2022年06月06日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
暴力団排除はまだできることがある~官民挙げて知恵を絞っていきたい
暴力団トップの使用者責任を問う訴訟に必要な場合には、裁判に提出されなかった記録や不起訴になった事件記録の開示基準を緩和することなどを日弁連が提言した。また、暴力団事務所の撤去などに取り組む尼崎市は、違法な性風俗営業が行われてきた同市の歓楽街「かんなみ新地」について、一帯の土地と建物を買い取り、更地にして売却するという極めて大胆な方針を打ち出した。さらに、無許可でキャバクラ店を経営して収益を隠したなどとして、風営法違反と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益仮装)に問われた道仁会系組長に対し、福岡地裁は、「(売上金は)少なくとも間接的には暴力団の資金源となっていたと認められる。経費分も含めて没収、追徴の対象とする必要性は高い」とする画期的な判決を出した。暴力団排除の取組みの高度化を官民挙げて進めたい。(芳賀)
中小企業の約2割「BCP策定したいができない」
東京商工リサーチが今年4月18日に公表した調査によると、大企業におけるBCP策定率は60.5%なのに対し、中小企業の同策定率は24.5%にとどまることが分かった。また、中小企業の約3割は「今後も策定する予定はない」と回答しているという。また、「BCP策定済み」と回答した企業のうち、想定するインシデントの約9割は自然災害(自社被災)。次いで、感染症対策が56.7%と2位に入った。ただし、コロナ禍に入ってから策定したBCPも多いことから、10年後に同様の感染症がまん延したときに機能するよう、特に初動対応については今後十分に検証することが望まれる。同調査では「BCP策定指導」や「補助金支給」などサポートを求める声も寄せられた。大企業の9.4%、中小企業の16.7%は「策定したいができない」と回答している。専門家らによる取り組み支援強化も急務だ。(大越)
売上が欲しければ、「やる気を失わせるリスク」に注意せよ
「まだ5件しか売れていないのか!」上司が部下にこんな言葉を掛ける意図は何だろう。部下に「サボってはいられない」と、気を引き締めさせようということか。嫌味を言って、悔しさをバネに奮起させようとしているのか。元々サボっていた部下なら有効かもしれないが、自分なりにモチベーションを高め、成果を上げようと頑張っていた部下にとっては、努力を認めず、適格なアドバイスもない上司の言葉は無意味で、むしろ逆効果でしかないだろう。「今売れているのは5件なんだね。」同じ状態を表す声掛けだが、印象は大きく異なる。「5件は売れていること」を認め、「今」は5件だが、これからへの期待を示す。部下は「この5件が売れた理由」に目を向け、売るための手法を生み出せるかもしれない。まずは部下をよく観察し、話を聴く。指導はそれからだ。(吉原)
全従業員への教育・訓練と夜間の発災の想定を
5月31日に三幸製菓株式会社の工場火災に関する調査報告と再発防止策が公開された。今回の事故でお亡くなりになられた皆様へは心よりお悔やみ申し上げる。詳細な原因等は現在も調査中だが同社は今回の事故の避難に関する原因の一つに「全従業員を対象とした煙・停電の影響を踏まえた避難訓練または、その他防災教育の不徹底」を挙げ、再発防止策の一つに「夜間も含めた避難訓練の実施」を挙げた。夜間に火災、そして停電も発生している状況下での避難は非常に困難だ。これは夜間の地震・停電についても同様だ。従業員の勤務時間帯や雇用形態が様々である職場においては教育や訓練が行き届かないケースも少なくない。今回の事故を契機に、防災教育や訓練が全従業員に行き届いているか、自社の計画は夜間の発災も想定できているか今一度見直す必要がある。(小田)