30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

水際対策だけでは限界がある~外部からの攻撃への対応

中国発の新型コロナウィルスが猛威を振るっている。水際対策の重要性は言うまでもないが「37度程度の発熱では空港の検疫でひっかけることは難しい」(厚労省)のも事実だ。感染拡大は、「外部からの攻撃」という点で、サイバー攻撃や反社リスク等と共通項も多い。これら「外部からの攻撃」においては、攻撃する側が圧倒的に優位だ。したがって、攻撃を「避ける/予防する/水際で防ぐ」ことには限界があり、むしろ攻撃の端緒の迅速な把握や、認知後の迅速かつ適切な対応(事後対策)に努めることが重要となる。また、サイバー攻撃の被害に気付かずに情報を奪われ「発覚もしない」事例や、既に反社に侵入されている認識のないまま関係を継続してしまっている事例も少なくない。今回の感染拡大は、すでに水際対策と事後対策の両面に注力すべき段階にある。(芳賀)

東京オリンピックに関連した詐欺に注意

東京オリンピックのチケットを売りたい人と買いたい人をマッチングするサイトが確認されている。サイトの運営会社の所在もはっきりせず、東京オリンピック公式サイトに登録されているものではないことから、不正なサイトであり、入力した情報が詐取される可能性が非常に高い。その他にも、東京オリンピックの関連団体を連想させる名前の業者から、「月5万円ほど稼げる条件のよい仕事(副業)を斡旋します」という求人募集メールや、電話で「各地域割り当て」「関係者専用チケット」を誘い文句に、代金を騙し取るような手口もある。仕事の斡旋やチケットの当選通知は手紙や電話では一切行われないものであり、そういった勧誘は100%詐欺だと考えたほうがよい。これからの時期、イベントに便乗した詐欺が横行するため、注意と確認を怠らないようにしたい。(佐藤)

東芝子会社、循環取引拡大か 問われる企業風土

東芝の連結子会社である東芝ITサービスの架空取引を巡り、ネットワンシステムズと日鉄ソリューションズが関与していたことが判明した。商品のやり取りがないのに帳簿上で架空の売り上げを計上する「循環取引」があったとみられ、これら以外にも関与企業があるという。このような偽る不正は、企業に大きなダメージを与える。それは、企業が一体となって顧客や消費者をだます行為であり、ステークホルダーの企業に対する信用を毀損する行為だからだ。企業が社会の公器であり、ステークホルダーに支えられる存在であるという認識の欠如も一因だろう。15年の東芝不正会計問題から委員会の設置や取締役の8割を社外とするなど対策を進めたが、結果として不正を防げなかった。ガバナンスは器の問題ではなく企業風土の問題であることをトップから認識すべきだ。(伊藤)

新型コロナウィルス、既存のインフルエンザ対策を徹底せよ

中国、武漢で発生した新型コロナウィルス。企業が今、できる対策を考えてみたい。まずしなくてはいけないことは、既存の季節性インフルエンザ対策の徹底だ。もちろん抗ウィルス剤が存在しないため予防接種はできないが、それ以外については予防策として十分に通じる可能性が高い。従業員へ繰り返し注意喚起してほしい。(1)栄養と休養を十分に取り、抵抗力を高める(2)外出する際には、人混みを避ける(3)外出から帰った時は、アルコール性手指消毒剤で手洗いをする(4)熱がある、風邪をひいた社員は出社させない(5)不要不急の感染地近辺への出張は避ける等だ。感染者が発生した場合に備え、感染者の会社への報告ルールや風評被害を押さえるためのメディア対策も必要になるだろう。以下の情報を押さえつつ、企業の冷静な対応が求められる。(大越)

■政府、関連機関の情報

■企業が今すぐできるインフルエンザ対策(リスク対策.com)

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