2020年12月07日号
今こそ正しい知識を拡散させよう~令和2年版犯罪白書と大麻合法化の奔流
国連麻薬委員会が医療や研究目的の大麻を国際条約で定められている最も危険な薬物分類から削除する勧告を承認、米下院はマリフアナ(乾燥大麻)を連邦法で合法化する法案を史上初めて可決した(上院で否決の見通し)。残念ながらこうした動きは「大麻合法化」の流れを国際的にもたらし、日本の社会にも誤ったメッセージが流布してしまうことが深く憂慮される。一方、犯罪白書は大麻の有害性や依存性の高さを指摘し、「更なる犯罪につながる可能性」に警鐘を鳴らした。今こそ、政府、マスコミ、専門家、インフルエンサーなどが「正しい知識」を拡散すべきだ。「若年層が薬物の影響を誤解して使用を開始している可能性が考えられ、薬物の害悪や薬物使用の弊害について正確な情報を提供するため、広報啓発活動の充実強化が必要な状況」(犯罪白書)なのだ。(芳賀)
2020年、パスワード最弱ランキング
NordPassが公開した2020年の最弱パスワードリストによると、「123456」や「qwerty」など、毎年と同様簡単に推測できるパスワードの利用が常連となっている。日々発生しているネットサービスへの不正アクセス事件などで危険性を指摘されていながらも、安易なパスワードを使い続けたり、使い回す人たちはあまりにも多い。企業にある特定の情報を狙う標的型攻撃はもちろん、不特定多数の利用者を狙う方法も多種多様で巧妙になっているということもあるが、古くからある単純な攻撃が未だに多く利用されている。脆弱なパスワードが多く存在し続けているため、ハッカーからすれば、わざわざレベルの高い手口を使わなくてもいいわけだ。利用者側の意識や心がけとしても、大切な「鍵」が無くなったり複製されてしまったときにどうなるかという怖さをあらためて認識しておきたい。(佐藤)
フランチャイジング発展の姿勢が問われる コンビニ本部が公正取引委員会(公取委)への改善報告要旨発表
各社は加盟店への説明などが「不十分だった」「真摯に受け止める」と対応の不備を認め、改善策を示した。公取委は24時間営業や強制仕入れなど優越的地位にある本部の加盟店への姿勢を問題視していた。これまで本部は、加盟店との契約関係において「対等」という「建前」を強調してきたが、実態は異なることを認めた格好だ。既に創業リスクを回避する機能への期待は薄れた成熟期では、フランチャイジングの発展の前提は、継続的な製品・サービス開発力とそれを機能させる組織的「指導力」に依存する。発展は「指導力」の向上を伴わなくてはならず、「指導力」を超えた成長は過大拡張の罠に落ちる危険をもつ。フランチャイザーとフランチャイジーの発展は基本的に相互依存である。フランチャイジングの発展はジーに支えられていることを忘れてはならない。(伊藤)
「基礎疾患」って何だろう?
政府は今年10月15日、新型コロナで入院を求める患者として65歳以上、基礎疾患保有者、重度・中等症の患者、妊婦などに限定すると発表した。12月1日にはGo Toキャンペーンにおいても、65歳以上と基礎疾患保有者について自粛を求めた。ところで「基礎疾患とはいったい何だろう」と、先日医療従事者がSNSで疑問を投げかけていた。新型コロナ関連の通達を読むと「慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管、疾患等を有する者」とある。ところが2009年の厚生労働省資料によると、上記に加え「慢性呼吸器疾患、慢性肝疾患 (慢性肝炎を除く)、神経疾患・神経筋疾患、血液疾患、疾患や治療に伴う免疫抑制状態、小児科領域の慢性疾患」と、その種類は増える。「基礎疾患」の中身が文脈によって変化するのであれば、政府はしっかりとした説明が必要だ。(大越)
▼「令和2年度新型コロナウイルス感染症の流行下における一定の高齢者等への検査助成事業(令和2年度予備費分)の実施について」(令和2年9月15日)
企業と過料
「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例」につき、検査を正当な理由なく拒否した場合、過料罰を課すとする条例改正案提案は見送られた。しかし、報道によると、福岡県では、過料罰を設けて、調査への協力を義務づける条例案を提案する予定のようである。この「過料」、国と地方で納付先も変わる。企業内においては、裁判所から過料納付を命じられることがある。その1つが、会社法違反事件で、役員選任等の登記すべき事項が発生したのに、2週間以内に登記しない「登記懈怠」、役員を選任すべき時期を過ぎても新役員を選任せず、役員不在となる状態におく「選任懈怠」等だ。これらは代表取締役に課せられる。当該過料は、刑事罰ではないものの、対応する検察庁で納付しなければいけない。もしこれを納付しないと、検察だけに強制執行への動きも早い。(中西)