30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

コンプライアンスの実効性を確保するために、今、必要な視点

金融庁は、2年前、「過度に詳細かつ厳格な社内規程の蓄積、形式的な法令違反の有無の確認、表面的な再発防止策の策定等の形式的な対応が何重にも積み重なり、いわゆる「コンプラ疲れ」が生じている」と指摘した。また、最近公表されたRegTechに関する報告書でも「規制違反等による制裁金や罰金、和解金も巨額化しており、新たな経営リスクとして指摘されている」、「世界約800の金融機関を対象にした調査でも、コンプライアンスコストや業務の複雑さが増加し、収益性の観点で多くの金融機関が強い課題意識を持ちはじめた」ことを紹介している。規制の複雑化・高度化・変化への対応、コンプライアンスコストの抑制、RegTechの活用と「消費者目線」を高次元でバランスを取り、「コンプライアンス疲れ」が実効性を阻害する構図を解消できるかが問われている。(芳賀)

顧客の特性を知り対応手法を明確にせよ

カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)に関するセミナーで、私は、クレーマーと言われる人たちの思考回路やロジックを紹介し、それに対する対応策として、お客様側の自己責任を理由としたお断り対応を推奨している。彼らは、自分は正しいとして自己主張を繰り返し、自分たちの意に沿わないと、企業側に非があるとして、その責任を企業側に擦り付ける責任転嫁のロジックを用いる。先日、飛行機内でマスク着用を拒否した乗客が、座席の移動も拒み、キャビンアテンダントに対しても凄んだため、安全を脅かす行為として、緊急着陸して機長がその乗客に降機を命じる事案が発生した。航空会社の対応は、至極真っ当だ。カスハラや不当要求は社会的にも大きなロスをもたらす。巻き込まれる人々の迷惑を考えても、それを許し、同調し、跋扈させてはならない。(西尾)

ドコモ口座、現金の不正引出し被害

電子決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な預金引き出しの被害は、12銀行で73件、約1990万円に拡大していることが明らかになった。口座番号や暗証番号による比較的簡便な認証方法で銀行口座とドコモ口座を連携させていた地銀を中心に被害が集中している。本事案の特異性は、ドコモ口座を持っていない人が、勝手に口座を開設されて被害に遭うところだ。昨年から口座番号や暗証番号を盗み取る地銀などの偽サイトが見つかっており、ここから情報が事前に第三者に渡っている可能性もある。今後の対策として、二段階認証などを導入するとしているが、特に金銭の絡むシステムにおいて、本人確認など省略していいセキュリティ対策はないはずだ。ドコモと金融機関ともに、そもそもサービスの設計・開始時になぜ安全が考慮されなかったのかが問われている。(佐藤)

従来型人事施策からの脱却 企業の投資、設備から人材へ デジタルトランスフォーメーション(DX)

データや知識が利益の源泉となるDX時代を迎え、人材への投資にシフトする企業が出始めた。モノの時代は、投資対象も設備が中心だった。DXが本格化するなか、人材に投資しないと時代に取り残される懸念が背景にあろう。キャッチアップ型経済だった時代には、研修やOJTを通じて「自社にだけ通用する人材」を育てる人事施策だったが、今やイノベーションが求められる企業に必要なのは「どこでも通用するスキル」だ。イノベーションにつながるとされる組織のサーチ(知の探索)には、アスピレーションが重要である。いわゆる目線の高さだ。従業員の目線を高めるには、自分はやればできるという自己効力感をもたせ、それが恒常的なサーチを促すことになる。サーチによる期待業績のフィードバックがさらに自己効力感を高めるという補完関係の強化も重要になる。(伊藤)

カリフォルニア州の山火事を他山の石とせよ

8月半ばから始まったカリフォルニア州で発生している山火事が、未だに拡大の一途をだどっている。すでに東京都の5倍以上の面積を焼き払い、サンフランシスコやロスアンゼルスは灰と煙で「火星のよう」と評されている。数年前、カリフォルニア大学アーバイン校に調査に赴いたときの青い空を思い出すと、胸が痛む。問題は、地球温暖化の影響が直接関係しているか結論はでていないが、2018年からオーストラリア、ニュージーランドなどで大規模の森林火事が相次いていることだ。住宅の難燃化や防火装置が発展し「大規模な都市火災は発生しにくい」と言われた日本でさえ、16年に糸魚川市で大火が発生している。気候変動リスクは人々の暮らしの最も弱い部分を突いてくる。今回の山火事も遠くの国の出来事ではなく、他山の石として防災対策を見直していきたい。(大越)

PCR検査への疑義、益々深まる

「米国内外で行われている新型コロナPCR検査の感度を過剰に上げて実施し、PCR陽性者の9割がコロナに感染していない誤判定である」とNT紙にリークされた。リーク元は米政府上層部に近い権威ある匿名の新型コロナ専門家と言われる。感染者を陽性者判定するには増幅回数を30回未満にするが、米国PCR検査の多くは37-40回の増幅をしている。1回の増幅で2倍になり、25回増幅で3300万倍になる。増幅倍数を上げすぎると、ウイルス遺伝子の破片だけの存在でも陽性反応が出る。今年7月NY州検査施設で実施のPCR検査では794人が陽性、ただこれは40回増幅の結果。同じ対象者に35回増幅にすると陽性者数が半減、30回では陽性者数は3割に減少することが判明。米国だけでなく、日本政府も一度もPCR検査の増幅回数を明らかにしていない。我々は一体何を見せ続けられているのか。(石原)

▼US COVID-19 positivity rate high due to 'too sensitive' tests

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