30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

サイバー攻撃だけでない北朝鮮リスクを認識せよ

北朝鮮の弾道ミサイル発射が相次ぐ。その費用は半年で870億円、GDPの2%にも及ぶ。ワクチン調達に換算すると2000万~3250万回分で北朝鮮の住民全員に1回の接種が可能で、お米に換算すれば51万~84万トンと年間の食糧不足分の59~98%を補える量になる。資金獲得の背景に、北朝鮮のIT技術者が身分を隠して外国企業とフリーランス契約を結び、核・ミサイル開発の資金調達やサイバー攻撃に加担している実態があると米政府は指摘する。日本でも、北朝鮮からのミサイル飛来に備える国民保護法に関連する防災アプリ開発に関与していたことが判明した。ビデオ通話への参加を拒否する、暗号資産での給与支払いを要求するなどの行為があれば疑うべきだという。安易な業務委託が北朝鮮の犯罪を助長し、自らも制裁違反で法的な課題に直面する可能性を認識しておきたい。(芳賀)

防災商品は高知に学べ!

高知テレビは11日、「メイドイン高知」の防災関連認定商品の売上が10年間で6000万円から102億円に成長したと報道した。これには少し解説がいる。同県はこれまで何度も南海トラフ地震の影響で大規模な被害を受けており、国内で最大の津波想定は同県黒潮町の34.4m。高知市内では震災後の町づくりを今から考える「事前復興計画」を策定している地区もある。要するに南海トラフ地震で国内において最も被害を受けやすい県の1つなのだ。県ではこの事態を踏まえ防災計画に力を入れるとともに、自分たちだからできる産業として、2012年から防災関連商品を認定する制度を開始した。筆者も取材したことがあるが、国内最小の不織布毛布から独自技術の護岸工事までその範囲は広い。防災備蓄や技術で悩まれている担当者は、ぜひ一度「高知産」の防災商品を調べてみて欲しい。(大越)

公益通報ではなくても、相談対応や職場改善の義務はある!

公益通報者保護法の改正に合わせ、関連の研修が盛んだ。特に内部公益通報を扱う「従事者」は、刑事罰の対象となる可能性もあり、研修への関心も高い。しかし「公益通報を扱うから」「その従事者だから」研修が必要なのか?パワハラに関する通報は、背後に不正が隠れているケースもあり、慎重に扱う必要はあるが、「公益通報に該当するか」は微妙となりがちだ。しかし公益通報ではなくても、労働施策総合推進法によって適切に対応する義務が事業主に課されている。指針にてプライバシー保護のために必要な措置も求められており、刑事罰はなくても、誰が何を言ったかをペラペラ話してはいけない点は同じだ。さらにパワハラとはいえなくても再発防止を求められる。担当者が誰であれ、会社には相談や通報に適切に対応し、職場改善につなげる義務があるのだ。(吉原)

Back to Top