30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

ノブレス・オブリージュ~特権ある者はそれにふさわしいふるまいを

宗教法人は税制上の優遇措置の対象だ。だが、その設立時には、法令に違反していないか、公共の福祉を害する行為(詐欺的、脅迫的な手段による布教など)を行っていないかを行政がチェックするものの、いったん宗教法人と認めてしまえば、そこはもう問わない法制度になっている。反社リスク対策でいえば、「入口」のチェックは行いながら「中管管理」を一切行わず、反社会的勢力に乗っ取られても法人として問題ないと認めるようなものだ。団体に「特権」を与えておきながら、その適合性あるいは反社会性を継続的に監視しないのは明らかに整合が取れない。(個人の内心の自由とは別に)不適格な団体から法人格を奪うことは検討されてよいはずだ。すでに社会は「関係を持つべきない相手」としてNGを突き付けた。特権ある者には厳しい目線が注がれるべきだ。(芳賀)

ハリケーン『イアン』と情報の空白

共同通信が30日、「バイデン米大統領は9月30日の演説で、ハリケーン「イアン」が直撃した南部フロリダ州の被害は『史上最悪規模の恐れがある』と述べ、被災者支援のためにあらゆる手を尽くすよう、関係機関に指示したと明らかにした」と報道した。心配なのは、まだ現地の状況が詳しく判明していないところだ。10月2日時点で、同ハリケーンによる犠牲者は70人と報道されているが、今後確実に増えていくだろう。阪神・淡路大震災や東日本大震災では、通信手段や交通機関が途絶し、ドーナツのように被災地中心部の情報が空白になった。2つの災害とも、余りにも被害が甚大なため、全容をつかむには多くの日数を要している。2005年に米国ニューオーリンズを襲ったハリケーン「カトリーナ」では、1800人以上の犠牲者が出た。まずは現地の円滑な救出活動を願う。 (大越)

「言っていることはもっともだが言い方がキツイ人」が生まれる理由

「言わぬが花」「沈黙は金」等、黙っていることを美徳とする言葉がある。黙っていた方が相手に効果的に伝わるならばそれでいい。だが常に何らかの結果を求められる仕事の場面で、言わずに伝わったことがあるだろうか。求められる結果を歪めないためには、やはり誰かが指摘しなければならないときもある。何も言わなければ「そのままでOK」と歪んだ結果を承認しているのと同じだ。誰かが一生懸命丁寧に心を込めて伝えても、他の誰もが沈黙という承認を与え続ければ、その指摘は少数派の戯言と受け流される。いくら言っても無視されるため、さらに言葉数が増え、同じことを執拗に繰り返す。それでも伝わらないから直截的な表現が増えてくる。「言っていることはもっともだが言い方がキツイ人」は「言わぬが花」によって生み出されているのではなかろうか。(吉原)

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