30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

最悪の犯罪インフラ「闇バイト」を根絶せよ~「社会的包摂」の観点の重要性

「闇バイト」が事情を抱えた者と犯罪組織の接点として機能している以上、その根絶には、SNSやネットの監視強化や啓蒙の徹底などでは不十分であり、暴力団離脱者支援や薬物等の依存症対策、再犯防止、あるいは貧困や社会的弱者の支援など「社会的包摂」の観点が求められる。闇バイトの問題は、決して最近表出した一過性のものではなく、相応の長い歴史をもち、その形態は多様性や拡がりを持っている。また、実態が「トカゲのしっぽ切り」「モグラ叩き」である以上、外形的な対策だけでは根本的な解決とならない。「人間の性」「心の闇」にまで踏み込み、「社会的包摂」の観点から問題に向き合うことではじめて根源的な解決の糸口を見出せるはすだ。(芳賀)

震災は今なお続く。改めて何を学ぶかが問われている

東日本大震災では2万人以上の尊い命が失われた。改めて亡くなられた方々へ哀悼の意を表したい。東日本大震災から12年と言われるが、福島第一原発からの放射能漏れにより故郷に戻れていない人はまだ相当数いるし、原発の汚染水は今も海に放出されている。地震と津波は12年前でも、東日本大震災は今なお続く震災なのだ。決して風化させず、命を守る取り組みの重要性は常に意識しておくべきだ。先日発生したトルコの地震では、5万人以上が亡くなった。日本でも南海トラフ地震のリスクもさらに高まっており、決して他人事ではない。ロシアのウクライナ侵攻により国防の重要性は増しているが、国内の至るところにある原発の存在や警備には言及されない。我々は原発事故から何を学んだのか。「核」のリスクは極めて身近にあることも忘れてはならない(西尾)

震災を風化させないために

東日本大震災から12年。NHKが福島、宮城、岩手で被災地に住む20代から50代までの1000人に対して行ったアンケート調査結果を発表した。「震災の記憶は風化や教訓は風化しているか」の問いには「そう思う」が17%、「ややそう思う」が43%と6割を超えた。「子供に震災を伝える機会は」の問いに「よく話すようにしている」が8%だが、「ほとんど話さない」が35%、「話をしたくない」も6%という結果となった。震災から25年を超えた阪神・淡路大震災では神戸市職員の過半数が震災を経験しておらず、伝承に力を入れる。震災の被害を伝えるため、東日本大震災遺構・伝承館(気仙沼)や東日本大震災津波伝承館(陸前高田)、石巻市震災遺構門脇・大川小学校など、被災地ではさまざまな施設がオープンしている。従業員の研修などに活用するのはいかがだろうか。(大越)

東京大空襲の日、誰もが安心して「平和ボケ」できる世界を願う

アラ還世代の人曰く、「子どもの頃、戦艦のプラモデルをよく作っていた」と。1970年代頃、戦艦はほんのりと「カッコいい」対象だったらしい。それから40年ほど経った2010年代、当時勤めていた会社の内定者たちは、戦艦を魅惑的な女性の姿に擬人化したゲームに夢中になっていた。湾岸戦争にハラハラした記憶のある筆者には、戦艦が「かわいい」対象になっていたことに驚き、これでいいのか?と一抹の不安を感じたものだ。そしてさらに10年ほど経った2020年代、まさかまだ戦争が「現在」のことであろうとは…。世界を見ずに危機感のない様は「平和ボケ」と揶揄されるが、平和ボケできるとはなんと幸せなことだろう。戦争がなくなり、世界中が安心して平和ボケできる世界を願ってしまう。3月10日は東京大空襲の日。まだまだ語り継がねばならない。(吉原)

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