2022年11月14日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
特殊詐欺被害のデータは事実の一面を表しているに過ぎない
2022年9月末における特殊詐欺全体の認知件数は12,158件(前年同期10,757件、前年同期比+13.0%)、被害総額は246.6憶円(205.2憶円、+20.2%)と極めて憂慮すべき状況にある。特殊詐欺の被害者は高齢者や女性に大きく偏る傾向にあるが、消費者庁が公表した「特殊詐欺等の消費者被害における心理・行動特性に関する研究」は、それが一面的であることを明らかにした。例えば、統計上は「男性も女性と同等数の被害を受けている可能性がある」、「年齢が若いほど、消費者被害の経験がある傾向がみられた」、「詐欺脆弱性は男性や高学歴の方が高い」、「消費者被害経験者は楽観性バイアスが高い可能性が考えられるが、楽観性バイアスと消費者被害のあいやすさとの関連性については明らかになっていない」などだ。泣き寝入りしている相当数の存在に焦点を当てた対策が急務だ。(芳賀)
「積極的サイバー防御」の行方
一部報道によると、政府はサイバー攻撃に対する防御を指揮するための新しい組織を内閣官房内に新設する方針を固めた。現在の内閣サイバーセキュリティ―センター(NISC)の機能を吸収し、民間のハッカーなども登用するなどして規模や権限を拡大。サイバー攻撃への対応力を強化する。新組織におけるサイバー攻撃対応で争点となるのが、「アクティブ・サイバー・ディフェンス(積極的サイバー防御)」の在り方だ。積極的サイバー防御という言葉は2011年の米国防総省サイバー戦略から現れたとされるが、現在でも定まった定義はなく、単に「攻撃被害が出る前のリアルタイム検知や、阻止を目指すアプローチ」とするものもあれば「ハッカー集団への攻撃」そのものまでを含むという考え方もある。サイバー攻撃対応のキーワードの1つとして今後も注視していきたい。(大越)
「社員にやる気がない」と嘆く経営者さんへ
社員にやる気を感じない、仕事を楽しもうとしないと嘆く経営者がいる。自身は常にやる気に満ち溢れ、困難に立ち向かい、いくつもの苦難を乗り越え、結果を出してきたのだろう。それは確かに、働く人として望ましい姿かもしれない。だが、自分と同じレベルを一般社員にまで求めるのは、少々無理があるのではないか。大半の会社で社長は1人。役員をあわせても、経営者となるのはほんの一握りの「組織を昇りつめた人」だけだ。大半の人はそこまで昇りつめることなく、一定の年齢で会社を去っていく。自分はなぜそこまで昇りつめられたのか?特別に優秀だったからだろう。皆が自分と同じレベルなら、経営者ばかりになるだろうに。己の優秀さに気付き、我々には身の丈に合った理想像を設定してもらえまいか?その方がよほど生き生きと働けると思うから。(吉原)