30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

本当に排除すべきものを見誤らないことが大事だ

愛知県警は今年4月、組織犯罪対策課内に、元組員の就労支援に専従で取り組む「社会復帰対策係」を新設した。元組員を受け入れる意思を示した企業が9月末時点で8業種27社に上ったほか、4月以降、3人の就職も決定するなど成果が出始めているという。受け入れた企業の代表の「警察の仲介なので身元もはっきりしていて、安心できる。組に戻らせないためにも、社会に居場所を作ることが大切だ」との言葉が印象的だ。一方、イスラム主義は本来、非暴力のローカルな世直し運動であって、過激派の登場は、イスラム主義が世界を不安定にする「原因」だからではなく、世界が彼らを生み出す構造を持っていた「結果」だとの指摘もある。社会不安を増大させる犯罪組織やテロ組織を生み出す社会構造の変革も、構成員の更生も、「社会的包摂」の本気度が鍵を握る。(芳賀)

顔認証データの活用 EU一般データ保護規制(GDPR)はプライバシー保護厳格化の動き

JR東日本が7月から顔認証による防犯システムを導入していたが、詳しい内容を説明しておらず批判を浴びた。「過去にJR東日本施設内で重大な罪を犯して服役した人(出所者ならびに仮出所者を含む)」、「指名手配中の容疑者」、「うろつくなど不審な行動を取った人」を検知対象にしていたが、それらを公表していなかった。批判を受け「社会的なコンセンサスが得られていない」として出所者や仮出所者を検知対象から除外した。それでも駅構内を通行する「全ての人」の顔が照合される。EUが4月に発表したAIを巡る規制案では、警察などによる顔認証データの取得を禁じている。そもそもGDPRでは、クッキー情報などのデータも個人情報とみなしている。顔認証システムは高度な分析と瞬時の判断において有用だ。一方で、プライバシーの保護への配慮が課題である。(伊藤)

エレベータ閉じ込め対策を急げ

10月7日、千葉県北西部を震源とするM5.9の地震が発生。都内でも東日本大震災以来10年ぶりに震度5強を観測した。NHKによると首都圏で7万5738基のエレベータが停止し、28件の閉じ込め事案が発生した。復旧まで数日かかったエレベータもあったという。日本エレベータ協会の発表数字によると、東京都内のエレベータの数は約16万6千基。首都圏では約30万1千基で、およそ25%が停止したことになる。地震が発生したのは午後10時ころなのでオフィスビルなどのエレベータの使用は少なかったと考えられるため、平日の昼間であったら被害が拡大した可能性は高い。朝8時ころに発生した2018年の大阪北部地震では5万基超のエレベータが停止し、339件の閉じ込め事故が発生した。来るべき首都直下地震、緊急キャビネットを配置するなどのエレベータ閉じ込め対策が急務だ。(大越)

「今日の仕事は、楽しみですか。」炎上に思う、仕事への向き合い方の自由

「今日の仕事は、楽しみですか。」という広告、改めて自分はどうかと考えた。日曜日の朝から明日が憂鬱な私が、仕事が楽しみとは到底思えない。しかし仕事が辛くて仕方ないかと言われれば、そんな時もあるが、そうでない時も多い。自分の場合は、どうにか「楽しい」要素を探しているのだと思う。楽しさで辛さを軽減しようという発想だ。以前それを伝えたくて「仕事を楽しもう!」と学生さんに言っていたところ、「私は真面目に責任感をもって働きたいのに、楽しもうとは不謹慎だ」とたしなめられ、非常に納得した覚えがある。仕事をどう感じるか、どう向き合うかは人それぞれ。楽しむのも自由、責任を糧に頑張るのも自由だ。誰かの「こうあるべき」を押し付けられることなく、誰もが自分らしい「普通」で働けたら、世の中は少し優しくなるように思う。(吉原)

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