30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

本人であることを証明するものとは

顔や声といった生体情報に加え、行動情報を組み合わせて本人認証するサービスが登場した。顔認証で疑問が生じた場合、画面までの距離や角度といった「本人のクセ」などで認証、さらに普段利用しているWi-Fiかどうかといった情報も組み合わせ総合的に判断するもので、数秒単位で随時継続していることから、ログインしている状態で他人がスマホを操作しようとしても自動的にログアウトし使えなくなるという。AML/CFTや反社リスク対策においては、本人確認の精度を高め「なりすまし」を防ぐために、「属性」だけでは限界があり、「ふるまい」や「行為」に着目する重要性が増している。王将社長射殺事件でも「歩容認証」技術が注目された。従来の情報と本人でしかありえない生体情報や「ふるまい」など複数の情報を組み合わせる手法に秘められた可能性に期待したい。(芳賀)

▼株式会社AnchorZ バックグラウンド認証

サイバー攻撃、発生することを前提としたBCP策定を急げ

10月31日にサイバー攻撃を受け、電子カルテシステムが停止した大阪急性期・総合医療センターはメディアの取材に応じ、「災害対応BCPは策定していたが、今回の事態は想定外だった」と述べた。診療記録などは10日後からバックアップデータで一部閲覧できるようになったものの、システム自体は現在でも復旧しておらず、紙のカルテを作成して診療しているという。福祉医療機構が9月に行った病院経営動向調査によると、サイバー攻撃を想定したBCPを策定しているのは265病院のうち8.7%と1割に届かなかった。事態を重く見た厚生労働省は12月4日、医療機関向けサイバーセキュリティ対策研修の教育支援ポータルサイトを開設。対策を急ぐ。地震などの災害と同じく、サイバーセキュリティに関しても事態を防ぐだけでなく、発生することを前提としたBCP策定が急務だ。(大越)

▼医療機関向けサイバーセキュリティ対策研修を開始します(厚生労働省)

「好き」や「資格」にも限界はある

以前、法人内に設置された保育室にて、1日だけ保育実習を経験した。子どもの数に見合った保育士がいるところへ、プラス1人で入ったのだが、それでも現場は非常に大変だった。子どもは急に熱も出すし、思うとおりには動かない。昼食のアレルギー対応や、来るはずが来ない保護者への連絡など、やることも多い。子どもに急に飛びつかれて腰を痛める人もいる。いくら保育士の資格があっても、所詮は人間。親でさえ制御できない子を、一度に複数人見るには限界もある。園児の虐待はもってのほかだが、ストレスフルな職場である点は、どこも他人事ではないだろう。子どもが好きで保育士になる人は多いが、好きだけで激務は続けられない。恐ろしい事件を起こさないためには、経営者、保育士同士、家族、保護者、近隣の人等の助け合いや思いやりが必要と思う。(吉原)

自分に合った備蓄を~東京備蓄ナビ~

「東京備蓄ナビ」という、複数の質問に答えるだけで自分の家庭に合った備蓄の品目と量の目安がわかるサイトがある。年齢や性別、家は戸建てか集合住宅か、ペットを飼っているかなどの質問に答えると、備えるべき食料や日用品とその量が「あなたのご家庭で必要な備蓄品リスト」としてイラストつきでリストアップされる。ただリストアップするだけではなく、すぐにECサイトで購入できるよう各品目についてAmazonなどのリンクまで貼られている。あくまで目安ではあるが、目安を知るだけでも役に立つ。家庭の備蓄といっても、家族と暮らしているか、家族の中に子供や高齢者がいるかによっても準備すべきものは少し変わる。東京都が運営しているサイトではあるが、東京都以外に住んでいる方も含め、自分に合った備蓄について気になる方は是非利用してみてほしい。(小田)

▼「東京備蓄ナビ」(東京都防災ホームページ)

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