2019年04月01日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
暴力団対策法の限界を乗り越えよ~警察庁「平成30年における組織犯罪の情勢」~
暴力団構成員等が昨年末現在で30,500人と統計が残る昭和33年以降最少人数を更新した。一方、特殊詐欺の主犯(首謀者等)の検挙人員に占める暴力団構成員等の割合は45.3%、出し子・受け子・見張の指示役の検挙人員に占める割合は47.9%と、特殊詐欺の総検挙人員に占める割合と比較しても、暴力団構成員等が主犯又は指示役となる割合が高く、特殊詐欺が暴力団の有力な資金源の一つであることは明らかだ。特殊詐欺の抑止には、「事件の背後にいるとみられる暴力団、準暴力団等を弱体化することが不可欠」であり、「特殊詐欺そのものによる検挙のみならず、暴行・傷害、窃盗、薬物犯罪等、あらゆる法令を適用して検挙することが重要」との指摘はその通りだろう。だが、それはまた暴力団対策法の限界と組織犯罪対策における新たな枠組みの必要性を示すものでもある。(芳賀)
ゴールデンウィーク、長期休暇への備え
長期休暇の時期は、サイバー攻撃が増加する傾向がある一方、事故が発生しても気づきにくく、対処が遅れがちだ。改元という一大イベントに合わせて、詐欺や標的型メールが横行する可能性もある。連休明けも注意が必要で、業務を開始する前にセキュリティ対策ソフトなどを最新の状態へ更新し攻撃を受けた形跡がないか確認しなければならない。被害を防ぐためには、事前にソフトウェアの脆弱性の解消、セキュリティ対策ソフトの更新、バックアップのほか不要な端末の持ち出しがなされないようルールの確認や対策が実施されているかを早めに確認しておく必要がある。また、連休前に飲酒によって鞄や携帯電話、スマホ、記憶媒体ごと紛失してしまう事故も多く発生する。緊急時の対応体制・連絡手順等、社内での注意喚起もこの時期から準備を進めておきたい。(佐藤)
大麻摘発、過去最多に 若年層で拡大
警察庁は全国で昨年1年間に大麻事件で摘発したのは3578人で過去最多だったと発表した。昨年の3008人から18.9%の増加だ。10~30代が85.3%を占めるなど若年層の摘発が目立つ。年代別では、20代が1521人(前年比347人増)と最も多い。また、高校生が74人(前年53人)、中学生が7人(同2人)と前年から47.3%増加しており、児童に大麻使用が拡がっているという衝撃的な状況が窺える。大麻乱用者を対象にした調査では、初めて使用した経緯は「誘われて」が最も多い(63.7%)。その際に「大麻は覚せい剤と違って、依存症にならない、薬として使われているくらいだから体にもよい」といった誤った情報が後押しする。児童への教育は小学校から必要ではないか。誤った情報が若年層に蔓延する現状では、自社の社員に限っては大丈夫という楽観的な教育姿勢から改めるべきだ。(伊藤)
年次有給休暇の確実な取得義務化には、「適切な」対応を
年次有給休暇の確実な取得の義務化がいよいよスタートした。本日以降、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は、その内の5日を確実に取得させる義務を負う。条件を満たす労働者の内、一人でも5日取得していない人がいれば「違法」となり、罰則まであることから、多くの担当者の間では、いかにして「違法」を避けるかが、もっぱらの関心事となっている。人手不足で休みが取りづらい現実はそのままに、「誰がいつまでにあと何日」を管理する手間を惜しみ、休みを取りやすい環境づくりはそっちのけで、簡易に「違法を避ける手法」ばかりを模索している企業もあるようだ。法律で縛れば、休みが取れるか?罰則があれば、働き方改革につながるか?厳しい義務化が、かえって「望ましくない」手法を推進してしまわなければよいのだが。(吉原)
元号と災害
先週末、「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」が政府から発表された。本稿でも指摘しているように、最悪レベルの「半割れ」の場合、その後一週間はM8.0以上の地震が発生する可能性が高くなり、さらにもう一週間は「一部割れケース」程度の防災対応をとることを基本とするものだ。本ガイドラインでは、それに対する企業や組織がとるべき対応のチェックリストを公開。項目数はそれぞれ30個弱とシンプルな構成になっているので、担当者の方は参考にして欲しい。話は変わるが、昔は災害や凶事が発生すると「災異改元」といって改元を行った。江戸時代の文禄から慶長や元禄から宝永、嘉永から安政などが有名だ。平成は災害が多い時代だった。新しい元号では、少しでも長く穏やかな暮らしを願いたい。もちろん備えは必須だが。(大越)