2020年02月10日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
嗜好用大麻解禁を巡る誤解~今こそ正しい理解が必要だ
豪の首都特別地域(ACT)で嗜好用大麻の個人使用が解禁された。だが、大麻解禁の流れは嗜好用大麻が安全だからという理由ではない。認識しておくべきは、(1)医療用と娯楽用は違うこと、(2)大麻は依存性が高いこと、(3)若年層の使用は脳の健全な発達を阻害するもので絶対に阻止すべきこと、(4)合法化は大麻の安全性ではなく経済合理性の観点からのものであること(大麻の最高使用率50%を超えた地域では厳しく取り締まるコストや医療費等との比較考量で、解禁した方が経済合理性があるということ)だ。日本の大麻使用者率は50%をはるかに下回っており、合法化はいたずらに使用率を引き上げ、薬物依存症患者を増加させるだけであり、合理性は全くない。今日本がすべきことは、若年層への正確な知識の周知徹底、事業者による従業員教育等の取組みだと言えよう。(芳賀)
東京商工リサーチが「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査結果を公表
東京商工リサーチは1月23日、「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査の結果を発表した。2019年に上場企業とその子会社で、個人情報の漏えい事故を公表したのは66社86件で、個人情報の件数は903万1,734人分だとしている。企業や団体を中心に、脅威に対する認識の高まりとともに対策への意識は高まっているものの、事故の発生件数そのものは減少していないのが実情だ。事故の報道や他社の事故事例を見て、「よその会社で起こっていること」、「うちの会社ではありえない」などと対岸の火事として傍観しがちだ。だが、効果的な対策を検討するためには、被害の実態を知り自社でも起こり得るリスクとして認識しおくことが大事だ。自社における情報資産を守るという目的と実態の乖離の有無を確かめ現状を把握し、継続的な見直しと検証を重ねていく必要がある。(佐藤)
若手の離職理由、「対話のない職場」 根本的解決策は
就職人気に陰りの見える金融機関では、若手の離職も目立つという(ニッキン 1/31付 1面)。離職理由を探ると、「対話のない職場」で信頼関係が築けないというものが多かった。同紙では解決策として、中間管理職には、若手の良き相談相手・理解者としての働きを求めている。この場合、よくいわれるのが「褒める」や「話を聞く」だ。中間管理職からすると「またか」となるだろう。それらは、すでにやっているが効果がないと感じていることが少なくない。「褒める」や「話を聞く」は、その場を取り繕うだけで根本的解決策にはならない。仕事ができないことに自信を無くしていたり不安を抱いていたりすることに対する根本的解決策は、仕事への直接支援によって仕事をできるようにするしかない。もっとも、「褒める」や「話を聞く」すらしてなければ論外だ。(伊藤)
新型コロナウイルス ステージ3に備えよ
新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船が横浜港沖に停泊して以降、2月10日現在で70人にのぼる感染者が確認されている。ただし、このこと自体は想定の範囲内だ。インフルエンザがクルーズ船の中でまん延したケースはこれまでもいくつか存在している。問題は、いつ日本国内がステージ3(各都道府県で新型インフルエンザの患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態)に陥るかだ。WHO(世界保健機関)でシニアアドバイザーを務める進藤奈邦子氏は、NHKのインタビューで中国側の対応を評価しつつ、感染の封じ込めが成功するのは「この数週間がカギ」としている。企業の担当者は、これまで本稿で繰り返し伝えているように感染症対策の基本を徹底し、ステージ3に入った場合に備えたBCP(人員確保手段等)の具体的な検討を開始してほしい。(大越)