30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

SNSの「公共空間性」のあり方はリアルの社会にも大きな影響を及ぼす

公安調査庁の国際テロリズム要覧2022は、「米国において2021年1月に発生した連邦議会議事堂襲撃事件を受けて発表された国家戦略においては、「国内テロ」の主な要因として、(1)民族的、人種的、宗教的憎悪を動機とする暴力的な白人至上主義、(2)暴力的な反政府組織が指摘されるなど、極右テロの脅威が顕在化しているところ、極右過激主義思想に傾倒する者の動向を注視する必要がある」と指摘した。また、米議会上院の国土安全保障・政府問題委員会は米連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省(DHS)の国内テロ対策と報告を「不十分」とし、特にSNSでの過激派思想の規制や監視が追い付いていないと指摘した。日本では、無辜の民間人を巻き込むという意味では「拡大自殺」が目立つが、過激化や実行を助長するSNS対策や孤独・孤立対策が重要となる点はテロ対策と同じだ。(芳賀)

政府が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用開始

政府は16日から、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用を開始した。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域とそれに影響を与える外側のエリアでMw7以上の地震(先発地震)が発生した場合に発信される。本稿でも何度か紹介している「南海トラフ地震臨時情報」と類似している点が多いが、簡単に言ってしまうと、北海道や三陸沖で大きな地震が発生した場合、その後の一週間程度の間にもう一度大きな地震(後発地震)が発生する可能性が相対的に高まることが考えられるため、政府として注意喚起を促すというものだ。この場合、政府や自治体からは避難勧告は行わないが、対象地域の住民は日常の経済活動を継続しつつ、地震や津波への警戒を高める必要があるとしている。北海道や東北地域の企業のBCP担当者は、ぜひとも概要を押さえておきたい。(大越)

▼北海道・三陸沖後発地震注意情報の解説ページ(内閣府防災情報)

根本からの問題解決を阻む、縦割り窓口

大会社を中心に、従業員向け相談窓口を複数開設する企業は少なくない。不正や公益通報はこの窓口、ハラスメントはこちらで、メンタル不調の相談はこっちと、窓口の役割を明確にすることで、それぞれの専門家が適切に対応できる…はずだが、トラブルの背景にある真の問題に気付き、根本的な解決を目指すことを、窓口の分割が妨げてしまうこともある。世間を騒がせた数々の不祥事の裏側には、大概ハラスメントがあっただろう。ハラスメントや不正がメンタル不調を引き起こすこともあるはずだ。問題は複合的なことが多いにも関わらず、それぞれに相談者保護の必要があり、気軽に情報共有できないのは残念だ。どの窓口も、複数の視点からトラブルを見つめ、リスクにいち早く気付き、相談者の許可を取り付けながら窓口間で連携していくことが重要と思う。(吉原)

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