30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

FATFがミャンマーを「ブラックリスト」に指定~一握りの者による悪行が国民全体を追い込む

FATFは、国軍がクーデターで権力を掌握したミャンマーの資金洗浄対策が不十分だとして、各国に対抗措置を求める「ブラックリスト」に同国を載せたと発表した。ブラックリストへの掲載は北朝鮮とイランに続き3カ国目だ。これにより、外国の金融機関はミャンマー側との金融取引に厳格な審査が求められることから、リスクの高いミャンマーを避け、外資が引き揚げられ、外貨が不足し、中長期的に経済混乱にさらに拍車がかかることになる。同国では、中国の規制強化から逃れるために、主に中国マフィアが、薬物や武器の取引、木材の違法伐採、鉱物の違法採取などで手にした不正な金をカジノで賭ける資金洗浄の手口が拡がっており、ロンダリングされたお金は新たなカジノ建設などオープンな経済活動に再投資されているという。結局、苦しむのはいつも国民だ。(芳賀)

▼FATF Jurisdiction subject to a FATF call on its members and other jurisdictions to apply enhanced due diligence measures proportionate to the risks arising from the jurisdiction

帰宅困難者対策をより柔軟に

政府の首都直下地震帰宅対策等検討委員会(座長:東京大学大学院教授/廣井悠氏)は今年8月26日、「帰宅困難者等対策に関する今後の対応方針」を公表した。原則としてはこれまでの「発災から3日間はむやみに移動を開始しない」とする一斉帰宅抑制の基本方針は維持しつつ、昨今のICT技術の向上や公共交通機関の復旧状況を鑑み、新しい対応を検討する方針だ。検討の対象となるのは2015年に内閣府防災から出された「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」。近く改正される可能性があるものではあるが「一斉帰宅抑制の基本方針」や平時と発災時の「企業の対応」、「備蓄の目安」など現在の企業のBCPにおける帰宅困難者対策の基礎資料となるものなので、まだ目を通していないBCP担当者がいたら新しい対応方針と合わせてぜひご一読いただきたい。(大越)

▼帰宅困難者等対策に関する今後の対応方針(2022年8月)

▼大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン(2015年3月)

人権を踏みにじる行為が軽率に行われることの異常性に気付いてほしい

元女性自衛官による性被害の実名告発。やっと直接謝罪を受け、一区切りにはなっただろう。しかしこれで解決したわけではない。被害を受けたという事実も、記憶も消えない。メディアに顔や名前を出した記録も消えない。加害者がしたことは人権の侵害であり、「不快な思い」をさせた程度のことではない。人として当然に持っている権利を、なぜ他人の「軽率な行為」ごときで奪われなければならないのか。相手を同じ人として扱わないこと、人としての権利を平気で奪うことが軽率に行われ、見過ごされ、隠蔽されることの異常性を認識してほしい。被害の事実が消えないように、加害の事実も消えない。自分が何をしてしまったのか、被害者と同じだけ苦しんだならば、二度と同じようなことが起きないよう、周囲に働きかける人になって欲しい。そう願うばかりだ。

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