい剤は側坐核にだけ効くという特徴がある。結局、大麻の方が脳の広範囲で効くという意味でより怖い」と指摘する。さらに、大麻を使うと、「人間として形成されたものが失われてしまい、まともな脳が作られなくなることを考えれば、若者は大人以上に深刻な問題が生じるため、大麻に手を出すことは絶対に止めるべきだ」と警告する。将来を担う若者への蔓延を防ぐために、大麻に関する誤解を解き正しい知識を社会的に浸透させることが求められている。(芳賀)
暴力力士の処分基準を決定、日本相撲協会
日本相撲協会が公表した暴力力士への処分基準は、番付に応じて内容が異なる。横綱が暴力を振るった場合は、最も重い「引退勧告以上の厳しい懲戒処分」、十両以上の関取の場合は、「出場停止1場所が一応の基準」とし、幕下以下の力士の場合は、「出場停止のほか、けん責、または懲戒に至らない注意処分」になるという。番付によって暴力に対する処分が異なる基準は、暴力根絶に対する姿勢そのものが問われかねない。再発防止策のひとつである「内部通報窓口」となる委員に一門の親方衆が就任したが、実効性に構造的な疑問が残る。通常の「ライン」で解決できないから通報するという本来の制度趣旨に反している。力士の異動が禁じられているからこそ、外部窓口にすべきだろう。協会のガバナンスは、外部に任せたり経営と現場を分離しなければ改善しない。(伊藤)
今年の総括は来年へ持ち越し―
今年の不祥事事案は企業や官公庁のみならず、大学やスポーツ競技団体にまで及び、このセクターだけは大丈夫などと言い切れない状況を呈した。これを日本社会あるいは日本人全体の劣化と見るか、ごく一部の人たちのことと楽観し、引き続き、日本(人)は世界に誇れると胸を張れるのかは、各人の立場やどこを重視、あるいは軽視しているかによって異なる。併せて、犯罪件数が報道される程でないものの、各種ハラスメントやクレームの増加が見られるのも事実である。一方、日産ゴーン氏やファーウェイCFOの逮捕などは全く様相が異なる。前者が日本ファーストで後者が米国ファーストの帰結であることは間違いないが、国益追求の新参と常連の違いがある。さらに上記の全ての事例が危機管理の立ち位置と発動のタイミングが異なっていることに留意が必要である。(石原)
南海トラフ地震情報の最新事情(2)
中央防災会議の新しい報告内容を検討する前に、これまでの災害に対する法律の変遷について触れたい。わが国の災害対策の全ての基本となる法律は、1961(昭和36)年に制定された「災害対策基本法」だ。同法は59(昭和34)年に発生した伊勢湾台風の教訓から作られた法で、現在でも全ての防災計画の根幹を成している。その後、地震についての研究が進むなかで78(昭和53)年に成立したのが「大規模地震対策特別措置法」だ。これは「東海地震については、前兆となる「前駆すべり」を観測することで発生を直前に予知することができる」という前提に立った法律だった。それを真っ向から否定したのが東大地震研究所地震予知研究センター長の平田直教授が主査を務めた昨年の「南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会」報告だ。(続く)(大越)