2020年11月02日号
「大麻感染症」対策が急務だ~NZ国民投票結果を受けて
嗜好用大麻の是非を巡り世界で初めて実施されたNZの国民投票は、反対が53.1%と多数を占めた。報道によれば、同国では国民の多くが大麻を使用した経験があり、既に医療用大麻が解禁されるなど受容の素地があった一方で、健康への影響を懸念する声が高まっていたという。厚生労働省の調査(2017年)によれば、日本の15歳以上64歳以下の生涯経験率は、大麻1.4%、有機溶剤1.1%、覚醒剤0.5%、コカイン0.3%、危険ドラッグ0.2%であるのに対し、海外のそれは、大麻だけ見れば、米44.2%、カナダ41.5%、仏40.9%など桁違いに高い。若年層への「大麻感染症」が拡大している中、日本で合法化を議論することは徒らに好奇心を煽るだけだ。むしろ、若年層への蔓延、再犯率の高さの現実に向き合い、司法的対応から治療的対応へという世界的な流れをふまえた本質的な対策を急ぐべきだろう。(芳賀)
セキュリティ対策の一手段、訓練や演習で対応力を鍛える
サイバー攻撃の増加を受け、被害発生時の対処能力を磨く演習や訓練が活況をみせている。金融庁は毎年金融機関に対して訓練を実施しており、民間企業のサービスも1人50万円以上の料金でも定員が埋まるとしている。演習は一言でいうと、サイバー攻撃に対する「防災訓練」だ。演習で抽出された課題を踏まえて定期的な開催や、シナリオや参加者を変更して繰り返し行うことで、インシデントの対応力を磨き続けることが大切だ。そうすることで、事故が発生した場合でも、場当たり的な対応ではなく、適切な対応が実施できるようになることが期待できる。セキュリティ対策というと、システムやプロダクトばかりに目が行きがちになるが、演習や訓練を通して、ルールや対応のプロセス、体制といったところにも盲点がないかどうかを確認する意味でも重要だ。(佐藤)
経営の損失とリスク選好 未来を切り開くティール組織の可能性
赤字とリストラの報道が目を引く。環境変化のスピードが速く経営の不確実性が増している状況では、既存の知の基盤の活用では対応できない。むしろ、組織の知からの逸脱が必要だ。ビジネスでは失敗から撤退できず、さらに損失を負うことがある。エスカレーション・コミットメントである。このバイアスは、損失を重ねるほど、結果としてリスクの高い投資を行う傾向がある。変革に必要な新しいアイデアはゆるいつながりの組織、ティール組織のほうが創出しやすい。メンバーは自律分散型に動き、リーダーはいない。いたとしてもサーバントリーダーだ。これからはティール型組織が台頭する可能性がある。AIによる「無人化」を推進する一方で、人は創造的な仕事に専念するのもその一つの形だ。自律分散型のゆるいネットワークと知の組み合わせが原動力になる。(伊藤)
トルコ・ギリシャ沖地震を他山の石に
10月30日、トルコとギリシャのエーゲ海を震源とするマグニチュード7の地震が発生。大きな津波も発生し、両国の当局によると2日朝までにトルコ側で69人が死亡、949人が負傷。ギリシャ側では2人が死亡、19人の負傷が確認されている。まずは心から哀悼の意を表するとともに、一人でも多くの人命救出を祈りたい。人命救助では最初の72時間が黄金時間とされ、それ以降では格段に救助の確率が下がることが知られている。一刻も早い救助活動が急務だ。実は、トルコ周辺はユーラシアプレート、アラビアプレート、アフリカプレート、そしてアナトリアプレートの4つのプレートがせめぎあう地震の多発地帯であり、その状況は日本と酷似している。今回の地震や津波も遠くの国の出来事ではなく、他山の石としてとらえたい。(大越)
煽られ、創られる対立と分断
仏の中学教師がイスラム教を冒涜したとして襲撃・斬首された事件に対し、マクロン大統領は同教師を言論の自由を守ったとして、国葬の上国民栄誉賞を与えた。故意に宗教対立を煽っているかのようだ。「(風刺)漫画を諦めることはない」とも語っている。当然イスラム系移民の怒りを買い、報復合戦の様相を見せ、5年前のシャルリー・エブド事件を彷彿とさせる。どうにも米国のBLM運動と同じ胡散臭さが漂う。シャルリー事件では、容疑者の特定が素早すぎるとか、各種の状況証拠に不自然さがあることなどが指摘されてきた。同大統領は、このタイミングで新型コロナの感染拡大を防止するために再度のロックダウンを発表、同時に「テロの脅威」を頻りに宣伝している。民族と宗教の分断を煽ることで、自分たちへの批判をかわそうとする意図が見え隠れしている。(石原)
ワクチンの強制接種は憲法違反だ
都民ファーストは「自粛要請に従わず他人に感染させたら5万円以下の過料」との条例案を都議会に提出した。誰しも罹る可能性のある新型コロナ感染の実態はPCR検査による陽性反応者でしかなく犯罪者ではない。一方、政府は新型コロナワクチンの接種費用を全額国が負担する予防接種法改正案を閣議決定。臨時接種の場合には強制ではなく努力義務にはなったが、同改定はRNAワクチン接種強制化の端緒になり得る。ワクチン供給で基本合意しているファイザー・アストラゼネカ、協議中のモデルナのワクチンで健康被害が出たら損害賠償を国が肩代わりする(つまり国民の税金)。本当にフェーズ3まで進んでいるのか。特にモデルナ社が開発中のワクチンは、人体にマイクロチップを埋め込み、最終的にはAI管理システムに道を開くと言われる。何か不穏であり不気味だ。(石原)