30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

ビジネスと人権~企業はもっと真剣にこの問題に向き合うべきだ

電子情報技術産業協会(JEITA)や人権問題に詳しい弁護士らでつくる「ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHRL)」が5月にも一般社団法人「ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」を設立、8月に専用ウェブサイトを開設し、会員企業やそのサプライチェーン上で起きている児童労働や強制労働、劣悪な就業環境などの情報を当事者や人権団体から受け付けるという。国連「ビジネスと人権の指導原則」では、幅広いステークホルダーに開かれた苦情処理メカニズムの構築を求めているが、ハラスメントや誹謗中傷、いじめの問題などと同様、日本では被害者救済の取組みが後手に回りがちだ。言うまでもなく、これらの行為は重大な「人権侵害」だ。「相手の人権を尊重する」…それだけでこれらの行為の多くは起こらないし、もっと被害者に寄り添うこともできるはずだ。(芳賀)

▼供給網の人権侵害救済 企業と法律家が連携組織(2022年4月23日付日本経済新聞)

富士山噴火に備えたBCP

2021年3月、山梨、静岡、神奈川県などの自治体や火山学者らで構成される富士山火山防災対策協議会は、富士山ハザードマップを改定した。これまでのハザードマップは2000年10月から翌年5月にかけて富士山直下で低周波地震が多発したことを受け、2004年に初版が策定されたもので、今回の改定は17年ぶりのものとなった。改定の大きなポイントは、2004年の初版以降の調査で新たな火口などが発見され、それにより溶岩流や火砕流などの被害エリアが大きく拡大したことだ。想定火口範囲や火砕流・火災サージ、噴石や溶岩流などによる被害の3時間以内の到達範囲内人口推計では、これまでの1万6274人から約7倍の11万6093人にまで拡大した。溶岩流は相模湾にまで流れ込む。富士山噴火BCPを策定するにあたり、企業はどのような点に配慮するべきなのか今後考察していきたい。(大越)

▼富士山ハザードマップ(令和3年3月改定)(静岡県HP)

危機管理はもっとキラキラできないものか?

売上を上げる策、経費削減の効果が明確な策には予算が付きやすい。キラキラした最新の人事制度や職場風土改革、個のスキルを磨く策等も、組織活性化や企業イメージ向上につながり、予算が付くようだ。しかし危機管理は…本当に起きるかわからず、起きてみなければ効果もわからず、予算を削られがち。特に人に関連する危機管理は、問題社員を制圧(?)する、不祥事を起こさせない等ネガティブなイメージが強く、その対策もルールで締め付ける、厳しく監視する等、キラキラした組織活性化策と逆の対策を思い浮かべる人も多いだろう。それは大きな誤解だ。人に関連する危機管理は、悪いことが起きぬよう、「自然により良いことに向かう」策を考えるもの。ネガティブな面から目は背けないが、目指す先はキラキラした施策と同じだ。危機管理はもっと輝ける。(吉原)

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