2021年06月07日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
今こそ「ウェルビーイング(Well-being)」について考えたい
もともとWHO設立時に提唱された概念だが、教育再生会議の最新の提言は「社会的課題を解決するためには、一人一人の多様な幸せであるとともに社会全体の幸せでもあるウェルビーイングの理念の実現を目指すことが重要」、「この幸せとは、経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや健康も含まれ、このような幸せが実現される社会は、多様性と包摂性のある持続可能な社会でもあり」、「一人一人が自分の身近なことから他者のことや社会の様々な問題に至るまで関心を寄せ、社会を構成する当事者として、自ら主体的に考え、責任ある行動をとることができるようになることが大切」と説く。コロナ禍は、誹謗中傷やカスハラなど「他者への攻撃」という形で社会経済構造の限界を現出させた。「グレートリセット」(ダボス会議2021)の核心的概念として注目したい。(芳賀)
小売業こそ女性登用を
コロナ禍により、なんとか雇用を維持して経済回復まで耐える企業が多いなか、持ちこたえきれずに希望退職者の募集を実施した企業もある。総務省の労働力調査では、非正規雇用者の減少が鮮明で、うち女性が7割を占めた。特に小売業は非正規だけでなく正社員も女性が能力を発揮しやすい業種だ。したがって、いの一番に環境整備に取り組み、働きやすくすることが企業の発展にもつながる。しかしながら、経営者のなかには女性はコストが安い非正規の労働力と考える人が少なくない。一方、顧客の女性比率が過半を超える企業も多く、その視点を活用することが革新につながる。企業風土の刷新や経営者、管理職、男性従業員、女性従業員、すべての層の意識改革も必要だろう。仕事と家事や育児との両立を望む「女性の意思」に沿った提示ができるかがポイントだ。(伊藤)
"恐怖の煽り"から・・・
本コラムでは、これまで度々PCR検査の信憑性に対して疑義を呈してきた。PCRは特定の遺伝子型を増幅する。その増幅サイクル(Ct)を増やせば微量の遺伝子(含.SARS-CoV-2以外やその死骸)にも反応し陽性になってしまう。専門家の間では、Ct値の適切な数値は25から30、多くても35までと指摘されてきた。国立感染症研究所が出した資料※1 では、その値は40となっている。つまり、必要以上に感染者数(実態は陽性者数)を増加させていたわけだ。昨年12月14日、WHOはCt値を高くし過ぎないようにと通告、日本でも厚労省が新型コロナウイルス感染症対策推進本部資料※2 でCt値を30~35にするよう推奨。しかし、その後の実態は全く不透明。日々の各自治体の検査母集団数にもかなりの開きがあることも含め、"感染者数の下げ止まり"の本当の意味を冷静に考察する必要がある。(石原)
・・・"安全神話"への刻印へ
以前にも紹介した米国CDC(疾病予防管理センター)とFDA(食品医薬品局)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への最新5月28日までの報告では、「COVID-19ワクチン」を接種して間もなく死亡した人数は1週間前より759名増え、5,165名になった。VAERSは元々自主申告制度であるため、実態はその10倍とも100倍とも言われる。一方欧州のワクチン有害事象報告(EMEA副作用電子報告データ)システムでは、直近で有害事象事例365,000件、死亡事例7000件以上が報告された。副反応(短期・中期・長期)の詳細情報も含め、これらは何故か報道されない。また各社のワクチンは二重盲検試験を経ていない第3相臨床試験の途中であり、FDAの正式承認はまだだ。新型コロナに関してはワクチンも含め、リスクとメリットの過不足ないリスクコミュニケーションが成り立っていない。(石原)
人災で人の命が失われぬように
予兆は2年前から始まっていた。1989年11月、長崎県の橘湾で群発地震が発生。同17日には雲仙普賢岳の地獄跡火口と、そこから200mほど離れた九十九島火口の2カ所から噴煙が上がり、198年ぶりに噴火活動を開始した。その後小規模な噴火を経て91年5月20日、地獄跡火口に溶岩ドームが発生。次第に成長する溶岩ドームと大噴火の決定的瞬間を押さえようと、報道機関の取材も過熱の一途を辿った。この報道合戦がその後の被害を甚大なものにする。6月3日午後4時8分、最大規模の火砕流が発生。内部温度300℃以上といわれる火砕流が時速100kmを超えるスピードで水無川流域を襲い、現地にいた報道関係者や地震学者、見回りをしていた消防隊員など43人の命を奪った。今年はあれから30年にあたる。災害ではなく人災で人の命が失われないよう、防災関係者は特に注意したい。(大越)
ドラマに見る、心のアフターアクションレビュー
NHKの連続テレビ小説では、戦争が主人公の転機として描かれることが多い。現代を舞台にした作品では、3.11の震災が主人公の転機となるようだ。その時主人公は、どうする予定がどう変わり、何を感じながら、どう対処していったのか。そしてそれがその後の人生にどう影響していったのか。これらがドラマとして描かれるわけだが、まるで心のアフターアクションレビューを見ているかのようだ。クライシスに直面したとき、人の心は大きく揺さぶられる。それをどう乗り越え、どう活かしていくか、ドラマはそんなことを教えてくれるのかもしれない。今のコロナ禍も、数年後にはドラマで描かれるのだろうか。今まさに、私たちは転機にいるのかもしれない。たまには自分の心をふり返り、変化や成長を感じることが、「心の危機管理」に役立つのではないだろうか。(吉原)